警察・消防委員会速記録第一号

平成十五年一月三十日(木曜日)
第十一委員会室
   午後一時五分開議
 出席委員 十三名
委員長吉野 利明君
副委員長大木田 守君
副委員長坂口こうじ君
理事樺山 卓司君
理事清原錬太郎君
理事秋田かくお君
中村 明彦君
花川与惣太君
小山 敏雄君
石井 義修君
藤井 富雄君
内田  茂君
田中  良君

 欠席委員 一名

 出席説明員
警視庁警視総監石川 重明君
総務部長佐藤 正夫君
警務部長岩橋  修君
交通部長福島 和夫君
警備部長池田 克彦君
地域部長濱口 征三君
公安部長米村 敏朗君
刑事部長米田  壯君
生活安全部長渡邉  晃君
組織犯罪対策本部長宮本 和夫君
総務部企画課長関根 榮治君
総務部会計課長鹿倉 則彰君
東京消防庁消防総監杉村 哲也君
次長人事部長事務取扱白谷 祐二君
総務部長関口 和重君
警防部長尾崎 研哉君
防災部長鈴木 正弘君
救急部長水崎 保男君
予防部長鈴木 淳雄君
指導広報部長櫻岡 正規君
装備部長福田 市郎君
総務部企画課長佐藤 行雄君
総務部経理課長稲葉 義行君

本日の会議に付した事件
 警視庁関係
  第一回定例会提出予定案件について(説明)
  ・平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 警視庁所管分
  ・平成十四年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 警視庁所管分
  ・警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
 東京消防庁関係
  第一回定例会提出予定案件について(説明)
  ・平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 東京消防庁所管分
  ・平成十四年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 東京消防庁所管分
  ・東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例

○吉野委員長 ただいまから警察・消防委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁及び東京消防庁関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取を行います。
 なお、提出予定案件につきましては、本日は、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより警視庁関係に入ります。
 初めに、本日は本年最初の委員会でございますので、石川警視総監からあいさつ並びに先般の人事異動に伴い交代がありました幹部職員の紹介があります。

○石川警視総監 本年最初の警察・消防委員会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 委員会の皆様方には、平素から警察業務の各般にわたりましてご支援を賜っているところであり、心からお礼を申し上げます。
 顧みますと、昨年は、緊迫する国際テロ情勢のもとで、米国大統領ブッシュ夫妻の来日あるいはワールドカップサッカー大会の開催等に伴う各種警備を初め、重要凶悪事件や組織犯罪等の検挙、日本人拉致容疑事件の解明、悪質経済事犯の摘発、さらには重大交通事故の防止と交通の円滑化等、数多くの重要課題に直面いたしました。
 これに対しまして警視庁では、全職員が一丸となりまして、首都の治安維持と都民生活の安全、安心の確保に全力を尽くしてまいりましたが、こうした中で当庁に寄せられました委員の皆様方のお力添えや、都民の皆様方のご理解とご協力に対しまして、改めて厚くお礼を申し上げる次第でございます。
 さて、都内の治安情勢は、昨年の刑法犯認知件数が過去最多となり、しかも犯罪の凶悪化、巧妙化、悪質化の傾向が一段と進展して、まことに厳しいものがございます。当庁では年初から、全国的な取り組みの一環としての街頭犯罪及び侵入犯罪抑止総合対策を組織の総力を挙げて推進しているところでありますが、都民の皆様方に一つ一つ確実に仕事の成果を示すことによって、体感治安の向上に努めてまいります。また、都民のための警察を基本理念とした警察運営に努めるとともに、組織の力を最大限に発揮できる体制を確立して、都民の目線に立った治安の確保に邁進していく所存であります。
