オリンピック・パラリンピック特別委員会速記録第十二号

令和五年八月三十日(水曜日)
第四委員会室
午後零時三十分開議
出席委員 十七名
委員長川松真一朗君
副委員長小松 大祐君
副委員長谷村 孝彦君
副委員長小山くにひこ君
理事小林 健二君
理事伊藤しょうこう君
理事伊藤 ゆう君
たかく則男君
米川大二郎君
細田いさむ君
入江のぶこ君
五十嵐えり君
白戸 太朗君
池川 友一君
藤井とものり君
とや英津子君
あぜ上三和子君

欠席委員 一名

出席説明員
副知事潮田  勉君
政策企画局政策企画局長戦略広報調整監兼務古谷ひろみ君
次長木村 健治君
技監安部 文洋君
総務部長末村 智子君
政策部長菅原 雅康君
政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務石原  慎君
政策担当部長川田 正敏君
計画調整部長佐久間巧成君

本日の会議に付した事件
第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催について調査・検討する。
委員長の辞任及び互選
副委員長の互選
報告事項(説明・質疑)
・東京二〇二〇大会テストイベントに係る談合報道に関する調査報告書について
・TOKYO二〇二〇レガシーレポートについて

○小山副委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック特別委員会を開会いたします。
 議事に入る前に、委員の皆様に申し上げます。
 高島委員長から、所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申出がありました。
 委員会条例第十条に基づき、私が暫時委員長の職務を代行させていただきますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 初めに、委員の辞任及び選任について申し上げます。
 議長から、去る六月二十二日付をもって、鈴木章浩委員の辞任を許可し、新たに本委員会委員に細田いさむ議員を選任した旨、また、去る八月二十二日付をもって、清水孝治委員の辞任を許可し、新たに本委員会委員に小松大祐議員を選任した旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員を紹介いたします。
 細田いさむ委員です。小松大祐委員です。
   〔委員挨拶〕
 紹介は終わりました。

○小山副委員長 次に、高島なおき委員長から、委員長を辞任したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件は、申出のとおり辞任を許可することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小山副委員長 異議なしと認めます。よって、申出のとおり、高島なおき委員長の辞任は許可されました。

○小山副委員長 次に、ただいまの高島なおき委員長の辞任に伴い、委員長が欠員となりましたので、これより委員長の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○池川委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○小山副委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小山副委員長 異議なしと認めます。よって、委員長には川松真一朗理事をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小山副委員長 異議なしと認めます。よって、委員長には川松真一朗理事が当選されました。
 委員長から就任のご挨拶があります。
   〔小山副委員長退席、川松委員長着席〕

○川松委員長 ただいまオリンピック・パラリンピック特別委員長にご推挙いただきました自由民主党の川松真一朗でございます。
 この所管事項については重要な局面を迎えている中での委員長就任、図らずもでございますけれども、谷村副委員長、小山副委員長及び理事、委員の皆様方と共に、円滑な、中立公平な委員会運営に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○川松委員長 次に、清水孝治副委員長の委員辞任に伴い、副委員長一名が欠員となっておりますので、これより副委員長の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○池川委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○川松委員長 ただいまの動議にご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認めます。よって、副委員長には小松大祐委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認めます。よって、副委員長には小松大祐委員が当選されました。
 それでは、小松副委員長から就任のご挨拶がございます。

○小松副委員長 ただいま副委員長にご推挙いただきました自民党の小松でございます。
 川松委員長を補佐し、円滑かつ公正な委員会運営に努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○川松委員長 ありがとうございました。

○川松委員長 次に、私の委員長就任に伴いまして、理事一名が欠員となりましたので、これより理事の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○池川委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○川松委員長 ただいまの動議にご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認めます。よって、理事には伊藤しょうこう委員をご指名申し上げます。これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認めます。よって、理事には伊藤しょうこう委員が当選されました。

○川松委員長 次に、議席についてお諮りいたします。
 議席につきましては、お手元配布の議席表(案)のとおりといたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後零時三十六分休憩

   午後一時開議

○川松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に関する事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 なお、本日は、潮田副知事にご出席いただいております。
 潮田副知事、本日は、お忙しいところ、ありがとうございます。
 初めに、先般の人事異動に伴い、政策企画局長に異動がありましたので、ご紹介いたします。
 また、幹部職員に交代等がありましたので、政策企画局長から紹介がございます。政策企画局長戦略広報調整監兼務となりました古谷ひろみさんです。

○古谷政策企画局長 政策企画局長の古谷ひろみでございます。戦略広報調整監を兼務しております。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、人事異動に伴い就任、また、本日の委員会に新たに出席いたします当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 次長の木村健治でございます。政策担当部長で企画担当部長及びDX推進担当部長を兼務いたします石原慎でございます。計画調整部長の佐久間巧成でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○川松委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○川松委員長 次に、理事者から、東京二〇二〇大会テストイベントに係る談合報道に関する調査報告書について外一件の報告の申出がございますので、これを聴取いたします。

○川田政策企画局政策担当部長 それでは、私から、報告事項、東京二〇二〇大会テストイベントに係る談合報道に関する調査報告書についてご説明いたします。
 お手元の資料第1号をご覧ください。
 まず、1、調査目的についてでございます。
 組織委員会が発注したテストイベントに係る業務の契約等について、調査チームが組織委員会の契約手続及び意思決定過程等の確認を行い、その確認結果に基づき、外部有識者が専門的見地からガバナンスやコンプライアンス等について課題を抽出、分析することとしております。
 次に、2、調査内容についてでございます。
 テストイベント計画立案等業務委託、テストイベント運営業務委託及び本大会会場運営業務委託などに関する契約手続、意思決定過程などや、組織委員会のガバナンスやコンプライアンスの状況等について確認をいたしました。また、都から組織委員会へ派遣されていた職員などから聞き取りを実施しました。
 3、調査期間についてでございますが、令和四年十一月二十四日から令和五年七月十四日まででございます。
 4、報告書の構成についてでございますが、第三者である有識者の意見について客観性を明らかにするため、調査チームが確認した結果の部分と、有識者が執筆した課題整理、分析の部分について、下段の表のとおり章を分けて取りまとめております。
 次のページをご覧ください。5、報告書の概要についてでございます。
 (1)、第1章から第4章、調査チームによる調査事項及び確認結果等におきましては、調査チームの主な調査、確認事項といたしまして、組織委員会の業者選定及び契約手続等の確認、組織委員会のコンプライアンス遵守、ガバナンス強化の取組等の確認、組織委員会における監査の状況の確認、共同実施事業における書類等の確認、組織委員会に派遣されていた関連職員等へのヒアリングを実施しております。
 次に、(2)、第5章、有識者による課題整理・分析におきましては、調査チームにおいて確認した結果に基づきまして、外部有識者が専門的見地から課題の抽出、分析、整理を行い、これらの課題について意見を述べております。
 有識者の主な課題と意見といたしまして、東京大会は過去に例を見ない困難の中でやり遂げた成果は評価されるべきであり、大会のレガシーを将来に継承する必要がある一方で、課題があったことも事実であり、様々な主体や人々が関わる国際スポーツ大会においてガバナンスやコンプライアンスを確保するためには、共通のルールをつくることはもとより、その実効性を担保することが必要である。また、国際スポーツ大会の運営を担う組織がきちんと機能するために、本報告における分析と意見、提案を今後につなげていくことを期待するとしております。
 具体的な課題、意見は、〔1〕、スポーツガバナンスの全体的な枠組みと都の関与と、後述いたしますが、〔2〕、組織委員会の取組の二点に分類されております。
 まず、〔1〕、スポーツガバナンスの全体的な枠組みと都の関与では、利害関係者全体のスポーツガバナンスの構築といたしまして、組織委員会側に知見のない中で大会を成功させるためには、事業者及び出向者のノウハウを活用せざるを得なかったなどの課題に対しまして、次の三ページの意見のところでございますが、大会運営組織においては、役員選考基準の設定や外部委員を含む選考委員会等の仕組みにより、大会運営のノウハウやマネジメント経験のある職務に適した者を役員として選任すべきなどの意見をいただいております。
 次に、都の関与といたしまして、組織委員会は都とは別の公益法人であるため、都の関与には限界があり、公費負担した事業以外への都の関与は限られていたという課題に対しまして、公費を投入する場合には、大会運営組織の自律的な管理に加えて、都としての関与、監視をより可能にする枠組みをつくる必要があるのではないかなどの意見をいただいております。
 続きまして、〔2〕、組織委員会の取組についてでございます。
 ガバナンスにおきましては、旧エンブレム問題を契機に、監査室、法務部を設置し、経営会議に参加させて牽制機能を強化いたしましたが、その効果を確認することは難しいなどの課題に対しまして、結果的には事業の実施が優先され、不正防止の観点では相互牽制が十分に機能しなかったのではないかなどの意見をいただいております。
 ページをおめくりいただきまして、四ページのコンプライアンスにおきましては、組織委員会には事業者との接触ルールを定めたものはなく、接触状況を把握し管理する仕組みは整備されていなかったなどの課題に対しまして、事業者との接触に当たっては具体的なルールや留意事項を定めるべきであるなどの意見をいただいております。
 次の人材組織におきましては、出向者、出向元との利益相反に関する規程、基準が定められていなかったなどの課題に対し、研修等において利益相反行為の具体例を類型化して示すなど、職員に利益相反に関する理解を徹底させることが必要であるなどの意見をいただいております。
 また、契約、調達においては、下見積りの徴取は一者からも可としていたなどの課題に対しまして、次の五ページの意見のところでございますが、原則、複数者の下見積りを徴取することをルール化すべきであるなどの意見をいただいております。
 次の監査におきましては、組織委員会では内部監査、監事監査、会計監査人監査のそれぞれの所管が異なり、連携が取れていなかったなどの課題に対しまして、不正リスクを含む各監査相互間の情報の共有化、効果的な監査を実施すべきであるなどの意見をいただいております。
 情報公開につきましては、組織委員会は民間法人として、守秘義務等により情報公開の範囲が制限された部分も少なくなかったという課題に対しまして、守秘義務も重要であり全ての公開は難しいが、公共性や公益性に鑑み、できる限りの情報公開に取り組むべきではないかなどの意見をいただいております。
 次に、(3)、第6章、今後の国際スポーツ大会等に向けてについてでございます。
 海外事例も参考に、東京二〇二〇大会の経験を踏まえたガバナンス確保等の取組について、有識者と意見交換を実施した内容を記載しております。
 以上が報告書の概要となります。
 詳細につきましては、参考資料といたしまして、東京二〇二〇大会テストイベントに係る談合報道に関する調査報告書を添付しておりますので、後ほどご参照いただければと存じます。
 続きまして、報告事項、TOKYO二〇二〇レガシーレポートについてご説明申し上げます。
 お手元の資料第2号をご覧ください。
 都は、東京二〇二〇大会を契機に成熟した都市として新たな進化を遂げるため、大会後のレガシーも見据え、ハード、ソフト両面にわたり様々な取組を進めてまいりました。本レポートは大会のレガシーについて、下段の構成に示す九つの分野に分類し取りまとめたものでございます。
 一枚おめくりいただきまして、二ページをご覧ください。本ページから、分野ごとの主な内容となっております。
 項目ごとに、大会に向けた取組の成果をTOWARD二〇二〇とし、その成果を発展させ、今後進める取組をTOKYO FORWARDとして記載しております。
 一つ目の安全・安心では、1、危機管理の強化と、2、無電柱化の推進について記載しております。このうち、危機管理の強化では、あらゆる災害への備えを強化し、都民の命と生活を守っていくこととしております。
 二つ目のまちづくりでは、1、競技施設、選手村の後利用と、2、ベイエリアのアクセス向上について記載しております。このうち、競技施設、選手村の後利用では、大会で整備した都立スポーツ施設を戦略的に活用していくこととしております。
 三ページをご覧いただきたいと思います。三つ目のスポーツ・健康では、1、スポーツフィールド東京に向けて、2、アスリートが活躍できる環境の整備、3、パラスポーツの振興について記載しております。このうち、パラスポーツの振興では、障害の有無にかかわらず共にスポーツを楽しむことを通じ、共生社会を実現していくこととしております。
 四つ目の参加・協働では、1、都民参加と協働、2、ボランティア文化の定着について記載しております。このうち、ボランティア文化の定着では、ボランティアの意欲に応える多面的なサポートを展開し、活躍を一層広げていくこととしております。
 一枚おめくりいただきまして、四ページをご覧ください。五つ目の文化・観光では、1、文化プログラムの展開といたしまして、芸術文化で躍動する都市東京を実現していくこととしております。また、2、世界有数の観光都市の実現としまして、インバウンド獲得に向けた観光振興施策を加速していくこととしております。
 六つ目の教育・多様性では、1、共生社会の実現、2、バリアフリー化の推進、3、教育を通じた人材育成について記載しております。このうち、教育を通じた人材育成では、学校二〇二〇レガシーといたしまして、大会後も長く続く教育活動に進化していくこととしております。
 五ページをご覧ください。七つ目の環境・持続可能性では、1、ゼロエミッション東京の実現、2、環境に配慮した快適な都市の実現について記載しております。このうち、環境に配慮した快適な都市の実現では、サステーナブルな社会の実現に向けた様々な施策を推進していくこととしております。
 八つ目の経済・テクノロジーでは、スムーズビズの推進、テクノロジーの活用、大会を通じた経済効果の活用について記載しております。このうち、スムーズビズの推進では、テレワークの定着を核に、新たな時代にふさわしい働き方へ転換していくこととしております。
 一枚おめくりいただきまして、六ページをご覧ください。九つ目の被災地復興支援では、これまで築いてきた被災地との絆をレガシーとして、被災県との交流を一層深めていくこととしております。
 最後に、未来へバトンをつなぐといたしまして、都職員の経験や新たな基金等を活用し、様々な大会のレガシーをさらに発展させ、次世代へバトンをつないでいくこととしております。
 以上がTOKYO二〇二〇レガシーレポートの概要でございます。
 詳細につきましては、参考資料として、TOKYO二〇二〇レガシーレポート本編を添付しておりますので、後ほどご参照いただければと存じます。
 説明は以上でございます。

○川松委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○伊藤(し)委員 それでは、質問をさせていただきます。
 東京二〇二〇大会は、コロナの影響による一年延期や、ほぼ無観客での開催は残念でしたが、アスリートをはじめ、関係者、国民、都民にとって安全・安心な大会として成功を収めたことに対し称賛の声もいただきました。
 一九六四年大会においては、新幹線や首都高速道路など様々なインフラが整備され、東京は飛躍的な発展を遂げたものと理解しています。
 さて、二〇二〇大会は、新規恒久施設などのハード面だけでなく、ソフト面でも東京が持続的に発展する礎ともなりました。これは、今回報告のあったレガシーレポートを見ても、多種多様な取組が広がっていることが分かります。
 その一方で、大会における組織委員会の契約に関し談合事件が発生したことは誠に残念です。都はこの問題を真摯に受け止め、今後の国際スポーツ大会等に向けた糧としていかなければなりません。
 そこで、取りまとめた調査報告書について幾つか質問します。
 まず、報告書の位置づけを確認します。今回、都とは別の団体である組織委員会の契約に係る事件について都が調査をいたしました。また、談合そのものの調査ではないようですが、調査目的及び調査体制についてまず伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 調査チームの調査目的は、東京二〇二〇大会組織委員会が発注したテストイベントに係る業務の契約等について、都の調査チームが組織委員会の契約手続及び意思決定過程等の確認を行い、その確認結果に基づき、外部有識者が専門的見地からガバナンスやコンプライアンス等について課題を抽出、分析するものでございます。
 違法性の追及や個人の責任追及を目的とするものではございません。
 また、調査体制については、談合報道のあった昨年十一月に、潮田副知事をチームリーダー、政策企画局長、総務局長をサブリーダーとして調査チームを立ち上げ、その後、コンプライアンスなどに見識を持つ弁護士、公認会計士、四名の方を外部有識者として選任いたしました。
 今回の報告書は、調査チーム、有識者それぞれが分担して執筆し取りまとめたものでございます。

○伊藤(し)委員 都の調査チームが契約手続等の確認を行い、四名の外部有識者の方が課題を分析したとのことでした。実務に詳しい都の調査チームが実務面での調査を行う一方で、その内容に係る分析や意見は、第三者である有識者が行うこととなっており、弁護士と公認会計士の専門家としての知見に基づいた意見が示された報告書であるということを確認しました。
 また、この調査は、違法性や個人の責任追及を目的とするものではないということです。事件については、関係者が起訴されておりますので、司法の場において明らかになっていくものと思います。
 次に、報告書の内容について伺います。
 組織委員会は、開催都市契約に基づいて平成二十六年一月に設立された団体です。この組織委員会と東京都、国の三者は、役割分担を行いながら、連携して大会の開催準備を進めてきました。組織委員会は運営の主体として業務全般の役割を担い、東京都は開催都市として基盤整備や都市活動、都民生活との両立などの都市マネジメントを行い、国はオールジャパンでの推進役としての施策推進や関係自治体との連携を行うなど、それぞれ役割を担っておりましたが、三者は一丸となって大会に向けて準備を進めてきました。
 その中で組織委員会は、大会を確実に実施するため、国や都だけでなく、多くの民間企業や競技団体からの職員の派遣を受け、それぞれが持っている知識や経験を生かす形で運営を行いました。
 一方で、大会開催までの限られた期間や、組織文化の異なる様々な職員が一緒になって仕事を進めたことから、組織運営は極めて大変であったと思います。
 そこで、組織委員会の組織運営上の課題に関して、報告書の中で有識者はどのように触れているのか伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 有識者の課題分析によりますれば、大規模な国際大会を開催する際に、官公庁や民間企業、スポーツ界から人を集めた大会運営組織を設置し大会運営を行うのが成功に向けたこれまでの知恵だったことから、東京二〇二〇大会の組織委員会についてもこの例に倣い、官民挙げた連携体制が構築されました。
 業務執行部門についても、官民から出向者を受け入れ、コストを縮減する体制となっており、これは日本の大規模国際スポーツ大会におけるスタンダードであったとのことでございます。
 また、有識者からは、官民の様々な出向者から組織が構成されることで、内部統制や利益相反対策、コンプライアンス等の面から、そのかじ取りは非常に難しいものがあったことが課題として指摘されております。

○伊藤(し)委員 官民が一体となった大会運営の体制は、これまでの成功の知恵であり、スタンダードであったとのことです。一方で、内部統制や利益相反対策、コンプライアンスなどの面で課題があったことも確認できました。
 今後の国際スポーツ大会の開催に向けて、こうした問題が二度と起こらないよう、有識者からの意見を十分踏まえた上で、しっかりとその役割を果たせる大会運営組織とする必要があります。
 そこで、組織委員会のガバナンスについて、有識者はどのように捉えているのかも伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 有識者の課題分析によれば、組織委員会においては、ガバナンスを強化するために、全般的な統制としては、経営会議、調達管理委員会、理事会という意思決定プロセスが明確にされており、また、法務部、監査室という牽制機能を整備しておりました。しかしながら、結果的には、今回のような独占禁止法の不正に対しては統制機能が十分には機能しなかったのではないかとされており、報告書において、ガバナンス、コンプライアンス、人材組織、契約・調達、監査、情報公開などの幅広い領域において意見をいただきました。
 また、有識者からは、提示した意見について、今後実施する国際スポーツ大会は、大会や運営組織の規模もそれぞれであることから、事業実施とのバランスも考慮し、各大会の運営組織において実施すべきか検討することが重要であるとの意見もいただいております。

○伊藤(し)委員 組織委員会のガバナンスは、意思決定プロセスの明確化や、監査室など牽制機能を整備し強化されていましたが、独占禁止法の不正に対しては統制機能が十分に機能しなかったのではないかとのことです。
 また、有識者がおっしゃるように、今回の様々な意見については、大会の規模や事業実施とのバランスも十分踏まえることが重要です。ほかの全てのスポーツ大会で、オリンピック・パラリンピックと同じような体制や制度まで求めてしまっては、過度な要求となるものもあり、かえって大会運営の機動性をそぐことにもなるかもしれません。
 実効性を担保し、大会それぞれの実情に適した機能する大会運営組織づくりに、今回の教訓を生かしていただきたいと思います。
 ここまで調査報告書の目的や内容について総括的に伺ってきました。実際に報告書を見ますと、調査チームによる調査を基に、有識者がガバナンス、コンプライアンス、人材組織、契約・調達、監査、情報公開など、幅広い領域にわたって課題を掘り下げて分析し、十分な調査が行われており、今後の大会運営組織において生かしていくべきと考えます。
 それでは、こうした有識者の様々な意見や提言を、都として今後の国際スポーツ大会にどのように生かしていくのか、局長に伺います。

○古谷政策企画局長 都は、国、組織委員会と都議会の皆様と緊密に連携し、都民、ボランティアをはじめ、多くの関係者の協力を得て東京二〇二〇大会の準備を進め、コロナ禍という困難な中、大会を成功に導くことができました。
 こうした中で起きた談合事件を受けて立ち上げた調査チームにおいて、外部有識者に幅広い事項について専門的見地から課題を抽出、分析いただき、今後につながるご意見をいただいております。
 都としては、本調査の結果も踏まえ、今後の国際スポーツ大会において組織体制や制度を整えるだけでなく、実効性を担保し、大会運営組織が適切に機能するよう取り組む必要がございます。そのため、東京都における国際スポーツ大会のガバナンス強化に向けた有識者会議のメンバーは、本調査の有識者からの意見を踏まえ、ガバナンスやコンプライアンスの一層の強化に向けて、ガイドラインの改定に反映させております。
 東京二〇二〇大会の経験や教訓も踏まえ、引き続き関係局と連携いたしまして、今後の国際スポーツ大会の開催に取り組んでまいります。

○伊藤(し)委員 今後の国際スポーツ大会においても、大会運営組織がきちんと機能するよう進めることが重要です。今回の報告書で整理された課題や意見を踏まえ、都としてよりよい大会実現に向けて取り組むことを求めておきます。
 次に、レガシーレポートについて伺います。
 東京二〇二〇大会は、さきにも述べたとおり、一年延期を経て、コロナ禍という極めて困難な状況下での開催となりましたが、スポーツの力で世界を一つにした象徴として歴史に刻まれた大会でもあります。
 我々都議会自由民主党は、大会招致のときから、開催自体がゴールではなく、大会の成功を通じて、ハード、ソフト両面から東京を世界一の都市へと飛躍させることこそ最終的な目標であることを指摘してきました。
 大会は東京をさらに発展させるための土台としての意義もあり、都市として長期的な視点に立ってレガシーをつくり上げ、次代に引き継いでいくことが重要です。
 都はこうした大会後のレガシーも見据えながら、これまでも様々な取組を進めてきましたが、今般、レガシーに関する取組の集大成としてレガシーレポートが取りまとめられました。まずは、その意義について伺います。

○菅原政策企画局政策部長 都は、東京二〇二〇大会を契機に、成熟した都市として新たな進化を遂げるため、平成二十七年に、二〇二〇年に向けた東京都の取組を取りまとめ、大会後のレガシーを見据えた様々な取組を推進してまいりました。
 具体的には、東京の新たなスポーツの拠点として、将来にわたり有効活用するための競技施設の整備を進めるとともに、世界で初めて二度目の夏季パラリンピックを開催する都市として、バリアフリーのまちづくりを進めてまいりました。
 加えて、ボランティア文化の定着や、オリンピック・パラリンピック教育を通じた次代を担う人材の育成など、ハード、ソフト両面での取組を行ってまいりました。
 さらに、大会に向けた新型コロナ対策など、これからの都民の安全・安心な暮らしの実現にも寄与する取組を行ってまいりました。
 今般のレガシーレポートは、これまでのレガシーに関する取組の集大成として、こうした多面的な取組によって創出された成果を取りまとめるとともに、将来に向けて発展させ、都市のレガシーへとつなげるための取組を明らかにしております。

○伊藤(し)委員 レガシーレポートは、大会に向けた多面的な取組の成果と、それを将来に発展させる取組を明らかにしたものであるとのことでした。
 さて、都では、二〇二〇年に向けた東京都の取組に示されているように、大会の計画段階から様々な取組が進められてきましたが、今回のレガシーポートの特徴についても伺います。

○菅原政策企画局政策部長 都はこれまで、大会後のレガシーを見据えて、安全・安心、まちづくり、スポーツ・健康など、九つの分野で取組を進めてまいりました。今般作成したレポートでは、これらの分野ごとの取組と実績、その成果を発展させ、今後進める取組を明らかにしております。
 具体的には、項目ごとに大会前から大会開催までの取組の成果をレガシー指標として示すとともに、今後も取組を着実に推進し未来につないでいくよう、今後の目標、都の長期計画である「未来の東京」戦略と整合を図りながら提示しております。
 また、九つの分野ごとに、大会を経験した職員のノウハウを今後の都政に生かす視点から取りまとめ、未来へバトンをつないでいくこととしております。

