オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会速記録第四十五号

平成二十八年十二月二十一日(水曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 二十三名
委員長高島なおき君
副委員長吉倉 正美君
副委員長秋田 一郎君
副委員長吉原  修君
理事遠藤  守君
理事小山くにひこ君
理事山崎 一輝君
理事相川  博君
理事吉田 信夫君
菅野 弘一君
おときた駿君
川松真一朗君
山内れい子君
まつば多美子君
石川 良一君
とくとめ道信君
谷村 孝彦君
鈴木 隆道君
今村 るか君
畔上三和子君
林田  武君
立石 晴康君
川井しげお君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長塩見 清仁君
次長理事兼務岡崎 義隆君
技監上野 雄一君
技監三浦  隆君
技監小野 恭一君
総務部長鈴木  勝君
調整担当部長雲田 孝司君
総合調整部長児玉英一郎君
連絡調整担当部長岡安 雅人君
連携推進担当部長丸山 雅代君
自治体調整担当部長井上  卓君
事業推進担当部長計画調整担当部長兼務戸谷 泰之君
パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務萱場 明子君
競技・渉外担当部長小野 由紀君
開設準備担当部長鈴木 一幸君
施設担当部長花井 徹夫君
施設整備担当部長小野 幹雄君
輸送担当部長選手村担当部長兼務朝山  勉君
スポーツ施設担当部長田中 慎一君
スポーツ推進部長小室 明子君
スポーツ計画担当部長川瀬 航司君
ラグビーワールドカップ準備担当部長
国際大会準備担当部長兼務
土屋 太郎君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに二〇一九年に開催される第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項
・東京二〇二〇オリンピック競技大会の追加種目(その三)について(説明・質疑)
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場見直しについて(バレーボール・車椅子バスケットボール会場)(説明・質疑)
・四者協議について(質疑)

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 小山大会準備調整担当理事、田中運営担当部長及び根本大会施設部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、理事者から、東京二〇二〇オリンピック競技大会の追加種目(その三)について及び東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場見直しについて(バレーボール・車椅子バスケットボール会場)について、報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 それでは、私から、東京二〇二〇オリンピック競技大会の追加種目(その三)についてご説明いたします。
 お手元の資料第1号をごらんください。
 本年八月三日のIOC総会では、五競技十八種目の追加種目が決定されましたが、去る十二月七日にローザンヌにおいて開催されたIOC理事会におきまして、その競技会場が了承されました。
 追加種目の競技会場については、八月三日のIOC総会で会場予定地として示されておりましたが、野球・ソフトボールについては横浜スタジアム、空手については日本武道館、スケートボード、スポーツクライミングについては青海アーバンスポーツ会場、サーフィンについては千葉県の釣ヶ崎海岸サーフィン会場と決定いたしました。
 八月の当委員会では、スケートボード、スポーツクライミングの会場予定地は青海、サーフィンは千葉県の志田下と口頭にてご報告申し上げたところではございますが、今般、会場が正式に決定するに当たって、組織委員会により、それぞれ、青海アーバンスポーツ会場、釣ヶ崎海岸サーフィン会場と名づけられました。
 なお、野球・ソフトボールにつきましては、一部試合を福島県で開催する案が検討されておりますが、引き続き組織委員会を中心に、開催実現に向けて具体的に協議を行っているところでございます。
 また、青海アーバンスポーツ会場がスケートボード、スポーツクライミングの会場としてIOC理事会で了承されたことに伴い、パラリンピック競技の五人制サッカーの会場も青海アーバンスポーツ会場に正式に決定いたしました。
 一枚おめくりください。別途、参考資料としまして、これまでIOC理事会に報告し、了承を得た競技会場の一覧を添付させていただきました。
 サッカー会場につきましては、予選会場の追加を検討中であり、まだIOC理事会で了承されていないため、一覧には掲載してございません。また、テコンドー、レスリング、フェンシングにつきましては、幕張メッセの会場運営の検討が進み、Aホール、Bホールの二カ所に分けて開催することになりましたため、一覧についても分けて記載してございます。
 その結果、これまでIOC理事会で了承を得た競技会場としては、三十二競技三十四会場となりました。後ほどご参照いただければと存じます。
 説明は以上でございます。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 続きまして、資料第2号の報告事項、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場見直しについて(バレーボール・車椅子バスケットボール会場)につきましてご説明いたします。
 会場見直しにつきましては、前回十二月六日の本委員会において、十一月二十九日に開催されました、都、IOC、組織委員会、国による四者協議についての報告の中で説明させていただいたところでございます。
 その際、バレーボール、車椅子バスケットボール会場については結論を出さず、クリスマスまでを期限として引き続き検討することとしておりましたが、このたび、都としての案を決定いたしましたので、ご報告させていただきます。
 お手元の資料をごらんください。三会場の会場見直しの状況を記載しております。
 なお、資料には、ボート、カヌースプリント会場と水泳会場についても記載しておりますが、これは既に前回の本委員会で報告済みの内容を、改めて記載したものでございます。
 今回、新たに報告させていただく内容は、バレーボール、車椅子バスケットボール会場の下線を付した部分でございます。
 四者協議以降、有明アリーナ案と横浜アリーナ案の双方を検討してきましたが、都の案としまして、有明アリーナを整備することといたしました。また、施設の運営に当たっては、コンセッション方式の導入を検討してまいります。
 なお、いずれの施設も、太陽光発電や地中熱利用などの環境設備等につきましては、将来の運営コストを抑えるために必要な投資として、さらに精査してまいります。
 今回の都としての案につきましては、本日の夕方に開催する、都、IOC、組織委員会、国による四者協議の場で報告し、四者協議として最終決定することになります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高島委員長 報告は終わりました。
 それでは、報告事項、東京二〇二〇オリンピック競技大会の追加種目(その三)について外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局総務部長 去る十二月六日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明をいたします。
 お手元に配布してございますオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙を一枚おめくりいただき、資料1、四者協議の発言記録をごらんください。
 平成二十八年十一月二十九日に開催されました、都、IOC、組織委員会、国による四者協議における出席者の発言を録音データから起こしたものでございます。
 なお、IOC側の出席者の発言につきましては、通訳が日本語に訳したものとなっております。
 続きまして、資料2、三施設の見直し後における整備費の試算についてをごらんください。
 今回の三施設の見直しを踏まえて、縮減案の整備費及び縮減可能性のある主な項目と縮減額を記載してございます。
 海の森水上競技場は、当初案が四百九十一億円ですが、見直し後は二百九十八億円となる見込みでございます。主な縮減内容としては、グランドスタンド棟などの建物の低廉化、外構の変更などとなっております。
 次に、オリンピックアクアティクスセンターは、当初案は六百八十三億円ですが、見直し後は五百十四億円から五百二十九億円となる見込みでございます。主な縮減内容としては、建物規模の縮小や減築の取りやめなどとなっております。
 次に、有明アリーナは、当初案は四百四億円ですが、見直し後は三百三十九億円となる見込みでございます。主な縮減内容としては、軟弱地盤対策工法の見直しや内外装、設備仕様の見直しなどとなっております。
 なお、いずれの施設も、整備内容及び整備費の変更については、今後、IF等との協議、受注者との変更協議、詳細な設計などが必要となります。また、今後、環境性能の確保など将来への投資も行ってまいります。
 続きまして、資料3、三施設の見直し後における年間ランニングコストの試算についてをごらんください。
 現時点での年間のランニングコストを試算したものとなっております。海の森水上競技場は二億六千六百万円、オリンピックアクアティクスセンターは九億八千八百万円、有明アリーナは八億八千九百万円となっております。
 なお、いずれの施設も、今後の整備内容の精査により金額が変動する可能性がございます。
 続きまして、資料4、平成三十二年(二〇二〇年)第三十二回オリンピック競技大会・第十六回パラリンピック競技大会の東京招致について(平成二十三年十二月十三日閣議了解)をごらんください。
 オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致について、政府としての考えを示したものでございます。
 続きまして、資料5、横浜市の考えについてをごらんください。
 平成二十八年十一月二十五日付で、横浜市市民局長より、オリンピック・パラリンピック準備局長宛てに出されたもので、横浜アリーナの活用における横浜市の考えについて示された文書となっております。
 最後に、資料6、オリンピック・パラリンピック準備局と横浜市とのやり取りの経緯をごらんください。
 横浜アリーナの検討に当たり、これまでのオリンピック・パラリンピック準備局と横浜市のやりとりの経緯につきましてまとめた資料となっております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○林田委員 それでは、質問させていただきます。
 先週十六日の金曜日、小池知事は、オリンピックのバレーボール会場、パラリンピックの車椅子バスケット会場について、横浜アリーナの活用を断念し、当初の計画どおり有明アリーナを整備していくことを発表いたしました。
 本日は、このことを中心に質疑を行ってまいりますが、まずは、追加種目の会場について二点ほど確認しておきたいと思います。
 一点目は、野球・ソフトボールの被災地開催についてです。
 先ほど報告では、組織委員会が福島県での開催を検討しており、開催実現に向けて具体的協議を行っているとの説明がありました。一部の報道では、福島開催を容認する条件は、首都圏での二球場確保が前提とIFは主張しているとか、土のグラウンドに難色を示しているとかといったものもあり、地元福島県の方々は、今回先送りになったことを心配していることと思います。
 一方、IOCのバッハ会長は、福島での開催は、我々IOCが日本の人々とともにあると示すメッセージになるという旨を述べたという報道もあり、IOCも福島県開催を前向きに捉えていることだと思います。
 そこで、福島県での開催を期待している地元のためにも、できるだけ早く野球・ソフトボールの福島県開催を決定してほしいと思いますが、現在の調整状況についてお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 野球・ソフトボールの福島県での開催は、復興オリンピック・パラリンピックとして意義あるものと認識しております。このことについては、被災地復興支援の観点から、組織委員会が、福島県、IOC、国際、国内競技団体等と連携して、福島県開催の実現に向けて具体的な協議を行っております。
 先月には、国際競技連盟の会長が福島県内の球場の視察を実施し、施設の状況を確認いたしました。この結果も踏まえ、現在、オリンピックに最適な会場の絞り込みに向けて、対戦方式など競技フォーマットとあわせて関係者が連携して協議を行っているところでございます。
 都としても、福島県開催の早期実現に向けて後押ししてまいります。

○林田委員 被災地の盛り上がりは、復興の大きな牽引力となるとともに、二〇二〇年大会成功の鍵となります。福島県での会場を早く確定できるよう、精力的に取り組んでほしいと思います。
 次に、スケートボード、スポーツクライミング会場についてお伺いいたします。
 先ほどの報告では、これらの競技の会場については、青海アーバンスポーツ会場となったとのことでした。若者に人気のあるこれらの競技は、今までにない新たな魅力をオリンピックに与えてくれるのではないかと思います。
 また、パラリンピックの五人制サッカーの会場ともなることから、バリアフリーを初めパラリンピック特有の視点も踏まえなければならないと思います。
 そこで、青海アーバンスポーツ会場とはどういう会場なのかお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 スケートボード、スポーツクライミングの会場につきましては、若者層の集客の期待などの観点から、お台場に隣接する江東区青海の都有地で、現在は臨時駐車場やイベントスペースなどに活用している場所に、組織委員会が競技のフィールドや観客席などを仮設で整備いたします。
 また、委員ご指摘のとおり、この会場はパラリンピック五人制サッカーの会場ともなります。若者に人気の二競技を実施するにふさわしい会場となるよう、また、障害のある観客への細やかな配慮を初め、競技特性に応じた配慮も含め、選手、観客の誰にでも使いやすい施設となるよう、都も連携して準備に取り組んでまいります。

○林田委員 お台場周辺では、これらのほかにも、トライアスロンやビーチバレーなど若者に人気のある華やかな競技が開催されます。東京二〇二〇年大会の象徴となるような会場づくりを、組織委員会と連携して取り組んでほしいと思います。
 また、この追加種目の制度は、二〇二〇年の東京大会で初めて実施される制度でございます。その成否が、今後の大会に与える影響も大きいと思いますので、今回決定した会場を満員の観客で盛り上げるよう、準備に万全を期してほしい旨を要望して、次の質問に移ります。
 さて、次からは、いわゆる会場見直しと四者協議について伺っていこうと思います。
 前回の本委員会では、四者協議における会場見直しの結果として、ボート、カヌースプリント会場については海の森水上競技場、水泳会場についてはオリンピックアクアティクスセンターを、いずれも現計画地において整備を行うことと報告されました。
 そして、結論が先送りされましたバレーボール、車椅子バスケットボール会場も、冒頭申し上げたとおり、現計画地において有明アリーナを整備することが都の方針として確定いたしました。これら都立三施設の経費削減を不断の見直しにより図っていくことは、もちろん重要なことであります。知事も、都民も、そして我々自民党も同じ思いであります。
 しかしながら、オリ・パラ調査チームの主導による、実現可能性が低く、関係者の同意でさえとれないような無理のある代替案を検討し、さらには、宮城県や横浜市など他の自治体の関係者や住民まで巻き込んで、結論は結局もとのさやにおさまる。これは、少し冷静になって事実を確認していくべきだと私はそう思います。
 我が党が先日、緊急提言の中で述べたように、オリンピック・パラリンピックを成功に導くためには、関係者同士が互いの信頼関係を築き、協力しながら、経費削減や山積する課題への対策を取りまとめることが必要です。特にトップ同士の信頼と協力関係がなければ対応策は実行に移せず、絵に描いた餅にしかならないはずです。
 九月から始まったこの三カ月間、騒動を経て、大会開催まで残すところわずか三年半となってしまいました。開催準備を着実に進めていくためにも、この間の議論や検討の内容を確認、検証しておきたいと思います。
 まず、そもそも、会場計画の再検討のような大きな問題を、どのようなプロセスで進められるべきなのでしょうか。これまでは、まず東京都と組織委員会が協議を行い、競技団体の理解を得た上で、組織委員会が窓口となってIOCと調整を行うという手順で進めてきたはずであります。さらには、会場が変更になる受け入れ自治体などとも十分に調整を行った上で、結論を導いてきたと理解しております。
 しかしながら、今回は、これまでと異なり、IOCを交え、都、組織委員会、国による四者協議の場を持つこととなりましたが、これは一体なぜなのか、お伺いしたいと思います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局総合調整部長 昨年二月と六月のIOC理事会におきまして、海の森水上競技場、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナで実施される競技の会場計画につきましては、既に了承を得ていたところでございます。
 その後、小池知事が就任し、都政改革本部オリンピック・パラリンピック調査チームが設置され、本年九月二十九日に、海の森水上競技場、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナの新規恒久三施設の見直し及び開催費用等に関する報告書が提出されました。
 十月十八日に知事とバッハIOC会長が会談した際に、この報告書を踏まえ、バッハ会長から、新規恒久三施設の施設計画や開催費用の縮減について、都、IOC、組織委員会、国の四者で協議を行いたいとの提案があり、四者協議を開催することとなったものでございます。

○林田委員 その四者協議に先駆けまして行われました作業部会では、都政改革本部の特別顧問が出席し、あたかも都を代表するような発言をしていたとも聞いております。
 そして、十一月二十九日に行われました四者協議には、上山特別顧問が都の代表の一人として出席したそうでありますが、どのような立場で、また、誰の指示によって出席したのか伺います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局総合調整部長 調査チームの報告書は上山特別顧問が中心的に取りまとめたものであり、このことから、知事の指示により四者協議に出席したものでございます。

○林田委員 この三カ月の間のさまざまな出来事を見ますと、上山特別顧問を中心とするオリンピック調査チームによって行われたことをまずここで確認した上で、次の質問に移りたいと思います。
 今回の会場見直しによるコスト縮減の成果について伺いたいと思います。
 小池知事は、今回の会場見直しでは、たとえ会場変更に至らなくても、その成果として四百億円ものコストが縮減されたといっております。果たしてこのことは事実なんでしょうか。
 我々は二年前、平成二十六年度の会場計画の再検討においても大幅な経費縮減を図ってきたところであります。
 そこで確認の意味で、このときの整備費縮減の取り組み内容について改めてお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 平成二十六年度から取り組んでまいりました会場再検討につきましては、整備費削減だけではなく、東京にどのようなレガシーを残せるか、都民生活にどのような影響を与えるかという点もあわせて検討を行ってまいりました。
 主なものといたしましては、夢の島ユース・プラザ・アリーナA及びB、若洲オリンピックマリーナにつきましては、新設を中止し、既存施設を活用することといたしました。また、整備費の伸びが大きかった海の森水上競技場につきましては、競技団体の協力のもと、会場レイアウトを変更したことに伴う新設締め切り堤の縮小など、整備内容の大幅な見直しを行いますとともに、周辺整備費の削減を図りました。
 これらによります縮減額は合計で約二千億円でございます。さらに、基本設計などを通じまして整備内容を精査することなど、コスト縮減を図りながら整備を進めてきたところでございます。

○林田委員 施設新設の中止や施設の根本的なレイアウトの変更など、IFを含む競技関係者が大変な努力をして、大幅なコスト削減を図ってきたとのことです。また、整備を進める中でも、継続してコスト縮減に取り組んできたということもわかりました。
 それでは次に、今回の会場見直しではどのような部分で整備費を削減したのか確認していきたいと思います。
 海の森水上競技場、オリンピックアクアティクスセンター及び有明アリーナ、三施設の整備費については、競技施設本体の工事費だけではなく、追加工事等が生じた場合の対応費や工事中のセキュリティーへの対応費などが含まれていることが、昨年の本委員会でも報告されております。
 その後、工事の契約や実施設計などが進められてきたことで、これらの費用の見込みについても変化があると思います。
 現段階で追加工事等が生じた場合の対応費はどの程度縮減できる見通しか、また、落札差金はどの程度生じているのかお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 昨年度の段階で見込んでおりました追加工事等が生じた場合の対応費につきましては、実施設計が進捗したことに伴いまして、縮減できる見通しが立ってまいりました。現段階では、三施設合計で百十五億円程度の縮減が可能という見通しでございます。
 また、工事等の契約が進み、落札差金や執行状況から減少が見込まれる額は、三施設合計で約七十六億円でございます。

○林田委員 確かに契約が進んできたことで、当初予算額からさらに経費が縮減されてきている状況がわかりました。また、追加工事等が生じた場合の対応費は、いわゆる予備費的な経費だと思いますけれども、その費用についてもかなり縮減できるということであります。
 それでは、今回措置することが予定されている工事等の経費についても、現段階で縮減が考えられているのか確認いたします。
 例えば、以前の説明では、昨今のテロの発生状況を鑑み、オリンピック会場整備においては、工事中にも厳重なセキュリティー対策を求められるということでありました。
 こうした工事中のセキュリティーの対応費は、当初どのように見積もっていて、現段階でどの程度の縮減が可能なのか、また、IF等との協議中の中で、今後措置すべき施設の経費はどのような見通しかお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 工事中のセキュリティーへの対応費は、当初、ロンドン大会での例をもとに、工事費の五%の額を計上しておりました。
 現段階では、関係機関と具体的な調整を進め、当初想定よりも規模を大幅に縮小できる見込みとなってございまして、三施設合計で五十二億円程度の縮減が可能であると考えております。
 また、IF等と協議する施設といたしまして、海の森水上競技場のテレビカメラ撮影用のポンツーンなどを計画しておりましたが、陸上の自転車走行路を兼用して撮影するよう調整しており、ポンツーン等が不要となる方向でございます。これらによりまして五十二億円程度の縮減となる見込みでございます。

○林田委員 先ほどの追加工事等が生じた場合などの経費約二百億円弱と、今答弁のありました経費の縮減額百億円強を合計すると、三百億円にも上ります。四百億円のうち四分の三に当たる約三百億円が、これまでどおり事業を進めていけば、いずれは不要となり、結果として削減されるものと理解しております。
 さらにいえば、知事が見直しの成果と誇った縮減額の大部分は、調査チームの提案によるものではなくて、都や関係者がこれまで地道にコスト縮減に取り組んできた成果だといえるわけであります。
 それでは、今回の見直しで実際に縮減した内容は一体何なのか、この後の質疑では個別に確認していきます。
 まず、ボート、カヌースプリント会場について伺います。
 四者協議において、ボート、カヌースプリント会場については、海の森水上競技場をコスト縮減して整備するということになりましたが、その縮減案であるスマート案とは、そもそもどういう内容のものなのかお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 スマート案は、グランドスタンド棟や艇庫棟などの建物を仮設レベルに低廉化いたしますとともに、植栽や遮熱性舗装の取りやめなどによりまして、大会開催と後利用を踏まえ、最低限の整備内容としてコスト縮減を図るものでございます。
 また、施設供用後、大規模改修が必要となる時期に、利用状況や収支を踏まえまして、施設のあり方について総合的に判断するという考え方でございます。

○林田委員 今回さらに縮減した内容は、都民の貴重なレガシーとなる施設を、単に仮設レベルにまで落とし、つまり質や利便性を低下させることで経費を下げたということではないのでしょうか。
 東京の夏は最高気温が連日三十度を超える酷暑の状態にもかかわらず、暑さ対策になる遮熱性舗装を取りやめてまでも、費用を削ってよいものでしょうか。別の財源を使ってでも復活させるという話も出ておりますが、明確になっておらず、非常に疑問を感じる次第です。
 こうした環境対策を含めて、競技団体など関係者ともしっかり連携しながら、利用者が真に喜べる価値の高いレガシーとなるものをぜひつくってもらいたいと思います。
 海の森水上競技場については、これまでも大会後のレガシーについて多くの議論をしてきたところであります。そのような中で、四者協議の場において、知事は、運営への競技団体とのコミットを確認したと発言しています。
 そこで、四者協議に知事が言及している、海の森水上競技場の運営への競技団体のコミットとはどういうことなのか、お伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 大会後の海の森水上競技場の活用に当たりましては、水上スポーツの知見やノウハウを有し、利用者ともなります競技団体と連携していくことが重要であります。
 先月二十八日、日本ボート協会、日本カヌー連盟は、海の森水上競技場を活用したボート、カヌー競技のレガシーについての計画を取りまとめたところでございます。この計画では、競技団体みずから世界大会の誘致や都民の水上スポーツ体験、ボート、カヌークラブの設立、すぐれた資質を有するジュニアアスリートの発掘、国内競技の強化拠点としての活用などに取り組んでいくこととされております。
 今後、海の森水上競技場における年間来場者目標の達成はもとより、施設利用に当たっての適切なコスト負担、維持管理費の低減に向けた効率的な施設運営など、競技団体の参画を得た施設運営の方策について検討してまいります。

○林田委員 海の森水上競技場について、今後、競技団体と連携を密にして取り組んでいくとのことですが、現時点におけるスマート案の場合の収支についても確認しておきます。お答えください。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 現時点の収支見込みといたしましては、収入は施設利用料、宿泊料、駐車場利用料など約一億八百万円、支出は人件費、光熱水費、業務委託費など約二億六千六百万円となっております。収支は約一億六千万円のマイナスとなる見込みとなってございます。

○林田委員 これまでも、海の森水上競技場については、大会後、年間三十五万人という来場者目標を達成するとしてまいりました。この目標を達成するために、ボートを初めとする関連大会の誘致、開催はもちろん、都民利用の拡大などの場合においても、競技団体と十分連携し、今後具体的な検討を進めていくとともに、収支のさらなる改善を図るようお願いを申し上げます。
 一方、会場とならなかった長沼についてもあえて確認しておきます。
 長沼については、過去の都の検討で、多くの課題があり、会場の選択肢となり得なかったことは、十一月十八日の本委員会でも質疑を行ったところであります。
 宮城県は、長沼をオリンピック・パラリンピックの会場とする場合、会場整備で百五十億円から二百億円かかると試算していたそうですが、整備が必要なのは会場部分だけではありません。長沼は、例えば、通信回線や上下水道などのインフラがまだ整っておらず、それらを一から整備する必要がありました。こうした費用も考慮すれば、海の森水上競技場よりも結果的に整備費がかかる可能性は高かったことは明らかだったと思います。
 費用の問題以外にも、用地買収や環境影響評価が必要になれば、大会までに本当に必要な施設設備が完成できるのか、整備スケジュールは極めて難しいものだったと考えております。
 さらに、ボート場が治水目的で整備されたダム湖にあるということでしたので、洪水時には施設が水没してしまい、大会が開催できなくなるというリスクも抱えているわけであります。すなわち、長沼は選択肢の一つに挙げて検討するまでもなかった案だったと考えざるを得ないのです。
 そこで、あえてお伺いいたします。四者協議において、長沼ボート場が会場として選定されなかった理由は何なのでしょうか。そして、この結果、知事は、いつどのように宮城県に対して伝えたんでしょうか、お伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 長沼ボート場は、被災地復興の姿を発信するという意義がございます。一方で、東京二〇二〇大会の会場とする場合には、東京から離れているため、選手村の分村が必要となりますことや、選手の遠距離移動が負担となりますことなどの課題がございます。
 海の森水上競技場は、選手村や開閉会式の会場に近く、選手のすばらしい経験が可能となりますほか、都民のレガシーとしての活用が期待できるものでございます。
 十一月二十九日の四者協議におきましては、小池知事が費用や立地などさまざまな面から総合的に判断し、海の森水上競技場を経費縮減しつつ整備することを提案し、合意を得たところでございます。
 四者協議の結果につきましては、会議後、速やかに小池知事から村井宮城県知事に電話でお伝えいたしてございます。

