オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会速記録第二十九号

平成二十七年十二月十七日(木曜日)
第四委員会室
午後二時三十分開議
出席委員 二十二名
委員長高島なおき君
副委員長畔上三和子君
副委員長藤井  一君
副委員長吉原  修君
理事伊藤こういち君
理事小山くにひこ君
理事秋田 一郎君
理事相川  博君
理事吉田 信夫君
小林 健二君
川松真一朗君
斉藤やすひろ君
上田 令子君
山内れい子君
山崎 一輝君
石川 良一君
徳留 道信君
今村 るか君
林田  武君
立石 晴康君
川井しげお君
酒井 大史君

欠席委員 一名

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長中嶋 正宏君
次長理事兼務岡崎 義隆君
技監邊見 隆士君
技監西倉 鉄也君
技監石山 明久君
理事小山 哲司君
総務部長鈴木  勝君
調整担当部長雲田 孝司君
総合調整部長児玉英一郎君
連絡調整担当部長岡安 雅人君
準備会議担当部長丸山 雅代君
自治体調整担当部長井上  卓君
計画調整担当部長鈴木 一幸君
大会準備部長延與  桂君
運営担当部長田中  彰君
競技担当部長根本 浩志君
パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務萱場 明子君
施設輸送担当部長花井 徹夫君
施設調整担当部長小室 明子君
施設整備担当部長小野寺弘樹君
選手村担当部長安部 文洋君
スポーツ推進部長早崎 道晴君
国際大会準備担当部長土屋 太郎君
スポーツ施設担当部長田中 慎一君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに二〇一九年に開催される第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項(質疑)
・大会後のレガシーを見据えた二〇二〇年に向けた東京都の取組について
・東京二〇二〇パラリンピック競技大会会場計画の再検討の状況について
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場計画の再検討の状況(その二)について

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 報告事項、大会後のレガシーを見据えた二〇二〇年に向けた東京都の取組について外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○林田委員 質問に入る前に申し上げます。
 去る十二月十四日に、日本スポーツ振興センターで新国立競技場の完成デザイン二案が公表されました。二案とも、コンセプトは森のスタジアムと称し、木をふんだんに取り込んで自然との調和を重視し、私たちの意にかなった競技場だと思いました。着実な完成を心から望んでおります。
 それでは、質問に移りたいと思います。
 初めに、パラリンピックの競技会場についてお伺いいたします。
 知事は常々、二〇二〇年大会の成功は、パラリンピックの成功にあるといっておられました。先日のIPC理事会で、パラリンピック競技場がおおむね確定したということであります。競技会場はパラリンピアンの活躍の舞台であり、多くの感動を世界に向けて発信する核となるものであります。
 そこで、パラリンピック会場の選定に当たっては、パラリンピアンが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、オリンピック以上に選手のアクセシビリティーとパラリンピック特有の配慮が求められると思いますが、どのような観点から会場選定を行ったのかお伺いいたします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 パラリンピック競技会場の再検討に当たりましては、オリンピックで使用した競技会場を使用することを原則としつつ、アスリートファースト、競技特性及び障害の程度等を考慮し、パラリンピックの視点から改めて検討を進めてまいりました。
 例えばボッチャは、重度脳性麻痺や同程度の四肢重度機能障害の選手がおり、特に選手村からのアクセスには配慮が必要なことから、選手村に近接する有明体操競技場に会場を変更いたしました。
 また、ゴールボールは、視覚障害のある選手が鈴入りボールの音や相手の足音を聞き分け、音を頼りに競技するという特性から静穏な環境を要するため、周囲からの音の影響が少ない幕張メッセのイベントホールに会場を変更いたしました。

○林田委員 それでは、次に、自転車競技の会場変更についてでありますが、ロードレースのゴール地点が武蔵野の森公園から皇居外苑に変更になりました。
 同時に、多摩地域からのコースの変更となってしまうのかどうかお伺いしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 立候補ファイルでは、皇居外苑をスタートし、多摩地域に設置した周回コースを経て、武蔵野の森公園でゴールする計画でございましたが、IF、国際競技連盟から、日本の象徴である皇居外苑をゴール地点としたいとの要望を受け、ゴール地点を変更したところでございます。
 ゴール地点を見直した結果、コスト縮減、円滑な競技運営の実施にも資するものと考えております。
 コースにつきましては、多摩地域を周回する立候補ファイル時のものを基本として、競技性の観点も踏まえたよりよいコースとなるよう、組織委員会と連携し、できるだけ早期にNF、IF、交通管理者、道路管理者などの関係者と調整してまいります。
 皇居という日本の象徴、多摩地域の自然など、世界に対し東京の魅力ある景観を発信できるものと考えております。
 なお、会場計画の再検討の結果、多摩地域には立候補ファイル時のサッカー及び近代五種に加え、バドミントン、ラグビー、さらにはパラリンピックの車椅子バスケットボールの会場が新たに配置されました。
 今後、さらに多摩地域における盛り上げに向けて、組織委員会と連携し準備を進めてまいります。

○林田委員 コスト削減や、運営上メリットがあることや、日本の象徴である皇居を初め、東京の魅力ある景観を世界に対し発信できるという考えも理解できるわけであります。
 一方、多摩には、都心にはない自然豊かな風景等、多摩地域ならではの魅力もあります。また、楽しみにしている地元の方々や多摩地域の都民のためにも、ぜひ、コース選定はもとより、多摩地域の盛り上げ等を検討していただきたいと強く要望しておきます。
 次に、公表されました二〇二〇年に向けた東京都の取り組みの素案についてお伺いいたします。
 我が党はこれまでも、レガシーの重要性を強く主張してまいりました。大会を一過性のものに終わらせることなく、東京と日本の将来の糧となる、実りあるレガシーを残していかなければなりません。
 しかしながら、レガシーは、大会を開催しさえすれば自然に残るものではありません。過去の大会では、新たに建設した競技施設が大会後に十分に活用されないなど、負のレガシーに悩まされている例もあると聞いております。
 重要なことは、大会後の姿をしっかりと見据えて、価値あるレガシーを残すための努力を大会前から不断に行っていくことだと思います。こうした意味からも、今回、都が大会後のレガシーを見据えた二〇二〇年に向けた取り組みを明らかにしたことは評価できると思います。
 初めに、今回、素案を取りまとめた目的と大会でどのようなレガシーを残そうとしているのかお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 大会の成功はもとより、大会後に確かなレガシーを残していくことが重要であり、どのようなレガシーを残せるかは大会までの取り組みにかかっております。こうした考えのもと、今回、素案を取りまとめ、レガシーを見据えた取り組みの計画的な推進につなげていくことを目的としております。
 また、都の取り組みを明らかにし、広く知っていただくことにより、都民の皆様が大会にかかわりを持ち、参加していただくきっかけにもしていきたいと考えております。
 素案では、東京、日本、そして世界の三つの視点のもと、レガシーについて八つのテーマを掲げております。
 まず、競技施設を大会後も都民の貴重な財産として有効活用するとともに、選手村を多様な人々が交流し、快適に暮らせるまちにしてまいります。
 また、スポーツが日常生活に溶け込み、誰もが生き生きと豊かに暮らせる東京を実現していくこととしております。
 さらに、機運醸成やボランティアなど、都民の参加を得て大会をつくり上げ、かけがえのない感動や記憶など、心のレガシーを残してまいります。
 このほか、文化都市東京の実現、人材育成と共生社会づくり、豊かな都市環境の継承、東京と日本の経済の活性化、被災地復興の各テーマをお示ししてございます。
 とりわけ世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する都市として、障害の有無にかかわらず、誰もが暮らしやすい東京を実現していくことを大きな目標に置いております。

○林田委員 ただいまご答弁にありました八つのレガシーは、どれも重要なものであります。何としても実現していただきたいと思います。特に、人々の心にレガシーを残し、将来を担う人づくりを進めていくことは、二〇二〇年大会の最大のレガシーになると考えます。
 次に、オリンピック・パラリンピック準備局が所管する事業を中心に、具体的な内容について幾つか質問いたします。
 二〇二〇年大会のレガシーを語る上で忘れてはならないことは、ご答弁にもありましたように、東京は世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する都市になるということであります。
 大会を通じて、障害の有無にかかわらず、誰もがひとしく活躍できる共生社会を築いていくことが重要であり、そのためには、障害者スポーツの振興を初め、多面的な取り組みを進めていく必要があると考えます。
 そこで、パラリンピックを契機に、共生社会をつくり上げていくためにどのような取り組みを行っていくのかお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 パラリンピックを成功させ、障害のある人もない人も互いに尊重し、支え合う社会づくりにつなげていくことが重要であります。
 このため、障害者スポーツとパラリンピックの普及啓発や機運醸成、場の整備と人材育成、競技団体の強化の取り組みを推進し、障害者スポーツの環境整備を加速させてまいります。
 また、障害者スポーツやパラリンピックに理解の深いボランティアの育成に加え、障害のある人もない人もボランティアに参加しやすい環境づくりを進めてまいります。
 さらに、全ての人が参加しやすい大会となるよう、国や組織委員会とともに策定を進めておりますアクセシビリティーガイドラインを活用し、競技会場等のバリアフリー化を進めるとともに、レガシーとしてユニバーサルデザインのまちづくりにつなげてまいります。
 このほか、教育を通じた障害者への理解促進と心のバリアフリーの浸透、情報面のバリアフリーの推進など、関係各局の取り組みとも連携しながら、共生社会の実現を目指してまいります。

○林田委員 共生社会をしっかりとつくり上げ、世界に誇れる第二回目のパラリンピックにしていかなければなりません。そして、障害のある人もない人もオール東京で参加できる大会にしてもらいたいと思います。
 また、二〇二〇年大会は、東京の魅力を内外に広くアピールするまたとない機会となります。東京には、多彩な文化、おいしい食事、新旧織りまぜた見どころや豊かな自然など多様な魅力があります。
 魅力の発信の面でも、多摩・島しょ地域を含め、各地の魅力をしっかりとPRし、東京全体を盛り上げていくことが重要と考えますが、所見をお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 大会を通じて東京の多様な魅力を内外に発信し、観光客の増加による地域経済の活性化など、東京全体に大会の効果を及ぼしていくことは重要であります。
 このため、来年のリオデジャネイロ大会のジャパンハウスやフラッグハンドオーバーセレモニーで、文化や観光、食など東京の多彩な魅力を世界に向けて発信するよう、組織委員会とも連携しながら実施内容の検討を進めてまいります。
 また、東京自治会館に設置した情報発信拠点を活用して、外国人旅行者へのおもてなしに資するようなノウハウ等を市町村に対して情報提供し、多摩・島しょ地域のPRを支援してまいります。
 さらに、文化プログラムの展開や東京ブランドのPR、多摩・島しょ地域の魅力の発信と観光振興など、関係各局の取り組みとも連携しながら、東京全体の魅力を広くPRしてまいります。

○林田委員 オール東京での取り組みとともに、大会をオールジャパンで盛り上げて、日本全体に大会の効果を普及させていかなければならないと思います。
 前回の一九六四年の大会は、戦後の復興に心血を注いだ国民がまさに一丸となって新しい日本の姿を世界に示し、その後の我が国の驚異的な成長の礎となる大会でありました。二〇二〇年大会もオールジャパンで成功に導いていかなければならないのであります。
 今回の素案でも、三つの視点の一つとして日本を掲げておりますが、具体的にどのような取り組みを行っていくのかお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 素案でお示しした三つの視点のうち日本の視点では、オールジャパンで大会を成功に導き、経済の活性化や被災地復興の後押しなど、大会の効果を日本全体に波及させることを挙げております。
 具体的には、ライブサイトやフラッグツアーを被災県を含め各地で実施し、オールジャパンでの盛り上げにつなげてまいります。
 また、東京都ボランティア活動推進協議会を通じて、国や競技会場のある他都市と協力しながら、東京二〇二〇大会に向け円滑なボランティア活動が可能となるよう、ラグビーワールドカップ二〇一九とも連携して取り組みを推進いたします。
 さらに、被災地とのスポーツ交流事業や未来(あした)への道千キロメートル縦断リレー、事前キャンプ誘致の支援などにより、スポーツの力で被災地の復興を後押ししてまいります。
 このほか、東京と日本各地が連携した観光ルートの設定や、大会を契機に生み出されるさまざまなビジネス情報を全国の中小企業に提供するポータルサイトの構築など、関係各局と協力しながら、国や他の自治体との連携による取り組みを進めてまいります。

○林田委員 日本各地との連携を深め、素案にもありましたように、レガシー創出に伴う効果を含め、大会がもたらす経済効果を東京のみならず全国に及ぼし、日本全体が元気になったといわれるような大会にしてもらいたいと思います。
 これまで、大会で価値あるレガシーを残すために、都としてどのような取り組みを行っていくか伺ってまいりました。肝心なのは、こうした取り組みをいかに確実に実行していくかであります。先ほど述べましたように、重要なことは、大会後の姿をしっかりと見据えて不断の努力を積み重ねていくことであります。
 最後になりますが、レガシーの実現に向けた局長の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 委員ご指摘のように、前回の一九六四年大会は、その後の日本の目覚ましい発展の基礎を築きました。
 二回目となる二〇二〇年大会も、成熟社会にふさわしい新たなレガシーを創造し、次の世代に引き継ぐことが何より重要でございます。そして、その鍵は幅広い都民、国民の参加にあり、その一人一人が自分たちの大会だと感じてもらうことにあると考えております。
 今回の素案は、こうした考えに基づきまして、東京都として今から大会までに何をどのように取り組んでいくのか、都民の皆様にできるだけ具体的にわかりやすくお示しし、大会にかかわっていただくきっかけとなることを願ってつくられたものでございます。
 その意味で、素案では八つの方向性を示しておりますが、先ほどお話がございましたように、特に人の心にレガシーを残すという点に着目しまして、ボランティアや二回目のパラリンピックを契機とした共生社会の実現、教育を通じた人材育成など、ソフトの点を重視しております。
 こうしたレガシーを残していくためには、それぞれの取り組みを着実に進めていくことが必要でございまして、今後、大会に向けた工程表を取りまとめて取り組みを計画的に進め、確実に実行してまいります。
 また、都民、国民の理解を得ながら、オール東京、オールジャパンで大会を盛り上げ、成功に導くとともに、日本各地と連携した取り組みを進め、大会の効果を全国に波及させてまいります。
 そして、東京と日本の一層の発展につなげていけますよう、今後とも、都議会や都民の皆様のご意見をお聞きしながら、さらに取り組みの内容を深め、国や組織委員会とも協力して、全力でレガシーの実現に取り組んでまいります。

○藤井委員 私からは、日本で今までに開催をされました過去のオリンピック大会のレガシーを振り返りながら、二〇二〇年に向けた東京都の取り組みの素案について何点か伺います。
 ご承知のとおり、日本は、一九六四年の東京大会、そして、一九七二年の札幌大会、さらには一九九八年の長野大会と、過去三回のオリンピックを開催してまいりました。
 一九六四年の東京大会は、アジアで初めての夏季の大会であります。開催を通して多くのレガシーが残されましたが、主なものとして次のようなレガシーが挙げられると思います。
 一つは、東海道新幹線の開通により、今まで東京-大阪間が七時間かかっておりましたが、これが四時間に短縮をされました。
 また、首都高速道路の建設によりまして首都の交通網が整備され、東京モノレールの開通によって羽田空港と都心部がつながり、利便性が向上いたしました。
 さらには、たくさんの外国人をオリンピックで招聘しなければなりませんで、そのホテルの確保が課題であったわけでございますが、オリンピックを前にして、現在のホテルオークラ、あるいは東京ヒルトンホテル、ホテルニューオータニなどの大規模な国際的なホテルが整備されたところであります。
 また、競技施設においては、国立競技場や駒沢公園、日本武道館、秩父宮ラグビー場など、それぞれの種目の聖地となるような施設が建設されたわけであります。
 また、東京大会では、閉会式で選手団は国別に入場する予定ではありましたけれども、非常に盛り上がったといいますか、各国の選手が入りまじって、そして肩を組みながら、和気あいあいと行進をした。これが平和の祭典にふさわしい演出となりまして、これ以降、オリンピック大会の閉会式はこの東京方式となったわけでございます。まさに無形のレガシーといえると思います。
 そこで、一九六四年の東京大会の無形のレガシーといえるものは何かについて、まず伺います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 一九六四年大会の開催決定を契機として、一九六一年に、スポーツに関する基本理念やスポーツに関する施策の基本となる事項を定めたスポーツ振興法が制定され、スポーツ行政が体系化されました。この法律は、現在、スポーツ基本法として引き継がれております。
 地域スポーツにおいては、スポーツ少年団の創設やママさんバレーの普及など、その後のスポーツの裾野拡大につながっております。
 また、大会翌年の一九六五年には、全国身体障害者スポーツ大会の第一回大会が開催され、現在では全国知的障害者スポーツ大会と統合し、全国障害者スポーツ大会として開催されております。
 このように、一九六四年大会が、障害の有無や世代にかかわらず、幅広く国民がスポーツを楽しむ大きな契機になったものと認識しております。