○伊藤(し)委員 項目ごとに大会前から大会開催までの取組の成果を指標として示し、今後の目標を都の長期計画と整合を図りながら示しているのが特徴とのことでした。
 レガシーレポートの中では、未来につなぐ東京二〇二〇として、レガシー指標一覧が掲載されています。この指標について、今後どのように取り組んでいくのかも伺います。

○佐久間政策企画局計画調整部長 レガシー指標は、大会開催までの成果と今後の取組の目標を示すものであり、全庁を挙げて目標に向け取り組むことが重要でございます。そのため、次年度以降も実績を取りまとめ、ホームページ等で公表してまいります。
 また、実績を踏まえて各局と連携して関連事業を推進するなど、大会を契機に進めた取組を一過性のものに終わらせず、着実に都市のレガシーとして発展していくよう取り組んでまいります。

○伊藤(し)委員 目標達成に向けて実績を把握し、PDCAサイクルを回しながら取り組むことで、今後にしっかりつないでいただきたいと思います。
 今後という意味では、未来を担う子供たちがオリンピック・パラリンピックの精神を理解し、将来に生かしていくことも大切です。
 そこで、教育の分野において、大会を通じてどのような成果が生まれ、今後どのように発展させていくのかも伺います。

○佐久間政策企画局計画調整部長 東京二〇二〇大会に向け、都内全ての公立学校約二千三百校で約百万人に対してオリンピック・パラリンピック教育を展開いたしました。重点的に育成する五つの資質を掲げ、ボランティアマインドは七五%、障害者理解は九二%、スポーツ志向は九二%、日本人としての自覚と誇りは八七%、豊かな国際感覚は八〇%と、大多数の学校で育成できたとしております。
 今後は、学校二〇二〇レガシーとして、大会後も未来を担う子供たちにオリンピック・パラリンピックの精神を継承していくことが重要でございます。そのため、公立学校において東京二〇二〇大会の映像資料等を授業で活用できるようにしているほか、オリンピック・パラリンピック教育を通じて推進してきた国際交流やボランティア活動など、体験や活動を重視した取組を継続、発展させてまいります。

○伊藤(し)委員 ぜひ子供たちにはオリンピック・パラリンピックの精神を受け継いでいってほしいと思います。
 二〇二〇大会は、コロナの影響で残念ながらほぼ無観客での開催となりましたが、二〇二五年の世界陸上、デフリンピックは、満員の観客の下、子供たちも含めて多くの方にスポーツのすばらしさを伝えることができる機会となることを期待しています。
 東京大会は、とりわけパラリンピックの開催によりパラスポーツが盛り上がり、そのすばらしさが多くの都民に伝わったと思います。
 そこで、パラスポーツの分野において、大会を通じてどのような成果が生まれ、今後どのように発展させていくのかについても伺います。

○佐久間政策企画局計画調整部長 東京二〇二〇大会に向けたパラスポーツの活動の場や機会の充実により、障害者スポーツ実施率は、二〇一八年の三二・四%から、大会時の二〇二一年には三五・四%に向上いたしました。
 また、パラスポーツの観戦、体験機会を充実することなどにより、パラスポーツに関心のある都民の割合が、二〇二〇年の四三・六%から二〇二一年には五三%に高まるなど、ファンやサポーターの裾野が拡大いたしました。
 二〇三〇年までに障害者のスポーツ実施率を五〇%に、パラスポーツに関心のある都民の割合を八〇%にする目標を掲げており、パラスポーツの場の確保、人材育成、理解促進などの施策を推進してまいります。
 こうした取組により、障害の有無にかかわらず、共にスポーツを楽しむことを通じ、共生社会の実現へとつなげてまいります。

○伊藤(し)委員 東京大会で関心が高まったパラスポーツは、障害の特性や状態に応じてきめ細かなサポートも必要になりますので、さらなる振興に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 さて、東京大会では社会構造の変化をもたらすような取組も行われ、大会輸送もその一つだと思います。大会の肝であった輸送について、我が会派は、円滑な輸送は本当にできるのか、また、大会によって経済活動は停滞せず継続できるのかなどといった視点で何度も質疑を行いました。
 そして、輸送の大きな目標として、円滑な大会輸送の実現と社会経済活動の維持との両立が掲げられ、大変多くの都民や企業、業界団体のご協力もいただきました。
 そこで、大会輸送としてどのような取組が行われレガシーとなっているのかも伺います。

○佐久間政策企画局計画調整部長 大会輸送の取組では、大会前から行った交通需要マネジメント、期間中の高速道路入り口閉鎖など交通システムマネジメント、首都高の料金施策など、都議会をはじめ、都民や企業の皆様のご協力をいただき、期間中の一般交通量が低減し、良好な交通環境が整えられました。
 特に、大会時の交通渋滞緩和と企業活動の両立に向けた交通需要マネジメントである二〇二〇TDM推進プロジェクトには、九百十団体、五・二万社に参加していただきました。この結果、大会運営に影響する遅延や大きな事故もなく大会輸送を行うことができました。
 また、大会終了後に実施した企業からのアンケートでは、物流について、約七割が発注時期、回数の調整や納品までの期日を緩和するなどに取り組んだとの回答があり、コロナ対策にも有効だった、予定どおり配送された、他社との協力体制ができたといったご意見がございました。
 人の流れ、物の流れとともに、それぞれ企業が工夫を行う中で、テレワークやオフピーク通勤など、大会時の混雑緩和に七割を超える方が取り組み、交通量低減に向けたムーブメントが創出され、テレワーク等の新しい働き方がレガシーとして定着しております。

○伊藤(し)委員 大会を通じて社会全体を巻き込んだ取組を生かし、新しい働き方の浸透や経済活動の維持発展に今後も力を尽くしてもらいたいと思います。
 また、多くの競技施設が集積していたベイエリアは、大会を通じてアクセスが向上し、今後のさらなる発展が期待されています。大会に向けてどのような取組が行われ、レガシーにつながっていくのかも伺います。

○佐久間政策企画局計画調整部長 ベイエリアでは、大会に向けて新たな公共交通機関や船着場が誕生いたしました。具体的には、臨海地域における交通需要に速やかに対応するため、BRTを導入するとともに、日の出ふ頭などの船着場の整備により、水場交通の充実と水辺空間のにぎわいの創出が図られました。
 今後は、こうした様々な交通手段の活用、連携でベイエリアの利便性をさらに高めてまいります。具体的には、舟運を観光、通勤などの新たな交通手段として定着させるほか、自転車通行空間の着実な整備とともに、シェアサイクルと他交通の連携強化を図ってまいります。
 また、選手村跡地のまち開きに向け、BRTの本格運行を実施するとともに、有楽町線の延伸など、鉄道ネットワークの整備にも取り組んでまいります。
 こうした取組を通じまして、ベイエリアの地域特性に合わせたまちづくりを進め、にぎわいを一層向上させてまいります。

○伊藤(し)委員 東京大会を象徴するベイエリアが多くの都民に親しまれ、にぎわいと活力に満ちあふれたエリアとなるよう、今後もしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、多摩地域における取組についても伺います。
 東京大会は、当初、コンパクトなオリンピックを目指すということもあり、競技施設は区部、特にベイエリアに集中しましたが、一九六四年の東京大会では、私の地元八王子も自転車のトラックやロードレースの会場となるなど、多摩地域の方々も地元でオリンピックを実感したと聞いています。
 それでは、今回の大会により、多摩地域においてはどのようなものがレガシーとなったのか伺います。

○佐久間政策企画局計画調整部長 東京二〇二〇大会では、武蔵野の森総合スポーツプラザでオリンピックのバドミントン、近代五種、パラリンピックの車椅子バスケットボール競技を実施し、東京スタジアムではオリンピックのサッカー、近代五種、ラグビー競技を実施いたしました。
 これらのエリアは、今後も大会の感動と記憶が引き継がれていく場所として、武蔵野の森オリンピック・パラリンピックパークの名称が付与されております。
 また、武蔵野の森公園をスタート会場とし、多摩地域の南多摩尾根幹線から神奈川県、山梨県、静岡県内を通り、富士スピードウェイまでゴールする自転車ロードレースの競技を実施いたしました。
 今後は、この大会レガシーを生かし、東京二〇二〇大会の多摩地域のコースを中心に、一九六四年大会のコースも活用した自転車ロードレースを開催し、多摩の魅力発信にも取り組んでまいります。
 さらに、東京パラリンピックのレガシーとして、東京スタジアムの一角に整備しました東京都パラスポーツトレーニングセンターを活用し、パラスポーツの競技力向上と普及促進を図ってまいります。
 こうした取組によりまして、東京二〇二〇大会のレガシーを多摩地域のスポーツ振興につなげてまいります。

○伊藤(し)委員 多摩地域での数少ない競技である自転車ロードレースは、一九六四年大会と二〇二〇大会を結ぶものです。ぜひこうした取組も成功させていただき、また自転車だけでなく、多摩地域のスポーツ振興全般にもしっかり力を入れていただきたいと思います。
 東京大会では、スポーツだけではなく、実に様々なレガシーが生まれてきたと思います。今回のレポートでまとめられているように、東京大会で創出された様々なレガシーを東京全体に根づかせ、都民の豊かな生活につなげていくとともに、先ほど伺った談合調査で得られた教訓を今後の国際大会に生かしていくことも必要です。
 今後の国際大会の成功やレガシーの発展に向けた潮田副知事の決意を伺います。

○潮田副知事 東京二〇二〇大会は、コロナ禍による一年の延期、そして無観客という困難な状況の中で、大会関係者やボランティアの皆さん、民間企業をはじめ多くの方々のご協力を得て安全・安心な大会を実現することができました。
 そして、都議会の皆様方からも様々なご指導を賜りまして、改めて感謝を申し上げる次第でございます。
 一方で、今回の談合事件を受けまして、その重大性に鑑み、調査チームを立ち上げ速やかに調査を進め、外部有識者の専門的な見地から課題の抽出や分析を行っていただいた上でご意見をいただき、その結果を報告書として取りまとめたところでございます。
 その上で、有識者からのご提言につきましては、国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインに反映をさせていただきました。
 このガイドラインを二〇二五年の世界陸上やデフリンピックに向けて大会運営の組織づくりに生かすなど、都民、国民の理解や信頼を得ながら、よりよい大会の実現につなげてまいりたいと考えております。
 また、大会を通じて得られました様々な成果や、多くの方々と共有した大切な価値をレガシーとして次世代に引き継ぎ、発展させていくことが重要であると認識をしております。レガシーレポートでは、コロナ禍での大会開催の経験や、経済活動と大会輸送との両立、まちづくり、子供たちの教育など、大会に向けて進めてきたハード、ソフト両面にわたる様々な成果を将来に向けて発展させ、都市のレガシーへとつなげる取組を明らかにしております。
 今後、これらの取組を、都政の羅針盤である「未来の東京」戦略の下で推進をしまして、大会で得たかけがえのない経験やレガシーを都市の力に変えるとともに、二〇二五年の両大会の成功につなげ、東京をさらなる高みへと導くため、全庁一丸となって取り組んでまいります。

○伊藤(し)委員 先ほどの談合報道に関する調査報告書の有識者における意見の冒頭でも、オリ・パラ大会は、短期間に数十の競技が行われる世界で他に類を見ない大規模イベントである、タイトなスケジュールに加えて、コロナの影響による開催延期など、過去に例を見ない困難な大会であった、こうした困難な中でも、多くの選手の参加を得て開催された大会そのものの価値や、様々な人々や団体、企業の参加と協力の下で大会をやり遂げた成果は評価されるべきものである、スポーツの価値とともに、大会の開催を通じて創出された有形無形のレガシーを将来に継承していかなくてはならないともありました。
 すなわち、東京大会は、コロナ禍の中で、東京だから開催できたと世界から称賛されたことは、誇るべきかけがえのない財産であると思います。今後も様々な政策分野で大会の成果をしっかり未来へつないでいただきたいと思います。
 また、今回の調査の提言もしっかりと生かし、世界陸上、デフリンピックを成功に導き、次代を担う子供たちにスポーツの価値や感動、勇気を届けていただくよう要望し、私の質問を終わります。

○白戸委員 よろしくお願いします。熱戦が繰り広げられました東京二〇二〇大会から、はや二年がたちまして、スポーツ界をはじめ、国内外における話題は、来年に控えたパリ大会となっています。
 東京二〇二〇大会は、コロナ禍という難しいタイミングでの開催に様々な意見があったものの、大会が残してくれた様々な感動はそれぞれ残っており、過去の映像、過去の造作物、そしてエンブレムなど、その記憶を呼び覚ましてくれるものに出会いますと、またその記憶が鮮明によみがえってきます。
 また、大会を契機に、都民のスポーツへの機運が高まり、施設の活用も進み、都民が気軽に参加できるスポーツイベントなどが数多く開催されるなど、スポーツに参加しやすい機会が増えているのも実感いたします。
 また、パラリンピックの開催において、障害者スポーツへの理解が飛躍的に高まり、まちのバリアフリー化も大きく進化したことは紛れもない事実です。
 一〇〇%の形ということでは開催はできなかったものの、開催したことによって、まちが進化し、様々なレガシーを残したと評価いたします。
 しかし、大会後に、組織委員会の元理事がスポンサー選定に関する汚職事件で訴追、訴えられたことに加え、テスト大会の入札談合の疑いで組織委員会の元次長らも起訴されるという事件が発覚いたしました。
 私たちはかねてより、組織委員会のガバナンス、コンプライアンスに関して問題があると繰り返し指摘してきたにもかかわらず、こうした事件が起こったことは大変遺憾であります。これは、オリンピックやスポーツへの信頼を失墜させたばかりではなく、厳しい状況で開催に向けて努力されてきた多くの関係者の皆さんの努力も吹き飛ばしてしまった。
 ここにも、そんなご尽力をされてきた方々がたくさんいらっしゃる中で、私がいうのもはばかられるところではありますが、スポーツに関わってきた者として、このスポーツそのもののイメージやブランドを大きく傷つけてしまったことは心を痛めるところです。
 この責任は重く、信頼回復の道のりは長いと考えます。東京都は、そのことを決して忘れることなく、強い決意で全容解明と再発防止に努め、スポーツについたほこりを拭い取っていただきたい。強く願うところであります。
 さて、そのような状況の中で、都は重大性に鑑み、昨年十一月に潮田副知事をトップとする調査チームを速やかに立ち上げました。その後、十二月に当面の調査状況についてが公表されましたが、この当面の調査状況についての公表までにどのような調査を行ったのかお伺いします。

○川田政策企画局政策担当部長 昨年十一月の調査チーム設置以降、速やかに組織委員会の規程や手続など客観的な事実について、まず、テストイベント計画立案等業務の確認を行いました。また、清算法人に対して書類等の提供を求め、これまで公表されていなかった内部規則や要綱などを含む資料を公表いたしました。
 さらに、都より組織委員会に派遣された関連職員から聞き取りを行いました。

○白戸委員 調査チームの調べにより、これまで公表されていなかった資料が新たに公表されるなどの成果が得られたということが分かりました。ただ、都からの派遣人員だけの聞き取りでは十分といえません。調査チームが立ち上がって以来、我が会派では、テストイベントに関わる談合調査に関して、都派遣職員に加えて受注事業者や他団体からの派遣者などからも聞き取りを行うなど、徹底した調査を求めてまいりました。
 当面の調査状況についての公表以降、都の調査チームにおいてどのような調査を行ったのか伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 当面の調査状況についての公表以降、外部有識者を選任し、その指導助言の下、第三者の専門的な見地から調査を継続してまいりました。調査範囲につきましては、テストイベントの計画立案等業務に加え、テストイベントの運営業務及び本大会の会場運営業務に拡大し、清算法人の協力を得て、組織委員会の契約手続及び意思決定過程等の確認を行いました。
 また、聞き取りの対象については、都から組織委員会に派遣された職員に加え、組織委員会の元幹部、受注事業者及び受注事業者からの派遣者に対象を拡大して実施いたしました。
 こうした確認結果に基づきまして、外部有識者が専門的見地から課題を分析し、ガバナンス、コンプライアンス等の様々な意見が示されたところでございます。

○白戸委員 私たちの求めに応じまして、組織委員会元幹部や受注事業者など、聞き取り対象が拡大されてきたことがよく分かりました。
 既に解散されている組織委員会の実態を確認するに当たっては、やはりこの聞き取り調査も有効な手段であると考えます。では、その聞き取り調査ではどのようなことを調査したのか伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングは、対象者から率直な意見をいただき、職場の実態を十分に把握できるよう、個人名、事業者名が特定されないこと、個人情報や聞き取り記録そのものは、調査チームや有識者以外に開示しないことを前提としてご協力をいただきました。
 主な項目として、テストイベントに関する意思決定プロセス、入札の経過、契約に関する情報管理、業者との接触状況、コンプライアンス、不正防止体制、今後に向け取り組むべきことなどについてヒアリングを行いました。
 徹底した調査が行えるよう、ヒアリングの内容や対象者等を有識者の指導の下で設定し、ヒアリングの実施に当たっては、可能な限り有識者に同席いただくとともに、有識者には、全てのヒアリング結果を提供いたしました。
 ヒアリングで聞き取った内容は、有識者の確認も経て、個人が特定されるような内容や、分からない、知らないといった回答を除きまして、都派遣職員、元幹部、受注事業者などの区分ごとに報告書に記載しております。

○白戸委員 事実を正確かつ十分に把握するためには、匿名にすること、本人が特定されないこと、条件を付することは理解できます。
 私たちはこれまでも、組織委員会のガバナンスやコンプライアンスに関して様々な問題を指摘させていただきましたが、聞き取り調査の結果はどのようなものであったのか伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ガバナンスに関しましては、テストイベントに関する意思決定に当たって、所管部署と調達部で入札条件を交互にチェックするとともに、各会議体で審議、承認していたなどの回答が得られております。
 また、コンプライアンスにつきましては、研修が定期的に実施され、みなし公務員であることも繰り返し周知してまいりましたが、理解度は人それぞれだったなどの回答が得られております。

○白戸委員 ヒアリングでは、組織委員会の意思決定プロセスやコンプライアンスなどに関しての状況などについて確認できたということのようです。こうしたヒアリングを含めた調査結果から、外部有識者が課題を抽出、分析したということなんですが、この調査においては客観性の確保が非常に重要だと考えます。第三者である外部有識者の関わり方が非常に大きなポイントになってくるのではないかと考えます。
 それでは伺いますが、この報告書に記載されている有識者の課題、意見ですけれども、この課題、意見には、都は手を加えていないという理解でよろしいでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 報告書の取りまとめに当たりましては、調査チームによる事実確認の部分と有識者が執筆した課題整理、分析の部分を分けて取りまとめた上で、有識者の氏名も明記し、第三者である有識者の意見について客観性を明らかにしております。
 第5章、有識者の課題整理・分析においては、四名の有識者の課題や意見をそのまま記載しており、有識者ごとの視点から幅広く意見をいただけたものと考えてございます。
 なお、公表時の記者への説明についても、有識者自ら対応いただいたところでございます。

○白戸委員 第三者の客観性を明らかにして、有識者それぞれの意見が報告書に余すことなく反映されているということが分かりました。その結果、視点が異なる意見が集まったことは、客観性のある報告書としてむしろ大切なことではないかと考えます。
 組織委員会は、ガバナンス改革やコンプライアンス強化に取り組んできたにもかかわらず、こうした事件が発生してしまいましたが、今回の調査で有識者からどのような課題、意見が示されているのでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 ガバナンスにつきましては、旧エンブレム問題を契機に、監査室、法務部を設置し、経営会議に参加させて経営機能を強化していった、しかしながら、有識者からは、結果的には事業の実施が優先され、不正防止の観点では相互牽制が十分には機能しなかったのではないか、また、評議員会、理事会、監事、事業実施部門、コンプライアンス部門、内部監査部門による三者の統制が働くように組織を構築すべきではないかなどの意見が示されてございます。
 また、コンプライアンスについては、研修など職員の意識を涵養する機会も設けられておりましたが、事業者との接触ルールや接触状況を把握し管理するルールがなかったことなどから、事業者との接触に当たっては、具体的なルールや留意事項を定めるべきなどの意見が示されております。
 なお、有識者からは、報告書で提示した意見について、大会や運営組織の規模もそれぞれであることから、事業実施とのバランスも考慮し、各大会の運営組織において実施すべきか検討することが重要であるとの意見もいただいております。

○白戸委員 ただいまの答弁の中で、理事会への言及がありました。報告書が対象としている談合事件とは少し離れますが、もう高橋元理事が受託収賄罪で起訴されており、ガバナンスを考えますと、この理事選任というのは非常に重要であったと考えます。
 そこで、高橋元理事を含めます組織委員会の理事の選任経緯について伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 組織委員会の理事等のメンバーの選任に当たっては、IOC委員や、オリンピアン、パラリンピアンを含めることや、女性を積極的に登用すること、JOC、東京都だけでなく、国、競技団体、経済界等の代表からも広く人選すべきとの考え方により、東京オリンピック・パラリンピック調整会議において意見交換されております。
 その上で、理事については、組織委員会の定款に基づき評議員会で承認、決議されておりました。

○白戸委員 選任の経緯は分かりましたが、結果的に元理事が汚職事件を起こしたわけです。その理事を任命した責任はやはり重かった、大きかった。そして、これをないがしろにして、この問題は終わらないのではないかと我々は考えております。やはり、理事の任命責任はきちんと明らかにしていくべきと主張しておきます。
 また、本報告書は、東京都や都議会以外の元理事の皆様にもしっかりと読んでいただいて、受け止めていただきたいとも考えております。
 ガバナンスやコンプライアンスは組織運営の基本であります。今回の報告書により、ガバナンスやコンプライアンスなどの課題が改めて浮き彫りになったわけです。組織委員会は、都及びJOCの出捐により設立された団体であり、金銭的にも人的にも、都は、組織委員会の大会準備、運営に大きな、多大な支援を行ってきたのは紛れもない事実です。
 そこで、組織委員会に対する都の関与がどうであったのか伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 都は、大会の成功に向け、組織委員会に対し、職員の派遣や役割分担に基づく共同実施事業の負担金を支出するとともに、協力強化に向けた必要な関与や財政援助団体等監査を行ってまいりました。
 こうしたこれまでの都の関与を踏まえた上で、有識者からは、組織委員会は都とは別の公益財団法人であるため、都の関与には限界があった、また、共同実施事業のような公費負担した事業以外への関与は限られていたとの課題が示されております。

○白戸委員 都の関与には限界があったということは、有識者からも課題として指摘されております。特に、公費負担を行った共同実施事業においては十分なチェックが行われたものの、それ以外の部分については都の関与が及ばなかったことが反省点とも考えられます。
 まさに報告書にあるように、都の関与をできる限り避けようとしてきた組織になっていたことが問題だと考えます。この組成のタイミングが、都政がやや混乱している状況であったということも想像できるんですが、そのときの人事がここまで大きく影響してくるとは、都庁内でもなかなか想像できなかったのかもしれません。
 その際の人員体制が今回の事件につながっているわけで、東京都としてしっかりとコントロールできる組織をつくり切れなかったことが大きな教訓であったといわざるを得ないというふうに考えます。
 都の関与に関する有識者からの課題定義も踏まえまして、今後の国際スポーツ大会に向けてどのように取り組んでいくのか、局長の見解を伺います。

○古谷政策企画局長 スポーツイベントは、多くの都民の理解、協力が得られるよう、公正で信頼されることが重要であり、その運営に当たっては、ガバナンス、コンプライアンス、情報公開の強化に加え、都の適切な関与が必要であると思っております。
 これに関して有識者からは、大規模なスポーツ大会の大会運営組織に公費を投入する場合、都としての関与、監視をより可能にする枠組みをつくる必要性や、共同実施事業管理委員会のような仕組みを活用して、大会全体の支出をチェックすべきとの提言がございました。
 こうしたことも含め、大会運営を担う組織が適切に機能するためにいただいた有識者からの意見等は、国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインに反映されております。
 二〇二五年の世界陸上とデフリンピックに向け、このガイドラインを大会運営の組織づくりに生かすとともに、都が適切に関与を行い、関係機関と連携を図りながら取り組んでまいります。

