オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会速記録第六号

平成二十六年六月十一日(水曜日)
第十二委員会室
午後一時開議
出席委員 十八名
委員長高島なおき君
副委員長畔上三和子君
副委員長小磯 善彦君
副委員長村上 英子君
理事橘  正剛君
理事吉原  修君
理事吉田 信夫君
小林 健二君
山内れい子君
野上ゆきえ君
小山くにひこ君
山崎 一輝君
鈴木 隆道君
両角みのる君
林田  武君
立石 晴康君
川井しげお君
酒井 大史君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長中嶋 正宏君
次長理事兼務岸本 良一君
技監安井 順一君
技監邊見 隆士君
技監前田  宏君
総務部長鈴木  勝君
企画調整担当部長加藤 英典君
大会準備部長延與  桂君
準備会議担当部長浦崎 秀行君
準備会議担当部長小室 明子君
大会計画担当部長児玉英一郎君
競技担当部長根本 浩志君
施設整備担当部長小野寺弘樹君
輸送担当部長荒井 俊之君
スポーツ推進部長早崎 道晴君
スポーツ施設担当部長三浦  隆君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項(質疑)
・二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告について
閉会中の継続調査について

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑及び閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料についての理事者の説明を求めます。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 去る四月十八日の当委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 それでは、お手元に配布してございますオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙を一枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。資料1、オリンピック・パラリンピック招致委員会における株式会社電通からの借り入れ、返済の経緯についてをごらんください。
 借り入れ、返済の経緯につきまして、平成二十二年二月から二十四年四月までの時系列でお示ししたものでございます。
 資料を一枚おめくりください。資料2、二〇一六年招致に係る東京都と株式会社電通との契約一覧です。
 二ページから四ページにわたりまして、平成十八年度から二十一年度までに締結されました四十二件の契約を記載しております。総額は約三十二・四億円でございます。
 資料をおめくりいただきまして、五ページをごらんください。資料3、二〇二〇年招致に係る東京都と株式会社電通との契約一覧でございます。
 平成二十三年度から二十五年度までの間に締結されました契約は十二件ございまして、総額は約十九・七億円となっております。なお、この中には、東京都から補助金交付を受けた二〇二〇招致計画委員会による支出を含んでございます。
 簡単ではございますが、説明は以上です。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 最後に、この場をおかりいたしまして一言申し上げます。
 四月十八日の当委員会で、説明資料として配布いたしました二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告書につきまして、多数の誤記載がございました。当委員会の先生方を初め、招致活動にご協力をいただきました皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くおわび申し上げます。
 今後、このようなことのないようチェック体制を見直してまいりますので、ご指導を賜りますようよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして説明とさせていただきます。

○高島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山崎委員 まず、本日の質疑に入ります前に、昨日の知事の所信表明に関して、一言申し上げておきたいと思います。
 都議会自民党は、東京を世界で一番の都市にという目標のもと、六年後に開催されるオリンピック・パラリンピックが単に一過性のスポーツイベントで終わることなく、大会後を見据えた都市ビジョンのもと、総合的に準備が行われることを強く望んでおります。大会に向けて新しく整備される競技施設についても、大会後に有効活用されるよう、開催期間以降も視野に入れた計画が必要だとかねてから提言をしてまいりました。
 昨日、知事から、これらの施設整備が、大会後の東京にどのようなレガシーを残せるのか、また、広く都民の生活にどのような影響を与えるのか再検討し、改めるべき点は速やかに改めていくとの発言がありました。
 本日は招致活動について審議する場でありますので、質疑はいたしませんが、我々としては、まだわからない点が数多くございます。改めて、知事からしっかりと説明していただきたいと思います。
 そして、国内外の競技団体や、また関係自治体に対してきちんと説明をしながら、スケジュールに間に合うよう推し進めていただきたいと思います。
 この再検討により、都民の信頼に応え、そして東京のさらなる発展に資する計画となるよう、真摯に取り組みをされることを強く求めておきたいと思います。
 ここからは本日の質疑に移らせていただきます。
 先日報告された二〇二〇年の活動報告書を読んでいきますと、改めて、今回の招致実現は、二〇一六年招致からの積み重ねがあったからこそなし遂げられた、足かけ八年にわたる一連のプロジェクトだったと強く感じました。
 今回、活動報告書では、招致委員会も含めた活動経費が公表され、東京都の三十五億円、招致委員会の五十四億円と合わせて八十九億円の支出となり、前回招致分を大きく下回る結果となっております。
 私は、数字で見るこれらの結果は、経費を単に節減していっただけでなく、実は、スポーツ界を初め政界、経済界それぞれの立場の方が目に見えない努力を積み重ねてきたからこそ達成できたものだと認識しております。
 また、二〇一六年の招致で、招致委員会が資金が不足をし、民間から借り入れを行わざるを得なかった状態も、二〇二〇年招致活動の中で収入を確保し、解消することができました。都の財政補填などが行われなかったこと、今回の招致委員会の活動経費は全て民間資金で賄ったことについても評価をしたいと思います。
 我が党は、去年の十一月に行われたオリンピック・パラリンピック招致特別委員会において、国際招致におけるロビー活動やプレゼンテーションの戦略、国内招致機運醸成に向けた都の取り組みなどについて質疑を行いました。
 そこで、今回は、活動の経費を切り口に招致活動を振り返り、何点か質問をさせていただきます。
 まず、今回の招致について、活動経費という点に関しても、二〇一六年招致で学んだ教訓や、あるいは反省を踏まえて支出を行ってきたと思いますが、いかがでしょうか。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 二〇二〇年の招致では、二〇一六年招致で作成いたしました基礎資料等を活用するとともに、前回の経験によって得られたノウハウをもとに、より効果の見込める事項に経費を優先的に投入してまいりました。
 まず、計画面につきましては、二〇一六年招致時に作成した開催計画の内容をベースに、前回の経験を踏まえ検討、改善を加えていったことなどから、計画策定に係る調査委託費などで大幅な削減を実現することができました。
 また、国内招致機運の醸成におきましても、今回は各界の自主的な招致応援をいただくなどして所要経費を削減することができました。
 加えまして、IOC評価委員会来日に向けてシティードレッシングを展開するなど、経費を重点的に投入していくタイミングにつきましても、めり張りをつけながら実施いたしました。
 国際招致活動につきましては、経費を最終年に集中して活用することができました。具体的には、国際招致活動が解禁となった平成二十五年一月以降、各都市の動向を分析しながら、招致委員会を中心に収入の確保を図るとともに、国際キャンペーンを展開してまいりました。
 このように効果的な財源活用を図ることができまして、その結果として、前回招致を大きく下回る経費で招致を実現することができたと考えております。

○山崎委員 経費のかけ方についても、前回の招致の経験が参考になり、経費支出の内容やタイミングについて工夫ができたのだと思います。
 また、招致委員会では、各界トップから構成される評議会を二〇二〇年招致の初期の段階の平成二十三年十一月には設置するなど、いち早くオールジャパンの招致体制確立に着手をしてきました。
 今回、招致委員会の収入は、活動報告書を見れば、二〇一六年招致の実績を上回る六十五億円となったわけですが、こうした各界からの協力が得られるような体制の構築を早期に図った結果、収入の確保もできたと思います。
 今回の招致委員会の収入について、前回の二〇一六年招致と比較してどのような特徴があったのか伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 招致委員会の収入は、二〇一六年、二〇二〇年招致のいずれも、企業等からの寄附金収入の割合が多くを占めておりますが、今回招致で得た四十八億九千万円は、前回招致の三十五億八千万円から十億円以上実績を積み増すことができました。
 寄附金のほかにも、オフィシャルパートナーからの協賛金につきまして、前回の十七社から二十一社へ、金額も五億七千万円から七億二千万円と、前回を上回ることができました。
 また、海外広報の経費等に、サッカーくじを財源とする、いわゆるtoto助成を受けるなど、収入確保の努力もしたところでございます。
 このように、前回招致を上回る収入を民間からの調達で確保できましたのは、委員のお話がありましたように、招致活動の早期の段階からオールジャパンの招致推進体制が確立されまして各界の協力が得られました点に加えて、ロンドン・オリンピック・パラリンピック大会でのアスリートの活躍、また、IOC評価委員会の来日に向け国内の招致機運が盛り上がっていったことなどが大変大きかったと思っております。

