委員長 | 古城まさお君 |
副委員長 | 伊藤しょうこう君 |
副委員長 | 五十嵐えり君 |
副委員長 | 村松 一希君 |
北口つよし君 | |
福手ゆう子君 | |
斉藤まりこ君 | |
大松あきら君 | |
鈴木 純君 | |
風間ゆたか君 | |
本橋ひろたか君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長 | 谷崎 馨一君 |
次長 | 小平 基晴君 | |
技監 | 小野 幹雄君 | |
技監 | 湯川 雅史君 | |
理事 | 朝山 勉君 | |
総務部長 | 打田 武彦君 | |
市街地整備部長 | 三木 健君 | |
企画担当部長 | 長尾 肇太君 | |
防災都市づくり担当部長 | 池内 光介君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 山田 裕之君 | |
局務担当部長 | 末元 清君 | |
水道局 | 局長 | 西山 智之君 |
技監 | 松田 信夫君 | |
総務部長 | 長嶺 浩子君 | |
職員部長 | 船川 勝義君 | |
経理部長 | 西川 泰永君 | |
サービス推進部長 | 坂井 吉憲君 | |
浄水部長特命担当部長兼務 | 橋本 英樹君 | |
給水部長 | 鈴木 理君 | |
建設部長事業調整担当部長兼務 | 石田 紀彦君 | |
経営改革推進担当部長 | 小澤 賢治君 | |
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 | 鈴木美奈子君 | |
設備担当部長 | 小泉 正一君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 石井 英男君 |
調整部長 | 清水 英彦君 | |
施設部長 | 藤村 和彦君 | |
技術調整担当部長 | 大友 和仁君 |
本日の会議に付した事件
令和四年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・令和四年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
水道局関係
・令和四年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・令和四年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)
○古城委員長 ただいまから令和四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び水道局関係の決算に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和四年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○北口委員 まず、私からは、泉岳寺駅地区の再開発事業について質問をさせていただきます。
泉岳寺駅地区を含む当該地域は、高輪ゲートウェイ駅の開業や、JRの車両基地跡地の再開発など、地域全体で、東西の分断の解消、また、国際交流拠点としての整備、そしてまた、居心地よい空間の創出など、新たなまちづくりに取り組んでいると理解をしております。
令和四年度東京都都市再開発事業会計決算書によれば、泉岳寺駅地区においては、昨年度、施設建築物の実施設計、そして、埋蔵文化財調査を行ったということであります。
まずは、この施設建築物の実施設計についてお伺いをいたします。
近年、異常気象による災害が増加しており、日本各地で線状降水帯などの発生により、水害に見舞われている地域が多発をしております。
河川の氾濫に加え、都市部においては下水の処理能力を超える集中豪雨により発生する内水氾濫や、泉岳寺駅地区を含む湾岸エリアなどでは高潮の危険性もあり、今後開発される地下建築物の浸水対策は大変重要というふうに考えております。
そこで、この令和四年度に行った実施設計ではどのような浸水対策をしているのかお伺いをいたします。
○三木市街地整備部長 泉岳寺駅地区は、その一部は港区の浸水ハザードマップで浸水域となっておりまして、地盤面から最大で七十センチメートルの浸水が想定されております。
このため、令和四年度に行った再開発ビルの実施設計では、地盤面から八十センチメートル以上の位置を止水設定高さとし、外構デザインの工夫や開口部への防水板の設置により建物内部や地下駅前広場への浸水を防ぐようにいたしております。
加えまして、敷地外への雨水の流出を抑制するため、港区の要綱に基づきまして、再開発ビル内に雨水流出抑制槽を設置いたします。
これらによりまして、再開発ビルや泉岳寺駅への浸水被害を防ぎ、安心・安全なまちづくりに努めてまいります。
○北口委員 再開発ビルの実施設計においても、ビルだけでなく、地下鉄空間に対する浸水対策も考慮されているということを確認させていただきました。
近年の豪雨災害は珍しい災害ではなくなりつつあります。万全の浸水対策をお願いいたします。
次に、埋蔵文化財調査について質問をいたします。
本地区では、令和三年度から埋蔵文化財調査を開始し、現在も続いているというふうに聞いております。
まず、当地区ではどのような埋蔵文化財が想定されていたのかお伺いをいたします。
○三木市街地整備部長 本地区内には、東京都教育委員会が平成七年に指定した埋蔵文化財包蔵地が存在しておりまして、これらは江戸時代及び明治時代の海岸線の護岸とされておりました。
また、本事業着手後の令和三年に、敷地東側の区域境に沿って存在する水路石垣が追加で包蔵地に指定されました。
○北口委員 本地区の事業着手前に包蔵地指定されていたのは、この地が埋め立てられる前の海岸線の護岸とのことでありました。また、その後、水路石垣が追加で包蔵地に指定されたということでございます。
こうした文化財調査が行われますと、開発を待つ土地の地権者などは、開発の行方に不安を感じるかもしれません。
そこで、この令和四年度に行った埋蔵文化財調査の内容と、権利者への説明状況についてお伺いをいたします。
○三木市街地整備部長 令和四年度は、敷地南側において、明治時代の海岸線の護岸や、敷地東側に存在する水路の一部などを教育庁の指導助言の下、調査を実施いたしました。
また、調査の過程で新たに出土した明治時代以降の陶磁器などについても調査を実施いたしました。
これら出土した遺構等について、権利者や地元の住民を対象とした現地見学会を令和四年度末に実施いたしまして、二日間で延べ五十名の参加をいただいたところでございます。
○北口委員 当初の包蔵地指定されていた遺構に加えて、新たに出土品もあったとのことです。こうした埋蔵文化財につきましては、文化財保護法にのっとって調査をし、保全または記録の保存等が行われると理解をしております。教育庁、港区などの関係各所とよく連携をしながら適切に対応をお願いしたいと思います。
あわせて、こうした埋蔵文化財調査を丁寧に行いつつも、権利者の生活再建のために、事業の着実な推進を図っていただきたいと要望し、質問を終わります。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。よろしくお願いいたします。
私からも、この泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業についてお聞きいたします。
まず、改めて、この事業の意義、目的を伺います。
○三木市街地整備部長 本事業は、羽田空港や都心部とのアクセスを担う泉岳寺駅の機能増強に合わせまして、都市計画道路の整備や権利者の生活再建を目的として開始した事業でございまして、平成三十年度末に事業計画決定を行っております。
○斉藤委員 ご答弁からも伺えるように、もともとこの地域における都の事業としては、泉岳寺駅のバリアフリー化などの機能強化に端を発するものでした。議事録を振り返っても、二〇〇〇年代の初めの頃は、エレベーターの設置や階段の蹴上げ高さの改善など、割と素朴な議論がされていたということが分かります。
ところが、この地域一帯が、二〇一一年に都市再生緊急整備地域及びアジアヘッドクオーター特区、そして、二〇一四年に国家戦略特区に位置づけられたことから様相が一変しました。
都は、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン二〇一四を策定し、JR東日本の品川車両基地跡地の巨大再開発、高輪ゲートウェイ駅の整備などと一体に、この泉岳寺駅地区の第二種市街地再開発事業に乗り出しています。
国際交流拠点の名の下に、既に住民に大きな被害や不安を与えている羽田新ルートやリニア中央新幹線の整備も前提に事業が進められようとしています。都営交通の地下鉄駅の機能強化、再整備や、それに伴う若干の地上整備、また、それに伴う権利保障の範囲の話であれば、さほど矛盾はなかったというふうに思います。
ところが、都は、そこにとどまらずに、経過としては港区から話が持ちかけられたとのことですけれども、特定建築者制度を活用し、自ら進んで再開発に乗り出していったわけです。
それが果たして本当に適切だったのか。再開発事業の立ち上げからもうすぐ十年になろうとしていますが、今日の時点で振り返る必要があるのではないでしょうか。
そこで、本事業において特定建築者制度を活用して建設される再開発ビルについて幾つかお聞きします。
建築面積は約四千九百平方メートル、延べ面積十一万平方メートル、容積対象面積は約八万五千平方メートル、そして、高さ百六十メートルの超高層で、住宅、業務、商業などから成る複合ビルになります。
このビルについて、令和四年度に特定建築者と敷地譲渡契約を締結したということでありますが、契約における土地の譲渡価格と共有持分割合について伺います。
また、特定建築者、東京都、それぞれが取得する予定の保留床と権利床の面積、想定される保留床の処分価格を伺います。
○三木市街地整備部長 令和五年二月に特定建築者と締結いたしました敷地譲渡契約では、譲渡価格は二百九億円でございます。また、敷地の共有持分割合は約四二%であります。
保留床や権利床の面積につきましては、取得者の財産に関わる情報であることから、公表いたしておりません。また、保留床の価格は未定でございます。
○斉藤委員 特定建築者への敷地譲渡価格は二百九億円で、敷地の共有持分割合は約四二%とのことでした。すなわち、特定建築者は、この土地に何の権利も持たないところから、二百九億円で約四割の共有持分を得ることになります。
一方で、保留床や権利床の面積は非公表、保留床の価格は未定とのことでした。
確認のためにお聞きしますけれども、保留床は、都や特定建築者にどのように区分されるのか伺います。
○三木市街地整備部長 本事業では、都は、公益上必要な施設や権利者が必要とする住宅や業務区画について、保留床を取得することといたしております。
その他は公募で決定いたしました特定建築者が取得する計画となっております。
○斉藤委員 事前にお聞きした話では、都は、都営交通が必要とする機械室やオフィスのための床、また、従前の権利者が権利床以外に買い増しするための分を保留床として取得する予定とのことでした。
そして、それ以外の保留床は、先ほどの約四割の共有持分の多くを占めることになると思いますが、特定建築者が取得をするということです。そして、そこから分譲や賃貸の事業が発生することになります。
それでは、この分譲や賃貸の事業において、特に住宅には約三百五十戸が整備されるとのことですが、どのようなものが整備されるのか。令和四年度に行った実施設計において、住宅はどのような利用者を想定し、どういったタイプの住戸が計画されているかお伺いします。
○三木市街地整備部長 権利者の要望も踏まえまして、DINKSやシニア、ファミリーなどの一般世帯向けのほか、小規模な事務所兼用住宅、外国人の居住など国際交流拠点にふさわしい多様なライフスタイルにも対応した住戸の整備を図ります。
