オリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員会速記録第八号

平成三十年一月三十日(火曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 二十三名
委員長小山くにひこ君
副委員長大松あきら君
副委員長吉原  修君
副委員長伊藤 ゆう君
理事加藤 雅之君
理事両角みのる君
理事石川 良一君
理事山崎 一輝君
理事あぜ上三和子君
森澤 恭子君
おときた駿君
川松真一朗君
栗林のり子君
龍円あいり君
白戸 太朗君
入江のぶこ君
山口  拓君
里吉 ゆみ君
谷村 孝彦君
桐山ひとみ君
とくとめ道信君
木村 基成君
高島なおき君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長潮田  勉君
次長理事兼務小山 哲司君
技監相場 淳司君
理事延與  桂君
総務部長中村 倫治君
調整担当部長雲田 孝司君
連絡調整担当部長戸谷 泰之君
連携推進担当部長丸山 雅代君
事業調整担当部長高野 克己君
自治体調整担当部長小池 和孝君
運営担当部長田中  彰君
パラリンピック部長萱場 明子君
障害者スポーツ担当部長新田見慎一君
大会施設部長鈴木 一幸君
競技・渉外担当部長小野 由紀君
開設準備担当部長鈴木 研二君
施設担当部長砂田  覚君
施設整備担当部長草野 智文君
施設調整担当部長湯川 雅史君
輸送担当部長片寄 光彦君
選手村担当部長朝山  勉君
スポーツ施設担当部長藤木 仁成君
スポーツ推進部長小室 明子君
スポーツ計画担当部長
ラグビーワールドカップ会場運営担当部長
国際大会準備担当部長兼務
川瀬 航司君
ラグビーワールドカップ準備担当部長篠  祐次君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに二〇一九年に開催される第九回ラグビーワールドカップ二〇一九TMの開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項
・東京二〇二〇大会のボランティア募集について(説明)
・ラグビーワールドカップ二〇一九TMのボランティア募集について(説明)
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会における業務と経費について(質疑)

○小山委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 なお、報告事項、東京二〇二〇大会のボランティア募集について及びラグビーワールドカップ二〇一九のボランティア募集については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は二月二日の委員会で行いますので、ご了承を願います。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 根本総合調整部長及び越事業推進担当部長計画調整担当部長兼務は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承を願います。
 次に、理事者から、東京二〇二〇大会のボランティア募集について及びラグビーワールドカップ二〇一九のボランティア募集についての報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 それでは、私から、報告事項、東京二〇二〇大会のボランティア募集及びラグビーワールドカップ二〇一九のボランティア募集の二点につきましてご説明いたします。
 まず、東京二〇二〇大会のボランティアの募集についてでございますが、お手元の資料第1号をごらんください。
 初めに、1、ボランティアの概要でございます。
 大会を支えるボランティアには、組織委員会が募集、運営を行う大会ボランティアと、都が募集、運営を行う都市ボランティアの二種類がございます。
 大会ボランティアは、競技会場、選手村などの大会関連施設におきまして、観客へのサービス、競技運営のサポート、メディアへのサポートなど、大会運営に携わる活動を行っていただきます。
 都市ボランティアは、空港や主要駅、観光地などにおきまして、国内外からの旅行者に対する観光、交通案内や観客の案内などの活動を行っていただくことになります。
 次に、2、ボランティア人数でございます。
 これまで大会ボランティアと都市ボランティアを合わせて九万人以上を想定したところ、競技種目、会場の決定状況やオリンピック・パラリンピックへの関心、期待が高まっていることを踏まえまして、大会ボランティア八万人、都市ボランティア三万人をそれぞれ募集することといたしました。これにより、大会時には十一万人のボランティアに活躍いただくこととなります。
 なお、都市ボランティアの三万人には、日ごろより多言語での都内の観光案内を行っている東京都の観光ボランティアと、ラグビーワールドカップ二〇一九に向け先行して募集するボランティアを含んでおります。
 最後に、3、スケジュールでございます。
 本年七月下旬に募集要項を発表いたしまして、九月中旬より応募受け付けを開始いたします。その後、来年の二月から五月まで都内での面接を実施した後、来年十月から順次、共通研修、役割別研修、配置場所別研修を行ってまいります。
 なお、このスケジュールにより、都と組織委員会はそれぞれ募集を行っていくこととなりますが、面接、共通研修につきましては組織委員会と一体的に実施してまいります。
 次に、ラグビーワールドカップ二〇一九のボランティア募集についてでございますが、お手元の資料第2号をごらんください。
 初めに、1、ボランティアの概要でございます。
 ラグビーワールドカップ二〇一九におきましては、全てのボランティアを統一的に大会ボランティアとしておりますが、組織委員会が運営を行い、競技会場のアクセスエリア内におきまして会場運営サポートなどの活動を行っていただくボランティアと、開催都市が運営を行い、ファンゾーンや競技会場の最寄り駅から会場までのいわゆるラストマイルなどのアクセスエリア外におきまして、運営サポートや観客の案内などの活動を行っていただくボランティアがあります。
 次に、2、ボランティア人数でございます。
 ラグビーワールドカップ二〇一九のボランティアは、組織委員会において募集することを基本としておりまして、十二開催都市合計で一万人以上が想定されております。そのうち東京都が運営を行うボランティアは二千人を予定しており、組織委員会と都が共同で募集を行っていくこととしております。
 都が運営を行う二千人のボランティアの方々には、引き続き翌年の二〇二〇年大会におきましても都市ボランティアとして活躍いただき、ラグビーワールドカップ二〇一九での経験、ノウハウを継承していきたいと考えております。
 最後に、3、スケジュールでございます。
 本年三月下旬に募集要項を発表し、四月から応募受け付けを開始し、八月から十二月まで十二開催都市におきまして面接を行い、その後、順次、共通研修、配置場所別研修を行っていく予定でございます。
 なお、ラグビーワールドカップ二〇一九のボランティア募集に関する内容につきましては、今後、ラグビーワールドカップリミテッドの承認を得まして、ラグビーワールドカップ二〇一九組織委員会により正式決定されます。
 説明は以上でございます。

○小山委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小山委員長 それでは、資料要求はなしと確認させていただきます。

○小山委員長 次に、報告事項、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会における業務と経費についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 去る十二月二十六日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明いたします。
 お手元に配布してございますオリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙を一枚おめくりいただき、資料1、大会経費の増減について(V1との比較)をごらんください。
 十二月二十六日の当委員会にご報告いたしました資料第一号、大会経費V2(バージョンツー)についての五ページ、参考2、経費増減(V1とV2との比較、ハード・ソフト別)の主な増及び主な減の各項目に増減金額をお示ししたものでございます。
 続きまして、一枚おめくりいただきまして、資料2、大会経費(V2)の負担者別主な業務内容及び組織委員会と東京都の負担についてをごらんください。
 このページでは、昨年五月の大枠の合意に基づき、組織委員会、東京都、国が費用負担をすることとなった主な業務内容をお示ししたものでございます。
 一枚おめくりいただきまして、組織委員会と東京都の負担について、このページでは、仮設等から輸送までの項目と主な具体的内容、組織委員会と東京都の負担額を、もう一枚おめくりいただきまして、このページでは、セキュリティーとオペレーション等の項目と主な具体的内容、組織委員会と東京都の負担額を、十二月二十六日の当委員会にご報告いたしました資料と同様に、五十億円単位でお示ししたものでございます。
 続きまして、資料3、大会に関連する事業の主な例をごらんください。
 大会に関連する当局所管事業の例といたしまして、項目名と平成三十年度予算案をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤委員 それでは、私の方から質疑をさせていただきたいと思います。
 間もなく平昌五輪が始まろうとしております。隣国の五輪成功を心からお祈りするとともに、平昌での日本人選手の活躍がオリ・パラムーブメントを一層高めてくれるものと期待をしているところでございます。
 また、都議会からも二十名以上の議員がこの大会を視察させていただくということもあり、こうした隣国での取り組みというものも、また東京大会において大変参考になるものと期待をしています。
 さて、先般、V2予算が発表されました。堅調な景気に支えられて、当初予定よりも収入見込みが上向いたと聞いております。
 そこで、まず最初に、V2予算の特徴と今後のV3予算に向けた取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今般の大会経費V2は、昨年五月の都、国、組織委員会、競技会場が所在いたします関係自治体の四者による大枠の合意を踏まえまして、その枠組みをベースとして組織委員会が経費を見積もり、都や国と調整の上、昨年十二月時点で作成したものでございます。
 V2の作成に当たりましては、建設工事が本格化しております新規恒久施設や、今年度末までを目途に基本設計を行っております仮設など、ハード系業務を中心に現時点で精査可能なものを精査してございます。
 今後は、輸送やセキュリティー、オペレーションといったソフト系業務を中心に計画の具体化など、その進捗状況に応じまして、コスト縮減に向け経費の精査、精緻化を図り、来年度のV3、再来年度のV4に反映させてまいります。
 その際、共同実施事業管理委員会におきまして、こうしたコスト縮減などの各種取り組みを確認いたしますとともに、事業実施の段階では、事業ごとにしっかりとチェックするなど、執行統制を図ってまいります。

○伊藤委員 今、答弁にもあったとおり、共同実施事業管理委員会においてコストチェックをしっかりしていただくということですが、その方法論については後ほど、これについては詳細にこの委員会で確認をさせていただきたいというふうに思います。
 景気動向自体は現在堅調ですけれども、やはり景気ですので、下振れする可能性もあることから、見込みとなっている金額については楽観せずに注意深く見守っていただき、そして見込み額に達しない可能性も視野に入れていただく必要があるということを申し上げたいと思います。
 その上で、IOCからは一層の経費節減を求められているところと聞いています。大会経費の削減は、IOCのみならず、都民、国民の願いでもあり、都や組織委員会は不断の努力をされていることと思っていますが、一言に大会経費といっても、何のための大会経費削減なのか、その目指すべき目標が明確でなければ、めり張りのついた予算にはならないというふうに考えております。
 そこでまず、IOCが大会経費削減を求めている要因を都はどのように分析されているのか伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 IOCは、アジェンダ二〇二〇において、オリンピックを今後も持続可能なものとするため、大会開催費用の削減や柔軟性のある大会運営などを提言しております。
 財務面において大会を成功に導いていくためには、限りある資金の有効活用を図り、経費縮減に向けて取り組んでいくことが重要と考えてございます。
 東京大会は、アジェンダ二〇二〇を初めて具現化する大会でございまして、不断の経費の縮減に努めますとともに、東京にとりまして必要なレガシーに対してはしっかりと投資を行い、大会の成功とその先を見据えた取り組みを進めてまいります。

○伊藤委員 今、答弁にもあったとおり、IOCはオリンピックを今後も持続可能なものとするためというのが、大きな主眼として置かれているものというふうに思います。
 ただ、近年、種目が増加傾向にあることや、テクニカルマニュアルが多岐にわたり詳細になっていることから、大会運営費はおのずから右肩上がりとなっていて、もはや先進国以外で五輪開催はできないんじゃないかと、こういう指摘さえ上がってきています。
 ご承知のとおり、次はパリ、その次はロスと、異例の形で二大会先まで開催都市が決定しておりますし、いずれも先進国であり、また、二回目以上の都市ということになっています。
 IOCとしても、大会経費を抑制し持続可能な大会開催を目指して、経費全体の抑制に努めていることがうかがえるわけでありますが、IOCは、今後の大会のためということで、全体経費の抑制を目指している一方で、都はというと、これは今後の大会のみならず、二十年先の未来を見越した東京のまちづくりや社会づくりのために予算を組み立てていかなければいけないという意味で、IOCとはまた違った視点で予算を見ていかなければならないというふうに思います。
 すなわち、削ってはいけない予算と、そしてまた、削減をさらに強化していく予算を都として仕分けしていかなければいけません。そのためには、大会を通じて都が何をレガシーとして残したいのか、明確な考えを持って進めていくことが重要であると考えます。
 都は既にレガシーを残すための取り組みを着実に進めていると思いますが、どのような視点を持って進めているのか改めて伺いたいと思います。

○戸谷オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 大会後に確かなレガシーを残していくことは重要なことでありまして、どのようなレガシーを残せるかは、大会までの取り組みにかかっております。
 そのために、東京都は、二〇二〇年に向けた東京都の取組におきまして、大会後のレガシーを見据えた都の取り組みを明らかにしております。
 この中では、レガシーを実現するための視点といたしまして、成熟都市東京をさらに発展させ、ゆとりある真に豊かな都民生活を実現する東京にという視点、それから、オールジャパンで大会を成功に導き、大会の効果を日本全国へ波及させる日本へという視点、それから、大会に向けた取り組みを世界に向けて発信し、大会を機に世界との交流をさらに深めていく、そして世界に向けてという視点の三つの視点を掲げております。
 これに加えまして、世界で初めて二回目の夏季パラリンピックを開催するという都市といたしまして、パラリンピックを通じて誰もが暮らしやすい東京を実現するということを重要な視点として掲げてございます。

○伊藤委員 今、答弁にあった三つの視点に加えて、私が一番大事だと思っているのは、最後の誰もが暮らしやすい東京ではないかと思っております。ロンドン大会では、前にも指摘をしましたけれども、このロンドンプランというものが発表されて、厚みにして三百ページぐらいの大変重厚感のある、まちづくりの戦略が書かれています。
 この当時のロンドンの最大の課題は移民問題だったといわれておりまして、ロンドンだけではなくて、ヨーロッパ社会全体がどのようにこの移民に対して対処すべきかを思案している中でロンドンプランが発表されて、そして、この中でソーシャルインクルージョンというキーワードが出現をしました。
 それは、貧困層や弱者を社会全体が包み込むという発想で、今のロンドンのまちづくりの根幹になっております。大変高い評価を受けているというふうに私も承知をしています。
 翻って、このソーシャルインクルージョンにかわる二〇二〇年大会のキーワードは何かと考えたときに、なかなか端的に一言でいいあらわす言葉が出てきていないように思います。今も三つというお話がありましたが、一つのキーワードという意味では物足りない感じがしています。
 しかし、現象としては、全世界で急速な高齢化社会を迎える中で、高齢化社会のトップランナーである東京の取り組みは、世界から注目を集めていることは事実であります。ですから、理念としては、私は障害の有無にかかわらず、自由に活躍できる社会の実現ではないかと考えています。
 その分、バリアフリーやICTを活用した新しい働き方改革を積極的に進め、障害を持った方が活躍しやすい社会をつくる必要があるといえます。障害者だけではなくて、高齢者になれば、誰もが同じく体は不自由になりやすいわけでありますので、障害者も健常者もなく、誰もが不自由なく活躍できる社会の実現こそ、二〇二〇大会を通じて都が目指す社会ではないかと考えます。
 そこで、バリアフリー化の推進はそのための環境を整備するきっかけになると考えますが、都はどのような考えでこの大会準備に取り組んでいるのか、所見をお伺いしたいと思います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 大会時のバリアフリー化の指針であるTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインでは、全ての人々が、個人の身体的、機能的な状態にかかわりなく、同じ水準のサービスを受けられることを目指し、会場設計を含めた大会運営にかかわる諸計画を策定していくとしております。
 また、大会準備を通じて、障害者や高齢者を含め、多様なニーズを有する人々にとって必要な環境がハード、ソフト両面から整備されることにより、レガシーとしての共生社会の実現を目指すとされております。
 都は、こうしたガイドラインの考え方を踏まえ、競技施設の整備を初めとした大会への準備において、大会時だけでなく大会後も見据え、障害の有無にかかわらず、誰もが利用しやすいバリアフリー環境となるよう取り組んでまいります。

○伊藤委員 バリアフリーに向けての力強い答弁だったというふうに理解をさせていただきましたので、巷間、IOCから今後さらなる経費削減が求められている中で、バリアフリー予算が一番削られやすいんじゃないかと懸念する向きがあるんですけれども、バリアフリー予算を狙い撃ちにした削減はないという理解でよろしいんでしょうか。答弁してください。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 さきの答弁と重複してまことに申しわけございませんが、東京都では、大会準備に当たりまして、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインにのっとって、ソフト、ハード両面においてバリアフリー化を進めております。
 とりわけ会場の設営におきましては、ガイドラインにのっとるだけではなく、アクセシビリティ・ワークショップを設け、今まで六回にもわたる障害当事者も含めた質疑を重ねることにより、設計を進めてまいりました。この設計を具体化するよう、私どもとしては全力で取り組んでおるところでございます。

○伊藤委員 バリアフリー予算の狙い撃ちはないと、むしろ今、設計をされている中でバリアフリーを充実させていくと、こういうご趣旨であったというふうに理解をさせていただきました。
 そこは非常に安心材料なんですが、各区の事業にも少し落とし込んで議論をさせていただきたいんですが、私は地元の目黒区、まして家からほど近い五本木小学校のプールは、障害者用の更衣室も設けておりまして、障害者の方を歓迎する学校開放型プールとなっております。スロープもあって、手すりもあり、非常に重宝されているんですけれども、しかし、大事なものが一個欠けています。それは、実はプールサイドから肢体不自由の方がプールに入るに当たって、リフトがないということなんですね。
 リフトというのは、肢体不自由の方が車椅子からおりて、そのリフトに乗って、そして水面の中に入っていくというものなんですが、このリフトがないために、障害者の方は介助員の手配を常に心配しなければいけないばかりか、プールに入るたびに何名かの方が介助して大変目立つということもあって、障害者にとっては心理的な負担が結構大きいということです。これでは真のバリアフリーとはなかなかいえないんではないかと思います。
 現在、都では、スポーツ施設の改修工事の費用については補助をされているんですが、こうしたリフトのような補助器具については補助の対象とはされていません。
 一方で、都は現在、二〇二〇大会に向けて、障害者スポーツ地域振興事業を実施しておりまして、この中で、例えば各市区町村が障害者水泳教室などの事業を行う際に、年間三百万円を補助されています。ほとんどの区市町村は、この補助対象はイベントやスポーツ教室に限られるものと捉えているようで、事実、私の地元の目黒区の担当者も、水泳教室なんかには使えるんだけれどもという認識でありました。
 例えばこの水泳教室の際に、障害者用として必要となるリフトについても補助の対象にしてもらえれば、まさに形あるものをレガシーとして残せることになるんではないでしょうか。そうすると、二〇二〇大会の目指す意義が鮮明になり、小さいけれども、大きなレガシーにどんどんなっていくものと確信しております。
 障害者用のこうした補助器具も障害者スポーツ地域振興事業の補助対象になり得るということを、区市町村の担当者に東京都からご説明願えないかと思うんですけれども、ご所見を伺いたいと思います。

○新田見オリンピック・パラリンピック準備局障害者スポーツ担当部長 障害者スポーツ地域振興事業は、区市町村が身近な地域で障害者スポーツ振興を図り、障害者が継続的にスポーツを楽しめる環境を整備するために行う事業を支援することを目的に実施しております。これまで水泳やボッチャなどのスポーツ教室や体験イベントなどに補助を行ってまいりました。
 補助対象には、スポーツ教室などの事業を実施するために必要な委託料や使用料などのほかに、備品購入費も対象経費としております。
 これまで都は、区市町村の職員を対象に本事業の説明会や事例発表会を開催し、他の区市町村の取り組みなどを紹介してまいりました。
 今後は、説明会等の実施に当たり、ご指摘いただいた点を踏まえて、事業の中で購入した備品等の活用事例の資料を配布するなど、事業の活用方法について積極的に情報提供を行ってまいります。

○伊藤委員 これはぜひ区の方にもそうした取り組みというものをご紹介いただきたいと思います。
 ですから、確認ですけど、この振興事業を活用すれば、例えば一市区町村当たり三百万円の補助金の中で、五十万円をイベント費用に割り振って、残り二百五十万円を補助器具に購入できるという理解でよろしいですね。--はい。ですので、そうした理解促進を図っていただきたいと思います。
 もう一つは、障害者雇用についてもあわせて伺いたいと思います。
 現在、企業は二・二%の障害者雇用が義務づけられており、その雇用は進みつつあります。現在、パラリンピアンの世界でも、企業と選手の就職あっせんをするアスリートナビゲーション、いわゆるアスナビが普及していまして、多くのパラ選手が雇用されているという実態があります。
 頭脳に加えてメンタルが強いこともあってか、外資系金融機関や大手メーカーなどで働き、高額な年収を稼いでいらっしゃる方も少なくありません。一層の障害者雇用が進むことを期待したいと思います。
 あわせて、二〇二〇大会を通じて、こうした障害者雇用が一層進むように、オリ・パラ準備局の調達においても率先して取り組むべきではないかと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○中村オリンピック・パラリンピック準備局総務部長 二〇二〇年大会を契機として、障害の有無や性別等にかかわらず、誰もが活躍できる社会の実現は重要であると考えており、その中でも障害者の雇用促進は不可欠であると認識しております。
 障害者雇用の促進の取り組みといたしまして、当局では、東京都による障害者就労施設等からの物品等の調達方針に基づきまして、東京二〇二〇大会ガイドブックの印刷などを発注し、障害者就労施設等からの受注機会の確保に努めているところでございます。
 今後とも、この方針に基づきまして調達可能案件の掘り起こしに努めるとともに、物品等の調達が新たに生じた場合には、受注機会の増大のための分離分割発注や履行期間、発注量等を考慮することによりまして、可能なものについては障害者就労施設等からの調達を積極的に検討してまいります。

