オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会速記録第四十七号

平成二十九年一月二十六日(木曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 二十三名
委員長高島なおき君
副委員長吉倉 正美君
副委員長秋田 一郎君
副委員長吉原  修君
理事遠藤  守君
理事小山くにひこ君
理事山崎 一輝君
理事相川  博君
理事吉田 信夫君
菅野 弘一君
おときた駿君
川松真一朗君
山内れい子君
まつば多美子君
とくとめ道信君
谷村 孝彦君
鈴木 隆道君
野上ゆきえ君
今村 るか君
畔上三和子君
林田  武君
立石 晴康君
川井しげお君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長塩見 清仁君
次長理事兼務岡崎 義隆君
技監上野 雄一君
技監三浦  隆君
技監小野 恭一君
理事小山 哲司君
理事延與  桂君
総務部長鈴木  勝君
調整担当部長雲田 孝司君
総合調整部長児玉英一郎君
連絡調整担当部長岡安 雅人君
連携推進担当部長丸山 雅代君
自治体調整担当部長井上  卓君
事業推進担当部長計画調整担当部長兼務戸谷 泰之君
運営担当部長田中  彰君
パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務萱場 明子君
大会施設部長根本 浩志君
競技・渉外担当部長小野 由紀君
開設準備担当部長鈴木 一幸君
施設担当部長花井 徹夫君
施設整備担当部長小野 幹雄君
輸送担当部長選手村担当部長兼務朝山  勉君
スポーツ施設担当部長田中 慎一君
スポーツ推進部長小室 明子君
スポーツ計画担当部長川瀬 航司君
ラグビーワールドカップ準備担当部長
国際大会準備担当部長兼務
土屋 太郎君
総務局局長多羅尾光睦君
次長理事兼務榎本 雅人君
総務部長小暮  実君
都政改革担当部長小笠原雄一君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに二〇一九年に開催される第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項(質疑)
・四者協議(その二)について
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会における業務と経費について
・オリンピック・パラリンピック調査チームの提言等について

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会を開会いたします。
 初めに、委員の辞任及び選任について申し上げます。
 議長から、去る一月十二日付をもって、石川良一委員の辞任を許可し、新たに野上ゆきえ議員を選任した旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員を紹介いたします。
 野上ゆきえ委員です。

○野上委員 よろしくお願いいたします。

○高島委員長 紹介は終わりました。

○高島委員長 次に、ラグビーワールドカップ特別対策委員会の委員について申し上げます。
 石川良一委員の辞任に伴い、同日付でラグビーワールドカップ特別対策委員会運営要領に基づき、委員長において、野上ゆきえ委員をラグビーワールドカップ特別対策委員会の委員に指名いたしましたので、ご報告いたします。

○高島委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席につきましては、お手元配布の議席表のとおりといたしますので、ご了承願います。

○高島委員長 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 なお、本日の委員会には、お手元配布の名簿の理事者が出席しておりますので、ご了承願います。
 この際、先般の人事異動に伴い、オリンピック・パラリンピック準備局長から幹部職員の紹介があります。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 一月十六日付の人事異動によりまして、当局の幹部職員に異動がありましたので、ご紹介申し上げます。
 理事でパラリンピック準備調整担当の延與桂でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○高島委員長 紹介は終わりました。

○高島委員長 それでは、報告事項、四者協議(その二)について外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局総務部長 去る十二月二十六日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明いたします。
 お手元に配布してございますオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙を一枚おめくりいただき、資料1、三者協議の経過についてをごらんください。
 これまでの三者協議の経過につきまして、開催年月日、会議・出席者等、主な内容をお示ししてございます。
 続きまして、資料2、立候補ファイルにおける組織委員会、都、国の役割分担についてをごらんください。
 立候補ファイルにおける組織委員会、都、国の役割分担につきまして、各主体別に主な内容を記載してございます。
 続きまして、資料3、立候補ファイルとの対比をごらんください。
 昨年十二月二十一日の四者協議におきまして、組織委員会が公表した資料でございます。上段のロンドン二〇一二大会では、立候補ファイルと実際にかかった経費を、下段の東京二〇二〇大会では、立候補ファイルとV1予算の経費をそれぞれ記載し、対比しております。
 続きまして、資料4、立候補ファイルにおける都外開催に関する記載についてをごらんください。
 都外開催の場合の準備、運営に関する費用負担につきまして、立候補ファイルに記載されている内容及びその箇所を記載してございます。
 続きまして、資料5、ハード(会場関係)経費(恒久施設)をごらんください。
 恒久施設につきまして、会場ごとに金額を記載してございます。
 続きまして、資料6、大会に関わる経費のうち「その他の経費」についてをごらんください。
 先般の報告資料、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会における業務と経費についてにございます大会にかかわる経費のうち、その他の経費の主な例といたしまして、中潮橋撤去工事と選手村関連の事業につきまして、その金額を記載してございます。
 続きまして、資料7、ロンドン二〇一二大会の経費の推移をごらんください。
 ロンドン二〇一二大会における組織委員会と公的部門の経費の推移を記載しております。
 続きまして、資料8、ロンドン二〇一二大会における公的資金についてをごらんください。
 大会のために準備された公的資金ファンディングパッケージの金額と財源内訳をお示ししております。
 続きまして、資料9、ロンドン二〇一二大会におけるODA費用の内訳及び財源についてをごらんください。
 ロンドン二〇一二大会において、大会関連施設の建設などを担ったODA、オリンピック開発公社の費用の内訳及び財源についてお示ししております。
 最後に、資料10、ロンドン二〇一二大会における費用公表とチェックの仕組み(公的資金)についてをごらんください。
 公的部門の大会経費や準備の進捗状況は、文化・メディア・スポーツ省やODAにより年次報告書などの形で公表されています。
 資料の中ほどより下をごらんください。会計検査院が、〔1〕に示すように、中央政府や公的資金を受けた団体の実施する事業について検査をいたしまして、VFM、バリュー・フォー・マネー報告書を作成いたしまして、〔2〕に示すように、下院決算委員会へ報告しています。その後、下院決算委員会から必要に応じて、〔3〕にお示ししたとおり、中央政府へ改善を勧告し、中央政府からは、〔4〕の財務省覚書として回答することとなっております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小笠原総務局都政改革担当部長 続きまして、総務局所管分についてご説明申し上げます。
 資料11をごらんください。本資料は、都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームが、都庁の各局、関係自治体及び関係団体との間で行った打ち合わせやインタビューの議事録でございます。
 続きまして、資料12をごらんください。本資料は、オリンピック・パラリンピック調査チームの特別顧問、特別参与、特別調査員と総務局及びオリンピック・パラリンピック準備局職員との間で交わされた電子メールでございます。
 各資料につきましては、それぞれ資料一覧をつけてございます。
 今回提出しております資料は、資料11の打ち合わせ等の議事録が四十四件、資料12の電子メールが三十一件、延べ九十六通でございます。
 簡単ではございますが、以上で私からの説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○高島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 それでは、私から質問をさせていただきたいと思います。
 本日の質疑は、昨年十月、IOCのバッハ会長と小池都知事との面会をきっかけに設置をされた、いわゆる四者協議についてと、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会における業務と経費についてであります。
 私はまず、質疑に入る前に改めて何点かのことをここで確認をさせてもらった上で、内容に入っていきたいというふうに考えています。
 昨年十月十八日、バッハ会長は、小池知事にこう語りかけました。大会運営の中心にアスリートを置く必要がある、東京が招致に勝ったのは非常に説得力のあるプロジェクト案を提出したからである、東京が開催都市に選ばれた後に競争のルールを変えないことこそ、東京にとっても、IOCにとっても利益にかなう。バッハ会長は、知事にそのようにはっきりと伝えたのであります。
 いうまでもありませんが、東京大会の招致は、スポーツ界、国、国会、都議会、全国の自治体、経済界など、オールジャパンの取り組みでその悲願が実を結んだものであります。そして、世界中からの応援と東京大会への期待があったならばこそ、ブエノスアイレスで行われたIOCの総会において、開催都市の栄誉が東京の上に輝いたわけであります。
 私以下、ここにも、そのブエノスアイレスに行って、あのときのその瞬間を見た議員が何人もいると思います。あの感動は忘れえぬものとして私たちの心に残っているわけであります。
 また、もう少し振り返りたいんですが、平成十七年九月、第三回東京都議会定例会の所信表明において、石原知事が正式にオリンピック招致を表明したところから、足かけ八年の招致活動はスタートをいたしました。東京都と福岡市が争った国内立候補都市の選定、北京オリンピック・パラリンピックの開催、デンマークのコペンハーゲンで開催されたIOC総会において、残念ながら、東京は二〇一六年招致で落選をし、リオデジャネイロに決定がされたわけであります。
 この中にもいらっしゃると思いますが、北京のオリンピックの開会式、私も行っていますが、パラリンピックの開会式、それからパラリンピック競技のそういうようなものを見てきた議員が都議会にはいっぱいいるわけでありますが、私はこのパラリンピックの開会式で非常に感動を覚えました。それは、中国、北京で行われたこのパラリンピックの開会式が、私は、私個人の感想ですから、怒られるかもしれませんが、もしかしたら非常に暗くて、余り、パラリンピック開会式というのをそんな暗いようなイメージでこのとき考えていたんですが、会場に入ったら全く違ったんですね。リオと同じです。もう笑顔、笑顔のすばらしい開会式であったわけです。
 パラリンピックのすばらしさというか、その後も競技、ボッチャほか見てきました。前にも舛添知事と予算委員会でいいましたが、一緒に行った議員たちとボッチャの競技をすぐ通り過ぎないで、一時間半ぐらい、もう夢中になってボッチャを見た記憶があります。そのパラリンピアンのすばらしい姿にも感動を覚えたわけであります。
 それ以上は申し上げませんが、デンマークのコペンハーゲンも同じです。ここにいる多くの議員、やはり一緒にコペンハーゲンに行かせていただいて、あのときにオバマ大統領が見えて大演説をぶちました。シカゴが勝つ、そういう予想も非常にあったわけでありますが、何と第一回目の投票でシカゴが負けたわけですね。東京が二十二票、シカゴ十八票。二回目の投票のときに、東京は二票減って二十票というような結果があったわけであります。
 このときに、やっぱり招致に行っていたJOCの方々、石原知事もそうでありましょう。我々も、次のときには何としても立候補して、東京都市開催の実現をしようというのをみんなで誓い合ったということも記憶の中にあります。残念で泣いていた選手たちもいっぱいいましたし、しかし、そういうお互いの心が一つになったことも実はこのコペンハーゲンであったということであります。
 その後、東日本大震災後の非常に難しい時期、スポーツ界や経済界などの後押しもあって、平成二十三年七月十六日、日本体育協会、日本オリンピック委員会創立百周年祝賀式典の際に、再スタートとなる二〇二〇年招致が再び石原知事によって表明をされました。
 このとき、たしか、招致に対しての、ある程度世論の中で、七割近い人が再度の立候補に対して余り芳しくないという意見をいわれていたような気がしますが、そういう現状の中で、石原知事、そして都議会は結論を出していったということであります。
 二〇二〇年招致活動は、JOCを初めとするスポーツ界はもとより、国、経済界、議会などオールジャパンでの体制を早期に確立し、国内支持率も七〇%を超えるまでに結果としてはなりましたが、実は最初の時点では、このときの支持率四〇%足らずです。それを、やはりそこから、本当に今いった方々全員で日本を、都議会もそうです、ここにいらっしゃる先生方もそうですが、全国の自治体に行かれたり、それから各団体に訪問して、そして多くの方々の賛同をいただく努力を本当にオールジャパンでしていったという事実があります。
 国に対して政府の総力を挙げた支援を求めるとともに、今いいましたように、全国に訪問をして協力の依頼、団体に対する署名活動、そしてまた、一部議員の人たちは海外への渡航もしながら世界との人脈をつくり、またそして、全力で招致活動を推進してきたということであります。
 また、私も含め関係者は、IOCやIFなどの有力者と精力的に接触をし、理解を求め、プロモーション活動を多面的に展開してきたわけであります。JOC、国、招致委員会、都、都議会、それぞれがそれぞれの人脈を駆使して、情報交換をしながら、人的なつながりを国内外で築いてきたのであります。その結果が、平成二十五年九月七日、アルゼンチン・ブエノスアイレスのIOC総会における二〇二〇年大会開催都市の東京決定につながったというふうに私は思います。
 このように東京大会開催は、多くの、たくさんの人々の思いを積み上げてここまで来たものであります。東京大会の準備を進めていくに当たっても、もちろん新鮮な目で経費縮減を考えていくこともとても重要であるというふうには思います。しかし、これまで積み上げてきた関係者による努力、そして、長い間で培われた大きな人脈、経緯、そういうようなもの、人的に築かれた信頼関係を、オリンピック招致をして、また、これから開催に向けていくときには、その信頼関係を十分に踏まえるべきであるということも、また私は事実だと考えます。
 そうでなければ、日本、東京を応援してくれた世界中の友人、そして応援してくれた人たちから、日本自体の信頼が揺らぐかもしれません。そして、見放されてしまうことになるかもしれません。そういうことがないように、私たちは、今まで築いてきたものをきちっと、その上にまた努力を重ねて築いていく必要があるということを私は思います。
 そのような問題意識を持ちつつ、しばらく振り返させてもらいましたが、簡単に振り返ったわけでありますが、本日の質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、四者協議について伺います。
 昨年九月の都政改革本部オリンピック・パラリンピック調査チームの報告書に端を発した会場見直しの議論は、結果的に、都立三施設のいずれもが当初の計画地において整備されることとなりました。既にIOCの理事会において了承を得て固まっていたはずの競技の会場計画について再検討を行い、宮城県や横浜市など他の自治体を巻き込み、三カ月という貴重な時間と多くの関係者の労力を費やしてしまったことは紛れもない事実であります。
 そこで、初めに、昨年十二月に二回目の四者協議を開催した意義について伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 昨年十二月二十一日に行われた二回目の四者協議では、十一月の協議において継続協議となっておりましたバレーボール、車椅子バスケットボール会場につきまして、有明アリーナを整備することで四者が合意し、会場計画の見直しについて最終的な決着が図られました。
 これにより、ボート、カヌースプリント、水泳を含めた三つの会場の整備費を約四百億円削減することができました。また、組織委員会予算と大会全体経費につきまして組織委員会から説明が行われ、大会全体経費が初めて明らかにされたところでございます。

○鈴木委員 今、答弁が聞けましたが、大会経費をめぐっては、特に組織委員会の三者間の役割分担に関する議論が、関係者間で相当程度進められていなければならなかったというふうに私は思います。この間のおくれを取り戻すためには、今後最大限努力することが必要になるというふうに思いますので、このことだけは強く求めさせていただきたいと思います。
 年が明け、二〇一七年となり、いよいよ東京大会まで三年半となりました。大会の成功に向け、オールジャパンで機運を高めていかなくてはなりません。
 ところが、目下のところ、なかなか晴れ間が見えてこない状況にある。この大きな問題は、まさに業務と経費の中に集約されているわけでありますが、私たちはこれらの問題を早急に解決し、関係者が一丸となって大会準備に邁進をしていかなければ、大会の成功はなし得ないというふうに考えています。これらの観点から、業務と経費にかかわる内容と今後の取り組みについて伺ってまいります。
 先月の二十一日に、東京大会の経費は一兆六千億円から一兆八千億円、そのうち組織委員会予算は五千億円と公表されました。先月の本委員会において報告されました東京大会の経費については、これまで二兆円、三兆円などと根拠のない数字がひとり歩きをしており、ようやくではありますが、公表に至ったことは評価したいというふうに思います。
 今までのことを考えますと、こういうあやふやな根拠のない数字が出るということに関して、その風評被害がネット上で、これ、世界中に回ったとも聞いています。ですから、我々はもう少し慎重に、やっぱり情報というのは慎重に、かつ明確なというかな、そういうことで情報をきちっと都民または国民、また世界に知らせていく義務があるような気がするんですが、その辺は私の考えですから聞いておいていただければと思います。
 そこでまず、これまで組織委員会や国との協議、打ち合わせを積み重ねている中、今回、公表に至った経緯について伺います。また、この公表した経緯には、組織委員会との費用分担等の内容もかいま見えますが、これらについて都は了承をしているのか、あわせてお伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 開催都市決定後、資材や人件費の高騰、テロの脅威の拡大など大会を取り巻く環境が変化していることを踏まえまして、平成二十八年三月に都知事、オリンピック・パラリンピック大臣、組織委員会会長の三者で会談を行い、大会準備の役割分担のあり方について見直していく方向で一致いたしました。
 これを受けまして、翌四月から、都、国、組織委員会の三者で事務的協議を開始いたしましたが、十月になりまして都知事とIOC会長が会談し、十一月にはIOCも入りました四者でテクニカルワーキンググループ、作業部会の会合を持ちました。組織委員会が、このIOCの専門家のアドバイスを得ながら、現時点で可能な限りの精査を進めまして、十二月の四者協議におきまして組織委員会の第一回目の予算、バージョンワン予算と大会経費の総額を報告したところでございます。
 今回公表の経費につきましては、組織委員会が見積もりを行い、その線引きも組織委員会の提案でありますことから、都、国ともにこれを了承しているものではなく、これから三者で議論をしていくたたき台であると認識をしております。しかしながら、大会開催まであと三年半となり、概括的にでも経費の全体像を明らかにする必要があるとの観点から、今回公表することについては都、国ともに了承したものでございます。