○林田委員 こうして振り返ってみても、今回の結果は当然の結果だといわざるを得ません。過去、都は、IOCやIFとともに、長沼は会場になり得ないという結論を出しておりました。それにもかかわらず、調査チームの拙速な判断が招いたことかもしれませんが、このような結果となったことを、都は真摯に受けとめるべきだと思います。
 なお、宮城県は、小池知事の視察の際、選手村への対応を説明するために、仮設住宅を約五百万円かけて改修を行ったと聞いております。また、十月十五日、地元住民の方は、小池知事を熱狂的に現地へ迎え入れました。
 地元をあれほど期待させ、巻き込み、余計な出費さえさせたのに、結果の連絡は電話一本で済ませたということです。私は、誠実な態度だったと思えませんと申し上げたいと思います。
 都の皆さんには、こうした経過を本当に重く受けとめてほしいと思います。長沼は事前キャンプ地としての活用という話でございますが、地元宮城の方々の気持ちに十分配慮し、誠意を持って当たってほしいと思います。
 なお、被災地への支援については、これまでも、千キロメートル縦断リレーや、子供たちの交流事業などを続けてきたことと思いますし、さらにこの夏には、リオ大会の機を捉えてライブサイトやフラッグツアーを行うなど、さまざまな形で被災地の方々に元気をお届けする取り組みを行ってきております。被災地で競技を実施することだけが支援ではありません。引き続き、あらゆる機会を捉えて被災地支援に取り組み、復興に歩む姿を世界に発信していただきたいと思います。
 次に、アクアティクスセンターについてお伺いいたします。
 アクアティクスセンターについては、三つの見直し案が提案されております。四者協議において、現計画地で一万五千席に縮小して新築する案が決まりました。十一月十八日の本委員会では、各案のメリットと実現に向けた課題を踏まえて検討すべきという質問をしたところであります。
 まず、一万五千席で新築する案に決まった経過についてお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 三つの提案のうち、敷地を辰巳水泳場の近くに移す案は、詳細な地盤調査が追加となること、代替となる公園を整備する必要があることなど、さまざまな課題があり、また、スケジュール上も厳しいことが判明いたしました。
 一方、現計画地で建設する案につきましては、大会後の後利用や規模を縮小する効果などを考慮し、二万席よりも一万五千席規模が妥当であると評価したものでございます。
 四者協議では、こうした経緯と提案内容を説明し、関係者間で合意されたところでございます。

○林田委員 今説明のあった案は、私の知り得る限り、そこに至るまでの議論がないまま、いきなり示された印象があります。国際水泳連盟の事務局長と知事が会談した際、立ち話で一万五千席という数字が出たという話も耳にしておりますが、それにいたしましても決定過程が曖昧であり、オープンに議論をするという知事の姿勢に照らしても、疑問を感じざるを得ないと指摘しておきます。
 次に、今回見直しに伴うアクアティクスセンターの整備スケジュールについて伺います。
 今回の変更は、現在の計画案の実施設計が終盤のこの時期に、施設規模や席数の縮小をする大幅な変更であり、実際、これから設計の変更をして工期が間に合うのか、整備スケジュールへの影響をお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 今回の変更は、当初計画の二万席から一万五千席の規模に縮小し、それに伴い施設上部の躯体を変えるものでございます。変更に当たっては、東京二〇二〇大会の準備に支障がないよう、工事の最初に行います、くい工事につきましては、当初工程どおり来年四月から着工するとともに、施設上部の設計変更につきましては、その後の工事と並行して作業を進めるスケジュールを検討しております。
 今後とも、建築基準法の許認可の円滑な手続、事業者や関係者との調整を図るなど、整備スケジュールに影響のないよう適切に取り組んでまいります。

○林田委員 スケジュールは間に合うというご答弁でしたが、もともとぎりぎりの工事であるわけで、万が一おくれた場合には、テストイベントやオーバーレイ工事にも影響を与え、アスリートの準備や大会運営にも支障を来します。今後とも、スケジュールを管理していただいて、徹底するよう求めておきたいと思います。
 次に、今回決まった一万五千席に縮小して新築する案の内容について伺います。
 決定案は、一万五千席で新築し、大会後の減築をしないということでしたけれども、大会後の座席数などは具体的にどのような案を検討しているのかお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 今回の案は一万五千席の規模となりますが、施設上部の一万席の座席や屋外の避難階段は仮設扱いとして、大会後には、建築基準法の取り扱いや維持管理の観点から取り外すこととしております。
 施設下部につきましては、現行の計画と同様、五千席の座席を恒設し、大会後もそのまま使用する計画となってございます。
 なお、施設上部の躯体につきましては、そのままの状態で残ることから、選手のウオームアップや休憩スペースなどに活用できるよう、今後整備内容の詳細を検討し、設計変更を行ってまいります。

○林田委員 大会後は一万五千席を収容できる規模のままだが、建築基準法の関係や維持管理上の観点から、座席そのものは取り外し五千席にするというご答弁がありました。これまでの検討過程では、都からそういった説明はなく、コスト縮減や施設の規模の見直しが議論の中心であったと思います。
 大会後は減築をしない計画と聞けば、一万五千席の座席はそのまま残ると考えるのが通常だと思います。理事者は、こういう内容を正確に、かつ丁寧に説明するべきであったと、この点については苦言を呈しておきたいと思います。また、近隣の住民の方々にも丁重に説明をするよう要望しておきます。
 施設規模の縮小による今回の変更により、どのような内容の整備費の縮減を図ったのか、その内容をお伺いしたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 新築工事の契約時点で、本体工事費の予定額から既に落札差金として六十八億円が削減されております。
 今後、減築工事の取りやめや規模の縮小などによりまして、五十億円程度の工事費の縮減が可能となるほか、工事中のセキュリティー対応費、追加工事への対応費である予備費の精査などにより、合計で百五十四億円から百六十九億円のコストの縮減額を見込んでおります。
 なお、金額につきましては現時点での概算でございまして、今後詳細な検討、設計を行い、縮減額を精査してまいります。

○林田委員 先ほど申し上げましたとおり、今伺った縮減額の多くは、これまでどおり整備を進めていけば結果的に縮減される内容のものであります。規模の縮小や減築の取りやめによる縮減の効果はあるものの、百五十億円を超える縮減額は、決して調査チームの提案による成果ではないということを、ここでまた改めて確認をさせてもらいます。
 また、コスト縮減額の内容の中には、地中熱の利用や太陽光発電など環境対策の観点から有用なものまで削減の検討対象になっていると聞いております。恒設施設のレガシーを考えて、ぜひ前向きに整備を行うべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 アクアティクスセンターのコスト縮減に当たっては、規模の縮小のほか、地中熱利用や太陽光発電など、プール利用に必須ではない項目の縮減可能性についても検討しております。
 一方、こうした地中熱利用や太陽光発電などの再生可能エネルギーにつきましては、ただいま委員からもご指摘がございましたが、環境対策やレガシーとして重要であり、また、プールを有する施設の性質上、イニシャルコストに比べてランニングコストの縮減を効果的に図ることができるメリットもございます。
 今後、変更案の詳細な検討、設計を行っていく中で、環境対策や持続可能性についても十分考慮し、縮減効果も含めて整備内容を精査してまいります。

○林田委員 地中熱や太陽光発電など再生可能エネルギーを中止することは、環境対策として時代に逆行することになります。中止しないことを強く求めておきたいと思います。
 また、アクアティクスセンターは、パラリンピックの水泳会場であるとともに、大会後には多くの都民も利用いたします。高齢社会に向かう中、エレベーターなど必要なアクセシビリティーの動線についても十分確保するようにつけ加えておきます。
 ところで、先ほど、大会後は一万五千席を収容できる規模のままだが、座席そのものは取り外し五千席にするという答弁がありました。我が党といたしましては、二〇二〇年大会の後も、例えば、一万五千席規模の世界水泳のような大会も将来的に開催できる施設とすることは、水泳大国日本を代表する水泳競技場として重要であると考えてまいりました。
 そこで、将来的に世界水泳など大規模な国際大会の会場として使えるのかどうか、見解をお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 今回の案は、施設上部につきましては、座席と屋外の避難階段のみを取り外し、躯体はそのまま残す計画でございます。
 このため、鉄骨などにより大規模な床を新たに整備することなく仮設席を容易に増設できることから、五千席の恒設席と合わせまして、一万五千席規模の大規模な国際大会の会場として使用することが可能でございます。

○林田委員 ただいま、世界水泳クラスの大規模な国際大会も開催できる施設であることは改めて確認できました。二〇二〇年以降も世界都市東京として、国際大会を積極的に誘致していくことを要望しておきます。
 また、コストの点を議論する際には、整備のイニシャルコストだけではなく、施設を運営する際の運営費についても気になるところであります。減築を行わない計画に変更すると、当初の減築をする計画と比べてランニングコストはふえるのではないかと考えておりますけれども、現時点での収支見込みについてお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 現時点での収支の試算では、減築しないことにより、天井高など施設規模が当初案に比べ大きくなりますことから、空調等に要する光熱水費や清掃等の業務委託費などの維持管理費が年間約四千万円増加することが見込まれております。

○林田委員 当初の減築する案では、大会後に取り壊すことになる躯体などの部分にも新設しなければならず、大会後にはそれを取り壊す減築工事費も必要となるのに対して、今回決まった減築をしない案は、そうしたコストは大幅に縮減できる可能性があるわけでありますが、一方で、当初の案よりもランニングコストがふえるという課題もあるわけです。この案に決まったからには、この条件を前提にしつつも、きちんとランニングコストの縮減に取り組んでいただきたいと思います。
 我が党といたしましては、二〇二〇年大会後も、アクアティクスセンターをアジアの中心となる水泳場としていくことが重要であると考えております。都民、国民にとりましてすばらしいレガシーとなるように、引き続き検討を進めてもらいたい、そのことを要望して次に移ります。
 次に、本日の中心課題でありますバレーボール、車椅子バスケットボール会場についてお伺いいたします。
 十六日の会見で、知事から有明アリーナを建設するとの発表がありました。やっと本来あるべき会場におさまったという感がございます。
 候補の一つに挙げられました横浜アリーナについては、これもボート会場の長沼と同様の話になりますけれども、都の過去の会場再検討の際にも検討され、既に課題も明らかであったと聞いております。結論がこうして出た今、過去の検討を無視して、再度同じ検討を行う理由はどこにあったのかと、今さらながらオリ・パラ調査チームの稚拙な検討には疑問を抱かざるを得ません。
 そこでまず、基本的なことを確認いたします。一体どのような経緯で横浜アリーナを再検討することになったのかお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 九月二十九日の第二回の都政改革本部会議において調査チームが示した報告書の中で、有明アリーナにかわって横浜アリーナを含む既存会場をバレーボール会場とすることについて検討が行われております。
 その後、これを踏まえて、既存会場の洗い出しを行うこととなり、複数の施設について調査を行い、横浜アリーナにつきましては、他の施設と比較して課題は少ないものの、過去に行った検討も踏まえると、バレーボール会場とするためには解決すべき課題があることを当局から説明しております。
 十月二十日には、組織委員会から、横浜アリーナを会場とした場合の課題などについてヒアリングを行い、組織委員会からは、IF、NFやIOCの了承、近隣住民等への説明、道路管理者や警察などとの協議が必要であることや、用地確保が別途必要となることなどの課題が示されたところでございます。
 その後、十一月一日の第三回都政改革本部会議において、調査チームが横浜アリーナをバレーボール会場にできる可能性があり、組織委員会や横浜市などを交えて検討を行うべきと調査報告書で示しております。これを受けまして、その後は、有明アリーナを新設する案と横浜アリーナを活用する案の双方について、東京都案として検討することとしたものでございます。

○林田委員 調査チームは過去の検討や経緯を尊重せず、実際には経費が幾らかかるかわからない横浜アリーナの会場整備費を七億円程度などと主張することで、都民に誤った印象を抱かせたのは非常に残念なことであります。
 そして、横浜アリーナの検討には、地元自治体である横浜市からも協力を受けることになりました。林市長のあの苦渋に満ちたような会見の表情を思い出しますと、都の事情に無理やりに巻き込んでしまったと改めて思わざるを得ませんが、横浜にはどのような経緯で協力を依頼したのか伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 当局と横浜市とが横浜アリーナに関する協議を行いましたのは、都政改革本部の調査チームと組織委員会も出席して開催されました十一月十六日の意見交換が最初でございまして、この意見交換は、調査チームの依頼で都政改革本部の事務局が横浜市に連絡を行い、開催されたものと聞いております。
 なお、都政改革本部の事務局からは、調査チームが横浜市に対して十月中旬ごろから横浜アリーナの活用に関する問い合わせを行ったと聞いております。

○林田委員 結局、今の答弁を聞いても、都政改革本部の調査チームはどのようにして横浜に協力を依頼したのか、正確な経緯ははっきりいたしません。横浜への依頼の仕方も、アリーナに関する調査への協力を依頼したのか、オリンピックの競技会場に関することを見据えて条件を示して協力してほしいと依頼したのか曖昧であります。
 東京都外の他の自治体に対しまして、このような不確実で曖昧な協力要請が行われたことは、にわかには信じられませんが、調査チームがこのようなやり方をとったことで、その後の横浜市との意思の疎通にもよくない影響があったと考えます。
 そして、これまでの検討や経緯を踏まえることと同様に、関係者の意見、特にパラリンピック競技を含めた競技団体の意見は、会場選定に当たって重要な要素であります。
 そこで、今回の横浜アリーナの活用検討に当たって、パラリンピック競技を含めた競技団体等の意見を聞く場はどの程度あったのか、どのような意見が示されたのかお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 横浜アリーナをバレーボール会場とすることにつきましては、十月十三日に日本バレーボール協会から、十月二十日には組織委員会からヒアリングを行っております。
 日本バレーボール協会からは、横浜アリーナについては施設内にウオームアップコートをとることができないなどの理由から、オリンピック大会のバレーボール会場としては考えにくいとの意見が示されたところでございます。
 また、組織委員会からは、先ほどの答弁でもお示ししました関係者との協議や用地確保などの課題のほか、セキュリティー上の課題や周辺への補償についての課題が示されました。
 なお、オリンピックの会場が変更された場合でも、パラリンピックの競技につきましては、その競技の特性やアクセシビリティーなどの観点から、会場について改めて検討することになるため、この時点ではパラリンピックの競技団体からはヒアリングを行っておりませんでした。

○林田委員 驚きました。外部へのヒアリングはほとんど行わず、一度しか行わなかった競技団体からのヒアリングで得た意見すら、検討には十分に生かされていなかったことがわかりました。
 会場の変更を検討しているのですから、パラリンピック競技の団体や競技者からも事前にヒアリングをすべきだったのではないでしょうか。調査チームがもしコストの圧縮のみに目を奪われ、大会の主役である競技関係者からの意見を重視することなく、パラリンピックに至っては意識に上ることさえなく、無理やりに話を進めていこうとしたのならば、この案はやはり実現不可能な案だったと断じざるを得ません。
 それでは次に、十一月二十五日に横浜市が示した文書についてであります。
 知事は、文書を初めて見たのは十二月一日だったが、横浜市の考えは以前から承知していたといっておりました。しかしながら、あの文書に書かれてあった横浜市の本音の真意、お考えを理解されたのでしょうか。
 先ほど答弁のとおり、当初から横浜市とのやりとりは調査チームが中心になされており、当然、上山特別顧問を中心に、それらのやりとりは知事にまで細かく報告が上がっているものと考えております。それならば、調査チームは、あの横浜市の文書をどのような形で知事に報告していたのでしょうか。
 あるいは、知事はあの文書の真意を理解し得なかったというのでしょうか。あの横浜市の文書を読めば、横浜市が非常に困っていることはわかったと思います。十一月二十九日の四者協議でバレーボール会場だけ結論を先送りしたのは、一体どのような理由だったからでしょうか。
 そこで伺っておきます。十一月二十五日付で横浜市市民局長からオリンピック・パラリンピック準備局長に提出されました文書、横浜市の考えについて、どのような経緯で受け取ったんでしょうか、お伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 十一月二十五日の横浜市市民局との面会で、お尋ねの文書を受領しております。この面会は、十一月十六日に行いました意見交換を踏まえて、横浜市の見解を整理したので説明したいと横浜市の市民局から当局の大会施設部に連絡があったことから設定したものでございます。
 なお、当局との面会後、横浜市は、都政改革本部の調査チームを訪ね、特別顧問らにも同じ文書を手渡したと聞いております。

○林田委員 十月に都政改革本部の調査チームが横浜市に問い合わせを行い、十一月十六日の意見交換も都政改革本部から横浜市に連絡をして実現しています。十一月二十五日の文書も、調査チームが横浜市から直に受け取っているということであります。横浜市との関係は調査チームが主導していたことは明らかだと思います。
 なぜ調査チームは、横浜市の考えを示す十一月二十五日の文書を知事には示さなかったのでしょうか。考えたくありませんけれども、横浜市とのやりとりについて調査チームは、知事に正確な情報を報告していなかったのではないかと、失礼ながら、私はそう邪推してしまいます。
 また、四者協議に先立ち、技術的な作業部会やIOCによる現地視察などが行われたと聞いております。作業部会ではどのような議論がなされ、横浜アリーナについては関係者からどのような意見が出されたのかお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 四者協議に先立ちまして、十一月二十七日に開催された作業部会につきましては、ボート、カヌースプリント会場、オリンピックアクアティクスセンターとバレーボール、車椅子バスケットボール会場の見直しについて、主に技術的な視点から議論が行われたものでございます。
 なお、作業部会につきましては非公開の扱いになっておりまして、内容についての詳細な答弁は控えさせていただきたいと存じます。

○林田委員 今、答弁にありました四者協議に先立つ作業部会には、調査チームの特別顧問も出席したと伺っております。横浜市の考えは、横浜アリーナの活用を検討するに当たって重要と考えられます。
 調査チームも参加していた作業部会では、十一月二十五日の文書についても説明や議論があったのではないかと考えますが、お答えを願いたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 大変恐れ入ります。繰り返しになりますが、作業部会は非公開の扱いとなっておりまして、個々の発言や議論の内容につきましては答弁をご容赦いただきたいと存じます。
   〔発言する者あり〕

○林田委員 いろいろご意見が出ております。個々の発言につきましてはお答えいただけませんでしたが、二十七日の作業部会では、IOCによる現地視察等も踏まえまして、横浜アリーナについて、後に知事自身が答弁で示しているような、会場スペースの確保やバリアフリーや輸送の面など、運営に関する課題について議論があったのではないでしょうか。
 仮にそのような技術的な課題が議論され、関係者のほとんどは解決が難しいと考えていたのであれば、都だけが横浜アリーナに固執して結論を先延ばししていたのではないでしょうか。
 関係者が否定的な見解を持っていれば、結論を先送りしても、協力が得られないことは四者協議の前に既に明らかになったはずであります。一体何のためにクリスマスまで結論を先送りしたのか、事の真相を知れば、多くの都民はこの先送りに大義などなかったと思うのではないでしょうか--ないよね。
 知事はさきの第四回定例会で、バレーボール会場に関する我が党の三宅正彦議員の一般質問に対し、横浜アリーナの活用はアジェンダ二〇二〇にかなうものとして、会場スペースの確保や運営動線、バリアフリーや輸送の面などから精査していると答弁いたしました。
 しかしながら、横浜市からかなり難しいとの認識を示す横浜アリーナの活用について、クリスマス前まで短い期間で有効な活用策を見出すことは、客観的にも極めて困難だったと思わざるを得ません。
 そのような状況でありつつ、横浜アリーナの活用について都は、四者協議以降、どのような検討を行ってきたのかお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 四者協議以降、横浜アリーナにつきましては、既存施設を活用することを前提として、会場スペースや必要な動線、輸送経路が確保され、適切な運営が可能となる会場プランについて検討してまいりました。
 具体的には、横浜市の所有する市有地など確保が見込める敷地を活用し、周辺への影響を最小限にして実現性を高めた配置案と、周辺民有地や道路も占用し、運営の確実性を高めた配置案の二つの会場プランの作成を行ったところでございます。
 その上で、二案それぞれの詳細な情報や課題を可能な限り整理し、IFやNF、組織委員会などの関係者に示して意見をいただくなど、横浜アリーナの活用について検討を深めてきたところでございます。

○林田委員 知事は、先週十六日に有明アリーナの建設を発表するぎりぎりまで検討を行ったということなのかもしれません。しかし、正直なところ、知事が検討を継続することで、横浜市を初めとする関係者に必要のない負担をかけたことになるのではないでしょうか。
 林横浜市長は、十二月七日の定例会見で、横浜アリーナ案に関し、競技団体の同意がない中で決めることは難しいのではないかと発言しております。このような状況下で、四者協議後も横浜市からは必要な協力は得られたのか、横浜に過度な負担を強いることはなかったのかお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 四者協議以降の検討の中で、横浜市には横浜アリーナ周辺の市有地や市道を競技会場として使用することについて検討いただくとともに、交通管理者である警察の意見も確認していただくなど、協力をいただいてきたところでございます。
 なお、四者協議以降の横浜市の考えにつきましては、これまでと変わらず、市有地や市道を使用することを現時点で保証することは困難であり、また、周辺市民の理解を都と組織委員会で得ることが重要であるが、横浜アリーナが会場に決定すれば協力するというものでございました。

○林田委員 横浜アリーナの活用についても、長沼同様、過去の経緯を踏まえず検討を進めた結果、横浜市を巻き込むこととなり、そして、結論を先延ばしすることによって、さらに地元の横浜市に負担を強いる結果となったわけであります。
 また、一部の報道などによれば、国立代々木競技場や幕張メッセをバレーボールの会場にできないかについても検討していたとされております。その案で、国立代々木競技場を会場としているハンドボールが玉突きで押し出されることになるため、ハンドボールの競技団体は非常に困惑していたと聞いております。
 容易に単純な玉突きアイデアで進めるのではなく、重要な関係者である競技団体などとしっかり連携をし、慎重に検討していく姿勢こそが求められるものだと思います。
 調査チームの活動は、時間的に待ったなしの状況であるオリンピック・パラリンピックの準備に、結果として混乱とおくれを生じさせているわけであります。私は、何か特別なことをいっているつもりはありません。今後は、これまでの検討や取り組みの経緯を尊重し、関係者と十分に連携を図って、開催の準備を進めていただきたい、ただそれだけであります。
 次に、有明アリーナについてお伺いいたします。
 有明アリーナについては、当初四百四億円とした整備費を、三百三十九億円まで縮減できる可能性があるとしております。この有明アリーナの縮減案も、他の二施設と同様、多くはセキュリティー経費や追加工事の費用等、いわば予備的な経費であり、真に整備費の縮小と呼べるものではないかと疑問であります。
 一方で、環境や持続可能性への配備、障害者や高齢者等の幅広い都民が快適に使用できるアクセシビリティーや利便性の確保、さまざまな用途に活用される施設としての魅力など、本来はさらにコストをかけても高めるべき内容まで削減しているのではないかと懸念しているところであります。例えば、一部の報道で、エレベーターやエスカレーターなども削減項目に挙げられているという話も伺いました。
 また、有明アリーナの決定を表明していた先日の知事の会見の後には、日本パラリンピック委員会から、障害のある観戦者やアスリートに十分配慮された仕様になるように会場をつくっていただきたい、満員の観客とアスリートが一体となって盛り上がる会場となることを期待していますという委員長のコメントが発表されております。
 本当に必要なことまでも削っていく無理なコスト削減、縮減は、レガシーとしての価値を失うことだけだと考えます。新規恒久施設は、都民共有のレガシーとしてしっかりとした整備が必要です。今後、縮減項目を精査することが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 今回の三施設の見直し後における整備費の試算は、どのくらいのコスト縮減が可能か、限られた短い時間の中で概算として積み上げたものでございまして、整備内容や整備費の変更につきましては、今後、受注者等との協議や詳細な設計が必要でございます。
 有明アリーナにおきましては、軟弱地盤対策工法の見直しのほか、内外装や一部のエレベーター、エスカレーターなどの設備の見直しが可能かどうか検討しているところでございます。
 委員のご指摘のとおり、今回のコスト縮減がアクセシビリティーや都民の利便性を損なうものとならないよう、今後の設計や関係者と協議の中でしっかり精査し、取り組んでまいります。

