警察・消防委員会速記録第十一号

令和二年十一月二十六日(木曜日)
第十二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長石毛しげる君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長大津ひろ子君
理事山口  拓君
理事吉原  修君
理事荒木ちはる君
星見てい子君
石川 良一君
橘  正剛君
東村 邦浩君
増子ひろき君
尾崎 大介君
秋田 一郎君
高島なおき君

欠席委員 なし

出席説明員
警視庁警視総監斉藤  実君
総務部長白井 利明君
交通部長直江 利克君
生活安全部長小林 義明君
総務部参事官企画課長事務取扱長島 秋夫君
総務部会計課長高口 雅人君
東京消防庁消防総監安藤 俊雄君
次長兼オリンピック・パラリンピック競技大会対策本部長事務取扱清水 洋文君
企画調整部長吉田 義実君
人事部長上田伸次郎君
救急部長岡本  透君
予防部長青木  浩君
企画調整部企画課長市川 博三君
企画調整部財務課長岩崎 隆浩君

本日の会議に付した事件
警視庁関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都公安委員会委員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例
東京消防庁関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・火災予防条例の一部を改正する条例

○石毛委員長 ただいまから警察・消防委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁及び東京消防庁関係の事務事業に対する質疑並びに第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取を行います。
 なお、本日は、事務事業につきましては、質疑を終了まで行い、提出予定案件につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思いますので、ご了承願います。
 これより警視庁関係に入ります。
 初めに、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○白井総務部長 去る十一月十二日に当委員会から要求のありました、信号機設置予算と実績の推移、信号機用非常用電源設備設置数の推移、信号機のない交差点における交通事故件数の推移、音響時間を制限していない音響式信号機数の推移、年齢階層別交通事故件数の推移、七十歳以上の運転免許保有者数及び自主返納者数の推移、いわゆる迷惑防止条例改正後における改正部分に係る検挙件数及び検挙人員、痴漢、変質者の出没に関する相談件数及び迷惑防止条例第五条第一項に関する検挙件数、JKビジネス等に関する相談件数及び特定異性接客営業等の規制に関する条例違反を初めとしたJKビジネスに起因した犯罪の検挙件数、不良行為少年の補導人員については、お手元の資料のとおりでございます。
 よろしくお願いいたします。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言願います。

○星見委員 日本共産党の星見てい子です。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、視覚障害者の安全な通行保障のために、音響式信号機の設置について伺います。
 視覚障害者の道路横断の安全に欠かせないのが、カッコーやピヨピヨ等の音がする音響式信号機です。
 そこで、お聞きいたします。都内信号機に対する音響式信号機の設置箇所数と設置率を伺います。また、今後の整備方針を伺います。

○直江交通部長 本年三月末現在の都内の信号機設置総数については、一万五千八百七十六カ所、音響式信号機については、そのうちの二千五百七十三カ所で、設置率は約一六%となっております。
 また、今後の整備方針といたしましては、バリアフリー新法に基づき設定された重点整備地区を中心に整備するほか、視覚に障害のある方からの要望を踏まえ、整備を推進してまいります。

○星見委員 ただいま、設置は二千五百七十三カ所で、設置率は約一六%であることが確認できました。音響式信号機は、視覚障害者以外にも、子供や高齢者、ベビーカーを押す保護者の皆さんにとっても安全横断の注意を喚起できる利点があります。抜本的な整備推進をお願いいたします。
 しかし、近隣への配慮から、音が夜間早朝に消されている場合が多々あります。この早朝に事故が起きたのが、二〇一八年十二月の朝四時半、出勤途上の視覚障害の方が駒込駅北口前の横断歩道ではねられた痛ましい死亡事故です。本委員会では、日本共産党の大山委員が取り上げています。
 このように、夜間早朝に音響式信号機の音が消されている場合、ボタンを押すと信号に電波が届き、信号の音を出してくれるのが歩行時間延長信号機用小型送信機です。シグナルエイドとして知られています。
 ところが、このシグナルエイド対応機能も、近隣の騒音対策として、夜間早朝に停止している場合があります。そこで、都内でシグナルエイドに対応して夜間早朝に音が出る音響式信号機の箇所をお伺いいたします。

