オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会速記録第四十号

令和二年十二月二十三日(水曜日)
第十五委員会室
午後一時開議
出席委員 二十三名
委員長小山くにひこ君
副委員長上野 和彦君
副委員長吉原  修君
副委員長伊藤 ゆう君
理事小林 健二君
理事白戸 太朗君
理事両角みのる君
理事あぜ上三和子君
理事山崎 一輝君
栗林のり子君
奥澤 高広君
のがみ純子君
桐山ひとみ君
川松真一朗君
山口  拓君
とや英津子君
池川 友一君
藤井あきら君
滝田やすひこ君
入江のぶこ君
木村 基成君
秋田 一郎君
高島なおき君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長中村 倫治君
次長理事兼務延與  桂君
次長小池  潔君
次長理事兼務福崎 宏志君
次長総務部長事務取扱佐藤 智秀君
技監荒井 俊之君
理事西村 泰信君
理事中澤 基行君
調整担当部長菅原 雅康君
自治体調整担当部長小池 和孝君
聖火リレー担当部長田中 愛子君
計画推進部長田中  彰君
運営担当部長末村 智子君
運営推進担当部長上野 正之君
ボランティア担当部長小高 都子君
競技・渉外担当部長川瀬 航司君
事業推進担当部長丸山 雅代君
パラリンピック部長越  秀幸君
大会施設部長鈴木 一幸君
輸送担当部長村田 拓也君
スポーツ推進部長鈴木 研二君

本日の会議に付した事件
第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項
・大会経費V5(バージョン五)について(説明)
・会場周辺交通対策の更新及び練習会場ルート・代替ルートの公表について(説明)
・東京二〇二〇オリンピック聖火リレーの都内実施区市町村等について(説明・質疑)
・東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議について(質疑)
・第十六回東京都聖火リレー実行委員会について(質疑)
・東京二〇二〇大会の延期に伴うテストイベントについて(質疑)
・東京二〇二〇ライブサイト等の実施について(質疑)

○小山委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 なお、報告事項、大会経費V5(バージョンファイブ)について及び会場周辺交通対策の更新及び練習会場ルート・代替ルートの公表については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いますので、ご了承を願います。
 それでは、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、大会経費V5(バージョンファイブ)について外一件の報告を聴取いたします。

○菅原オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 それでは、報告事項、大会経費V5(バージョンファイブ)についてにつきましてご説明いたします。
 お手元の資料第1号をごらんください。
 大会経費につきましては、ことし四月のエグゼクティブプロジェクトレビューにおいて、IOCと組織委員会を含む日本側が合意した大会延期に伴う今後の大会準備の枠組みの中で、サービスレベルの水準を最適化、合理化する施策を検討するとともに、延期によるコストの削減を図ることとされました。
 また、六月のIOC理事会において報告し公表した、大会の位置づけ、原則、ロードマップにおいても、延期に伴う費用を最小化すること、大会を簡素なものとすることなどの基本原則のもとに準備を進めていくこととされました。
 こうしたことを踏まえ、IOCや組織委員会等とともに、大会の簡素化について検討を重ね、九月のIOC調整委員会において五十二項目の内容について合意し、十月のIOC理事会において、おおよそ三百億円の経費削減効果を報告し公表いたしました。その後、組織委員会において、簡素化の成果や既存契約の見直し等を踏まえ、大会の延期に伴う追加経費を算出してきたところでございます。
 また、大会における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、九月に設置した国、東京都、組織委員会等で構成する調整会議において議論を行い、今月二日に中間整理を取りまとめ、公表いたしました。これを踏まえ、組織委員会において、大会運営における新型コロナウイルス感染症対策関連の経費を算出してきたところでございます。
 そして、今月四日に国、東京都、組織委員会の三者による会談を行い、大会の追加経費に関し、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費九百六十億円と、それを除く経費一千七百十億円に係る三者の負担について合意したところでございます。
 大会経費V5は、こうした経過を経て、これまでの経費削減効果や三者による合意などを反映して、組織委員会において作成したものでございます。また、本資料は、昨日、組織委員会が公表した資料に基づき作成したものでございます。
 ページをおめくりいただきまして、二ページをごらんください。
 1、経費分担試算(V5)をごらんください。会場関係、大会関係の区分ごとに組織委員会、東京都、国の負担額をお示ししたものでございます。
 また、表の上段をごらんください。会場関係の経費については、組織委員会が二千三百十億円、東京都が五千四百七十億円、国が一千五百億円で、合計が九千二百八十億円となっております。
 東京都や国が整備する新規恒久施設、運営用のプレハブ、テントや観客用の座席、会場賃借などの仮設等、電源設備などのエネルギー、競技計測や通信インフラなどのテクノロジーの経費となっております。
 次に、表の中ほどをごらんください。大会関係の経費については、組織委員会が四千九百億円、東京都が一千五十億円、国が百五十億円で、合計が六千百億円となっております。
 バスの借り上げや駐車場の整備などの輸送、民間警備やカメラなどのセキュリティー、大会運営全般に係るオペレーション、組織委員会の管理、広報、IOCへのロイヤリティー等のマーケティングなどの経費となっております。
 次に、表の下段をごらんください。新型コロナウイルス感染症対策関連として、東京都が四百億円、国が五百六十億円となっております。
 組織委員会が実施する対策について、三者会談による合意に基づき、東京都と国が負担する経費を新たに計上したものでございます。また、東京都については、V4で計上していた緊急対応費を、V5においても百億円計上しております。
 これらを合計いたしますと、組織委員会が七千二百十億円、東京都が七千二十億円、国が二千二百十億円で、V5は一兆六千四百四十億円となっております。大会の延期に伴う追加経費を計上したことにより、V4と比較し、二千九百四十億円の増となっております。
 なお、表の欄外、注1にございますように、予期せずに発生し得る事態等に対処する必要が生じた場合、関係者は役割分担に応じて対応することとしております。
 また、注2にございますように、表内にございます括弧書きの数字は、パラリンピック経費の金額を内数でお示ししたものでございます。
 次のページをごらんください。2、経費分担試算(V4とV5との比較)でございます。
 会場関係、大会関係の区分ごとの負担者別のV5の経費をV4と比較したものでございます。
 右上に記載しておりますが、表内にございます山括弧内の数字は、V4と比較した増減額をお示したものでございます。上段の会場関係では、組織委員会が四百四十億円、東京都が五百十億円、国が百億円ふえ、支出計は一千五十億円の増となっております。
 中段の大会関係では、組織委員会が八百四十億円、東京都が百四十億円、国が五十億円ふえ、支出計は一千三十億円の増となっております。
 これらに加え、下段になりますが、新型コロナウイルス感染症対策関連で、新たに九百六十億円を計上したことなどにより、支出計は二千九百四十億円の増となっております。
 次のページをごらんください。3、経費増減(V4とV5との比較)でございます。会場関係と大会関係の区分ごとの増減についてお示ししたものでございます。
 会場関係では、仮設等が七百三十億円、エネルギーが二百億円、テクノロジーが百二十億円の増となり、合わせて一千五十億円の増となっております。
 大会関係では、輸送が百三十億円、セキュリティーが四十億円、オペレーションが五百四十億円、管理、広報が百九十億円、マーケティングが百十億円、その他が二十億円の増となり、合わせて一千三十億円の増となっております。これらの主な内容につきまして、右の欄に記載をしております。
 次のページをごらんください。4、経費増減(東京都負担分、V4とV5との比較)でございます。
 ただいまご説明いたしました増減のうち、東京都負担分の増減と主な内容についてお示ししたものでございます。
 ページをおめくりいただき、六ページをごらんください。このページ以降の資料は、これまでご説明してまいりました資料のほか、組織委員会が公表した資料について参考としておつけしたものでございます。
 このページの参考1、組織委員会及びその他の経費(V5、ハード・ソフト別)は、ハードの会場整備、ソフトの大会運営などの区分ごとに、組織委員会とその他の負担者の区分についてお示ししたものでございます。その他の負担者は、東京都と国でございます。
 なお、これ以降の表におきましては、前ページまでの資料とは異なり、V4までの公表時と同様に、テクノロジーをソフトの大会運営に含めております。
 右側の支出計の欄をごらんいただきますと、ハード(会場整備)が八千七十億円、ソフト(大会運営)が七千三百十億円、新型コロナウイルス感染症対策関連が九百六十億円、緊急対応費が百億円で、合計が一兆六千四百四十億円となっております。
 次のページをごらんください。参考2、組織委員会及びその他の経費(V4とV5との比較、ハード・ソフト別)でございます。
 ハードの会場整備、ソフトの大会運営の区分ごとの負担者別のV5の経費をV4と比較したものでございます。
 次のページをごらんください。参考3、組織委員会予算(V5)でございます。
 左側が組織委員会の収入、右側が支出をお示ししたものでございます。
 表の一番下にある計の欄をごらんいただきますと、収入、支出ともに七千二百十億円となっております。
 収入については、増収見込みとして新たに七百六十億円を計上するとともに、収支調整額として百五十億円を計上しております。この収支調整額につきましては、欄外の注にございますように、組織委員会の支出のうち、同委員会の経費削減努力や増収努力によっても賄い切れない費用について、東京都が負担するものでございます。
 次のページをごらんください。参考4、組織委員会予算(V4とV5との比較)でございます。
 収入につきましては、国内スポンサーがV4から二十億円の増、その他が二十億円の減となっているほか、ただいまご説明いたしました増収見込みと収支調整額を計上しております。
 支出につきましては、先ほどご説明しておりますので、割愛させていただきます。
 次のページをごらんください。参考5、経費増減(組織委員会負担分、V4とV5との比較)でございます。
 区分ごとに組織委員会負担分の増減と主な内容についてお示ししたものでございます。
 次のページをごらんください。参考6、新型コロナウイルス感染症対策関連でございます。
 左側の1、アスリート等を対象とした検査体制等の整備で百六十億円となっております。こちらの経費は、三者の合意により、国が全額を負担する経費でございます。
 また、右側の2、その他の感染防止のための対応で八百億円となっております。こちらの経費は、同じく三者の合意により、国と東京都がそれぞれ二分の一相当額を負担する経費でございます。
 合計いたしますと九百六十億円となっており、国が五百六十億円、東京都が四百億円を負担するものでございます。
 一枚おめくりください。参考資料として、ただいまの説明に関する本年十月のIOC理事会に関する組織委員会報道発表資料及び今月四日の三者会談における合意の二件の資料を添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
 説明は以上でございます。

○村田オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 それでは、会場周辺交通対策の更新及び練習会場ルート・代替ルートの公表についてご説明いたします。
 お手元の資料第2号をごらんください。
 都及び組織委員会は、関係者との調整を進め、十二月二十二日に会場周辺交通対策を更新するとともに、練習会場ルート、代替ルートについて公表いたしました。
 1、会場周辺交通対策の更新についてでございます。
 会場周辺交通対策につきましては、競技会場周辺の混雑緩和のため、昨年十二月に公表しており、今回、競技スケジュールの変更等を踏まえ、会場ごとの詳細な期間や範囲について更新いたしました。
 なお、進入禁止エリア、通行規制エリア、迂回エリアを設定することなどの交通対策の考え方は昨年と同様でございます。
 (1)、会場周辺交通対策の目的についてでございます。
 こちらにつきましては、会場等周辺の交通混雑緩和による安全、円滑な大会輸送と会場等のセキュリティー確保を目的としております。
 (2)、主な更新内容についてでございます。
 〔1〕、規制期間につきましては、一部の路線を除きまして、規制を行う具体的な日付を設定しております。〔2〕、規制時間につきましては、一部の路線におきまして、終日規制から時間規制に変更しております。〔3〕、規制対象路線につきましては、一部の路線におきまして、規制する範囲を縮小しております。
 次に、2、練習会場ルート、代替ルートについてでございます。
 昨年十二月に策定した輸送運営計画V2では、関係者輸送ルートとして、選手村と競技会場を結ぶ大会ルート、練習会場ルート、代替ルートを設定することとしております。
 今回、練習会場ルート、代替ルートについて設定いたしました。今後、輸送運営計画V2の更新に反映することとしております。
 (1)、練習会場ルートにつきましては、選手村と練習会場を結ぶルートでございまして、今後、練習会場の追加決定に合わせ、ルートを追加していくこととしております。交通規制は行わないものの、一般車両の利用抑制、駐車抑制などのため、大会関係車両の通行ルートであることを示す路面表示及び看板を設置することとしております。
 (2)、代替ルートにつきましては、大会ルート上の重大な事故など、大幅な遅延が見込まれる場合に迂回するルートでございます。交通規制は行わないものの、看板を設置することとしております。
 ページをおめくりいただきまして、最後に、3、今後の予定についてでございます。
 交通対策の内容やルートなどに追加、変更のある際は、都及び組織委員会のホームページにおきまして、その都度公表してまいります。
 また、各種広報などを行い、関係者や地元へ丁寧に説明をし、周知を図ってまいります。
 一枚おめくりください。詳細につきましては、参考資料として、十二月二十二日に行いましたプレス発表資料を添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
 説明は以上でございます。

○小山委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○あぜ上委員 四点お願いいたします。
 一点目は、大会経費V5において、増経費の項目別経費、できるだけ詳細に。
 二点目が、大会経費V5において、都負担分及び組織委員会負担分の経費の増要因別内訳。
 三点目が、大会経費V5において、コロナ対策により増額されたものの項目別の経費。
 四点目が、調整費、緊急対応費百億円の使途の見通しについて。
 以上です。よろしくお願いします。

○小山委員長 ただいま、あぜ上理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小山委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。

○小山委員長 次に、報告事項、東京二〇二〇オリンピック聖火リレーの都内実施区市町村等について報告を聴取いたします。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局聖火リレー担当部長 それでは、私から、東京二〇二〇オリンピック聖火リレーの都内実施区市町村等についてご説明いたします。
 お手元の資料第3号をごらんください。
 1の概要でございますが、組織委員会は、今月十五日、来年三月から開催するオリンピック聖火リレーの全国の実施市区町村とセレブレーション会場を発表いたしました。これにあわせまして、都は同日、都内の実施区市町村とセレブレーション会場を発表しました。
 2の都内実施区市町村、セレブレーション会場につきましては、次ページの別紙をごらんください。
 オリンピック聖火リレーの都内の日程は、七月九日から七月二十三日までの十五日間でございまして、日ごとにリレーを実施する区市町村名とリレーの巡回順、最終到着地であるセレブレーション会場名を記載しております。
 なお、昨年六月に延期前の日程や実施区市町村を公表いたしましたが、変更点は日程のみで、変更前の一日前倒しとなっております。それ以外の変更点はございません。
 一枚おめくりください。参考資料といたしまして、組織委員会が公表いたしました東京二〇二〇オリンピック聖火リレー二〇二一年実施市区町村・セレブレーション会場の発表についてを添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
 説明は以上でございます。

