委員長 | 高島なおき君 |
副委員長 | 畔上三和子君 |
副委員長 | 小磯 善彦君 |
副委員長 | 吉原 修君 |
理事 | 橘 正剛君 |
理事 | 秋田 一郎君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
小林 健二君 | |
石川 良一君 | |
山内れい子君 | |
小山くにひこ君 | |
徳留 道信君 | |
山崎 一輝君 | |
鈴木 隆道君 | |
林田 武君 | |
川井しげお君 | |
立石 晴康君 | |
酒井 大史君 |
欠席委員 なし
出席説明員オリンピック・パラリンピック準備局 | 局長 | 中嶋 正宏君 |
次長理事兼務 | 岡崎 義隆君 | |
技監 | 佐野 克彦君 | |
技監 | 邊見 隆士君 | |
技監 | 石山 明久君 | |
理事 | 小山 哲司君 | |
総務部長 | 鈴木 勝君 | |
調整担当部長 | 雲田 孝司君 | |
総合調整部長 | 加藤 英典君 | |
準備会議担当部長 | 矢部 信栄君 | |
自治体調整担当部長 | 井上 卓君 | |
事業推進担当部長 | 福崎 宏志君 | |
計画調整担当部長 | 鈴木 一幸君 | |
大会準備部長 | 延與 桂君 | |
連絡調整担当部長 | 浦崎 秀行君 | |
運営担当部長 | 児玉英一郎君 | |
競技担当部長 | 根本 浩志君 | |
パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 | 萱場 明子君 | |
施設輸送担当部長 | 花井 徹夫君 | |
施設輸送担当部長 | 荒井 俊之君 | |
施設調整担当部長 | 小室 明子君 | |
施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 | |
選手村担当部長 | 安部 文洋君 | |
スポーツ推進部長 | 早崎 道晴君 | |
国際大会準備担当部長 | 土屋 太郎君 | |
スポーツ施設担当部長 | 三浦 隆君 |
本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項(質疑)
・平成二十七年度における競技会場等整備の予定について
・二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案について
○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会を開会いたします。
これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた事項について調査を行います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
初めに、質疑に先立ちまして、中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長から発言の申し出がありますので、これを許します。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 去る五月十八日、下村文部科学大臣が知事に面会されまして、オリンピック・パラリンピック大会の主会場である新国立競技場の整備状況の説明及び整備費用の一部都負担について協力要請がございましたので、この場をおかりしまして、取り急ぎご報告いたします。
面会におきましては、最初に大臣から、整備状況について、国立競技場の建てかえについては、現在解体工事が進んでおり、本年九月までには終える予定で、十月からは新国立競技場の建設に向けたスタートに立つとの説明がございました。
また、新国立競技場が、オリンピック・パラリンピックの開閉会式などメーン会場であることや、駅からの周辺整備もなされること、都民のスポーツ振興にもなることなどから、ぜひ都からも整備費用の一部負担をお願いしたいという旨の協力要請がございました。
これに対しまして、知事は、まず、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会は何としても成功させなければならない、新国立競技場はメーンスタジアムであり、きちんと完成させなければならないし、できるだけ協力したいとの基本姿勢を示しました。
続きまして、知事は、新国立競技場の整備費用の一部負担について、本日初めて要請を受けたと述べ、一つの大きな問題は、完成までこぎつけるための工期や費用などの情報が明らかにされておらず、検討の前提条件が十分ではない、工期の遅延の可能性やコストが大幅に増加することの懸念が巷間いわれており、新国立競技場は国立施設なので、まずは総工事費や工期などの情報を国民に明らかにすべきであると考えを述べました。
その上で、知事は、新国立競技場の整備について協力を惜しまないが、都として一部負担するとなれば、税金を負担する都民や都民の代表である都議会への説明責任を果たすことが必須である、このためには、まずは国から総工事費や工期などの説明を受けることが協力要請を検討する前提となるとしまして、また、総工事費や工期だけでなく、都が整備費の一部を負担する理由についても、国から伺った上で都議会でも議論していただきたいと考えていると大臣に伝えました。
これに対しまして、大臣からは、現在、整備内容の見直しを行っており、予定どおり二〇一九年春に完成させ、ラグビーワールドカップに間に合わせるため、開閉式の屋根については二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会後に設置し、また、観客席についても、可動席を仮設化してコストダウンを図ることなどを検討しているという趣旨の説明がございました。
したがいまして、現時点におきましては、文部科学大臣から知事に対しまして、新国立競技場の整備について、費用の一部負担要請がございましたが、都といたしましては、競技場の整備に係るトータルの整備費や整備スケジュールなどの基本的な情報提供を受けていく段階にあると認識しております。開閉式屋根の後づけや可動席の仮設化なども、当然ながら、面会当日初めて伺った情報でございます。
こうした整備内容、工期に係る情報や、都が費用の一部を負担する理由などについても、今後、国から都に説明いただけるものと考えておりまして、それを踏まえた上で、都としての対応を検討する予定でございます。このことにつきましては、改めて議会にご報告していく所存でございます。
以上でございます。
○高島委員長 発言は終わりました。
本件につきましては、先ほどの理事会において、後日改めて報告事項の聴取を行うことを確認しておりますので、ご報告を申し上げます。
○高島委員長 次に、報告事項、平成二十七年度における競技会場等整備の予定について及び二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案についてに対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行いたいと思います。
発言を願います。
○秋田委員 私からは、前回の当委員会で報告されたオリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価について何点か伺いたいと思います。
オリンピック・パラリンピックのような大規模イベントやそれに伴う施設整備を行うに際しては、その影響を適切に予測し、評価することはとても重要なことだと思います。
東京都は、二〇二〇年大会に向けて、有明アリーナ、オリンピックアクアティクスセンターなどの大規模スポーツ施設を整備していくわけでございますが、適正な手続に沿ってアセスメントを行うことが円滑に事業を進めていく上で極めて有用だと思います。
当委員会でも、このアセスメントの目的や意義、手続、通常の環境アセスメントとの違いなどについて、正しい理解に立った建設的な議論を行うべきだと考えます。
そこでまず、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価の概要について改めて伺います。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 オリンピック・パラリンピック環境影響評価は、環境に配慮した大会を実現するため、法や条例に基づく環境影響評価とは別に、東京都が開催都市として、大会全体を見据えて任意で自主的に行うものでございます。そのため、条例に基づく環境影響評価とは異なり、都が新規に整備する施設だけではなく、国や民間が整備する施設や既存施設、組織委員会が整備する仮設施設についても実施するほか、競技運営や全体計画についても予測、評価の対象としております。
また、評価項目は、環境面だけでなく、土地利用、文化活動、経済波及などの社会経済に関する項目も設定するなど、二〇二〇年東京大会の開催の影響を包括的に評価する環境影響評価となっております。
オリンピック・パラリンピックに係る環境影響評価は、立候補ファイル作成時に実施した初期段階環境影響評価、東京での大会開催決定を受けて、よりきめ細かい環境影響評価を行う今回の実施段階環境影響評価、その予測、評価に対する追跡調査であるフォローアップの三段階で実施するものでございます。
○秋田委員 このアセスは、開催都市として任意で自主的に行うものということだと思います。大会に伴う影響を評価するため、法や条例などで義務づけられていないものまでも対象として取り組んでいることは大変評価していいのだと思います。
ただ、仮に任意の取り組みであったとしても、予測や評価は適正に行われる必要があるのだと思います。どのような実施手順で行われるのか伺います。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 実施段階環境影響評価及びフォローアップの実施に際しましては、法や条例の環境影響評価制度を踏まえた二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック環境アセスメント指針を環境局において新たに設計しており、その中で基本的な手続、評価項目の選定、対策効果の評価方法等が定められております。
また、指針では、学識経験者など専門家で構成される第三者機関としての評価委員会を設置し、専門的な見地から客観的な検討を行い、その意見具申を踏まえて環境局長が審査することとしております。
今回ご報告いたしました三施設の予測、評価と評価書案の作成及び公表は、この指針に基づいて実施しており、五月九日まで評価書案に対する都民意見を募集したところでございます。都民意見は、環境影響評価全般に関するもののほか、緑、騒音・振動、景観などの項目につきまして、三施設で計九件のご意見をいただいております。
今後、いただいた都民意見についての意見見解書を作成、公表した後、評価委員会での評価書案の審議を経て、環境局長による審査意見書を反映させた評価書の作成及び公表などを進めてまいります。
○秋田委員 今のお話を伺うと、第三者機関である評価委員会での議論や都民意見の募集など、きちんとした手続を経て客観的な評価が行われる、そういうことがわかったのだと思います。よりよい施設整備に向けて引き続き取り組んでいただきたい、そう思っております。
この際、今後の手続について、もう一つ伺っておかなければなりません。
今回の評価書案で取り上げているオリンピックスタジアム、すなわち新国立競技場については、先ほど報告があったように、その建設をめぐり文部科学省が計画を見直すとされています。
具体的には、開閉式屋根の設置工事を大会の後に先送りし、予定していたスタンドの一部を仮設に変更する、こういうことであったわけでございますが、これらの変更は、現在実施している実施段階環境影響評価にどのような影響を及ぼすのか、環境アセスメントはやり直すことになるのか伺いたいと思います。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 オリンピック・パラリンピック環境アセスメント指針には、環境影響評価開始後に会場の計画や整備内容等の変更が生じた場合の手続が定められております。それによりますと、会場等の変更による実施段階アセス図書のやり直しは行わず、次の実施段階アセス図書またはフォローアップ図書への反映をもって変更とみなすことができるとされております。
