令和五年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

令和六年十月二十三日(水曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長高倉 良生君
副委員長田村 利光君
副委員長あかねがくぼかよ子君
副委員長中田たかし君
青木 英太君
玉川ひでとし君
田の上いくこ君
福手ゆう子君
早坂 義弘君
菅原 直志君
和泉なおみ君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長西山 智之君
技監松田 信夫君
総務部長長嶺 浩子君
職員部長高角 和道君
経理部長西川 泰永君
サービス推進部長荒畑 克彦君
浄水部長鈴木  理君
給水部長藤川 和久君
建設部長特命担当部長兼務石田 紀彦君
経営改革推進担当部長小澤 賢治君
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務鈴木美奈子君
設備担当部長小泉 正一君
多摩水道改革推進本部本部長山田 則人君
調整部長清水 英彦君
施設部長青山 忠史君
技術調整担当部長塩田  勉君

本日の会議に付した事件
令和五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・令和五年度東京都水道事業会計決算(質疑)

○高倉委員長 ただいまから令和五年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から二日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、令和五年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都水道事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○長嶺総務部長 さきの分科会におきまして要求のありました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをご覧ください。水需要予測と実績の推移でございます。
 将来の水道需要の見通しと、令和元年度から五年度までの一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
 二ページをご覧ください。多摩川水系、利根川、荒川水系の年間取水量の推移でございます。
 令和元年度から五年度までの多摩川水系及び利根川、荒川水系の年間取水量をお示ししてございます。
 三ページをご覧ください。各浄水場等における再生可能エネルギーの導入及び発電状況でございます。
 浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備について、それぞれの発電規模及び令和元年度から五年度までの発電実績をお示ししてございます。
 四ページをご覧ください。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
 東京水道施設整備マスタープランにおける耐震継ぎ手率の計画値と、令和元年度から五年度までの耐震継ぎ手率の実績をお示ししてございます。
 五ページをご覧ください。水道管路の布設年度別管理延長でございます。
 配水本管及び配水小管の布設年度別の管理延長を、一定期間ごとに区切ってお示ししてございます。
 六ページをご覧ください。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
 令和元年度から五年度までの未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。政策連携団体への委託料及び主な委託内容でございます。
 政策連携団体に対する令和元年度から五年度までの委託料及び主な委託内容をお示ししてございます。
 八ページをご覧ください。政策連携団体における法人税等と株主配当の推移でございます。
 政策連携団体の令和元年度から五年度までの法人税等と株主配当の推移をお示ししてございます。
 九ページをご覧ください。水道料金の減免実績でございます。
 令和五年度の使用件数と減免額について、その区分と合計をお示ししてございます。
 一〇ページをご覧ください。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う水道料金の支払い猶予件数でございます。
 令和四年度及び五年度に受け付けた支払い猶予の件数を口径別にお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わります。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

○高倉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 水道局が策定した東京水道経営プラン二〇二一は、令和三年度から七年度までを計画期間としています。令和五年度は、その中間年度に当たります。そこで、今日は決算審査なので、これまでの成果を伺いたいと思います。
 初めに、財政運営について伺います。
 水道局は、経営プランにおいて、計画期間五年間で収支を均衡させるという目標の下、事業を運営しています。なぜ黒字目標でなく収支均衡なのか。
 赤字が駄目なのはもちろんでありますけれども、大幅な黒字は水道料金が高過ぎるということでもあるので、公営企業である水道事業は収支均衡を目指すものだと理解をいたします。
 まず、令和五年度末までの財政収支の計画額と実績額について伺います。

○長嶺総務部長 当局では、東京水道経営プラン二〇二一の策定に当たりまして、計画期間の最終年度である令和七年度末の累積収支は均衡するものと見込んだ上で、五年度末時点の累積収支に関しましては、約六十二億円の不足が発生すると推計をしておりました。
 実績といたしましては、五年度末で約百七十七億円の累積収支の不足となっており、推計に比べ不足額が拡大しております。

○早坂委員 計画に比べて、私が調べたところによると、累積収支の不足額が百二十億円拡大しているということでありますが、よろしいでしょうか。--よろしいということです。これは令和五年度の水道料金収入の三千百十億円の四%に相当する額であります。
 百二十億円という額は、経営状況を把握するために設定している経営指標において、財政運営上の問題を生じさせるものなのか、伺います。

○長嶺総務部長 当局では、経営の安定性の観点から、対外的に分かりやすく、横浜市や大阪市など他の水道事業体との比較や分析に適した経営指標を選び、経営プランにおいて目標数値を設定しております。
 具体的には、経常収支比率、流動比率、自己資本構成比率、給水収益に対する企業債元利償還金の割合、給水収益に対する企業債残高の割合、料金回収率の計六項目の経営指標を設定しております。
 令和五年度決算では、このうち料金回収率のみ九六・一%にとどまっており、目標である一〇〇%以上を達成できていないものの、他の五つの指標については目標を達成しており、引き続き、おおむね健全な経営状況を確保できているものと認識をしております。

○早坂委員 六つの経営指標のうち、五つについては目標数値を達成していて、おおむね健全な経営状況を確保できているというご答弁でありました。
 しかしながら、料金回収率は目標数値を達成できておりません。
 そもそも料金回収率を経営指標として設定している理由及び一〇〇%を下回っている要因について伺います。

○長嶺総務部長 料金回収率は、給水に係る費用がどの程度給水収益で賄えているかを表す指標であり、資金不足が生じていない状態であることを示す数値として一〇〇%以上を目標として設定しております。
 算出に当たりましては、お客様からいただく一立方メートル当たりの水道料金である販売単価を分子として、水道水を一立方メートルつくるのに必要な経費である給水原価を分母としております。
 販売単価は、令和二年度に新型コロナウイルス感染症の拡大による社会経済活動の自粛などにより大きく減少いたしましたが、その後、徐々に回復をし、令和五年度の実績としては、おおむね元の水準に戻っております。
 一方、給水原価は、物価や労務単価の上昇に起因して高止まりをしており、それが販売単価の回復基調を上回っているため、指標が一〇〇%を下回る状態が続いております。

○早坂委員 算出の基礎である販売単価及び給水原価がそれぞれ大きく変動しているということでありました。
 近年の物価高騰や人件費上昇は急激で、社会経済状況の変化が要因である以上、水道局の即時対応が困難だということは理解をいたします。
 そのことを理解した上で、料金回収率の改善に向け、今後の対応について伺います。

○長嶺総務部長 当局では、販売単価が令和六年度に入っても回復基調にあることを確認しておりまして、当面、この傾向が継続するものと見込んでおりますが、引き続き状況を注視してまいります。
 一方、給水原価に大きな影響を与える物価等も上昇が続くと見込まれますため、より効率的な業務執行に努めるとともに、事務経費等のさらなる節減を図ってまいります。
 また、安定給水の確保を前提としつつ、浄水場や給水所の維持補修等経常的な作業について実施時期を再検討するなど、必要な事業の見直しを実施してまいります。
 これらによりまして給水原価の低減を図ることで、目標の達成に努めてまいります。

○早坂委員 厳しい状況にありますが、安定的な財政運営に向けたご努力を続けていただきたいと思います。
 一方で、能登半島地震をはじめ、台風や豪雨の発生など、頻発する災害を見据えた都市の強靱化は待ったなしの課題であります。目先の経営状況の悪化を理由に本来行うべき施設整備を実施しないようでは、最終的に迷惑を被るのは私たち水道利用者であります。
 そこで、施設整備の状況、特に防災に関する取組について、令和五年度までの実績を中心に伺ってまいります。
 水道局は、経営指標と同様に、経営プランにおいても施設整備に関する目標を定めています。
 元日に発生した能登半島地震では、最大十三万七千戸が断水し、その復旧に五か月を有するなど、地域住民に多大な不便を強いることになりました。その後、九月二十一日に豪雨災害が発生し、再び地域住民の皆様のご家庭において蛇口から水が出る状況が損なわれている状況が発生しているようでありますが、東京都においても、首都直下地震に備え、震災対策を強化する必要があります。
 そこでまず、浄水施設の耐震化の取組状況について伺います。

○鈴木浄水部長 当局では、浄水施設の耐震化を順次進めており、令和三年度には東村山浄水場の沈殿池の耐震補強工事を完了させました。
 続いて、金町及び砧浄水場において設計を進め、五年度に工事を発注いたしましたが、入札不調となったため、再度の契約に向けて準備を進めております。
 また、朝霞及び三郷浄水場におきましては、浄水処理への影響が生じない補強方法の検討のため、設計に時間を要しております。こうした状況を踏まえまして、安定給水を確保しつつ着実に工事を進めるため、五年度に施工時期の再検討を行い、六年度中にそれぞれの工事に着手する予定でございます。

○早坂委員 経営プランでは、大規模浄水場をはじめとして、耐震化を計画的に進めることとしています。今のご答弁によると、耐震補強が完了した施設もある一方で、契約不調などにより計画変更を余儀なくされている施設があるとのことでありました。
 万が一、浄水場で水道がつくれなくなれば、都民に十分な水道水の供給ができなくなるおそれがあります。
 これまでどのような考え方に基づき浄水施設の耐震化を進めてきたのか、伺います。

○鈴木浄水部長 当局では、首都直下地震などに備え、これまでも浄水施設の耐震化を計画的に推進してまいりました。しかし、全ての浄水施設を耐震化するには、長い期間と多額の費用を要することから、浄水処理の最終段階であるろ過池や浄水処理した水をためる配水池の耐震化を優先的に進め、それらにつきましては、令和元年度末までにおおむね完了いたしました。
 現在は、耐震化の効果を早期に発現できるよう、着水井から配水池までの連続性を考慮した浄水処理系列ごとの耐震化を推進しております。

○早坂委員 浄水処理の工程に合わせて、ろ過池や配水池の耐震化を優先して進めてきており、それらについては、おおむね完了したということでありました。
 浄水場の大規模工事は、施設停止などに伴う能力の低下が生じることがあるため、ほかの浄水場の工事の状況などを踏まえながら計画的に行う必要があります。
 残る施設の耐震化を着実かつ計画的に推進していく必要があると考えますが、ご見解を伺います。

○鈴木浄水部長 耐震化工事の施工に当たりましては、施設停止による能力低下が発生することから、これまでに整備してきた送配水ネットワークを活用し、他の浄水場からのバックアップを確保しながら、安定給水に支障がないよう実施してまいります。
 また、発注規模や設計単価の見直しなどによる不調対策を実施するとともに、見直した計画に遅れが生じないよう、工程管理を徹底してまいります。
 加えて、構造物の外側から補強を行うなど、能力低下を伴わない手法による耐震化を検討いたします。
 これらにより、経営プランに掲げた浄水施設耐震化率の令和十二年度末六九%という目標達成に向け、引き続き浄水施設の耐震化を着実に推進してまいります。

○早坂委員 さて、能登半島地震の被害状況を見ても分かるように、災害時に都民へ水道水をお届けするためには、浄水施設の耐震化はもちろんですが、配水管の耐震化も重要であります。
 水道局ではかねてより、粘り強く強度の強いダクタイル鋳鉄管への更新を進めており、現在では配水管のダクタイル化率は九九・九%となりました。これにより、阪神・淡路大震災で散見されたような配水管自体が折れてしまうことはなくなったといえます。
 その後の対策は、配水管と配水管が外れてしまうことを防止することに移りました。平成十年度から耐震継ぎ手管を本格的に採用して取替えを進めてきたと承知をしています。
 しかし、今回の能登半島地震では、配水管の耐震継ぎ手の破損が確認をされました。
 水道局がこれまで行ってきた管路の耐震継ぎ手化は有効だといえるのか、ご当局のご見解を伺います。

