オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会速記録第五号

平成二十六年四月十八日(金曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 十八名
委員長高島なおき君
副委員長畔上三和子君
副委員長小磯 善彦君
副委員長村上 英子君
理事橘  正剛君
理事吉原  修君
理事吉田 信夫君
小林 健二君
山内れい子君
野上ゆきえ君
小山くにひこ君
山崎 一輝君
鈴木 隆道君
両角みのる君
林田  武君
立石 晴康君
川井しげお君
酒井 大史君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長中嶋 正宏君
次長理事兼務岸本 良一君
技監安井 順一君
技監邊見 隆士君
技監前田  宏君
総務部長鈴木  勝君
企画調整担当部長加藤 英典君
大会準備部長延與  桂君
準備会議担当部長浦崎 秀行君
準備会議担当部長小室 明子君
大会計画担当部長児玉英一郎君
競技担当部長根本 浩志君
施設整備担当部長小野寺弘樹君
輸送担当部長荒井 俊之君
スポーツ推進部長早崎 道晴君
スポーツ施設担当部長三浦  隆君

本日の会議に付した事件
二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。
報告事項
・ソチ・オリンピック・パラリンピックについて(説明)
・二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告について(説明)
・二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会について(質疑)
・東京都が整備する施設の建設スケジュール(案)について(質疑)

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の担当書記の大久保偉久真君です。
 議案法制課の担当書記の小池綾子さんです。
 調査部の担当書記の沖あすかさんです。
 よろしくお願いをいたします。
   〔書記挨拶〕

○高島委員長 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 なお、報告事項、ソチ・オリンピック・パラリンピックについては、説明を聴取することにとどめたいと思います。
 また、報告事項、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行います。ご了承願います。
 初めに、先般の人事異動に伴い、本委員会に出席する幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長  さきの人事異動により交代のありましたオリンピック・パラリンピック準備局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 準備会議担当部長の小室明子でございます。大会計画担当部長の児玉英一郎でございます。施設整備担当部長の小野寺弘樹でございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○高島委員長 紹介は終わりました。

○高島委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、ソチ・オリンピック・パラリンピックについて報告を聴取いたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長  それでは、ソチ・オリンピック・パラリンピックにつきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料第1号、二〇一四年ソチ・オリンピック・パラリンピック競技大会の視察についてをごらんください。
 資料上部に、オリンピック競技大会、パラリンピック競技大会それぞれの概要をお示ししております。開催期間、実施競技数、参加国数など、ごらんのとおりでございますが、ソチ大会は、オリンピック・パラリンピックともに、冬季大会としては史上最多の国、地域が参加した大会となりました。
 次に、知事及び議長による大会視察等についてご説明いたします。資料の左側をごらんください。
 知事と吉野議長は、二十一日午後に成田空港を出発し、二十二日午後にソチに到着、到着後、早速、トーマス・バッハIOC会長、ジョン・コーツ副会長との会談に臨みました。
 会談で知事からは、開催都市の首長として、議会と一致協力して、二〇二〇年大会を史上最高の大会とするため全力で取り組むこと、大会成功のため、IOCとの緊密なパートナーシップを築いていくことなどを伝えました。
 バッハ会長からは、安倍首相、都議会、JOCを初め、全てのステークホルダーが大会成功に向け協働していくことが重要との助言を得ました。
 会談は、予定の時間を延長して行われ、両者の強い信頼関係を築くことができました。
 会場視察につきましては、スピードスケートとアイスホッケーの競技会場、それと選手村を視察いたしました。視察後、知事からは、観客を盛り上げる競技運営の手法や、ロシア人の応援マナーのよさに東京も学ぶところがあるなど、大会運営についてさまざまな指摘がなされました。
 翌二十三日は、午前中に、ソチ市内において、大型スクリーンで試合を観戦できる施設であるライブサイトを視察しまして、午後には、独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営しますマルチサポートハウスを訪ね、日本選手団のコンディションをサポートする最新の設備や体制を視察いたしました。
 二十三日夜には閉会式に参加をいたしました。閉会式においても、知事と吉野議長は多くのIOC委員と挨拶を交わし、懇談するなど、IOCとの強い信頼関係をさらに築くことができました。
 ソチ滞在最終日の二十四日には、知事が記者会見を実施しております。
 以上、今回の視察の成果を総括いたしますと、資料右側中段に記載しておりますように、まず、繰り返しになりますが、トーマス・バッハ会長、ジョン・コーツ副会長らを初め、IOC委員との信頼関係を構築できたことが挙げられます。特にジョン・コーツ副会長は、二〇二〇年東京大会の今後の準備状況について進捗管理を行うIOC調整委員会の委員長を務めており、早々に信頼関係を築けましたことは、大会準備を円滑に進める上で大きな成果であったと考えております。
 また、会場視察を通じましては、選手、観客に対するおもてなしと厳重な警備との両立を体験できたこと、多言語対応の重要性を認識したこと、そして、大会を通じた自国文化の発信の重要性を認識したことなど、二〇二〇年大会の成功に向けて参考となる多くの情報を得ることができました。
 最後に、資料右側下段、ソチ大会中に実施されましたオブザーバープログラムへの参加についてご説明いたします。
 オブザーバープログラムとは、IOC、IPC及びソチの大会組織委員会が大会開催時に実施いたします、大会運営等に要する知識を今後の開催都市に継承するための公式の視察プログラムでございます。東京からも、今後の計画策定の参考とするため、東京都、組織委員会及びJOCの担当者がオリンピック・パラリンピック両大会のオブザーバープログラムに参加をいたしました。これらのプログラムは、大会運営の現場を実地で体験できる貴重な機会であり、参加者が得た知識や経験を二〇二〇年の大会準備に生かしてまいりたいと考えております。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。

○高島委員長 報告は終わりました。

○高島委員長 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告について報告を聴取いたします。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部長 それでは、お手元に配布してございます資料第2号、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告についてをご説明申し上げます。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動につきましては、平成二十五年十一月十一日のオリンピック・パラリンピック招致特別委員会で、活動の概要及び収支見込み等を説明させていただいたところでございます。今回ご説明する内容も、本来ならばオリンピック・パラリンピック招致特別委員会でご報告すべきものでございますが、既に委員会における調査等を終了してございますので、この場で説明をさせていただきます。
 お手元二枚の資料のうち一枚目では、冒頭、上段に招致活動の総括として三点記載してございます。
 第一に、今回の招致成功は、二〇一六年招致活動の経験の上に実現したものであり、足かけ八年にわたる関係者の努力が結実したものでございます。
 第二に、招致活動におきましては、国、全国の自治体、スポーツ界、経済界、都議会等、関係諸団体が一致団結し、まさにオールジャパン体制で取り組んだことに加えまして、都民、国民の支持の高まりや、全国への招致機運の広がりを受けまして、開催都市の地位を獲得することができたものでございます。
 第三に、今回の招致活動について総括するとともに、貴重な取り組みの記録を残すことを目的として報告書を取りまとめたところでございます。
 次に、左側、招致活動の概要についてでございます。主な招致活動について、時系列に六項目でお示ししてございます。
 (1)の立候補表明と申請ファイル提出についてですが、平成二十三年七月の立候補表明、翌年二月の申請ファイルIOC提出を経まして、平成二十四年五月に立候補都市に選定されました。
 (2)、オールジャパン体制確立と招致機運の醸成でございますが、平成二十三年十月に都議会で二〇二〇年東京大会の招致決議が可決されましたのを皮切りといたしまして、国や各界との連携を強化し、オールジャパン体制を早期に確立するとともに、招致機運の醸成を図ってまいりました。
 (3)、二〇一二年ロンドン大会でのPRですが、現地でのプロモーション活動や、IOC委員など関係者への積極的な働きかけを行いました。
 右側に参りまして、(4)、立候補ファイル提出でございますが、平成二十五年一月に立候補ファイルを提出するとともに、ロンドンで実施いたしました招致委員会理事長や都知事等による記者会見において、大会計画や東京の魅力を世界に発信したところでございます。
 (5)、IOC評価委員会の受け入れですが、平成二十五年三月にIOC評価委員会を迎え、プレゼンテーションを行うとともに、競技会場予定地への視察の際には、アスリートによる説明や各種イベント等を実施いたしました。その結果、評価委員会から高い評価を得ることができました。
 (6)、国際招致活動ですが、スポーツ関係の国際会議等で、IOC委員等の関係者に対しプレゼンテーションなどを行い、オールジャパン体制でのPRに取り組みました。こうした活動の成果が実を結びまして、平成二十五年九月七日のIOC総会におきまして、東京が開催都市に決定したところでございます。
 次に、資料を一枚おめくりくださいませ。左側の2、招致活動報告書の構成についてでございます。
 今回作成いたしました報告書につきましては、第1章の申請都市段階から第10章の招致推進活動経費に至る十章から構成してございます。
 資料の左側、中段下の方ですけれども、第7章の招致連携体制に関連いたしまして、今回の招致活動におきまして多大なご尽力をいただきました東京都議会の皆様の主な活動について記載をしてございます。この場をかりて、改めて御礼申し上げます。
 なお、この報告書は、参考資料としてお手元に配布してございますので、後ほどご参照ください。
 最後に、右側3、招致活動経費等についてでございます。
 (1)の活動経費の内訳でございますが、平成二十三年度から二十五年度までの三年間の招致活動経費を記載しております。
 まず東京都につきましては、立候補ファイルの作成や国際招致活動等の経費といたしまして、合計三十四・六億円を支出いたしました。また、招致委員会につきましては、国際招致活動や管理費、手数料等といたしまして、合計五十三・九億円を支出いたしました。
 次に、(2)、招致委員会の収支内訳見込みについてでございます。
 招致委員会の活動経費に充てる収入につきましては、全て民間資金で調達しておりまして、合計で六十五・三億円となる見込みでございます。
 また、支出につきましては、招致活動経費のほか、前回招致の借入金の返済や組織委員会への寄附等を行い、合計六十五・三億円となる見込みでございます。
 その結果、招致委員会の三年間の収支は均衡すると見込んでおります。
 なお、招致委員会の解散に向けまして、現在、清算手続を進めております。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高島委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。

○吉田委員 二点お願いいたします。
 電通からの借り入れと返済の経過に関し、覚書等を含めた資料をお願いいたします。
 次に、前回及び今回について、東京都、そして招致委員会における電通への支出の内訳に関する資料をお願いいたします。
 以上です。

○高島委員長 他にございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 ただいま吉田理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。

○高島委員長 次に、報告事項、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会について、及び東京都が整備する施設の建設スケジュール(案)についてに対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 それでは、私から、大会組織委員会について、また大会開催基本計画について、順次質問をさせていただきたいと思います。
 二〇二〇年まであと六年、申し上げるまでもありませんが、あと六年と考えるものではなく、六年しかないと考えるのが正しいと思われます。大会開催の一年前には、大会本番に万全を期するためにテストイベント、プレオリンピックともいわれますが、テストイベントを行わなければならないとのことであります。そのためには、新設、仮設の施設を含めて、競技施設を期限に間に合うよう整備をしていく必要があります。また、海外から多くのお客様をお迎えするのですから、空港機能の強化や案内標識の改良、言葉のバリアなど、ハード、ソフト面にわたって課題を解決していく必要があります。
 さらに、大会の準備についても、オリンピック・パラリンピックが単なるスポーツの祭典にとどまらず、文化、平和の祭典であることを踏まえ、文化・教育プログラムなども充実をさせていかなければなりません。いわゆるカルチュラル・オリンピアードといわれるものでありますが、私もブエノスアイレスの前のコペンハーゲンも行きましたが、ヨーロッパ、それから諸外国は、このカルチュラル・オリンピアードに対しては非常に崇高な理念と歴史を持っています。このことを本当に重要に考えていかないと、やはり--今回、二度目のオリンピックを行うことに関して、東京が外国からどういう評価をされるのか、また、要するに東京に対してのどういう期待感があるかということを見失ってはならないと思いますので、このことは改めてここで、カルチュラル・オリンピアードの必要性に関しては申し上げておきたいというふうに思います。
 本年一月に設立された大会組織委員会は、三月までに理事などの役員を増員し、この四月から本格稼働いたしました。東京都は、大会組織委員会と二人三脚で世界一のオリンピック・パラリンピックを実現しなければなりません。そして、大会後には有形無形のレガシーをこの東京に残していかなければならないという重大な観点も見落としてはならないということであります。
 今回は、こうした点から、大会運営のかなめとなる大会組織委員会についてお伺いをいたします。
 まず、先月の理事会を経て、日本を代表する三十四名の理事の方々に就任いただきました。事務局体制なども拡充をし、本格的に始動したということであります。大会組織委員会が果たすべき役割について改めて確認をいたします。
 そして、その役割を十全に果たすという観点から、この四月までに、どのような点に重点を置いて、どこまで体制整備が進んできたのかを改めて伺います。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 大会組織委員会は、大会の運営全般を中心となって担う団体であり、招致の際に確立したオールジャパン体制の精神を引き継ぎ、関係者が一致協力しながら事に当たることが何よりも重要でございます。
 本年一月二十四日に、東京オリンピック・パラリンピック調整会議が開催をされ、大会組織委員会が設立されました。
 大会組織委員会の理事会は、事業計画、予算の承認など、法人運営の中枢を担う機関であり、オールジャパン体制にふさわしい構成にすべく検討が重ねられました。調整会議における議論を経て、三月十七日の評議員会において、理事の上限を三十五人にふやし、新たに二十八人の理事が選任され、全体で三十四人となりました。
 理事会のメンバーには、JOC、東京都に加え、国、都議会、競技団体、経済界等の代表や文化人、また、オリンピアン、パラリンピアンであるアスリートも含まれ、全体として女性が七人選ばれるなど、各分野からバランスよく選任されております。都議会からは、高島委員長、川井議連会長にご参加をいただいております。
 また、各界、各地域からも広くご意見をいただくため、顧問会議を設置することになっておりまして、招致活動に引き続きオールジャパンの体制を整え、本格的な準備活動を開始したところでございます。

○鈴木委員 オールジャパンの体制を整えて、本格的な準備活動を開始したということであります。特に、理事会などの機能に加え、今後は、各界から幅広く助言を得るために顧問会議を設置していくと伺いました。ぜひオールジャパンの精神が体現されるよう、各界、各地域を代表する方々にこの顧問会議に参画していただくことを期待していきたいと思います。
 また、事務局の機能も、この四月には百余名の体制を確保し、業務に取りかかっているとお伺いしております。何事も最初が肝心と思います。実質的な活動初年度となる平成二十六年度は、大会運営準備が軌道に乗るか否かの勝負の年になるというふうに考えるのは当然のことと思います。
 そこで、平成二十六年度の組織委員会の主な業務の取り組みというのは、どのようなものになるのかをお伺いしたいと思います。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 大会組織委員会にとって、この平成二十六年度は、二〇二〇年の大会準備に向けて基本的な推進体制を構築していく重要な一年であり、顧問会議や専門委員会の検討、設置、事務局体制の拡充などの組織体制を強化していくこととなります。
 大会開催の基礎となります大会開催基本計画を策定し、開催準備を具体化していくとともに、財政計画を策定し、また、予算の計画的な執行を図ることで着実に業務を推進していくこととなります。
 施設整備においては、担当する仮設施設について、整備に向けた調査検討を行ってまいります。
 また、法人の財源確保という点から、非常に重要であるマーケティング活動において全体プランを策定し、来年一月から始まるマーケティング活動の準備を進め、その際には、大会ブランドの構築に向けて、新たなエンブレム等の開発を進めていくこととなります。

○鈴木委員 今、最後に答弁がありましたが、大会ブランドの構築に向け新たなエンブレム等の開発を進めていくと。この件に関しても、できればオールジャパンでこういうようなものを決めていくとか、何か知恵を出していただいて、今のこの桜のマークに比べて、もっといいものができるといいな、我々が、本当にいいですねといわれるものがあるといいなというふうに思います。私見でありますが、申し上げておきたいと思います。
 これから組織委員会では、森会長のもと、法人として責任を持って運営がなされていくものと考えます。
 一方で、都は、開催都市として、大会準備に責任を持って取り組むという必要があります。今後の準備期間を通じ、都と組織委員会とが緊密に意思疎通を図ることで密接に連携、協力しながら大会準備に取り組んでいくことが重要だと考えますが、改めて所見を伺います。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 世界一の大会を実現していくためには、都と大会組織委員会が緊密に連携をしながら大会準備を進めることが必要不可欠でございます。そのためには、日ごろより十分なコミュニケーションを図りながらお互いを補い、また相乗効果を発揮できるような連携をとっていくことが重要でございます。
 既に、調整会議においては知事が、法人の理事会においては副知事や局長が加わっておりますが、実務レベルにおきましても、大会開催基本計画の策定や効果的な広報活動において合同の会議を開催するなど、一体となった取り組みを進めてまいります。
 都といたしましては、大会組織委員会への職員の派遣を初め、輸送やセキュリティーなど行政による調整支援が必要な分野について、大会運営準備に主体的に取り組むとともに、今後とも、大会組織委員会の取り組みに対して全面的に支援を行ってまいります。