○伊藤委員 可能なものはぜひ分離発注をしていただいて、優先的にお願いをできればと思います。
 これ、今答弁にあったのは障害者就労施設ということだったんですけれども、広い意味では障害者就労施設だけではないんですね。二〇二〇大会に向けては、チラシやポスターなど発注することにもなります。イベントなどではこうしたものが一括発注となって、現在は大手代理店、イベント会社などが一括して受注していることと思いますけれども、肢体不自由ではあるけれども、優秀なデザイナーさんやクリエーターさんを多数雇用している企業もあります。
 事業に応じて分割発注できるものは、デザイン部門などを分割して、障害者雇用を積極的に進めている企業に優先発注していただきたいというふうに思います。また、一部、仕事の抜き出しが困難だったり課題が多いことから、現時点では制度設計には至っていないようですけれども、これはぜひ引き続き検討していただきたいと思います。
 次に、収入をふやす努力について伺いたいと思います。
 大会経費の多くは、行政機関を除けば、スポンサーからの収入で賄われています。しかし、広く都民、国民にも寄附を呼びかけ二〇二〇大会に参加していただくことは、機運醸成の観点からも重要であります。
 そこで、宝くじについて伺いたいと思います。
 オリンピック宝くじは収益金が開催都市の収入となることになっており、既に十億円の収入があった、そして今後、三百四十億円の収益金が見込まれていると聞いています。一方で、全国宝くじの売り上げは一兆円を超えていたころから右肩下がりとなっておりまして、現在は約八千億円程度であると聞いています。
 そこで、宝くじの売り上げ全体を底上げすることも必要だと考えており、二〇二〇大会の収入増にもつながるため、予算要望でも宝くじのネット販売を求めてきました。
 先般、ネット販売拡大についての報道がありましたけれども、今後、宝くじのネット販売については、全国宝くじ協会に財務局とともに促していくべきではないかと考えております。また、宝くじをより買っていただける工夫が重要であります。どうせ当たらないから買わないという人も多いんですけれども、一方で、今でも宝くじの外れ券を利用した抽せん会が毎年九月二日に行われています。
 そこで、オリンピック宝くじについては外れ券を利用して、例えばオリンピック記念品が当たるとかという抽せん会を行うことができないものか。また、将来的にはオリンピック・パラリンピックのチケットが当たるというような仕組みがつくれないか、ぜひ検討していただき、飛躍的に宝くじの売り上げが上がるように取り組んでいただきたいというふうに考えております。
 特にそうした取り組みが機運醸成にも貢献すると考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 東京二〇二〇大会協賛くじは、都内はもとより、全国で発売されるものでありまして、国民一人一人が購入することで、気軽にオリンピック・パラリンピックを応援できる方法であります。
 大会まで二年半となる中、日本全国で協賛くじの購入者がふえることは、オールジャパンで大会開催機運を醸成していくためにも重要なことであります。副委員長のご提案のような協賛くじの購入者増や機運醸成に向けた取り組みの検討につきましては、課題を整理しつつ、財務局と連携し、全国自治宝くじ事務協議会に働きかけてまいります。

○伊藤委員 ぜひ積極的に働きかけをお願いしたいと思います。
 ちなみに、ロンドン五輪でもオリンピック宝くじが出ているんですけれども、ロンドン五輪の際にオリンピック宝くじから大会運営経費として幾ら拠出されたかはご存じでしょうか。これ、ちょっと調べたら、七億五千万ポンドということで、大体二百円掛けると、一千四百億円ぐらいになるんでしょうか。
 そう考えると、今回の三百四十億円とはかなり大きな開きがありまして、ロンドン大会におけるオリンピック宝くじの貢献の高さというものがよくわかります。一層、この宝くじからこうした大会運営費を捻出していただけるように働きかけをお願いしたいと思います。
 あわせて、都施設への個人寄附についても伺いたいと思います。
 昨年の有明アリーナの質疑の際にも触れましたが、今後、都が建設する都施設に対して特定寄附制度を活用した個人寄附を募って、寄附者の氏名を施設に刻み込む取り組みというものを求めてまいりました。この場合は、寄附金が組織委員会ではなくて、都に入って、そして個人名が刻まれるため、都民、国民の大会参加意識は飛躍的に高まるものと期待できます。この検討状況を伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 オリンピック・パラリンピックの寄附金につきましては、現在、組織委員会におきまして東京二〇二〇寄附金として受け付けており、大会を応援したいという人々の思いを大会の準備、運営に活用する仕組みとなってございます。
 組織委員会によれば、この寄附金による収入は、平成二十九年十二月末時点で、個人、法人を合わせ約八百万円とのことでございます。
 一方、オリンピック・パラリンピック等の名称を使用して組織委員会以外の団体、例えば東京都が寄附を募る場合には、IOCの了解が必要となりますとともに、実施に当たりましてはIOCの了承する要件のもとで行うことが必要など、課題が大きい状況でございます。
 大会に使用する都の恒久施設整備におきまして、都民、国民の皆様の寄附を募ることは、財源の確保や大会機運の醸成につながるものと考えてございますが、さまざまな課題もある中で、引き続き参加意識を高める方策を幅広く検討してまいります。

○伊藤委員 企業が寄附を集めるのと違って、東京都が東京都の施設のために集めるということでありますので、ぜひ組織委員会、IOCの皆様のご理解をいただけるように働きかけをお願いしたいと思います。
 次に、二〇二〇大会が国内外で高く評価されることを願っているのは、ここにいる私たちだけではなく、国民全体の願いでもあります。そのために、大会関係者の方々が血のにじむ思いで取り組まれていることには心から敬意を表します。その努力を無駄にしないためには、成功の必要条件を考えなければいけないというふうに考えています。
 それは、決して赤字を出さないことだと考えています。二〇一六年招致のときには、百五十億円の招致予算に対して、最終的には約六億円の不足が生じて、その処理に議会としても追われました。当時の反省から、今回の予算管理において何を教訓としていらっしゃるのか、まず伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今、副委員長お話しのような、決算が予算を上回ることがないようにするためには、計画、予算、執行の各段階におきまして経費をしっかりとチェックし、コスト管理と執行統制の強化を図っていくことが重要でございます。
 このため、毎年度更新されます大会経費の計画であるV3、V4の作成に当たり、費用対効果を踏まえ、必要な経費を見きわめて精査してまいります。その際、共同実施事業管理委員会におきまして、コスト縮減などの各種取り組みを確認いたしますとともに、事業実施の段階では事業ごとにしっかりとチェックするなどして、大会経費全体の圧縮につなげてまいります。
 また、組織委員会におきましても、監査法人や海外コンサルタントなど、専門的な識見や過去大会などの知見を有する第三者の意見を伺いながら、引き続きコスト縮減に取り組むこととしております。
 今後とも、組織委員会と共同して、コスト管理と執行統制の強化に積極的に取り組んでまいります。

○伊藤委員 この共同実施事業管理委員会が設置されたことは、高く評価したいと思います。この委員会が設置をされる以前から、都民ファーストの当時の公約の中にも、五輪経費の透明化推進条例をつくるということをお約束してまいりました。こうした条例提案前に、図らずも共同実施事業管理委員会ができたことは評価したいと思いますけれども、要は、これの実態的な運用が問われてくると思います。以降はこれを管理委員会と呼びますが、この管理委員会が重要な役割を果たすことはいうまでもありません。
 そこで、詳しく聞きたいと思いますが、組織委員会が例えば仮設整備などの事業を発注する際に、管理委員会がどのような役割を果たすのか。まさにここが、いわば監査委員会のような役割を担うというふうに理解していますけれども、その役割と、そして人員体制をあわせて伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 共同実施事業管理委員会のもとには作業部会を設置することといたしまして、都、国、組織委員会などの関係者が委員として出席し、事案に即した協議や調整を行ってまいります。
 例えば、昨年十二月に発足いたしました共同実施事業管理委員会東京都作業部会には、都から八名、国から四名、組織委員会から十名の部課長級職員が委員として参加しております。
 この東京都作業部会におきましては、都が負担する経費につきまして、経費の負担が平成二十九年五月三十一日の合意の考え方に基づくものであること、事業の執行に当たり、大会運営を担う組織委員会が一括して執行した方が効率的、効果的であること、経費の内容等が必要な内容、機能かなどの必要性、適正な規模、単価かなどの効率性、類似のものと比較して相応かなどの納得性等の観点から妥当なものであること、その他経費の内容等が公費負担の対象として適切なものであることという四点の基本的な考え方に基づきまして、V2、V3、V4の計画の段階では全体の概要を、年度ごとの予算では当該年度の内容を、執行の段階では案件ごとの内容を、それぞれ対象として確認することとしております。

○伊藤委員 ちょっとここで具体的なことを伺いたいと思うんですけれども、組織委員会の方で、発注段階で発注の計画をつくられると思います。
 それで、東京都の場合だったら、東京都の入札基準に、あるいは発注ルールに基づいて、何十万円以上だったら相みつをとらなきゃいけない、入札をかけなきゃいけない、こういう形で発注されていくわけですけれども、組織委員会は組織委員会として、これからそういうルールが決められていくものと思いますけれども、その組織委員会がつくった発注手順というものを、最終的にこの管理委員会の方で確認をしてから発注をしていくと、こういう流れになるんでしょうか。
 その際に、組織委員会の方でこれから発注しますよといわれたものに対して、管理委員会が判こを押すんですか、承認をするんですかね。その承認をして初めて発注ができるんでしょうか。そこまで具体的に詰まっているのかどうか確認させてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 共同実施事業に関しまして、都が負担する経費につきましては、先ほどご答弁申し上げました四点の基本的な考え方に基づきまして、執行の段階におきましても関係者で確認した上で、組織委員会が共同実施事業として実施することとしております。このことは、昨年十二月に開催されました東京都作業部会におきまして文書にて確認しているところでございます。
 このように、組織委員会が共同実施事業を実施するに当たりましては、共同実施事業管理委員会の作業部会におきまして、事前に経費の内容を確認することが前提となっております。
 なお、執行の段階におけますこうした確認は、案件ごとに詳細に行うことになりますため、東京都作業部会の前に、都と組織委員会の各FA担当者間で業務の遂行に当たり、四点の基本的な考え方に基づき適切に内容をチェックしてまいります。その上で、東京都作業部会におきましては、これら案件を集約して確認することになります。
 こうした業務の具体的な進め方につきましては、今後、組織委員会など関係者と詰めてまいります。

○伊藤委員 改めて確認しますけれども、どういう事業を発注するかの考え方が四点あるということはよくわかりました。
 今お話にあったのは、組織委員会と確認することを前提として発注していくという話だったんですけれども、私、確認したいのは、組織委員会が発注する前に、確実に管理委員会が承認をしたもの、承認というのは形に残る形で、サインなのか、一般的には判こだと思いますけれども、管理委員会として判こを押したものだけが初めて発注に回せる仕組みになっているのかどうか、現状はなっていないのか、これからそういうふうなルールをつくるということになっているのか、そこを確認させてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 昨年十二月に開催されました東京都作業部会におきまして、チェックをする四点の基本的な考え方、それから、事前に確認をした上で組織委員会が事業を実施するという前提につきまして確認をしてございます。
 ただ、この具体的な進め方につきましては、今後、組織委員会など関係者と詰めまして、作業部会において定めてまいる、そういう予定になってございます。

○伊藤委員 今後、まさにその手続については決められていくということなので、幾つかの懸念を含めて質疑をさせていただきたいと思います。
 私が懸念しているのは、これからどんどんどんどん大会が迫る中で、時間的にも追われて、大量の見積もりが管理委員会に回ってくると。先ほど都から八名というお話でしたけれども、これ、相当な事業を発注していかなきゃいけない中で、本当に八名でどれほどのチェックというものができるんだろうかということについては、いささか不安であります。どうしても大量の見積もりなんかが相みつで来た中でチェックが甘くなってしまって、中には事後承認というようなケースが出てくるんではないかということを懸念しています。
 大事なことは、相みつがそろっているかどうかなどの発注手続に問題がないかもありますけれども、そもそも事業に対して見積もりが高過ぎるんではないかなどの判定も大事であります。
 しかし、都からの出向者の方が必ずしもイベント経費であったり、あるいは警備のコストパフォーマンスを図れるのか、見きわめられるのかというと、なかなかこれは疑問だと思います。手続的に問題がなければ管理委員会として承認するということでは、この管理委員会の意味が余りありません。
 そこで、専門的な知見を持つ外部の監査役、特に警備ですとか、イベントですとか、あるいは工事ですとかに対して、目ききのできる方を監査役として管理委員会に起用し、専門的な目で経費をチェックする必要があるんじゃないかと思うんですけれども、所見を伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 組織委員会が共同実施事業を実施するに当たりましては、監査法人や海外コンサルタントなど、専門的な識見やこれまでの大会におきます取り組み例などの知見を有します第三者の意見を十分に伺いながら、コスト縮減に取り組むこととしております。
 共同実施事業管理委員会におきましては、こうしたコスト管理の強化などの取り組み状況につきまして組織委員会から報告を受け、必要に応じて指摘、助言等を行うこととしておりまして、その際に専門家である第三者の参加を得て意見を伺うこともできることになってございます。
 今後、具体的な共同実施事業におきまして、技術的な専門性や先進的なコスト縮減手法などが課題となる場合に、必要に応じて民間監査法人など、専門的な識見や参考となる類似の事例などの知見を有します第三者の意見を伺っていきたいと考えてございます。

○伊藤委員 今、専門家を時々呼ぶというようなお話がありましたけど、本当に時々呼ぶ程度で、日常的に厳しいチェックが本当に図れるのかどうかは、やっぱりいささか疑問です。
 これは相当な量の事業発注量が出ると思いますので、掛ける何倍の相みつ書類が出てくる中で、仕様書等々、全部合わせて本当に価格が適切なのかどうかを見きわめるのは至難のわざだと思いますので、どうぞ外部の専門家の目というのを日常的に活用できるように、仕組みを考えていただきたいなと思います。
 ロンドンの例を少し引き合いに出したいと思いますが、ロンドン・オリンピックにおいては、下院の決算委員会が行政監視という点で非常に機能したというふうにいわれています。国立国会図書館の専門調査員の方がその活躍ぶりをまとめたものが私の手元にもありますけれども、このロンドン・オリンピック予算に対して下院決算委員会、PAC、パックと呼んでいますけれども、PACがチェックし、そして進捗管理していたことがわかります。このPAC報告書というものが八回上がっていまして、次の記述がありますので、ちょっと紹介したいと思います。
 請負業者との契約は、理想的には業者間の有効な競争を経て締結されるべきであるが、複数の競技会場において業者間の競争を生み出すことは困難になっている、競争が行われない場合、費用と性能の保障措置を契約に組み込むことが一層重要になると。つまり、大会が目前に迫って、せっぱ詰まった場合には、なかなか入札や相みつをとることさえ困難になるという指摘であります。
 しかし、その場合に備えて契約の公益性を担保するルールづくりが必要になるわけで、このルールは組織委員会に委ねられているのかどうか、この点についてもお伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 先ほどご答弁で、組織委員会が共同実施事業を実施するに当たりましては、共同実施事業管理委員会の作業部会におきまして、事前に経費の内容を確認することが前提となっていると申し上げました。
 一方、今、副委員長お話しのような事態に陥った場合におきましても、大会準備に影響を及ぼさず、組織委員会において円滑に事業を実施することが求められます。このような場合に、真に緊急性を有したか、経費の内容が共同実施事業の対象としてふさわしいかなどにつきまして、事後であってもきちんと検証し、負担の可否を判断できる方法を今後作業部会において検討し、定めてまいります。

○伊藤委員 私は、大会が目前に迫れば、組織委員会の現場は本当に火事場になって、常に不測の事態に追われるものと想像をしています。それだけに、都の場合、本当に高いハードルを契約事務において設定されていますけれども、現場の状況と折り合わず、そうした都の発注ルールというものが完全に適用されれば、結果、事前のルールが無視されてしまう、あるいは事後報告になってしまうということも想定できると思います。
 かつても、この事業ではありませんけれども、都の行政の中で、高過ぎるハードル、内規を都みずからが設定したことによって、現場ではそれを実行することができずに、釈明に追われるということもありました。ですから、やむを得ない場合には、相みつをとらないといったような緊急発注があり得るだろうと思います。
 しかし、どういう状況にあるにしても、緊急事態用のルールを設定しておくことも必要であります。そういう意味で、いかなる場面にも対応できる事前のルールづくりをした上で、かつ管理委員会の事前承認なくして発注されない厳格なルールづくりというものが必要であるという考え方があるんではなかろうかと思いますが、所見を伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 緊急の場合におきましても、大会準備に影響を及ぼさず、組織委員会において円滑に事業を実施することが求められます。
 このような場合に、経費支出の適正性を担保いたしますとともに、事後検証による負担の可否が判断できる方法を今後作業部会において検討し、定めてまいります。

○伊藤委員 何せ、事後報告ということにならず、事前の取り決めのルールの範囲内で、しっかり最後まで全うされるよう、現実的なルール設定をお願いしたいと思いますので、またルールができた段階でご報告をお願いします。
 先ほどのPAC報告書では、警備についても大変厳しい指摘が出てきています。それは、ロンドン大会では会場警備費用が開催直前になってほぼ倍増したということです。これに対し、PACは次のように指摘しています。
 行政の説明は、詳細な会場警備計画と競技スケジュールが策定される前には、最終的な費用を算出できなかったというものであった、しかし、この説明は納得できない、一年の間に警備員数が倍増し、組織委員会が初期の推計に基づいて締結した契約を一年もたたないうちに条件の再交渉をしなければならなかったという事実から、大会準備のこの方面の管理を信頼することができない、こう指摘しています。さらに、会場警備はお粗末な計画と民間部門によるお粗末な準備による残念なエピソードであった、会場警備の要求規模は大幅に過小評価されたとあって、ロンドンでは最終的に軍と警察によってこの会場警備が補填されるということになりました。
 警備に係る費用の過小評価というのは、大会直前になって破綻した場合に取り返しがつかないということを端的にあらわしているロンドンの報告だと思います。警備に係る費用の過小評価は現段階において、この東京大会に対してないのかどうか、改めて伺いたいと思います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 ロンドン大会では、大会開催の直前に会場警備を担う民間警備員が大幅に不足するという事態が生じたことを踏まえまして、二〇二〇年大会におきましては、大会主催者として行う自主警備の準備を計画的に行うことが特に重要と認識しております。
 このため、東京二〇二〇組織委員会では、平成二十六年八月、速やかに警備局を設置し、初期の段階から国を初めとする関係機関と連携調整を図りながら、国際的な警備情勢の変化等も見きわめつつ、会場警備に係る準備を進めております。
 経費につきましては、現時点で適切に見込んでおり、今後、大会準備の進捗状況に応じまして、さらに精査、精緻化を図り、来年度のV3、再来年度のV4に反映させてまいります。
 今後とも、大会におけるセキュリティーの確保に向けまして、国などと緊密に連携し取り組みを進めてまいります。

○伊藤委員 ロンドンも、民間の警備会社はイギリスで一番大きな会社だったそうです。にもかかわらず、まさに大会の直前になって白旗を上げたということでありました。
 ロンドン五輪の警備を請け負い、その警備員を確保できなかったニック・バックルズ最高経営責任者は、イギリス議会のある委員会で、契約どおりの人員数を確保できるかどうかは開幕一カ月を切るまでわからなかったと証言しました。くれぐれもこうした事態を招かないように、万全の体制をしいていただきたいというふうに思います。
 現在、都の財政管理は、一年に一度の予算と決算に限られています。しかし、民間企業の場合ですと、例えば大企業なんかでは四半期に一度の財務報告が上がるなど、株主への説明責任を負っているわけであります。
 都議会としても年に一度の決算では、事業ごとに当初見積もりと発注額に差異が生じていないかなどのチェックが大変難しい側面がありますので、四半期ごとなのか、または大型イベントやハード整備ごとなのか、いずれにせよ、ロンドンでも年に一、二回の頻度で会計検査院から議会に報告書が上がってきています。議会としてもチェックしやすい体制づくりを求めたいと思いますが、所見を伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 これまでも本委員会におきまして、大会準備全般の取り組み状況や大会経費の計画、大枠の合意といった全体に係るものや、新規恒久施設の整備計画など、重要な事項につきまして節目節目でご説明させていただいているところでございます。
 今後とも、大会経費や計画策定、施設整備など、重要な事項の節目を捉えまして、都議会の皆様に丁寧にご説明してまいりたいと考えてございます。