○藤井委員 そのほかにも、私も当時小学校五年生でございましたが、東京オリンピックの開会式が行われました十月十日、これが体育の日ということで休みになったということで、大変喜んだ覚えがあります。
 また、東京オリンピックの翌年には、日本体育協会がスポーツ指導者の育成を開始したということも、これもレガシーといえるのではないかと思います。
 過去に日本で開催をされましたオリンピック大会で残されたレガシーには、現在に引き継がれているものもありますし、それは大切にしなければならないと考えます。
 次に、一九七二年に開催されました札幌大会では、日の丸飛行隊というスキーの日本人選手が活躍をいたしまして、大会後、それまで一部の人のぜいたくなウインタースポーツであったスキーとかスケートが、国民の関心が高まりまして、例えばスキー用品の売り上げが三六%伸びたり、スケート場も全国で九十カ所近く整備をされたりというふうに聞いております。
 また、札幌大会におきましては、札幌市内の学校で生徒たちにいろんな教材が配られたそうであります。オリンピック学習の手引とか、雪と氷のスポーツ、さらにはオリンピックの英会話という教材が配布をされました。これらの教材によって、外国の習慣やウインタースポーツの歴史、外人との接し方やオリンピック観戦のマナーなどを徹底したといわれております。
 先月公表されました二〇二〇年に向けた東京都の取り組みの素案では、オリンピック・パラリンピック教育の推進が盛り込まれております。その取り組みをしっかりと進め、子供たちの心の中に人生の糧となるかけがえのないレガシーを残していくことが重要であります。
 さらに、札幌大会では、海外の選手や観客を温かく迎えるために、英語でようこそを合い言葉にして運動を進めたと聞いております。ぜひ二〇二〇年の東京大会も、こういった合い言葉で海外から来るお客をおもてなしすることが必要だというふうに考えます。
 それを質問しようとしたら、これはオリ・パラ準備局の管轄ではなく組織委員会だといわれてしまいましたけれども、例えば東京には八丈島という島があります。この八丈島では、遠くからお客が来た場合、おじゃりやれという言葉で迎えますね。おじゃりやれというのをまだお年寄りも使っております。
 例えば、こういった東京での方言を用いて世界の人たちを迎え入れるということも重要だと思いますので、ぜひオリンピック・パラリンピック準備局の方から組織委員会に、こういった世界の人を迎える合い言葉を早く決めていただけるよう要望したいと思います。
 次に、長野大会ではございますが、長野大会では、大会と地元の市民との融和を図るために、一校一国運動、一つの学校が一つの国とつながるという運動を進めたそうであります。これは、長野市内の小中学校など七十七校が学校単位で応援する国を一つ決めまして、相手の国の歴史や文化、言葉を学んだり、あるいは交流をする活動であります。
 例えば、外国の選手を自分たちの村に迎えるときに一緒に参加したり、選手団を学校に招待して触れ合うなど、各学校が工夫して異文化を体験するというものでございます。
 長野市内には、現在も一校一国運動を続けている小中学校が幾つもあるというふうに聞いております。
 この一校一国運動は、その後の二〇〇二年のソルトレークシティー大会でも、ワンスクール・ワンカントリー・プログラムということで引き継がれました。
 また、北京大会でも同心結プログラムということで取り組むなど、世界に向けたオリンピックレガシーとなっているわけであります。
 さらに、一九九八年に開催されました長野大会は、日本で開催したオリンピックで本格的にボランティアを活用した最初のオリンピックといわれております。長野市だけではなく、全国から約三万人のボランティアを集めまして、大会の成功につながったということでございます。
 ボランティアは、大会の運営はもとより、東京、そして日本の魅力を世界に発揮していく上でも極めて重要な役割を担うものであります。
 二〇一五年の一月から十月まで、日本を訪れた外国人の旅行者は約一千六百万人を超えたといわれております。過去最高を更新しました。政府の日本再興戦略では、二〇三〇年までに外国人旅行者を三千万人にするということを目標に掲げております。二〇二〇年東京大会は、日本の観光振興にとっても大きなチャンスとなるわけであります。
 大会後も日本を訪れる外国人旅行客をふやすために、大会参加者や観光客に、日本に行ってよかった、また行ってみたいといういい印象を持って帰国してもらうことが何よりも重要であると考えます。
 そのためにも、世界中から訪れる多くの人々に日本の観光地や都市の魅力、交通や宿泊施設の利便性、コストなど、おもてなしの心を持って丁寧に伝えていくことが重要であると考えます。
 東京は、二〇二〇年大会を招致する際に、日本のおもてなしの心を強調いたしました。訪日外国人に対するきめ細かいおもてなしが、また日本に行ってみたいというリピーターや、あるいは自分の国に帰って友人に日本の訪問を勧めてくれる日本に好意的なファンをふやすことにつながると考えます。
 そこで、二〇二〇年大会では、多くのボランティアが都内の観光スポットや空港、駅などで観光案内や交通案内等に携わることになるということでございますが、ボランティア一人一人が日本に来た外国人に対し、日本ならではのおもてなしの心を伝えることができるようにするために、何よりも人材の確保、育成というものが重要であります。
 また、外国語での対応も必要となることから、日本にいる留学生がボランティアとして活躍できる場を積極的につくっていくことが重要であると考えます。
 そこで、二〇二〇年大会に向けて、東京都はボランティアの人材の確保、育成にどのように取り組むのかお伺いをいたします。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 今回の素案では、大会を支えるボランティアの裾野を拡大するとともに、ボランティア文化の定着に向けた取り組みの推進を掲げております。
 二〇二〇年大会では、世界中から東京を訪れる選手や大会関係者、観客をおもてなしする上で、大規模かつ質の高いボランティアの確保が必要となるため、今後、ボランティアの裾野拡大や都市ボランティアの運営体制などに関する戦略を策定していくこととしております。
 具体的には、本年九月に立ち上げた東京都ボランティア活動推進協議会におきまして、官民さまざまな関係機関と連携し、検討してまいります。
 協議会には、留学生が在籍する大学なども参画しており、留学生を含む語学ボランティアの育成や活用についてもあわせて検討してまいります。

○藤井委員 東京都ボランティア活動推進協議会での検討を踏まえて、留学生を含む語学ボランティアの育成、活用について、ぜひとも検討を進めてほしいと思います。
 さて、二〇一二年ロンドン大会では、約七万人のゲームズメーカーと呼ばれる大会ボランティアや、約八千人のロンドン・アンバサダーと呼ばれます都市ボランティアが大活躍をいたしまして、選手や大会関係者のサポート、観光客への観光、交通案内を行って好評を得たというふうに聞いております。
 二〇二〇年大会においては、空港や主要な駅、あるいは観光名所などで観光、交通案内を行う都市ボランティアを東京都が今後募集し、育成し、運用していくことになるわけでありますが、二〇二〇年大会の都市ボランティアは、日本に訪れた外国人を案内し、移動、宿泊する一連のサービスを総合的に捉え、ハイレベルなおもてなしを提供する人材を育成することが重要であります。
 そのためには、オリンピック・パラリンピック準備局だけでなく、現在、観光ボランティアとしておもてなし東京を行っている産業労働局や、あるいは生活文化局など関係局とも協力していく必要がありますが、今後、どのように連携するのか伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 二〇二〇年大会の都市ボランティアには、空港や駅、観光名所などさまざまな場面におきまして多岐にわたる観光、交通案内を行う一万人以上の質の高いボランティアが必要になります。そのため、大会に向けて、より多くの方々にボランティアの経験を積んでいただくことが重要でございます。
 都では、外国人旅行者に対し観光案内を多言語で実施しているおもてなし東京を初め、各局がさまざまなボランティア事業を実施しております。
 東京都ボランティア活動推進協議会には、生活文化局や産業労働局など、ボランティアに関係する各局も参加しておりまして、今後、協議会に設置した都市ボランティア検討部会において、関係各局と連携し、都市ボランティアの運営体制などに関する戦略を検討してまいります。

○藤井委員 ロンドン大会など、過去、成功した大会の事例を参考にしながら、都庁の関係局とも連携して、ボランティアの育成などの準備をぜひ着実に進めてほしいと思います。
 さて、二〇二〇年大会のボランティア活動には、多くの都民、国民が強い関心を寄せております。
 また、被災者の方々にもボランティアに参加していただければ、世界から訪れた多くの方々に被災地の魅力を発信するいい機会となるわけでございます。
 そこで、被災地を初め多くの方々のこうした気持ちをボランティア活動への参加につなげていくために、幅広い機運の醸成が不可欠と考えますが、都の具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 二〇二〇年大会に向けて、広くボランティアの参加機運を醸成していくため、都では、来年一月下旬に、東京都ボランティア活動推進協議会の協力を得ながら、オリンピアンやパラリンピアン、大会でのボランティアの経験者などを招いたシンポジウムを開催し、ボランティアの魅力を発信してまいります。
 また、今年度末までには、二〇二〇年大会のボランティアに関する情報を取りまとめましたポータルサイトを立ち上げ、オリンピック・パラリンピックのボランティア活動の内容や被災県も参画する協議会メンバーの取り組みを広く紹介するなど、ボランティアへの参加を促進してまいります。

○藤井委員 次に、北京オリンピックのレガシーについてお伺いしたいと思います。
 二〇〇八年に開催をされました北京オリンピックでは、私も開会式に参加させていただきました。メーンスタジアムとして、開会式とか閉会式、あるいは陸上競技の会場となったのが、あの鳥の巣という、まさに鳥の巣のような会場でございましたけれども、あるいはまた、水の泡、水泡を想像させます印象的な水泳会場であります水立方などの競技施設が整備をされたわけでございます。
 これらの施設は、独特な外観とかデザインを持っておりまして、その維持管理の難しさが懸念をされていたところであります。
 一部報道によりますと、鳥の巣の観光客は、オリンピックが行われた二〇〇八年十月には一日八万人でありましたが、翌年の二〇〇九年三月には一日一万人に減少しております。
 また、水立方では、二〇一一年の観光客数は二〇一〇年に比べて約三割減っている。約二百八万人に減少したということであります。さらには、レジャープールへの一部改修やグッズ販売にいろいろと努めたけれども、厳しい経営を強いられているということであります。
 また、パーク周辺はゴーストタウン化しており、さらには、野球場は草が生い茂って犬の遊び場となっているというふうに聞いております。
 こうした過去の大会の事例を見れば、東京は今から大会後を見据えた検討を本格化させる必要があると考えます。
 そこで、都が新設をいたします競技施設について、大会後も利用者をふやすための具体的な対策についてお伺いいたします。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 素案にありますとおり、新規恒久施設は、大会後も都民、国民の貴重な財産として末永く有効活用していく必要があります。
 都はこれまで、国内スポーツ施設や過去大会のさまざまな競技施設につきまして、その現状や課題を調査してまいりました。
 また、外部有識者、競技団体、地元自治体の意見も聞きながら、幅広い視点から後利用の検討を進め、本年六月に新規恒久施設に係る後利用の方向性として取りまとめました。
 都は現在、関係各局や民間事業者とともに、大会後の確かな運営を視野に入れた施設運営計画の策定に着手しております。具体的には、トップアスリートによる競技利用はもとより、文化やレジャー活動など多目的な活用や、公園など周辺施設との連携、青少年教育の場としての活用などについて鋭意検討を進めております。
 新規恒久施設を大会後も多くの人々が訪れ、喜ばれる施設としていくため、今後、地元自治体や競技団体などとも意見交換を行い、具体的かつ実現性のある施設運営計画を策定するとともに、着実な施設整備に努めてまいります。

○藤井委員 次に、外国人旅行者のおもてなし環境の整備について伺います。
 国が平成二十一年に行った調査によりますと、日本を訪れた外国人旅行者に何が不便で何が不満かを聞いたところ、案内板や道路標識のわかりにくさを挙げた人が三七・三%、これが最大であります。昨年の民間の調査でも同様の傾向が続いております。
 二〇二〇年までには、区市町村や民間企業の協力のもと、世界各国からいらした方々が自由に移動し、都内滞在を十分に楽しめる環境とすることが重要であります。大会後も外国人が生活しやすく、東京の活力向上につながると考えます。
 この目標を実現するために、私は日本の最新技術を積極的に活用すべきだというふうに訴えたいと思います。例えば駅やバス停の表示を外国語で案内しようとしても、スペースが狭いために記載できる言語数に限界があります。このような場合、電子看板を設置して案内したり、あるいはスマートフォンを用いた翻訳サービスと連携させたりすることで、対応できる言語は大きく広がると思います。
 また、日本はロボット技術が大変進んでおります。こうしたロボットを活用して、人の言葉を聞き取って返答するロボットや、あるいは外国語で道案内するロボットなどを主要な駅や観光地で活用することも有効であると、このように考えます。
 そうした意味で、大会準備のため、こうした最新の技術を活用したおもてなしを広げていくことについての見解を伺います。

○岡安オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 素案では、ICTも活用しました多言語対応の取り組みを通じまして、外国人が快適に生活、滞在できる環境を整備いたしますことで、観光消費額の増加や国際ビジネス環境の創出など、東京、そして日本の経済を活性化させることとしております。
 そのため都は、官民一体の多言語対応協議会が策定いたしました取り組み方針の具体化を進めますとともに、協議会のポータルサイトを活用しまして、ICTの活用を含む先進的取り組み事例やノウハウの情報提供を行ってまいりました。
 本年七月には、区市町村や道府県、全国の民間団体を対象に、より実践的な情報を提供するためのフォーラムを開催いたしました。本フォーラムでは、先進的取り組みを行う団体、企業がノウハウを解説するセミナーを開催いたしますとともに、翻訳アプリやデジタルサイネージ、多言語でコミュニケーションを行うロボットなど、最新のICTを紹介するデモンストレーションを行いました。
 引き続き、自治体や民間団体に対する情報提供を行いまして取り組みの普及拡大を促すなど、二〇二〇年に向け外国人旅行者の受け入れ環境を整備し、言葉のバリアフリーを早期に実現してまいります。

○藤井委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、被災地復興について伺います。
 東日本大震災からの復興はいまだ途上にあります。また、福島第一原発の汚染水の問題や東日本大震災の避難者がまだ約十八万人近くいるなど、課題がまだまだ残っているのが現状であります。
 また、オリンピック・パラリンピック大会開催に伴って、建設資材や人手が不足し、建設コストが高騰することによって、被災地の復興がおくれてしまうのではないかという不安の声もあります。
 このような状況において、二〇二〇年大会が真に被災地復興の後押しとなり、東北の方々にも大会を開催して本当によかったと思ってもらうためには、大会を通じて被災地復興への希望を生み出すような取り組みを行っていくべきだと考えます。
 そこで、二〇二〇年東京大会のレガシーとして、東日本大震災からの復興を掲げて、大会を通じた復興支援を強力に進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○井上オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 東日本大震災から十年目となります二〇二〇年大会に向け、スポーツの力で被災地に元気を届け、復興に歩む姿を世界に発信する取り組みと、早期復興につながるような被災地支援につきまして、素案において八つの柱の一つと位置づけております。
 スポーツを通じた取り組みといたしましては、千キロメートル縦断リレーやアスリート派遣などの事業を継続してまいります。
 さらに、復興に歩む姿を映像化し世界に発信していくとともに、リオ大会期間中のライブサイト、リオ大会後のフラッグツアーの実施や二〇二〇年大会に向けた事前キャンプ誘致の共同PRなどにも今後取り組んでまいります。
 また、早期復興に向けましては、被災県への職員派遣、特産品や観光のPR事業等も関係局と連携して引き続き行うなど、これら一連の取り組みによりまして被災地の復興を力強く後押ししてまいります。