○鈴木委員 ちょっといい回しが非常に微妙なところもあったわけですが、たたき台としての認識をしていると。全体像を明らかにする必要がある観点から、今回公表することに関しては都、国とも了承したものであると。経費の全体像を明らかにするということを最優先として、公表することについては了承したが、詳細については引き続き協議が必要というふうな理解でよろしいのかというふうに思います。
 この経費については、立候補ファイルに制約があることや、大会を取り巻く環境が変化していることは承知をしています。それでも立候補ファイルと比べここまで経費が増加した要因があると思いますが、その要因、具体的にいえれば、また東京大会の経費について都はどのように捉えているのかお伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 委員お話しのとおり、立候補ファイルは、立候補都市間での比較を容易にするため、例えば建築工事は本体工事費のみを計上するなど、IOCは基礎的な要素のみを取り出した数値を要求したり、公的部門の経費は施設整備中心で、運営にかかわる行政経費の多くは計上していなかったり、また、大会開催の七、八年前に作成されるため、競技種目の追加など、招致決定後の状況変化により立候補当時では想定し得なかった経費が発生するなどの制約がそもそも内在しております。
 その上、資材や人件費の高騰、世界的なテロの脅威の拡大や、深刻化するサイバーテロなどの課題が顕在化するなど、大会を取り巻く環境が変化をしております。このように立候補ファイルでは計上されていなかった要素が新たに追加されたものや、立候補ファイルに計上されているものの規模などが延びている要素がございまして、単純に総額ベースで比較するのは適当ではないと考えております。
 しかしながら、先進国、成熟都市であるなど比較的状況が類似しておりますロンドン大会におきまして、立候補時の約六千億円から大会終了時には二兆円を超えるなど大幅に増加したことや、大会経費の規模につきましては十分に参考になるものと考えております。

○鈴木委員 立候補ファイルに制約があり、大会全体の経費を示したものではなかったことや、その後の環境の変化があり、現在の経費となっているということもよくわかりました。
 比較的状況が類似して参考となると考えられるロンドン大会でも、立候補時から約三倍の二兆円とのことでありましたので、不断の経費の精査はもちろんのことでありますが、東京大会の経費の規模が殊さら大き過ぎるということではないように、私は今の話を聞いて思います。
 その経費に関してでありますが、オリンピック・パラリンピック経費の範囲が決められているわけでありません。捉え方によって経費の範囲も決まってくると思います。
 そこで、都では経費を大会経費、大会関連経費、その他の経費の三つに分類するとしていますが、今回公表された数値はどの範囲のものなのかをお伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会にかかわる経費につきましては、主に大会期間中のものか、大会後も活用されたりするものかの時期、期間の視点と、ハードかソフトかの視点の二つから大会経費と大会関連経費に分類いたしまして、それ以外に、バリアフリー対策や多言語対応といった、大会にも資するが、大会開催の有無にかかわらず、そもそも本来の行政目的のために行われる業務に係る経費をその他の経費として整理することとしております。
 このうち今回公表いたしました経費は大会経費でございまして、その内容は二つに分けられます。一つは、大会開催に伴い専ら大会のために行われます、大会に直接必要となる仮設施設の整備と大会運営に係る経費でございまして、もう一つは、大会にも資するが、大会後も活用され、レガシーとして残る新規恒久施設の整備に係る経費となっております。

○鈴木委員 今みたいに説明を聞くとわかるわけですね。ただ、なかなかそのことがやっぱり伝わっていないんだと思いますよ。ですから、この辺はしっかり、今答弁したことをきちっと発信をしていただいて、多くの都民の皆さんにも理解いただけるようなことがあるといいというふうに思います。
 オリンピック・パラリンピック経費については、捉え方によって私はさまざまあるというふうに思います。例えばIOCから見たオリンピック・パラリンピック経費は、組織委員会の経費五千億円となるかもしれませんし、また、こういういい方はちょっといいのかどうかわかりませんけど、大会に批判的な立場から見れば、インフラ経費を含めて全て過大だということになるかもしれないですね。また、総経費というのかな、マスコミで時々総経費といっていますが、そのため一定の尺度を持って公表をして管理をしていくということが非常に大切だというふうに思いますので、もう一度このことはいわせていただきたというふうに思います。
 今回の経費の内訳としては、仮設等二千八百億円、輸送一千四百億円、セキュリティー一千六百億円だとされており、それに加えて各業務の規模が記載をされていますが、これらの経費は具体的にどのように積算をしたのか、お伺いしたい。また、五千億円とされている組織委員会の収入についてもどのように積算をしたのか、あわせてお伺いをしたいというふうに思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会経費のうち、都立、国立の新規恒久施設整備を除きました経費につきましては、組織委員会が過去大会の実績やIOCの要件などをもとに、一定の仮定を置いて積算しております。
 例えば、エネルギーインフラの電源用量や電気使用量、これらは東京大会での見込みが現時点では不明でありますために、ロンドン大会の実績をベースにしております。また、輸送やセキュリティーといったソフト系の業務につきましては、現在、大会時の計画策定等に向けて準備を進めている段階でございますために、立候補ファイルの規模で積算しているものもございます。
 組織委員会の収入につきましては、立候補ファイルから約一千五百億円程度増加しておりますが、これは国内スポンサー収入の増加によるものでございまして、それ以外は基本的に立候補ファイルの金額を計上しております。今後、計画の策定などを通じまして金額の精緻化を図り、順次、改訂版となるバージョンツー以降の予算に反映していくこととなっております。

○鈴木委員 経費の積算根拠となる各業務の具体的な計画はまさにこれからであり、過去大会の実績などの一定の仮定を置いたものであるということ、組織委員会の収入についても、国内スポンサー収入の増加分のみ計上し、それ以外は立候補ファイルの数値とのことでありました。そのような状況において、果たしてこれらの積算は精度の高いものなのか、今後、上振れする可能性はないのかをあえて伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 経費は業務の種類に応じまして、主にハード系とソフト系とでは、同一の時点で比較した場合におきましても、見積もりの精度が異なっております。とりわけ、先ほど申し上げましたが、セキュリティーや輸送対策、あるいは大会運営のオペレーションなどのソフト系がメーンの業務につきましては、現在、大会時の計画策定等に向けて準備を進めている段階でありますため、立候補ファイルの規模のままのものであったりなど、必ずしも十分精緻化して計上されているものではございません。
 加えまして、暑さ対策や集中豪雨、台風対策、あるいは広域化に伴う業務増など現時点で予見しがたい支出や、ある程度の予見はできますが、要件や仕様が未定であることから、経費を見積もることができないものもございます。
 このため予備費を計上しているところでございますが、この予備費の分を含めまして、一兆六千億円から一兆八千億円を上限とするキャップを設定することによりまして、見積もりの精緻化を図りながら、さらなるコスト縮減に向け経費をしっかりと精査し、改定版となるバージョンツー以降の予算に反映させていくことが可能と考えております。

○鈴木委員 改定版となるバージョンツー以降の予算に反映させていくことが可能と考えているということでありますので、何しろそういうことでありましょう。
 昨年十一月に我が党は、チケット販売額の増収策による歳入確保や予備電源の簡素化などの経費縮減を緊急提言いたしました。ぜひ、これらについてしっかり取り組んでいただきたいということも、あわせて要望しておきます。
 その経費縮減についてでありますが、十一月にIOCから要請があり、このことに関して、IOCの要請に関してちょっと具体的にいってもらえるとありがたいんですが、二兆円、さらには一・六兆円から一・八兆円だったと認識をしています。要請があったからですね。
 そこで、経費縮減に当たりIOCから指摘のあった事項は何なのか、それは十二月の公表時点でどこまで反映をされているのか、今後の経費縮減に関してどういうふうに図っていくのか、あわせてお伺いをしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 十一月上旬のIOCも含めました四者によるテクニカルワーキンググループ、作業部会の会合におきまして、IOCから経費削減に向けた視点や内容などが示されました。具体的には、テストイベントなどの規模の見直しや、国際市場価格も参考にした単価の設定、既存のインフラやサービスの活用などが指摘されたところでございます。
 これを受けまして、組織委員会は、テストイベントを競技エリア中心に簡素化し、期間の短縮を図ったり、大会関係者用の駐車場などにつきましては、公有地の活用を想定するなどの見直しを行ったところでございます。
 引き続きバージョンツー以降の予算に向けましてIOCからの指摘内容をさらに反映させますほか、例えば、日本の電力供給の信頼性を踏まえれば、IOCの要件となっております電源の二重化が必要かなど、一歩踏み込んだコスト縮減を組織委員会と連携し、IOCとも調整しながら取り組んでまいります。

○鈴木委員 経費縮減策については、関係者といったらいいんでしょう、IOCや各ステークホルダーとの協議が必要となるというふうに考えますが、この件に関しては精力的に進めていただきたいというふうに思います。
 さらに経費について申し上げれば、オリンピック・パラリンピックは世界最大の巨大イベントであるがゆえに、道を誤れば、都民に大きな負担とダメージを残す危険性もあるわけです。そのため、予算管理などのチェック体制をしっかりと構築し、取り組んでいくことが必要であるというふうに考えます。
 そこで、予算管理について、ガバナンスの強化とありますが、具体的に何を目的として、どのようにしていくのか、今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 持続可能性などをうたうアジェンダ二〇二〇を具現化した初の大会となります東京大会を成功に導き、新たなオリンピック・パラリンピックの姿を世界に示すため、大会の準備を加速させること、費用の拡大を抑制すること、ソフト、ハードの両面で必要なレガシーに投資することを目的に、ガバナンスと都、国、組織委員会などの各関係者間におきまして協調を促進するプラットホームを構築することが必要と考えております。
 ハード系の業務とソフト系の業務とでは要件や仕様の確定時期が異なっておりますため、大会準備全般にわたりまして効率的かつ効果的な予算の執行を行うためには、関係者が緊密に連携し、計画、予算、執行の具体化していく各段階におきましてチェック体制を確立し、継続することが必要でございます。
 例えば、都、国、組織委員会、JOC、JPCで構成されております調整会議の事務局を常設化するなど調整会議の機能強化を図り、情報の共有、共同での課題への取り組み、情報公開の充実などを図っていくことが考えられます。また、関係者でより効率的な調達の実施に向けた考え方を確認し合うことや、効率性の観点から一体的に執行をチェックし、マネジメントできる横串を刺した体制を構築することが考えられます。
 いずれにいたしましても、効率的な予算管理のためには、ガバナンスの強化は必須でございまして、今後、その具体化に向けて関係者間で精力的に協議してまいります。

○鈴木委員 今、答弁の中にあったわけでありますが、例えばということでいわれました、都、国、組織委員会、JOC、JPCで構成される調整会議の事務局を常設化すると。機能を図って、情報の共有、共同をし、情報公開の充実を図っていくということが考えられるというようなことがありました。
 こういうことをきちっと方向を定めてしていくということが非常に大事だというふうに思います。ガバナンスの強化というのは、そういうことがなされて初めてなっていくような気がしますから、その辺もよく検討して、その道をどんどん進めていくようなことの努力もしていただきたいというふうに思います。
 東京の将来のために必要なレガシーへの投資はしっかり行っていただく一方で、無駄を省き、また最大の効果を上げることができるような経費をしっかりと管理する体制を、ぜひ組織委員会などの関係者の方々と連携をして構築をしていただきたいというふうに思います。
 次に、役割、経費分担について伺います。
 今回の組織委員会による公表において、経費を組織委員会とその他で分けています。これは何らかの役割、経費分担の考え方をもとにしているというふうに思います。
 そこで、その考え方について基本的にお伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回、組織委員会が公表いたしました、組織委員会予算と組織委員会以外の経費の線引きにつきましては、先ほど申し上げましたが、都や国が了承しているものではなく、組織委員会の議論のたたき台との認識を示しておりますが、組織委員会によれば、組織委員会は大会運営を担う主体として運営に係る経費を負担し、その他の主体は大会運営の前提、基礎となる環境整備や条件整備、さらには行政施策の一環として行うものに係る経費を負担するとの考え方で整理したものでございます。
 具体的には、組織委員会は大会運営用のプレハブ、テントの整備や、大会関係者の車両のオペレーション、会場内での第一次的安全確保策など大会運営そのものの経費を負担し、その他の主体につきましては、観客席やセキュリティーフェンス、通信インフラといった大会開催に必要なレベルまでの会場整備や、大都市機能を維持し都民生活への影響を最小化させるための交通需要マネジメント、会場内外の安全・安心確保策などに係る経費を負担するというのが今回の組織委員会の案でございます。

○鈴木委員 先ほど大会経費の質疑において、立候補ファイルからふえた要因や経費、収入の積算などを伺いました。現在の経費の状況を踏まえると、今答弁がありました組織委員会による経費の区分けの考え方も含めて、改めて役割と経費分担を考えていく必要があるような気がしています。改めて都の考えを伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回の公表時点におきましては、立候補の時点と比較いたしまして、立候補ファイル上の制約や大会を取り巻く環境の変化によりまして、立候補ファイルに記載されているものはもとより、記載されておらず、新たに追加となったものが含まれております。
 そのため、立候補ファイルの役割、経費分担の考え方につきましては、立候補ファイルから新たに追加されたものも含めまして、現状に見合ったものに変えていく必要があると認識しております。この役割、経費分担の考え方を踏まえまして、経費を組織委員会と組織委員会以外に分けることになりますが、さらにその後、経費、収入の見積もりの精緻化や経費縮減、組織委員会の収入増の状況によりまして、この線引きも変更される可能性があるところでございます。

○鈴木委員 立候補ファイルの役割、経費分担が、大会を取り巻く環境の変化などにより現状に見合ったものでないのであれば、それは関係者間で議論をしながら更新をしていくべきではないかというふうに思います。さらに、今後、経費縮減や組織委員会の収入増加があれば、組織委員会とその他の主体の役割、経費分担も当然変更されるべきであるというふうに考えます。
 ここで仮設の整備の役割、経費分担について確認をしたいと思います。先ほどの答弁において、組織委員会の経費の区分けの考え方では、仮設の整備については、大会運営用のプレハブ、テントの整備が組織委員会の負担となる一方で、観客席やセキュリティーフェンスなどの会場整備はその他の主体の負担となるとのことでありました。
 立候補ファイルでは、仮設の整備は組織委員会負担ということでありましたが、この考え方を変えるのか、お伺いをします。また、都内の仮設については都が負担をするということなのか、あわせて伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 先ほども申し上げましたが、経費縮減や組織委員会の収入増加によりまして、組織委員会と組織委員会以外の線引きは変更される可能性がございます。
 一方で、経費縮減は大前提としながらも、新規恒久施設整備費と予備費を除いた大会経費が一兆一千五百億円と現時点で見積もられている中、とりわけ開催都市である都といたしましては、役割、経費分担の議論は最大の課題と認識しております。そのため、今後、組織委員会の収支構造を勘案し、収入の源泉にも着目しながら、都として開催都市の責任を踏まえつつ、都議会や都民の皆様からご理解、納得の得られる根拠や理由があるかなど、財源も含めまして十分に検証してまいります。

○鈴木委員 確かに、役割、経費分担の議論は大会準備を進めていく上で避けて通れないというふうに思います。これについては、三者協議で国や組織委員会としっかり詰めていかなければならないというふうに思います。
 そこで、役割、経費分担について、これまでの三者協議において具体的に何が話し合われてきて、今後どのように進めていくのかをお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 昨年四月から行われております都、国、組織委員会の三者によります事務的協議におきまして、秋口までは組織委員会から主要な業務の内容について説明を受け、十一月上旬のIOCも入りました四者によるテクニカルワーキンググループ、作業部会の会合の前後は、同じく組織委員会から各業務の経費について説明を受けてまいりました。
 その際、質疑応答などに加えまして、都といたしましては、例えば、先ほど申し上げましたが、停電の心配がない日本ではIOCから求められている電源の二重化が必要かなど、成熟都市である東京の実情に見合った対応策がとれるよう組織委員会に求めたり、国に対しましては、テロやサイバー攻撃などへのセキュリティー対策に万全を期すことや、地方自治体などが行います競技会場の施設整備などに対して支援することといったことを求めております。
 今回、組織委員会から組織委員会予算と組織委員会以外の経費の線引きが示されたことを受けまして、今後は、これを議論のたたき台として国や組織委員会との協議を精力的に進めるとともに、都としての考えを早急にまとめまして三者協議に提示し、議会のご審議を賜りながら、年度内には大枠の合意を得たいと考えております。

○鈴木委員 役割、経費分担の議論は、当初、昨年内と聞いておりましたが、おくれている状況にあります。しかし、あと三年半しかありません。大会準備を加速させていただくためには、この合意が不可欠であります。スピード感を持って進めていただきたいと思いますし、これに関しては強く要望していきたいというふうに思います。
 ここまで大会経費や役割、経費分担の質疑を行ってまいりましたが、これらの情報は東京大会の重要な情報であり、都民の皆様や都議会への積極的な情報提供、そして、共有化が図られるべきであるというふうに考えます。
 そこで、これらのことをどのように情報提供し、共有を図っていくのか、改めて伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 輸送やセキュリティーといったソフト系の業務を中心に、具体的な計画が策定されていない中ではございますが、概括的にでも経費の全体像を明らかにする必要があるとの観点から、組織委員会の過去大会の実績やIOCの要件などをもとに一定の仮定を置いて積算した経費に、都立、国立の新規恒久施設整備に係る経費を加え、公表に至ったものでございます。
 したがいまして、今回、大会経費を初めて公表するに当たりまして、まずは総額と大きな柱となる内訳をお示しすることにより、全体としてどれぐらい経費がかかるのか、その概要はどうなっているのかということにお答えすることに主眼を置いたものでございます。
 今後、業務ごとに計画が具体化し、経費の見積もりが精緻化していく段階や、役割、経費分担の議論が本格化していく段階に応じまして、都議会や都民の皆様に積極的に情報提供を行い、共有化を図ってまいります。

○鈴木委員 これまで大会経費や役割、経費分担などに関する情報が非公開で、我々に知らされないまま、しかも公式でない情報が新聞などで先行して報道されるということが何度も行われてきました。これが都民の不信、不安感を招いているのではないのでしょうか。
 このような不透明な情報経路ではなく、しっかりと情報を提供し共有をしていくべきだというふうに思います。情報提供、共有をしっかりと図り、都民の皆様の不信、不安感を取り除くよう努力することをぜひお願いしたいというふうに思います。
 続いて、都以外の会場に関して伺ってまいります。
 現在、都以外にある会場は、立候補のときから都外であったもの、会場変更により都外となったもの、競技種目の追加により都外となったものを合わせると、全三十九会場のうち十五会場と実に三分の一になっています。私は調べていませんけれども、過去のオリンピックでこれほど会場が広がった例があるのかどうか、ちょっと調べてみたいと思っておりますが、そういう状態が今の現状であるということであります。
 これだけの全国的な広がりを持つとなりますと、ますますオールジャパンでの取り組みの必要性が高まってまいります。そのためにはやはり、まず国の役割が重要と考えますが、都は国とどのように調整をしていくのかを伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都はこれまで、大会に関します国との連絡協議会幹事会の場や国への提案要求におきまして、国に対し、地方自治体が行う競技会場の施設整備などに対する支援を求めてまいりました。警備や輸送など本来国が担うべき業務はもとより、全国的、複数の自治体に関する課題に対応するため、有形無形の支援を行うなど、国に求められる期待、役割は大きく、また、二〇二〇大会は世界に向けて、東京だけでなく、会場所在自治体も含めました日本全体をアピールする絶好の機会となります。
 平成二十七年十一月に閣議決定されました大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針におきまして、国は、大会の円滑な準備及び運営の実現に向けて、組織委員会、都及び会場が所在する自治体と密接な連携を図り、オールジャパンでの取り組みを推進するため必要な措置を講ずるとあります。この国の基本方針の趣旨がぜひとも実現されるよう、引き続き国に対して強く働きかけてまいります。

