令和五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第二号

令和六年十月二十三日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長ほっち易隆君
副委員長伊藤 大輔君
副委員長大松あきら君
副委員長里吉 ゆみ君
かつまたさとし君
吉住はるお君
磯山  亮君
平けいしょう君
原田あきら君
西沢けいた君
西崎つばさ君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長久我 英男君
次長総務部長事務取扱横山 正彦君
職員部長櫻庭 裕志君
資産運用部長築田 直樹君
電車部長神永 貴志君
自動車部長佐藤 和哉君
車両電気部長生越 啓史君
建設工務部長坂口 淳一君
企画担当部長渡貫 貴浩君
経営改革推進担当部長DX推進担当部長兼務若井 太郎君
技術企画担当部長一條 勝夫君
安全管理担当部長内山 裕道君
調整担当部長木元 隆平君
鉄軌道事業戦略担当部長稲垣 宏昌君
バス事業経営改善担当部長和田  明君
技術調整担当部長神田 隆司君
技術管理担当部長周郷 友義君

本日の会議に付した事件
令和五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・令和五年度東京都交通事業会計決算(質疑)
・令和五年度東京都高速電車事業会計決算(質疑)
・令和五年度東京都電気事業会計決算(質疑)

○ほっち委員長 ただいまから令和五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、令和五年度決算の審査から逸脱しないよう行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いをいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都交通事業会計決算、令和五年度東京都高速電車事業会計決算及び令和五年度東京都電気事業会計決算を一括議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○横山次長 過日の分科会で要求のございました資料につきまして、お手元の令和五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをご覧いただきたく存じます。都営地下鉄におけるホームからの転落事故件数の推移でございます。
 ホームからの転落件数の推移につきまして、路線別の件数を過去五年間分記載してございます。
 次に、二ページをご覧ください。事業別の正規職員の新規採用数と非常勤職員数の推移でございます。
 正規職員の新規採用数の推移を、事業別に過去五年間分記載してございます。
 次に、三ページをご覧ください。非常勤職員数の推移を、事業別に過去五年間分記載してございます。
 次に、四ページをご覧ください。地下鉄事業におけるバリアフリー化した内容と令和五年度の費用及びホームドア設置の状況と令和五年度の取組実績でございます。
 バリアフリー化につきましては、令和五年度に実施した内容ごとに整備駅数及び決算額を記載してございます。
 ホームドアにつきましては、路線別の設置状況を過去五年間分及び令和五年度の取組実績を記載してございます。
 次に、五ページをご覧ください。都営地下鉄駅の民間委託状況及び駅別職員配置数でございます。
 令和五年度期首時点における都営地下鉄各駅の職員配置数を記載してございます。なお、駅名の横の丸印は、業務を委託している駅を表してございます。
 次に、六ページをご覧ください。バス停の音声案内の設置箇所数及びシグナルエイドに対応している箇所数でございます。
 令和五年度末時点における音声案内設置箇所数及びシグナルエイド対応箇所数について記載してございます。
 次に、七ページをご覧ください。コミュニティバスの受託状況でございます。
 令和五年度のコミュニティバス受託状況について記載してございます。
 次に、八ページをご覧ください。都営バス車両における低公害、低燃費車両の導入の推移でございます。
 低公害、低燃費車両の導入の推移を過去五年間分記載してございます。
 次に、九ページをご覧ください。都営地下鉄における痴漢等犯罪行為の通報件数、防犯カメラ映像の警察への提供件数及び警察との連携実績でございます。
 痴漢等犯罪行為の通報件数、防犯カメラ映像の警察への提供件数及び警察との合同訓練の件数につきまして、過去五年間分記載してございます。
 次に、一〇ページをご覧ください。都営地下鉄ワンデーパスの発売実績でございます。
 都営地下鉄ワンデーパスの発売実績を過去五年間分記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○ほっち委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○磯山委員 それでは、私からは、交通局が所管する都営地下鉄と都営バスについて、昨年度の取組を中心に何点か質問したいと思います。
 都営交通の経営状況についてでございます。
 先日、決算の概要について、局からもご説明がありましたが、令和五年度の経常損益は、地下鉄が約百八十億円の黒字、バスも約十六億円の黒字ということでありました。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、外出抑制などが社会的に求められていた令和二年度の決算における経常損益は、地下鉄が約百四十六億円の赤字、バスに至っては約九十五億円の赤字と伺っています。
 また、一昨年度の決算においても、これは令和四年度ですけれども、地下鉄、バスともに依然として赤字であったとのことですので、かなり経営が改善しているという印象であります。
 そこでまず、令和五年度決算において、都営地下鉄と都営バスの経営状況が改善した要因と受け止めについて伺います。

○横山次長 令和五年度決算では、都営地下鉄及び都営バスのいずれも前年度に比べ乗車料収入が増加したことや、都職員の定年年齢の引上げに伴い定年退職者に対する退職手当の支給がなかったことなどにより経常収支が改善しており、地下鉄は百八十億円、バスは十六億円の黒字となってございます。
 一方、乗車人員は依然としてコロナ禍前の水準を下回っており、今後も少子高齢化の進展などにより、大幅な増加は期待できない状況にございます。
 加えて、物価等の高騰や老朽化した施設設備の更新への対応、事業を担う人材の不足など様々な課題があり、今後の経営は予断を許さないものと考えております。

○磯山委員 収入においては、利用者数が増えたことにより増収した一方で、公務員の定年延長に伴う特殊要因によって、昨年度は支出が減っていることと理解をいたしました。
 また、令和五年度は、地下鉄、バスともに経常黒字を確保できたとはいえ、少子高齢化や物価の高騰、人材不足などの課題があり、今後の見通しについては、決して楽観できる状況にはないということでありました。
 今後も、公営企業として、経営の健全性を維持できるよう改革の手を緩めることなく、事業運営を行っていくことを求めておきます。
 次に、都営地下鉄における安全・安心の確保について、何点か質問いたします。
 都営地下鉄では、本年二月に全四路線全駅でホームドアの整備が完了したと伺っています。ホームドアについては、私も二年前の各決の分科会質疑において、都市整備局に対して、私鉄やJRの整備促進を行うべきと求めたことがあります。また、ホームドアは、ホームにおける転落、接触事故や、それに伴う列車遅延を減少させる効果、利用者の安心感の醸成にも寄与する効果がある一方で、乗客増や収益につながる投資ではないこともあり、民間事業者ではまだまだ整備が不十分と認識しています。
 こうした中、ホームドアの社会的な普及が進むよう、自民党は長年にわたり、交通局による整備を後押ししてきた経緯があります。
 都営地下鉄では、二〇〇〇年の三田線での導入を皮切りに、大江戸線、新宿線、浅草線と先駆的にホームドアの整備を進めることで、ほかの事業者を牽引し、その普及に一役買ってきたことは評価したいと思います。実に二十年以上の歳月をかけて整備を完了したことになります。
 また、都営地下鉄四線のうち最後に整備された浅草線においては、QRコードを用い、導入経費を抑制されたとの報道もありました。これも評価すべき取組と考えます。
 そこで、ホームドアの全駅整備に要した総事業費並びに浅草線において抑制した事業費について伺います。

○生越車両電気部長 都営地下鉄四線におけるホームドア整備に要した事業費は、ホームドア本体、車両改修、ホーム補強等の合計で、税込み約三百億円でございます。
 また、浅草線におきましては、民間企業と共同で、QRコードを使用した低コストのホームドア開閉技術を開発したことによりまして、車両の大規模改修が不要となり、その結果、約二十億円を抑制したと試算しております。

○磯山委員 都営地下鉄全線でホームドアを整備するのに三百億円を要した一方で、浅草線での整備に当たっては、民間企業と共同で技術開発をし、二十億円を抑制したとのことであります。
 先ほど、ホームドア整備が乗客増や収益につながる投資ではないため、民間事業者における整備が進んでいないと申し上げましたが、こうした状況を踏まえ、国では、三年前に、鉄道駅のバリアフリーを加速化する観点から新たな料金制度を創設しており、現在は、JRや東京メトロをはじめ多くの事業者が、普通運賃に十円を加えた料金を徴収しています。
 都営地下鉄では、この鉄道駅バリアフリー料金制度を利用せずに、ホームドア整備をはじめバリアフリーを積極的に進めてきていることは、東京都が経営する交通機関として非常に重要な姿勢であると思っております。
 一方、交通局は、公営企業局であり、公共の福祉を発揮するとともに、経済性の発揮も求められます。経営面に着目すれば、今後のホームドアのメンテナンスコストは固定費となることには注意が必要です。
 そこで、令和五年度と十年前の平成二十五年度とを比較して、この十年間でホームドア整備状況とメンテナンスコストがどのように変化しているのかについて伺います。

○神田技術調整担当部長 ホームドアの整備状況については、平成二十五年度末には三田線と大江戸線の全六十五駅で完了しており、そのうち、当局管理の六十二駅のメンテナンスコストは、税込みで年間約二・二億円でございました。
 令和五年度末には、都営地下鉄全百六駅で整備が完了しており、そのうち、当局管理の百一駅のメンテナンスコストは、人件費高騰などの影響もあり、税込みで年間約九・二億円となってございます。

