令和四年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

令和五年十月二十七日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長柴崎 幹男君
副委員長関野たかなり君
副委員長尾崎あや子君
副委員長高倉 良生君
もり  愛君
関口健太郎君
たかく則男君
平田みつよし君
保坂まさひろ君
山加 朱美君
あぜ上三和子君

欠席委員 なし

出席説明員
港湾局局長松川 桂子君
技監片寄 光彦君
総務部長上林山 隆君
企画担当部長DX推進担当部長兼務石井  均君
調整担当部長千田  敏君
港湾経営部長野平雄一郎君
港湾振興担当部長三浦  知君
臨海開発部長松本 達也君
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務福永 太平君
臨海副都心まちづくり推進担当部長大野 克明君
港湾整備部長村田 拓也君
計画調整担当部長山本 康太君
港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務水飼 和典君
離島港湾部長佐藤 賢治君
島しょ・小笠原空港整備担当部長渡邊 正也君

本日の会議に付した事件
令和四年度東京都公営企業各会計決算の認定について
港湾局関係
・令和四年度東京都臨海地域開発事業会計決算(質疑)
・令和四年度東京都港湾事業会計決算(質疑)

○柴崎委員長 ただいまから令和四年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、港湾局長から、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員の紹介があります。

○松川港湾局長 過日の分科会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介させていただきます。
 臨海開発部長の松本達也でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○柴崎委員長 紹介は終わりました。

○柴崎委員長 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都臨海地域開発事業会計決算及び令和四年度東京都港湾事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○上林山総務部長 去る十月十六日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和四年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきますと、目次に七件の資料の件名を記載してございます。
 まず、一ページをご覧ください。臨海地域開発事業会計における土地処分の状況でございます。
 令和四年度の土地処分の状況につきまして、臨海副都心地域とその他の埋立地に区分し、それぞれ場所、面積、金額を記載しております。
 なお、単位につきましては、面積は平方メートル、金額は百万円で記載してございます。
 続いて、二ページをご覧ください。臨海地域開発事業会計における公共用途での土地処分実績でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの五年間における土地処分の実績につきまして、それぞれ用途、面積、金額を記載しております。
 単位については、面積は平方メートル、金額は百万円で記載してございます。
 続いて、三ページをご覧ください。臨海地域開発事業会計における資金運用益の推移でございます。
 預金運用益につきまして、平成三十年度から令和四年度までの五年間における実績及び期末残高を百万円単位で記載してございます。
 次に、四ページをご覧ください。臨海副都心地域の土地処分実績でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの五年間における土地処分の実績につきまして、各年度の面積、金額及び実績の内訳を記載しております。
 単位につきましては、面積は平方メートル、金額は百万円で記載してございます。
 続いて、五ページをご覧ください。臨海副都心地域を除く埋立地の土地処分実績でございます。
 こちらも、前のページと同様に、平成三十年度から令和四年度までの五年間における土地処分の実績について、各年度の面積、金額及び実績の内訳を記載しております。
 単位については、面積は平方メートル、金額は百万円で記載してございます。
 続いて、六ページをご覧ください。臨海関係第三セクターのビル入居率の推移でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの各年度末におけるビルごとの入居率をパーセントで記載してございます。
 次に、七ページをご覧ください。臨海副都心用地の長期貸付等に係る賃貸料収入の推移でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの五年間における賃貸料収入につきまして、それぞれ長期貸付等及び暫定利用を記載しております。
 単位については、百万円で記載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○柴崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○関野委員 臨海副都心におけるデジタルイノベーションシティの実現に向けた取組について、まずはお伺いをいたします。
 都は、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民のQOLを向上させるスマート東京の実現を目指しています。臨海副都心は、このスマート東京の先行実施のエリアの一つに指定されていることから、デジタルテクノロジーの実装とスタートアップの集積を目指したデジタルイノベーションシティを掲げ、先端技術を活用した魅力的なまちづくりを進めているところであります。
 臨海副都心はこれまでも、5G基地の設置などデジタルインフラの整備を推進するとともに、先端技術を活用した様々な取組を行っていると聞いておりますが、デジタルイノベーションシティの実装に向け、令和四年度はどのような取組を行ったのか、この件についてお伺いをいたします。

○松本臨海開発部長 デジタルイノベーションシティの実現に向けた昨年度の取組でございますが、デジタルテクノロジーの活用によるまちの課題解決と先端技術の実装を目指し、二件の実証を行っております。
 一つ目は、臨海副都心エリア内のまち歩きを気軽に楽しめるよう、年齢や障害の有無を問わず、誰もが安心して移動できる小型モビリティーの走行実証を行いました。具体的には、ベンチ型の小型モビリティーや、視覚障害者の方を目的地へ誘導するスーツケース型ロボットを体験できるイベントを実施いたしました。
 二つ目は、アフターコロナにおけるにぎわい創出を目指す取組といたしまして、最新のデジタルテクノロジーを活用した新たなエンターテインメントを創出する実証を行いました。具体的には、5G技術を活用し、さいたまスーパーアリーナで行われている東京ガールズコレクションのライブ映像を、臨海副都心内の会場に設置した最先端のスクリーンにリアルタイムで投影することで、これまでにない高い臨場感を体感することができるライブビューイングを実施いたしました。

○関野委員 ありがとうございます。新たな技術開発への支援だけでなく、まちの課題解決や、新たなエンターテインメントの可能性を生み出すものであり、どちらも非常にユニークな取組であるかなというふうに思っております。
 まだ実用化に至らないものの、発展の可能性のある先端技術をこのエリアで実証していくということは、まちの魅力向上にもつながるものであり、継続した取組を期待したいというふうに思っておりますが、今後どのような取組を実施していくのか、この件についてお伺いをいたします。

○松本臨海開発部長 臨海副都心におきましては、これまで新型コロナウイルス感染症の感染拡大により中止を余儀なくされてきた大規模イベントや展示会の多くが再開しつつあるとともに、今後、新たな施設が複数開業する予定でございます。このため、インバウンドの回復とも相まって、来訪者数は、早期にコロナ禍以前のレベルまで回復する見込みでございます。
 こうした機を的確に捉えつつ、新たなデジタルテクノロジーを活用した取組をさらに進めてまいります。具体的には、青海地区に開業する国内最大級のEVカートサーキットにおきまして、バーチャル空間と現実世界を融合させたレースの実証を行っていく予定でございます。これによりまして、世界中の誰とでもレースが楽しめる新たな体験を生み出すなど、まちの強みであるエンターテインメント分野をさらに強化してまいります。
 また、まちとしての防災対応力をデジタル技術を活用して高める取組を進めているところでございまして、今後、様々な先端技術を活用することで、まちのさらなる魅力向上につなげてまいります。

○関野委員 今後も、臨海副都心において様々な先端技術を活用した取組を進めていくことが確認をできました。特に、新たに開業するEVカートサーキットは、訪日外国人を呼び込む施設ともなり、まちのにぎわい創出にとっても大変有意義な取組であるというふうに、大いに期待をしたいと思っております。
 一方、臨海副都心は、商業施設やエンタメ施設、オフィスビル、研究機関等が集積しているところから、デジタルイノベーションシティを実現していくためには、新たに、民間事業者がデジタル技術を導入する取組、コンテンツに対して支援することも重要であるというふうに考えております。
 都では、昨年から、その支援策として東京都臨海副都心DX推進事業を実施しているとのことでありますが、この事業の狙いについてお伺いをいたします。

○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 デジタルイノベーションシティの実現を推進するためには、様々な先端技術の活用に向けた実証の取組に加えて、民間事業者の新たな投資を引き出す仕組みづくりも重要でございます。
 このため、都は、令和四年度から、デジタルテクノロジーの実装やスタートアップの集積に資する民間事業者の取組を支援することといたしました。具体的には、臨海副都心の施設内に設置するAIカメラやセンサーといったデジタル基盤の構築や、デジタルアート等、デジタル技術を活用したにぎわいの創出に関する機器の整備、さらに、スタートアップ企業が臨海副都心内のオフィスに新たに入居する際のオフィス整備等を対象に、一件当たり五千万円を上限とし、対象経費の二分の一まで補助することといたしました。
 こうした経費を補助することで、エリア全体におけるデジタルイノベーションシティの取組を積極的に後押ししてまいります。