○鈴木委員 今答弁がありましたように、この問題は、小池知事みずからが汗をかいていただいて、国と調整をしていくということになるのではないかというふうに思います。そして、この過程をできれば公開してもらうということが一番ありがたいかなと思いますが、しかし、国においては、オリンピック・パラリンピックを開催するのはあくまで都市で、東京オリンピック・パラリンピックであるとの発言、また、国税を投入するのは納税者の理解が得られないなどの意見があるというふうに聞いているところもあります。
 また、他自治体の経費について、都が負担すべきとの声がある一方、都負担には法律上の課題があるともいわれています。どのような課題があるのか改めて伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 地方自治体の財政に関しましては地方財政法に規定があり、その第九条に、地方公共団体の事務を行うために要する経費については、当該地方公共団体が全額これを負担するとございます。また、第二十八条の二には、地方公共団体は、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分を乱すようなことをしてはならないとございます。
 これは、地方自治体に係る経費負担の原則につきまして規定したものでございまして、都が、会場が所在する自治体におきます公共用施設の整備などの経費を負担することにつきましては、このような地方財政法上の課題があると認識をしております。
 なお、国会におきましては、この地方財政法第九条及び第二十八条の二の規定は、地方公共団体に係る経費負担の原則について規定したものであり、具体的な経費負担については、これらの原則を踏まえて、個々の事務の範囲や政策目的に照らし、具体的なケースに応じた判断が必要との答弁がなされたことは承知をしてございます。

○鈴木委員 話を聞いていてちょっとよくわからないところがあるんですが、法律上の課題があるということですよね。だから、この点についても今後実務の実態に即して、具体的にそれぞれの対象の自治体ときっちりと協議をして、また国とも詰めていってもらうということになるのかと思います。これはよろしくお願いをしたいと思います。
 さて、知事は先日、会場所在の自治体の費用負担に言及をされましたが、これらの自治体はこれまで経費の状況すら知らされておらず、まさに寝耳に水の状況であったとされています。それが、先月二十六日に各県知事などによる役割分担等にかかわる共同要請となったわけであります。
 都はこれまで、都以外の会場所在自治体とどのような調整を行っていたのか、お伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都はこれまで、国や組織委員会とともに競技会場が所在いたします自治体に対し、関係自治体等連絡協議会を通じまして、自治体が抱える共通の課題や取り組みにつきまして情報共有や意見交換を行ってまいりました。
 一方、昨年十二月二十一日に組織委員会が大会に係る組織委員会の予算等を発表したことを受けまして、二十六日に競技会場のある十の道県政令指定都市の知事、市長から、都、国、組織委員会に対しまして、都以外の会場整備と大会運営に係る役割分担、経費負担について、立候補ファイルや開催基本計画に基づくことが原則であることを改めて確認するよう共同要請文が提出をされたところでございます。
 これを受けまして、都といたしましては、翌二十七日と二十八日に、神奈川、埼玉、千葉の三県に副知事が訪問するなど、十、全ての自治体に対しまして、今後、関係自治体等連絡協議会のもとで競技会場について情報共有を進めることを提案し、いずれの自治体からもご理解いただきました。
 具体的には、道県ごとに当該自治体、都、国、組織委員会から成ります作業チームを設置することとし、本年一月十三日に開催されました関係自治体等連絡協議会幹事会におきまして提案し、ご承認いただいたところでございます。

○鈴木委員 会場所在の自治体ともめていても始まらないわけでありまして、道県ごとに作業チームを設置して情報を共有していく。連携に向けた第一歩とこれがなるわけでありますから、今後具体的にどのように進めていくのか、もう一度お伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今後、道県ごとに設置いたします作業チームを通じまして、各競技会場について、大会を開催するレベルに整備するために必要な仮設ですとか輸送、セキュリティーなどの業務につきまして、準備の進捗状況に応じて内容と経費を精査し、関係者間で共有してまいります。早急に作業を進めまして、二月中旬を目途に関係自治体等連絡協議会幹事会におきまして作業状況を取りまとめてまいりたいと考えてございます。
 なお、費用負担に係る課題が見出された場合には、三者協議にフィードバックし、国や組織委員会と調整してまいります。

○鈴木委員 会場所在自治体との連携については、一足飛びにはいかないというふうに考えています。時間をかけて深化をさせていく、慎重に対応していくことが非常に重要であるというふうに考えます。
 そういう意味でも、今答弁のありました作業チームの設置は一歩前進であるものと理解をします。これまでの都、国、組織委員会、都以外の会場所在自治体の状況を見ますと、お互いに負担を押しつけ合い、ばらばらであるように感じるわけであります。これでは大会の成功はおぼつきません。大会準備を加速させるために、どのようにして関係者の一体感を醸成していくのかということが問われているんだというふうに思います。
 また、役割、経費負担について、年度末までに大枠を固めると知事はおっしゃっていましたが、それまでに合意を得るためにどのような努力をしていくのでしょうか。あわせて局長の決意を伺います。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 ただいま、るるご議論がありましたように、大会開催まであと三年半となった今、まさに都と国、組織委員会、そして、会場が所在する都以外の自治体によりまして、道県ごとの作業チームを設置することといたしております。まず最初は仮設施設を中心になろうかと思いますが、その要件や仕様固めなどに入る、そういうことで、いよいよ本格的な大会準備に突入していくということになってこようかと思います。
 このような状況の中、大会を成功に導くためには、開催都市である、まず都が先頭に立ってその責任を果たすとともに、各主体に課せられた役割をしっかりと担うほか、やはり何といっても関係者間の緊密な連携が不可欠であると考えております。まずは、この作業チームにおきまして、当該自治体を初め、国、組織委員会と一緒になって、しっかりと議論を深め、土台固めを行った上で、役割、経費分担については三者協議の場にフィードバックさせ、開催都市である都が主導して精力的に議論、協議を行い、年度末までに大枠の合意を得ていきたいと思っております。
 そして、都、国、組織委員会、会場所在自治体ががっちりとスクラムを組み、大会準備を加速させ、大会の成功とその先につながる都民、国民に確かなレガシーがしっかりと残るよう、局一丸となって全力で取り組んでまいります。

○鈴木委員 最後に、ちょっと一言申し上げさせていただきたいと思っています。
 今、局長から、国、組織委員会、会場所在自治体ががっちりスクラムを組んで、全力で取り組むとの力強い答弁がありました。繰り返しとなりますが、今から三年前、ブエノスアイレスのIOC総会において、世界中の協力、友情のもとにオールジャパンで東京大会をかち取った、そのことを我々は決して忘れてはなりません。そして、東京を応援してくれた世界中の人たちに対し、これから東京が、日本が、感謝の気持ちを持って、どのように貢献をさせていただくか、そのことが今まさに問われているというふうに思います。
 例えばアスリートの方々が、これから、まさに東京に向けて、今、世界中で努力をしています。そういう人たちを本当にお迎えするということを考えたときに、アスリートファーストというのは、都民ファーストではないんじゃないでしょうか。インターナショナルファーストじゃないんでしょうか。世界の人たちを迎えていくということになれば、我々は国際感覚を持って、しっかりと世界の人たちの意見を聞き、また、この東京オリンピックに対していろいろな期待をしている方々に対して、我々の心を持って、真心を持ってお応えしていくという姿勢が我々になければいけないというふうに私は思います。
 バッハ会長がいみじくも、先ほどいったように、小池知事に語りかけました。大会の成功に向けた世界に対する約束事があります。先ほどいいましたように、インターナショナルファーストです。選手に対しては、アスリートファーストというのは、世界の、要するにアスリートたちの心を我々は酌みながら、今いった東京オリンピックに向けて努力をしていくということが非常に大切だというふうに思います。
 また、もう一方で、レガシーに関していわせていただければ、私はむしろ心のレガシーというのがあっていいんだというふうに思います。オリンピックを通して、我々もリオにも行って、私もその前の三回のオリンピック、全部行っていますが、そこで得た感動というのは、我々の心に多くのものを与えてくれました。また、恐らく世界中の人に対しても夢だとか希望、勇気、そして恐らくそういう感動を通して心の財産になるものを、間違いなく多くの方に伝えたことは事実だというふうに思います。物ばかりつくるハードではなくして、今いった世界の人たちの心に残るような、そういうレガシーを片一方で考える必要が私たちにはあるというふうに私は確信をします。
 それともう一つは、全国の自治体に関しての--済みません、ちょっとオリンピック委員会からの発信が足りないような気がしています。コスト縮減の件をやっておられますが、全国の自治体からオリンピックに対して、いろんな意味で協力をしたいという声が来ています。しかし、今、それに対して、果たして我々東京都、また我々議会もそうでありますが、応えているんでしょうか。もう一度この辺も検討すべきだと思います。
 二点いわせてもらいますと、ソチのオリンピックに対する協力体制は東京はどうとっていくんでしょうか。もう二年後です。(「平昌」と呼ぶ者あり)平昌のオリンピックですね、ごめんなさい。平昌のオリンピックに対する我々の協力はどういうふうにとっていくのかということが、もう一方で私たちは問われているような気がします。このこともしっかり、もう一度考えていくべきだというふうに思います。
 それから、二月十九日から札幌で冬季のアジア大会が開かれます。これに関しても、東京はどうかかわっていくんでしょうか。アジア大会とかこういうようなものに関してもきちっと情報交換し、IOCの副会長も来ると聞いています。そういうところで得られるそういう情報とか、やっぱり大切にするものが僕はあると思うんですね。そういう周りにもう少し目を開いたものを感覚として持たないと、余りにも東京オリンピックの内部のことだけに集中している感があります。
 やはりある程度世界に目を向けたり、それから周りの状況に目を向けたりして、今ある東京オリンピックが何を目指していくのかというのを考えていくのが今必要なことだというふうに思いますので、そのことをあえて申し上げて、私もまた予算委員会で、もしできれば知事としっかり議論をさせていただきたいとオリンピックに関しては思っておりますので、そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○吉倉委員 それでは、私から、二〇二〇年東京大会の開催経費と業務内容、またあわせて、組織委員会への東京都の関与について何点か質問します。
 最初に、組織委員会への都の関与について伺います。
 そもそも組織委員会という団体は、都とJOCによって設立された団体でありますから、都がもっと組織委員会の運営、経営に深く積極的に関与できるはずであり、関与すべきだと考えております。
 そこで、現在の組織委員会への都からの派遣職員数と二十八年度の人件費負担、予算額は幾らなのか、示していただきたいというふうに思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局総務部長 東京都から組織委員会への派遣職員数は、平成二十九年一月一日現在で二百四十七名となっております。また、人件費につきましては、平成二十八年度予算額で約二十四億円となってございます。

○吉倉委員 組織委員会全体の職員数は、都政改革本部の資料によりますと、昨年八月一日現在で七百三十三名とのことであり、都からの派遣職員はその約三分の一を占めております。特に組織委員会の中でも経営の中核を担うのが企画財務局という組織だと聞いております。
 そこで、企画財務局の局長級職員の氏名とどこからの派遣なのか伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局総務部長 組織委員会企画財務局長は中村英正氏、企画財務局次長は小幡泰弘氏でございます。中村局長は財務省から、小幡次長は文部科学省からの派遣でございます。

○吉倉委員 組織委員会の職員の約三分の一は都からの派遣職員であるのに対して、最も重要な局と思われる企画財務局の長は国からの出向職員とのことであります。当然、適材適所の配置で、国から優秀な方が派遣されていることは理解いたしますが、組織委員会の財政補填は一義的には東京都が行うことを考えれば、都はもっと積極的な役割を果たしてよいのではないかというふうに考えております。
 そこで伺います。都の局長級を企画財務局に派遣させ、組織委員会との連携をより密接に図るべきと考えますが、この点について見解を伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局総務部長 都はこれまでも、組織委員会との連携を円滑なものとするため、各部署、各階層に職員を派遣してございます。
 副委員長お話しの組織委員会企画財務局には、都から部長級を初め複数の管理職を派遣してございます。引き続き適切な人員派遣に努め、組織委員会との連携を一層強固なものとし、円滑な大会準備を進めてまいります。

○吉倉委員 今回の報告では、ガバナンスと各関係者間の協調を促進するプラットホームの構築との内容もありますが、まずは組織委員会の内部においても都の職員がもっと主導的な役割を果たすべきであります。前向きな検討をお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、経費負担区分について伺います。
 本来、オリンピック・パラリンピックは、開催都市が立候補して、IOCと契約をし、ホストシティーとして重要な役割を果たすわけですけれども、国のかかわりが全くわかりにくいのが現実であります。
 そこでまず、国は経費負担についてどのような考え方なのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 平成二十三年十二月に閣議了解されました、平成三十二年(二〇二〇年)第三十二回オリンピック競技大会・第十六回パラリンピック競技大会の東京招致についてにおきまして、現在、国、地方とも財政改革が緊要な課題であることに鑑み、大会の開催に係る施設の新設、改善、その他の公共事業については、その必要性等について十分検討を行い、多様な財源の確保に努めつつ、その規模を通常の公共事業費の中での優先的配分により対処し得るものとし、国庫補助負担率等、国の財政措置は通常のものとすること、大会運営費は、適正な入場料の設定、放送権収入等の事業収入等により賄われるものとすること、国の所要経費は、その必要性等について十分検討を行い、真に必要なものに限って、将来にわたり既定経費の合理化により賄うものとすることなどとされております。

○吉倉委員 確かに国の費用負担に対する考え方については、ただいま答弁がありましたとおり、その閣議了解についてはオリ・パラ大臣が幾度となく発言されております。閣議了解を前提に議論しなければならないとか、あるいは、もし閣議了解を変えるのであれば、別のことを同じ内容で閣議了解しなければ上書きができないなどと、IOCを交えた四者協議の場でも発言されていたわけであります。
 一方、大会経費にかかわる国の負担について、都はどのように考えているのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都はこれまで、大会に関します国との連絡協議会幹事会の場や国への提案要求におきまして、国に対し、地方自治体が行う競技会場の施設整備などに対する支援を求めてまいりました。警備や輸送など本来国が担う業務はもとより、全国的複数の自治体に対する支援を行うなど、国に求められる役割、期待は大きいと考えております。
 平成二十七年十一月に閣議決定されました大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針におきましては、国は、組織委員会、都及び会場が所在する自治体と密接な連携を図り、オールジャパンでの取り組みを推進するため必要な措置を講ずるとあります。この国の基本方針の趣旨がぜひとも実現されるよう、平成二十三年十二月の閣議了解による枠組みを超えて、国が財政面も含め全面的に支援を行うべく、引き続き国との連絡協議会幹事会の場や国への提案要求におきまして、国に対して強く働きかけてまいります。

○吉倉委員 国が決定した、いわゆるオリ・パラ基本方針では、国は、大会に向けたオールジャパンでの取り組みを推進するために必要な措置に取り組むということであります。日本を世界にアピールできるオリンピック・パラリンピックというまたとない機会を最大限利用するためには、財政面を含めた全面的な支援を国がすべきではないかというふうに思っております。
 都は、引き続き国に対して粘り強く働きかけをすべきと要望しておきます。
 次に、組織委員会が公表した大会経費について伺います。
 東京大会の開催経費については、競技会場の見直し問題が決着したことを受け、ようやく大会組織委員会が約一兆六千億円から一兆八千億円と試算をし公表しております。内訳は、運営費八千二百億円、施設整備費六千八百億円、さらに資材や人件費の高騰などに備え一千億円から三千億円を予備費として見積もっております。
 そこでまず、この金額が上限と考えていいのかどうか、直近にテロや大規模災害が発生した場合、施設整備やセキュリティーの経費はさらにふえるのではないかと危惧しております。この点について見解を伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回の積算では、輸送やセキュリティーといったソフト系の業務につきまして、現在、大会時の計画策定等に向けて準備を進めている段階のため、立候補ファイルの規模で見積もっているものがあるなど、必ずしも十分精緻化して計上されているものではございません。
 加えまして、暑さ対策や集中豪雨、台風対策、広域化に伴う業務増など、現時点で予見しがたい支出や、ある程度の予見はできますが、要件や仕様が未定であるものは含まれておりません。
 このように、副委員長おっしゃるとおり経費がふえる要素はございますが、これに対応するために予備費を計上してございます。そして、この予備費の分も含めまして一兆六千億円から一兆八千億円を上限とするキャップを設定することにより、見積もりの精緻化を図りながら、さらなるコスト縮減に向け、経費をしっかりと精査することによりまして、この額におさめていくことは可能と考えてございます。

○吉倉委員 答弁いただきましたが、今回の積算は、計画策定が今後になるものも含めて、必ずしも精緻化されていないということですが、きっちりと上限金額を決めて、それを明確な目標として大会準備を進めることは意義があるということだというふうに思っております。
 一方で、上限を定めてオーバーしないように管理するだけでなく、さらなる縮減を図ることも必要だと思います。
 そこで、これをさらに削減していくためにどのように工夫をしていくのか、見解を伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 十一月上旬のIOCも含めました四者によるテクニカルワーキンググループ、作業部会の会合におきまして、IOCから経費削減に向けた視点や内容などが示されました。これを受けまして組織委員会は、テストイベントを競技エリア中心に簡素化し、期間の短縮を図ったり、大会関係者用の駐車場などにつきましては、公有地の活用を想定するなどの見直しを行ったところでございます。
 引き続き、バージョンツー以降の予算に向けまして、IOCからの指摘内容をさらに反映させるほか、例えばIOCの要件となっている電源の二重化が必要かなど、一歩踏み込んだコスト縮減を組織委員会と連携し、IOCとも調整しながら取り組んでまいります。

