オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会速記録第十二号

平成二十六年十二月二十二日(月曜日)
第四委員会室
午後一時四十五分開議
出席委員 十八名
委員長高島なおき君
副委員長畔上三和子君
副委員長小磯 善彦君
副委員長村上 英子君
理事橘  正剛君
理事吉原  修君
理事吉田 信夫君
小林 健二君
山内れい子君
野上ゆきえ君
小山くにひこ君
山崎 一輝君
両角みのる君
鈴木 隆道君
林田  武君
川井しげお君
立石 晴康君
酒井 大史君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長中嶋 正宏君
次長理事兼務岡崎 義隆君
技監佐野 克彦君
技監邊見 隆士君
技監石山 明久君
総務部長鈴木  勝君
総合調整部長加藤 英典君
準備会議担当部長矢部 信栄君
事業推進担当部長福崎 宏志君
計画調整担当部長鈴木 一幸君
大会準備部長延與  桂君
連絡調整担当部長浦崎 秀行君
連絡調整担当部長小室 明子君
大会計画担当部長児玉英一郎君
競技担当部長根本 浩志君
施設整備担当部長小野寺弘樹君
輸送担当部長荒井 俊之君
スポーツ推進部長早崎 道晴君
スポーツ施設担当部長三浦  隆君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項
・オリンピックアジェンダ二〇二〇について(説明)
・選手村 大会終了後における住宅棟のモデルプランについて(説明)
・二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック会場計画の再検討の状況について(質疑)
閉会中の継続調査について

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取及び閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 なお、報告事項、オリンピックアジェンダ二〇二〇については、説明を聴取することにとどめます。
 また、報告事項「選手村 大会終了後における住宅棟のモデルプランについて」は、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめます。ご了承願います。
 それでは、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、オリンピックアジェンダ二〇二〇について報告を聴取いたします。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 オリンピックアジェンダ二〇二〇についてご説明いたします。
 資料第1号、オリンピックアジェンダ二〇二〇についてをごらんください。
 オリンピックアジェンダ二〇二〇は、IOCのバッハ会長就任後に打ち出されたオリンピックムーブメント改革の方針で、四十の提言から構成されております。
 提言の決議までの経緯でございますが、まず、昨年十二月のIOC理事会において、オリンピックアジェンダ二〇二〇を取りまとめていくことが決定されました。その後、バッハ会長が設置した十四の作業部会において検討が行われ、本年十一月にIOCから四十項目の提言案が発表されました。十二月上旬に開催されましたIOC臨時総会において、原案どおり全四十項目の提言が決議されたところでございます。
 提言の主な内容をご説明いたします。
 一点目は、既存施設や仮設会場の活用推進です。環境への配慮を初めとした持続可能性の視点や、会場の継続的な利用が見込めないといった長期的レガシーの視点から、既存施設の最大限の活用や仮設会場の活用を積極的に推進するものです。
 二点目は、開催都市以外での競技開催です。競技会場の立地などの地理的要因や持続可能性を考慮して、一部競技または種目について、開催都市以外での開催や、例外的に開催国以外での開催を可能とするものです。
 三点目は、競技に基づくプログラムから種目に基づくプログラムへの移行です。オリンピック競技大会の定期的なプログラムの見直しを一定の制約のもとで実施するものです。具体的には、夏季大会においては、選手人数を約一万五百名、種目数を約三百十種目、冬季大会においては、選手人数を約二千九百名、種目数を約百種目の範囲内とするものです。
 四点目は、組織委員会による種目の追加提案です。開催都市の組織委員会から、当該大会について、一つまたは複数の種目の追加提案を可能にするものです。
 なお、資料右側に決議された四十項目の提言を記載しておりますので、後ほどごらんください。
 説明は以上でございます。

○高島委員長 報告は終わりました。

○高島委員長 次に、「選手村 大会終了後における住宅棟のモデルプランについて」、報告を聴取いたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 それでは、私から「選手村 大会終了後における住宅棟のモデルプランについて」、ご報告いたします。
 先日の九月一日の本委員会でご説明したとおり、選手村の宿泊棟は、大会に向けて着実かつ速やかに事業を進めていく必要があり、年内を目途に建築物の計画素案を策定し、その後のまちづくりに必要な手続を進めることとしております。
 今般、この計画素案を大会終了後における住宅棟のモデルプランとして取りまとめました。
 まず、資料第2号の一ページ目をごらんください。左側上部に大会後の住宅棟のイメージパースを、その右側に大会時の選手村のイメージパースを示しています。
 将来の住宅棟等のおおむねの規模については、十四階から十七階建ての板状の建物を二十二棟、五十階建ての超高層タワー棟を二棟、四階建ての商業棟を一棟計画しており、現在の想定では、総戸数約六千戸程度のまちとなることを見込んでいます。
 なお、オリンピック大会時は、大会組織委員会が板状の建物の二階から十四階までを宿泊施設として使用し、選手等が宿泊する一万七千台のベッドを用意する予定となっています。
 また、超高層棟と商業棟は、大会終了後に施工する予定です。
 これらの建物が整備される場所は、大会期間中には選手サービス用の仮設施設を整備するエリアとして活用される予定です。
 次に、資料をおめくりいただき、二ページ目をごらんください。建物の配置計画についてご説明いたします。
 建物配置における基本的な考え方としては、四点ございます。
 まず、さまざまな住戸に対応できるよう、板状と超高層タワー棟を織りまぜた建物計画としています。次に、超高層棟、商業棟、学校を集約的に配置し、地域の中心ににぎわいの拠点を設けます。さらに、街区内に緑豊かな広場と歩行空間を確保します。最後に、広い幅員の道路と一体となったにぎわいのある沿道空間を形成していきます。
 これらの点を踏まえて建物を配置し、豊かな都市空間を形成してまいります。
 最後に、レガシー検討についてです。
 選手村の具体的なレガシー、例えば間取り、グレードなどを踏まえた魅力的な住宅プランや、環境、防災対策や子育て支援等の導入機能、さらには国際交流や新技術、水辺空間の活用など、さまざまな新たな取り組みについては、今後、知事をトップとするレガシー委員会で検討してまいります。
 これらの検討に当たっては、早期に民間の知恵を生かしていくことが重要であり、今年度内に事業協力者を選定してまいります。なお、事業協力者の公募等の詳細は、別途定めてまいります。
 今後は、このモデルプランをもとに、来月に環境影響評価等の手続に着手し、平成二十八年春の市街地再開発事業の事業認可を目指して事業を進めてまいります。
 簡単ではありますが、ご説明は以上です。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高島委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 それでは、資料要求はなしと確認をさせていただきました。

○高島委員長 次に、報告事項、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック会場計画の再検討の状況についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 去る十一月十九日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 それでは、お手元に配布してございますオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙を一枚おめくりいただき、資料1、施設整備費(恒設分)の見込み内訳をごらんください。
 この資料は、先日の当委員会でご報告した施設整備費(恒設分)の検討経緯と現時点の見込み(平成二十六年十一月現在)につきまして、立候補ファイル時点の整備費、再検討前の試算及び再検討後の試算をお示ししたものでございます。
 再検討前の試算をごらんいただきますと、工事費等について、各施設の本体工事、周辺整備、調査設計委託費を記載してございます。
 また、今後の建設物価の上昇に対応する経費、工事中のセキュリティー経費、消費税増税の影響額をそれぞれお示ししてございます。
 続きまして、資料2、施設整備(恒設分)に関係する用地費をごらんください。
 都が新設する会場については、全て都有地での整備を予定しており、民有地等を買収する、いわゆる用地費は発生しませんが、特別会計や企業会計が所管する用地では、都庁内の会計間の調整が必要となる場合がございますことから、該当する二つの施設について、有償所管がえ等の予定をお示ししてございます。
 なお、所管がえ等に伴う経費につきましては、都庁内の会計間の調整であり、先ほどご説明した施設整備費には含まれません。
 簡単ですが、説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○山崎委員 さきの本特別委員会で、舛添知事から二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック会場計画の再検討の状況について報告がありました。
 また、第四回定例会の所信表明においても、知事はこの再検討に言及をし、都が新設を予定していた十の施設のうち三施設の新設を中止し、既存施設を活用することを改めて表明いたしました。
 我が党は、この知事の決断を評価する立場で代表質問を行い、都民に負の遺産を残さず、つくるべき施設については、都民に喜ばれ、利用されるものにしていくとの知事の姿勢を確認できたわけであります。
 今回の再検討により、二千億円の整備費縮減が可能となったとのことであります。施設整備を効率的に行い、都民から預かった税金を一円たりとも無駄にしないことは当然であります。
 我が党は、経費を節減しさえすればよいとは考えておりません。必要なものはしっかりつくり、都民に親しまれるものとするとともに、こうした新設施設を東京の魅力向上、地域活性化につなげていくことこそ重要であります。また、それをレガシーとして次世代に残していくことも、我々の大きな使命であります。
 本日は、こうした立場から、再検討のこれまでの経緯と施設整備の今後の方針について、わかりやすく確認していきたい。また、二〇二〇年大会の成功と東京の将来にとって非常に重要な質疑になりますので、理事者の皆様には、明確かつ丁寧な答弁を求めていきたいと思います。
 まず初めに、会場計画再検討の結果について、現時点でどのように評価をしているのか、局長にお聞きいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長
知事が第二回定例会におきまして会場計画の再検討を表明して以降、大会後のレガシー、都民生活への影響、整備費高騰への懸念といった視点から、大会組織委員会とともに、IOCや国内、国際競技団体などと精力的に協議を重ね、このたび、都が整備を予定している競技施設の検討結果につきまして、都議会にご報告することができました。
 今回の見直しを通しまして、既存施設の活用により新設会場を絞り込むことで、より実効性ある後利用計画を策定することが可能となりました。また、環境などに配慮した都民に親しまれる施設として整備することも可能となりました。もちろん、大会運営を考えまして、選手第一の視点にも十分配慮しております。
 そして、再検討全体を通じまして、整備費高騰の懸念に関しましては、開催都市決定後の試算と比較して、おおむね二千億円程度の整備費圧縮が可能となる見込みとなりました。
 結果といたしまして、前回の特別委員会で知事が表明いたしましたように、二〇二〇年大会の計画を都民にとって真に価値のあるオリンピックレガシーを残す計画として生まれ変わらせることができたと考えております。
 また、都のこうした取り組みは、先日、IOCにおいて採択されましたアジェンダ二〇二〇の改革方針とも軌を一にするものと考えております。
 引き続き、都議会でのご審議をいただきながら、計画のブラッシュアップに努めてまいります。

○山崎委員 今の局長の答弁を受けて、大会時に選手や大会関係者に最高の競技環境を提供すること、そしてもう一つは、大会後の東京に本当に必要な施設を残すこと、この二つを両立させるためには、競技団体を初めとするさまざまな関係者との協議や調整が必要と考えます。
 これまでの検討や関係団体との協議の経緯について伺います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 第二回定例会での知事の再検討表明以降の半年間、都内及び近隣県の既存施設の調査や、会場整備が予定地や周辺の環境に及ぼす影響の整理などを行い、再検討案を作成しますとともに、IOCや国内外の各競技団体と精力的に協議を進めてまいりました。
 国際競技連盟につきましては、会場責任者や会長を初めとする連盟幹部が東京を訪れ、現地視察の上で要望やアドバイスをいただくなど、再検討にご協力をいただいております。
 IOCとは、第二回定例会直後の調整委員会や、先月のプロジェクトレビューなどの場で直接意見交換をしましたほか、常に緊密に連絡をとり合い、大会組織委員会とともに調整を進めているところでございます。

○山崎委員 九月と先月の二度にわたる報告で、それぞれの施設について、整備の推進、新設の中止という一定の整理はできたわけでありますが、新設を中止する施設の代替会場などについて、今後どのように調整していくのか伺います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 都が整備する予定の施設に関しまして、本委員会にご報告した内容につきましては、IOC、各競技団体にご理解をいただいているところでございます。
 今後は、新設を中止する施設の代替会場などにつきまして、引き続き協議が必要と考えております。
 競技実施に必要となる要件や観客席数、選手村からの距離など、さまざまな要素を一つ一つ確認しながら、引き続き精力的に協議、調整を進めてまいります。また、代替施設の所有者、管理者や、所在地の自治体などとも十分に調整してまいります。

