オリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員会速記録第五号

平成二十九年十一月二十四日(金曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 二十三名
委員長小山くにひこ君
副委員長大松あきら君
副委員長吉原  修君
副委員長伊藤 ゆう君
理事加藤 雅之君
理事両角みのる君
理事石川 良一君
理事山崎 一輝君
理事あぜ上三和子君
森澤 恭子君
川松真一朗君
栗林のり子君
龍円あいり君
白戸 太朗君
入江のぶこ君
おときた駿君
山口  拓君
里吉 ゆみ君
谷村 孝彦君
桐山ひとみ君
とくとめ道信君
木村 基成君
高島なおき君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長潮田  勉君
技監相場 淳司君
理事延與  桂君
総務部長中村 倫治君
調整担当部長雲田 孝司君
総合調整部長根本 浩志君
連絡調整担当部長戸谷 泰之君
連携推進担当部長丸山 雅代君
事業調整担当部長高野 克己君
自治体調整担当部長小池 和孝君
事業推進担当部長計画調整担当部長兼務越  秀幸君
運営担当部長田中  彰君
パラリンピック部長萱場 明子君
障害者スポーツ担当部長新田見慎一君
大会施設部長鈴木 一幸君
競技・渉外担当部長小野 由紀君
開設準備担当部長鈴木 研二君
施設担当部長砂田  覚君
施設整備担当部長草野 智文君
施設調整担当部長湯川 雅史君
輸送担当部長片寄 光彦君
選手村担当部長朝山  勉君
スポーツ施設担当部長藤木 仁成君
スポーツ推進部長小室 明子君
スポーツ計画担当部長
ラグビーワールドカップ会場運営担当部長
国際大会準備担当部長兼務
川瀬 航司君
ラグビーワールドカップ準備担当部長篠  祐次君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに二〇一九年に開催される第九回ラグビーワールドカップ二〇一九TMの開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項(質疑)
・新規恒久施設等の整備について
・アーチェリー会場(夢の島公園)予選会場の整備について
・有明体操競技場の整備について

○小山委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員会を開会いたします。
 初めに、委員の辞職及び選任について申し上げます。
 議長から、去る十一月十五日付をもって、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、いび匡利議員の辞職を許可した旨、また、同日付をもって、曽根はじめ議員を選任した旨、通知がありましたので、ご報告いたします。

○小山委員長 次に、委員の辞任及び選任について申し上げます。
 議長から、本日付をもって、曽根はじめ委員の辞任を許可し、新たに、おときた駿議員を選任した旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員を紹介いたします。
 おときた駿委員です。

○おときた委員 かがやけのおときたです。どうぞよろしくお願いします。

○小山委員長 紹介は終わりました。

○小山委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席につきましては、お手元配布の議席表のとおりといたしますので、ご了承願います。

○小山委員長 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 小山次長大会準備調整担当理事スポーツ推進担当理事兼務は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承を願います。
 次に、報告事項、新規恒久施設等の整備について外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○白戸委員 私から、新規恒久施設等の整備についてお伺いします。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功は、大会開催の成功はもとより、大会開催後において、都民や国民、東京都や日本にどれだけ有形無形のレガシーを残せるかであります。
 新規恒久施設についても同様に、大会時の競技開催はもちろんですが、大会後の利用において十分都民益にかなう施設整備でなければなりません。最少の経費で最大の効果が得られるよう、不断の改革と改善に取り組むべきであるということを申し上げておきます。
 さらに、競技会場となります施設の整備におきましては、大会後において負の遺産とならないように、後利用を十分に踏まえたものになるよう、あえて強く求めておきます。
 近年のオリンピックで大会後も最も成功したといわれているのは、二〇一二年のロンドン・オリンピックでございます。ロンドン大会では、施設整備において、後利用のビジネスモデルが成立しない限り恒久施設にすべきでないという大方針のもと、丁寧な議論、詳細な計画がなされてまいりました。これは東京大会についても同じで、今まさに大切な点ではないかと考えます。
 そのような中、小池知事のもと、昨年の十二月時点で二千二百四十一億円の整備費用であった新規恒久施設の見直しが行われました。
 まず、昨年の十二月の見直しはどのような経緯で、どのような見直しを行い、どのような成果があったのかを伺います。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 競技会場につきましては、平成二十五年に大会開催が決定して以降、会場計画の再検討などによる経費の縮減に取り組んできたところでございます。
 昨年十二月の会場見直しは、大会までのスケジュールを考慮するとラストチャンスであったことから、施設規模の大きいオリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナの三施設につきまして、改めて既存施設の活用の可能性を含め再検討を行ったものでございます。
 見直しに当たりましては、従来の仕様にこだわらず、ライフサイクルコストや大会後のレガシーなども勘案し、国際競技団体や組織委員会などの関係者と十分調整を行った上、総合的に検討を行ったところでございます。
 その結果、整備内容の見直し等によりまして整備費を縮減することとし、三施設の建設を進める結論に至りました。さらに、各競技団体とも連携してレガシーの検討を進め、そうした成果を踏まえまして、本年四月、大会後の施設の有効利用に向けた新規恒久施設の施設運営計画を策定いたしました。

○白戸委員 削減総額が四百十三億円、三つ合わせて予算規模が二千二百四十億円という事業の規模を考えますと、約二割の削減ということで、見直しは効果があったのかと考えます。ただ、一方、招致ファイル当時からの予算の振れ幅は大変大きなもので、招致時点での試算が精度を欠いていたと指摘させていただきます。
 さて、今回、縮減可能とした項目に関して、会場ごとにある程度まとめられてはいますが、具体的に各会場でどのような項目を縮減しようとしたのか伺います。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 昨年十二月の会場見直しの検討におきましては、各会場で施設の仕様や工法の見直し等、整備費縮減の可能性について幅広く検討いたしました。
 例えば、海の森水上競技場におきましては、グランドスタンド棟の建物の低廉化、外構の変更を実施することといたしました。また、オリンピックアクアティクスセンターについては、大会時の観客席を二万席から一万五千席に縮小し、大会後の減築を取りやめることとしております。有明アリーナにつきましては、軟弱地盤対策工法の変更や内外装仕様を見直すこととしたほか、一部のエレベーター、エスカレーターについて、観客の動線を考慮しつつ、縮減が可能か検討することといたしました。以上によりまして、着実に三施設の整備費縮減を図ることとしたものでございます。
 なお、あわせまして、環境性能の確保など、将来への投資も検討することとしております。

○白戸委員 環境や利便性など、そういった点から継続して努力されているということはわかりました。
 それでは、その検討を持続するとした三つの施設の縮減案、そして、そのほかの施設でのコスト削減について、どのような検討を行ってきたのかを伺います。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 昨年十二月以降、具体的な縮減に向け、受注者との変更協議、詳細な設計などを行って、各施設の見直し後の整備費を取りまとめてまいりました。あわせて、環境性能の確保など、将来への投資となる事項の検討を進めてきたところでございます。
 具体的には、地中熱利用や太陽光発電など、各施設における環境対策等について精査し、当初の設計どおりしっかり整備を行っていくことといたしました。
 なお、その財源につきましては、環境対策に充てるということを示して、機関投資家や個人の皆様から資金を投資していただくグリーンボンドを新たに活用することとしております。
 また、有明アリーナで縮減可能な項目としておりました一部エレベーター、エスカレーターにつきましては、当初の設計どおり、大会後の活用に当たって、高齢者や障害者の利用を促進するよう整備することといたしました。
 一方、オリンピックアクアティクスセンターにおきましては、工事の進捗に伴い、汚染土壌等が存在することが判明したことから、その対策を盛り込む検討を行ってまいりました。
 加えまして、三施設以外でのコスト縮減につきましても、国際競技団体や国内競技団体等と協議しながら、施設条件の精査や施設計画の合理化を進めまして、アーチェリー会場などについて、整備費の縮減に努めながら施設計画を具体化してまいりました。
 この結果、都が整備いたします新規恒久施設等の合計で約四百十三億円の整備費縮減が可能な見通しとなったものでございます。

○白戸委員 今回のオリンピック・パラリンピック、環境オリンピックというのを掲げておりますこの大会ですが、大会後に残す施設が環境に対してローインパクトであることは大変重要なことであると考えます。さらに、高齢者や障害者の利用促進を図っていくためにもまた重要なことではないかと考えます。
 それらの整備を行いつつ、三つの施設以外、有明テニスの森、アーチェリー会場に関しても、当初予算から見るとそれぞれ百四十四億円が百十億円と三十四億円の削減、二十四億円が十四億円と十億円の縮減となり、一定の成果がありました。
 一方で、これらの施設は、都がオリンピック・パラリンピック競技大会終了後に後利用、運営していくということです。だからこそ、この建設費は都が負担するわけです。都としてのコストパフォーマンスは大会後の後利用も含めて考えていく必要があります。つまり、二〇二〇年の後の想定も含めてコスト感と捉えていく必要があり、大局的には、都民の立場で重要なことは、単にいっときの整備費を縮減したかどうかではなくて、大会後の後利用の運営経費についてもしっかりと見据えていく必要があると考えております。
 その中でも、アクアティクスセンターの後利用は極めて重要ではないかと考えます。隣接する東京辰巳国際水泳場は今回、水球会場となることからして、今後、大会会場にふさわしいアクセシビリティーの確保や機能の維持向上を図ると聞いております。これは逆にいいますと、ますますこの新規施設、アクアティクスセンターとの差が少なくなるわけで、それなりに戦略を持って進める必要があるかと考えております。
 そこでお伺いします。
 そんな状況の中で、今回のこの整備費縮減が後利用にどのような影響があるのか、大会後の使用想定や収支見通しを伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 今回の見直しに当たりましては、整備費の縮減を行いつつ、大会後のレガシーを実現できるよう、競技団体とも連携して検討を進めてきたところでございます。
 オリンピックアクアティクスセンターは、日本水泳の中心となる世界最高水準の水泳場として世界を目指すアスリートを育成し、水泳の裾野拡大と次世代のアスリート候補を育成していく施設として運営してまいります。
 年間来場者目標は、大会等による競技や観戦利用で約八十五万人、水泳教室の個人利用などで約十五万人、合計で約百万人と見込んでおります。収支見込みの試算では、収入が施設利用料、駐車場利用料など約三億五千万円、支出が人件費、光熱水費、業務委託費など約九億八千八百万円で、年間収支は約六億三千八百万円のマイナスとなる見込みでございます。
 今後、ネーミングライツ導入の検討を進めるとともに、効率的な管理運営、利用者の増加に向けた取り組みなどについて運営事業者選定の中で提案を募るなど、収益向上に向けて具体的な検討を進めてまいります。

○白戸委員 ありがとうございます。東京辰巳国際水泳場については、都が四月に策定しました施設運営計画によりますと、オリンピックアクアティクスセンターとは異なる機能を有するスポーツ施設としての活用を検討というふうにあります。この大きなプール二つがこの地区に存在するということになるわけですから、ぜひアクアティクスセンターと同様、辰巳水泳場の後利用に関してもしっかりと検討していただくよう要望いたします。
 続きまして、海の森水上競技場におきまして、水上スポーツや水上レジャーだけでは採算上、極めて厳しいということは以前より申し上げておりました。都として、水上競技大会、アスリートの強化合宿等での活用、そして私の出身でありますトライアスロンも利用させていただくというような予定があることも聞いております。さらに、都民の水上スポーツ体験、水上レジャーの機会を提供、そして北側の陸地部分の多目的エリアを多用した大規模なランニング大会など、さまざまなイベントも予定しているとお聞きしております。個人的には、都内にまだつくれていない自転車競技練習コースなどができると非常に有効なのではないかと提案しておきます。
 ともあれ、それでもこの規模の施設の採算性、有効活用するのは簡単ではないと考えます。その中で、今回の見直しに伴います予算縮減において、後利用においてどのような影響を及ぼすのか懸念されるところであります。後利用の使用想定、収支見通しを伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 今回の見直しに当たりまして、海の森水上競技場も同様に大会後のレガシーを実現できるよう、競技団体とも連携して検討を進めているところでございます。
 海の森水上競技場につきましては、アジアの水上競技場の中心となる国際水準の水上競技場として、アスリートの強化、育成、水上スポーツ体験の機会提供等により、水上競技の裾野拡大を図る施設として運営してまいります。
 年間来場者目標は、競技利用で約三十一万人、レクリエーション利用などで約四万人、合計で三十五万人と見込んでおります。
 収支見込みの試算では、収入が施設利用料、宿泊料、駐車場利用料など約一億一千三百万円、支出が人件費、光熱水費、業務委託費など約二億七千百万円、年間収支は約一億五千八百万円のマイナスとなる見込みでございます。
 今後、ネーミングライツの導入や公園と同一管理者による効率的な管理運営について検討を進めるとともに、各種イベントの開催などについて運営事業者選定の中で提案を募るなど、収益向上に向けて具体的な検討を進めてまいります。

○白戸委員 都心にこの規模の公園整備がなされるというのは非常に貴重な機会ではないかなと思われます。ぜひとも、この都内のアウトドアスポーツの中心地、また、身近なアウトドアを楽しめる場所として整備計画を進めていただくよう、よろしくお願いします。
 続きまして、有明アリーナについてお伺いします。
 有明アリーナは、今回、コンセッション方式がとられております。まず、この方式を採用された経緯を改めて伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 平成二十六年十二月に新規恒久施設等の後利用に関するアドバイザリー会議を設置いたしまして、外部有識者や民間事業者の意見も聞きながら後利用について検討し、その中でコンセッションについても意見をいただいてまいりました。
 平成二十七年六月公表の新規恒久施設に係る後利用の方向性では、官民連携手法等の民間を活用した最適な運営方法を検討することとし、コンセッションについても選択肢の一つとして検討を進めました。
 その後、平成二十八年十二月十六日に知事が、有明アリーナの新設とともに、官から民への視点からコンセッション方式の導入に向けた具体的な検討を始めることを表明いたしました。
 本年四月には新規恒久施設の施設運営計画においてコンセッション方式導入の方針を示し、八月には有明アリーナの管理運営に関する基本的考え方を公表して、民間事業者からヒアリングを行うなど、導入に向けた準備を進めているところでございます。

○白戸委員 官から民の視点で採用されたことはわかりました。
 その有明アリーナですが、新規恒久施設の中では比較的採算性が見込みやすい会場だといわれております。スポーツやそれ以外のイベントに適切な大きさが期待を高めているものだと思いますが、そのアリーナは、今回のこの予算縮減の見直しによって、後利用にどのような影響が出るのか、大会後の使用想定と収支見通しを伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明アリーナにつきましても、東京の新たなスポーツ、文化の拠点として、国際大会などの質の高いスポーツ観戦機会の提供や、コンサート等のイベント開催による東京の新たな文化発信拠点としていくため、民間の力を最大限活用した管理運営について検討を進めてきたところでございます。
 年間来場者目標は百四十万人であり、大規模スポーツ大会の観戦や競技大会への参加などで三十五万人、コンサートやイベント利用で九十三万人、レストラン等の利用で十二万人と見込んでおります。
 本年四月に策定いたしました施設運営計画におきまして、有明アリーナの年間収支は、収入が施設利用料やジム、スタジオ収入などで約十二億四千五百万円、支出が人件費、光熱水費、業務委託費などで約八億八千九百万円、収支は約三億五千六百万円のプラスと見込んでおります。
 今後、コンセッションによる管理運営に向けさらに検討を進めまして、民間事業者の創意工夫を生かした施設の有効活用や効率的な運営を実現していくことにより、一層の収益向上を目指してまいります。

○白戸委員 この使われます東京都の予算というのは大切な税金でもあります。ぜひ、有効な投資で二〇二〇年以降に都民のレガシーとなるような資産を残せるように求めておきます。
 そして、何より会場整備におきまして大切なのは、何を建てるかということよりも、大会後の負の遺産にならないようにどのように運営していくか、どのように経営していくかということではないかと思います。そういった意味で、コストだけではなく、どのような後利用施設にするのかという議論も今後深めていただくよう求め、質疑を終わります。