新国立競技場の環境影響評価につきましては、今後、変更があった場合には、その内容等を見きわめながら、指針を踏まえて適切に進めてまいります。
○秋田委員 環境アセスメントの手続は、いずれにせよ長期にわたるものですから、その間に対象施設などに想定外のことが起こり得るということは十分あるのだと思います。指針はそうした事態も想定してつくられているということがわかりました。今回の新国立競技場の変更についても、しっかりと確実に進めていただきたいと思います。
それでは、次の質問として、今回実施しなかった施設などについては、今後どのようなスケジュールで進めていくのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 今回対象としなかった施設や、今回ご報告いたしました三施設の仮設工作物や、大会開催中にかかわる環境影響評価につきましては、今後、各施設の計画が具体化していくのに合わせ、順次実施してまいります。
今年度は、オリンピックアクアティクスセンターなど基本設計に取り組んでいる三施設につきまして、環境影響評価の手続を進めていく予定でございます。
今後も、大会終了の調査まで、計画や大会の進行に応じて適切な時期に実施してまいります。
○秋田委員 今回の環境アセスメントが明確な目的としっかりとした仕組みにより行われるということがよくわかりました。
実際に施設整備などを進めていく際には、都民の生活にさまざまな影響が発生してしまうということが結果としてあり得るのだと思います。環境アセスメントを通じた環境などへの配慮はどのように行われるのか、また、この環境アセスメントがどのように実際の大会に生かされていくのか伺います。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 オリンピック・パラリンピック環境影響評価は、緑などの自然環境だけでなく、広く社会経済を含めた大会開催の影響を総合的に検討するものでございまして、施設整備や運営への適切な対策の反映や、大会を契機とした将来の東京の持続可能性の向上につながるものと考えております。通常の環境影響評価同様、環境または社会経済への著しいマイナス影響があると判断した場合には、それを極力回避、抑制するための適切な対策を検討してまいります。
加えて、オリンピック・パラリンピック環境影響評価においては、マイナスの影響だけではなく、大会開催に伴うプラスの影響につきましても検討を行うなど、都民生活への影響を総合的に捉え、対応していくものでございます。
○秋田委員 今伺ったオリンピック・パラリンピック環境アセスメントを行うことで、各施設が確実に整備され、何よりも都民生活が豊かとなる契機となることを都民の一人として心から期待しております。
オリンピック・パラリンピック大会の開催は、施設整備や運営により、環境などに対して、それこそ本当に小さなものからとても大きなものまで、そういった何らかの影響や改変をもたらすことは避けられないのだと思います。そうした変化に伴って多くの課題や懸念が発生することも今後あるのだと思います。
重要なのは、これらの変化を、有形無形を含めて、結果として東京によい変化をもたらすチャンスとして捉え、取り組んでいくという姿勢なのだと思います。そのために、環境との調和はもちろん、社会経済的な側面を総合的に勘案し、価値ある変化となるよう、今後もしっかりと準備を進めていただくよう要望して、私の質問を終わります。
○小林委員 私からは、六点お伺いさせていただきます。
初めに、競技会場等整備の予定について、セーリング会場として予定されている若洲ヨット訓練所ですが、四月十日の本委員会で、競技海域について関係者と調整中、あわせて代替会場となる既存施設について今後調査検討していくとの報告がございましたが、競技海域の問題として航空管制上の問題があるとの指摘がありましたが、その後、若洲ヨット訓練所の航空管制上の問題への対応と現在の進捗状況について、まずお伺いします。
○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 セーリング競技につきましては、広い海域で行う競技の特性から、ヘリコプターを利用した空撮による映像配信が行われております。
一方、競技海域を想定している東京湾上空の一部は羽田空港の管制空域にございまして、ヘリコプター等の飛行に一定の制約があることから、競技海域における空撮に関しまして、国内及び国際競技団体やオリンピック放送機構、国土交通省などと協議しております。現在の協議状況といたしましては、依然として非常に厳しい状況にございます。
このため、航空管制等の調整と並行いたしまして、組織委員会、競技団体とともに、代替会場となる既存施設につきましても検討を進めているところでございます。
○小林委員 依然として厳しい状況とのことで、代替会場も検討されているかと思いますが、既に代替会場となる候補地も幾つか散見されておりまして、いずれにしても、来月予定されているIOC理事会までには一定の結論を出さねばならないと思います。
前回の本委員会での質疑においても、我が党の橘理事より、セーリング会場は二転三転している、迅速に対応しないといろんな憶測が流れたり、また混乱が生じる可能性があると指摘をしております。
見通しが甘かったのではないかとの批判も大きくなりかねない状況でもあるかと思いますので、関係者や都民に理解を得られる対応をくれぐれもよろしくお願いしたいと思います。
次に、IBC、国際放送センターとMPC、メーンプレスセンターとして使用する東京ビッグサイトについてですが、前回の本委員会で、五月まで増築基本設計を行うとの報告でした。
東京ビッグサイトの拡張は産業労働局が所管する事業でありますが、現在の進捗状況と今後の予定について確認をさせていただきます。
○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 東京ビッグサイトの拡張につきましては、現在の西展示棟南側にある屋外展示場を増築場所とする計画でございまして、平成二十七年五月までを工期として基本設計を行っております。
基本設計におきましては、拡張する施設の構造や仕様、設備等の詳細を検討しておりまして、その面積は二万平方メートル程度としております。
今後は、速やかに実施設計に着手し、平成二十八年度中に設計を完了させた上で、平成三十一年十二月までに整備を完了する予定でございます。
○小林委員 次に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案のオリンピックスタジアムについて確認をさせていただきます。
環境影響要因は、東京大会の開催前、開催中、開催後という区分を設け、それぞれの環境影響要因が設定されておりますが、現時点で建築物などの形態や形状が未定のものや、大会の運営について具体的な計画が未定であることから、このたびの評価書案では、大会開催前と開催後の恒設施設における環境影響要因が対象とされています。全部で二十五項目について評価されておりますが、そのうちの三項目についてお伺いいたします。
初めに、項目の九番目の景観についてですが、評価の結論において、計画建築物の建物外周部は、大きな壁面構成を避け、フレームによる構成とするなど、通りを歩く人や周辺のまち並みに配慮した計画としている、また、明治神宮外苑の緑の一部として、外苑の植栽計画の考え方を継承し、都市に開かれた緑を形成する計画であり、周辺地域の景観と調和すると考えると指摘されております。
この中で特に、都市に開かれた緑を形成する計画という点は重要であると私は思いますが、外苑の植栽計画の考え方を継承しとありますが、そもそも外苑の植栽計画の考え方とはどのようなものなのかお伺いします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 明治神宮外苑は、現在まで歴史的経緯の中で、周辺の明治神宮、新宿御苑、赤坂御所や青山霊園等の緑地とともに、都市内の大規模緑地を構成しております。その植栽は、日本の在来種を中心とし、落葉広葉樹や常緑広葉樹等の樹林群となってございます。
新国立競技場の植栽計画は、外苑等のこれらの特徴を継承し、景観的にも生態的にも周辺環境と調和する計画となっております。
○小林委員 今ご答弁のありました植栽計画の考え方にも関連するかと思いますが、項目の十一番目の歩行者空間の快適性についてでございますが、これも評価の結論における緑の程度については、公共交通機関から計画地への主要なアクセス経路では、一部の経路を除き、既に歩道上の街路樹や沿道の樹木により緑陰が形成されており、将来的な緑の程度は現況と同等と考える、以上のことから、現況の緑量は維持されると考えられ、評価の指標は満足するものと考えるとされております。
さきのご答弁にもありましたが、明治神宮外苑地域は、歴史の流れの中で東京でも有数の大規模な緑地が形成されており、オリンピックスタジアムの建設に当たって、この貴重な緑が破壊されることのないよう配慮をしていくことはいうまでもないと思います。
今後の周辺地域の整備の中で、現状の緑を維持していくことを目的としていくのか、または、さらに緑をふやしていく取り組みをしていくのかは、今後の計画において別の形で議論されることと思いますが、都としてオリンピックスタジアム計画地の現況の緑の量をどのように評価されているかお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 今回の環境影響評価では、歩行者空間の快適性のうち、緑の程度につきましては、公共交通機関から計画地への主要なアクセスルートにおきまして、街路樹の緑陰及び道路に隣接する敷地際の緑化並びに壁面緑化の状況を確認するものでございます。
会場周辺及び最寄りの交通機関の駅からのアクセスルートにつきましては、一部経路を除き、既に歩道上の街路樹や沿道の樹木により緑陰が形成されており、将来的にも現況の緑が確保されるものと考えております。
○小林委員 次に、項目の十二番目の史跡・文化財についてですが、国立霞ヶ丘競技場の一九六四年東京オリンピックのレガシーである記念作品などは、再設置を含む利活用の検討を行うことから、評価の指標を満足するものと考えると記されております。
そこで、一九六四年大会の記念作品にはどのようなものがあるのか、改めて確認をさせていただき、これらの記念作品について、再設置を含む利活用をどのような方向性で検討するのかお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 六四年大会の記念作品等には、塑像、彫像、記念碑、壁画等がございます。これらの記念作品は、平成二十六年七月一日の日本スポーツ振興センターの公表資料によりますと、聖火台、槍投げ像といった塑像や彫像、勝利の女神像といった壁画、出陣学徒の碑など全二十五点でございます。
記念作品の再設置を含む利活用の方向性につきましては、所有者である日本スポーツ振興センターが今後検討することとしております。
○小林委員 最後に、埋蔵文化財包蔵地の改変の程度という点についてですが、工事中に新たな埋蔵文化財が確認された場合には、都教育委員会、区教育委員会へ遅滞なく報告し、文化財保護法に基づき適切に対処するとされております。
文化財保護法第九十六条には、遺跡と認められるものを発見したときには、文化庁長官に届け出なければならない、さらに、届け出た遺跡が重要なものであり、かつ、その保護のため調査を行う必要があると認めるときは、その土地の所有者または占有者に対し、期間及び区域を定めて、その現状を変更することとなるような行為の停止または禁止を命ずることができる、ただし、その期間は三月を超えることができないと規定されております。
今月八日には、港区内のオフィス街の一角にある建設現場で大量の人骨が見つかり、その後、江戸時代初期のものと思われる木棺や副葬品も出土し、港区教育委員会が調査を進めております。これは仮定の話になりますが、もし、このオリンピックスタジアム工事中に非常に重要な埋蔵文化財が新たに確認された場合は、工事を停止することも想定した検討がなされているのか、また、文化財保護法に基づき適切に対処するとありますが、適切とは具体的にどのような対処なのかを最後にお伺いしたいと思います。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 着工後に埋蔵文化財が確認されたことにより工事が中断することのないよう、あらかじめ計画地内の文化財が含まれるとされる埋蔵文化財包蔵地につきまして、文化財保護法に基づき、区教育委員会と協議の上、発掘調査等を行っております。計画地内で新たな埋蔵文化財が確認された場合も、同様に、教育委員会に対して遅滞なく報告を行ってまいります。