○山崎委員 一方、新設する会場の中でも、大井ホッケー競技場など、既存のスポーツ施設等に影響があるものについては、今後、引き続き検討が必要とのことであります。どのように検討していくのか伺います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 大井ホッケー競技場につきましては、前回の本委員会におきまして、現計画地である大井ふ頭中央海浜公園で整備する方針をご報告したところでございます。
 現存する野球場利用者への影響を極力抑制する必要があることから、同公園内での配置変更等の代替案を早急に検討してまいります。
 夢の島公園のアーチェリー会場に関しましても、夢の島ユース・プラザ・アリーナA、Bの新設を中止することに伴い、施設配置等につきまして、公園の緑や利用者への影響にも配慮して早急に検討してまいります。

○山崎委員 次に、事業費について伺います。
 まず、確認でございますが、先日の本委員会で報告があった施設整備費恒設分の見込みについて、二〇二〇年大会のための事業費のどの部分がここに含まれているのか、説明を求めます。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 報告した施設整備費恒設分の見込みは、都が新設または増改修する恒設の競技会場等に関する整備費の見込みであり、会場施設の本体工事費、会場と周辺のアクセス等の周辺整備費、調査設計委託費のほか、今後、IOCから求められる可能性のある工事期間中の厳重なセキュリティー経費などを含んでおります。
 都が新設する恒設施設につきましても、大会中のセキュリティーフェンスや会場スタッフの控室等、さまざまな仮設施設が必要となります。これらは、大会運営と密接に関連する施設であるため、その経費は、現在、大会組織委員会において試算中でございます。
 なお、都が新設する会場の建設予定地は全て都有地であり、民有地等を買収する、いわゆる用地費は発生いたしません。一部所管がえ等の手続が必要な用地もありますが、これに伴う経費は、都庁内の会計間の調整であり、施設整備費には含まれないため、今回報告した整備費の見込みには含めておりません。

○山崎委員 今の答弁の中で、施設整備費の見込みには、仮設費や用地費が含まれないということがわかりました。
 それでは、この施設整備費が、立候補ファイル時点の一千五百三十八億円から三倍近くの四千五百八十四億円までなぜ膨らんだか、改めて説明を求めます。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 数字を含めてお答えしますので、少々答弁が長くなりますが、ご容赦願いたいと思います。
 立候補ファイル時点の千五百三十八億円は、IOCの定めたフォーマットに従い、各会場施設の本体工事費のみを計上したもので、調査設計等の委託費、会場と周辺のアクセス等の周辺整備費等は含まれておりません。
 今回、開催決定後に行った調査等も踏まえて、本体工事費の見積もりを現在の実勢に合わせて精査するとともに、基本設計等の調査委託費、上下水道、電気、ガス等のインフラ整備費や支障物の撤去、移設経費等の周辺整備費を加え、三千三百十二億円の工事費等が必要と試算しました。
 その上で、建設物価が急激に上昇している現下の状況に鑑み、着実に会場整備を進める観点から、今後二年間の建設物価上昇分を見込みました。上昇率を平成二十七年度予算要求の基準に準じて、年率一二・三%としまして、平成二十八年度までの二年分で八百六十三億円と試算しました。
 さらに、開催決定後のIOCとの調整の中で、オリンピック会場整備特有の要件として、工事期間中に厳重なセキュリティー対策を求められる可能性があることが判明いたしました。ロンドン大会の例では、会場の整備に当たって、工事段階から二十四時間体制の警備員配置や堅牢な仮囲いなど、通常以上のセキュリティー対策を実施していることから、これらの経費として、工事費の五%、二百一億円を見込みました。
 消費税につきましては、立候補ファイル時の五%から一〇%へと税率が引き上げられる前提で二百八億円を加算しております。
 施設別では、海の森水上競技場が立候補ファイル時の六十九億円から総額一千三十八億円、本体工事費でも五百六十七億円と大きく伸びていますが、これは主に、開催決定後に行った地質調査の結果、大会後の活用も視野に入れた平穏な水面を確保するための締め切り堤工事に伴う堅固な遮水工や、建物の基礎見直しなどが必要となったためでございます。
 また、若洲オリンピックマリーナにつきましても、立候補ファイル時の九十二億円から総額四百十四億円、本体工事費で二百七十九億円となっておりますが、これも主に、地質調査の結果、軟弱地盤への対応が必要となり、新設防波堤などの整備費が増大したものでございます。

○山崎委員 整備費の見込みが大幅に増大した理由については、ただいまの説明で大筋理解をすることができました。
 それでは次に、整備費の削減について伺います。
 今回の再検討で整備費を約二千億円削減したとのことでありますが、この内容についても改めて説明を求めます。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 今回の再検討では、整備費削減だけでなく、東京にどのようなレガシーを残せるか、都民生活にどのような影響を与えるかという点もあわせて検討を行いました。
 結論としまして、有明アリーナとの競合により、後利用について懸念のあった夢の島ユース・プラザ・アリーナA及びBの新設を中止することで、八百八十億円が不要となりました。
 また、特に整備費の伸びの大きかった海の森水上競技場については、競技団体の協力のもと会場レイアウトを変更したことに伴う、新設締め切り堤延長の縮小や建物基礎工法の変更など、整備内容の大幅な見直しを行うとともに、護岸に沿って敷設された配管の移設、撤去を取りやめるなど、本体工事費、周辺整備費ともに削減を図りました。これにより五百四十七億円を削減いたしました。
 若洲オリンピックマリーナにつきましても、新設を中止し、既存の都立若洲ヨット訓練所を改修して使用する方向で検討しており、新設する場合と比較して三百七億円を削減することが可能と考えております。
 このほか、新設を決定したアクアティクスセンター、有明アリーナなどにつきましても、今後、基本設計などを通じて整備費を精査するなど、効率的な予算執行に努めてまいります。

○山崎委員 三施設の新設の中止のほか、ボート会場である海の森水上競技場については、東京都や国際競技団体を含む関係者が大変な努力をしてコスト削減を図ったこともわかったわけであります。
 しかし、削減したとはいえ、四百九十一億円の整備費は、都民感情からしても、決して小さいものとはいえないわけであります。
 これだけの整備費を投じてこの場所に会場を整備すると決断するに至った検討の経緯についても改めて伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 オリンピック・パラリンピック競技大会では、国民体育大会等の国内大会と比較しても極めて規模が大きく、多くの条件が求められます。
 例えば、水域で延長二千二百二十メートル、幅百六十二メートルの競技コースのほか、ウオームアップエリア、回漕レーン等の確保が必要でありまして、陸域にも、艇庫や観客席、テレビカメラレーン、放送コンパウンドなど多くの施設配置が必要となっております。
 再検討に当たりましては、この仕様条件を満たす必要があるため、全国で七十カ所あるボートコースのうち、日本ボート協会認定の国際大会が可能なA級コースや、近隣県の比較的大きな湖などにつきまして、全て検討を行いました。
 検討項目としましては、コース設置に必要な施設整備の実現性や自然環境への対処、選手村の分村の必要性、レガシー利用等のさまざまな要素につきまして、総合的な視点から評価を行いました。
 さらに、主要な候補地につきましては、国内及び国際競技団体とともに、直接現地にも赴き、現況調査も実施いたしました。
 その結果、オリンピック競技の求める要件を満たすには、それぞれ大規模な追加整備や既存施設の撤去のため、多額の整備費が発生するほか、陸域に施設を配置するための用地買収、環境への影響、河川区域内のコースにつきましては、治水上の必要があれば、大会期間中においても、河川法に基づき施設の撤去が求められることや恒設施設が設置できないこと等が判明いたしました。
 一方、海の森水上競技場のある中央防波堤東西水路につきましては、防波堤と埋立地との間に残された水路であることから、オリンピックのボートコースとして必要な延長や幅を満足するとともに、利用しやすい長方形の水面であること、施設を整備する陸域が全て都有地であること、恒設施設として設置でき、レガシーとして海の森公園と連携した活用が見込めることなどの利点があることが改めて確認されました。
 こうした検討を行った上で、最終的には、競技運営に責任を持つ国内及び国際競技団体との協議を経て、二〇二〇年大会のボート会場として海の森水上競技場の基本設計に着手することとしたものでございます。

○山崎委員 新設の中止などの大きな決断により大胆に整備費を削減したことが、今の答弁の中でもよくわかりました。
 その結果として示された二千五百七十六億円の整備費がさらに増大することがないかどうかを伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 今回の再検討に当たりましては、特に整備規模の大きい施設を中心に地質調査などの必要な調査を行い、改めて会場レイアウトなどを検討した上で整備費を試算してございます。そのため、今後、整備内容に大きな変更が生じることは考えてございません。
 二千五百七十六億円という金額は、現時点で想定できるあらゆる要素を見込んだ試算でございます。建設物価の変動などにつきましては、引き続き見きわめてまいります。
 今後、順次整備が本格化していきますが、適切な予算管理を行い、効率的な施設整備に努めてまいります。

○山崎委員 今後、大幅な変更は想定しないとのことでありますが、一方で、設計や工事を進める中で、引き続き整備費の抑制に努めるべきと考えますが、所見を伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 今後、整備内容に大きな変更が生じることは考えてございませんが、各施設のレイアウトの検討、基本設計などを行う中で、IOCや国内外の競技団体との協議により具体的な施設条件を精査するとともに、施設計画の合理化や現場施工の効率化などに取り組み、さらなる整備費の縮減策を検討するなど、予算管理に万全を期してまいります。

○山崎委員 施設整備費について、立候補ファイル時点から増大したという理由、削減内容、今後の見通しなどについて詳細にお聞きいたしました。
 初めに述べたとおり、我が党は、経費を節減しさえすればよいとは考えておりません。より重要なことは、新設する施設を東京の将来にいかに役立てていけるかであります。
 都は、新設する施設を都民に末永く親しまれる施設とするため、新規恒久施設等の後利用に関するアドバイザリー会議を立ち上げたとのことでありますが、今後の具体的な取り組みについて伺います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 都が整備する新規恒久施設を、大会後、負の遺産とならないように効果的、効率的に運営していくためには、広く外部の意見を求めるなど、さまざまな知恵やノウハウを結集する必要があります。
 そこで、都は、外部有識者等から構成されるアドバイザリー会議を設置し、競技団体や地元自治体の意見等も聞きながら、後利用の方向性について検討を進めております。
 また、会議における議論の参考とするため、民間から後利用提案を募集しておりまして、今月十五日までに四十社からお申し込みをいただいております。検討の成果は、取りまとめ、基本設計等に反映させていきます。
 今後も引き続き、個々の施設について、基本設計等の内容を踏まえた後利用及び運営形態等について、より具体的な検討を進めてまいります。

○山崎委員 今の答弁の中でもありました、外部有識者、民間、競技団体、地元自治体など、さまざまな関係者の皆様から意見を聞き、後利用の方向性を取りまとめていく、そういう答弁でありましたが、都民にとって真に価値のあるレガシーを残していくためには、事業採算性も踏まえた実効性のある後利用の検討が必要であると考えますが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 事業採算性を踏まえた後利用を検討するためには、基本設計等の内容を踏まえ、現実的な収支見込みを立てることが不可欠でございます。
 まず、支出面については、基本設計等により施設の基本的な設計仕様が明らかになりますことから、それらを踏まえて、施設の基礎的な維持管理費、支出が想定可能になります。
 次に、収入面ですが、都内、都外の類似施設の料金体系などを踏まえた利用料金体系のあり方及び国内、国際競技大会の開催予定や、競技大会以外の事業内容を想定することで検討が可能になります。
 今後も、個々の施設の整備スケジュールに合わせ、基本設計等の内容を踏まえ、後利用について具体的な検討を進めてまいります。

