警察・消防委員会速記録第三号

令和四年三月十五日(火曜日)
第十二委員会室
午後零時四十五分開議
出席委員 十三名
委員長中嶋 義雄君
副委員長荒木ちはる君
副委員長酒井 大史君
理事東村 邦浩君
理事宇田川聡史君
理事小山くにひこ君
とくとめ道信君
三宅しげき君
高島なおき君
増子ひろき君
尾崎 大介君
西沢けいた君
和泉なおみ君

欠席委員 一名

出席説明員
警視庁警視総監大石 吉彦君
総務部長滝澤 幹滋君
警務部長池田 克史君
交通部長早川 智之君
警備部長岩下  剛君
生活安全部長青山 彩子君
総務部参事官企画課長事務取扱高口 雅人君
総務部会計課長長坂 雄太君
東京消防庁消防総監清水 洋文君
次長兼オリンピック・パラリンピック競技大会対策本部長事務取扱柏木 修一君
理事兼警防部長事務取扱吉田 義実君
企画調整部長岡本  透君
人事部長上田伸次郎君
防災部長森住 敏光君
救急部長門倉  徹君
企画調整部企画課長古賀 崇司君
企画調整部財務課長浅見 匡哉君

本日の会議に付した事件
委員長の辞任及び互選
警視庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 警視庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第八十七号議案 警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第百十一号議案 警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
東京消防庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 東京消防庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第八十八号議案 東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
・第八十九号議案 特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例

○酒井副委員長 ただいまから警察・消防委員会を開会いたします。
 議事に入る前に、委員の皆様に申し上げます。
 小磯善彦委員長から、所用のため、本日の委員会を欠席する旨の申出がありました。
 委員会条例第十条に基づき、私が委員長の職務を代行させていただきますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 初めに、小磯善彦委員長から、委員長を辞任したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件は、申出のとおり辞任を許可することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○酒井副委員長 異議なしと認めます。よって、申出のとおり、小磯善彦委員長の辞任は許可されました。

○酒井副委員長 次に、ただいまの小磯善彦委員長の辞任に伴い、委員長が欠員となりましたので、これより委員長の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○荒木委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○酒井副委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○酒井副委員長 異議なしと認めます。よって、委員長には中嶋義雄委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○酒井副委員長 異議なしと認めます。よって、委員長には中嶋義雄委員が当選されました。
 委員長から就任のご挨拶があります。
   〔酒井副委員長退席、中嶋委員長着席〕

○中嶋委員長 ただいま委員長に選任をいただきました中嶋でございます。
 順調な委員会運営に努めてまいりますので、どうかご協力のほどよろしくお願い申し上げます。大変にありがとうございます。(拍手)

○中嶋委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席につきましては、お手元配布の議席表のとおりといたしたいと思います。ご了承願います。
 この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後零時四十七分休憩

   午後一時開議

○中嶋委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 令和四年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和四年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
警察・消防委員長 小磯 善彦殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十七日(木)午後五時

(別紙1)
警察・消防委員会
 第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 警察・消防委員会所管分

(別紙2省略)

○中嶋委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁及び東京消防庁関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより警視庁関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、警視庁所管分、第八十七号議案及び第百十一号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○滝澤総務部長 去る二月十日に当委員会から要求のありました自転車ナビマーク、自転車ナビライン及び自転車専用通行帯の整備計画と整備状況の推移、平成三十年に一部改正がなされた東京都青少年の健全な育成に関する条例における自画撮り被害として立件した検挙件数、職務質問に関する苦情の受理件数及び同件数のうち人種または国籍に関して差別との文言が含まれている件数につきましては、お手元の資料のとおりでございます。
 よろしくお願いいたします。