文化財保護法に基づく対応は、例えば新宿区では、新宿区埋蔵文化財取扱要綱にのっとり、教育委員会に遅滞なく報告することで、教育委員会より、試掘調査の実施や、それについての指導、助言等を受けながら確認、保管等を行ってまいります。
計画地においては、日本スポーツ振興センターが平成二十四年から試掘を開始し、現在も引き続き発掘調査を実施中と聞いてございます。
○畔上委員 既にIOCの理事会において報告し、了承を得た競技会場であっても、後利用を十分に検討して整備をすることと環境に配慮することを貫くこと、また、あわせて、現時点での都の負担が立候補ファイル時の都の負担見積もりよりも千二百四十九億円も既にふえており、アスリートの競技環境を保障しながらも必要最小限の経費に抑えるために、必要な見直しは積極的に進めていくことが求められていると考えております。そうした立場から質問を行いたいと思います。
第一に、新国立競技場の環境影響評価書案についてでございます。
いうまでもなく新国立競技場整備の場所は、都で最初の風致地区であって、都内でも貴重な緑と自然のあふれる地域でありまして、その景観や環境に配慮すべきところであります。
この環境影響評価は、先ほど任意の取り組みというご答弁がありましたが、IOCの要求に基づき実施されたもので、大会を契機とした東京の持続可能性の向上に資することを目的にしているということであります。
そういう点では、環境影響評価制度のチェック機能をフルに生かせるのかどうか、そして東京の持続可能性の向上に資する手だてを講じられるかどうか、そのことが今、本当に大きく問われているのではないかというふうに思っております。
先ほど、五月九日までに提出された都民の意見、このご答弁がございましたが、これを受けて今後、意見見解書が提出されることになるわけですが、この意見見解書はいつ提出されるのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 五月九日まで都民意見を募集した結果、計九件の意見をいただいてございます。
現在、いただいたご意見の精査をしているところでございまして、見解をまとめて報告していきたいと考えてございます。
○畔上委員 ということは、具体的にまだ未定だということですね。
そもそも、意見見解書が提出される前に国立競技場の解体工事が実施され、樹木の伐採も始まってしまっています。先ほど東京都の環境影響評価条例に準じてアセス制度のチェック機能を活用し、大会開催に伴う環境影響の回避、そして最小化、代償を行うのだというお話がありましたが、その意見見解書が提出される前にどんどん工事を進めるということであったら、一体何のためのアセスなのか。憤りさえ感じたのは私だけではなかったと思います。
具体的に伺っていきたいと思うのですが、調査計画書に対する環境局長の意見の中で、新国立競技場にかかわる部分について、どのような意見が出されていたのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 今回ご審議いただいている実施段階環境影響評価書案は、平成二十六年三月に策定した実施段階環境影響評価調査計画書に基づき作成、実施しております。
環境影響評価の手続としまして、調査計画書に対し環境局長から審査意見書を出すことになっております。
調査計画書に対し環境局長からは、日影及び景観については、施工計画が明らかになった段階で新たな調査地点の追加を検討し、予測、評価をするという意見が出されております。
また、緑については、計画地周辺の歴史的な経緯や風致地区であることに鑑み、緑の保全、保護について最大限の配慮をすること等の意見が出されております。
○畔上委員 それで、先ほどのご答弁の中に、現状の緑は確保するんだというご答弁があったわけですけれども、実施段階の環境アセス指針によりますと、調査内容は緑化面積だけではなく、緑被率、緑の体積なども調査することになっておりますが、解体前の樹木の本数、緑の面積、それから緑の体積に比べて、新しい会場計画でどう変わるのでしょうか、伺います。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 環境影響評価書案におきましては、評価の指標を緑化面積としてございます。
緑化面積につきましては、新宿区みどりの条例に基づき日本スポーツ振興センターから提出された緑化計画書において適正に審査した結果、現況と同程度の基準を満たした面積が確保されております。
○畔上委員 その評価書案なのですけれども、これを読みますと、解体前の緑の面積は二万四千八百平米、緑の体積は二十六万六千九百立方、樹木の本数は書いていなかったのですけれども、調べたら千七百六十七本と。新国立の整備によって、緑の面積は約二万五千平米、同程度ですよということです。
一方、整備後の体積については記載がありません。今も、報告の中で面積のご報告だけでした。
樹木の本数の変化とか緑の体積の変化、これがどのように変わるのか、そういうことは調べていないということなのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 今回の環境影響評価書案では、緑化の面積で評価をすることとしております。
○畔上委員 先ほどご答弁のあった環境局長の調査計画書に対する意見の中には、緑の保全や保護について最大限の配慮だと。しかも、この局長の意見の最後の方には、丁寧な調査を行うべきだ、こういうふうに求めている。単純に緑化面積だけで評価していいという、このアセスの評価項目そのものが問題だということを私は指摘せざる得ないわけです。
しかも、重大なのは、予測、評価の中では、事業の実施に伴い植栽の樹林群の多くが消失する、こういうふうに書いてあるのに、今ある植栽の変化の具体的な見通しが示されていない中で、既に樹木の伐採が行われているということであります。次代に歴史的な事実を伝えて平和を祈念するために植樹されました記念樹であります学徒出陣の同期の櫻も、それから萬朶の櫻も伐採されると。
そして、風致地区の手続について私も改めて調べてみたわけですけれども、風致地区における樹木の伐採については、伐採する場所の管理者が伐採後の緑化計画書を自治体に許可申請して、その許可がおりてから伐採するというふうになっているわけです。
日本スポーツ振興センターから、いつ、どのような緑化計画書が提出されているのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 日本スポーツ振興センターでは、新宿区みどりの条例に基づく緑化基準を満たす計画を作成し、平成二十六年度に新宿区へ提出しております。
○畔上委員 ご答弁が非常に抽象的なのですけれども、私は新宿区にも確認しました。そうしましたら、ことしの二月二十日付で提出をし、先月の四月七日付で認定しているということでありました。これは、風致地区の許可権限が昨年度から区に変わったから、新宿区に提出したということですね。
では、東京都の建設局が木竹の伐採の風致地区許可を出したのはいつなのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 木竹の伐採につきましては、東京都風致地区条例に基づき、東京都から日本スポーツ振興センターに対し、平成二十五年度に許可を出しております。
○畔上委員 東京都がちゃんと受け付けているわけですから、具体的な日にちをいっていただきたいのですけれども、これは、二十五年十二月二十七日と二十六年三月二十六日と。
つまり東京都は、日本スポーツ振興センターが緑化計画を提出する前に許可を出していると。しかも、何本の許可を出しているのか調べてみたら、千七百六十四本だったと。
都は、緑化計画の提出なしに、一体どうやって木竹の伐採許可を出したのか、どうも私は納得いかないというふうに思いましたので、調べてみたら、東京都が、緑化計画を添付できないのでJSCに誓約書を添付させることでこれにかえるということで、先ほどご答弁のあった二十五年度、二十五年十二月二十七日に許可対応しているわけです。
そもそも風致地区の木竹の伐採許可のための緑化計画、整備計画を提出しなければならないものを、誓約書でよしとして事を進めたということであります。
しかも、調べてみましたら、新宿区に出している緑化計画というのは、A4判で四十七ページ、A3判で三十五ページとかなり厚いものなのですね。
ところが、誓約書はA4判のたった一枚きりと。しかも、内容も、緑化率は二〇%以上になるよう植栽しますという項目もあるのですが、これは風致地区に限らず、この種の建築行為では当たり前のことなわけです。
公園は地表面で可能な限りの面積を確保するよう取り組みます、公園内の樹木は可能な限り移植を行いますと、つまり、できる範囲で頑張りますよという誓約書なんですね。非常に抽象的なもので、まさに緑化計画に準ずるものとはとてもいいがたい中身です。
私はこの間、何度か国立競技場を視察してきましたが、予定地の解体工事が進行中で、現国立競技場は既に更地となっております。区道沿いの明治公園の樹木の一部は伐採される前の段階でしたが、明治公園の四季の庭の樹木などはほとんど伐採されています。
まだ伐採されていない樹木などを見てみますと、大きく育った木も大変多くて、樹齢六十年、七十年という木があるわけですね。その木のうちには、四メートルほどの根が張っているだろうという樹木が幾つもあるわけです。その樹木が今も生き生きと新緑の葉を出して自然の恵みを与えてくれているわけです。こうした立派な木々を早々と、しかも、誓約書という、手続を簡略化して伐採してしまっていると。
しかも、実施段階の環境影響評価書案によりますと、実施段階アセスの植生などの調査を行ったのが二〇一四年、昨年の六月十二、十三日なんですね。評価書案の発表がことしの三月二十日ですから、評価書案の発表どころか、調査も行われないうちから樹木を伐採することを東京都は許可してしまっているのですよ。
こんな進め方で会場整備が行われるとなったら、一体、実施段階のアセスは何のために行うのか、そういわざるを得ないし、これで本当に環境に優しい、そういう配慮をしたオリンピックといえるのでしょうか。私は、環境優先のオリンピックという精神に反するものだというふうに思うんです。
かなり切ってしまったのですけれども、まだ残っている木もあるんです。私は、これからでも、できる限り、この樹木を生かす取り組みをぜひとも進めていただきたいという立場で伺いたいと思うのですが、例えば評価書案の予測では、人工地盤に低木や地被類植栽をしたり、また壁面緑化を行って、それで、先ほど同等のというお話があったけれども、約二万五千平米なんですね。その緑地を確保しているのですよ。
やっぱり低木と高木の緑の体積というのは全く違うわけです。生物の生息とか生育の基盤としても、また、緑陰、安らぎの場としてもかなり違いが生まれるというふうに考えます。
そういう点では、人工地盤の上に木を植えますよというふうに書いてありましたけれども、その大きさ、高さはどのぐらいまで大丈夫なのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 人工地盤上の植栽の高さにつきましては、その樹種や樹木を植栽する人工地盤の条件に左右されるため、一概に申し上げることはできません。
○畔上委員 一概にいえないというふうにおっしゃったのですが、評価書案を、改めて予測結果のところをよく見たのですけれども、そうしたら、低木や地被類、こういうふうに書いてあるんですね。それでも、低木であっても土壌の深さは四十五センチ以上必要だし、根腐れを起こさないように排水構造にする必要もあるわけです。
東京体育館のところに、もう既に人工地盤になっているところに植栽があったので、そこも調査してきましたが、水まきのホースを土の上にかなりたくさんはうように配置してありましたけれども、それでもやっぱり低木。中木といわれるような木も一本ぐらいありましたけれども、一・五メーターぐらいの木なわけなのですね。
