警察・消防委員会速記録第二号

平成十三年三月十九日(月曜日)
   午後一時七分開議
 出席委員 十三名
委員長比留間敏夫君
副委員長萩谷 勝彦君
副委員長清原錬太郎君
理事三宅 茂樹君
理事三浦 政勝君
理事秋田かくお君
花川与惣太君
大山  均君
植木こうじ君
橋本辰二郎君
藤井 富雄君
三田 敏哉君
嶋田  実君

 欠席委員 なし

 出席説明員
警視庁警視総監野田  健君
副総監警務部長事務取扱奥村萬壽雄君
総務部長末綱  隆君
交通部長浅井  守君
警備部長近石 康宏君
地域部長安藤 忠信君
公安部長安藤 隆春君
刑事部長栗本 英雄君
生活安全部長片桐  裕君
総務部企画課長阿多 壽次君
総務部会計課長関根 榮治君
消防庁消防総監池田 春雄君
次長杉村 哲也君
総務部長中村 正弘君
警防部長小林 茂昭君
防災部長稲葉  昇君
救急部長白谷 祐二君
予防部長鈴木 淳雄君
指導広報部長金子  勉君
装備部長関口 和重君
総務部企画課長佐藤 行雄君
総務部経理課長伊藤 克己君

本日の会議に付した事件
 警視庁関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 警視庁所管分
  付託議案の審査(質疑)
  ・第九十五号議案 警視庁警察署協議会の設置に関する条例
  ・第九十六号議案 警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
  ・第九十七号議案 警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
  ・第九十八号議案 警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
  ・第九十九号議案 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例及び東京都テレホンクラブ等営業及びデートクラブ営業の規制に関する条例の一部を改正する条例
 消防庁関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 消防庁所管分
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百号議案 東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
  ・第百一号議案 東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
  ・第百二号議案 東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例

○比留間委員長 ただいまから警察・消防委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、警視庁及び消防庁関係の平成十三年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行いますので、ご了承願います。
 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成十三年度の予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきましては、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十三年三月十六日
東京都議会議長 渋谷 守生
警察・消防委員長 比留間敏夫殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付で予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
  記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(金)午後五時

(別紙1)
警察・消防委員会
第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算中
歳出警察・消防委員
債務負担行為会所管分

(別紙2省略)

○比留間委員長 これより警視庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、警視総監から紹介があります。

○野田警視総監 先般の人事異動により幹部の交代がありましたので、ご紹介申し上げます。
 皆様方から向かいまして右に、生活安全部長片桐裕、地域部長安藤忠信、後列左に、会計課長から企画課長に転じました阿多壽次、右に会計課長関根榮治でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕

○比留間委員長 紹介は終わりました。

○比留間委員長 これより予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、警視庁所管分並びに第九十五号議案から第九十九号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○三宅委員 若干の質問と意見を述べさせていただきます。
 東京は、世界の大都市の中でも、最も治安がよいといわれてきました。これも、これまでの警視庁警察官の昼夜を問わない、また、命を惜しまぬ努力のおかげであると深く敬意を表する次第であります。
 ところが、近年、犯罪は増加傾向にあり、平成十一年度中の犯罪は二十六万八千件余と戦後最悪を記録し、今年度十二年度は、さらに増加している状況であるとお聞きしております。
 昨年暮れには、世田谷区で一家四人が無残な殺され方をした事件や、ついこの間は、中野区で、子どもや奥さんを縛り、一億円以上奪うという事件も発生しております。これらは普通の住宅地で起きたショッキングな事件であります。
 一方、このような派手な事件の陰で、ピッキングという技術で玄関等のかぎをいとも簡単にあけて、空き巣を働くというような事件も急増しているということであります。
 このような中で、警視庁が、都内の百一の警察署、千二百余の交番、駐在所、加えてパトカーなどでの地域の警備に当たっていることは十分承知をするところであります。
 しかしながら、近年の犯罪や交通事故の増加などによって、交番のお巡りさんが不在になるという状況が間々見受けられるところであります。限られた人員を有効に活用するなどして、交番にはできる限り警察官が不在とならないような対策を、この際、ぜひ講じなくてはならないと思います。
 さて、かつては東京でもコミュニティがしっかりしていて、どの家でも、向こう三軒両隣は懇意にしておりました。そのため、万一、不審な人物がうろついたり、怪しい物音がすればすぐに駆けつけ、事件を未然に防いだり、すぐに犯人を押さえたりすることができたものであります。
 ところが、近年では、このコミュニティも崩れ始め、隣人の顔さえ知らない人もふえており、加えて、隣で何が起きてもかかわらないという風潮が蔓延しています。このような状況では、ますます犯罪がふえ、しかも、犯人がつかまらないというケースが増加していくことは避けられません。
 そこで、私から提案があります。
 交番とは、大体、町中にあり、警察官が交代で詰めておるところであります。一方、駐在所は、お巡りさんがご自分の家族と一緒に住み込む形態をとっております。そして、この駐在所の多くは、郊外の人口密度の低い地域に設置されています。しかし、この際、町中の住宅にも駐在所を設置したらいかがでしょうか。
 駐在所のお巡りさんは、家族ぐるみでその地域にいるので、地域の皆さんとも顔なじみになりやすく、地域の住民にとって気軽に相談できる存在であります。地域社会の情報も密に入ってきますし、何かあればすぐに対応できると思います。住宅地に駐在所が多くなれば、地域の防犯はもとより、地域社会とのきずなの復活や青少年の育成にも好ましいことになると考えます。
 このような視点から、現在の防犯拠点の整備を、交番から駐在所に重点を移していくことが非常に有効な手だてと考えます。私は、保護司をしておりますこともありまして、ぜひにこの私の提案をごしんしゃくいただきたいと思います。
 また、凶悪化して、あるいは巧妙になっている犯罪の増加に対して、犯罪を抑止し、また不幸にして犯罪が起きてしまった際の早期解決のためには、今述べた駐在所の活動が極めて重要な意味を持っていることを重ねて申し上げます。
 警視庁には、より地域に密着した防犯体制を構築して、強力な活動を展開していくことが必要と考えます。賢明なるご答弁をお願いして、質問を終わります。