○藤川給水部長 国の上下水道地震対策検討委員会報告書によりますと、今回の能登半島地震では、全管路被害二千百六か所のうち、耐震継ぎ手化されたダクタイル鋳鉄管の継ぎ手部の被害が十九か所で確認されており、大規模な斜面崩壊部などでの破損が報告されております。
 また、管路の被害率は全体で一キロメートル当たり〇・一五件であるのに対し、耐震継ぎ手管の被害率は〇・〇〇九件と、極めて低いことも確認されております。
 さらに、国が本年三月に発出した水道施設の耐震指針の適用に関する通知においても、現行の耐震化の考え方は有効であるとされております。
 このため、当局では、耐震継ぎ手化は震災対策において有効な手段と考えており、引き続き推進してまいります。

○早坂委員 能登半島地震では耐震継ぎ手管の抜け出しがありましたが、あくまでそれは大規模斜面崩壊部などの例外的に発生した事象であり、国も、検討会において耐震継ぎ手管の被害が極めて少なかったことを報告しています。このことから、水道局が震災対策において、引き続き耐震継ぎ手化を有効な手段と考えていると理解をいたしました。
 その前提の下に、東京都の取組について、さらに伺ってまいります。
 東京都の配水管の延長は膨大であり、地球一周の約三分の二の距離を占めるものであります。令和五年度末の耐震継ぎ手化率は、しかしながら五一%と、まだ道半ばであります。
 今後も継続的な取組が不可欠でありますが、まず、経営プランの期間内における取組状況について伺います。

○藤川給水部長 当局では、震災時におけるお客様への給水を確保するために、約二万八千キロメートルに及ぶ配水管の耐震継ぎ手化を計画的に実施しております。
 現行の経営プランにおける配水管の取替え延長の実績は、令和三年度が約三百四キロメートル、四年度が約三百十キロメートル、五年度が約二百八十七キロメートルとなっております。
 また、事業費は、三年度が約七百九十九億円、四年度が約八百八十一億円、五年度が約八百九十四億円となっております。

○早坂委員 毎年度、三百キロメートル程度の規模の配水管が取り替えられているとのことでありました。
 労務単価や資材価格などの上昇は今後も継続するものと見込まれ、事業費総額は年々増加していく傾向が見られます。それらを踏まえつつ、引き続き安定的な事業量を確保し、着実な配水管の耐震継ぎ手化に取り組んでいただきたいと思います。
 また、水道局ではこれまで、断水被害の効果的な軽減に向け、優先順位を明確化して管路の更新を進めてきました。
 令和四年度には、これまで重点的に取り組んできた避難所や救急医療機関などの重要施設への供給ルートの耐震化を概成させ、現在は、繁華街や交通量が多い道路の下にあり、取替えが困難になっている管や、震災時に高い断水率が想定される取替え優先地域の解消に向けて取り組んでおります。
 取替え困難管及び取替え優先地域の解消に向けた令和五年度の実績及び解消率について伺います。

○藤川給水部長 当局では、施工が困難な箇所にあり、布設年度が古く、漏水発生のおそれがある管を取替え困難管と位置づけております。これらは、国道、都道などの交通量が多い幹線道路の交差点や鉄道との近接箇所、電気、ガス、下水道などの他企業の地下埋設物がふくそうする箇所などに点在しております。
 令和五年度は、道路管理者や他企業と埋設位置の変更や工事時期の調整に努めた結果、約一キロメートルを解消し、解消率は、四年度の四八%から五六%に上昇いたしました。
 また、断水被害をより効果的に軽減するため、都の被害想定において断水率が高い地域を取替え優先地域と位置づけており、五年度の取替え実績は約四十五キロメートルで、解消率は、四年度の九一%から九二%に上昇しております。

○早坂委員 取替え困難管の解消は、地下埋蔵物がふくそうするなど取替えが困難な箇所での施工になるため、様々な課題があると承知をしています。また、取替え優先地域の解消は、一部地域に工事が集中するおそれがあることから、その地域住民の皆様に工事の理解を得ることも大変だと思います。
 しかし、水道局は、経営プランにおいて、取替え困難管の解消目標年度を令和八年度、取替え優先地域の解消目標年度を令和十年度と直近に定めています。
 それぞれの目標達成に向けた取組を伺います。

○藤川給水部長 取替え困難管の解消については、引き続き、道路管理者や他企業と埋設位置の変更や工事時期の調整など、粘り強く実施してまいります。
 また、取替え優先地域の解消については、特定の地域で連続して工事が発生しないよう、発注順序等を工夫するとともに、地元住民に対し工事の必要性などを丁寧に広報することにより、耐震継ぎ手化の事業効果を理解していただきながら工事を実施してまいります。
 こうした取組などにより管路更新を着実に推進し、令和十二年度には、経営プランの目標値である耐震継ぎ手率六一%を達成してまいります。

○早坂委員 管路の更新は、関係者との調整や地元住民の皆様への説明など、地道な取組があってなせることであります。
 耐震継ぎ手率の向上は、地震発生時の断水率を低下させるための有力な手段の一つです。平時はもとより、大震災の際にも可能な限り水道水をお届けできるよう、引き続き配水管の耐震継ぎ手化を進めていただきたいと思います。
 次に、長期不使用給水管への対応について伺います。
 都内で発生する漏水件数の九割以上は、各家庭に水を給水する給水管で発生しており、空き家や空き地などにおいて管理が不十分な給水管が長期間使われないまま残されることで、漏水リスクが高まることが懸念されます。
 水道局は、自民党からの提言や質疑を踏まえ、本来、給水管は所有者が管理、撤去すべきだという考えから一歩踏み込み、経営プランにおける施策の一つとして、使用中止後五年以上が経過し、再び使用される可能性が低い給水管を対象に、令和三年度から長期不使用給水管整理事業に取り組んでいます。
 能登半島地震においても、宅地内にある給水管からの漏水により大きな被害が発生し、その解消に多くの時間を要しました。
 そこでまず、令和三年度から五年度までの長期不使用給水管整理事業の進捗状況について伺います。

○藤川給水部長 長期不使用給水管整理事業は、漏水事故の未然防止などの観点から、使用実態がない給水管について、所有者に意向を確認し、同意が得られた場合に水道局が撤去するものでございます。
 対象件数一万四千四百件のうち、令和五年度末現在、約八千五百件の所有者に、今後の使用見込みや水道局による撤去の意向確認を実施いたしました。
 そのうち、約三千九百件については撤去の同意を取得し、約三千四百件の撤去工事が完了いたしております。
 一方、撤去を希望しない所有者が約二千二百件おり、これらの所有者に対しては、将来、使用見込みがなくなった際には、所有者自身が撤去しなければならないことを周知しております。
 そのほか、回答を得られない、または所在不明の所有者が約二千四百件存在しております。

○早坂委員 令和五年度末までの実績を踏まえ、今後も着実に取組を進めていくべきと考えます。ご見解を伺います。

○藤川給水部長 当局では、計画期間の令和七年度までに、対象件数の残り約五千九百件の意向調査を確実に実施できるよう取組を進めてまいります。
 具体的には、回答を得られない所有者に対しては、意向確認の案内を再度郵送するほか、個別に訪問し、粘り強く丁寧に説明してまいります。
 また、お客様に本事業の趣旨を理解していただくため、局ホームページや広報紙、SNSなどを活用し、事業をPRしてまいります。
 さらに、所在不明となっている所有者には、土地の登記簿調査や住民票の取得などにより、所有者の特定に向け取り組んでまいります。
 これらの取組により長期不使用給水管整理事業を着実に進めてまいります。

○早坂委員 所有者の意向確認がどうしても得られないことや、調査を尽くしても所在不明の所有者がいて、これら全ての給水管を撤去するのが難しいことは理解をいたします。
 しかし、長期にわたり使われていない給水管について、漏水リスクが高くなり、災害が発生した場合の被害拡大にもつながることとなるため、引き続き、本事業を着実に進め、できるだけ多くの不使用管の撤去につなげていただきたいと思います。
 能登半島地震では、水道事業者が管理する配水管が復旧した場合でも、個人が管理する給水管の復旧が遅れ、家庭で水が使えない状況が長期化しました。
 給水管は所有者の財産であり、水道局ができることは限られておりますが、災害時のみならず平常時においても、給水管が破損し漏水した場合には、都民の生活に支障を来すことになります。
 給水管からの漏水に対する水道局の取組について伺います。

○藤川給水部長 給水管の維持管理は、お客様ご自身で行うことが原則であるものの、道路上などで発生するメーター手前までの漏水は、お客様による対応は困難であり、道路陥没や建物への浸水等の二次被害をもたらす要因となることから、当局が速やかに修理を行うこととしております。
 一方、メーターから先の宅地内で漏水が発生した場合は、所有者であるお客様から水道工事業者へ修理を依頼していただく必要がございます。
 このため、当局では、修繕対応登録事業者や事業者を紹介するメンテナンスセンターの連絡先をホームページ上に掲載するなど、お客様が迅速に漏水修理を依頼できるよう環境を整備しております。

○早坂委員 実際に水道、私たち都民からすると、その問題の所在が、東京都水道局が管理する配水管か、民間が持つ給水管かを問わず、蛇口から水が出ないことにはどうにもなりません。迅速な対応が可能となるよう、引き続き、水道局としてもできる限りの対応を図っていただくようお願いをいたします。
 以上、経営プランにおける目標を踏まえて、財政運営や施設整備の進捗状況について伺ってまいりました。それぞれの課題を抱えつつも、着実に取組を進めていただいていると理解をいたしました。
 決算審査の結果を踏まえ、今後、より円滑な水道局事業の執行につなげていただくようお願いをいたします。終わります。

○菅原委員 それでは質疑をさせていただきます。
 まず、水道スマートメーターについて伺います。
 これまでも私たちは、IoT技術を活用した水道事業のDX化を強く求めてまいりました。その中でも大きな柱となるのがスマートメーターの導入です。
 水道局では、導入効果の確認やお客様サービスの向上に関するニーズの把握、または技術的課題を解決するため、令和四年度から六年度までに約十三万個のスマートメーターを導入する先行実装プロジェクトを進めていますが、令和五年度は、プロジェクト期間の中でも最大の設置予定数となっており、プロジェクトの達成を左右する重要な年でした。
 そこで、まずは設置状況などを確認します。
 令和五年度の給水スマートメーターの設置数、通信成功率及び決算額について伺います。

○藤川給水部長 当局では、水道スマートメータ先行実装プロジェクトに基づき給水スマートメーターの設置を進めており、令和五年度は、予定していた約六万個の設置を完了いたしました。
 五年度における月ごとの通信成功率は約九八%で推移しており、実運用に問題のない水準を引き続き維持しております。
 また、給水スマートメーターの購入及び設置に関する決算額は、約二十一億円でございます。

○菅原委員 順調に設置が進められているとともに、通信も、引き続き実運用には問題がない水準で運用ができているという答弁でございました。
 一方、スマートメーターの導入効果を上げるには、通信率をさらに向上させることが必要です。私たちは、度々その方策について質問をして、水道局からは、新たなメーターボックスの開発や、先行してスマートメーターを運用している電力事業者の通信網の活用に向けて検討などを行っていくという答弁もありました。
 答弁にはありましたけれども、通信成功率の向上は重要なポイントとなりますので、通信成功率の向上に向けた取組状況について伺います。

○藤川給水部長 当局では、通信不具合が発生した給水スマートメーターの電波状況調査を令和五年五月から七月の間に実施した結果、鋼製のメーターボックスの蓋による電波の減衰のほか、マンションの高層階や、同じ階層であっても、方角によって電波が不安定になることを確認いたしました。
 このため、メーターボックスの蓋の対策については、令和六年一月から、公募により選定した共同開発者と電波を透過しやすい鉄蓋の開発を進めており、現在は試作品の製作に取り組んでおります。
 また、電波の不安定性については、令和六年三月に電力事業者と協定を締結し、当局施設などをフィールドとした電力通信ネットワークの有用性を検証する実証実験に共同で取り組んでおります。

