委員長 | 高島なおき君 |
副委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 山崎 一輝君 |
副委員長 | 小山くにひこ君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 川松真一朗君 |
理事 | 伊藤 ゆう君 |
たかく則男君 | |
清水やすこ君 | |
伊藤しょうこう君 | |
白戸 太朗君 | |
五十嵐えり君 | |
清水 孝治君 | |
池川 友一君 | |
入江のぶこ君 | |
藤井とものり君 | |
とや英津子君 | |
あぜ上三和子君 |
欠席委員 なし
出席説明員オリンピック・パラリンピック準備局 | 局長 | 延與 桂君 |
次長 | 小池 潔君 | |
技監 | 荒井 俊之君 | |
理事総務部長事務取扱 | 渡邉 知秀君 | |
理事 | 中澤 基行君 | |
調整担当部長 | 菅原 雅康君 | |
大会企画調整担当部長 | 中嶋 初史君 | |
自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 | 小池 和孝君 | |
事業連携担当部長 | 折笠眞由美君 | |
計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 | 川瀬 航司君 | |
運営調整担当部長 | 三浦 幹雄君 | |
運営推進担当部長運営担当部長兼務 | 梅村 実可君 | |
連携推進担当部長 | 高角 和道君 | |
ボランティア担当部長 | 小高 都子君 | |
事業推進担当部長 | 船川 勝義君 | |
パラリンピック部長 | 丸山 雅代君 | |
障害者スポーツ担当部長 | 加藤 みほ君 | |
大会施設部長 | 鈴木 一幸君 | |
開設準備担当部長利用促進担当部長兼務 | 柏原 弘幸君 | |
施設担当部長 | 久野健一郎君 | |
施設整備担当部長 | 草野 智文君 | |
選手村担当部長 | 斉藤 有君 | |
担当部長輸送担当部長兼務 | 松本 祐一君 | |
スポーツ推進部長 | 鈴木 研二君 | |
国際大会準備担当部長 | 篠 祐次君 |
本日の会議に付した事件
第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催について調査・検討する。
報告事項
・大会経費の見通しについて(説明)
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催結果について(説明・質疑)
・持続可能性大会後報告書について(説明・質疑)
・第二十四回東京都聖火リレー実行委員会について(説明・質疑)
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催状況報告(速報)について(質疑)
・東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会アーカイブ資産協定の締結について(質疑)
・東京都聖火リレー実行委員会(第二十回から第二十三回まで)について(質疑)
○高島委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック特別委員会を開会いたします。
これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催に関する事項について調査いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
なお、報告事項、大会経費の見通しについては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いますので、ご了承願います。
初めに、先般の人事異動に伴い、オリンピック・パラリンピック準備局長及び幹部職員に交代がありましたので、局長から挨拶並びに幹部職員の紹介があります。
オリンピック・パラリンピック準備局長に就任されました延與桂さんをご紹介いたします。
○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 十月二十五日付でオリンピック・パラリンピック準備局長に就任いたしました延與桂でございます。
引き続き、大会の総仕上げを行うとともに、大会のレガシーを都民の豊かな生活や今後のスポーツ振興につなげていけるよう、今後とも、職員一同、全力を挙げて取り組んでまいります。
高島委員長をはじめ委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、先般の人事異動により交代のあった当局の幹部職員についてご紹介申し上げます。
大会調整担当理事で総務部長事務取扱の渡邉知秀でございます。自治体調整担当部長の小池和孝でございます。小池は聖火リレー担当部長を兼ねてございます。事業連携担当部長の折笠眞由美でございます。計画推進部長の川瀬航司でございます。川瀬は競技・渉外担当部長を兼ねてございます。運営推進担当部長の梅村実可でございます。梅村は運営担当部長を兼ねてございます。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者挨拶〕
○高島委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。
○高島委員長 それでは、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
初めに、大会経費の見通しについての報告を聴取いたします。
○菅原オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 それでは、報告事項、大会経費の見通しについてにつきましてご説明いたします。
お手元の資料第1号をご覧ください。
去る十二月二十一日に、組織委員会、東京都、国の三者が東京オリンピック・パラリンピック競技大会の大会経費の取扱いについてに合意し、翌二十二日に組織委員会が大会経費の見通しを公表いたしました。
まず、1、三者合意(概要)でございます。
大会経費につきましては、平成二十九年五月の大枠の合意と、令和二年十二月の追加経費負担の合意に基づいて予算を計上してきたこれまでの経緯及び新たな変異株の出現などを踏まえた新型コロナウイルス感染症対策と観客数の取扱いの決定など、V5予算決定以降の状況等を踏まえまして、組織委員会、東京都、国の役割、経費分担について、次のとおりとしております。
(1)として、組織委員会は、大会経費全体について、既に決定している支出を上回ることのないよう経費節減や収入確保に努めるとともに、共同実施事業等における経費執行の説明責任を果たすこととしております。
(2)として、国内外の新型コロナウイルスの感染状況を踏まえた観客数の取扱いの決定に伴い、公費負担の対象となるパラリンピック経費の基本的な考え方に合致することとなった事業に関する経費については、パラリンピック経費として、その負担割合を大枠の合意のとおりとすることとしております。
(3)として、新型コロナウイルス感染症対策のうち、国内外の感染状況の変化に対応して講じられた措置に関する経費については、追加経費負担の合意のとおりとすることとしております。
(4)として、その上で、東京都は、開催都市として、組織委員会経費の共同実施事業に係るものについて、安全・安心な大会の円滑な実施の観点から、V5予算の共同実施事業負担金の範囲内で対応することとしております。
(5)として、東京都と国は、共同実施事業の経費のうち、公費負担の対象となるものについて、引き続き、その適切な執行を確認することとしております。
裏面をご覧ください。2、大会経費の見通しについてでございます。
大会経費の総額は一兆四千五百三十億円となり、V5予算を一千九百十億円下回る見通しとなっております。
このうち、会場関係が八千六百四十億円となり、V5予算と比べ六百四十億円の減、大会関係が五千四百十億円となり、同じく六百九十億円の減、新型コロナウイルス感染症対策関連が四百八十億円となり、同じく四百八十億円の減となっております。
組織委員会の収入は六千三百四十三億円となり、チケット売上げの減収等により、V5予算と比べ八百六十七億円の減となっており、支出は収入と同額となっております。
東京都の支出は六千二百四十八億円となり、V5予算と比べ七百七十二億円の減となっております。
国の支出は一千九百三十九億円となり、V5予算と比べ二百七十一億円の減となっております。
次に、三者合意に基づく対応についてですが、組織委員会、東京都、国は、今回の三者合意に基づき、それぞれの役割分担を踏まえた対応を図っております。
まず、組織委員会は、簡素化をはじめとする支出抑制に向けたこれまでの取組や無観客開催に伴う契約の見直しなどにより、V5予算の支出見込みを二百三十九億円削減しております。これが先ほどの三者合意の(1)に基づくものでございます。
また、国は、V5予算決定以降の後発事象に対応した経費として、共同実施事業のパラリンピック経費と新型コロナウイルス感染症対策関連経費に係る百三十四億円を支出することとしております。これが三者合意の(2)と(3)に基づくものでございます。
その上で、東京都は、開催都市として、安全・安心な大会の円滑な実施の観点から、V5予算の範囲内で、共同実施事業負担金として四百七十八億円を支出することとしております。これが三者合意の(4)に基づくものでございます。
これに、V5予算で計上し、東京都が負担することとなっていた収支調整額分百五十億円を合わせた六百二十八億円を共同実施事業負担金(安全対策)として支出することとしております。
今回の三者合意により、東京都と国が新たな予算措置を講ずることなく対応できる見通しとなり、V5予算を国は二百七十一億円、東京都は七百七十二億円下回る見通しとなっております。
最後に、今後の取組についてですが、今回の大会経費の見通しは、十一月末時点の予算執行状況を集計したものであり、今後、決算に向けて引き続き精査を行ってまいります。
一枚おめくりください。参考資料といたしまして、ただいまの説明に関連する組織委員会及び東京都のプレス発表資料を添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
説明は以上でございます。
○高島委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○あぜ上委員 三点お願いしたいと思います。
一点目は、大会経費決算見通しにおいて、増減経費の項目別経費、できるだけ詳細にお願いしたいと思います。
二点目は、共同実施事業負担金(安全対策)六百二十八億円、この支出分の項目別内訳。
三点目は、大会経費決算見通しと立候補ファイル記載の開催経費を比較できる形で、一表にしてお示しいただきたいと思います。
以上です。
○高島委員長 他にございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○高島委員長 ただいま、あぜ上委員から資料要求がありましたので、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高島委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
○高島委員長 それでは、次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催結果について外二件の報告を聴取いたします。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 それでは、私から、報告事項、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催結果についてご説明いたします。
本年十月、大会開催状況を速報としてご報告しましたが、その後、データなどを精査した上で、最終的な大会開催結果として取りまとめましたので、主に更新されたポイントについてご報告いたします。
お手元の資料第2号をご覧ください。
Ⅰ、東京二〇二〇大会の概要については記載のとおりでございます。
Ⅱ、都の主な取組等についてでございますが、二ページをご覧ください。
新型コロナウイルス感染症対策につきましては、専門家から、大会は安全に行われた、行動管理や検査などの対策がうまく機能したと評価されました。空港検疫検査とスクリーニング検査の陽性者数については記載のとおりでございます。
次のページをご覧ください。資料中段、輸送についてですが、輸送サービスの規模や輸送センターの稼働について記載しております。
次のページをご覧ください。ボランティアについてですが、大会では、シティキャスト一万一千九百十三名、延べ二万六百七十六名の方々に活動していただきました。また、感謝状贈呈式や大会後のアンケートなども実施いたしました。
一枚おめくりいただき、六ページをご覧ください。機運醸成についてですが、(3)にございますとおり、東京ゆかりアスリートの応援なども行いました。
次のページをご覧ください。資料下段、復興オリンピック・パラリンピックについてですが、三点目にございますとおり、復興仮設住宅の廃材アルミを原材料とした復興モニュメントを設置し、この十二月には各県へ移設、寄贈いたしました。
一枚おめくりいただき、九ページをご覧ください。Ⅲ、大会のレガシーについてでございます。
メダル、聖火リレーのトーチなどの記念品や記録等のアーカイブ資産等を活用するなど、大会の感動と記憶を後世に長く伝えていくための取組を記載しております。
最後に、IOCが独自に行ったオリンピック競技大会調査結果を記載してございますので、後ほどご覧いただければと存じます。
報告は以上でございます。
また、参考資料1として、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催結果報告を、参考資料2として、組織委員会が取りまとめた東京二〇二〇大会振り返りを添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
説明は以上でございます。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 それでは、私から、報告事項、持続可能性大会後報告書についてご説明いたします。
お手元の資料第3号をご覧ください。
1、概要でございます。東京二〇二〇大会では、持続可能性に配慮した運営計画第二版に基づきまして、持続可能な大会の実現に向けた取組を推進してまいりました。
運営計画では、取組の進捗状況を持続可能性報告書で公表することとしており、これまで三回にわたって報告書を公表してまいりましたが、このたび持続可能性の取組等の結果を報告する最後の報告書を、令和三年十二月に組織委員会が公表いたしました。
次に、2、大会後報告書の主な構成・内容でございます。報告書では、主要テーマである気候変動、資源管理と、裏面をご覧ください、大気・水・緑・生物多様性等、人権・労働、公正な事業慣行等、参加・協働、情報発信に加えまして、横断的なテーマでございます持続可能性に配慮した調達、会場整備につきまして、取組の結果が説明されており、各テーマにおける主な内容はご覧のとおりでございます。
なお、参考資料といたしまして、持続可能性大会後報告書を添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
説明は以上でございます。
○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 それでは、私から、第二十四回東京都聖火リレー実行委員会についてご説明いたします。
お手元の資料第4号をご覧ください。
第二十四回東京都聖火リレー実行委員会は、十一月二十六日に書面開催いたしました。
3、議題のうち、(1)の報告事項は、委員の変更についてでございまして、三名の委員に変更がありました。
なお、実行委員会の多羅尾会長の退任に伴いまして、潮田委員を新会長として委員互選で選任しております。
続いて、(2)の協議事項は、令和二年度事業報告及び収支決算についてでございます。
まず、〔1〕、事業報告でございますが、二年度は実行委員会を四回開催いたしまして、延期後のリレールート等を検討し、公表いたしました。
具体的な事業内容としては、聖火リレー実施に向けた各種実施運営計画等の策定と聖火リレーの新型コロナウイルス対策の検討を行いました。
次に、〔2〕、収支決算でございますが、リレーの延期により、計画策定業務のみ執行することといたしましたので、収入、支出とも予算額が約四十二億円のところ、決算額は約三億円となりました。
なお、執行残となりました約三十九億円は、リレーを実施する三年度に繰り越して執行することといたしました。
参考資料として、ただいまご説明いたしました東京都聖火リレー実行委員会の資料を添付しております。後ほどご参照いただければと存じます。
私からの説明は以上でございます。
○高島委員長 報告は終わりました。
それでは、報告事項、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催結果について外五件に対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○渡邉オリンピック・パラリンピック準備局理事 去る十月十一日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元に配布しておりますオリンピック・パラリンピック特別委員会要求資料をご覧ください。
表紙をおめくりいただき、資料1、東京二〇二〇大会における医療スタッフ数についてをご覧ください。
大会に従事した医療スタッフ数の実人員数をオリンピックとパラリンピックの別に計上し、職種ごとの内訳をお示ししたものでございます。
こちらの医療スタッフ数は、第四十八回組織委員会理事会において公表されたものでございます。
続きまして、一枚おめくりいただき、資料2、仮設施設整備の契約金額及び大会前工事完了期日についてをご覧ください。
東京二〇二〇大会の都内競技会場の仮設施設整備に係る当初契約金額及び第四十八回組織委員会理事会において公表された令和三年十一月三十日時点の変更後契約金額、大会前工事の契約上の完了期日を一覧でお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。
○高島委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
発言を願います。
○伊藤(し)委員 冒頭に、コロナ禍で行われた東京オリンピック・パラリンピックの開催に際し、ご協力をいただいた全ての皆様に改めて感謝を申し上げます。
まずは、本大会の最大の課題でありましたコロナ対策について伺います。
東京二〇二〇大会は、コロナ禍という困難な状況にもかかわらず、感染対策への協力と理解を得て、世界中からアスリートが集まり、多くの感動を与えてくれました。オリンピック・パラリンピックという世紀の大会を安全・安心に開催するため、手探りながらも懸命に対策を講じられたことと思います。
都、国、組織委員会、そして専門家の方々が協力して、幅広く議論を行い、守るべきルールとして、オリ・パラ初のプレーブックが取りまとめられました。プレーブックは、デルタ株の影響などを踏まえ更新を重ね、様々な機会を捉えて周知され、対策の実効性を高めてきたと伺っています。入国する選手、関係者にとっては初めてのことであり、説明にも苦労が多かったと思います。
そのような中、プレーブックを守っていない選手が大勢いるといった報道もありましたが、どのように周知徹底したのでしょうか。また、結果として、守らなかった選手はどれぐらいだったのか、お伺いいたします。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 アスリート等に対するプレーブックや行動ルールの周知につきましては、大会前は各国の競技団体等に対して、会議やオンラインミーティング等により丁寧な情報提供を行ってまいりました。
また、六月中旬から大会期間を通じては、IOCと協力して、数日に一度のペースでメールマガジンを発信し、ルールの詳細内容等を繰り返し周知するなど、競技団体に加え、各国選手団等に対してプレーブックの遵守を要請いたしました。
違反行為に対しましては、IOCやIPCと協議の上、迅速に処分を決定し、厳正な対処を行いました。
具体的には、大会期間中の違反者は八十九名であり、訪日大会関係者五万四千二百五十人に対して、その割合は〇・一六%でございました。
アクレディテーションカードの剥奪に至る重大な違反は十八名でございましたが、ほとんどの大会関係者はルール遵守に協力的でありました。
○伊藤(し)委員 大会前、大会中など様々な場面を通じてルールの遵守を要請するとともに、違反者には厳正に対処をしてきたとのことでした。
選手、関係者にルールの徹底をお願いしたのは、ご本人たちの安全を確保するとともに、滞在する地域の方の安全を確保するためでもありました。
仮に大量の陽性者が発生した場合、地域の保健所への負担は甚大です。特に選手村などアスリートが多く滞在する地域では問題は深刻です。
そのため、我が会派では、昨年十月に、地域の保健所に影響を及ぼさないよう、専用の保健所機能の設置強化について要望を行いましたが、選手村でのコロナ対策を実施するに当たり、どのような対策を講じたのか、また、その結果についても伺います。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 アスリート等が集中して滞在する選手村では、地域の保健衛生機能を強化するため、保健衛生拠点を設置し、組織委員会感染症対策センター等との緊密な連携の下、新型コロナに係る対応を行ってまいりました。
具体的には、選手村に滞在するアスリート等の陽性が発生した際には、本拠点で発生届を受理し、宿泊療養施設等への入所、搬送調整等を行うほか、組織委員会を通じてアスリート等の行動記録、接種記録等の情報提供を受け、積極的疫学調査等の業務を行っておりました。
また、アスリート等の濃厚接触者を迅速に特定し、対象者の適切な隔離や行動管理を行うなど、選手村での感染拡大の防止に貢献するとともに、大会関係者に陽性が出た際には宿泊療養調整の支援を行うなど、地域保健所業務の負荷軽減にも寄与いたしました。
○伊藤(し)委員 保健衛生拠点、すなわち大会に対応した臨時保健所を設置し、地域の保健衛生に負担をかけないように対応したとのことでした。
選手、関係者が滞在したのは選手村だけではありません。事前キャンプでは、各地のホテルにも滞在しました。
例えば、私の地元八王子市では、アメリカのクライミングチームの事前キャンプが行われ、参加した選手が見事銀メダルを獲得しています。
ほかにも都内の自治体で実施された事前キャンプのチームから、多数のメダリストが誕生しており、コロナ禍での制約はありましたが、喜ばしいことでありました。
一方で、受け入れる各自治体の担当者や支援する東京都は、ご苦労も多かったと推察いたします。
それでは、事前キャンプにおいては、どのようなコロナ対策が行われたのか、また、その結果についても伺います。
○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 事前キャンプは、各国が大会直前に任意で行うトレーニングでありまして、都内では、十三区六市と一つの民間団体において受入れが行われました。
各自治体は、選手と住民双方の安全・安心を確保するため、受入れマニュアルを作成し、それに基づき専用車両での移動や宿泊施設等における選手と一般の利用者との動線分離のほか、選手等があらかじめ登録した用務先以外に移動しないよう、行動管理の徹底などを実施いたしました。
加えて、事前キャンプ期間中、選手等には毎日、また、自治体職員や関係者にも定期的にスクリーニング検査を実施いたしまして、感染者の早期把握を行うとともに、陽性疑いが出た場合の対応を事前に医療機関等と調整し、不測の事態に備えたところでございます。
都といたしましても、各自治体や保健所等の関係機関へ必要な情報提供を行うとともに、検査体制を整備して円滑に準備ができるよう、受入れ自治体を支援してまいりました。
こうした取組により、事前キャンプ期間中に実施した約一万二千件の検査において、陽性が確認されたのは選手と接触前のホテルスタッフ一名のみでありまして、選手等から感染者を一人も出すことなく事前キャンプを実施することができました。
○伊藤(し)委員 選手等から感染者を一人も出さなかったことは、マニュアル等に基づき行動、健康管理が徹底され、しっかりとコロナ対策が機能していたあかしであり、また、担当する職員も細心の注意を払い、取り組まれた成果であったと思います。
様々な制約はありましたが、事前キャンプを通じて深まった相手国との絆を、今後のこの先の交流にもつなげていただきたいと思います。
このように、様々な感染症対策を徹底して行い、大会を成功に導けたことは大きな意味があります。我が会派は、本年第三回定例会で、コロナ対策の取組とその成果をレガシーとして活用すべきと主張いたしました。
大会のコロナ対策で得た知見を今後も活用すべきと考えますが、見解を伺います。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 過去に例のないコロナ禍における大会の開催に向けまして、コロナ対策調整会議において、専門家にも参画いただきながら幅広く議論を行い、アスリートや大会関係者が守るべきルールとしてプレーブックを取りまとめました。
プレーブックに基づき、国、都、組織委員会が一体となってそれぞれの役割を果たした結果、大会は安全・安心に行われたと評価されました。
大会時のコロナ対策で得られた海外からの来訪者への対応や、関係機関等との連携体制、感染防止などの取組を整理し、今後の国際的なイベントや会議等で活用いただけるよう、その経験やノウハウを提供してまいります。
○伊藤(し)委員 世界を見渡しますと、残念ながら、コロナとの闘いは終息の見通しが立ちません。
一方で、我々の生活を継続するためには、安全対策を講じつつ、社会経済活動を進めていかねばなりません。そのためにも、大会時のコロナ対策で得た経験やノウハウを整理して活用していただきたいと思います。
続きまして、大会施設の活用について伺います。
大会では、スケートボードやスポーツクライミングなど、新たに競技種目となったアーバンスポーツについて、日本人選手の活躍などもあり、注目が集まりました。
例えば、スケートボードでは堀米選手、西矢選手、四十住選手の金メダルをはじめ五人がメダリストとなり、若者を中心にアーバンスポーツへの関心がさらに高まっています。
よって、第三回定例会でも指摘しましたが、スケートボード施設などを活用して、若者に人気のある、これらの新しいスポーツを促進すべきと考えます。
それでは、有明レガシーエリアにおける仮設競技会場施設の今後の活用について、現在の取組を伺います。
○柏原オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長利用促進担当部長兼務 東京二〇二〇大会では、スケートボードをはじめとするアーバンスポーツが、日本人選手の活躍もあり、大きな注目を集め、東京大会の一つのレガシーとなりました。このレガシーを大会後に引き継いでいくことは重要であります。
都は、今年三月に公表いたしました未来の東京戦略においても、若者に人気のある都市型スポーツの場として、大会時の仮設競技施設を活用して、仮称有明アーバンスポーツパークを有明レガシーエリアに整備することとしております。
現在、スケートボード施設をはじめとした仮設施設活用方法や、効率的な運営につきまして総合的に検討を進めており、今後、具体的な方針を取りまとめてまいります。
○伊藤(し)委員 使用した仮設施設を活用し、スポーツに触れる機会を増やしていくことは、大会の感動を引き継ぐことにもつながりますので、よくご検討いただきたいと思います。
その際、考慮しなければならないのは、大会時の施設は世界のトップアスリートが技を競い合う場であり、高度な技術が必要となるものであることです。
すなわち、大会時の競技施設では、利用者は上級者に限られるとの懸念がありますが、どのように広く利用される施設にしていくのか、考えを伺います。
○柏原オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長利用促進担当部長兼務 有明アーバンスポーツパークは、大会のレガシーを生かして、アスリートの育成など競技としての発展とともに、多くの都民が訪れ、有明レガシーエリアのにぎわい創出に貢献できる施設としていきたいと考えております。