○吉倉委員 経費の削減はさまざまな点に着目して地道に行い、関係者と連携して事に当たることで、現場の努力が実を結ぶんだろうというふうに思っております。
 そこで、特に経費の削減については組織委員会任せにせず、都も積極的に関与すべきであります。見解を伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 効率的かつ効果的な予算の執行を行い、費用の拡大を抑制するためには、計画、予算執行の具体化していく各段階におきましてチェック体制を確立し、継続することが必要でございます。
 そのためには、都、国、組織委員会などの関係者が緊密に連携し、同一歩調で取り組むことが重要でございまして、都も組織委員会と連携しながら、積極的に取り組んでまいります。

○吉倉委員 答弁いただきましたが、都、国、組織委員会の三者が連携し、積極的に取り組んでいくということであります。そのために具体的にどのような方策を検討しているのか、伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 例えば、都、国、組織委員会、JOC、JPCで構成されております調整会議の事務局を常設化するなど調整会議の機能強化を図り、情報の共有、共同での課題への取り組み、情報公開の充実などを図っていくことが考えられます。
 また、関係者でより効率的な調達の実施に向けた考え方を確認し合うことや、効率性の観点から一体的に執行をチェックし、マネジメントできる横串を刺した体制を構築することが考えられます。
 いずれにいたしましても、効率的な予算管理のためにはガバナンスの強化は必須でございまして、今後その具体化に向けて関係者間で精力的に協議してまいります。

○吉倉委員 効率的な予算管理を行うという答弁であります。それでは、現時点における組織委員会の調達について伺います。
 これまでの契約案件について、主なものを示していただきたいと思います。またあわせて、組織委員会は現状、どのような仕組みや基準で調達に取り組んでいるのか伺いたいと思います。

○岡安オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 組織委員会が締結しております主な契約案件でございますが、有明体操競技場新築工事を清水建設株式会社と約二百五億円、業務用無線サービス提供に係るサプライヤー選定を日本電気株式会社と約三十億円、東京二〇二〇ブランドデザイン開発に係る業務委託を株式会社電通と約五千億円で締結しておりまして、現在、組織委員会のホームページで高額かつ注目度が高い案件について十件の入札結果が公表されております。
 組織委員会では、調達の体制に民間感覚を生かすため、民間の人材を調達部門に配置し調達計画を進めておりまして、契約方法としましては、競争入札、それから複数見積もり、プロポーザル方式、特命随意契約、パートナー供給契約といった調達方式を採用しております。
 今後、調達案件の増加が見込まれることを踏まえまして、公平性や透明性の観点、また、より多くの事業者に参加機会を提供する観点から、昨年十二月より、取引を希望する事業者に向けまして、組織委員会における調達の方針や仕組みをホームページで公表しております。
 本年四月からは、東京都の産業振興施策の一つであるビジネスチャンス・ナビ二〇二〇を活用し調達することとしておりまして、事業者に対しオープンで公平かつ公正な参入機会の提供に努めることとしております。
 今後、東京都といたしましても、調達手法の検討や具体化に向けまして、都、国、組織委員会など関係者間で横串を刺した体制の構築を検討してまいります。

○高島委員長 吉倉先生、ちょっと待ってね。ちょっと答弁がおかしかったから。

○岡安オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 申しわけございません。ただいまの電通との契約につきまして、五千万円のところを五千億円と申し上げました。失礼しました。訂正させていただきます。

○高島委員長 五千万円でいいということですね。

○岡安オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 はい、五千万円でございます。

○高島委員長 わかりました。失礼いたしました。

○吉倉委員 今、答弁いただきました。調達における事業者選定が、答弁いただいたような取り組みを通じて、より一層公平で公正な形で行われることを要望しておきたいと思います。
 次に、組織委員会は、仮設施設の建設に要する経費二千八百億円のうち八百億円を負担し、二千億円を他に負担させることになっておりますが、その考えの根拠は何なのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回、組織委員会が公表いたしました組織委員会予算と組織委員会以外の経費の線引きにつきましては、都や国が了承しているものではなく、組織委員会の議論のたたき台との認識を示しておりますが、組織委員会によれば、組織委員会は大会運営を担う主体として運営に係る経費を負担し、その他の主体は大会運営の前提、基礎となる環境整備や条件整備、さらには行政施策の一環として行うものに係る経費を負担するとの考え方で整理したものでございます。
 この考え方によりますと、仮設につきましては、組織委員会は大会運営用のプレハブ、テントの整備など大会運営そのものの経費を負担し、その他の主体は観客席やセキュリティーフェンスなど大会開催に必要なレベルまでの会場整備に係る経費を負担するというのが、今回の組織委員会の案でございます。

○吉倉委員 ただいまの答弁では、仮設のうち観客席やセキュリティーフェンスなどについてはその他の主体が経費を負担するということであります。その他の主体が都や国、会場所在の自治体のことを指しているのであれば、他県の施設の整備費の負担は誰が行うのかということになります。
 そこで、仮に、都が他県の施設整備の支出をするにはどのような法律上の制約があるのか、改めて伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 地方自治体の財政に関しましては、地方財政法に規定がございまして、その第九条は、地方公共団体の事務の経費につきまして、当該自治体が全額これを負担すると規定がございます。また、第二十八条の二には、地方公共団体は、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁するといった負担区分を乱すようなことをしてはならないとございます。
 これは地方自治体に係ります経費負担の原則について規定したものでございまして、都が、会場が所在する自治体における公共用施設の整備などの経費を負担することにつきましては、このような地方財政法上の課題があると認識をしております。
 なお、国会におきましては、この地方財政法第九条及び第二十八条の二の規定は、地方公共団体に係る経費負担の原則について規定したものであり、具体的な経費負担につきましては、これらの原則を踏まえて、個々の事務の範囲や政策目的に照らし、具体的ケースに応じた判断が必要との答弁がなされたことは承知をしてございます。

○吉倉委員 ただいまの答弁から判断しますと、地方財政法上の法的な課題はあるが、これを原則としながらも、個々の事務の範囲や政策目的に照らして、具体的なケースに応じた柔軟な判断を行うことが可能だということがよくわかりました。
 それでは、都が仮に仮設部分を負担することになった場合、都が発注先になるのかどうか伺います。また、その場合、組織委員会に派遣している都の建築部隊は都に戻すのか、この点についても伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 役割、経費分担につきましては、今後、都、国、組織委員会の三者で議論、協議していくこととなっておりますため、契約当事者を含めました事業の主体ですとか執行のあり方につきましても、その協議状況を踏まえて対応することとなります。

○吉倉委員 答弁ありましたが、仮設施設の整備事業を誰が行うかなど、執行の方法によって、経費の分担の問題だけでなく人の移動の問題にも及ぶのだというふうに考えます。その意味からも、役割分担、費用分担の議論は早急に進める必要があるというふうに申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、セキュリティーについて伺います。
 セキュリティーの一千六百億円のうち、組織委員会負担は二百億円とはどういう考え方に基づくのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回、組織委員会によります組織委員会予算と組織委員会以外の経費の線引きの考え方によれば、セキュリティーにつきましては、組織委員会は会場内での第一次的安全確保策など、大会運営に密接に関連する経費を負担し、その他の主体は大会運営の環境条件整備となり、会場内外の安全・安心確保策などに係る経費を負担するというのが今回の組織委員会の案でございます。

○吉倉委員 またあわせて、民間のガードマン、一万四千人を予定しておりますけれども、この経費はどこが負担するのか伺います。さらに、サイバーセキュリティー対策に要する経費についてもどこが負担するのか伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 民間ガードマンにつきましては、今回の組織委員会の案では、主として会場内での第一次的安全確保などを担うことから、組織委員会が負担するものとして整理されております。
 また、サイバーセキュリティー対策につきましては、今回の組織委員会の案では、大会運営の環境条件整備となり、会場内外の安全・安心確保など広域でその対策を講じる必要があることから、主としてその他の主体が負担するものとして整理をされております。
 なお、都はこれまで国に対し、テロやサイバー攻撃などへのセキュリティー対策に万全を期すことを求めているところでございます。

○吉倉委員 セキュリティーやオペレーションについては、現場での指揮命令系統がはっきりとしなければなりません。経費の負担区分により指揮命令系統が混乱するおそれがあるのではないかと危惧いたしますが、この点について見解を伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 現在、都、国、組織委員会などの間で大会時におけるセキュリティーや競技会場、選手村等における大会運営につきまして、役割分担の協議を行っております。この結果を踏まえまして、それぞれの関係機関がおのおの適切な指揮命令系統のもと、連携を図りながら役割を果たしていくこととなります。
 都は、大会が安全で円滑に運営されるよう、開催都市としての責務を果たしてまいります。

○吉倉委員 次いで、ロンドン大会について伺います。
 ロンドン大会では、組織委員会は約四千三百億円、公的部門は約一兆六千百億円となっておりますが、公的部門の負担のうち、ロンドン市と国の負担はそれぞれどれくらいか伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 ロンドン大会におきます公的資金の内訳は、一ポンドを直近十年間の最小値と最大値の中間値である百八十一円で換算しますと、二〇一二年十月の公表資料において明らかになっております総額約一兆六千八百億円のうち、中央政府が約一兆一千三百億円、ロンドン市が約千六百億円でございます。
 なお、このほかに宝くじが約三千九百億円となっております。

○吉倉委員 さらに伺いたいと思います。組織委員会の収入のうち、スポンサーからの収入、ライセンスグッズの収入はどれぐらいだったのか伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 ロンドン大会におきます組織委員会の二〇一二年九月三十日時点の公表資料によれば、同じく一ポンド百八十一円で換算いたしますと、国内スポンサーからの収入は約一千三百四十億円、ワールドワイドスポンサーからの収入は約四百二十億円、ライセンスグッズの収入は約百五十億円となっております。

○吉倉委員 今回公表された組織委員会の収入では、国内スポンサーは二千五百億円と、ロンドン大会の約二倍近い数字であります。引き続き収入の確保に努めていただきたいというふうに思っております。
 東京大会とロンドン大会の比較を見ると、競技数やセキュリティー要員などを比較しても、東京大会はロンドン大会より大幅に多くなっております。ロンドン大会が二兆円だったのに比べ、東京大会は一兆六千億円から一兆八千億円の大会経費規模であります。この経費で実施できるのかどうか、最後に局長に伺い、質問を終わります。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 ロンドン大会は、先進国、成熟都市であることなど、東京大会と比較的状況が類似していることから、大会経費の規模などは一つの目安になるものと考えております。
 その一方で、東京大会は、持続可能性や経費削減などをうたうアジェンダ二〇二〇を具現化した初めての大会となります。この東京大会を成功に導き、新たなオリンピック・パラリンピックの姿を世界に示していくため、バリアフリーなどソフト、ハードの両面にわたって必要なレガシーをしっかりと投資していくことも、将来の東京や都民にとって極めて有意義なものとなってくると考えております。
 したがいまして、今お話のありましたような大会の全体経費につきましては、予備費用を含めました一兆六千億から一兆八千億円を上限とするキャップを設定し、国や組織委員会と横串を刺して、しっかりとしたチェック体制を確立するなどガバナンスの効いた取り組みによりまして、さらなるコスト縮減に向けた経費の精査を行い、この額にしっかりとおさめていくことが極めて重要だと考えております。
 いずれにいたしましても、開催都市である都が中心となりまして関係者と緊密に連携し、コスト縮減とともに未来への投資、この両方とも両立させるべく、大会を成功に導くためにこうしたキャップをはめて、しっかりとこの範囲内で大会を実現していく、このことに最大限努力してまいるつもりでございます。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十五分休憩

   午後二時五十分開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○畔上委員 それでは、私の方から、大会における業務と経費について、先ほどのご答弁を踏まえて質問したいと思います。
 昨年の十二月二十一日に東京都、国、組織委員会、そして国際オリンピック委員会の四者協議において、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の組織委員会予算とその他の経費、全体像のバージョンワンが発表され、当委員会にも報告がなされました。
 立候補ファイルのときには七千三百億だったこの全体経費が、一兆六千から一兆八千億円にと一兆円も膨張して、このままでは都民が大変な税金負担を強いられかねないという内容でございます。
 今、その負担の役割分担の議論が都、組織委員会、そして国、三者協議で始まっているわけですが、私はまず、この膨張した全体経費をどう節約し、また縮減するか、それを都民参加でやはり知恵を絞ること、そのことが必要だというふうに考えます。その上で、どうしても費用が増加する部分については、国、民間、そして個の協力を求めていくべきだということを最初に申し上げておきたいと思います。
 私たちは、この五輪経費を削減するためには、何よりもまず正確な情報公開が必要だと繰り返し求めてまいりました。議会でもそのことを何度も指摘してきたところです。そして、招致決定から三年がたってようやく出されたわけですけれども、この発表内容は余りにも不透明な点が多いといわざるを得ません。
 経費分担案では、組織委員会が五千億、非組織委員会、つまり主には都と国負担は一兆一千億から一兆三千億となるわけで、既に都の負担は三千億を超えている。その上、七千から九千億もの負担が都の負担となれば、都民の負担総額は一兆円を超えかねません。そのことを東京都はどう考えていらっしゃるんでしょうか。まず伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回の公表に当たりましては、輸送やセキュリティーといったソフト系の業務を中心に具体的な計画が策定されていない中ではございますが、組織委員会が経費の見積もりを行い、その線引きも組織委員会の提案でありますことから、都、国ともにこれを了承しているものではなく、これから三者で議論していくたたき台であると認識をしております。
 なお、大会経費の規模につきましては、ロンドン大会では二兆円を超えておりまして、先進国、成熟都市であるなど比較的状況が類似していることから、一つの目安になるものと考えているところでございます。

○畔上委員 ロンドン大会では二兆円を超えていると。それが一つの目安だということでありますが、だからといって、都民負担は千五百億円、そして全体経費は七千三百億円ですといって立候補したものを、二兆円切ったからいいと到底了承できるものではありません。
 ロンドン五輪以降、アジェンダ二〇二〇、ここでも大会経費の削減が一層強調されているわけです。総経費の削減と収入増の打開策が不可欠なわけですが、その打開策を考える上でやっぱり大前提となるのが経費の透明化だと思います。
 しかし、今回の発表は余りにも不透明です。マスコミでは既に、一月十四日付の埼玉版の新聞でしたけれども、これでいきますと、仮設施設の整備費用を、埼玉県の仮設施設の整備費用は総額二百一億円だと。さいたまスーパーアリーナは三十三億一千万、埼玉スタジアムは三十二億五千万、霞ヶ関カンツリー倶楽部が四十一億七千万、陸上自衛隊朝霞訓練場は九十四億三千万と試算していることが明らかにされているわけです。
 都は、マスコミで発表されたこの今の積算等を聞いているんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今後、役割、経費分担の議論が本格化していくこともありますため、具体的な内容につきましては今後精査をしてまいります。

○畔上委員 マスコミで公表されているのに、都が知らないというのは非常におかしな話ですよね。先ほども組織委員会の中に東京都が入っているというお話もありましたが、そもそも組織委員会が大会開催経費を発表するに当たって、それではどういう内部の手続が進んだのでしょうか。そこを伺います。

○岡安オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 大会全体経費のうち組織委員会の予算でありますバージョンワン予算につきましては、四者協議での協議を踏まえまして理事会において概要を説明し、決議を得ております。大会全体経費につきましては、組織委員会の内部において意思決定を行ったものでございます。

○畔上委員 大会全体経費は組織委員会の内部ということなんですが、そうしますと、これ、公表されたことは、誰が最終確認したんでしょうか。

○岡安オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 組織委員会の中で内部におきまして意思決定をされておりまして、しかるべくルートで意思決定はされてございます。

○畔上委員 こんな大事なことも理事会に報告がないということ自身が大変驚きなんですけれども、先ほどもお話ありましたように、組織委員会そのものは都とJOCが設立し、副会長には山本副知事、そして理事には、また評議員にも局長を初め都の幹部も入っていらっしゃるということなわけですね。
 組織委員会の内部でも、やっぱり私は、イニシアチブをしっかりと東京都がとるべきだというふうに思うんですね。そういう意味でも、公表について、これもやっぱり東京都がきちんと組織委員会の中でイニシアチブをとるべきだというふうに思うんです。
 総経費の詳細な積算根拠を透明化させて、削減するべきところは削減するよう提案し、また収入確保の提案を行うということで、やっぱり早急に積算根拠を明らかにさせる、そういう責任が私は東京都にあるというふうに思うんですけれども、その点いかがですか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都といたしましては、今後、業務ごとに計画が具体化し、経費の見積もりが精緻化していく段階や、役割、経費分担の議論が本格化していく段階に応じまして、きちっと詳細な内訳を求めていきたいと考えております。

○畔上委員 じゃ、組織委員会は、積算根拠の詳細についてはいつ明らかにするつもりなのか教えてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 組織委員会によれば、バージョンワン予算を発表した際、事業の大きさのイメージを持っていただくために主要な事業の規模について公表したところでございます。
 今後、業務ごとに計画が具体化し、経費の見積もりが精緻化していく段階や、役割、経費分担の議論が本格化していく段階に応じまして、都や国などとも調整し、可能な限り示すこととしております。

○畔上委員 今、段階に応じてというご答弁なんですが、そんなやり方で東京都はいいと考えていらっしゃるんでしょうか。
 知事は、三月末までに三者協議で役割分担を決めるというふうにいっているわけですね。その前にやるべきことというのは、やっぱり早急に総経費の詳細を公表することじゃないんでしょうか。そういう認識はないんでしょうか。ちょっとそこだけ伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 経費の公表に当たりましては、業務ごとに計画が具体化し、経費の見積もりが精緻化していく段階ですとか、あるいは役割、経費分担の議論が本格化していく段階に応じまして、必要に応じた公表を行っていくこととしてございます。