○菅原委員 通信の不具合の原因としては、鉄製のメーターボックスがありまして、さらに、マンションでの電波の不具合などが課題として明らかになってきました。その対応について、迅速、そして的確に取り組んでいるという答弁でございました。
 スマートメーターの導入は、今後の水道事業にとって非常に重要な取組だと考えます。スマートメーターの全戸導入に向けて、引き続き取組を推進していただくよう強く求めるとともに、今後も、会派として進捗状況を確認してまいります。
 次に、スマートメーターで取得したデータのインターフェースとして、料金や水道水量の見える化などの機能が利用可能となる東京都水道局アプリについて伺います。
 シン・トセイのリーディングプロジェクトでもある東京都水道局アプリは、水道局におけるお客様のサービスの要であり、私たちはこれまでも、様々な質疑においてユーザー数や事業効果を確認してまいりました。
 令和四年十月にリリースしたアプリにとって、令和五年度は、本格稼働が始まった、まさに勝負の年でございました。
 令和五年度末時点のユーザー数、そして導入効果及び決算額について伺います。

○荒畑サービス推進部長 東京都水道局アプリにつきましては、令和五年度末時点で約百五十二万人のお客様に利用者登録していただいております。
 こうしたアプリユーザーのうち、約九七%が検針票等を電子形式で受け取っておりまして、一年間に請求書及び検針票を合わせて約八百八十四万件を電子発行することで、ペーパーレス化の推進に寄与したものと考えております。
 また、キャッシュレス化の観点では、紙の請求書が電子請求に変わったことで、スマートフォン決済及びクレジットカード払いの割合が、アプリ導入前である令和三年度末の二二%から二七%となり、五ポイント上昇いたしました。
 これらアプリの運用、改善に係る決算額は約二億円でございます。

○菅原委員 ありがとうございます。
 アプリに限らず、こうしたデジタルサービスは、リリース直後に利用者を増やすことはそれほど難しくありませんが、その数を維持、そして拡大していくことは、なかなか大変なことと推察をいたします。水道局アプリのユーザーは約百五十二万ということで、ユーザーの数は堅調に増加していることも理解をいたしました。
 また、この事業は、お客様サービスの向上はもとより、ペーパーレス化やキャッシュレスといった事業効果についても寄与しています。
 アプリは、使い勝手が悪いと、ユーザーはすぐに離れて使わなくなってしまいます。だからこそ、利用者の声に常に耳を傾けてアップデートを重ねていくことが肝要であり、その点は、これまで何度も指摘をしてまいりました。
 そこで、令和五年度のアプリの改善の具体的な取組について伺います。

○荒畑サービス推進部長 当局では、令和四年十月のサービス開始後におきましても、お客様のニーズに柔軟かつスピーディーに対応していくため、改善を積み重ねていくことを重視した運用を実施しております。
 令和五年度の主な機能の改善といたしまして、インボイスの導入と合わせて、検針データ等をPDFやCSVデータでダウンロードできる機能を昨年十月に搭載いたしました。
 また、これまで利用が可能であったペイペイなど四つのスマートフォン決済に加えまして、昨年十月にd払いを、本年三月に楽天ペイを追加いたしました。
 引き続き、よりお客様が使いやすいアプリとなるよう、お客様の声に丁寧に耳を傾けながら改善を続けてまいります。

○菅原委員 ユーザーの視点に立った上で、丁寧に改善を行っているという答弁でございました。
 アプリストアにおける東京都水道局アプリの評価というのがございまして、令和六年九月末現在で、アップストアが四・五、グーグルプレーが四・一と、行政のアプリとしてはかなりの高評価となっていると伺っております。こうした取組は、今後もぜひ継続をしていただくことを要望いたします。
 最後に、アプリのPR、広報活動についても質問をいたします。
 幾らサービスの質が向上しても、それがユーザーに届かなければ意味がなくて、利用者数を拡大し、事業効果を最大化させるためには、アプリの改善と効果的なPR、広報活動は車の両輪です。
 ユーザー数拡大に向けた令和五年度に実施したアプリのPR、広報活動についても伺います。

○荒畑サービス推進部長 ユーザー数の拡大に向けましては、お客様が興味を持ちやすいテーマやコンテンツを用い、効果的な広報を実施していくことが必要だと認識しております。
 そこで、令和五年度は、お客様の関心が高い防災対策をテーマに、アプリをPRするため、最寄りの給水拠点の検索方法を紹介する防災編の動画を新たに制作いたしました。
 動画は、様々な層のターゲットに見てもらえるよう、電車広告やウェブ広告などで広く放映するとともに、防災イベントにおける対面での広報でも活用いたしました。
 また、見る人の記憶に残るよう、局公式キャラクターである水滴くんが机の下に挟まれながら避難するコミカルな演出や、親しみやすい音楽を使用するなど、工夫したことによりまして、オール都庁での広報マインドを高めることを目的に創設されました伝わる広報大賞の動画部門賞を令和六年二月に受賞いたしました。
 今後も、お客様目線に立ち、広報の内容やツールを工夫しながらニーズに合った戦略的な広報を実施し、さらなる利用者拡大を図ってまいります。

○菅原委員 ターゲットの指定や都民のニーズに合った戦略的な広報を行うことによって、ユーザー数の増加、そして高評価につながっているということを確認いたしました。
 この水道局アプリには、災害時給水ステーションの場所や開設状況も見られるようになっています。また、事故などによる断水や濁水の発生状況も配信がされます。災害時の情報提供は重要ですし、多くの都民に情報が伝わることがパニックを抑えて冷静な行動を促すことにつながります。
 引き続き、都民ニーズに合った広報を行い、さらなる利用者拡大に努めていただくようお願いを申し上げます。
 次に、浄水場の降灰対策について伺います。
 浄水場の降灰対策については、水道局では強靱化プロジェクトのリーディング事業として推進をしております。
 富士山に近い長沢浄水場では、降灰の影響により水質基準の超過のリスクが大きいと考えられることから、沈殿池を覆蓋化するということを伺っております。
 浄水場の降灰対策の考え方について伺います。

○鈴木浄水部長 当局では、降灰による浄水処理への影響を明らかにするため、国の中央防災会議のシミュレーションを基に、富士山噴火時の水質について調査、実験を行いました。
 その結果、大規模浄水場につきましては、水質基準値を超えないことに加え、高度浄水処理でさらに低減可能であり、既存の施設で十分に対応できることを確認いたしました。
 一方、富士山に近い相模川水系の長沢浄水場につきましては、降灰時に水質基準値を超えるおそれがあることから、沈殿池にシート型の覆蓋を設置することといたしました。

○菅原委員 降灰による影響を把握した上で対策を講じているということが分かりました。
 富士山の噴火がいつ起こるか分からない中、早急に対策を完了させる、この必要があると思います。
 長沢浄水場の覆蓋化工事の令和五年度の進捗状況について伺います。

○鈴木浄水部長 沈殿池は、濁りが沈降する状況の監視など日常の維持管理のため、水面が開放されている必要性がある一方、噴火の危険性が高まった際には、速やかに覆わなければなりません。
 このことから、当局では、長沢浄水場の覆蓋化に当たり、着脱可能なシート型を採用することとし、令和五年十一月から整備を始め、シートを支えるワイヤ等の支持金具の製作を実施いたしました。
 現在、支持金具等の設置を進めており、六年度末の完成に向け、着実に整備を推進してまいります。

○菅原委員 富士山の噴火は、発生する確率こそ少ないかもしれませんが、一たび噴火が起これば、大量の火山灰が広範囲かつ長期間にわたり降り注ぎ、都民生活はもとより、社会経済活動にも多大な影響を及ぼします。様々な脅威に備えるためにも、水道局には、地震だけではなくて、火山噴火などのあらゆるインシデントを想定し、強靱で持続可能な水道施設の整備に取り組んでいただくことを要望いたします。
 次に、ソフト面の取組についても伺います。
 先ほど確認を行ったアプリでは、災害時給水ステーションの開設状況確認ができますが、そのためにも、災害時給水ステーションの開設状況を迅速に発信することが求められます。
 混乱が想定される発災時において、都民に給水拠点の開設状況を迅速かつ正確に伝えるためには、開設情報を速やかに集約するということが重要です。水道局では、扉の開閉を自動で検知し、クラウドで集約する機器を取り付けて、開設情報を自動的に把握する取組を進めておりまして、令和五年度に試行を実施いたしました。
 取組自体は評価するものですが、私たちは、令和六年一定の公営企業委員会において、応急給水は多様な主体が協力して実施することから、多くの声を聞きながら取組を進めるべきと要望しております。
 試行においてどのような意見が出て、それをどのように反映をしてきたのかを伺います。

○荒畑サービス推進部長 令和五年度は、区部二か所、多摩地区二か所の計四か所の給水拠点で試行を実施いたしました。
 この試行に当たりましては、迅速な情報収集の観点から、給水拠点の扉の開閉を検知するセンサーのみ設置し、扉の開閉をもって拠点の開設とみなす案を基本としつつ、確実性の観点から、センサーに加えて、開設準備完了を通知するスイッチを設置する案も検討しておりました。
 試行に参加いたしました区市や地域住民からも、センサーのみだと、開設準備が整っていなくても開設扱いとなってしまう懸念があるため、スイッチの設置を望む意見が多くありました。
 こうした意見を踏まえ、スイッチを設置することで発災時における正確な情報発信を図ることといたします。

○菅原委員 答弁の中で、運用に区市の意見をしっかりと反映しているということが分かりました。ぜひよろしくお願いいたします。
 首都直下地震の切迫性も踏まえると、こういった取組は迅速に進めていくべきです。局は、私たちの質問に対して、令和六年度中に全ての給水拠点に機器の設置を拡大するという答弁もいただいております。
 着実に設置の拡大を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○荒畑サービス推進部長 当局では、令和五年度から六年度にかけて、対象となる全ての給水拠点、計二百二か所を調査し、センサーとスイッチの設置箇所を確認いたしました。
 現在、クラウド環境の構築や設置する機器の製造を進めており、準備が整い次第、全箇所の設置作業を進め、今年度中に完了させることとしております。
 引き続き、設置後も、訓練等の機会を捉えて区市町や地域住民の声も聞きながら運用の改善に取り組み、迅速な情報集約を図ってまいります。

○菅原委員 予定どおり進んでいるということが確認できました。引き続き、区市町などと連携をしながら、発災時の対応に万全を期していただきたいと思います。
 次に、政策連携団体である東京水道株式会社とのグループ経営の推進について伺います。
 水道局がうたうグループ経営は、単なる業務の移転ではなくて、水道事業の基幹的業務を局と政策連携団体で担っていくものでありますが、この実現には、様々な側面において両者が有機的につながって一体的に経営されることが不可欠です。
 一体的な経営の推進に当たり、どのような取組を実施しているのかを伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、公共性と効率性を両立させながら、将来にわたり責任を持って事業運営を行うため、水道事業の基幹的業務を、局と政策連携団体である東京水道株式会社とが担う一体的事業運営体制を構築してまいりました。
 現在は、そこからさらに進化、発展させ、局と同社とが、いわば一つの事業体として、統一的な経営戦略の下、相互に強みを発揮し、有機的な連携を図りながら経営を担っていくグループ経営を推進しております。
 グループ経営におきましては、職員、社員の総力を結集して持続可能な水道事業の実現に取り組んでいくことを基本理念とし、東京水道グループ人材育成方針を共同で作成したほか、コンプライアンスの取組や危機管理体制の整備等につきましても、局と同社が一体となって実施をしております。

