オリンピック・パラリンピック特別委員会速記録第八号

令和四年十一月九日(水曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 十八名
委員長高島なおき君
副委員長谷村 孝彦君
副委員長山崎 一輝君
副委員長小山くにひこ君
理事小林 健二君
理事川松真一朗君
理事伊藤 ゆう君
たかく則男君
清水やすこ君
白戸 太朗君
入江のぶこ君
五十嵐えり君
池川 友一君
伊藤しょうこう君
藤井とものり君
とや英津子君
あぜ上三和子君
清水 孝治君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長中村 倫治君
技監荒井 俊之君
総務部長末村 智子君
オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務梅村 実可君
事業調整担当部長岡部 祐一君
調整担当部長原田 和生君
輸送担当部長政策担当部長兼務松本 祐一君
生活文化スポーツ局国際連携担当部長事業推進担当部長兼務木村 賢一君
事業推進担当部長三浦 大助君
アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務澤崎 道男君
開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務柏原 弘幸君

本日の会議に付した事件
第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催について調査・検討する。
報告事項(質疑)
・大会経費の最終報告等について

○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に関する事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 本日の委員会には、お手元配布の名簿のとおり、生活文化スポーツ局の理事者にもご出席をいただいております。
 また、政策企画局の山田次長は、公務のため本日の委員会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 報告事項、大会経費の最終報告等についてに対する質疑を行います。
 この際、委員の皆様に申し上げます。
 質疑につきましては、本日の議題の範囲内で行っていただくとともに、質疑の重複はできるだけ避けるなど、円滑な委員会運営にご協力をいただけますよう重ねてお願いを申し上げます。
 報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 去る九月二十日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明いたします。
 お手元に配布してございますオリンピック・パラリンピック特別委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただき、資料1、共同実施事業負担金(安全対策)交付対象事業一覧をご覧ください。
 九月二十日の当委員会にご報告いたしました大会経費の最終報告等についてのうち、共同実施事業負担金(安全対策)について、その交付対象事業を一覧としてお示ししたものでございます。
 二枚おめくりください。資料2、共同実施事業におけるパートナー供給契約の内訳をご覧ください。
 共同実施事業におけるパートナー供給契約について、件数、金額及び契約全体に占める割合をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。

○高島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○清水(孝)委員 それでは、よろしくお願いしたいと思います。
 本年六月三十日をもちまして、オリンピック・パラリンピックという国家的事業の中心的役割を果たしました東京二〇二〇大会組織委員会が解散いたしました。
 大会時には約七千人の職員を抱え、東京都からも約千人の職員を派遣していた大組織は、現在、清算法人に移行しております。
 東京都の所管局でございますオリンピック・パラリンピック準備局も昨年度末で既に廃止をされておりまして、そして組織委員会も解散ということで、大会が終わったということを改めて実感したわけでございます。
 振り返りますと、新型コロナウイルスの感染拡大、一年延期、無観客開催など、当初想定し得なかった様々な困難に直面してまいりましたが、多くの関係者の皆様の熱意とご尽力によりまして、無事開催され終了したものと考えております。
 前回の本委員会では、私、大会の見通しの方向に関しまして、平成二十五年の立候補ファイルから本年二月の見通しまで、大会経費の過程を一つ一つ振り返る形でご質問させていただきましたので、本日は、成功裏に幕を閉じましたこの大会について、今回の最終報告やレガシーなどにつきまして、幾つかポイントを絞って確認をしたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 まず、ご報告いただきました大会経費の最終報告につきましてお伺いいたします。
 大会経費の最終報告では、V5見通しを下回る結果となりまして、経費が削減されたわけでございますが、どのような調整を行ってきたのか、中村局長にお伺いしたいと思います。

○中村政策企画局長 大会経費の最終報告についてでございますが、全体では一兆四千二百三十八億円となり、令和二年十二月のV5予算からは二千二百二億円、令和三年十二月の大会経費の見通しからは二百九十二億円の減となっております。
 大会経費につきましては、史上初の延期という困難な状況の中にありましても、組織委員会、あるいは国、東京都、三者がそれぞれの役割を果たしながら、それぞれ主張すべきは主張し、一体となって対IOCにも向き合い、責任を持って取り組んでまいりました。
 また、IOC、IPC、組織委員会などの関係者と共に、これまでのオリンピック・パラリンピックのサービスレベルの水準を最適化、合理化する検討により、大会の簡素化に向けた見直しを行うことができたと考えております。
 V5予算以降は、コロナ禍でございましたが、開催準備を進める中で、こうした簡素化の取組を継続し、会場運営やセキュリティ等の効率化や、大会関係者数の削減などにより経費の削減を図っております。
 また、大会経費の見通し公表後は、無観客開催や大会関係者の減に伴う契約の見直しを継続して行い、実績を精査してまいりました。
 こうした取組によりまして、安全・安心な大会の開催が図られるとともに、都と国の新たな予算措置を講ずることなく対応ができたものと考えております。

○清水(孝)委員 ありがとうございます。一部の方がご心配なさっておりました新たな予算措置を講ずることなく対応できたということで、大変よかったと思うわけでございます。
 大会が一年延期となった中で、IOCや組織委員会など関係者が一体となって簡素化に取り組んできたことは、本委員会でも当時、報告がされました。その簡素化の取組が継続されるとともに、大会関係者数の抑制などもあったことから、大幅な削減が図られたということだと思います。
 大会延期の際には、延期に伴う追加経費とともに、コロナ感染症に対応するための対策経費がV5予算に計上されていたと思います。この経費は、その一部を国が十分の十負担するなど、国の支援も得て執行されたものと承知しております。
 そこでお伺いしたいと思うんですが、コロナ経費におきましても大幅に計画を下回りましたが、国と都は、それぞれどのような負担を行ったのでしょうか。よろしくお願いします。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 大会におけるコロナ対策については、安全・安心に大会を開催するために、関係者が一体となって対応策を協議し、必要な措置を講じてまいりました。
 具体的には、国の設置したコロナ対策調整会議において、専門家の意見も踏まえて検討した対策等をベースに、水際対策、入国後の移動制限、行動管理、健康管理などの感染防止対策を取りまとめました。
 また、大会におきましては、現場で実際に生じた課題への速やかな対応も含め、必要な感染防止対策を行ってまいりました。
 一方で、無観客や大会関係者の削減などに基づく契約の見直しなどを行い、経費の削減を図ってまいりました。
 こうした経費のうち、国はアスリート等を対象とした検査体制の整備等について全額を負担し、都は大会関係者等を対象とした感染防止対策について、国と折半で負担いたしました。
 最終報告におけるコロナ対策経費は、国が二百五十一億円、東京都が百三億円となりました。

○清水(孝)委員 ありがとうございました。コロナ経費につきましては、都と国で役割分担を行い、万全の体制でコロナ対策に挑みましたが、最終的には、無観客などにより削減が図られたということだと思います。
 一方で、収入につきましては、今申し上げましたとおり、無観客での開催により、組織委員会はチケット収入の大幅な減という大きな痛手を負ったのも事実でございます。それでも、自らの収入確保のために様々な取組をしてきたわけでありますが、最終的に収支均衡となりました、この予算であります。
 組織委員会は、これまでどのような努力をしてきたのかお伺いしたいと思います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会においては、経費削減の取組と併せ、様々な増収努力に取り組んでまいりました。
 経費削減については、各事業の簡素化や効率化に継続的に取り組み、経費の執行に当たっては、一層の精査を行うなど不断の取組を行ってまいりました。
 収入におきましては、原則無観客での開催となったことにより、当初見込んでいたチケット収入は得られませんでした。しかし、トップスポンサーからの収入に加え、国内スポンサーの確保やライセンシング収入などにより、延期前のV4予算の六千三百億円を上回る六千四百億円もの収入を確保いたしました。

○清水(孝)委員 ありがとうございます。大変ご苦労さまでございました。スポーツ大会の運営費などを確保するため、スポンサー収入を得ることはこれまでも行われてきたことでございます。
 今回の最終報告におきましても、国内スポンサー収入だけで、組織委員会の収入の六割近くを占めていることが分かりました。
 さて、スポンサー収入など、組織委員会の収入確保の努力について伺いましたが、最終報告では、その他という収入項目がございました。組織委員会の収入のその他には、どのような項目が計上されているのか伺いたいと思います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会のその他の収入の主な内訳には、まず寄附が挙げられます。これは都民、国民が大会に参画したいという気持ちの受皿として、組織委員会が寄附を募ったものでございます。
 一般の個人、団体や経済界に呼びかけて得られた寄附金のほか、非営利団体から受けた支援など約二百三十六億円が計上されております。
 また、聖火リレー等関連イベントに係る協賛金として、パートナーの各社から大会とは別に協賛を受けた約百二十五億円が計上されております。
 このほか、ソールサプライヤー契約に基づく収入として約四十五億円、スポーツ振興くじ助成金として約四十三億円が計上されております。
 組織委員会は、このような形で様々な増収努力に取り組んでまいりました。

○清水(孝)委員 ありがとうございました。ただいまのご答弁でも、二〇二〇大会が個人の方や経済界からの寄附、また、各種イベントにおける企業からの協賛金など、様々な方の支えがあって成り立っているのだということがよく分かりました。
 また、国からもスポーツ振興くじ、いわゆるtotoの助成金を受けて実施されたことも分かりました。
 ここまで大会経費について幾つか伺ってきましたが、この二〇二〇大会は、多くの人の力を結集し、多くのものを整備、利用、活用する一方で、効率的、効果的にお金を費やすという点で、これまでの大会以上に様々な取組が行われてきたという気がいたします。
 このうち、経費という面では、平成三十年にIOCが挙げられましたニューノーム−−新しい状態ということですね、という効率的なオリンピック大会の開催、運営の仕組みに先駆けて取組が進められてきた大会でもありました。
 こうした大会準備の努力もあったということも申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、大会によって生まれましたレガシーについてお伺いしたいと思います。
 大会は、有形無形の様々なレガシーを生み出しましたが、有明アリーナなどの新規恒久施設は、大会を象徴するレガシーの一つだと思います。
 今回の大会経費の最終報告によりますと、新規恒久施設の整備費は三千四百九十一億円と、大会経費全体の約四割を占めておりますが、それぞれの施設の収支だけを切り出して議論するのは適切ではないと思います。
 東京二〇二〇大会を契機に整備された新規恒久施設は、最新の国際水準の設備を有する施設として、国際大会をはじめ、大規模大会の開催のほか、都民の身近なスポーツ実践の場、コンサート等のイベントの利用など、スポーツ、文化振興の拠点として、今後の活用が大いに期待されています。二〇二〇大会を象徴する有形のレガシーといたしまして、各施設を次世代に確実に継承していくためには、各施設での様々な取組をさらに発展させていくことが重要だと思います。
 そこでお伺いしたいと思いますが、都は、新規恒久施設を今後どのように活用していくのか、見解をお伺いいたします。

○柏原生活文化スポーツ局開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 新規恒久施設を大会のレガシーとして、多くの都民に利用され、親しまれる施設としていくことが重要でございます。
 各施設では、TOKYOスポーツレガシービジョンに基づき、大会後、それぞれの特性を生かし、スポーツやエンターテインメントなど多様な活用が進められております。
 競技団体による練習や都民向け体験会のほか、例えば、海の森水上競技場では、ボートの第百回全日本選手権大会、大井ホッケー競技場では、マスターズホッケーワールドカップ二〇二二が開催されるなど、国内外の大会も行われております。
 音楽ライブ等のイベントの開催、ファッションショーなど、ユニークベニューとしての利用や施設見学会など、スポーツ以外での活用も実施されております。
 今後、各施設管理者や周辺地域ともさらに連携いたしまして、創意工夫を重ね、都民の貴重な財産として末永く活用されるよう取り組んでまいります。

○清水(孝)委員 ありがとうございました。ただいまのご答弁を伺っていても、先々が楽しみになってまいりました。大会は、様々な困難を伴いましたが、多くの関係者のご協力によりまして開催することができたわけでございます。
 特に、この大会では、ロンドン、リオ大会を上回る約八・三万人のボランティアの皆さんが活躍したことも大きな特徴でございました。コロナ禍の中でその活躍の場は縮小を余儀なくされましたが、ボランティアの真摯な姿勢と温かい笑顔が大会を支えたことは紛れもない事実でございます。
 こうした大会で活躍したボランティアの皆様方が、今後も活動を続けられるようにすべきだと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 大会を契機に高まったボランティア機運を一過性のものとせず、大会後も着実に維持、継続を図ることは、レガシーとしてボランティア文化の定着に寄与する観点から重要でございます。
 シティキャストは大会中、空港での選手の送迎、パラマラソン沿道における観戦自粛の呼びかけ等の活動に約一万二千人の方々に参加していただきました。
 都は、こうしたボランティアの活動に感謝するため、大会終了後、感謝状贈呈式を開催し、シティキャスト全員に感謝状を送りました。
 大会後のアンケートでは、九割を超える方々から今後もボランティア活動を続けたいと意向が寄せられたことから、ボランティアに活動の場を提供するポータルサイト、東京ボランティアレガシーネットワークを開設して、シティキャストの方々に登録を案内し、情報発信に取り組んでまいりました。
 また、昨年十月に開催した都民スポーツ大賞表彰式の運営サポートや、大会関連の展示等を行う東京二〇二〇ARIGATOイベントにおいて、競技体験サポート等の活動を行っていただきました。
 さらに、今年度も東京二〇二〇大会一周年記念事業をはじめ、各種スポーツイベントにおける観客の案内、誘導、競技体験サポートの活動をしていただいているところでございます。
 引き続き、関係局と連携し、ボランティアの活動情報、活動機会を提供してまいります。

○清水(孝)委員 ありがとうございました。私の友人もシティキャスト、ボランティアをいたしまして、支給されましたグレーのスポーツシューズ、私に自慢をしながら、これからもボランティアをやっていきたいんだっていうふうなことを話しておりましたので、この場で申し上げたいと思います。
 ですから、引き続き二〇二〇大会を契機といたしまして、ボランティアの活動環境の整備を進めていただければなと思います。
 加えまして、大会を通じて育ったボランティアの活動の場をスポーツ以外の分野にも広げることも、これは大切だろうなと思っております。東京都のご見解をお伺いしたいと思います。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 大会の開催によって、ボランティアに参加した方々を含め、ボランティア活動に対する都民の関心は高まっております。
 都は、この機会を捉えて、大会に参加したボランティアやボランティアに関心のある方にも活動の場を提供するためのポータルサイト、東京ボランティアレガシーネットワークを開設しました。
 このサイトでは、本人の興味、関心に応じた活動が行えるよう、スポーツに加え、福祉や防災、観光など多彩な分野のボランティア情報を提供しております。
 また、ボランティア活動の手助けとなる学びの機会の提供や、ボランティア同士の交流やつながりを深める仕組みづくりを行うことなど、希望者がボランティア活動に参加しやすい環境を整えております。
 こうした取組を進めることにより、ボランティア活動の場をスポーツ以外にも広げ、大会のレガシーとしてボランティア文化の定着を図ってまいります。

○清水(孝)委員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 大会期間中には、都の職員も現場の第一線で様々な業務に携わりました。とりわけ、選手や大会関係者に身近な輸送については、コロナ禍の中、大変ご苦労があったんだろうなと思います。
 そこで、選手等の輸送についてどのような課題があり、それに対してどのように対応されたのかお伺いしたいと思います。

○松本政策企画局輸送担当部長政策担当部長兼務 東京大会の輸送は、オリンピック開会式より前、七月一日に輸送センターを開設し、パラリンピック閉会後の九月八日まで、都や組織委員会職員のほか、道路管理者、交通管理者等、延べ約九百五十人の体制で二十四時間の運用を続け、輸送管理に当たりました。
 また、コロナ対応としまして、バスの乗車定員を減らし、台数を一割増やしたほか、入国時の検査で陽性疑い等の発生の一報を受けるたびに隔離するためのバスの調達を日中、深夜問わず行いました。
 加えて現場では、運用に必要な機器の不具合や行き先など、日本語の不案内などに対する改善要請などに対応するため、組織委員会の職員だけではなく、ライブサイトや観客の対応に当たるはずだった職員及び都庁各局から約百名の職員の応援を受け、長期間かつ二十四時間の輸送運営に当たることができました。
 輸送の取組は、大会前から行った交通需要マネジメント、期間中の高速道路の入り口閉鎖など交通システムマネジメント、首都高の料金施策などに都民や企業にご協力いただきましたことにより、期間中の一般交通量が低減し、良好な交通環境が整えられました。
 この結果、大会運営に影響する遅延も、大きな事故もなく運営することができました。この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。

○清水(孝)委員 ありがとうございました。輸送に関しましては、大変ご苦労が多かったのかなと思っております。その結果、遅延も大きな事故もなかったということで、大変安心した次第でございます。
 都職員の皆様方も、この大会を通じまして、通常の行政では得られない貴重な経験を積むことができたことと思います。これも人のレガシーとして、今後の東京都の力となっていくと確信をいたしております。
 東京二〇二〇大会の開催に当たっては、アスリートの輸送をはじめ様々な苦労がある中で、都が関係者と連携し、適切に取り組んできたことが改めて分かった次第でございます。
 そういった貴重な経験を今後、関係者と共有していくことが重要だと考えており、パリ大会ですとか、あるいは、今後行われます札幌大会など、今後の国際大会に二〇二〇大会で培った経験を伝えていくべきだと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○木村生活文化スポーツ局国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 東京二〇二〇大会では、都の職員が大会の計画策定や運営に直接関わり、競技や会場、宿泊、輸送のオペレーション、各選手団との調整など、国際スポーツ大会の準備運営に必要なノウハウを培いました。
 パリ二〇二四大会については、本年五月に組織委員会及びパリ市に対し、東京二〇二〇大会の経験を伝える場を設け、TOKYOスポーツレガシービジョンについて説明を行うとともに、関係機関との連携や輸送、ボランティア等の具体的な運営について情報共有いたしました。
 札幌大会の招致に関しましても、JOCからの依頼に基づき、招致計画の作成や関係者との調整に関する情報を提供いたしました。
 二〇二五年に開催される世界陸上競技選手権大会やデフリンピック大会をはじめ、今後の国際大会においても機会を捉え、東京二〇二〇大会で得た経験やノウハウを伝え、活用してまいります。