○谷村委員 東京オリンピック・パラリンピックは何としても成功させなければならない、これが大前提であることは申し上げるまでもありませんが、そのために経費が幾らかかっても構わない、公明党はそういうスタンスには立っておりません。
 東京大会を成功させて、有形無形のレガシーを後世に残していく。そのためには、さすがは東京だ、開催都市が過剰な負担を抱え込まなくても大会は開催できる、東京はすばらしい大会を運営してくれた、こうした評価も受けなければ大会の成功とはいえませんし、そのためにも、この開催経費というものを最小限に抑えて、まずは都民の皆様、そして全国民の皆様にもご納得のいただけるものにしていかなくてはなりません。そのためには、東京都議会、なかんずく本特別委員会の果たす役割は極めて重要であります。
 昨年のちょうど今ごろも四つの施設の代替案まで出して、小池知事による見直しが図られました。四つの施設というのは、オリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナ、カヌースラローム会場であります。結果的には、代替案を出したというものの、当初どおりの施設に、もとどおりになったわけですけれども、その過程の中で、四百億円もの整備費を削減することができた。結局もとの施設に戻ったけれども、四百億円も整備費が削減されたなら、それならそれでよかったじゃないかというのが多くの都民の皆様の声であったと私は受けとめさせていただいております。
 そこで、前回、十一月六日の本委員会で、都が整備する恒久施設、この整備費について改めて報告がありました。先ほどの四つの施設整備についての削減額は四百億円ではなく、結局、三百四十六億円にとどまること。しかし、他の三施設、アーチェリー会場、有明テニスの森、その他競技会場周辺の歩道橋等をさまざま見直して、何とか帳尻合わせというのか、四百十三億円になりました。それでもこの四百億円を超えたというご努力は評価したいと思います。
 この四百十三億円が現段階で削減されたという意味は大変大きなものがあると思いますけれども、まず冒頭に、この四百十三億円削減されたということについて、局長のご感想をいただければと思います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 昨年の新規恒久施設の見直しでございますが、オリンピックアクアティクスセンター、それから海の森競技場、そして有明アリーナとさまざまな見直しを行ってまいりました。最終的にそれら三施設、そして、今お話ございました、その余の五施設合わせまして四百十三億円の削減となっているわけでございまして、最終的な見直しといいますか、当初整備費からの縮減というのは一定程度なされたというふうに考えております。

○谷村委員 この施設整備費につきましては、都民の皆様は大変注視をしておられます。無駄遣いが行われないのか、誰かが利権をむさぼらないのかという、この経費の縮減に向けては、全力を挙げて取り組んでいただきたいと思いますし、都議会公明党も厳しくチェックをしていきたいと思っております。
 そこで、有明体操競技場の整備についてであります。
 前回の本委員会での説明では、また、その際提出された資料第3号では、鈴木開設準備担当部長から、有明体操競技場は組織委員会が整備する仮設会場であって、費用負担の考え方については、展示場として大会後も都が使用する部分及び大会後に改修、追加整備する部分、すなわち後利用に相当する部分を都が負担する、大会時のみに使用する仮設部分については、都と組織委員会で負担を精査中であると、これは速記録も確認しておりますし、資料第3号にもそのように記載されております。
 こういうご説明をされたと思いますが、間違いありませんでしょうか。答弁をお願いします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 去る十一月六日の本委員会におきまして、そのようにご説明を申し上げたところでございます。

○谷村委員 このご説明ですと、有明体操競技場の整備は組織委員会がやる、後利用する部分については都が負担する、残りの仮設施設は両者で精査すると、こういう三つの段階でご説明をされていますけれども、整備という言葉と負担という言葉を巧みに使い分けて、あたかも東京都は、仮設施設だけれども、後利用するからその後利用する部分は都が負担をすると、こういう説明に聞こえますし、そういうふうに理解をされている方が多いと思います。事実、資料でもそのようになっております。
 また、この資料の中では、ご説明でも触れられました、わざわざ舛添都知事時代の都議会での審議を持ち出して、大会後の展示場としての後利用に相当する整備費については都が負担、平成二十八年三月予算特別委員会と資料第3号に書かれております。
 こういう説明をいただくと、整備費全体は二百五十三億円ですが、東京都は展示場として後利用するから、その展示場の部分は東京都が負担しますよ、その金額は百九十三億円ですよ、あとの六十億円は都と組織委員会が精査する、こうおっしゃっていますけれども、これも精査するほどのことでも何でもないわけです。この残りの六十億円についても大半を東京都が負担することになっている、後でこれは確認させていただきますけれども。
 また、後利用する展示場は十年程度しか使わない。十年程度しか使わないのか、十年程度しか使えないのか、ここら辺はまだ曖昧な表現ですけれども、だったらなぜ十年間しか使わない施設に百九十三億円もかけるんですかと、こういう議論になるわけであります。
 十年間しか使わない施設に百九十三億円、後の残りの六十億円も入りますので、実際は二百五十三億円です。十年間しか使わない施設に二百五十三億円もかけていいのかどうなのかということを本委員会に報告をされて、私ども都議会としての判断、考えというものを求められているわけであります。
 なぜこういう説明をされたのか。そもそもは、展示場であれ何であれ、仮設施設であるこの有明体操競技場は、百九十三億円に残りの六十億円の大半も含め、後利用をしなくても二百五十三億円は東京都が負担することになっているんですよね。なぜそういう説明を前回の委員会でされないのか。あたかも仮設施設だけれども、後利用するからその部分は東京都が負担することになっているんですという説明だったじゃないですか。なぜ仮設施設なんだから、二百五十三億円は大半は東京都が整備の負担をするということになっているという説明ができないのかということが、私は大変不思議でなりません。
 この議会で説明をしているということは、マスコミの皆さんも毎回多く入っておられます。都民の皆様に対しても、公式にこういう説明をしているということであります。これを都議会が、公明党が見逃すわけにはまいりません。
 前回の説明では、有明体操競技場は、組織委員会が整備する仮設会場といういい方をされました。第3号にもそのように書いてあります。これは間違いではありません。しかし、本来この場で、あるいは二百五十三億円という整備の費用の報告をするのであれば、有明体操競技場は都が整備の負担をする仮設会場というべきなんですよね。整備をするのは組織委員会かもしれないけれども、組織委員会は負担しないわけです。
 ことし五月に都と組織委員会と国と競技会場が所在する自治体、関係自治体と呼びますが、この四者で経費の分担について大枠の合意がなされました。この大枠の合意における仮設施設に対する費用負担の考え方についてご説明をいただきたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 大枠の合意は、本年五月に都、組織委員会、国、競技会場が所在する自治体の四者が東京二〇二〇年大会の役割分担及び経費分担に関して基本的な方向について定めたものでございます。その中で都は、開催都市の責任に基づきまして、都及び都外自治体の施設における仮設等に係る経費を負担することといたしました。
 具体的には、競技スペースや観客席、セキュリティーフェンスなどの仮設インフラについては都が負担し、大会運営のプレハブ、テントといったオーバーレイは組織委員会の負担ということになります。

○谷村委員 この五月の大枠の合意の段階で仮設施設は東京都が負担をするということは、この有明体操競技場は仮設施設なわけですよね。都が負担するわけですよね。後利用しようとしまいと、この二百五十三億円の、六十億円を引いておりますけれども、百九十三億円については本来都が負担をする。組織委員会は大会運営用のプレハブ、テントといったオーバーレイを負担する。
 先ほど申し上げましたけれども、有明体操競技場の大会時のみに使用する仮設施設六十億円を都と組織委員会で精査すると資料にも書いてありますし、説明もそうおっしゃいました。精査するといっても、この有明体操競技場の中のプレハブ、テントといったオーバーレイを組織委員会が負担をするわけです。プレハブ、テントで一億とか行くんですか。何でこの六十億円という残りのものについて、大会時のみ使用すると限定されたものについて、六十億円は精査するという表現になっているんでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 ただいまご指摘の大会時に使用する部分、仮設の部分につきましては、現在、組織委員会とともに協議をし、今後、いわゆるバージョンツー予算へ向けた中で整理されることになっております。そうした意味で現在精査中であるというふうに申し上げたところでございます。

○谷村委員 それでは、聞き方を変えさせていただきます。
 実際に東京都が展示場として後利用しない場合、東京都の負担というのはどのようになりますでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 大枠の合意に基づきまして、大会運営用のプレハブ、テント等のオーバーレイを除き、二百五十三億円の整備費の大部分を都が負担することとなります。

○谷村委員 ですから、そういうふうにご説明をされるべきですよね。わざわざ二百五十三億円の中で百九十三億円と六十億円を分けて、百九十三億円については後利用するから、これは東京都が負担をするんです、残り六十億円は大会時のみ使用する仮設施設だから組織委員会がするかのようなイメージを持って東京都と精査をする。といってもオーバーレイというのはプレハブ、テント等ですので、一億円、二億円、三億円かけてやるんですか。
 六十億円を精査するといっても、桁の話でございます。そういう六十億円というものもあえて外して百九十三億円。そして、その百九十三億円も東京都が後利用するから百九十三億円、東京都が負担するんだという説明を前回ずっと、事細かく説明をされているわけですけれども、そういう話ではないわけで、その五月の大枠合意では、先ほど確認しましたけれども、この仮設施設は本来、東京都が負担するという合意をしたわけですから、そしてその合意後、仮設施設の経費について東京都がどれだけ負担をしなければならないかということがこの都議会で初めて報告をされたわけですよね。それが前回の委員会の説明だったわけですよね。
 なのに、わざわざ後利用するからその部分は東京都が負担をするという説明をされることについては全くもって理解ができませんし、これ、何かそういう説明をしなければいけない背景というものがあるのか、何があるのか。大変きつい言葉を使って申しわけありませんけれども、こういう説明を都議会でするというのは、欺くような、そういう説明の仕方をされています。納得いかれたのなら、じゃあ、局長、どうですか。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 先ほど、仮に大枠の合意との兼ね合いでおっしゃったお話はそのとおりだと思うんですが、今回、有明体操競技場につきましては、先般ご説明したとおり、一つは、当初はここの会場につきましては、先生からのお話にございましたように、仮設で建てるということになっていたんですけれども、それも一年で壊すというのが、たしか立候補ファイル上のお話だったと思います。
 それから、先生からもご指摘いただいたように、すぐ壊してしまう、十年でどうかというお話もございますが、すぐ壊してしまうのでは非常にもったいないという状況の中で、有明体操競技場につきましては、資料第3号にも記載してございますとおり、アジェンダ二〇二〇を踏まえまして、大会後十年間、都内の中小企業の振興に資する展示場として活用したいということでございまして、そのため、その展示場の活用については、四ページにございます、展示場として大会後も使用する部分について都負担、具体的に申せば、これから産業労働局の方で予算要求を計上することになると思いますけれども、そういったご説明をさせていただいたところでございます。
 一方で、五月に、先生ご指摘のとおり、お話がございました大枠の合意、こちらの方での考え方とのそごがあるのかないのかというところでいいますと、組織委員会と東京都との基本的な考え方というのは、先ほど谷村委員からご指摘がありましたとおり、仮設については東京都、それから、オーバーレイについては組織委員会ということでございますので、この四ページにも書いてございます大会時のみ使用する部分の六十億円につきましては、なお仮設のものなのか、先ほど委員からもご指摘ございましたオーバーレイなのか、テントだとかプレハブのようなものなのか、あるいは、しっかりとしたものをつくるのか、それでもって六十億円を精査して、負担については詳細を別途計上すると、そのようなご説明をさせていただいたところでございます。
 ただ、それら含めまして、説明が不十分だった点につきましては真摯に受けとめまして、きちんと説明をさせていただきたいというふうに思った次第でございます。

○谷村委員 仮設施設を組織委員会が負担するというときの話と、それから東京都がそれを負担するという話では状況が全然変わってくるわけですよね。これまでそういう前提だという話で来て、このようなご説明があるのであれば、それは私も何も申し上げませんけれども、その五月の大枠合意で抜本的に負担の見直し、考え方は変わったわけですよね。変わったことを踏まえた前提の説明になっていないじゃないですか。だから誤解を生じるというふうに申し上げていますし、あえて大枠合意を前提にしていない説明になっているということについては、全くもって理解できないというふうに申し上げているわけです。
 先ほど部長にお答えいただきましたけれども、二百五十三億円の整備費の大部分は都が負担すると先ほど答弁されているじゃないですか。その六十億円のうちのどれだけ組織委員会がこれから見るのかどうかわかりませんが、結局は二百五十三億円という負担を東京都がする、そして大枠合意があって初めて仮設施設に対する東京都の費用負担というのが改めて明らかになるわけです。それを、以前からの議論を継続したままこの資料もつくり、説明をされているというところを私は問題点として指摘しているわけであります。
 改めて、今、局長も確認されましたけれども、重なる部分もあるかもしれませんが、この有明体操競技場について、これまでどのような検討がなされ、そして、大会後に都が活用することとなったその経緯と理由についてお尋ねをしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明体操競技場は、当初、立候補ファイルでは、大会後に撤去する仮設施設として計画されていたものでございます。しかしながら、大会時に体操競技を行うために必要な広さや天井高を確保し、観客席一万二千席を設置するためには、法令上、恒久施設と同等の構造が必要となり、多額の整備費を要することが見込まれました。
 また、耐震性など、構造上、恒久施設と同等の強度が求められ、大会後も利用可能であることから、都は、持続可能性を重視するIOCのアジェンダ二〇二〇を踏まえまして、有明体操競技場について、大会後の活用策を検討することといたしました。
 後利用の方向性として、中小企業を中心にニーズが見込める展示場や各種セミナーやイベント会場など、大空間をそのまま生かした多様な活用について検討をしました結果、大会終了後、直ちに撤去するのではなく、十年程度都内中小企業の振興に資する展示場として活用することとし、大会後の後利用に相当する整備費について都が負担することとしたところでございます。

○谷村委員 ただいまのご説明にもありました、前回の本委員会の説明でもありました、十年程度展示場として活用すると。これ、お尋ねしたいんですけれども、なぜ十年なのかということについては、前回の委員会では直接的な説明はされておりません。
 これだけの建築物をつくって、展示場として活用していくという中で、なぜ十年程度なのか。これは十年程度しかできないのか、十年程度として考えるのか、ちょっとそこら辺の説明をお願いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 臨海副都心まちづくり推進計画におきまして、当面、処分を予定していない用地の有効活用を図ることにより、まちににぎわいを創出し、副都心としての発展を促進する暫定利用の貸付期間は一年未満の期間から十年程度の期間で柔軟に設定するとしております。
 有明体操競技場の用地は住宅系の用地の未利用地であるため、十年間の暫定利用としたところでございます。

○谷村委員 その十年間のまちづくりの考え方としての十年程度はという状況について、これは誰かがどこかと話をすれば、十年以上、あるいは二十年、三十年使える話なんでしょうか、それともだめな話なんでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 ただいまご答弁申し上げましたとおり、この有明体操競技場の用地は、住宅や住民の生活を支える施設を開発整備する予定地の未利用地でございます。まちづくりの将来像、周辺の開発状況を踏まえて、当面十年程度暫定利用することとしております。
 十年後の扱いにつきましては、施設の利用状況や、あるいは施設周辺の開発状況等を踏まえまして、関係局と対応を検討してまいります。

○谷村委員 その十年後も使用するかどうかということについての関係局というのはどこの局になりますか。また、その局と話がつけば、十年後継続して使用することが可能なのでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 関係局といたしましては、この臨海副都心を所管しております港湾局、あるいは都市整備局が考えられます。
 この十年後の扱いについては、繰り返しになりますが、施設の利用状況や周辺の開発状況を踏まえて、今後対応について検討していきたいというふうに考えております。

○谷村委員 港湾局と都市整備局と話がつけば、これは東京都の中の話ですね、この三局で話がつけば、十年という年限を切る必要はないという理解でよろしいですか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 関係局の協議とともに、やはりその施設のその時点での利用状況、あるいは周辺の開発状況、こういったものも含めて総合的に検討する必要があるというふうに考えております。

○谷村委員 施設の利用状況を勘案してやるということは、展示場をつくったけれども、その展示場が使われないというような状況がある場合は、もう使わないよというふうにも聞こえるんですけれども、施設の利用状況を判断するということは、展示場としてつくるというのは、なぜ、誰がどう判断したんですか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 一昨年、大会後に必要となる改修費用、近隣施設との機能のすみ分け、あるいはスポーツ、文化、産業などさまざまな利用ニーズ等の視点から、活用策について幅広く調査検討を行いました。
 そして、展示場につきましては、東京ビッグサイトの稼働率が高く、新規の受け入れが困難な状況にあり、展示会主催者へのヒアリング調査により、有明体操競技場と同規模の一万平米以下の展示場については、新規の小規模催事の受け皿としてニーズが高いとの結果を得ました。
 このような調査検討の結果等を踏まえまして、中小企業を中心に都内にニーズが見込める展示場としての活用がふさわしいとの結論に至り、十年程度後利用するとしたところでございます。