○白戸委員 今後の大会運営組織に関しましては、今回の教訓を十分に生かしていただきたい。いや、必ずや生かしていただくよう強く要望しておきます。
 次に、大会のレガシーレポートについて伺います。
 ただいま質疑しましたテストイベントの入札談合が紙面をにぎわすなど、大会の負のイメージが強調されたのは事実であり残念なことではあります。しかし、東京二〇二〇大会が多様性と調和や未来への継承を基本コンセプトとして挙げ、東京のプレゼンスを高める様々な取組を進めるなど、多くのレガシーをもたらしたのも、これまた紛れもない事実であります。
 特に、東京都は、大会に向け、有明アリーナやアクアティクスセンターなど六つの新規恒久施設を整備し、今後も新たにスポーツ施設が誕生する予定ですが、こうした施設を大会のレガシーとして活用し、東京のまち全体にスポーツを根づかせていく必要があります。
 今回のレガシーレポートでは、レガシーを九つの分野に分類して明示していますが、スポーツ分野におけるレガシーについて、大会開催を通じてどのような成果が生まれ、今後どのように生かしていくのか、見解を伺います。

○佐久間政策企画局計画調整部長 大会を通じて生まれたスポーツ施設を大会後も戦略的に活用し、東京の新たな魅力としていくことが重要でございます。
 そのため、新規恒久施設において国内外の主要大会を開催するなど、その来場者数を年三百十万人とすることを二〇三〇年の目標に掲げ、取組を推進してまいります。
 また、大会に向け、スポーツに参加しやすい機会が増えた成果を踏まえ、スポーツの場を東京の至るところに拡大させてまいります。
 例えば、臨海部の自転車ライドイベントに加え、多摩地域でレガシーコースを活用したロードレースを開催するほか、都市空間を活用した運動機会の提供や、DXを活用したスポーツの新しい楽しみ方の発信を行ってまいります。
 こうした取組を通じまして、まち全体を誰もがスポーツを楽しめるスポーツフィールドに進化させ、都民の健康増進にもつなげてまいります。

○白戸委員 それぞれの施設は二〇二〇大会の使用を起因として造られたのは事実ですが、二〇二〇大会がゴールではありません。ここからいかに活用され、都民のスポーツマインドを鼓舞し、健康増進やコミュニティの活性化が図られていくことこそ非常に重要です。
 今後、東京全体がスポーツフィールドとして躍動し、世界に発信され、世界から注目を浴びると同時に、都民のスポーツマインドを広げてくれることを大いに期待します。
 そのために、新規恒久施設をより多くの方に知っていただき、使っていただくことが必要となりますけれども、そのために、建設のプロセスが分かるような映像を活用すべきと我が会派は以前から訴えてきました。その後、本件に関する進捗を伺います。

○佐久間政策企画局計画調整部長 新規恒久施設の建設に当たりましては、最新の技術を導入して様々な工夫を行い、施工の効率性や安全性の向上等を図りました。
 例えば、アクアティクスセンターの屋根の施工に当たりましては、地上近くで組み立てた総重量約七千トンの鉄骨を釣り上げるリフトアップ工法を採用し、仮設足場や高所作業の削減による効率性や安全性の向上を図りました。
 都では、そうした建設の過程を記録に残し、都民に広く紹介するため、定点で撮影した写真を連続してつなぎ合わせ、それを動画にしたタイムラプス映像をホームページにおいて広く発信しております。
 また、施設の建設について、テレビ等様々な媒体で取り上げられており、その中には建設プロセスを捉えたコンテンツもあることから、そうした映像素材の活用に向け、所管局が関係局と調整を進めております。

○白戸委員 お話にもありましたけれども、特にアクアティクスセンターの建築方法はかなり独創的であり、これは日本国内はもちろんですが、世界にも発信していく価値のある技法だと思います。
 また、そうしたことを知ることによって施設に愛着や興味が湧くのは、世代を問わず、世界共通のことではないかと考えます。ぜひともこのような取組、しっかりと推進いただけるようお願いします。
 さらに、これからは、スポーツへのDXの活用も、競技力向上だけではなくて、スポーツの新しい楽しみ方につなげるために必要となってきます。
 二〇二五年の世界陸上やデフリンピックに向けても、その活用が期待されるところですが、そこで、東京二〇二〇大会ではどのようにデジタル技術が活用され、今後どのように生かしていくのか伺います。

○佐久間政策企画局計画調整部長 東京二〇二〇大会では、都が有する競技施設などにおきまして、5GとWi-Fiなど、快適な通信環境を整備するとともに、5Gと最新技術の組み合せにより、セーリング、水泳、ゴルフの各競技において臨場感のある新しいスポーツ観戦スタイルを提供いたしました。
 また、障害などにより会場での観戦が困難な子供たちのため、リモートで応援にも参加できるバリアフリーVR観戦を実施いたしました。
 今後、こうした大会で活用された最先端テクノロジーを都市に実装し、スマート東京を実現していくとともに、誰もがデジタルサービスにつながる東京を目指した取組を進めてまいります。
 さらに、二〇二五年デフリンピックに向けては、社会のユニバーサルコミュニケーションへの関心を高め、最新のデジタル技術も活用することで、誰とでも容易に交流を図ることができる共生社会の実現を進めてまいります。

○白戸委員 このデジタルの活用というのは、わくわくする未来を感じさせてくれるとともに、大会を通じて特に進んだバリアフリー、ひいては共生社会の実現に向けても有意義な取組になります。
 つまり、大会で取り組んだデジタル技術は、今後、社会生活に大いに活用されるということで、二〇二〇大会の代表的なレガシーの一つであると考えます。
 まちのバリアフリー化の推進においては、都を挙げて大会に向けて取り組んでまいりましたけれども、鉄道駅においてエレベーター整備などが進みまして、バリアフリールートが確保されたことは誇るべき成果であると考えます。
 そこで、このバリアフリーについて、大会を通じてどのような成果が生まれたのか、また、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○佐久間政策企画局計画調整部長 東京は、世界で初めて二回目の夏季パラリンピックを開催した都市であり、大会に向け、都市のバリアフリー化や心のバリアフリーの浸透など、ハード、ソフト両面で取組を進めてまいりました。
 大会招致が決定した二〇一三年度と大会時の二〇二一年度を比較いたしますと、都内鉄道駅でのバリアフリーワンルートの整備率は九〇・五%から九七%に、都内地下鉄駅でのホームドアの整備率は五五・七%から八五・五%まで上昇いたしました。
 また、社会や環境によるバリアをなくすために、心のバリアフリーの社会的機運を醸成し、その認知度を五〇%まで高めてまいりました。
 こうした取組を通じ、都の調査では約六割の方が、大会開催決定以降、都内のバリアフリー化が進んだと回答しております。
 今後は、区市町村や企業などとも連携し、まちの面的なバリアフリー化や心のバリアフリーの取組など、ハード、ソフト一体的に促進してまいります。

○白戸委員 すばらしい数字だと思います。私も世界の各都市に行くことはありますけれども、ここまでまちのバリアフリーが進んでいるまちは、ほかにあまりないのではないかと思うほど、東京は進化しているのではないでしょうか。例えば、ロンドンやパリで地下鉄に乗ろうとしても、なかなかエレベーターが見当たらないのが現状です。
 ただ、こうしたまちの特徴は、周囲の人がすぐ当たり前のように手助けしてくれるということ、ここが少し違うようです。日本人はやっぱりシャイで慣れていないということもあるんですが、このあたり、まだまだちょっと控え目かなというふうに感じます。しかし、そうしたソフト面のバリアフリーも大会を契機に変わりつつあるというのを感じるところでもあります。
 そして、大切なのは、この東京二〇二〇大会を通じて生まれた、こうした様々なレガシーの意味を都民の皆様にもしっかりと共有していくことだと思います。より多くの方が理解し、応援してもらうことで、その価値も高まりますし、先ほど述べたソフトのレガシーも進んでいくと考えます。
 レガシーを東京全体に根づかせていくためにも、この大会の成果をさらに広く都民に発信していくべきと考えますが、見解を伺います。

○佐久間政策企画局計画調整部長 東京二〇二〇大会開催以降、海外からは、パンデミックの中で困難を極めたにもかかわらず日本で大会が無事開催されたことを評価する報道が多数見られました。
 こうした評価を得られた大会について、都が、ハード、ソフト両面にわたり取り組んできた成果を都民に分かりやすく発信していくことは重要でございます。
 そのため、今回公表したレガシーレポートを基に、積極的にレガシーのPRを行ってまいります。
 具体的には、大会の成果が多くの都民の目に触れるよう、インフォグラフィックを活用したポスターやチラシを、スポーツや文化施設などの集客施設に掲示するとともに、東京大会を機に、何が変わったのかを紹介する動画をまち中のビジョン等で流してまいります。
 さらに、レガシーレポートに関するメルマガを作成し、約七十の海外主要都市や在京大使館などに対して提供するなど、都の取組を世界に向けても発信してまいります。
 大会の有形無形のレガシーを都民が実感するよう、幅広い発信に取り組み、都市のレガシーとして根づかせ、次世代へ引き継いでまいります。

○白戸委員 この大会が残してくれた様々な成果はもう疑う余地もありませんが、これを知らない人がいるというのも事実であります。やはりこの取組成果を積極的に発信し、都民と共にレガシーを育て上げ、都民生活をより豊かなものにしていかなければなりません。ぜひよろしくお願いします。
 ちょっと話はそれますけれども、我々が今提案させていただいていることに、大会終了後、選手をすぐに帰さないというのがあります。競技の終了後に都が主導して、選手、関係者を都内観光に連れていく。選手はそれぞれの国ではもちろん貴重なインフルエンサーでありますので、その選手たちが東京や日本を経験し発信してもらうことは非常に有効な広報手段ではないかと考えます。
 もちろん、競技団体との調整、選手のスケジュールの問題、こういったものもありますけれども、ぜひ今後の大会、この都の観光施策に取り入れていただければと提案しておきます。
 さて、熱戦がブダペストで繰り広げられた世界陸上も二〇二五年にやってきます。また、同年には、百周年を迎えるデフリンピックが日本で初めて東京で開催されます。
 談合調査チームのリーダーであり、大会準備にも局長として邁進されてきた潮田副知事に、二〇二〇大会の経験を、二〇二五年の世界陸上やデフリンピック、そして、レガシーにどのように生かしていくのか伺います。

○潮田副知事 私は、大会準備が本格化する平成二十九年にオリンピック・パラリンピック準備局長に就任をさせていただき、国や組織委員会などの関係者と連携を図りながら、大会を成功させるという強い思いを持って、多くの職員と共に大会準備を行ってまいりました。
 東京二〇二〇大会は、コロナ禍による一年の延期という、当初想定し得なかった困難にも直面いたしましたが、アスリートの皆さん、都民、ボランティアの皆さんなど、多くの関係者のご協力を得て開催することができました。
 一方で、こうした中で、汚職と談合という二つの事件が起きたことは、都民の信頼を損なうものであり、とりわけ談合事件については、速やかに調査チームを立ち上げて、徹底した調査を行ってまいりました。
 いうまでもなく、スポーツイベントは都民の理解と協力が必要であり、公正で信頼されるものでなければなりません。報告書にまとめた課題と改善に向けた意見は、しっかりと今後の国際大会の大会運営、組織づくりなどにも生かし、今後の大会では二度とこのようなことが起きないよう、決意を持って大会運営に臨んでまいります。
 また、大会を通じて得られた多くのレガシーを引き継ぎ、成長と成熟が両立した持続可能な都市の実現をしていくことも重要でございます。二〇二五年に開催する世界陸上では、都民のスポーツへの関心を一段と喚起し、体力の向上や健康増進への意識を高め、健康長寿の実現につなげてまいります。
 デフリンピックでは、デジタル技術を活用し、物理的、心理的なバリアを取り除き、誰とでもスムーズなコミュニケーションができる社会の創出につなげてまいりたいと考えております。
 そして、大会を通じて得たかけがえのない経験を今後のレガシーの発展に生かし、東京の未来へとバトンをつないでまいります。

○白戸委員 ありがとうございます。
 パラリンピックの知名度は九八%を超えているということですが、デフリンピックの知名度は、ちなみに一一%という調査結果もあります。非常にこれは厳しい数字ではありますけれども、だからこそ、東京は開催する意義があるのだと思います。
 二〇二〇大会で進めた様々な取組をさらに推し進め、二〇二五年の世界陸上やデフリンピックも見据えて、東京のプレゼンスを高め、健康都市、インクルージョン都市としてさらに推進させていくことは非常に大切です。
 さらに、今後の国際スポーツ大会では、ガバナンスやコンプライアンスの確保をしっかりと進め、スポーツの社会的な価値をしっかりと取り戻していただきたい。そして、改めてスポーツの原点に戻り、社会にいい刺激を与えながら、アスリートを中心に据えた大会を開催していただくようお願い申し上げます。
 思い返しますと、私自身、スポーツの世界から六年前に都議会に転身した理由の一つが、二〇二〇大会に貢献したいという思いもありました。
 それをどの程度できたかどうかというのは分かりませんけれども、六年間、本委員会に所属させていただきまして様々な議論をさせていただいたことは、貴重な時間であったと考えます。
 そして、今改めて感じることは、オリンピック・パラリンピックを開催することは、これがゴールではなくて、大会をどのようにまちづくりに生かしていくべきなのか、これこそが大切であるということです。
 そういった意味では、東京にとって二〇二〇大会は終わったわけではありません。ぜひこれからも、大会を生かし輝ける東京にしていくためにも、我々も、そして、ここにいらっしゃる都庁の皆さんも一丸となり進めていきたいという思いを強くしてきたところです。ありがとうございました。

○谷村委員 まず初めに、レガシーレポートについて質問をさせていただこうと思っておりましたが、時間の関係上、意見を申し上げさせていただきます。
 東京二〇二〇大会から、はや二年が経過しました。七月二十三日には、国立競技場周辺でオリンピック、パラリンピックのアスリートも多数参加して、打ち水、ごみ拾いやスポーツレガシーシンポジウムなどが開かれました。
 また、先週、八月二十四日には、都民広場でパラスポーツ選手を招いてデモンストレーションが行われるなど、二周年の行事に多くの都民の皆様が訪れたと伺っております。
 こうした都民の皆様の盛り上がりを見て、この東京大会をやってよかったと改めて思いますし、このレガシーレポートにも記載がありますが、大会を契機として、スポーツ分野に限らず様々な取組が広まっております。
 コロナ禍での開催となった東京二〇二〇大会では、史上初の一年延期、国内外の観客の受入れ中止など、多くの苦渋の決断がありました。そうした逆境の中でも、多くの方々のご協力を得て安全・安心な大会を開催し、世界中の方々から感謝の言葉をいただいたことは、この大会の大きな成果であります。
 東京は、世界で初めて二回目の夏季パラリンピックを開催した都市となりました。このパラリンピックの開催は、人々の大きな気づきとなり、共生社会への大きな一歩ともなりました。
 今後もパラスポーツの振興を一層強力に進めていただきたいと思います。また、大会は、様々な方のご協力なくして実現し得なかったと思います。とりわけボランティアの皆様の真摯な活動は、国内外の人々に笑顔をお届けしました。
 また、私ども公明党が一貫して主張いたしました復興五輪の意義も、被災地の姿を国内外に発信し、震災時に支援をしてくださった方々に感謝の意を表すこともできました。
 これまでの復興五輪の取組を、この大会が終了したことによって終わらせるのではなく、被災地との絆を継承し、これからも発信していただきたいと思います。そして、都の職員の皆様におかれましては、この大会を通じて様々な関係者と協力し、得難い経験を蓄積されたことと思います。
 ぜひ、このご経験を生かし、都の総力として、大会に携わられた方々の思いをつなぎ、レガシーを東京全体に根づかせる努力をしていただきたいということを申し上げておきます。
 それでは、東京二〇二〇大会テストイベントに係る談合報道に関する調査報告書について質問いたします。
 事前に申し上げました順番と異なるかもしれませんが、ゆっくり申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 この東京二〇二〇大会の大成功の裏側で、高橋元理事による贈収賄事件、そして、テスト大会における談合事件が起こりました。
 こうしたことによって、この大会の成功、あるいはその意義が揺らぐものではありませんが、著しく都民の皆様からの信頼を損ねた事件であり、大変残念でなりません。
 都議会公明党はこれまでも、組織委員会や、あるいは都に対し、組織委員会の発注者側と受注者側の双方に電通が入るという構造については何度も指摘をし、都の監視を強めるよう繰り返し強調してきました。特に、今回の調査報告書の組織委員会の契約における談合事件は、都の幹部職員を派遣している都としても応分の責任があり、その責任を重く受け止めるべきであると思います。
 こうした観点から、談合調査の報告書について質問いたします。
 私は、この四つの観点、歴史に、過去にイフとか、もしとかという言葉、文字は禁物ではありますけれども、この四つの視点から、この談合事件を防ぐことができたのではないかという角度をもって質問させていただきます。
 その四点とは、一つは、東京都がしっかりとこの組織委員会に関与していたという事実。二つ目には、この入札制度、入札方式の在り方について東京都がしっかりと関与していることができれば防げた。三点目に、テストイベント計画立案業務委託の入札方法が、最後までぎりぎり、組織委員会でいう特別契約、東京都でいう特命随意契約で行われていたならば、この談合事件は理論的にはあり得なかった。そして四つ目には、この官製談合が行われる可能性のある名簿一覧、受注者予定一覧みたいなものを、東京都から行っていた幹部職員が目にしていた、そのときに適切な対応が行われていたこの四つ。そういうことがあればこの談合事件を防ぐことができたのではないかという視点で質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この談合報道に関する調査報告書となっておりますが、報告書には、初公判に基づく事件の経緯も記載されております。
 調査目的には、調査報告書の一ページ目ですね、本調査は、違法性の追及や個人の責任追及を目的とするものではないと。これはもうおっしゃるとおりで、特に、個人の責任を追及する目的ではないと思いますし、私は今この質問に立たせていただいておりますが、あくまでも個人の方の責任を追及する目的でもありませんし、その意図もありません。また、そういう場でもないと思っております。
 しかし、この違法性の追及については、談合があったとしたならば、どこにその原因があったのか、あるいは、そのガバナンスとしてどこに問題があったのかということを検証するべきであって、本報告書では、それを満たすことができるところまで記載されていますけれども、しかし、結論を意図的に避けている表現になっているとしか申し上げようがないと思います。この報告書でそこまで踏み込んでいない。
 まずお尋ねをいたしますが、先ほどの質疑で出てはきましたけれども、談合があったのか、なかったのか、あったとしたらその原因は何かという肝腎なことにこの報告書では全く触れられていないわけであります。
 そこで、都としては、談合があったということを認識しているのか、していないのか、都としての認識を潮田副知事に明快にお答えいただきたいと思います。

○潮田副知事 まず、談合につきましては、検察庁及び公正取引委員会において捜査等を行い、認定をされるものと承知をしております。
 なお、森元次長が初公判におきまして起訴事実を認めていることは、調査チームとして確認をし、今回の報告を行っているところでございます。
 こうした事態が生じたことにつきましては重く受け止めております。

○谷村委員 そもそもこの報告書は、談合報道があったということで、その報道は正しいのかどうか、談合報道についてのところからスタートしているわけです。報道が正しかったのか正しくなかったのかを調査して報告をする話なわけですね。
 その報告の肝腎な部分が欠落しているわけですよ。談合というものが認定されたと。それが認定されたんだったら、なぜそういう、この談合が事件として起こってしまったのかということを報告書として書くべきだと思いますが、今のご答弁でも曖昧にされております。
 それは都の姿勢としては間違っているのではないかと申し上げておきたいと思います。この談合報道について調査をし、その結果として、談合があったということを確認されている報告書と受け止めてよろしいでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 繰り返しの答弁になって大変恐縮でございますが、森元次長が初公判におきまして起訴事実を認めていることは、調査チームとして確認いたしております。今回の報告を行っているところでございます。

○谷村委員 それでは、談合が行われた原因、背景、これについてどのようなものがあったのか、そして、防ぐことはできなかったのかという点について見解を求めます。

○川田政策企画局政策担当部長 有識者の課題分析によりますと、組織委員会におきましては、ガバナンスを強化するために、全般的な統制といたしまして、経営会議、調達管理委員会、理事会といった意思決定プロセスが明確にされておりまして、また、法務部、監査室という牽制機能を整備しておりました。
 しかしながら、結果的には今回のような独占禁止法の不正に対しては統制機能が十分には機能しなかったのではないかとされておりまして、報告書において、ガバナンス、コンプライアンス、人材組織、契約・調達、監査、情報公開などの幅広い領域において意見をいただいたところでございます。
 大会につきましては、世界的なスポーツの祭典として、短期間に数十の競技が行われる他に類を見ない大規模なイベントでございまして、IOC、IPC、競技団体など多岐にわたる関係者との調整、タイトなスケジュールや国内に運営ノウハウが乏しい中で大会準備を行い、開催に結びつけられたものと考えてございます。

○谷村委員 独占禁止法の不正に対しと今ご答弁されました。これがいわゆる受注調整であり談合ということなわけですけれども、冒頭申し上げました四つの課題の、組織委員会における都の関与について、まず質問をしてまいりたいと思います。
 この調査報告書では、調査委員会は都とは別の公益財団法人であり、都の関与には限界があったと記されております。都の関与について限界があったのかどうかについて答弁を求めます。

○川田政策企画局政策担当部長 都は、開催都市として、大会全体の枠組み構築の支援、財政的支援、人的支援など、大会の実現に向けて幅広い支援を行ってまいりました。
 あわせて、組織委員会の設立と同時に、都の報告団体に指定し、その後、事業協力団体として、組織委員会の運営状況の調査や協力強化に向けた必要な関与を行ってまいりました。
 一方で、基本的には、関与は法令に定められているところでございます。その中で、具体的には、地方自治法に基づき、組織委員会の事業計画や事業報告などについて、経営状況等説明書などにより、毎年度、都議会にご報告を行うとともに、財政援助団体等監査により、組織委員会の事業や、団体を所管する都の局等による指導監督について監査を実施してまいりました。
 さらに、都民への説明責任を果たす観点から、組織委員会への申入れを行うこと等によりまして、公費負担事業に係る共同実施事業管理委員会によるチェック、開催都市契約や調達情報の公表、共同実施事業に係る情報公開などにつきましても組織委員会との合意の下で順次実施してまいりました。

○谷村委員 組織委員会は、今ご答弁ありましたけれども、平成二十六年一月に都とJOCが一億五千万円ずつ、合計三億円を出捐し設立されたものであります。その後、一時的に五十七億円の追加出捐がありましたけれども、それは組織委員会の財政状況がよくなったので東京都に返還をされておりますけれども、基本的な、一億五千万円ずつを出捐しているという事実は一貫して変わっていない。
 だから、組織委員会の基本的な、一億五千万ずつの、二分の一ずつJOCと負担してこの組織委員会が成り立っていたということは一貫して変わらないわけであります。
 この公益財団法人としての組織委員会に対して、都の関与については法令で決まっており、まあご答弁ありました。また、それ以外の事項については、実施をしようとするときは組織委員会に申入れを行ったり合意を得てきたということですが、一方で、東京都と組織委員会は、この大会の準備を一体的に進めてきます。
 財政的支援も半分、一体的に。そして、大会準備も、多くの人的支援もしています。報告書では一千人を超える職員を派遣されております。
 さらに、組織委員会においては、副知事や幹部職員、元副知事が組織委員会における要職を担っておられました。これは、都の関与を的確に行うためだったのではないかと思いますが、どういう関与をされていたのか見解を求めます。

○川田政策企画局政策担当部長 都は開催都市としての責任を果たし、大会準備を主体的、積極的に進めていくため、組織委員会に職員を派遣いたしました。現職の副知事や幹部職員につきましては、組織委員会の役員として、都の立場から意見を伝えて、重要な決定に関与させてまいりました。
 元副知事については、都との連携を強化するため、これまでの経験等を踏まえ、組織委員会において副事務総長に選定されたものと承知しております。また、役員だけでなく、要所要所に局長級、部長級の幹部職員を配置し、重要な事項の決定に関与するとともに、様々な部署に適材適所で人材を配置し、都や関係機関と連携して大会の準備、運営に当たってまいりました。

○谷村委員 明快なご答弁ありがとうございます。現職の副知事や幹部職員については、組織委員会の役員として重要な決定に関与させてきたと、今ご答弁いただきました。また、役員だけでなく、要所要所に局長級、部長級の幹部職員を配置し、重要な事項の決定に関与してきたと、今そういうご答弁をいただいているわけであります。この組織委員会の中においても、しっかりと都の関与があるわけです。
 なぜ、こういう財政的にも人的にも関与をしておきながら、東京都の関与に限界があったという報告書になっているのか、また、その報告書を調査チームとして上げられているのか、ちょっと理解に苦しむところであります。
 もう少し踏み込んでお伺いしますけれども、都の副知事、局長で、組織委員会の評議員、理事、監事、これらの重役に就任されたのはどなたでしょうか。改めて公表をしていただきたいと思います。