東京二〇二〇大会時に使用された競技施設を活用することで、高いレベルのアスリートが国内で技を磨く場として貴重な施設となります。
加えまして、より多くの方々が訪れ、アーバンスポーツに触れていただくために、上級者以外の幅広いレベルの方でも施設を利用できるような工夫につきましても、併せて検討してまいります。
○伊藤(し)委員 報道によりますと、江東区では、都の施設とは別に、初心者や中級者を対象としたスケートボード施設の整備も検討されているとのことです。地元ともよく連携し、検討を進めていただきたいと思います。
また、有明レガシーエリアの北側には、港湾局が有明親水海浜公園を整備しております。
さきの経済・港湾委員会の質疑におきまして、我が会派からの質疑に対して、同公園では水辺の散策路の整備に加えて、公園の東西両岸に桟橋を設置するとともに、砂浜を整備し、水辺でのレクリエーションの利用を可能にしていくとの答弁がありました。
そこで、有明レガシーエリアの後利用に当たっては、港湾局の整備する有明親水海浜公園とも連携し、検討を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
○柏原オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長利用促進担当部長兼務 有明レガシーエリアは、東京二〇二〇大会時には、有明アーバンスポーツパークに加えまして、有明アリーナや有明テニスの森公園テニス施設、有明体操競技場といった多くの競技施設が集積しておりました。
これらの大会のレガシーを最大限活用すべく、大会後には有明アーバンスポーツパークを整備するとともに、有明アリーナを東京の新たなスポーツと文化の拠点として、有明体操競技場につきましても、展示場として活用することとしております。
隣接する有明親水海浜公園につきましても、こうした大会施設とも連携したスポーツイベントを開催するなど、訪れる人が大会の記憶に触れながら、スポーツも満喫できる公園として整備することとなっております。
このように、大会施設を最大限有効活用するとともに、水辺のレクリエーションでの活用が期待される有明親水海浜公園とも密に連携を図りまして、有明レガシーエリアが様々なスポーツに親しむことができるにぎわいのあるエリアとなりますよう取り組んでまいります。
○伊藤(し)委員 本日の報告資料にも記載がありましたが、当該地域は有明オリンピック・パラリンピックパークとして、大会の名称も残されるとのことです。若者たちをはじめ多くの都民に親しまれ、大会のレガシーを引き継ぐ施設エリアとなるように、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
さて、大会開催に当たっては、日本の首都にふさわしい国際水準を満たす新規恒久施設が整備されるとともに、既存の都立スポーツ施設についても、様々な機能の強化が図られてきました。また、身近な市区町村のスポーツ施設についても整備、改修が進められてきたところです。
それでは、大会を契機に既存の都立スポーツ施設についてどのような改修が行われたのか、また、市区町村のスポーツ施設に対してはどのような支援を行ってきたのか、実績を伺います。
○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 東京二〇二〇大会では、有明テニスの森など既存の五つの都立施設が競技会場として使用されました。
これらの施設では、大会会場として必要な水準を満たすとともに、より利用しやすい施設となるよう、アクセシビリティーの向上や老朽化対応及び機能向上を目的として、車椅子利用者席の増設と分散配置、競技用照明のLED化など改修工事を実施いたしました。
区市町村立スポーツ施設に対しましては、スポーツ環境の充実拡大を図るため、平成二十六年度から令和元年度まで、スポーツ施設整備費補助事業を実施しまして、競技場の新設や夜間照明の設置など、合計二百四十八件に財政支援を行いました。
令和二年度からは、身近にスポーツを楽しむ環境を整備するため、スポーツ環境整備費補助事業によりまして、暑さ対策や障害者スポーツの推進に係る工事に対し、令和二年度は八件の財政支援を実施いたしました。
○伊藤(し)委員 既存の都立スポーツ施設、市区町村のスポーツ施設ともにバリアフリー化が進んでいるとのことでした。新規恒久施設も含め、スポーツを行う環境が改善されたことにも注目していきたいと思います。
こうした都内のスポーツ施設を一体として、都民のために活用していくことが大会のレガシーであると考えます。
さて、大会のレガシーという意味では、今回の東京大会のレガシーの一つ、パラスポーツに注目が集まりました。パラスポーツへの関心の高まりを受けて、これらの様々なスポーツ施設におけるパラスポーツを行いやすい環境づくりを進めることが重要と考えますが、都の見解を伺います。
○丸山オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 大会の競技会場となった都立スポーツ施設は、誰もが使いやすいものとなるよう、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの基準を踏まえるとともに、アクセシビリティ・ワークショップにおいて、障害のある方等から直接意見を聴取し、新規施設の整備や既存施設の改修を実施いたしました。
また、区市町村立スポーツ施設についても、階段の手すりの設置や段差の解消、視覚障害者向け音声誘導案内装置の設置など、バリアフリー化を支援してまいりました。
加えて、障害のある方のスポーツ施設の利用促進に向け、スタッフによる障害特性に応じた案内誘導方法など、施設管理者等が配慮すべき点をまとめた障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルを作成し、都立施設を含めた公立のスポーツ施設や民間スポーツクラブ等に普及を図っております。
こうした取組を通じて、誰もがパラスポーツに取り組みやすい環境の整備を引き続き進めてまいります。
○伊藤(し)委員 障害の有無にかかわらず、様々なスポーツ施設の利用が一層促進されるよう取り組んでいただくとともに、今後も都民に親しまれる施設として、また、大会のレガシーとして、より一層有効活用していただくよう要望しておきます。
そして、施設の活用という点では、大規模大会の開催という視点も重要です。大会時は残念ながら無観客となってしまったため、多くの都民に施設の魅力を直接伝える機会を失ってしまいました。
国際水準を満たした新規恒久施設を有効活用するためにも、都民利用と併せて国際大会の誘致も進める必要がありますが、これまでの国際大会の誘致、開催支援の実績と今後の予定について伺います。
○篠オリンピック・パラリンピック準備局国際大会準備担当部長 都は、東京二〇二〇大会を契機に、東京で数多くの国際スポーツ大会が開催され、東京のスポーツ振興と都市のプレゼンスの一層の向上が図られるよう、令和二年度から国際大会の誘致や開催を支援する事業を開始いたしました。
初年度の令和二年度には、誘致段階の支援として、東京二〇二〇大会のボート競技のアジア・オセアニア大陸予選に対し、計画策定に係る経費等について支援を行いました。この結果、海の森水上競技場での大会開催が決定いたしました。
令和三年度は、同大会について、会場設営に係る経費の支援や大会に関する情報発信等を行い、開催を支援いたしました。また、新たに一大会の誘致支援に取り組んでございます。
引き続き、国際大会に関する情報収集を行うとともに、競技団体に対して新規恒久施設を含む都のスポーツ施設や本制度に関する情報提供を積極的に行うなど、国際大会の誘致を進めてまいります。
○伊藤(し)委員 国際大会など、注目度の高い大会で活用されることにより、施設の魅力が一層多くの方々に伝わり、都民利用もさらに増えると思います。魅力ある国際スポーツ大会が数多く開催されるよう努めていただきたいと思います。
次に、輸送について伺います。
大会を振り返れば、輸送は、成功した大会運営の一つといえます。コロナ禍になる前、大会の肝は輸送と暑さ対策といわれ、我が会派も円滑な大会輸送は本当に実現できるのか、また、大会によって経済活動は停滞せず継続できるのかといった視点で何度も質疑を行いました。
そこで、これまでの輸送を総括する視点で伺います。
輸送の大きな目標として、円滑な大会輸送の実現と経済活動の維持との両立が掲げられました。
まず、この円滑な大会輸送の実現は達成できたのか、選手輸送に遅れなどは生じなかったのか伺います。
○松本オリンピック・パラリンピック準備局担当部長輸送担当部長兼務 大会に向けては、業界団体や企業に参画いただいた二〇二〇TDM推進プロジェクト等を推し進め、人と物の流れについて、移動を減らす、時間をずらす、ルートを変更するなど、TDMの実践を呼びかけるとともに、大会中は首都高速道路での料金施策、入り口閉鎖などを実施いたしました。
都民や企業にもご協力をいただいた結果、二〇一八年と比較して、大会期間を通じて、平日は首都高で一割余り、一般道では三から四%減少、休日では首都高で約三割、一般道では約一割の交通量が減少し、選手等を輸送するルート上の円滑な流れを確保することができました。
この結果、大会期間を通じて、あらかじめ定めた選手村から各競技会場までの所要時間の範囲内で輸送することができ、競技運営の支障となるような遅延は生じておりません。
○伊藤(し)委員 選手などの輸送に遅れがほとんど生じなかったことは、コロナ禍で人流が減少したことも影響したとは思いますが、そこにマネジメントが存在し、一定のコントロールができていたと評価できます。
一方で、多くの業界団体や企業にご協力いただき、大会期間中のテレワークの導入や納期をずらすなどの対応もいただきましたが、こうした協力も、企業にとっては取引先との交渉など、負荷のかかることであったと思います。
それでは、民間にご協力をお願いする立場から、都庁自身も交通量の削減に取り組みましたが、その結果についても伺います。
○松本オリンピック・パラリンピック準備局担当部長輸送担当部長兼務 大会時の交通混雑緩和のため、都庁自らが取り組む行動計画として、都庁二〇二〇アクションプランを定め、感染症対策等に従事する職員を除く本庁職員の約七割がテレワークを実施し、コピー用紙等の納品回数が約四割減となりました。
また、業界団体にもご協力いただき、都が発注する工事につきまして、発注時期の調整や夜間への振替など、約八割の工事で調整を行い、交通量の削減に取り組みました。
このほか、都庁二〇二〇アクションプランについて、その作成ステップを示したアクションプラン作成ツールなどを公開いたしました。
この結果、都の取組をベースに、自社の行動計画を策定することができたなどのご意見をいただいており、企業等の取組促進等にもつながったと考えてございます。
○伊藤(し)委員 企業には、交通規制による影響もあったと思います。また、工事に伴う車両の抑制を図る工事調整についても、多くの事業者が都庁発注工事のみならず、民間工事においても施主などと調整を行い、ご協力をいただいたと聞いております。
すなわち、結果として非常に多くの企業や業界団体のご協力をいただきましたが、経済活動の維持という観点で企業などの反応はどうであったのか伺います。
○松本オリンピック・パラリンピック準備局担当部長輸送担当部長兼務 大会終了後に実施したアンケートでは、人の流れについて回答した企業の九割以上が、テレワークや時差出勤などを実施したとしており、また、物の流れにつきましては、約七割が発注時期、回数の調整や納品までの期日を緩和するなどに取り組んだとの回答がございました。
こうした企業からは、コロナ対策にも有効だった、予定どおり配送された、他社との協力体制ができたといった意見があり、人の流れ、物の流れとともに、大会時にもそれぞれ企業が工夫を行い、業務を継続したことが分かりました。
○伊藤(し)委員 人の流れ、物の流れとともに多くの企業が取組を行い、大会時も業務を継続できていることが確認できました。
次に、パラリンピックの輸送について伺います。
今回の大会は、過去最多の選手が参加しており、選手、大会関係者の安全で円滑な輸送の実現が大会の成功につながったと聞いております。
パラリンピックでは、車椅子の選手も多く、特別な対応が求められたと思いますが、どのように対応したのか伺います。
○松本オリンピック・パラリンピック準備局担当部長輸送担当部長兼務 パラリンピック大会では、選手約四千四百人に対しまして、一日最大バス約九百二十台を運行し、このうちリフト付バス二百六十台、低床バス七十台で輸送に当たりました。
また、バスに乗り切れなかった場合などに、車椅子のまま乗車できる乗用車を八台配置いたしました。
バス輸送におきましては、乗降がスムーズに行われるよう、車椅子のまま乗車する選手、乗車後に通常の席に乗り移る選手、乗車前に車椅子を降りて、ご自身でバスに乗る選手など、現地で丁寧にご案内しながら、乗車の順番を分けるなどの対応を行いましたほか、選手村と選手数が多い水泳などの競技会場三か所では、車椅子のまま乗降できるスロープを合計十基設置し、対応いたしました。
また、車内で様々な形の車椅子を固定するスタッフの訓練を行うことで、安全を確保した上で、乗車から出発までの時間短縮に努め、開催時の円滑な輸送を実現いたしました。
○伊藤(し)委員 大会後、多くのパラリンピアンから大会に感謝するメッセージが出されました。こういったきめ細やかな現場での対応が評価をいただいたのだと思います。
さて、現在もコロナ禍で、飲食業や旅行業を中心に大きな打撃を受けておりますが、大会時の輸送対策を通じて、新たな働き方や物流の効率化など、取組が加速化された面もあり、これを次につなげることが新たな経済活動の基盤にもなり得ます。
都は、これをレガシーとすべきと考えますが、所見を伺います。
○松本オリンピック・パラリンピック準備局担当部長輸送担当部長兼務 大会後に実施した中小企業等へのアンケートでは、回答者の約八割が大会後も物流の効率化の取組を継続実施または今後の交通混雑に応じて実施と回答しています。
この結果は、企業が混雑緩和のみならず、物流の効率化や生産性向上、ライフ・ワーク・バランスの実現、災害時等の事業継続の確保といった観点から、取組意義が大きいと判断したものと思われます。
一方で、テレワークや時差出勤が困難な職場があることや、荷主の理解が進まずに配送事業者に負担がかかっている現状もございます。
こうしたことから、テレワークや時差出勤の一層の促進、物流効率化に向けた取組など、大会で得られた結果や知見を庁内で共有し、今後の施策に活用してまいります。
○伊藤(し)委員 大会で使われた競技会場などに象徴されるレガシーとは異なり、輸送のレガシーは、取組を中長期的に継続することで初めてレガシーとなり得ます。多くの業界、企業も、新たに生まれた商習慣や働き方が継続できるように、都が旗振りを後押ししてくれることを望んでいると思います。
大会を通じて、社会全体を巻き込んだ取組をしっかりと引き継ぎ、経済活動の維持発展に尽力してもらいたいと思います。
次に、学校連携観戦について伺います。
オリンピックでは、都内の会場においては、残念ながら学校連携観戦は中止となりましたが、パラリンピックにおいては、安全対策を講じた上で実施できることになりました。参加できた子供たちにとっては、かけがえのない貴重な経験になったと思います。
この学校連携観戦には、どのくらいの子供たちが参加できたのか、また、参加した子供たちからはどのような感想が聞かれたのか伺います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 学校連携観戦については、子供たちが安全・安心に観戦できるよう、組織委員会や関係局等と連携し、安全なバス輸送をはじめ乗降場から座席までの円滑な誘導や座席間隔の確保、ボランティアによる声かけやサポートなど、感染症対策や暑さ対策に取り組みました。
その結果、都内会場においては、公立、私立合わせて百四十校一万五百四十三名の子供たちが安全に観戦することができました。
参加した子供たちからは、テレビで見るより様々な音が聞こえたり、スピードの速さを実感できるなど、生で観戦することのすごさ、楽しさを知ることができた、コーチやボランティアが選手を支えている姿を見て、支え合うことの大切さを感じたなどの感想があったと聞いております。
○伊藤(し)委員 一万人を超える子供たちが観戦ができたとのことでした。
私の地元八王子の子供たちも、車椅子バスケットボールを生で観戦することができました。様々な障害がある選手が躍動するパラリンピックを目の前で観戦できたことは、子供たちが多様性の理解を深めるきっかけとなったことや、また、選手たちを支えるボランティアの価値を間近で見ることができたことなど、貴重な経験になったと思います。
こうした大会の感動が子供たちの記憶に残り、その後の人生の糧となるレガシーを残していけるよう、東京都教育委員会などとも連携していただきたいと思います。
関連して、子供たちの思い出として残る大切な取組についても伺います。
組織委員会では、都内の小学校や特別支援学校にアサガオの鉢と種を配り、子供たちに育ててもらうフラワーレーンプロジェクトという取組を進めていました。
これは、観客の列をつくるための鉄柵の代わりに、各競技会場の入り口に子供たちのメッセージをつけたアサガオの鉢を並べるというものです。選手からはSNSで発信されるなど話題にもなりました。
それら会場の入り口で観客を迎えるために設置を予定していたフラワーレーンについて、無観客開催に伴い、どのように対応したのか、また、収穫したその種はどのように使われたのか伺います。
○三浦オリンピック・パラリンピック準備局運営調整担当部長 組織委員会では、無観客開催となった段階で、観客用入場口に配置する予定だったアサガオの鉢を選手や報道機関など、大会関係者の入場口やバスの乗降場所、競技会場内の通路付近などに並べることといたしました。
アサガオの鉢にはメッセージやイラストが添えられ、各国選手など関係者に子供たちのおもてなしの心が伝わりました。これがSNSによる多くの情報発信につながり、メディアでも好意的に取り上げられたものでございます。
大会終了後のアサガオは、種が収穫できるよう、鉢ごと、育てていただいた小学校等に返却いたしました。
また、パリの日本人学校から要請があり、小学校で収穫された種を譲り受け、パリに送るという取組も行われたとのことでございます。
○伊藤(し)委員 無観客開催となる中、子供たちの試みがどうなるかと心配しましたが、創意工夫でご対応いただき、よかったと思います。また、二〇二四年のパリにも子供たちの思いが伝わるといいと思います。
次に、多摩地域との連携や対応についても伺います。
今回の東京大会は、当初のコンセプトはコンパクトオリンピックということもあり、競技施設は区部に集中し、多摩地域の競技会場は武蔵野の森総合スポーツプラザや東京スタジアムのみとなりました。
私の地元八王子でも、一九六四年大会では自転車のトラックやロードのレースの会場となり、当時を知る人たちからは、まちを挙げて応援したよとよくお話を聞きました。
多摩地区でのスポーツイベントとしては、大会招致が決定した平成二十五年に東京多摩国体が行われ、各市町村で様々な競技が実施されました。
また、二〇一九年には、ラグビーワールドカップが東京スタジアムで開催され、世界中から多くのファンが来日し、大いに盛り上がったことを記憶しています。
そこで、東京二〇二〇大会の開催やラグビーワールドカップ二〇一九の成果やレガシーを多摩地域のスポーツ振興にどのようにつなげていくのか伺います。
○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 東京二〇二〇大会やラグビーワールドカップ二〇一九では、多摩地域のスポーツ振興の拠点である武蔵野の森総合スポーツプラザや東京スタジアムが会場となりまして、選手の躍動する姿が多くの都民に感動をもたらしたものと思います。
また、多摩地域の各市町村で行われましたラグビーワールドカップにおけるパブリックビューイングや、東京二〇二〇大会へ向けたホストタウン事業や事前キャンプなどの様々な交流、地域振興の取組は、多摩の方々に元気をお届けしたものと思います。
これらの大会のレガシーとして、まず、ラグビーに関しましては、毎年ラグビーレガシーイベントを東京スタジアムで開催し、ラグビー文化のさらなる普及に取り組んでおります。
また、パラリンピックのレガシーとして、東京スタジアムの一角にパラスポーツの競技力向上と普及振興の場となる仮称東京都パラスポーツトレーニングセンターを整備し、パラスポーツの振興を進めていくこととしております。
今後も東京二〇二〇大会やラグビーワールドカップのレガシーを生かし、両大会で高まった機運を多摩地域のスポーツ振興につなげてまいります。
○伊藤(し)委員 武蔵野の森や東京スタジアムでは、国際的なスポーツ大会の開催やホストタウン事業などを通じて、多摩地域の振興などにも取り組まれたとのことです。
一方、多摩西部に住む方からは、それらの施設は遠く、より身近な場所でスポーツに親しめる機会をつくってほしいとの声も聞いています。
都においては、スポーツ振興に向けて、都立施設を活用した事業などに取り組まれておりますが、そうした場所に限らず、様々な場所で事業を実施し、多摩地域のスポーツ振興を一層盛り上げていってほしいと思っております。
次に、大会を通じた全国各地との連携についても伺います。
大会は東京だけでなく、日本全体が協力して取り組んできたものです。その一つが選手村ビレッジプラザでの木材の活用です。私も大会前に内覧させていただきましたが、日本各地の木材がふんだんに使われ、選手が日本の文化や伝統を感じられる施設となっていたことを記憶しています。
それでは、こうした全国から提供された木材については、大会後、どのように取り扱われたのか伺います。
○斉藤オリンピック・パラリンピック準備局選手村担当部長 ビレッジプラザは、組織委員会の公募により決定された全国の自治体から無償で借り受けた木材を使用して建設されたものであります。
大会期間中は、選手の日常生活を支える雑貨店やカフェ、ヘアサロンなどの施設が配置され、そこに全国の木材を使用することで、利用する選手の皆様に日本の伝統や文化を味わっていただきました。
大会後、これらの木材は各自治体に返却され、それぞれの公共施設などにおいて、大会のレガシーとして引き継がれることとなっております。
都といたしましても、多摩産材を供給しておりまして、大会後は都有施設や地元区所有施設の内装などに活用される予定でございます。
○伊藤(し)委員 ビレッジプラザの全国連携による取組は、アスリートを温かく迎え入れるとともに、世界に向けて日本の木の文化、魅力の発信にもつながりました。
また、選手村の食堂では、国産食材や日本の食文化の発信が行われたとも聞いています。選手が選手村ダイニングでの動画をSNSに投稿し、大きな反響もありました。選手村の食事は、日本の食材や食文化の魅力を世界にPRする絶好の機会であったと思います。
さて、過去の大会では、食品への異物混入を防止する観点から、食材などの詳細については公表されてこなかったようですが、東京大会の選手村では、国産食材や日本の食文化の発信について、どのように取組が行われたのか伺います。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 選手村における飲食提供では、飲食提供に係る基本戦略に基づきまして、地域の活性化や農畜水産物の生産振興、地産地消の拡大につながるよう国産食材が優先的に活用されました。
特に選手村のカジュアルダイニングにおきましては、アスリート、料理関係者、スポーツ栄養士等の外部有識者による議論を踏まえまして、日本の食文化発信等の観点から、全国の食材を活用した日本食が提供されました。
提供に当たりましては、全国を八つの地方ブロックに分けて、期間ごとにローテーションし、各地の食材を活用したメニューが提供されたほか、東京産及び被災地産の食材については毎日提供されました。
また、食事提供レーンに設置したタブレットを活用することで、大会史上初めて、食材の産地情報がリアルタイムで発信されたところでございます。
こうした取組の結果、日本食の魅力がSNS等を通じて各国選手の皆さんから広く発信されました。
○伊藤(し)委員 選手村では、木材や飲食などを通じて、東京だけでなく日本の文化発信に取り組んだことを確認いたしました。大会を契機に、東京、日本の魅力が見直され、コロナの先のインバウンドにもつながることを期待しています。
さて、東京大会は大会閉幕をもって終了するものではありません。例えば、過去のロンドン大会では、終了後も競技施設の活用に加え、スポーツや文化、国の伝統文化の発信に都市と国が一体となって取り組んでいます。
東京大会は、ロンドンを参考としつつ、それを超えた大会とするために、これまで取組を進めてきました。ロンドン大会にはなかったコロナを乗り越えて開催した大会として、成功に導いた多くの方の努力や成果を風化させてはなりません。
また、東京大会は、東京だけでなく国内外の多くの関係者をはじめ輸送など様々な面でご協力くださった都民、国民の支えが不可欠でありました。
一九六四年大会のオリンピック閉会式では、旧国立競技場の画面にSAYONARAと表示されましたが、二〇二〇大会では同じフォントでARIGATOと映し出されたように、選手に、関係者に、そして大会に協力していただいた全ての方々に感謝の思いを伝えることも必要です。
大会の成果と努力を将来に引き継ぐとともに、大会成功への感謝の気持ちを発信すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 東京二〇二〇大会は、大会史上初となる一年の延期、無観客での開催となりましたが、組織委員会や国、関係自治体等と緊密に連携するとともに、医療関係者、経済団体、関係事業者をはじめ幅広い都民、国民の皆様のご協力を得て、大会を安全に開催することができました。
都では、大会に参加し、携わり、応援してくださった全ての人に感謝の気持ちを届けるため、パラリンピック開会式の片翼の小さな飛行機役として脚光を浴びた和合由依さんを主人公に起用した動画、TOKYO二〇二〇#ARIGATOを制作し、都の公式サイト、SNS等で公開、発信しております。
また、大会にご協力いただいた全ての方々への謝意を分かりやすく示したポスターを作成し、多くの人目につく駅や都立施設等に掲出し、積極的に発信に努めております。
それらの取組に加え、今後、大会一年後の節目等を活用し、大会の感動と記憶を共有し、レガシーを未来につなげていくとともに、関係機関と連携して、大会にご協力いただいた都民、国民の皆様への感謝の気持ちを発信する取組についても検討してまいります。
○伊藤(し)委員 大会のレガシーとともに、感謝の気持ちをしっかり伝えていくことが重要です。一周年を待たずに、様々な機会を捉えて取り組んでいただきたいと思います。
さて、最後の質問の前に、本日ご報告がありました大会経費の見通しについて一言申し上げます。
東京二〇二〇大会は、新型コロナの影響を受け、史上初の一年延期、さらには無観客という前例のない厳しい中での開催となりました。人類がかつて経験したことのない困難な状況にあって、以前から会派として指摘してきたように、関係者がスクラムを組み、まさにワンチームとなって立ち向かったことで、大会は成功を収めることができたと思います。
その上で、残された課題である大会経費について、閉会から僅か三か月余りで最終的な収支見込みを示すことができたのは、東京都、国、そして組織委員会がそれぞれの役割と責任を果たしながら、互いに協力し合い、真摯に議論を重ねた成果でもあると思います。
短期間での整理は困難とされていましたが、年内、それも圧縮された見通しを示せたことは一つの節目であり、大会に参加したアスリートや大会の成功を支えた都民、国民にとっても大きな意味があったと思います。
都においては、引き続き国、組織委員会と連携し、最後まで適切な経費の執行に努めていただきたいと思います。
本日の質疑では、大会本番に向けた様々な取組がレガシーとして生かされることも確認をいたしました。振り返りますと、東京での開催が決定してから、大会までの道のりは平たんではなく、むしろ数多くの苦難もありました。
特に新型コロナの猛威は想定外の事態であったと思います。本当に大会は開催できるのか、どうすれば開催できるのか、世界が注目し、開催都市としての悩みは尽きなかったと思います。
そこで、大会を無事終えた今、招致から関わってきた延與局長に大会成功に対する所見を伺います。
○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 二〇一三年九月七日、アルゼンチン・ブエノスアイレスにおきまして、二〇二〇年大会の開催都市を決定するIOC総会が開催されました。
