令和四年度公営企業会計決算特別委員会速記録第三号

令和五年十一月十五日(水曜日)
第十五委員会室
午後一時開議
出席委員 二十三名
委員長平けいしょう君
副委員長古城まさお君
副委員長関野たかなり君
副委員長柴崎 幹男君
理事伊藤しょうこう君
理事五十嵐えり君
理事尾崎あや子君
理事高倉 良生君
理事村松 一希君
北口つよし君
もり  愛君
関口健太郎君
たかく則男君
平田みつよし君
福手ゆう子君
保坂まさひろ君
斉藤まりこ君
大松あきら君
山加 朱美君
鈴木  純君
風間ゆたか君
本橋ひろたか君
あぜ上三和子君

欠席委員 なし

出席説明員
知事小池百合子君
副知事黒沼  靖君
副知事潮田  勉君
副知事中村 倫治君
副知事宮坂  学君
中央卸売市場長早川 剛生君
都市整備局長谷崎 馨一君
港湾局長松川 桂子君
交通局長久我 英男君
水道局長西山 智之君
下水道局長佐々木 健君

本日の会議に付した事件
議席について
令和四年度東京都公営企業各会計決算の認定について(質疑)
・令和四年度東京都中央卸売市場会計決算
・令和四年度東京都都市再開発事業会計決算
・令和四年度東京都臨海地域開発事業会計決算
・令和四年度東京都港湾事業会計決算
・令和四年度東京都交通事業会計決算
・令和四年度東京都高速電車事業会計決算
・令和四年度東京都電気事業会計決算
・令和四年度東京都水道事業会計決算
・令和四年度東京都工業用水道事業会計決算
・令和四年度東京都下水道事業会計決算

○平委員長 ただいまから令和四年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 初めに、議席についてお諮りいたします。
 本委員会室における議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○平委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○平委員長 次に、委員外議員の発言の申出について申し上げます。
 上田令子議員から、会議規則第六十三条の規定により、本日の委員会に出席して発言したい旨の申出がありました。
 本件は起立により採決をいたします。
 上田令子議員の発言を許可することに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○平委員長 起立少数と認めます。よって、上田令子議員の発言は許可しないことに決定いたしました。

○平委員長 本日は、小池知事並びに黒沼副知事、潮田副知事、中村副知事及び宮坂副知事にご出席いただいております。
 本日は、お忙しいところご出席賜りまして誠にありがとうございます。
 これより決算の審査を行います。
 令和四年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 なお、去る十月十六日から行われました各分科会における局別審査につきましては、お手元配布のとおり報告書が提出されております。
 朗読は省略いたします。
     
   〔分科会審査報告書は本号末尾に掲載〕
     

○平委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従い運営してまいります。
 また、質疑を行う際は、令和四年度決算の審査から逸脱しないよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守り願います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるようお願いをいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 保坂委員の発言を許します。

○保坂委員 よろしくお願いします。
 令和四年度東京都公営企業会計決算について、都民ファーストの会東京都議団を代表して全局質疑を行わせていただきます。
 公営企業会計は、都民生活を支える社会インフラを提供しております。私たちは、令和四年度予算に向けても様々な提案をさせていただきましたが、それらがどのように実行されたのかの確認、そして、今後につながっていく観点から質疑をいたします。
 令和四年度は、都政全体で新型コロナ感染対策が大きな課題でしたが、都民にとって重要な社会インフラを提供している公営企業会計においても、新型コロナで大変な状況に置かれていた都民生活をいかに支えていくことができるかが重要になりました。
 私たちは、先が見えないコロナ禍の中で、収入の大幅な減少などで厳しい生活を余儀なくされている都民、事業者に対し、水道、下水道料金の支払い猶予を実施するよう求め、都も猶予を実施してきました。
 そこでまず、令和四年度におけます水道、下水道料金の支払い猶予など、コロナ禍の中で公営企業として都民生活を支えてきた取組実績と、それに関する知事の認識について伺います。

○小池知事 保坂委員のご質問にお答えいたします。
 コロナ禍にありましては、都民の命と暮らしを守るという強い思いを持ち、様々な支援を展開してまいりました。
 中でも、都民生活に欠かせない水道、下水道につきましては、料金の支払いが一時的に困難になった都民を支援するため、令和二年三月から令和五年九月までの間、申込みから最長一年間の支払い猶予を実施してまいりました。
 期間中の支払い猶予の受付件数及び金額でございますが、延べにいたしまして約二万六千件、約二十二億円となっております。
 また、猶予期間終了後の支払いにつきましても、都民一人一人に寄り添いながら、きめ細かく相談に応じるなど、丁寧に対応をいたしております。
 こうした取組によって、都民の不安を解消するとともに、安全・安心を確保し、都民生活を支えてきた、このように認識をいたしております。

○保坂委員 利用者あっての公営企業ですので、いまだ十分な支払いが難しい方への丁寧な対応も求めておきます。
 交通、水道、下水道の公営企業三局は、重要な基幹ライフラインとして都民生活と首都東京の都市活動を支える一方で、都庁全体で見ても、温室効果ガスの排出量が特に大きく、これらの分野において脱炭素の取組を進めることに大きな意義があります。
 例えば、公営企業三局では、都内における年間電力使用量の約三割に当たる電力を消費するなど大量のエネルギーを必要とし、多くの温室効果ガスを排出しています。ゼロエミッション東京を掲げる中で、公営企業局において、脱炭素化に向けたさらなる取組が必要であります。
 そこで、交通局、水道局、下水道局の公営企業三局における脱炭素化に向けた取組について、知事の所見を伺います。

○小池知事 公営企業三局につきましては、都庁の温室効果ガス排出量の約七割を占めております。二〇五〇年ゼロエミッションの実現に向けまして、取組の一層の強化が極めて重要でございます。
 こうしたことから、省エネ化に加えまして、太陽光発電、小水力発電など、再生可能エネルギーの導入を拡大いたしております。特に太陽光発電につきましては、二〇三〇年度までに三局合計で、累計設置量二万キロワット以上を目指すことといたしております。
 また、燃料電池バスの導入の拡大、そして、国内初となりますバス営業所内水素ステーション整備に向けました取組など、水素エネルギーの積極的な活用も進めております。
 さらに、温室効果ガスを大幅に削減できますエネルギー供給型焼却炉などの先進技術に加えまして、ペロブスカイト太陽電池などの革新的技術の開発を民間企業と共同で進めております。
 こうした公営企業の事業展開を通じまして、脱炭素化に着実に取り組み、ゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。

○保坂委員 様々な取組が確認できました。公営企業のこうした環境施策を、都民に対して発信力のある小池知事からも、より積極的にPRをしていただくよう求めておきます。
 それでは、各局に質問していきたいと思います。
 まずは水道事業について伺います。
 水は、日常生活で欠かすことのできない極めて重要なインフラです。世界的にも水質の高い水を安定的に供給し続けることが、東京都の水道事業に課せられた大きな使命ですが、将来を担う人材育成やDXによる効率化など、水道経営には取り組むべき多くの諸課題があります。
 水道事業の令和四年度決算書によれば、令和三年度と比較して、営業収益は四十五億円の増加となったものの、電気料金の上昇などにより営業費用が増加したことで、営業利益は、前年度比約百億円減少となる約二十八億円にまでとどまりました。
 そこで、新型コロナ感染症対策としての支払い猶予もあるなど、水道局としては大変厳しい状況に置かれていた令和四年度であったと推察しますが、どのような経営努力を行ってきたのか、また、顧客満足度の向上に努めてきたのかを伺います。

○西山水道局長 令和四年度の水道事業会計決算では、浄水場や給水所から水を送るポンプの運転等に関する電気料金が、前年度に比べ九十六億円増加するなど、厳しい財政運営となりました。
 こうした状況も踏まえ、政策連携団体への業務移転等による経費節減や、料金システムの維持管理コストの縮減を進めるなど、様々な財源の確保に取り組みました。
 また、昨年十月からスマートメーターによる自動検針を開始するとともに、各種手続等を一元的に受け付ける東京都水道局アプリを導入するなど、お客様サービスのさらなる向上を図る取組も進めてございます。
 今後も、健全な財政運営とともに、デジタル化の推進等により、お客様に信頼される水道を実現してまいります。

○保坂委員 今ありました、コスト縮減をしながらお客様サービス向上への取組について、今度は伺ってまいります。
 水道局のDXについて伺います。
 我が会派はかねてより、スマートメーターなどIoTによる水道事業の効率化を求めてきましたが、スマートメーターは、令和四年度に、本格的に先行導入が開始されております。
 さらに、顧客利便性の向上のため、水道使用料の照会や決済など様々な手続機能を持つスマートフォンアプリもリリースされており、我々も推進をしております。
 そこでまず、令和四年度におけますスマートメーター事業の進捗について伺います。

○西山水道局長 水道局では、水道スマートメータ先行実装プロジェクトに基づき、令和四年度からの三年間で約十三万個のスマートメーターの導入を進めてございます。
 令和四年度には、約二万六千個の給水スマートメーターと配水小管スマートメーターを設置し、予定どおり、令和四年十月から自動検針の運用を開始いたしました。
 運用開始後、給水スマートメーターの一部に初期不良が生じ、通信成功率が一時低下をいたしましたが、既に解消しており、配水小管スマートメーターを含め、どちらも安定的な運用を行ってございます。

○保坂委員 スマートメーターの肝ともいえます通信成功率、この向上への着実な取組を求めておきます。
 また、我が会派は、スマートメーターは、自動検針にとどまらず、そこから得られるビッグデータの活用や、さらには、水道分野だけでなく、電気、ガス事業など、ほかのインフラ事業者とも連携して、高齢者への見守りなどの活用をすることを求めてきました。
 そこで、現在の検討状況について伺います。

○西山水道局長 水道局では、都庁各局や他のインフラ企業に加え、見守りサービス等を提供する事業者等との意見交換やニーズの把握を行い、データの活用に向けた連携に取り組んでございます。
 令和四年度は、東京データプラットフォームを所管するデジタルサービス局とデータの公開方法等に関する意見交換を実施したほか、電力データの活用サービス事業等を行っている団体の活動に参画し、個人情報の保護や活用事例等に関する情報収集を行いました。
 引き続き、スマートメーターの設置を推進するとともに、得られるデータの活用に向けた取組を進めてまいります。

○保坂委員 あわせまして、利用者数目標百万人を掲げて令和四年度にリリースされました東京都水道局アプリについて、事業の進捗と展開について伺います。

○西山水道局長 水道局では、お客様サービスの向上と情報発信の強化を目的に、水道の使用開始等の申込み、水道料金の支払い、水道使用量や料金の照会等を行える東京都水道局アプリを令和四年十月にリリースしました。
 この間、お客様のニーズに柔軟かつ迅速に対応し、アプリの機能改善を図るとともに、お客様に身近な自治体が実施するイベント等でのPRを通じ、アプリの利用拡大を進めてまいりました。
 この結果、本年九月末時点での利用者数は百十三万人となり、令和七年度末に百万人という目標を二年以上前倒しで達成をいたしました。
 今後も、こうした取組を積み重ねていくことで、サービスの質の向上と一層の利用者拡大を図ってまいります。

○保坂委員 このアプリですが、私も利用しております。大変便利ですので、この中で、委員の皆さんもまだ活用されていない方は、ぜひ利用していただきたいと思います。
 続いて、人材育成について伺ってまいります。
 水道事業を将来にわたって安定的に実施していくためには、水道事業に精通した人材の育成を欠かすことができません。しかし、水道人材の高齢化や少子化による恒常的な人手不足などが重なって、水道事業のノウハウが適切に継承されていくのか、大きな危機が来ていると認識をしております。
 そこで、安定的に水道事業を実施していくため、政策連携団体であります東京水道株式会社を含め、どのように人材確保と育成、これまでのノウハウの継承を進めてきたのか、見解を伺います。

○西山水道局長 都の水道事業を将来にわたって持続可能なものとしていくためには、基幹的業務を担う水道局と政策連携団体とが一体となって人材の確保、育成に取り組み、技術やノウハウの継承を進めていくことが重要でございます。
 そのため、令和三年に、団体と東京水道グループ人材育成方針を策定し、組織的なOJTや共同研修など、グループ全体で技術の維持向上に努めてございます。
 また、局職員の現場業務の習得や団体社員の中核人材の育成を目的とした相互の人材交流を拡大し、グループ全体のマンパワーの強化を図ってございます。
 今後とも、局と団体が連携して人材の育成等に取り組み、安定給水を担う強固な人材基盤を構築してまいります。

○保坂委員 水道工事を支える民間の工事事業者も、その数は減少傾向にあります。水道管の老朽化対策や災害時の復旧など、水道工事の需要は今後も引き続き見込まれる中、現場で工事を行う民間事業者の取組を支えることも、都民にとって必要な水道インフラを支えることにつながっております。
 そこで、水道局として、民間の工事事業者への経営、技術支援の取組について見解を伺います。

○西山水道局長 水道事業は、管工事を行う工事事業者に支えられており、技術力向上や経営支援に向けた取組が重要でございます。
 そのため、令和元年度から、局の研修施設を活用し、配水本管工事における基本的な耐震継ぎ手管の構造や、工事の安全管理などを学ぶ技術支援研修を年四回実施してございます。
 今年度からは、布設年代による管路の構造や特徴等を動画や写真で視覚的に理解できる講習を追加いたしました。
 また、令和五年一月からは、工事事業者の経営支援に関わる情報を、水道局ホームページやパンフレット等を用いて案内してございます。
 今後も、こうした取組により、工事事業者の技術力向上及び経営の支援に取り組んでまいります。

○保坂委員 これまでも質問をしてきましたが、私たちは、水道をはじめとする公営企業全般において、見えないところで現場を支えている人材が先細りしつつある現状に強い危機感を抱いております。まさに都政における静かなる危機だと捉えております。都政の将来を担う人材の育成は、公営企業全般に加えて、建設事務所など現場をはじめ、都庁全体で大きな課題でもあります。
 そこで、将来にわたって安定的に公営企業を運営していくために、公営企業三局における人材育成、関連事業者の支援に関する知事の認識を伺います。

○小池知事 東京の交通、水道、下水道は、都民生活や都市活動を支える重要な社会インフラでありまして、将来にわたりその役割を果たしていくためには、事業を担う人材の技術力を維持し、高めていくことが重要でございます。
 このため、局ごとに人材育成方針を定めまして、日々の業務を通じたOJTはもとより、外部の専門機関を活用した技術研修や、VRなどを活用した体験型研修などを通じまして、これまで培ってきたノウハウの継承や技術力の向上等を図っております。
 また、政策連携団体との人材交流、合同研修等を行うとともに、工事の事業者等を対象にしまして、都の実習施設を活用した技術講習などを行っております。
 今後も、首都東京の公営企業といたしまして、次の世代を担う人材の育成や技術の継承に取り組み、時代の要請を的確に捉えました質の高いサービスを安定的に提供し続けてまいります。

○保坂委員 ただいま公営企業の人材育成に向けての知事の力強い答弁をいただきました。ぜひよろしくお願いします。
 さて、日本における水道事業は、老朽化の進行、耐震化の遅れ、主に市町村単位で経営されており、多くの事業が小規模で経営基盤が脆弱である点などが日本全体の水道事業の課題として指摘をされており、広域化の推進が必要であります。
 東京水道の広域化はほぼ完了しているといっていい状況ではありますが、全国ではまだ広域化に十分進展はしていません。東京水道としては、これまでの広域化、特に多摩における経験を生かして、ほかの水道事業者をしっかりサポートしていくことも、今後の在り方として求められております。
 そこで、東京水道経営プラン二〇二一でも国内水道事業体への貢献が掲げられておりますが、都と東京水道株式会社による東京水道グループの強みを生かした国内水道事業体へのサポートについて、これまでの取組と今後の方向性について伺います。

○西山水道局長 水道局ではこれまで、培ってきた技術力や知見を生かし、都内や関東近県の中小水道事業体、都の島しょ町村への支援を行ってございます。
 また、東京水道株式会社においても、日本水道協会と連携し、全国の事業体等を対象とした、管路工事や浄水場の運転管理等に関する実践的な研修を行ってございます。
 令和四年度は、関東近県の水道事業体に対して、漏水防止技術や多摩地区における広域化の経緯などについての研修を実施したほか、大島町に対する漏水調査技術の助言を行いました。
 今後とも、東京水道グループとして、国内水道事業体が抱える広域化の課題や技術力の不足などの解決に向け、積極的に支援を行ってまいります。

○保坂委員 国内水道事業体への貢献の姿も、都としてメリットのあるものであれば、より望ましいと考えます。
 都が水源としている河川、特に東京と群馬、埼玉に流れる利根川流域では、東京都水道局も含む流域の四十二の水道事業体で、利根川・荒川水系水道事業者連絡協議会が設置されており、水質事故時の情報連絡体制などについて協議がされております。かなりの長期なスパンにわたる構想となりますが、利根川流域の水道事業の統合、効率化を、都が重点的にサポートしていくことの検討も求めておきます。
 続いて、下水道局に伺ってまいります。
 二〇二〇改革の一環として下水道事業の生産性を上げる運営手法の検討が進められ、東京にふさわしい施設運営の手法として、一部の施設に包括委託を導入するという方針が示されました。
 その後、令和四年四月に、落合水再生センターは政策連携団体であります東京都下水道サービス株式会社、TGSに、清瀬の水再生センターは民間事業者に委託が開始されております。その実施に当たっては、下水道事業の公益性を踏まえた安定的なサービスの提供を第一に、効率性、経済性の向上に資するものでなければなりません。
 そこでまず、下水道事業に包括委託が導入されて一年が経過しましたが、令和四年度の状況と今後の方向性について見解を伺います。

○佐々木下水道局長 下水道局では、安定性、経済性の確保や、技術力、技術開発力の維持向上の視点から、昨年四月より、二か所の水再生センターの水処理施設等を対象に包括委託を導入しました。
 令和四年度は、両センターともに、年間を通して設備の適切な運転管理が行われ、放流水質や施設の健全度などの契約基準が遵守されており、安定的に運営されております。
 さらに、受託者は、三百六十度カメラなどICTを活用し、維持管理の高度化、効率化を図っております。
 引き続き、複数年にわたり履行状況や導入効果などを検証し、局とTGS、民間事業者がそれぞれの特性を生かしながら、サービスのさらなる向上に取り組んでまいります。

○保坂委員 包括委託によりますサービス安定にとどまらず、サービスの向上にも積極的に取り組んでいくと、大変力強い答弁をいただきました。期待しております。
 下水道事業が直面する課題や将来を見据えて解決すべき課題に対応するため、DXの推進は欠かすことができません。下水道事業においても、インフラ施設の維持管理などにおいてDXの活用が期待されるところであります。
 そこで、デジタル技術、AIなどを活用した取組について、見解を伺います。

○佐々木下水道局長 下水道局は、AIを含むデジタル技術などの最先端技術を積極的に活用し、下水道サービスの向上を図ることが重要との認識の下、技術開発を推進しております。
 令和四年度には、水処理施設における微生物測定の自動化、迅速化を実現するため、AI技術を活用した放線菌の判別が可能な画像診断モデルを作成し、現場に実装しました。
 また、雨水ポンプの運転操作について、降雨データ等により、AIが流入する水量の変化を予測し、適切な運転を支援する技術の試作モデルを完成させました。
 引き続き、現場への適用について検証するとともに、実用化に向けて、予測精度の向上などに取り組んでまいります。

○保坂委員 かねてより我が会派が指摘をしてきました下水道事業というのは、非常に資源が豊富な事業として知られております。
 例えば、肥料などに用いられているリンという資源について、日本のリンは海外からの輸入でほぼ全てが賄われているといわれておりますが、下水の中にはこのリンが大量に存在しており、下水に含まれるリンを回収して有効利用することが必要と考えます。
 そこで、下水中に含まれるリンの回収と、その有効利用に向けた取組について伺います。

○佐々木下水道局長 下水道局では、処理水質の向上を図るため、汚泥を集約処理している施設からの排水を受ける水再生センターにおいて、汚泥の中に含まれるリンを除去する施設の導入を進めております。
 令和四年度には、国の制度を活用し、汚泥に含まれるリンを効率的に回収するため、民間企業と共同して新たに技術開発を行うこととしました。
 こうした取組で得られたリンにつきましては、農業用肥料などに、資源として、有効利用に向けた取組を進めてまいります。

○保坂委員 下水道が有する重要な資源としてリンの有効利用を進めていただきたいと思います。
 一方、下水の熱も非常に有用な資源であります。下水は、気温と比べて、夏は冷たく冬は暖かいという特性を持っておりまして、極めて大きなエネルギーとしての可能性を秘めているといわれています。
 そこで、令和四年度におけます下水熱の有効利用に向けた取組についても伺います。

○佐々木下水道局長 下水熱は、水再生センターの下水処理水などを冷暖房の熱源として利用することにより、電力などのエネルギー使用量や温室効果ガス排出量の削減に貢献しております。
 これまで、局の施設に加え、文京区の後楽一丁目地区や品川シーズンテラスなど、合計五か所において下水熱を利用しております。
 さらに、令和四年度には、麻布台ヒルズでの本年十一月の利用開始に向けた取組を進めました。
 引き続き、下水道の持つポテンシャルを最大限に活用し、良好な都市環境の創出に貢献してまいります。

○保坂委員 ありがとうございます。
 続いて、交通局の事業会計について伺ってまいります。
 交通事業会計の中で大部分を占めるのが自動車事業であり、令和四年度の財務状況については、乗車人員の増加に伴う乗車料収入の増加に加え、営業費用が縮減し、純損益は、改善はしたものの約十八億円の赤字となっております。
 乗車人員が増加しているとはいえ、コロナ禍前よりも利用者が減っている状況は変わりはありません。乗客の利便性に十分配慮することが大前提ではありますが、需要に合わせた規模の適正化を実施することは、健全な経営を行うための方策の一つです。
 そこで、都営バスでは、昨年度減便を行ったと聞いていますが、都営バスの令和四年度の減便の状況と、減便による混雑状況の変化やコスト減少額、そして、ダイヤ設定の考え方についてを伺います。

○久我交通局長 都営バスでは、コロナ禍による利用の減少を受けまして、令和四年度は、需要が減少している四十七路線で減便いたしました。
 見直しに当たりましては、ご利用が多い時間帯の運行間隔が広がらないよう、お客様の利便性に最大限配慮してございます。
 また、見直しに伴う費用の減少額は、おおむね年間四億円余りと試算しております。
 今後とも、乗客潮流の変化をきめ細かく把握するとともに、需要の増減や地域のニーズを的確に捉えながら、適切なダイヤを設定してまいります。