○小山委員長 報告は終わりました。
 それでは、報告事項、東京二〇二〇オリンピック聖火リレーの都内実施区市町村等について外四件に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○白戸委員 オリンピックは、平穏や平和だからのみ開催されるわけではなく、平穏や平和への願いを込めて開催されることも少なくありません。
 一九二〇年のアントワープ大会は、スペイン風邪の混乱と第一次世界大戦直後の荒廃の中で、平和と復興を目指し開催されたことは有名です。
 さかのぼること二千八百年、紀元前七七六年、ギリシャのオリンピアで始まった古代オリンピックは、疫病と戦争で疲弊していたギリシャを救うために、神のお告げで競技会を開催するところから始まりました。
 つまり、平和だからではなく、平和を祈り、平穏のために開催されるものの一つとして始まっているわけです。この二つの事例は、現在の状況と似ており、我々が何に向かっていくべきなのか、歴史が教えてくれているように思います。
 さて、世界的にワクチン接種なども始まり、次のステージに進みつつある新型コロナ感染症対策でありますが、第三波ともいわれる感染の広がりがとまらず、アジア諸国のように感染拡大予防対策がうまくいったと思われていた国にも再度広がっている状況で、ヨーロッパやアメリカを中心に厳しい状況が続いています。
 しかし、そんな中でもスポーツの復活は少しずつ進みつつあり、日本では、プロ野球を初めJリーグ、大相撲、ゴルフなどは無観客試合から始まり、試行錯誤を重ねながら、徐々に観客を入れた試合を開催しています。
 国際大会では、選手と外部との接触を遮断するバブル方式の大会運営を採用し、プロバスケットボール、NBAや自転車ロードレースのツール・ド・フランス、全米テニスなどが開催されました。
 先月、代々木で開催された体操の国際大会でも、このバブル方式を採用し、徹底した安全対策のもと、日本、アメリカ、中国、ロシアの四カ国から選手が参加、約二千名の観客が見守る中、アスリートの活躍と関係者の努力により大会は成功裏に終わりました。東京二〇二〇大会の前哨戦ともいわれる本大会の成功により、多くの貴重な知見が得られたことと思います。
 できないではなく、どうやったらできるのかを考えたい。これは、その国際大会において内村航平選手が語った言葉です。当日、私もこの大会を見ていました。会場の外でオリンピック反対の抗議行動があった中で、大会後の閉会セレモニーにて彼が国民への理解と協力を求めたスピーチでした。
 国民の皆さんとアスリートが同じ気持ちじゃないと大会はできないと僕は思う、どうにか、何とかできるやり方が必ずあると思います、どうかできないと思わないでほしい。彼の言葉はアスリートの本音であり、だからこそ説得力がありました。
 それを受け、我々は、どうやったらできるのか、そのどうやってのさまざまな手法を模索し、テストを積み重ねていく必要があるのではないでしょうか。そして、それこそが、都民、国民の安全はもちろん、納得と安心を得るものになるのだと考えます。
 我々都民ファーストの会東京都議団は、感染症対策や追加費用などの課題に対し、このように方法を見出すだけではなく、そのプロセスを見せ、説明していき、乗り越えて、開催に導く決意を新たに質疑をさせていただきます。
 現状のような状況下では、来年の二〇二〇大会本番においても感染症予防対策が重要になってくることは当然です。大会の命運を分ける最重要課題であるといっても間違いがないでしょう。
 まず、世界から集まるアスリートがいかに安全に安心して競技に取り組んでもらえる環境をつくり出すのか、これが大会成功のベースになると考えます。大会の主役であるアスリートの安全・安心を確保するため、入国から出国までのそれぞれの場面ごとの感染症対策やトータルでの環境整備、ルールづくりを行うことが重要です。
 中間整理では、ホストタウン、選手村を安全・安心な環境とするための方策の一つとして、必要な検査を実施するとしていますが、どのように実施するのか伺います。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 アスリートが万全のコンディションでプレーし、都民や観客など全ての人にとって安全・安心な大会とするためには、出入国管理や入国後の移動、行動ルールを徹底するとともに、検査を含めた健康管理を適切に行うことが重要でございます。
 中間整理では、出入国時の検査として、海外から入国するアスリート等について、出国前七十二時間以内に検査を受けて陰性証明を取得するほか、入国拒否対象国、地域からの入国者には、入国時にも検査を実施することを基本としてございます。
 アスリート等が滞在する選手村におきましては、選手村内に検体採取センターを整備し、原則として九十六時間から百二十時間置きに定期的に検査を実施するとともに、ホストタウン等でも選手村と同様の間隔を目途に検査を行うことに加えまして、選手村入村七十二時間前にも検査を行うこととしてございます。
 検査の具体的な実施方法につきましては、IOC、IPCなどの関係者とも連携し、検討してまいります。

○白戸委員 さまざまな安全対策は、選手自身はもちろんですが、関係者やメディア、観客など大会にかかわる方はもちろん、日本国民の安心にも寄与する重要なポイントです。ぜひ、国、組織委員会とも連携を深め、取り組んでいただきたいと思います。
 そして、選手の安心は、感染予防だけでなく、大会の運営としてどのように運用されるのかも大切であります。
 先月の体操競技会において、事前検査で日本のエースである内村選手に陽性反応があり、感染者とみなされ、本人の出場停止はもちろん、日本チームのトレーニングさえとめられてしまうということがありました。結局、これは偽陽性ということがわかり、本人の参加や日本チームの活動もすぐに回復したのですが、その際の混乱は、選手のパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。
 このようなことが本番でも起こりかねない、選手や関係者の人生をかけた戦いの場である本番で許されるものではありません。検査体制の不備が人の人生を狂わせてしまうということもあることなのです。
 検査の結果、陽性と判定された場合は、感染拡大防止のため、出場停止や外出自粛など、さらにチームメートも濃厚接触者として活動制限を受ける必要もあることなどから、アスリートにとってこの検査結果が、大会出場はもちろんですが、人生を左右することにもなります。
 中間整理では、偽陽性の可能性を踏まえ、丁寧なプロセスが必要としていますが、どのように対応するのか伺います。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 検査の結果、陽性と判定されたアスリートについては、外出自粛など感染拡大防止に必要な措置を講じるとともに、競技には出場させないことが原則であり、アスリートの理解が得られるよう、検査の判定手続とプロセスを明確にすることが必要でございます。
 中間整理では、検査で陽性と判定されたアスリートが無症状である場合には再度検査を行い、その結果、陰性であった場合には出場を認めるなど、あらかじめ手順を定めた上で最終診断し、競技参加を判断することとしております。
 また、濃厚接触者の特定方法や出場の可否につきましても、保健衛生当局と組織委員会との間であらかじめ整理し、共通認識が得られるよう検討を進めていくこととしてございます。
 安全・安心な環境のもとで競技を行うための手続とプロセスにつきまして、組織委員会を中心に、IOC、IPC、国際競技連盟などと調整をしてまいります。

○白戸委員 検査としての精度は、技術的なこともありますので、簡単に変えることはできません。だからこそ、それを踏まえて、そのときの対応をしっかりと決めておく必要があります。
 同じようなケースとして、ドーピングの検査があります。ドーピングの検査は、Aサンプル、最初のサンプルで陽性が出ても、Bサンプルの結果が出るまでは確定されません。さきのこの体操競技会の際には、こうしたステップを踏めていなかったとも聞いております。
 このように検査の精度を高めることはもちろんなんですが、その工程においても、選手に対して公平性を高める手段をしっかりと構築しておくべきです。何度もいいますが、人の人生がかかっております。ぜひ丁寧な対応をお願いします。
 さて、アスリートと地域の安全・安心を確保し、さらに国民や都民の安心を高めることができなければ、大会としての成功はありません。そのために、新型コロナウイルス感染症対策について、しっかりと検討を進めることはもちろんですが、中間整理を含めた対策の検討状況を都民に対して丁寧な発信をしていくことが重要と考えますが、見解を伺います。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 都民や観客に安全・安心な大会に向けた準備の状況を発信していくことは重要でございまして、調整会議における検討状況や中間整理の内容につきましては、都、国、組織委員会のホームページに掲載するとともに、対策例をわかりやすく図示したパネルを作成するなど、広く周知を図っております。
 今後、中間整理に基づき、アスリートや大会関係者、観客等の感染防止策や行動ルールなどの具体的な対策を工程表に基づき検討を進め、必要に応じて調整会議において議論を行うとともに、こうした検討状況を引き続き都民に発信してまいります。
 今後とも、国、組織委員会などの関係機関とも連携して情報を発信し、安全・安心な大会の実現に向けまして着実に準備を進めてまいります。

○白戸委員 知らないことは、不安をあおり、混乱を生み出します。検討のプロセスからしっかりと情報提供があれば、理解が進み、不安の解消にもつながります。ぜひ丁寧な発信をお願いします。
 大会の直前に対応するホストタウンは、東京都ほど情報もなく、選手団を受け入れることに不安があると聞いております。入国時に検査をしているとはいえ、海外から選手団を受け入れるには、それ相応の対策ができていなければリスクもありますし、何より地域住民の不安をあおることになってしまいます。
 一方で、国内外のスポーツ大会においては、主催者などによるさまざまな感染症予防策が講じられております。こうした知見やノウハウをホストタウンと共有することは、感染症対策を講じながら選手等の受け入れを検討する自治体をサポートすることになり、安全で安心な大会運営に寄与するのではないかと考えますが、見解を伺います。

○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 選手等を受け入れるためのホストタウンにおいて実施する感染症対策につきましては、新型コロナウイルス感染症対策調整会議におきまして検討を進めてまいりました。
 都は、都内のホストタウンに対して、調整会議で議論された国際競技大会を初め、さまざまな場面での感染防止対策等を幅広く情報提供してきたところでございます。
 今月発表された中間整理では、ホストタウンにおいては、選手と住民双方の安全・安心を確保するため、国が示した手引をもとにマニュアルを作成し、万全な感染症対策を講じることとされております。
 引き続き、担当課長会などの場を通じましてスポーツ大会やイベントなどにおける取り組み事例について紹介するとともに、ホストタウンにおけるマニュアルの作成や受け入れ準備への助言などを行い、各自治体の取り組みを支援してまいります。

○白戸委員 さて、開催まで二百十二日と、いよいよ迫ってきています。
 そして、三月からは各競技のテストイベントも頻繁に開催されるようになります。テストイベントは、本番に向けて競技運営の確認をするのはもちろん、選手にとっての本番会場のテストであったり、さらには、より魅力的な見せ方の研究であったり、さまざまな目的があり、大切なステップであると考えます。
 そんな中、先日、今後のテストイベントスケジュールが発表されました。そこで、その内容について伺います。
 まず、公表された十八のテストイベントには、IF、NFなどが主催するものと、組織委員会が主催するものと分かれていますが、主催者によってどのような違いがあるのか伺います。

○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 テストイベントは、東京二〇二〇大会の成功に向けて、主に競技運営及び大会運営の能力を高めることを目的として行うものであり、十八のテストイベントの主催者別内訳は、IF、NF主催が四件、組織委員会等主催が十四件となっております。
 このうち、IF、NFが主催するテストイベントは、観客を集めた比較的大規模なスポーツイベントとして開催される予定であります。
 一方、組織委員会主催のテストイベントは、一部の競技を除いて無観客で開催され、会場内の競技運営や計測機器の動作確認、新型コロナウイルス対策などに関するテストが実施される予定であります。

○白戸委員 主催者によってかなり運営目的、やり方も異なるようです。いずれにしても、さきに述べたように、テストイベントの本来の目的を押さえた運営をお願いしておきたいと思います。
 さらに、この機会に観客対応もテストすることが理想であると考えます。
 そこで、組織委員会主催のテストイベントでも観客を入れて実施されるものもあるようですが、観客を集めて実施されるテストイベントはどの程度あるのかお伺いします。

○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 組織委員会からは、現時点では、IF、NF主催の四件と、組織委員会主催のオリンピック陸上競技一件、合計五件が、新型コロナウイルス対策を徹底した上で、観客を集めての開催を検討していると聞いております。

○白戸委員 かなり人気スポーツばかりですが、観客を入れるイベントにおいては、ぜひ観客対応、さらには、選手のモチベーションにも大きく関与してきますけれども、会場の盛り上げなども検証していただきたいと思います。
 一方、来年の七月に開会するオリンピック・パラリンピック大会を都民が不安視しているという報道が連日なされており、私は非常に強い危機感を抱いております。それを改善していくためには、都民に本物のスポーツに触れてもらい、感動や刺激を受けることで、来年の大会への期待感を盛り上げていく必要があると思います。
 来年の大会に向けた期待感を高めていくためにも、都民にテストイベントの観戦の機会を提供するなど、この機に大会機運醸成を図っていくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。

○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 都民に期待感を持って東京二〇二〇大会を迎えていただくことは、大会の成功に不可欠であり、大会直前に実施される来年のテストイベントは、大会機運の醸成を図っていく上で極めて貴重な機会となります。
 そこで、IF、NF主催の大会のうち、都が共催するものについては、新型コロナウイルス対策を徹底した上での都民観戦招待や体験教室の実現に向けてIF、NFと調整を進め、大会機運の醸成につなげていく予定であります。
 また、そのほかのテストイベントにつきましても、組織委員会と連携し、ホームページへの掲載などを通じた情報発信を行い、より多くの都民に東京二〇二〇大会への関心を持っていただけるよう取り組んでまいります。