 委員の皆様方には、どうか今後とも警視庁に対する一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。
 引き続きまして、先般の人事異動により幹部の交代がありましたので、ご紹介申し上げます。
 総務部長から警務部長に転じました岩橋修、総務部長の佐藤正夫でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕

○吉野委員長 あいさつ及び紹介は終わりました。

○吉野委員長 次に、第一回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○佐藤総務部長 平成十五年第一回都議会定例会に提出を予定しております警視庁関係の案件につきましてご説明を申し上げます。
 案件は、平成十五年度東京都一般会計予算案、平成十四年度東京都一般会計補正予算案、警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例案の計三件であります。
 初めに、平成十五年度東京都一般会計予算案のうち当庁所管分につきまして、お手元の資料第1、平成十五年度予算説明書に基づき、その主なものについてご説明申し上げます。
 警視庁の平成十五年度予算案は、歳入歳出予算と債務負担行為により編成されております。
 まず、歳入歳出予算の概要でございます。
 資料一ページの総括表、アの歳入は、総額で三百九十八億一千五百二万三千円を計上しており、前年度に対し十五億五千百三十五万円の減となっております。歳出は、中段、イの表のとおり、総額で六千百四十五億三千五百万円を計上しており、前年度に対しまして百四十四億六千五百万円の減となっております。
 歳出予算は、その目的により、警察管理費以下四項目に分類しておりますが、これを性質別に分けますと、下段ウの表のとおり、給与関係費が五千百二十七億六千五百五十六万七千円で全体の八三・四%、事業費は千十七億六千九百四十三万三千円で全体の一六・六%を占めております。
 以下、各項目に従いまして順次ご説明申し上げます。
 まず、二ページ以下の歳入予算であります。
 初めに、使用料及び手数料は、百九十五億四千九百六十万六千円で、前年度に対し十四億九千九百七十七万一千円の減となっております。
 このうち使用料は、府中運転免許試験場の建物など警察施設を使用させることによる使用料の収入見込み額を計上しております。
 次の手数料は、公安委員会または警察署長が行う各種の許可、証明等の手数料で、前年度に対しまして十四億八千九百九十三万七千円の減となっております。これは、下の1の自動車運転免許のうち、2の免許証交付の更新件数と、四ページの8のパーキングメーター作動等の回数の減が見込まれることが主な理由であります。
 次に、六ページの国庫支出金でありますが、収入見込み額は百二億五千四百十七万五千円で、前年度に対し一億五百十八万円の減となっております。これは、警察法第三十七条に基づく国庫補助金が減となったことが主な理由であります。
 次の財産収入は、十四億五千七百三十五万三千円を計上しており、前年度に対し一億九千二十万八千円の増となっております。これは、待機寮に設置されているエレベーターなどの各種設備の維持経費を利用料に算入することとなったことが主な理由であります。
 次の諸収入は、四十二億二千四百八十八万九千円を計上しており、前年度に対し二億四千九百六十万七千円の減となっております。これは、七ページの警察費弁償金のうち2の違法駐車措置料等が減となったことが主な理由であります。
 次に、九ページの都債につきましては、警察装備費、交通安全施設整備費及び警察施設整備費に充当するため、四十三億二千九百万円を計上しております。
 以上が歳入予算の内容であります。
 次に、一〇ページ以下の歳出予算につきましてご説明申し上げます。
 警察費のうち警察管理費は、警察の管理運営に必要ないわば経常的な経費でありまして、五千五十五億九千百六十五万一千円を計上しており、前年度に対し百七十九億四千三百四十七万五千円の減となっております。
 そのうちの公安委員会費は、東京都公安委員会委員の報酬と委員会の運営に関する経費を計上しております。
 次の警察本部費は、職員の給料及び諸手当並びに管理運営、災害補償等に要する経費であります。
 まず、1の職員費が前年度に対し百四十四億七千六百八十五万円の減となっておりますが、これは、人事委員会勧告による給与改定等に伴う給料等の減額措置によるものであります。
