警察・消防委員会速記録第八号

平成十七年九月十四日(水曜日)
第十一委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長臼井  孝君
副委員長鈴木 一光君
副委員長石井 義修君
理事遠藤  衛君
理事酒井 大史君
理事渡辺 康信君
小磯 善彦君
宮崎  章君
中嶋 義雄君
内田  茂君
三田 敏哉君
相川  博君
土屋たかゆき君
名取 憲彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
警視庁警視総監奥村萬壽雄君
副総監米村 敏朗君
総務部長東川  一君
警務部長池田 克彦君
交通部長関根 榮治君
警備部長石田 倫敏君
地域部長弘光  朗君
公安部長末井 誠史君
刑事部長井上 美昭君
生活安全部長園田 一裕君
組織犯罪対策部長田端 智明君
総務部企画課長藤原  孝君
総務部会計課長瀧澤 敬治君
東京消防庁消防総監関口 和重君
次長警防部長事務取扱小林 輝幸君
総務部長水崎 保男君
救急部長鈴木 正弘君
予防部長佐竹 哲男君
防災部長秋山  惠君
人事部長瀬川  俊君
指導広報部長浅野 幸雄君
装備部長新井 雄治君
総務部企画課長大江 秀敏君
総務部経理課長田村 雅直君

本日の会議に付した事件
 警視庁関係
事務事業について(説明)
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
・道路標識設置等工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起について
東京消防庁関係
事務事業について(説明)
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・火災予防条例の一部を改正する条例

○臼井委員長 ただいまから警察・消防委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁及び東京消防庁関係の事務事業並びに第三回定例会に提出を予定されている案件の説明聴取を行います。
 なお、本日は説明を聴取し資料要求を行うことにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思いますので、ご了承願います。
 これより警視庁関係に入ります。
 初めに、警視総監からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○奥村警視総監 警視総監の奥村萬壽雄でございます。警視庁を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 委員の皆様方には、平素から当庁の運営につきまして、格別のご指導、ご支援を賜っており、この機会に厚く御礼を申し上げます。
 また、先般の都議会議員選挙に伴い、このたび新しい警察・消防委員会が発足され、当庁の予算を初め条例改正、請願陳情等につきまして、ご審議を賜ることとなったわけでございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、警視庁におきまして、現在最重要の課題は、治安の回復、犯罪の抑止でございまして、おととしから検挙、防犯の両面の対策に全力を挙げて取り組んでまいりました。その結果、刑法犯の認知件数は二年連続して減少し、検挙率も上昇するなど順調に成果が上がっております。
 とりわけ最も力を入れております侵入窃盗などの重点犯罪は、七月末現在で、昨年に比べて二六%の減少、対策を始める前の平成十四年と比べますと四一%の減少と、大幅に発生が減っており、都内の治安は着実に回復しつつあるところでございます。
 振り込め詐欺事件の増加や少年による凶悪事件の発生など、新たな要因も出てきておりますが、今後とも引き続き、犯罪のさらなる減少に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 また、昨年来、新潟県中越地震を初め全国各地で地震等の災害が発生しており、去る七月には、東京でも十三年ぶりに震度五強の地震が発生いたしましたほか、先般の台風十四号では、大雨による浸水被害が出ており、今後も直下型地震を初めとする大規模災害の発生が懸念されているところでございます。
 一方で、スペインやイギリスの爆弾テロのような、鉄道重要施設等をねらった重大テロ事件の発生が我が国においても懸念されるなど、さまざまな重要課題に直面をいたしております。
 警視庁では、こうした情勢に的確に対応するため、今後も都民の声を幅広く受けとめ、また関係機関との連携を強めて、首都東京の治安維持のため総力を挙げて取り組んでいく所存でございます。委員の皆様方におかれましては、今後とも、警視庁に対するより一層のご指導、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
 引き続き当庁の幹部をご紹介申し上げます。
 皆様から向かいまして中央から左へ、副総監米村敏朗、警務部長池田克彦、刑事部長井上美昭、生活安全部長園田一裕、中央から右へ、総務部長東川一、公安部長末井誠史、警備部長石田倫敏、組織犯罪対策部長田端智明、中央の後列に、交通部長関根榮治、地域部長弘光朗、企画課長藤原孝、会計課長瀧澤敬治、以上でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○臼井委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○臼井委員長 次に、事務事業について理事者の説明を求めます。

○東川総務部長 警視庁の事務事業の概要等につきまして、お手元の資料第1によりご説明申し上げます。
 初めに、一ページ以下の警視庁の組織及び定員についてであります。
 警視庁の組織は、東京都公安委員会の管理のもとに、警視総監及び副総監が置かれ、総務部を初めとする九つの部と、警察学校及び十の方面本部が設けられております。また、第一線の組織として、百一の警察署が置かれております。
 職員の定員については、五ページのとおり、合計で四万五千五百四十二人となっておりますが、本年度は危機的状況にある治安を回復するための体制の確立要員等として、警察官三百人を増員していただいたところであります。
 当庁では、これまで組織体制の整備、配置定員の見直しや業務の合理化を推進してまいりましたが、当庁の最大の課題であります犯罪抑止総合対策を初め、空き交番の問題を含めた交番機能の強化、大規模テロ対策など、厳しさを増す都内の治安情勢に対応していくためには、引き続き警察官の増員、交番相談員を初めとした再雇用職員の増員などによる人的基盤の強化が必要と考えております。
 次に、各種警察活動の概要についてご説明いたします。
 最初に、犯罪抑止総合対策について申し上げます。
 平成十四年に刑法犯認知件数が約三十万一千九百件となり、戦後最悪の記録となったことから、当庁では、一昨年を治安回復元年と位置づけ、犯罪抑止のための総合対策の推進を最重点課題として掲げ、各種対策を強力に推進してまいりました。
 特に、街頭・侵入犯罪抑止総合対策として、都民の身近で発生し大きな不安要因となっているひったくり、強盗、侵入窃盗、強姦、強制わいせつを指定重点犯罪とし、これらの発生を三年間で十年前の水準に戻すことを目標に、総力を挙げて各種対策を推進してまいりました。