私も現地に出向き招致活動に携わっておりまして、東京が開催都市として選ばれたときの感動は今でも忘れることができません。
開催決定後も新規恒久施設の着実な整備、経済活動と大会輸送の両立、二回目の夏季パラリンピックを開催するにふさわしい機運醸成や認知度の向上、大会経費の見直しや削減に向けた取組、そして新型コロナウイルス感染症への対応など、大会開催まで様々な課題に対して、関係者と一体となって取り組んでまいりました。
東京二〇二〇大会は、史上初の一年の延期、無観客という困難な状況での開催となりましたが、安全・安心に大会を開催し、招致に当たって世界にお約束したことを果たすことができたのは、医療従事者をはじめ都民、大会関係者、ボランティアなど多くの皆様のご協力とご尽力によるものでございます。
さらに思い起こすと、前回、二〇一六年大会の招致活動に始まり今日に至るまで、本当に数え切れない多くの方々のご努力に支えられてきたことに改めて深く感謝を申し上げます。
そして、この大会の成功を今後の東京の発展につなげていくことが重要でございます。引き続き、誰もがスポーツを楽しみ、健康増進や人とのつながりなど、スポーツの力を享受できるスポーツフィールド東京をつくり上げるため、全力で取り組んでまいります。
○伊藤(し)委員 刻々と変化するコロナ感染状況の中、前例もなく手探りで進めざるを得なかった大会開催は、本当に大変だったと思います。
そして、大会のレガシー、これが重要です。東京二〇二〇大会が東京にもたらしたものは、ハードからソフトまで多岐にわたります。
大会のレガシーをさらに発展させるべく、引き続き全庁を挙げて取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○伊藤(ゆ)委員 それでは、都民ファーストの会の私、伊藤ゆうから質疑をさせていただきたいと思います。
まず、冒頭、今、質疑にもありましたけれども、過去、どの都市も経験したことのないような大変な困難の中で、無事に大会を終わらすことができた皆様方のご尽力に、会派を代表し、また、都民を代弁して、心から感謝を申し上げたいと思います。本当にお疲れさまでございました。その上で、以下、質問をさせていただきたいと思います。
今回、様々な受け止め方がある中で、大会を経験された方々に対して、多くの調査結果が公表されております。その中でもタイムアウト東京という調査の中で、三百人の方々が回答されて、オリンピックの全体的な感想を聞いたところ、国内外の多くの人が、パンデミックの中で東京は最善を尽くしたという回答を四九・三%の方々が寄せておられます。
私たちは中止することなく、東京二〇二〇大会を無観客にて開催できたことは、スポーツの可能性はもとより、未来に向かう東京、日本の可能性を世界に対して示すことができたというふうに捉えております。
そこで、まず東京二〇二〇大会は海外からどのように評価されているのか、また、前回のリオ大会などと比較をして、大会に対する関心はどうだったのか伺いたいと思います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 海外では、日本国民の協力によって大会が無事終了したことを評価する報道が多数見られました。
例えば、イギリスのメディアは、この東京の人たちの配慮と親切は、この苛酷な時代に必要なものを示す教訓だ、毎日体温を測ったり証明書を用意したりして、東京にいる間ずっと守られていて安全だと感じていたなど、海外の方へのおもてなしや安全・安心の取組について報じました。
アメリカのメディアは、五輪を開催するのには最適な場所だった、すばらしい仕事をしたと報じました。
また、二〇二四年パリ大会を開催するイダルゴ・パリ市長からは、日本の順応力はすばらしい、真摯な対応や人々への配慮があった、トニー・エスタンゲ組織委員会会長からは、パリは東京からバトンとともに大きなエネルギーをもらったと東京二〇二〇大会への感謝のコメントをいただいたところであります。
さらに、各国アスリートに対してIOCがアンケートを行ったところ、選手村については八〇%がよい、競技会場、練習会場については七九%がよい、東京大会のコロナ対策については八九%が事前に十分な説明があった、選手村におけるコロナ対策については八二%がよいとの評価がされております。
次に、東京二〇二〇大会に対する関心について、ウェブサイトやアプリの利用者数で比較すると、東京二〇二〇大会はリオ大会の三倍となる一億九千六百万人が利用しております。
また、国内においての関心の度合いを開会式の視聴率で比較しますと、リオ大会のオリンピックは二三・六%、パラリンピックは七・八%でありましたが、今回の東京二〇二〇大会のオリンピックは五六・四%、パラリンピックは二三・八%と大きく上昇しております。
○伊藤(ゆ)委員 海外からの関心の高さを今答弁でいただきました。大変長い答弁だったのも本当に関心の高さゆえだと思いますし、また、皆様のご努力のたまものだというふうにも思います。
改めて申し上げますけれども、やはりコロナがあって、そしてまた延期があって、そして直前に無観客になり、様々、運営面で臨機応変な対応を余儀なくされる大会となりました。
そういう中で乗り越えられたのは、私、本当に東京都だからだと思っておりまして、国内でも、あるいは海外においても、ほかの都市ではなかなかそれを十分に乗り越えるだけのマンパワーがなかったんではないかというふうに思います。
そういう意味では、東京都庁職員の、そしてまた、組織委員会の皆様方の本当に能力の高さが証明された大会であったというふうに思います。
一方で、レガシーそのものは大会がつくるんではなくて、やはり人がつくり上げて、そして語り継ぐことによってレガシーは都市に息づいたり、あるいは海外に広がっていくものだと思いますので、今日はそういう意味でこの大会レガシーをどう伝えていくかという点について中心に伺っていきたいと思います。
どうしても東京オリ・パラ大会というと、開催期間のおよそ二か月間に対する評価というものが語られますけれども、しかし、実際振り返ってみますと、招致活動から八年間に及ぶ間で、全国の自治体では各国の選手と子供たちが触れ合う交流の事業があったり、また、子供たちや選手とを結んで事業に生かすというような様々な交流事業が各自治体でも図られてまいりました。
こうした、いわばハードレガシーとソフトレガシーと分けるとすれば、いわゆるソフトレガシーに当たる具体的な取組について、まず伺いたいと思います。
○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 全国の自治体と東京二〇二〇大会に参加する国、地域が相互交流を図るため、国は、ホストタウンとして五百三十三の自治体を登録しておりまして、都内でも十五区十五市が大会に向けて相手国と交流を重ねてまいりました。
例えば、国際交流事業として、相手国から過去大会のメダリストを小中学校に招き、子供たちを直接指導するスポーツ教室や、大使館の職員が自国文化や料理などを紹介する交流会が行われました。
また、お互いの国の言葉による中学生とアスリートとの文通やオンライン交流、来日中の選手が小児医療施設に入院中の子供たちと触れ合う訪問事業、共生社会の実現に向けて、海外のパラリンピアンと地元学生が一緒にまちを見て歩くバリアフリー調査なども行われました。
さらに、相手国の子供たちの靴が不足しているとの情報を踏まえ、地元住民に靴の収集を呼びかけ、いつか一緒に走りましょうというメッセージを込めて靴を送った自治体もございました。
各ホストタウンでは、当初、相手国の地理や言語、文化など、分からなかったところもある中、こうした国際交流を通じまして、オリンピック・パラリンピックのすばらしさなどの理解を深めることができ、子供たちにとっても心に残るレガシーが構築されたものと考えております。
○伊藤(ゆ)委員 ありがとうございます。今まさに取組の一端をご紹介いただいたということで、多分、語り出せば切りがないほど各自治体の中におありだったというふうに思いますので、ぜひ都内、あるいはまた、全国の自治体、小学校の中で、こうした取り組んできた中身がまた後輩の子供たちに伝わっていくように、都として支援をお願いしたい。また、それがレガシーとして育っていくものというふうに承知をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
そして、同時に、今のはソフトだとすると、ハードの面でも様々なレガシーが今回残されたと思います。
私は、今回、新規恒久施設が出来上がって、そして何度か建設途中の現場も視察に赴かせていただきました。とりわけて印象的だったのは有明アリーナと、そしてアクアティクスセンターの屋根です。
この屋根については、NHKスペシャルなんかでも報道されておって、非常に日本の建築技術の高さというものが凝縮されているんではなかろうかというふうに理解をさせていただきました。というのも、とりわけて有明アリーナの屋根についていえば、すり鉢状になっていて、その分、室内空間を少し抑えて、例えば空調などに係るエネルギーをできるだけ縮減している、こういう話を伺ってきたところでもありますし、また、アクアティクスセンターについては、屋根をリフトアップして建てることによって工期を短縮するなどの、これまでの大会開催都市にはなかったような、こうした施設面での工夫というものが多々見られたというふうに思います。
これもレガシーだと思いますし、より世界の皆さんに日本の建築技術の高さを知っていただく好機ではないかというふうに思うんですが、これを伝えていくために必要なことについて伺いたいと思います。
○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 新規恒久施設の整備に当たりましては、最新の技術を導入して様々な工夫を行い、施工の効率性や安全性の向上等を図ってまいりました。
例えば、有明アリーナでは、屋根について形状を工夫することにより、室内空間の容積を減らし、空調負荷等の軽減を図っております。その施工に当たりましては、屋根を分割して組み立てるスライド工法を採用することによりまして、下部の工事を並行して効率的に行いました。
また、アクアティクスセンターの屋根の施工に当たりましては、地上近くで組みました百三十メートル掛ける百六十メートル、重さ約七千トンの屋根鉄骨トラスを二十メートルつり上げるリフトアップ工法を採用いたしました。これによりまして、仮設足場や高所作業の削減によります安全性や効率性の向上が図られました。
都は、これらの特殊な施工技術につきまして、複数の建築土木技術誌等を通じて紹介してきたほか、アクアティクスセンターでは、リフトアップ当日の施工の様子をメディア公開しまして、国内外で取り上げられるなど、二〇二〇大会の会場施設建設に関する技術の発信に努めてきたところでございます。
お話のハードレガシーの発信につきましては、こうした取組を継続して、広く情報発信に努めるとともに、指定管理者等とも連携し、施設来場者に対しまして、館内モニターやパネル等で展示を行うなど、各施設で採用されました建築技術について分かりやすく紹介してまいります。
○伊藤(ゆ)委員 ありがとうございます。私、実はロンドンの大会の会場にも、かつて視察をさせていただきまして、自費で行きましたけれども、伺って、そしてやはりアクアティクスセンターと同様のものが、もう既に大会後ですから使われておりました。
そこに行ったときに、様々展示があって、選手の活躍もありましたけれども、ちょっと分からなかったのは、どうやってこの建物を造ったんだろうかということについては、パネルや展示がなかったように記憶しています。
そういう意味では、今回アクアティクスセンターや、あるいは有明アリーナ、やっぱり海外から、国内外から来られた方々が入ったときに、こんな造り方をしたんだということで、映像などで伝える魅力というのはたくさんあろうかと思いますので、今答弁にもありましたけれども、館内モニターなんかをつけていただいて、そして映像も今から撮るのは難しいと思いますけれども、既にNHKさんなんかも立派な建築過程をしっかり撮った映像を放送されていますので、まあ、民間だとなかなか難しいと思いますが、東京都の皆さんからぜひ働きかけていただいて、そういう映像やアーカイブというものを集積して、こういうところで展示していただきたいなということは申し上げておきたいと思います。
まさに、こうしたハードレガシーというのは、今回の東京大会の一つの特徴でもあろうかと思います。とりわけて小池知事が就任をされて、約四百億円に上る施設整備費などを削減されてこられました。持続可能な大会のためにも、こうした経費削減は今後のスポーツイベントにとっても、私はレガシーとなっていくというふうに確信しています。
海の森競技場一つとっても、ポンツーンの場所を南側にするのか北側にするかだけで数十億円の経費を浮かしてきた、これも東京都のまさしくレガシーだと思いますが、こうした貴重なハードレガシーについていえば、例えば海外メディアの特派員の皆さん、当時いらっしゃった方も大分担当が替わっていると思いますので、改めてそういう特派員の皆さんや、あるいはまた、日本にいらっしゃっている駐日大使の方々、大使館の方々に競技会場を視察してもらって、皆さんの方からプレゼンテーションを改めてして、そして日本のそうしたハードレガシーの魅力というものを伝えていったらどうかということであったり、あるいはまた、大使と知事が懇談する機会というのはこれからも様々あると思います。
やはり大使というのは本国に帰れば、まさしく日本の魅力を伝えてくれる、そういう貴重な存在ですから、こうした大使との懇談の機会なんかにもハードレガシーをあえて伝える、そういう努力を常々していただく必要があるんではなかろうかと思うんですけれども、所見を伺いたいと思います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 都はこれまで、大会を通じて価値あるレガシーを残すため、ハード、ソフト両面の様々な取組を推進するとともに、国内外に向けてレガシーを積極的に発信してまいりました。
例えば、大会のレガシーに関する広報物を多言語で作成し、大会時にはメインプレスセンターなどで発信を行いました。
また、大会後は大会がもたらした様々なレガシーについて、海外メディアが参加するイベントやメディアツアーなどの機会を通じてPRに努めております。
さらに、在京大使館等の方々に本国でレガシーのPRをしていただけるよう、メールマガジンによる情報提供や、直接訪問しての説明などを通じて連携を深めております。
引き続き、大会のレガシーが都市のレガシーとして発展する姿が海外に向けて分かりやすく伝わるよう、関係局と連携し積極的に発信するとともに、今後、海外メディアの特派員などの競技会場視察や、在京大使館との懇談の場の活用などを検討してまいります。
○伊藤(ゆ)委員 ぜひそうした機会を捉えて伝えていっていただきたいと思います。
先ほど調査結果について少し触れさせていただきましたが、もう少しありますので、他の調査なども少し併せて紹介をしたいと思います。
こういう声が多かったということで、まずご紹介をしたいと思いますが、開会式でのドローンやピクトグラムなど驚く瞬間がたくさんあったという回答があった一方で、日本の伝統的な文化をもう少し紹介してほしかった、開会式についてはこういった回答もたくさん寄せられていたそうです。
今回、当初、この東京二〇二〇大会というのは、二〇一一年の東日本大震災から端を発し、災害からの復興という位置づけで始まったというふうに記憶しています。そこからコロナが発生して、コロナの克服、あるいは多様性の尊重などなど、様々な要素がこの東京二〇二〇大会のコンセプトに加わってきたように感じます。
そういう意味では、様々コンセプトも多様化していく中で、開会式等の演出に対しては非常に困難、あるいはご苦労をされた面が組織委員会等にもあろうかと推察をいたしますが、やはりどうしても、そうしたコンセプトが多様化していくと、何を目指した大会なのかという点については不明瞭になりがちであります。
また、国と組織委員会の主導権が非常に強くなってきていたなというふうに私は印象として受けておりまして、一方で、開催都市である東京都の決定権というのが希薄化してきたんではなかろうかという懸念を持って見守ってまいりました。
今回の無観客開催についても、知事はこの無観客開催に言及をしていましたが、知事の言及から、無観客に決定するまでに時間を要したことは否めません。その間に業務委託料などのキャンセル料が拡大したというふうに承知をしております。
今回の大会運営については、まさしく今お話のあったようなレガシー、成果というものを改めて掘り下げて伝えていく必要があるとともに、今申し上げたような課題についてもしっかり検証していくというのが、このオリ・パラ特別委員会の存在意義でもあろうかと思いますので、この点については局の皆様と共に検証を改めて深めていきたいというふうに申し上げておきます。
改めて、日本人ボランティアなどへの海外の評価について伺わせていただきたいと思います。
イギリスのガーディアン紙の東京五輪を取材したバーネイ・ロネイ特派員の取材というのをちょっと読ませていただきましたが、非常にいいことが書かれていました。
まず、東京二〇二〇大会を取材して最初にいうべきことは、このまちの人々が必要のない訪問者に対して非常に寛大で忍耐強かったということだ、私の五輪体験が優しさに満ちているのはホスト都市だった東京の優しさの表れでもある、このイベントの最終的な目的が何であれ、この東京の人たちの配慮と親切は、この苛酷な時代に必要なものを示す教訓だ。このようにイギリス・ロンドン大会をよく知る記者さんもおっしゃってくださっていました。
こうした日本人やボランティアへの評価は、日本人として非常に誇りに思うところでもあります。献身的に活動をしてくださったボランティアには、国内外から感謝と称賛の声が多数寄せられていたと思いますが、具体的にどのような声が集まっていたのか、また、こうしたボランティアの皆さんという財産を今後どのように残していくのか伺いたいと思います。
○小高オリンピック・パラリンピック準備局ボランティア担当部長 ボランティアの活躍には、選手、大会関係者から、また、国内外の報道やSNSを通じ、数多くの感謝と称賛の声をいただきました。
競技団体や選手団、選手からは、ボランティアがいつも笑顔で迎えてくださり大きな力となった、お願い事に瞬時に対応し要求以上の温かいサポートをしてくれたなどの声をいただきました。
メディアからは、ボランティアの丁寧さや親切さはどの大会よりもずば抜けている、あらゆる場面で親切に歓迎してくれた、手を振って別れを惜しんでいるのを見て涙が出たといった反応がございました。
都は、大会後、ボランティアが活動を継続し、活躍の場を広げるためのポータルサイト、東京ボランティアレガシーネットワークを開設し、利用を呼びかけております。
引き続き、関係局と連携しまして、活躍の機会を確保し、レガシーとしてボランティア文化の定着が図られるよう取り組んでまいります。
○伊藤(ゆ)委員 今回、初めてボランティアをされたという方々も大変たくさんいらっしゃいましたし、また、無観客になったり、規模がある意味縮小されたことによって、残念だったという一方で、やっぱり会場に行けた、参加できたという方々、あるいはボランティア同士でネットワークができたとか、また、私どもが提案をしてつくっていただいたボランティアの皆さんだけがもらうことができるバッジなどを、海外のボランティアの皆さん、あるいは選手の皆さんなどと交換して、より大きな体験を得たというようなお声も私たちもいただいてまいりました。
そういう意味では、日本人のボランティア意識というものが、この大会を通じて非常に強くなったし、また、温かなものとして育まれたというふうに思っております。それを支えた皆様にも改めて感謝申し上げたいと思います。
一方で、課題も幾つかあろうかと思います。これはボランティアさんの課題ではありませんが、先ほど申し上げたような、まさに無観客の大会決定に至るまでの時間を要したことによる影響と思われますが、大会組織委員会は二十七日、全四十二会場中二十会場について調べたところ、七月三日からの一か月間で弁当、約十三万食が廃棄されていたというふうに発表をしておりました。
最終的にどの程度のお弁当が、いわば廃棄をされたのか、また、原因をどう分析し、どのような対策を打ってきたのか伺いたいと思います。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 組織委員会では、当初、オリンピックの開会式で約四千食、大会本番の体制に移行しました七月三日から八月三日までの三十二日間におきまして、二十会場で約十三万食の余剰が出たことを確認しておりました。
余剰が出た原因といたしましては、会場スタッフ等の弁当について、大会関係者の注文に基づき行った発注と実需の差が生じたことを挙げております。
このため、対策として、発注数のさらなる管理、精査のほか、確実な消費の呼びかけ、提供時間の延長や会場内融通による消費促進等を実施いたしました。
その結果、余剰数はオリンピックの閉会式で約二百食まで減少いたしました。また、全体としても大会序盤である七月の約十九万食、率として約二四%から、大会終盤の九月には約八千食、率として約八%まで改善いたしました。通算では、弁当の提供数約百六十万食のうち余剰数約三十万食、率としては約一九%になったとのことでございます。
なお、余剰となったもののうち、消費期限の比較的長いパンは一千食分弱をフードバンクに提供するとともに、消費期限を過ぎ、処分せざるを得ない弁当につきましては、飼料化、バイオマス化に取り組みまして、食品ロスを削減いたしました。
○伊藤(ゆ)委員 閉会式に至っては二百食まで減少したということなんですけれども、報道でこの弁当の廃棄問題というのが開会式のあたりで出てきて、そこで組織委員会の中でも見直しが図られて、今みたいな答弁のような取組になったんだろうと思うんですけれども、できることなら、やっぱり指摘をされてということではなしに、これは無観客だ、あるいはボランティア、あるいは委託業者の方々を削減する過程の中で、お弁当も無駄にならないようにしようということを、ぜひ大会理念にも照らして先手先手でやっていただきたかったなということは申し上げておきたいと思います。
さて、二〇一六年から拡充をされましたナショナルトレーニングセンターと国立スポーツ科学センターについて伺いたいと思います。
この二つのセンターをオリンピックとパラリンピック選手が共同で利用するようになって、二〇一九年九月にはパラリンピック選手の使用を前提とするバリアフリー化がなされた、いわゆるナショナルトレーニングセンターイーストが開設をされました。これは非常にパラのスポーツ選手にとっても喜ばれております。
東京二〇二〇パラリンピックに出場した選手の多くが練習場所や食堂、あるいは宿泊施設が一つの施設に完結するこの施設で大会直前まで練習に打ち込むことができたというふうに聞いております。
一方でなんですけれども、直近四年間で、障害を理由にスポーツ施設の利用を断られた経験や、条件付で認められた経験があると選手の二割が回答をしたそうであります。選手で二割ですから、一般の利用者の方はもっとあるのかもしれません。
都内の公共運動施設では、床が傷むなどの理由から車椅子での使用を禁止しているところがあるというふうに聞いています。使えますよというふうに施設としてはうたっているんだけれども、実際行ってみると、例えば受付の方、あるいは施設管理者の方から、いや、実は使えないんです、あるいは傷むのでちょっとご遠慮くださいというようなことが結構あると。
そういう意味では、こうした実態というものをしっかり調査をして、改修予算というものが必要なんであれば、これを都として確保して応援していくという必要がこのパラ大会を通じてあるんじゃなかろうかと思うんですけれども、所見を伺いたいと思います。
○加藤オリンピック・パラリンピック準備局障害者スポーツ担当部長 都は、区市町村スポーツ施設に対する障害者スポーツの推進等を目的とする補助制度を設けておりまして、スロープの設置をはじめといたしました車椅子で体育館を使用しやすくするバリアフリー化工事等への財政支援を実施しております。
また、専用のスポーツコートで床全体を覆う事例など、大規模な工事を必要としないソフト面からの工夫などを掲載いたしました障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルの周知を図っております。
一方、障害のある方に向けましては、都内公共スポーツ施設の利用に役立てるため、障害者スポーツ専門ポータルサイト、TOKYO障スポ・ナビにおきまして、バリアフリー情報等を提供いたしております。
今年度は、新たにこの情報提供を充実させるため、競技用車椅子の利用やトレーニング室における車椅子動線の確保などの項目を追加した上で区市町村に調査を行い、本サイトに掲載をいたします。
調査につきましては、ご提案の趣旨も踏まえて実施し、今後ともこうした取組を通じて、スポーツ施設における障害者の利用促進を図ってまいります。
○伊藤(ゆ)委員 今後、新たに競技用車椅子の利用などについての項目を追加した上で調査を行っていただけるということですので、ぜひその調査結果に基づいて、また、都としての必要な支援予算があれば、我々も要求していきたいと思いますので、結果のご報告をお願いしたいと思います。
あわせて、まさにこうしたバリアフリー施設、あるいはまだ十分なバリアフリー施設になっていない競技会場などに対して、様々なアドバイスを得るために、大会の成功に向けて、衆議院議員だった谷垣先生を名誉顧問に据えてパラリンピック懇談会というものが既に誕生をしています。
ここには谷垣先生をはじめ様々な、例えば上原大祐さんとかパラリンピアンで銀メダリストであったような方々にも入っていただいて、そして大会前においても各会場を見てもらって、本当に小さな工夫でも車椅子利用者にとっては非常に大きな変化を生むような、そういうアドバイスをたくさんいただいたことというふうに承知しています。
一例として紹介しますが、例えば大会の会場に入って、パラリンピック選手のための、大会が終わった後に使うんでしょうけれども、シャワールームがあったと。このシャワールームなんかも、もちろんカーテンがあって、そしてシャワーのノズル自体は高さも調節できるし、非常に便利なんだけれども、カーテンが一枚しかないと。
我々はカーテンが一枚あれば十分だというふうに思いがちなんですけれども、車椅子で行くと車椅子のままシャワールームに入りますから、当然シャワーを浴びると車椅子が全部ぬれちゃうと。その後に活動しようと思うと、べちゃべちゃな車椅子に座らなければいけないということもあって、これをカーテン二枚にすると、外側に一枚、車椅子の前に一枚挟むことで車椅子をぬらさないで済むんですみたいな、別に大きな工事が必要ではないんだけれども、使っている方にとっては非常に便利な改善点というのをいろいろご指摘いただいたりしてきたというふうに聞いています。
こういうことというのは非常に大事なヒントであり、また財産だと思うんですね。そういう意味では、このパラリンピック懇談会の皆さん、いわゆる専門家ボードだと私は思いますので、都として恒久的に残すということはまず伺っていますので、これを評価したいと思います。
こうした専門家ボードの皆さんの知見というものを日本全国の自治体や今後開催されるパリなどに対して発信していくべきだというふうに思いますけれども、考えを伺わせていただきたいと思います。
○丸山オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 都は、東京二〇二〇大会に向けて、都立の競技会場の整備に当たり、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインを踏まえるとともに、大会後の利用を見据え、誰もが使いやすい施設となるよう取り組んでまいりました。
障害のある方や学識経験者などから成るアクセシビリティ・ワークショップを設置し、車椅子使用者席やトイレなど様々な項目について検討を行い、意見を踏まえて施設の整備、改修を進めました。四年間にわたるこの取組については、大会前に日本語と英語で資料を取りまとめ、公開しております。
大会期間中は、都のバリアフリーの取組について、メインプレスセンター等で各国メディアに情報提供を行ったほか、大会後の国際会議等においても紹介しております。
将来開催都市であるパリ市とは、大会前からアクセシビリティーなどを中心に意見交換を重ねてきております。
今後とも、広く知見を共有できるよう、国内外の都市との会議など様々な機会を捉えて、積極的に東京大会のレガシーを発信してまいります。
