委員長 | ほっち易隆君 |
副委員長 | 伊藤 大輔君 |
副委員長 | 大松あきら君 |
副委員長 | 里吉 ゆみ君 |
かつまたさとし君 | |
吉住はるお君 | |
磯山 亮君 | |
平けいしょう君 | |
原田あきら君 | |
西沢けいた君 | |
西崎つばさ君 |
欠席委員 なし
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 早川 剛生君 |
次長 | 松田 健次君 | |
管理部長 | 住野 英進君 | |
事業部長 | 大谷 俊也君 | |
渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 | 東山 正行君 | |
市場政策担当部長 | 石井 浩二君 | |
財政調整担当部長 | 高橋 葉夏君 | |
環境改善担当部長 | 中井 宏君 |
本日の会議に付した事件
令和五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・令和五年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)
○ほっち委員長 ただいまから令和五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和五年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○住野管理部長 去る十月十六日の当分科会で要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます令和五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
資料は、全部で六項目ございます。
一ページをご覧ください。1、令和五年度における豊洲市場の空気、地下水質調査結果等でございます。
(1)、空気、地下水質調査結果について、一ページに空気調査結果の概要、こちらのページから二ページにかけまして地下水質調査結果の概要をお示ししてございます。
三ページをご覧ください。空気、地下水質調査箇所をお示ししてございます。
四ページをご覧ください。こちらのページから八ページにかけまして、空気調査結果及び地下水質調査結果の詳細をお示ししてございますので、後ほどご覧いただければと存じます。
九ページをご覧ください。(2)、地下水位測定結果についてでございます。
こちらのページに地下水位測定箇所をお示ししてございます。
一〇ページをご覧ください。一〇ページから一二ページにかけまして、豊洲市場五街区、六街区、七街区の測定結果をそれぞれお示ししてございます。
一三ページをご覧ください。2、十一市場の耐震改修等工事費及び修繕工事費の推移、過去十年間でございます。
市場ごとに耐震改修等工事費及び修繕工事費の過去十年間の推移をお示ししてございます。
一四ページをご覧ください。3、豊洲市場における生鮮食料品の取扱数量及び金額の推移、令和三年度、令和四年度、令和五年度でございます。
過去三年度分の取扱数量及び金額を、水産物と青果物に分けてお示ししてございます。
一五ページをご覧ください。4、平成二十四年度以降に発行した企業債と元金償還金の推移でございます。
表頭にございますように、平成二十四年度以降に発行した企業債を新規債と借換債ごとに、また、元金償還金についても、豊洲市場分とそれ以外の市場分に分け、令和十二年度までの状況を記載してございます。
一六ページをご覧ください。5、中央卸売市場会計の経常収支の予算額及び決算額並びに現金預金残高の推移、過去十年間でございます。
経常収支(税込)及び現金預金残高を年度別にお示ししてございます。経常収支は予算額及び決算額を、現金預金残高は年度末時点の数値を記載しております。
なお、令和六年度につきましては、経常収支は予算額のみを、現金預金残高は令和六年度予算における数値を記載しております。
一七ページをご覧ください。6、市場内における事故件数及び重大事故件数、過去十年間でございます。
市場ごとに過去十年間の事故件数と重大事故件数をお示ししてございます。
なお、事故件数は人身事故と物損事故の件数の合計を、重大事故件数は死亡事故の件数を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○ほっち委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○吉住委員 令和五年度中央卸売市場会計決算審査の冒頭に当たり、まず決算の総括的なところを何点か確認いたします。
令和五年度は、新型コロナウイルス感染症の影響も少しずつ終息に向かい、社会経済情勢に回復の兆しが見えてきた一方で、長期化する物価高騰の影響や人手不足に加えて、急激な気候変動などに伴う農林水産物の収穫量や漁獲量への影響、物流における二〇二四年問題など、卸売市場は依然として厳しい環境の中にあった一年だと認識しています。
そうした状況にあっても、卸売市場が引き続き生鮮品等流通の基幹的インフラとしての役割を果たしていくためには、令和四年三月に策定した東京都中央卸売市場経営計画に掲げた施策をしっかりと前に進めていくことが必要だと考えています。
以上のような背景を踏まえた上で、令和五年度決算の内容について確認をしてまいります。
初めに、令和五年度中央卸売市場会計の決算の特徴について伺います。
○住野管理部長 令和五年度の中央卸売市場会計決算につきまして、まず、収入面におきましては、水産物や青果物などの卸売業者の売上金額の増加に伴いまして、売上金額に応じて賦課する売上高割使用料の収入が全体として増加してございます。
また、電気料金が高騰したことなどによりまして、主に市場業者が使用した光熱水費の受入れなどで構成されております雑収益が増加いたしました。
一方、支出面においては、市場取引の担い手でございます市場業者が社会経済情勢等の変化に対応できるよう、市場業者による経営基盤の強化等に向けた取組に対する支援等を行うとともに、中央卸売市場が生鮮食料品等の流通における基幹的なインフラとしての役割を着実に果たしていくために必要な施設整備を行ってまいりました。
経常収支の赤字傾向が続く中にありましても、市場を取り巻く環境変化に対応するために必要な事業を着実に実施するなど、経営計画に掲げました施策の具体化を図ったところでございます。
○吉住委員 令和五年度決算においては、社会経済情勢が変化する中にあっても、収入確保を図るとともに、市場業者への支援や施設整備など、経営計画に掲げた施策の推進に取り組んだとのことです。
また、決算の特徴として、収入面において雑収益が増加しており、その要因は、電気料金の上昇に伴い、市場業者が負担する光熱水費の受入額が増えたとのことです。裏を返せば、市場業者の費用負担が増えたということであり、その経営環境に大きな影響を与えていると考えます。
そこで、都は、光熱水費高騰の影響を受けている市場業者に対して、どのような支援を行ったのか伺います。
○高橋財政調整担当部長 エネルギーの価格高騰等の影響などにより、市場業者を取り巻く環境が厳しくなる中、電気料金などの光熱水費の負担軽減につながる取組は、市場業者の経営の安定化のために重要なことでございます。
市場業者の電気料金の負担を軽減する取組としまして、都は、令和五年八月から開始された支援事業である中小企業向けの特別高圧電力・工業用LPガス価格高騰緊急対策事業を実施しております。こうした支援について、業界団体と連携しながら、対象となる市場業者に対し、申請手続等を案内したチラシを配布するなど、分かりやすい周知をきめ細かに実施しました。
また、中央卸売市場経営強靱化推進事業におきまして、市場業者によるコスト削減につながるLED照明器具の導入の取組に対して支援を行っておりまして、令和五年度は、十九事業者に対して支援を決定いたしました。
○吉住委員 特別高圧電力・工業用LPガス価格高騰緊急対策事業については、今月四日に産業労働局がプレス発表を行っていますが、第三回目の受付を来年一月から行うとのことです。都は、こうした厳しい状況に置かれている市場業者の方々の状況をしっかりと受け止め、引き続き支援を行っていくことを要望しておきます。
次に、令和五年度の取組内容を伺います。
都では、現在、令和四年度から令和八年度までを計画期間とする経営計画に基づき、各施策に取り組んでいます。計画期間二年目に当たる令和五年度は、具体的にどのような取組を行ったのか伺います。
○石井市場政策担当部長 令和五年度は、経営計画に掲げた施策のうち、産地と消費者とをつなぐ卸売市場の公共的役割の発揮、市場取引の活性化、市場の持続可能性の確保の三つの視点から重点施策を設定し、取り組みました。
具体的には、公正、公平な取引環境の確保に向けた指導監督職員への研修、市場機能の強化に向けた淀橋市場拡張整備事業などの推進、強固で弾力的な財務基盤の実現に向けた市場施設の利活用などに取り組みました。
また、環境変化への対応といたしまして、新型コロナ感染症の五類移行を受け、市場まつり等のイベントの再開や、物流二〇二四年問題への対応としてパレット標準化等を主な内容とした場内物流改善に向けた検討などを行いました。
○吉住委員 経営計画の取組を着実に推進するとともに、環境変化にも即した取組を進めてきたとのことです。
一方、先日報告を受けた東京都中央卸売市場会計決算の概要によりますと、卸売市場における取扱数量が、対前年度比で水産の約三・四%をはじめ、青果、花きの三品目で減少しています。都によれば、取扱数量の減少は、人口減少や流通の多様化など複数の要因があるとのことですが、日々の食卓を支える卸売市場の役割は重要であり、その役割を維持し、今後も続けていくためには、市場の活性化が必要だと思っています。
そのためには、市場取引の基盤である市場施設が安全であること、都民が卸売市場の役割、重要性を理解することが前提だと考えており、その二つの観点から、令和五年度の具体的な取組内容を確認してまいります。
まず、各市場の施設整備について伺います。
生鮮品等の流通を支える市場業者が、日々安心して業務を行うためには、施設が安全である必要があります。しかし、市場施設の多くは、高度経済成長期に整備されており、老朽化が進んでいることから、我が会派は、豊洲市場などの大規模市場だけでなく、各市場に目配りをして、長期的な視点を持って計画的に施設の維持更新を進めていくことを求めてまいりました。
一方、老朽施設が多数に及んでおり、全ての施設を建て替えて集中的に更新することは現実的に困難なため、工事時期の分散や劣化度、耐久度に応じた既存施設の有効活用などの工夫が必要です。
そこで、長期的な視点に立って、どのように市場施設の計画的な維持更新に取り組んでいくのか伺います。
○石井市場政策担当部長 市場施設の維持更新に当たりましては、更新時期の分散化を図るとともに、そのために必要となる財政負担の平準化を図る必要があることに加えまして、市場運営を継続しながらの工事となることから、工事場所や工事期間等の制約について、市場業者と十分な調整が不可欠でございます。
こうした課題を踏まえ、経営計画では、まず、各市場における主要な建物について、劣化状況を把握し、ライフサイクルコストの低減や更新時期の平準化等も考慮に入れ、必要性や優先度等を検証した上で、建物ごとに改修や建て替え等の方針を決定し、維持更新計画を策定することとしております。
昨年度は、令和四年度から二か年で実施いたしました建物の劣化度状況調査を完了するとともに、調査結果等を活用した維持更新計画の策定に向け、その方向性を検討いたしました。
○吉住委員 市場会計の財政状況も踏まえると、一律に施設の維持更新を進めることは適切ではなく、劣化度や利用状況、必要性や優先度を考慮した上で、維持更新を進めていくことが必要です。また、実態に即した整備を効果的に進めるため、施設使用者である市場業者の使い勝手や業務への影響など、使う側のニーズにかなった整備を進める視点も欠かせません。
そこで、昨年度は、業界のニーズや要望を踏まえて、どのような施設整備を行ったのか伺います。
○石井市場政策担当部長 令和五年度は、狭隘化が進む大田市場におきまして、かねてから業界要望のあった、場内物流の効率化に向けた周回道路等へのWi-Fi設備の整備や、青果棟及び水産棟における災害対策や衛生対策として必要なオーバーヘッドドアの改修工事に着手いたしました。
また、世田谷市場等において、トイレの洋式化や監視カメラの設置等を行い、足立市場では、冷蔵庫棟の改修工事におきまして照明器具のLED化や防熱扉の改修工事を実施するなど、業界の要望に沿った施設整備等を実施いたしました。
○吉住委員 トイレや監視カメラなどは、どの市場でもニーズはあると思いますが、特にこの箇所をやってもらいたいというような特別な要望がある場合もあります。また、各市場の特性や課題などを踏まえて、特別な事情があって要望される施設整備もあると思います。引き続き、こうした業界のニーズや意見をよく聞き取り、市場業者と連携協力しながら、施設の維持更新などを進めていってもらいたいと思います。
次に、各市場の具体的な施設の機能強化について伺います。
現在、都では、淀橋市場をはじめとする各市場において、老朽化の状況や特性に応じて、施設の機能強化などに取り組んでいます。
そこでまず、私の地元新宿区にある淀橋市場について伺います。
新宿は、歌舞伎町をはじめ、多くの飲食店が林立する繁華街があります。また、その一方、淀橋市場のある北新宿のエリアは、比較的閑静な住宅街であり、そこには地域の八百屋などの小売店が残っています。淀橋市場は、そのような特徴を持った新宿を中心に、区部西部エリアの青果物流拠点として役割を発揮していますが、敷地が狭いにもかかわらず、取扱量が多いことから、かねてより狭隘化対策が課題となっていました。
先日、私も淀橋市場を視察してまいりましたが、老朽化が進む場内に野菜や果物の荷物が所狭しと並べられていました。こうした現状を踏まえ、現在、淀橋市場では拡張整備事業を進めており、都による老朽施設の建て替えに合わせた卸売場の拡張や市場業者による自動立体冷蔵倉庫の建設などにより、取引の一層の活性化に向けて取り組んでいます。
そこで、拡張整備事業の昨年度の取組状況について伺います。