○斉藤委員 ご答弁は、権利者の方向けの住戸の話も一緒でしたので、どれが分譲や賃貸用の住戸のタイプか分かりづらいですけれども、要するに、国際交流拠点にふさわしいということで、外国人の方でも住めるようなコンシェルジュつきの住戸も用意されると。
ここまで来ると、都民の税金を使って都が前面に乗り出して進めてきたこの再開発が一体何のために進められてきたのか、よく分からなくなってきます。
日経新聞の十月十九日付に、東京、マンション一億円超え、こういう記事が載りました。それによれば、不動産経済研究所が発表した今年四月から九月の二十三区の新築マンションの平均価格は前年同期より三六・一%高い一億五百七十二万円で、四月から九月としては一九九〇年以降、初めて一億円を突破したということです。
記事をもう少し紹介しますと、ある不動産会社の渋谷センターでは、一月から九月の不動産売買の仲介収入で、企業や投資家が投資目的で購入する事業、投資用が前年同期比で約二割増加した、センター長は、超都心に限ると物件購入の四割程度が投資目的だという印象だと話していると。
総資産が数十億円にもなる企業経営者や創業者といったスーパー富裕層が高立地のマンションをこぞって買っているという内容です。さらに、海外富裕層も日本への投資を増やしている、不動産サービス大手のジョーンズラングラサールによると、一月から六月の海外投資家による日本の不動産の購入額は、前年同期に比べて一・四倍の五千百三十億円に膨らんだと。このうち賃貸マンションは一割強を占めた、またさらに、実需目的で、住むことを目的で購入できるのは、富裕層や共働きで世帯収入が高いパワーカップルなど一部にとどまる、賃貸マンションの賃料も上昇するならばと購入を決心した都内の専門商社に勤める男性は今年五月、婚約者の女性と、東京都品川区のタワーマンションを一億一千万円で購入した、二人は世帯収入が二千万円を超えるパワーカップルだ、こういう内容なんです。
ちなみに、今ご紹介しました不動産会社というのは、泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業の特定建築者である東急不動産です。
果たして、都が国際交流拠点の名の下に、自ら主導した泉岳寺第二種市街地再開発は、結局、こうした超富裕層や海外投資家の投資目的や、ごく一握りの高収入世帯の需要と、そして、大手ディベロッパーの利益を満たすだけのものになる、そういう危険があるのではないでしょうか。
また、先ほど述べたとおり、この一帯はJR東日本による巨大再開発により超高層ビルが建ち並び、東京湾からの風を遮断し、都市のヒートアイランド現象をひどくする危険が既に指摘されています。
私たちも繰り返し指摘してきました。この泉岳寺の百六十メートルの再開発ビルもこの列に加わることになります。
さらに、例えば、都のキャップ・アンド・トレード制度をめぐる専門家の議論などを見ても、新築一辺倒のビジネスモデルでは通用しない社会がすぐ間近に到来しているというふうに思います。
東京都が税金で行う事業は、決して都民の暮らしの格差を拡大するものにつながってはならないと思いますし、環境の悪化や、近年、一層厳しさを増している気候危機に拍車をかけるようなものではあってはならないということはいうまでもありません。むしろ、その逆をリードする役割こそ、都には求められています。
昨年度までの執行額、進捗率、主な支出内容と残りの事業内容について伺います。
○三木市街地整備部長 令和四年度までの執行額は、事務費等を除き約百二十七億円であります。進捗率は二一%です。
主な支出内容は、従前の権利者への用地補償、再開発ビルの実施設計、埋蔵文化財調査などであります。
残事業の主な内容は、従前の権利者への用地補償や施設建築物の工事などでございます。
○斉藤委員 残事業の主要な部分を占めるのは、これから本格化する施設建築物の工事です。つまり、まだ事業を見直す僅かなチャンスは残されているというふうに思います。都に真摯な検討を求めるものです。
最後の質問です。
本地区における埋蔵文化財の状況、令和四年度における埋蔵文化財調査の状況について伺います。
○三木市街地整備部長 本地区内には周知の埋蔵文化財包蔵地が存在していたことから、令和三年度より、教育庁の指導助言の下、埋蔵文化財調査を実施いたしております。
令和四年度は、明治時代の海岸線の護岸や水路の一部、新たな出土品などの調査を行いました。
○斉藤委員 ご案内のとおり、本事業の南隣の一帯からは高輪築堤の遺跡が発見され、一部が保存されるとともに、まだ開発に未着手のところにさらに築堤が残っている可能性があります。
調査で見つかった明治時代の海岸線の護岸などは、高輪築堤の周囲の景観を形づくったものである可能性があります。十分に慎重な調査を行うことを求めるものです。
以上のことを指摘し、質問を終わります。
○古城委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古城委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
○古城委員長 これより水道局関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和四年度東京都水道事業会計決算及び令和四年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○長嶺総務部長 さきの分科会におきまして要求のありました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
一ページをお開き願います。水需要予測と実績の推移でございます。
将来の水道需要の見通しと、平成三十年度から令和四年度までの一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。多摩川水系、利根川、荒川水系の年間取水量の推移でございます。
平成三十年度から令和四年度までの多摩川水系及び利根川、荒川水系の年間取水量をお示ししてございます。
三ページをご覧ください。各浄水場等における自然エネルギー等による発電状況でございます。
浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備について、それぞれの設置年度、発電規模及び令和四年度の発電実績をお示ししてございます。
四ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
東京水道施設整備マスタープランにおける耐震継ぎ手率の計画値と令和四年度の耐震継ぎ手率の実績をお示ししてございます。
五ページをご覧ください。水道管路の布設年度別管理延長でございます。
配水本管及び配水小管の布設年度別の管理延長を、一定期間ごとに区切ってお示ししてございます。
六ページをお開き願います。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
平成三十年度から令和四年度までの未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
七ページをご覧ください。政策連携団体への委託料及び主な委託内容でございます。
政策連携団体に対する平成三十年度から令和四年度までの委託料及び主な委託内容をお示ししてございます。
八ページをお開き願います。政策連携団体における法人税等と株主配当の推移でございます。
政策連携団体の平成三十年度から令和四年度までの法人税等と株主配当の推移をお示ししてございます。
九ページをご覧ください。水道料金の減免実績でございます。
令和四年度の使用件数と減免額について、その区分と合計をお示ししてございます。
一〇ページをお開き願います。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う水道料金の支払い猶予件数でございます。
期間中に受け付けた支払い猶予の件数を口径別及び年度別にお示ししてございます。
以上、大変簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わります。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
○古城委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○鈴木委員 よろしくお願います。
初めに、財政運営について伺わせていただきます。
水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとして、長期的に安定した運営を行う必要があると考えております。このため、水道局では、東京水道経営プラン二〇二一を策定し、令和七年度までの五年間で収支均衡を図る持続可能な事業運営に取り組んでいると認識しております。
しかし、令和四年度は、新型コロナウイルス感染症に加え、ウクライナ情勢など、経営に大きな影響を与えかねない社会情勢の変化があり、令和四年度の決算審査に当たり、こうした変化に水道局が適切に対応し、経営プランに定める財政運営及び事業推進に着実に取り組んだのか確認をさせていただきたいと思います。
まず、経営プラン二〇二一策定時と比較し、令和四年度決算の状況について伺わせていただきたいと思います。
○長嶺総務部長 水道事業会計における令和四年度の収入は、東京水道経営プラン二〇二一では四千百三十七億円の計画であったのに対し、決算では三千九百十四億円と、差引き二百二十三億円の減となりました。
また、支出は、四千百二十六億円の計画に対し、決算では三千九百五十九億円と、百六十七億円の減となりました。
こうしたことから、収支過不足額は十一億円の剰余の計画に対し、四十五億円の不足となっております。
一方、経営プランでは、経常収支比率など経営の安定性を示す六つの経営指標を選び目標数値を設定しておりますが、料金回収率以外の指標は全て目標を達成しており、財政運営はおおむね健全なものと考えております。
○鈴木委員 経営指標上、健全な財政運営を行えるとの答弁が今ありましたが、計画と比較すると、収入、支出ともに減少しており、収入がより減少しているため、収支不足が発生しているということが分かりました。
さらに、昨今、物価や人件費の高騰が取り沙汰されることも多く、経営プランで示した財政計画と経営実態が乖離していくことを危惧しております。
そこで、経営プランにおける計画と令和四年度決算の間に乖離が生じた原因についてどのように分析しているのか伺わせていただきます。
○長嶺総務部長 経営プランでは、策定時における水道水の利用状況や物価水準等を基に財政計画を策定いたしましたが、当時想定していなかった事象の影響により乖離が生じていると分析しております。
まず、収入においては、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、料金収入が計画値を約百五十億円下回りました。
なお、料金収入につきましては、新型コロナウイルスの影響を最も受けた令和二年度以降、徐々に回復基調となっており、計画との乖離は縮小してございます。
また、支出においては、ウクライナ情勢や世界的な円安の影響を受け、電気料金が高騰したことから、浄水場や給水所から水を送るためのポンプの運転等に関する費用が計画値を約七十三億円上回り、財政計画と乖離が生じてございます。
○鈴木委員 計画した収支を下回っているのは、経営プランの策定の時点から、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化やウクライナ情勢等に伴う動力費の高騰等、想定し得ない事態が生じたことは理解しました。
しかし、このような厳しい状況であっても、安定給水に必要な施設整備や災害対策に必要な財源は確保しなくてはならないと考えております。
そこで、健全な財政運営を行っていくために、これまでどのような経営努力を行い、今後どのように取り組んでいくのか伺わせていただきます。
○長嶺総務部長 水道事業を取り巻く環境は厳しさを増しており、また、経営プラン策定時には想定していなかった環境の変化もございますことから、今後の事業運営に向け、さらなる経営努力が必要であると考えております。