○菅原委員 グループ経営を有効に機能させるために様々な一体的取組がなされていること、その中でも、事業や経営を支えるのは、結局、人であります。より質の高い事業運営、サービス提供のためには、特に人材育成やコンプライアンスの取組が重要となりますが、東京水道株式会社や東京水道グループとしてどのような取組を行っているのかを確認します。
 まずは人材の確保が重要になりますが、採用については、都庁全体でも厳しい状況となっていると伺っております。
 そのような状況の中、東京水道株式会社では、どのようにして水道事業を支える人材を確保して、そして育成をしているのかを伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、就職情報サイトや広告媒体の効果的な活用、社長をはじめとする幹部による学校訪問など、様々な採用活動の取組を実施しており、令和五年四月には百二人の新規採用者が入社いたしました。
 また、採用後は、次代を担う人材を計画的に育成するため、東京水道グループ人材育成方針に基づき、組織的なOJTのほか、局と同社との共同研修や相互派遣等の取組を実施しております。
 令和五年度におきましては、共同研修を計二十四回開催し、同社から延べ三千四百四十六人が参加するなど、グループ全体での人材育成に連携して取り組んでおります。

○菅原委員 人材の採用に大変力を入れており、実績も上げられていること、また、その後の育成にもグループを挙げて取り組まれているということが分かりました。
 しかし、せっかく採用、そして育成をした人材も、転職や退職などで流出してしまっては、東京水道株式会社、ひいては東京水道グループ全体にとって大きな損失となります。
 近年、新卒者の離職率の高さが社会的な問題になっておりますが、水道事業を支える人材として長く活躍をしてもらうため、社員の定着を図る取組も重要です。
 東京水道株式会社では、社員の定着に向けてどのような取組を行っているのかを伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、社員を積極的に採用するとともに、人事、福利厚生制度の充実を行いながら社員の定着を図っております。
 まず、人事制度につきましては、社員のモチベーション向上のため、キャリア形成の考え方の明確化や、社員の希望を配慮した配置管理などの取組を進めるとともに、昇進試験における要件や内容の見直しなどを行ってまいりました。
 こうした取組により、令和五年八月時点の管理職に占める固有社員の割合が約七五%と、三年間で約一〇ポイント向上するなど、若手社員が将来のキャリアを具体的に描けるような環境が整備されてきております。
 また、給与の改定や奨学金の返済支援、社員住宅の充実などの福利厚生等の見直しに加え、執務室の改修をはじめとする執務環境の改善など、社員の処遇向上に向けた取組も推進しております。

○菅原委員 少し前の話になりますが、二〇一九年三月十九日の公営企業委員会は、水道事業に対する特別監察に対する議論が交わされました。私からは、次のような指摘をさせていただきました。少し抜粋をいたします。
 特別監察で指摘をされているのは、東京都の職員や退職職員が、自分たちの会社、つまり東京水道サービスの会社の役員や課長を占めているという、こういう状況、状態なんです、この点を見直さないと、いつまでも固有社員の意識は高まらないのではないか、このように発言もさせていただきました。実際に、統合前の旧東京水道サービス株式会社においては、課長級社員の約九割が、局からの派遣と局OBが占めていたという状況でございました。
 その後、統廃合などを経て、社員の定着に向けた様々な取組を進めた結果、管理職における固有社員の割合も大幅に増えているということで、これは大変よい傾向だと思います。
 事前に東京水道株式会社の事業報告書を確認したところ、一定程度の利益が確保できているようですが、重要なのは、利益を単に内部に留保するだけではなく、採用、育成、定着、いずれの取組にも引き続き力を注ぐことです。そうして確保した優秀な人材に存分に活躍してもらい、東京の水道事業を支えていっていただきたいと考えます。
 次に、人に関するもう一つの重要な取組、コンプライアンスについても伺います。
 水道局や東京水道株式会社においては、過去に幾つかのコンプライアンスに課題のある事故が発生をしてきました。
 過去の経験を経て、コンプライアンスの確保について、グループでどのような取組を実施しているのかを伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、平成三十一年四月に東京水道グループコンプライアンス有識者委員会を設置するなど、グループ全体でのコンプライアンス体制を整備し、運用しております。
 令和五年度は、同委員会を二回開催し、外部有識者からの意見を頂戴しながら、グループガバナンスの強化に向けた取組を実施いたしました。
 また、局と東京水道株式会社の幹部がコンプライアンス強化に向けた取組について情報共有や意見交換を行うコンプライアンス推進会議を年四回開催するとともに、同社の外部取締役で構成される監査等委員と局幹部との意見交換も年二回実施しております。
 さらに、同社のコンプライアンス推進委員会やリスク管理委員会に局職員がオブザーバーとして参加したり、局コンプライアンス専管部署と同社の管理部門とが定期的に意見交換したりするなど、密に連携して取組を推進しております。

○菅原委員 外部の有識者の目も取り入れながら、局の取組、社の取組、そしてグループ全体の取組と、様々な場面で局と会社が密に連携してコンプライアンス強化に向けて取組が推進されている、このように受け止めました。
 一方で、こうした取組についての評価や意見はどのようなものになっているのかを確認いたします。
 現在実施している取組を、局はどのように評価しているのか、また、外部有識者からはどのように評価されているのか、伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、局と東京水道株式会社がそれぞれ取組を着実に実施しながら、各種会議等を通じた情報共有等を行っていること、また、東京水道グループのグループ経営に関する基本方針に基づき、コンプライアンス年間行動計画の進捗管理や不適正事案等の把握、必要に応じた指導等を行っていることなどから、グループとして適切なコンプライアンス体制が整備、運用されていると判断しております。
 また、東京水道グループコンプライアンス有識者委員からは、こうした局の判断が相当であるといった意見を頂戴しております。
 今後も、こうした取組を継続、発展させて、グループとしてのコンプライアンスを強化してまいります。

○菅原委員 グループとして適切なコンプライアンスの体制が整備、運用されていると、外部の有識者にも評価されているというふうに受け止めました。これまで局と社が尽力してきた取組を、私としても評価をさせていただきます。
 先ほどの繰り返しにもなりますが、質の高い事業運営やお客様サービスによって水道事業を支えていくのは、ほかでもない人の力であると思います。
 今後も取組を着実に継続して、持続可能な東京水道の実現に向けてグループを挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 以上で終わります。

○玉川委員 まず、能登半島地震の支援における都の経験や知見の活用について伺います。
 本年一月一日に発生した能登半島地震では、広域で長期に及ぶ断水が発生し、日頃から水が使えるということの重要性が改めて認識されました。
 水道局は、発災直後から給水車を派遣し、政策連携団体や工事事業者とも連携しながら、継続して復旧支援に当たられたと承知しております。まさに東京の力を結集して対応されたわけでありますが、首都直下地震への備えを進める観点から、今回の地震において、水道局の技術や知見、経験がどのように生かされたのか、また、支援を通じてどのような気づきがあったのかについて確認していきたいと思います。
 まず、今回の能登半島地震の被害の特徴について伺います。

○長嶺総務部長 能登半島地震は、三方を海に囲まれた山がちな半島という地理的な制約がある中で、大規模な土砂崩落や道路の寸断、断水の長期化など、その被害状況は、これまでの災害と比べても対応が困難なものであったと認識をしております。
 当局が支援を行った輪島市も、浄水場や、浄水場と配水池とをつなぐ基幹管路が損傷したほか、配水管につきましても広範囲に損傷したこと、また、交通アクセスの不便さによる作業時間の制約などから、長期間かつ大規模な断水が発生をいたしました。

○玉川委員 水は生活に欠かせないものでありまして、大規模な断水が続く中でも、住民が水を確保できるようにしなければならないです。被災して不便な生活を強いられる中で、いかに滞りなく給水を受けられるかが被災者にとって大変重要だと考えます。
 水道局は、日本水道協会の要請に応じ、一月三日に給水車を派遣し、三月十七日までの間、主に輪島市において応急給水を実施されました。
 そこで、応急給水において、水道局の取組や得られた気づきについて伺います。

○長嶺総務部長 当局では、浄水場や給水所など貯留機能を持つ給水拠点の補完としまして、仮設水槽を設置して給水車で水を補給する方法も活用し、応急給水を確実、効果的に実施するよう備えております。
 今回の能登半島地震への支援におきまして、当局は、給水車二台のほか、組立て式仮設水槽三十台を輪島市に搬送し、避難所等での応急給水に活用いたしました。
 具体的には、避難所など住民が集まる場所に仮設水槽を数台設置いたしまして、給水車は定期的に巡回して水を補充いたしました。
 これにより、住民は時間の制約なく給水を受けられるとともに、給水車は一か所にとどまることなく効率的に水を補充することが可能となり、その有用性を確認いたしました。

○玉川委員 二年前の決算委員会において、私は、訓練を重ねて対応力を上げることは大切であると指摘したところでありますが、日頃の訓練に加えて、今回の輪島市での経験も踏まえ、応急給水の実効性向上への取組を進めていただきたいと思います。
 次に、水道施設の復旧について伺います。
 先ほどの答弁では、水道管が広範囲に損傷したことが今回の大規模な断水の要因の一つということでありました。被災された方々が日常の生活を取り戻すには、質、量ともに安定した水の供給が必要であり、そのためには水道管の迅速な復旧が重要と考えます。
 そこで、早期復旧のため、水道局の知識、経験をどのように生かし、また、気づきを得たのか、伺います。

○藤川給水部長 当局では、首都中枢機関や病院、避難所などへのルートを優先的に復旧するとともに、仮配管の活用などにより復旧の迅速化を図ることとしています。
 今回の支援では、こうした考え方を基に輪島市と調整し、避難所や復旧活動の拠点施設への早期通水を最優先に配水管路の復旧作業を実施いたしました。
 復旧に当たっては、土砂崩落箇所などにおいては、過去の災害対応の経験を生かし、路上への仮配管も活用いたしました。
 また、施設内の配管の損傷により水が出ない避難所には、応急措置として敷地内に仮設の給水栓を設置いたしましたが、当局では、避難所への供給ルートの耐震化及び応急給水栓の設置を行っており、今回の復旧支援において、こうした備えの重要性を再確認いたしました。

○玉川委員 早期復旧のための気づきを確認いたしましたが、もう一つ重要なのは、復旧活動には実作業を伴う工事事業者の力が不可欠ということであります。今回の支援でも、都の工事事業者百三十三者が派遣され、復旧の進展に大きく貢献されました。
 当然ではありますが、日常とは全く違う厳しい環境の中で、事業者の苦労も多かったと聞いております。
 そこで、事業者が復旧作業を円滑に行うために水道局が講じた取組を伺います。

○藤川給水部長 今回の能登半島地震では、発災時の協力に関する協定に基づき、工事事業者で構成される四団体に管路の復旧作業を要請し、現場で生じた様々な課題に、当局と団体とが連携しながら対応いたしました。
 まず、復旧作業の効率化を図るため、遠方にあった事業者の宿泊場所について、より現場に近い場所を局で確保いたしました。
 また、都内では扱わないポリエチレン管を仮復旧で使用する必要性が生じたことから、事前に配管講習を受講できるよう、団体とポリエチレン管の協会との調整を行いました。
 今回の被災地での活動経験を踏まえ、引き続き、工事事業者と日頃から災害発生時に向けた協力体制を維持してまいります。

○玉川委員 水道局は、これまでの災害対応等を通じて得たノウハウなどをできる限り生かして輪島市を支援してきたことが確認できました。
 しかしながら、一たび災害が発生すると、被災状況はケース・バイ・ケースであり、様々な混乱も多々発生することは想定できることから、臨機応変に対応することも必要であります。有事の際に東京都水道局の実力を十分に発揮できるよう、今回の支援の経験も踏まえ、日頃から備えを万全にしていただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 新技術の活用について伺います。
 水道局は、スマートメーターの導入など新技術の活用を進めていますが、先日、AIに関する研究がノーベル賞を受賞したとの報道があるなど、AIの活用は注目を集めているところであります。
 水道局においても、令和五年度から、三園浄水場においてAIを活用した運転管理を開始したと聞いておりますが、その実績について確認していきたいと思います。
 まず、AIを導入した背景や経緯について伺います。

