オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会速記録第四十三号

平成二十八年十一月十八日(金曜日)
第四委員会室
午後二時四十五分開議
出席委員 二十三名
委員長高島なおき君
副委員長吉倉 正美君
副委員長秋田 一郎君
副委員長吉原  修君
理事遠藤  守君
理事小山くにひこ君
理事山崎 一輝君
理事相川  博君
理事吉田 信夫君
菅野 弘一君
おときた駿君
川松真一朗君
山内れい子君
まつば多美子君
石川 良一君
とくとめ道信君
谷村 孝彦君
鈴木 隆道君
今村 るか君
畔上三和子君
林田  武君
立石 晴康君
川井しげお君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長塩見 清仁君
次長理事兼務岡崎 義隆君
技監上野 雄一君
技監三浦  隆君
技監小野 恭一君
理事小山 哲司君
総務部長鈴木  勝君
調整担当部長雲田 孝司君
総合調整部長児玉英一郎君
連絡調整担当部長岡安 雅人君
連携推進担当部長丸山 雅代君
自治体調整担当部長井上  卓君
事業推進担当部長計画調整担当部長兼務戸谷 泰之君
運営担当部長田中  彰君
パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務萱場 明子君
大会施設部長根本 浩志君
競技・渉外担当部長小野 由紀君
開設準備担当部長鈴木 一幸君
施設担当部長花井 徹夫君
施設整備担当部長小野 幹雄君
輸送担当部長選手村担当部長兼務朝山  勉君
スポーツ施設担当部長田中 慎一君
スポーツ推進部長小室 明子君
スポーツ計画担当部長川瀬 航司君
ラグビーワールドカップ準備担当部長
国際大会準備担当部長兼務
土屋 太郎君
総務局局長多羅尾光睦君
次長理事兼務榎本 雅人君
総務部長小暮  実君
都政改革担当部長小笠原雄一君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに二〇一九年に開催される第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項
・東京二〇二〇大会に向けたボランティア戦略(案)について(説明)
・オリンピック・パラリンピック調査チームの調査報告書について(質疑)
・新規恒久施設の見直しについて(質疑)

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 なお、報告事項、東京二〇二〇大会に向けたボランティア戦略(案)については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いますので、ご了承願います。
 また、本日の委員会には、お手元配布の名簿の理事者が出席しておりますので、ご了承願います。
 それでは、理事者から、東京二〇二〇大会に向けたボランティア戦略(案)について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 それでは、私から、報告事項、東京二〇二〇大会に向けたボランティア戦略(案)についてご説明いたします。
 お手元の資料第1号をごらんください。
 本戦略案は、東京二〇二〇大会に向け、ボランティアの募集などの運営のあり方、参加機運の醸成等の基本的な考え方を示したものでございます。
 1、東京二〇二〇大会のボランティアでございます。
 都は、組織委員会と連携し、本戦略を一体的に策定、公表するとともに、ボランティアの募集、研修から運用、大会後に向けた取り組み等、可能な限り一体となったボランティアの運営を図ってまいります。
 大会に向けて九万人以上のボランティアが競技会場、選手村などの大会関連施設におきまして、観客の案内、誘導等、大会運営に携わる大会ボランティアとして、また、空港や駅、観光地等における国内外からの旅行者に対する観光、交通案内等を行う都市ボランティアとして活躍いただくことを想定しております。
 次に、2、戦略の主な内容でございます。
 (1)、各自治体等との連携についてでございますが、競技会場を有する都外自治体、被災地を初めとする全国自治体、都内区市町村などと連携し、大会の成功を日本全体で実現できるよう取り組んでまいります。
 また、より多くの都民が参加し、大会の担い手であると実感できる取り組みについても検討してまいります。
 さらに、大会の一年前に行われるラグビーワールドカップ二〇一九に向け、都市ボランティアの募集を一部前倒しして行い、その経験、運営のノウハウを東京二〇二〇大会につなげてまいります。
 (2)、多様な参加者の確保についてですが、障害者が安心してボランティアに参加いただけるよう、募集、研修、配置等におけるバリアフリー等の環境整備に取り組んでまいります。
 また、児童生徒の参加に向け、都内の小学生、中学生、高校生がボランティアを体験できる機会や、被災地等の中学生、高校生が大会運営を体験できる場についても検討してまいります。
 さらに、働く世代の参加に向け、ボランティア休暇の整備、取得促進や、子育て世代も参加しやすい環境を検討するなど、年齢、性別、障害の有無等にかかわらず、さまざまな方々がボランティアとして活躍できるよう取り組んでまいります。
 (3)、募集における応募条件検討の方向性でございますが、年齢につきましては、平成三十二年四月一日時点で十八歳以上であること、活動日数については、大会ボランティアが十日以上、都市ボランティアが五日以上などを想定しております。
 (4)、研修等についてですが、都と組織委員会が連携し、全てのボランティアに共通的に受講していただきたい接遇や大会の概要等の研修を実施してまいります。
 また、都といたしまして、ICTの活用等、多言語対応への取り組みを検討してまいります。
 (5)、参加機運の醸成、裾野拡大についてでございますが、シンポジウムやウエブサイトを通じ、ボランティアの魅力を発信するほか、魅力あるユニホームやネーミング等、東京二〇二〇大会のボランティアに参加したくなるような取り組みについて検討してまいります。
 (6)、大会後のレガシーについてですが、大会後もボランティアとして活躍できるよう、仕組みの構築に向け、関係局や関係機関と連携し、検討してまいります。
 最後に、3、スケジュールでございます。
 都議会でのご審議、都民のご意見を踏まえまして、本年十二月下旬に戦略を策定してまいります。
 また、東京二〇二〇大会のボランティアにつきましては、平成三十年夏ごろから募集を開始する予定でございます。
 なお、資料第2号として、戦略案本文を添付させていただきました。後ほどごらんいただければと存じます。
 説明は以上でございます。

○高島委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 それでは、資料要求はなしと確認させていただきます。

○高島委員長 次に、報告事項、オリンピック・パラリンピック調査チームの調査報告書について及び新規恒久施設の見直しについてに対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小笠原総務局都政改革担当部長 十一月七日の当委員会におきまして要求のございました資料のうち、私からは総務局所管の資料をご説明申し上げます。
 それでは、お手元に配布してございますオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙を一枚おめくりください。資料1、第三回都政改革本部会議での知事の発言(抜粋)でございます。
 この資料は、去る十一月一日の第三回都政改革本部会議において、オリンピック・パラリンピック調査チームから、新規恒久三施設について、それぞれ複数案の提案があったことを受けまして、知事が会議のまとめとして発言された部分を抜粋させていただいたものでございます。
 一枚おめくりください。資料2、オリンピック・パラリンピック調査チームによる新規恒久三施設に係る関連競技団体等へのインタビューの実施状況でございます。
 この資料は、九月二十九日の第二回都政改革本部会議において、新規恒久三施設の整備見直しが提言された後に行われた日本ボート協会を初めとする関連競技団体等へのインタビューの実施状況でございます。
 一枚おめくりください。資料3、彩湖に関する調査資料でございます。
 この資料は、ボート、カヌー競技会場に関して、オリンピック・パラリンピック準備局が比較検討を行った際の資料の抜粋でございまして、調査チームのヒアリング時に提出されたものでございます。彩湖につきましては、太枠に囲まれた部分に記載されております。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 続きまして、オリンピック・パラリンピック準備局所管分についてご説明申し上げます。
 資料4、海の森水上競技場の収支見込(試算)をごらんください。
 海の森水上競技場の当初案の収入、支出、収支をお示ししたものでございます。
 一枚おめくりいただき、資料5、海の森水上競技場検討案にかかる整備費試算をごらんください。
 当初案の整備費と検討案である恒設コスト改善案、仮設レベルスマート案の整備費及び検討案の内訳等をお示ししたものでございます。
 一枚おめくりいただき、資料6、過去のオリンピック競技大会、ボート、カヌースプリント会場をごらんください。
 開催年ごとに開催都市、会場名及び場所をお示ししたものでございます。
 一枚おめくりいただき、資料7、海の森水上競技場の年間来場者目標数をごらんください。
 年間来場者目標三十五万人の内訳をお示ししたものでございます。
 一枚おめくりいただき、資料8、会場整備費の内訳(試算)をごらんください。
 海の森水上競技場、長沼、彩湖及び長良川の会場整備費の内訳をお示ししたものでございます。
 一枚おめくりいただき、資料9、オリンピックアクアティクスセンターの収支見込(試算)をごらんください。
 五千席減築あり、一万五千席で減築なし、二万席で減築なしの各ケースにつきまして、収入、支出及び収支をお示ししたものでございます。
 一枚おめくりいただきまして、資料10、新規恒久三施設(海の森水上競技場・オリンピックアクアティクスセンター・有明アリーナ)整備費の推移をごらんください。
 新規恒久三施設の立候補ファイル、平成二十六年度の再検討前の試算、再検討後の試算及び現在について整備費をお示ししたものでございます。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○菅野委員 それでは、質問をさせていただきます。
 まず、前回の委員会で、都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームの報告書についての報告がありました。そこでは、海の森水上競技場、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナの三つの施設について変更案が示されました。二〇二〇年大会の競技会場については、東京の招致決定後、議会においても多くの議論を重ねてきたところです。
 大会開催まで四年を切り、大会準備に残された時間は決して多くありません。今は大会の成功を見据えて、関係者と緊密に連携し、これまでの議論や調整の経緯を踏まえながら、必要な取り組みを確実に遂行し、前に進んでいかなければならない時期です。特に施設の整備は後戻りできません。そうしたタイミングで、あえて会場の見直しを行うのであれば、短期間であるとはいえ、慎重かつ丁寧に調査検討を行わなければならないと思います。
 そうした問題意識から、今回、都の検討案となった選択肢と、これまでの各競技会場に関する検討内容などについて質問していきたいと思います。
 まずは、報告書の内容を理解する前提として、調査チームのこの間の検討について、幾つかの事実を確認していきたいと思います。
 まず、都政改革本部の調査チームでは、競技会場の見直しに関する検討はどのような体制で行ったのか。特に、チームの中には建築や土木の具体的実務や、オリンピック、そしてパラリンピックの情報に精通した顧問などはいらしたのかお伺いしたいと思います。

○小笠原総務局都政改革担当部長 オリンピック・パラリンピック調査チームによる新規恒久三施設の検討に当たりましては、上山特別顧問が全体の取りまとめ役を担っております。
 三施設については、町田特別参与、安川特別参与及び本多特別調査員の三名が、それぞれ分担して調査検討を行っております。
 また、一級建築士の資格を有している宇田特別顧問が、コストやレガシーの観点から検討に参加しているほか、他の特別顧問等にも必要に応じて調査検討に加わっていただいております。
 オリンピック・パラリンピック関係の情報につきましては、調査の過程で関係者へのヒアリングや資料の提供等を通じて、必要な情報を収集しております。

○菅野委員 今、調査メンバーのお名前を伺いました。あらかじめ特別顧問の方の簡単な経歴などは伺っておいたんですが、そういう意味では、本当にスペシャリストなのかどうかというのは、若干、ちょっと私は素人なりには疑問に思うところであります。
 それではもう一方、オリンピック・パラリンピック準備局においては、これまで会場計画の検討を行ってきた際に、どのような体制で取り組んだのかお聞きしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 会場計画の再検討を開始いたしました平成二十六年度のオリンピック・パラリンピック準備局の体制といたしましては、会場計画再検討に直接携わる職員は二十二人、うち土木職、建築職などの技術系の職員は十四人でございました。
 その後、平成二十七年度は、職員三十四人、うち技術系の職員十八人、平成二十八年度は職員四十人、うち技術系の職員十八人の体制で会場計画の検討を進めてございます。

○菅野委員 調査チームはさっき伺ったんですが、中心メンバーは五人の体制、そして、オリ・パラ準備局は、今のお話ですと約二十人から四十人、そして、その半分程度は技術系の職員であるということを伺いました。
 それで、人数はわかりましたので、次に、検討した期間についても確認しておきたいと思います。
 オリ・パラ調査チームは、調査報告書を作成するに当たり、どれぐらいの期間、どの程度の時間を費やしてきたのかお伺いしたいと思います。

○小笠原総務局都政改革担当部長 九月二十九日の第二回都政改革本部会議に提出された調査報告書については、九月一日の調査チーム発足以降、担当局や関係団体から延べ十八回、約五十時間のヒアリングや新規恒久三施設の建設予定地等への現地調査などを経て、おおむね一カ月で作成しております。
 また、十一月一日の第三回都政改革本部会議で公表された調査報告書につきましては、九月二十九日の報告書の提言を踏まえ、引き続き調査チームが担当局や関係団体から延べ三十三回、約五十時間のヒアリングや、宮城県長沼ボート場への現地視察などを経て作成しております。

○菅野委員 おおむね一カ月ぐらいでということでありますけれども、それでは比較する意味でも、オリ・パラ準備局は、これまで競技会場の選定についてどれぐらい期間をかけてきたのかお伺いしたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 平成二十六年六月に知事が会場計画再検討を表明し、ユース・プラザ・アリーナA、B、若洲オリンピックマリーナの三つの恒設施設の建設中止を含む会場の見直しを検討してまいりました。
 代替会場の選定に当たりましては、組織委員会と連携し、IFとともに代替会場の視察や議論を重ね、IOCとも十分に情報を共有し、都、組織委員会、IF、IOCの四者で共通認識を持てるよう、丁寧に調整を重ねてまいりました。
 平成二十七年六月までには、自転車競技とサッカーを除く二十六競技の会場がIOCに承認され、会場計画全体の見直しにめどがついたところでございます。
 また、会場が確定した後も、その詳細を検討するに当たりましては、レイアウトの変更など、アスリートファーストを前提としながら、いかにコストダウンを図っていくか、IFやIOCと協議し、残された競技の会場とともに調整を継続しております。
 これらの会場計画の検討には、これまで二年以上の期間を費やしております。

○菅野委員 今、二年以上ということと、答弁の中で、平成二十六年から再検討を知事が表明したというところからのお話がありましたけれども、実際にはそれより以前から、さまざまな角度で競技会場については検討されてきたと認識をしています。
 そういうことで、それぞれの検討期間が明らかになったわけでございますが、その意味で、今度は検討の中身についても確認をしておきたいと思います。
 まず、競技会場を選定するには、施設の内容はもちろんですけれども、その立地や周辺の状況などについても詳細に確認することが不可欠だと思います。報告書を作成するに当たって、オリ・パラ調査チームは、誰がどの程度事前の現地調査を行ったのか伺いたいと思います。

○小笠原総務局都政改革担当部長 報告書の作成に当たっては、新規恒久三施設に関する調査の一環として、九月八日にオリンピック・パラリンピック調査チームの上山特別顧問、坂根特別顧問、町田特別参与、安川特別参与、本多特別調査員の五人に加え、須田特別顧問及び飯塚特別顧問の計七人で、三施設の建設予定地及び辰巳国際水泳場への現地調査を行っております。
 また、宮城県長沼ボート場については、十月十五日に小池知事の視察に同行する形で、上山特別顧問及び安川特別参与が現地調査を実施しております。

○菅野委員 では、オリ・パラ準備局は、これまで競技会場の選定において、どのような現地調査を行ってきたのか伺いたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 競技会場をどこにするかの検討に当たりましては、IFやIOCが定める競技基準や観客席の基準などを満たすことができるか、オリンピックを開催するに必要な運営スペースが確保できるかなどを図面や地図等で検討の上、現地の周辺状況等を確認するために、いずれの会場につきましても、現場視察による現地調査を行うなど、会場としての適否を慎重に判断してまいりました。
 例えば、ボート、カヌースプリント会場の検討に当たりましては、平成二十六年には長沼ボート場の現地視察を二回行っており、うち一回はIFも同行し、現地において議論を行っております。
 また、今回の検討においても、同会場の適否を改めて検証するために、現場視察を二回実施しております。

○菅野委員 今の答弁でもありますけれども、しっかりIF、国際競技連盟も同行して、そして現地にもしっかりと行っているということがわかりました。
 そこで、さらに競技会場の見直しを検討するに当たって、実際に施設を利用する競技団体、いわゆるNFの意見を聴取することは極めて当然で、欠かすことができない要素であります。
 では、オリンピック・パラリンピックの調査チーム、これは国内競技団体、NFとの意見交換をいつ、またどの程度行ってきたのか、そして、その場でどのような意見が出されたのかを伺いたいと思います。

○小笠原総務局都政改革担当部長 九月二十九日の第二回都政改革本部会議において、オリンピック・パラリンピック調査チームから調査報告を行い、新規恒久三施設の見直しについての提言を行いました。
 そのため、この提言の内容を説明するとともに、意見や要望を伺う目的で、関連する日本ボート協会、日本カヌー連盟、日本水泳連盟及び日本バレーボール協会の四つの競技団体と意見交換を行いました。意見交換は、十月の七日から同二十六日まで、それぞれ一時間から二時間程度行われております。
 各競技団体からは、三施設を当初の予定どおり整備し、大会を開催してほしいとの要望がございました。

