令和四年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

令和五年十月二十五日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長柴崎 幹男君
副委員長関野たかなり君
副委員長尾崎あや子君
副委員長高倉 良生君
もり  愛君
関口健太郎君
たかく則男君
平田みつよし君
保坂まさひろ君
山加 朱美君
あぜ上三和子君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長早川 剛生君
次長松田 健次君
管理部長前田  豊君
事業部長大谷 俊也君
渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務若井 太郎君
市場政策担当部長石井 浩二君
財政調整担当部長萩原 功夫君
環境改善担当部長萩原 清志君

本日の会議に付した事件
令和四年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・令和四年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○柴崎委員長 ただいまから令和四年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○前田管理部長 去る十月十六日の当分科会で要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます令和四年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 資料は、全部で四項目ございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、令和四年度における豊洲市場の空気、地下水質調査結果等でございます。
 (1)、空気、地下水質調査結果につきまして、一ページに空気調査結果の概要、こちらのページから二ページにかけまして地下水質調査結果の概要をお示ししてございます。
 三ページをご覧ください。空気、地下水質調査箇所をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。こちらのページから八ページにかけまして、空気調査結果及び地下水質調査結果の詳細をお示ししてございますので、後ほどご覧いただければと存じます。
 九ページをご覧ください。(2)、地下水位測定結果についてでございます。
 こちらのページに地下水位測定箇所を、一枚おめくりいただきまして、一〇ページから一二ページにかけまして、豊洲市場五街区から七街区の測定結果についてお示ししてございます。
 一三ページをお開き願います。2、十一市場の耐震改修等工事費及び修繕工事費の推移、過去十年間でございます。
 市場ごとに耐震改修等工事費及び修繕工事費の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。3、豊洲市場における生鮮食料品の取扱数量及び金額の推移、令和二年度、令和三年度、令和四年度でございます。
 過去三年度分の取扱数量及び金額を、水産物と青果物に分けてお示ししてございます。
 一五ページをご覧ください。4、平成二十四年度以降に発行した企業債と元金償還金の推移でございます。
 表頭にありますように、平成二十四年度以降に発行した企業債を新規債と借換債ごとに、また、元金償還金につきましても、豊洲市場分とそれ以外の市場分に分け、令和十二年度までの状況を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきまして説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○柴崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○平田委員 よろしくお願いいたします。
 令和四年度は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響や、ウクライナ情勢の長期化による原油高騰、物価高騰の深刻化などにより、都民の生活や経済全体への影響が継続する中、卸売市場を取り巻く環境についても厳しい状況が続いた年であったと思います。
 令和四年三月に策定した東京都中央卸売市場経営計画の一年目に当たる令和四年度は、将来にわたって持続可能な市場経営を実現するための第一歩として、卸売市場を取り巻く環境が厳しい中にあっても、計画で掲げた取組を着実に実施していくことが求められる重要な年であったと考えております。
 こうした背景を踏まえながら、令和四年度に都が実施した取組について、まずは決算の内容を確認してまいりたいと存じます。
 初めに、令和四年度中央卸売市場会計の決算の特徴についてお伺いいたします。

○萩原財政調整担当部長 令和四年度の市場を取り巻く環境は、長期化しますコロナ禍の影響に加えまして、エネルギーコストや円安の影響等による物価高騰などにより、厳しい社会経済情勢に置かれておりました。
 このような状況におきましても、都は、生鮮品等を安定的に供給するため、令和四年三月に策定いたしました東京都中央卸売市場経営計画の初年度として、計画に掲げる取組を着実に実施するとともに、施設の老朽化等に適切に対応するため、施設や設備の更新工事等を実施いたしました。
 これらによりまして、令和四年度中央卸売市場会計決算におきましては、まず、売上高割や市場施設の使用料収入等で構成されます営業収益については、前年度に比べまして約五億三千二百万円の増加となりました。
 一方で、市場施設の維持管理に関する経費や、市場取引を公正、円滑に運営されるよう指導監督を行うための経費等で構成されます営業費用につきましては、前年度に比べまして約十四億四千七百万円の増加となりました。
 また、資本的支出につきましては、市場施設の整備等を主な内容といたします建設改良費は、前年度に比べまして約八億一千九百万円の減少となってございます。

○平田委員 営業収益、営業費用ともに、前年度に比べて増加しているというお話でした。
 そこで、中身について伺います。
 まず、営業収益が前年度と比べて増加した要因についてお伺いします。

○萩原財政調整担当部長 営業収益につきましては、その半分以上を占めます施設使用料は、施設使用者数に大きな変動がなかったことから、令和三年度と同規模でございました。
 その一方で、卸売業者等の売上金額に応じて賦課する売上高割使用料は、水産物等の単価上昇の影響を受けたことなどにより、前年度に比べまして約一億九千二百万円の増加となり、営業収益全体が増加いたしました。

○平田委員 やはり、ここにも物価上昇の影響が出ているのかなということを感じます。
 では、次に、営業費用が前年度と比べて増加した要因については、どう分析されておられるか、伺います。

○萩原財政調整担当部長 営業費用につきましては、施設管理の委託経費の削減などの費用削減による経営改善を行ったものの、国際情勢の不安定化を背景といたしましたエネルギーや原材料価格の上昇等による物価高騰に伴い電気料金が上昇したことなどにより、管理費が前年度に比べまして約十五億七千百万円増加するなど、営業費用全体が増加いたしました。

○平田委員 収益は増加しました。一方で、費用については、経営改善に取り組んでいただいた成果はあったものの、今のお話のとおり、電気料金が上昇したことにより、全体では増加したということであります。ここでもやっぱり燃油高騰等の影響が出ているなと思うところでありますけれども、東京都が支出した電気料金は、市場業者が支払うべき費用を前払いしたものではありますけれども、厳しい財務状況を踏まえますと、引き続き、都には経営改善に取り組んでいただきたいと要望いたします。
 では、決算の内容についてお示しいただいたところで、令和四年度に都が実施した具体的取組について質問させていただきます。
 まず、市場の施設整備について伺います。
 中央卸売市場は、生産者と消費者を結ぶ生鮮品等の中間流通拠点として、多様な役割を果たしながら都民の豊かな消費生活を支えています。我が国最大の消費地である東京には、豊洲市場、大田市場、食肉市場といった大規模市場だけでなく、都内各地域の専門小売店や飲食店、また、学校給食等の仕入先として重要な役割を果たしている十一の市場があります。
 しかし、これら地域の流通拠点として役割を果たしている市場の多くは施設や設備の老朽化が進んでおり、そのため、商品の鮮度や安全性などに対する消費者意識の高まりなど時代とともに変化するニーズに十分対応できず、卸売市場としての魅力、競争力を失ってしまうのではないかという市場業者の皆様からのお声を伺っております。
 卸売市場で日々業務を営む市場業者の方々にとりまして、市場施設は、取引を行うまさに基盤であり、安全・安心な環境で取引を活発に行えるようにすることは東京都の責務であると思います。
 豊洲や大田といった大規模市場だけでなく、地域の流通を支える全ての市場にしっかりと目配りをして、業界の方々の声に耳を傾けながら施設整備に取り組むことが重要だと考えております。
 そこでまず、豊洲や大田のような大規模市場以外の市場において、昨年度、市場業者の皆様の要望を踏まえて実施した老朽化対策等の内容についてお伺いします。

○石井市場政策担当部長 東京の中央卸売市場は、豊洲市場などの大規模な市場だけでなく、地域に密着した市場等を含めた十一の各市場がそれぞれの機能を発揮して生鮮品等流通を支える役割を果たせるよう、取引の担い手でございます市場業者の意見も踏まえながら、施設の維持更新等を不断に進めていくことが重要であります。
 このため、令和四年度におきましても、老朽化が進む各市場の施設等の更新工事を行っており、特に足立市場ほか四市場においては、卸売場の屋根や場内の周回道路の路面舗装等の改修を行うことにより、業界からの要望も多い商品の品質保全や従業員の作業環境の改善等を図りました。

○平田委員 ぜひよろしくお願いいたします。今後も、全ての市場に目配りをしっかり行っていただいて、各市場の市場業者さんとも連携をしながら老朽化対策などに取り組んでいただきたいと思います。
 一方、流通を取り巻く環境は大きく変化をしております。それぞれの市場の特色を生かし、機能強化を進めていくことが重要です。
 さきの委員会で、現在、都は、淀橋市場の拡張整備などに取り組んでいるという説明がありました。
 そこで、各市場の特色等を生かした機能強化の取組について、昨年度の取組状況をお伺いします。

○石井市場政策担当部長 中央卸売市場が今後も地域の生鮮品等流通を安定的に支えていくためには、市場を取り巻く環境変化を的確に捉えた上で、各市場の特性や特徴を踏まえた機能強化に取り組むことが重要でございます。
 具体的には、淀橋市場においては、敷地の狭隘化や場内混雑が課題となっていることから、老朽化が進む事務所棟の建て替えに合わせて、狭隘な敷地を立体的かつ効率的に活用した市場機能の拡張整備に取り組んでおります。
 令和四年度は、業界との協議を踏まえた基本設計を取りまとめるとともに、商品の自動搬送技術等を活用した場内物流効率化につながる整備についての検討を行ってきました。
 また、板橋市場においては、交通利便性の高い立地を生かした広域的な物流拠点としての機能強化に向けた取組を進めております。
 令和四年度は、都と業界により構成される検討会において、施設整備の方向性の確立に向け、商品の集荷力、販売力強化や付加価値の向上につながる取組例をビジネスモデルとしてまとめました。

○平田委員 卸売市場を取り巻く環境課題が多い中、都がリーダーシップを発揮して、市場業者と丁寧な議論を交わしていただきたいと思っております。それぞれの市場の特徴を生かした施設整備を検討していただき、スピード感を持って取り組んでいただくようお願いいたします。
 次に、市場業者の経営支援について伺います。
 卸売市場は、コロナ禍にあっても、都民に生鮮食料品などが行き届くように市場流通を止めることが許されないという強い使命感の下、市場業者、業界団体の皆様は感染拡大の防止に腐心をされてこられました。市場関係者、業界団体の皆様のご尽力に、改めて敬意と感謝を申し上げたいと思っております。
 ところで、先ほどの質疑で、市場業者が支払うべき費用を前払いしている電気料金を含めた管理費が、前年度と比べて増加していることが分かりました。長引くコロナ禍から緩やかな回復が続く一方で、国際情勢を背景としてエネルギーや原材料価格の上昇等による物価高騰が継続しています。市場業者を取り巻く経営環境は、依然として厳しいといわざるを得ません。
 そこで、都は、コロナ禍、エネルギーコストの増加に当たって、厳しい状況にある市場業者に対してどのような支援を行ってきたのか、伺います。

○大谷事業部長 コロナ禍や国際情勢の不安定化の影響によるエネルギーや原材料価格の上昇等により厳しい経営環境の中にあって、取引の担い手である市場業者の経営安定化を図っていくためには、費用の節減や売上げの向上に向けた自律的な取組を支援していくことも重要でございます。
 そのため、都においては、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い売上げが減少した市場業者に対して令和二年四月支払い分から実施した市場使用料と光熱水費の支払い猶予を、令和四年度も継続いたしました。
 また、中央卸売市場経営強靱化推進事業において、エネルギー効率の高い空調設備やLED照明器具の導入など市場業者によるコスト削減につながる取組を支援するため、高い補助率を適用できるよう制度を改めました。
 さらに、企業経営や財務の専門家等と連携した経営セミナーや経営相談を通じて、市場業者が個々の経営課題に柔軟に対応できるよう支援いたしました。

○平田委員 使用料や光熱水費の支払い猶予など様々取り組んでいただいている中で、専門家との連携というお話がありました。専門家の知見を活用することで、事業の質の向上を図っていくことが重要だと考えます。
 都においては、企業経営や財務の専門家を活用して、市場業者を対象に経営セミナーの実施や経営相談を行っているというお話でしたが、事業を効果的に実施していくためには、専門家を活用した取組の実績をしっかりと把握していくことが重要であります。
 そこで、専門家を活用した支援の取組の実績についてお伺いします。

○大谷事業部長 市場業者が個々の課題に柔軟に対応し、行動変革に向けた取組を進めることができるよう、機運の醸成を図っていくことは重要でございます。
 このため、都では、市場業者や業界団体の個々の経営課題に対して、企業経営や財務の専門家等による経営相談を実施するとともに、専門家の知見等を活用した経営セミナーを実施しております。
 また、コロナ禍の影響を受けて取引先が減少したことにより売上げが大幅に減少し、厳しい経営状況にある市場業者に対して、中小企業診断士を派遣して伴走型の支援を行っております。
 令和四年度については、経営基盤の強化や品質衛生管理の強化、多様な消費者ニーズへの対応等、五件の経営相談を実施しました。
 また、インボイス制度への対応やデジタル化による事業効率の推進等、四回の経営セミナーを実施するとともに、三件の伴走型支援を行いました。
 これらにより、市場業者が個々の経営課題を的確に把握した上で、その改善に向けた取組が図られたものと考えております。

○平田委員 今、お話にございました、市場業者が抱えている経営課題に的確に対応するために、第三者である専門家が、経営者の方から信頼を得て、その改善に向けた取組をサポートする、この取組はとても重要であると思います。
 ただ、一方で、令和四年度の実績を伺った中では、市場業者全体の数と比べて、いささか少ないようにも思いますので、ぜひ、より多くの方々の経営改善に向けた取組をサポートできるように、広く事業の周知を図ったり、また、プッシュ型で支援を提供していただくようにお願いをしたいと思います。
 東京都においては、専門家とも引き続き連携を取って、経営支援策がより効果的なものとなるよう、引き続き取り組んでいただくようにお願いいたします。
 次に、中央卸売市場経営強靱化推進事業について伺います。
 都では、社会情勢が変化する中にあっても、市場業者の取組を支援するとともに、経営計画の着実な推進につながる取組を円滑かつ迅速に実行するために、令和四年度から中央卸売市場経営強靱化推進事業を創設し、取引の担い手である市場業者の経営基盤の強化等に向けた行動変革を後押ししていると伺っております。
 そこで、中央卸売市場経営強靱化推進事業の令和四年度の実績について、執行率も含めてお示しいただきたいと思います。