○中嶋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○とくとめ委員 まず、質問の前に、今も紹介ありました、たくさんの資料要求、提出していただき、ありがとうございました。
 今日の具体的質問の上で私が注目をしたのは、二月十六日の第一回定例都議会で警視総監による治安状況報告の中の六番目、交通事故対策の進捗状況について、この中身についてです。
 この内容は、警視庁としての都内の交通事故防止、命と安全を守る上で、交通安全の環境改善への決意等、具体的な対策の重点項目が盛り込まれていると感じました。
 私は、昨年十月の警察・消防委員会で、自転車の安全走行の環境づくりについて質問しました。そして、その内容を四月からの来年度予算に具体的に盛り込みたいと、共産党都議団として、自転車の活用促進、安全走行の環境改善を中心とした事業活動への予算への要望を行いました。
 こうした中で、警視庁関係の来年度予算の事業概要を見ますと、建設局、生活文化スポーツ局、港湾局、臨海地域の開発事業会計などの、他局と連携協力して推進する事業内容になっています。良好な自転車通行環境の確立、自転車通行空間の整備、安全運転教育・普及啓発など、ハードとソフト対策の両面の予算が盛り込まれ、全体として増額になっています。
 特に注目したのは、車道で自転車の片側通行のマナーを標示する自転車ナビマークは、昨年の路面標示数の三千二百個から、今年度は、自動車の通行で削られ見えにくくなったナビマークの更新分も含めて、五倍の一万六千個が配備をされています。
 四月からの来年度予算の増額をチャンスとして、交通安全事業の具体化と促進、大きく前進をさせていただきたいと強く希望しています。
 そこで、最初の質問ですけれども、警視総監の二月十六日の報告の中に、昨年、二〇二一年の東京の交通事故死者数が前年より二十二人減少して合計百三十三人となり、二〇一九年と同じように、戦後最少の死者数の結果になっていることが報告をされました。
 実は、この到達は人口十万人当たりで死者数を比較すると、全国四十七都道府県の中で東京は群を抜いて死者数が少なくなっている状況でした。
 この戦後最少の交通事故死者数の結果について、警視庁としては今後の取組に引き継いで生かす上で、どういうように具体的な総括をされているのかお聞きしたいと思います。

○早川交通部長 警視庁におきましては、交通事故死者に占める歩行者の割合が高いといった交通事故の実態を踏まえまして、横断歩行者妨害等の悪質、危険な交通違反の指導取締りや、歩行者に対する交通安全指導などを強化してまいりました。
 また、自転車の交通事故が多発しているほか、二輪車の事故や違反も見られることから、その安全な利用を図るため、交通街頭活動をはじめ、事業者などへの働きかけや広報啓発活動を強化することで、基本的な交通ルールの周知に努めてまいりました。
 昨年の交通事故死者数は百三十三人と戦後最少となりましたが、引き続き歩行者の保護や自転車の交通ルール遵守などが課題となっております。
 今後とも、交通情勢の変化に対応しながら総合的な交通安全対策を推進してまいります。

○とくとめ委員 ただいまの答弁において、今後とも、交通情勢の変化に対応しながら総合的な交通安全対策を推進していくということでした。
 交通事故死者数が百三十三人と戦後最少の結果となり、十万人当たりでは全国最低の到達になっている。このことを機会にして、東京都と警視庁が掲げる世界一の交通安全都市を目指してと、このスローガンを本格的に推進していただきたいと思います。
 警視総監の治安状況報告において、交通実態に即した道路環境の整備など、総合的な交通事故防止対策を推進すると述べられていました。重要な問題提起だと思います。
 今後の警視庁における道路環境整備の推進について伺いたいと思います。

○早川交通部長 警視庁におきましては、交通実態に即した、より合理的な交通規制や交通安全施設の整備などを行い、道路管理者等と連携の上、横断歩行者の安全対策をはじめ、通学路や生活道路における対策、自転車通行空間の整備などを進めております。
 安全で快適な交通社会の実現のためには、これらの取組が重要であり、引き続き諸対策を進めてまいりたいと考えております。