 その結果、六ページのとおり、七月末現在の指定重点犯罪の認知件数が一万四千四百七十四件と、昨年同期に比べて二六・一%減少、対策を始める前年の平成十四年同期に比べて四〇・五%減少しております。特に、侵入窃盗が、平成十四年同期に比べて四四・三%減少、ひったくりは同じく二八・三%減少するなど順調な成果を上げており、目標達成も可能なところまで来ております。
 次に、街頭・侵入犯罪抑止総合対策の柱であります非行少年対策、来日不良外国人対策、暴力団対策についてご説明いたします。
 まず、非行少年対策であります。
 非行少年の検挙・補導人員は、七ページのとおりであります。七月末現在、八千二百八十八人で、昨年同期とほぼ同数となっております。
 刑法犯の総検挙人員に占める少年の割合は二二・五%となっておりますが、路上強盗で見ると四一・八%、ひったくりでは四八・一%、オートバイ盗では八三・九%を占めるなど、少年犯罪は、いまだ深刻な状況にあります。
 当庁では、少年犯罪を担当する捜査員を大幅に増強し、暴走族や不良グループ等による街頭犯罪が特に多発している地域を重点地区に指定して、非行集団等検挙解体地区対策本部を設置し、路上強盗、ひったくり、オートバイ盗などの検挙活動を推進してまいりました。
 その結果、暴走族などの非行集団等を、昨年来約二百五十六団体解体し、また少年の占める割合が高い街頭犯罪の認知件数も減少するなど、各種対策の効果があらわれてきております。
 次に、来日不良外国人対策についてであります。
 来日外国人による犯罪の検挙人員は、八ページのとおり、七月末現在五千五百五十二人で、昨年同期に比べて五・九%の増加となっております。近年、来日不良外国人を中心とする国際犯罪組織は、薬物の密売はもとより緊縛強盗、誘拐、逮捕監禁事件等、凶悪な犯罪を敢行しているほか、繁華街で一般人を巻き添えにしたけん銃発砲事件や、さまざまな手段を使った侵入窃盗事件を起こしております。
 当庁では、来日不良外国人グループの検挙はもちろんのこと、東京入国管理局等の関係機関との連携を強化し、不法滞在者を摘発するとともに、偽装結婚を業として仲介しているブローカー等の取り締まりも強力に推進しているところであります。その結果、大半が中国人犯罪組織によると見られるピッキング、サムターン回し、焼き切り等を手段とする侵入窃盗の認知件数は七百七十八件で、昨年同期と比べ四〇・八%の減少となっております。
 次に、暴力団対策についてであります。
 暴力団員等の検挙人員は、九ページのとおり、七月末現在四千三百七十四人で、昨年同期と比べて九・六%の増加となっております。
 また、暴力団員等から押収したけん銃等の凶器類は、百三十三点となっております。
 都内の暴力団勢力は、約六百六十の組織と約一万七千人の構成員等を有しており、覚せい剤の密売や賭博、売春等に加え、民事介入暴力、金融・不良債権事犯等を多数引き起こすなど、その資金獲得活動を多様化、巧妙化させております。
 当庁では、暴力団の主な活動地域となっている新宿歌舞伎町などの繁華街において、特別集中取り締まりを実施したほか、地域、職域における暴排活動などの各種対策を強力に推進した結果、暴力団の資金源の枯渇化が進んでおります。しかし、暴力団は、なお組織の維持存続のため、新たな資金獲得活動をこうかつに展開している状況がうかがえることから、引き続き取り締まりを徹底してまいります。
 また、ただいま申し上げましたことに関連して、銃器、薬物事犯についてご説明いたします。
 けん銃などの銃器事犯については、暴力団や国際犯罪組織等が深く関与し、さまざまなルートで密輸、密売を行っている実態にあることから、税関等の関係機関との連携による情報収集、水際の監視、摘発等を行い、一〇ページのとおり、七月末現在、四十二丁のけん銃を押収しております。
 薬物事犯も、銃器事犯と同様に税関、入国管理局、海上保安庁等の関係機関との連携を強化して、水際での摘発や、コントロールドデリバリー捜査等を活用した捜査を推進してまいりました。その結果、同じく一〇ページのとおり、七月末現在、千九百七十四人を検挙し、約六十三キログラムの覚せい剤、大麻等の薬物を押収したほか、二十代を中心とした若年層で乱用拡大が顕著となっているMDMA等錠剤型合成麻薬、約十三万四千錠を押収しております。
 次に、都民の身近で発生し、社会問題となっている振り込め詐欺対策について、ご説明いたします。
 昨年の振り込め詐欺の認知及び検挙状況については、一一ページのとおり、都内だけでも認知件数は二千件余り、被害総額も四十億円余りに達しております。
 当庁では、昨年十二月、身近な知能犯罪緊急対策本部を設置して、取り締まり体制を強化するなど、積極的な検挙対策を講じた結果、本年一月には、大分、山口県警察との合同捜査により、指定暴力団住吉会系組員らが少年らを使って全国展開していた振り込め詐欺事件を摘発し、少年十四人を含む四十七人を逮捕するなど、七月末現在における検挙人員は、昨年一年間の総検挙人員を既に四十三人上回る二百三十四人に上っております。
 しかしながら、その一方で、認知件数が昨年同期に比べ約二倍の千四百八十四件を超え、被害総額は既に約二十三億円に達しており、その手口も、警察官や弁護士等を装い、ご主人が痴漢をして警察に捕まったなどとだまして、示談金名目で現金を振り込ませるなど、悪質、巧妙化の度合いは一層深まっております。
 当庁では、挙庁一体となった検挙対策を強力かつ積極的に推進するとともに、被害を防止するため、振り込め詐欺の手口やその防止方法を内容とした広報チラシの新聞折り込み、警視庁のホームページや電子メールなど各種媒体を使って被害防止の呼びかけを行う一方で、金融機関との連携により犯人が開設した架空口座を凍結するなど、対策を強力に推進しているところであります。
 次に、盛り場総合対策についてご説明いたします。
 都民に娯楽と憩いを提供する場所である盛り場に、近年、暴力団や国際犯罪組織が、さまざまな利益を得ることを目的に深く根をおろし、凶悪犯罪の温床になるなど、これが治安悪化の大きな要因となっております。
 このため当庁では、平成十四年七月に、安全で安心して過ごすことのできる盛り場環境を維持し、平穏な都民生活と治安を確保することを目的とする盛り場総合対策推進本部を設置し、さらに昨年四月には、我が国の代表的盛り場である新宿歌舞伎町、池袋及び六本木の三地区に特化した環境浄化を推進する体制を確立し、違法風俗店、暴力団、不良外国人等に対する重点的かつ戦略的な対策を強力に推進しているところであります。
 また、本年四月一日に施行された改正迷惑防止条例等を適用して、三地区を中心とした都内の盛り場において、客引き、誘引、客待ちなどを集中的に取り締まった結果、客引きが著しく減少するなど、大きな成果を上げているところであります。引き続き取り締まりを徹底するとともに、地域や関係行政機関等とより一層連携を図り、盛り場環境浄化のための各種対策を積極的に推進してまいります。
 次に、特別捜査本部の開設状況についてご説明いたします。
 特別捜査本部の開設状況については、一一ページ中段に記載のとおり、本年八月末現在、九つの事件について特別捜査本部を開設し、蒲田一丁目女性ホームヘルパー殺人事件など、昨年以前に開設したものを含め、本年に入って八つの事件の被疑者を検挙しております。