○小泉設備担当部長 当局では、浄水場での浄水処理において、季節や天候による原水水質の変動に応じ、凝集剤や消毒剤などの薬品を適切に注入しております。
 これらの薬品の注入量は、水質検査の結果と職員の経験則によって決定しておりますが、この経験則はマニュアル化が難しく、経験の浅い職員への技術継承が課題となってございます。
 こうした経験の浅い職員を支援するため、ベテラン職員の経験則を学習させて凝集剤の注入量を予測するAIを令和三年度に三園浄水場へ導入し、データ学習及び検証期間を経て、五年八月から運用を開始いたしました。

○玉川委員 将来的な労働力人口の減少を踏まえますと、経験の浅い職員への技術継承は、今後さらに重要性が増すものと考えられます。
 一方で、海外においてAIによる自動車の自動運転で事故が発生するなど、まだAIは発展途上の技術であることも認識しなければならないです。
 安定給水の確保に努めている水道局において、職員の支援とはいえ、浄水場の薬品注入業務にAIを導入するのは新たな取組であることから、十分な検証を行った上での運用でなければならないと思います。
 そこで、運用開始に向けて実施した検証内容について伺います。

○小泉設備担当部長 当局では、AIの導入によって安定給水に支障を生じさせないよう、運用開始に向け、データによる検証とともに、三園浄水場において現場での検証を実施いたしました。
 まず、データによる検証では、過去三年間においてベテラン職員が決定した注入量の実績と同じ条件でAIが予測した注入量とを比較し、大きな差異がないことを確認いたしました。
 次に、三園浄水場における現場での検証では、薬品注入業務に従事するベテラン職員や水質管理に従事する職員による監督の下、十五分ごとに更新されるAIの予測に基づき、実際に凝集剤を注入しました。
 その結果、降雨に伴う原水濁度の変動に応じ、AIの予測が的確に変化するなど、浄水処理に支障が生じないことを確認することができました。

○玉川委員 データによる検証のみならず、現場での検証も行うなど、運用開始に向けて十分な準備をしていたことが分かりました。
 安定給水に支障がないことは理解できましたが、AI導入の本旨である経験の浅い職員への技術継承、これが運用開始によって着実に推進されているかが重要なポイントだと考えます。
 そこで、実際の運用開始による現時点での評価について伺います。

○小泉設備担当部長 AIの運用が開始されたことにより、薬品注入業務に従事する職員が、自らの考えとAIの予測とを比較し、注入量を判断できる環境が構築されました。
 また、経験の浅い職員は、降雨の影響による原水濁度の上昇時などにおいてAIの予測を参考にしており、薬品注入のノウハウを学ぶ機会が増加してございます。
 三園浄水場において実際に使用している職員からも、判断に迷ったときの参考になるため、頼りにしているとの意見が出されており、着実な技術継承につながるものと評価しております。
 なお、運用開始の時点では、台風などによって大幅に原水水質が変動した際のデータをAIが学習する機会が少なかったことから、引き続きデータ学習を継続することで、予測精度を維持向上させる取組を推進してまいります。

○玉川委員 引き続き検証を重ね、さらなる精度の向上と活用に努めてもらいたいと思います。
 ベテラン職員が減り、かつ労働力人口が減少していく中、これまでと同じ仕事のやり方では、都民が行政に求めるサービスの水準を維持することは困難ともいわれています。AIの活用は、将来にわたり浄水場を適切に運用していくための有効な手段の一つとなる可能性があり、三園浄水場への導入を足がかりとして、さらなる展開を期待いたします。
 次に、環境に配慮した事業運営について伺います。
 水道局は、令和二年三月に策定した東京都水道局環境五か年計画二〇二〇-二〇二四に基づき、様々な環境施策を推進しています。
 私は、令和三年度公営企業会計決算特別委員会の分科会において、その内容や進捗状況について質問をいたしました。本日は、その後の状況について確認したいと思います。
 都は、都内の温室効果ガスを二〇三〇年までに五〇%以上削減するカーボンハーフを宣言しており、これまで以上に気候変動に取り組む姿勢を示しています。
 都内の電力使用量の一%に相当する電力を消費する、いわゆる大口需要家である水道局は、カーボンハーフの実現に向けて、CO2排出量の削減に率先して取り組む責務があります。
 そこで、令和五年度のCO2排出量の削減に関する取組事項の進捗状況について伺います。

○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 令和五年度は、高低差などエネルギー効率に配慮した水運用につながる第二朝霞上井草線の施工が完了しますとともに、三郷浄水場や上井草給水所等に省エネ型ポンプ設備十六台を導入し、省エネルギー化を推進いたしました。
 また、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、清瀬梅園給水所に四百キロワット、深大寺給水所に百二十キロワットの太陽光発電設備を設置するとともに、小水力発電設備の導入に向け、東海給水所や上北沢給水所の施工を進めました。
 半導体の供給不足による製作期間の延長などによりまして、小水力発電設備の導入等、一部の取組事項に遅れが生じておりますが、全体としては、おおむね計画どおりに進捗しております。

○玉川委員 カーボンハーフの達成には、省エネルギー化の推進や再生可能エネルギーの活用が不可欠であります。
 CO2排出量の削減に向けて、省エネ型ポンプ設備や太陽光発電設備の整備が着実に進められている一方で、小水力発電設備の導入については遅れが生じているようであります。小水力発電設備の導入は、水道事業と親和性が高く、水道局ならではの取組であることから、引き続き着実な事業推進を期待いたします。
 水道局は、物品を大量に調達し、廃棄物を排出する事業者であることから、事業活動における省資源化を図る必要があります。特にペーパーレス化の取組は、環境負荷低減効果が大きいほか、今後のDXをさらに進めるための礎ともなる取組であります。
 都は、ペーパーレス化に二〇二〇年から取り組み、定着してきた感がありますが、近年では、全庁的に推進している未来型オフィスへの移行などにより、さらに進んでいると考えます。
 そこで、令和五年度のペーパーレス化の取組状況について伺います。

○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都水道局環境五か年計画二〇二〇-二〇二四では、計画最終年度である令和六年度に、コピー用紙使用量を平成三十年度比二五%以下、印刷物枚数を平成三十年度以下とする目標を掲げております。
 このため、当局では、オフィス活動における削減の取組としまして、ノートパソコンより持ち運びやすいタブレット端末への切替えや会議用モニターの導入を進めることで、打合せ等における紙の使用量を削減しております。
 また、お客様サービスの一層の向上や業務の効率化、ペーパーレス、キャッシュレスの促進のため、令和四年十月に東京都水道局アプリを導入し、令和五年度には、請求書及び検針票合わせて約八百八十四万件を電子配信いたしました。
 こうした取組によりまして、既に令和三年度に目標は達成しておりますが、さらなる削減に取り組んでおります。
 令和五年度の実績は、コピー用紙使用量が四七%削減、印刷物の総枚数が五八%削減となっております。

○玉川委員 ペーパーレス化を後退させないよう、しっかりと取り組んでもらいたいと思います。特にアプリによる電子配信は、将来にわたり効果が継続するものであり、さらなる普及拡大を期待しております。
 環境施策については、東京都環境確保条例における温室効果ガス排出量の削減義務率が令和七年度から強化されるなど、持続可能な社会の実現に向け、今後もより一層、関心が高まる分野であります。
 引き続き、このような環境分野や、先ほど質疑した防災や新技術についても、世界的な潮流、社会経済情勢の変化を的確に捉え、広い視野を持ってしっかり取り組んでいただくことを願いまして、全ての質問を終えます。ありがとうございました。

○和泉委員 日本共産党の和泉なおみです。よろしくお願いいたします。
 東京水道長期戦略構想二〇二〇では、命と健康の維持のために水道は不可欠だと記載されています。SDGsにおいても、水は、持続可能な世界を実現するためのゴールの一つとされていると記載されています。
 水の供給は、命に直結する重要なライフラインだという認識を確認しておきたいと思いますが、いかがですか。

○長嶺総務部長 都の水道事業は、最も重要な基幹ライフラインとして都民生活と首都東京の都市活動を支えており、安全でおいしい高品質な水を安定供給することが使命であると考えております。

○和泉委員 最も重要な基幹ライフラインだという認識は示されたのですけれども、命や健康に直接多大な影響を与えるという意味で、SDGsでは、電気やガスの通っていない地域でも、水が持続可能な世界を実現するゴールの一つとされているんじゃないのでしょうか。
 都は、水が命や健康に直接大きな影響を与えるという認識を持っていらっしゃるかということをお聞きしたのですが、再度伺います。

○長嶺総務部長 水道は、最も重要な基幹ライフラインとして、都民生活、そして首都東京の都市活動を支える重要なものと認識しております。

○和泉委員 安全でおいしい高品質の水を供給していただくのは、もちろん重要なことです。それと同時に、水の供給が命や健康に直結するという認識をちゃんと持っていただかないと困ります。皆さんはそういう重要な責任を負っており、だからこそ、利益重視の民間ではなく公営企業として担っている。このことを、ゆめゆめ忘れないでいただきたいと思うんです。
 水道法が豊富低廉な水の供給を目的に掲げ、地方公営企業法第三条が公共の福祉の増進を本来の目的としていることについて、都はどのような取組をしているのか、伺います。

○長嶺総務部長 水道法第一条では、法の目的として、水道の基盤を強化することにより、清浄にして豊富低廉な水の供給を図ることと定めております。また、地方公営企業法第三条では、経営の基本原則として、経済性の発揮と公共の福祉の増進が掲げられており、両者の関係性は、能率的、合理的な業務運営を行い、最少の経費で最良のサービスを提供することこそ住民の福祉向上に資するものであるとされております。
 当局といたしましては、これらの法の目的、趣旨を十分に踏まえ、不断の経営努力により強固な経営基盤を確立し、安全でおいしい高品質な水の安定供給を実現しております。

○和泉委員 基本原則を経済性の発揮と公共の福祉の増進と並べてお答えになりましたけれども、本来の目的が公共の福祉の向上だということを答弁されませんでした。
 経済性の発揮は住民の福祉の向上のためであり、能率的、合理的な業務運営も、最少の経費による最良のサービスの提供も、住民の福祉が二の次にして進められるようなことは、本来の目的から逸脱することになる。
 法の目的、趣旨を十分に踏まえと答弁されましたから、私がいうまでもなく、豊富低廉な水の供給が水道法の目的であり、公共の福祉の増進が地方公営企業の本来の目的であるという点も、よくご承知のことなんだというふうに理解しておきます。
 今日は、今ご答弁のあった能率的、合理的な業務運営と最少の経費を重視した結果、困窮する都民の暮らしにどのような影響が出ているかという点についてお聞きします。
 私は、二〇二二年の公営企業決算全局質疑で、急激に増えている給水停止の問題を取り上げました。このままでは、二〇二二年度末には十八万件を超えるペースだと厳しく指摘しました。
 今日いただいた資料を見ても、二〇二二年度には約十八万件、二〇二三年度は約十六万六千件です。二〇一九年度、二〇二一年度でも十万件前後ですから、かなり給水停止の件数が増えているわけです。
 令和五年度の給水停止について、令和四年度に続き大幅に増えている状態を、水道局はどのように見ているんでしょうか。

○荒畑サービス推進部長 当局では、令和四年四月に、業務の効率化と料金負担の公平性を実現するため、多摩地区で行っておりました手法に合わせ、区部の催告方法を変更いたしました。給水停止件数は、この影響により一時的に増加しているものと考えております。
 なお、令和五年度の給水停止件数は、四年度に比べ約一万四千件減少してございます。