○白戸委員 先日の柔道男子六十六キロ級日本代表内定選手決定戦、丸山城志郎選手と阿部一二三選手の戦いは、二十四分間にもわたる激闘でした。あの試合を見た人は誰しも、二人の選手に敬意を覚え、スポーツの苛酷さと厳しさとともに、彼らのモチベーションの根源にもあるオリンピック本番に興味を持っていただけたことは間違いないでしょう。
 また、三月から行われるテストイベントのうち、アーティスティックスイミングと飛び込みは、競技の結果が各国の出場枠の獲得や選手選考に反映される大会となっており、こちらも熱い戦いが期待されます。このように、躍動するアスリートの姿をじかに見ることで得られる感動は、何事にもかえがたいものです。
 しかし、現状を考えると、準備段階も含めた大会運営の簡素化を進めている中で、全てのテストイベントを、コロナウイルス感染症対策を実施した上で、観客を集めて開催するというのは困難であるでしょう。
 今後は、テストイベント以外でも、オリンピック・パラリンピック出場選手の選考会や代表レベルの選手が出場する大会が複数の競技で行われます。それらについて、ぜひテレビ放送やウエブ配信などを通じて都民にスポーツの感動を届け、機運醸成にも役立てていくべきです。関係者への働きかけを希望しておきます。
 スポーツの感動は、一人でも味わうことができますが、他人と共有することにより、それが何倍にも共鳴します。だからこそ、スポーツ観戦を仲間で一緒に行い応援することは、特別の高揚感を呼び、その共有が人間を近づけてくれます。だからこそ、スポーツは行っている者はもちろんですが、観戦者同士の融和とつながりを生み、平和と連帯の象徴になるものだと考えます。
 しかし、現状は、感染拡大防止の観点から、多くの人が一堂に会することはリスクが高く、今後の感染症の状況を踏まえての対応となるでしょう。現在の状況からは、都が実施する広域的な東京二〇二〇ライブサイトの会場見直しは残念ながらやむを得ないと思いますが、その中でできることもあるのではないかと思います。例えば、各地域やコミュニティなど、小規模、少人数などで観戦の場を設けていけるのではないでしょうか。
 そこで、都は、この観戦機会の確保に向けて、区市町村のコミュニティライブサイトやパブリックビューイングの取り組みをしっかりと支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○丸山オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長 感染症対策を実施し、安全・安心を確保しながら、都内全域でともに競技観戦が楽しめる場を設けることは重要であり、都のライブサイト等だけでなく、地域の身近な場所で大会を楽しめるコミュニティライブサイト等の取り組みを支援していく必要がございます。
 今年度実施を予定していた自治体の多くは、適切な感染症対策を行った上で、来年に向けた準備を進める意向を示しております。
 今後、コミュニティライブサイトについては、来年二月までに会場ごとの感染症対策に係る計画を策定することとなっており、パブリックビューイングについては、来年四月以降に申請開始となる予定でございます。
 都は、組織委員会と連携し、参考となる各種ガイドラインやスポーツイベント等での感染症対策について情報提供を行うほか、相談対応等をきめ細かく実施するなど、適切に申請手続をフォローしてまいります。
 また、区市町村に対する補助制度については、来年度、感染症対策も補助の対象にすることも含め検討をしております。
 都内全体で大会を楽しめるよう、引き続き区市町村の取り組みを後押ししてまいります。

○白戸委員 一人で見てももちろんおもしろいんですが、複数人となるとその喜びが増長され、感動や刺激が広がります。それは、大会自体がより印象的になるということでもあります。そう考えるならば、皆が一緒に大会の興奮や感動を分かち合う観戦機会の確保は、大会の成功において大切なポイントになってきます。
 このような状況下で、さまざまな苦労を重ねて開催される大会を、より多くの方に、興奮し、感動し、喜び、人生の大いなる刺激にしていただくためにも、越えるべきハードルは本当に幾つもあるんですが、ぜひともご努力いただけるようお願い申し上げます。
 東京二〇二〇オリンピック聖火リレーは、二〇二一年三月二十五日に福島県のナショナルトレーニングセンター、Jヴィレッジからスタートし、百二十一日間かけて全国八百五十九市区町村をめぐります。
 聖火リレーとは、オリンピックのシンボルである聖火を上げることにより、平和、団結、友愛といったオリンピックの理想を体現し、日本全体にオリンピックを広め、来るオリンピックへの関心と期待を呼び起こすことが目的です。つまり、これを多くの方に見てもらうことで、多くの方にオリンピックへの期待を高めていただくこと。それは重要な機運醸成の機会といって間違いがないでしょう。
 また、東京都内においても、競技会場にもコースにもなっていない区市町村が多く存在し、そんな地域の方々にとっては、唯一の二〇二〇大会との直接触れ合う参加機会でもあるといえるのです。だからこそ、この機を捉え、多くの人に見ていただき、盛り上げることが重要であると考えます。
 しかし、コロナ禍においては、人が集まること自体がリスクになり、声を出し声援することがリスクとなり、盛り上げと相反する面があるのも事実です。この状況下では、この盛り上げと感染症対策のバランスをとって開催することが必然となりますが、都は、聖火リレーの盛り上げを図りながら、どのように感染防止を図るのか伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局聖火リレー担当部長 聖火リレーは、大会に先立ち開催機運を盛り上げる取り組みでございます。
 他方で、聖火リレーを安全に実施するためには、新型コロナウイルスの感染予防策に万全を期す必要がございます。新型コロナウイルス感染症対策調整会議の中間整理では、沿道における混雑やセレブレーション会場内における密集を避けるための諸対策など、具体的な対策の方向性を示したところでございます。
 現在、組織委員会では、聖火リレーの具体的な感染予防策を検討しているところでございまして、都は、その感染予防策の方向性に沿って対策を実施してまいります。

○白戸委員 ある新聞記者が、本来、支え、背中を押してくれる声援が飛沫だと比喩され、仲間と肩を組むことを密だと悪者扱いされてしまう苦しい世の中と表現されておりました。まさにそのとおりで、スポーツ本来の魅力がうまく伝えることができない状況でもあります。
 聖火リレーにおいては、沿道に観客を集めることも推奨できない。応援の観客に声援を控えていただく必要があると、現場での盛り上がりが非常に厳しい状況となります。このままでは、人がいても静かな沿道でランナーが粛々と進んでいくということになり、ランナーも、そして沿道の皆さんも盛り上がりを感じることができぬまま終わってしまう懸念があります。
 これでは、聖火ランナーの本来の目的である大会への期待や盛り上げが欠けるものとなり、その効果が薄いものとなってしまう可能性があります。
 このような、聖火ランナーの走行中、沿道の観客には声援を控えてもらう必要がありますが、沿道から声援がない中で、聖火ランナーを応援し、盛り上げる取り組みを検討すべきだと考えますが、見解を伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局聖火リレー担当部長 各区市町村では、ルート沿道において聖火ランナーを盛り上げるための取り組みを検討してまいりましたが、調整会議の中間整理において、ランナーや観覧客、運営スタッフ等の感染対策を徹底することとなりました。
 都としては、今後、組織委員会が作成する聖火リレーの感染予防策を踏まえつつ、全国の取り組みも参考にしながら、ランナーの方々の満足とともに、開催機運の盛り上げにつながるよう、具体的な対策を区市町村とともに検討してまいります。

○白戸委員 ほかのスポーツの事例を参考にするならば、その場で沿道の方が声を出さずとも盛り上げる方法は幾つか考えられると思います。例えば、聖火ランナーの後ろを走る車から音楽やMCを入れて、そのランナーを紹介しながら走るだけでも、雰囲気は大きく変わるのではないでしょうか。
 コロナ禍では、既存路線の踏襲ではなく、新しい発想が求められるので、この聖火リレーにおいても新しい発想で新しい聖火リレーを行い、東京中、そして日本中にオリンピックムーブメントを広げていただきたいと思います。
 そのためには、より多くの人に見てもらうということも大変重要です。ただ、このコロナ禍で集客を促すようなアクションはとれないため、ライブ配信などを通じて、多くの人に触れてもらう機会を創出することが重要です。さらに、その配信をどれだけ多くの人に見てもらえるのか、そんな仕掛けも大切であると考えます。
 より多くの人々が聖火リレーの模様を見ることができる工夫や取り組みを検討すべきだと考えますが、見解をお願いします。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局聖火リレー担当部長 コロナ禍の中にあっても、聖火リレーの機運を盛り上げるためには、沿道以外の場所でも見ることができる取り組みが重要でございます。
 延期の前には、沿道での観覧以外に聖火リレーの模様を見ることができるよう、走行する聖火ランナーの映像はインターネットで生中継される予定となっておりまして、延期後も実施できるよう、組織委員会において調整していると聞いております。
 来年の聖火リレー実施に向けて、より多くの方々に都内のリレーの模様やルート沿道の見どころなどを発信して盛り上がりにつながるよう、組織委員会や放送事業者と連携して検討してまいります。

○白戸委員 ぜひさまざまな手法を用いて聖火リレーを盛り上げて、多くの方々に見ていただける機会をつくってください。それこそが機運醸成だと思います。
 現在、第三波ともいえる感染拡大で世界中が疲弊しております。冒頭に申し上げたとおり、この後だからこそ、オリンピック・パラリンピックを開く意味があります。
 しかし、それには安全はもちろんのこと、安心がなければなりません。さらに、その安心のためには納得も必要です。つまり、都民を感染症から守り、その上で開催方法に納得していただき、安心して開催を迎え入れていただく、このような環境づくりが必要になってきます。
 今後、さまざまな機会を捉え、安全に対する取り組み、大会に対する取り組みを丁寧に説明し、その上で大会の機運を盛り上げ、都民、国民の希望となる大会開催を東京都として目指していただくことを強く要望し、我々もその実現に向けて全力を尽くすことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。

○川松委員 まず初めに、私からは、聖火リレーについて伺います。
 オリンピックの聖火リレーのスタートまであと九十二日と迫りました。振り返ると、ことしの三月十二日に、古代オリンピック発祥の地、オリンピア市のヘラ神殿で採火された聖火は、三月十九日にアテネでの引き継ぎ式を経て、ギリシャ・オリンピック委員会から東京二〇二〇組織委員会へと引き継がれました。その後、聖火特別輸送機、TOKYO二〇二〇号で空輸され、三月二十日に宮城県の航空自衛隊松島基地に到着したのであります。
 現在、全国展示を行っておりますが、聖火は既に日本に到着している状態でして、三月二十五日の福島県からのスタートを今か今かと待っているわけであります。
 さきの委員会での報告によりますと、オリンピックの聖火リレー、パラリンピックの聖火リレーは、双方とも日程は一日前倒しにはなるものの、都内は当初の予定どおり区市町村を通過し、セレブレーション会場にも変更がないということで、一安心したところであります。
 聖火リレーは、大会の開会式へとつながる最後の盛り上がりの機会であります。また、多くの都民、国民の皆様が大会を身近に感じ、大会に向けた一体感を感じる重要な機会でもあります。
 そのため、聖火リレーのランナー自体は限られていますが、我が会派、都議会自民党では、聖火ランナーを希望する方ができるだけリレーに参加できるような提案を行い、グループランナーやサポートランナーといった取り組みにつながってきたわけでございます。
 そこでまず、グループランナーやサポートランナーについて検討されていたことではありますけれども、この点について、延期に伴って取り扱いがどうなったのか伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局聖火リレー担当部長 延期後の新たな聖火リレーにつきましては、日数や実施区市町村、ルート等は原則同じでございまして、また、聖火ランナーも、延期前に決定した方が優先して走行していただくこととされております。
 グループランナーは、スポーツチームなどが十名以内のグループで一本のトーチを回し持って走行する聖火ランナーでございまして、この方々につきましても優先して走行していただく予定でございます。
 また、サポートランナーにつきましては、セレモニー会場等で地域の方々が聖火ランナーの後方を走行することで、地域から聖火リレーを盛り上げる取り組みでございまして、延期前と同様に実施する予定でございます。

○川松委員 ただいまの部長の答弁で、グループランナー、そしてサポートランナーともに延期前と同様に実施するんだということが確認できました。
 また、聖火リレーに参画するという意味におきましては、聖火リレーのボランティアも同じであり、かねてから我が会派は、聖火リレーボランティアの活用を求めてきたわけであります。
 しかし、先日、都がシティキャスト、つまり都市ボランティアを対象にしたアンケートによると、八割の方が新型コロナの状況を心配しておりまして、七五%の方が安全・安心に活動できる環境の整備を求めているということでありました。
 聖火リレーのボランティアを希望されている方も、都市ボランティアと同じようにコロナに不安を感じているのではないかと思いますけれども、都として、聖火リレーのボランティアに安心して参加していただくため、どのような対策を講じる予定なのか、考えを教えてください。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局聖火リレー担当部長 新型コロナウイルス感染症対策調整会議の中間整理では、聖火リレーにおける感染症対策につきまして、ボランティアに参加する方々も含めまして、マスク着用や体調管理の徹底など、具体的な対策の方向性を示したところでございます。
 現在、組織委員会が具体的な感染予防策を検討しておりまして、都は、その結果を踏まえて、シティキャストの取り組みも参考に、区市町村と連携して対策を適切に実施してまいります。
 聖火リレーのボランティアにつきましては、ことし二月から一部区市町村で募集を開始したところでございますが、聖火リレーの延期により中断し、年明けから改めて募集を開始する予定でございます。
 都は、ボランティアに安心して応募いただき、活動にも参加いただけるよう、区市町村と連携して、募集時の案内や事前研修において感染予防策を丁寧に説明してまいります。

○川松委員 今ご答弁がありましたように、聖火リレーのボランティアにつきましても安全対策を講じつつ、来年から募集を再開されるということでございます。
 聖火リレーは、大会に向けて都民、国民の皆様が一つとなる大切な機会です。新型コロナウイルスの影響で少なからず見直し等が必要な部分はあると思いますけれども、聖火リレーに参加したいという願いを一人でも多くかなえられるよう、引き続き取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
 次に、ライブサイトに参ります。
 ライブサイトの実施についてですが、このライブサイトというのは、そもそも論、チケットを持っていない方であっても、気軽に訪れ、そして東京や日本の文化に触れることのできる魅力発信の場所として、私たちはこの整備を皆様に強く要望してきたわけであります。
 そのため、試合観戦だけでなくて、さまざまな催し物やイベントを展開し、世界からより多くの方に訪れていただくということ自体が、このライブサイト設置の目的の一つだったと思います。
 しかし、今回の報告にあるように、新型コロナウイルスの影響によりまして計画の見直しを検討されており、その中で、来場者数の想定についても精査を行っているということであります。
 この点についてお聞きしますけれども、どのような精査、検討を行っているのか教えていただきたいと思います。