○谷村委員 展示場として後利用するのがふさわしいという判断をされながら、しかし、十年後はどういう状況になっているかというのはわからないので、展示場として継続して使うかどうかは判断する必要があるということをおっしゃっていますよね。
 ということは、十年後にはひょっとしたら使われないかもしれない、利用度が低いかもしれない、そういう可能性がある中で百九十三億円、これ組織委員会が本来、仮設施設として建設費用を負担する上でも、東京都は後利用として百九十三億円負担するから後利用しようという議論だったわけですよね。
 しかし、その展示場といっても、十年たったときにはその利用状況を判断しなければわからないというご説明ですけれども、もともと展示場としては十年間しかないかもしれないけれども、でもその十年間のために百九十三億円かけようという判断をされたということですか。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 まず、展示会場としたのは、先ほどの説明のとおりでございます。十年後どうするかということにつきましては、先ほどご説明したとおり、もともと暫定利用というところで本件はスタートしてございます。暫定利用としておりますのも、委員の皆様ご承知のとおり、この土地はもともと臨海会計の土地でございます。なおかつ売却予定地でございます。
 したがいまして、その十年後にここをどうするかということにつきましては、そういったここのまちづくり全体をどうしていくのか、あるいは、その売却予定地をどういうふうにしていくのか、それらを全て踏まえて総合的に判断をするということになるということでございまして、決して今の時点で十年後に使われないかもしれないからということではなくて、その時点での総合的な判断が必要であるということでございます。

○谷村委員 それで今、この用地は暫定利用といういい方をされました。先ほどお尋ねをした際に、鈴木部長、この有明体操競技場の検討状況についてご説明をしてくださいと申し上げたときに、こういうふうにご答弁されました。
 当時は仮設施設としてつくっていったわけですけれども、また、立候補ファイルでもそういう仮設施設として位置づけてきたけれども、大会の体操競技に必要な広さ、天井高、それから観客席を確保するためには、法令上は恒久施設と同等の構造が必要となり、多額の整備費が必要になったというふうにお答えになっていますね。
 恒久施設と同等な構造が必要だというふうになった段階で、その体操競技場というのは、本来は仮設施設であってはいけないわけです。あるいは、恒久的な施設と同等するものを建てないと、この体操競技場というのはできないとなると、暫定利用しかできないという土地に建てるべきものじゃないということになるわけです。
 そこで、ちょっと戻って確認いたしますけれども、法令上は恒久施設と同等なものが必要となったと、これが判明したのはいつの話でしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 平成二十六年度に都が行った会場計画の再検討に合わせまして、組織委員会においても仮設会場等について詳細な検討を開始いたしました。その検討の過程におきまして、体操競技場は大規模な施設となることから、恒久施設と同等の構造が必要となることが判明したと聞いております。

○谷村委員 済みません、大変重要なことをお尋ねしておりますので、お答えいただきたいんですが、平成二十六年から見直しがされる中で、恒久施設と同等なものが必要になったと。その恒久施設と同等なものが必要になったとわかった時期というのはいつですかとお尋ねをしているんです。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 先ほど、平成二十六年六月から検討を開始したというふうに申し上げましたが、その後、平成二十七年二月に組織委員会の方で有明体操競技場の整備をするという公表がございました。この二十六年六月から二十七年二月の間のところで、この施設が恒設施設並みの仕様が必要であるということが判明したというふうに聞いております。

○谷村委員 平成二十七年二月の段階で、この体操競技場は仮設施設ではだめですよと、ほぼ恒久施設並みのものをつくらなければならない、恒久施設として建設するべきだということがわかったわけですね、平成二十七年二月までには。その段階で、その当時は、仮設施設は組織委員会がつくるということになっていたわけでしょうけれども、しかし、これはもう恒久施設ですよと、仮設で対応できないということが法令上わかったわけですよね。法令上わかったんであれば、その段階で、当初は恒久施設については東京都が整備をするということになっているんだから、組織委員会から手を離して、これは東京都で恒久施設として整備しましょうというふうになぜならなかったんでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明体操競技場の整備につきましては、組織委員会において、競技団体やIOC等の関係団体の調整を含めた大会までのスケジュールを勘案しまして、仮設会場として整備することとしたものでございます。
 その後、大会後も十分利用可能な施設であることなどから、都としましては、都内中小企業の振興に資する展示場として後利用することとしたところでございます。

○谷村委員 開催経費を縮減するという立場からこの議論をさせていただくと、仮設施設で済むと思われたこの体操競技場だったけれども、法令上は恒久施設同等ということは、恒久施設としてつくらなきゃいけないという、それだけのものを整備しなきゃいけないとわかったわけですよね。それは組織委員会であろうと東京都であろうと結構です。
 しかし、恒久施設同等のものをつくらなければならないとなると、暫定利用するべき土地でつくるべきではなかったわけですよね。きちんと恒久施設として建てるところに場所を検討しなければいけなかったんじゃないですか。これだけの金額をかけてやるわけです。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明体操競技場の整備につきましては、土地の利用形態やまちづくりなど総合的な検討が必要な中にあって、組織委員会においてスケジュールを勘案して、仮設会場として整備をしたということでございます。
 組織委員会の方におきまして、立候補ファイルの段階から仮設競技場として有明の場所に整備をしていくというふうにしていたところでございまして、スケジュールを勘案した結果、仮設会場としてその場で整備をするというふうにしたと、そういう経緯であると認識しております。

○谷村委員 済みません、仮設整備として建てればよかったと認識していた場合に、暫定利用しかできない土地に建てるのは結構です。けれども、その精査をする中で、平成二十七年二月には、これはもう恒久施設並みのものをつくらなきゃいけないとわかったわけですよね。これ、経費縮減の立場から申し上げております。その段階で建てる場所を見直しすることはできたんだと思う。あるいは、恒久施設なんだから東京都が負担しましょうと、整備しましょうと、そういう協議ができたと思うんです。
 これ、組織委員会から東京都に、恒久施設同等のものをつくらなきゃいけない、法律上そうだとなっているけれども、ここは十年程度しか使えないとなっているよねと、それでもここでやるのというような相談なり、照会なり、なかったんでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 当時のやりとりの詳細については、申しわけありません、承知していない部分がございますが、この体操競技場につきましては、二〇二〇年大会に必要な施設でございます。大会に向け、ぜひ何としてもこれをつくらなくてはならないという中で、組織委員会において、競技団体やIOC等の関係者との調整を含めた全体のスケジュール、そういったものの中でこれを仮設会場として整備することとしたものでございます。

○谷村委員 ということは、東京都にはそういう話はなく、スケジュール、競技団体との協議でそれは動かせないということで決まったと。東京都の方にはそういう相談なり、どうしましょうかという照会なり、このまま恒設施設だけれども十年間しか使わないものでいっていいのかという、平成二十七年二月の段階で、そういう確認は一切なかったということですね。それをずっと組織委員会が温めて、五月の大枠合意で仮設施設は東京都でというふうに投げてきたと、そういう理解でよろしいですか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 当時の詳細なやりとりにつきましては、大変恐縮ですが、承知していない部分がございます。

○谷村委員 二百五十三億円もかけて十年しか使われないとなると、これ大変大きな問題になると思います。無駄遣いじゃないのかとか、わからなかったのかとか、都はどういう対応をしたのか、それをしっかりと確認してやっていきましょうというために、この特別委員会もあるんでしょうし、都議会も存在するわけですし、その都度、都議会に対してご説明をされているわけですよね。
 では今度、十年間しか使われなかったら、そういう問題になるといういい方もいたしましたけれども、じゃ、本当にこれ、十年後に明け渡さなければいけないかというと、必ずしもそうではないということでよろしいですか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 十年後の取り扱いにつきましては、施設の利用状況や周辺の開発状況等を踏まえまして、関係局と対応を検討することになるものと考えます。

○谷村委員 展示場が必要だというふうに判断するのは産業労働局ですね。建物としてというか、まちづくりというと都市整備局であり港湾局であったりすると。ただ、今ここで二百五十三億円をどうするのか、こういう話になっていますよという報告を私どもはいただいているわけなんです。
 その十年後がどうなるかということもわからないで、いい方を変えますと、十年後で使えなくなるような施設を後利用するからといって、百九十三億円であれ二百五十三億円であれ、はい、そうですかというわけにいかないんです。本委員会にそういうご報告をされるんであれば、産業労働局なり港湾局なり、あるいは都市整備局なりと一定の調整はされているわけですよね。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 この有明体操競技場は当初、立候補ファイルでは、大会中一年使用して、その後すぐ撤去する、壊すという前提でございます。しかしながら、多くの整備費を要する大規模な施設でございますので、やはり一年でこれを撤去するのは非常にもったいないという考えの中で、当座十年、これを有効活用していこうというのが現時点でございます。
 繰り返しになりますが、十年後のその後につきましては、関係局等とも総合的に検討しながら適切に検討していきたいというふうに考えております。

○谷村委員 今のご説明はすりかえなんですよ。立候補ファイルのときは、一年建てて、それではもったいない、壊すから十年にしましょうと。だけど、そのときは仮設施設で対応ができるという判断があったから、一年だけじゃもったいないけど、十年ぐらいは使いましょうという説明なのは、それはわかるんです。
 だけど、二十七年二月の段階では、恒久施設と同等のものをつくらなきゃいけないということが判明しているわけですよね。その段階の話と立候補ファイルの段階で仮設施設で一年だともったいないから十年ぐらいは使いましょうという話は違うわけなんです。
 二十七年二月に恒久施設と同等のものをつくらなければならないということが判明した段階で、きちんと出費について、あるいは建設予定地について、一年前だって四つの施設が見直されたわけですから、その二十七年の段階で本当にこれでいいのかという検討がなされたのかなされていなかったのか。東京都はそれを認識していたのかしていないのか。今回、大枠合意の段階で組織委員会から負担を東京都が受けるという状況になってわかったことなのかどうなのか。
 立候補ファイル当初のことを申し上げているんじゃないんです。それはそれで、そのときは、その状況だったら、仮設施設でいいんであれば、一年間使って十年間後利用しましょう、それはわかります。しかし、状況は変わった上で、なぜきちんとした検討なり対応をしなかったんですか、できなかったんですかということをお尋ねしているんです。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 体操競技場について、その後利用--施設が広く都民のために有効活用されますよう検討を開始いたしましたのが二十七年三月でございます。当然、その時点では、この体操競技場について恒設並みの仕様が必要になるということは都として把握をしてございます。
 一方で、先ほど申し上げました大会までのスケジュール、そういったものも総合的に勘案いたしまして、大会後に展示場として後利用することにして、その後利用に相当する経費について都が負担するという整理をしたものでございます。

○谷村委員 それでは、二百五十三億円で十年後に撤去するとした場合の撤去費用というのはどのぐらい見積もられているんでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 仮に十年間で撤去するとしたときの撤去費用については、現時点ではまだ見積もりを行ってございません。

○谷村委員 そうすると、この施設を十年間程度の使用でいいのか悪いのかということについて判断のしようがないと思います。撤去費用も金額もわからない、十年後の状況もわからない。それは、利用状況ということは、産労が必要だといっている展示会場としての必要性というものも、十年間しかもたないんだったら、必ずしも、別に展示場である必要はないのではないかという、私は、新たな疑問も出てまいります。
 こうした有明体操競技場の整備に関連してだけでも、私は産業労働局、港湾局、都市整備局、こうした方々をきちんとお招きして、この委員会にご出席をいただいて、より議論を深めさせていただきたいということを申し上げたいと思います。
 この二百五十三億円もかけて恒久施設をつくるんであれば、私は今の予定地で四十年、あるいは五十年は使用するべきであると思いますし、使用できる環境を整備するべきだと思います。
 十年後の使用状況がどうなっているかわからないといって、十年後使用状況がわからないようなものを百九十三億円かけてやろうとしているということ自体なかなか理解ができないわけですけれども、これから建設予定地を変更するというのは、それは物理的に無理だということはわかります。
 しかし、恒久施設として建設しなければならないと知りながら、それが判明しながら、十年程度しか使えない予定地でなぜ変更しなかったのかという点については大きな疑問も残ります。それは間に合わなかったんだということであれば、恒久施設として建てるところのまちづくり、あるいは使用状況等についても、港湾局、産業労働局、あるいは都市整備局ときちんと詰めていくべき、そういう環境を整えていくべきだと私は思います。
 オリンピック・パラリンピックの経費というものは、とかく大きく膨れ上がりやすいわけで、それを抑制して、都民の皆様からお預かりした大切な財源をしっかりと管理していかなくてはならないと思います。そのために公費等が投入され、都や組織委員会、国や関係自治体によって共同実施事業管理委員会が設置されました。この共同実施事業管理委員会によるチェック、組織委員会の執行管理を徹底していくためにも、まずは東京都そのものが大丈夫なのかと、あるいは、オリ・パラ準備局がこういうチェックをしっかりやっていけるのかという心配をせざるを得ません。
 都議会が、そして本委員会が、より厳しいチェックをしていかなければならないということが今回のこの有明体操競技場の整備のご説明を伺って、ますます確認をさせていただいたところでございます。
 繰り返しになりますが、ことし五月に都と組織委員会、国と関係自治体の四者で大会経費の分担について、この大枠の合意がなされました。しかし、その中で仮設施設に対する負担の全体像というのがまだまだ明らかになっておりません。本来は、それを明らかにして、そのうちの有明体操競技場についてはこれぐらいかかります、そのほか、仮設施設で東京都が負担をすべきとなった施設はこれとこれで、これぐらいかかります、それ以外についてはこうだという、本来そういう説明があって、有明体操競技場の整備についての議論が初めて始まるんだろうと思いますけれども、この大枠合意で確認された負担の全体像、どのような内容で、どういう金額になっているのかご説明をお願いします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大枠の合意に基づきます負担といたしましては、都及び都外自治体が所有いたします施設に関して、競技スペースや観客席、セキュリティーフェンス、電力設備、通信などの仮設のインフラについて都が負担することになりまして、大枠の合意では約二千七百億円と見込んでございました。
 現在、バージョンツー、いわゆるV2予算に向けまして精査中でございまして、このV2予算がまとまった段階で改めて本委員会にご報告し、ご審議いただきたいと考えております。

○谷村委員 現在、都は二千七百億円という今のご説明でありましたが、この二千七百億円という新たな膨大な負担というものを抱え込んでいるわけであります。きょうはその最初の議論になるわけで、その説明の最初の段階で、先ほど来申し上げました有明体操競技場、後利用するから東京都の負担がこうだみたいな、そういう説明をされているというのは本当に残念で仕方がありません。
 そもそも組織委員会の収入にも、五千億円なら五千億円、それはどこで線を引くかはありますけれども、一定程度の限界があるというのは、組織委員会の収入源というものを確認すれば、それは明らかなわけで、それでも仮設施設は都の負担ではないとずっといってきたわけですよね。組織委員会の負担だというふうにずっとしてきた。そうしたこれまでの都の対応というのにも問題、あるいは責任もあるのではないかと私は思います。
 この二千七百億円という新たな負担に対して、都はどのような対応、どういうふうに考えていこうとされているのか見解を求めます。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 オリンピック・パラリンピックを都民に支持され喜ばれるものとし、大会を成功に導いていくためには、限りある資金の有効活用を図り、経費圧縮に向けて取り組んでいくことは重要でございます。
 今後、毎年度更新されます大会経費全体の予算の作成に当たりましては、執行状況を検証しながらしっかりと経費を精査し、組織委員会におきます徹底した執行管理や共同実施事業管理委員会による取り組みとあわせまして、大会経費の圧縮につなげてまいります。
 東京都が負担することとなります経費の財源につきましては、都民生活に影響を及ぼさないよう、オリンピック・パラリンピック開催準備基金を初めとしてさまざまなものが想定されるところでございます。そうした中、来年度予算編成におきまして、知事から財源について多角的に検討するよう指示を受けております。財務局で検討されるものと承知をしてございます。

○谷村委員 繰り返しになりますけれども、展示場は産業労働局が、まちづくりは港湾局、都市整備局が、あるいは財源については財務局がと、こういうふうになっていくのであれば、まずはこのV2予算の報告を受けて、年内いただけると伺っておりますが、それを受けて質疑をする場合には、本委員会には最低でも財務局長には毎回ご出席いただかなくてはならないのではないかというふうに申し上げておきたいと思います。
 また、有明体操競技場の建設費負担については、十年間で終わらせるという議論になる限り、これは全くもって納得のいかない話でありますので、この問題につきましては、十年間で終わるということが変わらないのであれば、本委員会で引き続き継続的に質疑を進めていくべきであるということを委員長に要請を強くさせていただきたいと思います。
 都議会公明党は、本委員会だけではなく、本会議、予算特別委員会、あるいは決算特別委員会などもあわせ、総力を挙げてこの東京大会の開催経費の縮減に向けて取り組んでいくということを改めてお誓い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