○安藤地域部長 駐在所は、警察官が家族ともども任地に居住することにより、地域の交流の機会がふえ、親和性が高まるほか、地域の犯罪等に対応できることから、地域に密着した警察活動としての有用性が認められます。
 駐在所は、原則として都市部以外の地域に設置されておりますが、都市部においても、地域実態に弾力的に対応するため、閑静な住宅街等、夜間の警察事象の少ない地域に、いわゆる都市型駐在所の設置を推進しております。
 具体的には、平成九年以来、既に五カ所を開設しておりますが、平成十三年中に六カ所、十四年にはさらに三カ所の設置を予定しており、これからも積極的に設置をしてまいります。
 また、近年、一段と厳しさを増す犯罪情勢のもとで、ご指摘のとおり、交番及び駐在所は、地域の安全、安心のよりどころとして、その重要性を増しております。当庁では、都市型駐在所の設置促進とあわせて、地域警察官の弾力的運用や交番相談員の配置等の諸対策を講じ、地域における各種警察活動の充実強化に努めてまいります。
 あわせて、ご審議をいただいております警察署協議会を初め、広く地域の皆様のご意見を警察の業務運営に反映させる体制を築き、今まで以上に地域と密着、一体となった諸活動を展開して、安全で明るく住みよいまちづくりに努めてまいります。

○植木委員 私は、交通安全対策についてお聞きしたいと思います。
 ことしに入りまして、交通事故が起きた場所に何度か出くわすことがありました。大体、交差点付近で無理をして渡ろうということで、横からバイクが出てきて事故を起こす、こういう事例に、私も何組か遭ったんですけれども、スピードが出ていなかったせいでしょうか、死亡事故にはならなかったということで幸いだったと思うんです。
 それにしても、事故そのものが未然に防げなければいけないということでお聞きしたいんですが、まず都内の最近の交通事故や死亡事故などの実態について、また交通事故防止、安全対策、これをどのようにやっているのか、教えていただきたいと思います。