○山崎委員 私は、この点においても、前回招致活動から培ってきた資金調達のノウハウなど、ほかにオリンピック・パラリンピック招致に対する関係者の熱意が継続し、さらに拡大していったことがよい結果に結びついたものと考えます。
 しかし、一点確認しておきたいのですが、招致委員会においては、当初、今回招致活動経費を全体として三十八億円と予定していました。招致は実現したものの、結果的にはこの予算計画を超える支出を行ったわけであります。その経緯や理由について、改めて確認をさせていただきます。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 国際招致活動が解禁となりました平成二十五年一月以降、立候補都市のプロモーション活動が激しさを増しまして、招致委員会におきましても、逐次、招致レースの情勢を分析しながら必要な措置をとってまいりました。
 あわせまして、招致機運の盛り上がりや支持率の向上を背景としまして精力的に寄附金を募るなど、各界から幅広く協力をいただきまして、当初想定していた以上の収入を確保する見込みが立ちましたことから、収入増加の範囲内で当初予算額を超える支出を行ったものでございます。
 具体的には、海外のテレビや雑誌など、IOC関係者に訴求力のある媒体への露出や、ブエノスアイレスでのIOC総会を初めとするプロモーション活動など、国際招致活動を中心に集中的な経費投入を行いまして、招致獲得に向け全力を尽くしたところでございます。

○山崎委員 招致レースの中、強豪都市の動きをしっかり分析しながら、臨機応変にさまざまな手を打っていかなければならないことは当然のことであります。その意味で、最善を尽くそうと、予算計画を超える収入確保に努めたことについても、大変評価のできることだと思います。
 今回取りまとめた招致活動報告書を初め、招致レースを通じて得た知見は、今後、オリンピック・パラリンピックや、ほかの国際スポーツ大会誘致を検討する都市、団体にとってもよい参考になるはずであります。また、IOCや関係者に対して、有益なアドバイスや提言などもできるのではないでしょうか。
 最後になりますが、昨年九月、東京招致を現実のものにできたことは、本当にすばらしい、最高の出来事でありました。しかし、我々はもう二〇二〇年に向かって、史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現に向かって、急ぎ、また準備を進めなければなりません。
 これまでの招致活動で得たものを前向きな形で大会準備につなげていく、こうした点から、最後に局長の決意を伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 二〇一六年の招致活動から昨年九月の開催都市決定まで、足かけ八年間の長い期間を通じまして、東京は、オリンピック・パラリンピック大会のことについて、また国際スポーツ界について多くのことを学び、招致に関するノウハウや人脈も蓄積することができました。
 また、都議会を初め、スポーツ界、政財界など各界のご協力があって、都民、国民の熱い支持を得ることができました。
 招致委員会につきましては、前回を上回る民間資金を調達することで、前回招致の分も含めて収支を均衡させることができました。
 委員のご指摘のとおり、前回招致の経験を生かしながらオールジャパンの体制で臨めたことが、招致成功の最も大きな要因だったと考えております。
 二〇二〇年の大会の準備に向けましては、招致で得ましたオールジャパンの体制を維持、進化させながら、大会組織委員会と緊密に連携するとともに、開催都市として主体的に取り組んでいく姿勢を忘れずに全力で取り組んでまいります。
 引き続き、都議会の先生方のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

○山崎委員 足かけ八年にわたる招致活動を振り返れば、物事の積み重ねというのがいかに重要かということがよくわかります。
 招致活動の記録とともに、これまで培ったノウハウや人脈、そして信頼関係について、今後の大会準備に生かしていってもらいたいことをお願いして、私の質問を終わります。

○吉田委員 私からも、招致活動に関する質疑に先立って、昨日の知事発言の会場計画見直しに関して、まず、意見を表明させていただきます。
 我が党は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを、オリンピック憲章に基づき都民の生活、環境と調和したものとして成功させるために、本委員会を初め、現競技場計画の抜本見直しを求め、先日も申し入れを行いました。
 知事が会場計画について改めて、都民の理解を得て実現できるよう、大会後のレガシー、都民生活への影響、さらに整備費高騰への対応という点で見直すと表明したことは重要です。見直しに当たっては、関係者、都民の声が生かされるように留意をすべきです。
 整備費用の抑制という点では、新規整備に偏重し、液状化対策が求められる臨海部に集中するという計画を見直すことが必要です。八キロ圏内に固執することなく、既存施設の活用を検討すべきことを求めます。
 また、レガシー、生活への影響という点では、生態系を破壊しかねない葛西臨海公園でのカヌー競技場計画の見直し、施設整備によって軟式野球場やテニスコートが使えなくなるなどの計画の見直し、代替施設の整備も課題です。
 さらに、国の責任ですが、多くの建築家、都民から批判の声が上がっている新国立競技場整備計画の見直しは、避けて通れません。国に対し、積極的に働きかけるべきです。
 以上、意見を申し上げさせていただきます。
 それでは、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致活動について、とりわけ電通とのかかわり、前回招致活動での電通からの借入金返済問題を中心に質問いたします。
 東京都はもちろん、招致委員会における招致事業において、発注や契約において公平性の確保は原則であり、特定の企業に偏重した契約等を行ってはならないことはいうまでもありません。
 しかし、二〇一六年に向けた招致活動でも、今回の二〇二〇年に向けた招致活動でも、電通が立候補ファイルの策定を初め招致事業の中枢的役割を果たし、また、資料でも示していただきましたが、発注や契約額の中でも大きな比重を占めています。
 さらに、極めてイレギュラーな問題は、今回の招致活動が電通に対する六億九千万円の債務を背負ってスタートしたことです。
 資料で返済の経過について示していただきました。改めて確認しますけれども、なぜ招致委員会は、電通に対し六億九千万円の負債、借り入れを抱えてスタートすることになったのかご説明をお願いいたします。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 二〇一六年の招致委員会におきましては、当初、民間から五十億円の資金を調達することを目標としておりましたが、平成二十年秋の世界的な金融危機、それに伴う景気後退の影響を受けまして、民間からの寄附金、協賛金収入が当初の目標に達しなかったため、不足する六億九千万円の資金を電通から借り入れることとしたものでございます。

○吉田委員 電通が請け負った資金調達が目標に達しなかったからなわけですね。しかし、寄附金が集まらなかった分をそっくり電通から借りた形にして会計処理すること自体、妥当とはいえないと思います。
 電通とマーケティング契約を結んだ際、集める目標額はあったのではないでしょうか。
 先ほど資料で示された二〇二〇年の招致に向けたマーケティング権の専任代理店契約では、資料にあるとおり、マーケティング収入として確保すると約束した最低保証額というものを取り決めていたと報告されています。
 そこで、お伺いしますけれども、この二〇二〇年に連なることだから聞くわけですけれども、前回、専任代理店契約において、こうした確保すべき金額についての取り決めはあったのでしょうか、なかったのでしょうか。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 二〇一六年の招致委員会と電通との契約の内容につきましては、民間同士の関係でございますので、お答えすることができません。

○吉田委員 民間同士というふうにいえる話じゃないと思うんですよね。招致委員会の活動であり、それに係る極めて重大な問題だからこそ公開をしたわけです。
 お答えになりませんでしたけれども、専任代理店として、不足分について一定の責任を負うことは当然あり得ることではないでしょうか。
 しかも、本委員会の資料にあるように、東京都が前回招致で、直接、電通と契約した分だけでも約三十二億三千九百五十二万円、都の支出総額七十四億九千万円余の四三%にも及ぶと計算されます。招致委員会分も含めれば、約五十三億を電通に発注していたことが過去の特別委員会で報告されています。
 まさに招致事業の多くを発注し、収益を上げている企業に不足分の負担を求め、そのための協議を行うことは当然ではないでしょうか。そうした努力もせずに、不足額を全額電通からの借り入れとして、その電通への借金を背負って招致活動をスタートさせたということは、私は極めて異常だと思います。
 そこで、伺いますけれども、そもそも、公平、公正な活動が求められる招致委員会が特定企業から借金をして活動をスタートさせるということは適切ではないと思いますけれども、どのような認識をされているのでしょうか。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 二〇一六年招致委員会、この借り入れの契約を行った時点では国際スポーツ東京委員会というふうになっていると思いますけれども、これはいわゆるNPO法人でありまして、法人運営のために借り入れを行うこと自体については想定していることでございます。
 また、本件の借り入れは、二〇一六年招致における招致委員会の電通に対する債務の繰り延べという性格を有しておりまして、不適正なものとは考えておりません。