○丸山オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長 当初計画で設定したライブサイト等の来場者想定については、会場の有効面積や実施内容、立地特性等の要素を踏まえて、一日当たりの人数を設定いたしました。
 しかしながら、コロナ感染症の状況を踏まえ、競技観戦の座席数や競技体験の参加者数等、会場内の各エリアについて、国や組織委員会等のガイドラインに即して、フィジカルディスタンスを確保しながら、来場者が安全に楽しんでいただける規模を精査し、入場設定人数を設けることを検討しております。その上で、各会場の来場者想定を設定いたします。
 今後、国等のガイドラインの動向や大会の観客数の検討等も参考にし、事前申込制や円滑な入退場などについても検討を進め、来春を目途に取りまとめる東京二〇二〇ライブサイト等実施計画に適切に反映してまいります。

○川松委員 ありがとうございます。魅力的なライブサイトの運営と安全対策の両立を図れるよう、ぜひここは力強く検討していただきたいと思います。
 また、この報告では、各会場の今後の計画の方向性について記載されておりますが、オリンピックプロムナード、こちらについては具体的な記載がございません。この会場は臨海部の各競技会場に近い上、聖火台の設置も予定されており、話題性の高い会場の一つなわけですね。
 組織委員会が中心となって展開するオリンピックプロムナード会場について、大会期間中は訪れる人々が錯綜することが予想されますが、感染症対策も含めたこちらの検討状況を伺います。

○上野オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長 オリンピックプロムナードは、複数の競技会場が集積する大会の象徴的なエリアであり、観客に加え、聖火台やパートナーショーケーシングエリアなどを訪れる方も多数見込まれます。このため、簡素化に向けた取り組みとあわせ、適切に感染症対策を実施していくことが重要でございます。
 具体的には、人の流れを適切に管理するための誘導方法や、来訪者への注意喚起の方法、場面に応じた適切な感染防止対策などにつきまして、効果的な対策を講じていく必要があり、現在、関係する組織委員会、都及びパートナー企業等が参加する連絡協議会などにおきまして検討を進めております。
 大会期間中は、オリンピックプロムナード一帯を通して、訪れる人々が滞留なくスムーズに歩行ができ、安全で安心して大会を楽しめるよう、組織委員会など関係者と連携し、万全な体制のもと、感染対策にしっかりと取り組んでまいります。

○川松委員 ありがとうございます。現状の皆様方の考えというのはわかりましたけれども、このオリンピックプロムナードは、物理的に閉鎖をして入場者数をコントロールできるほかの会場とは構造が異なるわけですよね。夢の大橋を中心とした自由通路上での開催となります。
 周辺には、お台場海浜公園、潮風公園、青海アーバンスポーツパーク初め有明テニスの森、有明アーバンスポーツパーク、有明体操競技場、有明アリーナといった競技会場や聖火台、パートナーショーケーシングエリアが密集していて、これまでの過去大会で示せば、いわゆるオリンピックパークのような場所なわけですよ。
 競技観戦の前後に、こちらに多くの観客が訪れることは容易に予想できるわけですが、閉鎖できるほかの会場以上に、実は、密になるとか、皆さん方が注意しなきゃいけないという意味では、感染症対策は重要になるんじゃないかなということで今お聞きしたわけです。
 案内誘導について検討されるということでありますけれども、訪れた人々が滞留なくスムーズに移動できるように、組織委員会任せにするだけでなくて、都としても、皆さんの局としても、一体となって万全の感染症対策をとっていただきたいということを要望しておきます。
 さて、調整会議中間整理の関係について幾つかお聞きしますが、東京二〇二〇大会は新型コロナウイルスというこれまでにない大きな課題に直面しています。コロナの影響によって史上初の延期となった大会を成功に導くためには、何よりも優先してコロナ対策を徹底し、安全・安心な環境を確保しなければなりません。
 さきの第三回定例会で我が会派が指摘いたしましたが、コロナ対策の検討に当たっては、専門的、科学的な議論が重要です。コロナウイルスは未知のウイルスであり、アスリートや関係者、観客に安心して対策に応じていただくためには、専門家による裏づけ、科学的な根拠が必要になろうかと思います。
 調整会議においてどのように専門的、科学的な意見が反映されてきたのか、その様子を伺います。

○菅原オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 調整会議では、国、東京都、組織委員会が提示した論点案に対し、感染症の専門家からのご意見等もいただきながら議論を行ってまいりました。
 具体的には、地域における保健医療の確保や感染症対策におけるリスク管理などの観点から、専門的な意見やアドバイスをいただきました。それらを踏まえまして、大会の円滑な運営と地域の安全の両立を図る視点や、対象ごと、場面ごとに漏れのない対策を講じる視点などから検討を行い、中間整理を取りまとめたところでございます。
 今後とも、専門家の科学的知見をいただきながら、国、組織委員会等の関係者とともに検討を進めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。専門家の意見も踏まえてまとめられたということであります。大会における新型コロナウイルス対策は、オリンピックに限らずさまざまな面での新たなモデルとなり、大会後のインバウンド需要の回復につながるレガシーになるのではないかなと考えています。
 今、オリンピック開催に向けてこの委員会でも議論をしておりますが、いろんなアンケート、民間のマスコミだったり調査会社がオリンピック開催に向けてアンケートをとったときに、本当に開催できるんだろうか、開催していいんだろうかと心配している中の一番が、まさにこのコロナ対策をどうしていくのか。本当にオリンピックをやってこれ以上感染が拡大しないのかというのが、世の中の、都民の皆さん、国民の皆さんが一番心配されているところでありますので、ここをもっと力を入れて、私がいわなくても当然だと思いますけれども、世界の皆さん方にアピールできる、世界の皆さん方にしっかりと信用していただく、そして日本の皆さんが安心できるようなコロナ対策をしっかりと東京から打ち出していく。
 そして、それが世界基準、グローバルスタンダードのモデルになっていくんだというような思いで、ここは科学的な知見を踏まえて、引き続き力強く検討を進めていただきたいということを要望しておきます。
 今回の中間整理は、新型コロナウイルス対策に関する大きな方向性、枠組みが示されました。まずは九月の会議設置から三カ月という短期間で対策を取りまとめたわけですけれども、この関係者の大会成功に向けた熱意というのは高く評価されるべきだと考えます。
 しかし、これで終わりではありません。具体的な対策についてさらに検討を深めなければならない事項もございます。また、選手、大会関係者、観客という対象ごとの対策に加えて、聖火リレー、ライブサイト、事前キャンプなど、場面ごとの対策についてもクロスさせながら、具体的な策を詰めていく必要があるわけです。
 その一方で、大会まで残された時間はわずか七カ月しかありません。福島県Jヴィレッジのオリンピック聖火リレーのスタートまではもう三カ月なんですね。残された期間を有効に活用してコロナ対策を進めるためには、スケジュールの明確化と進行管理がなお一層重要になってきたと思います。具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。

○菅原オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回の中間整理により、アスリート、大会関係者、観客について、入国、輸送、会場等の場面ごと、また、聖火リレー、ライブサイトなどにつきましても対策が整理されますとともに、国、東京都、組織委員会等の各主体の役割と工程表についても明確化がされました。
 今後は、工程表に沿って各主体が緊密に連携しながら、実務ベースでの対策の具体化を図ってまいります。また、各項目の進捗状況や課題のフォローアップについて、調整会議を随時開催し、確認してまいります。
 今後とも、関係者と一体となって、安全・安心な大会の開催に向け取り組んでまいります。

○川松委員 我々自民党は、これまでも大会準備に当たっては、先の見通しとなるロードマップや工程表の提示、その着実な実施が重要であるということを、これは本会議でも指摘をしてきました。
 コロナ対策については進捗管理が要となります。残された時間を最大限活用し、対策の実効性を高めていただきたいということもあわせて要望いたします。
 大会の成功のためには、まず大会の主役であるアスリートなどの対策を徹底する必要がございます。中間整理によると、アスリートに対しては、組織委員会のメーンオペレーションセンターの中に感染症対策センターを設置し、感染症対策を一元的に推進するとされています。
 しかし、その際、留意しなければならないのは、地域の保健機能への影響です。選手への対応のために、万が一、地域や周辺住民にしわ寄せが来ることになれば、大会への都民理解に影響が出かねないという状況になります。
 こういったことも含めて、今、皆さん方には丁寧に、広く説明をする場面に差しかかっているんだろうと思いますけれども、そのために我が会派では、例えば第三回定例会の閉会日に、小池知事に対して、大会期間中、外国人選手等の健康管理や感染防止対策を一元的に行う専用の保健所機能を設置、強化するよう要望を行ったわけでありますけれども、中間整理ではどのように対応することとなっているのか伺います。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 アスリート等に感染症が発生した場合には、大会運営に対する影響への対応に加えまして、選手村などアスリート等の滞在が集中する地域の保健医療機能の維持が重要でございます。
 そのため、中間整理におきましては、組織委員会や各国オリンピック委員会、パラリンピック委員会等との協力のもとで、アスリート等の発症時の入院医療機関の選定や、疫学調査などの行政上の対応を行う保健衛生の拠点機能の構築を検討することとしてございます。
 大会に係る感染症対策を一元的に推進する、仮称でございますが、組織委員会感染症対策センターや、選手村総合診療所、保健所、医療機関等とも緊密に連携して対応するとともに、円滑な大会運営と大会中の地域の保健医療体制の両立に資するよう、引き続き、具体的な機能や体制等について検討してまいります。

○川松委員 感染症対策センターと選手村に設置される総合診療所、そして、この保健衛生の機能拠点の三つが連携して、三位一体となって機能することで、アスリートへの対策が完成するというふうに私は理解しています。
 地域住民の皆様、そして広く都民の皆様のご理解を得ながら対策を進めていかなければなりませんから、このあたりも逐一細かいことを発表できる状態になったら、皆さん方に広く伝えて、そして理解を得ながら、都民の皆様と一緒にこの準備を進めていくということを重ねて要望いたします。
 アスリートも当然なんですが、観客の皆様も、それぞれ文化、社会が異なり、非常に多様なわけです。さまざまな文化的背景を持つ観客の皆様に対してコロナ対策に協力していただくためには、案内をわかりやすく行うこと、そして、それを的確に早くから周知することが重要だと考えます。
 以前、この委員会で輸送対策を取り扱った際に、チケットホルダーに対しては、最寄りの駅とラストマイルを適切に案内する方法について質疑をいたしました。コロナ対策についても、輸送と同じくチケットホルダーに対して、的確に東京側、日本側、大会側のメッセージが届くようにすべきと考えますが、見解を伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長 中間整理では、今後、観客向けのガイドラインを策定し、体調が悪い場合の来場自粛、人混みにおけるマスク着用、体調が悪くなった際の対応方法などを盛り込むこととしており、これらの感染防止策を遵守していただくよう、会場への来場前からチケット購入者に的確にお知らせすることは重要でございます。
 そのため、組織委員会は、チケット購入者に対し、その主な内容をホームページ、メール、新聞広告、また、対策例を図示したパネル等を活用し、効果的かつわかりやすく周知を行う方法について検討しております。
 また、都もラストマイルにおけるルール、マナーを作成し、シティキャストによる現地での案内に加えまして、ホームページ、SNS等を活用した事前周知を行うなど、組織委員会と連携し、チケット購入者に必要な情報が的確に提供されるよう取り組みを進めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。専門的、科学的な検討を踏まえた対策であっても、これを広く東京の各会場に集まる皆様方に守っていただかなければ成立しないわけです。
 中間整理では、観客数の上限や外国からの観客について方向性が示されるとともに、来春の決定に向けて検討を進めるということとなっています。それと並行して、周知の方法についても、実効性の高いものになるように検討を深めていただきたいと考えております。
 さて、先日、十八日に東京国際フォーラムで行われましたシンポジウムで、JOCの山下会長、JPC河合委員長も参加されて、オリンピック・パラリンピックともにアスリートの方々がいかに大会を待ち望んでいるのか、そして、大会開催に向けて取り組まれている多くの方々にどれだけ感謝しているのかということがメッセージとして我々に出されたわけですね。
 大会の主役は、いうまでもなくアスリートの皆様です。大会出場に至るまでの軌跡、限界に挑戦する姿、勝敗の先に互いの健闘をたたえ合う精神、支えてくれた方々への謝意、そういったアスリートの皆様たちの熱意とひたむきな姿勢に私たちは感動と勇気をもらい、それをあすへの希望の糧とするものであります。
 今、改めてアスリートの皆様や関係者と向き合い、大会への実直な思いを受けとめていくことが必要なのではないでしょうか。その旨、しっかりと私たちも含めて共有し、そして、そのアスリートの皆さんの思いに応えられるように、なお一層努力をしていくということを皆様にお願いをさせていただきます。
 まとめになりますけれども、今回の中間整理は、コロナという大会の最大の課題に立ち向かうための起点です。あくまで起点となるものです。
 答弁にございましたように、工程表を見ますと、国、都、組織委員会の取り組みが三色で示されているわけですね。これを見るとわかりますが、三者で一体となって取り組まなければ、新型コロナウイルス対策を完遂することはできないと。
 きのう、これらコロナ対策に係る追加経費も含めた大会経費V5が公表されました。大会の延期決定後もさまざまな困難がありましたが、何としても大会を成功させたいという共通の目標、思いのもと、互いに協力し合い、大会予算等の分担を示すということに至ったことについて、局長初め本日お集まりの理事者の皆様方の努力を改めて表したいというふうに考えます。
 これまでの削減の努力や追加経費の分担も含め、大会経費V5として集計されたことで、これを新たな出発点として、改めて、国、組織委員会、そして、ここにおられる皆様方、東京都が一体となって、大会準備に集中できるということになったわけです。
 東京大会は、新型コロナウイルスの閉塞感、経済状況を打破する起爆剤だと私は考えています。都民の皆様、国民の皆様の生活と将来のことを真に考えるならば、感染拡大防止とあわせて、戦略的な成長力の底上げにも取り組んでいかなければならないというのはいうまでもございません。
 新型コロナウイルスとの闘いというトンネルの先で、日本経済が世界に伍してしっかりと回復できるよう、東京、日本が一体となってワンチームで大会を成功に導き、この目の前に迫ったオリンピックがオリンピックの歴史に残る大会となるよう、皆様方に努力していただきたい、そういうことをお願いして、私の質問を終わりにします。