○磯山委員 整備規模の拡大に伴って、ホームドアの維持に要する費用も増えていることが理解できました。転落防止をはじめとして、安全・安心に地下鉄を利用する上で不可欠な費用ではありますが、利用者としては、なかなか意識していないものですから、こうした機会に確認をさせていただきました。
 アカウンタビリティーの観点から、これを実現、維持するためには、多くのコストを要していることを都民や利用者にも知ってもらうことも重要なのかなと思っております。
 また、交通局には、ホームドアのメンテナンスに年間約十億円の費用が発生しているというコスト感覚を持って経営をしていただきたいと思いますし、これに限らず、後年度に発生するランニングコストにも十分に留意しながら、設備投資を行っていただきたいなと思っております。
 次に、台風やゲリラ豪雨などによる浸水に対する備えについて伺います。
 昨今は、局地的な豪雨も頻発化しており、今年の夏は、地下鉄駅構内に地上から水が流れ込む事態が発生し、その映像が報道されたり、SNSで拡散されたりしました。都営地下鉄でも、国立競技場駅で被害があったと聞いています。
 このように、地下鉄においても対策の必要性は高まっていますが、交通局では、令和四年度に浸水対策施設整備計画を策定し、現在、それに基づいた対策を推進していると伺いました。
 そこでまず、令和五年度における都市型水害と大規模水害に備えた施設整備の取組について伺います。

○坂口建設工務部長 交通局では、東京都交通局浸水対策施設整備計画に基づき、都市型水害や荒川氾濫等の大規模水害への対策を進めております。
 令和五年度は、地上からの水の流入を防止するため、通風口九か所におきまして、浸水防止機の設置等の対応を完了いたしました。
 また、大規模水害時に、地下鉄ネットワークを通じて浸水被害が広範囲に拡大することを防止するため、トンネル内での防水ゲートの整備等を進めており、大江戸線蔵前駅付近の既存ゲートの改修工事に着手いたしました。

○磯山委員 昨年度は、地下鉄の通風口九か所の対応とトンネル内の防水ゲートの工事着手に取り組まれたことを確認しました。
 一方で、先ほども触れましたが、この夏には、都営地下鉄でも実際に浸水等の被害が発生しました。
 そこで、確認のため、今年八月のゲリラ豪雨による駅の浸水被害の状況とそれを踏まえた対応について伺います。

○神永電車部長 本年八月二十一日に発生したゲリラ豪雨では、大江戸線国立競技場駅など四駅で駅周辺の道路が短時間で冠水したことにより、大量の雨水が地上出入口から駅構内等に流入し、一部の駅ではエスカレーターやエレベーターが浸水により停止いたしました。
 これらの駅におきましては、係員が出入口に止水板を設置し、被害の拡大を防ぐとともに、お客様への案内、誘導を適切に行うなど、浸水による影響を最小限にとどめるよう努めたところでございます。
 今回の事象も踏まえまして、最新の気象情報等の的確な把握や警報発表時の巡回等の強化、速やかな止水板の設置など、安全確保に万全を期してまいります。

○磯山委員 エスカレーターやエレベーターが停止してしまった駅はあるものの、幸い人的被害は生じていないということが確認できました。
 今回の事象を踏まえた対策に、今後取り組まれるということでありますが、急なゲリラ豪雨の発生など自然災害の激甚化が想定される中、利用者の安全だけでなく、駅で働く職員の皆様の安全や駅の設備を守るためにも、引き続き、ソフト対策にもしっかり取り組んでいってほしいと思います。
 次に、エスカレーターの維持更新について伺います。
 交通局では、一昨年十二月より、都営交通の経営に関する有識者会議を設置しており、昨年十月には都営地下鉄についても議論が交わされているようであります。その中で、大江戸線の更新事業への対応が局から課題提起されています。都営地下鉄の中で最も新しい大江戸線の全線開業から二十年以上が経過し、設備の更新が大規模で必要になるとのことであります。
 資料には、エレベーターであれば二十五年、エスカレーターであれば三十年程度が設備更新の目安との説明があります。地下鉄の中には、地下深くに建設されている駅もあり、さらには、今後、高齢化が進む中にあって、エレベーターやエスカレーターともに重要な設備です。
 先ほどの答弁にもありましたように、八月二十一日のゲリラ豪雨では、地上からの浸水により、一部の駅でエスカレーターやエレベーターが停止したとのことであります。仮に、一時的であっても、これらの設備が停止した場合、地下鉄において、その影響は決して小さくないことを改めて認識をいたしました。
 そこで、一日の利用者数が非常に多いと思われるエスカレーターについて、何点か伺いたいと思います。
 都営地下鉄におけるエスカレーターの保有台数と設置から三十年以上経過している台数について、それぞれ伺います。

○周郷技術管理担当部長 都営地下鉄において交通局が管理しているエスカレーターは、令和五年度末時点で六百九十四基でございまして、このうち、設置から三十年以上経過しているものは百十一基でございます。

○磯山委員 七百基ほどある都営地下鉄のエスカレーターのうちの約一五%が、既に更新の目安である三十年を超えているということが分かりました。
 もちろん、更新の時期については経過年数で機械的に決められるものではなく、利用のされ方や保守の程度によって個々のエスカレーターの状態を見ていくのだと推測しますが、これらを適切に維持または更新していくことが、都営地下鉄の利便性を継続的に確保していく上で重要と考えます。
 そこで、直近の五年間におけるエスカレーターの更新台数について、年度別に伺います。

○周郷技術管理担当部長 直近五年間で更新したエスカレーターは三十九基でございまして、令和元年度から順に八基、十二基、三基、九基、七基となってございます。

○磯山委員 五年間を平均すれば、大体七基ぐらいなんですかね。更新実績があることは確認できますけど、単純に七百基を三十年で割り返しますと、年二十基以上の更新が必要になるんですね。少しペースが気になるところであります。
 さらには、今後、既に三十年を経過している百十一基以外のエスカレーターも、次第に老朽化が進んでいくことも考慮しておく必要があるのではないかと考えます。
 そこで、エスカレーターの更新を進めるに当たっての課題と今後の対応について伺っておきます。

○周郷技術管理担当部長 交通局では、エスカレーターについて、経過年数のほか、点検結果や利用状況等も踏まえ、これまでも適切に維持管理を行うとともに、計画的に更新を進めてまいりました。
 一方、全線開業から二十三年経過した大江戸線におきまして、今後、大規模な設備更新の時期を迎えることもあるため、更新の加速化について検討いたしますとともに、工事期間中のエスカレーターの運転停止に対するお客様のご理解、ご協力を得られるよう、丁寧な情報提供に努めてまいります。

○磯山委員 今後、大江戸線のエスカレーターが更新の目安となる時期を迎えるため、更新の加速化を検討されるとのお答えでありました。
 大江戸線は、駅の数自体が多いゆえに、地下深くに建設された駅も多いので、エスカレーターの更新工事で稼働を停止している期間というのは、代替のエスカレーターがない場合には階段を使用しなければならなくなるなど、利用者への影響は非常に大きいのではないのかなと思います。かといって、故障による突然の稼働停止は、なお一層不便を来すことになると思いますので、計画的な更新等、工事に当たっての利用者への丁寧な事前周知を求めておきます。
 次に、都営バスについて何点か質問いたします。
 私の地元小平市には、都営バスの梅70という路線が運行しています。青梅車庫から小平市の西武新宿線花小金井駅までの約二十八キロ、四市一町にまたがる地域の貴重なバス路線であります。
 都営バスは、現在、区部を中心に運行している中、多摩地域は青梅市内での営業に集中しており、梅70系統は非常に特異な路線であります。そして、この路線は、地元自治体の負担によって維持、存続しているわけであります。東京都と各市町村でそれぞれ負担している状況です。
 そこでまず、梅70系統の経緯と令和五年度における公共負担の状況について伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 梅70系統につきましては、多摩地域から都心地域への通勤通学客の増加に対応するため、昭和二十四年八月、青梅車庫前から荻窪駅前間で運行を開始し、その後、何度かの運行区間の変更を経まして、平成二十七年四月からは青梅車庫前から花小金井駅北口間を運行しております。
 公共負担につきましては、昭和五十年代に著しい赤字となっており、廃止の対象として検討せざるを得ない中、沿線自治体が赤字額の三分の二を負担することとなりました。
 令和五年度の沿線自治体の公共負担額は、合計で約一億二千三百万円でございます。

○磯山委員 多摩地域の市町村は、財政的にはどの自治体も非常に厳しい状況です。これは交通局だけにいうべきことではないかもしれませんが、最寄りの鉄道駅までのラストワンマイルをつなぐとともに、通院、通学、買物など、生活に欠くことができない身近な交通手段であるバス路線を、都としても責任を持って守っていくことが求められていると思っております。
 路線バスについては、昨今、バス乗務員の不足や燃料費高騰による物価高など、路線の維持が難しく、中山間地域だけでなく、都市部においても路線の廃止や減便が相次いでいる状況です。小平市の隣の国分寺市のコミュニティバスである、ぶんバスを受託している事業者から、このほど撤退協議の申出があったことが、国分寺の市報にも掲載をされていました。
 バスの減便や廃止の理由が、バス事業者にとって採算が合わないといった経済的な理由であるのであれば、公共的な支援による路線維持という選択肢も残りますが、乗務員不足が理由になりますと、その対策は非常に難しく、課題の根が深いといわざるを得ません。
 そこで、都営バスにおける状況も確認しておきたいと思いますが、昨今の都営バスにおける乗務員の採用状況や要員に対する充足状況について伺います。

○櫻庭職員部長 バス乗務員の採用につきましては、大型二種免許の保有者が減少する中、免許保有者を対象とした選考に加えまして、免許をお持ちでない方を対象とした養成型選考も併せて活用することで、現状では予定した採用数を辛うじて確保できている状況でございます。
 一方、大量退職期を迎えておりますことや、労働時間などの基準が見直されましたことで、より多くの乗務員の採用が必要となってまいりますけれども、応募者の数は大幅な減少傾向にございまして、今後の乗務員の確保は大きな課題であると認識しております。