○川田政策企画局政策担当部長 組織委員会の評議員に就任したことのある副知事は、安藤副知事、前田副知事、川澄副知事、長谷川副知事、多羅尾副知事、梶原副知事、武市副知事、黒沼副知事、潮田副知事、中村副知事でございます。
 組織委員会の理事に就任したことのある副知事は、佐藤副知事、秋山副知事、山本副知事、猪熊副知事、多羅尾副知事、潮田副知事でございます。
 組織委員会の理事に就任したことのある局長は、オリンピック・パラリンピック準備局長であった中嶋局長、塩見局長、潮田局長、中村局長、延與局長、政策企画局長であった野間局長でございます。
 組織委員会の監事に就任したことのある局長は、財務局長であった中井局長、長谷川局長、武市局長、会計管理局長であった土渕局長、佐藤局長、堤局長、須藤局長でございます。
 それぞれ、公益法人としての組織委員会に係る法令及び定款に基づき職務を遂行してまいりました。

○谷村委員 それぞれ公益法人としての組織委員会に係る法令及び定款に基づき職務を遂行されるのは当然のことであります。これは延べ人数になるかとは思いますが、評議員に十人の副知事、理事に六人の副知事と六人の局長、監事には七人の局長、今お名前をお伺いしましたけれども、それぞれ優秀な、また、都政において大きなご貢献をされてきた、能力の高い、知見の深い方々が組織委員会の評議員、理事、監事に就任をされて、それぞれご活躍をいただいたわけであります。
 こうした幹部職員の方々が派遣されていて、重要な決定事項に関与していながら、組織委員会の事業に対して都の関与に限界があったというのは、私は説明にはならないと思います。
 この方たちが、繰り返しになりますけど、組織委員会に係る法令及び定款に基づき職務を遂行されるのは当然のことでありますけれども、出捐金の半分、一億五千万を出している開催都市、主催都市として、東京都を代表して関与をされてきているわけであります。
 そういう意味では、組織委員会の事業に対する都の関与というのは、十分な、むしろ十二分な体制であったと思っております。
 さらにもう少し踏み込んでお伺いいたしますけれども、組織委員会において、今は評議員、理事、監事でありましたけれども、都の元副知事として副事務総長としてご活躍をされた方もおられたかと思います。どなたでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 組織委員会において副事務総長に就任した都の元副知事は、佐藤副知事、山本副知事でございます。
 それぞれ、公益法人としての組織委員会に係る法令及び定款に基づき職務を遂行してきております。

○谷村委員 副事務総長まで東京都から出しておいて、東京都の関与に限界があるとは私は到底思えません。ちなみに、この元副知事のお二人は、当初は副知事から理事として、あるいは元副知事として理事として、組織委員会の理事に就任され、その後、副事務総長になられております。
 この元副知事というのは、東京都の関与、さっきの微妙なご答弁で、現職の副知事、あるいは局長で行かれている方は東京都の関与ができるということで行かれておりますけれども、この元副知事という存在ですね、こういうお立場の方というのは、やっぱり東京都の関与に深く影響を及ぼされている存在だと私は思っております。
 この元副知事という存在というのは、東京都として関与する存在なのかどうなのか、お尋ねしたいと思います。

○川田政策企画局政策担当部長 元副知事につきましては、都との連携を強化するため、これまでの経験等を踏まえ、組織委員会において副事務総長に選定されたものと承知してございます。

○谷村委員 重ねてのご答弁ありがとうございます。東京都の連携を深めるための存在であるわけです。その方が副事務総長にいらっしゃるわけですね。今般、世界陸上の組織委員会で、三月まで副知事を務めておられました武市前副知事が事務総長に就任されております。
 これは副知事というご経験があるから事務総長に結果としてご就任をされているんだろうと思いますし、その方から副知事というものを取られたら、事務総長になられる、その原因、理由というのはなかなか見当たらないわけで、ちょっと失礼ないい方で大変申し訳ありませんが、こうしたOB副知事というのも都が一定程度というか、かなり強く連携をするために行っていらっしゃるわけですから、東京都が組織委員会に関与するために就任されているものと私は理解をしておりますが、潮田副知事、この考え方でよろしいでしょうか。

○潮田副知事 元副知事につきましては、都との連携を強化するため、これまでの経験等を踏まえ、組織委員会において副事務総長に選任されたものであるというふうに承知をしております。

○谷村委員 重ねてのご答弁ありがとうございます。組織委員会の役員となられた現職の副知事、また都の幹部の方々は、都の立場から意見を伝え、元副知事については都との連携を強化し、開催都市の立場から大会の準備を積極的に進めるために、それぞれ要職に就任されたのだと思います。
 こうしたことは、東京都は組織委員会にしっかり関与していますよという都民の皆様からの信頼を得るためにも必要なことであり、この下で大会の準備が進められていきました。
 ですので、都の関与には限界があったとは到底思えませんし、しっかりと関与されていれば、この談合事件は防げた可能性があると申し上げたいと思います。
 実際の契約において、事業の発注、あるいは審議、承認を行っていたのは組織委員会の経営会議、そして具体的な調達方式の決定を行っていたのが調達管理委員会であります。この経営会議と調達管理委員会についても確認をさせていただきます。
 組織委員会の意思決定をしていた経営会議のメンバーに、都から派遣されていた職員、そして副知事、また、入札契約方法なども決めていた調達管理委員会に都から派遣されていた職員、そして局長級職員はどなたがいらっしゃるか、公表をお願いしたいと思います。
 そしてさらに、この調査報告書には記載されておりませんけれども、事業者選定審査会に都から派遣された、全てのお名前というのはいろいろな事情で伏せられているのだと思いますので、少なくとも局長級の職員の方がいらっしゃれば、どなたでしょうか。併せて公表をお願いいたしたいと思います。

○川田政策企画局政策担当部長 組織委員会の経営会議は、事務総長、副事務総長、全局長等で構成されておりまして、それらの職にある都派遣職員も参加しておりました。
 都から派遣された局長級の職員につきましては、雑賀局長、福島局長、手島局長、吉村局長、山下財務局長が構成員には含まれてございます。
 また、調達管理委員会は、副事務総長を長とし、企画財務局長、総務局長、マーケティング局長、大会準備運営第一局長または大会運営局長などから成っておりまして、それらの職にある都派遣職員も参加してございます。
 都から派遣された局長級の職員では、手島局長、山下局長が構成員に含まれております。
 また、事業者選定審査会でございますが、都から派遣された局長級の職員で事業者選定審査会の構成員となっているのは山下局長でございます。

○谷村委員 実際に契約事務の決定に関わる会議体である経営会議、調達管理委員会、事業者選定審査会、これに対しても都の副知事、元副知事、現役職員幹部の方々が多数関わっているわけであります。
 このたびの談合事件は、テストイベントの計画立案等業務委託契約を総合評価方式一般競争入札とし、そしてテストイベントの運営業務委託事業者と本大会の運営業務委託は、組織委員会でいう特別契約、東京都でいう特命随意契約となっております。
 この経営会議が事業及び発注の審議、承認をし、調達管理委員会において調達方式が審査されると。これに東京都が十二分に関わっているということは否定できない事実であると思います。
 そして、共同実施事業につきましては、都の支出がありますので、ここは経費のチェックについてはされておりますけれども、しかし、発注システムにおいても都がチェックする必要があったのではないかと、私はいえるのではないかと思いますが、見解を求めます。

○川田政策企画局政策担当部長 二〇二〇大会では、国、都、組織委員会の三者がそれぞれの役割分担に基づき、協力して大会の準備を進めてまいりました。都は、大会の準備運営業務について、一部の経費を負担するに当たり、支出の妥当性等については、国、都、組織委員会の三者による共同実施事業管理委員会の仕組みにより確認を行っております。この共同実施事業については、計画、予算、執行の段階で経費の確認を行ってございます。
 しかしながら、調達行為そのものについては、組織委員会が自らの規程に基づき行うものであることから、組織委員会の契約への関与については限界があったと考えてございます。
 なお、今回の談合事件に係るテストイベント計画立案等業務も、これに該当するものでございます。

○谷村委員 調達行為そのものについては、組織委員会が自らの規程等に基づき行うものであることから、組織委員会の契約への関与については限界があるというご答弁でしたけれども、その意思決定をする経営会議、調達管理委員会、事業者選定審査会に多くの副知事、局長級の方がいらっしゃったわけでございまして、東京都という組織体としての関与ということを申し上げているわけではなく、東京都から派遣をされていた現職の副知事、局長級、幹部の方が、その会議体に入っていらっしゃったわけですから、そこに東京都の関与ができなかった、限界があったというのは、もう繰り返しになりますが、おかしいと思います。
 このテストイベント計画立案等業務ですね、談合が行われたとされるその業務の二十六件につきましても、結果的に公費を負担している、この事業も存在していたことから、共同実施事業という枠組みに入ってくるわけですね、入ってしまうわけですね。だから、報告書にも記載されていますけれども、チェック確認を行っていらっしゃいます。共同実施事業という角度で。
 また、調達行為というのは組織委員会が行う役割だったといっても、この経営会議や調達管理委員会に現役の副知事、局長級が入っていらっしゃったわけです。きちんとこうした方々が役割を果たしていただいていれば、談合事件を防ぐことができたのではないか。都の関与に限界があったという調査報告書には、私はくみしない、くみできないということを申し上げておきたいと思います。
 そして、四つあるうちの二つ目であります。
 この談合を防ぐことができたのではないかという、その原因の二点目になりますが、調査報告書では、組織委員会と東京都の入札契約制度に相違点がある、方法が違うということで、四点、代表的に挙げて記載をされております。
 いわゆる東京都が日頃行っている入札方法と組織委員会が今回行った入札の手法は異なっていたということで、四つ挙げられています。
 これをそのまま読みますと、組織委員会の入札制度で行われたから、この問題が起こったんだと。都の入札制度は実はこうなんですよというふうに書かれていて、そのとおりやっていれば不正は防げたかのように記載されております。
 四つ記載されておりますけれども、そのうちの一つ、例を挙げますと、予定価格を下見積りする場合に、どの程度の金額かということで、事業者さんから事前に徴取します。東京都の場合は、二つ以上の者から見積りを取るというふうに決まっている。事前予定価格を決めるのに、一者からではなく、最低二者以上から見積りを取るというふうにしているわけですが、組織委員会では、本契約においても、この下見積りは一者のみからしか徴取していなかったという、こうした違いが四つ取り上げられているわけですけれども、そもそも、組織委員会の中で入札制度について最もノウハウのある都の制度が生かされたはずではないかと。
 組織委員会の中で、財政的には半分東京都で、人的には延べ一千人、それから、幹部級では評議員に十人の副知事、理事に六人の副知事、六人の局長、監事には七人の局長というのが行かれているわけですので――民間の方々に入札という、この手法というノウハウはそもそもないわけですね。一緒になって組織委員会をつくっているわけですから、なぜ、東京都の入札手法というものをこの組織委員会で生かさなかったのか、東京都の入札制度と異なる制度になってしまったのか。
 組織委員会の発注システムを東京都として確認することができたのではないか、また、確認する必要があったのではないかと思いますが、見解を求めます。

○川田政策企画局政策担当部長 二〇二〇大会では、国、都、組織委員会の三者がそれぞれの役割分担に基づきまして、協力して大会の準備を進めたところでございます。
 このうち大会の運営業務につきましては、大会運営の主体である組織委員会がこの役割を担ってございます。
 この役割を担う組織委員会がございますので、これに係る入札、あるいは契約の締結といったものは、組織委員会自らが作成した規程、この規程に基づいて行っていたということでございます。

○谷村委員 その組織委員会をつくるときに、副知事もいらっしゃる、局長級もいらっしゃる、東京都の入札制度を仕切っていらっしゃる財務局長の方もいらっしゃる、あるいは、都と行き来されている方もいらっしゃる。ここで東京都の入札制度を導入しておけば、この談合事件を防げた可能性があるわけです。
 ちなみに、お分かりになればお答えいただきたいんですけど、組織委員会自ら作成したという入札方法というのは、何を基準にというか、何かを手本にして組織委員会の入札方法というのはつくられたのか。もし分かればで結構です。突然のお尋ねで申し訳ありません。

○川田政策企画局政策担当部長 組織委員会におきましては、都の派遣職員、派遣してございます。都の入札制度、あるいは契約制度等を参考にしながら、規則等、契約等に関しまして作成してきたということは聞いてございます。

○谷村委員 であるならば、きちんと重要なところの入札制度を東京都のをそのまま入れてやっていれば、これは談合事件を防ぐことができたのではないかと。二点目、指摘をさせていただきたいと思います。
 今回の談合事件について整理をいたしますと、本大会の運営業務というのがゴールにあるわけです。その前のテストイベントの運営業務、その前にテストイベントの計画立案業務というのがありまして、計画立案業務委託を受注した事業者がそのままテストイベント、そして本大会を特別契約、東京都でいう特命随意契約となったと。
 ここにさしたる問題はないわけですけれども、この入り口のテストイベント計画立案業務委託が特別契約、東京都でいう特命随意契約で行われていれば、理論的には談合事件というのは起こり得なかったわけですね。この入札手法というものができなかったのか。
 報道等によれば、受注調整を行ったとされる森元次長は、最初は特別契約を提案されているんです。しかし、組織委員会の上の方に上げていくと否定され、入札の受注調整に至ってしまうということになるわけですけれども、繰り返しになりますが、もしこのテストイベント計画立案等業務委託について、これが特別契約、都でいう特命随意契約で行われたとしたら、受注調整なんてしなくて済んだわけで、談合事件というのは起こらなかったわけであります。これが三点目であります。
 テストイベントも含めて、本大会の運営について、ノウハウを持っている事業者が限られている中で、IOCからは準備が遅いといわれるなど、大変なプレッシャーのかかる状態であったかと思います。
 初公判においては、テストイベント計画立案業務について、随意契約も考えられたと思うが、公費が投入されるので、基本はできる限り競争入札というのが大きな方針だったとの証言もされております。
 特命随意契約という選択肢も検討されていたわけであります。また、公費が投入されるのであれば、入札契約方法に都あるいは幹部職員が関与できたわけであります。また、TEM、テスト・イベント・マネジメントの所管部署が随意契約を求めてきた、その際には、原則どおり競争が働く総合評価方式を取るように提案、説得したというヒアリングも、この報告書の中では挙げられています。これは都の組織委員会の元幹部の方のヒアリングのお話です。
 また、一方で、受注事業者からの派遣者ヒアリングでは、当初、TEM、テスト・イベント・マネジメントの所管部署では随意契約を想定していたようだが、その方が大会運営としてはうまくいくと私は思っていたと。
 また、組織委員会元幹部からのヒアリングでは、競争入札と随意契約は、どちらにもメリット、デメリットがあると。仮に競争入札に決定した場合は落札者がいないかもしれないというデメリットもあったと。それを組織として抱えていただろうと。しかし、このデメリットを、森元次長が一人で抱えてしまった。一人で抱えずに、組織で乗り切ることができれば違ったことになったかもしれないというふうにヒアリングでお話しされている方もいらっしゃいます。
 また、この調査報告書には、実績のない他の事業者が、このオリンピックという大舞台で担うことが可能なのかという懸念があったと。膨大な発注量をどこが引き受けてくれるかということが課題であり、事業者を競争させている場合ではなかった。これは都の職員のヒアリングです。
 事業者を競争させている場合ではなかった。経験のある事業者が、経験のあるスタッフを本当に本大会で集められるのかということも課題だったというふうなヒアリング。これは調査報告書に書かれております。
 また、テストイベントの計画立案業務、先ほどお答えいただきましたけれども、二十六件のうち、六五%に当たる十七件は一者入札だったわけであります。一者入札だったけれども、価格交渉を必要に応じて実施し、全て予定価格以下で契約したと記載されております。
 また、初公判の証人尋問で、伊藤学司CFOは、受注調整により経費が増えたと思うかという尋問に対し、入札か、あるいは随意契約だろうが、価格が妥当か厳しく精査した、大会経費が膨らんだという指摘は当たらないと考えていると証言されております。
 また、都から組織委員会に派遣された関連職員からのヒアリングでは、この競技は、この事業者しか競技運営実績がないということは、スポーツ局の競技担当や国内競技連盟から聞いて知っていたと。
 また、一者応札の場合は調達部が所管部署に対し、委託内容や事業者の状況など厳しく検証した、ただ、大規模な大会運営に必要な経験やノウハウを持つ事業者は限られていたことから、一者応札という結果になっても違和感はなかったと、ヒアリングで意見も述べられております。
 また、先ほどの伊藤学司CFOは、証人尋問で、森さんは誰よりも強い責任感と思いで行ってしまったのだろうと。私利私欲や特定の企業のためということではなく、大会を成功させるための使命感だったと思う、組織委員会全体で彼に責任を課してしまった、組織委員会で仕事をした多くの職員は、同じ思いを持っているのではないかとまで発言をされたと聞いております。
 そこで、談合の対象とされているテストイベント計画立案等業務について、なぜ、競争入札にする必要があったのか、特命随意契約ではできなかったのか、改めて見解を求めます。

○川田政策企画局政策担当部長 組織委員会によりますと、テストイベント計画立案等業務については、組織委員会が計画するテストイベントの要件を把握し、適正なテストイベントを実施するために必要となる計画等を策定するに当たり、一定の技術力を有する企業を、コストを低減して活用することが可能であるため、総合評価方式の競争入札を採用したとのことでございます。
 また、当該契約に係る入札二十六件中、一者入札は十七件、二者入札は六件、三者入札は二件となってございます。
 なお、組織委員会における調達方式は、調達規則により、競争入札、複数見積り、プロポーザル、特別契約の方式により実施するものとされておりまして、調達管理委員会においては、経済合理性を踏まえた最適調達の実現などの観点から検討、判断することとなっております。
 なお、森元次長の初公判において、森元次長は、当初、テストイベントの全ての業務を包括して電通へ委託することを想定していたところ、企画財務局長より、業務を丸投げすると価格が高止まりする可能性があるとして反対された旨の検察側の冒頭陳述があったことは承知してございます。

○谷村委員 コストを低減するためには競争入札が必要であり、また、一定の技術を有する企業とするためには総合評価方式にしたということだと思いますけれども、今、森次長が、当初、テストイベントの全ての業務を包括して電通へ委託することを想定していたというお話がありますが、公判では、森次長の証人尋問ではなく、これは被告人質問ですね。被告人質問に対して弁護士から、知見を有する事業者に特命契約で任せることを上層部に説得や調整を行わなかったのかというふうに問われているんです。
 そのときに何と証言されているかというと、NF、国内競技連盟、団体に例えば事業を委託して、そこから専門業者に、競技によって全て運営の方法が違いますし、また、そのノウハウを持っている業者が違うわけですから、NFに一旦事業委託して、そこから専門業者に再委託するアイデアも、または、業者が見当たらない場合に限って競争入札をするアイデアも出したが、これは認められなかったというふうにもお答えになっているわけです。何とかできないかというご苦労をされているわけであります。
 ただ、調査報告書では、全ての入札価格が予定価格を超過した場合は、これに基づき価格交渉を行い、契約を締結していると。
 二十六件のテストイベント計画立案等業務委託では価格交渉を必要に応じて実施し、全て予定価格以下で契約を締結したと。一者入札が六五%ですけれども、予定価格以下で契約を締結したというふうに、この報告書でも記載をされているわけであります。
 入札方式は競争力が働くので、コスト縮減をされるという考え方はあるのだとは思いますけれども、組織委員会でいう、いわゆる特別契約、特命随意契約であっても、きちんとコストを見分けることで、今回の契約も対応可能であったのではないか。すなわち、談合事件も防ぐことはできたのではないか。これが三点目であります。
 そして、次の、この談合の初公判に関連してお尋ねしますけれども、この初公判において森元次長は、上司に報告していたか、そのときに指摘、注意はなかったのか。それに対して、リバイスした一覧表も見せながら報告した、受注一覧といわれている一覧表ですね。リバイスした一覧表というのは修正を加えた一覧表を見せながら報告をしたと。こういうことをやっていますよみたいな。
 そのときに指摘、あるいは注意はなかったというふうに答えております。この上司というのは誰かというのはお分かりでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 今、先生から公判におけるご指摘のありました部分については、森元次長に対する弁護人の質問でのやり取りと承知してございますけれども、その部分につきましては、上司が誰を指しているかということについては言及されておらず、不明と考えてございます。

○谷村委員 今後公判で明らかになるかもしれませんし、注目をしてまいりたいと思います。
 一方で、先ほどの質疑で、組織委員会の運営や契約に係る部署の幹部の方だけでも、都から多くの職員の方が様々な役職に就いておられたということは確認できました。この談合事件のきっかけとなりました発注予定事業者をまとめた一覧表を見ていた職員がいたと調査報告書には記載されております。
 これは談合調査、裁判に関係することかもしれませんが、森元次長が受注予定事業者をまとめた一覧表を作成していたという事実について、調査チームとして把握、確認をしておられるのか見解を求めます。

○川田政策企画局政策担当部長 森元次長の初公判におきまして、森元次長が一覧表を作成した旨の検察側の冒頭陳述があったということについては承知してございます。また、森元次長が、当該初公判におきまして起訴事実を認めていることは、調査チームとして確認しているところでございます。

○谷村委員 それでは、その一覧表を見た都の派遣職員がいらっしゃったわけですけれども、これはどなたなのか、お答えできるようであればお答えいただきたいと思います。

○川田政策企画局政策担当部長 森元次長の初公判におきましては、検察官から証拠の説明がございまして、都派遣の吉村大会運営第二局長の供述調書において、一覧表を見せられたが、外部に見せたら官製談合が疑われるので、まずいことになると忠告した旨の記載があったと承知してございます。
 また、同初公判におきまして、山下大会運営局長の名前は出ていなかったものと承知してございます。
 なお、組織委員会元幹部からのヒアリングにおきましては、これは調査報告書のヒアリングでございます、テストイベント計画立案等業務委託について、競技ごとに業者名が記載された一覧を見たことはあるが、それにより受注調整をしているとは思わなかったとの回答がございました。これに対して有識者からは、一覧表を見た職員がいたが、談合の認識があったことは確認できなかったとしてございます。

○谷村委員 調査チームのヒアリングの中でも、ヒアリングにおいては、テストイベント計画立案等業務について競技ごとに事業者名が記載された一覧表を見た職員がいたが、談合の認識があったことは確認できなかった。そして、競技ごとに業者名が記載された一覧を見たことはあるが、これ本人ですよね、それにより受注調整をしているとは思わなかった。
 そして、これは、その吉村大会運営第二局長の調書ですけれども、森さんより一括受注の意向を聞いたが、否定的意見を述べた、一覧表を見せられたが、外部に見せたら官製談合と疑われるので、まずいことになると忠告した、電通が多い、偏らないように伝えたという調書が紹介されております。
 さらに、これは、被告人尋問の、森元次長への質問に対する、まず吉村局長に一覧表を見せて状況説明したときは何をいわれたかという質問に対しての被告人の証言です。一、電通を多くするな、二、事業者のバランスを取れ、三、事業者から不満が出ないように、四、競技単位ではなく会場やエリアごとに考えるというふうにいわれたと。
 これは、森元次長の一方的な証言でありますけれども、もしここで官製談合をしようとしているという意図に気づいていれば、報告書では確認できなかったといわれましたけれども、何で確認できなかったかということまでは、この一覧表は見たけれども、談合という意識はなかったという報告書を今読み上げましたけど、でも、何で談合の意識はなかったかという理由まで書かれておりません。
 書かれておりませんので、ここでは取り上げませんけれども、外部に見せたらまずいことになると忠告するのではなく、ひょっとして談合、受注調整しているんじゃないのかということをもし気づいていれば、あるいは、それを制止していたならば、この談合事件というのは防ぐことができたのではないかというのが、これが四点目であります。
 報告書の、これは有識者の言葉ですけれども、コンプライアンスの仕組みは整備され、研修など職員のコンプライアンス意識を涵養する機会も設けられていたが、理解度は人それぞれであるなど、必ずしも奏功していなかったという、このコンプライアンスを守ろうという仕組みはあったけれども、必ずしも奏功していなかった、功を奏していなかったという、この表現に私はくみしませんけれども、ちょっといい過ぎではないかと思いますけれども、ただ、この一覧表を見せられた方が高いコンプライアンス意識を持っていて、その一覧表が何をするためのものなのかということを見抜いておられていれば、この談合事件は防止することができたのではないかと思います。
 ここまで今回の談合事件が発生した原因や背景について確認するため、組織委員会に対する都の関与や事件そのものに対して質問をしてまいりました。
 二年後には世界陸上の開催が予定されており、その後も国際大会の開催が見込まれております。今、都の関与、入札制度の方式、あるいは、テストイベント計画立案について特別契約あるいは特命随意契約であれば何とかなったんではないか、さらに、受注一覧を見せられた都の幹部の方のコンプライアンス意識がもうちょっとあれば、この談合事件は起こらなかったのではなかったのかという四つの問題点を指摘させていただきました。
 二年後には世界陸上の開催が予定されており、その後も東京都では国際大会の開催が見込まれております。今後の大会で東京都は同じ轍を踏むことは許されません。そうでなければ、財政的支援をする資格もないと思います。
 今回の調査結果をどう受け止め、具体例も交えて、どのように生かしていくのか、調査の陣頭指揮を取ってこられた潮田副知事の今後に向けた決意の披瀝を求めて、私の質問を終わります。