○栗林委員 都議会公明党は、先日の第四回定例会での代表質問において、延期に伴う大会経費については、これまで以上に厳しい審査、チェックを行う仕組みをつくり、真に必要な執行であることを明らかにすることへの対応を求めました。
 知事からは、経費の執行に当たっては、共同実施事業管理委員会のもとに、新型コロナウイルス感染症対策に関する新たな体制を整えて、確認や精査を行うとの答弁がありました。
 国民、都民の理解が得られるよう、組織委員会や国と連携し、大会経費の適切な執行に取り組んでいただくことを重ねて、初めに要望させていただきます。
 それでは、今回提出されました報告事項について何点か質問させていただきます。
 大会の感染症対策について伺います。
 初めに、シティキャストと障害のあるボランティアの感染症対策について伺います。
 東京二〇二〇大会は、アスリートやボランティア、そして被災地を初め、観戦を待ち望んでいる全ての方々にとって安全・安心な大会となるよう全力で取り組み、大会を成功させなければなりません。
 そのために万全を期していくことは新型コロナウイルス感染症対策であり、中でも、大会運営に対して多くの都民が参加するボランティアへの対応は重要課題の一つであります。
 先ほど川松委員も触れていらっしゃいましたけれども、この夏、都がシティキャストに行ったアンケートによると、回答した方の八割の方が感染症に対して不安を感じているという回答がありました。ボランティアの不安を解消して、安心して参加していただけるよう、万全の対策が求められます。
 また、障害のあるボランティア参加者は、より一層配慮しなければなりません。障害等により対策をとりにくい場面が生じないようにする必要があります。
 そこで、シティキャストが研修に参加し大会で活動する際の新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 また、対策を行う中で、障害のあるボランティアの方には、障害に応じた細やかなサポートを行うことも重要と考えますが、あわせて見解を伺います。

○小高オリンピック・パラリンピック準備局ボランティア担当部長 都は、シティキャストの方々に安心して活動いただけるよう、コロナ対策の調整会議の中間整理を踏まえ、ボランティアの感染予防マニュアルの作成を進めております。
 具体的な内容としましては、オンライン研修の活用、研修会場等における換気や消毒液の設置のほか、ボランティア活動時のマスク着用や観客との距離の確保、手指消毒や手洗いの徹底等を想定しております。
 とりわけ障害のあるボランティアの方々に向けては、活動中に手洗いをしやすい場所への配置や、使いやすい場所への消毒液の設置等を行います。また、手話を使う際には、観客と距離をとった場所で表情が見えるような工夫をするなど、障害特性に応じたきめ細かい対応を行えるよう検討を進めております。
 今後とも、専門家の意見も踏まえ、障害のある方も安心して活動いただけるよう取り組んでまいります。

○栗林委員 これまで我が党は、障害のあるなしにかかわらず、誰もがボランティアとして大会に参加できるよう、活躍できるよう、配慮について主張させていただいてきたところであります。
 ただいまご答弁にありましたように、その取り組みの具体化を進めていただいて、障害のある方も安心して、自信を持ってボランティア参加していただけるよう、万全の対策を求めます。
 次に、パラアスリートの感染防止対策について伺います。
 都議会公明党は、パラリンピックの成功なくしてオリンピックの成功はないと、招致決定以降、パラリンピックの成功に向け、取り組みを多面的に展開していくことを求めてまいりました。
 都はこれまで、パラリンピック競技の認知度の向上や、また機運醸成のため、東京ゆかりの選手の発掘など取り組んできたことは大変評価をさせていただくところでございます。
 そして、こうした東京ゆかりのパラアスリートたちが、この東京を舞台に活躍する姿を楽しみにしていたところだったと思いますが、しかし、パラアスリートたちは、一年延期という大変な状況の中、このことをポジティブに捉えて、来年に向けて懸命に練習を重ねていると聞いております。
 こうした努力に応えるためにも、十分な感染症対策を実施して安全に大会を成功させることが重要でございます。コロナに打ちかって大会を成功させるため、パラアスリートに対して、大会時の感染症対策について伺います。

○越オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 パラアスリートにつきましては、感染防止行動を一人では完結することができず、さまざまなスタッフによる支援を必要とする場合があることから、感染防止策を適切に実施していくことが重要でございます。
 このため、調整会議では、パラアスリートへの対策について議論を重ね、中間整理において、パラアスリート等の感染防止策として取りまとめたところでございます。
 現在、組織委員会は、選手団のスタッフなどが感染防止行動を適切に支援する際のガイドラインの策定を進めるとともに、基礎疾患を抱える一部のアスリートには重症化リスクがあるとの指摘も考慮し、各国選手団内の衛生管理責任者等との間での適切な情報共有、連携の仕組みを構築していくこととしております。
 都としても、パラアスリートが安心して大会に参加できるよう、国とともにこうした取り組みに協力連携し、安全・安心な大会の実現に向けて取り組んでまいります。

○栗林委員 安心して全力でこの大会に発揮できるよう取り組みをお願いしたいと思います。
 続きまして、ライブサイトについて伺います。
 都議会公明党はこれまでも、被災地の復興なくして東京大会の成功はないと、東京大会は復興五輪であると申し上げ、被災地の支援も含めて取り組みを求めてまいりました。
 先ほどお話にも出てまいりましたけれども、三月二十五日に予定されている聖火リレーも、福島のJヴィレッジからのスタートとなります。三・一一直後、福島第一原発から二十キロメートル圏内にあることから、避難指示区域、その後、警戒区域になったため、Jヴィレッジの広大なグラウンドの施設などは、原発事故に関する現地調整所や中継基地として使われておりました。
 その後、立ち入りが解除されてから私たちも視察に伺いました。そのときは、グラウンドじゅうにプレハブ住宅が並び、それはさまざまな作業をするための、作業の用途に使うお部屋等々、建物でございましたけれども、グラウンド上に建てられていました。その光景を見たときに、復興への道のりはまだまだ先のように正直感じました。
 しかし、そのとき地元の人たちからは、二〇二〇年東京大会のときに合わせ、再びサッカーの殿堂Jヴィレッジを再開する、そういう思いがあふれていたことを今も忘れることはできません。そして、それが実現となります。その姿を通して、世界中に復興に向けての感謝のメッセージになることは間違いありません。
 また、被災地では、ライブサイトも開催されることになっています。岩手県で二会場、宮城県で一会場、福島県で二会場、そして熊本県一会場と予定をされています。
 今回のライブサイトの報告資料では、被災地での東京二〇二〇ライブサイトについては、各県との協議の上、適切な感染症対策を行った上で当初計画を基本的に実施とあります。
 復興五輪の観点から被災地でのライブサイトを実施することは大変重要と考えますが、しかし、各県の要望、希望をよく聞きながら丁寧に進めていくことも重要と考えます。
 そこで、都がこれまで進めてきた検討状況を伺います。

○丸山オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長 被災地におけるライブサイトの実施については、これまで各県と意見交換しながら計画を策定してきており、今般の会場の再検証に当たっても、各県の意向を伺いながら検討を進めてまいりました。
 その結果、適切な感染症対策を講じた上でライブサイトを実施し、観戦機会を通じて大会を楽しんでいただくことで一致し、当初計画どおりの会場において、オリンピック四日間、パラリンピック二日間と予定どおりの期間で開催することといたしました。
 今後は、実施コンテンツ、感染症対策等具体的な内容について各県としっかり協議、調整を重ね、来春を目途に策定する東京二〇二〇ライブサイト等実施計画に反映してまいります。
 スポーツの力で被災地の皆様に元気をお届けし、安全・安心に大会を楽しんでいただけるよう、引き続き各県の協力を得ながら取り組んでまいります。

○栗林委員 より連携を密に取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、テストイベントについて伺います。
 報告資料第4号の東京二〇二〇大会の延期に伴うテストイベントについてによりますと、テストイベントは、東京二〇二〇大会の成功に向けて、主に競技運営及び大会運営の能力を高めることを目的として行うものであるとなっています。
 大会を円滑に運営し、成功に導くためには、各競技種別、そして各競技会場においてしっかりとしたテストを実施して、組織委員会、IF、NF及び東京都が連携を確認しておくことが必要であります。
 テストイベントにおいて、組織委員会等の各ステークホルダーはどのような目的を持ってテストを行うのか伺います。

○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 組織委員会は、各テストイベントにおいて、新型コロナウイルス対策を着実に実施するとともに、競技フィールドでの実技を通じた進行の確認、時計やリザルトシステムなどの計測機器の使用、運営スタッフの習熟訓練などを中心に実施いたします。
 また、観客を入れて実施する幾つかのテストイベントでは、新型コロナウイルス対策を含めた観客への対応など、会場運営の総合的なテストを実施する予定であります。
 IF、NFは、大会を円滑に運営し、審判員と運営スタッフとの連携など、今後の競技大会の開催に資するノウハウを蓄積、向上させるとともに、IF、NFがみずから定めるガイドラインに準じた新型コロナウイルス対策のテストを実施いたします。
 都は、テストイベントの機会に合わせ、組織委員会と連携して新型コロナウイルス対策を含めたラストマイル運営の具体的な検証を行うこととしております。
 テストイベントを通じて三者が連携することで、それぞれの役割を確認し、円滑な大会運営と安全・安心な大会の実現に取り組んでまいります。

○栗林委員 日々状況が変化する中、さまざまなシミュレーションをもとに、これから対策を立てていく必要も出てくると思います。
 テストイベントは、さらに万全に向けたリハーサルともいえると思いますので、安全・安心の大会に向け、課題をまた見つけ、そしてしっかりと対応を詰めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後に、ホストタウン、事前キャンプ地における対応について伺います。
 先日配布いただきました中間整理のまとめの三三ページから、ホストタウン、事前キャンプ地における対応というところが載っております。
 三四ページには、内閣官房オリパラ事務局から、ホストタウンの自治体向けに配られているマニュアル作成の手引というものが載っております。これを確認すると、今後、別途定めるという記載が多くございまして、受け入れ先となっている自治体からは不安の声も寄せられているところでございます。
 事前キャンプ受け入れ自治体は、この手引をもとに受け入れマニュアルを作成することになるわけでございますが、事前キャンプは滞在期間や人数などが国によって異なることから、私の地元世田谷区ではアメリカからの受け入れとなっております。
 作成に当たり、支援が必要な自治体も出てくるのではないかと思います。そのような自治体に対して、都は支援をしっかり行うべきと考えますけれども、対応を伺います。

○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 事前キャンプの実施に当たりましては、選手と住民双方の安全・安心を確保するため、新型コロナウイルス感染症対策を取りまとめた受け入れマニュアルを作成し、万全な対策を講じることが重要でございます。
 このため、国は、今、委員お話のありましたとおり、十一月に受け入れ自治体がマニュアル作成の参考にできるよう、基本的事項、移動や宿泊など場面ごとの感染防止対策を定めた手引を示したところでありまして、マニュアルについては、自治体が相手国と合意を図ることとなっております。
 都におきましては、受け入れ自治体に対して、マニュアル作成や選手等受け入れ準備への助言などを行うとともに、キャンプを実施する国によっては、宿泊地と練習場所が異なるなど複数の自治体にまたがるものもありますため、各自治体の状況を把握し、相互に連携できるよう、適宜情報提供してまいります。
 引き続き、国や組織委員会など関係者と協力し、感染症対策を講じながら安全・安心な事前キャンプが実施できるよう、各自治体の取り組みをしっかり支援してまいります。

○栗林委員 ただいましっかり支援をしていくというご答弁をいただきました。お願いしたいと思います。
 手引はこれだよ、あとはマニュアルをつくってねでは、これは本当に厳しい話でございますので、また、予算を組む必要があるのかとか、さまざまな受け入れ自治体では今から不安を抱えているところも若干あるかと思います。
 例えば、詳細は今後出てきますということにはなっていますけれども、練習パートナーの感染防止対策はどうするかとか、競技特有の感染症対策はどうするかとか、滞在中の選手等の検査方法、頻度、検査対象となる選手と一定の接触が見込まれるホストタウン側の関係者の範囲とか、また、新型コロナウイルス感染症対策調整会議との情報共有及び連絡調整の体制、こういったことも大変重要になってくるかと思いますので、今ご答弁いただきましたように、しっかり、ホストタウン、事前キャンプ地受け入れ自治体に対しての東京都の力が大変頼りになり、また心強いと思いますので、対応をよろしくお願いしたいと思います。
 まずは安全が大前提でございます。開催都市として、組織委員会、また国と連携を密にしながら、しっかり安全が大前提で、安心の大会が開催できますよう取り組みをお願いいたしまして、質疑を終わります。

○池川委員 国内外で新型コロナの感染が拡大しています。知事は記者会見で、年末年始コロナ特別警報だと強調をし、都民や事業者等に対してさまざまな協力を呼びかけました。感染症対策の基本を押さえ、検査、保護、追跡を一体的に行うことが必要です。
 イギリスでは、感染力の高い新型コロナウイルスの変異種が急増していると報道もされています。新型コロナパンデミックへの対応は現在進行形であり、東京オリ・パラ大会が行われる来年の夏にどういう状況になっているかは、予断を持っていうことはできません。
 日本共産党都議団は、何よりも命と安全を最優先に、開催できない事態も想定に入れた対応と、開催自体の可否を誰が、何を基準に、いつまでに判断するのかを明確にすること、そして、その判断の基準や時期は感染症の専門家やアスリートの意見を踏まえたものにすることが必要だと強調してきました。
 安全を確保するためには、あらゆる選択肢を考えて対応することが必要であるにもかかわらず、知事も、総理も、また、IOCのバッハ会長も極めて前のめりだと思います。
 知事は、第四回定例会の所信表明でコロナに打ちかつと強調し、総理も、バッハ会長も同趣旨の発言を行っています。時の為政者が打ちかつといえば、最終的に打ちかったことになってしまうのではないかという懸念の声も寄せられています。
 そこでまず、新型コロナのもと、来年夏の大会を開催するに当たり、コロナに打ちかつとはどういう意味なのか、どういう状況になることが打ちかったということになるのかについて伺います。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 安全・安心な大会に向けまして、中間整理を踏まえ、必要な対策を着実に進めてまいります。