○菅野委員 各競技団体からは、やはり現行どおり、予定どおりの施設を整備してほしいという意見があった、要望があったということを伺いました。
 オリ・パラ準備局が行ってきた会場計画再検討の事実と比較することで、都政改革本部の調査チームにおける検討の様子がある程度わかってきました。これについては今回の報告書について議論し、内容を検討していく上で留意しておく必要があると考えます。
 その上で、報告書で提示されている三施設の会場の見直しのそれぞれの選択肢についても、これから幾つか確認をしていきたいと思います。
 それではまず、ボート、カヌー会場のことについて伺いたいと思います。
 去る十一月七日の当委員会において、新規恒久施設の見直しとして、ボート、カヌースプリント会場については、宮城県の長沼ボート場を選択肢の一つとすることが示されました。しかしながら、平成二十六年度の会場再検討、また、平成二十七年度の設計施工一括発注方式での発注案件として公表した際に、海の森水上競技場以外にオリンピックの競技会場となる施設がないということを確認してきました。
 そこで、改めてこれまでの検討において、長沼ボート場の課題はどのようなものだったのかを伺いたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 平成二十六年度に実施いたしました会場の再検討では、全国七十カ所のボート場から、日本ボート協会認定の国際大会の開催が可能なA級コースや、近隣県の比較的大きな湖などを抽出し、施設整備の実現性や選手村、レガシー等の観点から総合的に評価を行いました。
 長沼ボート場は、大会開催に必要となる施設を配置するための敷地が限られておりまして、新たな土地の確保や造成、競技コースに沿った桟橋の整備が必要となります。また、東京から三百キロメートル以上遠隔にあるという立地から、選手村の分村の必要が生じること、大会後の利用が限定的となる可能性があることなどの課題がございます。
 最終的には、国際競技団体等と現地を確認いたしまして、海の森水上競技場以外にオリンピック競技会場となる場所がないとの結論に至ったものでございます。

○菅野委員 長沼ボート場をオリンピック・パラリンピックの競技会場とする場合、多くの課題があり、国際競技団体とも協議した中で、海の森水上競技場しかないという結論に至ったわけです。
 オリンピック・パラリンピックの精神からいっても、世界各国から集まる選手たちが、選手村で国境や宗教、競技種目を超えた交流を体験できることが非常に重要とされています。調査チームがこれらの課題や経緯について把握していたとすれば、なぜ長沼を選択肢として位置づけたのかが疑問です。
 さらに、報道等によると、宮城県知事は九月九日に上山特別顧問から、見直したい、長沼も変更先の候補、小池知事がリオ・パラリンピック閉会式に行く前に会いたいというメールがあり、九月十三日には、小池知事と村井知事が会談したと証言しています。つまり、調査当初から長沼への変更ありきで行動してきたということが明らかにもなっています。
 その後、調査チームは九月二十九日に、長沼を候補とする調査結果を報告し、小池知事が十月十五日に長沼の現地を視察しました。その際、宮城県は、大会開催のためのボート場や選手村を恒設施設として整備するとアピールをしています。
 宮城県にも、あらかじめ長沼の課題を十分に伝えておく必要があったと思いますけれども、都から宮城県に対してどのような情報提供を行ったのか伺いたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 宮城県に対します主な情報提供につきましては、まず、第二回都政改革本部会議開催後の十月三日に、県職員が過去の都の検討状況の資料を求め、来庁いたしました。その際、平成二十六年度に実施いたしました会場再検討時の長沼ボート場の検討案や、国際ボート連盟の規定等を説明の上、お渡ししております。
 また、十月七日には、日本ボート協会、日本カヌー連盟の職員の同行も得て、県の関係部局の職員と現地を調査いたしますとともに、改めまして東京都が過去に検討いたしました際の資料や選手村分村の考え方などにつきまして説明し、意見交換を実施しております。
 その後の十月十五日、都知事が現地を視察した際に県の案が示されましたために、県の案で大会を開催するに当たりましての課題等を整理いたしまして、三十日に県に説明しております。
 その後も県からの問い合わせなどに応じまして、逐次情報提供等をしてまいりました。

○菅野委員 一部の報道によると、宮城県側が、都が情報を出さないと批判しているとありましたけれども、実際は適切に情報提供してきたことが確認できました。
 しかし、都が県に情報提供を行ったのは調査報告以降であり、九月の特別顧問からの打診のときに、課題が県へ正確に伝えられ、認識されていたかは不明です。選択肢として議論の俎上にのせるのであれば、少なくとも実現可能性を確認しておく必要があります。
 調査チームの報告書の中には、長沼の主な課題として、水位を一定に維持することが困難との記載があります。水位を一定に維持することが困難であるというのは、どのような状況を意味するのでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 国際競技団体の規定では、競技コースの水深は三メートル以上、陸地と水面の高低差は一メートル以下とすることになっておりますため、適切な水位で一定に維持することが求められます。
 長沼ボート場は、治水目的で整備された長沼ダムに整備されておりまして、洪水時には河川等から水を引き入れるため水位が上昇することなど、季節や天候により水位が大きく変化いたします。水位の上昇が大きい場合には施設が水没し、大会が開催できなくなるおそれがございます。
 夏季には、洪水に備えてダムの水位を低下させておく必要がございますが、近隣の水田に水を供給することによりまして水位がさらに低下するため、国際競技団体の規定を満たすには厳しい状況でございます。
 なお、一般的には、洪水時に周囲ダムへの水の流入をとめることは不可能でございますが、現在、宮城県におきまして、水位をどのように管理していくか検討していると聞いております。

○菅野委員 確実な大会開催のためには、水位を一定に維持することが不可欠です。しかしながら、治水ダムである以上、リスクがあるといわざるを得ません。埼玉県の彩湖も洪水調節池であるため、競技会場とすることは難しいと聞いていましたが、長沼も同じ状況だということがわかりました。
 長沼ボート場は、国際大会が開催できるボート場とのことですけれども、オリンピック・パラリンピックを開催する場合、本当にオリンピック・パラリンピックの開催として適切な、本当に競技にかかわる課題はないのかどうか伺いたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 オリンピック・パラリンピック競技大会では、ボートとカヌースプリントの両方の競技で使用される会場になりますが、長沼ボート場は、レーン幅など、ボート専用となってございまして、カヌースプリントにも対応した仕様とする必要がございます。
 なお、カヌー競技には、スプリントとスラロームがございまして、スラローム会場は、葛西臨海公園隣接地でございます。カヌースプリント会場が長沼となりました場合、二つの会場が大きく離れてしまいます。大会を円滑に運営する上で、競技関係者は両会場を頻繁に往復することになりますことから、カヌーの競技団体といたしましては、競技運営上、困難を来すとしております。

○菅野委員 今のような話というのは、本来、NFとは事前に話をして、解決可能かどうかというのをやはり明らかにしておくべきだったんだなというふうに思います。
 そこで、報道によると、長沼ボート場を競技会場として整備する場合、整備が間に合わないといわれていますけれども、長沼を会場とした場合の整備スケジュールについてはどのように認識しているのか伺いたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 長沼ボート場に競技会場を変更しました場合、基本計画の立案、地盤調査や測量作業、基本設計、実施設計、工事の段階を経まして、大会の前年に実施予定でございますテストイベントまでに整備を完成させることになりますが、最短のケースを想定した場合でも、かなり厳しいスケジュールになると認識しております。
 現在、宮城県におきまして、具体的な工程計画を検討していると聞いております。引き続き、宮城県の求めに応じまして情報提供を行うなど、適切な対応に努めてまいります。

○菅野委員 長沼ボート場は、復興五輪という観点から選択肢の一つになっているということは承知していますけれども、さまざまな課題やリスクがあり、まだ実現可能性が十分確認されていないというものであることがわかりました。
 先ほども述べましたとおり、これまで会場計画については、本委員会においても多くの検討を重ねてきました。とりわけ、海の森水上競技場については、多様な角度から時間をかけて議論を積み重ねてきたところです。
 その中で、都議会自民党として幾度も繰り返し強調してきたのは、何よりも大切にしなければならないのは、大会後のレガシーであるという点です。それぞれの施設を大会後も貴重な財産として引き継がれていくものとするために、我々はこれまで多くのエネルギーを注ぎ込んできたのです。
 もちろん、適正なコスト感覚は常に持ち続けなければなりませんが、同時に、二〇二〇年を契機として、東京にどのようなレガシーを残していくのかを考えていかなければなりません。
 そのような観点から、海の森水上競技場についても確認しておきたいと思います。
 海の森水上競技場については、これまでも整備費が高いという声も聞かれるため、十分に理解が得られるように取り組むことも大切だと思いますが、海の森水上競技場の整備費については、オリンピック経費とレガシー経費を算出していたと聞きましたけれども、それはどのようなものか伺いたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 アジェンダ二〇二〇に基づきまして、IOCからの求めに応じて、全体整備費四百九十一億円を性質別に、オリンピック経費九十八億円とレガシー経費三百九十三億円に区分したものでございます。
 オリンピック経費は、大会時に競技運営のために使用される部分で、大会後も主に競技で利用される施設の経費でございまして、レガシー経費は、大会後に多様な水上スポーツのほか、レジャーやイベントなど広く都民に利用され、将来の海の森エリアのにぎわいにつながる長期的な投資でございます。

○菅野委員 この区分によると、競技施設の整備費はオリンピック・パラリンピックのためだけではなく、将来にわたって長く都民に活用される貴重なレガシーをつくる経費が大部分を占めていることと考えることもできます。こうした考え方を周知していくことで、都民の理解も得られるのではないでしょうか。
 その上で、整備費をできるだけ抑えるよう取り組む必要があります。平成二十七年十一月九日に開催された当委員会において、我が党の質問に対し、施設整備費については、設計施工一括方式により発注した整備費のほかに、今後措置が必要となる工事中のセキュリティー経費や、追加工事が生じた場合の対応費を見込んでいますが、これらについても適切に管理していくと答弁をされています。
 海の森水上競技場では、今後措置する経費として九十二億円、追加工事が生じた場合の対応費で九十億円計上していましたが、これらの経費の縮減可能性についてはどのように検討されているのか伺います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 昨年度の段階で見込んでおりました追加工事等が生じた場合の対応費につきましては、実施設計が進捗したことに伴いまして、大幅な増額を想定せず対応できる見通しが立ってまいりました。
 また、今後措置する経費といたしまして、IF等と協議する施設として、テレビカメラ撮影用のポンツーンなどを計画しておりましたが、陸上の自転車走行路を兼用して撮影するよう調整しておりまして、ポンツーンが不要となる方向でございます。
 工事中のセキュリティーへの対応費につきましても、関係機関と具体的な調整を進め、当初想定よりも規模を大幅に縮小できる見込みとなっております。
 引き続き、コスト縮減に向けて関係機関と整備内容につきまして協議し、具体的な縮減額を算定してまいります。

○菅野委員 追加工事が生じた場合の対応費としては、海の森水上競技場だけではなく、アクアティクスセンターで三十億円、有明アリーナで十五億円を計上しており、また、入札後の落札差金として、オリンピックアクアティクスセンターでは六十八億円が生じています。
 三施設合わせると二百億円程度になるこれらの費用は、何もなければ使用しないことから、実施設計が進捗してきた状況を踏まえると、現時点で削減額と考えるべきだと思います。
 次に、海の森水上競技場の設計施工一括方式で既に大成JVと契約を締結している工事の中では、具体的にどのようなコスト縮減が可能であると考えておられるのか伺いたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 海の森水上競技場の整備内容につきましては、IF等との協議を経て決定されてきたものでございますが、さらなるコスト縮減の可能性を検討しております。
 例えば、遮熱性舗装や中高木の植栽を取りやめることや、建物を仮設レベルに低廉化することなどが考えられます。
 引き続き、コスト縮減に向けまして、競技団体や受注者と整備内容について検討してまいります。

○菅野委員 さまざまな縮減の可能性を検討されていることはわかりましたが、既に契約をされている案件であることから、契約手続や今後のスケジュール等にも十分配慮するとともに、レガシーとしての価値も考慮しながら、引き続き関係者と十分な調整を図ることを要望しておきたいと思います。
 ところで、この海の森水上競技場の工事については、本日の報道によると、締め切り堤のくい打ちの工事を一時中止することとなっていましたが、なぜ今の段階で工事をやめたのでしょうか、伺いたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 十一月七日の当委員会におきましてご報告いたしましたように、ボート、カヌースプリント会場につきまして、複数の選択肢について検討することになりました。月末には、IOC、組織委員会、国、都によります四者協議によりまして結論が示される予定でございます。
 四者協議まで一週間程度であること、ちょうどこの時期に締め切り堤のくい打設の工事の段階に入ることとなったことから、一時的に工事を中止することといたしました。

○菅野委員 今回の報道は、進んでいる工事について突然中止を決めたというような印象があります。海の森水上競技場の工事スケジュールについては、十月十八日にIOC・バッハ会長との面談の際に知事が手渡した資料の中で、図で示されていました。その図では、海の森水上競技場の工事を示す矢印は、十一月末のIOC、JOC、IF、NF、組織委員会とのミーティングでの決定まで続いており、工事を中止することは想定されていません。
 この資料については、都の方針として意思決定したとの誤解を避けるため、表紙から、作成者、ガバナーズオフィスの記載を直後に削除していますが、いずれにしても、この資料を書いた調査チームの顧問は、工事について知事にどのように説明をしたのか、また、知事は、それをどういうふうに認識し判断をされたのか大変気になるところです。
 こうした事態を見ていると、関係者の間で情報や方向性が共有されていたのか、連携は十分だったのか、疑問を感じざるを得ません。関係者の息が合わなければ、オリンピック・パラリンピックのような大きなプロジェクトの準備を進めることは困難だと思います。今後は関係者の間でしっかりと連携をとって進めていただくよう、強くお願いをしておきます。
 一時中止しても、既に海の森水上競技場の整備は進んできていますので、長沼ボート場に変更する場合には費用が発生してくると思われます。現在までに投資した費用を含め、海の森水上競技場の建設中止にどの程度の金額を費やすことになるのか伺いたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 会場が変更になる場合は、その後の対応につきまして、受注者と契約解除や出来高精算、損害賠償等について協議を行う必要がございます。
 現時点で、海の森水上競技場の整備を中止した場合には、既に執行済み、または契約中となってございます揚陸施設の撤去、移設工事、約三十八億円や、調査設計約九億円に加えまして、現状への復旧のための費用、現在進行中の会場整備工事の出来高や損害賠償にかかる費用などが考えられます。

○菅野委員 ボート、カヌースプリント会場を海の森水上競技場から長沼に変更する場合、レガシーが残らないのに費用の負担を都民に強いることになるわけです。
 今回の会場の変更という選択肢は、都の一方的な都合によるものであり、こうした損失が生じるだけではなく、レガシーに対する都民の期待や国際的な信頼を損ねる可能性など、十分に考慮する必要があると思います。四者会議においても、都が正確な情報を伝えて、最善の結論が導き出されるように、ぜひ議論していただきたいと思います。
 今回、調査チームの報告も踏まえ、海の森水上競技場の後利用について、改めて何点か質問したいと思います。
 調査チームの報告書では、海の森水上競技場の大会後の活用について、不確実性があると指摘されています。しかしながら、隣接する海の森公園と一体的に捉えることで、その活用の幅は格段に広がり、豊かな水辺や緑に囲まれた都民の憩いの場となる可能性を秘めていると考えます。
 海の森水上競技場は、大会のためだけではなく、大会後も多くの都民に利用されるすばらしいレガシーを残すために整備していくことが重要です。
 そこで、海の森公園も含めた水上競技場のレガシーを都はどのように考えているのか伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 海の森水上競技場は、広大かつ静穏な水面を有しており、隣接する仮称海の森公園と一体的な活用を図ることで、水上スポーツに限らず、アウトドアスポーツや野外イベントなど、幅広い活用が期待できます。
 そのため、公園と水上競技場の歩行者や自転車の動線の連続性を確保するとともに、水辺や緑を生かした環境学習、飲食、宿泊施設や駐車場の相互利用などにより、公園と連携した活用を進めてまいります。
 さらに、二〇二〇年に開通予定の臨港道路南北線に加えまして、東京テレポート駅や新木場駅からのバス路線の整備の検討や駐車場の設置など、関係各局や交通事業者と連携して、交通アクセスの改善に向けた取り組みを進めてまいります。
 現在、海の森水上競技場に近接いたします若洲の都立及び区立の公園には年間九十万人、城南島海浜公園には年間四十七万人が訪れております。
 交通アクセスを改善いたしまして、海の森水上競技場を公園と一体的に活用することで、海の森につきましても、多くの都民が訪れるスポーツと憩いの場としてまいります。

○菅野委員 今、答弁にあったように、海の森の周辺には既に多くの人が訪れている公園があるわけです。海の森水上競技場と海の森公園がレガシーとして一体的なものであることを常に意識して、今後とも検討を進めていただきたいと思います。
 次に、海の森水上競技場の大会後の活用について伺います。
 一部には、戸田漕艇場から拠点を移す大学、チームが少ないので、海の森水上競技場の活用は難しいのではないかという意見もあります。
 そこで、来場者目標三十五万人の実現可能性や、戸田漕艇場とのすみ分けをどのように考えているのかも伺いたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 年間の延べ来場者目標三十五万人のうち、競技利用は三十一万人、レクリエーション利用は四万人を見込んでおります。
 利用の中心となりますのは、大会利用でございまして、各競技団体の大会開催の意向を確認の上、年間三十大会で二十七万人を見込んでおります。これは、二〇〇五年に長良川で開催されました世界ボート選手権大会では約十二万人が来場している実績や、競技団体に開催を予定しております国内大会の来場者の実績を確認の上、目標数を積み上げております。
 このほか、競技団体や水上競技場の運営の経験を有する事業者へのヒアリングによりまして、強化合宿やボート、カヌー教室などのレクリエーション利用の来場者を積み上げておりまして、実現可能な目標と考えております。
 なお、戸田漕艇場につきましては、現在、さまざまな規模の数多くの大会や練習会が開催されておりまして、加えて、年間で百八十日以上競艇が開催されているなど、非常に混み合った状況でございまして、大学等の練習に支障を来す場合もあると聞いております。
 海の森水上競技場は、国際基準を満たす最新の競技場といたしまして、国際大会や国内の主要大会、都大会の開催のほか、全国レベルの強化練習などで活用する計画としておりまして、戸田を拠点としている大学やチーム等が当初から数多く移転してくることは想定してございません。
 競技団体も、海の森水上競技場は、国内外の主要大会の会場や全日本レベルの強化練習の場、そして、戸田漕艇場は、大学等の練習の場と機能の分担を考えております。