○直江交通部長 シグナルエイドに対応して音が出る信号機のうち、午後七時から翌午前四時までの間に誘導音を出すこととしている信号機は千九百五十四カ所ございます。

○星見委員 今のご答弁で、夜間早朝に音が出るのは千九百五十四カ所で、七六%であることが判明しました。せっかくの機能を十分に生かし切れていない状況です。
 夜間早朝も鳴るようにするために、近隣の協力を求める取り組みをどう進めているのか伺います。また、昨年度新たに夜間早朝に音が出るようになった音響式信号機が何カ所あるかを伺います。

○直江交通部長 音響式信号機を新たに整備する場合や音響時間を変更する場合には、その内容に応じて、管轄警察署において、町内会や近接するマンションの管理人等を通じて、近隣住民に説明を行っています。
 また、昨年度、新たに午後七時から翌午前四時までの間に誘導音が出るようになった音響式信号機は三カ所となります。

○星見委員 府中市のある交差点では、視覚障害者の訴えを住民が聞き、警察に申し入れたことで、シグナルエイドに対する時間を延長したとの話を聞いています。新型コロナウイルス対策で時差出勤など新しい生活様式が広がる中で、早朝に出勤される視覚障害者もふえていると考えられます。
 視覚障害者の安全な道路横断のために、音響式信号機のお知らせ音が夜間早朝も聞こえるよう、さらに改善を進めていただくよう要望いたします。
 また、警察庁が新年度概算要求に視覚障害者向けにスマートフォンアプリで信号機の色を音声で、振動で伝えて、道路の横断を支援する機器を計上したと報道されていますが、その概要を伺います。

○直江交通部長 このシステムは、信号機とスマートフォンをブルートゥース通信で連動させ、歩行者用信号の状態をスマートフォンに送信したり、一部の信号機では、歩行者用信号の青時間を延長したりすることができるものであります。

○星見委員 この信号アプリシステムは、宮城、千葉、静岡の三県警の交差点七十四カ所で今春からモデル実施されています。
 警視庁として、スマートフォンアプリに対応した機器のモデルを視察されましたでしょうか。また、検討課題をどのように整理しているのかを伺います。

○直江交通部長 警視庁では、スマートフォンを利用したシステムの運用方法やアプリの機能を確認するため、このシステムを試験的に設置することを計画しております。試験運用で得られた結果については、今後の都内における整備計画に活用してまいります。

○星見委員 今のご答弁で、モデル実施は視察されていないのかなというふうに思いました。
 私は十一月一日の夕方、視覚障害者の皆さんと千葉県の四街道駅前のモデル設置を視察し、スマートフォンアプリ「信GO!」をダウンロードして、歩いて交差点に行きました。手元のスマートフォンが信号機の少し前でぶるっと震え、交差点でスマートフォンから声が出ました。その内容は、四街道駅、県立盲学校方面が赤、中央公園、四街道小学校方面が青になりましたというものです。
 その場にいた視覚障害者の皆さんからは、どの方向が赤なのか全く判断できない、土地カンがあっても、方向感覚を失うと怖くて横断できないなど、スマートフォンアプリ対応の信号機だけでは安全が確保されないとの声がありました。
 導入に当たっては、音響式信号機と併用する必要があると考えますが、見解を伺います。

○直江交通部長 本システムの運用につきましては、今後の都内における試験運用の結果や、実際に利用される視覚に障害のある方のご意見も踏まえて、音響式信号機との併用などについて検討してまいりたいと考えています。

○星見委員 加えて、視覚障害者の皆さんからは、片手に白杖を持ち、もう一方にスマートフォンを持つと両手が塞がる、転倒の危機等を回避できない、また、スマートフォンに意識や耳が集中し、周りの人や自転車を感知しづらいとの意見がありました。
 一般的に歩きスマホは危険と注意喚起されているので、歩きスマホを障害者に求めるわけですから、こうした声が出るのは当然かなと思いました。スマートフォンアプリ対応信号機の導入に当たっては、当事者である、視覚に障害のある都民の意見を十分に反映させる必要があると思います。見解をお伺いいたします。

○直江交通部長 警視庁といたしましても、視覚に障害のある方のご意見が重要であると認識しており、都内における試験的な設置に当たり、既に、視覚障害者団体と連携を図っているところでございます。
 今後も、視覚障害者団体を通じて、利用される方のご意見、ご要望を踏まえながら、本システムの整備と運用を進めてまいりたいと思います。