○伊藤(ゆ)委員 次に、関連しますが、パラリンピックに対しては、やっぱり多くの企業の皆さんにご協力をいただいて応援をしていただいたと承知をしています。
パラは日本選手団、金十三を含む五十一個のメダルを獲得し、リオ大会から大きな躍進を遂げました。パラ選手にとって、海外遠征費などの強化費用の捻出というのはもう積年の課題でありまして、企業の支援が欠かせないことはいうまでもありません。
今回、二〇二〇年大会において、パラにスポンサーが結構多くついたというふうに私は聞いてきましたが、実際に前回大会に比べてパラリンピックに協賛した企業の数というのはどれぐらい増えたのか伺いたいと思います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 リオ大会のパラリンピックにおけるパートナー企業は三十一社でありましたが、東京二〇二〇大会は八十社となるなど、大きく増加しております。
○伊藤(ゆ)委員 倍以上、三倍近くという大きな増加が今回、スポンサー数でもはっきりと見てとれました。
実際、CMを見ていても、今本当に多くのパラスポーツ選手を起用してCMを打たれている企業さんも増えていますので、まさに景色から、いろんな意味で意識が変わってきているというふうにも思います。そういう意味で、やはりこれを根づかせていくことが都としては重要であります。
二〇二二年三月までとしていた溜池にあるパラサポートセンター、ここは日本財団さんがこれまでも無償でフロアを提供してくださっていて、そこに多くのパラスポーツ競技団体が集積をされて、情報交換のいい場所になっておりました。本当であれば二二年三月で、そこはもう一回解体ということで伺っていましたけれども、日本財団さんのご支援で引き続きそのフロアを使うことができるというふうに伺っています。
やっぱりこうしたパラスポーツの定着には、選手の雇用をはじめとした企業の支援が重要というふうに考えるんですけれども、今後、こうした企業の支援に対する東京都の認識を伺いたいと思います。
○丸山オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 パラスポーツを社会に根づかせるためには、企業、団体の取組を広げていくことが重要でございます。
このため、都は、企業、団体がパラスポーツやアスリート支援の取組を始めるきっかけとなるようなセミナーの開催や情報提供、競技団体、アスリートと企業等をつなぐ交流会などを実施しております。
企業等によるパラスポーツ支援は、アスリートの雇用、競技団体や大会への協賛、競技用具の開発、技術支援など多岐にわたっており、都は、企業等の取組の好事例の発信を行っているほか、東京都障害者スポーツ協会の窓口で個別の相談にきめ細かく対応しております。
また、都はこれまで、東京商工会議所など、都内の経済団体やパラリンピックサポートセンターなどと連携し、企業が参加するボッチャ大会や幅広い企業が事例を発表するセミナーの開催などを行い、パラスポーツへの支援の輪を広げてまいりました。
今後とも、様々な関係団体との連携を一層強化し、企業等のパラスポーツ支援の裾野の拡大と活性化に取り組んでまいります。
○伊藤(ゆ)委員 今、障害者の法定雇用というのもどんどん広がってきて、そしてまた、企業の意識も高まってきていると思います。
今、お話があった商工会議所等にも中小企業はたくさん入っていらっしゃることと思うんですけれども、特に中小企業の経営者の皆さんは、オリンピック・パラリンピックというと、いわゆるオフィシャルパートナーなので、何百億円とお金を出さないと応援しづらい、それはできないので、自分たち、なかなか応援できない分だけ、しかし終わった後に個別の競技団体であったりとか、あるいはまた、あの選手を応援したいという企業の経営者の方、私の周りにもたくさんいらっしゃいます。
ぜひこうした方々が、どうしたら応援できるのかということを分かるようにお伝えいただきたいなと思いますので、その点についてもお願いをしておきたいと思います。
今年八月二十四日にパラの開会式が無事に行われました。過去の一九六四年大会においては、十月十日だったでしょうかね、体育の日ということで定められているわけですが、パラスポーツというものを改めて毎年思い返すという意味合いも込めて、八月二十四日をパラスポーツの日というふうに定めて、都民、国民でパラスポーツの普及定着、レガシー化を図っていくべきではないか、このように考えておりますが、こうした考え方について、都の所見を伺いたいと思います。
○丸山オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 東京二〇二〇パラリンピックの感動を呼び起こし、パラスポーツの魅力を広く都民、国民と共有できる機会として、大会一周年などの節目を捉えた取組は重要であると認識しております。
パラリンピック開幕日の八月二十四日は、JPCがジャパン・パラリンピックデーと定め、大会機運の高まりを今後のパラスポーツに対する関心と理解の拡大につなげ、大会のレガシーとして発展させていくとしております。
こうした動きとも連動し、過去大会における周年行事なども参考にしながら、大会の感動と記憶を共有し、大会のレガシーとしてパラスポーツを社会に根づかせていく取組について検討してまいります。
○伊藤(ゆ)委員 私たちは、改めてパラスポーツの日というものを都として制定できるよう、今後、方策を検討していきたいということを申し上げておきます。
東京アクアティクスセンターについて伺います。
東京二〇二〇大会時に水泳の競技会場となったアクアティクスセンターは、国内有数の大規模プールであります。施設運営に多くの経費を要することが見込まれていることはいうまでもありませんが、この施設は現在、大会後の改修工事中というふうに伺っていますが、工事が終わり、一般の方に開放されるのは令和五年の春頃というふうに聞いております。
少しでも早く開業し、収益を得ていくのが民間的な感覚と考えますが、大会後の改修工事はなぜこのように長期にわたってしまうのか、その理由について伺いたいと思います。
○草野オリンピック・パラリンピック準備局施設整備担当部長 東京アクアティクスセンターでは、現在、組織委員会による仮設施設の撤去工事が行われておりまして、来年一月から都による大会後改修工事に着手し、令和五年二月末までの工期を予定しております。
工事内容としましては、建物の内部において、観客席を一万五千席から五千席に縮減するとともに、大会時に上層に観客席があったことで半分以下しか施工していない膜天井などを施工いたします。
外部におきましては、観客席縮減により不要となりました十か所の外部階段や、約四千平方メートルの歩行者デッキを撤去しまして、その跡地に約百六十台分の駐車場や、植栽を新たに整備する等、都民利用に向けた様々な工事を行うこととしております。
具体的な施工に当たりましては、建物の内部と外部の工事を同時に施工するなど、工期短縮に努めておりますが、観客席や外部階段などの解体時におきまして、本体を傷めないように慎重な作業が必要であり、また、天井の施工におきましても、プールサイドに大型の重機が持ち込めないため、手作業の高所作業が多くなるなど、制約が多い工事となっております。
一方で、他の新規恒久施設につきましては、十月三十一日に夢の島公園アーチェリー場を再開業したほか、大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場は来年六月十八日に、有明アリーナは来年夏頃に再開業を予定しており、また、工事の進捗状況を踏まえまして、海の森水上競技場は来年の四月二十九日に、カヌー・スラロームセンターは七月二十三日に可能な部分から一部再開業を行うこととするなど、早期の利用に努めております。
○伊藤(ゆ)委員 新規施設については、ご存じのように世間から、都民の皆さんからも注目を集めています。それだけに、多くの皆さんに施設をご理解し応援していただくことが重要であります。そのためには、多くの方々が早く使えるように、引き続きご努力をお願いしたいということを申し上げておきます。
あわせて、カヌー・スラロームセンターについても伺います。
カヌー・スラロームセンターは、国内唯一の人工スラロームコースであります。十一月下旬、この施設で行われた再開業前見学会は、子供たちの興味を引き、非常にいい雰囲気で有意義な取組だったというふうに感じております。
我が会派の白戸議員が、リオ五輪で銅メダルを獲得した羽根田選手からもお話を伺っております。よく施設の状況を理解されていて、一生懸命に活用を考え、そして協力しようと羽根田選手などもされているということであります。
また、水難救助訓練の講習会場という興味深い活用策も検討されていると聞いております。今後どうやってこの施設を活用するのか、都だけでは限界もあり、多様な団体との連携が欠かせません。特に競技団体とよい関係が取れると活用の幅も広がり、都民に理解が広がることはいうまでもありません。
ほかの新規恒久施設に関しても、同様に競技団体と良好な関係性を構築していただき、広げていくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○柏原オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長利用促進担当部長兼務 都は、新規恒久施設の後利用の検討に当たりまして、競技団体や民間事業者等から、スポーツ利用だけでなく、イベント、レクリエーションでの利用意向を伺うなど、幅広い活用方策を検討してまいりました。
また、指定管理者の選定に当たりましては、競技団体との連携による事業実施を求めておりまして、指定管理者においては競技団体とのネットワークを生かした大会誘致、競技力向上のための強化練習会、幅広い世代を対象とした都民体験会など、競技団体と連携した様々な事業を計画しております。
各施設の再開業に向け、都は、指定管理者と共に、これらの事業実施の準備を進めておりまして、大会開催や練習利用などについて競技団体と日常的にコミュニケーションを交わすなど、一層の関係構築に努めております。
今後も競技団体と協力しながら、各施設の特性を生かした多彩な事業を展開し、新規恒久施設が多くの都民に利用され、親しまれる施設となるよう取り組んでまいります。
○伊藤(ゆ)委員 よろしくお願いします。競技団体が持つノウハウは、競技にとどまりません。そのスポーツ全体に及ぶことが多いといえます。ぜひそれぞれの競技団体と状況を共有し、よい連携を組んで活用の広がりを持たせることができるよう努力をしていただきますようにお願いいたしたいと思います。
また、次に、有明アーバンスポーツパークについて伺います。
同パークは、東京二〇二〇大会時には、BMXやスケートボードが行われた仮設会場でありました。大会後には、大会時の仮設施設を活用し、若者に人気のある都市型スポーツの場が整備をされる予定となっております。
そのうちスケートボード施設は、男子ストリートの堀米雄斗選手など三人もの金メダリストが誕生し、大いに盛り上がりました。このスケートボード施設については、五輪競技施設では難易度が高過ぎて一般人は利用できないなどの意見もありますが、ナショナルチームの関係者などにお話をお伺いすると、指導のやり方次第であり、マルチに対応できる施設で、これは必ず残すべきであるとおっしゃっておられました。
大会時の競技施設を活用することにより、アスリートにとって憧れの場となると同時に、大会の思い出となり、アーバンスポーツに親しむ貴重な施設となります。都として、こうした五輪のレガシーをしっかりと残し、都民に新たな価値を提供していくことが重要と考えます。有明アーバンスポーツパークの検討状況について伺いたいと思います。
○柏原オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長利用促進担当部長兼務 東京二〇二〇大会では、日本人選手の活躍もあり、若者、子供たちを中心にスケートボードをはじめとするアーバンスポーツに対する人気が大いに高まり、これらのスポーツを新たに始める方も増えていると聞いております。
大会での盛り上がりを新しいスポーツに触れる機会につなげていくことは重要でございます。より多くの方々に訪れていただき、アーバンスポーツに触れていただくために、上級者以外の幅広いレベルの方でも施設を利用できるような工夫も必要でございます。
現在、スケートボード施設をはじめとした仮設施設の活用方法や、効率的な運営について総合的に検討を進めておりまして、今後、大会のレガシーとして引き継いでいけるよう、具体的な方針を取りまとめてまいります。
○伊藤(ゆ)委員 スケートボードは新しいスポーツゆえに、まだ未知数のことがあるのも理解をしております。であればこそ、将来に可能性をつなげていけるよう柔軟な発想で取り組んでいただきますようにお願いいたします。
また、コストとレガシー、この施設に限ったことではありませんけれども、活用の両面が求められ、難しい場面もあろうかとは思いますが、どちらかだけに偏ることなく、丁寧に進めていただきますようお願いを申し上げたいと思います。
五輪文書管理条例について伺いたいと思います。
いわゆる五輪文書管理保管条例でありますが、ご承知のとおり、都議会では全会派一致で組織委員会などに残される文書全てが保管をされるようにということで、条例制定をさせていただきました。
そこで、まず現在の組織委員会に保管されている文書管理の引継ぎ状況について伺いたいと思います。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局大会企画調整担当部長 現在、組織委員会では、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例の趣旨を踏まえ、文書が散逸しないよう、総務部門において、各部署より都との契約、共同実施事業に関する契約、民間との契約など、全ての契約書や稟議書、理事会等の資料、議事録などを集約しているところでございます。
あわせて、解散後の保存、継承を見据え、文書の内容を記載したリストを作成し、文書について施錠できる専用の書庫にて保存しております。
また、データでの資料についても同様に専用フォルダーに格納の上、保存、組織共有し、引継ぎのための準備を進めています。メールについても保存すべきものを確実に保存するよう取り組んでいるところです。
都としても、大会の終了を受け、文書等の保管及び承継に関する条例の趣旨を踏まえ、組織委員会が適切に引き継ぎ、保存、管理するよう協力依頼文書を発出したところであります。
○伊藤(ゆ)委員 今、現時点で保管すべき文書量、メールも含めてということでしたので、相当な量があろうかと思いますが、どのくらいになるのか伺いたいと思います。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局大会企画調整担当部長 現時点で、紙の文書が段ボールにして千箱程度と、そのほかにデータが四千件以上と聞いております。
○伊藤(ゆ)委員 量が多過ぎて驚かれたと思いますが、今後検証していく中で、あの部分のこれがどうだったんだといったときに、しっかり保存していただくことによって、検証可能になろうかと思います。
そういう意味では、保管も大変だと思いますが、どんどん電子化して保管をされていくことと思いますので、その点についてはしっかり見守らせていただきたいと思います。
特に経費に関わる書類などは、改めて確認ですが、例外なく全て保存され、議会が求めれば、条例の趣旨を踏まえて開示されるべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局大会企画調整担当部長 組織委員会解散後の大会文書については、関係法令等に基づき清算人が保存するものと、開催都市契約等に基づきアーカイブ組織のJOCが継承するものに分けられます。
経費に関わる書類は、清算人が保存する文書に分類され、会計帳簿や財務諸表、金額にかかわらず、都との契約、共同実施事業に関する契約、民間との契約など、全ての契約書や稟議書を保存することとしております。
なお、過去の判例によると、清算人が保存する文書については、裁判所の許可により閲覧可能とされております。組織委員会が保存する清算人の文書の具体的な取扱いについては、今後、組織委員会と調整してまいります。
○伊藤(ゆ)委員 この文書管理条例は、ほかの今までの開催都市でも恐らく制定されたことはなかったんであろうと思います。かつてでいえば、長野の冬季オリンピックのときの文書が廃棄をされたというような経緯もあって、議会を挙げて制定をさせていただきました。
いいところも含めて、やっぱりレガシーは形で残し、そして検証できるようにしておくべきと思いますので、引き続き条例の趣旨を踏まえて、関係の皆さんにはご対応をいただきたいと申し上げておきたいと思います。
経費について少しだけ申し上げます。
先般の大会組織委員会において、経費の一定の精算が済んで公開がされました。追加負担がどうもないということが分かってまいりましたので、そのことについては、本当に組織委員会、また、東京都の職員の皆さん、あるいは国の皆さんを含めた様々な関係者の取組のたまものだというふうに思います。都民の皆さんも、こうした結果には受け止めやすくなったんではなかろうかと思います。
一方で、とはいえ、まだまだ今後も経費については検証が不可欠であります。そもそもでいえば、当初のオリンピック・パラリンピックの招致段階での予算が現時点で倍近くとなり、都民の不信というのが高まった事実は依然として残っております。
今後、これが検証されながら、そしてまた、しっかり追加負担がないということによって、いわゆるオリ・パラで積み上げてきた基金に残高として残るということになったならば、その際には、この基金の目的を例えば変更し、パラスポーツなどのスポーツ文化振興に私は充てていくべきだというふうに考えております。そうしたパラスポーツなどを支える経費にしていくべきということをここで申し上げておきたいと思います。
最後に、局長に伺います。
私は今回、本当に成果は、先ほど来申し上げているように皆さんのご努力のたまもので、偉大であったし、それからまた、ある意味で語り尽くせないぐらい無限であったというふうに思いますが、都民の皆さんの受け止めとしては、やはり共感という意味で、まだまだ限定的だというふうに思います。
申し上げたように、やはり伝えていく、そして掘り起こしていくという人の作業というんでしょうか、人の熱量によって、このレガシーは大きくも小さくも映るものだと思いますので、ぜひこれで終わりではなくて、大変ご苦労が多いことと思いますが、私たちもそうですけれども、関わった皆さんこそが熱量を持ってレガシーを伝えられる存在だと思いますので、ぜひ一層のご尽力をお願いしたいと思います。
そこで、東京二〇二〇大会で得られたものを後世にどのように残していくのか、今ここにいるオリ・パラ局の皆様の取組次第でありますので、局長の決意を伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 都は、大会に向けて、ハード、ソフト両面のレガシーを見据えた多面的な取組を推進してまいりました。
これまでのご質疑にもありましたけれども、大会を通じて、例えば日本の卓越した建築技術力であるとか、国内外から感謝と称賛をいただいたボランティアのおもてなしの精神など、日本の優れたハード、ソフトのパワーを大会を通じてお示しすることができたと考えております。
また、大会後には、IOCやIPCをはじめ競技団体や選手団などから、東京以外では開催できなかった、逆境に立ち向かう勇気を示したなどと称賛の声をいただいております。
都といたしましては、大会を通じて生み出された様々なレガシーを発展させて、未来の東京の実現に向けた歩みを進めるとともに、国内外に分かりやすく発信していくことが大変重要であると考えております。
大会で得た貴重な経験、財産を後世に引き継ぐとともに、大会のレガシーを都市のレガシーとして発展させるよう、局一丸となって全力で取り組んでまいります。
○高島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時九分休憩
午後三時二十五分開議
○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○谷村委員 それでは、最初に、先ほどご報告のありました大会経費の見通しについて一言触れさせていただきます。
まず、前回の大会経費V5から下回る見通しが示されたことに、率直に申し上げまして、安堵いたしているところでございます。本大会は、コロナ対策に万全を期す一方で、都民、国民の皆様のご理解を得られる大会とするため、延期などに伴い増加が見込まれる経費をできるだけ削減しなければならず、関係者におかれましては、大変に厳しいかじ取りを迫られたことと思います。
都議会公明党としましても、また私自身も、これまでの質疑で幾度となくこの組織委員会の執行状況に関して継続的に収支確認を行うよう求めるとともに、特に公費を支出する共同実施事業につきましては厳しく精査するよう、繰り返し繰り返し主張してきたところであります。
また、コロナ禍という特異な状況下での開催であることを踏まえ、国に対しても応分の負担を求めるよう、これも繰り返し主張してまいりました。
本日のご報告によりますと、これらの成果として大会経費は全体で千九百十億円の減となり、国の負担額は二百七十一億円、都の負担額は七百七十二億円、それぞれV5より下回るとのことであります。
東京二〇二〇大会には、周知のとおり他に変えられない大きな意義と、そして数え切れない多くのレガシーを残しました。それに加えて、この経費の見通しはコロナ禍という未曽有の状況下にあっても、適切に経費を管理、抑制できたという面において、東京大会の価値を一層高めたものと思います。
恐らくオリンピック・パラリンピック準備局の皆様の中には、もろ手を挙げて万歳と叫ばれたのではないかと思いますが、私もその一人であります。そのことをまず冒頭に申し上げまして、質問に入らせていただきます。
まず、この東京二〇二〇大会は、七月二十三日から九月五日までの間、世界中から多くのアスリートを迎えて、歴史に残る大会として成功裏に終えることができました。オリ・パラ史上初めて一年の延期となった東京大会の開催に当たり、最大の課題はコロナ対策でありました。
そのため、これまでも議会において数多くの議論を重ねてきたところであります。それらも踏まえ、日本に入国されるアスリートや大会関係者はもとより、迎える側である都民、国民の皆様の双方にとって、安全・安心な大会となるよう検討がなされてきました。専門家の意見を反映し、水際対策をはじめ、入国後の健康管理や行動管理、そして陽性者発生時の対応を一体のものとして対策が進められてきたことと理解いたしております。
こうした対策を講じるに当たり、医師、看護師の方々の大会へのご協力が地域の医療現場に大きな影響を与えるのではないかといった不安の声もたくさんありました。大会が終わった今、正確な数字を明らかにしておくことは、大会にご協力していただいた方々に対する感謝を示す意味でも大切なことと考えます。
そこで、まず最初に、大会にご協力いただいた医療スタッフの人数について、当初の予定人数と実際に従事していただいた人数についてお伺いいたします。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 組織委員会によりますと、当初、大会期間を通じて必要な医療スタッフ数は、一人五日程度活動いただくことを前提として約一万人として推計していましたが、その後、地域医療におけるコロナ対応の状況に鑑み、必要数の精査を行い、三割程度の削減を実施いたしました。
実際に従事した医療スタッフの実人員数は、オリンピックでは医師が一千四百六十八人、看護師が一千二百四十七人、これら以外の職種が一千七百三十四人、パラリンピックでは医師が七百四十九人、看護師が五百九十一人、これら以外の職種が七百五十三人であり、合計で六千五百四十二人でありました。
○谷村委員 当初の予定に比べて大幅な削減に取り組んでいただいたことを確認させていただきました。
大会を開催する以上、新型コロナの感染拡大とは関係なく、医療スタッフの皆様からのご協力は不可欠なことであります。しかし、一方で、地域医療や都民、国民の皆様の生活に影響を与えないようにすることは当然であり、大前提となります。
また当時、例えばコロナの救急対応をしている最前線の医師や看護師の皆様が、大会のために現場から引き離され、大量に動員されてしまうのではないかといった不安の声も一部にありました。
医療スタッフの方々が大会へのご協力をいただくことによって、医療現場に影響を与えたのかどうか、都としての見解をお伺いいたします。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 大会時の医療スタッフの配置については、コロナ対策調整会議での議論や感染状況を踏まえ、地域医療、ワクチン接種への支障のないよう、検討、精査を進めてまいりました。
具体的には、競技会場等の医療スタッフの合理化や勤務シフトの弾力化等の検討を行ったほか、医師については、アスリートの外傷治療等を主な業務と想定し、コロナ対応に直接従事していない整形外科医等を中心に活動いただきました。
また、看護師につきましては、以前に業務経験のある、いわゆる潜在看護師等に働きかけを行うなど、協力医療機関、関係団体と丁寧に調整を進めてまいりました。
こうした対策の推進により、大会の安全と地域の医療の両立を図り、必要な医療サービスの提供を行ってまいりました。
○谷村委員 大会の成功のため様々な対策を行い、地域医療、とりわけコロナ対応にも支障が出ない形で医療体制を構築していただいたことを確認させていただきました。
都としては、ご協力していただいた医療関係の皆様に報いるためにも、こうした事実をしっかりと公表していただき、丁寧にご説明もしていただきたいと思います。
さて、安全を確保するため、大会では初の取組として、最新の知見や専門家の意見を取り入れて、大会参加者が遵守すべきコロナ対策のルールを取りまとめたプレーブックを策定し、関係者に対策を徹底しました。
そのプレーブックをはじめとしたコロナ対策について、大会の当事者であるアスリートや大会関係者はどのように評価をしておられるのか、お伺いをいたします。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 アスリート及び大会関係者につきましては、海外を出国する十四日前からの健康観察に始まり、日本への入国後、定期的に行うスクリーニング検査や、プレーブックに基づく厳格な行動管理等、徹底したコロナ対策に協力いただきました。
一部の大会関係者等によるプレーブック等の違反が発生いたしましたが、ほとんどの大会関係者にはルールの遵守に協力いただき、その結果、選手村や競技会場における感染拡大を防止し、大会におけるクラスターの発生は確認されませんでした。
国際スポーツ団体や選手団等からは、安全・安心、そして成功した大会を提供してくれたとの評価をいただきました。
なお、IOCが行った選手に対するアンケートでは、八九%のアスリートが、大会前にコロナ対策について十分な情報を得ていたとし、八二%が選手村でのコロナ対策をよいと評価いたしました。
○谷村委員 様々な感染症対策の中には、アスリートや関係者にとって煩雑であったり、負担を感じるような手続もあったかもしれないと思います。しかしながら、ほとんどの関係者はこの対策にご協力をいただき、アスリートや大会関係者からも評価を得ているとのことであります。
ただいま局からのご報告にもありましたが、オリンピックでは二百五の国、地域から約一万一千五百名が、パラリンピックでは百六十二の国、地域から約四千四百名がそれぞれ参加されております。文化、宗教も異なり、マスクや手洗いといった公衆衛生に対する認識も様々だったと思います。それでも参加された方々は、統一されたルールに協力し、その結果、選手村や競技会場での感染拡大は防止されたわけであります。
東京大会での取組は、来年の北京大会でも活用されるとのことですので、ぜひご参考いただき、長きにわたって準備をしてこられた選手の皆様のご期待に応えられる大会にしていただきたいと思います。
さて、東京大会はコロナ禍での開催となったため、大会開催とコロナの感染拡大については様々な意見がありました。しかし、従前から指摘しているとおり、コロナ対策は立憲共産等のように印象やイメージで議論するのではなく、数値、すなわちエビデンスと専門家がどのように評価をしているのかが重要であります。