○菅野委員 戸田漕艇場と海の森水上競技場の双方が一体となって、日本のボート競技を初めとしたさまざまな水上スポーツを発展させてもらうことを大いに期待したいと思います。
 海の森水上競技場については、年間三十大会の開催など、競技団体の意向をしっかりと踏まえた実現可能なレガシーが描かれている一方、長沼については、調査報告書では、大会開催について競技団体は消極的との記載があります。また、インターハイの恒久開催を提案とありますが、報道によると、全国高等学校体育連盟、高体連は慎重な姿勢を示しております。
 レガシーについては、不透明といわざるを得ません。このような長沼がなぜ選択肢の一つになっているのか、レガシーの観点からは疑問が残ります。
 そこで、次に、収支の見込みについて伺いたいと思います。
 これまで都は、実施設計の状況等を踏まえながら、収支について検討するとしてきましたが、今回、本委員会の要求資料においても施設の収支見込みが示されました。
 そこで、海の森水上競技場の収支見込みの内容についてお伺いしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 今回、実施設計の進捗状況を踏まえまして、大規模な新規恒久三施設について収支見込みを試算いたしました。
 海の森水上競技場の収支のうち、収入は、類似施設の使用料などを参考にするとともに、合宿等での宿泊料、イベント運営収入を初め、施設運営計画中間のまとめで掲げた事業に伴う収入など、合計一億二千七百万円を計上してございます。
 一方、支出は、施設の設計内容を反映させまして、光熱水費、業務委託費などの維持管理費三億二千五百万円を計上してございます。
 この結果、現時点での試算では、収支は二億円程度のマイナスとなる見込みとなってございますが、今後、収支改善策についてさらに検討してまいります。

○菅野委員 スポーツ振興のためには、コストがかかることも理解できますけれども、維持管理コストの縮減、収入の確保に努め、収支改善に向けた取り組みをぜひ行っていくようお願いをいたします。
 大会後の東京にレガシーを残し、世界のアスリートとの競い合いの場を次の世代に引き継いでいくためにも、海の森水上競技場を着実に整備していくよう要望しておきます。
 そして、先ほどの質問で、海の森水上競技場が建設中止となった場合に、揚陸施設の撤去、移設工事に約三十八億円、調査設計費約九億円というふうに具体的な数字が出されましたけれども、現時点で確定はできないかもしれませんが、通常の想定というか、想定計算の中で総額で幾らぐらいになるのか、ちょっとお答えいただけませんでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 金額の確定には、受注者との協議が必要でございますために、金額について現段階で確定できておりませんが、通常でございますと、おおむね百億円程度の支出が生じるものと考えられます。

○菅野委員 今のように、ボート、カヌースプリント会場を海の森水上競技場から長沼に変更する場合、レガシーが残らないのに百億円もの負担を都民に強いることになるわけです。
 今回の会場の変更という選択肢は、先ほどもいいましたけれども、一方的な都合によるものでありますので、百億円という数字がひとり歩きしてはいけないのかもしれませんが、そういった損失が生じるだけではなくて、レガシーに対する都民の期待や国際的な信頼を損ねる可能性なども十分に考慮して検討していただきたいと希望いたします。
 それでは次に、アクアティクスセンターのことについて伺っていきたいと思います。
 今回の提案では、現計画地において二万席で新築し減築をしない案、観客席を一万五千席に縮小して新築する案、辰巳国際水泳場の近くに敷地を移し観客席を一万五千席に縮小して新築する案の三案が示されています。
 今回の案を実施するメリットがある一方で、実現に際した課題も踏まえて実現可能性を検討すべきですが、ご見解を伺いたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 今回の提案は、いずれも規模の縮小や減築取りやめによる整備費の縮減、減築工事に伴う施設の休業期間がなくなるなどのメリットがある一方で、計画変更によりまして、事業者との契約やスケジュールの影響、設計工事費などの増額も考えられます。
 また、敷地を辰巳水泳場の近くに移す案では、さらに詳細な地盤調査が追加となること、開園している公園の公園内の土地を使用することから、代替となる公園を整備する必要があること、埋設物が発見された場合の対応など、さまざまな課題も加わってまいります。
 こうしたことから、今回の提案につきましては、メリット、デメリット、また実現に向けた課題を十分に踏まえた上で総合的に判断する必要があると認識しております。

○菅野委員 現在の計画でも厳しいスケジュールであると聞いています。大会に影響がないよう、しっかりと実現可能性を探ってもらいたいと思っています。
 都議会自民党としては、二〇二〇年大会の成功はもとより、国際競争力を発揮し、世界から選ばれる都市として、大会後も世界レベルの大会が開催でき、誘致できる水泳場が必要であると考えます。
 今回の提案は、いずれも減築を取りやめるというものですが、維持管理コストの縮減にも努めながら、東京にふさわしいゆとりのある施設とし、大会後も将来にわたり、世界の水泳を引っ張っていけるアクアティクスセンターとなるよう強く要望しておきます。
 それでは次に、バレーボール会場についてお伺いしたいと思います。
 バレーボールの会場では二案が提案され、コスト縮減から、既存施設である横浜アリーナが選択肢の一つとされています。
 横浜アリーナの活用案の提案に当たり、事前の調査が行われたとは思いますが、オリンピック・パラリンピック調査チームの特別顧問の方たちは、いつから横浜市、横浜アリーナの担当者へのインタビューを始めたのか伺いたいと思います。

○小笠原総務局都政改革担当部長 十月六日に株式会社横浜アリーナから都政改革本部の事務局に電話がございまして、九月二十九日の調査報告書について問い合わせがありました。
 このことについて調査チームに伝えたところ、調査チームから横浜アリーナに連絡をとって調査を開始し、その上で横浜市と連絡をとったとのことでございます。

○菅野委員 そもそも、横浜アリーナでオリンピックのバレーボール競技というのは開催可能なんでしょうか。課題があるからこそ、これまでも競技会場として選択されてこなかったんじゃないかなと思うんですが、横浜アリーナの課題は何なのかお伺いしたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 既存の横浜アリーナを競技会場として活用するためには、競技面や運営面で課題があると認識しております。
 例えば、競技面での課題としましては、ウオームアップエリアの面積や選手控室の設備が十分でないこと、また、運営面での課題としましては、放送用の仮設施設用地の面積が敷地内では不足していること、観客入場スペースが十分に確保できず、二カ月程度は公道を占用して使用する必要があり、周辺住民への影響が大きくなること、さらに、警備体制の検討も必要であり、幹線道路を含めた周辺道路への影響などが考えられます。
 これらの課題につきましては、調査チームでは解決の可能性があるとして、横浜アリーナを検討案の一つとしており、横浜市を初め組織委員会やIOC、IFとの個別協議が必要となるとしております。こうした状況を踏まえまして、今週の十六日には、組織委員会、横浜市などと意見交換を行ったところでございます。
 今後、IFなどからも解決すべき課題が示される予定でございまして、これらを踏まえまして、横浜アリーナの活用の可否が適切に判断されるものと考えております。

○菅野委員 今回の調査報告書で横浜アリーナの活用が提案されていますけれども、今の答弁でもさまざまな課題があることがわかりました。
 IFやNFなどとよく協議をした上で検討案をまとめれば、課題への適切な対応方策も示されたと思います。そういったコミュニケーションが不足していたんじゃないかと思うわけですが、会場として活用するために必要な基礎的な検討も何か十分でないような印象を受けます。
 調査チームは、横浜アリーナを活用するためのコストは非常に限定的とし、項目を挙げて計約七億円としています。これは横浜アリーナを活用するための全てのコストが七億円なのか、その一部だけを示しているのかはわかりませんが、本当に七億円で横浜アリーナをオリンピックの会場とすることができるのでしょうか。
 横浜アリーナを活用するためのコストをどのように考えられるのか伺いたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 調査チームが横浜アリーナを活用するためのコストとしてお示ししております約七億円でございますが、約二カ月間の横浜アリーナの使用料と観客席を一万五千席に増設するための費用の合計と聞いております。
 実際に横浜アリーナをバレーボール会場として使用するためには、このほかに周辺民有地の使用料や周辺の企業への営業補償、公道を占用して使用することへの対策費、敷地の周辺も含めた段差解消等の改修や整備費用、工作物の移設や植栽の移植、伐採費など、さまざまな費用が必要となる可能性がございます。
 横浜アリーナを会場にするための全体的なコストにつきましては、今後詳細な調査を行った上で必要な項目を精査し、積み上げていく必要があると考えております。

○菅野委員 やはり全てのコストで七億円というのはできないのかな、そういうことでないことはわかりました。もちろん七億円で、やっぱりもともとオリンピック・パラリンピックの会場を整備するというのは困難だとは思いますけれども、調査チームは、有明アリーナの全体整備費四百四億円に対して、横浜アリーナでは七億円で済むと誤解を招くような示し方をしているように感じます。
 今後の検討の中で、横浜アリーナを活用した場合の費用は精査をして積み上げる必要があるとのことですが、速やかに全体のコストを明らかにしていただきたいと思います。
 横浜アリーナを会場とするためには、周辺の影響が大きいことが課題であると先ほどの答弁にもありました。横浜市はそのような課題を実際どの程度理解しているのか、これまで横浜市に対してどのように情報提供してきたんでしょうか。
 そこで、横浜市に対して、いつ、誰がどのような情報を提供したのか伺いたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 横浜アリーナを含めた検討案が示されたことを踏まえまして、今週の十六日でございますが、組織委員会、横浜市などと意見交換を行ったところでございます。
 今後は、横浜市からの求めに応じまして、会場整備の検討に必要な資料など、必要な情報提供を行ってまいります。

○菅野委員 今の答弁からも、調査チームが提案するに当たって、横浜市がどこまで課題の重要性を認識されていたのか本当に疑問が残るわけですけれども、都の検討案として提案された以上、都としても横浜アリーナを会場とする場合の課題もしっかりと抽出して、横浜市にも十分に認識して対応を検討していただくように、しっかりと情報交換をしていただくよう要望しておきたいなと思います。
 次に、有明アリーナのレガシーについて質問したいと思います。
 先日も日本バレーボール協会が一九六四年の東京大会で日本中を歓喜に包み、そして世界を驚愕させた女子バレーボールの東洋の魔女のメンバーとともに、有明アリーナの建設を求める嘆願書を都に提出したと聞いています。
 有明アリーナの整備に対する競技団体からの要望が強いと聞いていますが、どのような要望が寄せられているのか、ここで伺いたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 有明アリーナの整備に対する要望につきましては、第二回都政改革本部会議において調査報告書が公表されました九月二十九日に、日本バレーボール協会より、国際都市東京のレガシーと呼ぶにふさわしい施設を整備するようコメントが公表されております。
 また、国際バレーボール連盟も、二〇一二年の段階から有明アリーナの会場計画を全面的に承認しており、会場計画の見直しが東京大会の成功に与える影響について非常に懸念しているというコメントを発したと聞いております。
 十月二十六日には、日本トップリーグ連携機構を初めとする競技団体など十団体の連名による嘆願書を受領いたしました。
 嘆願書では、有明アリーナは、世界選手権などの国際大会や国内トップリーグを開催することで、各競技の普及や国際競技力の向上にもつながるレガシーとなる施設であり、調査チームの報告書で提言された整備見直しの撤回を要望しております。
 また、十一月八日には、お話の一九六四年の東京大会で金メダルを獲得した女子バレーボールのオリンピアン、日本バレーボールリーグ機構、そして日本バレーボール協会から連名の嘆願書を受け取っております。
 オリンピアンからは、有明アリーナはスポーツ発展のシンボルとなる施設であり、スポーツ界の発展のためにも有明アリーナを建設してほしいとのコメントがあり、日本バレーボール協会からは、バレーボールを含む多くのアリーナ競技の発展に寄与し、未来のアスリートを育てる施設として日本のスポーツ界に大きく貢献するとして、有明アリーナの新設を強く要望されております。

○菅野委員 今、答弁にもありましたけれども、アスリートや競技団体からの切実な訴えが数多く寄せられているわけです。こうしたアスリートの声にしっかりと耳を傾け、また国際的な信用を損ねることのないようにご配慮いただきたいと思います。
 また、有明アリーナはスポーツだけではなく、文化の発信拠点としての後利用も検討されています。都内、そして首都圏のレベルでも大型アリーナは不足しており、バレーボールを初めとしたスポーツ利用はもちろん、コンサートなどのイベント利用においても有明アリーナに寄せる期待は大きなものがあります。
 重要なことは、オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、スポーツ利用とイベント利用のバランスを図りながら、大会後の後利用をしっかりと考えていくことです。
 そこで、有明アリーナの後利用について、スポーツと文化の両面からどのように考えているか、大会後の収支の見込みも含めお伺いしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 都はこれまで、外部有識者等で構成するアドバイザリー会議を設置いたしまして、新規恒久施設の後利用を検討してまいりました。
 本年五月に公表いたしました施設運営計画中間のまとめでは、有明アリーナの後利用として、一万五千席の規模を生かし、国内外の主要な競技大会の会場として活用するとともに、一定期間、仮設のスポーツ床を設置して、さまざまなスポーツ大会等で利用できるようにしていくこととしております。
 また、大きな需要が見込まれますコンサート等の文化イベントを開催し、東京の新たなスポーツ、文化の拠点としてまいります。
 このように、スポーツとコンサートなどの文化イベントのバランスを適切に図りながら後利用していくこととしておりまして、こうした施設運営によりまして、年間収支につきましても九千万円から二億五千万円程度の黒字を見込んでございます。

○菅野委員 都は、以前からスポーツとイベントのバランスを考えて、さらに大会後の収支も考慮しながら、後利用の検討をしっかりしてきたことが確認できました。
 一方、調査チームの報告書では、有明アリーナはイベント会場として必ずしも立地がよいとはいえないと指摘していますが、一部にはコンサートで本当に利用されるのか懸念する意見も聞かれると書いてあります。
 この点について、都としてどのように考えているか見解を伺いたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 都はこれまで、日本を代表する主要なコンサートプロモーターにヒアリング調査を行いまして、民間シンクタンクにも調査分析を依頼するなど、有明アリーナにおけるコンサート等の需要について慎重に調査を重ねてまいりました。
 コンサートプロモーターからは、アリーナを会場とする大型コンサートは増加傾向にある中で、一万五千人規模のアリーナ施設は不足しておりまして、有明アリーナでは大きなコンサート需要が見込めるとの見解を得ております。
 また、有明アリーナは三路線の五つの駅が利用可能でございまして、コンサート等のイベントが終了し観客が一斉に帰路についた際、一つの駅に集中せず、混雑が分散されるメリットもございます。コンサートプロモーターからは、有明アリーナの立地条件は、マイナス要因とは考えにくいとの意見をいただいております。
 こうした調査結果に基づきまして、有明アリーナの後利用について、スポーツ、そしてコンサート等の文化イベントの両面から、最大限有効活用していくこととしております。

○菅野委員 有明アリーナに対しては、スポーツ界やイベント業界の双方から強い期待が寄せられており、こうしたしっかりとしたレガシーが見込まれる施設を着実に整備していくよう強く要望して、次の質問に移ります。
 これまでの質疑により、三施設の検討案について、整備コストやレガシーの考え方を確認してきました。最終的には四者協議の場で検討するとのことですが、十一月初めには既にIOCテクニカルワーキング、作業部会で実務的な検討を行ったと聞いています。
 先日のIOCテクニカルワーキングでの検討内容や、今後のスケジュールについてお伺いしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 会場見直しに係るIOCテクニカルワーキングは、十一月一日から三日間開催され、都が提案した三施設の検討案などについて説明し、意見交換を行いました。
 IOCからの求めにより、詳細な内容をお話し申し上げることができませんが、複数の検討案を客観的かつ思慮深く評価できるよう、必要な情報を集め、全体像をつかむことに注力していくこととしております。
 これらの実務的な検討の後、十一月末にはIOC、組織委員会、国、そして都の代表の四者による調整を行い、会場見直しについての結論を出す予定でございます。

○菅野委員 今月末の四者協議の開催により、会場見直しは一つの節目を迎えます。大会まで残された期間はわずかであり、大会準備は待ったなしの状況です。限られた時間で関係者との調整や残された課題に取り組み、大会を成功に導くことは容易なことではありません。
 四者協議の結論を踏まえ、今後も引き続き大会準備のかじを取っていく局長の決意を伺っておきたいと思います。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長
二〇二〇年大会の開催まで、残された期間は四年足らずであります。局としては、四者協議の結論をしっかりと受けとめ、遅滞なく大会準備に取り組んでまいります。
 新たに整備する競技施設につきましては、引き続き可能な限りコスト縮減に努めるとともに、大会後のレガシーに重きを置き、多くの都民に利用され、親しまれる施設となるよう、後利用についての検討の深度をさらに深めてまいります。
 今後、IOCやIF、NF、組織委員会、国などの関係者と十分に連携し、都議会の先生方からご支援をいただきながら、施設の整備を初めとした大会準備に邁進してまいります。
 そして、二〇二〇年東京大会が人々の記憶に残るすばらしい大会となるよう、これからも局一丸となって全力を尽くしてまいります。