低木だと、先ほどからおっしゃっている緑の面積は確かに減らない。だけれども、気温を冷やすという効果で見たら、やっぱり体積は減って、その影響がすごくあると思うのですけれども、その辺はどう見ていらっしゃるのですか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 環境影響評価書案におきましては、評価の指標を緑化面積としており、現況と同程度の面積が確保されることから、評価の指標を満足するものと考えてございます。
また、計画区域内は、まとまった既存の緑と調和しながら、立体的にもつながるような植栽計画とされており、緑の連続性が確保されるものと考えてございます。
○畔上委員 本当に信じられないご答弁なのですが、樹齢六十年、七十年、二十メーター、三十メーターの本当にすばらしい大木、こういう大きな木を含めて二千本近くも生い茂っていた場所に対する環境影響評価を緑の面積だけで、それを満たしているからいいというのでは、やっぱり環境保全に対する都の姿勢が問われるのではないでしょうかね。
しかも、評価書案をよく読みますと、歩行者の快適性、先ほどのご答弁でもありましたけれども、緑陰のないところ、日陰のないところは、直射日光のもとでは三十二度、熱中症の危険レベルになると評価の結論では書いてありました。
今回の新国立競技場の計画に対して、日本学術会議環境学委員会都市と自然と環境分科会が、現行案を尊重しながらも、過大な設計を見直して、コストダウンを図って、爽やかな緑の風の中でおもてなしのできるクール・オリンピック二〇二〇というのを提案されています。そこには、やはり高木は熱環境を緩和するという研究結果も示されておりました。こうした案なども参考にしながら、やはり私は人工地盤を見直して緑の体積をふやす、そういう努力が必要なんじゃないかというふうに考えるわけです。
人工地盤を見直して緑の体積をふやすことを、東京都として、管理している日本スポーツ振興センターに指導すべきだと思いますが、いかがですか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 本影響評価書案におきましては、評価の指標を緑化面積としております。
また、明治神宮外苑は、現在まで歴史的経緯の中で、周辺の明治神宮などの大規模な緑地を構成してございます。その植栽は、日本の在来種を中心とした樹林群となってございます。
新国立競技場の植栽計画は、外苑等のこれらの特徴を継承し、景観的にも生態的にも周辺の環境と調和する計画となってございます。
なお、緑地面積につきましては、新宿区みどりの条例に基づき、緑化計画書が日本スポーツ振興センターから新宿区に提出され、適正に審査された結果、現況と同程度の基準を満たした面積が確保されております。
○畔上委員 都として環境に配慮した会場計画を求める覚悟、そういう構えが残念ながら感じられないご答弁だなというふうに思うのです。
それで伺いますけれども、樹木の移植計画はどうなっていますか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 樹木調査の結果に従い、移植に適合する樹木は極力場外で仮養生を行い、新国立競技場の緑化樹として活用する計画でございます。
○畔上委員 移植に適合ということなのですが、私も専門家の樹木医の先生に伺ったところ、大きな樹木を移植するには、本当に時間も、手間も、お金もかかるのだということでした。大きな樹木をもし移植するとしたら、根回しには三年かかるだろうというお話も聞いてきました。しかも、移植先に合わせて根回しの仕方も変わるということで、移植先を決めずに掘り出すことは本来あり得ないというお話も聞いてきました。
つまり、十メートル程度の移植しやすい木だけを選んで移植するという計画ではないのでしょうか。
現に、先ほどの樹木伐採許可で調べてみますと、敷地内の樹木が千七百六十七本あるわけですけれども、残す木はたった三本なんですね。残る木は三本しか残らない。
では、残りの千七百六十四本のうち、移植されるのは一体何本、どこに移植されるのか、伺いたいと思います。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 移植する樹木につきましては、事業主体である日本スポーツ振興センターで検討中でございます。
○畔上委員 日本スポーツ振興センターから、その検討結果ぐらいはちゃんと聞いてくださいよ。私もちゃんと新宿区に聞いてきましたけれども、移植は七十八本。そのようなことも答えられないというのは、やっぱり問題だと思うのですね。
そもそも明治公園に生えていた樹木というのは、建設局に伺ったところ、九百六十四本あったと。明治公園だけですね、公園内だけでも。大きく育った樹齢六十年、七十年という本当に立派な木を切って、細い苗木を移植すればいいのだということでは、私はやっぱり納得はできないのですね。
明治公園というのは、そもそも都立公園なわけです。樹木計画についても、きちんと東京都が責任を持ってつくっていくべきだということを申し上げておきたいと思います。
冒頭、局長から、新国立競技場の整備にかかわる問題についてのご発言もありました。都の一部負担はとんでもない話ですが、私たち日本共産党都議団といたしましても、知事と大臣の会談があって、その報道を受けてすぐにJSCと文科省に聞き取りに行ってきました。
そうしたら、現在、実施設計の中で、二〇一九年春の竣工を着実にできるよう、整備計画の縮小など、さらに見直しも行っているというお話をしていました。
工期に間に合わせるためと環境、周辺との調和、後利用のあり方などを考えたら、このまま小手先の手直しで進めることは、本当に後世にまで大きな禍根を残しかねない。早急に建設計画の現実的な見直しこそすべきであって、都としてもやっぱりそのことを強く求めていただきたいと思いますし、それこそが本当に実施段階のアセスを行うことの意義を生かすことになるのではないかというふうに思います。そのことを申し上げておきたいと思います。
次に、海の森水上競技場整備についてです。
この整備はお金がかかり過ぎる、それから、アスリートファーストから見て課題があるということから、私は以前の委員会の中で、仮設で彩湖を提案したわけですけれども、海の森でIOCも承認という説明を先日受けたわけです。
情報公開請求をしてこの間の経過を見てみますと、IOCが既存施設で使えるところはないのかという指摘をしていることがうかがえましたが、なぜIOCはそうした指摘をされていたのでしょうか。
○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 昨年十二月のIOC総会におきまして採択されましたオリンピックアジェンダ二〇二〇では、持続可能性や長期的なレガシーの視点から、既存施設の最大限の活用や仮設会場の活用を積極的に推進する方向性が強く打ち出されたところでございます。IOCは、アジェンダ二〇二〇の精神にのっとり、既存施設の活用を幅広く検討することを要請したものと考えております。
都と組織委員会は、昨年六月以降、日本ボート協会認定の国際大会が可能なA級コースや、近隣県の比較的大きな湖などを抽出いたしまして、これら全てにおいてあらゆる観点から幅広い検討を行った結果、代替施設は存在しないとの結論に至り、海の森水上競技場をボート、カヌースプリントの会場とすることにつきまして、二月のIOC理事会において報告し、了承を得たところでございます。
○畔上委員 開示請求した会議録を読んでみますと、とりわけコストが大きな課題だ、認識だということがわかったのです。例えば二〇一四年十一月十四日の国際ボート連盟などとの会談の中で、都は、海の森のかなりのコストダウンプランを提示しなければ、IOCは納得しないのではと考えていると説明し、国際ボート連盟からも、IOCはコストがかかり過ぎるといっているという指摘もありました。
しかも、その総経費の八割が地盤改良工事費だということも、情報公開請求してわかりました。つまり、約五百億の八割、約四百億もかけて地盤改良しなければならない地盤だということであります。水門や風を避ける構造物などもお金がかかると聞いていましたが、一番かかっているのがこの地盤改良だということです。
今年度の予算では既に四十六億六千万をつけているわけですけれども、この予算の内容はどういうものなのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 現在、基本設計を進めており、完成後は、実施設計と工事を設計施工一括発注方式等により発注する予定でございます。
今年度はこれらに必要な予算を計上してございます。
○畔上委員 私は四十六億六千万の中身を知りたいんですけれども、それは答えられないのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 基本設計の本年度分一億九千八百万円、設計施工一括発注分三十五億一千万円、その他調査費九億五千六百万円でございます。
○畔上委員 最初から答えてください。
現段階で四百九十一億円、この総額変更はないのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 現在のところ、特段の変更要素はございません。
○畔上委員 つまり、四百九十一億円は現段階でもかかると。そこまでして費用をかけて、後利用があるのかということを私は非常に心配しております。
どのような後利用を考えていらっしゃるのでしょうか。
○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 大会後の海の森水上競技場は、国際大会が開催可能なボート、カヌー会場であるとともに、隣接する海の森公園と連携したレクリエーションの場、新たなスポーツ体験の場、環境関連施設等と連携した青少年の教育の場とするなど、多目的に活用していくことを想定しております。
○畔上委員 アドバイザリー会議の議事録を読みますと、後利用しやすいように、レジャー施設のように宿泊施設とか食事をしたりする施設など、人を呼べるもの、こういうものを整備すべきなどの意見がありましたが、そのための地盤改良とか施設整備に一体幾らかかるというふうに見積もっていらっしゃるのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 都は、アドバイザリー会議を設置し、競技団体や地元自治体などから幅広く意見を伺ってまいりました。これらを参考にしながら、現在、後利用の検討を進めております。現段階では、後利用のための新たな地盤改良などの大規模な工事は見込んでおりません。
○畔上委員 現段階ではということなのですけれども、例えば先ほどいわれたような宿泊施設、ホテルをつくる場合は、地盤改良というのは新たに必要になるのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 現段階では、そのような大規模な地盤改良工事が必要なものは見込んでございません。
○畔上委員 そうしますと、現段階での維持費はどう見積もっていますか。
○小室オリンピック・パラリンピック準備局施設調整担当部長 維持管理費につきましては、今後、施設の整備スケジュールに合わせ、基本設計等の内容を踏まえて具体的に検討してまいります。
○畔上委員 後利用の維持費はこれからだと。後利用の見通しもなく恒久施設をつくるのは税金の無駄遣いだとの批判は免れないと思いますし、また、オリンピックアジェンダ二〇二〇の持続可能性や長期的なレガシーの提言からも問題ではないでしょうか。
やはり他会場の仮設も含めて検討すべきではないのでしょうか、伺います。
○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 先ほどもご答弁させていただきましたとおり、海の森水上競技場につきましては、昨年の六月以降、さまざまな課題について徹底的に調査分析、比較検証を行ってまいりました。その結果、海の森水上競技場をボート、カヌースプリントの会場とすることについて、二月のIOC理事会において報告し、了承を得たところでございます。
なお、この件は、過去の当委員会でもご報告をさせていただき、また、海の森水上競技場を含む平成二十七年度当局予算につきましては、都議会第一回定例会の中で審議され、成立したものと認識しているところでございます。