 一一ページの2の管理費が前年度に対し十四億六百六十五万五千円の減となっておりますのは、勤務実績に基づいて支給する(1)の諸手当等が前年度に対し十六億三千四百六十四万五千円の減となったことと、一二ページの(3)の一般管理費が経費節減により三億五千二百二十九万八千円の減となっていること及び一四ページ上段の(9)、再雇用が、駐車取り締まり支援要員等二百五十七人の増員によりまして、前年度に対し六億六千九百九十一万一千円の増となったことが主な理由であります。
 次の3の被服調製費は、警察官の制服の調製等に要する経費でありますが、前年度に対し七億二千二百九十三万二千円の減となっておりますが、これは、定期に支給する制服等の減が主な理由であります。
 次に、5の警察情報管理システムの運営につきましては、警察情報の効率的な管理運営に要する経費でありますが、前年度に対し六億八千五百六十五万六千円の減となっておりますのは、当庁で使用している大型コンピューターの契約方法を見直し、経費節減を図ったことによるものであります。
 次に、一五ページ下段の装備費につきましては、各種装備資器材を初め、車両、舟艇、ヘリコプターの維持管理及び整備に要する経費であります。
 そのうち1の装備資器材の管理が前年度に対し九億六百六十四万一千円の減となっておりますのは、車載通信系無線機の新システムへの整備が終了したことが主な理由であります。
 次に、一六ページ中段の2の車両の管理が前年度に対し二億四千六百六十一万四千円の減となっておりますのは、警察の保有する車両のうち、環境確保条例の対象となるディーゼル車に対するDPFの装着が終了したことが主な理由であります。
 また、4のヘリコプターの管理が前年度に対し七億六千二百八十一万四千円の増となっておりますのは、昭和五十九年に導入された「おおとり一号」の更新に要する経費十三億五千六百四万四千円の増と、「おおぞら一号」等の特別整備が終了したことによる減が主な理由であります。
 次に、一七ページ上段の運転免許費が前年度に対し一億八千七百二十二万円の減となっておりますのは、免許更新者数の減による経費の減額が主な理由であります。
 次の退職手当及び年金費が前年度に対し四十二億三千八百九十八万八千円の増となっておりますのは、一八ページ上段の退職費の定年退職者の増加によるものであります。
 次は、警察活動費についてであります。この項には、警察活動に要する経費並びに信号機、道路標識等の交通安全施設の維持管理及び整備に要する経費として三百二十六億七千五百三十三万一千円を計上しております。
 まず、交通指導取り締まり費につきましては、交通違反の取り締まり、交通犯罪の捜査及び交通対策などに要する経費を計上しております。
 次に、一九ページ下段の交通安全施設管理費は、信号機、交通管制機構施設及び道路標識の維持管理に要する経費でありますが、前年度に対し三億二百十四万円の減となっております。これは、二〇ページ下段、4のパーキングメーター等維持管理におきまして、パーキングメーターの管理基数が減となったことが主な理由であります。
 次に、二一ページの交通安全施設整備費は、信号機の新設、改良を初め交通管制機構施設整備、道路標識及び道路標示の整備に要する経費でありますが、前年度に対し五億六千三百二十一万六千円の減となっておりますのは、次の1の交通信号施設のうち、右側中段にあります信号灯器LED化が東京都の重要施策に選定され、実施規模を拡大することになりましたものの、二二ページの3の道路標識と4の道路標示が減となったことによるものであります。
 なお、LED式の信号灯器は、発光ダイオードを利用し、従来の電球式に比較し、視認性が非常に高く、誤認防止や視力の弱った高齢者等の交通事故防止対策に効果があるほか、消費電力が約六分の一となることから、発電に伴う大気汚染や地球温暖化等の環境対策にも効果を発揮するものであります。
 次の警備地域費は、雑踏警備、災害に備えての訓練、地域警察の運営などに要する経費であります。
 そのうち、二三ページ上段の3の一一〇番運営が前年度に対し一億五千五百三十一万一千円の減となっておりますのは、通信指令システムの機器借り上げ料が減となったことが主な理由であります。
 次の捜査対策費は、各種犯罪の捜査や、警察署の鑑識資器材の購入等に要する経費でありますが、そのうち1の犯罪捜査が前年度に対し十一億二千三百九十一万八千円の増となっておりますのは、多発する犯罪に的確に対処するため、捜査書類作成の迅速、的確化が図れる捜査管理システム用パソコン等の資器材を整備することが主な理由であります。