 平成十二年に発生した成城署管内の上祖師谷三丁目一家四人強盗殺人事件の特別捜査本部においては、遺留品の分析や不審情報の解明を徹底しているほか、被疑者が土地勘を有していると思われる京王線沿線の各駅において、改めて二万六千枚のチラシを配布し、広く情報の提供をお願いいたしました。これらの事件につきましては、早期に、しかも確実に被疑者を検挙することを目指して、懸命な捜査活動を展開しております。
 次に、警備警察活動についてご説明いたします。
 英国・ロンドン等において発生した同時多発テロ事件に象徴されますとおり、世界各地でイスラム過激派によると見られる大規模な無差別テロ事件が相次いでおり、我が国においてもテロの脅威が一層高まってきております。
 当庁では、国際テロ事件の未然防止を図るため、テロリストを国内に入れない、活動拠点をつくらせない、テロを起こさせない等の観点に立って各種対策を推進し、東京における国際テロの未然防止を図っているところであります。
 極左暴力集団については、近年、暴力性や党派色を隠しつつ労働運動に積極的に介入するなど、組織拡大に重点を置いた活動を展開しておりますが、昨年は、防衛庁をねらった金属弾発射事件を敢行しており、その本質には、いささかの変化もありません。
 こうした情勢の中、当庁では、積極的に各種対策を推進し、本年は、一二ページのとおり、八月末現在、中核派活動家等十五人を検挙しており、また都内においてテロ、ゲリラ事件は発生しておりません。
 右翼については、本年は、戦後六十年の節目の年であり、領土問題、時局問題をとらえ、関係機関等に対する抗議活動を活発に展開しております。こうした情勢の中、八月末現在、拡声機による暴騒音の規制に関する条例違反事件等で、右翼構成員等七十人を検挙しております。
 次に、災害対策についてご説明いたします。
 首都圏では、いつ大地震が発生してもおかしくない時期が来ているとされており、当庁では、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などの教訓を踏まえ、震災への的確な対応に努めております。
 特に、本年四月に、極めて危険かつ困難な場所で被災者の救出救助活動を展開する特別救助班を発足させたほか、震災発生時における職員の事案対応能力の向上を図るため、三月には、職員四万二百四十五名が自所属まで参集した総員参集訓練、六月には、指揮能力向上のための本部、方面本部幕僚による首都直下型地震を想定した図上訓練、七月には、埼玉、神奈川、静岡各県警の特別救助班も参加した災害警備総合訓練を実施いたしました。
 さらに、九月一日の全庁を挙げた震災警備総合訓練では、各警備本部の設置運営、被害情報の集約、報告、緊急交通路の確保などの訓練を実施し、震災を初めとする各種災害への対応能力の強化を図りました。
 次に、交通警察についてご説明いたします。
 都内における交通人身事故の発生状況については、一二ページのとおりでありますが、本年八月末現在の死者数は百六十八人と、昨年同期と比べ三十四人減少し、戦後最も少ない死者数となっております。
 交通事故死者を年齢層別に見ますと、六十五歳以上の高齢者が最も多く、全体の三割を超え、状態別では、歩行者、次いで二輪車乗車中の死者が多くなっております。このため、高齢者に対する出前型の安全教育や運転実技教室を開催するとともに、二輪車の事故が多発している路線区間を指定し、重点的な指導取り締まりや事故情報の発信に努めております。
 なお、来年から駐車対策に関する改正道路交通法が施行されることから、駐車取り締まり関係事務の民間委託等に向けた準備を進めているところであります。
 次に、地域安全活動についてご説明いたします。
 まず、子どもを犯罪から守るための取り組みについて申し上げます。
 昨年来、奈良県下において発生した女児誘拐殺人事件など、社会的反響の大きな事件が相次ぎ、国民に大きな不安を与えているところであります。当庁では、子どもを犯罪から守るための各種取り組みとして、これまでも学校周辺や通学路において、パトロール活動を行ってきたところでありますが、本年二月の大阪府の小学校における教職員殺傷事件の発生以後、制服警察官の校内立ち寄りや、学校周辺と通学路に重点を置いたパトロール活動をさらに強化しております。
 また、学校における安全対策として、警察官と警察OBのスクールサポーターが中心となり、不審者侵入時の対応訓練、学校の施設設備の点検等を行っているほか、東京都と連携した保護者、地域住民の参加によるセーフティー教室を開催するなど、各種取り組みを推進しております。
 一方、不審者による子どもに対する声かけ事案等が発生した際には、直ちに警察官が周辺の警戒を実施するとともに、注意を喚起するため、電話やファクス、電子メールなどを活用して、学校や保護者などにもその内容を連絡するなど、速やかな情報の伝達に努めております。
 次に、空き交番対策についてご説明いたします。
 交番、駐在所は、地域の安全・安心のよりどころである生活安全センターとして、重要な役割を担っております。当庁では、いわゆる空き交番の解消に向けて、これまでに交番配置定員の再配分や、交番相談員の配置拡充等に努めてまいりました。
 とりわけ、本年増員された警察官及び交番相談員については、事件、事故等の取り扱いの多い交番に警察官を重点的に増強したほか、比較的取り扱いの少ない交番には、交番相談員を時差出勤等により効果的に配置するなど、空き交番の解消に向けた対策を推進しております。
 次に、犯罪被害者支援についてご説明いたします。
 当庁では、一三ページのとおり、犯罪の被害者やその家族の精神的及び経済的負担の軽減を図るため、犯罪被害の認知直後から行う初期支援、捜査状況等の情報提供を行う被害者連絡、地域警察官が自宅を訪問して要望、意見等の聴取やパトロール等の支援活動を行う訪問連絡活動、犯罪被害給付制度の適切な運用など、被害者の視点に立ったきめ細かな被害者支援活動を実施しております。
 今後も、被害者支援に関係する三十五の行政機関、民間団体から成る東京都犯罪被害者支援連絡会や、警察署における警察署犯罪被害者支援ネットワークなどの関係機関、団体との連携を一層強化し、被害者支援に努めてまいります。
 以上が、警察活動の概要でありますが、お手元にお配りしております「グラフ警視庁」を参考にしていただければというふうに思います。
 続きまして、警視庁所管歳入歳出予算の概要についてご説明いたします。
 当庁の平成十七年度予算は、一三ページのとおり、歳入が四百六十四億三千二百七十九万円、歳出が六千九十一億一千五百万円となっております。その詳細につきましては、お手元の平成十七年度予算説明書をごらんいただきたいと思います。
 次に、当庁の懸案事項についてご説明いたします。
 懸案のその一は、警察活動の拠点となる各種施設の整備についてであります。
 警察署の新設計画については、一四ページのとおり、臨海副都心地区及び多摩ニュータウン地区に、それぞれ整備計画中であります。
 臨海副都心地区に建設予定の仮称臨港警察署は、平成十六年度に実施設計、平成十七年七月に工事着工し、平成二十年二月の完成を予定しており、多摩ニュータウン地区に建設予定の仮称多摩西警察署は、平成十七年度に用地買収費、地質調査・設計費の予算措置がなされ、平成十八年度に工事着工し、平成二十一年三月の完成を目指しているところであります。