○伊藤委員 さっきロンドンの話を取り上げましたけれども、八回、約三年間の間に委員会として報告書を上げています。逆にいうと、それだけ高い頻度で議会の側に執行状況というものが詳しく伝えられてきたということでもあり、その報告書を受け取って、執行機関の方も予算の改善を図ってきたというやりとりがあったようです。
 これは大ロンドン議会の方ですけれども、ロンドン議会に対しては、こうした議会と、それから組織委員会並びに執行機関とのやりとりを、国民、また市民の方もごらんになられていて、議会に対する支持率、信用度というのがオリンピックを通じて上がったということでもあります。
 一気に、大量に予算執行状況をご報告いただきましても、やはり事細かにチェックすることがなかなか難しいと思いますし、また、先ほどの警備状況についても、詳細なデータがないと、私たちとしても抽象論に終わってしまいますので、今後のことだとは思いますけれども、できる限り、一年に一度といわずに、今ご答弁にあったように、頻繁にご報告をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
 重ねて申し上げますが、本当に赤字を出したら、どんなにいいことをやっても、赤字を出したオリンピックと後世いわれますので、ここは行政の皆さんだけではなくて、組織委員会の皆さんだけではなくて、議会もその責任を負うという理解のもとに、全力を挙げて財務管理をしていきたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、選手村における家電についても伺いたいと思います。
 晴海にできる選手村には、三千九百戸分の居住スペースができるわけでありまして、その晴海の選手村に大会関係者の皆様にお住まいをいただくということであります。この住環境は、まさに日本、東京の居心地のよさを象徴的にあらわすものでありますので、大会関係者の方々が喜んでいただけるような、そんなしつらえになることを私も望んでいますが、それぞれの部屋に設置される電化製品についてちょっと伺っておきたいと思います。
 この電化製品については、スポンサーとの兼ね合いもあって、そのスポンサーメーカーのものを設置していくというように聞いているんですけれども、大会後にこの電化製品は一体どうなるのかということを伺いたいと思います。
 膨大な費用をかけて購入することになるんだと思いますが、この選手村が使われるのはおおむね約三カ月間ということで、その後、処分されてしまうということになっては、もったいないと思います。本当であれば、リースなどの対応が図れればいいんだろうと思うんですけれども、選手村におけるリース、あるいはリユース、3Rについて、今後の取り組み状況を伺いたいと思います。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村の宿泊棟につきましては、都が施行する市街地再開発事業において、民間事業者が整備いたします住宅棟に組織委員会が大会用の仮設内装を設置しまして、大会期間中、一時使用する計画となっております。
 選手村の宿泊棟で大会期間中に使用しました給湯器やエアコン、ユニットバス、フローリング材などにつきましては、大会後に新築住宅として分譲、賃貸するための改修において撤去することになりますが、3Rの観点から、都の公共施設等での再利用について検討しております。
 さらなる3Rの取り組みを進めるため、昨年六月に、大会時に使用した設備のリユースなどについてアイデアを募集したところ、リユース先に関するものやリユース品の販売促進策に関するアイデアなどが寄せられております。
 現在、これらのアイデア等について、実現可能性などの検討を行っているところであり、今後も持続可能性に配慮した大会としていくため、3Rの推進に積極的に取り組んでまいります。

○伊藤委員 いろんなアイデアも募っていらっしゃるということでありますけれども、アイデアはもちろん、ぜひ生かしていただければと思うんですが、三千九百戸、約四千戸で、冷蔵庫もあれば、それこそ電子レンジもあるんだろうと思いますし、ましてやコンロだとか、もっと大きいものでいえばエアコンですよね、エアコンも対象に入っているわけですよね。
 これ、本当に四千戸分のエアコンが各部屋にあるとしたら、掛ける何個かになるんでしょうから、すごい金額だと思いますし、それから、すごい個数ですよね。これ、本当にいろんな方々にお分けをして、満遍なくリユースできるのかというのは、なかなか難しいところもあるんじゃないかなと思うんですね。
 先ほども答弁していただきましたけれども、IOCが持続可能な大会経費を目指すということであれば、スポンサーさんにとらわれずに、せめて選手村の中の家電製品はリース契約にして、借りられるものを借りて、返せるものを返せるというぐらいの仕組みというのが検討されてもいいんじゃないかと思うんですよね。
 これは逆にいうと、開催都市がそれを提案しないと、なかなか改まっていかないと思いますし、今後、ほかの開催都市においても同じことが求められると。これ、少なくても、単純に考えても、きっと百億円以上ですよね。一説には五百億円ぐらい、これだけでかかっちゃうんじゃないかといわれているわけですので、大会経費の削減を求められているということとあわせて、ぜひ、これはIOCの関係者にも働きかけをしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、二〇二〇大会を東京だけのものではなくて、日本全国の発展につなげていく取り組みについてもお伺いしたいと思います。
 日本には風光明媚な観光地がたくさんあって、わびさびの文化を広く世界の方々に知ってほしいなと思います。現に目黒も、この間、金沢市と友好協定を結びました。
 しかし、例えばオリンピックのときに、東京に来て東京から帰れば、なかなか地方の魅力は伝わらずに、東京の狭さ、混雑さ、あるいはにぎやかさだけが際立ってしまいかねません。そこで、いわゆる地方イン東京アウトについて検討できないか伺いたいと思います。
 それこそ、先ほど申し上げた金沢、石川県には小松空港があります。例えばですけれども、この小松空港にまず海外のお客様に入っていただいて、金沢に一泊、二泊していただいてから新幹線で上京して、五輪を観戦していただいた後に、羽田や成田空港から帰国をするというツアー誘導があれば、東京のよさも、そしてまた地方のよさも同時に味わっていただけるものと思います。また、そうしたことが、外国から来た、特にヨーロッパからなかなか東京に来られない、日本に来られない方に、日本のよさをお伝えすることになるんだろうと思います。
 特に、こうした動線をしくためには、人気の五輪チケットとツアーを組み合わせるのが有効な策であるといわれておりますので、ツアー会社への政策誘導があわせて不可欠であります。大手ツアー会社との連携によって、こうした地方イン東京アウト、逆でもいいんですが、観戦ルートの誘導が地方創生にも一役買うと考えますので、日本全国の発展につなげていく取り組みとして考えられないものか、その所見を伺いたいと思います。

○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 二〇二〇年大会を、東京だけではなく日本全国の発展につなげていくことは非常に重要でございます。これまでもオールジャパンで大会開催機運を盛り上げ、各地域の活性化が図れるよう、全国自治体向けシンポジウムなどの取り組みを展開しているところでございます。
 さらに、産業労働局におきましては、東京と地方を結ぶモデル観光ルートへ海外メディアを招聘し、旅行記をウエブサイトで紹介するなど、双方の観光の魅力を発信する取り組みを実施しております。
 今後とも、全国の声に耳を傾けながら、組織委員会や庁内各局の関係者などと協力、連携し、より一層大会の効果を全国に波及させる取り組みについて検討してまいります。

○伊藤委員 これはチケッティングの問題なので、簡単にはなかなかいかないとは思うんですけれども、逆にいうと、ツアー会社さんに自由に観戦ツアーを組んでいただくということになれば、多分ほとんどのツアーガイドさんも到着するところと出発するところの空港はやっぱり同じじゃないと、エアーが相当高くなりますので、売りづらいということで、いうはやすしで、実現するとなると、本当にツアー会社さんの協力なくしては実現しないと思います。その分、都としても、ぜひこうした動線、ツアールートの確保を働きかけていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 これまでに質疑してきたことや、また、一九六四年から二〇二〇年大会までの東京都の取り組みを伝える、いわゆる二〇二〇大会アーカイブルームが、この東京都庁内にもあっていいんではないかというふうに思います。これから、特に海外からの、東京の取り組みを見たいといって見学に来られる行政関係者の方々もたくさんいらっしゃると思うんですけれども、都庁内における大会アーカイブルームに対する取り組みについてお伺いしたいと思います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 都、IOC、組織委員会、JOCが遵守すべき合意書である開催都市契約等におきまして、大会の記録を保存し、レガシーを将来に引き継ぐため、組織委員会は、都、IOC、JOC等との合意の上、大会の資料等について保存する組織を含めた計画を大会までに策定することが求められております。
 一九六四年大会のメダル、聖火リレー用のトーチなどの記念品、式典用品や大会運営の記録につきましては、日本スポーツ振興センター、JSCが所管する秩父宮記念スポーツ博物館・図書館がその多くを保管しております。都の施設では、駒沢オリンピック公園メモリアルギャラリーにおきまして、メダルや公式ユニホームなど、記念品の一部を保管、展示しております。
 また、JOCは、オリンピック大会の関連資料を展示する日本オリンピックミュージアムを平成三十一年九月に設立することとしております。
 都といたしましては、こうした状況も踏まえまして、組織委員会、JOC等と連携し、大会後、将来に引き継ぐべき資料が確実に保存されるとともに、広く利活用されるよう検討してまいります。

○伊藤委員 ぜひご検討をよろしくお願いいたしたいと思います。
 最後に、きょう再三申し上げてきましたけれども、とにかく赤字を出さない、そして、多くの方々にやっぱり成功したといっていただける二〇二〇大会にしていくためには、議会と行政当局と、また組織委員会との役割分担と円滑な運営のための仕組みづくりが不可欠であると感じております。
 最後に、成功に向けた局長の決意を伺って、質疑を終えさせていただきたいと思います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 大会を成功に導いていくためには、財務面においてもしっかりとマネジメントし、限りある資金の中でしっかりと進行管理を行っていくことが重要であるというふうに考えております。
 大会経費につきましては、現在、V2として中身を詰めつつございますが、今後も輸送やセキュリティーなど、さらなる計画の具体化に伴いまして、引き続き精査を重ねてまいりたいと考えております。
 そして、組織委員会における徹底した進行管理や、国と東京都と組織委員会が連携して行います共同実施事業管理委員会による取り組みとあわせまして、大会経費全体の圧縮につなげていきたいと考えております。
 そうした経費精査は極めて重要な課題でございますが、同時に、今申しました輸送、セキュリティーを初め、さまざまな課題にしっかりと取り組み、大会を成功させていかなければならないというふうに考えております。
 また、大会のレガシーを東京の持続的な発展につなげていくことも重要でございまして、そのために必要な投資はしっかりと行っていきたいと考えております。
 都議会の皆様には、引き続き大会経費や計画策定、施設整備などについて節目を捉えてご報告をいたしまして、闊達なご議論を賜りたいというふうに考えております。
 これらの取り組みを通じて、都民、国民の皆様から信頼を得て、喜んでいただける大会、世界中の人々の記憶に残る大会、そうした大会として成功に導いていくとともに、二〇二〇年とその先を見据えまして、将来の東京にすばらしいレガシーを残してまいりたい、かように考えております。

○加藤委員 私からは、大会経費のチェックとともに、大会後を見据えた取り組みという視点から何点か質問をしたいと思います。
 都議会公明党は、これまでも大会経費について縮減を進めるとともに、組織委員会予算を含め、大会経費全体を都がしっかりとチェックしていくべきであると主張をしてまいりました。
 昨年五月の大枠の合意を踏まえて共同実施事業管理委員会が設置をされ、大会経費に対するチェック機能ができました。大会経費のチェックとその枠組みのもと、報告されました大会経費V2では、大枠の合意からは三百五十億円の減、一昨年十二月の大会経費V1からは一千五百億円の減となっております。ただし、説明資料を見る中で、V1、大枠の合意、V2の関係がわかりづらいものとなっているように感じます。
 そこで、初めに、V1から大枠の合意、V2作成までの経緯と、それらの位置づけについて伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 平成二十八年十二月に公表いたしました大会経費V1は、大会開催まであと三年半となり、概括的にでも経費の全体像を明らかにする必要があるとの観点から、初めて大会経費全体の額をお示ししたものでございます。
 このV1では、経費の分担につきまして、組織委員会とその他の二区分でございましたが、その後、V1をベースに経費精査と分担議論を進めまして、昨年五月の大枠の合意では、V1から一千億円以上の経費圧縮、組織委員会収入の一千億円増を図った上で、初めて組織委員会、都、国の分担試算額をお示しいたしました。
 さらに、今般のV2は、この大枠の合意を踏まえまして、その枠組みをベースとして組織委員会が経費を見積もり、都や国と調整の上、昨年十二月時点で作成したものでございます。
 なお、このV2の作成に当たりましては、建設工事が本格化しております新規恒久施設や、今年度末を目途に基本設計を行っております仮設など、ハード系業務を中心に現時点で精査可能なものを精査したものとなっております。

○加藤委員 答弁から、V1は初めて大会経費全体の額を示したもの、大枠の合意は初めて組織委員会、都、国の分担とその試算額を示したもの、これらを踏まえて、主にハード系を中心に精査しV2が作成されたということでございました。
 それでは、この中で大枠の合意の分担試算額についてですが、説明資料の三ページでは、全体が一兆三千八百五十億円にもかかわらず、組織委員会、東京都がおのおの六千億、国が一千五百億円との記載がありまして、これを足すと一兆三千五百億円ですよね。この合計欄のところが一兆三千八百五十億円となっておりまして、残りの三百五十億円の説明がありません。
 そこで、大枠の合意の組織委員会、東京都、国以外の経費三百五十億円の内容とV2との関係について伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 ご質問の三百五十億円は、昨年五月の大枠の合意の際に、組織委員会、都、国の負担に割り振られていない関係自治体の会場周辺における輸送、セキュリティーの経費でございまして、業務内容、経費を含め、立候補ファイルを基本として、整理、精査を行っていくこととしてございました。
 その後、経費精査等を行いまして、今般のV2時点で二百億円減の百五十億円と見込んだところでございます。
 なお、この百五十億円につきましては、全国の宝くじ財源を都が受け入れ、組織委員会に支出することとなりましたことから、都に計上しているものでございます。

○加藤委員 大枠の合意の三百五十億円は、関係自治体の会場周辺における輸送、セキュリティー等の経費であり、そのうち二百億円減の百五十億円がV2に計上されているとのことでした。今回の資料では、このあたりが非常にわかりづらいものとなっております。都民の方々への説明責任を果たすためにも、V3に向けては、簡潔明瞭な資料をお願いできればと思います。
 また、先ほどの答弁では、都が宝くじ財源を受け入れるということでありました。
 そこで、V2の都負担額六千億円の財源はどのようになっているのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今般のV2におけます東京都の支出額六千億円のうち、全国の宝くじ財源を都が受け入れて組織委員会に支出いたします百五十億円を除く五千八百五十億円が都の負担額となります。この都の負担額につきましては、将来に負担を残さないという考え方に基づきまして、基金の積極的な活用により財源確保を図ることとしております。
 なお、平成二十九年度最終補正予算案で東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金への積立金が計上されております。
 こうした積み立てによりまして、都民サービスに影響を及ぼすことなく、かつ将来に負担を残すことなく、大会開催が可能になると考えております。

○加藤委員 宝くじ財源を除く都負担額五千八百五十億円について、基金を活用するため、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金への積み立てが平成二十九年度の最終補正予算案で計上されるということですが、財務局の所管ということで具体の数字のお答えがなかったので私の方で申し上げますと、二十九年度の最終補正予算において、二十八年度決算で歳出の見直し等により生じた剰余金一千二百八十八億円と、パラリンピックに係る国負担分として受け入れた国庫支出金三百億円の計一千五百八十八億円を、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金に積み立てるとのことで、これにより二十九年度の最終補正残高としての同開催準備基金は五千三十億円、そして三十年度当初予算で九百六十八億円を取り崩す予定でありますので、差し引き四千六十三億円が三十年度末の残高見込みということになると思います。
 施設整備費で既に支出したものもありますので、この三十年度末の六千億に対する都分の積立額は五千四百六十八億円、他県分の宝くじ百五十億円と合わせて五千六百十八億円の積み立てとなり、不足分が三百八十二億円と。この不足分は、二十八年度決算同様、二十九年度決算でも剰余金が見込めますので、二十八年度剰余金が一千二百八十八億円ですから、今の景気状況を考えますと、見込めると、賄えると予想をしておりますけれども、ただ、楽観視はやっぱりしてはいけないというふうに思います。都民の皆様からお預かりした大切な財源でありますので、しっかりと管理し、オリンピック・パラリンピック経費を抑制していただきたいと、そのように思います。
 次に、V2では余り説明がなかったと思いますが、予備費について伺います。
 V1、大枠の合意、V2には、それぞれ予備費一千から三千億円があります。そのほかに、組織委員会の予算の中にも調整費という名目で予備費が五百億円計上されておりますが、その理由は何か伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 組織委員会の支出に計上されております調整費は、現時点では具体的に想定されない緊急事態や、今後発生し得る増額要素への対応を視野に入れたものでございます。
 金額につきましては、V1でIOCの助言等に基づき収入の一割程度の五百億円を計上いたしましたが、V2でもそのまま据え置いているものでございます。

○加藤委員 要は、組織委員会が資金不足にならないようにするための経費ということでありますが、組織委員会が赤字になった際には、東京都は財政保証するということになっておりますので、東京都の費用負担がふえることになります。
 そこで、組織委員会の赤字を出さないために、都はどのようにチェックしていくのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 ただいま理事お話しのような組織委員会が赤字を出さないようにするためには、計画、予算、執行の各段階におきまして経費をしっかりとチェックし、コスト管理と執行統制の強化を図っていくことが重要でございます。
 このため、今後、V3、V4の大会経費の計画の作成に当たりまして、費用対効果を踏まえ、必要な経費を見きわめて精査してまいります。
 その際、共同実施事業管理委員会におきましてコスト縮減などの各種取り組みを確認いたしますとともに、事業実施の段階では事業ごとにしっかりとチェックするなどして、大会経費全体の圧縮につなげてまいります。
 組織委員会につきましては、毎年度の決算報告に加えまして、本年度は東京都監査委員による財政援助団体等監査も実施されました。
 今後とも、組織委員会と共同して、コスト管理と執行統制の強化に積極的に取り組んでまいります。

○加藤委員 最終的には都の費用負担がふえていくことのないよう、組織委員会の予算も含めて、大会経費全体を都が中心となってしっかりとチェックしていただくようお願いをいたします。
 ちなみに、V2では、組織委員会の収入が一千億円増加する要因として、スポンサー収入の増加が大きいわけですけれども、トップスポンサーと国内スポンサー合わせて八百億円の増加。しかし、支出で見ると、マーケティングも四百五十億円増加しておりまして、これは、スポンサー収入の増加に伴い支払わなければならないロイヤルティーなどの増加となっておりまして、純粋な大会運営準備費用としてどれぐらいあるのか、このロイヤルティーが公開されておりませんので、よくわからないところであります。
 都議会公明党は、かねてからこの不透明な点も指摘してきたところですが、都は引き続き、決算など重要事項の決議権限を有する評議員会等で重要事項の内容をしっかりと確認し、意見を述べ、組織委員会に対して一層の情報公開を要求していくようお願いをいたします。
 次に、仮設施設について伺います。
 大会経費V2のうち、会場関係で縮減効果が出ているのが仮設等です。この仮設等については、昨年五月の大枠の合意三千四百億円から、二百五十億円の縮減を図ってはいますが、いまだ三千百五十億円もの経費を計上しているとの説明がありました。
 この経費について、特に仮設施設についてはオリンピック・パラリンピック特有の条件もあると思いますが、どのような条件のもと、どのような取り組みを行い算定をしたのか伺います。

○湯川オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 オリンピック・パラリンピックは、通常のイベントと比べまして、多数の会場で多くの競技が同時に開催されるなど、開催規模が極めて大きい特徴に加えまして、IOC等から、テロ対策等のため会場周辺への広範囲に及ぶセキュリティーフェンスの設置や、高画質の映像を世界中に届けるため、会場ごとに特に明るい放送用照明を配置するなど、仮設施設について特別な条件を示されております。
 組織委員会では、このような特別な条件のもと設計図面を作成するとともに、工事の単価については、物価に関する刊行物等による市場価格調査のみならず、国内外サプライヤーに対して調査を実施するなどの取り組みを行っております。
 加えて、会場整備における前提条件や仕様の見直しの手法であるCVEや、各競技会場で提供されるサービスの最適化の手法であるSVSDの取り組みにも踏み込むなど、多方面からコスト縮減に取り組み、不断の努力によりV2予算を算定しております。
 引き続きこれらの取り組みを実施し、さらなるコスト縮減に努めてまいります。

○加藤委員 建築資材単価とか人件費は一般的に上昇していると認識しているんですが、それでもこの整備費単価の見直しで削減をしたということは、今の答弁のように、CVEやSVSDの取り組みでコスト縮減に取り組んだという成果だと思いますが、今後も縮減努力を重ねて、できるところはできるだけ縮減をお願いしたいと思います。
 そして、今回のV2予算については、当然のことでありますが、大会に関係する計画との整合性が図られていなければなりません。
 中でも大会の準備、運営を行う上での原則となる持続可能性に配慮した運営計画というのがあり、その第一版については平成二十九年一月に策定されておりまして、大会後の第三者による再使用等の取り組みを推進するという方向性が示されているところであります。先ほども3Rのことについてはやりとりがあったと思います。
 そこで、その後、この計画の具体化に向けて、どこまで検討が進められているのかについて伺います。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 組織委員会が昨年一月に策定しました持続可能性に配慮した運営計画の第一版では、資源管理など五つの主要テーマに関する方向性を示してございます。
 現在、その具体的な目標と達成に向けた指標などを明示いたします本計画の第二版の策定に向け、組織委員会におきまして有識者から専門的な識見に基づく助言を得るために設置した街づくり・持続可能性委員会で、私どもも参加して議論を重ねながら検討を進めている状況でございます。
 このうち資源管理につきましては、委員会のもとに設置されたワーキンググループにおいて、資源を無駄にしないため、レンタル等の活用や大会で使用した物品の有効活用を図るリユースなどに関しまして、精力的に検討を進めてまいっている状況でございます。
 引き続き、本年六月の第二版の計画策定に向け、組織委員会や関係局と連携いたしまして、積極的に取り組んでまいります。

