オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会速記録第二十七号

平成二十七年十二月十四日(月曜日)
第四委員会室
午後一時四十五分開議
出席委員 十七名
委員長高島なおき君
副委員長畔上三和子君
副委員長藤井  一君
副委員長吉原  修君
理事伊藤こういち君
理事秋田 一郎君
理事吉田 信夫君
小林 健二君
山内れい子君
山崎 一輝君
石川 良一君
徳留 道信君
小山くにひこ君
林田  武君
立石 晴康君
川井しげお君
酒井 大史君

欠席委員 一名

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長中嶋 正宏君
次長理事兼務岡崎 義隆君
技監邊見 隆士君
技監西倉 鉄也君
技監石山 明久君
理事小山 哲司君
総務部長鈴木  勝君
調整担当部長雲田 孝司君
総合調整部長児玉英一郎君
連絡調整担当部長岡安 雅人君
準備会議担当部長丸山 雅代君
自治体調整担当部長井上  卓君
計画調整担当部長鈴木 一幸君
大会準備部長延與  桂君
運営担当部長田中  彰君
競技担当部長根本 浩志君
パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務萱場 明子君
施設輸送担当部長花井 徹夫君
施設調整担当部長小室 明子君
施設整備担当部長小野寺弘樹君
選手村担当部長安部 文洋君
スポーツ推進部長早崎 道晴君
国際大会準備担当部長土屋 太郎君
スポーツ施設担当部長田中 慎一君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場計画の再検討の状況(その二)について(説明)
・新国立競技場の整備について(質疑)
閉会中の継続調査について

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取及び閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 なお、報告事項、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場計画の再検討の状況(その二)については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめますので、ご了承願います。
 初めに、理事者から東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場計画の再検討の状況(その二)について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 それでは、私から、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場計画の再検討の状況(その二)につきましてご説明いたします。
 去る十二月八日から十日まで、ローザンヌにおいて開催されたIOC理事会におきまして、組織委員会が自転車競技の会場変更について報告し、了承を得ました。
 1の今回の理事会において報告し、了承を得た競技会場の欄をごらんください。
 初めに、自転車競技のトラックレースにつきましては、会場として予定していました有明ベロドロームの仮設を中止し、来年一月にアジア自転車競技選手権大会を開催する、日本サイクルスポーツセンター内にある伊豆ベロドロームへ変更することといたしました。
 次に、マウンテンバイクにつきましては、海の森マウンテンバイクコースの仮設を中止し、同じく日本サイクルスポーツセンター内にある伊豆マウンテンバイクコースへ変更することといたしました。
 次に、BMXにつきましては、立候補ファイル時点の有明BMXコースから変更はございません。
 次に、ロードレースにつきましては、ゴール地点を立候補ファイル時の武蔵野の森公園から皇居外苑に変更し、スタートとゴールをともに皇居外苑とすることといたしました。
 変更は、いずれも国内、国際競技団体の承認を得てIOCに報告し、了承を得ました。
 次に、2、引き続きIF、IOCと調整する競技でございます。
 残りのサッカーにつきましては、立候補ファイル提出時の六会場については変更ございませんが、会場の追加について、リオ大会後に国際サッカー連盟内に設置される東京大会に向けた委員会において合意が得られるよう取り組んでまいります。
 最終的に、IOC理事会へ報告し、了承が得られ次第、都議会にご報告させていただきたいと考えております。
 サッカーの会場の追加につきましては、リオ大会後の検討となりますが、今回の自転車競技会場の決定をもって競技会場再検討に一区切りがつきました。
 この間、都議会の皆様には、真摯なご審議をいただきました。この場をおかりして、厚く御礼を申し上げます。
 なお、別途、参考資料として、これまでIOC理事会に報告し、了承を得た競技会場の一覧を添付させていただきました。お目通しをいただければと存じます。
 説明は以上でございます。

○高島委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 それでは、資料要求はなしと確認させていただきます。

○高島委員長 次に、報告事項、新国立競技場の整備についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 去る十二月一日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 それでは、お手元に配布してございますオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙を一枚おめくりいただき、新国立競技場の整備に関する国・東京都の財源検討ワーキング・チームの経過についてをごらんください。
 新国立競技場の整備に関する国・東京都の財源検討ワーキング・チームは、九月八日に新国立競技場の整備の財源を検討するために発足いたしました。
 八月二十八日に新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議で決定されました新国立競技場の整備計画におきまして、具体的な財源負担のあり方については、本計画の内容を踏まえ、今後、政府において、東京都など関係者と協議を行い、早期に結論を得るものとするとされておりますことから発足したものでございまして、平成二十七年九月十八日から平成二十七年十一月二十四日まで四回開催されました。
 この資料は、その会議につきまして、第一回から第四回までの開催日、主な内容を一覧にしたものでございます。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山崎委員 それでは、新国立競技場の整備について伺っていきたいと思います。
 まず初めに、我が党はこれまで、新国立競技場の整備に全面的に協力すべきと主張をしてきたことを改めて申し上げておきたいと思います。
 その上で、これまでの経緯を振り返ると、本年の九月十七日に、舛添知事出席のもとで、本委員会、オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会を開催し、知事は、我が党の質問に対し、新国立競技場の整備の各段階で、国に対して、全面的に協力をすると表明いたしました。
 また、十二月一日に、舛添知事は、遠藤東京オリンピック・パラリンピック大臣、馳文部科学大臣と会談をし、新国立競技場の整備経費のうち、国と分担し合う対象経費千五百八十一億円の四分の一である三百九十五億円程度の東京都負担、また、周辺の道路や公園の整備などについて合意をしたわけであります。
 舛添知事は、新国立競技場が大会の成功に必須のメーンスタジアムであることや、大会後の東京において多様なレガシーを残す存在となることなど、都民に末永く大きな便益をもたらすことを踏まえて、この財源案について合意をしたい。そして、その日の午後、第四回定例会の所信表明で、知事は、財政負担を両大臣と合意したこと、また、改めて着実な整備に向けて全面的に協力をすることを表明いたしました。
 我が党は、代表質問においても、この件について知事の答弁を求めたところでありますが、本委員会においては、具体的なデータを明らかにしながら、さらにこれを深める質疑を本日行っていきたいと思います。
 まず、国と都で設置した財源検討ワーキングチームについて伺っていきます。
 このワーキングチームは、新国立競技場の整備に係る財源を定めていくために、国と都が実務的に検討、協議を進めてきたと、先ほどの本日の要求資料の中にもございましたが、四回、その協議を進めてきたと報告がございました。
 都の方は、基本的に考え方はどのようなものだったのか、まず伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 財源検討ワーキングチームは、都から安藤副知事外三名、国から古谷内閣官房副長官補外四名が構成メンバーとなり、都は、新国立競技場の整備に全面的に協力するという知事の姿勢のもとで、また、国も、具体的な財源負担のあり方について早急に詰めるという総理大臣の指示のもとで協議を進めてまいりました。
 お尋ねの都の基本的な考え方でございますが、まず、都の財政負担につきましては、都民、国民に対して説明ができる内容であり、都民の納得が得られる負担とすることを大前提としてございます。
 このため、財源の検討は、本年八月二十八日に関係閣僚会議で決定され、公表されております整備計画をベースとして行うことといたしました。また、法的な根拠がない財政負担は、都として行えないことを主張いたしました。
 以上のような考え方のもと、四回にわたる協議を行ってきたところでございます。

○山崎委員 財源検討ワーキングチームにおいて、都がどのようなスタンスで国と協議に臨んできたのかが、今の答弁でわかりました。
 こうした実務的な協議の結果として、十二月一日に合意、また公表された財源案ができ上がったものと思うわけであります。
 そこで伺いますが、この財源案に示されている都の分担する金額が三百九十五億円程度になったことについて、どのような考え方でまとまったのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 まず、国と分担し合う対象経費でございますが、本年八月の関係閣僚会議で決定されました新国立競技場の整備計画に示されている経費のうち、工事費一千五百五十億円程度と、設計、監理等の経費四十億円程度、解体工事費五十五億円程度を合わせた一千六百四十五億円程度を、国と分担し合う対象経費の、まず基本と考えました。
 解体工事費を分担対象経費とした理由は、新国立競技場の整備は、既存の国立競技場の現地建てかえ工事でありまして、解体工事は、建てかえ工事を行うに際し当然に行われる密接不可分のものであることによります。
 この一千六百四十五億円程度から、二カ所の道路上空連結デッキの工事費三十七億円程度と、上下水道工事費二十七億円程度を除きました一千五百八十一億円程度を国と分担し合う対象経費といたしました。
 それぞれを除いた理由でございますが、まず二カ所の道路上空連結デッキの工事費三十七億円程度につきましては、新国立競技場の敷地外であること、東京体育館や新たに整備されます都立明治公園との間の道路をまたぎ、歩行者空間を創出する公共性の非常に高いものでありますことから、都が全額を負担するものとして整理をいたしました。
 また、上下水道工事費二十七億円程度につきましては、敷地の拡張に伴います移設工事に係る経費でありますことから、原因者である独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSCで負担することといたしました。
 その上で、この一千五百八十一億円程度を具体的にどう分担し合うかについてでございますが、東京都、国、スポーツ振興くじ、いわゆるtotoでございますが、一対二対一で分担し合うこととし、都の分担経費が三百九十五億円程度となったものでございます。

○山崎委員 単に幾ら支払うという金額を決めるのではなく、まずは国と分担し合う対象経費を、工事費と設計、監理等の経費、解体工事費に限定するということが今の答弁でわかりました。
 確かに、自分の家を建てかえるときも、設計、工事を一連の経費として捉えることは、通常の一般的な考え方だと私は思います。
 そこから、都は二カ所の道路上空連結デッキの工事を、JSCは上下水道工事を、それぞれが責任を持って行うことから、分担対象経費から外れたことも今の答弁でわかったわけであります。
 では、千五百八十一億円程度となった分担対象経費を、東京都と国とtotoの財源で一対二対一としたのはなぜですか、お答えください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 国と都の分担割合についてでございますが、国の責任と都民にさまざまな便益があることを踏まえまして、国が直轄で行う整備事業において地元の受益を勘案して、国と地方で費用を分担し合う制度でございます国直轄事業負担金制度の考え方に準拠し、国と都の通常の分担割合であります二対一といたしました。
 ここで、都民にさまざまな便益があると申し上げましたが、まず何よりも、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を成功させるために、開会式、閉会式が行われますこのメーンスタジアムとして、なくてはならない施設であるということ、また、大会後におきましても、新国立競技場の利用者の四割以上と見込まれます都民のスポーツ実施あるいは観戦の機会をふやし、スポーツの振興につなげること、加えて、スポーツ分野だけでなく、周辺を含めたバリアフリー化といった環境の向上や、帰宅困難者を含めた約八万人相当の飲食料などを備蓄いたします四百八十平米の防災備蓄倉庫が新設されるなど、地域の防災機能が強化され、東京にとって大きなレガシーとなることでございます。
 このように、都民への便益につきましては、個々の金額の積み上げではなく、機能に着目して精査し、まとめ上げたところでございます。
 都の財政負担に当たりましては、こうしたさまざまな都民への便益を総合的に捉え、国直轄事業の考え方に準拠するのが妥当と判断し、国と都で費用を通常の割合である二対一で分担し合うことといたしました。
 加えて、スポーツ振興くじ、いわゆるtotoを財源として活用することによりまして、都は、国直轄事業の通常の分担割合であります三分の一より少ない四分の一を負担することとなりました。
 このようなことから、財政負担は応分のものと総合的に判断したところでございます。