○清水(孝)委員 ありがとうございました。東京大会の経験が的確にパリ大会や、札幌大会の関係者に共有されていることが分かりました。今後の国際スポーツ大会におきましても、大会で培ったノウハウをぜひ活用してほしいと思います。
 冒頭も述べましたとおり、この二〇二〇大会は、一年の延期、無観客というオリンピック・パラリンピック史上初めての対応を迫られました。
 そうした状況の中で、当時のオリンピック・パラリンピック準備局職員をはじめといたしました都庁職員、そして東京二〇二〇大会組織委員会の職員、そして国、関係自治体、スポーツ団体など関係者全員がまさにオールジャパンの体制で、最後まで熱意を失うことなく一丸となって取り組んだ結果、世界中の人々に勇気と感動を届けるすばらしい大会を実現することができました。
 振り返りますと、都議会といたしましては、二〇一三年九月に東京二〇二〇大会の開催決定後、同年十月にオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会を設置して以降、これまでの間、大会開催に向けた様々な取組について調査検討を行い、また、理事者の皆様とも多くの議論を重ねてまいりました。都の職員の皆様方には、改めてこの場を借りて敬意を表したいと思います。
 様々なご意見がございましたが、最後、それを一つにできたのは、ここにいらっしゃいます委員の皆様方、そして理事者の皆様方が二〇二〇大会を、都民、国民に夢と希望を与える最高の大会にしたいとの共通の思いを持っていたからこそだと考えております。
 大会は成功裏のうちに終わったわけでございますが、真に評価を得られるか否かは、これからの東京の歩み次第でございます。
 最後に、東京二〇二〇大会の総括及び大会の知見等を今後どのように生かしていかれるのか、大会時のオリ・パラ局長でもあり、そして現在は政策局長でございます中村局長からお伺いをしたいと思います。

○中村政策企画局長 東京二〇二〇大会は、コロナ禍という大変困難な状況の下、医療従事者をはじめ、都民、大会関係者、さらにはボランティアなど、多くの方々のご支援、ご協力を得て開催することができました。また、都議会からも大変ご指導いただきまして、改めて感謝を申し上げます。
 その上で、輸送のお話もございましたが、職員、全庁一丸となって対応してきたと。その中で、やはりこれは職員それぞれにとっても財産になっていると考えておりますので、そういうのを生かしていく必要があると考えております。
 また、大会経費について、様々やり取りがございましたが、IOC、IPC、組織委員会等の関係者と協力して、これまで以上に大会の簡素化、経費の削減を図るとともに、コロナ対策の検討を重ねるなど、大会を成功させるため、関係者が一丸となって取り組んだ、このことにも非常に意義があるものと考えております。
 また、コロナ対策のお話もございました。これも組織委員会、政府共々協力してIOC、IPC等々と様々な交渉をした結果として、大規模大会における安全対策としてのプレーブックを作成するなど、さらにそれが大きな国際大会における標準となるというような形も行ってまいりました。
 また、大会を契機といたしまして、成熟都市として進化を遂げるため、大会後のレガシーを見据えたハード、ソフト両面にわたる取組、中でもアクセシビリティーに配慮した施設整備、ボランティアによるおもてなしというのは、国内外からも高く評価をされているところと認識しております。
 さらには、経済活動と大会輸送の両立、コロナウイルス対策への対応など、国、区市町村など関係自治体、スポーツ団体、経済団体などの関係者、まさに一丸となって直面する様々な課題を乗り越えてきたと考えております。
 こうして大会を通じて得られました様々な知見や経験を、今後の国際スポーツ大会のみならず、都市のレガシーに結びつけ、世界から選ばれる都市を目指し、関係各局とも連携して、全力で取り組んでまいります。

○清水(孝)委員 ありがとうございました。中村局長から、お心の籠もったご答弁をいただいたように感じました。
 そもそもオリンピック・パラリンピックというのは、何十年に一回しか日本では開催されません。ご承知のように、昨年、二〇二一年の前の夏の大会は一九六四年でございます。私の生まれる一年前でございます。
 そのような貴重な、めったにない大会の場で皆さんはお仕事をしてきたわけでございます。オリンピック・パラリンピック準備局にいた人もいるでしょうし、組織委員会に派遣された方もいらっしゃるでしょう。組織委員会にいた方は、民間企業出身の方の考え方や仕事の進め方にも接し、議論を闘わせ、お互い切磋琢磨したことだと思います。
 また、都庁のオリ・パラ局におかれましても、これだけ大きな大会で、異なる組織の異なる考え方を持つ膨大な関係者の皆様との調整に奔走された方もいらっしゃったかと思います。
 オリ・パラ大会における、そうした貴重な体験、経験は必ずや皆さんの糧となっているはずでございます。コロナ禍の中で東京だから開催できたと世界から称賛された屋台骨を担ってきたことに自信を持っていただき、今後も様々な分野での皆様方のご活躍をご祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、私からも、オリンピック・パラリンピック東京二〇二〇大会を総括する形で、都民ファーストの会を代表して、質疑をさせていただきたいと思います。
 場合によっては、この特別委員会における最後の質疑になるかもしれません。そういう意味では、今後のことも含めて、総括的に質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 昨年、五月、六月においては、感染拡大が広がる中で、場合によっては中止せよという声も、議会の中でも一部ありました。しかし、やはりやってみて、多くの皆さん方が観戦をし、そしてまた、多くの選手の皆さんが東京に来日をされて、そして、すばらしい競技をあそこで披露してくださったことによって、新しいスター選手も生まれましたし、また、新たな日本における、世界におけるスポーツに対するファンも多く生まれて、スポーツに対する、やはりすばらしさというものが世界中に発信されたというふうに思います。
 先般、私はたまたま浅草寺を歩いていまして、あまり外国人の方が急激に戻ってこられたんで、ちょっとお声がけして、どういうきっかけで来られたのか少し伺ってみましたけれども、中には、アメリカ人の方でしたけれども、あの大会をテレビで見て、そして、そのときにも東京に行きたかったけれども、無観客になったので、今ようやく来れるようになったということで、やはりテレビを通じて、そういう意味では、東京の魅力というものを受け止めて、今来日されている方々もいらっしゃると思います。
 そういう意味では、とりわけて円安もありますけれども、インバウンドという意味でも、この二〇二〇大会の果たした役割というのは極めて大きいと思います。
 一方で、残念ながら、開会式に至るトラブルもありました。ですから、いろんな課題やいろんな成果というものが、もちろん大きな大会ですから、今回あったと思います。
 改めて申し上げれば、コロナ禍で、ただでさえオリンピックの準備をするのは、東京都、あるいは組織委員会、JOC、スポーツ関係者、あるいはボランティアの皆さん、関係者の多くの方々が苦労をするわけですが、中でも、コロナが発生をして、いわば五十年に一回といわれているコロナと、そして今質疑にもありましたが、五十年に一回のオリンピックが一遍に来たわけでありますから、そういう意味では、確率論でいえば二千五百年に一回ぐらいしか来ないような、そういう大変な時期での、そしてまた大変な大会を東京都は乗り切ってこられたというふうに思います。
 世界中、様々な都市がありますが、私は今回の二〇二〇大会で最も世界の皆さん方に発信できたことの一つは、やっぱり二千五百年に一回しか来ないような大変な時期でのオリンピック開催を乗り切った東京都の行政能力の高さだと思います。
 ほかの都市では、本当に無観客で、そしてまた、延期も歴史的に初めて決まった大会を乗り越えられたんだろうかということを思いますと、何度も申し上げますが、関係者の皆様に対する敬意を改めて申し上げたい、こういうふうに思います。皆さん本当にお疲れさまでございました。
 その上で、今後やはりスポーツイベントをインバウンドの大きな要として、東京都は捉えていかなければなりません。そんな中で、今回、元理事の高橋氏が逮捕されるというような事件がありました。私たちにとりましても大変残念で遺憾に思うところであります。
 今回、申し上げたような、まさに東京都ならではで乗り越えられたその成果と、そしてまた、今回のオリンピック・パラリンピックを通じて得られた課題、乗り越えなければならない今後の課題などについて、まず局長の受け止めを伺いたいと思います。

○中村政策企画局長 コロナをはじめとしまして、大変様々な困難がある中でございましたが、特にコロナについては、水際対策、行動、健康管理など様々な感染対策を徹底して、安全・安心な大会を実現することができたと考えておりまして、これは医療従事者、選手、大会関係者、観客、都民など、全ての方々の協力のたまものと考えております。
 お話ございましたが、コロナ禍において、大会自体がどうなるかというのは大変不安もありました。こういう中で、先ほども少しご答弁申し上げましたが、やはり安全な大会をそういう中でもどうしたらいいかと、こういうような中で、組織委、あるいは政府とも一体となって真剣に議論をしてきた。これは大会を何とか成功させたいという思いの中で行ってきたというものでございます。
 あわせまして、本当に様々、ボランティアをはじめまして、皆様方の協力を得られたことは、大変感謝申し上げております。
 一方で、そういう中で、こうした事件が起きたということについて誠に残念であると考えておりまして、ただ、本件は捜査中でございまして、捜査を通じて事実関係が今後明らかにされるものと、このように考えてございます。
 いずれにいたしましても、この大会の経験、成果というのは、十分将来に生かしていく必要があると、このように考えているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、まず今お話のあった大会の成果、とりわけて今日は決算が出た上での質疑ということでありますので、その経費面についての成果も伺ってまいりたいというふうに思います。
 小池知事が誕生して以来、そういう意味では、まずは四百億円の削減に着手をされたことは、ご記憶にあろうかと思います。そういう意味で、様々な取組、経費を圧縮するという不断の取組があったかと思いますが、主な成果としての経費削減策について伺いたいと思います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 大会経費につきましては、関係者と共に不断の経費削減に取り組んでまいりました。
 競技会場整備に関しましては、東京アクアティクスセンターなど、新規恒久施設の整備内容を見直し、約四百億円の削減となりました。
 また、都が組織委員会に働きかけ、IOCとの粘り強い交渉や、会場所有者等の協力などにより、放送用回線の二重化など要件緩和や会場賃借期間の短縮を行うなど、経費の削減が図られました。
 大会の延期後は、全ての大会関係者と一体となって簡素化に取り組み、関係者輸送の効率化や、大会関係者数の削減など、従来の基準や要件等の見直しを行ってまいりました。
 この結果、令和四年六月の大会経費の最終報告では一兆四千二百三十八億円となり、令和二年十二月のV5予算と比べ、二千二百二億円の減となっております。

○伊藤(ゆ)委員 今回の東京二〇二〇大会で、世界から注目されていたことの一つは、やはりこれだけ競技種目も増えている中で、大会にはどこの都市がやってもお金がかかる、なかなか開催できる都市がなくなってきているんではなかろうか、こういう指摘がある中で、都がどういう工夫をするんだろうかということは、関係者が大変注目をされていたことと思います。
 今お話があった放送用回線の二重化の要件緩和、これはIOCの方で定められている、いわゆるテクニカルマニュアルに書いてあるような基準だろうと思いますが、まさにこういうところにも踏み込んで、これはもう今の技術でいえば、あるいは東京の技術でいえば一本でよかろうということで、大幅に予算が削減できたというふうに私も承知をいたしております。
 その例の一つになろうかと思いますが、海の森水上競技場についても、カメラレーンの設置において、大幅にこの予算を削減することができたと当時報告をいただいたように記憶しております。この点について伺いたいと思います。

○原田政策企画局調整担当部長 新規恒久施設である海の森水上競技場の整備につきましては、その見直しに当たり、国際競技団体やIOC、オリンピック放送機構などとの協議を重ね、整備費を縮減いたしました。
 具体的には、コース南側水域に予定していたテレビカメラ撮影用の浮き台であるポンツーンの整備を取りやめ、コース北側の自転車走行路をテレビカメラ撮影用にも活用することなどにより、五十二億円の削減を行いました。
 また、そのほかにもグランドスタンド棟や艇庫棟などの建物の低廉化などにより四十億円削減いたしました。

○伊藤(ゆ)委員 これは本当に重要な提案をされて、そして削減に結びついたというふうに思います。というのは、海の森水上競技場においては、もともとカメラレーンを設置できそうな土台となるものが、東京都の方としては、これが北側にあったわけですね。しかし、もともとのIOCテクニカルマニュアルの規定においていえば、逆光になるので、これは南側に設置してくれと。
 しかし、それを設置するためには、また新たにいわゆるポンツーン、浮き島を設置しなきゃいけない。そうすると、先ほどのお話があったように、五十億円程度の費用がかかる。そこはまさに技術力でカバーをするんだということで、ここはIOCに対して、東京都、あるいはまた組織委員会等と共に交渉されたというふうに承知をしておりますが、そのような理解でよろしいですか。

○原田政策企画局調整担当部長 海の森水上競技場の整備の見直しに当たりましては、国際競技団体やIOC、オリンピック放送機構などとの協議を重ね、整備費を縮減したものでございます。

○伊藤(ゆ)委員 どうしてもIOCが定めたルール、あるいはテクニカルマニュアルは、五十年に一回しか行わない都市の関係者からすれば、初めて見るものばかりということになりますので、いわば金科玉条のごとく、変えちゃいけない、そのまま全部そのとおりにしなければいけないというふうに感じやすいものだと思いますが、こうして一個一個、技術でカバーできるとか、時代が変わったことによってカバーできるというようなことをしっかり提案されたということは、私は非常に大きな成果ではなかったかと思います。
 こういう、いってみればテクニカルマニュアルの更新を提案する、そういう取組というのは、東京だけじゃなくて、今後、仮に札幌で開催をする、あるいはまたほかのパリや今後のロサンゼルスなどで開催されるに当たっても、大いに参考にされるべきことではなかろうかというふうに思います。
 そういう意味では、先ほども少しそうしたアーカイブの話がありましたけれども、開催する今後の都市がしっかりこうした東京の取組を引き継げるような、そういう文書管理、あるいはまた財産の移行について、しっかり検討いただいていると、こういう理解でよろしいんでしょうか。

○原田政策企画局調整担当部長 ただいまのお話につきましても、これまでの成果につきまして、しっかり検討しております。

○伊藤(ゆ)委員 まあ、引き継いでいくと。そのまとめた東京のすばらしいレガシーをしっかり他の都市に伝えていくということを、しっかり答弁をしていただきたいと思います。もう一回どうぞ。

○原田政策企画局調整担当部長 しっかり引き継いでまいります。

○伊藤(ゆ)委員 さて、今、いわゆるソフト面的な対策について、少し事例を用いてお話をさせていただきましたが、ハードの話でも多くの成果が私はあったというふうに思います。
 一つには、新規恒久施設、有明アリーナも一つです。そしてまた、とりわけてアクアティクスセンターにおいて、私はリフトアップ工法を用いたというのは、様々な意味で東京都にメリットをもたらした、また大会運営に、あるいは大会運営の準備にメリットをもたらしたというふうに理解をしています。
 具体例として、この新規恒久施設の建設に当たっての特徴的な取組成果について伺いたいと思います。

○原田政策企画局調整担当部長 新規恒久施設の建設に当たりましては、最新の技術を導入して様々な工夫を行い、施工の効率性や安全性の向上等を図ってまいりました。
 例えば、有明アリーナの施工に当たっては、屋根を分割して組み立てるスライド工法を採用し、下部の工事を並行して効率的に実施いたしました。
 アクアティクスセンターの施工に当たっては、地上近くで組んだ鉄骨造の屋根をつり上げるリフトアップ工法を採用し、高所作業や雨による作業中止を減らすなど、安全性や効率性の向上を図りました。
 また、誰もが使いやすい施設となるよう、東京二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの基準を踏まえるとともに、アクセシビリティ・ワークショップにおいて、障害のある方などから直接意見を聴取し、整備を実施いたしました。
 これらの成果につきましては、施設ごとに紹介用のパネルを作成し、展示するなどの取組を進めており、引き続き積極的に情報発信にも取り組んでまいります。

○伊藤(ゆ)委員 いい切れないほど多分たくさん取組がある中で主な点をお話しいただいたと思います。
 さっき申し上げたように、とりわけてアクアティクスセンターは、私も当時つくっているさなか、ちょうど屋根を上げた頃に伺いました。文章にするとなかなか伝わりませんけれども、しかし、具体に見た一人としていえば、あれだけ大きな施設の屋根を、先に屋根だけ支柱に乗せるというのは、もちろん見たこともありませんでしたし、大変な技術力だというふうに当時実感をしたところでもあります。
 今、そのメリットとして、高所作業や雨による作業中止を減らすなど安全性、効率性の向上を図ったという話がありましたけれども、すなわちそれによって、リフトアップ工法をして、そして先に屋根をつくって、後で中をつくっていくことにより、まさに雨が降っても、そういう意味では工期が延びない、人件費をそれだけ抑制することができる。非常にこの削減効果も実は物すごく大きかったんじゃなかったかと思うんですけれども、経費削減の効果が大いにあったという理解でよろしいですか。

○原田政策企画局調整担当部長 工事に当たりまして、安全性や効率性の向上を図ることで、経費の削減につきましても効果がございました。

○伊藤(ゆ)委員 まさしくそういう意味では、こうした様々な企業が持っていらっしゃるノウハウというものを今回、東京オリンピック二〇二〇大会において、いかんなく発揮していただいたことによって、先ほどのお話にあった四百億円近い削減というものが、まずは得られたというふうに思っております。
 ただ、さっき申し上げたように、こうしたまさに取組、ソフトも、特にハードも世界にも発信をして引き継いでいく必要があろうかと思います。この世界に対する発信について、どのような取組をされているか伺いたいと思います。

○原田政策企画局調整担当部長 ただいま申し上げました成果につきましては、例えば施設ごとに紹介用のパネルを作成し展示するなど、そういったことを用いまして、積極的に情報発信に取り組んでおります。