 また、3の組織犯罪対策が前年度に対し二億五千百二十二万五千円の増となっておりますのは、後ほど警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例案でお願いする組織犯罪対策部の活動に必要な経費を計上したことが主な理由であります。
 次に、二四ページの生活安全費は、少年の非行防止、少年犯罪の捜査並びに生活安全対策等に要する経費でありますが、そのうち3の生活安全対策が前年度に対し三億三千八百七十万九千円の増となっておりますのは、街頭防犯カメラを渋谷、池袋地区に、緊急通報装置つき防犯灯、いわゆるスーパー防犯灯を銀座地区に設置することが主な理由であります。
 次は、二五ページ中段の警察施設費についてであります。
 初めの施設管理費は、本部庁舎、警察署、交番、駐在所及び待機宿舎などの維持補修費のほか、電気設備等の保守、土地建物の賃借料、光熱水費等に要する経費であります。
 次に、二六ページの建設費についてであります。
 1の庁舎建設のうち本部関係施設は、西が丘庁舎の改築及び本部庁舎機械設備保全・防災電源改修等の経費を計上しております。
 次の警察署庁舎につきましては、小岩警察署など八署の改築並びに町田署の増築等の経費を計上しております。
 また、二七ページの交番、駐在所につきましては、道路拡幅等の理由で改築を必要とする四十二カ所の工事費等を計上しております。
 次に、2の待機宿舎借り上げは、大規模災害等の発生時に、その対策要員を都内に確保するための民間共同住宅二千九百九十七戸の借り上げ料を計上しております。
 次に、3の待機宿舎賃貸借契約に伴う支払い金等が前年度に対し十八億一千五百四十三万八千円の減となっておりますのは、小岩警察署の改築に必要となる用地買収が終了したことが主な理由であります。
 以上が、歳出予算の概要であります。
 次に、二八ページの債務負担行為についてでありますが、まず二八ページから二九ページの債務負担行為のⅠにつきましては、工事請負等の契約を締結するに当たり、平成十六年度以降の債務を負担することとなる警察署庁舎等新改築工事について、その支出限度額として六十一億六千三百六十万円を計上いたしております。
 次に、三〇ページの債務負担行為のⅢでありますが、これは、警視庁厚生貸付資金原資損失補償について、警視庁職員互助組合が行う福利厚生資金貸付事業に要する資金原資の損失補償として二十六億六千五百十七万九千円を計上したものであります。
 以上が、平成十五年度予算案の概要でございます。
 次に、平成十四年度補正予算案につきまして、資料第2の平成十四年度補正予算説明書に基づきご説明申し上げます。
 その内容は、国庫補助金に係る歳入予算と職員の給与改定等に伴う既定予算の減額及び国の平成十四年度補正予算に盛り込まれた交通安全施設等整備事業に要する経費の計上などを内容とする歳出予算等をお願いするものでございます。
 まず、歳入歳出予算の概要でありますが、資料一ページの総括表アの歳入は、補正予算額欄の計の欄にありますように二億八千三百六十万円の増額を、歳出につきましては、中段イの補正予算額欄にありますように総額で八十三億四千五百二十一万二千円の減額を計上しており、下段ウの表のとおり給与関係費の減額が主なものであります。
 以下、各項目に従いまして、ご説明を申し上げます。
 初めに、二ページの歳入予算でありますが、交通安全施設整備費に対する国庫補助金として二億八千三百六十万円を計上しております。
 次は、三ページの歳出予算であります。
 初めに、職員の給与に関する条例の改正に伴う職員費等の補正は、三段目の警察本部費の八十一億六千九十七万八千円と、一番下にあります退職費四億六千七百八十三万四千円の減額を計上いたしております。
 次に、四ページに移りまして、国の補正予算に係る交通安全施設整備費についてでありますが、平成十五年度予算案でもご説明した信号灯器のLED化につきまして、二百カ所の整備に要する経費、五億六千七百二十万円を計上しておりますが、道路標識の整備に見込まれる執行残額二億八千三百六十万円を減額補正しますことから、交通安全施設整備費としては、差し引きで二億八千三百六十万円を計上いたしております。
 次に、五ページの繰越明許費でありますが、この補正予算案のうち、交通安全施設の整備につきましては、平成十四年度中の完了が困難であることから、十五年度への繰り越しができるように、歳出予算の交通安全施設整備費と同額の五億六千七百二十万円を計上しております。
 以上が、平成十四年度補正予算の概要でございます。