○山崎委員 今の答弁で、都民にさまざまな便益があることから、普通は、国道や河川といった国直轄事業の通常の国と地方の分担割合は二対一でありますが、今回は、totoを財源に加えることによって、一対二対一ということで、都の負担は全体の四分の一となったことがわかったわけであります。
 そこで伺いますが、totoを財源として活用することとなったのは、どういう理由があったのか、また、経緯をお答えください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の整備計画では、工事費等の財源につきましては、多様な財源の確保に努めるものとされておりまして、今般、スポーツ振興くじ、いわゆるtotoを財源として活用することとなりました。
 このtoto財源の取り扱いについては、現在、独立行政法人日本スポーツ振興センター法の規定によりまして、totoの売上額の五%を新国立競技場の整備に充当することとしておりますが、国におきまして、同法を改正して五%を一〇%に変更する検討を行っていると聞いております。
 今般の分担割合につきましては、このような動向も踏まえた、国、都のワーキングチームにおきます検討、協議の結果として、都負担が軽減されたものと認識しております。

○山崎委員 次に、先ほどの答弁で都民にさまざまな便益があるとのことでありましたが、都民便益はこれだけではないと思います。
 我が党の先日の代表質問に対する答弁にもありましたが、全国で約一兆四千億円の経済波及効果について、東京への効果も含め、その内容を具体的に教えていただきたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の整備等に係る経済波及効果につきましては、JSCが旧整備計画のデータにより作成いたしました資料に基づきまして、都が新整備計画のデータを適用して推計いたしましたところ、日本や東京の産業構造から、まず新国立競技場が整備されることによりまして、全国で約三千七百億円、うち都内へは約二千五百億円が見込まれます。
 また、競技場を五十年間にわたって維持管理、運営することによりまして、全国で約三千四百億円、うち都内へは約二千六百億円が見込まれます。
 さらに、競技場で行われますスポーツ大会やスポーツイベントへの来場者によります宿泊費、飲食費、交通費なども試算しておりまして、五十年間で、全国は約六千七百億円、うち都内へは約二千百億円が見込まれます。
 なお、試算の前提となります来場者数は、旧計画で見込んでいたものから文化イベントを除きました、スポーツ大会やスポーツイベントのみにしておりまして、年間百十二万人でございます。
 こうした効果を合算いたしまして、全国では約一兆四千億円、うち都内へは全国の半分を占めます約七千億円の経済波及効果が見込まれるものでございます。

○山崎委員 改めて、都内へは約七千億円と、全国の半分を占める経済波及効果が見込まれると今答弁がございました。
 ここ新国立競技場では、オリンピックだけでなく、パラリンピックの開会式や閉会式、陸上競技も行われ、多くの都民が、目の前にし、大きな感動を呼ぶことになるわけであります。そして、大会後も末永く都民のスポーツ振興のメッカとして、また、発災時は、一転して地域の防災拠点としてのかなめとなるなど、多面的な有形無形の便益が将来にわたって都民にもたらされることになるわけであります。
 また、都の負担も、結果的に国直轄事業の通常の分担割合である三分の一より低い四分の一となっております。その上で、さまざまな都民便益について、個々の金額の積み上げではありませんが、都の分担額に見合うものであります。
 ところで、国が整備をする施設に都が負担するには法整備が必要と思いますが、その内容についても伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場は国の施設であり、国の負担による整備が基本でございます。
 一方で、東京や都民にとりましても、大会の成功と大会後におきますスポーツの振興や周辺環境の向上、地域の防災機能の強化といった特段の便益をもたらすことを踏まえまして、一定程度の財政負担を行うことといたしました。
 その際、このように、国の責任に基づく負担と地方の便益を勘案した負担の双方がある場合に、国と地方が財政負担をし合う仕組みでございます国直轄事業負担金制度の考え方に準拠したものでございます。
 また、地方財政法第十二条におきまして、地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律または政令で定めるものを除くほか、国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならないと規定されておりまして、国の事務に対して地方自治体が支出することはできないという原則がございます。
 したがいまして、国の施設整備に対して都が負担するには、新たな法的根拠が必要でございます。
 こうしたことを総合的に勘案いたしまして、国と合意した財源案では、国において必要な法的措置を講じるとされておりまして、国からは、独立行政法人日本スポーツ振興センター法の改正などにより対応していくと聞いております。

○山崎委員 国直轄事業については、これまでの質疑においてもありましたが、改めて、国の責任と都の便益の両方がある場合の両者の負担の仕方として準拠することが今の答弁でもわかりました。
 また、法整備については、こうしたことも総合的に勘案し、今後、国において、JSC法の改正などにより対応をしていくと思いますが、閣法であれ、議員立法であれ、早急な対応をすべきと考えるわけであります。
 では、都が負担をする金額をいつ予算計上し、どのように支払っていくのか伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 国と合意した財源案は、財源スキームを定めたものでございまして、具体的な支払い時期や方法につきましては、財政負担の根拠となる法整備が必要となりますことから、その動向を踏まえつつ、今後、国やJSCと協議してまいります。その上で、いつ予算計上していくかにつきましても検討してまいります。

○山崎委員 それでは、最後になりますが、二〇二〇年の東京大会のメーンスタジアムとなる新国立競技場の円滑な整備に向けた局長の決意を伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 新国立競技場は、国が責任を持って整備を進めることが基本でございます。しかし一方で、都としての考えが反映された新たな整備計画のもとで、都民に有形無形の大きな便益があることも明らかでございます。
 まず、何よりも、開会式や閉会式などを行いますメーンスタジアムとなる新国立競技場なくして、二〇二〇年東京大会の成功はあり得ないわけであります。そのために国に協力していくことは開催都市としての責務であると考えております。
 さらに、神宮外苑地区に末永く残る大会のレガシーとして、国際的なスポーツ大会の開催により、都民のスポーツへの関心を高め、スポーツ都市東京の実現に寄与するとともに、バリアフリー化などにより周辺環境が向上し、加えて、地域の防災機能の強化が図られ、また、多くの経済波及効果も見込まれます。
 こうしたさまざまな便益が都民にもたらされることを総合的に勘案し、今般、知事が遠藤東京オリンピック・パラリンピック大臣、馳文部科学大臣と会談し、財源案について合意を決断したところでございます。
 この財源案につきまして、現在、都議会の皆様にご説明する機会をいただいておりますが、今後とも、都民の理解が得られますよう、丁寧に説明をしてまいります。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの感動の中心となる新国立競技場の整備を、今こそ強力に推進すべきときであると認識しております。
 都は、大会の開催都市として、新国立競技場が大会の準備に支障なく整備され、すばらしい大会を開催し、そして、大会後も、レガシーとして末永く都民の貴重な財産となりますよう、国や関係団体と全面的に協力し、取り組んでまいります。

○山崎委員 局長の決意はよくわかりました。
 確かに、新国立競技場は国立の施設でありますが、大会開催地のここ東京では、オリンピック・パラリンピックのメーンスタジアムであり、これなくしては、大会は成り立たないのであります。皆さん、このことを決して忘れてはならないと私は思います。
 そして、大会終了後、十年、二十年、三十年後に生まれてくる子供たちに対して、二回目のオリンピック・パラリンピックのときに完成したメーンスタジアムであると誇れるよう、しっかりとレガシー、遺産として残すことが我々の大きな務めであります。
 このオリンピック・パラリンピックのメーンスタジアムが確実に完成するよう、胸を張って堂々と負担をし、国と全面的に協力をしていくことが、我が自民党の大きな役割でもあります。
 今後とも、皆さんとしっかり手を携え、オリンピック・パラリンピックを成功に導いていくことをいって私の質問を終わります。

○小林委員 私からは、このたびの新国立競技場の整備に当たって、特に都民への便益という観点で何点かお伺いをいたします。
 かねてより、新国立競技場の整備における都の財政負担があるのかないのかとの議論がありました。
 都議会公明党は、本年六月の第二回定例会の代表質問において、国が都に財政負担を求めるのであれば、前提条件があると主張いたしました。
 第一は、政府を挙げて取り組み、民間も建設業界の総力を結集し、オール日本の体制を整えて建設に当たり、何としても完成を間に合わせること。
 さらに、間に合わせるだけではなく、アスリートにとっても、観客にとっても、さらにはレガシーとしての後利用に関しても、世界に誇れる内実を持った新国立競技場にすべきであるということ。
 第二は、都の財政支援を求めるのであれば、その理由と根拠、内容に関して説得力を持って説明すべきであり、いささかも不透明感を残さないよう、国は、都民、国民に説明責任を果たすべきであるということ。
 以上、二点の前提条件を述べ、知事の見解を求めました。
 舛添知事は、文部科学大臣から、新国立競技場の整備費用につきまして負担の要請があった、その際、不明であった工期や総工事費、都民が納得する都負担の根拠など、全体像を明らかにするように求めた、最も重要なことは、オールジャパンで予定の期限までに新国立競技場を完成させ、二〇二〇年大会を成功に導くことである、都として、早期の課題解決を図るため、国からの情報を踏まえ、迅速な検討を行っていくとの答弁があったところでございます。
 そして、このたび、整備経費のうち、約三百九十五億円を都が負担することで合意したわけでございますが、我が党は、今定例会の代表質問で、大会の成功や大会後のレガシーとして強く期待するものの、都の負担について、法整備上の課題や負担増加の懸念、都民への説明責任があるとした上で、知事が決断する際の判断基準について答弁を求めたところでございます。
 そこで、改めて確認をいたしますが、まず、新国立競技場の整備経費について、なぜ都が分担することに合意をしたのか。また、分担に当たって、国直轄事業の考え方を用いた理由もあわせてお伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場は、国が責任を持って整備を進めることが基本でございます。一方で、東京や都民にとりましても、大会の成功とスポーツの振興や周辺環境の向上、地域の防災機能の強化といった、大会後に多大な便益がもたらされることになります。
 国の責任と、こうしたさまざまな都民への便益を総合的に捉えますと、国の負担はもとより、都も一定程度負担する理由はございます。
 しかしながら、国が行う整備事業に対して地方自治体が支出するには、地方財政法により制約がありますことから、国において必要な法的措置が講じられることを踏まえまして、地元の受益を勘案して、国と地方で費用を分担し合う制度でございます国直轄事業負担金制度の考え方に準拠するのが妥当と判断をいたしました。
 さらに、スポーツ振興くじ、いわゆるtotoを財源として活用することによりまして、都は、国直轄事業の通常の分担割合であります三分の一より少ない四分の一を負担することとなりました。
 このようなことから、財政負担は応分のものと総合的に判断し、国と合意したところでございます。

○小林委員 地元の受益を勘案した国直轄事業の考え方に準拠した上で、さらに、totoも財源に加えることによって、通常よりも少ない分担割合となるとのことでありますが、都民への便益については、国立とはいえ東京にある競技場でもあり、都民に対し、もう少し具体的な説明が必要だと思います。
 そこで、新国立競技場の整備によって、都では、どのような便益が都民にもたらされると考えているのか、見解をお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のメーンスタジアムとなり、多くの都民の方が目の前でオリンピック・パラリンピックの競技を観戦することにより、スポーツのすばらしさや感動を体感することができるまたとない機会となります。そして、大会終了後は、都心に立地し、神宮外苑地区のスポーツ拠点の中核施設として後世に受け継がれていきます。
 従来の国立競技場よりも観客席数がふえ、最新の設備が整った競技場に生まれ変わった中で大規模なスポーツ大会やスポーツイベントが開催され、新国立競技場の利用者の四割以上と見込まれます都民がスポーツを観戦する機会をふやし、都民のスポーツへの興味や関心の喚起につなげます。
 また、スポーツを行う都民をふやし、急速に進む高齢化社会の中で健康増進効果も期待できます。
 加えて、国際スポーツ大会等の誘致によりまして、国際交流や観光の拠点ともなり、東京の魅力を世界に発信することにつながるとともに、にぎわいあるまちづくりにも寄与いたします。
 さらに、敷地全体のバリアフリー化など、アクセシビリティーの向上に資するインフラ整備が周辺と一体的に行われますとともに、神宮外苑地区におきます防災機能の強化が図られまして、競技場の内外において、安全・安心で快適な環境の形成に寄与いたします。
 なお、長期にわたって、都内に全国の半分を占める約七千億円の経済波及効果が見込まれるものでございます。