○伊藤(ゆ)委員 パネルも結構なんですけれども、まさしく東京のすばらしい技術力、映像の力、場合によってはVRといっている時代において、パネル、パネルというのはいささか残念に思います。
 過去にも都民ファーストの会から、例えばですけれども、過去に振り返って、躯体工事をやっているところの映像を撮りに行くわけにもいかぬだろうということで、私は、前に見たNHKスペシャルだったと思いますけれども、NHKさんが撮られた、まさに有明アリーナとかアクアティクスセンターのつくられていく過程及びその効果、そうした映像がすばらしく伝える力を持っているなというふうに実感をしました。これは映像じゃなきゃなかなか伝わらないところがあろうかと思います。
 そういう意味では、NHKさんなんかは間違いなく持っているわけで、こういう既に撮られた映像というのを、やっぱり都としてもうまく活用していくということが、非常に世界に対する発信力として重要なんじゃなかろうかと思います。
 このことは、もう既に前にも質疑をしているので、今日は質問しませんけれども、これ、ちゃんとNHKと、別にNHKにこだわりませんけれども、今日来ていらっしゃるからというわけじゃないんですが、NHKなり権利を持っている方々と交渉して、買うべきものは買って、東京都として発信できるようにぜひ取り組んでください。それはパネルにとどまらないことをお願いしたいというふうに思います。
 さて、今、成果についてお話をさせていただきましたが、次に、文書の管理について伺ってまいりたいというふうに思います。
 かつて、冬季オリンピック、長野で行われたときに、招致委員会の経費を精査しようと思って見たところ、これ、実は私文書扱いになっていて、当時、ほとんどの書類が焼却処分をされていて全く検証のしようがないんだと。そしてまた、住民の方でしょうか、お訴えを起こされたときの一つの判例、検察が述べたコメントだったかもしれませんが、やっぱりこれは私文書なので、ある意味、違法だとはいえないというようなコメントが出ていました。
 そこで、私たち都民ファーストの会、あるいはまた、当時、公明党さんとも一緒になって、五輪文書のいわゆる保管条例なるものを提案させていただいたわけであります。
 ここにいらっしゃる皆さんも、よくよくご承知をいただいていると思うんですが、改めて申し上げれば、最終的に一兆三千五百億円程度になったかと思いますけれども、この予算の内訳としては、東京都が六千億出すんだと。そして、組織委員会の方でスポンサー費用だとか放映権料だとか含めて六千億円集める、国の方でもお金を出すというスキームになり、東京都の方で扱う六千億円の予算、または執行というのは、これは東京都の事業ですから、日常的な事業同様に、東京都の文書保管条例でしっかりカバーされているわけでありますが、さっき申し上げたように、招致委員会であれ、組織委員会の方は、形上、公益財団法人になる。公益財団法人ですから、文書の保管に対する法律というのは、いわゆる法人法、一般法人法しか適用されない。東京都の公文書条例というのは全く適用外になる。まさにそこに我々はフォーカスをいたしまして、この組織委員会に対して、一定程度の情報開示、あるいは全ての文書保存を求める、そういう条例をつくらせていただいたところです。
 その当時、公益財団法人に対して文書管理の条例をつくるのは、例えば違法ではなかろうかとか、公益財団法人を東京都が管理する理屈はないというような意見もいただきましたが、しかし、この後申し上げますけれども、東京都におけるいわゆる監理団体、今、政策連携団体とみなすことができるんじゃなかろうかという政治的なジャッジを加えて、このとき五輪文書の保管条例というものを、最終的には都議会全会一致で成立をさせていったわけでございます。
 五輪文書の保管条例がありますので、これに基づいて、今後どういった文書開示というものがなされる可能性があるのか、あるいは今現在、どれだけの文書がしっかり保管されているのか、この点について伺いたいと思います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例を踏まえ、組織委員会が大会運営及び法人運営のために作成、受領し、組織的に用いた全ての文書が保管及び承継されることとなりました。
 都は、保管場所を現認するなど、文書の整理や保管状況について確認を行っております。大会の準備運営に関するアーカイブ文書のうち、セキュリティ情報が含まれることなどにより、将来の大会関係者に利用を限定する文書につきましては、JOCが管理をし、広く一般に公開することが可能な文書につきましては、都が管理することとなりました。
 都は、一般公開可能な文書につきまして、都立中央図書館にて閲覧を開始したところでございます。
 法人運営に関する文書につきましては、清算結了後、清算人が保存することとなりますが、契約相手の事業情報など、守秘義務が課されているものや、個人情報を含むものもあり、閲覧には裁判所の許可が必要と聞いております。
 なお、清算人保存文書のうち、財務諸表や事業計画書、評議員会資料や理事会資料などの利活用可能な文書は、アーカイブ文書としても引き継がれることとなりました。

○伊藤(ゆ)委員 懐かしいですけれども、当時の条例を解説する図解ですが(パネルを示す)今お話があったように、組織委員会が組織的に用いられた全ての文書、図画、メール等も含まれるんでしょうけれども、保管をするというふうに条例で定めています。
 今お話しいただいたのは、その上で、今まであった組織委員会が清算法人となり、また清算人に引き継がれていくという話と併せて、しかるべき文書がJOCに引き継がれていくという話であったと思います。
 もう一度確認ですけれども、先ほど、まさにこの一番最初のところの組織委員会における文書、まずは組織的に用いられたものが全て保管されていなければ話が始まりませんので、都庁の職員が現認しに行ったという話がありました。
 ここに書いてある組織的に用いられた組織委員会の文書は、全て保管されているというふうに都として認識しているのか。これ全部、一枚一枚、今確認しているわけじゃないでしょうから、認識論で結構ですので、そこをまず、答弁していただきたい思います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 都といたしましては、組織的に用いた全ての文書が保管、承継されるという認識でございます。

○伊藤(ゆ)委員 分かりました。この条例がなければ、くどいようですけれども、法人法の適用しかない。そういう意味では、条例がなければ、逆に焼却処分されていても、それは非合法とはいえないということであり、当時、こうした事態というものを必ずしも想定していたわけじゃありませんけれども、しかし、都民、国民の皆さんに説明をしていくという意味では、この条例をつくったかいというか、意義というものは大いにあったし、その当時、全ての会派が一致して合意できたということは、少なくとも都議会の機能として、健全に役割を果たせたのではなかろうかと思います。今後、やはりそうした資料の精査、事件に関わるものについては、我々は捜査機関じゃありませんので、そういう意味では、むしろこの条例があったことによって、例えば稟議書とか、見積書とか、契約書とか、そういうものがしっかり保管されて、それが場合によっては、今検察の手元にあって、しっかり精査できているかもしれません。大いにこの条例の意義というものを改めて感じさせていただいているところでございます。
 ここからは、今回の事件の具体については伺いません。それは先ほど申し上げたように、警察や検察や裁判所が様々ジャッジをされていくことだろうと思いますが、背景として、ガバナンスの問題については、しっかり伺っていきたいというふうに思ってございます。
 幾つか今回、事件が報じられていますけれども、その中の一つに、マスコットの製作事業者の選定というのがございました。このマスコットの事業者の選定というのは、スポンサー契約とまた違って、いわゆるライセンシー契約というところに入ります。
 つまるところ、スポンサー契約は、お金を出していただきます、ティア1からティア5まであって、そのお金に対して、一方で、こういったことについて五輪マークを使っていただくとかのみならず、物品購入も含めて様々な形で発注をさせていただく、あるいはまた企業のブランドイメージのアップにつながる、あるいはチケットを優先的にお渡しをすることで、例えば何か商品を買ったときの抽せんとして使っていただく。こういう様々なことがスポンサー契約にあって、またスポンサーのおかげさまで、そういう意味では大会運営ができているというふうに思いますので、この一々を、例えばどの企業から幾らもらって、ある意味メリットとして何を提供しているかというのは、スポーツイベントに限りませんけれども、スポンサー契約との兼ね合い上、いかなる理由があろうと出せないだろうと思います。
 これは多分、あらゆる新聞社も同じ仕組みになっていて、どんなに当該の記者さんが自分のところの広告局のところへ行って、どこの企業から幾らもらっていて、どんな紙面を割いているんだといったって、絶対に、それは広告局の人間も他社さんとの兼ね合いもあるし、様々な影響があるので、それは出さないというふうに私も承知をしています。
 一方で、ライセンシー契約なんですけれども、ライセンシー契約については、少し考え方をやっぱり改めていかなきゃいけないんじゃないかと私自身はそういう問題意識を持っています。というのは、ライセンシー契約は、スポンサー料をもらうわけではなくて、例えば、何でも結構ですけれども、Tシャツ、あるいはこういうクリアファイル、あるいは様々なもの、グッズを作っていただくに当たって、必ずしもスポンサーではなくて、事業者の皆さんにロゴマークを使って作っていただくという契約になります。
 ですので、場合によっては、分かりませんが、歩合で売れた分だけ多少組織委員会に入れてくれという話になっているのか、あるいは、最初の段階で、もう幾ら分、組織委員会に入れていて、あとは自由に売ってくださいということになっているのか、あるいは場合によっては、組織委員会の側がお金を払わなきゃいけないときも契約上あり得るのかもしれません。いずれにせよ、スポンサー契約とライセンシー契約は、私は大きく性質を異にしているというふうに思います。
 このライセンシー契約の、申し上げたように様々物品があると思いますけれども、選定過程について少なくともこれは組織委員会の中で選定されているわけですが、議事録や契約書や見積書というのは、まずあるのかどうか伺いたいと思います。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 ライセンシーの選定におきましては、事業者は販売計画等を示したマーケティングプランや見積書などを提出することとなっており、また、組織委員会は内部規程に基づきまして、契約書を作成していたと聞いてございます。

○伊藤(ゆ)委員 今、契約書をつくっていましたという話でありました。あるいは、また見積書などを事業者の方から提供してもらっているということも分かりました。
 では、そうしたライセンシーの契約過程の契約書及び見積書というのは、開示することができるのか伺いたいと思います。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 組織委員会からは、ライセンス契約に関する文書につきましては、契約の相手の事業情報などが含まれていることから、守秘義務が課せられていると聞いているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 もし分かればで結構ですが、契約相手の事業情報というのは、主に何でしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 事業情報につきまして、ライセンシーの選定におきまして、委員会におきましては、マーケティングプラン等で契約条件の遵守義務、保険の加入、持続可能性に配慮した調達コード、製造契約におけるそういったノウハウであるとか、それからロイヤリティーの最低保証金額、また、その与信的な実績等を確認しているということで、その辺りがその事業者の独自の情報になるというふうに聞いております。

○伊藤(ゆ)委員 契約相手の事業情報が含まれるということが一つにはあるということは分かりました。この点については後で伺います。
 あわせて、組織委員会がライセンス契約に関する文書を非開示としているということも聞いていますが、組織委員会がライセンシー契約に関して、文書を非開示としている根拠は今と全く同じ根拠なのか、また違うのかちょっと教えてください。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 開催都市契約におきまして、契約の各当事者は本契約の内容、その履行に伴って得られた情報につき守秘義務を負うという秘密保持契約があるところでございます。
 なお、ライセンス契約に関する文書は、契約相手の事業情報や各種権利に関する内容等も含まれていることから、守秘義務が課せられていると聞いているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 まとめると、開催都市契約はJOC、東京都、IOC、組織委員会の四者で結ばれているという、まず理解でよろしいでしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 はい、認識しております。

○伊藤(ゆ)委員 ありがとうございます。まずJOC、東京都、IOC、組織委員会の四者で開催都市契約が結ばれていて、契約の各当事者は本契約の内容、その履行に伴って得られた情報につき守秘義務を負う。その上で、かつライセンシー契約についていうならば、契約相手の事業情報などが含まれるため守秘義務が課せられていると、いってみれば二段階、開示できない理由があるんだろうと思います。
 さっき申し上げたように、四者の契約の中で、スポンサー契約についてはよく分かるんですね、さっき申し上げた理由で。このライセンシー契約について、先ほど契約相手の事業情報が含まれるというわけでありますが、それは何もかも全部出してくれといえば事業情報が含まれるんだろうと思うんですけれども、例えばマグカップをつくってくださいと。あるいは逆に、これ、つくりたいといってくるのかもしれませんけれども、うちもやりたい、あっちもやりたいと必ずこういうのは、オリンピックには関わりたいと思っている企業の皆さんはいっぱいいらっしゃると思うんですね。
 しかし、蓋を開けてみたら、あそこだけはやっているんだけれども、うちは全然声がかからなかったとか、どこでそういう応募をしていたのかも分からない、こういうことがあるんではなかろうかと思います。
 そもそも例えば一つマグカップ、何の意図もありませんけれども、仮にもマグカップをつくりたいと思っている企業さんがいらっしゃって、そして、このライセンシー契約を結びたいと思ったならば、どこに申し出るとその候補者になれるんでしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 ライセンシーの公募につきましては、組織委員会が専任代理店を通じて、ライセンス企業を募集しております。
 なお、この際には、広く募集をかけていたと聞いてございます。
 実際のところ、問合せシートというもので、シートを提出して、それを基に審査等を行っていると聞いてございます。
 また、ライセンス商品については、一業種一社ではなく非独占であると聞いているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 そこで、今お話のあった専任代理店ということですけれども、専任代理店の方で、このライセンシーの契約に行くためのひとつ受付をすると。そして、広く公募、様々なところにお声をかけているのかもしれません。
 しかし、その上で、やはりどういう経緯で、どういう企業がまさしくそのライセンシーの契約を取り付けたのか。例えば契約金額であったり、それは別に何も企業情報を出す中身ではなかろうと思います。
 ですから、例えば、今、企業名は公表していると。例えば、それこそマグカップでも、Tシャツでもいいんですけれども、それは最終的な企業名は公表されるということですけれども、やっぱり必要に応じて、どういう過程を経て、そしてまた、金額で、契約方式で、そのライセンシー契約を結んだのかということについては、これはやっぱり必ずしも開示しない理由はないというふうに思いますし、むしろ、それによって、都民、国民の皆さんの理解も得やすいんじゃなかろうかと。
 今回やっぱり過程、プロセス、議論というものを東京二〇二〇大会においては大事にしようということで、この議会でも議論が始まったというふうに承知をしています。このことは、さっき答弁にあったように、開催都市契約にまず規定をされているということが一点。しかし、それは多分大きな枠組み、大きな投網としての規定で、その上で、先ほど契約相手の事業情報などというルールを例えば組織委員会なりがかけているんだろうというふうに思います。
 とりわけて専任代理店に窓口をお願いするわけですから、そこは、専任代理店にお願いすることは、一向に差し支えないと思いますけれども、やはり契約内容というものを明らかにしていくということが、今後こうした実行委員会形式なのか、組織委員会なのか、大きなスポーツイベントを行う東京都のパートナーの団体には求められることではなかろうかということをまず指摘しておきたいというふうに思います。
 そこもさっき申し上げたように、ある種これからイベントを行っていく開催都市、あるいはまた東京にとっても、ひとつ見直すいいきっかけになり、レガシーになるというふうに思います。
 ちなみに、ライセンシーの選定に対する都の関与があったかどうかだけ伺いたいと思います。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 ライセンシーの選定につきましては、都は関与してございません。

○伊藤(ゆ)委員 関連しますけれども、組織委員会の中のガバナンスについても伺いたいと思います。
 組織委員会においては、当然、理事会があり、多くの理事の皆様方が熱心にこれまでご議論をされてきたというふうに承知をいたしてございますが、当然、その議論の過程、あるいはまた、理事会の議論ではないかもしれませんけれども、実務の中で、東京都でいえば、例えば東京都監査事務局があり、いわゆる通常の監査、あるいは外部監査、民間にお願いをして民間企業の外部監査、監査法人に見ていただくということもあろうかと思います。
 あるいはまた国でいえば、行政監視委員会かな、会計検査院かな、会計検査院が監査するというようなこともあろうかと思います。
 この契約の事務、あるいは内容について、いわゆる都でいうところの内部監査の役割、あるいは外部監査の役割を果たしていた組織というのはあるのか伺いたいと思います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会では、内部統制の一環といたしまして、監査室による内部監査に加え、監事による監事監査を行っておりました。
 さらに、外部機関が実施する監査、検査といたしまして、都の財政援助団体等監査、国の会計検査院による検査等が実施されております。

○伊藤(ゆ)委員 全ては、例えばなんですけれども、今回、ライセンシー契約の在り方についてお伺いをしましたが、今お話のあったような監査人に当たる方というのが、事件があろうがなかろうがで結構ですけれども、この契約内容、さっきのライセンシーの中身に触れる契約内容について、見たいといったときには見られる仕組みになっていたのかどうか伺いたいと思います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 外部機関が主体となる検査において提示を求められた際には、スポンサー契約及びライセンス契約に関する契約関係書類につきましては、守秘義務があるとして、契約書そのものは提示されなかったというふうに聞いております。
 その代替の資料や口頭説明による対応をさせていただいたというふうに聞いております。

○伊藤(ゆ)委員 私は、さっき申し上げたように、まずスポンサー契約については、何でもかんでも別に出せ出せといって出して済む話じゃないと思っていますし、それはもう成立しないと思いますが、例えばスポンサー契約においてさえも、やっぱり少なくても内部の監査人に対して、全くそれを基本的に見せない、そして口頭の説明だけで対応しているというのは、これ自体、ガバナンスの在り方として私は厳しく問われてしかるべきではなかろうかと思います。
 それからもう一つは、ライセンス契約です。こっちの方がさらに、いわば先ほど申し上げたようなスポンサー契約のデリケートさがないわけですから、むしろ監査人がこれどういう契約になっているのかということを見せてくれといったときに、契約書そのものも提示しない。そういう意味では、当然、見積書も議事録も提示しないんだろうと思うんですが、これはやっぱり監査人が仮に監査しようと思っても監査しようがないんじゃないか。
 これは東京都においては、そんなことないと思うんですね。都においては、常々監査が当然入ったり、あるいはまた、資料の提出を求められれば、委員会で、こうして議会に提示するということもあろうかと思います。
 その点については、特にこれから情報公開の在り方、ガバナンスの在り方、いわゆる組織委員会的な組織をつくったときの監査の在り方というのを改めてやっぱり見直していくべきではないかということを申し上げておきたいと思います。
 それから、関連しますが、今監査のことはそういうことでしたが、やはり組織委員会において、意思最高決定機関は紛れもなく組織委員会の理事会だというふうに私は理解しているんですけれども、それはそういう理解でよろしいんでしょうか。

○高島委員長 どなたですか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 理事会は、組織委員会の重要な事項を決定する場ということで定款において定められております。

○伊藤(ゆ)委員 重要な事項を決定する場、私の言葉にいい換えれば、最高決定機関であろうと当然思います。
 この大事な理事会が再三にわたって、もう何十回とご議論をいただき、大変ご多忙な皆様方が知恵を絞ってくださった結果として、今回の先ほど申し上げたような大会が開催できたわけですが、この理事会は、最もそういう意味では、国権でいえば最高機関は国会ですけれども、会社でいえば取締役会にも当たろうかと思います。
 そうすると、当然理事会においては、それぞれ議事録が取られているというふうに思うんですけれども、それは間違いないでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会の理事会の議事録につきましては、法令に基づき、議事の経過の要領その他その結果を記してございます。

○伊藤(ゆ)委員 その議事録において、発言者は当然記されているものと思うんですけれども、発言者は記されているんでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 理事会の議事録には、発言者は記録されておりません。
 組織委員会によりますと、発言者の氏名があると自由な議論が妨げられるおそれがあるため、法令に基づき、議事の経過の要領にとどめたものというふうに聞いてございます。