○畔上委員 しかし、必要な見直しが明らかになったときには、やっぱり見直しをしていくというのが私は大事だと思うんです。もちろん競技団体の方々の合意などが必要なことは当然なのですが、都民の税金を約五百億円も投入してボート、カヌー会場をつくり--先ほど徹底的に調査分析したというふうにおっしゃっていたけれども、徹底的に調査分析したのに、その後の維持管理費も明らかにできない。維持費も含めて莫大な費用負担がかかるようになってしまったら、では、一体誰が責任をとるのですか。
IOCが他都市や他国でもというふうにいって、アジェンダ二〇二〇を本当に貫こうというときに、IOCがそういう姿勢を示しているときに、やっぱり東京都がそういう姿勢でいいのかということが私は問われているのではないかというふうに思うのです。
都民や国民の合意が本当に得られるように、やはり見直すべきものは見直す、そのことをしっかりと求めておきたいと思います。そのことを求めて私の質問を終わりたいと思います。
○小山委員 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価についてお伺いいたします。
二〇二〇年東京大会は、大会開催時や開催後の二〇二〇年以降に、スポーツはもちろんのこと、都市の発展や地域の環境、教育などのさまざまな分野においてレガシーを残す大会としなければならないと考えております。
また、整備される施設については、地域の発展やまちづくり、さらには、施設とその周辺の地域の持続可能性をしっかり図っていくことが極めて重要であります。
そこで、私からは、重複する点を省きまして、本評価書案の武蔵野の森総合スポーツ施設についてお伺いさせていただきたいと思います。
多摩地域のスポーツ推進拠点であります武蔵野の森総合スポーツ施設が、吉野和男東京都市長会会長時代からの長年にわたる東京都との協議のもと整備されまして、二〇二〇年の東京大会において競技が実施されることとなったことを改めて評価したいと思います。
また、多摩地域の拠点施設として、多くの都民が運動やスポーツを行い、そして健康増進に寄与する施設となることを大いに期待したいというふうに思っています。
改めて申し上げるまでもなく、この武蔵野の森総合スポーツ施設は、府中市と調布市、三鷹市にまたがる地域に整備されます。計画地は、この評価書案の二八ページにもございますように、調布飛行場跡地の一角をなしまして、周辺には緑豊かな武蔵野の森公園、さらには東京スタジアムを初めとするスポーツ施設や、特に多いのが社会福祉施設、養護学校、大学、警察大学、そして総合病院や調布飛行場等がありまして、南側には、国道二〇号、甲州街道を隔てて住宅地が広がっております。
そこで、このメーンアリーナ棟やサブアリーナ・プール棟の建築物ができることで、周辺地域にどのような影響がもたらされることになるのか、まずお伺いしたいと思います。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 計画建築物が環境に及ぼす影響について、今回の評価書案で予測、評価した主なものといたしましては、日影、景観、土地利用などの項目がございます。
日影につきましては、隣接する日影規制地域に対して規制時間を上回る日陰は生じないと考えられます。
景観については、敷地境界に向けて建築物の高さを徐々に低くするとともに、セットバックや樹木の配置をすることで、計画地北側の福祉施設への圧迫感の低減に配慮するものとなってございます。
土地利用については、二〇二〇年東京大会が契機となり、本施設は、隣接する味の素スタジアムとともに、武蔵野の森地区のスポーツやイベントを通じた文化交流拠点としての機能がより一層促進するものと考えられます。
○小山委員 ただいまご答弁をいただきましたように、さまざまな観点から環境影響評価が図られたということでございますが、まずその中で、周辺施設の生物、生態系への影響及び緑化についてお伺いさせていただきたいと思います。
本計画地は、もともと北側部分に植えられておりました日本古来のソメイヨシノの並木でありますとか、あるいは甲州街道、国道二〇号沿いのイチョウの木々、まさしく秋の紅葉などにも--桜の季節、紅葉の時期、それぞれ都民が広く集っておりまして、憩いの空間となっておりました。
植栽の計画、緑化計画自身も評価書案の中に載っておりますけれども、先般のロンドン・オリンピック大会後の競技会場施設の調査の中でも、ロンドン・オリンピック・パラリンピックが開催されたその施設が、その後、周辺に大変緑化が図られておりまして、すばらしい造形美がございました。このように、私も、今回の各施設整備においては、この緑化というものを大いに図っていくべきだというふうに考えております。
また、評価書案の中にも載っておりますけれども、計画の中で、隣接いたしております西競技場敷地も含めて、合計で約一万二千三百平米の緑化を図っていかれるという計画となっております。
そこで、武蔵野の森総合スポーツ施設、そして周辺についてでもございますが、これは現在の神宮外苑のように、日本の在来種を中心として、周辺と調和した植栽で緑豊かなスポーツエリアとしていくべきと考えておりますが、見解をお伺いしたいと思います。
○三浦オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ施設担当部長 緑化につきましては、地域住民の要望も取り入れ、既存樹木を活用するなど周辺との調和を図り、多くの都民が憩い集う場を創出する計画としております。
具体的には、平成二十四年に完成した西競技場に隣接するみどりの広場におきまして、従来からあった桜など約三十本をそのまま生かすほか、新たにコナラやヤマザクラなど約九十本を植え、既に大半となる約九千四百平方メートルにつきまして、緑豊かな空間として整備したところでございます。
今後は、残りの約二千九百平方メートルにつきまして、ペデストリアンデッキ上の緑化やサブアリーナの屋上緑化を整備するなど、環境面にも配慮しつつ、周辺と調和した緑化を進めてまいります。
○小山委員 ただいま緑化計画については伺いましたけれども、周辺には都立公園もございます。そういったものと連帯するような施設整備をぜひお願いしておきたいというふうに思います。
次に、周辺環境の変化に対応する対策についてお伺いしておきたいと思います。
特に、評価書案の中にも載っておりますが、発生集中交通量及び自動車動線計画ということでございますが、実は、環境影響評価後に決定されたことでありますが、国有地の売却がございました。
影響評価書案の二九ページに、計画地周辺の航空写真ということで載っておりますが、武蔵野の森総合スポーツ施設は、赤の点線で計画地というふうに記載がされております。この計画地の東側の道路、スタジアム通り、主要市道三二号というのですが、この道路を北側にずっと上ったところで、都道一一〇号府中三鷹線、人見街道と交差するその西側の、今ちょうど林のような木々に覆われている国有地なのでありますが、ここに、実は大規模な商業施設が整備されることとなりました。これは、イトーヨーカ堂、アリオという専門店街を中心とする大規模商業施設がここに整備されることとなったわけでありますけれども、この決定が、実はこの影響評価後のことでございます。
特にこの中でも交通量については、今の段階においては、確かに発生集中交通量が小型車は日に二百十六台、大型車は日に八百五十八台、合計で千七十四台ということで、それほどの交通量をもたらさないということで評価されております。
ただ、武蔵野の森総合スポーツ施設周辺にこういう大型商業施設ができるということを考えれば、改めてこういう大きな環境変化についても十分対応しなければならないのだと、このように思っております。
特にこの大型商業施設は、二〇二〇年四月に竣工となりまして、まさにオリンピック・パラリンピック開催の前にここが完成されるということになります。武蔵野の森総合スポーツ施設の建設工事期間はもちろんでありますが、整備後の周辺環境が大きく変わるということが想定されております。
そこでお伺いしておきたいのですが、オリンピック・パラリンピック準備局は、都の関係局や近隣各市と協力しまして、この大型施設、もちろんこの商業施設もそうですが、第一義的には武蔵野の森総合スポーツ施設など大型施設が集中する地域への配慮など、特段の取り組みを行っていくべきと考えておりますが、見解をお伺いしたいと思います。
○三浦オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ施設担当部長 調布基地跡地内の東京外国語大学北側に隣接する敷地に大型商業施設の出店が計画されており、二〇二〇年春に竣工予定であると聞いております。また、武蔵野の森総合スポーツ施設は二〇一七年一月に竣工の予定でございます。
商業施設の開業後は、武蔵野の森総合スポーツ施設と味の素スタジアムの間を通るスタジアム通りの交通量が増加することも予想されますことから、地元住民への影響ができる限り少なくなるよう、地元市など関係機関と連携してまいります。
○小山委員 今ご答弁いただきましたように、周辺の環境整備ということについていえば、今お話しいただきましたスタジアム通りはもちろんでありますけれども、実はその北側部分、都道一一〇号府中三鷹線の人見街道は、渋滞がありましたり、あるいは交通量の課題など、地域の住民からも、さまざま意見が出ております。
また、当然、甲州街道、国道二〇号からの動線も想定されるところでありますので、ぜひともこの点については十分な留意をしていただき、さらに、近隣には都市計画道路で府中三・四・一二号線というのもございます。こういった道路の整備計画も踏まえて、周辺環境の悪化につながらないような対策、対応を十全に図っていただきたいと思います。
そこで、最後でございますが、影響評価の中でスポーツ施設のバリアフリー化についても述べられております。
車椅子を使用する方々や障害がある方を踏まえて、内外のアプローチがスムーズにでき、観戦しやすいものであってほしいと考えております。武蔵野の森総合スポーツ施設は、地域の方々や高齢者、障害者の皆さんの意見を十分取り入れ、より多くの都民が親しむ施設とすべきであります。
そこで、武蔵野の森総合スポーツ施設を高齢者や障害者にも利用しやすい施設とすることに加えまして、地域や地元自治体など多くの意見を取り入れまして、より多くの都民が親しむ、健康増進につながる多摩地域のスポーツ推進拠点としていくべきと改めて考えますが、都の見解をお伺いさせていただきます。
○三浦オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ施設担当部長 武蔵野の森総合スポーツ施設の整備計画の策定に当たりましては、年齢や障害を問わず、安心して利用できる優しい施設とするため、ユニバーサルデザインを導入するとともに、地域からの要望につきましても、地元である府中市、調布市及び三鷹市との協議の場を設け、調整を図ってまいりました。
また、平成二十一年七月に基本構想説明会、平成二十四年七月に開発事業計画に係る説明会を実施するなど、地域の方々から直接意見を聴取する機会も設けております。
武蔵野の森総合スポーツ施設は、隣接する味の素スタジアムとあわせて多摩の一大スポーツ拠点を形成することから、多摩地域のスポーツ振興及び健康増進に貢献するとともに、周辺地域のにぎわい、活性化など、まちづくりにも貢献する施設となるよう、今後とも整備を進めてまいります。
○小山委員 ご答弁いただきましたように、この武蔵野の森総合スポーツ施設を初め、今回報告されております全ての施設におきまして、スポーツの振興や健康増進につながる施設として整備をしていただくとともに、周辺地域の発展、活性化やまちづくりに大いに貢献する施設となるようお願いしておきます。
また、この武蔵の森総合スポーツ施設につきましては、先ほども申し上げましたとおり、大型商業施設が整備されることも踏まえて、道路整備や自動車動線の計画を十分図っていただくよう強く求めまして、質疑を終わらせていただきます。
○石川委員 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開会式、閉会式を初めとして、メーンの会場となる新国立競技場の開閉式の屋根が二〇二〇年の大会に間に合わないという報道が先日舞い込んできたところであります。都のオリンピック・パラリンピック準備局などを通じての発表ではなく、下村文部科学大臣と舛添知事との会談の中で明らかにされたところであります。
