オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会速記録第五十号

平成二十九年四月十九日(水曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 二十三名
委員長高島なおき君
副委員長吉倉 正美君
副委員長小山くにひこ君
副委員長吉原  修君
理事遠藤  守君
理事秋田 一郎君
理事野上ゆきえ君
理事相川  博君
理事吉田 信夫君
菅野 弘一君
川松真一朗君
上田 令子君
山内れい子君
まつば多美子君
とくとめ道信君
鈴木 隆道君
今村 るか君
畔上三和子君
鈴木貫太郎君
山崎 一輝君
林田  武君
立石 晴康君
川井しげお君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長塩見 清仁君
技監相場 淳司君
理事小山 哲司君
理事延與  桂君
総務部長鈴木  勝君
調整担当部長雲田 孝司君
総合調整部長児玉英一郎君
連絡調整担当部長戸谷 泰之君
連携推進担当部長丸山 雅代君
自治体調整担当部長高野 克己君
事業推進担当部長計画調整担当部長兼務越  秀幸君
運営担当部長田中  彰君
パラリンピック部長萱場 明子君
障害者スポーツ担当部長新田見慎一君
大会施設部長根本 浩志君
競技・渉外担当部長小野 由紀君
開設準備担当部長鈴木 一幸君
施設担当部長砂田  覚君
施設担当部長花井 徹夫君
施設整備担当部長小野 幹雄君
輸送担当部長片寄 光彦君
選手村担当部長朝山  勉君
スポーツ施設担当部長藤木 仁成君
スポーツ推進部長小室 明子君
ラグビーワールドカップ準備担当部長篠  祐次君
国際大会準備担当部長土屋 太郎君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに二〇一九年に開催される第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項
・二〇二〇年大会開催準備に関わる主な取組について(説明)
・新規恒久施設の施設運営計画(最終のまとめ)について(説明)
・大井ホッケー競技場の整備について(説明)
・有明テニスの森の整備について(説明)
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案(その六)について(説明)
・「Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドライン」について(質疑)
・東京二〇二〇オリンピック競技大会の追加種目(その四)について(質疑)
・平成二十九年度における競技会場等整備の予定について(質疑)
・カヌー・スラローム会場の整備について(質疑)
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案(その五)について(質疑)
・選手村のマスタープラン等について(質疑)

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 なお、報告事項、二〇二〇年大会開催準備に関わる主な取組について、新規恒久施設の施設運営計画(最終のまとめ)について、大井ホッケー競技場の整備について、有明テニスの森の整備について及び東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案(その六)については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いますので、ご了承願います。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 岡崎次長スポーツ推進担当理事兼務及び川瀬スポーツ計画担当部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、理事者から、二〇二〇年大会開催準備に関わる主な取組について外四件の報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 それでは、私から、報告事項、東京二〇二〇大会開催準備に関わる主な取組についてご説明いたします。
 お手元の資料第1号、東京二〇二〇大会開催準備に関わる主な取組をごらんください。
 本資料は、東京二〇二〇大会開催準備にかかわる主な取り組みにおけるこれまでの実施状況と今後の取り組みにつきまして概要をまとめたものでございます。
 主な取り組みを大会運営、施設・輸送等、機運醸成、連携協力、レガシーの五つの分類に分けまして、三十の事項に整理しております。
 恐れ入りますが、一枚おめくりいただき、二ページ目をごらんください。事項1、ボランティアについてご説明させていただきます。
 これまでの実施状況といたしましては、世界中から東京を訪れる選手、観客等をおもてなしする上で、大規模かつ質の高いボランティアを確保するため、平成二十七年九月、官民さまざまな団体が参画する東京都ボランティア活動推進協議会を立ち上げますとともに、ボランティアの魅力を伝えるシンポジウムを開催する等、ボランティアへの参加機運の醸成、裾野拡大を図ってまいりました。
 さらに、昨年十二月、組織委員会と一体的に、ボランティアの募集、研修のあり方などに関する東京二〇二〇大会に向けたボランティア戦略を策定いたしました。
 平成二十九年度につきましては、ボランティアの募集、管理などを行うためのシステム開発に取り組みますとともに、ラグビーワールドカップ二〇一九に向けた都市ボランティアの募集を年度末から開始し、その経験を東京二〇二〇大会の成功へとつなげてまいります。
 事項2、開閉会式以降につきましては、後ほどお目通しいただければと存じます。
 説明は以上でございます。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 それでは、新規恒久施設の施設運営計画の概要についてご報告いたします。
 お手元の資料第2号の一ページをごらんください。
 まず1、施設運営計画についてですが、この計画は、大会後の施設運営の指針となるものでございます。今後、各施設の運営事業者の公募に当たり、収益向上の取り組みや周辺との連携策など具体的提案を募り、後利用の取り組みをさらに充実させてまいります。そして、大会前の早期に運営事業者を選定し、大会後の施設運営に万全を期してまいります。
 これまでの主な検討経過でございますが、平成二十六年十二月にアドバイザリー会議を設置し、その後、新規恒久施設に係る後利用の方向性と施設運営計画(中間のまとめ)を公表しております。本年三月には、第五回となるアドバイザリー会議を開催し、最終のまとめに向けた検討を行ったところでございます。
 そして、本日、施設運営計画を本委員会にご報告させていただいた上で公表させていただくこととしております。
 次に、2、三つの視点として、点から面へ、コストから将来への投資へ、そして、官から民へを施設運営の視点としております。
 3、面的なレガシーの創出に向けてでございますが、次の二ページ目の図をごらんいただきたいと思います。
 スポーツ、文化等によるにぎわいを創出していく有明レガシーエリア、多様なスポーツに親しめるマルチスポーツエリア、さまざまな水上スポーツの機会を提供するウオータースポーツエリア、そして、大井ホッケー競技場周辺のスポーツ施設が一体となり、臨海部における新たな一大スポーツゾーンを形成してまいります。
 一ページにお戻りいただきまして、4、環境への配慮でございますが、再生可能エネルギーや省エネルギー技術の導入など、環境に最大限配慮した施設としてまいります。
 5、施設のバリアフリーでは、アクセシビリティ・ガイドラインで最も厳しい基準であります推奨基準を可能な限り適用いたしますとともに、障害者団体から意見をお聞きするなどして、全ての人にとって利用しやすい施設とするよう取り組んでおります。
 次に、6、今後のスケジュールでございますが、今年度は、各施設ごとに管理運営の具体的な検討を進め、三十年度には運営事業者を選定する予定としております。早期に運営事業者を決めることにより、大会後の後利用を円滑に進めてまいります。
 次に、各施設の運営計画の概要についてご説明いたします。
 資料三ページをごらんください。まず、オリンピックアクアティクスセンターです。
 主なレガシーは、最高水準の水泳場として、世界を目指すアスリートを育成するとともに、水泳の裾野拡大と次世代のアスリート候補を育成してまいります。
 次に、1、後利用の視点として、アスリートファーストの視点から、年間百大会の国際、国内大会の開催を目標とするほか、都民ファーストの視点から、子供から高齢者まで、スポーツや健康増進に取り組むことができる場としてまいります。
 次に、2、周辺施設等との連携ですが、イベントの開催やランナー等の公園利用者による更衣室やシャワーの利用など、辰巳の森海浜公園と一体となったにぎわいを創出し、都民の憩いの場としてまいります。
 次に、3、年間来場者目標は百万人を目標としております。
 4、管理運営では、指定管理者制度等による管理運営について、具体的に検討してまいります。年間収支は、現時点での試算では約六億四千万円のマイナスとなる見込みでございますが、今後、運営事業者選定の中で提案を募るなど収益向上策について検討してまいります。
 資料四ページをごらんください。海の森水上競技場です。
 アジアの水上競技の中心となる国際水準の水上競技場として、アスリートの強化、育成と水上競技の裾野拡大を図ってまいります。
 後利用では、年間三十大会を開催するとともに、都民に水上スポーツ体験や水上レジャーの機会を提供してまいります。
 また、海の森公園(仮称)と連携し、施設の一体的利用、連続性のあるランニングコースの設定など、臨海部の新たなにぎわいの場としてまいります。
 年間来場者目標は三十五万人でございます。
 今後、指定管理者制度等による管理運営について、具体的に検討してまいります。年間収支は約一億六千万円のマイナスとなる見込みでございますが、今後、収益向上についてさらに検討してまいります。
 資料五ページをごらんください。有明アリーナでございます。
 東京の新たなスポーツ、文化の拠点として、質の高いスポーツ観戦機会を提供するとともに、コンサートの開催など、文化の発信拠点としてまいります。
 後利用では、国内外の大規模大会を年間十大会開催するほか、メーンアリーナに一定期間、仮設の木製床を設置し、各種競技大会等で活用してまいります。さらに、都民に魅力的なエンターテインメントや身近なスポーツ実践の場を提供いたします。
 また、隣接する公園と連携し、ランニング、ウオーキングコースの設定やイベントの開催など、都民の健康づくりとにぎわいの空間を提供してまいります。
 年間来場者目標は百四十万人でございます。
 管理運営では、コンセッションについて引き続き検討してまいります。年間収支は約三億六千万円のプラスとなる見込みでございますが、一層の収益向上について検討してまいります。
 次に、資料六ページをごらんください。カヌースラローム会場でございます。
 国内初の人工スラロームコースとして、アスリートを強化、育成するとともに、水上スポーツや水上レジャーの機会を提供してまいります。
 後利用では、年間七大会を開催するとともに、水上スポーツ体験やラフティング、水難救助訓練など多目的に利用してまいります。
 また、隣接する公園内のホテルや水族園を初めとした施設と連携し、例えば、共通チケットの導入について検討するなど、にぎわいを創出してまいります。
 年間来場者目標及び管理運営については記載のとおりでございます。
 次に、資料七ページをごらんください。大井ホッケー競技場でございます。
 ホッケーを初めとした多目的球技場として、ホッケーの競技力強化、普及振興と、都民がさまざまなスポーツを行うことができる場としてまいります。
 後利用では、国際、国内大会を年間二十三大会開催するとともに、さまざまなスポーツ大会や練習で利用してまいります。また、屋外プログラムやイベントの実施などにより、公園全体として総合的なスポーツ、レクリエーションの拠点としてまいります。
 年間来場者目標及び管理運営は記載のとおりでございます。
 次に、資料の八ページをごらんください。アーチェリー会場です。
 アーチェリーを中心に多様な活用の機会を提供していくため、アーチェリーの主要大会の会場として活用するとともに、都民に憩いの場を提供してまいります。
 後利用では、主要な国内大会を年間二十大会開催するほか、自由に利用できる芝生広場を提供してまいります。
 また、東京スポーツ文化館を初め、公園内の施設と連携したイベントやスポーツ教室など、幅広いプログラムを提供いたします。
 年間来場者目標及び管理運営は記載のとおりでございます。
 なお、参考資料といたしまして、新規恒久施設の施設運営計画の冊子をお手元にお配りさせていただいております。後ほどお目通しいただければと存じます。
 説明は以上でございます。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 それでは、私から、三つの案件につきましてご報告させていただきます。
 まず、大井ホッケー競技場の整備についてでございます。
 大井ホッケー競技場につきましては、現在、競技団体等と意見交換しながら実施設計を進めているところでございますが、概要がまとまりましたので、ご報告させていただきます。
 お手元の資料第3号をごらんください。計画地は、品川区と大田区にまたがる大井ふ頭中央海浜公園内でございます。
 施設概要ですが、同公園内の第一球技場等にメーンピッチを新設するとともに、第二球技場を改修いたしまして、サブピッチを整備いたします。
 二ページをごらんください。整備概要についてでございます。
 公園の配置図と今回整備するメーンピッチ、サブピッチの位置を示してございます。
 まず、メーンピッチでございますが、恒設スタンドといたしまして、約二千六百席を新設し、大会時には、これに加えて約七千四百席の仮設スタンドを設ける計画となってございます。
 資料左上が新築するメーンスタンドのイメージでございます。メーンスタンドには、観客席のほか、更衣室、事務室等を配置してございます。また、照明塔と人工芝フィールドの整備を行います。
 次に、サブピッチにつきましては、既存の第二球技場を改修して整備いたします。現状の約五百席に加え、大会時は約四千五百席の仮設スタンドを設ける計画となってございます。
 既存の第二球技場は、平成八年のオープンから二十年を経過していることから、スタンドの内外装や設備の改修に加えて、エレベーターを一台設置するなどバリアフリー化を図ることとしております。また、照明塔と人工芝フィールドの改修を行います。
 なお、メーンピッチ、サブピッチとも、ホッケーを初め、サッカー、ラクロス、アメリカンフットボール等のさまざまなスポーツで利用できる広さを確保いたしました。
 恐縮でございますが、一ページにお戻りください。全体整備費についてでございますが、約四十八億円を予定しております。
 最後に、今後の整備予定につきましては、今年度、実施設計の終了後、工事に着手し、平成三十一年六月末の完成を目指して取り組んでまいります。
 次に、有明テニスの森の整備についてでございます。
 有明テニスの森につきましても、大井ホッケー競技場同様、現在、競技団体等と意見交換しながら実施設計を進めているところでございますが、概要がまとまりましたので、ご報告させていただくものでございます。
 お手元の資料第4号をごらんください。計画地は、江東区の有明テニスの森公園内でございます。
 施設概要ですが、資料右下の写真をごらんください。こちらは現在の有明テニスの森でございます。ハードコート三十二面、砂入り人工芝コート十六面、一万人収容の有明コロシアム、クラブハウス、芝生広場がございます。
 二ページをごらんください。大会時の計画を示してございます。
 中央、青色のショーコート1は、恒設で三千席の観客席つきの屋外コートとして新設いたしまして、大会時には、その周囲に仮設施設として観客席二千席を加える計画となっています。また、ショーコート2が仮設施設の三千席の観客席つき屋外コートとして計画されてございます。
 中央、黄色のインドアコート及びクラブハウスですが、既存と同規模のクラブハウスを併設したインドアコート八面として新設いたします。
 右上、緑色の屋外コート〔1〕のエリアには、ハードコート九面を大会基準を満足する南北方向に配置し、整備いたします。
 右下、赤色の屋外コート〔2〕は、ハードコート八面を練習用コートとして整備いたします。
 なお、左側の有明コロシアムにつきましては、招致決定以前に東京都の主要施設の維持更新計画に位置づけられた施設でございまして、大規模改修計画に基づいて、老朽化設備の改修、バリアフリー改修や可動屋根の改修などを実施してまいります。
 三ページをごらんください。大会後の計画を示してございます。
 大会後の利用に当たりましては、ハードコートや砂入り人工芝コートを再整備することによりまして、現状と同数の合計四十九面のテニスコートを確保するとともに、ショーコート2を撤去した後に、芝生広場を回復いたします。
 なお、四ページには、大会後のイメージをつけてございます。
 恐縮でございますが、一ページにお戻りください。全体整備費についてでございますが、約百四十四億円を予定してございます。
 最後に、今後の整備予定についてでございますが、今年度、実施設計を完了後、工事に着手し、平成三十一年七月末の完成を目指して取り組んでまいります。
 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案(その六)についてご説明させていただきます。
 この環境影響評価は、大会の開催に伴う会場施設の整備、運営等による影響につきまして、東京都が任意で自主的に実施する環境アセスメントでございまして、東京都環境局の指針に基づいて実施するものでございます。
 今回は、大井ホッケー競技場及び有明テニスの森の二施設についての評価書案を作成いたしました。
 初めに、大井ホッケー競技場についてご説明いたします。
 お手元の資料第5号、評価書案の概要版三ページをごらんください。ここから一六ページまで、今回の環境アセスメントの対象である大井ホッケー競技場の概要及び計画の内容が記載されてございます。
 続いて、三二ページをごらんください。評価の項目と評価の結論が記載されております。
 表の項目にございます1、生物の生育・生息基盤から始まり、全体で十五の評価項目がございます。
 1、生物の生育・生息基盤の欄をごらんください。二行目の終わりから記載されておりますように、品川区みどりの条例で示された基準を満たす計画としているなど、評価の指標を満足するものとなってございます。
 続く2、生物・生態系以下その他の各項目につきましても、適切な対応に努めることなどにより、評価の指標を満足するものとなってございます。
 続きまして、有明テニスの森についてご説明いたします。
 お手元の資料第6号、評価書案の概要版三ページをごらんください。ここから一八ページまで、今回の環境アセスメントの対象である有明テニスの森の概要及び計画の内容が記載されてございます。
 続いて、三五ページをごらんください。評価の項目と評価の結論が記載されております。
 表の項目にございます1、大気等から始まり、全体で十八の評価項目がございます。
 1、大気等の欄をごらんください。アの工事車両の走行及びイの建設機械の稼働を要因とする大気等の状況の変化の程度を予測、評価いたしました。
 その結果、工事用車両の走行、建設機械の稼働、どちらの要因につきましても、大気等の状況の変化は環境基準値を下回る結果となっております。
 続く2、生物の生育・生息基盤以下、その他の各項目につきましても、適切な対応に努めることなどにより、評価の指標を満足するものとなってございます。
 本評価書案につきましては、後日改めて東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック環境アセスメント評価委員会に報告する予定となっております。
 また、本日ご報告した評価書案につきまして、五月三十一日までの期間で都民意見の募集を行っております。
 いただいた意見に対しまして、実施者としての当局の意見見解書をまとめまして環境局に提出し、評価委員会において評価書案の審議が行われます。
 その後、環境局長の審査意見書を反映させた評価書を作成して環境局に提出し、公表いたします。
 説明は以上でございます。

○高島委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 それでは、資料要求はなしと確認させていただきます。

○高島委員長 次に、報告事項「Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドライン」について外五件に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○川松委員 二〇二〇年東京大会は、障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめる大会にすることが重要であることはいうまでもありません。さらに、この二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、東京が変わっていくことが大切なんだと私は思っております。
 その一つのきっかけとして、このガイドラインは重要な位置づけに当たると思っておりますが、まず初めに、今回報告に出てまいりましたガイドライン策定の意義について教えてください。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドライン、以降、簡単にガイドラインといわせていただきますが、ガイドラインでは、その策定の目的として、大会に向け、準備の初期段階からアクセシブルな環境整備を行うことを掲げております。
 そして、この大会準備の取り組みを通じて、大会に直接かかわらない方々にも、ガイドラインを活用した自主的な環境整備に取り組んでいただくことで、レガシーとしての共生社会の実現を目指すものでございます。