○藤井委員 この東京大会を招致する際に、何といっても第一番目は、被災地復興を掲げて東京が招致をしたわけでございます。東日本大震災のあのときに、全世界からいろいろな支援をいただきました。そうした意味では、二〇二〇年東京大会開催に当たりましては、全世界の人々に対して被災地支援に対する御礼の意味のある大会だと思います。
 この点については後で伊藤理事が話をいたしますけれども、そういった意味で、この被災地復興をぜひ東京大会の大きな柱として今後とも進めていただきたいと思っております。
 さて、パラリンピックについてでございますが、前回のロンドン大会では、テレビ放送を担当したチャンネル4が、一大キャンペーンでありますミート・ザ・スーパーヒューマンズというものを行いまして、パラリンピックを開催する大会の前に、パラリンピックのアスリートのショートフィルムをイギリス全域で一斉放送を行ったわけであります。
 私もその映像を見る機会がございました。具体的には、足のない方が義足を使って陸上競技で走っている姿や、あるいは片手のない方がプールに飛び込む姿や、あるいは車椅子でバスケットをする姿、こういったパラリンピックの選手たちの映像が次から次と流れて、これが大会前にずっと流れたわけでありまして、イギリス国民の、そういうパラリンピック、いわゆる障害のある選手たちに対しての認識を大きく変えたといわれております。まさにこの方たちはスーパーヒーローということで、認識が大きく向上したということでございます。
 ご承知のとおり、ロンドン・オリンピックはパラリンピックが大成功したオリンピックといわれております。開会式や閉会式は八万人に及ぶ人たちで満杯で盛大に行われたり、あるいはパラリンピックの競技会場では多くの観客が観戦をし、相手の国の選手の競技であっても、よい、すばらしいプレーには観客がみんなで歓声を上げた、そういうすばらしいパラリンピックであったそうでございます。
 さらに、史上初のパラリンピック大会のみのスポンサーとなりました英国のスーパーマーケットが、百万人の子供たちにパラスポーツを体験させるイベントを行ったということであります。
 こうしたことを含めまして、さまざまな取り組みを行った結果、イギリスでは、ロンドンでは全部のチケットが完売するなど、パラリンピックが非常に盛り上がり、大会が成功いたしました。
 そこで、都は、パラリンピックの認知度をさらに向上させて、二〇二〇年大会を盛り上げるための方策についてお伺いをいたします。

○丸山オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 素案では、パラリンピックの成功に向けて、障害者スポーツの認知度の飛躍的な向上を掲げており、今年度から体験機会の拡充やメディアの活用に重点的に取り組んでおります。
 具体的には、パラリンピック競技体験等を通じてパラリンピックの魅力を体感できるプログラム、NO LIMITS CHALLENGEを都内各地のイベントで展開するとともに、積極的にPRすることで、一過性のイベントにとどまらないムーブメントを創出してまいります。
 また、パラリンピック競技を初めとする障害者スポーツの魅力を伝えるプロモーション映像を制作し、DVDやインターネットなど各種メディアを活用して積極的に発信いたします。
 今後とも、ロンドン大会の成功事例も参考にしながら、多くの人々に実際に競技場に観戦に行きたいと思ってもらえるよう、パラリンピックの認知度向上と機運醸成を図ってまいります。

○藤井委員 さまざまな取り組みを行っているということですけれども、まだまだ盛り上げが必要であると思います。これからも一層パラリンピックの機運醸成を行ってほしい、このように要望したいと思います。
 ロンドン大会の真のレガシーは、パラリンピックの成功を機に、国民の障害者に対する理解が一層深まって、障害者支援の意識が高まったことであると思います。
 そこで、都もパラリンピックを契機として、全ての人が障害について理解し、障害者が安心して暮らせる社会を形成する必要があると考えますが、共生社会というこの実現に向けて、局長の決意をお伺いして、質問を終わります。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 パラリンピックは、障害者スポーツの普及のみならず、都市のバリアフリー化や心のバリアフリーの浸透など、さまざまな面で社会に大きな変化をもたらします。
 二〇二〇年パラリンピック大会もこうした意義を持つ絶好の機会と捉えまして、大会を成功させるため、障害者スポーツの振興や障害のある人もない人もボランティアに参加しやすい環境づくりを進めてまいります。
 また、国や組織委員会とともに策定を進めておりますアクセシビリティーガイドラインの考え方を、大会後のユニバーサルデザインのまちづくりにもつなげてまいります。
 このほか、障害者への理解促進と心のバリアフリー、情報面のバリアフリーの推進などに、教育、福祉分野における関係局とも密接に連携して取り組んでまいります。
 これらを通じまして、素案に記載しましたように、障害の有無にかかわらず、誰もが暮らしやすい東京を実現し、パラリンピックの価値あるレガシーを残してまいります。

○畔上委員 素案の中のパラリンピックの成功と障害者がスポーツに親しむための環境整備を加速するためについてです。
 今お話がありましたロンドン五輪の際には、日本では、まだパラリンピックが始まってもいなかったにもかかわらず、八月二十日にオリンピックのメダリストが銀座パレードを行いました。
 オリンピックとパラリンピックのメダリストがパラリンピック終了後に一緒にパレードを行った、こういうロンドンとの違い、ここにも日本のおくれが出ているという声を障害者のスポーツ関係者の方々から伺いましたけれども、まさしくパラリンピックの認識、障害者との共生という、この認識という点で日本がおくれている、そのことがあらわれた一つではないかというふうに思います。
 今回の二〇二〇年に向けた東京都の取り組み素案、先ほどご答弁の中で、理解促進や普及啓発、場の開拓と人材育成、競技力の向上を踏まえて推進するという方向を示されましたけれども、これはスポーツ振興計画で定められた三つの視点と同じなわけですけれども、その方向性に異議を唱えるという人は誰もいないと思いますが、問題は、この素案の内容をどれだけ具体化できるか、どれだけ合理的配慮がなされるかということだと思います。
 素案を具体化する施策や制度の拡充を求める立場から何点か伺っていきたいと思います。
 一つは、アクセシビリティーの向上です。
 パラリンピック大会では、百七十カ国、約四千八百人の選手、そのうち車椅子の方は約二千五百人といわれています。さまざまな障害の選手が参加することになりますし、また大勢の障害者の方にも参加、そして観戦していただきたいというふうに思いますが、そういうふうにするためには、やはりアクセシビリティーが、施設のバリアフリー化がかなめになっていくと思います。
 そこで伺いたいのですが、組織委員会は、構造物の設計で必要なエレベーターや出入り口のドアの幅などを先行的に基準の取りまとめを行って、IPCに対して承認を求めているところというふうに伺っていますけれども、それはいつ承認されて公表されるのか伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 TOKYO二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの策定に向けて、都は、障害の有無にかかわらず、全ての人が参加しやすい大会となるよう、国や組織委員会とともに協議会を設置して検討を進めているところでございます。
 本年四月には、構造物の設計段階で必要なエレベーターや出入り口のドア幅などの項目について、先行的に基準の取りまとめを行ったところでございまして、近々、IPC、国際パラリンピック委員会の仮承認を得た後、公表する予定でございます。

○畔上委員 公表に当たっては、これまでさまざまな団体から意見聴取をしてきたということを伺っています。ですから、それがどう反映されたのかわかるように、丁寧な情報提供を求めたいと思います。
 また、さまざまな障害に対応できる創意工夫がどのようにされたのかを知るということは、都民が障害を理解する上でも大変大事なことですから、しっかりと公表していただきたいというふうに思います。
 IPC、国際パラリンピック委員会は、パラリンピック大会を、社会的発展を促して、長期的なスポーツと社会的なレガシーを残す手段と考えて、開催都市が競技会場やサービスにおいても、誰もが利用しやすい大会として準備するために、アクセシビリティーの計画の範囲と、それからビジョンを示すこととしているわけです。
 東京版のアクセシビリティーガイドラインの策定と東京都の福祉のまちづくり条例、これとの関係性について伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 TOKYO二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインは、競技会場等の関係施設やそのアクセス経路と情報発信、観客誘導等の大会運営に係るハード、ソフト両面のバリアフリー化の推進を目的とする二〇二〇年大会用のガイドラインでございます。
 この策定に当たっては、IPCアクセシビリティーガイドをベースに、東京都福祉のまちづくり条例等の関係国内法令等を勘案しながら、二〇二〇年東京大会にふさわしい基準を取りまとめることとしております。

○畔上委員 ここで重要なのは、やはりアクセシビリティーをパラリンピックの一過性のものとしないで、ユニバーサルデザイン都市の東京、この促進につなげていくことだというふうに思うのです。
 現行の福祉のまちづくり条例、これは新設や改修の際の基準となっていることから、より積極的に、障害のある人も、そして高齢者の方も使いやすい、福祉のまちづくり条例のレベルアップにつながるような、そして福祉のまちづくりに波及効果をもたらすような、そういう構えで、ぜひアクセシビリティーのビジョンをつくっていただきたい。これは意見として申し上げておきたいと思います。
 障害者のスポーツ団体及び補助者支援も大変重要だというふうに思います。素案には、競技団体や選手のニーズに応じた支援というふうにありましたけれども、障害者スポーツ関係者の方々からは、オリンピックとの違いは競技団体の経済力や組織力であると、そういう意見を伺っていますが、都として、この点をどう考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
 また、都として、競技団体や選手、選手の補助者に対して支援を強化すべきだというふうに考えておりますが、具体的にはどう支援するつもりなのか伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 素案では、二〇二〇年に向けた取り組みとして、障害者スポーツ競技団体の強化を位置づけ、選手のニーズに応じた支援を実施することを掲げてございます。
 都は、今年度、競技団体への財政的な支援として、都レベルの競技団体に対し、強化練習会に係る費用、選手や選手補助者の遠征費等、競技力向上に資する活動への補助を開始いたしました。
 また、パラリンピック出場を目指す選手の発掘事業を都みずから行うこととし、競技団体と連携を図りながら、年度内の実施に向けて準備を進めているところでございます。
 こうした取り組みを通じ、二〇二〇年大会を契機として、パラリンピック競技団体の組織力が強化され、大会後もレガシーとして長く残っていくよう、都として取り組んでまいります。

○畔上委員 今年度から遠征などの補助を始めたということは重要だというふうに思います。さらなる拡充を求めたいと思います。
 例えばパラリンピアンの義足、これは一本約百万円ぐらいするそうなのですけれども、スポーツ用義足というのは趣味ということで、障害者の補装具の補助の対象にはならないんですね。
 また、二〇一二年なのですけれども、日本パラリンピアンズ協会がパラリンピックの競技環境の実態調査を行っていたのですけれども、この実態調査では九割を超える選手がナショナルトレーニングセンターや科学センターを望んでいるにもかかわらず、ナショナルトレーニングセンターや国立スポーツ科学センターに行ったことがない、そういう選手が七割から八割もいらっしゃいました。
 競技力の向上のためには、やはり競技環境の改善、パラリンピアンに対する医科学的な支援など、ぜひ要望もよく聞いていただいて、国に対しても抜本的な支援強化を求めていただきたいと思いますし、あわせて東京都としてもぜひ力を入れていただきたいと思います。
 補助者やコーチのスタッフの支援も非常に大事になっていると思います。例えば視覚障害の選手の場合は、欠かせないのが伴走者なわけですけれども、国際大会に出場できる競技力を持つ伴走者は全国でわずか十数人だというふうに伺っています。コーチ、スタッフはボランティアが多く、気持ちはあっても生活があるので厳しいということです。
 コーチ、スタッフの育成支援、先ほどお話がありましたが、それと同時にやはり財政支援についても、ご答弁のあった団体への補助の中でということのようなのですけれども、やはりこれも団体の意見もよく聞いていただいて、実態に合った支援の拡充を求めたいと思います。
 さらに、パラリンピックのスポーツ団体の中で専用事務所があるというのはごく一部だというふうに伺っていまして、個人宅で代用している団体もあって、事務局専任スタッフはほとんどいないということです。
 こうした現状では、やはり競技の発展はもとより、パラリンピックに向けた準備も困難が予想されるということで、日本財団がサポートセンターを設立して共同事務所を提供したなどの支援強化を今図っているようですけれども、大会後が非常に心配されています。
 韓国では、国として事務局補助を行っていると伺っています。やはりこうした障害者のスポーツ団体が継続できるように、国や民間の力も大いに活用して支援体制をつくれるように、東京都としてもぜひとも力を尽くしていただきたい、これも意見として述べさせていただきたいと思います。
 身近な障害者のスポーツ振興なんですが、障害者スポーツ振興の上で、一万二千人もの障害のある子供たちが学んでいます特別支援学校での障害者スポーツのより一層の強化、これが求められていると思います。
 特別支援学校の活用ということがこの素案でも位置づけられておりましたけれども、障害のある子供たちのスポーツ向上のためにも、それから障害者の方々の利用を促進するためにも積極的な活用が必要と考えますが、どのように取り組んでいくのか所見を伺いたいと思います。

○早崎オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 素案では、二〇二〇年に向けた取り組みの方向性の一つとして、東京の資源を活用して、都民が身近な場所でいつでもスポーツを楽しめる環境を整備することを位置づけています。
 都立特別支援学校はこれまでも、教育庁による学校開放事業を通じて、在校生以外の障害のある方々のスポーツ利用にも供されています。
 現在、都立特別支援学校の体育施設を障害者のスポーツ活動の拠点の一つとして位置づけ、さらなる活用の促進が早期に図られるよう、教育庁とともに検討を進めているところでございます。
 このような取り組みを通じて、障害のあるなしにかかわらず、また、誰もがいつでもどこでもスポーツができる環境を整備してまいります。

○畔上委員 特別支援学校の体育施設を、障害のある子供たちにとっても、そして今ご答弁のあったように、スポーツの拠点として位置づけていくためにも、やっぱり施設改善は欠かせない課題だというふうに思います。
 特別支援学校は、現在、複数の障害種が併置される学校がふえていますけれども、体育館が一つしかないということで、廊下で体操せざるを得ない、こういう学校もありますし、プールも加温施設がある学校というのは、今、特別支援学校は五十六校ありますけれども、そのうち三校しかないということです。また、そういう中で、年に二、三回しか入れなかったなどのプールの使用回数が少ないといった現状もあるわけです。
 さらには、特別支援学校の教材費や備品も激減しておりまして、トランポリンなどのスポーツ用具の更新なども非常に大変だというのが実態だと伺っております。
 そういう点では、特別支援学校の体育施設、体育環境の抜本的な改善をやはり計画的に着実に進める、このことがやっぱり今、非常に求められていると思いますので、ぜひその点、教育庁と協力して進めていただきたいと思います。
 素案の中で、区市町村でのスポーツ施設のバリアフリー化と障害者スポーツ教室の支援というふうになっておりましたが、その具体化はどうなっていらっしゃるのでしょうか。また、昨年度の実績を伺います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ施設担当部長 素案では、二〇二〇年大会を機に、スポーツが日常生活に溶け込み、誰もが生き生きと豊かに暮らせる東京を実現させるため、障害者スポーツの認知度を飛躍的に向上させ、障害者がスポーツに親しむための環境整備を加速していくこととしております。
 具体的な取り組みとして、区市町村のスポーツ施設のバリアフリー化工事については、スポーツ施設の整備費に対する補助制度を平成二十六年度に創設し、補助する仕組みを整えました。昨年度は、このバリアフリー化工事を実施する五施設に対して補助を行いました。
 また、区市町村が実施する障害者スポーツ教室については、地域における障害者スポーツ振興事業に対する補助制度を今年度創設し、区市町村へ支援を行っております。
 今後とも、区市町村における障害者スポーツの振興を図ってまいります。

○畔上委員 その点は前進だと思うのですが、障害者の方々からは、地域スポーツ施設の仕組みの問題なども指摘をされています。
 残念ながら、いまだ車椅子での体育館使用をためらうというところもあると伺っています。
 また、例えば車椅子バスケットなどの練習をしようと思っても、各自治体のスポーツ施設は区民優先というルールから、区民や区内通勤者が半数以上いることなどのルールとなっているわけですね。
 ところが、競技人口が少ない障害者スポーツの場合には、区内だけでチームをつくれることは少なく、異なる地域に住んでいるために使えない。
 障害者スポーツを振興する上で、身近なスポーツ施設で練習できるようにするためには、やはり素案にも示されていたように、区市町村への施設利用の働きかけが必要だと思います。
 障害者が利用しやすいルールに見直すなど、障害者がスポーツを楽しめる環境を整えていくために、東京都として、区市町村にそのための、例えば利用規則の見直しとかを要請すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 素案では、障害者がスポーツに親しむための環境整備を加速することとしており、都は今年度、スポーツ施設が障害者の利用に際し配慮すべき点をまとめたマニュアルの作成、配布を行います。
 また、区市町村に対し、補助金説明会等の機会を捉えて、障害者スポーツ施設利用への協力を呼びかけてもおります。
 こうした取り組みを通じて、身近な地域のスポーツ施設における障害者の受け入れが促進されるよう、区市町村に働きかけを行っております。

○畔上委員 今は各自治体の判断ということになっているからなかなか進まないので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 また、地域スポーツクラブの設置拡大と支援というふうにこの素案には書いてありますが、現在、都は、単体のスポーツクラブではなく、地域スポーツクラブを育成するために補助を行っておりますが、障害者加算を行い、より障害者も参加しやすい、そういう仕組みもつくるべきではないでしょうか。

○早崎オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 素案において、地域スポーツクラブの設置拡大と活動支援を推進することとしており、現在、都では地域スポーツクラブに対し、スポーツ教室への指導者派遣やクラブの認知度向上に資するイベントに対する助成などの支援を行っています。
 この制度を活用し、ボッチャなどの障害者スポーツやドッジビーなどニュースポーツをプログラムに組み入れたスポーツイベントに会員以外の障害者にも参加していただいています。
 今後もこうした事業を通じ、障害のあるなしにかかわらず、誰もがスポーツを楽しむことのできる場として地域スポーツクラブの活動の充実が図られるよう、引き続き支援を行ってまいります。