○小林委員 ただいまのご答弁にもございました、神宮外苑地区における防災機能の強化が図られるとございましたけれども、知事が先日、新国立競技場が災害時の帰宅困難者などの避難先として意味があるというような趣旨のことをおっしゃっていたと思いますが、この点について、より具体的な意味をお伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 神宮外苑地区は、地震等の発災時には、新宿区、渋谷区、港区の避難場所となっておりますが、新国立競技場の整備によりまして、周辺とデッキで結ばれるなどアクセシビリティーが向上し、避難者は円滑に移動できるようになります。
 また、避難者が競技場に着いたときに、スタジアムの観客席や諸室など、施設の屋内外で受け入れるスペースが確保されます。
 さらに、都の帰宅困難者対策条例に基づきまして、事業者には、従業員三日分の飲料水や食料など災害時に必要な物資を備蓄する努力義務がございますが、新国立競技場におきましては、この従業員に加え、施設利用者や外部からの帰宅困難者受け入れに伴い必要となります飲食料などにつきまして、約八万人相当の備蓄を行う防災備蓄倉庫が新たに整備されます。
 また、こうした機能を生かしまして、発災時に帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設としての指定についても検討されております。
 このように、神宮外苑地区一帯が、延焼火災など、危険から逃れる大規模な避難場所であることに加えまして、新国立競技場が飲食料などの防災備蓄品を一定程度備え、帰宅困難者が一時的に避難可能な防災拠点となることで、発災時に多くの都民にこれまで以上の効果がもたらされるものとなります。

○小林委員 次に、周辺環境の向上について、具体的な都民への便益について見解をお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 まず、都立明治公園が立体都市公園化され、JR千駄ケ谷駅、都営地下鉄国立競技場駅などの最寄り駅から新国立競技場までの歩行者のアクセスは、整備されますデッキを利用することで自動車との動線が分離され、安全性が確保されます。
 また、新国立競技場の敷地が、東西方向で最大約八メートルの高低差があります中、段差の解消などによりまして、車椅子利用者などが無理なく移動できるようになるなど、敷地全体でバリアフリーが確保されます。
 さらに、競技場に多数の観客が来場いたしますことや、散策などで多くの人々が訪れますことによる混雑、混乱を避けるために、オープンスペースが整備をされます。
 このように、競技場来場者だけでなく、多くの公園利用者に対し、安全で快適な歩行者空間が形成され、憩いの場ともなる公園の整備と相まって、訪れる都民誰もに安心と潤い、安らぎを与える場となります。

○小林委員 次に、都の負担額についてでございますが、今定例会での我が党の代表質問において、知事は、財政負担に当たっては、国と分担し合う対象経費を明確化することで、物価騰貴や消費税率の変更以外に都の負担が増加する要素はないと答弁をされました。
 しかしながら、さまざまな形で、今後さらに都の負担が増加するのではないかといった懸念の声も見受けられるのも事実でございます。
 本当にさらなる負担要素は考えられないのか、改めて見解をお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 国と合意した財源案では、国と分担し合う対象経費は、スタジアム本体及び周辺整備の工事、設計、監理等、解体工事に係る費用から、道路上空連結デッキの工事と上下水道工事を差し引きました一千五百八十一億円程度となっておりまして、明確化されております。
 よって、新国立競技場の建てかえ工事に係る経費につきましては、今般整理した内容以外で都の負担が生じることはございません。
 また、経費につきましては、賃金または物価等の変動が生じた場合及び消費税率一〇%が適用される場合に限りまして、都と国とtoto財源で一対二対一で負担することとなっております。
 したがいまして、この物価騰貴や消費税率の変更以外の要素で都の負担が増加することもありません。
 なお、これ以外の工事費や完成後にかかります維持管理費、工事費等、一切の経費につきましては、今般整理した内容以外でありまして、都が負担することはありません。

○小林委員 国と合意した財源案、また、都民にもたらされる便益についてお伺いをしてきましたけれども、さきにも述べましたが、都民、国民が納得する明確な理由、根拠、内容が不可欠であり、都民の納得が得られるよう最大限の努力をすべきだと考えております。
 国、都の財源検討ワーキングチームについて、これまで議論の内容は非公開とのことでありましたが、さらなる都民の理解を得ていくためにも公開としていくべきではないかと思います。見解を伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 財源検討ワーキングチームは、国と都の事務方が率直な意見交換を行い、実務的に検討、協議を行う場でありますことから非公開としております。
 国と合意した財源案につきましては、関係閣僚会議において決定されることとなっておりまして、現在、政策決定のプロセス中でございますが、ワーキングチームの資料や議事録につきましては、今後、公開していけますよう国と協議してまいります。

○小林委員 いささかも不透明感を残さないよう、説明責任を果たしていくという点においても、ぜひ公開できるように働きかけていただきますようお願いをいたします。
 さまざまな紆余曲折があった新国立競技場ですが、整備を進めていく上で、都民、国民の理解、納得が何より重要であり、この点については、迅速かつ丁寧に、そして、期待と希望を持ってその完成が待たれる不断の努力を怠ってはならないと思います。
 そして、何より、新国立競技場に集結する世界各国のアスリートや観客によって、新国立競技場の新たな歴史が紡がれ、有形無形の価値が発信されることが重要であると考えます。
 整備に当たって、期待する声があるのも事実、そして、懸念する声があるのもまた事実であります。都民への便益、財政負担、法的措置、さまざま議論がありますが、何のためにオリンピック・パラリンピックを招致したのか、何のための新国立競技場なのか、再び原点に立ち返って前進していくべきではないかと思います。
 十月六日の当委員会で、エンブレムの問題に対して質疑を行った際、私は、いま一度、都民、国民の中にあの招致成功の際の感動や共感を取り戻すための努力と熱き情熱が必要であると述べ、中嶋局長より、大会成功への鍵は、多くの人々が大会にかかわり、自分たちの大会だと感じてもらうこと、都民がともに大会を成功させたいという機運の醸成を図り、二〇二〇年大会の成功という大きな目標の達成につなげていくとの趣旨のご答弁をいただきました。
 今後、まさに、一層の機運醸成を図っていくためにも、新国立競技場の整備を進めるに当たって、都民への説明責任を果たすことを大事な責務として取り組んでいくことが何より大切であります。
 最後に、改めて中嶋局長の見解をお伺いし、質問を終わります。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 新国立競技場の整備は、国が責任を持って行うものでございますが、開催都市の都としましても、大会の成功と大会後にもたらされる多大な便益などを踏まえ、都民の理解と納得を得て、透明性を確保しながら、整備プロセスを前へ進めることが重要でございます。
 新国立競技場の整備に当たりまして、国に対して伝えました周辺のまちづくり等の調和といった都としての考えが新たな整備計画に反映され、この計画のもとで国と協議を行ってまいりましたが、今般、財源案につきまして合意したところでございます。
 この財源案につきましては、結論だけではなく、負担の考え方や都民への便益なども具体的に示しておりまして、都のホームページにも掲載して公開してございます。
 今後とも、都民の理解が得られますよう、さまざまな機会を捉えまして、丁寧に説明してまいります。
 多くの都民が集う都心に、新国立競技場がスポーツの拠点として立地しますことは、スポーツ都市東京の実現のために極めて重要なことでございます。
 今後とも、新国立競技場の整備に全面的に協力してまいります。

○吉田委員 私からも質問をさせていただきます。
 舛添知事が受け入れた新国立競技場整備費への都負担は、本体整備費の四分の一、周辺整備費を含め、金額にして四百四十八億円で、都が既に進めている競技場の整備費、用地費を合わせるならば、都負担は二千九百億円に上るものです。こうした税金投入の拡大をすることは、都民施策への影響は避けられないと私は思います。
 さらに、法令上では認められず、また、国立施設整備費を便益という根拠で地方公共団体が負担をするというのは、過去になかったことだと思います。
 これを認めるならば、新国立競技場整備にとどまらず、国立施設一般への地方公共団体の負担拡大に道を開きかねない危険があるのではないでしょうか。
 それだけに、都負担の根拠、法令上の根拠が正当なものかどうかなど、徹底した議論と対応が都議会に求められていると思います。
 我が党は、そうした立場から、代表質問で、都がとってきた従来の方針との関係、また、便益をもって負担の根拠とすること、その法的根拠などを質問いたしましたが、率直にいって、納得できる明快な答弁とはいえなかったと私は思います。
 こうした点を曖昧にしたまま、都負担の道を進むことは許されません。また、議会としても責任が問われている問題だというふうに私は思います。
 したがって、代表質問に続いて、本委員会で何点か質問をいたします。
 まず、便益を負担の根拠にすることについてです。
 国立施設が、その立地する地域へ一定の便益をもたらすことは当然のことです。しかし、それを理由に整備費の一定額、一定割合の拠出を国が求め、地方公共団体がそれに応ずることが適正、適法といえるのかどうかという問題が問われなければなりません。
 そこで、まずお伺いいたしますが、国立のスポーツ、文化施設は多数ありますが、それはまた、立地地域にさまざまな便益をもたらしています。しかし、便益を理由に、地方公共団体が整備費の四分の一等の割合で負担した例というのはあるのでしょうか、まずお答えください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回の新国立競技場と同様な施設につきまして、地方が負担をした例というのは承知をしておりません。

○吉田委員 承知していないということで、例を示すことはできませんでした。こうした事例がないということは、便益を理由に負担する必要はない、法的にも求められないということを示しているのではないでしょうか。
 さらに、具体的にお伺いいたします。
 先ほどからも議論がありましたけれども、便益の一例として、八万人分の備蓄倉庫が挙げられています。八万人という数は、新国立競技場が予定する最大の観客者数だと思います。
 しかし、施設入場者のためにこうした備蓄を整備することは、設置者にとって当然のことであり、しかも、首都直下地震を担う国の責任ではないでしょうか。
 国の災害時拠点強靱化緊急促進事業による補助制度はありますけれども、受け入れ施設への補助は、その施設が平時に使う施設は対象外です。また、備蓄倉庫も、施設の定員と従業員数分を備蓄する部分は、補助対象から除外されていると私は認識しています。
 しかも、この制度は国事業で、対象は民間事業者、地方公共団体。国が国に補助するなどという仕組みはあるのでしょうか。
 都の備蓄補助もありますが、これも通常来館者数以外に限定されているのではないでしょうか。
 どのような法的根拠をもって、この八万人分の備蓄倉庫、防災機能をもって都が整備費を負担しなければならないのか。その一般論ではなく、法的根拠を明らかにしてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場は国の施設でありまして、国の責任による整備が基本でございます。
 一方で、今理事お話しの、地域の防災機能の強化の一つでございます防災備蓄倉庫の整備でございますが、都の帰宅困難者対策条例に基づきまして、事業者には、従業員三日分の飲料水や食料など災害時に必要な物資を備蓄する努力義務がございますが、新国立競技場におきましては、この従業員に加え、施設利用者や外部からの帰宅困難者受け入れに伴い必要となります飲食料などにつきまして、約八万人相当の備蓄を行う防災備蓄倉庫が新たに整備されますなど、発災時に多くの都民にこれまで以上の効果がもたらされるものとなります。
 また、この防災備蓄倉庫の新設に加えまして、新国立競技場の整備により、周辺とデッキで結ばれますなどアクセシビリティーが向上し、避難者が円滑に移動できるようになります。そして、避難者が競技場に着いたときに、スタジアムの観客席や諸室など、施設の屋内外で受け入れるスペースが確保されます。
 さらに、スポーツの振興や周辺環境の向上といった、東京や都民にとって、大会後に多様な価値あるレガシーとして都心に末永く残り続けること、そして、何よりも、開催都市東京として、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を何としても成功させるために、開会式、閉会式が行われますメーンスタジアムとなりますこの新国立競技場は、なくてはならない施設であるということから、これら便益を総合的に捉え、都の負担と比較して妥当と判断したものでございます。