○吉田委員 NPO法人ということを強調されましたけれども、代表者は都知事ですよね。しかも、民間という次元の話ではなく、極めて公共性が高い法人です。しかも、借りた相手は、銀行ではなく、あるいは一般の企業ではなく、契約等の事業発注を受ける、あるいは東京都側からすれば発注する企業です。いわば利害関係者という概念も適用されると思うんです。
 これは例えばの話ですけれども、もしオリンピック招致にかかわる都職員が電通からお金を借りたら、懲戒免職の対象にもなり得るという性格の話だと思うんですね。電通から借金をして公平性が保たれるのかということが問われる性格のことだからこそ、私は指摘をしているわけです。
 しかも、強調したいことは、電通に借金をしただけでなく、その借金返済のお金も、電通から事実上、前払い、立てかえてもらっているという結果になっていることが、先ほど示していただいた資料で明らかです。
 資料では、平成二十三年、二〇一一年十二月に電通と専任代理店契約を締結します。同時に、寄附金収入の前受け金として一部、当然、六億九千万円以上だと思いますけれども、受け取り、それで結果的に電通に返済をするという形になっています。
 前受け金を電通が払った時点では、まだ契約スタートですから、寄附金収入はなかったか、極めて少なかった状況だというふうに思います。
 そこで、お伺いしますけれども、こうした契約時に約束した最低保証額の一部を前受け金として、いわば納めさせるということは、前回もあったのでしょうか。また、一般的に行われているのでしょうか。そういう事例はあるのでしょうか。お答えください。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 二〇一六年招致における専任代理店契約の内容につきましては、民間同士の契約でございますので、お答えすることができません。
 それから、大規模な国際スポーツイベント開催のために、スポーツマーケティングに精通した広告代理店と資金調達にかかわる専任代理店契約を結ぶ行為は、一般的なものと伺っております。
 その際、資金調達に係る最低保証額や、それをあらかじめ前受け金として受領するかどうかにつきましては、個々の契約内容によるものであると考えております。
 また、先ほどお話のありました借り入れについてですけれども、この借り入れは招致委員会が電通に対して支払うべき債務の繰り延べという形の性格でございますので、銀行からの借り入れとかと比較して不適切なものというふうにおっしゃるのは、当たらないのかなと思っております。

○吉田委員 その点は後でまた質疑をしますけれども、契約ではなく、執行について私はお聞きをしたんです。
 前回も、寄附金が集まる前から前受け金として納入があったのかどうか、しかも、他に具体的な、こういうことが一般的に行われているのかというふうに聞きましたけれども、個々の契約という理由で、こうした事例があるか否か、あるということについては紹介されませんでした。
 私は、借りただけではなく、その返済のお金まで、借りた企業に事前に立てかえてもらう、俗ないい方をすれば、いわば二重にも電通に借りをつくると。これは、特定企業との関係で極めて不正常ではないでしょうか。
 お伺いしますけれども、そもそも二〇一六年の招致に係る事務の執行について、東京都監査委員から、監査報告書で契約における競争性の確保について指摘がされていたのではないでしょうか。ご答弁をお願いいたします。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 東京都監査委員が行いました平成二十二年随時監査報告書の記載については、次のような内容でございます。
 二〇一六年の招致の際の招致本部において、契約金額全体に占める特命随意契約の割合は八六・九%となっている。特命随意契約における契約の相手方を見たところ、特定の会社を相手方とする契約の割合が特命随意契約全体の金額の九一・一%となっている。本部は、事業者の選定に当たり、契約の公正性、競争性及び経済性を確保するという観点から、事業者の選定方法等について、より一層、慎重に検討することが求められるとの記載がございます。

○吉田委員 私も、改めてこの随時監査報告書を読みましたけれども、次のように記載されていることを紹介しておきたいと思います。
 特別の事情があったことは認められるが、結果的に、高額な特命随意契約の相手方が特定の業者に集中している状況となっていることから、本部は、事業者の選定に当たり、契約の公平性、競争性及び経済性を確保するという観点から、事業者の選定方法等について、より一層、慎重に検討することが求められるというふうに指摘を受けて、そして、この二〇二〇年招致活動がスタートしたことだというふうに私は思うんです。
 そういう観点からも、こうした二重に借りをつくるようなことは不適切だということを強調したいわけです。
 そもそも、電通への借入金の支払いは、当初、招致活動のために集める寄附金収入の前払いという方式ではなかったのではないですか、国際スポーツ東京委員会がスタートしたときは。借入金の返済に関して、そもそも電通とはどのような取り決めだったのでしょうか。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 国際スポーツ東京委員会の二十二年度の予算、収支計画におきましては、収支余剰分のうちから約七千万円を借入金に充てる計画であったと聞いております。

○吉田委員 電通と当初どういう取り決めかということについてはご答弁がされませんでしたけれども、今いわれましたが、国際スポーツ東京委員会が前回招致委員会を継承した組織となって、借入金をいわば背負ったわけですよね。私も、当時から関心がありましたし、改めて--今もいわれましたが、国際スポーツ東京委員会がNPO法人として東京都に、NPO法人を監督する東京都知事に提出をした特定非営利活動に係る事業会計収支書では、平成二十二年度経常収支差額三億七千十万円のうち、七千十万円を借入金返済に充当するというふうに書かれています。
 さらに、次の年の予算書でもやはり同様に、経常収支差額三億七千十万円のうち、七千十万円を借入金返済に充てるというふうに書いてあります。
 この東京都に示した収支計画と違うことが現実に起きているわけですよね。そうすると、一体この返済計画は何だったのか、そういうことが問われると思うんですが、いかがですか。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 六・九億円の返済についての当時の計画ということだと思いますけれども、国際スポーツ東京委員会の二十二年度の収支計画では、収支余剰分のうち約七千万を借入金返済に充てる計画でありまして、当時、おおむね十年程度で返済する計画であったというふうに聞いております。

○吉田委員 だから、東京都に示した国際スポーツ東京委員会の収支計画とは違うことが直ちに行われるということになっています。
 なお、特別委員会で参考人質疑があったときに、我が党の質問に、河野参考人も、招致に係る借入金につきましては、今後、国際スポーツ東京委員会の事業を行っていく中で、その中から返済していく予定でございますというふうにも答弁をしています。
 資料にあるように、結果的には、国際スポーツ東京委員会は、二〇二〇年招致委員会が電通からの前払い金を受けて、それで電通に一括返済するという形をとりました。明らかに、東京都に提出した収支計画とは全く違うことが行われていたと。計画は、結局、欺くものだったのかということもいわざるを得ません。
 さらに、問題は、こうした返済方法をとったために、電通への借金返済に、いわば二〇二〇年招致活動のために企業等が提供した寄附金の一部が、結果的に使われるということになったことはいうまでもありません。すなわち、企業等は、二〇二〇年招致活動への協力というふうに思って寄附をしたけれども、実は、その一部は電通への借金返済に回されたということになっています。
 一部といっても、決してわずかではありません。寄附金総額約四十八億九千万円、協賛金約七億二千万円、合計約五十六億一千万円のうち、借入金返済に回ったのは六億九千万円ですから、一二%に当たります。
 電通が専任代理店として寄附金、協賛金を企業等から受けるに当たって、その目的はどのように示されたのでしょうか。二〇二〇年の招致活動に資するためではなかったのでしょうか。それが借入金の返済に使途されたということは、不適切ではないでしょうか。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 本日の資料にもお示ししておりますけれども、二〇一六年招致活動を行った招致委員会は、国際スポーツ東京委員会として名称変更いたしまして、その後、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致委員会が設立された後、その二つの団体が統合いたしまして、前者の後者に対する債務はそこに引き継がれているわけでございます。
 それから、お尋ねの二〇二〇年招致委員会が募った寄附金、協賛金の目的でございますけれども、各企業に協賛金を募った際の資料によりますと、招致支援募金、いわゆる寄附金の用途につきましては、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の招致活動並びに招致活動を通じたオリンピック・パラリンピックムーブメントの推進とありますけれども、その具体的な内容は限定されておりません。
 また、協賛金については、その使用目的に関する記載はございません。
 民間団体であります招致委員会が寄附金、協賛金をどのように使うかは、基本、招致委員会自身が決める事項でございますけれども、今回の招致活動は、二〇一六年招致のノウハウなどを引き継いで行ってきたものでありまして、その過程で発生した負債を二〇二〇年招致活動における早期の段階で解消したことには、特に問題がないと考えております。