○畔上委員 じゃ、一体いつの段階になるのかと。二月中旬までに三者協議で総経費の精査をまず行うということが示されているわけですよね。そうすると、あと二週間から三週間なわけです。ほぼ固まった経費の内容が出されてくるというふうになりますと、議会としても都民の税金をどこまで使うのか、このチェック機能の役割を果たせないじゃないですか。ほぼ固まった経費の内容が出されてしまったら、本当に東京都と都民には結果責任だけが押しつけられてしまうということになりかねません。
 先ほどガバナンスの強化が大事だというお話があったわけですけれども、調整会議の事務局機能の強化ということがその発表文にも書かれていましたが、やはり私は透明化、都民参加については極めて不明確だというふうにいわざるを得ません。
 昨年の第四回定例会で知事は我が党の代表質問の答弁で、ロンドン大会の成功は予算管理と透明性の確保の仕組みがしっかりされていたということに尽きるんだと、こういうふうにおっしゃっていたわけですね。以前から私たちは指摘していたように、ロンドン大会のように公開してチェックを受けるべきだというふうに思い、そして全体経費の削減、そして収入確保について第三者がチェックして、開催都市である東京都が都民参加で検討できるような仕組みをつくるべきだという提案もしてきました。どう検討されたんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会の準備を加速させ、費用の拡大を抑制し、ソフト、ハードの両面に必要なレガシーに投資するため、都、国、組織委員会などの各関係者間において協調を促進するプラットホームを構築することが必要と考えております。
 効率的かつ効果的な予算の執行を行うためには、計画、予算、執行の具体化していく各段階におきましてチェック体制を確立し、継続することが必要でございまして、そのためにも関係者が緊密に連携し、同一歩調で取り組むことが重要でございます。今後、その具体化に向けまして関係者間で精力的に協議してまいります。

○畔上委員 精力的にとおっしゃっても、二月中旬にはもう全体経費の精査を行っているわけですね。終わっているわけですね。やっぱりちゃんと今の時点で明らかにされなければ、都民のチェックはできないわけですよ。
 ロンドン五輪では半年、そして、その後は三カ月ごとに状況を公開して、リオ五輪でも半年ごとの予算を発表しています。
 ロンドン五輪と下院の決算委員会による行政監視という国立国会図書館の専門調査員の方の報告書を私も読ませていただきました。これに書いてあったんですけれども、大会の四年前には既に予算を発表して、その後、三カ月ごとに下院の決算委員会、つまり議会にちゃんと報告しているんですよ。
 知事も本会議の答弁で、ロンドンがやっぱり見本だというふうにいったわけですね。だから、私は、今、本当にこの全体経費をきちんと明らかにする、ここが今、本当に問われているんじゃないかというふうに思うわけです。
 その報告書の最後にこういうふうにまとめてあったんですね。大会開催の五年以上前から監査を始めていた英国とは異なるものの、財政難のもとでの開催という点では類似していると。巨額な公的支出を伴う五輪が、大会終了後の決算の前までブラックボックス状態にならないよう、支出を含む準備状況の情報を定期的に公表し、プロジェクトの透明性を高めて、納税者に対する説明責任を果たすことが重要だというふうに、その報告書の中には最後にまとめていました。本当にそのとおりだと私は思うんですね。
 リオの場合も調べてみました。仮設の発電機、送電線、水道、下水、公園の造園、舗装、これがどうなっているのか、そういった本当にかなり詳細な項目で半年ごとにチェックされているわけですよ。
 それに比べれば、本当に東京五輪の場合は総経費の内訳も最初から示されないと。これは余りにも閉鎖的だといわざるを得ないんじゃないでしょうか。都民参加のオリンピック、都民参加のパラリンピックといいながら、情報は都民に公開しない。これでは、やっぱり、本当に都民からお金がどうなるんだろうという不安の声が上がるのは、私は当然であろうというふうに思います。
 これまでの三者協議は議事録もなかったわけですね。今後の三者協議は議事録もとり、資料も都として保管、公表して、検討過程の透明化を図るべきだというふうに思いますけれども、その辺は都はどう検討されているんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 まず、経費を明らかにしていないということでございますが、今回初めて経費を公表するに当たりましては、具体的な計画が策定されていない中ではございますが、概括的にでも経費の全体像を明らかにすると。それは総額と大きな柱を示すということで、まず全体としてどれぐらい経費がかかるのか、その概要はどうなっているのかということにお答えするために主眼を置いて、今回初めて公表したものでございます。
 したがいまして、今後その経費の精緻化に伴いまして、あるいはその役割分担の議論が本格化していく状況に応じまして、積極的に情報提供を行い、共有化を図っていきたいと考えております。(発言する者あり)
 それで、今後の三者協議でございます。既にきょう提出をさせていただきました三者協議の経過につきましての資料などのようにお示しいたしますとか、議事内容につきましても、今後、国や組織委員会と調整し、その透明化に努めてまいります。

○高島委員長 不規則発言は気をつけてください、各委員さん。

○畔上委員 総額を示すものというお話でしたけれども、先ほどもちょっと例示を出しましたけれども、かなり詳細な単価が出ているわけですよ。それで、やっぱりそれの幾らかの積み上げがあると、先ほどのお話でも、説明でもあったわけですね。ですから、そこをきちんと明らかにしなければ、都民のチェックのしようがないということなわけですよ。
 三者協議については、そうすると、ちゃんと議事録もこれからはとるということでよろしいんですか。そこだけ確認します。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 三者協議でございますので、都だけではなく、国、組織委員会も参加してございます。今後、国や組織委員会と調整し、その透明化に努めてまいります。

○畔上委員 ちゃんと議事録はとっていただきたいと、それは常識だと思います。意見として述べておきます。
 役割分担も非常に大問題だと思っています。役割分担について私たちは、見直しが必要だとしても、やっぱり立候補ファイルの役割分担を基本に行うべきだというふうに、この間も求めてまいりました。
 立候補ファイルの仕分けに即して費用を積み上げた場合に、どこが立候補ファイルに比べて増額しているのか、立候補ファイルになかったけれども、これは必要になったから、この経費は載せましたと。それは何で幾らなんですよと。そういうことをしっかりと示していただかないと、削減の議論も、それから役割分担の議論も進まないと思うんですね。
 ところが、十二月二十一日に示された全体経費はそれが全くわからない。我が党の吉田議員が前回の委員会にときにそのことを示す資料も要求させていただきましたが、結局、その資料はきょう出されませんでした。
 先ほど、立候補ファイルでは仮設整備は組織委員会の役割だといっていたのに、今回示されたのでは、組織委員会が八百億、そして非組織委員会が二千億と。ゼロから二千億に一気に上がったわけですね。その説明が先ほどありました。なぜそうなったのかというご説明があったんですけれども、先ほどのご説明を聞いていますと、大会運営用のプレハブ、テントは組織委員会、それはわかりました。そして、非組織委員会、つまり国や東京都が観客席の座席、セキュリティーフェンスということは先ほどご答弁がありました。
 しかし、仮設等の一覧、私たちがいただいたその資料によると、八つの項目があるわけですね。そうすると、仮設の競技会場、ウォームアップエリア、それから電源、放送用の照明、それから植栽とトイレ、この五項目の仕分けはどうなっているのか、お示しください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回組織委員会が公表いたしました組織委員会予算と組織委員会以外の経費の線引きにつきまして、仮設の場合を当てはめますと、組織委員会によれば、組織委員会は大会運営を担う主体として、大会運営用のプレハブ、テントの整備のほか、放送用の照明を整備するということとしてございます。それ以外につきましては、その他の主体が大会運営の前提、基礎となる環境整備や条件整備などといたしまして、その経費を負担するという考え方で整理をしてございます。

○畔上委員 知事のいう一丁目一番地は透明化というのは全然、今の場合には貫かれていないですよね。それじゃ、なぜ二千億円になるのかと。ゼロから二千なのかと。やっぱりそこが一番、みんな知りたいわけですよね。それで、そこをやっぱりどうやったら減らせるのか、またどうやったら、国や都じゃなくて、いろんな人たちの負担で賄えるのかということをこれから議論していく上でも、やっぱりそこはきちんと明らかにしなければいけないと思うんですね。
 仮設の二千億という新たな組織委員会の負担分について、そうすると、東京都はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。どのような姿勢で、立場で、これからその話し合いに臨もうとされているんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回公表の経費につきましては、組織委員会が見積もりを行い、その線引きも組織委員会の提案でありますから、都、国ともにこれを了承しているものではございません。これから三者で議論をしていくたたき台であると認識をしております。
 そのため、今後、組織委員会の収支構造を勘案し、収入の源泉にも着目しながら、都として開催都市の責任を踏まえつつ、都議会や都民の皆様からご理解、納得の得られる根拠、理由があるかなど十分に検証してまいります。

○畔上委員 ちょっと繰り返しになりますけれども、組織委員会が仮設整備は行うのだというふうに立候補ファイル時のこれは約束だったわけですね。それが、どうしてこんなに、ゼロから二千になったのかと。やっぱりそこのところはきちんと明らかにされなければ、議会としてきちんとしたチェック機能の役割を果たせません。早急に詳細の内訳を求めたいと思いますし、組織委員会にも東京都として明らかにするように求めていただきたいというふうに思います。
 もっと情報があれば、具体的に私たちも、都民の皆さんも、知恵を出すことができるというふうに思うんです。例えば、一つ例に挙げますと、仮設等の中には、以前、委員会でも指摘をさせていただきました海の森の南側の仮設施設も含まれているものと思いますけれども、この海の森の南側仮設施設はもともと私は無理のある計画であると思っています。
 吉田理事が前回の委員会で指摘しましたけれども、南側というのは廃棄物の処分場なわけです。フェンスのつけかえが当然これは必要になると。その分と、それから組織委員会が整備する八千席の仮設スタンド、この費用というのはどのぐらいに見積もっているのかわかりますか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 委員お尋ねの海の森水上競技場南側につきましては、仮設観客席などを整備することとしておりますが、詳細な整備費については精査されておらず、お答えできる段階ではございません。

○畔上委員 小池知事は、都外の会場の仮設費は総額三百から四百億という見通しを示されていました。つまり、都内の仮設というのは二千四百から二千五百ということになるわけですね。その内訳が明らかでないわけで、具体的に詰めた提案というのは、私は今できないわけですけれども、例えばこの南側の仮設整備をやめるということだって、私は一つの検討だというふうに思うんですね。
 現場に行ったことのある方なら、常識的に、南側は全く整備なくスタンドを設置すればいいなんていう土地ではないことは明らかなわけです。整地するお金もかかる。それから、汚泥の池を囲む。それからフェンスを移動させなきゃいけない。観客席をつくらなければならない。それなりの費用がかさむことは私は明らかだと思うんですね。
 この間の委員会の質疑を通してわかったことは、しかもオリンピック・パラリンピック以外では、その後の国際大会でも南側はもう使用しないんだと。つまりオリンピック・パラリンピックの準備期間も含めて二カ月、三カ月の期間しか南側は使わないということなわけですね。そうであるならば、南側を思い切って整備しないということもあり得ると思うんですけれども、その点どうでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 海の森水上競技場の南側におけます仮設観客席等の敷地の整備につきましては、現時点では、仮設施設の整備として組織委員会が行うことを想定してございます。引き続き、南側の土地の整備内容につきまして、コスト縮減も踏まえまして、関係者と調整を図ってまいります。

○畔上委員 コスト縮減も含めて調整するということは大事なことだというふうに思うんですね。同時に、やっぱり仮設等の二千八百億円の内訳が明らかになれば、こうした具体的な提案がもっともっとできるわけですよ。情報を公開することがいかに大事かということをこの点でも指摘しておきたいと思うんです。
 組織委員会は、予算五千億円というふうになっていますけれども、収入は、これは努力されて国内スポンサーをふやして、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、一千百五十億から二千八百六十億と倍以上にふやしているわけですね。しかし、支出項目を見ますと、仮設等の若干の増はあるものの、新たにIOCなどに支払うロイヤルティー、これが八百億の新しい項目も算入されているわけですね。そういう点は詳細な説明を聞かないと全くわからないわけです。
 このマーケティング、ロイヤルティーについては、誰に払うのかということを伺ったら、主にIOCだということなわけですね。じゃ、IOCと開催都市とのロイヤルティーに関する契約書、どういう内容になっているのか、ちょっとそこだけお答えいただけますか。

○岡安オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 IOCと開催都市とのロイヤルティーに関することは、開催都市契約において決められておりまして、開催都市契約上、守秘義務を負っていますことから、お答えすることはできません。
 しかしながら、都としましても、情報公開の観点から、開催都市契約の内容の公開の必要性については認識をしておりまして、現在、組織委員会やJOCと協議をしているところでございます。

○畔上委員 そうなんですよね。ロイヤルティーの契約書は日本では今の段階では公開されていないと。アメリカから資料を取り寄せるしかなかったわけなんですね。本当にそういう点では、先ほど、JOCとも話し合うということなんで、ぜひ公開の方向に踏み出していただきたいということは指摘しておきたいと思います。
 そういう点でも、本当に新しい項目がふえてもその内容もわかりにくいと。大変不透明なわけです。
 IOCは、組織委員会に対しては放映権で八百五十億出すわけですけれども、ロイヤルティーで八百億、また、組織委員会からIOCに払うという形だと、じゃ一体そのお金、やりくりはどういうふうになっているんだろうという声も、都民から疑問の声が寄せられているところです。
 知事が、きのう、記者会見の中で、携帯電話のレアメタルをかき集めて収入にするという案もおっしゃっていましたけれども、幾らこういう努力を呼びかけても、そもそもどれが幾らかかるのかということが明らかにされない中で、どうして本気でみんなが知恵と力を出すことができるでしょうか。今の段階で公にしないということは、公表しないということは、総経費を縮減していく、また財源の確保をしていくんだといった覚悟と姿勢がやっぱり非常に弱いんじゃないかと私は指摘をせざるを得ないと思っています。
 最後に、都外の開催自治体の負担問題なんですけれども、先ほども少し触れましたが、十四日のマスコミ報道では、大会組織委員会が埼玉県内の仮設施設の整備費用を総額二百一億円と試算していることが明らかになったわけです。昨年の十一月の四者協議で示していたことが報道されていました。一月十三日に関係自治体等連絡協議会の幹事会が開かれたということも報道されていましたが、その中で、都外の開催自治体からは、仮設の整備は組織委員会が負担だと。この原則を堅持すべきだという声が上がったというふうに報道されておりました。
 先ほどのご答弁、私の前の委員の方々のご答弁の中で、今後、道県ごとに設置された作業チームで議論をし、準備の進捗状況に応じ内容と経費を精査し、関係者間で共有していくんだというお話がございましたが、ということは、財政負担の役割分担の協議の現段階での到達点というのは、立候補ファイルの作成時の役割分担の考え方だということでよろしいんですね。そこは確認だけさせてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 委員お話しのとおり、道県ごとに設置する作業チームを通じまして、今後準備の進捗状況に応じ内容と経費を精査し、関係者間で協議をすることとしてございます。
 費用負担に係る課題が見出された場合には、三者協議にフィードバックし、国や組織委員会と調整をしてまいります。

○畔上委員 その到達点なんですね。それは、立候補ファイル作成時の役割分担の考え方ということでいいのかということなんです。それは前回の、十二月二十一日でしたか、委員会でも、費用についてどのように協議されたのかという質問が出されて、それに対して局は、立候補ファイル作成時の役割分担の考え方を示すとともに、施設使用料の免除、会場周辺整備等への協力について依頼したというご答弁があったわけですね。その時点と変わっていないということでよろしいんですね。そこだけ確認したかったんです。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 立候補ファイルの時点におきまして、立候補ファイルの考え方を各自治体にお示しをするとともに、施設使用料の免除、会場周辺整備等の協力について依頼をしたというところでございます。
 まずは、道県ごとに作業チームをつくりまして、具体的な中身につきまして内容ですとか経費を精査していこうということで、今回取り組みを始めるということでございまして、費用負担に係る課題が見出された場合には、国と都と組織委員会の三者協議にフィードバックし、調整をしていきたいという流れになってございます。

○畔上委員 私も埼玉県に行って確認をしてまいりました。役割分担について確認している文書、この到達点を埼玉県として出してくださいというふうにお願いしましたら、今ご答弁のありました、立候補ファイル作成時の役割分担の考え方という文書が示されました。
 これは、無償の範囲とは、大会組織委員会が使用料を支払わないで会場を使用することができることを意味しますと。一方、会場として使用する際は、会場の運営そのものを大会組織委員会が行うこととなるため、通常の使用料に含まれる会場の電気、ガス、水道等の光熱費や、大会に必要な清掃、廃棄物処理費、大会用備品などは組織委員会が負担します。また、セキュリティー施設等の仮設施設は組織委員会が負担しますというふうになっていました。
 こうした到達点を土台に、本来、組織委員会、そして、先ほどもお話がありましたが、国の責任において整備するべきだというふうに考えます。この点については意見を述べておきたいと思います。
 どのぐらいの期間が一般の利用ができなくなるのかという点についても、都外の自治体の不安は大きいというふうに伺っています。早急に利用期間の問題は明らかにするように組織委員会に求めるべきだというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今後、先ほど来申し上げております作業チームを通じまして、各競技会場における仮設、輸送、セキュリティーなどの業務について準備の進捗状況に応じて精査する中で、一般の利用が制限される期間につきましても関係者間で共有し、明らかにしてまいります。

○畔上委員 埼玉県の場合ですけれども、県として組織委員会にも申し入れの文書も出したけれども、組織委員会からは会場使用期間の調整の話し合いがまだなされていないということでありました。さいたまスーパーアリーナという、ここは、点検整備以外、貸出可能日はフル稼働だということも、私も行って調査してわかりました。期間の調整というのは、やはり財政の役割分担とは切り離してできる作業だと思いますので、ぜひこうした県の要望に応えるように、都としても組織委員会に要請していただきたいと思います。
 最後に、他県の施設整備は組織委員会と国の責任においてやるべきだと先ほど申し上げましたが、とりわけ被災地の場合は相当な配慮が必要だということを指摘しておきたいと思うんです。復興五輪ということを掲げているわけですから、無条件に県負担は当然求めるべきではないと思います。それで、被災地だけはそういう点では国に負担を求めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 平成二十七年十一月に閣議決定されました大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針におきましては、国は、大会の円滑な準備及び運営の実現に向けて、組織委員会、都及び会場が所在する自治体と密接な連携を図り、オールジャパンでの取り組みを推進するため、必要な措置を講ずるとあります。
 都はこれまで、大会に関します国との連絡協議会幹事会の場や国への提案要求におきまして、国に対し、地方自治体が行う競技会場の施設整備などに対する支援を求めてまいりました。
 今後とも、会場所在自治体全てに対して支援がなされるよう、引き続き強く働きかけてまいります。