 また、著しい老朽化や狭隘化、あるいは耐震対策等のため改築を要する警察署庁舎のほか、交番、駐在所についても、その機能の充実強化を図るため、一五ページのとおり、計画的に整備してまいりたいと考えております。
 さらに、近年、職員の居住地の遠隔化などにより、大震災や重要事件等の発生時における初動措置のおくれが懸念されることから、家族待機宿舎の増設、単身待機宿舎のさらなる確保などにより、職員の都内居住を促進してまいりたいと考えております。
 懸案のその二は、被疑者留置施設の拡充についてであります。
 現在、当庁では、警視庁本部及び警察署で、合計百八カ所の留置場を設置しており、その適正収容人員は約三千二百十人であります。しかしながら、本年七月末の総留置人員の延べ数は一六ページのとおりであり、過去最高を記録した一昨年を大幅に超過する勢いで増加し、一日の平均留置人員も昨年より二百九十人多い状態にあります。特に、二十三区内の女性新規留置人の増加が著しく、ピーク時には収容率が約一四〇%に達するなど、昨年より一層厳しい情勢となっております。
 今後は、留置人の処遇など、留置業務運営の一層の適正化を期すためにも、庁舎の新設、改築の際には、可能な限り留置場を増設していく必要があると考えております。
 最後に、財団法人暴力団追放運動推進都民センターの運営状況について、資料第2によりご説明いたします。
 平成四年五月一日に設立した公益法人、財団法人暴力団追放運動推進都民センターは、都民の暴力団追放意識等の高揚に資するとともに、暴力団の排除活動を推進し、暴力団が存在しない安心して住める東京の実現に寄与することを目的として活動しております。
 主な取り組みとして、暴力団追放都民大会の開催を初めとする広報活動や、相談活動、被害者救援等の事業、さらには、暴力団離脱者の支援事業等を行っております。
 活動の詳細につきましては、資料をご参考にしていただければと思います。
 以上で、私の説明を終わらせていただきます。

○臼井委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○臼井委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○臼井委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○東川総務部長 平成十七年第三回都議会定例会に提出を予定しております警視庁関係の案件について、ご説明申し上げます。
 案件は、警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例案、道路標識設置等工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起の計二件でございます。
 初めに、警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例案について、お手元の資料第3に基づきましてご説明いたします。
 今回の改正は、大きく三つに分かれております。一つは、自動車の保管場所証明に係る申請手数料の規定の新設等、一つは、警備業関係手数料の規定の新設等、一つは、核燃料物質等の運搬証明書交付手数料等に係る規定の改正であります。
 最初に、自動車の保管場所証明に係る申請手数料の規定の新設について、ご説明申し上げます。
 本年十二月二十六日に、自動車の保管場所の確保等に関する法律などの一部改正を内容といたします、自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律が施行され、自動車の新規登録を受けるための手続として、警察署長に対し、自動車保管場所証明書の交付を申請する従来の方法に加えまして、電子申請により、警察署長に対し、運輸支局へ自動車保管場所証明書に相当する通知を行うよう申請する方法も利用できることとなります。
 このため、この通知申請に関する手数料の規定を新たに設ける必要があることから、資料四ページの別表第一、新旧対照表上段の二の項、自動車の保管場所の確保等に関する法律に基づく事務の(二)のとおり、自動車保管場所証明通知申請手数料を新設するものであります。
 なお、手数料の額については、現在の自動車保管場所証明書の交付申請手数料と同額の二千百円としたいと考えております。
 次に、警備業関係手数料の新設等についてご説明申し上げます。
 本年十一月二十一日に、警備業者の専門的な指導教育体制の整備や、警備員等の検定手続の法定化など、警備員の知識及び能力の向上を図るための規定を改正する警備業法の一部を改正する法律が施行され、また同日、この法改正に際し、徴収する手数料の標準を定めた警備業法施行令の一部を改正する政令も施行されることから、本条例の規定を改正するものであります。
 なお、手数料の額については、全国的に統一した取り扱いが特に必要とされますことから、基本的に政令等で示された手数料の額と同額にしたいと考えております。
 それでは、内容についてご説明いたします。
 警備業者の専門的な指導教育体制の整備に関するものとして、資料の五ページから六ページの別表第一、新旧対照表上段の三の項、警備業法に基づく事務の(六)のとおり、従来、警備業務全般を包括して行われていた警備員指導教育責任者講習については、警備業務の区分ごとにそれぞれ講習時間が定められることから、手数料額を講習一時間ごとに改め、また同項(九)のとおり、東京都公安委員会による警備員指導教育責任者に対する定期的な講習制度が導入されたことから、警備員指導教育責任者定期講習手数料を新設するものであります。
 次に、警備員等の検定手続の法定化に伴うものとして、七ページの新旧対照表上段の三の二の項、警備業法の一部を改正する法律附則第五条の規定に基づくみなし検定合格に係る審査のとおり、改正前の警備員等の検定合格者を、改正後の検定合格者とみなすための審査に係る手数料を新設し、また八ページの別表第二、新旧対照表上段の二、警備業法関係一から七のとおり、警備員等の検定に係る手数料を改め、合格証明書の交付等の手数料を新設するものであります。
 このほか、傍線でお示ししている部分については、標準額の改定を受け、それぞれ手数料の額を改めるなどの改正をするものであります。
 次に、核燃料物質等の運搬証明書交付等に係る規定の改正について、ご説明申し上げます。
 本年五月に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律が公布され、手数料を徴収する事務である運搬証明書に係る事務等の規定が、第五十九条の二から第五十九条に改められたことから、七ページの新旧対照表上段の七、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づく事務(一)から(三)のとおり規定を改正するものであります。
 なお、本条例における改正規定につきましては、それぞれ改正法の施行日に合わせて施行したいと考えております。
 次に、道路標識設置等工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起について、お手元の資料第4により説明をいたします。
 本案は、当庁が発注した道路標識設置等の工事において、独占禁止法に違反して不法に談合を行っていた受注業者のうち、損害賠償の請求に応じない業者に対し、その支払いを求める民事訴訟を提起することにつき、ご承認をお願いするものであります。
