オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会速記録第二十四号

平成二十七年十一月九日(月曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 十八名
委員長高島なおき君
副委員長畔上三和子君
副委員長藤井  一君
副委員長吉原  修君
理事伊藤こういち君
理事秋田 一郎君
理事吉田 信夫君
小林 健二君
石川 良一君
山内れい子君
山崎 一輝君
徳留 道信君
鈴木 隆道君
小山くにひこ君
林田  武君
立石 晴康君
川井しげお君
酒井 大史君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長中嶋 正宏君
次長理事兼務岡崎 義隆君
技監邊見 隆士君
技監西倉 鉄也君
技監石山 明久君
理事小山 哲司君
総務部長鈴木  勝君
調整担当部長雲田 孝司君
総合調整部長児玉英一郎君
連絡調整担当部長岡安 雅人君
準備会議担当部長丸山 雅代君
自治体調整担当部長井上  卓君
計画調整担当部長鈴木 一幸君
大会準備部長延與  桂君
運営担当部長田中  彰君
競技担当部長根本 浩志君
パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務萱場 明子君
施設輸送担当部長花井 徹夫君
施設調整担当部長小室 明子君
施設整備担当部長小野寺弘樹君
選手村担当部長安部 文洋君
スポーツ推進部長早崎 道晴君
国際大会準備担当部長土屋 太郎君
スポーツ施設担当部長田中 慎一君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
副委員長の互選
理事の互選
報告事項
・二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案(その二)について(説明)
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた都立競技施設整備の進捗状況(その二)について(説明・質疑)
・東京二〇二〇オリンピック競技大会の追加種目について(質疑)
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場計画の再検討の状況について(質疑)
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた都立競技施設整備の進捗状況について(質疑)

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会を開会いたします。
 初めに、委員の辞任及び選任について申し上げます。
 議長から、去る十月十三日付をもって、小磯善彦委員及び橘正剛委員の辞任を許可し、新たに藤井一議員及び伊藤こういち議員を選任した旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員を紹介いたします。
 藤井一委員です。

○藤井委員 藤井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○高島委員長 伊藤こういち委員です。

○伊藤委員 伊藤でございます。よろしくお願いいたします。

○高島委員長 紹介は終わりました。

○高島委員長 次に、小磯善彦副委員長の委員辞任に伴い、副委員長一名が欠員となっておりますので、これより副委員長の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○小山委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名をしていただきたいと思います。

○高島委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 ご異議なしと認めます。よって、副委員長には、藤井一委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認めます。よって、副委員長には、藤井一委員が当選されました。
 藤井副委員長より就任のご挨拶がございます。

○藤井副委員長 ただいま当委員会の副委員長にご指名いただきました藤井でございます。
 高島委員長とは、議長、副議長で大変お世話になった委員長でございまして、高島委員長を慕ってこの委員会に参ったところでございます。
 今後とも、高島委員長を支え、円滑な委員会運営に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○高島委員長 次に、橘正剛理事の委員辞任に伴い、理事一名が欠員となっておりますので、これより理事の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○小山委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名をしていただきたいと思います。

○高島委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認めます。よって、理事には、伊藤こういち委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認めます。よって、理事には、伊藤こういち委員が当選されました。

○高島委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席は、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○高島委員長 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 なお、報告事項、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案(その二)については、本日は説明を聴取し、資料要求することにとどめ、質疑は後日の委員会で行いますので、ご了承願います。
 初めに、先般の人事異動に伴い、本委員会に出席する幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 十月十六日付の人事異動により変更のありましたオリンピック・パラリンピック準備局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 総合調整部長の児玉英一郎でございます。連絡調整担当部長の岡安雅人でございます。準備会議担当部長の丸山雅代でございます。運営担当部長の田中彰でございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○高島委員長 紹介は終わりました。

○高島委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 まず、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案(その二)について報告を聴取いたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 それでは、私から、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案(その二)についてご説明申し上げます。
 この環境影響評価は、大会の開催に伴う会場施設の整備、運営等による影響につきまして、東京都環境局の指針に基づき、東京都が任意で自主的に実施している環境アセスメントでございます。
 今回は、東京ビッグサイトにつきまして評価書案を作成し、十月二十六日に二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック環境アセスメント評価委員会に報告しております。資料第1号はその概要版でございます。
 なお、今回の評価書案は、既に計画が具体化している部分を対象とし、仮設工作物や大会開催中に係る環境影響評価要因は対象としておりません。それらにつきましては、今後の計画の熟度に応じまして、別途実施いたします。
 また、今回対象としていない他の施設につきましても、順次実施してまいります。
 今後も、東京都が整備する恒設会場につきましては、評価書案の公表時に、委員会にてご報告させていただきます。
 お手元の資料第1号の一七ページをごらんください。東京ビッグサイトにつきまして、評価項目と評価の結論が記載されてございます。
 表の項目にございます、1、大気等から始まり、全体で十三の評価項目がございます。
 1、大気等につきましては、大会開催前の工事用車両の走行を要因とする大気等の状況の変化の程度につきまして、予測、評価いたしました。その結果、大気等の状況の変化は環境基準値を下回る結果となってございます。
 続く2、緑以下その他の各項目につきましても、結果につきましては、それぞれの欄に詳しく記載しておりますが、適切な対応に努めることなどにより、評価の指標を満足するものとなってございます。
 本評価書案につきましては、十月の公表と同時に、十二月二日まで都民意見の募集を行っております。
 都民意見に対しましては、実施者としての当局の意見見解書をまとめて環境局に提出し、評価委員会におきまして評価書案の審議が行われます。
 その後、環境局長の審査意見書を反映させました評価書を作成して環境局に提出し、公表いたします。
 説明は以上でございます。

○高島委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 それでは、資料要求はなしと確認させていただきます。

○高島委員長 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた都立競技施設整備の進捗状況(その二)について報告を聴取いたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 それでは、私から、資料第2号、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた都立競技施設整備の進捗状況(その二)についてご説明申し上げます。
 都が整備する都立競技施設につきましては、前回の本委員会でご報告いたしましたとおり、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナ、海の森水上競技場の三施設の基本設計の業務委託が八月に完了し、次の段階に向けた準備を進めてきたところでございます。
 このたび、十月十六日に、設計施工一括発注方式での発注案件として公表し、具体的な入札契約の手続に入りましたので、本日は、三施設につきまして、それぞれの基本設計の概要を報告させていただきます。
 少し長くなりますが、資料に従いまして、それぞれの施設ごとに、基本設計におけます検討事項等についてご説明いたします。
 資料一ページをごらんください。最初に、オリンピックアクアティクスセンターにつきましてご説明いたします。
 場所は、江東区辰巳二丁目二番で、ここに、大会時は地上五階、座席約二万席の水泳場を建設する計画としており、工期は平成三十一年十二月二十日までとなっております。
 二ページは、大会時の外観パースでございます。
 三ページをごらんください。
 設計のポイントでお示しいたしますように、基本設計では、質の高い水泳競技場の整備、良好な観覧環境、大会のレガシーとしての活用、環境への配慮及びコスト管理を重要なポイントとして、競泳やシンクロナイズドスイミングなどの国際競技大会が開催できる施設といたしますよう、類似施設の調査や競技団体へのヒアリングを行いながら、さまざまな検討を進め、計画に反映してまいりました。
 その主な対応につきまして、四ページをごらんください。
 五十メートルのメーンプール、サブプール、飛び込みプール及び飛び込み選手の練習施設となるドライランド等を整備し、国際水泳競技大会が開催可能なものとしております。
 メーンプールの観客席につきましては、プール面への視線が確保できますよう観客席を配置し、良好な水泳競技観戦が可能となってございます。
 また、介助者席を併設した車椅子利用者席につきましては、IPCがパラリンピックの会場整備について推奨しているアクセシビリティーガイドを参考といたしまして、大会時座席数の約一%を確保し、車椅子の観客が良好に観覧できる環境を整備いたしますとともに、介助者等と着がえができる広さの家族更衣室を設置するなど、車椅子利用者がプールを利用しやすい環境を整備する設計といたしております。
 五ページをごらんください。
 プールは、大会後のレガシーとしての活用も見据え、各種競技大会のほか、一般都民が幅広く利用できますよう、メーンプール、サブプールの床や壁を可動式といたしまして、五十メータープールを二十五メーターに変更することや水深を浅くすることを可能としてございます。
 また、カフェやスタジオを設置いたしまして、都民の利用や憩いの場を提供いたしますほか、木材のよさを伝え、和の空間を演出できるよう、壁や天井の仕上げに木材を採用することを計画してございます。
 観客席部分につきましては、大会時には約二万席の施設を大会後には約五千席の施設へ縮小することで、建物規模の適正化を図ることとしております。
 環境への配慮といたしましては、地中熱利用のヒートポンプ、コージェネレーションシステムなど再生可能エネルギー、省エネルギー技術を積極的に導入し、エネルギー消費量及びCO2の排出量を、全てガスを使用した場合に比べまして約三割削減する設計としてございます。
 これらの対応によりまして、建築物を環境性能で評価し格付する手法でございますCASBEEの取得目標につきましては、最高のSランクとしております。
 六ページをごらんください。
 ご説明いたしました施設の整備に向け、去る十月十六日に、実施設計と工事施工を一括して、約五百三十八億円の予定価格で入札公告を行ったところでございます。
 アクアティクスセンター全体の整備費につきましては、そのほか、地盤、測量調査や基本設計など調査設計費、今後想定される工事中のセキュリティーへの対応費や大会後の改修費用等を見込んでございますが、これらを合計いたしましても、既にお示ししてございます整備費六百八十三億円の範囲内で対応できるものと考えてございます。
 七ページ以降につきましては、詳細な説明は省略させていただきますが、七ページから一二ページまでは、大会後の約五千席での各階平面図、東西南北方向の立面図を、一三ページから一九ページまでは、大会時の約二万席での平面図、断面図、立面図等をお示ししてございます。後ほどごらんください。
 次に、資料二〇ページをごらんください。有明アリーナにつきましてご説明いたします。
 場所は、江東区有明一丁目地区で、ここに、地上五階、座席数約一万五千席のアリーナを建設する計画としてございまして、工期は平成三十一年十二月九日までとなっております。
 二一ページは、外観のパースでございます。
 二二ページをごらんください。
 設計のポイントでお示ししてございますように、基本設計では、質の高い競技施設の整備、良好な観覧環境、レガシーとしての活用、環境への配慮、コストの管理を重要なポイントといたしまして、バレーボールなどの国際スポーツ競技大会の開催が可能な施設といたしますとともに、多様なイベントに利用しやすい施設といたしますよう、類似施設の調査や競技団体やイベント関連会社からのヒアリングなどを実施しながらさまざまな検討を進め、計画に反映してまいりました。
 その主な対応につきましては、二三ページをごらんください。
 有明アリーナは、バレーボールやバスケットボールなど各種スポーツ競技大会が開催可能な施設としております。
 有明親水海浜公園との連携につきましては、東京の水辺の魅力をアピールすべきとの都立競技施設整備に関する諮問会議におけるご意見も踏まえまして、隣接して運河に面している海浜公園と一体的に整備いたしますとともに、カフェやレストランとして利用できるスペースを用意し、魅力ある水辺空間を演出し、都民の憩いの場を創出してまいります。
 また、木材の利用につきましては、左側の内観パース図にも木材の使用イメージをお示ししてございますとおり、屋根構造の一部や内装材などに木材を積極的に採用する予定となってございます。
 有明アリーナでは、特に、東京の多摩産材の木材も含め、日本の建築におきまして木材のよさが大切にされてまいりましたことを改めて国内外にお示しいたしますとともに、海外からの来場者に和の空間を感じていただけるよう計画してございます。
 また、観客席につきましては、車椅子利用者への配慮として、介助者席を併設した車椅子利用者席数を大会時座席数の約一%確保いたしますとともに、良好なスポーツ観戦を可能といたしますよう、各席からアリーナ面への視線が確保されている配置としてございます。
 二四ページをごらんください。
 有明アリーナにつきましては、スポーツ競技大会のほか、多様なコンサート等の開催が可能となるよう検討してございます。
 例えばメーンアリーナの床は、国際的なスポーツ競技大会に加え、イベントを初めとしたさまざまな用途に利用しやすいコンクリート床とし、必要な車両搬入ルートの確保を図ってございます。
 また、多様な活用ニーズに応えますため、メーンアリーナとサブアリーナとの相互の利用動線を確保する設計としてございます。
 トイレにつきましても、イベントの客層に合わせ、男女のトイレの数をフレキシブルに変えられる設計としてございます。
 加えて、カフェやスタジオも設置する計画としてございます。
 環境への配慮につきましては、オリンピックアクアティクスセンターと同様に、再生可能エネルギーや省エネルギー技術を考慮した設備計画とし、エネルギー消費量及びCO2排出量を約三割削減する設計でございます。
 また、CASBEEの取得目標につきましても、オリンピックアクアティクスセンターと同様に最高のSランクとしております。
 二五ページをごらんください。
 以上のような施設整備に向け、先般、実施設計と工事施工を一括して、約三百六十一億円の予定価格で入札公告を行ったところでございます。
 有明アリーナ全体の整備につきましては、このほか、基本設計や地盤調査など調査設計費、今後想定される工事中のセキュリティー対応費や追加工事等が生じた場合の対応費等を見込んでございますが、これらを合計いたしましても、既にお示ししてございます整備費四百四億円の範囲内で対応できるものと考えてございます。
 二六ページ以降につきましては、詳細な説明は省略させていただきますが、二六ページから三二ページまでは各階の平面図等、三三ページは断面図、三四ページは立面図となってございます。後ほどごらんください。
 三五ページをごらんください。最後に、海の森水上競技場につきましてご説明いたします。
 場所は、中央防波堤内側と外側埋立地の間の水路でございまして、この長方形の水域を使い、ボートとカヌースプリントの競技会場を建設する計画でございます。
 工期は、平成三十一年三月二十八日までとなっております。
 三六ページは、大会時の外観パース図でございます。
 三七ページをごらんください。
 設計のポイントでお示しいたしますように、基本設計では、質の高い競技場や使いやすい建築施設の整備、レガシー、環境配慮、コスト管理などを重要なポイントとして、これを実現いたしますために、競技団体等と意見交換をしながらさまざまな検討を行い、計画に反映してまいりました。
 三八ページをごらんください。主な施設配置は図のとおりとなってございます。
 競技コースといたしまして、ボートの場合は延長二千メーターの八レーン、そのほかウオーミングアップなどのための静穏な水域を確保することが必要となりますため、競技水域の両端に締め切り堤を設けてございます。
 コースの周りには、スタート施設、計時小屋、自転車走行路、フィニッシュタワー等を設置してございます。また、フィニッシュ付近にグランドスタンド棟など観客席、フィニッシュの後ろ側に艇庫棟などボート置き場を整備することとしてございます。
 なお、これらの施設のうち、赤枠で囲いましたものが恒設施設、黒枠が仮設施設となっております。
 三九ページをごらんください。パースは、大会時のグランドスタンド棟の観客席からの眺望でございます。
 観客席には、大会時座席数の約一%の車椅子席を設置し、介助者席も併設してございます。
 四〇ページをごらんください。締め切り堤の構造につきましては、安全性及び経済性も含めて比較検討を行ったものでございます。
 締め切り堤の東側と西側で地盤の状況や条件等は異なりますが、いずれの場合も、締め切り堤は鋼鉄製の管を連続して打ち込み、水を遮りますとともに、鋼鉄製の管と上部のコンクリートを一体とした構造としております。
 なお、このくいは、支持地盤が深い場所にあること等を考慮し、土の摩擦力で支えることでしっかり安定させる構造としてございます。
 四一ページをごらんください。
 競技に適した環境を確保するため、風や波、水質などに対して配慮することが重要となります。
 そのうち風につきましては、大会を予定しております夏に吹く南風のケースで競技水面の風速をシミュレーションし、対策を検討いたしました。
 この結果を踏まえまして、下の、風対策ありの図の赤いラインが記載されてございます位置に防風林を設置することによりまして、風の影響を軽減することとしてございます。防風林は一・五メーターの盛り土を施工し、その上に高さ五メーターの樹木を植栽する予定でございます。
 四二ページをごらんください。
 波につきましては、締め切り堤により外から進入する波はございませんが、競技水域内でボート等により発生した波が直立護岸で反射することが想定されます。その影響を小さくするため、護岸沿い等に消波装置を設置することを予定してございます。この消波装置の設置によりまして、波の高さが六割程度低減されることを想定してございます。
 四三ページをごらんください。
 水質につきましては、泳げる程度の水質であれば競技可能とされてございまして、現状では水浴が可能な水質基準を満たしております。
 また、締め切り堤には揚排水の設備を設置いたしまして、東側から外の海水を取り入れて西側へ排出いたしますことによりまして、大会期間中に水域を東西の締め切り堤で締め切った場合でも、競技水域内の水を交換し、水質を維持する計画となってございます。
 これらの対策は基本設計に盛り込んでございまして、国際競技団体等とも協議しながら進めてございます。
 四四ページをごらんください。恒設施設の主な建物のイメージとなってございます。
 なお、大会後は、国際大会が開催できるボート、カヌーの競技場及び育成強化の拠点といたしますほか、多目的な水面利用を図り、都民のレクリエーションの場、憩いの場としていく予定でございます。
 また、四五ページには、これらの概要の一覧を示してございます。
 四六ページをごらんください。
 以上のような施設の整備に向けまして、先般、実施設計と工事施工を一括いたしまして、約二百四十九億円の予定価格で入札公告を行ったところでございます。
 海の森水上競技場の全体整備につきましては、このほか、支障物の撤去移設工事や調査設計費、今後想定される施設の整備費や工事中のセキュリティー対応費、追加工事等が生じた場合の対応費等を見込んでございますが、これらを合計いたしましても、既にお示ししてございます整備費四百九十一億円の範囲内で対応できるものと見込んでございます。
 なお、今後措置する経費のうち、国際競技団体等と協議中の施設といたしましては、撮影等に用います浮き桟橋などがございますが、これらにつきましては、引き続き協議が必要なものとなっております。
 四七ページ以降は、詳細な説明は省略させていただきますが、グランドスタンド棟、艇庫棟の平面図、立面図を示しております。後ほどごらんください。
 基本設計の概要は以上でございます。
 今後の予定といたしましては、入札に参加する各企業から提出されました技術提案と入札金額とを総合的に評価して落札者を決定し、来年一月に仮契約を締結いたします。
 また、都議会で議決をいただく案件でございますことから、平成二十八年第一回都議会定例会にてご審議をいただき、年度内に契約を締結する予定でございます。
 いずれの施設につきましても、今後、都立競技施設整備に関する諮問会議も活用しながら、より具体的な設計内容や工法等の検討を行い、都議会のご審議をいただきながら施設整備を進めてまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○高島委員長 報告は終わりました。