○鈴木委員 世界一の大会を開催するためには、世界一のチームプレーが必要であると考えます。そのためには、オールジャパンの体制をいかにつくるかということが最も肝要かというふうに思います。このことは言葉では非常に簡単だと思いますが、やはり若い人たちが全てどこかでこのオリンピズムの中に関係をして、自分たちの記憶に残るような心の財産となるようなものが、もし若者たちの心に残るのであればというようなことを十分に考えていかなければ、恐らくオールジャパンの体制にはなっていかないんだろうなというふうに思います。
 そして、世界一のチームプレーをつくるためには、日本、我々だけが考えてよしとしているものではなくして、逆の形で、世界の各国々が、またそういう国々の若者たちが何を考え、どういうことを望んでいるのかということをよく我々がそれを受けとめて、そして、その心をお互いにつなぎ合って、初めて世界が結ばれていくようなチームワークができていくんだろうなと思いますから、世界からの情報を的確に捉えていくということをぜひ、こちらの日本だけの思いだけでやるのではなくして、外国から見た目というようなものも非常に大切にしていくことが必要なんだろうなというふうに思います。
 例えば、各国が行う事前キャンプや大会運営のボランティアの募集などは大会組織委員会が実施するものでありますが、都がノウハウを持ち、協力できることがさまざま存在するんだと思います。お互いが連携をしてよりよい形をつくり上げ、多くの国民、都民が、オリンピック・パラリンピックが日本で行われてよかったと実感できるようにしていきたいものだというふうに考えます。
 この件は終わって、次に移りますが、今の最後の見解をよくお考えいただければ、また参考にしていただければということもお願いしたいと思います。
 次に、大会開催基本計画について質問をさせていただきます。
 大会の成功に向けて、都と大会組織委員会が密接に連携、協力していくことが必要不可欠であることが今確認をされたと私も思っております。大会開催に向けた今後のステップにおいて大きな節目となる大会開催基本計画の策定にどのように取り組んでいくのか質問をしたいと思います。
 大会開催基本計画は、来年二月までにIOC及びIPC、国際パラリンピック委員会に提出することになっており、提出後は、この計画に基づいて大会の準備が進められていくと聞いています。
 そこで、大会開催基本計画とはどのような性格のものであるのかを、まず改めてお伺いしたいと思います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 大会開催基本計画は、大会開催準備の基礎となる計画であり、今後の準備を着実に進めるためのロードマップとなるものでございます。
 計画には、大会開催の目的や、競技、会場、輸送、セキュリティーなどの分野別の計画について、実施体制やスケジュールなどを記載することを予定しております。
 IOCやIPC、各国際競技連盟とも協議の上、都と大会組織委員会が連携して策定し、平成二十七年二月までにIOC及びIPCに提出いたします。

○鈴木委員 大会開催基本計画がどういった性格のものであるかはわかりました。いよいよ計画の策定に着手をしていくことになるわけでありますが、本日の質疑において、都と大会組織委員会の連携、協力の重要性を、今いいましたように強調しておきました。
 都は、計画策定に当たって、大会組織委員会と具体的にどのように連携を進めていくのか、改めてお伺いをしたいと思います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 大会組織委員会は、大会運営そのものを担う組織でございます。本年四月に体制が拡充され、大会運営準備、競技運営、マーケティング、国内外の広報やIOC、IPCとの連絡窓口等を担う部署が設置されております。
 一方、都は、大会開催都市として、大会運営を全面的に支援していくとともに、施設整備、輸送インフラ整備、バリアフリー化の促進などの都市機能を向上させる取り組みや安全対策等を担ってまいります。加えて、大会に向けた盛り上げ、文化・教育プログラムなどを大会組織委員会と連携して推進してまいります。
 大会開催基本計画は、大会開催準備に向けたロードマップとなる計画であることから、都と大会組織委員会がそれぞれの担う分野について意見交換や情報共有を密接に行いながら計画策定を進めてまいります。

○鈴木委員 都と組織委員会がおのおのの役割に基づき最大限の力を発揮できるよう、緊密な協力体制を構築されることを期待しております。
 さて、IOCは、昨年十月に、開催準備を確認、支援するために二〇二〇年大会の調整委員会を設置し、同委員会は、IOC副会長でもあるコーツ委員長などIOC委員を中心とする十六名の委員で構成されていると聞いています。
 また、IOCプロジェクトレビューが四月早々に開催され、事務的な折衝が行われたとのことでありますが、東京は、このプロジェクトレビューで何を学び、今後それをどのように活用していくつもりなのかをお伺いしたいと思います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 調整委員会を補完するものといたしまして、第一回IOCプロジェクトレビューが四月二日から四日まで開催されました。今回は、調整委員会のコーツ委員長、ギラディ副委員長を含む九名がプロジェクトレビューのために来日いたしました。
 コーツ委員長からは、大会開催準備における重要なタスクを着実にこなしているとの発言があったほか、IOCから準備状況に対するコメントや貴重なアドバイスをいただいております。
 今後も、IOCと密接に協議、調整を行いながら、着実に大会の準備を推進してまいります。

○鈴木委員 IOCのプロジェクトレビューにおいて、IOC側から着実に準備を進めているとのコメントを得たとのこと、まずは安心をいたしました。しかし、今後も一層気を引き締めて、着実に準備を進めていただきたいと思います。
 補足になりますが、六月二十五日ぐらいから、この十六人のメンバーが東京に来るというようなことの情報も漏れ聞いておりますし、その中には、IOCの理事の方々、かなりお力を持っている人が実は含まれているとも聞いています。ですから、次の組織委員会の人が来るときの準備を相当怠りなきようやっていただきたい。これは、野球を招致するときに非常に大事な要素になるということであります。
 その理事の人たちに、日本のスポーツ界、スポーツの意義または今いった野球の実態、そういうようなものをよくお伝えするということが今後の、特に野球とソフトボールの理解を深めていくことにもつながりますし、野球をやっているところの国々は、そういうようなものの理解があることもありますけれども、そういうことも踏まえて、次の六月の視察は、違う意味での大きな争点ができる可能性もあるというふうに私たちも考えておりますので、ひとつその辺も、改めて都、JOC、それから国もお考えを頂戴できればということも、あえて申し上げさせていただきたいと思います。
 最後に、来年二月の計画提出に向けて、今後、IOCとの具体的な調整をどのように進めていくのかをお伺いいたしたいと思います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 今後は、IOCプロジェクトレビューでの議論を踏まえ、IOC調整委員会と調整を行っていくこととなります。
 調整委員会は、大会四年前までは年一回、その後は年二回開催され、進行管理が行われることとされております。本年につきましては、六月下旬にIOC調整委員会が初めて東京で開催され、大会準備状況の確認や会場予定地の視察などを行う予定となっております。調整委員会では、大会準備に向けた幅広い意見交換を行い、大会開催基本計画に関しましても、過去の大会開催の知見に基づく有益なアドバイスをいただけるものと考えております。
 また、このほかにも、IOC事務局と適宜連絡をとり合うなど、密接に連絡しながら計画策定に向けた準備を推進してまいります。

○鈴木委員 自由民主党として、施設整備について一言申し上げさせていただきたいと思います。
 施設整備に関しては、我が会派としても、今後、相当、真摯に議論を進めていきたいというふうに考えています。よりよい計画とする努力を、我々会派の中でも、これからもずっと検討していくということになります。あえてこのことを申し上げさせていただいて、最後に、局長の今後の決意をお伺いしたいと思います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長  東京で開催されます二度目のオリンピック・パラリンピックは、成熟した都市の姿を全世界に向かって披露していく場になると認識しております。
 都は、大会を開催する都市といたしまして、ただいまご指摘のありました競技会場となる都立施設を整備するとともに、円滑な大会運営には欠かせない輸送インフラの整備、バリアフリー化の促進など、都市機能を向上させる取り組みや安全対策などにより、大会を成功させる責務を担っております。
 また、委員が先ほどご指摘のように、オリンピック・パラリンピックは、自国の文化、開催都市としての東京の文化を世界に発信する好機であります。伝統と最先端の技術や流行が融合した東京ならではの新しい姿を、大会に向けた盛り上げや文化・教育プログラムなどを通じて発信してまいります。
 今後、これらを初めとしました大会準備全般に当たりましては、組織委員会と緊密に連携を行いながらも、開催都市として東京都が主体的に取り組んでいく姿勢を常に強固に持ちながら、全力で当たってまいります。
 そのためには、都議会との連携が最も重要であります。この一月に当局が発足以来、まだまだ至らない点は多々ございますけれども、私を先頭に局職員一同、都議会のご理解とご協力、ご支援を得られるよう、今後とも一層尽力しながら着実に準備を進めてまいる決意でございます。

○小磯委員 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催地決定は、世界都市東京の新たな歴史を大きく開く節目となりました。IOC総会での東京決定の瞬間の感動は、日本人の心の中に長く残っていくことと思います。
 東京は今後、二〇二〇年に向け、防災、減災の強化、被災地の復興支援など、一つ一つ課題解決を着実に推進し、世界の国や地域が安心して参加できる環境を整備して、東京大会への機運を高めていかなければなりません。
 一九六四年の東京大会と今回との大きな違いは、人口減少社会の中で迎えるという点であります。確かに前回の東京大会は、戦後日本の復興、さらには高度経済成長を加速させる契機となりました。しかし、今回の大会は、低迷し続けた経済を立て直すビッグチャンスとなりますが、今後の少子高齢化かつ人口減少化を迎える我が国にとって、オリンピック・パラリンピックのレガシーをどこまで活用できるかは未知数であります。東京大会の成功を目指すさまざまな取り組みを、大会後の我が国の明るい展望に確実につなげることが重要であります。そういう観点で、東京都オリンピック・パラリンピック準備局は二〇二〇年を目指すべきであるということをまず訴えさせていただきたいと存じます。
 それでは、具体的な質問に移らせていただきます。
 まず、施設の建設でございますが、ここ最近、東京都の公共工事につきましては、入札不調ということがあちこちの工事で頻繁に発生をしているわけでございます。私の知っている都の工事におきましても、ことしに入って、もう既に三回、同じ案件が不調になっているわけでございます。そういった入札不調が相次ぐ中、オリンピックの施設の建設についても心配する声がございます。心配を払拭する取り組みと、都民への、こういうことで入札不調はなくなるんだという、そういう広報が大事なのではないでしょうか。
 入札不調の要因として、資材高騰、人手不足が挙げられておりますが、これまでの都の公共工事の入札不調の事例を分析して、原因と、対策をとるべきであります。
 入札不調が相次ぐ中、オリンピック・パラリンピックの競技会場整備についても、今後の建設への影響が心配されるわけでございますが、都の対応についてお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 昨今の資材価格や労務費の上昇などにより入札不調が増加するなど、都の公共工事を取り巻く環境は変化してきております。これらの状況を踏まえまして、競技会場の整備につきましては、大会開催に支障を来さぬよう着実に進めていく必要がございます。
 競技会場の整備に当たりましては、オリンピック・パラリンピック準備局が予算の執行管理などの全体調整を行い、実際の設計や工事は、財務局、港湾局、建設局などの局が行うこととなっております。
 このため、昨年十一月に、全庁横断的な二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施準備会議の幹事会のもとに、より実務的な施設部会を設置いたしまして、各局の連携を図っております。
 引き続き、二〇二〇年の大会開催に向けて、庁内各局、大会組織委員会などと一層連携をいたしまして、競技会場施設の整備に万全を期してまいります。

○小磯委員 都にとりましても、これほどの多くの施設を新設する、そしてまた仮設などをつくっていくということは経験したことのないことだと思います。本当にこの局横断的な施設部会の中でしっかりと議論をして準備をしていただきたい、このように思います。
 続きまして、競技会場につきましての環境性能の向上について質問いたします。
 競技会場は世界が注目する建築物であります。建築物の一次エネルギー消費量のゼロを目指す、いわゆるネット・ゼロ・エネルギー・ビル、こうしたものを目指すべきであると私は考えます。
 また、都市の河川、そしてまた下水等の温度差を利用したヒートポンプ、複数の施設のネットワーク化によるエネルギーの有効利用、また再生可能エネルギーなど、さまざまな環境対策を積極的に行うべきと考えますが、競技会場整備における都の見解を伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 都はこれまでも、都有施設省エネ・再エネ等導入指針を定め、建築物の断熱性能強化や省エネ、再エネ設備の積極的な導入によりまして、建築物の環境性能の向上に対しての取り組みを進めております。
 競技会場の整備におきましては、大会期間中はもとより、大会後の後利用の段階でも環境負荷の小さな施設とすることを目指していることから、環境性能確保への対応が強く求められております。
 このため、建築物の熱負荷抑制、設備システムの高効率化、再生可能エネルギーの活用など、最高水準の環境性能が確保されるよう、今後の設計等の中で具体的に検討してまいります。

○小磯委員 ただいま、最高水準の環境性能の確保というご答弁でございました。ぜひそうしたものを目指していただきたいと思います。
 我が会派で、私と橘さんと小林さん、オリンピックのこの委員会のメンバーで、先日、ここが施設になるというところを視察してまいりました。「ゆりかもめ」有明テニスの森駅に立ちまして、そこから、例えば有明アリーナ、有明ベロドロームなど四施設の土地を視察しました。また、都立夢の島公園におきまして、夢の島競技場でありますとかユース・プラザのAとかBとか、こういったものの場所を確認してまいりました。そして、最後にゲートブリッジの展望台に上りまして、若洲オリンピックマリーナ、海の森マウンテンバイクコース、海の森水上競技場などなどの確認をしたところでございます。
 そこで私が思ったことは、それぞれの競技について、よくぞこのような適地を東京都の皆さんは選択したなということをつくづく感じた次第でございます。そして、東京の海の魅力といいますか、こういったものをゲートブリッジの展望台から見たときに、そうした海の魅力を海外からの観戦者に存分にアピールできるな、ぜひともしていくべきだなということを感じました。
 そして、三点目にはやはり、我々が見た中でも、十一会場のうち五会場が仮設会場でございました。この仮設会場の、いわゆる運営というのがどうなっていくのかなという素朴な疑問があったわけでございます。仮設で整備する競技会場の使用期限、これがどれぐらいの期間を想定しておられるのか伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 仮設の競技会場につきましては大会組織委員会が設置等の責任を担っておりますけれども、仮設の競技会場の使用期間につきましては、大会開催の一年前を目途に実施されますテストイベント開催から大会終了までの使用期間を基本と想定してございます。

○小磯委員 次に、東京オリンピック・パラリンピック開催中の輸送計画についてお伺いいたします。
 構想されてなかなか進展しない鉄道の新線計画が、このオリンピック開催が決定してから実現に向けて動き始めるのかな、そういう期待が都民にあるわけでございます。
 地下鉄八号線の豊洲から住吉間でありますとか、また蒲蒲線でありますとか、りんかい線、JR京葉線直通計画とか、「ゆりかもめ」の豊洲から勝どき間など、いろいろいわれておりますけれども、そういった新線の計画は、もちろん我々都議会としても、これを注視しながらしっかりと取り組んでいく必要があると思っております。
 今回のこのオリンピック・パラリンピックについての輸送計画でございますけれども、まず、オリンピック期間中の観客数について、どれぐらいを東京都が予想されているのかお伺いします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 二〇二〇年大会の招致に当たりまして、国際オリンピック委員会に提出した立候補ファイルにおきましては、大会期間中の観客とボランティアなど大会スタッフの数、合わせまして総数で約一千十万人、一日当たり最大約九十二万人と予測しております。

○小磯委員 有明テニスの森駅の上からオリンピック施設、有明アリーナ、ベロドロームなどを視察したわけでございますけれども、印象としては、「ゆりかもめ」自体の輸送力のキャパシティーといいますか能力、それからまた駅、駅からおりるところの階段等のそういうキャパシティーの課題というのはあるんだろうなというふうに感じた次第でございます。
 そういう公共交通機関プラス、例えば環境負荷ゼロのバスとか--また、せんだっては、横浜市で実証実験を行っていますカーシェアリングのチョイモビという二人乗りの電気自動車、これのカーシェアリングの実験を横浜市で行っている、そういったものも視察をしてまいりました。また、レンタサイクルなど、いろいろと交通手段を考えていくべきじゃないかな、こういうふうに思うわけでございます。輸送にはバリアフリーの観点が重要で、会場と道路、交通機関の三位一体となった取り組みをすべきであります。
 いずれにしても、観客を安全、確実に運ぶには、公共交通機関等の関係機関の協力が不可欠であります。どのように協力関係を築いていくのか、また、今後、輸送計画を立てていくと思いますが、どのように進めていくのか、都の見解を伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 二〇二〇年大会の東京開催が決定したことを受けまして、昨年度、関係行政機関や公共交通事業者等で構成されます輸送調整会議を設置し、情報共有を図ってきております。
 昨年十二月に会議を開催したほか、分野別に、選手や競技役員等の輸送を検討する「大会関係者」輸送検討会及び観客やボランティアなどの輸送を検討する「観客・会場スタッフ」輸送検討会の二つの検討会を設置し、昨年度は、「大会関係者」輸送検討会を二回、「観客・会場スタッフ」輸送検討会三回の計五回開催し、意見交換を行ってまいっております。
 今後は、より詳細な輸送需要の予測を行うとともに、近傍の駅から会場までのアクセスルート等について検討していく予定でございます。
 引き続き、輸送調整会議の場等を活用して関係機関との調整を行い、安全で円滑な輸送計画を策定してまいります。