○伊藤(ゆ)委員 発言者を記載しないというのは、これはもう答弁を求めませんけれども、別にIOCが決めているわけじゃないですよね。組織委員会の中でお決めになられたと。多分当初にお決めになられていると思うんですが、私もすごくちっちゃい会社をやっていますけれども、それでさえ発言者の記録は取ります。後々やはり何かトラブルがあったとき等において、取締役会において誰がどう発言したのか。当然ながら名前を付して、責任をそれだけ負っていただいているということですよね。それはいわゆるNPO法人等でも一般論としてはそうだろうと思いますし、学校法人においても一緒だと思います。
 同時に、公益財団法人の理事というのは、いうまでもなく、みなし公務員ですから、まさしく公務員に値するぐらい大事な職責、それ以上かもしれませんが、職責を負っていただいていると。やっぱりその発言者が記載されていない。別に懇談会のように非公式な会議があっても私はもちろんいいと思うんですけれども、しかし、正式なやっぱり意思決定機関における理事会の発言者が記載されていないというのは、国際的に見ても違和感があるんじゃないかなと思うんです。
 ですから、もうこれ、組織委員会に対しても、既に解散されているんで、今申し上げても改善のしようがないんだと思いますが、やっぱり今後、そういう意味では、組織委員会など、こういったスポーツイベントを開催するための組織をつくったときには、東京都がしっかり関与して、そしてその在り方というものを提言していくことが極めて重要だというふうに思います。
 そういう意味で、当初、この組織委員会を組織するに当たって、現在はいわゆる事業協力団体というふうに位置づけられているんだと思いますけれども、いわゆる監理団体、東京都が出資をしている、あるいはまた職員を出す、あるいはその性質上、監理団体にし、今お話しさせていただいたような東京都に準ずる規定に基づいて、例えば会議を公開するとか、それからまた、文書の管理をしていくというような議論というのはなかったんでしょうか。経緯を伺いたいと思います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 東京都監理団体指導要綱等で、都が基本財産に出資等を行っている、都からの財政的支援または人的支援が大きい団体のうち、全庁的に指導監督を行う必要がある団体を監理団体として整理しておりました。
 組織委員会におきましては、団体の設置がIOCに義務づけられていること、また、オリンピック憲章等において、オリンピック憲章、IOC、NOC、開催都市の間で取り交わす合意書、さらにその他規則またはIOC理事会の指示に従い全ての活動を進めるとされ、団体の事業活動にIOC等から非常に強い関与があることなどから、監理団体の適用除外規定に当たると判断し、平成二十六年一月の組織委員会設立時に、報告団体と指定されました。

○伊藤(ゆ)委員 さっきちょっと提示させていただいた五輪文書、いわゆる保管条例においても、この議論は随分させていただいたところです。
 というのも、当初の五十七億円返還されたという話を抜きにしても、組織委員会が形成されるにおいて、いわゆる出資金、出捐金は三億円、半分出したのが東京都一・五億円。そしてまた、職員の数も少なくても千人以上、常々派遣をしていたということを鑑みて、あの条例ができた根拠は、やっぱり一つには、監理団体とみなせるだろうという理解の下に、いわゆる公益財団法人ですけれども、ああした条例というものをつくらせていただき、議会でも議決をいただいたわけでございます。
 さっきお話があったように、判断したのは、組織委員会の関係者の方々、あるいはまた東京都であろうかと思います。これももう既に解散された団体のことではありますけれども、やっぱりこれだけ多くの公金を取り扱う、そういった意味では、私は監理団体にしてもスポンサー契約の中身なんて全部開示する必要ないと思いますし、それはちゃんと開示しない理由というのを説明できると思います。
 ただ一方で、東京都と同じような基準で、やはり開示できるものは開示していく、議事録をつけるものはちゃんとつけていく、こういうルール設定が重要であろうというふうに考えております。
 というのも、先ほど来申し上げていますが、都民の皆さんの理解をやっぱり十分に得ながら開催していかないと、こうした都市の魅力向上につながるスポーツイベントを今後開催していくことが非常に難しくなる。
 そういう意味で、今後予定されているイベントにおいても、都がしっかり関与し、ガバナンスを利かせるとともに、今回の事件の教訓を今後につなげていくべきと私は思いますが、局長の見解を伺いたいと思います。

○中村政策企画局長 二〇二〇大会では、様々ご質疑もございましたが、大会会場ですとか経費の管理、あるいは暑さ対策ですとか輸送など多くの課題がございました。
 さらにはコロナ禍、さらに延期という当初想定し得なかった困難にも直面してまいりましたが、医療従事者をはじめ都民、ボランティアなど多くの関係者の協力を得て開催することができたものと考えております。
 この中では、お話がございましたが、会場の整備手法ですとか、コロナのノウハウ、また経費の管理など、大会における多くの知見というのは得られたものと考えておりまして、こういったものについて、今後の国際スポーツ大会において、経験、ノウハウを伝えていくのは重要だと考えております。
 一方で、スポーツイベントは多くの都民の理解、協力が得られるよう、公正で信頼されるものがある、これが重要であろうと考えておりますので、その運営に当たっては、ガバナンスやチェックの仕組み、コンプライアンスの強化、適切な情報公開などにより公正性が確保されることが必要であると考えております。
 今後、先ほどもお話がございましたが、開催を予定されております世界陸上の大会運営組織の設立準備会においても、こうした観点を踏まえ、検討を進めることとしております。
 引き続き、国際大会において、ガバナンスに配慮した仕組みを検討するとともに、スポーツ庁など関係機関との課題認識を共有、協力してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 昔、まだご健在でいらっしゃったときに、森ビルの森稔当時の会長から、都市の磁力という話を聞かせていただいたことがございます。
 その当時、森会長がお話しになっていたのは、機能性ということに加えて選ばれる都市というのは文化性があるんだと。そして帰りの飛行機で離陸していくときに、ああ、もう一回この都市に来たいなと思わせる都市というのがやっぱり都市の磁力を持っているというふうにお話しになっていました。
 その文化性の一つに紛れもなく美術や、また芸術もあれば、スポーツイベントが挙げられることと思います。これだけ日本や東京の人口が、東京は減っていませんけれども、日本全体の人口が減っていって、マーケット価値が低下している中で、日本、東京にとって欠くことのできないインバウンド成長戦略が、やっぱりこのスポーツイベントであろうというふうに思います。
 そのことは、都民の皆さんも、国民の皆さんも十分にご理解をいただいていることと思いますので、何よりも今お話のあった透明性、コンプライアンスの強化というものに努めていただき、今後のスポーツ大会において、やっぱりいいレガシー、先ほどの最初のどうやって経費が削減できたか、あるいは削減だけじゃなくてもちろんお金をかけて、ワイズスペンディングしてきた部分もあろうかと思います。
 そこのレガシーを合わせて、ソフト面での運営面で、どうしたら透明性を高められるかというレガシーを、これだけ多くの皆さんの尽力、また労力によって成し遂げられた大会ですので、ぜひ今後につなげていただきたいということを申し上げて、質疑を終わらせていただきたいと思います。

○小林委員 それでは、よろしくお願いいたします。二〇一三年九月、私は二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会開催都市決定に伴う議員団派遣の一員として、IOC総会が開催されたブエノスアイレス市を訪問させていただきました。
 開催都市の発表で、IOCのジャック・ロゲ会長が、東京二〇二〇と書かれたカードを掲げ、東京と発言した瞬間、固唾をのんで見守る会場が一瞬にして歓喜に沸き立った光景を忘れることはできません。当時の映像を見ると、今もって、あのときの感動がよみがえってまいります。
 開催都市決定から七年後を目指した東京大会、まだまだ先は長いなと当時は思っておりましたが、東京二〇二〇大会が終了し、早いものでもう一年がたちました。本年の七月二十三日、八月二十四日、そして十月十六日には、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会一周年記念イベントが盛大に行われ、私も参加をさせていただきました。
 国立競技場でのパレード、競技体験イベントや車椅子バスケットのエキシビションマッチなど、多くの都民の皆様も参加をされておりました。
 また、十月十六日のレガシーハーフマラソンは、オリンピックのマラソンが東京で実現しなかったこともあり、皆さんも感慨深い思いでレースを観戦したのではないかと思います。
 この一周年イベントでの都民の皆様の盛り上がりを見て、多くの皆さんに本番の競技をぜひ会場で観戦していただきたかったと改めて思うとともに、新型コロナウイルス感染症との闘いの中、困難な状況を乗り越えて大会を行うことができ、本当によかったと実感をいたしました。
 さきにご報告いただきましたが、約八年半と長期にわたり、大会準備、運営を担った東京二〇二〇組織委員会が六月三十日をもって解散し、最終的な清算のステージに入りました。
 六月二十一日の組織委員会の最後の理事会においては、組織委員会の収支及び大会経費の最終報告が行われ、東京都の負担も予算の範囲内に収まったということであります。
 一方で、六千億弱の都費が大会のために使われていることから、これまで都議会公明党は、本委員会などにおける質疑を通じて、大会経費について確認を行い、都民に対する説明責任を求めてまいりました。
 そこで、おさらいとなりますが、こうした過去の委員会における確認事項も含め、大会経費について幾つか質問をさせていただきます。
 大会経費の最終報告では、計画に比べて削減が図られていますが、立候補ファイルの際の経費の二倍となっており、大会経費が大幅に増加したという主張もあるようでございます。
 この点については、これまでも答弁をいただいているところですが、こうした誤解を避けるため、改めて大会経費と立候補ファイルにおける経費の乖離について見解をお伺いいたします。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 立候補ファイルにおきましては、立候補都市間での比較を容易にするため、例えば建築工事は本体工事費のみを計上するなど、IOCが求める基礎的な要素のみが取り出されており、一定の条件の下での内容となっております。
 また、開催都市決定後、資材、人件費の高騰、世界的なテロの脅威の拡大、深刻化するサイバーテロなどの課題が顕在化するなど、大会を取り巻く環境の変化や、競技種目の追加などにより、立候補当時には想定し得なかった経費も発生いたしました。
 そこで、大会経費につきましては、大会に必要な事業の総額を算定し、平成二十八年十二月にV1予算を公表し、その後も毎年度、精査を行い、経費の総額と内訳をホームページで公表するなど、都民への情報提供に努めてまいりました。

○小林委員 次に、経費の区分についてお伺いします。
 本日の委員会においては、大会経費の最終報告ということですが、都においては、大会経費とは別に、大会関連経費というものがありました。大会関連経費についても、これまで財政当局から公表されてきていますが、大会経費に計上せずに、大会関連経費に隠しているといった誤った理解をされている方もいるようでございます。
 この点についても、これまで答弁いただいているところですが、改めて大会経費、大会関連経費とは、それぞれどのようなものかを確認させていただきます。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 大会に関わる経費のうち、東京都や国が負担する新規恒久施設の整備、大会開催のために組織委員会が実施する仮設施設の整備や大会運営の経費など、大会に直接必要となる経費を大会経費としております。
 また、行政目的のために行われるものでございますが、大会を契機に重点的に取り組むことで、大会のためにもなり、大会後の東京のさらなる発展につながるレガシーにもなるものの経費を大会関連経費としてございます。
 大会関連経費には、既存体育施設の改修や暑さ対策、教育、文化プログラム、都市ボランティアの育成、都市のバリアフリー対策、輸送インフラとしての道路整備などがあり、大会に密接に関わる事業や、大会の成功を支える関連事業として都が実施しております。
 なお、大会関連経費につきましては、財務局において現在取りまとめを行っているというふうに聞いてございます。

○小林委員 大会に直接関わる経費と、都の施策として各局が行う中で、大会にも関わる経費という違いがあるということであります。
 大会経費における東京都の負担は、大きく分ければ二つになり、新規恒久施設に対する整備費の支出と、共同実施事業に対する支出ということになります。
 このうち、共同実施事業というのは、大会の準備や運営のために組織委員会が実施する事業に対して、都や国が公費を負担するものであると、これまでも説明をいただいてきたところですが、公費を投入するわけですから、きちんと確認を行うことが求められます。
 そこで、共同実施事業の体制や具体的な確認方法について確認をさせていただきます。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 共同実施事業につきましては、都と国の資金を使用して、組織委員会が事業を実施することから、都、国、組織委員会の三者による共同実施事業管理委員会を設置し、コスト管理と執行統制の強化等を図ってまいりました。
 共同実施事業管理委員会においては、毎年度、大会経費全体の内容を確認した上で、四半期ごとに、仮設やエネルギーなどの各区分における事業ごとの執行状況を確認してまいりました。
 また、共同実施事業管理委員会の下に設置した作業部会においては、対象となる案件について、組織委員会から事業内容の説明を受け、質疑応答を行い、三者で確認を行っております。
 共同実施事業管理委員会につきましては二十六回、作業部会につきましては、東京都作業部会を百一回、パラリンピック作業部会を二十七回、新型コロナウイルス感染症対策作業部会を十八回開催いたしました。

○小林委員 共同実施事業管理委員会という枠組みの中で三者で確認を行ってきたとのことであり、また、今ご答弁にもありましたが、かなりの頻度で行われてきたという状況でございます。
 次に、共同実施事業の契約状況についてですが、組織委員会は、民間事業者との契約締結により事業を進めてきました。民民の契約ですから、当然、守秘義務等の関係で情報開示にも限界があることと思います。
 一方で、共同実施事業については、都の税金を含む事業でございますので、可能な限りにおいて、都民に対して丁寧な説明を行うことが求められてくると思います。
 今回の委員会要求資料にもあるように、共同実施事業の契約については、情報公開が進みましたが、これまでにどのような調整が行われてきたのかお伺いいたします。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 共同実施事業におきましては、基本的に契約の相手方及び金額を公表することとしております。
 このうち、パートナー供給契約では、パートナーが最低価格で商品等を提供することとなっており、その事業上の地位を脅かすことのないよう、契約当事者双方に守秘義務が課されております。
 しかしながら、都民への情報提供推進のため、都が働きかけ、組織委員会が国内スポンサーと順次調整をし、国内スポンサーにつきましては、全ての金額が公表されております。
 一方で、トップパートナーにつきましては、IOCとの間で複数年にわたる契約を結んでおり、守秘義務があることや、次の大会以降のトップパートナーの活動にも影響を及ぼす可能性があることから、総件数と総額を公表することとしております。
 なお、トップパートナーの契約金額の総額約八百億円のうち、都の負担は約三百九十三億円となっております。

○小林委員 ありがとうございます。都が働きかけ、組織委員会において個々の企業と交渉したとのことですが、もともと守秘義務のあった契約の金額を公表するという交渉でございますので、様々なご苦労も多かったのではないかと思います。
 一方で、契約金額が公表されていなくても、都が公費を負担する事業についても確認することが必要であります。
 そこで、共同実施事業において、トップパートナーとの契約を含め、どのように確認をされ、都費の負担額をどう管理、把握していたのかお伺いいたします。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 共同実施事業につきましては、共同実施事業管理委員会において、計画、予算、執行の各段階で精査、確認を行っておりました。
 また、共同実施事業に係る個々の案件の経費につきましては、執行前、執行後にそれぞれ東京都作業部会等において確認をいたしました。
 まず、執行前の段階におきましては、案件が契約手続に入る前に、都の担当が組織委員会の担当から内容をヒアリングし、積算資料等を確認しながら、必要な内容、機能であるか、適正な規模、単価であるか、類似のものと比較して相応であるか、公費負担の対象として適切であるかなどの観点から、一件ごとにチェックをし、必要に応じて見直しを行い、事業に反映しております。
 その上で、作業部会において組織委員会と都の双方の担当者から説明を受けて、質疑応答を行い、確認表に記載された内容について確認を行っております。
 執行後の段階におきましては、年度末には、当該年度の支払い額が予算の範囲内で適切な負担区分に基づいて実施されているかなど、都の担当が仕様書や実績報告書などを基に、内容や金額の確認を改めて行っております。

○小林委員 先ほどご答弁のあった共同実施事業管理委員会の仕組みの中で、事業の執行前後で確認を行っていたということであります。
 この共同実施事業の仕組みの中にも入るものと思いますが、本年二月の本委員会で、我が会派の谷村副委員長から、共同実施事業の安全対策について質疑をさせていただきました。
 この安全対策の都の支出については、赤字補填ではないかという声もまだあるようでございますが、この点、念のため、改めて説明をお願いいたします。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 大会経費につきましては、三者がそれぞれの役割分担に応じた対応を図ってまいりました。
 V5予算以降に、新たな変異株の出現に伴うコロナ対策や無観客開催といった後発事象が生じました。
 そこで、令和三年十二月に、三者がそれまでの経緯や状況を共有した上で、それぞれの役割分担を踏まえた対応を図ることに合意し、この三者合意に基づいて、都が共同実施事業負担金、安全対策を支出することとしたものでございます。
 安全・安心な大会の円滑な実施の観点から、大部分を無観客開催としたことにより影響を受けた仮設整備に係る経費を対象に、V5予算の範囲内で都が支出いたしました。
 対象となる事業は、本日の資料でお示ししているとおりでございますが、組織委員会が実施する事業に対して、共同実施事業負担金を支出したものでございます。赤字を補填するものではございません。

○小林委員 三者の合意に基づいて、V5予算の範囲内で、組織委員会が実施した仮設観客席などの仮設整備に係る事業に対して支出したとのことでございます。
 本日の資料で、具体的な事業もお示しをいただいておりますので、これは赤字補填ではないということであると思います。
 次に、文書の保存、継承についてお伺いします。
 組織委員会が大会の準備や運営などに伴って作成した資料、文書をアーカイブ資産としてしっかり保存していくことは、大会のレガシーを引き継いでいくという意味で大変重要でございます。
 例えば、先ほどの大会経費については、V1から始まり、大枠の合意、追加経費負担の合意など、関係者間の協議を重ね、その時々の状況に対応し、精査を重ねて、今回の最終報告に至ったわけですが、そうした過程こそが、東京オリンピック・パラリンピックを目指す札幌や、その他の国際大会実現を目指す関係者にとっては、貴重なレガシーの一つといえるのではないかと思います。
 私ども都議会公明党は、先ほど伊藤理事からもお話がありましたが、文書等の保管及び承継に関する条例の趣旨を踏まえて、関係者と連携し、適切に保存していくべきと主張してきたところであります。
 先日、アーカイブ文書が公開をされました。そこで確認ですが、これまで都は、組織委員会文書の保管、承継について、組織委員会とどのような調整を行ってきたのかお伺いいたします。