○畔上委員 そうですね。全ての、とりわけ被災地はということで強調させていただきました。ぜひその立場で調整していただきたいと思います。
 最後に、私たちは、仮設会場のIOC基準の観客数はどうなっているのかという資料も求めましたが、それも出ませんでした。また、立候補ファイルとの対比の資料要求もいたしましたが、変わった内容についての記載はありませんでした。
 私はきょうの質疑を通じて、またこうした資料要求を通じて、やはり組織委員会の資料について詳細な説明がなされない以上、参考人として組織委員会を招致する、そういう必要があるというふうにいわざるを得ないと思います。委員長におかれましては善処していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○小山委員 私からも、四者協議、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会における業務と経費、加えてオリンピック・パラリンピック調査チームの提言等について質疑をさせていただきます。
 これまでの本委員会や本会議などにおきまして、二〇二〇年東京大会は、被災地を含め広く都民、国民が参加、参画をし、体感するオリンピック・パラリンピックとしていくべきだと申し上げてまいりました。また、大会経費については、最少の経費で最大の効果が得られるよう、不断の改革と改善に取り組むべきであると強く申し上げてまいりました。加えて、競技会場となります施設の整備に当たりましては、大会後の後年においても負の遺産とならないよう、後利用を十二分に踏まえた計画となるように、これまでも申し上げてきたところであります。
 そのような中、先日の四者協議におきまして一定の結論を得たわけでありますが、大会全体経費が一兆六千億円から一兆八千億円となることに対して、多くの都民、国民から厳しい目が注がれております。加えて、組織委員会予算が五千億で収支均衡となっていることに対しまして、一層の取り組み、改善を図らなければならないことを冒頭強く申し上げておきたいと思います。
 本日の要求資料の資料11のオリンピック・パラリンピック調査チームと都庁各局、関係自治体、関係団体との打ち合わせの議事録が示されたわけでありますけれども、この議事録の7にあります九月十四日の部分でありましょうか、ここの部分で、大会運営が赤字になった場合、最終的にどこが負担かというところの部分でも、ここにも記載がありますように、これまでも議会の中でも何度も申し上げてまいりました、大会組織委員会が資金不足に陥った場合は東京都が補填、そして、都が補填し切れなかった場合は日本国政府が関係法令に従い補填するということで、組織委員会の赤字部分は都が負わなければならないということがここにもありますように、我々はこのことを十分踏まえて対応をとっていかなければならないというふうに考えております。
 そこで、大会経費の不断の見直し、改善を行って経費の縮減を行っていくことは当然のこととして、あわせて、やはり収入増の取り組みを組織委員会や都において積極的に行っていくことが極めて重要だと考えております。
 そこで、組織委員会の収入増の取り組みを積極的に進めていくべきと考えていますが、都の考え方と組織委員会の対応についてお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今後の役割、経費分担の議論におきまして、経費、収入の見積もりの精緻化や経費縮減、組織委員会の収入増の状況によりまして、組織委員会予算と組織委員会以外の経費の線引きも変更される可能性があることから、組織委員会の収入増に向けた取り組みは極めて重要と考えてございます。組織委員会におきまして増収に努めることとしておりまして、都といたしましても、この組織委員会の増収努力をバックアップしてまいります。

○小山委員 ただいまのご答弁にございましたように、経費縮減、そして組織委員会の収入増の状況によって、組織委員会予算と組織委員会以外の経費の線引きも変更される可能性もあるということであります。これは、組織委員会の収入増があれば、その部分が大きく変わってくるわけでありますから、当然、この組織委員会の収入増に向けた取り組みが極めて重要、これは答弁にあったとおりだと私も思います。
 そこで、では、組織委員会としての収入増の取り組みについて、何をどのように取り組んでいこうとされているのか、収入増の具体的な見込みについてお伺いをさせていただきます。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 組織委員会の取り組みといたしましては、さらなる国内スポンサーシップの増加ですとか、公式ライセンス商品の販売などがございます。これらの収入につきましては、今後、具体化される中で、改定版となるバージョンツー以降の予算に反映されることとなってございます。

○小山委員 今、今後バージョンツー以降の予算で反映されるとのことではありますけれども、この資料の中にもそれぞれありますが、国内スポンサーシップの増加や公式ライセンス商品の販売など、これらの拡大はぜひ図っていただきたいというふうに思います。
 特に公式ライセンス商品については、私も多くの都民の皆様から購入したいという声が多数寄せられておりますし、また、大会の盛り上げにもこれらの商品の販売というのは極めて有効だというふうに思っております。ぜひ、このライセンス商品については、あらゆる商品の検討を組織委員会に行っていただくように求めておきたいというふうに思います。
 それでは次に、都としては、では、この収入をふやす取り組みを実際、現段階、行っているのか、また、検討されているものがあればお伺いをしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都が実施いたします事業に対して想定される収入といたしましては、都税などの一般財源のほかに、国庫補助負担金や宝くじ、寄附金などがございます。
 まず、国庫補助負担金につきましては、恒久施設整備における国庫補助負担率など国の通常の財政措置を初め、平成二十三年十二月の閣議了解による枠組みを超えて、財政面を含めた全面的な支援を行うことを国に提案要求しておりまして、オールジャパンでの取り組みを支援するよう引き続き強く求めてまいります。
 また、宝くじにつきましては、東京二〇二〇大会協賛全国自治宝くじが今年度から発売をされておりまして、その収益金の一部を東京都や会場所在自治体の施設整備費に充当することとしてございます。
 なお、寄附金についてでございますが、オリンピック・パラリンピックの寄附を募集できるのは、IOCからの要請により、組織委員会に限られてございます。現在、組織委員会において東京大会の寄附の仕組みを検討しておりまして、都といたしましても大会を応援したいという人々の思いに応えるため、まずはその取り組みを支援したいと考えております。

○小山委員 ただいまのご答弁の中で、都としても取り組み、検討を行っているということがわかりました。この中で特に国庫補助の負担金については、閣議了解による枠組みを超えた財政措置を提案要求されているということであります。ロンドン大会の事例を見ても、ロンドンはイギリス、英国政府がかなりの公的支出を行っているということもありますので、ぜひその点なども、これまでの大会開催の事例なども踏まえながら、ぜひ引き続き積極的に、また粘り強く提案要求をしていただきたいと思います。
 あわせて、やはり私は、特に最後にお答えいただいた寄附金の取り組みについて、より拡大、検討を行っていただくように求めておきたいと思います。私の寄附の提案の一つでありますけれども、大会会場として使用されます新規恒久施設に対して、施設整備に対する寄附を私は広く募るべきではないかと考えております。施設整備にあわせて記念碑を建立し、そこに寄附者のご芳名を刻むことや、あるいはネームプレートを施設の壁面に設置するなど、こういった取り組みを検討して、広く会場整備に寄附を募っていくような取り組みを行っていくべきだと考えております。
 既にこのような取り組みについては他自治体でも行われておりまして、直近では、北九州スタジアムの整備で活用されておりましたし、また、皆様もご承知のとおり、民間では例の吹田サッカースタジアムが百億円を超える寄附を集めたということでも報道などもされておりました。
 そこで、このような施設整備の際に、ネームプレートの設置などさまざまな工夫を凝らして寄附を募集している自治体の例などがありますが、都の新規恒久施設の整備においてもこのような寄附の取り組みを行うべきと考えておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 ただいま理事お話しのございました都立恒久施設の整備への寄附の募集についてでございますが、これがオリンピック・パラリンピックの寄附となって、組織委員会に限定されるものかどうかということも含めまして、まずは寄附の募集の目的ですとか内容などを整理する必要があるものと考えております。

○小山委員 今のご答弁のところで、これからその募集の目的、内容などを整理される必要があるということで、当然これはIOCとのかかわりの中もいろいろあるんでしょうが、私どもが申し上げているのは、このオリンピックのためだけに整備するものではないわけです。都が大会後も引き続きずっと使う都の恒久施設として整備するわけでありますから、そういった施設整備については、こういう取り組みも考えられるのではないかという一つの提案でございます。ぜひ、さまざまなそういう寄附の取り組み、こういったことを検討していただいて、都としても収入増につながるような、そういった取り組みを一層進めていただきたいというふうに思います。
 次に、情報公開についてであります。
 本日の本委員会に報告されております全ての事案についてでありますが、情報公開の重要性が述べられております。特に大会経費の内訳につきましては、詳細を公開していくことが、都民理解を得る上でも極めて重要だと考えます。
 そこで、早期に大会経費などを詳細に公表すべきと考えますが、見解を伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回、大会開催まであと三年半となり、概括的にでも経費の全体像を明らかにする必要があるとの観点から、組織委員会が過去大会の実績やIOCの要件などをもとに一定の仮定を置いて積算し、公表に至ったものございます。
 したがいまして、まずは総額と大きな柱となる内訳をお示しすることによりまして、全体としてどれくらい経費がかかるのか、その概要はどうなっているのかということにお答えすることに主眼を置いたものでございます。
 そのため、詳細な内容につきましては、今後、業務ごとに計画が具体化し、経費の見積もりが精緻化していく段階や、役割、経費分担の議論が本格化していく段階に応じまして、情報提供を行ってまいります。

○小山委員 このことはこれまでの本会議や、あるいは本委員会の中でも何度となく、大会の総経費を早期に公表していくべきだということを申し上げてまいりました。公表されたことについては評価をしますが、残念ながら、少し遅きに失しているんではないかと、このことだけは申し上げておきたいというふうに思います。
 その上で、質疑の冒頭でも申し上げましたが、大会全体経費が一兆六千億から一兆八千億円になったことに対して、これは残念ながら都民の理解が得られているとは到底いえる状況にはありません。早期に詳細を明らかにするとともに、都民の理解を得ていくことが重要であります。
 そこで、大会総経費が立候補時点から大幅に増加をしておりますが、都民の理解を得ていくために都としてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会準備を円滑に進めていくに当たりましては、経費につきまして、都民の皆さんからご理解を得ることは非常に大切なことでございます。
 先ほど申し上げましたが、経費の見積もりですとか、あるいは役割分担議論が本格化していく段階に応じまして、経費の詳細な内容につきまして適時適切に情報提供を行い、共有化を図ってまいります。

○小山委員 大会経費の一兆六千億から一兆八千億になるということは、多くの都民の皆さんから、やはり当初の立候補ファイル段階の積算の金額からすると大幅に増加をしていることから、かなり多くの意見が寄せられております。
 その中で、どうしてこういう数字になったのかということについての説明は、我々は当然、議会や委員会などでも受けておりまして、それを私どもも都民の皆さんに説明をしていっているわけでありますけれども、やはり本体工事のみの積算であったり、ほかにも大会開催に伴うさまざまな経費の部分については、やはり都民理解を得ていくためには、先ほど来申し上げているように、内訳をしっかり示して、それらをわかりやすく都民に伝えて、なぜ必要なのかということについて理解を得ていただかなければ、先ほど来申し上げているように、多くの都民の皆さんが賛同した大会につながっていくことはあり得ないと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 先ほど来申し上げておりますように、都民の理解を得るには、経費の縮減はもう当然のことでありますので、引き続き取り組んでいただくことに加えて、先ほども申し上げました収入増の取り組みというものをあらゆる検討を通じて図っていただきました上で、大会総経費の詳細をつまびらかに公開、公表していくことが大前提になろうと考えております。加えて、大会後のレガシーを都民にわかりやすく示すとともに、それが持続可能なものであるように取り組んでいくことが重要だと思っております。
 そこで、大会成功に向けて、組織委員会や都の収入増と経費縮減に引き続き一層取り組むとともに、情報公開を徹底して、都民の理解を得ながら進めていくべきと考えますが、局長の見解をお伺いしたいと思います。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 持続可能性などをうたいましたアジェンダ二〇二〇を具現化した初めての大会となる東京大会を成功に導き、新たなオリンピック・パラリンピックの姿を世界に示すということのためには、今お話のありましたような大会経費の縮減にとどまらず、組織委員会の増収に向けた取り組みが極めて重要であるというふうに認識しております。
 また、大会の成功に向けた万全の準備のため、それには何よりも都民の皆様から共感を得ることが必須でございます。私ども取り組んでいるこの大会の成功に向けた取り組みには、いわゆるステークホルダーといいますか関係者が多くて、またきょうもるる皆様ご指摘がありましたように、情報公開、詳細ないろいろ中身の公表については、私どもも、その都度その都度、痛感はしているわけでありますが、関係者との調整などもありまして、なかなか遅いというご指摘もあったわけであります。
 ですから、今後、私どもが取り組んでいく詳細な大会の経費が公表できる段階は、役割分担、経費分担の議論が一定の方向性が出る、そういうところだと思います。今後その節目節目で、都民の皆様に積極的な情報公開を行い、理解を得る努力はしていきたいというふうに思っています。
 その中で、この委員会でもるるご指摘をずっと受けているわけでありますが、最大限何とか応えるべく、組織、私ども局一丸となって取り組んでいきたいという思いは、ぜひご理解をいただきたいと思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、開催都市である都が先頭に立ちまして、国、組織委員会、そして会場の所在する他の自治体の皆さん方ともしっかりと連携いたしまして、大会の成功に向け万全を期していきたいと思っております。

○小山委員 今、局長の方からご決意もあわせて伺ったわけでありますけれども、今、本当に局長がおっしゃられているように、多くのやはり都民の皆さんの共感、ご答弁にもありましたように共感というものが大事だというふうに思います。二〇二〇年大会の招致が決定したときは、多くの都民の皆さんが、先ほどもありましたように、喜んでいただいて、これからこの東京大会に向けて都民が一致して、二〇二〇年の大会の成功はもちろんでありますけれども、その後の先の東京の姿というものも描きながら、みんなで前向きに進んでいこうという状況でありました。
 その中で、いろいろな大会経費の問題やこれまでの幾つかの課題がある中で、我々も今この課題に直面しているということを真摯に向き合って、さまざまな大会経費の縮減はもちろんでありますけれども、収入増の取り組みなど具体的なことも申し上げましたが、こういった取り組みをしっかり図りつつ、やはり多くの都民の皆さんに情報をお伝えしてご理解を得ると。そして、共感をしてもらうということを、やはり不断に行っていくしかないんだというふうに思いますので、今、局長ご答弁いただきましたけれども、大会成功に向けて、そういった取り組みをぜひ行っていただきたいというふうに、これは強く求めて、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

○野上委員 私からも大会経費、総費用の抑制に向けた予算管理について伺わせていただきたいと思います。
 これまでは総費用が明らかにされず、また、上限がかぶせられていなかったため、見込み額が膨らんできたといえるのではないかと思っております。
 今回出された資料にもありましたけれども、ロンドン大会では大会の五年前から予算が示されており、また政府や第三者もかかわりながら予算の進捗管理を行ってきたとあります。こうしたことから、全体、あるいは分野別のキャップという設定は必ず必要であるというふうに示されているところです。
 さて、二〇一六年、昨年ですが、東京都、組織委員会、政府、国際オリンピック委員会の四者協議のトップ会合が行われました。組織委員会が大会全体の経費についても最大一兆八千億円になるというふうに説明をし、組織委員会が大会全体の経費を示したのは、年末になって初めてであります。また、この組織委員会は、大会全体の経費について、一兆六千億円から一兆八千億円となる試算をまとめたことを昨年報告しまして、組織委員会が五千億円、組織委員会以外が最大一兆三千億円を負担する案を明らかにしたところであります。
 そこで幾つか質問させていただきたいと思っておりますが、さきの質問におきまして、運営コストの削減案についてどのように都が取り組んでいくのか、また、最終決算額が予算を超過しないためのガバナンスのあり方についてどのように取り組んでいくのかに関連しての質疑は行われましたので、これは割愛をさせていただきまして、質問を進めさせていただきたいと思います。
 ここで、対IOCについてですが、今後の課題として、IOC基準の見直しということが示されておりますけれども、現状の課題をどのように都は認識し、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 IOC基準には、例えば電源の二重化といったものがございますが、これは停電の心配がない日本では必要かといった課題認識がございます。そのため、成熟都市である東京の実情に見合った対応策がとれるよう、組織委員会と連携し、IOCとも調整しながら取り組んでまいります。

○野上委員 また、都政改革本部の十二月二十二日の調査の総括にもありましたけれども、今後の課題として、分野別の効率化のノウハウの提供というふうに示されておりますけれども、どのように都は取り組んでいくのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今、委員のお話にございました分野別の効率化のノウハウの提供、IOCからの提供ということでございますが、これまでの例といたしましては、十一月上旬のIOCも含めた四者によるテクニカルワーキンググループ、作業部会の会合におきまして、IOCからテストイベントなどの規模の見直しや、既存のインフラやサービスの活用など、経費削減に向けた視点や内容などが示されたところでございます。
 これを受けまして組織委員会は所要の見直しを行いましたが、今後ともIOCから、調整委員会などを通じまして、これまで培ったノウハウや知見のIOCからの提供を受けまして、コスト縮減などにつなげてまいります。

○野上委員 続いて、組織委員会についてですけれども、国内三者による共同のコストの管理の仕組みが課題というふうに示されております。東京都としては、この現状の課題というのをどういうふうに認識して今後取り組んでいくのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 IOCから国際市場価格も参考にした単価の設定などの提言を受けてございまして、今後、都、国、組織委員会などの関係者におきまして、より効率的な調達の実施に向けた考え方を確認し合うなど、しっかりとしたコスト管理に取り組んでまいります。