○畔上委員 障害のある人も会員として一緒に参加できるよう、スポーツクラブにする上では、やはり介助者や補助者などが必要になりますから、ぜひ障害者加算なども検討していただきたいと思いますし、また、この素案の中には関係者の連絡調整の場をつくるというふうに書いてありましたが、そこでもぜひ障害者の皆さんの意見をよく聞いて、障害者がスポーツできる環境づくりを前進させていただきたいと思います。
 この問題の最後ですが、障害者がスポーツをする上で、やはり障害や体の大きさに応じたスポーツ用具が必要になるわけですが、その費用がとても負担だという問題があります。
 例えば車椅子のテニスや車椅子のバスケット、この車椅子は大体一台三十万円ほどかかるわけです。スポーツをするのに、障害があるがゆえに必要な用具なわけです。
 素案の中では、都立障害者スポーツセンターを改修し、機能、利便性の向上を図るというふうにしておりますが、これは備品も含めて整備拡充を図っていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ施設担当部長 障害者スポーツセンターでは、車椅子などの備品について、実施する事業や利用者の利用状況等を踏まえ、必要な対応を行っているところでございます。

○畔上委員 今、ご答弁では必要な対応を行っているということだったのですが、都立障害者スポーツセンターには、例えば管理をしています競技用の車椅子、総合の方でもジュニア用十台、大人用十六台、多摩がジュニア用三台、大人用二十台と。これではジュニアのバスケットも練習できないということになるわけですね。
 障害者がスポーツをする機会をふやす上でも、障害者スポーツセンターのテニス用や、またバスケット用の車椅子、こういったスポーツ用具をふやすなどして、やはり障害者の皆さんのスポーツ要求に応えていただきたいというふうに思います。
 この素案をどう具体化するか、やっぱり今そのことが非常に問われているのだと思います。そういう点できょうは質問させていただきましたが、これで私の質問を終わりたいと思います。

○小山委員 まず、大会後のレガシーを見据えた二〇二〇年に向けた東京都の取り組みについてお伺いをさせていただきます。
 これまでの本委員会でも、オリンピック・パラリンピックにおけますレガシーの重要性は何度も申し上げてまいりました。東京大会を通じて、東京に、都民に、そして日本に、国民に何を残せるかが重要であります。
 東京都が先月公表しました二〇二〇年に向けた東京都の取り組みの素案は、レガシーという切り口で二〇二〇年に向けた都政全体の取り組みを示したものでありまして、まさに大会に向けた道しるべとなるべきものであると考えております。
 大会の成否の歴史的な評価でありますが、これは大会後にどのようなレガシーを残せたかにかかっていると考えております。東京大会を成功させ、後世に語り継がれる大会とするためにも、素案で示されました取り組みを着実に進めまして、確かなレガシーを残していくことを求めておきたいと思います。
 そこで、今回の素案の位置づけと大会に向けた取り組みを着実に進めていくための進捗管理をどのように行っていくのかお伺いしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 東京二〇二〇大会を通じてどのようなレガシーを残せるかは、大会までの取り組みにかかっており、レガシーを見据えた取り組みを計画的に進めていく必要がございます。
 今回の素案は、大会後のレガシーを見据えた都の取り組みを明らかにすることにより、価値あるレガシーを残していくための取り組みを二〇二〇年に向けて着実に進めていくことを目的としております。
 また、都の取り組みを明らかにすることにより、都民の皆様が大会にかかわりを持ち、参加するきっかけにしていただきたいと考えております。
 今後、大会に向けた工程表を取りまとめ、進捗管理にも活用することにより、素案に掲げた取り組みを着実に進め、確かなレガシーを残してまいります。

○小山委員 ただいまのご答弁の中で、大会に向けた工程表を取りまとめられるということであります。ぜひ、先ほど申し上げました進捗管理、こういったことにこの工程表が都民参加につながるようなものにしていただきたいと思います。
 都の取り組みを明らかにすることで、都民の皆様が大会にかかわりを持ち、参加していただくきっかけにするということでございますが、これは、これまでも私どもが申し上げてまいりました、都民、国民が参加をして、体感するオリンピック・パラリンピック、こういうことを申し上げてまいりましたが、この第一歩となるものだと評価をさせていただきたいと思います。
 その観点からも、本素案の取り組みの進捗管理をしっかり行っていただきますことと、それから、事業ごとの結果をしっかり検証していただいて総括をしていただきたいというふうに思っております。
 大会後のレガシーを見据えまして、さまざまな取り組みを行いました先行事例としまして、二〇一二年のロンドン大会がございます。英国政府、ロンドン市は、大会開催前からそれぞれレガシーの創造に努めた結果、大きな成果を残すことができました。
 そこで、大成功をおさめましたこの二〇一二年のロンドン大会のレガシーの成果をどのようなものだと認識されているのかお伺いしたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 ロンドン大会では、大会開催五年前の二〇〇七年六月に英国政府が、そして二〇〇八年一月にはロンドン市がそれぞれレガシーに関する計画を公表し、大会前から計画的にレガシーを見据えた取り組みを進めております。
 ロンドン大会の代表的なレガシーとしては、ハード面では、オリンピックパークの建設を中心としたロンドン東部地域の再開発が挙げられます。そのほか、水泳会場のアクアティクスセンターや自転車競技のベロドロームなど、大会後も多くの市民に利用され、有効に活用されていると聞いております。
 ソフト面では、スポーツやボランティアを行う人の増加や経済成長、障害者への理解促進などが挙げられます。
 なお、今回、都として、大会後のレガシーを見据えた取り組みの素案を取りまとめましたが、これは、ただいまご説明いたしました英国政府、ロンドン市がレガシーの計画を公表いたしました大会五年前と同じタイミングに当たり、東京二〇二〇大会に向け取り組みを推進し、価値あるレガシーを残してまいります。

○小山委員 ただいまのご答弁の中で、ロンドンの事例についてお答えをいただきました。これは、私ども、委員会であるとか、先般のロンドン視察、海外調査なども含めて、ロンドン市の取り組みというものをつぶさに視察してまいりました。
 その中で、ご答弁にありましたように、やはりロンドン東部地区の再開発というものが極めて大きな成果を上げているものだというふうに考えております。東部地区は、かつて移民が大変多い地区で、貧困層の多い地域でありました。そして、なおかつオリンピックパークについては、ブラウンフィールドと汚染地区であったわけでありますけれども、ここを土壌改良してオリンピックパークをつくり、そして多くの競技会場を整備した、さらには、隣接地区に商業施設も整備をされる中で、あの地域の振興に大変大きく寄与したということは、これは皆様もご承知のことだというふうに思っております。
 そのように、ロンドン大会では、これはロンドン・プランの中にも記載をされておりましたけれども、ソーシャルインクルージョンを実現するのだということが明確に示されておりました。ロンドン大会でのまさしくレガシー、成果は、このソーシャルインクルージョンの実現だということがいえると思っております。
 なおかつ、このソーシャルインクルージョン、今回の東京都の素案の中では、共生社会の進展ということにもいいかえることができると思います。
 そこで、ロンドン大会がこのようにレガシーを残すことに成功した最大の理由は、大会の関係者、これはロンドン市あるいはロンドンの組織委員会、こういったところが、こうした課題に対して当初から明確なビジョンを示したことにあると考えております。
 そこで、東京大会でも、このレガシーについて明確なビジョンを持ち、取り組みを進めていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 素案では、目指すべきレガシーとして八つのテーマを明らかにしており、それぞれレガシー実現に向けた取り組みをお示ししてございます。
 この中で、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する都市として、パラリンピックを成功させ、障害のある人もない人も互いに尊重し、支え合う共生社会づくりを進めていくこととしております。
 このため、障害者スポーツの振興はもとより、都市のバリアフリー化や心のバリアフリーの浸透など、関係各局の取り組みとも連携し、障害の有無にかかわらず、誰もが暮らしやすい社会の実現に向け取り組みを進めてまいります。

○小山委員 今、お答えをいただいた中で、今回の素案の中には、八つのテーマを明らかにされて、それぞれ大変詳しく二〇二〇年大会後の姿というのを見出しております。
 特にその中で、二回目のパラリンピックを開催する都市としてさまざまな事項を挙げられておりますが、この素案を見ると、本当に東京都、あるいは東京大会を通じて何ができるのかということがいまいち、もう少しはっきり打ち出されるのが私はふさわしいのではないかなと思っております。
 そこで、今回、世界で初めての二回目のパラリンピックを開催する都市として、障害のある人もない人も互いに尊重して支え合う社会をつくるというふうに先ほどのご答弁の中にもありましたが、このレガシー計画を見てみますと、実は市町村立の地域スポーツ施設と区立の地域スポーツ施設、さらには障害者のスポーツセンターの位置が記載されております。
 この記載を見ますと、今、区立の地域スポーツ施設は九百六十六施設、市町村立の地域スポーツ施設は八百二十九施設であります。
 障害者のスポーツセンターについては、区部に一つ、多摩地域に一つという図が載っておるわけでありますけれども、先ほどのご答弁から、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する都市としてさまざまなレガシーを残すんだということでありますから、ぜひ大会後を見据えて、市区町村立のスポーツ施設におきましても、障害者が使いやすい施設とすべきではないかというふうに考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ施設担当部長 素案では、障害者スポーツの場の整備を図るため、地域における障害者スポーツの拠点の一つとして、都立特別支援学校の活用とともに、市区町村のスポーツ施設のバリアフリー化を支援するなど、市区町村に対する働きかけを行うこととしております。
 具体的な取り組みとして、障害のある人が身近な地域でスポーツ活動を行うことができるよう、市区町村のスポーツ施設の整備費に対する補助制度を平成二十六年度に創設し、競技スペースを拡大する工事とともに、バリアフリー化工事に対して補助する仕組みを整えました。
 昨年度は、このバリアフリー化工事を実施する五施設に対して補助を行いました。また、今年度は、この制度全体の予算額について、昨年度の六倍に当たる十二億円としております。
 大会後のレガシーを見据え、今後も引き続き、市区町村のバリアフリー化に向けた改修を積極的に支援し、地域における障害者スポーツの充実を図ってまいります。

○小山委員 ただいま、一つ例をとって障害者スポーツの施設について伺ったわけでありますけれども、先ほどのご答弁以来、共生社会ということを大会後の東京のレガシーとして見据えて取り組んでいかれるということであります。
 ぜひとも、障害者を初め高齢者、誰にでも使いやすい施設であったり、あるいは都市のインフラであったり、そういったハード、ソフト両面への取り組みというのを東京都としてしっかり見据えて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、東京二〇二〇パラリンピック競技大会会場計画の再検討の状況についてお伺いをいたします。
 まず、今回の会場計画の変更につきまして、パラリンピックの会場計画の変更はどのような視点から再検討を行われたのか、また、オリンピックの会場計画の変更との相違点についてお伺いをしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 都と組織委員会は、オリンピック競技会場について、昨年六月以降、レガシー、都民生活への影響、整備費高騰への懸念の三つの視点やオリンピックアジェンダ二〇二〇の趣旨である既存施設の活用を踏まえ、会場計画の再検討を実施してまいりました。
 パラリンピック競技会場の再検討に当たりましては、オリンピックで使用した競技会場を活用することを原則としつつ、アスリートファーストを基本に、視覚障害選手が音を頼りに競技を行う等の競技特性や重度脳性麻痺などの障害の程度等を考慮し、パラリンピックの視点から改めて検討を進めてきたところでございます。

○小山委員 今お答えをいただいた中で、競技会場の変更に当たっては、オリンピックの会場計画の変更の中で、既存施設の活用ということに重きを置かれて変更されたと思います。
 これに加えて、アスリートファースト、競技特性を考慮して検討されたということでありますけれども、パラリンピック大会の会場については、立候補ファイル時点でありますけれども、九五%の競技会場が選手村から半径約八キロ圏内に配置される計画であったと思います。
 特にこのときは、パラリンピックは、オリンピックと比べて選手の負担や負荷に十分配慮して、より選手村より近い会場での開催を趣旨とされておられました。
 しかしながら、今回の再検討の結果、選手村から半径八キロメートル圏内というところから離れた会場での変更となった部分がございます。
 そこで、この変更について、アスリートファーストやパラリンピック選手の負担という観点から、今回の変更について問題がないのか見解をお伺いしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 選手の負担軽減という点に関しましては、選手村の距離よりも移動時間という観点に注目する必要があると考えております。
 これまでに承認を得た十九会場のうち、約九五%の会場が、オリンピックレーンの整備等により、選手村からおおむね三十分で移動可能と想定しております。
 例えば武蔵野の森総合スポーツ施設や幕張メッセにつきましても、おおむね三十分で移動可能と想定しております。
 円滑な選手輸送のためのオリンピックレーンの整備等について十分に検討するとともに、選手のリラックススペースの設置等、選手に最高のパフォーマンスを発揮してもらうための競技環境の整備を初め、さまざまな取り組みについて、今後、組織委員会とともに検討してまいります。

○小山委員 ただいまのお答えの中で、きちっとオリンピックレーンの整備等で三十分以内の移動が可能ということで、十分選手への負担や負荷を考えた再検討の結果であるということだというふうに思っております。
 これから組織委員会とまだ検討すべき課題などもあるというふうにお答えをいただきましたので、ぜひともパラリンピックについては、選手への負担や、アスリートファーストという観点はもう何度もおっしゃっていただいておりますけれども、この点についても十分留意をして対応していただきたいと思います。
 また、今回の会場計画の変更で、オリンピックのみ開催される会場、そしてオリンピック、パラリンピックともに開催をする会場が明らかとなりました。
 ここで改めて確認したいと思いますが、先般の委員会で競技会場として使用する施設については、TOKYO二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの基準を適用して、バリアフリー化等を推進していくということでございましたが、パラリンピックで使用しない会場についてもこの基準を適用していくのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 TOKYO二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインは、IPCアクセシビリティーガイド及び関係国内法令等に基づいて取りまとめているハード、ソフト両面のバリアフリー化の推進を目的とする二〇二〇年大会用のガイドラインでございます。
 ハード面に関しては、競技会場等の関係施設やそのアクセス経路をその適用対象としてございます。
 今後、IPC、国際パラリンピック委員会の仮承認を得た後、公表する予定でございまして、パラリンピックの競技会場として使用しない会場についても、このTOKYO二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインを適切に適用してまいります。

○小山委員 ただいまのお答えの中に、競技会場はもちろんでありますけれども、関係施設やアクセス経路についても図られるということであります。ぜひ大会後に各競技会場やインフラ、周辺のインフラも含めてでありますけれども、障害者や高齢者を初め全ての人に使いやすい、そして快適に利用しやすい施設となるよう、取り組みを求めておきたいと思います。
 次に、自転車競技の会場変更についてお伺いをさせていただきます。
 私からは、先ほど林田委員の方からもございましたように、ロードレースについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 今回の再検討で、ゴール地点が武蔵野の森公園から皇居外苑へ変更されたことは、率直にいって多摩地域での開催という点から残念に思っております。
 そこで、自転車ロードレースのゴールが武蔵野の森公園から皇居外苑に変更された理由についてお伺いをしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 立候補ファイルでは、皇居外苑をスタートし、多摩地域に設置した周回コースを経て、武蔵野の森公園でゴールする計画でございましたが、国際競技連盟、IFから日本の象徴である皇居外苑をゴール地点としたいとの要望を受け、ゴール地点を変更したところでございます。
 ゴール地点を見直した結果、コスト縮減、円滑な競技運営の実施にも資するものと考えております。

○小山委員 国際競技連盟からの要望ということでございましたけれども、これに伴って周回コースについても変更があろうと思っております。
 ゴール地点が変更されたことによって、これまで立候補ファイルの中で示されておりました周回コースでございますけれども、主に稲城市、多摩市、府中市と三市を周回するコースとなっておりますが、恐らく距離の関係での変更もあろうと思っております。
 また、私もこれまで何度か申し上げておりましたけれども、ぜひこの周回コースを含めコースについては、多摩の主要地域や名所を通るようなコースとしていただくよう求めてまいりました。
 私、府中市のお話で大変恐縮でありますが、多摩地域でも歴史と由緒のある大國魂神社でありますとか天然記念物の馬場大門のケヤキ並木、さらには東京競馬場など、多摩地域の名所など主要地域を通るコースの実現というものをぜひ図っていただきたいと思っております。
 そこで、周回コースについては、府中市、稲城市、多摩市三市の主要部分を通るように取り組んでもらいたいと考えておりますが、周回コースについてはどのように調整をされるのかお伺いしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 オリンピック競技大会におけるロードレースの距離は、IFの基準によりまして男子が二百五十キロメートルから二百八十キロメートル、女子が百二十キロメートルから百四十キロメートルと規定されております。
 また、周回部分の距離は、IOCの基準で一周十三キロメートルから十七キロメートルの範囲で複数回周回することと規定されております。
 コースにつきましては、これらの規定に基づきまして、距離等の調整を行うとともに、多摩地域を周回する立候補ファイル時のものを基本としまして、競技性の観点も踏まえたよりよいコースとなるよう、組織委員会と連携し、できるだけ早い時期に、国内、国際競技団体、交通管理者、道路管理者などの関係者と調整を行ってまいります。
 皇居という日本の象徴、多摩地域の自然など、世界に対し東京の魅力ある景観を発信できるものと考えております。

