警察・消防委員会速記録第六号

平成十二年九月十四日(木曜日)
   午後一時八分開議
 出席委員 十二名
委員長野村 有信君
副委員長川井しげお君
副委員長前島信次郎君
理事宮崎  章君
理事三浦 政勝君
理事秋田かくお君
田中  良君
花川与惣太君
池田 梅夫君
橋本辰二郎君
藤井 富雄君
三田 敏哉君

 欠席委員 一名

 出席説明員
警視庁警視総監野田  健君
副総監警務部長事務取扱奥村萬壽雄君
総務部長末綱  隆君
交通部長浅井  守君
警備部長近石 康宏君
地域部長富山 幹夫君
公安部長安藤 隆春君
刑事部長栗本 英雄君
生活安全部長寺尾 正大君
総務部企画課長友渕 宗治君
総務部会計課長阿多 壽次君
消防庁消防総監池田 春雄君
次長杉村 哲也君
総務部長鎌倉 弘幸君
警防部長中村 正弘君
防災部長稲葉  昇君
救急部長白谷 祐二君
予防部長小林 茂昭君
指導広報課長金子  勉君
装備部長鈴木 淳雄君
総務部企画課長三上  進君
総務部経理課長伊藤 克己君

本日の会議に付した事件
 警視庁関係
  第三回定例会提出予定案件について(説明)
  ・性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例
  ・警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
  ・警視庁池上警察署庁舎改築工事請負契約
  請願の審査
  ・一二第九号 北区赤羽一丁目の補助八六号線街路への横断歩道及び信号機設置に関する請願
  報告事項(説明)
  ・三宅島雄山の噴火に伴う警備活動等について
 消防庁関係
  第三回定例会提出予定案件について(説明)
  ・火災予防条例の一部を改正する条例
  ・特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
  報告事項(説明)
  ・三宅島の火山噴火災害等に伴う東京消防庁の活動について

○野村委員長 ただいまから警察・消防委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、警視庁及び消防庁関係の第三回定例会に提出を予定されております案件についての説明聴取及び報告事項の聴取、並びに警視庁関係の請願の審査を行います。
 なお、提出予定案件につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は付託後の委員会で行います。ご了承願います。
 これより警視庁関係に入ります。
 初めに、第三回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○末綱総務部長 平成十二年第三回都議会定例会に提出を予定しております警視庁関係の案件につきまして、ご説明申し上げます。
 案件は、性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例案、警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例案、警視庁池上警察署庁舎改築工事請負契約案の計三件でございます。
 まず初めに、資料第1の性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例案についてご説明申し上げます。
 近年、新宿、上野などの繁華街の一部区域におきまして、ぼったくりと呼ばれる性風俗営業等の不当な勧誘や料金取り立て等に絡む被害が集中的に発生しております。
 このぼったくりとは、いわゆる個室マッサージ等の性風俗営業や、バー等の接待を伴う酒類提供飲食店等の営業に伴って、低廉な料金を告げて勧誘した客に、店内で法外な金額を請求したり、その料金の徴収に当たって、恐喝まがいの威圧的な態度や、客を泥酔状態に陥れるなどの不当な手段を講じたりするというものであります。
 この種の営業に関しましては、これまでも料金に関する多数の苦情が当庁に寄せられておりますが、既に、料金の取り立て等をめぐって、傷害や恐喝、さらには昏睡強盗、傷害致死にまで発展した事件も現実に発生しておりますほか、暴力団や、一部では不良外国人が、この種営業に深く関与している実態がうかがわれるところであります。
 こうした事態は、都内の繁華街を利用する多くの方々の身体及び財産に著しい被害を及ぼしているばかりでなく、広く地域の皆様の安全と平穏をも脅かしており、当庁におきましても、刑法を初めあらゆる法令を適用して、悪質事案の立件、検挙に努めているところであります。