○関野委員 臨海副都心において、デジタルテクノロジーの実装とスタートアップの集積を実現し、新たなにぎわいの創出につなげていくことは、まちの経済活動の活性化、ブランド力の向上に資する、非常に重要な取組であるというふうにも考えております。
 このため、こうした補助制度は、民間事業者に積極的に活用していただきたいというふうに思っておりますが、令和四年度に実施した東京都臨海副都心DX推進事業、これの実績と効果についてお伺いをいたします。

○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 昨年度は、二件の取組に対して補助を実施いたしました。
 一件目は、株式会社NTTドコモがエンジニアのためのコラボレーションスペースとして台場地区にオープンしたdocomo R&D OPEN LAB ODAIBAの整備に係る費用に対して補助を行いました。
 二件目は、デジタルとリアルを融合させた次世代型テーマパーク事業を手がけるスタートアップ企業である株式会社リトプラが台場地区へオフィスを移転させるに当たって行った環境整備の費用に対して補助を行いました。
 東京都臨海副都心DX推進事業を通じて、最先端技術を装備した人と技術の交流拠点であるオープンラボや、デジタル技術を活用した事業を展開するスタートアップ企業を誘致できたことは、臨海副都心に多くの技術者が集うきっかけとなり、技術革新や新たなにぎわいの創出につながっていくものと認識しております。

○関野委員 ありがとうございます。臨海副都心DX推進事業の創設が、着実に民間事業者の新たな投資を引き出したということは確認をできました。また、技術者が集うオープンラボや、可能性にあふれるスタートアップ企業を誘致できたことは、デジタルイノベーションシティの実現と臨海副都心のさらなる発展に大いに寄与するものとも考えられます。今後も、民間事業者に対し必要な支援を行いながら、まちづくりを進めていただきたいというふうに考えています。
 臨海副都心は、新たな技術を取り入れる、まちの器があると私は思っております。他のエリアでは実証が難しい技術も、臨海副都心が持つ研究機関や大規模商業施設、エンタメ施設が集積しているという強み、そして広々としたスペースが存在しているという強みを生かし、実証が可能なものもあるのではないかというふうに考えています。
 今後も、様々に生み出されるデジタルテクノロジーを活用し、まちの課題解決や、まちの持つポテンシャルを一層引き出していく取組を引き続き積極的に進めていただくことを強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。

○平田委員 よろしくお願いいたします。臨海地域開発事業会計についてお伺いいたします。
 臨海副都心が主な競技会場エリアの一つとなった東京二〇二〇大会は、コロナ禍の影響により、史上初の延期、無観客という困難な状況の中で開催されましたけれども、世界に勇気と感動を届けるとともに、ソフト面、ハード面の多岐にわたって大きなレガシーを残すことができたと考えております。
 我が党は、今後の臨海副都心の開発に当たって、東京二〇二〇大会開催を通じて得られた数々のレガシーを生かし、さらに快適でにぎわい豊かな魅力あるまちづくりを進めるよう主張してまいりました。
 大会開催の次年度となる令和四年度は、大会レガシーを生かしながら、臨海地域が持つポテンシャルを一層引き出す取組を進めていく、その初年度となる重要な年であったと考えます。
 そこでまず、東京二〇二〇大会のレガシーを継承するため、令和四年度に臨海地域開発事業会計においてどのような整備事業を実施したのか、お伺いします。

○松本臨海開発部長 都は、東京二〇二〇大会の開催を契機として、オリンピック・パラリンピックのレガシーを都市のレガシーとして発展させ、都民の豊かな生活につなげる取組を進めております。
 大会期間中、多くの競技が実施された有明北地区では、大会開催を記念する公園として有明親水海浜公園の整備を進めており、令和四年八月には、有明アリーナの開業に合わせ、その周辺部を先行して開園したところでございます。
 また、大会期間中、聖火をともし続けた有明聖火台につきましては、大会一周年を記念して、シンボルプロムナード公園内の石と光の広場へ再設置し、常設展示を行っております。
 さらに、晴海地区におきまして、新たに晴海緑道公園を整備し、選手村のビレッジプラザで使用した木材を再利用したベンチを設置するなど、各エリアにおいて大会レガシーを継承する取組を実施しております。

○平田委員 有明アリーナや有明体操競技場、有明テニスの森など競技会場や聖火台といった大会施設が集積した有明地区を中心として、レガシーを生かした整備が着実に行われているなと、改めて認識させていただきました。お話にあった有明親水海浜公園につきましては、ぜひ早期の全面開業を要望するところであります。今後も大会レガシーを生かしたまちづくりを進め、次世代へ継承していく取組を続けていただくようお願いいたします。
 さて、コロナ感染症が五類へ移行し、臨海副都心も国内外からの来訪者数が回復していると聞いております。
 臨海副都心においては、民間事業者によって、集客が期待できる新たな施設整備が進んでいます。先ほどちょっとお話がありましたけれども、青海のパレットタウン跡地には、国内最大級のEVカートサーキット施設のオープンが間近に迫っています。また、来年には、没入体験による次世代型のエンターテインメントとして世界的に注目されているイマーシブテーマパークが開業すると聞いております。いずれも臨海副都心の新たな集客施設として大いに期待されるところであります。
 魅力ある臨海副都心のまちづくりを進めるためには、東京二〇二〇大会のレガシーをまちのにぎわいとして活用するとともに、民間開発との相乗効果を創出していくことも重要です。
 また、こうしたまちづくりを進めていくためには、確固たる財源が必要であります。
 埋立地の造成、整備及び開発を行う臨海地域開発事業においては、土地処分を着実に進めること、また、安定した収入を確保することが重要であり、会計上、それを端的に示すのが営業収益であります。
 そこで、臨海地域開発事業会計の令和四年度決算における営業収益の詳細についてお示しいただきたいと思います。

○松本臨海開発部長 臨海地域開発事業会計の令和四年度決算では、営業収益として約三百六十六億円を計上しております。これは、前年度対比では減少しているものの、過去五年間の平均営業収益を上回っております。
 営業収益の主な内容でございますが、臨海副都心の有明南地区にある都有地を、公募により選定したテレビ朝日に対し、約百五億円で売却しております。また、新たに都有地を長期に貸し付け、その権利金として約百五十億円を計上したほか、従前からの長期貸付等に伴う安定的な収益として約百八億円を計上しております。賃貸料収益につきましては、過去五年間、ほぼ同水準で推移しております。

○平田委員 高い水準で土地売却収入を計上するとともに、土地の長期貸付による安定的な財源を確保しているとのお話でした。その結果、令和四年度決算では約百四十三億円の純利益を計上しており、このことは高く評価したいと思います。
 一方で、臨海地域開発事業会計は、過去に臨海副都心等の基盤整備のために発行した企業債の償還に備える必要があります。
 我が党は、これまでも臨海地域開発事業会計の財政状況を注視してきたところですが、改めて、企業債の償還計画を含めた臨海地域開発事業会計の今後の見通しについてお伺いします。

○松本臨海開発部長 令和四年度末現在、臨海地域開発事業会計の企業債残高は約九百七十五億円でございます。一方、内部留保金として約二千三百八十五億円を有しており、令和六年度には、計画どおり全額を償還できる見込みでございます。
 今後とも、社会経済の動向等を踏まえた適切な土地処分と長期貸付等による安定的な収入確保を図ることにより、大会レガシーの活用や既存施設の改修に伴う資金需要等に適切に対応し、健全な財政運営に努めてまいります。