○とくとめ委員 最後に、関連する他局との関係で連携協力がどうしても必要であることから、要望を含めて意見を述べさせてもらいます。
 交通安全対策の徹底や交通環境の改善の事業促進にとって、来年度予算増額の警視庁の事業内容を見ますと、他局との関係で連携協力が不可欠だと思われます。
 その中でも、警視庁のイニシアチブが鍵を握っているわけですけれども、先ほどの答弁でも、安全で快適な交通社会の実現のためには、これらの取組が重要であり、引き続き諸対策を進めていくと決意を述べられました。関係する各局との連携協力がスムーズに促進されるよう、警視庁への要望を述べさせていただきます。
 警視庁の来年度の予算には、交通安全の事業に積極的予算が盛り込まれていますが、質問でも紹介したように、例えば、自転車利用者にとって車道の左側通行のリード役となるナビマークは、白色で幅が約四十センチ。自転車のハンドルよりも狭いレーンになっています。大型車との接触の危険など、不安もあります。ナビマークは長さが約四十メートル、ナビマーク同士の間隔は三十メートルごとに路面標示をされていることになっています。しかし、白いナビマークは、自動車の通行で削られて薄くなって、目立たなくなっているのが実態だと思います。
 ネットによっても、ナビマークの紹介の文章の中に、塗装で済ませ、費用が抑えられていると、まさに安上がりの実態が紹介されるような事態になっています。多数の自動車の通行で白色のナビマークの塗装分が削られて薄くなって、今度の取組でも、更新、増強が必要になっています。
 さらにもう一つ、青色のナビラインの路面標示は、警視庁と道路管理者の建設局の連携した役割分担と聞いています。
 ナビマークは自転車レーンとも呼ばれ、幅七十五センチの青色の矢印の路面標示で、自転車のハンドル幅を倍近く上回る幅になっています。自転車利用者にとっては安心感が持てるマークになっていると思います。自動車から見ても目立った存在で、お互いが安全走行に注意できるマークになっているのではないかと思っています。交差点の四か所の横断歩道部分にも、このナビマークは標示をされ、自転車の通行レーンとなっています。
 さらに、この青色のナビラインを土台にして、白色のナビマークが一体的に路面標示されている道路が最近様々なところで広がっていることを見聞きしています。
 ナビラインの路面標示は、警視庁と道路管理者の建設局の連携協力で行うことになっていますが、ナビマークの今のような狭過ぎるラインから、ぜひ青色と白色を一体にした、そういうナビマークとして広げていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 交通安全通行や自転車の安全・安心走行などの環境改善の問題では、その他の関係局、例えば生活文化スポーツ局、それから都市整備局などが普及啓発、宣伝などのソフト分野の役割発揮が大変重要だと思います。
 私も、安全・安心の道路利用が道路の安全通行へ環境改善となるように、各局の担当者に連絡を取って聞いてみました。ところが、警視庁の自転車総合対策で強化がされるという話をすると、大変歓迎の声、期待の声を持ちました。
 ぜひ東京都と警視庁が掲げる交通安全のスローガン、世界一の交通安全都市を目指すという、こういう大きな目標に向かって、このスローガンを実現するために、他局の皆さんと緊密に、早急に相談をしていただいて、具体化を図っていただきたいと思います。
 私も交通安全・安心のまちづくりのために、ぜひ頑張りたいと思っています。私の質問と要望を終わりとします。ありがとうございました。

○西沢委員 私からも質問をさせていただきたいと思いますが、東京都が抱える課題は、今はまさにコロナ対策であったり、少子高齢化だったり、環境であったり、教育であったり、多岐にわたるわけでございますけれども、災害対策というものは東京都にとって極めて重要であるというように考えるわけであります。特に私たち、震災や水害が同時に起こる複合災害というものを想定していくということが大切だというように考えております。
 こうした話を踏まえまして、本会議で警視総監からお伺いしました治安状況報告にもございました災害警備諸対策の推進状況について伺っていきたいというように思います。
 本会議では、災害現場を再現した施設での訓練などによる対応能力の向上をしているというようなことについてご報告がありました。今改定中ではありますけれども、現行の東京都の地域防災計画でも複合災害については、これまであまり記述がない状況の中で、私たちの提案の中で、東京都の複合災害対策も着実に進んでいるということを、評価をしているわけであります。
 加えて、現場に出られる皆さんがこうした訓練を行っておられるということもお伺いをして、大変心強い限りでございます。
 実際に災害現場に出るときを考えますと、想定して装備を整え、訓練していなければ、とても救出救助に当たることはできないと思われます。
 そこで、複合災害という観点から、災害現場で都民を守り抜くための職員の対応能力向上の取組についてお伺いいたします。