○小磯委員 二〇二〇年大会に向けて万全なセキュリティー体制を構築していくことは非常に重要でございます。しかしながら、大会のセキュリティーを確保していくためには、交通規制や競技会場周辺のアクセスコントロールなどが実施されることに伴い、一時的に都民に不便をかけることもあり得るわけでございます。
 大会のセキュリティー実施に当たっても、都民の理解を求めていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 オリンピック・パラリンピック競技大会が安全で安心な環境のもとで開催され、アスリートを初め大会関係者、都民、国民、さらには東京を訪れる全ての観客が祭典の喜びを享受するためには、万全なセキュリティー体制の構築とさまざまな対策の推進が必要となります。
 大会のセキュリティーを確保するためには、ご指摘のとおり、競技会場の一部周辺地域における車両規制など、近隣住民等に影響を及ぼす対策を行う必要があり、都民の理解と協力が不可欠であります。
 都といたしましては、関係機関と連携して、安全な大会の実現と都民生活への影響の両面からセキュリティーのあり方を検討いたします。加えて、適時適切な情報発信と大会開催機運の醸成を図り、都民の理解と協力を得るためのきめ細かい対策についても検討してまいります。

○小磯委員 この適時適切な情報発信というのが私は大事だと思いますので、この点よろしくお願いを申し上げます。
 私、昨年の予算特別委員会で、東京にオリンピック・パラリンピックを招致する大義について次のように訴えをいたしました。三月十一日に東日本を襲った未曽有の大震災は、我が国に甚大な被害と人々の心に悲しみをもたらしました、現在、復興に向けて国を挙げた取り組みが進められていますが、その厳しい道程においては、国民が心を奮い立たせ、一つになる夢と希望を持つことが何よりも必要であります、我々人類は、世界が経験したことのない規模の自然災害にも負けない姿を示す、このことこそが、今回、東京に、日本にオリンピック・パラリンピックを招致する大義ではないでしょうか、被災地の復興を後押しするためにも、オリンピック・パラリンピック招致を国民の共通目標とし、国民に勇気と元気を与える必要があると思いますと、このような訴えをさせていただいたところでございます。
 被災地の復興支援につながる東京オリンピック・パラリンピックということで、大会組織委員会に担当部署を設置するという方針については高く評価をいたします。その上で、競技や開会式などを通じて世界に復興の姿を発信すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 二〇二〇年東京大会は、世界に被災地の復興の姿を発信する絶好の機会であり、サッカー競技の宮城県開催など、オリンピック・パラリンピックを通じて復興の姿を示していく情報発信の取り組みが重要でございます。
 また、東京都、被災各県、スポーツ団体などが参画した復興専門委員会からは、被災地の姿を世界に向けて発信することや、開会式などを通じて世界へメッセージを発信していくことなどについて提言がなされております。本年四月には、大会組織委員会に被災地復興支援を担当する部署が設置されたところであり、今後、都と連携して具体的な事業案などを検討していきます。
 都としては、被災地の方々の声をきめ細やかに伺いながら、被災各県の取り組みを支援し、大会開催を通じた情報発信に積極的に取り組んでまいります。

○小磯委員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。
 最後の質問でございますが、事前合宿の誘致ということでお伺いをいたします。
 ロンドン・オリンピック・パラリンピックでは、日本の参加チーム、ほとんどの競技のチームが、イギリスだけでなく、その近くの国々で事前合宿をしておりました。そういった意味からいきますと、東京オリンピック・パラリンピックへの各国のそれぞれの競技の事前合宿となると、相当の数ではないかな、こう推測をするわけでございます。
 三多摩の市町村では、事前合宿の誘致活動ということで、もう準備を始めております。しかし、なかなかノウハウがないのが現状ではないかな、こう考えます。こういったことについて東京都がリードすべきである、このように考えますが、都の見解を伺います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 事前合宿などのような大会に関連する事業が多摩地区などで実施されることは、東京全体が大会開催に向けて盛り上がる絶好の機会となります。
 今後は、大会組織委員会において、各競技の事前合宿に求められる要件を確認し、これを満たす事前合宿の候補地の情報を取りまとめ、各国オリンピック委員会などに提供していくこととなります。
 都といたしましても、多摩地区を初め都内全域が盛り上がるように、事前合宿の候補地に関する情報収集や参加国に対する情報提供の方法など、必要な支援策について検討してまいります。

○小磯委員 オール東京、オールジャパン、そうした取り組みで二〇二〇年を盛り上げることが大事であります。東京都の積極的な取り組みを要望して、私の質問を終わります。

○畔上委員 まず、都が行う施設整備についてです。
 これまでも我が党は、施設整備費は、競技を保障し、安全を確保する必要最低限の費用に抑えるべきだと主張してまいりました。それは多くの国民的世論でありまして、全国紙の世論調査で、開催はよかったという人も含めて七二%の人が、できるだけ支出は抑えるべきだ、こういう声を上げていることからも明らかです。
 先ほど小磯副委員長からもお話がありましたが、今、大変心配な問題は施設整備費が膨張するということです。
 四月六日付の読売新聞では、都の施設整備費が、立候補ファイルでは千五百三十八億円だったものが三千八百億円と倍増試算していると書かれていました。また、四月十三日付の「サンデー毎日」では、都の負担一兆円近くになる可能性と記載しておりました。都に確認をしたところ、都の試算ではないと否定されております。
 しかし、この間、資材高騰などで都のさまざまな工事契約で不調が出ていて、例えば去年の武蔵野の森スポーツセンター、このメーンアリーナでは、九十七億が百五億と一割上がっております。昨年十一月には、新市場の建設工事で三つの入札が不調になったと。ことし二月の再入札では、六百二十八億円だった予定価格を千三十五億と、実に一・六倍になっているということであります。
 オリンピックの都の施設整備の場合は、こうした資材高騰などのほかにもさらに、立候補ファイルでは含まれていなかった液状化対策とか、それから周辺整備とか、こういう費用も含めたら相当の金額になるんじゃないでしょうか。
 現段階で、立候補ファイルよりもかなり都の施設整備費が膨らむという、その認識はあるのでしょうか、伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 今般の第一回定例都議会及び予算特別委員会でも答弁したとおりですが、立候補ファイルの会場施設の整備費以外に、本体施設周辺の整備費や建設物価の高騰等の変動要素を検証し、今後の設計業務において全体整備費を見きわめていきたいと考えております。

○畔上委員 これからはっきりするというようなお答えでありましたが、今の変動要素や整備内容から、整備費用が膨大に膨れ上がることは必至だと思うんですね。「サンデー毎日」の四月十三日号で、首都大の大杉覚教授は、建設コスト高は深刻で、今後も続くことが見込まれる、五輪関係事業を見直すべきだと指摘をしております。
 今、東京都に求められているのは、いかに整備費を抑えるかということだと思います。その際に、建設費用だけでなく、維持費などの軽減、それから、都民のスポーツ利用に寄与するのかも十分加味した施設整備が必要であることはいうまでもありません。
 同時に、被災地でも、今、資材の高騰、それから建設事業者や資材の不足、こういうことで応急住宅建設もおくれにおくれていると。被災地からこうした人材や資材を奪うようなことは絶対にやるべきではないと私は思います。
 八キロ圏内にこだわらず、そういう点では既存施設を大いに活用すればどうか。オリンピックムーブメンツアジェンダ21では、こういうふうにいっているわけです。既存施設を修理しても使用できない場合に限り、新しくスポーツ施設を建造することができるんだと。私は、ここが今、大変重要になっていると思います。
 例えば、新たに有明につくろうというバレーボールのための有明アリーナの観客席、これは総座席数で一万五千席ですが、埼玉アリーナ三万七千席で十分可能なわけです。バドミントンのための夢の島アリーナの観客席は七千席ですが、今建設に入る、先ほどいいました武蔵野の森のアリーナは六千六百六十二席、仮設は一万席可能だということで、こういう施設も利用可能なわけです。
 また、過大な施設をつくらない、こういうことも大事だと思います。
 調べてみますと、都の整備する施設の十施設中八施設が、観客席で見るとIOC基準より過大だということがわかりました。例えばバスケットボールは、IOC基準で観客席一万五千席が、都の施設整備計画では一万八千席になっております。ここを見直して、八キロ圏内にこだわらなければ、例えば一万七千人観客席の横浜アリーナも使えるわけです。
 例えばこの三種目だけでも、今申し上げた立候補ファイルでいう金額では、五百四十億円が削減できるわけです。そうすれば、現在、フットサル会場や体育館もある夢の島のBumBも潰すことはしないで済みますし、また、有明には、都が建設し区に移管した体育館があって、競合しないでも済むわけです。
 八キロ圏内にこだわらず、既存施設を最大限活用する、この方向で再検討はすべきだと思いますが、いかがですか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 現行の会場計画は、既存施設を最大限活用いたしますとともに、アスリートファーストの観点から、半径八キロ圏内に競技会場を配置したコンパクトな会場計画となってございます。
 この計画は、当該競技の国際競技連盟の承認を得た上で、立候補ファイルとしてIOCに提出したものでございまして、IOCからはその遵守を求められております。

○畔上委員 アスリートファーストはもちろん理解していますが、何よりも都民生活が脅かされるような施設整備の膨張はありませんと断言できるのでしょうか。
 それこそ施設整備費は千五百三十八億円と、この金額だって、都民に約束し、IOCに提出した計画の一つなんじゃないでしょうか。天井知らずに施設整備費を伸ばすつもりなのでしょうか。お答えください。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 先ほどもお答えいたしましたが、立候補ファイルの会場施設の整備費以外に、本体施設周辺の整備費や建設物価の高騰等の要素はあると考えています。今後の設計業務におきまして全体整備費を見きわめてまいります。

○畔上委員 被災地のことを考えても、それから、やはり都民や国民からの強い要望となっています、できるだけ税金をかけないでほしいという、この立場で再検討すべきだと思います。何よりも、先ほども申し上げましたが、オリンピックムーブメンツアジェンダ21、私はこれを尊重すべきだというふうに思います。
 当然、再検討する際には競技団体との話し合いは必要なわけですが、会場変更の場合は、いつまでに判断が必要なのか、その点について伺います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 会場を変更する場合は、国際競技連盟と協議し、IOCの承認を得る手続が定められております。
 現行の会場計画は、当該競技の国際競技連盟の承認を得た上で、立候補ファイルとしてIOCに提出したものでございまして、IOCからはその遵守を求められてございます。

○畔上委員 二〇一六年開催のリオの場合も、今も調整中というものがあると伺っています。また、先ほど鈴木委員からもありました野球などの競技の追加、これもあり得るという話も出ております。さらにはロンドンでも会場変更があった。
 もちろんIOCとIFの再度の承認は必要ですが、会場変更の可能性は、今後あり得るという理解でよろしいのでしょうか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 繰り返しになりますが、会場計画は、当該競技の国際競技連盟の承認を得た上で、立候補ファイルとしてIOCに提出したものでございまして、IOCからはその遵守を求められております。現在、その詳細について競技団体等と調整を行っているところでございます。

○畔上委員 つまり、会場変更の可能性はゼロではないということでよろしいんですね。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 繰り返しになりますが、会場計画は、当該競技の国際競技連盟の承認を得た上で、立候補ファイルとしてIOCに提出したものでございまして、IOCからはその遵守を求められているところでございます。

○畔上委員 先ほど、大会開催基本計画の性格についてのご説明がありましたが、この中で財政計画の修正も出すのでしょうか。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 先ほどご答弁いたしましたが、大会開催基本計画では、大会開催の目的や分野別の計画について、実施体制やスケジュールなどを記載していく予定でございます。記載内容の詳細につきましては、今後、IOCやIPCと協議、調整を行い、決定していく予定でございます。

○畔上委員 そうすると、今のお答えですと、大会基本計画に財政計画の修正が出されるかどうかはまだ決まっていないという理解でよろしいのでしょうか。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 先ほど申しましたように、記載内容の詳細につきましては、今後、IOCやIPCと協議、調整を行い、決定してまいります。

○畔上委員 ということは、財政計画の修正が出されていない、まだ決まっていないということでありますが、少なくとも、来年二月が一つの目安だけれども、それがタイムリミットではない、区切っているわけではないということがわかりました。そうであるならば、もう間に合いませんと、基本計画提出を理由に変更しないなどと、都の計画を強行するようなことが私はあってはならないと思います。
 同時に、会場変更となれば、当然、輸送やセキュリティーなどの内容も変わることになるわけですから、現段階での試算を明らかにして、都民の意見も聞いて、規模の縮小や会場変更の検討も私は急いで行うべきだというふうに思います。
 振り返ってみますと、六四年のオリンピックの際には、カヌーは相模湖、自転車は八王子、ヨットが江ノ島、ボートが戸田と各地で開催しておりました。先ほども例として出させていただきましたが、やはり八キロ圏内にこだわらず、埼玉アリーナなど既存の施設の活用も検討して、大会後も見越した必要最小限の費用で整備を行っていただきたい。ましてや被災地の復興の障害となるような、そんなやり方は絶対認められないということを意見として述べておきたいと思います。
 新国立競技場についてです。
 これまでも我が党は、神宮外苑が、東京が世界に誇る近代の歴史的景観であることは、東京都自身の景観にかかわるさまざまな諸文書を見ても明らかだとして、新たな競技施設を建てるにしても、こうした歴史的景観や環境に配慮すべきで、それはオリンピックムーブメンツアジェンダ21の方針と合致するものであり、単に国任せでなく、オリンピックを所管する東京都の担当局としても、こうしたことをきちんとチェックする必要があるんだという意見を述べてまいりました。
 私は、改めて三月末に国立競技場を視察してまいりました。改修で現国立競技場は使えるという主張もあります。私も実際に現地を見て、改修でしようということも含めて考えることが妥当だということが率直な感想でした。
 新国立競技場の予定については、三月までにフレームワーク設計となっていましたが、屋根の荷重の問題などで設計変更があり得るということで、現段階では、基本設計がいつできるのか不明だというふうに伺っています。近く解体工事の入札に入り、七月から解体予定だと伺ってもいますが、今、現国立競技場を改修して使おう、こういった声や、固定の八万客席はランニングコストを考えたら大き過ぎる、開閉式の屋根は芝を痛めるからやめるべきだなどの声が専門家の方々から上がっています。
 また、二月五日の参議院の予算委員会においてこの問題の質疑があって、安倍総理は、その答弁の中でこうおっしゃっていました。努力を重ねながら、さらに検討していく必要があるだろうと思っておりますと、こう答弁されております。
 そういう点では、今後、都がどういう協議を行うかが問われています。都は、周辺環境との調和はIOCの原則にかかわる問題、そういう認識はございますでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 先ほどもお話が出ておりましたオリンピックムーブメンツアジェンダにおいて、競技施設は、土地利用計画に従って、自然か人工かを問わず、地域状況に調和して溶け込むように建築、改装されるべきなどの表現がございます。
 このアジェンダにつきましては、IOCがオリンピックムーブメントにかかわる全ての人々に対し、環境保護及び持続可能な開発保護に関するオリンピックムーブメントの責務を明示した手引書であって、その中の記載内容に従うことを推奨しているものと考えております。

○畔上委員 つまり、周辺環境と調和をしたもの、周りの自然や景観を損なうことのない設計にするよう、東京都としても求めなければならない立場だということだと思います。
 現在も都は、景観条例に基づく景観計画の基準に基づいて、新国立競技場の設置者でありますJSC、日本スポーツ振興センターと協議を行っていると伺っていますが、今後、実施設計となれば、周辺の町並みに配慮という基準で本格的な協議に入っていくことになるわけです。許可ではなく、あくまでも協議だという腰の引けたそういう姿勢ではなく、風致地区条例や景観条例の趣旨を生かして、歴史的景観の保存のため、規模、可動式天井など基本設計の抜本的な見直しを含めて、私は検討すべきだというふうに思います。
 現在、JOCに対して、現国立競技場改修の要望書というのも出されていると伺っています。広く専門家の意見もよく聞いて、国民、都民が納得する計画に変更するように求めるべきだと思いますが、その点はいかがでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 新国立競技場建設は、国及び日本スポーツ振興センターが責任主体となって整備を進めております。
 建設に当たりましては、国及び日本スポーツ振興センターが、国立競技場将来構想有識者会議を設置し、その中で有識者や各分野の専門家による具体的な検討を行ってきております。