 公正取引委員会は、平成十年四月一日から平成十三年十一月二十七日までの間に、当庁が発注した道路標識設置等工事に関する受注状況について調査を行った結果、受注業者が談合行為を行っていたことを認め、課徴金納付の対象となる業者に対し課徴金納付命令を出しました。
 当庁は、これを受けて、受注業者に対し東京都契約事務協議会幹事会における確認事項などに基づき、損害額を契約金額の一〇%としてその支払いを請求しましたが、現在まで合計二十九社が損害賠償金の全部また一部を支払っていない状況にあります。
 こうしたことから、現在、公正取引委員会において審判中の一社を除き受注業者二十八社を被告として、総額九億五千七百万円余りの損害賠償金の支払いを求める民事訴訟を提起しようとするものであります。
 以上、今定例会に提出を予定しております案件についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議を賜りますようお願いいたします。

○臼井委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○臼井委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で警視庁関係を終わります。

○臼井委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
 初めに、消防総監からあいさつ並びに幹部職員の紹介がございます。

○関口消防総監 消防総監の関口でございます。本日は、新しい委員の皆様方による初めての委員会でございますので、一言ごあいさつを申し上げます。
 諸先生方には、平素から消防行政の運営につきまして特段のご指導、ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。今後は東京消防庁関係の予算、条例、契約、請願陳情等の全般にわたりご審議、ご指導をいただくこととなりますので、よろしくお願い申し上げます。
 さて、ご承知のとおり、首都東京におきましては、火災を初めとする各種災害がますます多様化し、消防活動対策、火災予防対策への一層の強化が求められております。
 さらに、国内各地においては、大規模な地震が頻発しており、この東京を含む南関東地域においても、直下型地震の発生が危惧されております。
 また、高齢化の進展や疾病構造の変化などにより、救急出場件数が増加の一途をたどるとともに、都民からはより一層高度な救急活動が求められております。一方、建築物の高層化や深層化、用途の多様化などにより、防火対象物の潜在的な危険性が増大しているなど、消防を取り巻く環境は一段と厳しさを増しております。
 こうした状況の中、東京消防庁では、都民の安全と安心を確保するため、震災対策の充実を初め、専門的知識を有する隊員と高機能な消防装備を有する特別消火中隊の編成、東京民間救急コールセンターの設置等による増加する救急需要への対応、さらには防火対象物の危険実態に即した総合的な防火安全対策の強化など、諸施策を積極的に推進しております。
 今後とも、災害から都民の安全を守り、都民の負託に的確にこたえる消防行政の実現に向け、一層努力してまいります。
 警察・消防委員会の諸先生方におかれましては、当委員会を初め、種々の機会を通じまして、消防行政推進のため、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
 引き続きまして、東京消防庁の幹部を紹介させていただきます。
 次長の小林輝幸です。救急部長の鈴木正弘です。防災部長の秋山惠です。指導広報部長の浅野幸雄です。総務部長の水崎保男です。予防部長の佐竹哲男です。人事部長の瀬川俊です。装備部長の新井雄治です。企画課長の大江秀敏です。経理課長の田村雅直です。
 よろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○臼井委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○臼井委員長 次に、事務事業について理事者の説明を求めます。

○小林次長 東京消防庁が所管しております事務事業の概要について、ご説明申し上げます。
 お手元に「東京の消防」、「消防行政の概要」、平成十七年度東京都一般会計予算説明書及び東京都が二五%以上出資している、東京都監理団体であります財団法人東京防災指導協会の資料をお届けしてございます。
 それでは、事務事業の概要につきまして、お手元の「東京の消防」によりご説明させていただきます。「東京の消防」の三ページをお開きください。
 まず初めに、東京消防庁の歩みについてであります。
 東京の消防は、明治十三年六月、当時の内務省に公設常備消防機関として消防本部が設置されたことに始まります。その後、昭和二十三年三月、消防組織法が施行され、現在の自治体消防制度が発足し、特別区における消防は東京都知事が一体的に管理することとなり、東京消防庁が設置されました。
 一方、多摩地域におきましては、各市町村単位に消防の任務を果たしておりましたが、昭和三十五年以降、逐次、地方自治法に基づき消防事務の委託を受け、現在、東久留米市、稲城市及び島しょ地域を除く二十四市三町一村の消防事務を執行しております。
 次に、消防予算でありますが、中ほどにお示ししてありますように、平成十七年度の当初予算は二千三百七十三億円であり、東京都一般会計予算に占める割合は四・一%であります。予算の詳細につきましては、お手元の資料、平成十七年度東京都一般会計予算説明書を参照していただきたいと存じます。
 次に、組織についてであります。
 右下の表にお示ししてありますように、八部、一学校、一研究所のもとに、三十八の課、室等があります。また、行政事務及び部隊活動を円滑に実施するため、四ページ上の図にお示ししてありますように、当庁の管轄区域を十に区分いたしまして、第一から第十の消防方面本部を設置し、方面内の消防署を統括しております。
 五ページへ参りまして、消防力についてであります。
 まず、消防職員数でありますが、消防吏員一万七千五百三十七人、一般職員四百四十六人、合計一万七千九百八十三人であります。また、消防行政の拠点として、八十の消防署、二つの消防分署、二百七の消防出張所を設置し、消防行政を推進しております。
 さらに、消防機動力としてポンプ車、救助車、救急車、化学車、はしご車、ヘリコプター、消防艇など、近代装備を有する消防車両等千八百六十九台を配備し、各種災害に備えております。
 七ページへ参りまして、災害についてであります。
 ご案内のとおり、首都東京は、建築物の高層化や深層化などにより、火災を初め各種災害が年々多様化し、消防活動はますます困難性を増しております。こうした中、消防隊は各種災害現場において、人命救助を最優先としながら、積極果敢な消防活動を展開しております。特に、専門的知識及び技能を有する隊員と高機能かつ先進的な資機材を集中的に配備した特別消火中隊を五十隊編成し、火災に備えております。
 八ページへ参りまして、火災の調査についてであります。