○石井市場政策担当部長 淀橋市場では、施設の老朽化対策に併せ、狭隘な敷地を有効活用するための拡張整備事業を推進しており、昨年度は、市場業者との意見交換を踏まえた上で、総合事務所棟の建て替えに向けた実施設計を行いました。
具体的には、現在、待機駐車場として使用している場所に五階建ての総合事務所棟を新設し、一階には卸売場、二階には加工、パッケージ等を行うための低温管理が可能なエリアを業界のニーズに合わせて整備いたしますとともに、環境にも配慮し、太陽光発電設備を設置することとしております。
また、都と市場業者が連携して推進している市場物流イノベーション実証事業について、都は、業界が施工する自動立体冷蔵倉庫の実施設計に係る費用の一部を補助いたしました。
○吉住委員 市場業者と連携し、拡張整備事業を進めていることが分かりました。本事業は、豊洲市場の整備以来の本格的な施設整備であり、着実に進めてもらいたいと思います。
また、いわゆる二〇二四年問題で物流改善が求められる中、狭隘化が進み、場内の混雑が恒常的な問題となっている淀橋市場で、本事業を契機に物流効率化に取り組むことは大きな意義があります。
そこで、淀橋市場拡張整備事業を契機とした昨年度の物流効率化の取組について伺います。
○石井市場政策担当部長 淀橋市場では、拡張整備事業後も見据えた場内動線の見直し等の検討を進めており、昨年度は、円滑な場内移動を実現するため、新総合事務所棟の一階と二階を既存の卸売場棟と接続する構造にすることや、場内混雑を緩和するため、産地トラックの荷下ろし場所や待機場所の配置などにつきまして、市場業者と共に検討いたしました。
また、自動立体冷蔵倉庫につきましては、場内の物流改善にも資するよう、効果的な運用に向けて、搬出入口の複層化などを検討いたしましたほか、自動搬送技術の活用等により、一層の物流効率化を図る方策を市場業者と協議いたしました。
○吉住委員 ドライバー不足が深刻化する中、卸売市場における物流対策は、生鮮品等の安定供給を維持する上でも重要であり、今後、各市場で施設整備を進める上で共通の課題となるものです。淀橋市場での取組が好事例となるよう、ソフト、ハードの両面から取組を進めてもらいたいと思います。
次に、板橋市場における機能強化に向けた取組について伺います。
板橋市場は、青果物と花きを取り扱っており、建物の老朽化が進む青果部を中心に再整備を進める計画と聞いています。また、再整備に際しては、東北や甲信越方面等の産地から都内への玄関口に位置している板橋市場の交通利便性の高さを生かして、広域的な物流拠点としての機能強化を図る取組が進められているとのことであります。
物流二〇二四年問題も踏まえ、市場流通においても物流効率化を推進していくことが求められており、物流の分散化につながる市場間ネットワークの形成を推進していくためにも、板橋市場の機能強化を着実に進めていくことは重要です。
そこで、昨年度における取組状況について伺います。
○石井市場政策担当部長 板橋市場におきましては、昨年度は、市場関係者と都で設置いたしました検討委員会を定期的に開催して、機能強化の方向性等を取りまとめた基本構想を策定いたしました。具体的には、コールドチェーン対応、加工、荷さばき機能の拡充、DX等による物流効率化など、目指すべき機能強化の方向性を整理いたしました。
また、施設整備案につきまして、全面建て替え、一部新築、既存施設の活用の三つの素案を作成いたしまして、メリットとデメリットを比較検討した上で、市場関係者の意見を集約して、最適な施設整備の方向性を決定いたしました。
○吉住委員 板橋市場は、豊洲市場や大田市場のように整備後に移転するのではなく、現地での再整備となることから、営業をしながら工事を進める必要があるため、全面建て替えは困難を伴うのではないかと思われます。
基本構想における施設整備案の検討に当たって、業界からはどのような意見が出されているのか伺います。
○石井市場政策担当部長 施設整備案に対する業界の意見としましては、全面建て替えについては、大きな整備効果が見込めるが、工期の長さや整備後の使用料や光熱費などのランニングコスト、仮設場所への移転等に伴う市場業者の負担等を懸念する意見がございました。
また、建物を新築せず、既存施設の活用により機能強化を進める案に対しましては、工事期間の短縮や市場業者の負担軽減が見込めるが、整備効果が不十分との意見が多くございました。
そこで、市場業務への影響を軽減するため、既存建物をリニューアルした上で活用しつつ、一部建物を新築して機能強化を図る施設整備案を今後の検討の土台とすることで合意いたしました。
○吉住委員 施設整備に当たっては、実際に施設を利用して取引を行う市場業者の意見を十分に踏まえた上で、利便性や業務への影響にも配慮しながら工事を進めることが重要です。引き続き、業界とよく意見交換しながら、調整は丁寧に行いつつ、スピードは緩めることなく、整備計画の具体化を図ってもらいたいと思います。
次に、足立市場の衛生対策について伺います。
足立市場は、古くから地域の方々に千住市場と呼ばれ親しまれており、地元足立区を中心に、近隣地域に密着した水産物流の供給拠点として役割を果たしている市場です。しかし、施設の老朽化が進んでいるため、衛生対策の強化が待ったなしの状況であると聞いており、我が会派としても、その進捗に大きな関心を持っています。
そこでまず、足立市場における衛生対策の昨年度の取組状況について伺います。
○石井市場政策担当部長 足立市場では、昨年度、市場関係者と都で施設対策推進委員会を設置し、定期的に意見交換を行いながら、衛生対策の強化に向けた取組を進めてきました。
仲卸売場につきましては、市場関係者の意見を踏まえ、売場を場内の空きスペースに移動することで、より一層、品質衛生管理を向上させることを計画しており、施設構成や店舗数などの検討に向けて、売場レイアウトの三つの候補案を示した足立市場仲卸売場衛生対策方針・基本計画を策定いたしました。
また、卸売場につきましては、都と卸売業者が協議を行い、一部開放型となっている卸売場を閉鎖化することとし、実施設計に着手いたしました。
○吉住委員 昨年度は、市場業界と会議体を設置し、衛生対策の強化に向けた検討を行ってきたとのことです。その検討の中で、仲卸売場については、品質衛生管理の向上に向けた考え方を整理するため、場内移動先の三つの売場レイアウト案を示した衛生対策方針・基本計画を取りまとめたとのことです。
そこで、仲卸売場衛生対策方針・基本計画の具体的な内容について伺います。
○石井市場政策担当部長 仲卸売場衛生対策方針・基本計画では、より一層の品質衛生管理の向上を早期に実現するため、既存施設での改修が困難な状況を踏まえ、場内移動により仲卸売場を整備する方針を取りまとめました。具体的には、仲卸売場の移動先について、既存施設を極力撤去しないことを前提に、新たな売場を整備できる場内の空きスペースを活用することといたしました。
また、仲卸売場の施設構成等の素案として、閉鎖化した屋内には店舗のみを配置する案、店舗以外に荷さばき場や運搬用小型車両の通路も屋内に配置する案、共用部分も含めた全てを閉鎖化した屋内に配置する案の三つの施設レイアウト案を作成いたしました。
○吉住委員 足立市場における衛生対策は、特に仲卸売場は、営業をしながら場内の別の場所に移動することが必要です。小規模な事業者が多いなどの足立市場の特性や業界の皆様の負担などにも配慮をしつつ、引き続き、丁寧な調整を行っていただきたいと思います。
これまで、各市場の施設整備について、老朽化に伴う維持更新や各市場で進められている機能強化等の取組内容を確認いたしました。
施設整備については、昨年度、中央卸売市場を対象局として実施された包括外部監査において、市場全体の機能を最適化する観点から、施設整備に係る長期的なロードマップを作成することを検討すべきとの意見が付されたと聞いています。都においては、こうした観点での検討を進めることも重要ですが、まずは、市場業者が日々の取組を滞りなく安心して営めるよう、業界の方々にしっかり向き合い、施設整備に取り組んでもらいたいと思います。
次に、市場機能のPRについて伺います。
卸売市場が、生産者と消費者を結びつける基幹的なインフラであることの認知度を高めることにより、卸売市場の価値を再発見し、取引の活性化につなげていくことが必要であり、特に、東京では、都市部に卸売市場が立地している強みを生かした魅力ある市場のPRが必要であると考えます。そのPRの機会の一つである市場まつりについては、コロナ禍においては、やむを得ず縮小や休止をしていましたが、昨年度、五類へ移行したことで、徐々に再開されてまいりました。
私の地元新宿にある淀橋市場においては、市場まつりは昨年度に復活して、今年度は来月十七日に開催すると聞いていますが、多くの地域住民が足を運び、市場に触れるよい機会となっています。
そこで、昨年度における市場まつりの開催状況について伺います。
○住野管理部長 市場まつりは、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、令和二年度から開催を休止または縮小しておりましたが、令和五年度は、五つの市場におきまして、市場関係者と連携して開催いたしました。
各市場では、卸売市場と生鮮品等に関する都民の理解促進や食生活の向上、食育、花育の普及などを目的といたしまして、生鮮品等の販売をはじめ、模擬競りや地元中学生による体験販売、食育カレンダーの配布、フラワーアレンジメント作品の展示、ワークショップなど、各市場で趣向を凝らした特色のある取組を実施しまして、地域との交流を深める機会となってございます。
○吉住委員 これまで、市場まつりを通じて、市場のPRに努めていることは理解いたしました。今後も、ぜひ、多くの市場で市場まつりを開催して、さらなるPRに取り組んでほしいと思います。
卸売市場の市場業者は、コロナ禍においても業務を停止することなく、都民の家庭や飲食店に新鮮な生鮮品等を届ける努力を重ねてまいりました。卸売市場の事業活動は、生産者の営みを支え、我が国の食文化の維持発展にも寄与しており、大変重要な役割を果たしています。食料安全保障が大きな課題となっている今こそ、卸売市場の果たしている役割をより積極的に都民にPRするなど、我が国の食の重要性についての認識を深める機会を創出することが重要です。
そこで、市場の果たす役割や食の重要性について、都民の理解や認識を深めることの意義について伺います。
○住野管理部長 都は、市場まつりの開催に加えまして、各市場におけるPRコーナーの設置や食育教室の開催のほか、今年二月に開業いたしました豊洲千客万来内に、いちばの広場を設置いたしまして、中央卸売市場の歴史やPR、全国の産地の紹介などを行ってまいりました。
こうした様々な機会を通じまして、都民に卸売市場の意義や役割を広くお知らせするとともに、健全な食生活を実践するための食に関する正しい知識を身につけていただくことにより、中央卸売市場が、都民に生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給する基幹的なインフラとしての役割を将来に向かって果たすことにつながると考えてございます。
○吉住委員 本日は、まず、令和五年度の市場会計決算の全体像について、その特徴と経営計画に基づく各種施策の取組内容について確認し、その上で、個別のテーマとして、市場取引の基盤となる施設の整備と市場の役割を広く都民に発信するPRの取組について、その具体的な実施内容を確認してまいりました。
繰り返しとなりますけれども、卸売市場が、これからも生鮮食料品等の流通拠点として重要な役割を発揮していくためには、市場の活性化を図っていかなければなりません。そのためには、開設者である都と取引の担い手である市場業者とが、それぞれの役割をしっかりと果たすことはもとより、市場活性化に向けた課題に同じ目線を持って取り組んでいけるよう、これまで以上に都と業界とが対話を重ねることが重要です。
今後も、市場当局には、現場の実態や業界の声をしっかりと把握し、施策の実施をしていただければと思います。
最後に、令和五年度の取組の総括と、それを受けた今後の展開についての市場長の決意を伺います。
○早川中央卸売市場長 令和五年度は、東京都中央卸売市場経営計画の二年目でございまして、中央卸売市場が担う生鮮食料品等の安定供給という基幹的なインフラとしての役割を果たすため、新型コロナウイルス感染症の五類移行や物流における二〇二四年問題など、社会情勢の変化に臨機応変に対応しつつ、経営計画に掲げる施策を着実に推進してまいりました。
具体的には、市場施設の計画的な維持更新や淀橋市場の拡張整備事業など、各市場の機能の強化を図ったほか、経営強靱化推進事業による市場業者のDXの推進、物流コンサルティング事業を通じた物流課題への対応など、市場の活性化に向けた取組を的確かつ柔軟に進めてまいりました。
また、令和六年二月に開業した豊洲千客万来と移転後五年を迎えた豊洲市場とが一体となりまして、都と同施設の運営事業者である万葉倶楽部株式会社とで連携をし、さらなるにぎわいの創出に鋭意取り組んだところでございます。
今後とも、環境変化の動向等をしっかりと見極め、市場関係者と緊密に手を携えながら、市場の活性化に向けた取組を進めるほか、取引の適正化や場内交通ルールの徹底、市場業者の利便性の向上など、適切な市場運営に尽力をしてまいります。
また、強固で弾力的な財政基盤の確保に向けまして、市場関係者と意見交換を重ねながら、収支構造の改善を図るなど、中長期的な課題にも積極果敢かつ迅速に取り組んでまいる所存でございます。
折り返し地点を迎えている経営計画に掲げる施策の具体化に向けまして、引き続き全力で邁進してまいります。
○吉住委員 ただいま、早川市場長から力強い決意を伺うことができました。豊洲市場も、開場後五年が経過する中、都と業界が連携して取組を進め、業界から、いい市場になったとの声も聞いております。
ぜひとも、市場当局には、今後も業界の声をしっかりと受け止め、経営計画に掲げる施策を着実かつスピード感を持って取り組むことを改めて要望して、私の質問を終わります。
○伊藤委員 それでは、まず初めに、市場で利用している冷凍庫などの機器に関わるフロン排出量の削減について質問をいたします。
中央卸売市場は、令和四年三月に策定した東京都中央卸売市場経営計画にあるように、市場の活性化を目的とした施設整備や市場業者の経営基盤の強化、さらにはゼロエミッション化への取組など、施策を着実に進めていくための健全な財務基盤のために取り組まれています。