○池川委員 さっぱりわからないわけです。コロナに打ちかつという言葉が先行し、その基準も曖昧なままに、大会に向けて多角的な判断をすることなしに突き進むということは、命と安全に責任を持った態度とはいえないというふうに思います。
 感染症の専門家である神戸大学の岩田健太郎医師は、二〇二〇東京五輪にはできない基準が設定されていないから不安なんです、事態がここまで来たら絶対できませんという、それさえつくらないというのが一番無責任なやり方ですと警鐘を鳴らしています。これは大変重要な指摘だと思います。
 なぜ、事態がここまで来たらできないというような基準をつくらないのでしょうか。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 中間整理におきまして、大会時における新型コロナウイルス感染症対策につきまして、整理をいたしました。
 こうした整理した対策につきまして、工程表に沿って、国、組織委員会と必要な対策の具体化を図ってまいります。

○池川委員 今の基準というのは、ここまで、こういう事態になったらできるできないという判断ではなくて、どうやるかという話で、感染症の状況を踏まえて、どういう基準をもって対応するかという話はされていないんですよね。
 私は、感染症がどうなろうと、決めたことだからということで突っ走ってはいけないというふうに思います。あらゆる可能性を想定し、状況に応じて対応していく、そのための基準をつくっておくことは当然だと思います。それを示さず安全に大会をやることができるということはいえないと考えます。
 NHKが今月中旬に行った世論調査では、来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催についてどう思うかと聞いたところ、開催すべきが二七%、中止すべきが三二%、さらに延期すべきが三一%で、中止すべきが開催すべきを上回っています。
 十月に同じ質問をした際には、開催すべきが四〇%、中止すべきが二三%、さらに延期すべきが二五%で、その当時は開催すべきの方が多かったわけです。これは、今の感染状況を踏まえた率直な意思表示であり、コロナ対策について、また、今政府がゴー・ツー・キャンペーンの中止、これ一つ決めることにさまざまな、いろいろなハードルを設けて、その中止を引き延ばしてきたことや、この間、自衛などを呼びかけている知事の姿勢にも、多くの都民や国民が、これなら大丈夫だと思えないということのあらわれではないかと思います。やはり科学的な判断が必要です。
 バッハ会長は、五月の時点では、WHOと作業チームの助言に従いながら正しい時期に必要な判断を行うと語っていました。ところが、具体的な根拠を示すことなく、観客を入れて開催する方針を明言したわけです。
 科学的な判断を持つことが必要だと思いますが、この間、調整会議等においてはどのような検討をしてきたんでしょうか。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 調整会議におきましては、国、東京都、組織委員会が提示した論点案に対しまして、地域の保健医療等の観点から、感染症の専門家からのご意見もいただきながら中間整理を取りまとめたところでございます。

○池川委員 バッハ会長が来日した際、朝日新聞の社説は、残ったのはいいようのない違和感であり、一般の感覚とのずれだと述べるなど、開催ありき、観客ありきの姿勢で大丈夫なのかという声が広がっていたわけです。
 新型コロナパンデミックという事態を受けて、大会を延期したときの共同声明では、オリンピック競技大会にかかわる全ての人々、そして国際社会の健康を守るためだといってきたわけです。
 そのときと比較をしても感染が拡大していることは明らかであり、開催の可否について、こういう事態になったらできるできないという判断基準を設けることが、安全を担保する上では何よりも大切だということを改めて強調しておきたいと思います。
 アスリートの感染対策について質問します。
 アスリート等については、いつ、どのように、誰が検査を実施するのか、日本のアスリートと海外のアスリートでどういう違いがあるのかお答えいただきたいと思います。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 中間整理におきましては、出入国時の検査として、海外から入国するアスリート等について、出国前七十二時間以内に検査を受けて陰性証明を取得するほか、入国拒否対象国、地域からの入国者は、入国時にも国において検査を実施するとしてございます。
 入国後は、選手村においては、組織委員会が原則として九十六時間から百二十時間置きに定期的に検査を実施することとなってございます。ホストタウン等でも選手村と同様の間隔を目途に検査を行うことに加えまして、選手村入村七十二時間前にも検査を行うこととなってございます。
 入国後の検査につきまして、国内在住の日本人アスリート等につきましても、外国人アスリートに準じた対応を実施するとしてございます。

○池川委員 世界的な新型コロナの感染状況がどうなっているかはわからないわけです。拡大している地域からの入国について、どういう取り扱いをするのかなど、整理すべき課題はさまざまあります。
 中間整理のアスリートへの対応の基本的考え方でも、アスリートとの接触は必要最低限とし、接触する相手方も検査等により防疫措置を講じるとしています。先ほどの答弁でも、選手村では組織委員会が定期的に検査をするということでありました。
 ホストタウンや分村などで誰がどのように対応するのかについては、伺ったところ、これについてはまだこれから検討していくという話でありました。
 日本看護協会が新型コロナの影響に伴う実態調査の結果を明らかにしています。感染拡大の第一波のときに、コロナ対応による労働環境の変化や感染リスクなどを理由にした看護職員の離職があったかどうかについて聞いたところ、一五・四%があったと回答しています。特に新型コロナ患者等を受け入れている感染指定医療機関では二一・三%、実に五分の一がそう答えているということです。
 看護職員は、心身ともに疲労もピークを迎えていると窮状を訴えておられます。極めて深刻な事態であり、こうした現実をリアルに捉えて、さまざまな対策に当たることが必要です。疲弊している保健所や医療従事者に、安易に負担を求めるようなことはすべきではないということを申し上げておきます。
 選手村の中でどう検査をしていくのか。中間整理では、選手村内の検体採取センター、検査分析設備の整備などについて記述がありますが、これらの施設はどのようなものなのか、また、誰がどう運営していくのでしょうか。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 中間整理では、組織委員会は選手村にアスリート等に必要な検査が可能となる体制を整備することとしてございます。
 今後、組織委員会において具体的に検討してまいります。

○池川委員 その内容については、今後検討していくということです。
 アスリート等がどの程度の規模になるのか。中間整理では、アスリート等とは、出場選手に加え、IOC、IPC、IF、NOC、NPCに属し、選手と一体となって行動する者と定義され、具体的には、審判、指導者、トレーナー、練習パートナー、キャディー、スタッフ、ドクター、パラアスリート介助者などが含まれているとされています。
 選手村では、選手団の人数は約一万八千人とされており、この中にアスリート等も含まれているということであります。
 検査対象は、アスリート、大会関係者、また、アスリートとの接触が見込まれる者となっており、対象についても今後検討していくということです。
 検査間隔については、先ほど答弁がありましたが、九十六時間から百二十時間と定めていますが、実際にこうした体制を確保し、そして検査、分析を行う。これ、かなりの体制が必要なのではないかと考えるわけです。
 検査を誰がどのように担うか、これを具体化していかなければならないわけですが、ここでも保健所や医療従事者へ安易に任せる、そういうことはあってはならないというふうに思います。
 万全の対策を行ったとしても、相手はウイルスであり、完全に封じ込めることはできません。選手が新型コロナの陽性者になった場合の対応についても聞いていきたいと思います。陽性者となったアスリートの競技に係る対応についてはどうなるでしょうか。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 中間整理では、検査で陽性と判定されたアスリートが無症状である場合には再度検査を行い、その結果、陰性であった場合には出場を認めるなど、あらかじめ手順を定めた上で最終診断し、競技参加を判断することとしてございます。

○池川委員 中間整理では、陽性者と判定されたアスリートについては、法令上求められる措置を講じるとともに、競技には出場させないこととするとしています。また、アスリートにとっても競技運営にとっても重要な点であることから、それぞれの判定手続、プロセスを事前に明確に示し、IOC、IPC、IFを含めた関係者の合意の形成を図ることとするとも書かれています。
 あらかじめ定められた手順についても、これから定められていくということで、現時点では確定的なものはないということでありました。事前にあらかじめ明確にしておくことが必要だということを申し上げておきます。
 次に、いわゆる濃厚接触者について伺います。
 アスリートに陽性者が発生した場合、濃厚接触者以外の関係者に対する検査等はどうするのか、また、濃厚接触者の特定は誰がどのように行うのでしょうか。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 感染症症状がある場合は、受診検査を行うこととされてございます。アスリート等につきましては、選手村等の滞在期間中にもスクリーニング検査を行うこととしております。
 中間整理では、大会時に構築する保健衛生の拠点機能におきまして、組織委員会を通じて、アスリート等の行動記録、接触記録等の情報提供を受け、疫学調査を適切に実施する仕組みを構築いたします。

○池川委員 中間整理では、濃厚接触者の特定については、開催地の保健衛生当局の判断が優先されるという見解のIFが多かったことを踏まえ、保健衛生当局と組織委員会との間で、IFからの情報も活用しつつ、あらかじめ共通認識を得ておくこととするとしています。
 これはすなわち、各国で検査、また追跡、保護など、方針がばらばらであり、その方針が各国ごとに違うことによるばらばらな状態をきちんとそろえていく必要がある、その基準として、多くのIFが開催地の保健衛生当局の判断を優先するという見解が多かったということです。
 保健衛生当局、これは保健所等になると思いますが、あらかじめこの認識を得て、基準を明確にする、これは事前にきちんと明確にしておくということで、今検討されているのかについて確認をさせてください。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 中間整理におきましては、アスリート等について、濃厚接触者の特定や検査判定等を的確、円滑に行うため、濃厚接触者の特定のための手順、パターンや検査の手順をあらかじめ作成するとしてございます。

○池川委員 濃厚接触者については、国のガイドラインがあり、国内的にもきちんと統一した基準がありますが、その外、いわゆる濃厚接触者にカウントされなかった濃厚接触者以外の検査の方針については、統一されていないというのが実情です。
 競技にかかわるシビアな問題であるだけに、そこも含めた、あらかじめ共通認識をつくっておくこと、それをまた明確にしておくことが必要ではないかと考えます。
 陽性者への対応は、保健衛生の拠点の構築によって行うこととされています。保健衛生の拠点とはどういうものになるのかについて、中間整理では、一つに、円滑な健康観察、入院、搬送調整等が掲げられ、二つ目に、濃厚接触者の特定など疫学調査について例示されており、組織委員会感染症対策センター(仮称)と連携しながら対応に当たるというふうにしています。
 保健衛生の拠点の構築については、東京都が対応することとなっていますが、人員体制についてはどのぐらいを想定しているのでしょうか。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 保健衛生の拠点に係ります具体的な機能や体制等につきましては、現在検討を行っているところでございます。

○池川委員 保健師等の専門職がどの程度必要なのか、また医師、看護師がどうなのかということについても、現在検討を行っているということで、人員体制について明確なお答えはありませんでした。
 今、保健所や医療機関が大変疲弊をしている、このことは共通の認識だと思います。例えば、ある都内の医療機関では、十月以降、一般病棟はコロナ以外の入院患者で満床となりました。中でも介護度の高い患者がふえ、とりわけ受け持ち患者の多い夜勤では限界だという話もあります。
 また、ほかのスタッフの方からは、いつも外来で声をかけてくれる患者さんがコロナに感染し、入院した三日後には呼吸器につながれ、大変ショックを受けたと話されておられました。コロナの患者さんが目の前で次々と急変する様子は恐怖でしかないとも話しておられます。
 重点医療機関で働き、コロナに感染をした看護師は、PCR検査で陰性になっても体調がすぐれず、自宅で起き上がれなくなり、今も病院を休んでいると話してくれました。医療従事者は、自分が感染源になってはいけないと思い、生活を犠牲にして働いています。当然、ゴー・ツー・キャンペーンなど無関係で、休みの日も自宅で過ごしているといいます。精神状態を保つことができず、休むスタッフも出てきているというのが実情です。
 さらに保健所では、例えば六十七人と最多の感染者が確認された港区保健所の職員は、この対応をずっと続けるのはもうそろそろ限界だと話しています。また、別の保健所の職員は、土日に本来あるべきだった家族の時間はない、しかもずっとなので、ほぼ一年になりますけれども、一年たっても何も変わらない、私も限界を超えてやっているんですけれども、また来年もと思うと絶望しかないと語っていると、これは報道もありました。
 こうした現場に対して、追加で体制の確保が求められる中、感染症対策センターや保健衛生の拠点に多くの人材が必要になった場合どう確保するのかは、困難きわめるというふうに思います。理解と共感が得られるかという点でも、真剣に考慮すべき課題だということを厳しく指摘をしておきたいと思います。
 パラアスリートについて、基礎疾患などがあり、医療関係者なども懸念を示しています。先天性の疾患、免疫に異常があるパラアスリートもおられます。呼吸器に疾患があるパラリンピックアスリートは、新型コロナ感染は命の危機につながるという指摘もあります。
 重症化しやすい基礎疾患のあるアスリートに対する対応はどうしていくのかお伺いをいたします。

○越オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 パラアスリートについては、感染防止行動を一人では完結することができず、さまざまなスタッフによる支援を必要とする場合があることから、感染防止策を実施していくことが重要でございます。
 このため、調整会議では、中間整理において、パラアスリート等の感染防止策として取りまとめました。現在、組織委員会は、選手団のスタッフなどが感染防止行動を支援する際のガイドライン策定を進めるとともに、各国選手団内の衛生管理責任者等との間での情報共有、連携の仕組みを構築していくこととしております。
 都としても、国とともにこうした取り組みに協力連携してまいります。

○池川委員 例えば、ボッチャの選手等は、呼吸器系の疾患を抱えている方が多く、新型コロナウイルスに感染した場合、重症化のリスクが高いと指摘をされておられますし、選手自身が現在さまざまな対策をされていると、これは報道もありました。
 一人一人のパラアスリートに対する感染防止対策とそのための支援は、文字どおり命の問題に直結すると思います。パラアスリートとその関係者に対する取り組みを強化することを求めておきます。
 選手村には、メディア関係者も入るとなっています。中間整理では、来訪ゲストとメディアなどで約二千人、さらに選手村を運営するスタッフが約八千人としています。メディア関係者など、アスリート等以外の検査体制などは、誰がどのように責任を持って対応するのでしょうか。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 中間整理では、アスリート等以外の大会関係者への対策につきましては、大会運営とのかかわりの度合い、業務内容、アスリート等との接触の多寡等に応じ対応を検討することとしてございます。

○池川委員 誰が責任を持つのかということも今後検討なんだと思いますが、大会運営とのかかわりの度合い、業務内容、アスリート等との接触の多寡等に応じて対応していくということであります。
 一人一人について検査の有無を決めることになるのか、それとも極力広い範囲の検査をしていくのか、対象を狭くすることなく検査を行うことが早期発見、早期対応につながるというふうに思います。そうした対応が求められているのではないかということを指摘しておきます。
 あわせて、ボランティアについても伺います。大会ボランティアと都市ボランティアの検査体制、感染拡大防止対策はどのようにされていくのでしょうか。