○澤崎生活文化スポーツ局アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務 都は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例を踏まえ、組織委員会に対しまして、適切な文書保管に関し、文書により協力依頼を行ったほか、職員が保管場所を現認するなど、組織委員会における文書の整理や保管状況について確認を行ってまいりました。
 その結果、組織委員会が法人運営及び大会運営のために作成、受領し、組織的に用いた全ての文書が適切に保管及び承継されることとなりました。
 都は、組織委員会の文書に関し、可能な限りアーカイブ文書として利活用できるよう、IOCや組織委員会と交渉いたしまして、本年七月、約四千件の文書を引き継ぎました。
 都は、この文書全てについて、先月二十五日より、都立中央図書館にて閲覧を開始したところでございます。

○小林委員 ありがとうございます。組織委員会の清算法人は、現在、清算結了に向けて業務を進めていることと思います。
 今、文書の整理についてご答弁をいただいたところですが、清算結了後の清算法人の文書の取扱いはどのようになるのか、また、それは公開、閲覧ができるのでしょうか、お伺いいたします。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 清算法人の文書につきましては、法令の定めにより、その帳簿や事業などに関する重要な資料を清算人が清算結了後、十年間保存することとされております。
 清算人保存文書は、契約相手の事業情報など、守秘義務が課されているものや、個人情報を含むものがあり、公開にはなじまないとのことでございますが、裁判所の許可がある場合は閲覧が可能と聞いております。
 なお、清算人保存文書のうち、一般公開可能なものや、将来大会の運営に資するものにつきましては、できる限りアーカイブ文書としても保存、承継できるように、組織委員会に働きかけ、財務諸表や事業計画書、評議員会資料や理事会資料などがアーカイブ文書としても引き継がれ、利活用できることとなっております。

○小林委員 こうした文書のみならず、大会で使用した競技用備品、ユニホーム、回収したプラスチックを再生して作成した表彰台など、オリンピック・パラリンピック遺産ともいうべき貴重な品々を有効活用して、大会の感動や興奮を多くの方々と分かち合う場や機会を設けることも重要であります。
 一周年イベントでは、東京二〇二〇大会の開会式衣装や、メダリストのサイン入り競技用具の展示が行われていました。大変大事な取組であると思いますが、今後のアーカイブ資産の活用について見解をお伺いいたします。

○澤崎生活文化スポーツ局アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務 都は、アーカイブ資産等の有効活用のため、外部有識者から成るアドバイザリー会議を設置し、本年五月に東京二〇二〇大会アーカイブ資産等活用方針を策定いたしました。
 この方針に基づき、東京二〇二〇大会一周年記念イベントをはじめ、多数のイベントで展示を行っているほか、都庁第一本庁舎二階、東京体育館等で展示を実施しております。
 また、都内区市町村をはじめ、全国の自治体でも展示できるよう、資産の貸出しも開始いたしました。
 今後も、各種イベントで積極的に活用するほか、都立スポーツ施設等での展示についても、充実に努めてまいります。

○小林委員 都では、大会前の機運醸成などをはじめ、大会に向けた様々な取組を実施し、情報発信をしてまいりました。今後も、それらの情報が利用できるようにしていくことが重要であると考えます。
 そこで、大会に向けた都の取組や、組織委員会を含めた大会関連の情報を掲載した都のホームページの今後の運用についてお伺いいたします。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 東京二〇二〇大会は、都民、国民の関心の高い事項であり、都では、大会に向けて行ってきた様々な取組や大会関連の情報について、ホームページに掲載し、都民への情報発信に努めてまいりました。
 また、大会準備や運営の状況を発信してきた組織委員会のホームページは、解散をもって閉鎖されました。
 そこで、それらの大会関連情報を引き続き閲覧できるよう、現在、都のホームページにおいて、その内容を掲載しております。
 今後もそれらの情報を閲覧できるよう、ホームページの運営方法などの具体的な取扱いについて検討を進めております。

○小林委員 東京二〇二〇大会は、コロナ禍の中で様々な困難が伴いました。中止になってしまうのではないか、また、中止にすべきだという声もあり、世界中のアスリートが、四年に一度の活躍の場を失ってしまうのではないかと、世界がその動向を注視しておりました。
 結果として、一年延期の末、開催することができましたが、こうした困難な状況の中、開催することができたのは、まさに東京の底力であったといえると思います。
 コロナ禍の中、アスリートファーストを掲げて開催された東京二〇二〇大会でありましたが、アスリートの方々、そして海外からの評価はどのようなものであったのか、改めてお伺いいたします。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 国内、海外のアスリートからは、インタビューやSNS等を通じて、大会関係者やボランティア等に対し、日本の皆さんの協力のおかげで私たち何千人ものアスリートが、今日ここで競技をし、夢を実現することができました、コロナ禍で開催していただきありがとう、地元東京のオリンピックでプレーできたことは本当に幸せですといった感謝の気持ちを表しておりました。
 IOCの独自調査によれば、オリンピックだけで、世界で三十億五千万人が視聴し、二百八十億回のビデオ視聴がございました。これは、史上最も視聴されたオリンピックであることを示すものでございます。
 また、公式SNSは七言語に対応し、フェイスブックで約百六万人、ツイッターで約百二十万人、LINEで約七百六十一万人のフォロワーとなるなど、過去最大のフォロワー数を獲得した大会となっております。
 海外からは、パンデミックの中で困難を極めたにもかかわらず、日本国民の協力によって大会が開催され、無事終了したことや、無観客の中での大会運営などに関して評価をする報道が多数見られました。
 例えば、イギリスのメディアは、毎日体温を測ったり証明書を用意したりして、東京にいる間、ずっと守られていて安全だと感じていたなど、安全・安心の取組などについて紹介し、また、アメリカのメディアは、五輪を開催するのには最適な場所だった、すばらしい仕事をしたなどと報じられました。

○小林委員 ありがとうございます。大会は様々な困難を伴いましたが、今ご答弁がありましたとおり、本当に関係者の皆さんの大変なご尽力で、安全・安心に終えることができました。
 そして、七月二十三日から始まった大会一周年記念イベントも盛大に幕を閉じました。
 今後は、大会が東京、そして日本にとって価値あるものだった、本当にやってよかったと後世まで語り継がれるものとするために、これからの取組がさらに重要であると考えます。
 大会を通じて得られた様々なレガシーを受け止め、しっかり継承していくことが我々を含め、関わってきた者の責務であると思います。
 東京二〇二〇大会は、様々なレガシーを残した中、特にパラリンピック大会の開催において、障害者スポーツへの理解増進というレガシーは特筆すべきではないかと思っております。
 私も今回、車椅子バスケットボールや車椅子テニス、ボッチャなど、各種パラリンピック競技を観戦し、改めてその競技の魅力を実感いたしました。
 最後に、大会準備に長く関わり、大会時にはオリンピック・パラリンピック準備局長として、陣頭指揮を執られた中村局長から、大会のノウハウやレガシーの継承、発展について、特に、パラリンピックの振興の観点から、見解をお聞かせいただきたいと思います。

○中村政策企画局長 コロナ禍の大会の一年延期、また、無観客という前例のない中で、都民をはじめ、多くの方々の協力を得まして大会を開催できたことそのものは、かけがえのないレガシーとなっております。
 都議会の皆様方からも、ご指導、ご支援いただいたことに改めて感謝を申し上げます。また、昼夜を分かたず仕事をしていただいた職員にも感謝をしております。
 レガシーにおきましても、世界で初めて二度目の夏季パラリンピックを開催する都市として、大会に向けた機運醸成、あるいはパラスポーツの都民への関心を高めるとともに、アクセシビリティーに配慮した競技施設の整備、あるいは駅舎、あるいは宿泊施設などのバリアフリー化、こういった共生社会の実現に向けて様々な取組を進めてまいりました。
 また、様々なパラスポーツのイベントですとか、パラバリ懇等々、ソフト面も含めてその振興というのを図ってまいったところでございます。
 あわせまして、コロナ対策をはじめまして、競技会場の運営、あるいは選手、観客のおもてなし、ボランティアの参画など、大会で蓄積されましたノウハウを都市の発展につなげていくとともに、聖火リレートーチなどアーカイブ資産を次世代につないでいく、このことも重要だろうと考えてございます。
 さらに、大会を通じて被災地の復興を後押しできるよう、被災県と連携しながら、様々な事業を展開して、被災地との絆を深めるとともに、復興オリンピック・パラリンピックの意義に加え、被災地の姿や世界中への感謝の気持ちなどを世界中のメディアに発信してきたことを継続的に続けていくこと、このことも極めて重要なことであると考えております。
 大会経費のお話がございました。共同実施事業管理委員会において、コスト管理、執行統制の強化を図るとともに、組織委員会の収支状況について、月次の管理など、こういったものを導入してきたと。そして、そのキャッシュ・フローを継続的に把握してきた、こうした取組も極めて重要な取組であったと、このように考えております。
 国際的な評価もありました。大会に向けたこういった取組の成果をレガシーレポートとして取りまとめ、都民に分かりやすく発信するとともに、大会で得た貴重な経験や被災地の絆を後世へつなぎ、各局とも連携して誰もが活躍できる多様性と包摂性にあふれた共生社会の実現に取り組んでまいります。
 あわせまして、今後の国際大会等にも十分生かしていきたいと考えております。

○小林委員 ありがとうございます。二〇一三年の開催都市決定から今日まで、都庁職員の皆様はじめ、関係者の方々の大変なご尽力によって、東京二〇二〇大会が開催され、成功を収めることができました。今日までの多大なご労苦に心より敬意を表し、改めて感謝を申し上げます。
 今、局長のご答弁にもありましたように、大会で得た貴重な経験を後世に引き継ぐ、この使命を果たしていかなければなりません。今後も都の積極的な取組をお願いし、私たち都議会公明党もしっかり後押ししていくことをお約束いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時二十分開議
○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○とや委員 日本共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 資料のご提出ありがとうございます。六月二十一日に組織委員会の最後の理事会が開催され、大会経費の最終報告と大会公式報告書が公表されました。
 この内容について、マスコミからは批判的な報道が多くなされ、さらに、七月以降、贈収賄容疑で組織委員会の高橋治之元理事をはじめ、スポンサー企業や関係企業の幹部が相次いで逮捕、起訴される事態となっています。
 大会経費の集め方、使われ方が五輪にふさわしいものであったか、公費を投入する事業として適切に運営されていたのかが問われています。都議会でもしっかり議論し、チェックしていくことが求められていると思います。
 今回の最終報告書では、大会経費の総額が一兆四千二百三十八億円となりました。昨年十二月の見通しから二百九十二億円減らしたものの、招致時に試算した七千三百四十億円のほぼ二倍となっています。
 そのうち東京都の負担は五千九百六十五億円となり、十二月の見通しより二百八十三億円の減となったものの、やはり招致時の試算から見ると大幅に膨張をしました。
 改めて伺いますが、立候補ファイル時に都の負担となっていた金額は幾らですか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 立候補ファイルにおきましては、立候補都市間での比較を容易にするため、例えば建築工事は本体工事費のみを計上するなど、IOCが求める基礎的な要素のみが取り出されており、一定の条件の下での内容となっておりました。
 大会経費は、大会に必要な事業の総額を算定し、平成二十八年十二月のV1予算から毎年度精査を行い、経費の総額と内訳をホームページで公表しております。
 なお、大会経費の最終報告における都の金額は五千九百六十五億円でございます。

○とや委員 今、私が伺ったのは招致時の金額であります。立候補ファイルで都が負担すると明確に示した金額は幾らですか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 立候補ファイルにおける一千五百三十八億円は、都が整備することとしていた競技会場等の整備費でございます。IOCの求める要件に沿って計上したものでございます。

○とや委員 都立新規恒久施設の建設費ということであります。一千五百三十八億円です。
 立候補ファイルでは、都の負担は、都立の新規恒久施設の整備費一千五百三十八億円だったのが、最終的に五千九百六十五億円になりました。全体経費は約二倍ですが、都の負担は四倍に膨張しています。
 この費用膨張に対し、都は、先ほどもありましたが、立候補ファイルの予算と大会経費は前提となる条件が異なっていることから、比較することになじまないなどとおっしゃっております。しかし、立候補ファイルはIOCへの説明資料であると同時に、五輪経費など、都民に説明するものでもありました。
 例えば、二〇一三年二月のオリ・パラ特別委員会では、大会運営にはどのくらい費用がかかるのかという質問に対し、当時の担当部長が、大会の運営主体は組織委員会であり、組織委員会は競技会場や選手村での運営のオペレーション、開閉会式、大会関係者のセキュリティー、輸送、仮設施設の整備などを行う、その予算は約三千億円で、民間資金により賄う旨を答弁しています。
 大会運営を行う組織委員会の予算に対し、さらに議員からは都税が投入されるのかと問われて、部長はオリンピックには都からの支出はありません、パラリンピックには運営費の半額の七十億円を都が負担しますと答弁し、議員がオリンピックについては全て民間資金によって賄われるんですねと返しています。
 そして、施設整備費については、大会のためだけに使用する仮設施設は大会組織委員会が負担する。新規恒久施設のうち、都は、都立施設の一千五百三十八億円を負担する旨の答弁がされています。このように都民に説明したことに間違いはありませんか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 東京都の負担につきましては、開催都市決定後、資材、人件費の高騰、世界的なテロの脅威の拡大、深刻化するサイバーテロなどの課題が顕在化するなど、大会を取り巻く環境の変化や競技種目の追加などにより、立候補当時には想定し得なかった経費が発生してございます。

○とや委員 課題があったり、環境の変化で立候補時には想定しなかった経費が出てきていると。それが四倍に膨らんだというのは、あまりにも理由にならないんじゃないかなと思います。何度も何度も合意が繰り返されて、都の負担割合がどんどん増えていったというのが実態ではないでしょうか。
 新聞の社説なども、費用が倍増したことについて、それで納税者が納得するかと批判をしています。招致の仕方や都民への説明、その後の都負担が増えていく経緯について、組織委員会は、現在のような収支均衡だとか、大会経費はV1予算を下回ったということだけでは、都民の納得は得られないということを改めて指摘しておきます。
 次に、共同実施事業について伺います。
 二〇一七年に大枠の合意を交わして以降の全ての決算が公開されています。総額四千七十八億円、そのうち都負担分は三千四百四十八億円となっていますが、都や国の費用を負担し、組織委員会が行う事業として、その透明化が求められていると思います。
 スポンサーが優先的に契約を結ぶことのできるパートナー供給事業の契約金額の公開が、この間、課題となってきたわけですが、十月二十四日の各会計決算特別委員会第一分科会の質疑で、共同実施事業のうち、トップパートナー八社、七十七件は契約金額が非公表だとの答弁がありました。その総額は幾らになりますか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 共同実施事業のうち、契約金額が公表されていないトップパートナー八社、七十七件の契約金額の総額は約八百億円でございます。

○とや委員 八百億円ということです。かなり大きな金額だと思います。
 トップパートナー八社とは、具体的にはパナソニック、ゼネラル・エレクトリック、オメガ、サムスン電子、コカ・コーラ、アトス、トヨタ自動車、ブリヂストンですね。
 トップパートナーは全部で十四社あるわけですが、トップパートナーのうち契約金額を公表している企業はありますか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 トップパートナーにつきましては、IOCとの間で複数年にわたる契約を結んでおり、守秘義務等があることから、契約金額が公表されているトップパートナーはございません。

○とや委員 複数年にわたるIOCとの供給契約があるから、今後の活動に影響を及ぼすため、難しいということでありました。
 七千百八億円のうち非公開が八百億円、約一割に上っているわけですよ。公費にもかかわらず、一割も公開されないことについて、都としてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 トップパートナーにつきましては、トップパートナーとIOCとの間で複数年にわたる契約を結んでおります。
 次の大会以降のトップパートナーの活動にも影響を及ぼす可能性があることから、金額は公表されてございません。
 そこで、トップパートナーにつきましては、総件数と総額を公表することとしております。

○とや委員 複数年にわたる契約はIOCとやっていると。契約していると。今後の活動に影響を及ぼすというのは、先ほどの答弁と一緒なんですけれども、その金額が約一割に上っていることについて、どういうふうにお考えになるんですかということをお聞きしたわけです。これ、お聞きしても同じ答弁しか返ってこないと思いますので、結構ですけれどもね。金額が公表できないものに公費を投入すべきでないというのは当然の原則です。
 二〇一八年に我が党の星見都議が指摘して以来、局の皆さんが公開に向けて努力をしてくださったのは、私どもも承知しております。しかし、残念ながら不透明さは拭えないといわざるを得ません。
 組織委員会の収支についても伺っていきたいと思います。組織委員会の収入のその他というものがありますが、これは五百五十九億円と大きな金額になっています。内容が分かりません。どのようなものがあるのかお答えください。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会のその他の収入の主な内訳は、寄附金等約二百三十六億円、聖火リレー等関連イベントに係る協賛金約百二十五億円、ソールサプライヤー契約に基づく収入約四十五億円、スポーツ振興くじ助成金約四十三億円などとなっております。

○とや委員 ありがとうございます。また、組織委員会の支出として、今回マーケティングの支出、千二百九十九億円の内訳の一部が公表されています。
 収入連動経費、ロイヤリティー等が入るわけですが、これで一千七十七億円となっていますが、これはスポンサー料やライセンス料の収入に応じたIOCやJOCへ支払うロイヤリティーやライセンス料、それからスポンサー獲得などのマーケティング専任代理店である電通に支払う手数料等という理解でよろしいのでしょうか、伺います。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 ロイヤリティーにつきましては、IOCや株式会社電通への支払いなどに充てられたものと認識してございます。

○とや委員 では、IOCや電通などに、それぞれ幾ら支払ったのでしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 IOCや株式会社電通への支払いなどの個々の内訳につきましては、相手方との契約上の守秘義務に係る事項でございまして、IOCや電通に対するロイヤリティーの総額は公表されてございません。