○加藤委員 六月に第二版が策定される予定ということですが、二〇二〇大会の大きなレガシーとなるものですので、しっかりと検討してもらいたいと思います。
 都議会公明党は、昨年の第一回定例会、第二回定例会でも、環境に配慮した二〇二〇大会にするよう求めてまいりました。
 二十九年の一定の代表質問では、仮設施設や設備、備品などが大量に使用され、一時的に利用された物品が大会終了後直ちに廃棄されるのでは非常にもったいないため、できる限りリユース、再使用して、スマートシティーをアピールすべきだと。一つの提案として、例えば、地域の高齢者から、児童遊園やポケットパークなどに腰かけるベンチがあると大変助かるという声をいっぱいいただいておりまして、また、町会、自治会からは、イベントで使うテント、いろいろ古くなったりして更新したいんだけれども、なかなか費用がなくて更新できないという声を多く聞くこともありますので、そこで、このテントとかベンチとか、こうした大会使用物品を、希望する都内区市町村を通じて各地域で再使用できれば、長きにわたって環境に配慮した大会のレガシーの一つとして残っていくのではないかと、こういうことを主張させていただいたわけでございます。また、費用の面におきましても、再利用を前提とした長期的な視点、共通部品化、こうしたことによってコスト削減も見込めると、このように訴えさせていただきました。
 環境局長さんからは、この東京大会における3Rの推進について、二〇二〇大会は、持続可能な資源利用に向けた取り組みを世界に広く発信する機会でもあることから、大会の運営において3Rを推進し、大会で一時的に使用したスポーツ器具や設備等の有効活用を図っていくことは極めて重要だと。これまで国内外で開催された競技大会やイベント等における使用済み物品のリユースやリサイクルに関する取り組み状況について調査を行うとともに、その結果をもとに、使用済み物品を総合的に管理する仕組みの検討を始め、組織委員会の取り組みをサポートすると、こういう答弁がありました。そして、この大会で使用された物品を大切に長く活用するとともに、大会後もこの3R推進の仕組みそのものをレガシーとして社会に定着させてまいりますと、こういう答弁があったわけでございます。
 二十九年二定の代表質問では、仮設施設についても同じような視点でお話をさせていただきまして、これにつきましても、組織委員会、関係自治体、関係局と連携をして、大会後の活用も十分に見据えながら、資源の効率的な利用に取り組んでまいると、こういうお話が出ました。
 先ほどいろいろお話があったと思うんですけれども、リース、レンタルというのも非常に大切だと思うんですけれども、今回、オリンピックとパラリンピックと、あとその移行期間、最初の開会式と閉会式の前後も合わせますと一カ月以上かかるという、長期という期間だというふうに思うんです。そういう中で、物によっては、リースとかレンタルがかえって高くなるものも出てくるんではないかと、素人なんですけれども、こういうふうにも思っているんですね。そういうことも、逆にコストがかかるものもあるかもしれないので、しっかりと精査をしていただきたいと、そのように思います。
 また、リース、レンタルの中には、後利用はできるんですけれども、都民の目に見える形として残らないということもありますので、その点も比較検討しながら考えていただきたいというふうに思っております。
 いずれにしましても、大会経費が今のところ総額一兆三千五百億円、そのうち都が負担する六千億円に加え、受け入れ環境の充実や無電柱化を初めとした都市インフラの整備など、大会関連事業として都が負担する約八千百億円、合わせて三十二年度までに約一兆四千億円が必要となるとの見込みであります。
 基金の取り崩しと一般歳出で賄っていくというふうになると思いますけれども、今後、V3、V4と大会経費を作成するに当たっては、縮減が必要なものについては縮減を図りつつ、将来に負担を残さないことが大切となります。
 また一方で、環境先進都市の構築に向かっては、コストカットで目先の安かろう悪かろうで安全性が低かったり、環境に配慮しない持続可能性の低い調達や施設整備ではいけないと思います。
 レガシーをどうつくるか、残すかにかかっておりますので、今後とも、しっかりと取り組んでいただきたいということを最後に要望いたしまして、質問を終わります。

○山崎委員 私からは、大会経費バージョンツーについて作成過程や、またバージョンワン、V1との比較を通じて、その課題などについて議論していきたいと思います。
 昨年の十二月二十二日に大会経費バージョンツーが公表されまして、二十六日には本委員会にも報告がございました。
 その内容を確認しますと、V2といわせていただきますが、今回のV2は、昨年五月の大枠の合意から三百五十億円の削減、一昨年の十二月のV1からは一千五百億円もの削減がなされております。大会経費についてはこれまで削減、削減と叫ばれておりますが、大会開催に必要な経費まで削ってしまっては本末転倒であります。
 そこで私からは、報告のありました大会経費で、果たしてこれで東京大会を成功させることができるのかという問題意識のもと、質問をしていきたいと思います。
 まずは、大会経費V2の作成過程について伺います。
 初めに、今回、大会経費V2の作成過程において都はどのようにかかわり、また、調整をしてきたのでしょうか、教えてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今般の大会経費V2は、昨年五月の大枠の合意を踏まえ、その枠組みをベースに組織委員会が経費を見積もり、都などと調整の上、作成したものでございます。
 東京都は、組織委員会による大会経費の取りまとめに一定のめどがついた段階で組織委員会から説明を受け、例えば大枠の合意の考え方に基づくものであるか、業務の進捗状況に応じて経費精査がなされているかといった観点から確認し、必要に応じて修正を図るなどの対応を行いました。
 V2が公表される前の十二月には第二回共同実施事業管理委員会を開催し、組織委員会から経費削減の取り組みについて報告を受け、経費圧縮に向けた取り組みの方向性を確認いたしました。
 V2は大枠の合意から三百五十億円の減となっておりますが、今後とも、共同実施事業管理委員会において確認されました方向性の具体化などを通じ、経費の精査に取り組んでまいります。

○山崎委員 組織委員会が作成した経費をもとに都がチェックをし、そして共同実施事業管理委員会の確認の上、公表されたということが今のことでわかりました。
 では、V2には自治体の文字はありませんが、関係自治体はどのように関与をしているのか、改めて伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 昨年五月の大枠の合意後、関係自治体の会場周辺における業務や経費、財源につきまして、関係自治体と議論を重ねてまいりました。
 この中で業務につきましては、聖火リレーなどオールジャパンでの取り組みに係るもの、関係自治体が地域において行政として担う役割と整理されるもの、関係自治体に所在する競技会場等において大会開催のために行うものと区分整理いたしました。また、追加の宝くじ支援を要望し、大会準備を加速させていくことといたしました。
 具体的な業務につきましては、道県別に作業チームを開催し、会場整備や会場周辺の準備業務、運営業務につきまして、個々の会場に即した具体的な検討、意見交換を行ってまいりました。
 これらを踏まえまして、大会経費であるV2には、関係自治体に所在する競技会場等において、大会開催のために要する経費として、この時点で見込まれます百五十億円を計上いたしますとともに、全国の宝くじ財源を活用することとしております。
 引き続き関係自治体とは、具体的な業務や経費につきまして個々の会場に即して整理、精査を行ってまいります。

○山崎委員 大会経費V2には、関係自治体に所在する競技会場等において、大会開催のために要する経費百五十億円を計上し、百五十億円に対しては全国の宝くじ財源を充当するという今の答弁でありましたが、大会の宝くじ財源は、たしか三百四十億円だったと思います。その配分はどうなっているのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会の宝くじ財源三百四十億円のうち、V2時点で見込まれます大会経費の百五十億につきましては、関係自治体に所在する競技会場等におきまして、組織委員会が実施いたします輸送やセキュリティーの大会開催経費に配分することといたしました。
 残りの百九十億円につきましては、聖火リレーなどオールジャパンでの取り組みに係る経費と、関係自治体が地域において行政として担う役割と整理されるものに係る経費に配分することとしております。

○山崎委員 今の答弁の中で、百五十億円は大会経費ということでありますが、残りの百九十億円は大会経費外ということなのでしょうか。そもそも協賛宝くじは大会経費に充当するものではなかったのか、改めてまた伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 自治体の財源でございます宝くじの収益金は、大会開催に当たり施設整備費の一部、もしくは大会に係る経費の一部を支援するものとされております。
 このうち大会に係る経費には、まず関係自治体に所在する競技会場等において、大会開催のために必要な大会経費がございます。これに加えまして、行政的経費といたしまして、聖火リレーなどオールジャパンでの取り組みに係る経費や、関係自治体が地域において行政として担う役割に必要な経費がございます。これらに宝くじ収益金を充当するものでございます。

○山崎委員 今の答弁の中で、大会経費と行政的経費、いわゆる大会外経費という答弁がありましたが、例えば聖火リレーのうち、行政がみずから行うものが行政的経費、組織委員会が行うものが大会経費ということになるのでしょうか。大会経費と行政的経費の線引きをはっきりさせることがこれから必要になると思いますので、しっかりとこのことも含めて次につなげていただきたいと思います。
 そこで、大会経費V2を関係自治体に対してどのように説明してきたのか、今後どのように進めていこうとしているのか伺います。

○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 関係自治体との作業チームにおきましては、V2予算について、V1の経費にその後の見直し状況などを織り込み、現時点で見込まれる大会経費全体を取りまとめたものであることや、大枠の合意とV2との比較などについて説明を行いました。
 あわせて、今後の協議、検討の進め方につきましても、大会経費となる業務と自治体がみずから実施する行政的経費となる業務につきまして、引き続き、整理、精査を行っていくことを確認したところでございます。

○山崎委員 大会の成功に向けて全国の自治体との関係は大事であり、とりわけ関係自治体の協力は不可欠であると考えます。しっかりと進めてほしいと要望をしておきたいと思います。
 続いて、個別事項についてでありますが、輸送やセキュリティー経費などがV1から大幅に削減がされております。V2においても精緻化されていない経費は多いかと思いますが、このような経費を削減し、最終的に経費が膨らむ可能性があるのではないか、問題はないのかという視点から伺っていきたいと思います。
 まず、輸送についてであります。
 輸送は詳細な計画が固まっていないのに、なぜ大幅に削減することができているのか、果たしてこれで大会輸送ができるのか、初めにまず伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 輸送の主な減要素といたしましては、観客の公共交通無料化の見直し、大会関係者の公共交通無料化費用の精査、車両拠点箇所等の公有地の活用、バスの借り上げ期間等の見直しによる車両費の減などでございます。
 一方で、平成三十年度末には輸送の詳細な内容を提示する輸送運営計画V2、バージョンツー案の策定を予定しておりまして、その内容等によりましては、今後経費が増加する要素もあれば、減少する要素もあると考えられます。
 いずれにいたしましても、経費増となる要素があった場合にも、大会経費全体で節減を行っていく中で対応してまいります。

○山崎委員 公有地の活用による減という答弁がありましたが、その中でも車両拠点箇所等の公有地の活用の減という意味でありますが、では、必要な土地に対して公有地の当ては全てあるのか伺いたいと思います。

○片寄オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 輸送にかかわります用地のうち、大規模な面積が必要な車両基地等については、昨年の本委員会で報告いたしました七カ所全てにつきまして、公有地を活用することとしております。
 今後は、競技会場周辺における関係者用の駐車場や観客のバス乗降場など、会場周辺の状況に応じた用地の確保が必要であり、その場合においても可能な限り公有地を活用してまいります。

○山崎委員 可能な限りの公有地を活用するという答弁でありましたが、公有地の活用で必要な土地の確保ができるかどうかは、まだまだこれからということかと思いますので、しっかりとこのことも次につなげていただきたいと思います。
 続きまして、セキュリティーについて伺います。
 セキュリティーも輸送と同様ですが、なぜ大幅に削減することができるのか、果たしてこれで大会のセキュリティーはしっかりと保つことができるのかどうか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 セキュリティーの減につきましては、主にV1から大枠の合意までの精査によるものでございまして、V1に計上しておりました警備独自のネットワークにつきまして、大会運営用と機能の一部共有化を図ることの減や、沿岸警備、空域警備といった国の本来業務との重複分を外したことによる減でございます。現時点で精査可能なものを盛り込んだものでございます。

○山崎委員 今、沿岸警備や空域警備など国の本来業務との重複による減との答弁がありました。
 しかし、オリンピック・パラリンピックでは通常のイベントとは違って、少なくともサミット並みに警察庁、警視庁、県警の支援が必要不可欠であると考えますが、見解を伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 テロ等の未然防止対策を徹底し、サイバー攻撃によるものを含め、緊急事態が発生した際の備えに万全を期し、アスリート、観客等の安全を確保するためには、警察庁を初め警察の支援が必要不可欠でございます。
 国におきましては、昨年三月、セキュリティーに万全を期し安全・安心を確保するため、セキュリティー対策の考え方等を取りまとめた二〇二〇年東京大会に向けたセキュリティ基本戦略バージョンワンを決定いたしております。
 これを踏まえ、国の平成三十年度予算案では、警察庁予算に警察庁における指揮機能の強化に要する経費や、各種部隊の資機材の整備等に要する経費、警備実施及び要人警護に要する経費など、約八十三億円の大会関係の経費が計上されております。
 今後とも、大会におけるセキュリティーの確保に向け、国、組織委員会、関係自治体と緊密に連携し、取り組みを進めてまいります。

○山崎委員 オリンピック・パラリンピックでは、テロ対策など国を挙げて警備が必要となりますので、国、組織委員会などとしっかりと連携をして進めていただきたいと思います。
 続きまして、賃借料、営業補償ですが、会場使用に係るものと聞いております。項目としては仮設等の中に入っているかと思いますが、この賃借料や営業補償に係る経費はどのように見込んでいるのかお伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 賃借料の積算につきましては、基本的には会場使用料に使用期間を乗じたものでございまして、営業補償も会場の使用期間と関連するものでございます。
 IOCの会場運営原則で示された会場の使用期間は十八カ月でございますが、組織委員会がその内容等について精査を行い、V1時点ではモデルとして十一カ月としておりました。
 組織委員会では、今後、各施設の利用状況、工事や機器設置の状況など施設ごとの実情とともに、極力短縮すべきとの関係自治体の意見も踏まえまして、施設所有者や管理者などと調整していくこととしております。
 このためV2では、一定の期間を短縮することを前提に、六カ月を積算の基準としているところでございます。

○山崎委員 今、答弁の中で、V1では十一カ月、そしてV2では六カ月とありました。要するに五カ月間の短縮になっていますが、これに対して関係自治体などからどのような声があるのか、そして、このことをどのようにまた進めていくのか伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 会場の使用期間について関係自治体からは、既存大会の開催や施設の営業に十分配慮し、極力短縮すべきとの意見をいただいております。
 一方、会場を大会で使用するに当たっては、仮設オーバーレイ工事、機材搬入、スタッフを入れた運営テスト、大会後の撤収等を行う期間を確保する必要がございます。
 V2では六カ月を基準としておりますが、今後、組織委員会が施設所有者や管理者などと個別に調整を行い、具体的な使用期間を定めていくこととなります。

○山崎委員 今の答弁の中でも、個別に調整を行って具体的な使用期間を定めていくことになるという答弁がございましたが、輸送、セキュリティーなども含めて、このようなさまざまな未確定要素がいまだにあります。数字ありきで削減し、結局、後で数字がふえたということのないようにするべきであるということを申し上げておきたいと思います。
 続いて、今後の検討課題について伺います。
 この中に仮設観客席の見直しとあります。これはコスト削減の一方で、チケット収入も減るというわけであります。チケット売り上げとのバランスはどのように考えているのでしょうか。また、東京大会を会場で見たい多くの人の機会を奪うことにならないのか伺いたいと思います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 観客席の見直しにより、支出面では、会場整備や輸送を初めとする運営といった幅広い業務に係る経費の減をもたらすことが想定されます。また、過去大会を参考に適正な観客席数とし、満員の会場で選手を応援することも重要でございます。
 一方で、収入面では、観客数の減によるチケットの売り上げ減も想定されます。チケットの販売につきましては、開催都市契約により最大数の観客が競技を観戦できるよう、社会経済的要素を考慮に入れて価格を設定することなどが定められており、組織委員会が現在、販売方法等について検討を進めております。
 なお、チケットを購入できなかった方々も大会を楽しんでもらえるよう、競技のライブ中継等を行うライブサイトの実施を計画しているところでございます。

○山崎委員 観客席数について、むやみにコスト削減に走ることなく、チケットを購入された方々はもちろんのこと、チケットを購入できなかった方々にも大会を楽しんでもらえるような配慮は非常に大切なことだと思います。ぜひそういった点もお願いをしておきたいと思います。
 ここまでバージョンツーについて、またV2についていろいろと議論をしてきましたが、大会経費についてはコーツ委員長が、IOCがコメントを出しております。今回のV2作成過程におけるIOCとの関与と、IOCがV2をどのように評価しているのか、改めて伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 V2の作成に当たりましては、昨年十月のIOCプロジェクトレビューにおきまして、組織委員会はV2の作成状況を報告いたしますとともに、コスト削減に向けた二十五項目をIOCに提示いたしました。IOCとの協議は継続的に行われておりまして、その結果が二十五項目の内容の一部としてV2に反映され、削減につながっているものでございます。
 IOCから、V2につきましてまだ削減余地はあるが全体的に評価をいただいていると組織委員会から聞いております。

○山崎委員 IOCは十億ドルの経費削減を要求しております。もちろん経費を削減することは重要でありますが、大会の成功、そして東京都の将来に必要なものにはしっかりと予算をつけるべきではないかと考えます。
 最後に、大会成功に向けての局長の決意を伺います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 東京二〇二〇大会に要します経費につきましては、一昨年十二月の大会経費バージョンワンから、大枠の合意を得まして、本日、バージョンツーのご議論をいただく段階に至ってございます。
 この間、大会成功に向けた業務、あるいは必要な経費を見定めまして、東京都、国、組織委員会、関係自治体とが役割分担や経費の議論を重ねまして、ハード、ソフトの両面から業務や経費の精査を行ってまいりました。
 今般の大会経費V2は、とりわけ恒久施設、あるいは仮設などハード系を中心とした精査を行ってまいりましたが、今後は輸送、セキュリティー、ボランティアを初めとしたソフト系の業務を中心に、費用対効果の高い取り組みとして事業を構築していくことが大事でございまして、それを今後、大会経費バージョンスリー、バージョンフォーとしてまいりたいというふうに考えてございます。
 その中では、経費を削減すべきところは削減しつつも、大会の成功に必要な経費につきましては必要な予算を確保しまして、万全な体制で大会の準備に備えていかなければいけないというふうに考えてございます。
 昨年来の関係者との議論を通じて感じますところは、大会の準備のフェーズが、今までは筋論ですとか、あるべき論ですとか、そういった理念の段階でございましたが、まさしく実務の具体的な段階に入っているというふうに強く感じるところでございます。
 そうした中、来月九日からは平昌大会が開催されますが、それが終わりますと、いよいよ東京の番というふうになります。今後、全ての関係者としっかりと連携を深めまして、そして、都議会でのご議論、ご意見を賜りながら、さまざまな課題を解決して、前へ進めていきたいというふうに考えております。
 その中で、私どもは、開催都市としての責任をしっかりと果たすべく、今後、大会準備をさらに加速していきたいというふうに考えております。
 そして、大会の成功とともに、大会を契機にしました確かなレガシーが都民、国民に残りますよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○山崎委員 今回はバージョンツーの報告がありましたが、まだまだ未確定要素が多い状況だと思います。本当に重要となるのはバージョンスリーではないかと私は思います。
 これから関係自治体の中でも会場ごとに違いが出てくるわけでありますし、それらを一つ一つ聞いていくことに今度はなると思います。また、輸送やセキュリティーなどの計画も具体化していきます。
 経費を削減することはもちろん重要ですが、数字ありきとなってはなりません。東京を世界で一番の都市にするため、大会の成功に必要なものにはしっかりと予算をつけ、東京にとってソフト、ハード両面において必要なレガシーを残していくことが重要であると考えます。
 大会まで一千日を切り、大会準備は待ったなしであります。これまで以上に組織委員会や国、関係自治体との密な連携をとって大会準備を進めていただくことを要望して、私の質問を終わります。