 次に、資料第3の警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例案についてご説明申し上げますが、二点の改正がございます。
 一点目は、警視庁本部の組織整備についてであります。
 本改正は、警視庁及び道府県警察本部の内部基準などを定める警察法施行令が、治安情勢等に応じて新たな部の設置ができるように改められますことから、国際犯罪組織や暴力団等が敢行する犯罪に的確に対応して、これら犯罪組織の壊滅を図るため、現行の部に加えて新たに組織犯罪対策部を設置しようとするものであります。
 まず、組織犯罪対策部の新設の必要性につきましてご説明を申し上げます。
 近年、都内における来日外国人の犯罪は増加傾向にありまして、昨年の刑法犯及び特別法犯を合わせた検挙件数は一万三十五件、検挙人員は五千七百五十五人で、前年に比べまして件数で七・八%、人員で一一・八%の増加となっております。
 その内容も、集団密入国事件を初め、身の代金目的誘拐事件、銀行駐車場内における強盗殺人未遂事件、さらに、パブ、スナック店を対象とした緊縛強盗事件など、極めて組織的で、悪質なものとなっております。
 また、他府県警察と協力するなどして、にせ一万円札を使用した偽造通貨行使事件、クレジットカードの偽造、不正使用事件を検挙しておりますが、これらはいずれも国際犯罪組織と暴力団等が結託して引き起こした巧妙な犯罪でありまして、今後もこのような組織犯罪の発生が懸念されるところであります。
 一方、都内の暴力団は、約六百四十の組織、約一万六千六百人の構成員等を有しておりますが、暴力団対策法による規制の強化などによりまして、資金源が枯渇化する中で、組織の維持存続のため、行政対象暴力や薬物の密輸、密売を初め、あらゆる犯罪を行っているところであります。
 さらに、山口組の東京進出は依然として続いており、こうした状況のもとで、昨年は対立抗争や内部抗争等によりまして、暴力団が絡んだけん銃発砲事件が二十七件発生し、十人が死傷しております。
 とりわけ十一月に発生した暴力団幹部同士のトラブルによるけん銃使用殺人事件につきましては、都民をも巻き添えにしかねない白昼の東京駅近くのオフィス街で引き起こしたものであり、悪質、凶悪化の傾向を一段と強めております。
 加えて薬物事犯につきましては、来日外国人が暴力団と結託して街頭で密売を行っている実態にあり、昨年の検挙人員は三千三百五十二人のうち、五九・八%が暴力団員と来日外国人となっております。
 このように、東京ひいては日本の治安を攪乱している最大の要因は、来日外国人を中心とする国際犯罪組織、暴力団、さらには銃器や薬物の密売グループによる犯罪でありますが、これらの犯罪組織は、系統的あるいは複雑に結びついて犯罪を敢行する傾向を一段と強めており、治安に対する大きな脅威となっているのであります。
 当庁では、こうした現状の中、一昨年の九月に緊急の措置といたしまして、公安部の外事特別捜査隊、刑事部の捜査第四課、暴力団対策課、国際捜査課、生活安全部の銃器対策課、薬物対策課、国際組織犯罪特別捜査隊の関係七所属及び組織犯罪対策室による組織犯罪対策本部を設置し、組織犯罪について総合的な対策を推進してまいりました。
 さらに、昨年十月には、本部の銃器対策課と薬物対策課の捜査部門を統合して、銃器薬物対策課を新設するとともに、島部を除く管下警察署に組織犯罪対策を担当する課を設置したところであります。
 しかしながら、犯罪組織を壊滅していくためには、組織犯罪対策を所掌する新たな部を構築して、指揮命令系統や情報の一元化を一層図るなど、取り締まり体制をさらに強化する必要がありますことから、組織犯罪対策部を設置しようとするものであります。
 改正の内容についてでありますが、組織犯罪対策部で所掌する組織犯罪は、資料の一ページの提案理由にありますように、国際犯罪組織及び暴力団等に係る犯罪として、資料二ページの新旧対照表のとおり、第三条の警視庁本部の組織に組織犯罪対策部を追加し、現行の八部から成る組織を九部に改めることにしております。
 また、同部の設置に伴い、第十条の刑事部の所掌事務のうち、その一部が組織犯罪対策部に移管されることとなりますので、同条の組織犯罪に係る暴力団対策に関すること、及び国際捜査共助に関することを削るとともに、資料三ページにありますように、第十一条の二として、組織犯罪対策部の所掌事務を新たに設け、その所掌事務を第一号の組織犯罪対策に関すること、第二号の国際捜査共助に関すること、第三号の銃器対策及び薬物対策に関することと定めようとするものであります。