第八十三回の東京都卸売市場審議会の資料によりますと、現状の課題として、冷凍設備などをはじめとする機器からのフロン排出量の一層の削減が必要であるということが指摘をされています。市場では、フロンを使用する多くの機器が使用されていますが、今、まさに老朽化による入替え時期を迎えているということが、議事録で確認できました。
都全体では、一般社団法人東京都冷凍空調設備協会などと協力をして対策に取り組んでいるということを承知しておりますが、中央卸売市場におけるこれまでの取組について伺います。
議事録を見ますと、これまでの質疑で、食肉市場の冷蔵庫は、市場棟やセンタービルで供用している多くが老朽化による更新時期を迎えていることや、令和五年度は、市場棟の南側と北側それぞれで冷蔵設備の更新工事を実施してこられたことに加え、センタービル内の冷蔵庫は、更新計画作成において、業者の意見を聞きながら計画を作成しているという答弁がございました。
これら更新計画は、現在までにどのようになっているのか、その進捗を伺います。
○石井市場政策担当部長 食肉市場の冷蔵庫につきましては、その多くが老朽化による更新時期を迎えており、順次更新を進めております。
令和五年度は、市場棟北側及び南側にある冷蔵庫四室で、冷蔵庫の更新が完了いたしました。また、市場棟北側の三室につきましては、令和五年十月に工事契約を締結するとともに、南側の三室につきましても、計画的に更新できるよう検討を進めました。
工事につきましては、市場業者と調整し、比較的食肉の流通量が少なく、市場業務に与える影響が小さい時期に行うことといたしました。
○伊藤委員 食肉市場の冷蔵庫の更新については、計画的に進んでいるということでありましたが、生鮮食品などを取り扱う中央卸売市場には、多くの冷蔵、冷凍設備があり、古いものの中には、まだ規制対象となっているフロン類が使われているものもあると思います。これら市場にある大変多くの冷蔵、冷凍設備ですが、使用されているフロンも膨大な量になると思います。
まず、これらに使用されているフロン類の排出抑制の取組状況について伺います。
○石井市場政策担当部長 冷蔵庫の冷媒として使用されている特定フロンは、オゾン層を破壊し、温室効果も大きいことから、令和二年までに製造が禁止されています。
中央卸売市場では、東京都中央卸売市場経営計画に基づき、地球温暖化対策等の観点から、都が設置した冷蔵庫等のうち、冷媒に特定フロンが使用されているものについては、特定フロンに代わる冷媒を使用した設備となるよう、計画的に更新を行っております。
昨年度は、食肉市場の冷蔵庫、板橋市場及び葛西市場の低温倉庫で更新工事を行ってきてございます。
○伊藤委員 現在、老朽化した機器の入替えが順次進められると理解をしておりますが、この機会に、ノンフロン機器への転換でありますとか、現在使用中の機器であっても、レトロフィットの推進、温暖化に影響が少ない低フロン仕様へ転換していくなど、取組をさらに強化していくことと、更新までの間、特定フロンを含む冷媒の管理を適切に行っていくことを要望いたします。
市場にある冷蔵施設のうち、都が設置しているものについて伺います。
特定フロンは、令和二年までに製造が禁止されたということでありますが、現在使用されている機器には、まだ貯蔵されているとのことです。これらの管理はどのように行っているのでしょうか。
○中井環境改善担当部長 各市場の冷蔵庫などにおける特定フロンを含めたフロン類の冷媒の管理につきましては、フロン排出抑制法に基づき、冷蔵庫などの定期的な点検や修繕を行うとともに、冷媒の種類ごとに漏えい量を算定し、環境局に集計結果を報告してきております。
○伊藤委員 都が設置した設備については、法令に基づく管理を行っているということですが、市場内には、市場業者自身で設置した冷蔵庫も多数あると思います。市場全体で環境対策を進めるという観点から、都が後押しする必要があります。
市場にある機器のうち、市場業者によって設置される機器の導入や買換えについては、都としてどのような支援を行っているのか、その取組について伺います。
○石井市場政策担当部長 中央卸売市場では、産地や取引先のニーズ等も踏まえ、生鮮品等の鮮度保持等の観点から、多くの市場業者が、売場や店舗内に冷蔵設備等を設置してございます。
そのため、都が整備した冷蔵設備等を計画的に更新するだけでなく、市場業者が場内に設置した冷蔵設備等におきましても、フロン対策を進めることが重要でございます。
そこで、都は、市場業者における省エネルギー型のグリーン冷媒機器への更新を促進するための補助事業を実施しており、昨年度は、補助率を三分の一から二分の一に見直しを行い、補助実績は三十九件、約一千三百万円となりました。
○伊藤委員 フロンについては、オゾン層の破壊効果が高い特定フロンだけでなく、それに代わる代替フロンも温室効果への影響が高いため、転換が求められています。引き続き、法令遵守とともに、より効果的な対策を検討しながら取り組んでいただくことを申し上げて、次の質問に移ります。
にぎわい創出について伺います。
今年二月に開業した千客万来については、本施設の地元、白戸議員が、これまでも質疑をしてこられました。
オープン前は、テナントの区画が埋まるのかという心配の声もありましたが、今では国内外からの大変多くの来訪者でにぎわっていると認識をしております。
令和五年度は、まさにオープン前、直前の準備期間として、大詰めを迎えた時期でした。
千客万来の開業に向けた準備期間、にぎわい創出に向けた取組が様々行われてきたと承知をしておりますが、その取組と成果について伺います。
○東山渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務
都は、豊洲千客万来の開業までの間、にぎわいを継続させるための取組といたしまして、多様な飲食、物販店舗を配置した場外マルシェ、江戸前場下町を運営いたしまして、令和二年一月の開業から令和六年一月までの間で、延べ約八十万人の来場がございました。
また、開業に向けた機運醸成や、さらなる認知度向上を目的に、令和五年五月から十二月まで、江戸前場下町などにおきまして、市場関係者等と連携したイベントを毎月開催し、延べ約七万五千人の来場がございました。
○伊藤委員 これまで継続してきた豊洲市場周辺地域でのにぎわいが、千客万来へと有機的につながっているのだと思います。このにぎわいをさらに地域へと広げていくには、都や運営事業者だけでなく、地域との連携が重要です。
昨年の質疑では、本施設の開業後に、それまで行ってきたイベントをどのようににぎわいの創出につなげていくのか、特に地元の声を大切にして進めていくべきという質疑、提案がございました。これに対して、都は、市場関係者、地元、事業者等と連携して取り組んでいくという答弁をされています。
豊洲千客万来の開業を契機としたにぎわい創出に向け、どのような取組を進めてきたのか伺います。
○東山渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 豊洲千客万来は、豊洲市場と一体となって、食の魅力を国内外に発信させるとともに、地域のまちづくりや活性化に貢献することが重要でございます。
このため、運営事業者は、和太鼓の演奏といった地元の団体が出演するイベントの開催に積極的に取り組みまして、にぎわいの創出に貢献いたしました。
○伊藤委員 今後も、地域の声や思い、こうしたことを大切にしていただいて、地域の様々な主体と連携をしながら、豊洲地域のにぎわいの拠点として発展していくことを期待しております。
続いて、最後になりますが、市場会計について質問をいたします。
私たちの会派は、かねてより市場経営の抜本的な改革の必要性を訴えてまいりました。
そこで、策定から二年目となる中央卸売市場経営計画の取組状況について伺います。
まず、強固で弾力的な財務基盤の確保に向けた取組について伺います。
昨年の決算委員会でも、関野議員から、市場の収益向上に向けた取組について見解を伺ったところですが、令和五年度も、おおむね百億円規模の赤字が続いています。中央卸売市場会計の令和四年度と令和五年度の経常収支を比較して、その主な要因は何なのか。
昨年の質疑では、減価償却費と光熱費などの管理費が増加したことが挙げられておりましたが、令和五年度の状況についてお示しください。
○高橋財政調整担当部長 令和五年度中央卸売市場会計決算の経常収支は、約百五億一千九百万円の赤字であり、前年度と比較して、約十七億八千五百万円改善しております。
経常収支が改善した主な要因は、収入の面において、売上高割使用料が増額したことなどにより、経常収益が約十億三千二百万円増加したことに加えまして、支出の面において、都が支払う電気料金が前年度と比較して低減したことに伴う管理費の減少などにより、経常費用が約七億五千三百万円減少したことによるものでございます。
○伊藤委員 都が支払う電気料金の低減など外部要因はあるものの、前年度比で改善していることは分かりました。一方で、依然として赤字で推移していることからも、経営計画で掲げている市場会計の収支改善に向けて取り組んでいく必要があります。
そこで、令和五年度における経営改善として、どのようなことを行ってこられたのか、その取組について伺います。
○高橋財政調整担当部長 令和四年三月に策定した東京都中央卸売市場経営計画では、市場運営費の縮減や収入確保等の当面の経営改善の取組を着実に実施することとしております。
令和五年度においては、主に植栽管理委託の運用方法の見直しといった施設管理の委託経費等を削減することによる市場維持管理費の縮減や、新規企業債の発行抑制による支払い利息の圧縮に取り組みました。
また、使用料収入の確保に加え、施設整備等に要する財源として、国からの交付金獲得といった収入確保にも取り組んだところでございます。
○伊藤委員 都民の生活や食を支える中央卸売市場の持続可能性の確保に向け、専門家の知見を生かしながら、市場会計全体の検証を進めること、そして、五年間の経営計画も折り返しを迎える中、市場会計の収支改善に向け、費用縮減と収入確保の両面から、本気でスピードを上げて取り組んでいただくことを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
○かつまた委員 生鮮品等の流通拠点としての中央卸売市場は、都民の生活に欠かすことができない役割を果たしており、将来にわたって生鮮品等を安定供給できるよう、市場運営の持続性を確保することは大変重要であります。
本日は、財政面、施設面、環境面などの観点から、市場の持続性確保に向けた取組の実施状況についてお伺いをいたします。
まず、令和五年度決算についてです。
初めに、財政面として、強固で弾力的な財政基盤の確保の取組について伺います。
都は、令和四年三月に、令和四年度から五年間に取り組むべき施策や財政計画を盛り込んだ東京都中央卸売市場経営計画を策定し、計画に掲げた取組を実施しております。
中央卸売市場が、将来にわたって都民の豊かな消費生活を支えることができるよう、経営計画に掲げた取組を進めていくことが大変重要でありますが、これらの取組を進めていくためには、財政基盤が安定していることが必要となってまいります。持続可能な市場経営を実現するためには、収入確保などの経営改善を進め、強固で弾力的な財政基盤を確保していくことが重要となります。
そこでまず、経営計画に示している財政収支計画と令和五年度実績との比較評価についてお伺いをいたします。
○高橋財政調整担当部長 令和五年度決算の経常損失は約百五億円であり、東京都中央卸売市場経営計画における財政収支計画で示した当該年度の百三十六億円の経常損失と比較して、令和五年度決算が財政収支計画を約三十一億円上回る状況となっております。
上回った主な要因は、使用料収入などの営業収益が減少したものの、市場維持管理費の縮減などにより、営業費用が縮減されたことなどによるものでございます。
○かつまた委員 令和五年度決算は、市場維持管理費の縮減などで営業費用が縮減された結果、財政収支計画を上回ったことを理解いたしました。一方で、経営計画の長期収支では、令和四十六年度に資金ショートするとの試算もあるというふうに聞いております。
そこで、これまでの実績を踏まえた資金収支における長期収支の見込みについてお伺いをいたします。
○高橋財政調整担当部長 経営計画で示している長期収支は、過去の傾向等に基づき、売上高割使用料収入が五年ごとに三%ずつ減少していくことを想定した場合には、経常収支が黒字化せず、令和四十六年度に資金ショートする試算となっております。施設の維持更新経費や企業債償還金などを含めて試算した資金収支における長期収支について、令和五年度までの実績を反映した場合においても、令和四十六年度に資金ショートする試算となりました。
○かつまた委員 令和五年度決算は、財政収支計画を上回った一方で、資金収支で見ると、経営計画の時点と同様の結果となっているとのことであります。経営計画では、使用料収入の減少が続けば、将来的に資金ショートが見込まれるなど、都の市場経営は厳しい状況にあり、収入確保に向けた取組が大変重要となってまいります。
収入の確保、とりわけ使用料収入を増加していくためには、都の市場施設をより有効に利用することで使用料収入を増やしていく方法もあるのではないかというふうに考えます。
そこで、市場施設の利用状況と未利用地の改善に向けた取組についてお伺いをいたします。
○高橋財政調整担当部長 令和六年四月一日現在において、市場施設の使用許可対象面積約七十三万九千平方メートルに対しまして、使用許可している面積は約七十二万一千平方メートルであり、その利用率は約九八%となっております。
昨年度においては、未利用であった市場施設を仲卸業者等が事務所や荷さばき場として新たに活用するとともに、さらなる有効活用を図るため、一時的な使用許可を条件とした市場施設の多目的な活用を行いました。
○かつまた委員 未利用となっている施設について、遊ばせてはおかず、少しでも利活用してもらえるよう、都が取り組んでいることを理解いたしました。場内事業者への事務所としての活用の促進など、身近にできる取組を進めていただき、使用料収入の増加につなげていただきたいことを要望させていただきます。