○とや委員 これらの金額は収入連動経費ということですから、組織委員会の収入が六千四百四億円のうち、ロイヤリティーに関係なさそうなIOCの負担金やIOCから送金されてくるトップスポンサーの収入、あるいは延期に伴う保険金、その他の寄附金などを除くと四千億円弱となります。大ざっぱにいうと四千億円の収入に連動して約一千億円をIOCや電通に支払ったということになります。
 立候補ファイル以降、追加経費の多くを都が負っているにもかかわらず、ロイヤリティーだけはIOCなどにしっかり支払われることを私どもは批判してまいりましたが、最終報告でも明らかにされなかったということであります。これは認められるものではありません。
 大会経費に大きく関係する問題として、また、東京二〇二〇大会の価値そのものに関わる問題として、組織委員会の解散後、元理事の高橋治之氏がスポンサー契約などをめぐる受託収賄容疑で逮捕され、現在までに四度も逮捕される事態が起きています。
 贈賄側もAOKIの前社長、KADOKAWAの会長、広告代理店の大広の執行役員や同じ広告代理店ADKの社長や幹部三人、ぬいぐるみ販売のサン・アローなど、次々と逮捕や家宅捜索が行われています。
 スポンサーになれば、五輪スポンサーだという契約効果に加えて、先ほどの共同実施事業も優先的に契約を結ぶことができます。チケットを優先的に割り当ててもらえるという実利もあって、そこに汚職があったとすれば、五輪全体をゆがめるものになります。
 これに対し東京都は、誠に残念、清算法人に対して捜査に全面的に協力するよう求めていくと人ごとのような態度を取っています。
 東京都には開催都市としての責任があって、組織委員会の運営は公平、公正であったのか、収入と支出は適正であったのか、なぜ今回のような事件が起こったのか、自ら徹底的に検証すべきですが、改めて見解を伺います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 大会は、コロナ禍という困難な状況の下、多くの大会関係者の協力を得て開催いたしました。
 大会の開催に向けた東京都の取組や成果につきましては、本年三月に報告書として取りまとめており、組織委員会は大会経費の最終報告を公表するとともに、関係法令や定款に基づき、競技大会終了後の残務を結了させ、本年六月末をもって解散してございます。

○とや委員 六月末をもって解散してしまったと。報告書も出したと。だからいいのかということにはなりません。
 開催都市としての責任として、検察が、犯人が、まあ、本当に疑惑の解明がどうかということ以前に、大会に関わって、こうした先ほど挙げた関係者が疑惑を疑われるような事態になった背景はどんなことがあったのか、構造的な問題はなかったのか、そういうことをしっかりと検証するのは東京都の責任であります。そこを怠るというのは、やっぱり間違っているんじゃないかと思います。
 高橋氏は電通の出身で、電通や電通出身者が局長を務める組織委員会マーケティング局への影響力があったと報じられています。
 組織委員会には都の職員が千人規模で派遣されていましたが、高橋氏の影響力が強かったとされる組織委員会のマーケティング局には、都の職員は何人配属され、どのような仕事をし、どういう役割を果たしてきたのか。また、都職員以外は何人で、どこの企業から来ていたのでしょうか。教えてください。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 都からマーケティング局に派遣していた職員は、令和三年八月一日時点で三十八名であり、その主な業務内容は、ブランド管理業務、マーケティングパートナーに関する業務、チケットに関する業務などでございます。
 なお、都派遣職員以外の組織委員会への派遣状況につきましては、承知してございません。

○とや委員 大会全体の中で、非常に重要な部分を占めるマーケティング局に三十八名もの都の職員が派遣されていたと。そして、民間、電通の職員などとも一緒に仕事をしてきたはずです。それなのに都の派遣職員以外の派遣状況は承知していないというのも無責任な話だと思います。
 NHKが入手したマーケティング局の二〇二一年三月時点の名簿によれば、職員三百六人となっています。そのうち三人に一人は電通から来ていたと。さらに、局長を務めた幹部のほとんどを電通からの出向者が占めていたと報じられています。
 そうした下で、スポンサー選定業務が電通頼みになったり、電通と企業との交渉は企業秘密として扱われて、組織委員会の幹部でもマーケティング局以外はほとんど把握していないという構造の中で、汚職事件が起きたのではないかと指摘をされているわけです。
 汚職ができてしまう、汚職が起きてしまう構造があったのではないかということをきちんと調査することは、都民への責任だと思いますが、いかがですか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 本件につきましては、東京地方検察庁におきまして、既に捜査が行われているところでございます。
 都といたしましては、その捜査を通じて事実関係が明らかにされるものと認識してございます。

○とや委員 事実関係を都として明らかにしてくださいなんてことはいっていません。なぜこんな事件が起きたのか、その背景にあるものは何なのか、何か構造的なものはあったんじゃないか、大会をきちんと振り返って、二度とこうした事件を起こさないようなことを責任を持ってやっていくということが大事なんじゃないでしょうか。
 先ほど東京都からマーケティング局に三十八人派遣されていたと答弁がありましたが、二〇二一年度の東京都職員名簿に、それぞれの派遣部署が記載されています。
 例えば、マーケティング局次長に一名、局長の次の立場の方と思います。それから、マーケティングパートナー部のトップパートナーサービス課に一名、パートナーサービス課に二名などなど、マーケティング局の各部、各課に三十八名がそれぞれいらっしゃいました。
 こういった方々も、もう都にお戻りでしょうから、状況をきちんと聞いていくことが必要ではないでしょうか。お答えください。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、本事件につきましては、既に捜査が行われているところでございます。捜査を通じて事実関係が明らかにされるものと認識しております。
 また、清算法人に対しましては、捜査に全面的に協力するよう求めております。

○とや委員 捜査に協力するのは当たり前です。だけれども、検察にできることと、東京都にしかできないことってあるわけですよ。事件の事実解明というのは、検察にお任せすればいい話です。東京都として、大会全体を見渡してどうだったのかと。組織委員会に派遣されて、マーケティング局というところに三十八名も派遣されていたから、そこでどんなことが起きていたのか、何か問題はなかったのか、職員に聞けるじゃないですか。その事実関係がはっきりする以前の話です。それもやる気がないということが今分かりました。
 例えば、AOKIはスポンサーとして、共同実施事業の大会ユニホーム製作を一億八千万円で契約していました。大広は七件、ADKは三十三件の共同実施事業の契約があって、そのほとんどは特別契約、随契ですね。AOKIがスポンサーの地位を賄賂で買って、共同実施事業を競争相手なしに優先的に契約したとすれば、それは問題ではありませんか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、本事件につきましては既に捜査が行われているところでございます。
 また、仮定のことにつきましてはお答えできかねます。

○とや委員 本当にその答弁を繰り返していればいいというものではありませんよ。本当に東京都はきちんと責任を果たしていないというふうに思います。
 組織委員会の評議員会は、清算法人となった今でも存在しています。今回のような都民への信頼を失墜させて、会計をゆがめているかもしれない事件が発覚したときは、責任を果たすことが評議員会には求められていると思うんです。
 今回の事件については、評議員には口頭で個別に説明したとお聞きしていますが、評議員からはどのような意見が出たんでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 本件につきましては、評議員会の報告事項ではないため、記録していないというふうに聞いてございます。

○とや委員 九月に臨時評議員会を開いたと聞いています。今回の事件の説明は報告事項ではないと。つまり、議題にすらしなかったということになります。
 九月の評議員会は、今回の事件をなぜ報告事項としなかったのか、また、その判断をしたのは誰なのでしょうか。お答えください。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 評議員会の運営につきましては、清算法人の判断によるものでございまして、お答えする立場にはございません。

○とや委員 評議員は一人でも評議員会の招集や議題の提案ができます。その評議員には副知事が二名も入っています。副知事は評議員としてその役割を果たすよう政策企画局側からも求めるべきではないでしょうか。
 副知事にきちんとその役割を果たすよう求めていただきたいと思いますが、いかがですか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 評議員会の運営は、清算法人の判断によるものでございます。都としてお答えする立場にはございません。

○とや委員 評議員は本当に大きな権限を持っています。そして、副知事が二名も入っているんです。清算法人の判断とかの問題じゃないんです。それをやっぱり政策企画局として求めるべきだというふうに申し上げたんです。ちょっとかみ合わないですね。
 都として、でき得るあらゆる手段で今回の一連の問題について真相解明と検証を行うべきだと思います。清算法人と連携した独自の調査チームを立ち上げる、そして報告書をまとめる方法もあると思います。都として反省すべき点も明らかにして取りまとめるべきです。
 また、大会終了後、次々と明らかになった贈収賄事件については、五輪憲章に照らしてどうだったのか、この問題にも正面から言及すべきですが、いかがでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 先ほども繰り返しとなって恐縮ですけれども、大会開催に向けた東京都の取組や成果、組織委員会の報告につきましては、既に報告をさせていただいているところでございます。
 また、IOCオリンピック憲章につきましては、IOCがオリンピズムの根本原則等を定めたものでございまして、その解釈はIOCにおいてなされるものと考えてございます。

○とや委員 今、とっても恥ずかしい答弁をされたと思いますよ。解釈はIOCなどとおっしゃいましたよね。五輪を開催した都市と思えない答弁だと思います。
 東京都として、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例をつくったではありませんか。これは五輪憲章に照らして、人権侵害とか差別とか一々IOCに解釈してもらうんでしょうか。そんなことはないはずです。
 また、捜査を通じて明らかになるのは、贈収賄が行われたかどうかだけであります。組織のガバナンスやチェック体制を検証することは、東京都が取り組むべきことであるわけです。そのまま何も記録に残さなければ、東京二〇二〇大会で起きたことがなかったことになってしまいます。
 なぜ贈収賄事件が起こったのか、チェック機能や風通しはどうなっていたのか、組織委員会は公益財団法人でよかったのか、情報公開制度を持つ特殊法人などにした方がよかったのではないか、都の政策連携団体にしなくてよかったのか、民間がやることだとブラックボックスを許していたのはどうだったのかと、検証して都民に報告すること、次の大会やイベントにつなげるべき教訓を酌み上げることこそ必要ではないでしょうか。厳しく指摘をしておきたいと思います。
 東京都として、真相解明や検証に取り組むとともに、都民に情報を開示することも重要です。
 日本共産党は、この間、東京二〇二〇大会に関する全ての文書を保管するとともに、都民に公開し、都民が検証できるように複写を都が公文書として持つべきだと主張をしてきました。
 五輪の文書保管条例を制定したことの意義は大きいと思いますが、今回の事件でも最も重要な清算法人が所有している文書、清算人の保管文書は開示の対象外です。重要文書であるにもかかわらず開示の対象外であることは、経費の膨張とともにマスコミからも問題視されているわけです。
 全ての文書について、保管するだけでなく、情報公開し、都民が検証できるようにすべきではありませんか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会が保存しております文書についてでございます。
 こちらの文書につきましては、契約相手の事業情報、守秘義務が課されているもの、個人情報を含むものということで、公開にはなじまないというふうに聞いてございます。
 なお、必要がございましたら、裁判所の許可がある場合は閲覧が可能となっております。

○とや委員 裁判までしなきゃならないような状況ではなくて、東京都がきちんと自らの文書として保管をして情報公開ができると。そして、都民が検証できるように保障していく、これは開催都市としての責任の一つではないかということを申し上げました。清算人の保管文書の公開を重ねて求めておきます。
 清算人保管文書は保存年限が十年ですが、その後、その文書をどうするかも未定となっております。十年経過後も廃棄することのないよう併せて求めておきます。
 組織委員会の正式な報告書や理事会の資料や議事録、あるいはホームページで公開していた文書など、アーカイブ文書は都立中央図書館で管理をして、誰でも見られるようにするというふうにお聞きしています。このアーカイブ文書は、インターネット公開をするのでしょうか。

○澤崎生活文化スポーツ局アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務 都は、アーカイブ文書を広く都民に活用いただけるよう、先月、都立中央図書館での閲覧を開始いたしました。
 アーカイブ文書のインターネットへの公開については、IOC及びIPCの承認が必要とされており、本年七月から協議を開始しております。

○とや委員 ネット公開に向けた協議を開始していただいているということは、とても重要だと思います。
 同時に、中央図書館に保管しているアーカイブ文書は、東京都が管理しているだけで、実は所有はJOCだということです。IOCやJOCが引き揚げるとか、公開をやめるといえば東京都は逆らうことはできません。都民の財産として公開し続けられる対策を講じることも併せて求めておきます。
 また、ネット公開は日本国内からしかアクセスできないようにするとお聞きしました。貴重な財産ですから、世界のどこからでもアクセス可能にできるよう、IOCと交渉していただくようお願いをいたします。
 さらに、現在は東京都のサイトにある情報や資料、組織委員会から都のサイトに移している資料は今後どうするのでしょうか。
 また、東京都の五輪関連文書もネットで公開することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 東京二〇二〇大会は都民、国民の関心の高い事項であり、都ではこれまで、大会に向けた都の取組などについてホームページで掲載し、情報発信に努めてまいりました。
 都のホームページに掲載している情報につきましては、今後も閲覧できるよう、具体的な取扱いを検討しているところでございます。

○とや委員 組織委員会の理事会資料や基本的な文書は、現在、都のホームページで公開していることは大変重要な判断だと思います。
 また、オリンピック・パラリンピック準備局で公開していた文書も引き続き公開されていることも重要です。
 私も東京二〇二〇大会の参考にするために、過去の海外の五輪大会についてネットで随分調べましたが、やはり公開されているといっても、東京の中央図書館に行かないと見られない、情報開示請求しないと見られないということでは、十分には役立ちません。長期にわたって、インターネットで公開することを重ねて求めておきます。
 次に、コロナ禍で大会が強行されたわけですが、このときはコロナが猛威を振るう中での大会となったわけです。感染者はどういう状況だったのでしょうか。
 大会期間中の八月は、感染者が大きく増えて、医療につながらず、自宅療養中に四十四人もの方が亡くなりました。大会会場は安全でしたという総括では済まされないのではありませんか。大会報告ではどう総括をされているのでしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 安全・安心な大会を実現するため、国、組織委員会等と一体となって、水際対策、入国後の移動、行動ルール、健康管理などの対策を徹底いたしました。
 こうした取組の結果、大会関係者の陽性率は空港検疫で〇・一%、スクリーニング検査で〇・〇三%と低く抑えられるとともに、訪日大会関係者の都内の入院数は、ピーク時で二人となってございます。
 なお、感染状況の動向を示す指標であります実効再生産数も、推定感染日ベースで七月二十二日をピークに下落傾向に転じ、パラリンピック閉会時には〇・六四まで減少してございます。
 大会におけるこれらの対策は、東京都モニタリング会議や組織委員会の専門家ラウンドテーブルにおきましても、大会における基本的なコロナ対策や海外入国者の絞り込み、厳格な行動管理や健康管理、陽性が確認された場合の迅速な隔離など、行動管理や検査などの対策がうまく機能したとされまして、全体として対策は有効であったと評価されてございます。

○とや委員 全体として対策は有効であったということであります。大会会場以外での安全性については、実効再生産数を述べるにとどまりました。医療につながらず亡くなった方々など、多くの痛ましい現状には、今、触れませんでしたよね。やっぱり正面から向き合っていただきたいと思いますね。
 先日の総務委員会事務事業質疑で、我が党の原のり子都議が、東京大学医科学研究所の研究結果について伺いました。
 大会が世界に日本で独自進化した変異株を拡散したことと、この可能性についてであります。この研究結果は、日本国内で独自に進化したAY・29、デルタ株が二十の国や地域で確認され、少なくとも五十五の独立した株が海外に流出したと解明されているわけです。
 そして、大会前に沖縄からアメリカ軍を経由して拡大した株など、明らかに本大会由来ではない伝播経路も確認された一方で、大会の開催がAY・29、デルタ株の海外への拡散に寄与した可能性は否定できないというものであります。
 このことについて、原都議が、この結果を検討したのかとただしたところ、東京都は、IOCのホームページの資料から、参加者によって世界のほかの地域へと広がったエビデンスはないと。あるいは、別の専門家の意見として、結果といたしまして、東京二〇二〇大会前に批判や懸念が表明されていたにもかかわらず、大会は感染イベントとならず、ましてスーパースプレッダーにもならなかったということを示したという見解を紹介する答弁をしました。東京大学医科学研究所の研究結果については、そこでは全く触れなかったわけです。
 改めて伺います。東京都は、日本由来の変異株が世界に拡散した可能性を否定できないとした東京大学医科学研究所の研究結果は検討するのですか。いかがでしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 国立感染症研究所によりますと、日本で優勢になった変異株が、世界のほかの地域で流行したということはなく、参加者によって世界のほかの地域へ広がったというエビデンスはないということを意味しているとされております。

○とや委員 検討するのかどうかということを聞いたんですが、お答えになりませんでした。
 IOCの資料や感染イベントとならなかったとした専門家の意見が正しくて、東京大学医科学研究所の研究結果は検討に値しないと考えているんでしょうか。そこら辺をもう一度お答えいただけますか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 東大医科研も明らかに本大会由来でない伝播経路も確認された一方、大会の開催が海外への拡散に寄与した可能性を否定できないとされております。
 専門家によれば、大会開催との因果関係は科学的に分析するのはなかなか難しいと指摘されているところでございます。

○とや委員 よく見て、きちんと都として検討した方がいいと思いますよ。事実をきちんと見るべきだと思います。都にとって都合のよい意見だけ取り入れるのであれば、全く検証に値しないと思います。
 今回、東京二〇二〇大会によって日本から流出されたとされる変異株が新たな感染拡大を生まなかったことは、あくまで結果論です。もしかしたら新たな脅威となっていた可能性は否定できません。
 緊急事態宣言の下で強行した二〇二〇大会が行われた二一年八月は、都でも連日数十人が亡くなるというまさに非常事態の中でした。亡くなられた方やご遺族にとっては、五輪よりも命を優先してほしかったという思いがあると思います。だからこそ、都にとって都合のよいものだけでなく、事実をしっかりと見据え、検証を行うべきだということです。これは厳しく指摘をしておきます。
 ジェンダー平等について、多様性を認め合う大会だったかどうかということについてもお聞きしたいと思います。
 大会前の二〇二一年二月、森喜朗前組織委員会会長が女性蔑視発言で辞任に追い込まれました。発言から数日間で組織委員会には約四千五百件、東京都にも約一千四百件のメールや電話が寄せられて、ネット署名も二月十日までに十四万人以上と。加えて、ボランティアの辞退者が五百人に迫るなど、怒りは大きく広がっていきました。
 大会スポンサーからも批判が集まって、二月十日にはトヨタ自動車が誠に遺憾との見解を表明しました。ほかのスポンサー企業も多様性に反するなどの声が上がっていました。
 国際オリンピック委員会、IOCも森会長の女性蔑視発言を受けて、完全に不適切だと。男女平等を目指すIOCの決意にも反しているとの声明を出して、不快感を示したわけです。
 このように、世界的に批判を浴びた森喜朗前組織委員会会長の女性蔑視発言について、どのように議論され、解決が図られたのでしょうか。お答えください。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 組織委員会におきましては、大会に向け、ダイバーシティ・アンド・インクルージョンの推進やアクセシビリティーの確保等、多様性と調和の取組を通じ、差別やハラスメントのない誰もが楽しめる大会の実現に向けて取り組んでまいりましたが、その理念への理解と行動を徹底し切れない面もあったとされてございます。
 これらを踏まえ、組織委員会では女性理事の割合を引き上げるとともに、橋本新会長の下で、ジェンダー平等推進チームを設置し、ダイバーシティ・アンド・インクルージョンを進める取組を行い、都も連携して取り組んできたところでございます。