○平田委員 令和六年度に予定される企業債の全額償還に向けて、十分な資金を有しているということであります。
 臨海副都心の来訪者が回復している今こそ、臨海地域が有する魅力や強みを一層引き出す取組が重要と考えます。都におかれましては、健全かつ持続可能な財政運営の下に、大会レガシーの活用、新たなにぎわいの創出に積極的に取り組んでいただき、魅力あるまちづくりを進めていただくようお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 次に、臨海副都心エリアにおける自動運転の取組についてお伺いします。
 自動運転については、今年四月に道路交通法が改正され、我が国においても、ようやく完全自動運転導入に向けた法制度が整いました。これを踏まえて、全国で取組が本格化しております。福井県の永平寺エリアでは、自動運転専用の走行レーンを用いたものではありますが、無人の自動運転走行、いわゆるレベルフォーによる自動運転走行が五月に開始されております。
 東京都でも、都市整備局の取組ですが、西新宿エリア、また、島しょ部でも、今月十四日から今日二十七日までだと思いますけれども、八丈島でレベルツーの自動運転バスの実証実験が行われております。我が会派としても、この八丈島の実証実験の視察も行ってきたところであります。
 都は、「未来の東京」戦略において、二〇二五年の無人自動運転による移動サービスの実現を政策目標として掲げています。港湾局におかれましては、スマート東京先行実施エリアの一つである臨海副都心で、令和三年度から自動運転技術を活用したサービスの導入に向けた取組を始めていただいております。
 そこで、改めて、臨海副都心エリアにおいて自動運転サービスの導入を目指す意義をお伺いします。

○福永開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 臨海副都心は、台場や青海、有明地区の各エリアにおきまして、商業施設やエンタメ施設、オフィスビル等が集積している一方、四百四十二ヘクタールという広大な敷地を有し、一つ一つの区画面積も大きいことから、エリア間及びエリア内の回遊性の向上に課題が生じております。
 こうした課題解決に資する取組といたしまして、急速に技術開発が進む自動運転技術を臨海副都心へ導入することにより、回遊性の向上を目指しますとともに、自動運転サービスを観光資源の一つとすることで、より多くの来訪者を誘引し、まちのにぎわい創出にもつなげてまいります。

○平田委員 二つの意義についてご答弁いただきました。臨海副都心という広大なエリアにおける、よりスムーズな移動、そして、にぎわい空間の創出ということであります。この二つの目的を果たすために、引き続き、自動運転サービス導入に向けた取組を進めていただきたいと思います。
 一方で、八丈島のレベルツーの自動運転に乗車した際も感じたことですけれども、自動運転サービスの本格的導入には、車両のさらなる技術開発など、課題もあると認識しております。
 早期導入には、何よりもこの実証を積み重ねていくことが重要だと思いますけれども、実証二年目となった昨年度は、どのような取組を実施したのか、教えていただきたいと思います。

○福永開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 令和四年度は、自動運転サービスの早期実装を目指しまして、公園内に加え、初めて公道においても自動運転走行の検証を実施いたしました。
 公園内におきましては、令和三年度と同様、車内に運転補助者が同乗する、いわゆるレベル二で実施することに加えまして、人と車両を分離するフェンスを設置せずに車両を走行させ、さらに、走行ルートにつきましても、大幅に延長いたしました。
 また、公道での自動運転におきましては、同じくレベルツーで、台場地区と青海地区を周回させるルートでの走行を行い、公道における安全性の検証を行うなど、走行実績を積み重ねてまいりました。

○平田委員 ありがとうございます。
 八丈島においても、例えば、路肩に路上駐車車両があって、一方に、反対車線に対向車が来てしまったというような場合の対応ですとか、また、乗っているお客さんに対するブレーキのかけ方というんですかね、優しいブレーキのかけ方というか、幾つか課題も感じたところでございます。しかしながら、自動運転サービスの早期実装に向けて、取組が着実に進んでいることを改めて認識いたしました。
 ところで、自動運転の実装を進めていくには、社会的受容性の向上、つまり、都民の皆様の自動運転技術に対する、とりわけ安全面でのご理解を深めていくことが重要と考えます。
 そこで、自動運転に対する都民の安全面での理解を深めるため、どのような取組を行っているのか、伺います。

○福永開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 自動運転に対する都民の安全面での理解を深めていただくため、昨年度は、自動運転走行を体験型イベントとして実施し、初めて一般の方にも試乗していただきました。
 乗車アンケートの結果、公園内での走行は危険を感じなかった、また利用したいとの回答が大半を占めました。また、公道での走行につきましては、不安を感じるとの回答が、乗車前の五八%から、乗車後には一五%に減少したことなどから、自動運転走行に対する安心感の向上を図ることができたと考えております。
 引き続き、都民に自動運転走行を体験していただき、安全面での理解向上に努めてまいります。

○平田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 自動運転の実装には、何よりも都民の皆様の自動運転技術に対する理解を深めていくことが不可欠であります。引き続き、体験型のイベントなどを通じて積極的なPRに努めていただくことを要望いたします。
 臨海副都心エリアでは、公園、公道で自動運転の実証を着実に重ねてきたということが確認できました。
 昨今、令和八年、今から三年後をめどに、日米の自動車会社が共同し、我が国において自動運転タクシーサービスを開始する旨の報道があったところです。技術開発は、急速に進化、本格化しております。いよいよ我が国においても、完全自動運転の導入を目指した取組が加速していると考えます。
 そこで、臨海副都心において、これまでの検証結果を踏まえて、今後どのように取組を進めていくのか、お伺いします。

○福永開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 自動運転走行を実装に近づけていくため、まず公園内におきまして、これまでルート上に配置していた誘導員を置かずに走行させます。それとともに、実施時期を人出の多い夏場に変更するなど、より高度な安全性が求められる環境下での実証を行ってまいります。
 また、公道におきまして、臨海副都心エリア内の各拠点を周回するコースに加え、新たに臨海副都心から中央防波堤をつなぐルートを追加し、引き続き安全性の検証を進めてまいります。
 さらに、自動運転走行に対するニーズをより詳細に調査するため、バスタイプの車両に加えまして、新たにタクシータイプの車両による走行実証も行います。
 今後は、さらなる回遊性の向上やにぎわいの創出を目指しまして、交通管理者や国などの関係機関、実施事業者との調整を重ねますとともに、実証を通じ、地域や社会の理解を深めていくなど、取組を加速させてまいります。

○平田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 私、昨日、ビッグサイトで開催中のジャパンモビリティショーに行ってきました。関口委員もいらっしゃっていましたけれども。先ほど申しました自動運転タクシーのオリジナルモデル、運転席がないクルーズオリジンという車が大変注目を浴びておりました。
 我が国では、公共交通機関や物流業界におけるドライバー不足、ドライバーの労働時間に上限が課される、いわゆる二〇二四年問題などの社会課題の解決策の一つとしても、完全自動運転導入に向けた取組は極めて重要であります。これらの課題解決を図るとともに、臨海副都心の回遊性向上、にぎわい創出を目指して実証を積み重ねていくことで、自動運転の実装を早期に実現されることを期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○たかく委員 それでは、私の方からは臨海地域開発事業会計について質問させていただきます。
 まず、決算の状況についてですが、臨海地域開発事業会計では、東京港の港湾区域とその周辺において、埋立地の造成や都市基盤の整備等を行っており、いわば、まちづくりの基礎となる事業を担っていると認識しております。臨海部を魅力あるまちとしていくためには、事業を着実に進めていくことが重要と考えます。
 まちの基盤整備等の決算状況を示す埋立事業費を見ると、約百二十六億円の予算に対して、約七十二億円の決算額となっております。翌年度繰越額を除くと、不用額が約五十三億円、執行率は五七・三%にとどまっております。
 そこで、埋立事業費について不用額が発生した理由についてお伺いいたします。