○浅井交通部長 昨年の都内における交通死亡事故は、年初から多発しまして、一昨年に比べて十五人増の四百十三人を数え、平成七年以来五年ぶりに四百人を超えるという、まことに残念な結果に終わったのであります。
 交通死亡事故の特徴といたしましては、年齢別に見ますと、中学校卒業後から二十五歳未満の若年層の事故が八十九人、前年比二十三人増と著しく増加しており、全死者の二一・五%を占めております。六十五歳以上の高齢者につきましても九十三人、前年比八人減と全死者の二二・五%を占めており、若年層と高齢者の死亡事故が全死者の四四・一%を占める状況にあります。
 状態別では、二輪車乗車中の死者が著しく増加し百四十八人、前年比二十七人増で全死者の三五・八%を占め、このうちの四割、四一・二%に当たりますが、若年層となっております。歩行中の死者は百三十七人、前年比十人減で全死者の三三・二%を占め、このうちの約半数、四八・二%の六十六人が高齢者となっております。
 以上のような交通死亡事故の特徴を踏まえ、関係機関、団体との連携のもと、高齢者を対象とした保護誘導活動など街頭における交通安全活動の積極的推進、シルバードライバーズ安全教室や二輪車実技教室の開催など参加型の交通安全教育の充実により、交通安全思想の普及、浸透に努めているところであります。
 交通規制や交通安全施設の整備の面につきましては、それぞれの道路の持つ機能を考慮し、その交通実態に対応した交通規制と信号機等の整備拡充を図っているところであります。
 交通指導取り締まりの面につきましては、事故多発の路線、エリアを重点対象として、過度の速度超過、酒酔い、信号無視等の悪質、危険な違反の取り締まりを強力に推進するとともに、暴走族の検挙体制を充実強化して、徹底した取り締まりを行っているところであります。
 以上の諸対策につきまして、当庁の総合力を結集して推進しているところでありますが、ことしに入ってからの交通死亡事故の発生状況につきましては、昨日現在七十三人を数え、前年比二十九人減の状況であります。
 当庁では、このような死亡事故の減少傾向を定着化させるため、これまで推進してきた諸対策に検討を加え、さらに効果的な事故防止対策の推進に最善を尽くしていく所存であります。

○植木委員 今のお話でも、交通規制や信号等の整備拡充、それから、交通指導取り締まりの強化などの対策がとられているというお話でした。
 私、インターネットで警察白書をちょっとひもといてみたんですけれども、そうしましたら、道路形状別の死亡事故発生件数というのが出ておりまして、交差点での死亡事故発生件数が一位だったということが出ていました。それから、二位が一般道路、三位はカーブ、四位が交差点付近ということで、交差点及び交差点付近を合計しますと、死亡事故発生件数は四四・七%と、実に半分近く、圧倒的になっているということが出ていました。そういう意味でも、交差点対策というのは極めて重要だというふうに思います。
 それから、交通安全施設の交通事故抑止効果というのも、ちょっと初めてで聞きなれない。交通事故抑止効果というのはどういうのかなと思っていたら、やっぱり信号改良事業なんだというお話なんですが、信号を改良していくことによって、三七%ないし六四%の事故減少率が確認された、こういうことが出ておりましたので、場所によっては六四%も事故を防ぐことができる、減少させることができると、こういうことで大変重要な事業だと思うんですね。
 ただ、大きい交差点、それから裏通りのような小さなところの交差点、いろんな場所があると思うんですけれども、大きいところは比較的、全体として対策がとられておりますから、それはそれで大事なんだと思うんですけれども、意外と危ないのが生活道路で、高齢者や子どもたちとか、あるいは若い人がバイクで、小さな交差点だということで、びゅっと走ってしまう。
 そんなようなことが、いろいろ私どもの周りでもあるんですけれども、数年前だと思うんですが、私の近くの学校の近くの通学路のところに信号機を設置していただいたんですけれども、ここは、交通混雑地域では必ずしもないんですね。ただ、大通りが交通混雑を来しているときに、抜け道としてずっと使われておるわけですね。私も、そこは地元ですから、比較的通るんですけれども、そんなに大きくない道路なんだけれども、そういうところで事故が起きる。
 子どもさんが交通事故に遭ったということで、PTAのお母さん方が取り組んでお願いをして、翌年に、たしか信号をつけていただいたんですけれども、そういうことなどを考えていきますと、まだまだいろいろな要望が出ているんだと思うんですね。
 それから、去年の暮れも、児童館と小学校に通う通学路のところのお母さん方から署名が取り組まれて、お願いもしているんですけれども、ここも、必ずしも大通りではないんですね。通学、それから登下校、さらに児童館、そういう子どもたち、それから地域の生活道路としてのあれなんですけれども、やっぱり抜け道になっていて、割とスピードを出していく。こういうところが要望されてあるものですから、そういうところの対策も、私は大事ではないかというふうに思うんです。
 そこで伺いますが、子どもやお年寄りにとっての交差点や横断歩道、通学路など、危険が伴うことが予想されますから、交通防止策として交差点の信号機や横断歩道の設置が効果的であると、先ほども有効率というのが出ておりましたけれども、信号機の設置について、警視庁に対しての要望がどのくらい出ておられるのか、また、今後の信号機の設置計画はどのようになっているのかをお示しいただきたいと思います。