 なお、組織犯罪対策部の設置に伴う所要の体制等につきましては、東京都公安委員会規則において定めることとしておりますが、現行の組織犯罪対策本部を構成する所属を組織犯罪対策部に組み入れまして、同部には総合調整等を行う組織犯罪対策総務課を初め、国際犯罪組織及び暴力団等に関する対策や捜査、さらには銃器、薬物事犯の取り締まりを任務とする七所属を設置したいと考えております。
 二点目は、本条例第十四条で定める地方警察職員の定員の改正についてでありますが、その内容は、警察官を二百五十人増員し、警察官以外の職員を十人削減しようとするものであります。
 まず、警察官の増員についてであります。
 都内における犯罪情勢は、昨年の刑法犯認知件数が過去最多を記録するなど、まことに厳しいものがあり、しかも、警察事象も複雑困難の度合いを一層深めておりまして、警視庁の業務負担は著しく増大をいたしております。
 当庁では、昨年の第一回定例会で増員をお認めいただきました警察官百三十人を第一線の実働部門に配置する一方で、内部努力により必要な部署の体制強化を図ってまいりました。
 しかしながら、首都の治安維持と都民生活の安全、安心の確保のためには、さらなる警察官の増員が必要でありますことから、昨年十二月二十四日に閣議決定されました平成十五年度政府予算案におきまして、全国で四千人の地方警察官の増員が認められ、そのうち、警視庁につきましては、二百五十人が増員されることになりました。
 増員の内容につきましては、国民に身近な犯罪を防圧、検挙し、国民の不安感を解消するための体制の確立要員、複雑多様化する警察事象に対応するための体制の確立要員、犯罪の増加に伴う留置管理体制の確立要員であります。
 次に、警察官以外の職員、いわゆる一般職員の定員削減についてであります。
 当庁の一般職員は、警察官と一体となって治安維持の重責を果たしておりますことから、削減は大きな痛手ではありますが、東京都の厳しい財政状況にかんがみまして、財政再建推進プランに基づき十人を削減することといたしました。
 したがいまして、資料三ページの新旧対照表にお示ししてありますように、第一項に定める警察官の定員が四万八百五人から四万千五十五人となり、階級別の内訳では、警察法施行令で定める基準に従い、警視七人、警部十四人、警部補・巡査部長合わせて百五十人、巡査七十九人がそれぞれふえることになります。
 また、警察官以外の職員の定員につきましては、資料四ページにありますように、二千八百七十一人から二千八百六十一人となり、警察官と合わせた定員の合計は四万三千六百七十六人から四万三千九百十六人となります。
 本条例の施行日についてでありますが、本年四月一日から施行いたしたいと考えております。
 以上で今定例会に提出を予定しております案件についてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議を賜りますようお願いいたします。

○吉野委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○吉野委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で警視庁関係を終わります。

○吉野委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、杉村消防総監から紹介があります。

○杉村消防総監 先般の人事異動によりまして、東京消防庁幹部に異動がありましたので、紹介させていただきます。
 総務部長の関口和重です。警防部長の尾崎研哉です。装備部長の福田市郎です。よろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕

○吉野委員長 紹介は終わりました。

○吉野委員長 次に、第一回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○白谷次長 平成十五年第一回都議会定例会に提出を予定しております東京消防庁関係の案件につきましてご説明申し上げます。
 一件目は、平成十五年度東京都一般会計予算案の東京消防庁所管分、二件目は、平成十四年度東京都一般会計補正予算案の東京消防庁所管分、三件目は、東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例案でございます。
 初めに、お手元の資料1によりまして、平成十五年度東京都一般会計予算案の東京消防庁所管分についてご説明申し上げます。