 しかしながら、この種の事案は、被害者からの届け出が極めて少ない上、閉ざされた店舗内での行為であるため、事案の認知及び立証が極めて困難であります。また、その多くは、刑法上の犯罪に至らないような巧妙な言動をもって行われており、不当な勧誘行為や、料金請求それ自体を的確に取り締まる法規がないことと相まって、抜本的解決を困難にしております。
 そこで、このたび、これらの悪質かつ不当な行為の根絶を図るために、性風俗営業等に係る不当な勧誘及び料金取り立て等の規制、並びに違反行為に対する指示及び営業停止等の措置等を内容とする本条例の制定をお願いすることにいたしたものであります。
 それでは、お手元資料の条文に沿ってご説明をさせていただきます。
 本条例は、全十四条で構成されております。
 第一条は、この条例の目的であります。
 ただいま申し上げましたように、所定の性風俗営業等に係る不当な行為等について必要な規制を行うことにより、個人の身体及び財産に対する危害の発生を防止することを目的とするものであります。
 第二条は、規制の対象となる営業の定義であります。
 規制の対象となる営業は、指定区域内で営まれる二種類の営業形態であります。
 まず第一号は、接触役務提供型の性風俗営業の形態を指しており、実態としては、ファッションヘルス、性感エステなどと称するさまざまなものがあります。括弧書きにおいて、いわゆる個室付浴場業を除外いたしましたのは、これまで個室付浴場に関する被害実態が認められていないことによるものであります。第二号は、接待を伴う酒類提供飲食店営業を指します。
 指定区域内において営まれるこれら二種の営業を包括して、本条例では性風俗営業等と呼び、規制の対象としておりますが、指定区域につきましては、対象となる営業所及び被害発生の状況、地域の皆様や商店街の要望等を総合的に勘案して、公安委員会が個別に指定することとしております。
 なお、本条にいう性風俗営業等とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、食品衛生法など各種の法令に基づく許可や届け出の有無にかかわりませんので、本条に該当する形態であれば、無許可、無届けの営業であっても、本条例の規制対象になります。
 第三条は、性風俗営業等を営む者に対し、一切の料金及び違約金、その他客に請求する金銭に関する定めの内容等を営業所内に明示する義務を課すものであり、これまで不透明であった料金等を明確にして、客となろうとする者の判断を容易にしようとするものであります。表示の方法については、公安委員会規則で定めることとしております。
 第四条は、不当な勧誘及び料金の取り立て等を禁止する規定であります。
 第一項では、勧誘、広告または宣伝をするに当たっての禁止行為として、料金について、実際のものよりも著しく低廉であると誤認させるような事項を告げ、または表示すること、違約金等について不実のことを告げることを規定しております。
 次に、第二項は、客に対し、粗野もしくは乱暴な言動を交えて、または迷惑を覚えさせるような方法で、料金、違約金等を取り立てることを禁止するものであります。
 なお、本条の違反行為の主体を「何人も」としたのは、この種の営業では、営業者、従業者に限らず、営業者等から委託を受けた者、さらには、営業者等とは直接の関係を持たずに、いわゆるフリーで勧誘等を行う者がいるという実態があるためであります。
 第五条は、性風俗営業等を営む者に対し、勧誘等について、または料金の取り立て等について委託を受けた者に指導すべき義務を課す規定であります。
 これは、営業者が客の勧誘や料金の取り立て等を第三者に委託する実態にかんがみまして、このような委託による脱法行為を防止しようとするものであります。
 第六条は、性風俗営業等を営む者に対する公安委員会の指示に関する規定であります。
 後に申し上げますように、本条例第七条では、営業停止の命令という強い処分を規定しておりますが、第六条は、その前段として、営業者の自主的な改善努力を促し、違法状態の是正を図るための規定であります。
 公安委員会が指示を行うことができますのは、営業者またはその従業者が本条例の規定に違反した場合、営業者等から委託を受けた者が第四条の勧誘、料金の取り立て等に関する禁止事項に違反した場合において、営業者が十分な指導をしていないと認められるときであります。
 第七条は、公安委員会による営業停止の命令に関する規定であります。
 まず、本条第一項により営業の停止を命ずることができるのは、次の三つの場合であります。