○川松委員 ありがとうございます。ガイドラインの意義だったり概念というものは理解できましたが、このガイドラインの存在というのは、今の状況では都民の皆様には一般に知られていないわけであります。
 各論に入る前に触れておきますけれども、ダイバーシティーというそのシティーは、小池都政の目指す三つのシティーの一つに入っています。これ、今の意義はわかったんですけれども、整備しなければならないことがたくさんあるから、今ガイドラインがあって、そこに向けてきょうの質疑もこれから入っていくわけですが、二〇二〇年大会を契機に、本当に東京がユニバーサルデザインのあるまちづくりを実現させるためには、ハード面だけでなくて、この意義をみんなが理解する、そのソフト面の充実というのが大切になってきます。それには東京中、あるいは日本中の皆さんのマインドというのが変わっていかなきゃならないのかなと思っています。
 このたび、アクセシビリティ・ガイドラインに基づいて、きょうはこうやっていろんな委員の皆さん方の質問があると思いますけれども、このガイドラインに載っていることが当たり前になる、ガイドラインに載っていることが今現在できていれば、ハード面の整備をこれからすることも必要ない、みんなが思っていたらソフト面の整備も必要ないわけです。
 そういう社会をこのガイドラインを通じて、できれば二〇二〇年大会より前に実現させたい。二〇二〇年大会までもつれてしまったら、それを契機に、本当に東京が世界で一番の都市になるというのは、そういうことだと思います。ぜひ皆さん方におかれましては、広く周知していただきたいと思います。
 さて、そこで、都もこのガイドラインの理念に沿って大会準備を進めていく立場でありますが、去年、会場見直しに伴うコスト縮減というのが検討された中で、一部の施設でエスカレーターなどの削減を検討しているという話を漏れ聞きました。アクセシビリティ・ガイドラインの理念には合致しないんじゃないかというこの見直し案なんですが、具体的に有明アリーナで削減を検討しているエスカレーター等はどうなっているのかお伺いします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 昨年行いました会場の見直しは、大会に向けたラストチャンスとして総合的な検討を行ったものでございます。
 現在、整備内容や整備費の変更につきまして、受注者等との協議や詳細の設計を行っているところでございまして、夏ごろには各施設の見直し後の整備費を取りまとめてまいります。
 この中で有明アリーナにおきましては、都民の利便性を確保するよう、予定どおりエスカレーター等の整備を行う方向で検討を進めております。

○川松委員 これ、今の答弁、大変重要でして、今の話だと、エスカレーター等は戻すことが前提になると。すると、年末に小池知事が四百億円削減したと発表した数字が変わってくる可能性があるということがわかりました。あの発表は一体何だったのかなという疑問が残るわけです。
 レガシーとして残せるトータルな環境整備は必要です。アクセシビリティ・ガイドラインに適切に対応することが必要で、そのために工事費の増額が必要となることもあるんじゃないかと多くの皆さんは今感じていると思います。
 そこで、有明アリーナは、アクセシビリティ・ガイドラインへの対応、現状どうなっているのか教えてください。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 ガイドラインにつきましては、昨年一月に、建物の設計段階で必要となる項目が先行的に暫定基準として示されております。これを踏まえまして、車椅子の大きさ等を考慮した出入り口のドア幅や、観客席に占める車椅子席等の比率、機能分散したトイレの設置など、常に基準を満たすよう設計を進めてまいりました。
 ガイドラインの対応につきましては、整備費の範囲内で適切に対応できるものと考えております。

○川松委員 ありがとうございます。ということは、アクセシビリティ・ガイドラインの中身については、しっかりと頭に入れた状態で有明アリーナの整備をずっとしてきているということでありますから、この先もきっちりとやっていただくよう要望しておきます。
 さて、この施設におけるアクセシビリティーだけでなく、この二〇二〇年大会に求められるのは、最寄り駅だったり、バス停だったり、さまざまなところから会場までのアクセスに対しても重要な要素となってくるわけですけれども、アクセスルートのバリアフリー化は、その地域、まち全体のアクセシビリティーを向上させるという一つのきっかけになります。今回、大会の会場がある地域は、物すごいチャンスを今迎えているんだと思います。
 例えば、新国立競技場の道路は、特に歩道が狭いこともあって、大きな大会の後、いわゆる旧国立競技場のときですけれども、いつも道路が混雑しています。私が見ていて、使用者が使用しにくく、アクセシビリティーが確保されている状態とはいえないなと感じておりますけれども、実際に、二〇二〇年大会、さまざまな混雑が予想されるわけですが、会場に至るアクセス経路における障害者のアクセシビリティーを皆さん方はどうやって確保していこうとするのか。その考えを教えてください。

○片寄オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 ガイドラインでは、障害者などアクセシビリティーに配慮が必要な観客も支障なく移動できる環境を実現するため、駅から会場に至るアクセシブルルートを選定し、ルート上の施設についてガイドラインに定める水準を確保することとしております。
 また、その確保策につきましては、まず、大会のレガシーとなるよう、恒常的な環境整備について検討し、それが困難な場合、仮設による整備、もしくはソフト的対応を検討することとしております。
 この原則を踏まえ、混雑時における障害者へのアクセシビリティーの確保については、歩道の拡幅などの対策を検討した上で、それが困難な場合は、車道等への仮設の歩行者空間の設置、車両による移動支援やボランティアによるサポート等を検討してまいります。
 今後とも、大会組織委員会、道路管理者等と緊密に連携し、障害者のアクセシビリティー確保策を着実に検討、実施してまいります。

○川松委員 ありがとうございます。まさに先ほど私いいましたけれども、ソフト面ということになると、何かの試合が終わる、そこから駅に向かっていく中で、今の日本の人々というのは、早く電車に乗ろう、早く帰ろう、急ぐような傾向がよく見られるわけですが、やはりそのときに、近くで困っていらっしゃる方がいたら助けてあげる、今、ボランティアという言葉もありましたけれども、ボランティアや大会運営の皆さんだけじゃなくて、そこに来た観客の皆さんと一つになって、そのアクセシブルルートを確保していく、そういう普及活動もぜひしていただきたいなと思います。これ重要なことですから、よろしくお願いします。
 施設におけるアクセシビリティーの中で、ずっとここ何年か、この大会があるからではなくて、ずっと感じていることがあるのでひとつ聞かせていただきたいんですが、ガイドラインにユニバーサル仕様のトイレの記載はありますが、これ自分自身の体験からいうんですけど、まち中に乳幼児対応の機能を持った男子トイレがほとんどないんですね。女性のトイレにはおむつを交換するベビーベッドは大体いろんなところにあるんですけど、男性のトイレにほとんどない。こういう社会も変えていかなきゃいけない。二〇二〇年がきっかけになると思います。
 そこで、男性も育児を行っていくというその社会づくりの中で、乳幼児対応のベビーベッドなどの設備がある男子トイレを私は整備すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 都が新設する会場のトイレにつきましては、ガイドラインの基準を踏まえるとともに、アクセシビリティーワークショップでの障害者の団体の意見なども参考にし、配置を検討しております。
 具体的には、さまざまな障害を持つ方、高齢者、子育て世帯が利用しやすいよう、車椅子対応トイレ以外にも、手すり、オストメイト用設備、ベビーチェア、ベビーベッドなどの機能を持ったトイレを分散して配置していくこととしております。
 乳幼児用のベビーベッドにつきましては、男性もおむつがえができるよう、男性、女性それぞれの一般トイレ内に同等に設置するなど、施設内に分散して複数の箇所に設置してまいります。

○川松委員 これはまさにイクメンを応援する施設を東京都がつくっていくということですから、抜かりなくやっていただくようによろしくお願いいたします。
 さて、東京都や組織委員会が整備する会場については、ガイドラインに沿った整備がしっかりと行われていると私は信じております。しかし、今回、二〇二〇年大会で使う施設は、全てが東京都の施設ではありません。民間の会場を使用する、そこに課題も出てくるんだろうと思います。民間の施設の中には、建てられてから時間のたっている古いものも多いわけで、ガイドラインの基準を満たせていない施設もあるんじゃないかなというふうに見ております。
 例えば、私の地元墨田区の両国にある国技館では、アクセシビリティ・ガイドラインにどのように対応したらよいのか不安だとか負担面での心配があるというふうに相撲協会の方からも話を聞いていますけれども、国技館のような民間施設におけるバリアフリー対応整備について、整備主体、あるいは費用負担、どうなっているのかお伺いします。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 国技館などの民間施設における大会に向けたバリアフリー化につきましては、大会組織委員会から施設所有者、管理者等に対し、まずはガイドラインに即した改修工事を依頼し、恒常的な施設としての環境整備について働きかけることとなっております。
 恒常的な環境整備が困難な場合は、仮設による整備や、大会スタッフやボランティアによる人的サポートなどのソフト的対応により、大会時にはガイドラインを踏まえた水準を確保していくこととなっております。
 なお、仮設の経費、役割分担につきましては、大会業務全般の中で、都、国、大会組織委員会の三者で協議を行っているところでございます。

○川松委員 今協議を行っているということでして、この後の質問にもつながってくるわけですが、その仮設の考え方は一体どこにあるのか。大会運営のためだけに、今いうアクセシブルルートなどを設置した場合に、これは仮設になるのか、でも、その後、その施設にとっては重要だといえば恒設になるのか、そういうことを明確にしないと、もう三年後には大会が来るわけですから、その議論をもっともっと活発にしていただきたいと思います。
 これ、民間施設を会場とする場合、今、部長おっしゃったように、組織委員会も絡んでくる話になります。ぜひ、三者協議の中でしっかりとした協力や支援が必要だということですから、皆さん方の中で議論して、慎重かつ丁寧に各民間の皆さん方とも議論していただきたいと思います。
 そこで、きのうあたり出てきましたのが、民間施設ではなくて、他の道県の施設についての話が出てきました。費用負担の金額がどうなるのか、皆さん心配になっていて、各知事さんが怒っているわけであります。
 ちょっと前提でお聞きしたいんですが、まず、費用負担の目標を年度末とされていた理由を教えてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 東京大会の直近の大会となりますリオデジャネイロ大会の状況なども踏まえまして、大会準備に万全を期していくため、年度内を一つの区切りとしたものでございます。

○川松委員 その一つの区切りが、三月だ、何月だということではなくて、地方自治体の首長さんにとっては、三月末までに出していただきたかったという思いもあると思いますよ。議会で予算を通すのは三月末ですよね。それまでに、もし各県が大きな金額を負担することになったら、この都議会でも予算特別委員会が開かれて、各県でもそれをやって大きな費用をつくらなきゃいけなかったのに、三月末までに出てこなかった。この先の作業、首長さんたち大変になるからそういう思いになっていると思います。
 では、部長、三月末までにはという具体的な数字を出して、今まで各皆さん方に訴えてきた、明言してきたにもかかわらず、間に合わなかったことの責任はどこにあるんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 東京都は、開催都市といたしまして、この大会を成功させる責任がございます。
 このため、昨年末に各自治体からの要望を受けまして、知事が提案いたしました各関係自治体との作業チームにおきまして、仮設や輸送、セキュリティーといった業務内容や経費につきまして検討してまいりました。
 この丁寧かつ熱心に作業を行ってまいりました結果、膨大な業務に加えまして、会場となる施設の使用期間や仮設の内容、レベルなどに課題があることが明らかになりまして、引き続きさらに精査する必要が生じたものでございます。
 こうした検討は今後、施設などハード面の工事や、ソフト面の計画などの土台となる重要なものでございます。そのため、この大会成功に向けて前向きで積極的な動きを加速させ、よりよい結論を得るべく、もう少し時間をかけ、きめ細かく関係者間で協議を進めていくこととしたものでございます。

○川松委員 ならば、三月末と明言しなきゃよかったと思うんですよ。しかも、各道県の皆さん方、あるいは民間施設の皆さんにもかかわってくると思いますけれども、東京都の大会に対してご協力いただく皆さんです。それぞれ各会場は、その期間、大会にその施設を貸さなければ、もしかしたらいろんなことが地域発展のためにできるかもしれないけど、今回は東京都がお願いをして、それはもう国家的プロジェクトだから協力をするんだといって、そこまでは皆さん方がいろんなお願いをしてきて、向こうも、じゃあ、やりましょうということで握手した。ところが、その先になってお金の話になったらとまっちゃったら、準備だってとまるわけですよ。だから、現場は、相当今、混乱していると思います。
 二〇二〇年大会というのはゴールが決まっています。そのゴールに向かって準備におくれが出るという心配は今、部長、ありませんか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 例えば、仮設につきまして、本年度の組織委員会におきまして、役割、経費分担の整理はまだついてはいないところではございますが、今年度行います設計の経費を計上するなど、準備におくれが生じないよう対応しているところでございます。
 いずれにいたしましても、役割、経費分担の整理につきましても、大会の成功に向けまして、準備に支障なきよう協議、検討を加速してまいります。

○川松委員 精力的に、前向きに準備していく中において、ではお聞きしたいんですが、今回、大会運営にご協力をいただく北海道、宮城県、福島県、埼玉県、神奈川県、千葉県、静岡県とは、現在どんな調整をされているんでしょうか。

○高野オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 関係自治体等連絡協議会幹事会のもとに、ことし一月、各会場ごとの課題等を抽出し、情報を共有するため、国、組織委員会、関係自治体で構成します作業チームを競技会場が所在します道県ごとに設置しております。
 これまで作業チーム会議を三回開催しまして、各競技会場につきまして、オリンピック・パラリンピックを開催するレベルに整備するために必要な仮設、輸送、セキュリティー等の業務を対象として、業務内容と経費を精査、共有するため、実務的な検討を行ってまいりました。
 昨日、十八日に、第三回までの作業チームの取りまとめにつきまして、関係自治体等連絡協議会幹事会に報告されたところでございます。その中で、三月末までに、大枠の合意が調わなかった理由と今後の大会の成功に向けまして、準備に支障なきよう協議、検討していくことを説明したところでございます。

○川松委員 今の答弁からすると、現場ではしっかり各県とコミュニケーションをとって話をしているということであります。とすると、最終的には、東京都のトップの知事の決断が求められるということになりますね。
 では、局長、この問題、いつごろまでに費用負担の話は解決できるんでしょうか。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 今お話が出ておりますように、二つの会議体といいますか協議体がありまして、一つは、昨年の暮れに関係の自治体の首長さんが要望されて、知事が設置した作業チーム、ここでは、いわゆる今後の土台になるような非常に重要なことを前向きに、積極的に、将来に向けてよりよい結論を得るために、今きめ細かく関係者間で非常に時間をかけて協議を行っていると。
 もう一つは、従来、その役割分担、経費の分担を協議する都と国と組織委員会の三者協議があるわけでありますが、これがやはり大会費用の分担を協議するに当たっては、この作業チームでその土台をつくった上で、それで、その費用分担にかかわる事項についてはフィードバックしてということで、若干三月をちょっと超えるということで時間がかかったわけであります。
 いずれにしましても、今後、仮設施設の整備が本格化してまいりますことから、大会の成功に向けまして、準備に支障がないよう、国に対しても財政面を含めた全面的な支援を求めながら、できるだけ早く合意すべく、都が責任を持って指導的立場で協議を加速して、成案を得ていきたいというふうに思っております。

○川松委員 三月の末に間に合わないというお話は、予算特別委員会でも山崎委員の質問の中で答弁として出ていました。
 これ、局長、できるだけ早くというのはわかりましたけど、いつごろと目標値もなく今作業をされているんですか。これいつごろだというのは、今いえないですか。いえたらお答えください。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 今、仮設の整備が本格化してくるというのは、五月には、やはりいろいろ仮設の、組織委員会が基本設計を行っていくわけですが、それがもう始まってくると。それと、選手村についても、六月に内装の着手が行われるということがありますものですから、そういった日程も見つつ、いわゆる仕事の方は待ったなしで迫ってきていますので、いずれにしても、なるべく早く、そして、当然、我々、何回も申しておりますように、国に対しても全面的な支援を求めるということもあるわけでありまして、そういったことも踏まえて、できるだけ早く大枠の合意に達するように努力していきたいというふうに思っております。

○川松委員 これ、仮設の整備、五月ごろという話でしたけれども、調整担当部長にお伺いしたいんですが、じゃあ、次の会議体はいつ予定されていますか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 現時点では、特に日程の方は定まっておりませんが、先ほども局長から答弁申し上げましたように、五月から仮設の設計に入るということも十分踏まえまして、今後の日程も含めまして調整をしてまいります。

○川松委員 きょう、四月十九日です。もうあと目の前に五月が迫っていますけれども、現時点で会議が決まっていない、でも五月に仮設の準備が始まっていく。これはやはりもうちょっと皆さん気を引き締めてやっていかないと、どんどんどんどん今、外側から、各県の知事が怒っていて、その報道を都民の皆さんは見ています。これお金のかかる話です。小池都政はワイズスペンディングをテーマにしているわけですから、どれだけ都のお金がかかるのか、各県のお金がかかるのか、あるいは民間施設も組織委員会も含めてですけれども、お金の使い方の話をしているんですから、やっぱりイの一番に考えていただきたいなと思います。
 そこで、その状況の中において、全ては開催都市である東京都が主体的となって、どんどん周りの皆さんに対して説明をしていくなり、活動をしていく責任がありますけれども、局長、現在の費用分担に関して決意をお聞かせください。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 昨日開かれました関係自治体連絡協議会の幹事会の場でも、私から直接各県の皆さんに、三月末までに大枠の合意が調わなかったその現状、そして今後、大会成功に向けて準備に支障なき協議、検討をしていくことを改めて説明させていただいたわけであります。
 いずれにしましても、開催都市としての責任を重く真摯に受けとめまして、今後、都、国、組織委員会の三者協議において、なお一層主導的な役割を果たし、関係者の合意につなげていくよう、なお一層努力していく決意であります。

○川松委員 ある県の知事が、小池知事にだまされたという発言をしています。小池知事は都民の代表です。ということは、ある県によっては、都民にだまされたといわれているようなものなんですよ。局長、この言葉は責任が重いと思いますから、しっかりと受けとめて、一日も早くこの問題を解決していただきますよう要望しておきます。
 さて、先ほどの既存施設の話になりますけれども、これは各県にとっても一緒だと思いますが、さまざまな制約によって、アクセシビリティーの確保が困難な場合があること、十分に予想されます。
 一方で、この二〇二〇年大会を契機として、ユニバーサルデザインのあるまちづくりを進めて東京が変わっていこう、これが重要なんだということをきょうは冒頭から申し上げています。
 その中で、ちょっと今、民間施設だとかほかの県は今は議題に上げませんけど、東京都に関していいます。都が実施する既存施設の改修工事に関しては、今後のバリアフリー改修のモデルケースとなるよう取り組みを期待したいんですね。というのも、都立のスポーツ施設のバリアフリー化というのは、障害者スポーツの場を拡充していくという、そういう意味合いも出てきます。
 そこで、標準基準を目指すというだけでも大変な努力と評価いたしますけれども、可能であるならば、推奨基準を目指してほしいと思うんです。
 大会の会場となる既存の都立スポーツ施設のバリアフリー改修について、都はどの程度の整備水準を目指していくのか。この東京都の施設について、基本的な考え方を教えてください。