○林田委員 有明アリーナのコスト縮減に当たっては、オリンピックのレガシーとして末永く残る施設であることを念頭にして、都民にこのように利用していただくことをきちんと想定した上で、競技団体等の意見も十分に考慮するなど、慎重に精査すべきであります。
 そこで、有明アリーナの大会後の運営についてもお聞きしたいと思います。有明アリーナは、スポーツやコンサートなど多目的に活用することで収益を生み出すことができる可能性を持った施設と理解しております。
 そこで、現時点の有明アリーナの収支見込みはどのようになっているのか伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明アリーナでは、国際競技大会などの大規模スポーツ大会やコンサート等のイベントを開催することを想定してございます。
 現時点の収支見込みといたしましては、収入は約十二億四千五百万円、支出は約八億八千九百万円となり、収支は約三億五千六百万円の黒字を見込んでございます。

○林田委員 今のご答弁のとおり、都の試算では収支は黒字になると見込んでいるとのことでした。しかし、四者協議の直前、報道で調査チームは、六十五年で修理費が約二百九十四億円、年平均で約四億五千万になるとし、有明アリーナは赤字運営になると発言したと私は記憶しております。
 一般に、大規模修繕は、施設を維持し収益性を確保するために必要な投資であります。そして、六十五年という気の遠くなるような期間の修繕費を割り出し、あたかも単年度の支出であるかのような発言を繰り返すことは、都民に誤った認識を植えつけようとするものではないのでしょうか。私は、少なからず危惧を覚えたことをここで申し述べておきます。
 さて、有明アリーナの運営については、知事は先日の会見で、官から民への転換を打ち出しました。スポーツ施設の運営では指定管理者制度が一般的でありますが、平成二十三年のPFI法改正により、民間の創意工夫を一層生かすことができるように、民間事業者に公共施設を運営する権利を委ねるコンセッション方式が導入されております。
 スポーツ施設の効率的な運営は当然必要なことでありますが、コンセッション方式は導入実績もなく、その効果は未知数ではないかと思われます。
 そこで、有明アリーナの運営について、民間活用策の検討状況について伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明アリーナは、東京の新たなスポーツ、文化の拠点として、多くの都民に親しまれる施設とすることを目指してございます。
 こうした目的を効果的に実現していくため、これまで民間事業者の創意工夫を生かした施設運営の方策について検討してまいりました。その結果、施設の運営権を一定期間、民間事業者に委ねることにより、柔軟かつ効果的な運営を可能とするコンセッション方式について具体的な検討を行うことといたしました。
 有明アリーナの活用策や収益向上のアイデア、地域活性化への取り組みなどについて、年明けにも民間事業者からヒアリングを行い、コンセッションの実施方針に反映させ、事業者の創意工夫を最大限生かせるスキームを構築してまいります。
   〔発言する者あり〕

○林田委員 コンセッションの導入を具体的に検討していくということでございますが、スポーツ施設での導入実績がない新たな方式であり、さまざまな意見を聞きながら--今、さまざまな意見をいっておりましたけれども、慎重に検討を進めてもらいたいと思います。
 ところで、知事は会見で、有明地域の開発計画は面として考えていかないと、と発言いたしましたが、有明アリーナがある有明北地区には、臨海副都心まちづくり推進計画に基づく有明北地区まちづくりガイドラインが策定されております。その中で有明北地区は、住宅とともに、商業、業務、文化、レクリエーション等の多様な機能を誘導したまちづくりを進めることが記載されております。これまでもこうした方針に従ったまちづくりが行われたことを指摘しておきます。
 会場整備、運営の経費削減はもちろん重要ですが、大会後何を残すのかをしっかり議論し、長期的視点に立って価値のあるレガシーを残していかなければ意味がありません。今回の見直しは、一部足踏みをしたことは事実でありますが、雨降って地固まるとの言葉もあります。今後はしっかりと地に足のついた検討で着実に準備を進めていってほしいと強く要望しておきます。
 また、有明の競技会場周辺に関連した大会時の課題として輸送の問題があります。着目すべきは、環状二号線整備のおくれであります。今さらいうまでもありませんが、環状二号線は、大会時に選手村から有明アリーナなど各競技場へ選手などの関係者を安全にかつ時間に正確に運ぶかなめの道路であります。
 先般、豊洲市場への移転のおくれに伴う環状二号線整備のおくれが公表されましたが、このおくれによって、大会期間中の輸送計画に大きな制約がかかってしまうのではないかと懸念しているところであります。
 そこで、環状二号線整備がおくれることにより、有明アリーナなどへの大会関係者輸送に影響が出ると考えられますが、所見をお伺いいたします。

○朝山オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長選手村担当部長兼務 環状二号線は、都心と臨海部を直接つなぐ重要な道路ネットワークを構成しております。大会時には、選手村などから有明アリーナなどの各競技会場へ選手等の大会関係者を輸送する重要な路線の一つでございます。
 お話の輸送計画の策定に当たりましては、環状二号線を含めた二〇二〇年時点の道路整備状況を見定める必要がございますが、いずれにいたしましても、大会運営に支障の出ないよう検討を進めてまいります。

○林田委員 輸送の検討はしっかりやっていくということでございますけれども、今、隣の議長さんが工事車両は大丈夫かというお話がありましたので、つけ加えたいと思います。答弁にもあったように、環状二号線は都心と臨海部を結ぶ大動脈であります。この整備がおくれることで、今でも混乱している晴海通りなど、豊洲への市場移転や大会時の需要増でさらに渋滞が激しくなることは明らかであります。
 この渋滞で選手村の工事に影響があってはならないですし、本来、環状二号線が受け持つ東京湾と内陸部との物流といった東京全体の経済活動につながる部分に影響を与えることがあってはなりません。早期に環状二号線の整備を進め、着実な大会輸送の実現を図るべきであることをここで確認しておきます。
 最後に、大会経費について伺っていきます。
 四者協議では、組織委員会から、現在調査中であるが、二兆円を切る見込みとの報告があったということであります。またテレビや新聞などでは、一兆六千億円から一兆八千億円程度だとする試算も報じられております。
 しかし、知事や都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームは三兆円との試算を行い、これが都民の間でも広がり、一種の先入観をつくり出しております。
 ここで誤解を解く意味で改めて伺いますが、大会経費に関してはどのように考えているのかお答えください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 四者協議におきまして、組織委員会の報告いたしました二兆円につきましては、過去大会の実績やIOCの要件等をもとに、一定の前提を置いて組織委員会が積算したものでございます。
 一方、都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームの報告書は、既に設計等に入っております施設などのハード経費のほか、今後、経費積算のベースとなります計画が策定されるソフト経費につきましては、約二兆一千億円でありましたロンドン大会を基本に、夏の暑さ対策など東京特有の要素を加え、さらにガバナンスの不在など、現在の大会全体の運営の仕組みのままでは、結果として大会経費は三兆円を超える可能性があるとしたものでございます。
 都といたしましては、そのようなことにならないよう、限りある資金の有効活用を図り、経費を縮減していく必要があると考えております。

○林田委員 都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームが報告した三兆円は、我が党が緊急提言で申し上げたとおり、一兆円以上の水増しであると、存在しない大きな数字を見せることによって、削減額を大きく見せようとしているのが実態だと思います。都民が正しい情報を得る必要があると思います。
 その一方で、組織委員会が報告した二兆円についても、IOCからは、まだまだ高過ぎるということから、さらなる削減が必要ということでありました。
 そこで、大会経費のさらなる削減に向けてどのような方策を考えられているのか、都の見解を伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会業務につきまして、施設整備などハード系業務は、設計、工事に入るなど事業が本格化しているものもございますが、セキュリティーや輸送などソフト系業務は、全般にわたり計画策定等に向けて現在準備を進めている段階でございます。
 そのため、今後、不断に経費を抑制、縮減していくには、関連する計画、予算、調達等の執行の具体化していく各段階におきまして、組織委員会や国などとモニタリングを行うなど、関係者と連携してチェック体制を確立し、継続していくことが必要と考えております。
 そして、各関係者で横串を刺した管理体制を構築し、より効率的な調達を実施することなどによりまして、ガバナンスの効いた確実な予算管理を行ってまいります。

○林田委員 ただいまは、今後、計画等が具体化していくソフト系業務を中心に、ガバナンスの効いた確実な予算管理を行っていく旨の答弁がございました。今後チェック体制をしっかりと確立して、大会準備を着実に進めてもらいたいと思います。
 また、大会準備を円滑に進めていく上では、総経費縮減とともに、組織委員会や国などとのチームワークが重要だと考えます。しかし、三競技場の見直しに時間を費やしている間、年内に結論を出すといった国、組織委員会との三者の役割分担、協議がおくれていると聞いております。
 そこで、今後、大会経費や役割分担についてどのように進めていくのかお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会経費と役割分担につきましては、本年三月末の知事、オリンピック・パラリンピック大臣、組織委員会会長によります三者会談を皮切りに、これまで、都、国、組織委員会の三者による事務的な協議を行ってまいりました。
 そのうち大会経費につきましては、十月に知事とIOCのバッハ会長との会談におきまして合意した、都、IOC、組織委員会、国の四者による協議の場が新たに設置され、本日の四者協議後におきまして、大会経費の総額とその内訳並びに組織委員会の第一回目の予算、いわゆるバージョンワン予算と呼ばれているものですが、それが公表されることになっております。
 今後は、本日の四者協議や公表された内容などを踏まえ、大会経費の縮減に向けて、来年以降も不断に経費を精査し、順次大会予算に反映させてまいります。
 また、役割分担につきましては、大会を成功に導いていくため、開催都市である都、大会運営を担う組織委員会、開催国である国、会場が所在する都以外の地方自治体の各主体がそれぞれの役割を明確にした上で、緊密な連携のもと、しっかりと責任を果たしていく必要があると考えております。
 大会経費を公表した後は、役割分担につきまして年度内の公表を目指し、組織委員会や国、都は三者協議の場において整理し、都以外に会場が所在する地方に関しましては、関係自治体等連絡協議会などの場におきまして精力的に協議を行ってまいります。

○林田委員 役割分担につきましては、年度内の公表を目指し、関係者と精力的に協議を行っていくとの答弁がございましたが、役割分担の協議を一刻も早く進めるには、知事が先頭に立って組織委員会と連携し、国等を動かすべきであると考えます。
 東京大会を何としても成功させるために、あと三年半となった今、役割分担の議論に早くけりをつけ、大会準備を加速させていかなければなりません。
 そこで最後に、大会準備の加速化について局長に決意をお伺いいたします。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 本日、夕方、これから四者協議が行われまして、三競技会場は正式に決まり、決着をいたします。そして、大会経費につきましても、四者協議後において公表される見込みでございます。
 東京大会まで三年半となりました。今後、大会の成功に向けまして、実務的な準備を着実に進めるとともに、その取り組みを一層加速させていかなければならないと考えております。
 そのためには、都、国、組織委員会、さらには関係自治体を含めたそれぞれの仕事、業務とその費用を明確にいたしまして、緊密な連携のもとで、それぞれの責任を果たしていくことが重要でありまして、都、国、組織委員会の三者の連携とともに、関係自治体等連絡協議会の場などにもおきまして、全てのステークホルダー、関係者と精力的に協議をしてまいります。
 また、オリンピック・パラリンピックを持続可能なものとし、東京大会を成功に導いていくためには、限りある資金の有効活用を図り、経費を抑制する一方、東京にとりまして必要なレガシーに対しましては、ソフト、ハードの両面からしっかりと投資を行っていく必要があると考えております。
 開催都市であります都が中心となりまして、組織委員会や国など関係者とがっちりとスクラムを組み大会を成功させるとともに、その先を見据えて、未来の東京に確かなレガシーが末永く残るよう、局一丸となって開催準備に邁進してまいります。

○林田委員 最後に一言申し上げます。
 今さら申し上げるまでもありませんけれども、オリンピック・パラリンピックの準備と成功に必要なのは、関係者による強固な信頼関係とチームプレーであります。耳ざわりのよいスタンドプレー的な態度で、国や組織委員会など関係者の態度を硬化させてしまっておりますのが今の都の現状ではないかと危惧しております。一刻も早く現実的で地についた大会準備体制を再構築されることを希望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○吉倉委員 それでは、私からも、十一月二十九日に行われた二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技会場の見直しを議論する四者協議について何点か伺います。
 初めて四者のトップクラスが顔をそろえたこの協議の焦点は大会経費だったわけでありますが、結果的に、二兆円以下のラインが示されることで一定の前進を見せたものと思っております。
 しかし、競技会場の計画見直しを推進する小池知事と、現行計画の競技会場を維持したい大会組織委員会の森会長の応酬が繰り返され、今後に不安を残したことは事実であります。
 そこで改めて、東京都、国、組織委員会の役割分担の基本的な考え方はどうなっているのか、また、それはいつ、どのレベルで確認されたのか答弁を求めます。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 まず、立候補ファイル時点におきます役割分担でございますが、大会組織委員会は大会運営を担い、都、国、民間等の大会組織委員会以外は、施設所有者による恒久施設の整備、改修のほか、警察、医療、税関、入国管理、文化、教育などの既存の公的サービスを活用して、大会に係る業務を担うことになってございます。
 しかしながら、資材や人件費の高騰、世界的なテロの脅威の拡大や深刻化するサイバーテロなどの課題の顕在化に加えまして、競技種目が追加されるなど、大会を取り巻く環境が大きく変化しておりますことから、大会準備の役割分担のあり方について見直しをしていくこととし、現在、都、国、組織委員会の三者で事務的に協議しているところでございます。
 本日の四者協議後に大会経費が公表された後は、役割分担につきまして年度内の公表を目指し、具体的に整理すべく精力的に協議してまいります。この協議の中におきまして、役割分担の基本的な考え方についても整理をしていくことになります。

○吉倉委員 次に、大会の開催経費について伺います。
 東京都の五輪調査チームが三兆円を超える可能性があると指摘したことについて、組織委員会は、現時点で二兆円を切る見込みであり、今後もコストカットの努力を続けると報告しております。また、IOCのコーツ副会長は、上限が二兆円では高過ぎる、まだ節約できる余地が残っているはずだと述べております。
 そこで、大会経費に係る総経費とその内訳はどうなっているのか、また、この中で東京都、国、組織委員会が負担すべき経費はどのようになっているのか答弁を求めます。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会経費につきましては、先月の四者協議におきまして、組織委員会から二兆円を切る見込みとの報告がございましたが、その後も組織委員会が精査を行ってまいりました。
 大会経費の総額とその内訳並びに組織委員会の第一回目の予算、バージョンワン予算につきましては、本日の四者協議後に公表されることになります。組織委員会、都、国の費用負担につきましては、この三者による協議の中で今後整理をしていくことになります。

○吉倉委員 答弁いただきましたが、本日これから行われる四者協議で大会経費の総額とその内訳が公表されるということであります。予算は二兆円を切る見込みだと聞いておりますが、さらに削減を努力していただきたいと考えております。
 加えて、予算管理のガバナンスを強化すべきであり、調整会議の事務局機能をさらに強めるべきと申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、IOCからも示されていると思いますが、大会の開催準備を進めていくための全体的なスケジュールがあるはずであります。計画策定のスケジュールを本委員会に示すべきであります。答弁を求めます。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局総合調整部長 平成二十七年二月に組織委員会が公表しました大会開催基本計画の中では、開催準備から大会の終了、組織委員会の解散に至るまでのプロセスをまとめたスケジュールがロードマップとして示されております。
 また、IOCは、過去大会の経験などに基づく準備の目安などの知見を有しており、組織委員会及び東京都は、コーツIOC副会長が委員長を務める東京大会の調整委員会などの場で、IOCと調整をしながら開催準備を進めているところでございます。

○吉倉委員 大会準備を進めるに当たり、施設整備の議論が先行しておりますが、施設整備に加えて、警備、輸送、会場運営、あるいは選手村、情報システムや通信等のテクノロジーなどの計画策定の進捗状況は現在どうなっているのか、答弁を求めます。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局総合調整部長 大会準備に係る業務の進捗につきましては、施設整備などのハード系業務は、設計工事に入るなど既に事業が本格化しているものもございますが、セキュリティーや輸送などソフト系業務は、全般にわたりまして、現在、計画策定等に向けて準備を進めている段階となっております。

○吉倉委員 答弁ありがとうございます。
 次に、四者協議の場でコーツ副会長が発言しておりましたが、国際メディアや世論の注目は開催費用であり数字であるとの指摘がありました。
 こうした中で、組織委員会は、大会費用が二兆円を切る見込みとして報告されております。組織委員会が積算する金額は、実際に計画を策定し、具体的な要件、仕様、規模などが定まることによって初めて予算額が決まるものであります。それなくしてキャップを設けることができるのか疑問であります。予算管理を行う上からもこの点を明確にすべきであります。見解を伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 先月の四者協議におきまして、組織委員会が二兆円を切る見込みと報告した金額は、過去大会の実績やIOCの要件等をもとに一定の前提を置いて組織委員会が積算したものでございます。
 確かに副委員長おっしゃるとおり、計画を策定し、具体的な要件や仕様、規模などが定まりませんと経費を確実に見積もることはできないわけですが、大会開催まであと三年半となった今回、過去大会の実績等に基づき経費を見積もっているところでございます。
 こうした金額をベースとして上限を設定するということは、限りある資金の有効活用を図る観点から、ガバナンスの効いた予算管理を行っていく上で意味のあるものと考えてございます。
 今後、計画、予算、調達等の執行の具体化していく各段階におきまして、しっかりとしたチェック体制を確立、継続することで、その実効性を高めてまいります。

○吉倉委員 四者協議での協議内容についてさらに伺います。
 大会経費について議論を進める中で、丸川大臣は次のように発言されております。すなわち、国の負担について指摘があったが、施設の新設などは通常の公共事業費の中で優先的に対処し、施設の管理運営は地元主体とするなどの平成二十三年の閣議了解がある、これを前提にご相談したいと、このように述べております。
 これは、国として積極的に関与しないといっていることと同じ意味に聞こえます。こうした国に対して、都は、国が果たすべき役割、また国の費用負担についてどのように働きかけを行っていくのか、また国との合意内容はどのようになっているのか、明確に答弁をいただきたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会開催に向け、国は、当然担うべきセキュリティー対策などに尽力することはもちろん、各主体の円滑な準備を支援し、オリンピック・パラリンピックによるプラスの効果が確実に全国に波及するよう、果たすべき役割は大きいと考えております。
 このため、都といたしましては、恒久施設整備における国庫補助負担率など国の通常の財政措置を初め、平成二十三年十二月の閣議了解による枠組みを超えて、財政面を含めた全面的な支援を行うことを国に提案要求しておりまして、オールジャパンでの取り組みを支援するよう引き続き強く求め、合意を目指してまいります。

○吉倉委員 ぜひ引き続き国への要請をお願いしたいというふうに思っております。
 次に、競技会場の見直しについて伺います。
 IOCは、アジェンダ二〇二〇を採択し、既存や仮設施設の活用を積極的に奨励するとうたうなど、招致都市に巨額の負債を残さない改革を推し進めております。このアジェンダが初めて適用される東京大会であります。施設の後利用も含めて持続可能な五輪をどこまで示すことができるのか、これが大会成功の鍵になると考えております。
 今回、四者協議の場で結論が持ち越しとなったバレーボール会場は、最終的に有明アリーナに決定いたしました。そこで、三会場の施設について、後利用という視点で確認をしておきたいというふうに思います。
 まず、海の森水上競技場についてはスマート案で整備することとなりましたが、後利用する場合の利用者の目標と施設の収支について伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 海の森水上競技場はスマート案となりまして、現在、整備内容について精査しているところでございます。現時点で大会後の年間来場者目標は、競技利用で約三十一万人、レクリエーション利用などで約四万人、合計で三十五万人と見込んでございます。
 次に、収支でございますが、現時点での試算では、支出は人件費、光熱水費、業務委託費など約二億六千六百万円、収入は施設利用料、宿泊料、駐車場利用料など約一億八百万円となってございます。収支は約一億六千万円のマイナスとなる見込みとなっておりますが、水上スポーツにノウハウを有する競技団体とも連携いたしまして、利用者の増加を図るなど収支改善について引き続き取り組んでまいります。

○吉倉委員 答弁ありがとうございます。都民負担が少ない持続可能な施設となるように、引き続き検討を進めていただきたい、このように思っております。
 また、東京における初めての水上競技施設として、多くの都民が来場する憩いの場として活用されるよう、今後とも、さまざまな検討を進めていただくよう要望しておきたいというふうに思います。
 次に、アクアティクスセンターは一万五千席で、減築なしで整備することとなりましたが、この場合における後利用の利用者目標と施設の収支について伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 現在検討中の一万五千席で減築なしの案のアクアティクスセンターの来場者目標は、大会等による競技や観戦利用で約八十五万人、水泳教室の個人利用などで約十五万人、合計でこれまでと同様の約百万人と見込んでございます。
 また、収支の内訳につきましては、現時点での試算では、支出は人件費、光熱水費、業務委託費など約九億八千八百万円、収入は施設利用料、駐車場利用料など約三億五千万円でありまして、収支は約六億三千八百万円のマイナスとなる見込みとなってございます。今後、さらなる利用者増加など収支改善に向け取り組んでまいります。

○吉倉委員 答弁いただきましたが、収支は約六億三千八百万円程度のマイナスがあるというふうにいわれました。今後とも、ぜひ収支改善に向けた努力もお願いしたいというふうに思っております。
 また、水泳の競技愛好者は多いわけで、アクアティクスセンターは大会後の活用が十分に見込める会場であります。競技力向上や健康増進といったレガシーを残せる施設でありますので、ぜひその点もご考慮いただきたいというふうに思っております。
 プール施設は、光熱水費などのランニングコストがかさみますけれども、引き続き収支改善に向けて検討を進めていただきたい、このように考えております。
 最後に、有明アリーナについては、コストを縮減した上で整備することとなりましたが、後利用の際の利用者目標と施設の収支について伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明アリーナの年間来場者目標は百四十万人でございまして、大規模スポーツ大会の観戦や競技大会への参加などで三十五万人、コンサートやイベント利用で九十三万人、レストラン等の利用で十二万人と見込んでございます。
 収支につきましては、現時点での試算では、支出は人件費、光熱水費、業務委託費などで約八億八千九百万円、収入は施設利用料やジム、スタジオ収入などで約十二億四千五百万円となってございます。収支は約三億五千六百万円の黒字と見込んでございますが、今後、コンセッション方式の導入について検討を進め、民間事業者の創意工夫を生かした施設の有効活用や効率的な運営を実現していくことによりまして、一層の収益向上に努めてまいります。

○吉倉委員 今回、バレーボール会場についてはコスト削減を図り、大会後の民間活力を生かせる有明アリーナに決まりました。コスト削減は当然ですが、大会後、使いやすい施設となるよう、活用方法を十分に検討すべきであります。特に子供や高齢者、障害者を初め、誰もが快適に利用できる、アクセシビリティーに配慮した施設となるよう、多くの関係者の意見を聞きながら、精査していただくことを要望しておきたいと思います。
 最後に、会場見直しについては、九月から四カ月間、都としても精力的に取り組んできたところですが、大会後のレガシーについてはまだ検討の余地があるというふうに考えております。先ほど答弁いただきましたが、三施設合計で二百七十五万人の来場者目標を掲げていることを評価いたします。より多くの都民が施設を利用し、レガシーとして引き継がれていくよう、さらなる検討を進めていただくようお願いし、質問を終わります。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十分休憩

   午後三時五分開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○吉田委員 私も四者協議の報告における都立競技施設の再検討結果について質問いたします。
 我が党は、代表質問でも指摘しましたが、既に一旦決定し、しかも検討の時間が制約されている中で、知事が再検討に挑戦したこと自体は評価すべきだと思います。
 そもそもIOCのアジェンダ二〇二〇は、既存施設の活用、運営費の削減を開催都市に求めており、このアジェンダを受けて、初めて開催準備に取り組む都市の知事として、この立場に立って最大限努力することは当然です。そして、全体で整備費の削減を図ろうとしていることは重要だと思います。
 しかし、ゼロからのスタートではなく、これまでの経過があり、時間的余裕がない中での検討結果であり、不透明、不確実な面があるのも否めません。引き続き整備費の削減や後利用のあり方など、真に都民の納得が得られる努力を求めるものです。
 以上の立場に立って、私は冒頭、カヌースプリント会場、海の森水上競技場スマート計画について質問します。
 海の森水上競技場について、私たちは、高額な整備費とともに海上で風や波が避けられない立地からも不適正と指摘してきました。その認識は変わりがありませんが、今回の報告の上に立って、不透明な点、より精査し、検討すべきと考える点について質問します。
 まず、いわゆるスマート案について伺う前に、それ以前の問題について、すなわち立地条件にかかわる問題、具体的には、南側が廃棄物処分場であるという点についてお伺いいたします。
 まず、南側の土地の整備に関しては、さきの特別委員会で畔上議員が質問いたしましたが、改めて南側には五輪時にどのような施設を計画し、五輪後にはどのような利用を考えているのか、お答えください。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 競技コースの南側の土地につきましては、主に仮設観客席を配置することを想定してございます。
 また、大会後におきましては、南側の土地を利用することは、現時点では予定してございません。