○岩下警備部長 近年、全国各地で大規模な災害が頻発しており、今後、これらの災害が都内において同時に発生する可能性は否定できません。
 警視庁では、警視庁災害警備総合訓練をはじめ、各種災害による様々な被災現場を想定した実践的訓練を繰り返し行っております。また、無線操縦式の多目的ロボットや、被災状況を迅速に把握するためのドローンといった先端技術を駆使した資機材の導入を進めるなど、発災時における的確な対応に資する基盤整備を図っております。
 警視庁といたしましては、複合災害の発生下においても災害応急対策を十分に行えるよう、引き続き災害対応能力の向上に努めてまいります。

○西沢委員 今ご答弁の中で、複合災害の可能性を否定できない、複合災害の発生下においても備えを万全にというような答弁がございました。
 当時、複合災害というと、そんなことがあり得るのかとか、隕石が降ってくるより可能性低いんじゃないかなんていうことをおっしゃった方もいましたが、改めて、この複合災害というものが常に起こるんだということ、答弁でもございましたが、心強く感じる次第でございます。ぜひ備えを進めていただきたいというように思います。
 また、いざという際の重要な現場での対応のために様々な訓練をされているということ、これも確認をさせていただきました。引き続き気を引き締めて取り組んでいただきたいと申し上げたいというふうに思います。
 それから、昨年七月に熱海市で発生した土砂災害にも広域緊急援助隊を派遣して、十七名を救出されたとのことでございました。もちろん、被災者の救出救助に尽力されたということ、第一義として感謝を申し上げるというわけでございますけれども、こうした現場経験を生かして、首都直下地震、水害、富士山の噴火、こうした複合災害ですね、もしくは首都直下地震と富士山の噴火であったり、また、首都直下地震と水害といった、こうした複合災害など、こうしたことをしっかりと想定をし、計画的に備えを進めていただきたいというように思います。
 こうした立場からお伺いをしたいと思います。
 この治安状況の報告の中で、ツイッターを活用した情報発信など、都民の防災意識向上にも努めているというようなことでございます。
 このツイッター、なかなか多くの都民に興味を持っていただく、さらに、防災意識の向上や、いざというときの備えにまでつながるような形での情報発信や働きかけというのは難しいのではないかとは思います。
 ただ、このツイート、警視庁の災害対策課のアカウント、ベストツイート集などというものをつくって、かなり工夫して発信をされているということが分かります。この災害対策課のアカウントのフォロワー数は八十八万フォロワーということで、かなり多くの方がフォローされております。
 発信には、こうした複合災害などについての不安の声にも応えていくということが重要であるというふうに考えます。特に消防団や町会防災会関連者、比較的意識の高い地域の防災リーダーなども多くフォローしているんだというふうにも思います。
 改めて、防災力を高めるため、都民への情報発信は改めて重要であると考えますが、その取組についてお伺いをいたします。

○岩下警備部長 警視庁では、都民の皆様の防災力向上に資するため、自治会などへの防災講話の実施やSNSによる啓発活動のほか、外国人居住者に向けた災害対策用広報誌を四か国語で作成し、発行しております。
 特に、災害対策課が発信しているツイッターは、災害発生時に誰でも簡単に活用できる豆知識などを取り上げることによりまして、多くの方からフォローされており、避難所で役に立ったとのツイートもいただいているところであります。
 今後も防災力向上に向けた的確な情報発信に努めてまいります。

○西沢委員 この警視庁の災害対策課のフォロワー数、先ほど申し上げましたが八十八万フォロワーということで、他の、例えば警視庁の広報課さんは十一万フォロワーです。採用センターが二・三万フォロワーとか、捜査一課が三万フォロワーとか、そういった他の警視庁のアカウントに比較すると、ずば抜けてこの災害対策課のフォロワー数が抜きん出ているということが分かります。これは、都民の皆様に限らず、多くの方の関心の高さが分かるのではないかと思います。
 ツイッターには限らないんですけれども、様々な発信媒体を活用しての都民への周知、広報に改めて努めていただきたいという要望をして、質問を終わらせていただきます。

○和泉委員 私の方からは、視覚障害者の安全な歩行の確保について伺います。
 昨年の第三回定例会で高度化PICSに係る議案が提出をされ、事務事業質疑でも取り上げましたけれども、その際に警視庁は、高度化PICSは信号の状況を視覚に障害を有する方にいつでもお知らせできるように整備するものであり、音響式信号機やシグナルエイドについては、引き続き整備を進めていくこととしております、また、視覚に障害を有する方の通行の安全を確保するため、地域住民の理解が得られるよう努めてまいりますと答弁をされました。
 最近になって、視覚障害者の方から、高田馬場周辺の高度化PICSが増設されるらしい、それに伴って、音響式信号機が止まるのではないか、運用時間が変わるのではないか、そのような不安の声が寄せられました。
 まず確認をさせていただきたいと思いますが、新たに高度化PICSが導入される信号において、これまでは視覚障害者向けの対策がどのように講じられてきたんでしょうか。