○野上委員 大会の開催中にですが、自然災害や不測の事態が発生をいたしまして、その準備も必要であるというふうに考えております。そうしたことから、開催経費、準備費用というのが膨れ上がって、予備費で補填するのは一方ではやむを得ない状況であるというふうに考えております。
 しかしながら、組織委員会の予算管理を厳重に監視する必要があるというのはいうまでもありません。先ほども申し上げたとおり、ロンドン大会の例をとってみれば、実際に行っているIOC、組織委員会、東京都以外に、やはり政府や第三者の目が行き届いた、きちんと予算管理を進めるような仕組みが必要であるというふうに考えております。
 万が一、大会組織委員会が資金不足に陥った場合は、IOCが大会組織委員会に支払った前払い金、その他の拠出金のIOCに対する払い戻しを含めて、東京都が補填することを保証していることからです。
 改めて伺いますけれども、今後こうした状況を踏まえて、東京都としてはどのように予算管理を行っていくのか。また、先ほど来、示されておりますけれども、やはり情報公開を進めて、都民に進捗状況も含めて、きちんと情報開示を随時行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 効率的かつ効果的な予算の執行を行い、費用の拡大を抑制するためには、関係者が緊密に連携し、大会準備全般にわたり計画、予算、執行の具体化していく各段階においてチェック体制を確立し、継続していくことが重要であると考えてございます。そして、業務ごとに計画が具体化し、経費の見積もりが精緻化していく段階に応じまして、都民の皆様に積極的に情報提供を行ってまいります。

○野上委員 ぜひそのスケジュール感をやはり議会にも示していただきたいですし、ある一定、ロンドン大会では四半期ごとですか、示されておりますから、ある程度の時期が来たら、きちんと毎回進捗状況を説明すると、予算の管理状況も説明するということをきちんとお示しいただきたいと思っております。
 次に、競技会場の見直しに伴う質問をさせていただきたいと思います。
 江東区にある有明アリーナについてであります。この有明アリーナは、立候補ファイル時からIOC、国際バレーボール協会基準を満たす大規模屋内施設として計画された競技会場であります。アリーナは室内競技場、劇場を指しておりますけれども、この地域の活性化のためのマグネット装置として、準公的な性格を持つというふうにいわれております。スポーツ大会のみならず、イベントやコンサート会場としても見込まれているところでございます。
 そこで、有明アリーナの管理運営について、昨年、小池百合子知事は、十二月十六日の会見で、最終的には有明アリーナとすると。そして、地域一体として開発し、オリンピックのレガシーにするというふうに述べております。
 また、この有明アリーナは大会後、民間企業に運営権を売却するコンセッション方式を導入するとの説明をされております。このコンセッション方式の整備予定の有明アリーナでありますが、今月、一月二十日締め切りでありましたけれども、管理運営に関するヒアリングが実施をされております。このヒアリングには、法人、あるいは団体等、申し込みがどの程度あったのか伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 複数の企業がグループで申し込んでいる例もございますことから、このヒアリングへの申込件数は二十一件で、法人の総数は四十九社となってございます。
 なお、今回のヒアリングでは、有明地域活性化の取り組みやコンセッション以外の提案も含めまして、民間事業者に意見を幅広く聞くこととしておりまして、今後の管理運営の検討に生かしてまいります。

○野上委員 このヒアリングで有明アリーナの施設の活用方法のみならず、やはり収益増加の方法であるとか、あるいは追加投資、地域活性化の取り組み、あるいはそういった自由な提案、五項目について意見を求めているというふうに伺っておりますが、そうしたヒアリング内容については、ぜひとも、今後、有明アリーナとその周辺を整備する、この有明レガシーエリアの知恵として活用をしていただきたいと思っております。
   〔委員長退席、吉原副委員長着席〕
 一方では、予算の削減、施設整備の削減を行う一方で、こうしたレガシーエリアというふうに位置づけられたエリアについては、恒久的な施設として、あるいは次の世代につなぐ施設としてきちんとした整備をしなくてはならないというふうに思っております。
 例えば、最初からエネルギー関係の施設についてはビルトインをしておかなければ、後から必要になって附帯工事として追加工事をした場合に、やはり余計に費用がかかってしまうわけです。
 ですから、もともときちんとしたビジョンのもとで建設するのが望ましいわけでありますが、当初、この有明アリーナについては、地中熱技術導入の見送りがされております。この見送りの経緯と今後の取り組みについて伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 有明アリーナのコスト縮減に当たりましては、地中熱利用や太陽光発電など、大会時の競技会場として必須でない項目の縮減可能性についても検討してまいりました。
 今後、変更案の詳細な設計を行っていく中で、グリーンボンドの活用も含めまして、環境や持続可能性についても十分考慮しながら、整備内容を検討してまいります。

○野上委員 また、知事はこの有明アリーナとその周辺を有明レガシーエリアに位置づけて、やはりオリンピック大会後もスポーツイベント等でにぎわうエリアとする方針も示されているところでありますが、この有明エリアというのは既に大型商業施設の計画や、人口増に伴う小中学校の新設、あるいは保育、幼稚園などの設置が求められているエリアであるともいえます。
 地元区や、あるいは周辺住民の皆さん、あるいは関係団体との説明や連携をしながら、このレガシーをつくっていくということが必要であるというふうに考えておりますが、今後、どのようにこのステークホルダーの皆さん、あるいは周辺住民の皆さんとは進めていくのか伺いまして、私からの質問を終わります。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明アリーナの周辺地域には、大会後に展示場として活用することとしております有明体操競技場や、既存の有明テニスの森公園もございまして、大会後、スポーツやイベント等でのにぎわいの創出が期待できるエリアとなっております。有明レガシーエリアにつきましては、地元区や関係団体との連携を含めまして、今後、関係局と協力し、具体的な検討を進めていくこととしております。

○山内委員 私からは、調査報告書に関しても一つ質問させていただきたいと思います。
 上山特別顧問から提出されたオリンピック・パラリンピック調査の総括は調査チームの総意として提出されたものなのか。また、同日に提出された調査報告書は調査チームの最終提言になるのか、お伺いいたします。

○小笠原総務局都政改革担当部長 昨年十二月二十二日の第五回都政改革本部会議に提出されたオリンピック・パラリンピック調査の総括は、上山特別顧問がオリンピック・パラリンピック調査チームの取りまとめ役を担う立場から、他の特別顧問等と協議をした上で作成したものでございます。
 また、同日に提出された調査報告書は、調査チームが昨年九月二十九日の第二回都政改革本部会議で報告をした調査報告書と、十一月一日の第三回都政改革本部会議で報告をした調査報告書の二つの報告書に対し、必要な語句修正を加えて取りまとめを行ったものでございます。
 なお、同調査チームは、昨年十二月二十二日に解散をしております。

○山内委員 調査報告書の提言も踏まえながら、大会における業務と経費について質問していきたいと思います。
   〔吉原副委員長退席、委員長着席〕
 まず、大会経費の総額に関してです。二〇一六年十一月二十九日の四者協議で、年内に大会経費の全体像を組織委員会、東京都、政府で取りまとめをして公表したいと武藤事務総長が発言いたしました。これを受けて、十二月二十一日、大会組織委員会は、ようやく二〇二〇東京大会の組織委員会経費とその他の経費全体像を発表いたしました。これをバージョンワンと位置づけるとのことですが、組織委員会のホームページを見ても簡単な表が出されているだけで、非常に大ざっぱであるという印象は否めません。今回の資料の中に組織委員会提出の各業務の状況が盛り込まれておりますが、金額は明示されていません。詳細な内容は不明です。
 この一兆六千億円から一兆八千億円という数字の積算については、先ほど同様の質疑があって、今回の発表の経費については、組織委員会が見積もりを行い、その負担区分の線引きも組織委員会の提案であることから、都も国とともにこれを了承しているものでもなく、これから三者で議論をしていくためのたたき台であるという認識であるとおっしゃいました。とはいっても、概括的にでも経費の全体像を明らかにする必要があるとの観点から、今回公表することには東京都も国もともに了承したということでした。
 それでお伺いしたいんですが、このバージョンワンは、IOCに提出したそのものなのでしょうか。IOCに提出したものもこのように大ざっぱなものなのか、IOCから説明を求められたりはしていないのかお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 組織委員会及びその他の経費、全体像、バージョンワンでございますが、昨年十一月の四者によるテクニカルワーキンググループ、作業部会におきまして、IOCの専門家からのアドバイスを受け、経費縮減を図った後、十二月の四者協議の場におきまして組織委員会から報告し、コーツ委員長から了承されております。
 その際、提出された資料でございますが、組織委員会のホームページに掲載されております組織委員会及びその他の経費、全体像、いわゆるバージョンワンの三枚の英語版でございます。

○山内委員 東京都も国も、組織委員会からはこの見積もりについて説明を受けていない、了承しているものではない、三者でこれから議論するためのたたき台とのことです。しかも、概括的にでも経費の全体像を明らかにするために必要だったというようなご答弁があったと思いますけれども、そうだとしたら、組織委員会はもっと早く発表できたのではないでしょうか。今後の経費削減をするためには、ぜひとも適切かどうかはしっかり議論し、精査して、都民に情報公開を速やかにしていただきたい、このように思います。
 十一月二十九日に行われた四者協議の発言記録を見ますと、コーツ委員長の発言の中に、パラリンピックが加わるということのコストは、五億から七億五千万、これ、ドルだと思いますが、このくらいになると思うとございます。そこで、このバージョンワンの中にはパラリンピックの予算は含まれているのでしょうか。含まれていないとしたらなぜなのか、どのように検討し公表していくのかお伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回公表いたしました組織委員会のバージョンワン予算は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に係るものでございまして、パラリンピックの予算を含んでおります。

○山内委員 今のご答弁からほっといたしましたが、パラリンピックのための予算もわかりやすく明示していくように求めます。
 大会費用の総額を一兆六千億円から一兆八千億円に抑えるとしていますが、この額は立候補ファイルで大会にかかわる経費七千三百四十億円に相当します。膨大な額になりました。立候補ファイルには、この大会費用の総額のほかに、輸送インフラ整備費六千三百九十二億円が明記されており、この額がどのぐらいに膨らんでいるのかについては明らかにされていません。今回の大会の業務と経費を見ますと、大会にかかわる経費の分類に関して、大会経費、大会関連経費、その他の経費と分かれていますが、今回の一兆六千億円から一兆八千億円というのはどこまでの費用なのでしょうか。
 さきに申し上げましたように、立候補ファイルでは、大会にかかわる経費の合計七千三百四十億円のほかに、大会開催のためだけではないけれども、輸送インフラとして都や国などが道路の整備、地下鉄駅の拡張を行うこととしており、上記の予算のほかに六千三百九十二億円を挙げていました。この経費については現時点ではどのくらいになるのか、予定されているのか、総額が幾らになり、東京都と国でどのように負担されることになっているのかお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回公表いたしました経費は、業務と経費の資料でお示ししております大会にかかわる経費の三分類のうち大会経費でございまして、仮設施設の整備と大会運営に係る経費に恒久施設の整備に係る経費を加えたものでございます。
 また、立候補ファイルに記載されております輸送インフラは、大会開催のために新設されるものではなく、既に計画されていたものでございまして、この大会にかかわる経費の三分類のうち、大会にも資するが、大会開催の有無にかかわらず、そもそも本来の行政目的のために行われる業務に係る経費であるその他の経費に該当いたします。その他の経費の公表に当たりましては、大会経費や大会関連経費と異なりまして、個別の施策において必要に応じて行われることとしてございます。
 なお、この輸送インフラにつきましては、都は都道、国は国道といった、それぞれ所管している事業を執行するものでございます。

○山内委員 その他の経費について、今回公表のことしか答弁されていません。必要に応じて行われているということになっていますと今ご答弁いただきましたが、立候補ファイルにおける輸送インフラの経費については書かれていたわけです。現時点の金額はどうなっているのか、改めてお伺いいたします。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長選手村担当部長兼務 立候補ファイルに記載されている輸送インフラにつきましては、大会開催のために新設されるものではなく、既に計画されていたものでございまして、現在、国や庁内各局など、それぞれの事業主体が責任を持って整備を進めているところでございます。各輸送インフラの執行額や見込み額等につきましても、各主体が責任を持って管理するものと認識してございます。

○山内委員 各主体が責任を持つ、大会開催のために新設するものではないといいますが、立候補ファイルには挙げられています。しかも、その上に、大会時の輸送のためのインフラともなるわけです。各主体からそれぞれどのくらいになるのかを積み上げて、六千三百九十二億円でおさまるのか、おさまらないならどのぐらいになるのか、そういったことも都民に公表すべきだと思います。
 次に、一兆六千億円から一兆八千億円に抑制する、キャップをはめるというふうにいわれておりますが、これは予算ではなく、大会終了後の結果としての総額試算になるのでしょうか。そうでない場合もあり得るのかお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回公表いたしました金額は、組織委員会が一定の仮定を置いて積算した大会に要する経費に、都立、国立の新規恒久施設の整備に係る経費を加えました、現時点における大会経費の総額でございます。この積算には、暑さ対策や集中豪雨、台風対策、広域化に伴う業務増など、現時点で予見しがたい支出や、ある程度の予見はできますが、要件や仕様が未定であるものは含まれておりません。そのため、予備費を計上しているところでございます。この予備費の分も含めまして、一兆六千億円から一兆八千億円を上限とするキャップを設定することによりまして、見積もりの精緻化を図りながら、さらなるコスト縮減に向け経費をしっかりと精査をしてまいりたいと考えてございます。

○山内委員 では、次に、組織委員会の負担に関してお伺いしたいと思います。
 立候補ファイルで示された大会にかかわる経費、予算、これは七千三百四十億円で、IOCから示された項目に従って、大会組織委員会予算と非大会組織委員会予算とに分けられています。この七千三百四十億円の内訳は、大会組織委員会予算は三千十三億円、非大会組織委員会予算は四千三百二十七億円となっていました。今回示された一兆六千億円から一兆八千億円を、このときと同様に、IOCから示された項目に従って分けるとどのような内訳になるのでしょうか。大会組織委員会の予算五千億円と比較できるように示していただきたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 立候補ファイルには、例えば建築工事は本体工事費のみを計上するなどといった制約がそもそも内在しておりますほか、資材や人件費の高騰といった大会を取り巻く環境が変化していることによりまして、立候補ファイルでは計上されていなかった要素が新たに追加されたものですとか、立候補ファイルに計上されているものの、規模などが伸びている要素が多数ございまして、現時点で子細に比較することは困難でございます。

○山内委員 ということは、立候補ファイルで示された金額というのはどれだけの意味があったのかということが本当に疑問になります。組織委員会の経費、収入の概況を説明していただきたいのですが、例えば、本来、大会組織委員会の役割分担とされていた仮設等について二千八百億円が計上されています。組織委員会は全て負担するのではなかったのでしょうか。それについてはどのように協議されたのかお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回、組織委員会が公表いたしました組織委員会予算と組織委員会以外の経費の線引きにつきましては、組織委員会によれば、組織委員会は大会運営を担う主体として、例えば仮設では、大会運営用のプレハブ、テントの整備など運営に係る経費を負担し、その他の主体は、大会運営の前提、基礎となります環境整備や条件整備などに係る経費を負担するとの考え方で整理したものでございます。
 今回の公表は概括的にでも経費の全体像を明らかにする必要があるとの観点から行ったものでございまして、その分担内容につきましては、今後、都、国、組織委員会の三者で議論、協議していくこととなります。

○山内委員 今回の組織委員会の発表では、仮設等の二千八百億円のうち、組織委員会は八百億円しか負担しないとしています。すんなり受け入れられるものではないと思います。組織委員会は、五千億円の収入見込みを、工夫やアイデア等によって積極的に増額していくように、さらには組織委員会の収支を明確にするためのチェック体制を都としても要望すべきだというふうに思います。よろしくお願いします。
 費用負担についてですが、収入の現況について、一業種一社の大会スポンサーの慣例を破る手法により、大会史上最高の国内スポンサー収入額を見込むというふうにございます。現時点の見込み額五千億円の内容、またその他というのはどのようなものがあるのかお伺いします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 現時点での組織委員会の収入は、組織委員会によれば、IOCからの負担金が八百五十億円、IOCと契約しているトップスポンサーからの収入が三百六十億円、組織委員会と契約している国内スポンサーからの収入が二千五百億円、商品の売り上げなどに係るライセンシング収入が百四十億円、チケットの売り上げが八百二十億円、その他が三百三十億円の計五千億円と見込んでございます。
 この収入項目のその他でございますが、寄附金や大会で使用した備品などを売り払った際の収入などでございます。

○山内委員 これまでの質疑で、状況が類似しているのでロンドン大会を参考にするということでございますけれども、ロンドン大会において国とロンドン市と組織委員会の役割分担、費用負担はどのようになっているのでしょうか、教えてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 ロンドン大会では、組織委員会は大会運営と主としてオーバーレイの仮設施設整備を、公的部門は恒久施設整備と主に大規模な仮設施設整備、セキュリティー対策、輸送、交通対策など、本来の行政目的のために行われる業務や組織委員会の支出も含めまして、これに係る大会業務をそれぞれ実施したというところでございます。
 また、経費につきましては、二〇一二年十月の公表資料では、一ポンドを直近十年間の最小値と最大値の中間値である百八十一円で換算しますと、組織委員会は約四千四百億円、公的資金は全体で約一兆六千八百億円でございます。その公的資金の内訳は、中央政府が約一兆一千三百億円、宝くじが約三千九百億円、ロンドン市が約一千六百億円となっております。

○山内委員 ロンドン大会では、中央政府が六七%を負担しています。自治体のあり方が異なるので参考といっても難しいこともあると思います。しかし、招致の際に、収束していないにもかかわらず福島原発事故はアンダーコントロール、オールジャパンで取り組むと世界に発言したのですから、国への必要な措置を求めていくことを要望していただきたいと思います。
 九月二十九日の調査報告書には、都内の仮設施設の費用は、都が一千億円から一千五百億円を負担するという案の記載があります。調査チームはどのような観点からこの提案をしているのかお伺いいたします。

○小笠原総務局都政改革担当部長 九月二十九日の都政改革本部会議で調査チームからは、調査チームの提言についての説明といたしまして、立候補ファイルベースでは仮設の費用は全額を組織委員会が負担することになっているが、現実にはそれは不可能であり、これを組織委員会の負担と押しつけていても話が前に進まないということで、開催都市である都が都内の仮設部分については全額負担してはどうかと考えたとの趣旨の説明がございました。