○小山委員 今ご答弁をいただきまして、スタートもゴールも皇居外苑ということで、日本の象徴からスタート、ゴールをされるということでありますし、多摩地域の自然ということもお答えをいただきました。
 多摩地域、先ほど申し上げました、いろいろ歴史や由緒ある、そういったすばらしい景観の部分もございます。こういったところも十分加味をして、やはりロンドンのロードレースについても、大変、名所や主要地域を通ったコース選定となっております。
 ぜひこれらロードレースが多摩地域の振興につながるような、そういったコース変更となるように求めておきたいと思います。
 そして、きょうこれまで、さまざまお伺いをしてまいりましたレガシーや、さらには会場計画の変更などでございますが、これも再三申し上げておりますが、二〇二〇年の大会後を見据えて、東京がどういう都市になるのか、そして都民、国民に何を残せるのか、そこをぜひとも、東京都を初め組織委員会の皆様も十分念頭に置いて、今後の取り組みを進めていただくよう強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○石川委員 世界一安全な都市東京について伺います。
 まず、東京を世界一安全なまちにするためには、世界の都市の中での評価を確認する必要があります。よく使われております森記念財団の都市の総合ランキングは、国や東京都の政策評価指標として活用しており、世界の四十都市を対象としております。その中で東京は八年連続で四位となっております。最近、シンガポール、香港がアジアの都市として急速に東京を追い上げているわけであります。
 また、エコノミスト誌の調査で東京は犯罪率の低さ、ディーゼル車規制による大気汚染への配慮、医療施設や救急医療の充実、歩行者専用道路の整備などで高く評価をされており、東京は世界で一番安全な都市であるとされております。
 しかし、同じエコノミスト誌では、東京は最もリスクの高いまちとも評価をされております。東京は地震、津波、洪水などの自然災害や自転車専用レーンの整備が進んでいないことや、痴漢行為などを見て見ぬふりをすることなども挙げられております。
 二〇二〇年大会に向けて、世界一安全な都市を目指していくため、今後どのような取り組みを行うのかお伺いいたします。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 今回の素案では、二〇二〇年大会に訪れる国内外からの多くの選手や観客の誰もが快適に大会を楽しんでもらえるよう、安全・安心への備えを万全にし、世界一安全な都市東京を世界に発信していくこととしております。
 そこで、都は、本年七月に安全・安心部会を設置し、現在、治安対策、サイバーセキュリティー、災害対策、感染症対策の視点からさまざまなリスクの洗い出しを行っております。
 今後は、検討の進捗に合わせて体制を強化し、実地訓練や対処要領の策定などに取り組んでまいります。

○石川委員 犯罪発生率の低さなどについてしっかりと維持をし、新たにサイバーセキュリティーの強化やテロ対策等に力を入れていかなければならないということなわけであります。
 結局のところ、長期ビジョンで掲げられている事業、例えば木密地域の整備を初め、自転車専用道の整備や交通渋滞対策などの事業も着実に、しかもスピードアップして推進をしていくことが、世界一安全なまちとしてのレガシーをつくっていくことになるということかと思います。
 次に、選手村のレガシー化についてお伺いいたします。
 選手村は大会終了後、六千戸の住宅に生まれ変わる計画となっていますが、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックで、世界からアスリートが集った中心であることは、末永く語り継がれることになると思うわけであります。
 そこで、選手村の大会終了後のまちづくりのビジョンとタイムスケジュール、まちがどのくらいの時間をかけて整備されていくのかについてお伺いいたします。

○安部オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 今回の素案では、大会終了後の選手村を誰もが憧れ住んでみたいと思えるまちにするため、多様な居住ニーズに柔軟に応えられる住戸と快適に暮らせる機能、水素エネルギーなど最先端の環境技術を導入していくこととしております。
 次に、大会終了後のまちの整備時期につきましては、板状棟は住宅への改修を実施しまして、超高層タワー棟は大会終了後に建築工事に着手しまして、平成三十三年度以降の入居を予定しております。
 これらの整備に合わせまして、クリニックモールや保育所など、多様な人々が交流し、快適に暮らせる機能を導入してまいります。
 今後とも、庁内関係局との連携のもと、選手村レガシーの具体化に取り組んでまいります。

○石川委員 やはりオリンピック・パラリンピックの象徴として、スポーツがハード、ソフト含めてまちの中にあるまちづくりを進めていただきたいと思います。
 入居計画も板状棟は改修し次第、タワー棟も大会終了後三年ほどで入居が始まることになっております。新しく小学校もできる計画となっていますが、区としっかりと協議をしていただき、長期的なスパンでまちづくりを進めていただきたいと思います。
 特に民間主体のまちづくりとなると、投下した資金を一日も早く回収しようとするインセンティブが働いてしまい、同じような世代が一遍に入居し、学校も一時的に大きくなり、その後は急速に子供が減ることになり、また高齢化に伴う問題も同じことがいえるわけで、少し時間をかけてまちをつくっていき、その中にオリンピック・パラリンピックの象徴が埋め込まれていくことを願っております。
 次の質問に移ります。
 我が国では、二〇一〇年のスポーツ立国戦略により新たなスポーツ文化の確立を目指し、人の重視、連携、協働の推進を基本的な考え方に据えました。
 そして、二〇一一年に施行されたスポーツ基本法では、地域スポーツの推進と競技水準の向上を両輪と位置づけ、生涯スポーツの実現のため、ライフステージごとのスポーツ環境の整備を進めることになりました。
 そして、総合型地域スポーツクラブを地域スポーツ環境の整備の中心に据え、支援が始められてきました。いわばいつでも誰でもどこでもをモットーに、会費などの受益者負担の原則のもとに進められ、二〇一二年のデータでは全国で三千三百九十六のクラブが設置され、全国で一つ以上の総合型地域スポーツクラブのある市町村は七八%に上っております。いわばヨーロッパ型の地域スポーツクラブをモデルとして、多種目、多世代、多志向を目指してきました。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの決定は、東京だけでなく、全国の総合型地域スポーツクラブにとって、スポーツ振興を図っていくまたとない機会といえるだろうと思います。
 素案では、都民、地域の協働に関する具体的な取り組みの一つとして、地域スポーツクラブの設置拡大と活動支援の推進を掲げておりますが、地域スポーツクラブの現状と課題をどのように認識しているのかお伺いいたします。

○早崎オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 地域スポーツクラブは、地域住民が主体的に運営し、子供から高齢者、障害者を含め誰もが身近にスポーツに親しみ交流を図れる場として、地域のスポーツ推進に欠くことのできないものであり、現在、都内に百二十五クラブが設立されています。
 昨年度行った調査では、約三分の二のクラブが会員の確保、増大、財源の確保を課題として挙げており、都としてはクラブの継続的な活動のための基盤づくりが必要であると認識しております。

○石川委員 会員の確保ができれば、一定財源の確保にもつながるわけであります。地域スポーツクラブとラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックと連携させていくことで、スポーツのレガシーを築くチャンスとなると考えますが、都の考え方を伺います。

○早崎オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 地域スポーツクラブには、ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックを契機としたスポーツ機運の盛り上がりを長期的かつ安定的な運営基盤を築く絶好の機会として捉え、ラグビーやオリンピック・パラリンピックの種目などを事業に取り入れるなど、会員の確保、増大に向けて取り組んでいくことが期待されています。
 このため都は、地域スポーツクラブが実施するイベントなどの取り組みに対して、指導者の派遣や都民参加事業等の助成制度を通じて積極的に支援してまいります。

○石川委員 都民参加事業の助成事業で、まずはラグビーの振興を図っていただきたいと思います。
 総合型地域スポーツクラブは自己財源率が低く、JSCの助成がなくなると、事業継続の危機に立たされる可能性があります。また、それ以前に社会的認知度が三〇%程度というアンケート結果もあります。
 しかし、これからの少子高齢化時代に向けて、地域スポーツクラブが大家族的な役割を果たし、地域の連帯感を養っていくことにつながるという大きな効果を期待することができます。いわばこれからの地域のハブであり、受け皿にもなり得るわけであります。
 オリンピックをきっかけに、超高齢化時代を迎え、健康寿命を伸ばし、医療費の増嵩を抑制する効果も期待できるわけであります。ぜひ産声を上げたばかりの総合型地域スポーツクラブの育成を図っていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会に向けては、共同開催都市となる全国の自治体に共通する課題があり、自治体間で緊密な協力が必要だと考えておりますが、これは前年に開催されるラグビーワールドカップにおいても同様でございます。
 そのため、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会を成功に導くため、ラグビーワールドカップ二〇一九での取り組みをメルクマールとして、関係自治体間での連携を図りながら準備を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○井上オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会におきましては、二〇一九年のラグビーワールドカップと同様に、東京都以外にも競技会場が所在するため、共同開催都市と相互、密接に連携しながら準備を進めることが重要であると考えております。
 先般、競技会場が所在する自治体と組織委員会、国により構成される二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた関係自治体等連絡協議会が設置され、共同開催都市と連携して取り組む体制が整備されました。
 今後、この会議体も活用しながら関係自治体と連携し、大会機運醸成を初めボランティア、多言語対応、セキュリティーなど、共通する課題に取り組むとともに、素案に掲げておりますように、ラグビーワールドカップ二〇一九の準備も一体のものとして捉えまして、オールジャパンで大会成功に向け全力で取り組んでまいります。

○石川委員 今後、行政だけでなく、体育協会や総合型地域スポーツクラブなどの組織も、そして、都議会と他の道府県議会とも連携をしていくための組織化が求められると思っております。
 ラグビーワールドカップとオリンピック・パラリンピックにかかわる自治体は異なりますが、一体としてスポーツのレガシーをつくり上げていくという理念は共有できるわけであります。こういう面でもオールジャパンを実現していかなければならないと思っております。
 次に、自転車の会場計画の再検討の状況についてお伺いいたします。
 立候補ファイルによりますと、自転車ロードレースはインペリアルパレス、皇居前をスタートして甲州街道を下り、調布市を通り、府中市から稲城大橋を渡り稲城市に入り、尾根幹線、川崎街道を通り米軍の多摩サービス補助施設前を通過して、多摩市の連光寺をピークに坂を下り鎌倉街道に入り、多摩川沿いに進み旧甲州街道に入り、また稲城大橋に戻る周回コースを男子十六周二百八十キロ、女子七周百四十キロのコースで、おおむね男子七時間、女子四時間かけて走り、ロンドンでは男子が百二十人、女子は八十人の選手が出場したわけであります。
 豊かな緑と百二十四メートルの高低差がこのコース選定の理由ではないかと思われるわけであります。
 ゴールは、さまざまなイベントなども可能な東京スタジアムと武蔵野の森総合スポーツ施設の隣地の武蔵野の森公園となっていたわけであります。
 今回、自転車ロードレースのゴールが武蔵野の森公園から皇居前になぜ変わったのかということにつきましては、先ほどご質問がありましたので、これは省略をさせていただきます。
 いずれにしましても、先ほどの……(発言する者あり)よろしいですか。武蔵野の森公園から皇居前に変更になった理由について改めてお伺いいたします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 立候補ファイルでは、皇居外苑をスタートし、多摩地域に設置しました周回コースを経て、武蔵野の森公園でゴールする計画でございましたが、IFから日本の象徴である皇居外苑をゴール地点としたいとの要望を受けまして、ゴール地点を変更したところでございます。
 ゴール地点を見直した結果、コスト縮減、円滑な競技運営の実施にも資するものと考えております。

○石川委員 記念碑がある一九六四年の東京オリンピックのレガシーのマラソンの折り返し地点に近い武蔵野の森公園が、二〇二〇年のゴールのレガシーを引き継ぐことができたのではないかということで、一九六四年と二〇二〇年のレガシーということで非常にいい流れだったわけでございますけれども、大変残念なわけです。
 経費、あるいは警備の問題などを考えるとやむを得ないということで、とりあえずは受けとめさせていただきます。
 立候補ファイルでは、武蔵野の森公園がゴールとなってしまいましたが、皇居外苑に戻るということは、レースの距離が延びることとなるわけでありますけれども、何らかの距離の調整を行う必要が出てくるのではないかと思いますけれども、このコースについて、いつごろ決まるのか、タイムスケジュールについてもお伺いいたします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 オリンピック競技大会におけるロードレースの距離は、IFの基準で男子が二百五十キロメートルから二百八十キロメートル等と規定されております。
 また、周回部分の距離は、IOCの基準で一周十三キロメートルから十七キロメートルの範囲等と規定されております。
 今後、この規定に基づき、距離等の調整を行っていくこととなります。
 コースの決定時期につきましては未定でございますが、多摩地域を周回する立候補ファイル時のものを基本といたしまして、組織委員会と連携し、できるだけ早期に競技団体など関係者と調整を行ってまいります。
 皇居という日本の象徴、多摩地域の自然など、世界に対し東京の魅力ある景観を発信できるものと考えております。

○石川委員 周回コースの周回回数で今のところ距離を調整するものというふうに受けとめさせていただきます。
 既にオリンピック自転車ロードレースのコースを想定される道路に、自転車を愛好するアスリートが土日などはかなりの数が集まり始めております。既にスポーツ振興という意味でもオリンピック効果が見え始めており、早期の正式コースの決定が望まれていると申し上げたいと思います。
 最後に、トラック、マウンテンバイク、BMXについてお伺いいたします。
 八王子市は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、自転車競技会場の誘致を進めてきました。それは、都内自治体として、競技開催は開催都市東京を基本として行うべきであると考えており、マウンテンバイク、BMXに加え、トラックレースについても会場を八王子市に誘致することとし、平成二十七年二月十八日に組織委員会に誘致の要望書なども市から提出されております。
 一九六四年の東京オリンピックで自転車のロードレースとトラック競技が開かれており、八王子市は自然豊かで自転車競技に最適であり、五輪終了後も会場をそのまま使うことができ、撤去費用を削減することもできるとしていたわけであります。
 自転車のトラックレース、マウンテンバイクが伊豆ベロドローム、伊豆マウンテンバイクコースに決定をした理由についてお伺いいたします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 オリンピックアジェンダ二〇二〇の精神にのっとり、既存施設の活用、コストの縮減、大会後のレガシーの観点からさまざまな検討を行いました。
 その結果、トラックレースの国際大会の開催実績もある伊豆ベロドロームと伊豆マウンテンバイクコースの二つの施設を改修し活用することとしたものでございます。

○石川委員 八王子市は誘致に名乗りを上げた理由として、ロードレースを除く三種目について立候補ファイル時の計画が変更され、東京都外で開催する方向で検討されているとの情報を得たことから、都内自治体として都内開催を強く訴えるという考え方に基づいたものだったそうでございます。
 その点で、自転車競技二種目が都内で開催されることとなり、大変喜ばしいことというコメントを市長も残しております。自転車競技会場の誘致は無理でしたが、事前キャンプの誘致の実現を目指すとして、二〇二〇年東京大会の成功に向け、機運醸成など、積極的に取り組んでまいるというふうにコメントしております。
 残念な結果だったわけでありますけれども、都内自治体が手を挙げる積極果敢さは大いに評価をされるべきだと思っております。
 以上で終わります。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時二十三分休憩