経営プランにおいては、計画期間である令和三年度から七年度までの五年間で百五十億円の経費縮減と収入確保に努めることとしておりまして、令和四年度は、料金システムの維持管理コストの縮減を進めるなど財源の確保に取り組みました。
今後は、政策連携団体への業務移転を一層進めるとともに、事務事業の効率化による経費縮減や、土地の有効活用等の収入確保にさらに取り組み、健全な財政運営に努めてまいります。
○鈴木委員 経営プランにおける計画期間も折り返しに来ておりますが、引き続き健全な財政運営に努め、災害対策等、必要な事業を着実に推進していただきたいと思います。
次に、水道管路の耐震継ぎ手化について伺わせていただきます。
生活の基盤である水道をはじめとするライフラインに被害が発生してしまった場合、その復旧には長期間を要し、また、給水確保に加え、火災被害の防止に必要な消防用水の確保、道路上の漏水により車両通行が阻害されることなどを防ぐため、水道管路の耐震継ぎ手化は重要であります。
一方で、配水管の延長は約二万七千キロメートルに及び、水道管路の耐震継ぎ手化を一斉に行うことは困難であることから、被害の大きい地域や断水の影響の大きい施設において重点的に推進していくことが重要であると、我が会派はかねてより主張してまいりました。
そこで伺わせていただきますが、配水管の耐震継ぎ手化の基本的な考え方と、これまでの取組経過を改めて確認させていただきたいと思います。
○鈴木給水部長 震災時におけるお客様への給水確保のために、配水管の耐震継ぎ手化は重要でございます。
当局では、阪神・淡路大震災において、継ぎ手部分の抜け出しによる漏水が多発したことを踏まえまして、平成十年度から、抜け出し防止機能を備えた耐震継ぎ手管の採用を本格的に開始いたしました。
平成十九年度からは、首都中枢機関や救急医療機関などの重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を優先的に推進することといたしました。
さらに、平成二十五年度からは、東日本大震災の教訓を踏まえ、それまでの耐震継ぎ手化の取組をより重点化させるため、震災時に多くの人が集まる避難所等を対象に加えるとともに、被害の大きいとされる地域を優先して取替えを進めてまいりました。
令和三年三月に策定した東京水道経営プラン二〇二一においては、事業効果を早期に発現させるため、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化の完了目標を三年間前倒し、令和四年度といたしました。
○鈴木委員 長距離に及ぶ水道管の耐震継ぎ手化について、断水の影響の大きい重要施設を重点的に、また、事業効果の早期発現を目指し、前倒しで取り組んできたとのことが理解できました。
令和四年度には、首都直下地震等による東京の被害想定も十年ぶりに見直され、南海トラフ巨大地震の発生率も上昇していると公表されました。
また、今後三十年以内に七〇%の確率で首都直下地震の発生が見込まれることからすれば、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化事業は必ず完了させなければならないと考えます。
そこで、事業の完了目標でありました令和四年度の実績について伺わせていただきます。
○鈴木給水部長 令和四年度末を完了目標としていた重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化は、令和四年度に三百三施設の整備を行った結果、約三千施設の供給ルートが完成し、九九%の整備率となり、概成いたしました。
これにより、かねてより整備を進めてきた首都中枢機関や救急医療機関、避難所、主要な駅、大規模救出救助活動拠点、警察、消防署などへの震災時における給水安定性を向上させることができました。
○鈴木委員 避難所や主要な駅などの重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化は、令和四年度末までに概成したとのことで、大地震の際にも可能な限り給水を確保できる強靱な管路の整備が進んだことは理解できました。
これにより、震災時における首都機能の確保はもとより、多くの都民が集まることになる避難所等での水の確保が可能となったことは評価いたします。
しかし、震災時において全ての都民への給水を確保するためには、供給ルート以外の管路を含め、配水管全体の耐震継ぎ手化を進めていくことが必要であります。
そこで、給水区域全体における配水管の耐震継ぎ手化の目標と令和四年度の実績について伺わせていただきます。
○鈴木給水部長 当局では、地震による断水被害が大きいと想定される地域の重点的な更新、さらには、供用年数を踏まえた管路の更新など、整備に当たっての優先順位を考慮しながら計画的に進めることで、耐震継ぎ手率を令和二年度末時点の四七%から令和十二年度には六一%にすることを目指しております。
これにより、断水率が二六%から一九%に減少することで、都内全域の断水が復旧するまでの日数が十七日から十二日に短縮することが見込まれ、震災時の都民への給水安定性が一層向上いたします。
こうした考えに基づき、令和四年度に約三百十キロメートルの配水管の取替えを行ったこと等により、給水区域全体の耐震継ぎ手率は五〇%に上昇いたしました。
○鈴木委員 令和十二年度までに耐震継ぎ手率が六一%まで上昇し、震災時の都民への給水安定性が一層向上するとのことでありますが、毎年の積み重ねが重要だと考えております。
断水被害をより効果的に軽減するため、断水率が高い取替え優先地域を、区市町単位から、よりきめ細かい二百五十メートル四方の区域に設定して耐震継ぎ手化を進め、令和十年度までに解消すると伺っております。
こうした重点的な耐震継ぎ手化のさらなる推進をお願いし、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。
○村松委員 よろしくお願いいたします。
まず、水道スマートメーターについて伺います。
これまでも都民ファーストの会として、水道メーターのデジタル化、オンライン化により、利用データの活用や、伴って、サービス向上、検針の負担軽減などの効果が見込まれることから、水道スマートメーターの設置を要望してまいりました。
水道局は現在、水道スマートメーターを、先行実装プロジェクトに基づき、令和四年度から三か年で約十三万個のスマートメーターを導入することとしています。
そこで、令和四年度決算審査に当たって、プロジェクト一年目の取組状況について改めて確認したいと思います。
まず、プロジェクト一年目の給水スマートメーターの設置状況と令和四年度決算額について伺います。
○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、水道スマートメータ先行実装プロジェクトに基づきまして、用途地域や水道の使用実態、配水管整備状況の異なるエリアにおいて効果確認を行うために選定したパイロットエリアのほか、スマートシティ、再開発地区、集合住宅などの六つの区分を設定して、給水スマートメーターの設置を進めることとしております。
令和四年度には、六つの区分全体で約二万九千個の給水スマートメーターを設置する予定としておりましたが、四年度末時点の設置実績は約二万六千個となっており、スマートメーターの購入、設置に関する令和四年度決算額は約十一億円であります。
この設置数の減少は、再開発地区及び集合住宅の区分における建設竣工の遅延等の影響によるものでございますが、それ以外の区分ではおおむね計画どおり設置できており、全体としては順調に設置が進んでおります。
○村松委員 予定数からは約三千個下回っているということですけれども、建物の竣工に合わせて設置するということは、いわば発生主義的に設置を行うというわけですから、状況によって減少することがあるのは当然かと思います。そうした意味では、順調に設置が進んでいるものと理解をしております。
一方で、プロジェクトでは、スマートメーターの効果確認を目的として設置を進めているわけですが、設置数の減少が、このプロジェクトの目的である効果確認に影響を与えることはないのか伺います。
○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、再開発地区及び集合住宅の区分に設置したスマートメーターを通じて、新しいまちや建物における検針業務の効率化について検証するほか、お客様サービスのニーズや技術的課題を確認することとしております。
予定した設置数には到達していないものの、当該区分にも一定規模のスマートメーターは設置できているため、そこから得られたデータ等を活用することで効果確認が可能と考えております。
なお、設置できなかったスマートメーターにつきましては、再開発等の施行者への状況確認を行いながら、建物竣工に合わせて今後設置する予定としております。
○村松委員 効果確認には大きな支障がないということで安心をいたしました。引き続き、状況に応じて設置を進めるとともに、設置できたメーターを活用して着実に効果確認を実施していただきたいと思います。
設置自体が順調であっても、通信によってデータが取得できなければ意味がないことは以前の委員会でも指摘したとおりです。運用開始当初、通信機器の不具合があったと聞いておりますが、一年目の通信状況の実績と、実績に関する水道局の受け止めについて伺います。
○鈴木給水部長 当局では、令和四年十月から給水スマートメーターの運用を開始しておりますが、設置した通信機器の一部に初期不良が発生したことにより、令和四年十二月及び五年一月の月ごとの通信成功率が九割を下回りました。
初期不良の要因は、低温による温度センサーの誤作動やプログラムの不備による異常停止などでありましたが、遠隔操作によるプログラムの修正や、現地での通信機器の交換により、令和五年三月までに不具合をおおむね解消いたしました。
不具合が生じていた機器を除外した場合の通信成功率は、これまでの運用期間全体を通じて約九八%で推移しており、実運用には問題がない水準であると認識しております。
○村松委員 初期不良により通信率が低下した時期があったようですけれども、既に不具合は解消されているということで、適切に対応されたものと理解をしております。
実運用には問題がない水準とのことですが、スマートメーターの導入効果を発現するためには、通信率一〇〇%を目指すべきと考えます。
業務の効率化やスマートメーターによる新たなサービス提供の観点からも、さらなる通信率の向上が必要と考えますが、どのように改善に取り組んでいくのか伺います。
○鈴木給水部長 当局では、これまでの検証を通じ、建物の地下や高層マンションの高層階に設置されたメーターのほか、鉄製の蓋がついたメーターボックスに収納されたメーターからの通信が不安定となりやすいことを確認しており、改善に向けた対応を進めております。
まず、建物の地下や高層階の通信状況につきましては、携帯電話会社に改善の働きかけを行ってまいりましたが、基地局の能力増強による対応には限度があるとの回答でございました。
このため、携帯電話の通信網によらない通信方式の導入可能性についても検討を行っております。
また、鉄製の蓋に起因する通信の不安定性に対しましては、電波の減衰を抑えることができる技術を活用した新たなメーターボックスや蓋について、民間企業との共同開発に取り組むこととしております。
○村松委員 携帯電話会社もビジネスですから、対応にある程度限界があるとは思います。新たな蓋等の開発も含め、水道局ができることを着実に取り組んで、通信率のさらなる改善を図っていただきたいと思います。
先行実装プロジェクトは令和六年度までを計画期間としており、五年度は、三年間の中で最大の規模となる約五万八千個のメーターを設置する予定としております。引き続き着実に設置、運営を進めていると聞いておりますが、スマートメーター導入は今後の水道事業にとって非常に重要な取組だと思います。水道局の取組に期待するとともに、今後も会派として進捗状況を確認してまいります。