○吉田委員 五月に発表された施設運営計画中間まとめでは、南側も含めて、いわゆる海ゾーンとゾーニングされ、水辺に親しめる憩いの場としていきますと記載されていますが、しかし、今後、こうした後利用において、南側は利用しないということですね。
 また、こうしたレクリエーションだけではなく、五輪後には国内大会だけではなく、毎年、国際大会を開催する計画になっています。しかし、この点でも、南側は利用しない予定であるということでよろしいんですか。再度その点だけ。国際大会等も使わないということでいいんですね。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 現時点では、南側の土地を利用することは予定してございません。

○吉田委員 国際大会でもないということですね。ということですね。
 あわせてお伺いしておきますが、その五輪時の仮設観客席数ですけれども、現時点で何人を計画しているのか。また、基本設計の当時は、南側にメディアエリアですとか、選手エリアというゾーニングがされていましたが、これはもうなくなったということで理解してよろしいんでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 現在の計画でございますが、南側の土地につきましては、約八千席の観客席を予定してございます。また、理事ご質問のメディアエリアや選手エリアにつきましては、現在、南側の土地で利用することは想定してございません。
 なお、カヌーの練習会場としては一部南側の土地を利用することとなってございます。

○吉田委員 さらに、畔上議員の質問への答弁で、もう一つ確認しておきたいと思います。少なくとも五輪時は今のご答弁のとおり、仮設観客席を八千席設けますが、そのために土地を整備する必要があるんではないかと。しかし、局は、この土地整備費などは全体の現在の整備費に計上していない、都の負担は、他局からの負担も含めてないということで確認してよろしいんでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 海の森水上競技場の整備におきましては、現時点では、南側の護岸の改修等は予定してございません。また、観客席等の敷地となる土地の整備につきましては、仮設施設の整備として、組織委員会が行うことを考えてございます。

○吉田委員 今の都負担の問題は、後でもちょっと具体的にお伺いをしたいというふうに思います。
 次に、先ほど述べた廃棄物処理場であるということとの関連で質問させていただきます。
 ご承知のとおり、南側の計画地の大半は廃棄物処理場ですね。当然、いわゆる廃棄物処理法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律でさまざまな制約がありますが、どのようにその制約については認識しているんでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 南側の土地につきましては、ご指摘のとおり、廃棄物処理場でございますために、施設を整備する場合には、法令に基づき適切に対応してまいります。

○吉田委員 適切に対応していくのは当然ですし、法はもちろん遵守されるんでしょうけれども、いわゆる廃棄物処理法に基づく制約そのものについてはあるのかないのか、あるとしたらどういう制約があるのか、その認識をお伺いしたんですが。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 南側の土地の制約につきましては、環境省が定めます構造基準や維持管理の基準というのがございまして、それらを関係者と調整をしながら検討していくことになろうかと考えてございます。

○吉田委員 これから検討するということですか。私もにわか勉強ではありますけれども、今、多分部長がいわれたのが、最終処分場に係る技術上の基準を定める省令ということだと思います。これは、廃棄物処理法に基づいて、届け出を出すに当たっては、定められた技術上の基準を満たして計画を出さなければならないという、その基準とは何かをあらかじめ定めたものです。
 その第一条で、埋立処分の場所の周囲には、みだりに人が埋立地に立ち入るのを防止することができる囲いが設けられていることというふうに定められています。これはすなわち、囲いを定めることを義務づけているだけではなく、この処分場に不特定多数の人が入ってはいけないというふうに素人的には理解するんですが、都としては、それを承知でこの南側の計画を進めたと思いますが、この南側に八千席もの客席を設け、それだけの人々が入るということは認められる、あるいは、それが了承されているんでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 関係法令では、廃止前の最終処分場におきまして、観客席等を整備することは禁止されてございません。観客席等を整備する場合には、環境省が定めます、先ほども申し上げましたが、構造基準や維持管理基準に適合し、処分場の構造や生活基準の保全に影響がないことを確認することが必要でございます。
 引き続き関係者と調整をしながら、整備内容を検討してまいります。

○吉田委員 私も環境省に行って確かめたんですが、環境省は明確に可であるというご答弁は私にはしませんでした。一般的に開発行為を全て禁止するものではないというのが、この間の環境省の対応でした。
 しかし、イコールその開発行為などに伴って、多数の人々が入るということまで認めるということは、少なくとも具体的な事例を示した際に、環境省の方はそれは可であるということはいわれませんでしたし、環境局も具体的な計画を示されてから検討を協議するものだというふうに私は聞いています。
 今の部長答弁だと、観客席を設けることは認められるというご説明でしたが、その根拠について、参考までにご答弁をお願いできますか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 繰り返しになって大変恐縮ではございますけれども、関係法令では、廃止前の最終処分場におきまして、観客席等を整備することは禁止されてございません。
 このようなことから、引き続き関係者と調整をしながら、内容について検討してまいりたいと考えてございます。

○吉田委員 いや、だから、その根拠を教えてくださいといっているんですよ。どこにそういうことが書かれているのかということですよ。廃止前といいますけれども、廃止が決まっているわけじゃないですよ、ここは。違いますか。廃止が決まっていますか。そのこともあわせて答弁してください。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 まず、ここの場所につきましては、廃止しない予定となってございます。
 なお、みだりにというところが恐らくこれからの検討でどういう捉え方をするかということになってこようかと思いますので、そのあたりにつきまして、みだりに立ち入らないということをどのように解釈していくかということにつきまして、今後、協議をしてまいりたいと考えております。

○吉田委員 したがって、まだこれは、ここに観客席を設けて、多数の方々が入るということは何ら確認されていないわけですよね。まだ確認されていないわけですが、先ほど、あと三年半というお話がありましたけれども、プレ大会まで考えると二年半ですよね。一体いつまでにこの結論を得ようとしているんですか。

○高島委員長 花井担当部長、ちょっとよくわかるように答弁しなさい。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 大会までに間に合わせるように関係者と調整を進めてまいりたいと考えてございます。

○吉田委員 それは当たり前でしょうけれども、私は、現時点でいまだにこの点について不明確なまま、確認が得られないまま、南側の計画が進められているということはいかがなものかというふうに、これまでの対応について疑問を投げかけておきたいと思います。
 率直にいいまして、法令上の問題をいいましたけれども、実態も、皆さんの中で何人かの方はこの処分場の中に入ってごらんになっているかもしれませんが、委員の皆さんは余り見ていないと思うんですね。
 これが私、先日処分場の中に入って撮った写真です。このように処分場、ここに南側のさまざまな施設とか観客席等をつくるわけですけれども、ご承知のとおり、廃棄処理に係る施設があり、そして汚水を横に流していくパイプラインが護岸にあり、さらに護岸のところには、これは後でも触れますけれども、金網のフェンスが高く立っているわけですよ。
 そして、この施設は何かといいますと、これは拡大するとこれになるんですよ。これはポンプ井という施設でして、いわゆる廃棄物の埋立地からしみて流れ出てくる汚染水を南側で全体でまとめる施設です。縦横四十メートルというふうにいわれていて、ここに、これ、手前ですけれども、私が写真を撮った手前にポンプ室があるんですよ。そのポンプでさらに大きな貯水池までくみ上げるという施設です。これは何の囲いもないんですよ。このちょうど横に仮設観客席がつくられるんです。
 さらに、これは何かといいますと、放散管という名前です。ご存じの方もいるかもしれませんが、埋立地の場合にはガスを抜かなければなりません。このガスを抜く管です。これが南側のエリアの中には何と六十メートル間隔で立てられているわけですよ。
 そういう放散管で、もちろんどの程度のガスが出ているか私は確認していませんけれども、少なくともガス抜き管が六十メートル間隔で立っているところに八千人からの人が集中的に集まるわけですよね。それも何日間ということですよ。しかも、法的にもみだりにという概念からして、八千人の方が何日間か集まることが認められるかどうかというのは、今後の協議に委ねられているわけですよね。
 私はやっぱりこの状況からすれば、南側に施設をつくるということは、法的にも、実態的にも不適切だということは私の意見ですけれども、指摘をしておきたいというふうに思います。
 次に、整備について費用の負担はないんだということに関連して質問しておきたいというふうに思います。
 これは、仮設観客席がちょうどこの辺にできる感じになりますが、目の前にフェンスが立てられています。このフェンスというのは、高さAPプラス十二メートル。ごらんのとおり、忍び返しがついているというものですけれども、今まで発表された完成予想図のパース図には、このAP十二メートルのフェンスがあるという絵柄にはなっていませんね。これはどういう計画ですか。これはこのままですか、それともこれは撤去するんですか、フェンスは。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 先ほどの理事のご発言でポンプ井の真横に観客席ができるというお話がございましたけれども、ポンプ井から観客席は大体数百メーター離れた場所に整備することを今想定してございます。
 なお、このフェンスにつきましては、組織委員会が観客席の整備内容を検討し、先ほど申し上げました構造基準や維持管理の基準の審査を受ける中で、この移設について明確になるものと考えてございます。

○吉田委員 いや、東京都の計画の中にこれが描かれていませんよということを私は聞いているんですよ、今まで発表された、いわゆる完成予想図、パースというのは。ということは、これはもう撤去するという想定で検討したわけじゃないんですか。現地は見て知っているわけでしょう、これがあることは。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 あくまでも、ここにつきましては、廃掃法の適用を受けている場所でございますので、この扱いにつきましては、協議の中で、審査を受ける中で取り扱いを決めていくものと考えてございます。

○吉田委員 結局、先ほどの話も含めて、協議、協議ということなんですけれども、このフェンスは、処理場の場合にはどうしてもつけることが義務づけられているわけですね。
 これも先ほど紹介した環境省令の規定ですけれども、次のように書かれているわけです。埋立地の外に一般廃棄物が飛散し及び流出しないように必要な措置を講ずることという規定があります。この規定に基づいて、施設整備者は、具体的にどのような飛散防止設備をつくるかという計画を申請に当たって提出しています。
 東京都の場合には、先ほどいったように、飛散防止設備は、忍び返しつきのネットフェンス、天端APプラス十二メートルで、外周に設置という計画を提出し、許可を得てこの施設が整備をされ、運行されているということになります。
 したがって、これはなしにするわけにいかないんですよ。もし考えられるとしたら、移設をするということは考えられるかもしれませんが、ただ、東京都の計画では、外周に設置をするということで計画を出していますから、変えるとなると、これ一々--一々というのはちょっと変ですが、変えるとなると申請をやり直さなければならないんですよね。
 そういうことはもちろんご承知と思うんですが、先ほどの話だと、組織委員会が、組織委員会がというふうにいいましたが、じゃ、これを移設するなり、新たに設けるなりの整備費も組織委員会が持つということですか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 このフェンスの取り扱いにつきましては、観客の整備上に必要になるのか、または大会時のテレビ撮影ですとか、そういうときに必要になるのかという問題もございます。
 この費用負担につきましては、今後、関係者と協議をしながら決めていくことになろうかと考えております。

○吉田委員 今、二点質問させていただきましたけれども、やっぱり南側というのは、現在、廃止予定ではない、実際、廃棄物処分場として使われていると。埋め立てそのものは終わりましたよ。それでこれだけの施設があるわけですよ。そこに不特定多数の人が入る、しかも、八千人からの人が入る施設を整備するという点では、さまざまな問題で私は困難が生ずることは明らかであり、こうした計画は見直すべきだということを改めて指摘をしておきたいというふうに思います。
 次に、スマート案について何点か質問をさせていただきます。
 さきの委員会で報告があったんですけれども、きょう配られた資料にも書かれているとおり、ボート、カヌースプリント会場については次のようにしか書いてありません。海の森水上競技場で、当初案から整備レベルを変更し、整備費を縮減して整備する(スマート案)。これ、普通の人が読んだら、一体どんな計画なのかってわかりますか。
 先ほど林田議員からもスマート案とは何ぞやというご質問がありましたから、ダブりは避けますけれども、少なくとも、じゃ、細かいことは除いて、今までの恒久施設という計画と、何が基本点で違っているのかということを確かめたいんですけれども、いや、その前にこれを聞いておきたいんだ。そのスマート案というものを何か文書で、これがスマート案ですよというふうに東京都として明記したものってありますか。本来ならば、それを出していただいてでないと質疑できないんですけれども、文書はあるんですか、そういうものは。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 スマート案につきましてですけれども、調査チームが報告した報告書には、大会施設の供用後、大規模改修が必要となる時期に利用状況や収支を踏まえ、施設のあり方についても総合的に判断するという考え方で一部建物を仮設レベル等でつくるということになってございます。
 それを受けまして、仮設レベルで一部の施設をつくると。内容によりましては、一部取りやめ、例えば遮熱性舗装の取りやめなどをやり、コストを縮減していくものという考え方でございます。

○吉田委員 だから、今、調査チームの文書を説明されましたけれども、私は、東京都として進めていくわけですから、本来、ここに報告し、質疑をするならば、東京都としての文書を示すなりということは当然必要だと思うんですよ。
 非常にそういう点では曖昧ですし、今のお話も結局、調査チームの文書を紹介するという形になりましたが、しかし私は、調査チームのものがスマート案なんだよというふうに皆さんがいうとしたら、一番の違いは何かといえば--私の理解はですよ、二十年以降は大規模改修費用が負担となってはね返ってくるから、その大規模改修費用負担を避ける。そういう意味で、二十年間の暫定運用ということを打ち出したのがスマート案だと私は理解しているんですが、私の理解に間違いはあるでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 そのようなことも踏まえまして、トータルで整備費を縮減していくという考え方を取り入れた案でございます。

○吉田委員 そのようなことということは、私の認識は間違いじゃないと理解をさせていただきます。
 それで、仮設レベルの低廉化ということに関連してなんですけれども、先ほどもちょっと議論がありましたが、施設整備でグランドスタンド棟だとか、艇庫棟だとかは、仮設レベルで下げますよということですが、これは具体的には、二十年程度の利用を前提として低廉化したというふうに認識してよろしいんですか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 期間につきましては、大規模修繕が発生する時期という考え方でございまして、一般的に大きな設備につきまして、二十年程度が大規模改修の時期に当たるということで、考え方として、一つの目安として二十年などというような考え方を有しているというふうに思っております。

○吉田委員 ということは、グランドスタンド棟や艇庫は二十年使うということを前提に、建築基準法はもちろん合致しているんでしょうけれども、資機材などはそういう想定でつくられているということですね。
 次に、具体的に伺いますが、二十年以降に大規模改修負担をいかに下げるかということと同時に、スマート計画では、恒久施設の場合は年間赤字が、先ほど話がありましたが約二億円近くと。しかし、これを一億円に削減するということが、十一月一日、調査チーム報告には出ているんですが、この一億円というのは本当に削減できるのか、どのようにするのかということについての都としての認識をご説明ください。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 都といたしましては、二十年間でこの施設の継続を打ち切るということは想定しておりません。競技団体等と連携いたしまして、年間来場者目標をしっかりと達成していくなど、多くの都民に親しまれる施設といたしまして、将来に引き継いでいきますよう取り組んでまいります。
 なお、大規模改修が必要となる時期に、利用状況等を踏まえ、その後の施設のあり方について検討することとしておりまして、各施設の取り扱いにつきましても、その時点で検討することとなります。
 なお、スマート案における収支の一億円でございますが、これは調査チームによる試算でございます。十一月一日付の調査チームの報告書では、都と競技団体が収益改善努力を行った場合の試算というふうにされておりますが、これはその時点での収支見込みでありますマイナス二億円の半分を改善するということで算出されたものでございまして、具体的な積み上げに基づくものではないというふうに考えております。
 先ほどもご説明いたしましたが、現在のスマート案の収支は一億六千万円程度のマイナスという見込みでございますが、今後、海の森水上競技場の主要な利用者となります競技団体ともしっかりと連携を図りまして、利用者の増加を図るなどして収支改善に努めてまいります。

○吉田委員 私は、調査チームに質問しているわけじゃないんですよ。東京都としての見解を伺っているんですよ。皆さん方が引用している十一月一日付調査チーム報告のスマート案では、スマート案の場合には、一億円になるように努力をすると、まあ確定的ないい方じゃないと思うんですが、一億円と書いてあるわけですよ。
 それについて見解をお伺いしたけれども、都としてはというか、局としては、それは根拠不明確ということですよね。あくまでも一億六千万はかかると、これがスマート案の実態だということですね、そうすると。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 現時点でのスマート案の収支見込みは一億六千万円程度のマイナスとなってございますが、この海の森水上競技場の主要な利用者となります日本ボート協会、日本カヌー連盟は、大会後の施設の活用策をレガシープランとして取りまとめておりまして、こうした競技団体の取り組みとも連携を図りまして、今後、収支の改善にしっかりと取り組んでまいります。

○吉田委員 ですから、今の答弁だと、一体局の方が適切なのか、それとも調査チームの報告書に書かれている数字を我々は前提として議論していいのかという問題になるわけですよね。これはそれ自身が、局と調査チームの報告書との関係では非常に不透明だということを指摘しておきたいというふうに思います。
 さらに、どうしても伺っておきたいことがあります。それは、従来の東京都の計画は、皆さん方がつくられた計画というものは、何年になるかは別にしても、少なくとも恒久施設として将来にわたって、維持し使うということを前提にして、いろんな後利用計画を策定するということだったと思うんですね、細かい点抜きにして。かつ、それは単なるボート、あるいはカヌーというだけではなく、海の森も含めて全体的なあのエリア開発を将来的に進めていくんだということだったと思うんです。
 ところが、今回のスマート案では、一つの区切りとして、確定はしていませんけれども、二十年で状況次第ではこの施設は終えんを迎える可能性があるわけですよね。そうすると、将来的な後利用計画も根本から、その場合はですよ、どうなるかということも含めて皆さん方は検討する必要があると思うんですが、そういう検討というのは、具体的にされているんでしょうか。中身についてお答えください。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 繰り返しになりますが、都として、この二十年間で施設の継続を打ち切ることは想定してございません。競技団体としっかりと連携いたしまして、現在の年間来場者目標三十五万人を達成していくなど、多くの都民に親しまれる施設として、将来に引き継いでいきますよう取り組んでまいります。

○吉田委員 先ほども答弁されましたが、二十年で打ち切ることは想定していないと。したがって、従来型で進めるんだというご答弁かと思うんですが、想定していないといっても、スマート案というのは、二十年で廃止をすることもあり得るということじゃないですか。想定の中には廃止もあるんじゃないですか。それを否定するとしたら、四者協議で決定した内容と、今の答弁は明らかに食い違うということになりますよ。いかがですか。想定していないといいましたけれども、二十年で廃止することはあり得るということじゃないんですか、スマート案というのは。違いますか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 このスマート案につきましては、大規模改修が必要となる時期に、その利用状況等を踏まえて、施設のあり方について検討するというものでございます。
 都といたしましては、現在の年間の来場者目標をしっかりと達成いたしまして、将来にわたってにぎわいのある施設としていくことによりまして、しっかりとレガシーとして将来に引き継いでいくという前提で考えてございます。

○吉田委員 同じことを繰り返し質問をするようで恐縮ですけれども、私だって、それはもうわかっているんです。検討の上に立って、大規模改修費用を負担できないという場合には、ここで施設を打ち切ると、それがあり得るというのがスマート案の特徴じゃないですか。局長、どうですか。基本問題なんですよ。これ、もしスマート案についての基本見解が四者協議で示した内容と局の判断が違うとしたら大問題ですよ。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 あくまで、もし二十年の--二十年というか、施設を大規模改修するときに、その利用状況に応じて考えると。ですから、我々は、しっかりと都民のレガシーとなるように取り組んでいくと、こういったことでありまして、全く矛盾がないものと考えております。

○吉田委員 局長、元気に答弁すればいいというもんじゃないと思うんだけれどもな。だって、二十年で継続を打ち切ることは全く想定していないということは、私のスマート案の理解としては、それは違うと。だって、利用状況が十分なものではなく、かつ大規模改修負担が二十年後に発生するということがあった場合には、文字どおり、負の負担になりかねないという場合には、これで打ち切るということもあり得るということでしょう、検討の結果として。
 それを認めないというのは、私はスマート案そのものについての認識をもう一度別なレベルで検討、意見交換せざるを得ないと思うんですが、さらに、そもそもスマート案について文章で書かれている。この十一月一日はこういう書き方になっているんですよ、仮設プラス暫定運用と。暫定運用であるという概念は、間違いないですね、局としても認識は。

○高島委員長 吉田理事、ちょっとお待ちくださいね、検討中ですから。
 バージョン〇・九でしょう、それ。(吉田委員「いや、違うよ。これは十一月一日だから」と呼ぶ)ああ、それのですね。

○吉田委員 これ、今もし答弁できなかったら、改めて聞きますけれども、大規模改修費用が発生する二十年の時点で状況を検討した結果、二十年で施設を終えんするということはあり得ると私は認識していますが、それが間違いなのかどうか。
 それと、そもそも暫定運用というのがスマート案の基本的なコンセプトだというふうに私は認識していますが、オリ・パラ準備局として、そういう認識を持っていないのかどうか、明確にしてください。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 その大規模改修を行うときに再検討すると。もし万が一、利用者数がゼロとかいう場合については、それはいろんな考え方があろうかと思いますが、矛盾していないと申し上げたのは、我々は当然取り組みとして、都民のレガシーとしてしっかり残る施設となるように取り組んでいくということでありますので、先生の指摘する仮定の話でどうかということについては、ちょっとご答弁できないので、我々としては最大限それに向けて努力していくと、こういう話でございます。

○吉田委員 それは、私は、このスマート案をそのまま読めば、もちろん皆さん方がそうならないように努力をしたいという意向を表明するのは当然のことですよ。しかし、なぜあえてグランドスタンド棟にしても、艇庫棟にしても、二十年で区切ったのかということですよ。それは二十年で廃止もあり得るからでしょう。それを、二十年で打ち切ることは想定していないということは矛盾するじゃありませんか。
 さらに、これだけはもう一度答弁してください。暫定運用というのが基本的なコンセプトになっています。これは認めますか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 先ほど想定していないとご答弁申し上げましたのは、ことしの五月に公表いたしました施設運営計画中間のまとめにおきましても、しっかりとこの三十五万人という目標を達成していくという前提で計画を立てて取り組んでいくこととしております。そういった中において、その計画を実施していく上において、二十年目で廃止するということを想定していないということで申し上げております。
 なお、暫定利用という意味につきましては、繰り返しになりますが、大規模改修が必要となる時期に利用状況等を踏まえて、その後の施設のあり方について検討するという意味であるというふうに受けとめております。

○吉田委員 局長、暫定運用という概念、これは否定しませんね。否定しますか。それだけ答えてください。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 いい方の問題でありまして、それを暫定運用という意味であればあれですけれども、私どもはあくまでも暫定運用であろうが何であろうが、しっかりと都民のレガシーとして残るように取り組んでいくということでございます。

○吉田委員 私はやっぱり今の質疑を通じて、スマート案というものの、やはり非常に不透明な点がもともとあったかもしれませんが、その上、調査チームが示したスマート案というものの基本的コンセプトや、具体的な紹介内容と局の認識とは、やっぱり微妙というか、かなり大きいというか、ずれがあるんじゃないかと。
 したがって、これはもっときちんとそういうことのないように、これは都がこういう方向で進めていくわけですから、やはり必要な、誤解を生まないような精査をして、こういうものだということを改めて都民や競技団体、本委員会にも示していただきたい。
 先ほど答弁がありましたけれども、とにかく局長の答弁も含めて、私は理解できません。納得できません。そのことを強調しておきたいと思います。
 最後に、現時点でも、私たちは長沼とともに、やはり良好な競技環境、整備費の削減、後年度負担がない点でも、彩湖の仮設利用が適切だという判断を持っているということを述べて、私の質問を終わります。