○早川交通部長 新たに高度化PICSを導入する信号機は、これまでも音響式信号機として運用されてきたものであります。これらの音響式信号機は、障害のある方からの要望を踏まえつつ、近隣住民のご理解を得ながら、場所ごとに誘導音を鳴らす時間帯を設定しております。
 具体的には、開始時間を午前五時から午前八時までの間に、また、終了時間を午後七時から午前零時までの間に、それぞれ設定しているところであります。

○和泉委員 高度化PICSが導入されている信号機でも、音響式信号機として運用されてきたものであるということです。
 高田馬場周辺の信号機について運用が拡大されるという高度化PICSの信号機はどのようになるのか伺います。また、高度化PICSの運用拡大によって、音響式信号の運用はどのようになるのかについても併せてお伺いいたします。

○早川交通部長 今回新たに導入する高度化PICSは、既に運用されております二か所に加えまして、その周辺十三か所に整備するものであります。これら十五か所に設置されている音響式信号機は、いずれも引き続き運用されるもので、同所では音響式信号機の誘導音が鳴らない夜間や早朝の時間帯に高度化PICSを活用していただくことが可能となります。
 警視庁といたしましては、引き続き利用者のご意見を伺いながら、音響式信号機の適切な設置、運用に努めてまいります。

○和泉委員 音響式信号が止まることはない、運用時間についても変わることはないというご答弁だったというふうに理解します。
 これまで音が止まっていた早朝や夜間も、このシステムを使えば、手元のスマホのアプリが音で知らせてくれる。視覚障害者にとって安全性、利便性が向上する。これは非常にいいことだというふうに思います。
 ただ、一方で、昨年の質疑でも述べましたけれども、このアプリ自体にまだ改善すべき点があるということや、音響式信号機の運用を後退させないでほしいという視覚障害者団体の方の強い要望もあります。
 ただいまご答弁のありましたように、当事者の声をよく聞いて、音響式信号機の設置を進めていただくこと、そして運用時間が短縮されることのないよう、近隣の方の理解を得る努力を引き続きお願いしたいというふうに思います。
 以上です。

○中嶋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中嶋委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で警視庁関係を終わります。

○中嶋委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、東京消防庁所管分、第八十八号議案及び第八十九号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○柏木次長 過日の委員会で要求のございました資料につきましては、お手元の警察・消防委員会要求資料のとおりでございます。
 内訳といたしましては、救急活動時間(過去五年)、消防署所数と救急資格者数等の推移(過去十年)、救急隊数と救急資格者数(消防署別過去五年)、医療機関への受入れ照会回数四回以上の事案(過去三年)、デイタイム救急隊配置署、救急隊が配置されていない署所一覧、令和四年度に廃車する予定の救急車両の台数、以上の計七点でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○中嶋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○和泉委員 まず、救急搬送の体制について伺います。
 コロナとの闘いは二年を過ぎ、医療従事者と共に、その闘いの最前線で頑張っておられるのが消防庁、救急隊の皆さんだと認識しています。
 医療機関の逼迫が深刻なことはいうまでもありませんが、医療の現場が逼迫しているということは、取りも直さず救急隊の現場も逼迫しているということにほかなりません。都民の安全のために高い使命感を持って苛酷な任務に当たっている救急隊の皆さんが健康でやりがいを持って働き続けられる環境を整える責任が都にはあります。
 その立場から、まず救急体制について伺います。
 夏は熱中症の増大、冬はインフルエンザなどの感染症や寒暖差による心疾患、脳血管障害などが増えるため、一年を通して救急出動が増えると聞いていますが、その時期には、救急隊はどのような体制をどのぐらい取っているんでしょうか。

○吉田理事 一時的な救急需要の増大があった際は、ポンプ隊員や予防業務等に当たっている毎日勤務員の業務を切り替え、非常用救急隊を編成して対応しており、今年は既に二十八回編成しております。

