オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会速記録第九号

平成二十六年九月十日(水曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 十七名
委員長高島なおき君
副委員長畔上三和子君
副委員長小磯 善彦君
副委員長村上 英子君
理事橘  正剛君
理事吉原  修君
理事吉田 信夫君
小林 健二君
山内れい子君
野上ゆきえ君
小山くにひこ君
山崎 一輝君
鈴木 隆道君
両角みのる君
林田  武君
立石 晴康君
酒井 大史君

欠席委員 一名

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長中嶋 正宏君
次長理事兼務岡崎 義隆君
技監佐野 克彦君
技監邊見 隆士君
総務部長鈴木  勝君
総合調整部長加藤 英典君
準備会議担当部長矢部 信栄君
事業推進担当部長福崎 宏志君
計画調整担当部長鈴木 一幸君
大会準備部長延與  桂君
連絡調整担当部長浦崎 秀行君
連絡調整担当部長小室 明子君
大会計画担当部長児玉英一郎君
競技担当部長根本 浩志君
施設整備担当部長小野寺弘樹君
輸送担当部長荒井 俊之君
スポーツ推進部長早崎 道晴君
スポーツ施設担当部長三浦  隆君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項(質疑)
・二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック会場計画の見直しについて
・二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック会場計画の再検討の状況について
・選手村の整備について

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十七名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○高島委員長 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 理事者の欠席について申し上げます。
 オリンピック・パラリンピック準備局の石山技監は、所用のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 去る九月一日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 それでは、お手元に配布してございますオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙を一枚おめくりいただき、二〇一二年ロンドンオリンピックにおいて、立候補ファイルから変更した会場及びその座席数をごらんください。
 ロンドン・オリンピックにおいて、IOCに提出した立候補ファイルの内容から大会開催時までに会場を変更したものについて、競技名、会場名、建設状況、座席数を一覧でお示ししたものでございます。
 表の1から6までの六競技五会場につきましては、立候補ファイル時に計画をされた会場から、整備計画の変更を伴う会場変更を行ったものでございます。
 7及び8につきましては整備計画自体の変更はなく、7は他の競技で使用される会場を活用したもの、また、8は既存施設から他の既存施設に変更したものでございます。
 最後に、9及び10につきましては、マラソン等道路を利用する競技につきまして、そのスタート、ゴール地点やコースを変更したものでございます。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○吉原委員 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催が東京に決定して以来、ちょうど一年になるわけであります。この大会は、世界中から寄せられた厚い信頼あるいは信用の上に成り立った東京開催であろうかと思います。
 これまで開催されたどこの都市よりも、世界中から多くの外国人に東京を訪れていただいて、そしてまた、東京に触れていただいた人たちが暮らしたい日本、そして東京を感じていただけるような、さらには、この大会を機に、開催後も、東京、日本にとって継続性ある発展につながり、世界中からも最も絶賛される大会にしなければならないと思っています。
 あと六年で本番を迎えるわけであります。しかしながら、テストイベントまでは五年しかありません。二〇二〇年大会を史上最高の大会とするための推進役として、都議会は、会派を超えて常に前向きに、都民、国民の皆様に全面的なご賛同をいただけるよう議論を尽くしていかなければならないと思っています。
 さて、舛添知事は、第二回定例会の所信表明におきまして、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の会場計画の再検討を行うと表明されました。また、都民の信頼に応え、将来にわたり、この東京をさらに発展させていくことを第一として検討を進めるべきとの我が党の代表質問に対しまして、レガシー、都民生活への影響あるいは整備費高騰の懸念への対応といった視点から見直しを行うと答弁いたしました。
 これらは、いずれも開催都市としてきちんと検討しなければならない重要な視点であろうかと思います。開催都市の長として、大会組織委員会、IOC、国内外の競技団体、さらには地元自治体など関係者との調整も多くて、難しいかじ取りが求められる中ではありますけれども、大会準備に支障を来さぬ早い段階で再検討を決断したことを評価しています。
 再検討の表明から三カ月、都におきましては精力的に検討を行っていただきまして、先日の当特別委員会の報告では、今回は三施設について歩を進め、基本設計に着手することとしたとのことでありました。残りの施設についても鋭意検討を進めるところであろうかと思います。
 そこで、まず初めに、第二回定例会で会場計画の再検討を打ち出しまして、現在検討を進めているところだと思いますけれども、改めて会場計画の再検討の意義について伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 オリンピック・パラリンピックは、世界最高の国際競技大会であるだけでなく、開催都市の社会や文化に大きな変革をもたらします。それゆえに、会場計画が、アスリートに最高の競技環境を提供することはもちろんでございますが、何よりも、大会後、東京で生活する都民へ最高の財産をもたらす計画でなければなりません。
 今般の会場計画の再検討は、そのような大会を実現すべく、レガシー、都民生活への影響、整備費高騰などの視点を踏まえ、現実妥当性に照らして改めるべきところは改め、招致段階の計画を最適、最良の計画へとブラッシュアップさせる重要なプロセスであると考えております。

○吉原委員 先般、二〇一二年大会が行われましたロンドンの現状を中嶋局長が視察をしてこられたということは承知しております。
 当特別委員会の委員長でもあります高島委員長も、私費でロンドンに赴きまして、それぞれのレガシーも含めた会場も含め、視察をしてこられました。
 そのことも我々もお聞きをいたしまして、なるほどなと思うところもあったり、これからますます短い期間の中でしっかりやっていかなきゃならないなということを実感したわけであります。
 会場計画を再検討していく上で、局長が直近の大会開催地であるロンドンを視察してきたことは大変有意義なことであったと思いますけれども、そこで、局長に、今回のロンドン視察を会場計画の再検討にどのように生かしていくのか伺いたいと思います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 私は、八月三日から七日までロンドン出張の機会を得まして、オリンピックパークの現状や競技会場の活用状況などを視察してまいりました。
 二〇一二年のロンドン大会は、失業や貧困、犯罪などの問題を抱えたロンドン東部地域を再生する起爆剤とすることが大きな目標とされまして、新設の競技施設もオリンピックパーク内に集中的に配置され、面的な開発が行われました。
 このように、ロンドンでは東京と状況が異なる面がありますけれども、大会後もオリンピックパーク内のさまざまな競技施設がレガシーとして有効活用されているほか、ヨーロッパ最大級といわれるショッピングモールがつくられ、多くの人々でにぎわうなど、大会後のまちづくりという点におきまして一定の成果を上げていると感じました。
 また、ロンドン大会の関係者と、競技会場の見直しの実例や後利用を踏まえた競技会場とすることの重要性、そして、スポーツの裾野の拡大を初めとした大会のレガシーなどについて意見交換を行い、大会を契機とした都市問題の解決やレガシーを重視した取り組みなど、二〇二〇年大会の参考となり得る貴重な示唆を得ることができました。
 二〇二〇年大会の会場につきましては、こうしたロンドン大会での取り組みや会場見直しの例も参考にしつつ、東京の社会的状況や東京が独自に持つ強みなどを踏まえた視点から、大会の成功はもとより、大会終了後、広く都民共有の財産として末永く利用されるように、引き続き再検討を進めてまいります。

○吉原委員 ぜひこれまでロンドンで視察をされてきたことを東京開催の大会にも生かしていただきたいなというふうに思います。
 第二回定例会で再検討を表明して以来、会場変更について、具体的な競技名や施設名などを挙げての報道が数多くされました。競技等によっては、会場の変更について競技団体と合意ができたような報道もあったわけであります。
 先日の報告で、現在も再検討が進行中であることはわかりますが、この間、どのような検討を行ってこられたのか伺います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 会場計画の再検討に際しましては、近隣県までを含めた既存施設の活用、環境などに配慮した会場設計、整備工法の見直しによる整備費の圧縮の三点を具体的な検討事項といたしまして、全ての競技会場について検討を進めてまいりました。
 既存施設の活用につきましては、都内及び近隣県にある国内、国際大会等の実績のある施設や、ある程度の規模を有する施設を可能な限り洗い出し、観客収容数や運営に必要なスペースなど、オリンピック・パラリンピックの各競技の会場として求められる基準、要件に照らし合わせ、活用可能な施設の調査を行ってまいりました。
 環境などへの配慮につきましては、現計画での施設整備を進めた場合の予定地及び周辺の環境に及ぼす影響、現存施設やその利用者への影響などを整理し、競技に求められる基準や運営に必要な機能を損なうことなく、その影響を軽減することができるような会場設計の工夫について検討を重ねてまいりました。
 整備費につきましては、予定地の現況や施設内容の詳細についての検討、調整とあわせて、海外を含めた類似施設の事例などを広く情報収集を行い、より適切な整備工法について研究してまいりました。

○吉原委員 ただいまご答弁いただきましたけれども、近隣県までを含めた既存施設の活用、あるいは環境などに配慮した会場設計、整備工法の見直しによる整備費の圧縮の三点を具体的に検討を進めてきた、こういうことでございますけれども、行ってきました検討作業において、それぞれどのようなことが見えてきたのか伺います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 既存施設の活用につきましては、競技を行うコートなどのスペースはあっても、オリンピックで求められる観客収容数や運営スペースなどを同時に満たす施設は極めて限られていること、市街地等にある施設においては、周辺に仮設施設のためのスペースの確保、増設も困難であることなどの状況が明らかになりました。
 環境などへの配慮につきましては、現計画では公園内に整備する施設も多く、整備内容によっては自然環境や園内の諸施設等に影響が出る場合もあり、今後、施設レイアウトや設計について、より精緻な検討を行うことの重要性が見えてまいりました。
 整備費につきましては、国内外の競技団体とも協議しながら、競技要件を損なわない範囲で整備工法の見直しを検討しておりますが、さらに、今後、基本設計などを進める中で、整備に際しての与条件なども明確となり、整備費縮減につながる、より適切な整備工法を絞り込んでいくことができるものと考えております。

○吉原委員 今ご答弁いただきました、具体的な検討について進んでいることがわかったわけでありますけれども、引き続き、各会場の状況に合わせた丁寧な検討を進めていただきたいと思います。
 さて、さきの報告では、基本設計に着手するという施設が三つありました。本年度基本設計の予算が計上されている施設でありますけれども、これら三施設について基本設計に着手するに至った検討の経過について改めてお伺いをしたいと思います。
 まず、海の森でのボート会場であります。
 この会場につきましては、整備費が招致段階の想定を相当程度上回るとの報道がありました。まさに整備費の高騰が懸念されているわけであります。
 本来は、一九六四年の東京大会、第一回がございましたけれども、そのボート会場であります戸田などが使えれば本当はいいんだろうと思います。しかしながら、残念ではありますけれども、二百メートル以上を求められている水面の幅が戸田では九十メートルしかない、こういうことでございまして、現在の国際基準には満たないというふうに伺っています。
 さきの報告で、活用可能な既存施設は存在しないとされたわけでありますけれども、実際にどのような検討をしたのか伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 ボート会場の再検討に当たりまして、国内の主要なボートコースや会場整備が可能と考えられる湖などの水面を候補地として、施設の現況、周辺敷地の状況、選手村からの距離、利用可能な宿泊施設や交通機関等について幅広く検討いたしました。
 その結果、オリンピック会場とするには、いずれも大規模な追加整備や陸域に施設を配置するための用地買収が必要なことが判明いたしました。
 また、選手村からの距離が遠い場合、別途、分村が必要となりますが、分村として利用可能な宿泊施設が存在しないなど、いずれも代替施設とするには解決困難な大きな課題があることが明らかになりました。
 一方、現計画地であります中央防波堤東西水路につきましては、オリンピックのボートコースとして必要な延長や幅を満足するばかりでなく、防波堤と埋立地との間に残された水路であることから、利用しやすい長方形の水面であること、施設を整備する陸域が全て都有地であることなどの利点があることが改めて確認されました。
 こうした検討を経て、二〇二〇年大会のボート会場は、海の森水上競技場に代替可能な既存施設は存在せず、整備費の圧縮等を具体的に検討するためにも、基本設計に着手すべきとの結論に至りました。