○吉田委員 この問題を取り上げたのは、電通から六億九千万円も借金をするという形をつくり、その借入金の返済資金まで電通に、いわば寄附金の前払い金という形で出してもらうという関係は、どのようにいおうと、契約、発注等の公平性を確保するためには、私は、不適切、あってはならないことだというふうに思います。
 お伺いしますが、本委員会資料で、二〇二〇年招致活動で東京都が電通と契約した事業と金額が示されています。総額約十九億七千万円だと思いますが、ちなみに、このとき、都が契約した事業総額はどれだけだったのか。それに占める電通の約十九億七千万円は、どの程度の比率を占めるのか。また、招致委員会の場合はどうなのか。ご答弁をお願いいたします。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 二〇二〇年招致に係る電通との契約額の東京都分につきましては、提出資料記載のとおり、十九億六千九百万円余でございます。
 今回の都の契約額全体は三十一億二千二百万円でございますので、約六三%となっております。
 なお、招致委員会につきましては、民間同士の契約でございますので、お答えできません。

○吉田委員 結果的には、招致委員会分は明らかにされませんでしたけれども、東京都分だけで見ても、今のご答弁だと、全体の六三%を電通一社が占めているという比率になっています。
 ちなみに、冒頭述べたように、これは、前回の比率、たしか四三%だと思いますが、それと比べてみても、二〇%も電通の占める比率が高くなっているということがあります。
 こうした事態が、電通から巨額な資金を借り入れ、その返済資金まで前倒しで提供してもらうという関係の中で起きているということは、現実の問題として見過ごすことはできないと思います。
 最後に、さらにこうした関係が、招致活動にとどまらず、二〇二〇年に向けた準備、運営につながっていくことが率直に危惧されます。この点での質問は別の場で行いますけれども、大会組織委員会は既に電通と専任代理店契約を行っていますが、事業費という点では、これまでの招致活動とは比べ物にならない莫大なものになることは明らかです。
 それだけに、契約等の公平性あるいは透明性の確保ということは、これまで以上に努力することを強く求めまして、私の質問を終わります。

○小山委員 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告が本委員会に報告されるに当たりまして、改めて、二〇二〇年の東京招致決定までご尽力いただきました職員の皆様を初め、招致活動にご協力いただきました全ての皆様に、心より感謝と御礼の意を表したいと思います。
 そして、この招致活動をしっかり総括することが二〇二〇年大会を成功させ、都民、国民の招致活動と大会開催への理解をより一層深めることにつながるものと確信をいたしております。
 そこで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告並びに本報告書に対して幾つかお伺いをさせていただきます。
 まず、本報告書の中でも述べられておりますように、二〇二〇年の招致活動は、二〇一六年の招致活動と比較して最も大きな違いに、オールジャパンの体制と、オリンピック・パラリンピックを開催したいという都民、国民の招致機運の醸成があったと思います。そして、この招致機運醸成が大会開催への支持率向上に大きく貢献し、招致成功へつながったものと考えております。
 そこで、機運醸成を図る一連の招致活動を通じて、東京都として得られたものは何であったのか、どのように考えているのかお伺いをしたいと思います。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 二〇二〇年大会の招致活動における機運醸成を行う中で最も重視をいたしましたのは、オールジャパン体制の確立でございました。
 全国の自治体や議会はもとより、国、経済界、スポーツ界など、さまざまな団体からの協力を得たことにより、IOCの調査で、平成二十四年五月には四七%であった支持率を二十五年三月には七〇%にまで高めることができました。
 招致成功をかち取ることができたのも、まさにこうした体制のもとに支持率を向上できたことが大きかったと考えております。
 招致活動を通じて得たものは数多くありましたが、オールジャパン体制をより強固なものにできたことが最も大きい成果だったと考えております。

○小山委員 ただいまご答弁いただきました中にも、IOCが行いました支持率調査において、立候補都市選定時の二〇一二年五月に四七%だったという支持率が、評価委員会訪問時の二〇一三年三月に七〇%まで高く伸びることができました。
 また、招致委員会の支持率調査でも、ロンドン大会直前の二〇一二年七月に五八%だった支持率が、評価委員会訪問後の二〇一三年三月に七七%となっていることは、この招致機運醸成に、先ほどもご答弁ありました、オールジャパンで取り組んだ結果のたまものであろうと、このように思っております。
 また、ロンドン大会での日本選手の活躍と帰国後の銀座でのパレードや、効果的な広報戦略、さらには、東京で行われましたスポーツ祭東京二〇一三との一体的なPRが大変有効であったと思います。
 しかしながら、この支持率調査の結果から、一点、留意しておかなければならないことは、IOCと招致委員会の同時期における調査で、支持率が七%から一〇%程度比例して相違があったという点だと思います。この点については、今後の調査や取り組みにおいて、課題としてしっかり捉えておく必要があると申し上げておきたいと思います。
 次に、この支持率を上げ、招致機運醸成につながったオールジャパンの体制についてお伺いをいたします。
 先ほどのご答弁でも、オールジャパンの体制をより強固なものとしたということが、機運醸成の取り組みを行う中で最も効果を上げられた要因であるとのことでございましたが、どのようにしてオールジャパンの体制を確立できたのか、その取り組みについてお伺いをいたします。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 二〇二〇年大会の招致活動においては、前回の招致活動の経験から、早期にオールジャパン体制を確立することが重要である、こういう認識のもと、関係機関との連携を強化いたしました。
 招致委員会に、政界、経済界、スポーツ界などから成る評議会をつくり、協力をいただきました。各代表者の出身母体において、自主的に機運醸成への取り組みが行われたことが都民、国民の支持率の向上につながったと考えております。
 都議会の皆様方によります全国自治体への訪問や、都道府県、政令指定都市、全国知事会を含む地方六団体等による招致決議、百八十万人を超える署名活動など、多くの関係者が一丸となってオールジャパン体制の広がりを牽引したことによりまして、このような体制を築くことができた、このように認識をしております。

○小山委員 今お答えの中にもありましたように、招致委員会の評議会に各界の代表者の多くの皆様が加わっていただき招致活動にご協力いただいたことが、オールジャパンの体制を確立する上で大変重要だったと思います。
 私たち都議会としても、三十八道府県や十八政令市に赴き、招致活動へのご協力をお願いし、全国の自治体議会の皆様から招致決議や支持表明をいただいたことは、招致活動にとって大いに力となりました。この他の道府県や自治体からの協力ということは、今後の大会開催をするに当たっても、忘れてはならないことだと思っております。
 そして、我が国において、二〇一六年の招致と二〇二〇年招致で最も異なる状況が東日本大震災の発災だということだと思います。
 当時の石原知事が、立候補の意思表明でも、招致のテーマに東日本大震災からの復興オリンピック・パラリンピックであることを掲げ、平成二十三年第二回都議会定例会での所信表明でも、大震災からの復興は、戦災からの復興にも匹敵する苦難の道のりでありましょう、しかし、必ずや立ち直り、九年後の日本の姿を披瀝するならば、世界中から寄せられた友情や励ましへの何よりの返礼になるに違いありませんと述べられております。
 そこで、招致活動において、被災地を含む多くの関係者が一丸となって招致活動を展開されてきたことが報告されていますが、被災地とはどのような関係を構築して招致活動を展開してきたのかお伺いをいたします。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 招致活動では、二〇二〇年の東京大会で被災地の復興後の姿を世界に発信するという大きな目標を掲げて取り組みました。
 被災三県の県議会、市議会、町議会からは、招致活動を後押しするための招致の決議をいただきました。また、東北地方の祭りの会場などにおきまして、PRグッズの配布など広報活動を行い、イベントを実施するなど、招致PRの活動を展開いたしました。さらに、被災県の関係者を交え復興専門委員会を立ち上げまして、日本で大会を開催する、これを契機とした復興を後押しする事業展開の提言を行いました。
 こうした被災地と連携した取り組みが、今回の招致成功の大きな力となったと認識しております。