○松本臨海開発部長 埋立事業費において不用額が生じた理由でございますが、主な内容としては、区画整理事業等、他の実施主体が行う工事等に対し負担する費用、約十一億円が不用となりました。これは、実施主体との調整により工期の変更などが行われ、昨年度の支払い額が当初予定した額の一部にとどまったことによるものでございます。
 また、地中障害物撤去に伴う補償費につきまして、約八億円が不用となりました。これは、都が売却した埋立地におきまして土地所有者が建設工事を実施する際に、工事の障害となる地下埋設物が見つかった場合の撤去費用等を補償するものでございますが、工期の変更などにより、土地所有者からの請求が今年度に変更されたものでございます。
 加えまして、契約に係る落札差金として約七億円が生じたほか、地元との調整に時間を要したため、工期の見直しを行ったことなどによりまして、不用額が発生いたしました。
 昨年度の不用額につきましては、主として、既に事業に着手しているものの、工期の見直しなどにより今年度の支出に変更になったものでございまして、全体の事業進捗に大きな影響を与えるものではございません。
 引き続き、臨海地域開発事業の着実な実施に努めてまいります。

○たかく委員 今の答弁ですと、様々な要因により不用額が生じたものの、事業は着実に実施されているということで理解しました。まちづくりは、多くの関係者との調整、合意が必要であるなど、困難も伴います。今後も引き続き、着実に事業が実施されることを要望して、次の質問に移ります。
 次は、海上公園の整備について伺います。
 今年の夏は記録的な暑さが続き、気象庁によると、都心では、明治八年に記録を取り始めてから、最高気温が三十五度を超える猛暑日が最も多い夏になったとの報道もありました。こうした酷暑では、海上公園は、これまで以上に自然や涼しさを感じられる海辺の貴重な空間となり、都民が海と触れ合いながら憩い、安らげる大切な場となります。
 また、海上公園は、海上レクリエーションを楽しめる場としても親しまれており、今後も積極的な整備を進めていくべきと考えます。
 昨年度、晴海地区においては、選手村跡地に晴海ふ頭公園が再開園したほか、新たに晴海緑道公園もオープン、また、有明地区においても、昨年八月、有明アリーナの開業に合わせて有明親水海浜公園の一部が開園しました。有明親水海浜公園については、引き続き整備を進めていると聞いております。
 まず、有明親水海浜公園の令和四年度の整備内容について伺います。

○松本臨海開発部長 有明親水海浜公園は、東京二〇二〇大会のレガシーを継承する公園といたしまして、令和三年度に公園の計画面積を拡張し、その区域は、水域と合わせて約三十九・六ヘクタールに及ぶ公園でございます。
 令和四年度は、東雲運河沿いに親水性の高い園路の整備を進め、昨年八月の有明アリーナの開業に合わせて、その周辺約一・九ヘクタールを開園いたしました。
 また、開園区域に続く東雲運河沿いの園路等の施設整備を進めるとともに、有明アリーナと「ゆりかもめ」の有明テニスの森駅との間に広がる陸域約三ヘクタールを記念広場エリアと位置づけ、設計等を実施いたしました。
 今後、この記念広場や親水デッキ等の整備を進め、整備が完了したエリアから段階的に開園してまいります。

○たかく委員 東京二〇二〇大会のレガシーとしてオリンピック・パラリンピックパークと位置づけられたのは、武蔵野の森エリアとこの有明北地区の二か所だけであり、大会レガシーが認識できる施設整備を進めてほしいと思いますが、先ほどの答弁では、「ゆりかもめ」の駅と有明アリーナの間に広がる空間を記念広場としていくとのことでありました。記念広場というからには、東京二〇二〇大会の競技会場が集積していたエリアであることを具体的に伝えていく工夫が必要だと思います。
 そこで、有明親水海浜公園の記念広場について、大会レガシーを伝えるため、どのような工夫を行うのか、伺います。

○松本臨海開発部長 有明親水海浜公園の中央に位置する記念広場は、有明アリーナや整備が進むアーバンスポーツパークを来訪する人たちが気軽に立ち寄り、憩える場になるとともに、地域の核として、様々な交流イベントや軽スポーツ等の場となり、多くの方でにぎわうスペースとなることを想定しております。
 そのため、訪れた方々に大会レガシーを分かりやすく伝えられるよう、東西の入り口に、オリンピックとパラリンピックのシンボルモニュメントを設置いたします。
 このほか、インクルーシブ遊具をはじめとする様々な遊具や芝生広場などを整備し、多様な人々が集い、憩える空間の形成に努めてまいります。

○たかく委員 記念広場にふさわしい、オリンピックとパラリンピックのシンボルモニュメントになることを期待させていただきます。
 さて、海上公園は、陸域のみならず、隣接する水域の保全、活用も行うことが大きな特徴です。特に、前面に水域が広がる有明親水海浜公園は、水域の積極的な活用が大いに期待されているところであります。
 海上公園施設の整備に当たっては、近年、民間活力の導入を進め、大きなにぎわいを創出しているとのことですが、有明親水海浜公園においても官民連携事業を導入していくと聞いております。
 有明親水海浜公園における官民連携事業の具体的な内容と今後の予定について伺います。

○松本臨海開発部長 都は、海上公園の魅力向上と新たなにぎわい創出に向け、官民連携事業の導入を進めており、その第一弾として、昨年十月、晴海ふ頭公園にコワーキングスペースを併設したカフェを設置し、多くの方々から好評を得ております。
 この実績を踏まえ、有明親水海浜公園におきましても、この公園の大きな特徴である、前面の静ひつな水域の魅力を最大限に引き出すことなどを目指し、官民連携事業を導入することといたしました。
 導入に当たりましては、にぎわいの拠点となるカフェ等の設置に加え、前面の水域を活用したマリンスポーツの提案を必須要件としております。
 本年七月に事業者の公募を開始したところでございまして、今後、提案内容につきまして外部識者による審査を行い、年度内には事業者を決定してまいります。

○たかく委員 今、ご答弁いただいた有明親水海浜公園が、マリンスポーツの拠点となるなど、親水公園という名にふさわしい魅力ある公園となるとともに、臨海部に広がる水と緑のネットワークの一大拠点となるよう、今後も創意工夫を続けていただきたいことを求めて、次の質問に移ります。
 次は、臨海副都心の魅力向上について伺います。
 臨海副都心は、東京二〇二〇大会のレガシーや集積した先端技術拠点など、多岐にわたる魅力的なまちづくりの資源を有しており、快適でにぎわい豊かなまちとなる十分なポテンシャルがあるエリアでもあります。
 この臨海副都心にさらなるにぎわいをもたらし、エリアの魅力を一層向上させるためには、訪れる人々に楽しんでいただける取組を継続的に行うことが有効な取組の一つであると考えます。
 東京都では、この臨海副都心において、アートによるまちづくりを進めていると聞いております。
 そこで、アートによるまちづくりに取り組む意義について、これまでの経過について伺います。

○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 都は、臨海副都心において、アートにより新たなまちの魅力を創出し、来訪者の満足度や臨海副都心のブランド力を向上させることを目的として、令和元年度からアートプロジェクトに取り組んでおります。
 令和三年度までは、シンボルプロムナード公園内に期間を限定して設置したARTBAY HOUSEを拠点として、ハウスの白い壁に投影するプロジェクションアートなど、多彩で魅力的なアートを発信してまいりました。
 また、昨年度は、臨海副都心全体を対象とする、より広がりがある取組とするため、九月にアートフェスティバル、十二月にアートイルミネーションを実施したところでございます。

○たかく委員 アートフェスティバルであるとかイルミネーションを実施したとのことでありますが、アートの取組の目的は、臨海副都心の新たな魅力をつくり出し、地域のブランド力を引き上げることにあるとのことであります。
 私の地元の世田谷区でも、休日などにおいて、アーティスト等が路上で様々なパフォーマンスを行うイベント等が開催されており、多くの人々でにぎわってもおります。東京都が臨海副都心で行っているアートによるまちづくりは、にぎわいの創出という点では、非常に有効なものであると考えます。
 昨年度は、秋に、まち全体でアートフェスティバルを開催し、冬季にもアートイルミネーションを展開したと聞いておりますが、昨年度のアートプロジェクトの具体的な取組状況について伺います。