○吉原委員 今のお話で、必要な条件を満たす代替施設はないだろうと、こういうことだろうと思います。しかし、現計画地での会場整備には、整備費高騰の懸念が依然残っているわけであります。
 そうした中、基本設計に着手するということでありますけれども、整備費についてはどのような対応を考えているのか伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 海の森水上競技場には、当初想定していた規模を超える周辺施設の移設など、整備費の増要素があることは事実であります。
 現在、オリンピックの競技要件を満たしつつ、極力整備費を抑えられるよう、競技団体の意見も聞きながら、施設レイアウトの変更などを検討しております。
 今後、より具体的な工法等の検討を基本設計の中で行い、整備費の圧縮を図ってまいります。

○吉原委員 次に、水泳会場について伺います。
 さきの委員会では、都が新設するアクアティクスセンターに関して報告がありました。この辰巳エリアでは、アクアティクスセンターに隣接して、大会組織委員会が仮設する水球会場が計画されております。組織委員会が再検討を行っているということもお聞きしているわけであります。
 また、既存の辰巳国際水泳場も、練習会場として活用される計画となっています。
 しかしながら、都は、みずから新設するアクアティクスセンターだけを考えればいいということではないと思います。このエリアは、仮設会場や既存の水泳場の有効な活用といった課題もあることですから、役割分担もあるんでしょうけれども、組織委員会との連携が重要だと考えていますけれども、見解を伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 競技会場の整備に関しましては、原則として、都民、国民の財産となる新設施設を都及び国が整備をいたしまして、仮設会場や既存施設を活用する会場につきましては、大会組織委員会が所管するという役割分担で準備を進めております。
 一方、競技会場の再検討には、新設、仮設といった施設区分にかかわらず、エリア全体を見渡す観点も重要でございます。このため、都は、大会組織委員会との密接な連携のもと再検討を進めておりまして、IOCを初め国内外の競技団体との調整も協力して行っているところでございます。
 引き続き、全体としてよい計画となるよう、連携して取り組んでまいります。

○吉原委員 水泳は、オリンピックにおいて人気競技であります。そしてまた、日本にとってはお家芸だ、こういわれてきた競技でもあります。
 テレビでごらんになった方もおられると思いますけれども、先月は、オーストラリアで開催されましたパンパシフィック選手権大会を見ても、日本チームは史上最多の七個の金メダルを獲得する快挙を成し遂げたわけであります。
 二年後のリオにおきましても、そして二〇二〇年東京オリンピックで活躍が期待される若手選手も、着実に今育ってきているわけであります。
 新設、仮設、既存、いずれの形であっても、彼らのオリンピックにかける思いをさらにかき立てるようなすばらしい会場を整備していただきたいと思います。
 最後に、バレーボール会場となる有明アリーナについて伺います。
 さきの報告では、基本設計に着手するとのことであります。どのような検討を重ねてこられたのか改めて伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 有明アリーナは、既存の国立代々木競技場や東京体育館同様、国際大会を含むスポーツの大会やイベントなどに利用され、臨海部における新たなスポーツの拠点となることを想定しております。
 予定地であります有明北地区は、都心やお台場エリアにも近く、大会後の利用も十分見込める立地でございます。また、予定地は現在未利用の埋立地でございまして、整備に当たって、都民生活に大きな影響を与えることは想定されず、速やかに会場整備を進めることが可能というふうに考えてございます。
 こうしたことから、有明アリーナにつきましては、基本設計に着手し、大会後に想定される利用方法等を踏まえた検討を行うこととしたものでございます。

○吉原委員 有明アリーナの基本設計に着手する意味については、よく理解をいたしました。
 しかし、同じく大規模アリーナとして建設予定の夢の島ユースプラザ・アリーナ、これはA、Bあるわけであります。その夢の島ユースプラザ・アリーナは有明アリーナに近接しているわけでございまして、大規模な三施設がこの臨海部に併存する、こういうことになるんだろうと思います。
 ユースプラザについては引き続き検討するとしているわけでありますけれども、どのような課題があると考えておられるのか見解を伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 夢の島ユースプラザ・アリーナA、Bに関しましては、理事ご指摘のように、臨海部に大規模な三施設が併存いたしまして、大会時の座席数では合計四万席にもなるため、これらの施設を大会後に適切に利用、管理できるかという点を十分検討する必要がございます。
 また、後利用の懸念に加えまして、現存する東京スポーツ文化館の廃止、撤去が必要となるほか、建設予定地が夢の島公園及び公園に隣接する旧江東清掃工場跡地であることから、清掃工場の地下構造物の処理など、さまざまな課題があるというふうに考えてございます。
 このため、夢の島ユースプラザ・アリーナA、Bにつきましては、既存施設の活用と現計画の両面で検討を継続することとしたものでございます。

○吉原委員 オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、将来世代の財産となる新たなスポーツ施設を整備する、このことは非常に重要なことだと思います。
 しかしながら、都内には、ハンドボール会場となる代々木の体育館もあるわけでございますし、また、テニスで利用される有明コロシアム、さらには卓球会場となる東京体育館などもあるわけでございまして、比較的規模の大きなスポーツ施設が既に存在していることもまた事実であろうかと思います。
 こうした状況もありますので、これまでの検討を踏まえて幅広く、進めるべきものは進めて、その他のものについては、都民の理解を得られる会場計画となるよう、引き続き十分な検討を行ってもらいたいと思います。
 ここまで、三つの会場について伺ってまいりました。
 続いて、全会場に共通すると思われる、先ほども整備費の問題がございましたけれども、整備費高騰の懸念についてお伺いをさせていただきますが、オリンピック・パラリンピック開催準備金の四千億を超えるのではないか、こういうふうに報じているメディアもありました。
 整備費については、都民の関心も非常に高いものだと思っているわけでございます。この課題についてどのように考えているのか伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 施設整備費につきましては、立候補ファイルにおいて東京都負担分を千五百三十八億円としておりますが、これは、IOCの求める形式に従って、会場となる施設本体の整備費を計上したものでございます。
 二〇二〇年大会に向けての施設整備に当たっては、本体工事費以外の調査費、設計費や周辺整備費のほか、ボート会場についてご説明したような、当初想定していた規模を超える周辺施設の移設費等も必要となります。また、近年の建設物価の高騰や消費税の増税等の外的な要因もあり、これらの増要素にどのように対応するかが大きな課題であります。
 現在、既存施設の活用や整備工法の工夫など、整備費圧縮の可能性について多角的に検討しております。
 現時点では、個々の会場の再検討を行っている段階で、整備費につきましてご報告できる段階ではありませんが、今回、基本設計に着手し具体的な検討を進める三施設を初めまして、引き続き整備費の圧縮に取り組んでまいります。

○吉原委員 整備費につきましては、再検討の中で、さまざまな観点で圧縮の努力をしていただいているようでありますけれども、何といっても都民の皆さんに理解をいただけるような、そういった状況を、ぜひ工夫しながら努力をしていただき、十分にこれからも検討していっていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 まだまだ検討すべき課題はたくさんあります。競技会場計画の再検討には、競技団体の理解を得ることが重要であります。その点についても十分な調整を行ってほしいと思います。
 来る十一月にはIOCの皆さんが来日することになっています。また、来年の二月には大会開催基本計画を提出することになっていると思います。時間が限られているわけでございますので、これまでの検討を踏まえながら、今後のさらなる検討に向けた局長の決意を最後にお伺いして、質問を終わります。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 第二回定例会におきまして知事が再検討を表明して以降、内部で多くの議論を重ね、さまざまな施設や競技大会に出向きまして調査研究を行い、多くの関係者と協議を続けるなど、これまで真摯に取り組んでまいりました。
 再検討に当たりましては、国内外の競技団体ともしっかりと調整しまして、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる施設としていく必要がございます。
 また、より大切なことといたしまして、大会後は都民の貴重な財産として将来においても評価していただける施設となるよう、十分な検討を行っていくことが重要でございます。
 この再検討により、二〇二〇年大会を後世の記憶に残る史上最高の大会としていきたいと考えております。
 まずは、来年二月の大会開催基本計画の提出を一つの検討の目途としつつ、今後も大会準備に万全を期すよう全力で取り組んでまいります。

○橘委員 私の方からは、競技施設の整備について質問いたします。
 前回、九月一日の当委員会で、競技会場整備計画の再検討について説明がございました。その際、都は、その見直しの視点として、一点目にレガシーをどう残せるか、二点目に都民生活への影響、三点目に整備費高騰の懸念への対応という三つを挙げて、その視点から会場整備計画を再検討するということでございました。
 見直しを行いまして改善することに異論を挟むものではございませんけれども、開催決定から約一年が経過した段階で再検討に至った理由、また経緯等を明確にして、都民の理解を得ることが大事であると私は考えます。そして、見直してどうなるのか、成果が期待できるのかといったことを都民が描けるようにすべきだと私は思います。それが、東京開催について圧倒的多数で支持をしてくださった都民に示すべき誠意ある対応であると思いますし、また、都としての責務でもあると考えるからでございます。そうした観点から何点か見解を伺いたいと思います。
 まず、整備費の見直しについてであります。
 都が整備する競技会場の整備費用は、立候補ファイルの提出時点で一千五百三十八億円。ところが、これを大きく上回るかもしれないということで、現在、整備費の縮減を中心に再検討が行われていると認識しております。
 本来ならば、何の費目、どの分野が今後の推移としてどれだけ高騰し、総体としてどの程度の整備費が必要となることから見直しを行う、あるいは、既存の施設に切りかえることによってどの程度の整備予算が縮減できるかというように、明確にその点を示すべきでありますけれども、現時点ではそこまでは詰め切れていないということでございました。
 したがって、今回、そこを詰めることは私もできないと思いますけれども、再検討の視点では、そういうこともございまして、整備費高騰の懸念への対応という、まことにまどろこしい表現になっているのだと思います。苦しい状況をこの言葉にあらわしているのかなというふうに思いました。
 そこでまず、きょうは、この質疑の前提として、会場整備計画の見直しに至った経緯、これについては、これまでも議会や記者会見等で知事が発言をされておりますけれども、やや断片的な表現もあったかのように私は認識しております。
 したがいまして、まず第一点目に、この経緯について時系列で説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 会場計画の再検討は、第二回定例会の知事所信表明において、その方針が示されたことから始まりました。
 知事は、次に、六月二十三日の本委員会におきまして、再検討の決断に至った経緯につきまして、就任後のソチ冬季大会の視察やIOCプロジェクトレビューなどの機会を通じ、開催都市の長として、招致段階の計画をどのように実現していくべきか考えてきたこと、競技会場の現場にも足を運んで現地を見て回ったこと、そして、大会組織委員会の森会長と協議を重ねたことなどを挙げまして、その結果として、大会準備に支障を来さぬ早い段階で、現実妥当性に照らして改めるべき点は適切かつ速やかに改め、計画をブラッシュアップしていくべきとの結論に至ったというふうに述べております。