○菅野委員 ありがとうございます。都議会自民党では、オリンピック・パラリンピック大会の施設整備について、本委員会を初め定例会でも、会場の再検討や整備費縮減策について議論を重ね、着実に成果を得てきました。
 しかし、この間、ただいまの質疑で明らかになったように、慎重な検討を経たとはいいがたい情報発信が行われ、ともすれば大会準備に無用の混乱をもたらしかねないこととなったのは、まことに残念であります。
 今後も、施設整備費を含む大会の開催経費の縮減に向けた議論を積み重ねるとともに、会場施設が大会後も都民、国民に親しまれ、東京に新たなにぎわいと活気をもたらすものとなるよう、責任政党である都議会自民党としても積極的に取り組む決意であることを述べて、私の質問を終わります。

○吉倉委員 それでは、私の方からも、改めてオリンピック・パラリンピック調査チームの調査報告書について、また、新規恒久施設の見直しについて、それぞれ質問させていただきます。
 ご承知のとおり、調査チームは、十一月一日、水泳など四競技三会場について、計五会場を候補とする報告書を公表しております。この最終報告書を東京都の案として、同日始まったIOCなどとの四者協議の作業部会に諮り、今月中に結論を出すと聞いております。
 ところが、協議は非公開で行われているため、検討内容について知るすべはありません。
 そこで、質疑の前提として、本委員会における議論、さらに、これまでの検討や議論の成果が四者協議にどこまで反映できるのか、四者協議に臨む都の方針について伺います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 オリンピック・パラリンピックの施設整備につきましては、本委員会において施設の内容やコスト、大会後のレガシーなど、さまざまな角度から多くの議論をいただいてきたところでございまして、これまでもそうした経緯を踏まえながら、IOCやIF、NF等との協議に当たってまいりました。
 今回の会場見直しにおきましても、本委員会での議論等をしっかり踏まえ、都としての四者協議に臨む考えでございます。

○吉倉委員 ぜひ本委員会での議論をしっかりと踏まえて四者協議に臨んでいただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
 また、五輪調査チームは、競技施設の見直し案を十一月一日の都政改革本部で提言しております。同本部は、上山信一慶應大学教授が統括の特別顧問を務めており、見直し案も上山氏の主導で取りまとめたと聞いております。
 そこで、調査チームはなぜ今回三つの施設に限って取り上げたのか、どこに問題意識を持っているのか、さらに、海の森水上競技場、オリンピックアクアティクスセンター、そして有明アリーナ、この新規恒久三施設の見直しを提案するに当たり、その基本方針は何なのか伺います。

○小笠原総務局都政改革担当部長 新規恒久三施設については、金額が大きく、また、既に基本設計が終わり実施設計を進めている、あるいは一部工事を開始しているといった段階だったため、調査チームにおいて早急に検討を行うこととされたものでございます。
 検討に当たっては、都内に新規恒久施設を設置する必要性はあるか、新規恒久施設設置の計画は妥当か、あるいはコスト削減の余地はないかの三点を見直しの基本的な考え方としてございます。

○吉倉委員 さらに、調査チームは、都政改革本部の本部長である知事に助言、提言を行う目的で設置されたプロジェクトチームであると聞いております。
 調査チームには、特別顧問や特別参与、そして特別調査員がメンバーとなっており、メンバーにはそれぞれ役割分担があると思います。実際に、新規恒久三施設の調査検討を行ったのは、それぞれ誰なのか明らかにしていただきたいというふうに思います。

○小笠原総務局都政改革担当部長 新規恒久三施設の調査検討については、上山特別顧問が取りまとめ役を担い、具体的な調査については、町田特別参与がアクアティクスセンターを、安川特別参与が海の森水上競技場を、本多特別調査員が有明アリーナをそれぞれ分担して担当しております。
 また、宇田特別顧問が三施設それぞれについてコストやレガシーの観点から検討に参加しているほか、他の特別顧問等にも必要に応じて調査検討に加わっていただいております。

○吉倉委員 今、答弁にありました宇田特別顧問は、一級建築士の資格を持っておられると聞いておりますけれども、今回三施設について、どこまで技術的、あるいは専門的な検証を行ったのか伺いたいというふうに思います。

○小笠原総務局都政改革担当部長 宇田特別顧問は、オリンピック・パラリンピック準備局から提供を受けた資料や、技術部門の担当者とのヒアリングを踏まえ、検討案の妥当性や実現可能性についての調査検証を行っております。

○吉倉委員 また、都政改革本部の調査報告書によれば、新規恒久三施設について、それぞれ予算の削減案が示されております。
 そこで、各施設のコスト削減について伺います。
 まず、ボート、カヌースプリント会場である海の森水上競技場については、常設で整備する案と、仮設主体で整備する案を提案し、常設案は三百二十八億円、仮設案は二百九十八億円と示されております。昨年十一月九日の本委員会で報告のあった海の森水上競技場の整備費四百九十一億円という金額から大幅に縮減された案になっております。
 こうした縮減案は、実際に実現が可能なのかどうか伺いたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 海の森水上競技場の整備費につきましては、今後措置する経費や既に契約済みの工事など、全体にわたりましてさらなるコスト縮減の可能性を検討しております。
 昨年度の段階で見込んでおりました追加工事等が生じた場合の対応費につきましては、実施設計が進捗したことに伴いまして、大幅な増額を想定せずに対応できる見通しが立ってまいりました。
 また、今後措置する経費におきまして、IF等と協議する施設として、テレビカメラ撮影用のポンツーンなどを計画しておりましたが、陸上の自転車走行路を兼用して撮影するよう調整してございまして、ポンツーンが不要となる方向でございます。
 工事中のセキュリティー対応費につきましても、関係機関と具体的な調整を進め、当初想定よりも規模を大幅に縮小できる見込みとなっております。
 契約中の競技施設整備工事におきましても、遮熱性舗装や中高木植栽を取りやめることや、建物を仮設レベルに低廉化することなどが考えられます。
 引き続き、さらなるコスト縮減に向けまして、競技団体や受注者など関係者と協議してまいります。

○吉倉委員 ぜひ海の森水上競技場での実現を前提として、引き続きさらなるコスト縮減に向けての努力をお願いしたい、このように思っております。
 次に、オリンピックアクアティクスセンターについて伺います。
 報告書では、新設するアクアティクスセンターは、観客席数を二万席から一万五千席まで減らし、基本設計から見直すことで六百八十三億円の整備費を四百七十億円から五百十二億円まで圧縮可能としております。ただし、基本設計から見直すと時間がかかるため、二万席規模の建物を整備する案も残しております。
 そこで、今回の提案におけるコスト削減について、今後どのように検討していくのか伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 アクアティクスセンターの整備費につきましては、建設工事費、調査設計費、今後想定される工事中のセキュリティー対応費、追加工事への対応費、大会後の減築工事費などを含めまして、副委員長からもお話がありましたが、六百八十三億円の範囲内で対応することとしております。
 新築工事の契約時点で建設工事費の予定額から既に六十八億円が落札差金として縮減されております。
 今後、減築工事の取りやめや規模の縮小による工事費の縮減、工事中のセキュリティー対応費、追加工事への対応費、大会後の改修費の精査などによりまして、さらなる縮減が可能であると考えております。
 一方で、変更設計の費用や工事内容の変更に対応するための工事費の増額など、コスト増の要素も想定されます。こうした点も踏まえつつ、整備費全体のコスト縮減が図られるよう、詳細な検討を鋭意行ってまいります。

○吉倉委員 続いて、バレーボール会場は、現行計画の有明アリーナに横浜アリーナへの変更案を加えております。調査チームの報告書によれば、その理由は、有明だと最低でも三百七十億円かかるが、横浜なら一万五千席への増設などの工事も七億円で済み、大きなメリットがあるとしております。
 一方で、日本バレー協会は、有明の新設を強く要望するとのコメントを出しております。先ほどの答弁のとおりであります。
 そこで、こうした状況の中で、オリ・パラ局は、局としてコスト縮減についてどこまで検討しているのか伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 有明アリーナの整備費につきましては、建設工事費、調査設計費、今後想定される工事中のセキュリティー対応費や追加工事の対応費などを含めまして、これまでお示ししてきました四百四億円の範囲内で対応することとしております。
 現在進めております実施設計の中で、軟弱地盤対策工法等の建築工事の見直しに加え、工事中のセキュリティー対応費や追加工事への対応費の精査などによりまして、全体で三十億円程度のコスト縮減が可能となるよう検討しているところでございます。
 今後とも、あらゆる角度から、さらなるコスト縮減の可能性を検討してまいります。

○吉倉委員 ぜひ局として、あらゆる角度からコスト縮減を検討していただきたい、このように思っております。
 ところで、都政改革の三原則とは、都民ファースト、情報公開、そして適正支出であります。しかし、調査チームの報告書は、大会の成功は総予算の抑制が全てであるかのように、終始一貫コスト削減の記述で埋め尽くされております。
 本来、建設費や維持費が高い、安いといった議論ではなく、こうした施設が都民にとって価値あるものかどうか、その価値にとって適正支出であるかどうか、そして、都民ファーストの視点から、どういう形のレガシーを残すことができるのか、こうした議論をもっと深めることが肝要であります。
 一九六四年東京大会では、オリンピックを契機として、整備が加速した東海道新幹線や首都高速道路などの社会インフラは、その後の経済成長の基盤としてフル稼働し、まさに日本経済の発展を支える重要なレガシーとなりました。
 一方、二〇二〇年、世界で先頭を走る少子高齢、人口減少社会であり、経済活力の低下、社会保障費の増大などの課題は、従来の考え方の延長線上では解決が難しくなっております。こうした中で、オリンピック・パラリンピックを契機として、いかに東京や日本が抱えている課題を解決できるかがレガシーの重要な視点だと思います。
 すなわち、二〇二〇年東京大会は、さまざまな課題に対する解決モデルを世界に示す最大のチャンスであります。したがって、単なる施設を残すレガシーではなく、都民に価値を残すレガシーとすべきであります。
 そこで、大会後の海の森水上競技場では、さまざまな水上競技大会の開催や、ボートやカヌー競技者の練習、合宿が想定されておりますが、都民にどのようなレガシーを残すことができるのか見解を伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 大会後の海の森水上競技場は、アスリートの強化、育成はもとより、水上スポーツの裾野拡大を図る場としてまいります。
 具体的には、水域を活用いたしまして、ボート、カヌー教室のほか、ドラゴンボートの体験乗船会などの機会を都民に提供してまいります。
 また、陸域ではランニング、サイクリング等のさまざまなスポーツイベントや、隣接する仮称海の森公園と連携した環境学習なども実施していく予定でございまして、こうしたレクリエーション利用などで年間四万人の来場を見込んでございます。
 今後、水上スポーツ体験の拡充など、より多くの都民の皆様に来場していただき、水辺に親しんでもらえますよう、競技団体とも連携をしながら検討を進めてまいります。

○吉倉委員 ありがとうございます。海の森水上競技場は、大会後、多くの都民が海に親しむ、海を楽しむ、あるいは海で遊ぶ、そうした海の森水上公園として大きく整備すべきであります。ぜひ検討いただきたいと要望しておきたいと思います。
 次に、オリンピックアクアティクスセンターは、都民にどのようなレガシーをもたらすのか伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 オリンピックアクアティクスセンターにつきましては、日本水泳の中心として年間約百大会を開催するなど、アスリートの活躍と競技力向上の場としてまいります。
 加えて、都民のための水泳場という機能をあわせ持つ施設といたしまして、子供から高齢者までスポーツや健康増進に取り組むことができる場としてまいります。
 具体的には、サブプールを活用した水泳教室、高齢者も楽しめます水中歩行、ジムやスタジオを活用したヨガなどの健康増進事業を実施し、都民の日常的なスポーツ実践と健康づくりを後押ししてまいります。

○吉倉委員 ぜひ大会後、子供から高齢者まで、スポーツや健康増進に取り組むことができる場として大いに活用されることを願っております。
 次に、有明アリーナは、先ほどの答弁にもありましたが、スポーツでの活用はもとより、コンサートやライブ会場での活用も検討されております。成熟した都市として、生活に潤いをもたらす上で、都民にエンターテインメントの機会を提供していくことは大きな意味があります。
 また、スポーツ利用においても、大規模な大会だけでなく、都民が日常的にスポーツに親しめる場としていかなくてはなりません。
 そこで、大会後、有明アリーナを都民がどのように活用できるのか見解を伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明アリーナは、大会後に国際スポーツ大会や国内の主要な大規模大会、コンサート等の文化イベントを開催いたしまして、東京の新たなスポーツ、文化の拠点とすることを目指してございます。
 国際スポーツ大会等でトップアスリートの戦いを間近に観戦できる機会を都民に提供いたしまして、いわゆる見るスポーツの拡充を図ってまいります。
 さらに、サブアリーナを活用するなどして、地域のスポーツ大会やスポーツ教室を開催いたしまして、都民の日常的なスポーツ実践の場としても活用してまいります。

○吉倉委員 答弁をいただきましたが、大会後、施設が単なる箱物として残るのではなく、都民の生活に新しい文化や娯楽、そして感動を提供できるような価値あるレガシーを残していただきたい。都は、ぜひこうした議論を踏まえて四者協議に臨んでいただきたい、このことをお願いして質問を終わります。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後四時二十一分休憩

   午後四時四十分開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○畔上委員 三つの新規恒久施設の見直しについてです。
 私たちは、これまでも三つの新規恒久施設の見直しをアスリートファーストやコスト削減の立場から繰り返し求めてまいりました。
 また、小池知事に対しましても、見直すべきことの第一として、都立の新規恒久施設を挙げて具体的に提案をしてまいりました。
 例えば、水泳会場のアクアティクスセンターは、二万席の観客席をIOC基準を示して減らすこと、そして、後利用や収支計画の不明確なものは抜本的に見直すこと、そして、着工しているものは結論が出るまで工事を中止することなどを提案してまいりました。きょうの新聞には、海の森工事中断と出ておりましたけれども、全体として見直しの方向に進んでいることはよいことだというふうに思います。
 しかし、調査チームから出されたボート、カヌー競技会場の見直し案、恒設または仮設で海の森競技会場を整備する、また、宮城県の長沼ボート場を会場とする、こういった提案は、果たして公正で公平な調査を行ったことによるものなのかという点を確認しなければなりません。
 このカヌー、ボート競技会場については、私自身、二年前から海の森や戸田市の彩湖も視察をして、国土交通省の荒川河川事務所にも行き、そして、カヌーやボート関係者の方々のご意見も伺ってまいりました。そして、会派として、宮城にも調査に行ってきました。
 その中で、中央防波堤埋立地の潮通しを、潮の干満や波を避けるため、わざわざせきとめて、そして海の森水上競技場をつくることがいかに環境やコストに負担がかかるか、また、海水で、しかも風力発電の風車があるほど風が強い、そういう場所がいかにアスリートファーストにならない場所か、さらには、大会後の維持費さえ明らかにされない中で計画が進められている問題などを取り上げて、再検証、そして再検討を求めてまいりました。このたびの調査チームの報告書を読みますと、まず、海の森ありきじゃないかという声が寄せられるのも当然だといわざるを得ない内容だと思いました。
 そこで、何点か伺いたいと思います。
 まず第一に、アスリートファーストになっているのかという問題です。
 先ほど競技団体との意見交換のご答弁がありました。アスリートにもインタビューをしたということなんですが、内容は全くわかりません。一体何人に聞き、その結果はどうだったのか、まず伺います。

○小笠原総務局都政改革担当部長 アスリートのインタビューについては、特別顧問等がボート及びカヌーの現役及び競技引退後のアスリートを対象として、匿名を条件に数名にインタビューを行ったと聞いております。風、水位の影響が気になる、近くに練習用の川がないなどの意見をいただいたとのことでございます。