○潮田副知事 今、谷村副委員長から、るるご意見を賜ったところでございます。東京二〇二〇大会は、コロナ禍による一年の延期、無観客という前例のない困難な状況の中で、大会関係者、ボランティアをはじめ、多くの都民の皆さんのご協力を得て開催してレガシーを残すことができました。
 一方で、今回の事態を受け、調査を進めてまいった次第でございます。
 今回の調査では、組織委員会の体制や運営など、幅広い事項について調査を進めてまいりまして、その上、第三者である有識者により専門的な見地から抽出、分析をいただき、今後につながる貴重なご意見をいただいたものと考えております。
 具体的には、大会運営組織が実施する事業全体の支出を的確にチェックする仕組みや、都としての関与や監視を可能にする枠組みが必要であるとのご意見を賜りました。
 また、役員選考基準の設定や選考委員会などの仕組みを整備すること、公共性や公益性に鑑み、できる限りの情報公開に取り組むこと、各監査の相互連携機能を強化し、監査の実効性を高めていくことなどのご意見も頂戴したところでございます。
 これらの意見につきましては、事業実施とのバランスなども考慮し、各大会の運営組織において実施すべきか検討することが重要とのご示唆をいただいたところでございます。
 こうした様々な貴重な意見を生かしていくため、都は、国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインを充実するとともに、世界陸上におきましては役員選任の仕組みや情報公開、監査機能の強化などに反映をさせたところであります。
 国際大会の運営に当たりましては、二〇二〇大会の教訓を生かしまして、こうした事態を招くことがないよう、しっかりと取り組んでいくとともに、二〇二〇大会で培ってまいりましたバリアフリーの共生社会づくりの取組をはじめとした数々の大会のレガシーを、今後の東京の発展にも生かしてまいりたいと考えております。

○川松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたしたいと思います。
   午後三時二十一分休憩

   午後三時三十九分開議

○川松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○池川委員 私からも、東京二〇二〇大会テストイベントに係る談合報道に関する調査報告書について質問したいと思います。
 この談合は、直接的には、テストイベントの計画立案業務委託の入札の中で行われたものですが、このテストイベントの計画立案業務を受託した事業者が、その後のテストイベントの運営、さらには本大会の、要は最初の計画立案よりもはるかに大きな規模の事業の運営も特別契約、特命随意契約で受託できる、事業者にとっては、まさに芋づる式のような大きな利益が手にできる、それが期待できるものだったということです。
 裁判で検察が行った冒頭陳述によれば、テスト大会全二十六会場の実績額は四百三十七億円。談合した七社の粗利益は、一社当たり約六億円から五十二億円で、他のスポーツ大会と比べれば高い利益率だったということが述べられています。
 今回の報告書の中には、談合のような不正が起こったことは都民の信頼を損ねるものであるというふうに記述をされていますが、東京都の税金が大会経費だけで約六千億円投入され、国家的事業として行われたオリ・パラ大会が、不正、談合や受託贈収賄の温床になっていたという事実に対して、都民の信頼を取り戻すには、都として真相を解明し、徹底的な検証をする必要があるというふうに思います。
 また、これは監査事務局が行った報告によると、東京都から一千百十三人もの職員が派遣をされていた、そうした組織で起こった問題としても、しっかり検証する必要があるというふうに思います。
 最初に、森元次長が談合に当たり作成されたとされる受託予定事業者の一覧表について伺いたいと思います。
 森元次長が一覧表を作成したという事実については、調査チームとしてはどのように確認をしたんでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 森元次長の初公判において、森元次長が一覧表を作成した旨の検察側の冒頭陳述があったと承知してございます。
 なお、森元次長が初公判において起訴事実を認めていることは、調査チームとして確認しております。

○池川委員 元次長が裁判で起訴事実を認めているのは確認したということですね。
 都から派遣されていた職員の中にこの一覧表を見た職員はいたのか、報告書作成に当たり、調査チームでヒアリングをした都職員の中にそうした方がいたか、確認をしたいと思います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 報告書における都より組織委員会に派遣された関連職員とは一般職員のことでございますが、そのヒアリングにおいて一覧表を見たという回答はございませんでした。

○池川委員 確認になりますが、見たか見なかったかという設問があって、それへの回答としてなかったという確認をしたのか、もしくは、具体的にそうした発言をされた、ヒアリングをされた方がいなかったということなのか、その点だけ確認させてください。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 報告書におけます都より組織委員会に派遣された関連職員、一般職員の中では、そのヒアリングにおいて一覧表を見たという回答はございませんでした。

○池川委員 つまり、聞いていたということではなくて、聞いた職員の中からは、そういう発言はなかったというふうに受け止めました。具体的に見たという、一般職員の中には見たということはなかったということですね。これは調査報告に記載がありませんので、確認をしておきたいというふうに思います。
 では、組織委員会の幹部、局長や次長級以上だった職員についてはどうか。調査報告書の四八ページには、一覧を見たことはあるが、それにより受注調整をしているとは思わなかったという旨の発言が記録をされています。
 これは、具体的にお一人から得られた証言なのか、それとも複数の方が見られたのか、その点どっちでしょうか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 本ヒアリングにつきましては、誰が回答したのか、個人名、事業者名等が特定されないことを前提として、任意でご協力いただいた上で調査を行っているものでございます。

○池川委員 この発言があったのがお一人なのか複数だったのかについては、個人に関わるからいえないと。複数見た人がいるかどうか、一人だったのかって、大事な問題だと私は思うんですね。
 今年二月十六日付の毎日新聞の報道と見比べると、これは、当時、大会準備第二局長であった、今年三月に都を退職された吉村元財務局長の発言なのではないかということが推察されます。
 私たちは、この一覧表を見ながら談合に気づかなかったのかという問題について、第一回定例会の本会議、予算特別委員会でこの問題を厳しくただしてきました。そうしましたら、先日、森元次長が裁判の被告人質問の中で、受注調整は、その状況について上司に報告をしていた、一覧表を見せながら報告していたという旨の話があったんですね。これは八月二十六日付の朝日新聞の報道によるところです。
 これ、組織委員会元幹部の方が、一覧表は見たけど受注調整とは思わなかったという証言と、一覧表を見せて説明してもらったという表現と、明らかに食い違いがあるというふうに思いますが、どうでしょうか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 元幹部からの聞き取りによりますと、競技ごとに業者名が記載された一覧を見たことはあるが、それにより受注調整をしているとは思わなかったとの回答がございました。
 これに対して有識者からは、ヒアリングでは、テストイベント計画立案等業務について、競技ごとに事業者名が記載された一覧表を見た職員がいたが、談合の認識があったことは確認できなかったとされております。
 なお、誰が回答したのかにつきましては、個人名、事業者名等が特定されないことを前提としてご協力いただいているものでございます。

○池川委員 これ、明らかに正反対のことをいわれているんですよね。これは七月五日の初公判のやり取りで、もしかしたら都の職員の方も傍聴に行かれたかもしれません。
 こういう矛盾に、調査報告書が最終的に出たのは七月中旬ですから、初公判はその前に行われた、明らかに矛盾しているなと感じなかったんでしょうか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 本調査につきましては、どなたが回答したのかについて、個人名、事業者名等が特定されないことを前提として、任意でご協力いただいているものでございます。

○池川委員 任意でご協力いただいていることと、実際に調査チームが聞いたことと違う証言が一方出ているということについて、疑問を持ってちゃんと調査するというのが必要だというふうに思います。
 この報告書は、初公判で述べられた事件の経緯なども記載されておられます。当然、初公判は都としても詳しく把握しているということなんだと思うんですね。これ、かなり詳細に記録がこの報告書の中に載っていると。
 にもかかわらず、同じ初公判で語られたこのような重要な発言、森元次長は、組織委員会の元幹部、上司に対して一覧表を見せていたんだということについて、調査報告書の中できちんと触れていないというのはなぜでしょうか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 談合事件につきましては、既に関係者が起訴されておりまして、公判の中で事実関係が明らかになるものと考えております。
 なお、私どものヒアリングにおきましては、元幹部からの聞き取りにおいて、競技ごとに業者名が記載された一覧を見たことはあるが、それにより受注調整をしているとは思わなかったとの回答を得ているところでございます。

○池川委員 つまり、ヒアリングで聞いたことはそのとおり書かれているわけですけど、実際にそれとは違う話が出てきたときに、きちんと検証するというのは当然のことだというふうに思うんですよね。
 この朝日新聞の報道によると、受注調整することは組織委員会内で暗黙の了解だったというふうに記載があり、森元次長自身はトカゲの尻尾切りをされたのではないかと報道しています。
 これは突き詰めていうと、森元次長以外の組織委員会幹部も知っていたのに、森元次長だけにその責任を押しつけていたのではないか、そういうことが疑われる、そういうことをきちんと検証しなければ、やはり都民の信頼は回復できないというふうに思うんですね。
 やっぱり曖昧にせず、様々な疑念が出ているわけですから、再度きちんと調査を行うなど、ヒアリング実施を含めてやる必要があるんじゃないか。いかがですか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 今回の調査につきましては、個人の責任、違法性の追及を目的としているものではございません。組織委員会のコンプライアンス、ガバナンス等の課題等を確認するために行ったものでございます。

○池川委員 今の質問は、様々な証言に違いが出たときに、どちらが真実なのか確認する必要があるんじゃないですかという質問なんですけど、いかがですか。

○川田政策企画局政策担当部長 今回の報告書におきましては、検察側冒頭陳述によると、都から組織委員会に派遣された職員に刑事事件の対象者は存在しなかったと認識してございます。

○池川委員 刑事事件の話じゃなくて、これ後でいいますけど、損害賠償を含めて関わる問題なんですよ。これは、やっぱり違う証言だというふうに認識しているのであれば、全く違うんだというふうに認識しているのであれば、きちんと調査するのは当たり前だというふうに思います。
 しかも、これは最終報告を出す前に明らかになった事実であって、その事実をやっぱり確認した上で報告書を出すべきだったというふうに思うんですね。これは開催都市として、組織委員会で起こった様々なこうした問題、不祥事を反省し、きちんと襟を正して信頼回復するということが必要にもかかわらず、そういうのには蓋をしていくような対応をしていては、やっぱりよくないと思います。
 しかも、談合について知っていたかどうか、黙認していたかどうかは、単に事実解明や次に生かすというだけの問題ではなくて、その点でこの報告書が、さっき違法性の追及、個人の責任追及を目的とするものではないというふうに繰り返しいわれているんですけど、こうしてしまったこと自体にやはり課題がある、問題があるというふうに思います。
 これは一般的に、公務員の身分を有したまま東京都などから派遣された場合、明確な規定はありませんが、免職に相当するもの、東京都の処分の方法で、こういうものについては東京都がきちんと最終的な処分をすることになる、そういうパターンもあると。東京都の懲戒処分の指針によると、入札談合等に関与する行為は、免職または停職と極めて重い処分になるというふうにされています。
 組織委員会が策定したコンプライアンス規程、さっきコンプライアンスの話が大事なんだという話がありましたけど、これ、一条の目的で、法規等を遵守、尊重することにより、当法人が社会的信頼を確保すると書かれている。
 十三条の構成員の責務では、二項で、構成員は、常にコンプライアンスに違反する行為を行ってはならず、また、他者との間でコンプライアンスに違反する行為を共謀、指示、支援、幇助、教唆、示唆または黙認する行為を行ってはならないとし、さらに、三項で、コンプライアンス違反を未然に防止すること、違反を誘発する要因を取り除くことを定めています。
 さらに、役員及び職員の責務、これ十四条ですけど、コンプライアンスに違反する行為を行っていることを知った場合、適切な措置を取らないためにコンプライアンスに違反する事態を招くおそれが生じた場合は、当法人の規程等に従い、その事実を通報しなければならないと。
 いろいろ、このコンプライアンスに関わって、きちんと高い意識を持ってやりなさいと。これはエンブレムの事件を受けて、こういうふうに規定がなっているわけです。
 構成員とは、組織委員会の役員、職員、名誉会長、顧問会議構成員、専門委員及び参与というふうになっていて、いわゆる組織委員会に関わる全体の職員、そうした方々を想定する規定になっていると。
 こういうものがきちんと機能していなかったんだというふうに調査チームとしては認識しているんでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 今回の報告書における有識者の意見でございますけれども、ガバナンス等につきましては、内部監査部門を事務総長直轄組織にする、あるいは独立性、透明性を高める、牽制機能の強化を図った、これはエンブレム問題を通じてやっていることでございます。
 また、監査室や法務部を経営会議に参加させることで、監査及び法務両面での牽制機能も強化されてございます。
 ただ、今回の報告書におきましては、有識者からは、結果的には不正防止、こういった独占禁止法の不正に対してということでございますけれども、そういったことに対しては十分には機能しなかったのではないかということがいわれているということでございます。

○池川委員 今、有識者の意見として答弁されたんですけど、都が出した調査報告書なので、調査チームとしては当然同じ認識だと。有識者の意見として今話されたけれども、調査チームとしてはそういう認識でいるということでよろしいですか。

○川田政策企画局政策担当部長 今ご答弁申し上げましたけれども、ガバナンスにつきましては、旧エンブレム問題を契機といたしまして、監査室、法務部などを設置し、経営会議に参加させて、機能を強化していたというところでございます。
 しかしながら、有識者からは、結果的には事業の実施が優先され、不正防止の観点では相互牽制が十分に機能しなかったのではないかという意見が示されているところでございます。

○池川委員 質問に答えていただけないんですけど、都が出した報告書なので、都がそういう認識だというふうに思って話を進めたいと思います。
 一般論として、都の公共事業で談合が行われ、職員の関与が疑われた場合、職員へのヒアリングというのは、違法性や個人の責任についても明らかにすることが必要だと思いますが、どう対応していますか。

○末村政策企画局総務部長 一般論としてでございますけれども、職員へのヒアリングの目的は、当該事案の状況等によりまして様々であるというふうに認識をしております。

○池川委員 それは様々なんですよ。職員の関与が疑われる場合、この場合はどう対応しているのか、改めてお答えください。

○末村政策企画局総務部長 職員による非違行為が発覚したときには、事実関係を速やかに調査して、正確な事実を認定した上で厳正に対処するということでございます。

○池川委員 職員で談合の関与が疑われる場合に、今いわれたとおり事情聴取をちゃんと行い、事実を解明して、関与したことが明らかになった場合は、その度合いに応じて懲戒処分が下されると。また、談合した企業とともに、個人に対しても損害賠償の責任が生じるということになるんですね。
 実際に過去の談合では、職員の処分に対して損害賠償請求をした例もあります、個人に対して。そういう意味で、個人の責任の問題というのは決して曖昧にできないというふうに思うんですね。
 では、都の公共事業ではなくて、組織委員会への都職員派遣の形態と同じように、都の公務員としての身分を有したまま別団体に派遣をされ、派遣先で談合に関わった場合はどのような対応になるか。これもいわゆる一般論でお答えいただきたいと思います。

○末村政策企画局総務部長 一般論でございますけれども、派遣職員が派遣先で行った行為につきましては、派遣先団体において事実関係を確認することとなると承知しております。
 また、職員による非違行為が発覚した場合には、派遣先団体からの要請に基づきまして、事実関係を速やかに調査し、正確な事実を認定した上で厳正に対処するとしております。

○池川委員 派遣先団体において、まず事実確認する、そのとおりだと思うんですね。しかし、その後の対応については、派遣先と東京都で相談をして、派遣されていない職員ときちんと均衡ある対応をするというふうに聞いています。
 今回の場合も、組織委員会は既に解散をしてしまっていて、派遣された都の職員というのは、基本的には退職されていない限り東京都に戻ってこられているというわけですから、東京都で対応するというのが当然だというふうに思います。
 しかも、東京都の懲戒処分の指針によると、入札談合に関与する行為は、先ほどもいったとおり、免職または停職と極めて重い処分になっており、派遣先での行為だからといって免罪してよいというふうにしてしまってはならないということなんですね。また、損害賠償の責任というのは、都を退職しても当然負うべきものになるというふうに思います。
 今回の調査報告書は、初めから職員の責任を問うつもりがなく、免罪してしまっていると。談合に関する調査なわけですから、誰かが関わっている可能性があるという目で調査をしなければ駄目なんだと思うんです。
 談合による排除命令が出たら損害賠償請求を行っていくと、これも本会議で答弁していますけど、誰に対して請求するのかについても、正しく行えないということになるんじゃありませんか。

○川田政策企画局政策担当部長 今回の調査目的でございます。
 調査目的につきましては、組織委員会が発注したテストイベントに係る業務の契約等について、都の調査チームが組織委員会の契約手続及び意思決定過程等の確認を行う、その確認結果に基づき、外部有識者が専門的見地からガバナンスやコンプライアンス等について課題を抽出、分析するものということでございます。

○池川委員 目的はそうなんです。それが目的がどうだったのかということも含めて聞いているんですよね。
 これは今いったとおりで、損害賠償請求を今後行っていくというふうに答弁されているわけですけど、その範囲をどうするのかということを確定するに当たって、きちんとその事実関係を都として調査するということは当然必要なんじゃないですか。これやらなかったら、まともに損害賠償請求できない可能性があるというふうに私は思うんですね。
 その点について、やはりきちんと調査、検証を行うことを強く求めておきたいというふうに思います。
 次に、事業者選定審査会について伺っていきたいと思います。
 テストイベントの談合は七社で行われ、二十六会場に対して割り振られた会場以外の会場には入札参加しないと合意形成がされたというふうに報道されています。一方、報告書には、二十六会場のうち、一者入札が十七件、二者入札が六件、三者入札が二件、入札なしが一件だったというふうに記載され、全体としては、受注について二十五会場が談合に関わった七社が獲得しているということになっています。
 テストイベントの計画立案で、会場ごとの事業者を具体的に選定したのが、この事業者選定審査会ということになります。応札企業の企画提案や入札金額に直接触れ、審査する立場にあったと。
 実際に事業者選定がどのように行われたのかについて、きちんと不自然な点はなかったかなど、審査会のメンバーは談合調査の要となる情報を持っている可能性があるというふうに思うんですね。ところが、その職員の職名というのは、今回の調査報告書、当面のときに出された資料も含めて非公表となっていると。事業者選定審査会の委員の役職がなぜ非公開になっているのか、また、この事業者選定審査会の中に都から派遣されていた職員というのはいたのかいなかったのか、その点についても併せて伺いたいと思います。

○川田政策企画局政策担当部長 事業者選定審査会についてでございます。
 これにつきましては、個人が特定されることで、特定の職員が関与の有無にかかわらず談合事件と関連づけられるおそれがあること等から、清算法人から具体的な職名は提供されなかったものでございます。
 なお、都から派遣された局長級の職員で事業者選定審査会の構成員となっているのは山下局長でございます。

○池川委員 これは都として、今のは判断をして答弁をしたと。つまり、組織委員会の清算法人からは、全て伏せられたものが提示をされたんだけど、しかも、それは今答弁あったとおり、個人が特定されるという理由で。
 山下局長、当時、多分大会運営局長だったときにこのメンバーだったと思うんですけど、その山下局長は、本来であれば全部黒塗りで誰か分からないところを、改めてどうやってそれをつかんで、都は、今そういうふうに答弁されたんですか。

○川田政策企画局政策担当部長 今般、本審査会における派遣職員等について清算法人に確認いたしましたところ、都における局長級以上の方の氏名について、清算法人から提供があったものでございます。

○池川委員 これは、都側が改めて確認をしたところ、清算法人からきちんと、都のいわゆる局長級の職員については、照会に対して応じて、山下さんがその対象でしたよということが明らかになったと。
 これ、もう一つ聞くんですけど、さっき、談合に関わった有無にかかわらず個人が特定されることについて課題があるという話だったんですけど、個人が特定されると、具体的にじゃあどういう問題が起こるというふうになっているんでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 繰り返しのご答弁になって恐縮でございますが、個人が特定されることで、特定の職員が関与の有無にかかわらず談合事件と関連づけられるおそれがあること等から、具体的な職名は提供されなかったものと認識してございます。

○池川委員 だけど、山下元局長の名前は、今、財務局長の名前は提供されたと。
 具体的にいうと、もう一つ聞くと、東京都としては、基本的には清算法人に職名を明らかにしてほしいというふうに交渉した上で、結果としては現在黒塗りだけど、幹部職員、局長級の職員についてのみ明らかになったということなのか、局長級がいたのかという問合せで明らかになったのか、そもそも都の調査チームのスタンスとしては、全体を明らかにすべきものなのだという立場――さっきのご説明というのは、清算法人からのご説明だと思うんですよね、個人が明らかになることによって云々というのは。都の調査チームの立場としてはどっちだったんですか。

○川田政策企画局政策担当部長 調査報告書の中で、都からの質問事項に対する清算法人の回答等ということで、報告書の中には記載してございます。その中で、テストイベントの計画立案等業務委託契約についてということで、事業者選定審査会の委員は誰かということで、これは清算法人に伺ったということでございます。
 それに対しまして、先ほど来ご指摘等ございましたけれども、局名は記載してございます。これにつきましては、構成員については個人が特定されるおそれがあるため、具体的な職名は清算法人の方から提供されず、所属局のみが清算法人より提供されたと報告書に記載しているとおりでございます。

○池川委員 つまり、都としては、誰かと聞いているということは、具体的に答えを求めたけれど、清算法人の方が、それは全部明らかにできないよということだったと思うんですね。
 じゃあ、都の調査チームのヒアリングの中では、この事業者選定審査会のメンバーだったかどうか、また、誰が事業者選定審査会のメンバーだったかについては確認されたんでしょうか。これは都派遣職員、都の元組織委員会幹部職員を含めて確認したんでしょうか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 本調査目的でございますが、組織委員会が発注したテストイベントに係る業務の契約等につきまして、都の調査チームが組織委員会の契約手続及び意思決定過程等の確認を行います。その確認結果に基づき、外部有識者が専門的見地からガバナンスやコンプライアンスについて課題を抽出、分析するものでございまして、そのためにヒアリングを行ったものでございます。
 ヒアリングによって聞き取りました内容は、全て有識者に提供しておりまして、その確認も経て、個人が特定できる内容であるとか、分からない、知らないといった回答を除きまして、全て報告書に記載しているところでございます。

○池川委員 都として、誰がこの事業者選定審査会のメンバーだったかという問いを立てて清算法人には投げていると。つまり、これは重要な要素だったということだと思うんですね。
 それが、清算法人から提供されなかったことで、ヒアリングの中で、誰か関わっている人はいませんか、もしくは知りませんかということを聞くというのはやっぱり必要だと思うんですよね。そういう意味で、この問題をどうやって本気で事実解明するのかということの姿勢が問われる問題だと思うんです。
 これ、本当に談合の事実を解明しよう、何が起こったかについてきちんと検証しようというふうに思うならば、やはり事業者選定をどう行ったかというのは、森元次長が全部絵を描いて進めていたことに対して不自然さを感じなかったのか。
 例えば、二者、三者の応札者があったにもかかわらず、結果的には談合した七社がほぼ二十五会場、ほとんどを受注していることは一体なぜなのか、事業者選定審査会がどういう関わりがあるのか、やっぱり解明することが必要だというふうに思うんですね。
 これを解明できないまま、黒塗りの設置要綱で現在いて、一人だけ都の幹部職員が関わっていたということが明らかになったわけですけれども、明らかになった幹部職員に事情を尋ねるということもやっていないということでしょうか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 本調査のヒアリングの主な質問の項目の中で、テストイベントに関する意思決定プロセス、入札の経過、あとは契約に関する情報管理、業者との接触状況などについてもヒアリングを行っているところでございます。
 なお、本ヒアリングにつきましては、誰が回答したのかにつきまして、個人名、事業者名等が特定されないことを前提として行っているものでございます。

○池川委員 個人名を特定されないようにやったとしているんですけど、さっき組織委員会、清算法人から具体的に幹部職員の名前が提供された。それはきちんともう一度確認するとやはりやらないと、実態解明できないというふうになっちゃうと思います。この点について、やはりどうやってこの問題をきちんと明らかにするのかという姿勢が問われているというふうに思います。
 清算法人の体制について伺います。
 現在、組織委員会の清算法人の職員数というのは何名か、そのうち都からの派遣職員は何人でしょうか。