先行実装プロジェクトに記載があります、同じくDX推進の観点から、スマートメーターと併せて水道局アプリの導入拡大を図るとしております。こちらも、これまで進捗等について質疑を行ってまいりましたが、運用開始後一年が経過するに当たって、改めて状況を確認させていただきたいと思います。
スマートメーターが、ふだん直接お客様の目に触れないところで機能する機器であるのに対して、アプリは、都民がスマートフォンなどで直接手に取って利用するサービスです。我が会派は、アプリの導入に当たり、利用者目線に立った使いやすいアプリの開発、そして、利用者拡大に向けた取組を要望してまいりました。
質疑をするに当たり、まずはアプリ導入目的などについて改めて確認をさせてください。
東京都水道局アプリを導入した目的と搭載機能、また、令和四年度の決算額について伺います。
○坂井サービス推進部長 当局では、お客様サービスの向上と情報発信の強化を目的に、東京都水道局アプリを開発し、令和四年十月から運用を開始してございます。
アプリは、水道の使用開始や中止などの申込み機能、スマートフォン決済に対応した支払い機能、水道使用量や料金の照会機能、そして、災害時給水拠点の開設状況などをお知らせする通知機能という四つの機能を搭載してございます。
また、令和四年度のアプリ開発等に係る決算額につきましては、約七千七百万円でございます。
○村松委員 アプリには様々な機能が搭載されており、災害時に役立つ情報提供を受けられるなど、水道サービスの利便性向上に寄与していると思いますが、どんなに機能が充実していても、利用者にとって使いやすいものでなければ、都民が満足するサービスにはならないのはご理解いただいていると思います。
そのため、利用者の目線に立った使いやすいアプリとなるよう、これまで対応を求めてまいりましたが、まず、開発段階における取組について確認いたします。
アプリの開発に際し、利用者目線での使いやすさを向上させるために留意した点について伺います。
○坂井サービス推進部長 当局では、アプリの開発におきまして、お客様が何を求めているのかということを起点として、利用者目線でサービスをつくり上げることを心がけてまいりました。
具体的には、局として初めての取組といたしまして、設計時からサービス開始までの間、お客様などを対象に、延べ百人を超える規模でユーザーテストを実施いたしました。
いただきましたご意見を踏まえまして、メニューボタンの配置や文言のいい回しなどを、より分かりやすいものに改めるとともに、トップページに当局のキャラクターでございます水滴くんを掲載するなど、使いやすく親しみやすいアプリを目指して改善を図ってまいりました。
○村松委員 民間企業としては一般的ではありますが、百人を超えるユーザーテストの実施などにより、利用者目線での開発を行ってきたことはよい取組であると思います。
一方で、社会経済状況の変化や、お客様ニーズの多様化に対応していくためには、サービス開始後もお客様の声に耳を傾け、アプリの継続的な改善に取り組んでいくことが不可欠です。
そこで、サービス開始後のアプリ改善に向けた取組について伺います。
○坂井サービス推進部長 当局では、昨年十月のサービス開始後においても、お客様のニーズに柔軟かつスピーディーに対応していくため、改善を積み重ねていくことを重視した運用を行ってまいりました。
その実践例といたしまして、お客様から日々メールや電話で寄せられる全てのご意見、ご要望に職員が目を通しまして、これまで百項目を超える改善を実施してまいりました。
具体的な改善例といたしましては、お客様から要望の多かった英数字の半角入力ですとか、パスワードにおける記号使用ができるといった改善を行ってまいりました。
また、新規登録がスムーズに行えますよう、登録に関する操作動画へのリンクを配置いたしましたほか、使用頻度の高いボタンの色彩を変更することで視認性の向上を図るなどの対応を行ってまいりました。
○村松委員 利用者からのメールや電話で寄せられる意見、要望から、百項目を超える改善をしていただいたとのことで、引き続き対応していただきたいと思います。
報道によれば、今年五月に行われたデジタルを活用した取組を表彰する都庁DXアワードにおいて、顧客視点でデザインしよう賞を受賞したと聞いており、こうした利用者視点に立った開発を進める姿勢が高く評価されているものだと思います。今後も、現状に満足することなく、利用者目線に立ったサービスの改善を要望いたします。
こうした利便性の高いサービスをより多くの都民に知ってもらい、使ってもらうための利用者拡大に向けた取組について確認をいたします。
多くの都民に利用してもらうために、これまでどのようなPR、広報活動をしてきたのか、また、現在の登録者数の実績を伺います。
○坂井サービス推進部長 令和四年十月のサービス開始直後に、有楽町駅前でアプリのデビューイベントを開催いたしまして、著名人によるトークショーなどで直接お客様にアプリの利便性についてPRいたしました。
これに合わせ、令和四年十月と十一月の水道メーターの定期検針時におきましては、アプリPRのビラを全戸に配布することで、広く認知度の向上を図りました。
加えて、区市町とも連携を強化いたしまして、利用者に身近な自治体が実施するイベントに参加することによりまして、アプリの利便性をPRしてまいりました。
これらの取組によりまして、直近の令和五年九月末時点での登録者数でございますけれども、約百十三万人となりまして、令和七年度末までにアプリユーザー百万人という当初の目的を二年以上前倒しいたしまして達成することができたところでございます。
○村松委員 利用者拡大についても着実に取り組んでおり、登録者数の実績も、目標を大幅に上回るペースで順調に推移していることが分かりました。引き続き、サービス改善に向けた取組を継続するとともに、認知度向上に向けたPR、広報活動を進め、質の高いサービスをより多くの都民に利用してもらえるよう、水道局の取組に期待しております。
次に、有機フッ素化合物に対する取組について伺います。
代表的な有機フッ素化合物であるPFOS等が都内の地下水でも検出されています。これらの物質は、分解されにくく、体内に長くとどまるため、都民から心配する声も上がっており、その不安を解消する取組を進めるべきと考えます。
さきの第二回定例会において、水道水等について適切に対処し、安全・安心を確保していくことを求めたところでもあります。
そこでまず、水道水の安全性の確保に向けた水質管理への取組について伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、東京水道経営プラン二〇二一における経営方針の一つ目に、安全でおいしい高品質な水の安定供給を掲げ、そのために水質管理を徹底していくこととしております。
具体的には、国が定めた五十一項目の水質基準を大きく上回る二百八十三項目について、定期的に水質検査を行うとともに、お客様に届く水道水の水質を、都内百三十一か所に設置した自動水質計器により、三百六十五日二十四時間、常に監視を行っています。
有機フッ素化合物であるPFOS及びPFOAにつきましては、定期的に水質検査を実施し、給水栓における値が国が定めた暫定目標値を下回るよう、水質管理を徹底しております。
こうした管理により、給水栓における値は国の暫定目標値を大幅に下回っている状況であり、水道水の安全性は確保されております。
○村松委員 都民が暫定目標値を超える濃度のPFOS等を摂取しないよう管理を行い、給水栓においては、国の暫定目標値を大幅に下回っている状況ということですから、適正に対応されているものと理解しております。
しかし、様々な報道により、都民の中には、水道水の安全性について不安を感じていらっしゃる方もいることは事実です。こうした状況に対応するためには、確実な水質管理とともに、その結果等について、しっかりと都民に届くよう情報発信をしていくことが重要と考えます。
そこで、水道水を安心して使っていただくための水道局の水質管理に関する情報発信の取組について伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局ではこれまでも、水質の安全性についてお客様に理解していただくため、局ホームページにおいて、水質管理に関する取組や水質検査結果を掲載してまいりました。
近年、PFOS等に関し、お客様からの関心が高まっていることを踏まえ、令和四年度には、これまで年度ごとに掲載していた給水栓におけるPFOS等の検査結果を統合し、その推移を容易に把握できるよう改善したほか、お客様が検査結果を利活用しやすいよう、オープンデータとして局ホームページに掲載しました。
さらに、今年度は、局ホームページの最上段にリンクを設け、Q&Aや検査結果へのアクセスを改善したほか、地元自治体と連携した地域イベントや「広報東京都」をはじめとする各種媒体などを通じ、当局の水質管理の取組等を積極的に情報発信しております。
今後も引き続き、当局の水質の安全性をお客様に理解していただけるよう、取組を続けてまいります。
○村松委員 都民の不安を払拭するためには、お客様の目線で取組を進めることが重要です。水質管理と情報発信の両面からしっかりと取組を進め、都民の安心を得られるよう努めていただくよう求めておきます。
水道は都民生活に欠かせないインフラであることから、水道事業の持続可能性が重要であると考えております。また、複雑な課題や、多様化する都民のニーズに応えるためには、公の力だけでなく、民間の発想や活力を取り入れ、最大限に活用していくことも事業を進めていく上で重要です。
その点、水道局は、以前から政策連携団体である東京水道株式会社とのグループ経営の推進を掲げ、東京水道を支える基盤の強化に取り組んでいると理解しています。
そこで、グループ経営を推進する上で肝となる東京水道株式会社への業務移転について伺います。
まず、東京水道株式会社に業務移転を行う意義について改めて伺います。
○小澤経営改革推進担当部長 将来的に労働力人口の減少が見込まれる中、広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、持続可能な東京水道を実現するためには、これまで当局が培ってまいりました技術を確実に継承することができ、かつ民間ならではの技術力や経営ノウハウを活用できる東京水道株式会社への業務移転を推進していく必要がございます。
そのため、当局では、水道事業の基幹的業務を局と東京水道株式会社とが担う一体的事業運営体制を構築し、営業所業務や工事監督業務などの準コア業務を順次移転しております。
○村松委員 水道局が培ってきた技術、ノウハウの着実な継承のためにも業務移転が必要であると理解いたしました。
一方、業務移転に当たっては、業務の効率化等も併せて行われるべきと考えます。東京水道株式会社への業務移転により、どのような効率化が図られるのか、また、令和四年度の取組実績について伺います。
○小澤経営改革推進担当部長 東京水道株式会社への業務移転を推進することで、スケールメリットを生かした柔軟な人員配置などによります効率的な事業運営が図られます。
また、現在検討を進めております性能発注方式による包括委託を導入することにより、東京水道株式会社に業務遂行の責任を持たせるとともに、同社の創意工夫を促し、お客様サービスの向上及び一層の効率化が期待できます。
こうした同社への業務移転を着実に進めるため、令和四年度は、二十一か所ある営業所のうち、九か所目となる葛飾営業所の委託などを行ったところでございます。
○村松委員 今回の質疑では、改めて業務移転の意義とともに、業務移転によって、グループ全体で、より効率的な体制の実現が可能になるということを確認させていただきました。
今後も持続可能な東京水道を目指し、都民生活に欠かせない基幹ライフライン事業者としての使命を果たしながら、より質の高いお客様サービスの提供に努めていただきたいと思います。
次に、工業用水道事業の廃止について伺います。
工業用水道事業は、令和四年度末をもって廃止されました。今回の決算が工業用水道事業会計として最後の決算となります。