次に、施設の老朽化対策について質問をいたします。
市場運営の持続性を確保するためには、財政面だけではなく、取引の基盤となる市場施設についても健全な状態であることが必要であります。経営計画によれば、市場では約三百棟の建物を保有しており、そのうち主要な建物の管理棟、卸売場、仲卸売場などは、半分以上が建設から三十年以上が経過をし、老朽化が進んでいるということであります。
都は、生鮮食料品等流通を支える市場施設を管理する立場にあり、老朽化した施設の維持更新を先送りにせず、適時適切に行っていくことが重要となります。
都は、財政状況を踏まえながら、施設の計画的な維持更新を図るため、令和四年度から令和五年度にかけて劣化状況を調査したとのことであります。
そこで、劣化調査の結果についてお伺いをいたします。
○中井環境改善担当部長 都は、市場施設の主要な建物について、豊洲市場を除く十市場について、令和四年度から令和五年度にかけて劣化度調査を実施いたしました。調査の結果、躯体を保護する屋上の防水や外壁は、ひび割れなどの劣化が進行している部分があり、また鉄骨の上塗り塗装の剥離などがございました。
一方で、新耐震基準後に建設された建物躯体のコンクリートは、十分な強度が確保されており、建物の鉄骨接合部においても、構造性能への影響は確認されなかったということでございます。
また、電気や機械設備は、定期的な点検で早期に不具合を発見し、修繕を行っており、比較的健全な状態でございました。
○かつまた委員 調査の結果によれば、屋上の防水や外壁に一部ひび割れ等があったものの、建物躯体のコンクリートは強度があって、鉄骨も問題ないとのことを確認させていただきました。
市場施設の維持更新は、個々の建物の劣化状況を踏まえ、市場業務への影響を考慮し、進めることが大変重要な取組といえます。また、財政との整合性を図り、市場全体を見ながら、中長期的な視点に基づいて、維持更新計画を策定した上で取り組んでいただきたいことを要望させていただきます。
次に、市場の持続性確保を図るための環境面への取組について質問をいたします。
今夏も酷暑でありましたが、地球温暖化の進行は、都民生活や生物の生態系などにも深刻な影響を及ぼしており、対策を講じなければなりません。市場そのものが大規模な施設であり、電力需要の高い設備が多数あることから、いずれの市場も例外ではなく、ゼロエミッション化の取組を積極的に進めることが重要であります。会派としても、以前からこの問題に対する都の取組を確認してきたところであります。
そこでまず、中央卸売市場がゼロエミッション化に取り組む意義についてお伺いをいたします。
○石井市場政策担当部長 中央卸売市場は、生鮮品等の鮮度保持等の観点から、多くの冷凍、冷蔵設備を設置しており、また競り取引等、深夜や早朝にも業務が行われる市場の特性などから、日々その事業活動に大量の電力を消費してございます。
そのため、中央卸売市場におきましても、重要な社会的責任として、環境負荷の低減を図ることが求められており、ゼロエミッション化に積極的に取り組むことは重要でございます。
○かつまた委員 卸売市場で環境施策を取り組むことの意義について確認をさせていただきました。
市場施設を管理する立場として、ゼロエミッション化は、社会的責任を果たす上で着実に進めていくべきであります。
そこで、中央卸売市場における昨年度のゼロエミッション化の具体的な取組についてお伺いをいたします。
○石井市場政策担当部長 中央卸売市場は、ゼロエミッション化の取組として、施設の維持更新等の機会を捉えた太陽光発電装置の設置等の再生可能エネルギー導入の促進や、照明器具の計画的なLED化などを進めております。
昨年度は、板橋市場の機能強化に向けた基本構想におきまして、太陽光発電設備の設置検討を取組の方向性の一つとして取りまとめました。また、大田市場外三市場の卸売場等の主要な市場施設において、照明器具のLED化更新工事等を実施いたしました。
さらに、昨年度から、専門家による市場業者向けの省エネセミナーや個別診断に取り組んでおり、個別診断では、五市場、九者に対し、専門家が店舗等を訪問し、運用面や設備面で有効な対策などについて助言を行いました。
○かつまた委員 太陽光発電設備の検討や順次照明のLED化に取り組んでいるとのことですが、ゼロエミッション化に向けては、場内の搬送用の小型車両、いわゆるターレやフォークリフトのZEV化をさらに進めていくべきだというふうに考えます。
また、卸売市場における環境対策を着実に進めていくには、開設者である都の取組だけではなく、市場業者個々の省エネへの取組も大変重要となります。そうした観点から、昨年度から実施しているという専門家による省エネセミナーや個別診断は有意義な取組であり、より多くの事業者に活用してもらえるよう、普及拡大に努めていただきたいというふうに考えます。
次に、にぎわい創出や地域との交流についての取組について質問をいたします。
これまで、財政面、施設面、環境面から、市場の持続性確保に向けた取組について質問したところでありますけれども、さらに市場を支えるものとして、地域の理解、協力が必要不可欠であります。市場運営を安定的なものにするには、市場が地域と共生し、周辺住民の皆様から親しまれ、愛されることが重要となってまいります。
そこで、最後に、市場におけるにぎわいの創出と地域との交流について伺います。
まず、二月一日に開業した豊洲千客万来について質問いたします。
私自身も施設を見学させていただきましたが、市場に隣接する強みを生かした新鮮な食材を提供する食楽棟、東京湾を一望できる無料足湯を備えた温浴棟があり、東京の新たな観光スポットとして、国内外から多くの観光客が訪れ、にぎわっておりました。観光客の食べ歩きに適した商品をはじめ、周辺住民等が利用しやすい低価格帯のメニューから高価格帯のメニューまで、多様な楽しみ方を提供する魅力あふれる施設となっておりました。
さらなるにぎわいを生み出すためには、より訪れたくなるような施設にしていく必要がございます。
そこで、豊洲千客万来が、都民をはじめ多くの方が訪れたくなる施設となるよう、運営事業者と都は、どのようにこれまで取り組んできたのかお伺いをいたします。
○東山渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 運営事業者は、都民をはじめ多くの方から訪れたいと思われる施設を目指しまして、各店舗と連携したイベントなど、販売促進活動に取り組んだほか、各店舗でも、ランチメニューや季節限定商品の提供など、来場者満足度向上のための取組を実施いたしました。
都は、にぎわい創出に向けた取組の提案や近隣住民へのイベント等の周知など、様々な面からのサポートを実施いたしました。
○かつまた委員 豊洲千客万来が、将来にわたり、国内外の観光客のみならず、多くの都民が足を運び、豊洲ならではの食の魅力を感じられるよう、都と運営事業者が連携をしながら取組を進めていただきたいことを要望させていただきます。
次に、私の地元大田区にある大田市場について質問をいたします。
大田市場は、青果物、水産物、花きを扱う総合市場であり、特に青果物と花きにおいては、国内最大の取扱量を誇る市場であります。まさに生鮮品等流通の中核を担う我が国を代表する市場であり、東京ドーム八・五個分の広大な敷地の中に所狭しと荷物やトラックが集積して、活発に取引が行われている様子を目の当たりにすると、卸売市場が生鮮品等の流通を支えていることが実感ができます。
しかし、業務関連施設であること、また公共交通機関のアクセスに恵まれていないことから、地元区民であっても、あまりなじみのない施設となっております。
私は、地元区民をはじめ多くの都民の方々から大田市場に訪れてもらえれば、中央卸売市場が果たす役割の重要性を知ってもらえるだけではなく、交流を深めることで地域から愛される市場になれば、地域との結びつきも強固になると考えます。
大田市場が地域から愛される市場になるためには、多くの方々に訪れてもらえる仕掛けが必要ではないかと思いますが、都の見解をお伺いをいたします。
○住野管理部長 中央卸売市場は、生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給するとともに、地域社会との共生など多様な社会的役割を果たしていくことも重要でございます。
大田市場では、多くの都民の方々に訪れていただき、交流を深める取組といたしまして、令和五年度は、四年ぶりに親子見学会を開催し、十一組二十二名の親子の方に、場内見学と併せて、模擬競りや季節の果物の食べ比べ等の体験をしていただきました。
また、花きでは、二十一名の方が参加いたしましたフラワーアレンジメント教室を実施いたしまして、青果の見学コースには、取引時間外でも競りの映像が見られるQRコードを設置いたしました。
さらに、八十二団体、計七千三百十九名の小学生の社会科見学を受け入れ、借り上げバスで来場できるように見学対応用の駐車スペースを設けるなど、情報発信では、地元大田区とも連携しながら、地域貢献にこれまでも積極的に取り組んでいるところでございます。
○かつまた委員 今の答弁がありましたとおり、様々な取組を行っているということでありますが、地域の皆様に親しんでもらえる取組を実施しているということでありますけれども、現状としては、地元大田区民であっても、大田市場を訪れたことがないという方が多いというふうに考えます。大田区においては、区民向けのイベントなどを多数開催しているため、そのような機会をぜひ利用して、区と連携して、市場見学会のようなものを実施してみることも検討していただければというふうに要望いたします。
そして、市場を見学するだけではなく、場内の関連事業者の飲食店で市場の新鮮な食材を味わってもらえれば、市場に対する親しみも深まるのではないかというふうに考えます。
また、交通アクセスが不便だということで、行きたくてもなかなか訪れることができないという意見がございます。交通アクセスを改善する取組も、ぜひ検討していただければというふうに考えます。
本日は、財政面、施設面など様々な観点から、市場の持続性を確保していくために必要な取組について、また実施状況について質問させていただきました。
市場が、将来にわたって基幹インフラとして役割を果たしていけるよう、これまでの取組を着実に進めていくことはもとより、市場を取り巻く環境の変化等を踏まえながら、取組をブラッシュアップしていただくことを要望し、私の質問を終了させていただきます。
○里吉委員 私からも、施設の維持更新と市場のゼロエミッション化について伺っていきたいと思います。
まず、施設の維持更新についてです。
市場施設、多くが高度経済成長期に集中的に整備されていて、建設から四十年以上が経過するなど、施設や設備の老朽化が進んでいます。
私の地元世田谷市場も、十月二十日にお祭りがありまして、五年ぶりに本格的に再開したということで、私も参加してきました。地域の方もたくさん参加されて盛り上がっていましたけれども、やはり施設の老朽化は気になるところです。
世田谷市場は、一九七二年、昭和四十七年に、売場と管理棟が直結する円筒の独特の複合ビルができました。七二年ですから、五十年以上超えています。二〇〇一年に新館ができたり、耐震対策を行ったり、いろいろとしながらですけれども、やっぱりここまで来て、改築を含めた検討が必要になっていると思います。
中央卸売市場経営計画に基づいて、二〇二二年度、二三年度の二か年で、豊洲以外の十市場については劣化度調査が行われて、世田谷市場については昨年度調査していただいたということですが、各市場の状況をどのように把握したのか、劣化度調査の具体的な内容、その結果について伺います。
○中井環境改善担当部長 劣化度調査は、豊洲市場を除く十市場の主要な建物について、屋根や外構、建具等などの現況、コンクリートの強度、電気や機械設備の稼働状況などの調査を行ったものでございます。調査の結果、屋上の防水や外壁は、ひび割れや鉄骨の上塗り塗装の剥離などがございました。
一方で、新耐震基準後に建設された建物躯体のコンクリートは十分な強度が確保されており、建物の鉄骨接合部においても、構造性能への影響は確認されませんでした。
また、電気や機械設備は、定期的な点検で不具合を発見し、修繕を行っており、比較的健全な状態でございました。
○里吉委員 劣化度調査の簡単なご報告、審議会にも出していただいた資料も見せていただきましたけれども、結構というか大分丁寧に、本格的に一つ一つ調査していただいているんだなと、今のご説明も聞いて確認しました。
新耐震基準後に建設された建物は、躯体のコンクリートも十分な強度だということで、構造性能への影響も確認されなかったということだったんですけれども、この新耐震基準が一九八一年以降ですから、世田谷市場のように七二年完成というところは、やはり改築の必要があるのではないかと思いました。
この結果を受けて、維持更新計画がどのように進められるのか、改めて伺います。
○中井環境改善担当部長 調査の結果を踏まえまして、建物ごとに改修や建て替え等の方針を決定し、維持更新計画を策定することとしております。
○里吉委員 継続的に維持更新計画で進める建物と改築等を進める建物に分類して、建物ごとに維持更新計画を策定するということだと思うんですね。建築から五十年以上経過しているもの、世田谷市場の中央棟もそうですが、資料を見ましたら八棟ありました。改築する場合も、皆さんの資料の中にも、市場の中でも計画、検討されているようですけれども、長寿命化改修も検討しているということを伺っております。環境の面からも、長寿命化できるものは、ぜひそういうふうに進めていただきたいと思います。
改築という点では、現在進んでいる淀橋市場の拡張整備事業についても確認しておきたいと思います。
東京都は、建物を改築するときに、ゼロエミッション都庁行動計画で都有建築物のゼロエミッション化を目指しています。この目標に向けて、ZEB化を目指すということで、財務局の方で、省エネ・再エネ東京仕様というのがつくられておりまして、これが二〇二三年一月に改定しています。
淀橋市場の拡張整備、総合事務所棟の建て替えの実施設計計画が昨年度と聞いておりますけれども、この二〇二三年一月に改定した新しい省エネ・再エネ東京仕様の水準でZEB化を目指すものになっているのかどうか伺います。