○藤木オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ施設担当部長 ガイドラインの適用に当たりましては、施設の実情に応じて対応を検討していく必要がございます。
 例えば、既存施設のバリアフリー改修に当たりましては、既存の構造躯体や限られたスペースを有効に活用しなければならず、建築構造上、困難な場合もございます。
 また、スポーツ祭東京二〇一三に際して行った改修などにより、一定程度のバリアフリー化が図られている場合には、将来の更新時期を捉えて、必要な改修を行ってまいります。
 こうした施設の特性や今後の更新予定を勘案する必要はございますが、二〇二〇年大会の会場となる既存の都立スポーツ施設の改修に当たりましては、二度のパラリンピックを開催する都市として、誰もがスポーツに親しめる社会を実現するため、できる限り推奨基準の実現を目指してまいります。

○川松委員 今、推奨基準というお言葉をいただきました。ですから、ここもやはり各施設いろいろ事情はあります。この推奨基準を目指していただいて、そしてそこをともに利用する人たちがソフト面の充実を図っていく。繰り返しになりますが、この周知徹底をしていただきたいと思います。
 次に、選手村のマスタープラン等についてお伺いをします。
 全てのアスリートにとって、オリンピック・パラリンピック時の選手村というのは、大会の中心であり、アスリートが安心して快適に過ごせるよう、アスリートの皆さんの視点に立った整備が求められるとともに、着実な事業の実施が求められます。
 この事業については、選手村の中身の議論をする以前に、現在その敷地処分価格ばかりが報道で取り上げられて、中身の議論が進んでいないのが現状で、そして、私はそれに対して残念に思っています。
 まず、選手村の事業スキームについて詳しく教えてください。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村の宿泊棟につきましては、都が施行いたします市街地再開発事業において、民間事業者が整備する住宅棟などを組織委員会が大会期間中、一時使用する計画となっております。市街地再開発事業の実施におきましては、施行者にかわって建築の主体となる特定建築者を選定いたしまして、民間の資金とノウハウを有効に活用して、建物を整備いたします。
 選手村の整備につきましては、大会までの限られた期間内に大規模な建築工事を着実に、確実に遂行すること、また、ガイドラインに基づきまして、選手村仕様に対応した建物を整備すること、また、整備期間中に選手村としての一時使用があるため、分譲、賃貸による資金回収に長期間を要することなど、一般の開発とは条件が大きく異なる特殊性がございます。
 これらを踏まえまして、今後、関係者と連携しまして、着実に事業の実施を図ってまいります。

○川松委員 今、部長の答弁にありました特殊な事情というのがなかなか世に伝わっていなくて、理解されていないところであります。そこもきっちりと説明を果たしていく責任があろうかと思います。
 また、選手村に関して、民間事業者というのは、大会成功の鍵を握る物すごく大切な社会的責任を負っているわけです。さまざまなハードルがある中で、今回の大会運営の事業に参画してくれた、その民間事業者の思いというのは確認させていただきました。
 次に、これは選手村の整備に関して、私のところにもいろんな競技関係者から来ていることでお聞きしたいんですけれども、立候補ファイルに四百メートルトラックを設置するというふうに記載されていました。ところが、現在それがなくなっています。このなくなった経緯について、詳しく教えてください。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村の整備に当たり、都と組織委員会は、アスリートファーストの視点に立って選手等の意見を聞くとともに、IOCと協議しながら選手村の検討を進めてまいりました。
 IOCからは、オリンピックアジェンダ二〇二〇で示された経費削減、また、既存施設の最大限活用等の方向性を踏まえまして、選手村において必要な施設としては、ジョギングコースなどであるとのアドバイスを受けているところでございます。
 こうしたことから、組織委員会におきましては、立候補ファイルにあった四百メータートラックについては整備しない方向で検討を進めておりますが、晴海ふ頭公園の水辺に面した緑の空間を活用しまして、ジョギングが可能なスペースを整備するなど、選手への快適な環境の提供に努めてまいります。

○川松委員 ある競技団体は、この四百メートルトラックができるだろうと思って、さまざまな楽しみだとか準備をしていた団体もあるわけですが、今のお話のとおりです。ですから、ここから先は、IOCとのやりとりや、このアジェンダ二〇二〇を踏まえた経緯は理解させていただきましたので、この先、大会後のレガシーという視点も大切にしていただいて、選手村の整備をしていただくことを強く要望しておきます。
 今後、組織委員会を中心に、選手村の運営計画などの検討が深められてくると思います。そこでは、直近の大会となる去年のリオデジャネイロ大会の経験を踏まえたアスリートの視点が重要ではないかと考えます。
 そこで、リオデジャネイロ大会に出場したアスリートの経験や知見について、皆様方はどのように把握をされて、そして選手村にフィードバックさせていこうとしているのか、その考え方を教えてください。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 組織委員会では、オリンピックやパラリンピックに出場経験のある選手で構成するアスリート委員会を開催し、選手の意見を聞いているところでございます。
 この委員会の活動の一環といたしまして、リオ二〇一六大会に出場した日本代表選手に対しまして、選手村や食事などの各種サービスについてアンケート調査を行っております。
 選手村につきましては、例えば、選手村での生活そのものがアスリートにストレスを与えないようにすることが重要など、アスリートが競技に集中できる環境整備についての意見が寄せられているところでございます。
 引き続き組織委員会と連携し、アスリートの経験や知見を生かしながら、選手村整備を着実に進めてまいります。

○川松委員 私もリオデジャネイロ大会に行って、そして選手村の中もぐるぐる回らせていただいて、もちろんアスリートの皆さんの意見も聞きました。あるいは大会に携わっているスタッフの皆さん方、IOCの皆さん方の話も聞いてくる中で、メディカルセンターの設置、リオデジャネイロ大会のときには、こういうところにメディカルセンターを置くなんていうのはちょっと考えられないなというお医者さんのお話を聞いたり、あるいは先ほど選手村の整備の中で民間事業者の協力という話がありましたけれども、選手の中には、自分のベッド、こだわりのベッドじゃなきゃ眠れないんだとか、このソファーじゃないとくつろげないんだということで、コンテナに荷物を載せて選手村に運んでくる方々もいる。
 リオのときには、選手村の敷地は広大で、そのコンテナが山のように積んであったわけですが、今、晴海にそのコンテナを積むスペースがどれくらいあるのか。リオと比較すると、とてつもなくスペースが狭いんじゃないかなと思っています。ですから、港に着いてから、そのコンテナをどうするかという計画も、これも必要になってくると思います。
 あるいは、こんなこともいわれました。次の二〇二〇年の東京というのは魅力的だと。何が魅力的かといったら、行きたいまちがいっぱいあるというんです。その選手村の近くに銀座がある、六本木がある、渋谷がある。つまりは、選手たちがそこに遊びに行く可能性があるわけですね。遊びに行ったときに、帰ってきて、余り楽しいまま帰ってこられると、あす試合を控える選手たちの防音対策もしっかりしてくれという要望もありました。今、日本の選手団の話を聞いたという部長の答弁がありましたけれども、いろんな角度から選手の話を聞いていただきたいと思います。
 そして、選手村の食堂について。食材の明示というのが明確にされていないと、宗教上等の理由から、私はこの食べ物を食べていいのかな、だめなのかなという判断がすぐできない場合があるというふうにリオでは聞きました。ぜひ東京大会では、そういった選手のストレスも軽減できるような工夫というのをしていただきたいと思います。
 リオデジャネイロ大会から皆さん方もさまざまなことを学ばれたと思います。この学んだ教訓を生かしながら、引き続き選手村運営計画の検討をより深めていただくことを要望し、選手村の質問を終わりとします。
 次、最後になりますが、この四月以降というか三月の末から四月にかけて、都政改革本部において、さまざまな入札契約案件についての改革案というのが示されました。私、二〇二〇年という、先ほどもいったようにゴールが決まっている中で、今回の案が出たこと、大会運営が危ないんじゃないかなというふうに心配しているわけです。
 入札が調わない可能性が出てくる。そうすると、どんどん工事がおくれていく。ましてやそれが二〇二〇年大会に影響すると思いますけれども、都政改革本部の皆さんは、今回の入札契約制度の改革というのを表に出す以前に、オリ・パラ局の皆さん方にヒアリングをされたんでしょうか。教えてください。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 委員お尋ねのようなヒアリングは、当局は受けてございません。

○川松委員 それはいろんな、都政改革本部と皆さん方局の関係というのはあるかもしれませんけれども、やっぱり現場の実情というのは、特別顧問といわれている皆さんを初め都政改革本部の皆さんに伝えるべきだと思います。
 今のあの案ですと、これが実際に今回、大会運営にかかわる施設に適用されるかどうかはまだわかりませんけれども、適用された場合に、一者入札だったらその入札はもう一回やり直しになるとか、さまざまな条件がついているわけですね。その都度その都度、今でもぎりぎりに、プレ大会に間に合うのか、どうなのかという話をしながらやっている中で、突然出てきた案です。
 もし、入札契約制度によって工期がおくれる、でもゴールは決まっているといったときには、実は想定していた以上のお金もかかる可能性もあるわけですから、これは、ワイズスペンディングの観点からオリンピックを運営していくということになると、ちょっといかがなものかなと思います。
 今、私たちは、何が一番必要か、何をなすべきか。それは、万全の体制で準備を整えて、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会を迎えることです。特殊な状況の中にあるわけですから、その意見というのも皆さんどんどん上に上げていただきたいと思うんですね。一日も早く今とまっていることを、先ほどの費用分担のこともそうです、施設を計画することもそうです、前に進めていくことが何よりも大切なんです。にもかかわらず、たまたま東京都政には七月に都議選を控えています。そこで、この選挙を中心にさまざまな計画を考えていらっしゃる方がいるともいわれています。でも、それが果たして都民ファーストの観点から、ワイズスペンディングの観点から正しいのか。よく考えるべきだと思います。
 二〇二〇年の大会というのは、たとえ選挙があろうとなかろうと、今やらなきゃいけない問題がたくさんあるんです。ぜひ、大会準備のゴールは決まっているんだという思いで、ここにいらっしゃる皆さん方、全部思いを一つにして、おくらせることなく、二〇二〇年に向けて大会準備を前に進めていただく。そのことを局の皆さん、そして委員の皆さん、メディアの皆さん、都民の皆さん、全ての皆さんにお願いをして、私の質問を終わります。

○吉倉委員 それでは、私は、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインについて質問いたします。
 このガイドラインは、全編を通して、今後の大会運営におけるハード、ソフト両面のバリアフリー化について、各項目にわたり十分に検討されたものと受けとめております。今回、ガイドラインの策定に当たり、障害者団体等の現場の意見を聴取され、障害者の方々の生の声を反映している点を評価したいと思います。
 その上で、特に視覚障害者への配慮について何点か確認をしておきたいと思います。
 私は、昨年十一月十一日の当委員会における質疑の中で、日本ブラインドサッカー協会の松崎事務局長からの要望を通して、次の点を検討すべきと質問いたしました。
 すなわち、観客の中には視覚障害のある方々もいるため、観客席に向かう階段には手すりが必要であること、さらに、弱視の方が階段を踏み外すことがないように、注意喚起のために段差ごとにカラーのテーピングが必要だということ、また、車椅子利用者のために緩やかなスロープや多目的トイレが必要不可欠だということ、こうした細やかな配慮を検討すべきと指摘をいたしました。
 そこで、このガイドラインは、大会に向けて視覚障害者も含めた全ての人々にとって使いやすい環境を整備していくためのものであるというふうに思いますが、どのような考えに基づいて策定したのか、まず見解を伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインは、障害の有無にかかわらず、全ての人が参加しやすい大会となるよう策定したものであり、その背景にある基本原則として、一、公平、全ての人々が、個人の身体的、機能的な状態に関係なく、同じ水準のサービスを受けること、二、尊厳、大会時の施設やサービスを利用する全ての人々を尊重し、その個人の尊厳を損なわないこと、三、機能性、障害のある人を含めた全ての選手、観客等のニーズを満たすことの三つを掲げております。

○吉倉委員 基本原則についての答弁をいただきました。
 さて、具体的に視覚障害者の立場に立ったときに、仮設施設の場合、踏み面の幅が階段の全幅に足りていないことがあります。その場合、視覚障害者は階段の端を歩こうとしたときに、階段を踏み外す原因になります。
 ガイドラインでは、階段の幅についての記載はありません。また、踏み面はぬれると滑りやすい素材のものがあり、視覚障害者にとっては危険です。階段の素材は、ぬれても滑らないものにすべきだと思いますが、どのように整備を行っていくのか、見解を伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインでは、階段の段鼻について、滑りにくい仕上げや材料を使用しなければならないという規定がございます。
 階段の表面についてはガイドラインに規定がないため、国内法令等に基づき整備を行うこととなりますが、バリアフリー法において、粗面または滑りにくい材料で仕上げることと規定されており、滑りにくい材料等を選定して整備していくこととなります。

○吉倉委員 仮設施設については、組織委員会が整備をしていくものでありますけれども、今後、階段については、視覚障害者の立場に立って十分に検討すべきと要望しておきます。
 また、ガイドラインの技術仕様の中に、つまずきの危険源の除去という項目があります。白杖を利用している方々から、白杖を利用しても突出物が感知できない場合があると、このようにお聞きしました。例えば、小さなサイズの車どめ等であります。白杖を左右に振り子のように振りながら歩くわけですけれども、地面からの突起物が感知できずに通り過ぎようとして、つまずきや衝突をする場合があります。
 そこで、白杖を利用していても突出物が感知できない場合について、どのように対応していくのか、見解を伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインでは、通路には原則突出物を設けないこととし、やむを得ず設置する場合は、視覚障害者がつえで感知できる衝突防止策を講ずることとしております。
 通路における突出物には、壁からの突出物と地面からの突出物が考えられますが、衝突防止策の例として、壁からの突出物に対しては柵の設置、地面からの突出物に対してはその周りの床の仕上げ面を周囲と変えることなどがございます。
 これらの対応に加え、人的サポートも含めて、視覚障害の方にも安全に観戦していただけるよう努めてまいります。

○吉倉委員 ありがとうございます。壁からの突出物については柵を設置する、また、地面からの突出物に対しては外周の仕上げの面を周囲と変えると、こういうことであります。ぜひ効果のある工夫をお願いしたいというふうに思います。
 次に、刊行物等の視覚障害者への情報補完の手段について伺います。
 ガイドラインでは点字について触れておりますが、視覚障害者の全ての方々が点字を読めるとは限らないため、音声や拡大文書の準備が推奨されております。同時に、視覚障害者の中には、ウエブサイトにアクセスして、音声読み上げで情報を得た方がいい人や、あるいはテキストデータで配布をされたほうが助かる人もおります。
 刊行物については印刷物を渡すだけではなく、ほかの代替手段も検討すべきと思いますが、見解を伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 視覚に障害のある方も必要な情報にアクセスできるよう、ガイドラインでは、情報発信の手段として、文字による文書だけでなく、点字資料や音声及び拡大形式の文書の提供のほか、読み上げソフトに対応したテキストデータによる情報発信を行う必要があると記載しております。
 これらを踏まえ、大会にかかわる具体的な情報発信手段につきまして、組織委員会が検討を行うものでございます。

○吉倉委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 さらに、視覚障害者のための実況解説放送サービスについて伺います。
 実況解説による視覚障害者向けの情報補完は、実況やナレーションが通常のものと異なり、視覚障害者へ向けた十分な配慮と工夫が必要であります。
 例えば、これまでも私ども公明党が、映画制作の現場の方々の協力を得て、目が不自由でも映画館で映画を楽しみたいと、こういう視覚障害を抱えた方々の願いを実現したことがあります。それは音声ガイドのついた、いわゆるバリアフリー映画であります。これは、目の不自由な方々のためにFMラジオを通じて、せりふとせりふの間の細やかな映像の動きを音声ナレーションで解説するものであります。こうしたバリアフリー映画の認知度が高まり、先般、東京国際映画祭での上映にもつながりました。
 その意味で、視覚障害者のために、実況放送サービスは単に機材を用意するだけではなく、競技観戦を十分に楽しめるようにすべきと考えます。見解を伺いまして、質問を終わります。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインでは、視覚障害がある参加者のためのコミュニケーション支援の例として、実況解説放送サービスについて記載しております。また、音声案内の望ましい要件として、騒音環境、明瞭度、話す速度に加えて、的確な内容にも留意するよう規定されております。
 具体的には、組織委員会が検討を行うものでございます。

○今村委員 それでは、私からも質疑を行わせていただきたいと思います。
 私の方は、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインについて質疑をさせていただきたいと思いますし、そのほかの点につきましては、小山副委員長、それから野上理事からも質疑をさせていただきたいと思います。
 さて、ちょっと質疑に入る前に、今もいろいろと議論がされていますけれども、この二〇二〇年東京大会を成功させるために、私たちもこうした議会の中の議論を通じて、しっかりと着実に歩みを進めていきたいというふうに思っておりますし、職員の皆さんも同じ気持ちで行っていただいているというふうに思います。
 また、都民を初め日本中、そして世界中の皆さんに、この二〇二〇年大会に対して機運を醸成していく、その取り組みもともにさせていただいているところであります。
 きょうは、ここに東京新聞さんの記事をコピーしてまいりましたけれども、四月十八日の夕刊、それから、四月十九日のきょうの朝刊の中のスポーツ欄について記事が出ております。皆さん、もうご承知のことというふうに思いますけれども、東京マラソンもそうでありますが、大変伝統のあるボストン・マラソン大会におきまして、大迫傑選手が三位に入賞したということで、日本男子の表彰台は一九八七年の大会を制した瀬古選手以来、三十年ぶりという快挙でありまして、大変うれしいニュースであります。
 この大迫選手は、昨年のリオ大会では、五千メートル、それから一万メートルに出場されております。実は町田市の出身でありまして、まさに東京ゆかりの選手であります。大迫選手は、またことしも町田市では子供マラソン、これはオリンピック・パラリンピックの機運醸成について、東京都と一緒に取り組みをさせていただいておりますけれども、町田市の職員など、それから学校の先生方も大変有名な話ですけれども、大迫君が当時、この子供マラソンに出ているときは、ぶっちぎりで過去の記録を塗りかえていて、大迫選手が競技場に入ってくるときは、誰もその後をついてこられないというような、大変当時から、何せずば抜けて速い、当時はそんな生徒さんであったわけであります。
 また、東京ゆかりの選手という意味では、これから東京大会のマラソンにも大きな期待がかかると思いますけれども、町田市においては、不思議なことに同じ公立学校の卒業生である関根花観選手も今、陸上でトレーニングを積んでおりますので、ぜひ期待をしたいと思いますけれども、そうした大変うれしいニュースが入ってきましたので、ともにしっかりときょうの議論も踏まえて、二〇二〇年大会の成功に向けて取り組みを進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 さて、このTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの策定に当たりましては、協議会を設置し、障害者団体などの意見を聴取したということであります。
 そこで、具体的には何回開催されたのか伺いたいと思います。障害者団体の意見を聴取したということでありますけれども、障害者は愛の手帳保持者、そしてまた身体障害手帳保持者でも、等級や度数やさまざまな障害の種別の違いによって、対応の仕方は全く違ってまいります。障害当事者の意見を聞き、反映させることは当然でありますけれども、この過程は丁寧に行うべきと考えます。
 そこで、どのような団体から意見を聴取したのか伺い、さきに述べたように、障害の種別は多岐にわたり、程度の違いもあります。そのことを考えれば、障害当事者間においても求めるアクセシブル対応が違って、意見が対立することもあるかというふうに思います。障害当事者の方々の合意形成もどのように確認をされたのか伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインの策定に当たりましては、平成二十六年十一月、国、組織委員会とともに、障害者スポーツ団体及び障害者団体から、代表的な三団体もメンバーとするアクセシビリティ協議会を設置して検討を進め、その開催回数は平成二十八年六月までに四回でございます。
 その間、同協議会のもとに実務者で構成する部会や、検討テーマごとに、より細やかな議論を行う作業部会も立ち上げて、検討内容の深化、調整を図ってまいりました。
 また、意見聴取した対象は、二十にわたる障害者団体等に加えて、バリアフリーに造詣の深い学識経験者や、交通事業者、サービス事業者といった関係業界団体にも及んでございます。
 集約した要望、意見は、可能な限りガイドラインに反映し、最終的にアクセシビリティ協議会において案を決定し、このたびIPC、国際パラリンピック委員会から承認を得たところでございます。