我が会派ではこれまで、工業用水道事業が保有する資産の有効活用などにより、廃止経費を圧縮すべきと主張してまいりました。
これまでの工業用水道事業の資産の有効活用の状況について伺います。
○小澤経営改革推進担当部長 工業用水道事業の廃止に当たりましては、上水道への切替え工事や節水対策に資する設備の設置等の利用者支援、工業用水道管の撤去などに経費が必要となりますことから、工業用水道事業が保有する資産を有効活用することにより、廃止経費の縮減に努めてまいりました。
具体的には、上水道事業と共同で使用しておりました三園浄水場の土地建物、設備等を約百七十一億円で水道事業会計へ有償譲渡いたしました。
また、上水道事業で使用しない南千住浄水場などの用地を約四十億円で第三者へ売却いたしました。
こうした資産の有効活用の総額は、当初の想定を上回る約二百十一億円となっております。
○村松委員 当初の資産活用の想定を上回っているということで、評価をしております。
これまでの資産処分は、廃止経費の圧縮にどのように寄与しているのか伺います。
○小澤経営改革推進担当部長 工業用水道事業では、平成三十年度の廃止決定以降、資産の有償譲渡等で得た資金を廃止経費の財源とすることで、令和四年度までは一般会計からの繰入れを行わず、上水道への切替えなどの事業廃止に係る取組を実施してまいりました。
また、令和四年度の工業用水道事業会計決算では、資産の有償譲渡等で得られた現預金などの流動資産約百五十五億円及び令和四年度までに処分できなかった土地や管路などの固定資産約二十八億円を計上し、工業用水道事業清算会計へ引き継ぎました。
これら残余の資産につきましても、今後の工業用水道事業の清算に関する業務におきまして有効に活用してまいります。
○村松委員 廃止経費の縮減のため、清算会計に引き継いだ残余の資産についても、可能な限り資産の有効活用に取り組まれることを要望しておきます。
事業の廃止費用の中で最も費用がかかるのは、工業用水道管の撤去等です。引き継いだ資産は、こうした費用の財源とするとともに、工事のコストを可能な限り抑え、計画的に撤去等を進めていただきたいと改めて要望しておきます。
そこで、工業用水道管の撤去等のためのコスト圧縮の考え方を伺います。
○鈴木給水部長 当局では、工業用水道事業の廃止に伴い、工業用水道管の撤去等を効率的に行っていくため、令和五年三月に、工業用水道管の撤去等に関する計画を策定いたしました。
この中で、不要となった管路を有効活用するために、工業用水道管三百二十九キロメートルのうち五十八キロメートルについては、上水道への転用を予定しております。
また、管撤去工事に際しては、当局工事だけでなく、他のライフライン事業者の工事とも工程調整を行い、工事時期を合わせ、繰り返しの掘削を避けることで道路舗装の復旧費を抑制するなど、コスト縮減を推進してまいります。
○村松委員 工業用水道管の撤去工事に当たっては、コスト縮減につながるよう、ほかのライフライン事業者とも十分に調整を行って、効率的に工事を進めていただきたいと思います。
工業用水道事業の廃止に伴う業務は、令和四年度の事業廃止を経て、令和五年度以降は、公営企業会計から清算会計に移管され、新たなフェーズに入っております。引き続き、利用者支援の実施や、工業用水道管の撤去などが行われていきますから、適切な執行に努めていただくことを改めて要望して、質問を終わります。
○北口委員 私からは、まず初めに、水道管路の老朽化対策、耐震化対策についてお伺いをさせていただきます。
水道局の各施設の老朽化対策、また、耐震化対策は都民の命を守る極めて重要な取組でございます。令和四年度の決算書によれば、局は、主要施設整備事業約千七百二十億円のうち、約八割に当たる千四百五十億円余りを送配水施設整備事業に充て、配水池の整備や配水管の耐震継ぎ手化などを実施してまいりました。
このうち、平常時のみならず災害時に都民へ水道水を届ける配水管の耐震継ぎ手化は特に重要だというふうにも考えております。
そこで、送配水施設整備事業のうち、配水管の耐震継ぎ手管への取替えにかかった事業費及び延長についてお伺いをいたします。
○鈴木給水部長 当局が管理する配水管は約二万七千キロメートルに及ぶため、計画的に耐震継ぎ手化を実施してまいりました。
令和四年度における配水管の耐震継ぎ手管への取替えにかかった費用は約八百八十一億円、取替え延長は約三百十キロメートルでございます。
○北口委員 今年は関東大震災から百年目の節目の年であり、災害対策について改めて考える機会となります。東京においていつ起きてもおかしくない首都直下地震が発生した際は、三百万人近い避難者が発生すると想定されており、多くの人が集まる避難所への水の供給確保をすることは極めて重要でございます。
都議会公明党では、特に避難所への供給ルートの耐震継ぎ手化を迅速に進めるよう繰り返し主張してまいりましたけれども、局は、令和四年度中の事業完了に向けて取組を進めてきたと承知をしております。
また、その過程では様々な困難があったということも聞いております。
そこで、避難所への供給ルートの耐震継ぎ手化について、これまでの取組や工夫及び令和四年度の実績をお伺いさせていただきます。
○鈴木給水部長 避難所への供給ルートの耐震継ぎ手化に当たりましては、他の事業者が工事を行っていたため施工時期が限定される現場や、他のライフラインがふくそうして埋設されている箇所がございました。
これらに対応するため、施工に当たりましては、道路管理者や他のライフライン事業者の責任者と直接協議を行うなど、綿密な調整を実施してまいりました。
例えば、幹線道路である明治通りにおきましては、埋設物がふくそうしているため施工ができないルートがあったことから、令和二年度から、複数回に及ぶ供給ルートの再選定、道路管理者との協議及び他企業工事との調整を繰り返した結果、令和四年度中に完成に至った工事もございます。
このような取組により、令和四年度は、約八十キロメートル、二百九十一施設の避難所への供給ルートの整備を行い、その結果、供給ルートの耐震継ぎ手率は九九%となり、概成いたしました。
○北口委員 都は、多くの予算をかけて、計画的、重点的に耐震継ぎ手化を進めており、避難所への供給ルートの耐震継ぎ手化が概成したことを評価しております。
膨大な管路の耐震継ぎ手化は、簡単に進まないと思いますけれども、引き続き優先順位を踏まえて進めてほしいというふうに思います。
耐震継ぎ手化が進む一方、布設年度が古いにもかかわらず埋設物がふくそうするなど施工が困難なことで、漏水リスクが高い管が存在していると承知をしております。
今年三月の公営企業委員会において、都議会公明党の委員から、この取替え困難管の解消に向けてどのように取り組んでいくのか質問をしたところでございます。
そこで、令和四年度の取替え困難管の解消に向けた実績をお伺いいたします。
○鈴木給水部長 当局では、施工が困難な箇所にあり、布設年度が古く漏水発生のおそれがある管を取替え困難管と位置づけており、令和元年度末での残存延長は約十七キロメートルでございました。
これらは、国道、都道などの幹線道路の交差点、鉄道との近接箇所、電気、ガスなどの他企業の地下埋設物がふくそうする場所に点在しております。
令和四年度は、道路管理者や他企業等と埋設位置の変更や工事時期の調整などを粘り強く実施した結果、ほぼ計画どおりの約三キロメートル、累計約八キロメートルの取替え困難管が解消され、解消率は三一%から四八%に上昇いたしました。
引き続き、令和八年度末の事業の完了を目指し、取組を進めてまいります。
○北口委員 まさに取替えが困難だとは思いますけれども、平常時の安定給水のために、令和八年度の事業完了を目指して、引き続き取替え困難管の解消を進めていただきたいというふうに思います。
次に、スマートメーターの取組について、私からも質問させていただきます。
電気やガスなどで普及が進むスマートメーターの取組でございますが、令和四年度から三か年で水道スマートメータ先行実装プロジェクトが実施されております。プロジェクトでは、三年間に約十三万個のスマートメーターを設置し、導入効果の確認や、お客様サービスの向上に関するニーズの把握などに取り組むとのことでございます。
スマートメーターは通信機器を備えていることから、設置に当たっては、従来のメーターにはない新たな作業が発生すると聞いております。実際に設置を行う事業者に対し、十分な説明を行うなど、作業手順を確実に事業者に理解してもらい、しっかりとスマートメーターの設置を進めていくことがプロジェクトの実施には欠かせません。
プロジェクト初年度に当たって、スマートメーターを着実に設置するために行った取組をお伺いいたします。
○鈴木給水部長 当局では、水道スマートメータ先行実装プロジェクトに基づき、令和四年度から、水道スマートメーターの設置を進めております。
スマートメーターの設置に当たりましては、現在の機械式メーターの交換の際にはなかった現地での通信装置の起動や、通信状況の確認作業など、新たな作業工程が加わっております。
このため、当局では、この作業工程について、事業者への説明会で、マニュアルや説明動画を用いてきめ細かく説明するとともに、その動画を全事業者へ配布するなど、事業者が業務を円滑に進められるよう取り組んでおります。
今後も、事業者の問合せに丁寧に対応するなど、事業者と連携してスマートメーターの設置を進めてまいります。
○北口委員 事業者からは、スマートメーターの設置について、通常のメーターよりも大きく、保管や運搬に苦労する、また、設置に当たっても、通信確認など作業時間が倍以上かかるケースもあるというふうに聞いております。
今後、デジタル技術を活用し、様々な付加価値も創出することが可能となると思います。引き続き、事業者の声をよく聞きながらプロジェクトを進めていただきたいというふうに思います。
次に、工業用水道事業の廃止について伺います。
令和四年度末をもって工業用水道事業を終了するため、工業用水道事業の廃止及び支援計画に従い、令和元年度から、上水道への切替えと負担軽減の支援策について、取組を進めてきたというふうに聞いております。
事業の廃止に向けて、令和元年度から、工業用水道事業会計の決算上の特別損失の額が年々増えており、令和四年度は二百四十一億円余りが計上されています。
まず、この特別損失は具体的にどのようなものなのかお伺いをいたします。
○小澤経営改革推進担当部長 令和四年度決算における特別損失には、事業整理損失及び減損損失を計上しております。
このうち、事業整理損失は、工業用水道事業の廃止に伴う上水道への切替え工事や料金差額補填など、利用者支援等に要した経費であり、令和四年度決算では約八十一億円を計上しております。
また、減損損失は、工業用水道事業清算会計に引き継ぐ資産の帳簿価格を再評価し、現在価値に修正するため、令和四年度決算において必要となる会計処理でございます。
具体的には、撤去予定の管路について、今後の利用価値がないことから、帳簿価格のほぼ全額、約百十億円の減損処理を行ったほか、水管橋や管路に附属する設備、上水道事業に転用を予定している管路などにつきましても減損処理を行い、合計で約百六十億円を計上してございます。
○北口委員 減損した資産約百六十億円のうち百十億円、約七割弱が、撤去する管路の資産価値の減損処理ということでございます。工業用水道事業清算会計に引き継いだ管路や水管橋などは老朽化が進んでいて、令和五年度から、順次、安全対策や撤去を行っていくと承知をしております。
私の地元である葛飾区を流れる中川にも幾つかの水管橋が架かっておりますが、こうした使用しない施設で老朽化したものについては、防災、また、都民の安全等のために、適切な維持管理及び撤去等の措置をお願いしたいということを要望しておきます。
次に、減損損失のほかにも料金差額補填等の支出を事業整理損失として計上しております。工業用水道から上水道に切り替えた事業者などへの差額補填は、工業用水道の廃止に伴う利用者の経営等への影響を最小限にとどめるためには非常に重要な取組でございます。