○小山委員 私からも、東京二〇二〇オリンピック競技大会の追加種目並びに東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場見直しと、四者協議についてお伺いをさせていただきます。
 なお、重複する質疑については極力避けて質疑をさせていただきたいと思います。
 これまで都議会民進党は、本委員会や本会議、予算特別委員会などにおきまして、二〇二〇年東京大会は、被災地を含め、広く国民、都民が参加をし、体感をするオリンピック・パラリンピックとしていくべきであると申し上げてまいりました。
 また、競技会場となります新規恒久施設の整備に当たりましては、大会後の後年におきまして、負の遺産とならないよう、後利用を十二分に踏まえた計画でなければならないことや、大会の経費については、最少の経費で最大の効果が得られるよう、不断の改革と改善に都として取り組むことを強く求めてまいりました。
 これらのことは、IOCが掲げますアジェンダ二〇二〇とも軌を一にしております。申し上げるまでもなく、アジェンダ二〇二〇では、オリンピック競技大会の全てにおいて、サステーナビリティー、すなわち持続可能性が重要であるとうたわれておりまして、競技会場についても、持続可能性の観点から厳しく検証していく必要があります。
 二〇一二年のロンドン大会の会場整備は、大会後の収益性を踏まえた将来的な見通しが立った会場のみを恒久施設として新たに整備をし、その他の競技会場は、全て既存施設や仮設施設で開催をいたしました。
 また、後利用の運営主体と責任をしっかりと明らかにした上で、設計前の早い段階から、後利用の運営主体がかかわることが極めて重要であるとの指摘をロンドン大会関係者の多くの皆様からいただいたことは、本委員会でも申し上げてまいりましたとおりでございます。
 このように、ロンドン大会を初め、過去のオリンピック・パラリンピック競技大会の事例や、開催都市の取り組みから、さまざまな改善の提案をしてまいりました。そのような中で、改めて恒久三施設の見直しが行われ、都と国、組織委員会、IOCの四者協議におきまして、当初案の整備費を縮減するとの結論を得たことは率直に評価をいたしております。
 一九九八年の長野冬季オリンピックで整備をされました会場施設では、施設維持が大変厳しくなっておりまして、自治体の行政運営に影響や支障が生じていることも仄聞をいたしております。二〇二〇年東京大会においては、今後も可能な限り改善や見直しを不断に行うべきと考えます。
 そこでまず、四者協議後の十二月七日のIOC理事会で決定をいたしました追加種目の五競技四会場につきまして、その会場の整備費用についてどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 追加種目の会場につきましては、現在、組織委員会が国際競技連盟やIOCなどと競技面や観客席数、運営スペースなど、競技運営に求められる要件について具体的に協議しているところでございます。
 整備費につきましては、今後、整備上のこれらの要件が具体化していく中で、都、国、組織委員会などの関係者で緊密な連携のもと、積極的に必要な情報を提供してまいります。

○小山委員 ただいまご答弁いただきましたが、この間の三施設の見直しを含めまして、会場整備の費用や大会経費については、多くの都民、国民から厳しい目が注がれております。一刻も早く、この追加種目の競技会場の整備費用についても明らかにされることを求めておきたいと思います。
 次に、恒久三施設の見直しと四者協議についてお伺いをさせていただきます。
 三施設のうち、まず、ボート、カヌーのスプリント会場についてお伺いをさせていただきます。
 この四者協議におきまして、ボート、カヌースプリント会場が当初案でございます海の森水上競技場に決定をいたしましたが、都は、長沼ボート場案と海の森水上競技場案、それぞれをどのように評価をして四者協議に提案をしたのか、お伺いをさせていただきます。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 長沼ボート場は、被災地復興の姿を発信するという意義がございます一方で、選手村の分村が必要になることなどの課題がございます。海の森水上競技場は、選手のすばらしい経験や都民のレガシーとしての活用が期待できるものでございます。
 十一月二十九日の四者協議におきましては、小池知事が費用や立地など、さまざまな面から総合的に判断いたしまして、海の森水上競技場を経費を縮減しつつ整備することを提案いたしまして、合意を得たものでございます。

○小山委員 そこで、これはこれまでの委員会でも各委員からも触れられた部分でありますけれども、都は、平成二十六年の見直しの際に、この長沼ボート場案を調査し、検討されたというふうに聞いております。その上で、再度、都がこれを提案した理由についてお伺いをしたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 長沼ボート場は、アジア大会の開催実績のある既存会場でございまして、被災地復興の姿を発信する意義があるといたしまして、都政改革本部の調査チームが、ボート、カヌースプリント会場の代替地として提案したものでございます。
 これを受けまして、小池知事から四者協議の場で調整するよう指示があり、都として検討することとなりました。

○小山委員 ただいまご答弁がありましたように、その平成二十六年のときの見直しの際の検討、それから今回、改めて見直しに当たって、この長沼ボート場案を提案された理由ということについては理解をいたしました。
 その中に、結果として、今回ご答弁にありましたような復興の姿を披瀝するというような、復興五輪という点の部分では結論を見なかったわけでありますけれども、ぜひ今後の二〇二〇年東京大会の取り組みとして、この被災地復興、被災地の支援となる復興五輪につながるような取り組みというものは、都として欠かせない取り組みだというふうに思っておりますので、今回に限らず、他の取り組みの中でも十全に図っていただくように要望をしておきたいと思います。
 次に、今回決定をいたしました、先ほども何度か各委員からも質疑がありましたけれども、海の森水上競技場の整備案、仮設レベルスマート案というわけでありますが、これまでの会場計画と比べて、どのような点がどのように変わったのか、詳細な費用の部分も含めてお伺いをしたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 スマート案は、グランドスタンド棟や艇庫棟などの建物を仮設レベルに低廉化するとともに、高木、中木植栽や遮熱性舗装の取りやめ、締め切り堤上部の仕様変更などによりまして、大会開催と後利用も踏まえ、最低限の整備内容としてコスト縮減を図るものでございます。
 また、IF等と協議する施設といたしまして、海の森水上競技場のテレビカメラ撮影用ポンツーンなどを計画しておりましたが、陸上の自転車走行路を併用して撮影するよう調整しており、ポンツーン等が不要となる方向でございます。
 さらに、昨年度の段階で見込んでおりました追加工事等が生じた場合の対応費につきましては、実施設計が進捗したことに伴いまして、縮減ができる見通しが立ってきました。
 縮減額につきましては、施設本体工事で約四十億円、IF等と協議中の施設で約五十二億円、追加工事が生じた場合の対応費で約八十億円など、合計百九十三億円と試算してございます。

○小山委員 今ご答弁をいただきました変更、縮減が図られたわけでありますが、決定をされる、この決定を見る前の検討段階において、ボート、カヌーのIF、NFの各競技団体からどのようなやりとりや反応があったのかもお伺いをしておきたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 ボート、カヌーのNFに対しましては、四者協議に先立って、恒設コスト改善案とスマート案について、施設の仕様や整備内容の変更に関して説明を行い、意見交換を行っております。
 また、IFに対しても同様に、四者協議に向けた準備として、恒設コスト改善案とスマート案に関する意見照会を行っております。
 これらの意見交換を通じて、四者協議が開催される前の段階において、競技団体からコスト削減の方向性については、おおむね理解を得られていたと認識しております。

○小山委員 これらIF、NFの各競技団体から、コスト削減の方向性については理解を得られていたということでございますが、私が懸念をいたしますのは、これまでの本委員会でも再三申し上げてまいりましたが、大会後の後利用や収支を含めた、こういった課題に対して、十分対応できるものなのであるのかどうかという点が私は極めて重要だというふうに考えております。
 そういった点で、先ほど縮減の内容については、詳細な数字も伺ったわけでありますけれども、ぜひこの海の森水上競技場の仮設レベルスマート案に決定して以降の、各競技団体の反応や取り組みについてもお伺いをしておきたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 競技団体からは、東京二〇二〇大会のボート、カヌースプリント競技を海の森水上競技場で実施するという決定に歓迎の意が示されております。国際ボート連盟は、建設コスト縮減と同時に、東京の人々にとって持続可能なレガシーとなるよう全面的に協力するという声明を出しております。
 現在、スマート案の詳細な整備内容に関する協議を各競技団体と始めているところでございます。

○小山委員 今、決定後のIF、NFなど、皆さんの反応を伺ったわけでありますけれども、私はここで極めて大事であるということを申し上げておきたいのは、ロンドン大会の開催地でありますロンドン市にお伺いしたときにお話を伺ったこととして、オリンピック・パラリンピックの開催については、IOC側や、あるいは国際競技連盟、国内競技連盟は大会開催の部分にどうしても集中して、開催が無事に、それも円滑に行われるということに力点を置きがちであると。
 しかしながら、開催都市はやはりその費用を負うわけなので、大会開催時はもちろんでありますけれども、大会の開催が終わった後、その後のことを、要はしたたかに考えなきゃいけないというのが、実はロンドン市の職員の皆さんからいただいた言葉でありました。
 ぜひこのことは、今回の会場計画の見直しの中で、さまざま取り組まれている中で評価すべきことはありますけれども、やはり大会が終わった後、この東京都が収支も含めて将来的に持続可能な大会後のレガシーがつくれるかどうかということにぜひ重きを置いて、今後は取り組んでいただきたいと思います。
 さらに、改めて申し上げておきますが、海の森水上競技場の大会後の後利用については、これまでも申し上げてまいりましたが、極めて大きく、また多くの課題を抱えております。これら指摘をしてまいりました点について、改めて競技団体や、あるいはこういったことに知見を有する民間活用ということも十分図っていただいて、絶対に負の遺産とならないような取り組みを強く求めておきたいと思います。
 次に、水泳会場についてお伺いをさせていただきます。
 水泳の施設案でありますアクアティクスセンターについては、客席数が当初の二万席から一万五千席に変更されましたけれども、これら変更について、IF、NFは客席の減席をどのように認識し、都に提示されたのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 IFの事務総長が十月に来日した際、知事に面会しておりますが、そのときに既に二年半余り、都、組織委員会と一緒に仕事をしてきており、引き続きアスリートにとって最高のものになることを担保しつつ、予算削減にも協力したいという発言がありまして、観客席数につきましても、一万五千席でもよいというお話がありました。
 それを受けまして、NF、IFにアクアティクスセンターの一万五千席での整備及びコスト削減について協議を行い、理解を得ております。

○小山委員 今のご答弁の中で、理解を得たということ、一万五千席で可能だというようなお話をいただいていたということであります。
 一万五千席ということで、当初の整備費用から大幅に整備費用が縮減をされた。特に減築に伴う費用が縮減されたことと、この全体の確かに縮減については評価をいたしますが、しかし一方で、これまで減築する案から減築しない案へと変更になったことに伴って、ランニングコストがこの資料からもわかりますように増大をして、採算がさらに厳しくなることが見込まれております。
 そこで、この大会後の後利用について、どういった見通しを持っておられるのか、見解をお伺いしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 まず、収支の試算につきましては、お話がございましたとおり、減築工事を行わないことによりまして、天井高など施設規模が当初案に比べて大きくなりますことから、空調等に要する光熱水費や清掃等の業務委託費などの維持管理費が年間で約四千万円増加することが見込まれております。
 アクアティクスセンターの後利用につきましては、年間約百の国際大会や国内大会の開催や、観戦利用で約八十五万人、水泳教室による都民利用などで約十五万人、合計でこれまでと同様の約百万人を来場者目標としておりますが、今後さらなる利用者増加など、収支改善に向けて引き続き取り組んでまいります。

○小山委員 ただいまお伺いしたアクアティクスセンターについても、これは同じようにロンドンでは減築をされたわけであります。その減築をされたロンドンですら、このアクアティクスセンターの維持管理ということについては大変窮しております。
 いろいろさまざま努力をして、収支を改善しようということの試みは今でもロンドンは行っておりますけれども、ぜひ今回の減築工事を行わないということのプラスと、それから、その後減築を行わないことに伴うランニングコストの増大なども含めて、ぜひやはりその後の後利用でどういったことが収支としても改善ができるのかということを検討していただきたいというふうに思います。
 次に、バレーボール会場、車椅子バスケットボール会場の有明アリーナについてお伺いをさせていただきます。
 この有明アリーナの案につきましては、各委員から既に詳細な質疑がありましたので、私からは一点だけお伺いをしたいと思いますが、今回の結論を受けての変更点と大会後の収支見通しについても改めてお伺いをしておきたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 有明アリーナの整備費につきましては、当初案では四百四億円でございましたが、今回の見直しによりまして、既に契約している整備費のうちから約三十五億円、セキュリティー対応費と追加工事等が生じた場合の対応費から、それぞれ約十五億円のコスト縮減を図り、見直し後の合計では約三百三十九億円となる見込みでございます。
 縮減可能性のある項目としましては、軟弱地盤対策工法の見直しのほか、内外装や設備の見直しが可能かどうか検討しており、整備内容や整備費の変更については、今後、受注者等との協議や詳細な設計が必要となってございます。
 一方、収支の見通しでございますが、スポーツ大会やコンサート等のイベント開催などにより、収入は約十二億四千五百万円と試算しております。
 支出につきましては、施設の管理運営費などで約八億八千九百万円となり、収支は約三億五千六百万円の黒字と見込んでおります。

○小山委員 この有明アリーナについても今回の変更に伴う縮減額、さらに、それぞれ大会後の後利用の収支見通しについてお伺いをさせていただきました。
 これら三施設の見直しということについて、総額で約四百億円の縮減が図られたこと自体は率直に評価をしたいと考えております。
 引き続き大会経費については、これまでも申し上げてまいりましたように、できるだけ少ない経費で最大の効果が得られるよう、都として取り組むべきと考えておりますが、最後に局長の見解をお伺いしたいと思います。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 大会の成功とその先を見据えまして、東京にとって必要なレガシーに対して、ソフト、ハード面、その両面からしっかりと投資を行っていく。それと同時に、経費につきましては、限りある資金の有効活用を図り、抑制する必要があると考えております。
 今回取り組みましたこの経費縮減のほか、都はこれまでも、コスト、レガシー、都民生活への影響の三つの観点から、会場の再検討を行ってきまして、約二千億円の経費縮減を図ってきたところであります。
 今後は、このハード面からソフト面といいますか、輸送やセキュリティーなどの、今後、多くの業務におきまして、計画の策定などを具体化を図っていくことになりますが、組織委員会や国などと緊密に連携しながら、チェック体制を確立、継続することで、ガバナンスの効いた確実な予算管理を行い、不断に経費の縮減に努めていく所存でございます。
 これらの取り組みによりまして、持続可能性をうたうアジェンダ二〇二〇が初めて適用される東京大会を成功に導いてまいりたいと考えております。

○小山委員 ただいま局長よりご答弁をいただきましたように、会場整備を初めとします大会経費、コストの一層の縮減、最少の経費で最大の効果が得られるよう取り組んでいただくことを求めておきたいと思います。
 また、レガシーにつきましては、大会後の有形無形の遺産でありますが、特に会場整備が負の遺産とならないよう、そして持続可能なものとなるよう、引き続き大会の成功に向けて、都として全力で取り組んでいただくことを求めまして、質疑を終わらせていただきます。

○石川委員 海の森水上競技場につきまして、まずお伺いいたします。
 今回、海の森か長沼かということで、この二つの競技場のうちの一つを選ぶ上で、競技場建設にかかわる費用と維持管理に関する費用が大きな争点となったわけであります。
 その中で、工事費については、海の森は既に着工しており、既に工事の契約も済んでいることが問題になったわけであります。
 まず、確認をしておきたいことといたしまして、ボート、カヌー会場が海の森水上競技場に決定する前に、会場候補として検討されていた宮城県の長沼ボート場については、それ自体の整備費を村井県知事から百五十億から二百億というような提示があったわけでございます。
 会場が変更になって、今までの海の森水上競技場の建設をやめた場合、百億円程度の支出が生じると、本委員会でも答弁があったわけでありますけれども、その経費の根拠についてお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 海の森水上競技場の整備を中止した場合の経費といたしましては、既に執行済み、または契約中となってございます揚陸施設の撤去、移設工事約三十八億円や、調査設計約九億円に加えまして、原状への復帰のための費用、現在進行中の会場整備工事の出来高や損害賠償にかかわる費用などが考えられます。
 これらの経費の合計といたしまして、概算額の想定としてご答弁申し上げたものでございます。

○石川委員 他の場所への移転で工事が中止になりますと、共同企業体であるJVへの賠償金が通常発生することとなるわけですけれども、今回の契約では二百四十八億九千八百三十二万円で設計施工を契約しており、工事中止は想定されていなかったということで、違約金については、特に定められてはいなかったわけであります。
 常識として資材費や人件費は損害賠償請求される可能性が高いわけで、一般的には、その違約金は請負金額の一割程度で二十五億円程度というふうに想定がされるわけで、百億はちょっと高いのかなと、そんな感じがするところでございます。
 この海の森水上競技場は、経費を削減して仮設レベルに低廉化して整備することとなり、イニシャルコストについても一定の解決の方向が見えてきたわけですけれども、ランニングコストについても確認をしたいと思います。
 十一月の都政改革本部のオリ・パラ調査チームによれば、レガシーについては、都民の後利用や収入、ランニングコストについて不確実性があることから、利用状況、大会の開催状況や維持費、改修費用を確認しながら継続的に判断する、利用団体にも収益改善のインセンティブが働く参画型の事業運営が望ましいとの報告がありました。
 本日の委員会の要求資料の中にも見直し後のランニングコストが二億六千六百万円であるとの試算がありましたが、海の森水上競技場を将来に残る確実なレガシーとして残していくためには、収支改善を図ることが不可欠なわけであります。
 そこで、海の森水上競技場の収支改善にどのように取り組むのか、お伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 収支の改善に向けましては、水上スポーツのノウハウを有する競技団体との連携が重要と考えており、収入面につきましては、大会の確実な誘致、開催とともに、水上スポーツ体験の拡充による利用者の増加などに取り組んでまいります。
 また、水辺や緑を生かした環境学習、飲食、宿泊施設や駐車場の相互利用など、仮称海の森公園と連携した取り組みや、バス路線の拡充など、交通アクセスの改善について、関係局と協力して検討を進めるなどして、来場者をふやし、収益確保に努めてまいります。
 一方、支出面につきましては、施設利用に当たっての適切なコスト負担や維持管理費の低減に向けた効率的な施設運営のあり方について検討をしてまいります。

○石川委員 今回、スマート案として整備することとなりましたけれども、年間の来場者目標は、これまでと同じということでよろしいのか、その数字の根拠をお伺いいたしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 海の森水上競技場のスマート案につきましては、現在、整備内容について精査しているところでございますが、競技団体の意向や類似施設の利用状況を踏まえまして、現時点で大会や合宿、練習等の競技利用で約三十一万人、レクリエーション利用で約四万人、合計でこれまでと同様、三十五万人の来場者を見込んでございます。

○石川委員 大会後の施設の有効活用を図る上で、水上競技についての知識やノウハウを有するボート協会やカヌー連盟等々は、施設運営へ積極的に参画をしていただき、大きな収益の見込める国際大会、国内大会の誘致はもちろんのこと、首都圏のボート、カヌーチームの新たな拠点としても確実に活用していただくことが求められるわけであります。
 大会後、年間三十大会を開催して、年間五十一回の強化練習合宿を実施するという計画になっており、競技団体がこうした取り組みの主催者として確実に実現をしていく役割を果たしていただかなければならないと思っております。
 また、都民の水上スポーツ体験などにおいても、競技団体に主体的な役割を担っていただき、来場者をふやし、収益確保にもつなげていく方策について、今後さらに検討していただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 長沼ボート場が、四者協議で事前キャンプ候補地として活用するということでございますけれども、事前キャンプは、各国のオリンピック委員会や競技団体と受け入れ側の自治体等との合意による任意のトレーニングということになるわけでございます。
 そこでまず、宮城県や登米市が長沼ボート場に事前キャンプを受け入れる用意があるのかどうか、お伺いいたします。

○井上オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 事前キャンプの誘致は、地域振興や国際交流、スポーツ振興など、地域レガシーの創出につながる大変意義あるものでございます。
 このような観点から、宮城県、登米市とも事前キャンプ誘致の意向を以前から有しておりまして、宮城県におきましては、ホームページやPRパンフレットに長沼ボート場を掲載するなど、誘致活動を継続して実施していると承知しております。

○石川委員 わかりました。事前キャンプ誘致については、地元自治体が主体となって取り組むものでありますけれども、今回の経緯を踏まえて、また、県や市も事前キャンプを望んでいるのであれば、東京都としても、長沼ボート場への事前キャンプ誘致が実現するよう、積極的に支援をしていくべきと考えております。
 誘致実現に向けて、今後、どのような取り組みを行っていくのかお伺いいたします。

○井上オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 被災地での事前キャンプの実施は、被災地の姿を世界の方々に知っていただく機会となるとともに、ふだん経験できない海外アスリートとの貴重な交流を通じて、地域の方々に元気を届けることができ、被災地復興の観点からも意義深いものでございます。
 都はこれまでも、長沼ボート場を初めとする被災地での事前キャンプ実現に向け、東京都のホームページで情報発信するとともに、リオ大会などで、各国オリンピック・パラリンピック委員会へ直接PRを行ってまいりました。
 今後も引き続き、宮城県や登米市と連携協力しながら、各国オリンピック・パラリンピック委員会や関係団体等へのPRや働きかけを行うなど、支援を行ってまいります。

○石川委員 国においては、被災地支援ということでございますので、自治体への支援をぜひ検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次に、オリンピックアクアティクスセンターについてお伺いをいたします。
 現在の辰巳国際水泳場は、年間の維持費は四億七千万円かかるとの報道がございました。オリ・パラ後は、辰巳国際水泳場はどのように使用されるのか、また、辰巳国際水泳場をコンサート会場にも使用できるようにする場合、改修費はどの程度想定しているのか、お伺いいたします。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 東京辰巳国際水泳場は、二〇二〇年大会以降、国際水泳場としての機能がオリンピックアクアティクスセンターに引き継がれる計画であることから、その後の施設のあり方が課題となっております。
 そこで、本施設は、現在、建築後まだ二十数年であり、建物としては引き続き利用可能であることから、アクアティクスセンターとは異なる機能での活用を改修費も含め検討しているところでございます。

○石川委員 アクアティクスセンターについては、二万席を一万五千席にして改修工事をやめたということについては、これはもったいない精神にもつながり、経費節減につながっているわけですが、問題は二つの大きな水泳場が隣接して存在をしているということになるわけであります。
 一方で、東京では、コンサート等の箱が不足をしているというような指摘もございます。有効に活用できる方途をしっかりと見出していただきたいと思います。
 次に、新種目のサーフィン会場についてお伺いいたします。
 二〇二〇年大会は、新種目としてサーフィンが選ばれました。若年層を取り込む上でもまことに歓迎すべきことであります。
 東京都町村会からも、都内の新島村への要請が出されていました。その会場は有力視されていた東京都の新島村羽伏浦海岸ではなく、千葉県一宮の釣ヶ崎海岸となったわけですけれども、世界的なサーフィンの大会も開催されている実績のある新島がなぜ選ばれなかったのか、確認のためにお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 新島村には、世界的にも有名なサーフスポットがあり、国際大会を含む多くの大会が開催された実績もあることは承知しております。
 サーフィン会場につきましては、お話の新島村羽伏浦海岸を含む全国の海岸を対象に検証を行っております。島しょでの開催は、選手、関係者、観客等の輸送や宿泊に課題があり、IF、IOCと協議を行った結果、サーフィン競技に適した波と大会を確実に実施できる砂浜を有する千葉県の釣ヶ崎海岸サーフィン会場が選定されたものでございます。

○石川委員 新島の人々は、一九九〇年に世界選手権の開催場所でもあったために、地元開催の期待が大きい分、その落胆もまた大きいと思われます。
 新島の人々や東京都町村会などに納得のいく説明はどのようになされるのか、お伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 新島村からは、昨年十二月及び本年六月に村長などが都庁に来庁し、要望書を直接いただいております。また、東京都町村会からも、本年七月に同様の要望書を直接いただいております。
 そうした機会において、島しょでオリンピックを開催する上での課題について、村長や村議会議長などに説明し、その課題について理解を求めてまいりました。
 また、本年八月に会場予定地が示された際及び今回の会場決定の際には、新島村には、その決定に至る経緯について説明を行っております。

○石川委員 今回、千葉の一宮は、サーフィンの会場となったということでございますけれども、このことをどのように受けとめておるのか、お伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 一宮町の馬淵町長は、今回の会場決定を受けまして、大変光栄であり、すばらしい五輪だったといってもらえるような五輪を目指すとのコメントを発表しております。

○石川委員 続けてお伺いいたします。
 横浜スタジアムでの野球・ソフトボール大会開催について、横浜市はどのように受けとめておりますか。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 横浜市の林市長は、今回の会場決定を受けまして、大変光栄であり、組織委員会や競技団体など、各関係者と連携し、準備に万全を期していくとのコメントを発表しております。