○高島委員長 それでは、報告事項、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた都立競技施設整備の進捗状況(その二)について外三件に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 去る十月六日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 それでは、お手元に配布してございますオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙を一枚おめくりいただき、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナ及び類似施設の整備費についてをごらんください。
 この資料は、先般、当委員会でご報告いたしました東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた都立競技施設整備の進捗状況についてに関連いたしまして、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナ及び類似施設の整備費をお示ししたものでございます。
 (1)としてオリンピックアクアティクスセンターについて、(2)として有明アリーナについて、類似施設の整備費をお示しするとともに、備考としまして、それぞれの席数、延べ床面積及び竣工年度も記載してございます。
 なお、注1に記載してございますが、オリンピックアクアティクスセンターにつきましては、約二万席の観客席を設ける予定となっておりますが、国内の類似施設は大きくても数千席程度であり、同規模の席数を有する施設はございません。
 また、ロンドン大会の施設の延べ床面積につきましては、公式な資料では把握できませんが、注5に参考として各施設の内容を記載してございます。
 簡単ですが、説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○秋田委員 私からは、計十二問質問させていただきたいと思います。
 九月末に、東京オリンピック大会としてIOCに提案する追加種目が決定され、IOCに提出されたということでございます。
 我々東京都議会は、昨年の第四回定例会において、二〇二〇年東京大会における野球・ソフトボールと空手道の競技実施を求める決議を行いました。今回、野球・ソフトボール、空手道が提案されたことを大変喜ばしく思っております。
 野球はまさに国民的なスポーツで、若者からお年寄りまで非常に人気のあるスポーツです。
 ソフトボールは、北京オリンピックでの金メダルを獲得した記憶も鮮明に残っているように、メダル獲得の可能性も高く、ますます大会の盛り上げに花を添えられる期待が高いのだと思います。
 また、空手については、日本発祥のスポーツでもあり、みずからの心身を鍛え、礼儀を重んじる日本を代表する武道の一つとして世界中に普及されてきております。
 いずれにしても、今回、五競技十八種目が追加種目として提案されたことにより、オリンピックを夢見て日々トレーニングに励んでいる若者に夢の扉を開く可能性が生まれたことは、大変喜ばしいことだと思います。
 そこで、東京オリンピック・パラリンピック大会は、東日本大震災から復興した日本を世界にアピールする場であり、被災地での競技開催はその絶好の機会となります。
 我が党の遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣も被災地での開催の意向を示しているところでございますが、この追加種目の被災地での開催可能性について伺います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 追加種目を実施する競技会場につきましては、来年八月のIOC総会での種目の最終決定の後、決定される予定となっております。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会は、復興した日本を世界に示す絶好の機会であり、被災地での競技開催の要望や復興への配慮を求める意見があることは承知しております。
 一方で、組織委員会が会場を選定するに当たりましては、これまで都が実施してきた会場計画の再検討と同様に、アスリートファーストの視点や既存施設の活用、コスト等について考慮する必要がございます。
 そうした内容を総合しまして、引き続き組織委員会と連携し、被災地開催の可能性について検討してまいります。

○秋田委員 大会成功には都民、国民の盛り上がりが不可欠です。そういった意味で、今回の追加種目はオリンピックに新たな魅力をもたらしてくれるものと期待しております。
 追加種目の正式な決定は、来年、リオデジャネイロで開催されるIOC総会ということですが、この追加種目が被災地で開催されれば、被災地は確実に元気づけられます。
 都はこれまでも、未来(あした)への道千キロ縦断リレーを通じ、復興へ向けた取り組み等を発信するとともに、全国と被災地とのきずなを深めるイベントを開催しています。こうしたイベントの開催も含め、復興した日本を世界に示すことができ、日本全体での大会の盛り上げにつながるような取り組みを総合的にぜひ考えていただきたいと思います。
 次に、会場計画の再検討の状況について伺います。
 これまで、都民生活への影響について引き続き検討することとしていた会場もようやく配置が決まり、いよいよ具体的な整備に入るということです。
 今回の変更により、地元や競技団体から要望のあった施設が大会後もこれまでどおり使用できるということで安心をしました。
 そこで、今回配置のあった各施設について幾つか確認させていただきます。
 まず、大井ホッケー競技場についてでございますが、我が都議会自民党は、昨年八月に東京都軟式野球連盟の要望を受け、都に対して野球場の存続を強く要望してまいりました。
 都は我が党の要望を受け、今回、配置変更を決断しました。このことは高く評価したいと思います。
 一方、今回の配置変更で野球場利用者への影響は抑制できましたが、その反面、影響を受けるドッグランやゲートボール場利用者に対してはどのように配慮していくのでしょうか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 ホッケー競技場の整備を検討していくに当たりましては、今回、地元から要望のありました野球場利用者への影響は抑制できました。
 引き続き、地元自治体などの意見を聞きながら、ドッグランやゲートボール場を初め、整備によって影響を受ける公園利用者にも配慮し、基本設計や後利用の検討とあわせて、公園全体で最良の方法を検討してまいります。

○秋田委員 次に、大井ホッケー競技場の後利用について、都はどのように考え、今後取り組んでいくのかを伺います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 大井ホッケー競技場は、全国でも数少ない国際基準を満たすウオーターベースの人工芝ホッケー場として整備する予定であり、大会後は、国際大会から日常的な都民利用までを視野に入れたホッケーの振興拠点としていきます。
 また、サッカー、ラクロスなど、さまざまなスポーツでの利用も可能な各種競技の普及強化の拠点としての活用も検討していきます。
 大井ホッケー競技場は、さまざまなスポーツ施設や豊かな自然に親しめる大井ふ頭中央海浜公園内に整備するため、民間事業者の視点も入れて公園全体としての魅力を高め、都民に親しまれ、にぎわいのある総合的なスポーツ、レクリエーションの拠点としてまいります。
 今後、近々に施設運営計画策定支援事業者の募集を行う予定でありまして、公園全体の整備や運営の方向性とも調整し、平成二十八年度末に向け、実効性ある施設運営計画の策定に取り組んでまいります。

○秋田委員 今お話しになった中でも、例えばラクロスなんかを、ファッション性も含め特に若い方に人気のあるスポーツのようでございますから、ぜひ地元自治体などと十分協議をし、既存施設の利用者に配慮した計画を検討するとともに、民間事業者の知恵やノウハウを活用し、実効性ある後利用計画を策定していただき、多くの都民に喜んでもらえるような競技施設としていただきたいと思います。
 また、公園全体をスポーツの拠点として、ますます発展していただきたいと思っております。
 次に、夢の島公園アーチェリー会場についてでございますが、今回、配置変更により、公園の樹木の伐採を大幅に抑制できたということですが、具体的にどの程度の伐採を抑制できたのかを伺います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 今回の配置変更により、樹木のない円形広場や陸上競技場を活用することとしたため、円形広場南側約二万平方メートルの部分で既存樹木の移植や伐採が抑制できました。
 今後、具体的な設計を進める中でさらに工夫し、樹木への影響を抑制するよう検討してまいります。

○秋田委員 夢の島公園は、埋め立て後、一九七八年に開設されて以来、緑豊かな公園として本当に都民に親しまれております。公園の樹木への影響が抑制できたことは大変望ましいことであり、さらにアーチェリーの会場ができることで、この公園の魅力が高まるよう検討を進めていただきたいと要望させていただきます。
 次に、有明テニスの森については、今回の変更により、大会時三十七面のテニスコートを大会後四十九面に回復するということですが、大会を機に改善されるようなことはあるのでしょうか。十カ年維持更新計画により、かねてから修繕を予定していた有明コロシアムを含めて内容を伺います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 大会を開催するために、大会時五千席、大会後三千席の観客席を有するショーコート1を新設するほか、雨天時にも利用可能なインドアコート八面を新設いたします。
 また、現在のクラブハウスが老朽化していることもあり、改築工事を行うなど、大会を機に施設をリニューアルすることとなります。
 これらにつきましては、施設整備費百四十四億円を計上しております。
 一方、有明コロシアムにつきましては、昭和六十二年四月のオープンから二十八年がたち、施設も老朽化していることから、平成二十一年に財務局が策定した主要施設十カ年維持更新計画に基づき、屋根の改修や開閉装置の改善、バリアフリー化工事等大規模改修工事を行うこととしており、別途予算措置してまいります。

○秋田委員 今回の変更により、競技団体から要望のあったテニスコートの面数について、現在と同じ四十九面に復旧し、さらにはインドアコート八面を新設するということでございますから、地元から要望のあったイベント会場も回復すると聞いておりますので、大会後、公園全体にとってもレベルアップするということで、大いに評価したいと思いますし、錦織君の活躍によってふえたテニスファンも大いに喜んでいただいているのだと思います。
 今回の三施設の配置変更によるさまざまなメリットを伺ってきましたが、最後に、整備費はどう変動するのか伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 今回の三施設につきましては、会場計画の再検討の後、競技団体や地元自治体等の要望を踏まえ、配置変更を行ってまいりましたが、整備費が増となる要素もありますが、減となる要素もありまして、現時点では整備費の総額は大きく変わらないと見込んでございます。
 具体的には、大井ホッケー競技場につきまして、メーンピッチ整備のため、既存施設の撤去費等の増要素がある一方で、メーンピッチの恒設の座席数を立候補ファイル時点での四千席から二千六百席とするなどの減要素もございます。
 また、夢の島公園アーチェリー会場につきましては、円形広場を平たんにするための盛り土工事という増要素もございますが、既存樹木の移植や伐採の抑制等の減要素はございます。
 さらに、有明テニスの森につきましては、大会後、テニスコートを四十九面に復旧する等の増要素もある一方で、ショーコート1の恒設の座席数を立候補ファイル時点での五千席から三千席とする等の減要素もございます。
 こうしたことから、整備費の影響は今後精査してまいりますが、基本設計等を進める中で、予定の整備費におさまるよう予算管理をしてまいります。

○秋田委員 ぜひ施設整備を効率的に行い、都民から預かった税金を一円たりとも無駄にしないよう、予算管理にしっかりと努めていただきたいと思います。
 これまでの質疑により、今回変更した施設配置については、これまで競技団体や地方自治体等と緊密な調整を経て達成できた成果だということがよくわかりました。東京大会が史上最高の大会となるよう、特に都が整備する施設に関しては、今後とも都民に愛され、望まれる整備が行われるよう、引き続き調整されることを要望しておきます。
 続いて、本日説明をいただいた基本設計の概要について伺います。
 今回、都が整備する新規恒久施設のうち、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナ、海の森水上競技場の三施設について基本設計が完了し、次の段階に進むとの説明がございました。
 これらの会場については、昨年六月から進めてきた会場計画の再検討の中でも大規模な新規施設として特に検討が必要な施設であり、本委員会においても、代替施設、整備費、後利用など多様な視点から、多くの時間を費やして議論を行ってきたところです。
 それらの議論を踏まえ、基本設計がまとまったことは大きな成果であり、一つの節目であると考えます。次の段階である実施設計及び施工の段階においても、大会の成功はもとより、大会後のレガシーとして誇れるような施設、よりよい施設となるよう、しっかりと進めていただきたいと思います。
 また、大会に向けて、期限内に確実に整備を完了することが開催都市としての最低限の責務でございます。今回、実施計画、施工の段階に入るとはいえ、残された期間には限りがあり、今後はこれまでにも増して工程や整備費を適切に管理し、大会までの整備を確実に進めていくことが重要です。
 そこでまず、これら三施設の工期や費用について、確実な整備を進めるためにどのように取り組んでいくのか、確認をさせていただきたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 大会を成功に導くためには、新規恒久施設の整備を計画的に進め、確実に大会に間に合わせますことが大前提でございます。
 そのため、入札公告いたしました三施設につきましては、工期内の確実な履行を実現いたしますため、実施設計と工事を一括して発注する設計施工一括発注方式を採用し、設計及び施工の合理化、効率化を図ったところでございまして、今後はこの工程管理を確実に行ってまいります。
 また、施設整備費につきましては、今回発注いたしました整備費のほかに、今後措置が必要となる工事中のセキュリティー対応費や追加工事が発生した場合の対応費などを見込んでございますが、それらは、これまでお示ししてまいりました整備費の範囲内におさまってございまして、引き続き適切に管理してまいります。
 今後とも、関係局や組織委員会と連携し、的確な進捗管理を行い、確実に大会が開催できるよう取り組んでまいります。

○秋田委員 ぜひ大会の準備が万全の形でできるよう、しっかりと進行管理を行い、期限に間に合わせて着実に進めていただきたいと思います。
 確実な整備を進めていくことに加え、それぞれの施設を日本らしさが感じられるものとしていくことが重要です。木材の活用について説明がありましたが、我が党は、東京で生産される多摩産材を含めて、日本の伝統的な建築材料である木材を積極的に活用するよう求めてまいりました。
 施設整備に当たっては、どのように取り組んでいくのか伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 日本の建築では、木材のよさが大切にされてまいりました。今回公表した三つの施設におきましても、海外からの来場者に和の空間を感じていただけるよう、屋根構造の一部や内装材などに木材を採用してございます。
 具体的には、例えば有明アリーナのメーンアリーナの屋根では、小ばりを木材と鉄骨のハイブリッド構造としまして、観客席から見上げたときに、幅約三メートルの木材が前面に見えるような計画としてございます。また、メーンエントランスにおいて、木材のルーバーによって天井を構成するなど、木の質感が感じられる空間となるよう計画しております。
 これまで都が行う公共建築物等の整備におきましては、多摩産材利用推進方針に沿って、施設の特性を踏まえた多摩産材の使用に努めており、今回公表した三施設においても、今後の実施設計の中で、多摩産材の活用も含めた木材の利用について詳細に検討してまいります。

○秋田委員 本日の資料を見ると、積極的な活用が検討されているようでございます。海外からも多くの来場者が期待される施設であるため、日本の魅力と東京の地元の取り組みがアピールできる木材活用をぜひ目に見える形で、引き続き検討していただきたいと思います。
 さらに、施設整備で重要なのは大会後の施設のあり方です。末永く将来にわたって有効に使われる施設として整備することが必要です。
 これまでも、レガシーの観点から後利用の検討を進めてきたと思います。今後は、それを実効性ある形で施設整備に取り組んでいかねばなりません。特にオリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナのような屋内の施設については、既に類似の施設も数多くあり、それらも参考にしながら、よりよい施設となるよう進めていってほしいと思います。
 そこで、大会後の有効な活用に向けて、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナについては、基本設計でどのような工夫がなされているのか伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナにおきましては、オリンピック・パラリンピック大会の開催に必要な要件を満たすとともに、後利用の方向性を踏まえて、さまざまな用途に応じて使えるよう設計しております。
 まず、アクアティクスセンターにつきましては、メーンプール、サブプールに可動床を設置し、深さを変えることを可能にしております。子供から高齢者まで安心して使えるとともに、競技に応じた使い方ができるようにしております。
 また、プールに隣接する諸室は、可動間仕切りを設けるなど、多様な運営方法に対応する設計としたほか、トレーニング室やスタジオなどを設置して、多目的な施設利用ができるようにしております。
 有明アリーナにおきましては、競技利用のほか、多様なコンサート等の開催も可能となるよう、メーンアリーナの床は、イベントを初めとしたさまざまな用途に利用しやすいコンクリート床とし、アリーナ内に車両が直接乗り入れて資機材の搬出入が可能なルートを確保しております。
 また、サブアリーナは、バスケットボールコート二面の広さを有し、都民のスポーツ利用を主たる活用方法として想定していることから、床は木製のフローリング床とし、メーンアリーナの可動型の観客席をサブアリーナの応援席として利用可能とするなど、小規模なスポーツ大会でも皆で楽しめる工夫を講じてございます。