○大谷事業部長 都は、社会経済状況の大きな変動の中にあって、取引を担う市場業者の経営を下支えする取組を推進するため、令和四年度に中央卸売市場経営強靱化推進事業を創設し、以降、市場業者の経営基盤強化に向けた取組などに要する経費の一部を補助しております。
 具体的には、複数の事業者による新規性の高い取組等を支援する事業連携推進枠を設け、青果と水産の事業者が連携して海外販路の構築に向けて現地商談会を開催する取組等を支援するとともに、エネルギー効率の高い空調設備やLED照明器具の導入など市場業者によるコスト削減につながる取組等に対して支援を行いました。
 また、本事業を活用した取組を促進するため、事業者向けセミナーや年二回の情報誌の発行の機会に、制度内容や補助金を活用した好事例などの周知に努めました。
 こうした取組により、令和四年度は、全十一市場において計百三十三件の取組に対して支援を行い、交付額については約二億二千二百万円となり、執行率は約四四・四%となりました。

○平田委員 市場業者や業界団体の皆様は、省エネなど現状に問題意識を持って、変革したいという意欲を持っていらっしゃるということの表れではないかなというふうに思います。
 また、事業者向け経営セミナーなどの機会を捉えて、制度内容の周知や支援制度を活用した好事例の紹介なども行っているというお話でしたけれども、一方で、やはり件数や執行率は、いずれも、必ずしも高いわけではないというふうにも感じます。
 補助事業を用意しても、利用者である市場業者の使い勝手がよくなければ効果的な事業運用とはならないわけでありまして、補助事業の課題をしっかりと分析していただき、必要に応じて事業の拡充を図っていただきたいと思います。
 そこで、経営強靱化推進事業における、令和四年度を踏まえた今後の実施に向けた課題認識についてお伺いしたいと思います。

○大谷事業部長 都では、専門家による経営相談の場などを活用して、市場業者が抱える課題に関する聞き取り等を行っておりますが、その中において、多くの市場業者から、人材を新たに採用することが難しくなっているなどの意見をいただいております。
 そのため、こうした市場業者の声にしっかりと寄り添い、市場業者の経営資源の重要な柱の一つである働き手の確保を都としてサポートしていくことが重要だと認識しております。

○平田委員 ありがとうございます。市場業者の方々を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあります。そうした中、市場取引の担い手である市場業者の経営安定化、経営革新の取組を支援していくことは極めて重要であります。引き続き、都には、中央卸売市場経営強靱化推進事業などの経営支援策を通じて、市場業者への支援を止めることなく、しっかり継続してほしいことを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
 経営計画の着実な推進に向けた取組についてであります。
 将来にわたって卸売市場がその役割を果たしていくに当たりましては、その基本となるのは、どのような状況下にあっても業務継続がきちんとなされ、止まらない中央卸売市場を実現できるかどうかにあると考えます。
 気候変動の影響が叫ばれて久しいわけですが、大規模な自然災害等の発生が日々の市場業務にどのような影響を与えるかについても十分意識するべきであります。
 そのため、開設者である都と市場取引を担う市場業者の皆様の双方が、事前にその対策を十分に練っておくことが必要と考えます。
 そこで、昨年度、都は風水害等影響調査を行うとしていましたが、その内容及び結果についてお伺いします。

○前田管理部長 中央卸売市場が都民の消費生活を支える基幹的インフラとしての役割を果たしていくためには、多岐にわたる災害リスクに対して迅速かつ柔軟に対応していくことができるよう、開設者である都が、市場業者の意見を聞きながら事業継続計画を見直していくことが必要でございます。
 そこでまず、令和四年度は、市場取引や市場運営に重大な影響を及ぼす様々なリスクを洗い出し、検証するため、風水害等影響調査を実施いたしました。
 この調査では、都内十一市場の職員はもとより、卸売業者、仲卸組合等四十二者に対して、自然災害発生時の市場業務への影響などをヒアリングした上で、対策すべきリスクを整理いたしました。
 いずれの市場におきましても、近年頻発している台風等による風水害については、地震等の他の災害に比べて発生頻度が高いことから、市場施設に対する被害が生ずるリスクが高いとの結果を得ました。

○平田委員 市場業務への影響を具体的かつ丁寧に聞き取っていただき、整理されていることが確認されました。ぜひ、この調査結果を今後の事業継続計画の改定に生かしていただくようにお願いをいたしたいと思います。
 市場をめぐる様々な施策を実効性のあるものとして着実に推進していくためには、現場で取引業務を担っておられる市場業者の皆様との連携等が欠かせません。とりわけ、計画で掲げている強固で弾力的な財務基盤の確保に向けた取組など市場業者の経営状況に影響を及ぼしかねないものについては、市場業者と対話を重ねながら進めていく必要があると考えます。
 そこで、強固で弾力的な財務基盤の確保に向けた令和四年度における業界との協議状況についてお伺いいたします。

○萩原財政調整担当部長 市場を取り巻きます環境が変化する中におきましても、中央卸売市場が担う重要な使命を将来にわたり果たしていくためには、強固で弾力的な財政基盤の確保が必要でございます。
 そのため、東京都中央卸売市場経営計画では、市場運営費の縮減や収入確保等の当面の経営改善の取組を着実に実施するとともに、内部努力等によるコスト削減など、さらなる経営改善策を幅広く検討実施していくこととしております。
 令和四年度は、こうした取組を進めていくために、市場会計の財政状況などについて、業界との協議に向けた意見交換を始めたところでございます。

○平田委員 まさに令和四年度から、この業界との意見交換を始めていただいたとのことでありました。市場業者の経営状況に影響を及ぼしかねない取組については、引き続き、市場業者の皆様との意見交換など対話を積極的に進めていただくことを要望させていただきます。
 ここまで、市場取引の基盤となる施設の整備や、また市場業者の支援を中心に質問させていただきましたけれども、これらは、経営計画を着実に実行し、持続可能な市場経営を実現していくために重要なものばかりであります。
 最後に、令和四年度決算を踏まえて、経営計画に掲げた取組の実現に向けた市場長の決意をお伺いしたいと思います。

○早川中央卸売市場長 中央卸売市場が生鮮食料品等の流通の基幹的なインフラとしての役割を果たしていけるよう、令和三年度に策定した東京都中央卸売市場経営計画に掲げた取組を着実に実施していかなければならないと認識しております。
 取組の実施に当たりましては、市場を取り巻く環境の変化に柔軟かつ迅速に対応していくため、計画に掲げた課題認識や、これに基づいた解決の道筋を必要に応じて見直すことも重要と考えております。
 令和四年度における取組の進捗状況、そして市場業界から日々お聞きしている声も十分に踏まえまして、今後の施策展開の実効性を少しでも高められるよう、努力を惜しみなく積み重ねてまいります。
 将来にわたり都民の消費生活を支えることができる卸売市場の実現に向けまして、引き続き全力で取り組んでまいります。

○平田委員 ありがとうございます。市場長から、経営計画に掲げた取組の実現に向けた決意をお示しいただきました。
 冒頭、経営計画期間の初年度に当たるこの令和四年度は、計画で掲げた取組を着実に実施していくことが求められる重要な年であったと申し上げました。今日、ご答弁いただきまして、卸売市場を取り巻く環境が厳しい中でも、卸売市場の将来的、また安定的に生鮮品等供給の役割を果たしていくための取組がしっかり進んでいると、改めて認識をいたしました。
 都においては、引き続き、市場業者に寄り添いながら、計画で掲げた取組を着実に推進していくことを要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○関野委員 それでは、市場会計について質問をいたします。
 我が会派はかねてより、市場会計の見直しの厳しさ等を踏まえ、市場経営の抜本的な改革の必要性を訴えてまいりました。
 一方で、都の中央卸売市場が将来にわたり都民の消費生活を支えていくためには、生鮮品の流通拠点である市場の施設の適切な維持更新が必要であり、市場会計にとって大きな財政負担となっております。
 本日は、いわばこの相反するようにも見える課題に対し、令和四年三月に策定した中央卸売市場経営計画の初年度である令和四年度において、都はどのように取り組んできたのかをお伺いいたします。
 まず、市場施設の維持更新について質問をいたします。
 市場施設は、高度経済成長期に集中的に整備され、建物や設備の老朽化が進んでおり、維持更新に当たっては、財政面も踏まえ、中長期的の視点を持ちながら適切かつ効果的な実施をする必要があると考えております。
 そこで、市場施設の計画的な維持更新に向けた考え方について、まずはお伺いをいたします。

○石井市場政策担当部長 市場における施設や設備の維持更新に当たりましては、集中した修繕時期の分散化を図るとともに、そのために必要な財政収支の平準化を図る必要がございます。
 また、市場業者の営業を継続しながらの施工となるため、工事場所や工事期間等に制約が伴います。
 こうした現状を踏まえ、東京都中央卸売市場経営計画においては、財政計画との整合性を図りながら、各市場の主要な建物を抽出し、個別の建物ごとの維持更新計画を策定することとしており、その計画の基礎となる情報を収集するため、令和四年度から劣化度調査を進めております。

○関野委員 都は、施設の計画的な維持管理のため、昨年度から劣化度調査に着手しているということが分かりました。
 そこで、昨年度に実施した市場施設の劣化度調査の結果についてお伺いをいたします。

○萩原環境改善担当部長 都は、老朽化の進む市場施設の劣化状況を把握し、施設の計画的な維持更新を進めるため、豊洲市場を除く十市場におきまして、令和四年度から二か年で劣化度調査を実施しております。
 令和四年度は、多摩ニュータウン市場ほか四市場の主要な建物につきまして、屋根や外構、建具などの現況、コンクリートの強度、電気や機械設備の稼働状況などの調査を行いました。
 この調査におきましては、風雨にさらされることの多い建物の屋上や外壁の一部に劣化が見られたものの、昭和五十六年に制定された新耐震基準後に建てられた施設では、建物本体のコンクリート強度は十分な強度を確保しております。
 また、電気や機械設備は、法令に基づく点検頻度も多いことから、不具合の発見が早く、適切に修繕が実施されるため、比較的健全な状態になっているとの結果を得ております。

○関野委員 建物本体のコンクリートは強度があるということですので、きちんと手を入れれば、長く使用できる建物もあると考えております。令和五年度に予定している市場の調査も着実に実施し、市場施設の全体像を把握し、施設整備を進めていっていただきたいということをお伝えしておきます。
 こうした劣化度調査の結果等を踏まえ、市場施設等の老朽化対策を計画的に進めるとともに、日々の業務に支障を来さないような維持修繕に向けた考え方、これについてお伺いをいたします。

○石井市場政策担当部長 中央卸売市場がその機能を発揮し、今後も生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての役割を果たしていくためには、施設のライフサイクルコストの低減と更新時期の平準化等を図るアセットマネジメント手法を用いて市場施設の維持更新を進めていくことが重要でございます。
 そのため、令和四年度の劣化度調査の結果や市場業務への影響等を踏まえ、各市場の主要な建物ごとに大規模改修や長寿命化改修、改築、解体等の方針を検討した上で、業界と連携しながら計画的に維持更新を行っていきます。
 また、早期に対応が必要な部位につきましては、速やかに改修に着手するとともに、市場機能の維持に不可欠な設備等について、保守点検により劣化や損傷を把握し、部品交換や整備を着実に行い、故障等に伴うリスクを軽減する予防保全を行うなど、めり張りある維持更新を行ってまいります。

○関野委員 ありがとうございます。当たり前のようですが、莫大な維持更新需要に適切かつ効率的に対応を進めるには、まず、老朽化度合い等の状況をしっかりと把握した上で、優先度を決めて必要なスクラップ、ビルドも検討しながら計画を進めていくというのが必要ですので、よろしくお願いをいたします。
 次に、東京都中央卸売市場経営計画で掲げている、強固で弾力的な財務基盤の確保に向けた取組についてお伺いをいたします。
 さきも述べたように、我が会派はかねてより、市場会計の見直しの厳しさ等を踏まえ、市場経営の抜本的な改革の必要性を訴えてきたところであります。
 先般行われた第三回定例会においても、市場の収益向上に向けた取組について見解を伺ったところでありますが、令和四年度は経営計画の一年目に当たり、改めて、強固で弾力的な財務基盤の確保に向けた取組が進んでいるのかを確認したいと思っています。
 そこで、中央卸売市場会計の令和四年度決算における経常収支を確認すると、百二十三億円の赤字となっておりますが、赤字の主な要因は減価償却費の影響であると推察はされておりますが、令和四年度決算において、減価償却費以外の影響で経常収支が赤字となっている要因について、この点についてお伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 令和四年度決算におきまして、減価償却費の影響以外で経常収支が赤字となった主な要因は、収入の面で売上高割使用料などが増加したものの、支出の面におきまして、電気料金の高騰に伴う管理費などが増加したことによるものでございます。

○関野委員 令和四年度決算の経常収支の赤字は、電気料金の高騰に伴う管理費などが増加したものであるというものでした。先ほども質問がありましたが、どこも、こういった電気料金の高騰によるもので赤字になっているというところもあります。
 一方で、経営計画では、市場会計における経常収支の黒字化に向けて経営改善に取り組むこととしておりますが、令和四年度決算における経営改善の取組についてお伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 令和三年度に策定いたしました東京都中央卸売市場経営計画では、市場運営費の縮減や収入確保等の当面の経営改善の取組を着実に実施することとしてございます。
 令和四年度におきましては、主に、施設管理などの委託経費を削減することによる市場維持管理費の縮減や使用料収入の確保、新規企業債の発行抑制による支払い利息の圧縮などに取り組みました。
 あわせまして、市場会計の財政状況などにつきまして、業界との協議に向けた意見交換を始めたところでございます。