○吉田委員 本会議で質問したときも、知事に対してだったのですが、局長の答弁は、総合的に勘案してというものでした。
 今の答弁も、私が聞いたのは、防災機能を具体的に八万人分の備蓄倉庫の整備ということをもって整備費の一定割合や一部を都が負担することの法的根拠は何かということでお伺いいたしましたが、極めて一般的なご答弁で、法的根拠は示されることはありませんでした。
 一例を示しましたけれども、便益をもって本体の四分の一、総額三百九十五億円も負担する必要は私はないし、また、法的根拠のない負担はすべきではないということは改めて強調しておきたいというふうに思います。
 次に、負担について、五百億円のような一定の金額ではなく、負担割合にし、その割合を四分の一にしたことについてお伺いをいたします。
 そもそも当初の知事の説明は、この負担は便益を積み上げたものだというお話でした。しかし、本会議の答弁では、便益ではなく機能であるということがいわれ、かつ、この負担割合については、国直轄事業の負担割合が根拠であり、これに準拠したものだというお答えがありました。先ほどからこのことが議論になり、なぜ国直轄に準拠したのかというご答弁がありました。
 私がお伺いしたいのは、この国直轄に準拠した法的な根拠はあるのかということを、まずご質問させてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の整備は、都民にさまざまな便益をもたらすものでありまして、これら便益につきましては、個々の金額の積み上げではなく、機能に着目して精査し、まとめ上げたものでございます。
 よって、都が財政負担するに当たりましては、国の責任と、こうしたさまざまな都民への便益を総合的に捉えまして、国が直轄で行う整備事業において地元の受益を勘案して、国と地方で費用を分担し合う制度であります国直轄事業負担金制度の考え方に準拠するのが妥当と判断したところでございます。

○吉田委員 考え方に準拠したものだということで、特段、法的根拠はないんだということだと思うのですが、しかし、考え方自身も、私は準拠をするのが適切かどうかという疑問があります。
 部長の方がはるかに専門家でしょうけれども、国直轄事業は地方財政法で定められています。その対象事業として、地方財政法十条の二及び三が対象であるというふうにしていますね。十条の二では、この対象事業の意味について、国民経済に適合するよう総合的に樹立された計画に基づいて実施しなければならない法律または政令に定める土木その他の建設事業ということが書かれています。
 逐条解説によれば、すなわち国民経済に適合するような総合的ということは、長期計画などに位置づけられている土木事業を指すものであるというふうにして、具体的に道路、河川、港湾などを示しています。
 したがって、もちろんですけれども、地方財政法に基づけば、国立競技場はこうした対象とは到底いえないし、準拠すること自身があり得るものではないと私は思います。
 しかも、国直轄事業を規定している地方財政法の十七条の二に関して、逐条解説でどのようにこの事業を説明しているのか、私は改めて読んでみましたが、次のように書かれていました。
 これらの事務は、原則として地方公共団体が実施しなければならないものであるが、事業区間が二府県以上、事業の規模が著しく大きく等、その後若干ほかにもありますが、地方公共団体がその事業を施行することが困難または不適当と認められるとき、国が直轄事業として実施されるというのが通例であるという答えです。
 一般的に、国直轄事業は、単に国と地方との受益に基づく負担割合を定めたものではなく、そもそも対象事業は明確になっているし、その対象事業というのは、本来、地方公共団体が実施しなければならないけれどもというのが解説です。この点、どのように認識されているのでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 同じ地方財政法第十二条におきまして、地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費につきましては、法律または政令で定めるものを除くほか、国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならないとされておりまして、国の事務に対して地方自治体が支出することは原則できません。
 したがいまして、国の施設整備に対して都が負担するには、新たな法的根拠が必要となっております。
 今回、国と地方がそれぞれ費用を負担し合う制度ということで、類似の国直轄事業負担金制度そのものを適用するのではなく、その考え方に準拠したというところでございます。

○吉田委員 考え方も、国直轄事業制度というのは違うものではないですかと、単に負担を定め合ったものではなくということで先ほど説明をいたしました。
 しかも、この四分の一の根拠としているのが、国と地方二対一、地方三分の一、それにtotoの負担金があるから四分の一にしたのだということでした。
 果たして国の三分の一というもともとの制度は、地方の便益、経済効果などを積み上げて算出したものといえるのかどうかということも私は極めて大きな疑問です。
 例えば、道路の場合には、ご承知のとおり三分の一負担ですけれども、私は、これが便益をどのように積み上げた結果、三分の一負担になったのかというものを見ることができませんでした。しかも、三分の一というのは、どんな道路であろうと全て一律ですね。個々の道路の状況に応じて負担割合を示したものではない。
 そういう意味では、今回の負担の前提となっている国直轄事業制度の負担割合を、便益をもって準拠するというのは飛躍じゃないですか。適切じゃないんじゃないですか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、新国立競技場の整備は、都民にさまざまな便益をもたらすものでございまして、これら便益につきましては、個々の金額の積み上げではなく、機能に着目して精査し、まとめ上げたものでございます。
 今般、合意いたしました財源案におけます国と都の分担の方法につきましては、国の責任と都民にさまざまな便益があることを踏まえまして、国が直轄で行う整備事業において地元の受益を勘案して、国と地方で費用を分担し合う制度でございます国直轄事業負担金制度の考え方に準拠するのが妥当と判断をしたところでございます。
 この国直轄事業におきまして地方が負担する場合、金額ではなく、割合、比率で負担するのが通例となっております。
 また、国直轄事業における便益につきましては、今理事のお話がありましたように、例えば国道整備の場合ですと、国と地方の負担割合は二対一でございますが、これは、例えば道路整備によってもたらされます渋滞の緩和による移動時間の短縮、あるいはCO2の排出抑制によります環境改善といった、金額に換算して積み上げた便益ではなく、あくまでも機能、効果に着目して、便益がその地元に一定程度あるということをもって負担するものでございます。
 したがいまして、今回、国と合意をいたしました財源案におきましても、この国直轄事業の考え方に準拠して応じるのが妥当と判断をして整理しているところでございます。

○吉田委員 考え方だけではなく、まさにその負担割合をそのまま引いて、便益をもって負担をするのだということで説明がされていますが、私は、国直轄の三分の一自身が、必ずしも便益を積み上げたものではない、それを持ってくること自身が適切ではないということを重ねて指摘しておきたいと思います。
 しかも、国と地方の二対一、地方三分の一という負担は、国の側からすれば、財政負担を減らそうとする国の働きかけと、さらに地方との綱引きの結果の、いわば政治的な決着であるということもいわれています。
 例えば、かつて道路の国負担は、一九八四年までは四分の三、国が負担していたんじゃないのですか。それが、国が財政難を理由に八五年に三分の二に引き下げる。今の負担ですね。そういうやりとりの中で、現在の三分の一になっているんじゃないですか。便益だけだったらこんなことにならないでしょう。だからこそ地方六団体は猛反発をするという経過があったものを、なぜあえて今回前提にするのかということは、極めて不適切だと思います。
 しかも、全国知事会は、国と地方の役割分担を明確にした上で、最終的には、この国直轄事業負担金制度の廃止を国に求めているのではないですか。これが妥当だというなら、廃止を求めるわけがないでしょう。廃止を求める問題のある制度を、いかにも便益で割り振ったかのようにして今回準用するということはどういうことなのでしょうか。
 にもかかわらず、本来、国直轄事業の対象にならない事業まで、この負担割合をもとに国立施設整備まで都が負担すれば、他の道府県はどう考えるでしょうか。新たな負担の既成事実をつくるというふうに非難されかねないじゃありませんか。
 さらに、しかも、今、財源問題は大きな問題になっていますけれども、まさに東京富裕論をさらに沸き立たせる、ああ、東京はお金があるんだ、だから幾らでも出すんだということになりかねないじゃありませんか。知事は、そういうことを一体どう考えたのかというふうに私はいわざるを得ません。
 さらに、先ほどもちょっと質問が出たことに関連しますが、国直轄事業の場合には、これを準用するということなれば、維持管理費も地方が負担する仕組みになっていますよね。だから、国直轄事業に関する知事会の要望では、維持管理費負担金は早急に廃止すべきということを申し入れてきた経過もあります。
 国直轄事業負担に準拠というなら、新国立の場合には、例えば今後、二〇二〇年大会の後に八万人の客席を整備するという、いわば改修事業が予定されています。さらに、JSCが管理している施設でいえば、秩父宮ラグビー場の改築があります。また、本体の維持管理費ということも四分の一負担になりかねないというふうに懸念するのは、国直轄事業制度に準拠するのだということをいえば、当然の疑問ではないでしょうか。お答えください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 国と合意した財源案では、国と分担し合う対象経費は、スタジアム本体及び周辺整備の工事、設計、監理等、解体工事に係る費用から、道路上空連結デッキの工事と上下水道工事を差し引きました一千五百八十一億円程度となっておりまして、明確化されております。
 よって、これ以外の工事費や完成後にかかる維持管理費、工事費等、一切の経費につきましては、今般整理した内容以外でございまして、都が負担することはございません。
 また、今般、国と合意をいたしましたのは、新国立競技場の整備に係る財政負担についてでございまして、他の施設は対象外であるため、都が負担することはございません。
 なお、理事お話しの国直轄事業におけます維持管理費の地方負担につきましては、かつてはあったのですが、国と地方の役割分担の整理の中で廃止をしたものと承知しております。

○吉田委員 しかし、今でも現実に維持管理費の負担はあるでしょう。今のご答弁で負担はないというふうにお答えされましたが、ご答弁にもあったように、今回の負担割合は、あくまでも整備費についての負担をどうするかという議論ですよね。維持管理費は、そもそも議題に上がっていないということじゃないですか。それとも、その維持管理費については、都に負担を求めないという何らかの合意というものは文書であるのですか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 維持管理費につきましては、完成後にかかります工事費も含めまして、一切の経費につきまして、今般整理した工事費以外の負担をするということはしないということとなってございます。
 なお、国直轄事業負担金制度の考え方に準拠した場合にありましても、維持管理費は、現在、地方負担は廃止をされておりますので、仮にそこに準拠したとしても、負担することはないということになっております。

○吉田委員 もう一度お伺いしますが、維持管理費及び今後の改修費、八万人にする場合の負担は求めないということは、明確な合意が文書であるのですか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回、新国立競技場の整備に対しまして都が負担をいたしますのは、さまざまな受益を勘案いたしました特別な措置でございまして、これ以外の経費につきまして負担するということは、文書で交わしておりません。