○浅井交通部長 信号機の新設につきましては、交通事故防止の観点から、地域住民の方々の要望が地元警察署に対して寄せられているところであり、警視庁といたしましては、現在七百カ所余りの信号機設置要望を把握しております。こうした要望を踏まえつつ、交通事故の発生状況、自動車の交通量、歩行者の横断数、道路幅員、隣接する信号機の設置状況等の総合的な判断に基づいて信号機の整備を進めているところであります。
 平成十二年十二月末現在における都内の信号機の設置数は一万四千四百六十三カ所でありまして、平成十三年度におきましては、都内百五十カ所の信号機の設置予算を計上しております。
 平成十四年度以降につきましても、交通事故防止や交通の円滑化を図るため、交通状況や道路事情等を検討し、必要な箇所に信号機を整備してまいりたいと考えております。

○植木委員 要請が七百カ所ほど出ておられて、今年度、十三年度ですか、百五十カ所整備をされるということで、ぜひ必要な箇所には計画的に設置を促進していただきたい。
 先ほど児童館の例を出しましたけれども、生活道路や通学路、それから高齢者の施設も最近ふえていますから、そういうところを優先的に推し進めていただくようにお願いして、私の質問を終わりにします。

○比留間委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○比留間委員長 ご異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で警視庁関係を終わります。

○比留間委員長 これより消防庁関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、消防庁所管分並びに第百号議案から第百二号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○植木委員 まず、災害弱者についてお伺いしたいと思います。
 災害弱者の問題は、阪神・淡路大震災のとき以来、注目された分野だと思うんですね。阪神・淡路大震災のときには、障害者や寝たきりの高齢者が倒壊した住宅から脱出できない、長時間孤立してしまう、こういう例がたくさんありました。また、避難所の生活でも、高齢者ももちろんですけれども、障害者などになかなかきめ細かにするというのは、そういう大変混雑しているときでありますだけに、健常者以上に苦しみを味わう。こういう例が示されて、それ以来注目されてきた課題だと思うんです。
 都内には、約三十九万人の障害者と六万二千人の寝たきりの高齢者が現在おられるというふうに聞いておるんですが、こういう人たちが阪神・淡路大震災のような苦しみに遭わないようにするということが、行政としても重要な課題の一つだろうと思うんですね。
 都内でも、火災が起きた際には、高齢者や障害者の方々が逃げ切れなくて犠牲になったという例も多いというふうに聞いていますけれども、こういう状況の中で、いわゆる災害弱者といわれる方々に、その方を支えておられる家族の方々などへの防災対策や、それから、どのようにそういうときに行動し、協力し合っていくということを全体として高めていくかというのは、重要な課題だと思うんですね。
 ですから、家族の方々やご近所の方々と一体となって防災に備えられるような環境づくりと、それから、今地域で防災訓練などをやっておりますけれども、そういう訓練への参加機会を地道につくっていくことがかなり重要じゃないかなというふうに思っております。そういう経験を通じて、周りの方々も、そういう高齢者や障害者に対する防災の知識や経験を積んでいく、それからご本人たちも身につけていただく、そういう粘り強い努力が必要だと思うんですね。
 そういう中で、特に消防庁として、こうした方々への防災力を高めるというのでしょうか、そういう経験を積んでいくような取り組み、それから、安全確保についてどのように考えておられるのかをお示しいただきたいと思います。

○金子指導広報部長 災害弱者に対する防災対策については、火災による死者の多くを住宅火災が占め、犠牲者等の増加が懸念されることから、平成四年、火災予防条例の中に住宅防火対策に関する規定を設け、防火診断や防災訓練などを積極的に実施して、高齢者等災害弱者に対する人命安全確保を推進してきたところであります。
 さらに、昨年からは、各消防署において、都民防災指導体制を充実する一方、地域との連携を深めるため、住宅防火等推進協議会を設置するとともに、住宅用火災警報器等の設置促進キャンペーンも実施しております。
 当庁といたしましては、今後とも、町会、自治会を初め、地域の方々とさらに緊密な連携を図りながら、高齢者等災害弱者の人命安全確保対策を推進してまいります。