○畔上委員 景観問題でも、規模の問題でも、都民から声が上がっているわけですから、やはり都民が納得できる計画を求める姿勢は持っていただきたいと思います。
 新国立競技場建設にかかわる都の財政負担問題も大問題です。先ほどの施設整備の話の中でも、都の施設整備だけでも大変な整備費の膨張の心配が出てきたわけです。そこにさらに五百億を、都が国立競技場本体の建設に費用を出す、こんなことになったら大変な問題です。
 昨年十一月十一日の委員会の答弁では、都として新国立競技場本体整備の負担は考えていない、このようにご答弁されています。文科省との協議の進捗状況はどうなっているのか伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 国からの整備費負担要請につきましては、いまだ具体的な話には至っておらず、文科省との協議は進捗していない状況でございます。

○畔上委員 そうであるならば、一定の本会議答弁、国が着実に整備を進めていくのが原則だというご答弁だったのですが、この答弁は、先ほど申し上げた、都として新国立競技場本体整備の負担は考えていない、この答弁と同じ意味というふうに理解してよろしいのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 第一回定例会におきましては、新国立競技場につきまして、国が着実に整備を進めていくのが原則であること、それから、国からの整備費負担要請については、いまだ具体的な話に至っておらず、今後、その内容について確認した上で、改めて検討していくというふうに答弁をいたしました。

○畔上委員 つまり、具体的内容について確認し、改めて検討するということは、都として本体部分の建設費の負担もあり得るということですか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 いまだ具体的な話に至っていないため、今後、その内容を確認した上で検討してまいります。

○畔上委員 検討ということでごまかさないでいただきたいのですが、本体部分の負担も検討次第ではあり得るということですか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 ただいまお答えしたとおり、今後、その内容を確認した上で検討してまいります。

○畔上委員 三月の知事の記者会見では、知事と文科大臣は二人で二月に会ったというふうに知事はおっしゃいました。その際のぶら下がりで、協議の要請はあったと知事は答えています。しかし、あくまでも五百億円とか具体的な内容は示されていないと聞いているとの説明を伺いました。
 でも、私たちが一月に文科省に聞き取りに行ったときには、協議中だという説明を受けました。また、マスコミも、都と国は話し合い中だと報道しております。
 そこで、この間、どのような協議が行われているのか、私は情報公開請求の資料を取り寄せましたが、二月二十七日付の情報公開請求では、その協議の内容は全く記載されておりませんでした。秘密裏にこうした本体工事にかかわる都の負担が決まっていくことは絶対にあってはならないというふうに思います。あくまでも国の負担で行うこと、このことを明確にすべきだと思います。私はそのことを強く求めておきたいと思います。
 新国立競技場のトレーニングルームについて伺います。
 既に、この三月三十一日をもって国立競技場のトレーニングルームは使用停止となっております。このトレーニングルームは、都民の貴重なトレーニング場所の一つとなっているわけですが、とりわけウエートリフティング練習場は、二十三区内唯一、都民として使える。ここしかありません。ですから、東京体育館などにウエートリフティングのトレーニングルームを移してほしい、こういう声が私のところにも寄せられています。
 都として、ウエートリフティングの代替施設と、新しい国立競技場へのトレーニングルームの設置について要望すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。その点について話し合いはされているのかどうか伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 国立競技場内の施設につきましては、現施設の所有者及び建設主体であります国及び日本スポーツ振興センターが検討すべき事項であると考えております。

○畔上委員 基本的にはそうですけれども、都民も利用している施設ですから、都としていうべきことはきちんといっていただきたいと、それは当然だというふうに思うんです。
 ましてや、都のスポーツ推進計画では、中学生を対象にアスリートの育成を行うとしていますが、七つの競技を対象としていて、その一つがウエートリフティングなんですね。育成するといったって、二十三区内に一般開放されたトレーニングルームが一個もない。そういう事態になってしまうんじゃないですか。ぜひ東京体育館などが引き取って、代替施設としての役割を果たしていただきたい、これは要望しておきたいと思います。
 あわせて、国立競技場を改修するにしても、また建てかえるにしても、そうしたウエートリフティングなどのトレーニングルームの継続を求めていただきたい、これは要望しておきたいと思います。
 葛西臨海公園、カヌーの競技場見直し問題についてです。
 オリンピック憲章のIOCの使命と役割というところに、環境保全について書いてあります。二〇〇三年までのオリンピック憲章では、オリンピック競技大会やオリンピックムーブメントが必ず環境に関心を示すようにするという内容だったわけですが、二〇〇四年以降の憲章では、環境問題に関心を持ち、啓発、実践を通してその責任を果たすとともに、スポーツ界において、特にオリンピック競技大会開催について持続可能な開発を促進することとなっています。つまり、環境について関心を持ったり、注意を促しながらするというだけじゃなくて、積極的に環境を守る取り組みを実践していきますと、さらに積極的な内容に発展しているわけですね。そういう立場からすれば、私は当然、葛西臨海公園のカヌースラローム会場は変更すべきだと考えます。
 地元区の江戸川区でも、この会場問題が区議会で議論されていました。議事録を読みますと、江戸川区の区長は、一定の本会議、第一回定例会ですね、本会議の質問に答えて、隣の下水道局の未利用地に移してと都にいっています、自然を守ることのできる競技場の建設を進めるべく云々といっているわけですね。
 都としてどこまで江戸川区と協議をし、現在どのような検討をしているのでしょうか。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 江戸川区長の発言につきましては、都としても承知をしているところでございます。
 一方、現計画につきましては、選手村からの近さや、大会後に都民が水辺に親しめる施設としてふさわしい場所であることなどを考慮し、葛西臨海公園を適地として立候補ファイルに記載したものでございます。
 カヌースラローム会場の整備につきましては、地元江戸川区の話も伺いながら、環境と調和した計画となるよう検討を進めてまいります。

○畔上委員 そうしますと、環境アセスの流れとしては、いつごろこの評価が出て判断するという見通しになるのでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 オリンピック・パラリンピック環境アセスメントは、条例上アセスの対象とならない施設も含めて、任意の手続として実施しているものでございます。今後、評価結果を会場整備に反映できるよう評価書案を策定してまいります。

○畔上委員 会場整備に生かすということではなくて、会場変更も含めて判断する評価書案だったら、来年二月の基本計画提出までに間に合うかどうか、これがみんな心配しているところなんですよ。そのタイムスケジュールを聞いているんです。
 もう一度、タイムスケジュールとして、いつ評価書案が出る予定なのか伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 繰り返しでございますが、今後、評価結果を会場整備に反映できるよう適切に評価書案を策定してまいります。

○畔上委員 タイムスケジュールもいえないというのは、私は非常に問題だと思うんですよ。
 じゃ、二月前に出るのか出ないのか、そこだけお答えいただけますか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 今後、評価結果を会場整備に反映できるように評価書案を策定してまいります。

○畔上委員 結局、そのことはいえないということですね。以前の委員会で申し上げましたが、招致段階での環境アセスの報告書で明らかになったのは、葛西臨海公園の緑被率は、オリンピック開催によって六三・二%から三二%に減少するんだと。そして、大会後に緑を植えたと想定した二次評価でも、緑の減少は避けられないんだと。さらに、生物の生育、生息場所に消失、分断が生じると予測されているわけです。
 そして、観客席は、仮設とはいえ、海に向かって、少なくとも高さ十五メートル、長さ三百メートルにわたって壁をつくって海の風を遮ることになる。そうなったら貴重な自然環境を奪うことになることははっきりしているからこそ、江戸川区長も、自然を守るために隣地にといっているんじゃないでしょうか。
 知事には、現地視察をしていただきたいと思います。そして、カヌー競技場は会場変更すべきだということを強く改めて求めておきたいと思います。
 最後に、代替施設の整備問題についてです。
 オリンピックの根本原則に、スポーツは人権であるという柱がありますが、誰もがスポーツをする権利があるとしていることは重要なことだと思います。しかし、立候補ファイルの施設整備を半径八キロ圏内としたことによる矛盾で、都民のスポーツをする権利を奪いかねない問題が出てきていることは、以前も指摘をさせていただいたところであります。
 立候補ファイルによる施設建設により影響を受ける既存の施設というのは、選手村となる晴海運動場、ここには野球場もあります。ホッケー会場の野球場六面。夢の島公園では、体育館、フットサル三面、プール、スポーツ施設や文化学習施設を併設する青少年の宿泊施設、東京スポーツ文化会館、BumBがあるわけです。また、改修によって、有明のテニスコートは十四面減ってしまう。さらに、仮設施設建設によって一定期間使えなくなるのが、江東区の辰巳の森海浜公園のサッカーの少年広場、そして夢の島の野球場十二面などです。
 品川区の軟式野球連盟が東京都知事宛てに要望書を提出しております。大井ふ頭中央海浜公園の野球場の代替施設を求める要望書であります。伺ったところ、今から六年前に大井ふ頭青空野球場三面を都に返還して、代替施設は一面だということで縮小されたんだと。今回、さらに六面の野球場がホッケー会場として廃止されることになると。
 大井ふ頭中央海浜公園の野球場六面がホッケー会場として廃止されるということになれば、都民スポーツの振興から逆行ではないかと思うのですが、いかがですか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 ご指摘のホッケーを含めましてさまざまな競技の普及が促進されるということも大会のレガシーの一つであると考えております。
 いずれにいたしましても、既存施設の代替機能の必要性や対応策につきましては、今後、各施設の管理者及び地元区と調整を行ってまいります。

○畔上委員 今、代替施設の必要性についてとご答弁されたのですが、六面ある野球場は必要な施設という認識ではないのでしょうか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 繰り返しになりますが、既存施設の代替機能の必要性や対応策については、今後、各施設の管理者及び地元区と調整を行ってまいりたいと考えております。

○畔上委員 つまり、代替施設が必要かどうかと協議するということは、今ある野球場の必要性をどう見ているかということなんです。
 じゃ、聞き方を変えますけれども、今ある野球場は必要な施設なんですか。どうなんですか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 ただいまご答弁申し上げましたとおり、必要性につきましても、今後、各施設の管理者及び地元区と調整を行ってまいります。

○畔上委員 そうすると、現時点で都としては、野球場は必要性があるという認識ではないということなんですか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 繰り返しになりますけれども、その必要性につきましても、今後、管理者及び地元区と調整を行ってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○畔上委員 知事は、一定の本会議で、スポーツを子供から高齢者まで全ての都民に一層身近なものにしていくことで、生涯健康社会を築いてまいりますと答弁していたわけですよ。私は、この野球場を六面廃止するということは逆行する問題だというふうに思うんです。
 要望書には、これまで招致活動に頑張ってきた私どもとしては不条理の感があり、さらに、次代を担う子供たちの心のやりきれなさを察すると痛恨のきわみだ、こういっています。こうした思いをどう受けとめているのでしょうか。品川区と協議をもう既にしているのでしょうか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 二〇一六年の大会招致時に、大井ふ頭中央海浜公園をオリンピックのホッケー競技会場並びにパラリンピックの視覚障害者五人制サッカー及び脳性麻痺者七人制サッカーの競技会場として選定いたしました際、品川区に対し東京都の計画を説明してございます。その後も適宜、情報提供を行ってございます。

○畔上委員 つまり、今の段階では協議、調整していなかったということであって……(「そんなこといっていないよ」と呼ぶ者あり)

○高島委員長 そのまま質疑して。

○畔上委員 昨年の十一月十一日の答弁でも、地元区などと調整していきますというふうにご答弁されていたわけですよ。ところが、今のご答弁を聞いていると、二〇一六年の招致のときに説明した、そして、その後も情報提供だというふうにいっているわけですね。
 私は、直ちに、地元の品川区や軟式野球連盟--この要望書には東京都軟式野球連盟も、要望書のトップに会長さんの名前が記載されておりました。軟式野球連盟ともしっかりと協議をして、最低でも現状と同じ規模、六面の代替地を確保して整備することを求めたいと思います。
 江東区でも、野球場が十二面、一定期間使えなくなることは大問題だとして、代替施設を区長も求めている現状です。一定期間とはいえ、大変な問題なわけです。少年野球の監督、また保護者からも、子供の二年、三年は大変大きいんだと。当然、代替地を保障してくれるものだと思ってオリンピックに賛成していたのに、本当にひどい話だという声が多く寄せられています。
 何しろ、使えないのが野球場十二面。そのうち少年野球が四面。これは区内の少年野球の六面のうちの四面。軟式野球場は八面ですが、区内十四面のうち半分以上なのですから、大変な問題です。
 具体的に代替地を探しているのかどうか、その点について伺います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 先ほどご答弁させていただきましたのと同様、既存施設の代替機能の必要性や対応策につきましては、今後、各施設の管理者及び地元区と調整してまいりたいと考えております。

○畔上委員 区長も、江東区議会も超党派で、子供たちに必要な施設なんだから代替地をつくるべきだというふうに求めております。
 都民スポーツ、とりわけ子供たちのスポーツの後退につながりかねない問題です。オリンピックの原則にも反するものといわなければなりません。必ず代替施設を整備する、そのことを強く求めまして、質問を終わりたいと思います。

○小山委員 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催準備に向け、オールジャパンの体制をつくる上で中心となります大会組織委員会の組織が固まりつつあります。二十五名以内でありました理事会の人数を三十五名以内とし、職員数も百名を超える陣容となりました。先月の理事会では、平成二十六年度の事業計画も示され、大会開催に向けて着実に組織体制が整いつつあります。
 一方、二〇二〇年東京大会開催が決定するまでの招致期間中に、日本は、国難ともいうべき東日本大震災と福島第一原子力発電所事故を経験いたしました。この未曽有の災害に対し、世界中の方々から、さまざまな心温まる支援をいただきました。被災地には海外から多くのスポーツ選手が訪れ、被災した子供たちに笑顔を、若者たちに希望を与えてくれました。
 また、IOCの日本支援プログラム、TSUBASAプロジェクトでは、被災地の子供たちが、オーストリア・インスブルックで行われました冬季ユースオリンピックに招かれ、IOCの副会長より、スポーツの力で友達を勇気づけてほしいと励まされたとも聞いております。
 二〇二〇年東京大会では、サッカー競技を宮城スタジアムで行うことになっており、被災地の復興と未来に向けて着実に歩み続けている姿を全世界の皆様に見ていただくこと、そして発信することが非常に重要と考えております。被災地の復興なくして二〇二〇年東京大会の成功はあり得ません。
 そこで、復興とオリンピック・パラリンピックムーブメントを今後も引き続き結びつけていくために、被災地を代表する方、被災県の知事に組織委員会に入っていただくことが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 被災地の復興支援に向けて、被災地の自治体等と緊密な連携を図ることは重要でございます。
 平成二十四年十二月には、東京都、スポーツ団体などのほかに、被災三県から各県の代表者と体育協会の代表者が参画をした復興専門委員会が、大会開催を通じて被災地の復興を支援するための事業例を報告書として取りまとめ、提言をしております。
 本年四月には、大会組織委員会の事務局も百名を超える体制となり、被災地復興事業の担当部署が設置されました。復興の姿を世界に向けて発信することも含め、今後、復興専門委員会の提言を踏まえた具体的な取り組みについて検討してまいります。
 都といたしましても、大会組織委員会と協力、連携を図るとともに、被災地の方々の声にきめ細やかに耳を傾け、現地のニーズを伺いながら積極的に取り組んでまいります。

○小山委員 ただいまのご答弁の中に、この四月に、事務局内でありますが、被災地復興事業担当部署が設置をされたということと、そういった復興専門委員会の提言も踏まえて具体的な取り組みをされていくということですので、ぜひお願いをしたいと思います。
 そこで、被災地と二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会を結びつける試みとして、先ほどもご答弁にありましたとおり、大会組織委員会内に、機運の醸成などを目的に復興事業チームが設置されることになりました。
 一九六四年東京大会においては、全都道府県を聖火リレーが、大変な盛り上がりの中、走ることになりました。各都道府県におきまして実行委員会がつくられ、全国を四コースに分けて実施されたと聞いております。当時の岩手県には第四コースの聖火が青森県から九月二十一日に入り、二十六日まで走られ、その後、宮城県には二十六日から二十八日、福島県には二十八日から三十日、そして、栃木県、茨城県、千葉県を経て、十月七日、東京都庁に到着をされました。
 二〇二〇年東京大会においても、被災県はもちろんのこと、全都道府県に聖火ランナーが走り、日本国全体としてオリンピック・パラリンピック開催を行うことが極めて重要であります。
 そこで、この聖火リレーに限らず、被災地からの声や他の道府県を初めとする地方の声を聞き、オールジャパンにふさわしい東京オリンピック・パラリンピック準備体制にしていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 オリンピック・パラリンピックの招致決定を受けて、都には、都内はもとより全国の自治体などから、聖火リレーや事前合宿を含め、大会に協力をしたいというさまざまな声が届いております。
 大会を成功させるためには、全国規模での機運の醸成や自治体などとの協力が必要不可欠でございます。
 今後は、より一層、全国知事会などにおいて情報を発信するとともにご意見を伺うなど、さまざまな機会を通じてオールジャパンの協力体制を構築し、大会の成功に向けて全力で取り組んでまいります。