○畔上委員 その聞き取りにおいても、やはりアスリートたちは海の森を歓迎しているとはいえないわけですね。
 実は、ボートのアスリートたちの意見交換会の場であります日本ボートアスリートコミッションが、十月六日に岩手国体の際に行ったミーティングがホームページで公表されていますが、そこでのアンケートや意見も、海上のコースはボートへのダメージが大きい、東京オリンピックは彩湖を希望、選手に不安のないコースを希望などの意見ばかりで、海の森を希望する声は全くありませんでした。
 また、十月二十六日には、ボートの元五輪選手や監督、選手たちがこの問題を議論し合う、そういう集いが開催されました。私たち都議団も、皆さんの声を聞かせていただこうと伺いましたが、その中でとりわけ強調されたのは、一番大事なのは静かな水面だということでした。
 さらに、テレビ局が行いましたアスリートへの取材では、圧倒的に彩湖が支持されていました。別のテレビ局の国民アンケートでは、一位が長沼でしたが、二位が彩湖、三位が海の森でした。本来のアスリートファーストなら、到底海の森を会場とするという結論にはならないんじゃないでしょうか。
 私たち日本共産党都議団は、ボート、カヌーの会場の見直しの検討に当たっては、調査チームだけで検討し、提案をするんじゃなくて、やっぱりさまざまな意見があるからこそ関係者が本当に納得できる、そういう最善の結論を得るためには、候補地にある自治体や地域関係者の皆さん、また、アスリートなどが一堂に会して、それぞれがプレゼンテーションして、質疑応答もできるような公開討論会などを開催するなどして、やっぱり公平で、そして公平性が担保されて、透明化が確保できることが必要じゃないか、そういう提案も知事に行ってきましたが、それはやっていません。
 都として、十分な競技クラブやアスリートたちの意向把握をして、公正公平な検討をした結果とはとてもいえないと思います。
 海の森の水上競技場のコストの削減の積算根拠も不透明です。この海の森の水上競技場の整備費は、立候補ファイルで六十九億円だったものが一千三十八億円になって、その後、再検討して練習場所を削り、締め切り堤の距離を短縮するなどして四百九十一億円だといたしました。それでも当初計画の七倍ですし、ほかの屋外の競技場は数十億円で整備されているものに比べても桁違いの金額なわけです。それが問題視されているため、検討がなされ、今回の検討チームの報告では、約二百億円近くも削減できるとしています。
 資料では、海の森水上競技場の四百九十一億円から、再試算によって、仮設レベルスマート案では約二百九十八億円にまで削減できるんだとされています。その削減内容は、資料の5を見ますと、建物の低廉化、外構、舗装や植栽の変更、それから締め切り堤、水門の規模を変える。それから、テレビカメラポンツーン、追加工事などが生じた場合の対応費としています。
 先ほどご答弁されていましたけれども、既に設計施工の一括発注額は約二百四十九億円、契約済みなわけですが、この中に含まれている項目は、それでは一体どれなんでしょうか。また、その金額はそれぞれ幾らなんでしょうか。その何割ぐらいが削られると見込んでいるのか伺いたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 海の森水上競技場の整備内容につきましては、IF等との協議を経て決定されたものでございます。さらなるコスト縮減の可能性を検討しているところでございます。
 例えば、遮熱性舗装や中高木の植栽を取りやめることや、建物を仮設レベルに低廉化することなどが考えられます。
 引き続きコスト縮減を目指しながら、競技団体や受注者と整備内容につきまして協議いたします。具体的な縮減案を今後算出してまいります。

○畔上委員 つまり、まだ調整中で、そこで幾ら削減できるかというのは示せないということですね。先ほどご答弁の中で、カメラポンツーンについては不要となる方向だというご説明がありました。それでも六十億にはならないわけで、どうやって約百九十三億円近くも削れるといえるんでしょうか。
 また、追加工事などが生じた場合の対応費は九十億円というふうになっているわけですけれども、先ほどは実施設計ができて、大幅に削れる見通しとなったというご答弁がありましたが、そうであるならば予備費、この追加工事が生じた場合の対応費ですね、この予備費は幾ら削減できるような見通しになったんでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 設計施工一括方式で契約しました受注者が、施工を視野に入れた実施設計に取り組んできたことなどによりまして、昨年度の段階で見込んでいたような大幅な増額を想定せず対応できる見通しが立ってきたため、縮減が可能であると考えてございます。

○畔上委員 ということは、まだ具体的にはいえないと。これまで我が党の吉田理事が、予備費がなぜ必要なのかという質問をしてまいりましたが、その質問に対しては、締め切り堤のような海上工事は、施工段階で設計時に想定していた地盤条件や施工条件などと相違が生じた場合、追加工事などもあり得るから予備費は必要なんだ、こういう趣旨の答弁をされていました。
 今のご答弁を聞いていますと、実施設計ができて、大幅に削られることがわかったといいました。そうなると、今後幾ら削るかはちょっとはっきりしなかったわけですけれども、今後は追加工事はないということを断言できるんでしょうか。そう判断したんだったら、その根拠もお示しください。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 現在の整備費は、IF等の協議中の施設の整備費や工事中のセキュリティーの経費も含めて、現時点で想定される整備費について見積もったものでございます。
 将来、想定外の状況変化が生じた場合、整備費が変化する可能性はございますが、現時点では想定してございません。

○畔上委員 その根拠は今お示しになれませんでしたし、今の段階での判断だと。今回は一時的には削減するけれども、やはり海上という条件で工事費がふえてしまいましたということもあり得るんだというわけですね。しかも、これまでご答弁されてきたように、設計段階ではわからないことが施工段階で見つかることもあるからこそ、予備費を計上しているんじゃないんでしょうか。
 まだ施工は始まったばかり、今、中断していますけれども、とりあえず、今だけ一時的に予算を削って、後でまた追加工事にすると。こんな見せかけのようなやり方を考えているんだとしたら、とても公正な積算とはいいがたいんじゃないでしょうか。しかも、四百九十一億円の中には含まれない、そういう整備費が生まれる可能性があるんです。
 パネルを見てください。これは海の森水上競技場予定地のイメージ図ですね。大変美しく整備され、緑に覆われているわけです。(発言する者あり)すばらしいですよね。
 これが現在の南側の護岸の状況です。この南側の護岸には、ちょっと見にくいですけれども、汚水管も丸出しになっていますし、地盤もがたがたの状況になっています。地面も平らになっていない、もちろん芝生にもなっていません。この整地が必要だけれども、その水平にする費用をどうするのか。ここを整備する整備費は、これまでご説明をいただいた、もちろん二百四十九億円の中にも入っていませんし、四百九十一億円の中にも入っていません。こうした整備費は、現在の整備予算の見積もりには入っていないわけですが、今後必要になってくるんじゃないでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 南側の陸地の使い方でございますけれども、現在のプランでは、仮設の観客席を設置することと考えてございますので、現在の見積もりの中では、東京都が恒設で整備するという費用を見積もったものでございます。

○畔上委員 土地の整備を今伺ったんですよ。土地の整備費は、この四百九十一億円の中には入っていないんじゃないですか。もう一度ご答弁ください。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 南側の会場整備の考え方につきましては、現在、組織委員会において検討されているところでございます。今後、組織委員会で検討した上で、どのような扱いになるかが決まってくるものと考えてございます。

○畔上委員 組織委員会というのは上物だけなんですよ。現地の整備というのは東京都が責任を持ってやらなきゃいけないところなんですよ。調査チームは、仮設レベルスマート案として二百九十八億円と。そして、恒設コスト改善案としては三百二十八億円としていますけれども、結局、削減内容の半分は単なる数字の操作と。そして、残りの半分は、具体的な金額の見込みも明らかにできないと。そして、現時点で想定されるにもかかわらず、この四百九十一億円には南側の整備費は含まれないと。そういうような調査チームの削減案が適正な報告といえるんでしょうか。私は、それはいえないと思います。
 次に、収支見込みについてです。
 この報告書には、海の森水上競技場の収支見込みが初めて示されたわけですが、この収支にも疑問があります。
 収支見込み試算によりますと、年間百三十七日、三十大会が行われることを前提に、支出が業務管理費など三億二千五百万、収入は一億二千七百万、約二億円の赤字となっています。この赤字部分は一体どこが支出することになるんでしょうか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 現時点での試算では、海の森水上競技場の収支は約二億円のマイナスとなる見込みとなってございますが、今後、収支改善策についてさらに検討をしてまいります。
 最終的に収支に不足が生じた場合には、スポーツ振興のためのコストといたしまして、都が負担するものと考えております。

○畔上委員 赤字は都の負担だということですね。施設利用料で三千九百万を徴収することとしていますけれども、どのような試算なんでしょうか、内訳をお示しください。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 類似施設の使用料を参考にいたしまして、大会利用で約三百万円、ボート、カヌーの貸し出し等で約一千万円、艇庫の利用で約九百万円、ロッカー、シャワーの利用で約一千七百万円を見込んでございます。

○畔上委員 先ほど大学ボートと、それから一般と利用を分けて考えているんだというご答弁もありましたけれども、昨年十一月から十二月にかけて行われました東京新聞の調査では、首都圏ボート三十一団体、カヌー六団体、回答がありました。そのうち約八〇%が拠点の移転の意向はないと。つまり、海の森水上競技場には行かないという結果だったわけです。
 そういう中で、資料に示されているようなボートの日常練習利用に二万人以上の方々が利用する保証があるんでしょうか。今後の使用料などについて、アスリート、チーム団体とはどのような協議を行っているんですか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 海の森水上競技場の大会の開催目標、あるいは練習利用につきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、競技団体に意向を確認の上、目標を設定してございます。
 なお、今後の使用料につきましては、これまでの後利用の検討の過程で、各競技団体から施設の利用に関してさまざまな意見をいただいております。
 なお、使用料につきましては、施設の原価計算や実際に競技で利用されております類似施設の料金を踏まえまして、今後検討してまいります。

○畔上委員 資料をいただきましたけれども、このシミュレーションでは、一億二千七百万の収入のうち、施設利用料や宿泊料、会議室の利用料で九千四百万というふうになっていましたが、戸田公園の一年間の利用状況を見たんですが、この三つで年間四百五十二万円の実績でした。ボート関係者の方からは、資料のシミュレーションは現実離れしており、看過できない問題だといった声も上がっております。
 支出についても、私たちは、海上に競技場を整備するため、水門の開閉や水質の維持のためのポンプ稼働など、ほかの場所では必要ない管理費が必要になるということをこれまでも指摘してまいりました。
 今回の報告では、水門管理の支出が六千百万円、こう推計しておりますが、水門の運用方法によって変動すると書かれていました。つまり、水門を年間何日閉めるのか、ポンプの稼働時間どうするのかと、これによって支出は変動すると、支出がふえる可能性もあるということです。結局それが利用料にはね返っていくことになるんじゃないでしょうか。
 今の六千百万円という試算なんですが、これは伺ったところ、大会のときと、その前後に水門を閉めてポンプを稼働させる、これが前提となっているんだというふうに伺っていますが、これからさらに精査すると伺っていますが、そうしますと、日常の練習では、潮の干満がある中で練習せざるを得ない、そうなるわけです。波のある中で練習することになったら、一体どのくらいの利用が見込めるんでしょうか。ボートの年間練習利用二万人が果たして現実的だといえるんでしょうか。収支の見込みもこれから精査が必要なものといわざるを得ないわけです。
 最後に、選択肢の中から彩湖を外した問題です。
 ボート、カヌーの競技会場については、海の森恒設、そして仮設、それから長沼ボート場と三つの案に絞られて、彩湖が外されたわけですが、その検討経過も明らかにされていません。
 先ほど、ご答弁の中で、治水、利水の課題が述べられました。しかし、埼玉県知事が課題は解決できるといって、小池知事に彩湖を競技施設として利用することを要請しているんです。調査チームは、この課題について直接国土交通省に確認しているんでしょうか。そのことを伺います。

○小笠原総務局都政改革担当部長 国土交通省に調査チームが確認しているかどうかという点については、私ども事務局の方では事実関係は把握してございません。

○畔上委員 調査チームとして確認もしていない、出された案をそのまま出したのは不適切であるといわざるを得ません。私たちが荒川の河川事務所に確認したときも、治水、利水の理由で困難とはおっしゃっていませんでした。
 そもそも第二回目の都政改革本部の会議のときには、彩湖は費用面で課題があるんだといっていたんですね。しかし、その問題については、以前の委員会で吉田理事も指摘していましたが、規定やリオの五輪の前例を踏襲すれば、カメラレーンを削って彩湖では約二百二十億は削減できる。さらに、海の森水上競技場と同様に、橋の撤去費用を整備費から除外する。公平な、そういう橋の撤去費用を同じように入れたとすれば、彩湖の整備費は約三百億円低くなると指摘をしてまいりました。にもかかわらず、五百五十八億円の精査もしないで、これを前提にしているわけです。そして、今回は洪水警戒を持ち出してきた。前回は費用で今回は洪水だと。彩湖を除いた理由をその都度変えると。ご都合主義という声が出されても仕方がないと思います。
 これまでの質疑で、アスリートファーストの問題、そして海の森水上競技場の予算の見積もりと収支の問題、三つの案に絞った経過が不透明な問題を指摘してまいりました。本来の姿である都としての責任ある提案を行って、その上で、四者協議で議論するのが筋だと思います。もう時間がないから仕方がないということでは都民は納得できません。
 私は、海の森水上競技場予定地に、この間何回か行ってまいりました。私自身江東区民ですが、江東区民は、ごみの埋め立てによって本当に大変な苦労を重ねてきた歴史があります。そこに森ができていることは感慨深いものもあります。しかし、初めから無理な場所に無理をしてやってみたら人が入らなかったと、こんな事態は絶対に避けなければなりません。
 四者協議も非公開となってしまい、どのような議論が深められるのか不透明なわけですけれども、私は、こうした議会の議論もしっかりと踏まえていただいて、公正で公平な検証に基づく会場整備にするように強く求めて質問を終わりたいと思います。

○小山委員 私からも、オリンピック・パラリンピック調査チームの調査報告書並びに新規恒久施設の見直しについてお伺いをさせていただきます。
 なお、これまでの質疑で重複する質問は省いて行いますので、よろしくお願いいたします。
 私たち都議会民進党は、二〇二〇年の東京大会成功に向けて、常に改革改善の取り組みを不断に行うことが必要であると考えております。
 大会開催時はもちろんのこと、大会後のレガシーも見据えて大会計画や施設整備など、よりよい改善を図っていかなければなりません。
 特に、大会開催に伴う費用については、最少の経費で最大の効果を得るように努めることが極めて重要であります。
 最大の効果とは、大会開催時、大会後に、都民に何を残せるのか、そしてそれが持続可能なのか。すなわち、レガシーとサステーナビリティーを追求していくことだと考えております。
 このたび本委員会に報告されました新規恒久三施設の見直しについても、そのような観点から取り組まれたものだと考えておりますが、その点を確認の上でお伺いをする予定でありましたが、先ほどの吉倉副委員長に対する答弁の中で、この新規恒久三施設の検討に当たっては、都内に新規恒久施設を設置する必要があるのか、新規恒久施設設置の計画は妥当か、あるいはコスト削減の余地はないのかの三点が見直しの基本的な考え方ということでありました。
 そこで、調査チームによる新規恒久三施設の見直し案についてでありますが、施設ごとにどのようなポイントで見直しが提案されているのかお伺いをさせていただきます。

○小笠原総務局都政改革担当部長 調査チームからは、海の森水上競技場については、現在の恒久施設案とともに、コスト削減の観点から、大会開催に必要な最低限の仮設レベルで整備する案、また、復興五輪の意義の明確化の観点から、代替候補地として宮城県長沼ボート場で開催する案の三案が提案されております。
 アクアティクスセンターについては、コスト削減の観点から、大会開催後の減築を行わないこととした上で二万席で現地計画地に整備する案、一万五千席で同じく現計画地に整備する案、及び都民利用における利便性等の観点から、一万五千席で辰巳国際水泳場に近接して整備する案の三案が提案されております。
 有明アリーナについては、コスト削減の観点から、現行案をベースにコスト縮減を検討する案と、横浜アリーナの活用を検討する案の二案が提案されております。

○小山委員 ただいまの三施設の見直しに伴う検討案については確認をさせていただきましたが、それぞれの施設ごとに、その検討案についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、海の森水上競技場についてであります。
 これまでの本委員会でも、この海の森水上競技場につきましては、大会開催時の課題、あるいは大会後の後利用についても、さまざまな視点、観点から質疑をさせていただき、改善を求め、それに対して都も取り組んでいくこととされておりました。
 そこで、今回検討されております海の森水上競技場の恒設コスト改善案、仮設レベルスマート案について、現行計画から変更した場合、どのような影響が生じるのかお伺いをいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 検討案の一つとなってございます恒設コスト改善案は、IF等と協議中のテレビカメラ撮影用ポンツーンを自転車走行路の兼用により取りやめることや、舗装、植栽の変更などを検討するものでございます。
 仮設レベルスマート案は、さらに建物の低廉化を図るなど、オリンピック競技開催に必要最低限の仮設レベルで整備するものでございます。
 これらの整備案の違いによりまして、レガシーとしての価値等にも影響を及ぼす可能性があると認識しており、今後、具体的な整備内容につきまして、競技団体等と調整を図ってまいります。

○小山委員 ただいまのその検討案につきまして、ご答弁の中でもありましたように、レガシーとしての価値等に影響を及ぼす可能性があると認識をされているということでありました。
 また、今後の具体的な整備内容については、競技団体等と調整を図っていくということでございましたが、まさにその点が今後の課題になってこようかと考えております。
 先週の十一月十日から十三日にわたりまして、戸田のオリンピックボートコースで開催をされました日本ボート協会主催の全日本選手権大会を視察させていただき、協会を初めとする関係者の皆様からお話をお伺いしてまいりました。さまざまなご意見を伺いましたが、今回の、特に仮設レベルスマート案について、大会後の後利用において大きな課題を抱えるのではないかという危惧を持たせていただきました。
 一九六四年大会のまさにレガシーであります戸田ボートコースは、今日に至っては、地域の発展と振興に大きく寄与をいたしております。二〇二〇年の東京大会のボートコースも、都民はもちろんのこと、アスリートや水上スポーツの振興、さらには、地域の発展へとつなげていくことが大事だと思います。
 そこで、大会後のレガシーやアスリートファーストというアスリートの利用促進を図る観点から、この海の森水上競技場のレガシーについてどのように考えているのかお伺いをしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 海の森水上競技場は、国際基準を満たす最新の競技場といたしまして、アスリートの強化、育成と水上スポーツの裾野拡大を図る場としてまいります。
 競技団体からは、国際大会、国内大会を年三十大会開催いたしまして、アスリートの強化合宿を年五十一回開催したいとの意向を確認しておりまして、こうしたアスリートの利用をさらに促進する上でも、艇庫や合宿所等の整備が重要というふうに考えてございます。