○中井環境改善担当部長 淀橋市場の新総合事務所棟は、省エネ・再エネ東京仕様に基づき実施設計を行っております。具体的には、外壁断熱、複層ガラスなどの熱負荷の抑制や、LED照明、高効率空調設備などの設備システムの効率化及び太陽光発電設備を屋上部分に最大限設置するなど、省エネ化等を図っております。
○里吉委員 省エネ・再エネ東京仕様、今の水準で、外壁断熱や複層ガラスなど、環境性能の高いものを取り入れているということでした。
この財務局策定の省エネ・再エネ東京仕様は、実は二〇二〇年にも改定しているんです。それがもう二〇二三年一月にまた改定ということで、環境性能の高いものが次々出てきますし、技術も進歩しているということで、どこまでやるかといいますか、どの時点で最新のものを選ぶかということもありまして、なかなかここが難しいところだと、環境局の方でもそういう話は聞いたことがありますけれども、ただ最大限、ぜひ最新のものを使っていただきたいと思うんです。
今、ご答弁の中に、最大限努力するという言葉はあったんです。例えば、太陽光パネル設置など、最大限設置するというお話あったんですけれども、ZEB化を目指すものになっているかということには、はっきりとしたお答えがなかったんです。
建物を支える構造躯体の部分は東京都の責任だけれども、建物の中は市場業者の皆さんが担当する部分もあるということで、全体として、建物全体でZEB化するというのは、東京都だけの努力ではできないということだと思うんですけれども、次のテーマでも具体的に質疑しますけれども、市場業者の方にもぜひ一緒に取り組んでいただいて、ZEB化を目指していただきたいんです。
既に皆さんの取組の中では、ゼロエミッション化の必要性や取組についても、いろいろと知っていただくセミナーや相談会や専門家による省エネ診断を始めていたり、それから、経営強靱化推進事業補助金で、省エネ対策、空調機などの更新やLED化などの五分の四補助ですか、頑張ってこういうものも取り組んでいるわけですから、ぜひ市場業者の皆さんにも一緒に取り組んでいただいて、全体としてZEB化を目指すということで、ぜひ取組を進めていただきたいということで、要望しておきます。
次に、具体的な市場のゼロエミッション化について伺ってまいります。
皆さんの経営計画、環境問題の取組として、市場のゼロエミッション化の目標は、二〇四〇年代の目指すべき姿が書かれておりまして、中央卸売市場では、電力を大量に消費する施設や設備が多いため、再生可能エネルギーの電力調達や省エネ対策の推進、市場業者の小型特殊自動車のZEV化推進などの取組を進めるとしております。これに基づいて幾つか伺っていきたいと思います。
まず、冷蔵庫、冷凍、冷却装置など、市場に欠かせない機器の省エネ対策についてです。
都では、都内の温室効果ガス排出量の約一割を占めるフロン排出量の削減に向けて、様々な取組が行われています。この観点で、市場業者が冷蔵庫設備などを省エネ型のグリーン冷媒等に替える大事な取組だと思うんですけれども、この補助金で支援する事業、二〇二二年度から、令和四年度から実施しているということですが、改めて本事業の目的と昨年度の実績について伺います。
○石井市場政策担当部長 都は、市場業者における省エネ型グリーン冷媒機器の普及を促進するため、省エネ型グリーン冷媒機器普及促進事業補助金を令和四年度から実施してございます。令和五年度は補助率を三分の一から二分の一に見直しました。
補助実績は三十九件、約一千三百万円でございます。
○里吉委員 三十九件、これ、五十二台だそうですが、一千三百万の実績ということでした。始まって一年で補助率も上げて、実際使われ始めたということで、大事な取組だと思います。
買い替えのとき、確実に冷媒にフロンを使用しない機器に替えるように、ぜひ情報提供なども進めてほしいというふうに思います。ほかに使える制度がないかなども含めて、ぜひ取組を進めていただきたいと思います。
それから、東京都が設置した冷蔵庫設備等についても、計画的にグリーン冷媒等を使用する機器の更新をしていく必要があると思いますが、昨年度の実績と、何年までに全て更新する計画なのか、併せて伺います。
○中井環境改善担当部長 令和五年度は、食肉市場市場棟の北側及び南側冷蔵庫四室で冷蔵庫の更新が完了し、さらに北側の三室で更新工事に着手いたしました。
また、板橋市場第二低温倉庫及び葛西市場西側の花き定温倉庫の更新工事に着手いたしました。
中央卸売市場では、これまでも経営計画に基づき、冷媒に特定フロンが使用されているものについては、特定フロンに替わる冷媒を使用した設備となるよう計画的に更新を行っております。
○里吉委員 いつまでにというのは特にお答えなかったんですけれども、計画的に更新しているということでしたので、前倒しできるものはないかなども常に検討して、確実に取り組んでいただきたいと思います。
次に、照明器具のLED化について伺います。
これも、私、前回、この委員会で質問したときにも取り上げたんですけれども、なかなか進まなかったんですね、当時、三年前か四年前、質疑したときに。
照明器具のLED化に当たっては、東京都が計画的に整備を行う部分と市場業者の皆さんの取組を促すものとありまして、市場業者の皆さんの取組を進めるためには補助制度があるということでした。
まず、昨年度の東京都による整備実績と市場業者の皆さんへの補助実績、それぞれ伺いたいと思います。
○石井市場政策担当部長 令和五年度は、大田市場などにおきまして照明器具のLED化工事を実施いたしました。これにより、卸売場など主要な市場施設における令和五年度末のLED化率は約七九%となりました。
また、中央卸売市場経営強靱化推進事業により、市場業者が売場などにおける照明器具をLEDに交換する取組を支援してございまして、令和五年度は十九業者に対し支援いたしました。
○里吉委員 東京都の責任で整備する部分約七九%と、細かい数字でちゃんと把握しているのだなというふうに思いましたけれども、ここまで進んでいるわけですから、早急に、残っているところが大変だと思いますけれども、取り組んでいただきたいということです。
それから、先ほどもいいましたけれども、市場業者の皆さんが持っている部分は、やっぱり継続的に普及啓発、相談、支援、これを丁寧に行うしかないと思いますので、そこは、ぜひ皆さん、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、小型特殊車両のZEV化を推進するための充電設備の整備ですけれども、これも、これまでの実績について伺います。
○石井市場政策担当部長 市場内で使用されるフォークリフト等の小型特殊自動車のZEV化を推進するため、これまで大田市場などにおいて充電設備を整備してございます。
○里吉委員 聞きましたら、結構小型特殊車両のZEV化は進んでいて、充電設備もそれなりにあると伺ったんですけれども、今の新しい計画で、昨年度から何年かかけて、また充電設備を増やしていこうということが書かれていました。
市場内を走る小型特殊自動車ですから、市場内に充電設備を増やしていかないと、新たなZEV化は進まないということだと思うんです。ぜひ、場所の確保が大変だと伺っていますので、市場業者の皆さんともよく協議して進めていただきたいと思います。
最後に、再エネです。
経営計画では、二〇四〇年代の目指すべき姿として、全ての中央卸売市場において、再生可能エネルギー一〇〇%により、電力が調達されていますというふうに、ここにはっきりと書いてあるんです。
そこでまず、太陽光パネル設置について伺いたいと思うんですが、これまでの整備状況、設置年度も含めて伺います。
○石井市場政策担当部長 都は、市場施設の維持更新等の機会を捉えて太陽光発電設備の整備を進めており、平成十三年度に世田谷市場、平成二十二年度に北足立市場、平成二十五年度に食肉市場、平成二十八年度に豊洲市場において設置してきました。
○里吉委員 今まで四か所設置したということで、ただ、世田谷市場の太陽光パネルは現在はありませんので、今三か所と。最後の設置が豊洲市場ということで、これは、一番最初に伺った建物の老朽化と多分リンクする話だと思うんですが、なかなか設置する場所がないと。それから、既存施設の場合は屋根に荷重がかかったり、市場の場合は屋根が駐車場だったりして、対象となるところがなかなか見つからないという話も伺いました。
なので、今後の大規模改修や改築の際に最大限設置するということになると思うんですけれども、それでは全ての電気を再エネで調達というわけにはいかないということで、外から調達してくることも含めて検討する必要があるのではないかと思いますが、再生可能エネルギー一〇〇%の電力調達に向けてはどのような取組を行っていくのか、きたのか、伺いたいと思います。
○石井市場政策担当部長 都は、市場業者との調整を図りながら、太陽光発電設備の設置など、再生可能エネルギーによる電力調達を鋭意進めてございます。
○里吉委員 その太陽光発電設備の設置などの、などの部分を聞きたかったんですけれども、なかなかお答えが出てこないということで、太陽光発電設備は、ぜひ最大限つけていただきたいと思いますが、なかなか一気に全部の建物を改築するのは難しいと思いますので、計画的に増やすしかないと思います。
この問題は、本当に待ったなしの問題なので、市場の屋根だけを考えて、太陽光発電だけを考えて、再エネ一〇〇%というのはなかなか大変なのではないかなと思いますので、ぜひここはいろいろ検討していただいて、対策を進めていただきたいということを申し上げまして、本日はこれで質問を終わりたいと思います。
○西沢委員 私からも、ちょっと同じようなテーマが、今日も質疑が既にありますが、それはそれで、こちらの視点から質問させていただきたいと思います。
市場取引を推進するという観点から、まず最初に、大田市場についてお伺いをいたします。
大田市場は、青果や花きの市場としての全国拠点型施設の一つでありまして、水産物市場としても、流通の供給拠点、都内の生鮮物を届ける重要拠点となっているわけであります。
一方で、開場してから、加工、荷さばき棟以外の建物は三十年以上が経過をしております。近年、改修が進められているわけでありますが、今後も使い続けられるように計画的整備を図っていく必要があります。
大田市場では、設備の更新や屋上防水などの工事が実施されているというようなことでありますが、令和五年はどのように取り組んだのでしょうか。まずお伺いしたいと思います。
○中井環境改善担当部長 令和五年度は、青果棟の屋上駐車場の防水改修工事や、青果棟及び花き物流棟の照明器具交換工事、水産棟高圧変電設備改修工事、立体駐車場棟シャッター改修工事など、市場業務への影響を配慮しながら行いました。
○西沢委員 ご答弁いただいたことに加えて、花き棟の屋上防水も必要ではないかと考えるわけでありますが、どのように認識されているのかお伺いしたいと思います。
○中井環境改善担当部長 令和四年度に実施した劣化度調査において、大田市場の花き棟の屋上防水については、防水仕上げの標準的な耐用年数を超えており、改修の検討を推奨するとの結果であったことから、今後、順次進める改修の対象としております。
○西沢委員 市場業務に影響が出ないように取り組まれているということで、改修を進めていっていただきたいというように考えるわけであります。
次に、防災対策の必要性について伺いたいと思います。
令和四年度に都が劣化調査を実施したことから、市場関係者から、この市場の安心・安全に関する声が上がっているわけであります。
そこで、お伺いしたところ、大田は新耐震基準で建設されているために、建物の耐震性には問題がないということでありました。安心・安全を確保された中で市場取引を推進する必要があるというわけでありますが、大規模震災など発災時の対応について、卸売市場ではどう取り組むのかお伺いしたいと思います。
○住野管理部長 災害対策マニュアルにおいては、大規模地震など災害が発生した際には、当局の職員等ができるだけ速やかに初動態勢を確立し、現場での対応を行うこととしております。
また、既に策定しております事業継続計画につきまして、令和五年度は、近年激甚化する風水害リスクを踏まえ、事業継続計画の改定を進めております。
○西沢委員 生産地の風水害によって流通が滞ることもあります。都内での災害だけでなく、生産地での災害も考慮して、市場取引の維持、推進を求めるものであります。
大田市場においては、物流の二〇二四年問題に対応するためにも様々な手法で場内物流のスピードアップを図り、トラックドライバーの場内滞留時間を短縮してきました。しかし、市場における設計当初の想定取扱量を大幅に超えて、場内の狭隘化が進むことから、さらなる場内物流の効率化を図ることが求められているとのことであります。
最近では、複数の事業者が連携し、進めている全国初の場内物流管理システム構想のめどが立ってきたということでありますが、そのためには、全国から集まるトラックドライバーはじめ不特定多数の方々が低廉にアクセスできる通信基盤としてのWi-Fi環境の整備が必要不可欠であります。
こうした物流の効率化や機能強化の取組、ITなどを使った取組を、どう都が受け止め、取り組んできたのかお伺いしたいと思います。
○石井市場政策担当部長 大田市場は、青果物や花きなどの生鮮品等流通における中核的な役割を担っておりますが、狭隘化した敷地においての場内物流の効率化が課題でございます。
そのため、卸売業者において、市場関係者が荷物の引取り場所をオンラインで把握できるシステム開発を進めており、都は、本システムの効果的な運用など、市場業者が物流効率化に取り組みやすい環境を整えるため、昨年度から、周回道路等を中心にWi-Fi整備に着手いたしました。
○西沢委員 事業者の皆さんの意見を受け止め、場内物流の効率化、また、事業者の皆さんの働き方にも資する取組を行っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
次に、淀橋市場について伺います。
淀橋市場は、私の地元にも近くて、青果物流の供給拠点として長年機能してまいりました。それは、数々の小売店や量販店からのニーズを踏まえたもので、販売機能や加工機能が引き続き期待をされております。
一方で、淀橋市場の主要建物については、経過年数が、新仲卸業者売場棟以外は四十年を超すものとなっており、老朽化への対応に迫られております。