○小高オリンピック・パラリンピック準備局ボランティア担当部長 大会ボランティアにつきましては、組織委員会はコロナ対策の調整会議の中間整理におきまして、ボランティアの感染症対策に関する行動ルールを今後定めることとし、検査につきましては、アスリートとの接触の多寡や入国条件に関する検討状況等を踏まえ、あり方を検討することとなっております。
 都市ボランティアにつきましても、都は、中間整理においてボランティアの感染予防マニュアルの作成を進めることとしており、また、検査につきましては、屋外中心に活動する環境等を踏まえつつ、健康管理や感染予防策等の内容の中で引き続き検討することとなっております。

○池川委員 先ほど来指摘がありますが、ボランティアにかかわる方々の中には、みずからがうつすのではないか、逆にみずからが感染するのではないかというリスクを抱えながら活動することに大変不安を抱えていらっしゃるわけです。
 ボランティアについても、先ほどアスリートとの接触の多寡などを基準とすることが一つの考え方だという答弁がありました。ボランティアのあり方についても、新型コロナ以前と同様の対応とはいかないというふうに思います。
 とりわけ無症状の感染者が多いことを踏まえても、ボランティアスタッフへの検査等についてもきちんと行うことが必要ではないか、このことを申し上げておきたいと思います。
 選手や関係者についてお伺いをしてきましたが、最大の懸案事項となっているのは観客への対応だと考えます。その点について伺っていきたいと思います。
 海外のチケットホルダーに対しては、十四日間隔離、公共交通機関不使用は、観戦を事実上困難とするものとして、条件にしないとしています。
 現在、十四日間隔離、公共交通機関不使用となっている理由はどう認識されているのか、また、これらと同程度の防疫措置を構築していくとされていますが、これは具体的にどういうことなのかお答えいただきたいと思います。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 現在、国は、入国者に対して、当分の間、十四日間の自宅等待機、公共交通機関の不使用を要請してございます。
 中間整理では、外国人観客の取り扱いにつきまして、入国前の検査、健康管理、入国時の検査、誓約書等確認、入国後の行動、健康管理など、具体的な措置の検討を進めることとしてございます。

○池川委員 国が今そうした措置をとっているということについては、現状をご報告いただいただけで、なぜなのかということは答弁ありませんでした。
 国は、入国の目的を問わず、同様の取り扱いとして十四日間の隔離、公共交通機関の不使用を行っている。これは新型コロナを水際できちんと食いとめるために有効な策だから行っているわけですが、オリ・パラ大会だとそれは現実的でないから同程度——同程度といっても同じレベルではない対応にせざるを得ないということで、これで果たしていいのかということが大きな課題ではないかと思います。
 観客が世界中から来て、公共交通機関も使っていいというのは、ざるみたいなやり方だと感染症対策の専門家が批判もされているわけです。しかも、現時点でチケットホルダーが海外に何人いるのか、これは事前にいろいろやりとりをさせていただきましたが、非公表でわからない、答えられないということでありました。
 さらに伺っていきたいと思いますが、どうやってこの十四日間の隔離と公共交通機関の不使用を見分けるのか、この差をどうやって明らかにするのかということについて聞いたところ、チケットを持っている、チケットホルダーであることをもって、この隔離も公共交通機関不使用もなしにしていくということでありました。
 例えばですけれども、チケットホルダーではないご家族が帯同される場合などについては、どういう対応になるのか、現時点でそこはどう検討されているんでしょうか。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 中間整理では、外国人観客の取り扱いにつきまして、入国前の検査、健康管理、入国時の検査、誓約書等の確認、入国後の行動、健康管理など、具体的な措置の検討を進めるとしてございます。

○池川委員 今のは観客、すなわちチケットホルダーの話はそういうふうに整理されているわけですね。しかし、ご家族が帯同になる、実はこの話をしていたときに、家族が一緒に来るよという話が私の身近にもありまして、実際にどうするのか大変心配をしておられると。
 仮にですが、チケットホルダーのみ、この十四日間の隔離もない、公共交通機関不使用も解除される、しかしチケットホルダーでない場合は、その対応は適用されないとなれば、ご家族がただ十四日待っているだけになってしまう。そうしたら、なかなか来ることも困難になる。そもそもそういう判断をどうされるのかの基準が、現時点では明確ではないということなんだと思います。
 海外から観客を受け入れるということは、私は率直にいって、そういうことがさまざま想定されますし、国や文化、いろいろ違うわけですから、そうした方々に対して、きちんとこの仕組みについてわかるように説明もしていかなければいけないというふうに思います。
 率直にいって、現状で十四日間の隔離免除、また、公共交通機関の不使用を免除していくというやり方は、対策としては厳しいのではないかといわざるを得ないと思います。
 中間整理では、今後の国内外の感染状況、我が国と海外との往来に係る状況を踏まえて、外国人観客の感染症対策を検討するとしています。
 これはどういう選択肢があり得るのか、外国人観客を入れないという選択肢もあるのか、また、そもそも会場に観客を入れない無観客という選択肢もあるのか、その辺については、現時点ではどう検討されているのか伺います。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 中間整理では、外国人観客に係る具体的な措置の内容につきましては、今後の国内外の感染状況、我が国の海外との往来に係る状況、スポーツイベントの開催状況を考慮し、来春までに決定することとしてございます。
 また、観客数につきましては、国内外の感染状況、現在行っている観客数を引き上げた場合の実証の結果なども踏まえまして、国内の上限規制に準じることを基本とし、最終的な決定を来春までに行うこととしてございます。

○池川委員 バッハ会長は、来日した際にも観客を入れて開催することを強調していました。また、IOCのコーツ副会長は、新型コロナがあろうとなかろうと大会は開催すると強調したとBBCが報じているところです。
 根拠を示すことなく、観客を入れた大会をやることのみが先行しているのではないかという批判の声も上がっています。大事なのは科学的な知見に基づく対策であり、国内外の状況、それぞれの国や地域の実情について踏まえた対策こそ必要だと思います。
 本日付の朝日新聞に小池知事のインタビューが掲載をされています。場合によっては制限もあり得るのかという質問に対して、知事は、状況次第ということになるかと思うというふうに答えています。これは恐らく今答弁があった来春時点の状況をもって判断するということだと思いますが、そういうのであれば、あらかじめどういう状況になったらどういう対応をするのかという、やはり判断基準が明確である必要があると思うわけです。
 状況次第でどうなるのか、来春までに決定をするというわけですが、どういう基準で判断をしていくという考えなのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 中間整理では、観客数については、国内外の感染状況、現在行っている観客数を引き上げた場合の実証の結果なども踏まえまして、国内での上限規制に準じることを基本とし、最終的な決定を来春までに行うこととしてございます。

○池川委員 国内の上限規制に準じるということを基本にするんだというわけですが、外国人観光客を受け入れるという点では、いわゆる国内の大規模イベントとは全く異質のものだというふうに思います。そもそも熱中症リスクのある時期の大会で、暑さ対策については、本委員会でも何度も議論を重ねてきたわけですが、医療従事者への負荷をこれ以上かけるような状況には絶対にしてはならないというふうに思うわけです。
 東京都医師会の尾崎会長は、やるとすれば無観客という形でやっていくのが妥当な線、協力する形になれるかどうかは難しいと述べ、現場からは、五輪に使うお金があるなら、医師、看護師の増員に回してほしいなど悲痛な声が上がっております。先ほど来、看護の現場、医療の現場、また、保健所の現場などでどうした状況になっているかについては、この場でも述べさせていただきました。
 こうした医療現場、公衆衛生の現場の実態を踏まえた対応にすることが当然必要だと考えますが、その点についてはどう考慮をして、来春の決定に生かしていくのでしょうか。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 中間整理におきましては、外国人観客の取り扱いは、観客の安全、地域の安全の両立を図る観点を踏まえ検討するとしてございます。
 中間整理において整理した対策につきましては、工程表に沿って、国、組織委員会と必要な対策の具体化を図ることとしております。

○池川委員 医療の現場や公衆衛生の現場の声を真剣に考慮して、検討に生かすことが必要だということを重ねて申し上げたいと思います。
 知事やバッハ会長は、アントワープ大会について、危機と危機の後の連帯と復興の象徴だといいます。百年前、現在の科学、医学、公衆衛生とは全く異なる状況の中で行われた大会であり、アントワープ大会になぞって、だから東京もできるという対応でいいのかということが問われるというふうに思います。
 きょう質問してまいりましたが、改めて何よりも命と安全を最優先に、開催できない事態も想定に入れた対応と、開催自体の可否を誰が、何を基準に、いつまでに判断するのかということを明確にする必要があるということを申し上げておきます。
 また、大会経費の縮減と透明化を一貫して求めてまいりましたが、先ほどV5の予算の説明もありました。これを見て、改めて予算の縮減、透明化が重要だと感じています。そのことを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○山口委員 私からも幾つか質問させていただきたいと思います。
 さて、いよいよ二〇二〇年が終わろうとしています。この本当に大変な状況の中で、局の皆様も、そしてこの東京二〇二〇大会の成功に向けてご苦労されている全ての関係者の皆様のご努力や、これまでの準備に心から改めて敬意を表するものでございます。
 今、本当にこの新型コロナ感染症で世界中の方々が苦しい思いをされています。我が国の中にも、つらい思いをされ、そして命を落とし、そのご遺族を含めて悲観されている方々がたくさんいらっしゃる中で、世界中の希望に東京二〇二〇大会がなれば、そして、これから先の明るい兆しの象徴になっていけば本当にいいなと心から願い、そして、大会の成功はもとより、そういった意味での全ての大会の大きな大義を新たな意味を持って成功する象徴になればいいなというふうに思う立場から、幾つか質問させていただきたいと思います。
 まずは中間整理を拝見させていただきました。見ていても、まだまだ状況がつかみ切れない中で、これからの検討、これからの中でどのように一つ一つを決めていくのかという苦慮がにじみ出ているものだというふうに思うわけであります。この中でも、アスリートの皆様方が競技会場や選手村等における感染症の対策、検査のあり方、行動ルール、競技別の対策やルールについて、割と具体的な提案がされているということについては、一つの安心を覚えたところでもありますが、と同時に、その周りで動かれる方々、さまざまな方々が我が国にお見えになられるわけでありますから、当然、日本人選手の周りも含めて、どのようにこの一つ一つを捉えていくのかというのを伺っていきたいと思います。
 まずは、このアスリート以外の大会関係者の行動管理については、どのように行っていくのかを伺いたいと思います。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 中間整理では、アスリート等以外の大会関係者に関する対策は、大会運営とのかかわりの度合い、業務内容、アスリートとの接触の多寡等に応じ対応を検討することとしてございます。
 IOC、IPC等の主催者、オリンピック放送機構などのメディア関係者、組織委員会職員などの大会スタッフ等の大会関係者の行動管理につきましては、用務先や勤務、活動時間外を含めた行動ルールを定めることとしてございます。
 今後、IOC、IPC等の関係者等とも調整を図りながら、国や組織委員会とともにアスリートや観客等の取り扱い等も勘案し、大会関係者の行動ルールにつきまして検討を進めてまいります。

○山口委員 当然のことながら、アスリートの皆さんの安全、そして対策をしていく上でもそうでありますが、市中の中で接触をする機会がある可能性が高いのは、あらゆる大会の関係者の皆様であるわけであります。東京二〇二〇大会における行動管理等について、選手や大会関係者の皆様、この皆様方にしっかりと、東京においてどのように行動していただくかということを事前に周知しなければならないわけでありますが、この周知についてはどのように行っていくつもりでしょうか、伺いたいと思います。

○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 アスリートにつきましては、組織委員会がこれまでも検討状況や行動管理の必要性につきまして、各国オリンピック・パラリンピック委員会や競技団体等に対して、会議や情報提供により丁寧に周知を行っております。
 今後は中間整理を踏まえ、オンラインセミナーを開催するなど、行動ルール等に関する周知を図ってまいります。
 また、競技団体やメディア等の大会関係者につきましては、IOC、IPCなどと協力して周知を図るとともに、大会スタッフ等につきましては、研修やテストイベントなどさまざまな機会を通じ、効果的な周知を図っていくこととしてございます。

○山口委員 東京で行われている準備や対策というものは、いわばオリンピックになれている、これまでの世界中の関係者の皆様にとってみれば、例外中の例外、異例中の異例の対応になるんだと思います。
 中間整理の段階であるわけでありますが、また決定をした暁には、いわば東京のルールとして、いかに正確に、確実に伝えていくかが重要になると思います。ぜひこういったところまで的確に進めていただくように強く要望しておきたいと思います。
 さて、もう一点なんですが、選手は空港から、例えば専用バスを利用して選手村に移動するというふうにされているわけでありますが、大会には選手以外の方々も、さまざまな関係者がいるわけであります。
 例えば、海外からのメディアであるとか、大会スタッフの移動については、中間整理ではどのようになっているんでしょうか、伺いたいと思います。

○村田オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 オリンピック放送機構などのメディア、受託事業者であるコントラクターなどの大会スタッフの移動につきましては、大会延期前の輸送計画では、公共交通機関の利用を前提としていました。
 中間整理では、今後、海外からの入国者について移動ルールの検討を進めることとしております。

○山口委員 想像していなかった事態でありますから、まだ検討を進めていく段階なんだろうというふうに思いますが、こういった細かいところについても、なるべく早く、そして的確に都民、全国に、そしてまた世界中に発信ができるように努めていただきたいと思います。
 さて、先ほども少し質問がありましたが、事前キャンプの受け入れについてもお伺いさせていただきたいと思います。
 この事前キャンプの受け入れ自治体では、どのような感染対策を講じる必要があるのか、東京都としてどのような見解を持っているのか伺いたいと思います。

○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 事前キャンプ受け入れ自治体が講ずるべき新型コロナウイルス感染症対策は、国が作成した選手等受け入れマニュアルの手引において示されております。
 基本的事項といたしましては、三密の回避や場面に応じた適切な社会的な距離の確保を初め、マスクの着用や手洗い、消毒、体調管理の徹底などとともに、選手の滞在先や移動手段についての制限、行動ルールを定め、選手等の健康管理や行動管理を行うこととされております。
 また、場面ごとにおきましても、移動は専用車両を原則とし、宿泊や食事、練習は他の利用者などとの接触を避けるため、動線の分離や個室、貸し切りなどの措置を講じることとされているところでございます。
 加えまして、事前キャンプで滞在する選手や選手等と一定の接触が見込まれる自治体等の関係者に対する必要な検査を実施しまして、その検査結果について関係者と速やかに共有することとされております。