○山崎委員 恒久施設は都民の貴重な財産ともなるものでありますから、これまで以上にしっかりと検討していただきたいと思います。
 確かに、個々の施設の具体的な後利用はこれから検討していくものでありますが、現時点で、海の森水上競技場の後利用について質問をしておきたいと思います。
 海の森水上競技場は、水面を含む会場規模が非常に大きく、大会後の利用に当たっては、競技スポーツに限らず、水面などを活用したレジャー利用を図るなど、さまざまな工夫を凝らさないと後利用はうまくいかないと考えられます。
 具体的にどのような後利用が可能と考えているのか、改めて伺います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 海の森水上競技場は、東京港の入り口に位置しており、羽田空港に離着陸する航空機からも見え、隣接する海の森公園や東京ゲートブリッジとともに、東京臨海部の新たなランドマークとなり得る施設であります。
 大会後の海の森水上競技場は、日本における水上競技の殿堂として、主要な国内大会や国際大会の会場になるとともに、広く静穏な水面や周辺の陸域を活用した都民の新たなスポーツ体験の場としてまいります。
 また、水と緑のネットワークの拠点として、隣接する海の森公園と連携したレクリエーションの場としてまいります。さらに、環境学習施設等と連携した青少年の教育の場とするなど、より多目的に活用していくことも現在検討しております。
 また、国内ボート競技を統括するJOC加盟の競技団体、公益社団法人日本ボート協会からは、全日本選手権など最高峰の競技大会の実施、トップレベル、ナショナルレベル、ジュニア競技者及び指導者等の強化、育成、養成の拠点など、日本のボート競技の中心的拠点として活用する提案を受けております。
 さらに、同協会からは、多くの都民が参加するレガッタをオリンピックメモリアルイベントとして盛大に行うなど、都民が水上スポーツに親しむ機会を数多く創出し、都民及び国民の健康増進に寄与したいという提案も受けております。
 今後、民間からの後利用提案や、競技団体や地元自治体などの意見も参考にしながら、都民に親しまれ、有効活用される施設となるよう、後利用の方向性を具体的に検討してまいります。

○山崎委員 会場計画再検討について、関係者との調整状況、整備費、後利用計画について包括的に本日は質疑を行ってまいりました。
 最後に、着実な施設整備に向けた局長の決意を伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長
今回ご報告しました都が整備する恒久施設整備の再検討の結果は、ただいまるる答弁してまいりましたように、招致の段階で策定した計画を現実妥当性のある内容とするため、さまざまな課題について徹底的に調査分析あるいは比較検証を行い、この間、IOCを初め、会場選定に大きな発言権を有する国際競技団体など関係機関と幾重にも議論を重ねてきた上での到達点でございます。
 引き続き、整備費につきましては、基本設計などを通じて、その縮減に努めてまいりますが、一方で、知事も表明しておりますように、大会の成功はもとより、大会後も都民に広く利用され、真に喜ばれる施設を整備していくことが重要でございます。
 今回の見直しは、その確かな道筋をつけたものであり、今後は、それを具体的に設計し建設整備して実現していく段階に入っていくものと考えております。
 そのため、知事をトップとするレガシー委員会と、そのもとに設けたアドバイザリー会議におきまして、民間などからも広く知恵と意見を集め、議論を経ながら、各施設のレガシーのあり方、具体的かつ実効性ある後利用を検討してまいります。
 二〇二〇年大会まで、はや残り五年になろうとしております。今年度基本設計に着手いたします三施設を初め各会場整備について、大会開催に万全を期すとともに、大会後のレガシーの姿をしっかりと見据えつつ、庁内はもとより、大会組織委員会、IOCを初め関係各機関、地元自治体などと十分連携を図り、引き続き都議会のご審議を仰ぎながら着実に施設整備を進めてまいります。

○山崎委員 建設物価の上昇や後利用の見通しなど、さまざまな課題がある中、今回の再検討は関係者との十分な協議を経て行われてきたことが今の局長の答弁の中でもよくわかったわけであります。
 ボート会場に関しても、競技団体とともに全国のさまざまな候補地を検討し、海の森水上競技場が最適との結論に至った経緯についても答弁があったわけであります。
 整備費に見合ったレガシーを残せるよう、後利用を検討していく体制についても確認することができたわけです。
 我が党は、史上最高の大会開催と、それを支える万全の施設整備を全力で支援する考えであります。引き続き、適時適切な情報提供を要望しておきます。
 そして、東京にとって、オリンピック・パラリンピックは五十六年ぶりの開催であります。世界最大のスポーツイベントを再び開催するこの好機を、ただ六十日間のイベントとして絶対終わらせてはならないわけであります。
 東京にハード、ソフトの両面での確固としたレガシーを次世代に残すため、施設整備においても、大会後の利用を見据え、将来、都民や国民に誇れるものとしてもらいたいと最後に要望して、質問を終わります。

○小磯委員 今月八日のIOC臨時総会では、国内他都市での分散開催、また、追加種目の提案権が認められましたが、これによって、被災地での競技開催、また、種目として野球、ソフトボール、空手等の競技関係者からも多くの期待が寄せられているところであります。史上最高のオリンピック・パラリンピックの開催に向けて、さらに勢いを増して前進していくことを願ってやみません。
 先日、当委員会におきまして、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催にとって大きな意味を持つ報告が舛添知事からされました。第二回定例会の所信表明で会場計画の見直しを表明してから半年間、熟慮を重ねてのことであると思いますが、新設会場の整備中止など、大きな決断であったと思います。
 私は、二〇二〇年大会を都民にとってよりすばらしい大会にするためであれば、一旦決めた計画であっても変更すべきと考えます。ただし、そこには十分な説明がなければならないと思います。
 そこで、本日は、知事が表明した再検討の視点も踏まえ、先日報告された個々の会場の検討内容について確認してまいりたいと思います。
 まず、今回の見直しで最大の変更点である新設会場の整備中止についてお伺いいたします。
 夢の島ユース・プラザ・アリーナA、Bは、臨海部における有明アリーナとの競合から負の遺産となることを回避するため、新設を中止したとのことであり、その代替施設としては、バドミントンについては武蔵野の森総合スポーツ施設、バスケットボールについてはさいたまスーパーアリーナが候補に挙がっております。
 こうした既存施設を利用する場合、必要な施設改修やバリアフリー対策、とりわけバリアフリー対策は丁寧に行うべきと考えますが、どのように整備をしていくことになるのか、また、その整備費はどこが負担していくことになるのか、お伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 代替施設の選定に当たりましては、大会施設に必要な機能などの施設要件に加えまして、バリアフリー対策等の整備状況なども含めて検討を行っております。
 また、大会運営上必要となる施設機能が不足している場合は、その施設所有者が恒久的な機能として整備すべきものか、大会時のみに暫定的な仮設で対応すべきものかなど、さまざまな事情に応じて、施設所有者と協議の上、その整備方針について個々に判断していくこととなります。

○小磯委員 新設施設であれば当然に満たすことのできるバリアフリーの水準などは、既存施設を活用する場合であっても同様に満たすよう、大会組織委員会と連携して取り組んでいただきたい、このように要望しておきます。
 次に、セーリング会場について伺います。
 整備費の増を極力抑制しつつ、セーリングのレガシーとなる施設を整備することを検討した結果、計画していた若洲オリンピックマリーナの新設は中止するとのことであります。既存の若洲ヨット訓練所を拡張して活用できるのであれば、レガシーの観点からも望ましいことと考えますが、一方で、競技海域については別途検討とされております。
 この競技海域における航空管制上の課題とはどういったもので、どのように対処していくのか、お伺いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 セーリング会場につきましては、既存の若洲ヨット訓練所を拡張して大会関連施設整備を行い、その近隣の海域に競技エリアを設定することを検討しております。
 また、セーリング競技につきましては、広い海域で行う競技の特性から、ヘリコプターを利用した空撮による映像配信が行われております。
 現計画において競技海域を想定しております葛西沖の付近は、羽田空港に離着陸する航空機の安全かつ円滑な航空交通を確保するため、空港からの距離や高さに応じて、ヘリコプター等の飛行に一定の制限がございます。
 このため、確実な競技運営ができるよう、現在、国内及び国際競技団体やオリンピック・パラリンピック放送の制作、配信を行うオリンピック放送機構、国土交通省などと協議しております。

○小磯委員 まだ協議中ということでございますけれども、この会場計画見直しの視点として、ただいま伺ったレガシー、整備費のほか、都民生活への影響というものがございました。この点についてもお伺いいたします。
 大井ホッケー競技場については、当初の計画どおり、大井ふ頭中央海浜公園で屋外スポーツの新たな拠点として新設するとのことであります。
 その際、今後引き続き検討するとしている都民生活への影響とはどういうもので、それに対してどのように対処していくのか、改めてお伺いいたします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 大井ホッケー競技場につきましては、現計画では、大井ふ頭中央海浜公園の現存する野球場の位置に新たにホッケーピッチを二面整備する計画となっておりまして、野球場利用者に影響が出るものと認識しております。
 今後、野球場利用者への影響を極力抑制するため、同公園内での配置変更等の代替案を早急に検討してまいります。

○小磯委員 オリンピック・パラリンピック開催の大きな目的の一つが都民のスポーツ振興であるとするならば、既存のスポーツ施設には極力影響のない整備計画とすべきであります。配置変更などによる解決が可能となるよう検討を行っていただきたいことを要望いたします。
 続いて、会場整備費について何点か確認をいたします。
 本日提出された資料によれば、今回報告された施設整備費には、IOCから求められる可能性のある厳重なセキュリティー対策費が含まれており、その総額は二百一億円に上るとのことであります。
 このセキュリティー対策費とはどのようなものなのか、説明をお願いしたい。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 工事段階におけるオリンピック会場のセキュリティー対策は、全ての工事現場を厳重な警戒レベルで常時監視するなど、高い水準が要求されます。
 このため、二十四時間体制での警備員やセキュリティーカメラの配置、堅牢な仮囲いの設置など、通常の建設工事におけるセキュリティー対策を超える経費が必要となる可能性があることから、施設整備費として計上いたしました。
 具体的には、今後、組織委員会と連携し、大会施設の工事現場におけるセキュリティー対策を検討してまいります。

○小磯委員 治安ということについては、治安のよさは日本が世界に誇る美点の一つでございます。都民が安心して暮らせる環境を守ることは無論のこと、今後さらなる国際化を図っていくためにも、この点は守っていかなければなりません。
 オリンピック・パラリンピックのような世界中の注目を集めるイベントが、万が一にもテロなどの標的になってはならぬよう、新設会場については、工事期間中から万全のセキュリティー対策をとっていただきたいと要望しておきます。
 さて、個別の会場についても確認いたします。
 まず、整備費が大きく膨らんでいるのが海の森水上競技場であります。海の森水上競技場の整備費が、立候補ファイル時の六十九億円から、再検討前が一千三十八億円となり、そして、再検討後四百九十一億円となった理由について、改めて伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 立候補ファイル時の整備費は、IOCの定めたフォーマットに従い、本体工事費のみを計上したものでありまして、このため、調査設計等の委託費、周辺整備費等は含んでおりませんでした。
 再検討前の試算において整備費が増加した理由としては、開催決定後に行った調査等も踏まえて、本体工事費の見積もりを現在の実勢に合わせて精査したことや、基本設計等の調査委託費、上下水道等のインフラ整備費や支障物の撤去、移設経費等の周辺整備費を計上したことなどでございます。
 また、着実に会場整備を進める観点から、今後の建設物価上昇分やセキュリティー経費も見込んでおります。
 さらに、海の森水上競技場の固有の要素としまして、開催決定後に実施しました地質調査の結果を踏まえた地盤改良工の実施や、大会後の活用も視野に入れた平穏な水面を確保するための締め切り堤工事に伴う堅固な遮水工、廃棄物処分場に建物を整備するために必要な基礎構造の変更などにより増加いたしました。
 再検討後の試算におきまして整備費が縮減された理由は、競技団体の協力のもと、会場レイアウトを変更したことに伴う新設締め切り堤延長の縮小や建物基礎工法の変更など、整備内容の大幅な見直しを行ったことや、護岸に沿って敷設された配管の移設、撤去を取りやめたことなどでございます。

○小磯委員 削減したといっても、まだまだ巨額の整備費であることに変わりはございません。先日の報告にもあったように、引き続き整備費の圧縮に努めていただきたい。
 また、この会場については、競技運営上、課題があるという話も聞いております。海上での競技場となるため、風や波浪への対応、現在、東西水路にかかっている中潮橋の取り扱い、締め切ることによる水質への影響などの心配の声があると聞いております。
 年明けには基本設計に入っていくことになりますが、オリンピック・パラリンピック会場として、これらの課題についてどのような対策を検討していくのか、お伺いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 海の森水上競技場につきましては、競技運営に責任を持つ国内及び国際競技団体と密接に連携して検討を進めております。
 競技場予定地の風速につきましては、夏場の平均風速で毎秒二から三メートルとなってございます。この風への対応につきましては、既に国際競技団体と協議しておりまして、競技場周辺における風シミュレーション分析を行った上で適切な対策を講じることとしております。
 また、波浪による競技への影響につきましては、大会後の活用も見込み、競技場の両端に締め切り堤を整備することで平穏な水面を確保してまいります。
 競技場内の水質につきましては、締め切り堤に水門を整備し、それを開閉することで競技場内の通水機能を確保していくことを予定してございます。
 こうした対策を講じることで、オリンピック競技の求める要件を満たす競技場としてまいります。
 なお、現在、海の森水上競技場予定地にかかっております中潮橋につきましては、環境局所管の橋梁で、主に清掃関連車両の通行に供しているものでございます。この中潮橋につきましては、既に計画されております臨港道路南北線に接続する中防内五号線の橋梁整備に伴い、撤去される予定でございます。