 一ページをお開きください。1の歳入歳出予算総括表につきまして、概要をご説明申し上げます。
 (1)の歳入予算でありますが、科目欄の使用料及び手数料から都債まで、五款の合計五百三十三億八千六百九万九千円で、前年度比十七億三千五百九十八万六千円、率にして三・四%の増となっております。
 次に、(2)の歳出予算でありますが、科目欄の消防費を各事業の目的により、消防管理費以下、五項に区分しております。総額は、上欄の消防費にありますように二千四百十四億六千四百万円で、前年度比六十五億六千六百万、率にして二・六%の減となっております。
 (3)の歳出予算性質別比較でありますが、項目欄は給与関係費と事業費の内訳を示したもので、給与関係費の構成比は八五・一%、事業費は一四・九%となっております。
 (4)の東京都一般会計予算額に対する構成比でありますが、消防費の構成比は四・二%となっております。
 二ページをお開きください。2の歳入予算につきまして、主なものをご説明申し上げます。
 まず、科目欄、使用料及び手数料でありますが、平成十五年度予算額は三億二千二百五十四万六千円となっております。主な内容といたしましては、危険物施設等の検査や試験及び消防技術者講習等の手数料であります。
 三ページをお開きください。国庫支出金は八億九千百二十万九千円で、国庫補助金として、防火水槽の設置、消防車両の購入及び救急医療情報センターの運営などに対し交付されるものであります。
 次に、財産収入は五億二千九百五十一万二千円で、消防職員待機宿舎の利用料などであります。
 四ページをお開きください。諸収入は四百六十八億六千百八十三万二千円で、主なものは中段にお示ししてあります消防費受託事業収入で、多摩地区二十四市三町一村からの消防事務の受託に要する経費を受け入れるものであります。
 五ページをお開きください。雑入は八億二千五百四十五万二千円で、主な内容は、下段にお示ししてあります消防団員退職報償金等受け入れや過年度分返納による雑入であります。
 六ページをお開き願います。都債は四十七億八千百万円で、消防車両の購入や消防庁舎の建設等に充当するものであります。
 以上、歳入合計は五百三十三億八千六百九万九千円となっております。
 七ページをお開き願います。3の歳出予算についてご説明申し上げます。
 科目欄、消防費二千四百十四億六千四百万円を計上いたしました。
 初めに、消防管理費は千九百九十五億二千百万円であります。
 管理費千九百五十億四千五百万円は、内容説明欄の七ページから九ページにかけてお示ししてありますように、職員費、管理事務費、庁舎等維持管理及び消防広報の所要額であります。
 九ページをお開き願います。福利厚生費は二千三百万円、衛生管理費は三億三千二百万円、人事教養費は五億五千万円、電子計算管理費は三十五億七千百万円を計上しております。
 一〇ページをお開き願います。消防活動費は百四十七億一千四百万円であります。
 警防業務費六億一千九百万円は、消火救助活動や訓練などに要する経費であります。次の防災業務費十三億二千万円は、地震計の維持管理、地震被害に関する調査研究及び都民防災教育センターの運営など、震災対策等に要する経費であります。救急業務費十億七千三百万円は、救急活動及び都民に対する応急救護技術の普及などに要する経費であります。予防業務費七億二千三百万円は、都民が受ける試験資格や講習、及び火災予防対策に要する経費であります。
 一一ページをお開き願います。装備費百九億七千九百万円は、消防車両等の購入及び維持管理に要する経費などであります。
 内容説明欄、1の(1)購入の表でありますが、増強する車両といたしまして、増大する救急需要に対応するため、救急車五台を計上しております。また、更新する車両といたしましては、普通ポンプ車、はしご車など計百九十六台を計上しております。
 一二ページをお開き願います。内容説明欄2、3、4でありますが、消防艇九艇、ヘリコプター六機及びホースの更新など、維持管理に要する経費を計上しております。
 以下につきましては、消防隊員が使用する装備資器材や通信機器の維持管理に要する経費であります。
 次の消防団費は、二十六億二千五百万円であります。
 委員会費一千百万円は、特別区消防団運営委員会に要する経費であります。
 一三ページをお開きください。活動費は二十六億一千四百万円であります。内容といたしましては、特別区の消防団員に対します公務災害補償、報酬、費用弁償のほか、災害活動で使用する装備資器材や、消防団の活動拠点となる防災資器材格納庫の建設に要する経費などであります。