○吉田委員 文書でそういう合意を確認しているものはないわけですよね、結論的には。それで、負担に関して新たな法整備をするということが表明されています。一体どのような法整備なのかということも、私は極めて重大な問題だと思います。
 法整備で都に負担が義務づけられる。また、その法整備では、四分の一という負担が盛り込まれる。そういうものになるのかどうかということは、極めて重大な内容ではないでしょうか。もしそういうことになったら、たとえ知事がかわって、方針が変わったとしても、将来にわたって都が縛られる、そういうものです。
 この法整備の内容というのはどのようになっているのか、現時点でわかることをご答弁ください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 先ほどもご答弁申し上げました地方財政法第十二条におきまして、国の事務に対して地方自治体が支出することは原則できないこととなっております。
 したがいまして、国と合意した財源案では、国において必要な法的措置を講じるとされておりまして、国からは、独立行政法人日本スポーツ振興センター法の改正などにより対応していくと聞いております。
 なお、法改正は国の専管事項でございますが、その内容につきましては、この財源案に基づきまして検討されるものと承知をしております。

○吉田委員 確かに、手続論でいえば国の専管事項ですけれども、しかも、合意内容に基づいてということになれば、負担が義務づけられる。四分の一が明記されるという危険性というか、可能性は極めて大なわけですよね。そのときに、維持管理費の問題もどのような扱いになるのか。
 こういう、どのような法律が準備されるのかもわからないまま、とにかくこれで納得してくださいということは成り立たないんじゃないでしょうか。都に負担を縛ろうとする法律がどのようなものかも確認することができない、その前提条件も不明確な中で議論をするのは、私は極めて危険なことだといわざるを得ないというふうに思います。
 さらに、今回の合意は、整備に係るという言葉になっています。疑問なのは、用地費があるはずなのに、用地費が盛り込まれていない。その負担についても、今回の合意にはないということです。
 ということは、用地費は、新国立の整備に当たって必要ない、用地費の負担はないということで、このようなスキームがつくられたのでしょうか。お答えください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今回、国と合意をいたしました財源案につきましては、あくまで新国立競技場の建てかえ工事の整備費に関するものでございます。

○吉田委員 そうすると、用地費の負担については、ワーキングの中では議論はあったのですか、ないのですか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 お尋ねの件につきましては、特に議論はございませんでした。

○吉田委員 先ほどの理事会の話がありますから、私は、これ、意見だけをいわせていただきますけれども、本特別委員会でも、私--平成二十四年十二月二十八日付、猪瀬知事名で、JSCに対して、建設局が所管する公共施設を新国立競技場の敷地とする場合は有償とするということを明確に都の決定として通知をしているわけです。
 これについて、前の委員会で局長からの答弁があり、無償等もあり得るかのようなお話がありましたけれども、私は、これをきちんと厳守すべきだと。その本体整備も、都が負担するだけじゃなくて、私の試算では、路線価で三百億円を超えると思いますけれども、こういうものも投げ出すということになれば、まさにルールがないだけではなく、都民からも信頼を失うということを指摘しておきたいと思います。
 さらに、負担に関連して質問を続けます。
 連絡デッキは、都の全額負担というふうになっています。しかし、連絡デッキは、そもそも本体工事と一体ですね。国の工事対象の中に、この連絡デッキは入っています。都が独自に整備するものなのかというふうに、ましてや全額負担するのかという疑問は起きて当然だというふうに思います。しかも、かつて、たとえ周辺であったとしても、原因者責任ということが当時の知事からいわれたではありませんか。
 したがって、周辺であったとしても、全額負担するものではないという都の見解を示した経過があるではありませんか。なぜ、周辺だとしても原因者責任を求めないのか、その根拠を明らかにしてください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 道路上空連結デッキの工事費三十七億円程度につきましては、新国立競技場の敷地外であること、東京体育館や新たに整備されます都立明治公園との間の道路をまたぎ、歩行者空間を創出する非常に公共性が高いものでありますことから、都が全額を負担するものとして整理をしたものでございます。

○吉田委員 当時の知事は、記者会見で、周辺の整備については、原因者である国の責任で行うのが原則というふうに発言していますね。そして、その周辺整備について、全部都が負担することではないということも発言された経過があります。
 私は、道路法というものを改めて読んでみました。認識の違いがあるかもしれませんから、ご答弁いただきたいのですが、道路法五十八条では、原因者責任、原因者負担という条があります。次のように規定しています。
 道路管理者は、他の工事または他の行為により必要を生じた道路に関する工事または道路の維持の費用については、その必要を生じた限度において、他の工事または他の行為につき費用を負担する者にその全部または一部を負担させるものとするということが、私が読んだ道路法では書いてありました。これだと、法的に負担させる者ということに規定されているとしたら、この規定を遵守すべきじゃありませんか。全額都が負担するというのは、この道路法の五十八条に反するのではないですか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 道路上空連結デッキは、その地域におきまして、例えば、道路横断時の安全やバリアフリーなど、地区全体のアクセシビリティー向上などに寄与いたします、いわば空中の歩道でございまして、その地域を訪れる都民誰もが利用いたします必要な都市機能であること、それから、新国立競技場の敷地外で公有地でありますことから、都において全額を負担するものとして整理をしたところでございます。

○吉田委員 道路法の五十八条に、原因者責任のこの規定は今でもあるでしょう。たとえ便益があったとしても、なぜ、これに基づいての検討というのはされなかったのですか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 この道路上空連結デッキにつきましては、都立明治公園の区域の中に編入されるものでございます。

○吉田委員 法的に定められているものを都が遵守しないということは、やはり都の基本が問われることだというふうに私は思います。
 さらに、現スキームそのものの負担額についても、私は質問しておきたいというふうに思います。
 先ほどからも議論がありました。増額するのは、消費税分と建設物価等の上昇分だというお話ですが、たとえそうであったとしても、それは決して少ないものではないというふうに私は思います。
 都は、都が整備する競技場施設の整備費について、建設物価の上昇、これは年率一二・三%掛ける二年で、そして、消費税も一〇%で、既にどの程度の整備費負担になるのかを発表していますね。この委員会でも資料として出されました。この委員会に資料で出された年率一二・三%、消費税一〇%で推計したら、どれだけの負担増になるのか、推計することはできると思うのですが、いかがですか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都立施設の整備費の算出に当たりましては、都が責任を持って行っております。
 一方、新国立競技場は国の施設でありますことから、都としては推計をしておりません。

○吉田委員 国の施設だからといったって、東京都の負担増がどの程度になるのかということは、当然都民に明らかにする責任があるじゃありませんか。しかも、その根拠がないというわけではなくて、東京都は、一定の試算を発表するスキームを持っているではありませんか。
 私は、計算は苦手ですけれども、東京都が発表した年一二・三%、東京都は掛ける二年ですが、掛ける三年、そして一〇%というふうに計算したところ、対象経費は千五百八十一億から二千二百二十三億円になり、四分の一の負担を都が行えば、五百五十八億円という計算をしてみました。違っているなら、ぜひお答え願いたいのですが、そういう規模の負担増になりかねないんですね。やはりそれだけのことだということをきちんと明らかにすることが求められているのではないでしょうか。
 法的根拠についても、改めてお伺いしたいと思います。
 先ほどから議論がありますけれども、地方財政法は、国と地方の財政上の原則を定めたものです。すなわち国の事業は国が--十二条、先ほど部長が答弁されましたね。地方公共団体の事業は地方がというのが基本原則だと思います。
 国庫補助金、国直轄事業などは、他の場合は、それ自身も明確な規定がされています。
 都は、便益、経済効果を理由に負担するといいますけれども、便益を理由に国立施設の整備費を都が負担することは、地方財政上認められるという判断なのでしょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 ただいま理事お話しのとおり、地方財政法第十二条におきましては、国の事務に対して地方自治体が支出することは原則できないこととされております。
 したがいまして、国と合意した財源案では、国において必要な法的措置を講じるとされておりまして、国からは、独立行政法人日本スポーツ振興センター法の改正などにより対応していくと聞いております。
 なお、法改正は国の専管事項でございますが、その内容につきましては、この財源案に基づきまして検討されるものと承知をしております。

○吉田委員 地方財政法というのは、国と地方の財政規律を定めた原則法ですよね。しかも、なぜ十二条でそういう規定を定めたのかということについて、逐条解説では、規定が設けられた趣旨は、国と地方公共団体との地位の優劣が、とかく国の予算不足を地方に転嫁し、そのために国と地方公共団体の合理的な財源秩序の確立に支障となる場合があることから、このような規定を定めたのだというふうに定めています。そういう原則は、最優先すべきではないですか。
 先ほど法整備、法整備ということをいわれていますが、どのような法整備かということも明らかにされていませんし、今現実にその法整備がされていないということは、地方財政法に合致しているか否かということが、やはり東京都としてとる法的な判断のあり方ではないでしょうか。法的な規定がないので新たに整備するということですけれども、現時点で、このスキームというのは地方財政法に反しているということですね。明確にお答えください。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 地方財政法第十二条との関係におきまして、理事の今のお話がございましたが、地方財政法は、国と地方の財政規律を規定しておりまして、その大原則を踏まえまして、今般、国、都の財源検討ワーキングチームにおきまして、法的な根拠がない財政負担は行えないということを私どもは主張してまいりました。
 このワーキングチームでの検討、協議を踏まえまして、今般、国と合意した財源案において、国において必要な法的措置を講じるとされたところでございます。

○吉田委員 だから、地方財政法では認められないんですよ、今のフレームというものは。そういうものを、もう当たり前ですけれども、法に基づいて事務をしなければならない東京都が、また国が--押しつける国もいけないんですよ--地方財政法の原則に合わないものを行おうとする。
 そのために法整備をするといいますが、どのようなものかわかりませんけれども、こうした現地方財政法に反するものをごり押しするということは、法令上も、私は行うべきではない、到底認められないということを強く述べておきます。
 最後に、要望を述べておきます。
 知事は、都民と都議会の理解、納得ということを述べてきました。本委員会で初めて議論をしたわけですけれども、私は、法令上も含めて重大な問題が次々と浮き彫りになったと思います。しかも、明確な答弁がなかった問題もあります。
 そもそも錦の御旗である新たな法整備も、一体どのようなものかということも、いまだ示されておりません。想定の話です。しかも、これは国会の議決に委ねられていますから、当然、これがいかにも成立するかのような前提をとることは、国会を侮辱することではないでしょうか。
 用地費の問題もあります。都民から東京都に寄せられた声の多数は、私が聞いた限りでは反対が多数でした。しかも、市民団体からも、反対や認められないという要望書が知事宛てに提出されています。都民が納得しているとは到底いえない事態です。
 都議会でも、都民の間でも、議論と認識を深めるべきであるにもかかわらず、きょう示されたワーキングの議論の経過というものは、日程と議題だけと。検討経過は全く明らかではありません。
 知事は、負担に同意した根拠の一つとして、政策形成過程が従来と全く違うというふうに述べました。しかし、私自身で見れば、政策形成過程がどのようになっているかは全くわかりません。従来と変わらないどころか、従来はワーキングの部会の議事録も公表されました。有識者会議も公表されました。しかし、いまだにこれは公表されていません。そういう点では、このワーキンググループの議事録、資料など、関連する文書は全て公開することが、都議会としても、あるいは都民的にも議論をする前提ではないでしょうか。
 質疑を通じて、便益をもって新国立競技場整備費の四分の一を都が負担する根拠はなく、法的にも認められないということが私は明確になったというふうに思います。しかも、今後の改修費も含めて、都が負担させられかねない危険性をはらんでいます。
 きょうの委員会を通じても、私どもは--新国立競技場、都民の皆さんからも、なぜ国立なのに都が負担するのかという疑問の声が上がるのは当然のことです。たとえメーンスタジアムであったとしても、それは国の責任であり、東京都は、八カ所もの施設整備に二千四百億円からの、用地費も含めて投入するではありませんか。
 私たちは、そういう主張を持っていますが、引き続き本特別委員会で徹底した議論をすることを求めて、私の質疑を終わります。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