○秋田委員 両施設について、さまざまな工夫がなされていることがわかりました。引き続き、大会後も大いに利用される施設となるよう検討を続けていただきたいと思います。
 一方、海の森水上競技場は、日本では余り例のないボート、カヌーの競技施設で、かなり大規模な屋外施設となります。これまでも多くの議論がなされてきました。後利用についても十分に検討し、有効な方策をとっていくことが重要ですが、同時に、海の森水上競技場には、会場の選定経緯や整備費について強い関心が寄せられております。
 そこで、海の森水上競技場について改めて伺いますが、会場選定に当たっては、国内の全てのボート場等を検討した上での結論ということですが、たびたび会場を見直した方がよいという意見も聞かれております。
 例えば、よく引き合いに出される埼玉県の彩湖を競技会場にできない理由を明快に説明してほしいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 オリンピック・パラリンピック競技大会では、国民体育大会等の国内大会と比較いたしましても極めて規模が大きく、多くの要件が求められます。
 例えば、延長二千メートル、八レーンの競技コースに加えまして、ウオーミングアップエリア、回漕レーン等の静穏な水域の確保が必要であり、陸域にも、屋内艇庫を含めて一万平方メーター以上のボート置き場、大会時二万人規模の観客席、放送用大型車両を収容する放送コンパウンドなど、多くの施設を設置する必要がございます。
 これまで、全国で七十カ所あるボートコースのうち、日本ボート協会認定の国際大会が可能なA級コースや近隣県の比較的大きな湖などを抽出し、これら全てにおいて検討を行いました。
 検討項目といたしましては、コース設置に必要な施設整備の実現性や自然環境への対処、選手村の分村の必要性、レガシー利用など、さまざまな要素につきまして総合的な観点から評価を行いました。
 その結果、彩湖におきましてオリンピック競技大会に求められる要件を満たすためには、多くの市民が利用している野球場や児童遊具施設のある区域の大規模な湖岸掘削、管理橋の撤去など、施設整備に大きな課題がございまして、それを解決するためには、海の森水上競技場と同等の大規模な整備が必要となり、相当多額の整備費となることがわかりました。
 また、彩湖は国管理の荒川第一調節池内にあり、洪水時には水没する仕組みとなっております。このため、洪水調節を行う治水機能と、水供給のための貯水池としての利水機能への支障の生じないものとする必要がございます。
 一方、海の森水上競技場の予定地につきましては、オリンピックボートコースとして必要な延長や幅を満足する直線的な水面であること、施設を整備する陸域が全て都有地であること、レガシーとして海の森公園と連携した活用が見込めることなどの利点がございますことから、競技会場として適地でございます。
 最終的には、彩湖を含む主要な候補地につきまして、国際競技団体とともに現地を確認し、海の森水上競技場以外にオリンピックの競技会場となる施設が存在しないという結論に至りました。

○秋田委員 オリンピック競技会場として海の森水上競技場がふさわしいことは理解をしましたが、一方で、整備費について心配の声も上がっています。
 昨年度の再検討では、整備内容の見直しを行い、約五百億円の縮減が行われたと聞きましたが、一部では、橋の撤去費をつけかえ、別事業で見かけ上圧縮していたとの報道もありましたが、事実関係を明確にしていただきたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 報道されました中潮橋につきましては、オリンピック・パラリンピックの開催決定以前から、臨港道路南北線及び接続道路の整備に伴い、本来の管理者である環境局が撤去することとなっておりました。
   〔委員長退席、吉原副委員長着席〕
 開催決定後、整備内容を精査いたしましたところ、南側の護岸を改修する必要があることが判明いたしました。護岸改修に当たりましては、護岸に沿って敷設された配管や、護岸を横断する中潮橋などの支障物を一体的に移設、撤去する必要がございましたため、再検討前の試算におきましては約三十八億円と試算された中潮橋の撤去費を競技施設の整備費に含めることとしておりました。
 その後、再検討の中で、整備費を縮減する観点から、競技団体等の協力を得て会場レイアウトの大幅な変更を行い、南側の護岸改修が不要になったことに伴い、予定しておりました支障物の撤去、移設も不要となりました。このことから、中潮橋につきましては、競技施設の整備として撤去することを取りやめ、当初の予定どおり、本来の管理者が撤去することになりました。
 このように、昨年度の再検討におきましては、オリンピック・パラリンピック競技施設の整備費として、より適切な費用となるよう見直しを行ったものでございます。

○秋田委員 撤去にかかわる経緯はよく理解できました。また、整備費の考え方についても明確に整理されていることもわかりました。
 しかし、オリンピック・パラリンピックの会場整備費については、都民、国民から強い関心が寄せられ、常に注目をされております。今後は、誤解や臆測を招くことのないよう、しっかりと説明するようお願いしておきたいと思います。
 さて、ここまでるる伺ってまいりましたが、オリンピック・パラリンピック開催の根幹をなす競技、そして会場について、いよいよ準備が具体化してきているんだな、そんな印象を受けました。
 特に会場整備については、大会時に求められる要件のみならず、大会後の利用や、現存する施設に対して施設整備が与える影響などにも配慮した検討が進んでいる、そういうことがよくわかりました。こうした努力を積み重ね、多くの都民、国民に喜ばれる大会としてもらいたいと思っております。
 最後に、二〇二〇年大会の大きなレガシーとなるオリンピックアクアティクスセンターなど三施設の基本設計完了という節目に当たり、今後の着実な大会準備に取り組む局長の決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 ただいま基本設計の概要につきましてご審議いただいておりますこの三つの施設は、昨年六月以降進めてまいりました会場計画の再検討の中でも、早い段階から、関係団体を交えまして、これまでるるご答弁させていただきましたように、詳細な分析と調査を行い、都議会の皆様のご質疑もいただきながら、計画策定及び設計を進めてきたものでございます。
 今般、基本設計が完了し、実施設計と施工の発注公告をすることができたことにつきまして、これまでの皆様のご指導、ご鞭撻に深く感謝申し上げたいと思います。
 また、本日は、大井ホッケー競技場、アーチェリー会場、有明テニスの森の配置案もあわせてご審議いただいておりますが、これらは、再検討の視点として掲げました都民生活への影響に関する具体的な検討の成果と考えております。
 今後は、これら施設の整備を軌道に乗せますとともに、追加競技やパラリンピックの競技会場、新規恒久施設の施設運営計画などにつきまして、より具体的で詳細な検討を進めてまいります。
 引き続き、都議会でのご議論をいただきながら、大会組織委員会、IOC、IPCなどの関係者と緊密に連携しながら、東京に確かなレガシーを残すことのできる大会を目指して全力で取り組んでまいります。

○伊藤委員 当特別委員会では初めて質問させていただきますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方から、まず、オリンピック・パラリンピック競技大会の追加種目について質問をしてまいりたいと思います。
 二〇二〇年東京五輪に開催都市が提案できる追加種目について、大会組織委員会が九月二十八日の種目追加検討会議と理事会で、野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの五競技十八種目の実施を決めました。正式には来年八月に開催されるIOC総会で追加種目が決定されるわけでありますけれども、多くの都民、国民がこの追加種目に喜びに沸いている声が私たちのもとにも届いております。
 野球・ソフトボールと空手については、都議会としても全会一致で要請を行ってきたところでございます。この二競技については、日本にとって、もう国技といっても過言ではないくらい、子供から高齢者まで人気のあるメジャーなスポーツであると思います。
 一方、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの三競技については、とりわけ小さな子供さんや、あるいは高齢者にとって、目にはしたことはあるかもしれないけれども、競技の内容については余りなじみのないスポーツだといわれる方も多いと思います。
 そこで、この三競技が追加種目に決まった経緯について改めて伺いたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 追加種目の選考に当たりましては、三つの主要原則と三十五の評価項目に基づきまして、若者へのアピールや国内的な盛り上がり、世界への普及度、国際大会の開催実績などを総合的に評価し、八つのヒアリング対象団体を選定いたしました。
 その後、二日間にわたるヒアリングを実施し、先ほどの項目のほか、男女間のバランス、会場面、財政面、運営面等についてそれぞれ評価を行いました。
 その結果、国内での盛り上がりという点で特に評価の高い野球・ソフトボール、空手の二競技、若者へのアピールという点で特に評価の高いスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの三競技、計五競技十八種目を選定いたしました。
 このうちスケートボードは、ストリートスポーツの代表格として抜群の若者へのアピール力により、オリンピックの価値を若者世代へ訴求できる可能性が期待できること、スポーツクライミングは、若者へのアピール力とともに、都心のスポーツとしての人気も高く、他の競技には見られない垂直方向へ登る力を競い合うという特徴が大会に新鮮味を与えると期待されること、サーフィンは、若者に人気のマリンスポーツであり、若者のライフスタイルにも大きな影響を与え、多くの国で若者の絶対的支持を得ている競技であることなどの理由により選定されたものでございます。

○伊藤委員 野球・ソフトボール、空手については、こうしたスポーツに興味がある、あるいはまた、やってみたいという人たちにとって、このスポーツをやる場所あるいはチャンスはまだ十分ではないけれども、ある程度は整っている、このように思います。
 一方、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの三競技については、興味がある人にとって、余りやる場所、またチャンスがないのではないかというふうに私は思います。
 私は以前、大田区城南島海浜公園にあるスケボー広場を見に行ったことがあります。多くの若者が安全に競技を楽しむために、自分たちでルールを決めて、そしてまた、新たにここを訪れた仲間も歓迎しながら楽しんでおり、すばらしいスポーツだな、このように思いました。
 そこで、今回提案した追加種目のうち、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの三競技について、現在、都内にこれらの施設がどこにあるのか、また、今後、都民、国民に、スポーツ人口、また裾野拡大のためには、こうした競技の施設の整備が必要と思いますけれども、所見を伺いたいと思います。

○田中オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ施設担当部長 スケートボード、スポーツクライミング及びサーフィンの三競技の都内の施設についてでございますが、スケートボードにつきましては、駒沢オリンピック公園や、理事が視察された城南島海浜公園の都立公園のほか、渋谷区立宮下公園、八王子市立戸吹スポーツ公園など、主に公園内に設置されております。
 また、スポーツクライミングにつきましては、江東区立深川スポーツセンターや立川市立泉市民体育館、昭島市立総合スポーツセンターなどのスポーツ施設内に設置されているほか、渋谷区立宮下公園などの公園内にも設置されております。
 最後にサーフィンにつきましては、都内では島しょ部で親しまれており、スポーツ祭東京二〇一三のデモンストレーションとしてのスポーツ行事が行われた新島村羽伏浦海岸などがございます。
 このような競技を初め、さまざまなスポーツを楽しめるまちづくりを進めるため、民間を含めたスポーツ施設等の設置状況を踏まえ、関係各局とも連携を図り、スポーツ環境を整備してまいります。
 また、平成二十六年度に創設した区市町村のスポーツ施設整備費への補助制度を活用し、競技人口や裾野拡大に寄与する施設整備を支援してまいります。

○伊藤委員 若者が好きなすばらしいスポーツだからこそ、追加種目に選定されたことだと思います。ぜひ野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの五競技十八種目を初め、若者がスポーツを楽しめる施設の拡充に、都が積極的に取り組んでいただきたいと要望しておきたいと思います。
 次に、大会会場計画の再検討について、大井ホッケー競技場について質問をいたします。
 この施設は、都立大井ふ頭中央海浜公園として、長年にわたって都民、とりわけ私の地元品川区、また大田区民にも親しまれてきた公園であります。そこがオリンピック・パラリンピック会場に選定され、私も家族と時折この公園に行きましたけれども、大変に喜んでおりますし、周りの方からも本当にうれしいという声が届いております。
 しかし、当初の計画では残念な計画内容もあり、困惑していたのも事実でございます。
 そこで、改めて、大井ホッケー競技場の会場内の施設配置について、当初案はどのような内容だったのか、また、どのような経緯でこの当初の配置案が決まったのか伺いたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 立候補ファイルでは、公園内の野球場六面の位置に、メーンピッチとサブピッチの二面を恒設施設として整備する計画でございました。
 ホッケー競技場に求められる会場要件といたしましては、メーンピッチ、サブピッチのほか、練習ピッチ二面を同一敷地内に整備する必要があるほか、各ピッチは南北にゴールを設置するよう配置することとされております。
 招致段階では、IFの求める基準を満たすほか、観客の動線や大会運営に必要な施設の配置などを総合的に検討した結果、当初計画の配置としたところでございます。

○伊藤委員 現在の大井ふ頭中央海浜公園にある野球場は、昨年度の利用状況としては、休日では七六・八%とかなり高い稼働率であります。
 また、昨年の七月一日付で、東京都軟式野球連盟、品川区軟式野球連盟、品川区少年野球連盟の三者連名で、大井ふ頭中央海浜公園、もしくは近隣都立公園や都有地等を野球場用地として確保し、代替施設の整備を進め、最低でも現在と同じ規模、同じ面積を設置してほしい旨の要望書と、そして三万八千六百三十三名の署名を添付し提出されたところであります。
 こうした連盟の思いも含めて、都議会自民党、そして都議会公明党も、ともに都に対して働きかけを行ってきたところでございます。
 こうした要請も踏まえて、今回変更がなされることになったわけでありますが、その変更内容についても改めて伺いたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 地元からの要望もございまして、野球場の利用者への影響を極力抑制するよう、公園内での配置変更を協議してまいりました。
 その結果、メーンピッチは第一球技場などの位置に新設し、サブピッチは第二球技場を改修することで、国際競技連盟、IFの理解が得られたところでございます。
 これにより、野球場につきましては、大会時、仮設の運営施設等で使用はいたしますが、大会後は現状どおり利用できる見込みでございます。
 あわせて、アジェンダ二〇二〇や後利用を踏まえ、よりコンパクトな施設規模を検討してきました結果、大会後、恒設の座席数を立候補ファイル時点での四千席から二千六百席とすることにつきましてIFと協議し、理解が得られたところでございます。

○伊藤委員 今回再検討した結果、大井ホッケー競技場の配置について、野球場を一つもつぶさないようにしたということは大いに評価したいと思います。
 ところで、私は少年時代、現在のこの公園に整備される前のグラウンドで朝から夕方までサッカーをしていた、思い出の公園でございます。その後、都立大井ふ頭中央海浜公園としてきれいに整備がなされ、第一球技場、第二球技場は、サッカーを初めさまざまなスポーツで多くの人で盛んに利用されている公園でございます。ここがオリンピックのホッケー会場になって本当によかったということとともに、二〇二〇年大会の後も地域に受け入れられるものにすべきと考えます。
 メーンピッチやサブピッチを含め、レガシーとして、大会後どのように活用していこうという考えなのか伺いたいと思います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 大井ふ頭中央海浜公園の第一球技場、第二球技場は、現在、サッカー、ラクロス、アメリカンフットボールなどの競技や学校における運動会などに利用されております。
 大井ホッケー競技場は、国際基準を満たす人工芝ホッケー場として整備予定でありますが、大会後は、現在の利用状況にも配慮し、ホッケーはもとより、サッカー、ラクロスなど、さまざまなスポーツの利用が可能となるよう、人工芝の種類、コートの広さ、ライン等を検討してまいります。
 また、大井ホッケー競技場は、さまざまなスポーツ施設や豊かな自然に親しめる大井ふ頭中央海浜公園内に整備することから、ホッケー競技場だけでなく、公園全体が多くの都民に親しまれ、にぎわいのある総合的なスポーツ、レクリエーションの拠点となるよう、今後、民間事業者の知見を得ながら、施設運営計画を検討してまいります。

○伊藤委員 この中央海浜公園は、地域からもスポーツの森、スポーツの森といって親しまれている公園でございます。ぜひとも、今後もずっと地域に親しまれる公園となるよう、利用者や、そしてまた地元区、品川区、大田区などからも、しっかりと意見を聞いていただきたいと思います。
 その中でも気になることは、先ほども少し触れられておりましたけれども、今回、メーンピッチを整備する位置には、ドッグランや、あるいはゲートボール場があります。休日等にもドッグランで楽しく遊んでいらっしゃる方、そしてまた、高齢者の方々を初め、ゲートボール場で楽しく交流をされている方もいらっしゃいます。また、そのほかには、テニスコートや遊歩道もきれいに整備をされている公園でございます。先ほどの野球場のように、多くの方々がその利用を楽しんできた施設があるわけでございます。
 都は、このたびの整備によって影響のある施設の代替施設については、責任を持って用意すべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 ホッケー競技場の整備を検討していくに当たりましては、今回、地元から要望のありました野球場利用者への影響は抑制できました。
 引き続き、地元自治体などの意見も聞きながら、ドッグランやゲートボール場を初め、整備によって影響を受ける公園利用者にも配慮し、基本設計や後利用の検討とあわせて、公園全体で最良の方法を検討してまいります。