○小山委員 この被災地とのきずなは、大会開催においても大事にしなければならないと思います。必ずや、東日本大震災からの復興オリンピック・パラリンピックをなし遂げることが極めて重要です。
 さきの本委員会において、私は、被災県の知事に大会組織委員会に入っていただき、被災地との連携を深めるべきと申し上げてまいりました。先週、六月五日の大会組織委員会で、顧問会議のメンバーとして福島、宮城、岩手の被災三県の知事が就任されるという報告を受けました。大会開催までの取り組みにおいても、被災地との連携協力を十二分に図っていただくよう求めておきたいと思います。
 次に、二〇二〇年の招致活動において、二〇一六年の招致活動と比較して顕著でありましたのは、若い世代を巻き込んで行われたということであります。
 特に、オリンピックムーブメントとして全国八十六大学と連携協定を締結しまして、大学生に向けて、大学構内での招致広報物の掲出であるとか学内イベントでの招致バッチの配布などは、この招致機運の醸成に大きく貢献したと考えます。また、一部の大学においては、独自にオリンピックに関するシンポジウムが開催されるなど、本取り組みは評価されるべきものと考えております。
 そこで、二〇二〇年の招致活動においては、本取り組みのほかSNSの活用など、若い世代を巻き込んだ活動が功を奏したと考えますが、どのような取り組みが行われ、いかに機運醸成が図られたのかをお伺いいたします。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 二〇二〇年大会の招致活動では、署名活動、招致決議のご依頼、スポーツイベントにおけるPRなど、広く都民、国民の皆様に対する取り組みを実施いたしました。
 また、若い世代に対しましては、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルネットワーキングサービスの活用など、さまざまな方法で招致機運の盛り上げを図りました。
 このうちフェイスブックは、二〇二〇年招致活動で新たに取り入れたものでございまして、招致のオフィシャルパートナーでございます各社の公式フェイスブックと招致委員会公式フェイスブックの連携によりまして、招致活動の情報拡散を積極的に展開しました。
 若者などの間で広く普及しておりますソーシャルネットワーキングサービスを活用した取り組みが、全国的な招致機運の盛り上げにつながったというふうに考えております。

○小山委員 ツイッターやフェイスブックを活用して若い世代に広く取り組みを行われたとのことでございますが、私もフェイスブックで、若い世代がオリンピック・パラリンピックに好感を持って招致活動に大いに貢献している姿を、この二〇二〇年の招致活動では多く目にする機会がありました。
 このように、若い世代が自主的、自発的に取り組める状況や場づくりができたことは、大いに評価をしたいと思います。このような若い世代の取り組みは、これからの大会開催までの期間や大会開催時においても、極めて重要であることはいうまでもありません。
 さらに、彼らが開催都市決定を迎える会の会場であります東京商工会議所の東商ビルに集い、開催都市が東京に決定した瞬間、抱き合って喜びを分かち合っている彼らの姿が大変印象的でありました。
 このように、若い世代が招致機運を盛り上げるさまざまなイベントに参加し、招致活動に大いに貢献してきたことや、若い世代の参加による招致活動についてどのように評価しているのかお伺いをいたします。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 お話にありましたように、学生を初めとする多くの若者には、二〇二〇年大会の東京招致に積極的に参加をしていただきました。こうした自主的な活動は、東京招致の成功に大きく貢献をしたものと高く評価しております。
 また、一方、活動に参加した若者たちにとりましても、東京招致の実現の一翼を担ったという貴重な体験となったものと考えております。

○小山委員 先ほども申し上げましたが、平成二十三年第二回都議会定例会の知事所信表明でも、次代を担う若者に夢と希望を贈るとされて、我が国の将来にとって大きな意義があるという言葉がありました。
 若い世代や次世代にわたっての重要性を掲げての今回の招致活動だと思います。招致が決定をいたしましたIOC総会での、バスケットボール少年の若い世代のプレゼン動画は、多くの共感を得るとともに、オリンピック・パラリンピックにおけます次世代の無限の可能性を示唆するものであったといえると思います。
 ぜひ、大会開催までの期間の取り組みや大会開催時に多くの若い世代が参加、参画できるように努めるよう求めておきたいと思います。
 次に、招致活動経費についてお伺いをいたします。
 私たち都議会民主党は、二〇一六年の招致活動経費に対し、多額のコストがかかり過ぎたことや、効果の薄い事業が散見されたことなどから、二〇二〇年の招致活動経費については、余り効果の期待できない活動に対しては、できる限り予算を削って、効果的かつ効率的な招致活動予算を求めてまいりました。
 また、都民、国民の招致への機運醸成という観点からも、招致活動やその経費も民間が主体となり、東京都がこれを支援し、コーディネートしていくべきであると提案をしてまいりました。
 時の平成二十三年の第三回都議会定例会本会議において、我が会派の代表質問に対する局長答弁から、めり張りのある効率的な予算の使い方をすることで、前回の招致活動経費から半減させることも可能という対応をいただきまして、招致活動経費の財源については、都費と民間資金の費用負担を明確化して、招致委員会への都費負担は行わず、協賛企業等の獲得に努め、都費を上回る民間資金が集まるよう最大限努力するという力強いご答弁のもと、今回の結果につながったということを高く評価させていただきたいと思います。
 そこで、本報告書にありますように、二〇二〇年招致では、招致活動を効果的、効率的に行い、その結果、招致経費の削減を実現されております。招致活動を通して、経費削減にどのように取り組んだかをお伺いするとともに、我が会派の要望でございました民間主体の活動と活動経費の調達をどのように行われたのかお伺いをさせていただきます。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 今回の招致活動におきましては、前回、二〇一六年大会の招致活動による経験やノウハウを継承、活用したことに加えまして、国内招致機運の醸成や国際プロモーション活動などにおいて、めり張りのある戦略的な事業展開を行ってまいりました。
 加えて、オールジャパン体制で招致に取り組んだことにより、各界からの自主的な招致応援などのご支援、ご協力もいただきました。
 これらにより、招致活動を効果的、効率的に推進いたしまして、招致経費の削減も図ることができたと考えております。
 また、今回の招致活動におきまして、招致委員会では、公費の三十五億円を大幅に上回る六十五億円の民間資金を調達することができました。

○小山委員 招致活動や招致活動経費についても、二〇一六年の招致活動で得られた有形無形の財産を最大限活用されるとともに、さまざまな改善や工夫を図られてきたとのことであります。評価をさせていただきたいと思います。
 二〇一六年の招致活動の課題をしっかり捉え、大胆に見直し、改善することで二〇二〇年招致を成功させることができましたのは、多くの皆様の理解と協力のおかげだと思います。常に最良を求めて、不断に改善の努力をされることを引き続き求めたいと思います。
 そこで、最後に、これまでるる質疑をしてまいりましたことからも、二〇二〇年の招致活動を通じて、東京都は多くのことを得たと思います。これら招致活動を通じて得たものを生かしながら、二〇二〇年大会を史上最高の大会とするためにどのような姿勢で準備を進めていくつもりなのか、大会開催に向けた実務を担う大会準備部長にお伺いをさせていただきたいと思います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 これまでの招致活動を通じまして、オールジャパン体制による機運醸成の取り組みを行いまして、全国の方々からご支援をいただくことができました。
 また、国内外の競技関係者やIOCとの良好な関係を築くことができたことは、二〇二〇年大会の準備を進めるに当たりましても重要であると認識しております。
 今後の取り組みに当たりましては、これらをさらに発展していきますとともに、大会組織委員会はもとより、庁内各局、国、区市町村、関係団体など、連携を一層強化していきたいと考えております。
 あわせまして、招致活動を通じて盛り上がった機運を維持発展させ、広いご支援をいただきながら二〇二〇年の大会を迎えられるよう、着実に準備を進めてまいります。