大会の取組について、今回、更新版として最終的な報告がありましたが、それを踏まえて、改めて大会における対策の結果と専門家の皆様からの評価についてお示しいただきたいと思います。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 安全・安心な大会を実現するため、大会関係者の日本への入国に当たっての水際対策や入国後の移動制限、行動ルール、健康管理などの対策を徹底いたしました。
こうした取組の結果、大会関係者の陽性率は、空港検疫では大会前の想定〇・二%を下回る〇・一%となり、大会期間中に行ったスクリーニング検査では、約百一万件に対して陽性者は二百九十九人となり、陽性率は〇・〇三%と低く抑えられました。
都内における訪日大会関係者のピーク時の入院者数も大会前の想定八・五人に対して二人となり、当初の想定を下回りました。
感染状況の動向を示す指数である実効再生産数は、推定感染日ベースで大会前の七月二十二日にピークとなり、それ以降は大会後まで下落し続け、パラリンピック閉会日の九月五日には〇・六四まで減少いたしました。
大会期間を通じて、クラスターの発生や大会関係者等から市中に感染が広がったという事例の報告はなく、IOCの外部専門家からは、大会は安全に行われたと評価され、東京都のモニタリング会議や組織委員会の専門家ラウンドテーブルの専門家からは、行動管理や検査などの対策がうまく機能した、全体として対策は有効であったと評価されました。
○谷村委員 コロナ対策につきましては、とりわけ水際対策、どこかの会派が国策の失敗だなんという表現をしているところもありましたけれども、この水際対策、そしてスクリーニング検査など、様々な対策を徹底した結果、全体として対策は有効だったとのことであります。
また、医療現場への影響やコロナ対策の結果については、いろいろなご意見がありましたが、繰り返しになりますけれども、大会に協力してくださった多くの方々に感謝の意を伝える意味でも、都においては、数値、そして専門家の分析など、客観的なエビデンスを示し、大会が安全・安心に開催されたという事実を様々な機会を通じて都民の皆様にお伝えしていただきたいと思います。
次に、本大会は無観客開催となったことに伴い、多くの方々がテレビやインターネットなどを通じて楽しむこととなりました。
先月の文教委員会で、国内のテレビ視聴率については、リオデジャネイロ大会のオリンピック開会式の二三・六%、パラリンピック開会式の七・八%より大幅に伸びたとの答弁もありました。
これは国内の視聴率の話でしたけれども、世界規模においては、どの程度の方がテレビ等により大会を楽しまれた、または応援をされたのでしょうか。そして、その感想はどのようなものだったのでしょうか。都としての受け止めがありましたら、お伺いをいたします。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 IOCの調査によると、テレビの視聴者とウェブサイトやアプリ等のデジタルプラットフォームでの視聴者は合わせて全世界で三十億五千万人でありました。
また、オリンピック放送パートナーのデジタルプラットフォームでの動画視聴回数は二百八十億回と、リオデジャネイロ大会から約二・四倍となりました。
さらに、IOCが十七か国の三万二千人にアンケートを行ったところ、六五%が大会が成功した、六〇%が東京及び日本に有益なレガシーを残すと思うなどと回答したとのことであります。
○谷村委員 大変高い評価を受けているわけです。コロナにより海外から日本に観戦には来ていただけませんでしたが、世界中で過去大会を大幅に上回る規模で大会を応援していただいた、楽しんでいただいたということになります。来日していただけなかったのは残念ですけれども、デジタル環境を通じて、これまで以上に世界をつなぐことができた大会であったともいえます。
大会の評価についても、以前の文教委員会での質疑において、国内の世論調査では、オリンピック開催は約六割が、パラリンピック開催は約七割がよかったと回答したとの答弁がありましたけれども、加えて世界からも高い評価を得ていたことが確認できました。
直前まで、また、都議選で大会の中止を掲げた立憲共産等の皆さんの見解を、後ほど続く質問の際にぜひとも明らかにしていただきたいと思っております。
次に、障害のある方のボランティアへの参加について質問をいたします。
都議会公明党は、これまでも大会を通じて、ボランティア文化の定着を目指すとともに、特に障害のある方が安心して活動に参加できる環境づくりを求めてまいりました。
さきの文教委員会での質疑では、こうした取組について、都は、参加者のご意向や障害の状況などに応じ、介助者と一緒の活動や事務局による付添いなど、きめの細かい対応を行ったとのご答弁がありました。
しかしながら、中には障害の程度が重いため、また、遠いところにお住まいのため、自宅から活動場所への移動が困難な方もいらっしゃったと思います。こうした方々も大会でボランティアとして活躍できるよう、どのような対応を取っていただいたのか、お伺いをいたします。
○小高オリンピック・パラリンピック準備局ボランティア担当部長 都は、障害のある方の活動に当たり、配慮を求める内容や、障害特性などに応じ、バリアフリーの整った場所や座って活動できる場所への配置、控室から活動場所への移動のサポートなど、個別に様々な対応を行いました。
さらに、タブレット端末やリモート操作のロボットを活用して、自宅から案内を行える環境を整え、障害などにより外出が困難な方を含め、活動への参加を呼びかけました。
また、大会への応援メッセージや東京、地域の魅力を伝える情報をウェブサイトから発信する取組も行っておりまして、こうした活動への参加も呼びかけました。
○谷村委員 障害の有無だけでなく、障害の程度などにもきめ細かく対応されたということには、心から感謝を申し上げたいと思います。
こうした取組を通じ、何名の方がシティキャストの活動へ参加されたのか、また、参加した障害者の方からは、大会時や今後の活動について、どのようなお声が届いているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○小高オリンピック・パラリンピック準備局ボランティア担当部長 大会では、障害などにより配慮、支援を求める方、百十九名がシティキャストの活動へ参加しました。このうち二十一名の方がオンラインによる活動に参加しました。
活動へ参加した方からは、安心して楽しく充実した活動を行えた、今後もボランティアを続けていきたいとの声を数多くいただきました。
大会後、シティキャストの参加者を対象に、今後の活動意向に関するアンケートを実施しましたところ、回答のあった障害のある方七十五名のうち七十三名、九七%の方から今後もボランティア活動を続けたいとの回答をいただきました。
個別の意見としては、機会があったらいろんなボランティアに参加したい、障害当事者であることを生かし、必要な方へバリアフリー情報を届けられるよう取り組みたい、研修で学んだことを今後のボランティア活動に生かしたいなどの声をいただきました。
○谷村委員 百名を超える配慮が必要な方々がシティキャストとして活動され、また、参加された方のうちほとんどがボランティア活動を続けたいと希望しておられるという、本当にすばらしい取組をしていただいたことに重ねて心から感謝を申し上げたいと思います。こうした方々の思いに寄り添い、ボランティアマインドを大会のレガシーとして広めていくことが、その先の共助社会の実現につながるものと思います。
ボランティア活動の窓口として新たに設置された東京ボランティアレガシーネットワークなどを通じ、障害の有無にかかわらず、ボランティアに参加できる機会の提供に努めていただくよう、強く要望させていただきます。
また、大会時の、特にパラリンピック大会のボランティアの活動を見て、障害者スポーツを支えるボランティア活動に関心を持たれた方もいらっしゃると思います。しかし、活動に参加しようとしても、活動についての情報がなかったり、また、ふだん障害者の方と接する機会が少ない方は、どう接すればいいのか、あるいはどこまで何を支援していいのかが分からず、不安を感じる方もおられると思います。
本大会を契機に、障害者スポーツボランティアに参加、継続しやすい環境づくりが重要と考えますが、都の取組についてお伺いをいたします。
○加藤オリンピック・パラリンピック準備局障害者スポーツ担当部長 都は、障害者スポーツボランティア専用のポータルサイト、TOKYO障スポ&サポートにおきまして、広く都民を対象にイベントや講習会等の情報を提供しておりまして、活動を希望する方が直接申し込める仕組みとなってございます。
また、活動経験の少ない方に対しましては、障害特性に応じた支援方法などが学べるeラーニングを配信いたしますとともに、今後は実技を交えた講習会を予定しております。
さらに、相談窓口を設け、コーディネーターが活動希望者に対して丁寧に聞き取りを行い、実際の活動につなげる取組を行っております。
引き続き、障害者スポーツボランティアとして活躍できる環境を整備してまいりますとともに、東京二〇二〇大会のボランティア経験者にサイトへの登録を呼びかけるなど、多くの方に参加いただけますよう取り組んでまいります。
○谷村委員 東京大会で初めて障害者スポーツに関わったというボランティアの方も少なくないと思います。障害者スポーツボランティアの活動を始めれば、障害のある方にこの動作はちょっと難しいのではないかといった誤った先入観を拭い去ることもでき、障害者の方々への理解、共生社会の実現にも大きく貢献することにつながります。
例えば、特別支援学校のスクールバスを見かけたり、あるいは高齢者施設に通所される車両などをお見かけする機会が多くありますけれども、もっともっとこうした車両が増えて、福祉に手厚い、社会で支えていく日本、そして東京になっていかなくてはならないといつも心新たに決意をいたしております。ぜひ多くの都民の皆様に障害者スポーツボランティアのことをご認識いただき、ご参加していただけるよう、今後とも力強く取り組んでいただきたいと思います。
さて、本日の委員会では、大会時の様々な取組について詳細な報告が提出されました。コロナ対策やボランティアの活躍、障害者スポーツなど、本日質疑をしてきた項目を含め、実に多岐にわたり東京都及び組織委員会が大会時の取組をまとめておられます。
加えて、大会期間中だけでなく、それ以前からの取組も含めた報告書も別途整理されると伺っております。
大会の結果や取組を整理し、公表することは、大会に参加したアスリートの皆様や関係者の皆様をはじめ、大会の成功を支えていただいた都民、国民の皆様に対して、心からの感謝を表するという意味においても重要であります。
加えて、コロナ禍という未曽有の状況下においての開催でした。日本共産党のように、大会を中止しろ、開会式が迫る直前になっても、今ならまだ中止できると繰り返し喧伝し、ポスターにはてんびんのような絵を描いて、五輪という文字を大きく書いて、命という字を小さく書いて、五輪の方が重くなっているという、まるでオリンピック・パラリンピックを開催することが命を軽視しているかのようなポスターを貼り出していました。こうした日本共産党の卑劣な行為を歴史に深く刻印しておきたいと思います。
特に都議会議員選挙では、共産党、立憲民主党もそうでしたけれども、こうした政治利用する卑劣な人たちがいる中で、国を挙げて、心を合わせて大会の成功に取り組み、大会を通じて世界に希望を与えた様々な記録について、日本人の誇りとして、また、東京都民の誇りとして将来に引き継いでいくことにも大きな意味があると思います。
海外オリンピアンの方々のSNSを見ますと、ありがとう東京、ありがとう日本、東京だから開催できた、すばらしい大会という発信が、当然英語でしたけれども、大変多く見られました。
組織委員会が大会の準備や運営等に伴って作成した資料、文書が数多くあると思いますが、これらについて大会の記録、記憶を伝えるアーカイブ資産として大切に保存、活用していくべきと考えますが、見解をお伺いします。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 大会の準備、運営等に伴って作成、利用されました文書、資料の中には、歴史的な価値を有し、大会の記録、記憶を伝えていくものが含まれるため、こうした文書等をアーカイブ資産として将来に引き継いでいくことは重要でございます。
その例として、組織委員会が大会に向けて作成しました各種計画やマニュアル類、さらには大会報告書が挙げられます。これらは開催都市契約上、原則としてIOC、IPCに権利が帰属いたしますが、都は、文書等を適切に保存し、活用していけるよう、IOC、IPC、JOC、JPC、組織委員会の六者で締結いたしましたアーカイブ協定に基づきまして取り組んでまいります。
○谷村委員 ご答弁いただきましたように、文書をアーカイブ資産として保存していくことは、大会のレガシーを将来に引き継ぐ上でも大変に重要なことであります。
私ども都議会公明党が提案して、質疑では私自身も答弁に立たせていただきましたが、この東京大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例の趣旨も踏まえて、関係者と連携し、適切に保存していただきたいと思います。
また、文書のみならず、大会で使用した競技用具やユニフォーム、開閉会式で使用された衣装、あるいは回収したプラスチックを再生して作成した表彰台など、大会の記憶や取組を伝えるための資産が数多くあります。文書に加え、これらの大会に関わる貴重な品々は、オリンピック・パラリンピック遺産ともいうべきものであります。
今後、都として、どのようにこの資産を収集し、活用していくのかお伺いをいたします。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 聖火リレーのトーチ、表彰台や競技用備品など、大会を象徴する資産をアーカイブ資産に含まれる文書等と同様、大会の成果や感動を伝える確かなレガシーとして、将来に引き継いでいくことは重要でございます。
都は、組織委員会、JOC、JPCと連携しながら、歴史的な価値を有し、大会の記憶、記録を伝えていくものを整理し、組織委員会の解散までにアーカイブ資産として受け入れる予定でございます。
都として受け入れるアーカイブ資産の効果的な活用などにつきましては、先月、外部有識者で構成されますアドバイザリー会議を設置いたしまして、議論を開始したところでございます。
今後、アドバイザリー会議等の意見も参考にいたしまして、適切な保存、保管、活用方法などについて検討を進めてまいります。
○谷村委員 アーカイブ資産を収集し、保存することに加えて、それらを活用して大会の感動や興奮を多くの方々と分かち合う場や機会を設けることが重要であると思います。しっかりと検討を進め、ぜひともこのアーカイブ資産の効果的な保存、活用に取り組んでいただきたいと思います。
さて、これらのアーカイブ資産とともに、後世に伝えていくべきことがあります。それはこの大会を開催した意義であります。
都議会公明党は、東日本大震災の直後から、その復興を支えるべく、大会の原点である復興オリンピック・パラリンピックの実現に向け、様々な支援をしてまいりました。
先日の本会議、あるいは文教委員会における質疑においても、メインプレスセンターの復興ブースにおける情報発信や、大会期間中に国立競技場に設置された復興モニュメントなど、様々な活動を確認したところであります。
そして、多くの価値を残し、成功裏に終わった大会ですが、これからはこうした大会の意義をどのように後世に残していくのかが問われてまいります。
復興五輪として、大会中、様々な取組が行われましたが、東京、そして被災地において、その思いを後世に伝えていくため、どのように取り組んでいくのか、今後のことをお伺いしておきたいと思います。
○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 東京二〇二〇大会の原点は、復興オリンピック・パラリンピックでありまして、都はこれまで、大会を通じて被災地の復興を後押しできるよう、組織委員会や被災県とも連携しながら様々な事業を展開してまいりました。
こうした取組を通じて生み出された被災地との絆をレガシーとして引き継いでいくことは重要でありまして、今後、スポーツ等を通じた一層の連携強化などを図ってまいります。
また、本年六月に復興のシンボルとして、被災各県の県木を植樹した有明アリーナを含むエリアにつきましては、仮称有明オリンピック・パラリンピックパークとして継承してまいります。
さらに、被災地の仮設住宅のアルミ廃材を基に、組織委員会や東京藝術大学、被災地の中高生と共に制作してまいりました復興のモニュメントにつきましては、このたび岩手県、宮城県、福島県にそれぞれ移設、寄贈したところでありまして、今後、各被災地において、レガシーとして活用していただくこととなっております。
○谷村委員 本委員会に報告された大会のレガシーをまとめた小冊子、大会後のレガシーを見据えた東京都の取組にも、この大会を通じて生み出された絆をレガシーとして引き継いでいくと記載されております。
ご答弁にもありましたが、東京の新設会場に残る被災県の植樹、そして被災地に残る東京からの復興のモニュメントは、復興五輪として行われた様々な取組のシンボルであり、東京と被災地とを結ぶ絆を形として残していくものであります。次の世代がこれを見て、大会の意味を思い起こすことができるよう活用していただきたいと思います。
そして、復興モニュメントにつきましては、被災三県への設置を終えたとのことでありますが、被災地からはどのような声があったのか、また、都としてそのお声にどのように応えていくのかお伺いをいたします。
○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 復興のモニュメントにつきましては、選手や関係者に復興への思いや支援の感謝などを伝えるため、大会期間中、オリンピックスタジアムの横に設置しておりました。
このモニュメントに、IOCのバッハ会長やIPCのパーソンズ会長をはじめ、多くのアスリートのサインを加えまして、先週、十二月十五日から十八日にかけて、岩手県大槌町文化交流センター、宮城県宮城スタジアム、福島県Jヴィレッジへそれぞれ移設し、寄贈いたしました。
式典に参加した各県からは、被災地と世界をつなぐ大きなかけ橋となってくれたなどの言葉を、また、一昨年に現地で実施されたワークショップにも参加した高校生からは、オリンピックのように世界の人たちとつながりを持って恩返しできるよう頑張りたいなどの感想をいただいたところでございます。
都といたしましても、このモニュメントを通じて、復興オリンピック・パラリンピックの理念が後世に伝わるよう、意義や設置場所、これまでの取組内容など、ホームページや各種イベント等において、継続的に発信してまいります。
○谷村委員 復興モニュメントのお披露目式には、ワークショップに参加した子供たちも参加してくださったとのことであります。自らが関わった作品に多くのメダリストから書き込まれたサインなどを見て、さぞかし感慨深いものがあったことと思います。この子供たちがモニュメントを通じて、被災地で復興オリンピック・パラリンピックを次代に語り継ぐ役割を果たしてくださることを期待したいと思っております。
また、復興五輪の意義は、被災地の姿を国内外に発信し、震災時に支援をしてくれた方々に感謝の意を表することにもありました。
大会中はコロナの影響で被災地を訪れることはとても難しい状況ではありましたが、その中で被災地の姿を発信するため、どのような取組を行っていただいたのか。そして、特に海外での配信や反応はどうだったのか教えていただきたいと思います。
○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 都は、大会期間中、組織委員会や復興庁、各県とも連携して、メディアの拠点となるメインプレスセンターに復興情報発信ブースを設置いたしまして、復興オリンピック・パラリンピックの意義を世界中のメディアに伝えてまいりました。
また、東京都メディアセンターにおいてもブリーフィングを実施いたしまして、被災地を訪れることが難しい中、被災地の姿や世界中への感謝の気持ちなどを積極的に発信してまいりました。
こうした取組を通じて、AFPなどの海外大手メディアをはじめ、複数の国内外メディアにおいて復興オリンピック・パラリンピックに関する報道がされたところでございます。
その中では、被災地の花でつくられ、メダリストに授与されたビクトリーブーケや、選手村における被災地産品の活用など、大会における取組のほか、東日本大震災の被害状況や復興に向けて希望を語る被災者の前向きな姿なども配信されておりまして、取組の効果が表れたものになったと考えております。
○谷村委員 東京大会を通じ、被災地の姿と支援への謝意は世界中に伝えられたとのことであります。あの被災地の花でつくられたビクトリーブーケは、本当に評判がよかったと思っております。
私は、オリンピック・パラリンピック準備局の職員の皆様全員にあのビクトリーブーケを差し上げてもよいのではないかと思っておりまして、レプリカでもいいので、それくらいあってもいいのではないかと、すばらしいご活躍をされたと思っております。
大会が終わった今こそ、大変に重要なときを迎えておりますので、ぜひ延與局長の手作りでもいいですので、職員の、今でも残っていらっしゃる皆様にぜひ提供していただけるよう、ご検討されてみてはどうかと思います。
先ほどのご答弁にもありましたけれども、大会終了をもって取組が終わるのではなく、これまでの復興五輪の取組や意義を様々な機会を捉えて発信し続けていただきたいと思います。
大会開催のもう一つの大きな意義でありますパラリンピック開催のレガシー、それはパラスポーツの振興であります。東京は世界で初めて二回目の夏季パラリンピックを開催した都市であります。そのため、史上最高といわれるロンドン大会を超えることを目指し、パラリンピックへの関心を高めるため、様々な取組を行ってきました。
そして、大会期間中はテレビやインターネット配信がこれまでになく長時間に行われたことで、非常に多くの方々がパラリンピックに触れることができました。初めてパラスポーツを観戦したという方、あるいはパラスポーツのファンになったという方も多くいらっしゃいました。
一方で、大会はテレビでの観戦となりましたが、やはり実際に会場で観戦することでこそ分かる競技の迫力や面白さ、パラアスリートの魅力や、すごみもあると思います。
パラリンピックのレガシーとして、大会後も会場での観戦など様々な方法でパラスポーツを観戦できるよう取り組むべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○丸山オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長 都はこれまで、パラスポーツ応援プロジェクト、チームビヨンドの取組として、様々な競技の観戦会を実施し、分かりやすい実況、解説や、参加者が選手と交流できる機会を設けるなど、観戦の楽しさを会場で直接感じられる機会を提供してまいりました。
今年度においては、年明け以降、順次パラスポーツ観戦会を実施していく予定でございます。さらに、会場に足を運べない方にも気軽に観戦を楽しんでいただけるよう、ケーブルテレビ等でライブ中継を実施し、オンラインでアーカイブ配信も行います。
こうした取組を通じて、都民のパラスポーツへの興味、関心をさらに高められるよう取り組んでまいります。
○谷村委員 テレビやインターネットを活用して、パラスポーツの観戦機会を生み出すとともに、実際に体感できる会場での観戦会にも取り組んでおられるということですが、今後もこうした取組を継続していただき、パラリンピックを契機に着実にファンを増やしながら、多くの方々にパラスポーツを観戦していただけるよう、さらに取組を進めていただきたいと思います。
そして、パラスポーツを生で観戦してもらうためには、やはり迫力ある試合を東京で開催してもらう必要があります。しかしながら、残念なことに、競技によっては国際大会の誘致や開催の経験が限られていたり、資金や組織体制が脆弱であるといった課題を抱えているところも少なくないと聞いております。
大会の観戦機会を増やすためにも、東京で多くの障害者スポーツの国際大会が開催されるよう環境づくりを進めていただきたいと思いますが、都の取組をお伺いいたします。
○篠オリンピック・パラリンピック準備局国際大会準備担当部長 都は、障害者スポーツを含む国際スポーツ大会について、誘致段階から競技団体を支援してございます。
具体的には、都内を会場とする国際スポーツ大会について、大会の誘致活動や開催時に要する経費の支援をはじめ、主催する国際競技団体への応援レターの発出や、都の広報媒体を活用した大会のPRなどを行ってございます。
とりわけ、障害者スポーツについては、パラリンピック競技に限らない幅広い競技や、比較的規模の小さい国際大会も支援の対象とするなど、きめ細やかに対応してございます。
今年度は、令和五年に開催予定の視覚障害者柔道、アジア・オセアニア選手権大会を誘致支援の対象として選定し、競技団体が行う誘致活動をサポートしてございます。
こうした取組を通じて、東京二〇二〇大会を契機に盛り上がった障害者スポーツへの関心の高まりを継続させてまいります。
○谷村委員 国際スポーツ大会の誘致や開催支援と併せて、特に障害者スポーツ大会に関しては手厚く対応されているとのことであります。パラリンピックで出た芽を今後大きく育んでいくためにも、競技団体をサポートし、都民の皆様が障害者スポーツに親しめる機会を充実していただきたいと思います。
次に、バリアフリーという視点から、多言語の取組について質問をいたします。
遡ること十八年前、まだ私は一期目でありました。平成十五年、二〇〇三年になりますが、第二回定例会の都議会公明党の代表質問で、大先輩の大木田守元都議が、当時の地下鉄路線図について、十三路線について、色の違いでしか路線名が示されていないという、特に色覚障害の方々には分かりにくいとして、本会議場で当時の地下鉄路線図を掲げて、その改善を訴えさせていただきました。それがきっかけとなり、交通局と東京メトロが連携して、駅のナンバリングや路線のアルファベット表記が大きく改善されました。
当時、この質問は、ぱすてるさんという色覚障害団体の方から私が直接ご要望を受けて、この原稿を担当させていただいたものですが、実はこの色覚障害の皆様のためだけではなく、外国人の方にも分かりやすいんだということでありました。
色覚障害の方からしてみれば、銀座線の赤、大江戸線の赤、丸ノ内線の赤も違いが分からないんですね。それを銀座線はG、丸ノ内線はM、大江戸線はEというふうにアルファベット表記していただくことによって、色覚障害の方も分かりやすくなりましたけれども、外国人バリアフリーにもなるんだということは、よく認識はしていたんですけれども、当時はオリンピック・パラリンピックを東京に招致しようという状況でもありませんでしたし、観光を東京の一つの大きな産業として位置づけようという、そういったことに一歩踏み出したばかりの頃の話でありました。
東京二〇二〇大会の開催決定が二〇一三年九月七日ですので、地下鉄路線図の改善は、ちょうどオリンピック・パラリンピックの開催決定の十年前に提案をさせていただいたということになります。障害者の方にも、そして外国人の方にも、つまり全ての方々にとって使いやすいバリアフリーな都市を目指す取組は、その後も進んできたことと思います。
東京大会では、当初多くの外国の方々が観戦客、あるいは観光客として、東京、日本に訪れることが想定されておりました。それらの訪日外国人をお迎えするためには、様々な場所で言葉の壁をできるだけ取り除き、スムーズな移動や滞在環境を提供することが大切であります。東京の巨大なターミナル駅での乗換えは本当に複雑で、日本人でも迷ってしまうくらいの状況であります。また、まち中のレストランでは、なかなか英語表記のメニューを作るのも容易ではありません。
こういったことも含め、都は、大会に向け、大会のレガシーともなる多言語対応をどのように進めてこられたのか、改めてお伺いをいたします。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局大会企画調整担当部長 都では、平成二十六年に、国、自治体、民間団体等から成る多言語対応協議会を設置し、日本語、英語及びピクトグラムを基本とした多言語化を駅や道路標識を中心に進めてきました。
その中で、外国人を含む利用者が多いターミナル駅では、複数の交通事業者等が個々のデザインで表示を作成していたため、多言語化に加え、利用者目線に立って、表示やピクトグラムを駅全体で統一してまいりました。これまで、新宿駅などの主要九駅で実施しており、二〇三〇年度までに三十七駅に拡大してまいります。
また、多言語メニュー作成支援サイトによる飲食店への支援や、宿泊施設や飲食店等を対象とした多言語コールセンターの設置など、関係部署と連携した取組も進めてきました。