○橘委員 今、時系列的に説明をいただきましたけれども、立候補ファイルにはもう既に計画が提出されているわけでありますけれども、いろんなところを視察し、みずから確認し、そして相談するところは相談し、意見を求めるところは意見を求め、それで知事が判断して、こういうふうに至ったという、そう時系列的には見えるわけでございます。
 これは非常に大事な視点であると思いますので、これからどういうふうな方向に持っていくか、やはりここが原点になりますので、ここは見失わないでしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 それを背景にして会場の見直しが今検討されているわけでありますけれども、整備費縮減に向けて、具体的に何をどう見直して縮減に結びつけようと検討しているのか、この点について説明を求めます。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 現在、会場全体につきまして、レガシーの観点や都民生活への影響、整備費縮減の視点で会場計画の再検討を行っているところでございます。
 今回、基本設計に着手します三施設につきましては、IOCや国内外の競技団体との協議により具体的な施設条件を精査しつつ、設計上の工夫により施設計画の合理化や現場施工の効率化などに取り組み、さらなる整備費の縮減策の検討を進めていきます。
 また、その他の施設につきましても、引き続き、近隣県まで含めた既存施設の活用や整備工法の見直し等の観点で再検討を行い、さらなる整備費縮減に努めてまいります。

○橘委員 今の答弁を踏まえまして、これから具体的に見直しが行われ、再検討され、そして決定していくわけですけれども、今現在再検討されているこの計画を今後決定するまでのスケジュール、それからもう一つ、どの程度の整備費縮減となるのか、これはなるべく早く概要を明らかにすべきであると思います。
 縮減額も含めた見直し計画がどの時点で明確になるのか、これが曖昧でありますと、今度、どんどん臆測が飛び交いまして会場計画全体への不安が増幅するという、こういう事態も想定されるわけでございます。
 したがいまして、どの段階までに見直しの概要を示す、そして、縮減額は大体どのぐらいになるのかということがどの時点である程度の概要が出るのか、そういう時期的なめどをある程度示すべきだ、今からスケジュール的なものを示すべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 もとより、競技会場計画を変更する場合には、関係する競技団体とも協議の上、IOCの事前承認が必要であり、このうち競技会場の場所を変更する場合には、さらにIOCの理事会での承認が必要となります。
 現在、会場計画全体の再検討につきまして、大会組織委員会と連携し、IOCや国内外の競技団体などの関係機関との調整を鋭意進めております。来年二月の大会開催基本計画の提出を一つの検討の目途と考えております。
 また、会場整備費につきましても、現在検討中であり、ご報告できる段階ではありませんが、基本設計や再検討を進める中で、引き続き圧縮に努めてまいります。
 これらにつきましては、遅滞なく議会の方へも説明してまいります。

○橘委員 ということは、来年の二月にIOC、またIPCもそうでしょうか、そちらの方にも全部報告した上でないと、段階でないとわからないという捉え方でよろしいですか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 来年二月の大会開催基本計画の提出を一つの検討の目途と考えて、いろんなことを整理しております。
 また、それらの状況につきましては、各いろいろな競技によって状況は異なるかと思いますが、適宜、遅滞なく議会の方に報告したいと思います。

○橘委員 わかりました。
 それで、ちょっと確認でございますけれども、IOCに計画の見直しの内容、それから整備費についてはどういうレベルで報告をして了解を得るのか。つまり、立候補ファイルの段階では一千五百三十八億という数字も出したわけですけれども、来年二月の段階で、そういったもの全部の具体的な数字を入れたものとして提出するのかどうか確認させてください。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 来年二月の大会開催基本計画への記述につきましては、現在、IOC等と調整しております。したがいまして、基本計画にどのレベルでというのは、まだ今の段階ではお答えできる状況ではございません。

○橘委員 なかなか姿が見えてこないというもどかしさがちょっとあるんですけれども、これは余り詰めていってもしようがないと思いますので、この辺にとどめておきたいと思います。
 次に、周辺整備について質問いたします。
 私は、ことし四月に、我が党の小磯副委員長、それから小林委員とともに、ベイエリア地域の競技会場の建設予定地、それから、その周辺の地域の状況を視察してまいりました。会場を全体的に回ってみますと、ある程度、人がどう流れて、競技の当日はこのように人が流れていくんだなとか、それから、選手はこの辺から入っていくんだなとか、そういったことが描けるようになりました。これは非常に勉強になりました。
 ところが、駅から会場までの観客の動線、どうやって誘導するか、それから、観客を一時的にストックする広場も必要だという、そんな印象も持ちました。それから、休憩場所も必要。これは、夏の暑さのさなかでございますので、暑さ対策の施設も必要ではないか、そのように会場を見ながら感じた次第でございます。
 円滑で快適な観客輸送のために、会場周辺の整備についても詳細な検討が必要と考えておりますけれども、現在の検討状況について質問いたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 大量の観客を円滑かつ安全に輸送するため、輸送計画について十分な検討を行う必要があると認識しております。
 昨年十二月に、関係行政機関や公共交通事業者等で構成される輸送調整会議を設置したところでございます。
 これまで、近傍の駅から会場までのアクセスルートにつきまして、歩道の幅員やバリアフリー状況の調査等を実施しております。

○橘委員 今答弁があったような施設も必要になってくると思います。これは広大な地域でございますので、相当な整備費もかかるだろうと、そんな印象を持ちました。
 今答弁のあった会場周辺の整備費ですけれども、この整備費については、立候補ファイルを提出した時点の整備費一千五百三十八億円には含まれていないわけであります。今回の競技会場の見直しに伴って、そうした周辺部分も見直しが当然必要になってくる。その整備費も、多分、大きく影響するだろうと思います。広大な地域でございますので、その見直し、また変更も相当な額になるかと思います。
 そこで、この周辺整備費については、整備の主体、どこがやるのか、それから、費用負担をどうするのか、今後これをどう検討して進めていくのか、この辺について見解をいただきたいと思います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 観客の輸送に必要な対策につきましては、輸送調整会議等を活用しながら、組織委員会とも緊密に連携し、関係機関と検討してまいります。
 その検討の中で、バリアフリー対応など必要な対策につきましては、その内容に応じて、整備主体や費用負担について関係機関と調整を進め、円滑な観客の輸送を実現してまいります。

○橘委員 今、関係機関ということが随所に出てきましたけれども、この関係機関というのは、つまり、港湾局であるとか、それから都市整備局であるとか、そういったそれぞれの所管する部門が整備を行い、予算もその部門が担っていく、そういう捉え方でよろしいでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 必要な対策につきましては、その施設が、例えば恒設であるものなのか仮設であるものか、例えば、仮設であれば組織委員会とかそういったもの、恒設であれば、それがどのような管理者の施設であるか、そういったことを勘案して、整備主体、費用負担について調整を進めていきたいと思っております。

○橘委員 その調整については、現時点ではまだ行われていないという、そういう捉え方でよろしいですか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 必要な施設について今後検討してまいりますので、それを踏まえて調整を進めていきたいと考えております。

○橘委員 わかりました。
 次に、会場計画の見直しに関するレガシーについて質問いたします。
 競技施設は、新規の恒久施設、それから仮設の施設、既存の施設の、大きく分けて三つに分類されておりますけれども、東京都が新たに整備して後世に残していくことになる恒久施設は大変重要だと私も考えます。
 新規の恒久施設については、基本設計に着手する今から、大会終了後を見据えて、都民が活用しやすい施設として整備していく必要があろうかと思います。新規の恒久施設のレガシー、すなわち施設の後利用に関する基本的な考え方が大事になってくるだろうと思いますけれども、これについて見解を伺います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 今回の大会で都が新たに整備する施設につきましては、大会後の東京の姿を視野に入れ、スポーツ都市東京の象徴として、都民、国民に末永く親しまれるものとしていきます。
 また、施設が多角的な視点から幅広く有効活用されるとともに、負の遺産とならないよう、効果的、効率的な運営を行っていくことも重要であります。
 今後、会場計画の再検討の状況を踏まえつつ、各施設の利用形態、事業性等について具体的な検討を進めてまいります。

○橘委員 今、多角的な方向でという答弁がございました。これが私は非常に重要だと思います。施設の整備に当たりましては、大会で使用する会場というのは競技種目が大体決まっているわけですけれども、その会場で行った競技種目だけでなくて、大会後に利用する可能性のある競技種目について、関係する各競技団体から意見を聞いて、基本設計に反映させることが大事であると考えます。それがレガシーにつながるのではないかと私は考えております。
 そこで、例えば一つの競技施設が、ここはバレーボールとかバスケとか、オリンピックの種目は開催された。けれども、大会後は、バレーとかバスケとか、ただ単にそれだけで終わるのではなくて、いろんな競技でその会場を使う可能性がある、また、そうしていかなければならないかと思います。
 そうしますと、関連する団体は、我が団体については、この施設にはこういう施設がちょっとついていれば使いやすいとか、こういう設計にしてもらうと、我が競技団体として非常に、全国大会もできる施設になるというような考え方もあろうかと思います。それが広範な競技団体が利用しやすいという、そういったレガシーになっていくかと思います。
 したがって、これは今から全部が全部を聞いていきますと混乱も起きるでしょうけれども、ある程度、この会場についてはどの団体が使いそうだとか、そういった目算はできるわけですから、競技団体から正式な意見を聞く場として、そういった団体の協議体のようなものをつくって、そこで意見を聞いていくということも考えられるわけです。
 したがって、東京都は、競技団体との情報連絡を密にしながら、多様な意見を取り入れながら施設整備を進めていくべきと考えますけども、この点について見解を伺いたいと思います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 都が新たに整備する施設がアスリートや多くの都民に親しまれ、利用される施設となるためには、理事ご指摘のように、関連する競技団体の意見を十分に聞き、使いやすく効率的な運営ができる施設とすべきであります。
 例えば、アリーナを整備するのであれば、アリーナ形式の会場で行われる室内競技の団体等の意見は、施設の後利用を検討する上で参考になると考えられますので、都も積極的に意見を聴取していきます。
 今後とも、都は、国内競技団体との良好かつ十分なコミュニケーションに努め、新たに整備される施設が有効に活用されるよう、最大限の努力を行ってまいります。

○橘委員 東京都は、四十七都道府県の中では絶対的に人口が多いこともあって、当然、スポーツ人口も絶対数が多い、それから競技団体も絶対数が多い、こういう特徴があるわけです。
 ところが、各種団体が都大会であるとか全国大会とか、そういった公式の大会で利用できる施設、また、それに見合うだけの観客を収容できる、こういった施設が絶対的な数に対しては少ないという傾向があり、これが実態だと私は思います。
 特に私がよく耳にするのは、準決勝とか決勝戦、こういった都大会であるとか全国大会といった大きな場面においては、中高生とか大学生とか、そういった観客も動員して、そのスポーツが盛んになるようにしたい、それが大会主催者の意向でもあるようでございますけれども、ところが、スケジュールがもういっぱいになっておりまして、会場がなかなかとれないといったこともよく耳にしております。したがって、観客も収容できる会場の確保がなかなか難しいという、これもまた東京の実態でございます。
 今回、東京五輪大会では新たに施設を整備するということもありますので、こうした施設を効果的に活用できれば、大会後には、これを活用して、東京のスポーツがもっともっと盛んになるかと思います。これが本来のレガシーのあり方、考え方であろうかと私は思っております。
 この競技会場の見直しにより、とかく今は、予算が、費用がかなりかさみそうだ、これを何とか少なくしなきゃならないと。こういうコスト面のアプローチは当然大事でありますし、また注目されていかなければならないと思いますけれども、各種競技団体の意見も聞きながら、より使いやすい、そしてまた、いろんな分野の団体が使っていけるような、そういった施設にするというレガシーの部分も大事にしなきゃならないと私は考えます。
 最後に局長に伺いますけれども、競技施設のこうしたレガシーに関して、局長はどのような考え、意見をお持ちなのかお聞きしたいと思います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 先日視察いたしましたロンドンの状況を見ますと、開催都市としては、オリンピック・パラリンピック大会の成功だけではなく、その後、都市にどのようなレガシーを残していけるのかが大変重要であるということを改めて認識いたしました。
 大会時に整備された競技施設が大会後も多くの市民や団体に愛され、有効に活用されている姿は、まさにオリンピックのレガシーでありまして、スポーツが市民と都市の誇りになっていると強く感じました。
 二〇二〇年大会の成功に向けましては、都民、民間企業など多様な主体との密接な連携が不可欠でございますが、殊に競技施設のレガシーにつきましては、理事ご指摘のとおり、競技団体とコミュニケーションを密にして、団体の有する貴重な経験やノウハウを施設整備や効率的な運営に生かしていくことが重要と考えております。
 今回新たに整備する競技施設のレガシーを、スポーツ振興の観点からも次世代の都民への最高の贈り物とすることを肝に銘じまして、今後とも、都議会の皆様方のご理解、ご協力を賜りながら、全力で準備を進めてまいります。