リオデジャネイロ・オリンピックの会場の建設がおくれている等の報道に接しましても、これはあくまでも他国のことで、高い技術水準と緻密な計画を遵守する我が国の国民性からして、そのようなことがあるとは想像していなかったところであります。国民も都民も大きなショックに見舞われたというふうにいっても過言ではないのではないかと思っております。
そこで伺います。
前回の当委員会に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案が示されたところであります。しかし今回、開閉式屋根が二〇二〇年に建設が間に合わないことが明らかになりました。こうした変更は、オリンピックスタジアムにかかわる環境影響評価書案の内容に何か変更や影響を与えるものであるのかどうかお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 オリンピック・パラリンピック環境アセスメント指針には、環境影響評価開始後の会場等の変更についての手続が定められております。それによりますと、会場等の変更による実施段階アセス図書のやり直しは行わず、次の実施段階アセス図書またはフォローアップ図書への反映をもって変更することができるとされております。
新国立競技場の環境影響評価につきましては、今後、変更があった場合には、その内容等を見きわめながら、指針を踏まえて適切に進めてまいります。
○石川委員 今回の工事がおくれることに対する変更内容の詳細は、これから東京都に示されると文部科学大臣から発言がありましたが、八万人の席が一万五千人分は仮設で整備することや、総工費も千六百二十五億円がさらに膨らむことや、工期がどのように変更になるのか等も、わからないことがたくさん出ているわけであります。
新国立競技場については、この段階での突然の見直しにより、開閉式屋根がないなど、当初の予定と異なる状況で大会を迎えることになるわけでありますけれども、都が整備する新施設ではこのようなことがあってはならないというふうに思っているわけであります。
前回の本委員会では、平成二十七年度における競技会場等整備の予定についての報告があったわけでありますが、改めて確認させていただきたいと思います。
都が行う施設整備においては、こうしたおくれや変更が生じないか、また、確実に二〇二〇年大会及び二〇一九年テストイベントに間に合うのかどうかお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 これまで、都が整備する新規恒久施設につきましては、会場計画の再検討の中で、大会開催に支障を来さぬよう、整備規模、工法の工夫を含めた検討を行ってまいりました。
さらに、前回の当委員会でご報告いたしましたとおり、オリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場及び有明アリーナにつきましては、実施設計と工事を一括して発注する設計施工一括発注方式により今年度実施設計に着手するなど、二〇二〇年大会に間に合うよう、設計及び施工の合理化、効率化を図っております。
テストイベントを含め、確実に大会が開催できるよう、引き続き各施設の着実な整備に万全を期してまいります。
○石川委員 ぜひ万全を期していただきたいと思います。
我が国は、人口の高齢化、労働人口の減少、少子化、地球環境問題への対応など多くの課題を抱えております。また、二〇一一年の東日本大震災は、我が国が厳しい自然条件の中に成り立っていることを改めて示し、災害に強い国土と社会を形成し、一日も早い復興を果たしていくことが喫緊の課題となっているわけであります。
こうした中、二〇二〇年東京大会の開催決定は、各方面に多くの期待と夢をもたらすことができたといえるでしょう。オリンピック・パラリンピックを契機に社会がよくなることへの国民の期待は高く、スポーツ、英会話、ボランティアなど具体的な意識や行動の変化も見られつつあります。元気に二〇二〇年東京大会を迎えるという目標ができた高齢者も多いといわれております。
政府も、二〇二〇年、さらにはその先を見据えた政策立案に動き始めており、民間企業も、数年前まではリーマンショックや東日本大震災対応など守りの姿勢が強かったわけでありますけれども、二〇一三年に入り、海外展開、MアンドA、事業再編、新事業など攻めの展開が随所に見えつつあります。
政府成長戦略とオリンピック・パラリンピックに合わせ、二〇二〇年をターゲットにした計画を策定する動きも見られております。
また、二〇二〇年のオリンピックを一過性のものではなく、レガシーとして各分野で継承していくための議論や計画化も進行しております。
国民の期待が大きい二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの新国立競技場も、私どもも、いわば二〇二〇年オリンピックの象徴として建設していくことに賛同し、推進していくべきと考えてきたところであります。しかし、突如、計画の一部とはいえ、実は建設が間に合わないということは大変残念なわけであります。しかも、二〇二〇年に間に合わせる手だてさえ、既に全くないというような今までの報道でございます。まず、この不手際に対して、国民や都民に対して陳謝するということから始まるのが常識というものではないかというふうに思います。そういう意味では、舛添知事の責任者は誰なのかという発言は当然のことであり、まずその責任が問われるべきものと思っております。
しかも、発表の期日が国立競技場の取り壊しが終わった時点ということも、作為的なものを感じてしまうのも当然であるというふうにいえるでしょう。
あわせて、国が五百億円、いや、それ以上ともいわれる負担を東京都に求めることについては、都民にしっかりと説明責任が果たせるものでなければならないと断言しておきたいと思います。このことについても、今後、本委員会でしっかりと説明を求めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○山内委員 私からも質問させていただきたいと思います。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案についてなのですが、まず、重複するところはお許しいただきたいのですけれども、新国立競技場の見直しと環境影響評価についてですが、新国立競技場の建設について、五月十八日、突如として下村文部科学大臣が舛添知事に計画の大幅な見直しを明らかにしました。
この見直しをする場合、環境影響評価項目や評価を変更する必要はないのかと思っております。例えば、開閉式の屋根の有無というのは、競技の実施に伴う騒音や集中豪雨等も含めた雨水対策などに影響すると思われるのですが、オリンピック・パラリンピックの環境影響評価において、大会開催中の騒音や、今申し上げました雨水の地下への浸透など、評価はどのように行われるのでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 オリンピックスタジアムにおける環境影響評価におきましては、騒音における環境影響要因といたしまして、競技の実施に伴う影響を設定しておりますが、現時点では、大会の運営等につきまして具体的な計画が未定であるため、今回の評価書案で対象としておりません。
大会の開催中に係る環境影響評価は、今後の計画の熟度に応じまして、改めて環境影響要因の抽出及び環境影響評価項目を検討し、仮設計画等につきましても別途実施いたします。
なお、ご質問の開閉式屋根につきましては、当初より、水利用の評価をする際の集水面積に含まれていないため、屋根の設置の有無が今回の環境影響評価に影響することはございません。
○山内委員 次に、パブリックコメントや自治体等との意見交換、意見反映についてお伺いしたいと思います。
今回の環境影響評価書案に対する意見の募集が五月九日まで行われました。意見の募集はどのように実施され、どのぐらいの意見が寄せられたのでしょうか。その内容と、その意見等はどのように反映されるのかお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 五月九日まで意見を募集いたしました結果、環境影響評価全般に関するもののほか、三施設で緑、騒音・振動、景観などの項目につきまして、計九件のご意見をいただいております。
いただきましたご意見に対しては、実施者としての当局の意見見解書をまとめて環境局に提出し、評価委員会において審議が行われます。
○山内委員 特に新国立競技場については、市民団体や建築家等から多くの意見がこれまでも寄せられてまいりました。
今回の環境影響評価書案に対して、専門家はもとより、広く関係住民にとっては、日ごろ行政のホームページを閲覧する習慣がない方は、情報が縦覧されている事実すら認知できないとか、あるいは近隣関係住民の世帯ごとへのチラシの郵送とか、あるいは説明会による周知というのは行われていないというご指摘もあります。これに対する都の対応についてお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 今回作成いたしました三施設の評価書案の本編はページ数が多いことから、その概要版を作成しております。
評価書案を環境局に提出する際、同日の三月二十日にプレス発表を行っております。プレス発表におきましては、概要版がホームページに掲載されていることと、ご意見が募集されていることを同時にお知らせいたしました。
あわせて、評価書案の本編につきましても、三月二十六日にホームページに追加掲載し、現在、いずれも閲覧可能となってございます。
○山内委員 おっしゃるように、今回は概要版も掲載されておりました。評価書案全体を見ますと四百ページ以上にも及びます。全文を読むことは大変なので、概要版をつくったことは評価いたしております。
しかし、新国立競技場の整備計画の概要の資料というものが添付されていないのですね。新聞等で記載されている、あの大きなヘルメット型のイメージパースだけが頼りで、具体的にどのような建築物になっているのか、広場のイメージだとか、緑化の配置だとかというのがわからないまま、評価書案を見て意見を問われても、ちょっと無理ではないかと思っています。
先ほども、パブリックコメントでは九件ご意見があったということですけれども、非常に少ないことが気になりました。新国立競技場については、関連区の景観まちづくり審議会等でも議論されております。
例えば新宿区の景観まちづくり審議会では、資料として、今これもホームページとかで見られるのですが、新国立競技場(仮称)整備計画についてというのが提出されており、その上で審議がされています。
こうした整備計画の概要の資料というものを提供するなど、わかってもらおうという努力をすることが、意見の募集については必要なのではないかと思っておりますので、こういうパブリックコメントには工夫をお願いしたいと思っております。
評価の結論には、新国立競技場の建設により、日本青年館の移転が必要となるが、現在と同等機能の移転先が確保されていると予測すると、そのように書かれておりました。予定地というのは、明治神宮野球場の向かいで、国立競技場西テニス場のところなのでしょうか、約六千六百平方メートル。そこに高さ七十メートル、一番高いところで七十二メートルもある建物を建てるというのだそうです。
風致地区にこんな高い建物を建てるのは、景観や眺望に影響を与え、環境を壊すのではないかと心配です。
その建物による環境影響についての都の見解をお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 今回のオリンピックスタジアムの評価書案の対象となる計画地には、移転後の日本青年館は含まれておりません。
また、大会を運営する会場エリアの範囲にも含まれていないため、この移転先での建物についての環境影響評価は実施いたしません。
○山内委員 確かに含まれてはいませんけれども、神宮外苑とか、あるいは新宿御苑とか、そういった緑をつながらせるという意味もありましたし、風致地区ということもありますので、私は緑を守るという意味では非常に大きな変化だと思っております。
次に、緑、生態系についてお伺いいたします。
四月二十四日、日本学術会議は、神宮外苑の環境と新国立競技場の調和と向上に関する提言というのを発表いたしました。