○小山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時二十五分開議

○小山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○あぜ上委員 昨日、選手村の建設現場で三十一歳の現場作業員の方がクレーン車と手すりに挟まれて亡くなるという痛ましい事故がございました。心からご冥福をお祈りしたいと思います。その原因究明と安全対策はしっかりと行わなければならないと思います。改めて現場の総点検を行って、このような痛ましい事件が二度と再び起こることがないように、そして、経費縮減が、現場の労働者の方々にしわ寄せされるようなことがないように、まずその点を強く求めておきたいと思います。
 さて、五輪経費の削減につきましては、どのようなお金がかかるのか、税金がどのぐらい投入されるのか、東京都としてしっかりと説明責任を果たすことが何よりも大事だと考えます。そして、そのことが五輪大会への理解と共感をもたらす力になると思います。
 この間、そうした立場から、具体的に削減の提案や情報開示を求めてまいりましたが、なお一層の情報開示、そして経費の縮減が求められているという立場で幾つか質疑を行いたいと思います。
 まず、昨年の五月の大枠合意と、今回の発表されたV2予算との比較についてですけれども、これにつきましては先ほどの山崎理事、それから加藤理事のご答弁で、総額と、それから東京都、組織委員会、国、それぞれの経費の合計額が違って表示されているという、その理由が示されました。
 いずれにしましても、大枠合意では誰が負担するのか決まっていなかったその三百五十億円のうち百五十億円を東京都の負担としたので、プラマイゼロということで、都の負担の六千億円は変わらないということであります。
 やはり私は今、この問題で大事だと思っているのは、全体経費にしても、それから東京都の負担にしても、やはり正確に、そしてわかりやすく透明化する。そういう中で、みんなの英知を結集して、経費縮減に努めていくことこそ大事だと思いますし、そこを基本としなければならないというふうに思います。その点を改めて指摘しておきたいと思います。
 きょういただきました資料を見ますと、仮設施設では、V1予算からV2予算で競技会場などの単価を精査して二百八十億円減らしたものの、非競技会場の仮設整備費、これは選手村やメディアセンターなどの仮設のことでありますけれども、そこでは三百億円の増、そして都内会場、地方会場の費用計上による賃借料と営業補償、これは、例えば日本武道館や両国国技館などを借りるための費用なわけですね。それで四百四十億円の増など、約八百二十億円もふえているわけですが、その主な理由をお示ししていただきたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 非競技会場の仮設整備費等について、V1からV2で増額となりましたのは、競技の追加や施設の具体化、精緻化等による見直しなどがあったことによるものでございます。
 また、都内会場、地方会場の賃借料等につきましては、V1では無償を前提としておりましたが、大枠の合意時から新たに必要な経費として計上し、V2に至っているものでございます。

○あぜ上委員 そもそも仮設施設は、組織委員会が費用を負担する、そういう約束だったのに、都が大枠合意の中で仮設費用の負担を合意してしまったわけですよね。そのこと自体、私は問題だというふうに考えていますけれども、百歩譲って、合意したということで、それを前提にしたとしても、都が負担することになってというか、V2予算で初めて賃借料などが計上されたということは、ちょっとどういうことなんでしょうか。
 立候補ファイルでは、既に賃借料など計上されておりますよね。それにもかかわらず、どうしてV1予算ではそのことが計上されていないんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 V1におきましては、都内会場、地方会場の賃借料等につきましては、無償を前提としていたところでございますが、大枠の合意時から、新たにこの経費は必要だということで計上いたしまして、今般のV2に至っているものでございます。

○あぜ上委員 無償が前提だったのに、東京都が負担するということになった途端に経費がかかるというのは非常に納得がいかないところですが、都が負担することが決まってから八百二十億円もふやしているわけですから、何にどう使うのか、都民の税金が投入されるわけですから、当然詳細を明らかにする責務が私は東京都にあると思います。
 都の負担分の仮設は、いただいた資料を見ますと二千百億円に上るわけですけれども、この内訳について明らかにしていただけますか。

○湯川オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 仮設につきまして、恐らく会場ごとの費用に当たるものかと思いますけれども、会場ごとの費用につきましては、今後予定されている組織委員会での実施設計及び工事の発注額に直結してしまうものでございまして、事前に公表することにより適正な入札を阻害する可能性がございます。
 また、組織委員会におきましては、現在設計段階でございまして、今後の関係者との調整にも影響を与えるおそれがあるということがございますために、現時点でのお答えは差し控えたいと思っております。

○あぜ上委員 ということは、契約が終わったV3予算のときには明らかになるという理解でよろしいんですか。

○湯川オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 そのように考えておるところでございます。

○あぜ上委員 そもそも、これが積算されているということは、本来であれば大枠でも公表するのが当然だというふうに私も思うんですけれども、V3で公表するということでありますので、そういうご答弁だったということを受けとめたいと思います。
 また、仮設施設の整備費や賃借料などについては、民間施設については組織委員会、そして都の施設と都外の自治体施設は都の負担だと、そういう仕分けをしたことが、きょういただいた資料でわかりました。
 この仕分けでいけば、当然、選手村はマンションを民間企業から借り上げて内装を施したり、それから仮設で食事をする施設をつくったりするわけですから、当然、組織委員会の負担になると考えられるわけですが、都の負担になっているというふうに伺いました。
 選手村は、都の負担とするという考え方の根拠はどういうことなんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今般お示しをいたしました仮設等の東京都の負担につきましては、都及び都外自治体施設の仮設インフラ、これは大枠の合意からの文言でございます。
 選手村につきましては、現在、都有地のところで施設を構築中ということで、例えば選手村以外も潮風公園に建てますビーチバレー会場とか、こういったものにつきましても都有地に建てるということで、都の負担といたしてございます。
 同様に、選手村につきましても、都の負担としているところでございます。

○あぜ上委員 都有地じゃないでしょう。もう売却していますよね。私たちは、晴海の選手村の予定地は貴重な都有地だから、レガシーとして公共住宅や障害者の施設を初めとした広く都民に役立つ後利用を考えることを提案してきましたが、結局、民間のディベロッパーに売却したじゃないですか。民間の持ち物じゃないですか。
 そして、後利用も全て民間のマンションの予定です。晴海の都有地は民間に売却したときも、しかも、選手村に使うからだということで、周辺地価の十分の一の価格で売却したわけですよね。私たちはそれも納得ができないというふうに思いますし、都民も納得ができないということで、住民訴訟にも今なっていますが、その上、選手村の賃貸料、それから立候補ファイルのときには、その賃貸料も三十八億ですよ。それから、選手村としての部屋の内装、それから、建てる仮設の費用まで都の負担なのは、ますます納得できないわけです。
 さらに伺いたいと思いますが、大会後の選手村の部屋の改修、つまり、民間マンションとして分譲するために原状復帰をするということでありますが、そのお金も都民の税金、私たちの税金を使うんでしょうか。先ほどの電化製品のお話もありましたけれども、この電化製品も東京都の負担なんですか。ちょっとそこははっきりしてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 選手村につきましては、仮設の整備の部分はもともとスケルトンでお借りをしまして、大会に必要な設備、機能等を付加すると。それを仮設で行う。実際に大会が終わって、その部分を撤去する、そこまでが仮設の経費となってございます。

○あぜ上委員 つまり、東京都の負担だということでよろしいんですか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 仮設の経費でございますので、東京都の負担でございます。

○あぜ上委員 電化製品も、それから、原状復帰して民間マンションにすることも都民の税金を使うというのは、やっぱり私は納得できないですよ。
 一旦、選手村の賃借料と、それから仮設の建設費並びに仮設の改修費、今、原状復帰も都民の税金というお話がありましたけれども、じゃ、一体その金額は幾らになるんですか。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村でございますが、先ほどもご答弁申し上げましたように、選手村の宿泊棟は都が施行する市街地再開発事業において民間事業者が整備する住宅棟に大会用の仮設内装を設置しまして、組織委員会が大会期間中、一時使用する計画となってございます。
 こちらの民間事業者のマンションにつきましては、新築でつくりまして、それを大会後にまた分譲するという形になります。それを一時、組織委員会の方で借りるという形で仮設を設置するということでございます。
 委員ご指摘の家電製品等につきましては、備品で組織委員会等が用意をするといったものもございますし、先ほど私がご答弁申し上げましたユニットバスですとか給湯器、そういったものは建物に設置されてございますので、そちらについては仮設として設置をするというものでございます。

○あぜ上委員 つまり、私は、幾らかかるのかという質問をしたんですが、わかる範囲で東京都の負担額を明らかにできませんか。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村の内装工事につきましては、ただいま組織委員会の方で設計をしているところでございまして、現段階では申し上げられないという状況でございます。

○あぜ上委員 内装工事だけじゃなくて、食堂をつくるとか、いろいろあるわけですよ。そうしたものが、選手村にするんだということで、それを理由にした大手のディベロッパー優遇に、こうした筋の通らないやり方でどれだけ都民の税金が投入されるんだということを、本当に都民の皆さん、これを聞いたら、やっぱりおかしいんじゃないかというふうに思うのは当然だと思いますよ。
 金額を直ちに明らかにするとともに、東京都による負担じゃなくたってできるわけですよ。私は東京都の負担、私たち都民の税金で負担をするということは行わないよう、強く求めたいと思います。
 観客席の見直しにつきましても、費用削減の有力な手段だというふうに思います。同時に、先ほどお話がありましたように、チケット収入の減などのこともあって、検討、精査中だという山崎理事のご答弁でありました。
 V2予算で主な減額の仮設の観客席数の見直しのところには、資料としては百億円というふうに書いてありますけれども、この根拠、具体的な見直した場所などはいえるんでしょうか。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 百億円の具体的内容といたしましては、観客席数の見直しのほか、セキュリティーフェンス等の使用の見直しなど、要件の緩和や条件の見直し、計画、設計の見直しによるものがございます。
 お尋ねの内訳等につきましては、観客席数については、現在、大会組織委員会がIOCや国際競技連盟等と調整しながら検討を行っているところでございます。現時点で具体的な数やコストについてはお示しすることはできません。

○あぜ上委員 マスコミ報道などでは、かなり具体的に書いてありましたけれども、今のご答弁では、現時点では調整中だということなわけですね。
 この間、私は繰り返し申し上げてきましたけれども、例えば、海の森水上競技場です。これは恒設施設で、既にIOC基準の一万二千席はクリアをしております。しかし、今後、中央防波堤の外側に仮設の観客席を一万席設置することとなっておりますが、相当の用地の整備費、それから仮設施設の費用を要することになるというふうに思います。
 もちろん、IFなどとの合意は前提だというふうに思いますが、こうした仮設施設は、やっぱり見直せるところはしっかり見直していただいて、経費節減に努めていただくことを求めたいというふうに思います。これは意見として申し上げておきます。
 次に、マーケティングについてです。
 V2予算のマーケティングの支出が四百五十億円増で、きょういただいた資料によれば、うちロイヤリティーの増が三百二十億円となっています。組織委員会が頑張って国内スポンサー料などを増収することに伴うものと伺っています。
 報道でも、一千億円増収すると三百億円のロイヤリティーを払わなければならないと報道されておりました。随分多いんだなと感じましたけれども、このロイヤリティー、どこに幾ら払うんでしょうか。また、その根拠は何でしょうか。また、IOCに払うロイヤリティーは総額幾らになるのか、また、その根拠もお示しください。

○戸谷オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 マーケティング支出の内訳につきましては、組織委員会が契約するスポンサーからの協賛金収入に伴うIOCへの権利使用料、あるいはJOCに対する共同マーケティング活動に伴う支払い、株式会社電通との専任代理店契約に伴う支払いなどでございます。
 それぞれの支払いにつきましては、相手方との契約に基づくものでございまして、どこにどれだけ支払うかという点ですとか、IOCに対するロイヤリティーの総額につきましては、公表されてございません。

○あぜ上委員 公表されていないということなんですが、開催都市契約を読みますと、IOCに対しては、全ての契約から生じた総収益の現金対価で七・五%というふうになっておりました。IOCへのロイヤリティーの総額も明らかにできないというのは、やっぱりおかしいなというふうに思うんですね。
 また、IOCへのロイヤリティーが七・五%、これが基準とすると、なぜ一千億円の増収に対して三百二十億円もの、つまり三二%のロイヤリティーを計上しなければならないのか非常に疑問なわけです。
 IOCに幾らなのか、JOCに対する支払いは幾らなのか、電通に対する支払いも幾らふえるのか、こんなにも組織委員会のお金の流れが不透明なのは、私はやっぱり問題だといわざるを得ないと思います。せっかく組織委員会が努力して増収しても、その三割以上がロイヤリティー、すなわち上納金として持っていかれてしまうのは、釈然としないものがあります。
 やはりこれは透明化を進めるとともに、経費縮減のためにはロイヤリティーも一定額以上は払わなくてもいい契約に変更するなど、契約変更などを行って、それはもちろん関係者と、ぜひそういった協議もしていただきたいなというふうに思います。これは意見として申し上げておきたいと思います。
 次に、輸送についてです。
 V1予算から最も削減額が大きかったのが輸送経費だと。先ほど、観客の公共交通無料化をやめたことによって三百十億円の減となったんだと、そして今後、金額が変動することはあり得る、その際には、経費増となる場合には、大会経費全体の中で整理していきますというご答弁をされていましたが、ということは、大会関係者の交通費の削減などのやりくりでできる範囲なのかなというふうに、その変動が余り大きくないと予想されているのでしょうか。そういう理解でいいんでしょうか。ちょっとそこだけ確認させてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 輸送の詳細な内容を提示いたします輸送運営計画V2、バージョンツー案の策定が平成三十年度末に予定をされておりまして、その内容等によりまして今後経費が増加する要素もあれば、減少する要素もあるというふうに考えてございます。
 いずれにいたしましても、経費増となる要素があった場合にも、大会経費全体として節減を行っていく中で対応してまいりたいというふうに先ほどご答弁申し上げたところでございます。

○あぜ上委員 ロンドン大会のときには、マスコミの関係者は一定のチケットが配られました。しかし、それ以上の移動については自己負担、会社負担になったと聞いております。そうした経費縮減のためのさまざまな工夫が、やはり今求められていると思います。そういう点でも、そういった過去の例をぜひ教訓にしながら進めていただきたいと、これも意見として述べておきます。
 また、競技会場の多い江東区、明治通り沿いや青海の地域など、大変物流センターや運送会社も多く、早目に協議、調整をする必要があるというふうに思っておりますが、その辺の進捗はどうなっているか、わかったら教えてください。

○片寄オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 現在、物流業界ですとか関係団体と輸送連絡調整会議等を通じまして、情報の共有化等を図っているところでございます。

○あぜ上委員 もう既に協議を始めているということで、物流にもかなり大きな影響を与えるということですから、ぜひ精力的に協議を進めていただきたいと思います。
 首都高の営業補償なんですが、どのぐらいを想定しているんでしょうか。また、その根拠は何に基づくものなのかご答弁ください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 首都高速道路も対象と想定しておりますオリンピックルートネットワークにつきましては、現在、交通輸送技術検討会におきまして、交通需要マネジメントによる交通抑制や高速道路への流入規制などを検討してございます。
 これによりまして交通量が減少することが想定されますが、営業補償につきましては、その実施の有無を検討の上、仮に行うこととなった場合の具体的な金額は、今後の検討状況等によって定まってくるものと考えております。

○あぜ上委員 そうしますと、今後の検討ということなんですが、もし補償する場合には、これは先ほどの仕分けでいきますと東京都なんでしょうか、それとも組織委員会なんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 この輸送におきます営業補償の経費につきましては、大枠の合意に基づきまして東京都の負担としてございます。

○あぜ上委員 首都高の経営計画を見たんですが、オリンピック・パラリンピックの成功への貢献がしっかりとこの経営計画には位置づけられておりました。営業補償については、まだ話し合いをこれから進めるということなんですが、ぜひ協力をしていただくということを強く求めていただきたいと思います。
 さらに、費用負担が膨らむ可能性があることも心配しております。今、予算計上されている暑さ対策、これはどこの項目に幾ら計上しているのかお示しください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 暑さ対策といたしましては、V2の中では組織委員会が実施いたします飲料水の確保や会場のひさしの設置などがございますが、一方で、都が実施する施策もありまして、今後関係者と協力して進めていくことになります。
 なお、V2における金額でございますが、暑さ対策の対象や範囲などが明確ではないため、お答えすることは困難でございます。

○あぜ上委員 そうしますと、暑さ対策の範囲や、それから具体的な対象がはっきりすれば、V3の段階では明らかにできるということで、そういう理解でよろしいんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 暑さ対策につきましては、先ほど申し上げた組織委員会が実施するもののほか、東京都が実施いたします遮熱性舗装等の整備等ございます。
 いずれにいたしましても、暑さ対策につきましては、引き続き関係者と協力して進めていくという中で、その状況を踏まえて金額についても精査をしてまいりたいと考えてございます。

○あぜ上委員 確かに五輪以降も必要な対策もあります。そういう点では、東京都としてすべきことも出てくると思いますけれども、やはり猛暑の中での大会ということで、経費が一層膨らむんじゃないかという心配の声はよく寄せられています。
 そういう点では、参考資料の今後の検討課題にも載っておりますけれども、今後の検討課題の中に台風対策も入っておりました。この暑さ対策、台風対策など、今後どのぐらいふえる見通しなのか伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 暑さ対策や台風対策などは、基本的には本来の行政施策の実施で行われます、いわゆる先ほど来答弁しています行政的経費がメーンかと考えております。
 一方で、組織委員会が行うものも想定をされるということで、今後の検討課題に計上しているところでございます。具体的な対策の内容や経費につきましては、今後の計画等において整理することになると考えております。

○あぜ上委員 確かに、既に大会に向けた暑さ対策ということで、東京スタジアム、武蔵野の森総合スポーツプラザの暑さ対策が環境局の予算で二千二百万入っておりますが、このような外づけというか行政的な経費も、もちろん必要な部分についてはしっかりやらなければいけないと思いますけれども、その際、やはり行政的経費でやるのか、どういう経費でやるのかというのは非常に十分な協議が必要だというふうに思います。しっかりと精査もしていただきたいというふうに思います。
 今後の検討課題の中では、IOCに提示した二十五項目と重複しているというものもありましたが、この検討によって経費の増減、どのような見通しになるんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 ご質問の今後の検討課題につきましては、経費が増加する要素もあれば、減少する要素もあると考えております。
 いずれにいたしましても、V3、V4の作成に当たりまして、費用対効果を踏まえ、必要な経費をしっかりと見きわめ精査してまいります。

○あぜ上委員 私は、やっぱりIOCに対してもしっかりと求めていただきたいと思うんですね。コーツ調整委員長は、一千億の経費縮減を主張されてきました。かなりいろいろ具体的なこともおっしゃっていたようですけれども、マスコミ報道の範囲なんですけれども、やはりIOCに対しても経費縮減の努力、これは強く東京都からも求めていただきたいと思います。
 五輪の経費といった場合、V1、V2予算にも含まれない東京都の負担が多数あるということについては、私たちはかねてから指摘をし、それを含めてしっかり都民に明らかにして、そして議論すべきだということを求めてまいりました。
 二十六日に発表されました東京都予算案の概要というこの冊子では、V2予算で示された東京都の負担額が六千億円、そのほかに八千百億円、合計一兆四千百億円と東京都が負担する五輪の関連経費が初めてこうやって示されたわけです。かなりの巨額で、私はちょっとびっくりしたんですが、この中にはどのような事業が含まれているんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 平成三十年度東京都予算案の概要によりますと、大会経費以外の大会に関連する事業は、バリアフリー化などの受け入れ環境の充実、各種ボランティアの育成強化といった、大会に直接密接にかかわる事業四千四百億円と、観光振興や日本、東京の魅力発信といった大会の成功を支える関連事業三千七百億円でございます。

○あぜ上委員 今ご答弁いただいたものの中で、大会の開催に直接密接にかかわり、実施不可欠な事項、これだけでも資料によると四千四百十億円になるわけですが、その内訳はお示しできますか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 先ほどご答弁申し上げましたように、平成三十年度東京都予算案の概要によりまして、大会に直接密接にかかわる事業が四千四百億円、大会の成功を支える関連事業三千七百億円となってございます。
 具体的な内訳の例は、そのほか予算案の概要に書いてあるとおりでございます。