   午後四時三十九分開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山内委員 ある記事を目にいたしました。バルセロナ・オリンピックでメダリストとなった有森裕子さんのザ・ビッグイシューの記事です。夢のまた夢だったオリンピックに出場し、メダルをとり、人生最高の瞬間が訪れました、あのときの私は、勝利の快感と人々から与えられる惜しみない称賛に酔っていたのでしょう、ところが、しばらくすると物すごく大きな落胆がやってきました、私の人生はこれからどこに向かっていけばいいのか、オリンピックのメダルを人生の頂点にしたくはない、この輝きに恥じない生き方をしたいと思うけれども、何をどうしていいのかわからない、熱狂の後にやってきたのは、これまで経験したことのない孤独でしたというものです。
 祭りの後の喪失感という言葉もあります。大会後のレガシーというときに大きなポイントは、建設された施設等が少子高齢、人口減少の成熟社会に見合ったものでなければ、負の遺産になってしまうということだと思います。
 高齢者も障害者も子供も、身近な施設として、日常的にスポーツを楽しめるようにしていくことが重要と考えます。素案には、学校体育館施設や公園など、東京にある資源を最大限活用して、東京全体にスポーツフィールドを創出するとあります。これは、身近な場所でスポーツを楽しめる環境づくりをするということだと思います。
 私も特に障害者スポーツの振興に当たっては、特別支援学校のさらなる活用促進が重要と考えております。
 質問をする予定ではございましたが、重複いたしますので、割愛し、意見だけを述べさせていただきたいと思います。
 昨日の日経新聞に、障害者スポーツを専門とする医師の育成が進んでいるという記事がございました。もともとは、リハビリテーションの専門の医師が、障害を持つ子供たちがスポーツに参加して生き生きした表情を取り戻していくのを見て、スポーツによる障害者の社会参加を後押ししたいと、障害者スポーツの資格を取得したのだということです。障害を持つ人にもスポーツの楽しさを実感してほしいと私も思います。
 また、障害が原因の疾患や合併症を抱えることも多いため、選手の方に対しては特に支障なく競技を行えるよう、体調管理を専門家等が支援する必要があります。医学的な見地から障害者スポーツを支えていくことが重要と考えますので、ぜひ東京都もご検討いただきたいと思います。
 生活者ネットワークはこれまで、学校を卒業するとスポーツをする機会が極端に減ってしまう現状を指摘し、その場の一つとして、特別支援学校の放課後や休日等の障害のある方々への開放を進めることを要望してまいりました。
 徐々に進んでいるとのことですけれども、特別支援学校の開放を進めるには、何よりも学校や保護者、地域の方々の理解や協力なしでは実現ができません。ぜひ丁寧に進めていっていただきたいと思います。
 超高齢社会の到来に伴い、健康増進や生きがいづくりなどの観点から高齢者のスポーツ振興が重要ですが、さまざまなスポーツの中から高齢者が自分の健康状態に適したスポーツを選ぶのは困難です。
 今後、高齢者のスポーツ振興を進める上で、健康状態に合ったスポーツの紹介など高齢者のスポーツ活動の意欲を喚起するきめ細やかな情報発信が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。

○早崎オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 素案では、スポーツの振興をさらに進めていくため、行政、民間、地域など、さまざまな主体が協働してスポーツを推進していくこととしています。
 高齢者にとってスポーツは、健康の維持増進など身体的な有用性だけでなく、生きがいづくりや孤独感の軽減など心理的、社会的な効用もあり、超高齢社会を迎える東京においてますます重要な意義を持っています。
 これまで都は、シニア健康スポーツフェスティバルTOKYOやねんりんピックへの選手団の派遣、シニアスポーツ振興事業など、高齢者を対象としたさまざまな事業を展開してきました。
 高齢者に適したスポーツは多種多様であり、身体への負担の少ないスポーツについて新たに知ってもらうことで、高齢者がスポーツに取り組むきっかけにつながり、スポーツ実施率向上にも期待できます。
 今回の素案では、高齢者の年齢や体力に応じたスポーツや運動方法など、学術的に研究している大学等研究機関と連携を進めることとしており、その研究内容などを広く情報発信してまいります。

○山内委員 高齢者のスポーツは、転倒予防や介護予防、体力づくりなど、健康の維持増進に有効であるだけではなく、さまざまな人との交流や地域のコミュニケーションの機会ともなり、社会参加の促進ともなります。
 高齢の方が日常的に地域でスポーツを楽しめる環境づくりが重要です。二〇二五年には、高度成長期に青春を過ごした団塊の世代の方々が、今後、大量に高齢者の仲間入りをしてまいります。
 ご答弁にもございました大学等の研究機関との連携、この連携によって、ウオーキングやランニングだけではなく、当事者予備軍である団塊の世代の方も参加して、新しい高齢者のスポーツを今後提案していっていただきたいと要望いたしまして、私の質問は終わります。

○上田委員 二〇二〇年に向けた東京都の取り組み素案につきまして、策定におけます関係各機関とのまず連携体制について確認をさせてください。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 素案の取りまとめに当たりましては、各テーマごとに関係局とともに検討を重ねまして、十分に調整を図った上で取りまとめたものでございます。

○上田委員 関係各機関の、扇子でいえばかなめになるようなところというのが、昨年の十一月二十一日に設置されました東京オリンピック・パラリンピックレガシー委員会だと思います。
 設置要綱六条には知事が指名する関係局長ということでございますけれども、メンバーの中にはオリ・パラの準備局長もおいでになるということと、要綱八条の謝金についてちょっと気になったのですけれども、こちらについては局外の方、外部の方にお支払いするというような形で成り立っていることを確認させていただいております。
 このレガシー委員会と取り組みの位置づけ並びに委員会の開催状況、そして、これがやはり素案策定に当たってかなり生かされているとは思いますけれども、反映状況及び実績についてお示しください。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 レガシー委員会は、昨年十一月の委員会設置以降、二十二回開催されております。
 今回の素案は、レガシー委員会での検討を踏まえ取りまとめたものでございまして、レガシー委員会での議論を反映したものとなっております。

○上田委員 引き続き内容等、私も今後確認をさせていただきたいと思います。活発な議論とオリンピック・パラリンピック事業への反映を期待するものです。
 今回、いろいろと年明けから議論にはなってきますが、たくさんの自治体や国とか機関がかかわる中で、外部組織の意向と素案実施に当たる関与、連携協力体制についても確認をしたいと思います。
 組織委員会、JOC及び各競技団体など、国及び会場他県、あと関係区市町村においてどうなっているのか、それぞれについてお答えください。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 組織委員会やJOC、各競技団体等につきましては、この素案の策定過程等において意見交換を重ねており、その意向を反映させております。
 また、国や競技会場が所在する自治体、区市町村などにつきましては、個々の事業内容に応じまして、必要な調整を行った上で取り組みを取りまとめたものでございます。

○上田委員 また、この素案において、各団体においてはどのように実施、実行していくのか、イメージだけでもいいので確認させていただければと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 素案に盛り込んだ事業の実施に当たりましては、それぞれの事業の内容に応じまして、各関係団体と調整、協力しながら取り組みを進めてまいります。

○上田委員 千葉県では総合企画部の政策企画課、神奈川県は政策局政策室、静岡県は文化・観光部観光交流局というところで、それぞれにカラーもあるかと思いますので、連動、連携体制を続けていっていただきたいと思います。
 次に、素案をまとめるに当たりまして、民間事業者の活力とノウハウを活用した選手村の整備というところがございます。こちらは民間も入ってくるということで、損失とか不動産投資、事業もあるところで、すしざんまいの問題もありますので、余り民間や都民に損失等を与えかねないような事業であることを懸念もしているところで、どのようなレガシーの理念のもと事業を展開されていくのか、ご所見をお聞かせください。

○安部オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 今回の素案では、大会終了後の選手村を誰もが憧れ住んでみたいと思えるまちにするという考えのもと、市街地再開発事業の特定建築者制度を導入しまして、選手村の整備を進めることとしております。
 今後とも、庁内関係局との連携のもと、選手村のレガシーの具体化に取り組んでまいります。

○上田委員 選手村は臨海部に位置すると思います。臨海副都心開発は、時の鈴木俊一都政下の第二次東京都長期計画において、七番目の副都心として位置づけられた事業であります。
 鈴木知事の掲げた副都心育成のもと、都心部から業務機能を分散、誘導しようという多心化政策の一環として誕生したものがこの事業で、そこに類する地域に今回、選手村もできるというところです。
 平成三年には事業会計予算が否決されるなどの紆余曲折を経ている中、オリンピックということのにぎわい、そして臨海副都心事業の成功の牽引となることを願っております。
 引き続きオリ・パラ準備局は、多分、都市整備と港湾局もかかわってくると思いますので、その中心たる、主たる当事者意識を持たれ、事業を進められることを要望いたします。
 次に、警備体制のレガシーなのですけれども、さきのテロを受けまして、歴史的にテロは、一般質問でいいましたが、文化、文明の象徴をターゲットにしますし、スポーツ、祭典もその一つであり、マラソン大会が標的になったこともあり、万全の体制が望まれます。
 この観点から、レガシー委員会に警視庁は入っているかということと、オリ・パラ局として、警視庁、公安委員会と素案の共有をしているのかの確認をさせていただきたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 危機管理体制など警視庁が関係する事項につきましては、レガシー委員会に警視庁も参加して検討を行っており、素案の内容についても十分に共有を図ってございます。

○上田委員 また、会場は他県にまたがるものでありますが、開催都市として安全・安心な大会の万全な備えに向けての連携体制を含むご所見もお聞かせください。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 素案では、二〇二〇年大会における安全・安心の確保に向け、国や組織委員会等の関係機関との連携を強化し、役割分担の明確化を図り、官民一体となった安全・安心を担う危機管理体制を構築することとしております。
 他県の競技会場につきましても、この連携体制のもと適切に対応してまいります。

○上田委員 東京は警視庁、他県は県警ということになります。なかなか、文化も恐らく違うとは思いますが、中心の開催都市として、その橋渡しをぜひしていくことも希望いたします。
 次に、国及び会場他県及び民間設置者とのユニバーサルデザインの共有について端的にお尋ねいたします。
 物理的バリアの除去についてです。どのように情報共有をして対応する計画となっているのかお示しください。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 都は、国や組織委員会とともに、会場のあるほかの自治体等とアクセシビリティ協議会を設置し、TOKYO二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの検討を進めているところでございます。
 当該ガイドラインは、国際パラリンピック委員会の仮承認を得た後、国や組織委員会とともに、民間事業者も含めた関係者に広く周知し、協力を得ながら、大会に向けた環境を整備していくこととしてございます。

○上田委員 次に、表示物の共有化については、同様に、どのようにされているのかお答えください。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 現在策定中のTOKYO二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインは、大会関連の案内板といった情報発信とソフト面のバリアフリーについても対象にしてございます。
 策定後は、関係者に広く周知し、協力を得ながら、大会に向けた環境を整備してまいります。

○上田委員 ありがとうございました。
 都の施設は、都が一貫してユニバーサルデザインも、また表示物も共有化ができると思いますが、殊に他県や国といった行政をまたがるものに関しては、細心の注意を払いましての今のご答弁の方を実施していただきたいと思います。
 次に、要援助者のサポート体制と支援者の育成についてお尋ねします。
 パラリンピアン及びハンディキャップを持つ観客の皆様並びにその援助者への対応策をどのように情報共有して対応されるのか、また、会場ボランティア等の育成に当たり、国及び会場他県との連携協力をどのように推進していくのかの計画を伺います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 TOKYO二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインは、国や会場のあるほかの自治体とともに検討しており、大会スタッフやボランティアによる障害のある方への対応トレーニングも適用対象としてございます。
 二〇二〇年大会時に活躍するボランティア人材の裾野の拡大については、国や会場がある他県市が参画する東京都ボランティア活動推進協議会で検討し、採用された大会ボランティアに対しては、大会組織委員会がアクセシビリティーガイドラインに基づいてトレーニングを行う予定でございます。

○上田委員 ありがたいことに、千葉県知事も独自でボランティアを育成するというような新聞報道もされていますけれども、やはりアクセシビリティー対応、そういったことの共有ということも必要だと思われますので、ご答弁のとおりの実施をお願いしたいと思います。
 関連しまして、パラリンピアンとハンディキャップを持つ観客におかれます医療的ケア体制の確立、情報共有について少し心配しております。
 障害者を診られるようなドクター、あるいは状況でないと、問題があっては大変なことになるかなということで、医療的ケア体制の確立と情報共有についてお尋ねいたします。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 大会開催基本計画では、適切な医療サービスを提供することを掲げてございまして、大会組織委員会が関係自治体とも連携し、各競技会場において、選手や観客用の医務室を設け救急車を待機させるほか、スポーツドクターを配置する予定でございます。

○上田委員 安心いたしました。
 今後の調整についてです。今回ご報告いただいている競技会場に当たりまして、再検討後の会場関係機関、自治体、事業者、各競技団体との協議の現状と、そこで上がっている問題点と対応策について具体的にご報告ください。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 会場再検討に当たりましては、競技団体と十分に協議を行い、国際競技連盟の承認を得た上で、IOC、IPC理事会に報告し、了承を得たものでございます。
 オリンピックの自転車競技のうち、会場が静岡県となったトラックレースやマウンテンバイクにつきましては、宿泊、輸送を初めとする大会準備について、組織委員会が地元自治体などの関係者と調整してまいります。
 パラリンピックの競技会場につきましては、東京大会から新規競技となるバドミントンやテコンドーを含め八競技の会場変更を行いましたが、アクセシビリティーの確保や円滑な大会運営に向けた準備につきまして、組織委員会と連携し、国内、国際競技団体等の関係者と調整してまいります。

○上田委員 やはり変更後というのは、皆さん、混乱や落胆や、今までも武蔵野の森公園でなくなったことに対しての議論があったかと思いますので、今後も丁寧な情報共有と発信をお願いしたいと思います。
 最後に、サッカー会場の検討の現状及び今後の見通しを時系列でお示しください。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 サッカーにつきましては、立候補ファイル提出時の六会場につきましては変更ございませんが、会場の追加につきまして、リオ大会後に国際サッカー連盟内に設置される東京大会に向けた委員会において合意が得られるよう取り組んでまいります。
 最終的にIOC理事会へ報告し、了承が得られ次第、都議会にも報告してまいります。

○伊藤委員 私からは、まず、オリンピック・パラリンピック競技大会の競技会場について伺いたいと思います。
 オリンピックにつきましては、先日、自転車競技会場の決定がなされ、あとはリオ大会後にサッカーの会場を議論するという、サッカー会場を残すのみとなりました。
 その一方で、パラリンピック競技会場については、自転車競技、パワーリフティング、五人制サッカー・ブラインドサッカーの三競技の競技会場については、いまだ決定していない状況であります。
 特にブラインドサッカーにおいては、立候補ファイルでは大井ホッケー競技場で行われることとなっておりますけれども、いまだIFやIPCから承認を得られていない状況だということに、私の地元品川区やお隣の大田区の方からは、大変に驚き、いつどうやって決まるのかという声がございます。今後、早期に承認を得られるように取り組みを進めていただきたいと思います。
 そこで、パワーリフティングについては、ビッグサイトが使えなくなったわけでありますけれども、代替となる会場をどのように決めていくのか、また、まだ決まっていないパラリンピック三競技の会場決定に向けては、今後どのようなプロセスで進められていくのか、早期に承認を得られるよう努めるべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 パワーリフティングにつきましては、オリンピックで使用した会場を活用することを原則として候補会場を検討しており、国内、国際競技団体による会場視察を通じて、競技運営、選手の動線等についての確認を行ってまいります。
 五人制サッカーにつきましては、大井ホッケー競技場の配置変更を行ったところでございますが、国際競技連盟が会場視察を希望していることから、早期に会場視察を実施し、IPC、競技団体等の理解を得られるよう、組織委員会と連携して精力的に取り組んでまいります。
 自転車競技につきましては、今般、オリンピックの自転車競技の会場が確定したことを受け、次回、四月のIPC理事会で報告し、確定できるよう調整してまいります。
 最終的にIPC理事会に報告し、承認が得られ次第、都議会に報告いたします。

○伊藤委員 早期に承認が得られるよう努めていただきたいと思います。
 次に、大会後のレガシーを見据えた二〇二〇年に向けた東京都の取り組み素案について何点か質問をさせていただきます。
 私は、二〇二〇年東京大会とその後のレガシーは、招致の段階から既に世界へ向けてメッセージを明確に発信してきたと思っております。
 とりわけブエノスアイレスでの最終プレゼンテーションでは、私たち日本人も、そして世界中の人々の心を感動で包んだと思っております。それは、パラリンピアンの佐藤真海さんが、みずからの障害や数々の困難を乗り越えてきた体験を通してスポーツの力を、そして滝川クリステルさんは日本人の伝統であるおもてなしの心を表現し、そのプレゼンの直前に行われたのが、かつてないことでございますけれども、皇室から高円宮妃久子様が述べられたスピーチでありました。
 その一節には、日本の国民を代表して皆様にありがとうの気持ちを伝えさせていただきます、二〇一一年、日本は大きな地震と津波に襲われました、その際、IOC及びスポーツ界の皆様は支援の手を差し伸べてくださいました、日本は、そのご厚意を決して忘れることはありません、その御礼の意味でも、私たちは将来に向かって歩き出したいと願っていますとのスピーチでございました。
 私は、この復興支援に対する世界の方々への感謝、返礼こそが、オリンピック・パラリンピック史上初めてとなる東京大会ならではのコンセプトであり、スポーツの力、おもてなしとあわせて、招致の段階から既に二〇二〇年東京大会のレガシーが始まっていると思っております。
 そこで、この世界に感動を与えた三本の柱のうち、まず復興支援に対する世界への感謝、返礼について、大会後のレガシーを見据え、どのような取り組みを進めていくのか伺いたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 素案では、被災地の復興をレガシーのテーマの一つに位置づけまして、大会を通じて世界の人々に感謝を伝えていくこととしております。
 具体的には、スポーツ招待事業やアスリート派遣事業、千キロメートル縦断リレーなど、被災地とのさまざまなスポーツ交流事業を通じて、被災地の復興を後押ししてまいります。
 そして、力強く復興に向かう被災地の姿を継続的に映像に記録し、リオデジャネイロ大会など、さまざまな機会を通じて、被災地に支援していただいた世界の国々に発信するとともに、支援に対する感謝を伝えてまいります。
 史上最高の大会を実現することこそ、世界の人々に感動を届け、世界との交流を深めていくことにつながり、何よりもの返礼につながると考えております。