○和泉委員 今年だけで既に非常用救急隊を二十八回編成しているというご答弁でした。
 東京消防庁の公式ツイッターでも、二月九日以降、非常用救急隊の編成が連日報告されています。公式ツイッターの記録だけでも、二月九日から二十八日までの非常用救急隊の編成は、編成日数が九日間、延べ二百六十一隊に及びます。
 通常の年でも、夏は救急出動の要請が増える上、昨年の夏には熱中症に加え、オリンピック、コロナの第五波と、例年以上の備えが必要だったと思いますが、救急車や救急隊などの体制をそれぞれどのように整えたんでしょうか。

○岡本企画調整部長 東京二〇二〇大会開催時には、通常の救急搬送体制に影響を与えないよう、通常の救急車とは別に、使用廃止する時期を延長して大会専用の救急車を確保しておりました。
 また、大会用の救急車に従事する救急隊員につきましては期間が限定されていたことから、職員の週休日の変更等により確保いたしました。

○和泉委員 職員の皆さんは、今ご答弁にあったとおり、週休日を調整して、つまり、本来の休日を前倒しで取ったりしてオリンピック期間中の体制を回したということです。それは、期間が限定されていたからこそできたことです。しかし、コロナとの闘いは二年を超え、いつ終わるとも知れないものになっています。オリンピックのときのようにはいきません。
 先ほどのツイッターでは、例えば十四日には雪が降ったという条件も加わって、十時十五分時点で二十八隊編成していた非常用救急隊を十一時五十分現在で五十五隊まで増やしています。十時に編成した二十八隊という編成数は適切だったんでしょうか。救急要請が多くなる時間帯をつかみ、早め早めに編成を開始し、毎日勤務員の出勤時間を調整するなどして、状況をしっかりと見極めてから解除する、必要な編成数を早めに判断するなどで、現場の皆さんの負担を軽減することができるんじゃないでしょうか。ぜひご検討いただきたいと思います。
 これまでも感染の波が来るたびに、通常の救急搬送に大きな影響を及ぼしてきたことが繰り返し報道されてきました。いただいた資料4からも、医療機関への受入れ照会回数四回以上の事案が大きく増えていることが分かります。
 実際の救急活動時間にも影響が出ていることと思いますが、コロナ前の令和元年と、コロナ後の令和三年、令和四年で一件当たりの救急活動時間はどのように推移しているでしょうか。

○門倉救急部長 令和元年以降の出場から病院到着までの時間は、令和元年は三十八分二秒、令和二年は三十九分四十六秒、令和三年は速報値で四十三分四十二秒、令和四年は一月、二月の速報値で五十七分四十八秒でございます。

○和泉委員 コロナ前には出場してから病院に到着するまで約三十八分だったものが今年の一月、二月は約五十八分かかっているということです。
 私の住む地域でも、午後七時頃、現場に到着した救急車がその場からなかなか動けず、夜中の二時過ぎに、やっと動いたという話をその近所の方に聞きました。夜遅くに運転して自宅に帰る途中には、サイレンを鳴らして、葛飾区側から新四ツ木橋を渡って墨田区方面へ向かう救急車を何度見たか分かりません。
 救急の患者の下に駆けつけながら搬送先が決まらない救急隊の皆さんの心情、ご家族の心配や焦燥感は察するに余りあります。救急隊の皆さんは、そんな闘いを二年以上にわたって続けているわけです。
 新型コロナウイルス感染拡大が繰り返される中で救急搬送が増えれば、それぞれのところに配備されている救急隊が全て出動中ということもあるのではないかと思います。そのような状況で、どこに出動可能な救急隊があるか、どこから出動させるのが一番早いかなどの時々の救急隊の現況というのは、どのように把握しているんでしょうか。

○吉田理事 救急車に搭載しているGPS機能等を活用して、指令センターの地図情報システムから出動可能な救急隊を把握し、一番早い到着が見込まれる隊を選定して出場させております。