○保坂委員 減便により約四億円の費用が縮減されたとの答弁ありましたが、くれぐれも需要バランスをしっかり把握されて、サービスが落ちないよう努力されることを求めておきます。
 今後も、テレワークなどの行動変容に伴って、乗車人員はコロナ禍以前の水準には回復することは期待できません。
 そこで、こうした厳しい経営状況の中でも、安全かつ質の高いサービスの実現に向けた取組を着実に進めるべきと考えますが、都営バスにおける経営計画に掲げられた事業の令和四年度の取組状況について伺います。

○久我交通局長 都営バスでは昨年度、バス車両の安全装備の充実や、事故防止を図るための研修等の実施など、安全・安心の確保に向けた取組を進めるとともに、停留所の上屋、ベンチの整備、次の停留所名を表示する車内モニターの増設など、お客様の利便性のさらなる向上に取り組みました。
 また、燃料電池バスの導入を累計七十三両まで拡大するとともに、営業所内水素ステーション整備に向けた準備を進めたほか、停留所のLED照明の設置を拡大いたしました。
 あわせて、採用PRの実施などにより、必要な乗務員を確保するなど、厳しい経営状況の中にあっても、経営計画二〇二二に掲げました事業を確実に進めました。

○保坂委員 引き続き、都営バスの安全かつ質の高いサービスの実現に向けた取組を求めておきます。
 続いて、今答弁いただきましたバス停留所の、今度は、デジタル広告について伺ってまいります。
 海外の都市においては、バス停留所にデジタルサイネージを設置し、広告に活用している事例を見かけます。まちに活気や彩りを添えるモニュメントの一つとして定着しています。先日、私も、訪問した韓国ソウル市でも、既に多くのバス停にデジタル広告が設置されていることも確認をしてきました。
 東京においても、現在、都市部を中心にデジタル広告が設置されているバス停、上屋の整備が徐々に始まっており、都営バスにおいても、官民連携方式により、民間事業者が整備した上屋の一部に設置されているとのことであります。
 そこで、バス停の広告つき上屋におけるデジタル広告の導入経緯と令和四年度の取組について伺います。

○久我交通局長 バス停におけます広告用デジタルサイネージの設置につきましては、安全や都市景観上の課題が懸念されたことから、平成三十年度、都道での実証実験が行われました。
 その結果、画面の動きが、一般ドライバーも含めて運転に支障する懸念が少ないことや、景観への影響は限定的であることが確認されました。
 これを受けまして、平成三十一年四月、東京都広告物審議会におきまして、安全性、景観等への配慮や、道路管理者の了解等を条件に、一部の停留所への設置が承認されました。
 令和四年度は、都道、区道上の都営バス停留所三か所にこのサイネージを設置するとともに、国道での実証実験に向けた関係機関との調整に協力いたしました。

○保坂委員 実証実験に交通局も協力をして導入に至ったとのことですが、デジタル媒体は、紙媒体と異なって同時期に複数の広告を掲出することができます。今後、収益力が高まることも期待されますので、デジタル広告の設置により、さらなる上屋の整備につなげていくことが必要です。
 また、都営バスのバス停という公共的な施設に設置されるデジタルサイネージであるため、広告のみならず、公益に資する情報の発信にも活用すべきであり、既にそうした取組も始まっております。
 そこで、都営バスにおける広告つき上屋のデジタル広告の導入実績と、その配信の内容について伺います。

○久我交通局長 交通局では、国道での実証実験に合わせ、今年度新たに、六か所の停留所に広告用デジタルサイネージを設置し、累計で十か所の停留所に整備しております。
 このサイネージでは、商業広告のほかに、公共情報を一〇%以上放映することとしており、現在、マタニティマークの普及啓発に活用しております。
 また、災害情報共有システム、Lアラートにも対応しておりまして、災害発生時には、帰宅困難者や外国人旅行者に情報提供できる仕組みとなってございます。

○保坂委員 民間事業者と連携をして、デジタル広告の設置拡大をさらに要望しておきます。あわせて、地元自治体の情報なども発信できるようにするなど、さらなる工夫や活用も求めておきます。
 続いて、高速電車事業、都営地下鉄について伺ってまいります。
 東京都交通局経営計画二〇二二によりますと、高速電車事業の経常損益は、二〇二二年度に二十億円の赤字、令和五年度に八十五億円の黒字、令和六年度には百二十九億円の黒字を目指しております。令和四年度の決算数値を拝見しますと、経常損益は、二十億円に対して四億円の赤字であり、計画に対しても改善をしており、令和三年度実績の六十四億円の赤字と比較しても改善が見えます。
 一方、電気代や軽油の高騰、建設工事費の高騰などの課題もあって、経営状況は予断を許しません。
 そこで、こうした中で、高速電車事業の収支改善に向けて、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○久我交通局長 都営地下鉄を取り巻く事業環境は、今後も厳しい状況が続くものと見込まれることから、経営努力を不断に積み重ねていく必要がございます。
 このため、創意工夫を凝らし、需要の創出や関連事業の推進による収益力の強化を図るとともに、デジタル技術も有効に活用しながら、一層効率的な事業運営に努めてまいります。
 また、昨年度、外部の委員で構成する有識者会議を立ち上げ、幅広い見地から収支の改善に向けたさらなる方策の検討を進めており、有識者の意見も踏まえながら、中長期的に安定した事業運営を行っていくための経営基盤を確立してまいります。

○保坂委員 今の答弁にいただきましたとおり、経営基盤の確立と併せて、デジタルを活用した業務改善や新たなサービスの提供に取り組んで、顧客満足度を向上することも大変重要です。
 そこで、都営地下鉄におけるデジタル技術を活用したサービス展開に関して、令和四年度の取組状況と、お客様などからの反応について伺います。

○久我交通局長 交通局では、デジタル技術を積極的に活用し、地下鉄をご利用するお客様の利便性向上を図っております。
 令和四年度は、AIを活用して乗換え経路や駅周辺情報などの案内を行うロボットコンシェルジュを新宿西口駅と新橋駅に設置しており、約二万件のご利用がございました。
 また、昨年五月には、民間事業者と連携して、都庁前駅に、地下鉄駅初となる5G環境を整備し、通信環境の充実を図りました。
 さらに、5G環境を活用し、地下空間におけるARを用いた駅構内ナビゲーションの実証実験を行い、ご利用いただいた方からは、ルート案内が分かりやすいなどの意見をいただきました。

○保坂委員 引き続き、こうした新しい技術を取り入れたサービス展開を積極的に拡大していただくよう求めておきます。
 交通局は、我が会派の提案によりまして、都営地下鉄において子育て応援スペースの導入を進めてきました。また、私の地元上野御徒町駅において、令和四年度には授乳室の設置なども進めていただき、令和五年度になりますが、液体ミルクの販売、ベビーカーシェアリングなど、都営地下鉄を挙げて、子供やママ、パパに優しい環境づくりを進めていることに多くの歓迎の声が届いており、我が会派としても高く評価しております。
 そこで、令和四年度の都営交通におけます子育て応援の取組と、今後の展開について、知事の所見を伺います。

○小池知事 子供は、未来を担うかけがえのない存在でございます。チルドレンファーストの視点から、社会全体で子育てを応援していくことが重要です。
 都営地下鉄におきましては、小さなお子様連れの方に安心して気兼ねなくご利用いただけますように、子育て応援スペース車両を令和元年度から運行しておりまして、昨年度は、全路線に導入を拡大いたしました。
 さらに、今年度、上野御徒町駅の構内の一角に、赤ちゃんや小さなお子様とのお出かけをサポートする、こどもスマイルスポットをオープンしたところでございます。ここでは、液体ミルクなどを購入できる自動販売機や、授乳室を設置していますほか、ベビーカーのレンタルサービスを提供しております。
 こうした取組を今後も順次拡大いたしまして、子育てをする方々が公共交通機関を利用してお出かけしやすい環境づくりを進めてまいります。

○保坂委員 スマイルスポットは、海外の方が利用する様子も見かけるようになりました。今後は、ほかの駅にも展開するなど、先を見据えた取組を求めておきます。
 鉄道駅のバリアフリールートの複数化について伺います。
 都営地下鉄では、ホームから出入口までエレベーターなどを利用してバリアフリーで移動可能なルート、いわゆるワンルート整備を既に全駅で完了して、前経営計画によりますと九駅の乗換駅などのエレベーターが既に整備されていますが、我々は、さらにバリアフリールートの複数化を求めて、都も令和四年度予算で取組を進めてきました。
 そこで、誰しもが移動しやすいまちづくりの一環として、必要性の高い駅から順次バリアフリールートの複数化に取り組んでいくべきですが、令和四年度の取組と今後の方向性について見解を伺います。

○久我交通局長 都営地下鉄では、全駅でのワンルート整備後の取組として、駅の利用状況や、周辺における病院、高齢者、障害者施設等の立地のほか、駅の構造や用地確保の可能性などを勘案しながら、さらなる利便性の向上を図るため、バリアフリールートの複数化を進めております。
 令和四年度は、浅草線日本橋駅でエレベーターの供用を開始し、大江戸線光が丘駅など三駅で設計を完了させ、現在、工事を進めているところでございます。
 今後とも、バリアフリールートの充実に取り組んでまいります。

○保坂委員 コロナ禍で減少していた外国人旅行者も、都内の観光地で多く見かけるようになってきました。大きな荷物を持った旅行者にとっても円滑に移動ができるバリアフリーの整備は大変重要です。
 現在、交通局は、私の地元でもあります都営浅草線の浅草駅において、雷門に最も近いA4、A5出入口について、合築ビルの老朽化に合わせた更新を計画しております。
 更新に当たっては、A4、A5出入口が一時的に閉鎖されることになりまして、利用者が浅草寺方面に向かう際に遠回りをしなくてはならない、こういった利便性の低下が懸念されていることから、これまで交通局には、代替となる出入口の整備を幾度と求めてきました。
 一方、現在、東京メトロも、都営浅草駅の改札口に程近い銀座線の浅草駅の改札の外に、出入口の新設に合わせたエレベーターの整備を進めております。
 こうした周辺のバリアフリー整備と連携して、利用者にとって便利で利用しやすい駅構内の環境整備を積極的に図るべきと考えます。
 そこで、浅草駅におけますA4、A5代替の出入口の整備について、これまでの取組状況を伺います。

○久我交通局長 雷門方面につながる浅草駅のA4、A5出入口は、老朽化した既存の建築物と一体となっており、この建築物を建て替える際には、一時的に出入口の閉鎖が必要となります。
 このため、代わりとなる出入口の整備に向けて、令和三年度に江戸通りに面した近傍の用地を取得し、令和四年度に詳細設計に着手しており、今年度中に準備工事を実施する予定でございます。

○保坂委員 続いて、東京中央卸売市場について伺います。
 物流について、二〇二四年から、トラックなどの運転手の労働時間が年間九百六十時間に制約され、物流業界を中心に運転者不足、ドライバー不足が深刻化することが想定されております。中でも、中央卸売市場は生鮮品などを取り扱う観点から、この問題に対して、業界だけでなくて、都も、開設者として真摯に取り組まなければなりません。
 特に、全国から集荷のある豊洲市場、大田市場、そして、食肉市場においては、場内がトラックなどにより日々混雑しております。場内の混雑解消は容易ではありませんが、解消に向けて取り組んでいくことが大変重要です。
 そこで、令和四年度に、混雑緩和や二〇二四年問題に向けた検討など、実施した内容について伺います。

○早川中央卸売市場長 令和四年度は、豊洲市場におきましては、水産物流通の標準化に向け、産地からの搬入形態等の実態把握に国と取り組みました。
 また、大田市場におきましては、場内におけるパレット管理方法等の検討を業界と開始いたしますとともに、混雑を緩和するため、場内交通ルールの改定を行いました。
 さらに、食肉市場におきましては、卸売業者が、輸送手段の多元化に向け、産地からの搬入におけるフェリーの活用促進を支援する取組を試行いたしまして、都は、卸売業者と課題を共有いたしました。

○保坂委員 二〇二四年はもうすぐそこまで来ております。より結果にこだわって取り組んでいただくよう求めておきます。
 本日の質疑では、公営企業会計について、令和四年度における重要な取組成果などを伺ってまいりました。
 私たちは、引き続き、都議会の立場から、都民生活を支え、東京の国際競争力の強化に寄与する公営企業の改革を進めてまいりますので、今後も、小池都知事を先頭に、東京大改革を都庁全体で推進していくことを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○平委員長 保坂委員の発言は終わりました。
 次に、伊藤理事の発言を許します。

○伊藤委員 それでは、都議会自民党を代表して全局質疑を行います。
 まず、中央卸売市場について質問します。
 東京の卸売市場については、十一ある中央卸売市場のうち十か所が区部にあり、一方、多摩地域では多摩ニュータウン市場の一か所のみですが、昨年度時点で、民間事業者が運営する九つの地方卸売市場が多摩の生鮮品等の流通を支えています。
 私の地元八王子においても、民設民営の八王子北野地方卸売市場が地域の青果物流通を支えており、昨年度には、隣接地へ移転しリニューアルオープンしたところです。
 分科会質疑では、中央卸売市場の老朽化対策や機能強化について伺いましたが、地方卸売市場を運営する民間事業者が行う施設整備に対して、東京都がサポートすることはとても重要です。
 それでは、令和四年度にどのような取組を行ったのか伺います。

○早川中央卸売市場長 都内の生鮮食料品等につきましては、中央卸売市場と地方卸売市場とで安定的な供給を実現できるよう取り組んでおりますが、都は、地方卸売市場における買受人など関係者の利便性向上を図るために、開設者が行う施設整備に必要な経費の一部につきまして補助を行っております。
 令和四年度は、八王子北野地方卸売市場の移転新設に伴う電気設備工事をはじめ、国立地方卸売市場の屋根補修工事、府中大東京綜合地方卸売市場の屋上駐車場防水工事など、四千百三十五万余円の補助を行いました。
 地方卸売市場が、中央卸売市場とともに、生鮮食料品等流通の拠点としての役割を果たすための支援を行ってまいります。

○伊藤委員 地方卸売市場の建物や設備を、民設民営で維持することは、大きな苦労が伴います。生鮮食料品等の安定供給という公共的な役割を担う地方卸売市場の施設整備に対し、都は、引き続き、ニーズに沿った支援を行うよう求めます。
 さて、八王子北野地方卸売市場は、私の自宅の近所にあり、移転に際しては、経営者から大変なご苦労があったと伺っています。都においては、地方卸売市場の開設者を巡回して、経営指導や経営健全化に向けたアドバイスをしているとお聞きしていますが、今後も、経営安定化に向けて、事業者に寄り添った丁寧な対応を重ねてお願いします。
 さて、卸売市場における取引を活性化させ、その機能を着実に発揮するためには、取引を担う市場業者の経営力を強化することが必要不可欠です。
 さきの分科会質疑で、我が会派は、市場業者に対する支援の状況を確認するとともに、都に対し、市場業者に寄り添い、経営資源の充実を図るべきと指摘しました。
 そこで、改めて、令和四年度における取組と、そこから得られた知見を基にした今後の取組内容の充実に向けた方向性についても伺います。

○早川中央卸売市場長 都は、令和四年度に創設した経営強靱化推進事業におきまして、販路拡大や業務の効率化につながる設備の導入など、市場業者の経営資源の充実に向けた取組を後押しするとともに、行動変革に向けた機運醸成を図るため、専門家による経営相談やセミナーを実施いたしました。
 市場業者からは、働き方改革や人への投資の在り方の示唆を得たいとの要望等もいただいておりまして、経営資源の一つである人材の確保等に尽力する市場業者の取組を下支えするための具体的方策について検討を深化させてまいります。

○伊藤委員 都は、引き続き、人材確保など、事業者が抱える課題に向き合い、その取組を支援することを求めます。
 次に、臨海地域開発事業会計について伺います。
 昨年度は、新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和されるなど、コロナ禍から回復に向けて一歩を踏み出した年となりました。
 臨海副都心においても、一時は来訪者数がピーク時の約半分まで落ち込んだものの、昨年度は約七割まで回復し、今年度は回復傾向がより鮮明になっていると聞いています。
 こうしたタイミングを待っていたかのように、臨海副都心の動きが活発になっています。
 昨年八月に営業を終了した青海地区のパレットタウン跡地では、先月、EVカートのサーキット場が開業し、さらに、新たなテーマパークが開業予定と聞いています。
 我が会派はこれまでも、臨海副都心開発について、快適でにぎわい豊かな魅力あるまちづくりを進めるよう主張してまいりました。
 インバウンド回復などの機を捉え、まちの開発を積極的に進めるべきと考えますが、令和四年度の取組について伺います。

○松川港湾局長 コロナ禍からの回復に伴い、臨海副都心には、再び国内外から多くの関心が注がれておりますことから、この機を逃さず、まちの開発を加速させていくことが重要でございます。
 このための取組といたしまして、昨年度、都は、有明南地区の都有地を、公募により選定したテレビ朝日へ売却し、多目的ホールや展示会などから成るにぎわい施設を誘致いたしました。
 また、同じく有明南地区に誘致いたしましたコナミグループの施設につきましては、隣接する公園と一体的な空間となるよう取組を進めております。
 今後、これらの施設整備に向け、引き続き、事業者と緊密に連携するとともに、他の事業者による集客施設の開業も積極的に支援し、まちのにぎわいを創出してまいります。

○伊藤委員 この先、多数の施設が開業する臨海副都心は、さらに多くの関心を引き寄せるチャンスです。この機を捉え、臨海部が有するポテンシャルを引き出す取組を進め、さらなるにぎわいの創出に積極的に取り組んでほしいと思います。
 次に、水道事業について伺います。
 水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインであり、二十四時間三百六十五日の安定給水が求められています。
 今年は関東大震災から百年の節目であり、日頃から災害時の断水に備えることは重要です。
 水道局では、こうした断水時に備え、災害時給水ステーションとして、給水拠点や給水車による応急給水の仕組みを整備しています。このうち給水拠点は、都民の住居からおおむね半径二キロ圏内に一か所以上整備された重要な応急給水の拠点であり、災害時の混乱した中でも円滑に開設することは、都民の命や生活を守る上で重要です。
 そこで、令和四年度に行った給水拠点の円滑な開設に向けた取組について伺います。

○西山水道局長 災害等の断水時に確実に応急給水を開始するため、平常時から備えを行うことは重要でございます。
 水道局では、東日本大震災以降、浄水場等において、敷地内に応急給水エリアを区画し、非常時には地域住民が速やかに立ち入り、簡単に給水できる設備の整備を進めてまいりました。
 百十七の対象施設のうち、令和四年度は二か所の工事が完了し、整備済みの施設は百十二施設となりました。
 また、応急給水を担う区市町と連携し、地域住民も参加する応急給水訓練を給水拠点において実施しており、令和四年度の参加者数は延べ四百四十四名でございました。
 今後も、こうしたハード、ソフト両面から、断水時の応急給水の実効性を高めてまいります。

○伊藤委員 都と区市町と地域住民が協力して円滑に応急給水を行う体制を、ハード、ソフト両面から整備したことは大事な取組だと思います。
 一方で、コロナ禍など、近年は地域住民の訓練参加が難しかったとも聞いていますので、地域の皆様にも積極的に参加していただき、震災への対応を万全にすることを求めます。
 次に、浄水場のテロやサイバーセキュリティ対策について伺います。
 自然災害だけでなく、テロによる攻撃に対しても万全な対策が必要です。特に、重要施設である浄水場へのテロ攻撃は、安定給水を脅かす事態になります。
 それでは、毒物投入への対策など、浄水場におけるテロ攻撃への対応について伺います。

○西山水道局長 水道局では、安全な水を安定的に供給するため、重要な基幹施設である浄水場のテロ対策に万全を期してございます。
 具体的には、不審者の侵入防止のため、外周部に監視カメラを設置するとともに、厳格な入退場管理や二十四時間体制の巡回警備を実施してございます。
 また、毎年、警察等と連携したテロ対処訓練を行っており、令和四年度は、実動訓練を九回実施いたしました。
 さらに、万が一の毒物の混入に備え、魚の反応を利用した毒物検知水槽で水質を常時監視しており、異常時には、送水の停止など、速やかに対応することとしてございます。
 こうした取組により、テロ等、不測の事態に迅速に対処し、安定給水を確保してまいります。

○伊藤委員 テロ攻撃への対応について確認しました。想定外も想定した対策をお願いします。
 さて、近年は、高度化、巧妙化するサイバーテロへの対応にも万全を期する必要があります。
 本年七月に、名古屋港においても、サイバー攻撃によりシステム障害が発生し、コンテナの積卸しが三日間もできなくなり、物流に大きな影響を与えた事件もありました。生活への影響が大きい水道などのライフラインにおいても、対岸の火事ではなく、身近な脅威と認識すべきです。
 そこで、浄水場におけるサイバーセキュリティ対策の取組についても伺います。

○西山水道局長 安定給水を確保するためには、浄水処理や水圧などをコントロールする監視制御システムのサイバーセキュリティ対策は極めて重要でございます。
 そのため、ハード面の対策として、システム自体をインターネットから接続できない構成とし、不正アクセスを防止してございます。
 また、システム利用者を限定し、セキュリティエリアへの入室制限も行ってございます。
 さらに、ソフト面の対策として、国や関係機関との合同訓練や、最新の情報等を習得する職員研修を毎年実施するなど、組織内外から対策を行ってございます。
 今後も、これらのハード、ソフト両面からの取組により、サイバーセキュリティ対策を推進してまいります。

○伊藤委員 これまで、自然災害、テロ、サイバー攻撃と様々な危機に備えていることを確認しました。
 さて、将来にわたる安定給水のためには、長期的視点での施設整備が必要です。
 さきの分科会では、我が会派の鈴木委員が水道管路の耐震継ぎ手化について質疑しました。膨大な延長を有する水道管路は、優先順位を定めた計画的な取替えが必要で、令和四年度には、避難所など重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化がおおむね完成したとのことです。
 その一方で、水道管路をはじめ、水道施設の耐震化は一朝一夕にはいかず、様々な震災対策を講じる必要もあります。そのためには、施設の耐震化だけでなく、地震により水道管路に被害が生じた場合も、その影響を極力少なくする取組が重要です。
 そこで、震災時における被害軽減のため、バックアップ機能の強化が重要と考えますが、令和四年度の実績を伺います。