○畔上委員 それでは、会場計画の見直しについて伺います。
 都が示しました、レガシー、都民生活への影響、整備費の高騰への対応という再検討の視点、並びに具体的な検討事項として、近隣県までを含めた既存施設の活用、環境等に配慮した会場設計、そして整備工法の見直しによる整備費の圧縮、これは妥当な視点だというふうに思っております。
 今回、委員会に報告されたものは、都としての今年度基本設計を予定している会場と都が整備する会場に限られておりますが、私ども日本共産党都議団は、全ての施設を、こうして都が示した視点と検討事項で再検討すべきであるというのが基本的な立場です。
 そもそも競技会場の整備は、既存施設の活用を優先することがIOCの方針です。もちろん、競技団体の合意が大前提となるわけですが、これまでも繰り返し申し上げましたように、整備費の高騰や、被災地での建設資材、また建設従業者の不足問題、また、最近では新たな土砂災害の発生など、こうしたものを踏まえて、国民、都民の理解と合意が得られる、そういう施設整備を進めていくことが重要だというふうに考えております。
 私は、こうした立場から、現段階での施設整備費用の概算の資料要求をさせていただいて、委員会の資料要求となったわけでありますけれども、都としては、現段階の整備費用の概算資料は、先ほどもるる説明されていましたが、出さないということ。これは、私は全く納得ができません。
 十一月までに再検討を進めるというのであれば、かなり具体的に幾つかのシミュレーションをもって検討されていることと思うのですが、まず、施設整備費用について伺いたいと思います。
 一つは、八月十三日付、朝日新聞の舛添知事インタビューで、知事は、四千億円にこだわる必要は全然ない、こう発言したとありましたが、都として四千億円にこだわらない、こういう認識なのかどうか、まず伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 同じ記事のインタビューの中で知事は、一九六四年五輪の会場になった駒沢公園のように、五十年後もみんなが喜ぶものをつくれるなら、都民もオーケーするとも説明しており、発言の趣旨は、大会後の施設利用の重要性を述べたものと受けとめております。
 都といたしましては、基金を設置した趣旨を尊重しつつ、レガシーとしての価値や都民生活への影響なども考慮し、整備費の縮減に向け検討を進め、都民の理解が得られるよう努めてまいります。

○畔上委員 みんなが喜ぶものなら四千億円を超えても仕方がないと。
 現実には、きのうの読売新聞でも、知事が四千億円を超えることを認めたという記事がありましたが、その中で知事は、現状では、整備費は四千億円でおさまるといえる状況ではなく、実際はもっとひどい状況だ、このようにコメントされていますが、現時点で四千億円ではおさまらない状況だという見通し、これはどうなんですか。お認めになるんですか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 先ほど申し上げたとおり、現在、既存施設の活用や整備工法の工夫など、整備費圧縮の可能性につきまして多角的に検討しているところでございます。
 現時点では、個々の会場の再検討を行っている段階で、整備費についてご報告できる段階ではございません。
 また、マスコミ等の記事によります整備費の根拠につきましては不明でございます。

○畔上委員 知事が公言しているんです。知事がお話しされているのに、議会にはいいませんというのは許されないんじゃないでしょうか。
 九月二日付の朝日新聞では、都の最新の試算では、今回見直す施設を除いても四千五百億円、こういうふうにありました。こういうシミュレーションもあるということなのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 記事の整備費の根拠については不明でございます。

○畔上委員 今、根拠が不明な数字がひとり歩きしているんだというようなご答弁と受けとめたんですけれども、だからこそ、やっぱり根拠のある都の概算を示していただきたいんです。
 だって、東京都が整備する会場は千五百三十八億円ですよと、これまで都民に説明してきたわけですよ。今の段階では一体どれだけ整備費が膨らんでいるのか、この事実をきちんと都民に明らかにする。これは東京都の責務じゃありませんか。知事だって、マスコミのインタビューでちゃんと答えているじゃありませんか。
 私たちの基本的なスタンスは、あくまでも安全な競技を保障するものでなければならない、こういう立場ですけれども、税金投入は必要最小限にすべきだということで、四千億円ならいいよということではありません。ましてや四千億円を超えるような多額な税金投入は、やっぱりすべきではないというふうに思います。
 知事の四千億円におさまる状況ではないというインタビューのお話や、また、四千五百億円、こういう新聞の記事を見たら、都民は、じゃあ一体どれだけこのオリンピックとパラリンピックに税金がつぎ込まれるのだろうかと不安になるのは当然なんじゃないですか。
 少なくとも、基本設計に入りますよといっている三施設、アクアティクスセンターと海の森水上競技場、有明アリーナについては試算を明らかにすべきなんじゃないですか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 この三施設につきましては、引き続き、IOCや国内外の競技団体との協議によりまして具体的な施設条件を精査しつつ、基本設計を通じて整備費の縮減策の検討を進めてまいりますことから、整備費につきましては現段階でお答えできる状況ではございません。

○畔上委員 だって、新しい施設をつくるんだ、基本設計に入るんだと、東京都として、その決断をした試算の根拠があるはずですよね。その裏づけがあったからこそ決断されたんじゃないのでしょうか。その決断した根拠を都民に明らかにしないで事を進めていくというやり方は、私は問題だといわざるを得ないわけです。
 先ほど、来年の二月をめどに都民の前に示したいというお話がご答弁の中でありましたけれども、既に設計に入りますというふうにいわれても、それが出ない中で基本設計に入りますといわれても、都議会として、基本設計に入る会場や施設に対して、私たちは具体的な検討は何一つできないわけですよ。都民や国民は、できるだけ既存施設を活用して、人と環境と財政に優しいオリンピックを切に求めているわけです。
 例えば七月二十一日の日経新聞の調査では、五輪の施設計画の見直しに賛成は八五%でした。そして、その理由というのは、建設費がかさむ、五輪後に維持費がかさむ、既存施設が多く、新設はもったいないというものが出されていました。そして、その中で、今ある施設を活用すべきだという声が八割近くに上っていたんですね。
 私は、こうした声をしっかり受けとめるべきだと思いますが、この声をどう受けとめているのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 もとより、施設整備費を抑えるために既存施設を活用することは重要でございます。現行計画におきましても、既に国立代々木競技場、日本武道館、東京体育館など既存の大規模スポーツ施設を活用することとしております。
 今回の再検討では、都内に限らず、近隣県までを含めて既存施設の活用を検討しているところでございます。

○畔上委員 既存施設を活用しても、また既存施設をさらに活用しようと検討していても、それでも千五百三十八億円が四千億円を超える状況があるんじゃないかという心配があるからこそ、そこをどうしていくのかと。これが今、最大の課題なんじゃないでしょうか。
 先ほど、整備費の増要素、それから施設レイアウトの変更などのご答弁がございましたけれども、例えば、先ほどもお話があった海の森水上競技場、これが立候補ファイルでは六十九億だったわけです。それがマスコミの報道では四百億だと。この前もNHKで四百億といっていましたが、一千億だ、こんなことが出ているわけですね。こういうシミュレーションも出ているわけです。
 ここでのふえる要因、そしてその対策をお示しいただきたいと思います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 マスコミ報道によります試算の根拠は不明ではございますが、今後想定される整備費の増加要因としましては、本体工事費以外の周辺整備費や建設物価の高騰、消費税の増税などがございます。
 また、海の森水上競技場につきましては、これらに加えまして、先ほどご答弁申し上げましたとおり、当初想定していた規模を超える周辺施設の移設などの整備費の増要素がありまして、現在、オリンピックの競技要件を満たしつつ、極力整備費が抑えられるよう、競技団体の意見も聞きながら、施設レイアウトの変更などを検討しております。
 今後、より具体的な工法等の検討を基本設計の中で行いまして、整備費の圧縮を図ってまいります。

○畔上委員 つまり、海の森水上競技場の整備費六十九億が、周辺整備と周辺施設の移設で桁違いに整備費が増大するということで、一体幾らにふえる見通しなのか。それに対してレイアウトを見直すよというお話がありましたが、どういう対策でこの整備費を抑え込むことが可能になって、海の森につくる決断をしたのか。今のご説明では、新設でいく、ここに決定するというその根拠は明らかにされたとはとてもいいがたいものです。
 都民の税金です。概算をしっかりと明らかにすること。私は、そのことこそ都民の理解と合意の大前提だと思います。整備費用が明らかでない、こういうような状況の中で、基本設計を強行すべきでないということを申し上げておきたいと思います。
 レガシー、都民生活への影響について伺います。
 基本設計に入るとしているアクアティクスセンターでは、都民スポーツの振興というレガシー、後利用等はどのように検討されているのでしょうか。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 二〇二〇年大会で水泳会場として利用されるアクアティクスセンターは、大会後も世界的な大会等が開催される国際水泳場として、また、都民も利用できる水泳場として活用していくことが考えられます。
 今後、大会後の施設のあり方について具体的に検討してまいります。

○畔上委員 昨年十一月の委員会で、アクアティクスセンターと辰巳国際プールが隣同士に設置されることで、辰巳国際プールの廃止を心配して伺ったところ、オリンピック後の辰巳国際プールの廃止は総合的に検討しますと、都は廃止を否定されませんでした。
 新しい施設をつくるという判断に至ったわけですから、そうであるならば、昨年リニューアルオープンしたばかりの辰巳国際プールをどういうふうにするというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 辰巳国際水泳場のあり方につきましては、アクアティクスセンターの後利用と一体的に検討してまいります。

○畔上委員 つまり、そういう問題も精査しないで新設を決断したということなわけですね。立派な水泳競技場をつくって、隣にあるリニューアルしたばかりの国際水泳場を潰すなどというような無駄は、私は絶対すべきでないと思います。(「見に行ったことないんじゃないの」と呼ぶ者あり)地元です。
 アクアティクスセンターを新設するという場合でも、辰巳国際プールとの隣接の問題や、それから、液状化対策など地盤対策をここはやらなければいけない、こういう整備費の問題なども含めて、私は、例えば会場変更をするとか、いろいろな慎重な検討が必要なんじゃないかというふうに思います。
 有明アリーナはどうでしょうか。先ほど、さまざまな競技大会などができるスポーツアリーナとするというお話がありました。有明アリーナが常設されると、都内には一万人規模という大きな体育館が三カ所になるわけですが、新設の場合は、やはりその維持費の検討とか地域的なバランス、どのような競技ができるような施設にするのか、こういった後利用について検討した上で判断する必要があるんだと思います。
 先ほど、スポーツ団体の意見を十分聞きますというご答弁がありましたが、これは非常に大事だというふうに思います。同時に、これまでも、このような施設、例えば武蔵野の森総合スポーツ施設の建設でも、基本設計の前に、施設の規模やどのような競技の大会ができる施設にするか、こういったことをパブコメしたり、議会にちゃんと示して、そして意見を聞いてから基本設計に入っているんですね。
 さまざまな大会ができる新しい施設をつくるというのだったら、基本設計の前にパブリックコメントを行うのでしょうか。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 二〇二〇年大会の施設が大会後も都民に末永く親しまれ、有効活用されるよう、引き続き、都議会の皆様方のご理解、ご協力を賜りながら整備を進めてまいります。