○とや委員 理念や行動について徹底し切れなかったということですが、どこら辺で徹底し切れなかったとお考えになっていらっしゃるんでしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 そこを踏まえまして、組織委員会では橋本新会長の下で、ジェンダー平等推進チームを設置し、職員へのアンケートや幅広い意見交換を行いまして、ダイバーシティ、インクルージョンを進める展開、取組を行ったところでございます。

○とや委員 徹底し切れなかったのは、どの辺りを指しておっしゃっているのかなということをお聞きしたんですよ。森会長の女性蔑視発言があって、そこを見て、例えばですよ、組織委員会内部に本当だったら徹底しなきゃいけない理念について、徹底し切れなかったと。そういうふうな形で、徹底し切れない面もあったというふうにおっしゃっているのかどうなのか、お答えいただけますか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 組織委員会の報告書によりますと、森会長が発言による混乱の責任を取って辞任を表明した後、候補者選定委員会等を踏まえまして、橋本聖子氏が新会長に就任した、その会長の下で小谷実可子スポーツディレクターをヘッドとするジェンダー平等推進チームを立ち上げ、先ほどのような取組を行ったということでございます。

○とや委員 本当だったら、大会の中枢部分であります組織委員会には、こんな発言が飛び出すというのは考えられないんですよね。ですから、徹底する方が徹底していなかったと。実は内部で全く徹底されていなかったということだと思います。
 東京五輪は、多様性と調和を大会のビジョンの一つに掲げています。年齢や人種や国籍、心身の機能や性別、性的指向、性自認、宗教、信条や価値観だけでなくて、キャリアや経験、働き方、企業文化、ライフスタイルなど、多岐にわたっています。ジェンダー平等では、性別に該当して男女間の格差解消を課題としています。
 東京都は、先ほども申し上げましたが、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透した都市となることを目的として、一八年に東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を制定しております。
 こうした条例の趣旨から見ても逸脱しているのではないかと思うわけですが、こうした大会ビジョン、あるいは人権尊重条例にも、そして五輪憲章にも反する発言があったことに対して、都としてどう受け止めているかお答えいただけますか。組織委員会ではなくて、都としてどう受け止めているかです。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 都としても、先ほど組織委員会の取り組んできた取組に対して、一緒に取り組んできたところでございます。

○とや委員 いや、東京都として、女性蔑視発言をされたということに対して、どうお考えになっているのか。大会ビジョンだとか、人権尊重条例だとか、あるいは五輪憲章にも反する発言だったんじゃないかと。何をやってきたかじゃなくて、あの発言をどう受け止めているか、そこをお答えいただきたいんです。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 東京都の取組でございますが、組織委員会においては、先ほどお話ししましたように、当初から大会ビジョンにおきまして、三つの基本コンセプトということで、多様性の調和を掲げて取り組んできたところでございます。
 東京都も、それに協力して一緒に取り組んできたところでございます。

○とや委員 一緒に取り組んできたのは知っています。一緒に取り組んできたのに、こんな発言が飛び出したことについて、どう考えているのかと聞いているんですよ。こういう発言ってよくないでしょう。−−ですよね。大会ビジョンだとか、自ら定めた人権尊重条例だとか、五輪憲章にも反する発言は、都としても、やっぱり許されないことじゃないかと思いませんか。お答えください。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 繰り返しになりますが、大事なことということで、一緒に取り組んだということでございます。

○とや委員 ちゃんと正面からお答えになるべきですよ、大問題になったんだから。これ、先ほど報告書を読まれましたよね。報告書が出されて、みんなびっくりしているんですけれども、この報告書の記述については、森氏の発言の影響を踏まえれば事実と大きく乖離していたんじゃないかと思うんです、報告書の記述がね。
 東京都として、報告書の記述についてどうお考えですか。大会後に出されましたよね、組織委員会が出した報告書。ここについてどう考えるか、お答えください。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 先ほど読みましたとおり、組織委員会の報告書としては、森会長が辞任を表明した後、橋本会長の下で様々な取組をしたということでございまして、東京都もそれと一緒に協力したものでございます。

○とや委員 大会終了後の六月末に出された報告書、ありますよね。五輪大会前に女性蔑視発言をした森喜朗会長へのバッシングが国内外で起きて辞任に追い込まれたことに対して、ジェンダー平等や多様性との調和の重要さを再認識する契機となっただけでなく、日本社会全体の議論を活発化させることになったという認識を報告書は示したんですよ。これに対して、マスコミ各社が一斉に批判の論陣を張っているんです。東京都も分かっているはずです。
 都政新報は、多様性と調和に関する記述の一部は笑止千万だと。組織委員会側の多様性と調和に対する姿勢が問題視されたにもかかわらず、議論を活発化させると述べるのは、反省していない証左だと述べています。
 さらに、東京二〇二〇大会における具体的な進捗や成果と、その過程で得られた将来に向けた課題がレガシーとして継承され、国内外のジェンダー平等、多様性と調和が実現されると、こういう記述に対して、女性蔑視発言も功績の一つとして受け止められても不思議ではなくて、そんなものをレガシーとするのは、末代まで日本の恥をさらすことになると厳しい批判を寄せているわけです。この報告書です。
 こういう報告書が組織委員会から出てしまったことに対して、東京都としてどう考えるのかと、現実と違うんじゃないんですかということをお聞きしたんですね。そこについては正面からお答えになられないということなので、最後に一問お聞きしたいと思います。
 先ほどご答弁で、徹底し切れない面があったと、行動や理念に対してね。そこを大会報告で、組織委員会としてどう議論し、総括したのかを明らかにする。東京都としても、きちんとここについても総括をし、都民に明らかにすることこそ必要ではないでしょうか。お答えください。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 大会の報告書につきましては、本年三月に既に報告書として東京都の取組や成果について取りまとめてございます。
 また、組織委員会につきましても、関係法令や見解に基づき最終報告をした上で、競技大会終了後の残務を結了させ、解散をしてございます。

○とや委員 贈収賄の疑惑についても、それから女性蔑視発言についても報告書にはちゃんと書いていないんですよ、きちんとね。このままだとなかったことになりますよ。そんなことでいいんですか。本当、私、今、答弁を聞いていて、都民のことをばかにしているんじゃないかなと思いました。
 組織委員会や開催都市である東京都には、ジェンダー平等、そしてスポーツ団体、スポーツにおけるアスリートへの人権侵害の撤廃に向けた重要な役割があります。日本では、各競技団体における女性理事の割合がかなり低い状態が続いていたんです。
 JOCの女性理事の登用を四割以上にするという目標の意義も理解できないことは、国際社会の中で日本の立場をさらに低くする行為といわなければならないわけです、あの発言がね。そして、あの発言に対して正面から答えることもできない、総括もできない東京都も同じ立場に置かれることは間違いないですよ。
 国際オリンピック委員会、IOCは、開催地が性差別を含めたあらゆる形態の差別を禁止しなければならないと定めております。五輪開催都市の責任としても、報告書のような記述に対し正面から意見をして、ジェンダー平等を目指していただきたいと強く求めておきます。
 今日、質疑させていただいて、皆さんの答弁は、もちろん正面から答えてもらったところもありますけれども、本当に答えていただかなければならないところに対して避けました。オリ・パラ大会が行われて、どういう大会であったのか。贈収賄の事件だとか、二度と起こさない、そこまで再発防止をする、ちゃんと教訓を導き出す、それが開催都市としての責任だと思います。そこは強く求めて、質問を終わります。

○五十嵐委員 まず、私は、大会経費の最終報告等について、しっかり理事会で合意された事項について質問してまいりたいと思います。
 この大会経費の最終報告書等によりますと、本大会は最終報告で、組織委員会の収支、支出ともに六千四百四億円となり、収支均衡となったとの記載がございます。ただ、私は、この収支についてやや疑義があるので、この点について質問させていただきます。
 また、この資料に、現在、清算期に移行しているというような記載がございますけれども、清算期における組織体制について記載がございますけれども、この点についても適切な業務を行っているのかという観点から、ちょっと質問させていただきたいと思います。
 まず冒頭、二二年の六月に大会の総括をした報告書にはこう書いてあります。対話、参画、透明性を重視して東京二〇二〇大会の準備や運営を行った、こうした民主的でオープンなプロセスやスポーツへの特化は、今後のオリンピック・パラリンピック競技大会の在り方の選択肢となり得るとございます。
 小池都知事も、オリンピック競技大会の開会式が行われました令和三年七月二十三日に、都民、国民の皆様に向けてということで、大会成功に向けた決意を表明するとともに、開催に至るまでの支援、協力に対して感謝を伝えるメッセージとして、東京都は、開催都市として引き続き関係者の皆様と協力しながら万全の大会運営を努めていくと知事の部屋でもおっしゃっております。
 ところが、本日も事件の報道がございましたけれども、高橋元理事四度目の起訴、賄賂総額一億九千六百万円ということで、起訴が行われたとの報道がございます。東京都と組織委員会というのは事業協力団体でもあり、東京都は組織委員会に対して、事業協力団体への関与として必要な関与を行うことも規定されているところでございます。
 まず冒頭ですけれども、先ほど局長からも、高橋元理事の逮捕については残念との答弁がございました。ただ、大会の経験とか成果を将来に引き継ぐとのご答弁もございました。
 まず冒頭、開催都市である東京都が責任を持ってこうした汚職について、事件の解明と再発防止を尽くしていくのかについて伺います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 本件につきましては捜査中でございます。捜査を通じて、事実関係が明らかにされるものと認識してございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。開催都市として、多分できることがあると思うんですけれども、その点について、できることについてはやっていくという決意はおありでしょうか、伺います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 東京都といたしましては、捜査に全面的に協力するよう、清算法人に対して求めておるところでございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。ちょっと先行きが不安なんですけれども、まず、構造上の欠陥について指摘申し上げたいと思います。
 スポンサーを担当していたのはマーケティング局といわれておりまして、先ほど、マーケティング局の三分の一、三百六名のうち百十人が電通からの出向者で固められていたなどとの報道もございます。
 その結果、不正に対する内部のチェック機能や牽制機能が失われたというご認識はございますでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会では、会計処理規則等にのっとり業務を遂行してきたと認識してございます。
 スポンサー契約につきましては、組織委員会がIOCの承認を得た後、法務や財務など複数部署の確認を経て、契約を締結しております。
 また、ライセンス契約につきましては、申請のあった商品などについて、組織委員会内に設置した審査会や、IOCの承認などを経て、契約を締結したとのことでございます。

○五十嵐委員 二〇一四年三月二十六日に電通が専任代理店になったと。もろもろ報道があるんですけれども、十月十八日の読売新聞の記事によりますと、専任代理店契約書の中身というのは、スポンサー料の累計額に応じて電通の手数料率が上昇する成功報酬型となったと。契約書によると、手数料率は千八百億円までで三から八%、千八百億円から二千億円で八%、二千億円超は一二%との専任代理店契約が結ばれたとの報道もございます。
 今回のオリンピックの大会で電通に幾ら入ったというふうに承知しておりますでしょうか。そもそも、こういったスポンサー契約に基づいて電通と組織委員会それぞれにお金がどうやって入るのかという構造については認識されているでしょうか、伺います。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 組織委員会が契約するスポンサーからの協賛金などの収入に伴い、株式会社電通との専任代理店契約に基づきまして、手数料が支払われるものと承知してございます。
 なお、個別の契約につきましては、契約当事者双方に守秘義務が課されていると聞いているところでございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。国内スポンサーは三つありまして、上位から、ゴールドパートナー、オフィシャルパートナー、オフィシャルサポーターの三つのランクがあって、ランクごとにスポンサー料が異なるようでございます。
 これまで東京地検が立件したというのは、全て一番下のランクのオフィシャルサポーターというスポンサー契約のようなんですけれども、それぞれのランクごとの最低額や審査の基準などはあるんでしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 スポンサーの金額は、契約者、当事者双方に守秘義務が課されていると聞いてございます。
 スポンサー契約の手続につきましては、IOCのトップパートナーを除き、専任代理店が募集した国内スポンサーに対して組織委員会がIOCの承認を得た後、会計処理規程に基づいて、法務や財務など複数部署の確認を得て、事務総長による決定を経て契約を締結しているものと聞いてございます。

○五十嵐委員 一九八四年のロサンゼルス大会以降、オリンピックのスポンサーは一業種一企業、例えば新聞だったら読売新聞とか、そういうふうな原則が貫かれてきたとのことでございます。
 ただ、二〇二〇東京大会では、初めて導入された東京方式といわれるものがあるようなんですけれども、この東京方式というスポンサーの獲得手法はどういうものでしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 東京方式というのが、通常、報道にあるようなものだといたしましてでございますけれども、東京二〇二〇大会の開催に向けた増収努力の取組として、一業種一社の原則は維持しつつも、希望業者が複数社あった場合には、競合する希望業者全社が合意し、かつIOCが承認した場合は、同一業種であっても参加を可能としたものと認識してございます。

○五十嵐委員 新しく東京二〇二〇大会では東京方式が採用されてきたと。その成果もございまして、この大会経費の最終報告等についてにある組織委員会の収支、国内スポンサー三千七百六十一億という、当初の予算よりも大幅に多くの収入が得られたというところは、非常にメリットもあったんじゃないかなというふうには思います。
 ただ、これまでのオリンピックにはない新たなスポンサー獲得方法というのを、この東京大会でつくったということでございますけれども、この新しい方式を採用するに当たって、先ほど理事会のお話もちょっとありましたけれども、理事会でどのような議論がなされたのかについて教えてください。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 組織委員会からは、スポンサー契約については理事会への報告事項であると聞いているところでございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。理事会での議論というのは報告事項だったということで、私も理事会の議事録をちょっと拝見させていただきまして、AOKIが決まったのは平成三十年十月二十三日の理事会、出席理事数三十名なんですね。KADOKAWAが決まったのは令和元年六月十一日なんですけれども、そこで理事会でどういう議論があったかとちょっと記載を見てみると、オフィシャルサポーターが一覧になった表が配られて、その後、議長の指示により進行役は、本日配布した別紙資料の内容については、当該資料の配布をもって報告したものとする旨報告したと。多分、資料を何か配布をして、それで報告したというようなことでいいんでしょうか、確認します。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 議事録にあるとおりと認識してございます。

○五十嵐委員 理事会がやっぱり何かちゃんと機能していなかったんじゃないのかなというところは、非常に問題意識として持っているところでございます。
 組織委員会が依拠する法律というのは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律というものなんですけれども、この法律、平成二十年十二月一日に新たに施行されまして、公益法人制度改革関連三法といいます。
 どういう改正があったかといいますと、法人の役員に対する責任が明文化されて、法人は株式会社同様の厳しい規定になったと。先ほど取締役と比較された委員もいらっしゃいましたけれども、大変役員の責任が重くなったと。
 内閣府の説明資料、公益法人の各機関の役割と責任という資料とかもいろいろ見ていますと、こういう記載がございます。公益法人は事業活動について税制優遇を受けることになっており、公益法人においては、取られてしまったものは仕方がないでは済まされませんと。公益法人のガバナンスにおける留意事項、理事や監事は報酬の有無にかかわらず、事業や財産の管理を適切に行う必要がありますという記載があります。
 そこで、組織委員会の理事が負う責任というのは、この法律上どういうものがあるでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 法令によりますと、理事は理事会を構成し、理事会は法人の業務執行の決定や理事の職務の執行の監督等を行うこととされてございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。つまり、組織委員会の理事は、取締役と同じように委任契約に基づく善管注意義務、百七十二条一項、民法六百四十四条で、受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負うとか、忠実義務というのもあります。八十三条、百九十七条なんですけれども、理事は、法令及び定款を遵守し、財産保持のために忠実にその職務を行わなければならないと。
 今回の逮捕容疑は贈収賄なんで、刑法百九十七条違反だと思うんですけれども、刑法犯というのは、法令を遵守し、つまり遵守していない法令違反だという理解でよろしいでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 本件につきましては、捜査に関することでございますので、都としてお答えする立場にはございません。

○五十嵐委員 一般的に刑法の犯罪があれば、この忠実義務違反というか、任務懈怠というふうにいうんですけれども、理事の任務懈怠があるというふうに考えていいと思います。
 捜査の、まあ、罪が成立するかというところと、理事が負っている忠実義務なり法令遵守義務、そういったものには反しているというふうには疑いが強いというふうにいえそうなんですけれども、刑法の犯罪事実とはまた別個に、理事としての責任、義務違反という点についてはどうでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、本件につきましては捜査を通じて事実関係が明らかになるものと認識しております。
 理事の職務に関することにつきまして、都としてお答えする立場にはございません。

○五十嵐委員 ちなみになんですけれども、組織委員会には理事が守るべき行動規範というもの、倫理憲章みたいなものはあるんでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会の公式報告書によりますと、職員が高い使命感を持ち、厳正な倫理感にのっとって、公正で適切な業務を行うための指針として、職員の行動規範を定めたというふうに聞いてございます。
 また、組織委員会のコンプライアンスに係る体制構築及び推進のためにコンプライアンス規程を整備したと聞いてございます。

○五十嵐委員 その行動規範というのは公開しているものなんでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会によりますと、この行動規範というのは、スローガンとして職員等へ周知を行うためのものでございまして、公開資料には位置づけていないということでございます。
 ただし、先ほども申し上げましたとおり、公式報告書によりますと、職員が高い使命感を持ち、厳正な倫理観にのっとって、公正で適切な業務を行うための指針であるということでございます。

○五十嵐委員 なぜか行動規範が公開されないと。それはちょっとよく分からないんですけれども、法令上どういう規定になっているかというと、理事が法令や定款に違反したり、それは任務懈怠というんですけれども、それに反して団体に損害を与えた場合には、理事は団体に対して損害賠償義務を負うというような規定になっています。
 今回、報道ベースなんですけれども、高橋理事の個人的なお財布というかポケットに一億九千六百万円入ったというふうな報道があるんですけれども、これは本来、組織委員会が獲得すべき損害だったというふうにはいえるんじゃないでしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 組織委員会は今年六月に残務を結了させ解散し、二か月間、債権者の申出を受け付ける解散公告がされたところでございます。
 なお、本件は、受託収賄容疑による捜査中であり、捜査を通じて事実関係が明らかにされるものと認識してございます。