○小磯委員 その他の施設でも整備費が膨らんでおります。オリンピックアクアティクスセンターや有明アリーナの本体工事費が立候補ファイル時に比べ大きく増加した理由をお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 アクアティクスセンターや有明アリーナの本体工事費は、躯体、建物内外の仕上げ等の工事費について、開催決定後から現在までの建設物価高騰などを現在の実勢に合わせて精査いたしまして、必要な額を見積もったものでございます。
 また、立候補ファイル時点では、類似施設の事例における建設費を参考にして積算いたしましたけれども、今回の再検討では、施設ごとの特徴に応じた施設仕様や施工の難易度などを検討するとともに、必要に応じてメーカー等からの見積もりやヒアリングにより得た情報などから積算額を精査したことなどによるものでございます。

○小磯委員 オリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナは、現在、基本設計の契約手続中であり、来月から三施設とも基本設計に着手する予定と聞いております。
 こうした施設は、大会後も後世に残していく恒久施設であり、多くの都民が訪れ有効活用される、活気にあふれた施設としていく必要があります。したがって、基本設計に着手する今から大会後の利活用を見据えていく必要があります。
 都は先般、外部有識者などから構成されるアドバイザリー会議を立ち上げたということでございますが、このアドバイザリー会議は施設の設計にどのように関与していくのか、お伺いいたします。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 新設する競技施設を都民の貴重な財産として有効活用していくためには、民間の知恵やノウハウ、地元自治体などの意見も参考にするなど、幅広い視点から検討を進めていく必要があります。
 そのため、外部有識者等から構成されるアドバイザリー会議を設置し、今月八日、第一回会議を開催したところです。
 また、アドバイザリー会議における検討の参考とするため、今月二日から新規恒久施設等の後利用提案を募集し、四十社から申込書を受け付けたところです。また、地元自治体への意見照会や競技団体などへのヒアリングも精力的に行っております。
 会議では、今後、地元自治体や競技団体の意見、民間からの提案を踏まえた議論を行い、後利用の方向性について検討を深めていきます。また、検討の成果は、取りまとめ、基本設計等に反映させてまいります。

○小磯委員 整備を進めることとなった施設についても、それぞれ課題があるようでございますが、今回の報告で解決の方向性が示されたと考えております。
 今後、基本設計や後利用の検討などを通じて具体的に課題の解決に努め、すばらしいオリンピック・パラリンピックが開催できるよう、会場整備に万全を期していただきたいことを要望して、私の質問を終わります。

○畔上委員 資料の作成、ありがとうございました。
 競技会場については、私たち日本共産党は、整備費を必要最小限に抑えること、そのために、隣接県も含め既存施設を最大限活用することを求めてまいりました。
 都が六月以降、膨張する整備費の抑制などの視点から会場計画の見直しを検討し、バスケット、バドミントン会場などの新設を中止して、他県も含めた既存施設の使用を打ち出したことは大変重要なことだと考えております。
 しかし、都が負担する会場整備の試算は、見直しを行った段階でも二千五百七十六億円に上ること、また、他会計からの土地購入費など、二千五百七十六億円に含まれない、そういった支出もあること、新設施設の維持管理など後年度の負担も懸念されるところであります。
 先日開かれましたIOC臨時総会で承認されたアジェンダ二〇二〇でも、既存施設の活用や開催都市以外での開催を認めることが示されていて、都は、会場計画についてはさらなる見直しを図るべきだと考えております。
 こうした立場から、本日は、私はボート及びカヌースプリント競技会場予定地であります海の森水上競技場計画に絞って伺いたいと思います。
 私は、九月十日の当委員会におきまして、整備費用も明らかにされない中で基本設計を強行すべきでないというふうに申し上げましたが、十月六日、海の森水上競技場の基本設計に係るプロポーザル方式の実施に関する公示がされてしまいました。
 しかし、今回の施設整備費の見込み内訳という資料を作成していただいて、改めて会場計画は見直すべきだと痛感いたしました。
 一つは、費用の問題です。
 先ほどのご答弁で、整備費については、立候補ファイルでは六十九億円の本体工事が、調査、設計委託費、それから周辺整備や工事中のセキュリティーの経費などを加味したら一千三十八億円になったんだ、再検討して四百九十一億円まで減額したんだ、こういうご説明だったわけですが、作成していただいた資料によりますと、再検討前の千三十八億円という試算の内訳を見ますと、新たに積算されたインフラ整備が百六十六億円、そのほか消費税増税とか物価上昇分を除いても、いわゆる本体工事分は六十九億から五百六十七億、実に八倍にも膨れ上がっている。先ほどのご説明では、地盤改良工の見直し、遮水工、躯体強化などだと。
 つまり、こうした地盤改良などで新たに五百億円近いお金が必要になったということなんですが、それでは伺いたいのですが、地盤改良をする必要性がなぜあるのでしょうか。また、その費用は幾らと見込んでいらっしゃるのですか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 海の森水上競技場の地盤改良につきましては、招致決定後に調査しました土質調査の結果によりまして、必要な地盤改良を見込んだものでございます。
 また、その内訳につきましては、切り分けられるものではないので、現段階でお示しできません。

○畔上委員 費用は示せないと。私が聞いたのは、地質調査で見直すことになったんだとさっき説明されたけれども、なぜ必要なのかということなんですよ。
 つまり、地盤が弱くて改良工事が必要なのか、土壌汚染があって改良工事が必要なのか、その根拠ですね、改良工事を行わなければいけない根拠を示してください。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 海の森水上競技場につきましては、地質調査の結果、付近が非常に軟弱な地盤であるということが改めて判明いたしましたので、その軟弱な地盤に対応するために地盤改良工事を実施するものでございます。

○畔上委員 軟弱地盤だからと。つまり、この海の森水上競技場予定地は、廃棄物を埋め立ててつくりました、しかも新しい埋立地なわけです。
 先日、私も海の森に行きましたら、まだメタンガスが発生していると。今のご説明だと、地盤も地盤改良工事が必要なぐらい安定していないということですね。外側はまだ埋め立て中だと。そうした場所で、普通の公園とか、それから国内大会ならいざ知らず、立ち見も含めて総座席数が二万四千、そしてメディアも殺到する、こういうオリンピックを開催するので、結局、本体工事だけでも五百億にもなったんじゃないでしょうかと。大体、こんなに膨れ上がっている施設はないんですね。
 同じ海の上につくる、今回既存施設に会場変更になったヨットの会場でも三倍なわけですね。それから、同じように物価の高騰とかセキュリティーも全部入れて、ほかも数%か一・五倍程度なわけですよ。
 しかも、その金額というのは、屋外施設の場合で見ますと、人工的に急流をつくるという葛西臨海公園でも三十七億です。
 そういう点では、本当にここがほかの施設とは際立って違う費用がかかるということが明らかになったわけです。
 先ほどのご説明で、五百六十七億が二百五十一億になりましたよというご説明があったんですけれども、そのご説明を伺っていたら、締め切り堤の縮小とか建物配置の変更などによって見直しをして縮小できましたというご答弁があったんですけれども、新設の締め切り提というのは、行ったことのない方はわかりにくいかもしれないんですけれども、海の森から東側の会場を完全に囲って、それで、ゴールしたボートが方向転換したり、それから練習場として使えるものにするという部分の堤防なわけですね。立候補ファイルのときから、それはもう既に計画されていたものなんですね。それを縮小しますよというお話。
 つまり、先ほどのご説明では、立候補ファイルの工事費六十九億が地盤改良とか遮水工などで五百億円膨れましたと。しかし、それとは別の要素で三百十六億円も縮小できましたと。こんな説明では意味がわかりません。
 三百十六億円も縮小した工事の内訳をもう少し丁寧に説明していただかないと、なぜ五百六十七億が二百五十一億になったのか、理解できないじゃありませんか。
 削減したその工事費の三百十六億円の内訳を教えてください。何でどれだけ減ったのか教えてください。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 まず、海の森水上競技場の本体工事が六十九億円から五百六十七億円となった理由でございますが、これも先ほどから答弁していますとおり、地質調査結果を踏まえた地盤改良工の実施、それから、大会後の活用も視野に入れた平穏な水面を確保するための遮水工、廃棄物処分場に建物を整備するための必要な基礎構造の変更などでございます。
 それを、再検討によりまして会場レイアウトを変更いたしまして、競技団体の協力も得まして、新設締め切り堤延長を最小限に縮小いたしました。それから、建物を配置変更することによって基礎工法の見直しも行っております。
 このようなことから、本体工事費を二百五十一億円に縮減したものでございます。

○畔上委員 答弁になっていないですよ。つまり三百十六億円が削減された、その中身は何ですかと聞いているんです。もう一度お答えください。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 ただいまご答弁いたしましたとおり、会場レイアウトの変更によりまして、新設締め切り堤延長を縮小いたしました。それから、建物の配置を変更いたしまして、それに伴いまして建物の基礎工法の見直しを行いました。
 それなどのことから、会場整備費、本体工事費を削減したものでございます。

○畔上委員 全く内訳は示していないじゃないですか。しかも、先ほどの膨れ上がった理由と整合性が全くないじゃないですか。見直しして半分になりましたというのだったら、どんな計画だったのかといわざるを得ないですよね。これで説明責任を果たしているとは到底いえないというふうに思います。
 前回の委員会において、局長説明では、現時点で施設整備費四百九十一億円だけれども、引き続き、IOCや競技団体との合意を得て整備費の圧縮に努めるというふうにおっしゃっていましたが、さらに圧縮できると見込んでいるその工事の内容は、じゃ、どういうものなんですか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 今後、基本設計などを行う中で、IOCや国内外の競技団体との協議により具体的な施設条件をさらに精査するとともに、施設計画の合理化や現場施工の効率化などに取り組むなど、さらなる整備費の縮減策を検討してまいります。

○畔上委員 つまり今後検討と。結局、圧縮できそうな工事は、今のところ挙げることはできませんということですね。
 そもそも海の森水上競技場にするという計画が、地盤改良や遮水工、水門、揚排水施設の建設工事を初め周辺整備ということでは、ボートレースのコースとなる水上に、海の上に、廃棄物処理をするための揚陸施設があります。それを撤去しなきゃいけない。こういう莫大な経費が必要になったんだ、だから都民の貴重な税金も四百九十一億円もつぎ込まなきゃならなくなってしまったんだということですが、これが本当に都民の理解と合意が得られるのか、私はそういう問題だというふうに思うんです。
 しかも、今、質疑してきたように、じゃ、一体どうやって削ったのかというふうに聞いてもそれも答えられない。こうやって説明責任も果たせない中で、都民が理解できるはずがありません。
 私たちは、必要最小限の経費で行うことと同時に、後利用計画と、それからアスリートの方たちが本当に最適な環境で競技に臨めるようにすることは重要だというふうに考えていますが、ボート関係者の方からも、海の森の水上競技会場は、公平なボート競技という点で課題が大き過ぎるというご意見も伺っております。
 海の森水上競技場は、海の森と中央防波堤外側の埋立処分場に挟まれています。この水路が会場だということになっているわけですけれども、これが護岸と垂直で海面との高低差が四メートルほどあります。そこが、横から吹く強い海風の影響がレーンの位置によって異なるなど、現段階では公平なレースを保証できる環境とはとてもいいがたいわけです。
 例えば、埼玉新聞ではこういっています。両岸に切り立つ高さ二メートルのコンクリートの護岸に、このままだと波が反射する、反射しないようにする工事も大変だ、風も問題、こんな近くに風力発電の風車があるなんて驚きだというふうに書いてありましたが、どういうことなのかなと私はちょっとわからなかったので、ボート関係者の方々にお話を伺ったんですが……(発言する者あり)そうしたら……(発言する者あり)委員長、注意してください、山崎委員のこと。
 海面に垂直に高い護岸があると、風の影響がコースによって違うんだと。要するに、夏の南風の風上となる側の護岸に近いコースは風が遮られて走りやすくなる、しかし、風下側のコースは風が吹きつけるんだ、場合によっては、風下側の護岸に当たって風が巻き上がるなどの影響を受けることになるということを、説明を受けて、私も、ああ、なるほどというふうに思いました。
 また、海の森の地盤と海面の差は四メートル程度ということなんですが、当然、満ち引きがあって、それが一・五メートル程度差があるわけですね。つまり、護岸と海面の高低差が一日のうちに変化するので、風の影響もまた変化するということであります。
 さらに、海には波がありますけれども、それも、細長い護岸に囲まれた水域では壁に反射するなど複雑な動きがあって、その影響も深刻だというふうに聞いております。
 つまり、海の森水上競技場で競技を実施することによって、潮の満ち引きの影響を受けないようにすること、波よけをすること、それから風対策が必要になるわけですね。
 国際競技連盟からは、護岸と海面の高低差が大きいことは問題だと、問題点として指摘されているというふうに伺っていますが、どうですか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 護岸と海面との高低差も含め、オリンピックのボート会場として必要な要件につきましては、競技運営に責任を持つ国内及び国際競技団体と協議しながら検討を進めているところでございます。