○小山委員 ぜひ、本報告書で述べられております総括や課題を、二〇二〇年の大会開催までの期間や開催に大いに役立てていただきたいと思います。
 これまでのオールジャパンの体制をしっかり堅持しつつ、答弁にもございましたように、招致を通じて盛り上がりました機運を維持し発展をさせ、史上最高の大会開催へ向けて全力を尽くしていただくよう強く求めまして、質疑を終わらせていただきます。

○野上委員 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告について何点か伺います。
 まず、招致活動報告書を拝見しておりますと、やはり前回二〇一六年の招致活動のもとに、今回の二〇二〇年の招致の成功があったというふうに感じられるところでございます。
 当初、支持率五〇%を切っていた、非常に低いところから始まった都民と国民の招致への支持率ですが、この支持率を上げるために、招致関係者がピンバッジを配ったり、あるいはパンフレットを作成したり、あるいは経済界の会合で五輪招致支持の活動をしたり、政界等の広報活動がゆっくりと着実に支持を広め、今回の二〇二〇年の招致活動の基礎になったのだというふうに感じられるところでございます。
 この前回の当初の支持率の低さが、逆に、二〇二〇年招致には関係者の熱心なキャンペーンにつながり、直接かかわる人々の連帯感あるいは団結感を生み、勝利へとつながっております。
 この二回の招致活動から得た資源、知見をさらに発展させ、二〇二〇年大会開催までの間、新しい仕組みやアイデア、ビジネスチャンスなどの創出を図るなどして、大会開催成功はもちろんのこと、ハードもソフトも成熟して、そして持続可能な都市を今後も示すことができるのではないかと期待するものです。
 次なるステップに向けて、招致が成功した今だからこそ、これまでの招致にかかわる活動及び経費の再検証が必要であると考えます。二〇二〇年東京開催まで、これまで招致活動に費やした以上に知恵と衆知を集め、地元自治体、都民の皆様のご協力が必要です。限られた税金の中で最大限の効果をもたらす大会につなげていかなくてはなりません。
 そこで、二〇二〇年大会招致活動報告書のうち、招致推進活動経費について幾つか伺います。
 繰り返しますが、前回の二〇一六年招致活動にかかわる経費の使途については、都民の高い関心がありました。結果につながらなかったからという点もありますが、非常に高い経費が払われていたという報道もしかりでございます。
 それを受け、当時、知事より監査の実施について依頼があり、当該事務の執行が適正に行われているか否かを検証するため、随時監査報告書が出されているところです。
 その記載には、将来行われるであろう同種の事業の運営を視野に置き、留意すべき事項として、意見が幾つか盛り込まれております。この将来行われるであろう同種の事業とは、二〇二〇年大会招致活動であり、次なる二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会開催本体のことであるというふうに考えます。
 前回の二〇一六年招致活動では百五十億円の経費が、今回の二〇二〇年招致活動では約八十九億円、都からは約三十四・六億円、招致委員会では約五十三・九億円となっています。そのうち二〇一六年の招致活動では、契約全体に占める特命随意契約の割合が八六・九%でした。
 そこで、今回二〇二〇年招致に当たり、契約全体に占める特命随意契約の件数と金額及び契約全体に対するその割合について伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 今回ご説明いたしました資料3の中で、特命随意契約につきましては二件でございます。金額につきましては、一件が五千万円、もう一件が五千四百万円でございます。

○野上委員 契約全体に占める特命随意契約、平成二十三年から二十五年度、件数は十五件と伺っていますが、いかがでしょうか。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 大変失礼いたしました。先ほどご説明しましたのは、資料3、電通を相手方とする契約についてお答えしてしまいましたけれども、契約全体の中での特命随意契約は十五件でございまして、割合は一三・三%でございます。失礼いたしました。

○野上委員 特命随意契約における契約全体十五件の総額のうち、電通を相手とする契約の金額の占める割合はいかがでしょうか。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 特命随意契約十五件のうち、電通を相手方とする契約は二件でございまして、その金額の占める割合は七一・三%でございます。

○野上委員 二〇一六年の招致においては、契約金額一億円以上の特命随意契約は--特定の会社一社を相手方とする契約の割合が特命随意契約全体の九一・一%となっており、高額な特命随意契約の相手方が特定の業者に集中している状況となっているという指摘がありました。
 一方、二〇二〇年、今回の招致においては、二〇一六年招致のときに課題があると指摘されていた、十九年度から二十一年度にわたり七件契約が交わされた契約金額一億円以上の特命随意契約はなかったとされています。
 今回、招致活動において、契約金額一億円以上の契約についてはどのような契約形態であり、どのような経緯で契約相手が決定したのか伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 二〇二〇年招致に係る契約のうち一億円以上のものについてですけれども、まず、申請ファイル作成支援業務委託、一億三千八百万円余でございますが、これについては見積競争でございます。それから、立候補ファイル等作成支援業務委託、二億六千三百万円余でございますが、これにつきましては見積競争入札。それから、二〇二〇オリンピック・パラリンピック東京招致に伴うシティー装飾に係る製作、設置等業務委託、これは一億四千二百万円でございますが、見積競争入札。それから、二〇二〇評価委員会訪問対応における企画運営、総合予行演習、プレゼンテーション、競技会場等視察及びレセプションに係る業務委託、五億八千九百万円余でございますが、これにつきましては企画提案。それから、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会東京招致における国際プロモーション実施業務委託、六億二千四百万円でございますが、これにつきましても企画提案となっております。

○野上委員 見積もりを行って競争入札をしたのにもかかわらず、高額契約案件も含め電通が契約相手方になる場合が多くなっています。もちろん、これまで二〇一六年の招致のときもファイル作成等を行っている電通ですので、また、過去、日本国内でもオリンピック招致に、東京大会を初め名古屋、長野、大阪と実績、招致の成功、失敗もありますけれども、ある一定以上のノウハウがあったということで、妥当な判断であったということは、一定の考えはあります。
 一方、二〇一六年の招致においては、同業他社の入り込む余地を極端に狭めている状況があったとの指摘もあります。
 今回の二〇二〇年招致においては、二〇一六年招致時の指摘も踏まえ、どのように契約の方式の検証、契約事務の改善を行ったのか伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 二〇二〇年の招致活動の実施に当たりましては、契約につきまして、都の契約規定などをきちんと遵守いたしまして、適正な契約に努めたところでございます。

○野上委員 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会の開催に当たっては、組織委員会等に同業他社の社員を参加させるなどして、契約事務、見積もり、契約方式のさらなる改善を行っていただきたいと思います。
 開催に当たっては、一般的に公共工事あるいは公共の入札時に行われている、さらなる質の確保、コストの縮減、そして、経済が最も発展している東京ですから、やはり優良業者が競争参加できる、そして参入できるような機会、分離発注も含めて、あらゆる改善というのを検討していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○両角委員 それでは、私からは、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告について、何点か質問させていただきたいと思います。
 今回、二〇二〇年の招致をかち取ることができましたのは、もちろん、二〇一六年の招致活動の経験や教訓、さらにはオールジャパン体制での協力体制など、さまざまな要因があったことと思います。そして、この間、都の関係部署を初め、関係機関の皆さんのご努力もあったということで、皆さんには心から敬意を表したいと思います。
 そうした中にありまして、この招致活動の総括ということで伺いたいと思いますが、今回、招致に要した経費につきましては、二〇一六年の活動時に比して大幅に減っているということでありますが、これらの経費については、極論をすれば、招致に成功すれば有効な経費であったということでありますし、あるいは、逆に失敗をしてしまえば、どんなに経費を節減していても、無駄であったと評価をされてしまうわけであります。
 こういったことも踏まえまして、今回、招致活動の取り組み、そして八十九億円という支出額ということを踏まえて、二〇二〇年のこの招致活動を、その担当部署としてどのように分析、評価、総括をしているのかにつきまして伺いたいと思います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 今回の招致活動及びその経費の支出につきましては、前回招致の経験やノウハウを踏まえまして、効果的でめり張りのきいた内容になったというふうに考えております。
 まず、計画面につきましては、二〇一六年招致時に作成した開催計画の内容をベースに、前回の経験を踏まえて検討、改善を行いましたことなどから、計画策定に係る調査経費などで大幅な削減をすることもできました。また、国際招致や国内機運醸成におきましても、費用対効果や経費を投入するタイミングなどを踏まえた活動を行うことができましたし、さまざまな団体の主体的な協力を得ながら招致活動を展開できた、そのように考えております。