大会本番時には、選手や関係者に向けて、競技会場や選手村に日本語、英語、ピクトグラムの案内サインを設置するとともに、翻訳アプリや小型翻訳機などのツールを活用し、様々な言語で選手や関係者への案内等を行ってきたところです。
これらを東京大会のレガシーとして、将来にわたり、訪日外国人の方が円滑に移動し、安心して過ごせるよう、今後も様々な多言語化の取組を推進してまいります。
○谷村委員 ご答弁にありましたピクトグラムですが、一九六四年大会の当時、外国人向けの案内板として、案内板が十分に整備されていない環境下で発案されたという多言語対応ツールといわれておりますが、競技種目のピクトグラムは、その後も大会ごとに作成され、今回のオリンピック開会式では、パフォーマンスと併せて大変な注目を集めました。
英語が世界語であるという国の人からしてみれば、ピクトグラムという発想はなかなか浮かばないようでありますけれども、日本ならではの発想が今も続いて、また、より進化をしているという状況であります。また、トイレなど競技種目以外のピクトグラムは、その後も広く利用されております。
コロナが終息を迎えれば、また東京にも多くの外国の方が訪れてくださることと思います。その際には東京に来てよかった、東京は安心して過ごしやすいまちであると感じていただけるよう、引き続き多言語対応の取組を進めていただきたいと思います。
改めて振り返りますと、八年前の二〇一三年九月七日、IOC総会での東京二〇二〇大会の招致が決定しました。一九六四年以来の開催ということもあり、当時は日本中が大いに沸き上がりました。
それまで日本共産党は、オリンピック・パラリンピックの東京招致に大反対をしておりました。しかし、東京招致が決まると、それまでの態度を百八十度翻して、突如として、IOC総会の決定を尊重するとして、東京招致に賛成する立場に変わった。当時の猪瀬知事も、さすがにこれにはびっくりをされまして、強烈な皮肉を使って答弁をされておりました。
また、共産党内外の方々が大変に驚いておられました。共産党として招致反対を決定、主張しておきながら、IOCが東京開催を決定すると、日本共産党の決定が覆ってしまった。日本共産党中央委員会というんでしょうかね、この決定が覆ってしまった。こんなことを許してしまえば、日本共産党の中央委員会の決定は、国際社会の決定によって、いとも容易に覆されてしまうといった批判が展開されたわけであります。
そして、招致反対だったわけですけれども、結局は開催中止とかじを切って、都議選では政治利用して、開会式の直前まで、今でも間に合う、開催中止とオリンピック・パラリンピックの開催に対して、党として右往左往されたわけであります。このことも都政の歴史にしっかりと言論として刻印をしておきたいと思います。
話を戻しますが、八年前の二〇一三年九月七日、IOC総会での東京二〇二〇大会の招致が決定しました。しかしながら、その当時、パラリンピック競技を実際にスタジアムや大会などで見たことがある人は、私も含めてほとんどいなかったと思います。それから考えますと、招致決定から僅か八年を経て迎えたこの夏のパラリンピックの盛り上がりは、率直にすごいことだと改めて実感をしております。
これは、開催までの長きにわたる一つ一つの都や関係者の方々の取組の成果にほかなりません。大会の招致から深く関わり、特にオリンピックの開催に尽力された延與局長に、これまでの取組を踏まえ、今後、特にパラスポーツの振興をどのように行っていただくのか見解を伺い、最後の質問といたします。
○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 大会の開催決定以降、都は、パラリンピックの成功なくして大会の成功はないという考えの下、パラリンピックの機運醸成とパラスポーツの振興に精力的に取り組んでまいりました。
パラスポーツや選手を知っていただき、ファンになっていただく取組をはじめとし、パラアスリートの発掘、支援、身近なスポーツの場や機会の確保、支える人材の育成など、様々な施策を展開してまいりました。
また、大会競技会場や関係機関と連携した都市のバリアフリーも進めてまいりました。大会は無観客となりましたけれども、東京ゆかりのアスリートをはじめとする選手の大活躍、過去最大規模のテレビ放送等によりまして、パラスポーツのすばらしさを多くの方に知っていただくことができたと思っております。本当によかったと思っております。
今後も世界で初めて二度目の夏季パラリンピックを開催した都市として、パラスポーツを社会に根づかせる取組を推進してまいります。
そのため、引き続き、体験や観戦を通じたパラスポーツの魅力発信や、障害の有無にかかわらず、誰もがスポーツに親しめる環境の充実、障害のある方の健康づくりから競技力向上までの幅広い支援、ボランティアなど支える人材の育成など、多面的な取組を進めてまいります。
今後とも、二〇二〇大会の成功を支えていただいた多くの関係者のご協力をいただきながら、パラスポーツの振興と共生社会の実現に取り組んでまいります。
○谷村委員 重ねて申し上げますが、日本共産党はパラリンピックの開催にも最後の最後まで反対をしました。このパラリンピック開催を私たちはてこにして、障害者の方々がこれまで以上にスポーツや運動に親しめるよう取組を前進させていくという延與局長の揺るぎない信念をお伺いすることができました。
これからもリーダーシップを遺憾なく発揮していただき、東京の、そして日本のパラスポーツを牽引していただくことを強く期待し、質問を終わります。ありがとうございました。
○池川委員 日本共産党の池川友一です。
冒頭、今、谷村副委員長から質問の中で、立憲共産党というご発言がありました。これは、さきの文教委員会でも同趣旨の発言があり、我が党としては削除を求めました。再び同趣旨の発言があったことに対して、厳しくまず抗議したいと思います。議会は事実に基づいて議論することが必要だということです。事実をゆがめ、誹謗中傷するようなこと、こうした発言は削除するよう求めておきたいと思います。
私たちは、科学に基づいて判断すべきであるというふうに思います。パンデミックの下で、五輪開催の強行は多くの国民が反対をしていました。パンデミックによって命や健康が問われていた中で、五輪中止をすることが責任ある対応だという立場から中止を求めてきたわけです。コロナの下で強行したことも検証されるべきだということを求めておきたいと思います。
オリンピック・パラリンピックの中で、選手が活躍をされたことについて感動したという声がある、その一方で、選手の活躍があったからやってよかったという評価はできないと考えます。つまり、選手の姿に感動しても、それで問題点が洗い流されるわけではないからです。
開催都市の過大な財政負担、五輪施設や選手村の整備の経過や後利用の課題、商業主義によるゆがみ、猛暑の開催時期、パンデミックの下での開催、IOCとの不平等な関係、五輪憲章に反する女性蔑視発言など、検証すべき課題や問題点はたくさんあると考えます。こうした問題を市民の視点から検証していくことが必要だと思います。
まず、基本認識を伺いたいと思います。
オリ・パラ大会について、きちんと検証することが組織委員会や東京都の役割だと思いますが、いかがですか。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 大会の開催状況につきましては、都、組織委員会がそれぞれ速報版として取りまとめ、十月の本委員会で報告させていただきました。
また、都、組織委員会は、この速報版を更新し、本日、大会開催結果として総括し、本委員会に報告させていただいたところであります。
なお、都と組織委員会は今後も相互に協力しつつ、大会における準備や関連事業なども含めて大会報告書として取りまとめ、公表することとしております。
引き続き、都民、国民の皆様の理解が得られるよう、適切に対応してまいります。
○池川委員 都民、国民の理解が得られるようにするということで、そのためにはやはりきちんと検証することが必要だと。そういう視点から質問していきたいと思います。
まず、医療体制についてです。
医療スタッフの数については、資料でもお示しをいただきましたが、オリンピックで四千四百四十九人、パラリンピックで二千九十三人の合わせて六千五百四十二人、これが実人数だと伺いました。当初の一万人からは減少したものの、多くの医療スタッフがオリ・パラ大会に派遣されたことが分かります。
無観客になって規模を縮小したということでありますが、五輪の時期はコロナ感染が急拡大をし、医療崩壊と重なっていた時期で、医療現場はとにかく人手が必要だった。ベッドは確保できても、体制がなくてそのベッドを稼働することができないと。そういう事態に立ち至っていた、そうした時期でありました。
そこで伺いたいと思いますが、医療スタッフの派遣は何病院からあったのか、また、そのうちコロナ病床の医療機関から医療スタッフの派遣がどのぐらいあったのか伺いたいと思います。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 組織委員会からは、会場観客用医務室等の医療スタッフ配置については、三十五の医療機関、医療関係団体と丁寧に調整を行った上で協力いただいたと聞いております。
選手用医務室の医療スタッフにつきましては、基本的には競技団体等から派遣いただいており、直接、組織委員会から医療機関に依頼しているものではございません。
なお、コロナ病床のある医療機関等については公表されておりませんが、地域医療に支障のないよう各病院等と調整し、その了解を得ながら丁寧に調整を進めたと聞いております。
○池川委員 丁寧に調整をしたと繰り返しいわれますが、この時期はコロナの治療などに加えて、ワクチン接種なども重なっていた時期であります。
報道では、五輪医療チームにも職員を派遣された昭和大病院の院長が、これ以上感染者が増えたら、救急患者の受入れを停止しなくてはならないと語っておられた時期であり、オリ・パラ大会に医療スタッフを送ることで、病院はより厳しい事態に陥ったというふうになったことは明らかだと思います。
都立病院、公社病院は、コロナ患者を多く受け入れ、総力を挙げて命を守る取組を行っていました。厚生労働省が先日発表した全国二千二百八十六病院、コロナ病床確保数は都立多摩総合医療センターの二百四十五床をトップに、一位から十一位まで都立、公社病院が並んでいると。それだけの病床確保をやっていたということです。
都立、公社病院からは、医療スタッフはどの程度派遣されたんですか。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 組織委員会からは、都立、公社病院のスタッフも大会の活動に従事したというふうに聞いております。
なお、病院ごとの医療スタッフ数につきましては、病院側の意向もあり、公表されておりませんが、地域医療に支障のないよう丁寧に調整を行ったと聞いております。
○池川委員 都立、公社病院から何人の医療スタッフが来ているのか、これはやはり答えていただかないといけないと思います。聞いていると何か他人事のようにいいますが、実際には組織委員会がオリ・パラ局を通じて病院経営本部にお願いをしているわけです。
今後の検証のためにも、どの医療機関から何人の医療スタッフがどのように派遣されたのか、このことを明らかにするよう求めておきたいと思います。
オリ・パラ大会の時期には、医療現場は医療崩壊というべき事態に至っていました。コロナ対応に集中していた病院から医療スタッフを派遣する、このことで支障が出ることは明らかだと思います。五輪と感染拡大、東京都も組織委員会も実効再生産数が五輪前だった、このことをもって問題がないというのは、あまりにも一面過ぎると思います。
国立感染症研究所、COVID感染報告者数に基づく簡易実効再生産数推定方法という記事の中で、新規感染者報告数は、地域の検査体制、感染状況に影響されやすいため、実効再生産数のみで状況把握、リスクを評価することはできない、実効再生産数に加えて、検査陽性率、入院者数、重症者数、死亡者数、電話相談等の様々な指標を組み合わせて、その地域の流行状況の評価を行うことが重要だというふうに書いていると。
すなわち、都内の感染状況を実効再生産数だけで評価するというのは、あまりにも一面的だということになるんじゃないでしょうか。いかがですか。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 大会の開催に向けましては、東京の感染状況、世界の感染状況を踏まえまして、無観客での開催といたしました。
加えまして、様々な行動制限、入国後の水際対策、そういったものを様々な対策をし、総合的な対策として、専門家からは、大会は安全・安心に開催されたというふうに評価をされたものでございます。
○池川委員 IOC関係者による五輪と東京はパラレルワールド、つまり別世界だと。つまり日本の国内の状況がどうであれ、五輪とは関係ないといわんばかりの発言がありましたが、今の話はそれに類するものだというふうに思います。
オリ・パラ大会当時、東京の新規陽性者数が急増したと。新規陽性者数のピークは八月十三日の五千九百八人です。重症者数が最多になったのは八月二十八日の二百九十七人です。陽性率がピークになったのは八月十四日、十五日の二日間で二四%になっていると。亡くなった方の報告が最も多かったのは八月二十三日と。
医療崩壊という事態に立ち入り、自宅療養者が大量に生まれ、医療につながることができずに亡くなる方も生まれた、こういう時期に行われたというわけです。
今回の報告の中には、こうした視点は基本的ないと思います。このことは厳しく指摘をしておきたいというふうに思います。(発言する者あり)ずらしていないですよ。
次に、暑さ対策です。
オリンピック期間中、暑さ指数で警戒レベルを下回った日は何日ですか。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 オリンピック期間中については、暑さ指数が警戒レベルを下回った日はございませんでした。
なお、東京二〇二〇大会では、暑さ指数も含めた気象情報を把握し、IFが定める国際基準なども踏まえながら、組織委員会やIFなどの関係者が競技実施の可否を日々判断し、大会運営を進めていたと聞いております。
○池川委員 警戒レベルを下回った日は一日もなかったということなんですね。アスリートをはじめ、関係者やボランティアなど本当に命がけだったといっても過言ではありません。
実際に、暑さから北海道に場所を変えた男子マラソンでは、服部選手が最後にはふらつきながら走り続け、ゴール後の深部体温は四十度以上になる熱中症の重い症状になったと。暑さを理由に札幌に場所を移し、開始時間については暑さの懸念がないことを確認したと判断して競技が行われたにもかかわらず、こうした事態に立ち至ったと。
この男子マラソンは、出場百六人中三十人が棄権したと報道されています。その数は、世界トップの選手が競い合う舞台としての割合は極めて大きいと。リオ大会が十五人だったと比較しても倍に及んでいるというふうに報道されています。
大会期間中、熱中症患者数は何人だったのか、また、競技を棄権したアスリートの数は何人ですか。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 組織委員会が公表した確定値によりますと、大会期間中に発生した熱中症患者数は二百八十名であり、そのうち選手が百五十三名、大会関係者が百二十七名でございました。
なお、組織委員会からは、九月に公表した速報値は、熱中症という診断がついたものを集計した結果でありましたが、今回の確定値については、頭痛や吐き気といった熱中症症状のあったものについて、改めてカルテを全て確認し、計上したと聞いております。
各競技種目の結果につきましては、棄権も含め、組織委員会から試合後に公表されておりますが、全体として各競技種目の棄権者数についての集計は行われておりません。
○池川委員 確認できているだけで二百八十人の方が熱中症だったということです。カナダの日刊紙、ナショナルポストは、五輪は日本の暑さに耐え切れなくなっているが、それはさらに悪化する一方であると報じました。
テニスのトッププレーヤーであるノバク・ジョコビッチ選手は、常に脱水状態にある感じだ、空気の流れがない、これまでのキャリアの中で、このような残酷な状況に直面したことはないとコメントされています。
ほかの選手からも声が上がり、結果としてテニスの日程は時間変更が行われています。無観客でなかったら、こうした変更はできなかった可能性があるとも指摘をされているところです。
しかし、こうした事態になることは事前から想定できていたのではないかと、これまで事あるごとに聞いてきましたが、改めて伺いたいと思います。
こういう状況であっても、立候補ファイルでいっていたこの時期の天候は晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候だといえるのか伺いたいと思います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 東京都の東京二〇二〇大会の立候補につきましては、IOCの定めた条件の中で、最適な時期等を選んで決定したもので、東京都として立候補ファイルを策定したものであります。
○池川委員 それはそのとおりなんです。理想的な気候だといえるのかということについては、やはりいえないわけですね。
アメリカのヤフースポーツは、日本の大会組織委員会は地獄のようなうそをついたと皮肉り、アスリートがこの天候によって疲弊し続けていることについて、全ての人に謝る義務があると厳しく批判されています。
東京都が取りまとめた結果報告の中にも、厳しい暑さだったというふうに書いてあるわけですよ。厳しい暑さだったことと理想的な気候とは、やはり両立するものではありません。こうした事実をきちんと認めて、ここについてもきちんと検証していただきたいと思います。
背景には、放映権による巨大マネーがあるということは、各方面から指摘をされているところです。ラグビー元日本代表の平尾剛氏は、救いは行き過ぎた商業主義と政治利用でゆがんだ五輪を皆が認識したことだと、スポーツを五輪から救い出すことが必要ではないかと話しています。
開催都市として、これらの課題をきちんと受け止め提起をする、そういう責任があると思います。こうした点もきちんと検証に入れることを強く求めておきます。
次に、持続可能性の取組について伺います。
再使用と再生利用ということを基本に様々取組をされていくんだということがありましたが、未使用のマスクやガウンが廃棄をされるという事態が起こりました。この点については、大会会場のマスク、ガウンなど、未使用分が廃棄をされたと報道がありましたが、その総数はどうなっているのか伺います。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 組織委員会では、大会前から調達物品の再使用、再生利用に取り組んでおり、廃棄するのは、いずれも困難であるときに限ることとしておりました。
このため、未使用の医療用消耗品につきましても、宿泊療養施設への転用、会場の施設管理者及び協力医療機関に対する無償譲渡等を実施してまいりました。
しかし、オリンピックのみで使用した九会場で、撤収作業を急ぐ中、サージカルマスク六百六十箱、ガウン三千四百二十枚、消毒液三百八十本が廃棄されたと聞いております。
○池川委員 その後、今答弁があった消耗品等については、有効活用に取り組んだということでありますが、具体的にはどのように対応されたんでしょうか。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 組織委員会は、医療用消耗品の一部廃棄があった後は、保管場所を確保した上で、会場間での有効活用を徹底するとともに、大会後に残存した消耗品についても医療施設などへの無償譲渡を実施しております。
○池川委員 報道があって以降は、無償譲渡するなどの対応を取っており、新たな廃棄は生まれていないということです。しかし、当初から想定できた問題であり、こうした廃棄になったことはきちんと課題として認識をし、この点についても検証するよう求めておきたいと思います。
持続可能性に配慮した運営計画では、スポンサーやケータリング事業者との連携、協働により、一般に対する啓発効果が高く、家庭、事業者、大規模イベント等においても、容易に実行可能なモデル的な取組等により、可能な限り競技会場や選手村等における食品ロス、食品廃棄物の削減を図るとしていました。しかし、実際には、大量の食品ロスが発生をしていたということです。
スタッフ等への食事提供に伴う食品ロスは何万食だったのか、また、その総額は幾らになりますか。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 スタッフ等の弁当における余剰数につきましては、組織委員会が対策を実施し、大会序盤である七月の約十九万食、率として約二四%から、大会終盤の九月には約八千食、率として約八%まで改善いたしました。通算では約三十万食、率としては約一九%になったと聞いております。
なお、弁当については、組織委員会スタッフだけではなく、会場内受託事業者など様々な関係者に提供されており、その総額については明らかにされておりません。
○池川委員 持続可能性に配慮した運営計画第二版の中には、先ほどもいったとおり、今後の大規模スポーツイベントなど様々な場面において食品ロス対策を進めるためのレガシーとする、そこまで書いてあるわけですね。
しかし、今答弁にあったように、七月は十九万食、二四%の食品ロスで廃棄したというのは、やはり多過ぎるというふうに思います。仮に一食五百円とするならば、三十万食で一億五千万円、六百五十円なら一億九千五百万円、八百円なら二億四千万円ということになります。このお金は税が投入をされているものではないというふうに聞いておりますが、やはり容易に実行可能なモデル的な取組にするはずだった中で、三十万食という規模の食品ロスが出たことについては、厳しく反省をすることは必要だと思います。
私はこの間、困窮支援の現場で生活の困難を抱える方々の相談活動などにも参加する中で、本当に切実な声を聞いています。食料支援があると知り、一時間かけて自転車に乗ってきた、これで数日間は何とかなるとほっとされていた方、仕事がなくなり先週からネットカフェ生活になった、三日前から野宿になったなど本当に切実な方のご相談が寄せられています。
食料支援を求めてくる方の人数は減るどころか高止まりになっていると。特に、持続可能性を掲げる五輪での弁当廃棄ニュースは、衝撃とともに困窮する自分たちのような存在は五輪関係者には見えていないんじゃないかというふうな言葉を発せられた方もいらっしゃいました。こうした言葉に接し、本当に胸が締めつけられる思いがいたしました。
組織委員会には、この問題については心底反省をしていただきたいと思いますし、社会的にフードロス対策を積極的に進めるために、都としても取り組むことを求めておきたいと思います。
次に、リユースについて伺います。
持続可能性大会後報告書の一三八ページには、建設工事で調達した物品、具体的には大会会場、選手村、プレスセンターなどの再使用と再生利用についての記述があります。
そこで伺いたいと思います。空調機、給湯器、ユニットバス等の再生利用があるが、具体的には何に使われたのか、また、空調機、給湯器、ユニットバスの内訳についてもお答えいただきたいと思います。
○久野オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長 空調機、給湯器、ユニットバス等のうち、再生利用される物品につきましては、中間処理され、金属やプラスチックなどの素材にリサイクルされます。
再使用の重量九百六十トンの内訳につきましては、空調機が九百四十八トン、給湯器が八トンとなっており、その他、消火器や照明が含まれております。
再生利用の重量二千二百七トンの内訳につきましては、ユニットバスが千六百二十トン、空調機が五百二十九トン、給湯器が五十八トンとなっております。
○池川委員 十一月の文教委員会の事務事業質疑で、とや議員が聞いたときには、ユニットバス、トイレなどについては、リユースに関する調整を行うとしていました。しかし、今回の報告書では、全数が再生利用、すなわちリサイクルに回るということで、リユースはできないという判断をされたということなんだと思います。
発注段階から組織委員会と東京都で協議をしてリユースできるようにしていくとこれまで答弁をしてきたわけですが、結果的にはユニットバスはリユースできないということについてもきちんと検証するよう求めておきたいと思います。
気候危機にどう対応するかも極めて重要な課題として問われました。新規恒久施設をはじめ、既存施設も含めて省エネを徹底し、再エネ拡大をすることが気候危機への対応として重要になってきます。
大会後、新規恒久施設では、再生可能エネルギーの活用について、どのような方針で取り組まれていくんでしょうか。
○柏原オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長利用促進担当部長兼務 再生可能エネルギーにつきましては、施設の規模や用途、エネルギー利用特性などを考慮するとともに、導入に係るイニシャルコストやランニングコストも比較考量して総合的に判断し、施設ごとに適切な設備の導入を図っております。
例えば、大規模な室内空間を持つ有明アリーナや大型プールが設置される東京アクアティクスセンターにおきましては、大規模な地中熱利用設備や太陽光発電設備等を導入しております。
また、実際に各施設で使用する電力については、再生可能エネルギーを最大限活用するため、各施設管理者に対しまして、東京都グリーン購入ガイドで必須とされるCO2排出係数及び推奨されている再生可能エネルギー利用率の両条件を満たす小売電気事業者からの調達に努めることを求めております。
今後も各施設管理者と連携を図りながら、再生可能エネルギーの積極的な活用を推進してまいります。
○池川委員 再生可能エネルギーの積極的な活用を推進していくということでありました。ぜひ知恵と力を発揮していただいて、こういう再生可能エネルギーの普及こそ、次のレガシーとしても取り組んでいただきたいというふうに思います。
次に、ボランティアについて伺います。
大会ボランティアの辞退は約一万人と報道されていますが、なぜこれだけの規模で辞退したと考えていますか。
○小高オリンピック・パラリンピック準備局ボランティア担当部長 組織委員会は、当初活動を予定していたフィールドキャスト八万人のうち、約一万人が活動を辞退したとしております。
組織委員会は、辞退理由について個別に確認をしておりませんが、大会延期に伴い、就職、転勤、引っ越しなどの環境変化により活動が難しくなった方、スケジュールが合わず参加が難しいと判断した方、感染状況を心配した方などがいると認識していると聞いております。
○池川委員 私もボランティアを辞退された方に話を伺いました。その方は、ほかのスポーツ大会のボランティアにも積極的に参加をされている方でしたが、今回のオリ・パラ大会は辞退されたといいます。
その理由として、組織委員会から送られてきた自分のボランティアの日程表には、二十三時に活動を終えて、翌朝の六時からまた活動するというシフトが組まれていたと。嫌なら断れということだと思うが、ボランティアへの寄り添いがないなと感じた、オリンピックなら何でも許されるのかと、そういう姿勢に疑問を持たざるを得ませんでしたと語っていました。
そのほかにも、コロナ禍の下で五輪開催ありきの姿勢に抗議する意味でボランティアを辞退される方も少なくなかったと思います。ボランティア約一千人、さらには聖火リレーのランナーが次々辞退するきっかけとなったのが、森元会長の発言です。
当時、組織委員会の会長だった森喜朗氏が、女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度規制しないとなかなか終わらないので困る、組織委員会に女性は七人くらいおりますが、皆さん、わきまえておられてなどと発言したことに対して抗議の声が上がり、結果として森氏が辞任をされるに至りました。
辞任することは当然だったと思いますが、私は辞任すれば終わりでという話ではなく、やはり何が問題だったかを共有しなければならないというふうに思います。
持続可能性大会後報告書には、組織委員会幹部や大会関係者による人権に関する言動は厳しい批判を受けたという記述がありますが、森氏の発言は何が具体的に問題だったと考えているでしょうか。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 組織委員会は、大会に向けダイバーシティ・アンド・インクルージョンの推進やアクセシビリティーの確保など、多様性と調和の取組を通じ、差別やハラスメントのない誰もが楽しめる大会の実現に向けて取り組んできたが、その理念への理解と行動を徹底し切れない面もあったとしております。