○和泉委員 非常用救急隊が編成されるということは、正規の救急隊だけでは追いつかないという状況ですから、出場中の救急隊が病院への引渡しを終える前に、次の救急要請が入るということも多いと思います。次から次へと救急要請が入り、十時間以上戻ってこられないこともざらだというふうに聞いています。
 そのような勤務が連日続くと、救急隊員の過労が心配です。救急隊が出動してから戻ってくるまでの時間、休憩時間の確保、食事時間の確保などはどのように管理されているんでしょうか。

○門倉救急部長 これまで救急需要に応じて計画的に救急隊を増隊しており、休憩時間の確保等につきましては、救急隊員の交代や、他の救急隊による補完体制を取りながら、自己消防署等において、救急隊が極力休憩時間を取れるよう配慮しております。

○和泉委員 今ご答弁にあった休憩時間の確保のための努力、それから補完体制、こういった努力は重要だと思います。そして、資料2にあるように、救急隊を配置している消防署、出張所を増やして、救急隊も救急救命士などの救急資格者数も増やしていること、これも大変重要だと思います。
 それでも非常用救急隊を連日編成しなければならない状況がずっと続いているわけです。デイタイム救急隊のさらなる増強や救急隊そのものをさらに増やして、救急隊が配置されていない署所に早急に配置するなどの抜本的な体制強化を思い切って進めることを強く求めます。
 現場の皆さんが二年に及ぶコロナとの苛酷な闘いの中で必死に頑張っているのは、何よりも都民の命を守るという使命感に支えられているからこそだと思います。その頑張りに応え、やりがいを持って働き続けられる環境をつくっていただくことを改めて求めて、次のテーマに移ります。
 消防庁におけるハラスメント対策についてです。
 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、いわゆるパワハラ防止法が今年四月から中小企業にも適用され、完全実施となります。
 そこで、消防庁におけるパワハラ防止対策について、これまでの取組、相談体制について伺います。
 また、令和二年に発出をされ、同年六月一日から適用されている、事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針、この厚労省告示は、消防庁の取組にも生かされるべき指針だというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○上田人事部長 ハラスメント対策につきましては、東京消防庁職員倫理規程にパワーハラスメントの禁止を明確に示しており、全職員に対し、各種研修及び教養を行うとともに、毎年、ハラスメント防止月間を設けるなど、取組を行っております。
 また、各所属に職員相談員を配置するとともに、庁内に女性や若手専用の窓口を設置するほか、外部の専門機関に心の相談室を運営委託するなど、相談体制を整えております。
 このように、指針の内容につきましては、既に取り組んでいるところでございます。

○和泉委員 職員倫理規程、各種研修、防止月間などの取組や外部の専門機関に委託するなど、相談体制を整えているという、ただいまの答弁は重要だと思います。
 女性職員や若手職員が働きやすい、働き続けられる環境づくりのために、一人一人に丁寧に寄り添った相談体制がちゃんと機能することを強く期待します。
 パワハラをしたと一方的に服務監察課から呼び出され、厳しい聴取を受けて体調を崩し、長期休職をした署員への対応の問題で二〇二〇年に大山議員が質疑を行っています。
 そのとき消防庁は、事故等の真相を究明し、厳正な服務規律を確保するため、関係職員から事情聴取をするもので、監察規程に基づき適正に実施していると答弁されています。
 この考え方に変更はありますか。

○上田人事部長 ご指摘の問題とされている件は、庁としては関知しておらず、真偽については不明でございますが、監察官が行う聴取は、事故等の真相を究明し、厳正な服務規律を確保するため、関係ある職員から事実確認をするもので、東京消防庁監察規程に基づき適正に実施をしております。

○和泉委員 この相談案件ですけれども、匿名の投書に基づいて、行為者、要するにパワハラをしたとされた人に厳しい聴取が行われたんです。
 その匿名の投書は、消防署、分署名を特定した上で、そこのF士長は理不尽な発言を繰り返し、また人格を否定する発言を繰り返している、このような士長は処分すべきである、以上。というものだったそうですが、通告者は判明せず、ハラスメントの具体的な内容もはっきりしないまま、パワハラを行ったとされた職員と、なぜか私どものところに相談をしてきた職員が服務監察課から厳しい聴取を受けました。
 匿名のパワハラ告発に対しては事実関係の確認が正確に行いにくく、一方の当事者の特定ができなければ、双方の関係改善も図れないことから、解決は大変難しいものとなります。実名による告発を原則とするべきと考えますが、いかがですか。