 火災の調査は、消防法に基づき、火災の原因及び損害などについて実施するものであります。平成十六年中の火災件数は六千七百四十六件でありました。下の円グラフにお示ししてありますように、放火及び放火の疑いが出火原因の第一位になっております。このため、町会や自治会、関係機関等と連携し、地域ぐるみで放火火災予防対策を推進しております。
 九ページへ参りまして、救助についてであります。
 火災はもとより、交通、水難、山岳事故など、救助事象は多岐にわたっております。これらの救助事象に対処するために、救助を専門とした消防救助機動部隊三部隊、特別救助隊二十二隊、水難救助隊六隊、山岳救助隊四隊を配備しております。
 一〇ページへ参りまして、NBC災害対策についてであります。
 都内には危険物や毒劇物などを貯蔵し、取り扱っている施設が多数あります。これらの施設は、火災、爆発、漏えいなどの災害発生危険が内在していることから、ガス分析装置を初め、最新鋭の資器材を積載した化学機動中隊九隊を配備しております。さらに、第三消防方面本部には、消防救助機動部隊の一つといたしまして、高度な専門能力を有する隊員と、特殊な資機材を装備した部隊を配備し、放射性物質や生物剤等に係る特殊な災害、事故等の対応に万全の体制をとっております。
 次に、水防対策についてでありますが、先月の台風十一号の接近に対しましては非常配備態勢を発令し、約四千五百名の非番の職員を招集して、都内の一部において水防活動を実施いたしました。
 また、去る九月四日の局地的な集中豪雨に対しましても非常配備態勢を発令し、中野区、杉並区などにおいて、救命ボートを活用した救助活動などを実施いたしました。
 一一ページへ参りまして、災害活動支援についてであります。
 東京消防庁の管轄区域外に大規模災害が発生した場合、消防組織法に基づく応援協定や緊急消防援助隊制度により消防隊を派遣し、災害活動の支援を行っております。最近では、昨年十月、新潟県中越地方で発生した地震に、先ほどご紹介した消防救助機動部隊を初め、多くの部隊を派遣しました。特に長岡市妙見町の土砂崩れ現場では、余震の続く中、懸命な救助活動を行い、車両に取り残された男の子を救出いたしました。
 また、海外で大規模な災害が発生した場合には、国際緊急援助隊の派遣に関する法律により、国際消防救助隊を派遣しております。最近では、昨年十二月に発生したスマトラ沖大地震による津波災害に、救助チーム、航空部隊及び専門家チームを派遣し、積極的に救助活動を行いました。
 一二ページへ参りまして、空の消防についてであります。
 東京消防庁航空隊は、昭和四十一年に我が国初の消防航空隊として発足いたしました。現在、六機のヘリコプターを保有し、災害時には空からの人命救助や消火活動、救急活動などに従事しております。また、島しょ地域からの救急患者の搬送も重要な任務の一つでありまして、伊豆諸島全島における夜間運航も行っております。
 次に、海の消防についてであります。現在、消防艇九艇により、船舶や沿岸に対する消火活動及び水難救助活動、さらには油流出事故への対応など、幅広い活動を行っております。
 一三ページへ参りまして、救急についてであります。
 救急件数は、高齢化の進展や疾病構造の変化などにより増加の一途をたどるとともに、都民からより一層高度な救急活動が求められているところでございます。平成十六年中の救急出場件数は、中央の円グラフにお示ししてありますように、六十七万八千百七十八件に達しております。当庁では、現在二百十七台の高規格救急車を消防署所に配備するとともに、すべての救急隊に救急救命士を配置して救急活動を実施しております。さらに迅速かつ円滑な救急活動を行うため、ポンプ隊と救急隊が連携し、効果的な救出、救護活動を実施しております。
 また、増大する救急需要に対応するため、全国で初めての取り組みとして、本年四月から、通院、入退院など緊急を要しない場合に、民間の患者搬送サービスを二十四時間紹介する、民間救急コールセンターの運用を開始しました。
 一方、昨年七月からは、一般市民にも自動体外式除細動器、いわゆるAEDの使用が認められたことから、ポンプ隊員等による自動体外式除細動器の使用や応急救護知識、技術の普及によるさらなる救命率の向上を目指しております。
 一五ページへ参りまして、震災対策についてであります。
 七月に千葉県北西部を震源とする地震が発生し、足立区では震度五強を記録しました。さらに、八月には宮城県沖を震源とする震度六弱の地震が発生するなど、各地で大規模な地震が発生しております。首都東京におきましても、東海地震や南関東直下における地震の発生が危惧されており、東京消防庁では、地震時における地域の防災行動力向上のため、出火防止、救助救急対策などを最重要課題として取り組んでおります。
 特に、阪神・淡路大震災の教訓から、パワーショベル、クレーン車などの重機を保有する消防救助機動部隊や消防活動二輪車の整備、災害時支援ボランティアの育成など、各種施策を推進しております。
 一七ページへ参りまして、消防水利についてであります。
 地震時に水道施設が被害を受け、消火栓が使用できなくなった場合に備え、従来から耐震性防火水槽などの水利の整備を推進してまいりました。さらに、大規模市街地火災に備え、関係機関と連携して河川の堰とめ資材を整備するなど、河川や海等、豊富な水量を有する水源の有効活用に努めております。
 また、近年では水道施設の耐震化が進み、地震時でも消火栓が活用できる可能性が高くなってきたことから、消火栓の使用可否が判断できる消火栓活用情報システムを活用することとしております。
 一八ページへ参りまして、消防団についてであります。
 消防団は、火災及び水災に対し消防署と連携して活動するとともに、年末年始や火災多発期等における各種警戒、さらには地域の防災リーダーとして、震災に備えた住民指導などを行っております。
 現在、東京都における消防団体制は、九十八団、団員二万五千八百八十五名であり、そのうち特別区は五十八団、団員一万六千名が積極的に活動しており、東京消防庁では活力ある消防団づくりに努めております。
 一九ページへ参りまして、火災予防業務についてであります。
 火災等の発生を未然に防止するためには、予防行政の充実が極めて重要であります。このため、建築物の建設にかかわる事前相談や消防同意などを通じた安全指導を初め、危険物施設の許認可や建築物等に対する火災予防査察、事業所の防火管理体制に関する指導などを行い、予防行政の推進を図っております。
 また、防火対象物の用途、規模、管理形態等が多様化する中、危険実態に着目した防火対象物の立入検査と、迅速かつ適正な違反処理などの施策を積極的に推進しております。
 二一ページへ参りまして、指導・広報業務についてであります。
 防災は、地域住民と防災機関とが一体となった実践的な活動を行うことが重要であります。このため、春、秋の火災予防運動を初めとする諸行事を積極的に展開し、都民の防災行動力の向上や、防災意識の普及啓発に努めております。
 二三ページへ参りまして、都民生活を守るについてであります。
 昨年十月から新築の住宅に住宅用火災警報器の設置を義務づけるなどの防火安全対策に取り組むとともに、消防のふれあいネットワークづくりをスローガンに掲げ、地域住民が一体となった協力体制の整備を積極的に推進しております。さらに、ひとり暮らしの高齢者の方々を守るために、緊急通報システムや火災安全システムによる受信業務を行っております。
 二四ページへ参りまして、国際化への対応についてであります。