 その一は、第一項本文に規定する場合で、性風俗営業等の営業者が、第六条に基づく公安委員会の指示に従わなかった場合であります。その二は、第一項第一号の場合で、営業者またはその従業者が、第三条の表示義務違反、第四条の勧誘、料金の取り立て等に関する禁止行為違反など、本条例の罰則に該当する違法行為を行った場合であります。その三は、第一項第二号の場合で、同じく営業者またはその従業者が、この種営業に関して発生が予想される刑法上の罪に該当する違法行為を行った場合であります。具体的には、殺人、傷害、強窃盗、詐欺、恐喝、強要、遺棄、逮捕監禁、器物損壊及び私文書偽造の罪等がこれに該当いたします。
 次に、本条第二項による営業停止の命令は、勧誘等の行為の委託を受けた者が、第四条第一項の勧誘等に係る禁止行為に違反し、公安委員会が第六条による指示を行って三カ月以内に再び同様の違反行為があった場合であります。この規定は、第三項の場合にも準用されますので、受託者による料金等取り立てに係る違反行為につき、公安委員会が指示を行って三カ月以内に再び同様の違反行為があった場合にも、営業の停止を命ずることができることとなります。
 以上の各場合における営業の停止は、いずれも公安委員会が、当該性風俗営業等を営む者に対し、八カ月を超えない範囲内で期間を定めて命ずることとなります。
 第八条は、営業停止命令の実効性を担保するための標章の張りつけに関する規定であります。
 本条第一項は、性風俗営業等の営業停止を命じた場合、公安委員会は、当該施設の出入り口の見やすい場所に、公安委員会規則で定める様式の標章を張りつけることとするものであります。
 第二項は、第一号から三号に掲げるとおり、当該施設を当該営業の用以外の用に供しようとするとき、取り壊そうとするとき、増改築のためやむを得ないときに、営業停止の命令を受けた者の申請により、公安委員会が当該標章を取り除くべき旨を規定するものであります。
 第三項は、当該施設を買い受けた者、その他正当な権原を有する第三者の申請により、標章を取り除くべき場合についての規定であります。
 第四項は、当該標章を破壊、汚損する行為及び命令の期間内に取り除く行為を禁止するものであります。
 第九条は、営業停止命令に伴う聴聞の特例であります。
 公安委員会が不利益処分を行おうとする場合には、東京都行政手続条例第十三条により、聴聞を行い、または弁明の機会を付与しなければならないとされておりますが、本条例による営業の停止については、手続の適正を図る観点から、行政手続条例第十三条第一項の区分にかかわらず、すべて公開の聴聞を行うこととし、第二項以下に、その手続に関する規定を設けるものであります。
 第十条は、公安委員会への報告及び営業所への立ち入りに関する規定であります。
 本条第一項は、行政上の指導監督の実効を期するため、公安委員会が営業者に業務に関する報告や資料の提出を求めることができることとし、第二項に、警察職員による営業所への立ち入り、帳簿、書類等の検査または関係者に対する質問に関する規定を設けるものであります。第三項は、立ち入りに当たっての身分証の提示についての規定であります。第四項は、立ち入り等の権限は、本条例の目的を達成するために必要な限度において行うべきものであって、犯罪捜査のために行使してはならない旨を注意的に規定するものであります。
 第十一条は、警察による広報啓発活動に関する規定で、本条例の目的を達成するため、指定区域を管轄する警察署長は、不当な勧誘、料金の取り立て等の行為を防止するために必要な広報啓発活動に努める旨を規定するものであります。
 第十二条は、公安委員会規則への委任に関する規定で、この条例の施行に関して必要な事項を公安委員会規則で定めることができることとするものであります。具体的な委任事項といたしましては、指示書、営業停止命令書の様式、標章除去申請手続等を予定しております。
 第十三条は罰則であります。
 本条は、条例の実効性を担保するため、一定の条例違反行為について刑罰を科そうとするものであります。
 まず、第七条による公安委員会の営業停止の命令に違反した場合は、一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処せられることとなります。
 次に、第三条の料金等の表示義務の違反及び第四条の不当な勧誘、料金の取り立て等に関する禁止違反の場合は、六カ月以下の懲役または五十万円以下の罰金に処せられることとなります。
 また、営業停止命令に基づいて張りつけられた標章の破壊等の禁止違反、及び第十条に規定する報告、立ち入り等に関する虚偽報告、立ち入りもしくは帳簿等の検査の拒否、もしくは妨害等の場合は、二十万円以下の罰金に処せられることとなります。
 第十四条は、いわゆる両罰規定であります。
 本条は、第十三条の罰則に掲げる違反行為が企業活動に伴って行われた場合に、違反行為者のみならず、その企業主体たる法人または人に対しても、あわせて第十三条所定の罰金刑を科して処罰しようとするものであります。