○石川委員 オリンピックの競技開催は自転車競技の一部が開催される伊豆のベロドロームなどの地元は、どのような受けとめをされておりますか。
 また、セーリングの江ノ島ヨットハーバーでの開催について神奈川県はどのように考えているのか、お伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 昨年十二月、自転車競技、トラックレースとマウンテンバイクが伊豆市で開催されることが決定された際、静岡県の川勝知事及び伊豆市の菊地市長は、ともに歓迎の意を示すコメントを発表しております。
 また、神奈川県の黒岩知事は、会場見直しの段階から誘致に積極的な意向を示しており、会場が決定した際には、関係者と連携し、最大の大会となるよう全力を尽くすとのコメントを発表しております。

○石川委員 オリンピック・パラリンピックの会場計画を見ていても、基本的にはどの自治体も積極的に誘致を図ろうという姿勢が見られるわけであります。追加種目でも幾つかの自治体が争って名乗りを上げてきたというような実情もございます。
 横浜市にしても、野球やソフトの誘致では、極めて積極的であったわけであります。これは、オリンピックがみずからの自治体で開催されれば、長くいい伝えられ、また、ハード、ソフト含めて大きなレガシーとなることは想像にかたくないわけでございます。
 バレーボール会場の件でございますけれども、横浜アリーナの既存施設の活用か、有明アリーナの新設かという問題についても同じことがいえるんではないかなと思っております。
 今回、横浜市市民局長から都のオリ・パラ準備局長に送られた文書は、その内容を読んでいくと、極めてそっけないなというふうに私はちょっと受けとめたわけであります。
 文書の頭の方では、大会成功に向けて最大限協力をしていくといっているわけでありますけれども、民有地の利用に関しては、所有者に対して、今後四年間の活用内容や期間など具体的に説明した上で、了解をいただく必要があると考えております。そこで、開催都市である、今回の検討主体である東京都や、大会運営を取り仕切る大会組織委員会で、ご対応いただきたいと考えています。
 確かに急な話なわけであります。ということで、限られた時間の中で、競技施設を抱える自治体としては、開催に向けた意欲というものが、まあ表になかなか出せなかったのかなというふうには思うわけでございますけれども、横浜市長は、横浜市民を代表する立場であるわけでございますけれども、今回、横浜市として基本的にオリンピックの会場になるということについて、横浜市民はどう考えているのか、意思の確認などが行われたのかどうか、お伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 横浜市からは、そのような意識調査は行っていないと聞いております。

○石川委員 時間的にもかなり限定されたわけでありますけれども、今までの感覚からすると、オリンピックの開催の場所になるかもしれないという可能性があれば、かなり一生懸命前向きに検討するんじゃないかなというのが今までの他の自治体の反応だったわけで、今回、確かに横浜が出てきたのは、時間的な問題等々、IOCですとか、IFですとか、NF等々、いろんな団体の意見聴取を含めて、クリアしなきゃいけないという問題はあるわけですけれども、もう少し前向きにこれを、限られた時間の中で東京都と一緒に検討してみましょうと、こういう姿勢が見られなかったということは非常に残念だなと。これはやはりオリンピックを盛り上げていくという意味では、極めて残念だなということを申し上げておきたいと思います。
 最後に、全体経費の問題についてお伺いいたします。
 今回、小池知事から、オリ・パラの費用の見直しに関連して、会場の見直しが提案され、以降、連日マスコミの報道が現在もなされているのは、都民、国民が、税金がいかに適正に使われるか、無駄はないのか、そもそもオリンピック委員会や東京都は運営者として的確なコスト意識を持っているのかというような、納税者としてまことに当然の疑問を持っているということになるかと思います。
 全体経費として、五輪経費は一・六兆円とか一・八兆円、あるいは二兆円、三兆円というような数字も出てきているわけでありますけれども、IOCは、五輪の持続可能性から、これらの数字をなるべく低くということが出されているわけであります。
 それ自体はアジェンダ二〇二〇に沿った方針で結構なことであり、当然のことというふうにもいえるわけであります。
 そこで、いつこの全体経費の見積もりが出されるのか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会経費の総額とその内訳並びに組織委員会の第一回目の予算、バージョンワン予算につきましては、本日の四者協議後に公表されることになってございます。

○石川委員 きょうということでございますけれども、全体経費の圧縮はIOCの目標ともなっているわけでありますけれども、これは誰が最終的な責任者ということで全体経費の削減を進めていくのか、また、削減をどのような方法で実現をしていくのか、お伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会の成功に向け、オリンピック・パラリンピックでは、さまざまな関係者がかかわります。
 開催都市である都、大会運営を担う組織委員会、開催国である国が緊密な連携のもと、三者がそれぞれの責任を果たして大会準備を進めていくことが重要であると認識してございます。
 委員ご質問の全体経費につきましても、都、組織委員会、国が連携しながら、計画、予算、執行の具体化していく各段階におきまして、モニタリングを行うなど、チェック体制を確立、継続することで、不断に経費を縮減する取り組みを実現してまいりたいと考えてございます。

○石川委員 ガバナンスの効いた管理を行うということでございますけれども、組織等につきましては、どういう方法で行っていくんですか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 先ほど申し上げましたように、オリンピック・パラリンピックではさまざまな関係者がかかわります。それぞれの主体が横串を刺した管理体制を構築し、より効率的な調達を実施するというような取り組みを通じまして、ガバナンスの効いた確実な予算管理を行ってまいります。

○石川委員 会場となる自治体に対して費用負担の問題をもうちょっと明確にしていくと、開催に向けてさらに盛り上がっていくんではないかなというふうに思うわけですけれども、費用負担について明確なメッセージを出していくべきではないかなと、こんなふうに思うわけですけれども、この点についてお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 本日の四者協議後に大会経費を公表した後は、費用負担につきまして、年度内の公表を目指し具体的に整理してまいります。
 まずは、組織委員会や国との協議を精力的に進めるとともに、都以外に会場が所在する地方に関しましては、関係自治体と連絡協議会などの場におきまして協議を行ってまいります。

○石川委員 オリンピック開催による収入については、五千億ということで、なかなかそれ以上望めないというような報道などを見ましても、そのようにいわれているわけであります。
 一方で、経済効果については、日銀等々含めてさまざまな数字も出されているわけで、これは大いにこういった数字を高いものにしていかなきゃならない、努力をしていかなければならないと思っております。
 ただ、いずれにしましても、最終的な収支の不足分の責任は東京都が負うということになっているわけでありますので、全体経費に対する削減権、コントロールしていく力というものについては、都がしっかりとこれを持っていくということを強く求めて、質問を終わらせていただきます。

○おときた委員 私からは、新たに方向性が決定されましたバレーボール、車椅子バスケットボールの会場について端的に幾つかご質問させていただきます。
 四者協議で継続審議となっていたバレーボール、車椅子バスケットボールの会場につきましては、先般、小池百合子知事より有明アリーナの新設の方向性となることが発表されました。
 横浜アリーナを使う、既存施設を極力活用するということはアジェンダ二〇二〇に沿った検討でありますし、できる限りの検証を行った知事のチャレンジは評価されるものであると考えますし、また、有明アリーナに関しても、約六十五億円のコストカットの見込みが出たことも大きな成果といえると思います。
 その一方で、この有明アリーナのコスト削減については、エレベーターなど、利用者に直結するものを削ったとの報道や情報も流れています。仮に利用者の利便性が低下するとすれば、その見直しにも疑問の声が上がることが考えられますが、このコスト縮減内訳の、特に内外装、設備の見直しとは、これは具体的にどのようなことを指しているのか、改めてお伺いをいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 縮減可能性のある項目として挙げました内外装、設備の見直しとは、地中熱利用や太陽光発電の中止、木材活用の範囲、床や手すりの仕様、一部のエレベーターなど、設備の見直しなどでございまして、今後さまざまな観点から精査をしてまいりたいと考えております。

○おときた委員 現在、検討中ということで、その中にはエレベーターというのが、私がご指摘したところも入ってはいるんですが、一部で報道があったこのエレベーターについては、私が聞く限りでは、検討対象は利用者の利用が少ないと想定されるものであって、直接利用者の利便性、あるいは障害者対応のバリアフリー対応などを毀損するものではないやに伺っております。
 こういったものを決して利用者目線を大事にして毀損することがないように、都民目線に立ったコストの縮減案の検討というのを強くお願いしたいと思います。
 次に、このコストという観点で見ますと、小池知事就任後に、有明アリーナの検討、横浜アリーナ活用案の検討に時間を要したことで、工期短縮などに伴うコスト高を懸念する声も上がっております。
 端的に実際、今回、有明アリーナ再検討案で、明確にコストなどは増大したのでしょうか。あるいは、今回の見直し作業によって、今後の工期の短縮が必要となって、追加コストが必要となるような事態にはならないのでしょうか。実務を担当する都所管局の所見を伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 整備内容や整備費の変更につきましては、今後、受注者等との協議や詳細の設計が必要でございますが、今回の見直しの中では、コストが増大する要素が上がっておらず、現時点で工期を短縮するための追加コストは想定しておりません。

○おときた委員 今回のこの有明アリーナというのは、未着工だったりということもありまして、現時点でのコスト増はないということが確認できましたので、こういった流れている情報に関しての批判は当たらないということで理解をしたいと思います。
 また、精査中ということではありますけれども、想定していないということで、工期短縮による影響も現時点では考えられないということだと思います。
 仮に、工期短縮のために、万が一、追加コストが発生するようなことがあったとしても、トータルでは、今、明示されているスマートな経費でしっかりとおさまるように、工程管理の方をお願いしたいと思います。
 さて、今回の有明アリーナの新設に伴い、小池知事は、コンセッション方式の導入を宣言されました。
 今回出された資料の方を見ましても、有明アリーナのランニングコストは数億円規模と莫大な金額であって、これを民間運営で補うことに挑戦するコンセッション方式の導入については、これは非常に高く評価をしたいと思います。
 しかしながら、コンセッション方式を成功させることは、決して容易ではありません。この方式の採用については、これまで都には同様の実績はあるのでしょうか。特にスポーツ施設で実績があれば、その具体的な内容と現状、課題等につきましての所見をお伺いしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 コンセッション方式は、平成二十三年のPFI法の改正により新たに導入された制度でございまして、施設の所有権を公共主体が所有したまま、施設の運営権を民間事業者等に設定する方式でございますが、現時点では、まだ都における導入実績はございません。
 今後、有明アリーナの運営に意欲を持つ民間事業者のヒアリングを実施するとともに、国や他自治体の取り組み状況なども参考にしながら、有明アリーナにおける具体的なスキームを検討してまいります。

○おときた委員 他の委員からのご指摘もありましたが、東京都には現在実績がないということで、全く新しいチャレンジということになります。
 しかしながら、私は、こういった前例踏襲主義に陥らず、果敢に新しい方式に挑戦することは、これからの都政にとっては必要不可欠なことであって、過度に慎重になる必要はないと思っております。
 一方で、もちろんのこと初のコンセッション方式を成功させるためには、努力が欠かせません。他県の先行事例や、あるいは諸外国の先進事例を参考にしながら、着実にスキームを練り上げていただきたい旨を要望いたしておきます。
 最後に、一連の意思決定にかかわる情報共有についてお伺いをいたします。
 今回、大きく報道もされました十一月二十五日に受領した横浜市の考え方について、局や組織委員会、そして調査チームには渡っていたにもかかわらず、知事本人には十二月一日まで渡されることがなかったということが明らかになりました。
 局が共有した調査チームは、あくまで外部顧問であって、伝達ラインとして、局が知事に直接これは報告する義務があったのではないかと考えられます。
 民間企業であっても、当然、課長、部長、局長というラインがあって、その上の知事というのが--社長がいれば、そこに直接しっかりとした書類を報告するというのは、当たり前に行われることであって、それがクライアント、あるいは外部のコンサルタントだけに共有されていて、それがなかったということは、私はこれは極めてゆゆしき事態、情報共有に決定的な落ち度があったのではないかと危惧を覚えております。
 なぜこのような事態が起こったのか、どうして知事に伝達が行かなかったのか、その見解についてお伺いをいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 局としましては、十一月二十五日に面会する以前から横浜市との会議などを通じまして、その考えの趣旨を承知しており、知事に伝えてきたところでございます。

○おときた委員 いただいた答弁ですと、知事には適切に報告がなされていたというようなご主張であったというふうに聞き取れます。
 しかしながら、この書類が知事の手元に届く前に、結果として、マスコミで報じられたことは大きな問題となって、また、知事自身も定例の記者会見で、この書類の存在と、その到着の遅延に対して、強く遺憾の意を示しております。
 起こった事象に対して、やはり真摯に向き合っていただかなければ、再発防止はおぼつかないものだと思います。
 この一連の情報共有のやり方については、結果として、率直に組織として不適切、不十分ではなかったのではないかというふうに私は思いますが、その辺についての認識を改めてお伺いをいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 知事からは、何が必要な情報で、何が必要でないのかについて、職員は緊張感を持って対応するとともに、必要な情報については速やかに上げるよう指示を受けたところでございます。
 今後は、適時適切に知事への報告を行ってまいります。

○おときた委員 そういった指示があって、今後については適切に行っていくというご答弁ですけれども、それはつまり、そういった言質があるということは、その前段階で何らかの落ち度があったということだと思うんです。私はそこに関しては、やはり真摯に反省していただいて、この場で答弁を述べていただきたいというふうに感じています。
 繰り返しになりますけれども、一般の民間企業であれば、上長からその仕事のやり方に対して指摘が入って、それがクライアントの間で問題になっているとすれば、まずは速やかに自分たちのミスを認めて、そこはちゃんと謝罪して、その後に再発防止策を検討する、それを宣言するというのが、これは一般常識ではないかというふうに思います。
 上長である知事から改善の指示を受けたということは、結果論ではあるかもしれませんけれども、今回の情報共有に落ち度があったという点にほかなりません。どうしてこの点について正面から向き合ったご答弁がいただけないのかということは、私は今非常に率直に残念だと思っております。
 この一連の経過につきまして、これは局長としてどのようにお受けとめしているのか、局長の答弁を求めたいと思います。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 一連の文書ですけれども、全体の中としては、決まればしっかりと協力するという横浜市の姿勢でありまして、必ずしも私どもとしては、否定的に捉えたものじゃなくて、当然横浜市はしっかりと協力していただけるということで、横浜市と実際その後も検討に協力をしていただいたということでございます。
 この文書を知事に上げなかったことについては、これは率直に私としては非常に反省をしておりまして、知事からもそういったお話もありましたので、今後はしっかりと対応していきたいと思っております。

○おときた委員 局長から率直なご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 こういった情報共有につきましては、やはり豊洲市場問題等々でも、組織内でやはり情報共有が不十分であったのじゃないかという指摘もあったところで、都政の信頼を揺るがす根幹にかかわる部分ではないかと思います。
 ぜひこういった点につきましては、再発防止に努めていただきまして、今後は、五輪組織委員会、そして都庁内、そういった横のつながり、縦のつながりをしっかりと大切にして、情報共有を進めていただきたいという旨を要望いたしまして、私の質問を終わります。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後四時四十三分休憩

   午後五時開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山内委員 私からも、まず四者協議に関連してお伺いしていきたいと思います。
 生活者ネットワークは、二〇一三年九月に東京開催が決定して以来、オリンピック・パラリンピックにかかわる総費用、役割分担、費用分担を早く都民に明らかにするよう求めてまいりました。
 四者協議が今回開催されましたが、それ以前、舛添知事のときですけれども、東京都、大会組織委員会、国の三者の間でトップ協議が行われてまいりました。この三者協議の後、事務的協議が行われていると聞いております。
 そこで、東京都、国、大会組織委員会の事務的協議は、具体的に、いつ、誰が、どのように行い、また、都の担当者は、庁内の関係部署に、どのようにして情報共有を行っているのかお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 本年四月から行われております都、国、組織委員会の三者の実務者による事務的協議は、同年三月末の都知事、オリンピック・パラリンピック大臣、組織委員会会長によります三者会談におきまして進めているものでございます。
 具体的には、大会準備全般にわたりまして、組織委員会が業務や経費の内容説明を行いまして、それに対する質疑応答などを行ってございます。
 また、この事務的協議には複数の都職員が出席しておりまして、関係者間で情報は共有されております。

○山内委員 三者協議の議事録は重要だと思います。この三者協議の決定事項は文書として残されているのでしょうか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 この三者の実務者による事務的協議は、意見交換や調整の場というところでございまして、決定事項が記載された文書が存在するものではございません。

○山内委員 資料等は組織委員会が配布し、組織委員会から説明を受け、協議をした後は組織委員会が回収すると聞いております。都としては、文書として残していないということだそうですね。決定事項等の確認、庁内での情報共有というのは、文書がない状況できちんとできるのでしょうか。私は疑問に思っております。
 競技会場は、新施設をつくるのではなく、既存の施設に変更になったものがございます。当初、都が恒久施設として新設する予定であったバスケットボールはさいたまスーパーアリーナへ、セーリングは江の島ヨットハーバーへ、仮設施設も、自転車施設が伊豆ベロドローム、伊豆マウンテンバイクコースへ、テコンドーやレスリングも幕張メッセへと変更になりました。
 これらは、組織委員会が自治体と交渉したと聞いております。その交渉はどのように協議され、決定に至ったのか、また、費用についてはどのように協議されたのか、都外の自治体にはどのように説明しているのか、そしてその文書は保管されているのかお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 平成二十六年六月以降、都は、組織委員会とともに、会場計画の見直しを行ってまいりました。
 立候補ファイルに、恒設として位置づけられた施設の建設を中止し、都外の既存施設を活用する場合、都と組織委員会が連携して、その自治体等と具体的に協議を行ってまいりました。
 また、その協議に当たりましては、各自治体に対して、立候補ファイル作成時の役割分担の考え方を示すとともに、施設使用料の免除、会場周辺整備等への協力について依頼しております。
 この間の文書については、都及び組織委員会の発言骨子や視察時の打ち合わせ記録などを保管しております。
 一方で、立候補ファイルで仮設として位置づけられた施設の建設を中止し、都外の既存施設を活用する場合などは、組織委員会が中心となって各自治体との協議を行ったため、その協議の詳細については把握しておらず、また、そのときの文書についても、都には保管されておりません。

○山内委員 都外の既存施設の変更においては、仮設は委員会が負担と説明されていたのではないでしょうか。そのことについてお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 都外施設への会場見直しを検討していた時点では、立候補ファイルにおける役割分担にのっとり、大会時のみに必要な暫定的な仮設整備につきましては、組織委員会が担うと説明しておりました。

○山内委員 都外の競技会場の所在する自治体から、費用負担についての不安の声が上がっていると新聞報道がございます。
 昨年、関係者の役割分担等を協議するために立ち上げた関係自治体等連絡協議会、その最近の開催状況についてお伺いいたします。
 また、関連自治体からは、費用負担について要請が東京都宛てに来ているのかお伺いいたします。

○井上オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 関係自治体等連絡協議会は、競技会場が所在する自治体、国、組織委員会及び都が緊密に連携しながら大会準備を進めていくため、昨年十一月二十七日に第一回を開催し、その後は実務者レベルの幹事会を開催しております。
 直近では、十一月二十九日の四者協議の前後の十一月二十四日及び十二月五日に幹事会を開催し、東京都からは競技会場の見直しの状況について、組織委員会からは大会経費について説明を行うなど、情報共有や意見交換を行っております。
 また、あす二十二日も幹事会を開催し、本日開催の四者協議の内容について情報を提供する予定でございます。
 関係自治体からの費用負担に係る要請につきましては、十一月二十二日に、神奈川県知事から東京都、組織委員会、国及び会場が所在する自治体の役割分担、費用分担を早急に明確にすることなどを小池知事に要請する文書を受けており、同様の要請が組織委員会及び国にもされているところでございます。
 今後とも、協議会を通じまして、競技会場が所在する自治体との連携を密にし、大会準備が円滑に進むよう取り組んでまいります。

○山内委員 そもそも、ことし三月に設置された三者協議の中で、ことし末までに、総費用、役割分担や費用分担を決めるという話になっておりました。その後、舛添知事の辞任等で三者協議が中断されたという経緯がございます。
 そうしたことなのか、自治体の費用負担にかかわり、十二月十三日の大会組織委員会の理事会で、森会長は、都側には基本方針だけでも決めたいとお願いしていると述べたとの新聞報道がございました。これについて、都はどのように受けとめているのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会を成功に導いていくため、開催都市である都、大会運営を担う組織委員会、開催国である国、会場が所在する都以外の地方自治体の各主体がそれぞれの役割を明確にした上で、緊密な連携のもと、しっかりと責任を果たしていく必要があると考えてございます。
 本日、大会経費が公表された後は、役割分担につきまして、年度内の公表を目指し、組織委員会や国、都は三者協議の場において整理し、都以外に会場が所在する地方に関しましては、関係自治体等連絡協議会などの場におきまして、精力的に協議を行ってまいります。

○山内委員 今回、追加種目の会場についても説明がございました。
 追加種目の会場が決まった経緯について、会場は誰が決めたのか、都外の会場についてはどのような説明を会場自治体に行ったのか、費用負担についてはどう説明したのか、お伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 追加種目の会場につきましては、組織委員会が国際、国内競技団体の理解を得て会場候補地の決定を行い、その候補地がIOC理事会にて承認されております。
 会場を所有する自治体に対して、組織委員会が説明した内容の詳細につきましては、都では把握しておりません。

○山内委員 四者協議についてもお伺いしたいと思いますが、四者協議が開催されることになった経緯、また、本日の協議はどのように行われるのか、お伺いいたします。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局総合調整部長 先ほどもご答弁いたしましたが、本年十月十八日に、知事とバッハIOC会長が会談した際に、バッハ会長から新規恒久三施設の施設計画や開催費用の縮減について、都、IOC、組織委員会、国の四者で協議をしたいとの提案があり、四者協議を開催することとなりました。
 本日開催される四者協議では、バレーボール、車椅子バスケットボール会場につきまして、現計画地である有明アリーナで整備することを報告し、結論を出すとともに、大会経費についても議論を行う予定でございます。

○山内委員 きょう、資料要求で出てまいりましたけれども、四者協議の発言記録によりますと、四者協議の開催に当たり、二度にわたって作業部会が開催されたということですけれども、この作業部会とはどのようなものなのか、また、作業部会ではどのような話し合いが行われたのかお伺いいたします。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局総合調整部長 発言記録にございます作業部会とは、四者協議に向けて実務的な検討を行うために、都、IOC、組織委員会、国の四者が出席して開催されたものでございます。
 なお、作業部会における議論の内容につきましては非公開となっておりますので、答弁は控えさせていただきたいと存じます。

○山内委員 今回、四者協議において、全体で二兆円との総額が示されました。都は、これをどのように受けとめているのかお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都といたしましては、限りある資金の有効活用を図ることや、セキュリティーや輸送などのソフト系業務を中心に、今後、経費積算のベースとなります計画が策定されますことから、不断に経費を抑制、縮減できるよう、組織委員会や国などと緊密に連携しながら、ガバナンスの効いた確実な予算管理を行っていく必要があると受けとめております。

○山内委員 総費用、役割分担、費用分担については一刻も早く決めていただきたい、そして検討して決定していただきたいと思っているところです。
 しかし、今回、三者協議や四者協議で決定したことを記した文書の所在について質問をしてまいりました。協議は重要であって、都は、都民に対して説明する責任があります。協議した内容は、協議した者同士、両方とも共有し、保管をする必要があるのではないでしょうか。
 知事は、来年度早期に、公文書管理に関して条例化を検討するとしました。オリンピック・パラリンピックという巨大なプロジェクトについてどのように決められ、どのように進められていくのか、その経緯がわかるように文書として残すとともに、情報公開もできるようにしていくこと、これが開催都市としての東京都の責務であり、今後、きちんと公文書として作成し、保管することを求めます。
 次に、競技会場についてお伺いしたいと思います。
 競技会場については、三施設見直しが注目されていますけれども、全体でどれだけの施設が競技会場となるのか、全体像がわかりにくくなっております。
 都が整備する新設の恒久施設、都立の既存施設の改修及び民間施設、仮設施設等の各施設の数はどのくらいなのか。あわせて、都が整備する会場の進捗状況と現時点での執行額と契約金額についてお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 オリンピック競技会場として使用される会場の数は、IOCから了承を得ていないサッカー会場等を除きまして、現在のところ三十四会場でございます。そのうち都の施設は十二会場であり、新規整備施設が七会場、既存施設は五会場でございます。また、国の施設は二会場、他自治体の施設は五会場、民間施設は六会場、そして仮設会場は九会場となってございます。
 都が整備する施設の進捗状況についてでございますが、アクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナの三施設につきましては、ことし三月に設計施工一括方式により契約し、整備を進めているところでございます。
 カヌースラローム会場、有明テニスの森及び大井ホッケー競技場は、今年度実施設計を行い、来年度工事に着手する予定でございます。
 また、アーチェリー会場は、現在盛り土工事を行っておりますが、今年度中に施設設計に着手し、平成三十年度に施設工事を行う予定でございます。
 武蔵野の森総合スポーツ施設は、今年度中に竣工の予定でございます。
 都が整備する施設の整備費の総額は、現在のところ二千二百四十一億円と見込んでございまして、設計や工事等の執行済み及び契約済みの案件の総額は、現在のところ約千五百億円となってございます。