 一四ページをお開き願います。退職手当及び年金費は百五十七億六千四百万円であります。恩給費八億九千七百万円は、恩給制度に基づく所要額であります。退職費百四十八億六千七百万円は、職員の退職手当に要する経費であります。
 一五ページをお開き願います。建設費は八十八億四千万円であります。
 庁舎建設費は六十二億七千二百万円で、内容説明欄1の庁舎建設の表でありますが、新規といたしまして品川消防署の大崎出張所、小平消防署の小川出張所、荒川消防署の仮称白鬚西出張所の改築に着手するものであります。また継続といたしまして、消防署三署と出張所四所の改築工事を進めるものであります。
 一六ページをお開き願います。改修費八億三千七百万円は、庁舎の改修に要する経費であります。消防水利費十七億三千百万円は、防火水槽の建設費及び水道局に支払う消火栓設置の負担金などであります。
 以上、最下段にお示ししてありますように、歳出合計二千四百十四億六千四百万円で、前年度と比較いたしまして六十五億六千六百万円の減となるものであります。
 一七ページをお開き願います。4の債務負担行為のⅠにつきましてご説明申し上げます。
 消防署庁舎建物管理委託でありますが、足立消防署、渋谷消防署及び渋谷消防署の恵比寿出張所の完成に伴います庁舎清掃及び庁舎設備保守管理委託契約を締結するに当たり、平成十五年度から三カ年にわたり継続して行いますことから、平成十六、十七年度の債務負担をお願いするものであります。
 債務負担の額は、右下の太線枠にお示ししてありますように、合計で二千五百二十万六千円を計上しております。
 一八ページをお開き願います。5の債務負担行為のⅢといたしまして、東京消防庁厚生貸付資金原資損失補償であります。
 これは東京消防庁職員互助組合が行う事業で、七億五千五百五十二万六千円を計上したものであります。
 以上が平成十五年度東京消防庁当初予算の概要であります。
 次に、資料2によりまして、平成十四年度東京都一般会計補正予算案の東京消防庁所管分についてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。歳出予算でございますが、消防費の既定予算額は二千四百八十億三千万円であります。
 今回計上しております補正予算額は、三十四億八千十五万九千円の減額でございます。これは、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例等の施行に伴い、内容説明欄にありますように、職員費、時間外勤務手当等及び退職手当をそれぞれ減額するものであります。
 この予算をお認めいただきますと、平成十四年度の歳出予算額は、上段の消防費の計欄にお示ししてありますように、二千四百四十五億四千九百八十四万一千円となるものであります。
 次に、資料3の東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例案についてご説明申し上げます。
 本案の改正につきましては、東京都において、財政再建推進プランに基づき、徹底した執行体制などの見直しを行っております。当庁といたしましても、この方針を踏まえ、業務全般にわたって見直しを図った結果、消防吏員以外の消防職員二名を減ずることとしたものであります。
 二ページの新旧対照表をごらんいただきたいと思います。
 下欄の傍線でお示ししてあります消防吏員以外の消防職員四百五十六人を上欄の四百五十四人に改め、これにより下欄の消防職員の定数計一万七千九百九十三人を上欄の一万七千九百九十一人に改正するものであります。
 なお、本条例の施行日は平成十五年四月一日を予定しております。
 以上が東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例案の概要であります。
 以上、雑駁でありますが、第一回定例会に提出を予定している案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○吉野委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○吉野委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で東京消防庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十六分散会

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