警察・消防委員会速記録第四号

令和三年三月十五日(月曜日)
第十二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長佐野いくお君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長大津ひろ子君
理事山口  拓君
理事吉原  修君
理事荒木ちはる君
星見てい子君
石川 良一君
橘  正剛君
東村 邦浩君
増子ひろき君
尾崎 大介君
秋田 一郎君
高島なおき君

欠席委員 なし

出席説明員
警視庁警視総監斉藤  実君
総務部長滝澤 幹滋君
地域部長高柳 博行君
刑事部長渡邊 国佳君
総務部参事官企画課長事務取扱枝廣 基司君
総務部会計課長中西 大和君
東京消防庁消防総監安藤 俊雄君
次長兼オリンピック・パラリンピック競技大会対策本部長事務取扱清水 洋文君
企画調整部長吉田 義実君
総務部長山本  豊君
防災部長森住 敏光君
救急部長岡本  透君
装備部長石川 義彦君
企画調整部企画課長市川 博三君
企画調整部財務課長岩崎 隆浩君

本日の会議に付した事件
警視庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 警視庁所管分
東京消防庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 東京消防庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第七十五号議案 東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
・ 第七十六号議案 特別区の消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の一部を改正する条例

○佐野委員長 ただいまから警察・消防委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 令和三年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和三年三月十二日
東京都議会議長 石川 良一
警察・消防委員長 佐野いくお殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十二日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十八日(木)午後五時

(別紙1)
警察・消防委員会
 第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中
        歳出
        繰越明許費
        債務負担行為 警察・消防委員会所管分

(別紙2省略)

○佐野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁及び東京消防庁関係の予算の調査及び東京消防庁関係の付託議案の審査を行います。
 これより警視庁関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、警視庁所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○滝澤総務部長 去る二月十二日に当委員会から要求のありました自転車ナビマーク、自転車ナビラインの整備計画と整備状況の推移、自転車専用通行帯の整備状況の推移、平成三十年に一部改正がなされた東京都青少年の健全な育成に関する条例における自画撮り被害として立件した検挙件数に関する資料につきましては、お手元の資料のとおりでございます。
 よろしくお願いいたします。

○佐野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○星見委員 日本共産党の星見てい子です。よろしくお願いいたします。
 昨年末から、警察官が協力をお願いしている任意の捜査等についての相談が相次いでいます。これらに関連して、まず、警察官の職務質問からお伺いいたします。
 職務質問の根拠になっている警察官職務執行法は、異常な挙動や疑うに足る相当な理由のある者などについて、停止させて質問することができるとしています。同時に、第一条で、この法律に規定する手段は、前項の目的のために必要な最小の限度において用いるべきものであって、いやしくもその濫用にわたることがあってはならないとしています。
 職務質問の要件を欠いたり、任意性の限度を超えて、都民に強制になるようなことは違法として戒められなければなりませんが、この点をどのように徹底しているのか、まず伺います。

○高柳地域部長 警視庁では、職務質問を適正に行うための取り組みとして、採用時の初任教養や警察署への巡回指導を初め、あらゆる機会を通じて指導教養を行っております。

○星見委員 今、指導教養を行っているとのご答弁ですが、相談からは適正な執行とは思えないものが数々あります。紹介しながら質問させていただきます。
 ある男性は、仕事帰りに、車からおりてきた警察官に突然、職質しますといわれました。理由もいわないので、丁重にお断りして歩き始めると、道を塞がれ、払いのけると、体当たりしましたね、おばあさんとすれ違わなかったと聞くので、いや、全然と答えている間に、応援の数十人の警察官に囲まれました。
 持ち物を見せるよう迫られ、断ると、警察官に、見せない理由は何ですか、不審者じゃないですよねと勝手に荷物を調べられ、仕事の工具にカッターがあったとして、警察署へ連行を求められ、これを断ると、来ないと逮捕しないといけなくなるとおどされました。
 その場で会社に連絡をして、仕事道具であることを説明してもらえましたが、結局、連行されました。警察署で始末書のようなものを無理やり書かされたので、最後に、不当な行為だと書いたら、それだけ消されたそうです。
 この男性は、途中から警察官に恐怖を感じて、経過を録音、録画しています。職務質問は任意行為で、相手の承諾に基づいて行われる行為です。ところがこのように、多数の警察官に囲まれ行動を阻まれたり、逮捕するぞとおどすなど恐怖を与えて、事実上強制されたとの声が後を絶ちません。
 コロナ禍で苦しんでいる都民に対して、憲法が定める基本的人権尊重の趣旨に合わない行為が起きないよう、繰り返し、職務質問の適正化に力を注ぐことは重要と思います。見解を伺います。