都においても、令和四年度に基本設計を行っておりますが、令和五年度の淀橋市場の整備に関して、どのような取組が行われたのかお伺いをします。
○石井市場政策担当部長 淀橋市場では、施設の老朽化対策に合わせ、狭隘な敷地を有効活用するための拡張整備事業を推進しており、令和五年度は、総合事務所棟の建て替えに向け、建物の構造や諸設備の詳細な設計を行う実施設計を実施いたしました。
○西沢委員 新たな施設の整備に、引き続き取り組まれることを求めたいというふうに思います。
淀橋市場は、新宿の都心部に立地するために、取扱量に対して敷地が狭いということでありますけれども、改めて、淀橋市場の特徴と課題の認識についてお伺いしたいというふうに思います。
○石井市場政策担当部長 淀橋市場は、繁華街を有する新宿区に立地しており、地域の青果物供給拠点として、都の中央卸売市場の中では、大田市場、豊洲市場に次いで三番目に青果物の取扱数量が多い市場でございます。
一方で、他市場に比べて敷地が狭いことから、敷地の有効活用が課題となってございます。
○西沢委員 昨年の一日当たりの取扱数量は七百五十七トンであり、敷地の有効活用が課題だということでございます。
現状に基づいて、卸売場の拡張の必要があると考えるわけでありますが、実施設計ではどのように取り組むこととしているのかお伺いしたいと思います。
○石井市場政策担当部長 淀橋市場の拡張整備事業では、現在、待機駐車場として使用している場所に五階建ての総合事務所棟を新設することとしております。
実施設計におきまして、現在、業界のニーズを踏まえ、新設する総合事務所棟の一階に卸売場を、二階に加工、パッケージ等を行うための低温管理が可能なエリアを整備することといたしました。
○西沢委員 新たに加工、パッケージに使用できるエリアもできるということであります。改めて取組を進めていただきたいというように思います。
淀橋市場においても、物流の効率化や機能強化の取組、ITなどを使った取組が進む必要があるというように考えるわけでありますが、この辺についても、どのように取り組んできたのかお伺いしたいというふうに思います。
○石井市場政策担当部長 都は、淀橋市場拡張整備事業に合わせ、自動搬送等の先端技術を活用した市場物流イノベーション実証事業を推進しており、昨年度は、本事業により、市場業者が施工する自動立体冷蔵倉庫の実施設計に係る費用の一部を補助いたしました。
○西沢委員 淀橋市場は、周辺の開発に伴って、住宅地に囲まれた配置となっております。長年、市場は立体的に増築するなど、取扱数量の増加に対応してきました。
そこで、引き続き、拡張整備、物流の効率化などの必要な取組を進めるとともに、都民への生鮮物の提供、市場取引の推進に尽力していただくことを求めまして、質問を終わります。
○磯山委員 先ほど、我が会派の吉住委員より、令和五年度決算の概要等について確認をさせていただいたところであります。
そこで、私からは、個別の重要テーマについて、昨年度の取組を確認していきます。
まず、市場業者の経営支援について伺います。
令和二年一月に国内で初の新型コロナウイルス感染者が確認されて以降、昨年五月に五類に移行するまで、この間、我々は感染拡大防止に取り組んでまいりました。
市場業者の皆様は、約三年にわたって続いたコロナ禍にあっても、物流を止めることなく、都民に生鮮食料品等が行き届くよう、日々ご尽力されてきました。この努力に改めて感謝を申し上げます。
一方で、昨今の原油や原材料価格の上昇に加え、円安の影響等により、物価高騰は長期化の様相を呈しております。市場業者を取り巻く経営環境は、一段と厳しさを増しているといえると思います。そのような厳しい環境の中においても、市場業者の皆様は日々の市場業務に邁進をしてくださっております。
そこで、長引く物価高騰の影響などにより、依然として厳しい経営環境の中で、都は、市場業者に対してどのような支援を行ってきたのか伺います。
○大谷事業部長 中央卸売市場の運営を持続可能なものとしていくためには、取引を担う市場業者が、昨今の社会経済情勢の変化を踏まえた経営革新につながる自律的な取組により、経営の安定化を図っていくことが重要でございます。
そのため、都は、中央卸売市場経営強靱化推進事業により、市場業者の行動変革に向けた取組等に対し、必要な経費の一部を補助するとともに、中小企業の専門家等と連携した各場への定期的な訪問相談を通じ、個々の市場業者が抱える経営課題や補助事業を活用した取組等に対し、専門的な知見による助言等を行いました。
また、都が主催する経営セミナーを通じ、法改正等の動向や対応事例などについて財務や法律の専門家等による情報発信を行い、昨年度のセミナーでは、長引く物価高騰などの影響を踏まえた商品価格の見直しについて取り上げ、法律の専門家が価格見直しの必要性や国の取組などについて紹介いたしました。
○磯山委員 都は、市場業者をしっかりと支援していることが分かりました。
市場流通を支える事業者が個々の経営課題に向き合い、実情に合った対応策を着実に実行できるよう、都は、専門家と緊密な連携を図り、効果的な支援策の実施に引き続き取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、中央卸売市場経営強靱化推進事業について伺います。
昨年度の本委員会において、中央卸売市場経営強靱化推進事業における令和四年度の実績について、我が会派の質問に対し、都からは、執行率は約四四・四%との答弁があり、その執行率の低さを指摘した上で、市場業者にとって、より使いやすい制度となるよう、補助事業の課題をしっかりと分析し、必要に応じて事業の拡充等を図ることを要望してきたところであります。
そこで、中央卸売市場経営強靱化推進事業の令和五年度の実績について、執行率も含めて伺います。
○大谷事業部長 中央卸売市場経営強靱化推進事業が、利用者にとって使い勝手のよい制度となるよう、都は、経営相談等の様々な機会を捉えて、市場業者と意見交換を積み重ね、現場の声やニーズの把握に努めてまいりました。
これらを踏まえ、令和五年度は、デジタル技術を活用した取組に要する経費を対象とした補助区分を新設し、申請手続を簡素化するとともに、第三者認証の取得において会計年度をまたいだ取組も対象とするなど、制度の見直しを図りました。
具体的な支援といたしましては、令和六年一月に施行された電子帳簿保存法に対応するため、基幹システムの改修に向けた取組等を支援するとともに、生態系や資源の持続性に配慮した水産エコラベルの認証取得等に対して支援を行いました。
また、補助事業の利便性を広く周知するため、市場業者向けのセミナーや情報誌などにおいて制度内容や補助金の活用事例を紹介するなど、機運の醸成を図っております。
こうした取組により、令和五年度は、全十一市場において計百十八件の取組に対して支援を行い、交付額については約二億二千九百万円となり、執行率は四五・八%でございました。
○磯山委員 都は、市場業者の声を取り入れ、制度の見直しを図ったということでありますが、こうした利用者の使い勝手のよさを追求することは、事業の活用促進には重要であります。また、より多くの方にご利用いただけるよう、個別にニーズを掘り起こしながら、プッシュ型で支援を提供していくことも有効であると考えます。
昨今の厳しい経営環境の中、市場業者の方々には、この経営強靱化推進事業をぜひご活用いただき、経営の安定化につなげていただきたいと思います。
さりとて、五年度も一・四%上がったとはいえ、もっとよくなる中央卸売市場ということで、今後も補助事業の課題をしっかりと分析をしていただき、必要に応じ制度を見直し、利用者の反応を検証した上で、さらに改善につなげていただく、いわゆるPDCAサイクルを着実に実行し、より多くの市場業者にご利用いただけるよう、さらなる執行率の向上も含め、しっかり取り組んでいただくことを要望させていただきます。
そこで、経営強靱化推進事業における、令和五年度実績を踏まえた都の課題認識について伺います。
○大谷事業部長 市場業者による経営基盤の強化につながる自律的な取組を経営強靱化推進事業を通じて下支えしていくことにより、市場の活性化を図っていくことは重要でございます。
これまで、経営の専門家による訪問相談の場などを活用して、市場業者から補助事業に関する課題やニーズの聞き取り等を行っておりますが、その中において、他の補助区分も申請手続を簡素化して申請しやすくしてほしい、同一の補助区分で一度しか申請できないのは使い勝手が悪いとの意見をいただいております。
都は、補助事業が市場業者の経営の安定化に資する実効性のあるものとなるよう、こうした市場業者の声を制度に反映させるとともに、さらなる活用の促進を図るため、引き続き周知に努めてまいります。
○磯山委員 それでは、引き続き、継続的によい制度になるよう取り組むことを要望し、次の質問に移ります。
物流対策についてです。
今年四月から、ドライバーの労働時間の上限規制を強化する改正法が施行され、いわゆる物流二〇二四年問題として、今後、輸送力の低下による輸送コストの上昇や配送時間の延長などが深刻化していくことが懸念されています。
卸売市場は、生鮮品等を産地から消費者に送り届ける中間拠点として、円滑な流通を実現する重要な役割を担っており、物流問題により生鮮品等の流通に支障を来すことがないように対策が必要であり、我が会派は、昨年度から、卸売市場における物流対策の重要性について訴えてまいりました。
そこで、卸売市場が物流対策に取り組む意義について、改めて伺います。
○石井市場政策担当部長 トラックによる輸送が大半を占める生鮮品等流通におきまして、その物流の担い手であるトラックドライバーは欠かせない存在であり、ドライバー不足により輸送力の低下が懸念される中、物流対策は中央卸売市場においても喫緊に取り組むべき課題でございます。
そのため、都は、中央卸売市場が生鮮品等を安定的に供給する基幹的なインフラとしての役割を将来にわたって果たすことができるよう、市場業者と連携し、場内におけるドライバーの荷待ち時間の短縮や商品の積卸しに係る手荷役作業の負担軽減など、市場における物流効率化に積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
○磯山委員 現在は、市場業者の工夫や対策もあり、生鮮食料品等の流通が滞るような事態は生じていないと認識をしていますが、日々の取引現場では、遠方の産地からの荷物が到着するのにこれまでより時間を要したりすることや、産地が効率的に荷物を運ぶため出荷先を絞り込もうとする動きがあるなど、今後、徐々に影響が出るのではないかといった懸念もあります。
また、今の答弁にもありましたが、卸売市場においては、場内混雑によりトラックの待機時間が長い、手荷役作業が多く、ドライバーの負担になっているといった課題もあり、物流改善に向けて取り組むことは急務であります。
そこで、卸売市場における、昨年度の物流対策の取組状況について伺います。
○石井市場政策担当部長 物流の高度化、効率化につきましては、経営計画においても重点的な取組として掲げており、昨年度は、青果物を扱う九市場において、場内物流改善に向けて都と市場業者とで検討体制を構築し、パレット標準化に向けた国や市場業界の動向等の情報共有や場内ルールの検討などを実施いたしました。
また、淀橋市場におきましては、自動立体冷蔵倉庫の整備と合わせて、自動搬送などの先端技術を活用した場内物流の改善に向けた実証事業に業界と連携して取り組みますとともに、板橋市場におきまして、広域的な物流拠点としての機能強化に向けた基本構想を策定するなど、施設整備を契機に場内物流の効率化を図る取組を推進いたしました。
○磯山委員 都では、昨年度から物流効率化を図る取組を進めていますが、ドライバーの労働時間の上限規制等の施行を目前に控えた今年の第一回都議会定例会において、物流対策コンサルティング事業と大田市場通信基盤整備事業の二つの事業を最終補正予算として計上しています。
それでは、これら二つの事業についての取組状況について伺います。
○石井市場政策担当部長 中央卸売市場では、物流対策に取り組む市場業者が物流二〇二四年問題に対して迅速な対応を図れるよう、令和五年度予算の最終補正に物流対策コンサルティング事業等を計上いたしました。特に、場内の狭隘化が進む大田市場では、場内物流の改善のため、ICT技術を活用した商品の荷置場案内サービスの共同開発を検討している青果物の卸売業者に対して、物流対策コンサルティング事業により専門家を派遣し、多くの関係者が利用することを踏まえた情報セキュリティ対策等について助言を行いました。
また、荷置場案内サービスの利便性を高めるため、大田市場通信基盤整備事業により、場内のWi-Fi整備に向け、先行整備エリアの電源設備工事の設計に着手いたしました。
○磯山委員 どちらの事業も、物流対策が喫緊の課題であることを踏まえて、補正予算により早期着手を図っているとのことでありますが、スタートダッシュだけで気を緩めることなく、物流効率化に向けて、今後も着実に事業を進めていっていただきたいと思います。
最後に、喫煙対策について伺います。
中央卸売市場では、多くの市場関係者が日々出入りをしており、関係者の労働環境の面からも良好な市場内の環境を確保するために、受動喫煙防止の取組は重要です。現状では、指定された喫煙場所以外での喫煙は禁止されていますが、残念ながら、トイレ内など喫煙場所以外での喫煙やポイ捨てなどがなくなっていないと現場からは伺っております。
そのため、我が会派は、違反喫煙の抑止効果を高めるとともに、火災予防の観点も含めて、煙探知機の設置等を要望してまいりました。
受動喫煙対策に向けた、これまでの取組について伺います。
○石井市場政策担当部長 中央卸売市場における指定喫煙所につきましては、原則屋内及び売場を除く屋外に設置することとし、屋内に設置する場合には、法令や条例で定める基準を満たした措置を講じることとしております。
また、施設使用者である市場業者との意見交換なども踏まえ、屋外であっても、受動喫煙のおそれが高い喫煙所は廃止するなどの見直しを適宜行っております。
さらに、喫煙ルールの遵守に向けまして、市場業者に十分な周知を行うとともに、警備員による巡回等の機会も活用し、違反者には口頭注意や警告書等の対応を行うなど、必要な対策を講じております。