○和泉委員 給水停止を大幅に増やしていて、一万四千件減少したからって胸を張るような話じゃないと思うんですよ。減ったといっても、先ほど述べたとおり、これまではせいぜい十万件前後だったわけですから、やはり大幅に増えているんです。この認識を持っていただかないと困ります。
 今、催告方法を変えたからだというふうに答弁されました。つまり、訪問催告をやめて郵送催告に変えたせいだということです。
 一時的に増えているだけだとのことですけれども、二〇二二年の全局質疑では、今、過渡期だから一時的に増えている、こういうご答弁でした。
 あれから二年たちますけれども、今も過渡期が続いているという認識なんでしょうか。いかがですか。

○荒畑サービス推進部長 先ほどご答弁したとおりでございますけれども、今後も引き続き、件数の推移を注視してまいります。

○和泉委員 給水停止だけではなくて未納カードの発行も大幅に増えていることは、資料6で示されているとおりです。単なる催告方法の変更の影響によるものだけではなく、払えない人が増えているということなんです。そこをちゃんと正面から受け止めるべきです。推移を見守っている場合でしょうか。
 二〇二一年度、徴収業務から自治体の福祉につないだ件数は十四件、郵送催告に変更した直後の二〇二二年度は、一月末までで十七件と増えていました。
 二〇二三年度、令和五年度に福祉につないだ件数についてはどうなっていますでしょうか。伺います。

○荒畑サービス推進部長 令和五年度に区市町の福祉部署に情報提供した件数は十件でございます。

○和泉委員 福祉につないだケースのうち、今、十件とお答えがありましたけれども、郵送催告によるもの、要するに切り替えた後の郵送催告によるもの、検針員の訪問によるもの、それ以外の職員の訪問催告によるもの、あるいは電話によるもの、それぞれの件数について伺います。

○荒畑サービス推進部長 区市町の福祉部署に情報提供した十件の内訳でございますが、検針員によるものが九件、営業所等の職員によるものが一件でございます。

○和泉委員 郵送催告に切り替えた後も、検針員の方たちが住民の異変を敏感に察知して福祉につないでいるということなんです。
 給水停止が大幅に増加する一方で、訪問催告を行っていた頃に比べれば、福祉につなぐ件数は減っている。命の水を止めないための努力をやめてしまったために、福祉につなぐ件数は減り、給水停止が増える。
 なぜ、そうしてまで訪問催告をやめる必要があるんでしょうか、伺います。

○荒畑サービス推進部長 訪問催告の廃止は、平成二十六年度の包括外部監査の意見を踏まえ、区部と多摩地区の料金システムを統合する際、業務の効率化と料金負担の公平性を実現するため、多摩地区で行っていた手法に合わせたものでございます。

○和泉委員 料金負担の公平性というふうにいいますけれども、払える状況にあるかどうかを把握する努力を投げ捨てて、結局、住民の暮らしよりも効率化を優先しているということじゃありませんか。
 そもそも、福祉につないだ事例について、個々の具体的事情を、都はどのように把握しているんでしょうか。伺います。

○荒畑サービス推進部長 当局では、区市町との協定に基づきまして、当局職員等がお客様宅を訪問した際に明らかな異変が感じられた場合、区市町の福祉部署に情報提供をしております。

○和泉委員 一般論をお聞きしているんじゃないんです。福祉につないだ十件の方たちが抱える個々の事情を把握しているのかというふうに伺いました。
 いかがですか。

○荒畑サービス推進部長 当局では、繰り返しの答弁になりますけれども、区市町との協定に基づきまして、当局職員等がお客様宅を訪問した際に明らかな異変が感じられた場合、区市町の福祉部署に情報提供しております。
 その後のフォローにつきましては、区市町の福祉部署の方でやられているものと考えております。

○和泉委員 つまり、十六万件を超えるような給水停止をしながら、僅か十件、福祉につないだ個々のケースすら、その具体的事情を把握していないということなんですよ。
 ある高齢の女性の方は、外を歩いていたところ、その様子が変だと思った警察を通じて都内の医療機関を受診しました。認知症と軽度熱中症でした。医療相談員が在宅支援に入ると、一人暮らしのその方の家は、ライフラインが全て止められていました。水をたくさん飲んでくださいという医師の話に、嫌がらせをされて水が止められているというふうにこの女性は答えたそうですけれども、水道料金を滞納して給水停止になったことを、認知症のため理解できていなかったということなんです。滞納している原因や利用者の様子は、そこに行ってみなければ分からないんです。
 徘回しているところを、運よく警察が見つけてくれたから、この方は助かりました。しかし、そうでなければ、ライフラインを全て止められた部屋の中で、この女性は一体どうなっていたでしょうか。
 これだけの給水停止が行われている中で、福祉につなぐべき方たちは、本当はもっと多いんだと思います。その全部を訪問催告で解消できるとは思いません。しかし、訪問催告をやめてしまった後でも、検針員の方たちの努力で福祉につながるケースがほとんどだということを考えれば、少なくとも今よりはるかにたくさんの方たちを福祉につなぐことができるのではないかと思います。
 水道局は、郵送催告に切り替えた後、二〇二三年度から会計年度任用職員を雇い入れて電話による催告を行っています。また、東京水道株式会社のホームページを見ますと、東京水道もまた電話催告の業務を行っています。
 では、その電話催告で把握した生活困窮者を福祉につないだ実績はあるんでしょうか。東京水道と東京都、それぞれの数について伺います。

○荒畑サービス推進部長 令和五年度に当局の職員や東京水道株式会社の社員が電話催告を行う中で、区市町の福祉部署に情報提供した実績はございません。
 なお、料金の支払いが困難なお客様には、個別の事情を考慮した上で、支払い期限の延長や分割払いに応じるなど、丁寧な対応を行っております。

○和泉委員 先ほどの私の具体的事例を聞いていたのでしょうか。料金の支払いが困難なお客様、その自覚がある人、そしてそれを何とかしようと思って電話してくる人は、そうかもしれない。けれども、実際に現場でどんなことが起こっているかは、その場所に行ってみないと分からない。それを検針員の方たちが捕捉してきたんです。
 電話催告では生活困窮者を福祉につなぐことはできないということは、実績がないという今のご答弁で分かりました。
 我が党が電話催告を行う会計年度任用職員の募集に係る資料を開示請求したものを見ますと、徴収サイクル変更に係るこれまでの経緯と現状の中で、委託催告を廃止した結果、未納カード、給水停止件数の増加などの課題が発生したと書かれています。営業所の業務量が増加し、業務課職員の応援を得てもなお、未納カードの処理が追いつかないことも書かれています。
 しかし、初回請求から給水停止に至るプロセス、採用職員の判定書、電話催告の実施状況に至るまで、多くが黒塗りになっています。徴収期間短縮に向けた具体化のスケジュールと思われる部分も、やはり黒塗りです。
 改めて開示するよう求めますが、いかがですか。

○荒畑サービス推進部長 当局では、東京都情報公開条例第七条第六号等により、催告の具体的な手法などの情報を公開することで、当局の催告過程が明らかとなり、業務の遂行に支障が生じるおそれがあることなどから不開示としたものでございます。

○和泉委員 公益的な事業である水道局が、その催告過程が明らかになると、一体、業務の遂行にどう支障が出るんでしょうか。現場が処理し切れないほどの未納カードの増加に対して、電話催告で福祉につながるわけでもないのに電話催告を行って、困っている人に寄り添うよりも徴収率を上げることを優先していると思われても仕方ないんじゃありませんか。
 もう一点、要求資料の中で大変気になっていることがあるので、最後に一問、お尋ねしておきます。
 いただいた資料の7、東京水道株式会社への委託料ですけれども、これに大きな変化はありません。ところが、資料8では、納税額が二〇二一年度は二億三千五百万、ところが、二〇二二年度になると六億七千万、二〇二三年度は、さらにそこから増えて十一億二千万と大幅な伸びを示しているんです。
 委託料による収入に大きな変化がないのに、納税額がこれほど大きく増えるというのは、どのような要因によるものなんでしょうか。

○小澤経営改革推進担当部長 東京水道株式会社における法人税等が増加した主な要因は、売上高が増加した一方で、プロジェクト別収支管理を徹底し、費用の圧縮に努めた結果によるものでございます。

○和泉委員 売上げが増加したとのことですけれども、東京水道の売上げの九三%は水道局委託業務です。そして、先ほど申し上げたとおり、水道局から東京水道への委託料に、それほど大きな変化はありません。
 プロジェクト別収支管理を徹底し、費用の圧縮に努めた結果だというふうにいいますけれども、どこをどう圧縮したのか。東京水道のホームページに公開されている事業報告では、貸借対照表は出ていますけれども、損益計算書は販管費が全く内訳が入っていないため、何をどう圧縮したのかが分かりません。
 結局、民間に丸投げするというのは、こうして本来明らかにされるべき数字も分からないということではないのでしょうか。都民のお金で東京水道が利益をため込むことになっているんだとすれば、看過できることではありません。
 一方で、都民の生活困窮に目を向けず、給水停止を増やし続けている状況は、公営企業としての本来の目的からかけ離れた姿勢であるということを最後に厳しく指摘をして、質問を終わります。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。よろしくお願いいたします。
 令和五年度の水道事業決算報告書では、水道事業収益の決算額は三千七百十二億七千六百六十万九千八百六十五円で、予算額に対し、執行率が九八%となっています。水道事業収益決算額のうち、営業収益が三千五百四十八億一千五百二十八万一千五百七十八円、営業外収益が百五十五億五千三十二万八千二百八十七円であります。
 営業収益の決算額は、当初の予算額より低いものの、前年度決算額より百四十八億一千九百四十三万八千四百七十六円増となっています。
 給水収益で見ると、四年度決算と五年度決算で六十六億七千八十万六千九百五十九円増となっていますが、給水が増えている理由をどのように水道局では分析しているのか、伺います。

○長嶺総務部長 給水収益が増加した理由でございますが、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の自粛の影響が緩和されたことなどにより、単価の安い小口径の調定水量が減少した一方で、単価の高い中口径以上の調定水量が増加したことによるものでございます。

○田の上委員 給水収益が増えている理由をお答えいただきました。社会経済活動が回復してきたことで、家庭ではなく、徐々に企業等、外で使用する中口径以上の調定水量が増加しているというふうに考えているという意味かと思います。コロナ禍前と同じにはまだなっていないのかとは思いますが、今後も給水が増えていくのか、注視をしてまいりたいと思っております。
 営業外収益では、昨年度の決算額よりも多く、また、当初予算額より七億六千九十七万二千二百八十七円多く決算をされていますが、営業外収益が予算額より大きくなった理由をどのように分析をしているのか、伺います。

○長嶺総務部長 営業外収益が予算額より増加した理由は、予算編成時に見込んでおりませんでした能登半島地震における応急復旧活動に要した経費について、被災事業体から収入したことなどによるものでございます。

○田の上委員 能登半島地震の応急復旧活動の経費の収入などということであります。そのほかにも消費税の還付などがあるというふうに伺っております。
 次に、土地物件収益の決算額が七十六億六千三百四十五万八千八百二十五円となっておりますが、この内訳を伺います。また、資産が増えているようでしたら、何が増えているのかも併せて伺います。

○西川経理部長 土地物件収益の内訳は、土地の使用許可に伴う使用料などが約二十七億円、市街地再開発事業を通じて取得した建物の床の賃貸料等が約四十九億円などとなっております。
 また、新たに市街地再開発事業への参画により建物の床を取得したことで、資産が一件増加しております。

○田の上委員 お答えいただきました。主に、土地の使用料や、市街地再開発事業により取得した建物の床の賃貸料ということであります。そしてまた、さらに一件増えて、西新宿というふうにも伺っておりますが、建物の床が増えているということでありました。
 東京都水道事業減債積立金の年度末残高について、令和三年度からの推移を伺います。