○伊藤委員 何度も繰り返し申し上げてきたとおり、大変にすばらしい公園でございます。整備に当たっては、公園全体を視野に入れて最良の方向性を検討していただきたい、このように思います。
 関連して、今回の施設配置を行った大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場は、立候補ファイル上、パラリンピックのときには視覚障害者のブラインドサッカーの会場として予定をされております。
 私は先日、ブラインドサッカーのアジア選手権大会、リオ五輪に向けた大会ですけれども、日本対中国の試合を代々木に観戦に行ってまいりました。パラリンピアンの勇壮な姿に本当に感動をしたところでございます。
 その際、ブラインドサッカーは、仲間の声とか、あるいはボールから出る音を頼りに試合を行うスポーツでございますので、観戦する側もこうしたルールを理解して観戦しなければいけないんだということを痛切に感じました。
 普通のサッカーの試合でございますと、ドリブルをしてゴールに近づいていくと、わあっという歓声が上がります。しかし、ブラインドサッカーの場合は、プレー中は、観客も含めてそういう歓声を上げてはいけない。
 そう思っていた矢先に、ヘリコプターがかなりの上空、また、代々木の競技場から少し離れた位置だったと思いますけれども、ヘリコプターが飛来したときに、レフェリーストップがかかりました。試合が一時中断されたわけであります。それは、視覚以外の全ての感覚を使って戦う選手たちが競技に集中するためには、騒音や、あるいは雑音が妨害になってしまうからでございます。
 大井ふ頭中央海浜公園は羽田空港に近い位置にございます。また、今後、国交省が羽田空港の機能強化として増便を検討しております。その増便案では、南風のとき、つまり夏です。午後三時から夜七時までの間の四時間、大井ふ頭中央海浜公園の上空付近を通るルートとなっております。
 私は、今この段階から、都として、組織委員会と連携をして、競技の運営上支障がないように、IPCや国交省と事前に調整をしておくべきと強く要請して、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○吉田委員 私は、海の森水上競技場計画について質問いたします。
 私たちは、海の森水上競技場計画について、海風があり、波が立つという立地条件が、ボート、カヌーの競技場としては適切ではないこと、さらに、四百九十一億円という整備費も都民の納得が得られるものではないと批判をし、彩湖を仮設会場として使用することを提案してまいりました。
 私たちは、この彩湖について、仮設会場ならば、先ほど答弁がありましたけれども、整備費の問題でも、さまざまな問題でもクリアできるというふうに判断をいたしました。
 また、いかにこの海の森の現予定会場が困難な場所であるかということは、都とボート協会との協議の中で、都の幹部の方がこのように発言をしていました。工事期間、難易度、コスト面、どれも大変厳しい状況であるというふうに発言をしていたことも見ておく必要があると思います。
 今回、基本設計が明らかになりましたけれども、私は、これを見ても、やはり、立地を含めてこれでいいというふうには到底いえないと思いました。
 まず、計画地の地盤、地質状態と締め切り堤の構造についてお伺いをいたします。
 オリンピック・パラリンピック準備局は、昨年十二月の本特別委員会で、整備費が増加する原因として、立地地域が軟弱地盤であるということを強調いたしました。担当部長は、海の森水上競技場につきましては、地質調査の結果、付近が非常に軟弱な地盤であるということが判明したと答弁をいたしました。そして、単に軟弱ではなく、非常に軟弱な地盤ですというふうに答えられました。
 お伺いしますけれども、これは具体的にどのような地盤状況だったのでしょうか。ご答弁ください。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 海の森水上競技場の予定地周辺の地盤は、主として細かい粒子を多く含んだやわらかい土で構成されておりまして、地盤のかたさを示すN値が、深さ数十メートルにわたりましてゼロから三程度の極めて小さい値となっております状況から軟弱地盤と判断いたしました。

○吉田委員 N値は、地盤のかたさを示す数値ですよね。それで、ゼロから二は軟弱地盤というふうに解説書に書かれていました。また、建築物の支持層となる層のN値は三十から五十でなければならないというふうにも解説書に書いてありました。
 しかし、今のご答弁にあったとおり、予定地の海底の地質は、数十メートルにわたってゼロから三、まさに軟弱地盤です。本来ならば、非常に軟弱だということが判明したならば、その時点で計画地として適切なのかということを私は再検討すべきだったのではないかと思います。
 安全性を厳格に確保しようとすれば、当然、整備費は膨張します。さらに、先ほどから経済性というお話がありましたけれども、整備費を圧縮しようとすれば、安全性が果たして十分なのかという問題になります。現予定地ではそういう結果が予想されたわけであります。
 そこで、基本設計ではどのような地盤対策をとったのかということをお伺いしたいと思います。
 この、きょう配られた資料の四〇ページに、締め切り堤の構造が示された絵柄があります。東側と西側のそれぞれについて、くいが本来到達すべき支持層は海面から何メートルの深さにあるのか、東西のくいは支持層に到達しているのか、東側でくいが到達している地層のN値はどれだけなのか、ご答弁をお願いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 締め切り堤の設計につきましては、国土交通省令の港湾の施設の技術上の基準に基づきまして設計してございまして、安全性が確保されてございます。
 くいには、堅固な支持層までくいを打設し、大半をくいの先端の抵抗力で支える支持ぐいの方式と、くいの周りの面と土の摩擦力で支える摩擦ぐいの方式がございます。締め切り堤のくいは、検討の結果、支持層に到達する前に土の摩擦力により十分支持力が得られることが明らかになりましたことから、経済性も加味し、摩擦ぐいの方式といたしました。
 支持層につきましては、締め切り堤付近におきまして大型施設の支持層として期待できるN値五十以上の地盤の深さが東側で干潮面から約七十メートル、西側で干潮面から約四十メーターでございまして、締め切り堤のくいの先端付近のN値は、おおむね十から二十程度でございます。
 今回の締め切り堤の構造は摩擦力で支えるくいとなっておりますため、N値五十以上の地盤まで到達させる必要がなく、土との摩擦力で支えるくいでしっかりと安定させる構造となってございます。

○吉田委員 支持層は、東側だったら七十メートルの深さにあって、そこまではくいは到達しないけれども、安全性は大丈夫だというご答弁でした。
 しかし、ボート協会などとの協議あるいは国際組織との協議内容を、私は情報開示で入手して読みましたけれども、当初の計画の中では、支持層までくいを届けるというふうに述べていたんじゃないのですか。いかがですか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 先ほどもご説明いたしましたように、くいの先端の抵抗力で支えるくいの形式と、くいの周りの面と土の摩擦力で支えるくいの方式がございまして、くいの設計に当たりましては、地盤条件、締め切り堤の構造形式、施工性などを考慮し、適切な長さと径を設定するものでございます。
 この締め切り堤につきましても、当初からくいの支持層まで達成させるという計画ではございませんでした。
 また、基本設計でお示しいたしました締め切り堤の構造は、国土交通省令の港湾の施設の技術上の基準に基づき設計いたしましたもので、十分な安全性を確保してございます。

○吉田委員 二〇一四年十一月十四日に、東京都、ボート連盟、そしてFISA、国際組織の名前だと思いますが、その協議の場で、東京都はプランの一つとして、地盤が一番かたいところまで突き刺しというふうに発言しているんですよ。もちろん最終確定計画ではなかったかもしれませんが、幾つかのプランの中ではそうしたことも検討していたことは明らかなんです。
 さらに、国土交通省の港湾の施設の技術上の基準に基づくものだから安全なんだというお話がありました。私も改めて、にわか勉強ではありますが、該当箇所を読んでみました。例えば、その中では次のように書かれております。
 支持層に根入りされている場合の方が、中間層までしか根入れされていない場合よりも軸方向抵抗力が大きく、沈下力は小さいというふうに書いてありました。
 さらに、地震との関係です。今いわれた、東京都がここでとるのは摩擦ぐいですよね。これについて、地震動の作用によって液状化が起こって、くいの抵抗力が大きく低下することが過去の震害例からも指摘されている、したがって、このような現象の影響を受けやすい摩擦ぐいの場合、部分係数の設定には十分な注意が必要であると書いてありました。
 そこでお伺いしますけれども、安全だと判断した構造計算において、これはぜひ出してもらって精査する必要があると思いますが、設計震度というものは、どのような地震に耐えるかということはどう設定したのでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 国土交通省令の港湾の施設の技術上の基準に基づきまして、設計上想定している供用期間の五十年間に発生する可能性の高い地震動に対しまして安全性を確保しております。

○吉田委員 五十年間に起きる地震に対応するという想定をしているということですよね。すなわち、これは国土交通省や東京都がいうことのレベル一ですね。
 今、東日本大震災以降、東京都の港湾施設もレベル二、すなわち五十年に一回程度の地震ではなく、過去最大の地震にも耐え得る基準で震災対策を進めているんじゃないですか。いかがですか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 ただいまのご発言は、海岸保全施設についてのお話かと思いますけれども、海岸保全施設につきましては、高潮や津波から都民の生命、財産を守る重要な施設でございまして、東京港では背後に住宅などの市街地を抱えておりますことから、将来にわたって考えられる最大級の地震が発生した場合にも津波による浸水を防ぐものとしてございます。
 一方、港湾施設におきましては、防波堤や護岸など多くの施設につきましては、レベル一地震動に対しまして、施設の機能を損なわず継続して使用することに影響を及ぼさないことが求められてございまして、レベル二地震動に対応する施設は、緊急物資輸送対応の耐震強化岸壁や高潮対策で極めて重要な外郭堤防などに限られてございます。
 締め切り堤につきましても、港湾の施設の技術上の基準に基づきまして、レベル一地震動に対して施設の機能を損なわず継続して使用することに影響を及ぼさないものとなっており、必要な耐震性能を確保してございます。

○吉田委員 私は、国土交通省の港湾の施設の技術上の基準を定める省令も読みました。さらに、今紹介いたしましたけれども、東京港海岸保全施設整備計画も改めて見ましたけれども、この東京港海岸保全施設整備計画については、きちんと、最大級の地震が発生した場合においても各施設の機能を保持すべく対策を推進するというふうになっています。
 これは、後背地に住宅その他がないからレベル一でいいんだというように果たしていえるでしょうか。しかも、そこには宿舎その他も整備をするということが、既に計画の中にあるわけですね。そういう意味では、レベル一対応での構造計算だとしたら、それ自身、私は検討が必要なのではないかということを指摘しておきたいというふうに思います。
 さらに伺いますけれども、結局、検討過程では支持層までくいを打つという計画は、経済性も含めてでしょうけれども、そういうことをしない摩擦ぐいという方式をとることになりました。
 同時に、当初は地盤改良を行うと表明していましたね。昨年十二月の特別委員会では、その軟弱な地盤に対応するため、地盤改良を実施すると答弁いたしました。この地盤改良工事は一体どうなったのでしょうか。基本設計を見る限り、それらしいものが記載されておりませんが、しないということでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 基本設計の前までは、地質調査の結果、軟弱粘土層が厚く堆積していることが判明いたしましたことから、締め切り堤築造部におきまして、水平方向の力に強い構造とさせるため、地盤改良が必要になると想定しておりました。
 基本設計におきまして、締め切り堤の構造につきまして検討を行いましたところ、先ほど資料第2号の四〇ページでご説明いたしましたように、鋼管矢板の背後にくいを斜めに配置することなどにより、水平力に抵抗する構造形式といたしましたことで、地盤改良がなくても同等の安全性を確保することが確認できました。
 これによりまして、安全性に加え、経済的にも有利なこの構造を採用いたしました。このため、現在予定してございます締め切り堤は地盤改良を必要としておりません。

○吉田委員 今まで、こうした特別委員会の場で繰り返し、なぜ整備費が上がるのかということについては、地盤改良を行うために整備費が上がるんですというご答弁がありました。
 その後、何回かのやりとりがありましたけれども、その中では、例えば当初の整備費が四百九十一億に縮小した理由についても何度か質疑がありました。その中では、地盤改良は行わないことにしたという説明は一度もないですね。地盤改良しないというのは、きょう初めての答弁ではないでしょうか。
 当初予定していた、軟弱地盤であるから地盤改良しなければならない、そのために整備費が膨らむ、さらに、開示文書を読むと、支持層までくいを打たなければならない、だからコストがかかるんだということをいっていました。
   〔吉原副委員長退席、委員長着席〕
 その地盤改良もしません、支持層までくいも入れません、それで本当に大丈夫なのかというふうに私は思わざるを得ません。これは、ぜひきちんとした構造計算などの必要な資料を改めて検討したいというふうに思っております。
 本来ならば、そういうことについて、諮問委員会で詳細に検討することが求められているし、そのために諮問委員会というのが設けられているのではないでしょうか。
 そこで改めてお伺いいたしますけれども、第三者による専門的な検討が求められる諮問委員会では、この地盤改良は行わない、そして、くいは支持層までではなくて摩擦ぐいで対応するということが妥当か否かという検討はされたのでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 諮問会議におきましては、締め切り堤の構造図をお示しいたしまして、耐震性や構造形式、支持地盤の深さなどにつきましてご説明いたしました。
 諮問会議には土木構造の専門家を含めた委員にも参画していただいており、締め切り堤の構造や耐震性について特段の異論はなく、ご理解をいただいてございます。

○吉田委員 特段の異論がなかったということですが、議論はされたのですか。説明したというお話はありましたけれども。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 締め切り堤の構造についてご説明を申し上げたところ、委員からは特段の異論はなく、ご理解をいただいていると考えてございます。

○吉田委員 議論はなかったわけですね。私は、これだけ重要な問題が、説明だけで議論をしなかったとしたら、それが果たして諮問委員会としての役割を果たしているのかということについても、率直に疑問を表明せざるを得ません。
 そもそも、知事は、諮問委員会の議事録は、個々の発言をした方々に、この発言内容を紹介していいですかというふうに確認した上で公表するといっていましたね。しかし、私が見た局のホームページで見ると、議事録というよりは、会議の全容が何であったかというまとめた文書しかないですね。この点についても、ぜひ私はきちんと公表を、知事が発言したとおり、誰が何をいったかということを含めて、この諮問委員会の内容を明らかにしていただきたいということを関連して述べさせていただきます。
 さらに、これは問題提起にとどめますけれども、先ほどの構造図を見ますと、例えば車両などが通る締め切り堤の上部というのは、AP四・三メートルですか、その程度になっています。果たして、これで、高潮対策の上で適切なのかということも疑問を感じます。
 先ほど紹介した東京港海岸保全施設整備計画では、防潮堤の高さはAPプラス四・六から八・〇メートルと記載されています。地区別の計画、天端高を示していますけれども、これでも多くは六メートル、高いものは八メートルです。
 この点でも、後ろに住宅がないからというご説明かもしれませんけれども、果たしてそれ以下の四・三の高さで妥当なのかということは、率直に私は疑問です。
 また、この構造図を見ても明らかなとおり、締め切り堤のコンクリート部分というのは、鋼管矢板を打ったその上に、トレーのような状況で上に乗るという構造ですね。海底までコンクリートは打たれていません。こういうことも、素人の判断だというかもしれませんが、私は、妥当なのかということも疑問だということは指摘をさせていただきます。
 次に、整備費についてお伺いいたします。
 きょうも示されましたが、諮問会議に提出した資料では、今後、追加工事への対応費用として九十億円を海の森水上競技場計画では示しています。
 しかし、アクアティクスセンターの追加工事の対応費は三十億円、有明アリーナの追加工事の対応費は十五億円ですね。なぜ海の森水上競技場だけが九十億円もの今後の対応費が突出しているのか。
 四百九十一億円という総額を変えないために、単純に差額を残したのか、それとも、非常に軟弱な地盤対策のために、追加工事として増額が、一般論ではなく十分見込まれるということなのか。
 もし追加工事が本当に予測されるならば、具体的により精査して、こういう形で置くのではなく、本体工事費として置くべきではありませんか。いかがでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 基本設計を進めていく中で、例えば締め切り堤につきましては、経済性も考慮した比較検討を踏まえまして、構造の見直しを行うなど、コスト縮減に努めつつ、追加工事等が生じた場合の対応費を確保いたしました。
 締め切り堤のような海上工事は、一般的に、施工段階で設計時に想定した地盤条件や施工条件などと相違が生じた場合、施工方法の変更やくい形式の変更などが必要となり、追加工事等が生じる場合があり得ます。
 これらが生じた場合でも、予定しております整備費の範囲内で対応できますよう、追加工事等が生じた場合の対応費として計上してございます。

○吉田委員 こういう工事の場合には、そういういわば不測の事態があって、追加工事費がかさむんだという趣旨のご答弁だと思うんですね。
 それだったら、先ほどまでの、支持地盤、支持層まで入っていなくたって、摩擦ぐいで十分なんだ、安全なんだという、基本設計の経過の中でそういうことが得られたんだということは、必ずしも強く強調できないんじゃないですか。そういう危険性をはらんでいるということは。
 それだったら、私は、徹底的に調査をして、この工法で大丈夫なのか、さらに精密な調査と検討こそ求められるべきだということを強調しておきたいというふうに思います。
 次に質問しますけれども、非常に軟弱な地盤だということがわかっていながら会場整備を進め、コスト縮減を図ったとしても四百九十一億円というのは、都民は納得できるものではありません。
 同時に、アジェンダ二〇二〇に競技会場整備費の抑制を掲げたIOCも納得できるものではないと思います。
 この海の森水上競技場の整備費に関し、IOCからどのような意見があったのか。見直しを求められていたのではないですか。お答えください。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 オリンピックアジェンダ二〇二〇では、持続可能性や長期的なレガシーの視点から、既存施設の最大限の活用やコストを縮減する方向性が打ち出されました。
 そのため、IOCからは、アジェンダ二〇二〇の精神にのっとり、既存施設の活用を幅広く検討することや、コストについても可能な限り縮減することを求められたところでございます。
 都と組織委員会は、昨年六月以降、日本ボート協会認定の国際大会が可能なA級コースや近隣県の比較的大きな湖などを抽出し、これら全てにおいてあらゆる観点から幅広い検討を行った結果、代替施設は存在しないとの結論に至りました。
 また、施設整備費につきましては、IOCは整備コストに見合ったレガシーが必要であるとの立場であったことから、海の森水上競技場のレガシーの検討状況、方向性について説明し、理解を得ました。
 その結果、整備コスト、レガシーについてIOCからの理解を得て、海の森水上競技場をボート、カヌースプリントの会場とすることにつきまして、二月の理事会において報告し、了承を得たところでございます。