○川松委員 私からは、今回、新規恒久施設等の整備についてということで、費用が数字で示されましたので、このことについて幾つかお聞きしてまいりますが、先ほどから話が出ていますとおり、バージョンツーの予算、バージョンツーの案というのが間もなく出てくるところでございますから、本来、予算というのは全体像の中で考えるべきだと思いますので、細かい点については触れませんけれども、懸念をしている面が幾つかありますので、そこだけきょうは触れておきたいと思います。
 今お話ししましたように、今回、新規恒久施設等の整備についてということでご報告をいただき、九施設の整備費についての数字が見える形となりました。
 まず、この整備費についてでありますけれども、ちょうど一年前の今ごろ、この時期というのは、突如として小池知事が何の根拠もなく、思いつきで打ち上げた三会場見直し案によって、IOCの皆様が東京に集結をし、さまざまな調査をしておった時期でございます。結果として、三会場見直しは絵に描いた餅で終わり、それを素直に認めたくなかったんでしょう、三会場は予定どおりとするが、合計で四百億円を削減するというふうに知事が力強く発言したのは記憶に新しいところでございます。
 そのときに、私たち自民党というのは、ちょっと待ってくださいよ、削ってはいけないものを削っている、そういう指摘をさせていただきました。その中で特に主張したのは、予備費、何かあったときの対応費に手をつけたことでございます。
 例えば、オリンピックアクアティクスセンターでは、不測の事態に対応するためにしっかりと幅を持たせた予備費があったわけですが、去年、小池知事のもとではこれを削りました。削って大丈夫なのかとその都度私たちが指摘をすると、この予備費こそが不正の温床になっているんだという反論も我々はいただいてきたんです。いや、それは違っているぞという行ったり来たりの議論をずっとしながら今日を迎えたわけです。
 そこで、この三施設の整備費の見込みという別の資料を見てみますと、知事が削減対象としていた項目の中に予備費が含まれていたと今いいました。その予備費で本来対応するはずの地中障害物や土壌汚染等への対策という費用が今回出てきちゃったわけです。
 やっぱり結果として我々の主張は正しかった、これは削っちゃいけなかった、縮減すべきでないものを縮減しようとしていたという認識になりますけれども、局の見解はいかがでしょうか。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 昨年十二月の会場見直しにつきましては、大会までのスケジュールを考慮するラストチャンスということでありましたことから、施設規模の大きい三施設につきまして、改めて既存施設の活用の可能性も含め、再検討を行ったものでございます。
 見直しに当たりましては、従前の仕様にこだわらず、ライフサイクルコストや大会後のレガシーなども勘案し、国際競技団体や組織委員会などの関係者と十分調整を行った上で総合的に検討を行ったところでございます。
 その中で、その時点で執行が見込まれない追加工事等への対応費等につきましても、改めて精査して縮減することといたしました。その後、オリンピックアクアティクスセンターにつきましては、工事進捗に伴い明らかになった汚染土壌などに適切に対応するため、必要な処理経費を計上したものでございます。

○川松委員 三施設の整備費の見込みの表を見ていただければわかるんですが、対応費の精査として、一年前に小池知事が削ったのは二十億円です。これ削っちゃいけないよと我々がいったら、一年たったら逆に三十八億円必要になると。その都度こういうペーパーをつくって報告していたら、何のための削減だったのか、私には全くもって理解できないんです。
 じゃあ、今のお話の中で、工事進捗に伴って汚染土壌など適切な対応費が出てきたというお話がありましたけれども、現在、先行三施設の工事の進捗状況はいかがでしょうか。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 先行三施設の工事のうち、オリンピックアクアティクスセンターにつきましては、本年四月から本体工事に着手しており、現在、建物の躯体工事や屋根の鉄骨工事を施行しているところでございます。
 また、海の森水上競技場につきましては、昨年七月に工事着手し、現在、水門締め切り堤の工事を施行しているところでございます。
 有明アリーナにつきましては、本年四月から本体工事に着手しており、現在、建物の基礎工事を施行しているところでございます。
 いずれの工事も順調に進捗しているところでございます。

○川松委員 なぜ今このことを聞いたかといいますと、今回、皆様方から報告いただいた三施設の整備費の中に改めて対応費が含まれていないんです。これは将来的に小池知事にとってよくないことだと思いますよ。オリンピック施設の工事というのはゴールが決まっています。もうプレ大会の日程まで決まっているわけです。ですから、一般的な工事のように、ちょっと間に合わなそうだなといったときに工期延長というのができない。一般的なものとは違うわけです。
 問題はこれから。今、建設の現場では、人材確保についてとても苦労しているという話をさまざまなところで聞くわけです。今、実際に工事を請け負う人たちが考えている人件費というのが、工事完了まで本当にその幅の中でもつのかというのはわからない状況です。ましてや新国立競技場の建設の中でも現場の課題というのが見えてきたように、建設現場では働き方改革が進んでいく、そういうふうに見られているわけであります。
 しかも、二〇二〇年大会の施設工事だけではなくて、この都心だけでもさまざまな開発プロジェクトが進んでいます。単純に考えると、人件費も膨らんでいくんじゃないかというほかの予期せぬ事態も含めて、可能性を私は心配しています。
 だからこそ、今回の発表の時点で、今回皆様方がこの委員会に報告した時点で、一年前に小池知事が都民の皆様に約束した三会場についての四百億円削減は達成できない、失敗ということが明確になったわけですから、あえてここでも失敗の額を小さく見せるようなことはしないで、堂々と予備費を計上した上で発表していただきたかったなというのが私の思いです。このことが、また予備費が必要になったときに小池知事を苦しめるんじゃないかと私は思っていますので、今後、また数字の発表のときにはいろいろ考えていただくよう要望しておきます。
 そこで、もう一つ疑問があります。
 今回、この新規恒久施設等の整備についてという一覧をいただきましたけれども、こういう去年の見直しから含めて費用というのは、もっと早く出るはずだったと思うんですね。三会場の見直しで四百億円削減するといった知事の約束はうそに終わりました。失敗に終わりました。大体、最大幅で四百二十七億円削減するといっていたものが、現時点で三百四十九億円の削減しかできないわけですから、これは間違いなわけですよ。
 でも、その三施設の整備費の見込みを単独で出して、四百億円達成できませんでした、そういう発表ではなくて、今回それに合わせて九施設の整備費を一緒に出して、偶然にもこっちが四百億円削減できているわけです。これは皆さん方の知恵なのか、小池知事の知恵なのか、偶然なのかわかりませんけれども、こういう発表の仕方によって報道も分かれました。
 小池知事、会場見直しで四百億円削減と出したところもあれば、小池知事、三会場の見直しで四百億円達成できずというふうに、同じ発表に基づいた報道が全く見方が違ったというのは、世論の皆様を混乱させていると思いますけれども、なぜこのタイミングで、こういった合わせての発表になったのか教えてください。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 昨年十二月以降、具体的な縮減に向けまして、受注者との変更協議、詳細な設計などを行って各施設の見直し後の整備費を取りまとめてまいりました。あわせまして、環境性能の確保など、将来への投資となります事項の検討を進めてきたところでございます。
 その後、オリンピックアクアティクスセンターにおきましては、工事の進捗に伴い、土壌汚染等が存在することが判明したことから、その対策を盛り込む検討を行ってまいりました。
 加えまして、三施設以外でのコストの縮減につきましても、国際競技団体や国内競技団体等と協議しながら、施設条件の精査や施設計画の合理化を進めまして、アーチェリー会場などについて整備費の縮減に努めながら施設計画を具体化してまいりました。
 そうした取り組みを行った結果、今般、各施設の実施設計など、詳細な整備計画がまとまってきたことから、現時点での整備費の見込みを取りまとめたものでございます。

○川松委員 すばらしい偶然が起きたというふうに私は認識せざるを得ないと思いますが、だから、こういう発表の仕方も堂々とやったほうがいいと思います。小池知事のことをかばってやっていないとは思いますけれども、結果としてそうなっているわけです。どんどんどんどん苦しくなっていくと思いますから、もう、どんと物事を進められるような発表をしていただきたかったなということでございます。
 次に参ります。
 アーチェリー会場についてですが、今回の施設計画のポイント、率直にいってどのようなところにあると思いますか、お伺いいたします。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 アーチェリーの予選会場の整備につきましては、夢の島公園内のすり鉢状の円形広場部分に盛り土を行い、平たんな芝生の広場を整備することとしております。その計画に当たりましては、建設局と連携し、夢の島公園や熱帯植物館、BumB東京スポーツ文化館の施設管理者へヒアリングを行いまして検討を進めてまいりました。
 この結果、例えば競技大会開催時に求められる矢をとめるために必要な防護機能につきましては、公園を分割するような高さ三メートル程度の単純な連続壁ではなく、従前の円形広場部分の斜面の印象を受け継ぐよう土を盛った築山とするなど、芝生広場としての利用にも十分配慮した競技施設となるよう計画いたしました。
 また、二〇二〇年大会時に選手の休憩場所として使用される日よけの屋根につきましては、芝生広場の利用者が憩える場となるよう、大会終了後も残置することとしております。
 本施設が公園利用者に親しまれる施設となるよう、今後とも、関係者と連携して整備を進めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。改めて確認というか、触れておきますけれども、この夢の島公園というのは、本来はユース・プラザ・アリーナA、Bを建てて、それで、いわゆる今建設しようとしているアーチェリーの予選会場とは別の場所にアーチェリーの予選と決勝会場をつくり、そして、通りの反対側の陸上競技場では馬術をやるということで、この夢の島公園をスポーツの一つの拠点として整備していこうという計画でありました。
 でも、そのことが大会の開催費用を圧迫してしまう。その恐れから、我々自民党が提言し、私たちも一緒になって主導して、小池知事が就任される以前に二千億円の削減の作業をしてきたわけです。そこでなくなったのがユース・プラザ・アリーナであったり、あるいは夢の島の陸上競技場における馬術競技でありました。
 ですから、きょうは江東区選出の委員の皆さん、いっぱいいらっしゃるわけですけれども、本来、この夢の島というのは、当初の立候補ファイルの中においては、とても大きな夢と希望が膨らむ公園であったわけです。このことを我々は忘れてはいけないと思います。
 同時に、今回、円形広場に穴を埋めてアーチェリーの予選会場をつくるということに関しては、私自身は、これは最終的な決断として決まったことですけれども、もともと寂しいなと思っていました。熱帯植物園に社会科見学に行ったり、遠足に行った子供たちがお弁当を食べる場所があの円形広場なんです。多くの子供たちの思い出がある円形広場の穴を埋めてしまう。このことでオリンピック二〇二〇年の一過性のためでビヨンドできるのかと思いましたら、今回出てきた計画は、あの斜面を穴では再現できないけれども、改めて山をつくって、あの斜面をつくっていくという皆さん方の計画の優しさに大変感謝を申し上げるところでございます。
 一方、ユース・プラザ・アリーナA、Bをつくらない中でBumBが残るわけです。このBumB自体は、もともとは夢の島の総合体育館としてきて、一部ではプロレスファンの聖地にもなっている。二〇〇三年に東京は一回改修して今のスポーツ会館にしたわけでございますが、その思いも含めて、夢の島公園一帯をこれから皆さん方には活用していただきたいと思うわけです。
 改めて、このアーチェリーの予選会場について、後利用をどのように考えておられるのかお聞きしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 アーチェリー会場は、アーチェリーを中心に、都民、公園利用者に対し、多様な活用の機会を提供してまいります。
 具体的に申し上げますと、春から秋に開催される年間二十大会のアーチェリーの競技大会のほか、イベント等の会場として活用してまいります。また、こうした利用を除き、芝生広場として一般開放し、夢の島公園と一体となって都民に憩いの場を提供してまいります。

○川松委員 ありがとうございます。アーチェリーの大会がそんなにあるのかという批判もあるわけですけれども、これからこの夢の島を中心にして、アーチェリーの競技普及というのが広がっていく、二〇二〇年を越えていくって、そういう意味があると私は思います。
 いろんな体育施設ができなかったことはありますが、BumBとの連携も含め、あるいは陸上競技場は、ラグビーでいえば、去年から全国高校ラグビー大会の七人制の大会はこの夢の島で行っています。まだまだスポーツの拠点として、この夢の島公園を活用できるという期待を込めておりますので、ぜひ局の皆さん方におかれましては、点ではなく面の考えで夢の島公園を活用していただきたいと思います。
 最後になりますが、先ほども体操競技場についてのいろんな議論がありましたけれども、そもそもこれ、私は何度も局の皆さんにも知事にもいっていますけど、仮設という言葉がよくないんだと思います。仮設の定義、一日で終わったら仮設なのか、一年だったら仮設なのか、三年だったら仮設なのか、十年だったら仮設なのかという定義がないままに進んでしまった。
 一般的な行政的な考え方で一年が仮設ですよみたいなことではなくて、このことは基金の活用も含めて必要な議論になってくると思いますから、今後とも、仮設という言葉の扱い方を全部、かかわる人全員が頭の中を柔軟に対応していかなきゃいけないなと思いますが、現時点で、この整備費の区分け、都負担の考え方、あるいは、特に大会で使う仮設部分の整備費の負担は、どのような考え方で組織委員会等を含め、局の皆さんは整理していこうとされているのか、お聞きしたいと思います。

○湯川オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 有明体操競技場につきましては、大会後十年程度、中小企業の振興に資する展示場として活用することといたしまして、大会後も使用する躯体等に係る後利用に相当する整備費につきまして、都が負担することとしております。
 それ以外の大会時のみ使用する部分につきましては、本年五月の大枠の合意に基づきまして、都と組織委員会が負担することとなります。
 具体的には、仮設観客席、ウオームアップ棟などの仮設インフラは都が負担、施設内に設置されるプレハブ等のオーバーレイは組織委員会の負担となりますが、費用負担の詳細につきましては、現在精査をしているところでございます。

○川松委員 ありがとうございます。大会の後は産業労働局が中心になって考えていくということでありますけれども、以前から申し上げましたとおり、レガシーエリアの考え方において、有明アリーナとの連携、あるいはテニスの森との連携、その中におけるこの展示場というのは物すごい大きな意味があると思います。
 この有明北地区中心に、東京や日本が大きく発展していくための施設として、この展示場は物すごい大きなポテンシャルを秘めていると思いますので、ここは厳密に、誤解のないように、多くの人たちから批判をされないような精査を進めていただいて、大会を迎えられるよう準備していただくことを要望しまして、私の質問を終わりといたします。

○里吉委員 日本共産党は、一貫してオリンピック・パラリンピックは都民生活との調和が大切であり、五輪の施設整備については、税金の使い道をしっかり情報公開し、都民やアスリートの意見をよく聞いて縮減を図ること、レガシーとして誰もが利用しやすい施設にしていくこと、都民のスポーツ振興に寄与するものとすること、これらを求めてまいりました。
 今回、都立の新規恒久施設の整備費の縮減について、現在の整備費の見込みは二〇一四年十一月時点より四百十三億円の削減の一千八百二十八億円になっているというご報告をいただきました。
 まず、昨年秋に整備費削減が検討されたアクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナ、三施設について伺ってまいります。
 この三施設については、昨年十二月以降の検討により、地中熱利用施設や太陽光発電などの環境への配慮、エレベーター、エスカレーターなどのバリアフリー施設を見直した、つまり加えたということを今回ご報告いただきました。しかし、環境への配慮やバリアフリーはもともと基本設計に入っていたはずではないかと思い、伺いましたら、実は、昨年十二月時点の整備費縮減の対象には入れていて、それを今回復活させたということでした。
 そこで、改めてこの三施設について、環境やバリアフリー施設など、基本計画には入っていた項目を昨年十二月の見直しで削減し、再度復活させたこの理由について伺います。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 昨年十二月の本委員会では、三施設の当初整備費からの縮減額の試算を四百十二から四百二十七億円と報告させていただきました。その際、今後、受注者との変更協議や詳細な設計などを進めることが必要でございまして、環境性能の確保など、将来への投資も行っていくことをあわせて報告させていただいてございます。
 こうした方針に従いまして検討を進めてきた結果、大会経費を削減するとともに、環境への配慮を示したアジェンダ二〇二〇の理念を踏まえまして、委員ご指摘の地中熱利用や太陽光発電など、各施設における環境対策などにつきましては、しっかりと行うことといたしております。
 また、有明アリーナにつきましては、高齢者や障害者の利用を促進するため、エレベーターの一部やエスカレーターを整備することといたしまして、海の森水上競技場につきましても、競技会場の利便性確保のため、水路の南北を結ぶ東側締め切り堤のスロープを整備することといたしてございます。