○小山委員 大会の組織委員会におきまして、スポーツや参加選手の声を大会運営などに生かす、こういったことも当然重要であります。この大会運営に生かされるために、アスリート委員会のほか、文化や環境、メディアといった分野でも専門委員会が設置をされることになりました。
 一九六四年東京大会においても、先ほど述べましたとおり、国内外の聖火リレーを検討いたしました聖火リレー特別委員会のほかに、私が予算特別委員会で質疑をさせていただきました文化プログラムに関する、日本の芸術文化を披瀝するための芸術展示特別委員会が設置をされておりました。
 そのほかには、広報宣伝や報道、施設や輸送、交通、警備、医事衛生、国際スポーツ科学会議といった特別委員会があり、こうした各分野での議論、取り組みが一九六四年大会の成功に大いに結びついたといえます。
 そこで、今後も、必要な分野で専門委員会を柔軟に設置をして議論を深め、二〇二〇年大会の成功に寄与していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 オリンピック・パラリンピックの開催という大きく複雑なプロジェクトを成功に導くためには、専門的な知識や経験を結集し、取り組みに反映していくことが必要でございます。
 大会組織委員会の定款では、法人の運営に専門的な識見に基づく助言を得るため、各種専門委員会を設置することができると定められており、今後、必要な分野について、その分野の専門家による専門委員会を設置し、意見を反映していくこととしております。
 都においても、既に、輸送やセキュリティーの分野において高い専門性を持つ関係者による会議体を設置し、さまざまな検討を進めております。引き続き、必要な分野において専門家の知識や経験を生かしていく取り組みを行ってまいります。

○小山委員 ぜひ専門委員会を組織委員会の中に柔軟に設置をしていただいて、そして、多くの幅広い世代、特に若い世代の方々にも参加をいただいて、やはり二〇二〇年の大会成功へと結びつけていただきたいと思います。
 平成二十六年度において、この東京オリンピック・パラリンピックへの期待度をさらに高め、オリンピックムーブメントを広げていく機会として、ことし八月に開催をされます南京ユースオリンピックにも注目をすべきと考えます。二〇二〇年東京大会で活躍すると期待をされております若いアスリートたちが、多数この大会に出場いたします。
 このように、南京ユースオリンピックを初めとして、二〇二〇年東京大会へ向けて今後の活躍が期待をされますアスリートが出場する国際大会を積極的に紹介することや、東京大会への報道や放送に結びつけていく取り組みを行っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 若手アスリートが出場するユースオリンピックを初め、アスリートが出場する国際大会、国内大会は各地で数多く開催されております。
 都は、都内で開催される大会の情報や国際大会で活躍する都内出身選手の情報などを報道機関に提供し、報道や放送に取り上げてもらうことで、スポーツに係る機運の盛り上げを図ってまいりました。
 四年前にシンガポールで行われましたユースオリンピックについては、都内出身のメダリストについて報道機関への情報提供を行い、各種メディアで取り上げられました。
 今後も、これまでのこうした取り組みを踏まえ、適切に対応してまいります。

○小山委員 今、ご答弁がありましたけれども、この二〇二〇年の招致活動に向けまして、大変多くのご協力を皆様にいただいて機運の盛り上げが図られたと思います。この盛り上げをぜひとも二〇二〇年の大会開催まで引き続きつなげていただきたいという思いで質疑をさせていただきましたけれども、その点については、やはり東京都が、組織委員会を含め、積極的な取り組みをしていただきたいというふうに思っております。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、もう一方、今回報告をされました施設整備の課題がございます。
 都が新設、改修する各競技場の建設費用が、昨今の建設資材や人件費などの高騰で、当初計画よりも増加することが見込まれております。都も試算を行っていると聞いておりますが、大会後も見据えた各競技施設の整備計画をしっかりと策定し、準備を進めていかなければならないと考えます。
 建設費用の高騰については、限られた都財政の中で、民間を活用するなど、さまざまな取り組みや工夫が必要であるとの意見も出ております。オリンピック関連施設では、選手村が、都の監督のもとで民間事業者などが建設するとされ、民間活力を利用した整備方針となっております。
 都が整備する新設の競技会場におきましては、設計から施工、運用まで、二〇一九年度に行われますテストイベント開催を考えれば、もう実質五年間で行う必要があります。
 そこで、施設の着実な工期内での整備や整備費の圧縮など、民間の技術力をより一層活用していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 競技施設の整備におきましては、オリンピックの一年前に行われますテストイベントの開催に間に合うよう、確実に完成させる必要がございます。
 そのため、特に大規模な競技施設等の整備につきましては、例えば設計と施工を一括して発注し、設計段階から工法等の検討を反映させ工期短縮を図るなどのいわゆるデザインビルド方式など、民間の技術力を積極的に引き出すよう、施設の特性に応じた、より柔軟で効率的な手法の導入について、契約担当部局で検討されたところでございます。
 今後、都が整備する競技施設におきまして、民間事業者の持つ技術力を十分に活用しながら、着実な施設整備に取り組んでまいります。

○小山委員 現下の情勢を考えれば、大変厳しい状況にあることは承知をいたしておりますが、やはりこういった財政状況にあるということも十分鑑みて、努力を東京都がしっかりしていくということが必要だと思いますし、その中におきまして、やはり民間の活用ということもぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 続きまして、二〇二〇年の東京大会におきまして、武蔵野の森クラスターでは、フェンシングや水泳、馬術、射撃、ランニングから成ります近代五種競技やサッカー、自転車などが開催をされます。
 近代五種競技でございますが、この会場となります味の素スタジアム、つまり東京スタジアムや、武蔵野の森総合スポーツ施設の整備計画、整備状況について、先日、現地視察をしてまいりました。この視察をしてまいりました会場で行われます近代五種競技は、ロンドン・オリンピックでは三つの会場で行われ、選手や観客、役員、マスコミの移動で大変であったということを聞いております。
 二〇二〇年の東京大会では、この五種競技がまとまった専用競技場で行われる初めての大会となり、選手や観客にとっても大変すばらしい大会になると競技関係者から期待をされておるところでございます。
 二〇二〇年東京大会では、各競技施設がアスリートにとって最高の力を発揮できる環境として整備をしていかなければなりません。競技会場や関連施設を整備していく上で、国内競技連盟や国際競技連盟と十分協議を行い、連携を密にして行っていくことが重要と考えますが、見解をお伺いいたします。
 またあわせて、アスリートにとって使いやすい施設としていくべきでありますが、これについても見解をお伺いしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 会場整備に当たりましては、セキュリティーや選手、観客の動線、会場内の諸室の配置など、円滑な大会運営に必要なさまざまな内容につきまして、国内競技連盟や国際競技連盟と十分に協議を行ってまいります。こうした協議を通じまして、アスリートが使いやすい施設の整備を進めてまいります。

○小山委員 今お聞きをいたしました点に加えまして、この施設整備や大会運営におきましては、開催地であります地元自治体との連携、協力も極めて重要でございます。地域の実情を把握しているのは、まさに地元自治体でございます。都を初めとして、組織委員会や国内競技連盟に加えて、やはり開催地の自治体との協議、連絡の場づくりが必要ではないかと考えます。
 そこで、各競技の開催準備に向けまして、開催地の実情を把握しております開催地である市区町村との連携を十分に図っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 大会に必要な施設を着実に整備するとともに、大会期間中、円滑な競技会場の運営を行うためには、地元自治体の理解を得ることが重要であると考えております。会場が立地する地元自治体としっかりと連携を図ってまいりたいと考えております。

○小山委員 今、それぞれ競技連盟や自治体との連携、協力ということについてお伺いをさせていただきました。今、それぞれご答弁、前向きなご答弁でありますが、具体性については、恐らくこれからいろいろ検討、協議がなされていくものだと思いますので、ぜひしっかり詰めていただきたいと思いますし、何よりも開催地の地元自治体の意見というものも十二分に反映することを求めておきたいというふうに思います。
 先月、多摩地域で、ロンドン・オリンピックに出場されました日本代表選手が参加をしての地元市民に対する二〇二〇年東京大会での開催競技の説明や、選手自身の思いを語るというイベントがありました。こうした二〇二〇年東京大会の開催競技と地域を結ぶ取り組みは、先ほども申し上げましたように、極めて重要だというふうに考えます。
 そこで、オリンピアン、パラリンピアンが参加するイベントを紹介していくことも、オリンピック・パラリンピックムーブメントを広めていくために必要と考えます。東京大会の開催競技と地域を結ぶこの取り組みを支援していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 都民がさまざまな形でスポーツのすばらしさに触れる機会を創出することは、スポーツによる感動を体感し、二〇二〇年大会に向けた機運醸成に資するものでございます。
 都内市区町村では、工夫を凝らしてスポーツイベントを実施するとともに、地域住民の皆様に向けて、広報紙やホームページによりまして情報発信を行っております。都は、公式ホームページに市区町村へのリンクを張るなどして、各地域の情報発信を支援しております。
 また、都立のスポーツ施設等では、近年、若者を中心に普及しているツイッターでイベントの事前告知や活動報告を行っているところがございます。都は、公式アカウントでこれにリツイートを行うことで、これらの情報発信を支援しております。
 都内各地で行われるスポーツイベントの情報がより多くの都民の皆様の目に触れ、二〇二〇年大会に向けたムーブメントが広がるよう、今後も引き続き、さまざまな広報媒体を活用した情報発信に努めてまいります。

○小山委員 今ご答弁いただきました中では、リンクを張ってホームページの中で周知を図られていたり、あるいはツイッター等々でも、都立のスポーツ施設に関してはこういったことも行われているということでございますが、やはりホームページにリンクが張られているだけではなかなか、こちらから情報をとりに行かない限りは見ることができませんし、またツイッターに関しても、これは都立のスポーツ施設に今のところは限られているということでございます。
 これまで二〇二〇年の招致活動のときに、若い世代の方々も含めて、フェイスブックなどを活用して、招致活動に大変多くの協力をいただいた、また広く情報発信がされたということも私は聞いておりますし、見聞きをいたしております。こういったことをぜひ二〇二〇年の大会までの間、こういったさまざまなメディアを活用して、機運の醸成と、そして、何よりも、地域の自治体、地域の住民と開催競技とのまさしく結びつけを東京都の方が支援していただきたいというふうに思っております。
 先ほど、東京都は世界一の大会を目指すということがご答弁でありましたけれども、やはり東京都が、組織委員会やIOC、IPCはもちろんのこと、国内の競技連盟、国際競技連盟を初めとして、日本国全体の道府県や開催地の自治体と十分連携、協力をして大会準備に当たっていただきたいと思います。
 そして、何よりも東京都は、一九六四年の東京大会のときの開催経験を持っておりますし、そのときの過去の歴史をぜひひもといていただいて、そして現代に合わせ、先般では二〇一二年のロンドン・オリンピックの視察なども十分生かしていただいて、今回の二〇二〇年の東京大会成功に向けて、ぜひ全力を尽くしていただくことを強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後二時五十五分休憩

   午後三時十一分開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○野上委員 都が整備する施設の建設スケジュール案に関連いたしまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が決定いたしましたし、また、東日本大震災の復興、国土強靱化政策等により公共投資が増加をいたしております。そういった中で、建設関連業界の動きというのも非常に急速に動きを見せております。
 一方で、懸念される点においては、先ほど他の委員からもご指摘がありましたけれども、人件費の高騰あるいは資機材の不足など、業務遂行に困難な状況も現状見られているところでございます。実際に、公共工事の入札不調も今年度も非常に見受けられるところでございます。
 オリンピック施設整備のみならず、公共工事事業については、公正さを確保しつつ、良質なものを廉価な価格でタイムリーに調達し、提供していくことが求められております。これは、例えば品質をよくすると工費が高くなる、あるいは工程が延びるというように、相互にトレードオフの関係にある各要素を適切にマネジメントしていく必要があるというふうに考えております。
 オリンピック関連施設、会場は、非常にタイトなスケジュールで整備する必要があります。スケジュールどおりに整備を進めていくに当たり、現状の課題とその対応について見解を伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 全ての競技会場は、大会開催の一年前のテストイベントに間に合わせて整備する必要があり、非常にタイトなスケジュールとなっております。また、昨今、入札不調が増加するなど、都の公共工事を取り巻く環境が変化しております。
 これらの状況を踏まえつつ、大会開催に支障を来さぬよう、先ほどご答弁申し上げましたとおり、庁内各局等の連携を一層徹底いたしまして、会場整備を着実に進めてまいります。

○野上委員 一般的に、工事を進めるに当たって非常に課題となっているのが発注者と受注者との関係です。おのおの別々の工程管理をしており、発注者においても、調査系、工務系、用地系など、関連する多くの関係課が工程表を別々で作成しており、相関関係というか、相関性が確保できていないという課題があります。
 発注者には、プロジェクトメンバーとして、各作業項目を担当する各課以外に、例えばプロジェクトマネジャー的な存在として関係各課の総括者--多くは、大体、副所長クラスが該当して、一般的な工事ではそのような方が担当しているようでございますが--その総括者が対象事業を一元的に俯瞰できるような工程表が現状では存在していない。そういったことから、事業において、工期に間に合わなかったり、あるいは調達ができなかったり、そういうことでスケジュールが大幅におくれることがあるというふうに伺っております。
 建設整備を着実に進めていくためには、整備を担う都の人員体制を整えていく必要があると思いますが、都の見解を伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 二〇二〇年の大会開催に向けまして、本年一月にオリンピック・パラリンピック準備局を設置いたしまして、また、同月に設立されました大会組織委員会とも連携をいたしまして、着実な施設整備に向けて準備に取り組んでいるところでございます。
 加えて、今年度には、関係各局におきましてもオリンピック・パラリンピック大会の準備に係る人員体制を整えておりまして、今後とも必要な執行体制を確保してまいります。

○野上委員 都の職員の人事体制から鑑みても、オリンピック・パラリンピックの大会開催まで同じポジションで継続的に仕事を担当するということはなかなか難しいと思います。職員の経験あるいは知識の不足から、設計や工事における発注者としての対応に支障があってはならないというふうに考えております。
 それを補うために、人員体制の確保とともに管理手法というのも重要だというふうに考えておりますが、その点についてはどのようにお考えか、見解を伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 全ての競技会場は、大会開催の一年前のテストイベントに間に合わせて整備する必要がございまして、期限内に工事を終えるためには工程管理は重要でございます。
 そのため、既に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施準備会議や、より実務的な施設部会を庁内に設置しておりまして、各局と横断的に連携いたしまして、大会開催に向けた準備を計画的、効率的かつ円滑に実施してまいります。

○野上委員 他の委員からもご指摘がありましたけれども、やはり民間の活力というのも、今後、非常にお力をおかりしていかなくてはならないというふうに考えております。
 ロンドン・オリンピックでの施設整備では、CMやPM、プロジェクトマネジメントやコンストラクションマネジメントといったコスト管理や工程管理を行う第三者の専門業者を入れたことが有効であったというふうに伺っております。
 現状の、例えば発注者と受注者のこれまでの公共工事のあり方、二者構造では、発注者側の、つまりは東京都の職員の業務の領域というものは非常に大きくなり、責任の範囲も非常に大きくなり、そして、東京都民や日本国民の本来のニーズが、企画、計画団体に反映されにくいのではないかという指摘があります。そのために、企画から建設までの決定プロセスが不透明であったりしてはなりませんし、そういった印象や批判を国民の皆さんや都民の皆さんから生じることがあってはならないと思います。
 さらには、発注者側である東京都も、請け負う側にしても、つくる側の論理が優先しがちで、例えば使う側の論理が配慮されにくくなってしまうのではないかというような懸念がされているところでございます。
 こうしたオリンピック・パラリンピックの施設整備に当たっては、この内容についてはブラックボックスになりがちなところを、その中身を正しく把握して、そして評価していく、各種建材の相場を含めた情報収集を行う、それぞれの設備が本当に必要かどうかを判断する専門性などが必要です。
 例えば、建築家あるいは建築会社によっては、しばしば必要以上のものを設計に盛り込もうとしたり、あるいは工事費が上がれば建設会社も売り上げがふえるので、誰もチェックしない、誰もチェックできない状況に陥ってしまうのではないかという懸念も一方であるところでございます。
 こうした懸念があることから、ロンドン・オリンピックでの施設整備に用いられたCMやPMといった、このような手法というものを東京で開催するオリンピック・パラリンピックに導入する、あるいは参考にするに当たって、どのように分析し、今後、東京都ではどのように生かしていくと考えておりますか。見解を伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 ロンドン・オリンピックでは、オリンピックパークと会場の整備を行うために、施設、インフラ整備の専門の独立組織を設置しております。この組織では、整備を円滑に進めるため、調達や工程管理などを専門とする民間の事業者グループに建設のプロジェクトマネジメントを行わせたというふうに聞いてございます。
 二〇二〇年東京大会におきましては、都有施設となる新設の公設会場を都が直接整備することとしておりまして、東京とロンドンとでは執行体制が異なるため、直接その手法を導入することは想定しておりませんけれども、先ほどご答弁いたしましたとおり、施設整備について庁内の組織体制の整備を図り、調達や工程管理を適切に行い、着実な施設整備に取り組んでまいります。