○西山水道局長 水道施設のバックアップ機能の強化は、災害や事故時における断水被害等を軽減する上で重要でございます。
 このため、水道局ではこれまで、給水所の整備や広域的な送配水管ネットワークの構築に取り組んでまいりました。
 給水所については、幸町給水所が令和五年三月に完成したほか、王子給水所や今年度運用開始予定の上北沢給水所についても、計画どおり工事を進めました。
 送配水管ネットワークについては、令和五年三月に、東村山浄水場と拝島給水所を結ぶ多摩南北幹線が完成をいたしました。
 さらに、朝霞浄水場から上井草給水所への送水管の二重化整備についても、今年度の運用開始に向け、着実に工事を実施してまいりました。

○伊藤委員 強靱な水道システム構築を目指した様々な施設整備の取組を確認しました。
 さて、多摩地域では、かつて、市や町が水道事業を経営してきた経緯から、施設が市や町の域内で完結しており、市と町をつなぐ多摩全体のネットワーク化を進めることが重要です。
 特に、答弁のあった多摩南北幹線の完成により送水管ネットワークが形成されたことは、震災時におけるバックアップ機能が強化されたと心強く感じます。これまで整備してきた多摩丘陵幹線と合わせることで、広域的な送水管網が構築され、その効果は大変大きいと感じます。
 そこで、多摩南北幹線の完成に伴う具体的な効果と、今後の取組についても伺います。

○西山水道局長 多摩南北幹線は、延長約十六キロメートル、直径二千ミリメートルの送水管であり、平成二十四年度から約十年間の整備の結果、本年三月に完成し、運用を開始いたしました。
 これにより、平成二十六年度に運用開始した多摩丘陵幹線と合わせ、約五十キロメートルにわたる広域的な送水管ネットワークが構築され、多摩西南部地域における約百七十万人の給水安定性が向上いたしました。
 また、管路の更新に必要となる代替ルートが確保されたことから、令和四年度は、昭和四十年代に布設した町田線や立川線の更新に向けた調査を実施いたしました。
 今後も、バックアップ機能が確保された送水管について、計画的な更新に取り組んでまいります。

○伊藤委員 水道システムの強靱化については、施設の耐震性強化だけでなく、バックアップ機能の確保も含め、総合的な震災対応力の強化を期すよう求めておきます。
 この二年間は、ウクライナ情勢の影響などによる物価、原油高騰への対策が重要な課題の一つです。とりわけ、水道工事事業者の多くは中小零細であるため、経営や人材不足、資材の確保について厳しい環境が続いています。
 公共工事の契約では、物価高騰への対応手段としてスライド条項があり、インフレスライドなど三種類の制度により、事業者の責めによらない負担を軽減しています。
 昨年度、これらの制度については、事業者にとって利用しやすいよう運用の見直しが行われたと承知していますが、実際に十分に周知されて、必要とする事業者が活用して、初めて意味を持ちます。
 そこで、令和四年度のインフレスライド条項等の活用促進のための取組と申請実績について伺います。

○西山水道局長 都では、契約後の賃金または物価水準の変動により契約金額が不適当となった場合に変更を行う制度として、インフレスライド条項等を工事請負標準契約書に整備しており、水道局でも統一的な対応をしてございます。
 事業者がこれらの制度を活用できるよう、労務単価改定の時期に合わせ、ホームページで幅広く周知してございます。
 また、工事の受注者には説明文書を手渡すなどの個別の対応に加え、未申請の受注者への意向確認にも努めております。
 令和四年度の請求件数は二百二十九件であり、今後、申請書類の作成方法の丁寧な説明など、制度の一層の活用を促進してまいります。

○伊藤委員 水道局が周知やその後のフォローに努めていることを確認しましたが、受注者が制度をしっかり利用できるよう、これまで以上に丁寧な対応を求めておきます。
 次に、下水道局の浸水対策について伺います。
 区部では、令和四年三月に下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、激甚化する風水害への対策を進めています。こうした下水道施設の整備には、事業用地の確保や大深度での施工も多いことから、完成までに長期を要する事業も多いと聞いています。
 気候変動の影響が顕在化する中、未曽有の風水害から都民の生命や生活を守るためには、事業を着実に推進するとともに、一部完成した施設は速やかに暫定供用するなど、整備効果を迅速に活用することも重要です。
 そこで、令和四年度における区部の浸水対策の進捗状況と整備効果について伺います。

○佐々木下水道局長 下水道局では、区部全域で、年超過確率二十分の一規模、時間七十五ミリ降雨に対応するため、浸水の危険性が高い六十七地区を重点化し、新たな幹線や貯留施設などの施設整備に取り組んでおります。
 この重点化した六十七地区のうち二十八地区で事業が完了しており、令和四年度は、二十地区で事業を進めました。
 このうち、江東区木場、東雲地区では、昨年六月より、江東幹線の一部完成した区間を活用して、二万八千六百立方メートルの暫定貯留を開始し、これにより、累計六十万立方メートルに及ぶ貯留施設を供用しております。
 引き続き、改定予定の東京都豪雨対策基本方針を踏まえ、関係各局と連携した対策をさらに進めてまいります。

○伊藤委員 区部の浸水対策を確認しましたので、多摩地域での雨天時浸入水対策についても伺います。
 多摩地域の約八割は、雨水と汚水を別々の管で流す分流式下水道区域ですが、近年、豪雨時などに、市町村の管理する汚水管に大量の雨水が入り込む雨天時浸入水によりマンホールから溢水するなど、浸水被害が発生している地域があります。
 さきの我が会派の分科会質疑では、都と一部の市町村が連携して、雨天時浸入水対策に取り組んだ結果、一定の効果が出ていることを確認しました。
 対策の効果を上げるためには、浸入水の発生源をより多く抱える市町村が対策に取り組むことが重要であり、そのためには、豊富な経験を有する都の技術支援が不可欠です。
 そこで、令和四年度における雨天時浸入水対策促進のための都の支援について伺います。

○佐々木下水道局長 雨天時浸入水対策を促進するためには、都と市町村が連携し、発生源対策に取り組むことが重要でございます。
 このため、令和二年度から、分流処理区全二十四市町村が参加する対策促進会議を立ち上げ、都による浸入水調査の結果や市町村の取組事例などを情報共有してまいりました。
 令和四年度には、発生源を絞り込み特定するための調査の手引を都が作成するなどの技術支援を実施いたしました。
 これらの取組により、令和四年度は、六市町が調査を開始しており、合計で十二市町が浸入水の発生源の特定に向けた調査を進めております。
 今年度から開始した強靱化都費補助により、市町村の雨天時浸入水対策を一層促進していくこととしております。

○伊藤委員 私の地元でも、令和元年に、雨天時浸入水による大規模な浸水被害がありましたので、着実に対策することを求めます。
 次に、震災対策について伺います。
 今後三十年以内に七〇%の確率で起こるとされる首都直下型地震が発生した際には、都内で最大震度七が見込まれており、住民の不安は大きいものがあります。
 今年二月のトルコ南東部での大地震の際は、避難生活において、トイレがないことによる劣悪な衛生環境がニュースとなるなど、下水道が使用できない影響は極めて大きいものです。
 特に、水再生センターやポンプ所は大規模な施設であり、地下深くから下水をくみ上げ、汚水を処理して河川へ放流しますが、地震により損傷が生じた場合の復旧には長期間を要し、都民の生活に大きな影響を与えることが危惧されます。よって、首都直下地震などの発生に備え、水再生センターやポンプ所の震災対策を推進し、下水道機能を確保する必要があります。
 そこで、水再生センター、ポンプ所における令和四年度の震災対策の進捗について伺います。

○佐々木下水道局長 下水道局では、全ての水再生センターやポンプ所において、震度七相当の想定される最大級の地震動に対し、揚水機能等の最低限の下水道機能を一系統で確保する耐震対策を令和元年度末で完了しております。
 現在は、水処理施設の流入渠や放流渠、汚泥処理関連施設などを加えて耐震化を推進しており、令和四年度は、東小松川ポンプ所など二施設で完了させるとともに、神谷ポンプ所で新たに着手するなど、三十二施設で工事を進めました。
 これにより、経営計画二〇二一における中長期目標の約三割に当たる累計三十七施設で耐震化が完了しており、引き続き、震災時の下水道機能確保に向け、対策を推進してまいります。

○伊藤委員 大規模な施設である水再生センター、ポンプ所の耐震化には多くの困難がありますが、着実に進めることを求めます。
 また、水再生センターやポンプ所には、水処理設備やポンプ設備など多くの設備機器がありますが、震災時における設備の運転継続は重要な課題です。
 令和四年に発生した福島沖地震では、東京電力管内で約二百十万戸が停電するなど、復旧までに約三時間を要し、エレベーターや信号が停止するなど多大な影響を及ぼしました。大規模地震時の停電発生を想定して、水再生センターなどの運転に必要な電力の確保も重要です。
 そこで、水再生センター、ポンプ所における、令和四年度の震災時の停電対策について伺います。

○佐々木下水道局長 下水道局では、震災時など停電の際にも下水処理機能や雨天時のポンプ排水機能を維持するため、必要な電力を確保する取組を推進しており、水再生センターなど百六施設全てに非常用発電設備などの設置を完了しております。
 現在、発電容量の増強を進めており、令和四年度には、王子ポンプ所など五施設で整備を進めました。
 さらに、燃料の多様化を図るため、燃料油と都市ガスのどちらでも運転可能なデュアルフューエル型の発電設備の導入を進めており、令和四年度には、森ヶ崎水再生センターで整備に着手いたしました。
 引き続き、震災時にも施設を安定的に運転するため、電力確保の取組を推進してまいります。

○伊藤委員 次に、下水道の処理水質の向上についても伺います。
 東京、千葉、神奈川に囲まれた東京湾には、隅田川など多くの河川が流入しています。
 また、東京湾は閉鎖性水域であり、窒素やリンの流入による濃度上昇や日射量の増大など複合的な作用によりプランクトンが異常増殖する、いわゆる赤潮が発生しています。特に夏場には赤潮が常に発生している状態で、都市の景観を阻害するほか、魚や貝類など生物の生息に悪影響を及ぼしています。
 下水道局ではこれまで、処理水の水質向上に資する高度処理などの導入を進め、赤潮発生の一因である窒素、リンの削減に取り組んできたと認識しています。
 そこで、令和四年度における高度処理等の導入状況について伺います。

○佐々木下水道局長 下水道局では、水再生センターに流入する水質などに合わせて対策を行い、効果的に処理水質を向上しております。
 例えば、窒素の流入量の多いセンターでは、施設の再構築等に合わせて、窒素除去が可能な高度処理の導入を進めております。
 また、既存施設の改造により、一定の水質改善を早期に実施可能な準高度処理の導入も推進しております。
 一日当たりの高度処理等の能力は、令和四年度に、森ヶ崎及び八王子水再生センター等で四十万立方メートルの施設を導入したことで、計画処理能力の約七割に当たる五百三十三万立方メートルに達しました。
 引き続き、高度処理等の導入を進め、良好な水環境の創出に貢献してまいります。

○伊藤委員 これまでの質疑を通じて、下水道事業は、施設整備や維持管理、水処理など、どれも専門的な知識や高度な技術の下に事業を実施していることを確認しました。
 つまり、東京の下水道事業を将来にわたり安定的に運営していくためには、専門的な知識や高度な技術を身につけた技術系職員の果たす役割が重要であり、計画的な育成が必要です。
 そこで、令和四年度の技術系職員の人材育成と技術力向上の取組について伺います。

○佐々木下水道局長 下水道事業の安定的な運営に当たり、技術系職員は、調査、計画から設計、工事、維持管理まで、様々な局面で重要な役割を担っております。
 このため、技術を着実に継承することなどを目的に、下水道局技術力向上委員会を設置し、局一丸となって取り組んでおります。
 具体的には、技術継承を専任とする職員が各事務所を巡回し、経験の浅い職員に対し個別相談や支援を実施するなど、きめ細やかなサポートを行っております。
 また、下水道技術実習センターにおいて、実際の工事現場や水再生センターの施設などを再現した実習施設を活用し、実践的な研修を実施しております。
 今後とも、人材育成と技術力向上を進めてまいります。

○伊藤委員 人材育成はどの局でも重要ですが、特に専門的な知識や技術が必要とされる下水道事業については、より取り組むことを求めておきます。
 次に、交通局について伺います。
 開業年度の古い浅草線、三田線は、開業して半世紀を過ぎ、トンネルなど地下鉄構造物の老朽化対策が必要です。
 また、今後は、新宿線、さらには大江戸線についても劣化に対する補修が生じます。
 経営が厳しい中にあっては、地下鉄構造物の維持、補修を着実に進めていくためには、工事を平準化するなどの工夫も必要です。
 そこで、地下鉄構造物の長寿命化対策にどのように取り組んでいるのか伺います。

○久我交通局長 交通局では、トンネル等の地下鉄構造物について、予防保全型の管理手法に基づく長寿命化対策を実施しております。
 具体的には、路線や区間ごとにトンネルのひび割れ等の健全度を調査した上で、鉄筋コンクリートの劣化を防ぐ漏水対策や、剥落の可能性がある箇所を未然に除去し修復する剥落対策などの工事を実施しております。
 令和四年度は、浅草線及び三田線で三件の工事を完了させるとともに、三田線春日駅から新板橋駅間など二件の工事にも着手しており、引き続き、計画的に対策を進めてまいります。

○伊藤委員 安定的な運行のためには、適切な維持管理が必要です。予防保全の考えにより、施設の長寿命化を図りながら、計画的に更新を行っていくことを望みます。
 気候変動により、頻発化、激甚化する大規模水害への備えは急務であり、我が会派としても、かねてより、荒川氾濫などの大規模水害が発生した際の地下鉄における対策や早期復旧の必要性について主張してきました。
 こうした中で、交通局は、施設整備計画を二月に策定したところです。荒川氾濫などの大規模水害発生時の被害軽減に向け、ハード面ではどのような対策を進めたのか伺います。

○久我交通局長 大規模水害時には、トンネル等、地下鉄ネットワークを通じて浸水被害が広範囲に拡大することが想定されるため、駅出入口等、地上からの水の流入防止に加え、地下部での浸水区域の拡大を防止することが重要となります。
 このため、トンネル内等に防水ゲートを、乗換駅構内に防水扉を整備することとし、他路線との接続の多い大江戸線を先行して整備するなど、効率的、効果的に進めることを計画しております。
 令和四年度は、駅出入口の対策工事を二か所で完了するとともに、駅構内防水扉の概略検討等を実施いたしました。
 今後、大江戸線における既存の防水ゲートの改修工事に着手するなど、対策を計画的に進めてまいります。

○伊藤委員 ハード面の対策を確認しました。
 また、ハード面の整備完了までの間に浸水被害に見舞われた際にも、早期復旧のオペレーションをどうするのか考えておくことが、都民の移動を支える都営交通として重要です。
 それでは、地下鉄施設の浸水被害に備えてソフト面ではどのような対策を行っているのかも伺います。

○久我交通局長 都営地下鉄では、浸水被害が発生した際にも迅速かつ的確に対応できるよう、避難誘導訓練や自然災害対応訓練など、日頃から多様な訓練を積み重ねております。
 また、発災時の車両避難や施設の復旧手順を取りまとめ、本年三月に、局の危機管理対策計画に反映しており、訓練を通じて実効性の向上を図るとともに、施設整備の進捗に合わせて随時見直してまいります。
 さらに、被災後の円滑な復旧に資するよう、他の鉄道事業者との相互協力体制の構築に向け、協議を進めてまいります。
 こうした様々な取組を通じて対応力を高め、浸水対策に万全を期してまいります。

○伊藤委員 ハード、ソフト両面からしっかり対策を進めてほしいと思います。
 さて、高齢者や体の不自由な方、妊婦さん、外見から分かりにくい内部器官に障害のある内部障害の方など、配慮が必要な全ての方が、誰もが安心して利用できるよう、バリアフリーを推進することが重要です。
 そこで、都営地下鉄における車両や駅構内のバリアフリーの取組について質問します。
 まずは優先席の利用についてです。
 都営地下鉄において、優先席は各車両に設置されていますが、今年度、大江戸線において、車両内への機器設置に伴い、優先席が一部、従来とは異なる場所に配置されました。
 こうしたことも踏まえ、都営地下鉄においては、優先席の設置場所の分かりやすい周知とともに、その利用方法も正しく理解していただく取組が必要と考えますが、見解を伺います。

○久我交通局長 都営地下鉄では、全ての車両に優先席を設置しており、必要なお客様が円滑に利用できるよう、様々な形で周知を図っております。
 具体的には、駅のホームドアに優先席の設置位置を表示するとともに、乗車時に視認しやすくするため、多言語で表示したステッカーを車両の窓ガラスに掲示し、座席、つり手等について、周囲と異なる配色としております。
 また、駅構内や車両等にマナー啓発のポスターを掲出するとともに、車内放送や液晶モニターを活用して、お客様にご理解とご協力を呼びかけており、今後とも、案内の工夫に努めてまいります。

○伊藤委員 都営地下鉄における優先席の周知や利用についての取組を確認しました。
 コロナが五類となり、地下鉄の利用者の回復を実感しますが、訪日観光客などを含め、都営地下鉄を利用する全ての方に対し、理解が進むよう取組を進めてほしいと思います。
 また、都営地下鉄では、我が会派の提案により、平成二十四年度に策定されたヘルプマークについて、優先席にステッカーを表示するなど、当初より普及啓発に協力するほか、ヘルプマークも年間で五万枚の配布実績があると聞いています。引き続き、ヘルプマークの普及啓発に積極的に協力していってほしいと思います。
 次に、トイレの整備について伺います。
 バリアフリーの観点では、誰もが使いやすいトイレの整備も必要です。
 都営地下鉄の全駅には既にバリアフリートイレが整備済みですが、車椅子利用者のほかにも、子育て世代など様々なニーズがあり、利用したいときに待たなければならないことも考えられます。
 しかし、地下鉄構内のスペースには限りがありますので、設置のために広い面積が必要なバリアフリートイレを数多くつくることが難しいことは認識しています。
 そこで、バリアフリートイレの機能分散を図り、車椅子利用者の利便性を向上させることも重要ですが、取組を伺います。

○久我交通局長 交通局では、車椅子使用者対応トイレの機能分散を図る観点から、駅の大規模改修等の機会を捉え、スペースを確保できる場合には、一般トイレ内などに、車椅子をご使用の方が利用でき、オストメイト用水洗器具等も備えたトイレを整備しております。
 令和四年度は、三田線新板橋駅と蓮根駅に整備し、これまで三十七駅に整備済みでございます。
 今後とも、活用可能なスペース等を勘案しながら、車椅子をご使用の方をはじめ、誰もが利用しやすいトイレの整備に努めてまいります。

○伊藤委員 次に、地下鉄駅のホームにおけるバリアフリーの取組についても伺います。
 都営地下鉄においては、我が会派もさきの本会議で質問しましたが、今年度中に全駅でホームドアを設置完了する見込みとのことであり、これにより、ホームに転落するおそれが大幅に減少することが期待されます。
 一方で、特に車椅子利用者にとっては、ホームと列車との段差や隙間が広い駅では、乗降時にサポートが必要な場合があります。駅員などのサポートを必要とせず、一人で都営地下鉄に乗り降りができるような環境を整備することは、より利用しやすい交通機関を目指すために重要です。
 車椅子利用者が都営地下鉄を単独で乗り降りするための駅の環境整備について、令和四年度の実績と今後の取組について伺います。

○久我交通局長 都営地下鉄では、車椅子をご利用のお客様が、駅員等の介助なしに車両に乗降しやすくするため、ホームと車両の段差、隙間の縮小に向けた取組を進めております。
 令和四年度は、車椅子乗降口におけるホーム先端部のかさ上げや、くし状ゴムの設置を、三田線では、三田駅から日比谷駅まで実施しており、令和六年度の整備完了を目指しております。
 また、浅草線では、令和六年度からの工事着手に向け現在設計を行っており、引き続き、お客様に安全・安心にご利用いただける環境整備に取り組んでまいります。

○伊藤委員 車椅子利用者が単独でスムーズに地下鉄に乗り降りできることは、積極的に外出する機会の創出につながりますので、着実に取組を進めてほしいと思います。
 続いて、都営バスについて伺います。
 都営バスの運転手は、常に周囲への注意を払いながら安全運行に努めています。しかし、都心部においては、幅員の狭い道路があることに加え、車、バイク、自転車、そして、昨今では、電動キックボードの急速な普及など、様々な乗り物が入り交じることにより、事故へのリスクが高まっています。
 そこで、都営バスを運転する際には、安全性向上教育のほか、技術進歩を踏まえた車両設備の充実により、運転手を支援するソフト、ハード両面からの安全性の向上対策も重要ですが、取組について伺います。

○久我交通局長 都営バスの事故防止を図るためには、乗務員の安全意識や技能を高めるとともに、車両の安全装備を充実するなど、多面的な取組を進めていくことが重要でございます。
 このため、全乗務員に対し、ドライブレコーダーの画像等を活用した安全研修を年四回実施し、危険予測能力の向上を図るとともに、運転訓練車を用いて、乗務員の運転特性を踏まえた訓練を定期的に実施しております。
 車両の設備につきましては、雨でも曇りづらい熱線式サイドミラーや左折時警報装置、障害物を検知するソナーセンサーなど、車両の更新に合わせて導入しております。
 今後とも、お客様に安心してご利用いただけるよう、安全の確保に努めてまいります。

○伊藤委員 日々の研修のほか、車両に新たな設備を加えることで、安全運行を徹底的に進める取組を継続してほしいと思います。
 また、都営バスでは、燃料電池バスを先導的に導入し、臨海部の路線を中心に運行しており、環境負荷低減に貢献しています。
 水素社会の実現に向け、都営バスにおいては、環境に優しい燃料電池バスの導入を一層拡大すべきと考えますが、導入状況と今後の取組を伺います。

○久我交通局長 交通局では、燃料電池バスを、令和四年度末時点で国内最大の七十三両導入しており、令和六年度までに八十両まで拡大する計画でございます。
 また、有明営業所内に水素ステーションを整備することとし、本年九月に、整備、運営を行う事業者を公募により選定いたしました。
 現在、バスの動線を踏まえた設備の配置など、整備、運営計画等について事業者と協議を進めており、今後、協定や土地賃貸借契約を締結する予定でございます。
 令和七年四月の開所に向けて着実に取り組み、燃料電池バスのさらなる導入拡大を図るなど、ゼロエミッション東京の実現に貢献してまいります。