   午後三時三十分開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○酒井委員 それでは、私からも、新国立競技場の都負担の問題について、何点か確認の意味も含めて質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど、新国立競技場の技術提案書、A案、B案と、イメージ図が公表されたようでございますけれども、都議会民主党においても、この間、代表質問等においても、この都負担の問題については、都民が受ける便益や負担の算定根拠、法的根拠の内容について伺ってまいりました。
 また、先般、知事出席のもとで行われた本特別委員会において質疑をした際、知事は、法的根拠、都民の納得を前提としていました。
 今回、本体整備費一千五百八十一億円の四分の一、金額にして三百九十五億円の負担を受け入れる判断をした根拠として示された内容は、法的根拠が得られることを除いて、都民の便益では、スポーツの振興、周辺環境の向上、地域防災機能の強化など、多様な価値を持つレガシーとなるとの見解が示されたわけですけれども、これだけでは、従来想定をされていた内容と大きく変わったという印象は得られず、都が三百九十五億円もの都費を拠出することによって得られる便益が非常にわかりづらいと思います。
 そこで、都として主張して得られた便益、そして、その結果が納得できる便益だったのか伺うとともに、三百九十五億円の負担で得られる都民の便益について、具体的な内容についてお示しをいただきたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都民への便益でございますが、まず何よりも、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が成功するために、開会式、閉会式が行われるメーンスタジアムとなる新国立競技場は、なくてはならない施設であること、また、大会後におきましても、都民のスポーツ実施や観戦の機会をふやし、スポーツの振興につながること、加えて、スポーツの分野だけではなく、周辺を含めたバリアフリー化といった環境の向上や、約八万人相当の備蓄を行う防災備蓄倉庫の新設など、地域の防災機能が強化され、東京にとって大きなレガシーとなることでございます。
 このように、都民への便益につきましては、個々の金額の積み上げではなく、機能に着目して精査し、まとめ上げたところでございます。
 都の財政負担に当たりましては、こうしたさまざまな都民への便益を総合的に捉えまして、国直轄事業の考え方に準拠するのが妥当と判断し、国と都で費用を通常の割合でございます二対一で分担し合うことといたしました。
 さらに、スポーツ振興くじ、いわゆるtotoを財源として活用することによりまして、都は、国直轄事業の通常の分担割合でございます三分の一より少ない四分の一を負担することとなったものでございます。
 このようなことから、財政負担は応分なものと総合的に判断したところでございます。

○酒井委員 次に、ちょっと確認のためにお伺いをいたしますが、この新国立競技場の整備事業は、国の独立行政法人である日本スポーツ振興センター、JSCが行う国際的規模のスポーツ競技会を開催するために必要なスポーツ施設を整備する特定業務であるわけですが、業務として、国の責務として行うものであると思います。
 そうした新国立競技場が整備される東京都において、都が受ける利益に基づいて費用を負担することに合意したわけでありますけれども、都が利益を受ける限度において、都が費用を負担するというふうに考えてよいのか、見解をお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場は、国が責任を持って整備を進めることが基本でございます。一方で、周辺環境との調和など、都としての考えが反映されました新たな整備計画のもとで、都民に有形無形の大きな便益がございます。
 こうしたさまざまな都民への便益を総合的に捉え、財政負担に見合うものと考えまして、今般、財源案に合意したものでございます。

○酒井委員 次に、経済波及効果についてお伺いをいたします。
 先ほども話題に出ておりましたけれども、この経済波及効果については、工事期間と完成後五十年間の経済波及効果について、全国で約一兆四千億円、都内では約七千億円との試算も明らかにされたわけですけれども、この試算は、どのような条件設定のもとに行われたのか。また、旧国立競技場も、この地に五十年存在をしてきたわけですけれども、現在の貨幣価値に直して、どのくらいの経済波及効果があったのか、お伺いをいたします。
 さらに、この経済波及効果というものは、非常に抽象的なイメージがあり、漠然としていると思います。
 そこで、直接的な便益として、都が主催あるいは共催、後援をするような施設利用においては、たとえ国の施設であっても、使用料の減免等が得られるということはあるのか、お伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の整備と五十年間の維持管理、運営及び来場者の宿泊費、飲食費、交通費などに係る経済波及効果につきまして、独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSCが旧整備計画のデータによりまして作成した資料に基づき、都が新整備計画のデータを適用して推計したところ、全国で約一兆四千億円、うち都内へは全国の半分を占める約七千億円の経済波及効果が見込まれるものでございます。
 このうち、来場者支出につきましては、旧計画で見込んでおりました文化イベントを除きまして、スポーツイベントのみで、年間百十二万人の来場者という前提で算出をしております。
 なお、旧国立競技場の経済波及効果につきましては、承知をしておりません。
 また、都が主催または共催、後援いたします施設利用の際の使用料など、大会後の運営につきましては、関係閣僚会議で決定されました整備計画におきまして、今後の検討に委ねられているものと認識をしております。

○酒井委員 次に、法的根拠に関して質問をいたします。
 今回、この法的根拠の問題について、クリアをされるということ自体に異議はないわけですけれども、そのクリアのされ方には危惧があります。
 現行法において、国の施設には都は負担金を支出できないものを、法整備をし負担できるものとする場合でも、あくまで負担をさせられるのではなく、都の判断として負担をするということでなければ、地方自治体としての主体性が失われてしまうと私は考えます。
 答弁では、国直轄事業の考え方に準拠との説明がありましたけれども、国直轄事業の考え方は、国道など、地元自治体に便益があるから負担をさせるという考え方であります。
 このような考え方に依拠すると、他の国の施設にも、将来的に負担を求められる論拠とされることが大変心配でもあります。
 そこで、今回の判断は、オリンピック・パラリンピックに向けての例外中の例外であって、地方自治体の主体性をしっかりと守っていくとの立場は揺るぎないか、また、国直轄事業の考え方に準拠との説明の真意についてお伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場は国の施設であり、国の負担による整備が基本でございます。
 その上で、今般の合意は、新国立競技場が大会のメーンスタジアムとして、なくてはならない施設であり、これを整備するものであること、大会後におきましても、多様な価値あるレガシーとして、都心に末永く残り続けることといった特段の便益をもたらすことを踏まえまして、開催都市東京として、新国立競技場の整備につきましては、特別に一定程度の財政負担を決断したものでございます。したがいまして、他の国立施設は対象外でありますことから、都が負担することはございません。
 なお、今般、合意した財源案に基づきまして財政負担するに当たりましては、国の責任に基づく負担と地方の便益を勘案した負担の双方がある場合に、国と地方が財政負担をし合う仕組みでございます国直轄事業負担金制度の考え方に準拠するのが妥当と判断したところでございます。

○酒井委員 ただいまの答弁では、これは、他の国立施設は対象外であり、都が負担をすることはないというふうにしっかりといい切っていただきましたので、この姿勢といったものは堅持をしていただきたいと思います。
 また、ご答弁にもあったとおり、新国立競技場は国の施設であり、国の負担が基本であります。しかしながら、このオリンピック・パラリンピックのメーンスタジアムということもあり、都も一定の利益を受けることから、例外として、国との協議を踏まえて、都の主体的な判断として財政負担を決断したものだと思います。
 ゆえに、法整備に当たっても、その考え方は、都道府県における分担金の特例として、土地区画整理法の規定のように、あくまでも都に負担を求めることができるとの姿勢であって、決して、負担をする、あるいは負担をしなければならないという文言にならないように国に求めるべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 国が行う整備事業に対しまして地方自治体が支出するには、地方財政法第十二条におきまして、法律または政令で定めるものを除くほか、国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならないとされているという制約のある中で、今後、国におきまして、財源スキームの考え方を適切に踏まえ、必要な法的措置が講じられることとなっております。

○酒井委員 次に、今回、負担の割合の合意が行われたわけですけれども、その負担額は、消費税率や賃金、物価高騰などの変動で変わる可能性もあることが指摘をされてもおります。
 負担額や負担の方法は、今後、都と国、JSCとの協議に委ねられると考えますが、そのような理解でよいのか、見解を伺います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 具体的な負担方法などにつきましては、財政負担の根拠となります法整備が必要となりますことから、その動向を踏まえつつ、今後、国やJSCと協議してまいります。

○酒井委員 繰り返しになりますが、今回の都の負担は、本体整備費一千五百八十一億円の四分の一、金額にして三百九十五億円程度の負担とのことです。
 旧計画の中でも工事費の増加の懸念もありましたけれども、先ほど来の答弁の中で、この本体整備費に関する増加要因については、賃金の上昇、物価高騰、消費税一〇%ということだけでございました。
 先ほど、他の委員からの質問の中で、物価のスライド等々についての想定の数字も出されておりましたけれども、今後どういうふうになるかわからない数字はともかくとして、少なくとも、政府において消費税率一〇%は既定路線とも思われる中で、契約の仕方にもよりますけれども、消費税率のみの影響で想定をした場合、最大値で、都負担として七億円強の負担増が予測されると判断してよいか、確認のためにお伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 工事費の増加要素といたしましては、物価騰貴分と消費税率の変更分がございますが、物価騰貴分につきましては変動要素がありまして、設計時期等により変わるものでございます。
 一方、消費税につきましては、既に法に定められておりまして、仮に、国と分担し合う対象経費一千五百八十一億円全てが消費税の課税対象となり、全額に税率一〇%が適用されるとした場合に機械的に試算すれば、増加額は約二十九億円、そのうち、都の分は四分の一の約七億円となります。

○酒井委員 ただいま確認をさせていただいた数字のとおりということで、仮に、この消費税増額分の、契約の時期や仕方にもよると思いますけれども、これが乗ると四百億円を超えてしまうという、そういった象徴的な数字にもなりますので、ぜひ事業費の圧縮や消費税による増額が極力抑えられる契約の仕方を求めていっていただきたいと思います。
 次に、先ほども話に出ておりましたが、確認のために再度お伺いをさせていただきますが、この新国立競技場の維持費や、あるいは赤字補填などにも四分の一の負担が求められることがないように、これは国としっかりと確認をしているのか、この点についても改めてお伺いをいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の維持費など、完成後にかかります一切の経費につきましては、今般整理した内容以外でございまして、都が負担することはありません。

○酒井委員 これについても、一切負担をすることはないというふうにいい切っていただきましたので、ぜひその姿勢は堅持をしていただきたいと思いますし、国はこれまでも、法人事業税の問題等々で、東京都の懐にどんどん手を入れてくるという、そういった嫌いがございますので、ぜひこの点については、しっかりと用心をしながら、さらに負担を求められることがないような対応をしていただきたいというふうに思います。
 以上のような事項も含めて、合意の内容や今後の新国立競技場の整備について、徹底した情報公開と透明性の確保を、都としても、しっかりと図っていくべきものと考えております。都民の理解を得られるよう丁寧な説明の手法とあわせて、都の見解をお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今般、国と合意いたしました財源案につきましては、結論だけでなく負担の考え方や都民への便益などを具体的に、また、国と分担し合う対象経費とその関連経費も合わせました全体像を、図解によりわかりやすくお示ししておりまして、都のホームページにも掲載して公開をしております。
 今後とも、都民の理解が得られますよう、さまざまな機会を捉えて、丁寧に説明してまいります。
 また、知事が、本年八月の関係閣僚会議におきまして、今後の進め方として、的確な工程管理と情報の公開をお伝えいたしました。この考えが反映されました新たな整備計画におきましては、新国立競技場の整備プロセスの透明化を図る観点から、JSCが整備の進捗状況を関係閣僚会議に報告するとともに、定期的に公表を行うものとされておりますなど、国におきましても、情報公開と透明性の確保に努めております。
 都といたしましても、こうした取り組みが着実に行われますよう、さまざまな形で情報の透明性の確保に努め、新国立競技場が大会の準備や開催に支障なく整備されますよう国に協力してまいります。