○野上委員 大会における競技会場や選手村などの大会施設は、その大会を深く印象づけるものとなっております。二〇二〇年の東京大会においても、どのような施設が整備されるのか、技術や知恵をどういうふうに結集していくのか、あるいは日本的なデザインになるのか、日本を代表するようなすばらしい施設になるのか、そういったことから世界中の人々がさまざまな期待を持って注目をしているところです。
 東京都は、大会施設を数多く新設整備することになっておりますが、これらの大会施設を設計、整備していくに当たって、どのようなことに配慮していくお考えか、見解を伺います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 競技会場は、選手が競技をする上で最高の環境になるとともに、運営がしやすく、観客が快適に観戦できる施設となることが重要であります。また、大会後も都民の貴重な財産となり、有効に利用される施設となるような施設計画とする必要がございます。
 これらの視点を踏まえまして、二〇二〇年東京大会が都民、国民のすばらしい記憶に残る大会となるよう、施設づくりを行ってまいります。

○野上委員 施設整備においては、予算、スケジュール、品質を確保し、そのプロジェクト自体を成功させることが非常に重要だというふうに考えております。
 また、整備後の施設を有効かつ持続的に活用していくためには、整備段階から、市民や、あるいは周辺地域の方々の参加、あるいは話し合い、活動をどういうふうに入れ込んでいくかということも不可欠だというふうに考えます。公共空間の利活用を促して新たな地域価値を創造していく、そのような取り組みが一方では必要だというふうに考えております。
 競技会場等、オリンピックで整備される施設と地元との関係について、最後に伺わせていただきたいと思います。
 競技会場等、オリンピックを機に新たに整備する恒久施設については、オリンピックレガシーを後世に伝える重要な役割を持っていることはいうまでもありません。会場周辺では、オリンピックを象徴する新たな施設を中心としたまちづくりを推進して地域を活性化し、持続的な発展につなげていきたい、そういったことが期待されているところでございます。
 反面、工事の影響など、あるいは地域住民の分断、環境の変化、不安を感じる声も地元の皆様にはあるようです。施設等の整備に当たっては、地元の住民の理解を得ながら進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 大会施設を着実に整備し、大会後もオリンピックレガシーとして施設を会場周辺のまちづくりに生かすためには、地域の理解を得ることが重要でございます。
 例えば選手村計画につきましては、都は、地元区等と協議を重ねるなど、地域の理解が得られるように努めてきており、今後、都が整備するほかの施設についても、進捗に合わせて適宜説明や情報提供を行うなど、丁寧な地元対応に努めてまいります。

○野上委員 日本で、この東京で開催するオリンピック・パラリンピック競技大会、ぜひとも日本らしい会場整備、施設整備を進めていただきたいと思います。
 海外の方、特に政府高官の方はさまざまな都市を回っています。機能的ではあるけれども、最近、都市の町並みは均一化し、おもしろみがないという意見もあります。日本で開催されるオリンピック・パラリンピックであるなら、写真におさめたときに、一目でアジア、日本とわかる風景をぜひとも東京につくっていただきたい、そういった声も聞こえているところでございます。
 東京都の職員の皆様には、非常にタイトなスケジュールで、厳しい仕事、大きなハードルがあるかと思いますが、今後とも、この施設整備、予算、スケジュール、品質を確保した施設整備を進めていただきたい、そのように要望いたしまして、私の質問を終わります。

○両角委員 私の方からは、ごく短く三点ほど質問をさせていただきたいと思います。
 まず一点は、パラリンピック大会についてでございます。
 冬に行われましたソチ・オリンピック・パラリンピック大会も、私どもから見ていると、こういう競技があって大変迫力があるなと、そんなふうに感じたわけであります。
 また、ブエノスアイレスのIOC総会のときに、パラリンピアンである佐藤真海さんが、ご自身の、障害を負って、それから新しい目標を持ってパラリンピックに立ち向かっていったという話は大変感動的でありまして、そういった意味で、障害者の皆さんのための世界最高峰の大会であるパラリンピックをオリンピック同様にぜひ盛り上げていっていただきたい、こんな思いで、二点ほど、まずは質問させていただきたいと思います。
 まず一点目なんですが、これはあえてお聞きをしたいのですけれども、パラリンピックという名称が正式に決定をしたのがソウル大会からだと聞いております。
 そして、二〇〇〇年のシドニー大会のときに、オリンピックとパラリンピックは同じ会場を使ってやる、同じ開催地でやるということが正式に決定をしたというふうに聞いているわけでありますが、例えば、このオリンピックとパラリンピック、オリンピックがあって、その後にパラリンピックを行うということなんですが、これは順序を逆にすることができるものなのか、あえてお聞きをしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 国際パラリンピック委員会は、いわばパラリンピック憲章ともいうべきIPCハンドブックにおきまして、パラリンピック競技大会はオリンピック競技大会の直後に行われると定めております。このため、オリンピックとパラリンピックの開催順序を逆にすることはできないものと考えてございます。

○両角委員 そういう規定があるということでありますが、それであれば、オリンピック・パラリンピックという呼び方ではなくて、パラリンピック・オリンピックと私たちの党では呼んでいるんですけれども、そうした中で、この東京大会では、開催都市としてオリンピックを盛り上げていく、その後で、その盛り上がった機運をぜひパラリンピックに引き継いでいっていただきたいと思うわけであります。
 そういった、このパラリンピックに十分注目が集まる、そんなような仕組みというか工夫を都としてはどのように考えているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 オリンピックとパラリンピックを一つの祭典として開催していくことは、二〇二〇年の大会に向けての重要なコンセプトになるものでございます。
 都は、昨年のスポーツ祭東京二〇一三において、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会とを一つのスポーツの祭典として開催し、二つの大会をつなぐ取り組みとして、東京ユニバーサルスポーツ3daysを全国に先駆けて実施をいたしました。
 こうした経験を生かしながら、オリンピックと同様、パラリンピックが大いに盛り上がるよう、関係者と連携を図ってまいります。

○両角委員 大会のPRですとか、あるいは開会式、閉会式のあり方等も含めて、これから工夫をしていっていただきたいと、そのように思います。
 続きまして、これは他の委員の方からも大分出ているお話で、それだけ関心が深いというか、一つの大きな課題であろうと思いますけれども、施設整備のスケジュールがしっかり守られるのかどうかということであります。
 先ほど来の質疑の中で、るる出ている話でございますが、建設資材の高騰であるとか人材の不足ということで、今、東京都の事業を初めとして公共事業で入札不調がさんざん出て、その結果、工事の価格が上がる、さらには工事自体がおくれていく、そういったことが現実に起こっているわけでございます。
 しかしながら、このオリンピック・パラリンピックにつきましては、今、このスケジュール案にもあるとおり、テストイベントを平成三十一年度にしっかりできるようにするということが、これは国際的にも非常に、約束であって大切な絶対条件でもありますから、そういった中で、どのようにしてこの整備スケジュールに影響を及ぼさないでこのとおりにできるかということで、これはいろいろ心配があるところではないかと思います。
 先ほど来の質疑の中で、東京都としては、全庁的な連携の場を設けるというようなお話もございましたし、あるいはデザインビルド方式等を含めて民間の技術力を活用するということも前向きに検討するというようなお話でもございました。
 そこで、一般的に私なんかが考えると、役所の工事は、基本設計があって、実施設計があって、そして実施設計が終わった後に、翌年度、入札をかけて契約をしてということなんですが、どうしても今、不確定な要素で入札が不調になりがちであるということを考えると、このスケジュール管理をしっかりやっていただきたいな、できるだけ余裕を持って前倒しにやっていただきたいなと、こんなふうに思うわけですが、もう一度、二〇二〇年大会の競技会場等の整備スケジュールに影響が及ばないということに対して、都としての方針を伺いたいと思います。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 全ての競技会場は、大会開催の一年前のテストイベントに合わせて整備する必要があり、非常にタイトなスケジュールとなっております。
 今、お話にございましたように、昨今の都の公共工事を取り巻く環境は、資材や労務費の上昇などから入札不調が増加するなど、大きく変化をしてきております。
 これらの状況を踏まえつつ、大会開催に支障を来さぬよう、庁内各局との連携を一層徹底いたしまして、会場整備を着実に進めてまいります。

○両角委員 連携等を進めていただくのと同時に、例えば、実施設計が上がって入札ができるような条件が整えば、翌年度に入る前に早期に入札をかける等も検討していただいて、ぜひこのスケジュールに支障がないように取り組んでいただくように要望して、私の質問を終わります。

○山内委員 一九九二年、リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議、いわゆる地球サミットにおいてアジェンダ21が採択されました。それを受けてIOCは、一九九九年、オリンピックにおいても開発と環境保護の両立を図るためのオリンピックムーブメンツアジェンダ21を策定いたしました。
 このオリンピックムーブメンツアジェンダ21は、競技施設やエネルギーに関して何を提唱しているのでしょうか、お伺いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 競技施設につきましては、3・2・3、競技施設に、既存の競技施設をできる限り最大限活用し、これを良好な状態に保ち、安全性を高めながらこれを確立し、環境への影響を弱める努力をしなければならない、既存施設を修理しても使用できない場合に限り、新しくスポーツ施設を建造することができるとあります。
 また、エネルギーにつきましては、3・2・6、エネルギーに、過剰なエネルギー消費を抑える、再生可能なエネルギー源利用やエネルギーの節約を推奨する新技術、用具、施設、業務の利用を奨励する、再生可能で無公害のエネルギー源を利用することを推奨するとあります。

○山内委員 エネルギーに関しては、今後、施設の基本設計や実施設計に注目していきたいと思っております。
 競技会場の件でございますけれども、先ほどアジェンダ21の提唱を答弁していただきましたが、新設については新国立競技場と葛西臨海公園が取り上げられております。
 しかし、立候補ファイルによりますと、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックでは三十七競技会場を整備する、そのうちの十五会場は既存で、二十二の会場を新設するということになっております。
 競技場建設に総額幾らを見込んでいるのか、お伺いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 新設いたします二十二の競技会場のうち、十一が恒久施設、残る十一は仮設会場でございます。
 立候補ファイルにおきましては、恒久施設となる競技会場の整備費は、国が整備するオリンピックスタジアムも含めまして二千六百三十五億円、大会組織委員会がチケット収入などを原資として負担する仮設会場整備は、既存会場への仮設費等も含めて五百八十七億円と見込んでおります。

○山内委員 資材や人件費の高騰や施工法の変更などで追加の経費がかかると予想されております。
 今後どのように試算をしていくのか、また、膨らんだ予算に対してはどのように対応していくのか、現時点での見解をお伺いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 施設整備費につきましては、立候補ファイルに記載した会場施設本体の整備費以外に、会場周辺の整備費や建設物価の高騰等の変動要素を検証してまいります。
 今後、詳細な調査や具体的な設計を行いつつ、全体の整備費用を見きわめてまいります。

○山内委員 半径八キロ圏内にたくさんの会場ができます。恒久的に残すとなると、大会後も維持管理費として都民の税金が使われることになります。
 恒久的に残す競技場、先ほど十一とありましたけれども、その維持管理費は毎年どのぐらいになるのか、お伺いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 新たに整備する恒久施設は、国が整備するオリンピックスタジアムを含めまして十一施設ございます。それらの維持管理費につきましては、今後、設計を行う中で検討してまいります。

○山内委員 いまだに被災地の復興は進んでおらず、将来への希望や安心を抱いて新たな生活を始めることができない人々や地域が多い現実の中で、都民の関心がオリンピックばかりに向けられ、被災地が忘れられてしまうのではないかという懸念が現地から届いております。
 復興五輪を掲げる都は、こうした被災地に対してどのように向き合っていくのか、お伺いいたします。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 二〇二〇年東京大会の開催を被災地復興に向けた大きな力にするためには、大会運営への被災地の声を十分反映させることが重要でございます。
 そのため、都においては、オリンピック・パラリンピック準備局に被災地を含めた自治体との連絡調整担当を設置し、被災自治体との連携を図れる体制としました。また、本年四月には、組織委員会においても被災地復興事業の担当部署を設置しました。
 都としては、今後、組織委員会とともに、被災地支援にかかわる行政機関等と連携し、地域の人々を勇気づける取り組みを検討していくとともに、復興後の姿を幅広く国内外に発信するなど、被災地の復興を後押ししてまいります。

○山内委員 資材や人件費の高騰で被災地の復興がおくれるのではないかと心配する声は大きいものがあります。今、被災地の復興を後押ししていくというご答弁、しっかりと受けとめさせていただきたいと思います。
 次に、環境アセスメントについてお伺いしていきます。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会について、立候補中には初期段階の環境アセスメントを実施し、二〇一三年の二月に評価書を出しています。
 立候補段階で実施した、この初期段階の環境アセスメントの手続についてお伺いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 初期段階環境アセスメントは、IOCからの要請で全立候補都市が実施するものでございます。
 都は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック環境アセスメント指針に基づきまして初期段階環境アセスメントを実施しまして、その概要を立候補ファイルに記載しました。
 評価書につきましては、二〇二〇年大会開催決定後に、スポーツ振興局のホームページ上で公表いたしました。

○山内委員 現在、実施段階環境アセスメント手続に入っており、三月二十八日、調査計画書を作成し、一昨日、四月十六日まで、計画書に関する意見を募集していたかと思います。
 この環境アセスメントに関するスケジュールについてお伺いをしたいと思います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 現在は、立候補ファイルをベースに調査計画書を策定したところでございます。
 今後、各施設の具体的な規模や内容を確定していくのに合わせまして評価を行い、その結果を整備に反映できるよう、各施設の整備スケジュールに合わせまして評価書案を作成してまいります。

○山内委員 この意見募集の広報はどのように行われたのでしょうか。
 また、この調査計画書は千三百ページを超えるもので、概要版をつくって、わかりやすく知らせるなどの工夫はされたのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 意見募集は、公開のオリンピック・パラリンピック環境アセスメント評価委員会で説明の上、オリンピック・パラリンピック準備局のホームページに掲載する方法で行いました。
 なお、概要版は掲載しておりません。

○山内委員 意見は何人から寄せられたのでしょうか、お伺いいたします。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 四月十六日現在で八十二件のご意見をいただきました。

○山内委員 大会開催に伴う環境影響を回避したり最小化することが求められております。
 環境アセスメントに関するIOCの要求には、地域のルールに準拠することとあります。この地域のルールとは何でしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 ご指摘の環境アセスメントに関するIOCの要求は、東京オリンピック・パラリンピック環境アセスメント指針に記載されているものでございます。
 引用元でありますIOCのスポーツと環境に関するマニュアルにおいては、ローカル・エンバイロンメンタル・レジスレーション、つまり地元の環境法令と記述されており、東京の場合、東京都環境影響評価条例、環境影響評価法がこれに該当いたします。

○山内委員 オリンピックムーブメンツアジェンダ21には、持続可能な開発のための資源保護と管理として、先ほどご答弁いただいた競技施設やエネルギーのほかに、環境保全地域及び地方の保護などが明記されています。先ほどお伺いいたしました。
 オリンピックは十七日間、パラリンピックを入れても、およそ一カ月間の大会のために、仮設も含めると二十二会場が建設されることになります。当然、費用や景観、環境への負荷が発生いたします。人口減少、少子高齢社会になるのが明白な東京で、五十年、百年先の子供たちへ巨大なツケにならないようにするには、いいかげんな試算では許されません。
 公共工事のクライアントは市民です。市民から、オリンピック楽しみだね、よかったねと歓迎されるオリンピックやパラリンピックになるようにするためには、市民に積極的に情報提供して透明性を確保していくべきだと考えます。
 先ほど環境アセスメントの調査計画書の質問をさせていただきました。私も拝見いたしましたが、ホームページからはすぐに検索をできるようにはなっていなかったように思いましたし、千三百ページを超えるというのは、公表はしましたけれども、市民の皆さんの意見をぜひお寄せいただきたいという姿勢は、そこには感じられませんでした。ぜひとも工夫をしていただきたいと思っております。
 また、先ほど環境アセスメントの地域ルールについて質問いたしましたが、環境影響を回避したり最小化するためには、アセスメント手続としての地域ルールに準拠するにとどまらず、地域特性に応じたルールに準拠することが求められていると思います。例えば土地利用や緑化、景観などの分野において、東京都や当該区が定めている条例及び計画、また都市計画などが地域のルールに当たるものと私は考えております。
 ぜひとも、そこのけそこのけオリンピックが通るとならないように、費用や景観、環境への配慮をお願いしたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。