○畔上委員 本当に都民の皆さんに喜ばれる施設をつくろうということであるならば、少なくとも、後利用を示して都民の意見を聞くというのが私は当然だというふうに思います。
 海の森水上競技場では、レガシー、後利用などはどのように検討しているのでしょうか。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長 二〇二〇年大会でボート、カヌースプリント会場となります海の森水上競技場は、大会後も、ボート、カヌー競技のほか、都民のレクリエーションの場、憩いの場としていくことが考えられます。
 今後、大会後の施設のあり方について具体的に検討してまいります。

○畔上委員 先ほど局長からロンドンを視察されたお話がありましたけれども、ロンドンから東京へのメッセージというタイトルで、「中央公論」にレガシーの残るオリンピックにというタイトルで、前の英国文化・メディア・スポーツ省の次官であるジョナサン・スティーブンスさんの論文が掲載されておりました。
 そこには、レガシーを得るための第一の教訓として、レガシーの計画は最初から立てよということで、主要施設を建設する前に、大会終了後の用途について精査して検討したというふうに書かれていました。
 七月十六日付の読売新聞にも、持続性とレガシー重視をということで、ロンドン大会では、五輪公園の詳細な後利用法と改造計画があらかじめ練られて、七五%の予算は遺産のために使われたというふうに書かれてありました。
 東京でのオリンピック・パラリンピックも、必要最小限の費用での施設整備、そして後利用を見通した施設整備という立場で再検討を求めたいと思います。
 具体的検討事項の中に、環境等に配慮した会場設計ということがありましたが、環境アセスメントはどう生かされるのでしょうか。実施設計に生かすのかどうかもお答えください。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 オリンピック・パラリンピック環境アセスメントの目的は、大会開催に伴う環境影響の回避、最小化、代償を行うとともに、大会を契機とした東京の持続可能性の向上に資することでございます。
 具体的には、個々の会場の設計等の条件に基づき、環境または社会経済への影響について予測評価を行った上で、著しいマイナス影響があると予想される場合には、適切な対策を検討することとしております。

○畔上委員 IOCの方針によって行われた初期段階の環境アセス、ここで影響が大きいとされていたのが国立競技場と夢の島のアーチェリー会場と馬術会場でした。
 これらの施設は慎重に見直すべきだし、これからの実施段階の環境アセスで影響があると示された施設、会場においても、設計の変更や見直しはしっかり行って、環境を守ることを改めて求めておきたいと思います。
 次に、今回基本設計をしないで代替となる既存施設の活用の検討をするということになりましたバドミントン、バスケットの夢の島ユースプラザ・アリーナ、若洲オリンピックマリーナ、この三施設についてです。
 以前も指摘してまいりましたが、ユースプラザ・アリーナを建設するために取り壊すことになっていた東京スポーツ文化館、いわゆるBumBは、青少年の文化スポーツ施設として大変重要な役割を担っております。利用者は、二〇一二年度で年間約三十七万人。
 私は、この四月の委員会で、八キロ圏内にこだわらなければ、バドミントンもバスケットも既存施設で開催可能だということを申し上げて、この青少年施設を残すことを主張してきましたが、今回、会場計画の見直しの対象としたということは重要な前進だと受けとめております。
 この施設の問題では、一点伺っておきたいんですけれども、PFI事業として二十年契約となっているユース・プラザの契約はあと何年残っていて、もし会場変更しないで、この場所にアリーナを建設するとなったら、PFIの事業者に違約金をどのぐらい払うことになるのか伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 ユース・プラザのPFI事業契約における運営期間でございますけれども、これは二十年間でございます。平成二十六年度末時点で十一年が経過いたします。
 なお、ご質問のPFI事業者への対応につきましては、仮定の話でございますので、今お答えをすることはできません。

○畔上委員 今のご答弁では、契約があと九年残っているんだということです。
 例えば、IOCの基準に客席数を引き下げれば、限られてはいますけれども、施設はあると。例えばバドミントン七千席、これはIOCの基準は五千席です。バスケットも、一万八千席といっていますけれども、IOC基準は一万五千席です。こうすれば、千葉のアリーナ、仮設を入れれば使えますし、横浜のアリーナ、埼玉のアリーナとあるわけです。
 当初試算でも、バドミントンとバスケットの施設は、立候補ファイルでも三百六十四億となっていたわけですが、その経費と、賠償金については仮定の話ということでお話はありませんでしたが、このお金も既存施設を活用することで不要になるわけです。さらに、現在BumBにあるフットサル場や体育館も利用を続けることができるようになると。
 やはり私は、東京スポーツ文化館、BumBは存続させて、バドミントン、バスケの会場は既存施設の活用を強く求めたいと思います。
 若洲オリンピックマリーナは、説明でもあった防波堤工事が必要となり、膨大な費用を要します。さらに、以前の委員会でも指摘してまいりましたが、この場所は液状化問題もあって、規模を縮小したとしても、工期や費用のことを考えたら見直すべきだというふうに思います。加えて、今回資料でいただきましたら、競技海域の上空の航空管制の制約もあると。こうなれば、やはり競技団体ともよく話し合っていただいて、適切な会場変更を決断すべきだということを申し上げておきたいと思います。
 その他の整備予定の施設も、都民生活、それから環境への影響も考慮して検討すべきだと思います。
 葛西臨海公園については、以前から日本共産党は、自然環境を守る上で会場変更を求めてまいりましたが、隣接地で検討中ということは大変大きな前進だというふうに思っています。
 地元区や、貴重な野鳥の生息地ということもありますから、日本野鳥の会とか自然保護団体、それから、現在隣接地を利用していらっしゃる、例えば福祉バスなど、こういった利用者の方の意見もよく聞いて会場の場所の検討をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 カヌースラローム会場につきましては、葛西臨海公園がつくられました歴史的背景や自然環境への配慮から、隣接の下水道局用地を活用した施設配置の検討を行っております。
 地元江戸川区等の意見も聞きながら、引き続き検討を進めてまいります。

○畔上委員 地元区、江戸川区とももちろんなんですが、やはり日本野鳥の会とか、既に隣地を利用されている方々の意見もよく聞いて検討を進めていただきたいと思います。
 大井ホッケー場の現計画では、ホッケー場整備によって野球場が六面も廃止されてしまうという問題があります。この問題について、私は四月十八日の委員会で野球場の代替施設を求めましたが、そのときに、野球場の代替施設の必要性や対応策については今後調整だというふうにおっしゃって、明確な答弁をされていません。
 七月一日に、品川区軟式野球連盟から代替施設の要望書が三万八千六百三十三名の署名で知事宛てに提出をされていると伺っていますが、代替施設の見通しは現段階であるのでしょうか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 既存施設の代替機能の必要性や対応策につきましては、今後、各施設の管理者及び地元区と調整してまいります。

○畔上委員 オリンピックで子供たちに夢をというふうにいっているわけですから、やっぱり子供たちの大事な野球場は、きちんと存続させる必要があるというふうに思います。代替施設がないのであれば、やはりホッケー場を、例えば駒沢競技場などを含めて再検討する、そのことを求めておきたいと思います。
 最後に、有明のテニスコートと夢の島競技場の馬術は、既存施設活用ということで、今回示された会場計画の見直しには入っておりませんが、ここの場所についても、都民生活への影響、都民スポーツへの影響をどう打開するかという課題は解決されていません。
 縮小されるテニスコートや一定期間使えなくなる野球場などの代替施設、これは現段階では見通しはついているのでしょうか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 ただいまご答弁申し上げましたとおり、既存施設の代替機能の必要性や対応策につきましては、今後、各施設の管理者及び地元区と調整してまいります。

○畔上委員 有明テニスコートは十四面減るわけですね。これをどうするのかと。今でも利用者の応募倍率は四・八倍と。本当に高くて、恒久的にこれだけのコートを減らさないでほしいと、テニスの愛好家の皆さんからも意見が寄せられているところです。
 都民スポーツの後退は、オリンピック精神にも反するわけです。代替施設を求めたいと思います。
 また、夢の島競技場は、江東区の小中学校の陸上競技大会を初め、年間四万八千人の方々が利用している競技施設です。この隣にあります十二面の野球場も、今回は厩舎として、一定期間の利用ができなくなってしまうわけです。
 江東区からもこの代替施設を求めておりますが、私も以前の委員会でも求めましたが、現段階でも明確な代替施設は示されていないということであります。
 二〇一六年の立候補ファイルでは、近代五種の馬術会場というのは大井競馬場になっていたことからも、代替施設が見つからない場合は、やはり会場変更も検討すべきじゃないでしょうか。意見として述べさせていただきます。
 また、今回の報告では、仮設は組織委員会が所管だということで報告はありませんでしたけれども、仮設であったとしても、アジェンダ21が適用されるわけです。
 今回、資料をつくっていただきました。ありがとうございました。この資料で示していただきましたけれども、ロンドン・オリンピックでは、仮設を予定していた体操、バドミントン、バレーボール、フェンシングは、結果的には既存施設を利用した、活用したとしております。
 仮設であったとしても、環境や都民生活への影響、ましてや被災地の復興の妨げになるようなことは絶対にあってはならないということを考慮した場合には、やはり見直しもきちんとするように、私は東京都として組織委員会にも働きかけていただきたい、このことをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。

○小山委員 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック会場計画の見直し、再検討についてお伺いをしたいと思います。これまでの質疑の重複部分もありますので、簡潔に行いたいと思います。
 二〇二〇年の東京開催が決定をしてから一年がたち、改めて東京開催が残すレガシーが問われております。そのような中で、レガシーと都民生活への影響、整備費高騰に対する対応から、会場計画の見直し、再検討をされていることは評価したいというふうに思います。
 そこで、先ほど中嶋局長からロンドンを視察された上でのご答弁がございましたが、直近の大会でありますロンドン大会を参考にすることは大変重要であると考えます。
 そこで、さきの要求資料にもありましたが、ロンドン大会におけます会場計画の変更についてお伺いをさせていただきます。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 本日の要求資料説明においてご説明をさせていただきましたとおり、二〇一二年ロンドン・オリンピックにおきまして、立候補ファイルから整備計画の変更を伴う会場変更を行ったものは五会場でございます。
 ロンドン・オリンピックの立候補ファイル上の会場数は三十三会場のため、約一五%というふうに考えております。

○小山委員 ただいまのお答えの中にも、ロンドンにおきましても、三十三会場中五会場が変更されたということであります。
 今回の会場計画の見直しの中で本年度基本設計を予定しております施設の中で、オリンピック・アクアティクスセンターが挙げられております。
 ロンドン大会におきましても、このアクアティクスセンターですが、視察時の資料でございますが、同じように、開催時は最大一万七千五百人が収容できる施設として整備をされまして、その後、事後は、両側に七千五百席ずつあるわけですが、これを取り外して二千五百席の屋内プール、さらに、他のスポーツイベントにも対応できるよう三千五百席にふやせるという設計となっていました。このように、ロンドン大会の中でも、事後の活用ということを見据えて施設整備がされたわけであります。
 そこで、今回の見直しの中にありますアクアティクスセンターにつきましても、大会後の利用内容に適した施設となるよう、現段階から検討していくことによりまして、事後の無駄な工事費用が発生しないようにすることが重要であると考えます。
 そこで、この件について見解をお伺いしたいと思います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 アクアティクスセンターの整備につきましては、大会時二万席の座席を大会終了後には五千席に減ずる計画としていることから、大会後の利用方法を想定した諸室配置や観客動線、また、大会終了後の利用が円滑に図られるよう、座席を減らす工事方法などについて、あらかじめ検討することが重要と考えてございます。
 大会時のみならず、大会終了後も有効に活用される施設とするため、今後、これらの具体的検討につきまして、基本設計等を通じて進めてまいります。