○吉田委員 四百九十一億円という再検討の結果の整備費というのは、もう既に昨年の十一月時点で明らかになっていたのかなと思いますが、例えば昨年十一月十四日の日本ボート連盟、FISAとの協議の中で、FISAの代表は、過去二回ともIOCはコストがかかり過ぎているといっている、その点で代替案の提示は不可欠であるというふうに述べているんですね。
 なかったからここだということが今のご答弁なのでしょうけれども、やはり他のこれまでの事例から見ても、こうした計画に四百九十一億円というのは異例の取り組みではないでしょうか。
 過去のボート、カヌーのオリンピックにおける会場整備費で四百九十一億円も投入したという事例はあるのでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 直近のロンドン大会、北京大会、アテネ大会につきまして、ボート、カヌースプリントの競技会場の整備費は明らかにされておりません。

○吉田委員 少なくとも、波や風など適した場所ではありませんし、かつ非常に軟弱な地盤で締め切り堤や水門を整備しなければならないということは、極めて異例なことではないでしょうか。
 幾らコスト縮減しようとしても、非常に軟弱な地盤での施設整備では整備費の増加は不可欠です。そのために、九十という先ほどの追加予算まで組んでいるわけですけれども、また、コスト縮減が施設の安全性を揺るがすリスクがあることにもなりかねないというふうに思います。
 したがって、私たちは、海の森ではなく、彩湖を仮設として検討すべきだということを提案いたしましたけれども、引き続きこの問題は検討が求められていると思います。
 次に、風と波対策について何点か質問させていただきます。
 風、波対策は、ボート、カヌーレースの公平性を確保する上で重要課題であることはいうまでもありません。
 現地の開催時期の風速について、昨年の特別委員会では、大体二メートルから三メートルだと。これは、二十四時間平均の風速ですね、毎秒の風速になると思います。
 しかし、例えば、ボートレースの日程は七月二十五日から八月一日の予定となっています。その日程の十時から十四時に風速四メートル以上の時間がどうであったのかということを、私は開示した資料で点検してみました。
 そうしましたら、例えば七月二十七日十四時、四・九メートル、二十八日十二時、四・二メートル、十三時、五メートル、十四時、四・九メートル、二十九日十時、四・三メートル、十一時、四・二メートル、十二時、四・二メートル、十三時、四・四メートル、十四時、四・四メートル、三十日十時、五・一メートル、十一時、四・五メートル、十二時、五・六メートル、十三時、五・七メートル、十四時、四・三メートル。四メートルを超えるのは十四回、時間帯の三割。さらに、五メートルを超えた時間も四回ありました。
 平均二から三メートルだという答弁がありましたけれども、こうした平均の時間帯で対策をとるのではなく、やはり過去の高い風速を考慮に入れて対策をとるべきだと思いますけれども、この点いかがでしょうか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 昨年の答弁で引用いたしました調査は、干潮面から約五メーターの高さにおきまして観測したものでございます。
 風は、一般に、地上に近づくに従い弱くなっていくため、競技に影響を及ぼす水面付近では、この観測値より小さくなると考えられます。
 また、風速は時間や場所によりまして変化するものでございまして、競技を行う時期に出現頻度が高い風速を対象といたしまして、適切な規模の対策を検討していくことが合理的でございます。
 風の対策といたしましては、先ほどご説明いたしましたように、資料2の四一ページにお示ししてございます風速シミュレーションを踏まえまして、競技水域内で他の場所よりも風速が大きい区間に対し、効果的な位置に一・五メーターの盛り土を施工し、その上に高さ五メーターの樹木を複数列植える防風林を設置することにより、競技への風の影響を軽減することとしてございます。

○吉田委員 頻度が高い風速を設定して対策をとるかのようなご答弁でしたけれども、しかし、常に頻度の高いものが吹き続けるわけじゃないわけですよね。その中には、より高い風速だって、先ほどわざわざ私が調べて例示したような、こういう五メートルクラスの風が吹いたとしても対応できるということが問われているんじゃないのでしょうか。
 今、そのシミュレーションも示して対応しているというお話がありました。配布されている資料の四一ページに、競技水域の風対策、風速シミュレーションというものがあります。
 先ほど答弁がありましたけれども、一・五メートルの土盛りの上に、高さ六・五メートルの防風林を設置するということで、下段に赤い線が引いてありますが、この赤い線の長さというのは、私の目測ですけれども、五百メートル程度かと思います。
 しかし、この五百メートル程度の防風林を南側に整備した場合に、コースの風速がどれだけのエリアで低減の効果が一体あるのですか。お答えください。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 防風林の設置によりまして風速の低減を図る場所は、競技水域内の他の場所と比べて風速の大きい区間でございまして、その範囲は、延長二千メーターコース全体の四分の一程度でございます。

○吉田委員 ここに防風林を設置しても、コース全体の面積の中の四分の一の風しか低減することができない。
 しかも、この図を見て明らかなとおり、防風林の左側、西側の黄色い比較的強く風が吹く部分というのは何ら解消されていないということになります。私は、極めて不十分なものだというふうに思います。
 そこでお伺いしますが、先日の新聞報道で、国際カヌー連盟幹部が現地を視察し、そして基本設計の説明などもあったというふうに聞いていますが、国際カヌー連盟は、今のこの風対策で了承したのでしょうか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 風の対策につきましては、これまで国際、国内競技団体と協議しながら基本設計を取りまとめたところでございます。
 引き続き、効果的な対策について競技団体と協議し、後利用も含め、よりよい競技環境の確保に向けた対応を行ってまいります。

○吉田委員 この対策でよしと、できるものじゃないということですね。
 私は、国際カヌー連盟のセクレタリーゼネラル、事務局長といえるのでしょうか、来日し、現地を見、都からも説明を受けたサイモン・ツールソンさんと話をいたしました。そして、風対策に関し、風の実証実験を東京都に求めている、風の影響についてデータの提供をリクエストし、それを待っている、しかし、まだこのリクエストには回答がなかったということを、一週間ちょっと前だと思いますけれども、話がありました。
 こういうリクエストを受けていて、どう対応されていますか。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 風の対策につきましては、来年度も引き続き現地で風速を計測するなど、より効果的な対策に向け、国際競技団体等と協議しながら進めてまいります。

○吉田委員 次に、波対策についてお伺いいたします。
 ボートでもカヌーでも、垂直護岸だと波のはね返りが強いので、緩傾斜型護岸にすべきというのが当初から競技団体の要望でした。
 しかし、基本設計では、緩傾斜型護岸ではなくて消波装置をめぐらせることで対応するというふうにいっていますが、この装置が実際に五輪ないし国際大会で使用されたという例はあるのでしょうか。
 また、この装置で、国際組織から効果的との評価を得ているのでしょうか。国際カヌー連盟もそうした評価なのでしょうか。まとめてお答えください。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 波の対策につきましては、競技水域内でボート等により発生した波が直立護岸で反射することが想定されますため、その影響を小さくするため、両側の護岸沿いに加え、競技コースとその他の水域との境界におきまして、消波装置を設置することを予定してございます。
 ボートの競技会場で、基本設計と類似の消波装置を設置している例といたしましては、スロベニアのブレッド湖にあるボート競技会場などがございます。
 消波装置の効果につきましては、既往の実証実験等によりますと、波の高さを六割程度低減されるものとなってございます。この対策につきましては、これまで、国際、国内競技団体と協議しながら基本設計を取りまとめてきたところでございます。
 引き続き、効果的な対策について競技団体等と協議し、後利用も含め、よりよい競技環境の確保に向けた対応を行ってまいります。

○吉田委員 スロベニアの例が示されましたけれども、これは五輪会場として消波装置を使ったという事例ではありませんよね。
 それで、波の高さ六割程度というお話がありましたが、果たしてこれでいいのかということも問われていると思います。
 カヌー連盟のセクレタリーゼネラルの方は、消波装置の説明を受けたけれども、効果についてどう認識していますかという質問をしたところ、新たな技術をアメリカで開発中だと思っている、時間が必要だというふうに回答され、そして、東京都への要望として、波は重要な問題であり、波の影響に関する技術を大学などの機関と連携して開発していただきたいという旨の話をされていました。したがって、この示されている消波装置でよしというものでは到底ないということです。
 風も波も、レースの公平性について最も重要な問題であり、当事者の評価でも基本設計でオーケーというものではありません。
 こういう事態の根底には、やはり風もあり、たとえ締め切り堤をつくったとしても、競技に伴って垂直護岸によって波が余計はね返ってくるという立地と構造の問題があると思います。
 しかも、より対策をとろうとすれば、さらに整備費の高騰は不可避だと思います。
 先ほども示したとおり、ボート協会と東京都の協議の中で、都の幹部は、ここでやるしかないというふうに発言する一方で、工事期間、難易度、コスト面、どれも大変厳しい状況であるというふうに発言をされていました。
 この深刻な問題解決のためには、冒頭述べたとおり、やはり現時点でも、改めて立地、計画地そのものの再検討を行い、整備費を大幅に削減すべきだということを要望として述べさせていただき、私の質問を終わります。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十六分休憩

   午後三時十分開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○小山委員 皆様もご承知のとおり、先月、十月三十一日に閉会しましたラグビーワールドカップ・イングランド大会において、日本代表チームの活躍は目覚ましく、二〇一九年日本大会へつながるものとして、選手やスタッフの活躍は大いに称賛すべき結果であったと思っております。
 私たち東京都議会も、高島委員長を団長といたしまして大会を視察するとともに、大会運営やキャンプ地について、現地に赴き調査をし、二〇一九年大会に向けて、今後の取り組みの参考となる成果を得て戻りました。
 今回の日本代表チームの目覚ましい活躍により、ラグビーという競技が日本国内においても注目され、支持を広げております。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における競技種目についても同様に、大会を通じて、日本を初め世界の競技振興に極めて大きな意義と意味を持ちます。
 この競技種目に対し、IOCは、昨年十二月にアジェンダ二〇二〇で開催都市による追加種目提案権を示し、二〇二〇年東京大会からは、一つもしくは複数の追加種目が提案されることを明らかにしました。
 そして、本年九月に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、追加種目案として、野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの五競技を選定いたしました。
 改めて申し上げるまでもなく、東京都議会としては、野球・ソフトボールと空手の競技の追加を全会一致で決議しており、これらの競技が追加種目案に選定されましたことは評価をしたいと思います。
 都議会民主党としても、二〇二〇年東京大会の魅力を高めるためにも、追加種目は極めて重要だと考えております。
 そこでまず、応募した二十六競技から、これら追加五競技案がどのように選定をされたのか、大会組織委員会による選定経過について、特にオリンピック・パラリンピックのレガシーという観点から都の見解をお伺いしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 昨年十二月のIOC総会でオリンピックアジェンダ二〇二〇が採択されましたことを受け、組織委員会は、七人の有識者から成る東京二〇二〇種目追加検討会議を設置し、本年二月九日を皮切りに、約八カ月にわたり議論を重ねてまいりました。
 種目の選考に当たりましては、三つの主要原則と三十五の評価項目に基づき、若者へのアピールや国内的な盛り上がり、世界への普及度、国際大会の開催実績などを総合的に評価し、八つのヒアリング対象団体を選定いたしました。
 その後、二日間にわたるヒアリングを実施し、先ほどの項目のほか、男女間のバランス、会場面、財政面、運営面等についてそれぞれ評価を行いました。
 その結果、野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの五競技十八種目を選定したところでございます。
 委員ご指摘のレガシーの観点につきましては、三十五の評価項目に含まれており、大会後にどのようなレガシーを残せるかという視点についても評価を行ったところでございます。
 また、国内の盛り上がり、若者へのアピールという主要原則に照らし、野球・ソフトボール、空手は、大会後も日本国民のスポーツに対する機運向上に大きく貢献するとともに、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンは、若者を中心とした世界中の新たな観衆のスポーツへの関心を高めるという点で、貴重なレガシーを残せるものと考えております。
 都としても、こうしたスポーツレガシーがしっかりと根づくよう取り組んでまいります。

○小山委員 追加種目につきましては、ソフト、ハード両面でのレガシーをどう残せるかが極めて重要だと考えております。
 長野冬季オリンピックにおきまして、スノーボードが初めて競技種目に追加されたことがあります。その後の開催地域の発展や振興、さらには競技人口の広がりに大いに寄与いたしました。二〇二〇年東京大会もその点を十二分に踏まえて、今後の対応と取り組みを行っていかなければなりません。
 その一方で、五つの追加競技が実際に採用された場合に、会場整備を含めた運営経費をどう見ていくのかが課題でもあります。スケートボードとスポーツクライミングは屋内会場の施設整備が求められ、サーフィンは、大会を開催できる自然の波が起きる会場候補地を探さなければなりません。
 そこで、追加種目の正式決定を見据え、会場整備についてはどのように考えているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 追加種目を実施する競技会場につきましては、最終的には、来年八月のIOC総会での種目の決定の後、決定される予定となっております。
 なお、昨年十二月にIOC総会で決定されたオリンピックアジェンダ二〇二〇に示された既存施設の最大限の活用という方針も考慮に入れながら、今後、組織委員会と連携し、会場案について検討してまいります。

○小山委員 ぜひ追加種目につきましては、このアジェンダ二〇二〇でうたわれておりますように、既存施設を最大限活用して、後利用やレガシーを十二分に踏まえた二〇二〇年東京大会の成功につながるようなものとしていただきますようお願いをしたいと思います。
 先ほどのご答弁にありましたように、来年八月にリオデジャネイロで行われますIOC総会において追加種目が選ばれます。しかしながら、五競技が一括で選定されるのか、それとも一競技ごと選定されるのか、いまだ決定しておりません。
 組織委員会が提案をいたしました五競技全てが選定されることが望ましいことではありますが、都議会で議決をいたしました野球・ソフトボールや空手は、何としても死守しなければなりません。
 そこで、IOC総会による最終選考で、野球・ソフトボールや空手はもちろんのこと、提案した全ての競技が選定されるよう、都としても全力で取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 先日行われましたIOCプロジェクトレビューにおきまして、コーツ委員長からは、当該提案につきまして、伝統的なスポーツと若者にアピールする革新的なスポーツ、屋外競技と室内競技の非常にいいバランスのとれた組み合わせの提案になっていると高い評価を受けたところでございます。
 最終的には来年八月の総会で決定することになりますが、組織委員会と連携し、提案どおり採択されるよう、都としても最大限努めてまいります。

○小山委員 ただいま、最大限努力をされるとのご答弁でありましたので、ぜひこの野球・ソフトボール、そして空手、ほかの三競技全て選定をされるようにお願いしたいと思います。
 次に、都立競技施設整備の進捗状況についてお伺いをしたいと思います。
 都において競技施設整備計画の再検討の結果、二〇一九年の大会開催前年を期限とする竣工スケジュールとなりました。
 今回、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナ、海の森水上競技場の三施設の入札は、設計施工一括発注方式、デザインビルド方式となりました。
 都議会民主党としては、大会に合わせたスケジュールと決められたコスト内で、大会後の後利用やレガシーを十二分に踏まえた施設が整備されることが極めて重要だと考えております。
 そこで、今回の三施設を整備するに当たって、デザインビルド方式を最適とした都の見解をお伺いしたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 設計施工一括発注方式は、設計段階から施工技術に精通した者の技術力を得ることで、設計及び施工の合理化、効率化を図り、確実な工程管理や品質管理が期待できる方式でございます。
 今回、入札手続を開始いたしました三つの競技施設につきましては、設計段階から施工者の高度な技術力が要求されますとともに、竣工までの時間的猶予が少なく、工期内に確実な履行完了が必要なものでございますため、この発注方式を採用いたしました。

○小山委員 高度な技術力を要することに加えて、何よりも工期内の確実な履行完了を要すために、設計施工一括発注方式、デザインビルド方式を採用したとのことでありました。このことは大いに理解をしたいと思います。
 大会会場の整備においては、工期厳守は絶対であります。しかしながら、この数日でありますが、工期厳守が引き起こしているといわれております、くい打ちの不正がマスコミ等で連日報道されております。工期厳守が安全や後利用を脅かすことになってはなりません。
 そこで、完成までの期限が決まっている競技施設整備において、都は発注者として、今後どのように実施設計、工事の監理、マネジメントを行い、工期内の竣工と安全な施設整備を図っていくのかお伺いしたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 実施設計を進めるに当たりまして、都立競技施設整備に関する諮問会議を活用し、施設の性能、仕様、コスト等につきまして、専門の立場からご意見、ご助言をいただき、施設整備に生かしてまいります。
 また、設計施工一括発注方式による事業を円滑に実施いたしますため、都の技術職員が中心となり、基本設計を行ったアドバイザリー業務委託者も活用し、実施設計内容の検証や工事監理業務など、事業期間を通じた監理、マネジメントを行ってまいります。
 さらに、オリンピック・パラリンピック競技会場では、大会時に設置いたします仮設などの工事が必要となりますため、組織委員会等と連携いたしまして、大会開催に向けた全体の進捗管理を適切に実施してまいります。