○関野委員 収入面と支出面の両面から経営改善の取組を進めているということでありました。
 ただ、こうした取組をしているにもかかわらず、前年度決算と比べて、令和四年度決算の経常収支の赤字は膨らんでいる状況です。
 経営改善の取組を進めている一方で、令和四年度決算の経常収支は、前年度対比で赤字となっているところですが、このことについてどのように認識しているのか、再度お伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 中央卸売市場が将来にわたって持続的な市場経営を実現していくためには、経営改善に取り組むなど財政基盤の強化を図ることが重要でございます。
 令和四年度決算におきましては、前年度対比で経常収支が悪化しておりますが、その主な要因は電気料金の高騰による影響でございまして、この影響を除いた経常収支は、経営改善の取組などにより、前年度対比で約四億円程度改善してございます。
 引き続き、市場の維持管理経費の縮減などの経営改善を通じまして収支の改善を図っていく必要があると認識してございます。

○関野委員 電気料金の高騰といった外部環境の変化による要因を除けば、経常収支の改善は図られているということであります。しかしながら、令和四年度決算の経常収支の赤字は、昨年に比べて悪化していることは事実であります。引き続き、収支改善に向けて取り組んでいただくことを要望しておきます。
 今回は、市場会計と市場の維持管理について質疑をさせていただきましたが、団体要望などでも聞いていると思いますが、例えば大田市場などでは、DX化が進んでいないことから、Wi-Fi環境の設置などの要望もあります。経営面、ハード面でなく、ソフト面についても、各市場の声を聞きながら進めていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。

○たかく委員 それでは、私の方から質疑させていただきます。
 卸売市場は、生鮮食料品等の円滑な供給を確保することを通じて都民の消費生活の安定に資するという重要な役割を担っております。この役割を果たすため、東京都は、市場業者と一体となって衛生管理の強化を図るなど、開設者として中央卸売市場の管理運営を行っているところです。
 最初に、令和四年度の取扱数量等について伺います。
 令和四年度は、それまで猛威を振るっていた新型コロナウイルス感染症について、厳しい行動制限がなくなるなど、徐々に影響が弱まりつつあった一方で、国際情勢の変化に伴う原油高、円安等に伴う物価高騰により、卸売市場を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある一年であったと思います。
 一方で、令和四年度の取扱数量等の前年度比較を見ると、取扱数量こそ、水産物、青果物、花きにおいて減少しているものの、取扱金額は、食肉を加えた全ての取扱品目において増加しております。
 そこで、令和四年度の取扱数量及び取扱金額についてどのように分析をしているのか、伺います。

○大谷事業部長 水産物については、漁獲量の減少等により取扱数量は減少した一方、外食等の業務需要が回復傾向にあることに加えて、円安等の影響もあり、単価が上昇したことなどから、取扱金額が増加したものと分析しております。
 青果については、夏場の猛暑など天候要因等により取扱数量が減少した一方、単価が上昇したことなどから、取扱金額が増加したものと分析しております。
 食肉については、業務需要の回復等により、取扱数量、金額ともに増加したものと分析しております。
 花きについては、天候による入荷不順等により取扱数量は減少した一方、冠婚葬祭、イベントなどの業務需要が回復傾向にあること等から単価が上昇したことなどにより、取扱金額が増加したものと分析しております。

○たかく委員 今の分析においても、新型コロナウイルス感染症の影響は薄れてきている一方で、天候不順であるとか、また、円安等、その他の外的要因による影響が大きくなっていることが分かりました。
 次に、令和四年度決算の内容について伺います。
 令和四年度決算において、営業損失は約百四十四億円となっており、令和三年度に引き続き赤字が続いております。
 一方、平成三十年度において、旧築地市場跡地を一般会計に有償所管替えをしたことに伴う約五千六百二十三億円の収入があったとのことで、一時的に資金収支が大幅に回復しました。
 都では、この有償所管替えによって得た資金を基に、豊洲市場の建設のために調達した企業債の償還が始まっておりますが、令和四年度の実績と、いつまでに総額でどのくらい償還をするのか、また、豊洲市場の企業債の償還が終わる年度における資金収支の状況について伺います。

○萩原財政調整担当部長 豊洲市場を建設した際に発行いたしました企業債につきましては、令和四年度決算の償還額は約六十八億円でございました。
 加えまして、総額は約三千六百五十七億円でございまして、令和八年度までに償還する予定でございます。
 令和三年度に策定いたしました東京都中央卸売市場経営計画では、累積資金残は二千百八十三億円となると試算してございます。

○たかく委員 先ほどお話ししましたが、平成三十年度に旧築地市場跡地を一般会計に有償所管替えをしたことによって、約五千六百二十三億円のスポット的な収入がありましたが、企業債の償還で、令和八年度には、このお金が二千百八十三億円まで減少するというような試算になっております。
 経営計画では、過去の傾向等に基づいて、売上高割使用料収入が五年ごとに三%ずつ減少していくことを想定した場合、経常収支は黒字化せず、令和四十六年度、二〇六四年に資金ショートする見込みと出ておりました。資金ショートを回避するためにも、経営計画で示しているこの取組を着実に進めていただくよう要望いたします。
 次に、市場施設の施設整備について伺います。
 都の中央卸売市場は、十一ある各市場がそれぞれの役割を果たしながら東京の膨大な消費需要を支えております。
 私の地元にも、青果と花きを扱う世田谷市場があります。この世田谷市場は、昭和四十七年に、まず青果市場として開場し、その後、平成十三年に花き部を併設しましたが、特に中央棟は、建設から五十年経過しているなど老朽化が進んでいるとのことであります。
 経営計画によれば、全十一市場において、管理棟や卸売場、仲卸売場などの基幹的な建物が五十二棟あり、その半分以上の二十八棟が建築から三十年を超えているということであり、こうした老朽施設について、市場内の環境改善にもつながる維持や更新を進めるとともに、各市場の特色を踏まえた機能強化に取り組み、取引環境や、またニーズに的確に対応することなどを通じて、十一市場全体の最適化を図ることが重要であると考えます。
 そこで、長期的な視野に立った各市場施設の計画的な維持更新や機能強化について、経営計画の初年度に当たる令和四年度の実績等について伺います。

○石井市場政策担当部長 中央卸売市場が生鮮品等を安定的に供給する役割を将来にわたって果たしていくためには、更新時期が重なる施設の老朽化対策や、環境変化に対応するための機能強化等の施設整備に取り組み、その機能を発揮することが重要でございます。
 令和四年度は、市場の衛生環境向上を図るトイレの改修や、場内の安全性の向上につながる外壁やエレベーターの改修など、各市場の老朽設備等の維持更新を行ったほか、アセットマネジメント手法を取り入れた維持更新計画の策定に向けて施設の劣化度調査を実施いたしました。
 また、市場機能の強化に向け、淀橋市場において、狭隘な市場用地の活用や、実需者ニーズに対応した加工機能の強化等に向けた拡張整備の基本設計を取りまとめるとともに、板橋市場において、広域的な物流拠点としての整備に向けたビジネスモデルを業界と取りまとめました。

○たかく委員 古くなった施設や設備の膨大な更新需要に対応して将来を見据えた整備を両立させて進めていくことは簡単なことではないと思いますが、生鮮品等の安定的な供給拠点としての役割を果たしていくためにも、市場業者の皆様が毎日取引を安心して営むことができるよう環境を整備する視点からも、施設の維持、更新を適切かつ着実に進めることを要望させていただきます。
 また、施設整備に当たっては、卸売市場が地域社会の一員でもあることを踏まえて、地域への貢献や環境対策など社会への還元といった視点も取り入れることが重要と考えます。
 そこで、令和四年度において、地域や環境にも配慮した施設整備について実績を伺います。

○石井市場政策担当部長 中央卸売市場は、生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての役割に加え、地域社会との共生や環境に配慮した取組等を通じて社会的責任を果たしていくことも重要でございます。
 令和四年度は、淀橋市場や板橋市場において、今後の整備に当たり、食育等の講習会をはじめとした地域住民との交流のさらなる充実などについて、業界等と検討を進めました。
 また、市場のゼロエミッション化の推進やエネルギー消費削減の観点から、世田谷市場ほか三市場において、卸売場をはじめとした市場施設における照明器具のLED化を推進いたしました。

○たかく委員 先日、私は、東京食肉市場まつり二〇二三に初めて伺いました。多くの来場者に大変驚いた次第です。コロナの五類移行に伴って、市場まつりを再開している市場もあるとのことですが、こうした取組は、ふだん一般の都民が立ち寄り、また知る機会の少ない卸売市場や、生鮮品等に対する都民の理解を深め、今後の市場運営にとって重要な礎になるものと思います。施設整備の取組と併せて、引き続き推進していただきますことを要望させていただきます。
 さて、中央卸売市場経営計画では、市場経営の基本的な考え方の一つに、強固で弾力的な財務基盤の確保について示しておりますが、持続可能な市場経営の実現に向けては、支出の削減はもとより、収入の確保も重要と考えます。
 そこで、収入確保に向けた令和四年度の取組を伺います。

○萩原財政調整担当部長 市場会計における強固で弾力的な財務基盤を確保していくためには、令和三年度に策定いたしました経営計画では、市場運営費の縮減や収入確保等の当面の経営改善の取組を着実に実施することとしてございます。
 令和四年度におきましては、収入確保に向け、市場業者の取引の活性化を促すことで、各市場の取扱数量や取扱金額を伸ばし、使用料収入を増加させるよう努めるとともに、各市場におけます未利用資産の有効活用など、経営改善の取組を実施いたしました。

○たかく委員 先ほどご説明しましたように、令和四年度決算では、前年度に引き続き赤字でありました。そして、使用料収入の減少がこの後ずっと続けば、将来的に資金ショートが見込まれるなど、都の市場経営は厳しい状況であり、収入の確保に向けた取組は重要なことと考えます。
 使用料収入を増加していくためには、市場業者の経営基盤を強化させ、売上げを増加させることで使用料収入を増やす方法のほかにも、都の市場施設をより有効に利用することで使用料収入を増やしていく方法もあるのではないかと思います。
 そこでまず、現在の市場施設の利用状況について伺います。

○萩原財政調整担当部長 令和五年四月一日現在におきまして、市場施設として使用可能な面積でありますけれども、約七十一万五千平方メートルに対しまして、使用を許可している面積は約七十万二千平方メートルでございまして、その利用率は約九八%となってございます。

○たかく委員 今の答弁ですと、利用率が九八%ということで、その数を聞くと、ほぼ全て利用されているという印象でありますが、面積で捉えると、まだ一万三千平方メートルが利用されていない場所があるということが分かりました。
 また、都内には十一も中央卸売市場があり、中には施設の効率的な利用が進んでいない市場もあると聞いております。例えば、そうした市場施設の空きスペースを商品の荷さばき場などで活用するなど、未利用になっているエリアを有効活用するなど様々な工夫が必要であり、また、できるのではないかと思います。
 そこで、未利用エリアの有効活用について、都の見解、また取組を伺います。

○萩原財政調整担当部長 経営計画では、未利用資産について、市場業者による利用促進を図るとともに、市場業者以外の利用など、さらなる活用方法を検討することとしてございます。
 令和四年度におきましては、未利用であった市場施設を仲卸業者の組合が倉庫として新たに活用するなど、さらなる有効活用を図るため、一時的な使用許可を条件といたしました市場施設の多目的な活用を行いました。
 引き続き、各市場におけます未利用資産を有効活用するなど多様な収入確保に努めてまいります。

○たかく委員 各市場における未利用施設を有効活用するなど多様な収入確保に努めていくということで、場内事業者への倉庫利用の促進など身近にできる取組から進めていき、使用料収入の増加につなげていただきたいと要望させていただきます。
 次に、先ほど平田委員からも質問がありましたが、市場業者への経営支援について伺いたいと思います。
 市場取引を担っている市場業者を取り巻く環境は、いまだに厳しい状況にあると伺っております。東京都においては、中央卸売市場経営強靱化推進事業によって、市場取引の活性化に向けて、様々な環境変化等に対応するための市場業者の意欲的な取組を後押ししていると聞いております。
 そこで、東京都中央卸売市場経営強靱化推進事業の予算と、また決算状況について、そして具体的な事例を含めてお伺いいたします。

○大谷事業部長 令和四年度における中央卸売市場経営強靱化推進事業の予算額は五億円であり、決算額は約二億二千二百万円となっております。
 支援を行った具体的な事例としては、コロナ禍等による実需者等のニーズの変化に対応するため、新たにECサイトを構築した事例や、国内需要が落ち込む中、新たに海外の販路を開拓するため、専門家を活用して品質衛生管理体制の強化に取り組んだ事例などがございます。

○たかく委員 今の答弁ですと、ECサイトを構築したり、海外販路を開拓するために品質衛生管理体制の強化に取り組んだとのことでありますが、執行率は四四・四%であります。どこにその課題があるのか、しっかりと分析をしていただきたいと思います。
 また、今後も東京都においては、コロナ禍等で厳しい状況にある市場業者が昨今の環境変化に応じた自律的な取組を進めることができるよう、引き続き、きめ細やかな支援を行うことを要望して、最後の質問に移ります。
 最後に、市場のDX推進に関連して、使用料納付に関わるキャッシュレス化の取組について伺います。
 経営計画の中では、DXの推進等による市場業務の効率化について示されております。ところが、市場業者からの声として、都の中央卸売市場に納める市場使用料の振込は、いわゆるネットバンキングが利用できないと聞いております。
 豊洲市場であるとか、また大田市場など大規模市場であれば、場内に金融機関があるため、そう困らないのかもしれませんが、私の地元である世田谷市場では、住宅地や大規模公園に隣接する立地であり、駅前の商店街から遠く離れていることにより、わざわざ使用料納付のために銀行に行くのは、非常に手間がかかると思われます。
 場内取引においてもQRコード決済などのキャッシュレス決済が進むこのご時世において、わざわざ銀行に出向いて支払う方法は、全くといって時代遅れではないかと考えております。
 そこで、キャッシュレス化に向けた取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○萩原財政調整担当部長 現在の市場使用料等の納入につきましては、市場業者の皆様が、都が発行する納入通知書を金融機関の窓口に持参して納入する方法となってございますが、近年、一部の市場におきまして、取扱金融機関が近くに存在しないことなどの理由から、納入手続の利便性向上を求める声も伺ってございます。
 こうした声を踏まえまして、都は、令和四年度に、納入手段の種類を調査するとともに、市場業者の利便性が高まるといったキャッシュレス化のメリットや導入する場合の課題等を分析し、納入手続の多様化に向けた検討を行ったところでございます。
 今後、市場業者の皆様の利便性向上と経常収支への影響などを考慮しながら、引き続き検討を進めてまいります。