○磯山委員 都営バスにおいても、現時点においても何とか乗務員を確保できている状況であり、大量退職期を迎えていることや応募者数が大幅な減少傾向にあることから、今後の大きな課題になるとの認識を示されました。
 バスの乗務員、運転手さんは、交通インフラを支える限られた貴重な人材として引っ張りだこで、既に国内労働市場で需給が逼迫している状況にあると思います。その影響は、地方だけでなく、この東京にも及んできておりまして、実際、葛飾区では、乗務員不足を理由としたバスの減便が区内で相次いでいることから、乗務員の待遇改善に係る費用として、一人毎月二万円を上限に住宅手当をバス事業者に補助するとの報道も先般ございました。
 梅70だけでなく、都営バスの路線は、いずれの地域にとっても貴重な移動手段ですが、都営バスだけが元気であればいいというものではありません。ほかのバス事業者への影響も十分配慮しつつ、バス乗務員の確保に取り組み、都営バスの路線を安定的に維持してほしいと思います。
 そこで、最後に質問ですが、先ほどバス乗務員の担い手確保が厳しいという答弁がありましたが、こうした現状や今後の見通しを踏まえた都営バスの路線運営について伺います。

○佐藤自動車部長 大型二種免許の保有者数の減少や、労働時間等の基準の見直しのほか、免許保有者の高年齢化などもあり、都営バスにおいても乗務員の確保が今後ますます厳しくなるものと見込んでおります。
 一方、高齢化が進行することも見込まれており、都営バスは都民の足として今後も重要な役割を担っていく必要があると認識しております。このため、養成型の採用選考の充実など、引き続き乗務員の確保に取り組むとともに、乗客潮流の変化を的確に捉え、効率的かつ効果的な路線運営に努めてまいります。

○磯山委員 交通局では、大型二種免許を保有していない人を採用してから免許の取得を支援し、自らバス乗務員を養成する養成型の採用選考を実施しているとのことであります。これは、ほかの民間バス会社と乗務員を奪い合うことを避けられる、とてもよい制度であるなと思います。これを充実させるとのお答えもいただきましたが、しっかり取り組んでもらいたいなと思います。
 さらにいえば、これも交通局だけに求めることではないかもしれませんが、全国でバス乗務員が不足しており、社会問題化している中にあって、東京都としてバス乗務員の担い手を養成したり、バス乗務員になりたい人を増やしたりする仕組みや、業界への支援が必要な時期になっていると認識しています。
 交通局は、都庁内でも最も路線バスの実情を把握し、知見も有しているはずですので、ぜひ庁内で連携して、社会全体でバス乗務員の成り手が増えるように精力的に取り組んでほしいと思います。都営バスの経営基盤を強化することにも必ずつながると思っております。
 それと、都営バスについてはもう一つ触れておきたいんですけれども、青梅市内の一部の路線においては、現在、サイクリング用の自転車をバスの前面に搭載できるサイクルバスを試験的に運行していると聞いております。利用者数は必ずしも堅調ではないとのことですが、個人的にはとても面白い取組であると思っております。
 都営バスには、安定的にバス路線を運営するだけではなく、こういった新しいことにも積極的に取り組み、地域を訪れる人が増え、地域経済を活性化する役割もぜひ果たしていっていただきたいと思います。
 本日は、地下鉄とバスについて、令和五年度の決算や取組について質疑をいたしました。地下鉄は安全・安心を支える施設整備と維持更新について、バスは乗務員の確保やそれを踏まえた路線運営について、それぞれ事業における課題を確認しました。何点か要望もいたしましたが、交通局には、これらの課題解決に向き合い、着実に取り組むことで、引き続き公営企業としての役割をしっかり果たされることを期待して、私の質問を終わります。

○平委員 コロナ禍で加速した少子化によって、日本の人口は二一〇〇年には現在の半分の約六千万人になるという予測も示され、一人一人の子供を大切に、チルドレンファーストの視点から社会全体で子育てを応援していくことが重要です。
 都営交通といたしましては、バリアフリーや、先ほど磯山先生からもありましたホームドアの設置等、ハード面の取組、しっかりと進めておられる。ソフト面にも目を向けられておられます。
 都営交通は、この夏、子供ワンデーパスを百円で販売するなど、チルドレンファーストの施策を展開してこられています。また、小さなお子様連れの方に安心して気兼ねなく公共交通をご利用いただけるよう、私たちの提案を受け、令和元年から運行開始いたしました子育て応援スペースは、全路線で展開をするなど取組を進めておられます。
 そこで伺います。子育て応援スペースの導入状況について、令和五年度の取組も併せてお伺いをいたします。

○稲垣鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、小さなお子様連れのお客様に安心して気兼ねなく電車をご利用いただけるよう、令和元年七月から子育て応援スペースを設置しております。
 令和五年度は十七編成導入を拡大し、年度末時点で都営地下鉄全路線におきまして計五十三編成運行しており、四シリーズ、十一パターンのデザインで装飾をしてございます。

○平委員 ありがとうございます。
 この一年間に二度、たまごクラブ、ひよこクラブ、こっこクラブという子育ての方がお読みになられている雑誌で掲載もされているということです。
 子育て応援スペースの認知度向上のための取組についてもお伺いをいたします。

○稲垣鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、子育て応援スペースの取組を多くの方に知っていただくため、ポスターの掲出や局ホームページなどによる情報発信を行ってまいりました。
 また、お子様連れのお客様を対象に、子育て応援スペースのある車両で絵本の朗読を楽しんでいただくイベントを実施するとともに、子育て世代を対象とした雑誌などにPR記事を掲載しており、令和五年度にはインスタグラムを活用した情報発信を新たに開始をいたしました。

○平委員 子育て世代を広げていただくこと、この情報発信というのは非常に重要だと思います。今のご答弁ありがとうございます。
 また、子育て応援スペース車両で絵本の朗読をされたということでございます。絵本の朗読イベントの内容と評判についても併せてお伺いをいたします。

○稲垣鉄軌道事業戦略担当部長 絵本の朗読イベントでは、車両検修場に親子連れの参加者の方を招き、子育て応援スペースを設置した車両で、装飾デザインとして採用した絵本を読書アドバイザーが朗読し、楽しんでいただくほか、車内での記念撮影や都営交通オリジナルグッズのプレゼントも行ってございます。
 令和五年度は、募集数四十組のところ六百組を超えるご応募をいただき、参加したお客様からは、車内でゆっくり時間を過ごせてよかった、未就学児が参加できるイベントは貴重、またこうしたイベントがあればぜひ参加したいなど、好意的な声をいただいてございます。

○平委員 イベント、四十組募集のところ六百組を超えたということです。認知が広がってのことだと思います。都営交通のご努力が子育て世代に響いているんだなというふうに感じるご答弁でございました。
 そういった取組を踏まえた子育て応援スペースの展開について、お伺いをさせてください。

○稲垣鉄軌道事業戦略担当部長 子育て応援スペースにつきましては、小さなお子様連れのお客様により安心して気兼ねなく電車をご利用いただけるよう、今年度、さらに十八編成導入し、合計七十一編成まで運行を拡大する予定でございます。
 また、より多くのお客様に子育て応援スペースの取組を知っていただけるよう、インスタグラムによる情報発信の強化や朗読イベントの充実などにも取り組んでまいります。

○平委員 都営交通駅構内にも、こどもスマイルスポットとして、令和四年度に授乳室の設置、令和五年度には液体ミルクの販売やベビーカーのシェアリングの導入など、子供やママ、パパに優しい環境づくりを進めておられると、多くの子育て世代から歓迎の声が届いているというふうにも伺っております。
 先ほどご答弁いただきました応援スペースについても、今年度、さらに十八編成を導入していくということでございました。
 この子育て応援スペースに係る予算が三千四百九十七万円、決算額が二千五百四十九万円ということですけれども、来年度の予算もしっかりと確保していただきまして、さらにこの取組、進めていただくことを要望したいと思います。
 続いて、東京さくらトラム、都電荒川線につきまして伺います。
 都営交通の需要創出と沿線活性化を目的に、交通局では、イベントや地域の魅力発信等を通じて、旅客誘致や沿線のにぎわい創出に取り組んでおられると伺っております。
 東京さくらトラムにおいても、スタートアップとの協働によって、都営交通初となるデジタル一日乗車券を販売、併せて沿線店舗のクーポン提供やSNSを活用した情報発信などによって、沿線の名所やグルメなどを楽しむまち歩きを促進していくということを過去発出されております。
 これについて伺っていきます。
 令和五年度、東京さくらトラムにおいてデジタル乗車券を販売しておられますが、この実証実験の内容についてお伺いをいたします。

○若井経営改革推進担当部長DX推進担当部長兼務 昨年度、都のキングサーモンプロジェクトを活用したスタートアップとの協働により、魅力的な企画乗車券の開発やさらなる旅客誘致を目的に、都営交通初となるデジタル一日乗車券を東京さくらトラムで試験的に発売いたしました。
 この実証実験では、スマートフォンのアプリを活用し、事前にキャッシュレスで乗車券を購入可能とし、併せて沿線店舗等のご協力を得て様々な特典が受けられるデジタルクーポンを発行しました。また、アプリを通じて購入者の評価やコメントが容易に収集できるほか、これまで把握できなかった購入者の利用状況がデータで取得可能となりました。

○平委員 アンケート結果や利用実績のデータを分析、活用し、よりいい、利便性の高い企画乗車券の開発につなげていくことは重要であります。
 都営交通初となるデジタル一日乗車券を販売したということでありましたが、実証実験で得られた成果について、実際に利用者から寄せられた声や意見も含めてお伺いをいたします。