○星見委員 新しい信号機システムについて、障害のある皆さんからさまざまな意見が出ています。より安全な信号機システムとして整備するために、当事者の意見を十分反映させていただきたいと思います。
 視察中に、近所の方が声をかけてきました。この地域は盲学校があるので、みんな子供のときに学校で障害を持っている人との交流や学習をしています、信号機の夜間の音も当たり前と思っていますと話しておりました。福祉のまちづくりは、誰にでも優しいまちとしての地域の理解が広がることが大事だと改めて思いました。
 こうした立場から、視覚障害者の安全な通行保障のために、信号機のさらなる充実を求めて、次の質問に移ります。
 次に、JKビジネスについて伺います。
 二〇一七年七月一日に、JKビジネスについて必要な規制を行う特定異性接客営業等の規制に関する条例が施行されました。届け出義務や営業者の禁止行為を定めましたが、条例施行後における特定異性接客営業の開始届け出件数及び行政処分件数並びに届け出義務違反等の検挙件数を伺います。

○小林生活安全部長 本年十月三十一日現在、特定異性接客営業等の規制に関する条例に基づく開始届け出件数につきましては、店舗型営業が六十件、無店舗型営業が三十九件の計九十九件を受理しております。
 また、行政処分の件数につきましては七十四件、条例を適用した検挙件数につきましては三件となっております。

○星見委員 条例を適用した検挙件数は三件でした。一方、請求資料では、JKビジネスに起因した犯罪の検挙数は三年間で九十件に及び、児童福祉法や売春防止法など法律違反による検挙数が多いことがわかります。
 条例制定前の警視庁の取り組み状況が、二〇一六年のいわゆるJKビジネスにおける犯罪防止対策の在り方に関する報告書にまとめられ、この中で、各種法令違反で摘発したJKビジネス店舗で働いていた女子高生など七十八名の集計内容が紹介されています。
 そこで伺います。二〇一七年、平成二十九年から二〇一九年、令和元年で、JKビジネスで稼働し、補導された女子高生などの青少年は何人いましたか、お伺いいたします。

○小林生活安全部長 平成二十九年一月一日から令和元年十二月三十一日までの間、JKビジネスで稼働した十八歳未満の少年及び十八歳の高校生等三十三人を補導しております。

○星見委員 人数は減っていますが、引き続き、被害に遭う青少年への対応が大切です。このようなJKビジネスは、深夜の繁華街にいる青少年などとともに、SNS等のネット活用で青少年を獲得する者が多くいます。
 深夜にまちにいる青少年は、補導以外にも、必要に応じて、深夜の青少年対策をしているアウトリーチ団体を紹介するなどの連携を行うことが大事です。見解を伺います。

○小林生活安全部長 警視庁におきましては、深夜徘回をしている少年に対しまして、補導の上、保護者への引き渡しや児童相談所への通告を行うとともに、都内八カ所にございます少年センターや、二十四時間体制で受け付けております電話相談窓口、ヤング・テレホン・コーナー等におきまして、青少年の悩みや家庭環境の事情に応じた相談対応などを行っております。
 今後も、このような活動に加え、必要に応じて関係機関と連携した取り組みを継続してまいります。

○星見委員 東京都は二〇一八年度から、厚生労働省の事業を使い、委託で、若年被害女性等支援モデル事業を行っています。
 家に居場所がなく、夜の繁華街をさまよう十代の少女たちを性被害や虐待から守るために、夜、渋谷や新宿などの繁華街の近くにピンク色のバスをとめて、テントやテーブルを並べたカフェスペースをオープンしています。食事や飲み物、スマホの充電も無料、下着やコロナ用のマスクも今、配布しています。必要に応じて相談も受け、病院や行政へ同行や、また、緊急一時保護も行い、子供たちを安心できる場所につなぐ役割を果たしています。
 まちにいる十代の少女たちの複雑な事情も配慮し、こうした東京都のアウトリーチの取り組みもぜひ紹介して、現場で行っていただきたいと思います。
 また、十一月初旬、JKビジネスの面接だとして自宅に女子高生を誘い出し、わいせつ行為に及んだ三十九歳の男を警視庁が逮捕したニュースが流れました。この男は、JK見学という架空の店舗を装って、SNSで女子高生に求人メッセージを送っていたと報道されています。
 SNS等のネット上対策の状況を伺います。