平成二十六年五月にスポーツ振興センターが公表した新国立競技場完成予想図案では、人工地盤上の公園にほとんど樹木がなく、周辺環境との調和への配慮が十分でなかった、このため、スポーツ振興センターは、平成二十六年十月、具体的な緑化計画案の提示を行った、本分科会は、この案を慎重に検討した結果、人工地盤上の緑化計画が、樹木の持続的生育の観点から困難な問題を抱えていること、そして、地域住民から要望されてきた渋谷川の再生が提示されなかったこと、学術的に明らかとなっている神宮の森の生態系の特質を踏まえた検討が行われなかったこと等の問題があることがわかったとしております。
環境影響評価の結論では、地上部の緑化等による約二万五千平方メートルの緑化面積を確保する計画となっていますけれども、人工地盤と大地に樹木を直接植栽する面積というのはどのようになっているのかお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 環境影響評価書案における緑の評価は、平成二十六年度に日本スポーツ振興センターから新宿区に提出された緑化計画に基づいて行っております。
緑化面積の算定につきましては、残る樹木も含めた高木、低木や地被類の植栽面積を植栽する箇所別に集計しております。
お尋ねの面積につきましては、人工地盤など建築物上の緑化面積で約三割、地上部等の緑化面積で約七割を確保する計画となっております。
○山内委員 この提言ではさらに、新国立競技場の建設が行われている神宮外苑は、良好な環境を維持継承するために定められた風致地区であり、大正年間より百年の歳月をかけて守り、育てられてきた、新国立競技場建設地の既存樹木は、千五百四十五本が伐採、二百十九本が移植される予定である、しかしながら、現在、緑化計画に位置が示されている移植樹はわずかに一本、天然記念物であり、七十四本は人工地盤上へ移植、百四十四本の移植計画は明示されていない、人工地盤上は大地との水循環が遮断されており、建築構造物の寿命から見ても、百年を超えて永続していく森に成長していくことは不可能である、また、人工地盤上の計画された樹種では木陰がほとんど確保されないことから、オリンピック開催時の盛夏における熱環境は極めて苛酷なものになると推定されると書かれております。
実際の伐採や移植の植栽計画はどのようになっているのでしょうか。また、それに対してどのように評価をしたのかお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 本評価書案におきましては、評価の指標を緑化面積としております。
緑化面積につきましては、新宿区みどりの条例などに基づき緑化基準が定められており、適正に審査されております。
残る樹木も含めた高木、低木、地被類の植栽面積を植栽箇所別に集計した結果、計画施設につきましては、緑化基準を上回る緑化面積を確保する計画となっております。
○山内委員 また、この提言の中には、神宮の森の生態系の特質を踏まえた検討が行われなかった等の問題があると指摘されています。
先日、明治神宮の百年記念の生物調査公式写真集が出版されました。都心でもこんなに生物多様性があるのかと驚きました。
生態系の観点から、神宮の森とのつながりについて、どのように評価をしたのかお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 新国立競技場の植栽計画は、まとまった既存の緑と調和しながら、立体的にも緑がつながる配置とし、奥行きのある空間を創出するものでございます。
施設の建設に伴い、計画地の一部において、生物の生育、生息環境は減少いたしますが、その対策として、改変されない周辺の樹林群及び明治神宮内外苑に多く見られる日本在来種を中心とした植栽を行うことで緑の連続性が担保され、生物、生態系の現状は維持される計画となっております。
○山内委員 評価書案には、事業の実施に伴い、植栽樹林群の多くが消滅する、施工期間中の敷地内はほとんど作業ヤードとなるため、既存樹の現位置での残置は困難な状況であるが、樹木調査の結果に従って移植に適合する樹木は極力場外で仮養生を行い、オリンピックスタジアムの緑化樹として活用する計画である、新たに植栽する樹種は、明治神宮内外苑に多く見られる日本の在来種を中心とした、景観的にも生態的にも周辺環境と調和し、長年にわたって継承される植栽計画とするとしています。だから、既存植生の植栽内容の変化は小さいと予測すると評価しているわけだと思うのですが、それで、私は今回、緑や生態系について質問してまいりました。
しかし、地上部等の緑化面積、先ほど約七割を確保するというご答弁がありましたが、意外なんですが、大地に植えられる樹木が七割なのかと思って私は非常に喜んだのですが、地上部等の緑化面積というのには壁面緑化も含まれているということなのだそうです。
自然な地盤上の植栽をふやして、大地に根を張り、木陰を生み、雨水を浸透させていくということが重要なのであって、この環境影響評価では、実際に伐採される木がどれだけあるのかもわからないし、高木をどのように植えるのかもわからないまま評価がされていて、この影響評価書案だけでは不十分ではないかとやはり思わざるを得ません。緑がなくなってしまうことを非常に心配しております。
先ほどの、影響評価書案の結論のところにございましたけれども、既存植生の植栽内容の変化は小さいとする予測であるならば、それが実現するように、ぜひとも頑張っていただきたいと思っております。
次に、水循環についてお伺いいたしますが、雨水浸透施設と雨水貯留施設の組み合わせによって雨水の流出抑制対策量を確保するというふうに評価のところにございました。その内容についてお伺いしたいと思います。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 新宿区雨水流出抑制施設の設置に関する要綱により、計画されている新国立競技場におきましては、都市型水害の軽減や防止を図るため、雨水貯留量として約六千七百八十立方メーターを確保する必要がございます。
このうち約千五十立方メーターは、集めた雨水を地面に浸透させる浸透管等の設置によりまして、また、約五千七百三十立方メーターは、雨水貯留槽を三カ所設置することにより、雨水の貯留量として確保する計画でございます。
貯留した雨水につきましては、トイレの洗浄水等に使用する計画としております。
○山内委員 ちょっと景観についてお伺いしたいと思います。
風致地区の第一号指定地である外苑に、五輪施設で最大規模の大きさと奇抜なデザインについては、これまでも批判が噴出しておりました。敷地面積十一万三千平方メートル、建築面積七万三千二百二十五平米、建築最高高さが七十メートルにも及ぶ巨大な施設です。
圧迫感に対してはどのように評価しているのかお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 圧迫感の状況につきましては、東京都環境影響評価条例と同等の手法によります形態率を用いて予測、評価を行っております。
形態率とは、魚眼レンズで天空写真を撮影したときの写真内に占める面積比としてあらわされ、許容限界値は、周辺の建築物の高さに応じて一一から一五%とされております。
今回の計画では、計画建築物の形態率は、多いところで約二%であり、あわせて、幅員のある開放的な歩道状の空地の配置や並木状の植栽などの配慮もあり、指標である圧迫感の軽減を図ることを満足する計画となっております。
○山内委員 圧迫感について形態率ということなのですが、本当にわかりにくいんです。圧迫感の軽減を図ることを満足する計画ということをぜひとも期待したいと思っておりますが、この圧迫感について、できてからこんなに圧迫感があったのだということがないようにお願いしたいと思います。
廃棄物の評価として、施設内のテナントに対する廃棄物の発生抑制の誘導を行うとありますが、その内容についてお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 今後契約となる各種テナントに対しまして、容器包装の使用量の削減、リユース食器の促進等が図られるよう指導する計画としております。
○山内委員 この環境影響評価の中には、参加と協働による環境への意識の項目があります。都民等の環境への関心及び意識の内容とその程度となっていますが、これはどのようなことを意図した項目なのか、評価の選定から外したその理由をお伺いいたします。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 環境への意識の項目は、社会経済項目の参加・協働の中の一項目として、オリンピック・パラリンピック大会の実施を通じた環境意識向上の取り組み及び貢献の程度を予測、評価するものでございます。
大会は、都内の多数の会場で繰り広げられるものであり、大会の実施が環境への意識に及ぼす影響につきましては、個別会場等ごとでは評価困難なことから、先ほどご答弁いたしましたとおり、今回の評価書案では選定せず、全体計画で評価することとしております。
○山内委員 巨大な競技場を建設することに対して、神宮外苑の環境や景観を大きく変化させることから、多くの市民や建築家、専門家団体から意見が出され、多くの議論が行われてきました。
にもかかわらず、樹木の伐採や国立競技場の解体が進み、五月の中旬、さまざまな新聞、いろいろなところが航空写真を載せました。本当に国立競技場の解体が終了したということで、解体してしまってから新国立競技場の計画が難航し、見直しをするというのは、余りにもずさんというか、あるいは計画的なのかわかりませんけれども、残念でたまりません。
まだ国立競技場が残されているときに建設が間に合わないという情報を公開していれば、今ある資源を有効利用しよう、環境に優しい循環共生社会の競技場を生み出そうと、日本中の技術が結集し、二度目の五輪として二〇二〇年オリンピック・パラリンピックが盛り上がったかもしれません。
今、市民の啓発というのがございましたけれども、そうすれば、おのずと都民の環境への意識向上が進むことになったのではないかと思っています。
国立競技場が解体されてしまった今、建設費の費用がかさむから、期限までに間に合わないからといって、必要なものまで取りやめてしまうのは本末転倒であると思います。将来世代に何を残すのか、しっかりとした将来ビジョンがなくてはならないと思っております。
例えば今回、影響評価書案に関して、緑の保全や水循環について主に質問してまいりましたけれども、JSCの新国立競技場基本設計条件では、植栽についても、既存の敷地内樹木については、解体工事費、建設費、工期や新国立競技場の施設計画との兼ね合いを考慮して、適切な新植、移植、伐採、再利用等に関する計画を検討するとしております。これを読みますと、経費がかさむので適切な植栽計画等を削減しますというふうに変わってしまうことがあってはいけないと思っているのです。
ですからこそ、JSCの基本設計の条件とかがこの影響評価書案に反映されていると思うのですけれども、この影響評価書案に出ている結論の中から、環境に配慮した大会にすることを改めて環境影響評価にこれから反映されていくことを要望いたしまして、確認いたしまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。
○吉田委員 初めに、環境影響評価書案の選手村部分について質問いたします。
〔委員長退席、吉原副委員長着席〕
我が党は、招致決定のときから環境と調和した大会を求めてきました。オリンピック・パラリンピックの開催が、環境に配慮するとともに大会後の環境向上にも資する努力が東京都に求められていると思います。立候補ファイルでも、環境を優先する二〇二〇年東京大会という基本理念が打ち出されています。
そして、今回のアセスの目的について、指針では、大会開催に伴う環境影響の回避、最小化、代償を行うとともに、大会を契機とした東京の持続可能性の向上に資することを目的とすると明記されています。
したがって、報告されている環境影響評価書案が、環境優先の理念やアセスの目的に即してふさわしいのかどうかということが検証されなければなりません。
そこでまず、前提について伺います。