○里吉委員 昨年十二月時点でも環境性能の確保など、将来への投資も行っていくと報告したとのことですが、そもそも四百億円の縮減の内容として、十二月にこの委員会に提出された資料を見させていただきましたが、縮減可能性のある主な項目の中には、環境やバリアフリー整備は明記されておりませんでしたので、そこまで削減していたのかと改めて驚いたというのが正直なところです。
 ただ、五輪経費削減は重要な課題ですが、経費削減に目が向く余り、必要な環境やバリアフリーなど、行われないということはあってはならない。本末転倒のことですから、私ももちろん、これらの施設の整備を行うことに異論はございません。
 同時に、これらの環境に配慮した整備の経費、三施設で二十五億円がグリーンボンドの活用を検討すると報告されております。グリーンボンドでの対応ということは、これまで五輪経費に充てるとされてきたオリンピック基金以外のお金を使うというふうに私、理解しているんですが、それでよろしいかどうか確認いたします。

○中村オリンピック・パラリンピック準備局総務部長 今回の見直しによりまして、環境への配慮として整備することになりました経費につきまして、グリーンボンドを活用することといたしまして、平成二十九年度予算におきまして、都債を歳入予算として計上しているところでございます。

○里吉委員 今、都債を歳入予算として計上するというお答えをいただいたとおり、グリーンボンドというのは都債ですから、要するに借金なわけです。私、調べましたら、普通の都債とは別にグリーンボンドという名前で売り出すわけですが、聞いたら利率も普通の都債と同じです。つまり、都債として発行したのと変わらない。目的が環境ということで、名前は違うということなんですけれども、都債という借金という形は同じなわけです。
 過去の五輪では、五輪のための借金の返済が自治体財政を圧迫するという例もあって、東京都もそうしたことにはならないように五輪基金を四千億円積んできたという経緯だと思うんですね。そういう意味では、グリーンボンドといえども、施設整備に都債を充てる、このことについては慎重であるべきだということを一言申し上げておきます。
 結局、この三施設については、昨年十二月以降精査して、二〇一四年十一月時点より三百四十六億円削ったということですが、これ以上の整備費はかからないという東京都の認識なのか改めて伺います。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 今回報告させていただきました整備費は、各施設の実施設計が取りまとまるなど、施設計画が具体化してきたことに伴いまして、これまで整備費を精査してまいりました結果でございます。
 今後、工事を進めていく中におきましては、今回ご報告させていただいた整備費の範囲内で施設整備を着実に進めていけるよう、引き続きコスト管理に努めてまいります。

○里吉委員 今回報告した整備費の範囲内で進めていけるようコスト管理に努めるとのことで、ぜひ一層の努力をお願いしたいと思いますが、先ほども質疑にありましたように、地中障害物や汚染土の処理など、そういうことが発生するかどうかということはわからないわけで、全体として経費節減をしていく、そのことが必要だと思います。
 例えば三施設の仮設部分、例えば、海の森ボート会場の南側の仮設観客席部分などは、本来みだりに人が立ち入れない廃棄物処理場の中であり、敷地などの整地をする経費もかかると思うんです。私たちは、IOCとも交渉して削減するべきだ、そういうことも共産党として提案をしてまいりました。今や仮設部分も費用は全て東京都が負担というふうに分類されているわけですから、そうした仮設の部分も含めて、引き続き縮減の努力をお願いしたいと思います。
 次に、その他の恒久施設ですが、夢の島公園のアーチェリー会場と有明テニスの森の整備費は、それぞれ二十四億円から十四億円、百四十四億円から百十億円に減るという見込みとご報告をいただきました。
 アーチェリー会場と有明テニスの森、それぞれどのようなことで経費が削減できたのか、それぞれ具体的にご説明をお願いいたします。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 お尋ねの二つの施設につきましてでございますが、まず、アーチェリー会場でございます。夢の島公園に整備いたしますアーチェリーの予選会場につきましては、立候補ファイルでは、公園内の円形広場の南側の緑地部分に整備する計画でございました。この位置につきまして、公園の緑や工事に伴う公園の閉鎖期間の長期化といった利用者への影響を考慮しまして、公園内の円形広場部分に見直すこととして、詳細な配置計画や施設計画を検討してきたところでございます。今般、施設設計が進捗し、先日の委員会でご報告したとおり、施設計画がまとまってまいりました。
 また、現在の配置計画では、すり鉢状の円形広場部分に盛り土する必要がございますが、昨年度実施しました一部の盛り土工事を踏まえまして、全体の土量が確定するなど、盛り土計画についても具体化してきたところでございます。
 これらによりまして、全体として約十億円の整備費削減が可能となったものでございます。
 次に、有明テニスの森でございますが、こちらの整備につきましては、これまで後利用に関する地元や競技団体等の要望を踏まえまして、大会後に現在の芝生広場を復元するとともに、テニスコートの数を現在の四十九面に改修することとした一方、恒設として計画しておりました施設の一部を仮設とすることや、新たに整備します恒設施設の座席数を見直すなどの検討を行ってまいりました。
 この結果として、施設計画を取りまとめ、今般、実施設計を完了して工事に着手したことから、約三十四億円の整備費を縮減する見通しとしたものでございます。

○里吉委員 私たち共産党都議団は、アーチェリー会場については、当初から樹木の伐採などの問題を指摘して変更を求めてきました。競技団体やアスリート、都民の皆さんの意見も反映して、円形広場に場所を変更したことによって、貴重な樹木を残すことができたと、経費も削ることができたということだと思います。
 もともとこの計画、夢の島公園の中にある青少年の文化スポーツ施設であるBumBを取り壊して、バドミントンやバスケットの試合会場を建設するということになっていましたが、私は、これは文教委員会で、大切なBumBをなくすというのはとんでもないと見直しを求めてまいりましたが、このことも含めて、夢の島公園全体の計画が見直されてきて、その一端として、アーチェリーの会場も見直されてきたというふうに理解をしております。
 先ほど、後利用についてご説明がございましたが、広く都民に一般公開するといわれたイベント以外の日、そういう時間帯については無償で都民が利用できるという理解でよろしいと思いますが、一応確認をしておきたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 アーチェリー会場は、大会後、アーチェリーの競技大会等の会場として活用するとともに、芝生広場として都民に憩いの場を提供していくこととしております。
 具体的には、本年四月に策定した施設運営計画において、春から秋の土日祝日はアーチェリー大会を中心に活用し、その他のイベント等の占有利用以外の日は、芝生広場として一般開放するとしております。

○里吉委員 大会やイベントで使うとき以外は一般開放するということでしたので、広く都民が憩いの場として活用できるようにお願いしたいと思います。
 また、カヌースラローム会場と大井ホッケー競技場は、当初計画から施設のコンパクト化、位置変更などが行われましたが、整備費としては現時点から増減はないということでした。削減は厳しいというご説明も伺いましたが、一層の精査をお願いしたいと思います。
 次に、有明体操競技場について伺います。
 有明体操競技場は、当初計画八十九億円から、今回初めて整備費と東京都の負担額をご報告いただいたと思いますが、整備費が二百五十三億円と当初計画の二・五倍にふえています。改めて、その理由について伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 平成二十五年の立候補ファイルの段階において当初見込んでいた整備費八十九億円は、大会後に取り壊して撤去する仮設施設として、IOCの基準に従って本体工事のみを計上したものでございます。その後、組織委員会が詳細な調査検討を行い、体操競技を行うために必要な広さや天井高を確保し、観客席一万二千席を設置するためには、法令上は恒設施設と同等の構造が必要となることが判明いたしました。
 さらに、招致決定以降の建設物価の上昇やオリンピック会場整備に求められる工事中のセキュリティー対策の強化への対応などが必要となりました。また、展示場としての後利用のため、あらかじめ組み込んでおくべき床面のピット等の整備や通年利用を前提とした空調設備の設置なども行うこととしています。
 その結果、デザインビルド発注額は二百五十九億円となりましたが、昨年十一月に行いました入札の結果、契約額は二百五億円となり、そのほか大会後の追加整備なども含め、整備費の総額は二百五十三億円となったものでございます。

○里吉委員 建設物価の上昇など他の施設と共通の要因に加え、先ほど来議論がありますが、よくよく検討したら、法令上は恒久施設と同等の構造が必要になることがわかったと、展示場としての後利用のための施設の増強や大会後の追加整備費などにより、二百五十三億円になったというご説明でした。
 有明体操競技場、この二百五十三億円が後利用に相当する百九十三億円と大会時のみに使用する六十億円と費用を分けてご説明いただきましたが、改めてこの考え方について伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明体操競技場では、競技会場となる主競技場、ウオームアップ棟、会場敷地内の外構などの整備を行う予定でございますが、このうち後利用に相当する部分としましては、大会後もそのまま使用する主競技場の躯体や屋根、受変電設備等でございまして、さらに、大会後に改修を行う建物内の会議室等、また、大会後に追加する部分として、法令上敷地内に設置が必要な駐車場や芝生大広場等がございます。
 一方、大会時のみ使用する部分といたしましては、主競技場内の仮設観客席や、その下に設置される諸室、仮設トイレや主競技場に隣接するウオームアップ棟、敷地内に設置されるプレハブなどが該当いたしまして、これらは後利用せず、大会終了後に撤去する予定でございます。

○里吉委員 次に、大会時にのみ使う六十億円については、都と組織委員会で分担するとされていますが、その考え方についても伺います。

○湯川オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 大会時のみに使用する部分につきましては、本年五月の大枠の合意に基づきまして、都と組織委員会が負担することとなります。
 具体的には、仮設観客席、ウオームアップ棟などの仮設インフラは都が負担、プレハブ等のオーバーレイは組織委員会の負担となりますが、費用負担の詳細につきましては現在精査を行っているところでございます。

○里吉委員 大会時のみに使う六十億円について金額精査中ということでしたけれども、今の説明を聞いても、主要な部分は東京都の負担になると、大部分が東京都の負担だということが確認できました。
 ところで、この有明体操競技場は、五輪会場として組織委員会が整備し、既に組織委員会で設計と工事の契約も行っているわけですが、そのうち、展示場として後利用する部分百九十三億円については、都の所管として産業労働局が負担をする、五輪経費には含まれないということで間違いないか確認します。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明体操競技場は、大会後は展示場として都内中小企業の振興に資する施設としていくことから、産業振興という都の行政目的の推進のため、都が所要の経費を負担するものでございます。

○里吉委員 都が負担するというのは、産業労働局であろうと、オリ・パラのお金であろうと同じ東京都のお金で、都民にとっては変わらないわけですが、私がお伺いしたのは、五輪経費の枠外ということでよろしいんですかという確認をいたしました。
 説明では、これまで私たちは産業労働局の予算として支払われる、これからですからわかりませんけれども、今のところはそういう方針だというふうに伺っているので、その確認をいたしました。お願いします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 五輪経費の枠外ということで、産業振興に資する行政目的の費用ということでございます。

○里吉委員 五輪経費の枠外で出すということが今確認できました。
 それにしても、やっぱりこの金額は大きくて、十年間しか使わないというのは、日本共産党都議団としても納得できないと、都民に説明できないというふうに思っております。
 そもそも、この有明体操競技場の整備費の都負担は、二〇一六年の三月、予算特別委員会で局長から表明された--当時、五輪費用が膨張する中で、その内訳も公開されないまま、立候補ファイルでは組織委員会の負担となっている費用の部分を見直すべきだという主張が組織委員会の森会長などからされておりました。そのもとで、有明体操競技場は都が負担するという表明は、多くの都民は、組織委員会の肩がわりを東京都がしたというふうに受けとめたと思います。そして、今ご答弁のとおり、その経費は五輪経費の枠外ということでございます。
 後利用するからということだと思いますが、五輪施設を後利用するのは当然のことですし、他の恒久施設も全て後利用するわけです。後利用するから五輪経費から外すというのは不自然だし、五輪経費を小さく見せることになるのではないでしょうか。展示場としても否定するものではありませんけれども、実際に利用する中小企業の皆さんからは、まださまざまな意見が出されているところでございます。
 実はほかにも、五輪のための費用でありながら、五輪経費の枠外となっているものはたくさんあることを、私たちはその都度指摘してまいりました。例えば、選手村の基盤整備費五百四十億円、有明アリーナの用地取得費百八十三億円、海の森中潮橋撤去費三十八億円などなど、今五月の大枠合意によって五輪の東京都負担は六千億円にも膨張し、その削減が大きな課題となっています。
 五輪基金は四千億円しかないのにどうするのかと都民は心配しております。そうしたときに、本当は東京都が負担しているものを五輪経費枠外にすることによって見えにくくする、そういうことはあってはならないというふうに考えております。
 しかも、有明体操競技場は、恒久施設並みの構造が必要ということで、整備費は二百五十三億円もかかりながら、建設予定地の有明北地区は住宅用地とされており、今明らかになったように、法的には十年間の仮設とするしかないというふうに説明されているわけですから、これは、こういったやり方で見せかけの経費削減ということにならないよう、そして一つ一つの施設が本当に都民の皆さんに納得していただけるような経費の使い方となるように努力をしていただきたいということを申し上げておきます。
 最後に、IOCのコーツ氏が九月に、東京五輪の運営費について一千億円の削減を目標とすべきだと表明をいたしました。九月にいわれたわけですから、つい一カ月、二カ月前の話ですから、この中には、私は、新規恒久施設の四百億円の削減は含まれていないという認識なんですが、東京都の認識を確認したいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 本年十月に行われましたIOCプロジェクトレビューにおきまして、コーツ委員長が、冬季大会では五億ドル、夏季大会では十億ドルを節約したいと発言してございますが、具体的な内容には触れられておりませんので、今、委員お尋ねの四百億円との関連はわかりかねるところでございます。

○里吉委員 四百億円との関連はわかりかねるというご答弁でしたけれども、先ほどもいいましたように、時系列的に考えても、報道を見ても、四百億円とは別に一千億円の削減ということでコーツ会長、表明されているわけですから、少なくともさらに一千億円削減することを目指していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 新聞報道によれば、確かに会場関係費は削減することができたと評価をしながら、近年膨らんでいるのは運営費だとして、会場に入場する際のセキュリティーチェックにおける仮設施設の規模や五輪ファミリーと呼ばれるIOC委員や国際競技団体の役員に向けた食事の量、会場におけるバスの待機所の広さやIT関係など、さまざま具体的に挙げているわけですから、東京都だけでなく組織委員会とも協力して、経費縮減する目標に向かっていただきたいというふうに思います。
 一つ一つの施設などについては、担当者の皆さんが懸命に削減に取り組んでくださっていることは、この間の質疑やご説明いただく中で認識はしておりますが、都民の立場から見れば、国が負担すべき新国立競技場の整備費の一部、約五百億円を都が負担するとか、選手村建設では大手ディベロッパーに都有地の周辺の土地の十分の一の百二十九億円で売却する、大ざっぱにいえば一千億円も値引きしてあげるとか、こういった五輪の名のもとに筋の通らない都民負担が行われているというのが現状だと思います。
 これらを正すことも必要ですし、現状では六千億円にも膨らんでいる都負担を削減し、都民生活と両立する五輪を実現することが重要です。そのことは皆さんご承知のように、東京のみならず、今後の五輪存続もかかった世界的な課題です。今後、V2予算で一千億円削減の要請がどのように反映されたのか、早急に明らかにしていただきたいと思います。また、それこそ英知を結集して、一千億円に限らず、経費縮減の努力をしていかなければならないのだと思います。
 先ほども申し上げましたが、私は、そのためにもIOCなどにも協力を求め、観客席の削減など、具体的な話し合いをしていっていただきたいと思います。さらに申し上げれば、機運醸成をと、予算をたくさんつぎ込むよりも、経費の縮減努力や都民目線の後利用で代替施設整備を行うことがみんなの納得と共同の五輪になるのではないでしょうか。
 こうした努力をしていただくことを求めまして、私の質問を終わります。