このため、橋本会長の下、ジェンダー平等推進チームを設置し、ガバナンス改善や社会への働きかけなどを迅速に進め、都も連携して取り組んでまいりました。
○池川委員 理念への理解と行動を徹底し切れない面もあったと。しかし、組織委員会トップの森氏の発言が徹底できなかったということは極めて深刻な事態だと思います。明らかな女性蔑視発言であり、問題を問題としてきちんと捉えていかなければ、次に進むことはできないと考えます。
このオリンピック憲章に定める(発言する者あり)関係ないことはいわないでいただきたい。
このオリンピック憲章に定める権利及び自由は、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自、その他の身分などによるいかなる種類の差別も受けることなく確実に享受されなければならないと。五輪憲章の根本原則、これにもやはり真っ向から反するというふうに思います。
今回のオリ・パラ大会は、ジェンダー平等が問われる大会ともなりました。アスリートを性的な目線で捉え、容姿や私生活について多くを取り上げていることに対して対策を求めるスポーツにおけるジェンダー平等、公平でインクルーシブな描写のための表象ガイドラインをIOCが六月に改定をし、和訳も行われました。
このガイドラインでは、アスリートがどのような視聴者、読者の目に映り、印象づけられるかは、社会全体のジェンダーに対する価値観にも影響を与えるとして作成されたものです。
具体的には、個人の容姿を評価するコメントを避ける、ジェンダーに特化したり、性差別的であったりする表現として、例えば、セクシー、女の子っぽい、男らしい、イケメン、美少女、美し過ぎる、美女アスリート、ママさんアスリートなどの表現は避け、アスリートのパフォーマンスを表現する場合に、女性、男性どちらにも使える形容詞として、美しい、パワフル、強い、優雅な、果敢になどの表現を用いることが推奨されています。
今大会では、ドイツの女子体操チームがアスリートを性的な視点で捉えることへの対抗として、従来のレオタードではなく足首まで覆うユニタードを着用するなどの動きもありました。
IOCがスポーツにおけるジェンダー平等、公平でインクルーシブな描写のための表象ガイドラインを示しましたが、大会ではどのようにこれが生かされたのか、また、ガイドラインの重要性について、都はどのように認識していますか。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 本ガイドラインは、スポーツにおける報道や取材等において、公平でジェンダーバランスの取れた描写を推進するため、IOCが作成したものであります。そして、全ての人が互いを理解、尊重し、分け隔てなくスポーツを楽しめる環境を整備することは重要であります。
大会に向け、組織委員会は、本ガイドラインを和訳し、国内外のメディアに周知するとともに、大会ウェブサイトで公表いたしました。これにより、複数のメディアにおいて、本ガイドラインの存在が報じられ、社会における問題提起につながったとのことであります。
○池川委員 多様性と調和におけるジェンダー平等報告書では、このガイドラインについて、今後もメディア関係者や競技団体、選手との間で議論が活発化され、さらなる対策が進むことを期待しますと表記しており、都としても積極的に生かしていくことを求めておきたいと思います。
十一月に発表された世界陸連報告書では、オリンピック期間中に陸上選手がSNS上で受けた誹謗中傷の対象が、女子選手やLGBTQに対するものが多かったということを明らかにしています。
大会における会場入場者禁止行為として、アスリート等への性的ハラスメント目的との疑念を生じさせる写真、映像を記録、送信、または作成する行為の禁止が明記をされました。
日本でも、日本オリンピック委員会、日本スポーツ協会、日本障がい者スポーツ協会、大学スポーツ協会、全国高等学校体育連盟、日本中学校体育連盟、日本スポーツ振興センターが共同で、アスリートの盗撮、写真、動画の悪用、悪質なSNS投稿は卑劣な行為ですというステートメントを発表し、JOCの特設サイトに情報提供窓口が設けられるなどの動きがあります。
アスリートの性的ハラスメント防止について、大会では具体的にどのような取組が行われたのか、また、都としてもアスリートに対する性的ハラスメント防止の取組を進めることが重要だと考えますが、伺いたいと思います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 アスリートが安心してスポーツを行うためには、スポーツ界における暴力、暴言やハラスメントを根絶することが重要であります。
大会では、アスリートを性的ハラスメントから守るため、会場入場者の禁止行為にアスリート等の性的ハラスメント目的の撮影の禁止を明記したほか、IOCによりハラスメント事案等を報告できるIOCインテグリティーコンプライアンスホットラインが設置されました。
また、都においては、アスリートが安心してスポーツに取り組めるよう、東京二〇二〇大会に先立つ令和元年度からスポーツ・インテグリティ推進事業を開始しており、競技団体の役員、指導者等に対し、性的ハラスメントも含めて、ハラスメントの防止に関する研修を実施しております。
今後とも、関係団体と連携し、競技団体やスポーツの関係者への啓発や研修などに取り組んでまいります。
○池川委員 性的ハラスメント目的の撮影を禁止すると明記したことは重要だというふうに思います。
大会では、選手に占める女性の割合が過去最高になったり、大会史上初めて選手村の総合診療所内に女性アスリート科を設置するなどの大事な取組もありました。
一方で、スポーツの世界でジェンダーギャップがあることは明らかであり、この解消のために力を尽くすことが求められています。
スポーツにおけるジェンダー平等を進めていくことが必要だと考えますが、見解を伺います。
○鈴木オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長 都のスポーツ振興において、性別にかかわらず、誰もがスポーツを楽しむことができるよう取組を進めることは重要でございます。
都はこれまでも、女子の競技活動や指導上の留意点を掲載した冊子を作成し、理解促進を図っていますほか、スポーツにおける差別やハラスメントの根絶を図るため、都内競技団体や指導者に対する研修などを実施しております。
さらに、東京都体育協会では、スポーツ庁が定めたスポーツ団体ガバナンスコードを周知し、組織運営における女性参画を促しております。
今後とも、スポーツにおけるジェンダー平等が進むよう、関係団体と連携して取り組んでまいります。
○池川委員 今の答弁にふさわしく、スポーツにおけるジェンダー平等が進むよう、ぜひ取り組んでいただきたいと重ねて求めておきます。
文書管理について伺います。
契約書、理事会の議事録、意思決定の際の関連書類など、組織委員会が保管する文書は全て保管することが必要だと考えますが、どのように対応されますか。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局大会企画調整担当部長 組織委員会では、契約書や稟議書、会議の議事録など、法人運営及び大会運営のために作成、受領し、組織的に用いた全ての文書を保存、継承することとしております。現在、組織委員会で、そういった文書の集約を進めているところでございます。
○池川委員 基本的には全ての文書を保管するということでした。これ、正式には先日の理事会で確認をされたというふうに認識しているんですが、それでよろしいか、一度確認させてください。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局大会企画調整担当部長 理事会で報告されたと認識しております。
○池川委員 文書を保管することとともに、きちんと公開をしていくことが必要だと思います。
保管する文書等については、都民、国民の求めに応じて公開していくことが必要だと考えますが、どのように対応されるでしょうか。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局大会企画調整担当部長 組織委員会が解散後に保存、継承する文書は、開催都市契約等に基づき、アーカイブ組織に継承する文書と法令等に基づき清算人が保存する文書等がございます。
アーカイブ組織に継承する文書につきましては、アーカイブ協定に基づき利活用することが可能になっております。
また、清算人が保存する文書については、過去の判例によると裁判所の許可により閲覧可能とされております。
組織委員会が保存する清算人の文書の具体的な取扱いについては、今後、組織委員会と調整してまいります。
○池川委員 今後、組織委員会と調整していくということなんですが、都の基本スタンスとしては、積極的に公開を求めていくという立場でよろしいか、確認をさせてください。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局大会企画調整担当部長 都といたしましては、条例の趣旨にものっとり、また、法令等のことも勘案しながら組織委員会と調整してまいります。
○池川委員 後から検証できるためにしっかりと公開をしていくことを前提にするのが極めて重要だと思います。公開していくためには、一般法人法など法令に基づいて保存される会計帳簿、契約書類をはじめとする文書になっているものをアーカイブ組織に継承する文書にする、すなわち複写をしてアーカイブとしても保存することが重要だと思います。
アーカイブ組織に継承する文書は、基本的に公開していくというふうに事前にお伺いをしていますが、この文書をどれだけ増やせるか、このことによってどれだけ検証ができるか、公開ができるかということにかかってくるというふうに思います。
さらに、そのアーカイブ資産を誰が維持管理するかということも重要です。一昨日の理事会で示された資料の中にもありますが、東京都に権利付与して維持管理、活用できるようにする、基本的な文書を都としてもきちんとアーカイブ資産として維持管理していくということを求めておきたいと思います。
東京大会誘致の不正疑惑をめぐり、招致委員会会計書類がなくなったこと、長野五輪招致では会計帳簿を廃棄したというあしき前例もありました。こんなことにならないように、都民、国民の共有の財産として、きちんと検証できるようにすることが必要だと思います。
特に組織委員会が清算法人に移行し、その清算法人が解散した後にも保存することが必要であり、清算法人が解散した後、清算人について、私たちは副知事など都が責任を持って資料を保存する、散逸しないようにする、保管していくことが必要だということを求めてきましたが、改めてこの場でも求めておきたいと思います。
本日報告のあった大会経費の見通しについて一言申し上げます。
開催都市の過大な財政負担という点は明らかだと思います。一兆四千五百三十億円は、V4、二つ前の予算と比較をすると一千三十億円の増額となっており、招致段階からは約二倍、都の負担だけで見ると、今回、約四倍の負担の額が見通しとして示されています。チケットの減収分については、事実上都が負担をする、穴埋めをするということになっていると。
まだ詳細が明らかにされていない項目も残されています。こうした問題について、共同実施事業について、きちんとチェックをすることも含めて、内容について私たちとしても改めてチェックをしていきたいというふうに思います。
そして最後に、来年二月の北京冬季オリンピックについて一言申し上げたいと思います。
中国政府による香港民主化への弾圧は、一国二制度という国際公約に反し、一連の国際条約などにも反するものになっています。新疆ウイグル自治区での少数民族への抑圧など、人権侵害も国際法の義務への重大な違反となっていると。これらは世界人権宣言、国際人権規約など中国政府も賛成してきた国際的な人権保障の取組に反するものになっている。さらに、五輪憲章とも両立し得ないものになっています。
国際的な人権保障の取決めや五輪憲章に反する事態が続いている下で、大会の開閉会式に政府代表を派遣することは、中国での人権抑圧の黙認となりかねず、日本は政府代表を送るべきではないと考えます。
政府代表を送らないという対応だけで済む問題ではありません。日本政府が中国政府による人権侵害に対して、国際的人権保障の取決めを土台として、批判を正面から行うことを回避してきたことを改め、国際法に基づく冷静な外交的批判によって人権侵害の是正と五輪憲章の遵守を正面から中国政府に求めることが必要だということを述べて質問を終わります。
○五十嵐委員 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会は、新型コロナウイルス拡大の中で、まさに東京都議会議員選挙のときには、感染状況が本当にどうなるか見えない中で、たくさんの方から、大会の開催に関する懸念の声や心配の声を多く聞いてまいりました。
そうした本当に困難の中で、非常に大変な状況の中で、しっかりと準備をしようと昼夜必死に働き、知恵を尽くし、そして何とか終了まで導かれたオリ・パラ準備局や組織委員会、関係する皆様の並々ならぬご尽力には、心から敬意を表します。
ただ、その一方で、世界的にパンデミックといわれるような状況で開催を強行する必要がどこにあったのか、多くの都民が生活に不安を抱える中で、一体誰のために行われるのだろうと疑義をお持ちになる方もたくさんいらっしゃいました。
私も都議選でそのように訴えてまいりましたし、我が会派もこのコロナ禍で、感染が拡大する中でのオリンピック・パラリンピック競技大会の中止や延期を求め、今は感染対策に全力を尽くすべきと申し上げてまいりました。しかし、オリンピックは七月二十三日に無観客で開催が決行されています。
実際に、オリンピック・パラリンピックの期間中に、新規の陽性者数は本年のピークを迎え、自宅療養者の数も急増し、華やかなオリンピックが放送される一方で、病院で医療を受けられずに、不安を感じながら自宅で多くの方が過ごしていたのも事実でございます。中には自宅療養中に亡くなった方、今も後遺症に苦しむ方もいらっしゃいます。
こうした非常時の中で、この東京でオリンピック・パラリンピックを開催しようとしたために、確かに本当に輝かしい、誇らしい成果もたくさんありましたけれども、無観客開催などが直前に決まって、都民が翻弄されたり、無駄が出てしまったり、先ほどもありました業務委託料が増加してしまったり、急遽対応を要したり、課題がたくさんあったことも事実だと思います。
今年、オリ・パラを開催した私たちの責任として起きたことの経緯や経過、判断経過をしっかりと検証をして、今後のためにもこの知恵と経験を都として残し、生かしていく必要がありますので、この観点から幾つか質問をしたいと思います。
まず冒頭、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に対する総括について確認をいたします。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 東京二〇二〇大会は、コロナ禍において一年延期という、これまで経験したことのない状況下において開催されました。
このような中で、全ての関係者が安全・安心な大会の成功に向けて力を尽くし、一体となって徹底したコロナ対策を講じた結果、大会期間中で陽性率は空港検疫検査で〇・一%、スクリーニング検査で〇・〇三%と低く抑えられ、専門家からは、大会は安全に行われたと評価をいただきました。
また、コロナを乗り越えて世界中からアスリートにお越しいただき、オリンピックでは過去最多と並ぶ二百五、パラリンピックではリオ大会を上回る百六十二の国と地域及び難民選手団から参加がありました。選手のパフォーマンスも高く、オリンピックで二十六個、パラリンピックで百五十八個の世界新記録が誕生しました。
さらに、世界で初めて二度目の夏季パラリンピックを開催した都市として、史上最多のパラアスリートをお迎えしました。
大会で躍動する選手の姿は、世界中の人々に勇気と希望をお届けしました。この大会で得た様々な経験を多様な人が支え合う共生社会、SDGsを目指す持続可能な社会の実現など、レガシーとして未来の東京にしっかりとつないでまいります。
○五十嵐委員 安心・安全な大会が実施できて、成功に終わったとのことですけれども、開催に至るまでには、まだワクチンも十分に行き渡らない中で、実際にオリンピックの開催に反対する声もたくさんありましたが、国も都も一切耳を傾けずに、かたくなな態度に終始しております。
オリンピック・パラリンピックを延期した後、開催できるのかという声は感染の拡大とともに大きくなり、開催の直前にもそのような声はありました。例えば、世論調査ですけれども、七月十三日の世界二十八か国で実施した東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査によれば、世界の五七%の方が開催に反対しているなどの調査や、そのうち日本では七八%が反対しているというものもあります。
七月十七日や十八日の報道機関の世論調査では、オリンピックの開催に反対が五五%、賛成が三三%だったという調査もあります。多くの方が不安を感じ、反対していたという事実もあります。
七月十五日には、インターネットでオリンピック・パラリンピックの開催中止を求める署名が広がりまして、四十五万一千八百六十七筆の署名が東京都の小池知事らに提出もされています。まち中にも反対のプラカードを掲げる多くの市民がデモ活動をしているところでございました。
こうした中止を求める声、非常にたくさんあったかと思うんですけれども、こういう声に対して、東京都はどのように受け止めていたんでしょうか。そもそも都は、中止ということを検討したことがあるのでしょうか、伺います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 大会前、大会の開催について様々な声がありましたが、都としては、安全・安心な大会の開催に向けて、国、組織委員会等との関係者と連携協力し、着実に大会準備を進めたところであります。
○五十嵐委員 様々な声がありましたけれども、着実に大会準備を進めたということで、中止については検討されていなかったというご答弁かなというふうに受け止めます。
そもそも契約上、東京都からIOCなどに対して中止をいえるのかについても、開催都市契約の内容にも注目をされています。
もともと東京二〇二〇大会の開催都市契約というものは、守秘義務の関係で非公表だったんですけれども、アジェンダ二〇二〇改革の一環として公表され、そのおかげで都民が検証できることになったことについては評価をしたいと思いますけれども、その契約の内容、その不平等さというのも明らかになっております。
例えば、開催都市契約の六十六条で、大会の中止や解除を求めることができるのは、IOCだけというふうに規定をされております。また、中止になった場合には、都は全ての賠償請求権を放棄して、また、IOCへの賠償請求権を都が補償をすると、IOCを無害に保つなどと規定をされております。東京都にとってあまりにも不平等な内容であることから、不平等条約などともやゆをされております。
契約当事者の一方が過度に大きな負担を負う契約になっておりまして、普通なら契約をする前に内容について確認をしたり、解除事由といいますか、中止の理由、基準などを相手方に問うというのが契約締結の際には不可欠だと思うんですけれども、実際に東京都において、開催都市契約について、中止の条件や違約金などについて締結前にIOCと交渉した経緯があるのかどうか。東京都の中で、この契約についてどのように検討してきたのかについて教えてください。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 都としては、安全・安心な大会の開催に向けて、国、組織委員会等関係者と連携協力し、着実に準備を進めてまいりました。
なお、大会の延期に伴い、開催都市契約の修正を行っておりまして、内容については関係者で協議し、合意されております。
修正の主な内容は、追加経費の負担については延期がもたらすそれぞれの影響について共同で評価、議論を継続するとの理解の下、各当事者は責任を負うこと、さらに会場変更等大会の重要な変更については、契約当事者間で協議の上決定することなどと改正を行っているところであります。
○五十嵐委員 ありがとうございます。延期について交渉をしたことは、開催都市契約それぞれ、ずれたことによる修正が行われているので、そのことは分かっているんですけれども、そもそも締結前にどのような検討をされたかという質問でございます。お答えいただけますでしょうか。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 繰り返しになりますが、都としましては、安全・安心な大会の開催に向けて、国、組織委員会等関係者と連携協力し、着実に準備を進めてまいりました。
○五十嵐委員 ありがとうございます。先ほどと同じ答弁だったんで、問いには答えられていないのかなと思うんですけれども、きちんと都民に対して説明すべきだと思います。
開催都市契約自体の公表はありますけれども、その詳細な内容については、都民のほとんどが知らなかったと思います。今でも簡単な説明、ホームページに載っておりますけれども、なるべく丁寧に説明してほしかったなということは思います。
結局、中止の声もむなしく、東京都は七月八日、国が都に緊急事態宣言を発出することが決定したなどから、五者協議で都内の無観客開催を決定しております。
東京都は、それまで様々な声がありながら、無観客で開催するかどうかについて、春に決めるとおっしゃっていたものの、公表の時期は先延ばし先延ばしにされながら、七月八日になってようやく決定したという印象です。
六月十八日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長ら専門家有志は、無観客開催が会場内の感染拡大リスクが最も低く望ましいとする提言をまとめたりとか、六月二十一日の時点では、東京都や都内各地域の医師会が、新型コロナウイルスの終息の見通しが立たない中で大会を開催するのであれば、大会の開催によって通常医療が圧迫されないことを必須条件として無観客での開催を探る、観客を入れた場合でも感染状況によって無観客や中止とすることも考えるべきとする意見書などを提出されているとのことでございます。
先ほど中止についてどのような検討があったかお伺いしましたけれども、無観客については、東京都は事前にどのような検討をしていたのでしょうか。無観客にするかどうかの判断、どんな基準に基づいて判断したのかについて、それが七月八日になったというのはなぜなのでしょうか、伺います。
○菅原オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 観客につきましては、本年七月八日に行われたIOC、IPC、組織委員会、東京都、国の五者協議において、この日に緊急事態宣言の発出が決定されたことを受け、人流を抑制するとともに、感染拡大の防止等に向けた、より厳しい措置として無観客とすることとなりました。
○五十嵐委員 ありがとうございます。七月八日に無観客が決定したということは承知をしております。先ほども質問をさせていただいたんですけれども、中止についての過程をお答えいただけなかったんですけれども、観客をどうするかについては、我々はずっとシミュレーションをすべきだということを申し上げてまいりました。
例えば、今年の二月の令和三年第一回定例会で、我が会派の代表質問として、様々な観客のパターンをシミュレーションすべきだと、大会の開催や観客の扱いについては、科学的な根拠やその時点での危険性に基づき適切な判断がされるべきであり、その際には様々なシミュレーションをした上で判断してほしいというふうに求めております。開催の可否や観客のパターンごとに、費用と効果、リスクや都民負担などについてシミュレーションすべきというふうに質問しております。
それに対して東京都は、このように答えております。観客数の上限につきましては、国内外の感染状況や渡航制限、検疫等の水際対策、国内外のイベントの実施、対策の状況等を踏まえて、この春に決定することとしております。今後とも、国、組織委員会など関係者と連携協力をして、様々な場面に応じた対策を幅広く検討し、安全・安心な大会の実現に向けて準備を進めてまいりますと二月の時点でご答弁をされております。
なので、もう一度聞かせていただきます。春までに東京都の内部でどのような検討、シミュレーションを行ってきたのか。幅広く検討するとおっしゃっていましたけれども、これについてどんな基準でどのような検討をしてきたか、事実について教えてください。
○菅原オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 先ほどもご答弁いたしましたが、観客につきましては七月八日の五者協議において、この日に緊急事態宣言の発出が決定されたことを受け、人流を抑制するとともに、感染拡大の防止等に向けた、より厳しい措置として無観客とすることとなりました。
○五十嵐委員 七月八日に無観客での開催を決定したということは承知をしております。私が今聞いたのは、春までに様々なシミュレーションを検討するとおっしゃっていたその内容をお伺いしました。
検討したけれどもいえないのか、していないということなのか、ちょっとよく分かりませんけれども、あれだけ都民が翻弄されたのですから、本当に丁寧に、何があったのかしっかりとご説明されるべきだと思います。
少なくとも、もっと早く無観客で開催を決定していれば、余計なコストを抑えることができたり、都民が翻弄されたりとか、そういったことはなかったんじゃないかなと思います。
七月二十三日に開会式を迎えた後、東京都内では、八月五日に初めて新規の陽性者数が五千人を超えて、八月十三日には過去最多の五千九百八人が新規陽性者となりました。その後も陽性者数は増え続けて、八月二十一日には都内の自宅療養者の数は二万六千四百九人でございました。大会期間中、新規の陽性者が増え続けて、オリンピックとパラリンピックの開会中に今年一番の新規陽性者数の数のピークを記録しています。
大会は、安心・安全とおっしゃっておりますけれども、大会以外、都ではたくさんの陽性者の方がいて、自宅療養をされていたという現状があります。それは医療崩壊といってもいいと思います。
このように大会期間中に大会外で新規陽性者数が物すごく増えていたことについて、東京都はどのように受け止めているでしょうか、伺います。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 都は、国、組織委員会と連携し、水際対策、入国後の定期的な検査、滞在先や移動手段を限定するなどの行動管理や健康管理を行うなどの感染防止策を徹底するとともに、都民の皆様にはステイホーム観戦やテレワークの呼びかけなどにより、大会に伴う人流の抑制を図りました。
感染状況の動向を示す指標である実効再生産数は、推定感染日ベースで大会前の七月二十二日をピークに下落傾向に転じ、パラリンピック閉会時の九月五日には〇・六四まで減少いたしました。
大会期間中を通じてクラスターの発生や大会関係者等から市中に感染が広がったという事例の報告はなく、専門家からは、大会は安全に行われた、全体として対策は有効であったと評価されました。
○五十嵐委員 ありがとうございます。実効再生産数というのを基準にして、度々おっしゃっているんですけれども、実効再生産数の数値というのは後から分かるものであって、その当時、そういう判断が正しかったのかという観点から検証するという意味では、ちょっと違うのかなと思います。
コロナ対策取組の努力は、冒頭申し上げたとおり、本当に非常にすばらしいと思いますけれども、他の数値も冷静に検討すべきではないかと思います。
これまで都のモニタリング会議では、感染状況の指標としては、新規陽性者数の数や発熱相談の件数、感染経路不明者などを基準に検討されてきたはずでございます。都の昨年の総務委員会でも、都の感染症対策の効果の判断の基準としては、実効再生産数だけではなく、感染者数の変化や感染者源が明確な患者数といった複数の科学的な手法を用いて、これまでの対策の効果が判断されるべきと、都の総務委員会でも述べられております。
なので、オリンピック期間中に新規陽性者の数、そして期間中に、都において一日の陽性者数のピークを迎えていること、自宅療養者数が増えていることなど、そうした数字と向き合うべきと考えます。
報告がないというふうに先ほどご答弁いただきましたけれども、その報告というか、大会関係者の陽性者数の数などについてもしっかりと確認をしてほしいと思います。