○伊藤委員 これまで、様々な観点から質問し、コロナ禍の昨年度においても、各局では、それぞれ創意工夫を重ね、事業に取り組んできたことを確認しました。
 とりわけ交通、水道、下水道の各局は、二十四時間三百六十五日、都民生活を支えていくライフラインとしての役割を担っており、地震や水害などの大規模災害が起きたとしても、その機能が大きく失われることのないよう、常日頃から対策をしておくことが求められます。
 そこで、公営三局においてインフラの強靱化を推し進めていくこと、その重要性について、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京の交通、水道、下水道、これらは都民生活や都市活動を支える重要な社会インフラでございます。激甚化、頻発化する風水害や、いつ起きてもおかしくない大規模地震などの脅威に備えまして、施設の強靱化を進めることが重要です。
 風水害への対策といたしまして、河川を横断する水道管を氾濫による損傷などから守るための地中化や、時間七十五ミリ降雨に対応する下水道幹線等の整備、荒川氾濫等の大規模水害を想定いたしました地下鉄トンネル内への防水ゲートの整備などを進めております。
 また、首都直下地震などに備えまして、下水道管とマンホールの接続部の耐震化や、大きな断水被害が想定される地域の水道管の重点的な耐震継ぎ手化などに取り組んでおります。
 備えよ常にの精神で、今後も強靱化に向けた取組を強力に推し進めまして、都民が安心できる持続可能な東京を実現してまいります。

○平委員長 伊藤理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十五分休憩

   午後二時五十五分開議

○平委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 古城副委員長の発言を許します。

○古城委員 都議会公明党を代表して、令和四年度東京都公営企業各会計決算について質疑を行います。
 これまで都議会公明党が折あるごとに求めてまいりましたことを受けて、本日も、決算特別委員会に知事がご出席されたことは極めて重要であります。令和四年度の決算と都政運営をしっかりと総括して、改めるべきところは改め、足らざるところは新たな事業へと発展させるべく、また、来年度予算に反映させていくことに、知事出席の決算特別委員会の意義があると考えます。
 この質疑では、上下水道、また、交通など公営企業は、都民生活や社会経済活動に欠かせない重要なインフラを担っており、それらを守り抜くという観点から、公営企業の重要性を確認してまいります。
 令和四年度は、長引くコロナ禍と物価上昇と燃油高、ウクライナ危機に直面する中での予算執行となりました。
 そこで、質疑の冒頭に、公営企業会計全体として、令和四年度決算の総括について、知事の見解を求めます。

○小池知事 古城まさお副委員長のご質問にお答えいたします。
 令和四年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響、それに加えて、電気料金をはじめとした物価高騰などによりまして、厳しい事業環境にございました。
 そうした中にありましても、各公営企業では、資産の利活用など創意工夫を凝らしまして収入の確保に努めるとともに、支出についても徹底的な見直しに取り組みながら、都民生活と首都東京の都市活動を支える役割を着実に果たしてまいりました。
 昨年度の公営企業会計決算でございますが、経済性の発揮と公共の福祉増進の実現に向けまして、年間を通じ、各局が全力を挙げて、経営努力、そして、事業運営に取り組んだ結果、このように考えております。

○古城委員 未曽有の厳しい社会経済状況であり、引き続き、公営企業に課せられた使命を果たしていくことと健全な財政運営を追求していくことを求めさせていただきます。
 続いて、具体的なテーマに入ってまいります。
 第一のテーマは、水であります。
 初めに、有機フッ素化合物であるPFOS、PFOAに対する取組についてです。
 PFOS等が多摩地域の地下水から検出されたことが、本年一月に報道され、地下水を水源の一部として用いている地域の方から、水道水は大丈夫なのかとの声が寄せられました。
 水道局では、国が水道水の暫定目標値を設定する以前から都独自で水質検査を実施し、一部の水源井戸からの取水を停止するなど先んじた対策を行ってきたと聞いております。しかし、ホームページには、PFOS等についての検査結果も細かく掲載されているものの、水道水の安全性について、地域の方が心配に思う声も今なお聞こえてまいります。
 そこで、PFOS等に対する水道水の安全性の確保への取組について答弁を求めます。

○西山水道局長 水道局では、PFOS等について、国に先んじて都独自の対策を講じてきており、現在は、国が定めた暫定目標値を給水栓で下回るよう水質管理を徹底してございます。
 具体的には、都内百三十一か所の給水栓をはじめ、浄水施設の原水及び浄水において、水質基準項目の検査頻度と同レベルの年四回、検査を実施してございます。
 また、給水栓において暫定目標値を超過するおそれのある場合は、一部の水源井戸を直ちに停止しているため、給水栓全ての地点において、国の暫定目標値を大幅に下回っており、水道水の安全性を確保してございます。
 引き続き、水道水の安全性を確保するとともに、都民の安心に資するよう、分かりやすい情報発信を行ってまいります。

○古城委員 水道局が水質管理を徹底して行っていることを確認いたしましたが、引き続き、安全な水道水の供給に努めるとともに、水道水の水質の安全性を都民の皆様に理解していただけるよう、積極的に情報発信していくことを要望いたします。
 さて、水は命の源であり、健全な循環の維持は、持続可能な社会を築く上で不可欠であります。
 水道局のホームページにも掲載されておりますが、今から三百七十年前の今日、一六五三年、承応二年十一月十五日、人口が急増した江戸の水不足を解消するため、多摩川からの導水を計画した玉川上水は、羽村から四谷大木戸に至る開削工事が完了いたしました。素掘りによる水路でありまして、掘っても、掘っても、掘っても厚い砂利の層が水を吸い込んでしまう水喰土ですとか、硬い岩盤などの困難を乗り越えて、僅か八か月での開通であったそうでございます。先人の技術と労苦に思いを致しながら、質疑を進めさせていただきます。
 東京水道経営プラン二〇二一では、令和四年度の収支について、約十一億円の剰余を見込んでいましたが、令和四年度の決算では、結果的に約四十五億円の赤字となっております。令和三年度決算では、約四十七億円の赤字であり、引き続き厳しい決算であります。
 そこで、令和四年度決算が赤字になったことについて、どのように分析しているか、答弁を求めます。

○西山水道局長 水道局では、東京水道経営プラン二〇二一において、令和三年度から令和七年度までの財政計画を定め、東京水道を支える基盤の強化のため、健全な財政運営に努めることとしてございます。
 しかし、令和四年度は、新型コロナウイルス感染症による料金収入の減収が回復途上であることに加え、ウクライナ情勢や円安の影響を受けた電気料金の高騰により、四十五億円の赤字となったものでございます。

○古城委員 現在の物価高騰や人件費の増加など、不透明な社会経済状況の中、経営プランに掲げた施策を推進していくためには、これまで以上に堅実な財政運営が重要であります。
 そこで、今後、経営プランに掲げた事業を着実に推進していくための財政運営について見解を求めます。

○西山水道局長 東京水道経営プラン二〇二一では、策定時における水道水の利用状況や物価水準等を基に、五年間で収支均衡となる財政計画を策定いたしましたが、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化やウクライナ情勢等、当時は想定していなかった事象の影響もあり、財政計画との乖離が生じてございます。
 こうした厳しい状況に対応するため、不断の経営努力による経費縮減を図るとともに、発行余力を活用した企業債の適切な発行等により、健全な財政運営に努め、安定給水に必要な施設整備等の事業を着実に進めてまいります。

○古城委員 今後、人口減少に伴い、料金収入や労働人口の減少が見込まれ、さらには、今確認をさせていただきましたが、物価も高騰する中、さらには、財政計画との乖離も生じている、こういう中にありまして、水道事業は、大変に厳しい事業運営が求められると考えます。
 このような中においても、効率的に事業を運営し、高度経済成長期に集中的に整備された浄水場の更新や施設の耐震化などの課題に取り組んでいかなければなりません。
 そこで、将来の人口減少を見据えた水道施設のあるべき姿について見解を求めます。

○西山水道局長 将来にわたり水道水を安定的に供給していくためには、施設の老朽化や激甚化する災害等のリスク、人口減少などの課題に備える必要がございます。
 このため、水道施設について、予防保全型管理により延命化を図るとともに、浄水場の更新に当たっては、安定給水の確保を前提に、適正規模へのダウンサイジングを行います。
 また、施設の耐震化などの災害対策や、デジタル技術を活用した効率的な管理を推進してまいります。
 こうした取組により、水道事業に影響を及ぼす様々な課題に柔軟かつ適切に対応し、強靱で持続可能な水道システムを構築してまいります。

○古城委員 将来にわたる安定給水の確保には、長期的な視点に立った施設の整備、管理が重要であり、その規模を定める上で、適時適切に水道需要を見通していくことが欠かせません。これらを速やかに具体化されることを求めるものであります。
 下水道も、都市の水循環を維持し、生活を支える重要なインフラであります。浸水から人やまちを守り、公衆衛生の向上や公共用水域の水質保全の役割を担っています。
 都の下水道事業において、令和四年度決算の財政収支は、区部でマイナス二十三億円、流域でマイナス二十四億円となっています。今般の厳しい社会経済状況において、経営計画に掲げた施策を推進していくためには、同様に、経営計画で想定した累積資金残高を維持していくことなど、これまで以上に堅実な財政運営が必要となります。
 そこで、今後、東京都下水道事業経営計画二〇二一に掲げた下水道事業を着実に推進していくための財政運営について見解を求めます。

○佐々木下水道局長 下水道局では、経営計画二〇二一において、必要な施設整備等を着実に推進し、将来にわたり下水道サービスを安定的に提供していくため、令和三年度から五か年の財政収支計画を定め、財政基盤の強化に努めることとしております。
 令和四年度末の累積資金過不足額は、区部で八十九億円、流域で五十五億円となっており、経営計画策定時の計画額をおおむね確保しております。
 物価上昇等により維持管理費が増加傾向にあるなど、厳しい経営環境にありますが、今後とも、不断の経営努力を行い、安定的な財政運営に努めてまいります。

○古城委員 おおむね予定どおり累積資金残高が確保されていることを確認させていただきましたけれども、現下の社会経済状況に的確に対応し、引き続き、経営計画に掲げた事業を着実に実施していくことを求めるものであります。
 そこで、具体的に、下水道局の事業を確認してまいります。
 合流式下水道は、雨天時にまちを浸水から守るため、雨水と汚水が混合されて、下水の一部が河川や海域に放流される仕組みであることから、放流先の水質悪化の一因となっており、都議会公明党では、公共用水域の水質改善に資する合流式下水道の改善を繰り返し訴えてまいりました。
 平成十五年に下水道法施行令が改正され、令和五年度末までに、雨天時放流水質を一定の水準まで改善することを義務づけられたことから、下水道局ではこれまでに、集中的に対策を進めてきたとのことであります。
 そこで、下水道法施行令の達成に向けた合流式下水道の改善の取組について答弁を求めます。

○佐々木下水道局長 合流式下水道の改善の主な取組には、雨水吐き口やポンプ所などからのごみなどの流出を抑制する施設の整備、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備、そして、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備の三つがございます。
 これまでに、ごみの流出を抑制する施設の整備や下水道管の整備は完了しております。
 下水を貯留する施設の整備は、令和四年度までに累計で百五十万立方メートルが完了し、今年度末までに累計で百七十万立方メートルが完了する予定でございます。
 これにより、下水道法施行令で定められた分流式下水道並みの基準を達成した放流水質が確保されます。

○古城委員 下水道法施行令の達成は、大きな進展であり、下水道局の取組を高く評価させていただきます。
 その中でも、外堀流域につきまして、江戸時代は、多摩川の水が、玉川上水や江戸市中を通って流れ込んでいましたが、現在は、降雨時の汚れた下水が流れ込むことによって、冬場を除く春先から秋にかけて発生するアオコで水面が覆われ、悪臭を放つなどの課題を抱えています。江戸の名残を残す貴重な歴史資源であるとともに、都心における貴重な水辺と緑の空間となっていることから、合流式下水道の改善に向けた取組がとりわけ重要であります。
 そこで、外堀の合流式下水道の改善に向けたこれまでの取組について答弁を求めます。

○佐々木下水道局長 外堀では、十二か所ある全ての吐き口に、ごみなどの流出を抑制する施設を設置しております。
 加えて、外堀の流域では、一万六千六百立方メートルに及ぶ降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を整備することとしており、そのうち、千八百立方メートルの貯留管を平成二十六年度より稼働させております。
 残りの一万四千八百立方メートルにつきましては、貯留管本体の工事が令和二年度に完了しております。
 令和四年度には、この貯留管へ取り込む取水管の準備工事を進めるとともに、取水や維持管理に必要なマンホール工事などを実施しており、今年度末には貯留を開始する予定でございます。

○古城委員 私は、昨年十一月、外堀通りの地下約五十メートルに同僚議員と潜りまして、今、答弁いただきました既に完成していた外堀流域の貯留管を視察させていただきました。一部で稼働しておりまして、残りも今年度末には貯留を開始するとのことですので、外堀のさらなる水質改善に向けて、早期に効果を発現させることを要望いたします。
 続いて、下水道局が整備を進めている千代田幹線について質問いたします。
 こちらも、私は、先月、千代田区飯田橋にある千代田幹線の発進立て坑の現場から、今度は、地下約六十メートルに降りまして、巨大なシールドマシンで掘り進める大規模事業を視察いたしました。将来的には、外堀の貯留管と接続されることで、外堀の水質改善や都心部に古くからある下水道幹線の再構築にも貢献する千代田幹線整備事業の重要性を確認したところであります。
 そこで、千代田幹線の整備目的と工事の進捗状況について答弁を求めます。

○佐々木下水道局長 千代田幹線は、飯田橋幹線など五つの幹線の再構築を行うために、既設幹線の水位を低下させることを主な目的とした代替幹線でございます。また、将来、外堀の貯留施設の下水を水再生センターに導水する役割も担っております。
 千代田幹線の工事は、内径約五メートル、延長約八・七キロメートルの下水道管をシールド工法で整備するものでございますが、狭い敷地での施工となるため、作業基地の階層を増やすなどの工夫を行っております。
 平成二十五年度から立て坑工事に着手しており、令和四年度末時点で約八・五キロメートルの掘進が完了いたしました。
 今後とも、老朽化した下水道幹線の再構築を着実に進め、将来にわたり安定的に下水道機能を確保してまいります。

○古城委員 下水道事業の機能更新に必要不可欠な工事が、東京都心の大深度地下で継続されているわけであります。
 下水道局は、千代田幹線以外にも大規模な立て坑やシールド工法によるトンネル掘進を多数行ってきたと聞いております。私は、幾度も立て坑から地下に降りまして、難工事に挑む東京土木の技術を目の当たりにした一人であります。今後も、都心部における下水道工事が円滑に進むよう、下水道局での技術継承を着実に進めていくことを要望いたします。
 ここまでの下水道局事業にも関連して、局が有するシールド工事の技術や実績を生かす必要のある外濠浄化プロジェクトの導水管の工事についても確認いたします。
 都議会公明党は、令和五年予算特別委員会で、導水管のない四谷大木戸から外堀までの区間の整備について、下水道局が基本設計を進めているとの答弁を得たところですが、私は、地元の新宿区四谷地域を通るこの区間の整備は、技術的な難易度が非常に高いと認識しております。
 千代田幹線の整備に代表されるふくそうする地下構造物を避けるための大深度での施工技術や、市街地、密集地域での立て坑用地確保など、下水道局が有する課題を解決する技術力こそ、外濠浄化プロジェクトの難関部での工事に資すると考えます。
 そこで、外濠浄化プロジェクトにおいて、下水道局が担当する本区間の導水管整備の検討状況について説明を求めます。

○佐々木下水道局長 四谷大木戸から外堀までの区間は、事業用地の確保が困難な上、地下には地下鉄や電気、ガスなどの埋設物がふくそうするなど、難易度の高い工事となります。
 そのため、下水道管の設計や施工の実績が豊富な下水道局が、本区間の施設整備を担うこととしております。
 令和四年度から導水管の基本設計に着手しており、導水路の整備ルートの選定や施工方法の検討などを実施するとともに、トンネルの整備に必要な立て坑用地の確保に当たり、関係機関と調整を進めました。
 引き続き、早期工事着手に向けて、基本設計や対外調整を進めてまいります。

○古城委員 早期の外堀への導水実現に向けて、下水道局の持つ技術力を発揮し、着実に取組を進めていくことを求めます。
 都議会公明党は、外堀浄化に必要な水量を確保するに当たり、河川水を導水し、工業用水道事業廃止後の施設も活用することも繰り返し提言してまいりました。令和四年予算特別委員会では、水道局長から、荒川からの導水に必要な施設整備の一部区間で、さらに検討を進めるとの答弁を得たところであります。
 そこで、水道局における令和四年度の進捗状況について説明を求めます。

○西山水道局長 水道局では、外濠浄化プロジェクトにおきまして、外堀への導水に必要な施設整備の一部を担当してございます。
 令和四年度は、荒川河川水を玉川上水まで導水する区間のうち、新設が必要となる管路の基本設計に着手をいたしました。
 この管路の一部は、浄水場の敷地に埋設することから、布設ルートや浄水場の運用に支障とならない施工方法などについて検討をいたしました。
 また、導水に活用する既存管路の現況調査等を実施するとともに、玉川上水路との接続位置や、新たに整備が必要となる施設について調査検討を開始いたしました。
 今後も、関係局と連携しながら、施設整備を進めてまいります。

○古城委員 水と緑の回廊の実現を求める都議会公明党の提言を受けて、「未来の東京」戦略に位置づけられた都の外濠浄化プロジェクトは、東京における水循環の象徴であり、令和の玉川上水開削ともいうべき大事業であります。都市整備局を中心として、水道局、下水道局なども参画した関係局の連携により、着実に進展していることを評価するとともに、施策効果の早期発現に向けた事業執行の迅速化を図られたいと要望し、また、今後も、事業の進捗について関係各局に対して確認していくことを申し添えさせていただきます。
 第二のテーマは、都営交通の快適性、利便性の向上です。
 人口減少社会にあって、公共交通も、乗客の減少が顕在化するといわれております。他方、人手不足によって、運転手の確保が困難になっていることや、ウクライナ情勢、円安の影響による燃料費の高騰など、交通事業者は厳しい経営環境に直面しています。
 しかし、高校生、大学生などの通学や運転免許を持たない人、高齢者などの移動手段を確保することは、重要な政策課題であります。都営交通においても、そうした方々の利用ニーズを掘り起こすためにも、誰もが安心して心軽やかに移動できる環境づくりに挑み続けることが重要です。
 そこで、特に高齢者や障害者、女性、子供連れ、外国人旅行者などの快適性、利便性向上に焦点を当てて、順次質問してまいります。
 初めに、都営バスへの双子ベビーカーの乗車について質問します。
 双子ベビーカーで乗車する際には、折り畳まなければならず、双子を抱えたお母さんが大変に苦労されていることを、多胎育児のサポートを考える会の皆様から要望を受けた都議会公明党は、令和元年十二月の代表質問で取り上げました。さらに、直接、双子ママより、小池知事並びに交通局に、翌年一月に要望いたしました。
 交通局が、国土交通省とも連携しながら、この問題の解決に取り組み、民間バス会社に先駆けて、令和三年六月に、都営バス全路線で双子ベビーカーに子供を乗せたまま乗車できるようにしたことを高く評価いたします。
 令和四年十二月には、交通局と多胎育児のサポートを考える会で意見交換を行うなど、乗車に関する理解を深めてきております。
 そこで、双子ベビーカーに対する周囲の方の理解促進と利用者への配慮についての取組につきまして答弁を求めます。

○久我交通局長 双子ベビーカーをご利用の方をはじめ、全てのお客様に、安全、快適にご利用いただくためには、双子ベビーカーによる乗車方法の周知に加え、車内での譲り合いなど周囲の方々のご協力も必要でございます。
 昨年十二月には、双子用ベビーカーをご利用になる方との意見交換や乗車体験を行うとともに、ご要望など伺いました。
 これらを踏まえて、利用方法の周知や周囲のお客様へのご協力を呼びかけるポスターやリーフレット、車内サイネージの動画などについて、より分かりやすく見直すとともに、乗務員の研修を強化いたしました。
 こうした取組を進めることで、ご利用しやすい環境整備に努めてまいります。

○古城委員 都営バスへの双子ベビーカーの乗車について、今後も、乗務員への研修や利用者への周知、利用しやすい車両の導入、また、都民の理解促進など、継続的な取組を要望いたします。
 次に、都営バスの停留所の上屋、ベンチについてであります。
 病院への通院や買物などでの外出に都営バスを利用する高齢者などから、日差しが強い日や雨の日にバスを待つのは大変だ、バスの待ち時間に腰かけられるようにしてほしい、重い買物袋を持ってバスを待つのはつらいなどの理由で、バス停の上屋やベンチの整備を求める声が寄せられております。
 まず、都営バスの停留所における令和四年度の上屋とベンチの整備数と、令和四年度末時点で、停留所総数に対して、どの程度上屋とベンチが設置されているのか、答弁を求めます。

○久我交通局長 交通局では、お客様の快適性の向上に向け、停留所への上屋、ベンチの整備を進めており、令和四年度は、上屋を三十一棟、ベンチを三十六基整備いたしました。
 これにより、昨年度末時点で、都営バスの停留所三千八百三十一か所のうち、上屋を設置しているのは約四一%となる千五百八十九か所、ベンチを設置しているのは約三〇%となる千百五十九か所となっております。

○古城委員 東京都交通局経営計画二〇二二では、三か年の合計で、上屋六十棟整備、ベンチ六十基整備となっております。これに基づく計算では、設置に一切の制約がないと仮定すると、残りの全ての停留所で整備を完了するまでに、上屋が百十二年、ベンチが百三十三年、官民連携を含む令和四年度の実績に基づいたとしても、上屋が七十二年、ベンチが七十四年かかってしまいます。もちろん、道路幅員や地下埋設物などによる制約があるとしても、今のペースのままでは、ベンチ設置を求める利用者ニーズに追いつきません。
 そこで、都営バスの停留所に上屋とベンチを設置するに当たっての課題について説明を求めます。

○久我交通局長 バス停留所への上屋、ベンチの設置に当たりましては、歩行者等の通行に支障のないよう、歩道の幅員等が道路占用許可基準を満たす必要がございます。
 また、設置スペースに植栽や街路灯などの支障物がないこと、上屋、ベンチの基礎を構築する際に地下埋設物がないこと等の条件がございます。
 そのほか、交通管理者の許可に加え、地元の方々のご理解も得る必要がございます。