オリンピック・パラリンピック東京大会を通じた環境対策の方針を示した環境ガイドラインではカーボンニュートラル、すなわちCO2排出量を増加させないことを打ち出しています。このカーボンニュートラルの趣旨及びガイドラインでは、競技場や選手村等のカーボンニュートラルをどのように達成しようとしているのかお答えください。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 東京大会の環境関係の指針となる環境ガイドラインにおきましては、環境負荷の最小化を柱の一つとし、エネルギー、資源の消費や二酸化炭素の排出を縮小することを目指しております。
今後、大会開催の運営計画等を検討するのにあわせて、組織委員会や関係機関と連携しながら検討してまいります。
○吉田委員 質問したのは、一般的な環境負荷の最小化ではなくてカーボンニュートラルについてです。この目標は単に縮小ではなく、競技場や選手村が整備、稼働しても、CO2排出量はニュートラル、増加させないという極めて厳しい目標になります。
運営計画などとあわせて検討するという答弁でしたけれども、単に運営のあり方だけではなく、選手村の住宅棟計画がこうしたCO2の抑制に本当に資するのか否か、このことが検討されなければならないと思います。
ところが、環境影響評価書案の選手村部分については、温室効果ガスの項目はあります。しかし、その内容は、建設機械の稼働によってCO2の排出量がどれだけふえるか、この項目しかありません。
なぜ建設機械の稼働だけに限定したのでしょうか、お答えください。
○安部オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 今回の評価書案では、計画が具体化した恒設の宿泊施設の建設工事を対象に、建設機械の稼働に伴う温室効果ガスの排出量及びその削減の程度について予測、評価を実施いたしました。
一方、工事用車両の走行に伴う排出量等は、建設発生土の搬出先や建設資材の搬入元等が現時点では不明であり、また、仮設施設や大会開催中の運営等については計画が未定であることから、予測、評価を実施しておりません。
今後、これらの詳細が明らかになった段階で実施を検討してまいります。
○吉田委員 運営等の計画が未定だということを主な理由として挙げました。しかし、同じ評価書案でも、新国立競技場の場合には、競技場の稼働による年間の排出量を明らかにしているのではありませんか。
〔吉原副委員長退席、委員長着席〕
もちろん細かい運営計画など示されていない段階ですけれども、片や新国立の方は、十分ではないかもしれませんが、競技場の稼働によるCO2の年間排出量を推計しています。なぜ選手村の方はこれができなかったのですか。
○安部オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 先ほど申し上げましたけれども、今回、選手村については、宿泊施設については恒設施設ではありますけれども、建設工事を対象に予測、評価を実施したものでございます。
○吉田委員 恒設の住宅棟については既に、十四階から十七階を二十二棟、五十階を二棟、総戸数五千九百五十戸というふうに示されているではありませんか。それだったら当然、新国立競技場と同じようにCO2の排出量というのは推計できるのではありませんか。
改めてお聞きいたしますけれども、それでは、今後、選手村にかかわるCO2の排出量の予測というものは、どういう事項を対象に行っていくのでしょうか、お答えください。
○安部オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村の温室効果ガスの予測、評価につきましては、先ほどご答弁申し上げました、まだ計画が未定であります仮設施設や大会開催中の運営などにつきまして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック環境アセスメント指針に基づきまして必要な現況調査を実施した上で、予測、評価の事項や方法等を検討してまいります。
○吉田委員 引き続き実施する、そして、指針に基づいて実施するというご答弁でした。
そこでお伺いしますけれども、指針では、温室効果ガスの予測の対象時点として、大会開催前、大会開催中及び大会開催後において、それぞれの代表的な時点または期間とするというふうに明記されていますね。ということは、当然、大会開催前、大会中とともに、大会開催後についても評価するということで認識してよろしいですね。
○安部オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 先ほどご答弁申し上げました今後検討いたします予測、評価につきまして、仮設施設、それから大会開催中の運営のほかに、大会後の解体工事等につきましても、例えば仮設施設につきましては実施を検討してまいります。
○吉田委員 仮設の廃止だけではなくて、選手村をつくって東京の温室効果ガスにどういう影響を及ぼすかということは、先ほど述べた二十二棟及び五十階建て二棟を建てることがどんな影響になるのかということの予測なしに、カーボンニュートラルは成り立たないと思うのですね。
したがって、きちんと指針に基づいて、大会後についても明確に行っていただきたいというふうに思います。そうしなければ、環境負荷の低減どころか、この選手村計画によって、環境負荷の悪化、深刻化という危険性は極めて高いのではないでしょうか。そのことをいわばチェックするために、このアセスをきちんと指針に基づいて行っていただきたいというふうに思います。
しかも、環境ガイドラインでは、カーボンニュートラルな大会の実現の主な対策として、正確な広範囲なCO2算定方式ということを打ち出しています。これは立候補ファイルにも明記されていますね。これはどういう概念かといいますと、ライフサイクルアセスメントの導入ということです。具体的には、施設の建設時のみならず、資材の製造から廃棄に至るまでのCO2をトータルで算定するんだと。
こういうライフサイクルアセスメントというものは一体どういうふうに今後取り組んでいかれるのですか。
○安部オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 選手村の温室効果ガスにつきまして、ライフサイクルアセスメントというご質問でありますが、先ほど申し上げましたとおり、選手村につきましては、今回実施していないものにつきましては今後実施を検討するというものでございます。
また、別途、選手村につきましては条例に基づくアセスメントを実施しておりまして、こちらについては、大会後に整備する超高層タワーなども含めた対象としております。
なお、選手村につきましては、温室効果ガス排出量の削減につきまして、環境保全措置としまして、例えば建設工事の施工中においては、温室効果ガス発生の低減に配慮した建設資材の活用であるとか、また、完了後におきましては、建築物の熱負荷の低減、また地上、屋上の緑化などが考えられます。
○吉田委員 都市整備局によって晴海五丁目西地区開発計画の環境影響評価書案が出されているのですけれども、ここではそもそも温室効果ガスの調査項目はないのですね。この地域の優良な住宅をつくるからという名目で、温室効果ガスの項目そのものがないのですよ。そうしたら、オリンピックアセスでその分をフォローせざるを得ないと思うのですね。
しかも、先ほど述べましたとおり、環境ガイドラインは、立候補ファイルの中でも明確にうたわれた、いわば国際公約です。立候補ファイルで、ガイドラインは大会準備期間中から開催中、開催後、レガシーとして残すまでの全サイクルを網羅し、環境に関する最高指針となるということまで明記しているのです。
そういう意味では、本当に環境優先という理念を貫くのか、それとも特定建築者による住宅開発を優先するのかということが、私は厳しく東京都の姿勢として問われているということを指摘しておきたいというふうに思います。
最後に、競技会場等の整備に関連して若干質問させていただきます。
まず第一に質問したいのは、この間の報告の中で、今後若干の変動はあるかと思いますけれども、東京都の責任で整備する競技会場等の整備費用として二千五百七十六億円が報告されていますね。見直しによって、もちろん会場計画が変わって減になる要素はあるかと思うのですけれども、今後の増加要素というのはないのかという懸念です。
もちろん、国の新国立の場合には消費税五%で計算したり、極めてずさんであることは明らかです。東京都の場合は一定の再計算をしていますから、そういうものではないと私は思います。
しかし、そうはいっても、今日の状況の中でさまざまな増加要因というのはやはりあり得るのではないかと思いますが、この点、どのように認識しているでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 整備費につきましては、試算の際に建設物価の上昇なども既に見込んでございまして、現在のところ特段の変動要素はございません。
○吉田委員 そういうふうにいい切れるものかと率直に思いますけれども、例えば建設資材の変動要素というのは今後どういうふうに変動するかというのは、ある面、未定だと思うのですよね。
それだけではなく、前から指摘してきましたけれども、例えば液状化対策です。
これだけ臨海部に施設が集中している中で、ほとんどの施設が液状化対策をしなければなりません。
しかし、どの程度それを予算で見込んでいるかということについて、前回の委員会で徳留委員が質問しましたけれども、それはあくまでも、見込んではいるけれども地盤調査をした上で検討するのだというふうにご答弁がありました。
そうしたら、地盤調査の結果によらない限り、液状化対策をどの程度行うのか、予算規模も明らかにならないではありませんか。
さらに、用地費についても、これも質問し、資料が出されておりますけれども、有明アリーナの二百十一億円以外に、カヌースラローム会場は下水道局用地であることからして、どういう扱いになるのかは取り扱い未定というふうに報告されているわけですね。
そういう点で見ても、私はやはり変動要素というものも考えながら現在の計画をさらに縮小する努力が求められているということを指摘しておきたいと思います。
さらに、大会関係の整備費で懸念されるのは、今、私が環境影響評価で指摘した選手村です。
選手村整備では、臨海会計から買い取る用地費、それに防潮堤、盛り土、そして水道、下水道などの基盤整備が求められます。
有明アリーナの二百十一億円ですけれども、どれだけの面積かといいますと、三・六ヘクタールで二百十一億円が計上されました。選手村は、どの範囲を臨海会計から買い取るかは未確定でありますけれども、整備計画では四十四ヘクタールだと私は思います。
また、特定建築者の負担というのは当然のことです。だからといって、東京都の負担がどれだけになるかということは今後の課題として残されているのではないでしょうか。
知事は、負担を求める文科大臣に対し、まず、都と都民に情報をきちんと開示しなさいということを迫りました。
都の場合も、これまでの整備費の報告は競技場等に限られていましたね。
選手村に伴ってどれだけの整備費が負担になるかということについては、一切、都民と都議会に明らかにされていませんけれども、今後、こうした選手村も含めたトータルの整備費というものもきちんと明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○花井オリンピック・パラリンピック準備局施設輸送担当部長 これまで競技会場の整備状況等につきましては、随時その状況を議会の場でご報告してきたところでございます。
今後も、その進捗状況等につきましては、選手村も含め、適切な時期に議会にご報告し、ご審議をいただきながら、着実に準備を進めてまいります。
○吉田委員 選手村も含めて今後報告するというご答弁でした。
現在の推計整備費二千五百七十六億円は、都民一人当たりに推計すれば二万円近い負担と計算されますが、その上、選手村整備で膨らみかねないという状況だと思います。果たしてどれだけの都民がこの金額に納得するでしょうか。
計画の全容を明らかにするとともに、整備費の縮減、選手村の基盤整備などは特定建築者にきちんと負担を求める、そして都民負担の軽減に努力するということを求めて、私の質問を終わります。
○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時八分散会
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