○上田人事部長 パワハラの告発につきましては、原則として、監督系列等に従って直接申告することを周知しております。

○和泉委員 匿名による投書ではなく、直接の申告を原則としているというご答弁でした。もちろん、様々な事情で匿名での告発というのもあり得ると思います。今回の相談案件のようなことが今後起きないよう、再発防止の取組をお願いしておきます。
 先ほどの指針ですけれども、相談があったときには、迅速に事実関係の確認を行うために、相談者、行為者双方から丁寧に事実確認などを行うことが重要だとしています。その事実関係に関する主張に不一致があって事実の確認ができない場合には、第三者からも事実関係を聴取する、確認が困難な場合には、法第三十条の六に基づく調停の申請を行うことその他中立的な第三者機関に紛争処理を委ねることなどが適切な対応であると述べています。
 消防庁においては、このような措置が講じられているのか伺います。

○上田人事部長 事実確認につきましては、公正、公平性を基本とし、当事者からだけではなく、第三者からの客観的な視点による確認も行っており、必要がある場合には、第三者機関へ委ねることも考慮しております。

○和泉委員 私も社会保険労務士としてハラスメントの相談を何度か受けたことがあります。行為者がハラスメントの自覚がない場合が最も多いものですが、中には、客観的に見て、どう考えても適切な指導の範囲だろうと思われるような告発もあります。
 被害を受けた人と行為者の意識は全く違うものであることが多く、それだけに、殊さら事実確認は難しいものだと実感しています。
 だからこそ、現場で対応に当たる職員の専門性、スキルを高めることが重要です。事実確認が十分でないと正しい対応ができないばかりでなく、当事者を精神的に追い詰めることになります。そうならないために専門家の力を借りることは重要です。
 事実確認は、第三者からも事実を聴取すること、必要に応じて第三者機関の力も借りるということが答弁されましたので、ぜひこれも現場に徹底していただきたいというふうに思います。
 当事者の関係改善に向けての援助、当事者を引き離すための配置転換などの措置を講じることも併せて求められていますが、そのような対応が取られているんでしょうか、伺います。

○上田人事部長 人事的な配慮の必要が認められる場合は、速やかに人事異動を行い、対応しております。

○和泉委員 先ほどの相談案件では、別の勤務先への復職を本人が強く希望しましたが、認められませんでした。現場の状況をしっかり把握して、適切な対応を求めておきます。
 パワハラの発生原因や背景には、職場環境の問題もあると指摘しています。パワハラが発生する原因や背景を、当事者だけでなく職場全体の問題として捉え、職員同士の話合いや取組によって困難を乗り越える、そういう職場風土の構築や、パワハラを発生させないための知識、スキルを学ぶ研修などが必要だと思います。
 今回、我が党が相談を受けた事例のような、パワハラを疑われた事例も含め、職業環境を害し、健康や生命にも重大な影響を及ぼす問題であることを深く自覚いただいて、厳正な服務規律という側面だけでなく、職員が健やかな心と体で都民の安全のために働けるよう、労働安全衛生上の視点を持って適切に対応することが必要だと思いますが、消防庁はどのように取り組むのか伺います。

○上田人事部長 消防行政における都民サービスの最大化を図るため、適正な業務管理を行い、過度なストレスを排除し、職員の心身の健康を確保するとともに、ハラスメントのない職場風土を築くなど、引き続き良好な勤務環境の維持に努めてまいります。

○和泉委員 ありがとうございます。ぜひ現場の隅々まで徹底していただきたいと思います。
 若く、高い使命感に燃えた職員が精神的に追い詰められ、消防や救助の現場から離れなければならないのは、本人の人生にとっても、消防庁にとっても大きな損失です。服務監察の在り方、労働安全衛生に配慮した労務管理の在り方について、常に振り返りを行いながら適切に対応していただくよう求めます。
 消防も救急も、都民の安全と命を守るために現場の最前線で働いている皆さんであり、都民の信頼に応え、日々の苛酷な任務に当たってくれている方々です。そのことに心からの敬意を込めて、これからも安全に、心身共に健康で任務に従事していただきたいと思いますし、そのために必要な手だてを尽くしていただくことを重ねて求め、質問を終わります。

○中嶋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中嶋委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京消防庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十二分散会

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