○橘委員 私の方から、初めに、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会における文化プログラムについて質問いたします。
 オリンピック憲章には、このような一言があります。オリンピズムは人生哲学であり、肉体と意志と知性の資質を高めて融合させた、均衡のとれた総体としての人間を目指すものである、スポーツを文化と教育と融合させることで、オリンピズムが求めるものは云々とありまして、生き方の創造であるという、こういった記述がなされております。つまり、これは、分解して少しわかりやすくすると、オリンピズムが求めるものというのは、生き方の創造である、そのためにスポーツを文化と教育と融合させることが大事であるという、こういうふうにして理解することができるかと思います。まさに崇高な精神性を求めているというふうに私は理解しております。
 また、同じ憲章の中の競技大会の部分につきましては、このように記載されてあります。競技大会組織委員会は、短くともオリンピック村の開村期間、複数の文化イベントのプログラムを計画しなければならない、このプログラムは、IOC理事会に提出して事前の承認を得るものとするという規定がなされております。いかに文化プログラムをこのオリンピック大会では重視しているかを示している文言だと私は思います。
 このオリンピック憲章でうたう、こうした文化プログラムの意義づけを具体的、また大規模に展開したのが二〇一二年のロンドン大会といわれております。大会招致を勝ち抜き、そして、大会の成功の大きな要因として、この文化プログラムが挙げられているわけであります。
 そこで、私がマスコミ等で聞いた話では、イギリス全土で展開されたと聞いておりますけれども、この文化芸術運動とはどんなものであったのか、そしてまた、東京大会において、ロンドン大会の文化プログラムのどの点を参考にしたいと考えているのか、また、二〇二〇年東京大会における文化プログラムの大会全体における位置づけ等について見解を伺います。

○浦崎オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 イギリスでは、大会開催四年前の二〇〇八年から、カルチュラル・オリンピアードと題した文化プログラムが国内各地で展開されました。
 また、カルチュラル・オリンピアードの集大成として、大会開催期間に合わせ、六月二十一日から九月九日の約三カ月間にわたって、ロンドン二〇一二フェスティバルが開催されました。
 実施されたプログラムの具体例といたしましては、イギリスが世界に誇る劇作家であるシェークスピアの戯曲全三十七作品が三十七の異なる言語で上演されたワールド・シェークスピア・フェスティバルなどがございました。
 都におきましては、大きな盛り上がりを見せたイギリスの事例を参考にするため、関係局が本年二月に、ロンドン大会の文化プログラム責任者から意見聴取を行っておりまして、有効な助言をいただいたと聞いております。
 オリンピック・パラリンピックは、スポーツのみならず文化の祭典でもあります。二〇二〇年東京大会を、東京や日本の文化の魅力を世界に発信する絶好の機会と捉え、文化の面でも最高の大会としてまいります。

○橘委員 今の答弁にもございましたように、私が一つ注目したのは、ロンドン大会では、大会の四年前の二〇〇八年から文化運動が展開されたということ、これはやっぱりすごいことだなと思いました。
 それからもう一つ、芸術性の高いものとしましては、シェークスピアの全作品を三十七の言語でしたでしょうか、これで上演したということは、ただ単に英語圏のひとりよがりではなくて、全世界に向けた取り組みということで、こういったことがすごく世界に対する配慮だなという、そんな印象も持ったわけです。私はその辺が非常に参考になりました。
 今後、組織委員会の充実とか整備が進められていく中で、二〇二〇年の大会に向けてこの文化プログラムを練り上げていくことになるかと思いますけれども、一概に文化といいましても、伝統芸能もあれば、絵画、彫刻、音楽、それから書籍、映像等、芸術分野もあり、また文学という分野もあり、実に幅広いものが文化という単語で示されているわけであります。
 そうした芸術も含めた文化芸術の分野というのは、世界にアピール力のあるものとして練り上げる必要があると同時に、ただ単に崇高である、またはレベルが高いというだけではなくて、都民、国民にも受け入れられて浸透していくというのが求められている、こういう難しさがこの文化プログラムにはあるかと思います。
 したがいまして、日本らしい文化芸術として、その精神性を昇華させるためには、アイデア、知恵を総結集する体制が必要かと私は考えております。幅広い意見を集めていく、幅広いアイデアを集めていく、そうしたものが日本の大会には必要かと思います。
 単なる商業ベースで走っていくと、これはやっぱり、見ばえはよくても精神性が失われていくとか、そういったことにもなりかねないと思います。よもや、そういうことはないと思いますけれども、それには本当に庶民レベルのアイデア、庶民レベルの知恵、そうしたものも大いに反映させるべきと私は考えております。これは主張にとどめさせていただきますけれども、そういった取り組みをぜひお願いしたいと思います。
 今、オリンピック・パラリンピックの正式な競技とは別の分野の取り組みを文化プログラムということで紹介させていただいたわけですけれども、これと同じように、オリンピック・パラリンピック競技とは直接関係はしないのですけれども、つまり正式競技ではないのですけれども、日本にはたくさんのスポーツを楽しんでいる方がいっぱいいらっしゃいます。そうしたオリンピックの正式種目以外の宣揚について、一問、質問したいと思います。
 前回、東京で開かれました一九六四年の東京大会におきましては、日本の武道がデモンストレーションとして披露されたと記録に残されております。会場での観客は当然としまして、メディアを通して世界の人々にも、最も日本的な実演として注目されたといわれておりますけれども、武道の実演はどのようなものであったか、説明をお願いしたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 一九六四年の東京大会で柔道競技会場となりました日本武道館におきまして、大会期間中の十月十五日に、日本伝統の武道である剣道、弓道、相撲のデモンストレーションが各国武道関係者の前で披露されたと聞いております。

○橘委員 今の答弁は非常に簡単でしたけれども、実は、私もたまたま記録写真で、剣道の型の実演、相撲の型、それから弓道、この三つの武道の分野の実演が行われたというその写真を--武道館の真ん中に舞台をつくりまして、そこで実演したというその写真しか私は見たことがないんですね。
 それで、これはどういう背景から出たのだろうかということで調べてみました。そしてまた、局の方にもお願いしまして、関係部門に問い合わせていただいたんですけれども、なかなかこういう記録が残っていないんですね。これはもう、これ以上やむを得ないのですけれども、そういうことも含めまして--これは、今度の東京大会でもこういったことが必要ではないのか、それは世界にアピール力を持つのではないかと思って調べてみたのですけれども、なかなか難しい点もあるようでございます。
 IOCの意向もございまして、大会期間中やその前後も含めまして、正式競技以外のオリンピックを介したスポーツイベントは控えることという、そういった意向なのかどうかわかりませんけれども、そういう方向で協力しましょうということなので、六四年の東京大会と同じように--大会期間中に武道のデモンストレーションは現時点では難しいようであります。
 しかしながら、東京で開かれる大会でございますので、日本らしい競技、演技というものを、何らかの形で紹介するという場を設けてもらいたいなという要望であります。
 実は、つい先日ですけれども、私の地元板橋区内で剣道大会がございました。小学生から大人まで参加した選手権大会でございました。開会式に呼ばれまして、私もそこで運営役員の皆さんといろいろ懇談しました。話がたまたまオリンピックの話になりまして、実は、自分たちは剣道をしている者として、東京大会の武道館で実演がなされて世界に放送されたということは鮮明に覚えているんだ、それが剣道をやっている一つの励みにもなったというんですね。
 そんな話をしておりまして、きょうこの会場に来ている、選手として参加している小さな子供たち、小学生、中学生、この子たちが、オリンピックの年に何らかの形で世界に剣道というものを、こんな小さい子もやっているんだということをアピールしてもらえれば、これほど励みになることはないという、そんなことをお聞きしました。
 剣道だけではなくて、そうしたオリンピックの正式種目以外の種目というのはたくさんございます。それに携わっている選手もいれば、また、大人たちの指導員もいるわけでございますので、そうした人たちが本当にみんな一丸となって、同じスポーツをする仲間として、正式競技ではなくてもオリンピックに参加しているという、それに向かって取り組んでいるという、そういった同一性といいますか、そういった取り組みも必要ではないかと思います。IOCの決まりもあると思いますけれども、何らかの形で世界にアピールをするような取り組みも考えていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、パラリンピックについてちょっと質問したいと思います。
 二〇一二年のロンドン大会では、パラリンピックのチケットが過去最高の売り上げを記録するなど、かつての大会にない関心と盛り上がりの中で実施されたと聞いております。具体的にどのような工夫をして、観客の動員、またロンドン市民、イギリス国民の関心の醸成など、また世界の観客、旅行客などの醸成を盛り上げて大会を成功に導いていったのか、この点についてどう分析しているのか、見解を伺いたいと思います。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 ロンドン大会でございますけれども、史上最高のチケットセールスや、英国社会における障害者への理解を大きく変えたことなどによりまして、国際パラリンピック委員会、IPCから高く評価されたところでございます。
 この背景には、パラリンピアンのすぐれた身体能力をテレビを通じてアピールする広報活動など、メディアを効果的に活用した取り組みがございました。そのほかにも、大会の運営要員として多くの障害者を活用するなどの取り組みがあったと聞いてございます。

○橘委員 このパラリンピック競技大会というのは、選手の育成や大会の成功を期することは当然のことではありますけれども、私は、障害者の雇用であるとか、それから障害者の社会参加の推進等にも連動させて取り組むべきだと考えております。
 障害者支援を大きく前進させるこのパラリンピックというのは、大きな機会になるわけであります。その取り組みが、先ほどのスポーツと同じように、大会を目指してやっていくとか、そういった連動性、政策的な、例えば障害者雇用とか障害者の社会参加とかそういったものを、単発的な一分野の取り組みにならずに、パラリンピックに絡めてやっていくところに力を大きく発揮できる、また大きく前進する力になるのではないかと私は考えております。
 実は、このことについては、今、例えば障害者雇用であれば産業労働局でやるとか、それから障害者の社会参加とか福祉であれば福祉保健局という担当になりまして、政策課題的には、この委員会とは全く別の委員会なわけですね。でも、これが現実なんですね。これを絡めて議論するという、絡めて方向性を模索するという、こういったものも、このパラリンピック、今、非常に私は大事ではないかと思います。
 現状では難しいかもしれませんけれども、今後、組織委員会が整備され、また充実される中で、障害者のさまざまな課題とパラリンピックを絡める形、そういった形の部門をつくるとか、それを協議していくとか、そういった取り組みもこの場で求めておきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、ボランティアについて質問いたします。
 過去のオリンピック・パラリンピック競技大会におけるボランティアの位置づけと、それから、評価はどのようなものであったか、まず見解を伺いたいと思います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 ロンドン大会では、学生から年配者まで幅広い年齢層の約七万人ものボランティアが、最寄り駅から会場への道案内やセキュリティーチェックを行うなど、大会運営において重要な役割を果たしておりました。また、ソチ大会におきましても、二万五千人のボランティアが同様の取り組みを行っておりました。
 ボランティアを活用することは、大会を成功させる上で必要不可欠であるとともに、開催機運を盛り上げるためにも極めて重要であると考えております。

○橘委員 今までのオリンピック・パラリンピック大会で、私たちは海外での大会というのはテレビでしかないわけですけれども、テレビで見る限り、ボランティアの部門を紹介するという映像はかなりありますね。このボランティアがいかに大会運営にとって大事な部門であるか、重要な位置を占めているかというのがわかるかと思います。
 そこで、東京大会でありますけれども、このとき、私は--聞くところによりますと、今まだ、どこにどういうボランティア、またどれだけの規模のボランティアが必要なのか、そこまで決まっていないし、まだ見当がついていないという状況のようでございますけれども、私は、このボランティアというのは、ただ単に東京を中心に募集するとかそういったものではなくて、広く全国的に、また世界からも募集をするような、集まっていただくような、そんな取り組み、方向性が必要ではないかと思います。
 具体的にいえば、東京または関東近辺でしょうか、この辺でいえば、東京マラソンのボランティア、それからスポーツ祭東京、こういったところに携わったボランティアの方はある程度ノウハウがあるし、また、その方でなくても、その部門でノウハウは蓄積されているわけでありますね。それから、街角で観光案内するボランティアもいれば、英語ボランティアもいれば、さまざまなことがあると思いますが、それは日常的に東京都内で活動ができるという、そういったボランティアが中心であろうかと思います。
 けれども、このオリンピック・パラリンピック大会は、幅広い種目、幅広い分野の活動が行われるわけですから、それこそ幅広い分野のボランティアが必要。そこに今度、東京マラソンとかスポーツ祭東京で培ったような、そういった部門以外の皆さんも、全国から、また海外からも参加していただけるような、ボランティアがこのメーンとなるような、そんな運営体制の中でやっていくということが理想ではないかと私は考えております。これは今後検討されるということでございますので、参考にしていただければと思います。
 最後の質問ですが、二〇二〇年の大会、今申し上げたようなボランティアの活用の工夫、活用の方法、この辺について都は今どのように考えているのか、見解を伺いたいと思います。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 二〇二〇年大会におきましても、ボランティアの活用が大会運営上、極めて重要であると認識しております。
 都では、お話のありました東京マラソンで一万一千人、昨年開催されましたスポーツ祭東京二〇一三では、全体で延べ三万人を超える数多くのボランティアを活用するなど、着実に実績を積み重ねております。
 今後、都が有するこうしたボランティアの募集や育成などに関する知識やノウハウを十二分に活用して、学生を含め、若者から高齢者まで幅広い年齢層の方々に活躍していただける仕組みを大会組織委員会とともに構築いたします。
 こうした取り組みを通じまして、日本ならではのホスピタリティーあふれる大会を実現してまいります。

○吉田委員 私も、主にパラリンピックの取り組み及び区市町村との連携、協力に関して、基本点についてお伺いいたします。
 まず、パラリンピックについてです。
 ご承知のとおり、国際的な障害者スポーツ大会は、一九二四年に設立された国際ろう者スポーツ連盟が、同年、パリで開催した第一回国際ろう者スポーツ競技大会が原点といわれ、一九六〇年、オリンピック・ローマ大会後に開かれたパラリンピック大会が第一回、六四年の東京大会が第二回といわれております。
 したがって、夏季パラリンピックを二度開催するのは、この東京が史上初めてということもいわれています。それだけに、オリンピック憲章とともに、IPC、国際パラリンピック委員会が定めたパラリンピックの理念にふさわしい成功をさせることが求められているというふうに思います。
 そこでお伺いしますけれども、ことし一月にIPC幹部が来日し、パラリンピック大会準備の基本方針についてのオリエンテーションが開催され、目標と計画づくりが強調されたと伝えられています。IPCは、どのような目標と計画の策定を求めたのか、ご説明をお願いいたします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 IPCオリエンテーションセミナーにおきましては、パラリンピック大会につきまして、アクセシビリティーの考え方、レガシー戦略、ブランドや広報など、幅広い分野につきまして、その概要の説明がございました。
 中でも、パラリンピックを契機といたしまして、都市インフラの改善、障害者の社会参加機会の向上、人々の意識、行動の変化など、長期にわたるレガシーを残すことが大切であり、計画的に取り組むことの重要性が強調されてございました。

○吉田委員 さらに、IPCは大会三年後までに計画の達成状況を検証する方針だということが報道されていますけれども、この大会後の検証について、どのような説明がIPCから行われたのでしょうか。また、都としては、これにどのような対応を考えているのか、ご答弁をお願いいたします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 オリンピックにおきましては、招致の段階から大会終了の三年後まで、経済、社会文化、環境等の広い分野の指標を調査し、開催都市における大会開催の影響を評価する取り組みがなされております。
 セミナーでは、パラリンピックにつきましても、この取り組みを一部として組み入れ実施するとの説明がございました。
 今後、指標の測定や資料の提出に当たりましては、IOC、IPCの定める手続に従って適切に対応してまいります。

○吉田委員 我が党は、昨年の第三回定例会、そしてことしの第一回定例会の代表質問でも、オリンピック・パラリンピックの取り組みに関連して、二〇二〇年までに生活の向上を含めた総合的な目標と計画を持つことを求めましたけれども、今のIPCの説明からいっても、こうした取り組みが重要になっているというふうに思います。
 また、先ほど答弁がありましたけれども、IPCが開催都市に求めているのは、競技大会の成功にとどまらず、アクセシビリティーの向上、社会参加の促進など、障害者福祉の向上を図ることにあります。
 私は改めて、IPCが二〇〇三年の総会でパラリンピック運動の究極の目的として定めたビジョンを読んでみましたけれども、そこでは、障害のある全ての人々によりよい世界を築くために貢献するということですとか、また、IPCのホームページのアバウトアス--自己紹介という意味でしょうか--では、パラリンピック運動はスポーツと社会的認識のかけ橋となり、全ての個人に対する尊重と機会の均等を持った、より平等な社会の発展に貢献しますということも書かれております。先ほども指摘がありましたけれども、やはり私たちは、こうした理念というものをきちんと共通認識にして取り組んでいく必要があると思います。
 きょうの新聞等で報道されていますが、昨日、舛添知事を訪問したロンドン・オリンピック準備にかかわった前事務次官は、成功の鍵として、十九の省庁が目的を共有して取り組んだことを挙げています。
 そこでお伺いしますけれども、こうしたIPCの理念、要請にふさわしいパラリンピックの取り組みとするためには、都庁の各局がこうしたパラリンピック運動の基本理念を共通認識として、全庁を挙げて計画的に取り組むということが求められていると思いますが、どのように考え、対応されているのでしょうか。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 大会開催に向けまして、各局の連携を図るために設置されました大会準備会議を初めまして、さまざまな場面を通じて必要な情報共有を図ってまいります。