○高柳地域部長 警視庁では、今後も警察官職務執行法に基づき、適正かつ公平中正に職務質問を実施するため、先ほどお答えした指導教養を徹底してまいります。

○星見委員 職務質問に協力したある男性は、荷物検査でリュックサックをあけた途端に、複数の警察官がリュックを押さえ、両手を突っ込んで、中の下着や衣類などの日常品を全てかき回し、めちゃくちゃにした後、行ってよいといって立ち去ったとのことです。
 警察官たちはマスクをしていたが、手袋もなく手の消毒もしないままだった、コロナ感染を危惧してリュックの中は全て捨てた、補償してほしいといっています。職務質問をしている警察官に都民が安心して対応できるよう、コロナ感染防止を図るとともに、質問や荷物検査は社会的に許される限度を徹底すべきと思います。見解を伺います。

○高柳地域部長 警視庁では、地域警察官に対し、消毒液やフェースシールドを配布しており、職務執行の際には、相手方に不安を与えないよう、これらを必要に応じて活用させております。
 適正な職務質問の実施については、さきに答弁したとおりであります。

○星見委員 コロナ感染への都民の不安はもちろんですが、年の瀬にはコロナ解雇が八万人です。このままでは三月末、五月に向かって、さらに万単位でふえると予想されています。百年に一度という災害時です。よく考えていただきたい。
 ある検査の専門家は、出張に出る直前に会社に向かっていました。上野駅の改札を出て、すぐに警察官から声をかけられましたが、打ち合わせが始まるので、必要なら一緒に会社に来てくれといって歩き始めたところ、地下道で警察官に正面から胸を押されてとめられました。
 三人に囲まれ、身動きもとれない状況で荷物検査に協力させられました。その結果、男性は会社の会議に遅刻して謝罪し、危うく出張の新幹線にも乗りおくれるところでした。コロナ禍の中で、自己責任といわれ、いつ職を失うかわからない状況で働いている都民がたくさんいます。都民に、社会生活を犠牲にさせるような職務質問のやり方は直ちに改善するよう求めます。
 次に、外国人や外国にルーツを持つ方への職務質問についてです。
 近年、東京弁護士会などが実施する法律相談に外国人から職務質問の相談がふえ、アンケート調査も行われています。また、先週、ドレッドヘアは薬物を持つ人が多いと、両親がハバナと日本人である男性に繰り返し職務質問が行われたことが報道され、問題になっています。警察官が、人種や出身、宗教などの先入観や差別から市民を犯罪者扱いすることは、レイシャルプロファイリングとして世界的に大きな批判をされています。
 警視庁として、このような問題について、警察官の研修に組み込み、不当な職務質問をしないよう強化すべき、このことについて見解を伺います。