○畔上委員 つまり、水面と護岸の距離を縮めるためにどのような対策を考えていらっしゃるのでしょうか。対策の有効性は確認しているのでしょうか。また、その費用は本体工事の中に含まれていらっしゃるのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 まず、風についてでございますが、先ほどもご答弁したとおり、競技場予定地の風速につきましては、夏場の平均風速で毎秒二から三メートルとなっております。
 この風への対応につきましては、既に国際競技団体と協議しておりまして、競技場周辺におけます風シミュレーション分析を行った上で適切な対策を講じることといたしております。
 それから、水面と護岸との高低差につきましても、締め切り堤工事に伴う堅固な遮水工と満潮位で水門を閉鎖することによりまして、その水位を一定に保つということで、国内及び国際競技団体の理解も得ております。
 その整備費につきましては、本体工事費の中に含んでおります。

○畔上委員 風速のことは後でいいますけれども、遮水工で締め切って水位を満潮位に保つんだと。これも、先ほど本体工事費のお話をいたしましたけれども、あえて水路でやるためにこうした高額な設備が必要になるんだということであるわけです。それでも、満潮位でも護岸と水面の差というのは二メートルあるわけですね。
 国際競技団体の理解を得ていますと、今、お話があったのですが、私、国際ボート連盟に連絡をとりました。エグゼクティブディレクターのマット・スミスさんとお話をさせていただきましたが、護岸に沿ってデバイス、何かの装置ですね、これを設置することによって波のリスクを軽減する、そういう話になっていますということなんですが、それはどういう装置で、それ自身は本体工事費用の中に入っていらっしゃるのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 先ほど申し上げたとおり、この海の森水上競技場を使うことについて、国内及び国際競技団体の理解も得ています。
 波につきましてですが、外洋からの波浪につきましては、水面を締め切ることによって防ぎまして、また、その水域の中の波につきましては、護岸沿いに簡易な消波装置をつけることによって対策を検討するということで国際競技団体とも話をしております。それは本体工事費の中に含まれております。

○畔上委員 本体工事費の中に含まれているということなんですが、それはどのぐらいの工事費になるんですか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 個別費用ごとの内訳につきましては、今後の入札等契約事務の基礎となる数字でございまして、適切な事務の執行に支障を来すおそれがあることから、お示しいたしません。

○畔上委員 先ほどから内訳を全部いわれないと、本体工事費全体が本当に見えないんですよね。
 先ほど風のお話がありましたけれども、私が海の森に行ったときには大変強い風で、確かに、風車が回るところですから風は強いわけなんです。
 先ほど毎秒二、三メーターというふうにおっしゃったんですけれども、ここの風車の平均風速は、調べたら五・四メートル。
 港湾局の資料があるんですけれども、この港湾局の資料にはこう書いてあるんですね。海の森は都区内と比較して、年間を通じて風が強く、特に初夏から夏の終わりにかけて強い風が吹く。八月平均は海の森は四・四メートル。港湾局の資料ではそう書いてある。
 港湾局の資料と、今いわれた二、三メーターという、このデータの違いというのはなぜなんですか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 先ほどからお示ししている数字は、平成二十四年七月一日から九月三十日までの三カ月間調べました結果でございまして、毎正時の平均値を三カ月間平均したものでございまして、秒速二から三メートルという結果が出ております。

○畔上委員 それは誰が測定したのでしょうか。私は、気象庁のデータも調べてみたんですね。気象庁のデータでも、ことし八月の最大風速十メーター以上というのは十八日間もあって、平均風速は六・二メートルというふうに気象庁のデータではそうなっているんですよ。今いわれたのは、一体誰が調査したのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 今のデータは、当局で行いましたオリンピック・パラリンピック環境アセスメントにかかわる調査の委託でございまして、三カ月間、二十四時間の平均をとったものでございます。

○畔上委員 いずれにしましても、横から吹く強い南風の影響がレーンの位置によって大きく異なることがあってはならないということで、競技の公平性を担保するには、風よけとともに、風に当たるにしても、できるだけ均等に当たらないといけないという点では、なかなか大変な施設整備なんだというふうに思うわけです。
 遮水工のほかに、風対策としてどのような施設整備が必要なのでしょうか。それは本体工事に含まれているのかどうかもお示しください。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 風対策の費用につきましては、現時点での想定額を本体工事費の中に見込んでおります。
 その内容につきましては、先ほどご説明いたしましたが、既に国際競技団体と協議しており、競技場周辺における風シミュレーション分析を行った上で適切な対策を講じることとしております。

○畔上委員 つまり、適切な対策ということは、これから協議してさらなる施設整備も必要になる可能性があるということですよね。
 先ほど、水位を一定に保つために堅固な遮水工をつけるんだというお話があったんですが、そうすると赤潮発生の懸念というのはないのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 赤潮の発生などを含みます水質対策につきましては、締め切り堤に水門を整備し、それを開閉することで競技会場の通水機能を確保していくことと予定しておりますが、具体的には、今後、流況調査、すなわち海水の流れ方に関する調査等を行った上で、運用も含め適切な対策を講じてまいります。

○畔上委員 つまり、通水の機能も、今後、具体的に検討していかなきゃならないということですね。
 夏の東京湾全体で見てみますと、東京都の内湾は最も赤潮発生率が高く、その中でも特に中央防波堤の内側が赤潮発生率が高いと、東京都の環境科学研究所の二〇一二年の年報に示されておりました。
 ボート競技は七月二十五日から八月一日、カヌースプリントは八月三日から八日です。赤潮対策も必要になるということになるわけです。
 つまり、私がいいたいのは、最高の競技環境をつくるという点でも、一定の水面確保の対策が必要になって、風対策、赤潮対策と、そういう点では、先ほどお話があったように、今後もさらに施設整備費がかかる可能性があるということなんですね。
 現在予定しています、海の森と中央防波堤の外側埋立処分場に挟まれた水路でオリンピックに耐え得る施設をつくるには、現段階では四百九十一億円だと。それから、これから団体とも十分協議していきますよということでは、課題としては団体との協議もありますよと。それから、検討結果によっては、さらなる費用がかかりますよと。そして、それを抑えよう、抑えようとすれば、果たしてベストな条件整備ができるのか、ベストな条件整備が難しくなるということだと思うんですね。
 大会後の維持管理や後利用についても私は大変心配なんですが、この問題については、後ほど吉田理事の方から質疑いたしますので、私は申し上げませんけれども、こうした課題を考えたときに、やはりアジェンダ二〇二〇で指摘された視点での会場計画の見直し、私はこれの英断が必要だというふうに考えるわけです。
 先ほど、用地買収など、いろいろご説明がありましたけれども、恒設の施設の設置はできない、総合的な調査でそういう判断に至りました、結論に至りましたというご答弁があったんですけれども、仮設での検討はなさっていないのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 まず、先ほどの風とか波、水質に関する費用でございますが、これは一定程度想定される金額を本体工事費の中に含めております。今後、適切に国際競技団体等と協議して、具体的な内容を詰めてまいりたいと思っております。
 また、ボート会場につきましては、仮設も含めてあらゆる可能性を検討しております。

○畔上委員 仮説も含めて検討しているんだったら、ぜひ私は検討していただきたいと思うんですが、先ほど申し上げました公平な競技環境の確保、それから四百九十一億円にもなる整備費、後年度負担と後利用計画の懸念から、ボート関係者の方々からも疑問の声が上がっているわけです。
 戸田市長や戸田監督会が、対案として戸田ボート場に近接します彩湖を仮設競技場として活用することを提案されていました。
 私たちは、この間、都議団としても、海の森の水上計画地の調査、それからボート関係者の方々などからの意見も伺って、戸田ボート場と近接します彩湖--さらには彩湖を管理しています国土交通省荒川上流河川事務所などから聞き取り調査などを行ってまいりました。
 それを踏まえて、彩湖を会場にするというのは貴重な提案だなというふうに判断いたしまして、先日、舛添知事と組織委員会に申し入れをさせていただいたところであります。
 彩湖に関して、調査して会場として活用できるかどうか可能性を検討することを求めたいと思いますが、いかがですか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 まず、先ほどの答弁でございますが、現在、海の森水上競技場に整備する予定としておりますので、仮設も含めて検討をしたということでお願いいたします。
 それから、彩湖に関してでございます。埼玉県戸田市にあります彩湖は、国土交通省管理の荒川第一調節池内にある貯水池でございます。荒川第一調節池は、荒川下流域の水害軽減を図る洪水調整を行う治水機能と水供給のための貯水池としての利水機能を有してございます。
 治水機能では、彩湖を含む調節池全体が洪水により水没する仕組みとなっておりまして、実際に、平成十一年八月には調節池全体が水没しております。
 また、利水機能では、夏場等の渇水時には彩湖の水を水道用水として供給することになるため、彩湖の水位が低下することがございます。
 さらに、彩湖は河川区域内にあるため、通常の河川敷と同様に、恒設施設は設置できずに、直ちに撤去可能な仮設施設の設置に限定されるとともに、大会期間中におきましても、河川法に基づく施設の撤去が求められることがございます。
 また、彩湖内には外環自動車道も横断しておりまして、セキュリティー等の観点から施設レイアウトに制約がございます。
 一方、オリンピック・パラリンピック競技大会で要求されますボート場の要件につきましては、水域で延長二千二百二十メートル、幅百六十二メートルの競技コースのほかに、ウオームアップエリア、クーリングダウンエリア、回漕レーン等の確保が必要でございまして、陸域にも、艇庫や観客席、テレビカメラレーン、放送コンパウンドなど多くの施設設置が必要でございます。
 彩湖においてそれらを満たす施設整備を行うためには、現在、治水機能上重要な施設である流入堤や貯水池機場の付近へのコース設置や、多くの市民が利用している野球場や子供たちの遊ぶ児童遊具施設のある区域の大規模な湖岸掘削、それから、ランニングコースとして親しまれている管理橋の撤去や、それに伴う新たな橋梁の設置などが見込まれるなど、施設整備には大きな課題があることが明らかになってございます。また、これらを解決するためには、相当な経費が必要となります。
 こうした検討を行った上で、競技運営に責任を持つ国内及び国際競技団体との協議を経て、二〇二〇年大会のボート会場として海の森水上競技場の基本設計に着手することとしたものでございます。