 東京在住の外国人に対しましては、外国語による各種パンフレット等を活用し、防火防災意識の普及啓発や緊急時の対応など、防災行動力の向上に努めております。
 また、消防の国際化を推進するため、海外からの研修生等の受け入れや国際会議等への参加など、諸外国との交流を図っております。
 二五ページへ参りまして、研究開発についてであります。
 多様化する災害事象に的確に対処するためには、時代の変化に対応した消防活動を行うことが必要であります。このため、消防科学研究所では、消防資器材や災害時の行動心理などさまざまな研究と開発を行い、その成果を火災予防あるいは消防戦術に反映しております。
 二六ページへ参りまして、消防車両等の整備についてであります。
 装備工場では、消防機動力の有事即応体制を確保するため、各種消防車両の整備や資器材の点検などを行っております。
 二七ページへ参りまして、人づくりについてであります。
 都民の負託にこたえる消防行政を推進するためには、消防職員、消防団員等の資質の向上が極めて重要であります。このため、消防学校において、新たに採用した職員に対する初任教育を初め、幹部研修、専科研修などを実施し、消防職員、消防団員としての必要な知識、技術の習得はもとより、気力、体力の錬磨に努めております。
 二八ページへ参りまして、大震災に備えた消防職員待機宿舎の整備についてであります。
 震災等の大規模災害の発生に備え、指揮活動に必要不可欠な職員、専門的知識、技術を有する職員、さらに初動体制の確立に必要な職員等の人的消防力を二十四時間体制で確保するため、消防職員待機宿舎の整備を行っております。
 二九ページへ参りまして、学習、体験施設、試験講習についてであります。
 四谷にあります消防博物館や、池袋、立川、本所に体験学習施設として都民防災教育センターを設けまして、都民の方々の防火防災に関する知識、技術及び防災行動力の向上を図っております。また、事業所の自主防火管理体制を確立するため、下の表にお示ししてありますように、各種試験、講習を実施し、消防技術者の育成に努めております。
 三〇ページへ参りまして、一一九番通報の仕組みについてであります。
 一一九番通報は、二十三区においては千代田区大手町の災害救急情報センターで、多摩地域においては、立川市にあります多摩災害救急情報センターで、それぞれ受信しております。平成十六年中の一一九番通報は、両センターを合わせ百四万三千九百五十六件でありまして、おおむね三十秒に一件の割合で受信しております。
 また、消防テレホンサービスでは、昼夜を通し、消防相談や救急医療機関の案内などを行っております。
 以上が、東京消防庁の事務事業の概要でございます。詳細につきましては、お手元の資料、「消防行政の概要」を参照していただきたいと存じます。
 続きまして、東京都が基本財産の二五%以上の出資を行っている、東京都監理団体であります財団法人東京防災指導協会について、ご説明申し上げます。
 お手元の資料、財団法人東京防災指導協会をごらんいただきたいと存じます。
 この協会は、都民の安全と福祉の増進に寄与することを目的として、昭和四十八年十月に設立された財団であります。
 主な事業といたしましては、防火管理者、危険物取扱者、防火対象物点検資格者などの育成、災害予防に関する調査研究、防火防災思想の普及及び防災関係図書の刊行などの事業を行っております。詳細につきましては、本資料をごらんいただきたいと存じます。
 委員の皆様におかれましては、この団体が都民の安全の向上に大きな役割を果たしていることをご理解いただきまして、本協会の健全な発展のため、今後ともご指導、ご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
 以上で、東京消防庁の事務事業概要及び財団法人東京防災指導協会の概要についての説明を終わらせていただきます。

○臼井委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○臼井委員長 なしということでありますので、資料要求はなしと確認させていただきます。

○臼井委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○小林次長 平成十七年第三回都議会定例会に提出を予定しております東京消防庁関係の案件につきましてご説明申し上げます。
 案件は一件で、火災予防条例の一部を改正する条例案であります。
 昨今、景気の低迷等により、防火対象物におきましては、テナントの入れかえやリニューアル等が頻繁に行われております。しかし、必要な届け出がなされなかったために、避難路の不備や消防用設備等の未設置等が生じ、火災の発生や消防機関の立入検査により初めて発見されるというケースが後を絶たず、極めて憂慮される状況にあります。
 このようなことから、火災予防条例の一部改正により、防火対象物の使用・変更等に係る届け出基準の明確化を図るとともに、建物の実態に応じた避難管理を行うための基準を整備し、さらに防火対象物の防火安全を確保するために必要な専門的知識、技術を講習する防火安全技術講習制度を創設するものであります。
 あわせまして、小規模な燃料電池発電設備が製品化されたことから、これらの設備の設置基準等につきましても新たに整備するなど、都民生活の安全・安心の一層の向上を図りますため、本条例の改正をお願いするものであります。
 それでは、主な改正項目につきまして、お手元の資料をもとにご説明させていただきます。
 今回の改正項目は五点ございまして、まず一点目は、建物の工事等を行う場合などの消防機関への届け出に関する事項であります。
 資料二八ページの新旧対照表上欄の第五十六条をごらんください。
 この条文は、防火対象物の工事等計画の届け出等について定めるもので、第一項は、消防用設備等を必要とする防火対象物の建築、増築、模様がえや客席、避難通路等を変更しようとする者は、工事等に着手する日の七日前までに消防署長に届け出なければならないこと、二九ページ上欄の第二項は、第一項の届け出には、所在、使用形態、収容人員、防火・避難の管理、消防活動に必要な事項を記載した図書等を添付しなければならないこと、第三項は、消防署長は、届け出があったときは、防火基準に適合しているか審査すること、第四項は、防火対象物等の所有者は、建築、増築、模様がえや避難通路等の変更等をしようとする者に対して、適正に届け出を行うことを求めるよう努めなければならないことを新たに定めるものであります。
 次に、第五十六条の二をごらんください。
 この条文は、防火対象物の使用開始の届け出等について定めるものであります。
 今回、適正な届け出を確保するため、届け出期日について、使用を開始する日の七日前までと明確化を図り、必要な事項を記載した図書等を添付し、消防署長に届け出て検査を受けなければならないことを定めるものであります。
 同様に、第五十六条の三では、一時的に防火対象物を不特定の者が出入りする店舗等として使用する場合、次の三〇ページ上欄の第五十七条では、火気使用設備等を設置する場合、さらに、三一ページ上欄の第五十八条では、少量危険物または指定可燃物の貯蔵取扱所を設置する場合、三二ページ上欄、第五十八条の二では、指定防火対象物等における消防用設備等を設置する場合、三三ページ上欄、第五十八条の三では、消防用設備等を設置した場合、三四ページ上欄、第五十九条の三では、観覧場または展示場において多数の者を収容して演劇、コンサート等の催しを行う場合に、それぞれ第五十六条の二と同様に、届け出期日を明確にするとともに、検査を受けなければならないことなどを定めるものであります。