○今村委員 協議会の議論は四回ということでありますけれども、実務者による部会などで細かな議論と合意形成を行ったことは、このアクセシビリティ・ガイドラインがよりよい内容になったことと思います。
 二〇二〇年東京大会を開催することは、私たちの東京の置かれた現状を冷静に見詰め、よいところをより高いレベルにすることはもちろん、足らざるところは真摯に向き合い、よりよいものへと東京都、さらには日本が進化する大きな意義があるというふうに考えます。
 そこで、本アクセシビリティ・ガイドラインの数値基準について、東京都福祉のまちづくり条例などと比較し、その内容、レベルがより高いものとなるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 都は、東京都福祉のまちづくり条例を初めとした関連条例等において、多数の人が利用する建築物や道路などを整備する際の基準を定め、ユニバーサルデザインの理念に立ったまちづくりを推進してまいりました。
 ガイドラインの主に建築物に関する項目で設けられている基準は、上から、推奨、標準、その他の三段階となっており、これらは都条例等に設けられている望ましい整備基準、努力基準、遵守基準のレベルとほぼ相応してございます。
 しかし、都条例等では遵守基準以上を適用としているのに対して、ガイドラインにおいては都条例等の遵守基準より上の努力基準に近い標準基準を原則適用としており、大会施設に対しては、より高いアクセシビリティーを目指すものとなってございます。

○今村委員 標準基準は、都条例における遵守基準より上の努力基準のレベルに相当しているということであります。今後は、この本アクセシビリティ・ガイドラインが二〇二〇年大会の準備だけではなく、都の施策全体の標準となるよう、各局に引き継がれることを望みたいと思います。
 さて、二〇二〇年東京大会のアクセシビリティ・ガイドラインは、策定段階においては直近開催のリオ大会と比較されたことと思います。そこで、何か違いがあるのでしょうか、伺います。
 そうした取り組みをすることによって、二〇二〇年東京大会アクセシビリティ・ガイドラインには、独自の項目などが生まれてくると考えます。どのようなものがあるのか伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 IPCは開催都市に対し、各都市の特性等を勘案した上で、IPCガイドに沿ってガイドラインを作成することを求めており、そのため、開催都市によってガイドラインの基準は異なります。
 Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインとリオ二〇一六アクセシビリティーテクニカルガイドラインの違いとしては、例えば、駅における視覚障害者の転落防止対策について、リオのガイドラインでは点状ブロックの設置が規定されておりますが、東京のガイドラインでは、都内の駅の視覚障害者誘導用ブロックの設置率が既に九割を超えているため、ホームドア、可動式ホーム柵等の設置についても推奨しております。
 また、IPCガイドにも記載がない東京のガイドライン独自の項目としては、トイレ機能の分散配置があり、男女共用多機能トイレに利用者が集中することを想定し、障害者団体からの要望、提案に基づいて追加したものでございます。

○今村委員 リオ大会との比較で、点状ブロックとホームドアの違いがあるということでありましたけれども、オリンピック・パラリンピック開催都市の都市環境レベルの違いがよくわかる話でありました。
 また、都のトイレ機能の分散についても、これまで多くの障害当事者が求めてきたことでありまして、きちんと明文化されたことはうれしく思います。
 なお、こうしたトイレなどについては、昨今では都立の支援学校においても、車椅子だけではなくて、ストレッチャーなどで移動する医療ケア児が大変ふえておりますので、そうした子供たち、または大人にも対応できるようなものが今後きちっと明記されていくことも期待をしておきたいというふうに思います。
 こうしたよりよい取り組みなど、アクセシビリティ・ガイドラインに記載をされている基準は、大会会場などの建築物について着実に適用していく必要があると考えます。どのように適用を担保していくのか伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 大会会場へのガイドラインの基準の適用に当たりましては、大会組織委員会が、会場となる施設の管理者等とともに、IPCとの間で照会と回答を積み重ねてございます。
 また、組織委員会は、必要に応じて施設の図面を提示して詳細な確認を行ったり、さらには、アクセシビリティーに関する海外の専門家を招聘し具体的な助言を得るなど、ガイドラインの適用に誤りがないよう努めております。
 今後、都も、会場となる都立施設の整備の進捗状況に応じ、組織委員会を通じて、IPCとの間でこのような確認行為を行うことにより、ガイドラインの水準を着実に確保してまいります。

○今村委員 オリンピックとパラリンピックでは、当然、障害当事者の比率にも違いが出てきます。オリンピックでは問題がなくても、パラリンピックでは不都合が出るようではなりません。
 わかりやすい事例でいうと、車椅子利用者の方の会場アクセスを考える際に、エレベーターなどに利用が集中し、会場まで時間を要することが懸念されます。どのように対応していくのか、このハード面はもちろん、ソフト対策なども考慮されているのか確認をさせていただきたいと思います。

○片寄オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 ガイドラインでは、エレベーターについて、一度に多くの車椅子利用者が集中する時間帯があることを踏まえ、規格や設置数、配置等を十分検討することとしております。また、エレベーターの改修などの施設整備が困難な場合は、ソフト対策等により、サービス水準を確保することとしております。
 このため、現在会場へのアクセス経路になると想定される駅等を対象に、エレベーター設置状況や大会時の車椅子利用者数などについて調査検討をするとともに、鉄道事業者等にエレベーターの改修等について働きかけを進めております。また、必要に応じ、車両による移動支援やボランティアによるサポート等を検討してまいります。
 今後とも、大会組織委員会や鉄道事業者等と緊密に連携し、車椅子の方のアクセシビリティーの確保を図ってまいります。

○今村委員 ありがとうございました。
 最後に意見を述べたいと思いますけれども、ガイドラインの前文には、障害の有無にかかわらず、全ての人々が相互に人格と個性を尊重し合う共生社会の実現に貢献することを目指すとあります。二〇二〇年東京大会アクセシビリティ・ガイドラインが単に今大会だけで終わるのではなく、オリンピックレガシーとして東京の、そして日本のレベルを進化させることを期待するものであります。
 過去大会、参加都市ロンドンでは、公共交通機関に乗れない障害者を対象に、ダイヤルアライドというシステムがあります。このダイヤルアライドは、大会時だけではなく、ふだんから、家から会場までなどドア・ツー・ドアで移送してくれるサービスであります。
 アクセシビリティ・ガイドラインの適用範囲は、大会会場と会場の最寄り駅までなどの経路ということであります。つまり、会場までの最寄り駅まで移動できるということが前提となっています。家から最寄り駅までの移動手段の確保は、障害当事者と公共交通事業者の所管範囲になってしまいがちですけれども、本来、障害の有無にかかわらず、全ての人が同じように移動できる配慮が当たり前にできる社会であるべきと考えます。
 ガイドラインの前文にも、障害の有無にかかわらず、全ての人々が相互に人格と個性を尊重し合う共生社会の実現に貢献することを目指すとあります。ロンドンの事例などを参考にしながら、東京大会が、前文にある社会を実現するきっかけとなるよう、ぜひガイドラインを踏まえたバリアフリー環境を整備するとともに、社会のバリアフリーについても取り組みが進み、インクルーシブ社会となるよう、道路や駅などを所管する関係局と連携しながら、東京都全体で取り組みを進めていただくよう要望し、質疑を終わります。

○畔上委員 それでは、まず、平成二十九年度における競技会場等整備予定の中で、新設する都立三施設について伺います。
 会場整備はどのようになっているのか、改めて私も現場を見てきました。アクアティクスセンターは、今年度、実施設計、準備工事ということなんですが、既に少年サッカー場やラグビー場、子供の広場、こういったところは使用できる状況になっているんですが、辰巳の森公園、ここの多くは壁ができていまして、仕切られていて、大規模な地盤改良工事が施工中となっておりました。
 海の森の水上競技場も、今年度は実施設計を完了し、工事ということですが、現地を見ると、既に一部工事に入っております。
 また、有明アリーナは、今年度はやはり実施設計を完了し、本体工事に入る予定ですが、準備工事で整地された、そういう状況でありまして、それぞれ工事が始まっているという状況でした。
 この都立の三施設の整備費については、昨年末に都政改革チームでの見直しによって、四百億円を削減することとなりました。しかし、今回、ご報告いただいている二〇一七年度予算には、この削減は反映されておりません。見直しが行われる前の昨年の春に設計と工事の契約を既に建設事業者と結んでいたわけですが、その契約変更ができていないことなどが理由と伺っています。
 そこで、まず確認させていただきたいんですが、この都立の三施設、それぞれの見直し前の整備費及びデザインビルドの契約金額、幾らなのかをお示しください。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 アクアティクスセンターの整備費につきましては、六百八十三億円で計画し、このうち調査設計費や工事中のセキュリティーへの対応費、今後追加工事が生じた場合の対応費などを除いたデザインビルドの契約金額が約四百七十億円となっております。
 海の森水上競技場の整備費につきましては、四百九十一億円で計画し、同様に、工事中のセキュリティーの対応費などを除いたデザインビルドの契約金額が約二百四十九億円となっております。
 最後に、有明アリーナの整備費につきましては、四百四億円で計画し、同様に、工事中のセキュリティーの対応費などを除いたデザインビルドの契約金額が約三百六十億円となっております。

○畔上委員 削減額の一番大きい海の森の水上競技場は、見直し前の整備費が四百九十一億円、そのうち二百四十九億円は既に契約を結んでいるということですね。その海の森の場合は、四百九十一億円から見直しで百九十三億円を削減することとなっているわけですけれども、その中には、昨年の十二月に本委員会でいただいた資料によりますと、舗装や植栽の変更、締め切り堤や水門の規模の縮小などが、既に契約されている部分も含まれているということであります。
 アクアティクスセンターでは、座席数減による規模縮小など、また有明アリーナでは、軟弱地盤の対策工事の見直し、内外装、設備の仕様の見直しなどが既に契約済みで、契約を変更しなければならない、そういう部分ということになっています。
 契約の変更には、相手のあることですから、事業者との協議なども必要だということはわかりますが、この三施設における整備費を四百億円削減するという見直しの検討状況、これはどうなっているんでしょうか。いつごろ結論が出るのか伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 現在、受注者等との協議や詳細な設計を行っているところでございまして、夏ごろには各施設の見直し後の整備費を取りまとめてまいりたいと考えております。

○畔上委員 もう少し時間がかかるということでありますが、先ほどの質疑の中に出ていた契約の見直しによってバリアフリー化が後退するということはあってはならないというのは当然のことだと思うんですけれども、その点は同じ認識だということで確認したいんですが、よろしいでしょうか。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 先ほども答弁させてもらいましたけれども、支障がないよう対応してまいりたいと考えております。

○畔上委員 検討している間に工事が進んでいまして、現地を見て、私自身がちょっと思ったのは、見直しの検討が先送りというふうになってしまうと、工事がどんどん進んでしまって、契約変更ができなくなってしまうんではないかということでありました。
 三施設の見直し、今のご答弁では夏ごろには見通しが出るということなんですが、この見直しが適切に設計に反映され、いつごろ契約変更を行うのか、今後の見通しについて伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 既に発注した工事について見直しを行うためには、受注者と丁寧に協議をしながら、実施設計の進捗や工程を踏まえて対応していく必要がございます。
 このため、必要な契約変更につきましては、工事の進捗等に応じて適宜適切に行ってまいりたいと考えております。

○畔上委員 私のところには、やはりこの予算額が変更されていないということで、本当に設計変更で四百億の削減が実施されるんだろうかという都民からの不安の声も寄せられております。
 また、契約の変更、例えば、先ほどいった海の森水上競技場、これでは契約額の二百四十九億円から約二割、四十七億円を縮減するとされているわけです。契約の変更を実際にどのように行ってきたのか、このことについてはきちんと報告をしていただきたい。このことも要望しておきたいと思います。
 また、予備費の減額ということになりますと、結果的には必要にならざるを得なかったなどとなりかねないのではないかといった、そういう心配の声も寄せられています。
 四百億円の減額につきましては、先ほど、もちろん必要なバリアフリー等削減することがあってはなりませんけれども、確実に、この削減については実行するとともに、より一層の縮減に努めていただきたい。そのことを求めておきたいと思います。
 さて、次に、カヌーのスラローム会場整備についてです。
 葛西海浜、臨海公園に隣接します下水道局の土地を使用して、競技施設は恒久施設とし、観客席は仮設とするということですが、カヌースラローム会場の土地は、購入になるんでしょうか、賃貸になるんでしょうか、どういう形での土地利用となるんでしょうか。
 また、現在、この土地には野球場が二面あります。野球場が使えなくなる、このことについては、以前の委員会で私も質疑をいたしましたが、地元区と協議するというふうに以前の委員会で答弁されましたが、協議の状況はどのようになっているんでしょうか。伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 カヌースラローム会場につきましては、下水道局の用地をオリンピック・パラリンピック準備局が使用許可を受けて整備を行うものでございます。
 野球場は、地元区が都の所有する未利用地を一時的に借り受け、設置していたものでございまして、当該土地につきましては、地元区とも協議して、平成二十八年度で使用許可を終了いたしました。今年度、カヌースラローム会場の整備工事の着工を予定しております。

○畔上委員 済みません、使用許可というのは、無償貸与という理解でよろしいんでしょうか。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 使用許可に際しましては、無償での使用許可を受けております。

○畔上委員 そうなりますと、大会後も恒久施設については使用することになるわけですけれども、この土地は大会後も無償貸与という形になるんでしょうか。ちょっとそこだけ確認させてください。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 大会後の使用に際しましては、まだ未定でございます。

○畔上委員 いただいた資料によりますと、現在の野球場一面分は大会後はレガシー施設として使わないことになっていますね。ここに野球場が再整備されるんでしょうか。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 大会後の当該土地の利用につきましては、こちらも未定でございます。

○畔上委員 野球場の代替施設につきましては、江戸川区が責任を持つことになっているようですが、この三月三十一日をもって使用できなくなり、硬式の少年野球チームは今、大変困難を抱えて困っているという実情がございます。
 子供たちは本当に野球が大好きで、コートが使えなくなってもチームを離れたくないと、全員移籍をしないで今も残っているというお話も伺っております。当該野球場は大変貴重な施設であり、しっかりと再整備をしていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 また、代替施設についても区任せにしないで、東京都としても最大限区と連携して、都民のスポーツ要求に応えられるように努力していただくことを望みたいと思います。
 また、葛西海浜公園、臨海公園には、希少なクロツラヘラサギとかヘラサギとかスズガモとか、こういった野鳥も飛来して、自然豊かなすばらしい公園なわけです。環境保全に配慮するために、このカヌースラローム会場も計画変更されて、場所も変え、そして形状もコンパクトに変更された、そういうご努力については評価をしているところです。
 ただ、今回の環境影響評価は、仮設工作物とか、それから大会開催中に係る環境影響要因は対象としておりません。都民が一番、特に近隣の方も含めて心配しているのは、やっぱり現在の葛西海浜公園、臨海公園の自然や生態系への影響なわけです。
 一つ確認しておきたいんですが、観客席やテントなどの仮設工作物も下水道局の土地の部分、ここにつくるということでよろしいんでしょうか。確認だけさせてください。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 組織委員会が設置いたす予定になってございます観客席等の場所でございますが、観客席につきましては、現在の用地の中におさまる予定でございます。
 そのほかの運営につきましては、現在、組織委員会におきまして検討中でございます。

○畔上委員 カヌースラローム会場となる下水道局の敷地にも樹木があるわけですけれども、カヌースラローム会場の緑化計画はどのようになっているんでしょうか。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 緑化計画でございますが、江戸川区住宅等整備事業における基準等に関する条例による地上部緑化面積基準約九千九百平方メートルを満たす約九千九百七十平方メートルの緑を確保してございます。
 具体的には、計画地の南側から西側にある既存の黒松林を現状のまま保全する計画となってございます。
 一部の樹木につきましては伐採することになりますが、新たに高木約二百八十本、中木約二百四十本、低木約二千八百四十本の樹木を植栽する計画となってございます。
 なお、以上の緑化計画は、環境影響評価書案におけます緑の評価指標を満足してございます。

○畔上委員 既存の緑地は保全するということですね。先ほどのご答弁も含めてなんですが、できるだけ樹木の植栽など、緑化を進めていただきたいと思いますし、また、冒頭申し上げたように、野鳥や生息物の保全、これは非常にこの公園にとっては大事なことだと思うので、その点についてはしっかりと、葛西海浜公園、それから葛西臨海公園の環境にマイナスに影響することのないように、ぜひとも配慮をしていただきたいと、そのことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時五分開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○上田委員 まず、東京オリンピック・パラリンピックを目指して、去る三月二十四日に公表されましたTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインについてお尋ねいたします。
 さて、国際空港評議会、通称ACIという世界各国の国際空港管理者が集まる団体がありまして、ACIは各空港の旅客数、貨物取扱量などの統計を発表してサービス状況について調査し、空港ランキングを公表することで知られているそうです。
 ACIの欧州地域事務所、ACIEは、昨年から空港のアクセシビリティーについて表彰制度を設け、初回はアイルランドのダブリン空港がアクセシブルエアポートアワードを受賞したとのことです。
 ACIEとともに選考に当たった欧州障害者連盟のサイトに評価基準が公表されておりまして、一点目は、空港までの公共交通機関、タクシー、バス、電車、地下鉄など、アクセシビリティーに配慮しており、そのことがしっかり表示されているかということであります。
 ACIEらは、空港内のアクセシビリティーだけを評価するという考え方をとっておりません。すなわち、空港は離れ小島のように孤立しているわけではなく、逆に海外からの旅客が一番最初に訪問する、いわば温泉まちのような存在ですから、評価はそこから始まるのだという考え方をしているようです。
 競技施設、ホテル、公共交通が配慮すべきポイントが列挙された今回のガイドラインでありますが、少し足りないかなと思う点がございます。
 といいますのは、観客は東京に滞在し、食事をとり、観光地に出かけるものです。レストランやエンターテインメント施設、神社仏閣などもアクセシビリティーに配慮することが本当のおもてなしになるのではないでしょうか。ACIが空港のアクセスについても評価したような観点が求められているのではないかと考えております。
 そこでまず、東京全体がアクセシビリティ・ガイドラインの理念を共有するために、ガイドラインに盛り込まれていないレストランやエンターテインメント施設、神社仏閣などもアクセシビリティーに配慮するかどうかというような観点について、具体的な方針についてのご所見をお示しください。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインは、組織委員会がIPCの求めに応じて策定する大会運営におけるハード、ソフト両面のバリアフリー化を目的とした指針であり、その適用の対象は、大会関係施設や、駅を含む会場までの経路等、大会運営に必要とされる部分でございます。
 加えてガイドラインは、その策定目的の一つに、大会を契機として大会に直接かかわらない方々にも、ガイドラインを活用した自主的な環境整備に取り組んでいただくことでレガシーとしての共生社会の実現を目指すことも掲げております。
 都では、二〇二〇年に向けた実行プランのダイバーシティー実現に向けた取り組みとして、大会開催を契機にユニバーサルデザインのまちづくりを加速してまいります。