 最後に、附則に定める本条例の施行日については、本条例が新設条例であること及び罰則を含むことを考慮いたしまして、公布後に所要の周知期間を置き、本年十一月一日から施行したいと考えております。
 なお、実際に条例の規制を適用するには、さらに公安委員会が区域を指定して、その適用開始日を告示する必要があり、本年十二月十日を目途として適用を開始いたしたいと考えております。
 以上で、性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例案の説明を終わらせていただきます。
 次に、資料第2の警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例案についてでございます。
 このたびの改正は、万世橋警察署の庁舎移転改築に伴い、その位置を変更しようとするものであります。
 万世橋警察署の庁舎は、昭和四十四年に建築され、築後三十一年余りが経過しておりますが、老朽化が著しく、また狭隘でありますことから、当委員会を初め都議会並びに関係当局のご高配により、平成九年十月から工事を進め、本年十一月に完成する運びとなりました。
 これに伴い、資料第2の三ページの略図にお示ししてございますように、同警察署が、現在の千代田外神田一丁目一番十三号から千代田区外神田一丁目十六番五号に移転されますので、本条例別表第一の同署の位置を改正しようとするものであります。
 なお、本条例の施行日につきましては、新庁舎での業務開始日に合わせるため、条例の公布の日から起算して三カ月を超えない範囲において、東京都公安委員会規則で定める日とさせていただきたいと考えております。
 次に、資料第3の警視庁池上警察署庁舎改築工事請負契約案についてでございます。
 池上警察署は、昭和三十七年十二月に建築され、三十七年余りが経過して老朽化が著しく、また、警察業務の増大等により極めて狭隘となっておりますことから、庁舎を改築しようとするものでございます。
 新庁舎は、鉄骨鉄筋コンクリートづくり地下二階地上六階建て、延べ床面積約八千七百二十二平方メートルで、竣工は平成十五年三月の見込みであります。
 工事に係る予算措置につきましては、既に本年の第一回都議会定例会でお認めいただき、去る八月十一日、東京都財務局におきまして、電気、機械設備等の附帯工事を除いた本体工事のみを対象として指名競争入札を行いましたところ、アゼル・永光建設共同企業体が二十三億六千七百七十五万円で落札いたしました。
 今定例会でご承認をいただきましたならば、速やかに契約を締結し、着工する予定でございます。
 以上で、今定例会に提出を予定しております案件についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議を賜りますよう、お願いいたします。

○野村委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 それでは、資料要求はなしと確認させていただきます。

○野村委員長 次に、請願の審査を行います。
 一二第九号、北区赤羽一丁目の補助八六号線街路への横断歩道及び信号機設置に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○浅井交通部長 資料により、一二第九号、北区赤羽一丁目の補助八六号線街路への横断歩道及び信号機設置に関する請願につきましてご説明いたします。
 本請願の要旨は、赤羽南地区と赤羽西地区を結ぶ東京都市計画道路補助線街路第八六号線に、歩行者の安全確保のため、赤羽南一丁目四番先に横断歩道を、赤羽西一丁目二番先に信号機をそれぞれ設置してほしいというものでございます。
 初めに、赤羽南一丁目四番先の横断歩道設置に係る請願について申し上げます。
 同所は、本年三月に開通いたしました補助第八六号線と、JR赤羽駅南口から東十条方向へ通じるJR線高架に沿った区道が交差する地点でございます。
 JR赤羽駅を利用する赤羽南地区及びその周辺地区の通勤、通学者等は、補助第八六号線が開通する以前から、当該区道を行き来して、請願に係る場所付近を通行している実態にありました。補助第八六号線の開通後の交通状況調査におきましても、その動線及び交通量には変化がなく、今も多くの方々が同所付近を横断している状況にあります。
 したがいまして、補助第八六号線を横断する歩行者の安全を確保するため、横断歩道を設置することとして検討してまいりたいと考えております。
 次に、赤羽西一丁目二番先の信号機設置に係る請願について申し上げます。
 同所は、ただいま申し上げました補助第八六号線と東京都市計画道路補助線街路第七三号線、通称岩槻街道とが交差する丁字路交差点となっており、現在、補助第八六号線から岩槻街道へ右左折する車両に対しましては、道路標識等により、一時停止の交通規制を行っているところでございます。