○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 都は、昨年の九月十六日から二十五日にかけてアートフェスティバルを開催し、民間事業者等の協力もいただきながら、エリア内の多くの箇所で、アート展示や体験プログラム等を実施いたしました。
 具体的には、有名海外アーティストによる巨大迷路をモチーフとした展示物をはじめ、スマートフォンをかざすと空中にオブジェが浮かぶARアート、子供たちと一緒に紙芝居をつくるワークショップなど、年齢を問わず、多くの方々に楽しんでいただける様々な作品やプログラムを展開し、約五万人の方々にご来場をいただきました。
 また、十二月一日から二十五日にかけて、臨海副都心の進出事業者が例年行っているイルミネーション等と連携し、アートイルミネーションを実施いたしました。
 具体的には、シンボルプロムナード公園内の三か所の広場に、ミラーボールやステンドグラス等を用いた大型のイルミネーションを展開し、ファミリーや近隣のオフィスワーカーなど、約三万五千人の幅広い年齢層の方々にご覧いただきました。

○たかく委員 アートフェスティバルについては、今年も九月に、昨年に引き続き、臨海副都心エリア全体で開催し、盛況を博したと聞いております。このフェスティバルとイルミネーションというアートプロジェクトの取組は、多くの来場者を呼び込み、にぎわいの創出に大きな効果があったものと考えます。今後も、アートによるまちづくりの継続的な実施や様々なイベントの開催など、臨海副都心の魅力向上に引き続き取り組まれることを要望して、最後の質問に移ります。
 次に、最後に南海橋の耐震化事業について伺います。
 今年は、関東大震災から百年目という節目の年であります。また、首都直下地震は、いつ起きてもおかしくないといわれており、東京都として、その被害を最小限に抑える取組の重要性が増していることから、震災対策について伺います。
 東京の臨海部には、埋立地の間を結ぶ多くの橋梁が存在します。これらの橋梁は、地域の方々の生活はもとより、首都圏四千万人の生活と産業を支える重要なインフラであるとともに、震災時の緊急物資の円滑な輸送等を確保する役割を担っております。
 他方、現在の橋梁の多くは、高度経済成長期までに集中的に整備をされ、長い年月がたっていることから、被災によって機能不全とならないよう、十分な対策が必要と認識いたします。
 そこで、橋梁の耐震化について、令和四年度の主な実績内容について伺います。

○福永開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 臨海開発におきまして、震災時に被災者や緊急物資の円滑な輸送を確保するためには、埋立地と埋立地を結ぶ橋梁の耐震強化の取組が重要でございます。
 このため、都は、健全度調査等に基づき、橋脚の補強や橋の落下を防止する装置の設置など、耐震化を順次進めております。
 令和四年度の主な実施内容といたしましては、南海橋や新曙橋など四橋で耐震化に取り組んでおります。

○たかく委員 大規模震災に備え、臨海地域での橋梁の耐震化を進めていることが分かりました。
 橋梁の耐震化に当たっては、通常、橋脚の補強などにより、既存の橋の強度を高める手法が取られていることが多いと聞いておりますが、大田区の平和島と昭和島を結ぶこの南海橋については、そうした耐震補強では対応はできなかったと聞いております。
 そこで、南海橋の耐震化の具体的な内容について伺います。

○福永開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 南海橋は、大田区の平和島と昭和島を結ぶ延長約百八十メートルの橋梁でございまして、周辺には物流施設等が多数隣接していることから、京浜地区等の道路ネットワークを支える重要な橋梁でございます。
 一方で、昭和四十一年の架橋から五十年以上が経過し、老朽化が進んでいたことから、橋梁の健全度調査等を踏まえまして、既設橋梁を補強するか、架け替えるかについて、維持管理等を含めた全体経費を総合的に比較した上で、架け替えることといたしました。

○たかく委員 南海橋の耐震化の工法については、総合的な比較検討に基づき、架け替えを選択することとしたとの答弁でありましたが、架け替え工事は、周辺交通への影響を最小限に抑えるため、仮橋の設置や、施工段階に応じて通行車両等を迂回させる、いわゆる交通切替えが必要となり、完成までの工期が長くなると考えられます。
 しかしながら、首都直下型地震のおそれが高まる中にあっては、創意工夫を図って、着実かつ早期に工事を進める必要があります。
 そこで、南海橋の工事の取組状況について伺います。

○福永開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 南海橋の架け替え工事につきましては、平成二十八年度から仮橋の設置に着手しており、交通切替えを行った後、令和四年度には、新しい橋梁と取付道路を完成させ、速やかに交通開放を行いました。
 施工に当たりましては、首都高速道路に隣接するなど、限られた区域での施工となるため、レーザーによる3D計測データを基に、施工状況を立体的に再現し、緻密で高度な施工計画を導入するなど、安全かつ着実な施工を図りました。
 今後は、仮橋の撤去や周辺道路の整備など、残された工事を着実に進め、臨海部の交通ネットワークのさらなる安全性を確保してまいります。

○たかく委員 震災時の交通ネットワークの確保は、多くの人々の命と暮らしを守る根幹に関わる問題であります。
 臨海地域における橋梁の耐震化は非常に重要な事業であり、引き続き、安全・安心なまち東京の実現に向けて着実に事業を進めていただきたいことを求めて、私からの質問を終わります。

○あぜ上委員 資料の作成、ありがとうございました。
 まず、臨海副都心地域の開発調査関連経費についてです。
 予算額三億四千四百八十七万九千円で、決算額は二億一千百七十六万三千三百六十四円となりました。
 そこで伺いますが、臨海副都心地域の開発調査はどのような調査を実施したのか、調査内容とその内訳について伺います。

○松本臨海開発部長 令和四年度の開発調査関連経費でございますが、臨海副都心の環境施策に関する調査のほか、観光客数等実態調査、施設の健全度調査など、臨海副都心の開発や施設の維持管理等に係る調査を実施しており、合わせて約二億一千二百万円を支出しております。

○あぜ上委員 今、ご答弁がありました環境に対する調査の主なものというのは、伺ったところ、水素と天然ガスのボイラー混焼調査で四千七十万円、また、臨海副都心の開発や施設の維持管理等に係る調査というものの主なものは、先端技術の実装調査で六千四百九十九万九千円というふうに伺っているところです。
 調査で分かったことはどのようなことか、伺います。

○松本臨海開発部長 臨海副都心の環境施策に関する調査では、臨海副都心の脱炭素化に向けまして、水素エネルギーの活用等について検討いたしました。
 このほか、定期的な調査を通じて、臨海副都心開発及び施設の維持管理の基礎データを把握しております。

○あぜ上委員 化石燃料に由来します水素の活用を推進する、こういうやり方は、この間、私も批判してきましたが、やっぱり気候危機に対する誤った対策だとして、今、国際的にも、気候ネットワークなど環境保護団体から推進をやめるよう要請されているものであります。
 また、先端技術の実装で、具体的には自動運転バスを走らせるなどの実施をされたというふうに伺っていますが、それで約六千五百万円、調査をかけていると。
 いずれも都として調査すべきことなのかということを思います。
 先ほど、臨海地域の回遊性の課題というご答弁が、ほかの委員の方の質疑でありましたが、そうであるならば、バスの運行の拡充をどうするのかなどの調査なら理解できるのですが、なぜ自動運転の調査なのか。本来、民間として調査研究、既にしていますし、するようなものを、なぜ都が実証調査するのか。
 調査する内容を判断する基準は何なのか、私は甚だ疑問だということを意見として申し上げておきたいと思います。
 さて、次に土地処分についてです。
 この間、私は繰り返し、臨海地域開発事業会計で持っていらっしゃる土地も貴重な都民の土地であり、都民の暮らしに供するものであるべきで、都民参加でまちづくりを検討することを求めてきました。
 そこで、まず伺いますが、昨年度の臨海副都心処分地は、具体的にどのような施設になるのか、伺います。