○畔上委員 仮設に限定されるとおっしゃいましたけれども、総合的に判断して仮設にするということだって私はあり得ると思うんです。
 ロンドンのオリンピックだって、新設をする予定だったけれども、最終的には仮設にしたといった施設もあるわけです。競技団体とは、今も今後も協議するといっているんだから、あるわけですね。私は競技団体とは粘り強く話し合っていただきたいというふうに思うんです。
 仮設の場合は、やはり何といっても用地買収という一番お金のかかる問題はクリアできるわけです。しかも、今、るるできない理由を述べておられましたけれども、大会時に台風などの自然災害が起こる、こうなったら海の森だって使えないでしょう。同じでしょう、それは。
 それで、私は、彩湖を仮設会場とした場合に、確かに治水や利水対策の問題はどうなのかなということで、国土交通省に聞きに行ったわけですよ。それで、国土交通省に行ったら、仮設会場はできないとはいわなかったんですよね。
 それで、オリンピックの利用について伺ったら、年間二百万人の公園利用者の理解が得られるかどうか、そこを国土交通省としては問題として考えていますよというお話だったわけです。
 しかも、彩湖は海風の強風の心配もありません。そして、先ほどおっしゃっていた延長二千二百二十メートル、幅百六十二メートルの水域を確保するためには、わずかな土地の掘削でできる。確かに外環道も横断していますけれども、競技コースには全く影響のない端の方にあるんですね。全く影響ないところなんです。(発言する者あり)ちゃんと全部視察してきましたからわかりました。むしろ、外環のインターチェンジが近く、選手の輸送などに好条件なんですね。しかも、埼玉県のボート協会の試算では、仮設の場合は約五十億円でできるということを示されております。
 知事のご答弁で、今後、IOC、競技団体の協力を得ながら、さらなる整備費縮小で合意しているとのお話なんですから、その検討の結果での仮設への変更も十分あり得るというふうに私は考えます。そういう点では、やはり都民の理解と合意を得るためには、彩湖の仮設を含めて検討されるように強く求めておきたいと思います。
 きょうは、私は海の森に絞って質疑をさせていただきました。これまでもアクアティクスセンター施設整備による辰巳の国際プールの存続問題とか、大井ホッケー場での野球場の存続問題、それから、夢の島公園での緑削減による環境破壊の問題や既設青少年施設の廃止の問題、陸上競技場の隣地の野球場の代替施設問題、有明テニスの森のコートの削減問題などを取り上げて、最大限、既存施設の活用と後利用計画を含めた検討、そして、都民スポーツへの影響を避けることなどを意見として申し上げてきたわけですけれども、引き続き、都民参加、そしてアスリートファーストでオリンピック・パラリンピックを進めていただきたいと思いますし、都民の理解と合意のオリンピック・パラリンピックという立場で進めていただきたい、このことを強く求めまして私の質疑を終わります。(荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長発言を求む)答弁なんか求めていませんよ。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 先ほど答弁いたしましたが、ここで彩湖で仮設といたしましても、同様にオリンピックで求められる施設をつくるに当たっては、相当の経費が必要となると同時に、水域につきましても、ウオームアップエリア、回漕レーン、クーリングダウンエリア、こういったものを競技コース以外につくるということになりますと、大きく湖岸を掘削する必要がございます。これは仮設であっても同様でございます。
 これにつきましては、国際競技団体もこの現場を見まして一緒に確認をして、彩湖についての可能性はないということで判断したものでございます。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十一分休憩

   午後三時四十分開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○小山委員 先月、十一月に参りましたロンドン大会の調査で、本委員会に報告をされております再検討されている会場施設について、新設予定の水泳競技のアクアティクスセンター、ボートとカヌースプリント競技の海の森水上競技場、そして、カヌースラローム競技の葛西臨海公園の各施設に該当いたしますロンドン大会のアクアティクスセンター、イートン・ドーニー、リーバレー・ホワイトウオーターセンターに赴き、各運営責任者にヒアリングを行ってまいりました。
 ロンドン大会は、既存施設として整備をされていない競技会場を、収益性を踏まえた将来的な見通しが確立した会場のみ恒久施設として整備をし、その他の競技会場は、全て仮設会場や既存施設で開催したとのことでありました。
 また、後利用の運営主体と責任をしっかり明らかにした上で、設計前の早い段階から後利用の運営主体がかかわることが極めて重要であると総括をされておりました。
 そこで、東京都の会場計画におけます会場整備について、後利用の運営主体と責任を明らかにし、設計前の早い段階から後利用の運営主体がかかわるべきと考えますが、都の見解を求めます。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 競技施設をレガシーとして最大限に活用するためには、早い段階から後利用を考え、基本設計等に反映させていく必要がございます。
 そこで、都は、外部有識者等から構成されるアドバイザリー会議を設置し、後利用の方向性について検討を進めております。
 また、会議における議論の参考とするため、今月二日から、施設運営やイベント、物販、飲食等の収益事業を行った実績や経験のある民間事業者を対象として、大会後の利活用の促進や採算性の向上などに資する創意工夫ある提案を募集しており、先ほど申しましたが、今月十五日までに四十社から申込書が提出されております。検討の成果は、取りまとめ、基本設計等に反映させてまいります。
 今後、こうした民間の提案も参考にしながら、後利用について具体的に検討してまいります。

○小山委員 それでは次に、個別の施設についてお伺いをしたいと思います。
 まずは、アクアティクスセンターでございます。
 ロンドン大会のアクアティクスセンターは、この委員会でも何度もありましたが、一万七千五百人分ありました観客席を大会開催後に二千五百人分に減らしました。
 さらに、今回の視察でもこれは確認をしたのですが、プールだけの運営では収益上の課題があるとしまして、ジムなどのプール以外のスポーツ施設が併設をされておりました。
 東京大会のアクアティクスセンターにつきましては東京辰巳国際水泳場が近くにあるなど、こういった状況的なことを鑑みれば、ロンドン大会以上に施設の将来的見通しを考えなければならないと考えます。
 そこで、ロンドン大会のアクアティクスセンターの事例を参考に、東京大会のアクアティクスセンターについても、このようにスポーツジムなどのプール以外の他施設を併設することによって収益上の課題を踏まえた検討が必要と考えますが、都の見解を求めます。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 施設の後利用を検討するに当たり、収入の確保など採算性を向上させる視点は重要でございます。
 そこで、都は、民間事業者を対象として、大会後の利活用の促進や採算性の向上などに資する創意工夫ある提案を募集しております。
 今後、こうした民間の提案も参考にしながら、お話のプールに他の施設を併設するような複合的な施設形態も含め、外部有識者等で構成されるアドバイザリー会議も活用しながら具体的に検討してまいります。

○小山委員 それでは次に、ロンドン大会のボート会場でありましたイートン・ドーニーについてお伺いをしたいと思います。
 このイートン・ドーニーでは、施設の責任者でありますマネージングディレクターのアイバー・ロイド氏からお話をお伺いいたしました。アイバー・ロイド氏は、ロンドン大会の開催決定を見据えて、本施設の運営責任者として二〇〇五年にビジネス界から起用をされまして、大会開催とその後の施設利用を成功させております。
 氏からは、東京大会の会場として予定をされております海の森水上競技場について、非常にチャレンジングな会場であると評価をされる一方で、コスト面や競技運営上の面で相当な課題があるのではと指摘をされました。
 特にこのイートン・ドーニーは、英国の名門校でありますイートン校所有のボート競技のための人工池でありまして、オリンピック開催に合わせて既存施設を改修して大会会場とした経過からも、東京大会の海の森水上競技場の新設整備に当たっては、コスト面や競技運営上の面で非常に難しい点が多いのではないかということを述べられていたのだと思います。
 そこで、東京大会の海の森水上競技場は、コスト面や競技上の課題に対して、会場レイアウトの変更や整備費の圧縮を検討されているとのことでございますが、どのような内容なのかお伺いをさせていただきます。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 まず、海の森水上競技場をボート会場とすることにつきましては、国内外の競技団体とも深く検討の上、合意しているところでございます。
 それを前提にですが、海の森水上競技場の整備費削減の具体的な内容につきましては、競技団体の協力のもと、会場レイアウトを変更したことに伴い、新設締め切り堤延長の縮小や建物基礎工法の変更など、整備内容の大幅な見直しを行ったことや、護岸に沿って敷設された配管の移設、撤去を取りやめるなど、本体工事費、周辺整備費ともに削減を行ったことなどであります。
 今後、基本設計などを行う中で、IOCや国内外の競技団体との協議により具体的な施設条件を精査するとともに、施設計画の合理化や現場施工の効率化などに取り組むなど、さらなる整備費の縮減策を検討してまいります。

○小山委員 そこで、今のご答弁を踏まえた上ででございますが、海の森水上競技場のまさしく大会後の収益や後利用を考えますと、この競技会場単体だけでなくて、競技会場以外の周辺整備との一体的な運営が不可欠であると考えます。
 そこで、都の見解を求めたいと思います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 大会後の海の森水上競技場は、国際大会が開催可能なボート、カヌー会場であるとともに、レクリエーションの場、新たなスポーツ体験の場とするなど、多目的に活用していくことを想定しております。
 こうした多様な利活用を促進するためには、隣接する海の森公園との連携が重要と考えております。
 今後、民間からの後利用提案を参考とするとともに、外部有識者で構成されるアドバイザリー会議を活用するなど、大会後も末永く親しまれ有効活用される施設となるよう、具体的に検討してまいります。

○小山委員 海の森水上競技場に該当しますロンドンのイートン・ドーニーでは、この会場周辺の施設の中でさまざまなイベントを行ったり、あるいはパーティーなどを催すなどして商業的な収益を得る一方、会場全体を一つの景観として捉えて、その全体の中でもイベントあるいは利活用を図っておられました。
 このようなさまざまな取り組みの中で、一つの競技後の後利用ということを考える一方で、こちらはやはり、イートン・ドーニーというのはイートン校自体が所有をしているということもありますので、経営的には、我々東京都が今後考える施設と比べて非常に大きな相違というか、開きがあろうと思います。そういった点で、先ほどの質問で申し上げた周辺との一体的な運営というのが、やはり何としてもこれは必要ではないかということをここで確認させていただきました。
 今のお答えの中にいただいた、今後、アドバイザリー会議などで検討されて、そういった施設となるよう検討していくということのご答弁でありましたけれども、ぜひこの部分、将来的にやはり不採算な施設にならないような、そういった取り組みを今から始めていただくことをお願いしておきたいと思います。
 最後に、葛西臨海公園に隣接をします都有地を活用して整備されるカヌーのスラローム会場についてお伺いをしたいと思います。
 ロンドン大会のカヌーのスラローム会場でありますリーバレー・ホワイトウオーターセンターでは、本施設を含むリーバレー・リージョナルパークを一体的に運営しますリーバレー・リージョナルパークオーソリティーという団体、組織がございます。この組織の責任者でありますチーフエグゼクティブのショーン・ドーソン氏からお話を今回伺いました。
 リーバレー・リージョナルパークオーソリティーは、このリーバレー・ホワイトウオーターセンターを初め、自転車競技のベロパークであるとか、あるいはオリンピック公園のテニスセンターなど、施設を一体的に運営されております。
 このショーン・ドーソン氏からも、お話の中で、施設単体ではなく一体的運営での収益の確保や、スラローム競技施設整備においては、オリンピックコースとレガシーコースという二つのコースを整備されて事後利用、後利用で有効に活用されているということ、さらには、施設整備に当たっては将来的見通しの重要性と事前の取り組みについて十分協議をして設計に当たられたということの説明をいただきました。
 この施設につきましては、本年八月に、職員の皆様も視察調査をされたということをお聞きしました。そこで、ロンドン大会の会場である本施設から、どのような点を参考にして会場整備を行うのか、お伺いをさせていただきます。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 ロンドンのリーバレー・ホワイトウオーターセンターは、大会後も、カヌー教室の開催や子供たちの水遊び、親子でのバーベキューなど、周辺の自然環境と一体となって多様な活動ができる施設として利活用されております。
 カヌースラローム施設の後利用に当たっては、多くの人に末永く親しまれ利用されるよう、多目的な活用や周辺施設との連携を図るなど、その魅力を一層向上させていくことが重要でございます。
 カヌースラローム施設に隣接する葛西臨海公園は、交通のアクセスもよく、年間三百万人以上の利用がある都内有数のレジャーとにぎわいの場所でございます。公園内には、水族園や人工なぎさ、バーベキュー場、ホテルなどもあり、憩いと行楽の場ともなっております。
 こうした周辺環境を生かしつつ、公園機能と一体となったレジャー、レクリエーション施設としていくことで、新たなにぎわいを創出することも可能と考えております。
 今後、民間や地元自治体、競技団体などの意見も参考にしながら、具体的に後利用を検討してまいります。

○小山委員 今、ご答弁いただきました中に、それぞれの施設の後利用の課題や、あるいは対応についても伺うことができましたが、恐らくこの三施設とも、都の職員の皆様も視察調査をされていると思います。また、大会の関係者も視察調査をされているということでございましたので、恐らく、それぞれの施設についての課題であるとか、あるいは今後の対応については共有の認識があろうかというふうに思います。ぜひ、それら視察調査で得られた成果を十分今後の設計、そして計画に反映していただきたいというふうに思います。
 これまで、再検討されております各会場について、ロンドン大会の事例をもとにお伺いをしてまいりましたが、冒頭の質疑でも述べましたとおり、やはり一番大事なのは、この東京大会の会場整備に当たっては、その後利用の運営責任者が早期に計画にかかわる取り組みであろうかと思います。
 この取り組みを一層進めるとともに、国内外の民間や有識者、さらには地元自治体などの意見や提案を積極的に取り入れていただきまして、二〇二〇年大会後の先を見据えた会場計画となるよう強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○両角委員 それでは、重複を省きまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、会場計画の再検討とレガシー活用ということで伺いたいと思います。
 今回、施設整備の再検討がございまして、その結果、三施設の新設中止を含めて、二千億円余りの経費が削減をされるということであります。
 しかしながら、今、大会まで五年半余りという時期に迫っておりまして、この中で、例えば知事は、まださらなる施設整備費の圧縮に取り組みたいという意向も示されているようでありますから、実際にこの施設整備計画をしっかりなし遂げる期限として、明年二月、大会開催基本計画の提出というのが一つの期限だと思いますけれども、それまでにこの会場計画の再検討というのをしっかりと完了ができるのかということをまずは伺いたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 会場計画の再検討につきましては、大会組織委員会と連携し、全体として来年二月の大会開催基本計画に反映できるよう、IOCや国内外の競技団体等と精力的に協議を進めているところでございます。