○小山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十分開議

○小山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山口委員 私からも、新規恒久施設等の整備についてを初めとして、幾つかお伺いをしていきたいと思っておりますが、大変重要な時期に差しかかってきて、大変熱い議論が交わされているところでありますが、とりわけ細かく施設に目を向けて、確認を一つ一つさせていただければありがたいなというふうに思っているところでございます。
 まずは、この三施設の中から、オリンピックアクアティクスセンターについて質問したいと思っているところでございます。私も大変注目をしておった二万席から一万五千席にというふうに減少したところもあり、この計画の見直しというものがどういうふうに減額とリンクし、そして今後にどのようにつながっていくのか、大会運営に当たって影響がないものかというふうに懸念をしているところもあるんですが、まずは、このアクアティクスセンターの計画の見直しに当たって、具体的に何が変わるのかということをお伺いしたいと思います。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 昨年十二月の会場見直しにおきましては、大会時の観客席を二万席から一万五千席に縮小しまして、大会後の減築を取りやめることといたしました。
 大会後につきましては、後利用や清掃といった維持管理などの観点から、施設上部に設置します一万席の座席や屋外の避難階段を取り外し、五千席の恒設席を有する施設として利用する計画でございます。

○山口委員 これまでの質疑の経過などから拝見をしていても、さまざまな団体等との協議、ありとあらゆる団体との協議を経て、この一万五千席への縮小ということで伺っているんですが、おもてなしの観点、また、国内で同世代、若い選手がたくさん出てくる競技でありますから、そういった点から考えても、本当に多くの方々が観戦できるのか、生でオリンピックを見ることができるのかと。
 私もロンドンにも参じましたし、実際にチケットをとるのに大変苦労したと。これはパラリンピックで私も大変な苦労をした経過がありますので、こういったところにまだまだ懸念が及ぶところであります。
 もう一点伺いたいのは、この計画の外観の変更というものを拝見したわけでありますが、この現時点の外観パースを拝見すると、エントランスの部分の階段が地上から三階の高さまで自力で上がっていかなければならない高い階段に変わったわけでありますが、これは利用者にとって負担にならないものなんでしょうか、お伺いしたいと思います。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 エントランス部分につきましては、当初計画では、二階から観客席に入るアプローチとしておりましたが、外部有識者からの意見を踏まえまして、利便性や避難面での安全性の向上の観点から、三階へのアプローチも設けることといたしました。
 さらに、階段に緑を配置することによりまして、公園との連続性も担保したところでございます。
 また、バリアフリーの観点で、一階から各階に停止するエレベーターを設置する計画でございまして、利用者にとって負担にならないよう配慮しております。

○山口委員 当然のことながら、来られる方々が安全に、かつ安心して使える施設でなければなりませんし、その後の利用ということを考えても、会場内のアクセスというものも非常に重要な観点になってくるかと思います。安全・安心を第一に考え、かつ利便を考えた、こういった施設整備にこれからもしっかりと十分見直しを含めて進めていただければありがたいというふうに思っております。
 さて、続いて海の森水上競技場についてもお伺いをしたいと思います。
 この海の森水上競技場において、テレビカメラポンツーンが取りやめになりました。これを取りやめたのはなぜでしょうか。また、どのようにしてこの機能を代替していく予定でしょうか、お伺いしたいと思います。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 各施設の設計を進めていく中では、国際競技団体や国内競技団体などと協議しながら、施設条件の精査や施設計画の合理化などによりまして、整備費の縮減に取り組んでまいりました。
 海の森水上競技場におきましては、昨年十二月の見直しで国際競技団体などと協議し、コース南側の水域に予定してございましたテレビカメラ撮影用ポンツーンの整備を取りやめてございます。
 この代替の機能といたしまして、コース北側の自転車走行路をテレビカメラ撮影にも活用することとしたものでございます。

○山口委員 続けて伺いたいんですが、この海の森水上競技場のグランドスタンド棟の屋根が半分に削減をされたところでございますが、これはどういう考え方のもと縮減をしたんでしょうか、お伺いしたいと思います。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 海の森水上競技場の見直しにつきましては、各施設の詳細な設計等を行う中で、施設条件の精査や施設計画の合理化などを進めて整備費の縮減に取り組んできたところでございます。
 その中で、グランドスタンド棟につきましては、大会開催と後利用を踏まえまして、先ほどもご答弁させていただきましたが、国際競技団体や国内競技団体等と協議しながら、諸室の一部の規模を見直し、内外装の低廉化などを図るとともに、約一千席分の屋根につきましては整備することとしてございます。

○山口委員 続いて、有明アリーナについても質問をさせていただきたいと思います。
 この有明アリーナについては、軟弱地盤対策工法の見直しについてというところで縮減をしていくと、削減をするということで資料に出ているわけでありますが、この当初の計画をなぜ変更したのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 施設整備に当たりましては、液状化の可能性がある地域については、軟弱地盤の一般的な対策といたしまして、地盤改良やくい工事を行うこととしております。
 有明アリーナの計画地につきましても液状化の可能性がある地域に含まれておりますことから、基本設計におきましては、地盤調査の結果を踏まえ、格子状に地盤改良を行う軟弱地盤対策工事を計画していたところでございます。
 より詳細な調査と設計を行った結果、くいの強度を割り増すなど、より簡易な工法に変更できる可能性が明らかとなりましたことから、その後、専門家の知見も得まして、コスト削減を図るよう見直すこととしたものでございます。

○山口委員 当然のことながら見直しは大切なことでありまして、一つ一つを精査していくプロセスは大変なことだったんだろうというふうに思います。しかし、最大の効果を生んでいく、また、後世にオリンピックというもののレガシーを残していく、有形のもの無形のものも含めて、何を残していくかということをしっかりと基礎にもう一度考え直しをして、見直しをしていかなければならないんだろうと私は思っているところであります。
 今、一連の質問をなぜさせていただいたかというと、当初考えておけば、しっかりと調査をし、準備を重ねていけば、そもそもできたことが多かったんではないかと。もう一点、別の視点からいえば、本当におもてなしをし、お客さんに安心して競技を楽しんでいただく、見ていただくという観点から、削ってはいけないものまで削ったり、工事を先送りにするようなことがあって、今を削減して、今を逃す、今をとりあえずしのぐというようなことがあっては絶対にならないと。そういった視点から、この質問をさせていただいたところでございます。
 ここで最後にお伺いしたいんですが、見直しを行った結果、後々、大会後に工事や、また、計画に手を入れなければならないようなことが発生する可能性はないのか、確認をしておきたいと思います。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 新規恒久施設の整備に当たりましては、大会前までに大会時の仮設施設を考慮した工事を行い、大会後、仮設施設を撤去した後に、必要に応じて後利用のための改修計画を行うことになります。
 今回お示ししました整備費の見込みの中には、都が大会前に行う工事だけでなく、大会後の改修工事の費用も含まれております。
 今後、工事を進めていく中におきまして、今回報告した整備の範囲内で施設整備を着実に進めていけるよう、引き続きコスト管理に努めてまいります。

○山口委員 後々やらなければならない整備が発生をしたり、また、それを見越していたとするならば、結果、これは先送りといわれかねない事態になるわけでありますから、日々刻々と技術も発達をし、そしてより一層、知恵と工夫によって、できる限りコストカットしていく、その中で、必要なものは、しっかり必要なことにコストはかけていく、その覚悟も勇気も持って取り組んでいかなければならない大切な事業だと思いますので、ぜひ多くの視点、しっかりと踏まえて取り組んでいただきますよう要望し、質問を終わります。

○おときた委員 私からは、新規恒久施設等の整備費の見直しについて、主に先ほど来ご議論もございます予備費についてお伺いをしていきたいと思います。
 小池知事が主導された競技会場の見直しの動きのもと、昨年十二月の時点でオリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナの新設となる三施設の整備費用は、約四百億円の削減見込みが示されました。四百億円もの整備費用の削減は大きなインパクトがあり、一定の評価が都民よりなされたところです。
 その一方で、改めて約四百億円の内訳に着目をしてみますと、三施設合計で百十五億円に上る追加工事等が生じた場合の対応費、いわゆる予備費が縮減対象額の四分の一以上もの大きなウエートを占めています。
 そこで、都議会の期も変わりましたので、まず、改めて確認をさせていただきたいのですが、そもそもこの予備費とはどのような性格の費用であるのかをお伺いいたします。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 各会場の整備で計上しております追加工事等が生じた場合の対応費は、設計段階と実際の施工段階とで、想定した地盤条件や施工条件などに相違が生じた場合、必要となった追加工事に対応するよう計上したものでございます。
 また、競技団体等の協議により設計が見直された場合などにおきましても、予定している整備費の範囲内で追加工事に対応することを想定しております。

○おときた委員 設計段階、当初の想定と実際の施工段階の条件に差異があった場合や、あるいは、競技団体等との協議により設計に変更が生じた場合など、追加で工事が必要となった場合を想定した費用であるという旨のご答弁でございました。
 ある程度のバッファー、状況の変動に対応する余裕を持たせるという意味合いを持つ予備費でございますが、工事が完了していない昨年十二月の時点での見直しで、それらの予備費を縮減対象としています。これは、どのような理由から縮減可能と判断されたのか、こちらを改めてお伺いいたします。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 追加工事等が生じた場合の対応費につきましては、昨年の見直し時点で、設計施工一括方式で契約しました受注者が施工を視野に入れた実施設計に取り組んできたことなどによりまして、当初見込んでいたような大幅な増額を想定せず対応できる見通しが立ってきたため、縮減が可能としたものでございます。

○おときた委員 大幅な増額の必要性がなくなったという理解によって、縮減可能と判断されたとのことでした。
 しかしながら、この間の経緯に目を向けてみますと、見直した後のことし六月、財務局による報道発表で、オリンピックアクアティクスセンターの建設予定地において土壌汚染等が発生したことが明らかになっています。
 この新たに判明したアクアティクスセンターの土壌汚染等に際し、その対策のために新たに三十八億円を計上するとしていますが、汚染土壌が存在することはいつごろ判明し、どのような工事を行うために新たに三十八億円が必要となったのか。また、三十八億円という費用はいつごろ見積もったのか、具体的な内容についてお伺いをいたします。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 オリンピックアクアティクスセンターでは、工事の進捗に伴いまして、汚染土壌の概要が本年六月に明らかになったところでございます。
 このため、この処理について、建設資材をリサイクルするなど、処理コストや最終処分量の削減について検討し、処分費用の圧縮に努めてきたところでございます。
 その結果、本年九月には地中障害物とあわせまして、適切に対応するために必要な処理経費を約三十八億円と見積もり、整備費に計上することといたしました。
 引き続き、整備費の縮減に努めながら施設整備を着実に進めてまいります。

○おときた委員 当初は全く想定されていなかった汚染土壌の処理に係る経費が計上されていると、こういうことでございました。
 さて、一問目でお伺いした予備費の趣旨に鑑みますと、当初想定と異なる追加工事が必要になった経費という点では、まさにこうした不測の事態、想定外の事態に対応するためにあったものと考えられます。
 つまり、縮減後に判明した汚染土壌の処理については、仮に追加工事等が生じた場合の対応費を縮減せずに残していれば、これを充てて対応したのではないかと考えますが、この点についての所見をお伺いいたします。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 仮定を前提といたしました質問にはお答えできないところでございますが、各会場の整備で計上しております追加工事等が生じた場合の対応費につきましては、設計段階と実際の施工段階とで想定した地盤条件や施工条件などに相違が生じた場合、必要となった追加工事に対応するよう計上したものでございます。
 先ほども申し上げましたとおり、昨年十二月の会場見直しでは、その時点で施行が見込まれない追加工事等への対応費等についても改めて精査して縮減することといたしましたが、その後、オリンピックアクアティクスセンターにつきましては、工事進捗に伴い明らかになった汚染土壌などに適切に対応するため、必要な処理経費を計上したものでございます。

○おときた委員 仮定の話には回答できないとのことなんですけれども、ご答弁の内容から、予備費はまさに今回のような事態に対応するためのものであったということであろうと理解しますし、それ以外には考えられないというふうに思います。
 その一方で、結果として予備費が縮減されたからといって、追加工事ができなかったというわけではありません。ということは、都民感覚からこれまでの経緯を振り返ると、ではこの予備費とは一体何だったのか、あるいは逆の視点から見れば、コストカットは一体何だったのかと、そういった疑念を持たざるを得ません。
 そこで、今回の見直しによる整備費の縮減について、当初計上されていた予備費を縮減し、改めて追加工事費を計上することが必要となった点について、オリンピック・パラリンピック準備局としての評価と所見をお伺いいたします。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 昨年十二月の会場見直しでは、実施設計が進み、当初見込んでいたような大幅な増額を想定せず対応できる見通しが立ってきたため、追加工事等が生じた場合の対応費についても精査して縮減することとし、整備費に一定の条件を設けることといたしました。
 そのうち、オリンピックアクアティクスセンターにつきましては、工事の進捗に伴い、土壌汚染等が存在することが判明したことから、適切に対応したものでございます。

○おときた委員 ご答弁で、残念ながらこちらも評価という点についてご意見はいただけず、事実関係の繰り返しを述べられたわけですけれども、土壌汚染対策についての追加工事の必要性は当然に理解する一方で、結局のところ、予備費がないから工事はできないということではなく、結果として工事は実施をされる見込みになっています。
 加えて、仮に予備費として計上されていた二十億円が残っていたとしても、十八億円という金額が不足していたことも事実です。つまり、再びこの予備費とは一体何だったのかという話に戻ることになります。
 今回、小池知事と都政改革本部による見直しで四百億円に近い金額が削減されたことは事実ですし、アクアティクスセンターを除く二施設では、予備費は結果として不要だったわけですから、トータルで考えれば、おおむね正しい判断をされたと評価することもできると思います。
 しかしながら、今後はこの予備費の位置づけと役割を明確に定めておかなければ、あらかじめ調整可能である、あるいは事後的に補填可能である範囲内で予算の増減が行われ、政治的なパフォーマンスの材料とされる可能性が否定をできません。予備費が計上される案件は大型案件に限られており、多くはないとも仄聞をしておりますが、今後の大型公共工事の際の予備費のあり方については、都として、さらに議論を深めていただくように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○伊藤委員 私からも、小池知事が大幅な経費削減を目指して見直しを行った三施設について伺いたいと思います。
 きょうは、先ほど来からこの点について集中的に質疑が行われておりますけれども、まず、できたことを率直に評価するという姿勢も大事ではなかろうかと思います。
 そもそもの話をすれば、海の森水上競技場においては、計画段階で三十九億円だったものが一千億円まではね上がり、今回、それがまた四百九十一億円となった上で、三百八億円になったということが報告されているということであります。
 三十九億円から一千億円まではね上がったというこの事実を捉えても、多くの都民、国民の皆さんが、オリンピック施設については丼勘定なんじゃないかという疑念をこの間ずっと抱かれてきたわけであります。その疑念を晴らすのが本委員会の存在意義であり、また、そうした取り組み姿勢を都民、国民の皆さんに示すという思いで、小池知事も四百億円という目標を掲げて取り組みをされたというふうに理解をさせていただいております。
 その上で、少しお伺いをしていきたいと思います。特に今、この間に質疑の対象になっているアクアティクスセンターについて伺いたいと思います。
 海の森水上競技場が今回百八十三億円の縮減を達成したのに対して、アクアティクスセンターでは百十六億円の減にとどまりました。
 まず最初に、その要因についてお伺いしたいと思います。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 アクアティクスセンターにつきましては、大会時の観客席を二万席から一万五千席に縮小し、大会後の減築を取りやめることなどの見直しを行いまして、縮減可能な項目を取りまとめ、百五十四億円から百六十九億円の縮減見込みを昨年十二月に公表したところでございます。
 その後、受注者等との協議や詳細な設計の見直しを進めるとともに、環境配慮に関する項目につきましては、グリーンボンドを活用して、当初計画どおりに整備することといたしました。
 さらに今回、工事の進捗に伴って見つかった地中障害物や汚染土壌に対する費用として三十八億円を計上することによりまして、縮減額が圧縮されたものでございます。

○伊藤委員 今、地中障害物の話も出てまいりましたけれども、工事の進捗に伴ってという答弁もありました。
 この縮減目標を四百億円と知事が打ち立てたときに、今答弁にあった地中障害物というのは事前に予想できたものなんでしょうか、伺いたいと思います。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 地中障害物につきましては、従前の土地利用の状況が明確な場合など、事前に予測できることもございますが、工事を進めないと正確に把握することは困難な場合が多いところでございます。
 オリンピックアクアティクスセンターにおきましては、工事の進捗に伴い、地中障害物の位置や量が明らかになったものでございます。