○吉田委員 それは当然ですけれども、私はやっぱり、改めて、IPC、パラリンピックの理念というものを共通認識にして取り組むということが求められているというふうに思います。
 具体的な課題の一つとして、アクセシビリティー、バリアフリーの向上の問題があります。知事も、競技施設や交通機関のバリアフリー化を促進し、全ての人々が安全で快適に移動できるよう、都市機能の向上を図ってまいりますというふうに答弁しております。したがって、当然、二〇二〇年に向けての全面的な推進が求められています。
 具体的な、どのような目標と計画で取り組むかということは別の場で議論をしていきたいと思いますが、ただ、競技会場へのアクセスという点でいえば、私、改めて今、点検を始めています。
 例えば大江戸線を使って東京体育館に行こうとして、国立競技場駅におります。しかし、競技場に行くエレベーターがありますけれども、例えばそれに乗って改札に出たとしても、東京体育館の側の出口に行こうとすると下り階段があり、その先、上り階段があり、到底、車椅子では行けません。
 もちろん、既存のエレベーターを使えばよいではないかという意見があるかもしれませんけれども、橋を渡って、かなり迂回しなければ、都立の東京体育館には大江戸線では到達することはできないということがあります。
 そうしたことを含めて、私は改めて総点検が求められているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 駅から各競技会場までのアクセスルートにつきましては、今後、エレベーターの位置等も考慮した検討を行っていくことといたしております。

○吉田委員 準備局だけで対応できる話ではありませんけれども、そうした調査分析の上に立って、都庁でいえば交通局になりますし、また東京メトロも含めて、積極的なアクセシビリティーの向上の働きかけを進めていただきたいというふうに思います。
 また、パラリンピック大会に係る問題で、後でも述べますけれども、準備合宿、準備キャンプへの対応についても一言伺わせていただきます。
 オリンピックの準備キャンプは話題になっていますが、パラリンピックも当然、準備キャンプへの対応が求められています。ロンドン・パラリンピックの場合にも、日本から準備キャンプを行ったチームもあると聞いております。
 ただ、障害者スポーツの場合には、やはり一定の施設整備の困難さも伴うということも見ておく必要があると思います。
 これは舛添知事が会見の中でも述べていましたけれども、例えば車椅子バスケの場合には、体育館の床が破損しやすいということから、借りようと思っても断られるという困難があると。東京では、そういうことがあってはならない、練習場に力を入れていきたいというふうに、これはキャンプに直接結びつく発言ではありませんけれども、ありました。
 そういう意味では、ぜひパラリンピックの準備キャンプを都と他県市で積極的に受け入れられるように東京都としても働きかけていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 二〇二〇年大会におきましては、オリンピック・パラリンピックを一体のものとして準備、運営に取り組んでまいります。
 パラリンピックの事前合宿につきましても、都といたしまして、オリンピックと同様に、事前合宿の候補地に関する情報収集の方法などについて検討してまいります。

○吉田委員 三重県は昨年十二月に「東京オリンピック・パラリンピック」キャンプ地誘致等推進本部を設置しましたが、その記事の中で知事の発言が紹介されていました。
 三重県知事は、このように述べています。三重は障害者雇用が課題、パラリンピックで障害者の皆さんが活躍することへの理解を進める意味でも、パラリンピックのキャンプに来てもらうことはよいことだ、障害者施策の進展にもつながるというふうに発言したと報道されています。
 私は、こういう観点からも、都の区市町村でも積極的に受け入れていくことが重要ではないかというふうに思っております。
 次に、区市町村との連携、協力のことについて二点お伺いいたします。
 特別区長会は、昨年十一月二十七日の緊急要望で、二〇二〇年に向けての、東京都と二十三区、市町村が一体となって情報を共有し協力できるよう、推進体制を早期に立ち上げることを要望しています。そして、その要望書の中では、オリンピック・パラリンピックを成功させる特別区二十三人の区長会議を立ち上げるということが述べられています。また、その後、二十三区の中で担当部長会、課長会も開かれたというふうに聞いています。こうした区市町村からのオリンピックムーブメントの推進、そのための都と区市町村との連携についてどのように考え、対応しているのか。
 また、例えば二十三区の中でも、競技場も選手村もない区が、たしか十四区あるのではないかというふうに思っております。その中では温度差もあるというふうにいわれていて、そうした競技場も会場もない区について、東京都は一体どんなふうに考え、対応しようとしているのかということもぜひ聞いてほしいという声もありますので、そのことも含めてお答えを願います。

○小室オリンピック・パラリンピック準備局準備会議担当部長 大会を成功させるために、都内区市町村と連携してオリンピックムーブメントの推進に取り組み、競技会場のあるなしにかかわらず、幅広く都民の大会開催機運を醸成していくことは大変重要でございます。
 都では、オリンピック・パラリンピック準備局に、既に都内区市町村との連絡調整担当を設置し、各自治体との連携を推進する体制を構築しております。
 今後、大会準備にかかわるさまざまな取り組みについて、大会組織委員会とともに、都内区市町村との各種会議を通じて必要な情報提供を行い、適切な連携を図ってまいります。
 それと、後段のご質問、二十三区のうち十四区には競技会場がないがということでございますが、若干繰り返しになりますが、大会を成功させるために、都内区市町村との各種会議を通じて必要な情報提供を行うとともに、適切な連携を図り、競技会場のあるなしにかかわらず、都民全体の開催機運醸成に取り組んでまいります。

○吉田委員 繰り返しご答弁がありましたけれども、あるなしにかかわらず、その温度差が生まれることがないように、とりわけ、ぜひ留意をしていただきたいということを、私の杉並区も、ない区の一つなものですから、述べておきたいというふうに思います。
 最後に、パラリンピックでも触れた事前合宿、キャンプの誘致の取り組みについて伺います。
 知事は施政方針で、各国選手団の事前キャンプを誘致し、新たな交流が生まれれば大変すばらしい、都として市町村の取り組みを力強く支援すると発言しました。また、東京市長会を訪問した際にも、私は三多摩にキャンプを誘致したいと思っていると明言いたしました。
 多摩の市町村はもちろん、区部でも、パラリンピックも含め、事前キャンプを誘致することは重要なことだと思います。同時に、特定の地域に偏在することなく、東北地方も含め、全国各地で事前キャンプが行われるように留意すべきだというふうに私は思います。
 その上で、東京の誘致の取り組みについていえば、他県に比べてちょっとおくれているのではないかという印象を持ちます。インターネットで検索しましたけれども、既に多くの県市が誘致のための専門組織を立ち上げ、施設の整備や広報活動を始めています。私の見た限りでは、少なくとも、市も含めれば二十県を超えて、そうした動きを開始していると思います。
 皆さんご承知かもしれませんが、これは、栃木県が誘致のためにつくった四月に発表したパンフレットです。日本語文になっていますけれども、「トレーニングキャンプ地に最適な〝とちぎ〟」というのがタイトルです。この後、英文もつくるというふうにいわれていて、これを組織委員会あるいは日本の国内各競技団体に配布するということがいわれています。
 そういう意味では、先ほどもお話がありましたけれども、都としても区市町村と連携したキャンプ招致体制をとること、さらに、区市町村に対して、誘致する場合の競技種目別の必要な設備ですね--私も水泳連盟だとか陸連に聞きましたけれども、水泳だったら、もちろん五十メートルプールが必要です。陸上だったら、四百メートルトラックはもちろんですけれども、ウエートトレーニング施設、もちろん宿舎、アクセスが必要ですけれども、やはりそういう情報をきちんと区市町村に伝えるということが求められていると思います。
 さらに、ノウハウを含めて、ソフト、ハード両面の支援が検討されるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○児玉オリンピック・パラリンピック準備局大会計画担当部長 まず、区市町村との推進体制につきましては、都では、オリンピック・パラリンピック準備局に、既に区市町村との連絡調整担当を設置いたしまして、連携を推進する体制を構築しております。
 競技種目ごとの情報提供などの事前合宿に関する支援につきましては、先ほどご答弁いたしましたように、必要な支援策について今後検討してまいります。

○吉田委員 多摩の市長会では、かつて韓国の大邱で世界陸上が計画されたときに、東京都からそういう連絡があったわけではないんですけれども、自主的にキャンプ地誘致に取り組んだという経過があったそうです。ただ、結果的には、東日本大震災もあり、実現しなかったというふうに聞いています。
 ただ、市によっては、キャンプ地を誘致したいけれども、財政負担への懸念があって、なかなかそういうふうに手を挙げることができないケースもあると。知事が力強く支援というふうに発言したわけですから、やはり、それにふさわしいだけの支援ということが求められているということを強調しておきたいと思います。
 事前キャンプが東京と全国で取り組まれることは、草の根からの国際交流の促進、さらに、障害者スポーツの理解を深め、スポーツの促進にも役立つものだと考えます。
 オリンピックだけでなく、パラリンピックも含めれば、事前キャンプ地は相当数になると思います。オリンピック憲章やIPCの理念に基づいて、事前キャンプが東京と全国で取り組まれることを希望して、私の質問を終わります。

○小林委員 簡潔に四点お伺いをいたします。
 二〇二〇年の東京大会は、都市の中心でコンパクトな大会というコンセプトを掲げており、オリンピックスタジアムとなる国立競技場を中心とした内陸部のヘリテッジゾーンと、東京湾臨海地域における東京ベイゾーンの二つのエリアに分かれております。
 ここ最近、地域の行事などにお伺いし、このようなオリンピック・パラリンピックの概要をお話しすると、皆さん大変に関心を持って聞いてくださいます。特にご年配の方に、競技会場が集積をする東京湾臨海地域に最近行かれたことがあるかお聞きをすると、ほとんどの方が行かれたことがなく、臨海地域といっても、ぴんとこられていない様子もありました。
 先ほども話がありましたように、先日、東京ベイゾーンにおける施設建設予定地を視察してまいりましたが、長年、東京に住んでいる方々でも、新たな東京の魅力を発見できるエリアであると実感をいたしました。
 今後、多くの都民の方々に二〇二〇年の東京大会を思い描いていただけるよう、現在の東京を知っていただくことも大切であるというふうに考えます。
 そこで、中心的に競技が実施されるヘリテッジゾーン、東京ベイゾーン、それぞれのエリアの特徴についてお伺いします。

○根本オリンピック・パラリンピック準備局競技担当部長 ヘリテッジゾーンでございますけれども、国立代々木競技場、日本武道館など、一九六四年東京大会のために建設された施設を競技会場として使用するなど、六四年のレガシーを今に語り継ぐエリアでございまして、七つの競技会場が位置してございます。
 東京ベイゾーンは、東京湾の臨海部に位置しまして、東京の未来への発展を感じさせるエリアでございます。二十一の競技会場のほか、国際放送センター及びメーンプレスセンターが設置されます。
 これら二つのエリアにあります二十八の競技会場は、選手村から半径八キロ圏内に位置し、選手を最優先に考えた極めてコンパクトな配置となってございます。

○小林委員 競技会場の八五%を、選手村を中心として半径八キロ圏内に配置するというコンパクトさは、選手や大会関係者、観戦者の移動時間が短くて済むというメリットがあり、大きな特徴であると思いますが、その反面、先ほどの質疑の答弁でもありましたが、大会開催期間中の観戦者、また大会関係者数は一千十万人、一日当たり九十二万人と予測されておりますが、半径八キロ圏内に人が密集することとなると思います。
 オリンピック・パラリンピックの開催期間中とはいえ、近年、東京として経験したことがないであろう人口密集地帯ができるわけであり、当然のことながら、事故や事件など混乱を生じないよう、綿密な計画が求められます。それらの対策にはさまざまな観点が求められますが、特に人の移動をいかに円滑にしていくかが重要であると思います。
 半径八キロ圏内の人口密集地帯にあって、選手や大会関係者、観客の移動、輸送についての見解を伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 二〇二〇年大会は、競技会場等を半径八キロメートルというコンパクトなエリアに集中的に配置することにより、効率的な輸送を可能としています。
 輸送の考え方についてでありますが、選手や大会関係者につきましては、バスや乗用車を利用して輸送いたします。その際、選手や大会関係者専用の車線となるオリンピックレーンを首都高速道路を中心に設定し、安全で円滑な輸送を図ります。
 一方、観客及びボランティアなどの大会スタッフについては、稠密な公共交通機関を最大限活用して輸送する計画でございます。

○小林委員 一方、大会期間中といえども、日常の都民生活は続いております。昨年三月に総務局がまとめた東京の昼間の人口は一千五百五十八万人、夜間人口は一千三百十六万人で、昼間の就業者は八百十七万人、通学者は百七十八万人、東京都への近隣県からの流入人口は二百八十九万人となっておりました。通勤通学を初め、日常生活への影響を最小限にしていく対策も当然必要になってまいります。
 そこで、大会開催期間中、都内における日常の輸送への対応について見解を伺います。

○荒井オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長 オリンピックレーンの設定により、競技会場周辺等における一般交通への影響が生じることが予想されます。
 立候補ファイルにおきましては、一般交通への影響を最小限とするため、都心部への一般車両の流入を抑制する方策として、公共交通機関の積極利用や代替ルートの利用の促進等を実施することとしています。
 これらの実施に当たりましては、交通管理者や公共交通事業者等との連携が必要不可欠でありまして、関係機関の協力を得ながら具体的な検討を行ってまいります。
 あわせて、都民の理解及び協力を得るため、情報発信を積極的に行ってまいります。

○小林委員 多くの都民の方々も初めて経験する都内の一大イベントであり、東京がどのような状況になっていくのかも予測がつかず、戸惑うこともあるかと思います。いずれにしても、都民の皆さんによくよくご理解をいただき、一体となっていかなければ成功をおさめることはできませんので、都民への情報発信を初め、企業や交通事業者との緊密な連携と協力をお願いしたいと思います。
 最後に、施設整備についてお伺いします。
 今年度より新規施設の基本設計も始まることとなり、平成三十一年度のテストイベント開催に向けて着実な整備促進を行っていかなければなりません。
 東京ベイゾーンの施設建設予定地を視察した際、絵図や文字の資料ではわからない現場の状況、雰囲気を感じることができました。
 新規に整備する施設は、東京大会終了後も恒久的に都民のために活用される施設もありますので、都民の関心は今後ますます高まっていくものと思います。
 そこで、新規施設の整備に当たって、基本設計など、施設計画において重視し留意する点についてお伺いをいたします。

○小野寺オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 競技会場は、競技を行う選手にとって最高の環境になるとともに、運営を担う関係者にとって使いやすく、かつ観客にとっても快適に観戦できるような施設整備への取り組みが必要でございます。
 また、昨今の建設資材や労務費高騰への対応、維持管理しやすい設備計画など、建設から運営までのライフサイクルコストに配慮した検討も必要となってまいります。
 こうした視点に留意するとともに、大会後も都民の貴重な財産となり、末永く親しまれるレガシーとなるよう、今後、競技会場の基本設計に取り組んでまいります。

○小林委員 東京ベイゾーンの建設予定地を視察し、私自身も、改めて、この東京の魅力を実感することができました。水と緑、生物多様性を特徴とした、今までにないオリンピックの環境を演出していけるものと思います。
 外国人観光者も、この臨海副都心地域の魅力を実感しているようで、「ゆりかもめ」に乗って、臨海地域の美しい夜景を動画で撮影し、ユーチューブに投稿しているとも聞いております。
 東京大会招致に向けたスローガンはディスカバー・トゥモローですが、まさに二〇二〇年に向けて、私たち都民が新たな東京の魅力を実感し、東京の未来を発見する絶好の機会にしていくことが大事であると思います。
 冒頭にも申し上げましたが、長年、東京に住んでいても、東京の多様な魅力を感じることがなかなか日常的にない中で、二〇二〇年までのこの六年間は、東京が変わりゆくさまを肌で感じていける貴重な時間ではないかと思います。
 世界へ発信することはもちろんのこと、住んでいる私たち都民が誇りに思い、魅力を堪能できるような東京の姿を都民、国民に対しても着実に発信していただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後四時三十四分散会

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