○高柳地域部長 警視庁では、職務質問を警察官職務執行法に基づき、適正かつ公平中正に実施するため、引き続き、職員に対する指導教養を徹底してまいります。

○星見委員 今のご答弁を聞いて、問題の重要性が余りご理解されていないように思います。外国人の職務質問アンケート調査を行った東京弁護士会は、結果のまとめで、職質の要件を満たさず、単に外国人であることのみを理由に職質が開始されていると認められる事案が相当あると、厳しく問題を指摘しています。
 外国にルーツを持つ方への職務質問もドレッドヘアへの偏見にとどまりません。両親がアジアの他国と日本人である男性は、コンビニを出たところで警察官にパスポートを持っているかと聞かれました。申請したことがないので、持っていませんと答えたら、じゃあ在留証明書は所持しているのかといわれ、持っていませんと繰り返したら、何を堂々というんだと威圧されました。生まれてから二十年間ずっと日本に住んでいますと答えたら、証明してみろと荷物検査になり、保険証を取り出し、やっと解放されたとのことです。
 これでは、外国人も、外国にルーツを持つ人も、安心して東京のまちを歩くことはできません。アメリカでは、警察官がアフリカ系アメリカ人やアジア人など、有色人種を犯罪者扱いするレイシャルプロファイリングによって、市民が殺される事態が相次ぎ、世界で大きな批判が巻き起こっているのは周知の事実です。
 日本でも、職務質問が適正に実行されず、人種や出身などの先入観や差別から見た目で判断されることが多発しているのはゆゆしき問題です。警視庁として、このようなレイシャルプロファイリングの問題について、警察官の研修に組み込むよう求めます。
 警視庁では、年間の職務質問による検挙実績の目標、いわゆるノルマを課し、地域警察官を対象にした職務質問競技会や、職務質問による犯罪検挙強化月間を実施し、表彰の対象にしていると、元警察官などが紹介しています。この職務質問の目標についてのノルマや、それが表彰の対象になっているのは事実でしょうか、お伺いします。

○高柳地域部長 警視庁では、首都東京の安全・安心を守るため、昼夜を分かたず、警察活動を展開しているところ、より管内実態に即した警察活動の促進を図るため、各警察署に対して、年間の犯罪発生状況や検挙状況を示しております。
 また、表彰については、職務質問に限らず、職員に対する士気高揚の一環として、幅広く実施しております。

○星見委員 警察官の士気高揚の一環とのお話ですが、愛知県警では、二十四歳の巡査が上司から職務質問のノルマを達成できないなどと、腕立て伏せを命じられるなどのいじめや暴力が原因で自殺しています。
 また、警視庁では二〇一九年二月、配管整備の男性が、マンションの漏水で緊急対応した後、ずぶぬれで作業車に戻ったところを職務質問され、車の中にふだんの工具である電工ナイフ、ガラスクラッシャー、マイナスドライバーがあったことから、軽犯罪法違反で検挙するとして連行されました。連行された中野警察署の地域課の壁に大々的に職務質問強化月間、目指せ地域課長賞という垂れ幕が張ってあるのを見て、数が欲しくてでっち上げとわかったと話しています。
 このようなやり方は、違法な職務質問を広げ、冤罪を生む温床になりかねません。改善を求めます。
 職務質問の最後に、苦情処理について伺います。
 二〇一六年、平成二十八年以降で、各年に公安委員会及び警視庁に寄せられた職務質問に対する苦情は、資料によるとおおむね百件から二百件となっています。この中で、警察の対応が不適切などで問題があったとして処理したものは何件ありますか。

○滝澤総務部長 東京都公安委員会及び警視庁に寄せられた職務質問に関する苦情を受理した件数のうち、不適切事案として処理した件数につきましては、平成二十八年は二件、平成二十九年は二件、平成三十年は二件、令和元年はゼロ件、令和二年は四件であります。

○星見委員 警察署の苦情相談に行ったら、職務執行法に基づく行為で一切問題ないの一点張りで話にならなかった人、中には、文書で出したら、話を聞いてくれる機会もなく、不適切なことはなかっただけの文書が届いた方、今回提示された苦情受理と不適切事案は氷山の一角かと思います。
 警察署や公安委員会に寄せられる都民の苦情については、都民の声を直接聞き、違法でないか等、客観的な情報調査を行うなど、丁寧な対応が必要と考えますが、見解を伺います。

○滝澤総務部長 警視庁では、警察職員の職務執行に関して苦情を受理した場合は、その事案を取り扱った所属の長が速やかに必要な事実調査を行い、公安委員会等に報告した上で、調査結果を苦情の申し出者に回答しております。
 今後も受理した苦情を組織的かつ誠実に処理することにより、都民、国民の皆様から理解と協力が得られるよう努めてまいります。