○小山委員 工期内の完成を図る中で、ぜひ安全性がしっかり担保されるよう、都として万全な監理、マネジメントを行っていただくよう強く求めておきたいと思います。
 次に、三施設のうち、大会時や後利用において最も課題が指摘をされております海の森水上競技場についてお伺いいたします。
 これまでも本委員会や予算委員会において課題を指摘してまいりましたが、基本設計が示されましたので、改めて何点かお伺いしたいと思います。
 まず、海の森水上競技場では、これまでも風に対する懸念が示されてまいりました。
 そこで、基本設計において防風林による風対策が示されましたが、カヌー競技、ボート競技への風の影響はどの程度低減されるようになったのかお伺いをいたしますとともに、各競技団体との協議経過についてどのようなものであったのかお伺いしたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 風の対策につきましては、これまで国際、国内競技団体等と協議しながら、基本設計の取りまとめを行ってまいりました。
 その結果、風速シミュレーションを踏まえ、競技水域内で他の場所よりも風速の大きな区間に対しまして、効果的な位置に防風林を設置することといたしております。
 防風林の設置によりまして、二千メーターのコース全体の約四分の一程度の範囲で風速が低減すると想定してございます。
 引き続き、効果的な対策につきまして競技団体等と協議し、後利用も含め、よりよい競技環境の確保に向けた対応を行ってまいります。

○小山委員 風に加えまして、これも何度か指摘をいたしてまいりましたが、波の対策について、こちらは基本設計においてどの程度軽減されるようになったのかお伺いしますとともに、こちらについても、各競技団体との協議経過についてどのようなものであったのかお伺いしたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 波の対策につきましては、これまで国際、国内競技団体等と協議しながら、基本設計の取りまとめを行ってまいりました。
 その結果、護岸における反射波を低減させますため、護岸沿いなどに消波装置を設置することとしております。消波装置の設置によりまして、波の高さが六割程度低減するものと想定してございます。
 引き続き、効果的な対策につきまして競技団体等と協議し、後利用も含め、よりよい競技環境の確保に向けた対応を行ってまいります。

○小山委員 ただいま、大会開催時の競技運営上の課題であります風と波についてお伺いをいたしました。現段階での対策は承知をいたしました。
 しかしながら、ご答弁にもございましたように、引き続き効果的な対策を競技連盟、競技団体と協議をして、後利用も含め、よりよい競技環境の確保に向けた対応を行っていくとのことでございました。このこと自体は、改善の取り組みとして評価をさせていただきたいと思います。
 しかしながら、その結果として、新たに対策や追加工事が発生した場合に、これまで本委員会で示されてまいりました整備費用を超えるのではないかという危惧もございます。
 そこで、今後、新たな対策や追加工事が発生するような事態が生じた際、これまで示された整備費用内でおさまるのか。おさめるべきと考えておりますが、改めてここでお伺いをしておきたいと思います。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 今回ご報告いたしました整備費には、追加工事等が生じた場合の対応費を計上してございます。
 今後、競技団体等の協議により追加工事費等が必要になった場合におきましても、この費用の範囲内で十分対応が可能であると考えてございます。

○小山委員 ぜひ予算内での施設整備が図られるよう取り組んでいただきたいと思います。
 この大会開催時の課題に加えまして、後利用につきましても、この海の森水上競技場は、アクアティクスセンターや有明アリーナと比べて多くの課題が指摘をされております。立地に伴う交通アクセスや周辺環境の課題から、運営上厳しいことが想定されております。
 これまでも、施設整備に当たっては、大会開催後に人が集まり、にぎわう後利用を見据えた整備や工夫などを求めてまいりました。
 そこで、今回示されました海の森水上競技場の基本設計において、後利用を踏まえた施設整備がどのように図られたのかお伺いしたいと思います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 海の森水上競技場は、延長約二千メートル、幅約二百メートルの広大で静穏な水面や周辺の陸域を生かし、幅広い活用が期待できます。そこで、海の森水上競技場の基本設計は、大会後のさまざまな活用を踏まえたものとしております。
 具体的には、競技場水面は、ボート、カヌー競技のほか、さまざまな水上スポーツ、イベント等で活用してまいります。また、大会時の諸室は、ショップやレストランなどのにぎわい施設や、スポーツ、環境教育などのセミナールームとして転用を図っていきます。さらに、大会時の自転車走行路は、サイクリング、ランニングコースとして活用してまいります。
 今後、競技団体や地元自治体等の意見も聞きながら、民間の知恵やノウハウも取り入れ、具体的かつ実現性のある施設運営計画を策定するなど、海の森水上競技場を大会後も都民、国民に末永く有効活用される施設としてまいります。

○小山委員 これまで数々提案をさせていただきましたことを含めて、いろいろこの基本設計に盛り込んでいただいているということでございます。
 私も、この海の森水上競技場会場予定地につきましては何度となく足を運びまして、いろいろとこの課題について検討してまいりました。
 特に、この海の森水上競技場の艇庫などが整備される場所からゲートブリッジの方を見渡しますと、大変すばらしい風景というか、景色をここで見ることができます。こういったことを十分その後の後利用の中に活用ができるように、先ほどレストランなどを整備されるということで考えていらっしゃるということでありましたけれども、多くの人々が集えるような空間として整備をしていただきたい、このように思っております。
 ぜひ、この海の森水上競技場を初め、都が整備をいたします競技施設については、予算内かつ工期内、そして、安全と後利用がしっかり図られる整備となることを強く求めておきたいと思います。
 また、今回、基本設計が示されました三施設は、パラリンピックの大会会場ともなります。立候補ファイルにおきましては、アクアティクスセンターでは水泳を、有明アリーナではシッティングバレーを、そして、この海の森水上競技場ではボート、カヌーを開催する予定となっております。
 そこで、この三施設の基本設計において、大会開催時はもちろんのこと、大会開催後の後利用も含め、障害のある人もない人も、皆が施設を利用できるようにどのような対応を図られたのかお伺いしたいと思います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 東京二〇二〇パラリンピック競技大会の会場につきましては、現在、再検討を行っているところでございます。
 いずれにしましても、新規恒久施設は、大会後も多くの都民、国民に利用されるだけではなく、アクセシビリティーを確保し、障害の有無を超えて利用できるものにしていく必要があります。
 そのため、オリンピックアクアティクスセンターでは障害者対応の個室の更衣室、有明アリーナでは車椅子用観客席スペース、海の森水上競技場では身障者用車両も含めた駐車場を確保するなど、施設ごとにIPCアクセシビリティーガイドなどを参考として施設設計を行いました。
 今後は、施設運営計画の策定において、障害者にも利用しやすい施設となるよう、利用者のニーズなどを見きわめながら運営面からの検討を進め、施設整備に反映させてまいります。

○小山委員 基本設計での対応は承知をいたしました。ご答弁にもございましたように、今後の施設運営計画の策定において、障害者にも利用しやすい施設となるよう、利用者のニーズを見きわめながら運営面からの検討を進め、実施設計に反映していくとのことでございました。
 そこで、この三施設については、今後の実施設計に当たって、その他の都の競技施設整備に当たっても同様でありますが、利用する障害者の皆さんの声を反映していくべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 大会に向けて、都は、障害の有無にかかわらず、全ての人が参加しやすい大会となるよう、国や組織委員会とともにアクセシビリティ協議会を設置して、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの策定を進めているところでございます。
 協議会は、障害者スポーツ団体及び障害者団体から代表的な三団体をメンバーとしてございます。
 さらに、より細やかな意見集約を行うため、二十の障害者団体等の要望を伺う場も設けてございます。
 協議会等において寄せられた障害者スポーツ団体や障害者団体等からの要望については、我が国の既存建築物等の実情なども勘案しながら、可能な限り、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインに反映をするようにしております。
 都の競技施設の整備に当たっては、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインを適切に反映させていくことで、誰もが利用しやすい施設となるよう配慮してまいります。

○小山委員 三施設を初めとし、新たに整備をいたします競技施設については、今後策定をされますTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの基準を適用して、バリアフリー化を推進していくとのことでございました。パラリンピックのレガシーとして評価をしたいというふうに思っております。
 そこで、大会に使用する既存の都立施設についても、同様に障害者対応を進めるべきと考えておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

○萱場オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインは、IPCアクセシビリティーガイド及び関係国内法令等に基づいて取りまとめている、ハード、ソフト両面のバリアフリー化の推進を目的とする二〇二〇年大会用のガイドラインでございます。
 ハード面に関しては、競技会場等の関係施設やそのアクセス経路をその適用対象としてございます。
 競技会場として使用するほかの施設についても、施設の現状を踏まえて、適切にTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインを適用してまいります。

○小山委員 ぜひこのTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインを十全に適用していただきまして、パラリンピックのレガシーがこの東京に、そして日本全体に残るような取り組みを行っていただきたいというふうに思います。
 舛添知事は、パラリンピックの成功なくして二〇二〇年大会の成功はないと述べられております。ぜひこのパラリンピックへのソフト、ハード両面からの対応を図っていただき、二〇一二年ロンドン大会を超える史上最高のパラリンピック大会を二〇二〇年大会の成功につなげていただきますよう強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○石川委員 都が整備をしますオリンピック施設に対する諮問会議についてお伺いいたします。
 東京都は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催に向け、都が整備する施設について、建設計画の策定過程の透明性や建設費用の妥当性をチェックするための外部有識者の諮問会議を設置し、既に会議が開催されております。新国立競技場建設が白紙撤回に追い込まれたことを受けて、同じ轍を踏まないようにするとのことであります。都が整備する九つの競技施設のうち、既に工事が始まるなどしている二施設を除いた七施設を対象としております。
 この諮問会議のメンバーは、建築、土木、法律に詳しい専門家や、スポーツ評論家でありロサンゼルス五輪女子マラソン代表の増田明美さんを初め、七人で構成されております。
 この諮問会議は、普通の都民の皆さんの疑問に答えられるようにして信頼性を高めていくと知事も述べているところでございます。
 諮問会議の設置に異論があるわけではございませんけれども、この諮問会議の決定権限はどのように位置づけられているのかお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 諮問会議は、都が整備する競技施設の設計を進めていくプロセスの一つといたしまして、設計内容等のチェック体制を強化、充実させ、設計内容の妥当性を確保することを目的として設置いたしました。
 そのため、諮問会議の趣旨は、基本設計、実施設計のそれぞれ適切な段階で、設計内容、性能、仕様、コスト等につきまして、専門の立場からご意見やご助言をいただくことでございます。
 諮問会議でのご意見等は、今後の施設整備に生かしてまいります。

○石川委員 この諮問会議は、設計の性能や仕様、コストなどについて、専門の立場から意見や助言を図るということでございますけれども、建設費用などは無駄がないように、削減できるものは削減するということになると思いますけれども、逆に、諮問会議での指摘などを踏まえて必要なものを付加するような場合も、財源の手当てをすることが可能なのかどうかお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 諮問会議で出されました意見などを踏まえまして新たな整備等を行う場合につきましては、基本的には、追加工事等を含め、これまでお示しした各施設の整備費の見込み額の範囲内で対応できるよう予算管理を行ってまいります。

○石川委員 契約の中で、予算の差額の範囲で対応していくということなわけでございますけれども、本オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会などでも指摘をされ、妥当で、しかも必要な計画を追加する場合も、諮問会議の指摘と同じようにしっかりと対応していただきたい、このことを求めていきたいと思います。
 次に、受動喫煙対策についてお伺いいたします。
 六月の第二回都議会定例会の一般質問でも指摘をさせていただきましたが、二〇〇四年、アテネ五輪以降、夏季、冬季を問わず全ての五輪開催都市で、受動喫煙を防止するための罰則つきの法律や条例が定められております。来年開催されますリオデジャネイロの夏季オリンピックでも、二〇〇九年に、公共施設などを禁煙とする罰則つきの州法を制定していることも指摘をいたしました。
 一方、禁煙化を東京も進めるべきかどうかとの都民アンケートでも、既に紹介いたしましたけれども、罰則つきの規制、法律や条例を制定すべきという意見が過半数を占めたわけでございます。
 そこで、今回整備する都の競技会場の分煙対策はどのようなものか、屋外での喫煙場所の指定等の対策を含めてお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 都では東京都受動喫煙防止ガイドラインを定めており、また、オリンピック・パラリンピック大会の開催に当たりましては、競技会場において分煙エリアを設置することがIOCから求められております。
 二〇二〇年東京大会では、これらを遵守して受動喫煙防止対策を講じていくこととしており、今回公表した三施設におきましては、今後、大会開催時の運営計画も含めながら、屋内外での分煙エリアの設置などについて、実施設計の中で詳細に検討してまいります。

○石川委員 都の受動喫煙防止ガイドラインやIOCの規定に基づいて、実施設計の中で検討するということでございます。
 ということは、今までのところ、東京都の有識者会議である都受動喫煙防止対策検討会は、受動喫煙防止のための条例化については、その是非の判断を示さないまま、一八年までに条例化の検討を行うことを求めるにとどめているわけであります。受動喫煙に関する国の法律改正があった場合や、一八年以降に都条例が改正をされるということになった場合、受動喫煙防止ガイドラインも当然改正されることになるわけで、その内容に従って、オリンピックにかかわる都の施設についても受動喫煙対策を講じていくというふうに理解をしてよろしいのかどうかお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 委員ご質問のような改正や変更が今後仮にあった場合におきましても、改正等の内容に応じまして、大会開催時の運営計画も踏まえながら適切に対応してまいります。

○石川委員 次に、暑さ対策について伺います。
 このことについては、本会議の場でも多くの議員が、そして、本委員会でも多くの委員が指摘をしたところであります。私も、新国立競技場の暑さ対策について既に質問させていただいております。
 IOCの規定で、オリンピックは七月十五日から八月三十一日の間に開催し、パラリンピックをあわせて六十日間以内で実施することとなっておりまして、テレビを初めとする放映権料などの財政上の問題もあって、この時期を外すことはできないということを前提とすることは、やむを得ないことだと考えております。
 しかし、ことし以上に、五年後は、五輪期間中、気温が三十五度以上の猛暑日となる日数がふえる可能性が高いと考えておかなければならないと思っております。
 そこで、都の整備する競技施設のアスリート、観客に対する暑さ対策はどのようなものが計画をされているのかお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 競技施設における暑さ対策につきましては、アスリートや観客が快適に過ごせますよう、基本設計におきましても配慮しております。
 例えば、いずれの施設におきましても、建築物の外壁や屋根の断熱、効果的な空調方式の採用などを進めてまいります。また、屋外の施設となります海の森水上競技場の通路は、遮熱性舗装により整備する予定でございます。さらに、組織委員会と連携いたしまして、日よけなど、大会運営時の仮設物等による対策についても検討してまいります。
 今後、実施設計等を進めていく中で、具体的な取り組みにつきまして、引き続き検討してまいります。

○石川委員 障害をお持ちの方は、体温調整などができない人が少なくなく、暑さは命にかかわる問題であることも既に指摘をさせていただいております。都の施設につきましては、障害をお持ちの方の対応もしっかりと視野に入れながら対応していただきたいと思います。
 次に、二〇二〇年の東京でのオリンピック・パラリンピックの開催は日本的価値の発信が重要であることは、本年出されました大会基本計画にも表現をされております。
 ソフトの面では、和をもってとうとしとなすという和の心や、おもてなしの心も例示をされております。私は、日本人的な心のありようを具体的にあらわす日本人の礼儀正しさの象徴として、礼儀正しく挨拶することを運動として進めたらどうかと既に提案させていただいております。
 と同時に、例えば、欧米人にとっては欧米型の建築物は余り魅力がないわけであります。建築物も日本的な表現に味わいを感じるものだと思います。そのような視点から、都の施設についても、日本的な味わいを少しでも工夫することが大切と考えております。
 日本的特色を出すために木を使うことが表明されておりますが、先ほど来も質問があったわけでございますから、積極的に活用すべきと考えますが、都施設について具体的にどのように使う考えか、多摩産材の活用も含めてお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 木材利用につきまして、具体的には、例えば有明アリーナのメーンアリーナの屋根では、小ばりを木材と鉄骨のハイブリッド構造といたしまして、観客席から見上げたときに、幅約三メートルの木材が前面に見えるような計画としてございますほか、各施設のメーンエントランスなどにおいて木材を使用いたしまして、来場者が身近に木の質感が感じられるよう、効果的な活用を図ってまいります。
 これまで、都が行う公共建築物等の整備におきましては、施設の特性を踏まえた多摩産材の使用に努めておりまして、今回公表した施設についても、今後の実施設計の中で、多摩産材の活用も含めた木材の利用について詳細に検討してまいります。

○石川委員 デンマークのコペンハーゲンの国際空港は、ふんだんに木が使われております。デンマーク自体は、既に森林は極めて少なくなっておりますが、だからこそ木を大切にする国というイメージを大切にしているというふうにいわれております。
 我が国は国土の七割近くが山林の国であり、まさに山の国、木の文化の国であることは周知の事実であります。こういった日本的な特徴をしっかりと建築の中にも生かし、引き継がれた歴史的な象徴としてのレガシーとしていただきたいと思います。
 日本的な特色を出すために、建築デザインにどのような工夫がなされるのかお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 アクアティクスセンター、有明アリーナにつきましては、世界中からさまざまな人を迎え入れる施設として、日本らしさを表現する建築となるよう、外装等のデザイン上の工夫を行ってまいります。
 例えばアクアティクスセンターでは、日本建築の特徴である軒のある屋根や縦の格子をイメージした外観としまして、有明アリーナでは、屋根を反りのあるデザインにするとともに、外壁面に細かい目地などを用いて陰影のある仕上げとしております。
 今後、木材の利用も含めまして、基本設計のコンセプトも踏まえ、実施設計においてさらに検討を進めてまいります。