○両角委員 二〇一六年の経験が生きているということでもあろうかと思います。
 ところで、この報告書によりますと、今回の招致に当たりまして、平成二十三年の九月から二年の間に、東京都が三十五億円、招致委員会が五十四億円、計八十九億円の経費支出をしたということであります。この二二五ページの経費の内訳を見ますと、三つに分類がなされておりまして、まず一つは立候補ファイルの策定等、これは東京都が専管的に行うということで十億円を支出したというふうになっておりまして、そのほかに、国際招致活動として四十一億円、招致の機運を醸成するための活動として三十八億円で、この二つにつきましては、東京都と招致委員会が役割分担の上で実施をしているということになっているわけでございます。
 そこで、この招致に関しての東京都と招致委員会の役割分担について伺いたいと思いますが、この表中、国際招致活動につきましては、東京都は海外のPR活動あるいはIOC評価委員会の対応等ということになっております。一方で、委員会の方はプロモーション活動等ということで表記をされているわけでございますけれども、PRもプロモーションも、招致促進という意味合いがあろうと思いますから、共通する部分も随分あるのではないか、このように感じるわけであります。
 また、招致機運醸成等というところでは、東京都が各種の広報やPRを担うということになっておりまして、委員会は全国のキャンペーンをするということなんですが、これも、キャンペーンもPRの一環なのかなというふうに考えますと、区別がなかなか分けがたいように思うんです。
 そこで、今回の招致活動にかかわる東京都と招致委員会の役割分担について、わかりやすい形で説明をしていただきたいと思います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 東京都と招致委員会は、行政と民間という団体の特徴を生かしながら役割分担を行い、招致活動に取り組んでまいりました。
 東京都は、開催計画案の作成を主として担いまして、計画を中心とする正式なプレゼンテーションですとかPRなどを行いました。国内の招致機運醸成の面では、都内の区市町村や国、自治体を中心とした活動の調整等を担当したところでございます。
 一方、招致委員会は、民間資金の調達を行いながら、国際プロモーション活動については、いわゆるロビー活動のような、正式なプレゼンテーション以外の部分を担ったこと、IOCとの調整業務、また国内のプロモーションにつきましては、民間を巻き込んでのキャンペーン活動などについては民間団体である招致委員会が行う、こういった役割分担で進めてまいりました。

○両角委員 今、ご説明いただきまして、その分けというのが、この報告書の文言より明確になりました。
 続いて、最後になりますが、業務委託について伺いたいと思います。
 今回、委員会に提出をされました資料によりますと、二〇二〇年の招致活動に際しまして、株式会社電通と十二件の業務委託契約、約二十億円で結んでいるということであります。この内訳を拝見いたしますと、特に申請ファイルの作成支援業務であるとか、あるいは4にあります立候補ファイルの作成支援業務、さらには、7でしょうか、二〇二〇年の評価委員会の訪問対応におけるプレゼンですとかレセプションにかかわる業務、あるいは11の、二〇二〇年の競技大会東京招致における国際プロモーションの実施業務委託というようなものについては、やはり経験とノウハウを有する、そういう能力を持ったコンサル業務ができるところでないと実際は受けられないんだろうなというふうに考えるわけでありまして、そういった意味で、高度な専門性やノウハウが必要とされたために、この業者さんに委託を行ったんだろうと理解しているところであります。
 とはいえ、これは公金を支出しているわけでもありますから、そういった意味におきましては、この委託先の決定については、最低限、専門性や能力がしっかり評価をされている、さらには、見積価格等が妥当であるということをしっかり都民に説明できるものでなくてはいけないんだろうというふうには考えているわけでございます。
 今回、委員会に提出されました資料を拝見いたしますと、例えば、申請ファイルの作成支援業務というのは、二〇一六年当時にも実施、業務委託が同じところにされておりますが、四年前には七億円、今回は一・四億円で業務委託がされていると。ほぼ同じ業務だと思います。あるいは立候補ファイルの作成支援業務につきましても、二〇一六年当時は約八・六億円で業務委託を受けてもらっていると。今回は、同じような内容だと思いますが、二・六億円で同様の業務を業務委託しているということで、かなり同種の業務についても開きがあるなというのが率直な感想でもあります。
 こうした点も含めまして、いわゆる高度な専門性を有するであろう業務の委託について、どのような手続を経て委託先を選定したのか伺いたいと思いますし、その中で、受注額の妥当性と専門能力の評価の担保というのがいかになされたかということにつきまして、お聞かせいただきたいと思います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 ただいまお尋ねのありました契約についての業者選定方式でございますけれども、1の申請ファイル作成支援業務委託と4の立候補ファイル等作成支援業務委託につきましては、いずれも見積競争方式で実施いたしました。業者選定委員会で、まず、国際的な折衝や全体調整等の業務遂行に必要なノウハウを有する事業者の専門性を評価して指名をいたしまして、その業者による見積競争において公平に選定をいたしました。
 また、7の評価委員会訪問対応における企画運営等業務委託と11の国際プロモーション実施業務委託につきましては、企画提案方式で実施をいたしました。国際会議等でのプレゼンテーションや海外でのブース運営などに関する実績を有する事業者を指名いたしまして、価格面も含めた企画提案方式による総合評価を行うことで専門性などを評価いたしました。
 こうした契約方式に加えまして、前回のノウハウを生かして発注内容等も精査できたことも、価格が大きく落ちていることの要因かと思っております。

○両角委員 最後に、昨日の本会議におきまして、知事から、この開催基本計画の策定に当たって会場計画の再検討ということが表明されましたので、それに関して意見を述べさせていただきたいと思います。
 昨日の知事発言の中では、大会後を見通して、現実妥当性を見きわめて見直していくということを表明されたわけでありまして、ある面、当然かなというふうには理解をしているんですけれども、しかし、きょうの報道にもあるとおり、東京都の職員の皆さんも、ほとんどその事実を知らなかった。あるいは議会の場でも、我々も初めてそういうお話を伺って、これからどうなっていくのかなという、そんな思いを抱いているところでもございます。
 そうした中で、この開催基本計画を改めるということに関しては、関係者もございますわけですから、IOCであったり、競技団体であったり、あるいは地元の区や市であったり、そういうところの調整をしっかりやっていただくということと、議会に対してこの説明をしていただいて、報告の場をしっかり設けていただくということをお願いして、意見表明にかえさせていただきます。

○山内委員 招致活動報告について質問していきます。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致に係る当初予算は七十五億円でした。しかし、実際には八十九億円の経費がかかっています。その内訳、招致にかかった経費、ムーブメント推進のためにかかった経費は幾らか。また、十億円以上、十四億円でしょうか、膨らんだのはなぜかお伺いいたします。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 二〇二〇年招致に要した招致推進活動経費は、全体で八十八億四千九百万円でございまして、その内訳として、立候補ファイルの策定等が十億四千六百万円、国際招致活動が四十億九千八百万円、招致機運醸成等に要した経費が三十七億五百万円でございます。委員のご質問のムーブメント推進のための経費は、招致機運醸成等に要した経費の三十七億五百万がそれに当たるかと思います。
 それから、招致推進活動経費が当初計画しました七十五億円を超えましたのは、招致委員会における支出が三十八億円から五十三億九千三百万円と増加しているところでございますけれども、これは招致委員会が計画を超える収入見込みを確保するとともに、その範囲内で必要な支出を行ったところでございます。