○古城委員 制約があるとしても、その制約を的確に把握することなしに、上屋やベンチの設置をスピードアップすることはできないと考えます。
 私の地元新宿区内を走る都営バスの停留所の一つについて、先日、逆方向行きのバス停には上屋とベンチが設置されているものの、実際に乗りたい、希望される反対車線の停留所には上屋しか設置されていない、こうした箇所にベンチの整備を求める相談をお受けいたしました。この実現に向けては、ベンチを設置できるであろう位置に、区が既に設置をしていた地域配備消火器の移動の可否が課題となったことから、私は地元の公明党区議会議員と連携をいたしまして、区に移設の内諾を得て、都に正式に要望させていただきました。
 また、都議会公明党では、広告収入を活用し、いわゆるゼロ予算で設置する広告つき上屋を推進してきたところでございます。
 このように、都営バス停留所設置地先の実情や利用者ニーズに応じて上屋とベンチの設置を進めていくべきと考えますが、見解を求めます。

○久我交通局長 上屋、ベンチの設置には様々な制約がございますが、お客様の利用状況、運行間隔、病院等の立地などを踏まえ、官民連携方式も活用しながら、可能な限り整備を推進してまいります。
 今後とも、都営バスをより快適にご利用いただける環境づくりに取り組んでまいります。

○古城委員 ぜひ、久我交通局長、よろしくお願いいたします。
 次に、都営地下鉄のホームドアの整備についてであります。
 都議会公明党は、実現すべき八つの重点政策、いわゆるチャレンジエイトに、駅ホームドアの整備拡大を掲げております。列車との接触や転落事故を防ぐ駅のホームドアは、誰もが安心して心軽やかに移動できる人に優しいまちづくりに不可欠です。
 私も、都営地下鉄におきましては、新宿線の新宿区内を含む全駅の早期整備を求めるとともに、浅草線における設置では、大門駅の試行の開始時に、現地で新技術の活用を確認するなど、全駅への早期整備を訴えてまいりました。
 そこで、都営地下鉄のホームドアの設置状況について答弁を求めます。

○久我交通局長 都営地下鉄では、三田線、新宿線、大江戸線の全駅でホームドアの整備が完了しており、令和元年度から、残る浅草線において整備を推進しております。
 令和四年度は、宝町、日本橋、人形町、東日本橋の四駅に整備いたしました。
 また、その後も整備を着実に進めまして、今月十八日の西馬込駅での運用開始をもって、当局が管理する全ての駅で整備を完了いたします。
 京成電鉄が設置する押上につきましても、来年二月に全てのホームで運用開始する予定であり、これにより、都営地下鉄全駅でホームドアの整備が完了いたします。

○古城委員 都営地下鉄全駅でホームドアの整備が完了するということは、視覚障害者の約四割から半数の方が駅ホームから線路への転落を経験したことがあるとの調査も鑑みますと、全ての都営地下鉄利用者に安心感が広がると、このように確信いたします。
 そして、これで満足することなく、駅の安全対策をより一層講じていかなければなりません。
 そこで、都営地下鉄駅における視覚障害者の移動支援についてであります。
 都議会公明党は、一昨年の一般質問で、駅構内における視覚障害者の移動支援について取り上げ、昨年の予算特別委員会でも、先進技術を活用した案内誘導の取組について質問しました。一昨日の各会計決算特別委員会におきまして、都市整備局が実施したスマホアプリやAIカメラを活用した乗換え時の案内誘導を行う社会実験について確認したところでもあります。
 交通局も、鉄道事業者として、都営地下鉄の青山一丁目駅及び上野御徒町駅を提供して、この社会実験に協力していますが、視覚障害者の方が、安心して駅構内を移動できる環境の整備に向けた今後の取組について答弁を求めます。

○久我交通局長 昨年度、都営地下鉄で実施した実証実験では、視覚障害者の方から、移動時の不安解消や複雑な構造の駅での移動に役立つなどの好意的なご意見が寄せられた一方、お客様の安全確保への懸念や、技術面でのさらなる改善の必要性など、導入には課題があることも明らかになりました。
 デジタル技術は、従来解決が困難であった様々な課題を解決する可能性を秘めております。
 今後も、実証実験の結果や技術開発動向等を踏まえながら、新たな技術やサービスの活用、検証を進めるなど、視覚に障害のある方が、より安心して移動できる環境づくりに取り組んでまいります。

○古城委員 都営地下鉄には、東京都が経営する交通機関として、民間事業者の模範となる先駆的な取組が期待されます。今回得られた知見を活用し、今後も、新たな技術の開発動向も注視しながら、積極的に取り組むことを求めさせていただきます。
 関連しまして、都営地下鉄駅のバリアフリールートの複数化についてであります。
 都営地下鉄を利用する高齢者やベビーカーの利用者から、自らが最寄り駅とする駅出入口のエスカレーターは、途中までで最後は階段になっていたり、エスカレーターがつながってはいるものの、片方向、上りのみであったり、不便であるとの声が寄せられております。
 私の地元でも、新宿西口駅のD5出口でご指摘をいただいておりますし、先日は、組合まつり in TOKYOにお邪魔した帰りに、都営三田線に乗りまして、春日駅で大江戸線に乗り換えて都庁までまいりましたけれども、その際、乗換えのところで、ベビーカーのお母さんとお子さん、しかも、お兄ちゃんでしょうか、お姉ちゃんでしょうか、二人のお子さん、しかも、二人組のママ友さんたちが、階段を、ベビーカーを担いでご利用されているというのを目の当たりにしたところであります。
 今申し上げたのは連絡口でありますけれども、こうした駅のバリアフリー化は、駅の構造的に剥体を改築できなかったり、地上、歩道上の幅員が狭かったり、非常に困難であるとの説明を受けてきました。
 他の事業者では、これらの課題を解決するため、民間ビルに地上出入口を内包できるよう、民有地権利者などと折衝し、積極的にエレベーター設置に動いていると仄聞します。
 そこで、都営地下鉄においても、他事業者の取組を参考にして、駅のバリアフリールートの複数化を推進すべきであります。見解を求めます。

○久我交通局長 新たなバリアフリールートの整備に当たりましては、用地の確保が困難な場合が多く、再開発事業者との連携が有効でございます。
 このため、バリアフリー整備ガイドラインに沿った施設整備を働きかけるなど、関係者との調整を重ね、今年三月には浅草線日本橋駅で、八月には大江戸線勝どき駅で、再開発ビル内のエレベーターを活用し、バリアフリールートの複数化を実施いたしました。
 今後とも、再開発等の機会も積極的に捉えながら、バリアフリールートの充実に取り組んでまいります。

○古城委員 ただいま、交通局長から、都営地下鉄駅のバリアフリールートの複数化について、再開発等の機会も積極的に捉えながらとの答弁を得ました。まさにその機会を捉えるべき駅が都庁前駅であると考えます。
 本年第二回定例会の一般質問で確認したとおり、本年三月には、西新宿地区再整備方針が策定され、知事からは、都庁舎は西新宿を象徴する建物であり、都が西新宿の再整備を先導して、安心して楽しく歩ける、人が主役のまちづくりに取り組む方針が示されたところであります。
 この西新宿地区再整備方針には、実は都庁前駅という文字がどこにも見当たらないわけでありますけれども、再整備も含めまして、西新宿地区の中心駅として、私は、今後も重要な位置を占めると考えております。
 そこで、都営地下鉄大江戸線都庁前駅の果たす役割について、交通局の認識をお尋ねいたします。

○久我交通局長 大江戸線都庁前駅は、光が丘方面に延びる放射部と都心の環状部が交差し、西新宿地区の中心的な駅として、都庁や周辺のオフィス等を訪れる多くのお客様にご利用いただいております。
 また、昨年度、地下鉄駅では初となる5G環境を整備するなど、交通事業者として、先進的な取組を展開するフィールドとしても活用しております。

○古城委員 西新宿地区の中心な駅として、都庁や周辺のオフィス等を訪れる多くのお客様にご利用いただいている都庁前駅だからこそ、ぜひとも、西新宿地区再整備方針の中で、具体化、見えるようにしていただきたいと要望させていただきます。
 それとともに、この都庁前駅が最寄り駅となる施設の一つに、都庁からすぐお隣であります新宿中央公園があります。芝生広場や、昨年十月に完成したちびっこ広場がある公園で、子供連れをはじめ多くの利用者に親しまれております。しかしながら、都庁前駅からベビーカーを押して向かうには、バリアが多過ぎるといわざるを得ません。
 ぜひ、皆様も、都庁の職員の皆様、ぜひ思い描いていただきたいのですが、言葉で申し上げるので少し分かりにくいかもしれませんけれども、都庁前駅の改札階から地上に出るには、一基しかないエレベーターのA4出入口、一庁の入り口のすぐそこですけれども、それを出まして、四号街路を北側に横断をする、そうしますと、そこには中央公園側に渡る歩道橋があります。しかし、階段中央のスロープが、一人乗りベビーカーでもぎりぎりの幅しかなく、双子ベビーカーでは、当然ですが、困難でありまして、より遠回り、北側に遠回りするしかありません。
 一方で、第一本庁舎内のエレベーターを使い、二階に上がって館外へ出て、虹の橋か、緑の橋を渡ることも考えられます。けれども、このエレベーターを利用するには、現在、入館手続が必要で、都庁開庁日の開庁時間帯しか通過することができません。
 これらにとどまらず、都庁前駅と各街区の超高層ビルとを直接結ぶバリアフリー動線も確保されていないと考えます。
 さらに、雨天時に、A4出入口からのバリアフリーとなる経路では、雨に当たらずに第一本庁舎をはじめ、各街区へ行くことは不可能であります。
 これまで、こうした課題の解決や駅のバリアフリールートの複数化の実現を都に対して繰り返し要望してまいりましたが、常に、技術的に非常に困難であるとの答えでありました。
 都庁前駅のバリアフリールートの複数化について、現在の交通局用地の中で解決が困難だというのであれば、再開発等の対象となる、まさに西新宿地区再整備方針の対象となる隣地も検討していくべきであります。当然、議会棟を含む都庁舎全体も検討の対象となるでありましょう。交通局長、いかがでしょうか。

○久我交通局長 都庁前駅におけるバリアフリールートの複数化につきましては、道路下に大規模な埋設物がふくそうし、また、十一号街路の橋脚の基礎杭なども近接していることから、エレベーターや通路等の設置に必要な空間の確保は、現状、極めて困難でございます。
 今後、西新宿地区の再整備につきまして、具体的な開発計画が明らかになった際には、関係局や開発事業者等と情報共有を図りながら、整備の可能性を検討してまいります。

○古城委員 関係局などと情報共有を図りながら、整備の可能性を検討していくと答弁をいただきました。
 まさに、昨日でありますけれども、都庁周辺の空間再編に関する在り方検討委員会が、第三回、開かれております。交通局も、オブザーバーというか、委員で入ってらっしゃいますよね、もし入っていなければ、ぜひ入っていただきたいわけですが、こうした場を通じて、都庁前駅のバリアフリールートの複数化、これに取り組んでいくということをぜひこの在り方検討委員会の中でも、交通局として、提案、訴えていただきたいのですが、久我局長、いかがでしょうか。

○久我交通局長 西新宿の再整備につきまして、今後、具体的な開発計画が明らかになった際には、もちろん、関係局、庁内含めて、情報共有を図りながら、検討してまいりたいと思います。

○古城委員 ぜひとも、今申し上げました件、ご答弁もいただきましたので、都庁前駅のバリアフリールートの複数化、これは全ての都営地下鉄駅の困難性を解決していく上で、大きな道しるべ、また、希望となる、そうした象徴的な駅であるというふうに考えております。
 ぜひ、局長のリーダーシップの下で、これを実現していく、その方向性を、ぜひ具体化、早期にお示しをいただきたいと、このように要望させていただきます。
 次に、都営地下鉄における女性専用車両の導入についてであります。
 都議会公明党は、二〇〇三年、痴漢被害から女性を守るために、都営地下鉄への女性専用車両の導入を提案し、二〇〇五年に都営新宿線に導入されました。
 また、令和四年第一回定例会の代表質問及び予算特別委員会における我が党の質問に対し、交通局長から、都営大江戸線への導入を検討していくとの前向きな答弁を得たところです。そして、本年一月、新宿線に導入されて以来十八年ぶりで、二路線目となる大江戸線に女性専用車両が導入され、運行を開始いたしました。
 そこで、大江戸線における女性専用車両の具体的な運行及び周知の状況並びに痴漢撲滅への取組について答弁を求めます。

○久我交通局長 大江戸線の女性専用車は、平日の朝ラッシュ時間帯に四十本運行しておりまして、車両ごとの混雑状況や各駅の階段等の設置状況などを考慮して、四号車に設定しております。
 導入に当たりましては、駅構内や車両での放送に加え、ポスターやホームドアのステッカー等により、運行時間帯や設定号車等をご案内し、お客様のご理解、ご協力を呼びかけました。
 また、運行開始時には、各駅に警備員を追加配置したほか、ホームページに導入の目的等に関するQ&Aを追加するなど、内容を充実し、理解促進を図っております。
 あわせて、一月中旬から警視庁と連携した新たな痴漢撲滅キャンペーンを展開するなど、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境づくりに取り組んでまいりました。

○古城委員 第三のテーマとして、災害対策、防災を予定してございました。
 都は、昨年五月、首都直下地震の新たな被害想定を十年ぶりに見直し、公表しました。そこには、身の回りで起こり得る災害シナリオと被害の様相として、首都直下地震が発生した後の上下水道や鉄道をはじめ、インフラ、ライフラインの復旧に向けた動きが示されております。
 都の公営企業局におきましても、しかるべき対応が迫られているわけでありまして、しっかりと計画をし、また、様々な具体的な施策を着実に進めていく、このことを各局に要望をさせていただきたいと思います。
 そして、質問の最後に、「未来の東京」戦略に掲げます都の政策の実現に向けて、公営企業局の取組と、これまで以上に連携して施策を進めるべきと考えますが、知事の見解を求めて、質問を終わります。

○小池知事 都におきましては、政策の効果を最大限発揮するように、公営企業を含めまして、都庁一丸となり、課題の解決に取り組んでおります。
 公営企業三局につきましては、エネルギーの大口の需要家でもございます。電力需要が多い時間帯を避けて送水などを行う計画的なピークシフトや、施設への太陽光発電設備の導入拡大など、HTTの取組を推進いたしております。
 また、交通局におきましては、燃料電池バスを国内最大となります七十三両導入するとともに、営業所内の水素ステーションの整備を進めておりまして、水素社会の実現に向け、先導的な役割を果たしております。
 さらに、外濠浄化プロジェクトでございますが、水道局、下水道局と関係局が連携いたしまして、玉川上水などを活用し、下水再生水や荒川からの河川水を導水することで、魅力あるまちづくりに取り組んでおります。
 今後も、都庁全体の知恵を結集しまして、未来への投資をスピード感を持って進め、希望に満ちた東京を次の世代へと引き継いでまいります。

○平委員長 古城副委員長の発言は終わりました。
 ただいまから機材の準備を行いますので、しばらくお待ちください。
 次に、斉藤委員の発言を許します。

○斉藤委員 初めに、交通事業について伺います。
 日暮里・舎人ライナーでは、事故やトラブルが相次いでおり、私の地元の足立区の方々からは不安の声が寄せられています。
 昨年度は、二〇二一年十月七日の地震の影響で起きた脱線事故について、国の運輸安全委員会の調査報告書が発表されました。その事故の後も、河川の凍結による運行停止や、この四月には、パンタグラフの損傷によって、四日間にわたる断続的な運行停止など、相次いでいます。
 知事に伺います。
 日暮里・舎人ライナーで事故やトラブルによる運行停止が相次いでいることは深刻な問題だと思いますが、知事はどう認識していますか。

○久我交通局長 日暮里・舎人ライナーをはじめ、都営交通では、安定した輸送サービスを提供することが重要でございます。
 このため、日頃から施設設備を適切に維持管理いたしますとともに、基本動作の徹底や安全意識の向上等を図っており、この間の輸送障害につきましても、徹底した原因究明と再発防止に取り組んでおります。

○斉藤委員 都営交通の事故やトラブルへの対策は、都民の安全な移動を保障する上でも、一番大事なことではないでしょうか。それに対して知事が認識を示されないのは、都民の安全への軽視ではないかといわざるを得ません。
 日暮里・舎人ライナーは、無人走行、無人駅で運行されており、日暮里と西日暮里の駅以外には駅係員は配置されていません。
 昨年度に報告された地震の影響による脱線事故についての国の調査報告書では、事故当時、車両が脱線していることを確認せずに送電を行い、脱線車両から火花と煙が上がったということが初めて公表されました。これに対して、国は、震度五弱以上の地震のときには、全区間の車両の状態を確認し、完了するまでは再送電を行わないということを勧告しています。重大な指摘です。
 事故発生時の車両の確認など、安全性の確保の上でも駅係員の配置が必要ですが、いかがですか。

○久我交通局長 日暮里・舎人ライナーでは、平時より、係員や警備員が各駅を巡回するとともに、指令所においても、防犯カメラの映像等により駅構内の状況を把握しております。
 事故等が発生した場合には、巡回中の係員が現場に急行し、指令員等と連携してお客様への対応を行っており、現状の体制は妥当と考えております。

○斉藤委員 これだけ事故が相次いで、利用者に大変な負担をかけている、迷惑をかけているのに、現状の体制は妥当という答弁は、到底納得のいくものではありません。
 昨年度の質疑では、車両が脱線しているかどうかは、目視でしか確認できないということも明らかになっています。駅係員が不在だということは、事故発生時にこうした車両の確認がすぐにできないということではありませんか。
 私は、地元の足立区議団と共に、利用者からのアンケート調査を行いましたが、そこには、駅員の不在について改善を求める声が多く寄せられています。各駅に一人は常時いてほしい、駅員がいないため状況が分からない、誰にも聞けない、不安になりますという声です。こうした声を真摯に受け止めて、改善することを強く求めます。
 この地元でのアンケート調査では、運行停止で困ったことは何かという問いに、六割以上の方が振替輸送と答えています。ふだんは使わない駅で降りて、振替手段はバスしかなかった、しかし、一番使いたいバスは日中の運行をしておらず、本当に使えるか分からなかったという声や代替バスを至急手配するべき、タクシーも代替で使えるようにしたらいいのではという声など、多く寄せられています。
 日暮里・舎人ライナーは、ほかの路線とは接続しておらず、最寄り駅といってもかなり距離があるため、事故のときに振替輸送や代替輸送の充実は切実な課題です。
 私はこれまでも、地元の区議団と一緒に申入れも繰り返し行って、対策の充実を求めてきましたが、振替輸送や代替輸送の改善について、交通局がこれまでに行ってきた取組と今後の検討について伺います。

○久我交通局長 日暮里・舎人ライナーが事故等により運行を停止した際には、直ちに鉄道や路線バスによる振替輸送を行うこととしており、各駅から振替輸送の経路を記したポスターを改札口付近に掲出しております。
 また、復旧までに長時間を要することが見込まれる場合には、必要に応じ、都営バスの増便や沿線のバス会社の協力などによる代替輸送を行っております。

○斉藤委員 ライナーの下には、もともと都バスの里48系統が走っていますが、平日も朝夕だけ、しかも、一時間に一本まで減便されてしまっています。また、ライナーの振替輸送の一つとしているコミュニティバスの「はるかぜ」も、西新井・舎人線が、来年度末で廃止ということも発表されています。
 都がすぐにでも打てる対策として、都バスの里48系統の増便を行い、ライナーのいざというときの代替手段、そして、日頃からのライナーの混雑を解消するなど、都バスと併せた運行体制の充実を図ることを求めます。
 また、タクシーの活用も含め、はとバスや沿線のバス会社、タクシー会社などと一緒に、振替輸送対策協議会のようなものを設置して検討することを提案いたします。
 日暮里・舎人ライナーでは、沿線のマンション建設も急速に進み、昨年度のラッシュ時間の混雑率も、一五五%と高止まりをしている一方で、平日のラッシュ以外の需要が少なく、慢性的な赤字が続く中、日中や休日の需要喚起が課題になっています。
 小田急電鉄の取組が参考になるのではないでしょうか。小田急電鉄が、二〇二二年三月から、子供の運賃を一律五十円にするという思い切った取組を始めたことについて、知事はどう受け止めますか。

○久我交通局長 鉄道等の運賃は、経営状況や事業環境等を踏まえ、各事業者が設定するものでございます。
 都営交通では、都営地下鉄の車両に子育て応援スペースを導入し、昨年度から全路線で展開するとともに、今年度は、赤ちゃんや小さなお子様とのお出かけをサポートするこどもスマイルスポットをオープンするなど、小さなお子様連れのお客様に安心してご利用いただける環境づくりも進めております。

○斉藤委員 小田急電鉄では、十二歳未満の子供の運賃を、IC乗車券を利用した場合に全区間で一律五十円とすることで、子供の利用が前年に比べ、約五割増えただけでなく、子供と一緒に、親やおじいちゃん、おばあちゃんの利用が増える大きな効果があったとしています。また、沿線全体に、これを機に、子育てしやすいまちづくりを進めようという機運も広がっているということです。
 京急電鉄も、この十月から、子育て世代の負担軽減と鉄道でのお出かけの機会創出のために、子供のIC運賃を全区間で七十五円均一とする割引制度を開始しました。
 日暮里・舎人ライナーの沿線には、都立舎人公園や親水公園など、家族連れにも魅力的なスポットが多くあります。子供の運賃の値下げは、地元の足立区と連携したイベントやお出かけの機会の創出とともに、子育て支援にもつながり、一石二鳥にも三鳥にもなる施策ではないでしょうか。
 日暮里・舎人ライナーの子供の運賃を一律五十円にするなど、思い切った値下げを行うことを提案します。都営交通こそ率先して取り組むべきことです。積極的に検討し、具体化していただきたいと思います。
 日暮里・舎人ライナーは、採算を取るのが難しい路線だからこそ都直営で運営されています。利用者の声に応え、駅係員の増員を行うことも必須です。安全性の確保と都民の移動権の保障のためにも、一般会計からの財政支援をしていく視点も含めて、地域交通を担う公営交通としての在り方を考えることを求めて、次の質問に移ります。
 PFAS汚染に関する調査について、下水道局に伺います。
 決算年度、今年の一月に米軍横田基地で、有機フッ素化合物、PFAS入りの消火剤に汚染された水が二日連続で漏れていたことが、沖縄タイムスの報道で明らかになりました。濃度は、日本の暫定基準値の五万四千四百倍にも達していたということです。横田基地での泡消火剤の流出事故は、二〇一〇年から二〇一二年までに三回あったということも、我が党の国会レクから明らかになりました。
 一連のPFAS漏出事故について、米軍は、一貫して、横田基地から基地の外へPFASが流出した事実はないという立場です。しかし、既に、二〇〇八年に東京都環境科学研究所が発表した論文、都内水環境におけるPFOSの汚染源解明調査によれば、米軍横田基地の排水からPFOS、PFOAが検出され、基地の外に流出しているということは明らかだというふうに思います。
 このモニターをご覧ください。こちらが、その論文に出てくる飛行場の図です。資料にも、お手元に配布されております。ここの排水A、排水Bから高い値のPFOSが検出され、この飛行場がPFOSの排出源の一つであることが分かったということが結論づけられています。この図をよく見ていただきたいのですが、飛行場の排水は、最後、下水処理場を通じて多摩川に放流されています。下水道局は、当時、この調査に協力をしています。
 そこで、お聞きします。
 環境科学研究所の論文、都内水環境におけるPFOSの汚染源解明調査に出てくるこの飛行場は、横田基地ではありませんか。