○石川委員 ぜひ少しでも多く取り入れていただきたいと思います。
 我が国の建築物は、単独ではそれなりの特色を持った建物も多く、国際的に高く評価をされているわけであります。しかし、トータルに周辺の建築物と調和させる都市計画機能が弱いともいわれております。周辺の建築物との統一感や調和も大切な要素と考えます。
 特に色彩やデザインにおいて、どのような計画がなされているのかお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 周辺との調和につきましては、海浜公園との一体性、水辺の魅力を演出、大規模建築の圧迫感を抑えることなどに配慮した計画としております。
 例えばアクアティクスセンターでは、辰巳の森海浜公園に面した側に前広場を設けるなど、公園との一体性を持たせておりまして、また有明アリーナでは、客席断面形状に合わせて建物の下部を絞ったデザインとし、建物周辺の見通しを高め、海辺の開放的な景観に合わせたつくりとしております。
 また、白を基調とした外装とするなど、水辺との調和を図る計画としております。
 これらの色彩、デザイン等につきましても、実施設計において引き続き検討を進めてまいります。

○石川委員 ぜひ、周辺の建物や自然との調和や統一感という意味でも、レガシーとして誇ることができ、象徴となるような競技施設となるよう、実施設計の中で具体化をしていただきたいと思います。
 次に、二〇一四年十二月のIOC総会で、開催都市の組織委員会が追加種目を提案することが可能となりました。そして、今般、組織委員会として五競技十八種目を決定し、IOCの追加種目として提案をしたわけでございます。
 候補として残っていたのは八競技ですが、そのうちボウリング、スカッシュ、武術が落選となったわけであります。三競技が落選し五競技が選ばれた理由は、選考の評価によるわけでありますけれども、各競技の評価点が公表されなかったことから、落選した競技団体から、透明性や公平性について不満の意見があったとも聞いております。
 そこで、改めて、今回の提案された五競技の選考過程における具体的な評価方法についてお伺いいたします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 昨年十二月のIOC総会でオリンピックアジェンダ二〇二〇が採択されましたことを受けまして、組織委員会は、七人の有識者から成る東京二〇二〇種目追加検討会議を設置し、本年二月九日を皮切りに、約八カ月にわたり議論を重ねてまいりました。
 種目の選考に当たりましては、三つの主要原則と三十五の評価項目に基づき、若者へのアピールや国内的な盛り上がり、世界への普及度、国際大会の開催実績などを総合的に評価し、八つのヒアリング対象団体を選定したところでございます。
 その後、二日間にわたるヒアリングを実施し、先ほどの項目のほか、男女間のバランス、会場面、財政面、運営面等についてそれぞれ評価を行いました。
 その結果、国内での盛り上がりという点で特に評価の高い野球・ソフトボール、空手の二競技、若者へのアピールという点で特に評価の高いスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの三競技、計五競技十八種目が選定されたところでございます。

○石川委員 追加競技の選考に当たっての主要原則やIOCの評価項目からして、今回の選定結果を認めるのが妥当と考えております。そして、今回選ばれた競技を何としても、ぬか喜びとすることなく、五競技とも実施しなければならないと思っております。
 IOCによる来年八月の最終選考で漏れることのないように都も取り組んでいくべきと考えますが、そのための見解を伺い、質問を終わります。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 先日行われましたIOCプロジェクトレビューにおきまして、コーツ委員長からは、当該提案につきまして、伝統的なスポーツと革新的なスポーツ、屋外競技と室内競技の非常にいいバランスのとれた組み合わせの提案になっていると高い評価を受けたところでございます。
 最終的には来年八月の総会で決定することになりますが、先ほどもご答弁させていただきましたとおり、組織委員会と連携し、提案どおり採択されるよう、都としても最大限取り組んでまいります。

○山内委員 都が建設する新設恒久施設のうち、現在、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナ、海の森水上競技場の三施設の基本設計が完了いたしました。
 大会開催基本計画では、会場、インフラ整備の方針を、ユニバーサルデザインやアクセシビリティー、持続可能性など、多様性と調和を取り入れた会場をデザインするとしています。国連障害者権利条約の理念を踏まえて、他者との平等を基本とし、障害のある人もない人も、ひとしく観戦を楽しめる競技施設とすることが重要です。
 現在、東京版のアクセシビリティーガイドラインがアクセシビリティ協議会で策定中であると聞いていますが、東京では、今後のこれからの規範となるようなユニバーサルデザインとなるよう、IPCガイドラインを包括する基準を先進的に行うべきと考えております。
 既に設計施工一括方式、デザインビルド方式で整備が進められつつありますが、IPCの承認を得た後、アクセシビリティーガイドラインをどのように施設整備に反映していくのかお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインは、IPCアクセシビリティーガイド及び国内関連法令に基づき策定される東京大会用のアクセシビリティーの基準でございます。
 今回報告いたしました三施設の基本設計を行った時点では、このTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの内容が検討中であったため、福祉のまちづくり条例などの既定のバリアフリー基準に加えまして、IPCがパラリンピックの会場整備について推奨しているアクセシビリティーガイドを参考にして、観客席の配置、車椅子席数の割合やエレベーターの大きさなど、基本設計段階で対応が必要な内容を設計に盛り込んでいったものでございます。
 今後、アクセシビリティーガイドラインがIPCの承認を得た後には、ガイドラインに即して実施設計を行ってまいります。

○山内委員 車椅子利用者の観戦に当たっては、良好な観戦ができる環境を整える必要があります。特に、車椅子利用者席や障害のある方等のトイレを適切に配置することが重要であると考えます。
 これらについて、どのように対応しているのかお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 車椅子使用者の観戦につきましては、IPCアクセシビリティーガイドなどを参考としまして、介助者席を併設した車椅子利用者席を大会時の観客席数の約一%確保するとともに、さまざまな場所から観戦ができるよう、複数の箇所に配置をしております。
 また、車椅子使用者等が利用するトイレにつきましては、IPCアクセシビリティーガイドの推奨値であります、車椅子利用者十五人に対して一カ所という基準を参考として設置してございます。

○山内委員 後利用において、障害のある人が利用しやすい設備が必要ですけれども、どのような配慮がなされているのか。特にプール利用については、都立障害者総合スポーツセンターや都立多摩障害者スポーツセンターから、さまざまな要望がこれまでも出てきております。
 こうした意見や要望を反映していくことが重要だと考えておりますが、今回のオリンピックアクアティクスセンターでは、どのような対応が行われているのかお伺いいたします。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 新規恒久施設を障害者の方にも利用しやすい施設としていくことは、後利用の観点からも大変重要なことでございます。
 そのため、障害者スポーツ団体からヒアリングを行うとともに、昨年度のアドバイザリー会議においても、障害者スポーツに詳しい有識者からご意見を伺い、検討を行っております。
 こうしたご意見を踏まえ、新規恒久施設は、世代や障害の有無を超えて利用できるアクセシビリティーに配慮した施設設計を行っております。
 オリンピックアクアティクスセンターにおける障害者のための配慮としましては、介護人とともに利用できる障害者対応の個室の更衣室や、車椅子使用者の座席、車椅子用トイレなどの整備を予定しております。
 また、飲食スペースや廊下なども含め、施設全体においてバリアフリーに配慮した利用者動線を確保していく予定であります。

○山内委員 生活者ネットワークは、都有施設での多摩産材、国産材の利用を求めてまいりましたが、木材利用をどのように使うのか、私からもお伺いさせていただきたいと思います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 施設整備における木材利用につきましては、有明アリーナでは、メーンアリーナの屋根構造の一部やメーンエントランスの天井などに、また、アクアティクスセンターでは、メーンエントランスやカフェなどの内装に木材を利用していくこととしております。
 来場者が身近に木の質感を感じられるよう、効果的な木材利用を図ってまいります。
 また、今回の三施設では設計施工一括発注方式を適用いたしまして、実施設計段階から必要な木材の調達準備を行うことが可能なことから、より効率的に設計、施工を進め、木材利用を図った施設整備を行ってまいります。

○山内委員 来年四月には障害者差別禁止法が施行されます。不当な差別的な取り扱いを禁止するとともに、公的機関は合理的な配慮の提供が義務づけられます。これまでのバリアフリーは、障害者のために環境を整えましょうというものでしたが、そうではなく、一人一人がどういう配慮を望んでいるのかを伝え、その対応を考え、きちんと守ることが大事だということだと思います。
 まだまだ世界の都市と比べて、東京のバリアフリー、ユニバーサルはおくれていると指摘されております。障害当事者の参画を基本とし、ハード整備に向けて、設計、施工、完成の各段階及び完成後の評価について、当事者の参画のもとに行うことが必要です。
 具体的なことではございますけれども、観覧席に関しましては、先ほども少しご答弁いただきましたけれども、車椅子用席のサイズへの配慮、各階層に配置をする、介助者も含め、同伴者と一緒に観戦を楽しめるような設計にする、補助犬が伏せられるようなスペースを確保することなども重要です。
 また、トイレに関しましては、多機能トイレを各階層に配置する、右勝手、左勝手、これはきき手になるんでしょうけれども、こうした考慮をして使い勝手をよくすること、一般トイレの中にベビーチェアやベビーベッド、オストメイトなどの簡易多機能トイレを設置することなど、障害のある人が望む配慮を検討し、実現していただきたいと思います。
 また、東日本大震災では、障害のある人の死亡率は、他の人の二倍だったという報告もあります。緊急避難時に対しても想定をした設計にして、今後の施設の規範となるようにしていただきたいと思います。
 このように、世界一の都市を目指すというならば、物理的な障壁だけではなく、社会的な障壁を取り払い、障害に限らず、人種、性別、宗教など、さまざまな多様性を認め合う共生社会の実現につなげるよう認識を持って進めていくよう要望いたしまして、私の質問は終わります。

○小林委員 私からは、都立競技施設整備の進捗状況についてお伺いいたします。
 当初、四点ほどお伺いしようと思っておりましたけれども、これだけ質疑も重なっておりまして、答弁も恐らく同じだろうというものもございますので、二点だけお伺いして、残りの二点は意見として述べさせていただきたいと思います。
 都議会公明党はかねてから、二〇二〇年の成功はパラリンピックの成功にこそあるとの視点から、史上最高のパラリンピックにすべく、関係者からのヒアリング、現場の視察などを重ね、繰り返しさまざまな提案を行ってまいりました。
 先日、イギリスを訪問された遠藤利明五輪担当大臣も、記者会見で、五輪の成功の鍵はパラリンピックにあった、五十一年前に初めてパラリンピックを開催したのは東京だ、パラリンピックを前面に押し出して全体の大会づくりをしていきたいと述べられたと報道されておりました。
 このたびの三競技施設の設計に当たっては、いずれも質の高い競技場の整備、良好な観覧環境、レガシー、環境配慮、コストという五つのポイントが提示されていますが、パラリンピックの成功、障害者スポーツの振興、さらに障害者理解の促進という点からも、良好な観覧環境の整備というのは特に重要な取り組みであると考えます。
 現在、都では、障害のある人が利用しやすい環境を整えていくための基準であるアクセシビリティーガイドラインの策定を進めているかと思いますが、都議会公明党は本年の第二回定例会において、策定する基準は、利用者の特性やニーズを踏まえた実効性のあるものとすべきであることを求めたところであります。
 このたびの都立競技施設整備の進捗状況においては、設計におけるアクセシビリティーガイドラインの対応にも触れられておりますが、まずは後の貴重なレガシーとなるようなガイドラインを策定し、今後の実施設計段階での具体化を着実に進めていただきたいと強く要望させていただきたいと思います。
 次に、環境への配慮という点についてお伺いします。
 今回の三施設は、いずれも大規模施設であり、省エネ、再エネを考慮した設備計画に取り組んでいくとのことですが、三施設の中でも、特にアクアティクスセンターは、水泳場という施設特性から水やエネルギーの消費が大きい施設でもあり、特に環境へ配慮した取り組みが求められるところであると思います。
 そこで、アクアティクスセンターにおいて、環境への配慮という視点から取り組んでいく対応策についてお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 アクアティクスセンターは屋内プールでございまして、年間を通じて多くの水を使い、水温調整や空調などにエネルギーを必要とする特徴のある施設でございます。
 このため、これらの熱源に太陽熱温水器や国内最大級規模の地中熱ヒートポンプを利用するほか、プールの休館日等には、可動床を水面まで上げて放熱を防ぐこととしております。また、プールの水は、高精度のろ過装置を使いまして循環利用するとともに、太陽光発電やLED照明を活用するなど、再生可能エネルギーや省エネルギー設備の効率的、効果的な導入を図ってまいります。
 これらの取り組みによりまして、先ほどもご説明いたしましたが、エネルギー消費量及びCO2の排出量を、従前からの標準的な設備を使用した場合に比べまして約三割削減する設計としてございます。

○小林委員 同じく環境への配慮の中で、三施設とも木材利用というものが掲げられております。国においても、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における木材利用等に関するワーキングチームが立ち上がり、木材利用について幅広い検討がなされております。
 奈良、法隆寺の五重の塔、金堂が、現存する世界最古の木造建築ということにも象徴されるように、日本における木材の役割は極めて重要であり、和の文化を発信していくという点においても、また、木材の醸し出す雰囲気によるアスリート、観客への好影響という点においても、戦略的に木材利用を推進していくべきであると考えます。
 特に多摩産材の活用というものは、ぜひともこれは積極的に推進をしていただきたいと強く願っておるところでございます。
 最後に、整備費についてお伺いをいたします。
 三施設それぞれの整備費の中で、平成二十八年以降措置する経費として、工事中のセキュリティーへの対応費というものが想定されています。アクアティクスセンターは三十億円、有明アリーナは十八億円、海の森水上競技場は二十億円がそれぞれ計上されていますが、工事の安全対策というものとは違い、これだけの経費を要するセキュリティー対応とはどういうものなのか、都民の皆様にはなかなかわかりづらい点もあるかと思います。
 そこで、工事中のセキュリティーへの対応費において想定されている内容について、最後にお伺いいたします。

○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 オリンピック・パラリンピック競技大会には多くの注目が集まりますことから、工事妨害やテロなどの標的になりやすいことが想定されます。
 そのため、ロンドン大会の例では、会場の整備に当たりまして、工事段階から、二十四時間体制の警備員配置やセキュリティーカメラの配置、堅牢な仮囲いなど、通常の建設工事以上のセキュリティー対策を実施しております。
 東京大会におきましても、過去の大会と同様に高い水準のセキュリティー対策を講じ、安全・安心な大会を実現するために、セキュリティー対策費用を施設整備費として計上いたしました。
 具体的な対策は、今後、組織委員会や関係者と連携して検討してまいります。

○徳留委員 私からは、有明アリーナとアクアティクスセンターについて質問します。
 まずは、有明アリーナの問題です。
 有明アリーナは、オリンピックで行われるバレーボールのみならず、バスケットボール、ハンドボールなど、さまざまな競技を実施する施設として整備するとのことです。大会後は多くの都民のスポーツ施設として活用できることを、スポーツを愛好する多くの都民は期待していると思います。
 ところが、配布された資料には、都民の利用としては、カフェやレストランを都民の憩いの場として創出すること、サブアリーナやスタジオを都民利用として確保したということが記載されているだけです。
 肝心のメーンアリーナは、国際スポーツ競技大会の開催と各種イベント、コンサートなどの会場としての利用が中心になると想定されているようにも受け取れます。
 そこで質問ですが、メーンアリーナは、各種競技の幅広い都民団体のスポーツ大会などの利用については想定していないということなのでしょうか。伺いたいと思います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 有明アリーナは、国際大会を含むスポーツ大会や各種イベントなどに利用できる新たなスポーツ、文化の拠点として、スポーツ利用に加え、コンサートを初めとする各種イベントなど、さまざまな目的での都民利用を想定しております。
 メーンアリーナは一万五千席の観客席を有することから、こうした大人数の観客を擁する国際的なスポーツ大会に加え、コンサートを初めとする各種イベントなど、都民がさまざまに楽しめる多目的な活用を想定しております。
 一方、サブアリーナは、先ほど担当部長からご答弁申し上げましたが、バスケットボールコート二面の広さを有し、都民のスポーツ利用を主たる活用方法として想定していることから、床は木製のフローリング床とし、メーンアリーナの可動型の観客席をサブアリーナの応援席として利用可能とするなど、小規模なスポーツ大会でも皆で楽しめる工夫を講じております。
 今後、民間事業者のノウハウも活用しながら、施設運営計画策定の中で適切な事業内容や利用方法等について検討してまいります。

○徳留委員 メーンアリーナは、都民がさまざまに楽しめる多目的な活用を想定しているということで、国際大会だけではなく、都民団体やスポーツ団体の大会などの都民がプレーするスポーツの利用もあり得るということだと思います。
 しかし、私は、有明アリーナは、メーンアリーナを含めて、体育館として都民が利用できるスポーツ施設にすることをもっと重視して位置づけていただきたいと考えます。
 というのは、今、都民スポーツはサブアリーナを想定して、そこで小規模なスポーツ大会を楽しめるという答弁がありましたが、実は、都民スポーツだからといって小規模だというわけにはいきません。小さなアリーナだけで十分足りるというわけではありません。都民レベルの大会の方が、参加者全員が試合をするわけですから、実は試合数もコート数もたくさん必要です。
 例えば、有明アリーナも、国際大会でバレーコート四面の広さとのことですが、それでも都民大会は二面でいいのかというと、その逆です。コートとコートの間を詰めるなどして、六面、七面を設けないと間に合わないというのが都民スポーツ大会の実態です。ですから、やっぱり広いメーンアリーナを使えることが重要になってくると思います。
 配布の資料で大変気になったのが、メーンアリーナはイベントに対応するということで、大型車が直接乗り入れ可能なルート及びコンクリート床を採用とされていることです。コンクリートのかたい床では、とても普通のスポーツをすることはできないと思います。
 担当者に伺ったところでは、メーンアリーナを使用するときは、その目的に合った床材を、スポーツならスポーツ、コンサートならコンサート、その他のイベントならそのイベントに合った床材を利用のたびごとに設置、変更するということでした。スポーツ施設なのに、スポーツにとっては随分利用しにくい施設になってしまうのではないかと大変心配しております。
 そこで伺いますが、メーンアリーナの床はコンクリート採用とされていますが、都民がスポーツに活用する場合には、それぞれの競技に応じた床に設置、変更しなければならないということなのですが、その場合は、床の設置、変更の費用は誰が負担することになるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 繰り返しになりますが、メーンアリーナは一万五千席の観客席を有することから、こうした大人数の観客を擁する国際的なスポーツ大会に加え、コンサートを初めとする各種イベントなど、都民がさまざまに楽しめる多目的な活用を想定しております。
 それぞれの競技に応じた床の設営や費用負担のあり方については、多様な利用目的に応じたものとなるよう検討していく必要があると考えております。