改めて、この料金差額補填の意義と、令和四年度の差額補填金の総額についてお伺いをいたします。
○小澤経営改革推進担当部長 工業用水道利用者が上水道に切り替えた後の料金につきましては、一定の据え置き期間を設け、この期間中は従来の工業用水道料金の水準に据え置き、その後、段階的に上水道料金に近づけていくこととしております。
この料金と本来の上水道料金との差額につきましては、上水道への切替えに伴う利用者への経済的負担を緩和するため、料金差額補填として都が負担することとしております。
令和四年度は、料金差額補填として約十二億円を支出いたしました。
○北口委員 これまで都議会公明党では、工業用水道事業の廃止に当たっては、利用者と真摯に向き合い、意見交換し、きめ細やかな支援を行うべきと主張してまいりました。
上水道への切替えが完了したことは、都としては一つの区切りかもしれませんが、利用者にとって重要なのは、工業用水道の廃止が望まない経営断念に結びつかないことであり、今後も、料金差額補填等を通じて、引き続き丁寧に対応していただきたいと要望しておきます。
施設の撤去や料金差額補填などの工業用水道事業の廃止に伴う取組は、長期にわたる取組となりますが、しっかりと取り組んでいただくことを要望しまして、質問を終わります。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。資料の提出をありがとうございました。
水道局の事業は、都民の命と暮らしに直結する水道という大事なライフラインを担っています。とりわけ、物価高騰が長く続き、都民の暮らしや営業が苦しくなっている下で、水道法に基づいて、清浄にして豊富低廉な水の供給を保障していくための役割が今こそ強く求められています。
また、安全な水を供給し都民の健康を守ること、さらに、地球温暖化対策への取組の強化など、課題が山積しています。今日はその視点から伺っていきます。
まず、CO2排出削減の取組についてです。
気候危機が一層深刻化する中、国内外で脱炭素化への動きが加速化しています。
都は、二〇三〇年までにCO2の排出を二〇〇〇年比で五〇%まで減らすカーボンハーフ、二〇五〇年までに排出をなくすゼロエミッションを掲げています。
都内で使用される電気の約一%に相当する電力の消費者である水道局としても、省エネや再エネの取組の強化が求められています。
まず、CO2排出削減のこれまでの取組と、二〇二二年度、令和四年度の実績について伺います。
○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、東京都水道局環境五か年計画二〇二〇−二〇二四に基づき、省エネルギー化の推進や再生可能エネルギーの導入拡大など、環境負荷低減に向けた取組を推進しております。
令和四年度は、太陽光発電設備等により約千二百万キロワットアワーの電力発電をしたほか、江東給水所等に計六台の省エネ型ポンプを導入するなど、着実に取組を進めております。
○斉藤委員 資料要求で各浄水場等における自然エネルギー等による発電状況を出していただいています。三ページ目なんですけれども、二〇二二年度、令和四年度の発電実績の合計が今の約千二百万キロワットアワーということです。
水道局の環境五か年計画では、二〇二四年度までに太陽光と小水力発電の発電規模の目標を、合わせて一万二千五百キロワットとしています。資料から、現在の発電規模は九千百五十キロワットということが分かります。
この間、可能な限り再エネの導入の努力をされてきたところだと思いますけれども、来年度までの目標にはまだ少し隔たりがあるという状況かと思います。
水処理過程で電力を使わざるを得ない事業でもあるかと思いますが、水道局におけるCO2削減の取組への課題や難しさはどのようなことにあるか伺います。
○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局が排出しますCO2の多くは、浄水処理や送配水の過程で使用する電力に由来しております。
当局の使命である安定給水の確保のためには、これらの電力使用は不可欠でございますが、その中でも、エネルギーの視点を加味した効率的な水運用等を行うことで、使用電力量の抑制に努めることとしております。
○斉藤委員 ご答弁のとおりですが、難しさはあっても、エネルギーの視点を加味した対策、つまり環境に配慮した電気の調達など、こうした対策は重要だと思います。省エネ機器や再エネの導入など、さらなる技術革新も進めていただきたいと思います。
ご存じのことかと思いますけれども、下水道局は新たな取組を始めています。下水道施設内にペロブスカイト太陽電池を設置し、実証実験を始めていますが、水道局でも、浄水場などのポテンシャルを生かして活用することができるのではないかと思いますが、見解を伺います。
○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、浄水場等における太陽光発電設備の設置について、整備費用回収の可否や、設置場所の荷重制限、場内施設の改修計画等を踏まえて導入を行っております。
新技術につきましても、その実用化に合わせて採用するべきか検討することとなります。
○斉藤委員 この新技術についても、実用化に合わせて採用について検討していくという前向きのご答弁です。
皆さんもよく調べていらっしゃることかと思いますけれども、太陽光のエネルギーを直接電気に変換して利用することができるのがペロブスカイト太陽電池です。薄くて軽量で、曲げることもできるので、先ほどのご答弁にもあった設置場所や荷重制限の問題についても、これまでよりも柔軟に可能性を広げられるものになるのではないかと期待されています。
下水道局では実証実験中ということですけれども、水道局としてもぜひ積極的に検討を進めていただきたいというふうに思います。
CO2削減の目標についてですが、先ほども述べましたけれども、知事部局では、二〇三〇年までにカーボンハーフ、そして、二〇五〇年までに排出をなくすゼロエミッションを掲げています。
そして、下水道局でも、昨年度、検討を行い、アースプラン二〇二三を策定して、同じ目標を掲げました。
水道局としても、全庁と足並みをそろえて取り組んでいくことが必要だと思いますが、水道局では、環境計画における目標をなぜ改定しないのか伺います。
○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 現行の環境計画は令和六年度までが計画期間であり、当局でも、都全体の方針に基づきまして、都が掲げる二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現等の目標達成に向け、引き続き取組を進めていくこととしております。
○斉藤委員 水道局でも、都全体の方針に基づき、都が掲げる二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現等の目標達成に向け、引き続き取組を進めていくというご答弁でしたので、次の計画改定のときにぜひ反映していただきたいというふうに思いますが、下水道局では昨年度、下水道カーボンハーフ実現に向けた地球温暖化対策検討委員会を設置して、どのような対策で目標達成を目指すことができるのか具体的な検討を行い、アースプラン二〇二三の中で、二〇三〇年までのカーボンハーフの実現に向けて、その取組をプランの中に位置づけています。
水道局としても、次の計画策定に向けて、こうした実効性のある対策について検討を行い、カーボンハーフへの目標を掲げる必要があると思いますが、見解を伺います。
○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、令和四年十二月に開催した外部有識者で構成する東京都水道事業運営戦略検討会議において、当局の環境施策の現状や今後の方向性について説明を行い、意見を聴取しております。
引き続き、こうした有識者からの意見や、都全体の方針、取組に係るコストなど、様々な観点から適切に検討を進めてまいります。
○斉藤委員 東京都水道事業運営戦略検討会議で検討されているというご答弁でしたけれども、昨年十二月に開かれたこの戦略検討会議の議事録を私も拝見させていただきましたけれども、なかなか厳しいという状況も語られていましたけれども、その中でも、共同研究を広げていくということだったり、あるいは、自然流下による位置エネルギーの一層の活用に向けた新たな研究、こういったことなども議論をされて、高い目標に向かっての意欲的な議論がされているということが分かりました。
ぜひ、次の計画には、こうした検討を重ねて、全庁の取組と同じく目標を位置づけて取り組んでいただきたいと思います。
次に、給水停止と料金の徴収事務、支払い猶予について伺います。
水道局では、新型コロナウイルス感染症の影響により、水道料金の支払いが困難な事情にある都民や事業者の方々に対して、最大で一年間、支払いを猶予する取組を行ってきました。
今でも物価高騰が続く中で、都民に寄り添う重要な施策であり、私たちは、事業の継続や支払いの減免こそが必要だということを求めてきましたが、本事業は九月末で終わってしまいました。
改めて、この事業について伺いますけれども、この支払い猶予の件数について、これまでの累計数と二〇二二年度、令和四年度の件数について伺います。
○坂井サービス推進部長 支払い猶予の受付件数についてでございますけれども、受付を開始いたしました令和二年三月二十四日から令和五年三月末時点までの累計で二万六千二百二十三件でございまして、そのうち令和四年度中に受け付けた件数につきましては千二百一件となってございます。
○斉藤委員 令和五年三月末時点までの累計で二万六千二百二十三件、そのうち昨年度中に受け付けたのが一千二百一件ということです。
このうち、水道料金の支払い猶予期間が過ぎても支払いが終わっていない件数について伺います。
○坂井サービス推進部長 支払い猶予期間が終了しても支払いが終わっていない件数につきましては、令和四年度末時点で千七百八十五件でございます。
○斉藤委員 支払いが終わっていない件数は千七百八十五件ということです。
この事業では、支払いが最大で一年間猶予されるというものですけれども、猶予期間が終われば、その後の支払いは、猶予期間分を含めて負担が重くなります。私たちは、個別の事情に応じて相談に応じること、そして、減免こそが必要だということも繰り返し求めてきました。
水道局では、個別に対応しているということもこの間伺ってきましたけれども、水道局では、職員等が訪問した際に、利用者さんの異変に気づいたときには、自治体の福祉部署などへつなぐ取組を行っています。
この支払い猶予期間が終わっても支払いが終わっていない件数のうち、支払いが困難な状況などから福祉につないでいる件数、また、本事業の利用者に限らず、全体の中で福祉につないでいる件数について、昨年度の実績を伺います。
○坂井サービス推進部長 支払い猶予期間が終了いたしましても支払いが終わっていない千七百八十五件のうち、徴収業務等で当局職員などがお客様宅を訪問した際に、異変に気づき、区市町の福祉部署などへ情報提供を行ったものは、令和四年度においてはございません。
また、支払い猶予に限らず、区市町の福祉部署に情報提供した件数につきましては、令和四年度で十九件となってございます。
○斉藤委員 支払い猶予期間が終了しても支払いが終わっていない千七百八十五件のうち、福祉につないだ件はないということです。
昨年の事務事業質疑でも私、伺っているんですけれども、昨年の段階で支払いが終わっていなかった二千四百五十六件に対しても、福祉につないだ件は一件もなかったということでした。
この制度を利用している方々は支払いが困難、あるいは不安を抱えている方々が多いのではないでしょうか。昨年は、二千四百五十六件のうち福祉につないだ件はないんだけれども、給水停止を行った件数は三百二十七件に上るということも分かっています。
福祉につなぐ件が一件もないという一方で、これだけの給水停止を行っているという状況は、あまりに冷たい対応なんじゃないかというふうに思わざるを得ません。