○小山委員 今のご答弁の中でもありましたけれども、ぜひ大会後の活用、そして、やはり事後の工事ということも含めて、工法の中でぜひ最適な工法を選んでいただきたいというふうに思います。
 当時のロンドンの大会のときも、両側の観客席が外れるような工法でありましたし、また、オリンピックのメーンスタジアムについても、現段階でいろいろと紆余曲折があったことも承知をいたしております。この点なども十分留意をして進めていただきたいと思います。
 先月、私と酒井委員と、都が整備する新設施設の葛西臨海公園の会場予定地を視察してまいりました。この葛西臨海公園は、カヌースラローム会場として予定をされている一方で、地元江戸川区や野鳥保護団体などが、工事による公園の自然への影響が大きいということで、いろいろ変更などが求めてこられた経緯があります。
 都では、公園の歴史的背景に加え、自然環境にも配慮して、隣接する下水道局の用地の活用など、計画の検討を行っておると聞いております。
 大会時には、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるとともに、大会終了後も地域で親しまれる施設とするため、国内外の競技団体から理解をいただいて、地元区民や関係団体からも多くの賛同を得るという取り組みが重要と考えております。
 そこで、この件について所見をお伺いしたいと思います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 カヌースラローム会場につきましては、葛西臨海公園がつくられた歴史的背景を踏まえるとともに、公園の自然環境への配慮も必要でございますことから、隣接する下水道局用地の活用など、施設配置の検討を行っているところでございます。
 今後、国内外の競技団体と協議するとともに、大会後の施設の後利用のあり方についても、地域の方々の意向も踏まえて検討を進めてまいります。

○小山委員 葛西臨海公園の会場視察を行いましたのは、先月八月の午前九時ごろでありました。既にもうそのときに三十度を超えておりまして、歩くだけで汗をかくような状況で視察をいたしました。
 実際、この夏の時期、ちょうど同じ時期に二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックは開催をされます。暑い日本の夏の最中、屋外で長時間、観客は選手を応援することとなります。観客の体調面、体調不良なども心配、懸念をされております。
 先月、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた科学技術イノベーションの取組に関するタスクフォースが立ち上がりました。日本の今の最先端という科学技術を、オリンピック・パラリンピックの開催時にさまざま実用化、また活用していくということであります。ぜひオリンピック・パラリンピック競技開催時におけます暑さ対策なども、この技術イノベーションのタスクフォースで、あるいは専門部会なども立ち上げていただきまして、早期に検討を始めていただきますことを求めておきたいと思います。
 そして、今まで今委員会の中でも示されてまいりました会場計画の見直し、再検討については、先ほどもなかなか答弁が難しいというような部分もありましたけれども、都として、これからの見直し、再検討について一定の結論を出されるのはいつなのか、改めてお伺いをしておきたいと思います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 会場計画の再検討につきましては、大会組織委員会と連携して、IOC、国内外の競技団体等と調整を行っております。来年二月の大会開催基本計画の提出を一つの検討の目途と考えております。

○小山委員 今ご答弁にもありましたように、先ほどもありましたが、来年二月、大会の開催基本計画を提出する時期ということでございます。これまで多くの委員からもございましたように、もちろん国内の競技団体、それから国際競技団体、さまざまなところの協議というのが必要になってくることは十分承知をしておりますが、ぜひこれが、先ほどの都民や国民の多くの理解が得られるような変更、見直しとなることを求めておきたいと思います。
 続きまして、選手村の整備についてお伺いをいたしたいと思います。
 立候補ファイルの中では、選手村の宿泊棟は、民間事業者が整備をすると世界に宣言いたしました。大会に向けた準備に民間の力を生かしていくという視点は重要だと思います。日本の高い民間の技術力を世界に示す絶好の機会でもあります。
 今般、都は、特定建築者制度を活用して、選手村の宿泊棟の整備を市街地再開発事業で進めるとの方針を表明いたしました。都はこれまでも、さまざまな場面で再開発事業を実施しておりますが、先日開業いたしました虎ノ門ヒルズ、環状二号線など特定建築者制度の導入事例も多く、数多くの民間連携の実績もあります。
 選手村整備では、宿泊棟という特殊な施設を建築するものでありますが、都のこれまでの実績を生かして、全力で取り組むべきと考えます。
 そこで、改めて、特定建築者制度を導入する意味、今回の選手村整備で想定される課題についてお伺いをさせていただきます。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 市街地再開発事業におけます特定建築者制度とは、民間が建築の主体となり、民間の資金とノウハウを有効に活用して建物を整備するものでございます。
 この制度を導入することによりまして、都が事業全体をコントロールしながら、民間の活力を生かして選手村の宿泊棟を整備することが可能となります。
 選手村の整備に当たっては、大会までの限られた期間内に確実に整備を終えなくてはならず、特定建築者には、事業を完遂する施工能力に加え、厳格な工程管理が求められます。また、通常の開発事業とは異なり、IOCなど関係者間との円滑な意思疎通も不可欠であります。
 都としては、今後再開発事業を進める中で、大会組織委員会、特定建築者と連携を強化し、工程調整を綿密に実施していくなど、着実な選手村整備に向けて取り組んでまいります。

○小山委員 ただいまのご答弁の中にもありましたように、今回の整備に当たっては、大会組織委員会、そして東京都、さらには特定建築者、この三者があります。
 そして、これまでの東京都の事業の中でも先般の虎ノ門ヒルズの中で、これまでのすばらしい、ああいった完成を見たわけでありますけども、そのときの課題としても、やはり東京都と民間事業者の間で、意識や、あるいは制度上のいろいろな課題があったというふうにも聞いております。
 ぜひ今回、そういったさまざまなこれまでの経緯なども十分生かしていただきながら、着実な整備に向けまして、大会組織委員会やこれから建物を建築する民間と十分な連携を図り、進めていただくことを求めておきたいと思います。
 そして、これは立候補ファイルのときにも掲げられておりましたけども、アスリートファーストの選手村、そして事後の活用、まさしくレガシーという、この両立する整備をぜひとも実現していただきたいと思います。
 今回の選手村の整備、さらには会場計画の見直しや再検討におきましては、それぞれ各関係団体、さらには競技団体や地元自治体とも十分協議の上、多くの都民、国民の理解、支持を得ていく中で進めていただくよう求めまして、私の質問を終わります。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十九分休憩

   午後二時五十五分開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○野上委員 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック会場計画の見直しについて伺います。重複した質問については割愛をいたしまして質問させていただきたいと思います。
 この会場計画の再検討の状況、再検討の視点の中の大きなものの一つに、建設資材や人件費が高騰している現状を踏まえ、その対応をしなくてはいけないということがあります。
 例えば、既に、競技会場の一つである武蔵野の森総合スポーツ施設や日本スポーツ振興センターが改築する新国立競技場は、人件費や資材の高騰などを背景に、建設費が当初の予定よりも増額するのではないかというふうに伺っているところでございます。
 私ども東京都でも、一般的に日本の公共工事において、従来では一括発注方式が多用されておりまして、施工に関するマネジメント業務は主に元請業者、つまりは総合工事業者が担ってきたところです。
 一方、ロンドン大会で成功した発注方式、方法に、プロジェクトマネジメント、コンストラクションマネジメントがあります。プロジェクトの工期の遅延、こうした会場計画の変更にも対応できるような、予算超過などを防止するため、マネジメントを専門的に行うコンストラクションマネジャーが発注者、設計者、受注者への意思疎通を促し、そして一体となってプロジェクトの全般を運営する方式です。
 そこで、整備工法を見直して整備費の圧縮を図るとのことですが、整備工法としてどのようなものを考えているのでしょうか。また、このロンドン大会で用いたようなコンストラクションマネジメントなど、過去の大会での成功例を参考に民間の活用をさらに検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 整備工法の見直しにつきましては、今後着手する基本設計の中で具体的な工法等の検討を行ってまいります。
 また、民間活用に関しましては、東京とロンドンでは大会準備の執行体制が異なるため、プロジェクトマネジメントやコンストラクションマネジメントといった同様の手法を導入することは想定してございません。
 都有施設となる新設会場につきましては、都が直接整備することとしておりまして、バリューエンジニアリングの手法などにより、設計や施工の各段階で、機能とコストの両面から適切な施設仕様や工法等の提案、検討を求めるなど、民間の技術力の活用に取り組んでまいります。

○野上委員 これまでの東京都の慣例から、あるいはロンドン大会と異なる執行体制があるためなどの理由からコスト構成などの透明化が難しいという理由は、なかなか説明がつかないと思います。よりコスト構成などの透明化を進め、そして、これはもう民間では当たり前ですが、コンプライアンスやあらゆる情報公開など、都民の皆さん、国民の皆さんにきちんと説明ができるような体制をさらに進めていただきたいと思います。
 次に、会場計画及び再検討に当たっての交通輸送あるいは経済効果について伺いたいと思います。
 二〇二〇年東京オリンピックの開催が決まり、その経済効果には注目が集まっているところでございます。オリンピック開催に誘発された消費需要の拡大、荷動きの活発、老築化した交通インフラの再整備などが物流の業界にも大きくプラスの影響があるのではないか、そういった予想もされ、期待をされているところでございます。
 一方では、競技会場が集積する東京湾岸部の江東区では、混雑悪化や倉庫、物流施設の建設費の高騰など、心配、マイナス影響も懸念されているところです。
 例えば、夢の島付近には多くの競技会場があります。そこには主要な幹線道路である国道三五七号線がありますが、現在でも交通量が非常に多い状況です。大会開催時にはさらなる大渋滞が予想され、近隣企業の経済活動等にも与える影響が懸念されているところです。
 都として、交通混雑の課題と影響について、どのように認識しているか伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 選手や大会関係者の輸送に関しましては、バスや乗用車を利用して、競技会場と主要施設等を関係者専用の車線となるオリンピックレーンを設定するなど、迅速、安全、円滑な移動を実現してまいります。
 立候補ファイルでは、二〇二〇年東京大会までに三環状道路の約九割が完成するなど、輸送インフラ整備などが進むことにより、都内の交通渋滞が緩和されるとしています。
 このような輸送インフラの整備を進めるとともに、都心部の自動車交通量を削減する施策もあわせて実施することで、交通渋滞の緩和を図ることが重要と考えております。

○野上委員 東京都内は、都心部はどこもそうですけれども、慢性的に交通混雑が著しいところです。東京港のコンテナターミナルと目と鼻の先にあるコンテナの搬出入を行う海上コンテナ輸送車両に加えて、競技会場建設車両等が流入することで、混雑がさらに悪化するのではないかという懸念もあるところでございます。ぜひとも、国際物流の円滑化に支障を来すことのないように、今後、交通のインフラ、あるいは計画を立てていただきたいと思います。
 そこで、先ほどご答弁いただきました課題と影響に対し、今後どのような対応を考えていくのか伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 立候補ファイルにおきましては、都心部への一般車両の流入を抑制する方策として、公共交通機関の積極利用や代替ルートの利用の促進等を実施することとしております。
 これらの実施に当たりましては、交通管理者や公共交通事業者等との連携が必要不可欠でありまして、大会組織委員会を中心に、関係機関の協力を得ながら具体的な検討を行ってまいります。