○徳留委員 費用負担のあり方は検討していくとのことでした。
 コンクリート床になるとして、これが入場料を取る興行や一つのビジネスとして行われるコンサートやイベント、あるいはプロスポーツなどであれば、主催者が負担するのが一般的であり、当然だと思います。あるいは、スポンサーがつき入場料収入が期待できる国際スポーツ大会や、東京都などが主催する大会であれば、主催者が負担することも可能だろうと思います。
 しかし、例えばアマチュアスポーツの全国大会や都大会、さらには都民レベルの大会や利用などは、一々床を設置、変更する費用を負担しなければならないとなれば、これは相当の重い負担になると考えます。
 そこで質問ですけれども、利用のたびごとに床の設置、変更の費用を負担しなければならないとしたら、結局はビジネスとして成り立つ利用しかできない、都民レベルの大会では難しいということになりかねないと思いますけれども、どのように考えておられるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 有明アリーナにおける都民のスポーツ利用に応える場としては、主にサブアリーナを想定しております。
 メーンアリーナにおいて、一万五千人規模の大人数の観客を擁するような都民利用の大会を催す頻度は少ないと考えております。そのため、メーンアリーナの床を木製のフローリング床とすることは、使用頻度や事業採算性などの面から課題が多いと考えられます。
 費用負担のあり方については、多様な利用目的に応じたものとなるよう検討していく必要があると考えております。

○徳留委員 都民大会を催す頻度は少ないということでしたが、都民大会は少ない、ニーズが少ない、今あるスポーツ施設で十分かといえば、実態は決してそうではありません。
 現在、都立体育館は、利用したくてもなかなか利用ができない状況です。稼働率も高く、昨年度は、東京体育館のメーンアリーナは稼働率九九・七%、サブアリーナは九九・七%、駒沢オリンピック公園総合運動場の体育館は九六・七%、屋内球技場は、改築のため六月から閉鎖していますが、四月、五月で一〇〇%と、いずれも目標を上回り、満杯状態であります。
 しかも、近年は、東京都が国際大会を積極的に誘致しているために、都内スポーツ団体などが利用できる日が減っている。例えば東京体育館で、ちょっと古い数字ですが、二〇〇八年と二〇一一年のスポーツ利用の件数を比較しますと、国際大会やイベントは五十二件から六十五件にふえる一方で、スポーツ団体の利用が四十六件から三十件に減っています。学校なども含めた都内団体のスポーツ利用全体も百二十四件から八十一件に減っているのが実態であります。
 実際に、ある中高生の大会ですが、これまで確保していた日数が確保できずに、参加の申し込みがあっても断らざるを得なかったという話も伺っております。それだけに、バレーボールやバスケットボール、あるいはバドミントンなどのできる体育館としての有明アリーナに都民は期待しているし、ニーズはあるということを強調しておきたいと思います。
 そして、コンクリートの床にして、利用ごとに適当な床を設置、変更するというのは、そうした都民の期待に応えられる設計ではないと思います。
 また、床を設置、変更する場合の費用のあり方については検討するとのことでしたが、例えば新国立競技場の設備をめぐる議論の中では、コンサートなど多目的な利用のために開閉式屋根や豪華な施設設備にすることで施設利用料が高騰すれば、陸連などのアマチュアスポーツ団体には負担が重い、利用できなくなるとの議論がありました。やはり都民やアマチュアスポーツ団体の負担がふえることが絶対にないように考えていただきたいと思います。
 そこで質問ですが、メーンアリーナも含め、基本的には都民がスポーツ施設として利用できるような床の仕上げにする、あるいは、都民が床の設置、変更の費用を負担せずにスポーツ施設として利用できるような工夫をすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 繰り返しになりますが、有明アリーナにおける都民のスポーツ利用に応える場としては、主にサブアリーナを想定しております。
 メーンアリーナにおいて、一万五千人規模の大人数の観客を擁するような都民利用の大会を催す頻度は少ないと考えております。そのため、メーンアリーナの床を木製のフローリング床とすることは、使用頻度や事業採算性などの面から課題が多いと考えられます。
 費用負担のあり方につきましては、多様な利用目的に応じたものとなるよう検討していく必要があると考えております。

○徳留委員 都民利用はサブアリーナということだけでは、今、再三、具体的な実態を申し上げたとおり、ニーズに応えることはできないと思います。ぜひその発想は変えていただく必要があると思います。有明アリーナがスポーツ施設ではなくてイベントホールになってしまっては、レガシーとして本末転倒ではないかと思います。
 東京は、人口当たりの公共スポーツ施設の整備率は全国最低レベルになっています。しかも、コンサートやイベントにも利用できる観客席一万人規模の施設としては、有明アリーナのすぐ近くには有明コロシアムがあり、稼働率もまだまだ余裕があるのではないでしょうか。
 有明アリーナは、メーンアリーナも含め、都民スポーツ施設としての利用を重視し、それに対応できる床にすることや、また、ネットやゴールその他の備品を含めて、都民が特別な負担をしなくても利用できる設計、設備にすることを強く求めておきます。
 次に、質問いたします。
 有明アリーナ、また、この後に質問するアクアティクスセンターにもいえることなので、あわせて伺いますが、これらの都民スポーツ要求に応える施設として運営をされ、発展していくためには、有明アリーナ、アクアティクスセンターともに、当然、都体育施設条例に基づく施設として位置づけるべきだと思いますけれども、どのように考えておられるのかについて伺います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 新規恒久施設につきましては、施設規模や形状などの施設特性もさまざまでございまして、先般、後利用の方向性でお示ししたように、大会後はレガシーとして、スポーツ利用はもとより、文化、レジャー、イベントなど、さまざまな活用の可能性がございます。
 各施設を都民、国民の貴重な財産として有効活用していくという視点から、施設運営計画策定の中で、適切な管理運営手法や、東京都体育施設条例も含めた条例上の位置づけについて検討してまいります。

○徳留委員 施設運営計画策定の中で、適切な管理運営手法や、東京都体育施設条例も含めた条例上の位置づけについて検討していくとの答弁でした。
 資料を見ますと、例えば風の影響を受けやすいバドミントンにも対応できる空調方式にするとか、競技用車椅子での動線確保など、障害者スポーツを含めたさまざまなスポーツに対応できる施設にしようという配慮はあり、こういう点は歓迎したいと思います。
 こうしたさまざまな工夫と配慮を行った施設だからこそ、それを生かして、後利用は、メーンアリーナを含め、幅広い都民のスポーツ要求に応える施設に改善されるよう重ねて要望しておきます。
 観客席も、車椅子の座席を一%程度の百五十席確保するということが、諮問会議に提出された資料にも示されています。どこに設置するかは検討中のようでありますけれども、車椅子の利用者の目線で、アリーナから三階席まで、さまざまな角度から観戦しやすいような配置にしていただくよう要望しておきます。
 次に、アクアティクスセンターの規模や施設整備費の見直しの問題を中心に質問いたします。
 私は、四月にもアクアティクスセンターの問題で質問いたしました。そのときに強調したのは、オリンピック憲章や昨年IOCが決議したアジェンダ二〇二〇の見地に立った取り組みが重要であり、都民の生活と調和したものとして開催すべきであり、会場整備の費用については最小限に抑えるべきだと主張してまいりました。
 私は先日の三定においても、我が党を代表して行った質問で、都が整備する競技場の整備費、用地費負担は約二千六百八十億円と発表され、都民一人当たり二万円近い負担となること、さらに、今後の選手村の用地取得費、基盤整備費も莫大な負担が予想されること、だからこそ、引き続き削減の努力を尽くすべきと質問いたしました。これに対して、中嶋局長からは、引き続き予算の適切な管理と整備費の縮減に努めながら施設整備を推進していくとの答弁がありました。
 しかし、きょう、いただいた資料では、アクアティクスセンターの整備費の総額は六百八十三億円で、再検討時に示された額とほとんど変わりません。その内訳も、デザインビルド方式、すなわち設計施工一体での発注の予定価格が五百三十八億円、調査設計費が十一億円、工事中のセキュリティー費用が三十億円、大会後の後利用のための改修費、これは観客席を二万席から四分の一の五千席に減築する費用が七十四億円、今後に追加工事が必要となった場合の費用として三十億円となっております。
 そこで質問ですが、引き続き整備費の縮減に取り組むと答弁をされました。施設整備費の縮減が真剣に求められているときに、アクアティクスセンターの整備費は、立候補ファイルの当初と比べても、公開入札公告最低価格でいえば約一・七倍近く、整備費全体で見れば二倍以上に膨らんだままである要因についてどのように認識されているのか。三定の答弁のような施設整備費の縮減の努力はどのようにされてこられたのかについて伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 立候補ファイルにおきましては、会場となる施設本体の整備費のみを計上したものでございました。
 開催決定後の再検討では、本体工事費に加えまして、会場と周辺のアクセス等の周辺整備費、調査設計委託費のほか、今後IOCから求められる可能性のある工事期間中の厳重なセキュリティー経費などを含めまして、六百八十三億円の整備費と試算したところでございます。
 今回の基本設計におきましては、質の高い水泳競技場の整備、良好な観覧環境、大会後のレガシーとしての活用、環境への配慮及びコスト管理を重要なポイントとしまして、競泳やシンクロナイズドスイミングなどの国際競技大会が開催できる施設とするよう、類似施設の調査や競技団体へのヒアリングを行いながらさまざまな検討を進め、設計を行ったものでございます。
 また、設計では、工事中の搬出土を縮減するため、地下部分を極力少なくすることや、大会後に減築する部分につきましても、その供用期間が短いことを考慮し、使用材料に簡易なものを採用するなど、コスト縮減を図ったところでございます。
 今後とも、大会開催に向けて確実に進行管理を行い、予算の適切な管理と整備費の縮減に努めながら施設整備を推進してまいります。

○徳留委員 コスト縮減を図ったとのことですけれども、しかし、施設整備の総額六百八十三億円というのは変わっていないわけです。実際には縮減されていないわけですけれども、どうしてなのか、改めて説明を求めたいと思います。いかがですか。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 繰り返しでございますけれども、今回の設計におきましては、質の高い水泳競技場の整備、良好な観覧環境、大会後のレガシーとしての活用、環境への配慮及びコスト管理を重要なポイントとしまして、競泳やシンクロナイズドスイミングなどの国際競技大会が開催できる施設とするよう、類似の施設の調査や競技団体へのヒアリングなどを行いながらさまざまな検討を進め、設計を行ったものでございます。
 こうした設計を進めるとともに、工事中の搬出土を縮減するために、極力、地下部分を少なくすることですとか、大会後の減築の部分につきましては、供用期間が短いことを考慮しまして、使用材料に簡易なものを採用するなどのコスト縮減を図ったところでございます。

○徳留委員 アスリートファーストの競技場整備や観戦者の環境整備、後利用を見込んだ設計はもちろん重要です。しかし、コスト削減も図ったけれども、結局、総額は六百八十三億円から縮減されていないわけです。結果としては縮減できていないというところでは、私はもっと思い切った縮減策をとらなければならないと考えています。
 四月のこの委員会でも申し上げましたが、私は二万人の座席数の再検討を改めて強く要望したいと思います。アクアティクスセンターの座席数は二万席、IOCの基準は一万二千席ですから、二倍までとはいいませんけれども、それに近いかなり多目の座席数になっています。
 なぜ二万席としたのか、都民が納得できるようなその理由を改めて伺いたいと思います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 過去大会を参考にするとともに、日本では人気の高い水泳競技ということを勘案いたしまして、二万席の観客がアスリートと一体となって大会を体験できる水泳場の計画としてございます。
 今回の基本設計におきましては、先ほども答弁いたしましたが、質の高い水泳競技場の整備、良好な観覧環境、大会後のレガシーとしての活用、環境への配慮及びコスト管理を重要なポイントとして設計を行ったものでございます。
 一方、大会後は五千席への施設への縮小をすることによりまして、建物規模の適正化や将来の維持管理費の低減を図ることで、大会後のレガシーとして活用する視点からも必要な対応というふうに考えてございます。

○徳留委員 観客が見込めるから、あるいは人気があるから二万席とのことですけれども、そのための整備費が大きく膨らんでいるのが現状だと思います。人気があるかどうかだけではなくて、財政的な観点が不可欠ではないでしょうか。
 この座席数は、大会直後に四分の一の五千席に縮小する予定になっているわけです。一万五千席は、オリンピック期間中の水泳競技の日数でいえば、わずか一週間余りの期間だけしか使われずに、すぐに撤去されるということになっています。
 そこで質問ですけれども、大会後の撤去、減築の改修費用だけでも七十四億円もかけるということになります。本当にこんな税金の使い方に都民の理解が得られると思っていらっしゃるのでしょうか。到底理解は得られないのではないかというふうに思います。どのように認識をされているのでしょうか。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、今回の基本設計においては、質の高い水泳競技場の整備、良好な観覧環境、大会後のレガシーとしての活用、環境への配慮及びコスト管理を重要なポイントとして設計を行ったものでございます。
 一方、大会後の五千席への施設への縮小をすることによりまして、建物規模の適正化や将来の維持管理費の低減を図ることで、大会後のレガシーとして活用する視点からも必要な対応だというふうに考えてございます。

○徳留委員 提出された資料によりますと、ロンドン大会のアクアティクスセンターの竣工当時の整備費に比べても、東京は約二百億円高くて、ロンドン大会の一・六倍の費用になっています。
 そこで質問ですけれども、観客座席数の規模について、財政的観点から真剣に検討することはしないのでしょうか。どうでしょうか。検討されているのでしょうか。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 たびたび繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、今回の設計では、質の高い水泳場としての整備、それから良好な観覧環境、大会後のレガシーとしての活用、環境への配慮及びコスト管理を重要なポイントとして設計をまとめてきたものでございます。こういったものに必要な整備費というものを積算してきております。
 これにつきまして、設計の中でのコスト削減の努力もしてきたところでございまして、大会に向けて必要な整備を着実に進めてまいります。

○徳留委員 舛添知事も、舛添レポートの中では、税金という形で費用を払うのは都民であるから、納得しないような高コストでは話にならない、金は天から降ってくるものではなくて、都民が払う税金である、無尽蔵であるはずがないと述べておられます。
 そこで質問ですが、少なくとも、例えばIOC基準の一万二千席にした場合の施設整備費は幾らぐらいになるのか、あるいは一万五千席にした場合は幾らぐらいに整備費は減らせるのか、このことについて都は試算をして、見直し、検討すべきではないかと思いますが、そうした規模を縮小して建築した場合の試算はされているのでしょうか。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 現在、オリンピックアクアティクスセンターについては、二万人の観客席を整備しまして、アスリートと観客が一体となって大会を楽しめるような計画になってございます。
 委員ご指摘のような試算については、仮定の状況でありまして、現在はそういう試算はしておりません。

○徳留委員 試算はしていないという答弁でした。
 二万席は、ロンドン五輪や北京五輪よりも相当に多い座席数だと思います。ロンドン・オリンピックでは一万七千五百席でしたけれども、資料のとおり、当時の建設費は、アクアティクスセンターよりもずっと安い費用です。
 一旦建設して一週間余りで取り壊す仮設席の費用に対して、七十四億円を最低限にして百億円を超えるような都民の税金を使うことについて、本当に都民は納得するのでしょうか。二万席と決めたから、ほかは一切考えませんということではなくて、やはり少なくとも、財政的観点からさまざまな試算や可能性を、都民にもオープンにして、ぎりぎりまで見直し、検討することが必要だと思います。改めて、アクアティクスセンターは、座席数を見直すことなどを含めて整備費を抑制することを強く求めておきます。
 最後に、アクアティクスセンターにしても、有明アリーナにしても、もっと詳細な情報公開をすべきだと思います。
 例えばアクアティクスセンターでは、コスト削減に努めたと答弁されましたけれども、一体どれくらい削減されたのか、その内容についてはどうなのか。また、縮減したのに、なぜ総額が変わらないのか。都民には、その内容も経過もさっぱりわからない状態であります。
 また、どの施設についても、大会後の収支の見通し、維持管理費なども全く示されないまま、今回、入札公告となりました。七月に白紙撤回になりました新国立競技場計画ですら、膨大な費用に膨らんだものの、早くから費用は示されていましたから、東京都の情報公開は極めて不十分だということではないでしょうか。
 都民の莫大な税金を使うのですから、情報を都民にオープンにして意見を聞いていくのは当然だと思います。このことを強く求めて、私の質問を終わります。

○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十七分散会

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