○末村政策企画局総務部長 清算法人の職員は、八月一日現在で九名であり、いずれも都からの派遣職員でございます。

○池川委員 つまり、全員が都派遣職員だということですね。しかも、清算法人の清算人というのは、元組織委員会事務総長の武藤氏、副事務総長の布村、佐藤、山本の三氏、四人だということです。その中の佐藤氏、山本氏というのは、東京都の副知事経験者ということで二名、半分含まれていると。
 さらに、現在の評議員は潮田副知事、さらには中村副知事が就かれていて、監事には会計管理局長というふうになっています。
 この事業者選定審査会の役職を出さないと判断したのは、一体清算法人の誰なんですか。

○川田政策企画局政策担当部長 繰り返しのご答弁になりますが、個人が特定されることで、特定の職員が関与の有無にかかわらず談合事件と関連づけられるおそれがあること等から、清算法人から具体的な職名は提供されなかったものでございます。

○池川委員 今聞いたのは、なぜ提供されなかったかではなくて、どのレベルの意思決定で提供しないことを決めたのかは確認されたんですか。先ほどいったように、今、組織委員会清算法人の職員というのは全員都の出向職員ですよ。メンバー、清算人も半分は都の関係者ということになっているわけですから、どのレベルの決定で提供されないことになったのかについては把握をされているんですかという質問です。

○菅原政策企画局政策部長 こちらにつきましては、清算法人が組織として判断したものというふうに理解をしております。

○池川委員 組織として判断したということは、ほとんど都の職員がそういう判断をしたということになるわけですか。それとも、清算人が決めた、派遣職員である都の職員が決めた、それについても把握はされていない。どうですか。

○川田政策企画局政策担当部長 組織委員会という組織は、都とは別の法人でございます。その運営についても、その財団法人としての法令や定款に基づき行うと。決定についても、その法人としての決定を行うということでございます。法人として別、組織運営が別ということと認識してございます。

○池川委員 それはそのとおりなんです。別法人なんです。ただ、どのレベルでの決定でこれを黒塗りにして出したのか、役職名を公表しなかったのかについては、やっぱりつかむ必要があると思うんですね。
 これ、きちんと都として誰が関わったのかが設問として立っていて、それについてはきちんと答えてほしいというボールを投げたけれども、今現時点では、それが明らかになっていない。これ、やっぱり本当に解明しようと思ったら、評議員というのは大変重い責任がありますよ。
 評議員として潮田副知事からそういう助言をすることだってできるんじゃありませんか。どうですか。

○菅原政策企画局政策部長 先ほどもご答弁いたしましたが、組織委員会、清算法人、別法人でございます。その清算法人が組織として判断したものというふうに我々は理解しております。

○池川委員 私、やっぱり本当に解明しようと思ったら、評議員の権限も含めて、きちんと解明していく方向でアクションを起こすべきだというふうにいっておきたいと思います。
 事業者選定審査会の委員も明らかにして、経緯を明らかにしていくことが必要だと。先ほどの一覧表の問題についても、事業者選定審査会の委員の職名にしても、談合の事実解明の中心部分だというふうに思うんですね。ここをはっきりさせない都の調査チームの姿勢は、やっぱり問われるというふうに思います。今からでもここは明らかにしていく必要があると。
 付け加えていえば、報道によると、当時の副事務総長の一人にも受注予定業者の一覧表が見せられたというふうな報道もあるということなんですね。これ、都の元副知事だということも報道では明らかになっています。
 清算法人の幹部にも、やはりこの問題が全て明るみに出たら困る人がいるのではないかと疑ってしまう事態になるという点についても、これは一言いっておきたいと思います。
 さらには、談合の初公判の報道を見て、私、本当に驚いたのは、森元次長が入札情報を漏えいしたというふうにされている部分です。具体的には、有明BMXコースの入札は、受注予定だった電通だけでなく、大手広告ADKも応札したと。
 森被告は、電通が受注できるよう、ADKが組織委員会に提出した企画提案書や入札価格が書かれた見積書を電通の逸見被告に手渡したと。森被告、森元次長が、ADKが入札をした時点でそれを開札する前にその内容を見ることができた、しかも、その情報を電通に手渡したということが書かれています。
 これ、通常の入札であれば、開札するまで、たとえ発注者側の職員であっても、その入札の金額等については見ることができない。これは当然だと思います。これは東京都に仕組みを確認しましたが、総合評価方式で、まず第一段階のステップとして技術点を審査する。その時点では、価格というのは明らかにされないまま審査が行われる。その技術点の確定した段階で初めて価格が開いたことによって、合計でどの業者を選ぶかを決めるというふうになっていて、事前に入手できたという仕組みそのものは、本当に驚くべきことだと思うんですね。
 こういう仕組みになっていたというのは、決定的だと思うんです、この談合を進めていく上で。何でこういうふうになっていたのかについては、調査チームとしては調べたんでしょうか。

○菅原政策企画局政策部長 談合事件につきましては、既に関係者が起訴されております。公判の中で事実が明らかになるものというふうに認識をしております。

○池川委員 さっき谷村副委員長の質疑のやり取りの中でも、都の契約の方法について参考にしてやったんだという話がありました。
 東京都の入札の制度は、さっきいったように、総合評価の場合は価格点は最初に明らかにされないわけです。それどころか、そもそも入札に札を入れた時点で中身が全部見えてしまうような仕組みになっていたとすれば、この談合が何で起こったのかについて解明する上ではとても重要ではないかというふうに思うんですが、その点については、裁判で争っている話じゃないんですよ、これ。どういう仕組みの下で談合が行われてしまったかという、今回の調査チームが本当は調べるべき案件だというふうに思うんですけど、その点については、きちんと調査されたのか。もしくは、きちんとやっぱり調査する必要があるというふうに思うんですけれども、改めて伺います。

○菅原政策企画局政策部長 談合事件につきましては、既に関係者が起訴されておりまして、お話しになられました事項につきましても、公判の中で事実関係が明らかになるものというふうに認識をしております。
 また、先ほどお話ございましたが、組織委員会でございますが、大会を着実に進めていく運営組織でございます。その組織委員会が事務を進めるに当たりましては、国や東京都、民間、そうした制度を参考にしながら、大会を着実に行うために最も最適とする、そう考えられるシステムを採用してきたというふうに考えております。

○池川委員 それが最適じゃなかったわけですよね。それは、きちんとこうしたものを解明できないまま推移してしまったら、やっぱり仕組みとして、オリンピックと同じぐらいの大会というのが行われるかどうかというのは分からないですけど、仕組みとして何に問題があったのかをはっきりさせておく必要があるというふうに強く思います。
 入札手続の中では、組織委員会では企画財務局の調達部が行うとされていて、大会準備運営局の森元次長が審査前に入札情報を持ち出すことができたというのは、単独で本当に行えたんだろうかということもあります。
 つまり、この情報を渡した、森さん一人でやれたのかというと、そんなことなかなか難しいんじゃないかなと推察できるわけですね。その点については、きちんとこういう問題について明らかにする必要があるんじゃないですか。

○川田政策企画局政策担当部長 調査におけるヒアリングにおいては、契約に関する情報管理、あるいは業者との接触状況等についてはヒアリングしてございます。
 その中で、機密情報には閲覧制限や施錠管理を実施しており、限られたメンバーだけの共有にとどめ、使用後はすぐに裁断するなど厳格に管理していたというヒアリング結果を得てございます。

○池川委員 そのヒアリングで聞いたのとは違う状態が存在をしていたということだと思います。
 そもそも、やっぱり企画提案書や入札価格が事前に分かってしまうようなことになっていたということ自体、重大な問題だというふうに思います。どんな仕組みであったのかについて、やはり改めてこの制度がどうだったのか検証することが必要だというふうに思います。
 都の派遣職員の役割についても伺いたいと思います。
 まず、最大千百十三人とされる都派遣職員の人件費は総額でどの程度であったのかについて伺います。

○末村政策企画局総務部長 令和四年度までの実績といたしまして、決算ベースで約三百八十億円となっております。

○池川委員 大会経費の都の負担額約六千億円に加えて、都派遣職員の人件費としては約三百八十億円だということですね。
 組織委員会の役員及び職員は、国の特措法により、みなし公務員とされていましたが、なぜそういう規定になったのか、その意義について伺います。

○末村政策企画局総務部長 組織委員会の役員及び職員は、オリンピック・パラリンピック特別措置法第二十八条におきまして、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすとされております。
 この意義につきまして、国は、東京大会は極めて高い公共性、公益性を有するものであり、組織委員会の業務遂行については高い公正性、適正性が求められることになるから、過去のオリンピック競技大会等の例に倣い、みなし公務員規定を置くこととしたとしてございます。

○池川委員 組織委員会の業務遂行は、高い公正性、適正性が求められるから、みなし公務員にしたということです。
 では、開催都市として組織委員会に都職員を派遣した理由、それから期待する役割というものはどういうものだったんでしょうか。

○末村政策企画局総務部長 開催都市の都と大会実務を担う組織委員会とが強い連携の下、円滑に大会準備を進めるべく、組織委員会に職員を派遣し、幅広い知識、経験を生かすとともに、調整役としての役割を期待したものでございます。

○池川委員 調査報告書でも八ページに、都の政策の推進を図る観点から連携を強化するとともに、都職員が有する専門知識や能力を活用することとした。派遣職員には、開催都市の都と大会実務を担う組織委員会との強い連帯の下に、円滑に大会準備を進められるように幅広い知識、経験を生かすとともに、調整役としての役割が期待されていた。こうした観点から、要所要所に局長級、部長級の幹部職員を派遣し、重要な事項の決定に関与したというふうに記述されています。
 都が有する専門的な能力というのは多岐にわたると思うんですが、その一つに、地方公務員の身分を有して行っている。公共的な事業を、公平、公正に進めるというものも当然含まれているというふうに考えますが、そういう力も求められていたというふうに考えていいでしょうか。

○末村政策企画局総務部長 都職員につきましては、その有する専門知識、能力、経験を活用するために派遣されたものでございます。

○池川委員 その発揮するべき力の中に、やっぱり公平性、公正性というのも当然必要な、もちろん当然、そういうものも期待して派遣をしたということだと思います。
 組織委員会の全体がみなし公務員として活動していたわけですから、みなしではなく、地方公務員の身分を有していた都職員が、公共性、公益性を重視して公平、公正に事業を進めることができる、そのためのルールや仕事の進め方について、都の職員の皆さんは、まさにリーダーシップを発揮することが期待されていたというふうに思います。
 幹部職員については、要所要所で重要な決定に関与したということですが、ここでも当然、公正、公平に進めることが求められていたと。
 しかし、実際には、一者入札が十七件であったにもかかわらず、その実態については、調達管理委員会でまともなチェックがなかなかされていなかったんじゃないか、テストイベントの計画立案業務が、その後、受注をした企業に約束されていくなど、その問題が深刻だったんじゃないか、この一者入札が深刻だということは、専門家の皆さんの指摘の中にも書かれています。
 さらには、入札方法について総合評価方式を導入していたにもかかわらず、事業者選定審査会が技術点を評価する一次審査の段階で、先ほどもいいましたが、入札した金額まで明らかになっていることは、本当にゆゆしき事態だというふうに思います。
 報告書でも、有識者が、第一審査の段階で既に入札金額が判明していることは、審査会の審査の公平性に疑いを持たれてしまうというふうに指摘をされています。こうした入札の状況について、都職員がより公正な制度にする提案を行う必要があったんじゃないでしょうか。

○菅原政策企画局政策部長 組織委員会に派遣された都派遣の職員、これは法令及び定款等に基づき、それぞれの職務を遂行してきたものというふうに認識をしております。
 先ほどもお話し申し上げましたが、組織委員会は大会運営を担っている組織でございます。その組織委員会が都、国、民間等の制度を参考にしながら、大会を着実に行うために最も適すると考えられる、そういうシステムを採用してきたものというふうに考えております。

○池川委員 都の職員が、本来は公正な制度に直すよう様々提案すべきだったというふうに思います。
 東京都では、当然ながら審査会で技術点を審査した上で開札を行い、その後金額を明らかにする仕組みとなっており、こうした方式を採用していなかったことは、やっぱり提案すべきだったというふうに思いますね。
 加えて、技術点の在り方についても、過去の開催実績が技術点七十点のうちの三十点と大半を占めていて、これは特定の業者に有利に働くような仕掛けとなっていたということについて、これは有識者からも指摘をされていますが、これはやっぱり否定できないと思うんですね。
 落札率及び入札経過調書についても明らかになっていない。この点についても明らかにする必要があると思いますが、いかがですか。

○川田政策企画局政策担当部長 テストイベント計画立案等業務委託の落札率につきましては公表されておりません。個々の契約について落札率から予定価格が類推されてしまうおそれがあるため、公表していないということでございます。

○池川委員 入札経過調書等について、今後のガイドラインの中ではきちんと公表していく必要があるんじゃないか、きちんと明らかにしていく必要があるんじゃないかということがガイドラインの中に記載されているというふうに思います。この点についてやはりきちんと反省をして、明らかにするということを前提に、様々な制度をつくっていくということが必要だったということを厳しく求めておきたいと思います。
 今回、調査チームが行った職員や元組織委員会幹部の職員、受注業者へのヒアリングというのは、組織委員会に派遣されていない政策企画局の幹部と記録担当、有識者で行かれているというふうに思います。組織委員会に派遣されていない職員が聞き取りに行くとしたのはなぜでしょうか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングは組織委員会に派遣された経験のない職員三名で実施しております。ヒアリングの目的の中に、対象者から率直な意見をいただき、職場の実態を十分に把握するというところがございましたので、そのような体制で行っているところでございます。

○池川委員 つまりは、内情を知っていると、例えばあえて質問をしないということができてしまう可能性があったり、そもそも公正性、本当に公正に調査されたのかどうかに疑念が湧く可能性があったから、派遣したことのない職員にしたと、そういうことだと思うんですね。
 その点で、やっぱり調査チームのリーダーである潮田副知事自身が、元オリ・パラ準備局長、組織委員会元理事、そして現在は清算法人の評議員である利害関係者、当事者ですよね。直接関係者が調査チームのトップというのは、やっぱり客観的に公正性が疑われることになるんじゃないかというふうに思います。
 東京都自身が損害を被っており、さらには都派遣職員が非違行為を行っていたかどうかについての踏み込んだ調査を行うことが求められているときに、トップがまさに関係者、組織委員会に関わりのあった方でいいのかどうか、これは本当に問われる、この調査チームの存在そのものが問われるというふうに思います。
 この点について、これは以前の代表質問でも、その点厳しく指摘をしました。こういう問題も含めて、今日、質疑いろいろ重ねてきましたが、やはりまだまだ検証すべき問題はたくさんあるというふうに思っています。
 談合についても、調査チームが個人の責任は追及しないというふうにいってやっていることを考えれば、本来はこの特別委員会に、例えば参考人として組織委員会に派遣されていた幹部職員を呼んで、きちんと事実関係を明らかにすることなど、質疑を行う必要があるんじゃないかというふうに思います。
 私たちは、引き続きこの疑惑の解明、徹底的な検証を行うこと、これが必要だということを改めて表明して、質問を終わります。

○五十嵐委員 私からも、東京二〇二〇大会テストイベントに係る談合報道に関する調査報告書について質問をしたいと思います。
 さきの委員とちょっと質疑の内容等々被るところがありますので、適宜省略しつつ、確認も含めて質問をさせていただきたいと思っています。
 早速なんですけれども、談合報道に関する調査ということで、まず金額を確認しておきたいんですけれども、報道によると、テストイベント計画立案等業務委託契約についての金額、五・七億円とかと書いてあるんですけれども、これの金額についてお伺いします。

○川田政策企画局政策担当部長 テストイベント計画立案等業務委託につきましては、全体の合計額、落札金額の合計額で約五億四千万円でございますが、予定価格等については公表されてございません。

○五十嵐委員 この談合の契約の全体像としても四百三十七億二千万円とかという報道があるんですけれども、この点については、都としての認識の金額は幾らでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 談合の金額、範囲の金額というお尋ねかと思いますが、談合の範囲につきましては、今後になりますけれども、公正取引委員会が排除措置命令等を行うことにより確定されるものと承知してございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。そうすると、テストイベント計画立案等業務委託契約、テスト大会契約といいますけれども、これについては、都としては五・四億円、全体としてはまだ把握されていらっしゃらないと。
 そのテスト大会について、五・四億円の落札金額となっておりますけれども、予定価格について幾らでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 予定価格については公表されてございません。

○五十嵐委員 そうすると、少なくともテスト大会の談合について、都として、組織委員会として幾ら損害を受けたかもまだ分かっていないですし、都民として、幾ら損害を受けたのかもよく分かっていないと。
 この五・四億円のテスト大会の談合で決まった金額のうち、都民の税金が入っている金額について伺います。都税が入っているか。

○川田政策企画局政策担当部長 テストイベント計画立案等業務委託につきましては、先ほど約五億四千万円、総額で申し上げましたが、そのうち都の負担額は約一千三百万円でございます。

○五十嵐委員 都の負担額一千三百万円が談合でどのぐらい高くなっているかもまだよく把握されていらっしゃらないと。
 にもかかわらず、この報告書、七月十四日に出されている談合報道に関する調査報告書なんですけれども、これにてこの談合についての調査は終了ということで、調査チームは解体ということでよろしいんでしょうか、伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 調査チームが確認を行った結果に基づきまして、外部有識者が、今回の調査では専門的見地からガバナンスやコンプライアンス等について課題を抽出、分析いただいているところでございます。
 調査目的については達成したため、報告書として取りまとめて公表したものでございます。

○五十嵐委員 目的が達成したため、もう終了するというふうに理解してよろしいのかなと思います。
 そもそもこの報告書、いろいろ拝見しているんですけれども、先ほど、さきの委員からもありましたけれども、なぜこのような調査をすることになったかというところについて、非常に分かりにくいというか、問題があるんじゃないかなと思っています。
 調査といいますと、何が問題で、誰に責任があったのかということを明らかにするというふうに普通は考えられると思います。
 例えば昨日、ジャニーズ問題の性加害についても、外部の専門家による特別チームの調査は、藤島ジュリーに性加害の疑惑についての認識があったとか、その点について、もう改善をするためには辞任をしなさいといった厳しい指摘とかもございます。やはりこの調査の立てつけというか、調査チームの在り方に問題があるのかなと思っております。
 そもそも、この一ページにあります調査目的は、誰がどのように決めているんでしょうか。やり方ですね。調査の目的、都の調査チームが組織委員会の契約手続及び意思決定過程等の確認を行うと。その確認結果に基づき、外部有識者が専門的見地からガバナンスやコンプライアンス等について課題を有識者が抽出し、分析すると。なお書きで、本調査は、違法性の追及や個人の責任追及を目的とするものではない、そもそもこの目的設定、これはどのように決まったのでしょうか。誰が決定したのでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 ただいま触れていただきましたが、報告書の中の記載について、調査目的ということで触れていただきましたが、調査の目的につきましては調査チームが決めたものでございます。

○五十嵐委員 すなわち、先ほどもありましたけれども、元理事であり、現在も評議員であられる潮田副知事がリーダーとして決定した調査、そもそも目的自体が非常に都民にとってはやっぱり分かりにくい、調査報告書という割には分かりにくいものだというふうに思っております。
 こういう関係者である潮田副知事をリーダーとする調査チームで都の職員らに質問して、そもそもの調査というのが機能するんでしょうか。やはり外部の専門家である第三者が調査を行うべきだと思いますけれども、この点について伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 調査チームでございますが、調査チームを設置いたしまして、ガバナンスの実態や課題等の分析を深めるため、外部有識者の専門的な見地からの助言の下で内容を精査し、調査を実施してまいりました。
 徹底した調査が行えるよう、ヒアリングの内容や対象等を有識者の下で設定し、あるいはヒアリングの実施に当たっては、可能な限り有識者に同席いただくとともに、有識者には全てのヒアリング結果を提供してございます。

○五十嵐委員 それで、この調査チームの報告書として、結論としてはなんですけれども、なぜ今回の、組織委員会とか内部監査だの、いろいろガバナンス体制が構築されているにもかかわらず、なぜ結局談合が発見できず、かつ阻止できなかったというふうに結論されたのでしょうか。その結論を伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 有識者からは、牽制機能に係る組織体制の強化にもかかわらず、結果的には事業の実施が優先され、不正防止の観点では相互牽制が十分に機能しなかったとの意見をいただいているところでございます。

○五十嵐委員 今、有識者からはというふうにおっしゃっていただきましたけれども、極めて人ごとであると思いますし、事業の実施が優先されて、不正防止の観点で相互牽制が機能しなかった、これは当然のことをいっただけだというふうに思っています。
 やはりこの報告書自体、本質的なところについてないというふうに私も考えております。先ほどの委員からもありましたけれども、本質的なところには言及しないで終了しようとしている報告だなというふうに思っております。
 その理由として、元幹部の聞き取りのところがあります。そもそもなんですけれども、この職員から聞き取りする際に、どのような手続でヒアリングを行ったでしょうか。というのは、証言者の事実というか、そういうものの担保はどのように行ったのかについて伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングにつきましては、対象者から率直な意見をいただき、職場の実態を十分に把握できるよう、個人名、事業者名が特定されないこと、個人情報や聞き取り記録そのものは調査チームや有識者以外に開示しないことを前提とし、内容は、個人名、事業者名が特定されない形として調査結果をまとめる予定であることなどを事前にお伝えした上でヒアリングを行っております。

○五十嵐委員 あくまで職員からの口頭で、任意で教えてくださいという形でヒアリングしたという限りでよろしいですかね。
 そもそもこの対象というところで、組織委員会の元幹部職員を対象としたというふうに書いてあります。元幹部の定義が全く書いていないんですけど、元幹部というのは誰になりますでしょうか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 元幹部の定義でございますが、組織委員会の事務局規程で局長級以上だった職員を対象としております。

○五十嵐委員 局長級ということは次長も含むという理解でよろしいんでしょうか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 次長級も含まれます。

○五十嵐委員 元幹部にヒアリング、これ何人ヒアリングしたんでしょうか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングにつきましては、個人名、事業者名等が特定されないことを前提として協力いただいておりますので、お答えできません。

○五十嵐委員 人数も教えていただけないというのがなぜ個人の特定につながるかも分かりませんし、幹部であればもともと、やっぱり業務上問題が起きた場合には責任を取る立場にあると思っております。
 刑事責任と、職務上の懲戒等々いろいろなコンプライアンス規程等々の責任はもちろん違うと思っておりますが、幹部なら、やはり責任の所在を明らかにする必要があるんじゃないでしょうか。この点について伺います。

○菅原政策企画局政策部長 一般論といたしまして、必要があれば、当該事案の状況等を踏まえ、それぞれの組織の規程等にのっとり対応するものと認識しております。

○五十嵐委員 必要があればというふうに今おっしゃっていただきましたけれども、先ほど他の委員からもございましたけれども、報告書、ある方にですね、談合についてそこで止められなかったのかという点がございまして、より調査としてすべきだったというふうな箇所がございます。
 他の委員からもございましたけど、四八ページの受注調整をした一覧表、やはりこれについての記載がほんの二行にとどまっていると。これもいろんな報道が出ておりまして、先ほど他の委員からもありましたけれども、中村局長ですかね、森元次長の公判の中で、検察官立証の中で、この表を外部に見せたら官製談合を疑われてまずいことになると。そのようなことを中村局長がですね(発言する者あり)ごめんなさい、失礼しました。吉村局長が述べたというふうな公判記録になっております。
 これについて、要するに、この時点で官製談合を疑われるということを認識していたのかどうかについて、やはり聞く必要があると思いますけれども、この点については調査されましたか。

○川田政策企画局政策担当部長 報告書のヒアリングについてでございますが、組織委員会元幹部からのヒアリングにおいて、テストイベント計画立案等業務委託について、競技ごとに業者名が記載された一覧を見たことはあるが、それにより受注調整をしているとは思わなかったとの回答がございました。
 これに対して有識者からは、一覧表を見た職員がいたが、談合の認識があったことは確認できなかったとしているものでございます。