○伊藤委員 今、地中のことですから、掘ってみないと予想がつかなかったと、その上で、対策工事に予想外に三十八億円がかかってしまったということがわかりました。
 先ほど来、予備費の話が出てきています。百十五億円程度の予備費がそもそもは設定をされておりました。知事は、この百十五億円の予備費を含めて全体経費の見直しを行い、四百億円の削減目標を掲げられたわけであります。
 私は、先ほども質疑で少しありましたけれども、やっぱり予備費の位置づけというものがほかの一般の入札や、あるいは工事案件においても明確でない、そういう意味では、今回のオリンピックにおいて、特殊な扱いを受けていた予備費であるというふうに理解をしています。
 そういう意味では、一度この予備費を取り払って、必要な工事に必要な予算をしっかりつけていく。今回も、この新規恒久施設等の整備についての一覧表をいただいてよくわかりました。工事をする過程において必要になった費用というものが三十八億円出てきました。予備費の中から支払われるというよりも、むしろ私はこうして国民の皆さんに示された方がよりわかりやすいというふうに思います。そういう意味では、今回示された縮減達成額が、この三施設に限ると三百四十六億円であったわけであります。
 仮に、この想定外の地中障害物がなくて、三十八億円の対策工事が不要だった場合の削減額というのは、この三百四十六億円プラスアルファだと思いますけれども、幾らぐらいになるんでしょうか。ぱっと出ますでしょうか。出なければ私の方で計算します。三十八億足す三百四十六億円ですので--では、お願いします。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 仮に地中障害物並びに汚染土の処理費を除いた場合でございますが、委員ご指摘のとおり、三百四十六億円にかかりました経費三十八億円を足し込みまして、三百八十四億円となります。

○伊藤委員 今、答弁にあったとおり、四百億円に大分近い数字だったと思います。
 そういう意味で、私は今回、地中障害物の除去費用などがかかった部分というのは、ある意味で非常にわかりやすく、都民、国民の皆さんに説明がつくものと思います。
 しかしながら、こうした取り組みに対して、先ほど四百億円に達していなかったという趣旨で、小池知事があたかもうそをついたというような発言のご趣旨がありました。私は、これは例えば残念だったとか、あるいは努力が足りなかったというようなご指摘であれば理解できるんですけれども、うそというのはちょっと不適切で不穏当じゃないかというふうに指摘をさせていただきたいと思います。後日、ぜひこれは理事会でお取り計らいをいただきたいというふうに思います。
 さて、今回、小池知事の肝いりで資金の使途を再生エネルギー等環境事業に限定して発行する債券、いわゆるグリーンボンドを活用したオリンピック施設整備が進んでおります。
 これまでの開催都市で、こうしたグリーンボンドを活用して施設整備を行ったオリンピック都市というのはあるんでしょうか、伺いたいと思います。

○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 グリーンボンドにつきましては、環境問題への取り組みという特定の用途に利用する目的で発行される債券でございまして、国内外で自主的なものも含めまして、さまざまな枠組みで発行されております。
 発行実態の全ては把握できませんけれども、金融機関等の調査によれば、開催都市が競技施設の環境対策にグリーンボンドを活用した事例は確認できておりません。

○伊藤委員 私は今回、グリーンボンドというのは画期的な活用方法だと思います。今後、他の都市でもこうしたグリーンボンドの活用というものがオリンピックの開催時に行われるのではないかと期待しています。
 というのも、このグリーンボンドは一般の債券と違って、いわばその使途を特定しているものであります。債券を購入した人にとりましては、社会貢献に参画した意識を持つことができるとともに、完成した施設に対しても、特段の思い入れを持って子や孫に語り継いでいけるものと期待できます。
 IOCが近年目指している持続可能社会の理想像に先駆ける取り組みであり、今答弁では他都市での例が見当たらなかったということでありますけれども、グリーンボンドの活用は、東京大会のいわばレガシーとなって、今後の開催都市で継承されていくものと期待しています。オリンピック開催都市として顕著な取り組みであると自信を持って世界にPRしていただきたいなと思います。
 一方で、IOCからさらなる経費縮減、一千億円程度を求められていると伺っています。さらなる縮減を図るためには、オリンピック開催都市にとっては、IOCや、そしてまたオリンピック放送機構、OBSが定めるテクニカルマニュアルについても検証する必要があるのではないかと思います。
 近年のオリンピック・パラリンピックのテクニカルマニュアルは、大会ごとに基準が上がってきているように感じます。私が調べた範囲でも選手村のテクニカルマニュアルだけでも三百ページという膨大な厚みになっていました。
 そこで、このテクニカルマニュアルを初め、大会運営上の基準などが整備費にどのように影響するのかを理解するために、海の森水上競技場について改めて伺いたいと思います。
 先ほど指摘させていただいたように、一時整備費が一千億円まで膨れ上がった海の森水上競技場ですけれども、これ、当初はカメラの逆光を避けて、コースの南側水域に設置する予定だったテレビカメラ用レーンを北側に設置することで予算縮減を図ることができたと聞いています。
 この件、先ほども少し答弁がありましたけれども、もう少し詳しく、どのような協議機関とどのような協議を行ったのか伺いたいと思います。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 海の森水上競技場におきましては、国際競技団体やオリンピック放送機構などとの協議の結果、コース南側の水域に予定しておりましたテレビカメラ撮影用ポンツーンの整備を取りやめ、コース北側の自転車走行路をテレビカメラ撮影用にも活用することなどによりまして、コスト縮減を果たしてまいりました。
 今後とも、国際競技団体や国内競技団体などの関係者との協議を継続し、引き続き施設条件の精査や施設計画の合理化などによりまして、整備費の適切な執行管理に努めてまいります。

○伊藤委員 今、答弁の中にポンツーンというのがありまして、私も、ちょっとポンツーンというのは一般の方はわからないんじゃないかなと思って、少し調べましたけれども、いわば浮き台ですよね。わかりやすくいうと、当初、コースの北側に競技中のボートを追いかけるテレビカメラを設置すると逆光になるので、南側にテレビカメラのレーンを設置しようと思いましたと。ところが、その場合にはテレビレーンを設置するスペースがない、あるいは撮りづらいので、コース全体をカバーする浮き台、ポンツーンを増設しないといけなくなったと。これで金がかかるということになったというふうに理解をしています。
 ただし、逆光でも映るテレビカメラというのが技術的に今あって、そうした技術をオリンピック放送機構、OBSに都としてアピールをして、そしてOBSとの協議を踏まえて、北側の自転車走行路にカメラレーンを置いたと。そういうことによって、大幅に経費が削減できたと、こう理解しているんですけれども、それでよろしいですか。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 国際競技団体やオリンピック放送機構等との協議の中身につきましては、FIFAマニュアル等も踏まえまして、副委員長ご指摘のとおりの協議も踏まえて実施してきてございます。

○伊藤委員 つまりIOCや、また、先ほどのオリンピック放送機構、OBS等が定めるテクニカルマニュアルだったり基準に完全に沿っていくと、どうしても金がかかってしまう。けれども、技術を駆使して、その基準を下げてもらったり、運用面でカバーしてもらうことによって経費を削減できるということの証左だろうと思います。
 資料を見ると、このテレビポンツーンの取りやめ等、五十二億円削減ということですので、大変な金額であります。テレビレーンを南にするか北にするかでこれほど大きな金額が変わってくるということがよくわかりました。
 IOCやOBSとの協議によって経費縮減できるものがありますので、今後さらなる縮減を図るためには、十二月に来日するコーツ会長を初め、IOCとの協議が欠かせないというふうに考えます。
 とりわけて一千億円の予算削減を求められているわけでありますので、こうした予算縮減のためにテクニカルマニュアルの見直しなど、率直な提言をIOC等に行う必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都はこれまでも、組織委員会を通じまして、電力設備の二重化や放送用回線の二重化かつ地中化の要件緩和、あるいは観客の公共交通無料化の見直しなどにつきましてIOCに求めてまいりました。
 本年十月に行われましたIOCプロジェクトレビューにおきましても、改めてこうした要件緩和を組織委員会から提示するなど、大会経費縮減に向けた議論をIOCを交え、行ったところでございます。
 引き続き組織委員会と連携し、大会経費の縮減に向けまして、IOCに対し必要な要件の見直し緩和などを求めてまいります。

○伊藤委員 ぜひ、これは予算の削減につながるであろうなと思うことについては、組織委員会や、また、JOC等を通じてIOCやOBSなどに働きかけをしていただきたいというふうに思います。
 今回、都が見直し、縮減できた経費の圧縮方法こそ、私は、今後、オリンピック・パラリンピックを開催する諸都市にとっては、かけがえのない知的財産であり、レガシーと呼べるものと考えます。
 近年は、オリンピック、パラリンピックともに、競技数の増加から大会運営費の高騰が続いており、もう先進国じゃないと開催できないんではないかとさえいわれています。
 今回の経費縮減策というのは、今後、開催を目指す都市にとっても大変貴重な知的財産であるという意味で、今後、諸都市に引き継がれていかれるべきであるというふうに考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 オリンピック・パラリンピックを都民に支持され喜ばれるものとし、大会を成功に導いていくためには、経費縮減に向けた取り組みは重要でございます。
 そのため、昨年、都、IOC、組織委員会、国の四者協議におきまして経費精査を行い、その後も本年五月の大枠の合意に向けまして、都、組織委員会、国の三者で大会経費の縮減に取り組んでまいりました。
 一方で、競技種目数の増加など、コスト増に影響する要素もございまして、大会経費の縮減は容易な課題ではないと認識してございますが、引き続き大会経費の精査に向け、IOCも交えながら関係者間で検討してまいります。
 こうした経費縮減に向けた取り組みをIOCと共有いたしますとともに、次大会以降の開催都市であるパリなどの諸都市にも引き継いでまいります。

○伊藤委員 都のオリ・パラ準備局の皆さんとお話をさせていただいていた中でも、経費削減は本当に苦労の多い取り組みであるというふうに理解をしています。
 ただ、これ、多分、ロンドンでもリオでも、あるいは北京でも同じような努力というものを各都市がされてきたものと思いますが、伺うところによると、ロンドンにおいてもリオにおいても、あるいは北京においても、そうした各都市が行ってきた経費削減方法がちゃんとした記録としては残っていないというふうに伺いました。
 そういう意味では、今後開催をする都市においては、こうした削減方法というものがアーカイブというんですかね、記録としてしっかり残っていることによって、大変貴重な財産となるものと思いますので、今答弁にあったとおり、ぜひ記録として残していただいて、そして世界の皆さんにそれを開示していただければと思います。
 もう一つは、機運醸成の観点からも伺いたいと思います。
 この恒久施設に対する個人からの寄附について伺いたいと思います。
 実は私、以前に改築された北海道の旭川駅に行ったことがあるんですけれども、そのときに、ひときわ目を奪われたのが木目に刻まれた個人の名前でございました。およそ一万筆ということなんですけれども、旭川の駅を建てかえるときに個人から寄附を募ったところ、一万人から寄附が集まったそうで、その一人一人のお名前が木目に彫られていたということでございます。そういう意味では、駅に息づく地域住民の愛着というのも伝わってきて、大変いいものだなと思いました。
 都においても、特定寄附の制度というものがあろうかと思います。こうした特定寄附の制度を利用して、新規恒久施設においては寄附を募って、そして施設整備に合わせて寄附者の氏名をネームプレートに残すなどの取り組みを行うことにより、志ある方からの財源の確保も図られますし、また、大会機運の醸成にもなると思うんですけれども、見解を伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 オリンピック・パラリンピックの寄附金につきましては、現在、組織委員会におきまして、東京二〇二〇寄附金として受け付けており、大会を応援したいという人々の思いを二〇二〇年大会の準備、運営に活用する仕組みとなっております。
 一方、オリンピック・パラリンピック等の名称を使用して、組織委員会以外の団体、例えば東京都が寄附を募る場合にはIOCの了解が必要となりますとともに、実施に当たりましては、IOCの了承する要件のもとで行うことが必要といった課題がございます。
 大会に使用いたします都の恒久施設整備につきまして、都民、国民の皆様の寄附を募ることは、大会機運の醸成にもつながるものと考えますが、こうした課題や他の自治体の事例などを踏まえまして、参加意識を高める方策を幅広く検討してまいります。

○伊藤委員 ぜひ検討をお願いしたいと思います。特に企業からの寄附はオフィシャルスポンサー、ゴールドスポンサーがありますので、大変難しいというふうに理解をしていますけれども、個人から寄附を特に恒久施設に対して募って、個人の皆さんのお支えで恒久施設をつくっていくということは、IOCの目指すオリンピックの理想像と合致するものと確信いたします。
 今回、そういう意味では、十二月にコーツ会長が来日をされるというのは、とりわけこういう取り組みへの理解というものを求めやすいところだろうと思いますので、ぜひ知事、また、組織委員会を通じて働きかけをしていただきたいというふうに思います。
 そして、最後に、後利用を考えた恒久施設について伺いたいと思います。
 私も昨年、ロンドンの水泳競技場というものを個人的にちょっと見てきました。大変参考になったのは、プールの目の前にあるトレーニングジムルームでございまして、水泳大会はもちろん、競技を行う競技場であると同時に、ロンドンのその当時の市の担当者の方々が大変注目をしたのは、やはりその後に、例えば近隣の大学の選手たちに使ってもらうとか、強化選手だったり、記録を出したいと思う方々にトレーニング会場として使ってもらうことだというふうにいっておられました。
 多分、そういう観点から、トレーニングジムが非常に充実をしていまして、ある意味、水泳競技場というよりはジムに見間違うほどでありました。腹筋台なんかがあっただけではなくて、水のかわりに発泡スチロールを敷き詰めて、その上に飛び込み台までジムの中につくっておられました。そうすることによって、競技直前に緊張した選手がイメージトレーニングできて、ここで飛び込みの感覚を確認できると、こういうご説明でありました。
 やっている方じゃないとなかなかわからないご意見かなとも思うんですが、選手の気持ちとして最も喜ばしい施設というのは、記録が出やすい施設だといわれています。そういう意味で、選手に配慮した施設内の整備を求めさせていただきたいと思います。
 そして同時に、これもロンドンで伺ったんですけれども、オリンピック・パラリンピックの選手は、自分たちで各出身の国からトレーニンググッズのバーベルなどを持ち込んでくるそうであります。ただし、これ、大変重たいものですから、帰りは開催地に置いていくということが多々あるということで、合宿所として誘致をした諸都市においても、こうしたものをレガシーとして置いていってください、そして、それをぜひ記念として飾らせてくださいというようなことをお願いしてきたそうであります。
 そこで、メダリストが使ったトレーニンググッズや、その他、その施設においてレガシーとなるものについては、恒久施設内に二〇二〇年大会のメモリアルとして残していただくという取り組みをしてはどうかと思います。次代のオリンピアンを目指す日本人選手の励みともなりますし、また、一般のプール使用者にも、何年たっても東京オリンピックの色があせることなく、その熱気が伝わっていくものというふうに考えます。
 そうしたメモリアルギャラリーがオリンピック後も利用者を引きつけてやまないと確信をしておりますが、東京都としての所見を伺いたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 新規恒久施設は、大会後も多くのアスリートや都民、国民に親しまれる施設としていくことが重要でございます。
 本年四月に策定いたしました施設運営計画の取りまとめに当たりましては、競技団体への個別ヒアリングを実施するなどして、アスリートファーストの視点を取り入れてございます。
 また、計画では、例えばアクアティクスセンターにおいて、人の集まるエントランスホール付近に東京二〇二〇大会にまつわる展示が可能なギャラリーを設けることとしております。
 今後、各施設の特性を踏まえながら、運営事業者や競技団体、JOC等とも連携して、新規恒久施設に二〇二〇大会の記憶を残す方策について検討を進めてまいります。

○伊藤委員 大変いい答弁をいただいてありがとうございます。多分、各恒久施設にそうしたメモリアルスペースというんですか、レガシーを残すことを検討するというのは初めてご答弁いただいたことと思います。
 ぜひ子供から大人まで、見て楽しめる、そしてオリンピックをいつまでも間近に感じられる、そういうメモリアルスペースをつくっていただきたいなということを最後に申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