○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 昨年度の臨海副都心における土地処分の実績は、計二件でございました。
 一件は、有明南地区にある未処分地を、公募により選定した事業者に対し売却したものであり、多目的ホールやスタジオ等が整備される予定でございます。
 二件目は、有明北地区の未処分地を長期に貸し付けたもので、現在、展示ホールが設置、運営されております。

○あぜ上委員 GYM-EX、展示ホールについては、ビッグサイト、国際展示場の拡張の要望も、中小企業の皆さんからも要望が出されていて、産労局が造ったものであります。
 しかし、この間、コナミやトヨタ、先ほどもお話がありましたけれども、さらには昨年度のテレ朝など次々と、年間利用者が一つの建物で四百万人規模といった大規模な商業施設が、有明南、また青海に次々と建設され、都民の貴重な土地が開発されていく姿を見ていますと、一体、誰のための都有地なのかというふうに思わざるを得ません。経済効率優先で、にぎわいでもうかるまちづくりを進めるというのは、やっぱりいかがなものかと私はいわざるを得ないと思っています。
 さて、こうした土地の活用について、都民、住民の意見を聞く場はありましたか。

○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 臨海副都心においては、都民の意見を踏まえて改定した臨海副都心まちづくりガイドラインに基づいて、適切にまちづくりを進めているところでございます。

○あぜ上委員 今、ご答弁で、都民の意見を踏まえて改定したというお話でありましたけれども、臨海副都心の都民提案を募集したのは、平成九年、一九九七年、今から二十六年前です。やはり、直近では、こうした全体の臨海副都心の都民意見を聞く、そういう場はありませんでした。住民不在、都民不在のまちづくりは、やはり見直すべきときだというふうに指摘しておきたいと思います。
 臨海地域の事業会計が所有する未処分地の面積についてお示しいただきたいと思います。

○松本臨海開発部長 臨海地域開発事業会計が所管する埋立地につきましては、東京港第八次改訂港湾計画及び東京港における埋立地の開発に関する要綱に基づき処分を行っておりまして、令和四年度末現在の未処分地は約百七十三ヘクタールでございます。

○あぜ上委員 百七十三ヘクタール、この未処分地の土地は、それぞれどの地域にあるのか、伺います。

○松本臨海開発部長 未処分地でございますが、江東区に約百四十二ヘクタール、大田区に約二十五ヘクタール、品川区に約六ヘクタールでございます。

○あぜ上委員 そうですね、私の地元の江東区にはたくさんあるのですけれども、青海地区北側と有明北地区に集中してあります。特にありますが、潮見など、いろいろな地域にも点在しております。
 有明北地区のまちづくりについては、一昨年に都民に意見募集をされていました。そして、地元江東区からも意見が出されて、昨年一月に臨海副都心有明北地区まちづくりガイドラインを改定されて、そして、有明北地区の住宅用地も変更して、居住人口フレーム、これを見直して、一万人ほど人口フレームを減らしました。
 同じく、昨年の一月に臨海副都心まちづくりガイドライン、これも改定されたのですけれども、こちらについては、土地利用計画は変更されていませんでした。
 青海地区の北側では、既にあります青海フロンティアビルなどは、作っていただいたこの資料によりましても、入居率が五一%、半分です。平日に行っても、本当にがらんとしています。ついでにいえば、台場のフロンティアビルも入居率は三七%と大変低くなっておりまして、業務・商業地域といって、さらに空き地に業務ビルを建てるような状況ではありません。
 この未処分地の土地の活用についての方針はどうなっているのでしょうか。

○松本臨海開発部長 未処分地につきましては、東京港における埋立地の開発に関する要綱におきまして、土地利用区分をそれぞれ、都市の物流サービスのための用地、都市交通体系改善のための用地、都市再開発、都市施設のための用地、自然の回復、新しいまちづくりのための用地の四つに分類し、地元区とも協議しながら処分を進めております。

○あぜ上委員 土地利用区分のご説明をいただきました。
 有明北地域には、既に一万三千人を超える人たちが居住されています。有明北地区でいえば、大会レガシーを積極的に活用したスポーツ施設や文化施設などの多様な機能を導入し、活気あふれる市街地を形成していくという開発の考え方が出されております。私は、今後のまちづくりについては、もっと住民の声をよく聞く必要があるということを指摘したいと思います。
 確かに、有明北のまちづくりについての局の意見募集、これは非常に大事だったと思うんですけれども、その中では、公共施設の要望や遊具のある公園の整備などの要望のほか、にぎやかな活気あるまちにという意見、そういう意見もありました。
 しかし、有明北のまちづくりのガイドラインで意見募集をしたのは二〇二一年の十月十四日から十一月十二日で、有明アリーナがまだ開所してない時期だったんですね。昨年の八月に、この有明アリーナはオープンしたわけですけれども、それ以降、実は、地元では様々な問題が発生しています。
 レガシー施設のバレーボール会場となったこの有明アリーナですけれども、電通を代表とするグループ会社が運営していますが、スポーツ施設というよりは、実際には、今、大規模なコンサート、イベント事業が非常に多くて、ひどい交通渋滞になる。それから、騒音やごみ捨てなどで、近隣マンションから、住民から苦情が出ているような状況であります。最近、ガードマンを置いたり、それから、渋滞対策としてバスを運行するなど、施設側としてご努力もされているというのは聞いておりますけれども、しかし、実態として、そういった状況が生まれているということです。
 一方で、有明地域には文化センターや図書館がないなど、住民に身近な公共施設が不足していて不便だと、こういう声も住民の皆さんから上がっています。子供図書館が、豊洲分館として有明スポーツセンターの食堂跡地にできたのですけれども、児童図書しか置いてないと。図書については、返却と取り寄せになっている、こういう状況です。さらに、住民からは、保健相談所や福祉事務所を増設してほしい、こういった声も寄せられているところです。
 土地の利用については、やはり改めて、安心して住めるまちにしてほしいという声が上がっているわけですから、都民の意見を聞くべきではないでしょうか。ぜひ聞いていただきたいということを求めたいと思うんです。
 マンションの方々が住んでいる横に、アリーナというのは後からできたんですよね。マンション住民が住んだ以降に、このアリーナができたわけです。だから、やっぱりしっかりと住民の声を聞いて、住環境と安全が確保された上でのまちづくりでなければならないということをしっかりと踏まえていただきたいなというふうに思うわけです。
 先ほども申し上げましたように、未処分の土地は、実は潮見地域なども広い土地が残っております。そして、特別支援学校の保護者や関係者の方々からは、今、土地の指定はないのですけれども、江東区内に特別支援学校増設を求める意見書の提出を求める陳情が地元の江東区議会に出ておりまして、江東区議会では、区内での特別支援学校の増設について、ほとんどの会派が賛成の意向を示しまして、現在、その陳情は継続審査となっている状況です。
 例えば、潮見の二丁目、ここには二万三千平米、また、同じ潮見二丁目に一万六千平米の臨海地域開発事業会計の土地がございます。地元区ともしっかり協議をして、こうした切実な都民要求にも応えるべきだと思います。そのことを強く求めまして、私の質疑を終わりたいと思います。

○関口委員 よろしくお願いします。
 まず、臨海副都心開発のまちづくりのコンセプトについて伺ってまいります。
 臨海副都心開発は、開発当初から、まちづくりのコンセプトが知事によって変遷をしてきたというふうに思っております。
 今までのまちづくりのコンセプトの経緯、これについて伺います。また併せて、現在のまちづくりのコンセプトについて伺いたいと思います。

○松本臨海開発部長 都は、平成元年に臨海副都心開発事業化計画を策定いたしまして、東京の一点集中型の都市構造を転換する副都心を形成することや、国際化、情報化の進展に対応することを目的として開発を開始いたしました。
 その後、社会経済情勢の変化を踏まえまして、平成九年に臨海副都心まちづくり推進計画を策定するなど、必要な見直しを行っており、現在は、職、住、学、遊のバランスの取れた複合的なまちづくり、観光、交流のまちづくりの二つの視点で開発を進めております。