一方で、猶予制度の利用者にかかわらず、全体の中で福祉につないだケースは、昨年度は十九件とのことでした。そして、その役割を果たしているのは、水道の検針員さんたちだということも伺いました。訪問を繰り返しているからこそ、利用者の異変に気づくことができるということではないでしょうか。
支払い猶予の制度の利用者に対しては、訪問や電話による聞き取りを行うなど、一層の配慮をしていただくことを求めます。
次に、給水停止の状況について伺います。
二〇二二年度、令和四年度の給水停止の件数と未納カードの発行件数はそれぞれ何件だったでしょうか、教えてください。
○坂井サービス推進部長 令和四年度の給水停止件数は約十七万九千件、未納カードの発行件数は約百十八万件でございます。
○斉藤委員 未納カードの発行枚数と給水停止の件数の推移について、資料としても出していただいています。資料の六ページになりますが、これを見ていただいて分かるように、例年は十万件ほどで推移していますが、昨年度の給水停止は、例年と比べて一・七倍以上の約十八万件まで急増しています。
料金未納で対応しなければならない場合に発行される未納カードの発行枚数についても、例年の二倍の約百十八万件、今ご答弁あったとおりですけれども、急増をしているという状況です。
なぜこれほど増えているのか、その原因が問題です。
昨年度の給水停止と未納カードの発行数が急増していることの要因について、どのように認識しているのか、改めて伺います。
○坂井サービス推進部長 当局では、令和四年度に行った区部における催告方法に関する制度変更の影響によりまして、期限内にお支払いいただけないお客様が増えた結果、給水停止と未納カードの発行数が増加したというふうに考えております。
なお、給水停止前にお支払いいただけるよう、催告文書の見直しなどの対応策を実施してまいりました結果、今年度九月末時点で見ますと、昨年度に比べて、給水停止と未納カードの発行数は減少している状況でございます。
○斉藤委員 昨年度に行った区部における催告方法に関する制度変更の影響によるものというご答弁です。つまり、水道局が行っている制度変更のために、給水停止の数が急増していると認めているということですね。
具体的には何が変わったのか。私たちは繰り返し質問してきましたけれども、二〇二一年度までは、料金未納の方に対して訪問による催告を行う委託事業があったんですけれども、それを、二〇二二年度、昨年度からはなくしてしまって、そして、郵送による催告に変えてしまった、それが原因だということです。
先ほど、今年度九月の時点では、昨年度に比べて減少しているというふうにいわれましたけれども、昨年の九月時点では、それこそ例年の二倍近くに増えていて、そこから減っているとはいっても、今年の四月の時点、これも事前にお伺いしていますが、既に八万件を超えており、例年よりも三万件以上多いという状況です。
訪問による催告では、委託の方々が、利用者さんとの対面の中で、少しでも料金を払ってもらって給水停止を回避する、こういう大切な役割を果たしてきました。
私は、一昨年の質疑から、訪問による催告をなくすべきではないということを求めてきましたが、これをなくしてしまった結果が、この給水停止の急増です。原因がここにあると分かっているなら、この制度変更をやめて、訪問による催告を行うべきではないですか。
物価高騰で都民が一番苦しいときに、自らの原因で給水停止を急増させるなど、行政がやることとして間違っているんじゃないでしょうか。認識を伺います。
○坂井サービス推進部長 徴収サイクルの見直しにつきましては、業務の効率性と負担の公平性の観点から、これまで検討を行い、実施してきたというところでございます。
繰り返しになってしまいますけれども、当局は地方公営企業でございまして、水道法だけでなく、地方公営企業法に基づく企業の経済性の発揮といったものを求められてございまして、そういった法の趣旨を踏まえまして、適切に事業運営を行っているところでございます。
○斉藤委員 効率性を図るもの、さらに負担の公平性ということもおっしゃいました。
公営企業法、今引用されましたけれども、経済性を発揮しなきゃならないところを引用されましたが、その後ろには何て書いてありますか。本来の目的、これを教えてください。
○坂井サービス推進部長 公共の福祉と、それから、低廉な水の供給というふうに書いてあったというふうに認識しております。
○斉藤委員 今引用されました公営企業法第三条には、経済性の発揮とともに、その後ろには何と書いてあるか、公共の福祉を増進するように運営することが本来の目的ですと書いてあるんです。経済性の効率化ということに偏って、こうした苦しむ都民を自らの原因で増やしてしまっている。こういう公共の福祉に反するようなやり方は改めるべきだというふうに思います。
昨年度の上半期の時点で、既に給水停止の数は二倍近くに急増していて、私たちは、訪問による催告を行うべきだと求めてきましたけれども、水道局は、ずっとそのまま、推移を見守るということもいってきましたが、この対応を変えていない状況です。
水道を止められて追い詰められる都民を増やしておいて、いつまでもこのままではいけないというふうに思います。
委託の訪問催告をやめたために、徴収業務を行う営業所でも大変だという声が今届いています。仕事がこなせないほど業務過多になっているという声です。
営業所では電話対応が急増し、さらに、職員が直接、給水停止や開栓の作業に出るために、業務量が大幅に増えて、局直営の営業所からは人員の配置を増やしてほしいという要望が上がっていることを、昨年の質疑でも取り上げました。
その後、営業所への人員の増員は行ったのか伺います。
○坂井サービス推進部長 令和四年度徴収サイクルの見直しに伴う業務量の変動は、一時的なものでございまして、増員は行ってございません。
なお、催告文書の見直しなどによりまして、収納率の向上やシステム改修による業務の効率化、こういったことで、現在は営業所における業務も落ち着いてきているというふうに考えております。
○斉藤委員 増員は行っていないということ、さらに、現在は営業所における業務も落ち着いてきているというご答弁でしたけれども、私たちのところには、今でも営業所では業務量が大幅に増えている上に、病欠や育児休業で欠員になる分の補充さえされないという、逼迫した状況だという声が届いています。落ち着いているなどという状況ではありません。
催告文書の見直しなどを行っているということですが、それだけでは抜本的な解決になりません。
水道局がその対応のために行っている対策はそれだけでしょうか。業務の逼迫状況を改善するために、何か人員体制などは取っていないのでしょうか。
○坂井サービス推進部長 繰り返しで恐縮でございますけれども、令和四年度徴収サイクルの見直しに伴う業務量の変動につきましては、一時的なものでございまして、増員は行ってございません。
○斉藤委員 一時的なものといいますけれども、昨年からずっとこういう声が上がっていて、現場では今でもその中身は改善されていないという声が届いています。
今、何か対策をやっていないのかというふうに伺いましたけれども、ほかに何かやっているということはないと。そういう答弁がありませんでした。
人員体制を取っていないという状況だというご答弁だと思うんですけれども、水道局は、徴収整理事務補助員を会計年度任用職員として募集をしています。これは局のホームページに載せていますね。職務内容は、水道料金等のお支払いがないお客様への電話催告及びそれらに附帯する事務というふうになっています。なぜこのことを今答弁されなかったんでしょうか。
私は、昨年の質疑で、営業所では電話対応に追われて本当に大変、訪問による催告をやめたわけですから、問合せもたくさん来るというふうに伺っています。給水停止やその後の開栓のために現場に行かなくてはいけない状況で、首が回らない状況だということを訴えてきました。何らかの手を取らなくてはいけないというのは当然のことだというふうに思います。
しかし、今こうした体制をつくって、手だてを取っているという状況でも、それを明らかにしないというのは、今の制度変更が破綻しているということを隠したいからなのだろうかと疑念を持たざるを得ません。
給水停止の急増で、暮らしが厳しく苦しい都民を追い詰めるようなこと、さらに、職員の業務過多を起こして、現場を逼迫させるような今の制度変更は直ちにやめて、訪問による催告を行うように改めて強く求めるものです。
そして、水道局では、訪問による催告をやめることと一体に、給水停止までのサイクルを短縮することを検討していたことが、私たちの開示請求から明らかになっています。
水は最後の命綱として、電気やガスなどのライフラインの中でも止まるのは一番最後という認識が一般的に浸透しています。そうした中で、都民の暮らしが厳しいときに、給水停止までのサイクルを短くするということは許されないということを、私は繰り返し訴えてきました。
その後、その検討の結果、サイクルの短縮を行っているのかどうか伺います。
○坂井サービス推進部長 初回の請求から給水停止までの期間につきましては、変更してございません。
○斉藤委員 命に直結する水の供給停止までの期間を短くするということは、公共の福祉を増進するように運営されなければならない、先ほど公営企業法を述べましたけれども、その公営企業としてやってはならないというふうに思います。
ましてや、今は物価高騰の中、都民の暮らしが一番苦しいときです。今は当然ですけれども、今後も、命の水を止める、このサイクルの短縮は行わないことを強く求めます。
次に、PFAS汚染について伺います。
有害性が指摘されている有機フッ素化合物、PFASが、多摩地域の水源井戸で高い値で検出されていること、また、市民の血液検査の結果、血中から、国が実施した検査よりも高い値で検出されているということで、都民に不安が広がっています。
住民による自主的な血液検査に取り組んでいる市民団体が、六月に、六百五十人分の分析の最終結果を発表しました。アメリカの学術機関、アカデミーは、七市のPFASの合計で、血中濃度が一リットル当たり二十ナノグラムを超えると健康リスクが生じるとの指標値を示していますが、多摩地域全体の三か所の平均値で、この指標値を上回る実態が明らかになりました。
米国の指標値を個人で超えていた人は二十自治体の三百三十五人と、参加者の過半数に上ります。都民の健康を守るために、少しでも安全な水を供給するための対策が、今切実に求められています。その視点から伺っていきます。
まず、二〇二二年度、令和四年度末時点で取水停止にしている水源井戸の総数と、昨年度に停止した水源井戸について、その停止に至った経緯を伺います。
○大友技術調整担当部長 令和四年度においては、府中市内の幸町給水所の水源である六本の井戸を停止しており、年度末時点でPFOS及びPFOAを理由として停止している水源井戸の本数は、合計四十本でございます。
四年度に停止した幸町給水所の水源井戸については、平成二十八年度に施設の更新工事のために運用を停止したものですが、検査の結果、運用を再開すると、給水栓で国が定めた暫定目標値を超過するおそれがあったことから、工事完了後も引き続き運用停止したものでございます。
○斉藤委員 二〇二二年度、令和四年度末時点で取水停止にしている水源井戸は四十本、そのうち昨年度に停止をしたのは、府中市の幸町給水所の六本の井戸で、更新工事でもともと止められていたものの、検査で、給水栓において国の暫定目標値を超えるおそれがあったため、そのまま運用停止にしているというご答弁でした。
さらに伺います。
二〇二二年度、令和四年度の時点で稼働している水源井戸の中で、PFOSとPFOAの合計と、PFHxSの値のそれぞれについて、国の暫定基準の一リットル当たり五十ナノグラムを超えている箇所は幾つありますか。
○大友技術調整担当部長 令和四年度末時点で稼働している水源井戸のうち、PFOS及びPFOAの合計が一リットル当たり五十ナノグラムを超えている井戸は六本でございます。
PFHxSに国の暫定目標値は設定されておりませんが、一リットル当たり五十ナノグラムを超えている水源井戸は五本でございます。