○たかく委員 こういった社会的なDX推進に向けて、しっかりと市場業者の声に耳を傾けながら、キャッシュレス化に向けた取組を早急に進めていただきたいことを要望させていただきます。
 本日は、市場施設の維持更新や、また、機能強化に向けた取組、財務基盤強化に向けた取組など、多岐にわたる事項について質問をさせていただきました。
 中央卸売市場は、都民の消費生活を支えるために必要不可欠なインフラであります。社会経済情勢が目まぐるしく変化する中、市場経営のかじ取りを行う都も、市場取引を支える市場業者も厳しい状況にあると思いますが、引き続き、都が様々な工夫を凝らしながら将来にわたって持続的な市場運営ができるよう要望を申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。

○尾崎委員 私の方からは、まず、市場業者の経営状況について質問させていただきます。
 卸売業者の中でも深刻な状況なのは、水産物を扱っている方々だと思います。コロナ感染症の影響や、海水の温度が上昇し、魚が取れなくなっているなどの報道もあります。
 水産物を扱っている仲卸業者のうち、直近の赤字事業者数はどうなっているのか、伺います。

○大谷事業部長 令和三年一月から十二月までの間に決算期を迎えた水産仲卸業者における経常赤字の業者数は、調査業者数五百八業者のうち三百二十八業者でございます。

○尾崎委員 二〇一七年の仲卸の水産物業者のうち、赤字業者数は四〇・六%となるわけです。ところが、二〇二〇年には六〇・二%が赤字業者になり、二〇二一年には六四・六%が赤字業者となっています。先ほどご答弁がありましたように、二〇二一年は赤字業者が三百二十八業者ということで、大変な事態になっているということです。
 水産物業者の六割を超える仲卸業者が赤字経営であるということは、大変深刻な事態だと思います。
 そこで、水産物を扱っている仲卸業者の赤字業者数の割合がほかの部類よりも高くなっていることについて、都はどのように分析していますか。

○大谷事業部長 仲卸業者より提出された事業報告書によると、売上高の減少や販売費及び一般管理費の増加など、赤字の理由は様々であり、個々の事業者により異なるものと考えております。

○尾崎委員 仲卸業者一人一人が状況が違うのは、当然だと思います。
 都は、経営支援をどのように行ってきたのか、二〇二二年度の取組について伺います。

○大谷事業部長 都では、中央卸売市場経営強靱化推進事業において、青果と水産の事業者が連携して海外販路の構築に向けて現地商談会を開催する取組等を支援するとともに、エネルギー効率の高い空調設備やLED照明器具の導入など市場業者によるコスト削減につながる取組等に対して支援を行いました。
 また、企業経営や財務の専門家を活用して、市場業者を対象に経営セミナーの実施や経営相談を行いました。

○尾崎委員 仲卸の水産物業者の経営が深刻になっている原因は、仲卸業者の責任ではなく、気候危機の影響や食の文化などの影響も大きく、経営状況が深刻になっているのだと思います。これまで以上に、一人一人の経営状況を踏まえた支援が必要ではないでしょうか。伴走型で長期に寄り添った支援を要望するものです。
 次に、豊洲市場のことについて質問をします。
 豊洲市場ができて、今年、二〇二三年で五年目になります。大きな節目を迎える前年の決算ということで、豊洲市場の問題点と東京都の責任について伺っていきたいと思います。
 最初に、豊洲市場の許可申請の際、事業計画では水産物の目標取扱量、青果物の目標取扱量を出しましたが、その際の水産物と青果物それぞれの目標取扱量について伺います。

○石井市場政策担当部長 豊洲市場の認可申請における事業計画の年間取扱量の目標値は、水産物が六十一万六千四百トン、青果物が三十五万六百四十九トンでございます。

○尾崎委員 事業計画は、平成十六年、二〇〇四年に、過去の築地市場の取扱量の推移を基に、都の将来人口や一人当たりの需要量、都内における豊洲市場の占有率等を考慮したものと、二〇一八年九月十日の経済・港湾委員会で答弁がありました。
 そこで伺いますが、豊洲市場の二〇二二年の実績取扱量は、水産物と青果物それぞれどうなっていますか。

○大谷事業部長 令和四年の豊洲市場における水産物の取扱数量については三十万九千七百四十八トン、青果物の取扱数量については二十二万一千四百十一トンとなっております。

○尾崎委員 豊洲新市場基本計画は、平成三十五年度、二〇二三年度までの計画ですから、まさに今年度、どこまで取扱数量や取扱金額になるのか、そして、その一年前になる二〇二二年度の決算になるわけです。私は重要な局面だと思います。
 この間、長引くコロナ感染症の影響は確かにありました。しかし、先ほどご答弁がありました二〇二二年の取扱量を目標と比較すると、水産部は目標の半分、ちょうど五〇%にすぎないんです。青果部は目標の六三%です。目標からあまりにもかけ離れた実績を、東京都はどう考えているのでしょうか。
 豊洲新市場の許可に際し、当時、私は、過去の取扱量を基に今後の取扱推移を算出したということですが、過去の取扱量はずっと減少しているのに、豊洲市場ではなぜ取扱数量が増えるのかとただし、現実から大きくかけ離れたもので過大な事業計画だと厳しく指摘しました。しかも、事業計画には取扱量見込みを実現させる具体的な内容が示されておらず、豊洲市場になってどうなるのか、今後の展望が見えないことを指摘しました。
 二〇一八年九月十日の経済・港湾委員会で、当時、私が、過去の取扱量はずっと減少しているのに、豊洲市場ではなぜ取扱量が増えるのかとただすと、計画で提出させていただいた平成三十五年度の目標取扱量、こういったものをしっかりと達成、目指していきたいというふうに考えているところでございますと答弁されました。
 そこで、目標取扱量を達成するため、都はどのような取組をしてきたのか、伺います。

○石井市場政策担当部長 豊洲市場は、高度な品質衛生管理が可能な閉鎖型施設として整備されており、第三者認証を取得しやすい環境であることに加え、場内物流の効率化、加工パッケージなど新たなニーズに対応できる施設となってございます。
 こうした施設の特性を生かし、都は、産地や実需者ニーズに応える市場業者の販路拡大などの取組を支援してきました。

○尾崎委員 都は対策を行ってきたというご答弁ですが、目標に掲げている取扱量には程遠い、あと一年、今年度必死で取り組んでも実現できない目標です。やはり豊洲新市場の認可が先にありきの過大な目標であったことは、現時点で明らかです。市場関係者の困難な状況に心を寄せて、東京都が今まで以上に努力することが求められています。さらなる支援の拡充を求めるものです。
 築地市場が豊洲市場に移転して、今年、二〇二三年で五年になります。この間の豊洲市場の取組について検証すべきだと思いますが、いかがですか。

○石井市場政策担当部長 豊洲市場は、開場後、海洋環境の変化等による漁獲量の減少や流通チャネルの多元化などに加え、コロナ禍による消費行動の変容などにより、市場取引に大きな影響を受けてきました。
 こうした中におきましても、卸売業者や仲卸業者をはじめとする市場業者は、全国の産地から多種多様な品を集荷、分荷することにより、生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給するため、日々尽力されてきました。
 東京都も、市場業界との連携の下、こうした基幹的インフラとしての役割を果たすべく、様々な取組を展開してきました。

○尾崎委員 様々な取組を展開してきたことは、ご答弁などでも分かります。しかし、都は、豊洲新市場に移転してからの取組を検証すると同時に、卸売業者、仲卸業者の皆さんに今後の展望を示すことが大きな役割だと厳しく指摘をさせていただきます。そして、そのことが東京都の責任だと強く要望しておきたいと思います。
 次に、豊洲市場の地下水管理システムについてです。
 深刻な土壌汚染がある豊洲市場用地は、四十ヘクタールという広い面積で、土壌汚染対策も日本では初めてというほどの規模であり、しかも、これだけ広い場所での地下水管理システムも初めてのものでした。
 日本共産党都議団は、地下水管理システムは、当初から、既に破綻していると厳しく追及をしてきました。
 そこで、豊洲市場の地下水管理システム維持管理費について、二〇二二年度の予算額と決算額について伺います。

○萩原環境改善担当部長 令和四年度の地下水管理システムの維持管理経費につきましては、予算額は約六億二千万円であり、決算額は約五億七千万円でございました。

○尾崎委員 二〇一八年度から二〇二二年度、四年間の地下水管理システムの維持経費の合計は約二十三億九千六百万円になります。
 地下水管理システムをつくるとき、専門家の提言は、集中豪雨や台風時においてもA.P.プラスマイナス二・〇メートルで地下水の管理が可能となるよう、日常的に維持する水位をA.P.プラスマイナス一・八メートルとし、地中に貯水機能を確保するとのことでした。また、東京の最高降雨量を参考にしているから大丈夫だという説明もありました。
 現状などについて質問していきます。
 ウエルポイント工法の真空ポンプは何か所ありますか。

○萩原環境改善担当部長 ウエルポイント工法の真空ポンプは、十二か所設置してございます。

○尾崎委員 私は、以前、土木の専門家の方にお話を聞いたことがあります。本来、ウエルポイント工法というのは、現場の作業をする前に地下水位が高い場合、緊急的に水位を下げるために使う工法だということでした。それが、地下水管理システムだけでは目標水位が達成できないために、今でも継続せざるを得ないという状況だというふうに思います。
 地下水管理システムの目標管理水位はA.P.プラスマイナス一・八メートルですが、二〇二二年五月十一日の測定で目標管理水位を超えているのは何か所ありますか。

○萩原環境改善担当部長 令和四年五月十一日の測定で、三十一か所の測定箇所のうち、目標管理水位を超えた箇所は二十五か所でございます。
 なお、目標管理水位を超える箇所数は、測定日前の降雨の状況等により、測定日ごとに変動いたします。

○尾崎委員 今のご答弁で、二十五か所が目標管理水位を超えているということですから、いい方を変えれば、目標管理水位以下であるのは、たった六か所だということになるわけです。どうして目標水位を維持できないのでしょうか。大問題です。
 ポンプの目詰まりは、この間、あったのでしょうか。

○萩原環境改善担当部長 揚水井戸のポンプにつきましては、付着物による目詰まりを防ぐなど安定的に稼働させるため、定期的に点検、清掃を行っておりまして、令和四年度は、揚水井戸百五十九か所のうち、約三分の一で清掃を実施いたしました。

○尾崎委員 ポンプの目詰まりはないということだと思いますけれども、ポンプの目詰まりを防ぐために、五十三か所のポンプを清掃したということです。ポンプの清掃はしていて、目詰まりしないようにしているということになるわけですね。
 点検については、一年かけて順繰りに行ったということも聞いております。大変な作業であることは想像ができます。
 二〇二二年度の地下水管理システムの維持管理費は、具体的に、何に幾ら使ったのですか。

○萩原環境改善担当部長 令和四年度の地下水管理システムの維持管理費は、地下水管理システム保守点検委託で約二億二千万円、送水管路や井戸、ポンプ等の清掃委託で約一億三千万円など、合計約五億七千万円でございます。

○尾崎委員 中央卸売市場のホームページに掲載されています豊洲市場用地における地下水位測定結果を見ると、先ほどご答弁がありましたが、二〇二二年度の最初の測定日である五月十一日で、A.P.プラスマイナス一・八メートル以下のところは、五街区で四か所、六街区で一か所、七街区で一か所しかなく、合計で六か所という状況です。これは先ほど答弁もありました。
 雨が続くと、地下水位は上昇することは承知をしていますが、この状況で地下水管理システムが機能している状況といえるのでしょうか。
 地下水位上昇を抑制するため、七街区の植栽帯地を対象に、有孔管の整備を二〇二二年十月から二〇二三年三月十七日まで工事を実施しています。
 ポンプの清掃や有孔管の整備などの効果なのかは分かりませんが、二〇二二年度の最後の測定日となる三月二十九日では、A.P.プラスマイナス一・八メートル以下のところは、五街区で九か所、六街区で三か所、七街区で四か所、合計で十六か所となっています。三十一か所の約半分です。
 改善したかのように見えますが、ところが、その状況は長く続かず、今年の五月十日の測定でA.P.プラスマイナス一・八メートル以下のところは、五街区で五か所、六街区で二か所、七街区で三か所、合計十か所というありさまです。そして、直近の十月四日の測定では、五街区で四か所、六街区で一か所、七街区で二か所、合計で七か所という状況です。
 二〇二二年度に約五億七千万円を注ぎ込み、点検、清掃などを行っても、効果はほんの僅かの期間で、また元の状況に戻ってしまうということではないでしょうか。
 やはり、日本共産党都議団が、当初から破綻していたという指摘は当たっていたということになります。なぜこんな状況なのか、きちんと分析し、この間の検証を行うべきだと思います。
 豊洲市場における地下水等管理に関する協議会の議事録を読みましたが、専門家の皆さんの議論も不十分だと感じました。おおむね年一回の開催と聞いていますが、例えば補修工事後の状況などについて、効果的な対策になっているかなど、しっかりと現状分析、検証することが必要だと要望しておきます。
 地下水管理システムの維持管理費は、市場会計で支出するものではなく、東京都の一般会計から支出すべきですが、いかがですか。