○山内委員 現在のところ約千五百億円がかかっているということだと思います。やはり巨大なプロジェクトで、できるだけ費用を抑えていく、それが重要かと思います。
 次に、仮設施設についてですが、立候補当初、仮設は大会後撤去するとしていました。ところが、有明体操競技場は、十年ほど展示場として利活用することになりました。その経緯について教えていただきたいと思います。
 また、仮設の場合、予定されていた費用はどのくらいだったと聞いているのか、展示場として活用するためには、二〇一六年度予算として四・八億円を産業労働局が負担するとして計上されていますが、その内容について、新築の工事の入札状況についてもお伺いしたいと思います。
 この四・八億円というのは、基本設計のための費用のみだとすると、実施設計や施工にかかわる費用負担は、これから発生する可能性はあるのでしょうか、お伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明体操競技場は、組織委員会が仮設施設として整備するものでございますが、約一万平米の空間を有する大規模施設でございまして、都は、レガシーを重視するIOCのアジェンダ二〇二〇も踏まえ、平成二十七年の予算特別委員会において、大会後の活用策を検討することを表明いたしました。
 その後、後利用について検討した結果、ホール状の空間を生かし、中小企業を中心にニーズが見込める展示場として十年程度利用することとし、平成二十八年予算特別委員会において、後利用に相当する整備費を負担することを表明しております。
 今年度予算につきましては、予算編成時点で、有明体操競技場は組織委員会において基本設計中であり、その整備費や施設規模が明らかになっていなかったことから、必要な規模、機能を想定いたしまして、今年度必要と見込まれる経費を最大限見積もったと聞いてございます。
 その後、本年八月、組織委員会が設計施工一括方式により発注いたしまして、十一月に約二百五億円で契約したところでございます。
 大会後の後利用に相当する都の費用負担の詳細につきましては、今後、組織委員会と協議していくこととしてございます。

○山内委員 そもそも仮設は、大会後撤去する。先ほども申し上げましたが、そのように聞いておりました。
 その後、有明体操競技場のように、後利用する競技施設も出てまいりました。改めて仮設にはどのようなものがあるのか、また、大会後撤去するのではなく、オーバーレイでもなく、当面使用する有明体操競技場のような仮設施設はこのほかにも出てくるのか、あるのか、その場合の整備の費用負担についてお伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 大会開催に伴い整備します仮設施設には、オーバーレイと仮設インフラがございます。
 オーバーレイといたしましては、例えば、会場に設置されますテントやプレハブなどがございます。また、仮設インフラとしましては、例えば競技会場となる建物や外構、フェンス、観客用座席などがございます。
 また、大会後に当面使用する仮設施設は、有明体操競技場以外、現時点では未定でございますが、今後、リデュース、減らす、それからリユース、繰り返し使う、リサイクル、再資源化するの3Rの実現に向けて取り組んでまいります。
 その場合の整備費用の負担につきましては、大会後の使用のあり方も踏まえ、検討してまいります。

○山内委員 3Rも十分に必要だと思いますけれども、全体の総予算、総費用、そういったことも考えながら十分に検討していただきたい、そのように思います。
 次に、三施設についてお伺いいたします。
 今回の三施設の見直しについては、ほとんど決まっていたことを覆すのは並大抵ではなかったという印象を持っております。
 生活者ネットワークとしましても、以前から費用が数倍に膨れ続けることには疑義を持っていましたので、一旦立ちどまって経費の削減を考えることは意義があったとは考えております。
 そこで、まずボート、カヌースプリント会場である海の森水上競技場についてお伺いしていきたいと思います。
 長沼案は、既存施設の活用、淡水路、震災復興地域での開催、受け入れ側の積極的な関与など、メリットはたくさんあったと思いますが、これを四者協議では、知事が都として海の森水上競技場を選択する意見を述べています。四者協議に臨む前に、どのような検討をしたのかお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 トップによる四者協議に先立ちまして、テクニカルワーキンググループにおきまして、実務的な検討を行ってまいりました。
 テクニカルワーキンググループでは、宮城県の協力を得つつ、選手の経験やレガシーなどさまざまな観点から検討を行いました。

○山内委員 海の森水上競技場で整備費の縮減を図るということですが、何をどのように削減するのかお伺いしたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 海の森水上競技場の整備費につきましては、競技施設本体の工事費だけではなく、今後措置する経費や追加工事等が生じた場合の対応費などが含まれてございます。
 今後措置する経費や追加工事等が生じた場合の対応費につきましては、実施設計や関係者との協議の進捗に伴いまして、縮減の見通しが立ってきております。
 また、競技施設本体の工事につきましても、遮熱性舗装や中高木の植栽を取りやめますことや、グランドスタンド棟等の建物を仮設レベルに低廉化することなどによりまして、整備費の縮減を図ることを考えております。

○山内委員 東京大会は暑い夏に行われます。今のご答弁の中で、遮熱性の舗装や中高木の植栽を取りやめるというふうにおっしゃっていましたけれども、アスリートにとっても、観客にとっても、そしてボランティアにとっても、それが適切なのか十分に検討を行っていただきたい、そのように思っております。
 次に、海の森水上競技場は、既に発注済みで、工事も始まっていますが、契約の内容の変更があるのか、変更に伴う費用のプラスとマイナスはどうなるのか、お伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 契約中の工事につきましては、整備内容の見直しに伴いまして、受注者と契約変更について協議を行う必要がございます。
 これによりまして、実施設計の修正業務が増額となりますが、仕様の変更等によりまして、金額が大きく減少することが見込まれ、全体といたしまして減額となる見通しでございます。

○山内委員 次に、オリンピックアクアティクスセンターについてお伺いしたいと思います。
 十一月の本委員会で、一万五千席で減築をしない場合の収支見込みは六億九千万円のマイナスとのことでした。今回の決定案について、五千席に減築する案に比べてランニングコストの増加が懸念されます。
 一万五千席で新築する今回の案においても、施設運営時の維持管理も考慮した施設整備をすべきと考えますが、どのような案を具体的に検討しているのか、見解をお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 今回決定した案は、一万五千席の規模で新築するものでございますが、大会後の後利用や清掃といった維持管理などの観点から、施設上部に設置します一万席の座席や屋外の避難階段は大会後には取り外し、五千席の恒設席を有する施設として利用する計画でございます。
 今後、天井の高さや空調設備など、維持管理も考慮して詳細な設計を行ってまいりますとともに、ランニングコストの縮減についても検討を進めてまいります。

○山内委員 今、ご答弁いただいたように、ランニングコストの縮減、そして、いずれある大規模改修、その削減に含めて、ぜひこれは検討をお願いしたい、そのように思っているところです。
 次に、バレーボール、車椅子バスケットボールの会場となります有明アリーナに関しましてお伺いしたいと思います。
 見直し案の最後のとりでとなったところでございますけれども、四者協議での森会長からは、先方との協議が調っていないではないかという発言がありました。その後、横浜市からの文書等も明らかになりましたが、先方の意向について、受けとめ方にもかなりの錯誤があるように感じました。
 横浜市や会場施設との協議を十分に行った上での検討だったのか、横浜市とどのような協議を誰がしたのか、その経緯を改めてお伺いしたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 横浜アリーナを活用する案につきましては、十一月一日の第三回都政改革本部会議で、調査チームの方から開催可能性があると報告されたことから、有明アリーナとあわせまして両案の検討を継続することになったものでございます。
 その後、調査チームからの依頼で、都政改革本部の事務局が横浜市に連絡を行い、十一月十六日には横浜市との意見交換を行っております。
 なお、都政改革本部の事務局からは、調査チームが横浜市に対して、十月中旬ごろから横浜アリーナの活用に関する問い合わせを行っていたと聞いております。

○山内委員 有明アリーナについては、整備費を縮減する案が出ています。
 そこで、縮減案はどのようなものなのかお伺いしたいと思います。
 また、資料で示されている軟弱地盤対策工法の見直しとはどのようなものなのかお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 今回の三施設の見直し後における整備費の試算は、どのくらいのコスト縮減が可能か、短時間の中、概算として積み上げたものでございます。
 内外装や設備の仕様の見直し、工事中のセキュリティーへの対応費、追加工事等が生じた場合の対応費の精査などによりコスト縮減を図り、見直し後には、合計で約三百三十九億円になると見込んでおります。
 お話のありました項目につきましては、基本設計時点の調査のもとに計画した軟弱地盤対策工事について、その後の詳細な調査と設計の結果、より簡易な工法に変更可能となったことから、コスト縮減を図るよう見直すものでございます。

○山内委員 この三施設は、デザインビルド方式で、そして技術提案型総合評価方式でやられたかと思います。
 ここで今回変更になるときに、やはり協議を重ねていって、なるべく本当に削減になったということを進めていただきたい、そのように思っているところです。
 有明アリーナの運営に当たっては、コンセッション方式の導入が検討されていると聞いておりますが、この方式にはどのようなメリット、デメリットがあるのかお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 コンセッション方式は、平成二十三年のPFI法の改正により、新たに導入された制度でございます。
 この方式は、二十年間程度の期間が一般的でございまして、長期契約のもとで、民間事業者の創意工夫を生かした自由度の高い運営が可能となり、利用者ニーズを反映した質の高いサービスを提供することが可能となる、そういうメリットがございます。
 一方、コンセッション方式は、現在のところ、スポーツ施設での導入実績がないことから、実施方針の検討に当たりましては、施設運営に意欲を有する民間事業者のヒアリングを実施いたしまして、その意見を反映させるなど、慎重にスキームの検討を進めてまいります。

○山内委員 何であっても、物事にはメリットばかりではなく、デメリットもあります。メリット、デメリット両方のことを考えて検討しなければならないと思います。
 今回、スポーツ公共施設としては、本当にこれがふさわしいのか、例えば、利用料の問題とかさまざまな問題が出てくるかと思います。いろいろな角度から慎重に検討していただきたい、そのように思います。
 今回、有明アリーナを整備することが決定しましたけれども、競技によっては、オリンピックとパラリンピックは、同じ競技を同じ会場で行うのが整備上の共通点もあり、望ましいのではないかと考えます。
 有明アリーナは、バレーボールの後、パラリンピックでは、シッティングバレーボールでではなく車椅子バスケットボールが行われることになっておりますが、その理由について改めてお伺いしたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 パラリンピック競技会場の再検討に当たりましては、オリンピックで使用した競技会場を活用することを原則としつつ、アスリートファースト、競技特性及び障害の種類、程度等を考慮し、パラリンピックの視点から改めて検討を進めてまいりました。
 シッティングバレーボールにつきましては、立候補ファイルでは有明アリーナを競技会場としておりましたが、コートがバレーボールよりも狭く、座って競技する特性を考慮し、低い位置から観客席をつくり込むことのできる幕張メッセを活用することといたしました。
 また、車椅子バスケットボールにつきましては、夢の島ユース・プラザ・アリーナA及びBの新設中止を受け、代替となる会場を検討した結果、会場へのアクセスの面やパラリンピック競技の中での人気なども考慮し、選手村から近く、観客収容力のある有明アリーナをメーン会場とすることといたしました。

○山内委員 オリンピック、パラリンピックは異なる期間に行われます。競技種目は同じでも、異なる会場で行ったりもします。パラリンピック競技への配慮もあるとは思いますが、同じ種目同士、アスリート同士が一体感を持てるようにすることも重要ではないかと思っております。
 大会開催のためにつくられる競技会場が長期にわたって財政を圧迫することがあってはなりません。準備段階でも施設の維持管理、改修のあり方について十分に議論をして、身の丈に合った会場とする必要があります。
 東京も大会後には人口減少に転じます。超高齢社会を見据えて、地域全体で支え合う社会、環境への配慮、省資源など持続可能な生活のまち東京を目指して、優しさをレガシーにすることを求め、質問を終わります。

○遠藤委員 大分質問が予定していたものと重なってまいりましたので、割愛するもの、省略するもの、省くもの、いたしたいと思います。
 私の方からは、十一月二十九日の四者協議をめぐる都庁の組織のあり方、意思決定についてを中心に質問をいたしたいと思います。
 まず、バレーボール、車椅子バスケットボールの会場についてであります。
 先ほど来、横浜市から発出をされた文書について議論がいろいろありました。これについては、先ほど前の委員からもお話がありましたとおり、私も名宛て人がオリ・パラ局長となっている限りにおいては、いろんなところにこの文書が回されたとありますけれども、責任は、やはりオリ・パラ局長がしっかりすべきだと、私もそのように思っております。先ほど反省の弁がありましたので、一言苦言を呈しておきたいと、このように思います。
 その上で、いただいた、きょう資料5として配っていただいた文書ですけれども、右端に取扱注意、こういうクレジットがついていますけれども、これは東京都がつけたクレジットでしょうか、それとも横浜市がつけたクレジットでしょうか。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 いただいたときに、当初からついていたものでございます。

○遠藤委員 横浜市がつけたクレジットだということであります。ということは、横浜市側からすれば、これは非常に重要な文書であり、また、先ほど来の話のとおり、十一月の六日でこの件についてはいろいろと協議をされたということで、そこでいったいわない、聞いた聞かないとか、こういうことがあると、これは横浜市としては問題があるので、改めてこういう文書として取扱注意、ここに横浜市の意思が込められていますと、そういう意思表示のあらわれなんだと思います。
 であるのならば、余計に、冒頭申し上げましたとおり、この取り扱いについては、都の重要文書として知事にしっかり、そして速やかに上げるべきであったと、このように意見をいたしておきたいと思います。
 先ほど来、パラリンピックに関する視点という議論もございました。今回の主要新規恒久施設の三施設の見直しについては、故意なのか故意でないのかはわかりませんけれども、パラリンピックの視点、目線がすっぽりと抜け落ちていたのではないか、さきの当委員会において、我が党のまつば委員からこういう問題提起を初めてさせていただきました。
 報道によれば、例えば十二月八日の東京新聞でありますけれども、日本車椅子バスケットボール連盟の玉川会長はこのように述べております。パラリンピックのことが抜け落ちている印象だ、さらに、我々の意見も聞いていただきたかった。
 さらに、これは十二月十七日の同じく東京新聞でありますけれども、車椅子バスケットボール連盟の事務局長はこのように述べております。そのうち聞き取りの調査があると思っていたが、一度もなかったのは正直残念、障害者の観点からいろいろとアドバイスできたはずなのに、このように語っております。
 そこでお伺いしますけれども、JPCまたは障害者競技団体からこうした声が上がっておりますけれども、そもそも、この議論を始めるに当たって、パラリンピックの視点というのはどれだけ考慮したのか、されたのかについてお伺いしたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 パラリンピックの競技会場につきましては、アスリートファーストの視点はもとより、パラリンピック競技の特性、会場のアクセシビリティーの確保など重要でございます。
 会場の見直しによりまして、オリンピック競技会場が変更となる場合は、同じ会場を使用するパラリンピック会場につきましては、その競技の特性やアクセシビリティーの観点から、会場について改めて検討することになります。
 こうした考えを踏まえまして、今回の会場見直しに際しましては、施設の現況等につきまして確認してきたところでございます。

○遠藤委員 施設の現況について確認をしてきたと。以前の答弁の中でも、オリンピックとしての会場が決まってから、改めてパラリンピックについてはしっかり検討していくと。いわばちょっと事後的に検討していくという答弁だったと思いますけれども、私がいいたいのは、事後的ではなくて、同時並行にパラリンピックも考慮してやるべきだったんじゃないんですか、こういうことなんですけれども、どうでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 検討を進めるに当たりまして、まずは現況等を確認いたしまして、その後、そういう詳細につきまして検討を進めていくと、そのような考え方で進めてきたものでございます。

○遠藤委員 現況を確認したということは、確認した結果、ここがマイナスがあったとか、ここはプラスだ、ここは長所だけれども、マイナス、短所もあるということをやっぱり並べて比較考量するのが大事だと思うんです。これまで我々がいただいた資料ですとか、またはマスコミの皆さんから載った資料というのは、オリンピックのことであれば、二つの会場案があったときに、長所、短所それぞれあるよという表みたいなものが出ていますけれども、パラリンピックを考慮した場合、どちらがどう、長所、短所があるというのは、私は寡聞にして見た覚えはないですけれども、どうしてそういう比較をしなかったんですか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 理事のご意見ですと、同時に比較ということでございます。例えば、長沼ボート場の検討に際しましては、その会場にアクセシビリティールートがあるかどうかですとか、そのような課題を洗い出しまして、どのようなことが考えられるかということを宮城県の協力を得ながら課題を認識し、解決策について検討をするというところまで洗い出したところでございました。

○遠藤委員 じゃ、バレーボールと、あと車椅子バスケットボール会場についてはどういう調査検討をしたんでしょうか。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 有明アリーナにつきましては、当初から新築の案で検討しておりましたので、その際には、車椅子バスケットボールのナショナルチームのコーチにヒアリングしまして、例えば車椅子の幅は、通常のものよりも競技用というのは広いですから、扉の幅を広くしたりとか、更衣室も大体二倍ぐらいの大きさにするなど、直接意見を聞いて、施設計画に反映しておりました。

○遠藤委員 私が聞いているのは、有明だけじゃなくて、もう一つの対象となった横浜アリーナのことも答弁してもらわないと、どっちがいいかという話なんですから、それについてはどう検討したんでしょうか。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 横浜アリーナにつきましては、アクセシビリティーガイドラインや、あるいはパラリンピックの会場としても意識はしてございましたが、先ほども答弁しましたけれども、オリンピックの会場が変更された場合でも、パラリンピックの競技につきましては、その競技の特性やアクセシビリティーなどの観点から、会場について改めて検討するということになっておりましたので、この時点では、競技団体からはヒアリングを行ってございませんでした。

○遠藤委員 堂々めぐりになりますから、ここは我々と皆さんとは考えが異なります。ぜひ我々の意見としては同時並行で、パラリンピックの成功なくしてオリンピックの成功なしと。これが東京都の強いメッセージですから、今のやりとりを、仮に国際社会が聞いた場合、東京はパラリンピックについて軽視をしているんではないか、このような疑念や、また誤ったメッセージというのは絶対に発信してはならないと思っております。
 大体、今、紹介しましたけれども、NFの代表からこういうコメントがもう出ているということ自体が私は非常に重要な問題だと思います。先ほど来、議論がありましたけれども、今回の有明アリーナの見直しについて、コストカットがされたと。その中で、設備の仕様の見直し等で三十五億円を削減という数字が出ております。
 確認ですけれども、先ほどエレベーターとか、エスカレーター云々かんぬんとありましたけれども、パラリンピアン、または障害者の方、またはそれに同伴する方々が不利益になるような見直しということは断じてないですよね、どうでしょうか。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 今回の見直しにつきましては、アクセシビリティーに関するところについては全く見直しの対象としておりません。

○遠藤委員 見直しの対象にしていないということは大丈夫だと、こういう答弁だったと思います。--大丈夫ですか。
   〔発言する者あり〕

○高島委員長 谷村さん、あなた質問者じゃないから発言しないこと。十分気をつけてください。

○遠藤委員 じゃ、ちょっと話題移します。テーマを移します。
 きょうは、ちょうどこの時間に四者協議が行われておりますけれども、そもそもこの四者協議でありますけれども、協議事項、項目というのは事前に、このアジェンダセッティングでありますけれども、どういうテーマについて話すということは確認されているんでしょうか。また、確認されているとすれば、何と何と何について協議をするということを決めているのでしょうか。基本的なことですけれども、答弁をもらいたいと思います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局総合調整部長 繰り返しになりますが、そもそもの経緯といたしましては、バッハ会長から都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームを踏まえた上で、経費の見直し、経費の縮減、それから三施設についての協議を行うという提案があって、四者で協議を行うことになったということでございます。したがいまして、検討課題は三施設の見直し及び開催経費の縮減についてでございます。

○遠藤委員 経費の縮減の問題、または施設の見直しの問題が大きなテーマだということでありました。
 何でこんなことを聞いたかというと、先ほど来いろんな議論になっております東京都のオリ・パラ調査チーム、これは都政改革本部内に設置をされているわけであります。さきのこの委員会でも私は質疑しましたけれども、これは上山都顧問を総括として、十一名の都の顧問等々で構成をされているということで、これまでの一連の議論でも非常に重要な役割を果たした報告書等々が出されて、いわばこれがたたき台となって議論されてきたわけであります。
 私は、いろんな方々のブログですとか、SNSとか、こういうのを夜な夜ないろいろ見ているんですけれども、実はあるとき、上山氏のブログを見ていて、本当に深夜だったんですけれども、目がびっくりして眠気が去りました。それは十二月四日の上山氏のブログなんですけれども、こういうことが書いてあるんですね。
 タイトルは、有明に民間資金の方法はいろいろということで、十二月四日日曜日の午後四時五十分発出のブログであります。後から振り返ると、ここに、実は十二月十六日に知事が有明アリーナに決定をする際の、いわゆる点から面への視点ですとか、民間の活用ですとか、そういったものが、実はここの中にほぼ全て書かれておりました。
 それは、別にいいとか悪いとかいっているんじゃないんですけれども、最後にこういうふうに書いてあるんですね。調査チームは、四者協議が終わったので解散し、現在はオリ・パラ準備局と都政改革本部の合同PTで検討をしている、元調査チームの特別顧問と特別参与もPTに参加しているが、施設問題については主に横浜を担当し、有明は局の実務メンバーが検討している、こういうことを上山氏自身のブログで書いてあります。
 今現在、オリ・パラ調査チームというのは、氏の発言によれば、解散して、ないんです。四者協議、今行われておりますけれども、今、都の組織に調査チームは存在していないんです。これについて、解散宣言でありますけれども、都としてどう認識をしておりますでしょうか。
 そして、今紹介したとおり、オリ・パラ局と合同のPTを設置していると。ここでいろいろ検討していると書いておりますけれども、このPTが設置されて、そして責任者、座長はどなたなんでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局総務部長 理事お話しのいわゆる解散宣言につきまして、上山氏の個人的なブログにおける内容でございまして、当局としては、詳細を承知しておりません。
 現時点におきまして、オリンピック・パラリンピック調査チームを所管する総務局からは、調査チームを解散した、あるいは新たなPTを設置した旨の連絡は受けておりません。

○遠藤委員 あくまでも個人的なブログであるので、そうしたことは承知をしていないし、また、担当の所管である総務局からは、そういう報告は受けていないと。いいかえるのであれば、このオリ・パラチームは、まだ存続しているという認識でよろしいんでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局総務部長 当局としては、存続しているという認識でございます。

○遠藤委員 当局としてはそう認識をしていると。存続しているということでありますけれども、先ほどの答弁では、総務局からは、そういった連絡はないということでありますので、都の中において、こういう重要な問題について見解が分かれているということでありますので、これは速やかに総務局等々ともしっかりと連携をとって、(発言する者あり)いや、ここにいないのはわかっています。ちゃんとそこは調整をしてもらえればと思います。

○高島委員長 シャラップ、シャラップ。

○遠藤委員 混乱の原因になりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
   〔発言する者あり〕

○高島委員長 シャラップ、シャラップ。

○遠藤委員 最後から二番目、ボート会場またはバレーボール車椅子会場、これ、もともと都が招致段階で計画、立案をしたわけであります。そしてNF、IFの了解をとったものでありますけれども、それを変更するのであれば、それなりの手続、また、この手続のためには膨大な時間がかかるわけであります。それに皆さん方、本当に汗をかいてこられてきたんだと思いますけれども、今回のこの施設見直し、または検討、調査の一連の過程では、こうした視点が著しく欠落していたのではないかと、このように思います。
 こうした私の問題認識について、どう担当局として総括をしているのかお聞かせいただきたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 今回の都政改革本部調査チームの提言による取り組みは、主に経営的視点により会場見直しの可能性を検討したものでございます。
 仮に会場を変更する場合には、都と組織委員会が連携し、IF、NF、施設管理者等の関係者と協議要件や運営要件に関する十分な調整を行った上で、IFの承認及びIOCの了承を得るという手順が必要であるということは認識しておりました。