○関口委員 では、このまちづくりのコンセプトにおいては、私は、どのような形であったとしても、都民福祉の向上につながる、これが重要だと考えております。
 どのような都民還元がされると考えておりますでしょうか。見解を伺います。

○松本臨海開発部長 都は、臨海副都心まちづくり推進計画に基づきまして、職、住、学、遊のバランスの取れた複合的なまちを目指し、施設誘致を行ってまいりました。
 この結果、産業活性化につながる研究機関、水辺を生かした公園や住宅、人材育成に資する大学、観光、交流を促進する国際展示場やホテルなど、様々な施設が立地しております。
 こうした取組を通じまして、東京の成長を牽引するとともに、都民をはじめとする国内外の多くの人々が憩い、にぎわうエリアとなっております。

○関口委員 今、答弁いただきました都民福祉の向上、還元というのはなかなか、一概には難しい話かと思います。確かに、臨海副都心エリアがにぎわいを創出して面白いエリアだと思っていただける、そういったことも重要だと思いますし、後ほど取り上げますけれども、特に、この職、住、学、遊ということで住の部分、住まいの部分について、こういったところも大きな都民福祉の向上、還元だと思っております。後ほど取り上げたいと思います。
 一方で、このまちづくりが進むに当たって、会計の統合などもされてきました。
 その理由と経緯について伺いたいと思います。

○松本臨海開発部長 都は、平成十三年度に、東京の臨海地域全体を総合的、一体的に整備し開発することを目的といたしまして、臨海副都心開発事業会計、羽田沖埋立事業会計及び埋立事業会計の三つの会計を統合し、現在の臨海地域開発事業会計を設置したものでございます。

○関口委員 今、ご答弁をいただきましたが、一体的に整備をして開発することを目的という答弁でありました。
 当時は、羽田沖埋立事業会計と埋立事業会計の二つの黒字会計で臨海副都心開発事業会計の赤字を相殺するというような指摘があったことも忘れてはいけないと思っております。
 それに加えて、現在は、これは主に臨海地域開発事業会計と一般会計などの会計から臨海副都心に向けた支出がされております。
 そこで、決算ということで、いろいろと都の職員の皆さんともやり取りをさせていただいたのですが、一般会計と臨海地域開発事業会計におけるすみ分けが非常に複雑であると思いました。
 そこで、どのようなすみ分けがされているのか、伺います。

○松本臨海開発部長 臨海地域開発事業会計は、臨海地域における埋立地の造成、整備及び開発に係る事業を区分経理するため、地方財政法に基づき、一般会計とは別に、特別会計として設置したものでございます。

○関口委員 私は、今、すみ分けについて伺ったのですけれども、臨海地域開発事業会計についての、そのものの答弁であったと思いまして、これ、すみ分けがきちんと整理をされているのか、大変な疑問が残るところであります。
 臨海副都心開発が始まってから、先ほど申し上げましたが、まちづくりのコンセプトも変わり、会計の統合もありました。臨海副都心について、一般会計からの支出があり、臨海地域開発事業会計単体では見ることができないということを思います。
 そこで、端的に、臨海副都心開発は、開発が始まってから昨年度にかけての収支の状況、これは堅調なのかについて伺います。

○松本臨海開発部長 臨海副都心開発についてでございますが、これまで財政基盤強化の取組を重ねたことによりまして、臨海地域開発事業会計は、令和四年度末現在で、内部留保金約二千三百八十五億円を確保しております。
 なお、令和六年度には、起債残高約九百七十五億円を全額償還する予定でございまして、臨海地域開発事業会計は健全に運営されております。

○関口委員 懸念をしておりました起債残高については、令和六年度中に全額償還をするということで確認をすることができました。
 一方で、バブルの絶頂期に、都民のお金は使わずに開発を進めるということで始まった臨海副都心開発です。埋立造成地を民間企業に貸し出し、そこで地代でもうけて副都心エリアを整備していくという当初のコンセプトは、時代背景もあって崩れてしまったということは認識をしております。
 一方で、内部留保金二千三百八十五億円を確保しているということでありましたので、一般会計に頼り過ぎずに、臨海地域開発事業の財政基盤強化はもちろん図りながら臨海副都心開発を進めることを要望したいと思います。
 続いて、にぎわいの創出についてです。
 大江戸温泉物語やパレットタウンなどが営業終了しました。こうした大規模商業施設に加えて、コロナによって失われたにぎわいも非常に大きなものと思います。
 そこで、臨海副都心開発のにぎわいの創出における昨年度の取組実績について伺います。

○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 昨年度、都は、東京二〇二〇大会の一周年記念事業として、噴水イベント、TOKYO SPARKLE PAGEANTをお台場海浜公園で実施したほか、臨海副都心エリア全体を対象としたアートフェスティバルを初めて開催するなど、地域ににぎわいをもたらす取組を実施いたしました。
 また、未処分地や海上公園の広場等をイベント用地として民間事業者等に貸し付け、にぎわいを創出いたしました。
 臨海副都心への来訪者数は、新型コロナウイルス感染症の影響により大きく減少いたしましたが、令和四年には、コロナ前と比較して約七割まで回復するなど、こうした地域のにぎわい創出に向けた取組が一定の効果を上げていると認識しております。
 なお、昨年度売却した有明南地区の土地には、今後、多目的ホールなどが整備される予定であるなど、将来に向けたにぎわいの創出にも着実に取り組んでおります。

○関口委員 コロナ前と比較して約七割回復してきたということで、かなり回復はしてきたかなと思っておるのですけれども、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
 また、先ほど申し上げましたが、この大江戸温泉物語やパレットタウンなどの大規模商業施設の跡地活用、これについて、しっかり進めていかなくてはいけないと思っております。
 早期の取組が必要と考えますけれども、昨年度の進捗について伺います。

○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 令和四年八月に閉館したパレットタウン跡地でございますが、こちらには、今月、国内最大級のEVレーシングカートであるシティサーキット東京ベイがオープンするとともに、来年春には、観客自身が演劇の世界に没入できるテーマパーク、イマーシブ・フォート東京が開業する予定でございます。さらに、令和七年秋には、プロバスケットボールチーム、アルバルク東京がホームアリーナとして使用し、約一万人の観客を収容できるトヨタアリーナ東京が開業予定でございます。
 また、大江戸温泉物語の跡地については、社会経済状況等を見極めながら、適切な処分に向けて検討をしてまいります。

○関口委員 大江戸温泉物語の跡地については、これから検討していくということでありましたけれども、一つの土地の活用については、なるべくスムーズに、タイムラグがないような形で進めていただくことが望ましいのかなと思っております。特に、にぎわいの創出については大変重要だと思っておりまして、私も、子供のときに群馬からお台場に遊びに行くのが、非常に大きな楽しみの一つでもありました。そういった地域の創出をつくっていくことは非常に重要だと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 続いて、先ほど少し申し上げましたが、住宅の問題について伺ってまいります。
 バブル経済真っただ中の一九八九年の四月に、臨海副都心開発事業化計画が策定をされました。この計画では、バブルによる地価の高騰、オフィスや住宅の不足を背景に、二十一世紀初頭までに六万人が住み、十一万人が働く未来型都市をつくるとされておりました。
 現在では臨海副都心まちづくり推進計画を柱としておりまして、計画の中では、ゆとりある居住空間と快適な住環境を確保し、都市の魅力を享受できる住生活を実現することは臨海副都心のまちづくりの重要な課題としておりまして、良質な住宅ストックを図るとしています。
 これは非常に重要なことだと思うのですが、この住宅の創出という観点では、今までどのような取組がされてきたのか、伺います。

○松本臨海開発部長 都は、臨海副都心まちづくり推進計画におきまして、有明北、台場、青海の各地区に居住エリアを設定し、着実に土地処分を進め、住宅の整備を誘導してまいりました。
 引き続き、職、住、学、遊のバランスを図りながら、まちづくりを進めてまいります。