○佐々木下水道局長 お尋ねの環境科学研究所の調査についてでございますが、下水道局としては了知しておりません。

○斉藤委員 了知していないということでしたけれども、では、事実を確認していきたいというふうに思います。
 こちらをご覧ください。(画像表示)こちらは、下水道局の経営計画にある地図ですが、皆さんよくご存じのものだと思います。横田基地があるのは、この辺り、赤い印をつけております。多摩川上流処理区にあります。
 横田基地からの排水は、多摩川上流水再生センターで処理されていますか。

○佐々木下水道局長 横田基地から排出された下水は、市が管理する公共下水道を経由しまして、多摩川上流水再生センターの処理区内、八つの市町の下水と合わせて同センターで処理しております。

○斉藤委員 横田基地からの排水は、最終的に多摩川上流水再生センターで処理されるということが分かりました。確認できました。
 実は、この先ほどの環科研の研究が行われるきっかけとなった国の有機フッ素化合物の汚染実態についての研究調査があります。
 こちらをご覧ください。(画像表示)国立環境研究所の論文、有機フッ素化合物等POPs様汚染物質の発生源評価・対策並びに汚染実態解明のための基盤技術開発に関する研究、この一三ページから一四ページに出てくるこの表8、お手元にあると思います、こちら、多摩川の各調査地点のPFOS、PFOAの濃度、この値ですね。濃度を並べたものですが、幾つかある下水処理場のうち、下水処理場C、このPFOSの値が、ほかの地点に比べて特別に高くなっています。先ほどの環科研の調査結果と共通します。
 一方、こちらの隣の図11、これは、多摩川の各調査地点の図になります。この赤の丸、この赤の丸が、下水処理場を示していますけれども、下水処理場Cが、どこにあるかは明記されていません。しかし、よく見ると、この表8とこの図を比べてみると、下水処理場Cがどの丸に当たるか、これが分かるようになっています。
 そこで伺いますが、国立環境研究所の論文の表8に出てくる下水処理場Cは、多摩川上流水再生センターではありませんか。

○佐々木下水道局長 国立環境研究所の論文の記載内容についてのお尋ねですが、下水道局としては了知しておりません。

○斉藤委員 この表8で、調査地点の橋の名前が、多摩川上流から順番に並んでいます。この十一の調査地点とこれが一致します。これに倣えば、下水処理場Cは、この丸、ここですね、(画像表示)こことなり、これが多摩川上流水再生センターなのは、この位置関係から見て明らかです。
 以上、ある飛行場のこの排水からPFOSが高い値で出ていること、横田基地の排水は、多摩川上流水再生センターで処理されること、また、多摩川上流水再生センターで採取したサンプルから、同じくPFOSが高い値で検出されていること、これを併せて考えれば、仮にほかに有力な排出源があったとしても、この飛行場が横田基地である可能性は極めて高いというふうに思います。
 さらにお聞きします。
 多摩地域にある飛行場は、横田基地と調布飛行場しかありません。調布飛行場の排水は、森ヶ崎水再生センターで処理されているのではありませんか。ご答弁お願いします。

○佐々木下水道局長 調布飛行場の排水につきましては、森ヶ崎水再生センターで処理しております。

○斉藤委員 ご答弁のとおり、森ヶ崎水再生センター、調布飛行場はそちらだということです。
 再び、ご覧ください。(画像表示)今のご答弁を示したものです。調布飛行場があるのはこの辺り、処理区でいいますと、野川処理区に属します。下水道局の流域下水道計画の概要には、調布市を含む野川処理区は、森ヶ崎水再生センターへ流入すると明記されています。つまり、多摩地域で排水が最終的に多摩川に流入する飛行場は、横田基地しかないんです。
 再び、この図を見ていただきたいと思います。(画像表示)先ほど確認したように、この飛行場の排水は、最終的に、この図のとおり、多摩川に流れています。つまり、この飛行場は横田基地ということになります。
 知事、横田基地から基地の外へPFASが流出していたことは明らかです。そして、それは、今日まで是正された保証は何もありません。隠蔽されていた昨年度、今年一月の漏出事故を受けて、横田基地からの排水について、関係自治体と連携して、改めて調査するべきではありませんか。

○佐々木下水道局長 下水道局では、下水道関係法令に基づき、法令で定められた調査を適切に実施しております。
 事業場排水中のPFOS等につきましては、下水道関係法令で規制基準が定められておらず、測定方法についても示されていないため、測定しておりません。

○斉藤委員 下水道関係法令で基準等が定められていないとはいいますが、検査することはできるんですね、この調査のように。
 横田基地は、東京のPFAS汚染の重大な汚染源であるということが、このことからも、一層強く浮かび上がってきました。
 昨年度から多摩地域の市民団体が行っているPFASの血中濃度の検査について、七百九十一人分の結果が公表され、水道局が井戸の取水を停止した七市の住民の六七%が、アメリカで健康被害のおそれがあるとする指標値を超えていたということが分かりました。都民に不安が広がる中、PFAS汚染についての対策や調査は、全庁を挙げて取り組まなければならない重要な課題です。下水道局をはじめ、各局の真摯な取組、水道局もおられます、この真摯な取組と、知事には、横田基地への立入調査を実現するよう、改めて強く要望いたします。
 次に、水道事業について質問します。
 シングルマザーの当事者団体が、二十歳以下の子供がいるひとり親家庭を対象に、今年の夏に行った調査では、六百八十四人の回答者のうち、水道代の節約から、シャワーやお風呂に毎日入れていない人が三五%に上りました。お風呂のお湯は半分で、なるべくシャワーを使わず、お風呂のお湯を使って洗うという声や、湯船は一年中入らない、また、シャワーは禁止、トイレは三人で一回流す、切実な生活の実態について寄せられています。
 知事は、物価高騰の下、都民の暮らし、厳しい暮らしが続いていることについて、どう認識していますか。

○西山水道局長 水道局は、地方公営企業として、都民生活と都市活動を支えるため、効率的な業務運営を行い、安定給水に努めてございます。
 また、料金のお支払いが困難なお客様には、支払期限の延長や分割払いに応じるなど、丁寧に対応してございます。

○斉藤委員 今、私が聞いたのは、都民生活に対する認識を聞いたんですね。給水のことを今聞いていないんです。都民の暮らしについての認識を知事が答弁されないというのは、都民の暮らしに対してあまりに冷たい無関心な姿勢ではないでしょうか。
 続けて、知事に伺います。
 人は、水なしには生きていけません。給水の停止は、文字どおり命に関わる問題ですが、住民福祉の増進を使命とする地方自治体の長として、知事はどう認識していますか。

○西山水道局長 水道局では、安全なおいしい水を安定的に供給することが使命であり、その対価として、お客様から水道料金をお支払いいただいてございます。
 初回請求でお支払いのないお客様に対しては、催告文書を送付するなど、複数回にわたり催告を行い、その上でもなおお支払いいただけない場合については、やむを得ず給水を停止してございます。
 また、料金のお支払いが困難なお客様には、個別の事情により、支払期限の延長や分割払いに応じるなど、丁寧な対応を行ってございます。

○斉藤委員 今、局長からいろいろありましたけれども、私は、住民福祉の増進を使命とする地方自治体の長としての認識を知事に伺いました。知事にしか答弁できないことを放棄されるのでは、自治体の長としての姿勢が厳しく問われます。
 水道局が見失ってはならない水道事業の基本について伺います。
 水道局の水道事業は、地方公営企業法第三条に基づいて運営されていますが、その目的についてどのように認識していますか。

○西山水道局長 地方公営企業法第三条においては、経営の基本原則として、経済性の発揮と公共の福祉の増進が掲げられてございます。
 両者の関係性については、能率的、合理的な業務運営を行い、最少の経費で最良のサービスを提供することこそ、住民の福祉の向上に資するものとされております。
 水道局としては、こうした法の目的、趣旨を十分に踏まえ、不断の経営努力により、強固な経営基盤を確立し、安全でおいしい高品質な水の安定供給を実現してございます。

○斉藤委員 今のご答弁は、本当にこの条文を読んでいるのかなと疑わざるを得ない、そういう解釈だと思います。
 地方公営企業法第三条に、その目的について何と書いてあるのか。本来の目的である公共の福祉を増進するように運営しなければならないと書いてあるんです。経済性の発揮と公共の福祉を並べていろいろ解釈されましたけれども、本来の目的は、公共の福祉の増進なんです。
 そして、今、現実に、公営企業としての水道局の姿勢が問われる事態になっています。
 先日の分科会では、二〇二二年度の給水停止の件数について、十七万九千五百六十六件と答弁がありました。グラフにしたので、ご覧ください。(画像表示)一昨年度の約一・七倍に急増し、昨年、ここの質疑で指摘したとおり、約十八万件に及んでいる、そういう状況です。
 水道局は、給水停止の急増の原因について、訪問による催告をやめて、郵送だけにしたことにあると、昨年この委員会で水道局長が答弁しました。訪問による催告をやめて、郵送だけにしたのはなぜですか。

○西山水道局長 水道局では、平成二十六年度の包括外部監査の意見を踏まえ、区部と多摩地区の料金徴収システムを統合する際、業務の効率化と、料金をご負担いただく全てのお客様の公平性を実現するため、多摩地区で行っていた手法に合わせたものでございます。

○斉藤委員 今、お客様の公平性といいましたけれども、困窮して払えない方を救うのが自治体の仕事ではありませんか。それを、ほかの都民との公平性を持ち出して、都民を分断し、困っている方をさらに追い詰めるようなことは、自治体がやることではありません。
 業務の効率化が目的だという答弁でした。先ほど料金のお支払いが困難なお客様には、丁寧な対応を行っているというふうに答弁されましたが、丁寧に対応していたのを、業務の効率化だといって、訪問ではなく、郵送による催告にした結果、命の水の給水停止が急増している、急増させているという状況なわけです。やむを得ず給水停止をしているという答弁もありましたが、自らの制度変更によって給水停止を増やしておきながら、やむを得ない対応だというのは、成り立たない話ではありませんか。
 昨年、我が党がこの問題を取り上げたとき、水道局長は、給水停止の急増について、一時的なものと答弁しましたが、もう一年半以上もこの状況が続いています。
 都民の暮らしが苦しいときに、自治体が本来やるべきことは、水道料金の減免によって暮らしを支えることだと私たちは繰り返し求めてきました。ところが、都はやるべきことをやらずに、事業の効率化といって、この給水停止を増加させて都民を追い詰めるという、やってはならないことをやっています。公営企業の在り方として許されません。給水停止の件数を急増させている状況は放置できません。
 水道局では、二〇一四年に、都内の自治体と協定を結んで、生活困窮などで支援を必要とする水道利用者を自治体の福祉につなぐ取組を行っています。
 昨年、二〇二二年度に、福祉につないだ実績と、どの部門の担当者がつないでいるのか、内訳について伺います。

○西山水道局長 令和四年度に、区市町の福祉部署に情報提供した件数は十九件でございます。
 内訳につきましては、検針委託会社によるものが十五件、営業所等によるものが四件でございます。

○斉藤委員 福祉につないだ件数と、どこからつないだのかの内訳について、事前に過去五年間についても伺いましたが、どの年度でも、その多くが、検針委託会社の検針員さんたちがつないでいるという状況です。
 福祉につなぐ役割を果たしているのは、ほとんどが検針員だというその理由について、どう認識していますか。

○西山水道局長 検針員は、全てのお客様を対象に、基本的に二か月に一回、水道メーターの検針のため、訪問していることが要因の一つと考えられます。

○斉藤委員 検針員さんは、訪問する機会が多いからだということです。重要な認識です。
 私は、料金の徴収を行う現場の仕事を経験した方からお話を伺いました。困窮した利用者の方の給水をなるべく止めないように、幾らかでも料金をいただいて給水をつないできた、また、小さなお子さんに、おじさん、水を止めないでといわれたこともあったということでした。だから、本当はなるべく水を止めないようにしなければならないと切々と語ってくれたことが、とても印象的でした。
 水道局では、福祉につなぐ際に、その判断の目安として、福祉局が出しているチェックポイントを活用していると伺っています。異変への気づき、チェックポイント例というものですが、例えば、このモニターにも今出ています。例えば、昼間でも電気はついたままになっているとか、顔色が悪く、具合が悪そうに見える、急に痩せてきたような気がする、また、髪や服装が乱れている、季節に合わない服を着ているなど、どれも実際に訪問しなければ分からないことばかりです。
 訪問が重要だという認識はあるのか伺います。

○西山水道局長 水道局では、区市町との協定に基づき、当局職員等がお客様宅等を訪問した際に、明らかな異変が感じられた場合、各区市町の福祉部署に情報提供をしております。
 引き続き、水道事業者としての業務を行っていく中で、可能な限り、区市町への情報提供に取り組んでまいります。

○斉藤委員 私は、この訪問の重要性について聞いたんですね。今、物価高騰が続いていて、生活が大変な中で、料金未納になる方々に対して訪問を行って、困窮した状況があれば福祉につないでいくという取組は、ますます重要なのではないでしょうか。その大切な取組を、都民が今一番苦しいときに、投げ捨てるべきではないということを改めて強く指摘いたします。
 水道局は、訪問による催告をやめただけでなく、今までより速いサイクルで給水停止をするということを検討していたことが、我が党の情報開示請求で分かりました。どのような検討をし、どのような対応になっているのか伺います。

○西山水道局長 平成二十六年度の包括外部監査において、区部と多摩地区の料金徴収システムを統合するよう意見を受けて以降、徴収サイクルの見直しについては、継続的に検討を行ってございます。
 現在、給水停止までの期間の見直しは行っておりませんが、引き続き、適切な徴収方法について検討してまいります。

○斉藤委員 給水までの期間の短縮は、現在は行っていないということです。開示請求、開示資料の中でも、水道局の四役から徴収サイクルを短縮するということは影響が大きい、そういう発言がありました。
 命をつなぐ水は、電気やガスが止まっても、最後の命綱として供給を続けることは大事なことです。都民生活が厳しい現在はもちろん、今後も、給水停止のサイクルの短縮を行うべきではないということを強く求めるものです。
 水道局の事業において、地方公営企業法に示されている本来の目的である公共の福祉の増進を損なうような運営は決して許されません。法の趣旨に基づいて、この公共福祉の増進を中心に位置づけて、水道事業の運営を行うことを強く求めて、質問を終わります。

○平委員長 斉藤委員の発言は終わりました。
 次に、関口委員の発言を許します。

○関口委員 よろしくお願いします。東京都議会立憲民主党の関口健太郎です。
 衣食住ということはよくいわれますけれども、私は、衣食住交という視点が重要だと考えます。ここでの交とは、交通のことであります。つまり、移動です。衣食住とともに、交通も、人々が日々の生活を営む上で大切であるという視点であります。
 そうした観点から、まず初めに何点か伺いたいと思います。
 まず、経営状況です。
 令和四年度は、コロナの影響もあり、大変厳しい経営状況でありました。
 都営地下鉄の令和四年度決算は、四億円の赤字でありましたが、その状況について、まず伺いたいと思います。

○久我交通局長 令和四年度の都営地下鉄の決算は、基幹収入である乗車料収入が前年度に比べ百三十六億円増加したものの、コロナ禍前の水準に比べ、二百七十六億円下回りました。
 一方、支出につきましては、電気料金や物価の高騰等により七十六億円、前年度に比べ増加いたしました。
 これらの結果、経常収支は六十億円改善したものの、四億円の赤字となりました。

○関口委員 一方で、運賃以外の収益を上げることは重要だと考えます。
 交通局は、不動産といった資産や広告などによる関連事業を行っておりますが、その取組状況について伺います。

○久我交通局長 交通局では、保有する資産を有効に活用し、収益向上を図るため、不動産や広告等の関連事業を展開しております。
 令和四年度においては、不動産事業では、バス営業所跡地など、所有する土地建物を最大限活用し、安定した収入の確保に取り組みました。
 広告事業では、大江戸線月島駅等で広告枠を拡大するとともに、車内液晶モニターを増設いたしました。
 これらを通じた昨年度の関連事業収入は約百二十二億円でございます。

○関口委員 今後は、さらなる事業展開を図っていくことを期待しております。
 一方で、交通局では、小河内ダム直下の多摩川第一発電所、白丸発電所及び多摩川第三発電所の三水力発電において発電をしております。都の施設及び都の区域内に電気を供給する事業者に、電気の供給を行っているところであります。
 私は、分科会で、発電所の発電効率の向上について質問したところ、設備更新をし、効率化を図る旨の答弁でありました。
 一方で、発電効率だけではなくて、小水力発電などにより、さらなる発電量の増加が必要と考えますけれども、見解を伺います。

○久我交通局長 交通局はこれまで、小水力発電施設の整備などについて検討してまいりましたが、調査の結果、多摩川上流では十分な河川流量が得られないなど、適した開発地点はございませんでした。

○関口委員 適した開発地点がないということでありましたが、今後は、多摩川に限らず、都内全域をフィールドとした発電事業、再生可能エネルギーによる発電を展開すべきと考えます。
 例えば、ドイツの公営企業であるシュタットベルケでは、電気、ガス、水道、交通などの複数の事業を展開しておりまして、収益の出やすい事業の売上げをそうでない事業に補填、投資をしております。エネルギービジネスで利益を出していく、そして、公共交通など、利益の出にくい事業に充てることで、地域に必要なサービスを維持している、こういう観点です。都営交通におければ、電気事業会計で利益を出して、都営交通に還元をしていく、こうした視点が重要なのではないかと考えております。
 さらには、欧米に目を向けますと、公共交通の黒字、赤字以上に、都市としての黒字、地域としての黒字、こうした視点を非常に重視をしております。地域の公共交通の利便性や快適性を高めることで、そこに住む住民の活動を活発にし、にぎわいを創出するといった基本的な考え方がございます。
 一方で、日本では、民間事業者が、これまで頑張って運営をしてきていただきましたが、それゆえに、公共交通への財政支出が、世界的に見ても驚くほど少ないという現実がございます。
 私は、公共交通は、事業単体での黒字、赤字で判断するべきものではなく、あくまで、移動の利便性やまちのにぎわいといった目的を主眼に置く欧米の考え方は大変重要であると考えております。
 都営交通は、決算の上では厳しい状況でありました。しかし、赤字であったとしても、首都東京の公共交通として、都営交通を維持していくことが重要と考えますけれども、知事の見解を伺います。

○小池知事 公営企業につきましては、独立採算制の原則に基づいて、経済性の発揮、そして、公共の福祉の増進を実現することが求められております。
 将来にわたって安定した輸送サービスを提供できますよう、交通局におきましては、公営企業管理者の下、経営改善の取組を進めているところでございます。

○関口委員 ぜひよろしくお願いします。
 続いて、都営交通協力会について伺ってまいります。
 交通局は、今年三月、東京労働局から、偽装請負とみなされるおそれがあるとして、駅業務の都営交通協力会への委託について、労働者派遣法違反の疑いで指導を受けました。駅業務の委託契約の仕様書の一部に、局職員が協力会の駅係員に直接指揮命令できる余地が認められていて、改善措置を講ずるよう指導を受けたことも明らかになりました。交通局の組織体制や運営や経営、これに大きく関係をする極めて重大な問題だと考えます。
 そこで、この労働局からの指導について、知事の見解を伺います。

○久我交通局長 東京労働局の調査では、法律違反の事実は確認されませんでした。
 東京労働局から指導を受けた駅業務委託の仕様書の一部記載につきましては、疑念を持たれることのないよう修正するとともに、全ての業務委託に関する点検、確認等を行い、本年五月に東京労働局に報告し、受理されております。
 引き続き、適切に駅業務が行われるよう対応してまいります。

○関口委員 知事は答弁に立ちませんでしたが、都営地下鉄百六駅のうち五十九駅が、都営交通協力会に委託をされているわけであります。委託駅の駅業務委託に労働局から指導が入るということは、大変重く受け止めなければならないと思います。
 私は、この公営企業決算委員会の分科会の質疑を通して、様々な指摘をしてまいりました。都営交通協力会に委託された駅は、同じ駅で働く交通局職員である助役、駅長と協力会の駅員との間での指示は行うことはできず、助役と協力会職員リーダーのみ伝達をすることが可能とされていることを指摘し、こうした情報伝達の方法で、本当に現場が回るのかということに疑問を呈しました。また、ほかにも、交通局の直営職員と都営交通協力会の職員における待遇の差であったり、交通局職員との身分差別ともいえる窓口業務の応対の在り方についても指摘をいたしました。
 そして、さらには、この都営交通協力会は、労働基準監督署から是正指導を受けていることが明らかになりました。池袋労働基準監督署は、都営交通協力会の職員の着替え時間が不十分として、協力会を是正指導いたしました。池袋労基署は、今年九月に、協力会を立入検査しているということであります。
 そもそも駅員は、鉄道営業法で勤務中の制服着用が義務づけられておりまして、出退勤時の着替えは、労働時間として算定をされています。都営交通協力会が受託した全駅で、契約社員の着替え時間を、出勤時十分、退勤時十分に設定をしております。また、現場の方の声を聞くと、この着替え時間は、純粋に着替えだけではなく、点呼なども含めた業務が含まれている時間ということで伺っております。
 都の委託が始まった平成十五年以降、常態化しているという報道もありますけれども、都は、今まで、実態把握をしていたのか、また、協力会が指導を受けたことについての見解を伺います。