○萩原財政調整担当部長 一般会計からの繰入れ対象となってございます経費は、現場取引業務などの公正取引の実現を目的とした業務や食の安全・安心の確保など、中央卸売市場の公的な役割を果たしていくための経費でございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で、食の安全・安心の確保など公的な役割を果たしていくための経費ということもご答弁がありました。ここの経費は、一般会計から繰入れ対象の経費だということです。そうであるならば、その中に地下水管理システムの維持経費が該当するのではないでしょうか。市場の皆さんが安心・安全を確保できるか、食の安全・安心の確保になるかどうか。私は、一般会計から繰入れする対象だと思います。
 こんな破綻している地下水管理システムの維持費を、市場の皆さんからの使用料を充てるというのはもうやめるべきだと思います。豊洲市場を開場した知事の責任が問われます。
 市場の皆さんの使用料は、市場の皆さんのために有効活用すべきです。東京都の一般会計から支出するよう検討することを強く要望しておきます。
 次に、豊洲市場の地下ピット内の追加対策について伺います。
 日本共産党都議団は、建物下の土壌対策を行っていなかったこと、あるべき盛土がなく、建物下が空洞になっていることを発見しました。
 都は、空洞になっているために、豊洲市場の地下ピット内の追加対策を実施していますが、この間の点検などはどのように行っていますか。

○萩原環境改善担当部長 地下ピット内に追加で施工した換気設備とコンクリート床面につきましては、都が平成三十年七月に策定し、専門家会議により確認された東京都による今後の管理に基づきまして、開場後、定期的に点検をしてございます。

○尾崎委員 私は、この追加対策が提案されたときに、ちょうど二〇一八年六月二十二日の経済・港湾委員会で、コンクリートは、乾燥伸縮により、ひび割れはほぼ二か月で発生する、コンクリートの劣化は、数十年という時間の経過とともに確実に進行するもので、ひび割れが深くなれば、地下ピット内の水銀等ガス濃度が上昇する可能性は十分に考えられると指摘をしました。
 そして、追加対策について、日本共産党都議団は、ばんそうこうを貼るようなものにすぎないと厳しく指摘をしてきました。
 そこで、豊洲市場の地下ピット内の二〇二二年度の点検調査結果と、それを踏まえた補修工事を具体的に教えてください。また、補修工事の金額についても伺います。

○萩原環境改善担当部長 令和四年度の点検調査の結果におきまして、換気設備については異常がなく、適切に稼働していることを確認いたしました。
 また、地下ピットのコンクリートの床面につきましては、幅〇・五ミリメートル以上のひび割れが六か所、目地シールの幅〇・三ミリメートル以上の剥離が総延長の約〇・七%確認され、補修を行いました。
 これらの補修に要した費用は、約二百四十万円でございます。

○尾崎委員 二〇二三年二月九日に開催された第十二回豊洲市場における地下水等管理に関する協議会の議事録を見ると、地下ピット内の施設の維持管理について報告しています。
 その中で、平成三十年度、二〇一八年度に六か月点検、令和元年度、二〇一九年度に一年点検を行い、同年度中に補修工事を実施したこと、令和四年度、二〇二二年度は四月から八月に点検を行い、令和五年、二〇二三年一月以降、補修工事を実施中、同年三月完了予定ということも記載をされていました。
 また、令和四年度の点検調査結果として、コンクリートのひび割れは、五街区二か所、六街区四か所、七街区はなしで合計六か所、目地シール材、五街区、六街区、七街区の合計が約四百二十八メートル、総延長の〇・七%程度と記載をされています。
 今後の取組には、令和七年度、二〇二五年度に点検を行い、必要に応じて補修工事を実施することも明らかにされています。
 豊洲市場における空気調査及び地下水質調査結果を二〇二二年九月二十七日に公表していますけれども、この八月に行った調査で、空気中のベンゼンの濃度は前回から上昇、環境基準値〇・〇〇三を初めて上回りましたと報道し、地下ピットでは環境基準値は下回ったものの、最高濃度は〇・〇〇二八となり、七月までの調査と比べると、二倍以上に上昇した地点が二か所あったことが分かりました。
 これは、地下ピットのコンクリートのひび割れや目地の剥離の影響が無関係ではないと思われます。やはり日本共産党都議団が追加工事の際に指摘したことが正しかったということになります。
 先ほどのご答弁で、目地シールの剥離について、総延長の〇・七%ということでご答弁をいただきましたけれども、こういう数字を聞くと、少ない、そう直感をするわけですが、少なく見せる答弁の仕方、少ないと印象づける答弁ではなかったでしょうか。三つの街区の合計は約四百二十八メートルであったことも、きちんと明らかに答弁すべきではないでしょうか。
 地下ピット内の点検については、二〇二五年度に点検を行うことのようですが、二〇二二年度の補修後の三年間は、点検については実施しないということになります。地下ピットは、いつも見える場所ではありません。だからこそ、点検は、少なくとも毎年実施することを強く要望するものです。
 二〇二二年度に補修した経費は、約二百四十万円というご答弁もありました。この費用も、私は、都の責任で行った追加対策ですから、やはり一般会計から支払うべきものだと要望し、質問を終わります。

○関口委員 よろしくお願いします。
 令和四年度は、新型コロナウイルスの影響や、燃料費の高騰や物価高などで都民生活に大きな打撃を与えました。中央卸売市場においても、依然として厳しい経営であったと思います。
 一方で、中央卸売市場が都民に生鮮食品を提供する、供給する本来の役割を果たすためには、財政面から市場経営を支える中央卸売市場会計を安定的に運営をしていくことが不可欠であると思います。
 そこで伺いますが、市場会計の経常収支は赤字基調で推移をしております。そこで、収益的収支と資本的収支の推移について伺うとともに、令和四年度に取り組んだ経営改善の内容について、具体的に伺います。

○萩原財政調整担当部長 直近三か年におけます市場会計の経常収支につきましては、令和二年度は約百二十一億円、令和三年度は約百十四億円、令和四年度は約百二十三億円の赤字で推移し、資本的収支の差引資金不足額は、令和二年度は約六百三十九億円、令和三年度は約三十億円、令和四年度は約九十億円で推移してございます。
 経常収支の改善を図るため、令和四年度は、主に、施設管理などの委託経費を削減することによる市場維持管理費の縮減や使用料収入の確保、新規企業債の発行抑制による支払い利息の圧縮などに取り組んでまいりました。
 あわせまして、市場会計の財政状況などについて、業界との協議に向けた意見交換を始めたところでございます。

○関口委員 様々な取組をされていることが分かりました。特に委託経費の削減、まあ管理費の削減であったり、今後、業界との協議に向けた意見交換を始めていくということでありますので、ぜひ引き続き経営改善に取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、先ほど、たかく委員の方からもご指摘がありました、都内の各市場におきましては、三十年を超えるような老朽化した建物が多く点在をしております。老朽化した市場への対策は待ったなしでありますけれども、やはり、そこで一番懸念をしなければいけないのが衛生面であると思っております。食品を扱うのであれば、衛生面について十分考慮しなければならないと考えます。
 令和四年度に取り組まれた実績について伺います。

○石井市場政策担当部長 令和四年度におきましては、老朽化した冷蔵設備を更新し、温度管理のさらなる適正化を実現したほか、市場業者が利用する屋外トイレをリニューアルし、自動水洗を新たに整備いたしました。

○関口委員 衛生面についての取組を確認いたしました。
 一方で、老朽化した市場の改築、移転などは、今後考えなければいけない事案だと思っております。残念ながら、築地から豊洲への移転は、スムーズな移行とはなかなかいえないものでありました。
 しかし、今後十年、三十年、五十年後も、今と同じ場所、同じ建物で市場が運営できるかといったら、それは大変難しい課題かと思います。市場の性質上、新規の移転場所を確保することも大変な課題があり、今から未来に向けた準備が必要であると考えます。
 海外への輸出は別としても、人口減少に伴い、国内における需要は減ると考えられます。そうした観点からも、長期のスパンで、市場の改築、移転あるいは市場の統合、こういったことも検討していくことを要望したいと思います。
 さて、話題を替えたいと思います。
 築地市場時代に多くの関係者の皆さんを悩ませていたネズミの問題でありますけれども、豊洲市場でも散見をされるようになったと、昨年報道がございました。
 築地市場には、一万匹以上のネズミが生息していたと推定をされておりました。当時の築地市場では、ネズミが駆け回る様子が散見をされていた、そして不衛生であるということが大きな課題でありました。様々な対策は取ったものの、いたちごっこであったということで伺っております。
 市場閉鎖後の解体工事で、そのネズミたちが餌を求めて周囲の銀座などに拡散するのではないかという懸念が生じて、あとは、大量の粘着シートと殺鼠剤を使っての駆除作戦を実行したというところであります。
 そこで伺ってまいりたいと思いますが、報道などでは、ネズミが昨年あたりから場内でよく見かけるようになったという市場関係者の証言が取り上げられております。豊洲市場ではネズミが発生しているということで、ネズミなどの害獣から卸売市場を守るなど、衛生管理の向上に向けた不断の取組が重要だと考えます。
 そこで、令和四年度の取組実績について伺います。

○石井市場政策担当部長 令和四年度は、豊洲市場では、市場外からの害獣等が侵入しないよう、敷地境界に金網等を設置したほか、業界と連携して売場内の整理整頓を指導するとともに、全ての什器や備品を移動した上で一斉清掃を行うなど、衛生管理の維持向上に努めました。

○関口委員 敷地の境界に金網を設置したりですとか、あるいは大規模な一斉清掃を行ったりということを確認はできましたが、ネズミにとって市場は格好のすみかだということで、魚の切り落としや脂であったりとか水産加工品、果実の切れ端など大量に出るごみというものは、ネズミたちにとって十分に満足できる生活環境であるということです。特に市場に多いとされるのがドブネズミでありまして、水に強く、水を大量に使う市場で生きていけると。
 また、今後懸念をしなければならないのは、豊洲市場の構造の問題だと考えています。
 旧築地市場の構造は、極めてシンプルな造りでありました。ですから、ネズミは物陰に潜むだけであったと思います。
 一方で、豊洲市場におきましては、室温管理のため、天井や壁の内側にスポンジや断熱材、こういったものが入っておりまして、多くの隙間が存在をしているということで伺っております。小動物にとっては住みやすい環境にあるということから、壁や天井の内側に逃げ込まれてしまう、そうすると簡単に駆除することができないという専門家の指摘もございます。
 今後は、都として、築地の二の舞にならないように豊洲市場のネズミ対策に取り組み、衛生管理の向上に取り組むことを求めて、質疑を終わります。

○柴崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十分休憩

   午後二時五十六分開議

○柴崎委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○もり委員 令和四年度中央卸売決算について伺います。
 中央卸売市場の決算報告書によれば、経常損益に該当する費用の決算額を見ると、営業収益及び営業外収益の合計が二百九億六千七百七十四万五千五百九十一円、営業費用と営業外費用の合計が三百三十億四千五百五十二万八千八百二十三円で、百二十億七千七百七十八円の赤字となっています。
 そもそも予算段階で、営業収益及び営業外収益を二百二十四億七千万円、営業費用と営業外費用を三百六十億一千八百三十一万円で百三十五億四千八百三十一万円の赤字予算とし、さらに特別損失約七十四億五千五百六十八万円、予備費百万円を含んで二百十億五百万円の赤字予算となっていることから、特別損失を含めた純損益は百八十八億五千五百五十八万円となっています。
 さらに、資本的収入及び支出を見れば、資本的収入はゼロ円、資本的支出は八十七億六千二百四万円となり、合計すると二百七十六億一千七百六十二万円の赤字ということになります。
 これが継続するなら、十年で二千七百六十億円、二十年で五千五百二十億円、三十年で八千二百八十億円となります。
 築地市場跡地の所管替えによって、税金が中央卸売市場会計に投入されるとしても、このままでは中央卸売市場の持続的経営が成り立たないのは明白です。
 決算の実績について、毎年赤字を積み重ねる中央卸売市場会計をこのまま放置して、お金がなくなったら、今ある中央卸売市場を売却または所管替えをして運営資金に充当すればよいという安易な考え方は許されないと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○萩原財政調整担当部長 市場を取り巻く環境が変化する中におきましても、中央卸売市場が担う重要な使命を将来にわたり果たしていくためには、強固で弾力的な財務基盤の確保が必要でございます。
 そのため、令和三年度に東京都中央卸売市場経営計画を策定し、経営改善の取組など今後の取組の方向性を示してございます。

○もり委員 決算を踏まえて、中央卸売市場の経営健全化の見通しについてお伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 令和四年度は、主に、施設管理などの委託経費を削減することによる市場維持管理費の縮減や使用料収入の確保、新規企業債の発行抑制による支払い利息の圧縮などに取り組んでまいりました。
 あわせまして、市場会計の財政状況などにつきまして、業界との協議に向けた意見交換を始めたところでございます。
 引き続き、経営改善の取組などを通じまして、二〇四〇年代の黒字化に向け、収支の改善を図っていく必要があると認識してございます。

○もり委員 市場会計の健全化を図り、豊洲市場建設のために市場の再整備が遅れてしまったほかの中央卸売市場をどのように整備をしていくのか、青写真と資金計画が必要だと考えます。
 都の見解をお伺いいたします。

○石井市場政策担当部長 中央卸売市場経営計画では、今後の各市場の施設整備に当たり、主要な建物について劣化度調査を実施し、建物ごとに大規模改修、長寿命化改修等の方針を検討し、財政計画との整合性を図りながら維持更新計画を策定することとしております。

○もり委員 先ほど他の委員の質疑もございましたが、答弁にもありましたように、しっかりと長寿命化計画ですとか、施設ごとの、十一の市場の特色を生かした健全化、維持管理をすることを求めます。
 また、中央卸売市場の車両置場使用料は、東京都中央卸売市場条例施行規則により、一月一平方メートルにつき六百二十九円。ただし、売買参加者及び買い出し人の自動車が主として駐車するものについては三百三十九円と定められています。
 普通乗用車の駐車スペースは、長さ六メートル、幅員が二・五メートルとすると、広さ十五平方メートルとされており、一月九千四百三十五円、売買参加者、仲買人は五千八十五円ということになります。
 豊洲市場の車両置場使用料収入は五億二千三百五十七万九千八十円となっていますが、中央卸売市場当局は、実際に誰から使用料を徴収しているのか、お伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 豊洲市場におきましては、車両置場使用料を負担しているのは、条例に基づき使用許可をしている業界団体等でございます。