○上田委員 観光客の皆様も、障害を持たれる方も、東京都内中を自由に移動されると思います。
 一方、私たちどもは、IPCだ、やれ組織委員会だ、東京都だという、どうしても縦割りになりがちではございますが、そうした中で東京都が音頭をとって、縦横無尽に観光客や障害者の皆様が都内を移動するように、しっかりとインセンティブをとってアクセシビリティーたる東京を実現していただきたいというふうに思います。
 そして、ウエブアクセシビリティーについてです。平成二十六年、私、総務委員会の事務事業質疑について、二〇二〇年のオリ・パラ開催を迎え、都のホームページは、高齢者、障害者を初め、多くの人々がページにアクセスをして、情報を取得するアクセシビリティーの対応を図っていく必要があると思いますと、平成二十四年度決算特別委員会、二十六年第一回定例会の質疑において、都の各局のホームページのデザイン、コンテンツともばらばらであり、ユニバーサルデザインの対応が求められると指摘をさせていただき、都庁のホームページのウエブアクセシビリティーの改善について、その後、どのような取り組みを行っているのかと確認しましたところ、都は、ホームページデザインなどの一体感の醸成、ウエブアクセシビリティーの改善を図るため、平成二十六年三月に、公式ホームページ作成に関する統一基準を策定、統一基準では、シンボルマーク、問い合わせ先の掲載場所などの配置場所の統一、サイト内検索機能、サイトマップの配置など、ウエブアクセシビリティーへの対応に関する指針を定めてきました。
 各局では統一基準に対応するため、必要に応じ予算要求も行われ、鋭意ホームページの改善も図られていらっしゃいます。
 今後も、ホームページのデザインなどの一体感の醸成に努めるとともに、誰もが必要な情報にアクセスできるアクセシビリティーの対応を強化するため、総務局と事業局、オリ・パラもそうだと思うんですけど、綿密に、緊密に連携を図りながら取り組んでまいりますと回答を頂戴しておりました。
 事ほどかように、庁内においてもウエブアクセシビリティーというものの議論を、ここ三年間ほど重ねてきました。今回のオリンピック・パラリンピックを前に、ウエブアクセシビリティーについては、日本に来る前から観光客は情報を調べようと思います。調べたときに情報が不明であれば、おもてなしも始まりません。
 その点に関しての記述が明記されていないやに思われます。ガイドラインについては、W3Cアクセシビリティ・ガイドラインの要件を満たす必要があるとだけ書いてありますけれども、正確にはレベルAA基準を満たすことが求められるということでございます。ウエブアクセシビリティーの不備が問題となり、訴訟となった海外事例もあり、この点、私はかねてより重要視をしてまいりました。
 この世界基準を満たす予定があるのかないのか、ない場合はどう対応するのか、ある場合はどういった工程を経てウエブ制作をしていくのか、具体的にご説明をください。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインに記載されておりますW3Cアクセシビリティ・ガイドラインとは、ウエブの世界的な標準仕様を定める団体であるワールドワイド・ウエブ・コンソーシアムが発表したもので、その中には、ウエブコンテンツのアクセシビリティーを示すレベルA、レベルダブルA、レベルトリプルAの三つの段階が定められております。
 このW3Cアクセシビリティ・ガイドラインは、技術的、専門的な基準で構成されておりますが、例えば、ウエブコンテンツにおける色のコントラストで大まかに比較してみますと、レベルAは、特段コントラストを強めていない場合でございます。
 レベルダブルAは、中度の弱い視力、先天的または後天的な色弱などの方にとっても、わかりやすいように配慮したコントラストの程度であり、この視力は、おおむね八十歳前後の高齢者の標準的な視力に相応するといわれております。
 レベルトリプルAに関しては、さらに視力の弱い利用者を対象とするコントラストの程度でございます。
 ガイドラインの対象となる組織委員会の大会時の公式ウエブサイトは、レベルダブルAへの準拠を目標とすると公表しておりまして、具体的な制作については、組織委員会が検討を行うものでございます。

○上田委員 やはり高齢になると、障害者と同じように視野も非常に狭くなるということで、ご説明のとおり、これ、AAじゃなくてダブルAですか、を目指すということであります。これも組織委員会に任せて終わりではなく、常に情報連携を図りまして、進捗を東京都の方でも確認をしていっていただきたいと思います。
 また、次には、私がこの委員会で平成二十七年十二月に質疑をしましたガイドラインに即したボランティア育成についてであります。
 私が質問しました内容は、オリンピアン及びハンディキャップを持つ観客の皆様並びにその援助者への対応策をどのように情報共有して対応するのか、また、会場ボランティアの育成に当たり、連携協力をどのように推進していくのかという計画をお尋ねしましたところ、東京都は、大会時に活躍するボランティア人材の裾野の拡大については、国や会場がある他県市が参画する東京都ボランティア活動推進協議会で検討、採用された大会ボランティアに対しては、大会組織委員会がアクセシビリティ・ガイドラインに基づいてトレーニングを行う予定でございますということでございました。
 現時点、この発表されましたところで、進捗を伺いたいと思います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 昨年十二月、組織委員会と一体的に策定いたしました東京二〇二〇大会に向けたボランティア戦略におきましては、大会ボランティアと都市ボランティア全員に、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインに基づく接遇マナー及びダイバーシティーに関する理解促進を共通研修として検討するとともに、競技会場を有する都外自治体と研修の一部を共有化するなど、連携した取り組みを推進していくこととしております。
 今回、IPCより最終承認されましたガイドラインでは、トレーニングの目的、車椅子使用者や視覚障害者等への具体的なサポート方法を記載してございます。
 今年度末には、都市ボランティアの一部を先行募集いたしまして、ラグビーワールドカップ二〇一九で活躍していただきますことから、来年度から計画的に研修が実施できるよう、今後、ガイドラインに基づき、具体的な研修内容等を検討してまいります。

○上田委員 私はかねてより、東京都が推進する都市外交は都市間交流がメーンだというふうに考えておりまして、こうしたボランティアさんが入ることによって、まさに人間同士の交流が、都市間交流が図れるというふうに思っております。
 ボランティアさんの方も、東京のみならず、他県での開催もございますので、広く呼びかけて、これもまた自治体間交流にもつながっていきますので、周知と、そして、ともに協働していくことを希望したいと思います。
 オリンピックは四年に一度しかありませんし、ましてや日本で行う大会ということで、本当に千載一遇の機会であります。であれば、障害があっても、家族や同伴者と一緒にオリンピックを、パラリンピックを楽しんでいきたいというように思われるのは当然でございます。
 これについても、私、かねてより確認をさせていただきましたけれども、今般のガイドラインに基づきましたオリンピック・パラリンピックにおけます同伴者の対応についての進捗をお示しください。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 都が新設する会場におきましては、ガイドライン等を踏まえ、整備を行ってまいります。
 委員からお話のございました同伴者席につきましては、車椅子と同じ数を整備いたしますが、座席を固定せず、スペースを用意しますことで、例えば、車椅子使用者二名と同伴者一名が並んで観戦できるなど、さまざまな利用が可能となるよう計画を行っているところでございます。

○上田委員 また車椅子の件ですけど、スペースが、やはり今の話ですと、苦慮されているかなと思うんですが、前回も、前の委員会でも質疑しましたが、都が想定している車椅子のサイズは日本で流通している標準サイズの車椅子と思われますが、欧米に多く存在されますバリアトリックと呼ばれる高肥満症の方に対応する、本当にお相撲さん用の車椅子というふうに、国技館にあるような車椅子と思っていただければわかるんですけれども、あのぐらいのものが、割と頻繁に乗っていらっしゃる方がいらっしゃいます。
 この高肥満症の方に対応する大型の車椅子、八十センチ以上の車椅子の対応についての進捗についてもお聞かせください。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインでは、リクライニング式車椅子など、一席ではおさまらない車椅子でも観戦できるよう、車椅子使用者用スペースを柔軟に組み合わせて利用できるよう整備することが望ましいという規定を設けてございます。
 ただいまの答弁と重複するところがございますが、都立競技施設では、車椅子使用者用のスペースの横に準備する同伴者席の座席を可動式にするなど、多様な利用形態に対応できるよう検討を進めているところでございます。
 さらに、ガイドラインでは、席の前方と横のスペースを通常の席より広く確保した席を用意することとしておりまして、バリアトリックの方が車椅子から会場の座席に移動して観戦される場合にも対応できるようにしております。

○上田委員 安心させていただきました。同対応につきまして、非常にガイドラインの方はよくできているんですが、先ほども報告がございましたけれども、国立競技場以外の全ての競技場につきまして、ガイドラインの遵守をしていただければというふうに思います。
 また、先ほどのACIEの表彰制度の、ちょっとほかの話なんですが、障害者だけではなく、移動能力が低下した人に対する配慮も評価をしているんですね。老化とともに歩行が遅くなったなど、移動能力が低下した人々は、障害者と認定されるわけではありませんが、高齢になれば誰しもが障害者であると、私も高齢者施設で聞いたことがあります。彼らに対する配慮が空港等では必要不可欠であります。
 また、オリンピック・パラリンピックでは、外国人の観光客が多く見込まれていますから、日本語がわからない彼らへの配慮が不可欠でもあります。すなわち、言葉がわからないというハンデを抱えていることでございます。しかし、ガイドラインには、これに関する言及が競技施設の客席表示が外国人にも認知できるようにという一言しかちょっとなかったようでございます。
 外国人の観光客は、長く東京に滞在し、きっと日本人よりもお金をたくさん使っていただいて、経済効果に貢献していただくことから、彼らが満足して帰国できるよう、競技施設、ホテル、公共交通からレストラン、エンターテインメント施設、神社仏閣まで、わかりやすい英語で案内を表示するといった配慮が求められると思っております。
 韓国語だ、中国語だ、タガログ語だ、タイ語だと対応する言葉をふやすともう切りがありませんので、わかりやすい英語表示をすることで、最近はスマホで自動翻訳ができるというような技術進歩もありますことから、英語表示については、今回対象外ということではございますけれども、この辺の着眼点も持っていただけたらというふうに思います。
 このように、東京オリンピック・パラリンピックの評価を世界で高めるためには、東京全体が障害者や外国人に配慮したまちにならなければなりません。国際派の小池都知事にぜひ率先して取り組んでいただきたいと同時に、小池知事だからできる施策であると期待するものでございます。
 次に、選手村のマスタープランでございます。
 選手村は、臨海部に位置しております。臨海副都心開発は、時の鈴木俊一都政のもと、第二次東京都の長期計画において、七番目の副都心として位置づけられた事業でございまして、鈴木知事の掲げた副都心育成のもと、都心部から業務機能を分散、誘導しようという多心化政策の一環として誕生したものがこの事業で、そこに類する地域に今回選手村ができるわけでございます。
 過去に本委員会で、民間や都民に損失等を与えぬよう指摘をさせていただきました。私の過去の質疑を踏まえまして、選手村のレガシーの具体化及び事業の展開の現時点の状況をお示しください。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村の宿泊棟につきましては、都が施行いたします市街地再開発事業において、民間事業者が整備する住宅棟を大会期間中、一時使用する計画となっております。
 市街地再開発事業につきましては、昨年四月に都が施行主体となり、事業に着手しておりまして、現在、道路等の基盤整備工事が進むとともに、本年一月には、民間事業者による宿泊棟の建築工事に着手をしております。
 建物の建築工事に当たっては、都市再開発法により、民間事業者が施行者にかわって建築の主体となる特定建築者制度を活用しており、特定建築者は、より魅力的で処分性の高い建物を建築することが可能でございます。
 今後とも、関係部局や特定建築者、組織委員会などと連携しまして、選手村の整備に着実に取り組んでまいります。

○上田委員 世界で注目を浴びるところでございますので、要するに、よい不動産物件となりまして、担税力のある方々にお住まいをいただきまして、いろんな意味での活性化をしていただきたいというふうに考えております。ひとまずは確認をさせていただきまして、安心をさせていただきました。
 次に、サーフィン会場についてです。
 オリ・パラで世界初めてとなるサーフィン種目の選手のための設備環境についてお尋ねいたします。
 千葉県一宮町の釣ヶ崎海岸、通称志田下ポイントは、海岸エリアと設備などの使用可能なスペースが限られており、競技には適しておりますが、かなり小さな海岸であり、限られたスペースの中で、オリ・パラという大きな大会で選手の控室や設備を準備できるのかと懸念するものでございます。
 通常、日本のプロ大会や世界大会では、選手のために選手専用の控室、大会の進行状況を確認できる特別な観戦場所、選手の大量のサーフボードの保管場所、試合のたびにインタビューを受ける台やブースの設備などがございます。
 つきましては、これらの設備の整備についてどうされるのか、現時点でのご所見をお聞かせください。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 サーフィンは、昨年八月に実施が決まりました追加種目でございます。現時点において、競技運営についての詳細はまだ決まっておりません。
 釣ヶ崎海岸サーフィン会場の整備につきましては、現在、組織委員会が地元の千葉県や一宮町、IF、NF等の関係者と協議をしながら検討を進めているところでございます。

○上田委員 また、波が悪いときの会場エリアの変更についてもちょっと議論されているのかなということで、そこら辺も可能なのか、日本や世界での大会は波の状況で会場がるる変更したりすることもございますので、そちらについても確認させてください。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 当該会場につきましては、良質の波、そして運営に必要なスペースがあるということで決まったと聞いております。

○上田委員 また、医師が常駐して選手のけがや障害のケアなど、マッサージのサポート、選手一人一人について実施可能か。また、選手全員が共有して使用するスペースになってしまうのかについても確認をさせてください。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 東京二〇二〇大会開催基本計画におきまして、各会場で適切な医療サービスを提供することとなっております。
 大会時の選手のサポート体制につきましては、今後、会場の運営を検討する中で、組織委員会がIFやNF等、関係者と詰めてまいります。

○上田委員 やはり自然が相手なので、海岸にはライフセーバーなどが陸と海の中で選手の安全を、サポート体制を整備するか、一点お尋ねいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 競技中の選手の安全対策についてでございますけれども、今後、会場の運営を検討する中で、具体的な内容を詰めていくことになります。

○上田委員 ありがとうございます。世界標準の大会が開かれるように、協議を進めていただきたいと思います。
 カヌースラローム競技場につきましては、今回、環境評価は全面的に深く踏み込んで環境を見ているということを評価したいと思います。またロンドン方式を取り入れていて、Uターンにしてコストが低くなった。この点は評価ができると思います。
 同僚委員からも指摘がありましたが、今後、プールとか、あるいは野球場の問題とかも私も要望は聞いていますが、後利用について私は関心があるということで、きょうのご報告を伺いまして、次回に質疑をさせていただきたいというふうに考えております。
 今回の、先ほどの報告の方、資料が非常によくできたので、私も資料要求をしませんでした。オリ・パラ委員会におけます意識も大分変わってきたというふうに高く評価をさせていただきたいと思います。
 慎重に資料を見て、慎重に過去と点検しながら進めていくことこそが、オリンピックのレガシーになると思います。なし崩しに進めていかずに、きちっとオリ・パラ準備局が手順をとって進めていることを高く評価いたしまして、私は質問を終わらせていただきたいと思います。

○山内委員 私からは、二〇一七年度における競技会場等の整備の予定についてお伺いしたいと思います。
 先ほどもお話がございましたオリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナの三施設ですけれども、既にデザインビルドで契約済みです。この三施設に関して、コスト縮減の見直しについて、契約にどう反映されるのかお伺いしようと思いましたけれども、先ほど質問も出ておりまして、受注者と丁寧に協議しながら、契約変更は工事の進捗等に応じて適宜適切に行っていくということですので、割愛いたします。
 一つだけ、アクアティクスセンターについてお伺いしたいんですが、総費用は削減されましたが、減築しないことで、維持管理費が過大になることが懸念されます。そうならないように整備の中でどのような対応を検討しているのか、お伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 アクアティクスセンターにつきましては、当初計画二万席から一万五千席の規模に縮小し、大会後も減築しない計画に見直しを行ったところでございます。
 これに伴いまして、維持管理費を抑制する取り組みとしまして、空間全体を冷暖房する全館空調ではなく、プールサイドや観客席など人がいるところだけを効率的に空調する居住域空調を採用しますことで、空調に係るコストの抑制を図っていくこととしております。
 今後とも、さまざまな工夫や取り組みを行い、できる限り維持管理費が縮減できるよう努めてまいります。

○山内委員 もともとは、減築して五千席にするということだったわけです。それが競技施設について、ランニングコストを削減するために、今お話があったように抑制を図っていくということでしたけれども、競技施設に関しては、整備費のみではなく、大会後のランニングコスト、ライフサイクルコストも勘案して、削減に向けてぜひ取り組んでいただきたいとお願いをしておきます。
 次に、アクセシビリティ・ガイドラインについてお伺いしていきたいと思います。
 障害者差別解消法が施行されてから四月で一年を迎えます。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会では、障害があってもなくても平等に人権を保障し、ともに暮らす社会になることを目指すべきだと考えます。
 今回、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインが公表されました。アクセシビリティーというのは、自分の行きたいところへ移動できる。情報を自由に得ることができ、説明を受けることができる。自分の伝えたいことを必要な支援を受けながら伝えられることなど、アクセスのバリアフリー、ユニバーサルデザインを進める指針です。
 このTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインは、IPCの示すIPCアクセシビリティーガイド及び関係国内法等に基づき数値基準を設定し、ことし三月、IPCからの承認を得たということです。
 そこでまず、IPCアクセシビリティーガイドについてお伺いしたいと思います。
 IPCアクセシビリティーガイドでは、障害者権利条約の考えに基づき、人権としてのアクセスについて説明をしている箇所がありますが、IPCガイドとはどのようなもので、何を目指しているのか、お伺いいたします。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 IPCガイドは、開催都市が準備段階からバリアフリー環境の整備に取り組めるよう提供する手引で、さまざまな人が包含された大会とするために、準備すべき施設やサービスに関して、専門的なガイダンスと技術情報を記載しております。
 その基本原則の一つに、全ての人々が個人の機能的な能力に関係なく、同じ体験や同じ水準のサービスを受けられるようにするという考え方があり、障害の有無にかかわらず、全ての参加者が大会を楽しめる環境を整備すること、大会後も持続可能なレガシーをもたらすことを目指しております。