○小林生活安全部長 青少年がインターネット利用による性被害に遭わないよう、警視庁ホームページやツイッターに注意を促す啓発文を掲載するなどの対策を行っておりますほか、警察官がサイバーパトロールを行う中で、SNS上の青少年の性被害につながる不適切な書き込みや、それに対する誘引者の書き込みに対し、個別に注意喚起文を送信するなど、SNSに起因する青少年の性被害防止のための取り組みを推進しております。

○星見委員 JKビジネス等被害に遭っている青少年への対応は重要です。相談への対応や、補導や検挙での事情聴取や身元確保に当たっては、専門的な見地を持った警察官の育成が欠かせませんが、認識をお伺いいたします。

○小林生活安全部長 警視庁では、被害に遭った青少年への適切な対応のため、JKビジネスに関する専門的知識を有する本部少年育成担当者による各警察署に対する巡回指導や各種研修時に教養を実施するなど、担当する警察官にJKビジネスの現状や犯罪捜査、相談受理時の対応における留意事項等を習得させております。

○星見委員 こうしたJKビジネスで被害に遭った青少年について、必要な心の問題でのカウンセラーや家庭の経済問題などの支援機関との連携を、どのように進めているのかをお伺いいたします。

○小林生活安全部長 JKビジネスに係る被害に遭った青少年につきましては、臨床心理士等の資格を持つ少年相談専門職員を配置し、継続的な相談対応やカウンセリング等を行っているほか、必要に応じて児童相談所等関係機関とともに連携して対応しております。

○星見委員 先ほど紹介した十代女性へのアウトリーチ事業を行っている法人からは、コロナ禍で家庭での虐待等から逃れ、家に戻れない青少年がふえていると聞いています。
 JKビジネス等の被害は、人権問題がかかわった社会的な問題が背景にあります。さまざまな困難を抱えた青少年に対する適切な支援を強めるために、関係機関との情報共有や連携を強めることを求めて、私の質問を終わります。

○石毛委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。

○石毛委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件につきまして、理事者の説明を求めます。

○白井総務部長 令和二年第四回東京都議会定例会における警視庁関係の提出予定案件についてご説明いたします。
 本定例会における案件は、東京都公安委員会委員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例案一件であります。
 本改正は、都政における判こレスの推進を踏まえ、公安委員会委員就任の際に行う服務の宣誓における宣誓書への押印を廃止するものです。
 服務の宣誓につきましては、地方公務員法の規定により、職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならないとされており、一般職の地方公務員に適用されております。
 公安委員会委員は、特別職の地方公務員であり、当該規定の直接の適用はありませんが、職務に当たっては、不偏不党かつ公平中正に行うことを特に要求されるため、警察法で服務の宣誓の規定が準用され、本条例において、宣誓書に署名押印してからでなければ、その職務を行ってはならないとされているものであります。
 このほか、漢字の表記に係る所要の改正を行います。
 施行日は公布の日を予定しております。
 以上で説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言をお願いします。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で警視庁関係を終わります。

○石毛委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
 初めに、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○清水次長 過日の委員会で要求のございました資料につきましては、お手元の警察・消防委員会要求資料のとおりでございます。
 内訳といたしましては、救急搬送人員の推移、新型コロナウイルス感染症陽性者数の推移、休職者等の推移とその内訳、精神疾患を理由として三十日以上病気休暇を取得した職員数、精神疾患を理由として三十日以上病気休暇を取得し、その後、復職した職員数、定年退職以外の退職者数と退職理由、ハラスメント相談件数の推移、時間外労働時間の推移、年次有給休暇取得日数の推移、男女別育児休業者数の推移の計十点でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○星見委員 日本共産党の星見てい子です。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、消防署職員の新型コロナウイルスの感染とPCR検査について質問いたします。
 私の地元目黒消防署の大岡山消防出張所で、八月十四日、十八日と相次いで救急隊員の二名が新型コロナウイルスに感染したとのご報告を受けました。その後を含め、目黒消防署内での新型コロナウイルス感染症の陽性患者の発生状況と対応をお伺いいたします。

○上田人事部長 目黒消防署員の新型コロナウイルス感染症陽性者は、令和二年十一月二十五日現在まで二名発生しております。
 発生時の対応は、濃厚接触者に対して、保健所からの指導に基づき、PCR検査の実施及び隔離を行うとともに、庁舎の消毒の実施に加え、検温等により、その他職員の健康状態の確認など、職員の体調管理を徹底いたしました。