 同交差点の交通状況について調査いたしました結果、補助第八六号線の開通に伴い、車両の交通量が増加している状況にあり、歩行者等の安全確保と交通の円滑化を図るため、信号機による交通整理が必要と認められますことから、信号機を設置することとして検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○野村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認めます。よって、請願一二第九号は採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。

○野村委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○近石警備部長 三宅島雄山の噴火及び島民避難等については、既に報道されているとおりでありますが、これに伴う警備活動についてご報告申し上げます。
 三宅島住民については、島民三千八百五十五人の全島民が避難し、九月十四日午前七時現在、島内残留者数は、防災関係者等二百八十三名となっております。
 当庁では、八月十八日の噴火活動以来、災害警備本部を設置し、一連の火山活動に対応してまいりました。特に、八月十八日の噴火時に機動隊員三十五名を三宅島に派遣したほか、その後にも機動隊五名を常時派遣し、三宅島署員と協力して、避難誘導や交通整理、避難地区の警戒、避難箇所の巡回等の警備活動を行ってまいりました。
 また、全島民が島外避難をすることになった九月二日早朝には、機動隊三十名を当庁ヘリコプターにより増強派遣し、島民の避難誘導と乗船時の整理、残留者の確認等の警備活動を実施いたしました。
 また、昨日から本日にかけて、三池港内及び錆ケ浜港に臨時警備派出所を設置したところでありますが、これらを拠点として、現在、機動隊員十名を含む二十三名の警察職員が、定期船の着船時と入島者の警戒、空き家警戒と全島の被害状況調査、残留者の安全確保等の活動を行っております。
 次に、この警備を通じて最も留意した点について申し上げます。
 八月十八日、二十九日の噴火時には、まず何よりも島民の安全確保を基本としつつ、避難時のパニックによる交通、転落事故等の二次災害の防止、避難地区における空き巣等の各種犯罪の防止等を優先的に実施いたしました。
 また、全島避難時には、地域住民と密接な関係を築いてきた駐在所員を中心に、乗船時における混雑と、特に高齢者の事故防止、避難を渋る者への広報などを最優先とした活動を展開した結果、避難行動が整然と行えたところであります。
 一方、都内の都営住宅に避難した島民については、管轄警察署において、訪問連絡活動を通じ、本人及び家族の健康問題を初め、困り事、心配事等の相談に積極的に応じるなど、避難者が一日も早く安住できるような支援活動を行っております。
 また、小中高生が集団避難した秋川高校の常時警戒を行っているほか、校舎の一角に女性警察官と駐在所員の二名による困り事相談所を開設し、子どもたちの不安感の払拭や、さらに同高校周辺の地図をメーンにした便利マップを作成配布する等、小中高生が安心して生活できるよう各種の警察活動を積極的に展開しております。
 このほか、島民の方々の生活に密着しております運転免許証の更新、免許証の再交付等につきましては、手数料免除の措置を講じているところでもあります。
 さらに十六日からは、島民の皆様が一番気にかけておられるであろうと思われる自宅の現状について、各人の家々を中心に、警察官がビデオ撮影を実施し、ビデオレターとしてお知らせすることとしております。
 今後とも、都を初め関係機関と連携をとりながら、残された空き家等の財産の保護や島外からの不法侵入者の防止等に全力で取り組むことといたしております。
 以上でございます。

○野村委員長 報告は終わりました。
 この際、委員会を代表して、私から一言申し上げます。
 三宅島の島民の皆様には、雄山の大規模な火山噴火による硫黄臭を帯びた火山性ガス、火砕流、泥流等による二次災害により、全島民に避難指示が出され、まことに残念ながら、今なおふなれな地域での不自由な生活を余儀なくされております。島民の皆様には、心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
 警視庁におかれましては、ただいまご報告がありましたとおり、活発な火山活動が続く中、避難誘導やパトロールなどの災害警備活動に多くの警察職員が従事され、島民の安全確保に努められたほか、島を離れて不自由な生活を送られている避難者の皆様の心情に配慮して、さまざまな対策を講じていただいているとのことでございます。