○酒井委員 今、答弁にもありましたけれども、今回の一部負担は例外中の例外であり、そして、都民の納得の上に成り立つものであると思います。ぜひ担当局のみならず、オール都庁で都民の理解が得られるよう取り組んでいただきたいと思います。
 その意味では、霞ヶ丘アパートの住民など、新国立競技場にかかわる整備において影響を受ける方々への説明に関しても、所管局は違いますが、丁寧な対応を求めるものです。
 以上、意見を申し上げ、質問を終わります。

○石川委員 舛添知事は、本年五月に、当時の下村文部科学大臣から東京都に五百億円の負担を求められたことに対して、新国立競技場全体の建設費や財源が明らかにされていないことなどを理由に、とても都民の納得のいくものではない、国の説明責任が果たされていないなどと発言をし、五百億円の負担を拒否したわけであります。
 このこともきっかけになって、新国立競技場の建設費や財源が大きな話題になり、青天井のように扱われていた新国立競技場建設費が、結局、総理の決断もあって、一定の枠がはめられるきっかけをつくることに舛添知事が寄与したことは、我が会派も評価をしてきているところであります。
 そして、今回、改めて、馳文部科学大臣、遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣との会談で、都の負担が三百九十五億円で、デッキ等の整備費を含めると四百四十八億円負担することが表明されました。
 この間、都の負担のあり方については、さまざまなメディアでも取り上げられ、当委員会でも何度となく議論されてきたわけであります。
 再来年四月に消費税がもし一〇%になれば、単純計算で、先ほども話がありましたけれども、七億円程度、さらに物価上昇分を勘案すると、五百億円に限りなく近い数字になっていくものと思われるわけであります。
 今回の知事の判断を検証するためにも、何点かの質問をさせていただきたいと思います。
 知事は、ことし五月、下村文部科学大臣から五百億円求められたことについて、全体の工期や工費を示さないことに対して、根拠のない数字、都民が納得できる論理が必要と述べております。本会議の知事答弁では、都民が納得できる説明責任を果たしたとはいえないとも述べております。
 今回、急遽、新国立競技場整備にかかわる財源スキームとして千六百四十五億円が示されたわけでありますけれども、工費の詳細は示されているのか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 一千六百四十五億円程度とは、本年八月の関係閣僚会議で決定されました新国立競技場の整備計画に示されている経費のうち、工事費として、スタジアム本体一千三百五十億円程度と、周辺整備二百億円程度を合わせました一千五百五十億円程度、設計、監理等の経費四十億円程度、解体工事費五十五億円程度を合わせたものでございまして、これを国と分担し合う対象経費の基本と考えたところでございます。
 なお、経費の詳細につきましては示されておりません。

○石川委員 今までの知事の発言の流れからしますと、既に八月には千五百五十億円の枠は示されており、その内容についてのさらなる詳細を求めていたのかというふうに思っていたわけであります。時間的な問題があったのではないかとも思われるわけであります。
 それでは、施設の内容について伺います。
 ザハ・ハディド氏のデザインで建設コストの問題は迷走したわけでありますけれども、新国立競技場の公募に応じた事業者は、どのようなデザインの施設をつくろうとしているのか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の整備に当たりましては、本年八月の関係閣僚会議で決定されました再検討に当たっての基本的考え方におきまして、新たな整備計画に基づき、九月初めを目途に公募型プロポーザル方式による公募を開始することとされました。
 その後、九月一日に、事業主体であります独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSCが公募手続を開始し、現在は、建築などの専門家から構成されます技術提案等審査委員会におきまして、設計、施工を行う事業者の選定が進められているところでございます。

○石川委員 技術提案の内容は、きょう発表ということでありますから、都の負担を決定する条件でなかったということがわかりました。
 新国立競技場の財源スキーム千六百四十五億円の中に、解体工事費五十五億円が含まれております。旧国立競技場の解体費に都の負担分が含まれていますが、なぜなのか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の整備は、既存の国立競技場の現地建てかえ工事でありまして、解体工事は、建てかえ工事を行うに際し当然に行われる密接不可分のものでありますことから、解体工事費を国と分担し合う対象経費としたものでございます。

○石川委員 解体工事と建てかえ工事は密接不可分であることは確かなわけでありますけれども、解体は所有者が負担するのが自然な流れのようにも思えるわけであります。
 それでは、さかのぼって、そもそも一九六四年のオリンピック・パラリンピックで使われた国立競技場の建物自体の建設に、都は財源負担をしていたのか、お伺いいたします。あわせて、今回、都が負担する理由についても伺いたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 旧国立競技場の整備に対しまして、都は費用を負担はしておりません。
 また、新国立競技場の整備に対しまして、都が費用を負担する理由でございますが、まず、新国立競技場は、国が責任を持って整備を進めることが基本でございます。
 一方で、東京や都民にとりましても、大会の成功に加え、スポーツの振興や周辺環境の向上、地域の防災機能の強化、さらには多大な経済波及効果といった、大会後におきましても、多様な便益がもたらされることになります。
 国の責任と、こうしたさまざまな都民への便益を総合的に捉えまして、財政負担を行うことといたしました。

○石川委員 旧の国立競技場は国の責任でつくられ、所有物となり、文部科学省の外郭団体が五十年以上にわたって運営をしてきた国立の施設なわけであります。ですから、旧国立競技場のように、国の負担で建てるのが本来といえるのではないかというふうに思うわけです。
 結局のところ、国だけでは財源の見通しが立たないということに理由があるように思いますし、また、東京が開催都市として強くオリンピック・パラリンピックの開催を求めてきたので、応分の負担をすべきという考え方が根底にあったのではないかなというふうに思われるわけであります。
 メディアなどの都の負担についての報道を見ますと、国は借金もかなり背負っているので、新国立の財源を全て負担できないのは理解できる、そういう意味では、都が負担することもやむを得ないという、都が一定の負担をすることを知事が決断したことの理由に挙げ、理解を示す記事も見かけるわけであります。
 国の財政が厳しいことが、都が建設費を負担する理由の一つではないかというふうに思えるわけでありますけれども、いかがでございましょうか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今般、都が財政負担をいたします理由といたしましては、国が責任を持って整備を進めるということと、さまざまな都民への便益があることを総合的に捉えまして、財政負担を行うことといたしました。
 したがいまして、国の財政状況と都の負担理由とは関係ございません。

○石川委員 あくまでも、都も便益があることを根拠としているわけであります。国が困っているともなかなかいえないわけでありましょうし、この点については、それなりに理解をするところであります。
 次に、暑さ対策について伺います。
 十一月二十七日のテレビ番組で、遠藤大臣は、一番心配しているのは、セキュリティーと暑さ対策と述べております。番組に出演していたジャーナリストも、人が入ったときに温度が上がる、今回は一発勝負なので、すごく心配とも述べております。
 都議会でも、多くの議員が東京の猛暑を心配しており、その対策のための意見も出されております。
 暑さ対策は、遠藤大臣も、ついこの間になるわけですけれども、必要性を認めていろいろ発言をしているわけでありますけれども、都は、暑さ対策について、新国立競技場建設に織り込む要求をこの間してこなかったのかどうか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の座席空調の設置につきましては、費用に対して空調の効果が限定的でありますことなどから、国において見送ることとしたと承知をしております。
 一方で、新国立競技場の暑さ対策、熱中症対策でございますが、予防対策、スタジアム内の医療施設の充実、医療機関との連携強化などを図り、しっかりと対応していくと国から聞いております。
 例えば、予防対策といたしましては、空調設備を備えた休憩室を整備することとか、入退場ゲート付近にミスト冷却等の設備を設置することでございます。

○石川委員 二、三度の効果はあるというような答弁も既にあったわけでございますけれども、二、三度もばかにできない温度じゃないかなというふうに思っているわけです。
 また、都は、開催都市として、大会を成功させる責務があるわけでございます。テストイベントのことなどを考えますと、一月完成を条件にしてもよかったのではないかなというふうに思われるわけであります。
 完成時期を二〇二〇年四月末としておりますけれども、都は、一月完成を求めてきたわけであります。財源を負担する以上、一月完成を約束させるべきではないかと、このように思うわけでありますけれども、いかがでございますか。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の完成時期につきましては、本年八月の関係閣僚会議におきまして、知事から、大会の準備や開催に支障のないよう、二〇二〇年一月までの完成を求めました。
 また、この関係閣僚会議で決定されました整備計画におきましては、工期の期限を二〇二〇年四月末とすると同時に、同年一月末を工期短縮の目標といたしました技術提案を求め、工期を極力圧縮するものとされております。
 なお、現在行われております設計施工事業者の公募に係る技術提案書の審査基準におきましては、工期短縮を評価項目としておりまして、全体で百四十点中三十点の配点となっております。

○石川委員 ぜひ一月までに完成するように頑張っていただきたいなと思っております。
 今回の三百九十五億円は都民の税金で負担することになるわけで、当委員会に負担にかかわる数字が出される前に、中間報告があってもよかったのではないかなというふうにも思うわけであります。
 先行して新聞に、数字を含めて記事が載りまして、押せ押せできょうを迎えているようにも思えるわけでありますけれども、今までのスタジアムに関するオリ・パラ委員会の議論は、ほとんどが組織委員会や文科省にかかわる間接的な説明が中心だったわけですが、都の負担の問題は、直接都議会にも決定権があるわけで、慎重な対応が求められたと思うわけであります。
 四百億円の話が報道される前に、都議会に中間報告をなぜできなかったのか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の整備に係る財源につきましては、都は、新国立競技場の整備に全面的に協力するという知事の姿勢のもとで、また、国も、具体的な財源負担のあり方について早急に詰めるという総理大臣の指示のもとで、財源検討ワーキングチームにおきまして協議を進めてまいりました。
 このワーキングチームは、国と都の事務方が率直な意見交換を行い、実務的に検討、協議を行う場でありますことから非公開としておりますが、十二月一日に、知事が遠藤東京オリンピック・パラリンピック大臣、馳文部科学大臣と会談したことで、財源案について初めて合意がなされたものでございます。

○石川委員 全体の流れの中で、そうできなかったということのようでございます。
 それでは、ちょっと角度を変えまして、知事は、東京都の五百億円の負担を国から求められていることは、就任当初の記者会見でも、また、その五月にも、オリンピック・パラリンピック、新国立競技場、五百億円を東京都が負担するんですか、そういう議論ばかりしていますけれども、私、まだその議論、文科大臣と一度もやっていませんね、しかし、こういう問題を一つ一つ片づけていかないといけないわけですと述べているわけであります。
 今からだとちょうど一年半前になるわけでありますけれども、知事は、既に昨年の五月の段階で、新国立競技場問題にかかわる五百億円の国からの負担を求められていることを認識していたことを、この記者会見でも明らかにしているわけであります。文部科学省から話がなかったから、一年待っていたということになるわけであります。
 知事は、下村大臣と会う一年前から五百億円の話は認識していたわけですけれども、なぜ一年間何もしなかったのか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の整備に係る都の費用負担につきましては、舛添知事が文部科学大臣から正式に要請を受けましたのは、本年五月十八日の面会が初めてでございます。

○石川委員 結局、自分のところに話がなかったという、知事としてのメンツと、国との駆け引き等々を重んじたということかもしれません。地方自治体の代表として、そのことに意味がないとはいいませんけれども、結果から申し上げますと、もし知事が一年早く動き出していれば、ラグビーワールドカップにも新国立競技場が間に合った可能性もあったということを指摘しておかなければなりません。
 いずれにしろ、都民に対する説明責任をこれからもしっかり果たしていただくことを求めて、質問を終わります。