○両角委員 今、精力的に協議を進めていただいているということですので、しっかりとした内容のものをその基本計画に示していただきたい、そんなふうに思います。
 引き続いて、知事の記者会見の中で、レガシー委員会というものが発足いたしまして、知事が委員長、そして副知事、関係局長で構成をされているというわけなんですが、この中でオリンピック・パラリンピックのレガシーの継承のあり方などを検討していくということであります。
 それに加えてということで、都が整備をする新規恒久施設の後利用の方向性についても地元からの意見を参考にしていきたい、大会後も都民に利用され、喜ばれる施設となるように検討していくという、そんな意向が示されております。
 そこで、都の新設恒久施設の後利用の方向性の地元の意見参考ということでありますけれども、どのような意見聴取をなされていくのか、その対象、方法、スケジュールについてお示しいただきたいと思います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 先ほどもご答弁させていただきましたが、都は、外部有識者等から構成されるアドバイザリー会議を設置いたしまして、競技団体や地元自治体の意見等も聞きながら、後利用の方向性について検討を進めておるところでございます。
 意見聴取につきましては、新規恒久施設の計画地のある自治体や関係する競技団体に対し、十一月下旬から来月一月にかけまして、文書やヒアリング等により照会しております。
 会議では、今後、地元自治体や競技団体のほか、民間からの提案も踏まえた議論を行い、後利用の方向性について取りまとめを行ってまいります。

○両角委員 中身について、了解をさせていただきます。各種の方面からさまざまな意見をいただいて、後利用についてしっかりとした検討を進めていただきたいと思います。
 続きまして、夢の島ユース・プラザ・アリーナA、Bについて伺いたいと思います。
 夢の島ユース・プラザ・アリーナA、Bについては新設をしないということで、代替の施設の活用というようなことになろうかと思います。
 現段階で、さいたまスーパーアリーナあるいは武蔵野の森総合スポーツ施設ということで検討を進められているようなんですが、この夢の島ユース・プラザ・アリーナA、Bの代替施設となり得る既存施設を考える場合の基本条件というもの、例えばアリーナの規模であるとか客席数であるとか、あると思いますので、そこの基本条件の考え方を伺いたいと思います。
 それともう一点、これは新聞報道の記事でありますけれども、バスケについて記事がございまして、コーツIOCの委員長が、バスケの一次リーグは大阪のような大きな施設を持つ都市で行ってもいいのではないかということで、地方開催を認める姿勢を示したと、このように書いてあります。
 それを受けて、森会長も、地方での実施に前向きな姿勢を示したというような報道がなされておりますが、この代替施設というのは、選手村からどの程度の距離まで離れていても可とお考えか、伺いたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 夢の島ユース・プラザ・アリーナA、Bの代替施設となり得る既存施設の基本条件といたしましては、立候補ファイルにも記載してございますとおり、バスケットボールで一万八千席、バドミントンで七千席の観客席数が必要となるほか、ウオームアップエリアや運営諸室など大会運営に必要なスペースが確保できるということが要件となります。
 代替施設の東京からの距離につきましては、アスリートファーストな大会というコンセプトを基本に、選手村からの距離等を勘案し、検討を進めてございます。
 選手村からの距離につきましては、移動に伴う選手への負担を極力少なくし、円滑な輸送が確保できるよう、なるべく近いことが望ましいと考えておりますが、代替施設の位置が適切かどうかにつきましては、競技の特性などを踏まえ、当該の競技団体と協議しながら検討していくことになるものというふうに考えてございます。
 なお、前回の本委員会でもご説明申し上げましたとおり、現在、夢の島ユース・プラザ・アリーナA、Bの代替施設としましては、バスケットボールにつきましてはさいたまスーパーアリーナを、バドミントンにつきましては都が現在建設中の武蔵野の森総合スポーツ施設を候補の一つとして検討しているところでございます。

○両角委員 最後に、バリアフリーについて伺いたいと思いますけれども、これは先日の読売の記事なんですが、そこで、障害をお持ちの記者が、車椅子で実際のオリンピック・パラリンピックで卓球会場となる東京体育館に視察に行ったと。その中で、広さも十分で段差もない、障害者への気遣いが十分伝わってくるということがあるんですが、ただ、残念な点があるということで、具体的に、車椅子で競技場を見たときに手すりの位置がちょうど目の前に来てしまうということで、それが競技を見るのを遮ってしまう、非常に残念である、あと一歩ですよねというような、そんな記事がございました。
 これから、もちろん各施設への最寄り駅からのアクセスや、あるいは競技場そのもののバリアフリーというのを進めていくということになろうかと思いますけれども、そのときに、やはり実際の障害者の方の目線に立ったバリアフリー化がとても必要だなということを今回の記事を拝見して感じたわけですけれども、今後、バリアフリー化への取り組みというのをどのように考えているのか、伺いたいと思います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 施設整備に当たりましては、東京都福祉のまちづくり条例等に基づき、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れながらバリアフリー化を進めてまいります。
 また、本年十一月に、都、国、組織委員会の共催により、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたアクセシビリティ協議会を設置したところでございます。
 協議会においては、今後、障害者団体等の意見も踏まえ、バリアフリー化について幅広く検討を行っていくこととしております。

○山内委員 私からも質問をさせていただく予定ではございましたが、重複しておりますので、意見のみ述べさせていただきたいと思います。
 立候補ファイルでは、施設整備費のうち東京都が負担する費用については、新設の十施設と有明テニスの森の改修、国際放送センター、メーンプレスセンターとなるビッグサイトの改修で総額千五百三十八億円の計画でした。
 しかし、実際に招致が決まり、改めて都が試算を行ったところ、四千五百八十四億円という金額が示されました。そこで再検討が行われて、二千八億円を縮減し、その結果、試算額は二千五百七十六億円になりましたという報告が今回あったわけです。
 しかし、それでも二千五百七十六億円がかかり、当初予算より一千億円以上上回りました。これは現時点での見込みで、実際にどのくらいになるかは不明です。
 六月のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会での招致活動報告書についての質疑で、私は、招致にどれだけの予算で、実際にはどれだけかかったのか、会場建設の変更等、都民から寄せられた意見や要望など、納税者である都民に報告する責任があることを申し述べました。
 今回の施設整備や費用の変更の経緯等も、しっかりと文書として保管し、情報公開できるように管理していくことを要望いたします。
 また、二〇一六年オリンピック・パラリンピック招致活動に関する支出文書の情報公開請求に対して、一部の文書が欠落、一部紛失した問題が起きました。その原因は、文書管理のずさんさにありました。二度とこうしたことが起きないように求めます。
 これまでビッグイベントには、当然であるかのように法外な税金が投入されてきました。しかし、今後、少子高齢が進む中で、地域で安心して暮らせる社会の実現とバランスがとれた政策とするように、このオリンピックに関してもそれを求めて、私の意見とします。

○吉田委員 私からは、海の森水上競技場を中心にした後利用について質問させていただきます。
 私たちは、会場計画に当たっては、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの成功とともに、大会後も将来にわたって都民にとって貴重な財産として残されることを重視し、検討すべきと主張してきました。
 ことしの第二回定例会の代表質問でも、新設する競技施設が大会後にもスポーツ団体や都民から利用しやすい施設となるよう、維持管理コストの抑制や設計上の配慮を行うなど、施設ごとに後利用計画を明確にし、都民、関係者の理解を得て整備を進めるべきと考えますと質問をいたしました。
 この点で、知事がロンドン訪問の成果として、後利用計画の明確化、大会後のレガシー重視を打ち出し、訪問後の会見で、競技会場の建設に当たって最も重要なことは、その施設が大会後も都民、国民の貴重な財産として有効活用されるのかをしっかりと検証することだと改めて感じたと発言したことは重要です。
 しかし、問題は、ロンドンは五輪施設を大会後にどう利用するのか最初から計画していたことが最大の成功の理由と知事は述べましたけれども、都の場合は本格的な後利用計画はこれからという問題です。
 したがって、既に恒久施設として新規建設の方向で基本設計に入っている計画であっても、知事自身が述べているように、国民の貴重な財産として有効活用されるのかをしっかり検証する、そして、修正する必要があれば計画を果断に修正する、場合によっては新規建設から仮設を含めて見直すなど決断すべきだと私は思います。
 以上の立場から具体的に質問いたします。
 まず、海の森水上競技場の後利用計画ですけれども、十一月十九日の前回の本委員会になされた報告では、国際大会開催可能なボート、カヌー場であるとともにと記載されておりました。しかし、立候補ファイルでは、後利用にこの大会開催の記載はなかったのではありませんか。後利用のコンセプトが変わったのでしょうか。お答えください。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 立候補ファイルにおきましては、後利用について、ボート、カヌー場として都民のレクリエーションの場、憩いの場として活用することとしております。

○吉田委員 そうすると、立候補ファイルでは、そもそも国際、国内の競技大会として後利用するという文言は何もなかったわけですよ。
 それは、私、改めて調べてみましたけれども、つい先日開かれた新規恒久施設等の後利用に関するアドバイザリー会議に、都から各会場についての資料が提出されましたね。
 そこでは、施設ごとに立候補ファイル時点での後利用のコンセプトをどう定めたかが記載されています。例えばアクアティクスセンターでは、国際大会を含む大会会場と記載されています。有明アリーナでは、国内リーグ、国際大会の会場と記載されています。
 しかし、海の森については、何もその記載がないんです。ほかの施設はそれなりに大会会場という記載がありながら、ここに持ってきましたけれども、丸、都民のレクリエーションの場、憩いの場、もう一つの丸、水辺の空間として都民に親しまれる場、こういうことになっているわけですよ。
 そうすると、もう初めから、当初はこの会場については恒久的な、国際大会を含む会場計画として想定していなかったというふうに判断せざるを得ません。
 続いて質問しますけれども、先ほどからの質疑もありましたが、前回の特別委員会の報告では、後利用について、そうしたレクリエーションだけではなく、冒頭、国際大会可能なという文言が入りました。先ほどの答弁も、るるありました。
 そこで伺いますけれども、国際大会は、どの程度の頻度でこの海の森水上競技場で開催されることが見込まれるのでしょうか。ご答弁をお願いします。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 先ほども申し上げましたが、公益社団法人日本ボート協会からは、全日本選手権など最高峰の競技大会のほか、学生、一般のボート大会を誘致していくと聞いております。
 海の森水上競技場の活用方法等は、今後、詳細に検討してまいります。

○吉田委員 私が聞いたのは、国際大会可能なというふうに書かれていますから、じゃ、国際大会はどのぐらいの頻度、毎年とか、あるいは何回とかいう見通し、その後利用が本当に根拠があるのかという意味で質問しましたが、国際大会そのものについての答弁はありませんでした。
 国内大会については、協会としていわば誘致に努力をするということで、具体的な年間の開催数などの紹介もありませんでした。
 私は、念のために、日本ボート協会のホームページで、記載されているボート協会が主催する全国大会について調べてみましたが、国体を除くと、十三大会がありました。その多くは、戸田ボート場が会場でした。果たして戸田から海の森に移る見込みがあるのかということについて極めて疑問を感じたところです。
 なぜなら、私どもの申し入れでも記載いたしましたけれども、戸田ボート場は、競技場そのものの環境と同時に、安い宿泊施設が戸田市及び埼玉県ボート協会などの協力で提供されていることが非常に大きいんだというふうに埼玉県ボート協会の方からもお話を聞きました。
 しかし、そうしたことが果たして海の森で可能なのかという疑問があります。それは私の意見です。
 さらにお伺いしますが、今の話はボート協会の話ですよね。そこで、カヌーですね、日本カヌー連盟からも、そうした後利用について、国内大会の競技場あるいは練習場として使う意向というのは確信しているのですか。どういう意向を表明されているか、ご答弁をください。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 カヌー連盟につきましては、現在、ヒアリング中でございます。