○五十嵐委員 私が問題としていますのは、その元局長が、捜査機関には官製談合が疑われるとやばいと注意したというふうに述べているにもかかわらず、この調査報告書のヒアリングの際にはそのことを一切話して――話したのか話していないのか全く分からないんですけれども、そのことについての全く、談合という二つのワードが出ているにもかかわらず、一切触れず、一切確認もしていないことが問題だと思うんですが、その点について、すみません、もう一度確認をさせてください。見解を伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 森元次長の初公判では、検察官からの証拠の説明がございまして、都派遣の吉村大会準備運営第二局長の供述調書におきまして、一覧表を見せられたが、外部に見せたら官製談合が疑われるのでまずいことになると忠告した旨の記載があったことは承知してございます。
 こちらのヒアリングにつきましては、個人名、事業者名等が特定されないことを前提としてご協力いただいているものでございますが、徹底した調査が行われますよう、ヒアリングの内容や対象者等は有識者の指導の下で設定し、ヒアリングの実施に当たりましては可能な限り有識者にも同席していただくとともに、有識者には全てのヒアリングの結果を提供してございます。
 ヒアリングにより聞き取った内容は、有識者の確認の上で、個人が特定できる内容、分からない、知らないといった回答を除きまして、全て報告書に記載しているところでございます。

○五十嵐委員 やはり、この大事な談合というワードが公判の中でも出ていながら、この調査報告書、談合調査報告書であるにもかかわらず、その点について全く確認をしていないというところ、なぜそこで、そもそも森元次長が上司――これ報道によりますと都の出向者、吉村局長ですね、先ほどご答弁にありましたけれども、この方に、なぜ報告したのに談合ということ自体が防げなかったのか、この点、個人の責任を問うとかではなくて、ガバナンスの体制上問題があったというふうに思うんですけれども、この点についてはどうでしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 先ほど来、初公判における事項と、それからヒアリングにおける事項とご質問いただいておりますが、初公判では、都派遣の大会準備運営第二局長、吉村局長の供述調書において、一覧表を見せられたが、外部に見せたら官製談合が疑われるのでまずいことになると忠告した旨の記載があったと承知しております。
 一方で、組織委員会元幹部からのヒアリングにおいて、テストイベント計画立案等業務委託について、競技ごとに業者名が記載された一覧を見たことはあるが、それにより受注調整をしているとは思わなかったとの回答が元幹部からのヒアリングにおいてございました。これに対して有識者から、一覧表を見た職員がいたが、談合の認識があったことは確認できなかったとしております。
 これについて、これが両立しないようなご主張かと考えておりますが、有識者からは、談合の認識があったことは確認できていないと、両立するものと考えてございます。

○五十嵐委員 ちょっと何をいっていらっしゃるのか非常に難解になってきたところなんですが、やはりこの点について報告書に記載がないというのは不十分、これで本当に正当性があるのかというところは非常に疑義があると思っております。
 そもそも、やはりしっかりと事実を認定した上で、再発防止なりガバナンスの課題などを抽出しなければ、当たり前ですけど次の大会に生かせないわけであって、公判で出ていることがこの報告書には抜けているという点で非常に不完全というか、意図的に本質からそらしたものだというふうに思います。
 なぜこのタイミングで公表が出て、都の談合の調査が終了したのかという点についても伺いたいと思います。
 現在、森元次長も公判中で、この前被告人質問を終えたばかりなので、間もなく弁論、論告をやって判決が出るところだとは思っております。
 十二月二十六日、この談合の当面の調査状況について、このように書いてあります。なお、本件については現在も捜査等が行われているため、都は、それらの状況を踏まえて調査を継続し、調査の結果については、捜査、公判の状況を見極めながら改めて公表を行うと。昨年末の中間報告で、捜査、公判の状況を見極めながら公表を行うと書いてございます。
 にもかかわらず、判決が出る前に公表を経て終了しようとしている、その理由について伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 調査チームが確認を行った結果に基づきまして、外部有識者が専門的見地からガバナンスやコンプライアンス等について課題を抽出、分析したと。初公判の状況についても、報告書の中に記載がございます。
 そうした状況の中で、調査目的は達成したため、報告書として取りまとめて公表したものでございます。

○五十嵐委員 公判の状況を見極めながらというのはどういう意味だったんでしょうか、伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 ただいまも申し上げましたように、捜査、公判の状況を見極めながら改めて公表を行うとしていたところでございますが、先般、初公判が行われまして、初公判において冒頭陳述等がなされました。その中で、森元次長が談合の事実を認めたということでございます。

○五十嵐委員 しかし、検察からの証拠調べでは、先ほども申し上げたように、局長がその一覧表を見ていて、官製談合だと疑われたらやばいよというようなことまでいったというふうに検察官の証拠で出ているわけですよね。
 ちなみに、この報告書六三ページに、有識者からは、ガバナンスの総括というところのなお書きで、仮に談合への関わりを判決で認定された者がいた場合には、その内容を踏まえた上で、どのような責任があったのか、都のルールにのっとり必要な検討が求められるという記載もございます。
 冒頭陳述だけで被告人が罪を認めたから公表に至ったというような趣旨のお話を今されましたけれども、なぜ判決が、あともう少し待てなかったのか、この判決の中で認定されていたらどう対応するのかについて伺いたいと思います。
 具体的には、この六三ページの内容を踏まえた上でどのような責任があったのか、都のルールにのっとり必要な検討についてはどのように考えているかについて伺います。

○菅原政策企画局政策部長 有識者からは、仮に都派遣職員に談合への関わりを判決で認定された者がいた場合には、その内容を踏まえた上で、どのような責任があったのか、状況に応じて、該当する規程等にのっとり、都が必要な検討を行うことが求められております。

○川松委員長 部長、さっきから聞いていることと、ずっと繰り返しこれをやっていたら終わらないですよ。

○五十嵐委員 そうですね、都のルールというのはどのようなものですかという点を伺ったんですが。

○菅原政策企画局政策部長 失礼いたしました。都のルールということで、答弁の方が長くなってしまいましたが、先ほど、有識者は都のルールというふうに書いておりましたが、それは状況に応じて該当する規程等にのっとりということでございまして、どういうものを想定しているかということでございますが、地方公務員法等の各種法令、条例、規程等が該当するものというふうに考えております。

○五十嵐委員 今、談合についてはまだ判決も出ていないで、公判もまだ係属中です。
 ちなみに清算法人なんですが、いつ、どのタイミングで消滅する予定でしょうか。

○川田政策企画局政策担当部長 清算法人は、法令に定められた清算業務が終了した場合、評議員会の承認をもって清算結了となるということでございます。

○五十嵐委員 談合について、まだやっぱり公判も係属していながら、かつこの報告書では判決の内容についても言及されていながら、判決が出る前に終了をするという、そして本質について触れないで終了しているという点について、非常に問題があるというふうに思っています。(川田政策企画局政策担当部長発言を求む)何かありますか。

○川田政策企画局政策担当部長 清算法人の清算業務の終了につきましては、ご承知のとおり、あと今答弁申し上げましたが、評議員会の承認をもって清算結了となるものでございますが、談合についての公判が今現在行われているものでございますので、清算結了の前提となる条件が整っていないものと認識してございます。

○五十嵐委員 そうですね。今おっしゃっていただいたように、やはり排除措置命令が出た後、組織委員会に対する東京都の、幾ら談合によって価格がつり上げられて、そして都として幾ら損害が出たのかというところを確定しないと、その前の段階で、組織委員会として談合をした企業、電通等々の企業に対して幾ら損害賠償請求できるのかについて固まっていないと当然消滅はできないということをおっしゃっていただいたということでよろしいですかね。――はい。
 賄賂についてですけれども、組織委員会の元理事が二億円を自らのお財布に入れてしまって、二億円、賄賂の事件が起きたというものがございます。こちらについては、都として調査をしないのでしょうか、伺います。

○菅原政策企画局政策部長 組織委員会元理事の事件についてでございますが、元理事個人と事業者との金銭授受が賄賂に当たるとして起訴されておりまして、公判により事実関係が明らかになるものと考えております。

○五十嵐委員 私は、やはり賄賂の事件についても、理事会の中で一理事が賄賂というような不正行為を行っていたのにもかかわらず、理事会として全く機能していなかった、それは、やはり公益財団法人法の理事が負う責任である任務懈怠というものになると思います。
 その責任と、今、公判で明らかになるというふうにおっしゃってもらいましたけれども、刑事責任というのは違うものでございます。ですので、そちらの責任等々についても分析、課題等を解決しなければ、また同じようなことを繰り返してしまうんじゃないかなと思います。
 いろいろ質問をしてきましたけれども、やはりこの報告書自体、潮田副知事が何をどう質問するか、何をどうまとめるかについて決定をし、その結論としても、大会の組織委員会での事業の実施が優先されガバナンスが利いていなかったというような、至極当然、当たり前のことしか書いていないものです。
 いろいろ他の委員とかからも出ましたけれども、やはり一覧表について、官製談合というワードが出ていながら、そこでなぜ止められなかったのかについての記載が全くない。この点について、やはりこの報告書自体が問題があるというふうに思っております。
 まだ排除措置命令も出ていないですし、談合として、全体として契約金額が幾らであるかも都として全く把握をされていない。都として六千億円の税金を投入しておいて、電通などの関与した企業は高い利益率で組織委員会から契約を受けたというふうに報道もされています。組織委員会の中では森元次長だけが上司である局長に報告したにもかかわらず、その点についての責任追及等々は一切なされておりません。
 賄賂の問題もまだ公判は始まっていませんし、談合もまだ公判が続いております。ですので、都として報告書を上げて終了というわけではなくて、引き続き、議員の目からもチェックできるように、オリンピック特別委員会の継続も含めて、しっかりと引き続き説明責任を果たしていただきたいというふうにお願いをして、私からの質問を終わります。

○米川委員 では最後に、私から質問させていただきます。
 まず初めに、自分のために不正、犯罪を行うことも、仕事を成功させるために不正、犯罪を行うことも、どちらも非難されなければなりません。
 旧エンブレム問題について、報告書の五ページ、報告書の概要には、最高のエンブレムを送り出すために小さな不公正を隠れて実行した、大きな目的のために不正を不正と思わない、よいものをつくるために取った行動と、聞き取りの中で繰り返された言葉には、結果第一主義にどっぷりつかった仕事の進め方があった、しかし、手続の公正さを軽視し、コンプライアンスに目をつぶるなりふり構わぬ働きぶりは、現代オリンピック・パラリンピック組織委員会には全くそぐわない、大会エンブレムとして選ばれた作品がどんなにすばらしいものであったとしても、選定手続が公正さを欠くようなことがあれば、国民の支持を得られるはずがないと組織委員会は二〇一五年十二月十八日に報告書を公表しています。
 その後、組織委員会は、事務総長、副事務総長、全局長が参加する会議体を設置など、ガバナンス改革を実施したとのことです。しかし、この教訓を生かすことができず、僅か二年ほどの短期間で、組織委員会は競技運営の根幹に関わる、大会の中核を担う契約であるテストイベント計画立案等業務委託で談合事件を起こしました。
 そもそも、オリンピック・パラリンピックというものは、不正や犯罪を犯してまで行う必要のある事業だったのでしょうか、伺います。

○菅原政策企画局政策部長 東京二〇二〇大会は、コロナ禍による一年延期、また無観客という前例のない状況の中、多くの方々のご協力をいただきながら困難を乗り越えて開催し、アスリートをはじめ、世界中の方々から感謝の言葉をいただいたところでございます。また、大会の開催を通じまして、本日報告させていただきました様々な大会のレガシーも生み出されたところでございます。
 談合事件につきましては、その重大性に鑑み、速やかに調査チームを設置し、外部有識者の下で調査を進めてきたところでございます。

○米川委員 私は、不正、犯罪を犯してまで行う必要のある事業なのかと質問しております。
 オリンピックはすばらしい、選手たちには何ら罪はなく、人々に感動を与えたスポーツの価値は全く損なわれることがない、だから組織委員会で多少の犯罪が起きたとしても、東京二〇二〇大会はすばらしかった、だから、すばらしい東京二〇二〇大会のレガシーに邁進するのだ、このような結果第一主義、こういった考えなんでしょうか、伺います。

○菅原政策企画局政策部長 大会につきましては、開催をして、世界中の方々から感謝の言葉をいただきました。また、レガシーについても発展させたいというふうに思っています。
 ただ、談合事件でございますが、これを、起きたことにつきましては重く受け止めております。そのため、調査チームを設置しまして、幅広い事項について調査を進めまして、有識者から課題や意見をいただきまして、調査報告書として取りまとめて公表したところでございます。

○米川委員 オリンピックは、五輪憲章で掲げるスポーツを通じて友情やフェアプレーの精神を培い、世界平和を目指すというもので、フェア、公正はスポーツを行う人々にとって最も大切なものです。
 もう一度伺います。オリンピック・パラリンピックにおいて、フェア、公正は最も重要な価値だと考えますが、その開催において、不正や犯罪が行われても開催すべき事業であったのかということを、東京都の認識としてまず伺います。お願いします。

○菅原政策企画局政策部長 オリンピックにつきましては、招致いたしまして、国、組織委員会、大会関係者、三者、そのほかの方々も連携し、協力いただきながら進めてきたところでございます。そして、アスリートをはじめ、世界中の方々から感謝の言葉もいただいたところでございます。
 一方、談合事件につきましては、これを重大に受け止めまして、その重大性に鑑み、調査チームを設置しまして調査を進めてきて、報告書を公表したところでございます。

○米川委員 まず、東京都がこの談合事件に対してどう考えているのか、そして、オリンピックと談合についてどう思うのかということをしっかりと示さない限りは、なかなか前に進まないと思うんですね。それで今の質問をしてまいりましたが、特に都としては、やっぱり結果第一主義なんだなというふうに受け止めて、質問を続けてまいります。
 報告書の四五ページ以降に職員のヒアリングがあるんですが、これについて伺います。
 元幹部職員の聞き取りには、一覧表を見た職員はいたがとありますが、報告書の都派遣職員の聞き取りで、一般職員の部分には、一覧表の認識については、見た、見ていないなどとの回答、記載がありません。なぜなのか、その理由について伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 東京都より組織委員会に派遣された関連職員へのヒアリングにおきましては、一覧表を見たという回答はございませんでした。
 なお、ヒアリングにより聞き取った内容につきましては、全て有識者に提供いたしまして、その確認も経た上で、分からない、知らないといった回答等を除き、報告書に記載しているところでございます。

○米川委員 私は都の職員のときに、汚職があったときのその防止対策の報告書とかをつくるのにも携わったことがあるんですけど、そもそも、誰が見ても分かるようにしてもらわなきゃ困るんですよ。今ここでやらなければ、答弁してくれなきゃ、ああ、そういうことなんだなと分からないんじゃなくて、ちゃんと注釈を書くべきなんですよ。そういうところで、細かいんですけど、この報告書というのは全くていをなしていないなというところであります。
 そして今、なぜこのようなことを聞いたかというと、失敗も含めて、業務を行ったその経験、声、職員個人だけではなく、多くの職員、後世の職員も含め共有し、生かすことが必要だと考えているから伺っているんです。
 しかし、この報告書の四五ページ以降に、都より組織委員会に派遣された関連職員からの聞き取りという項目で、百五十六名もの聞き取りがあるんですが、主な項目として実質二ページ分、二十五項目しか記載がないんです。
 当然、百五十六人分のヒアリング記録があるはずですが、これは公文書であるわけじゃないですか。どの部署のどのような立場の職員が、どのような質問にどのように答えたのか、記録を明らかにする必要がありますが、なぜ公表しないのか伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングにつきましては、個人名、事業者名等が特定されないことを前提としてご協力いただいたものでございます。
 ヒアリングにより聞き取りました内容は、全て有識者の方に提供させていただきまして、その確認も経て、個人が特定できるような内容、あと分からない、知らないといった回答を除きまして、都の派遣職員、元幹部、受注事業者などの区分ごとに報告書に記載させていただいているところでございます。

○米川委員 公文書は公開が原則じゃないですか。私の質問は、これまでもほかの委員の質問もあったと思いますが、個人名、事業者名は公表できないとしても、百五十六人分のヒアリングの内容を公表することは可能であるのに、なぜしないのかということなんですよ。
 このままだと、ヒアリングの結果が廃棄されてしまうことになってしまいます。なぜ個人名、事業者名を、例えば記号化するなど、公表する工夫も全くしないのでしょうか。理由を伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングをいたしました記録は全て公文書として保管してございます。ですが、公表につきましては、ヒアリングは率直な意見をいただき、職場の実態を十分に把握できるよう、個人情報や聞き取りの記録そのものは、調査チームの構成員あるいは有識者以外には開示しないことを前提として実施したものでございますので、公表にはなじまないと考えております。

○米川委員 今、なじまないとかそういうところはまた後でお聞きしますが、先ほどの――まあ答えてくれていないので、初めの問いのところで、有識者の確認も経て書く書かないということがあったんですけど、この報告書の初めの部分には有識者の役割が記載されているんですが、ちょっと疑問になっているのが、都の調査チームの執筆内容部分についても、有識者が検閲した上でこの報告書に記載するようになっているということでよろしいですか。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 徹底した調査が行われますように、ヒアリングの内容、あるいは対象者につきましては、今委員ご指摘のあった有識者の指導の下で設定して行っております。
 また、実施に当たりましても、可能な限り有識者に同席いただいた上で行った上で、有識者には全てのヒアリングを提供しているところでございます。

○米川委員 ちょっと飛ばしますけど、先ほど、ヒアリングは個人名、事業者名が特定されないことを前提としてということで、これまでの委員の質問の中でも口頭でいっていたような答弁があったんですが、このヒアリングの対象者に、ヒアリングの内容の取扱いについて具体的にどのように説明したんですか。
 口頭で説明したのか、それでもなければ文書で説明して、納得した場合は署名をもらうとかしたんでしょうか。そして、その内容というのは、どういうふうなことを伝えたんでしょうか。
 本来であれば、この聞き取りの、文書でやっているのであれば、この報告書の中にも、こういった内容、こういったふうにするからという同意書みたいなものがついていれば、どういうふうにこの調査が行われたかと分かるんですけど、具体的にどうだったかということを確認します。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングの実施に当たりまして、事前に読み上げの原稿をご用意した上で、その内容についてヒアリングを受ける方にご説明しております。
 対象者がヒアリングで回答したことによって不利益を被らないようにすること、あるいは、ヒアリングの内容は個人名、事業者名が特定されない形として、調査結果として取りまとめる予定であることなどの告知事項を口頭でお伝えして、ご了解いただいた上でヒアリングを実施しております。

○米川委員 そうであるならば、この資料にちゃんと添付するべきですよ。今のは文書でということでいいんですか。文書を見せながら口頭でなんですかね。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 事前に告知する内容につきまして文書で用意した上で、それをヒアリング者が口頭で読み上げて、ヒアリングを受けていただく方に事前に確認いただいたという形になっております。

○米川委員 よく分かりました。それであるならば、ちゃんと報告書に添付するようお願いします。これからホームページに載せるんでも構いませんので。
 そして、ちょっと質問が行ったり来たりしたんですが、私がヒアリングの記録をぜひ全部出してほしいというのはなぜかというと、私は平成七年に中止されました世界都市博覧会の事務局で、三百億円を超える補償業務に、まだ三年目だったんですけど一職員として従事しました。そして、清算法人が解散するまで勤務しました。
 そのときに、実際に業務に携わった担当者の方とのやり取りで、もし実施したらこんな問題があったかもというのを、生の声をよく聞いたんですよ、補償担当として。そしてまた、電通職員の考えや人件費の算出方法、こういったことが分からなければ補償ってできませんから、こういったこともよく聞いた上で、公務員である東京都職員とは違うんだなということを知ったんですね。
 そのことを、博覧会事務局で業務に携わった方たち、何百人もいるんですけど、その職員の方々一人一人はよく分かったんですよ。でも、その経験をほかの職員と共有する仕組みというのは、二十八年前ですので全くなかったんですね。それがあって、その中止から二十数年後の大規模イベント、今のオリ・パラで、当時のそういういろんな悩んだことを共有できなかったのが、この経験を生かせなかったのかなと思っています。
 だからこそ、私は――都の通常業務にオリンピックのような大規模イベントはないじゃないですか。世界陸上はありますけど、それがずっと続くわけじゃないんで、この業務を経験するのはやっぱりほんの一部の職員なんです。それも数十年に一度だけ。その職員を養成、維持し続けることは困難なので、だからこそ私は、有識者が検閲したものではなく、今回の聞き取りを行った、本当になかなかないんですよね、聞き取りができるチャンスというのは。その記録を、我々じゃないんですよ、十年、二十年後の職員のためにも共有できるようにする必要があると私は考えて伺っています。いかがですか、お答えください。

○川田政策企画局政策担当部長 ただいま、世界都市博覧会に係る先生の経験を披瀝していただいたと考えてございますが、本調査につきましては、組織委員会のガバナンスやコンプライアンス等についてまず課題分析等を行うものであるということで、四名の弁護士や公認会計士の豊富な業務経験等々を基にご協力いただいたということでございます。
 有識者からは、今回の報告書のヒアリング結果等も踏まえましてご意見いただいておりまして、その中で、大規模な国際大会を開催する際に、官公庁や民間企業等々、大会運営組織を設置し、運営を行うことがこれまでの知恵だったけれども、一方で、世界に類を見ない大規模なイベントであると。そのかじ取りは非常に難しいものがあったという分析をいただいているところでございます。

○米川委員 そんなことは分かっているんですよ。博覧会も、民間企業と公務員が一緒にやって、すごい難しかったんですけど、それでも前に進めてきました。なので今回、報告書の中にも、それは大変だったと書いてあるんですけど、そんなことないんじゃないのと。実際に勤務していた、一緒に仕事をした先輩の中には、局長級で辞められた方とかもいましたし、それぞれのポジションにいた方もいたんで、何でこれが生かされなかったのかなということがあります。
 そして、また先に進めていきますが、報告書の四八ページ、組織委員会元幹部からの聞き取り、ヒアリングの対象として、組織委員会の元幹部職員を対象としたとあります。五十嵐委員からも質問がありましたが、ちょっと少しだけ視点を変えて聞きますが、組織委員会固有の幹部職員、電通から派遣された元幹部職員、受注事業者から組織委員会に派遣された関連職員のうちの元幹部職員、東京都から派遣された元幹部職員のどの幹部職員から、また、それぞれ何名からヒアリングしたんでしょうか、伺います。
 また、都から派遣された職員の場合であれば、組織委員会のどの部署に所属していたのかも併せて伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングにつきましては、個人名、事業者名が特定されないことを前提としてご協力をいただいたものでございます。そのため、ヒアリングに協力いただきました人数や事業者数等をお答えすることで個人や事業者を推定されるおそれがあるため、お答えはできません。

○米川委員 報告書六二ページ、組織委員会の取組では、ヒアリングにおいて、テストイベント計画立案等業務について、競技ごとに事業者名が記載された一覧表を見た職員がいたが、談合の認識があったことは確認できなかった、また、談合の計画や調整、指示をした職員も確認できなかったとあります。
 この一覧表を見た職員は、組織委員会固有の職員、電通から派遣された職員、受注事業者から組織委員会に派遣された関連職員、東京都から派遣された職員のどの職員なのでしょうか。また、人数もお答えください。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 組織委員会元幹部からのヒアリングにおきまして、テストイベント計画立案等業務委託について、競技ごとに業者名が記載された一覧を見たことはあるが、それにより受注調整をしているとは思わなかったとの回答が確かにございました。
 こちらにつきましては、個人名、事業者名等が特定されないことを前提としてご協力いただいたヒアリングでございますので、派遣元や人数等についてはお答えできません。

○米川委員 なぜこう細かく聞くかというと、都派遣職員、一般職員の場合は、どこの局で何名対象となっているということが細かく出ているんですよ。出ているんですよね、この四五ページを見ますと。逆に、元幹部職員については出ていないんで、どういうところの人から何人聞いたのかというぐらいはないと、そもそもこの調査報告書を読んでいったときに、常に疑問に思うわけですよ。
 我々はここで今、生の調査をした人たちとやり取りできるから、こうです、ああですとできるんですけど、十年後、二十年後の職員、これを読んだだけじゃ分からない。そんな報告書じゃ駄目ですよということで聞いているわけですよ、一つ一つ細かくね。
 そして、聞き取りで、元幹部の項目に、一覧表について知らないという記載がないんですね。分かる分からないは書いていないというんですけど。一応確認しますが、これだと元幹部が一名でなく複数名いたならば、元幹部職員全員が一覧表の存在を知っていたと認識できちゃうんですよ。それでよろしいんでしょうか、伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングいたしました元幹部は、一人ではなく複数名でございます。
 なお、ヒアリングにより聞き取りました内容につきましては、全て有識者に提供して、その確認も経た上で、分からない、あるいは知らないといった回答を除いて、報告書に記載しているところでございます。