 委員一同、危険な状況の中で、今なお島内に踏みとどまって警戒に当たっておられる高宮署長外三宅島警察署員を初め、多くの職員の皆さんのご苦労に、この場をおかりいたしまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 事態はいまだ予断を許しませんが、警視庁におかれましては、関係各局等との連携を密にし、一日も早い島民生活の安定確保を図られますとともに、今回の災害関係の経費につきましては、厳しい財政状況の中であっても、災害対応及び復旧、復興を重視して、警視庁として最大限の配慮をしていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 以上で警視庁関係を終わります。

○野村委員長 これより消防庁関係に入ります。
 初めに、第三回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○杉村次長 平成十二年第三回定例会に提出を予定しております東京消防庁関係の議案についてご説明申し上げます。
 案件は、条例案二件でございます。一件目は、火災予防条例の一部を改正する条例案、二件目は、特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例案であります。
 初めに、資料1の火災予防条例の一部を改正する条例案についてご説明申し上げます。
 改正項目は四点ございまして、まず一点目は、建築基準法及び建築基準法施行令の一部が改正され、建築材料等の基準について、防火性能にかかわる規定化が図られたことに伴い、本条例で引用している防火材料、建築構造、防火設備等に関する用語などについて所要の整備を行うものであります。
 資料の六ページ、新旧対照表をごらんいただきたいと存じます。
 第三条第一項第四号の下欄の条文は、火気使用設備である炉の使用に際し、火災の発生のおそれのある部分を、コンクリートやれんが等の不燃材料でつくることを定めたものであります。下欄の括弧内にお示ししてある不燃性の材料につきましては、建築基準法令に定める不燃材料のうち特定のものを、火気使用設備に用いる不燃材料として条例独自で規定していたものであります。
 今回の改正は、先般の建築基準法令の改正により、不燃材料の防火性能にかかわる規定化が図られましたことから、上欄にお示ししてあります不燃材料を建築基準法上の引用に改めるとともに、そのうち、特に長時間の火気使用に対しても出火しない防火性能を有するコンクリートやれんがなど特定のものを、条例上の特定不燃材料として改めるものであります。
 以下同様に、第三条第一項第五号から第二十条までの、それぞれの同趣旨に該当する条文についても、下欄の「不燃材料」を上欄の「特定不燃材料」に改めるものであります。
 次に、資料の七ページをごらんいただきたいと存じます。
 第三条第一項第十二号の二の下欄の条文は、多量の火気を使用する炉を設置する場合、不燃材料でつくった壁、柱などで区画し、窓及び出入り口等については、甲種防火戸または乙種防火戸を設けることを規定したものであります。
 今回の改正は、先般の建築基準法令の改正によりまして、防火戸等の防火性能にかかわる規定化がなされたことから、法令との整合を図るため、下欄の「甲種防火戸又は乙種防火戸」を上欄の「防火戸」に改め、また、資料一九ページの第五十五条の二の条文中、下欄の傍線でお示ししてあります「防火施設」及び「防火戸」、「防火ダンパー」を上欄の「防火設備」に改めるものでございます。
 資料の八ページをごらんいただきたいと存じます。
 第三条の二第一項第一号ロの下欄の条文は、厨房設備の位置及び構造の基準について定めたものであります。
 今回の改正は、さきの建築基準法令の改正により、耐火構造及び準耐火構造、防火構造について防火性能にかかわる規定化がなされたことから、法令との整合を図るため、「耐火構造」または「防火構造」を、上欄の傍線でお示ししてあります「準耐火構造で間柱、下地その他主要な部分を特定不燃材料で造ったもの」に改めるものであります。
 次に、資料の一三ページをごらんいただきたいと存じます。
 第十条第一項第一号の下欄の条文は、グラビア印刷機など火花を生ずる設備を設置する室内の構造について規定したものであります。
 今回の改正は、先般の建築基準法令の改正により、不燃材料及び準不燃材料、難燃材料の防火性能にかかわる規定化がなされたことから、法令との整合を図るため、下欄の「不燃材料または準不燃材料」を上欄の「準不燃材料」に改めるものであります。
 なお、本条文のほか、第三十四条及び第三十八条についても、同様の改正を行うものであります。