○山内委員 十二月一日、第四回定例会の所信表明で、舛添知事は突然、新国立競技場の整備経費千五百八十一億円の四分の一となる三百九十五億円程度を東京都が負担、さらに、周辺の道路や公園の整備など五十三億円を都が対応する財源案に合意したと述べました。東京都が負担する総額は、四百四十八億円に上ります。
 知事より、財政負担の根拠となる都民の便益が示されました。都民の納得を得られるものなのか、お伺いしていきたいと思っております。
 都民の便益として、防災機能の強化というのが挙げられておりますが、これは都民の避難に限ったことではありません。
 東日本大震災の際には、東京都は、味の素スタジアムを避難所として提供いたしました。国立であるからには、どこで震災等が起ころうと、受け入れるのは当然です。あえて防災機能の強化を都民への便益としていることが都民に理解されるのか、本当に疑問に思っております。
 具体的にどのような便益があるのかお伺いする予定でございましたけれども、質疑、答弁が重なりますので省きますが、ご答弁の中で、外部からの帰宅困難者受け入れに伴い、必要となる飲食料等について、約八万人相当の備蓄を行う防災備蓄倉庫が整備されるというふうなご答弁がありました。この答弁を受けまして伺いたいのですけれども、常設観客席数は八万人と決定されているわけではありません。一部は仮設するというふうにも聞いております。
 そこで、八万人分の飲食料の備蓄といいますが、八万人という数字の根拠は何なのか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都の帰宅困難者対策条例に基づきまして、事業者には、従業員三日分の飲料水や食料など災害時に必要な物資を備蓄する努力義務がございますが、新国立競技場におきましては、この従業員に加え、施設利用者や外部からの帰宅困難者受け入れに対応するために、新たに約八万人相当の飲食料などの備蓄を行う防災備蓄倉庫が整備されることとなっております。
 これによりまして、新宿、渋谷、港の三区の避難場所となっております神宮外苑地区におきます防災機能強化が図られることとなります。

○山内委員 申しわけありません。八万という数字の根拠がやはりわからないです。
 次の質問に移りますが、都民への便益として、スポーツを行う都民をふやし、急速に進む高齢社会の中で健康増進効果が期待できるとしていますが、具体的にはどういうことなのでしょうか。日常的に新国立競技場を開放するということなのでしょうか。都民を優遇するということなのでしょうか。あるいは、障害者のスポーツの場として利用できるようにするなどなど、具体的に示していただきたいと思いますが、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場は、大会終了後は、都心に立地し、神宮外苑地区のスポーツ拠点の中核施設として後世に受け継がれていきます。
 そして、従来の国立競技場よりも観客席数がふえ、最新の設備が整った競技場に生まれ変わった中で大規模なスポーツ大会やスポーツイベントが開催され、都民がスポーツを観戦する機会をふやし、都民のスポーツへの興味や関心の喚起につなげます。
 さらに、こうしたことも通じてスポーツを行う都民をふやし、ライフスタイルにスポーツが定着したり、急速に進む高齢化社会の中で、病気の予防や運動機能の維持向上といった健康増進効果も期待できるところでございます。

○山内委員 大会後は、施設運営を民間企業に移管する予定とも聞いております。その場合、今のお話であります都民への便益はどのようになるのでしょうか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 都民への便益につきましては、関係閣僚会議で決定されました新国立競技場の整備計画や、公募事業者に示されました新国立競技場整備事業業務要求水準書など、事業者が技術提案を行うに当たっての前提条件をもとにまとめ上げたものでございます。
 したがいまして、運営段階におきましても、都民への便益とした機能につきましては当然あるものと考えております。

○山内委員 新国立競技場は、建築家と設計会社がデザインから設計、施工までを一括に行う公募型プロポーザル方式です。スケジュールはどのようになっているのか、今回の都民への便益は反映されているのか、お伺いしたいと思います。
 例えば、八万人の備蓄ということがございましたが、これが含まれていない場合、費用が膨らむということもあるのでしょうか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の整備に当たりましては、本年八月の関係閣僚会議で決定されました再検討に当たっての基本的考え方におきまして、新たな整備計画に基づき、九月初めを目途に公募型プロポーザル方式による公募を開始することとされました。
 その後、九月一日に、事業主体であるJSCが公募手続を開始し、現在は、建築などの専門家から構成されます技術提案等審査委員会におきまして、設計、施工を行う事業者の選定が進められているところでございます。
 また、都民への便益につきましては、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、新国立競技場の整備計画あるいは業務要求水準書など、事業者が技術提案を行うに当たっての前提条件をもとにまとめ上げたものでございまして、お話の防災備蓄倉庫の整備もここに含まれております。

○山内委員 都民への便益として、長期にわたって都内に多大な経済波及効果がもたらされるといわれております。
 そこで本来は、この経済波及効果をどのぐらいと考えているか、お伺いしようと思いましたが、ダブりますので省かせていただきます。
 重複は避けますが、生活者ネットワークとしても確認したいことがありますので、順次、ちょっとお許しいただきたいと思います。
 国費二対都費一、toto財源の一の根拠、どのような法的措置が必要なのか、これまで国立の施設で四分の一負担をしたことがあるのか、お伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場は、国が整備するのが基本である一方、二〇二〇年東京大会のメーンスタジアムとして、なくてはならない施設でございます。また、大会後の東京におきまして、多様な価値を末永く持つレガシーとなります。
 国立のスポーツ施設整備費に対する地方自治体の負担例は承知をしておりませんが、都の財政負担に当たりましては、国の責任と、こうしたさまざまな都民への便益を総合的に捉えますと、地元の受益を勘案して、国と地方で費用を分担し合う制度でございます国直轄事業負担金制度の考え方に準拠するのが妥当と判断し、国と都で費用を通常の割合でございます二対一で分担し合うことといたしました。
 さらに、スポーツ振興くじ、いわゆるtotoを財源として活用することによりまして、都は、国直轄事業の通常の分担割合でございます三分の一より少ない四分の一を負担することとなりました。
 また、国が行う整備事業に対しまして地方自治体が支出するには、地方財政法による制約がある中で、今後、国において、財源スキームの考え方を適切に踏まえ、必要な法的措置が講じられることとなっております。

○山内委員 都費負担案三百九十五億円は、上限の金額なのでしょうか、それとも、今ご答弁がありました割合なのでしょうか。現時点で千五百八十一億円と見込んでおりますけれども、それを超える可能性はないのか、千五百五十億円から工費が変動した場合の負担はどうなるのでしょうか。
 新聞報道等では、都費負担が五百億円から四百億円に軽減されたという表現もあるようです。しかし、報道されていた五百億円というのは二千五百二十億円のときの額で、割合は五分の一です。三百九十五億円というのは千五百八十一億円の四分の一で、負担割合は増加しているんですね。しかも、そのほかに、道路上空の連結デッキや東京体育館デッキ接続、現都営住宅地の公園整備も合わせて五十三億円を含めると、先ほど申しましたように、都の負担は四百四十八億円にも上ります。
 これについて、国、東京都の財源検討ワーキングチームでは、どのような議論がされたのか、改めてお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 国と合意した財源案では、国と分担し合う対象経費は、スタジアム本体及び周辺整備の工事、設計、監理等、解体工事に係る費用から、道路上空連結デッキの工事と上下水道工事を差し引きました一千五百八十一億円程度と明確化されておりまして、今般整理した内容以外で都の負担が生じることはございません。
 なお、この金額を、都と国とtoto財源で、一対二対一で負担することとなっております。
 また、この経費につきましては、賃金または物価等の変動が生じた場合及び消費税率一〇%が適用される場合に限りまして、都と国とtoto財源で、一対二対一で負担することとなっております。
 なお、財源検討ワーキングチームにおきまして、都は、財政負担につきまして、都民、国民に対して説明ができる内容であること、都民の納得が得られる負担とすることを前提とし、法的な根拠がない財政負担を行えないことを主張したところでございます。

○山内委員 分担対象経費には、旧国立競技場の解体工事費五十五億円も含まれています。旧競技場を解体してしまった段階での白紙撤回です。
 都は、都民からも旧国立競技場を残してほしいとの要望を受けながらも、国の事業と突っぱねてきました。この五十五億円は、どう考えても都が負担する筋合いのものではないと考えます。都民の理解を得られるものではありません。
 五十五億円が含まれていることに対して、都は、どのように意見、議論をしたのか、お伺いしたいと思います。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 新国立競技場の整備は、既存の国立競技場の現地建てかえ工事でありまして、解体工事は、建てかえ工事を行うに際し当然に行われる密接不可分のものでありますことから、解体工事費を国と分担し合う対象経費といたしまして、国と都の合意の財源案に盛り込んだところでございます。

○山内委員 ワーキングチームの協議は非公開で行われました。
 しかし、発足当初、非公開とするかわりに、最終的に関係閣僚会議で決定するので議事録を公開するとしていました。公開の予定はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 財源検討ワーキングチームは、国と都の事務方が率直な意見交換を行い、実務的に検討、協議を行う場でありますことから非公開としております。
 国と合意した財源案につきましては、関係閣僚会議において決定されることとなっておりまして、現在、政策決定のプロセス中でありますが、ワーキングチームの資料や議事録につきましては、今後、公開していけるよう国と協議してまいります。

○山内委員 今後、都民の理解を求めるために、都は、どのように都民に説明していくのか、改めてお伺いいたします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 今般、国と合意した財源案につきましては、結論だけでなく負担の考え方や都民への便益などを具体的に、また、国と分担し合う対象経費とその関連経費も合わせました全体像を、図解によりわかりやすくお示ししておりまして、都のホームページにも掲載して公開しているところでございます。
 今後とも、都民の理解が得られますよう、さまざまな機会を捉えて、丁寧に説明してまいります。

○山内委員 旧国立競技場をさっさと取り壊し、費用が膨大になったことから計画を白紙撤回し、計画の見直しをしたにもかかわらず、都民への負担を求める。この国の理不尽なやり方に対して、都民が納得できる理由を示せと反論した知事は当然であり、エールを送っていた人も多くいたはずです。
 しかし、都が負担すると示した額は余りにも大きく、当初、国から求められたとされる五百億円と何ら変わりがありません。しかも、都があずかり知らぬとしてきた旧国立競技場の解体の費用負担まで含まれております。
 知事が理由として挙げた都民への便益は、多くの都民が大会の感動を体感できる機会を得るとか、都民がスポーツを観戦する機会をふやし、都民のスポーツへの興味や関心の喚起につなげるなど、当然であり、都民の納得は難しいのではないでしょうか。
 きょうの午後、まさに先ほど、JSCは、公募した業者側の計画の概要や外観のイメージ、総工費、工期などを示した技術提案書を公表いたしました。公表後、国民の意見やトップ選手の意見を聞いた上で、審査委員会が選定するということでした。
 東京都も、お金を出すからには、しっかりとこれをチェックし、意見を反映させていくことが重要だと考えます。
 また、大会後、民間に施設運営を移管する場合であったとしても、都民が利用しやすい仕組みをつくるなど、国と協議していくことが必要です。
 知事が再三、国に求めてきた説明責任を、今度は車の両輪として、国とともに都が都民に説明する責任を負うことになると十分理解していただきたいと思います。
 これで私の質問を終わります。

○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○高島委員長 次に、本委員会に付託されております調査事件についてお諮りいたします。
 本件は、今定例会中に調査を終了することができませんので、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認めます。
 そのように決定をいたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十七分散会

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