○星見委員 誠実に処理するとのご答弁は重要です。事実調査に当たっては、都民の声をよく聞いて対応するよう求めます。
 最後に、任意でのDNA採取について伺います。
 都民から、任意同行者や事件が起きた周辺家庭などでDNA採取が求められることが多発し、不安の声が上がっています。DNAは最高の個人情報であるといわれていますが、法整備がおくれています。
 DNA採取や捜査活用は慎重であるべきと考えますが、個人情報保護の立場から、警視庁では、採取や捜査活用にどのような規定をつくっているのかを伺います。

○渡邊刑事部長 警視庁では、DNA型鑑定に必要な資料の採取は、犯罪捜査上必要な場合に、刑事訴訟法等に基づき適正に行っております。また、鑑定結果の捜査への活用につきましては、刑事訴訟法、地方公務員法、犯罪捜査規範等に基づきまして、個人情報の保護に十分配意しながら、適切に行っております。

○星見委員 個人情報の保護に十分配慮しながら、適切とのご答弁です。個人情報保護には、個人情報の開示請求権と情報の訂正や削除権がありますが、DNA採取はこの規定が法的に整備されていないことが問題です。
 そこで伺います。任意協力で提出したDNA情報は、登録せず処分してほしいとの声があります。警視庁が任意で取得したDNA情報はどのように扱っているのかを伺います。また、登録していない場合は、どの段階で、どういう判断で処分されているのかを伺います。

○渡邊刑事部長 一般論として、捜査上必要な場合には、刑事訴訟法に基づき、参考人等からDNA型鑑定資料を任意に提出いただいており、その際には、所有権を放棄していただくこと、提出をいただいた資料に基づき、DNA型鑑定を行い、その結果を捜査に活用すること、これを説明しております。
 また、任意提出を受けたDNA型鑑定に必要な資料につきましては、基本的には、当該資料の鑑定により全量消費されることとなりますほか、残余が生じた場合には、当該関係者の意見に従って廃棄しております。

○星見委員 ご本人に説明しているとのことですが、相談を受けたショッピングモールの警備員は、昨年末に置き忘れのバッグからお財布をとったと疑われ、任意だと警察署に連行され、取調室で早くとったといえとどなられながら、何なのかわからないまま次々署名させられた後に、DNA採取が行われました。最後は全裸になり、四時間後に解放され、職場に復帰しました。しかし、心に傷が残り、この三月末で警備員をやめる予定です。
 このような採取のあり方は許されるものではありません。ご答弁の提出いただいた資料は口内などからの皮膚片や髪など生体試料を指していると思われますが、問題なのは、DNAデータベースへの登録です。
 この方の場合は、先週、警察署に出向き、苦情をいって確認すると、DNA型データベースに登録されているかも削除できるかもいまだ不明です。
 また、葛飾区の放火殺人事件、中野区劇団員殺害事件では、周辺住民のDNA採取を一千人、二千人規模で警視庁が行っていますが、拒否した人については、他県の兄弟や子供にまでDNAをとりに行っていることに、人権にかかわる事態だと声が上がっています。
 朝日新聞によると、DNA型のデータベースの登録件数は、年間十数万件のペースでふえ続け、二〇一九年度末時点で約百三十万件に上る。日本の人口のほぼ百人に一人に当たる数。データベースからの抹消は、警察庁の規定で、死亡したときと保管する必要がなくなったときに行う、警察庁に委ねられていると報道されています。
 このようなやり方でのDNA採取や個人情報の開示、削除という個人情報のコントロール権の法整備が未整備の状況は、憲法が定める基本的人権尊重の趣旨から大きく逸脱するものです。
 結局、都民の合意を得ることができなくなり、捜査への協力も得られなくなります。国に対して法整備を求めるとともに、警視庁でのあり方を検討することを求めて、質問を終わります。

○佐野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○佐野委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で警視庁関係を終わります。

○佐野委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、東京消防庁所管分、第七十五号議案及び第七十六号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○清水次長 過日の委員会で要求のございました資料につきましては、お手元の警察・消防委員会要求資料のとおりでございます。
 内訳といたしましては、救急活動時間(過去五年)、消防署所数と救急資格者数等の推移(過去十年)、救急隊数と救急資格者数(消防署別過去五年)、医療機関への受け入れ照会回数四回以上の事案(過去三年)の計四点でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