○植木委員 消防庁として、防災指導体制を地域住民と協力し合ってつくっていく、そういうお話だと思うんですけれども、私の地元の中野区にお聞きしましたら、高齢者や障害者のための防災対策の充実ということで、今お話あったような内容で地域で取り組んでおられるというのをいただいたんですけれども、全都的に見ますと、こういう地域の協力関係というのは、なかなか実際には、うんと進んでいるところもあるし、なかなか進まないところもあるということをお聞きしております。
 いろいろ聞いてみますと、高齢者については、比較的地域の協力も得られて進んでいる例はあるんですけれども、やはり中野あたりでも、障害者の方々についてのプライバシーにかかわる問題だとか、そういった事情もあったりして、それぞれの地域によって、その取り組みの温度差があるようなんですね。
 もちろん、そういうプライバシーを守るということは大事なことですから、そういう地域や町会やいろんな団体で取り組むと同時に、福祉関係のそういうものをよく専門にやっていらっしゃる方々やボランティアの方々なんかにも協力していただいたりして、そうしますと、視覚障害だとか、いろんな障害の対応もきめ細かくなると思うんですね。
 いずれにいたしましても、日常的に地域での災害弱者を支えていく、そういう組織づくりというのを着実に進めていく、もちろんプライバシーに配慮しながら着実に進めていく、こういうことが大事だと思うんです。この問題は、全都的に見ますと、まだまだ新しい課題でもありますので、ぜひ消防庁を先頭に、区市町村とも協力し合って、また福祉団体などとも協力し合って整備を進めていただきたいということを重ねて要望したいと思います。
 それから、地域の防災という点では、消防署はもちろんですけれども、やはり消防団の活動は私たち地域でもよくご一緒にやるものですから、大変な努力をされて訓練に励み、それから、火災や水害や地震災害などの先頭に立っていただいている、そういう方々への配慮は引き続き大事だと思うんです。
 特別区の消防団に対して、消防庁はこれまでいろんな装備を年々充実してきたわけですが、これらの充実のために、今後どのようなところに力を入れられていくのか、その内容についてお伺いしたいと思います。

○稲葉防災部長 消防団については、昨年度、庁内に魅力ある消防団づくりに関する委員会を設置し、鋭意検討を行ったところであります。その検討結果を踏まえ、消防団本部室を消防署の中に設置することとし、分団本部格納庫につきましても、消防庁舎等との併設を含め、地域の防災活動拠点として機能するよう整備することとしております。
 また、消防団の機動力の向上を図るため、可搬ポンプ積載車を緊急車として整備することとしており、今後とも、消防団の整備等の充実に向けて積極的に努力してまいります。

○植木委員 今のお話でも、魅力ある消防団づくりに関する委員会を設置されたと。それで、分団本部の設置問題、それから分団の防災資器材格納庫、それから可搬ポンプ積載車の整備などがいわれたわけですけれども、ぜひそれらは引き続き強化をしていただきたいと思うんですが、私どもが接する団員の方々からも、分団の倉庫が、資材はいっぱい何とか詰まっているんだけれども、何せ手狭なものだから、いざというときに、なかなかさっと右から左に出るというふうにはいかないところも若干あるというふうに伺っております。
 それぞれ都内のそういう資器材格納庫を確保すること自体が、密集した地域、あるいは土地も高い、いろんな事情があって、都内では避けられない課題だと思うんですけれども、引き続き、そういう格納庫の確保のためにお力添えをお願いしたいというふうに思うんです。
 それから、可搬ポンプ積載車も着実に整備に入ってきたわけですけれども、地域によっては坂の多いところだとか、そういうところの多い地域、それから密集している地域、いろんな事情があって、ぜひそういうところには早く欲しいという要望もある。しかし、全都的に配備していくものだから、計画的にいくものと、そういう地域の事情というのは、なかなか両立しない場合もあると思うんですけれども、できるだけそういうところも配慮していただいて整備を進めていただきたいというふうに思うんです。
 それから、先日、消防団との話し合いの中で、阪神・淡路みたいな大きな震災になったときに、消防団員の方々が団本部に駆けつけるまでの間でもいろんなことが起きたりする。途中で、倒壊して、本当にすぐに救出しなきゃならない人がいたりもする。そういうときに、本部、分団長、団員との間で連絡を密にしていくことが必要だと。途中でも情報を団員の方から本部の方にも通報がしやすいようにするにはどうしたらいいかという話が出て、ある分団では、自分たちで、携帯電話を全員が持とうということでやっていらっしゃるといったところもお話に聞いたんですが、今後の課題だとは思うんですけれども、団員に即時にいろんな指示が届き、同時に、逆に団員からも刻々と状況が分団や本部に渡せるような、そういう通信のための、携帯電話なのかわかりませんけれども、そういうことも必要かというふうに思っています。
 そういう意味で、これも全都的に見れば大変な費用のかかる問題でありますから、今後の課題として、ぜひ計画的にしていただきたい。そして、消防団員の方たちがいろんなことに遭遇しても機敏に対応できているような、そういう備えとして進めていただきたいということを重ねて要望して、終わりにしたいと思います。

○比留間委員長 ほかに。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○比留間委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○比留間委員長 ご異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で消防庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十二分散会

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