○山内委員 今回、組織委員会は五千億円を負担するとしています。残りの一兆一千億円から一兆三千億円について、巨額の負担要請です。国、開催自治体との負担の仕分けは今後行われるにしても、東京都の負担については、都はどのような見解を持っているのでしょうか。都民生活の日常生活、特に福祉や教育などに負担を課すわけにはいきません。オリンピック・パラリンピック基金四千億円は今どのぐらいの残金があるのか、また、不足分についてどのように捻出するのかお伺いします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今後、経費縮減や組織委員会の増収に向けた取り組みを行っていくこととしておりまして、これによりまして組織委員会と組織委員会以外の線引きは変更される可能性がございますが、一方で、経費縮減は大前提としながらも、新規恒久施設整備費と予備費を除いた大会経費が一兆一千五百億円と現時点で見積もられる中、とりわけ開催都市である都といたしましては、役割、経費分担の議論は最大の課題と認識をしてございます。
 そのため、今後、組織委員会の収支構造を勘案し、収入の源泉にも着目しながら、都として開催都市の責任を踏まえつつ、都議会や都民の皆様からご理解、納得の得られる根拠や理由があるかなど、財源も含めまして十分に検証してまいります。
 なお、東京オリンピック・パラリンピック開催準備の基金残高でございますが、昨日公表されました平成二十九年度予算案では、平成二十八年度の最終補正後で三千七百八十八億円となっております。

○山内委員 次に、都外の競技施設に関してお伺いしたいと思います。
 十二月二十六日、東京都以外で競技を開催する自治体の知事などが東京都を訪れ、関係する自治体のトップらが小池知事に対して、計画どおり組織委員会が全額負担するように要請をいたしました。小池都知事は、年明けから関係自治体との連絡体制を強化する協議会を立ち上げる、東京都と国、組織委員会で協議を本格化させ、費用分担の役割について年度内に大枠を決めるといたしました。
 先ほど質疑もあって、ことし一月十三日に、関係自治体等連絡協議会幹事会において作業チームが設置されたということを承認されたというふうにも答弁いただきました。早急に作業を進めて、二月中旬を目途に、関係自治体等連絡協議会幹事会において作業状況を取りまとめていくという答弁があったので、ここに関しては質問いたしません。
 ガバナンスの欠如が指摘されていたけれども、今回のこれについても、作業チームについて当該自治体を初め国、組織委員会とともに内容と経費を精査して、関係者間で共有した上で、費用負担にかかわる課題が見出された場合には、三者協議の場にフィードバックして、開催都市である都が中心となって国や組織委員会と精力的に協議を行い、年度末までに大枠の合意を得ていくということも先ほどありましたので、これについて割愛いたしますが、この協議を行う上で重要なのは、協議内容の文書化と情報共有して確認をしていくことです。
 そこで、都以外の会場所在自治体への対応として、関係自治体等連絡協議会幹事会の場において役割分担や四者協議等について、実務者による情報共有を実施しているというふうにおっしゃっておりますが、関係者団体で認識のそごがないように、開催された会議全ての協議内容を文書化して情報共有すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○井上オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 関係自治体等連絡協議会幹事会は、組織委員会、国及び都を初めとする競技会場が所在する道県及び政令市の部長級職員により構成され、二〇二〇年大会に向けたさまざまな事項に関する意見交換、情報共有を行っております。大会開催まで本幹事会の構成員が緊密に連携しながら、着実に準備作業を積み上げていくためにも、第一回からの幹事会につきまして内容を記録として残し、情報を共有することとしております。

○山内委員 文書の作成、管理、保管は情報公開と車の両輪です。意思決定過程がわかるように文書として残す、これを肝に銘じてほしいと思います。
 また、調査チームからは積極的な情報公開の必要性が提言されています。IOCと協議して開催都市契約を情報公開すべきと提言しており、現在公開に向けて、国、JOC、組織委員会と協議していると聞いております。情報公開がさらに進むよう要望いたします。
 次に、予算管理に関してですが、情報公開を進めるとしていますが、どのように進めるのか。調査チームの提言では、オリ・パラ局、オリンピック・パラリンピック準備局は今後、月に一回から二回の記者レクを通じて定期的かつ継続的な情報公開を行っていく方針というふうに提言されておりますが、どのように実行していくのかお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局総務部長 情報公開を推進する取り組みといたしまして、全庁的な情報公開ポータルサイトの内容に加えまして、当局独自としてリオ出張の状況や四者協議の資料を掲載してございます。
 また、各競技会場のこれまでの検討内容や整備状況、アクセシビリティーワークショップの議事録や資料など、都民の関心の高い項目を中心にホームページの掲載内容の充実を図っております。
 委員お話しの記者レクにつきましては、これまでリオ大会に関するオブザーバープログラムの報告や、各種会議の実施結果などについて、直接、報道関係者へ説明する場を設け、きめ細やかな情報提供に努めております。今後もさまざまな機会を通じ、さらなる透明性の向上に努めてまいります。

○山内委員 できるだけ透明性に努力していただきたいと思います。できる限り費用を削減、縮減することが重要ですが、調達面での改革、工夫などにより費用の拡大を抑制するとしていますが、具体的にはどのようなことを検討していくのかお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 限られた予算の中、効率的、効果的に執行していくためには、発注時などの調達面においても手法に工夫を行うことが必要でございます。例えば大量一括発注や早期発注などによりまして、コスト縮減のインセンティブが働く調達手法を選択することなどが考えられます。
 今後、こうした手法の検討や具体化に向けまして、都、国、組織委員会など関係者間で精力的に協議してまいります。

○山内委員 横串を刺した体制の構築とありますが、具体的にはどのようなことでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会の準備を加速させ、費用の拡大を抑制し、ソフト、ハードの両面で必要なレガシーに投資するため、都、国、組織委員会などの各関係者間において協調を促進するプラットホームを構築することが必要と考えております。
 効率的かつ効果的な予算の執行を行うためには、計画、予算、執行の具体化していく各段階においてチェック体制を確立し、継続することが必要でございまして、そのためにも関係者が緊密に連携し、同一歩調で取り組むことが重要でございます。
 その際、関係者におきまして、効率性の観点から一体的に執行をチェックし、マネジメントできる体制を構築することにつきまして、横串を刺した体制の構築と表現をいたしました。今後、その具体化に向けまして関係者間で精力的に協議してまいります。

○山内委員 横串を刺した体制の構築、非常に難しいと思いますが、具体化に向けて協議をしていくということなので、これからぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 もったいないという視点は重要です。仮設については原則として撤去するとしておりました。これは使ったら捨てるという考えではなくて、大会後の管理や運用資金のことを考慮してのことだったはずです。3Rの実現は重要です。施設等をそのまま残した場合の大会後の維持管理費、改修費、撤去して3Rにするなど、3Rにはさまざまあります。そのバランスを考慮して、見きわめをしなくてはならないと思います。例えば過去の大会ではどのような事例があるかお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 過去大会におけます3Rの事例といたしましては、例えばロンドン大会では、バスケットボール会場やメディアセンターなどの仮設施設などにリユース、リサイクル可能な床材を利用し、大会後、身体障害者や両親のいない児童の施設、小学校などの建築資材とした取り組みなどがございます。
 また、リオデジャネイロ大会では、アクアティクススタジアムを二つのプールとして、ハンドボール会場であったフューチャーアリーナを四つの小学校として移築し、今後、再利用する予定と聞いてございます。
 こうした過去大会における取り組みなどを参考しながら、委員お話しの管理運用面も考慮しつつ、持続可能な社会づくりに貢献する仕組みについて検討してまいります。

○山内委員 最後に、レガシーについてお伺いしたいと思います。
 調査チームは、レガシーの実現に向けてで、施設のレガシーに加えて、アスリートや人々のレガシー、引退後の活躍や競技人口の増大も追求するとしていますが、私はそれだけではないと思います。復興五輪も掲げました。都の基本的な考え方として、大会後の東京、日本のあり方を見据えて、バリアフリーを初めソフト、ハードの両面で必要なレガシーに投資するとありますが、その見解をお伺いいたします。

○戸谷オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長計画調整担当部長兼務 東京二〇二〇大会を、持続可能性とレガシーの重要性などをうたうアジェンダ二〇二〇を具現化した初の大会として成功に導き、新たなオリンピック・パラリンピックの姿を世界に示すための一つといたしまして、大会後の東京、そして日本のあり方を見据え、バリアフリーを初めソフト、ハードの両面で必要なレガシーに投資することが重要であると考えております。
 大会の成功はもとより、その先を見据えまして、二〇二〇年以降も東京や日本が誰にとっても生き生きと生活し活躍できるように、また、安全・安心で世界に開かれたより先進的な都市、国となるように、ソフト、ハードの両面で必要な取り組みを積極的に進めまして、大会後の都民、国民へのレガシーへとつなげてまいります。

○山内委員 開催費用が一兆六千億円、一兆八千億円ということが報告されております。その大会開催、さらには道路整備等の輸送インフラもかかるとなると、都民や国民は果たして招致を支持したでしょうか。改めてこれを確認しながら、費用の削減に向けて努力していただきたい、そのように切にお願いをいたします。
 私は、二〇一五年の第二回定例会において情報公開を求めるとともに、負の遺産にしないために、二〇二〇年東京大会を今の時代に合ったものにするために、発想の転換によって若い世代による大胆な提案を取り入れて、障害のある人もない人も一緒に参加するなど、多様な人がわくわくするような新たなオリンピックを構築することを要望いたしました。ユニバーサルデザインを充実させていくことで、ソフト、ハードの両面で多様性を認める生活のまち東京、優しさをレガシーとなるようにしなくては、都民の理解は得られないということを指摘させていただき、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○おときた委員 小池都政が誕生した昨年後半は、オリンピック・パラリンピックをめぐってさまざまな課題が明らかとなった時期でした。特に、複数の関係者が混在する意思決定体制のガバナンスや今後の費用負担のあり方については、大会成功を左右する上で非常に重要なポイントです。
 そこで、私の方からも幾つか簡潔に確認をさせていただきたいと思います。
 まず、資料第2号、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会における業務と経費についての今後の課題、取り組みにおいて、ガバナンスや各関係者間の協調についての問題意識が書かれています。関係者とは具体的に国や組織委員会を指していますが、特に組織委員会とのコミュニケーションや意思決定プロセスについては、調査チームからも再三にわたり改善の必要性が指摘されてきたところです。
 まず、これまでのガバナンスやコミュニケーションのあり方についてどのような課題があったと認識されているのか、都の見解を改めて伺います。

○岡安オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 昨年九月に公表されました都政改革本部オリンピック・パラリンピック調査チームの報告書では、大会準備全体を取り仕切る司令塔がはっきりしないなどの課題が指摘されております。
 これまでも調整会議などの場で連携に努めてまいりましたが、大会準備が本格化し、IOCとの調整も多岐にわたってきているなど、大会を取り巻く環境が大きく変化する中で、従前の関係者間の連携では十分とはいえず、よりきめ細やかな対応が必要となっていると認識しております。大会を成功に導くために、今後、都、国、組織委員会や関係自治体などの関係者間で十分に情報の共有を図り、課題の解決に向けた取り組みをしっかりと行ってまいります。

○おときた委員 司令塔の不在や調整会議の機能不全など、課題はおおむね適切に認識をされているものと理解をいたしました。
 こうした状況の改善のために、こちらの資料では、関係者が緊密に連携し、同一歩調で取り組むことが重要との上で、その取り組み例として、調整会議の機能強化や予算でのキャップ設定、横串を刺した体制などを挙げています。それぞれもっともなことではありますが、こちらは都の一存だけで実現できるものではありません。これらの改善をどのように実現していくのか、その具体的な進め方を伺おうと思っていたんですが、他の委員からも類似の質問が多く出ましたので、こちらは割愛いたします。
 その中で、答弁の中にございました調整会議の事務局の常態化などはかなり必要なことではあるとは思いますけれども、意思決定者が誰なのかという部分をはっきりとさせておかなければ、作業と負担がふえ続ける事態というのも考えられます。五輪組織委員会の最高責任者の方も、最近では、責任者は開催都市の東京都などとメディアの前で述べておられるようですが、責任の所在と意思決定の権限は切っても切り離せないものです。こうした体制がしっかりと調整会議などに反映されるよう、都がリーダーシップを発揮して協議に臨まれることを要望いたします。
 また、他の委員からも五輪組織委員会への関与を強めるべきだ、特に企画財務局の人事など重要なポジションに都の職員がもっとつくべきではないかという提案もございましたが、こういった要望につきましては、我々としても強く望むものですので、そちらも申し述べさせていただきます。
 次に、経費分担の整理についてお伺いをいたします。
 今般、五輪組織委員会が正式に仮設施設の負担を都や競技会場が所在する自治体に求める方針を示したことが大きな課題となっております。どの自治体の首長さんも寝耳に水、当初の約束と違うという旨を口々に述べておられまして、それはごもっともな意見でございますが、そもそもこの立候補ファイルの数字を見れば、五輪組織委員会だけでは費用を賄うことができないということは明らであったというふうに思われます。
 コンパクト五輪のコンセプトが見直され、他の自治体にも協力を依頼する過程で、費用負担についてもあらかじめ想定、依頼しておくことは十分に可能だったのではないでしょうか。仮設の費用につきましてこれまでどのように都は認識してきたのか、その見解を改めてお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 平成二十六年六月以降、都は、組織委員会とともに会場計画の見直しを行ってまいりましたが、この時点では、立候補ファイルにおける役割分担にのっとり、大会時のみに必要な仮設整備につきましては組織委員会が担うことを前提としておりました。

○おときた委員 仮設整備の負担については五輪組織委員会が担うという当初の取り決めを、都もある意味でうのみにしてきたまま進めてきたということがわかります。昨年、調査チームが、都も仮設整備費の一部を負担する方がよいのではないかという提案を出したことが議論を呼びましたが、調査チームのこの提言は、現実的に考えれば、こうした負担が生じざるを得ないのではないかということを冷静に判断した結果、出てきたもので、むしろ五輪組織委員会と東京都こそが、もっと早くから検証、検討を始めておかなければならなかったものなのではないでしょうか。開催まで四年を切った段階までこの議論が行われてこなかったことにつきましては、真摯な反省が必要ではないかと思います。
 ここで議論を先に進めるに当たりまして、法的なものを確認しておきたいのですが、仮設費用の負担に当たっては、都が他の自治体に出資することは、法的な観点から難しいという旨を知事は記者会見などで述べております。
 一方で、国会議員さんのある方などは、現行法の中でも都が出資することは十分に可能であると反論しており、見解が分かれているようにも思います。この点につきまして都はどのような公式見解を持っていらっしゃるのか、改めてその所見をお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 地方自治体の財政に関しましては地方財政法に規定がございまして、その第九条では、地方公共団体の事務に要する経費は全額、当該地方公共団体がこれを負担するとございます。また、第二十八条の二には、地方公共団体は他の地方公共団体に対しまして、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁するといったような経費の負担区分を乱すようなことはしてはならないとの規定がございます。
 これは地方自治体に係る経費負担の原則について規定したものでございまして、都が会場が所在する自治体における公共用施設の整備などの経費を負担することにつきましては、このような地方財政法上の課題があると認識をしております。
 なお、国会におきまして、この地方財政法第九条及び第二十八条の二の規定は、地方公共団体に係る経費負担の原則について規定したものであり、具体的な経費負担については、これらの原則を踏まえて、個々の事務の範囲や政策目的に照らし、具体的なケースに応じた判断が必要との答弁がなされたことは承知をしてございます。

○おときた委員 個々のケースで具体的な判断が必要とのことですが、原則論としては、都が他の自治体に出資することにはまだ課題があるという事実は確認できました。
 こうした背景の中で、今後は、会場所在自治体との協議を進めていくことになりますが、現実的には、各自治体にも一定の負担を依頼していくという可能性も十分に考えられます。
 前述のとおり、この時期に突然、自治体に負担を求めざるを得なくなった背景には、五輪組織委員会が主として行っていた予算策定がおくれにおくれ、仮設費用を負担し切れないという自明の事実から目を背けてきたことに大きな要因があるのではないかと考えられます。各自治体との協議に入る前に、五輪組織委員会などのこうした責任をしっかりと総括するべきであり、都はそのことを求める毅然とした対応をとるべきと考えますが、見解を伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回、輸送やセキュリティーといったソフト系の業務を中心に、具体的な計画が策定されていない中ではございますが、大会開催まであと三年半となり、概括的にでも経費の全体像を明らかにする必要があるとの観点から、組織委員会が一定の仮定を置いて積算し、公表に至ったものでございます。
 大会の準備には多種多様な業務が必要でございまして、それを単なるコストとするのではなく、未来への投資とすることで、大会の成功と大会後も有益なレガシーとして残すことが重要でございます。そのためにも、組織委員会と都、国、会場が所在する自治体が一致協力することが必要でございます。
 今回の公表を受けまして、会場所在自治体に関しましても道県ごとに設置をいたします作業チームを通じて、各競技会場における仮設、輸送、セキュリティーなどの業務について、関係者間で情報を共有してまいります。
 都は、関係自治体との情報共有化や共通の認識を持つ取り組みにおきまして、主導的な役割を果たし、関係者と緊密に連携し、大会の成功に向け準備に万全を期してまいります。

○おときた委員 ご答弁の中にやや抽象的な部分もございましたけれども、最後の方は強い決意もいただきました。
 ここまで予算の公表がおくれ、情報公開が不十分な状態になって、そして、にわかに各自治体の負担議論が上がってきたことには、もちろん、これまで議論には参加していた東京都にも責任の一端がございます。しかしながら、一義的にその原因となったのは、情報公開に非常に消極的であり、予算公表などの対応が後手に回った五輪組織委員会にもあるということは疑いがありません。
 立候補ファイルをつくったのは東京都だとか、開催都市は東京都だと、都合が悪いときだけ都に責任を負わせる姿勢が五輪組織委員会の公式なスタンスであるとすれば、これは到底看過することはできません。都はこうした五輪組織委員会の責任者の発言には毅然とした対応をとっていただきまして、冒頭にも要望いたしましたガバナンスの強化などを着実に主導していただきたい旨を改めまして申し述べまして、質問を終わります。

○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十八分散会

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