○もり委員 また、使用料徴収事務を委託しているとすれば、それは、中央卸売市場当局が委託料を払い、売買参加者、仲買人は、規則で定められた使用料を支払うだけでよいことになると思いますが、使用料徴収事務を委託しているのか、お伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 使用料の徴収につきましては、都が直接実施しております。

○もり委員 売買参加者や買い出し人は、一日中車両を駐車するのではなく、短時間の駐車となりますが、その場合の駐車料金の設定はどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 車両置場の使用許可を受けている者が負担する使用料は、東京都中央卸売市場条例施行規則に規定いたします月額に対しまして、使用許可面積を乗じて得た額としてございます。

○もり委員 駐車場として指定された場所以外に駐車を許しているとすれば、使用料を支払って駐車している業者の方との不公平を生むことになると考えます。
 駐車場以外の場所への駐車禁止の徹底をどのように行っているのか、お伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 開設者でございます東京都から市場施設の使用許可を受けた者は、条例に基づき許可を受けた施設を適正に使用することが求められておりまして、駐車場におきましても同様となってございます。
 各市場では、施設管理者として、使用許可を受けた駐車場以外の場所に駐車するなどの不適正な使用を発見した場合につきましては、条例に基づき必要な対応を行ってございます。

○もり委員 私も、非常に地元の大田市場にも行くのですけれども、やはり駐車場以外のところに大変、物流の円滑化という理由はあると思うんですけれども、やはり止められている車などを散見することもあります。そういったところで、本当に、事業者によって不公平が生じないような適切な運営管理をお願いいたします。
 豊洲市場では、売場使用料は七億二千四十五万三千四百五十円となっています。その使用料も規則で決まっていますが、業者の中には、通路を売場として使用する人もあると仄聞していますが、これは、きちんと使用料を支払っている業者の方と不公平を生じます。
 指定された売場のスペースの遵守の徹底についてどのように行っているのか、お伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 開設者である東京都から市場施設の使用許可を受けた者は、条例に基づき許可を受けた施設を適正に使用することが求められておりまして、卸売場等におきましても同様でございます。
 各市場では、施設管理者として、使用許可を受けていない施設を売場として使用するなどの不適正な使用を発見した場合につきましては、条例に基づき必要な対応を行ってございます。

○もり委員 売場スペースの遵守は、適切な利用料の徴収にもつながると考えます。引き続き、不公平が生じることのないよう取組を要望いたします。
 次に、豊洲市場の地震対策についてお伺いをいたします。
 先ほどのご答弁にもありましたが、地下水位を目標管理水位A.P.一・八メートル以下に維持することは、土壌汚染対策の前提となっているだけではなく、地震発生時の地盤の液状化対策の前提となっています。
 豊洲市場においては地下水管理が行われていますが、そのための費用については、先ほど、令和四年度における地下水管理システムの維持管理経費は五億七千万円とのご答弁をいただきました。年間五億七千万円の地下水管理費が毎年かかるというのは、市場の維持管理の中でも少なくない金額です。それだけの金額を投じている中で、目標管理水位が適切に管理をされているのか。
 豊洲市場用地における地下水位測定結果によれば、五街区青果棟の5−〔6〕、〔9〕、〔10〕、六街区の水産卸棟の6−〔3〕、七街区水産棟の7−〔4〕が、おおむねA.P.一・八に達しているかなといえるだけです。
 その点において、豊洲市場開場から五年が経過をしていますが、この間、地下水管理が徹底されていなければ、せっかくの液状化対策の効果がなくなってしまい、大地震が起きれば豊洲市場が液状化するおそれが現実のものとなりかねません。
 地下水位を目標管理水位A.P.プラス一・八メートル以下に維持をされているのかどうか、また、地下水位を目標管理水位A.P.一・八メートル以下に維持するためにどのような措置を講じているのか、さらに、地下水位を目標地下水位A.P.一・八メートル以下に維持することができているのか、お伺いをいたします。

○萩原環境改善担当部長 豊洲市場では、地下水管理システムの運用により地下水位の低下を図っており、令和五年三月二十九日時点で、地下水位は、目標管理水位であるA.P.プラス一・八メートルに対しまして、全街区平均でA.P.プラス一・六六メートルでございました。
 近年、増加傾向にあるゲリラ豪雨などの大雨の影響を考慮し、令和四年度に七街区の一部に有孔管を設置するとともに、五街区と七街区におきまして貯留槽の増設に着手をいたしました。
 これらの取組により、目標管理水位A.P.プラス一・八メートルの維持に向けて、地下水管理システムの運用の効率化、安定化に努めております。

○もり委員 ただいまご答弁をいただきましたが、豊洲市場の技術会議では、地下水管理システムについて、集中豪雨や台風時においてもA.P.プラス二・〇メートルで地下水の管理が可能となるよう、日常的に維持する水位をA.P.プラス一・八メートルとするとされております。都も、そのように説明をされておりました。
 全街区で日常的にA.P.プラス一・八メートルを維持することが適切な地下水管理であると考えますが、ただいまのご答弁では平均であるという、全街区平均でA.P.プラス一・六六メートルというご答弁だったのですけれども、それは、平均というふうに変わったのが、いつ誰がどのような理由で、地下水管理の目標を全街区平均でA.P.プラス一・八メートルという目標に切り替えたのか、今のご答弁についてちょっとお伺いをしたいと思います。

○萩原環境改善担当部長 豊洲市場の地下水管理システムの運用によりまして、地下水位を目標管理水位プラス一・八メートルということで管理をしております。
 この平均につきましては、皆様方に分かりやすいように今回、ただいま一・六六メートルと申し上げましたのは、令和五年三月二十九日時点の各街区の水位を平均して、分かるようにお示ししたということでございます。

○もり委員 やはり専門家会議でも技術会議の提言でも、これは平均ではなく、日常的に維持していく水位はA.P.プラス一・八メートルに設定するとございますので、ぜひ——令和四年度の豊洲市場用地における地下水管理測定を見ても、九月二十八日の測定値は、六街区は四・五二、七街区では四・四八と、A.P.プラス一・八を大きく上回る結果となっています。地震が来た際に液状化から守るためにも、地下水の管理は喫緊の課題であると考えます。引き続き、地下水管理システムの効率化、安定化に努めていただくことを強く求めます。
 次に、私の地元大田区にある大田市場についてお伺いをいたします。
 大田市場は、青果と花きの取扱高が国内最大の規模を誇っており、都内の中央卸売市場で唯一、青果、水産、花きを取り扱う総合市場です。
 私自身も花が大好きで、花は暮らしに欠かせないものとなっています。産地から市場を通り、まちのお花屋さんへと、日々、物流が滞りなく行われ、その中心となる市場を直轄する東京都の役割は重要となっていると考えます。
 一方で、コロナ禍で、花を扱う結婚式や葬儀、各種イベント等の縮小により需要が減少し、花業界全体に与えた影響は甚大だと伺っています。
 そこで、大田市場の花きの取引状況についてお伺いをいたします。

○大谷事業部長 令和四年度の大田市場における花きの取扱金額は約五百七十一億円であり、前年度と比べ約八・八%増加しております。
 これは、冠婚葬祭、イベントなどの業務需要が回復傾向にあることや、天候による入荷不順等から単価が上昇したことなどによるものと分析しております。

○もり委員 冠婚葬祭やイベントの需要が回復しつつあり、市場の取扱高も増加しているとのことですが、平成元年に大田市場の青果と水産が開場し、翌平成二年に花きが開場して、既に三十年以上が経過をしており、HACCPと国際基準に対応した施設の補修や修繕等への対応が行われていることと思います。
 今後も、安定的に青果物、水産物、そして花きを流通させていくために、市場の施設整備は大変重要になってくると思いますが、大田市場における施設整備の状況についてお伺いをいたします。

○萩原環境改善担当部長 開場から三十年以上経過する大田市場におきましては、施設や設備の更新期を迎えており、これまでに、事務棟の給排水やエレベーターなどの設備機器の取替え、建物の外壁などの大規模更新工事を順次実施しております。
 令和四年度は、花き棟におきましては建具改修工事、事務棟におきましては換気設備改修工事、エレベーター改修工事などをそれぞれ実施しております。

○もり委員 ありがとうございます。ぜひ適切な改修を行っていただき、また建物の長寿命化など、維持管理を引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、市場におけるフードロス削減の取組についてお伺いをいたします。
 日本では年間五百万トン以上のフードロスが発生をしており、その中でも、事業者によるフードロスは二百五十万トン以上と試算をされ、形が変形しているものや傷があるなど、市場流通の規格に合わない規格外野菜がその一部を占めます。
 市場では、できるだけロスを出さないよう取組が進んでいると思いますが、大田市場における規格外等の理由で廃棄される食品について、昨年の数字と、市場における都のフードロス対策の取組についてお伺いをいたします。

○石井市場政策担当部長 市場では、荷の傷みや商品の小分け等により野菜くずが廃棄物として発生しており、大田市場では、令和四年度に、そのうち約七十二トンがリサイクルされております。
 また、市場における食品ロス削減に向けた取組として、規格外商品に関するECサイトを構築した事業者の例など、食品ロスの削減に寄与する取組として、市場業者と共有するための情報収集、分析等を行いました。

○もり委員 ありがとうございます。ただいま、約七十二トンがリサイクルをされたとのご答弁をいただきました。一部、大阪の市場などでは、廃棄する野菜などを自由に周りの市民が持っていくことができて、それが子供食堂に利用されているような事例などについても伺いました。必要とする方に、そういった廃棄されるはずのそれが届くというのも大変いい取組だと思いますので、引き続き、そういった新しい取組についてもご検討をお願いいたします。
 コロナ禍では、連日、市場関係者の感染状況についてご報告をいただき、多くの関係者が行き来する市場における感染拡大防止の取組は大変であったことと思います。
 コロナ禍による影響を払拭して取扱高や売上高を伸ばしていくためには、施設面での改善はもとより、経営面での支援も重要であると考えます。
 そこで、都は、コロナ禍において感染拡大の防止に努める大田市場の市場業者の方々にどのような支援を行ってきたのか、お伺いをいたします。

○大谷事業部長 都では、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた事業者の自律的な取組を促進するため、大田市場をはじめとした業界団体等の取組を中央卸売市場経営強靱化推進事業により積極的に後押ししました。
 具体的には、市場の事業継続体制を確保するため、簡易検査キットを購入し、自主検査体制を整備する取組に要する費用の一部を経営強靱化推進事業により補助しました。
 また、都庁などの会場で実施されているワクチン大規模接種を事業者に広く周知することなどにより、ワクチン接種を促進しました。

○もり委員 また、大田市場は、羽田空港からも近く、全国から新鮮な食材と花きが集まり、東京ドーム八・五個分の面積を誇る国内最大規模であり、インバウンド需要を取り込む観光の視点からも、大変大きな魅力と可能性があると考えます。
 令和四年は、コロナ禍で大きな減収となった中で、水産部門では、年末の十二月二十六日から三十日に、新聞折り込みで、チラシで大々的に告知を行い、一般のお客様を中心に買物を楽しんでもらう機会を設けたと伺いました。大田市場には場外市場がありませんが、とてもよい取組であると思います。
 大田市場における一般客の利用の状況と、経営面での支援についての取組をお伺いいたします。

○大谷事業部長 大田市場水産物部においては、令和四年度に、地域の方々などを対象に、買物や飲食を楽しみながら魚食、食育への関心を高める取組を行い、多くの方々に市場を身近に感じていただきました。
 また、市場業務の担い手である市場業者に対しては、経営革新等に向けた自律的な取組に対して、経営強靱化推進事業により支援を行いました。

○もり委員 やはり場外市場がありませんので、なかなか一般の方が日頃から買物に行くのは大変難しい課題もあるかと思います。けれども、売上高の向上という面では大変大きな効果もあると考えますので、これは地元自治体とも連携が必要だと思いますが、一層の、そういった需要の拡大に向けては取組をお願いすることを求めて、質問を終わります。

○保坂委員 それでは、よろしくお願いします。都民ファーストの会東京都議団の保坂でございます。
 私からは、昨年の決算特別委員会でも確認をさせていただいておりますが、旧築地市場の解体工事についてだけ、何点か確認をさせていただきたいと思います。
 豊洲市場は、今年の十月十一日をもって開業五周年を迎え、東京の新たなランドマークに定着され、築地においても、令和五年度内にまちづくり事業者が決定する予定であり、築地地区の新たなまちづくりがいよいよ始まることになります。
 私は、中央卸売市場による旧築地市場の解体工事が、まちづくりの準備として大変重要な事業であると考えておりまして、これまでも、現地を視察するなどその様子を見てきました。その観点から、解体工事の進捗状況について確認をさせていただきたいと思います。
 まず、令和四年度の旧築地市場の解体工事の進捗状況について伺います。

○萩原環境改善担当部長 令和四年度の旧築地市場の解体工事は、旧厚生会館の解体が完了いたしまして、勝どき門駐車場はアスベスト除去作業を実施いたしました。
 また、令和四年八月に新たに仮設構台解体工事を契約し、関係者との調整を経て、令和五年一月から解体工事に着手いたしまして、全て計画どおりに進捗をいたしました。

○保坂委員 旧築地市場に残る建物のうち、厚生会館の解体が完了し、勝どき門駐車場についてもアスベストの除去作業が行われており、順調に解体工事が進んでいることが分かりました。また、新たに仮設構台の解体工事を契約され、一月から着手されたとのことであります。引き続き、着実に解体工事を進めていただくよう求めておきます。
 その中で、私は従前より、解体工事時のアスベスト除去について十分な安全対策を講じる必要性を指摘し、その内容を確認してきました。二十三ヘクタールという広大な敷地の中に、先ほどおっしゃられた様々な施設があり、それも何十年も前に造られた施設で、そのアスベストの量は大変膨大であるという、私は緊張感を持って、この解体工事については追い求めてきました。
 そこで、昨年の解体工事のアスベスト除去についての取組状況について伺います。