○山内委員 Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインは、IPCガイドをもとに策定されているとのことですけれども、IPCガイドの目指すものがどのように反映されているのか、お伺いいたします。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインでは、基本原則の一つとして、IPCガイドと同様に、全ての人々が、個人の身体的、機能的な状態に関係なく、同じ水準のサービスを受けられることを保障するという考え方を掲げております。
 策定の目的として掲げている、大会に向け全ての関係者が準備の初期段階からアクセシブルな環境整備を行うことや、大会を契機としてアクセシブルな環境整備を促進することは、IPCガイドが目指す方向に合致しております。

○山内委員 それでは、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインとIPCガイドの基準に違いがあるのかをお伺いいたします。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 策定に当たり、IPCガイドと国内関係法令の基準に差異がある項目については、IPCガイドの基準を基本としつつ、国内関係法令の方がレベルが高かったり、使い勝手がよく、大会運営に支障を生じない場合には、国内関係法令の基準を採用しております。
 IPCガイドに記載のない項目については、障害者団体等からいただいたご意見を踏まえて、ガイドラインの基準を設けております。

○山内委員 さまざまな障害のある方々とどのように議論を重ねてきたのか改めてお伺いしたいと思います。
 また、今後、アクセシビリティ・ガイドラインを実現するために、都の施設のハード、ソフト、両整備においてどのように当事者参加を行っていくのでしょうか。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインの策定に当たっては、国や組織委員会とともに、障害者スポーツ団体及び障害者団体が参画するアクセシビリティ協議会を設置いたしました。
 また、より細やかな意見集約を行うため、二十にわたる障害者団体等の要望や、学識経験者の意見を伺う場を設け、可能な限りガイドラインに反映しております。
 さらに、都が整備する恒設の競技施設については、より障害者の目線に立った施設となるよう、各施設の設計段階で、アクセシビリティーワークショップを開催しております。ワークショップには、障害者の団体の方々にも参加していただき、直接意見を交換しており、今後も継続してワークショップを開催してまいります。

○山内委員 施設整備や交通などの整備が今後進んでいくことになると思いますが、今ご答弁にありましたように、障害者団体や当事者から直接、生の声を可能な限り伺い、反映していくということでございますので、ぜひそれを進めていっていただきたいと思います。
 具体的に伺っていきたいと思いますが、障害者など、アクセシビリティーに配慮が必要な観客の最寄り駅から会場入り口のアクセス経路はどのように確保されるのでしょうか。お伺いします。

○片寄オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 ガイドラインでは、障害者など、アクセシビリティーに配慮が必要な観客も支障なく移動できる環境を実現するため、駅から会場に至るアクセシブルルートを選定し、ルート上の通路幅や勾配、エレベーターの規格などについて、ガイドラインに定める水準を確保することとしております。
 現在、都は、大会組織委員会と連携し、ルートの選定を進めつつ、道路管理者や、鉄道事業者などに必要な改修等を促しているところであり、今後も、各主体の取り組みが一体性を持って確実に進むよう取り組んでまいります。

○山内委員 会場には海の森や馬事公苑など、最寄り駅からの距離が遠い場所もあります。そうした場合、車椅子の方などに対して、どのようにアクセシビリティーを確保していくのか、お伺いいたします。

○片寄オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 ガイドラインでは、車椅子の方などに対して、駅から会場までの移動距離が五百メーターを超える場合は、車両による輸送などの移動手段を提供することとなっております。
 また、利用する車両については、乗用車やバスなど、種類別にスロープやリフトによる乗降手段を確保することなど、必要とされる機能等が定められております。
 今後、駅から距離が遠い会場につきましては、こうしたガイドラインの内容や現場の状況等を踏まえ、大会組織委員会と連携し、適切に対策を検討してまいります。

○山内委員 車椅子の方への配慮は、以前よりは進んでいるものの、一方で、もう少し工夫をすれば格段にアクセスがよくなるというケースもあります。
 入り口にスロープがあっても、延々と長く続いたり、エレベーターの前に段差があったりすることがいまだにあります。健常者と同じルートを使えることを基本として、複数ルートを確保するなども重要だと考えております。ぜひご検討ください。
 また、移動のために、ユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーの普及もぜひ進めていただきたいと思います。
 現在、東京都では、環境重視のUDタクシーへの補助が進められていますが、水素自動車に限らず、新しいイノベーションで創意工夫したUDタクシーを広げていってほしいと考えます。
 障害者、高齢者、ベビーカーの利用者や、妊娠中の方、さらには観光等で大きな荷物を持っている方など、さまざまな利用が可能になることを期待しています。
 これまで、観客席については、障害者の方からさまざまな要望をいただき、質問をしてまいりました。
 車椅子席、アクセシブルな座席の水平、垂直の分散、同伴者席の設置、サイトラインの確保等について、これまでも質問しておりますけれども、改めてどのように対応しているのか、お伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 これまで開催してまいりましたワークショップでは、車椅子使用者も一般の観客と同様に、さまざまな場所で観戦したいとの意見や、車椅子使用者二名と同伴者一名が並んで観戦できるようにもしてほしいとの意見をいただいております。
 こうした意見を踏まえ、車椅子席につきましては、座席までの経路や避難動線、サイトラインの確保等の観点に配慮しつつ、さまざまな場所から観戦ができるよう、水平、垂直方向に分散して配置することを計画しております。
 また、併設する同伴者席につきましては、座席を固定せず、スペースを用意することで、さまざまな利用が可能となるよう計画を進めております。

○山内委員 次に、トイレの問題について伺いたいと思います。
 トイレは切実な問題です。現在、設計が進められている新設会場について、誰でもトイレは、収容人数の何割を確保し、水平、垂直方向に分散配置しているのか。また、LGBT配慮について、どのように対応しているのか、お伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 都が新設する会場のトイレにつきましては、車椅子対応トイレを、ガイドラインの車椅子使用者十五人に対して一カ所との基準を踏まえ、分散して複数の箇所に配置しております。
 また、さまざまな障害を持つ方、高齢者、子育て世帯が利用しやすいよう、車椅子対応トイレ以外にも、手すり、オストメイト用設備、ベビーチェア、ベビーベッドなどの機能を持ったトイレを分散して配置してまいります。
 さらに、ワークショップにおいて、介助のために異性の方が一緒に入れるトイレを設けてほしいとのご意見をいただいたことなどを踏まえ、都が新設する会場につきましては、共用部に男女共用トイレを整備し、さまざまな方に使いやすい環境とすることを検討しております。

○山内委員 二〇一三年に行われたスポーツ祭東京の際、誰でもトイレに長蛇の列ができていたことを思い出します。誰でもトイレに集中しないよう分散し、不足のない配置を検討していただきたいと思います。
 全てのアクセシビリティーに通じることですけれども、私たちのことを私たち抜きで決めないでという考えに立ち、当事者の方々の意見をさらに聞いて、それを実現していっていただきたいと思います。
 例えば、私、ちょっとこの前お伺いしたんですが、車椅子対応のトイレで、外の開閉ボタンは高さが考慮されているけれども、中側から、中に入って開閉しようとすると、ボタンの位置が高過ぎて、車椅子の方が届かなくて困ったという事例を聞きました。
 その方はたまたまボールペンを持っていらっしゃって、ボールペンを使ってボタンにようやく届いてトイレから出ることができたといいます。当事者の声を聞かなくては気づかないことだというふうに感じました。
 また、先日、公共トイレで非常用ボタンが鳴ったので驚いたことがございました。外国の方が洗浄ボタンがわからないで、間違えて非常ボタンを押してしまい、警備員が飛んできたんです。操作ボタンが多くて、どれを押すべきかわからない、洗浄装置の位置がわからないという声はたくさん聞いています。
 二〇二〇年大会は、世界中からさまざまな言語、さまざまな文化の方々が来日します。わかりやすい表示、デザインや、位置の統一もしていただけるよう要望いたします。
 今、質問したときにLGBT、セクシャルマイノリティーの方々への対応の答弁は得ることができませんでした。二〇二〇大会は、オリンピック憲章に性的指向による差別禁止を盛り込むことが国際オリンピック憲章で決議されて初めての大会になります。
 競技施設等でのLGBT対応も重要です。中でもトイレに関しての要望が多数出ています。通常、トイレは男女別になっているために、LGBT、特にトランスジェンダーの人が安心して利用することができずに、我慢してしまい、病気になる人も少なくないのだそうです。
 世界中から来日する人の中には、LGBTの方もたくさんいらっしゃると思います。世界一の人権都市を掲げる東京都だからこそ、開催都市として注目されています。世界の視点に立った、誰にでも優しいトイレ、おもてなしトイレを東京から実現していくよう要望いたします。
 次に、盲導犬や聴導犬、介助犬など、障害のある人を助ける補助犬への理解を進める機会となることを期待しておりますが、障害者団体から補助犬のトイレスペースの配置への要望があります。
 そこで、補助犬のトイレについて、ガイドラインを踏まえてどのように対応していくのか、お伺いいたします。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインでは、補助犬用のトイレにつきまして、施設の種類に応じた適切な仕様、数で設置するよう規定してございます。
 具体的な仕様や設置場所などについては、今後、個別の施設ごとに検討してまいります。

○山内委員 次に、ソフト面でのバリアフリー、ユニバーサルデザイン化についてお伺いしたいと思います。
 正しい情報を得て競技を楽しむための、色覚特性の人や弱視の方を初めとした視覚障害の方や、聴覚障害の方への取り組みについてお伺いいたします。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインでは、視覚障害者のための誘導ブロックや触知案内図の設置のほか、色の区別がしにくい方や弱視の方への配慮として、表示サインの文字やシンボルにはコントラストがはっきりした色彩を用いることや、文字の大きさ等を規定しております。
 聴覚障害者への配慮としては、磁気誘導ループなどの補聴援助機器や文字情報の提供について規定しております。
 設置場所や具体的な仕様については、組織委員会とともに今後検討してまいります。

○山内委員 最近、ようやくカラーユニバーサルデザインも普及してまいりました。ぜひこのことについてもお願いしたいと思います。
 東日本大震災では、障害のある人の死亡率は、他の人の二倍であったといわれています。行動に制約のある人の避難については、従来の想定では対応が困難であることが明らかになります。
 高齢者、障害者等を含めた全ての人が安全な避難ができるように、ガイドラインを踏まえて、どのような緊急時対応を行うこととしているのか、お伺いいたします。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインでは、非常時に配慮が必要な障害者のために、非常時の対応策をページを割いて記載しております。
 例えば、ハード面では、最短の緊急避難経路や、一時待機エリアの確保について規定しております。ソフト面については、わかりやすい表示サインや障害種別に応じた警報システムの設置、避難誘導のためのスタッフトレーニングの実施について規定しております。
 大会時の避難誘導については、これらの基準を踏まえて、今後、施設ごとに検討してまいります。

○山内委員 非常時において重要なのは、緊急事態であることや、避難方法などをタイムリーに、わかりやすく情報提供することです。
 大会に向けて、オリンピック・パラリンピック準備局では、多言語対応のほかに、「やさしい日本語」の取り組みも行っています。「やさしい日本語」は、障害のある人、子供だけではなく、外国から来ている方々にもわかりやすく、また、多言語に訳す場合にも便利だといわれています。
 今後とも、「やさしい日本語」に積極的に取り組み、非常時用に限らず、取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインには、アクセシビリティートレーニングという項目があります。アクセシビリティートレーニングは、ソフト面でのインクルーシブの具体化であると考えますが、どのような目的で、誰に対して、どのような内容で実施するものなのか、お伺いいたします。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 大会では、障害のある人が、ない人と同じサービスを受けられるよう、それぞれの障害に適した方法でサービスを提供することが必要でございます。
 そのため、ガイドラインでは、大会スタッフやボランティアが障害者に適切に対応できるよう、障害特性や場面に応じたサポート方法を身につけるための基本的なトレーニングなどを実施することとしており、具体的な研修内容は今後検討してまいります。

○山内委員 ありがとうございます。ロンドン大会では、バリアフリー情報をウエブで発信、提供してきたと聞いています。競技施設や交通ルートなどのバリアフリーにあわせて、東京大会を機に、移動ルートや誰でもトイレの情報など、情報発信のバリアフリーを推し進めていくことを要望いたします。
 最後に、私にとって非常に大きな問題だと指摘をさせていただきたいと思っているんですが、このガイドラインの前文には、アクセシブルでインクルーシブな環境から恩恵を受ける人という記載があります。恩恵とは、インクルーシブとは相入れない言葉だと私は感じています。どういう意味で、この恩恵という言葉を使い、この内容を記載することによって何を目指しているのか、お伺いいたします。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 ガイドラインにおける恩恵を受ける人という表記は、IPCガイドのベネフィシャリーズ、すなわちベネフィットを受ける人という単語を翻訳したものでございます。
 このガイドラインが目標とする環境は、障害のある方を含め、多様なニーズを有する人々にとっても役立つものであり、大会を契機として、そのような環境整備が促進されることを目指しております。

○山内委員 IPCの訳だということはわかりました。しかし、文化も違うという意味ではちょっとやはり疑問に思うんです。恩恵という言葉は、インクルーシブ社会づくりの方向とは逆な気がします。インクルージョン、インクルーシブ社会本来の意味は、特定の人に配慮して、特定の人に役に立つということではなくて、全ての人を社会がありのままに受け入れる社会ということだと思います。
 国連の障害者権利条約は、障害者を慈悲とか治療とか社会的保護の対象、客体というのではなく、障害のない人と平等な権利の主体へパラダイムシフトするための条約といっており、恩を恵む対象ではないということだといっていると思います。
 タイトルのアクセシブルでインクルーシブな環境から恩恵を受ける人という、恩恵という言葉は削除して、全ての人が使いやすい、アクセシブルでインクルーシブな環境とか、表記をぜひ考えるよう、ご検討いただきたいとお願いをして、私の質問を終わります。

○立石委員 選手村のマスタープランについて伺います。
 選手村は、いうまでもなく、大会において最も重要な施設の一つであり、大会開催に向けて着実に整備を進める必要があります。
 前回の委員会で、大会組織委員会がマスタープラン等を出したという報告を受け、大会時に選手村に求められる機能や、配置などの検討が進められていることがわかりました。今回は、まだ初期の段階ということで、今後、組織委員会を中心に検討が進められるものと伺いました。
 そこで、何点か質問をいたします。
 まず、選手村の整備については、アスリートの視点が重要だと思いますが、アスリートの意見をどのように取り入れていくのか、初めにお伺いいたしたいと思います。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村の整備に当たりましては、アスリートの意見を適切に取り入れて準備を進めていくことが重要でございます。
 そこで、組織委員会では、選手の意見を聞くため、オリンピックやパラリンピックに出場経験のある選手で構成するアスリート委員会を開催し、現地視察も行っているところでございます。
 選手村の整備につきましては、最終的に住宅として売却するにしても、まず選手村としての機能を果たすことが必要、また、選手のリラックスのために、緑がとても重要などの意見をもらっているところでございます。
 今後とも、組織委員会と連携し、さまざまな機会を活用して、選手の意見を伺いながら選手村の整備を推進してまいります。

○立石委員 選手村では緑の空間が大事とのことですが、晴海ふ頭公園については、今後、改修されると伺いました。アスリートがリラックスできる空間づくりについても、この意見を聞きながら取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 アスリート委員会では、海外の選手は太陽に当たることを好むので、くつろげる雰囲気があるとよい、また、試合を終えてくつろぐ選手と試合に向けて集中する選手が共存できるスペースがあったらよいなど、さまざまな意見をいただいております。
 これらのご意見を踏まえ、晴海ふ頭公園内において、ジョギングが可能なスペースを整備し、大会時には建物などは設置せず、緑の空間を生かす方向で検討を進めております。
 引き続き関係部局と連携をしながら、アスリートの視点を踏まえた選手村整備を着実に進めてまいります。

○立石委員 あわせて、晴海ふ頭公園の整備に当たっては、大会時はもちろんのことでありますが、大会後においても、区民が気軽に健康づくりを考えるようにするなど、地域への十分な配慮を行うよう要望しておきます。
 また、選手村整備に伴う晴海地区のまちづくりはもとより、大会時においても、地元の理解と協力が不可欠です。
 地元区からは、選手村について要望書が出されています。その中で、大会スケジュールや、仮設施設の整備についても、組織委員会と連携の上、情報提供など適切に対応していくことが求められています。
 大会開催に向けて、セキュリティー等の配慮が必要なことは理解いたしますが、地元への情報提供についても、都はどのようにしていくのか、お伺いをいたします。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村は、大会後に新たなまちになることに加えまして、大会開催中にも、地域に一定の影響を及ぼすことが想定されることから、地元区や地元住民の方からはさまざまな要望が出されているところでございます。
 これに対して、都は、複数の地元団体へ個別に対応するとともに、区が主催する地元住民によるまちづくり協議会などに出席し、選手村の検討状況を説明するなどの対応に努めてまいりました。
 今後とも、組織委員会や関係局と連携し、地元への情報提供など、丁寧な対応を図り、大会開催に対する理解と協力を得るよう努めてまいります。

○立石委員 先ほど我が党の川松委員から質問がありましたが、コンテナのことについて、私もちょっともっともだなと思いました。
 昨日、また、日曜日の日に、地元で知り尽くしているつもりでありますけれども、行ってみようと思って、足を運びました。現場へ行ってみて感じましたことは、意外に広くないなということで、やはり先ほどの川松委員がいうように、自分の使い勝手のいい、それぞれの用具をアスリートの皆さんはお持ちで来られると思います。
 そこで、特に私が気になっておりますことは、宗教的な配慮はどのように考えているのか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村の運営につきましては、今後組織委員会と具体的に内容を詰めてまいります。そういった中で、宗教上の配慮にも十分配慮するよう検討してまいります。