○野上委員 オリンピック開催に当たっては、観客の方、旅客の方に便利で快適な交通輸送サービスを提供するということは、開催都市に課された大きな課題です。
 さらには、周辺企業の経済活動、特に物流、陸送ビジネスを行っている企業体に関しては悪影響が出ないように、競技会場周辺企業とは十分な話し合いを行い、建設あるいは会場計画の再検討を進めていただきたいと思います。
 そうした大会組織委員会や関係機関のみならず、周辺の企業、住民の皆さんの協力を得て、円滑な競技会場運営を行っていただきますよう要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○両角委員 私からも何点か質問させていただきたいと思います。
 先ほど来の質疑の中で、まず、見直しに至った経緯や見直しの意図の再確認というのがありました。私もそれが非常に大切なことだなというふうに思っているわけですけれども、そうした中で、先般、都が整備をする新設施設の状況ということで報告があったということで、まず一つ、確認の意味を含めて、会場計画の再検討を今進めているし、これからまだ進めなくてはいけないという段階にあって、具体的にどのような調整をどことやっていく必要があるのかということを確認させていただきたいと思います。
 その中で、特にIOCとの調整というのが大きいものだと思うんですけれども、こちらの資料では、コーツ委員長から、早い段階で改善の作業をしていくことが非常に重要だというコメントがあったと出ているんですが、その後、IOCから、特にこういうことに留意しなさいというようなことがいわれているのか、指摘事項があるのか、その点に関してお聞きをしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 競技会場計画を変更する場合は、国際競技連盟、IFと協議の上、IOCの事前承認が必要となります。競技会場の場所を変更する場合には、さらにIOCの理事会での承認が必要となります。
 現在、IOCあるいはIF等と、さまざまな形で調整を図っているところでございます。

○両角委員 IF、国際競技連盟ということでありますけれども、今回の競技施設の再検討に当たっては、国内の各競技団体も、立候補ファイル段階では協議をして決めて計画を出したということがあると思いますから、そこら辺の調整もやはり必要になるのであろうと。国際競技連盟と国内競技連盟の意思というのは完全に統一するのかどうかはわからないんですけれども、そこら辺、地元あるいは国内の競技連盟の意向も十分踏まえて協議を尽くしていただきたいと要望させていただきたいと思います。
 次に、先ほど来お話がありましたけれども、六月十日の所信表明で知事が会場計画の再検討ということを発言されて、当初、実は私は大変唐突だなと思ったんです。しかしながら、一方で、これはいいことなのではないかなとも思いました。資料で確認をさせていただいても、十日の所信表明の中で三つの視点を示した上で、十七日、議会の中で、具体的な検討事項ということで三つを挙げているということで整理がされております。
 三つの検討事項というのがここに記載されておりますけれども、一つは近隣県までを含めた既存施設の活用、二つ目が環境などに配慮した会場設計、三つ目が整備工法見直しによる整備費の圧縮ということになっているわけであります。
 それで、近隣県までを含めた既存施設の活用がどこまでなされているのかということについて伺いたいと思うんですが、ある面、知事の会場計画を再検討するという発言というのは、非常に大胆であったというふうに思うんです。しかし、一方で、理にかなったものであると思っています。そうした中で、近隣県まで含めた既存施設の活用といったときに、近隣県も、うちにもこういう施設があるんですよということで期待が高まった、あるいは売り込みがあるとか、そういうこともあったと思うんです。
 しかしながら、今回、報告事項の中で、現段階では三つ、アクアティクスセンターと海の森、有明アリーナについて既定の場所でやるということが決定されて、他についてはまだ検討しているという段階であります。
 その中で、例えばアクアティクスセンターについてはこのように書いてあります。近隣県も含め活用可能な既存施設は存在しないと。結果として、現行計画どおり進めるという計画。やり方は基本設計の中で詰めるということでしょうが、あるいは海の森についても、近隣県も含め活用可能な既存施設は存在しないということになっていると。有明アリーナについては表記がちょっと違っておりまして、オリンピックのバレーボール会場となり得る施設は、近隣県を含め、ごく限られるというふうになっているわけであります。
 これから限られた期間の中で施設整備をしていくという一方で、一つ、この見直しの大きな、具体的な検討事項ということの近隣県までを含めた既存施設の活用ということが、ある面、期待を集めたというか、注目を集めている中にあって、じゃ、どこまでそれを具体的に検討しているのでしょうかということをちょっと確認させていただきたいんです。
 具体的には、有明アリーナについて、ごく限られるということでありますから、幾つかあったんだろうというふうに理解をするわけです。今回、委員会で、有明アリーナでやはりやっていくんだという報告があったわけですけれども、それでは、近隣県も含めた検討で、検討した施設というのは具体的にどこなのか。そして、どのような判断で、やはりこれは有明アリーナで整備をしていくことが一番いいんだという結論に至ったかということを聞かせていただきたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 ただいまのご質問でございますが、各施設の管理者あるいは競技団体などの関係者に対する配慮と、現在、全会場で進めております再検討作業への影響などもあり得ることから、個別の施設名を挙げて明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○両角委員 今、話ができないということでありましたけれども、この有明アリーナについては、もう結論が出て報告をしたというふうに理解しているわけです。ここでやるんですよということは、もう検討作業が終了しているんだということです。
 検討途中であれば、例えばA施設、B施設と、今、代替施設として検討しているよということであれば、例えば政治的な動きが出て、ここに来てほしいんだと、どこかの県の方が運動するかもしれないということがあったり、あるいは、まだ意思の形成過程途中ということで、いろんな問題もあるだろうというふうには理解をするんですが、有明アリーナについては、一定結論が出て報告がされているということでありますから、私は、具体的な検討事項の一つの大きな柱として、近隣県まで含めた既存施設の活用ということをぱんと打ち出しているのであれば、それはこの委員会の場で、こういうところと検討したけれども、キャパの問題とか、こういう問題で、やはりこちらが一番ベストであったということを正面切って答えるべきだと思いますけれども、もう一度お答えをいただきたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 繰り返しで恐縮でございますが、各施設の管理者あるいは競技団体などの関係者に対する配慮と、現在、全会場で進めております再検討作業への影響などもあり得ることから、個別の施設名を明らかにするのは差し控えさせていただきたいと存じます。

○両角委員 いろんなご意見はあるでしょうけれども、私は全く納得しませんね。もう決定したものに、どういう配慮が今必要なのか。それと、近隣県までを含めた既存施設の活用ということも打ち出した中で、じゃ、具体的にどういうことをやったのかということに触れられないというのは、ちょっと言葉は悪いかもしれないけれども、情けないと、そんなふうに思います。
 しかし、これ以上追及してもしようがございませんから、私、最後になりますけれども、次に、費用の件にやはり触れさせていただきたいと思います。
 先ほど来、るる発言が、質問等が出ているわけでございますけれども、立候補ファイル当初の千五百三十八億円の会場整備総工事費というのが、報道ベース等によれば四千億円を超えるのではないかという、そんなようなことが危惧をされるということがいわれているということで、しかし、五輪開催都市としては、どんなことがあっても、その時期に合わせて施設をしっかり整備していく、これが一番基本な責任だと思っております。
 ただ、パラリンピック・オリンピックに立候補したとき、四千億円の基金が東京都にあります、それを活用して会場整備をするんだということで、都民にも、あるいはIOCにも説明をしてきたわけでありますから、この範疇でできるだけ仕上げていくのが大切なことだろうと思うんですが、しかし、やらなきゃいけないですから、もし出てしまった場合、どういう対応をしっかりできるのか、どんなふうに現段階で考えているのかお聞かせをいただきたいと思います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 現在、既存施設の活用や整備工法の工夫など、整備費圧縮の可能性につきまして多角的に検討しております。また、今後の変動要素も多いと見込まれることから、現段階では整備費について報告できる状況にはございません。
 今回、基本設計に着手し、具体的な検討を進める三施設を初めまして、引き続き、施設整備費の縮減と適切な予算管理に努めてまいります。

○山内委員 重複する部分は省略させていただきながら質問させていただきます。
 今回、会場計画を再検討することになり、近隣県までを含めた既存施設の活用を検討しているということは評価いたします。しかし、これまでのご答弁によりますと、既存の施設のままで活用できるかどうか、コートなどの数とか観客席数、運営スペースなど、基準とか要件を照らし合わせながら、今のままで活用できるか事務的な検討をしているだけだというご答弁だったかと思います。
 他県からは、施設活用の要望も寄せられていると聞いております。その施設を活用できるように改修をする、仮設をつくったり、そういうことをするとどのくらいかかるか、そうした可能性を含めて、名乗りを上げている他県とも一緒に連携して検討し、試算をして、今考えている新設の費用と比較検討するなど、そういった必要があるのではないかと思います。発想を転換して負担を軽減する必要があると考えております。
 立候補ファイルによりますと、東京都が新設整備する施設の総額は、当初予算で千五百三十八億円です。招致段階の試算が甘かったのではないかという指摘が出てきておりますが、臨海地区は液状化対策も重要になってまいります。
 そこで、液状化対策費などは千五百三十八億円に含まれているのか、今後の増要素になるのではないか、お伺いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 立候補ファイルにおけます施設整備費は、類似施設の実績を参考に算出しておりまして、液状化対策を考慮すべき、くいや基礎等の工事費もその範囲に含まれております。
 新設される会場につきましては、建設敷地の地盤調査を行った上で、設計を進める中で、必要に応じて具体的な対策を検討してまいります。

○山内委員 それでは、今のご答弁のように、液状化対策も含めて施設整備費がどのぐらいになるか、皆様と同じように、できるだけ早く市民、都民に向かって公表すべきと私からも申し述べておきます。
 次に、環境などに配慮した会場設計についてお伺いしていきたいと思います。
 競技期間は、二〇二〇年七月十五日から八月三十一日の期間のうちから十六日間を超えない範囲内とすることになっているようですけれども、この期間、東京は猛暑が続いております。
 都は、この期間の東京の気候をどのように認識しているのかお伺いいたします。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 IOCの指定する七月十五日から八月三十一日の間で、東京は、七月二十四日の開会式から八月九日の閉会式という日程を計画しております。
 この期間は、梅雨明け後で晴れる日が多く、大会実施に適していると考えておりますが、一方で、気温が高い日が続くという時期でもあり、暑さ対策が必要であると認識しているところでございます。

○山内委員 よくよく立候補ファイルを拝見いたしますと、この時期を東京都は、立候補ファイルにおいては、天候は晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候であるとしているんです。非常にこれは無理があると思います。
 屋内競技、屋外競技ともに、本当にこれからそうした対策が必要ではないかと思っておりますが、この時期の開催ということによって、空調利用はふえます。そして、それによる空調排熱もふえ、さらに気温が上がるという負のスパイラルに陥る可能性があります。
 今お話がございましたけれども、熱中症対策とともに、ヒートアイランド対策を進め、大会自身の環境負荷の低減、大会を契機とした環境都市東京の実現に向けて取り組むべきだと思っております。省エネや低炭素型の競技場づくりが重要です。
 見直しに当たって、熱には熱の利用、大会を全て再生可能エネルギーで賄うというくらい大胆な目標を立てるべきと考えておりますが、見解をお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 都が整備いたします新設の会場につきましては、都の設計仕様でございますが、省エネ・再エネ東京仕様を適用いたしまして、建築物の熱負荷の低減を図るなどのほか、太陽光や太陽熱、自然の風など、多様な再生可能エネルギーを利用する設備を可能な限り導入いたしまして、エネルギー使用の合理化を図り、環境負荷の低減に取り組んでまいります。

○山内委員 東京五輪を機に、再生可能エネルギーの利用拡大が加速されることを期待しております。
 三・一一以降、太陽光発電など再生可能エネルギーが進められておりますが、まだまだ世界にはおくれをとっています。太陽光発電のさらなる拡大と、先ほど申し上げましたように、熱には熱の利用の拡大、太陽熱を水泳競技場のプールに利用したり、地中熱を冷房に利用するなど熱利用や、エネルギーの最適制御、省エネ、節電を推進する低炭素の競技場づくりを目指していただきたいとお願いを申しまして、要望いたしまして終わりにいたします。