○萩原環境改善担当部長 解体工事における飛散性の高いアスベストの除去に当たりましては、法令やマニュアルに基づき、勝どき門駐車場及び厚生会館ともに、作業場ごとにプラスチックシートによる隔離養生を行いました。
 これに加えまして、中央卸売市場では、独自の取組として、アスベスト除去作業前に、隔離養生された作業場を煙で充満させ、養生材のプラスチックの継ぎ目などから漏えいがないかを確認し、気密性を確保いたしました。
 こうした取組により、安全に厚生会館のアスベストの除去を行い、建物の解体も無事完了いたしました。

○保坂委員 解体工事におけるアスベスト除去が適切かつ安全に除去されていることが確認ができました。
 アスベストは目に見えないことから、除去作業の管理が大変難しいと聞いておりましたが、今、答弁にありました独自の取組に加え、細心の注意を払って作業していることは大変評価ができます。
 これも、私、拝見させてもらったのですけれども、旧築地市場解体工事における「適正、安全、完全なアスベスト除去」に向けた取組みということで……(資料を示す)レポートまで公表されております。
 独自の取組ということで、これから様々、中央卸売市場がある施設が、ほかの施設でも解体工事がどんどんと始まるという中で、市街地にある施設が非常に多い。その中で、このアスベストというのは、大変これからも注目をされる工事になると思いますので、そこはぜひ注意をしてやっていくんだという、まさにこれが築地ルールでしたっけ、築地ルールというのも定められたということで、これは大変すばらしい取組だと思います。
 その上で、さらなる公平、公正な視点として、専門家の意見を聞くなど第三者の視点も必要と考えます。
 そこで、今回のアスベスト除去作業について、第三者の意見を聞くなどの取組を行ったのか、見解を伺います。

○萩原環境改善担当部長 旧築地市場の解体工事に伴うアスベスト除去につきましては、解体当初の平成三十年から、専門家の意見を聞きながら実施いたしました。
 具体的には、東京労働安全衛生センター及び中皮腫・じん肺・アスベストセンターに所属する専門家から、作業場の事前清掃や除去作業中のエアモニタリングなどの助言があり、これらを追加し、対応いたしました。
 また、必要に応じて、専門家にアスベスト除去作業の現場を直接確認していただくなど、受注者に対する丁寧な指導を行いました。

○保坂委員 第三者意見として、専門家の助言や現場確認も実施しているとのことで、非常に安堵しました。
 築地場外市場は、新型コロナウイルス感染症の五類感染症移行後、インバウンド需要も増えて、多くの外国人を含めた観光客でにぎわっておりまして、さらにビジネス街も近接していることから、通勤者も非常に多いエリアであります。私は、こうした観点からも、解体工事に関して徹底した安全管理を継続していくことは、非常に重要だと考えております。
 一方、徹底した安全管理に加えて、解体工事に関わる正確な情報発信も必要不可欠であると考えます。
 そこで、都民や周辺住民に対して、解体工事に関する情報をどのように行っているのか、具体的な内容について伺います。

○萩原環境改善担当部長 旧築地市場の解体工事の情報提供に当たりましては、地元区と調整した上で、近接する自治会などの代表者に対し、毎月、個別に情報提供を行うなど、丁寧な対応に努めました。
 具体的には、解体工事の内容が記載された工程表や平面図による解体の進捗状況などについて報告をいたしました。特にアスベスト除去作業につきましては、壁や天井などの含有部材を記載するとともに、除去対応レベルについても明確にお示しをいたしました。
 これらの情報につきましては、東京都中央卸売市場のホームページでも公表をしてございます。

○保坂委員 周辺住民を含めた都民に対する大変丁寧な情報発信が行われていることが確認をでき、安心しました。
 中央卸売市場が旧築地市場の解体工事で実施しました大規模なアスベスト除去は大変すばらしい取組で、市街地で古い建物解体工事における、これは先駆的な取組でもあると思います。官民の垣根を越えてこれが広がることを大いに期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○高倉委員 市場を取り巻く環境は、非常に厳しいものがあるというふうに思っておりますが、その一方で、やはり食生活をはじめとして消費生活を支えていくという意味においても、市場が果たすべき役割というのは極めて重要であるというふうに考えております。
 今日も、様々な角度から経営計画について質疑が行われておりますけれども、令和三年度に経営指針を策定して、そして、それを基にしてこの経営計画が策定をされているということでありまして、まさにこれから市場は、本当に重要な役割を果たしていくという上において、しっかりとした経営をしていく必要があるというふうに思っておりまして、そのためにも、この経営計画を着実に推進をしていっていただきたいというふうに思うわけであります。
 やはり計画でありますので、これは五年間の計画ということになっているわけであります。それで、その初年度が、今日、決算審査をしている令和四年度がその初年度に当たるわけでありますけれども、この計画が着実に推進をされているかどうか、こういったことを、こうした決算審査の機会にも、一つ一つしっかりと確認をしていかなきゃならないというふうに思うんです。
 そのためにも、この計画でどういうところを目指しているのか、この目標についても、できるだけ具体的に、特にこうした決算審査の場については、できるだけ具体的な数字も含めて進捗状況というのを確認していかなければならないと思っておりますけれども、そうした意味で、計画も、そしてその取組についても、できる限り見える化をして、一般の都民にもよく理解をしていただけるような、そうしたことを、ぜひ市場当局には発信をしていただきたいと、そのように思っております。
 そこで、この経営計画の初年度に当たる令和四年度の取組の進捗状況を確認して、目標達成に向けた見通しを、今日は少し質疑をさせていただきたいと思っておりますが、経営計画における五年間に取り組むべき内容の方針やその目的についてお伺いしたいと思います。

○石井市場政策担当部長 東京都中央卸売市場経営計画は、中央卸売市場が都民に生鮮品等を円滑かつ安定的に供給する基幹的インフラとしての役割を将来にわたって果たすことができるよう、都が令和四年度から五年間にわたって取り組むべき方策を明らかにするため、策定したものでございます。
 経営計画では、市場を経営する都の立場を三つに分けた上で、まず開設者としては、市場全体の機能の最適化や各市場の機能強化に取り組むこととしております。また、施設管理者といたしましては、市場施設の計画的な維持更新を図りますとともに、市場会計の管理者としては、強固で弾力的な財務基盤の確保に取り組むこととしております。
 さらには、市場の活性化に向けた取組として、市場機能の強靱化や取引活性化に向けた取組の強化、市場事業のサステーナブル化に取り組んでいくこととしております。

○高倉委員 今、この経営計画の全体的な姿について答弁をしていただいたわけでありますけれども、先ほど申し上げたように、都民の消費生活を支えていくために市場が果たしていく役割、これは本当に重要であるというふうに思います。
 それで、この経営計画の中では、やはり重点的に取り組んでいくというようなことも明らかにされているわけであります。
 そうした点において、何点か確認をさせていただきたいと思っておりますが、まず、令和四年度に実施をした市場取引の活性化に向けた取組の実績、特に取扱数量、また取扱金額といったこと、こうしたことを考慮に入れて活性化させていかなきゃなりませんけれども、取組の実績についてお伺いしたいと思います。

○石井市場政策担当部長 各市場の取扱数量や取扱金額を伸ばすなど市場取引を活発にするためには、取引の担い手である市場業者による産地からの品ぞろえの充実や販路拡大等に向けた取組が重要でございます。
 そのため、都は、経営支援と施設整備のソフト、ハード両面から市場業者の経営を下支えしていく必要がございます。
 ソフト面におきましては、コロナ禍の影響で売上げが減少する中、新たな顧客獲得のため、第三者認証の取得を目指す市場業者の取組等に要する経費の一部を補助しました。
 また、ハード面におきましては、低温化設備の更新など市場機能の強化を図る施設整備などにより、市場業者の集荷力向上や販路拡大を後押しいたしました。

○高倉委員 経営計画においては、DXの推進といったことも、商流や物流の高度化、効率化等を図る方策として掲げられているわけであります。
 市場取引の活性化に当たっては、DXの推進は重要な要素の一つとなると考えますけれども、このDXの推進に向けた令和四年度の取組とその評価についてお伺いしたいと思います。

○石井市場政策担当部長 市場業者だけでなく、産地や実需者など多岐にわたる関係者が取引に関わっている生鮮品等流通の中間結節点に位置する卸売市場におきまして、DXの推進により物流、商流の高度化、業務の効率化等を図っていくことは重要でございます。
 そのため、都は、昨年度、豊洲市場などにおいて、市場業者の取引データ活用による販売力強化等を目的とした販売管理システムの導入に対して、取組に要する経費の一部を補助いたしました。事業者からは、デジタル化を促進したことにより業務の効率化が図られたとの報告を受けております。
 また、大田市場におきまして、デジタル技術を活用して場内物流の改善等を図る取組として、カメラ映像の解析による車両特定技術の導入に向けた検討を行いました。

○高倉委員 DXの推進は、業務の効率化だけでなく、生産性の向上等により市場取引の活性化にもつながるものでありまして、今後も卸売市場が将来にわたって役割を果たしていく上で重要な取組であります。
 また、DXの活用等による市場取引が活性化されれば、取扱数量や取扱金額を伸ばすことにもつながりまして、使用料収入の増加による市場経営の安定化にも寄与するものであります。
 市場経営の安定化という観点では、市場取引の活性化だけでなく、強固で弾力的な財務基盤の確保が必要でありまして、経営計画において取り組むべき内容の一つとしているわけであります。
 そこで、経営計画に示している財政収支計画と令和四年度実績との比較評価についてお伺いしたいと思います。

○萩原財政調整担当部長 令和四年度決算の経常損失は約百二十三億円でございまして、東京都中央卸売市場経営計画におけます財政収支計画で示した当該年度の百四十億円の経常損失と比較いたしまして、市場維持管理費の縮減などの要因によりまして、令和四年度決算が財政収支計画を約十七億円上回る状況となってございます。

○高倉委員 令和四年度決算は、財政収支計画を上回ったということであります。経営計画では、二〇四〇年代に経常収支の黒字化を目指すとしておりますけれども、五年間の取組はしっかりと成果を上げることができるかどうか、極めて重要になるわけであります。
 そこで、令和四年度の取組の成果と、その成果を踏まえて、都が目指す目標の達成が間違いなく推進できるかどうかについて、市場長の見解をお伺いしたいと思います。

○早川中央卸売市場長 中央卸売市場が将来にわたり市場を安定的に運営していくには、強固で弾力的な財務基盤の確保が不可欠でございます。
 そのため、東京都中央卸売市場経営計画で掲げた二〇四〇年代における経常収支の黒字化に向けまして、令和四年度におきましては、内部努力による経費削減や各市場における未利用施設の有効活用など、収益向上の取組を鋭意進めてまいりました。こうした取組によりまして、令和四年度決算では、経営計画にお示しした財政収支計画を上回る結果を得ることができました。
 加えまして、令和四年度は、市場会計の財政状況などにつきまして、業界との協議に向けた意見交換も始めております。
 中央卸売市場、都民に対する円滑で安定的な生鮮食料品等の供給を確保する基幹的なインフラとしての役割を今後とも果たしていけるよう、引き続き、財務基盤の強化、また市場の活性化など経営計画に盛り込みました取組につきまして、先ほど副委員長からご指摘いただきましたとおり、その進捗状況を要所要所でお示しをしながら、着実に実施してまいります。

○高倉委員 ぜひともしっかりとした取組を、またこの計画は、さらには四年間、今年度も含めてあるわけでありまして、よろしくお願いしたいと思います。
 続いて、市場施設の維持更新についてお伺いしたいと思います。
 中央卸売市場は、産地と消費者とをつなぐ、青果、水産、食肉、花きの取引の拠点としまして、その役割を果たしている反面、市場関係者の活気ある取引を支える市場施設の多くは老朽化が進んでいるわけであります。
 東京の中央卸売市場が引き続き都民生活を支えていくためには、活発な取引と並びまして、その基盤となる施設面においても、施設の維持更新や機能強化を継続的にしっかりと行っていく必要があります。
 そこで、令和四年度に取り組んだ施設の維持更新や機能強化の主な内容と、要した経費の総額についてお伺いしたいと思います。

○石井市場政策担当部長 都の中央卸売市場において日々の市場取引等が円滑に行われるためには、老朽化した市場施設を着実に維持更新することに加え、市場を取り巻く環境変化に対応した機能強化を図っていくことが重要でございます。
 令和四年度は、建物を保護する屋上防水や、市場全体の電力を賄う受変電設備、光熱水費等の計量を行う検針装置などの改修工事等を実施いたしますとともに、淀橋市場において、老朽化した事務所棟の建て替えに合わせた市場機能の強化に向けた基本設計を取りまとめました。
 こうした施設、設備等の維持更新や機能強化に係る建設改良費の令和四年度決算額は、約二十億円となっております。

○高倉委員 維持更新や機能強化を継続的にしっかりと進めていくためには、中長期的な財政の負担の把握と、その財源の確保が必要であります。
 具体的に、今、令和四年度のお話を聞いたわけでありますけれども、実際それが適切に、的確に、計画しているとおりに進んでいるかどうかといったようなことも、大きな視点から見ていかなきゃならないというふうに思っているわけであります。つまり、どれぐらい先にこう、何というか、期間を設定するかということにもよるのですけれども、ある中長期的な期間を見据えて、その間に、この維持更新の費用のいわば財政的な負担が幾らぐらいかかっていくのか、こうしたことをしっかりと明らかにした上で、その上で、例えば、この年度はどうであったのか、こういったことを見ていく必要があるんだと思うんですね。
 これは当然、取組の状況と、それから財源対策ということも必要でありまして、こういったところは、この年度だけを見ていたのでは、よく分からないという部分もあるわけであります。
 それが果たして適切だったのか、何かの事情があって少し、何といいますか、遅れたところもあったか、もしくは進んだところもあったのか、こういったことを明らかにしていかなければならないというふうに思っておりますけれども、そこで、今後の施設の維持更新にはどれぐらいの財政的負担を要するというふうに考えていらっしゃるのか、現在見据えている期間も含めて、見積もっている経費について見解を求めたいと思います。