○あぜ上委員 私たち都民が本当に知りたいと思っているのは、やはり一体どのぐらいの私たちの税金が使われなければならないのかという中身なんですよね。
 それで、暮らしが大変になる中で、介護や保険料の負担が重くなってきているのに、五輪大会にはそんなにお金をかけるのか、実は私たち、まちの中に行きますと、よくそういう声もあるわけですよ。そういう不透明さ、ここをきちんと明らかにしないことが、やはり機運がいま一つ盛り上がらない、私はその要因の一つにもなっているというふうに思うんです。(発言する者あり)だから、明らかにすればいいんですよ。
 もちろん、バリアフリーを後利用として進めたり、障害者のスポーツを推進するなど、やっぱり大会の成功のためにも、その後のレガシーとして必要なこともたくさんあるわけですよ。それは必要なのか必要でないのか、さまざまなご意見があると思うんです。いろんな意見があって私は当然だというふうに思うんです。
 大事なのは、その全容を明らかにすることだと思うんですね。やっぱりその情報をきちんと明らかにして、都民の判断を仰ぐ。そして、議会でも議論する。ここが私、今大事なんだと思うんです。知事も、一丁目一番地は情報公開とおっしゃっていたけれども、私はそういうことだというふうに思うんですね。
 この五輪経費を明らかにするとともに、別の局の予算に盛り込まれている五輪の関連経費も、やっぱり都民に明らかにしていくということは、当然の東京都としての責務だというふうに思います。都民の納得を得る上でも明らかにするべきだと思います。
 補正予算で五輪基金の条例改正と積み増しが提案されていますが、その議論は文教委員会で行いますけれども、六千億円についても、六千億ありきではなくて、やっぱり引き続き見直しを求めていきたいと思います。
 同時に、五輪に伴うその他の経費についても見直すべきは見直すという立場を貫く必要があると思うんです。その点についてはいかがでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会につきましては、大会の成功に向けまして、財務面ではしっかりとマネジメントを管理していくと。経費を精査していくということが重要でございます。一方で、必要な大会の経費につきましては、しっかりと確保していくということも重要でございます。
 加えまして、将来の東京に向けてレガシーをきちっと残しておくということも極めて重要なところでございまして、いずれにいたしましても、大会の成功に向け全力で取り組んでまいります。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 今、るるご質問を頂戴いたしました。中には、例えば暑さ対策のお話、こういったものにつきましては、街路樹の整備ですとか、あるいは遮熱性の舗装、先ほどお話がございました、例えばバリアフリー化、こういったものというのは、どこまでが大会の直接必要な経費なのか、あるいは、どこから先が全体の、東京都が従前からやっているものなのか、そこの線引きというのは、現実的にはなかなか難しいというところがあると思っております。
 ただ、その具体的な取り組みとして今回、予算案の概要の中で、そういった経費も含められるものについてはお示しをしたというのが八千百億円という数字だというふうに承知をしてございます。
 また、るるいろいろご提案ございました。例えばIOCに対して、いろいろもっと経費節減に努めるようにいっていけということ等につきましては、既に従前から二十五項目という形でお示しをしたり、その後も今、組織委員会とともにお願いをしているところでございまして、こういったところの取り組みにつきましては、引き続き実施をしていくと。それによってV3、V4で縮減に努めていくということだと思っております。
 その余の例えば契約との関係、あるいはこれから施設の発注をするに際しての情報公開等のありよう、これらにつきましては先方があるお話でございますので、出せるものは出していきたいというふうに思っておりますが、なかなか契約上難しいものもございますし、これから発注していくということになってきますと、当然のことながら経費、契約の方にも影響してくるという事情があるかと思っております。それら含めて、必要なところについてはしっかりとやっていきたいというふうに思っておりますが、そうでない部分についてはご理解を賜りたいというふうに考えてございます。

○あぜ上委員 局長がおっしゃったように、暑さ対策やバリアフリー化、どこで線引きしていいかわからない、本当にそういう難しいところはわかりますよ。しかし、今回、八千百億を出したときに、大会開催によって直接、そして密接的にかかわって、実施不可欠な事項が四千四百十億円あるんだよということも書いてあるわけですね。ですから、私はやっぱりそういう部分についてはもっともっと明らかにして、見直すべきは見直していただきたいなというふうに思うわけです。
 今度の予算に盛り込まれております岸体育館の移転補償と土地の補償費、これは五輪のためにどうしても必要だといって組織委員会が要望して、そしてオリ・パラ準備局が求めていく中で建設局の予算に盛り込まれたものですが、現段階で五輪のために使う計画はないものです。このような税金投入は、やっぱり見直さなければならないと思います。
 本日の委員会では、この問題については意見にとどめておきますが、私は全体の質疑を通じて、やはり総額を抑える努力、そして都民の税金投入を抑える努力、民間の力をかりる、活用する、そういう努力が本当に最後まで貫かれなければならないというふうに思いますし、それから、不透明さを残してはならないと思います。
 機運醸成をつくる上でも、都民の理解と納得、合意を得る上でも、やはり不透明さを残さないで、都として最善の努力をしていただきたいということを申し上げて、質疑を終わります。

○山口委員 それでは、私も質問をさせていただきたいと思います。
 いよいよV2予算が明らかにされ、今、質疑も重ねられてきているところでございますが、当然のことながら、重複を避けて質問させていただきたいと思っております。
 まず、局長からもお話がありましたが、やはり取り組んでいく上において公にできない部分があると。しかし、それをもしっかりと都民の皆様は注目をされ、一つ一つをしっかりと知る、それによって気持ちよくこのオリンピックを応援し、このオリンピックの開催に向けてみんなで機運を高めていく、ここは非常に重要なところだと思いますので、どうか皆様の答弁にご期待をして、一つ一つお伺いをしていきたいと、このように思っているところであります。
 まず、この東京二〇二〇大会開催にかかわる経費についてお伺いしていきたいと思います。
 さて、当初一兆六千億円から一兆八千億円とされていた大会の経費が、V1では一兆五千億円、そしてV2では一兆三千五百億円まで削減されてきたことは、関係者の皆様のご努力の多としたいところでありますが、立候補ファイルから経費が大幅にふえたことに対する都民の不信感もあるので、さらなる削減を、都民の皆様への説明責任に、より一層努めていただきたい、このように思うところであります。
 一方で、東京都は昨年三月に、大会開催に伴う全国の経済波及効果が約三十二兆円になるとの試算を公表してきたわけでありますが、今回の大会経費の削減が経済効果にどのように影響が出るとお考えになられているでしょうか。変わりはないんでしょうか。お伺いしたいと思います。

○戸谷オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 東京都は、昨年三月に二〇二〇年大会の開催に伴う全国の経済波及効果を約三十二兆円と試算し、公表してございます。
 V2予算において、V1予算に比べまして大会経費が一千五百億円削減されるものの、それを踏まえた大まかな推計でも、約三十二兆円となっておりまして、二〇二〇年大会の開催が東京や日本に大きな経済効果をもたらすことに変わりはございません。
 今後とも、大会開催には大きな経済効果があることをさまざまな場面でアピールしてまいりたいと思います。

○山口委員 東京都が試算をしている需要増加額でいえば、一千八百五十億円が減となると。これをもってしても、この経済効果については影響がないということでありますから、であるならば、いいかえれば、大まかな推計で約三十二兆円と変わりはないという今ご答弁でございましたので、その上で、さらなる削減をしっかりと求めていきたいと、このように思うところであります。
 そこで、先ほどからも話題になっております進行管理や予算の管理などを担う共同実施事業管理委員会の役割、この実績について、とりわけこの予算の削減等の成果は幾らぐらいになったのでしょうか。お伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 東京都、国、組織委員会は、大枠の合意に基づき、都や国などが負担いたします資金を組織委員会が使用して実施いたします共同実施事業を適切に遂行し、管理するため、昨年九月に都の副知事を委員長とする共同実施事業管理委員会を設立いたしました。
 大会経費V2が公表される前の十二月には、第二回共同実施事業管理委員会を開催し、組織委員会から経費削減の取り組みについて報告を受け、経費圧縮に向けた取り組みの方向性を確認いたしました。
 V2は大枠の合意から三百五十億円の減となっておりますが、今後とも、共同実施事業管理委員会におきまして確認された方向性の具体化などを通じ、経費の精査に取り組んでまいります。

○山口委員 今、答弁にもあったところでありますが、であるとするならば、共同実施事業管理委員会では、全体の半分しか今のところまだ管理の範囲が及んでおりません。全体に管理範囲を及ぼすべきと考えますが、都の見解はいかがでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 共同実施事業管理委員会は、大会経費のうち、東京都や国などの公費を組織委員会が使用して実施する共同実施事業に対しまして、コスト管理と執行統制の強化を図ることを目的としてございます。
 一方、組織委員会は、収支均衡予算の中で、スポンサー収入など民間資金による限られた財源で大会を運営することになります。したがいまして、組織委員会におきましては、監査法人や海外コンサルタントなど、専門的な識見や過去大会での知見を有します第三者の意見を伺い、みずから経費を精査してございます。
 同時に、IOCに対しましても、コスト縮減に向けて、これまで都が求めてまいりました電源設備の二重化などの要件緩和を働きかけておりますほか、運営そのものでございますオリンピックファミリーホテル運営費やファミリー向けの食事などにつきましても、組織委員会が主体となってコスト縮減策を提案してございます。
 今後とも、組織委員会と共同して、執行統制の強化に積極的に取り組んでまいります。

○山口委員 今大会の非常に注目をされる組織でもあると思いますので、ぜひとも積極的にこの点については取り組んでいただきたいと、このように思うところであります。
 さて、V2予算は、会場関係費などハード部門が先行して、数字が固まってきたと思われるところでありますが、参考資料の6でも示されているとおり、民間コンサルの活用による単価検証、CVEの実施や仮設観客数の見直しなど、これらが今後の課題として挙げられているわけであります。
 そこで、仮設施設について、整備費の削減に向けた今後の取り組みと、いつごろまでにそれぞれの施設の整備費用が精査をされるのか、見解を伺いたいと思います。

○湯川オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 仮設施設のコスト削減に向けた取り組みにつきましては、組織委員会におきまして、物価に関する刊行物等による市場価格調査に加え、国内外のサプライヤーに対して調査を実施するなどの工事の単価の精査を行っております。
 加えて、会場整備における前提条件や仕様の見直しの手法であるCVEや、各競技会場で提供するサービス、最適化の手法であるSVSDに取り組むなど、多方面からのコスト縮減に取り組んでおります。
 現在、平成三十年四月以降の詳細な実施設計及び工事の発注に向けまして、基本設計を取りまとめているところでございます。発注後もこれらの取り組みにより、組織委員会と連携して引き続きコスト削減に取り組み、実施設計の完了を目途に整備費を精査してまいりたいと考えております。

○山口委員 また、恒久施設でも取り組まれてきたように、仮設施設においても、施設ごとの整備費であるとか、その推移と増減などを積極的に情報公開をしていくべきだろうと思いますが、都の見解を伺いたいと思います。

○湯川オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 仮設施設につきましても、恒久施設と同様に情報公開をすることで都民のご理解を得ていくことが重要であると考えております。
 そのため、V2予算におきましては、仮設等の総額についてはお示しをしているところでございます。
 一方で、先ほどもございましたが、会場別の予算の内訳につきましては、今後予定されている組織委員会での実施設計及び工事の発注額に直結するものでございまして、事前に公表することにより適正な入札を阻害する可能性がございます。
 また、組織委員会において現在設計段階であり、今後の関係者との調整にも影響を与えるおそれがあるため、現時点でのお答えは差し控えさせていただきたいと考えております。
 今後、まずは組織委員会の契約が整った段階で、発注段階の整備費が公開できるものと考えております。その後、ちょっと時系列でございますけれども、大会経費がV3、V4と公表される段階がございますので、各段階など適切な機会を捉えて、再度お示ししていきたいと考えているところでございます。

○山口委員 今、非常にわかりやすく、また積極的な答弁をいただけたものと捉えたいと思いますが、適切な機会を捉えてお示しをしていくという答弁でありましたから、ぜひこの仮設施設についても、施設ごとに予算削減の経緯がわかるように、しっかりと情報公開に努めていただきたいと、このように求めておきます。
 さて、都外仮設施設は、これまで組織委員会が費用負担をする予定でありましたが、東京都の負担となりました。
 そこでまず、都外仮設施設は誰が発注なのかを伺いたいと思います。
 また、東京都の負担が発生する仮設施設の整備費が安易に膨らむことがないように、入札とコスト管理のあり方について、しっかり取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○湯川オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 昨年五月の大枠の合意では、経費負担にかかわらず、仮設施設の整備は組織委員会が実施することが確認されてございます。したがって、都外自治体の仮設施設の発注も組織委員会が行うこととなります。
 入札については、組織委員会では、より実態に即した工事単価を把握するため、国内外のサプライヤーに対して価格調査を実施し、適正な価格を積算に反映させております。
 また、より多くの企業等の入札参加を促し、競争を促進させるため、平成二十九年十二月に説明会を開催しておりまして、今後も開催していく予定でございます。
 コスト管理につきましては、組織委員会では工事の単価の精査を行うとともに、CVEやSVSDなどに取り組んでおります。
 都におきましても、共同実施事業管理委員会を通じまして、経費の分担が大枠の合意の考え方に基づくものであること、経費の内容等が必要性、効率性、納得性の観点から妥当なものであること、公費負担の対象として適切なものであること等の視点から確認をしてまいりたいと考えているところでございます。

○山口委員 当然のことながら、負担は都民の税金であるけれども、入札は組織委員会ということになるわけでありますから、これはより一層厳しくチェックをしていかなければ、都民の皆さんは到底納得がいかなくなっていくわけであります。
 とりわけ、この組織委員会での入札は、東京都のようにホームページ上で入札経過調書も公開をしておるわけではありませんし、関係書類を保存しているかどうかもわからないわけであります。保存を徹底していくとともに、東京都並みの情報公開を求めていくべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

○戸谷オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 組織委員会では、入札への参加を希望する事業者向けに案内資料ですとか標準契約書などの紹介を行うとともに、発注情報一覧や落札した事業者名及び金額を含めて、過去に行った入札結果をホームページにおいて公開しております。
 なお、契約に関する文書につきましては、規定に基づいて適正に保存しているところでございます。
 今後とも、組織委員会には引き続き情報公開を要請し、透明性を確保していくよう求めてまいります。

○山口委員 一つ確認なんですが、今の答弁であると、ここのところはもう既に確認、もしくは要請をされてきているということでよろしいんでしょうか。確認をしたいと思います。

○戸谷オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 東京都といたしましては、可能な限りの情報公開というものをお互い進めていこうということで、組織委員会にはこの間お話をさせていただいているところでございます。

○山口委員 その積極的な姿勢こそが都民の皆様の理解と、そして協力を得られていくところだと思いますので、引き続きお願いしたいと思います。
 ぜひ、やはり今求めてきたホームページ上での入札経過調書の公開を初め、透明性、公平性、競争性の高い入札となるように、積極的に都としても取り組んでいただくよう求めてきたところでございます。
 さて、この会場費については、施設の整備費や負担割合について何度も議論されてきたこともあり、都民の間にもある程度の理解は進んでいるところではありますが、輸送やセキュリティー、オペレーションなどの大会関係費は、額の大きさの割にその内容が非常に不透明であります。
 特に大会関係費は、施設と違って後に残らないため、こここそ縮減するためには、もっと詳細に公開をしていくべきだと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 輸送やセキュリティー、オペレーションといったソフト系業務につきましては、現在検討中でございまして、計画策定など重要な事項の節目を捉えてご説明してまいりたいと考えてございます。

○山口委員 詳細な内容、計画などは検討中であるという答弁でありますから、ご報告いただいている資料の中から幾つかお伺いをしたいと思います。
 とりわけ輸送について、経費削減の主な理由として、大会関係者用の公共交通の無料化費用の見直しによる減が見込まれております。これは無料化がなくなったということでしょうか。お伺いしたいと思います。

○片寄オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 選手や審判などの大会関係者の公共交通無料化の費用につきましては、各関係者の利用期間等の精査が進んだため縮減したものであり、観客と異なり、大会関係者の無料化については実施する予定でございます。

○山口委員 招致の当初、観客の皆さんも無償というところもありましたから、こういったところを丁寧に一つ一つ確認をしていくことが重要だと思い、お伺いをさせていただいたところでもございます。
 さらに、大会関係者用の自動車、バス関連費用の見直しによる減、借り上げ期間の見直し等も減とされているわけでありますが、そもそもこれらの見積もり、積算等はどのようにして行われているのでしょうか。ほかの積算でも当然あるんですが、現状どのような手順で見積もりや積算等を行っているのでしょうか。確認をしたいと思います。

○片寄オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 大会関係者用の車両費の見積もり、積算は、組織委員会で現在検討を行っておりますが、大会での用途ごとに必要な車種と車両数及び必要期間、車種ごとの想定リース料などから実施しております。

○山口委員 当然のことながら、組織委員会にはあらゆる方々にご協力をいただいて、そのエキスパートの皆様方、またその積算に必要な情報等々が収集され、見積もり、積算をされていることだと思います。
 いずれも現時点での検討のレベル感がわかりましたので、引き続き経費削減に向けて精査を進めていただきたいと、このように強く願うところでもあります。
 さらに、輸送の減要因として、公有地賃借による無償化により、車両拠点箇所等の用地の賃借料の減とあります。一方で、会場費に計上されている仮設等の主な増要因として、都内会場、地方会場の費用計上による賃借料、営業補償の増とあります。この賃借料の要る要らないは、どういう原則でやっているんでしょうか。
 まず、会場費で確認をしたいのですが、会場費の借り上げ費用について、東京都が整備する新規恒久施設は、東京ビッグサイトも含めて無償であると考えていいのでしょうか。さらに、国立競技場や日本武道館、都外施設などはどのような原則で会場の賃借料や営業補償が生じるのか、ぜひご説明をいただきたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 組織委員会が競技会場ほか大会運営に必要となる施設のために都有財産を使用する場合は、その財産が知事が使用料等の減免の権限を持つ財産の場合、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会における都有財産の取り扱いに関する方針に基づき無償とすることとしております。
 公営企業の財産に係る使用料等については、公営企業管理者が減免の権限を有しておりますが、組織委員会及び東京都が大会運営のために使用する場合は、同様に無償とすることにしております。この結果、カヌースラローム会場の用地は無償でございます。
 準公営企業会計の財産に係る使用料等については、別途検討するものでございますが、臨海地域開発事業会計の都有財産については、港湾局が東京都臨海地域開発規則の適用を受ける財産の貸し付けに関する方針を定めており、それに基づきまして、有明体操競技場の用地については無償となっております。
 なお、有明アリーナの用地については、平成二十七年度に臨海地域開発事業会計から有償所管がえを行っておりまして、現在、当局の所管の財産でございます。
 また、都有施設については、都は招致段階で東京ビッグサイトも含めまして、組織委員会に無償で使用させることをIOCに保証しております。国の所有財産についても、特措法に基づいて組織委員会は無償で使用することができることになっております。
 なお、都外自治体施設、民間施設等の賃借料の取り扱い及び大会開催に伴う直接的な損失に対する営業補償につきましては、各会場の運営形態等の条件を踏まえまして、組織委員会と連携し、検討しているところでございます。

○山口委員 用地費での確認までしたかったところでありますが、答弁で丁寧にご説明をいただきましたので、ここは割愛させていただきたいと思います。
 有償所管がえもありますが、ほとんどが無償であるということでありました。この例からいえば、輸送拠点として整備をされる築地市場跡地なども無償で使用されると思われるわけでありますが、私は、都有施設や公有地を使用することで経費を殊さら低く見せようとするのではなくて、実際にかかるであろう費用、東京都による負担、また隠れた費用負担も明らかにしていくべきであるというふうに考えるところであります。
 例えば、東京都は組織委員会に多くの職員を派遣しております。その人件費もかかった経費に含めるべきではないかという声も聞くわけでありますが、そこで、派遣職員の現状についてお伺いしたいと思います。

○中村オリンピック・パラリンピック準備局総務部長 東京都から組織委員会への派遣職員数は、平成三十年一月一日現在で三百八十八名となっております。
 その人件費につきましては、平成二十九年度予算額で約三十五億円となっておりまして、東京都の歳出予算に計上しておるところでございます。

○山口委員 当然のことながら、国を初めとして、ありとあらゆるところが協力をし、組織委員会でこういった努力をしていただいているところでありますが、こういった人件費も計上しておかないと、かかった経費の総額を示すという点では適切でないように思われる節もあります。運営は全て都職員、都有地、都施設のみを使用する催し物に対して、都民の税金は一切使っていませんといい切れるものではないと思います。
 都民への説明責任を果たしていくためにも、また、四年後、八年後の開催都市にも参考となり得るレガシーとするためにも、実際の支出は伴わないにせよ、最低限こういった経費を明らかにしていくことを求めておきたいと、このように思うところであります。
 さらに一点、組織委員会との関係で確認をしたいことがございます。
 この間、立候補ファイル時点では、組織委員会の負担としていた仮設施設の整備費などが東京都の負担となるなど、厳しい見直しがなされてまいりました。
 そこで、V2予算において、組織委員会と東京都の費用負担がより明確になってきたわけでありますが、会場費、大会関係費の比率を東京都としては率直にどのように受けとめているのでしょうか。お伺いをしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今般のV2におきまして、組織委員会は、会場関係で一千八百億円、大会関係で四千二百億円を負担し、都は会場関係で四千九百億円、大会関係で一千百億円を負担することとしております。
 これは大会運営の主体である組織委員会が大会関係を中心に経費を負担し、新規恒久施設の整備などの役割を担う都が会場関係を中心に経費を負担することといたしました昨年五月の大枠の合意に基づく結果であると考えております。

○山口委員 最後に、組織委員会のスポンサー収入が三千百億円とあるわけでありますが、都民の税金を六千億使う中でありますから、オリンピックで特定企業が利益を得ることについても一定公表されるべきであると考えています。
 都が通常仕事を発注すれば、例えば百億円の建設ならば企業の利益はその範囲内になります。しかし、三千百億円のスポンサー収入を集めて、幾ら広告会社に利益が入っているかどうかが全くわからないわけであります。こういった把握と公表ができないものか、見解をお伺いしたいと思います。