○若井経営改革推進担当部長DX推進担当部長兼務 今回の実証実験では、延べ九百七十名の方にデジタル乗車券を購入いただきまして、購入者のうち約七割が沿線地域以外の方であることや、複数回利用されたリピーターの方がいることなどが確認できました。
 また、デジタル乗車券の割引クーポンの取得状況から、どの広報媒体がお客様の認知獲得に有効か確認できました。
 アプリ上で実施したアンケートでは、スマホでいつでもすぐ買える、乗車時に見せるだけなのでお手軽、都電以外でも使えるようにしてほしいなどのご意見をいただいております。

○平委員 ありがとうございます。
 ただいまご答弁ありました、好意的な意見が多く寄せられているということでございました。そうした結果を踏まえた取組状況についてもお伺いをいたします。

○若井経営改革推進担当部長DX推進担当部長兼務 今年度は、発売期間を昨年度の二倍の約六か月に拡大し、先月から東京さくらトラムにおいてデジタル一日乗車券の発売を開始しております。
 また、SNSや高いPR効果が確認された駅貼りポスターでの周知に加えまして、昨年度の購入者へのプッシュ通知など積極的なPRを行うとともに、今月二十日には、荒川線の日の記念イベントにおいて購入者特典を配布しており、今後も様々な取組を通じて、さらなる旅客需要の創出を図ってまいります。

○平委員 ありがとうございました。
 多様な主体と連携をしながら、デジタル技術も活用し、さらなる旅客需要の創出や沿線地域活性化に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○かつまた委員 それでは私から、初めに、令和五年度決算についてお伺いをいたします。
 交通局全体の令和五年度決算は、経常収支で約百九十六億円の黒字であり、四年ぶりの黒字となりました。新型コロナの終息により、乗車料収入が増加したこともありますが、これまでの経費縮減など、局の経営努力もあろうかと思います。
 一方で、多摩川の流水を利用した水力発電による電気事業の令和五年度決算は経常赤字となっておりますが、その要因についてお伺いをいたします。

○神田技術調整担当部長 令和五年度は、白丸調整池ダムにおいて、ダムのゲートを開けて水を抜き、導水路など水路工作物の法定点検を実施したため、約三か月間、多摩川第三発電所及び白丸発電所が停止しており、販売電力量が減少しました。加えて、点検に併せてダムのメインゲートなど比較的大きな修繕工事等を行ったため、支出が増加いたしました。
 これらを主な要因として、令和五年度決算は経常赤字となってございます。

○かつまた委員 発電所を停止し、導水路などの法定点検や点検に合わせた修繕工事など、発電に必要な保守作業を行った結果、経常赤字となったということであります。
 電気事業は、これまでも黒字基調であり、六年度予算も黒字を見込んでいることから、五年度はこうした特殊事情があったため赤字だったことを理解いたしました。
 水力発電は、発電する際にCO2を排出することのないクリーンなエネルギーとして非常に価値のあるものというふうに考えます。引き続き、発電機などの設備の保守点検を着実に実施し、安定的に発電を行っていただきたいことを要望いたします。
 次に、都営地下鉄の広告料収入や収入確保に向けた取組についてお伺いをいたします。
 令和五年度決算では、都営交通の乗車人員が前年度に比べて増加しておりますけれども、これまでも局が説明されてきているように、テレワークの浸透や今後の生産年齢人口の減少などを踏まえると、コロナ禍前の水準への回復は難しいというふうに考えます。
 都営交通の収益力をさらに強化していくためには、広告料収入など乗車料収入以外の収入をしっかりと確保していくことが重要であります。
 私もふだんから都営地下鉄をよく利用しておりますけれども、他の鉄道会社よりも車内広告が少ない印象を持っております。公営交通の広告の販売に当たっては、行政関連の広告を一層充実させるなど、取組の余地があるのではないかというふうに思います。
 そこで、都営地下鉄における令和五年度の広告料収入と収入確保に向けた取組についてお伺いをいたします。

○築田資産運用部長 都営地下鉄における令和五年度の広告料収入は、約二十一億円でございまして、前年度と比較し、約二億円の増収となりました。
 収入確保に当たりましては、一編成全ての車内広告を一社が独占して掲出するメディアライナーを、大江戸線に加えまして三田線にも拡大するとともに、新宿線新宿三丁目駅の壁面を利用した広告枠を新設するなど、魅力的な媒体の創出に取り組みました。
 また、行政広告の拡大を図るため、都営地下鉄の広告媒体につきまして、新たに作成したリーフレットを用いて他の自治体や都庁各局に紹介するなど、販売促進に努めてまいりました。

○かつまた委員 今後とも、新たな需要の掘り起こしや自治体等へのPRなど様々な方策を検討しながら、広告料収入確保に向けた事業を展開していただきたいことを要望いたします。
 続きまして、都営地下鉄ホーム上の安全・安心確保の取組についてお伺いをいたします。
 令和五年度には、都営地下鉄は一日当たり約二百五十万人と非常に多くの方に利用されており、高齢者や障害者、子供連れの方など全ての利用者が安全に安心して利用できる環境を整えることが重要であります。
 私が都営地下鉄を利用する際、利用者の多い朝や帰宅時間などのラッシュ時間帯にはホーム上に駅員がいるのをよく見かけますが、日中の時間帯はあまり見かけません。日中の時間帯であっても、駅のホームで転倒事故や利用者同士のトラブルなどの緊急事態が発生した際には、駅員がすぐに駆けつけて対処しなければなりません。その一方で、どの電車に乗ればよいか分からないといった困り事であれば、利用者同士の声かけで解決することもあるというふうに思います。
 そこで、都営地下鉄のホーム上における安全・安心確保の取組についてお伺いをいたします。

○神永電車部長 都営地下鉄では、ホーム上の安全を確保するため、昨年度、全駅でホームドアの整備を完了するとともに、朝夕のラッシュ時間帯には、全ての駅で係員がホーム監視を行っております。
 また、障害のある方などにも安心してご利用いただけるよう、全ての駅にサービス介助士の資格を持った係員を複数名配置しているところでございます。
 さらに、他の鉄道事業者とも連携し、声かけサポート運動に取り組んでおりまして、お困りのお客様への駅係員による声かけを徹底するとともに、ポスターや構内放送などにより周囲のお客様への協力を呼びかけているところでございます。

○かつまた委員 都営地下鉄のホーム上における安全・安心な取組について理解をいたしました。資格を持った係員の配置や声かけサポート運動などの取組を通じて、引き続きホーム上における安全・安心の確保を進めていただきたいことを要望いたします。
 続きまして、エスカレーターの安全利用に対する交通局の取組についてお伺いをいたします。
 ホームから改札口までの移動には、多くの方がエスカレーターを利用しており、左側に立ち止まって右側を空けて利用する光景が当たり前となっております。
 こうした中、エスカレーターでの事故を防ぐため、埼玉県や名古屋市においては、エスカレーターは立ち止まって利用することを義務づける条例が施行されております。
 私も、障害があり右側の手すりを使う必要がある地元の方から、エスカレーターを利用する際に右側に立ち止まると後ろの方から文句をいわれた、エスカレーターは両側とも立ち止まって利用するようにしてほしいとの大事なお声をいただいております。
 また、空いている右側を駆け上がっていく利用者がいると、立ち止まっている高齢者、お子様にぶつかるのではないかとひやっとする場面に出くわすこともあり、思わぬ事故が起こる可能性があるのではないかと心配をしております。
 エスカレーターの安全利用に対する局の取組についてお伺いをいたします。

○稲垣鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、駅の構内放送を通じて、エスカレーターを歩かずに立ち止まってご利用いただくよう、日頃からお客様に注意喚起を行うとともに、他の鉄道事業者等と連携し、ポスター掲出などによる啓発キャンペーンを毎年実施しております。
 また、令和二年度からは、立ち止まってのご利用を促すメッセージをエスカレーターの乗り口の床やお客様の目につきやすい場所に表示をし、転倒や接触等による事故防止の呼びかけを強化しております。

○かつまた委員 長年の社会的な習慣を変えていくことは大変難しいことと思いますが、引き続き、誰もが安心してエスカレーターを利用できるよう、普及啓発に取り組んでいただきたいことを要望させていただきます。
 次に、ロボットコンシェルジュの利用状況と今後の取組についてお伺いをいたします。
 先日、浅草線新橋駅を利用した際に、ロボット型の案内コンシェルジュを見かけました。このロボットはAIを搭載しており、乗換案内や駅周辺情報などを対話により多言語で案内することができるため、インバウンドの方も楽しみながら様々な案内を受けることができるというふうに開いております。
 こうしたロボットコンシェルジュを継続的に使っていただくためには、案内を一層充実させることが必要であるというふうに考えます。
 そこで、ロボットコンシェルジュの昨年度の利用状況、今後の取組についてお伺いをいたします。

○稲垣鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、東京を訪れる旅行者等の利便性の向上を図るため、令和二年度から、AIによる対話型のロボットコンシェルジュを新宿西口駅と新橋駅に導入しております。
 運賃や乗車経路をはじめ、駅構内、駅周辺の情報等、様々な案内を多言語により行っており、令和五年度は一日当たり新宿西口駅で約七十件、新橋駅で約二百十件の利用がございました。
 より質の高いお客様案内に向けて、引き続きロボットの利用実績を積むことにより、対話精度の向上を図ってまいります。