○星見委員 救急隊員や消防隊員も通勤しており、新型コロナウイルスの市中感染が拡大すれば、当然感染リスクが高まります。機敏な対応で二名にとどまったと思います。
 このとき発症の救急隊員の一名は、発症前の二週間以内に三十一件の救急活動等に出場し、七十五名の都民と接触、もう一人の救急隊員は、検体採取前の二週間以内に三十六件の救急活動等に出場、八十三名の都民の方と接触があったと報告を受けました。
 救急隊員は、コロナ禍で医療の緊急対応第一線で活動するエッセンシャルワーカーですから、接触件数が多いのは当然ですが、このとき改めて、救急隊員を初めとする消防署の職員の健康の重要性を実感しました。
 全都の消防署では、八月二十日時点で既に二十九名が陽性で、感染経路がわかっているのは五名だけでした。
 こうした中で、厚生課長名で新型コロナウイルス感染症に伴う臨時健康診断等の対応についての通知が八月十七日に出されています。陽性患者の濃厚接触者以外は臨時健康診断の利用を通知した理由をお伺いいたします。

○上田人事部長 臨時健康診断は、消防業務に係る感染等のリスクに対する職員の健康不安を解消して、業務に従事できるよう行っております。
 新型コロナウイルス感染症においても、業務中に陽性者と接触した際、保健所からの濃厚接触者指定には至らないものの、職員自身が感染に強い不安を感じた場合や所属長が必要と判断した場合に、医師の助言のもとで実施をしております。

○星見委員 臨時健康診断では、PCR検査等の新型コロナウイルス感染検査を行っているのでしょうか。また、新型コロナウイルス感染症の対応として臨時健康診断を行った件数はどのくらいでしょうか、お伺いいたします。

○上田人事部長 臨時健康診断では、新型コロナウイルス感染症に対する健康不安の解消のため、PCR検査を実施しております。検査数は、令和二年十一月二十五日現在、十二件でございます。

○星見委員 臨時健康診断を活用し、保健所を通した自治体検査の対象にならない場合も、現場の判断で積極的なPCR検査ができるようにし、消防署職員の健康と業務の安全を確保してきたことは重要です。
 一方、全国各地でこの一週間で過去最多の新規感染者が確認され、二十二日まで五日連続で二千人を超え、一週間で一・四万人増になりました。
 東京都の昨日の発表の感染者は四百一名で、累計では三万八千五百九十八人です。重症患者は二十五日時点で五十四人と、五月の緊急事態宣言の解除された後では最も多くなっています。
 これから冬に向かって、感染拡大第三波の正念場になると専門家からの警告が相次いでいます。これまでの臨時健康診断活用のPCR検査だけでは、最前線のエッセンシャルワーカーとしての役割に支障を来す可能性があります。
 消防署職員は、都民の緊急時に出動し、命と財産、生活を守る重要な任務を負っています。新型コロナウイルス感染拡大第三波のもとで、住民の不安を解消し、職員の健康を守るために、消防署職員は全員が定期的にPCR検査等を受けるべきです。見解をお伺いいたします。また、今後の対応についてもお伺いいたします。

○上田人事部長 当庁では、活動現場や庁舎内の受付等において、業務上必要な感染防止対策を実施しており、感染が疑われる場合には速やかに保健所に連絡し、PCR検査や感染拡大防止対策等の指導に基づき対応しています。
 今後、感染状況や関係機関の動向、保健所等の意見を踏まえ、必要の都度、PCR検査等の対応を行ってまいります。

○星見委員 ご提出いただきました資料から、十一月現在で消防庁の新型コロナウイルス感染の陽性患者は三十八人ということがわかりました。うち、宿直業務を伴う交替制勤務者が三十人です。
 既に東京都では、感染経路不明の市中感染が六割を超えています。活動現場や庁舎内の受付等での感染防止対策だけでは、感染をとめられない可能性があります。まして感染は無症状者によって拡大している状況で、感染が疑われてからの対応では遅過ぎます。
 厚労省は高齢者施設や医療関係施設等のエッセンシャルワーカーに対して、定期的なPCR検査を行うよう繰り返し求めています。消防庁自身が業務を遂行できるよう定期的なPCR検査を提案して、関連機関と調整するよう求めて、次の質問に入ります。
 次は、消防庁の働き方改革について質問いたします。
 消防庁の職員定数の欠員が埋まらないことが、本委員会では問題として質疑されてきました。そこで、本年度の定足数と欠員数を四月一日と十月一日でお伺いいたします。