○吉田委員 私も、実はカヌー連盟に電話をいたしましたけれども、その時点では、カヌー連盟として、この海の森水上競技場を国内大会で恒久的に使用する、あるいは誘致をする、さらに練習場として使うという明確なお話はありませんでした。
 そうすると、ボートについては先ほどのお話でしたけれども、カヌーについては、今のご答弁のとおり、協会としては明確な後利用のご答弁はいただいていないという中で進めようとしているわけですね。
 さらに、大会とともに、やはり後利用を頻度を高く使用するという点では、練習場として使われるのかどうかということがあると思うんですね。練習場としての後利用をどう考えているのかお伺いしたいわけですけれども、ただ練習場として恒常的に使う場合には、各チームごとに、ボート部ごとに、そのコースに隣接した艇庫や合宿所が整備をされているのが戸田ボート場を見た場合には確認されました。
 この点でも、申し入れで指摘しましたけれども、戸田ボート場に艇庫と合宿所を持つ都内と首都圏の大学のボート部などが、海の森水上競技場ができた場合に移転するという意向を聞いているのでしょうか。
 私が聞いた限りでは、大学のボート部の監督で組織をする戸田監督会の代表の方も含めて、自分たちは練習場として移転する意向はないというふうに聞いています。
 その点、どれだけの部が移転する意向を表明し、あるいは都として確認しているのでしょうか。参考までにお答えください。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 まず、前半と後半と二つのお尋ねがあったかと思います。
 前半は、ボートの競技場を練習場として恒常的に使うことについてのご質問であったかと思います。まず、それについてお答え申し上げます。
 先ほど答弁いたしましたが、大会後の海の森水上競技場は、国際大会が開催可能なボート、カヌー会場であるとともに、隣接する海の森公園と連携したレクリエーションの場、新たなスポーツ体験の場、環境関連施設等と連携した青少年の教育の場とするなど、多目的に活用していくことを想定しております。
 なお、日本ボート協会からは、さまざまな会場を比較検討した結果、ボート会場は海の森とするということで了解をいただいております。また、同協会は、先ほどの彩湖の提案については否定しております。
 協会からは、全日本選手権など最高峰の競技大会の実施、トップレベル、ナショナルレベル、ジュニア競技者及び指導者等の強化、育成、養成の拠点など、日本のボート競技の中心的拠点として活用する提案を受けております。
 また、多くの都民が参加するレガッタをオリンピックメモリアルイベントとして盛大に行うなど、都民が水上スポーツに親しむ機会を数多く創出し、都民及び国民の健康増進に寄与したいという提案も受けております。
 こうした競技団体からの提案なども踏まえ、海の森水上競技場のボート競技場、練習場としての詳細な使用方法について検討してまいります。
 続きまして、後段のご質問でございます。艇庫、合宿所を移転する意向のボート部のご質問であったかと思います。
 ボート競技場の利用状況につきましては、日本ボート協会からのヒアリングなどによりまして、戸田漕艇場も含め、国内全体の漕艇場の状況の把握に努めております。
 同協会によれば、戸田漕艇場はアマチュアボート競技の利用者が多く、また、競艇と共同使用をしていることなどから混雑しているとのことであります。
 また、戸田漕艇場にはこれ以上艇庫をふやすスペースはなく、艇庫を拡張したいというニーズや、新たに艇庫や練習拠点を持ちたいという全国のボート関係者のニーズがあるにもかかわらず、それらに応えることができない状況であると聞いております。
 二〇二〇年大会のレガシーとなる海の森水上競技場は、国際大会を開催できる日本のボート競技の新たな拠点であり、こうしたさまざまなニーズに応えていけるよう、今後の活用方法を検討してまいります。

○吉田委員 全国のボート関係者のニーズがあるというご答弁でしたけれども、実際上、練習場として活用するということになれば、東京を中心とした首都圏のボート部に果たして海の森水上競技場を練習場として使うニーズがあるのかということが、後利用計画の現実性を考える上で判断材料になるのではないのでしょうか。
 改めて聞きますけれども、具体的に、今、戸田ボート場を利用している首都圏のボート部のうち、どれだけが練習場として海の森に移転するという意向があると確認できるのでしょうか。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、日本ボート協会からのヒアリングにより状況把握に努めております。
 日本ボート協会は、国内ボート競技を統括する団体であり、国内全体のボート競技者の状況を把握する上で、最も適切なカウンターパートナーと考えております。

○吉田委員 国内競技団体を尊重するというのは当然のことだと思いますけれども、私はそういうことを聞いたわけじゃなくて、具体的に練習場として後利用が成り立つのかという意味で、戸田ボート場を使っているボート部の移転意向の確認を質問いたしましたが、明確な答えはありませんでした。
 先ほど述べましたけれども、私たちは、戸田ボート場を利用する監督会の代表を初め多くのボート部が、海の森水上競技場ができたとしても移転しないという意向があるということを聞いております。
 利用される根拠もなしに後利用計画を立てたら、それはその後の収支が成り立たないということにもなってしまうと思います。
 次に、問題は大会後の維持管理費についてです。大会後の維持管理費がどれだけかかり、その収支計画が適正なのかということも検討されなければならないと思います。
 提案されている会場は、先ほど畔上委員が質疑したように、海上で風も強いことが予想されるだけに、大がかりな設備を必要とする結果になりました。水門を開閉し、しかも揚排水施設を稼働させる、そして、艇庫などの維持管理が必要になると。屋外施設でありながら、高額の維持管理費が予想されることは明らかだと思います。
 さらに、日本ボート協会のホームページを見ましたところ、十月二十九日の現地説明で後利用のイメージが非常にはっきりしたということで、例えば、宿泊施設ができます、トレーニング施設もつくります、研修センターもつくります、メディカルサポート室も検討しますというようなことを、ボート協会は受けとめてホームページで紹介をしています。
 本当にそういうものをつくるんですか。そういうことを含めたら、さらに年間の維持管理費というものは膨れ上がると思うんですが、現時点で年間の維持管理費及びその収支についてどのように認識し、検討しているのでしょうか。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 後利用や収支見込み等につきましては、個々の施設の整備スケジュールに合わせまして、基本設計等の内容を踏まえてより具体的に検討し、着実に施設整備を進めてまいります。

○吉田委員 もちろんそれは、より具体的、正確さは求められるかもしれませんけれども、基本設計ができなくても、少なくとも水門の開閉及び揚排水施設、それと艇庫の維持管理、さらに、先ほどの日本ボート協会の説明にあった宿泊施設、トレーニング施設等々を、細かい設計は別にしても、整備するとしたら、どのぐらいの維持管理費がかかるかという概算ぐらいはしていないのですか。もう一度お答えください。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 収支見込みについて申し上げますと、支出面では、基本設計等により施設の基本的な設計仕様が明らかになりますので、それらを踏まえまして、施設の基礎的な維持管理費、支出というものが想定可能になります。
 収入面についていえば、都内、都外の類似施設の料金体系などを踏まえた利用料金体系のあり方及び国内、国際競技大会の開催予定や、競技大会以外の事業内容を具体的に想定することで検討が可能になります。
 こうしたものを踏まえまして、収支見込みはつくるものかと思っております。

○吉田委員 収支計画もそうなんですけれども、私は、後年度負担、維持管理費が一体どのぐらいかかるのかという概算抜きに果たして進めていいのかと。
 河川施設ならともかく、可動式の水門、揚排水施設を設けるボート場というのは、国内で初めてじゃないですか、今回が。だから、前例のない施設をつくるならば、それだけより慎重に後年度負担がどの程度になるのかということを精査するのは、整備費とともに極めて重大な課題ではないでしょうか。
 後年度負担も不明確なまま施設整備にゴーサインを出す、それでいいのかと。そもそも整備費も、先ほど議論がありましたけれども、現段階で四百九十一億円と莫大な税金が投入される。しかも、後利用の具体的な計画、後年度負担も不明確なまま、さらに進めていいのかと。そういう意味から、私たちは再検討を求めているわけです。
 質問しますが、海の森水上競技場だけではありませんけれども、後利用計画と収支計画は一体で私は検討されるべきだと思います。後利用計画、すなわち、どのような計画をつくるからどれだけの維持管理費がかかり、それをどう賄うのかというのは一体なわけですよね。これは、一体いつ明らかにするのでしょうか。
 後年度の負担が増大し、適正な収支が見込めない場合には、計画の縮小や見直しをするのは当然じゃないのでしょうか。改めてご答弁をお願いします。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 個々の施設の後利用につきましては、個々の施設の整備スケジュールに合わせ、基本設計等の内容を踏まえてより具体的に検討してまいります。
 また、個々の施設の収支見込みにつきましても、整備スケジュールに合わせ、基本設計等の内容を踏まえて今後検証してまいります。
 都が新設予定の施設につきましては、いずれもレガシー、都民生活への影響、整備費の三点の視点に基づく会場計画の再検討を行い、国際競技連盟やIOCとの調整を経て、整備の方向をお示ししております。
 アクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナの三施設については、近隣県も含め、ほかに利用可能な施設が存在しない、あるいは極めて限定されるなどの理由で現計画地に整備することとし、その他の施設につきましても、整備の方向性を先日、本委員会で報告いたしました。
 今回、都が整備する新規恒久施設は、大会後も末永く後世に残していく施設でございまして、都民、国民の貴重な財産として有効活用していく必要があります。
 そこで、都は、現在、新規恒久施設等の後利用に関するアドバイザリー会議を設置し、民間から後利用提案を募集するとともに、競技団体や地元自治体の意見等も参考にしながら検討を進めております。検討の成果は、取りまとめて公表し、基本設計等に反映させてまいります。
 後利用や収支見込み等につきましては、個々の施設の整備スケジュールに合わせ、基本設計等の内容を踏まえてより具体的に検討し、着実に施設整備を進めてまいります。

○吉田委員 どの段階で後利用計画が明確になるのか、それがどう設計に反映されるのか、私は今の答弁では極めて不明確な印象を持ちました。
 それで、改めて知事がどういったのか確認したいんですけれども、知事は、一番大事なことは早い段階から後利用を十分に考えた会場計画を立てるというふうにいったのじゃないですか。
 冒頭述べたように、残念ながら東京は出おくれました、この点では。しかし、基本設計の内容を踏まえて検討するというんじゃなくて、今からやはり後利用計画を考えた上で基本設計を進めていくというのが本来の知事の趣旨じゃないんですか。
 知事の、一番大事なのは早い段階から後利用を十分に考えた会場計画を立てるという方向に沿っているんですか、今のご答弁は。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 個々の施設につきまして、基本設計等の内容を踏まえた後利用及び運営形態等につきまして、より具体的な検討を進めてまいります。

○吉田委員 しかも、冒頭述べましたように、知事は、その後利用計画を考えて、修正する必要があれば計画を果断に修正するというふうにいっているわけですから、あくまでも着実に整備を進めるということではなく、こうした知事自身が発言している趣旨に沿って果断に修正する勇気を持って対応することが、本当に都民の将来を考えたときに必要だということを強調しておきます。
 あと、この後利用計画について、これも先ほどご報告がありましたけれども、事前に民間事業者からアイデアを募集したということは承知いたしました。
 ただ、その後利用計画の案がまとまった段階でパブリックコメントを実施するなど、スポーツ団体や都民から意見を聞くべきだと思うのですが、この点、どのようにご判断されているのでしょうか。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 都は、新規恒久施設等の後利用に関するアドバイザリー会議における議論の参考とするため、競技団体や地元自治体などから意見を伺っております。
 それらを生かして後利用の方向性について取りまとめ、公表してまいります。その際に、都民からのご意見も伺ってまいります。

○吉田委員 ちょっと言葉はきつかったかもしれませんけれども、ぜひ後利用の方向性を公表し、その際に都民の意見を求めるということをやることがやはり求められていると思います。
 冒頭述べましたとおり、私たちは、新設する競技施設が大会後にもスポーツ団体や都民が利用しやすい施設になるよう、維持管理コストの抑制や設計上の配慮を行うなど、施設ごとに後利用計画を明確にし、都民、関係者の理解を得て整備を進めていくということを重ねて求めておきたいと思いますし、そして、先ほど述べましたけれども、それが成り立たない場合には果断に修正をするということを重ねて要望いたしまして、私の質問を終わります。

○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○高島委員長 次に、本委員会に付託されております調査事件についてお諮りいたします。
 本件は、今定例会中に調査を終了することができませんので、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十五分散会

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