○かつまた委員 今後とも、東京を訪れるインバウンドはさらに増加していくことが見込まれるため、AIの特徴を生かして案内の精度を上げられるよう取り組んでいただきたいことを最後に要望し、質問を終わります。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。よろしくお願いします。
 今回は、交通局で再エネ、省エネ対策、気候危機対策の取組について伺っていきたいと思います。
 いうまでもなく、都市における公共交通は、都市活動を支える重要な都市施設です。市民にとって安全かつ効率的で快適な公共交通を確保することは、地域住民の福祉の増進に不可欠であり、交通局の皆さんが運営している地下鉄やバス、都市の交通網を支える大事な責務を担っていると認識しております。
 都が経営する都営交通は、東京都区部の約一一%を占めているということで、ここで待ったなしの課題である気候危機対策の打開へ交通局として取り組むことが大変重要だと思います。
 都営交通が、バスや地下鉄で率先して温室効果ガスの排出削減に取り組むことが求められているという中で、東京都として、二〇三〇年までに二〇〇〇年比で温室効果ガスを半分に減らす目標があります。二〇五〇年にカーボンゼロという目標なんですが、特に二〇三〇年までの取組が極めて重要です。
 そこで、昨年度、交通局としては、まずどのような再エネ、省エネ対策に取り組んできたのか、温室効果ガス削減の実績も併せて伺います。

○一條技術企画担当部長 令和五年度は、庁舎等の屋上に設置いたしました太陽光発電設備により創出しました電力をそれぞれの施設で活用するとともに、都営バスの全営業所で、当局の水力発電所でつくられた再生可能エネルギーを使用いたしました。また、省エネルギーの推進に向け、地下鉄の駅やバス停留所へのLED照明の導入などの取組を着実に進めました。
 令和五年度の温室効果ガス排出量は現在集計中でございますが、令和四年度の実績では、前年度に比べエネルギー使用量は減少しているものの、電力会社の排出係数の増加の影響を受けまして、温室効果ガス排出量は前年度比一・二%増の二十九・四万トンとなりました。

○里吉委員 様々取り組んでエネルギー使用量は減少したが、温室効果ガス排出量は逆に増えているということでした。電力会社の排出係数の増加が影響したということで、毎年これが変わるわけですよね。排出係数は、火力発電の比率が高いと係数が高くなって、再生可能エネルギー一〇〇%使っていれば係数はゼロということなので、その変動の影響を受けたというご説明だったと思います。
 交通局の場合、今質疑もありましたけれども、例えば都営地下鉄で新たにホームドアをつけたり、エレベーターやエスカレーターをつけたり、様々なサービスを拡充すると電力をさらに新たに使うというものもありますから、いろいろ取り組んでエネルギー使用量がそれでも減少したということは、これは重要なことだというふうに思います。
 ただ、一方で、二〇三〇年までに温室効果ガスを半分にするという目標からすると、こういう時代ですので、今までの延長線上でない思い切った対策が必要でないかと思います。
 交通局の経営計画二〇二二も読ませていただきましたけれども、購入する電気を再生可能エネルギー由来のものにすることも含めて検討する必要があると、お金がかかるけれどもどうするかということも書かれていました。どういうやり方にするかというのはいろいろあると思いますが、今までの延長線でない対策が必要だということは申し上げておきたいと思います。
 次に、幾つか具体的に、対策、今ご説明いただきました中身について伺っていきたいと思います。
 まず、交通局が持っている水力発電で発電した電気の活用についてです。
 この水力発電で発電した電気の一部を自ら活用しているということですが、現在どのような活用をしているのか、昨年度の公募ではどのような条件にしたのか伺います。

○神田技術調整担当部長 水力発電所で発電する電気について、令和六年度からの売却先となる小売電気事業者を昨年度公募しており、都営バスの全営業所に加え、新たに東京さくらトラム、都電荒川線の運行電力にも電気を供給することを条件といたしました。

○里吉委員 今年度から、東京さくらトラム、都電荒川線の電気は再エネ一〇〇%で運行していると、実現しているということが分かりました。交通局が持っている水力発電、有効に活用されているということで、これは大事だというふうに思います。
 さらにいろんな取組が必要だと思いますが、次、省エネの対策、伺いたいと思います。
 照明のLED化、これも進めているというお話でしたけれども、例えばバスの停留所の照明のLED化、今、全体の何割まで進んでいるのか伺いたいと思います。昨年度の実績も併せて伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、環境負荷の低減に向け、停留所の上屋及び標識柱の更新等に合わせ、LED照明の導入を進めております。
 令和五年度は百四十四か所に導入し、年度末時点で、対象停留所の約五割となる千六百二か所でLED化が完了しております。

○里吉委員 質疑を準備する中で、バス停留所の照明のLED化、随分前から頑張って取り組んでいるということで伺いました。最初に始めたのは二〇一三年ということで、十一年かけてここまで頑張ってきたということなんですね。
 経営計画見ますと、到達目標が、二〇二四年までに三か年合計で上屋六十棟、標識柱三百基ということで、これが多分今年度末に終了するということだと思うんですが、まだ全体を終わらせるにはなかなか大変だということだと思います。多分、今残っているものはすぐにLED化できないものが多く、停留所の更新のタイミングで進めるのが基本だというふうに伺いました。
 日々技術も進歩しておりますので、ぜひ速やかにLED化できるようにしていただきたいし、全体の完了の目標も持って取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
 次です。次は、再生可能エネルギーです。
 庁舎屋上の太陽光パネル設置、これも進めていらっしゃるというお話でしたが、昨年度はどのようなところが増えているのか、今後増やす計画はあるのか伺います。

○周郷技術管理担当部長 交通局では、老朽化した庁舎の改修等の機会を捉えまして、活用可能な屋上スペースに太陽光パネルを設置することとしておりまして、令和五年度は、大島総合庁舎及び江戸川自動車営業所臨海支所での設備の設置に向け、工事を進めました。

○里吉委員 着実に進めているということだと思うんですが、改修工事などの機会を捉えて設置しているというのがあって、これは大事なことなんですけれども、環境局は、知事部局の各局の既存施設についても太陽光パネルの設置ができるかどうか調査検討して、それまでは改築のときだけパネル設置していたんですけれども、既存施設にも設置できるところにはどんどん太陽光パネルをつけていくというふうに今なっているんです。
 交通局でも、既存施設についても太陽光パネルの設置をぜひ進めていただきたいと思いますが、調査検討して取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

○周郷技術管理担当部長 繰り返しにはなりますが、今後も老朽化した庁舎の改修等の機会を捉えまして、活用可能な屋上スペースに太陽光パネルを設置することとしております。

○里吉委員 最初にも述べましたけれども、二〇三〇年までに温室効果ガス、半分にする目標は、東京都全体で取り組むものなので、交通局としても、新たに今ある既存施設についても、屋根が重さに耐えられないとか、この角度は無理だとか、いろいろ調査してもつけられないケースもたくさんあると思うんですけれども、ぜひ検討していただいて、つけられるところは設置をするという取組を進めていただきたい、これは要望しておきます。
 次に、都営バスの車両について伺います。
 運輸部門での脱炭素化を実現していくためには、CO2排出を大幅に削減できるEVバスの導入が有効であると私ども日本共産党は繰り返し求めてきました。今日もこの立場から質問したいと思います。
 まず、昨年度、都営バスの低公害、低燃費の車両購入はどれくらいだったのか、実績について伺います。

○佐藤自動車部長 令和五年度におきましては、走行時にCO2、NOx、PMなどを排出しない環境性能に優れた燃料電池バスを五両導入したほか、最新の排ガス規制や燃費基準に適合したディーゼルバスを八十両導入いたしました。

○里吉委員 用意していただいた資料の八ページにもありますけれども、ディーゼルバスは八十台増えて、昨年度千二百九十四台、燃料電池バスは五台増えて、昨年度七十五台だということです。
 燃料電池バスは、車両もディーゼルバスに比べて値段が高く、また燃料費も高いということで、この七十五台に対して様々な補助が入っていると思います。
 そこで伺いますが、燃料電池バスについて、この間及び昨年度の導入費について伺います。また、燃料費について、昨年度の補助額についても併せてお答えください。

○和田バス事業経営改善担当部長 燃料電池バスは、ディーゼルバスと比べて極めて高額であることから、差額分につきましては車両の購入者が国及び都から補助を受けており、現在、ディーゼルバス並みの価格で導入できる仕組みとなっております。
 交通局では、六年間のリース契約により燃料電池バスを導入しておりまして、平成二十八年度から令和五年度までの補助を踏まえたリース料総額は約八億二千百万円、このうち令和五年度のリース料は約二億円でございます。
 また、燃料である水素につきましては、軽油と比較して高額であることから、軽油との価格差が縮小されるよう、令和四年度から補助を受けており、令和五年度に受けた燃料費補助額は約一億二百万円でございます。