○戸谷オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 マーケティングに関する契約につきましては、組織委員会が契約するスポンサーからの協賛金収入に伴うIOC等への権利使用料、JOCに対する共同マーケティング活動に伴う支払い、株式会社電通との専任代理店契約に伴う支払いなどがございますけれども、この専任代理店との契約は守秘義務がございまして、公表されていないという状況でございます。

○山口委員 ということは、これまでここの部分に関してはまだ求められていないということになるのでしょうか。ここはしっかりと明らかにしていく部分かと思いますので、ぜひ東京都からも強く求めていただきたいと、このように申し述べておきたいと思います。
 大会の経費については、とりわけ建設会社や広告代理店に都民の関心が集まりやすくなってきているところでもあります。東京二〇二〇大会の成功に向けて、引き続き経費削減と情報公開の徹底に取り組み、そして都民の皆様とともに、気持ちよくこの東京二〇二〇大会の応援ができるように努めていきたいと思っておりますので、ぜひとも、今後ともご努力いただきますようお願い申し上げ、私からの質問を終わりたいと思います。

○おときた委員 質問に先立ちまして、一言申し上げます。
 過日、晴海地区で建設中の選手村工事現場において、作業に当たっていた男性が亡くなるという痛ましい重大な事故が発生いたしました。建設工事に従事されていた方に哀悼の意を表するとともに、都が発注する五輪関連施設等の整備においても、改めて安全管理の徹底をお願いしたいと考える次第でございます。
 それでは、質疑に移ります。
 私からは、大会経費縮減に関連して、組織委員会よりIOCに提出された二十五の項目について及び大会期間中の公共交通の見直しに関して、この二つのテーマを質問させていただきます。
 昨年十月、IOCと組織委員会との間で二〇二〇年大会に向けた準備状況を確認し合う事務折衝、プロジェクトレビューが行われました。会議の冒頭挨拶でIOCのコーツ調整委員長からは、大会経費の削減について強い意欲が示されました。当初、招致活動を展開していた際はコンパクト五輪を標榜し、三千億円程度の経費を見積もっていたものの、その予算は残念ながら膨れ上がり、直近に提示されている大会経費V2においても、総経費で一兆三千五百億円、都負担分だけでも六千億円もの金額が計上されております。
 さて、このような経緯を踏まえ、プロジェクトレビューにおいて二十五の項目が提案されました。これらはコスト削減項目として、組織委員会よりハード、ソフトの両面及び共通事項としてテストイベントについてリスト化されたものであるといわれております。
 この二十五の項目について、その内容と適用範囲、またIOCに提案された経緯について改めてお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 二十五の項目は、昨年十月のIOCプロジェクトレビューにおきまして、組織委員会がIOCに提案いたしましたコスト削減項目でございます。
 具体的には、ハード、ソフトの共通事項としてテストイベント、ハード面ではCVEによる仮設の効率化など六項目、ソフト面では放送用映像回線のルート構築、二重化など十八項目の計二十五項目でございます。
 これは組織委員会が大会経費V2の作成に当たりまして、経費縮減に向け、関係者とコスト削減の可能性を検討するための論点としてお示ししたものでございます。

○おときた委員 この二十五項目については、組織委員会のイニシアチブのもとで策定されたとのことでした。
 大会経費V2を見ますと、総経費一兆三千五百億円のうち、都と組織委員会がそれぞれ六千億円を負担することとなっています。また、組織委員会が財政的に負担が難しくなった場合、資金が不足した分については東京都が補填するという取り決めにもなっています。このことからも、もちろん役割分担はありますが、費用圧縮に向けた取り組みについて、組織委員会と同等に東京都が主体性を持って議論をリードしていく必要があると強く認識しているところであります。
 ところが、こうした中で、組織委員会の二十五項目の提案に先立って、一部情報では、十分な意思疎通が図られていなかった、つまり、都が知らない提案項目が含まれていたとも仄聞しております。
 都は、今回の二十五の項目について、事前にどれだけ把握していたのか。組織委員会との情報共有の程度についてお伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都はこれまでも、組織委員会を通じてIOCに対し、IOCが基準としております電源設備の二重化や放送用映像回線の二重化かつ地中化などの要件緩和を求めてまいりました。このように都が負担する項目など、都にとって重要な項目につきましては組織委員会と十分に議論し、課題認識として共有してきたところでございます。
 したがいまして、二十五項目の中にはこれらも含まれておりまして、都といたしましては、組織委員会がIOCに対してコスト削減の具体的な提案をすることにつきまして、事前に組織委員会から情報提供を受けていたところでございます。
 なお、この二十五項目の中には、大会運営を担う組織委員会が主体となりまして、IOCと調整、整理するものも含まれてございます。
 このように、この二十五項目は都がかかわるものや組織委員会が主体となるものがございまして、それに応じて都のかかわり方の程度が異なるものと考えてございます。

○おときた委員 いろいろ丁寧にご説明いただきましたけれども、今のご答弁は、つまり都のかかわり方の程度がそれほど高くないと判断されたものについては十分な共有がなされておらず、二十五項目のうち、少なくとも一部においては、都が事前に把握していなかったものも存在すると。組織委員会と事前に二十五項目全てを共有したわけではないということであります。
 仮に組織委員会、そしてIOCと十分なコミュニケーションがないとすれば、場合によっては組織委員会以上の財政負担を求められる東京都が、費用圧縮の具体策について、都の考えや見解を十分に主張する機会がないまま財政的な負担を負うことにもつながりかねません。
 確かにプロジェクトレビューは、組織委員会とIOCとの協議とはいえ、事前に組織委員会と都の間の十分な情報共有がなかった今回のプロセスについては、少なからず問題があったのではないでしょうか。
 財源の責任を負う可能性を有する都にとって、二十五全ての項目を事前に把握すべきであったと考えますが、なぜこのようなコミュニケーション不足を招いてしまったのか、組織委員会との十分な意思疎通が図れていなかった理由についてお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、都はこれまでも、組織委員会を通じてIOCに対しまして、IOCが基準としております二重化等、要件緩和を求めてまいりました。
 また、二十五項目の中には、オリンピックファミリーホテル運営費やファミリー向けの食事など、大会運営を担う組織委員会が主体となってIOCと調整、整理するものも含まれてございます。
 このように、この二十五項目は都がかかわるものや組織委員会が主体となるものがございまして、都にとって重要な項目につきましては承知をしていたところでございます。

○おときた委員 残念ながら今のご答弁は、これまでの事実関係の説明と、そして重要な項目については知っていたとの内容にとどまっています。
 都にとって重要でない項目については把握しない、全ての項目について関与していなかったことについて全く問題がなかったということでしょうか。都にとっての重要性はどこで誰が判断されるんでしょうか。
 改めてお伺いいたしますが、なぜ都と組織委員会で十分な意思疎通がなされなかったのか、その理由について都の見解をお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都はこれまでも、都が負担する項目など、都にとって重要な項目につきましては組織委員会と十分に議論をし、課題認識として共有するなど、大会経費の縮減に向けた取り組みを積み重ねてきたところでございます。
 また、組織委員会がIOCに対しまして、これまで取り組んできましたIOCに求めてきた項目を含むコスト削減の具体的な提案をすることについては、承知をしてきたところでございます。
 したがいまして、そうした提案がなされたことにつきましては、都にとっては当然のことと考えているところでございます。

○おときた委員 それは削減提案がなされることは当然だと思いますし、具体的な提案をすること自体なら、私ですら知っていたことでございます。
 繰り返しになりますが、問題は、二十五項目の中に事前協議が不十分だったものがある、都が知らなかったものが含まれているという点であります。細かな点かもしれませんが、ある面では組織委員会に財政的負担に関する議論の主導権を握られて、それに対する認識が非常に軽薄なものになっているのではないか、そういった危惧を感じざるを得ません。無為に都民負担を拡大することのないよう、こうした都の認識については改めていただきたいと強く指摘をしておきます。
 さて、その意思疎通の文脈の中では、これまでの答弁の中で挙げられました組織委員会から報告を受けているという共同実施事業管理委員会が重要な役割を果たすものと思います。これは都の関与を十分に高めていけるものなのか、委員会の設置経緯と今後の進捗についてをお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 昨年五月の大枠の合意におきまして、大会準備における進行管理の強化のため、公費等が投入され共同で実施する事業につきまして、共同実施事業管理委員会を設置して、コスト管理と執行統制の強化を図ることといたしました。この合意に基づき、東京都、国、組織委員会の三者は昨年九月、都の副知事を委員長といたします共同実施事業管理委員会を設立したところでございます。
 V2が公表される前の十二月には、第二回共同実施事業管理委員会を開催し、組織委員会から経費削減の取り組みについて報告を受け、経費圧縮に向けた取り組みの方向性を確認いたしました。
 今後とも、こうした方向性の具体化などを通じまして、経費の精査に取り組んでまいります。

○おときた委員 組織委員会の費用圧縮に向けた議論を共有する場である旨の答弁でした。昨年九月に設置されていたわけですから、やはりこうした組織を通じて、会議体を通じて、今回の二十五項目についても事前に完全な情報共有が図られるべきだったと改めて思います。
 引き続き、費用圧縮に向けた都の関与をあらゆる場面で高めていけるよう、強く求めておきます。
 次に、大会期間中の公共交通についてお伺いをいたします。
 先ほども述べた二十五項目の提案において、観客向け公共交通の無料化についても見直しが検討されています。立候補ファイルにおいて、競技観戦日の公共交通を無料化する旨をうたっていたものの、その財政的負担の大きさについては、これまでもたびたび指摘されてきたところであります。
 観客向け公共交通の無料化の見直しに関する議論について、現状と都の認識についてお伺いをいたします。

○片寄オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 観客向けの公共交通の無料化につきましては、委員ご指摘のとおり、立候補ファイルにおきまして、チケット保有者に対する競技観戦当日の公共交通を無料化するとしておりました。
 無料化につきましては、立候補ファイル作成時点では、観客が車で来場した場合、会場周辺道路で渋滞が発生し、選手などの大会関係者の輸送に支障を来す可能性があることから、観客の公共交通の利用を促進するため導入を検討してまいりました。
 しかし、その後、組織委員会等と検討を進めた結果、東京におきましては公共交通が非常に充実していることから、徹底した広報等を実施することにより、無料化せずとも観客の公共交通による輸送は実現できると判断いたしました。
 なお、開催地域の広域化に伴い、必要費用の増加も懸念される状況にございます。このため、必要費用と効果のバランスも踏まえまして、観客の公共交通無料化につきましては見直す方向で検討しております。

○おときた委員 観客の公共交通の利用を促進するためのインセンティブとして無料化が検討された経緯、また、東京の公共交通の充実性と開催地域の広域化の観点から見直しがされたことについてのご答弁をいただきました。
 有料化を検討するに当たって、交通系ICカードの圧倒的な普及などから、日本人観客の運賃収受については大きな懸念は指摘されないものの、初めて海外から東京に観戦に訪れた観光客にとってみては、日本円を用いた運賃収受に多少ハードルが生じることは想像にかたくありません。
 これまでリオやロンドンなど、海外で開会されたオリンピック・パラリンピック大会において、観客向け公共交通無料化の見直し、ないし有料化の事例はあったのかどうかお伺いいたします。

○片寄オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 観客の公共交通利用の無料化につきましては、二〇一二年のロンドン大会におきましては実施された一方、二〇一六年のリオ大会におきましては、招致時点で作成された立候補ファイルには実施すると記載されていたものを見直し、有料を図った事例がございました。

○おときた委員 リオ大会では無料化の見直し、有料化がなされたとのことでした。在リオデジャネイロ日本総領事館によりますと、リオ大会ではオリンピックカードと呼ばれる大会期間中限定の公共交通の乗り放題パスが発行されていたとのことです。
 東京大会においても、都営交通や民間事業者など、さまざまな交通事業者が存在する中、複数の事業者間で乗り入れが可能になる各種交通機関の共通パスを発行することは、訪日観光客の利便性向上や交通事業者の運賃収受の効率化に寄与するばかりではなく、購入客にとっての記念品となり、購入インセンティブにもつながるはずです。
 また、これもアイデアではありますが、寄附金つき年賀状のように寄附金つきのパスを発行することで、寄附文化を創出するきっかけづくりにも派生します。
 公共交通の利用の有料化については、単なる財政的な負担の増減にとどまらず、海外事例や訪日外国人観客の利便性向上や、あるいはレガシー創出の観点からも積極的にさまざまなアイデアを検討することを強く期待いたしまして、私の質問を終わります。

○両角委員 それでは、私からもV2予算に関しまして質問をさせていただきたいと思います。
 まずは、関係自治体の経費に関して伺いたいと思いますが、先ほど来のご答弁の中で、関係自治体の経費につきましては、もともと三百五十億円のお金をどういう扱いをするかということが、今般、二百億円削減をして百五十億円という形になったと。そして、全国の宝くじの財源を都が受け入れて、組織委員会に支出をするという形になったということでございました。
 そこで、百五十億円に見積もりが圧縮をされて、この宝くじ財源を使うということでありますが、実際、関係自治体の経費がこの百五十億円以上になった場合、この経費の扱いというのがどのようになるのかということにつきまして、まずお伺いをしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 関係自治体の会場周辺に係る業務と経費につきましては、道県ごとの作業チームなどにおきまして、組織委員会を中心に会場に即したきめ細かい詰めの作業を行っているところでございます。可能な限り経費の精査を図り、予算の範囲内で効率的、効果的に実施できますよう取り組んでまいります。

○両角委員 予算の範囲内でできるように努めていくということで、そのようなことに多分なるんだろうとは思いますが、ただ、逆に考えると、まだその部分が詰まっていないと。予算以上に経費がかかってしまった場合に、自動的に宝くじの財源が確保されるわけではないということでありますので、この部分については、仮に予算以上に経費がかかって、じゃ、都の負担ですよということがないように、今後詰めを行っていただきたいと思います。
 次に、大会経費のさらなる縮減ということでお伺いをしたいと思います。
 この大会経費の縮減につきましては、先ほど来、いろいろな委員の方からさまざまな観点から質問がございました。もちろん、ただ数字を圧縮するということでも問題があると思いますし、必要なレガシーを残すということは大切なことだと思います。
 一方で、五輪がこれからも継続的に持続可能な開催ができるようにするには、今、大変この大会経費が過大になりがちであるということを考えれば、経費面、運営面で、この東京の大会が後続五輪の範になるような、そういった姿を示すことこそが東京五輪のレガシーではないか、このようにも思う次第でございます。
 そこでまず、コーツIOC調整委員会委員長から、東京五輪の大会関係経費を中心に、さらに十億ドルを削減すべきという発言がありましたが、今回のV2予算に関しては、大枠の合意から約三百五十億円の削減にとどまっているわけでありますが、この点に関しまして、東京都はどのように評価をしているのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 一昨年、東京都、国、組織委員会は、IOCを交えた四者で大会経費の縮減に向けた取り組みを行い、V1に反映させました。その後も昨年五月の大枠の合意に向け、都が主導して大会経費の縮減に取り組み、V1から一千億円以上の経費を圧縮いたしました。さらに、今般のV2作成に当たりましても、大枠の合意から三百五十億円の削減を行ったところでございます。
 一方で、競技種目数の増加など、コスト増に影響する要素もあり、大会経費の縮減は容易な課題ではないと認識しております。東京都といたしましては、組織委員会と連携して、これまで以上にIOCに対し必要な要件の見直し緩和などを求めることが重要であると考えております。
 今後、V3、V4の作成に当たり、費用対効果を踏まえ、必要な経費をしっかりと見きわめ精査してまいります。

○両角委員 このコーツ委員長の発言ですけれど、さらなる十億ドルの削減というのは、かなりハードルが高いのではないかというふうにも感じるわけでありますが、東京都としては、これは実際、実現可能な数字だと考えていらっしゃいますでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 東京都はこれまで、国や組織委員会とともに大会経費の縮減に向けた取り組みを行い、平成二十八年十二月に公表したV1から大枠の合意を経て、今般のV2に至るまで、合計で一千五百億円の削減を行いました。
 一方で、競技種目数の増加など、コスト増に影響する要素もありまして、大会経費の縮減は容易な課題ではないと認識してございます。
 いずれにいたしましても、今後の大会経費の作成に当たりまして、費用対効果を踏まえ、必要な経費を見きわめ精査してまいります。

○両角委員 今ご答弁で、容易な課題ではないということで、率直なところではないかと思いますけれど、IOCのプロジェクトレビュー、昨年の十月に実施をされたこのプロジェクトレビューにおきまして、コストの削減項目というのが提案をされております。
 今、大変容易ではないというお話がございましたが、そうした中、今後、大幅な経費削減を見込むことができるという項目は、このプロジェクトレビューで示された中でどのような項目なのか教えていただきたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 昨年十月のIOCプロジェクトレビューにおきまして、組織委員会が提案いたしました二十五のコスト削減項目のうち、ハード系業務を中心に織り込めるものにつきまして、今般のV2に反映をいたしました。今後、V3、V4の作成に向け、ソフト系業務を中心に取り組んでいくこととなります。
 これらの項目は、ハード系に比べますと大幅な経費削減を見込めるものは少ないと考えてございますが、一つ一つの項目ごとに地道に検討し、経費の精査を図ってまいります。

○両角委員 なかなか難しい課題だと思いますけれど、しっかり取り組んでいただければと思っております。
 引き続きまして、この大会関係経費の適正執行という観点から伺いたいと思います。
 若干重複もするんですけれど、組織委員会がいろんなもの、財や、あるいはサービスを調達していくということであります。ということなので、まず組織委員会の物品や役務の調達は、どのような決まりのもと、いかに実施をされているのかということを確認させていただきたいと思います。さらに、この調達や執行をチェックする仕組みについて伺います。

○戸谷オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 組織委員会では、会計処理規定及び調達規則、それから調達細則に基づきまして、調達の業務を実施しているところでございます。
 契約方法につきましては、競争入札を基本として、金額の規模や調達の性質によりまして、複数見積契約、プロポーザル方式の契約、特別契約を採用しております。
 調達のチェックの視点では、経済合理性を踏まえた最適調達の実現と、公平性、公正性及び透明性担保のために、組織内部での精査とともに、外部委員を含めた調達管理委員会を設置いたしまして、調達方針や予定価格三千万円以上の調達案件の調達手続や契約締結に関する審議を行っているところでございます。
 なお、調達管理委員会のほかにも、内部監査及び監査法人による外部監査を実施いたしまして、業務活動等のチェックを行っております。

○両角委員 この部分に関しましては、先ほど来、多くの委員の方が関心の高い部分であって、しっかりこの調達についてチェック機能が果たせるようなことが必要ではないかということでございました。
 この組織委員会の、まさに調達管理委員会というお話がございましたが、この資料を拝見しますと、調達に関する考え方で、必要なものを必要な分だけ必要なときに最も安い価格で調達することを使命とすると、そして、国内外から広く取引先を求め、公平で公正な調達活動を進めていくというもっともなことがうたわれておるわけであります。
 そして、この調達方式として五つ示されていて、競争入札、見積もり合わせとかプロポーザル、ほぼ都庁内で行われているのと一緒なんですが、一つ違うのは、パートナー供給契約というものがございます。これは、パートナーとして一定の寄附行為等をしていただいている企業については優先権があるということでありますから、このパートナーの調達と、しかしながら、公平で公正な調達がいかに整合していくのかというところが若干疑問なところでもございます。
 そういう点も含めて、今お話しになった仕組み、外部の目も入れるというお話もありましたが、しっかり実効性を持てるように、調達について東京都としても意見を申し述べていただきたいなと、こんなふうに思います。
 引き続きまして、組織委員会が支出をする部分につきましては、共同実施事業管理委員会が設けられて、その中身をチェックしていくという、そんな仕組みになっているわけでありますが、この共同実施事業管理委員会の開催状況について伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 まず、昨年九月に第一回共同実施事業管理委員会を開催し、本委員会の設立趣旨や設置要綱などを承認いたしました。
 V2が公表される前の十二月には第二回共同実施事業管理委員会を開催し、組織委員会から経費削減の取り組みについて報告を受け、経費圧縮に向けた取り組みの方向性を確認いたしました。
 その後、東京都作業部会におきましては経費の基本的な考え方や経費の確認等について、パラリンピック作業部会におきましては経費の基本的な考え方や公費負担スキームにつきまして、それぞれ確認を行っているところでございます。