○佐野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○星見委員 日本共産党の星見てい子です。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、二〇一九年台風十九号でのヘリ救出者落下死亡事故について伺います。
 同年の十月の当委員会では、安藤俊雄消防総監が、信頼を大きく損なうこととなり、まことに申しわけございませんでした、再発防止と信頼回復に全力を尽くしてまいりますと謝罪しています。
 このとき、外部有識者を交えた航空安全委員会において、事故の原因究明と再発防止を検討すると報告されました。どのような外部有識者を招いて、何回会合が持たれたのかを伺います。また、原因と再発防止について、どのような検討が行われたのかを伺います。

○石川装備部長 まず初めに、この事故に際しまして、警察・消防委員の皆様には多大なるご心配をおかけしましたこと、この場をおかりしまして、改めておわび申し上げます。
 それでは、ご質問にお答えいたします。
 航空救助活動中の死亡事故の原因究明と再発防止策を検討するため、ヒューマンファクターを専門とする大学教授及び民間研究所副所長、さらに海上保安庁救難課専門官など計六名の有識者を含むメンバーにより、航空安全委員会を計五回開催いたしました。
 検討に当たりましては、科学的分析手法の一つである根本原因分析法を用いて、事故の直接原因、背後要因、組織要因を抽出し、その各要因に対する再発防止策を取りまとめました。

○星見委員 事故が起きた直後に、消防関係者の方から、訓練への危惧の声が寄せられました。訓練不足が起きた背景をどのように分析していますか。また、航空消防体制での今後の改善方向を伺います。

○石川装備部長 事故原因を分析いたしましたところ、消防ヘリコプターに搭乗しての訓練時間が限られていたことや、実災害に即した多様な訓練環境が整備されていなかったことなどの要因が明らかとなりました。
 このため、航空消防救助機動部隊の運用を見直し、消防ヘリコプターでの訓練時間をふやしたことに加え、来年度は、さまざまな災害の状況を再現できる福島ロボットテストフィールドでの訓練の実施を予定しております。
 さらに、乗組員一人一人の持つ能力を組織力へと高めるクルー・リソース・マネジメント訓練を導入し、事故の再発防止に取り組んでまいります。

○星見委員 昨年十月に再発防止策が公表された際に、ヘリ救助の訓練時間の担保や安全管理を担う部署の新設も検討すると報道されていますが、この点はどのようになっていますか。

○石川装備部長 航空消防救助機動部隊の運用方法を見直し、消防ヘリコプターを使用した救助訓練の機会を増加させたことにより、航空救助を任務とする隊員一人当たりの訓練時間が昨年度に比べて約二倍となりました。また、令和三年四月には、航空隊の安全管理全般を担う航空安全担当係長を新たに設置することとしております。

○星見委員 改めて、二〇一九年台風十九号ヘリ救出者落下死亡事故の被害者の方のご冥福をお祈り申し上げます。
 この事故の検証がなされ、新年度に訓練環境の整備やハンズフリー通話装置などの航空消防救助機動部隊の充実が打ち出されたことは重要です。空からの救援活動である航空消防体制のさらなる充実強化を要望して、次の質問に移ります。
 二〇一九年、東京消防庁では初のデイタイム救急隊が発足しました。育児や介護などの理由で夜間の勤務ができなかった隊員が、平日の日中時間帯に従事できるデイタイム救急隊により、救急活動が強化されました。運用から二年になりますが、この成果をお伺いいたします。

○吉田企画調整部長 デイタイム救急隊は、救急需要が高まる日中の時間帯のみに運用する救急隊であり、池袋消防署に初めて設置をし、試行運用してまいりました。
 令和二年中のデイタイム救急隊の出場件数は九百二十九件であり、池袋消防署の全救急隊の平均現場到着時間が約二十秒短縮されるとともに、遠方からの救急隊の出場が抑制され、管内の救急事案に迅速に対応できるようになるなど、成果を上げております。