○長嶺総務部長 減債積立金の残高は、令和三年度がゼロ円、四年度が約二十億円、五年度が約六十九億円でございます。

○田の上委員 この積立金は、年々取崩しもありまして、百億から二百億円程度あるものの、決算時に毎年度積立てをして、十分な積立金残高を残しているものというふうに確認をいたします。
 次に、漏水について伺います。
 東京都の漏水率は、他の自治体と比較しても優秀で、常に三%台であるというふうに認識をしております。
 令和五年度の漏水量と漏水率、修理件数を伺います。また、漏水の原因の分析を伺います。

○藤川給水部長 令和五年度の漏水量は約六千万立方メートル、漏水率は三・九%、修理件数は七千八百八十五件でございます。
 また、漏水の主な原因は、給水管の経年劣化による亀裂、腐食などでございます。

○田の上委員 原因は、経年劣化による亀裂、腐食等であるというふうにおっしゃっておりました。それであるにもかかわらず三%台を維持するということは、かなりご努力をされているものというふうに考えます。
 水道局では、漏水があるか、その都度、音などの確認をしていることも認識をしておりますが、漏水を発見するためには、各家庭でできることも啓発をしていくべきと考えております。見解を伺います。

○藤川給水部長 当局では、トイレや給湯器などにおける漏水発見のポイントや、水道メーターのパイロット部分による漏水の確認方法などについて、局ホームページやSNS、パンフレット等でお客様へお知らせしております。

○田の上委員 漏水発見のポイントなどをお知らせしていっていただいているということです。今後も、様々な工夫をして家庭での確認も普及をしていっていただきたいと思います。
 次に、水源林の維持について伺います。
 東京都の水道水源は、八割が利根川、荒川水系で、多摩川水系は二割ほどとなっています。多摩川上流には水道局が保有する水源林があり、水源涵養などの機能を発揮する重要な森林となっています。
 都では、重点購入地域として位置づけている民有林の購入を積極的に行っております。
 年に二百ヘクタールの購入を目標にしているとのことですが、過去五年の購入実績を伺います。

○鈴木浄水部長 重点購入地域での民有林の購入は、令和元年度から五年度までの累計で約千二百三十八ヘクタールでございます。

○田の上委員 五年間で約千二百三十八ヘクタール購入しているということで、ほぼ毎年二百ヘクタール購入は達成しているものと確認をいたしました。
 水源林の管理も大切であります。
 都が所有していない民有林にどのような課題があると水道局は認識しているのか、伺います。

○鈴木浄水部長 荒廃した民有林は、水源涵養機能の低下や土砂流出による小河内貯水池への影響が懸念されると認識しております。

○田の上委員 荒廃した民有林を減らし、管理できる状態にしていくことが重要だと考えております。こういった点から見ても、毎年、定期的に購入をしているということは評価できることだと思います。
 外資による水源林の購入がニュースになった時期もありました。他県では、外資による購入が大幅に増えているという自治体もあるというふうに聞きます。
 民有林の外資購入状況について伺います。

○鈴木浄水部長 本年七月に国が公表した調査結果によれば、多摩川上流域において、外国資本による民有林の取得事例は確認されておりません。

○田の上委員 本年公表の国の調査結果では、外国資本の取得は確認されていないというご答弁でございました。
 私たち都民の生命に関わる水であります。民間の土地の制約というのはすごく難しいですが、安全保障上の懸念も考慮し、今後も注視していっていただきたいと要望いたします。
 また、水道局が責任を持って管理できる民有林を適切に増やし、今後も水源林保全に努めていただきたいと要望いたします。
 次に、業務移転について伺います。
 水道事業を直営で行う利点は、チェック機能が働くということや、社会の動向を見ながら料金設定をすることができるなど、公の視点で管理ができることだと考えております。
 政策連携団体である東京水道株式会社が水道局の大きな部分を担っていますが、具体的にどのような業務を委託しているのか、伺います。
 また、業務移転とのことで、東京水道株式会社が担う役割がどんどん大きくなると認識をしておりますが、今後の水道局の業務はどのようになっていくのか、改めて伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、水道事業の基幹的業務のうち、事業運営の根幹に関わる業務は引き続き局が実施し、事業運営上重要な業務は東京水道株式会社に委託することとしており、営業系業務では営業所等におけるお客様対応業務などを、技術系の業務では水道施設の維持管理業務などをこれまで委託してきております。
 引き続き、局業務の移転を着実に進めてまいります。

○田の上委員 水道事業の基幹的業務のうち、事業運営の根幹に関わる業務は水道局で実施するというご答弁でありました。
 東京水道グループ一体となった人材育成を行っているというふうに認識をしておりますが、水道局の都の正規職員はどのぐらいが適正と考えているのか、見解を伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、引き続き局が実施することとしております事業運営の根幹に関わる業務の運営に必要な体制を確保してまいります。

○田の上委員 具体的な数字はお答えになりませんでした。事業運営の根幹に関わる業務の運営に必要な体制は確保していくとのことであります。公の仕事であるという認識を常に持っていただきたいと要望いたします。
 社会の流れの中で民間委託や民間移譲が増えていく中、都民の要望や問合せに対して、民間に任せているから都が答えられないというケースが増えていくことを懸念しております。
 本局に問合せがあった際にも適切に回答できるような体制が望ましいと考えますが、見解を伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、当局の責任の下でグループ経営を推進するとともに、団体と共同で策定いたしました東京水道グループ人材育成方針に基づき、局、団体双方におきまして、技術やノウハウの着実な継承を図ることとしております。

○田の上委員 水道局の責任の下でグループ経営をしていくということや、人材育成を通して、双方に技術やノウハウの継承を図っていくというお答えでありました。
 過去には、東京水道株式会社の社員の不祥事もありました。昨年は、個人情報の不正提供の報道もあったと記憶しています。コンプライアンスも含め、グループで改善措置を図ってきたものとは思いますが、あくまでも都民から見えるのは水道局であるということも再認識していただきたいと考えます。
 二〇一八年に水道法改正があり、民営化が議論となりました。他自治体では、経営改善、経費削減のために民営化を推進しているものと思います。
 東京都の水道給水は、他の自治体のように民営化することはないか、改めて伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、局と東京水道株式会社とが水道事業の基幹的業務を担う一体的事業運営体制によるグループ経営を推進していくこととしております。

○田の上委員 改めてお答えいただきました。民営化ではなく、一体的事業運営体制によるグループ経営を行うというご答弁でありました。
 公がやらなければならないこと、公がやった方がよいことはありますので、しっかりと公共の事業の重要性を見極めて、顔の見える水道局として都民が安心できる事業運営をしていっていただきたいと要望いたします。
 以上で質問を終わります。

○福手委員 日本共産党の福手ゆう子です。資料の提供、ありがとうございました。
 では、質問をしていきます。
 水道料金の収入はコロナ禍で大きく減りましたが、令和四年度決算では徐々に回復してきているという状況でした。
 令和五年度の水道料金収入はどうだったのでしょうか。評価と併せて伺います。

○長嶺総務部長 令和五年度の給水収益は約三千百十億円であり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大きく減少した令和二年度より前の水準におおむね戻っております。

○福手委員 令和二年度のコロナ前の水準にまで料金収入が回復してきたという答弁でした。
 内訳を見ても、ホテルなどの大口利用が戻ってきていることが分かります。経済活動の再開で、コロナ前の状況にほぼ回復したといえる一方で、いまだコロナの影響から抜け出せないまま物価高騰が重なり、暮らしや経営の困難が深刻化している方たちがいます。
 私の地元文京区では、区内で二十六年間、特養ホームの運営をしてきた事業者が、コロナ禍、厳しい経営が続き、とうとう今年度末に撤退することを決めました。また別の高齢者施設も、やはりコロナがきっかけで、二十年以上続けてきた介護サービスの提供を終了しました。
 地域の社会資源である高齢者施設の閉鎖や撤退は、住民の間に不安が広がり、同時に、どうにかならなかったのかという声も多く聞かれました。
 社会福祉施設の水道料金について伺っていきたいと思います。
 水道局は、社会福祉事業を実施する上で水道料金の負担が大きい施設に対して水道料金の減免をしています。
 高齢者のデイサービス事業所が社会福祉施設減免の対象となっている理由を伺います。

○荒畑サービス推進部長 当局が行っております社会福祉施設減免は、社会福祉法の適用を受ける社会福祉事業のうち、同法第二条第二項各号または同条第三項第二号から第十一号までに規定する事業でありまして、相談支援等や、国または地方公共団体の経営するもの等を除いたものに適用しております。
 老人デイサービス事業は、社会福祉法第二条第三項第四号に規定される事業であることから、この対象となっております。

○福手委員 デイサービス事業所は、社会福祉事業を行う施設として社会福祉法に定められています。社会福祉施設が事業を行う上で水道料金の負担が大きく、その負担を抑えることが必要であるため、減免されています。
 しかし、どの社会福祉施設でも減免されるわけではなく、先ほどの答弁のように、相談支援事業所などは対象外になっています。
 ただ、単独では対象外の福祉施設であっても、特養ホームやデイサービス事業所のように減免の対象である施設と併設になっている場合は、水道メーターが一緒であっても減免になります。しかし、店舗と併設している場合は、店舗は社会福祉施設ではないため、メーターも分けていなければ特養ホームも減免にならなくなります。つまり、社会福祉施設かどうかで判断をしています。
 では、減免制度とは別で、特養ホームなどの入所施設の水道料金負担を大幅に軽減する方法として共同住宅扱いというのがあります。
 水道料金は、使用量が多くなるほど料金単価が高くなる料金体系になっています。そうすると、例えば共同住宅で住戸一つ一つに水道メーターがついておらず、共同住宅の建物で一つの水道メーターが設置されている場合は、全体の使用量が多くなります。水道料金が物すごく高くなってしまいます。
 こういう場合に、水道局は共同住宅扱いという料金の計算方法を適用することで、全体の使用量を各入居者が均等に使用したものとして計算し、その合計額を共同住宅の所有者が一括で支払うというやり方で、半分近く料金が安くなります。各戸に水道メーターがある世帯の水道料金の負担と比べても、同等のレベルにすることができます。
 そして、この共同住宅扱いは、特養ホームも当てはめることができます。
 では、具体的にお聞きします。
 呼び口径四十ミリで、二か月で六百二十立方メートルを二十五人が入所する特養ホームで使用し、社会福祉施設減免が適用された場合、通常の計算方法では水道料金は幾らになりますか。

○荒畑サービス推進部長 社会福祉施設減免を適用した場合の水道料金を試算いたしますと、約十九万六千円でございます。

○福手委員 では、今と同じ条件で共同住宅扱いで計算した場合は、水道料金は幾らになりますか。

○荒畑サービス推進部長 同様に、二十五世帯の特別養護老人ホームに共同住宅扱いを適用すると仮定した場合の水道料金の試算額は、約七万円でございます。

○福手委員 共同住宅扱いが適用されると、料金が十九万六千円から約七万円に大きく引き下げられます。いい換えれば、これだけの差が生じている料金負担を公平化し料金の低廉化を行うことで都民生活を支える意義ある対応だと改めて確認することができました。
 令和五年度の共同住宅扱いの適用件数の実績を伺います。