○上田人事部長 本年度の四月一日の定数は一万八千六百六十一人であり、欠員数は二百二十三人でございます。十月一日の定数は一万八千六百六十一人であり、欠員数は三百四十一人であります。

○星見委員 今のご答弁で、本年度二〇二〇年度の欠員が、四月一日に比べて、十月一日ではさらに百十八人もふえて三百四十一人になっていることがわかりました。業務上大変なことと思います。
 提出いただいた資料では、定年退職以前の退職者も二〇一七年度、平成二十九年度以降ふえてきています。昨年、二〇一九年度も百九十九人、前年度から五十九人増と、定年退職以前の退職者が急激にふえています。
 その多くが自己都合になっていますが、傾向を調査したことはありますでしょうか。あるなら、その調査方法と傾向をお伺いいたします。

○上田人事部長 定年退職以前の退職者については、退職の詳細な理由に関して報告を求めていませんので、統計上は不明ですが、二十代の職員の退職者が増加しており、その理由としては、出身地等の消防本部への転職が多いと認識しております。

○星見委員 今、二十代の職員の退職者が増加とのご答弁でした。定員の欠員と中途退職者の対策は待ったなしで進める必要があります。また、当委員会では昨年度の予算質疑で、二〇一四年からの五年間の在職死亡者五十一名中、自殺者が十五名も出ており、自殺率では都知事部局の倍以上になっている点を日本共産党の大山委員が指摘しています。
 職員へのアンケート調査など、職員の実態を反映しやすい調査方法を考えて、状況をつかみ、対策を講じるべきです。
 また、現在メンタルで休職中の職員から、メンタルの病休中の職員指導として、本人に病状を毎週報告させるとしていることを聞いていますが、東京消防庁としての基本的な指導なのかどうか、お伺いいたします。

○上田人事部長 メンタルヘルスの不調で長期間の休養を要する場合には、病状に変化があった際には報告を受けておりますが、毎週の病状報告は求めておりません。

○星見委員 お話を聞いた病休中の職員の主治医が本人に毎週状況を報告させるのは、治療上も問題だが、人権上も問題と話していたと聞いています。
 病休中職員の病状確認は、医師の意見を主として行われるべきと考えますが、見解を伺います。

○上田人事部長 病状の経過を確認する際は、主治医の所見や診断書を確認することとしております。

○星見委員 今のご答弁のとおり、病休中の職員本人に毎週の病状報告をさせることはやめ、主治医との関係で病状確認を進めるよう改善してください。
 病休中の職員が安心して職場復帰し、健康を回復できる職場づくりが大切です。病休になっている職員の職場復帰について、どのようなシステム、マニュアルが整備されているのかを伺います。

○上田人事部長 当庁では、規程等に基づき、病気休暇中の職員本人及び産業医からの意見を確認し、職員の健康状態を考慮した上で、職場復帰させることとしております。また、病気休暇を三十日以上取得後に復帰する職員は、一日最大二時間の勤務時間の軽減措置を一カ月取得できる制度を整備しております。

○星見委員 メンタルを含め、病床中の職員の職場復帰のために、親身な相談体制等のシステムは円滑な職場復帰に必要であると思いますが、いかがでしょうか。

○上田人事部長 長期の病気休暇中の職員については、主治医の所見等を踏まえ、健康状態を確認しながら、段階的に職場復帰ができる体制を構築しています。特に、メンタル不調に対しては、職場復帰訓練実施要領に基づき、復帰訓練中にも当庁が委嘱している精神科医による面談サポート等を手厚く行っております。
 引き続き、各所属における相談員制度、保健師による健康相談窓口、外部機関に委託している心の相談室などによる支援により、職員が円滑に職場復帰できるよう努めてまいります。

○星見委員 職員の途中退職者や病休者を減らすためにも、消防庁の働き方改革を本格的に推進することは重要だと考えます。
 男性の育児休業取得など、働き方改革で重要な指標の幾つかを知事部局と比較しても、進んでいないところがあります。認識をお伺いいたします。