 次に、同じく三四ページ下欄の第六十条第三号をごらんください。
 この条文は、劇場等以外で演劇、映画などの催し物を開催する際には、あらかじめその日時、場所、消防活動上必要な事項等を消防署長に届け出なければならないことを定めているものであります。
 先ほどご説明いたしましたとおり、今回、第五十六条の三で、観覧場等で多数の者を収容して演劇等の催しを行う場合の届け出について新たに定めることから、この条文を削除するものであります。
 二点目の改正項目は、防火安全技術講習制度に関する事項であります。
 上欄、第六十三条の二をごらんください。
 この条文は、火災時における防火対象物の防火安全の確保を図るため、高度な知識、技術を有する専門家を育成するための講習について新たに定めるもので、第一項は、消防設備業、建築設計業等で、防火対象物の避難の管理、消防用設備等の設置に係る計画または工事に従事する者は防火安全に係る知識及び技術に関する講習の受講に努めなければならないこと、三五ページ上欄の第二項では、登録講習機関は講習を修了した者に修了証を交付すること、第三項から第五項は、知事が行う講習機関の登録に関することを新たに定めるものであります。
 次に、第六十三条の三をごらんください。
 この条文は、前条で定める講習修了者が行う業務について定めるもので、第一項は、講習修了者は防火対象物の避難の管理に係る計画や火気使用設備、消防用設備等の設置に係る計画及びこれらの工事に関して、消防関係法令への適合状況の調査や防火安全についての助言、検査への立ち会い等を行うことを、第二項は、講習修了者が業務に従事するときは修了証を携帯し、関係者等から請求があったときは修了証を示さなければならないことをそれぞれ新たに定めるものであります。
 次に、第六十三条の四をごらんください。
 この条文は、工事現場における届け出等の表示について定めるもので、防火対象物の関係者または工事施工者は工事現場の見やすい場所に防火対象物の工事、改修等の計画の届け出、火気使用設備等の設置の届け出及び消防用設備等の設置計画等の届け出が受理された旨を表示することを新たに定めるものであります。
 三点目の改正項目は、燃料電池発電設備の設置基準の整備に関する事項であります。
 恐れ入りますが、一九ページにお戻りいただきまして、上欄、第八条の三をごらんください。
 この条文の燃料電池発電設備とは、都市ガスなどの燃料からつくった水素を酸素と反応させることにより、電気を発生させるものであります。これまでは主に工場や病院等の大規模な建物に設置されており、内部にバーナーを有することから、給湯湯沸かし設備等の火を使用する設備と同様に、火災予防条例で規制の対象とされ、建物からの隔離距離の確保や不燃室の設置が義務づけられておりました。しかし、近年の技術革新により、新たな方式の燃料電池発電設備が開発され、機器のコンパクト化により一般に普及することが見込まれますことから、設備の設置基準等を整備するものであります。
 第一項及び第三項は、屋内または屋外に設ける燃料電池発電設備の位置、構造及び管理の基準について、第三条に規定する炉の基準を適用することを新たに定めるものであります。
 第二項の屋内に設ける固体高分子型燃料電池発電設備及び二〇ページ上欄、第四項の屋外に設ける固体高分子型燃料電池発電設備で、出力十キロワット未満のものについては、一定の安全措置が講じられた場合は、燃料電池発電設備に係る基準の一部を緩和することを新たに定めるものであります。
 次に、同じく二〇ページ上欄の第十二条をごらんください。
 この条文は、内燃機関を原動力とする発電設備の位置及び構造について定めるもので、第一項及び二一ページの第二項は、下欄第十二条に定められた燃料電池による発電設備の基準を新たに第八条の三に定めることから、この条文から削除するものであります。
 第三項は、屋外に設ける気体燃料を使用するピストン式内燃機関を原動力とする発電設備で、出力十キロワット未満のものについては、一定の安全措置が講じられた場合は、発電設備に係る基準の一部を緩和することを定めるものであります。
 四点目の改正項目は、建物の実態に応じた避難管理を行うための基準の整備に関する事項であります。
 二五ページ上欄の第五十一条の二をごらんください。
 この条文は、基準の特例を定めるもので、劇場、キャバレー、百貨店等の客席及び補助避難通路について、消防署長が防火対象物の位置、構造、設備、収容人員、使用形態、避難施設の配置等の状況から予測される避難に必要な時間から判断して、避難上支障がないと認めるときは、基準によらないことができる旨を定めるものであります。
 次に、二六ページ上欄の第五十三条の三をごらんください。
 この条文は、不特定の者が出入りする店舗等の避難の管理について定めるもので、収容人員や使用実態等に応じて避難に必要な時間を算定し、その結果を活用するよう努めなければならないことを新たに定めるものであります。
 次に、三六ページ上欄の第六十四条をごらんください。
 この条文は、消防用設備等の設置、火を使用する設備等の設置及び避難通路等に関する基準の特例を適用する場合に、透明性を確保するため、その手続について新たに定めるもので、特例の適用を受けようとする者は消防署長に申請し、審査を受けることを、また、消防総監は、特例等の適用を判断するための技術基準を定めることができることを新たに定めるものであります。
 五点目の改正項目は、罰則に関する事項であります。
 同じく三六ページ上欄の第六十七条の二をごらんください。
 防火対象物の使用開始の届け出、少量危険物の貯蔵取り扱い等に関する届け出などに違反した者について、十万円以下の罰金に処することを新たに定めるものであります。
 その他、ボイラーなどを設置する場合の断熱材として使用されていた石綿について、健康上の被害等から建築基準法などが改正されたことに伴い、条例に定める石綿の文言を削除すること及び用語の整理など、所要の改正を行うものであります。
 最後に、附則に関する事項であります。
 恐れ入りますが、一三ページにお戻りいただきまして、第一条は、施行期日を定めたものでありまして、この条例は、公布の日から施行を予定しております。ただし、各種の届け出、避難、防火安全技術講習、罰則等に関する改正については、平成十八年四月一日から施行を予定しております。
 第二条は、経過措置を定めるものであります。
 以上が、火災予防条例の一部を改正する条例案の概要であります。
 以上、大変雑駁ではありますが、第三回定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○臼井委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○臼井委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で東京消防庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後二時十三分散会

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