○米川委員 それを、有識者がこの報告書の検閲をしているというふうに僕なんかは認識しちゃうんですよ。都合の悪いところ隠したんじゃないかって、そう思われないためにも、個人を特定されない形で分かるようにするべきなんですよ。
 そして今、複数という回答をしたじゃないですか。何名と聞いたから答えなかったかもしれませんが、複数と答えられるんだったら初めから人数とかを答えるべきなんですよ。そうじゃなければ、こんな何度も何度も聞く必要ないんですから。
 そして、報告書二三ページの(17)のところに、今までも池川委員とかも質問ありましたけど、事業者選定審査会の委員は誰かというのがあるんですね。ここで、構成員については、個人が特定されるおそれがあるため、具体的な職名は提供されず、所属局のみが清算法人より提供されたと記載されています。
 しかし、二〇二二年十二月二十六日の中間報告の段階では、構成員については捜査に支障が生じる可能性があることからと記載されていました。今回は、個人が特定されるおそれがあるためと理由が変わっています。これはなぜなんでしょうか、伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 本件につきましては、個人が特定されることで、特定の職員が関与の有無にかかわらず談合事件と関連づけられるおそれがあること等から、清算法人から具体的な職名は提供されなかったものでございます。

○米川委員 そうしますと、関与の有無にかかわらずという答弁なんですが、関与していれば当然、談合事件と関連づけられます。そして、関与をしていなければ関与していないわけなんで、身の潔白は証明されているわけですよね。
 つまり、これだと関与している人がいるから、関与していない人についても清算法人から情報が提供されなかったのかと分かるんですけど、それでよろしいんですか、伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 特定の職員が関与の有無にかかわらず談合事件と関連づけられるおそれがあるということで提供されなかったものと認識しております。

○米川委員 本来だったら、談合に関与していないんであるならば、東京都として、職員の人たちは全く関係ないんだからぬれぎぬですよということで守ってあげるのが本来の姿じゃないですか。清算法人もそうですよ。
 そうじゃなくて、可能性もあるとか何か、やっているんじゃないかと思われちゃうようなというのは、それはおかしいんじゃないですかね。やっていないんだったらやっていないという、その前提でやらなきゃ駄目なんじゃないですかね。
 そして、事業者選定審査会の委員については、副委員長の質疑や何かで、山下局長が派遣されていたということなんですけど、明らかになりました。そうしましたら、二〇一八年三月三十一日以前の局長はどなただったのか、これも聞いていますか。確認のため伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 二〇一八年三月三十一日時点では、大会運営局は第一局と第二局に分かれていたと承知してございます。

○米川委員 それで、だから第二局の人は誰かと聞いているんですよ。いたでしょう、山下さんと入れ替わりで都に戻ってきた人が。その人も、これ、じゃ、すみません、事業者選定審査会の委員じゃないんですね、第二局長さんというのは。普通は……(川田政策企画局政策担当部長発言を求む)

○川田政策企画局政策担当部長 大会運営第二局長は吉村局長でございます。

○米川委員 そうしますと、今までも予算特別委員会とかでも聞いたときになかなか答えていただけなかったんでそのときもいったんですが、都の職員名簿を見れば簡単に分かることと、異動表で、四月一日付でその二人が入れ替わっているような感じがあるので、大体分かるんですよ。
 そして、もう一つ、先ほどの質疑の中で、次長さんも、元幹部のお話をヒアリングしたということなんですが、二〇一八年四月以降、都派遣職員の次長さん、お一人いらっしゃいますが、その方の名前というのは清算法人から確認されていますかね。大会運営局の次長さんの名前、伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 承知してございません。

○米川委員 一人いらっしゃって、大会運営局の次長をやっている方がおります。私も知っている方ですけど、そして、実際、大会運営局の次長に森元次長さんが出てくるので、本来こういう人の名前も知っているべきなんじゃないかなと思うんですね。次長なのでいいませんけど、しっかりと調べてほしいと思います。
 それでは、次、一覧表についてです。
 一覧表を見たが談合と思わなかったの発言は、新聞報道もありましたが、それが今回の調査報告書にもそういった、見たがというのがあったので裏づけられたと思っていますが、今までの質疑でもありましたが確認のため伺いますが、森元次長の上司であった都の幹部職員の発言ということですね。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ご指摘の組織委員会元幹部からのヒアリングにおきまして、テストイベント計画立案等業務委託について、競技ごとに業者名が記載された一覧を見たことはあるが、それにより受注調整をしていると思わなかったとの回答が報告書にも記載がございます。
 ですが、ヒアリングにつきましては、個人名、事業者名等が特定されないことを前提として協力いただいているものでありますので、派遣元についてはお答えすることはできません。

○米川委員 ヒアリングの内容をちょっと聞きたいんですが、八月二十六日付朝日新聞朝刊に、弁護人による被告人質問のやり取りがあります。弁護人が、受注調整の状況は上司に報告していたかという質問に対し、森元次長は、はいと答え、また弁護人が、一覧表を見せながらと聞くと、森元次長は、はいとあります。上司とは、新聞記事に書いてあるのが、東京都から出向し、当時の大会準備運営第二局長とあります。
 確認しますが、この上司であったという大会準備運営第二局長という元幹部の方は、森元次長がいつ、何といって一覧表を見せてきたとヒアリングではいっているのでしょうか。また、一覧表はどのような場でどのようにして見たのか、その具体的状況についてヒアリングは行われたのでしょうか、伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 森元次長の初公判におきまして、検察官から証拠の説明があり、都派遣の吉村大会準備運営第二局長の供述調書において、一覧表を見せられたが、外部に見せられたら官製談合が疑われるのでまずいことになると忠告した旨記載があったことは承知してございます。
 また、組織委員会元幹部からのヒアリングについてですが、こちらの中でテストイベント計画立案等業務委託につきまして、競技ごとに業者名が記載された一覧を見たことはあるが、それにより受注調整をしているとは思わなかったとの回答がございました。

○米川委員 本来は、僕もいろんな調査とか少し携わったこともありますけど、こういったことぐらいは、一覧を見たが談合と思わなかったというような話がもしあったら突っ込んで聞くんですけど、有識者の方たちの聞き取りのヒアリングの項目を出すのも、こういったことも指導されていないのかなと思いました。
 そしてまたもう一度、八月二十六日付朝日新聞朝刊、弁護人による被告人尋問、一覧表について弁護人さんが、報告時などに上司から注意はあったか、森元次長、ありませんでしたとありますが、どういうことがあったかということを隠さないで、隠すと、何かあるんじゃないかという疑念を抱かれることになるので、ちゃんと示した方がいいということを指摘しておきます。
 そして、元幹部は、入札の結果、ほとんどが一者入札だったわけじゃないんですか。しかも、以前見た一覧の記載と同じ結果と知った後も、ヒアリングで受注調整をしているとは思わなかったんですかね。こういったこともお聞きしましたか、伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 組織委員会元幹部からのヒアリングにおきまして、テストイベント計画立案等業務委託について、競技ごとに業者名が記載された一覧を見たことはあるが、それにより受注調整をしているとは思わなかったとの回答が、ご指摘のようにございました。
 これに対しまして有識者からは、ヒアリングにおいて一覧表を見た職員がいたが、談合の認識があったことは確認できなかった、また、談合の計画や調整、指示をした職員も確認できなかったとしてございます。

○米川委員 だから、突っ込んだ質問をしないと調査にならないんですよ、調査って。こう答えてきたらこう質問するよって、そういう幾つか想定問答した上でやらなきゃいけないんですけど全くないんですね。
 では、調査チーム、皆さん方に伺いますが、競技ごとに業者名が記載された一覧というものは見たことがあるんでしょうか。また、その一覧は、それにより受注調整をしているとは思わなかったと東京都職員なら誰もが思うものであったのでしょうか。確認しているのかを伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 競技ごとに業者名が記載された一覧ということでございますが、調査チームについては見ておらない、把握していないということでございます。

○米川委員 一覧表にどのような内容が記載されているかも分からないで、どうしてもっと、幹部の方がいったことを聞いて、一覧表を見た職員がいたが、談合の認識があったことは確認できなかったと皆さんは判断したのでしょうか。教えてください。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングの中で不明な点等がございましたから、対象者からの回答によりましては、その回答の趣旨を確認するなどの目的として再質問等を行ってございます。
 全てヒアリングシートについてはまとめておりまして、その全てのヒアリングシートを有識者の方に提供して、その確認も経た上で、個人を特定できる情報であるとか、分からない、知らないといった事項だけを除き、報告書に記載しているということでございます。

○米川委員 そういう手続は分かるんですが、そもそも皆さんは一覧表がどういうものであるか把握していないわけじゃないですか。もし私が調査チームであれば、その元幹部の人がこういっているものをシートか何かにして、それをみんなで見て、本当にこれだったら談合と思わないなとか、思うなとか、せめてそのぐらいやるんですけど、全くなくて判断できちゃうというのは、物すごいですね、皆さんの力というのは。
 その上でお聞きしたいのが、今度は、都の職員が組織委員会から都に戻ってくると、異動するということで代わりの方が派遣されて、山下さんが行っているわけなんですが、この四月一日付で組織委員会に派遣され、運営局で森元次長の上司となった当時の山下大会運営局長は、聞き取りで一覧表の存在は知らなかったと話しているんでしょうか、伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングにつきましては、個人名、事業者名が特定されないことを前提にご協力いただいているものであるため、お答えはできません。
 なお、森元次長の初公判におきまして、ご指摘の方の名前は出ていなかったと承知しております。

○米川委員 一覧表について、運営局で森元次長の上司となる山下さんは吉村さんから、四月一日付で吉村さんは戻ったんですけど、今までの質疑では、それ以前に吉村さんが見たんじゃないかということなので、そうすると、僕が特異なのかもしれないですけど、大体、後から来た後任の方に、これちょっとこういうのがあるからというのを何か普通引継ぎとかすると思うんですが、そういった内容についても質問の設定にしていたのかとか、聞いたりしたんでしょうか、伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングにおきましては、一覧表を見たか見ないかということも含めまして、主な事項としてテストイベントに関する意思決定プロセス、入札の経過、契約に関する情報管理、業者との接触状況などについてヒアリングをさせていただいたところでございます。

○米川委員 次に、運営局で森元次長の上司となる当時の山下大会運営局長は、テストイベント計画立案等業務委託の入札の大半が一者入札となったことについて、どのように考え対応されたのかヒアリングされているでしょうか、伺います。

○石原政策企画局政策担当部長企画担当部長DX推進担当部長兼務 ヒアリングにつきましては、個人名、事業者名等が特定できないことを前提としてご協力いただいておりますので、お答えできません。
 なお、ご指摘の一者入札の対応につきましてですが、清算法人への確認結果によりますと、設定された入札参加条件では海外企業も参加可能としており、門戸を広げておりましたが、履行に当たって各競技に関する実績や専門性などから入札参加者数が限られており、これ以上の競争性の確保は困難な状況であることから、一者入札により入札手続を進める旨を調達管理委員会において承認していたとのことでございます。

○米川委員 組織委員会の手続は聞いていないんですね。私がなぜこういうことを聞くかというと、本当にこの大会運営局長の立場というのはすごい難しかったと思うんですよ。実際にイベントを、オリ・パラ開催までの期間がもう迫っている中で、どうやってこの事業を進めていかなければいけないのかという、本当に一番大変だったんじゃないかなと。まあ、その後コロナがあったので、また別なんですけど。
 一番難しいかじ取りをした方だと思うので、だからこそ、先ほどもいいましたけど、今後の十年、二十年後の職員が同じような業務に従事したときに、これを見たら分かるよ、こういう悩みをしたけど、こうしたらよかったんだというのが、何か調査報告の中で残っていることで、そこがきっかけとなって、次の、何十年後か分からないですけど、オリ・パラに匹敵するような大規模イベントがあったときに、その立場になった人がいい選択をしてくれるのかなと思って伺っているんですよ。
 これだけだと本当に分からないんですよね、この調査報告だと、せっかくの機会なのに。山下さんの、本当に誰にも経験ができなかったものを経験したものですから、それをこのような形で記録として残さないというのは、とても後世の職員に対して責任を持てないんじゃないかと思っています。
 次に、今回の調査なんですけど、マスコミの談合報道に関する調査となっているんですが、それで本当によろしいんでしょうか。組織委員会森元次長は、独占禁止法の容疑で逮捕、起訴、公判も開かれているじゃないですか。本文の調査目的の記述と食い違いがあるように思いますが、この点について伺います。

○川田政策企画局政策担当部長 令和四年十一月二十四日、組織委員会のテストイベントに関する談合報道を受け、調査チームを立ち上げております。都として調査を行うこととしたものでございます。
 その目的は、都の調査チームが組織委員会の契約手続等の確認を行いまして、外部有識者が専門的見地からガバナンスやコンプライアンス等についての課題を抽出、分析するものでございますが、報告書には初公判の内容も反映しているところでございます。

○米川委員 そうですね。分かりました。
 それと、あと政策企画局の皆さんというのは、そもそも違法性の追及や個人の責任の追及を目的にできないんではないかと考えています。それは所管外であるからですね。
 職員の懲戒に関する調査は総務局のコンプライアンス推進部が所管となるから同時並行で行われるのかなと思っているんですが、もう一度、今の質問に関して確認のため伺うんですが、本調査で職員の服務規律違反、コンプライアンス違反を問わないが、別に東京都職員のコンプライアンス違反については、所管である総務局が対応するということでよろしいんでしょうか、伺います。

○末村政策企画局総務部長 一般論でございますけれども、仮に非違行為などがございました場合、あるいは今回の有識者のコメントにもございますように、仮に談合への関わりを判決で認定された者がいた場合には、その内容を踏まえた上で、どのような責任があったのか、都のルールにのっとって必要な検討が求められるとされております。

○米川委員 やるかやらないかはまだ一般論ということで、どういう切り分けでこの調査が行われたかということに皆さんはお答えになっておりませんが、進めていきます。
 報告書の四九ページ、その他のところには、仮に競争入札に決定した場合は、落札者がいないかもしれないというデメリットも組織として抱えるものだと思う、デメリットを一人が抱えず、組織で乗り切ることができれば違ったかもしれないとの記載があります。これは大変重要な一言になっています。
 デメリットを一人が抱えることのないよう部下を管理監督するのが上司の仕事であり、責任であります。森元次長一人がデメリットを抱えた、つまり上司が部下である森元次長一人に任せきりにした結果、談合事件は起きました。直属の部下である森元次長が談合事件で逮捕されたことで、運営局で森元次長の上司となる都の幹部職員、山下大会運営局長は、部下に仕事を任せきりにして事件を防ぐことができなかった典型的な管理監督責任、コンプライアンス違反を問われる事例となります。
 しかし、報告書の六三ページ、有識者によるガバナンスの総括には、二〇二三年七月五日に行われた組織委員会森元次長の初公判における検察側冒頭陳述によると、都から組織委員会に派遣された職員に刑事事件の対象者は存在しなかった、仮に談合への関わりを判決で認定された者がいた場合には、その内容を踏まえた上で、どのような責任があったのか、都のルールにのっとり必要な検討が求められるとあります。
 先ほど五十嵐委員の質問に対しての答弁で、都のルールというのは地公法などの法律だというような答弁がありました。それで、この報告書、それを踏まえて聞くと、都職員が談合に直接関わった場合の責任についての記載しかないんですよ。談合事件があれば、事件を防げなかった、談合を行った職員の、本来、上司の管理監督責任について、これが言及がないんです。
 都のルールとして、部下がコンプライアンス違反すれば、その上司は管理監督責任を追及されることになるんですけど、なぜ報告書の六三ページのガバナンスの総括に、上司の管理監督責任についての記載がないのでしょうか、伺います。

○菅原政策企画局政策部長 有識者自身が執筆いたしましたガバナンスの総括におきまして、仮に談合への関わりを判決で認定された者がいた場合には、その内容を踏まえた上で、どのような責任があったのか、都のルールにのっとり必要な検討が求められるという意見をいただいております。

○米川委員 ですから、談合への関わりを判決で認定された者がいれば当然問題となるわけですが、その職員の上司は管理監督責任を問われること、皆さん知っていますよね。下を向いちゃっているけど。庶務担の部長さんだったり、懲戒分限審査委員会の委員、副知事は今もなっているんですかね、そういう方だったり、局長までになる方は庶務担の部長もやるわけですから、当然この管理監督責任を問われることを知っているはずなんですよ。
 なのにこの中には、事件を起こした場合というような感じでしか書いていないんです。なぜこの記載がないんでしょうか、なぜ落ちているんでしょうか、伺います。

○菅原政策企画局政策部長 お話の内容につきましては、必要に応じて、当該事案の状況等も踏まえまして、規程等にのっとり対応するものと認識しております。

○米川委員 すみません、要は、みんなこれを見るわけですよ、今回の調査報告、プレスの方たちも含めて。その中で抜け落ちていれば、初めからなかったことになっちゃうわけじゃないですか。ここでの質疑の中で出てくるんじゃ駄目なんですよ。誰もが見て、ああそうだなと分かるようにしてくれなければ困るんですね。
 そうすると、都の本来のあるべき姿として、私、予算特別委員会に出たときに、そのとき資料要求もして、入札談合等があった、懲戒処分があったときの、実際に事件を起こした事故者以外に管理監督者の責任ってあるんですかと過去の何年間分を出してもらったときには、実際懲戒処分を受けたり、処分までいかないけど注意を受けたりしたという事例があるわけですよ。
 通常、談合事件を部下が起こせば管理監督責任を問われるのに、このオリンピック・パラリンピックに関しては一切それがないんですね。とても不思議なんですよ。なぜそこまでして、その部分を記載しないのか分からない。
 それで今、長々と聞いているんですが、もう一度伺いますが、ここに出席している幹部職員の方たちは、服務規律を確保するための都のルール、公務員のルールぐらい当然知っていると思いましたが、このことを記載しない、無視している、スルーしているわけですよ。そうすると、罪を犯した職員に加えてその上司の責任が追及されることについてしっかりと記載するべきなんですが、もう一度伺います。いかがですか。

○菅原政策企画局政策部長 お話しになられている内容でございますが、一般的に、必要に応じて、当該事案の状況等を踏まえて、規程等にのっとり対応するものだというふうに認識をしております。

○米川委員 だから、そういうふうになることを書いておけばいいわけじゃないですか。事件を起こした人がいたら都のルールにのっとる、さらに、管理監督者については都のルールにのっとり対応する、そういうことが書いていないわけじゃないですか。
 そうすると、事件があった場合に、事故者がいれば、そういう人がいたら、その上司もちゃんと責任を調査しますよということをここから読めということなんですかね。もう一度伺います。

○菅原政策企画局政策部長 お話しになられている内容でございますが、必要に応じて、当該事案の状況等を踏まえ、組織の規程等にのっとり対応するものと認識をしておりまして、そういうことでございますので、報告書には記載していないものでございます。

○米川委員 それが都のルールなんでしょう。都のルールなんじゃないですか。都のルールって何って五十嵐委員が聞いたときには地方公務員法等なわけじゃないですか。東京都のルールなんですよ。各組織のルールじゃないんですよ。東京都のルールのことをここでうたっているわけですよ。そうすると、東京都のルールについて書かなきゃいけないんじゃないですか、有識者としては。そこが抜けているんですよ。
 だから、本来はお話をして、ここ抜けているから書きましょうとお話合いする機会があったわけでしょう。なぜなのか。ちゃんとこれは都のルールにのっとって記載すべきなんですか、もう一度伺います。

○菅原政策企画局政策部長 本報告書におきましては、有識者から、仮に談合への関わりを判決で認定された者がいた場合には、その内容を踏まえた上で、どのような責任があったのか、都のルールにのっとり必要な検討が求められると、そういう意見を有識者からいただいているところでございます。

○米川委員 ちょっとすぐ、ぱっと分からない人間もいますので、本当に細かく分かりやすく書くことが後の世代のためにもなるので、ぜひ詳しく記載するよう求めます。
 そして、次に報告書の五九ページ、都の関与、監視の意見に、今後、談合による排除措置命令等が確定した場合、清算法人に対して損害賠償請求等の適切な対応を行うよう働きかけ、その上で、都は対象となる公費について返還を求めていくべきであるとあります。
 対象となる公費は幾らになるのでしょうか。また、公費請求となれば、清算法人の解散も当然延長されると考えております。清算法人の職員は都派遣職員じゃないですか、これまでの質疑でもありましたが。その人件費や都庁舎内にあります事務所の借り上げ代などのコストは誰が支出しているのでしょうか。
 また、清算時期が一か月延びるごとに幾らの費用、コストが発生するのか、具体的な数字で伺います。

○菅原政策企画局政策部長 談合による排除措置命令等が確定した場合は、清算法人に対して損害賠償請求等の適切な対応を行うよう働きかけ、その上で、対象となる公費について返還を求めてまいります。
 清算法人の都派遣職員の人件費でございますが、令和五年度歳出予算に計上しておりまして、清算法人の事務所については都が行政財産使用許可をしております。清算法人は法令に基づき、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の引渡しなどの清算業務を行うこととなっておりまして、それに必要な経費は清算法人が負担するものと認識をしております。

○米川委員 人件費などは東京都が支出しているわけじゃないですか。清算時期が一か月延びるごとに幾らのコストが東京都に発生するのかを聞いているんですよ。発生しないということでいいんですかね、ゼロ円だということで。そうでないならば、事前にちゃんと数字で答えてくださいと伝えてあるんで、ちゃんと一か月延びると幾らかかるんだというのを数字でお答えください。

○菅原政策企画局政策部長 清算法人の都派遣職員の人件費でございますが、令和五年度歳出予算に二億円程度計上しております。

○米川委員 一か月延びると幾らになるかと聞いているわけですよ。九月末で終わるのか、十月になるのかによって違ってくるから、一か月延びるごとに――じゃあ、それ割ってもらってもいいですよ。幾らですか。

○菅原政策企画局政策部長 先ほど申し上げました二億円程度、これを単純に十二で割りますと、約一千五百万程度でございます。

○米川委員 細かく聞いたのは、私も清算法人、本当に大昔ですけど、あったときには、とにかく早めに、早く補償して清算結了しろという使命の下にやっていきました。ですから本来は、談合事件とかなければ、そういったことで延びることもなかったし、皆さん方もこの仕事に従事する必要もなかったわけなので、誰かが事件を起こせばコストが発生するんだということをぜひ認識していただきたく質問しました。
 最後に、意見をいわせていただきますが、報告書の七八ページ、終わりのところには、有識者から、大会をやり遂げた成果は評価されたとあります。旧エンブレム問題があったにもかかわらず、競技運営の根幹に関わる大会の中核を担う契約であるテストイベント計画立案等業務委託で談合事件を起こした上で、東京二〇二〇大会は開催されました。
 このオリ・パラに携わった職員同士がお互いをたたえることは、私は否定しません。なぜならば、私も同じような仕事を行い、本当に短い期間で業務をやり遂げるんだと、そこに間に合わせるんだという仕事にも、まあ、結果的には中止になりましたけど、仲間と共に、先輩方と共に従事したので、本当にその大変さはよく理解しているつもりであります。ですので、お互いをたたえることは否定しません。
 しかし、対外的に公表する本報告書で、有識者は、困難な中でやり遂げた成果は評価されるべきとしていることに大変違和感を持っています。これは、エンブレム問題のときの結果第一主義、そのときの結果第一主義と同じ考えそのものだと、どうしても外からは見られてしまうからなんですね。
 そのときには、大会エンブレムとして選ばれた作品がどんなにすばらしいものであったとしても、選定手続が公正さを欠くようことがあれば、国民の支持を得られるはずがないとした考えと真反対じゃないですか、同じ組織委員会、その関連した業務なのに。
 大会の中核を担う契約での談合事件です。旧エンブレム問題から続く組織委員会の体質が起こした事件にもかかわらず、組織委員会や清算法人の役職に就いた方々から、都民、国民への説明や謝罪は一切ありません。また、全体像も不透明であり、森元次長の上司であった都職員の管理監督責任、実際にこの報告書の中に出てくるコメントを見るだけでも、本来は調査に値するような内容が出ているにもかかわらず管理監督責任も問わないし、まだコンプライアンス推進部も動いておりません。
 大会の中核を担う契約で談合事件が起こりました。成果は評価されるべきというような考えを持ち続ける限り、どのようにすばらしい仕組みをつくっても、必ず大きな目的のために不正を行おうとする人、結果第一主義の考えの職員は、私は必ず現れると考えています。
 また、今回の調査報告書の罪なところは、東京都職員一人一人に対して、この報告書は、東京都はたとえ不正を行って実現したことであっても成果として評価するんじゃないかというふうに認識されかねないんですよ。そういった報告書をつくる小池百合子都知事、潮田副知事、古谷局長らが運営する組織であると東京都職員に認識されかねない。そしてまた、東京都というのは結果第一主義の組織なんだよというふうに、多くの何万人もの東京都職員一人一人に間違ったメッセージを発信しかねないと私は考えております。
 ぜひともこのような調査で幕引きを図ることではなく、有識者とどうこうやったではなくて、客観的な第三者による調査を求めまして、私の質問を終わります。

○川松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時五分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る