○桐山委員 それでは、私からは、組織委員会が仮設として新築されます有明体操競技場について質問させていただきます。
 有明体操競技場は、オリンピックの体操、新体操、トランポリン、パラリンピックのボッチャの会場として利用し、江東区有明の約十万平方メートルの敷地に延べ床面積約三万二千平方メートル規模の体操競技場と、同約五千平方メートルのウオームアップ施設を建設し、大会時に約一万二千席の観客席を設ける競技施設となっております。
 先ほども質疑がありましたけれども、当初は組織委員会が仮設施設として整備を計画し、競技場は大会終了後、数カ月から一年以内に解体するとの予定でございました。しかし、都が整備費の一部を負担して、大会後、十年程度は展示場などに利用する方針を示されたところでございます。
 その経緯につきましては、一万平方メートルの広さを有する大規模な施設ということで、建築基準法による耐震性の観点から、一年で取り壊すような仮設では無理だということが判明し、仮設とはいえ、恒設施設と変わらない程度の競技施設になったことで、後利用について検討がなされてきたこともわかったところでございます。
 そこで、この施設の耐震性等を考慮し、建築基準法の届け出上というのでしょうか、恒久施設と変わらない施設とするならば、この施設の躯体耐用年数も、一般的には四十年から五十年程度使用可能な施設なんだろうなということも想像するわけでございます。
 先ほども谷村委員からも質疑がありましたように、方針が変わった経緯というものが都民からも見えないというご意見もいただいているところでございます。
 平成二十六年六月ごろの組織委員会がつくる大規模施設の見直しの検討時期というものから、詳細な調査検討を行った結果、法令上、恒設施設と同様な構造が必要だと判明した時期、また、東京都が協力をして施設について検討しましょうとされた時期など、もう一度、改めてこのあたりを時系列的にご説明をお願いしたいというふうに思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明体操競技場につきましては、ただいま先生からお話がございましたとおり、当初、立候補ファイルでは大会後に撤去する仮設施設として計画されておりました。
 平成二十六年度に都が行いました会場計画の再検討に合わせまして、組織委員会においても仮設会場等について、詳細な検討を開始しました。
 そこで、大会に体操競技を行うために必要な広さや天井高を確保し、観客席一万二千席を設置するためには、法令上、恒久施設と同等の構造が必要となることが判明して、多額の整備費を要することが見込まれました。
 有明体操競技場の土地の利用形態や、まちづくりなど、総合的な検討が必要な中にあって、組織委員会におきましては、競技団体やIOC等の関係団体との調整を含めた大会までのスケジュールを勘案し、仮設会場として整備をすることとしました。
 耐震性など、構造上、恒久施設と同等の強度が求められ、大会後も利用可能であることから、都は平成二十七年三月の予算特別委員会で、持続可能性を重視するIOCのアジェンダ二〇二〇を踏まえまして、有明体操競技場について、大会後の活用策を検討することといたしました。
 その後、多様な活用について検討した結果、平成二十八年三月の予算特別委員会におきまして、大会後、直ちに撤去するのではなく、十年程度、都内中小企業の振興に資する展示場として活用することといたしまして、大会後の後利用に相当する整備費について、都が負担することを表明したところでございます。
 なお、有明体操競技場を展示場として後利用することから、後利用に相当する整備費につきましては、産業振興という行政目的を推進するための経費として負担することとしたところでございます。

○桐山委員 ありがとうございます。ただいま時系列的にご説明をいただいたように、組織委員会の当初見込みというものが、積算の段階からは、立候補ファイルではやはり八十九億円という金額を整備費として示されておりまして、先ほどもこの整備費では質疑があったところでございますけれども、この八十九億円から、最終的には、費用が入札では二百五億円という形で約二倍強ふえたということも含めまして、そもそも立候補ファイルの段階において、この体操競技を行う施設ということの認識の中で、必要とされている広さですとか、あるいは天井高を確保するですとか、そういったところが十分検討がなされていなかったのかなというふうに答弁を聞いていますと感じたところでございます。
 そういったところで、恒久的施設と何ら変わらない構造上の建物を建てるということで、最終的には後利用を検討せざるを得なかったということだと思います。
 その中で、今後、改修費用ですとか、また、近隣施設との機能のすみ分けですとか、利用ニーズなどの観点も踏まえながら、中小企業を中心に都内のニーズが見込める展示場機能や、各種セミナーやイベント会場として活用がふさわしいということで、産業振興の拠点の一つとして具体的な検討を進められてきたというご答弁ということで理解をさせていただきたいというふうに思います。
 そもそもここの用地は、質疑の中でも明らかになっていますように、まちづくりの用途ということで、住宅用地として未利用地ということで、十年間の暫定利用期間というものの縛りといいますか、そういったものがあるということもご答弁をいただいているところでございます。
 やはり今後、躯体で考えたときには長期使える施設ということで、十年後に大体更新時期を迎えたり、ある意味、手を加えていかなければならない時期でもあろうかと思います。こういった商業の活性化も含めて、まちづくりと一緒になって、今後、こういったことも十分視野に入れる中で、しっかりと検証をしていただきたいなというふうに意見として述べさせていただきたいと思っております。
 次は、今後、二〇一九年十月にこの競技場が完成予定ということでございますけれども、今回、この委員会に示されました整備費につきましては、パラリンピックへの転換費や、大会後のウオーミングアップの会場や、また、増設をしている倉庫等といわれている部分などの解体費や観客席等の撤去費というものが、この中には実際のところ入っているのかどうなのかということを、特にパラリンピックにつきましてご答弁をいただきたいというふうに思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明体操競技場は、オリンピック・パラリンピックの両会場に適用されるアクセシビリティ・ガイドラインに準拠して設計してございます。そのため、基本的にはパラリンピック会場として特段の転換は必要がございません。
 なお、体操の競技スペースからボッチャの競技スペースへの転換につきましては、組織委員会が別途検討中でございますことから、今回報告した整備費は含まれてございません。
 また、大会時のみに使用する仮設施設等の解体費用は、整備費の中に含まれてございます。

○桐山委員 組織委員会では、パラリンピック等の競技の運営という意味だと思うんですけれども、体操競技スペースからボッチャのパラリンピック仕様にする競技のスペースの転換については、今後、組織委員会が別途検討中であるということをお示しいただいたところでございます。
 また、本日、資料としても出されております大会時のみ使用する部分としての六十億につきましても、この中にもパラリンピックの整備ということで、国、東京都、組織委員会で案分される部分も入っているという認識をさせていただいておりますので、このあたりにつきましても、また報告を待ちたいというふうに思います。
 次に、おのおのの競技における出場選手が最高のパフォーマンスを発揮するための施設の整備や環境について伺っていきたいと思います。
 アスリートファーストの視点から、選手の動線を短縮化し、選手のストレスフリーを配慮するとされ、また、アクセシビリティ・ガイドラインに準拠した施設とするとされておりますが、具体的な施設の内容につきましてお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明体操競技場の検討に当たりましては、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、日本体操協会や国際体操連盟などのアドバイスをいただきながら、組織委員会が設計準備を進めております。
 具体的には、選手の移動距離を最短にするよう隣接する場所にウオームアップ棟を配置するなど、円滑な競技運営が可能となるよう設計しています。
 また、競技面におきましても、関係者の動線に配慮し、選手の安全性や競技運営を細かに検証して設計しています。
 また、障害のある選手や観客も利用しやすい会場となるよう、アクセシビリティ・ガイドラインに準拠した整備を行っておりまして、パラリンピック競技のボッチャの国内、国際競技団体からもアドバイスをいただきながら詳細な検討を行っております。
 アクセシビリティーの観点では、観客が観客席のある二階レベルへ容易にアクセスできますよう、大会時は運河側に盛り土を利用したスロープを整備することとしております。
 多目的トイレにつきましても、一階及び二階に合計十カ所設け、利便性に配慮した配置を計画しております。

○桐山委員 アクセシビリティ・ガイドラインの観点で、もちろんアスリートファーストの観点からも、選手の動線をしっかりと配慮していただいているというご答弁です。
 特に観客の方々は、傾斜がある観客スペースになっておりますので、そういったところをスロープでしっかりと整備をされて、利便性の確保をしっかり配慮していただいているということも答弁をいただいたところです。
 また、ウオーミングアップ会場というものが選手にとっては大変重要になりまして、ウオーミングアップ棟というものを別棟で建築される予定ではございますけれども、やはり競技者はそこできちっと完成をさせる状況で競技場に臨んでいくというところでございますので、簡易なものを仮設としてつくられるという話も伺っているので、できるだけこういったところはしっかりと、ウオーミングアップ場は大変重要な施設だと思っておりますので、そちらの方も組織委員会等にぜひご意見を申し上げていっていただきたいなということをご要望させていただきたいと思います。
 次に、解体した後の資材の再利用など、どのように考えているのかということをお伺いしたいと思います。
 大会後には、資料にも出されております解体をする部分というものが出てきます。まず、ウオーミングアップ棟も解体をされます。そして、観客席も全て撤去されるということでございますけれども、そういった撤去をされるときには、解体をされるときには、かなり部材等が出てくると思いますけれども、そういった再利用計画というのがあるのかどうなのかということについてお伺いをしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 資源の再利用の観点から、大会時のみに使用する仮設物を大会後も再利用することを検討しております。
 例えば、大会後に撤去する仮設観客席の木材の一部を展示場のコンコース等のベンチに再利用することや、競技場で使用する建材の一部を外構舗装に再利用することなどを計画しております。

○桐山委員 再利用されていかれるということがわかりました。
 ロンドン・オリンピックを例に挙げますと、ロンドン・オリンピックのときにも、こういった解体をした資材を民間に売却されたり、そういったことを進めてこられたということも伺っているところでございます。今後、組織委員会の方も検討されていかれると思うんですけれども、できるだけこういった解体をされた後の資材を、やはり資材も高騰して大変費用も上がってきている状況の中で、そういった廃材を再利用したり、うまいこと活用できるように、十分検討を今後もしていっていただきたいことも、ぜひ考えていっていただきたいなと思っております。
 次に、後利用についての展示場について、具体的にお伺いしておきたいと思います。
 この後利用につきましては、アジェンダ二〇二〇を踏まえまして、大会後、十年程度、先ほども出ておりましたが、東京都が都内中小企業の振興に資する展示場として活用されるということでした。
 先日、経済・港湾委員会の中の産業労働局の事務事業質疑の中でも、我が会派の質疑にありましたように、このエリアにつきましては、展示会場の不足等も挙げられており、大会後の有明体操競技場の後利用についても、相乗効果など大変効果があり、検討する中で、一定程度はこちらの方も理解をさせていただいております。
 先ほども議論になっておりましたけれども、今後、産業労働局がこれらを所管されると思います。後利用していきますけれども、予算要求ですとか、また、オリ・パラ準備局から今後引き継ぎをされる時期が必ず来ると思うんですけれども、どのように関与していかれるのかということについてお伺いをしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明体操競技場の設計、整備は組織委員会が行っていることから、大会後に展示場として後利用できるよう、当局は産業労働局と連携して組織委員会との調整を行っております。
 後利用に相当する費用の負担は、今後、産業労働局が予算計上していく予定でございますが、現在、組織委員会が整備費の精査を行っており、それに合わせて必要な調整を行ってまいります。
 引き続き、大会後の施設の引き継ぎや改修などが円滑に行われるよう、産業労働局とともに、組織委員会との調整を図ってまいります。

○桐山委員 今後、引き続き大会後の施設の引き継ぎ方法や、また、改修などにつきましても、ご答弁いただきましたように円滑に行われますように、産業労働局とともに、しっかりと調整をされるように意見として述べさせていただきたいというふうに思います。また、こういったことも委員会の方にも報告をしていただけますようによろしくお願いいたします。
 次に、レガシーエリアにおけます展示施設の必要性について伺っていきます。
 有明アリーナがあります有明北地区といいますのは、臨海副都心のまちづくり推進計画に基づく有明北地区まちづくりガイドラインが策定をされております。その中で、有明北地区は、住宅とともに商業、また、文化やレクリエーション、さまざまな多様な機能を誘導したまちづくりを進めることが記載をされております。
 会場整備、運営の経費削減はもちろん重要なことではございますけれども、大会後、何を残すかということが大変重要になってまいりますし、また、長期的視点に立ったときに都民益にかなう、価値のあるレガシーを残していくということが大変重要だと思っております。
 この有明レガシーエリアにつきましても、さきに述べましたようなガイドラインに基づきまして、これまで、点ではなく面として捉えて、近隣施設であります有明アリーナや有明コロシアムといった施設との連携など考えてこられているものと認識もさせていただいております。近隣施設との連携やレガシーエリアでの本施設での意味合いなど、ぜひお伺いをしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明レガシーエリアは、有明体操競技場を初め、新たなスポーツ、文化の拠点となる有明アリーナや、民間開発によるホテルやホール、商業施設など、多くの集客施設が集積する地域とする予定であり、これらの施設の機能集積による相乗効果によりまして、地域ににぎわいを創出していく計画でございます。
 有明体操競技場は、大会後、例えば有明アリーナや有明テニスの森などの近隣施設と相互に連携したイベントでの利用などにより、地域の活性化に貢献するものと考えてございます。

○桐山委員 関連施設との連携とあわせまして、集客可能施設が集積するということを受けまして、相乗効果というものが大変期待をされるところで、また、この地域がにぎわいを創出するように期待をしておりますので、誘導計画などもぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。
 最後に、地域住民との関係や要望についてお伺いをしていきたいと思います。
 大会後には、仮設のウオームアップ棟なども解体されますし、その跡地に芝生の大広場なども整備を予定されるというご報告もいただいております。
 また、バックスペースといわれる部分には、駐車場の整備なども予定されているということでございますけれども、地元周辺住民まちづくりのための協議会などから上がっている要望等がありますでしょうか。
 また、それらのご要望に対してどのように応えていかれるのか、ぜひお伺いをしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 大会後の活用について、地元地域の方々からは、ウオームアップ棟の跡地に整備される芝生大広場を地域に開放してほしいとの意見や、本施設の南側の道路は地域の方の生活道路であることから、できるだけ車両を通さないでほしいなどのご意見、ご要望をいただいております。
 これらのご意見等も踏まえまして、芝生大広場を地域の方にも利用いただけるよう、カフェ等の店舗を東の広場側に面して配置をしております。
 また、展示場を使用する車両を北側に誘導するよう、駐車場の出入り口を北側に設置するなどの対応も行いました。
 また、工事中の車両につきましても、南側の道路を使用しないよう要望があったことから、西側道路から工事車両の出入りを行うとともに、車両を道路に待機させずに、敷地内に待機スペースを設置するなどの対応も行ってございます。

○桐山委員 地域の声を踏まえながら、今後も、定期的に情報が行き渡るように、丁寧な対応を近隣住民の方には特にしていただきたいと思います。
 今後、工事が始まり、また、工事車両の関係から、通学路の部分で声を上げていただきながら、工事車両が通学路を通らないようにというご要望だったと思いますので、そういったご配慮もいただいているということで、先ほども申し上げましたような、地域の声をしっかりと聞きながら対応していただきたいというふうに思います。
 最後に、この有明体操競技施設というものは、二〇二〇年のこの大会を成功するに当たりまして--体操日本といわれるお家芸にもなっております競技でございます。強化選手たちはメダルがとれる可能性が高いのが体操競技でございまして、男女ともでございます。そして、私、出身でございますが、新体操でも九月に開催されました世界選手権で、一九七五年の銀メダル以来の快挙というメダルラッシュも起こっているところでございまして、また、トランポリンの方でも世界選手権で銅メダルというようなメダルが相次いでおります。
 そういったところで、やはりこの施設は日本国民、もちろん東京都民にとりましても、メダルが目の前でとれる競技を東京都内で開催することができるということも個人的には大変強い思いも持っておりますし、また、こういったところにできるだけ足を運んでいただけるような観客の動線などもしっかりと今後配慮していただきたいなというふうにも思っております。
 まずは、オリ・パラ委員会といたしましては、大会の成功がまず何よりでございますので、最高のパフォーマンスができるような、今後も、組織委員会等々が照明とか動線とか、選手にもっと配慮した空間などの対応策も検討されていかれると思いますので、後利用にかかわる費用負担が現在生じたことは事実ございますけれども、最終的には、この地域のにぎわいの創出が目的でもございます。また、市民益に、都民益にかなうような、そういった施設となりますように私も期待をさせていただいておりますので、先ほども申し上げましたが、今後も、委員会等にもしっかりとご報告をいただきながら、ぜひ推移を見守っていきたいと思っております。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○小山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小山委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十五分散会

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