○上田人事部長 働き方改革で示された各指標については、重要なものと認識しております。今後とも、働き方改革関連法の趣旨に基づき、男性の育児休業の取得促進など職場環境づくりに努めてまいります。

○星見委員 時間外労働では、実際の労働時間がどうなっているかが問われています。教育庁の学校現場では、タイムカードがないなど出退勤の労働時間管理が問題になり、改善されつつあります。
 東京消防庁では、どのように出退勤時間の管理をしているのかを伺います。また、消防署等にはタイムカードなどが導入されているのでしょうか。

○上田人事部長 当庁では、厚生労働省が示す、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインに基づき、出勤簿及び超過勤務命令簿等を使用し、勤怠管理を行っております。
 今後とも、デジタルトランスフォーメーションの動向も見据え、より適切な勤怠管理のあり方について検討してまいります。

○星見委員 最後に、平成二十九年十一月、小池百合子知事は、特別職及び全局長を含め、職員の長時間労働の是正や健康確保などを達成できる働きやすい職場環境の整備が必要不可欠であると、都庁働き方改革宣言を発表しました。東京消防庁は知事部局ではないので、消防総監のお名前はありません。
 そこで、東京消防庁として、この発表をどのように受けとめているのか、認識をお伺いいたします。

○上田人事部長 当庁においても、都庁働き方改革宣言の趣旨を重視し、知事部局と同様に、全庁一斉定時退庁日及び二十時完全退庁の励行、四半期ごとのノー超勤ウイークの実施等による超過勤務の抑制とともに、年次有給休暇等の取得促進を図るなど、長時間労働の是正や健康確保等を達成できる働きやすい職場環境の整備に取り組んでおり、今後も推進してまいります。

○星見委員 ただいま、都庁の働き方改革宣言の趣旨を重視し、長時間労働の是正や健康確保などを達成できる、働きやすい職場環境の整備に取り組んでいかれるとの消防庁の決意が示されました。
 先ほどご答弁がありました労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインでは、使用者には労働時間を正確に把握する責務があるとして、労働者の労働日ごとの始業、終業時間を確認し、適正に記録すること、そのための原則的方法として、使用者が現認すること、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することとなっています。
 しかし、知事部局と違って、タイムカードやICカード等の原則的な方法の導入が行われていないのが消防庁の大きな問題です。デジタルトランスフォーメーション整備にかかわらず、ガイドラインにある、使用者には労働時間を正確に把握する責務がある、この点を踏まえて一刻も早い改善を求め、質問を終わります。

○石毛委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。

○石毛委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件につきまして、理事者の説明を求めます。

○清水次長 令和二年第四回都議会定例会に提出を予定しております東京消防庁関係の案件は、火災予防条例の一部を改正する条例案一件でございます。
 お手元の資料によりましてご説明させていただきます。
 近年、電気自動車は、一回の充電で長距離が走れるよう、大容量の電池を搭載したものが製品化されております。この電池の大容量化に伴いまして、その充電設備の側も短時間で充電ができるよう、高電圧、大電流化が求められているところです。
 また、これまでは全出力が五十キロワットを超える設備につきましては、変電設備の規定が適用され、係員以外がみだりに出入りできないという規定により、電気自動車の運転手みずから充電できないなど、使用実態と合わない部分が生じておりました。
 こうした状況を踏まえまして、急速充電設備に関する規定の基準となります省令及び条例例が改正されましたことから、本条例につきましても同様に改正するものでございます。
 四ページから六ページの新旧対照表をごらんください。
 主な改正概要といたしまして、第十一条の二第一項について、急速充電設備の定義を、全出力二十キロワット以下のもの及び全出力五十キロワットを超えるものを除くから、全出力二十キロワット以下のもの及び全出力二百キロワットを超えるものを除くとし、全出力の上限を拡大し、同項第十二号から第十四号まで及び第二項、第三項により、設備の異常を自動で検知、停止させる措置等の技術上の基準を一部追加し、さらに、第五十七条第一項第十四号により、全出力五十キロワットを超える急速充電設備を、届け出の対象に追加するものでございます。
 また、その他所要の文言整理を行うものでございます。
 施行日は、令和三年四月一日を予定しております。
 以上、大変雑駁ではございますが、第四回定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で東京消防庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十分散会

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