○両角委員 昨年からこの委員会としては二回実施されているというふうに理解をいたします。そのほかに作業部会が開催をされて、それぞれ公費負担のスキーム等について確認を行っているということでございました。
 昨年五月に大枠合意がされたわけでありますが、この中でうたわれているのがコスト管理、執行統制強化ということであります。このコスト管理、執行統制強化については、五輪経費全体に対してそういうことをやっていくということでありますが、こういった課題に対して東京都はどのような役割を果たしていくのかということについて確認をさせていただきたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都はこれまで、国や組織委員会とともに大会経費の縮減に向けた取り組みを行い、平成二十八年十二月に公表いたしましたV1から大枠の合意を経て、今般のV2に至るまで一千五百億円の削減を行いました。
 また、東京都、国、組織委員会は、大枠の合意に基づき共同実施事業管理委員会を設置し、コスト管理と執行統制の強化を図り、大会経費全体の圧縮につなげていくことといたしました。
 組織委員会につきましては、毎年度の決算報告に加えまして、本年度は東京都監査委員による財政援助団体等監査も実施されたところでございます。
 今後とも、大会経費の縮減に向け、組織委員会と共同して執行統制の強化に積極的に取り組んでまいります。

○両角委員 まさに執行統制強化というのは大きなテーマだと思います。この共同実施事業管理委員会の設置要綱を拝見しますと、しかしながら、共同実施事業管理委員会の権限というのは、確認をして、必要に応じて指摘をする、そういう協議の場であるということであって、強い指導をするとか、そういう権限を持っているわけではありません。
 ですから、実際に大きなテーマである執行統制強化ということをやっていくには、さらなる仕組みも必要ではないかなというふうにも感じるんですけれど、東京都がぜひ積極的な役割を果たして、実際に執行統制が強化できる、あるいはコスト管理が徹底できる、そのようなことを進めていただくように要望させていただきたいと思います。
 そして、次に、これも先ほど来お話がございました。今回、平成三十年度予算原案、財務局の方で発表された資料によれば、この大会の関連経費ということで、大会経費の全体一兆三千五百億円以外に、東京都として大会に関連する事業として八千百億円、こういうものがありますということが示されたわけであります。
 五輪の経費については、今、予算の段階でありますが、最終的には五輪が終わった後、都民、国民に決算として、しっかりどのように示していくかということが重要ではないかと私は考えています。
 そういった意味で、まず、広義の五輪関連支出であります大会に関連する事業ですかね、その考え方をまず伺いたいと思いますし、また、最終的に東京都として五輪決算をどのようにしていくのかということを現時点でのお考えを伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今般のV2で一兆三千五百億円といたしました大会経費の決算につきましては、新規恒久施設は都と国が経費を確定させ、それ以外は組織委員会が都や国などと調整して経費を確定させます。その上で、全体の取りまとめは今般のV2と同様、組織委員会が行うものと考えております。
 また、バリアフリー環境の整備やボランティアの育成など、都がみずから実施いたします大会に関連する事業の経費の決算につきましては、都において行うものでございます。
 いずれにせよ、大会にかかわる経費の決算につきましては、都民、国民の皆様にわかりやすくお示しできますよう努めてまいります。

○両角委員 今、この大会決算について、都民、国民の皆様にわかりやすく示していくということでご答弁いただきましたので、そういったことも頭に入れてこれから取り組んでいただきたい、このように思います。
 次に、ちょっと個別的な事柄でございますけれど、まず一点目として、チケッティングについて伺いたいと思います。
 チケット販売につきましては、昨年末にぴあを初めとするコンソーシアムが事業者として決定をされたと伺っておりますが、チケット販売方針と今後のスケジュールについて伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 チケットの販売につきましては、開催都市契約により組織委員会が最大数の観客が競技を観戦できるよう、社会経済的要素を考慮に入れて価格を設定することなどが定められております。
 さらに、立候補ファイルで示されている、誰もがいつでもチケットを買うことができるシステムの提供などに向けて、組織委員会は販売方法の検討を進めておりまして、平成三十年、二〇一八年下期以降にチケット販売を開始する予定としてございます。

○両角委員 今、検討が進められていると思いますが、二〇一八年下期という、そういった一つのめどが示されたわけであります。
 そこで、オリンピック・パラリンピックのチケットで購入に当たって重要だと思いますのは、チケット購入の公平性をいかに担保するかということではないかと思います。
 そこで、このチケットの転売禁止についてどのような検討がなされているのか伺いたいと思います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 チケットの高値での転売はオリンピック・パラリンピック大会の公平な観戦機会を損なうものであり、特に現在、チケット転売の主流となっているインターネット上の行為につきましては、都道府県の枠を超えた広域での取り組みが必要であると認識しております。
 このため、都は昨年十二月、国に対し、チケットの高値転売等の制限について、必要な措置を講ずるよう提案要求を行いました。国会におきましてもチケットの不正転売の規制に向けた議員立法を目指す動きがございますことから、今後その動向を注視し、適切に対応してまいります。

○両角委員 次に、立候補ファイルにおきましては、東京都の負担で被災地の子供たち、あるいは都内の小学生、特別支援学校の子供たちにオリンピックやパラリンピックの観戦機会等を提供することがうたわれております。
 そこで、被災地や都内の子供たちに観戦機会を提供していくことは重要であると思いますけれど、見解を伺いたいと思います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 都はこれまでも、都内で行われる国際スポーツ大会の観戦に被災地の子供たちを招待するなど、スポーツの力で被災地に希望をもたらす復興支援に取り組んできております。
 また、都内の学校ではアスリート等を招き、オリンピック・パラリンピックの価値を学んだり、競技体験を行ったりするオリンピック・パラリンピック教育が実施されております。
 被災地や都内の子供たちが二〇二〇年大会におきまして、世界のトップアスリートのパフォーマンスを直接観戦することは、子供たちのその後の人生の糧となるかけがえのないレガシーを残す絶好の機会でございまして、立候補ファイル等を踏まえ、被災地の自治体、組織委員会、教育庁を初めとする関係各局等と連携し、検討を行ってまいります。

○両角委員 まさに子供たちにとって人生の糧となるかけがえのないレガシーになると思いますので、こういった復興五輪のコンセプトにも資するような被災地の子供さんのチケット、あるいは開催都市としての、東京で行って本当にあのときの思い出が残っているなというようなことができるような、そんな確保に努めていただきたいと思います。
 最後になりますが、大会時の危機管理対応についてお伺いをしたいと思います。
 大会期間中、テロや災害等発生時の対応についてはどのような体制で、いかなる検討がなされているのか伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 都は開催都市として、世界から訪れるアスリート、大会関係者、観客の安全・安心を万全の体制で確保していかなければなりません。そのため、現在、庁内横断的な安全・安心部会を設けまして、国や組織委員会の参画も得て、治安対策、サイバーセキュリティー、災害対策、感染症対策の四つの視点から、各種事態を想定した対処要領の策定に向け検討を行っているところでございます。

○両角委員 今、庁内横断的な安全・安心部会が設置をされているということで、そこで国や組織委員会とも連携をして、四つの分野について対処要領を作成しているということで、ぜひ関係機関と連携をして、実効性の高い危機管理策というのを策定していただきたいと思います。
 今、策定をしているという対処要領でございますけれど、対処要領の検討スケジュールについて、最後に伺わせていただきたいと思います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 対処要領は、平成二十九年度中の策定を予定しております。策定後には、競技会場等におきまして実践的な訓練を重ね、ラグビーワールドカップ二〇一九の経験も踏まえ、要領の検証、見直しを行ってまいります。

○両角委員 二十九年度中の策定というお話がございました。三月末までということでございますので、策定ができましたら、速やかに当委員会にも報告をいただければなと、そのように思います。
 いよいよ、東京二〇二〇大会まであと二年余りということになりまして、もう実際にいろんな準備を、本当に今までと違うモードで進めていくような時期になったのではないかと思います。いろいろ大変な部分もあろうかと思いますけれど、ぜひ局の皆様にはしっかりと取り組んでいただいて、すばらしい五輪が開催できるように要望いたしまして、私の質問を終了いたします。

○入江委員 質疑もし尽くされてきたと思いますけれども、先ほど潮田局長も、実務の具体的な段階に入っているとおっしゃいましたので、記憶と記録をきちんと残し、負の遺産は残さない、つまり赤字を出さない大会とするために、少し伺わせていただきます。
 このV2予算です。一兆三千五百億、どんな規模感かなと思いまして、企業価値を示す時価総額などを調べてみますと、ちょうど電通の時価総額は一兆四千三百億でした。そういう非常に膨大な金額なわけです。この金額の膨張を防ぎつつ、適正で効率的な財務管理としていくためには、今の段階からの予算実績分析をすることが不可欠だと思います。
 こちらの一年ぶりに組織委員会の企画財務局で策定された大会経費V2予算ですが、これはIOCに承認を受けるための予算案で、組織委員会の各部署、ファンクショナルエリア、五十二あるそうなんですけれども、要求額よりは削減してあり、大体の規模感を示す予算になっていると聞いています。
 企業であれば、例えば長期計画で予算削減を目指す場合には、一年に一回の見直しではなくて六カ月ごと、半期ごとに改定案を考えたり策定したり、会議を重ねたりすることがあるんですけれども、このV2予算は、このままで一年後のV3予算策定を待つということなんです。
 現在、新規恒久施設の建築がどんどん進んでいるように、日々この予算に対しての費用実績は既に累計されています。その一方で計画が固まっていないとおっしゃった輸送や警備、つまりソフト面の予算については大変大ざっぱな試算であると考えます。
 細かな見直しの積み重ねで予測を的確にして、さらに予算案の精度を高めることが経費削減、つまり、不要な支出を抑えることに効果的と考えますが、見解をお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今般の大会経費V2は、昨年五月の東京都、国、組織委員会、競技会場が所在する関係自治体の四者によります大枠の合意を踏まえまして、その枠組みをベースとして組織委員会が経費を見積もり、都や国と調整の上、昨年十二月時点で作成したものでございます。
 V2の作成に当たりましては、建設工事が本格化しております新規恒久施設や今年度末までを目途に基本設計を行っております仮設など、ハード系業務を中心に現時点で精査可能なものを精査しております。
 今後は、輸送やセキュリティー、オペレーションといったソフト系業務を中心に計画の具体化など、その進捗状況に応じましてコスト縮減に向け、経費の精査、精緻化を図り、来年度のV3、再来年度のV4に反映させてまいります。
 その際、共同実施事業管理委員会におきまして、こうしたコスト縮減などの各種取り組みを確認いたしますとともに、事業実施の段階では事業ごとにしっかりとチェックするなど、執行統制を図ってまいります。

○小山委員長 入江委員、ちょっと手を挙げていただいて、挙手をして。

○入江委員 失礼いたしました。V2予算については、一年後、V3まで変わることはないそうなんですけれども、ぜひとも年次予算を作成して公表していただくことを望みたいと思います。
 そして、組織委員会六千億、東京都六千億になっておりますが、組織委員会の予算は収支均衡ということになっています。収入はV1予算の五千億から好調なマーケティングにより国内スポンサーが順調にふえているということで、千億増収の六千億となっています。大会関係者のご努力を私は高く評価いたします。
 現在、ワールドワイドオリンピックパートナーが十三社、東京二〇二〇オリンピックゴールドパートナーが十五社、東京二〇二〇オリンピックオフィシャルパートナーが二十九社と発表されていますが、ここまでにプラスの一千億増収が確実になっているのでしょうか。
 増収が予測どおりでない場合は、確実に支出超過となります。その場合の赤字部分、つまり、組織委員会が資金不足に陥った場合には東京都が補填すると立候補ファイルに明記されています。公費が投入されるわけです。
 そうした事態を起こさないためにも、今後のスポンサー収入の予測の精査、それに対比しまして組織委員会の支出の見直しをぜひとも東京都がイニシアチブをとってしっかりとハンドリングしていただきたいと考えます。
 収入増となった一千億のうち、既に収入として確定している金額と、今後収入として見込んでいる金額の内訳とあわせて見解を伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 V2で計上しております組織委員会の収入は、V1から一千億円増の六千億円となっております。この増加額一千億円のうち、トップスポンサーは二百億円増の五百六十億円でございまして、これはIOCが組織委員会に示した配分額でございます。また、国内スポンサーは六百億円増の三千百億円でございまして、これは平成二十八年度末時点のスポンサーとの契約済額でございます。したがいまして、両者を合わせますと八百億円が既に確定しているものでございます。
 一方、増収見込みの二百億円につきましては、昨年五月の大枠の合意で示しました六千億円を達成するための増収努力、目標値でございまして、現在、国内スポンサーのさらなる獲得に向け、営業活動を行っているところと聞いてございます。
 支出につきましては、組織委員会において監査法人や海外コンサルタントなど、専門的な識見や過去大会などの知見を有する第三者の意見を伺いながら、引き続きコスト縮減に取り組むこととしております。
 加えまして、共同実施事業につきましては、その管理委員会において、東京都、国、組織委員会の三者でコスト縮減、執行統制の強化を図り、大会経費全体の圧縮につなげてまいります。
 大会まで三年を切り、大会準備が本格化する中で、費用対効果を常に念頭に置き、大会経費の縮減に向け、組織委員会と共同して積極的に取り組んでまいります。

○入江委員 ありがとうございます。八百億は確定の数字だと。増収見込みの二百億、経済的リスク、株価も下がったり上がったりもございますし、スポンサーからの増収が見込めない場合に備える意味でも、支出の適正なコントロールをぜひともお願いしたいと思います。
 続いて、東京都の経費予算六千億の中身なんですけれども、恒久施設の二千二百五十億円のうち、おおむね四百億は国立競技場の経費として国の独立行政法人である日本スポーツ振興センターに渡し、残りの千八百五十億は東京都でしっかりと予算執行と実績管理をするとのことです。新規恒久施設の発注者は全て小池百合子都知事になっておりますので、当然のことだと思います。
 しかし、それ以外の予算三千七百五十億円分は、基本的に一旦組織委員会に渡すとのことです。そうした予算を執行するために、今後、例えば入札は、先ほども山口委員がご質問されていたように組織委員会となる。もちろん、これは情報公開を求めたいですし、また、民間事業者と今後契約を交わす際も、契約者名は全て組織委員会の事務総長を初めとした組織委員会の責任者名になるとのことです。
 こうした予算執行と実績管理を適切に行うために共同実施事業管理委員会が設立されたということですけれども、ここでは東京都や国が負担する資金を使用して、組織委員会が実施する事業を包括管理することとなります。
 具体的な業務フローといいますか、考えていきますと、共同実施事業管理委員会の下部組織としての東京都作業部会が立ち上がり、このV2予算ではなくて年度予算の策定を行い、民間事業者等との契約前の単価や内容の精査、そして予算執行後の実績の確認、要するに、この使ったお金をどこに仕分けていくか。国の予算にするのか、組織委員会の予算なのか、東京都の予算なのか。仕分けもあると思うんですけれども、そういったことを行うということですが、ここでの実務作業が非常に重要になると思います。
 先ほども作業部会は部課長級の職員の皆様、都から八名、国からは四名、そして組織委員会からは十名ということで伺いました。しかし、この会議もそれほど頻繁に行われるわけではなくて、日常的に組織委員会とオリ・パラ準備局の皆様との密なる連絡が大変大事になっていくということなんですけれども、具体的には、改めてなんですけれども、どこでどのように契約単価の精査をするのか、どのような方法で実績の確認をこの三者間でしていくのかをお教えいただきたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 東京都作業部会におきましては、都が負担する経費につきまして確認をすることとしてございますが、執行の段階におけます確認につきましては、案件ごとに詳細に行うことになりますため、東京都作業部会の前に都と組織委員会の五十二の各FA、ファンクショナルエリアと呼ばれております業務分野の担当者間で業務の遂行に当たりまして、効率性ですとか必要性、納得性、あるいは公費負担対象として適切かなど、四点の基本的な考え方に基づきまして、適切に内容をチェックしてまいります。その上で東京都作業部会において、これら案件を集約して確認することになります。
 なお、こうした業務の具体的な進め方につきましては、今後、組織委員会など関係者と詰めてまいります。

○入江委員 やり方については今後、組織委員会と詰めていくということで、年度予算も策定されるということですので、ぜひとも企業並みに四半期ごとの予算実績分析をしていただいて、都民への情報公開をしていただきたいと望みます。
 また、先ほど来出ておりますけれども、このV2予算の中には東京都の機運醸成のための広報やイベント実施の費用は含まれておりません。いわゆる東京都の行政予算で賄われています。八千百億ということが先ほどからご答弁で出ておりますけれども、大会経費のV2予算のみならず、多くの行政予算が執行されるということを改めて認識し、重複、そして無駄がないようにぜひともしていただきたいとお願い申し上げます。
 続いて、V2予算の東京都のオペレーションの項目に百億とあるんですけれども、この一部に開会式、閉会式の四式典の予算を計上していると伺いました。オリンピックの開会式からパラリンピックの閉会式までは四つの式典をばらばらではなく、一連の四部作と捉え、起承転結となるよう、めり張りをつけて構成するという方針が決まり、ことし八月ごろまでに基本プランを取りまとめる四式典総合プランニングチームが決定しました。
 私は、メーンスタジアム内だけで完結するのではなく、最先端のテクノロジーやSNSを活用し、世界中の人がつながり、世界各地からも式典に参加しているようなことを感じられる演出を期待いたします。
 その中で、歴史の中で培われ、今も生きる日本、東京の美しい感性を大切にするというコンセプトのもとに東京を表現し、アピールをする部分があるそうです。その予算として、一部がこの百億円のオペレーションの項目に入っているわけです。
 組織委員会では、川村元気さんを初めとする各界の専門家のプランニングチームで基本プランをこれから策定していくことなんですけれども、二〇二〇年の大会が多くの都民、そして国民に祝福されるものにするためには、皆様のアイデアがそういったものに盛り込まれていると思っていただくことが非常に大事ですし、参画の機運をますます高めることが大事です。
 これまでも組織委員会が中心となって、開閉会式については多くの都民、国民の皆さんから貴重なご意見を頂戴して集めていると聞いております。こうしたご意見をきちんと反映していけるように、開催都市東京として組織委員会と連携して取り組んでいただきたいと考えますが、見解を伺います。

○丸山オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 組織委員会は、平成二十九年四月に東京二〇二〇有識者懇談会を設置し、オリンピック・パラリンピック開閉会式の四式典の柱となる基本コンセプト策定の検討を行ってまいりました。
 基本コンセプトの策定に当たっては、各分野の専門家へのヒアリングに加えて、都民、国民からも広く意見を募集するため、平成二十九年六月から八月末までに組織委員会のホームページ等でアンケートを実施したところ、千八百件を超える意見が寄せられました。
 都としても復興五輪、二回目のパラリンピック、多様性、共生社会、東京の魅力発信、環境五輪、先端技術の活用、アスリートファーストなどの重要な視点について、組織委員会を通じて意見を提出しております。
 こうした過程を経て、組織委員会は、平成二十九年十二月に東京二〇二〇大会開会式・閉会式に関する基本コンセプト最終報告を策定し、四式典全体のプランやストーリーをつくる東京二〇二〇開会式・閉会式四式典総合プランニングチームを設置して、具体的な検討を開始いたしました。
 都は、組織委員会と連携しながらプランニングチームの検討の推移を注視し、都民、国民の期待に沿ったすばらしい開閉会式となるよう、引き続き開催都市として取り組んでまいります。

○入江委員 ありがとうございます。ぜひ都民の皆さん、国民の皆さんのお声が反映できるように、都としても組織委員会に働きかけていただきたいと思います。
 最後になりますが、この膨大な予算、そして本当にたくさんの皆様がかかわって、これからオリンピック開会式を目指すんですけれども、今から開会までの進行管理については、やはりもう実務レベルの段階に入ってまいりましたので、時系列にやるべきことを洗い出して、計画的に無駄なく進行していくために、東京都としてロードマップを作成していただきたいと強く望みます。見解を伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 大会までの準備スケジュール、いわゆるロードマップにつきましては、組織委員会が平成二十七年に策定の大会開催基本計画におきまして、大会開催準備から終了までの流れを示したことに続きまして、都といたしましても、平成二十七年に策定いたしました二〇二〇年に向けた東京都の取組-大会後のレガシーを見据えて-におきまして、二〇二〇年に向けた年度別の行動計画をお示ししてございます。
 また、昨年四月には、これまでの開催準備の実施状況と今後の取り組みの概要を東京二〇二〇大会開催準備にかかわる主な取り組みとして取りまとめ、当委員会にも報告させていただき、ホームページにおいて公表しているところでございます。
 今後とも、大会準備の進捗状況と、これからの取り組みを内容に応じてわかりやすい形で取りまとめてまいります。

○入江委員 ありがとうございます。組織委員会がつくっていただいているものは確かにわかりやすいのですが、まだざっくりしていると思います。東京都オリ・パラ準備局、これから実施事項を、例えば縦軸にやるべき事項、横軸に年月の項目がある線表にしてロードマップをつくっていただきたいと強く思います。
 大変大きな組織で巨大なイベントを実施していくわけですから、おのおの皆様方の仕事が全体像のどこを走っているかが非常にわかりづらくなってくると思います。木で例えますと、枝葉の細かい作業の積み上げが大事なんですけれども、常に全体の森をイメージして日々の仕事を頑張っていただきたいと思います。
 今後、費用の面も、そしてやるべき事項もたくさんお仕事が山積していると思いますけれども、ぜひとも全身全霊で頑張っていただきたい、そのように思っております。よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

○小山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十四分散会

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