○伊藤委員 次に、先ほど申し上げた三つの柱のうち、スポーツの力、そしておもてなしの心についてどのような取り組みを進めていくのか伺いたいと思います。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 スポーツには、健康の維持増進、生きがいづくり、地域コミュニティの活性化など、幅広い効果がございます。
 素案では、こうしたスポーツの力を生かし、多様な主体との協働によるスポーツの推進や、いつでもどこでもスポーツができる環境づくり、障害者スポーツの振興を進め、誰もが生き生きと暮らせる東京を実現していくこととしております。
 また、東京に訪れる多くの選手、観客が快適に滞在できるよう、おもてなしの心の浸透や外国人旅行者の受け入れ環境の整備を進めてまいります。
 このため、企業や学校など、さまざまな主体と連携しながら、ボランティアの裾野を拡大するとともに、おもてなしを学ぶ機会の提供などの区市町村の取り組みを支援してまいります。
 さらに、多言語対応や多様な文化や習慣への対応の充実など、関係各局の取り組みとも連携しながら、おもてなしをレガシーとして引き継いでまいります。

○伊藤委員 感謝、そして返礼の大会とすべきであるということについては、また後ほども触れさせていただきたいと思います。
 次に、選手村のレガシーについて伺いたいと思います。
 二〇一二年の大会が開催されたロンドンでは、都市が抱える課題、住宅問題や貧困、雇用の不安定など、そうした課題の解決を視野に入れた施設の整備やレガシーの検討が早い段階から行われました。
 その中でも、ロンドン大会の選手村の宿泊施設は、大会終了後、所得が中堅程度の方々のために住宅として生まれ変わりました。その整備によって、周辺には商業施設などが配置され、雇用を創出して、所得の低い方々や雇用のない方々なども、そこで従事をしているわけであります。
 私も、ロンドン・パラリンピック大会を視察させていただきましたけれども、改めて、都市が抱える課題の解決を視野に入れた施設の整備やレガシーの検討の重要性を認識いたしました。
 東京大会の選手村においても、こうした視点で東京が抱える課題を踏まえた検討が重要であると考えます。東京は今後、環境、エネルギー問題や超少子高齢社会を迎えることとなりますけれども、選手村の大会後のまちづくりにおいては、五十年後、百年後も見据えた検討が必要であります。
 特に子育て世代や高齢者など、多世代の人々が住むまちとするとともに、将来、世代交代した後も子や孫の時代まで、まちが末永く持続的に発展していけるよう、そして、最先端の環境技術を導入した環境に配慮したまちとしていくことが重要であります。
 このような視点を踏まえて、選手村の整備に向けて、大会後のレガシーの検討を進めていくべきと考えますけれども、都の取り組みについて伺いたいと思います。

○安部オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 今回の素案では、選手村を誰もが憧れ住んでみたいと思えるまちにすることによりまして、選手村のレガシーを都民の貴重な財産として未来に引き継ぐことを目標に掲げております。
 このため、住宅棟では子育てファミリー層住戸やシェアハウス、サービスつき高齢者向け住宅などによりまして、多様な居住ニーズに柔軟に対応するとともに、商業棟などにはクリニックモールや保育所など、多様な人々が交流し、快適に暮らせる機能を導入してまいります。
 また、まちの持続的な発展に向けまして、エネルギーマネジメントを導入するとともに、水素ステーションの設置などを行うことによりまして、水素社会の実現に向けたモデルとしてまいります。
 今後とも、庁内関係局との連携のもと、選手村のレガシーの具体化に取り組んでまいります。

○伊藤委員 ぜひとも、日本国民が本当に憧れる、こうした選手村のレガシーにしていただきたいというふうに思います。
 次に、素案の中に、障害者スポーツの支援に取り組む企業と団体をつなぐ取り組みや障害者スポーツを支援する企業等のすぐれた取り組みを表彰すると記載がありました。
 障害者スポーツ団体の中には、メジャーな種目などは、スタッフや、あるいは寄附金などに恵まれた団体もあれば、一方で、家族や友人たちだけで運営されていて、試合のPRもままならないといった競技団体もあります。
 この素案の中に記載のある取り組みは、パラリンピックの成功に向けて、障害者スポーツの認知度を向上させ、障害がある人もない人も、ともにスポーツを楽しみ、応援をしていくための大事な取り組みであると思います。
 そこで、障害者スポーツを支援する企業等のすぐれた取り組みを表彰するというこの事業について、その内容の詳細を伺いたいと思います。

○早崎オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 素案では、多様な主体によるコラボレーションの仕組みを構築し、都民のスポーツ実施率七〇%達成に向けた取り組みを推進することとしています。
 その取り組みの一つとして、特にスポーツ実施率の低い働き盛り世代のスポーツ活動を推進するとともに、スポーツに対する社会的な機運を醸成するため、東京都スポーツ推進企業認定制度を今年度創設しました。
 具体的には、朝の体操など社員のスポーツ活動を推進している企業や、障害者スポーツ大会への社員のボランティア派遣、協賛を通じた支援など、社会貢献活動を実施している企業を東京都スポーツ推進企業として認定し、認定証や認定ステッカーを交付するともに、都のホームページ等で社名や取り組み内容を公表してまいります。
 さらに、この推進企業のうち、障害者スポーツに多大な貢献をしている企業など、特に社会的な影響や波及効果の大きい取り組みをしている企業を、東京都スポーツ推進モデル企業として三月に表彰することとしています。
 今後、都は、スポーツ推進企業の取り組みの周知を積極的に行い、より多くの企業においてスポーツへの支援が行われ、二〇二〇年大会後のレガシーとして引き継がれるよう促進してまいります。

○伊藤委員 東京には企業が集積しております。大企業もあれば多くの中小企業もあるわけでありますので、ぜひともこの障害者スポーツを支援してくださるこうした企業を都として応援していただいて、パラリンピックの成功に向けてつなげていただきたい、このように思います。
 次に、レガシーとドーピングについて伺いたいと思います。
 今回の素案の中にはドーピングについては触れられておりませんけれども、ドーピング防止は、レガシーを語っていく上で大変に重要な事柄ですので、あえて質問させていただきたいと思います。
 ロシアによるドーピング問題では、国際陸上連盟がロシアの陸上選手の国際大会への出場資格を停止する事態に発展しており、スポーツそのものの根幹を揺るがす大きなスキャンダルとなりました。
 一方、日本では、過去のオリンピック・パラリンピック競技大会において、誰一人としてドーピング違反を犯した選手がおらず、世界の模範となり得るものであります。
 しかしながら、都民、国民にドーピングの知識がないと、例えば事前キャンプの差し入れとして親切心で栄養ドリンクを差し上げた、あるいは風邪薬を差し上げてしまった、こうしたドーピングを誘発してしまうおそれもあるわけであります。
 先日、JADA、日本アンチ・ドーピング機構の方から大変に重要な話を伺いました。それは、海外でJADAの方が、ソウル五輪といえばと問いかけたときに返ってきた答えは、ドーピングの大会ねという返答だったという大変ショッキングな話でありました。
 陸上競技界の王者とたたえられたベン・ジョンソンは、一九八八年のソウル・オリンピックの百メートル決勝で九秒七九という当時の世界新記録を樹立して優勝しました。しかし、競技後の検査でドーピングの陽性反応が出たことで、世界記録と金メダルを\u0000525d奪されました。
 たった一人であっても、ドーピング違反が世界中の人々の記憶に上書きされてしまって、ドーピングの○○大会という印象が後代にわたって負のレガシーとして記憶されてしまうということであります。
 あのロンドンでさえ、完全にはドーピング違反を防げなかったと聞いております。違反が発覚した翌日には、朝刊にはロンドン五輪が破壊されたという強烈な言葉で新聞の一面の見出しが踊りました。その新聞を見せていただきましたけれども、強烈でした。
 一たびドーピング問題が起こってしまったら、二〇二〇年東京大会が負のレガシーを残してしまうことになるわけであります。
 大会開催都市東京として大会の大成功を考えるとき、二〇二〇年東京大会では国内、国外ともドーピング違反が発生することは絶対に避けなければならないと考えますけれども、ドーピングに関する都の見解を伺いたいと思います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長 ドーピングはスポーツのフェアプレー精神に反し、競技者の健康を損ね、薬物の習慣性から社会的な害を及ぼすばかりか、オリンピック・パラリンピック競技大会そのものが負のレガシーを残すことにもなり、決して許されるものではございません。
 スポーツ基本法では、国はスポーツにおける国際規約に従って、ドーピングの防止活動を実施するため、ドーピングの検査、ドーピングの防止に関する教育及び啓発、ドーピングの防止活動の実施に係る体制の整備など、必要な施策を講ずるものとされてございます。
 そのため、都では、国に対し、二〇二〇年大会をドーピングのないクリーンな大会とするため、世界アンチドーピング規定に基づくドーピング対策について、大会組織委員会と関係行政機関などが連携するための体制の構築を支援するなど、必要な措置を講ずることを提案要求しておりまして、今後も開催都市として、ドーピング防止の取り組みを関係機関に強く働きかけてまいります。

○伊藤委員 一義的にはドーピングの問題は国の対策になると思いますけれども、都としてできることも私はあると思います。
 先ほど申し上げたとおり、都民への周知の話、それから、都民は全てドーピングはノーだということをアピールできるような、こうした取り組みもできると思いますので、ぜひ今後も検討していっていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 先ほども申し上げましたけれども、東日本大震災では、世界中の多くの国々からさまざまなご支援をいただきました。外務省の資料によれば、計百二十八の国や地域、機関から支援物資や寄附をいただき、そのほか救援、救出活動、復興活動なども支援してくださいました。
 私は、シンガポールの人道支援団体、NGOのマーシーリリーフという団体とともに被災地支援のお手伝いをさせていただきましたけれども、こうした復興支援に対する世界の方々への感謝、返礼等、そしてこの素案の六五ページにも書かれておりますとおり、二〇二〇年大会とその後のレガシーに向けて、被災地も、そして日本中も元気を取り戻して、その姿を世界へ向けて、返礼として発信していかなければならないと思います。
 私は、こうした世界中から支援をしてくださった方々に、東京大会のときに、開会式あるいは閉会式、これは世界中の人たちの記憶に残りますので、こうした支援をしてくださった方々に開会式、閉会式に参加していただいて、最高の返礼の場としていくべきと提案、また要望しておきたいと思います。
 一方、都は、都議会公明党の提案に応えて、全国と東日本大震災の被災地とのきずなを深め、震災の記憶を風化させない目的で、青森から東京まで十五日間かけてランニングと自転車でつなぐ、未来(あした)への道千キロ縦断リレーを開催しております。
 このリレーを、全国と被災地、そして世界とのきずなを深める大会としてはどうかと思います。つまり、海外の方もこの千キロ縦断リレーにご参加をいただいて、支援していただいた国々に対するお礼の意味を込めて、被災地が復興する姿を発信していくべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○早崎オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 素案では、八つの取り組みの一つとして、被災地とのきずなを次代に引き継ぎ、大会を通じて世界の人々に感謝を伝えることを掲げ、スポーツの力で被災地に元気を届け、復興へ歩む姿を世界に発信することを取り組みの方向性としています。
 具体的な取り組みとして、千キロメートル縦断リレーについては、世界的な著名人や外国人ランナーの参加を促すなど、発信力を強化していくこととしています。
 今後、多くの外国人の方に参加していただけるよう、海外向けの広報や受け入れ体制等を工夫し、このリレーを通じて、海外へ被災地の復興状況を発信してまいります。

○伊藤委員 ぜひとも海外の方も参加していただけるよう頑張っていただきたいと思います。
 あのときに、例えば気仙沼に支援に行った、救援に行った、そういう方がもしかしたらランナーの一人になっているかもしれない。こんなに復興したんだな、また、被災地の方々がこんなに元気になったんだな、こんなことをまた感じていただいて、自国へ戻っていただいて、リレーに参加したよ、日本の人たちはこんなに元気になったよ、こんなことをまた世界に返してくださる、このような気もいたします。
 ぜひこの千キロリレー、海外の方々もご参加いただけるよう、工夫をしていただきたいと思います。
 ことしの七月、都議会公明党は、この、未来(あした)への道千キロ縦断リレー二〇一五の出発地点、青森でのスタートを視察しました。私も一緒に、たった一・四キロでありましたけれども、走らせていただきました。
 マラソンの高橋尚子選手やパラリンピアンの野澤選手、そして地元青森出身の三代目J Soul BrothersのELLYさんもふれあいランニングに参加をして、沿道は大変な盛り上がりでありました。
 このように千キロ縦断リレーでは、スタートとゴールには多くのメディアが集まって、華やかに式典が行われておりました。
 また、その十日後、私は中継点である福島県の郡山市を訪れ、沿道で声援を送りました。そこでは、誰の声援もない中、たすきをかけてひたすらに炎天下のもと走っているランナーの集団がありました。
 そして、中継地点でそのランナーを待ちました。たすきの引き継ぎの場面では、お互いに、走ってきた人とこれから走る人が初対面の方々でありました。このランナーの中には、家を失った方、家族を失った方もおりました。震災に対するさまざまな思いを胸に秘めて、このリレーに参加されている姿がありました。その心と心がたすきというきずなでつながれておりました。
 しかし、スタート、ゴール以外の場所では、余りメディアに取り上げられていない実情があります。こうした、誰も見ていないところ、光が当たっていないところでの人間ドラマこそ、私は日本中、世界中に知ってほしいと思います。
 そこで、スタート、ゴール以外でも、もっとメディアに取り上げてもらう必要があると考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○早崎オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 震災の記憶が風化することのないよう、被災地の状況を伝え、その復興する姿を広く発信するためには、メディアに取り上げていただくことが重要であります。
 これまで千キロメートル縦断リレーでは、公園などを活用して、多くの方が参加できる特設区間を設け、ゲストランナーによる盛り上げなどを行い、メディアに取り上げていただけるよう工夫をしてまいりました。
 今後は、さらに被災地の方々が笑顔になり、喜んでもらえるように盛り上げ内容を充実するとともに、復興状況がわかる施設などもコースに取り入れ、より幅広くメディアにも取り上げていただけるよう、積極的なPRに取り組んでまいります。

○伊藤委員 被災地復興支援の取り組みとしては、これまで実施している、今ほどの千キロリレーやスポーツ交流といった事業をぜひとも継続して、また成功していただきたいというふうに思います。
 さらには、先ほど答弁にもありましたけれども、感謝の意を伝える映像制作に当たっては、二〇二〇年大会後を見据えて、レガシーとしてこれらの被災地の子供たちとのスポーツ交流の取り組みを映像におさめ、震災の記憶が風化することなく、次の世代にも語り継いでいけるように、また、世界に向けても、世界の皆様のご支援のおかげで復興に向けて力強く歩んでいます、ありがとうと感謝の思いを広く発信していくことが、返礼、そして人々の記憶に残るレガシーにつながるものと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○井上オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長 素案では、復興に歩む姿を世界に発信することを取り組みの方向性として掲げ、今年度からアスリートと被災地の方々とのスポーツ交流などを通じ、復興に向かう被災地の姿を映像として記録しております。
 映像制作に当たりましては、東北地方における次の世代の担い手となり得る被災地の子供たちがスポーツを楽しむ映像を中心に、スポーツの力で復興が着実に進んでいる姿を映し出すことを考えております。
 今後、二〇二〇年大会に向けて、制作した映像を、被災地を支援していただいた国内はもとより世界の方々に向け、感謝の意を込め発信し、大会後も被災自治体と連携しながら、さまざまな機会を捉え効果的に発信し、レガシーとして風評被害の払拭や震災の記憶の風化防止につなげてまいります。

○伊藤委員 最後に申し上げさせていただきたいことは、このレガシーの素案、最も根幹になるのは、この三ページのところにございます三つの視点でございます。一つは、東京に、そして日本へ、三つ目に、そして世界に向けて、このように書いてあります。
 冒頭、高円宮妃久子様のお話をさせていただきましたけれども、私は、この二〇二〇東京大会、ロンドンでも経験をしていない、まず一つは史上二回目のパラリンピックであるということ、そしてもう一つは、どこの世界のオリンピックでも経験をしていない、震災、災害の支援への感謝、返礼、このコンセプトを持った東京の大会であるというふうに思います。
 最後に、この三つの視点、そして世界へ向けて、私はこの中に世界への感謝、返礼を発信していく、ぜひともこの一行を入れていただきたい、このことを強く要望して質問を終わります。