○小山委員 今、最後のご答弁の中にありました艇庫、合宿所の整備ということが、やはり大会後の後利用を図る上では極めて大事だというふうに思っております。
 実際、戸田のボートコースに行きましたら、まさに艇庫に入り切らないボートが外にしまわれておられて、これは各競技の皆様から、そういう艇庫等の数の不足というものについてさまざまお話も伺ってまいりました。
 また、合宿所についても、これはある幾つかの大学や、それから競技の皆様から、ぜひ、もしそういった海の森水上競技場になれば、我々も前向きに検討したい旨のお話もいただいてまいりました。
 そういったさまざまなお話の中で、ぜひ大会後に、今、仮設レベルスマート案というものがどうなっていくのかということについて、極めて私は大事だというふうに思っております。その大会後の後利用にしっかりつながるような、少なくともそういった仮設の案にしていただきたいと、このように思っております。
 ぜひ大会後の後利用を、これは収支も踏まえてでありますけれども、これまで本委員会でも再三申し上げてまいりました。あの競技会場だけではなかなか収支をうまく均衡させるというのは極めて難しい。そういった意味で、面的な整備を図る中で行っていくことが大事だということも何度も申し上げてまいりましたし、交通網の課題についても申し上げてまいりました。ぜひ一九六四年大会に続く、二〇二〇年大会のすばらしいレガシーとなることを強く求めておきたいと思います。
 次に、アクアティクスセンターについてお伺いをしたいと思います。
 このアクアティクスセンターの検討案についても、これまで各委員の皆様からさまざま質疑がされてまいりましたので、私からは一点だけお伺いをしたいと思います。
 これまでの現行案と比較をしまして、一万五千席で新築し減築をしないという現計画地案と東京辰巳国際水泳場近接案、二案が示されておりますが、この二案は、現行案と比して、それぞれどのような影響が生じるのか、これについても確認をさせていただきたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 一万五千席で新築し減築をしない場合、規模の縮小や減築工事の取りやめにより、工事費の縮減が可能になると考えております。
 一方、大会後、五千席に減築する現在の計画に比べ、延べ床面積や容積が大きくなるため、維持管理費などのランニングコストは、年間で約一億円ふえると見込んでおります。
 また、敷地を辰巳水泳場の近くに移す案では、さらに詳細な地盤調査が追加となること、代替となる公園を整備する必要があること、埋設物が発見された場合の対応など、さまざまな課題も加わってまいります。
 このほか、計画変更によりまして、事業者との契約やスケジュールの影響、設計、工事費などの増額も考えられます。
 こうしたことから、今回の提案につきましては、メリット、デメリット、また、実現に向けた課題を十分に踏まえた上で、総合的に判断する必要があると認識しております。

○小山委員 今のそれぞれ二案の中で、それぞれメリット、デメリットはあるんだと思うんですが、その東京辰巳国際水泳場の近接案でありますが、これ、本当に移転を考えている場所、まさに隣接をしていて、果たしてこれを移すことで本当に根本的な、最初に意図した、企図したようなことにつながるのかどうか、甚だ疑問でもございます。
 また、私どもも現場に伺わせていただきましたけれども、既に現場の土地整備は極めて進んでおりまして、こういったことから考えて、よくよくぜひご検討の上、都としても、やはりきちっと四者協議にでも意見を付していただきたいというふうに思います。
 日本の水泳競技は、これまでも輝かしい歴史と多くの人々に夢と感動を与えてまいりました。ぜひそういった日本の水泳競技の拠点施設となるよう、都としても引き続き、先ほども申し上げましたように取り組んでいただくよう、お願いをしておきたいと思います。
 次に、有明アリーナについてお伺いをさせていただきます。
 こちらについても、さまざまお話が既にありました。この有明アリーナの検討案の二案についてでありますけれども、これも改めての確認で恐縮でありますが、現行案から変更した場合の影響、こちらについてもお伺いをしておきたいと思います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 横浜アリーナをバレーボール会場として活用する場合、施設整備に要するコストは限定的になりますが、一方、都外の既存施設であることから、都民にとりまして、大会後、将来にわたりスポーツやコンサート、イベントなど、幅広く利用できる大会とレガシーとして残らないことや、観客や大会関係者の輸送やアクセスの課題も生じます。さらに、有明アリーナの新設を取りやめる場合の契約の取り扱いなどの課題もございます。
 有明アリーナの新設の案につきましては、現在進めております実施設計の中で、軟弱地盤対策工法等の建築工事の見直しに加え、工事中のセキュリティー対応費や追加工事への対応費の精査などにより、全体で三十億円程度のコスト縮減が可能となるよう検討しているところでございます。
 大会後、都民に幅広く利用されるレガシーを、より少ないコストで効果的に整備できるよう、今後とも、さらなるコスト縮減の可能性を検討してまいります。

○小山委員 今、まさに最後にご答弁いただいたところに尽きるんだと思います。大会後に、都民に幅広く利用されるレガシーを、より少ないコストで効果的に整備できるよう努めていくということであります。ぜひこの点が極めてやはり大事だというふうに思いますので、全ての案についても、そういった視点で臨んでいただきたいと思います。
 ただ、私、大変危惧をするのが、今のご答弁の案の中の一つにあります横浜アリーナの活用案でございまして、これが、もし万が一にでも横浜アリーナを活用する場合、都外開催となった場合でありますけれども、都外開催となった場合の費用分担、このことがどうなっていくのかについて、これは確認をしておかなければならないと思います。その点についてお伺いをしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 東京都外となります会場につきましては、大会準備全般にわたります都、組織委員会、国の三者による協議を踏まえまして、国、都、組織委員会、会場が所在する自治体で構成されます関係自治体等連絡協議会などの場におきまして協議していくこととなります。

○小山委員 今、ご答弁がありましたけれども、これは大変懸念をいたしております。都外開催になった場合、万が一、都から、都民の血税が都外開催時に使われるということになれば、これはやはり都民益を考えたときに、私たち議会としても相当厳しく慎重にならなければならないと考えておりますし、その点について、十分まだ協議ができていない段階でこの都外開催のことが議論されるということ自体、私は極めて心外であります。ぜひこの点については十分協議の上、そういったことについて、都として厳しく臨んでいただきたいと思います。
 そして、もう一点、有明アリーナについてでありますけれども、私はこれまでの委員会の説明、あるいは質疑の中で、有明アリーナについては、大会後において、良好な収支が期待できる施設ではないかと伺っておりましたし、そういった考えでおりました。
 そこで、改めてここでお伺いしておきますが、この有明アリーナ、大会後の後利用として、収支の計算をどのように見込んでいたのかお伺いをしておきたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 有明アリーナは、一万五千席の規模を生かしまして、国内外の主要な競技大会の会場として活用いたしますとともに、コンサート等の文化イベントを開催し、魅力的なエンターテインメントを提供することにより、東京の新たなスポーツ、文化の拠点にしてまいります。
 スポーツにつきましては、メーンアリーナで一定期間スポーツ利用を優先するスポーツ床期間を設定いたしまして、スポーツ大会の開催等によるスポーツレガシーを残してまいります。
 また、コンサートプロモーターへのヒアリング調査を行った結果、有明アリーナでは、コンサートの大きな需要が見込めるとの見解を得ております。
 こうした意見も踏まえまして、スポーツとコンサート等のバランスを適切に図りながら、施設を有効に活用していくこととしておりまして、現時点での試算では、コンサートの開催頻度に応じまして、九千万円から二億五千万円程度の黒字を見込んでございます。

○小山委員 ただいまのご答弁の中で、もちろんスポーツ利用や、あるいはイベント利用のバランスということは考えていかれることになろうかと思いますが、コンサートなどのイベントの利用ということを通じて、その頻度に応じてでありましょうが、九千万円から二億五千万円程度の黒字を見込んでいるということであります。
 やはり大会後の後利用ということについては、極めて収支ということが大事だと思いますし、かつての委員会でも何度も申し上げましたが、ロンドン大会で視察にお伺いした際、ロンドンの各会場においては、必ず大会後の収支の見込み、そして、それを十分試算した上で施設整備計画に当たられたということでありますので、ぜひこの点も十分留意をしていただいて、四者協議にも上げていただきたいと、このように思っております。
 そこで、今回の見直しを初め、今後の施設整備に当たっては、不断の改革改善として、経費の縮減はもちろんのことでありますが、大会後の後利用におけます施設の収支を初めとした持続可能性、これはサステーナビリティー、そして、大会後のレガシーとして、都民や都に何を残せるかを十分検討した上で施設を整備していくべきと考えておりますが、局長の見解をお伺いしたいと思います。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 新たに整備いたします競技施設は、大会後も多くの都民に利用されてこそ意味があるものだと考えております。
 都はこれまで、外部有識者、競技団体、地元自治体、民間事業者など、幅広く意見を聞きながら後利用の検討を行ってまいりました。
 こうした後利用の検討を設計に反映させ、都民に有効活用される施設となるよう整備を進めていくことこそが大会後のレガシーを重視することとなりまして、そして、その上で、可能な限り整備コストの縮減にも取り組んでいかなければならないと思っております。
 大会後も維持管理コストの縮減に努めまして、施設を効率的、安定的に運営していくことにより、将来にわたり多くの都民に利用され、かつ親しまれる施設としていくよう努力してまいります。

○小山委員 まさに今、局長からご答弁いただきましたとおり、実際に施設が整備をされて、都民のため、そして都民益につながる二〇二〇年大会のレガシーをぜひ生み出していただきたいと思います。
 東京都はこれまで、大会の施設整備に当たって何度も見直しをかけてまいりましたし、私はその都度、さまざまな視点から議会や特別委員会の場でも指摘をし、そして改善についても都として取り組まれてきたものと思っております。
 ぜひ、その先を今回行くわけでありますけれども、これについては先ほど申し上げたようなことに十分留意をして、そして、これからは都だけではなくて、四者協議という場で結論を見出していくということでありますから、そこに都として、これまでやってきたことも十分意見を付して、最終的に都益につながるような結論を導き出していただくよう強く求めまして、質疑を終わらせていただきます。

○石川委員 質問に入ります前に、基本的な時代認識をまず申し上げておきたいと思います。
 我が国経済は、失われた二十年や二十五年などともいわれてきましたが、一九八五年から九〇年にかけての土地バブル、株バブルの生成と崩壊の後遺症によって、長期間デフレに悩まされてきました。
 そして、人口の高齢化、労働人口の減少、納税者の減少、少子化、未婚化、一人世帯の増大、限界集落の出現、医療費、介護費用、セーフティーネットの整備にかかわる予算の増大、地球環境問題など、多くの課題をこの間解決できずに来たわけであります。
 また、二〇一一年の東日本大震災の被害と原子力発電所の事故は甚大で、長期にわたる復興の努力が求められ、国全体が厚く、暗く、重い雲に覆われていたといっても過言ではない状況だったわけであります。
 しかし、二〇一三年九月、オリンピック・パラリンピック東京大会が二〇二〇年に決定したことで、都民、国民のマインドを大きく変えることになったわけであります。
 私自身、本委員会で次のとおり述べております。
 東京オリンピック・パラリンピックの二〇二〇年大会の決定は、各方面に多くの期待と夢をもたらすことができたといえると思います、オリンピック・パラリンピックを契機に、社会がよくなることへの期待は高く、元気に二〇二〇年東京五輪を迎えるという目標ができたと語る高齢者も多いわけであります、政府も、二〇二〇年、さらにはその先を見据えた政策立案に動き始めており、リーマンショックや東日本大震災への対応など守りの姿勢から、二〇一三年に入り、海外展開、MアンドA、事業再編、新事業の展開など攻めの姿勢が随所に見えてきたわけであります、政府の成長戦略とオリンピック・パラリンピックに合わせた、二〇二〇年をターゲットにした計画を策定する動きも見られるというふうに述べてきたわけであります。
 そしてまた、二〇一三年はアベノミクスがスタートした年であり、円安、株高が、もやもやした雲を吹き飛ばすような勢いで我が国経済を牽引してくれる期待を持たせてくれた時期ともいえるわけであります。
 しかし、三年が経過し、我が国経済も、中国経済の失速や原油安も影響しているとはいえ、日銀による金融緩和策と財政出動を中心とする政策に頼るだけでは、インフレターゲットの達成もかなり厳しいものとなっております。
 また、国、地方を合わせて借金は一千兆円を超え、さらに毎年ふえ続けており、日銀が国債を買い支えることができなくなったときに何が起こるのか、予想もつかない状況を迎えつつあります。
 また、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催年をピークに、東京もいよいよ人口減少社会に突入し、二〇二五年問題といわれております団塊の世代が後期高齢者入りする日も刻々と近づいております。
 先ほど述べた医療、介護、福祉等の扶助費がふえ続けていく時代に既に突入しており、これをどう支えていくのか答えは出せておりません。必要な扶助費を確保するために消費税の税率を上げることも、二〇一七年の消費税の税率引き上げを見送ったことからすると、容易に税負担を都民、国民に求めることは困難なわけであります。
 東京都は、ここ数年、税収が伸びておりますが、だからといって将来への不安を解消することはできず、むしろ今から介護施設の整備などの超高齢化対策や、喫緊の課題である子育て支援策などに備えていくことも、今まで以上に求められているわけであります。
 五輪誘致決定後三年が経過し、将来を展望したとき、二〇一三年当時の希望や夢は急速に変化をしてきていることが、オリンピックに対するアンケート調査の結果などからもわかるわけであります。都民意識も大きく変化しつつあり、オリンピック・パラリンピックに向ける視線もより厳しいものになりつつあります。五輪の成功は望むが、少しでも切り詰められる支出は切り詰め、将来の支出に備えてほしいというものだろうと思うわけであります。
 ですから、今回、都政改革本部から出された見直し案は、既に着工している施設もあり、まさにぎりぎりでの選択肢の拡大といえるわけですが、既に述べたようなことから、オリンピック・パラリンピックの全体経費のあり方を、大会終了後の維持管理、事業の運営も視野に入れて見直しが必要であるということで理解をするものであります。
 そこで伺います。
 三つの新規恒久施設の見直しは、都政改革本部、オリンピック・パラリンピック調査チームの新規恒久施設の整備に関する報告に基づき、都として、各施設の見直しを検討するということになったと報告があったわけであります。ここでいう都としては、オール東京都ということでよいのか確認をさせていただきます。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長 先ほどもご答弁させていただきましたとおり、今回ご報告をしました三施設の検討案は、十一月一日の第三回都政改革本部会議におきまして調査チームからの報告を受け、知事より複数案で議論を重ねるとの指示があったことから、報告された複数案を東京都の案として検討することとなったものでございます。

○石川委員 今回の三施設について、都からの提案を絞ることなく、複数案を四者協議の場に提起をしているわけであります。
 しかし、一方では、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技会場の見直しをめぐり、ボート、カヌースプリント会場の変更先に浮上している宮城県長沼ボート場について、東京都が整備が五輪に間に合わない可能性が高いとの検証結果をまとめたことがわかったという報道があったわけですが、オール東京都として責任を持って、ボート、カヌー会場については、先ほどの答弁で三施設案を提案したことを改めて確認をさせていただきました。
 次に、仮設施設について伺います。
 施設の国と都の負担のあり方については、仮設施設は国の負担でつくるということになっているわけであります。海の森水上競技場を仮設レベルの施設として整備するという提案がありますが、この場合の費用負担は、組織委員会を想定しているのか、都を想定しているのか、どちらなのかお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 海の森水上競技場の検討案の一つでございます仮設レベルスマート案は、恒設の建物につきまして、供用期間が短く、簡素な仕様に変更することなどによりまして、整備費の縮減を図るという考え方でございます。
 この場合も、現行計画と同様、恒設の施設として都の負担により整備するものと想定してございます。

○石川委員 現行計画と同様であることが確認できました。
 次に、新設の施設をつくることになっている競技団体は、予算に関係なく、青天井でベストの施設を求める傾向があることは確かなわけであります。しかし、他の競技やイベントへの汎用性に乏しい競技施設は、特に負のレガシーとならないようにするための努力と一定の責任を競技団体に負っていただくことも重要かと思います。
 海の森水上競技場の五輪終了後の活用について、競技団体も参加して一定の責任を果たすことについて、どのように考えているのかお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 大会後の施設の有効活用を図る上で、水上競技について知識やノウハウを有する国内競技団体と連携していくことは重要なことと考えております。
 海の森水上競技場では、競技団体の意向を踏まえ、大会後、年間三十大会を開催し、年間五十一回の強化合宿を実施する計画となっており、競技団体は、こうした取り組みの主催者等として、大会後の活用に一定の役割を果たしていただくことを想定してございます。
 そのほか、都民の水上スポーツ体験等においても競技団体に主体的な役割を担ってもらうなど、来場者をふやし、収益確保につなげていく方策についても、今後さらに検討してまいります。

○石川委員 レガシーとして建設された施設をレガシーとして維持していくためには、当然運営費がかかるわけであります。そのランニングコストを賄っていくためには、少なくとも海の森水上競技場の主たる利用者となる競技団体、ボート協会やカヌー連盟等々は施設運営へ積極的に参画をしていただき、答弁にあった大きな収益の見込める国際大会、国内大会の誘致はもちろんのこと、首都圏のボート、カヌーチームの新たな拠点としても活用していただけるような努力を求めておきたいと思います。
 また、一般都民が家族で楽しめる水上レクリエーションの拠点としても活用していただけることや、アスリートが競技会や日常の練習の場とするなど、多角的に運営ができることが求められます。
 レガシーであり続けるためのランニングコストと運営の収支予想を都として厳密に精査していただきたいと思っております。そのことが、このエリア全体の活性化につなげていく道となるわけであります。
 ただ、海の森水上競技場は、海水面利用ということで、ボートやカヌー等の維持のためにはふさわしくないという選手もいるという報道もあったわけでありますけれども、どのように都として捉えているのか伺います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 ボート、カヌースプリント競技会場が海水であることにつきましては、国際競技団体より特段問題がないとの見解を得ており、トップアスリートの中にも、日ごろから海水域で練習を行っている方もいらっしゃると伺っております。
 海の森水上競技場整備に当たりましては、競技や練習後にボートを水で洗い流すことが通例であることから、この場所におきましても、ボートを水で洗い流すための洗い場を設置する予定でございます。