例えば、大会関係者の陽性者の数、報告書には明確な記載はありませんので、確認をいたします。大会期間中の大会関係者の陽性者数はどれぐらいでしょうか。全体と内訳数について確認をいたします。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 組織委員会が大会期間中に毎日公表しておりました感染の陽性者情報の累計によりますと、大会期間中のアスリート及び大会関係者の陽性者数については、全体で八百八十一名でございます。
その内訳は、海外からの入国者が二百六十一名、国内在住者が六百二十名とのことであります。
なお、組織委員会によりますと、国内在住者につきましては、大会と感染の関係が明確ではないということ、また、保健所によりクラスターとされた事例の報告はございませんでした。
○五十嵐委員 ありがとうございます。当時の大会以外での陽性者のモニタリング会議での指標などを見ておりますと、当時は感染経路の半分以上が家庭内感染ということになっています。国内在住者の観点からいえば、東京や近隣県からオリンピックに通勤していた人の中には、家族と同居するなどして接触をして、大会関係者の方から家族に感染した方もいるのではないかなと思われます。
そこで確認いたします。大会関係者の家族の陽性者の有無は確認しているのでしょうか。確認していない場合は、家族も含めてカウントし直すべきではないでしょうか、伺います。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 組織委員会は、アスリートや大会運営に関わる関係者の感染状況を確認し、各地域の保健所と連携して適切に対応しておりました。
家族等につきましては、大会関係者ではなく、保健所において適切に把握、対応すべきものと認識しているというふうに聞いております。
○五十嵐委員 ありがとうございます。実効再生産数がよかったとか、クラスターの報告がないとか、そういうことばかりおっしゃいますけれども、しっかりと影響がなかったというふうにおっしゃられたいなら、ぜひともしっかりと把握をしてほしいと思います。今後、検討されることを求めます。
大会期間中については、新規陽性者数の増加だけではなく、人流についても問題となっております。
都知事は、八月十三日の定例会見で、東京オリンピックと人出の関係について、テレワークなどの推進もあり、ステイホームで応援していただき、テレビの視聴率も上がったと述べて、人出を増やす要因にはならなかったとの考えを示されていますが、都民の意識とはかけ離れていたと思います。
確かに、東京都の報告書を拝見しますと、オリ・パラ大会期間中のTDM十六重点地区、平日、休日ともに減少しているとのことでございますけれども、総務省のホームページにある実績数値を拝見しますと、十六の重点取組地区の人出の変化では、当然ながら、競技会場、選手村が集中をした晴海や有明、台場、豊洲などは期間中、増加をしていたりしています。
そもそも開幕後の都心の人出の減少というのは、夏休みやお盆の帰省シーズンで、例年この時期は都心の人口が減るという傾向もあります。オリンピックだけが理由とは限らず、都内の繁華街の人出というものは、例年七月や八月にかけて減るものです。
首都圏で減った人出の一部は、帰省などでほかの地域に流れていると見られ、オリンピック期間中に居住地の東京や千葉、埼玉、神奈川などを離れて、他の都道府県に滞在していた人は、オリンピック開催前の十七日間と比べて三六・七%増えていた、昨年の同時期と比べても二五・九%増えたなどの評価もあります。
問題は、オリンピックを開催することによって、人々の行動に与えた悪影響があるのではないでしょうか。緊急事態宣言下で都民に行動制限を課しながら、オリンピック・パラリンピックの開催は、都民に対して矛盾するメッセージを与えることにもなりました。
人は矛盾したメッセージを受け取ると、認知的不協和と呼ばれる不安な状態に陥って、都合のよい情報だけを受け取るようになるなどとの指摘もあります。テレビをつければ、オリンピックのお祭りムードのようなものが流れており、緊急事態宣言が人ごとのように感じていました。
政府のコロナ対策分科会の尾身会長も、八月四日の衆議院の厚生労働委員会で、オリンピックをやるということが人々の意識に与えた影響というのはあるのではないかというのが我々専門家の考えと述べています。
また、その後の八月十二日にも、八日に閉幕した東京オリンピックの開催による感染拡大への影響については、絶対ないと思うと否定する一方で、人流という意味で、オリンピックの開催が人々の意識に与えた影響の議論でいえば、私たちはあったと思うと述べられております。
こうしたオリンピックやパラリンピックが人々の意識に与えた影響については、都はどのように考えるでしょうか。人流という意味で、オリンピック・パラリンピックの開催が人々の意識に与えた影響というものを、データも含めて総括をすべきではないかと思いますけれども、見解を伺います。
○梅村オリンピック・パラリンピック準備局運営推進担当部長運営担当部長兼務 都は、国内外の感染状況を踏まえ、大会を無観客開催とし、人流抑制と感染拡大の防止等を図ることといたしました。
さらに、ライブサイトとパブリックビューイングの見直しを行い、都民の皆様には、オンラインによる見どころ配信などにより、ステイホーム観戦を繰り返し呼びかけるとともに、テレワークの実施など、交通需要マネジメントにもご協力いただき、人流の減少、抑制を図ってまいりました。
その結果、大会期間中の道路、鉄道等の混雑が予想された重点取組地区において、大会前の七月上旬と比較して、オリンピック時における平日の十四時台で八%減、パラリンピック時で一一%減、休日はオリンピック・パラリンピック時ともに十四時台で九%減少いたしました。
また、鉄道利用者数は、大会前の七月上旬と比べ一から二割程度の減少で推移いたしました。
○五十嵐委員 先ほどもいろいろ申し上げさせていただきましたけれども、人流とか、そういうものはやっぱりたくさんの評価があるということで、先ほどの都からの説明は、一方的で固執したものというふうに受け止めざるを得ないんですけれども、違う数値についても目を向けていただきたいと思います。
大会が終わった今でも、結果として中止すべきだったという声もあります。例えばNHKの世論調査では、新型コロナウイルスの感染拡大で東京オリンピック・パラリンピックが一年延期となり、七月から開催されたことについて開催後に調査をしたところ、開催してよかったが五二%あったものの、さらに延期した方がよかったが二五%や、中止した方がよかったが二二%という調査もあります。
これまで都は、コロナで分断された世界が一つになったと繰り返されてこられました。しかし、このとおり、大会が終わった後でも賛成と反対が分かれており、世界を分断したのはオリンピックではないかと懸念をされます。
オリンピック・パラリンピックにより、世界が賛成と反対で二分されたのではないでしょうか。本来、誰もが楽しめる環境で開催すべきだったのではないでしょうか。終わった後にも反対だったという声があることについては、どのように受け止められますか、伺います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 国、組織委員会と一体となって水際対策、入国後の移動、行動管理、健康管理など、感染防止対策を徹底し、世界中から多くのアスリートや関係者をお迎えし、安全・安心な大会を開催できたと認識しております。
オリンピック・パラリンピックそれぞれの大会終了後に実施された全国世論調査によりますと、オリンピック開催については約六割が、パラリンピック開催については約七割がよかったと回答しております。
また、IOCが十七か国の市民三万二千人にアンケートを行ったところ、六五%が大会が成功した、六〇%が東京及び日本に有益なレガシーを残すと思うなどと回答しております。
○五十嵐委員 ありがとうございます。残念ながら、今回報告を受けた報告書の中には、反対の声があったことや、大会外での陽性者数が増えたことについての言及や記載はございませんでした。
こうした反対の声があったことや、医療崩壊ともいうべき事態が生じていたことなどについても、今後まとめられる最終的なオリンピック・パラリンピックの報告書にしっかりと記載していくべきではないかと考えますけれども、見解を伺います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 本日お配りした組織委員会の大会の振り返りにおいて、大会開催に対する声について世論調査結果が掲載されております。
また、大会期間中の人流につきましては、ステイホーム観戦の呼びかけ等により、開閉会式等の時間帯の人流が減少傾向にあったこと、そして、競技会場周辺の道路、鉄道の混雑箇所においては、交通需要マネジメントの推奨やテレワークの呼びかけにより、人流は減少したことについて記載されております。
さらに、大会期間前後の新規陽性者数についても、都内の実効再生産数とともに記載されております。
今後作成する大会報告書では、大会における都の準備や関連事業なども含め取りまとめていく予定であり、内容については検討中であります。
○五十嵐委員 ありがとうございます。しっかりと検討していただきたいと思います。
七月八日に決定をした無観客開催に伴う混乱もございました。私は武蔵野市に住んでいるんですけれども、武蔵野市には井の頭恩賜公園がございます。六月頃には、井の頭恩賜公園でライブサイトを開催するかについて多くの市民が不安を感じて、混乱をしていました。
まず、都が実施を予定していたライブサイトとは、どのようなイベントなのか確認をいたします。
○船川オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長 都が実施する予定でありました東京二〇二〇ライブサイトは、多くの観戦客等を広く受け入れる広域的なライブサイトであり、大会期間中、ライブ中継を通じた競技観戦やステージイベント、競技体験、飲食に加え、大会パートナーの出展など、多様なコンテンツの提供や大会の感動と興奮を共有できる場とすることを予定しておりました。
○五十嵐委員 ありがとうございます。飲食を伴う競技観戦のイベントが予定をされていたとのことでございます。
予定されていたライブサイトですけれども、都は、六月一日に代々木会場でのオリンピック期間中のライブサイトの中止を発表しましたけれども、井の頭恩賜公園では開催が予定をされたままでした。
代々木会場では六月一日にオリンピック期間のライブサイトを中止しているのに、井の頭会場を含め、都内の全会場の中止は、なぜ六月二十二日になってからだったのでしょうか、教えてください。
○船川オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長 代々木会場につきましては、築地の大規模ワクチン接種会場が六月末に閉鎖され、その後、接種会場として使用することから、六月一日にオリンピック期間中はライブサイトとしては使用しないことといたしました。
一方、パラリンピック期間中の代々木会場及びその他の会場の実施につきましては、引き続き、国や組織委員会のガイドライン、専門家の意見等を踏まえ、感染症対策の検討を進めておりました。
その後、専門家や関係者から、大会時における人流が感染拡大につながるおそれがあるとの指摘もある中、六月二十一日には、IOC、IPC、組織委員会、都、国の五者協議において、観客以外の人流対策として、ライブサイト等につきましては中止、または規模縮小の方向で検討を行うことが合意されました。
これらのことを踏まえまして、ライブサイト等の実施方法について、代々木会場のパラリンピック期間及び井の頭会場を含めた都内会場について抜本的に見直し、オンライン配信による大会の盛り上げに転換することを六月二十二日に公表いたしました。
○五十嵐委員 六月一日以降も、井の頭会場でライブサイトを開催する方向で検討していたということがちょっと信じられません。
代々木会場では中止になってから、武蔵野市は、市民の多くの方から、吉祥寺のまちを通って、一日延べ二万人もの方が住宅街を通って井の頭公園に通ってライブサイトをやるなんて、そんなことは不安だという声がたくさんありまして、武蔵野市は四日に都に対してライブサイトの中止を求めております。
その後、都がようやく中止を発表したのは六月二十二日になってからでございました。この間、やはり住民はとても不安に感じておりました。
先ほど六月一日時点に、開催できる方向で何とか検討されていると都はおっしゃっていましたけれども、そのとき、都民に課していた行動制限、例えば五月二十八日のコロナ感染対策本部での議論では、都民に対する要請として、生活や健康の維持のために必要な場合を除き、原則として外出しないことや、都立公園については、通行規制や特定エリアの立入り制限、宴会や飲食などの自粛要請を引き続き求めるとされていた期間でございました。
六月二十二日にライブサイトの中止を公表しましたけれども、その中止の公表というのは、緊急事態宣言による都民の行動制限と矛盾するのではないでしょうか、見解を伺います。
○船川オリンピック・パラリンピック準備局事業推進担当部長 都は、大会延期後、当初計画案の再検証を進め、感染症対策の方向性などを取りまとめた東京二〇二〇ライブサイト等の実施についてを令和二年十二月に公表し、検討を進めてまいりました。
具体的には、国や組織委員会のガイドライン、専門家の意見等を踏まえ、来場者数の削減、事前申込制の導入、フィジカルディスタンスの確保、観戦時等の対策など、継続的に検討を進めておりました。
緊急事態宣言中におきましても、国のガイドラインである基本的対処方針に基づく催物の開催制限で示されている収容率や人数の上限に沿い、かつ必要な感染対策を実施し、来場者に安全・安心な場になるよう準備を進めておりました。
○五十嵐委員 ありがとうございます。国のガイドラインに従うのだと繰り返しおっしゃられますけれども、五月二十八日の衆議院の厚生労働委員会でも、尾身会長は、代々木公園でのライブサイトについてですけれども、オリンピックは他のスポーツイベントとは規模が別格、人流が増えて人々の接触が増える、感染のリスクが増えるなどと指摘をしています。ほかのイベントでもできるから、オリンピックでもやろうというのは、ちょっと無理があると思います。
六月一日で実施が困難であることは明らかであったのであり、早急に対応すべきだったと思います。この経緯の検証と反省が必要だと考えます。
期間中の大会会場のお弁当の廃棄問題も大きく報道されております。大会期間を通じて、お弁当として食べられずに残った数、その後廃棄された数、推移とその改善策、どのように対応したかを伺います。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 組織委員会は、スタッフ等の弁当に係る食品ロスの対策として、発注数のさらなる管理、精査のほか、確実な消費の呼びかけ、提供時間の延長や会場内融通による消費促進等を実施いたしました。
その結果、余剰数は、大会序盤である七月の約十九万食、率として約二四%から、八月には約十万食、率として約一五%、九月には約八千食、率として約八%まで改善いたしました。通算では約三十万食、率としては約一九%になったと聞いております。
○五十嵐委員 報道を受けて、世論の批判の声が強まって、本来、都は予定していなかった方策をすぐに取って、食べ残る弁当の数を減らしていけたことは評価したいと思います。
しかし、そうならば、もともと事前に定めておけばよかったんじゃないかというふうに思います。
二〇一八年に都が定めた持続可能性に配慮した運営計画では、食料廃棄物の再生利用、つまり発生してしまった食品廃棄物については記載がありますけれども、食品ロスの段階でのフードバンクと連携するなどの計画はございませんでした。
事前にフードバンクなどと連携しておくことが必要だったのではないでしょうか。また、この反省を今後生かすためにも、今後行われる大会についてフードバンクなどと事前に連携、契約をしていく、そういった対応が必要ではないでしょうか、見解を伺います。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 夏季の東京における高温多湿な気候は、食中毒のリスクを高めるため、衛生上、細心の注意を払う必要がございます。このため、組織委員会では、消費期限が短い調理済みの弁当を外部に提供することは想定しておりませんでした。
また、事業者から注文と代金の支払いを受けた数量の弁当を確実に用意する必要がある中、余剰数を予測することができず、外部への提供をあらかじめ計画することは困難だったとのことでございます。
組織委員会は、大会の取組と実績値が今後の大会やイベントの参考となり、活用されることを期待するとしております。
○五十嵐委員 ありがとうございます。持続可能性に配慮した運営計画第二版では、こう書いてあります。食品ロスは現在世界的に注目されている問題でもあるため、発生する食品ロスについてのデータを取ることにより、今後の大規模スポーツイベントなど様々な場面において食品ロス対策を進めるためのレガシーとすると記載されております。
都でも、フードバンク活動の推進もしているところです。消費期限が長い商品だったり、冬だったらフードバンクへの提供を、フードバンクとの連携を事前に定めておくことも可能だと思いますので、ぜひ今後、検討してほしいと思います。
次に移ります。十月二十二日に公表されましたけれども、無観客に伴い、約九百億円のうち、チケットは四億円しか売れず、八百九十六億円のチケットが払戻しを要することとなりました。八百九十六億円分のチケットの払戻しの内訳と状況を教えてください。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 組織委員会は現在、観客上限決定後の払戻し枚数約四百三十六万枚について、払戻し手続を進めております。
返還状況につきましては、組織委員会からは、十一月下旬の時点で既に全体の九五%以上の方に順次払戻しを行っていると聞いております。
○五十嵐委員 今、十一月時点で九五%という数字を伺いました。先日、組織委員会はチケットの払戻しに関して、買った方から必要な金融機関口座の登録期間を設けておりまして、その二回目の締切りが十二月十三日に終了したところでございます。
ただ、ネットなんかを見ますと、オリンピックのチケット払戻しの登録期間を忘れていたとか、購入したクレジットカードの有効期限が切れて新しい番号になっていて、口座に戻ってこなかったなどという声が今でもあります。
十二月十三日に二回目の口座登録期間の締切りを迎えましたけれども、まだ登録していない人はどれぐらいいるんでしょうか。また、登録できなかった人たちに対してはどのように払戻しを対応していくのでしょうか、伺います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 まず、時系列で申しますと、先ほど九五%以上の方に順次払戻しと申し上げましたが、残る約五%、約二十一万枚の方につきましては、購入者が返金のため口座登録しなかった分が主でありましたが、組織委員会は十一月下旬から十二月中旬までに再度口座登録期間を設けて、現在、払戻し作業を進めておりまして、メールの問合せ等にも対応しております。
なお、締切り後も、現在有効な口座が登録であるかを精査中であるため、数については把握できておりませんが、組織委員会は、チケット購入された方全員に、今後のチケット払戻しに関する問合せ先を十二月下旬にお知らせしておりまして、今後は、いまだ登録していない方からの問合せに、引き続き個別にしっかりと対応していくと聞いております。
○五十嵐委員 ありがとうございます。ホームページの公式チケット販売サイトも十二月二十二日に終了しています。払戻しに関するところを見ますと、下記のメールアドレスへお問合せください、メールアドレスが書いてあるのみでございます。登録が漏れてしまった方に一方的にメールをくださいというのは、ちょっと不親切なところもありますので、払戻し漏れのないように、誠意のある対応をぜひともお願いしたいと思います。
さらに、組織委員会が保有していた文書について、今後もしっかりと検証ができるようにという観点から、文書の管理について、念のため確認をしておきたいと思います。
オリンピックが終わり、組織委員会が大量に保有していた文書の保存がどうなるか、都としてどんな対応をしていくことになるのかについて質問をいたします。
組織委員会は、今後、解散はいつ頃でしょうか。また、東京二〇二〇オリ・パラ競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例に基づく対応として、都でどのように指導されたか伺います。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局大会企画調整担当部長 現在、組織委員会は、業務を適切かつ速やかに終了させるべく取り組んでおりまして、全ての業務が終了した後、関係法令に沿って解散することになっております。
また、都では、解散後も組織委員会の文書が適切に保管、継承されるよう、大会の終了を受け、組織委員会に対して、文書等の保管及び承継に関する条例の趣旨を踏まえた協力依頼文書を発出したところでございます。
○五十嵐委員 ありがとうございます。組織委員会が保有する文書につきましては、アーカイブ資産協定というものもございます。ただ、この協定によると、アーカイブ資産とは、レガシーとしての価値を有するものとして特定した資産、コンテンツ、または資料を意味するなどとされており、レガシーとしての価値を有するなどと要件がついていることから、この条例との保管の範囲が異なるかについて心配がございますので、これらの協定と条例の関係について伺いたいと思います。
アーカイブ資産と条例で定める文書の範囲について、ずれはないんでしょうか。文書の保管に漏れはないのか確認をしておきたいと思います。
○高角オリンピック・パラリンピック準備局連携推進担当部長 文書保存条例において、文書等は組織委員会の職員が職務上作成し、または取得した文書等であって、組織的に用いるものとして保有しているものとしております。
開催都市契約等に基づき、アーカイブ組織に継承する文書についても、その範囲に含まれるものでございます。
○五十嵐委員 ありがとうございます。今後しっかりと検証できるように、しっかりと都には引き続き指導と調整を求めておきます。
最後に、事前に私たちの会派が求めていたことができたのかについても確認します。
我が会派では、開催が延期される前から、平和の祭典であるオリンピックの期間中に、知事から何とか世界に向けて平和についてのアピールができないかと強く訴えてまいりました。
そこで伺います。東京二〇二〇大会の総括では、国連総会でのオリンピック休戦決議の採択、あるいは難民選手団の参加、オリンピック休戦ムラールの署名、選手村への設置などが記載されていますが、平和への取組について、どのようなものを行ったかについて伺います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 オリンピック憲章では、スポーツを通じた平和な社会の推進がうたわれており、大会はスポーツの祭典であるとともに、民族や国境を越えた平和の祭典でもあります。
東京二〇二〇大会でも、国連総会でオリンピック休戦決議が採択され、難民選手団の参加が実現いたしました。
休戦ムラールは都が制作し、選手の方々に平和への祈りを込めてサインいただいたモニュメントであります。今後は、この休戦ムラールを平和の祭典を象徴するレガシーとして、都有施設等で活用することを検討してまいります。
○五十嵐委員 ありがとうございます。オリンピック・パラリンピック大会の一番の意義は、やっぱり平和だと思いますので、この点、しっかり今後も活用していってほしいと思います。
最後の質問がまだもう一問ございまして、最後に質問させていただきたいと思います。
今回の報告は、開催結果の報告ということで、招致活動に関する総括などは盛り込まれておりません。しかし、招致活動にしても、立候補ファイルでは、開催都市契約において解除権を持つのがIOCであったりとか、そのことについて都民の理解がないまま、こうして進んできたということも疑問であり、こうしたことも総括して報告するべきではないかと考えます。
さらには、招致決定後も、都知事が競技施設の見直しを言及したものの、結局元の競技場に戻ったというような混乱もあったことなどもございます。
この点なども総括して、最終的な報告書に盛り込むべきと考えますけれども、見解を伺います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 本日ご報告しました東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催結果は、東京二〇二〇大会について、都と組織委員会の大会期間中の取組を中心に取りまとめたものであります。
立候補ファイルについては平成二十五年一月にIOCへ提出、招致活動につきましては平成二十六年四月に招致活動報告書を作成、開催都市契約については平成二十九年五月に公表、さらに大会運営や競技会場等の大会準備状況についても随時取りまとめております。
そして、これらにつきましては、適宜、議会の皆様にもご報告をさせていただいております。
今後作成する大会報告書では、大会における都の準備や関連事業なども含めて取りまとめていく予定であり、内容については検討中であります。
○五十嵐委員 ありがとうございます。今後、最終的な報告書、しっかり必要なことを盛り込んでいただきたいと思います。
オリ・パラの収支についても少し申し上げさせていただきたいと思います。
十二月二十二日に公表されておりますけれども、コンパクト五輪を掲げながら、招致段階の立候補ファイルの約二倍、大会経費一兆四千五百三十億円と公表されております。会計検査院の試算なども含めると三兆円に上るとの指摘もございます。
収支の赤字分六百二十八億円について、都は、共同実施事業負担金として負担することにもなっております。こうした開催経費の膨張や都の負担については、次回のオリ・パラ特別委員会でもしっかりと審議の上、ご説明していただけることを望みます。
最後になりますけれども、いいたいことがございます。
オリンピックを開催してよかったという多くの声があることも承知をしております。全国の世論調査で、オリンピックについては約六割、パラリンピックについては約七割の方がよかったというふうに回答していることも承知をしています。現実的に、大半の方はコロナ感染症にならずに、健康に大会を楽しめたんだと思います。
しかし、その一方で、医療関係者や生活に不安を抱える方など、オリンピックを楽しめる状況になかった方もいるのも事実でございます。自宅で治療が受けられず、テレビを見ると、知事が着物を着て旗を振っている映像に、同じ国なのかと愕然としたとの報道もありました。
先ほど公明党の方からもありましたけれども、オリンピック・パラリンピックが丁寧な説明や真摯な態度を欠き、国民の多少の犠牲はやむを得ないというようなメッセージとして見えたことについては、反省すべきだと思います。
客観的なエビデンスが必要だとおっしゃりながら、大会の外での自宅療養者の数、新規陽性者の数は無視、六割、七割がオリンピックが成功していたと考えているから、オリンピックは総じて成功したというのは、政治の放棄だと思います。小さな声を聞く力をポスターでうたう政党がいうべきではないと思います。
この夏に持病があり、重症化のリスクが高いにもかかわらず、自宅での療養を余儀なくされ、最後は救急車を呼んだものの、受入先の病院が決まらず、そのまま亡くなった患者の遺族会なども立ち上がっております。こうした小さな声もしっかりと聞くことこそ政治だと思います。
政治は、苦しい人や困っている人にもきちんと寄り添う、開催することによって利益を得るような団体や政党、大企業だけの強い者だけの声を聞いていたら、必ず道を誤ると思います。
我々は、オリンピック・パラリンピックの選手たち、職員の方々に問題があったと考えているのではなく、なぜこのコロナ禍で開催しなければならなかったのか、そうした国、与党自民公明党、首長など、トップの判断が正しかったのか、オリンピックを政治利用したのは誰なのか、きちんと後世にわたっても検証されるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○高島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時一分散会
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