○久我交通局長 東京都営交通協力会における従業員の労務管理については、法令等で定められた基準や手続に基づき、協力会がその責任において適切に対応するものと認識しております。
 なお、本件につきましては、勤務実態を調査の上、必要な場合は割増し賃金を払うよう指導を受けたと協力会から情報提供があったものでございまして、その際には、改めて法令等を遵守するよう局から求めまして、協力会において是正を図っているところと聞いております。

○関口委員 是正指導を受けたことに対して、法令を遵守するよう局から求めたということは重要であると思います。
 一方で、今後、労働基準監督署から改善を求められた場合に、割増し賃金は支払う予定なのでしょうか。
 また、労働基準法においては、未払い賃金の請求を三年間にわたって請求できるようになりました。今後、どのように対応するのか伺います。

○久我交通局長 東京都営交通協力会において、労働基準監督署の指導等に基づき、適切に対応するものと考えております。

○関口委員 今、局長が答弁をした答弁というのは、あまりにも無責任な答弁であると考えます。今までの未払い賃金をしっかりと法令にのっとって支払うこと、これを局から都営交通協力会に求めることを要望したいと思います。
 話題を替えます。
 先日、都営地下鉄練馬駅で住民避難訓練が実施をされました。海外から弾道ミサイルが飛来したことを想定した住民避難訓練であり、国民保護法に基づく緊急一時避難施設に指定された地下鉄駅を使った訓練は初めてでありました。国と消防庁、東京都、練馬区の合同訓練でもありました。
 都営地下鉄の駅は、現在、五十八駅が緊急一時避難施設に指定をされております。緊急一時避難施設に指定されている駅五十八駅のうち、都営交通協力会に委託をされている駅は何駅か伺います。

○久我交通局長 交通局が管理している駅のうち、都内で緊急一時避難施設に指定されているのは五十八駅でありまして、そのうち四十一駅で駅業務を委託しております。

○関口委員 五十八駅のうち、都営交通協力会に委託をされている駅は四十一駅、裏を返せば、東京都の交通局の直営駅は十七駅ということであります。
 緊急一時避難施設は、多くが委託駅であるということで、都営交通協力会の委託駅には、交通局職員である助役、つまり駅長が一名のみ配置をされています。駅長である助役を除けば、都営交通協力会の職員で委託駅は構成をされています。同じ駅で働く交通局職員である助役、つまり、駅長と協力会の職員との間で指示を行うことはできないとされています。助役と協力会職員リーダーのみが伝達をすることが可能とされています。こうした職場環境ですから、日頃から円滑なコミュニケーションが図られているのかということは大変疑問であります。
 緊急時には、助役は、協力会の職員とあくまで協力して対処するということをされておりますけれども、委託駅の在り方であると、日常の乗務においてコミュニケーションの不足があります。
 私は、都営交通協力会で働く職員の方とお話をしましたが、こうした委託駅の情報伝達の在り方で、有事に対応できるのかといった不安の声を聞いたところでありました。
 都民の命を守るためにも、有事の際、委託駅の緊急一時避難施設の対応は円滑に行えるのか伺います。

○久我交通局長 緊急時には、お客様の安全・安心を最優先に、交通局職員と委託職員とが協力して事態に対処することとしております。
 委託先の職員につきましても、交通局職員と同等の緊急時の対応に関する研修や訓練を受けるなど、適切に対応する体制を確保しております。

○関口委員 交通局の最後になりますけれども、都営地下鉄百六駅のうち五十九駅の駅業務が、都営交通協力会に委託をされております。
 職員定数を見直して、過度に委託に依存する都営地下鉄の在り方を考え直すべきと考えますが、見解を伺います。

○久我交通局長 交通局では、安全性やサービス水準を維持しつつ、経営の効率化を図ることを目的に、駅業務の委託を実施しており、今後とも適切に対応してまいります。

○関口委員 経営の効率化を否定するものでありません。大変重要ではありますけれども、あまりに進み過ぎた委託の実態があると考えます。経営の効率化に主眼を置き過ぎて、木を見て森を見ずといったような姿勢ではならないということを申し上げたいと思います。
 続いて、水道局の質問に入ります。
 令和四年度東京都水道事業会計決算書を見ますと、水質試験の経費として約三億九千五百万円が計上されております。この費用で、水質基準項目など約二百八十項目の水質をチェックし、水道水の安全性を確保しております。
 しかしながら、有機フッ素化合物、PFASに関する話題が大きく取り上げられております。その安全性について不安を抱えている方も非常に多くいらっしゃるのではないかと思います。この決算審査の場において、こうした状況について確認をしてまいりたいと思います。
 まず、PFASへの人体への影響です。
 多摩地域の住民の血中PFAS濃度の検査に取り組む市民団体が、約八百名分の分析結果を報告しました。多摩三十市町村の住民の汚染傾向を把握するため、血中のPFOS、PFOA、PFHxS、PFNAの四種類を分析しました。都水道局が汚染で井戸の取水を停止した七市の住民の六七%が、米国で健康被害のおそれがあるとする指標を超えておりました。受検者向けの健康相談外来で、PFASが発症リスクを上げる脂質異常症を治療中と答えた割合が、国調査の平均の約二倍だったことも判明をしました。
 そこで、PFASの人体への影響、これをどのように考えるのか、まず伺います。

○西山水道局長 現在、国では、有機フッ素化合物の健康への影響について、専門家による科学的な評価を進めてございます。
 水道局では、関係局と連携し、科学的根拠に基づいた最新の知見を早急に示すよう、国に対し緊急要望を行ったところでございます。

○関口委員 つまり、現状では、一〇〇%安全とはいえないということで、極めて現在は、様々な見地で研究をしているということだと思います。
 現在のPFOS、PFOAの水道水の暫定基準である一リットル当たり五十ナノグラム、これについてはどのような根拠であるのか伺います。

○西山水道局長 国のQ&A集によりますと、PFOS及びPFOAの暫定目標値は、令和二年当時の科学的知見に基づき、人が水を一生涯にわたって飲用したとしても、この濃度以下であれば人の健康に悪影響が生じないと考えられる水準を基に設定されてございます。

○関口委員 一方で、各国における基準値は様々でございます。こうした基準値は確認をされておりますでしょうか。
 また、米国環境保護庁の提案している基準、日本における値よりも大変厳しい数値であると考えますけれども、どのように考えているのか伺います。

○西山水道局長 PFOS及びPFOAの目標値や基準に関しては、国際的にも様々な科学的な議論が行われているところでございます。
 例えば、WHOにおいて、それぞれ一リットル当たり百ナノグラム、米国環境保護庁においては、それぞれ一リットル当たり四ナノグラムとする案が示されてございます。
 日本におけるPFOS等の暫定目標値は、国が、令和二年当時の科学的知見に基づき、人の健康に悪影響が生じないと考えられる水準を基に定めたものでございます。
 現在、水道局の給水栓における値は、暫定目標値を大幅に下回っており、水道水の安全性は確保してございます。

○関口委員 今ご答弁ありましたが、米国環境保護庁では、一リットル当たり四ナノグラムの値が提案されているということで、日本よりもはるかに厳しい基準だということだと思います。
 先ほども他の委員の方から指摘がありましたが、PFASの汚染源として指摘をされているのは米軍横田基地です。米軍は、PFASを含む泡消火剤の大規模漏出があったことを認めております。それによって汚染された井戸を水源とした水道水を住民が取り込んだ可能性があります。PFASについて分析をしている京都大学の原田准教授は、基地が発生源であることは間違いないということで指摘をしております。
 一方で、沖縄県に目を向けますと、沖縄県では、水道事業者である企業局が、平成二十八年六月と令和二年五月の二回、嘉手納基地へ立入調査の申請を行っております。
 水道局においても、積極的な動きをすべきと考えますけれども、見解を伺います。

○西山水道局長 沖縄県企業局では、基地の敷地内に水源井戸が設置されていることなどから、立入調査の申請を行ったと聞いてございます。

○関口委員 今ご答弁にありましたが、沖縄県企業局では、水源の井戸が設置されていることから、立入調査の申請を行ったと。
 つまり、井戸がないから、調査をする所管局は、環境局であるという解釈をいたしました。
 都民に安心・安全な水を届ける水道局の立場から、環境局や基地を担当する都市整備局に、横田基地への立入調査をしてほしい旨の要請はしたのか伺います。

○西山水道局長 横田基地の敷地内に水道局の水源井戸はありません。
 水道局は、水道水の水源井戸ではない井戸について、お答えする立場にはございません。

○関口委員 水道局長、本当にこの答弁でよろしいんですか。
 多くの都民がPFASについて不安に思っているわけであります。
 安心・安全な水を都民に届ける水道局の立場から、私は、環境局や基地を担当する都市整備局に、横田基地への立入調査をすべきと考えますけれども、もう一回答弁いかがですか。

○西山水道局長 水道局は、水道水の水源井戸ではない井戸について、お答えする立場にはございません。
 なお、先ほどご答弁申し上げましたとおり、暫定目標値を大幅に下回っておりまして、水道水の安全性は確保されてございます。

○関口委員 知事、いかがですか。私は、こうした水道局長の答弁を聞いて大変落胆をいたしました。確かにPFASについては、水道局や下水道局、環境局や都市整備局、保健医療局など、様々な局に所管が分かれていることは承知をしております。裏を返せば、こうした縦割り行政の弊害も感じました。
 国の協力はもちろん必要になってまいります。国においては、環境省や防衛省が、横田基地のPFAS汚染について大きく関与してくると考えます。
 都民に安心・安全な水を届けるためにも、元環境大臣であり、元防衛大臣である知事のリーダーシップで、PFAS問題の早期の解決と収束をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○西山水道局長 PFOS等への対応につきましては、知事から、各局連携して対応するよう既に指示を受けており、水道水の安定供給を担う水道局としては、国が定めた暫定目標値を給水栓で下回るよう水質管理を徹底してございます。
 現在、検査を行っている百三十一か所の給水栓全てにおいて、国の暫定目標値を大幅に下回る状況でございます。
 また、水質管理の取組や検査結果については、局ホームページなど様々な媒体により情報発信してございます。
 引き続き、関係局とも連携をしながら、水道水の安全性を確保するとともに、都民に分かりやすい情報を発信してまいります。

○関口委員 私は今、まさに大臣を経験された、環境大臣と防衛大臣を経験されたその経験を生かして、知事にリーダーシップを生かしてほしいということを伺いました。
 西山局長は大臣を経験されたことはないかと思いますので、もう一度知事に伺います。
 この元環境大臣、そして元防衛大臣である知事のリーダーシップをぜひ発揮していただきたいと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○西山水道局長 繰り返しのご答弁になりますが、PFOS等への対応につきましては、知事から、各局連携して対応するよう指示を受けておりまして、水道局としては、国の定めた暫定基準を給水栓で下回るように水質管理を徹底しており、大幅に下回る状況でございます。
 引き続き、関係局とも連携しながら、水道水の安全性を確保するとともに、都民に分かりやすい情報を発信してまいります。

○関口委員 じゃあもう一回確認しますけれども、知事は、PFAS問題についてリーダーシップを発揮しないということでよろしいんですね。伺います。

○西山水道局長 PFOS等への対応につきましては、知事から、各局連携して対応するよう、既に指示を受けております。

○関口委員 リーダーシップを発揮しないということが分かりました。ありがとうございます。
 続いて、貯水槽水道について伺います。
 安全で高品質な水を蛇口まで届けることを目的として、水道局では、直結給水方式への切替えを進めております。
 都内には、約十万件の貯水槽水道があり、そのうち水道法やビル管理法などによって、法定点検受検義務のある貯水槽水道は、全体の約四分の一である約二・三五万件です。裏を返せば、保健所への法定の報告義務がない貯水槽水道は約七・八五万件であり、全体の約四分の三であります。保健所への報告義務はありませんので、貯水槽水道の設置者における管理が肝となります。
 そこで伺いますが、都における貯水槽水道における管理状況を伺います。

○西山水道局長 貯水槽水道は、その設置者が適切に管理すべきものとされておりますが、水道局では、管理の実態を把握するため、平成十六年度から、設置者の同意を得て、点検調査を実施してございます。
 令和二年度時点では、貯水槽水道約十万件のうち、法定点検が義務づけられている施設を含め、適正に管理されている施設は約四万九千件、管理が適切に行われていない施設は約三万四千件、調査に協力が得られない施設は約二万件でございます。

○関口委員 答弁にありましたように、管理が適切に行われていない要改善の貯水槽水道は約三万四千件です。
 設置者への指導助言を今まで以上に強く進めるべきと考えますけれども、見解を伺います。

○西山水道局長 水道局では、管理が不十分と判明した施設については、設置者に対して、貯水槽の維持管理が不要な直結給水方式への切替えの案内や、定期的な清掃の実施など、個々の施設の状況に応じた具体的な指導助言を行ってございます。
 特に水質に課題がある場合には、保健所等へ情報を提供してございます。
 引き続き、適正管理の推進に向け、設置者への具体的な指導助言等を行ってまいります。

○関口委員 そして、そもそも貯水槽水道に対しての調査の協力が得られず、把握をできていないのが、都内約二万件ございます。
 貯水槽の点検調査をするため、設置者へ今まで以上に強い働きかけをすべきと考えますけれども、見解を伺います。

○西山水道局長 設置者から調査への同意が得られないなどにより、管理状況が把握できていない施設については、調査への協力を求めてございます。
 具体的には、適正管理のポイント等を記載したパンフレットや点検調査の案内を個別に送付するとともに、電話連絡や現地訪問により、調査への理解を求めてございます。
 引き続き、こうした取組を粘り強く行ってまいります。

○関口委員 法律の縛りから外れた貯水槽水道は、設置者が管理をすることはもちろん大前提ではあるものの、その水を口にする、水に触れるのは都民であります。
 管理が適切に行われていない要改善の貯水槽水道は約三万四千件、調査が得られないのが約二万件、こうした貯水槽水道へのさらなる働きかけを求めたいと思います。
 以上です。

○平委員長 関口委員の発言を終わります。
 もり委員の発言を許します。

○もり委員 ミライ会議、もり愛です。
 まず、東京都中央卸売市場会計について伺います。
 決算審査意見書によれば、中央卸売市場の事業は、主としてその経費を当該事業の経営に伴う収入をもって充てること、中央卸売市場会計は、平成三十年十月の豊洲市場の開場により減価償却費が増加したことなどから、継続して営業損失、経常損失を計上しており、令和四年度の営業損益はマイナス百四十四億千九百万円、経常損失はマイナス百二十三億三百万円、純損失はマイナス十九億二千五百万円となっています。
 令和四年三月に策定された東京都中央卸売市場経営計画では、遅くとも二〇四〇年代に経常収益が経常支出を上回る状況とすることを目標とするとしていますが、各市場の取扱数量や取扱金額を伸ばし、売上高割使用料収入を毎年五・五%ずつ増加させていくことができた場合には、令和三十一年度に経常収支は黒字化し、資金ショートが回避できますと述べられているだけです。
 売上高割使用料は、卸売業者は、売上金額の〇・一二五%から〇・二五%、仲卸業者は、販売価格の〇・一二五%から〇・二五%、関連事業者は、販売価格の〇・一%にそれぞれ消費税を加算した額といわれておりますが、この五年間の売上高割使用料の推移を教えてください。

○早川中央卸売市場長 直近五年間の平成三十年度から令和四年度までの売上高割使用料は、平成三十年度から順に、約三十億円、約二十九億円、約二十八億円、約二十九億円、約三十一億円で推移しております。

○もり委員 今のご答弁でも、この五年間のみでも五・五%ずつの増加は達成をされていないということが分かりました。
 インフレ基調が進めば、数量が伸びなくても価格が上がっていきますが、インフレ率をどのように見込んで、売上高割使用料収入、毎年五・五%増が可能と考えているのかお伺いをいたします。

○早川中央卸売市場長 経営計画では、遅くとも二〇四〇年代に経常収支の黒字化を目指しております。
 また、現行の使用料の種類や料率等を維持したまま、各市場の取扱数量や取扱金額を伸ばし、使用料収入を増加させていくことができた場合には、二〇四九年度に経常収支は黒字化し、資金ショートが回避できるとのシミュレーションの結果を示しております。

○もり委員 売上高割使用料収入を毎年五・五%増加というのは、十三年後には二倍、さらに二十六年後には四倍になっている計算になります。
 使用料率が一律であれば、売上高が倍増、四倍増ということになり、日本の経済成長率は一%台がやっとという中で、どのようにして実現可能なのか、具体的な方策を伺います。

○早川中央卸売市場長 令和四年度は、市場維持管理費の縮減や使用料収入の確保などに取り組みました。
 引き続き、市場別の収支構造等の分析を踏まえて経営に関するレポートを作成するなど、市場使用料を含む市場会計健全化に向け、意見交換を重ねながら、経営改善に不断に取り組んでまいります。

○もり委員 結局、東京都中央卸市場経営計画に書かれている、遅くとも二〇四〇年代に経常収益が経常支出を上回る状況とし、持続可能な市場経営を実現することを目標とするというのは、実現のための何らの政策措置が見えません。
 単なる計算上の数値、架空の経営計画なのではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○早川中央卸売市場長 都は、令和三年三月に策定いたしました東京都中央卸売市場経営指針で掲げました二〇四〇年代の中央卸売市場の姿、そして、持続可能な市場経営、こちらの具体化に向けまして、取り組む施策と財政計画を示す東京都中央卸売市場経営計画を令和四年三月に策定したところでございます。
 この計画で掲げた取組を通じ、強固で弾力的な財政基盤を確保するよう、引き続き取り組んでまいります。

○もり委員 同じご答弁が繰り返されているんですけれども、具体的な策が見えてまいりません。経常収支の黒字化が無理という事実を率直に認めていらっしゃるのか、中央卸売市場の事業は、主としてその経費を当該事業の経営に伴う収入をもって充てることを実現するため、現在の中央卸売市場の役割や形態を含めた抜本的な改革の検討を行うべきだと申し上げ、次に、中央卸売市場の駐車場の使用料について伺います。
 各局の質疑で、豊洲市場の車両置場使用料は、条例に基づき使用許可をしている業界団体等から、東京都が直接徴収しているものとの答弁をいただきました。
 東京都中央卸売市場条例第四十三条は、知事は、卸売業者、仲卸業者及び関連事業者に対して市場施設の使用を許可することができると規定しており、使用許可の対象は、業界団体ではなく、卸売業者、仲卸業者及び関連事業者となっています。
 条例に基づけば、車両置場使用料について、都は、個々の卸売業者、仲卸業者及び関連事業者に対して使用を許可し、これらの者から直接使用料を徴収するという仕組みになっているという見解でいいか、確認のため伺わせていただきます。

○早川中央卸売市場長 都は、使用を許可した者から市場使用料を徴収しており、東京都中央卸売市場条例第四十三条第一項において、使用を許可する者として、卸売業者、仲卸業者及び関連事業者を規定しており、さらに、同条第二項におきまして、特に必要があると認めるときに、市場業者の団体など、それ以外の者に対しても市場施設の使用を許可することができると規定しております。

○もり委員 実際の使用料徴収については、都は使用を許可したそれぞれの者に、それらの事業所に、決められた期日までに、都の口座に直接、車両置場使用料を振り込むという手続となっているのか伺います。

○早川中央卸売市場長 都は、卸売業者、仲卸業者、関連事業者及びその他市場業者の団体など、使用を許可した者に対しまして、各月ごとに納入通知書を発行し、これに基づき、定められた期日までに納付するという手続としております。

○もり委員 売買参加者や買い出し人は、一日中車両を駐車するのではなく、短時間の駐車となりますが、その場合の駐車料金の設定について、都からは、車両置場の使用許可を受けている者が負担する使用料について、東京都中央卸売市場条例施行規則に規定する月額に使用面積を乗じた額とお答えいただいています。
 それに沿っていくと、一月当たり、一平方メートル当たり六百二十九円ということですから、小型トラック一台の場合は、二十三平米の場合が一万四千四百六十七円プラス消費税で、大型トラック一台分で、この場合の計算ですと二万七千四十七円プラス消費税という計算になり、仲卸業者の一月当たりの駐車料金は、小型トラックでは一万五千八百九十三円、大型トラックでも二万九千七百十三円を超えることがないという認識でいいか伺います。

○早川中央卸売市場長 都は、条例に基づき、使用を許可した者から、東京都中央卸売市場条例施行規則に規定する面積当たりの月額単価に、使用許可面積を乗じて得た額を徴収しております。
 また、都は、要領に基づき、車両置場の使用許可を受けた団体が、条例で定める月額使用料に、その車両置場の管理運営に必要な実費を加えた金額を利用者から徴収できるということとしております。

○もり委員 この金額は一月当たりですが、駐車スペースが限られているので、同一駐車スペースを二つの仲卸業者が時間を融通して使うという場合に対しても、それぞれ半月分を払うのではなく、一か月分の料金を徴収しているということを伺いました。
 豊洲市場第六街区の駐車場では、個別の会社名は避けますが、例えば、駐車場を利用する仲卸業者に対して、六街区物流施設管理協議会の潮待物流サービス株式会社が、豊洲市場六街区駐車場利用請求書を送り、二時間の使用料金について月額二万円、半日分で五万円近くの駐車料金を徴収している実態があります。これは、先ほど確認した金額の倍に相当するものとなっています。
 仲卸業者が使用許可を得られず、関連事業者が使用許可を得た駐車スペースを使う場合も、条例に基づく規定で定められた駐車料金以上の料金を取るのは、条例、規則で駐車料金を定めている趣旨からして不適切だと考えますが、見解を伺います。

○早川中央卸売市場長 都は、要領に基づきまして、車両置場の使用許可を受けた団体が、条例で定める月額使用料に、その車両置場の管理運営に必要な実費を加えた金額を利用者から徴収できるということとしております。
 また、要領には、料金体系など利用条件につきましても、当該団体から都へ報告することを定めております。

○もり委員 豊洲市場の駐車場の事例を具体的に伺っていますが、条例、規則で、駐車場の駐車料金の金額の決定を行っている趣旨は、仲卸業者や卸売業者及び関連事業者が、市場に公共目的があると考えるからこそ、都が市場を建設し、低廉な使用料で市場を利用できるようにしているものです。
 中央卸売市場の使用許可が適正に行われていること、使用許可を受けた者が支払う使用料は、規程に定められた使用料であって、駐車場の又貸しや中間搾取などによって中間マージンを得る者がいてはならないと考えます。
 業者間の公平性、平等性を確保するためには、使用許可を得ていないにもかかわらず、勝手に駐車してはならないこと、これらを徹底する必要があると考えます。
 これは、仲卸などの業者の適切な経営を維持するための低廉な駐車料金を定めているものと考えますが、その趣旨について伺います。
 また、先ほどの答弁で、その車両置場の管理に必要な実費とは、具体的にどのような実費が生じているのか、そして、条例で定めた金額以上の請求額を正当化する利用条件とは何か、具体的に伺います。