○遠藤委員 先ほど来質疑のありましたとおり、今後のこの争点というのは、論点というのは、いわゆる役割分担、都が、国が、そして組織委員会がどう担っていくのかと、こちらの方に大きくシフトされていくんだろうと、このように思っております。
 そうした中で、それぞれ四者、または都においては、今ちょっと質問をしましたけれども、整理すべき課題、問題点もあるんだろうと思います。
 そうしたことも含めて、最後に局長に、今後この役割分担について、どう東京都がその役割を果たしていくのか、もしもこれまでの議論の中で、先ほどのオリ・パラ調査チームの件もありますけれども、それについても都政の中のガバナンスの問題として、都庁におけるこの組織のあり方について、何か局長からも発言というか、コメントというか、意見があれば、それを聞いて私の質問を終わりたいと思います。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 大会の準備を着実に、そして今後加速させて成功に導くためには、都と国と組織委員会、そして関係自治体と我々がしっかりと協調していく、協力していく。その前に、おっしゃるとおり、都庁内の我々のガバナンスといいますか、それに対してもしっかりやっていくことは大変重要だと思っております。
 その点で、いろんなことで、私どもとしても反省すべきは反省し、しっかりと大会に向けて、まさに今、邁進しなくてはいけない、それぞれがやっぱりその責任をしっかりと果たしていかなくてはいけない、そう思っております。
 まさに本日、もう終わっているのかとは思いますが、四者協議の後にこの大会経費、全体経費が公表されます。そうしますと、いよいよ、それぞれの仕事を誰が責任を持ってやって、その費用は誰が責任を持って負担するのか、そういう場面に入ってくるんだろうと思っています。
 したがって、それぞれがその責任をしっかりと果たしていくということが何よりも重要だというふうに思っています。
 特に私ども都としましては、開催都市としての責任をやっぱり十分に自覚して、その視点を大事にして、いわゆる三者協議、あるいはその関係自治体の協議会、ほかの、いわゆる他の自治体の皆さんとも精力的に協議を進めていく必要があろうと思います。
 そしてまた、今後、より具体化されるような輸送だとかセキュリティー、この大会の施設関係がまだ残っているものがありますけれども、今度ソフト部門というのがなかなか積算が難しい、管理するのも難しい、そういったものでありますので、そういったものをより具体化する中で、その計画と予算とその調達、その執行のそれぞれの段階において、そこでガバナンスをいかに効かせるかということが大事だと思いますので、組織委員会、国などとの関係者としっかりと連携して、そういったチェック体制を確立して、しっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 済みません、先ほどアクセシビリティーの答弁で、ちょっと不正確な答弁ありましたので、補足したいと思います。
 私、先ほどアクセシビリティーに関することは見直しの対象にならないようなことをいいましたけれども、実際、今、施設の中では、エレベーターの一部やエスカレーターも見直し対象になっております。これにつきましては、改めてアクセシビリティーや都民の利用のしやすさを損なうものにならないよう、しっかり精査をしてまいりたいと思っております。
 私の答弁の趣旨としましては、アクセシビリティーガイドラインにつきましては、しっかり守っていくということでございますので、改めて答弁させてもらいました。

○とくとめ委員 それでは、最後の質問となりました。
 有明アリーナにかかわるコンセッション方式の問題と、四者協議にかかわる五輪の総費用の問題について質問いたします。
 検討されてきたバレーボール、車椅子バスケットボール会場は、結論として有明アリーナを整備するという方向になりました。
 同時に、有明アリーナの施設については、都が建設するけれども、運営のあり方については、運営権を民間の業者に委ねて運営を任せるコンセッション方式を導入する方向で具体的に検討を開始するとなっています。
 まず、このコンセッション方式にかかわって質問します。
 有明アリーナについてコンセッション方式の導入を検討するということですけれども、この法律ができてから五年になります。全国の体育施設や文化施設で、コンセッション方式を採用している事例はどういうものがあるのかをお答えいただきたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 現在のところ、体育施設や文化施設でのコンセッション方式の導入実績はございませんが、国のPPP・PFI推進アクションプランにおきまして、平成二十八年度から三十年度を重点分野として、スポーツ施設などの文教施設への導入を促進していくこととされております。
 なお、社会教育施設では、国立女性教育会館が、平成二十七年から宿泊棟などの運営業務についてコンセッション方式を採用してございます。

○とくとめ委員 現時点で、体育施設や文化施設でのコンセッション方式の導入実績はないということでした。スポーツ施設については本当にコンセッション方式を使用している経験は全国に例がありません。初めての経験だということになります。
 それだけに、多額の税金を使って建設をして、運営権は民間業者に売却、委ねるということについて、都民にとってスポーツなど利用しやすい施設に本当になっていくのかどうか、都の土地と税金を使って建設した施設にふさわしい、公共性を持ったものになっていくのか、拙速ではなくて慎重な検討が必要だということをまず最初に強く指摘しておきたいと思います。
 そこで伺います。民間活用という点では、現在、東京都の文化、体育施設は、指定管理者による委託が行われています。また、教育庁の青少年施設は、PFIで運営されております。味の素スタジアムは、施設を東京都や周辺市など株式会社東京スタジアムに貸し付けて運営をされています。
 これらの東京都が採用している指定管理者制度やPFI方式などの民間活用方式、または味の素スタジアムのような運営方式と比べて、今回のコンセッション方式の違いはどういうところにあるのかお答えください。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 コンセッション方式は、PFIの一つの形態でございまして、都が施設を所有したまま施設の運営権を民間事業者に設定するものでございまして、期間は二十年程度が一般的でございます。民間事業者は、長期の契約のもと、安定的かつ自由度の高い運営が可能となりまして、利用者ニーズを反映した質の高いサービスを提供することができます。
 一方、指定管理者制度につきましては、その期間は一般的に五年程度でございまして、条例に基づき、公の施設の管理運営を行わせるものでございまして、民間事業者の自由度には一定の制限がございます。
 また、味の素スタジアムのような普通財産の貸し付けは、一般的には期間の制限はなく、民間事業者の自由な事業活動が可能となり、独立採算が前提となります。
 なお、都が指導監督する監理団体以外の民間事業者に貸し付ける場合には、貸付料の減免措置はなく、その結果、民間事業者の参入が困難になる場合もございます。

○とくとめ委員 コンセッション方式では、施設は都が所有する、運営権を一般的には二十年程度設定して、その期間は民間事業者が運営を行うとのことでした。そして、コンセッション方式の場合、運営費には税金を投入しないのが大きな特徴だと聞いております。そうすると、民間事業者は自力で採算をとらなければなりません。したがって、都民への利用料が高くなる、また、幅広い都民サービスより、イベントなどの収益の高い事業を重視するということになりかねないと懸念が生じるのではないかと思います。
 そこで伺いますが、コンセッション方式の場合、事業の内容の決定や事業者の募集と決定などはどのような段取りになっていくのですか、また、議会はどういう形でこの方式にかかわることになるのか伺いたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 年明けには施設運営に意欲のある民間事業者からヒアリングを行いまして、コンセッション方式による施設運営の条件整理などを行ってまいります。
 来年度には、民間事業者の選定手続や運営の基準、業務の範囲などの実施方針を定めた条例を議会に提案させていただく予定でございます。そして、平成三十年度には運営事業者を公募により選定いたしまして、議会の議決をいただいた上で運営権を設定することを考えてございます。

○とくとめ委員 一般的には二十年間の契約で、議会がかかわるのは最初の二回だけということです。今、答弁がありました。
 実施方針を定めた条例を定めるとのことですけれども、二十年間という長期間なので、社会状況の変化に対応できるものにすることなども考慮して、大枠の条例にならざるを得ない、そういう問題があると思います。例えば、都民が支払う施設の利用料などは、二十年の間に見直しなども必要になってくると考えられます。
 そこで伺いますけれども、コンセッション方式では、利用料金や利用予約の方法、利用者の選定方法などは誰が決めることになるのでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 コンセッション方式における利用料金につきましては、PFI法に基づきまして、運営権者が利用料金を施設の所有者であります都に届け出た上で定めることとなっております。
 また、利用予約の方法や利用者の選定方法などにつきましては、今後実施する民間事業者のヒアリングなども踏まえ、適切な方法について検討してまいります。

○とくとめ委員 利用料金は運営権者、つまり民間業者が決めるものであり、都には届けるだけということになりますよね。
 そこで質問ですけれども、またコンセッション方式のもとで、新規恒久施設の施設運営計画の中間まとめでは、その中のサブアリーナやトレーニングジムなどは、曲がりなりにも都民利用を位置づけております。この点で、コンセッション方式では、この中間まとめに示されている都民利用の位置づけについてはどのように扱われていくのでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 コンセッション方式の導入に当たりましては、有明アリーナを東京の新たなスポーツ、文化の拠点にするという、これまで検討してまいりました後利用の考え方を可能な限り反映できますよう、民間事業者の意見も広く聞きながら、具体的なスキームづくりを進めていきたいと考えております。

○とくとめ委員 私は、当委員会の中で、メーンアリーナも含め、もっと都民のスポーツ利用を重視すべきだと繰り返し主張してきました。
 後利用計画に示された都民利用ですら、今の答弁にあったように、可能な限り反映ということで、結果的にどうなるかわからない面もあります。民間事業者の意思も広く聞きながらという答弁でもありました。事業者の経営上の都合により、大きく後退してしまう可能性も否定できないということだと思います。
 現在の都の文化施設、体育施設は、ほぼ全て指定管理者制度で運営されています。しかも、管理者に民間事業者が応募したこともありましたが、現在は全て都の監理団体である公益財団法人東京都スポーツ文化事業団と歴史文化財団が審査委員会に高く評価をされ、選定をされています。審査報告書の中では、公共性や事業の継続性などが評価されております。
 これらの施設は、体育施設条例などに位置づけられて、例えば、利用料金一つとっても条例でその上限が決められています。指定管理者の指定のときには、事業計画が議会で質疑の対象になりますし、監理団体ですから、毎年の事業報告も議会で議論されるわけです。そういう意味では、都民や議会のチェックや意見を反映した運営が可能なシステムになっています。
 ところが、今回のコンセッション方式では、議会がかかわるのは、二十年間のうち最初の二回だけ。利用料金も民間事業者が決める。今予定されている後利用計画の方向や都民利用などもどうなるか、長期間展望すればわからなくなっていく。そんな手法をとることに対して、大きな疑問を持たざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。
 次に、有明アリーナの運営権の問題について伺います。
 コンセッション方式は、都が二十年間なりの期間で運営権を売り、民間事業者はそれを買って事業を行うということになります。すると、やはり民間事業者にとっては、事業を行う以上、利益が上がり、黒字になる見込みがないと参入はしてこないんではないかと思います。
 運営権が売れると見込んでいる根拠を示してほしいと思います。また、運営権の売却金額、任せる金額と運営権の行使などはどの程度を想定されているんでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 本年五月に公表いたしました施設運営計画中間のまとめの検討の際に、競技団体やコンサートプロモーター等に行ったヒアリングでは、有明アリーナにおける大規模スポーツ大会やコンサート等のイベントについて、一定の利用ニーズを見込むことができるとの見解をいただいておりまして、収支も黒字になると試算をしてございます。
 さらに、コンセッション方式の実現可能性が高いとの民間シンクタンクによる調査結果も踏まえまして、運営権を民間事業者に設定することが可能であると考えております。
 なお、運営権の対価の金額や契約期間等の諸条件につきましては、今後実施する民間事業者のヒアリングの結果などを踏まえながら検討させていただきます。

○とくとめ委員 有明アリーナの収支は黒字になると試算しているとのことです。そもそも現状でも、競技団体やイベントプロモーターの利用がかなり見込めるなら、なぜあえてコンセッション方式をとる必要があるのか、大変疑問だと思います。
 別の委員の質問に対する答弁でも、コンセッション方式を採用しなくても、都立施設のままでも収支は黒字で三・五億円という答弁がありました。一方、十一月二十九日付の産経新聞では、大規模な修繕を入れると赤字になるという報道もされています。
 そこで質問ですけれども、要するに、長期的な維持管理などを入れれば赤字ということではないかと思います。有明アリーナの大規模修繕の費用は、一体誰がこの新しい方式の中では負担することになるんでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明アリーナの大規模修繕等に要する経費につきましては、基本的には東京都が負担するということになりますが、このコンセッション方式の仕組みの中で、例えば、大会後の追加投資を事業者に行わせる、そういう仕組みも可能でございます。
 今後、民間事業者の意向も把握しながら都民負担を軽減できる、そういう方式について検討していきたいというふうに考えております。

○とくとめ委員 基本的には、大規模修繕は都が負担することになるけれども、今後検討していくということでした。
 そして、この運営権の金額などの条件は、先ほどの答弁によれば、民間事業者へのヒアリングなどを踏まえて検討する。つまり、民間事業者がよいと思える金額にならざるを得ないんではないでしょうか。
 冒頭、現在都で行っている指定管理者や味の素スタジアムのような民間活用と、コンセッション方式とどう違うのかをお尋ねいたしました。
 味スタのように、普通財産を民間に貸し付けた場合も自由な事業活動が可能で、独立採算が基本だとお答えになりました。この点は、コンセッション方式も同じだと思うんですけれども、味スタの場合は、施設の賃借料が生じて、都の監理団体以外の民間事業には減免制度がないので、参入が非常に困難だという答弁でもありました。
 ところが、コンセッション方式の場合、賃貸料は必要がないと。運営権の金額は、いわば賃貸料のように相場というものがないわけです。話し合いによって決めると。そして、事業活動は、利用料の設定なども含めて民間事業者がかなり自由に行うことができる。かなり自由だという答弁もありました。ということで、民間事業者にとって非常に有利な方式、制度になってくるといわざるを得ないと思います。
 そもそも有明アリーナは、東京都が百八十億円かけて臨海地域開発事業会計から土地を購入して、現時点では三百四十億円かけて施設を建設すると。都民の大きな財産であります。そして、四者協議では、コスト削減の観点から、民間の活用が検討されていたはずなんです。
 しかし、きょうの答弁を聞いていますと、コンセッション方式をとることにより、何かコストが削減できるという話は一切ありません。逆に、民間事業者にとっては、自力で同じ事業をやろうとすれば、必要になる設備の投資や賃貸料などが不要で、しかも大規模修繕の費用を都が負担することになるかもしれない、こういう答弁でもありました。
 都民サービスという点では、現在の体育施設、文化施設のような条例などの縛りや、都民、議会のチェックというものは極めて甘くなるということも明らかではないかと思います。
 これまで私は、当委員会の質疑で、有明アリーナの管理運営方法については、東京都体育施設条例に基づく都立施設として位置づけるべきではないかと繰り返し質問してまいりました。都民スポーツ施設としての公共性を重視した都民の財産、オリンピック・パラリンピックのレガシーにふさわしい運営方法という観点から見ても、コンセッション方式は問題があるといわざるを得ません。
 次に、四者協議と五輪総費用の問題について質問いたします。
 五輪総費用は一体幾らになるのか、都民の税金負担が幾らになるかは、都民の皆さんの生活が厳しい中では大変大きな関心事になっています。
 四者協議の中で、組織委員会の武藤事務総長は、二兆円を切ると。これは既に東京都と国とも十分意見交換した上でのものでございますと発言をされています。その根拠や詳細な内訳はどうなっているのか、私は、きょうの委員会に向けて資料を提出するように要求しました。しかし、今、終わっているかもしれない、きょうの四者協議の前には示せないということで拒否をされました。
 しかし、都民に総費用の結論だけではなくて、そのプロセスを含めて削減の努力をしていく、議会のチェックも真剣に受けていくことが、本当の意味で総費用を縮減していく力になっていくんじゃないかと思います。
 そもそも五輪総費用をめぐっては、昨年夏以来、組織委員会の森会長や舛添前知事が内訳も示さずに、マスコミに対して二兆円かかるとか、三兆円かかるとか、豆腐のようにという話もありましたけれども、断片的、一方的な発言をしてきました。
 昨年十二月に、NHKが組織委員会の運営費は一兆八千億円で、財源不足分を都と国で補填せざるを得ない可能性がある、こういう報道まで飛び交いました。
 私たち日本共産党都議団は、直ちに組織委員会に対して、運営費推計額を明らかにして、運営費の削減のための抜本的な対策をとるように求めてまいりました。
 ことしの第一回定例会でも、ロンドン五輪での費用の管理の例も示して、総事業費の公表と削減に取り組むよう求めてまいりました。しかし、運営費を初めとする五輪費用の総額と積算根拠は、正式には公表されないまま、この四月から、都、国、組織委員会で費用分担の役割分担を話し合う三者協議も非公開のままで開催をされてまいりました。
 ところが、東京新聞が三者協議の資料と全議事録の情報開示請求をしたところ、不存在だったという報道がされました。報道によれば、組織委員会から提出された資料はそのまま組織委員会に返却をしている、記録もとっていなかったということでしたけれども、なぜこういう対応がされているんでしょうか、お答えください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都、国、組織委員会によります三者協議の資料は、組織委員会が作成し、情報管理の観点から机上配布とされており、協議終了後は、組織委員会が回収することとなっております。
 なお、組織委員会によりまして、その都度、前回までの資料が配布されていたり、または前回までの議論を前提とした資料が作成されておりますことから、出席している関係者間で情報は共有されているところでございます。

○とくとめ委員 ただいまの答弁では、組織委員会が回収したということですけれども、なぜ回収され、その回収に対して、都としては、なぜこれを同意されてしまったんでしょうか。大事な資料だと思うんですけれども、お答えください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 三者によります事務的協議におきます資料につきましては、先ほど申し上げましたように、情報管理の観点から机上配布とされておりまして、協議終了後は組織委員会が回収することとなっております。
 なお、この事務的協議につきましては、開始をする旨を公表しておりますが、その際に、通常の業務遂行と同様に、事務的、実務的な打ち合わせであるということ、あるいは調整を積み重ねていくプロセスであるということを踏まえまして、非公開となることもあわせてお知らせしているところでございます。

○とくとめ委員 非公開にするという文書はいただきました。しかし、組織委員会が回収するといったからといって、それにいいなりのまま従っていったのでは、開催都市東京としての責任は一体どうなるのかという問題も問われてくるといわざるを得ません。
 関係者間で情報は共有されているという答弁でもありました。記録もとらなかったということは、協議の内容を局内で上司に報告するということも、あるいは局内で協議したり、検討したりするということもできなかった、してこなかったということにもなるんではないでしょうか、どうでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 まさに本日、四者協議後に、既に公表されているかもしれませんが、この大会経費の状況も踏まえまして、今後、役割分担につきまして具体的に整理をしていくという段階でございまして、これまで特段、資料がないということにつきまして、職務遂行に支障はないというふうに考えてございます。

○とくとめ委員 それはないですよね。たまたまきょう発表されたからそういう答弁ができるけれども、じゃ、この間どうだったんですか、議会として、都民の立場からチェックして、縮減に努力をするという機会がずっと失われていたわけじゃないですか。
 都や国、組織委員会の誰が、どの費用を分担するかと、いわば利害関係が対立する三者会議、その場にいたのに記録もとらないなどということは、あってはならないことではないかと思います。
 また、費用を削減して、都民の税金負担を抑えようという立場があるならば、やっぱり組織委員会からの資料を分析して、どのようにしたらコストを削減できるのか、真剣に検討するのは当然ではないかと思います。
 さまざまな交渉を進める上でも、また、都民への説明責任を果たす上でも、こうした外部との重要な会議の記録を文書に残すのは当然だと思います。記録もとらないというやり方は改める必要があると思います。知事の透明化、情報公開という一丁目一番地という、その立場から見ても、少なくともこの間逆行しているんじゃないかと思います。
 今般開かれている、もう終わったかもしれませんけれども、四者協議で、いわゆるバージョンワンという五輪総費用の内訳が初めて示されると聞いております。問題は、今後それをどう都民参加のもとでコントロールして、削減して、抑制していくかということだと思います。ですから、過去のやり方はやっぱり反省して、本当に都民ファーストといいますか、透明化といいますか、情報公開という立場で、確固として取り組んでいただきたいと思います。
 我が党は、第四回定例会の代表質問で、五輪総費用の削減と透明化を求めたことに対して、知事は、大会総経費の縮減に不断に取り組むと答弁して、我が党の提案を受けて、ガバナンスの効いた計画、予算管理、執行が行えるように、実効性ある仕組みを構築していくと答弁をいたしました。早急に実効性ある仕組みの構築が求められると思いますけれども、具体的にはどのようにこれが具体化されているのかお答えください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今後、不断に経費を抑制、縮減していくには、関連する計画、予算、調達等の執行の具体化していく各段階におきまして、組織委員会や国などとモニタリングを行うなど、関係者と連携してチェック体制を確立し、継続していくことが必要と考えてございます。
 そのため、例えば、各関係者で横串を刺した管理体制を構築し、より効率的な調達を実施するなど、ガバナンスの効いた確実な予算管理を行ってまいります。

○とくとめ委員 チェック体制を確立するといいますけれども、一番大事なのは、都議会にちゃんと情報を公開する、都民に向けても透明性がちゃんと確保される、そういうチェック、監視のもとで、積極的な費用の縮減提案などを受け入れる、そういう体制をつくることが大事で、情報も提供しない、情報開示を要求しても出てこないと。それでは、やっぱり本当の意味でのアジェンダ二〇二〇のオリンピック改革に向かって総費用の縮減というふうにはならないんではないかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
 都民や都議会に対してしっかりと情報を公開していく、透明化を図っていく、そこに具体的な決意としては何か検討されていることがあるんでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 ガバナンスが効いた確実な予算管理を行っていくためには、関係者間でしっかりとした体制を構築するということのほかに、もとより、節目節目で都民の皆様方、議会の皆様方に情報を提供して、公開していくということは当然のことと考えてございます。

○とくとめ委員 四者協議の場でも、組織委員会の武藤事務総長が、五輪総費用は二兆円を切ると。これは既に東京都と国とも十分意見交換した上のものでございますといっているから、資料要求といいますか、行ったわけですね。これは拒否されたと、こういう姿勢は改めていただきたいというふうに思います。
 冒頭にも申し上げたように、五輪費用について、我が党は繰り返し批判をしてまいりました。組織委員会や東京都の責任者、担当者、関係者が、都合のいい部分だけを都合のいい時期に、マスコミに断片的、部分的に話されて、報道されて、ひとり歩きをする異常な状況が続いているんではないかと思います。いわば、リークするというようなことを続けているんではないかと。都議会には報告をしない。極端にいえば、隠すという状態が続いてまいりました。極めて不正常であり、透明化、情報公開を掲げる今の都政のあり方としてもふさわしくないと思います。
 四者協議において、IOCのコーツ副会長は、予算の二兆円という上限ですけれども、それも高いと思っています、まだそこから節約できる余裕がたくさん残っていますと発言をし、さらに、上限は極めて高いと、それよりもずっと低く抑えるべきだと考えますと、IOCとして主張したいのは、予算を出すときに、アジェンダ二〇二〇をフォローすること、これは日本語訳でいえば、遵守するということだそうですけれども、そこまで発言をされています。
 組織委員会の武藤事務総長も、現時点で二兆円を切る見込みと発言をされています。しかし、チェックすべき議会にはその情報がないと。正式な情報が報告されることなく、質疑する機会もなく、きょうまで参りました。
 きょうの発表されたものは、ぜひ一刻も早くいただきたいと思うんですが、総費用の詳細な根拠や内訳など、詳細な全体像を公表して、早急に都議会でも、都民からもチェックを受ける体制を確立することを強く求めて質問を終わります。

○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 ここで、私から参考人招致について申し上げます。
 調査チームの参考人招致について、二十六日の委員会で採決を行いたいと思います。
 その際、まず調査チームの一連の提言等について、総務局から未報告分を含めて改めて報告を求め、説明聴取、資料要求を行いたいと委員長としては考えております。
 各会派におかれましては、事前に意見を取りまとめて委員長までご連絡をしていただきたい、そういう考え方でございます。
 仮に各委員で採決をいたします、二十六日の委員会で。そのときに、参考人を招致するということが決定事項になったときには、状況によっては資料要求もあり得るというふうなことも考えていますので、あえて総務局から一連の報告事項も聞かないと、資料要求の段階までいかないと思います。
 あわせて、二十六日には、先ほどから議題になっております、きょう終わっているのかやっているのか、ちょっとわかりませんけれども、四者協議の報告事項を聴取する予定になっています。
 それが終わった段階で、来年、年が明けて、またこの四者協議の結果についての質疑も行わなければならないと思っていますので、その際にも資料要求はできると思います。呼べばの話です。呼ばないでいいですよということになれば、その資料要求も全く必要ないと思いますが、とりあえず、きょう皆様方にご提案をさせていただくのは、先ほどの理事会で、二十六日に採決をいたしたいと思いますので、それまでに各会派の意向を取りまとめて、また事前にわかれば委員長までご報告、書記の古徳さんでも結構でございますから、ご報告していただきたいと。よろしいでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 はい。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時二十七分散会

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