○山口委員 先ほども自治体への支援について相互に連携を図って支援をしていくというお話もあったわけでありますが、事前キャンプ受け入れ自治体においては、感染症対策に多額の費用がかかるわけであります。これらの費用は全て受け入れ自治体において負担をしなければならないものなんでしょうか、伺いたいと思います。

○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 事前キャンプを実施するに当たり、先日閣議決定された国の令和二年度第三次補正予算におきまして、検査の実施経費や保健衛生機能の強化、医療、療養機能の強化に要する経費などが盛り込まれたところでございます。

○山口委員 自治体にとってみれば、この予想だもしなかった事態に大変困惑を、また、苦労もされていることだと思います。これはもう想像がつくわけでありますが、都としてできる限りの支援も協力も、要請をする姿勢が私は必要だと思っています。
 オリ・パラともに、大会期間のみがオリ・パラではなくて、聖火リレーもしかり、キャンプしかり、全てを含めてオリンピック・パラリンピックであるということは、いうまでもないわけであります。
 都内はもとより、他自治体にご協力をいただく全てに気配りができるよう、ぜひ努めていただきたいと思いますし、世界中からいらっしゃる選手の皆様方や関係者の皆様方、当然文化も違うわけであります。
 今、日本でどうして感染拡大を抑えることができているのか、今非常に厳しい状況ではありますが、それにはやはり文化の違いもある。そういうところもしっかりと、東京でこういうところを守ってほしいということを世界中の選手や関係者の方々に発信していくというのは、これは本当に難しい大変なことだと思いますが、ここを的確にやれるかどうかというのが非常に大きな肝になると思います。ぜひとも努めていただいて、ご努力をいただきたいと思います。
 さて、聖火リレーについても伺おうと思っておりましたが、質問が重複しておりましたので、この部分については割愛をさせていただきたいと思います。
 続いて、ライブサイトについても幾つか伺わせていただきたいと思います。
 東京二〇二〇大会の観客対応について、今回報告をされた東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議の資料を拝見させていただきますと、最終的な決定はこれまでも出ておりました。来春までに行うというふうにされているわけであります。
 安全と安心の確保のために、観客をどの程度入れるかについては、感染症の状況を踏まえた柔軟な対応ができるかどうかが重要なわけでありますが、都の実施するライブサイトにおいても、今後の感染症の状況を踏まえて適切に対応していくべきと考えますが、現状での都の見解を伺いたいと思います。

○丸山オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長 都が実施するライブサイト等においても、国や組織委員会等のガイドラインに即して、フィジカルディスタンスを確保しながら、来場者の安全を確保できるよう検討を進めることが必要でございます。
 各会場の来場者想定については、今後の国等のガイドラインの動向や、大会の観客数の検討等も参考にしながら、来春を目途に取りまとめる東京二〇二〇ライブサイト等実施計画に適切に反映できるよう、引き続き検討を進めてまいります。

○山口委員 今後の国内外の感染状況によっては、競技会場の観客数に制限がかかって、チケットを持っていても観戦ができなくなってしまう方が出てくる可能性があるわけでありますが、そういった方々を含めて、都が実施をするライブサイトが競技観戦の受け皿にならないものだろうかと考えるわけなんでありますが、現状での都の見解を伺いたいと思います。

○丸山オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長 都が実施するライブサイト等については、チケットを持つ人も持たない人も誰もが無料で入場し、競技会場外で大会を楽しめる会場でございます。
 今後は感染症対策の観点から、事前申込制による入場を検討しており、事前の広報、PRを適切に行い、来場者に安全で安心な会場で競技観戦等を楽しんでいただけるよう取り組んでまいります。

○山口委員 こう聞いておきながら矛盾するかもしれませんが、無観客でもし大会を開催しなければならなくなったときに、このライブサイトがどうなってしまうんだろうかと。
 片や、でも、そこで観戦することができなかった方々には、どこかで何かこういった機会がないものかと本当に願うところでありますが、ソーシャルディスタンス、さらにはフィジカルディスタンスを初めとして、何とかして少しでもこの大会を身近に感じていただける場所がふえないものかと願っているところなんであります。
 最後に、一問伺いたいなと思っておるんですが、都民、国民の観戦機会の確保をするために、競技観戦ができる屋外のライブサイトやパブリックビューイングの会場数を、臨時的にでも何とかふやすことができないものだろうかと思うわけでありますが、都の見解を伺いたいと思います。

○丸山オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長 都が実施するライブサイト等は、多くの来場者を見込む広域的な会場であることから、平成三十年に都内候補地を選定後、地元区や関係機関と調整しながら計画策定及び準備を進めてまいりました。
 今般、大会延期や感染症対策を踏まえ、会場の再検証を行い、その結果を踏まえて、当初の会場計画の一部を変更いたしました。都のライブサイト等だけでなく、来場者の安全と安心を確保しながら都内全体で大会を楽しめるよう、区市町村のコミュニティライブサイトやパブリックビューイングの取り組みを適切に支援し、多くの方々に競技観戦の機会を提供できるよう、引き続き取り組んでまいります。

○山口委員 不確定要素がこれだけある中で、検討一つ一つが本当に厳しいということは、拝見をしていてよくわかるわけであります。コロナ対策が本当に鍵になってまいりますが、皆さんがその状況を判断しながら、はかりかねることはよくわかっておりますし、その中で我々は強く要望しなければならない最小限の出費で準備を、しかも、かつ丁寧に早くやってほしいというのも、これも本当に苦しい要求であることもよくよくわかっております。
 しかし、それ以外の、このコロナ対策以外の対策もおろそかにはできないわけであります。やると決めたからには、決定は、この状況が続けば直前の議論になっていく、また、これが直前に決まっていくことになっていくんだろうというふうに思います。
 どうか都民、国民はもとより、全世界に東京の安全対策ここにありというものをいち早く正確に発信をし、伝えていただくよう要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○奥澤委員 冒頭、感染拡大の状況に鑑みまして、マスクをつけて質問をさせていただきたいと思います。きょうはインターネット中継もあって見づらい方もいるかと思いますけれども、どうぞご理解いただきたいと思います。また、職員の皆様も、私、最後の質問者ですけれども、マスクをしたままでも構いませんので、そのように進めてください。
 それでは、質問に入りたいと思います。
 二〇二〇東京大会について、ここのところ、やはりなぜ開催するのでしょうかという質問を受けることがふえてまいりました。その答えとして私は、大会後のレガシーの意義を答えるようにしています。ラグビーワールドカップの感動や経済波及効果は記憶に新しいことだと思いますけれども、目の前の事象だけではなくて、これまでの道のりや大会後まで視野を広げて見ておくべきだというふうに思うからです。
 新型コロナの影響下での大会となれば、インバウンドによる経済効果は大きくは期待はできないものかなというふうに思いますけれども、日本の最先端技術のショーケーシング、あるいは文化の力を発信していくこと、そうしたことによって日本の魅力を、もしかすると、より広く世界中に届けることができるかもしれないというふうにも思います。また、開催によってアスリートからもたらされる感動もひとしおだと思います。
 こうした状況の変化を踏まえていくと、レガシーについて意識的に、特に無形のレガシーの価値を高めていく取り組みが必要だと思っています。
 そこでまず、調整会議の中間整理において、大会後のレガシーという記述のあるホストタウン、事前キャンプについて質問したいと思います。
 国からの財政面での支援はあるという話は先ほどから出ていますけれども、事前キャンプの実施に当たって、相手国に対して東京大会のコロナ対策を説明して行動計画等を遵守してもらうには、海外、相手国との調整が必要なので、受け入れ自治体だけではなかなか難しいというふうに思われます。
 実際に私も、複数の国を受け入れるとしている自治体からは、生活習慣やコロナ対策もばらばらなので、難しいのではないかという不安の声も届いています。
 そこでお伺いしますけれども、相手国との交渉や調整面に関するサポートも必要と考えます。見解を伺います。

○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 事前キャンプの実施に当たっては、選手と住民双方の安全・安心の確保が重要であることから、中間整理では、受け入れ自治体は新型コロナウイルス感染予防対策をまとめた受け入れマニュアルを作成し、相手国、地域とマニュアル遵守について合意書を取り交わすこととしております。
 大会時の感染症対策に係る対応についての相手国等の理解促進に向け、組織委員会では、各NOC、NPCの選手団団長会議やIFセミナーなどの場を通じまして、調整会議の検討状況の説明や、中間整理の英語版の提供などを行っております。
 また、都におきましても、都内の新型コロナウイルスの感染動向や感染症対策の取り組みについて、IOC、IPCなどと継続的な意見交換を行っているほか、ホームページを通じまして、多言語による情報発信を行っております。
 引き続き、国や組織委員会などと連携し、各自治体からの声なども踏まえながら、事前キャンプの受け入れ対応が円滑に進むよう支援を行ってまいります。

○奥澤委員 各自治体の声を伺いながら円滑な受け入れをサポートしていくということで、まずは不安を取り除いていただきたいと、そのように努めていただきたいというふうに申し述べておきたいと思います。
 それがその先にレガシーを残していく、その仕掛けを考えたり実行していく余力を生み出すことになっていくと思いますし、結果的には多くの方々にやってよかったねと思っていただけるというふうに思っております。
 そのような視点から、ライブサイトの実施について大きな変更が出ていることについて質問します。
 昨年のラグビーワールドカップを実際に体感して改めて感じたのは、スポーツを中心にさまざまな人が集まっていること、そして、その周辺で行われている連動した文化や地域活性化、あるいは食を通じた盛り上げが輪を広げていったというふうに認識をしています。つまり、競技を見るという核があって初めて成立したレガシーだったのではないかというふうに考えています。
 今回の資料を見ますと、実施計画案から会場計画を変更しておりまして、池袋西口公園や東京都庁舎について、競技中継を中止しているとのことですが、どのような経緯で決定されたのかお伺いします。

○丸山オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長 池袋西口公園及び東京都庁舎会場は、アクセスしやすいターミナル駅周辺の立地にあり、大会期間中は多数の来場が見込まれることから、ライブサイトの開催を予定しておりました。
 しかしながら、コロナ感染症の状況を踏まえ、会場と周辺で来場者がフィジカルディスタンスを確保でき、密を生じない運営が必要となったため、会場の検証を実施いたしました。
 その結果、この二会場は、もともと規模が余り大きくなく、当該会場だけでは入場キャパシティーに限界があることから、混雑や密を避けた安全な運営に転換することといたしました。
 実施形態は転換いたしますが、地域の盛り上げ策とも連携し、地元区と協力しながら効果的な盛り上げエリアとなるよう、引き続き取り組んでまいります。

○奥澤委員 地元区と協力しながら効果的な盛り上げをしていきたいと、そういった連携を図っていきたいということでありました。
 池袋では文化の拠点になるということで、文化が核になって大会の価値を高めていくことになるかもしれません。大会そのものを世界に発信していくことはもちろんですけれども、大会と連動した文化の発信にもぜひ努めていただきたいというふうに思います。
 また、都庁エリアについては、大会開催の拠点であると同時に行政機能、今でいえばコロナ対策の司令塔を担っている場所でもあります。大会のPRももちろん大切ですけれども、東京が今まさに取り組んでいる安全な大会運営に向けた取り組み、あるいはコロナを乗り越えていくためのメッセージ、こういったものを集めて発信していくということも有効かもしれません。
 また、現在大変厳しい生活をされている方々もいるということを念頭に取り組んでいかなければならないのかなというふうに思っています。
 話を戻しますけれども、いかにして競技を楽しんでいくのか、そしてレガシーを残していくのかという観点が、やはり今大会にとって最も重要なことだということは疑いのないものだと思いますけれども、その意味で、区市町村のパブリックビューイングは大変重要です。
 そこを安全なもの、安心して来ていただけるものにしていくことは大事なんですけれども、こうした努力が過度な負担にならないようにしなければならないということも考えなければならないと思います。
 そのためには、各種テストイベントなどで得られた知見をしっかりと区市町村に共有していくこと、これが重要です。区市町村の取り組みについて資料を見ますと、パブリックビューイングに関して先行的な検討、知見をもとに各自治体の適切な安全対策を支援とありますが、どのように支援を行っていくのかお伺いします。

○丸山オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長 区市町村が実施するパブリックビューイングにおいて、来場者の安全と安心を確保できるよう、各会場に応じた適切な感染症対策を実施することは重要でございます。
 このため、都は、参考となる各種ガイドラインやスポーツイベント等での感染症対策について、各自治体に情報提供するとともに、個別の相談に応じるなど支援をしてまいりました。
 パブリックビューイングについては、来年四月以降に申請が開始となる予定であり、引き続き組織委員会と連携し、きめ細かく情報提供を行うとともに、相談に対応するなど申請手続を適切にフォローし、各自治体の安全対策を支援してまいります。

○奥澤委員 きめ細かな情報提供、そして相談にも対応しながら安全な運営を行っていくということで、大事なことだと思います。
 最後に、意見になりますけれども、安全を求めて運営をサポートしていくと同時に、やはり大会を開催するからには、できる限り盛り上げをしていくということも非常に重要であります。
 ここで逆転の発想というわけではないんですけれども、今なかなか大きな声を出すことを避けてくださいというようなことをいっている中で、皆さんご存じかもしれないですけれども、顔の横で手をぱたぱたと振ることは、耳の聞こえない方々にとっての拍手になるわけですよね。そういったことというのは、実は誰でも、いつでも、どこでもできるユニバーサルな考え方で大会を盛り上げられるものになるのかもしれないなというふうに思っています。
 今、ほんのちょっとしたことなんですけれども、こうした工夫を積み重ねていくということが、百点満点にすることは難しいかもしれませんけれども、一年後のきょうに大きなものが残ったねと、やってよかったねというふうな形で花を開かせることになるかもしれないということをぜひお考えいただきながら、ご苦労も多いと思いますけれども、頑張っていただきたいということを申し述べまして、私からの質問を終わりたいと思います。

○小山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小山委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時四十三分散会

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