○五十嵐委員 東京二〇二〇大会というのは、二〇一一年八月に招致の申請をして、二〇一二年五月に立候補都市に選定されたと。そのときにIOCから提供されたものとして、IOC倫理規程というのがございます。このIOC倫理規程を守るという前提で開催都市に立候補して、開催都市契約を締結したということになっています。
 このIOC倫理規程には、オリンピック競技大会開催全希望都市に適用される行動規範であり、二〇一一年四月から適用されるというふうに書いてあります。なので、今回、その開催都市である東京都には、このIOC倫理規程の二〇一二というのが適用されます。
 確認なんですけれども、このIOC倫理規程二〇一二の冒頭にオリンピック関係者の定義があるんですけれども、そこには東京都も組織委員会も入るという理解でよろしいでしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 IOC倫理規程二〇一二の前文によりますと、IOCの立候補手続に参加する都市、オリンピック競技大会の組織委員会が前文に含まれております。
 なお、IOCの倫理規程でございますので、IOCが定めたものであり、その解釈はIOCにおいてなされるものと考えてございます。

○五十嵐委員 その契約に同意しておきながら、都の解釈はIOCの解釈によりますというのがちょっと意味が分からないんですけれども、そのIOC倫理規程二〇一二というのの中に高潔という規定があります。
 そこに何て書いてあるかというと、高潔、1、オリンピック関係者またはその代理人は、オリンピック競技大会の開催に関連するあらゆる形態の報酬もしくは手数料、またはあらゆる性質の隠れた恩恵もしくはサービスを直接または間接的に要求、受領、提供してはならない。2、贈与は、地元の慣習に基づく名目的な価値の物のみを、敬意または友好のしるしとしてオリンピック関係者から受け取る、または贈ることができる。それ以外の贈与は、受取人の所属団体に渡すものとするという規定があるんですね。
 やっぱりこういう規定からしても、高橋元理事が受け取った賄賂というのは、この団体に所属すべきものだったんじゃないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○岡部政策企画局事業調整担当部長 繰り返しになりますが、IOCの倫理規程でございますので、その解釈はIOCにおいてなされるものと考えてございます。

○五十嵐委員 団体が、やっぱり損害が生じていたら、法人に対する損害賠償責任というのが百十一条、百九十八条で定められております。
 これ、どういう責任かというと、この前、東京電力の十三兆円の損害賠償責任の今年の七月十三日の判決で、東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐって、株主らが旧経営陣五人に計二十二兆円を東電に支払いを求めた株主訴訟で、旧経営陣四人に十三兆三千二百十億円の支払いを認めたという判決がありますけれども、やっぱりこれと同じように、一人の理事が団体に対して、本来その団体に入るべきものを入れなかったということは、その団体に対して損害賠償義務を負うと。
 ちょっとこの損害の考え方なんですけれども、私もいろいろ最高裁の判例で、経済的見地において本人の財産状況を評価し、被告人の行為によって増加すべかりし価値が増加しなかったときをいうというのも損害に入るというふうに解釈されていますので、この損害が発生したのじゃないかというふうに私は考えています。
 そうすると、組織委員会は、高橋元理事に一般社団法人法に基づいて損害賠償請求権を持っている可能性があると思いますけれども、その点についていかがでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 まず、ほかの団体のことでございまして、また、仮定のお話でございますので、お答えしかねるところでございます。

○五十嵐委員 その仮定のところというのがちょっと意味が分からなくて、捜査中なのでということは、捜査が終わって事実が確定したら判断するということでよろしいでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、仮定のお話でございまして、お答えしかねるところでございます。

○五十嵐委員 もし団体に損害が生じていたら、都民全体の損害だと思うんですけれども、その点についても調査することも全く考えていらっしゃらないというのは、ちょっと問題があるかなと。(「都は請求できないですよ」と呼ぶ者あり)いや、法律に基づいてできますので
○高島委員長 私語は慎んで。

○五十嵐委員 できると私は思っていますし、法律に普通に従えば、一般の財団法人では、やっぱり一人の理事が、例えば賄賂なり何かをもらって団体に損害を与えたら、やっぱりそれは団体から損害賠償請求を行われるものなんですよ。(「団体がね」と呼ぶ者あり)そうなんです。団体がね。だから、確かにそれをやっぱりすべきだなというふうに私は思っています。
 一理事の任務懈怠も明らかなんですけれども、理事会もしっかり機能していたのかというところは非常に疑問を私も持っています。
 理事会の権限としても、他の理事の職務執行の監督というのが九十条二項二号、百九十七条であります。やっぱり報酬の有無にかかわらず、事業や財産管理が必要だと、善管注意義務、民法六百四十四条から負っているというふうにいえると思います。
 監事もこの組織はいたと思うんですけれども、監事は何をしていたんでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 監事につきましては、法令及び定款に基づき計算書類等の監査や、理事会へ出席し、理事の職務の執行の監査等をしてきたと聞いてございます。

○五十嵐委員 いろいろ規定を見ていますと、各局の局長で構成されたコンプライアンス委員会というのもあったそうで、マーケティング局にもコンプライアンス総括責任者がいたというふうに資料というか、規定に基づいてそれが設置されていたと思うんですけれども、その人たちはどんな仕事をされていたんでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会のコンプライアンス規程によりますと、各局におけるコンプライアンスの統括及び推進を行っていたとのことでございます。

○五十嵐委員 やっぱり理事会がそんなにしっかり機能していなかったのかなというふうに思っていて、理事会が一人の理事の賄賂を見抜けなかったというのは、理事会の責任にもなると思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 他の団体のことでございまして、お答えできる立場にはございません。

○五十嵐委員 先ほど他の委員からも、議事録について発言者の記載がないということを問題視されていて、そこの答弁を聞いて、自由な議論が阻害されるから発言者は記載しなかったという答弁があって、私もちょっとびっくりしているんですけれども、報道とかによると、やっぱり理事会でいいたいこともいえなかったみたいな元理事みたいな方もいろいろいらっしゃって、本当に理事会で自由な議論があったのかというのは、この議事録の要項からでは全く分からないので、ほかの理事がしっかり東京方式についてその理事会で質問をしたのかとか、あとオフィシャルサポーターとなってくれたスポンサー、AOKIとかKADOKAWAじゃないほかのスポンサーの潔白というか、そういうものをちゃんと調査するためにも、詳細な議事録、一言一句ある議事録を公開すべきだと思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 理事会の議事録につきましては、組織委員会が法令に基づき作成しているところでございます。
 また、先ほど来、本件につきましてということでございますが、捜査を通じて事実関係が明らかになるものと認識してございます。

○五十嵐委員 札幌五輪招致というのが目指されているところなんですけれども、先月の八日に、二〇三〇冬季五輪パラリンピックの招致を目指す札幌市の秋元市長と日本オリンピック委員会、JOCの山下会長が共同宣言を公表したと。この共同宣言は何かというと、東京五輪パラリンピックをめぐる汚職事件を踏まえた再発防止策の論点を示す文書、何かクリーンな大会に向けた宣言というものがあるみたいなんですね。そこのクリーンな大会に向けた宣言の概要というのの中に、適正な理事会の規模の確保とか理事会の役割の明確化とかというものがあります。
 今回も議事録をいろいろ見させていただきましたけれども、最初、理事が二十五人だったのが三十五人になって、最終的には四十五人になったというようなことでございます。四十五人で出たというのは、やっぱり理事会が適正な規模じゃなかったというような認識なんでしょうか、伺います。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 理事会の人数につきましては、他の団体のことでございまして、東京都としてお答えできる立場にはございません。

○五十嵐委員 他の団体ということを繰り返されるので、今、組織委員会と東京都は別だと。今は清算法人になっちゃっていると。清算法人はもう他の団体だと。でも、諦めなくてもまだ大丈夫ということをお伝えしたいと思います。
 この大会経費の最終報告等についてというものに、令和四年六月三十日に解散し、清算法人になったと。清算人が決まって、令和四年七月一日の官報にも解散公告というのがされています。
 念のため確認なんですけれども、この報告書にも、清算期における組織体制についてというところにも、組織委員会の法人格は継続という記載があります。確認なんですけれども、現在の清算法人も組織委員会と同一人格ということでいいですか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 清算法人となりましても、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまでは法人格は存続するものとみなされてございます。

○五十嵐委員 同一人格でよいということですね。
 この大会経費の最終報告書等についてによると、大会経費の総額は一兆四千二百三十八億円で、収支は、収入、支出ともに六千四百四億円であり、収支均衡というふうにございます。
 先ほどもあって、念のため確認なんですけれども、報告書の中にもある共同実施事業負担金、安全対策というところ、最後に東京都は組織委員会に四百九億円補填しているんですけれども、これが赤字の補填じゃないという点について、もう一度ご説明をお願いします。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 令和三年十二月に、無観客開催などに関して三者が役割分担を踏まえた対応を図ることに合意し、これに基づき、都は共同実施事業負担金、安全対策を支出することといたしました。
 安全・安心な大会の円滑な実施の観点から、影響を受けた仮設整備に係る経費を対象に、V5予算の範囲内で都が支出したものでございます。
 対象となる事業は本日の資料でお示ししているとおりであり、赤字補填をするものではありません。

○五十嵐委員 つまり、最終的に東京都は、お金に色がないので、それが共同実施事業負担金だということで、赤字の補填じゃないというようなご説明なんですけれども、お金に色はないんですけれども、それはともかくとして四百九億円を払っていると。
 それで収支均衡だというご説明なんですけれども、令和四年六月三十日、組織委員会は解散いたしました。もし、この六月三十日の時点で収支均衡ではなくて余剰金が余っていた場合、どのように分配されるという規定がありますか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 大会経費の最終報告におきまして収支均衡となったため、剰余金は発生してございません。
 なお、開催都市契約におきましては、大会の開催の結果として剰余金が生じた場合は、日本オリンピック委員会に二〇%、組織委員会に八〇%の比率で配分されることとしておりました。

○五十嵐委員 ありがとうございます。今、清算法人に移行しているんですけれども、清算法人に移行する前の解散の時点で、仮定の話なんですけれども、剰余金がもしあったら、組織委員会が八〇%ですか、開催契約では六〇と書いて、あれなんですけれども、組織委員会に返ってくるという規定があったと。
 では、もし、今、清算法人が終了する場合、全部報告とかも行って、債権の取立てとか、清算人の行う仕事が全部終わったときに、残余財産というんですけれども、この残余財産が余っていた場合というのはどうなりますか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会の清算法人が有する残余財産の帰属については、組織委員会の定款第四十五条におきまして、評議員会の決議を経て決定されるものと定められております。

○五十嵐委員 先ほどから申していますけれども、収支均衡、収支均衡と、この説明書にもしっかり書いてありますけれども、私はやっぱりそこに疑義が非常にあると思っておりまして、今のお話もそうですけれども、もし剰余金で余っていたら組織委員会に返ってくる可能性のあるものですし、もし清算法人が終了した後に残余財産として余っているのであれば、定款に従って、私立学校とか社会福祉法人とか国とか、もしくは地方公共団体、つまり東京都に返ってくるものもあるというふうに規定されているので、団体に損害が生じたんじゃないかという観点で調査するということは、私は非常に大事だと思っています。
 やっぱり清算人の業務が今、適正ですかということをずっとお伺いしているんですけれども、清算人の業務って何かといいますと、現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済とかそういうものがあると。当然、清算人にも忠実義務があって、清算人は清算法人のために忠実にその職務を行わなければならない。清算人は善管注意義務を負い、できる限り有利に現務を結了させる必要があると。これは法の二百九条五号、六十四条から、民法六百四十四条から導き出されるものでございます。
 清算人は今、武藤さんとか、元組織委員会の方々なんですけれども、四名いらっしゃいます。その方たちが善管注意義務に従って清算をそういうふうにきちんと整理しない場合、損害の有無とか、そういう債権債務の存否をしっかり調査する義務があるんですけれども、これをしない清算人というのは、やっぱり任務懈怠に当たると思いますが、いかがでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 清算人は、法令に基づきまして清算業務の方を行ってございます。
 なお、本件につきましては、繰り返しになりますが、受託収賄容疑により捜査中でございます。捜査を通じて事実関係が明らかにされるものと認識してございます。

○五十嵐委員 一般論なんですけれども、もしきちんと働いていない清算人、元組織委員会の理事たち四名なんですけれども、そういう人たちがしっかりと団体の損害を調査せず、しゃんしゃんで終わっちゃうようなことがある場合に、評議員は先ほども出ていました六名、副知事二名入っていますね。武市さんと潮田さん、二名入っているんですけれども、法令上、評議員は一人で清算人の解任請求ができるという理解でいいでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 一般法人法には第二百十条に清算人の解任についての記載がございます。

○五十嵐委員 やっぱり団体に損害が生じている可能性があるという以上は、しっかり清算法人は調査すべきですし、清算人がそれをやらない場合には、評議員は一人でも評議員会を招集できますし、普通決議でできるので、そこをしっかり要求すべきだと思います。
 やっぱり一般財団法人の評議員は、一般財団法人の運営を監督する重要な立場にありますので、これをしっかり履行すべきだと思います。
 先ほど、法令上の評議員は一人で清算人の解任請求ができるというふうにおっしゃってくださいましたけれども、本件でやらない理由は何でしょうか。評議員には副知事二名いらっしゃって、都庁で同じ組織で働いていらっしゃると思いますけれども、本件でやらない理由を教えてください。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 他団体のことでございますので、東京都でお答えできる立場にはございません。

○五十嵐委員 他団体のことだとおっしゃいますけれども、官報にもありましたけれども、清算法人というのは、東京都新宿区西新宿二丁目八番一号、都庁の中にあるということですよね。評議員二名は副知事でいらっしゃると。それをやっぱり開催都市である東京都が別団体なので全くお答えできませんというのは、極めて無責任なことだというふうに思っております。
 でも、やっぱり東京都も私は被害者だというふうに思っているんですけれども、やっぱりしっかり調査すべきだと思います。例えば第三者委員を入れた調査委員会とかをつくって、理事会でどんな発言があったのか、他の理事がどんな認識をしていたのかとか、高橋元理事に怪しいとか不審なところはなかったのかとか、そういった事実を調査することが必要だと思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 本事件の事実関係につきましては、捜査を通じて明らかにされるものと認識しております。

○五十嵐委員 捜査しているというのは何の答弁にもなっていなくて、例えばKADOKAWAについては、外部の弁護士で構成した調査チームというのをつくっていて、そこで五輪担当室がKADOKAWAの会長に賄賂に当たるということなどを資料を用いて伝えたことなども明らかになっていますし、弁護士でつくった調査チームだけじゃなくて、外部の弁護士らでつくる新たなガバナンス検証委員会というのを事件と同時並行で調査しておりまして、KADOKAWAについては、年内にも再発防止策というのを取りまとめる予定のようです。
 なぜ一般の会社でできて、東京都では全くその捜査を理由に、しないのかというところをもう一度お答えください。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、本件は捜査中でございます。捜査を通じて事実関係が明らかにされるものと認識してございます。

○五十嵐委員 この報告、先ほど何か、大会経費の最終報告書等についてというところには、今、清算人の清算期における組織体制で、今、清算人ですということをご説明されているんですけれども、捜査のためお答えできないというのであれば、何で捜査をしている最中にはKADOKAWAではできる調査をできないのか、法令上そんな規定どこにもないので、捜査とはまた別に調査すればいいんですけれども、なぜそれをやらないのか全く分からないんですけれども、少なくとも、今捜査中だからというふうにおっしゃるんだったら、やっぱり今、清算人は高橋元理事に対して債権を持っている可能性があるので、これは、厳密には法二百七条の清算が結了したというふうにはいえず、清算人が終了したとはいえないんじゃないでしょうか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 恐縮ですが、仮定のご質問にはお答えしかねるところでございます。

○五十嵐委員 ちょっとあまりにも無責任だというふうに思っています。
 仮定の事情というか、仮定にしているのはそちらの都合でございまして、捜査中だからというのはどういう意味なんでしょうか。もうちょっと詳しく教えていただけますか。

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 捜査につきましては、その内容等については公表されてございませんし、私どもとしても承知してございません。
   〔発言する者あり〕

○五十嵐委員 ちょっといろんなやじというか、いろんなお声が聞けるんですけれども、やっぱり大会経費の最終報告等についての収支均衡というふうにいい切って、(発言する者あり)だからこの範囲の中で−−谷村副委員長、いろんなことをおっしゃいますけれども、やっぱり収支均衡でいいんですかというところについて、私は疑義があるので、あくまでこれに基づいて質問をしております。
 なぜか捜査中だからできないという答弁も、はっきりいって意味がよく分かりません。捜査が終了して事実が確定するまで待つということでよろしいですか。
   〔発言する者あり〕

○梅村政策企画局オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 恐縮ですが、仮定のご質問につきましてはお答えしかねるところでございます。

○五十嵐委員 先ほど谷村副委員長から清算法人の話だからとおっしゃいましたが、同一人格ということを今確認していますので、同一人格の清算人について確認しています。
 やっぱり捜査というふうなことばかり繰り返していますけれども、大会経費の最終報告書等についても非常に疑義があると思っていますし、都民の税金が使われておりますし、定款によると、東京都に返ってくる可能性があるものであります。
 行動規範も出せないし、専任代理店契約の中身もよく分からないし、開催都市契約を結んでおきながら、六千億円、税金も使って都庁とか大々的に広告しておいて、別組織だからというのを繰り返す、かつ捜査中だからというのを繰り返すというのは、あまりにも、都民に対して税金を使っておきながら無責任だと思います。
 やっぱりこうしたことを明らかにしないで、どうやって再発防止をするんでしょうか。一番最初に局長の答弁で、東京二〇二〇大会の経験と成果を将来に引き継ぐというふうにおっしゃっていましたけれども、ここの部分を全く蓋をして、どうやって引き継いでいくのか疑問でなりません。
 例えば二〇二四パリ五輪大会は、公的資金の不正流用がないかを独立した政府の監査機関がチェックするとか、やっぱりいろんな不正が起きないような体制というのをつくっています。東京オリンピックは、エンブレムの盗用疑惑とかもあって、組織委員会は一五年十二月の理事会で、ガバナンス改革の必要性を打ち出す監査や法務機能の強化を図るというようなこともいっていました。
 やっぱり先ほども聞きましたけれども、電通との専任代理店契約の中身もよく東京都が把握しておらず、どういうふうにお金が入るのかも全く理解をしていなかったと。なぜそういう理事会が、一般的な社会ではあり得ないような、一般的な財団法人だったら当然追及されるような、事実関係が確認されるようなことについてまで全く知らないというのは無責任だと思います。
 まだ起訴もされたばっかりで、この件、どうなるかは全く分からないんですけれども、それをちゃんと見届けるまでがオリンピックだと思いますし、やっぱりこのオリ・パラ特別委員会も、まだ事件の捜査が続いていて、まだ解明もなされていない中で閉じるのは、私は非常に問題があるんじゃないかということを申し上げて、私の質問を終わります。

○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会は閉会をいたします。
   午後五時五分散会

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