○荒畑サービス推進部長 令和五年度末における共同住宅扱いの適用件数は、約一万四千件でございます。

○福手委員 昨年度は約一万四千件。詳しくお聞きしましたら、区部では一万千九百四十七件、多摩では二千四百八十七件が適用され、件数の推移は、例年同じくらいで大きく変わることはありませんでした。
 都内の、ある特養ホームの責任者の方にお話を伺ったところ、施設が共同住宅扱いの適用になっていて大変助かっていると話されていました。また、幾つかの特養にお聞きをしたところ、不適用で使っていない、共同住宅扱いについて知らないという返事が多くありました。
 介護施設の経費で、人件費の次に重いのが固定費、水道代といわれています。ネット検索をすると、軽減方法についていろいろアドバイスする、そういう記事もあり、その中には水道局の共同住宅扱いも書かれていました。水道料金の負担は、介護施設の運営で大きな課題になっているということが分かります。
 共同住宅扱いの適用の手引には、どういう場合に適用、適用外になるかが書かれています。適用事例には、寮、宿舎、特別養護老人ホームの場合というのがあり、その注意書きには、特別養護老人ホームについては、通所介護事業での水使用は家事用に該当しないとあります。
 つまりこれは、共同住宅扱いとは水道を家事用に使用していることが条件であるため、特養ホームにデイサービスが併設されていて水道メーターが別々になっていない場合は適用外になってしまうということです。私は、これは改善するべきだと考えています。
 特養ホーム単独の施設なら共同住宅扱いで水道料金が半額以下になるのに、デイサービスと合築だと適用されないというのは、非常に不合理だと思います。
 給水条例がつくられたのは昭和三十三年。当時、特養ホームを住宅とみなして共同住宅扱いの対象としてきたことは、とても重要な判断だったと思います。ただ、当時つくられた基準で今も続けていくと、軽減できるはずの特養ホームが軽減できなくなっています。
 通所介護、デイサービスは一九七九年に始まり、介護保険制度が始まった二〇〇〇年以降、十五年間で全国の事業所数が大きく増えています。そういう中で、特養ホームにデイサービスを併設する施設も増えたと考えられます。
 時代の変化に合わせて、共同住宅扱いの特養ホームの適用基準を見直す検討が必要ではないでしょうか。伺います。

○荒畑サービス推進部長 共同住宅扱いは、料金負担の公平化を図ることを目的といたしまして、料金算定における特例として実施しているものでございます。
 社会福祉施設の減免制度とは趣旨が異なるものであることから、見直しは考えておりません。

○福手委員 共同住宅扱いの目的は、料金負担の公平化を図るためといわれました。先ほどの手引には、家庭生活用水の低廉化を図るためとも書いてあります。減免と共同住宅扱いは趣旨が違うとおっしゃいますが、どちらも社会福祉施設の料金負担について対応しているものであることには違いはありません。
 デイサービスなどの社会福祉施設は、店舗とは違います。店舗が入っている施設も認めてほしいといっているわけではなく、あくまでも限定的な部分での検討を求めているんです。
 施設で生活する高齢者が食事をしたり、お風呂に入ったりして家庭用として水を使い、生活する上で、水道代は必ずかかる経費になります、しかも、金額が大きいので、軽減できるかどうかは施設にとって大きなことですと、施設の運営者が話していました。
 施設が既に建っている状態から、水道メーターを入所施設とデイサービスの施設とで分けるのは難しく、そうなると、結局、共同住宅扱いは諦めるしかありません。
 これから施設を建設するというときに、必ず地元自治体や東京都の福祉局施設支援課に相談に行くようになっていますので、せめて、こうしたところで漏れなく共同住宅扱いについてお知らせするよう、局から働きかけていただきたいと思います。そうすることで、逆にメーターを別々にした方がランニングコストが軽減できるという判断ができます。周知の強化をお願いしたいと思います。
 ただ、しかし、それでも解決しない問題があります。入所施設とデイサービスの施設で水道メーターを分けたとしても、入所者と通所利用者の食事をつくる厨房は、普通、施設には一つだけです。厨房を入所者とデイサービス用に分けて二つつくるということは、恐らく、どの事業者もそれはしないと思います。
 メーターを分けるだけではなくて、厨房などの設備もそれぞれ分けなければ、共同住宅扱い、つまり水道料金の公平化はできないということならば、本来は使えるのに、使えない、諦めてくださいということになってしまいます。やっぱり制度が実情に合っていないのではないでしょうか。
 特養ホームの水道料金の負担が重い現状に対して、共同住宅扱いが非常に有効な解決手段となっていますので、本来軽減される施設が適用となるように、共同住宅扱いの基準を新しい事情に適用させることが求められています。ぜひ検討していただくことを改めて求めて、次の質問に移ります。
 業務委託について伺います。
 令和五年度、東京水道株式会社に渋谷営業所、砧浄水場、長沢浄水場が業務移転しましたが、委託前と委託後で東京都の職員の数はどのように変わり、委託後、東京水道株式会社の社員は何人配置されましたか。

○小澤経営改革推進担当部長 業務移転前の令和四年度末における局の職員数は、渋谷営業所が二十五名、砧浄水場が二十四名、長沢浄水場が十九名でございました。
 五年度は、技術継承のため派遣した局の職員を含めた東京水道株式会社の社員が、渋谷営業所の業務のために二十四名、長沢浄水場及び砧浄水場等を一括して管理するために七十四名配置されております。
 なお、この七十四名が担う業務には、以前から委託しておりました両浄水場の運転管理業務四十四名分も含まれております。

○福手委員 渋谷営業所は、委託前は東京都の職員は二十五人いましたが、委託後はゼロになり、東京水道の社員が二十四人配置となりました。
 砧浄水場と長沢浄水場は、委託前は東京都職員がそれぞれ二十四人、十九人とあったのが、委託後はゼロ。委託後、もともと委託の運転管理業務四十四名と、東京水道の社員三十人を合わせて七十四人の社員が今配置をされているということでした。
 昨年度の業務移転によって、合計六十八人の東京都の職員が、営業と技術の業務から引揚げられました。
 水道局と政策連携団体、東京水道株式会社とのグループ経営は、二〇一九年から始まりました。二〇一八年の水道法の改定で、水道法に書かれていることの責任を民間側に移転することができるようになったことで、局と東京水道株式会社は業務分担を行い、営業所業務や技術系業務から局職員をゼロにして、東京水道株式会社で業務を行うため、水道事業に関する技術的な専門性に加えて、経営も含めた公務員としての専門性とノウハウの継承までも行って事業の効率化を進めてきました。その結果として、水道局の職員定数は、六年前と比べて二百六十人減らしています。
 委託の範囲を広げ、職員の定数も減らしたままで戻さないのは、水道事業の基盤の強化につながるとは考えられません。
 さらに、局は、現在、東京水道株式会社への委託を、これまでの個別の業務委託で実施していたのを複数の業務にまとめて委託する包括委託に変更すること、そして、もっと自由に民間の裁量でできる性能発注に変更することを検討しています。
 性能発注の包括委託は、どういう範囲の業務で導入すると考えられていますか。伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、政策連携団体への業務移転の状況を踏まえ、浄水場業務での導入及び一部エリアによる技術系、営業系業務での導入の二つにつきまして、これまで検討をしてきているところでございます。

○福手委員 技術系と営業系の業務の性能発注の包括委託を検討されているということでした。
 これまでも、効率化の下で、水道料金の滞納者への訪問催告をやめて郵送催告だけに切り替えたことで給水停止数が増え、先ほど和泉なおみ委員が質問で触れられた事例のように、給水停止によって、都民の中には生活や健康が脅かされている、そういう状況がありました。こうしたことが起きてしまうやり方を見直さないまま、さらに効率化を求めることに強い懸念を感じています。
 では、性能発注による包括委託の検討で、受託者へのインセンティブの付与や性能発注後のモニタリングのチェックをどのように考えられていますか。

○小澤経営改革推進担当部長 性能発注方式による包括委託におきましては、受託者の創意工夫を醸成するためにインセンティブの付与を、受託者の業務実施状況を確認するためにモニタリングの実施を検討してきているところでございます。

○福手委員 検討会の資料では、インセンティブは要求水準を上回った場合ということで、例えば業務改善の提案を実現するための費用を出すとか、業務改善による経費削減分にもインセンティブがつけられるということなどが挙げられています。
 インセンティブについては、委員の方から指摘や慎重な意見が出されていました。例えば、要求水準ぎりぎりのサービス水準でやることが受託者にとってインセンティブになるので、そうならないようにとか、そういった意見が出されていました。
 私も、これらの指摘というのは当然だと。都民の理解という点で考えても、大事な部分だと思います。
 モニタリングについても、受託者が東京水道株式会社だけという構造なので、外部有識者のチェックの必要性や検証の頻度を上げることなど意見が出されていましたが、局としては、受託者のセルフモニタリングと局のモニタリングで検討しているということで、第三者を入れることについては検討されていないようでした。モニタリングの実効性に課題が残されていると思いました。
 性能発注による包括委託の導入時期は、いつを見込んでいるのでしょうか。また、スケジュールを伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 決算審査の場でございますので、令和五年度までの実績の内容でお答えいたしますと、令和五年度は、導入時期やスケジュールを含めた性能発注方式による包括委託の制度について検討を行ったところでございます。
 また、先ほどモニタリングにつきまして、セルフモニタリングと局のモニタリングの二つというお話がございましたけれども、委員のお話にありました昨年の運営戦略検討会議におきましては、それと加えまして、外部有識者の意見を踏まえました性能発注方式による包括委託の効果検証についてのモニタリングというのも検討しているということをご報告させていただいているところでございます。

○福手委員 令和五年度の段階では、導入時期は検討中ということでありました。
 では、そもそも性能発注による包括委託の導入について、局としては、いつ意思決定をしたのでしょうか。伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 令和五年度におきましては、外部有識者の意見も聞きながら、性能発注方式による包括委託の制度について検討してきているところでございます。

○福手委員 導入は決定したわけではなくて、検討中ということでした。ただ、検討会のやり取りはもう、やるかどうかという議論よりも中身について、効果的な方法なども検討の中心になっている様子です。導入ありきではない検討をしていただくことを強く求めておきます。
 私たち日本共産党都議団は、性能発注の包括委託には反対です。性能発注は、要求水準に達していれば、受託者がどんな方法でやるのかは問われません。新たな手法でやることもできることになります。公営企業なのに、東京都が教えてもらわないと、そのやり方を知ることはできません。ブラックボックス化になってしまい、委託している業務について東京都がチェックできなくなるということが問題になります。包括委託によって東京都の職員が業務から離れるということで、東京都職員が技術についてノウハウを蓄積することや、技術自体も、東京水道から教えてもらわないと分からなくなるということになります。こういったことが問題だと、これまでも指摘をしてきました。
 公営では設備更新が進まないとか、民間に任せれば進むというものではなく、東京都が、例えば一般財源も使って設備更新のための財源をしっかり投じなければ、設備投資は進まないと思います。
 そして、毎年、都が国に補助金の要望を出していますが、東京都の要望は実現されていません。水道法の目的である公衆衛生の向上と生活環境の改善、この責任や、運営上の様々な権限を持つ自治体に対して、国は支援する役割があります。しかし、民間委託を進めれば国が支援するというやり方では、国の責任として適切ではないと思います。
 そもそも民間営利企業は、収益を拡大することを目的としています。一方で、水道事業は公共性が高く、収益拡大を見込むことが難しい事業です。受託した企業が収益拡大が難しいと見込めば、コスト削減による利益確保を見込むしかなくなるのではないでしょうか。
 性能発注の包括委託を導入し、企業にとって有利な条件や環境が整備され、提供されるのであれば、それは誰のための性能発注の包括委託なのかということが問われてきます。
 実際、先ほどの和泉なおみ委員の質疑では、東京水道株式会社の納税額が大きく増えていることについてやり取りがありました。法人の事業収入のほとんどが東京都からの受託事業で、東京都からの委託金額は変わっていない中で億単位の利益を上げていることについて、水道局は、プロジェクト別収支管理の徹底による費用の圧縮によるものと答えていましたが、やはりこれはきちんと検証するべきだと思います。
 これだけの利益が上がる一方で、包括委託でインセンティブまでつけるということになれば、企業の利益がどんどん積み上がる、そういう仕組みになってしまいます。命に関わる水がどう扱われるべきなのかが改めて問われていると思います。そして、そこに立ち返ることが重要だと思います。
 性能発注の包括委託はやめることを再度求め、質問を終わります。ありがとうございました。

○高倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高倉委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時十九分散会