○関口委員 では、この臨海副都心における現在の居住人口と、これまでの推移について伺います。

○松本臨海開発部長 臨海副都心の居住人口についてでございますが、一九九〇年代から開発が進んだ台場地区に加え、近年、有明北地区の開発の進展とともに、着実に増加しており、令和四年度末時点で約二万人となっております。

○関口委員 当時、バブル経済の真っただ中で組まれました、この計画の六万人という意味では大分乖離があると思いますが、現在の計画はまた、まちづくり推進計画ということで異なりますけれども、二万人ということで確認をいたしました。
 一方で、先ほどから申し上げておりますけれども、臨海副都心まちづくり推進計画では、住宅整備方針において、住宅供給戸数は一万四千戸とするとしております。さらに、その中で、地区別計画戸数については、一人から二人世帯の小世帯用が四〇%程度、三人から四人のファミリー世帯用が五五%程度、五人以上の大世帯用が五%としておりまして、この計画戸数を見る限りでは、ファミリーに住宅を供給していくという姿勢が見えるのではないかなと思います。
 しかしながら、居住人口についてご答弁はいただいたものの、臨海副都心の戸数の総数、つまり、この地域に何戸総数があるのかということであったりとか、今、申し上げたような、各世帯の目標としているパーセンテージについては把握をされていないということを伺いました。
 民間事業者を中心に住宅整備を進めるということを真っ向から批判するわけではありませんが、現在のまちづくり推進計画で掲げている計画戸数をはじめとした実態の把握をしていくことは重要だと思うんですけれども、まず、そのことを要望したいと思います。
 また、東京のマンション価格を大きく引き上げているのは、住宅としての側面よりも、投資としての側面が大きく働いていることがあるかと思います。投資向け住宅として空き部屋として存在するのではなく、実際にファミリー層が住んだり、働く現役世代が住むことで、まち全体を、まちの文化を深めていったり、あるいは経済として盛り上げることが重要なのではないかと思います。臨海副都心における投資物件として空き部屋になっている戸数の把握などもしていただくことを要望したいと思います。
 臨海副都心まちづくり推進計画では、良好な居住空間を整備し、良質な住宅ストックの形成を図るという記載があります。民間に任せ切りになるのではなくて、都として、臨海副都心の住宅政策がどのように進んでいるのか、実態把握をすることから始め、まち全体を俯瞰的にチェックしていくことを求めて、質疑を終わりたいと思います。

○もり委員 令和四年度公営企業決算の質疑に当たって、先ほどもすみ分けについて質問があったのですけれども、根拠について、いま一度、臨海地域の開発は一般会計と臨海開発事業会計に分かれていますが、その根拠について改めてお伺いをいたします。

○松本臨海開発部長 臨海地域開発事業会計は、臨海地域における埋立地の造成、整備及び開発に係る事業を区分経理するため、地方財政法に基づき、一般会計とは別に、特別会計として設置したものでございます。

○もり委員 ありがとうございます。先ほども質疑にあったのですけれども、公営企業会計の決算書を見ましても、こういったすみ分けですとか個別の事業が都民に分かりづらく、また、情報公開の視点からも、より議会、都民にも分かりやすい決算であることが望ましいと考えます。
 開発事業の基本は、埋立地を造成し、それを売却処分することですが、都が造成して処分をする土地と、長期について貸付けを行う土地について、都の考え方をお伺いいたします。

○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 土地の処分につきましては、東京都臨海地域開発規則等に基づきまして、土地の利用目的や社会経済状況等を踏まえ、実施しております。

○もり委員 都市基盤整備のために、先行して必要となる資金の調達方法についてお伺いいたします。
 また、令和四年度の支払い利息と今後の償還計画についてお伺いをいたします。

○松本臨海開発部長 臨海地域開発事業会計は、臨海副都心等の基盤整備のために企業債を発行し、土地売却等の収入を原資として償還する仕組みとなっております。
 令和四年度末時点の起債残高は約九百七十五億円であり、四年度は、その利息として約四億円を支出しております。
 なお、令和六年度に、計画どおり全額を償還する予定でございます。

○もり委員 ただいまのご答弁にあったように、令和六年度には全て、全額を償還する予定ということで、また、先ほどの質疑の中では、内部留保も二千三百億円を超えているという答弁もいただき、大変健全な財政で運営をされているということを確認させていただきました。
 造成した土地を売却しないで管理をする場合、未処分地の管理はどのようになっているのか、まず管理費についてお伺いをいたします。

○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 未処分地の管理としまして、除草や不法投棄の処理、立入り防止柵の補修等を行っておりまして、これらの令和四年度の決算額は約七千二百万円でございます。

○もり委員 その後、何に使うかのビジョンに基づいて造成を行っていると伺っておりますので、都民の財産ですので、有効に活用していただきたいと思います。
 その上で、未処分地についての活用について、何か活用しているものがあれば、令和四年度の取組についてお伺いをいたします。

○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 未処分地は、にぎわい創出のためのイベント用地や臨時駐車場、工事の資材置場等により有効活用をしておりまして、一時貸付等による令和四年度の収入額は約十七億六千四百万円でございます。

○もり委員 未処分地の一時貸付により、令和四年度では十七億を超える収入があったということで、ぜひ、こういったように有効に活用していただきたいと思います。
 私も家族で有明に行った際に、ある有名スポーツメーカーのポップアップイベントのようなものが開催をされて、多くの方でにぎわっておりました。そういったイベントですとか、また、臨海部は駐車場が足りていないというような声を地元企業からも伺いますので、ぜひ引き続き、有効に活用していただきたいと要望させていただきます。
 二〇一七年に海上公園ビジョンがまとめられ、二〇二〇大会後を踏まえた十年後の姿に向け、高度成長期に失われた豊かな環境、そして、人々と海の豊かな関わりを取り戻す、都民に海を取り戻すというコンセプトで、都独自の制度である海上公園が整備されてきたと伺っております。
 令和四年度は、海上公園ビジョンの制定から六年の折り返しの年となります。私も、当時、港湾審議会の委員として、魅力的な水とのネットワークの創出、生物多様性の保全、環境負荷軽減や安全・安心な公園づくりの具体例として、干潟や磯浜の整備など、東京湾における多様な生物の生息空間の拡充を求めてまいりました。
 令和四年度における有明親水海浜公園の整備状況等、海上公園の魅力向上にどのように取り組んできたのか、お伺いをいたします。

○松本臨海開発部長 都はこれまでも、海上公園の整備を着実に進めることによりまして、都民が海と触れ合いながら憩い、安らぎ、楽しむことができる空間づくり、様々なレクリエーションが楽しめる場の創出等に取り組んでまいりました。
 令和四年度は、晴海地区におきまして、新たに晴海緑道公園を整備するとともに、有明地区では、有明アリーナの開業に合わせ、有明親水海浜公園の一部を先行開園させるなど、水辺空間のさらなる魅力向上に努めております。

○もり委員 ありがとうございます。東京港は、歴史的にも産業港として発展をしてまいりましたので、そういった意味では、都民が海と親しむ場所というのは大変限られている面もございます。そういった中で、海上公園という都独自の制度によって、都民が水辺と親しめる公園整備を今後も進めていただきたいと思っています。
 また、先ほど、他の委員の質問の答弁にも、大田区にも二十五ヘクタールの未処分地があるとご答弁もありました。
 臨海部には魅力的な、大田区にも城南島の海浜公園ですとか、本当に休日は、飛行機を見ながら水辺に親しんでいる家族の姿も多く見受けられます。
 一方で、地域の企業からは、駐車場の不足ですとか、また交通アクセスの充実など、今後の課題もありますので、そういった未処分地の利用、活用に当たっては、地域住民、また地域の企業などの声を聞きながら、引き続き魅力的な臨海部の整備に取り組んでいただくことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございます。

○柴崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後二時三十分散会

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