○山内委員 立候補ファイルの策定、国際招致活動に係る費用は、二〇一六年の招致では五十五億円、二〇二〇年の招致では、今お話があったように五十一億五千万円かかっていることになります。オリンピック・パラリンピックの招致に立候補すると、少なくとも五十億円、この膨大な費用がかかるというふうに理解できるかと思います。
 それに加えて、招致機運醸成にどれだけかけるか。二〇二〇年招致では三十七億五百万円と報告していますが、表に出てこないものもあったのではないかと懸念するところです。
 二〇一六年の招致では、区市町村に対して、オリンピックムーブメントを推進するための事業委託経費として六十二地区に一千万円ずつ、二カ年で約九億円が使われました。
 二〇二〇年の招致では、区市町村の機運醸成推進事業は実施していない、八十九億円の中には含まれていないと都は説明しています。しかし、実際には、宝くじの収益により区市町村の機運醸成推進事業が行われていたと聞いております。
 実施主体はどこで、資金はどこから出たのか、また金額についてお伺いいたします。そして、このように招致活動経費として八十九億円には計上されない招致費用はほかにないのか、お伺いいたします。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 委員のご質問の事業は、東京都区市町村振興協会が実施しました区市町村振興共同事業助成でございます。これは、宝くじの収益金から交付金を受けました同振興協会が、招致機運醸成事業を行う区市町村に対して助成を実施したものでございます。金額は、同振興協会ホームページによりますと、特別区に対して約二・一億円、市町村に対して約一・七億円と記載されております。
 今回の招致では、このように各団体の自主的な協力を数多くいただきまして、招致機運の盛り上げに大いに役立ったと認識しております。これらそれぞれの団体のさまざまな活動に要した経費につきましては、各団体が負担をしておりまして、都と招致委員会が支出した経費ではございませんので、把握をしておりません。

○山内委員 自主的な協力ということですね。
 二〇一六年の招致報告書には予算も報告されています。しかし、二〇二〇年の報告書には予算は報告されていません。なぜ記載がないのか、理由についてお伺いいたします。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 二〇二〇年招致の予算計画につきましては、当時のオリンピック・パラリンピック招致特別委員会にもご報告し、質疑をいただいているところでございます。
 今回の招致活動報告書では、招致活動の結果として、経費の支出実績と、民間団体の招致委員会につきましては収支を報告する記載を行ったところでございます。

○山内委員 このようなビッグイベントの開催に対する都民の反発は少なくありません。招致にどれだけの予算が組まれて、実際にどれだけ使ったのか、かかったのか、予算との比較は重要です。
 都民への説明責任をしっかりと果たすためには、予算から十四億円も膨らんだことがわかるように報告をすべきだということを改めて要望いたします。
 立候補に際しては、オリンピック招致に係る経費に加えて、環境への影響や競技場建設等に関して、さまざまな意見や要望が出ています。
 例えば、カヌースラローム競技場予定地に対し、自然環境を破壊する、都民の憩いの場、自然との触れ合いの場が消滅するとして、競技場建設の変更を求める要望書などが出ています。また、新国立競技場については、経費がかかり過ぎる、環境を破壊するという意見が出ています。
 にもかかわらず、報告書には一切記載されておりません。このような意見や要望があったことが記載されないのはなぜか、お伺いいたします。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 招致活動報告書は、招致活動の取り組みの経過等について記載することを主な目的としておりまして、会場計画の内容について論じる趣旨のものではございません。したがいまして、計画の内容に対する意見等についても記載を行ってございません。

○山内委員 この二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告書は、広範多岐にわたった招致活動を詳細に記録し、招致活動全体を総括して得た教訓を貴重な財産として残すために作成したとあります。
 招致に、どれだけの予算で、実際にどれだけかかったか、どのような要望書が出たとか、都には、都民に公正に報告する説明責任があるにもかかわらず、報告書に記載していないのは、まことに遺憾と思います。
 知事は、昨日の所信表明で、招致の時点で作成した会場計画を、知事として、改めてみずからの視点で内容を再検討していく、大会後の東京にどのようなレガシーを残せるのか、広く都民の生活にどのような影響を与えるのか、こうした視点から早急に見直しを行い、改めるべき点は適切かつ速やかに改めていくと述べました。大いに期待したいと思います。
 特に、カヌースラローム会場に予定されている葛西臨海公園については、予算特別委員会で、私は知事に、ぜひ現地視察をして自治体や関係者の声を聞いてほしいと要望いたしました。当該の江戸川区でも、競技場の変更を歓迎していると聞いています。改めて、知事に、現地視察と地元自治体、地域や市民の声を聞いていただくことを要望いたします。
 新国立競技場については、施行の整備主体は国にありますが、明治神宮内外苑の付近は、一九二六年に指定された東京都の風致地区第一号です。ところが、都は、昨年六月、急に神宮外苑地区の地区計画を定め、風致地区条例の建蔽率四〇%以下というのを七〇%に、高さを十五メートル以下だったのを七十五メートル以下までに緩和してしまいました。東京都は全く関係ないとはいえません。
 専門家からは改修案も出ていると聞いております。都民、国民に喜ばれる大会にするためには、知事には、会場計画を改めて検討し、見直すことを十分に国に要望していただきたいと思っております。そのためにも、ぜひ招致活動で出てきた市民や関係者からの意見を知事に報告し、見直していただきたいと要望いたします。
 次に、文書保管についてお伺いいたします。
 二〇一六年オリンピック・パラリンピック招致活動に関する支出文書の情報公開請求に対して、一部の文書が欠落、一時紛失したという問題が起きました。報道後に見つかったと発表がありましたが、ファイルの背表紙にファイル名が書いていなかったためとの説明がありましたが、文書管理に対し余りにずさんであったことは紛れもない事実です。
 この問題を踏まえて、現在、二〇二〇年の招致にかかわる文書はどのように管理保存されているのか、また、二〇一六年招致の文書は今も管理保存されているのか、廃棄されてしまっているのか、お伺いいたします。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 都の二〇二〇年の招致活動にかかわる文書につきましては、東京都文書管理規則等に基づきまして、組織ごとに所定の保存期間に従って管理保存しているところでございます。また、二〇一六年招致の文書につきましても、保存基準に従いまして、現在も管理保存を行っております。

○山内委員 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは、国を挙げてのビッグイベントとなっています。
 オリンピック招致に関する支出文書は、文書管理規則によって三年ないし五年で保存期間が終了し、終了後は順次、廃棄されると聞いております。
 都は、報告書において、今回の招致成功は、二〇一六年招致活動の経験の上に実現したものであり、足かけ八年の関係者の悲願が実を結んだものであると総括しています。それならば、二〇一六年招致にかかった百四十九億円と、二〇二〇年招致にかかった八十九億円、招致だけで合計二百三十八億円がかかっていることも報告し、理解を得なくてはならないと考えます。大会後に検証できるように、きちんと公文書を管理保管していかなくてはなりません。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの費用対効果を検証する重要な文書として、開催後まで保存期間を延長するなど、独自なルールをつくって保存すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 東京都の文書につきましては、東京都の文書保存のルールの中で適切に管理をしてまいります。

○山内委員 都民、国民の皆さんに二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは開催してよかったと理解してもらうには、支出文書に限らず、二〇一六年、二〇二〇年招致にかかわった公文書をパッケージにして管理保存し、大会開催の公文書とともに、大会開催後も検証していく必要があります。
 知事は所信表明で、オリンピック・パラリンピックは世界最大の国際競技大会であるだけでなく、開催都市の社会や文化にも大きな変革をもたらす一大イベントであると述べています。
 東京都では、都の歴史を跡づける文書等の適切な収集に関しては、都内における重要な事件、行事等、都政及び社会情勢を反映する内容を持つものなどは長期保存文書として管理して、廃棄しないことができるようになっています。
 ぜひとも、後に検証ができるように、招致に関する文書を一まとめにして長期保存するよう要望して、私の質問を終わります。

○高島委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○高島委員長 次に、本委員会に付託されております調査事件についてお諮りをいたします。
 本件は、今定例会中に調査を終了することはできませんので、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十八分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る