ソフト面の取組だけでなく、喫煙所以外での喫煙の抑止に向けた実効性ある対応といたしまして、令和五年度は、都は、大田市場事務棟トイレ改修設計におきまして、喫煙対策に特化した炎監視センサーの設置を設計に反映してございます。また、足立市場卸売場本館のトイレには、警報器を設置いたしました。
○磯山委員 現場の市場業者には、喫煙ルールを継続的に周知するとともに、煙探知機の設置などのハード面の取組を徹底し、市場における喫煙の対策、受動喫煙防止であり、吸いたい人には吸える環境をきちんと提供するという、そういう取組を行っていただきたいなと思います。
本日の質疑では、令和五年度中央卸売市場会計決算の審査に当たり、市場取引の担い手である市場業者の目線で、物価高騰の長期化や物流二〇二四年問題といった市場を取り巻く環境変化への対応、さらには喫煙対策を取り上げ、現場で生じている課題の対応状況について確認をいたしました。
中央卸売市場が、卸売市場を取り巻く環境変化や求められるニーズに的確に対応し、経営計画に掲げた取組を着実に推進していくことで、生鮮食料品等を安定供給する役割を引き続きしっかりと果たしていくことを求めまして、私の質問を終わります。
○ほっち委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時一分休憩
午後三時十五分開議
○ほっち委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原田委員 築地市場から豊洲に移転して六年がたちました。コロナ禍の混乱を乗り越え、制限のない飲食店の営業が一年を通して継続した二〇二三年度は、いよいよ豊洲移転の真価が問われることになった年であると考えます。
二〇二三年度決算審議の機会に、豊洲移転の実態を総括するつもりで質疑をいたします。
まず、豊洲移転を問う前に、改めて築地とは何だったのかというのを振り返らなければいけないなというふうに思っているんです。築地市場は、都心にある市場として親しまれ、東京の食文化を支えてきました。取引品目、取引量は日本で一番であることはもちろん、世界最大の市場であったことも知られています。よく銀座の一等地に市場があるといわれてきましたが、築地があったからこその銀座であり、築地があることで、銀座の、東京の食文化が育まれてきました。
生産者から生産物を受け取り、競りに出す役割の卸、目利きといわれる仲卸たちが競り落としていきます。築地という大きな水産市場での競りは、日本の水産物の建値としての役割を有しました。築地の値段が、その商品、生産物の相場をつくっていく。品物は、運送業者や買い出し人によって午前中のうちにお店に届くという高い機能性。製氷会社もあり、商品が傷むことはありませんし、海水による場内の石畳の清掃は、消毒の機能をも持っていました。
また、四年に一度の店舗替えのくじ引というのがありまして、これは、仲卸が店舗を構える場所によって売上げが違ったりするため、四年に一度行われていましたが、店舗の拡大や縮小の契機ともなり、市場の活性化にとって重要でした。かつ、四年に一度、全ての仲卸が店舗をつくり替えるため、抜本的な清掃の効果も持っていました。
かつて、市場には大量輸送を担う鉄道が敷かれており、その線路が描くアールに張り付くように、競り場、仲卸店舗がびっしりと吸いつき、扇の要のような場所に買荷置場があります。仲卸が置場に荷物を置くだけで、各仲卸お得意の輸送業者があっという間にそれぞれの配達先へ持っていってくれるという、驚くべき流通システムが形成されていました。
その流通システムがつくり出した独特の機能美は、産業遺産としての価値も高く、日本イコモス国内委員会が日本の二十世紀遺産二十選に選定するなど、その保全を強く求めていました。
知の巨人といわれた世界的に著名なフランスの人類学者レヴィ・ストロース、構造主義をつくった人といわれていますよね。二〇一七年「現代思想」による築地市場特集に対して、市場についてと題したインタビュー記事を載せています。築地は本当にすばらしいところです、私は忘れられない、全く夢のような日本の思い出です、物の豊富さといい、その多様性といい、並べ方の美しさといい、私にとっては世界の博物館全てに匹敵します、惜しみない賛辞を贈っていました。
この築地を、豊洲移転ありきで強引に進めてきたのが東京都です。当時の石原慎太郎知事は、古い、狭い、危ないとレッテルを貼り、トップダウンで豊洲移転を強行し始めました。二〇〇四年以来十三年間にわたって、さっき紹介した四年に一度のくじ引一斉店舗替えを行わず、行わなくなっちゃって、営業や活気、衛生面など、様々な市場機能に傷をつけました。増え出したネズミの駆除も大して行わないなど、将来の市場移転を理由に放置状態が続き、心理的に業者を追い込むような、そんな仕打ちでした。
豊洲新市場基本計画には、現市場は施設の老朽化、場内の狭隘化が進み、都民の期待や時代の要請に十分応えられない状況になっていると指摘をされていますが、そうした状況をあえてその十数年間でつくっているかのようでした。
こうした築地を強引に潰してまで、六千億円もの費用をかけて建設した豊洲新市場が現在どのような状況にあるのか問われますし、しっかりと総括しなければなりません。
本決算審議の当該年度は、開場から五年たち、かつ一年間を通してコロナによる営業自粛もなく、東京の経済が動き続けた年度となりましたので、築地市場から豊洲への動きを比較することがやっとできるようになった年といえます。
そこで、築地と豊洲の水産物取扱量の違いを確認したところ、大変驚いたので、お聞きします。
当該年度の取扱数量を確認すると二十九万五千トンであり、これは築地時代の二〇一七年三十八万五千トンから実に九万トンも減ってしまいました。取扱数量が減っていることの原因について、市場としての総括をお聞かせください。
○大谷事業部長 豊洲市場における水産物の取扱数量の減少は、海洋環境の変化や漁業就業者の減少等による漁獲量の減少、流通チャネルの多元化などの要因によるものと考えております。
○原田委員 今の答弁は、気候変動による漁獲量の減少や、生産者から消費者に直接届けられる流通システムの構築など、そうした流通チャネルの多元化が取扱量の減少につながっているんだというものでした。確かに、そういう側面もあるんでしょうけれども、だとすれば、こんなたった数年でここまで取扱量は落ちません。
確かに、気候変動の点でいうと、黒潮大蛇行、この数年の極めて大きな変化ですが、豊洲には全国から海産物が届くわけで、それも取扱量の減少の全てを物語れません。大体、市場ごとの取扱数量、金額を前年度と比較したデータがありますけれども、それを見ると、明らかに豊洲市場は低い値を示しています。つまり、豊洲だけ激減したんです。取扱量の減少に、豊洲への移転要因というものがなかったのか問われるわけです。先ほどの答弁にはそれが一つもなかった。
そもそも、そうした気候変動や流通チャネルの変化を考慮した上で、老朽化の解消や場内狭隘化の改善、都民ニーズに応えるという豊洲移転によって、事業計画では、豊洲移転後には年間取扱量六十一・六万トンという目標値を市場当局は持っていたわけですよ。もう豊洲に移ることによって、これまでのいろんな問題が全部解消して六十一・六万トンに、今回二十九・五万トンですけれども、増えるんだといっていたわけです。それが、半分以下の二十九・五万トンに激減したわけです。その総括としてはあまりに貧弱な答弁、貧弱な分析だと思います。
もうちょっと踏み込んでお聞きしたいと思います。
当該年度の豊洲市場単体での経常損益は幾らになるのか、減価償却費を抜いた償却前収支でどれだけの損益が出ているのか示してください。また、その主因についても、都の見解をお示しください。
○高橋財政調整担当部長 中央卸売市場会計は、都内十一の中央卸売市場全体に係る経費を全市場の収入で賄うという考え方で成り立っております。
○原田委員 今のは驚くべき答弁だと思うんですよ。六千億円近くの経費をかけた豊洲新市場について、今の答弁は、豊洲単体での黒字、赤字の考え方を持っていないんだと、都内十一の市場全体で見るんだという答弁ですよ。これでは、市場移転のまともな総括できないじゃありませんか。
ならばお聞きしますけれども、当該年度、東京都は、包括外部監査結果報告書、中央卸売市場の事業に関する事務の執行及び経営管理についてを公表しています。先ほども質問に出てまいりました。食品関係の専門誌、卸売関係の専門誌である日刊食料新聞が、同報告書を連載特集していますけれども、興味深い記事を掲載しています。
食料新聞は、今年二月十六日付で、都の内部資料である市場別の損益計算書という資料を示した上で、二〇二二年度の豊洲市場のランニングコストが大田市場の四倍になると指摘しているわけです。
当該年度で見た場合、両者のランニングコストは幾らになるのかお示しください。豊洲市場のランニングコストが、大田市場と比べて極めて高くなっている理由についてお示しください。
○高橋財政調整担当部長 令和五年度に豊洲市場が支出した委託料及び光熱水費は約六十二億円であり、大田市場が支出した委託料及び光熱水費は約十四億円でございます。
令和五年度包括外部監査の結果報告書によれば、豊洲市場が他市場に比べて費用が大きいのは、豊洲市場が閉鎖型施設であり、温度管理のために光熱水費がかかることや、見学者スペースなどの共用部分が多く、清掃や警備等の委託範囲が広いことが要因ではないかと記載されております。
○原田委員 あるわけじゃないですか。先ほど十一の市場で見るので、ないみたいな話をしていましたけれども。
市場別の損益計算、包括外部監査には資料を提出していて、なぜ都議会各会派が集まる委員会には、その存在、素直に出せないのか。十一市場全体で見ているので個別の市場の損益を出していないなんて、さっきの答弁は一体何だったのか問われます。
それにしても、今の答弁は興味深いものです。まず、大田市場と豊洲には、日刊食料新聞が指摘したように六十二億円と十四億円、四倍のランニングコストがかかっていることを認めました。さらに、その原因は、閉鎖型施設の温度管理のために光熱水費がかかっていること、見学スペースなど共用スペースが大き過ぎて、その清掃や警備で物すごいお金がかかっているんだと。大田市場が十四億で済んでいるのに、豊洲市場は六十二億円という答弁でしたから、もう本当にその差額に驚くなと。
築地は閉鎖型ではありませんでしたが、製氷会社が機能して、商品が傷むようなことはありませんでした。それでも、閉鎖型が最先端なんだと移転を強行してみたら、電気代が物すごいかかってしまったと。
しかも、築地なら場外市場も含めて、あのまち全体が観光スポットのようになっていたわけですけれども、豊洲に移ってしまって、新たなにぎわいをわざわざつくらねばならなくなり、その結果、市場機能というより観光施設としての、施策としてのスペースができて、その清掃や警備に至るまで、中央卸売市場の負担になってしまったというわけなんですね。
この際、指摘しておきますけれども、豊洲市場は見学者スペースなどの共用部分が極めて大きく、屋上緑化もあるなど、清掃や保守点検、さらには地下水管理など、汚染地下水の管理ですよね、他の市場にはないコストがかなりかかっておりまして、こうした市場業者とは関係のないコストを、今後、市場業者に負担させることがあってはならないということを、今後のために指摘しておきます。
そこでお聞きしますが、一貫して黒字だった築地市場の経常損益が、豊洲市場で赤字に転落してしまいましたが、豊洲市場開場後における市場会計の採算性について、都はどのような見通しを持って豊洲新市場への移転を決めていたのかお示しください。
○高橋財政調整担当部長 市場のあり方戦略本部におきまして、豊洲市場開場後の経常収支は赤字で推移する見通しとなっている状況に対して、長期にわたる市場会計の事業継続性の確保、財政面からの精査など、必要な検討を行ったところでございます。
○原田委員 豊洲市場開場後の経常収支は赤字で推移する見通しといってつくられてきたと。豊洲市場の巨額の建設費を考えたら、市場の使用料などで賄うことは到底無理で、赤字は必至と。それをどう継続させるかが鍵で、その巨大な悩みの前には、数十億のランニングコストの不採算なんて見てもいなかったというわけですよ。これって本当に行政のやった仕事なんですか。率直にいって、市場当局だっていい迷惑だったと思うんですよ。こんな不採算な計画をトップダウンで押しつけられて、当時、とにかく移転しろと。石原知事のトップダウンがこういう事態を生んだわけですね。
そこで、率直にお聞きしますが、豊洲市場の移転は、当時の石原都知事のトップダウンによるものと考えますが、事業採算性も合わず、取引量を大幅に減らすことになったことを、都はどう総括しているのか伺います。
○石井市場政策担当部長 豊洲市場の施設整備は、市場業者の意見も踏まえて策定した豊洲新市場基本計画におきまして、効率的な物流の実現や新たなニーズへの対応を方針として掲げて行ったものでございまして、搬送経路の円滑化や距離の短縮を図るとともに、加工、パッケージ施設の整備などを行ったものでございます。
○原田委員 知事トップダウンの弊害である取引量の激減について総括を求めたんですが、答弁は、豊洲移転で新たなニーズに対応して搬入経路の円滑化、距離の短縮も図られた、加工、パッケージ施設もつくったと強弁したわけですが、答弁になっていません。
豊洲移転によって、建設費の面でもランニングコストの面でも、どちらも最初から不採算になること、新双子の赤字ですよ。そうなることに目をつぶって強行された豊洲移転、せめて移ってよかったと市場関係者に思ってもらえる働きやすい施設になっているといいのですけれども、豊洲の設計については、着工前から市場関係者から多くの問題点が指摘されていました。それでも強行した結果がどうなったのかお聞きします。
まず、お聞きしますが、豊洲新市場基本計画に示された施設の老朽化は解消されたものの、場内の狭隘化、都民の期待や時代の要請に十分応えられない状況は改善されたと考えているのかお答えください。
○石井市場政策担当部長 豊洲市場の施設整備は、市場業者の意見も踏まえ策定いたしました豊洲新市場基本計画におきまして、効率的な物流の実現や新たなニーズへの対応を方針として掲げ、搬送経路の円滑化や距離の短縮を図りますとともに、加工、パッケージ施設の整備などを行ったものでございます。
○原田委員 同じ答弁と。改めて、豊洲新市場では、場内の狭隘化も都民ニーズにも応えられたっていう答弁だったわけです。だとしたら、もうちょっと取扱量も違ってきているんじゃないですか。