○萩原財政調整担当部長 施設の維持更新経費をはじめ、当年度純損益や企業債償還金などを含めて試算しました経営計画で示している資金収支におきましては、令和四年度から経常収支の黒字化を目指している令和三十一年度までに、過去の施設整備の際に発行した企業債の償還金を除き、一千六百億円程度の資金を要する見込みと考えてございます。

○高倉委員 今、答弁で、企業債の償還金を除いて一千六百億円程度の資金を要する、こういった答弁でございました。もちろん期間も長いわけでありますけれども、当然ながら、必要な経費というのがかなり巨額になるというわけでありまして、この財源の確保については、当然、借金をして、そして賄っていくということもあるわけであります。どこかの期間に集中的な負担が重くのしかからないような手法として、いろいろなことが考えられるのではないかと思いつつも、やはりこの財源は、この間にしっかりと確保していかないと、老朽化した施設の更新というものが滞ってしまうというふうになってしまうわけであります。
 今、ご答弁にありましたけれども、これらの財源をどう確保していこうと考えているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○萩原財政調整担当部長 今後の市場施設の維持更新等に要する財源につきましては、施設の維持更新に当たり、ライフサイクルコストの低減と更新時期の平準化等を図るアセットマネジメント手法を用いていくことに加えまして、市場会計が保有いたします資金や国からの交付金などを活用してまいります。

○高倉委員 最後に、被災地支援についてお伺いをしておきたいと思います。
 東日本大震災の発災から、もうかなり長い期間が経過をしておりまして、当初に比べると、私も含めて、一般的にはやはり記憶が風化をしてきていると。これは、時の経過とともに、やむを得ない部分はあるんだというふうに思いますけれども、やはりあの震災が起こった後、我々がどういう思いで、皆さんとともに、こういう質疑の場も通して、どういう思いで、そうした被災地の皆さんと向き合ってそのご要望を受け止めて、そして、それにしっかり対応してきたのか、このことを考えたときに、あの被害の甚大さを考えれば、やはり引き続きしっかりと支援をしていくということは、私は必要であるというふうに思っています。
 あの震災が発生した年に、私たち都議会公明党は、それぞれ、福島、それから宮城、そして岩手と、三つの被災地派遣チームをつくって、ずっとあれから被災地に行ったりして、生の声を聞いてきたわけであります。
 特に震災が発生をした直後は、漁業関係者からもお話を聞きましたけれども、非常に厳しい状況のお話がございました。相馬市に行ったときは、あの辺はヒラメが取れるということで、これが当時の築地の市場なんかに出てきますと、非常に高値のお魚なんですね。しかしながら、それが出荷できなくなってしまっていると。さらには、原発の事故に伴って、放射能が広域にわたって影響したということがあって、福島なんかは桃なんかが非常に有名なわけですけれども、私たちの被災地の派遣チームで農家にも行きまして、除染の作業、放射能を取り除く除染作業も、本当に気の遠くなるようなものでありました。そういったことも、いろいろ行きまして、お話も聞いてきたりしました。
 そして、福島県の知事は、知事自らが東京都まで、都議会にもいらっしゃいましたけれども、足を運んで、まさに桃を抱えてきてトップセールスのような形で、セールスというよりは、ぜひこれを東京でしっかり取り扱っていただきたい、こういう思いでこちらには来られたわけであります。
 本当にこれからもしっかり取り組んでいきたいと思いますし、私たちが様々なご提案をさせていただいたことについて、市場では、本当にしっかり受け止めていただいて様々な取組をしていただいたということについては、心から感謝申し上げたいというふうに思っております。
 そこで、この令和四年度に取り組んだ支援策についてお伺いをするとともに、被災地産品の市場での取扱実績について答弁を求めたいと思います。

○前田管理部長 令和四年度は、市場業界の方々と連携して、花育を目的としたフラワーアレンジメント教室において被災地三県の花きを使用するとともに、市場まつりなどにおいて被災地産品の物販等を行いました。
 さらに、大田市場において行われました福島県知事によるトップセールスに協力するとともに、豊洲市場の見学者通路に被災地三県の魚介類等を紹介するパネルを設置するなど、被災地産品の魅力をPRいたしました。
 中央卸売市場における被災地産品の令和四年度の取扱金額は、福島県産水産物が震災前の平成二十二年度の取扱金額の約六割程度であったほか、青果物が同様に約八割程度でございました。

○高倉委員 今、答弁で令和四年度の取組についてもお話をしていただきまして、本当に改めて感謝申し上げたいと思います。
 青果物が八割程度戻っているということに対して、まだ水産物が六割程度であるということで、まだまだ厳しい状況があるというふうに思います。都によるPRの場の提供でありますとか、そして、何より市場業者の目利きの力を生かすことで、ここまで何とか流通が回復してきたという感じがありますけれども、残念ながら、今、数字を答弁していただいたとおり、まだまだ震災前の状況に戻っていない状況もあるわけであります。
 今後も引き続き、福島をはじめ日本の水産物に対する風評被害を払拭するために、消費者も含めて理解を深め、取組を進めていく必要があると思います。
 そこで、市場の今後の取組の方向性について答弁を求めたいと思います。

○前田管理部長 都民に対する生鮮食料品等の供給を担う中央卸売市場におきまして、今後も、市場取引等を通じて被災地産品を消費者にPRし、普及拡大や風評被害の払拭に努めていくことが重要でございます。
 こうした取組を促進していくために、新型コロナウイルス感染症の五類移行などに伴い回復してきておりますイベントの機会などを捉えて、被災地産品のPR等に努めてまいります。
 取組に当たりましては、中央卸売市場だけではなく、都庁内各局はもとより被災地との連携を図り、効果的な事業となるよう、運営面や財政面から市場業界を後押ししてまいります。

○あぜ上委員 今日の質疑の最後の質疑者となりました、あぜ上です。よろしくお願いいたします。
 まず、中央卸売市場のゼロエミッション化についてです。
 地球温暖化は、もう地球沸騰化の時代に入ったといわれておりますけれども、農業や漁業にも深刻な影響が出ている、そういう状況であります。そういう点では、環境対策は、もう待ったなしの課題であるというふうに思います。それは、どの分野においても着実にゼロエミッション化に取り組むことが求められておると思いますけれども、市場も例外ではないというふうに思っております。
 また、近年、電気代の高騰もあって、そうしたことからも、自らの電力調達、そして省エネ、これもますます大事になってきていると思います。
 そこで伺いたいと思います。中央卸売市場では、太陽光発電装置の設置などにより再エネの導入を進めていらっしゃいますが、市場における二〇二二年度の調達電力の再エネ化の到達状況について伺います。

○石井市場政策担当部長 中央卸売市場では、市場施設の維持更新等の機会を捉えて再生可能エネルギーの導入を進めており、これまで、豊洲市場、食肉市場、北足立市場の三市場におきまして太陽光発電装置を設置いたしました。

○あぜ上委員 施設更新などに合わせて太陽光発電装置を設置しているということであります。
 今後の再エネの取組について、昨年の三月に策定されました市場経営計画では、目指すべき姿として、二〇四〇年には再生可能エネルギー一〇〇%というふうになっていますが、達成に向けてどのように取り組んでいらっしゃるのか、伺います。

○石井市場政策担当部長 中央卸売市場経営計画に掲げる再生可能エネルギー一〇〇%による電力調達を実現するため、太陽光発電装置の導入を進めることに加えて、とちょう電力プランの活用など、再生可能エネルギーによる電力調達を進めていくこととしてございます。

○あぜ上委員 市場の場合は、営業を続けながらの改修、そして維持更新というふうになるわけですから大変だというふうに思いますし、また、大規模な市場の更新時期というのは二〇五〇年というふうに、市場経営計画の中でもそういう見通しだということが書かれてありました。そうした中での着実な再エネ一〇〇%というのは、本当にいろいろご苦労があるかと思います。
 そういう点では、今、ご答弁がありましたように、太陽光の発電の装置だけでなく、とちょう電力プランの活用も進めていくと。まだこの電力プランの施設には指定されていないようなんですが、今後、そういった指定になっていくだろうということでありますので、ぜひそういった形で進めていっていただきたいと思います。
 また、中央卸売市場の中には、幾つかの建物に分かれているそういう市場もあるので、やはり建物ごとの更新もあるかと思います。市場の皆さん、業者の皆さんと、やはり協議をし、連携を進めながら着実に太陽光発電装置を設置するなど、各市場の再エネ化を推進していただきたいということを改めて求めておきたいと思います。
 さて、再エネと同時に、省エネ対策も重要です。
 先ほどのほかの委員の方のご質問のご答弁で、昨年度、市場のLED化を進めたというお話がありましたが、各市場の照明機器のLED化、これは二〇二二年度までの進捗状況はどうだったのか、また、いつまでに一〇〇%にするのか、伺います。

○石井市場政策担当部長 中央卸売市場の卸売場など、主要な市場施設における令和四年度末のLED化率は約六四%でございます。
 引き続き、市場業者との調整等を図りながらLED化工事を進めてまいります。

○あぜ上委員 共有部分のLED化は二〇一六年度から進められていますので、七年目で六四%ということであります。市場業者の方との調整、これは大事ですが、ぜひ期日の目安を持って、早急に一〇〇%にするよう求めたいと思います。
 また、共有部分とともに、市場の個々の事業者のスペースにおいても省エネ対策を進めていくことも求められていると思います。
 中央卸売市場の個々の事業者向けに、省エネ型のグリーン冷媒設備への更新、これをした場合に補助を昨年度からスタートしたことは重要だと思いますが、昨年度の実績を伺います。

○石井市場政策担当部長 令和四年度における補助事業の実績は、十二件、約百八十万円でございます。

○あぜ上委員 十二件ということですね。市場というのは、本当に冷凍冷蔵施設というのは要の設備でありますから、更新の補助というのは、非常に大事だなと思いました。
 昨年度の補助率は三分の一で、今年度は二分の一に引き上げたということを伺っていますが、それも大変重要だというふうに思いますが、多くの事業者が省エネ型のグリーン冷媒施設への更新が進められるように広報に努めていらっしゃると思いますが、さらに広報をするとともに、二分の一補助をさらに拡充することを求めたいと思います。
 さて、その他の市場環境負荷低減、これに向けた取組についても伺いたいと思います。

○石井市場政策担当部長 令和四年度は、各市場の電力使用実態を検証した上で、節電に向けた課題の抽出などを行うため、省エネルギー診断を実施いたしました。

○あぜ上委員 省エネ診断を実施したということで、この省エネ化については、市場全体としての取組と個々の事業者の取組と、双方の取組をやはり加速する必要があると思いますので、既に事業者に対するLEDの補助も実施をされていますけれども、そして省エネ診断も行ったということなんですが、ぜひ相談会の取組などの強化、事業者の皆さんのご要望に応えた支援の拡充、これを進めていただくように求めたいと思います。
 二つ目のテーマは、市場内における事故についてです。
 市場における事故について、二〇二二年度の状況について伺いたいと思います。
 中央卸売市場における二〇二二年度の事故件数、その内訳、物損と人身の件数をお示しいただきたいと思います。

○前田管理部長 令和四年度の事故発生件数は、全市場合計で五百四十八件でございました。
 このうち、人身事故は百十九件、物損事故は四百二十九件でございました。

○あぜ上委員 施設の安全対策などを市場局としてもご努力されてきましたけれども、二〇二一年度の事故件数が五百八十五件。若干減ったけれども、大幅に減ったという状況ではないということであります。
 どのような事故が多いのでしょうか。伺います。

○前田管理部長 事故は様々な要因によりますが、車両の運転操作を誤ったことなどによる事故が多いと認識しております。
 そのため、市場業者に対して、場内の会議体を通じ、車両運転に関わる注意喚起などを行っております。

○あぜ上委員 運転操作を誤ったことなどによる事故が多いということです。
 一般的には、スーパーなどの駐車場などは、一般の人が出入りすることがある場合は道路交通法が適用されるということですが、市場の場合は、道路交通法の二条の一項でいう一般交通の用に供するその他の場所に該当するのか、それとも私道となるのか、非常に判断が難しく、微妙なところだというふうに伺っているところですが、豊洲市場などは五街区に来場者の駐車場などもあって、やはり安全対策には十分注意が必要だというふうに思うんです。
 少なくとも、この道交法の安全対策の義務、これを果たすよう徹底することや、今もガードマンがいるところはありますけれども、必要なガードマンの配置などを管理者の責任としてぜひ行っていただきたいと思います。
 そして、先ほどのご答弁では、事故件数のカウント、人身と物損とに分けてカウントされていることは分かったのですけれども、個々の事故の記録というのは、市場局として残していらっしゃるのでしょうか。

○前田管理部長 中央卸売市場では、市場内で交通事故が発生した場合、原則として、事故の当事者または目撃者から報告を受けた巡視詰所の職員等が、事故の状況について調書を作成し、場長に報告することとしております。

○あぜ上委員 物損でも人身であっても、事故については、市場として記録しているということですね。この文書の保存期間もしっかりと、後々のことを考えて取っていただくことを求めておきたいと思います。
 残念ながら、重大事故も過去には起こりました。そうした場合は、警察に届出するのでしょうか。届出の基準があるのか、伺いたいと思います。

○前田管理部長 市場内で交通事故が発生した場合、職員等の報告に基づいて、事故の状況を警察へ報告することとしております。

○あぜ上委員 つまり、昨年度でいえば、事故は五百四十八件。この事故は全て届出しているという理解でいいのでしょうね。——ですね。はい。
 今日の質疑で、私、やはり中央卸売市場内での事故、残念ながら、まだ多いということが分かりました。特に私が心配しているのは、豊洲市場などでは、観光としての位置づけや、それから、見学や買物などもできる千客万来施設のオープンも来年に迫っているところです。そうしたことからも、さらに事故発生の確率は高くなるのではないかと心配しているところです。
 市場で働く方々の安全確保のためには、やはり施設面での改善が必要なところは、市場局としてもご努力されて改善されているというのは十分承知をしておりますけれども、どう事故を減らすのか、やはり具体策について、市場関係者の方々とこの機会に十分協議をしていただいて、しっかり取り組んでいただきたい、そのことを求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○柴崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時十分散会

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