○立石委員 信仰は、非常にいうまでもなく、それぞれ個人の自由でありますし、また、アスリートの皆さんは集中して、選手村でそれぞれの場を持つことだと思います。
 ぜひ今ご答弁いただきましたように、関係機関の皆さんと、ご配慮をいただきたいと思います。
 終わりに、引き続きアスリートの意見を丁寧に聞きながら、まず、地元へも適切に情報提供を行い、選手村の準備を着実に進めていただくよう要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○小山委員 これまでも本委員会で再三求めてまいりましたが、二〇二〇年東京大会は、被災地を含め、広く都民、国民が参加、参画をし、体感するオリンピック・パラリンピックとして、大会のレガシーを広く後世に残せるものとしていかなければならないと申し上げてまいりました。
   〔委員長退席、吉原副委員長着席〕
 また、大会の経費については、最少の経費で最大の効果が得られるよう、不断の改革と改善に取り組むべきであるということも強く求めてまいったところであります。
 加えて、競技会場となります施設の整備に当たりましては、大会後の後年において、負の遺産とならないよう、後利用を十二分に踏まえた計画となるように、これも求めてきたところであります。
 二〇二〇年東京大会が何を東京や日本に残せるのか。この点を常に念頭に置いて、大会成功に向けて取り組む必要があります。
 近年の開催都市で、見事に大会と大会後の成功をなし遂げましたのが、二〇一二年のロンドン大会であります。ロンドンは、大会後も、主たる会場でありましたロンドン東部地域を初めとして、ロンドンの成長と発展を都市として続けるとともに、ロンドンプランで掲げましたソーシャルインクルージョンを実現させております。
 改めて申し上げるまでもありませんが、東京と同じく成熟都市でありますこのロンドン、二〇一二年ロンドン大会の事例は、二〇二〇年東京大会に向けて大いに参考とすべきであります。
 また、二〇一二年のロンドン大会の会場整備は、大会後の収益性を踏まえた将来的な見通しが立った会場のみを恒久施設として新たに整備し、その他の競技会場は全て既存施設や仮設会場で開催いたしました。
 また、大会後の恒久施設の後利用の収支や、運営主体と責任をしっかり明らかにした上で、設計前の早い段階から、後利用の運営主体がかかわることが極めて重要であるという指摘も、これもロンドンの大会関係者からいただいてきたことは、本委員会でも申し上げてきたところでございます。
 このように、ロンドン大会を初め、過去のオリンピック・パラリンピック競技大会の事例や、開催都市の取り組みから、これまでもさまざまな改善の提案をいたしてまいりました。
 これまでの提案を受けて、本日の委員会の報告で示されました新規恒久施設の施設運営計画において反映されている事項もあり、これについては次回の委員会で改めて質疑をさせていただきたいと思います。
 そこで、本日の委員会では、まず、平成二十九年度における競技会場等整備の予定について、競技会場整備におけるこれまでの契約や、工事の進捗、執行状況についてお伺いをしたいと思います。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 現在の競技会場等整備の進捗状況でございますが、先行して整備を進めてございますオリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナの三施設は、設計施工一括発注方式により実施設計を行っておりまして、海の森水上競技場につきましては、昨年度より本体工事に着手してございます。
 カヌースラローム会場は、実施設計が完了し、大井ホッケー競技場、有明テニスの森は昨年度より実施設計に着手してございます。夢の島公園のアーチェリー会場は、昨年度より盛り土工事と施設設計を行っております。
 平成二十五年度から建設工事を行ってきました武蔵野の森総合スポーツプラザにつきましては、本年三月に竣工したところでございます。
 施設整備費の執行状況につきましては、平成二十七年度までの決算額が約百六十億円となってございまして、その約七割が武蔵野の森総合スポーツプラザの整備費となってございます。

○小山委員 ただいまのご答弁をいただきましたとおり、大会競技会場の整備状況について、設計段階にある会場、あるいは本体工事に着手した会場など確認をさせていただきました。特に施設整備費の執行状況については、約七割が武蔵野の森総合スポーツプラザの整備費とのことでありまして、本年十一月の開業に向けて準備が進められているところでありまして、これは多摩地域の多くの都民が待ち望んでいるところでございます。
 この武蔵野の森総合スポーツプラザは、都が多摩地域のスポーツ振興拠点として整備されております。ぜひこの武蔵野の森総合スポーツプラザについては、都が掲げられておりますとおり、多摩地域のスポーツ振興拠点として十分有効活用がされるよう、これは多摩地域の自治体、あるいは地元三市の意見を十分反映していただきまして、多くの多摩地域の都民が利用できるような、これは使用料の軽減なども含めて、ぜひ努めていただくように求めておきたいと思います。
 では、これまでの状況については伺いましたので、次に、この平成二十九年度、本年度の競技会場等整備の進捗、執行予定についてお伺いをさせていただきます。
   〔吉原副委員長退席、委員長着席〕

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 平成二十九年度につきましては、オリンピックアクアティクスセンターや有明アリーナの本体工事に着手するとともに、カヌースラローム会場の本体工事について仮契約を締結したところでございます。本会場につきましては、今後議決を経て工事に着手する予定でございます。
 また、大井ホッケー競技場及び有明テニスの森は今年度中に実施設計を終了し、工事を発注する予定としています。
 なお、平成二十九年度の施設整備に係る予算額は約二百九十四億円でございまして、工事の前払い金等の執行を予定してございます。
 これにより、全ての施設において整備工事に取り組むこととなります。

○小山委員 ただいまのご答弁にありましたとおり、今年度に全ての施設において整備工事が行われるということでございました。先ほどから各委員の皆さんからもお話がございますように、大会開催に支障が出ることのないよう、ぜひ、この整備進捗を図っていただくようにお願いをしておきたいと思います。
 その上で、これまでも申し上げてまいりましたが、設計、整備の段階においても、大会後の後利用を十二分に踏まえ、整備費縮減にも引き続き取り組んでいただきたいと考えますが、今後の取り組みについてお伺いさせていただきます。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 都はこれまでも、各施設の設計等を行う中で、国際競技団体や国内競技団体等と協議しながら、施設条件の精査や施設計画の合理化などにより、整備費の縮減に取り組んでまいりました。
 また、昨年度につきましては、大会に向けたラストチャンスとして、オリンピックアクアティクスセンター等の三施設につきまして、整備コストだけではなく、ライフサイクルコストや大会後のレガシー等も勘案した総合的な検討による見直しを行いました。
 今後も、施設整備におけるコスト管理に努め、国際競技団体や国内競技団体、大会組織委員会等の関係者と連携いたしまして、大会後の利用も見据え、着実に施設整備に取り組んでまいります。

○小山委員 次に、東京二〇二〇年オリンピック競技大会の追加種目(その四)についてお伺いをさせていただきます。
 三月十七日のIOC理事会におきまして、追加種目である野球・ソフトボールの競技会場に被災地福島県の福島あづま球場が承認されました。
 そこで、追加種目も含め、現在まだ確定をしていないオリンピックの競技会場の状況についてお伺いをさせていただきます。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 オリンピックの競技会場につきましては、サッカー会場がまだIOCの承認を受けておりません。
 招致時の六会場につきましては、変更の議論はございませんが、会場の追加について、国内、国際競技団体との協議が必要であり、会場全体について検討を続けているところでございます。
 都といたしましては、引き続き組織委員会と連携して、会場を早期にIOC理事会に諮れるよう、国際、国内競技団体や会場所有者等、関係者との調整を進めてまいります。

○小山委員 現在まだ確定をしていないオリンピックの競技会場として、サッカー会場が未承認ということでありますが、この立候補ファイルにおきましても、都内開催予定の東京スタジアムにおいてサッカー競技が実施されるということと私どもは認識をしておりますが、ぜひとも、やはり多摩地域の競技会場として、多くの多摩地域の都民も望んでおりますし、サッカー競技会場の確定が早期になされるよう、都としても努めていただくように求めておきたいと思います。
 次に、同じ競技会場として、既にもう確定はしておるんですが、まだコースが確定をしていません自転車競技のロードレースについて、お伺いをさせていただきたいと思います。
 既にスタートとゴールが確定しておりまして、スタートが皇居、ゴールが武蔵野の森公園ということで、立候補ファイルの時点ではこのように申請がされたわけでありますが、この後、スタート、ゴールともに皇居へと変更となりました。
 この変更によりまして、当初の周回コースについても、距離数という観点からも変更が生じるものと考えております。また、コースについても、周回が予定されております自治体から要望などが寄せられております。
 特に私の地元府中市では、ぜひ、市の中心部への周回を希望いたしておりまして、府中市の中心部には、歴史のあります大國魂神社ですとか、あるいは天然記念物の馬場大門ケヤキ並木、さらには日本でも有数の東京競馬場など、国内外に発信をできます魅力ある歴史的景観や名所がございます。
 ロンドン大会やリオ大会の自転車競技ロードレースにおいても、名所を通るコースであったように思っております。ぜひ東京大会でも、そのようなコースとなるようなことを含めて、改めて強く求めておきたいと思いますが、現状の自転車ロードレースのコースの検討の進捗状況はどうなっているのか、お伺いをさせていただきます。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 自転車ロードレースのコースにつきましては、多摩地域を周回する立候補ファイル時のものを基本といたしまして、競技性の観点も踏まえた、よりよいコースになるよう、組織委員会と連携し、NF、IF、交通管理者、道路管理者などの関係者と調整を進めているところでございます。

○小山委員 この件については、この委員会でも何度も求めておりまして、大変くどいかと思いますが、やはり実際周回するコースの自治体では、本当にこれを一日千秋の思いで望んでおりますので、ぜひ取り組み方をお願いしておきたいと思います。
 そこで、その際にも、コースの決定、公表ということについて、かつての委員会の中でもお伺いをし、このことはリオ大会後に早期に決定をされるやの答弁というか、私はそういう認識にありましたけれども、そこで、現在検討しております、このコースの決定、公表がいつごろになるのかお伺いするとともに、直近の大会であります二〇一六年のリオデジャネイロ大会での公表はいつごろであったのかお伺いをさせていただきます。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 リオ大会で自転車ロードレースのコースを発表いたしましたのは、大会の約一年八カ月前でございます。
 都といたしましては、引き続き組織委員会と連携しまして、早期にコースが決められ、また公表できるように、IF、NF、交通管理者等関係者と調整していきたいと思っております。

○小山委員 ぜひ早期にコースの決定を望みたいと思います。その際には、もうこれも重ねて申し上げますが、地元市が要望しております周回コースの実現、このことをお願いしておきたいと思います。
 また、先ほども申し上げましたように、各競技については、早期に会場及びコースの決定なども求めておきたいと思います。
 次に、カヌースラローム会場の整備についてお伺いをさせていただきます。
 カヌースラローム競技につきましては、リオデジャネイロ大会での羽根田選手の活躍からもメディアでも多く取り上げられておりまして、注目が高まっております。
 この競技会場を、都が国内初の人工スラロームコースを活用したさまざまな水上スポーツ、レジャーを楽しめる施設として整備されるということで、大会前、大会開催時、そして大会後の利用を含め、大いに期待をいたしているところでございます。
 私が、ロンドン大会の調査におきまして、このロンドン大会のカヌースラローム競技会場でありましたリーバレー・ホワイトウオーターセンターを訪れました。この施設を訪れましたときに、施設のよい点や悪い点、課題や改善点についてお伺いをさせていただき、東京大会への反映についても、これまでの委員会や、あるいは予算特別委員会などでも求めてきたところでございます。
 そこで、ちょうどこの調査をしたときに、このロンドン大会のリーバレー・ホワイトウオーターセンターで、日本代表選手が練習をいたしておりまして、ちょうど羽根田選手もいましたし、多くの日本代表選手がこのロンドン大会での競技会場で練習をし、リオ大会に臨むという状況でございました。
 そこで、このロンドンの大会会場は、そのときの選手団の皆さんにもお伺いをしたんですが、大変いい競技会場であるということをお話しされておりました。また、その日本代表選手以外にも、各関係者に聞き取りをしたところ、大変評価の高かった競技会場であるということでありました。
 そこで、このように、ロンドンの競技会場など、大変評価の高かった競技会場の知見、過去の知見を、今回の東京大会の会場設計にどのように反映されたのか、お伺いをさせていただきます。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 会場整備に当たりましては、ロンドンの競技会場等を視察し、大会開催時の競技場としてはもとより、大会後も都民に親しまれる施設として適切なものとなるよう検討を進めてまいりました。
 ロンドンの競技場については、大会後、ウオーミングアップコースや静水面について、一般のレジャー利用を中心に積極的な活用が図られてございます。
 東京大会におきましても、このような事例を踏まえ、競技利用のほか、水上スポーツ体験や水上レクリエーションなど、多目的な利用が可能になるよう、フィニッシュプール等の形状を考慮いたしまして、大会後も多くの都民の方々に活用される施設となるよう、設計に反映してございます。
 さらに、競技コースとウオーミングアップコース、フィニッシュプールを一連として配置することにより、施設全体をコンパクト化するなど、工夫を図ってございます。

○小山委員 確かに今回の、今ご答弁にありましたように、この東京大会のカヌースラローム会場のコースレイアウト、先般の委員会でも示されまして、かなりこれまでの大会の競技会場とは大きくさま変わりをしていると思います。
 特に設計上、直線のコースでの設定になっていたり、当然これから中の部分で大きな、それこそ造作がされるんだと思いますけれども、こういうコースレイアウトについては、極めて、私は非常に、今のお答えもあわせて、施設全体のコンパクト化を図ったことによって、いろいろな取り組み、改善点が見られているということで評価をさせていただきたいと思います。
 そこで、このロンドン大会の競技会場のお話を申し上げましたけれども、やはりロンドン大会の競技会場でありましたリーバレー・ホワイトウオーターセンターでも、大会後は施設単体では収支を図ることがなかなか難しく、先ほどお答えにもありましたようなさまざまなイベント利用や、リーバレーの公園全体で収支均衡を図っておられました。
 東京大会の施設においても、同様にさまざまなイベント利用や、葛西臨海公園や葛西海浜公園など、周辺施設との連携を図っていただきまして、後利用の収支についても十分な対応に今の段階から取り組んでいただきたいと思います。
 このロンドン競技会場については、特に、先ほども申し上げましたように、各選手、アスリートの皆さんからも大変好評でありましたが、この東京大会の競技会場につきましては、実施設計に当たり、選手の皆さんの意見をどのように反映されたのかもお伺いをさせていただきます。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 会場における競技コースにつきましては、競技を統括し、幅広くアスリートの声を集約してございます国際、国内の競技団体と協議しながら設計を進めてまいりました。
 具体的には、競技団体とともに、コースの模型を作成し水流実験を行うなど、意見交換を重ねながらコース設計を行ってございます。
 また、競技団体の意見をもとに、右きき、左ききによる選手間の有利、不利が生じないよう、競技コースを直線状に配置してございます。

○小山委員 今、選手の意見の反映ということについては、競技団体といろいろと意見交換、協議をしながら進めてこられたということであります。もちろんこれはこれで大変大事なことでありますけれども、先ほど他の委員の方からもありましたように、やはりアスリートファースト、選手の皆さんからの直接的な意見聴取というのもぜひ行っていただいて、やはり私どもが前回ロンドン大会でお聞きしたそれぞれの話というのは大変有用でありましたし、また、それがその後、あのときにいた羽根田選手がメダルを獲得して、今日のカヌースラローム競技がこれだけ多くの人に知られるという結果につながったこと、スポーツの振興につながったということを考えれば、ぜひそういったところの取り組みも都として行っていただきたいと思います。
 そこで、ロンドン大会の人工スラローム会場で、一つ課題として挙げられておりましたのが、同じように、人工でございますから、水流を起こすためのポンプの稼働ということでありました。このポンプの稼働に伴うエネルギー負荷、電力使用が当初想定した以上に大きかったということが述べられていたわけであります。
 この課題については、恐らく都も共有をされているとは思いますが、この東京大会の会場整備におけますポンプの設置について、どのような設計改善を図られたのか、お伺いをさせていただきます。

○砂田オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 競技コースのスタートプールに設置するポンプにつきましては、選手が同じ条件で競技を実施できるよう安定した水流をつくり出すことが求められてございます。
 そこで、過去の大会のポンプ設備の仕様を参考にするとともに、コンピューターを用いたシミュレーションを実施し、適切な水の流れを確保できるよう、ポンプの仕様、配置を決定してございます。
 ウオーミングアップコースに配置するポンプにつきましては、水流シミュレーションを同様に行い、高低差のない平面的な形状でありましても、適切な流れを発生させることができるよう、消費電力の少ないポンプを採用いたしまして、複数を効果的に配置してございます。

○小山委員 エネルギー負荷ということについては、やはり環境などにも配慮し、収支においても、持続可能な大会、二〇二〇年大会、東京大会においても、大きな命題だというふうに思っております。
 持続可能、サステーナビリティーについては、これまでも何度も申し上げてまいりましたが、ぜひ二〇二〇年東京大会でも、世界に披瀝できるような取り組みを行っていただくように求めておきたいと思います。
 最後に、選手村のマスタープラン等について一点お伺いをさせていただきます。
 大会のレガシー、選手村のレガシーの一つとして、水素社会、水素タウンがこれまで掲げられてまいりました。私も水素社会、CO2フリー水素の活用を含め、大いに取り組み、二〇二〇年東京大会のレガシーとして着実に進めるべきと考えております。
 そこで、選手村におけます水素エネルギー活用の検討状況と取り組みについて、どのようになっているのか、お伺いをさせていただきます。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村整備に水素エネルギーなど最先端の環境技術を導入するためには、民間の高い技術力を早い段階から検討に生かしていくことが重要でございます。
 このため、計画策定に当たりましては、豊富な経験と高い参入意欲を有する民間事業者を事業実施に先駆けて事業協力者として選定するとともに、選手村地区エネルギー検討会議を設置し、関係部局と連携しながら検討を進め、この三月には、都市整備局が選手村地区エネルギー整備計画を策定したところでございまして、今後、事業予定者を公募していく予定でございます。
 この計画では、二〇二〇年を見据えまして、選手村の各街区などに本格的な水素供給を行っていくこととしておりますが、大会期間中にも世界の注目が集まる機会を捉えまして、選手村における水素関連施設の一部を先行して稼働させ、水素技術の有効性や先進性をPRしていく予定でございます。
 引き続き関係部局と連携しながら、水素社会を東京二〇二〇大会のレガシーとして残すべく、選手村での水素利用に取り組んでまいります。