まず、そもそも都心から遠くなったという根本問題は、何も解消されていません。先ほど、何か距離を縮めたみたいな、距離の短縮を図ったっていうのが出ていましたけれども、これは意味が分からなかったんですが、うちの近所の魚屋さんもいっていましたけれども、遠くなったし、駐車スペースはないし、大変になったよと。さっき距離の短縮を図ったと、本当に−−もう一回聞きたいけどやめておきます。
お聞きしますが、豊洲市場移転後の取引量の減少について、交通利便性の高かった築地から遠く、交通利便性の低い豊洲に移ったことが、仲卸業者、買い出し人に影響を与えたという認識ありますか。
○大谷事業部長 都は、豊洲市場において買い出し人の利便性向上を図るため、業界からの要望を踏まえ、築地地区と豊洲市場間のシャトルバスを運行しております。また、環状二号線の開通や東京BRTの運行による公共交通機関の充実が図られております。
○原田委員 買い出し人の高齢化に伴って、築地地区と豊洲間のシャトルバスが出たのはいいことだと思います。ただし、買い出し人といっても、近所の魚屋さんだって車で行くわけで、バスで手に持てるくらいの買い出し人のニーズに合わせることが交通不便性を解消したっていうことにはならないですよね。というか、まさか環状二号線の開通やBRTが交通不便性の解消策として答弁されるとは思いませんでしたけれども、環状二号線ができて、なお遠いことが問題になっているわけだし、BRTなんて一体何時に始発なんですか。五時とかから動いてないでしょう。BRTに乗ってくる仲卸業者や買い出し人って、なかなかのマイペースな人で珍しいと思うんです。
市場関係者の移動についてさらにお聞きしますが、豊洲市場は駐車場が足りない状況が続いています。仲卸業者や買い出し人にとって、豊洲市場の不便さの一つとなっていますが、どのように改善していくつもりか。
○高橋財政調整担当部長 都は、豊洲市場におきまして、築地市場より多い約五千百台分の駐車場を整備しており、このうち、業界からの要望も踏まえまして、約二百四十台分を時間貸し駐車場としております。
都の使用許可を受けた各業界団体は、六街区において買い出し人駐車場の空き情報の周知を図るなど、効率的に駐車場が利用できるよう取り組んでおります。
○原田委員 五千百台っていっても、あの広い豊洲市場のあちこちに分散した五千百台なんですよね。駐車スペースが足りないっていうのは物すごく大変なわけです。だから五千百台っていっても、めちゃくちゃ遠いところにもある駐車場も含めて五千百台ですよ。
数十分を争っている人たちが、時として駐車に一時間待ちとなるとやってられないわけです。買い出し人も疲れますが、毎日の仕事となる仲卸の人たちは本当に大変です。築地ではなかった問題が、どんどん噴出しているわけです。改善の努力が図られているとは聞いていますけれども、市場としても協力を惜しまないでいただきたいなと思います。
さて、豊洲開場前から大きな問題となっていたのは、床積載荷重問題があります。築地市場内は二トンのフォークリフトも走っていたわけですが、豊洲では床積載荷重が低く、八百キロまでしか積載できないという問題です。
フォークリフトの爪は、通常二トンの積載量がありますが、二トンのものだったら積載量がありますけれども、豊洲市場は床の厚さが足りず、積載荷重が足りず半分以下にすることが指導されていますが、そもそも、なぜ市場業者なら当たり前だったはずの床積載二トン以上でも大丈夫な設計にできなかったのか。
○中井環境改善担当部長 水産仲卸売場棟の設計に当たりましては、築地市場において、ターレの使用が大多数、約九八%である実情を踏まえ、経済的、合理的な観点からターレの使用を基本とした上で、一・五トンフォークリフトの走行も勘案して設計いたしました。
なお、二トン以上のフォークリフトを使用する場合の、今おっしゃった積み荷の八百キロの運用ルールでございますが、水産仲卸売場でのフォークリフトの使用が全体のごく僅かの約二%未満であるとの荷さばきの実情を踏まえ、業界団体と調整して合意を得ております。
○原田委員 いろいろと話しましたけれども、ターレばかりだと思って、フォークリフトのことを考えていなかったっていうことですよ。建物全体のコストを下げてつくる中で、フォークリフトの存在が考慮されなくなっていったと、そういう答弁なわけです。よくも業界団体と合意を得ているなどといえたものです。
そもそも、この市場移転には、移転計画の段階でも、具体的な市場の設計が見えてきた段階でも、一貫して市場関係者の大半が反対していました。私が確認しているもので九つのアンケートが行われていますが、本日の質疑においても割と大事なので、ちょっとその結果をお伝えしたいと思います。
すごい古いのになると青島都政、一九九八年、このときはもうまだ分かんない状況です。それでも、四百九十五対三百七十六で、移転は否決されています。
石原都政です、問題の。二〇〇七年、移転に反対する業者団体の市場を考える会、水産仲卸を意向調査、移転反対七三%、賛成一%強。同じ年、二〇〇七年、東京中央市場労働組合、青果部仲卸アンケート、築地での営業を求める九二%、豊洲での営業を求める七%。
舛添都政、二〇一五年、守ろう築地市場パレード実行委員会のアンケート、築地で営業したい八六%、豊洲で営業したい七%。二〇一六年、築地市場有志の会が水産仲卸アンケート調査、移転延期、撤回八四・二%、予定どおり移転してほしい四・四%。二〇一六年五月、有志の会、農林水産大臣宛て、凍結を求める請願署名、延期凍結を求める請願署名、これはハードルが高いですけれども、水産仲卸事業者総数五百八十三中、過半数を上回る三百十九筆。
小池都政になってからです。二〇一六年九月、日本テレビ、バンキシャのアンケート、八割以上移転反対。二〇一七年、築地女将さん会、請願署名、これもハードルが高いですけど、水産仲卸五百五十三業者中三百九十三筆、七割超えると。最後、二〇一八年四月、築地女将さん会が水産仲卸アンケート調査、もう最後の最後です。移転の年、築地で営業したい九二・七%、豊洲で営業したい四・二%。
一貫して、最後の最後まで市場関係者は豊洲への市場移転を求めていなかったというか、反対していたわけです。これは、市場当局は分からなかったのか知りませんが、市場関係者は、これはもううまくいかないと肌で分かっていたわけです。
反対の声の中には、豊洲は危険だという声もありました。その広大な敷地に比べて場内は狭く、街区を移動するのに築地ではあり得なかった距離の移動を強いられます。築地は仲卸の売場は一階にしかありませんが、豊洲は複数階にターレなどで移動しなければなりません。このままでは重大な事故が起きる、それが市場関係者の声だったわけです。
そこでお聞きします。このままでは重大な事故が起きるといっていたのは、移転する前です。この市場だったら大変なことが起きるっていっていたんですよ。
豊洲市場は、移転前から、ヘアピンカーブや坂がきついこと、さらには敷地は広いが施設内は実は狭く、見通しが悪く危ないなどの声が上がっていました。開場後は、ドアが上から降りてくるタイプのエレベーターなどで死亡事故が起きています。その発生件数は何件か、資料6を請求して各委員の下にもありますけれども、お示しください。また、他の市場と比べて豊洲市場の死亡事故が多いことについて、設計上の問題などをどう総括しているのか伺います。
○中井環境改善担当部長 豊洲市場においては、開場からこれまで、四件の死亡事故が発生しております。
開場前には、施設面では業界の意見を踏まえ、ターレスロープへのカーブミラーの大型化などを行うとともに、習熟訓練を行いました。開場後においても、エレベーター前での一時停止が徹底されるよう、サインの充実やエレベーター前の減速帯の設置など、さらなる安全性向上に努めるほか、業界と連携し、場内の走行ルールの遵守を徹底することで、豊洲市場の事故防止に努めております。
○原田委員 あれだけ危ないと指摘されていたのに、市場当局はまともに対応せず、あるいは既に対応のしようがなく、死亡事故が少なくともこれまでに四件起きていると。私も資料を見て驚きましたが、他の市場で死亡事故はほぼ起きていません。規模の大きい大田市場でも死亡事故は起きていません。それが豊洲に移転したために、この数年でもう四人の方が亡くなっている。死ななくとも重傷を負った事故となると、さらに増えるだろうと想像がつきます。
この責任を行政がどう取れるっていうんでしょうか。はなから危ないということを指摘していたのに、どうすることもできず、四人の仲間が失われていきました。私は、東京中央市場労働組合の執行委員長に話を聞きましたが、かわいそうだよね、人災だよねってつぶやきました。この悔しさというか、無念というか、失望感というか、言葉にできないものがあります。
さきに示した日刊食料新聞も指摘していますが、豊洲から他市場への取扱数量が動いているという指摘もあります。豊洲の仲卸の数は激減していて、築地市場時代の五百三十八店舗から、当該年度までに八十店舗も減っているわけです。果たして、豊洲市場のこの実態と取引に関わる現象を見て、それでも市場当局は気候変動や流通チャネルの多様化などといっていられるんでしょうか。
こうした分析は、今回の私のような質疑は、本来、市場当局がしなければならないはずです。当初から赤字を見込んでいましたが、さらにその赤字が膨らんでいます。しかしながら、絶対に東京の食文化、市場の活気や文化を衰退させてはなりません。
今後、豊洲を運営していく中で、市場当局がトップダウンで物事を決めるのではなく、市場関係者の声をしっかり聞きながら、仲卸を中心とした活気ある市場を取り戻さねばなりません。その点で、東京都中央卸売市場取引業務運営協議会の委員から、六労組から成る市労連代表の委員を除いてしまったことは重大問題です。物いう委員を排除したつもりなんでしょうが、そんなことをやっているから豊洲がうまくいかないわけです。市労連の代表を早急に委員に戻し、今後の豊洲の発展に向けて、共に議論を交わすことを求めておきます。
そうしないと、本当にもう仲卸業者も取扱量もほかの市場にどんどん移っていって、日本の水産物の建値を誇ってきた築地、豊洲のこの流れが失われちゃいますよ。
話題を変えて、一点お聞きします。
築地市場の地下には、来年の大河ドラマにも重要な歴史的人物として登場する松平定信の下屋敷、浴恩園が埋蔵されています。すぐ隣の浜離宮に並ぶ潮入庭園として、天下の名園とうたわれていました。試掘調査をしたところ、かなりの遺構が出てきており、今後の本格調査が楽しみです。
大河ドラマが始まれば、全国の歴史ファンが注目することになるでしょうが、現在の築地まちづくりは、完全にこれらを破壊するものとなります。来年ですから、都議選の真っただ中とも重なりまして、いいかげんな調査や、国民、都民への公開を拒んだりすれば、政治の争点にも十分なり得ます。
そこでお聞きしますが、当該年度、築地市場跡地において埋蔵文化財の発掘調査が行われていますが、現在、調査業務の発注をしているのは市場で間違いないか。また、この経費は、有償所管替え時に埋蔵文化財調査費として二百億円が留保されていますが、二百億円が調査費として留保されているという意味と、二百億円規模となった根拠をお示しください。
○高橋財政調整担当部長 現在の調査業務を発注しているのは、都市整備局でございます。
築地市場跡地の有償所管替えの際に留保することとした二百億円は、有償所管替え時の価格から、土地処分に際して一般的に考慮すべき費用相当の金額の支払いを留保したものでございまして、埋蔵文化財の発掘調査費と土壌汚染対策費を含んだ試算でございます。
埋蔵文化財調査費は、平成二十九年当時の試算は既に公表しておりますとおり、築地の市場用地のうち埋立てを行った部分などを除外した約十六万平米を対象といたしまして、過去の近隣地区の土地区画整理時を参考に約百億円の概数として記載しております。
○原田委員 調査費を出すのは市場なんだけれども、調査の発注は都市整備局がやっているということでした。理解しました。
さらに、有償所管替え時に留保された二百億円は、百億が発掘調査費用で、残りの百億は土壌汚染対策費とのことでした。発掘調査百億円の根拠は、これまでの発掘調査費用に、係数にして十六万平米を掛けた数字とのことでした。都市整備局が発注するといっても、お金を出すのは市場なのですから、この場を借りて要望させていただきますが、今後の本格調査、まさに十六万平米をしっかり丁寧に掘り起こし、全貌を明らかにすること、そして広く国民に公開し、そこに浴恩園があったことを目に焼き付けることができるようにしてほしいと思います。
小池都知事が江戸文化を世界遺産にするといっていますが、なぜといいたくなるようなボールパークと超高層ビル群に成り下がる計画の築地まちづくり、高輪築堤のように世界的にも珍しい当時の海上築堤がそのままの姿で現れてくれたのに、ほとんどの人の目に触れることなく崩されてしまった悔しさを、私は忘れるわけにいきません。
浴恩園は、大河ドラマの放映と相まって、そうはいかない展開になると思われます。市場当局からも、徹底調査と広く都民、国民への公開を都市整備局に求めるよう指摘をさせていただきます。
最後に、豊洲への市場移転というのは、都民からすれば近年まれに見るほど大失敗した公共事業であることは、本日の質疑から明らかです。しかし、今、築地まちづくりに群がる大企業たちからすれば、築地の一等地から市場を追い出せたわけで、大成功と思っているんでしょう。それがどんなに歴史や文化を破壊するのか、都民の財産を毀損するのかなど知ったこっちゃないという姿勢は、資本主義として、たがが外れています。
外苑再開発しかり、築地まちづくりしかり、真に深く壊されてきているのは東京の民主主義と感じます。市場当局の職員がいつかはこの事業の在り方に真摯に向き合い、まともな総括が行えるように政治を変えていかなければならないと私も感じました。
私の所感を添えさせていただきまして、本日の質疑を終わります。
○ほっち委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ほっち委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後三時五十五分散会
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