○里吉委員 車両も燃料も高額なため、補助が出ているということで、こういう高額な燃料費ということで、都は二〇二二年から、軽油と比較して燃料費の価格差が縮小されるよう補助を始めたということです。
 七十五台で割ると、単純計算ですが一台当たり年間二百六十六万円のリース料ということなんですが、これ、伺いましたら、今、国から約三千五百万、都から五千万の補助が出ているということでした。燃料費補助は一台当たり、割ると百三十六万円です。燃料電池バスは、導入コストや燃料費などのランニングコストが割高であることも大きな課題だと思いました。
 そうしましたら、ここの経営計画にも、これは二〇二〇年度実績で、燃料電池バスとディーゼルバスの一両当たり運行コストの比較、一年当たりの平均というのが出ておりまして、燃料電池バスは車両費が三百二万円、ディーゼルバスは百九十三万円、燃料費は二百九十二万円、ディーゼルバスは百十八万円ということで、かなり割高になっているということなんです。
 この燃料電池バス、水素ですが、走るときにCO2を出さないということでクリーンなエネルギーといわれていますが、残念ながら、今現在の水素はほぼ化石燃料で発電した電気を使っております。ですので、その製造過程でCO2が排出されています。
 また、再生可能エネルギーを使ったとしても、その電気を使って水素をつくる段階でエネルギーロスが生まれることを考えると、再生可能エネルギーは電気として使うことの方が有効だというふうに考えます。
 もともと社会が再生可能エネルギーで大部分の電気が賄われるようになって、余ってしまったときには、水素はそれを蓄電するという意味で需要は高まりますが、現在の発電は大半が火力発電で賄われている状況ですので、二〇三〇年カーボンハーフを実現するためには、今やるべきは再エネ割合を一気に増やすことこそ重要で、電気を有効に使うという意味では電気バス、有効だというふうに考えます。
 現在、一部、グリーン水素の製造、使用も始まって、都営バスにも使われているということは伺いました。ただ、さっきお話ししましたように、電気を使って水素を製造するエネルギーロスを考えますと、その再エネを本来は再エネのままバスで使った方が効率的だと考えます。
 電気自動車や電気バスが長距離走行や急速充電もできるようになりました。ですから、今こそEVバスにシフトすべきだと考えます。
 調べてみましたら、千葉市内や北九州の市営バス、静岡市内の路線バスなど、全国で路線バスにEVバスを導入する動きが広がっています。東京でも、二〇二三年三月には西東京バスが、青梅、あきる野、檜原、八王子を中心に走る路線バス三台、大型EVバスの運行を始めました。今年、二〇二四年三月には小田急バスが、武蔵野市、三鷹市、調布市などを走る路線バスに二台の大型EVバスを導入いたしました。
 昨年九月、EVバス導入に向けたモデル構築に係る東京電力ホールディングス株式会社との事業連携協定を締結しておりますけれども、これは具体的にはどのような検討を行っているのか伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 EVバスの導入につきましては、充電設備等のための十分なスペース確保や、早朝から深夜まで運行する中での充電時間の確保、一回の充電で走行できる距離が短いことなど、様々な課題がございます。
 そのため、東京電力ホールディングスとの連携事業におきまして、互いに有する知見を活用しながら検討を進めております。

○里吉委員 EVバスの充電設備等のスペース確保という話があって、確かにバスは大きいですから、普通の乗用車を充電する場所には大き過ぎて入り切らないということはあると思います。ですが、だからこそ、ちゃんと充電スペース、充電設備、用意してほしいと思うんですが、現在、営業所内に水素ステーションをつくる計画が進んでいるわけですよね。本来、ここを本当は充電設備のスペースにできたのではないかと私は思います。
 路線バスにどれだけEVバスが導入されているか調べてみたら、二〇二三年度、一気に増えているんです。これは、NEDOのグリーンイノベーション基金事業、スマートモビリティ社会の構築プロジェクトの中にいろんなメニューがあるんですが、バスについては、路線バスEV化および交通・地域のカーボンニュートラル化を実現する運行管理-需給調整一体型エネマネシステムの開発・実証というテーマでプロジェクトが組まれておりまして、ここに東京電力ホールディングスも入っておりました。事業期間は二〇二二年度から二〇三〇年度です。ここで一気に、二〇二三年度、路線バス、EVバスが増えたのではないかと推察いたします。
 このプロジェクトは、トラックやタクシーなどもあるんですが、バスについてのプロジェクトは二つで、どちらともEVバスでした。都心では独自の課題もあるかと思いますが、ぜひ都バスでもしっかりと早急に取り組んでいただくよう、改めて要望しておきます。
 最後に、都営地下鉄についてです。
 民間の鉄道では、これも調べて驚いたんですが、一〇〇%再生可能エネルギー由来の電力で運行を開始したという事業所が幾つも、ネットで調べただけでも見つかりました。鉄道の分野でも、この取組が進んでいるというふうに思いました。
 昨年度の都営地下鉄での気候危機対策の取組を伺います。また、電気を再エネにしていく検討は行っているのか、併せて伺います。

○一條技術企画担当部長 都営地下鉄において、庁舎の屋上に設置いたしました太陽光発電設備により、令和五年度は約三万五千キロワット時の再生可能エネルギーの電力を創出し、それぞれの施設で活用いたしました。
 また、さらなる再生可能エネルギーの電力の導入につきましては、電力市場の動向等を見据えつつ検討しております。

○里吉委員 再生可能エネルギーの電力導入は、電力市場の動向を見据えつつということで、多分、契約している電力会社がどれだけ再生可能エネルギーを使ってくれるかによって係数も大分変わってきて、先ほどみたいなことも起こるわけなんですよね。ぜひ、自分たちで電気をつくる、もしくは再生可能エネルギーを買う、いろんなやり方あると思うんですけれども、本気で今取り組むべきだということで検討をしていただきたいと思うんです。
 ご存じのことと思いますが、トリノG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、CO2の排出削減対策のない石炭火力発電を二〇三五年までに段階的に廃止する、これで合意しているわけです。G7の中で、イギリスは先頭に立って、今年九月末、最後の石炭火力を停止いたしました。今、こういう時代に私たちは生きている、そして、地球規模で気候危機対策、取り組んでいるわけです。
 太陽光パネルの設置をはじめ、再エネ利用の拡大のために、交通局としてもあらゆる対策を進めていただきたいということを改めて求めまして、質問を終わります。

○西崎委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、広く都営交通に関する事業や取組について伺ってまいりますけれども、まず初めに、カスタマーハラスメントについて伺います。
 先日の第三定例会でカスハラ防止条例が成立したということで、我々都議会立憲民主党といたしましてもこれを強く求めてきたものですので、非常に感慨深く思っているところであります。
 施行は来年の四月ということでありますが、いうまでもなく、カスタマーハラスメントという問題はこれまで存在をしてきたわけでございまして、昨年の分科会でも、我が会派の関口都議から、暴力行為や暴言等に対する対応ということで質疑を行っております。
 そういう中で、カスハラ対策に関しましては、公民問わず様々な動きがございます。かなりいろいろあって、例を挙げたら切りがないんですが、例えば、職員の皆さんのネームプレートなんかも、都内でいえば今年でしたか、品川区を皮切りに、私の地元の目黒区もそうなんですけれども、職員の皆さんのネームプレートを名字のみの記載にするとか、そういった工夫もしているということです。
 そういったことを踏まえて、いわゆる電車やバスの運転士さんや車掌さんの氏名表示というもの、これに対しても同じような流れがございまして、例えば、JR各社も昨年あたりから名前を車内に掲示するということを独自にやめたというような判断をしております。
 ここから質問に入りますけれども、決算年度であります二〇二三年の八月一日、国交省の省令等の改正によって、バス車内における乗務員の氏名等の掲示義務が廃止になったかと思います。これ、義務が廃止ということでありますけれども、どのような対応を取られたのかということをお聞きいたします。
 あわせて、こうした氏名表示に起因する嫌がらせというか、そういったものがこれまで事例として報告されているのか、さらに、これ以外にも顧客による不当な要求などの事例というものが報告をされているのかお聞きをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤自動車部長 都営バスの車内での乗務員氏名の掲示につきましては、令和五年八月の法令改正に伴い廃止しております。
 また、乗務員の写真や氏名を無断でSNSに掲載されるなどの迷惑行為の事例があったほか、乗務員のお客様対応に関してお客様が感情的になり、過度な謝罪対応の要求を受けたことがございます。

○西崎委員 氏名の掲示自体は、法令改正によって廃止をされたということでございます。一方で、それまでの話、いわゆる典型的なSNS等での迷惑行為というものも報告をされているということでございました。さらには、これとは別です、名前の話とは別に過度な謝罪要求等も発生しているということでございました。
 所管が分かれちゃいますので同じようなことを聞きますが、都営地下鉄や都電ないし日暮里・舎人ライナーにおいても、顧客による不当な要求などの事例というのは報告をされているのでしょうか。いかがでしょうか。

○神永電車部長 都営地下鉄等におきましては、お客様からの不当な要求などの事例として、改札機でエラーが出たためお声かけをしたところ、入場履歴がないのはおまえらのミスだ、運賃は払わないと大声でどなられた、遺失物の問合せがあり詳細を伺ったところ、覚えてないと返答された上、早くしろ、能なし等の暴言を受けた、お客様同士のトラブルが発生した後、一方のお客様が駅務室に長時間居座り、クレームを繰り返したなどの報告を受けております。

○西崎委員 ありがとうございました。かなり具体的に事例をお示しいただいて、やはりそういったことがこれまでも発生していたんだということは確認をさせていただきました。
 このようなケースを今後どう防いでいくかということが、ますます問われてくるんだと思います。
 同時に、労働組合の調査によると、いわゆるカスハラが発生をした際に、事業者側が何らかの対策を講じていた場合に、その職員が受けるダメージを大きく減らせると、こういう結果も出ているわけでございます。例えば、対応マニュアルを整備しておくとか、相談体制を整えておくとか、そういうことですね。
 そう考えたときに、こういったカスハラに類するような不当な要求などを受けることによって、職員の皆さんが精神的な不調を来すというようなことも考えられるわけですけれども、そうした職員の皆さんに対するメンタルヘルス対策について伺いますが、いかがでしょうか。

○櫻庭職員部長 交通局では、職員のメンタルヘルス対策といたしまして、管理監督者が心の健康問題に対応できるよう研修を行っておりまして、公務中に不当な要求などを受けた職員に対しましては、その管理監督者がその後の心身の状況を確認いたしまして、適宜、産業保健スタッフなどと連携しながら相談に応じるなど、きめ細かな対応を行っております。