○徳留委員 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会には、いうまでもなく巨額の費用を投入して行う世界最大のスポーツイベントであるだけに、その取り組みによるさまざまな波及効果、影響、レガシーには巨大なものがあります。
 負のレガシーを残すことなく、積極的な有形無形のレガシーをどうやって残していくのか検討が重要だと思います。
 大会後のレガシー素案を踏まえつつ、オリンピック憲章とオリンピックムーブメントの戦略的な工程表、改革方向を示したアジェンダ二〇二〇などを原点にして、レガシーのあり方、具体的なレガシーについて幾つか質問いたします。
 東京の大会は、スポーツを通じて国際平和と友好を促進するとともに、人間の尊厳に重きを置き、環境問題に関心を持って、持続可能な発展を促進する都民、国民のスポーツの振興の機会とするというオリンピック憲章の実現の場ではないかと思います。
 こういう見地から、レガシー問題は、何よりもオリンピック憲章の精神に立脚して、都民生活の向上、環境との調和、障害者施策の向上などの推進目標を明確にして取り組むことが重要だと考えます。
 選手村の後利用では、都営住宅や低家賃の公的住宅なども重視すべきだと考えます。
 そこで、まず最初の質問ですが、都の大会後のレガシーを見据えての素案の冒頭には、都民の意見を踏まえ検討を進め、都の具体的な取り組みを取りまとめるとなっています。
 素案への意見募集は既に締め切られていますけれども、どのような意見が寄せられたのでしょうか。そして、都民の意見を踏まえて、今後どのように素案に反映させていくのですか。

○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局計画調整担当部長 パブリックコメントの募集に寄せられた主な意見といたしましては、ベイエリアの交通アクセスの強化、選手村へのユニバーサルデザインの導入、災害、犯罪、テロ対策など安全・安心への取り組み、障害者が日常的に運動できる環境の整備、パラリンピック開催を通じたバリアフリー化や障害への理解促進などが挙げられます。
 寄せられた貴重なご意見は、十二月中に予定しております本公表に反映できるよう、検討を行っているところでございます。

○徳留委員 寄せられた意見は、さまざまな団体や個人から百件を超えるものだったと聞いております。都民のオリンピック・パラリンピックへのさまざまな期待や注文、要望が寄せられたものだと思います。
 オリンピック・パラリンピックの本来の主役はアスリートであり、都民、国民でなければならないと思います。エンブレムの問題や新国立競技場の抜本見直しの問題、施設整備費用の問題など、都民から厳しい批判の声が上がっているときだけに、よく都民の意見を聞き、取り入れるべきは取り入れて、多くの都民が共感できる大会、よりよいレガシーへの改善を図ってほしいと思います。
 IOCは、オリンピック憲章やアジェンダ二〇二〇に基づく大会を成功させ、また、今後のオリンピックを持続的に発展させるために、開催都市に対して、オリンピックの取り組みの影響や効果について、社会、環境、経済などの三つの側面から関係する項目、指標を決めて調査し、報告することを求めています。その調査報告の結果を生かして、問題の解決や推進、レガシーの実現に生かしていくオリンピック・ゲーム・インパクト調査、略してOGI調査というものを導入しています。
 今回報告されているような東京大会のレガシーを実現していく上でも、この調査の内容、さまざまな教訓、経験を東京でも生かしていくことは極めて重要だと思います。このオリンピック・ゲーム・インパクト調査、略称でOGI調査と呼ばれているものは、いつのオリンピックから導入され、どういう理由、目的があってこのやり方が導入されているのでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 OGI調査は、IOCが各大会の影響についての情報を蓄積、分析し、将来の招致都市や組織委員会が、大会がもたらす影響を最大限に活用できるよう支援することを目的といたしまして、二〇〇三年に導入され、北京大会から報告されております。
 この調査は組織委員会が実施するものでございまして、既存のデータ等を用いまして、大会開催が開催都市に与えた影響を調査分析し、標準的には大会四年前と三年後にIOCに報告することとされております。

○徳留委員 IOCが各大会の影響についての情報を蓄積、分析して、将来の招致都市や組織委員会が、大会がもたらす影響を最大限活用できるよう支援することを目的とするものだという答弁でございました。
 OGI調査報告は、将来の招致都市が活用するだけではなくて、IOCの文書でもロンドンなど他の開催都市の経験でも、こうした調査報告の内容は、実際の開催都市でも積極的に活用されています。
 私は、この調査報告の内容は、将来の招致活動や開催都市にとってだけではなくて、東京大会の成功とレガシーの実現にとっても重要な調査報告ではないかと思います。
 今回の東京大会では、このオリンピック・ゲーム・インパクト調査、OGI調査の項目、指標の具体化などの取り組みはどのようになっているのでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 東京大会におけますOGI調査の具体的な調査項目やスケジュール等は、現在、組織委員会におきまして、IOCや関係機関等と調整、検討が進められているところでございます。

○徳留委員 IOCが定める標準的なスケジュールでは、まず、大会四年前に調査報告ということであり、東京は来年、報告を求められます。しかし、その準備はまだ関係機関等と調整、検討中だということでした。
 東京のオリンピック大会についても、来年にはOGI調査報告が求められているのに、まだ調査項目も決まっていないということでは、来年、IOCにまともな報告はできるのかと大変心配になります。
 確実な課題推進、問題解決、レガシーの実現についてどのように生かして対応していくのですか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 OGI調査につきましては、現在組織委員会におきまして、IOCや関係機関等と調整、検討が進められているところでございます。
 一方、今回の素案は、大会後のレガシーを見据えた東京都の取り組みの方向性を明らかにしたものでございまして、先ほど局長が答弁申し上げましたとおり、大会に向けた工程表を取りまとめて計画的に進めるなど、都としてこの取り組みを着実に進めることにより、レガシーを実現してまいります。

○徳留委員 OGI調査報告も生かして進行管理の参考にして、課題解決、レガシーの実現に生かしていくべきではないかと意見を述べておきたいと思います。
 具体的な調査項目等については、関係機関と調整中とのことですが、来年、本番開催されるリオデジャネイロの大会では、昨年、第一次のOGI調査報告をIOCに提出しています。
 その項目、指標を見ますと、リオデジャネイロ大会の影響と後に残る価値についての評価表というタイトルで、調査項目や指標が掲げられています。
 環境基準の問題、土地利用の変化の問題、交通、会場の利便性の問題、スポーツの発展、さらに人類の発展の項目では、貧困と社会的な排除、犯罪率と治安、健康、栄養状態など、多数の調査項目が掲げられています。
 ロンドン・オリンピックでも、雇用の創出や障害者雇用率の上昇、そして中小企業への発注の増加などが具体的な数値として挙げられております。
 この調査は、決して後追いの結果報告ではなくて、今後の招致活動、将来の開催都市のためだけに役立てるだけではなくて、現在進行形の開催予定都市の取り組みに反映させ、課題を解決して、レガシーの実現に生かすべきだと意見を述べておきたいと思います。
 東京の大会を通じて、オリンピック憲章にふさわしく、都民生活の向上、環境と調和、持続可能性に役立つようなレガシーを確実に実現していくためにも、今回の大会後のレガシー素案の内容を踏まえつつも、OGI調査結果によって、取り組み状況の効果、指標を確認しながら推進することは大変重要ではないかと思いますが、どのように認識されておられるでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 先ほども申し上げましたとおり、レガシーを実現していくため、今回素案でお示ししました取り組みを計画的に進めるなど、都として確実に実行してまいります。

○徳留委員 必要に応じてデータを提供するなど、OGI調査が確実に行われるよう、組織委員会を支援するということになっているようです。
 大会の成功に責任を負う都にとって、OGI調査の内容を生かすことは、課題解決、レガシー実現にとって大変重要ではないかと思います。
 IOCがこのOGI調査を導入した最大の目的は、オリンピック・パラリンピック大会が持続可能な形で開催されて成功し、有形無形のレガシーを創出するための支援のプログラムとしています。
 オリンピック憲章の改正によって、IOCの使命の一つとして、オリンピック競技大会のよい遺産を、開催国と開催都市に残すことを推進することが明記されています。こうした点からも、来年にも予定されるOGI調査報告の結果が大会成功の課題推進に生かされ、そしてレガシー実現に生かされていくように強く要望しておきたいと思います。
 次に、大会後のレガシーの重要な一つである選手村の建設とその後利用、レガシーの問題について伺います。
 選手村については、素案の一三ページにも、誰もが憧れ住んでみたいと思えるまちというスローガンで紹介されています。しかし、その計画の内容は、スローガンのような誰もが住めるという内容になっているのでしょうか。
 我が党の吉田議員が一月のこの特別委員会で、選手村の後利用について、素案で紹介されている超高層マンション二棟の建設計画について質問して、民間デベロッパーとの関係について疑問を呈しました。
 立候補ファイルに明記した選手村のコンセプトや宿泊棟の設備計画を大きく変更するものと指摘して、再検討を求めました。そして同時に、中央区が策定した晴海地区将来ビジョンなどに対応していくように求めました。
 中央区長は、ことし二月の区議会の代表質問に対して、選手村の住宅棟モデルプランについては、大会後の魅力的なまちづくりに当たりましては、ハード、ソフト両面においてまだまだ改善の余地がある、晴海地区将来ビジョンに基づいて、持続的に多様な人々や幅広い世代が住まうまちを目指し、分譲住宅や賃貸住宅に加えて、社宅や高齢者住宅など多様な住まいの創出を図るように求めていると答弁をしておられます。
 今回の素案でも、選手村を、スローガンに紹介されているように文字どおり誰もが憧れ住んでみたいと思えるまちにとなっております。しかし、今大事なことは、住んでみたいではなくて、住めるまちにしなくてはいけないのではないでしょうか。
 普通の都民が住んで、赤ちゃんからお年寄りまで安心して幸せに暮らせる都民全体の生活水準を引き上げるまちにしてこそ、本当のレガシーといえるのではないでしょうか。
 そこで質問ですが、今回、素案の選手村の建設計画、レガシーについては、最も身近な関係地区である中央区の晴海地区将来ビジョンと、それに基づく要望が、三回も都に提出されております。
 選手村の具体的建設とともに、その後のレガシーで最も影響を受ける中央区との話し合いは持たれているのでしょうか。選手村のあり方、計画の内容などについて、よく話し合いを持ち、検討すべきではないかと思いますけれども、どのようになっているのでしょうか。

○安部オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 昨年十二月に地元中央区が発表した晴海地区将来ビジョンは、交通、環境への対策等、大会後の晴海地域の課題と取り組みの考え方を示したものであり、将来の晴海地域のまちづくりに対する地域住民の思いが取りまとめられているものと認識しております。
 本年四月に区が設置した晴海地区将来ビジョン推進会議に都は継続的に出席し、地域住民の意見を伺うとともに、大会終了後のまちづくりについて検討状況を説明するなど、丁寧な対応に努めてまいりました。
 今回の素案には、このビジョンの趣旨や推進会議等での意見を可能な限り反映しておりまして、地域住民からも一定の評価を得ているものと考えております。

○徳留委員 今回の素案には、晴海地区将来ビジョンの趣旨や推進会議等での意見を可能な限り反映したということですが、単なる高級超高層マンションによって収益を得ようとするならば、それは間違いだと、そんなものはレガシーというべきではないという声が上がっているという議論が、以前のこの委員会でも他会派の委員からもありました。
 日本のこれまでの過去のオリンピック大会の選手村のレガシーでは、一九六四年の東京大会では代々木公園の一角に国立の青少年総合センターが残され、今でも青少年を初め誰でも安価に利用できる施設として親しまれています。
 一九七二年の札幌大会では公団住宅が建設され、一九九八年の長野大会では県営住宅が建設されるなど、貴重なレガシーを残しています。
 前回、二〇一二年のロンドン・オリンピックでは、選手村のレガシーとしてアフォーダブル住宅と呼ばれる低所得者など所得に応じて入居できる住宅を建設しています。
 レガシー問題は、特定の業者のためだけではなくて、何よりもオリンピック憲章の精神に立脚して、都民生活の向上、環境との調和、障害者施策の向上、地域住民の要望などに応える見地で具体化を図ってほしいということを要望しておきます。
 この選手村に整備が予定されている選手用の四百メートルトラックで、トレーニング用の陸上競技場について、中央区は後利用を要望しています。前回の東京オリンピックのレガシーとして今でも気軽に利用できて、利用者が多い四百メートルのトラック、織田フィールドと呼ばれる陸上競技場が代々木公園の一角、NHK放送局の近くに残されているように、今回予定されている選手村も、レガシーとしてこういう経験を生かして活用するべきではないかと思います。
 そこで質問ですけれども、今回の選手村の素案では、選手村に整備が予定されている四百メートルトラック等の練習施設の跡地が、この一三ページでは水辺の空間等として示されていますが、中央区からのこうした要望にはどう対応されているのでしょうか。

○安部オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 お話のありました選手村の練習施設は、立候補ファイルでは大会組織委員会が仮設で整備する施設として、大会後は撤去することを想定した計画となっております。
 大会時に仮設で整備される選手用のサービス施設の配置や運営につきましては、現在、大会組織委員会が検討しております。
 一方、仮設の練習施設を残す場合には、恒久施設としての位置づけの整理や施設整備の費用負担、大会後の施設の維持管理などの課題がございます。こうした課題も踏まえながら、大会組織委員会の検討状況に応じて中央区と協議や検討を行うなど、適切に連携して対応してまいります。

○徳留委員 中央区と協議や検討を行うなど、適切に連携して対応していくということでした。スポーツの祭典後のレガシーとしても、あくまで区民の要望に応える立場での検討を強く要望しておきます。
 最後に、オリンピック・パラリンピック大会成功と一体にした都民のスポーツの振興について質問します。
 都は、オリンピック・パラリンピック大会の二〇二〇年までに、都民のスポーツ実施率七〇%達成を目標にしています。
 ロンドン・オリンピックでは、スポーツ参加促進のために学校教育の中で特別に位置づけたり、地域のスポーツ活動を支援するなどのさまざまな努力がレガシーとして効果を発揮して、現在までスポーツの振興につながっているといわれています。
 そこで質問ですけれども、東京五輪大会を通じて盛り上がったスポーツの機運を、どのようにして都民のスポーツ参加の環境と条件整備につなげ、都民のスポーツ実施率七〇%を実現していくのかお答えいただきたいと思います。

○早崎オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 素案では、行政、民間、地域のさまざまな主体によるコラボレーションの仕組みを構築して、アスリートが活躍できる環境を整備するとともに、都民のスポーツ実施率七〇%達成に向けた取り組みを推進することとしています。
 また、スポーツ施設は当然のこと、道路などのさまざまな資源を最大限に活用して、都民が身近な場所でいつでもスポーツを楽しめる環境をつくり上げていくものとしております。
 こうした取り組みを通じて、二〇二〇年大会に向けたスポーツの機運の高まりを生かし、誰もがスポーツに親しむことができる環境を整備してまいります。

○徳留委員 素案では、二〇二〇年大会を契機にした前後の取り組みを通じて、スポーツが日常的に溶け込み、障害のある人もない人も、誰もが生き生きと豊かに暮らせる東京を実現することを目指すとしています。
 オリンピック・パラリンピック開催とその前後の取り組みは、都民のスポーツ活動の振興発展にとって最大のチャンスとなると思います。
 昨年実施され、ことしの二月に公表された都民のスポーツ活動に関する世論調査では、週に一日以上のスポーツや運動を実施した、いわゆるスポーツ実施率は、平成二十六年は五三・九%から七%増加をして、ことしの報告では六一%の到達になっています。
 スポーツに対する意識も健康志向も広がる中で、スポーツ活動全般に対しての受けとめは、必要である、ある程度必要であるというふうに回答した方が九割以上に上っています。
 二〇一一年に超党派で全面的に改定されたスポーツ基本法では、スポーツは世界共通の人類の文化、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利と明記をされています。
 このような見地から、都民の誰もがいつでもどこでもいつまでもスポーツを楽しみ、スポーツに親しむことによって、医療や介護の予防の側面から効果が広がり、都民一人一人の健康増進、健康寿命の延長という貴重な無形のレガシーが広がっていくと思います。
 オリンピック・パラリンピックを契機にして、アスリートの活躍とともに、その影響を受けて、広範な都民のスポーツ活動への意欲に応えるスポーツ環境と条件整備、スポーツ活動参加の機運醸成を図っていただいて、大会後の大きな無形のレガシーとなって、さらにスポーツ活動が継続的に発展していくような取り組みを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会は閉会いたします。
   午後五時四十九分散会

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