○早川中央卸売市場長 議員お尋ねのその趣旨ということでございますけれども、車両置場使用料は、市場施設の使用料として中央卸売市場条例で定めており、その金額は、施設建設費や維持管理費を基本として算定しております。
 また、実費が発生しているかどうかということでございますけれども、車両置場の使用許可を受けた団体から、車両置場の経費として、警備委託、清掃委託に要する経費や営繕費、光熱水費等を負担しているとの報告を受けております。
 そして、利用条件とは何か、具体的にはということでございますけれども、車両置場の使用許可を受けた団体からは、車両置場の経費として、警備委託、清掃委託に要する経費や営繕費、光熱水費等実費に相当する費用を負担しているとの報告を受けておりまして、また、使用許可を受けた団体からは、利用料金や管理規程等、利用条件の新設や変更があった場合などにも、報告を受けております。

○もり委員 条例で定めたのは、明らかにそういった必要な経費といっても、逸脱をしていると思いますので、しっかりと公平性が守られるような管理となっていただきたいと強く要望いたします。
 また、豊洲市場は、地震の際の液状化リスクが高い土地です。
 先ほどの、各分科会の質疑において、全街区平均でA.P.プラス一・六六メートルという認識だったんですけれども、豊洲市場の敷地においては、技術会議の指摘を受け、多額の費用をかけて液状化対策を行ったにもかかわらず、日常的に維持する水位をA.P.プラス一・八メートルとする目標の達成を怠って、地震の際に液状化をして被害が生じたときは、都の過失による人災であると考えますが、都の見解を伺います。

○早川中央卸売市場長 都は、近年増加傾向にございますゲリラ豪雨などの大雨の影響も考慮し、令和四年度末に、七街区の一部におきまして、有孔管を設置し、地下水位の上昇抑制を図るとともに、五街区、七街区におきまして、貯留槽の増設に着手するなど、地下水管理システムの適切な運用に取り組んでおります。

○もり委員 その結果として、日常的に維持する水位をA.P.プラス一・八メートルは守られているのか、いつになったら守られるのかを最後に伺います。

○平委員長 ベルが鳴った後だというふうに認識をいたしました。
 もり委員の発言は終わりました。
 以上で本日予定いたした質疑は全て終了をいたします。
 お諮りいたします。
 令和四年度東京都公営企業各会計決算の認定についてに対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○平委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月二十二日の十二時四十五分から理事会を、また、十三時から委員会を第四委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時八分散会


令和4年度公営企業会計決算特別委員会 第1分科会審査報告書

 第1分科会で行われた令和4年度東京都公営企業各会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
令和5年11月2日
令和4年度公営企業会計決算特別委員会
第1分科会委員長 柴崎幹男

令和4年度公営企業会計決算特別委員長
平けいしょう殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
・本分科会は、令和5年9月27日に設置され、次の案件を審査した。
 令和4年度東京都公営企業各会計決算中、中央卸売市場、港湾局、交通局所管分

・本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
 10月16日(説明聴取・資料要求) 交通局、中央卸売市場、港湾局
 10月23日(質疑) 交通局
 10月25日(質疑) 中央卸売市場
 10月27日(質疑) 港湾局

2 本分科会における質疑の概要
(1)令和4年度東京都中央卸売市場会計決算(中央卸売市場所管分)
 〔1〕 決算の概要について
 〔2〕 市場における取扱数量及び取扱金額の分析について
 〔3〕 強固で弾力的な財務基盤の確保について
  ア 経営改善の取組及び経営健全化の見通しについて
  イ 業界団体との協議状況について
  ウ 市場施設の利用状況及び未利用エリアの有効活用について
 〔4〕 市場の有償所管換で得た資金による企業債の償還について
 〔5〕 東京都中央卸売市場経営計画の推進について
  ア 5年間の計画期間における取組方針と目的について
  イ 風水害等影響調査の内容と結果について
  ウ 市場取引の活性化に向けた取組及びDXの推進について
  エ キャッシュレス化に向けた取組について
  オ 財政収支計画と実績との比較評価について
  カ 取組の成果と目標達成の見通しについて
 〔6〕 市場施設の整備について
  ア 計画的な維持更新及び機能の強化について
  イ 維持更新に要する財政的負担及び財源の確保について
  ウ 今後の各市場の整備計画について
  エ 市場施設の劣化度調査の結果を踏まえた老朽化対策と維持補修について
  オ 大規模市場以外の市場における市場業者の要望を踏まえた老朽化対策について
  カ 衛生面を考慮した老朽化対策について
  キ 地域や環境に配慮した施設整備について
 〔7〕 旧築地市場の解体工事について
  ア 工事の進捗状況及び都民に対する情報提供について
  イ アスベスト除去の取組状況及び第三者の意見の聴取について
 〔8〕 市場業者に対する支援について
  ア 市場業者に対する支援の具体的内容について
  イ 専門家を活用した支援の実績について
  ウ 中央卸売市場経営強靭(じん)化推進事業の取組内容と実績及び今後の実施に向けた課題について
  エ 水産仲卸業者の赤字業者数の割合について
 〔9〕 被災地支援について
  ア 支援の取組状況と被災地産品の市場における取扱実績について
  イ 風評被害を払拭するための取組について
 〔10〕 市場のゼロエミッション化について
  ア 調達電力の再生可能エネルギー化の状況及び目標達成に向けた取組につい  て
  イ 各市場の照明器具のLED化について
  ウ 省エネ型グリーン冷媒機器補助事業の実績について
  エ 環境負荷低減に向けた取組について
 〔11〕 市場内における事故について
  ア 事故の件数と内訳について
  イ 事故の具体的内容と記録について
  ウ 重大事故の警察への届出について
 〔12〕 豊洲市場について
  ア 目標取扱量と実績及び目標取扱量達成のための取組について
  イ 市場移転後の取組の検証について
  ウ 衛生管理の向上に向けた取組について
  エ 車両置場の使用料について
  オ 駐車禁止の場所及び売場スペースの遵守の徹底について
 〔13〕 豊洲市場の地下水管理システムについて
  ア 目標管理水位の状況及び水位維持のための取組について
  イ 維持管理費の予算額と決算額及び用途について
  ウ 維持管理費の一般会計からの支出について
 〔14〕 豊洲市場の地下ピット内における追加対策の点検及び補修工事について
 〔15〕 大田市場について
  ア 花きの取引状況について
  イ 施設整備の状況について
  ウ フードロス対策について
  エ 市場業者への感染防止対策に係る支援及び経営支援の取組状況について
  オ 一般客の利用状況について

(2)令和4年度東京都臨海地域開発事業会計決算(港湾局所管分)
 〔1〕 決算の概要及び企業債の償還計画を含めた今後の見通しについて
 〔2〕 一般会計と臨海地域開発事業会計の区分けについて
 〔3〕 会計が統合された理由と経緯について
 〔4〕 Digital Innovation Cityの実現に向けた取組及び臨海副都心DX推進事業の狙いと実績について
 〔5〕 臨海副都心における自動運転プロジェクトについて
  ア 自動運転サービスの導入の意義及び取組状況について
  イ 都民の理解を深めるための取組及び検証結果を踏まえた今後の取組について
 〔6〕 臨海副都心のまちづくりについて
  ア アートによるまちづくりの意義と経緯及び取組状況について
  イ まちづくりのコンセプト及びにぎわいの創出に係る取組について
  ウ 大規模商業施設の跡地の活用について
  エ 住宅の創出に係る取組及び居住人口の推移について
 〔7〕 臨海副都心における開発調査の内容と結果について
 〔8〕 東京2020大会のレガシーを継承するための施設整備について
 〔9〕 海上公園の整備について
  ア 有明親水海浜公園の整備及び記念広場における東京2020大会のレガシーの継承について
  イ 有明親水海浜公園における官民連携施設事業について
  ウ 魅力向上に係る取組について
 〔10〕 橋りょうの耐震化の実施状況及び南海橋における取組について
 〔11〕 土地の処分について
  ア 処分地に整備される予定の施設及び都民・住民の意見の聴取について
  イ 土地の処分と長期貸付における考え方について
  ウ 土地の処分に先行して必要となる資金の調達方法について
  エ 未処分地の現状と管理及び活用方針について

(3)令和4年度東京都港湾事業会計決算(港湾局所管分)
 質疑なし

(4)令和4年度東京都交通事業会計決算(交通局所管分)
 〔1〕 決算の概要及び支出抑制の取組について
 〔2〕 予算額の積算に係る取組について
 〔3〕 経営努力について
  ア 新型コロナウイルスによる運賃収入の減少や燃料費・電気料金の高騰による影響及び取組について
  イ 事業の継続・発展に向けた経営努力について
  ウ 経常損益における赤字幅が縮小した要因及び経営改善について
  エ 累積欠損金の縮減について
 〔4〕 交通局浸水対策施設整備計画を策定した経緯について
 〔5〕 バス路線の維持について
  ア 運行費を負担している自治体と路線数及び負担金の総額について
  イ 自治体からの負担軽減等の要望への対応状況について
  ウ 減便による都民への影響について
 〔6〕 都営バス梅70系統について
  ア 運行費の地元自治体負担について
  イ 赤字額の推移及び運行本数について
  ウ 赤字路線における一般会計の負担について
 〔7〕 バス停留所上屋・ベンチの整備について
  ア 上屋とベンチの設置数について
  イ 民間事業者による広告付きバス停留所上屋の整備について
 〔8〕 燃料電池バスについて
  ア 導入拡大に向けた取組及び導入コストと課題について
  イ 水素ステーションの営業所内への整備について
 〔9〕 環境対策について
  ア 再生可能エネルギーの普及・拡大に向けた取組状況について
  イ 太陽光パネルの設置について
 〔10〕 水力発電による電気の更なる活用拡大について
 〔11〕 バス乗務員の確保について
  ア 職員数の推移と女性職員の割合について
  イ 養成型選考及びその他の乗務員確保の取組について
 〔12〕 視覚障害者のバス乗車に当たっての対応について
  ア 音声案内の重要性の認識及び現在の取組について
  イ シグナルエイド対応音声案内機設置に係る区への支援について
  ウ 音声案内機設置に当たっての課題及び他局との連携について
  エ 音声案内付きバス接近表示装置の設置基準について
  オ 停留所停車時の車外放送の徹底と音量の配慮について
 〔13〕 日暮里・舎人ライナーについて
  ア 脱輪事故を踏まえた対策及び費用について
  イ 令和5年2月に実施した時差Bizの実施状況について
  ウ 赤字縮小の要因について
 〔14〕 東京さくらトラム(都電荒川線)の黒字への転換の要因について
 〔15〕 第三者に呼び掛ける痴漢防止ポスターについて
 〔16〕 広告料収入確保のための取組及び広告における行政情報の発信について

(5)令和4年度東京都高速電車事業会計決算(交通局所管分)
 〔1〕 決算の概要及び支出抑制の取組について
 〔2〕 予算額の積算に係る取組について
 〔3〕 経営努力について
  ア 新型コロナウイルスによる運賃収入の減少や燃料費・電気料金の高騰による影響及び取組について
  イ 事業の継続・発展に向けた経営努力について
 〔4〕 高速電車事業について
  ア 決算の概要及び経営改善に向けた取組について
  イ 長期債務縮減に向けた取組について
  ウ 都営大江戸線の延伸に関する調査・検討状況について
  エ 定期・定期外の乗車人員の推移と今後の取組について
  オ 都営三田線の8両編成化による輸送力増強について
  カ 車両情報収集システムの活用とPRについて
  キ 地下鉄駅における障害者施設の物品販売状況について
 〔5〕 安全対策について
  ア 都営浅草線のホームドア整備の取組状況について
  イ 地下鉄構造物の長寿命化について
  ウ 地下鉄駅の緊急一時避難施設への指定について
 〔6〕 浸水対策について
  ア 交通局浸水対策施設整備計画を策定した経緯について
  イ 予算額と決算額について
  ウ 実績及び今後の取組方針について
 〔7〕 お客様サービスについて
  ア 地下鉄職員の接遇やサービス能力向上の取組について
  イ 地下鉄駅構内におけるサービス機器の設置について
  ウ ツーリストインフォメーションセンターの対応状況について
  エ 情報アクセシビリティの整備状況について
 〔8〕 携帯電話の通信環境の整備について
 〔9〕 バリアフリー対策について
  ア 地下鉄駅におけるエレベーターなどの整備状況について
  イ バリアフリールートの表示について
  ウ ヘルプマークの配布実績について
  エ 人にやさしい地下鉄車両の導入状況について
 〔10〕 子育て応援スペースについて
  ア 導入拡大に向けた取組及び利用者の反応について
  イ 普及や認知向上に関する取組について
 〔11〕 痴漢・盗撮対策について
  ア 女性専用車導入の意義と効果及び他社への乗り入れについて
  イ 都営大江戸線における痴漢・盗撮被害の通報件数について
  ウ 第三者に呼び掛ける痴漢防止ポスターについて
  エ 受験シーズンに向けた痴漢撲滅キャンペーンについて
  オ 盗撮被害に対する対策の強化について
 〔12〕 電力需給ひっ迫時に率先して行った取組について
 〔13〕 太陽光パネルの設置について
 〔14〕 一般財団法人東京都営交通協力会への駅業務委託について
  ア 偽装請負の疑いへの対応について
  イ 委託駅数、委託理由、駅の選別方法について
  ウ 駅長から駅員に指示する場合の意思伝達について
  エ 委託先職員の昇給、退職金、福利厚生等の待遇及び窓口での起立について
  オ 委託先職員を都職員として採用することについて
 〔15〕 カスタマーハラスメント対策について
 〔16〕 広告料収入確保のための取組及び広告における行政情報の発信について

(6)令和4年度東京都電気事業会計決算(交通局所管分)
 〔1〕 決算の概要及び支出抑制の取組について
 〔2〕 予算額の積算に係る取組について
 〔3〕 電気事業について
  ア 電力料収入が予算を下回った原因について
  イ 水力発電所の売電の契約形態と売電単価の設定の根拠について
  ウ 水力発電による電気の更なる活用拡大について
  エ 発電量向上の取組について
 〔4〕 環境対策について
  ア 再生可能エネルギーの普及・拡大に向けた取組状況について
  イ エネルギーの地産地消や水力発電事業のPRについて
 〔5〕 電力需給ひっ迫時に率先して行った取組について


令和4年度公営企業会計決算特別委員会 第2分科会審査報告書

 第2分科会で行われた令和4年度東京都公営企業各会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
令和5年11月2日
令和4年度公営企業会計決算特別委員会
第2分科会委員長 古城まさお

令和4年度公営企業会計決算特別委員長
平けいしょう殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
・本分科会は、令和5年9月27日に設置され、次の案件を審査した。
 令和4年度東京都公営企業各会計決算中、都市整備局、水道局、下水道局所管分

・本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
 10月16日(説明聴取・資料要求) 水道局、下水道局、都市整備局
 10月23日(質疑) 下水道局
 10月27日(質疑) 都市整備局、水道局

2 本分科会における質疑の概要
(1)令和4年度東京都都市再開発事業会計決算(都市整備局所管分)
 〔1〕 泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業について
  ア 事業の意義と目的及び実施状況について
  イ 再開発ビルの実施設計における浸水対策及び住戸の概要について
  ウ 埋蔵文化財の概要と調査及び権利者への説明について
  エ 特定建築者との契約の概要及び保留床の処分について

(2)令和4年度東京都水道事業会計決算(水道局所管分)
 〔1〕 財政運営について
  ア 決算の概況及び東京水道経営プラン2021とのかい離について
  イ 経営努力と今後の取組について
 〔2〕 水道管路の老朽化対策及び耐震化対策について
  ア 配水管の耐震継手化の概要と実績及び今後の取組について
  イ 重要施設への供給ルートの耐震継手化について
  ウ 取替優先地域の概要と域内の耐震継手管の取替実績について
  エ 取替困難管の解消の実績及び文京区内における数について
  オ 令和3年8月に発生した漏水と都市ガスの供給支障に係る調査について
  カ 古いダクタイル管等の漏水リスクの高い配水管の更新について
 〔3〕 スマートメータについて
  ア 設置の取組と実績及び効果確認について
  イ 通信状況の実績と更なる通信率の向上に向けた取組について
 〔4〕 東京都水道局アプリについて
  ア 導入した目的と搭載機能及び決算額について
  イ 開発時に留意した点とサービス開始後の改善について
  ウ PR・広報活動と登録者数の実績について
 〔5〕 水質について
  ア 安全性の確保に向けた水質管理の取組と情報発信について
  イ 安全でおいしい水への取組について
 〔6〕 多摩地区の水源井戸について
  ア 全配水量に占める揚水量の変遷について
  イ 停止状況と理由及び整備状況と今後の取組について
 〔7〕 有機フッ素化合物について
  ア 取水停止中の水源井戸の概要及び暫定目標値を超えている稼働中の水源井戸の数と地域住民の声について
  イ 人体に与える影響及び水道水を安全とする根拠について
  ウ 令和元年度における水源井戸の停止の判断基準と目安の値について
 〔8〕 水道水源林について
  ア 保全作業の取組状況及び鹿による被害の抑制について
  イ 重点購入地域における民有林の購入について
  ウ 多摩川水源森林隊の活動状況について
 〔9〕 東京水道株式会社への業務移転について
  ア 意義と効率化の内容及び実績について
  イ 性能発注方式による包括委託について
  ウ 局直営事業において経費削減等を行った場合の確保財源の活用について
  エ 局内における技術やノウハウの継承について
  オ 法人税と株主配当の推移について
 〔10〕 水道料金の徴収事務について
  ア 未納の状況と未納を解消するための取組について
  イ 悪質な事例に対する対応及び催告と給水停止の効果について
  ウ 給水停止と未納カードの件数及び給水停止までのサイクルについて
  エ 支払猶予の概要及び福祉部門への情報提供について
  オ 郵送による催告への変更の影響と人員の増員及び地方公営企業法の目的について
 〔11〕 水道料金の減免について
  ア 減免対象の決定権者及び低所得者への減免範囲の拡大について
  イ 社会福祉施設に係る減免の概要及び対象について
  ウ 議会の決議による減免の継続及び消費税増税時の減免について
 〔12〕 CO2の排出削減について
  ア 実績と課題及びペロブスカイト太陽電池の活用について
  イ 東京都水道局環境5か年計画と次期計画の目標設定について
 〔13〕 王子給水所(仮称)の整備について
  ア 配水池築造工事の実績と今後の見通しについて
  イ 工事中の安全確保及び周辺住民への安全対策と環境配慮について
  ウ 配水池の上部利用について
 〔14〕 武蔵野市との水道事業の統合について
  ア 武蔵野市が未統合の理由及び都からの水道水供給の概要について
  イ 統合に関する基本的な考え方及び統合に係る動向と取組について
  ウ 武蔵野市と都の水道料金の違いについて

(3)令和4年度東京都工業用水道事業会計決算(水道局所管分)
 〔1〕 工業用水道の廃止について
  ア 資産の有効活用の状況と処分による廃止経費の圧縮への寄与について
  イ 工業用水道管の撤去等によるコスト圧縮の考え方について
  ウ 特別損失の概要及び料金差額補填の意義と金額について

(4)令和4年度東京都下水道事業会計決算(下水道局所管分)
 〔1〕 財政運営について
  ア 区部下水道事業の財政収支及び経営計画2021における企業努力とその実績について
  イ 雑収入の概要について
 〔2〕 浸水対策について
  ア 区部における対策の概要及び重点地区の選定の考え方と進捗状況について
  イ 下水道浸水対策計画2022を策定した経緯について
  ウ 工期の延期等の不都合が生じた場合の地域住民への対応について
  エ ソフト対策の取組及び雨水ポンプの運転支援の検討状況について
  オ 東京アメッシュの活用方法とアクセス数について
  カ 浸水対策施設の整備効果について
  キ 北区及び世田谷区における対策状況について
 〔3〕 震災対策について
  ア 下水道管の耐震化の概要と実績及び今後の取組について
  イ 水再生センターやポンプ所の耐震化の概要と実績について
  ウ マンホール内部への土砂流入防止対策について
  エ マンホールの浮上抑制対策について
  オ 耐震化した施設に係る区との情報共有について
  カ 被害想定を踏まえた耐震化の取組について
 〔4〕 雨天時浸入水対策について
  ア 雨天時浸入水の発生要因と必要な対策及び八王子市の状況について
  イ 市町村への技術支援の概要と実績及び支援と連携について
  ウ 流域下水道幹線における老朽管の現状と再構築の進め方について
  エ 多摩地域の浸水対策の進め方について
  オ 流出解析シミュレーションの活用について
  カ 水再生センターにおける対策と河川への排水及び令和元年東日本台風の際の対応について
  キ 多摩地域における貯留施設の整備促進について
  ク 八王子水再生センターから多摩川への排水に係る都の対応について
 〔5〕 地球温暖化対策について
  ア これまでの取組と実績及びアースプラン2023におけるカーボンハーフに向けた目標と取組について
  イ 温室効果ガス排出量の削減実績及び新たな焼却炉の開発状況について
 〔6〕 電力ひっ迫への対応及び電力削減の実績について
 〔7〕 包括委託について
  ア 導入後の落合水再生センターと清瀬水再生センターの状況について
  イ 業務の評価及びモニタリングの概要と結果について
  ウ 委託前と委託後の業務の差異と経費及び委託契約の契約金額の積算根拠について
  エ コスト削減の確認と評価方法について
 〔8〕 東京都下水道サービス株式会社の繰越利益剰余金の活用策に係る検討状況について
 〔9〕 区部における枝線と幹線の再構築事業の概要及び実績について
 〔10〕 合流式下水道について
  ア 仕組みと改善に向けた取組及び進捗状況について
  イ 石神井川流域における改善及び北区における貯留施設の整備状況と浮間水再生センターにおける改善の進捗状況について
 〔11〕 技術開発の取組について
 〔12〕 千住関屋ポンプ所の建設工事と上部利用に係る住民への説明会等の実施状況及び周辺住民の要望への対応と今後の取組について
 〔13〕 土づくりの里の建設の進捗状況及び今後の住民への説明会等の予定と土づくりの里で改良を行っていた建設発生土の概要について
 〔14〕 医療施設と高齢世帯を対象にした下水道料金の減免の概要及び議会の決議について

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