○石川委員 今、答弁にありましたように、海の森競技場の問題点として、まさに海水、塩分のことがいわれているわけであります。塩分は、金属類を容易にさびさせ、腐食をさせてしまいます。八人用のボートは一そう七百万円前後、一人用のボートでも一そう百五十万円前後の値段がして、海水の塩分の持つ腐食性には極めて弱いと聞いております。
 海水であることで、競技会場や練習場としての利便性に課題があるという指摘もされているわけでありますけれども、こうした一部のアスリートの疑念を払拭できる対策と説明を今後ぜひお願いを申し上げたいと思います。
 海の森は、かつて埋め立てが行われていた場所ですが、オリンピック会場に生まれ変わるということになった場合、水上スポーツのみならず、環境の大切さを伝える施設にしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 仮称海の森公園は、植樹が進み、緑豊かな公園に生まれ変わろうとしております。
 海の森水上競技場は、この仮称海の森公園と一体的に活用していくこととしておりまして、歩行者や自転車の動線の連続性の確保や、飲食、宿泊施設の相互利用などを進め、一帯を水と緑に囲まれた都民のスポーツと憩いの場としてまいります。
 また、持続可能な社会の実践例として、施設を子供たちの環境学習でも活用するなど、環境の大切さを次の世代に伝える場ともしてまいります。

○石川委員 私も現地に行かせてもらいましたけれども、現状では工事用車両がほとんどで、自家用車で行く以外に足はないわけであります。
 交通アクセスに課題があるわけでございますけれども、どのように解決をするのかお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 海の森水上競技場につきましては、中央防波堤外側と接続する臨港道路南北線の開通により利便性の向上が期待されることから、車での来場を想定した駐車場を整備してまいります。
 また、東京テレポート駅や新木場駅からのバス路線の整備を検討するなど、関係各局や交通事業者と連携して、交通アクセスの改善に向けた取り組みを進めてまいります。

○石川委員 バス路線の開通などは、平日でも日常的に人が集まるエリアとしていかなければならないわけであります。過大な見積もりをすれば、交通事業者が負担をかぶるということになるわけで、堅実な積み上げが求められることを指摘しておきたいと思います。
 最後に、アクアティクスセンターの二万席を一万五千席に減らして五輪を開催することに問題がないのかどうかお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 IOCの基準では、オリンピックの競泳の観客席数は一万二千席となっておりますが、立候補ファイルでは、過去大会の実績や国内での水泳の人気を勘案いたしまして、二万席として準備を進めてきております。
 今般、さらに一層のコストダウンを図るべきとの調査チームの報告を踏まえまして、一万五千席の案を検討することとなっております。
 主要オリンピック会場の収容力、位置、構造等について立候補ファイルから変更する場合、IFなど関係者の理解を得てIOCの承認を得れば、変更することは可能でございます。
 なお、リオ大会におきましても、競泳の会場は、立候補ファイルの一万八千席から、大会時は約一万五千席に変更されております。

○石川委員 席を減らすことのデメリットは、チケット収入の減や観客席での観戦者が減ることが考えられますが、警備や交通アクセスも容易になり、混雑も緩和できるというメリットもあるわけでございます。リオデジャネイロ大会でも席を減らしているということで、IFの理解も得られやすいといえるわけであります。
 席を減らすことで、後の改修等の負担がなくなり、レガシーとしての運営が容易になるということもあり、その方向の選択は積極的になさるべきと思っております。
 今回、都政改革本部、オリ・パラ調査チームからのレポートは、先ほどの三会場の整備予算の見直し金額を提示しています。それによりますと、二〇一四年のアジェンダ二〇二〇発表後の見直し額として、海の森水上競技場について、都の提示は五百十九億円でしたが、二〇一六年、直近の見直し案では三百三十億円と百八十九億円縮小され、オリンピックアクアティクスセンターについては、六百八十三億円から、二〇一六年、直近の見直し案では五百三十億円と百五十三億円縮小、有明アリーナについては、四百四億円から、二〇一六年、直近の見直し案で三百七十億円と三十四億円の削減を見込んでおり、三会場だけを見直しても、現時点で合計三百七十六億円の削減の可能性を数字として挙げて、報道もされているわけであります。
 新国立競技場計画の建設費も一千三百億円から始まり、予算額はどんどんと拡大し、最終的に、大会終了後に屋根をつけるというようなことになると、三千億円を超えるという試算までかつて出されたわけであります。最終的には、安倍総理の決断で白紙撤回となり、再検討後、千六百四十五億円ということに至った経緯もあったわけであります。
 東京大会以降の二〇二四年の招致では、住民の反対や財政状況などから、ハンブルク、ボストン、ローマといった名立たる国際都市が招致から撤退する事態となったことは、今後の五輪大会の開催に当たって、二〇二〇東京大会がいかに五輪の将来にとって大きな役割を担っているかという証左であります。
 今回の三会場の見直しについて、決定までに時間がないこと、特に競技団体からの意見聴取等も限られたのは、万やむを得ないことと理解をいたします。
 いずれにしろ、二兆円とも三兆円ともいわれる開催のための全体費用を削減していく努力が求められます。収入は五千億円という限界がある以上、不足分は将来世代が活用できる公的財源を使うということになるわけでありますから、経費を下げる不断の努力が求められるわけであります。
 今後、都、IOC、組織委員会、政府の四者の協議で決定されることになるわけでありますけれども、都の意向が少しでも反映されることを願って質問を終わります。

○山内委員 私からも質問をさせていただきたいと思います。
   〔委員長退席、吉原副委員長着席〕
 これまで本委員会で、諮問会議やアドバイザリー会議などの結果を踏まえながら、三施設について、施設整備、後利用の施設運営計画等を伺いながら質疑をしてまいりました。
 改めて海の森水上競技場、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナの三施設について、これまで開催された諮問会議の結果がどのように反映されているのかお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 都が整備いたします競技施設の設計に対するチェック体制を強化、充実させ、設計内容の妥当性を確保することを目的に、外部有識者七人の委員で構成する都立競技施設整備に関する諮問会議を平成二十七年に設置いたしました。
 先行三施設につきましては、二回の諮問会議に付議し、設計内容、性能、仕様、コスト等につきましてご確認いただきました。
 例えば、アクアティクスセンターにつきましては、入退場のためのアプローチの追加による利便性や安全性の向上、有明アリーナにつきましては、隣接する公園との連続性の確保、海の森水上競技場につきましては、締め切り堤の構造形式などにつきまして設計に反映してまいりました。

○山内委員 後利用については、アドバイザリー会議の結果はどのように反映されているのかお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 アドバイザリー会議での議論は、本年五月に公表いたしました施設運営計画中間のまとめに十分に反映しておりまして、その例として、オリンピックアクアティクスセンターにつきましては、国際、国内競技大会の会場とするとともに、子供から高齢者まで広く楽しめる水泳場としていくこと、海の森水上競技場につきましては、隣接する仮称海の森公園など周辺施設と連携し、臨海部の新たなにぎわいの場、憩いの場としていくこと、有明アリーナにつきましては、質の高いスポーツ観戦機会を提供するとともに、コンサート等の魅力的なエンターテインメントを提供していくことなどが挙げられます。

○山内委員 調査報告書バージョン〇・九の都の施設建設の全体についての見直しの考え方の中に、省エネ設備、デザイン等で過剰コストが発生していないかという指摘がございました。生活者ネットワークは、省エネ、再生可能エネルギーを進めていくべきだと考えております。
 そこで、この省エネ対策による過剰コストの発生という指摘に対して、どのような見解を持っているのかお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 今回の三つの施設では、二〇二〇年大会の会場にふさわしい環境に配慮した施設となるよう、これまで計画を検討してまいりました。
 このうち、大規模な建築物であるアクアティクスセンターと有明アリーナにつきましては、環境への配慮としまして、地中熱利用のヒートポンプ、コージェネレーションシステムなど、再生可能エネルギー、省エネルギー技術を積極的に導入することを目指してまいりました。
 ご指摘の記述でございますが、調査チームが九月二十九日に公表しました最初の調査報告書におきまして、施設建設計画の見直しの際の着眼点の一つとして挙げられたものと認識しております。
 その後、施設における省エネ設備につきまして、その効果と整備に要するコストを精査するなど、詳細な検討を行い、現在、導入に向けた設計を進めているところでございます。

○山内委員 ぜひこれは進めていっていただきたいというふうに思います。
 これまでのような、オリンピックはお金がかかる、仕方がないという発想は都民の理解を得られません。大会後の後利用も含めて、シンプルに、将来の負担にならないように、身の丈に合った大会にするように求められています。
 二〇一四年九月、会場計画の再検討の際にも、近隣県を含めた既存施設の活用を他県と連携しながら試算し、新設の費用との比較検討をする発想の転換を求めてまいりました。しかし、他の既存施設を利活用した場合の費用の比較や、整備費の変遷した建設コストの内訳、ランニングコストなどは、数字は都から情報としては出されてきませんでした。
 特に海の森水上競技場は、招致のときの六十九億円から、再試算で千三十八億円、その後の見直しで四百九十一億円と異常なほど整備費が変わったにもかかわらず、詳細な情報は公開されてまいりませんでした。
   〔吉原副委員長退席、委員長着席〕
 海の森水上競技場は、これまで整備費の試算がどうして大きく上下したのか、内訳がよくわからなかったと思います。もっと情報公開をすべきだったのではないでしょうか、お伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 これまでの当委員会におきましても、施設整備費の見込みにつきまして、立候補ファイル、平成二十六年度の再検討前、再検討後の段階ごとに内訳を示した資料を提出し、整備費の増減理由などにつきましてもご説明してまいりました。
 なお、説明当時は工事発注前でございましたことから、適正な入札に支障を及ぼすおそれがございましたために、詳細な施設の内訳につきましては公表を差し控えておりました。

○山内委員 収支についてお伺いしたいと思います。
 今回、海の森水上競技場の収支が明らかになりましたが、改めてお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 海の森水上競技場の収支のうち、収入は、類似施設の利用料などを参考に、合宿等での宿泊料やイベント運営収入を初めとして、合計一億二千七百万円を計上してございます。
 支出は、光熱水費、業務委託料など施設の維持管理費三億二千五百万円を計上してございます。
 この結果、現時点での試算では、収支は二億円程度のマイナスとなる見込みとなってございますが、今後、収支改善策についてさらに検討してまいります。

○山内委員 報告書七ページの恒久施設の必要性について、調査チームの欄では、アスリートインタビューや東京新聞の記事をもとに記載されております。
 オリンピック・パラリンピック準備局と調査チームでの後利用に関するヒアリング対象の相違についてお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 十一月一日付の調査チームの報告書では、海の森水上競技場の恒久施設としての必要性につきまして、アスリートインタビューや新聞の情報をもとに記述をされております。
 一方、当局におきましては、外部有識者等で構成するアドバイザリー会議やアスリートを統括する競技団体、施設運営の経験を有する事業者などから幅広く意見を聞きながら後利用の検討を進めてまいりました。

○山内委員 なぜアスリートやチームからヒアリングを行わないのかお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 幅広くアスリートの声を集約しておりまして、国内の競技を統括する団体であります日本ボート協会、日本カヌー連盟に詳細なヒアリングを行い、後利用の検討を進めてきたところでございます。

○山内委員 では、次に、アクアティクスセンターについてお伺いいたします。
 検討案三案の課題や実現可能性、これまで検討してこなかった理由についてお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 今回の提案は、いずれも規模の縮小や減築取りやめによる整備費の縮減、減築工事に伴う施設の休業期間がなくなるなどのメリットがある一方で、計画変更により、事業者との契約やスケジュールの影響、設計、工事費などの増額も考えられます。
 また、敷地を辰巳水泳場の近くに移す案では、さらに詳細な地盤調査が追加となること、代替となる公園を整備する必要があること、埋設物が発見された場合の対応など、さまざまな課題も加わってまいります。
 こうしたことから、今回の提案につきましては、メリット、デメリット、また実現に向けた課題を十分に踏まえた上で総合的に判断する必要があると認識しております。
 なお、今回の見直しにつきましては、知事の指示のもと、アスリートファースト、レガシー、ワイズスペンディングなどの視点から会場のあり方を検証し、三つの案を取りまとめたものでございます。

○山内委員 当初、二万席とし、減築していたと思うんですが、その理由をお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 大会時の観客席数でございますが、水泳はオリンピックの主要な競技であり、北京では一万七千席、ロンドンでは一万七千五百席の観客席を用意しております。また、日本ではメダルも期待される人気競技でございまして、多くの観客が見込めることから二万席といたしました。
 一方、これまでの国内、国際大会での観客数の実績や辰巳水泳場の利用状況、維持管理費等のランニングコストの縮減を図る観点から、大会後には適切な規模にする必要がございます。
 このため、大会時は二万席の規模で建築し、大会後は不要な部分を撤去する減築という手法を採用したものでございます。

○山内委員 一万五千席、二万席のランニングコストが大きくなる理由について教えてください。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 オリンピックアクアティクスセンターの収支見込みにつきましては、三パターンの試算を行い、五千席に減築をする案は約六億円、一万五千席で減築しない案は約六億九千万円、二万席で減築しない案は約八億五千万円のそれぞれマイナスとなってございます。
 一万五千席、二万席の案は、いずれも減築を行わない場合でございまして、減築を行う場合に比較して、建物の容積や延べ床面積が大きくなるため、光熱水費や清掃業務などの委託費等のランニングコストが増加しているものでございます。

○山内委員 先ほど減築を取りやめと、いとも簡単にご答弁いただきましたけれども、五千席への減築というのは、ランニングコスト、つまり日常の維持管理費及び大規模修繕費等を低減するために、都が建物規模の最適化として、これまでずっと主張してきたことだったと思います。これが十一月一日の調査チームの案の中には入っていません。局は納得したのでしょうか。私は、これは説明を求めるべきだと思っています。経緯や理由等について、私は、調査チームに直接伺った上で議論をしていくことが重要だと考えております。
 最後に、有明アリーナについてお伺いしたいと思います。
 バレーボール会場に関する検討案二案の課題や実現可能性についてお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 有明アリーナの新設案につきましては、新たな施設を建設するためのコストが必要でございますが、現在、できる限りのコストの縮減を図るよう検討しているところでございます。
 一方、横浜アリーナの活用案につきましては、既存施設を活用することになることから、運営の可否について検討することが求められ、ウオームアップエリアや仮設施設用地の必要な面積の確保など、競技面や運営面で課題があると認識しております。
 今回の検討案を踏まえまして、組織委員会、横浜市などで意見交換を行ったところでございますが、今後、IFなどから示される課題なども踏まえまして、活用の可否が適切に判断されるものと考えております。

○山内委員 これまで都は、諮問会議、アドバイザリー会議等を通じて見直しを重ね、さらに今回、調査チームから知事の提言があったわけですが、いろいろ検討しても、後利用のランニングコストで、海の森水上競技場では年間二億円が赤字となります。アクアティクスセンターでは、減築しない場合には、毎年約七億円から九億円の赤字が出ることになります。本当にオリンピックはお金がかかるものだとつくづく思いました。
 調査チームの提言から、他県の施設の利活用も含め、今後、四者で検討することとなるでしょうけれども、本来なら、都民にとっても、アスリートにとっても負担にならない大会にするには、調査チームの提言を都議会とともに議論することが必要だったと思います。
 調査チームの三施設の提言について詳しく内容を伺いたくても、準備局では答えられないのは当然であり、質疑も不消化だったと思います。
 そして、本来なら個々の施設整備費用、後利用の検討だけでなく、大会の総費用がどのぐらいに上るのか、役割分担をどうするのか、費用負担はどうするのか、九月二十九日の調査報告書バージョン〇・九、十月のバッハ会長と面会した際のトゥデーズアジェンダ、十一月一日の新規恒久施設についてなど、直接提案内容を伺い、全体を見据えた上で、今回の三施設についても議論していくことが必要だったのではないでしょうか。
 知事や調査チームを参考人招致して、直接議論することが本当の情報共有であり、情報公開にもなり、都民の信頼に応えることになると申し上げて、私の質問を終わります。