○西崎委員 様々細かな対応を取っているということでございます。
 先ほど来、人材確保なんて話もこの質疑の中で様々出ておりますけれども、カスハラが人材流出にもつながるというような向きもありまして、やはり深刻な問題でありますから、今回、条例の成立を受けて、防止をどうしていくかという考え方もそうでありますし、やはり発生した場合の対応やケアということについても、さらに取組を強化していっていただきたいということを申し上げておきます。
 カスハラに関しまして、もう一点伺いたいんですけれども、このたびの第三定例会での条例の審査に当たりましては、障害者の当事者団体の方々などから、いわゆる合理的配慮の求めがカスハラと受け取られるのではないかという懸念が示されておりました。もとより、障害者差別解消法に基づいて、こうした合理的配慮というものを提供しているものと思いますけれども、いうまでもなく、今後も丁寧な対応が求められてくるということでございます。
 そこで、所管を分けて伺いますが、まず、都営バスにおける障害者への合理的配慮への取組について伺います。

○佐藤自動車部長 都営バスでは、これまでも、障害のある方にも安心してご利用いただけるよう、乗務員が適宜乗り降りを支援するとともに、実際に車椅子を用いて固定方法を習熟させるなど、定期的に研修を行っております。
 また、障害のある方を営業所に招き、バスの乗り降りなどを体験いただくとともに、日頃ご利用される際にお困りになっていることやご要望などを伺い、対応力の向上に生かしております。

○西崎委員 ありがとうございます。どうしても所管が分かれてしまうので、今度は、都営地下鉄、都電、日暮里・舎人ライナーにおいてはいかがでございましょうか。

○神永電車部長 都営地下鉄等では、鉄道等の施設を安全に安心してご利用いただけるよう、他の鉄道事業者や障害者団体と連携し、お困りのお客様への係員による声かけを徹底する声かけサポート運動に取り組むほか、おもてなしの心と安全な介助技術を身につけ、障害のある方などへ適切に対応するため、平成十九年度からサービス介助士の資格取得を進めております。
 加えて、地下鉄の駅係員に対しましては、障害に係る疑似体験器具を用いた研修等を定期的に実施しております。

○西崎委員 様々、当事者の方であったり、もしくはその体験であったりという工夫を凝らした研修であるとか、資格取得など、様々、それぞれ取り組んでいるということをお答えいただきました。
 先ほど申し上げましたように、カスハラの防止条例の際にはそういった懸念の声は寄せられていたわけでありますけれども、これは別に、あらゆる業種に関わることでありますが、やはり都営交通といたしましても、そうした不安を払拭すべく、引き続き当事者の立場に寄り添った対応をお願いしておきたいと思います。
 次に、エスカレーターの安全利用について伺おうと思いましたが、先ほど、さきの委員からも質問がありましたので、ここは割愛をさせていただきますが、やっぱりこれは取り組まなければならない問題だと思っています。
 そもそも、建築基準法等で定められているエスカレーターの規格が歩くことを前提としていないと。百十センチ以下ですからね。階段は百四十センチ以上なのに、エスカレーターの方が幅が狭くていいと。そもそも歩くことを想定していないものであるということであります。
 毎年、日本エレベーター協会がアンケート調査を発表しておりますけれども、決算年度であります昨年二〇二三年、ついに、エスカレーターの歩行はやめた方がよいと思うと答えた割合が九割を超えたということでございます。そういう意味では、皆さんの啓発等の効果もじわじわと出てきているのかなと思いますけれども、一方で、この同じ調査では、九割の方がやめた方がいいと思っているにもかかわらず、歩いてしまうことがあるという方が六一%でございまして、まだまだ課題があるのかなと思っております。
 やはりいろいろな工夫が必要かと思いますけれども、いわゆるナッジのような行動科学的な手法等も含めて、さらなる工夫を重ねて利用者の行動変容を促す取組というものを求めておきたいと思います。ここは質問はいたしません。
 次に、浅草線における事故について伺います。
 二〇二三年六月五日、浅草線で車両脱線事故が発生をし、一部の列車が運休となってございます。車両基地で発生をしたものということで、お客さんの乗っている車両じゃないというのは不幸中の幸いであるかと思いますけれども、車両の脱線ということで驚いた方も多かったのではないかなと思いますけれども、この事故の原因について伺います。

○坂口建設工務部長 令和五年六月五日の浅草線馬込車両基地内で発生した車両脱線につきまして、専門機関に原因調査を依頼いたしました。
 その結果、法令にのっとり、定めた基準どおりに軌道の検査は行われたものの、本線にはない半径百メートルの急曲線上のレール継ぎ目箇所において、局所的な軌道変位が生じていたことや、それによる車両通過時の横方向への圧力の増加、気象条件などに伴う摩擦の増加など、複数の要因が重なったことによりまして発生したものと推察されております。

○西崎委員 つまり、法令等にはのっとってきちんとやっていたけれども、専門機関の調査をした結果によると、複数の要因が重なって発生したということが推定をされるということでございます。
 そうすると、いわゆる同じ条件が再現されて、またこれが起こっちゃうということがないんでしょうか。こういった車両脱線の再発防止策についてお聞かせください。

○坂口建設工務部長 車両脱線を受けまして、当該箇所の補修を速やかに実施するとともに、車両基地内の急曲線部のレールに摩擦を低減させる潤滑油を塗布いたしました。
 また、恒久対策として、軌道変位の検査の精度を高めるため、測定箇所を増やしたほか、急曲線部への脱線防止ガードの設置を進めております。

○西崎委員 当該箇所への対応に加えて、全般的な対策も進められているということでございます。やっぱり何よりも安全性が大事ということでございますので、同じような事故が起こらないための徹底した取組を求めておきたいと思います。
 引き続き、地下鉄について伺ってまいりますが、決算の概要の資料を拝見いたしますと、事業の取組の中で、質の高いサービスの提供の項目で、三田線車椅子乗降口のホームかさ上げ等工事の実施とあります。バリアフリー化への取組の一つであるかと思いますけれども、この事業の進捗状況をお聞かせください。

○周郷技術管理担当部長 三田線では、車椅子をご利用のお客様が駅員等の介助なしに車両に乗降しやすくするため、車椅子乗降口におけるホーム先端部のかさ上げや、くし状ゴムの設置を進めております。
 令和五年度末までに三田駅など十六駅で工事を完了しておりまして、今年度中の整備完了を予定してございます。

○西崎委員 三田線は、私の地元の目黒駅まで来ているということでございまして、今年度中に整備が完了する予定ということで、こうしたバリアフリー化の取組が進んでいくということは非常にありがたいなと思っております。
 一方で、これは非常にいいことをやっていただいていると思うんですけれども、交通局のホームページに掲載をされている三田線のプラットホームと車両の段差と隙間の状況、ここでは各駅の状況というものが公表されているんですけれども、三田線内の目黒駅、白金台駅、白金高輪駅については、他社管理駅との理由だと思いますが、記載がないわけでございます。
 しかしながら、同じホームページ内のバリアフリー情報のページの各駅の主なバリアフリー設備一覧には、今申し上げた三駅も含めて掲載をされているということでありますから、三田線におけるプラットホームと車両の段差と隙間の状況を、申し上げた三駅についても公表すべきじゃないかなと思うんですけれども、見解を伺います。

○周郷技術管理担当部長 三田線のホームと車両の段差と隙間の状況につきましては、ホームページで公表しております。
 なお、他社が管理する駅に係る情報発信は、当該事業者がおのおのの判断に基づいて行っております。

○西崎委員 管理をする事業者が判断をしてということでありますけれども、利用者にとっては、三田線に乗っている、使うお客さんにとっては、どの駅をどの事業者が管理しているかというのはやっぱり分かりづらいわけですし、率直に言ってお客さんには関係のない話だと思います。事業者間の連携というものが多分必要になるんだとは思いますが、それをきちんと行った上で公表すべきではないかということを改めて申し上げておきたいと思います。
 同じような話で、都営地下鉄一日乗車券、ワンデーパスも、目黒駅で販売されていないということでございます。
 三田線は目黒駅から乗れるんですが、ワンデーパスを購入しようと思ったら、わざわざ三田駅まで行かなければならないということでございます。他の都営地下鉄の駅では当たり前のように券売機で買えるわけですが、目黒駅でも対応すべきじゃないかなと思うんですけれども、見解を伺います。

○稲垣鉄軌道事業戦略担当部長 三田線目黒駅は、相互直通運転を行っております東急電鉄が管理する共同使用駅でございまして、乗車券の発売などの駅業務は同社に委託をしてございます。
 都営地下鉄ワンデーパスは期間限定の企画乗車券であり、目黒駅で発売をするためには、東急電鉄の機器やシステムを大幅に改修する必要がございます。