 次に、二点目の改正項目は、蓄電池設備の設置場所の基準にかかわる改正でございます。
 資料の一四ページをごらんいただきたいと存じます。
 第十三条第一項の下欄の条文は、蓄電池設備の基準について定めたものであります。
 今回の改正は、近年の技術開発に伴いまして、酸性の電解液が漏えいするおそれのないシール形鉛蓄電池などの製品も出現しておりますことから、これらについて緩和の対象を広げ、上欄にお示ししてありますように、新たに「シール形鉛蓄電池その他酸性の電解液が漏れるおそれのないもの」を加えるものであります。
 次に、三点目の改正項目は、誘導灯に関する基準の改正でございます。
 資料の一八ページをごらんいただきたいと存じます。
 第四十五条の下欄の条文は、誘導灯を設置する学校及び工場の規模等について定めたものであります。
 今回の改正は、消防法施行規則の一部改正により、学校及び工場において、主要な避難口を容易に見通し、かつ識別することができる階で、当該避難口に至る歩行距離が一定以下の場合に、誘導灯の設置を要しないものとする緩和措置が規定されました。このため、消防法施行規則との整合を図るため、下欄の表現を上欄の表現に改め、誘導灯の設置義務について緩和するものであります。
 次に、四点目の改正項目は、総務省設置法の制定に伴う名称の改正でございます。
 資料二〇ページの別表第七、備考第七号をごらんいただきたいと存じます。
 これは、総務省設置法の制定に伴い、自治省が総務省に再編されますことから、この法律との整合を図るため、下欄の傍線でお示ししてあります「自治省令」を上欄の「総務省令」に改めるものであります。
 最後に、附則に関する事項でございます。
 資料一九ページの上欄をごらんいただきたいと存じます。
 本条例の施行日は、平成十二年十一月一日を予定しております。ただし、別表第七、備考第七号の改正規定につきましては、中央省庁等改革関係法施行法の公布により、総務省設置法の施行日が平成十三年一月六日とされましたことから、同日の施行を予定しているものであります。
 以上が火災予防条例の一部を改正する条例案の概要でございます。
 次に、資料2の特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例案につきましてご説明申し上げます。
 資料2の二ページ、新旧対照表をごらんいただきたいと存じます。
 今回の改正は、総務省設置法の制定によりまして、自治省が総務省に再編されますことから、この法律との整合を図るため、条例付則第三十六項中、下欄の傍線でお示ししてあります「自治省令」を上欄の「総務省令」に改めるものであります。
 なお、本条例の施行日は、総務省設置法の施行日に合わせ、附則にお示ししてありますように、平成十三年一月六日を予定しております。
 以上が特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例案の概要でございます。
 以上、雑駁でございますが、第三回定例会に提出を予定している議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野村委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 それでは、資料要求はなしと確認させていただきます。

○野村委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○中村警防部長 三宅島の火山噴火災害等に伴う東京消防庁の活動についてご報告申し上げます。
 去る八月二十九日四時三十五分、三宅島の雄山の噴火活動が一段と活発化したことに伴い、当庁では、直ちに不測の事態に備え、情報収集体制の強化を図ったところであります。
 三宅島などの島しょ地域は、当庁の管轄外でありますことから、同日の十八時に、三宅村村長から当庁に対し、東京消防庁、東京都三宅村消防応援協定に基づく応援要請がなされ、当庁は、翌三十日の午前九時三十分に、先遣隊として五名の消防職員を消防ヘリコプター「かもめ」により三宅島へ応援派遣するとともに、同日の午後十二時三十分、救助隊員や救急隊員十五名、耐熱救援車や救助車、救急車などの消防車両七台から成る第一次応援隊を派遣いたしました。
 さらに、全島避難の決定がなされたことから、応援活動を強化するため、九月二日午前七時、第二次応援隊として、救助隊員など十名を増強派遣したところであります。
 これら現地入りした応援隊三十名は、島内東部に位置する三宅村役場庁舎三階を活動拠点として、二十四時間体制で、火山災害への警戒監視活動や島の方々の安全確保のための活動を行ってまいりました。