○おときた委員 私からも施設の見直し、そして調査チームの提案についてご質問させていただきます。重複質問はばっさりとカットしていきますので、五問ほどになりますが、簡潔にいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 施設の見直しについては、コストカットを中心とした複数案が提示されております。こうしたものがなぜ今までできてこなかったのかということについて、多くの都民は懸念を抱いています。都や五輪組織委員会に対する信頼は揺らいでおり、大会の成功と都民負担の最小化を目指す観点から幾つか確認をさせていただきます。
 まずは、海の森水上競技場についてです。
 今回の見直しの提案で、四百九十一億円から三百二十八億円にダウンをしておりますが、具体的にはどのような部分がコストカットされたのかという点につきましては、他の委員からもご質問がありまして、追加工事等が生じた場合の対応費や、あるいは舗装や植栽の取りやめ、そして仮設レベルに建物をダウンサイジングすることなどにより、縮減の可能性があるとのご答弁でした。
 私がやはり気になっているのも、大幅にカットされた追加工事が生じた場合の対応費についてです。こちらがカットできるのであれば、そもそも必要なものであったのか、もし今回の見直しの提案というのが調査チームから出なければ、どのような扱いになったのか、こういったことについては、区民の方からも疑念の声が多く寄せられています。
 この対応費が削減できる理由につきましても、先ほどご答弁がありまして、設計施工一括発注方式で契約した受注者が、施工を視野に入れた実施設計に取り組んだことによって対応ができる見通しというご回答がありました。
 では、仮に海の森がこのコストカットの提案で進んで建設がされていった場合、都民の不安の一つは、この金額が再び上がることはないのかという点でございます。追加工事の対応費というのを取り下げた以上、受注者側も含めてこれ以上の追加は発生しないと、そういったきっちりとした判断をしたという認識でよろしいのでしょうか。
 つまり、この金額から上がることはないと捉えていいのか、この点についての所見はもう一度お伺いしたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 整備費は、現在協議中の施設の整備費や工事中のセキュリティー経費も含め、現時点で想定される整備について必要な経費を見積もったものでございます。
 将来、想定外の状況変化が生じた場合、整備費が変化する可能性はございますが、現時点では想定してございません。
 今後、整備に当たりましては、引き続き適切にコスト管理を行ってまいります。

○おときた委員 既に現時点では、机上の算出論ではなくて、実際に受注者が実施設計に入った状態での算出になりますから、この数字には発注者側の都のみならず、受注者側の方にも一定の責任を持って正確な数字を出してきたものと私は認識しております。
 仮に、この海の森建設案が採用された場合は、今の金額から一円たりとも金額が上振れしないよう、そして、さらなるコストカットに努められていただけるように強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
 続いて、海の森、こちらは恒久施設として建設する場合、その後、適切な運営、コスト管理を行わなければいけないことは論をまちません。
 調査チームによる提言では、こちら、年間三十五万人の来場者という計画を立てておりまして、これに対しては、いささか難しいのではないかとの懸念も示されており、私自身も、決して日本ではメジャーとはいえないマリンスポーツで、この数値を達成するということに関しましては、いささか疑念を持っております。
 競技団体からのヒアリングを重ねた結果であるということは承知をしておりますが、屋外イベントで、チケット販売などで正確な数字をとれないイベントになりますと、主催者発表というものと警察発表に十倍以上もの開きがあるというような例も散見されるように、どうしても主催者側というのは、来場者を多く見積もってしまう傾向にあります。
 そこで、トライアスロンを一例として確認をさせていただきたいのですが、私自身もトライアスロンを少々たしなんでおりますが、トライアスロンというのは、今、国内大会が五大会、ここで開催されるということになっております。
 ただ、トライアスロンというのは、それぞれの地域の魅力を生かしてコースをつくるということが競技の一つの売りになっておりまして、この大会を一つの地域で集中的に行うということは難しいのではないかと思います。
 そこで、開催数や人数については疑問もありますが、この詳細についてお伺いしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 トライアスロンにつきましては、競技団体の意向を踏まえまして、国内大会を年間五大会開催することを見込んでおります。
 この五大会のうち四大会は新規の大会でございまして、残りの一大会は、既に都内で実施されている大会でございます。
 新規大会は、水泳と長距離走の二種目を行うアクアスロン大会、そして、シニアトライアスロン大会、パラトライアスロン大会、キッズトライアスロン大会の四大会を予定してございます。
 これらの大会による来場者数は、競技団体が過去の類似大会の実績などを参考に積算しておりまして、アクアスロンで五百人、シニアトライアスロン大会で三千人、パラトライアスロン大会で四百人、キッズトライアスロン大会で千人と見込んでございます。
 また、既存の一大会も同様に、過去の実績を参考に三千人と見込んでございます。

○おときた委員 既存の大会を誘致するのではなくて、新規の大会を開催して、それぞれに詳細な計画が立ててあるということが理解できました。
 しかしながら、キッズやパラ、シニアとそれぞれ種類は違うとはいえ、これだけの大会を同会場で開催していますと、やはり同じ場所に何度も足を運ぶ来場者というのは減ってきますから、計画どおりの成功をおさめるためには大変な努力が要ると思われます。
 恒久施設として海の森を建設した場合、今後は協議団体にも何らかの形で責任と運営の
一端を担っていただき、計画の目標達成に向けて、ともに努力をしていくことが重要であると思います。
 調査チームの提案の中にも、建築後の運用について、各競技団体が一定の責任と負担を負うべきであるとする内容があり、こちらを検討する必要があると考えますが、都の所見を伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長 大会後の施設の有効活用を図る上で、競技団体と連携していくことは重要なことと考えております。
 海の森水上競技場では、各競技団体の意向を踏まえ、さまざまな水上競技大会や強化合宿、水上スポーツ体験などを実施する計画となっており、競技団体は、こうした取り組みの主催者等として、大会後の活用に一定の役割を果たしていただくことを想定してございます。
 また、競技団体には、施設利用に当たって適切なコスト負担を求めるとともに、大会の誘致、開催や、ノウハウを生かした都民の水上スポーツ体験の拡充などにより来場者をふやし、収益の増加にも協力していただけますよう、今後さらに連携を強化してまいります。

○おときた委員 恒久施設などのいわゆる箱物施設は、建設費に注目が集まりがちでございますが、実はつくった後の維持費、ランニングコストが非常に重要であります。事後の活用の中で、経済的に健全な運用を行っていくことで、初めてレガシーとして誇ることができる施設ができ上がると思います。
 こちらの会場の決着がどうなるかはまだ未定ではありますが、ボート、カヌー、注目が集まるところばかりでなく、トライアスロンなどなど、競技団体との連携内容につきましては調査チームの提案も含めた内容で、引き続き連携強化の検討をお願いしたいと思います。
 続きまして、アクアティクスセンターについてお伺いをいたします。
 二〇一六年招致の段階から、水泳の会場は二万人という了解のもとで、その後は見直されることなく進んできたものと認識をしております。
 その中で、減築というプランが策定をされましたが、ランニングコストを考えると、減築によって発生したコストを回収するのに三十年以上がかかるということが、今回、調査チームの調査によって明らかにされました。これは、残念ながら、通常の経済観念を持っていればあり得ない計画、プランだと思いますが、どうしてこの減築案というのがまかり通ってきたのか、途中でこれに対して見直しの動きは起こらなかったのか、この点について所見をお伺いいたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 実施設計や施設管理の検討を進めていく中で、建物の形状や設備機器の仕様、スペックも具体的になり、イニシャルコストとランニングコストの比較なども可能となりました。
 こうしたことを含めまして、今回、減築工事のメリット、デメリットなどを総合的に勘案して、減築を取りやめることを提案したものでございます。

○おときた委員 実施設計や施設管理の検討が進む前は、なかなか算出が難しいという事情はわかるんですが、やはり想定とはいえ、ランニングコストの算出を行わずに、結論ありきで二万席という施設をつくろうとしていた体制には疑問を感じざるを得ません。
 これは、五輪に限らず、公共事業にありがちなことではありますが、施設を建設した後の維持費に対して、こちら、余りにも無頓着であったのではないかと思います。
 外部から、調査チームからの指摘があるまで、こうした議論が組織委員会や都で行われてこなかったことは遺憾であり、また、我々議会の調査やチェックも甘かったのかもしれないと、こちらは反省しているところであります。他の施設でも、建設後のランニングコストについては、しっかりと見直していくことを要望したいと思います。
 そして、この一万五千席という数字についてでありますが、調査チームの報告書によると、IF、NFも一万五千人案には前向きな姿勢を示しているといわれています。
 競技団体と密に連絡を取り合ってきたといわれている五輪組織委員会が、こうした意向を、果たしてきちんと把握してきたのかというところにも疑問はあるところでありますが、この施設は、都だけではなく、競技団体なども統括する五輪組織委員会とセッションしながら進めていく必要がございます。
 この一万五千人案に対しては、五輪組織委員会からはどのような感触を得ているのか、こちらの見解を伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 都はこれまで、会場計画再検討に当たりまして、組織委員会と緊密に連携し、IFやIOCと協議を重ねてきております。
 今回のアクアティクスセンターの見直しにつきましても、これまでと同様に、組織委員会と十分に協議し、共通理解を図り、四者協議などの場に臨んでまいります。

○おときた委員 二万人という案を進めてきた五輪組織委員会には、思うところもあるのかもしれませんが、きょうの議論を見ていても、この一万五千席というのに関しては、大きな異論は出ないように感じています。
 経済的合理性などに鑑みて、一万五千席案というものがしっかりと検討が進んでいくことを期待したいと思います。
 最後に、選考過程における情報公開についてお伺いをいたします。
 一連の見直しの流れの中で、そもそもの情報公開が不徹底だったのではないかという疑念がございます。例えば今、長沼なども、かつて五輪組織委員会、東京都の検討で一度は検証されて落選をしたという経緯がありますが、その際の検討資料は公開されず、知事が長沼に行く一週間ほど前だったかと思いますが、私がその際の検討資料を見せてほしいという要望をいたしましたが、結局その資料は出てまいりませんでした。
 最終的には、当時の検討内容を改めてまとめ直した新規の資料が出てきたわけでございますけれども、やはりこれは、当時そのままの資料を開示すべきであったと、そのように考えます。
 こうした情報公開は、どのような考えに基づいて行われてきたのか、所見をお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 平成二十六年度に実施いたしました会場の再検討では、全国七十カ所のボート場から日本ボート協会認定の国際大会の開催が可能なA級コースや、近隣県の比較的に大きな湖を抽出いたしまして、施設整備の実現性や選手村、レガシー等の観点から総合的に評価を行ったものでございます。
 その結果、オリンピック競技の求める要件を満たすためには、いずれの施設におきましても大規模な追加整備が必要となるなど、課題があることが判明いたしました。検討結果には、これら具体的な課題が記されております。
 このようなことから、当時は既存ボート会場への影響を配慮し、施設名称を明らかにすることは差し控えておりました。
 なお、このような会場検討の経緯につきましては、当委員会におきましてもご説明してまいりました。

○おときた委員 影響に配慮して施設名称などを非公開にしていたとのことですが、これは、あくまで五輪のコースとして適格かどうかという判定結果を示しただけでありますので、その影響は限定的であると思います。
 実際に現在、当時の資料ではありませんが、検証結果も公開されましたし、これは遅きに失した対応といわざるを得ません。
 これまでは、なるべく生煮えの情報は外に出さずに、決まったことだけを正確に発信するということが重んじられてきたのだと思います。ですが、情報化が進展し、オープンであることが基本となった社会においては、情報を公開しないというそのこと自体に懸念が持たれかねません。
 また、情報公開を積極的に行うことに対する悪影響は極めて限定的であり、一部の人は困るのかもしれませんが、多くの都民にとっては、検討材料を与えることになり、非常に有益です。
 都民ファーストの観点から、今後の情報公開を徹底していくのはもちろんのこと、今までの情報公開についても改めて見直し、コストを検討する上での材料をふやし、議会や都民に対しても情報提供していくことを求めたいと思います。
 最後に、一言ご意見を申し上げます。
 本日は、調査チームの報告書の内容を中心とした質疑が行われたにもかかわらず、調査チームご本人たちの参考人招致がなかったために、その内容に関しては、極めて不十分なものになってしまっていると感じています。
 特に本日、この場にいない調査チームに対して、発言者以外の委員から強い言葉で不規則発言が何度も発せられたことは極めて遺憾であり、そうであれば、この場に参考人として調査チームを呼ぶべきであったと思いますし、この委員会の権限でそうすることも十分に可能であったはずです。
 改めて、実りのある質疑を行うために、調査チームの早期の参考人招致を求めるとともに、議会、委員会で正々堂々、建設的な議論を行うべきとの意見を申し上げまして、私の発言を終わります。

○まつば委員 私からは、新規恒久施設の見直しについて質問をいたします。
 この新規恒久三施設でございますが、まず、オリンピックとパラリンピックで、それぞれ何の競技会場として使用される予定であったのか伺います。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 まず、海の森水上競技場は、オリンピックではボート及びカヌースプリント、パラリンピックではボート及びカヌーの競技会場となっております。
 オリンピックアクアティクスセンターは、オリンピックでは水泳のうち、競泳、飛び込み、シンクロナイズドスイミング、パラリンピックでは水泳の競技会場となっております。
 有明アリーナは、オリンピックではバレーボール、パラリンピックでは車椅子バスケットボールの競技会場となっております。

○まつば委員 この新規恒久施設の見直しについてというA3の資料がございますが、この中の検討案の中に、パラリンピックの競技会場というのが入っていないというふうに私は思っているわけなんですけれども、今ご答弁の中で、ボート、カヌー競技会場については、パラリンピックもボート、カヌー競技場であると。また、水泳会場については、パラリンピックも水泳会場であるということなので、この中に含まれていますよといった意味であるというふうにも受けとめられますが、最後のバレーボール会場については、パラリンピックは車椅子バスケットボールの競技会場です。これが明記されていないというふうに思うのですが、このパラリンピックの競技会場については、どのような検討になっているのでしょうか。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長 パラリンピックの競技会場は、オリンピックの会場を使用することを原則とするとともに、アスリートファーストの視点はもとより、パラリンピック競技の特性、そして、会場のアクセシビリティーなどを重視して選定に当たってまいりました。こうした点から、まずオリンピック競技会場に関して資料には記載したものでございます。
 今回の見直しにより、オリンピックの会場が変更された場合、同じ会場を使用することとしていたパラリンピック競技につきましては、その競技の特性やアクセシビリティーなどの観点から、会場について改めて検討することとなります。

○まつば委員 今、オリンピックの競技施設が決まってからパラリンピックの施設を検討するというご答弁だったわけでございますが、私は、このオリンピックとパラリンピックの競技会場というのは、あわせて検討するということが重要であるというふうに思っておりまして、大変今の答弁に驚いているところでございます。
 それでは、今まで現行案につきまして、この三施設の現行案ですが、パラリンピックの会場としてどういった点を意識して検討を進められてこられたのか質問いたします。

○小野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 少し丁寧にご答弁させてもらいたいと思いますが、都は、二〇二〇年大会が、障害の有無にかかわらず、誰もが参加しやすい大会となるよう、国や組織委員会とともに協議会を設置し、大会会場等に適用されるバリアフリー基準となるTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの策定を進めてきており、先行三施設を初めとする新規恒久施設につきましては、数値基準の中で最も高いレベルの推奨基準の適用を可能な限り目指すこととしております。
 また、都が整備します恒久施設につきましては、大会後も都民の財産となるよう、より障害のある方の目線となった施設となるよう、アクセシビリティ・ワークショップを開催し、さまざまな障害がある方などから、直接設計へのご意見をいただいております。
 こうしたご意見などを踏まえ、例えば、同伴者と一緒に座ることができる車椅子席をさまざまな場所に配置すること、介助犬使用者が利用できる広目のスペースが確保された席を設置すること、また、車椅子使用者、オストメイト、乳幼児連れ、異性介助者の同伴といった利用者ごとに利用できるトイレを分散して用意することなど、障害のある方が利用しやすい施設となるよう配慮、工夫をしております。

○まつば委員 オリンピック・パラリンピック調査チームという名称からしても、パラリンピックという名称も入っているわけでございます。
 このオリンピック・パラリンピック調査チームは、オリ・パラ準備局がパラリンピックに向けた取り組みをさまざまな視点からやっていらっしゃる、障害がある方も観戦がしやすいような配慮を持つ、そういう施設のことを考えて検討を進めている、そういったことについて承知をされていらっしゃるのかどうか質問いたします。

○小笠原総務局都政改革担当部長 調査チームは、新規恒久三施設の見直しに当たりまして、オリンピック・パラリンピック準備局から、ヒアリングや資料提供を通じて調査を行っております。
 パラリンピックに関しまして調査チームは、オリンピック・パラリンピック準備局からのヒアリングにおいて、資料をもとに、東京二〇二〇パラリンピック競技大会の概要やコンセプト、都が取り組むべき主な事項についての説明を受けておりますとともに、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインについても、概要や基本的考え方などの説明を受けております。

○まつば委員 先ほど来の三施設の見直しに当たって、調査チームは、関連競技団体にインタビューを行ったという質疑がございましたけれども、それでは、パラリンピック関連の団体についてもインタビューを行っているのかどうか質問いたします。

○小笠原総務局都政改革担当部長 新規恒久三施設の見直しに当たって実施をしました関連競技団体へのインタビューの状況は、本日提出させていただいた資料2のとおりでございます。
 パラリンピック関連の競技団体に対するインタビューは行ってございません。

○まつば委員 私、今のご答弁を伺いまして、また、質疑をやりとりさせていただいて、この見直しにつきまして、パラリンピックという視点が欠落をしているんではないかと、パラリンピックについて意識が低いのではないかと、そういわざるを得ないというふうに思っております。その点につきまして、私は指摘をさせていただきたいと思います。
 やはり二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会につきましては、パラリンピックを二回目、開催をすると、そういう東京でございます。そうした点から、パラリンピックについてきちっと重視をしていただいて、そしてまた、障害がある方もない方も利用しやすい、そういう施設というものも含めて、また、アクセス、そこに至るまで、道のりということですけれども、道路やさまざまな整備ということも含めてきちっとやっていただくということは、私、非常に重要だと思っております。そうした点を指摘させていただきまして、質問を終わります。

○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時二十五分散会

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