○西崎委員 なかなか難しそうなお話ということでございますけれども、この話は、この決算年度であります二〇二三年の五月二十五日に公表されました都政への提言、意見、要望等の状況月例報告で、都民の方々の声ということで寄せられておりまして、そこでも交通局としては、今後の事業運営の参考とさせていただきますとご説明をされております。
 今おっしゃったように、技術的な課題があるということは理解をいたしますけれども、ぜひクリアする方法をご検討いただきたいということをここで要望しておきたいと思います。
 最後に、都営交通における様々なイベントやキャンペーンについてお聞きをしようと思っておりましたけれども、似たような話がこれまで出てきましたので、ここでは質問はいたしませんが、いろいろないわゆるイベントやキャンペーン、私も三人子供おりますけれども、三人連れて参加をさせていただいて、バスや電車に乗って都内を巡るということをさせていただきまして、子供にとってはやはり電車やバスに乗ること自体も魅力的でありますし、また、そもそもいろいろな場所に出かけていくということが年齢を問わず、やはり楽しみがあるんだなということを自らも実感をさせていただいております。
 先ほど来議論がありました、いわゆる地域の魅力発信であったり、様々な産業の振興であったり、昨年度は銭湯を巡るキャンペーンなんかもあったように記憶をしておりますけれども、そうした、ただ乗っていただくんじゃなくて、付加価値をつけていくという観点が非常に重要なのかなと思っております。
 もちろん、ここばかりにあんまりお金をかけてもしようがないという見方もあるのかもしれませんが、やっぱり都民の皆様に愛着を持っていただくという観点も非常に重要かと思います。
 皆様の役割としては、やっぱり都民の皆さんに安全で便利な公共交通を提供するというのが一義的な役割かと思いますけれども、その事業は、健全で持続的な事業として続けていくという観点からも、そしてイベント、キャンペーンについても、効率的で効果的な取組を通じて皆様の事業を進めていくということで、今後も努めていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○大松委員 初めに、私からは、燃料電池バスについて質問します。
 近年、地球規模の気候変動により、世界各地では大規模な自然災害が発生し、都内でも記録的な猛暑やゲリラ豪雨が頻発をいたしまして、都民生活に大きな影響を及ぼしております。地球規模の気候変動は、人類の生存を脅かす重大な危機であり、全世界的に取り組んでいかなければならない最重要課題であります。
 そこで、東京都は、二〇三〇年カーボンハーフと、そしてその先の二〇五〇年脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの普及拡大に積極的に取り組んでいることを評価いたします。
 しかしながら、IPCCの報告書によれば、二〇五〇年頃にCO2排出量の正味ゼロが実現されても、世界の平均気温は現在よりも上昇すると予測されています。全ての国が、さらに脱炭素に向けての対策を加速させていかなければなりません。
 その脱炭素社会の実現に向けて鍵となるのが水素です。水素は使用してもCO2を排出せず、また、大量に長期間貯蔵することが可能でありまして、再生可能エネルギー由来の水素の普及に伴いましてCO2の削減効果の増大が期待をされるわけでございます。
 そこで、運輸、製造など様々な分野での活用が模索されておりますけれども、その中で乗用車やバス、トラックなどモビリティー分野での活用が、今先行して社会的に実装が進んでいる状況にあると思います。
 特に、公共交通機関である路線バスは、乗用車と比べて環境に優しい移動手段であり、その路線バスに燃料電池の導入が進めば、さらなるCO2の削減効果が期待できるわけでございます。
 既に都営バスには燃料電池バスが導入され始めていますが、首都東京で一日約六十万人もの人が利用する都営バスは、全国有数のバス事業者、公営交通事業者であり、水素エネルギーの活用の普及に向けて先導的な役割を果たしていくことが求められます。
 そこでまず、都営バスにおける燃料電池バスの導入経緯とこれまでの実績について伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 交通局では、水素社会の実現に貢献するため、平成二十七年度に燃料電池バス車両開発のための実証実験に協力し、実車を用いまして車両性能を確認するとともに、整備上の課題などを洗い出し、得られた結果をメーカー等へフィードバックいたしました。
 平成二十八年度には、開発された車両を先導的に二両導入して営業運行を開始し、その後も毎年継続的に導入を進めまして、令和五年度末で全国のバス事業者で最大の計七十五両を運用しております。

○大松委員 都営バスは、九年前に既にメーカーの実証実験に協力をして、実際に路線バスとして走らせるための課題解決に向けて積極的に行動してきているとのことでございます。他のバス事業者に先駆けて、都営バスが先導的な役割を担ってきたことを高く評価いたします。
 また、全国のバス事業者で最大の七十五両を運用しているとのことですが、燃料電池バスは斬新で目を引くデザインとなっております。まち中を走る広告塔として、水素社会の実現に向けた普及啓発の面での役割も非常に大きいものと考えます。
 これまでの都営バスの努力もございまして、燃料電池バスを走らせるために必要な水素を供給するステーション整備が進んでおります。その進捗に合わせて、他のバス事業者においても徐々に燃料電池バスの導入が進んできているところでございます。
 今後、さらに強力に民間バス事業者を牽引していくためには、また、水素エネルギーの需要拡大に貢献していくためにも、都営バスにおいてさらなる導入拡大を進めていくべきと考えます。
 そこで、燃料電池バスの導入拡大を進めるための課題について伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 燃料電池バスの導入を拡大するためには、安定的な水素の供給体制が不可欠でございまして、水素の充填に時間がかかることや水素ステーションの定期点検時のバックアップが必要となることなどから、バスに充填できる十分な能力を持つ水素ステーションが営業所の近隣に複数整備されることが必要でございます。

○大松委員 燃料電池バスの導入拡大と申しましても、ただ車両を増やせばよいというわけではございません。安定的に燃料電池バスを運用稼働させるための水素ステーションのバックアップ体制が必要ということであります。
 都営バスでは、そうした課題を解決するため、昨年の六月、営業所内に水素ステーションを整備することを発表いたしまして、ステーションを整備、運営する事業者の公募を行いました。民間による水素ステーションの整備を待つだけでなく、自らの営業所の敷地を活用するというアイデアは、燃料電池バスのさらなる導入拡大の切り札といえるものと考えます。
 そこで、有明営業所内で整備を進めている水素ステーションの進捗状況について伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 有明営業所内の水素ステーションの整備につきましては、昨年九月に整備や運営を行う事業者を公募により選定しました上で、本年三月に当該事業に係る協定と土地賃貸借契約を締結いたしました。
 その後、事業者がバスの動線を踏まえた水素供給設備の配置などを水素ステーション整備計画として策定し、計画に基づき、基礎工事を終了したところでございます。
 今後、液化水素を貯蔵するタンクや水素の充填に必要となる圧縮機などを整備し、試運転を経まして、令和七年四月の開所を予定しております。

○大松委員 来年四月の開所に向けて着実に工事が進められているとのことでありますが、開所までもう半年を切っております。引き続き、事業者と連携しながら、しっかりと準備を進めていただきたいと思います。
 また、全国初となる営業所内での水素ステーション整備の取組が都内、そして全国に広まっていくよう、都の関係局とも連携をしながら幅広く情報発信していただくことを求めておきます。
 続きまして、都営交通と銭湯との連携について質問します。
 本年三月の公営企業委員会において、都議会公明党の同僚議員であります玉川議員が、都営バス百周年の記念事業の一環として、都内の銭湯と連携したイベント、銭湯のススメ二〇二四、都営バスでめぐる編について質問しました。このイベントは、本年二月六日のお風呂の日から三月二十二日までの期間で行われ、都内の全ての銭湯と連携し、オリジナルグッズや限定デザインの一日乗車券の発売、銭湯を巡るスタンプラリーなどが行われました。
 銭湯は、これまで健康増進や地域の交流の場として、長い間、住民から愛されてきましたが、日本の文化体験を好むインバウンド向けの観光資源としても潜在的な魅力を持っております。都営交通と銭湯が連携して乗客誘致につなげていくことは非常に重要でございます。
 都営交通と銭湯の連携については、今回の銭湯のススメ以前にも実績があるとのことでございます。
 そこで、都営交通と公衆浴場組合との連携について、これまでの実績を伺います。

○稲垣鉄軌道事業戦略担当部長 都営交通では、地域の活性化や乗客の誘致を図るため、沿線の自治体や施設と連携し、観光スポットやイベントなどの情報を、局の広報誌やホームページなどを通じて発信しております。
 銭湯は都民憩いの場であるとともに、東京の観光資源としての役割も期待されていることから、公衆浴場組合とタイアップをいたしまして、駅などで配布しております沿線ガイド「ぴっく・あっぷ」や「にっとね」等で、近隣の銭湯を含めた散策コースの紹介や銭湯の特集記事を掲載するなど、継続的に情報発信を行っております。

○大松委員 昨年度のイベントも、これまでの土台があったからこそ成立しているということでございます。
 交通局が民間企業など多様な主体と連携した取組を積極的に展開している中で、令和元年から継続的に開催されている銭湯のススメという企画に、交通局が都営バス百周年の機運醸成を図るために参加したと伺っております。国内で有名なアパレル企業や石けんメーカーも交えての企画ということで、異業種連携の意外性もあり、官民の裾野を越えた取組と評価いたします。
 そこで、銭湯のススメに対する反響と局の評価について見解を伺います。

○渡貫企画担当部長 昨年度実施いたしました銭湯とのコラボ企画は、今、副委員長からもお話がございましたように、都営バス百周年事業の一環として、民間企業による銭湯スタンプラリーの人気企画、銭湯のススメに交通局が参画したものでございます。
 本企画に対しまして、都内の銭湯からは、銭湯の存在が広がってよい、異業種が入ってもらえることで活性化につながるといったご意見が、また、本企画のコラボグッズを販売した店舗スタッフからは、都営バスのマスコットキャラクターであるみんくると銭湯双方のファンから大きな反響があり、非常によかったといったご意見が寄せられてございます。
 さらに、イベント期間中には、スタンプラリー参加者のみならず、幅広い層の方々によるSNSへの投稿が多数見受けられたところでございます。
 本企画を通じまして、より多くの方に都営バスの魅力を発信することや新たなファン層の獲得につながったほか、異業種のコラボレーションによる新たな価値を提供できたものと考えてございます。

○大松委員 こうした連携の手法は、互いの乗客に寄与するとてもよい取組であると考えます。銭湯と都営交通は、公衆衛生と公共交通で分野は違いますけれども、双方とも公共性の高い事業でありまして、都民にとって、どちらもなくてはならない身近な存在でございます。
 原油価格高騰などの影響を受けまして、銭湯の経営は大変厳しい状況にありますけれども、インバウンドや国内の若い世代にも気軽に銭湯を利用していただけるように、さらにその魅力を高めていっていただけるように支援をしていくべきと考えます。
 交通局が、今後とも銭湯との連携を継続していっていただくことを求めまして、質問を終わります。

○ほっち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時四十九分散会