○小山委員 ただいまご答弁をいただきましたように、先般、三月三十日に、都市整備局が選手村地区のエネルギー整備計画及び事業実施方針というものを公表されたわけであります。
 今のご答弁にありましたとおり、局間連携というものをやはり十分図っていただきまして、これが一番なかなか都において、いろいろと難しい部分があるということ、これまでも何度も指摘してまいりましたが、ぜひやはりここは二〇二〇年大会の成功に向けて、一致協力をするというところから、オリンピック・パラリンピック準備局、そして、都市整備局、さらには他の局も含めて、十分な局間連携を図っていただくように強く求めておきたいと思います。
 そして、二〇二〇年のこの東京大会が有形無形の大会レガシーを広く都民、国民に残し、大会を通じて、都民が夢や希望を育んで都民益を創出し、東京の都市の成長と発展につながるような大会となるよう、都として全力を尽くしていただくよう強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○とくとめ委員 それでは、アクセシビリティ・ガイドラインを中心に質問いたします。
 今回のTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインについては、アスリートの方々や、さまざまな分野の専門家、それから障害者団体の少なくない関係者などの意見なども反映させたものとして積極的に評価できる内容だと思います。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会において、多くの観客やアスリートなど、障害のある人もない人にとっても、誰にとっても利用しやすさに配慮した競技施設や、周辺アクセスのインフラ整備を促進するアクセシビリティ・ガイドラインの具体化は、大会そのものの成功を左右するだけではなくて、都民、国民の共感を広げる上でも、大会後のレガシーとして、今後の東京のまちづくりにも大きな影響を与えるものだと思います。
 こうした中で、四月四日、新聞でも大きく報道されました、一九六四年、前回の東京五輪大会でも、また、三年後の二〇二〇年の東京五輪大会で柔道会場になる日本武道館の経験は非常に重要だと思います。
 日本武道館は、昨年から、障害者でつくるNPO法人のメンバーと、武道館内と周辺を一緒に歩いて問題点を検証し、障害者の意見を聞く機会を何度も設けて、アクセシビリティ・ガイドラインに及ばない改修計画を改めて、車椅子座席二十四席から百五十席にふやす計画を具体化した経験が紹介されていました。
 私も、長年柔道をやっておりまして、柔道の日本選手権大会や、イベントでも何度も日本武道館を利用している経験があります。五十年以上前に建設された日本武道館の建物ですから、急勾配の場内座席の実績から、五輪後も含めた障害者の利用しやすさを追求した日本武道館の対応は大変画期的なことだと思います。
 特に、検討された考え方の土台に、車椅子席を百五十席設けた場合、通常の座席が数百席も減るということになり、イベント主催者側からすれば、観客席数が減って、入場料が減ることの心配もあったそうです。
 しかし、日本武道館の担当者は、障害者も多く入れるから武道館でやろうという主催者がふえてほしいと、そういうふうに語っていることが紹介されておりました。
 アクセシビリティ・ガイドラインの数値目標の適用に当たって、推奨、標準、その他などの三段階の基準の適用、対応とされている一方で、これらは必ずしも法的拘束力があるわけではないとなっています。それだけに、アクセシビリティ・ガイドラインの基本的な理念や考え方をしっかりと踏まえて、実際の具体化の過程で生かしていくことが大変重要だと思います。
 次に、この同じ新聞報道で紹介されました東京五輪、オリンピック・パラリンピックの既存施設の車椅子席の実態は、座席が常設されている会場の八割で、車椅子席数がアクセシビリティ・ガイドラインの標準基準を満たしていないと指摘をされておりました。
 そこでまず、都立施設について伺います。
 オリンピック・パラリンピック準備局が所管している都立の既存スポーツ施設について、例えば、車椅子席数の現状はどうなっているのか、アクセシビリティ・ガイドラインの数値目標から見た場合、これでよしとされるのか、それとも、改修を検討されているのかについて伺います。

○藤木オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ施設担当部長 オリンピック・パラリンピック準備局が所管し、二〇二〇年大会の会場となる既存都立スポーツ施設の車椅子の席の数につきましては、東京体育館は二十九席、有明コロシアムは三十二席、東京辰巳国際水泳場は二十席、東京スタジアムは三百九十四席となっております。
 一方、ガイドラインでは、観客席に対する車椅子席の比率につきまして、平常時の最低要件として〇・五%、オリンピック大会会場として〇・七五%、パラリンピック大会会場として一・〇%から一・二%の三つの基準を定めておりまして、そのほかにも、車椅子席と同じ割合で同伴者席を設置することなどを定めております。
 現状の既存施設は、これらの基準を満たしておりませんので、現在、改修に向けた検討を進めてございます。

○とくとめ委員 既存施設はアクセシビリティ・ガイドラインの基準を満たしていないため、現在、改修に向けた検討を進めているとのことでした。
 例えば、東京体育館では、現在の座席数が六千三十席ですから、平常時でも三十席必要です。現在二十九席なので一席足りないということになります。大会時は座席数が八千で、車椅子席が六十席から九十六席必要になります。
 有明コロシアムは現在一万席ですから、車椅子席は平常時には五十席必要です。現在十八席不足をしています。大会時には、七十五席から百二十席が必要で、四十三席、八十八席を増設しなければならないということになります。
 こうした車椅子席の席数、また、席の配置場所、広さや同伴者席の配置などを初めとするさまざまなアクセシビリティー対応の数値基準、都立スポーツ施設についてのアクセシビリティー対応は、数値基準をどのように適用するようになっているんでしょうか。
 また、東京五輪を契機として、一過性ではなくて、東京全体でアクセシビリティーが向上したといえるような恒久的な施設として対応すべきだと思いますけれども、どのように考えておられるでしょうか。

○藤木オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ施設担当部長 既存のバリアフリー改修に当たりましては、既存の構造躯体や限られたスペースを有効に活用しなければならず、建築構造上困難な場合もございます。
 また、過去に実施した改修などによりまして、一定程度バリアフリー化がされている場合には、将来の更新時期を捉えて、必要な改修を行ってまいります。
 二〇二〇年大会の会場となる既存の都立スポーツ施設の改修に当たりましては、こうした施設の特性や今後の更新予定を勘案の上、できる限り推奨基準の実現を目指してまいります。また、車椅子席の増席につきましても、しっかりと取り組んでまいります。

○とくとめ委員 できる限り推奨基準を目指すということが重要だと思います。
 アクセシビリティ・ガイドラインの具体化に当たっては、都自身が積極的に模範を示してリードすることが、スポーツ施設だけではなくて、今後の全都的な、全国的なバリアフリー化、ユニバーサルデザインのまちづくりの上でも大事だと思いますし、知事のダイバーシティーの都市づくりにも貢献すると思います。ぜひ積極的な対応を要望しておきます。
 次に、都立施設以外の既設施設のアクセシビリティー対応について伺います。
 まず、既設施設について、アクセシビリティ・ガイドラインの基準をどのように適用するのかの判断は、一体誰が、あるいはどこで責任を持って行われるのかについてお伺いいたします。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 民間施設を含めた既存施設に適用する基準については、ガイドラインにおいては、仮設対応も含めて可能な限り標準基準の実現を目指すこととしております。
 また、大会時及び大会後のニーズ、会場施設の規模、用途、現場の物理的制約や維持管理上の課題などに応じて適用対象施設ごとに基準を組み合わせて対応することも記載してございまして、具体的には、組織委員会、IPC及び施設管理者等との個別協議で決定していくこととなります。

○とくとめ委員 アクセシビリティ・ガイドラインの基準と同時に、現状を踏まえて組織委員会、IPC及び施設管理者等との個別協議を通じて決定していくということでした。
 アクセシビリティ・ガイドラインの適用具体化に当たっては、ハード面での対応とともにソフト面での対応も考慮されていますが、具体的には、どのようなときにソフト面での対応が行われるのか。また、ソフト面での対応とは、どのような内容になるのかについてお伺いいたします。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 既存施設において、構造や広さなどの問題があり、全てを改修することが困難な場合などに、仮設施設の整備やソフト的対応の手段を用いて、支障がないように大会運営を行うこととしております。
 このソフト的対応とは、例えば、車椅子の方が段差のある場所で移動する際や、視覚障害者の方が音声案内のない場所で移動する際に、大会スタッフやボランティアが手助けを行うといった対応でございます。

○とくとめ委員 ガイドラインの基準に合うように改修するには困難がある場合に、スタッフやボランティアなど、マンパワーによってサポートするということでした。
 アクセシビリティ・ガイドラインに則した整備には、恒常的な施設としての整備と、仮設による整備があると思いますが、どちらにするかの判断は誰が行うのかについてお伺いします。また、都立施設以外の既存施設のバリアフリー改修に伴う費用は誰が負担するのか、その費用の負担のあり方と費用の規模がどのようになるのか、お伺いしたいと思います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 大会に向けたバリアフリー改修につきましては、組織委員会から施設管理者等に対し、まずはガイドラインに則した改修工事を依頼し、恒常的な施設としての環境整備について働きかけることとなっております。
 ただし、恒常的な環境整備が困難な場合には、仮設による整備や大会スタッフやボランティアによる人的サポート等のソフト的対応により、大会時にはガイドラインを踏まえた水準を確保していくこととなっております。
 なお、仮設の経費、役割分担については、大会業務全般の中で、都、国、組織委員会の三者で協議を行っているところでございまして、ガイドラインの水準を満たすためのバリアフリー改修に係る費用の規模については、今後、個々の施設の整備内容が具体化する中で決まっていくものと考えております。

○とくとめ委員 まず、恒常的な施設としての整備を働きかけるということでした。大会後も含めたアクセシビリティーの向上という点では、恒常的な施設を改修していくというのは大切だと思います。
 冒頭に申し上げた日本武道館では、そこが非常に積極的に対応していただいて、日本武道館の新たな魅力につなげようと挑んでいただいているんだと思います。同時に、さまざまな施設一般でいえば、改修費用負担に課題もあるという新聞報道もありました。
 アクセシビリティーの向上で大会後も多くの人が利用したくなるようなPRの支援、また国の支援などをぜひ引き出していただきたいと思います。
 また、仮設部分の対応は、私たちは、立候補ファイルの役割分担を基本とすることを再三主張してまいりました。整備費の縮減と組織委員会の収入増の努力を引き続き求めておきたいと思います。
 最後に、既存施設の改修に当たっては、利用者に大きな制限が生じるのではないかと思いますけれども、その影響はどのように見ているのかについて伺います。
 既に今秋からの休館が公表されている有明テニスの森公園や、その他、東京体育館などの都立スポーツ施設について、利用者や利用団体から、個人利用だけではなくて、大会開催が困難になってしまうのではないかといった心配の声も届いております。
 オリンピック開催で一時的に使えなくなることはわかっていたけれども、大会の三年前から休館になるとは思わなかったというのが利用者の率直な気持ちではないかと思います。何か対応策について検討されているんでしょうか。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 休館期間中の利用者や団体からの要望につきましては、丁寧に対応することを基本としておりまして、過去にも、平成二十四年度から二十五年度に東京体育館が施設改修時に休館した際に、都内の公立スポーツ施設に関する情報を利用者や団体に提供するなどの対応を行いました。
 お話しの平成二十九年十一月より改修工事を予定しております有明テニスの森公園内の施設につきましては、利用者や団体から、可能な限り有明でテニスができる期間を確保してほしいという声が指定管理者に寄せられておりました。
 このため、一部期間におきましては、全四十八面のコートのうち、八面のコートをご利用いただけるよう対応するとともに、仮設のクラブハウスも設置することとしております。
 今後とも、指定管理者と連携して、丁寧な対応を心がけてまいります。

○とくとめ委員 有明テニスの森公園の四十八面のうち八面は、休館を約一年延ばして、来年の秋からにする努力をしていただいたということです。
 それにしても、三年後の東京五輪開催に向けて、成功への機運の醸成や、都民スポーツも盛り上がる時期でありながら施設が使えない。やはりそういうスポーツ愛好者の皆さんに丁寧な情報提供だとか、利用期間の変更だとか、可能な代替施設の提供など、きめ細かい対応が求められていると思います。
 改修の後には、プレ大会が開催されますし、また、会場を五輪仕様にするための仮設の設備設置なども引き続いて行われます。仮に毎年開催している大会が三年もできないなどということになっては大変だと思います。東京都は、都民のスポーツ参加率の向上を目指しているわけですから、そこにも逆行しかねないというふうに思います。
 例えば、都立施設が使用できない期間に、都スポーツ施設を借りて大会などを開催するといった場合は、そうした運営への負担増や、交通費の増加に対して支援を行うなども方策の一つとして考えられるのではないかと思います。
 また、改修工事などのやり方についても、都民が利用できない期間を短くする特別の工夫や配慮も求めておきたいと思います。
 これまでも、私、アクセシビリティ・ガイドラインの内容の検討、その具体化をめぐって繰り返し質問してまいりました。今回のアクセシビリティ・ガイドラインに基づくオリンピック・パラリンピックスポーツ施設と、その周辺の関係施設や交通アクセスのバリアフリー化は、その後のレガシーとして、障害者スポーツを初めとしたスポーツ全体の振興、発展に大きく貢献することはいうまでもないと思います。
 同時に、その後の東京のまちづくり全体が、障害者や高齢者を初めとして、誰にとっても安心して暮らせる、安心、快適に移動できるユニバーサルデザインのまちづくりが促進されるよう強く求めて質問を終わります。

○野上委員 私からは、選手村のマスタープラン等について伺わせていただきます。
 二〇二〇年東京大会は、前回のロンドン大会に学び、それを超えて何を東京から発信するかということが大きく問われていると思います。ロンドン大会は成熟国家として開催されましたけれども、多くのレガシーを残しました。
 オリンピックパークが最大のレガシーではありますが、同時に環境保護に十分に配慮するオリンピックとするために、持続可能性を考慮したイベントの国際規格であるISO20121を世界で初めてつくったということであります。これは、もちろん二〇二〇年の東京大会にも適用されますので、これもソフト面のレガシーに当たります。
 また、シドニーの大会では、開催後の市民アンケートでは、パラリンピックの開催により、障害者への理解が深まったこと、あるいは自国の文化を発信できたことがよかったということが上位に上がっておりまして、ソフト面でのレガシーを印象づけております。
 そこで、この選手村の整備についてでありますけれども、これはハード面でのレガシー、そして、大会開催後のソフト面のレガシー、この規模での市街地再開発事業としては、恐らく東京都内でも最後になるのであろうかといわれているぐらい大きな事業ですので、やはり整備をする前にきちんとエネルギー計画、あるいは交通計画、晴海ふ頭公園の再整備、そうしたことも一体的に取り組んで、整備する前からやはりエネルギーのことなどは、ビルトインしながら整備を進めるということが必要であると思っております。
 そこで、選手村のレガシービジョンというものはどのようなものか伺いたいと思います。
 また、ロンドン大会では、招致の段階から、やはりレガシーをキーワードに挙げて、先ほど小山副委員長が述べておられましたけれども、社会的な課題、例えば、ロンドン東部は西部に比べてやはり所得が低い方の層が住んでいたり、あるいは社会的な弱者の方が住んでいるエリアであったために、そこに集中して投資をしたということであります。
 そうした社会的課題を解決するということも一つのレガシーであると思いますけれども、この選手村についてはどのようにお考えなのか伺います。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 都は、選手村を誰もが憧れ住んでみたいと思えるまちにすることにより、選手村のレガシーを都民の貴重な財産として将来に引き継ぐことを目標としてございます。
 このため、大会後の選手村には、シェアハウスやサービスつき高齢者向け住宅などを導入しまして、多様な居住ニーズに柔軟に対応していくとともに、クリニックモールや保育所なども導入し、多様な人々が交流し、快適に暮らせる機能の確保を図ってまいります。
 また、まちの持続的な発展に向けまして、エネルギーマネジメントを導入するとともに、水素ステーションの設置などを行うことによりまして、水素社会の実現に向けたモデルとしてまいります。
 今後とも、庁内関係局との連携のもと、選手村のレガシーの具体化に取り組んでまいります。

○野上委員 今、答弁いただきましたけれども、どういったことを社会的課題であるというふうに東京都が位置づけて、そして、選手村についてはどのような観点で整備していくかということが少し漏れておりましたけれども、いずれにしましても、この選手村には、外国のトップアスリートの方がお泊まりになって、そしてまた自国へ戻っていくわけですから、この日本の文化や、あるいは最先端の技術を持った居住空間というものをぜひ実現をしていただいて、そして、自国に戻った選手の皆さんに日本のPRをしていただく、そういったことも私たち必要であると思っておりますので、ぜひこの整備に当たっては、そういった社会的な課題の解決についての観点も入れながら整備を進めていただきたいと思っております。
 また、次に、この選手村の木材利用についても伺いたいと思っております。
 今まさに新国立競技場では、二〇二〇年東京大会のメーン会場として、木と緑のスタジアムなどをコンセプトとした木材を生かした和の伝統のデザインが特徴の新たなスポーツの聖地の建設を進めているところであります。
 この木材を使った大規模な建築、新国立競技場ができることは非常に喜ばしいことであります。また、二〇一二年のロンドン大会では、木材使用量中の認証木材の割合を約九五%から一〇〇%で建設されたといわれております。
 特にロンドンで注目されたのは、FSCとPEFCの二つの国際潮流の森林認証システムが合同して取り組みを進めたということであります。
 そこで、この選手村においては、どのような木材の利用を図っていくのか伺います。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村には、日本の伝統や文化を体験できる施設としまして、木材を使用した仮設建築物でありますビレッジプラザを計画しております。
 現在、組織委員会において、持続可能性に配慮した木材の調達や、使用した木材の後利用も見据えながら、設計の検討を進めているところでございます。
 今後とも、組織委員会と連携しながら、選手村における適正な木材利用に取り組んでまいります。

○野上委員 東京大会では、世界の人に公共建築物の木材利用促進法の役割であるとか、あるいは木材に固定化された二酸化炭素の量、ローカルな資材を使うことの環境評価、そうしたトレーサビリティーのシステム、来るべき循環社会の主役である木材を建築物に使っていくことの大切さ、その手段についても、ぜひこの選手村において実現をしていただければと思っております。
 また、選手村のエネルギー計画については、先ほど小山副委員長の方から質問をされましたので、割愛させていただき、最後に、選手村の防災対策について伺わせていただきたいと思っております。
 今、この晴海地区ですけれども、内閣府や東京都の調査でも明らかになっておりますが、主な競技施設や選手村が建設される、この臨海のエリアというのは、首都直下型地震で震度六強ないし震度七の揺れが想定をされております。地盤の液状化、あるいは老朽化が進んでいる防潮堤、水門の損傷が懸念されているということは、以前から指摘をされているところであります。
 この臨海エリアで大きな浸水被害は想定されてはいないんですけれども、これは防潮堤や水門が機能したという前提で想定されていないということになっております。そういう意味では、この選手村が位置している施設に何らかの災害が起きて、そして、施設が被害を受ければ、非常に大変なことになるということは想像できると思います。
 そこで、首都直下型地震など、大規模災害時における防災対策、検討状況について最後に伺わせていただきたいと思います。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村は、オリンピック・パラリンピック競技大会の中心でございまして、大会時には各国から多くのアスリートや、大会関係者が一堂に会することになります。そのため、大規模災害など緊急事態が発生した際の安全にも万全を図る必要がございます。
 選手村の防災対策につきましては、立地特性などさまざまな課題があると認識してございますが、今後、組織委員会において、選手村の特性に応じた大会時の避難誘導計画を策定することとしており、関係機関と連携しながら、今後も着実に検討を進めてまいります。

○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時散会

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