 三宅島は、たび重なる噴火で大量の火山灰が島内全域に堆積し、それが大雨によって泥流となり、主要な道路を寸断したことから、応援部隊の活動範囲が制約され、さらには火砕流の発生が危惧されるなど、危険で劣悪な活動環境となっております。
 このような中で、これまでの当庁の主な活動は、避難所で発生した急病人や、特別養護老人ホームなどの施設に入所している高齢者等で介護を必要とする方々七十一名を、消防ヘリコプターにより江東区の東京ヘリポートなどへ搬送し、待機していた救急隊に引き継ぎ、二十三区または多摩地区の医療施設や老人福祉施設等へ搬送したところであります。また、大型船で竹芝桟橋に着いた高齢者の方々を、同様に救急車で搬送いたしました。
 さらに、全島避難指示に基づき、九月二日から四日にかけ、民間の大型船により三池港から島外避難する高齢者などの方々に対する乗船時の安全を確保するための介助や支援及び警戒監視活動を実施したほか、九月四日には、島民の避難状況を確認するため、地元消防本部や消防団、防災関係機関を支援して、島内各戸を巡回し、残留者の調査も実施したところであります。
 また、九月五日以降、断続的に降り続いた大雨により、阿古、伊ケ谷、神着地区など約十カ所で、泥流によって道路が寸断されるとともに、電話回線や一部のライフラインに障害が起きるなどの被害が発生いたしました。このため、当庁の応援派遣隊は、対策本部の要請を受け、消防ヘリコプターによる上空からの火山活動や泥流の発生状況調査を実施するとともに、九月七日、三宅支庁の要請に基づき、活動拠点を三宅村役場からホテルシップに移して、道路の復旧作業等に従事する方々の泥流や火砕流による二次災害の発生防止のための安全監視活動などを、現在、実施しているところであります。
 一方、そのほかの活動といたしまして、三宅島から避難してきた島民の方々の竹芝桟橋における下船時の安全を確保するため、車いすを使用している方を補助し、あるいは船中の急病人を救急搬送するなど、ポンプ隊及び救急隊による支援及び警戒活動を実施いたしました。
 また、三宅村及び新島村村長からの要請により、現地において不足している四輪駆動消防ジープや可搬式ポンプ、消防用ホース、投光器、発動発電機などを直ちに手配したところであります。
 さらに、本年六月から今日まで、三宅島の火山活動及び神津島、新島近海の地震災害の発生に伴い、当庁のヘリコプターにより、東京都を初め国などの防災関係者がかかわった飛行回数は二十三回に及んでおります。
 三宅島の雄山の噴火活動は、いまだ予断を許さない状況にあり、また、新たな泥流災害の発生も危惧されております。このため、当庁といたしましては、東京都災害対策本部及び三宅村を初め防災関係機関と連携を図りながら、三宅島の火山活動による被害の復旧、復興にかかわる防災関係者の人命安全を確保するため、今後も、火山災害への警戒監視活動や救助、救急活動などに努めるとともに、神津島や新島、式根島近海における地震発生の動向にも十分注視しながら、即応体制で住民の安全を確保していく所存であります。
 以上で、三宅島の火山噴火災害等に伴う当庁の活動についての報告を終わらせていただきます。

○野村委員長 報告は終わりました。
 この際、委員会を代表して、私から一言申し上げます。
 ただいまご報告にありましたとおり、消防庁におかれましては、三宅島の火山噴火活動の活発化に伴い、消防応援協定に基づき、長谷川三宅村長から応援要請を受け、直ちに消防部隊を三宅島に派遣されました。
 消防庁の応援派遣隊は、危険で劣悪な活動環境のもと、全島避難指示に基づき、島民の島外避難や泥流災害の復旧活動に従事している方々の安全確保、さらには噴火災害への警戒などの消防活動に従事してこられました。この場をおかりいたしまして、池田消防総監を初め職員の皆様のご尽力に、心から感謝申し上げる次第でございます。
 今後、雄山の火山活動が長期化することも予想されますことから、引き続き厳しい消防応援活動が続くものと思われますが、三宅島の島民の皆様のため、島内に残って応急復旧にご尽力しておられます防災関係者の安全確保、さらには噴火災害に対する警戒活動、救助、救急活動の実施など、不測の事態に即応できる体制で応援活動に当たっていただくとともに、今回の災害関係の経費につきましては、厳しい財政状況の中であっても、災害対応及び復旧、復興を重視して、消防庁として最大限の配慮をしていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 以上をもちまして消防庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十七分散会

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