○星見委員 デイタイム救急隊が配属された池袋消防署とその周辺の救急事案にも成果が及んでいることは重要です。コロナ禍の中で、感染防止対応で医療機関への救急受け入れに時間がかかる、医療機関を探す照会回数がふえるなど、新たな課題も生じています。本委員会にご提出いただいた資料からも、さらなる救急隊の拡充が必要と考えます。
 デイタイム救急隊は、平日八時半から午後五時十五分までの勤務とともに、時短勤務も認められており、消防庁の働き方改革の一環としても大切な役割を果たしています。二年間の実績の上で、今後の改善点と増隊の方針を伺います。

○吉田企画調整部長 日中の救急需要が高い地域は、池袋以外にも存在しておりますが、地域により救急需要がピークとなる時間帯やその変化の傾向が異なっており、需要を的確に捉えた配置をすることが課題であります。
 今後も、個々の地域の救急需要に応じて、デイタイム救急隊の計画的な配置に努めてまいります。

○星見委員 デイタイム救急隊は今後も増隊していくべきですが、夜勤の隊員に負担がかかるようではいけません。夜勤の隊員についても負担を軽減できるよう、救急隊を整備していくことが重要です。認識を伺います。

○吉田企画調整部長 デイタイム救急隊は、日中の救急需要への対応とともに、働き方改革に資する救急隊としても意義は高いものと認識しております。一方で、一部の隊に負担が集中しないよう、昼夜間の救急需要等を分析し、運用効果の高い適切な配置をすることが必要であります。
 今後も、都民からの救急要請に的確に対応できるよう、デイタイム救急隊を初め、救急隊の適正かつ計画的な整備に努めてまいります。

○星見委員 デイタイム救急隊を含め、今後も計画的に救急隊をふやしていくということ、これに見合った消防庁職員定数の増を進めるよう要望いたします。
 最後に質問するのは、新たに導入される大規模災害団員についてです。
 総務省消防庁は、消防団員の全国的な減少を受け、消防団員の確保方策等に関する検討会の報告書を出し、大規模災害時に消防活動を行う大規模災害団員の制度導入を要請していました。
 東京消防庁が大規模災害団員の導入を判断した経緯を伺います。

○森住防災部長 震災時に同時多発する火災等に対応するためには、消防団員の人員を確保する必要があります。このため、東京消防庁では、特別区消防団運営委員会の答申を踏まえ、一人でも多くの消防団員を確保し、災害対応能力を強化するための一方策として、来年度から大規模災害団員制度を導入することといたしました。

○星見委員 目黒区消防団運営委員会では、日ごろ訓練に参加していない人に分団が責任を持つのは難しく、所属や指揮系統を考えてほしいとの意見がありました。連絡や意思疎通など、分団での業務が複雑になることへの懸念です。
 新しく募集することになる大規模災害団員の対象や、どのような指揮系統で配置されるのかを伺います。

○森住防災部長 大規模災害団員は、消防職団員の経験者を初め、災害活動に必要な知識や技術を有する方を対象としております。また、所属は、団本部とし、大規模災害発生時には、消防団長の命令に基づき出場し、分団長の指揮のもとで、情報収集や消火等の活動を行うこととしております。

○星見委員 災害時に指揮系統の明確化や体制化は、現場での迅速かつ正確な活動を行う上で不可欠です。適切な訓練や研修が必要と考えますが、具体的にはどう行うのか伺います。また、健康管理への支援はどのように配慮されていますでしょうか。

○森住防災部長 大規模災害団員の訓練等につきましては、消防署で行う任務班別の所属教養を初め、消防署と連携した実動を伴う震災訓練や、水防資器材を活用した水防訓練等への参加により、活動技術の維持向上を図ることとしております。
 また、当庁では年に一回、無料で受診できる定期健康診断等を取り入れており、大規模災害団員も他の団員と同様に受診対象としております。

○星見委員 特別区の消防団機能を強化する上で、大規模災害団員の創設は必要と考えます。初めての制度ですので、いざというときに指揮系統の混乱や、団員を巻き込んだ二次災害を生まないよう、現場の声を大切にした改善を不断に続けるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○佐野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○佐野委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京消防庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十分散会

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