○吉田委員 私は、選手村の整備に絞って質問いたします。
 その第一は、レガシーについてです。
 ご承知のとおり、五十年前の東京オリンピックの選手村は、オリンピックの名を冠した青少年のための宿泊研修施設として、広く都民によって活用されています。
 もちろん、選手にとって最適な条件を整備するということは、選手村に求められています。同時に、周辺近隣地域はもちろん、都民全体にとって生活や環境の向上に資するレガシーを明確にして取り組むことが求められていると思います。しかも、選手村の場合、報告にあったとおり、四十四ヘクタールもの広大な面積を持つ整備であり、そのインパクトは極めて大きいものだというふうに思います。
 しかし、立候補ファイルで記述されている選手村のレガシーは、国際交流等の記載はありますけれども、都民にとってどのようなレガシーを残そうとするのか、私は読み取ることはできません。
 そこで伺いますが、現時点で選手村のレガシーをどのように考えているのか、お答えをお願いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 選手村は、大会後にはさまざまな人が暮らし集う新たなまちとなります。まちづくりに当たりましては、大会で整備した施設を有効に活用するとともに、大会の記憶をこの地域にとどめていくことが重要であると考えます。
 今後、選手村の検討の具体化に合わせて、これらの有形無形のオリンピックレガシーを地域の発展に有効に生かすように取り組んでまいります。

○吉田委員 この時点で、今の答弁だと極めて抽象的だというふうにいわざるを得ません。
 しかし、報告された内容からすれば、選手村の宿泊施設は全て民間住宅となると。賃貸か分譲かは未定とのことでしたけれども、この地域の状況からすれば、民間住宅ということになれば、かなりの高額になることは十分予想されることだと思います。
 しかし、このままだとすれば、レガシーといっても、この事業を実施する特定の事業者や、あるいはそうしたところに入居できる都民にとってのレガシーであったとしても、一般都民の方々に対する広いレガシーとはいいがたいというふうに思います。
 先ほどからロンドンの事例が議論がありましたけれども、改めてお伺いしますけれども、ロンドン五輪の場合、選手村はどのように活用されているのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 ロンドン・オリンピックにおきましては、宿泊棟は改装され、総戸数約二千八百戸の民間住宅として、賃貸もしくは分譲されております。

○吉田委員 私はロンドンに行っておりませんけれども、自治体国際化協会のレポートが、このことについて紹介しています。それによれば、単に二千八百の民間住宅ということではなくて、このエリアはイーストビレッジと名づけられ、三千三百室の宿泊施設は改装され、千三百七十九戸の低価格のアフォーダブル住宅--直訳すると購入しやすいということになるかと思うんですが--を含む二千八百十八戸の住宅が建設され、しかも、二〇一三年九月には幼稚園、小学校、カレッジも併設され、今年度には医療センターも開設されるものとして、ロンドンの場合には、文字どおり住民のためのレガシーというふうにいえる後利用が進められていると思います。しかも、単に二千八百の住宅の中でも、その半数は低価格で購入しやすいというものだということも注目に値することだと思います。
 そこで、改めてお聞きしますけれども、そもそもIOCの環境行動計画ともいえるアジェンダ21では、選手村について次のように記述しています。引用しますが、宿舎建設は、社会の貧困層を忘れず、地域住宅建設計画を景気づける計画にされなければならないと。この社会の貧困層を忘れずにの提起を、どのように都としては受けとめ、対応しているのでしょうか。なぜ高い価格になり得る民間住宅だけにしようとしているのでしょうか。ご答弁をお願いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 オリンピックムーブメンツアジェンダ21では、その導入に当たりまして、それぞれの異なる社会状況、経済状況、地理的状況、気候状況、文化状況、地域状況を考慮しなければならないと記載されております。
 実際、過去大会の選手村の後利用やその後のまちづくりについては、開催都市の社会経済状況や会場予定地の立地条件により、大会ごとに異なっております。
 二〇二〇年大会では、選手村を都心にほど近い中央区晴海に予定してございます。選手村の宿泊棟の整備に当たりましては、その立地特性を踏まえて、民間の資金と開発のノウハウを大会準備に生かすことから、民間事業者が建設し、大会後に分譲または賃貸を行うものといたしました。

○吉田委員 私は、民間事業者の協力を否定するものではありません。しかし、全て民間の、かつ高額になり得る住宅でいいのかということは問われていると思います。
 今のご答弁だと、それぞれの社会状況を考慮すべきであって、貧困層に留意するということは、東京の場合には当たらないかのような印象を受ける答弁でした。
 しかし、東京でも低所得層が増加をしていることは明らかであり、また、都営住宅で見れば、抽せん方式で世帯向けの平均は約三十倍、単身者向け世帯では五十倍を超えるという現実があります。そうした社会状況を考慮してこそ、本当に都民に喜ばれるレガシーといえるものになるのではないでしょうか。
 ロンドンの事例を確認しましたけれども、私は、札幌、そして長野の冬季五輪の選手村についてもインターネットで検索をしてみました。
 札幌では、選手村はUR都市機構五輪団地というふうになって、男子の選手村はUR住宅、女子は分譲住宅というふうに報告されていました。長野でも、選手村は今井ニュータウンという名称になり、総戸数千三十二戸のうち、一番多いのは三百十八戸の市営住宅、他は職員住宅、企業住宅、分譲住宅、こういうふうに複合的な住宅としてつくられていると。
 こうした事例と比べてみても、全て民間事業者による分譲ないし賃貸住宅にし、公的な、あるいは低所得向けの住宅は全くないということで進むとすれば、それは極めて異常なものであり、再検討を要することではないかというふうに思います。
 さらにお伺いしますけれども、そもそも選手村の敷地は四十四ヘクタールということですけれども、その全てを民間事業者、特定建築者に売却する予定なのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 四十四ヘクタールは、晴海四丁目及び五丁目の選手村予定地の総面積であります。これらの土地のうち、再開発事業の区域や民間事業者へ処分する土地の範囲等については、現在検討中でございます。

○吉田委員 四十四ヘクタール全てというわけではないし、検討中だということですよね。私どものところには、障害者団体や都民の方から、都営住宅や福祉施設などをつくってくれないのかという要望も寄せられています。
 いずれにしても、四十四ヘクタールもの貴重な都有地であり、丸々民間に譲り渡すのではなく、都民、周辺区の要望も生かし、都民のためのレガシーとなる活用を図るべきだということを重ねて要望しておきます。
 次に、レガシーとともにお伺いしたいのは、費用と負担の問題についてです。
 今回の手法では、民間事業者によって建設をされるので、都の負担はないかのような誤解が生まれます。しかし、改めて今回調べてみましたけれども、少なくとも次のような都の負担が生まれることは明らかです。
 第一は、この土地の大半は臨海地域開発事業会計の土地であり、一旦、東京都が一般会計から購入する必要があるのではないでしょうか。第二は、巨大な防潮堤を整備し、その内側を盛り土し、その下には水道、下水道などの都市インフラ、生活インフラの施設を整備します。第三に、道路を整備します。そして第四に、液状化の危険が高い地域というふうに東京都自身も指定をしております。したがって、そのための液状化対策の費用もかかることは明らかです。それぞれいかがでしょうか。
 そして、そのために、どの程度の都負担がこの事業によって発生すると見込んでいるのでしょうか、お答えをお願いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 まず、用地についてでございますが、宿泊棟を整備する晴海五丁目の土地は港湾局所管の都有地でありまして、その多くは臨海地域開発事業会計の都有地でございます。
 現在、これらの土地につきまして、市街地再開発事業の区域や民間事業者へ処分する土地の範囲などを検討中であります。これらの検討にあわせまして、土地の処分に向けた具体的な手法についても検討を進め、再開発事業により適切かつ確実に民間事業者へ土地を処分してまいります。
 また、高潮対策の防潮堤や土地をかさ上げする盛り土、生活を支える道路等は、安全で快適な都民の暮らしを支える重要な都市基盤であります。これらの施設整備は、まちづくりの上位計画であります豊洲・晴海開発整備計画で規定しており、地域に必要な施設として都が整備してまいります。
 なお、防潮堤につきましては、現在、測量調査や土質調査を実施中であり、今後、基本設計などを経て、防潮堤の構造や施工延長、概算工事費などを算定してまいります。同じく道路や盛り土の施工概要や概算工事費等につきましては、今後、再開発事業の計画を進める中で検討してまいります。
 また、液状化対策についてでございますが、東京都土木技術支援・人材育成センターの液状化予測図によりますと、宿泊棟を整備する晴海五丁目には、周縁部の一部に液状化の可能性が高いと予測されている箇所がございます。今後、施設建設に向けた調査を行った上で、必要に応じて液状化対策を適切に実施してまいります。

○吉田委員 現時点ですからやむを得ないかもしれませんが、総事業費は示されませんでしたけれども、こうした臨海地域開発事業会計からの一般会計での買い取り、そして防潮堤、盛り土の整備、さらに道路整備、液状化対策、これらのことを東京都が実施するわけですよね。それは相当の費用負担になることは明らかです。
 もちろん、こうした基盤整備は、短期的に見ればオリンピック・パラリンピックの選手村のための基盤整備です。しかし、長期的には、その後、譲渡を受けた民間事業者による民間住宅建設のための基盤整備につながっていくことは明らかです。
 そこで、こうした費用負担について確認したいんですけれども、防潮堤は別としても、盛り土や道路整備などの生活、都市インフラなどの整備費は、民間事業者に応分の負担を求めるという選択はないのでしょうか。どうでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 都市再開発法におけます特定建築者制度においては、特定建築者が行うのは建物の建築に関することであり、その敷地整備は再開発施行者が行わなければならないとされております。そのため、特定建築者に基盤整備費用を求めるという制度にはなってございません。

○吉田委員 すなわち、特定建築者制度を使うから、こういう役割分担、費用負担になるんだということですよね。それ自身も、私は検討対象ではないかなと思います。
 あわせてお伺いしますけれども、選手村の場合には、住宅の利用の高さが既にIOCから示されていると思います。すなわち、選手村の施設は二階から十四階というふうに聞いておりますけれども、民間事業者が実際につくるに当たっては、それ以上に高層をつくることは可能なのでしょうか。念のために確認をお願いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 立候補ファイルにおきましては、ご指摘のとおり、選手村として二階から十四階を使うということになっております。その後の実際の建物の高さにつきましては、今後、整備計画を検討してまいります。

○吉田委員 民間事業者は、選手村の事業をある面、請け負うといっても、それを超える高さの建築物を建てて利益を得ることは可能なのですよね。私は、そういう意味から見ても、こうした基盤整備を全て東京都がつくって民間事業者に提供するということは到底納得できるものではありません。
 そこで、私も、再開発問題について、改めて文献等を見てみましたけれども、東京都が単一の地権者であるにもかかわらず、第一種再開発事業を東京都施行で行うというのは極めて異例なことではないかと思うんです。
 そこで伺いますが、地権者が都単独でありながら、第一種再開発事業を都が施行者となって行ってきたという例はこれまであるのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 地権者が単独で第一種市街地再開発事業を行った事例は民間にはあります。また、土地所有者である地方自治体が第一種市街地再開発事業を行った事例もあります。
 お話の、都有地において都が単独で第一種市街地再開発事業を行うことは、今回の選手村整備が初めてでありますが、都市再開発法の要件を満たしており、適切に手続を進めてまいります。

○吉田委員 初めてという、私は異例な例だというふうにいってもいいと思うんです。都の説明では、なぜこういうことをしたかについて、先ほどの答弁の中でも、確実に工程管理する必要がある、全体に調和の図られた開発を進めていく必要があるということがいわれました。そうした工程管理だとか全体の調和という理由をもって、都が都負担で基盤整備を進め、民間に提供するというやり方をとらざるを得ないのかといえば、決して--ほかにも選択肢が私はあるのではないかと考えます。
 いずれにしても、レガシーの問題も含めて、こうした進め方について再検討を強く求めて、私の質問を終わります。

○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後三時四十分散会

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