なお、水源井戸での検出状況にかかわらず、給水栓におけるPFOS及びPFOAの値は暫定目標値を大幅に下回っているため、水道水の安全性は確保されております。
○斉藤委員 PFOS及びPFOAの合計が一リットル当たり五十ナノグラムを超えている井戸は六本、そして、PFHxSについては国の暫定目標値は設定されていませんが、一リットル当たり五十ナノグラムを超えている水源井戸は五本あるということです。
さらに、蛇口においては五十ナノグラムを下回っているため、水道水の安全性は確保されているというご答弁でした。
日本共産党都議団はこれまで、対策の強化を求める住民の声を繰り返し届けてきましたが、たとえ蛇口の水の値が五十ナノグラム以下でも、少しでも体内に取り込むことを避けるために、高い値が出ている水源井戸の運用は止めてほしいという住民の声も届けてきました。
この声についてどう認識しているか、改めて伺います。
○大友技術調整担当部長 暫定目標値は、令和二年当時における安全側に立った考え方を基に、健康に影響がない値として国が定めたものでございます。
当局では、給水栓において暫定目標値を超過するおそれのある場合は、原因となっている濃度の高い水源井戸を直ちに停止しております。この対応により、給水栓における値は暫定目標値を大幅に下回っており、水道水の安全性は確保されております。
引き続き、給水栓において水質基準などを遵守して、安全な水道水の供給を図ってまいります。
○斉藤委員 PFASが人体に与える影響について、発がん性のほか、妊娠高血圧症や胎児の低体重、そして、免疫力の低下などの有害性が海外での知見から指摘されています。アメリカの学術機関は、PFASの血中濃度が高いほど、これらの健康リスクにつながるおそれがあるとして注意を呼びかけています。
水道局では、PFASが人体に及ぼす影響についてどう認識しているのか、改めて伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 現在、国におきまして、有機フッ素化合物に関する専門家会議を設置し、最新の知見や検出状況の収集、評価を行い、科学的根拠に基づく総合的な対応を検討しているところでございます。
当局では、関係局と連携し、科学的根拠に基づいた知見を早急に示すよう、国に対し緊急要望を行っているところであり、引き続き、国の動向を注視してまいります。
○斉藤委員 ちょっと確認をしたいんですけれども、つまり、今のは、人体の影響については、国が科学的根拠に基づいた知見を示しておらず、水道局としては分からない、どの値なら人体に影響があるのかどうかも分からないという状況でしょうか。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 繰り返しになりますが、現在、国におきまして、有機フッ素化合物に関する専門家会議を設置し、最新の知見や検出状況の収集、評価を行い、科学的根拠に基づく総合的な対応を検討しているところであります。
当局では、関係局と連携し、引き続き、国の動向を注視してまいります。
○斉藤委員 私が聞いたのは、今、人体への影響について、これは分からないという現状でいいかということを聞きました。どうですか。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 繰り返しになりますが、当局では、関係局と連携しまして、科学的根拠に基づいた知見を早期に示すよう、国に対し緊急要望を行っておりまして、引き続き、国の動向を注視してまいります。
以上でございます。
○斉藤委員 人体への影響についての明言を避けておられるんですけれども、国においてその知見がないと、ないから示してほしいということを求めているということですね。
だから、この影響について、どの程度なら影響があるのかというのは分からないという状況だというふうに思うんですけれども、こうした健康への影響について分からない、答弁されない、そういう状況でありながら、先ほど来、ご答弁の中で、水道水の安全性は確保されている、このように繰り返されています。これは大きく矛盾していませんか。認識を伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 国におきましては、国内において、PFOS、PFOAの摂取が主たる要因と見られる個人の健康被害が発生したという事例は確認されていないとしております。また、どの程度の量が体に入ると影響が出るかについては、いまだ確定的な知見はないとしております。
繰り返しになりますが、現在、国において、有機フッ素化合物に関する専門家会議を設置し、最新の知見や検出状況の収集、評価を行い、科学的根拠に基づく総合的な対応を検討しているところでございます。
当局としましては、引き続き、関係局と連携し、国の動向を注視してまいります。
○斉藤委員 だから、今の国の立場でも、人体に及ぼす影響というのは確認されていないと、分からないということですね。
そういう現状でありながら、安全性は確保されているというふうに水道局が断言する、この根拠は何ですか。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、給水栓における水質基準など、国が定める水質基準等を遵守することにより、水道水の安全性を確保しているというふうに考えてございます。
○斉藤委員 繰り返しご答弁いただいていますけれども、要するに、国は、人体に与える影響について分からず、当然、水道局としてもそれが分からないと、つかんでいるわけではないと。そういう中で、なぜ安全性を確保されているという答弁が出てくるのか、私、本当にこれ疑問です。
本当に、ダブルスタンダードといいますか、あまりにひどい姿勢なんじゃないかなというふうに思います。こういう言葉で都民に説明をするというのは、都民を欺く説明だというふうにいわざるを得ません。
もう一点伺います。
運用を停止している水源井戸について、令和四年度に水質検査を行った結果を水道局は公表しています。
この中で、最初に井戸の停止を行ったのは、二〇一九年、令和元年六月だということ。このときに提出されたのは、府中市の府中武蔵台浄水所の三つの井戸と、国分寺市の東恋ヶ窪配水所の井戸の一つ、そして、国立市の国立中給水所の井戸の一つで、合わせて五か所の水源井戸を止めていることが分かります。
このときに井戸を停止する判断の基準、目安としていた値について伺います。
○大友技術調整担当部長 令和元年五月に、国が、国会にて、PFOS及びPFOAに関する目標値設定の検討を表明したことなどから、当局では、令和元年六月に、独自の取組として、当時、海外で最も厳しい目標値であったアメリカ環境保護庁の健康勧告値、一リットル当たり七十ナノグラムを参考にして管理を行ったものでございます。
○斉藤委員 アメリカの環境保護庁の健康勧告値を参考にしていたと。
今、そのアメリカはもっと進んでいて、この環境保護庁は、PFOSは一リットル当たり〇・〇二ナノグラム、そして、PFOAは〇・〇〇四ナノグラムを基準として示しています。
なるべく摂取しないということが大切なんだということですけれども、二〇一九年の時点では、アメリカの健康勧告値は、今ご答弁でありましたとおり、一リットル当たり七十ナノグラムというふうにされていました。
水道局では当時、その半分の三十五ナノグラムを目安として、水源の井戸から取水停止の判断の目安にしていたということが、朝日新聞の記者の諸永裕司さんの著書、こちらですね、消された水汚染に記されています。
恐らく、理事者の皆さんはよくご存じのものではないかと思うんですが、この朝日新聞の記者さんが、繰り返し水道局の方とのやり取りの中を詳しくここに書いていらっしゃるんですね。
この当時、その三十五ナノの目安についてですけれども、少しでも都民の方々が安心できるように判断しましたという当時の課長さんの言葉もここに掲載されています。
この当時のアメリカの七十ナノグラムの半分での値を目安として対応していたということは間違いないでしょうか。
○大友技術調整担当部長 間違いございません。
○斉藤委員 ご答弁ありがとうございます。
私も、この間のお話の中で、当時は、アメリカの健康勧告値七十ナノの半分の三十五ナノグラムを目安として使っていたということを伺っていまして、昨年の質疑の中でも、そのことは述べさせていただいています。
日本人は体が小さいからアメリカの基準の半分を目安にしていたと。当時、沖縄の企業局も同様の対応をしているというふうに、この本の中にも記載をされています。明確な基準がなくても、まだ定められていなくても、なるべく安全な方向で対策を行っていたということは重要なことだと思います。
そして同時に、今に照らして見てみますと、当時目安としていた三十五ナノグラムというのは、現在の国の暫定目標値よりも厳しい基準です。水道局の過去の対応に照らしても、今の暫定目標値の五十ナノグラム以下なら安全というふうに断言して、それ以上の対策を行わないというのは、私は矛盾しているというふうに思います。
根拠がない下で、安全性は確保されている、このような説明を行うのは、あまりに無責任だといわなければなりません。体内に蓄積されるPFASをなるべく減らすために、PFASが検出されている水源井戸、特に高い値で検出されている水源井戸は取水停止を行う、また、活性炭によるPFASの除去の対策を行うなど、必要な対策を取ることを強く求めます。
最後に、東京水道の長期戦略構想について伺います。
東京水道経営プラン二〇二一の中で、今後は、政策連携団体への業務移転の手法として、性能発注による包括委託を検討しますとされていますが、二〇二二年度、令和四年度までの検討状況について伺います。
○小澤経営改革推進担当部長 性能発注方式によります包括委託の導入につきましては、令和二年度に、外部有識者で構成する東京都水道事業運営戦略検討会議で意見をお伺いしまして、対象業務や制度設計について検討を進めております。
令和四年度は、受託者の創意工夫を促すとともに、都民サービスの向上を図るための仕組みであるインセンティブやペナルティー等につきまして検討を行いました。
○斉藤委員 性能発注方式は、これまでの仕様書による発注方式とは違って、業務の実施方法は示さず、要求する水準だけを提示し、その水準を満たしていれば、やり方は問わないとするものです。
経営プランには、要求水準に達していない場合は、受託者にペナルティーを科すこと、また、要求水準を上回った場合には、受託者にインセンティブを付与することと記載されています。昨年度は、そのインセンティブやペナルティー等について検討をしていたというご答弁でした。
そのインセンティブについて伺いますが、経営プランの中では、創意工夫による都民サービスの向上などの要求水準を上回った場合は、受託者へインセンティブを付与しますとされておりますけれども、具体的にはどのようにしてこのインセンティブを与えるのか伺います。
○小澤経営改革推進担当部長 インセンティブにつきましては、他自治体の事例なども参考にしながら、受託者の創意工夫等を促す仕組みとして検討しております。
なお、詳細につきましては、現在検討中でございます。
○斉藤委員 詳細については検討中ということで、まだ具体的にはなっていないということだと思います。
ご存じのことかと思いますけれども、下水道局では、五年契約の包括民間委託が昨年度から始まっています。インセンティブについては、国が示しているガイドラインによって、運転管理の効率化などにより、維持管理コストの削減等が達成された場合には、受託者へのインセンティブとして、業務委託費を削減しないことを検討するとされていて、下水道局も、その契約で、維持管理コスト等の削減した費用については、その分をインセンティブとして、受託者の利益としているという答弁がありました。
このガイドライン自体は下水道についてのガイドラインでありますけれども、参考になるというふうに思います。つまり、受託事業者の利益を守ってあげるという仕組みなんです。創意工夫によってどれだけコスト縮減が行われても、それは受託者の利益になるだけで、局本来の事業には直接還元されないものになります。
そこで伺います。
局直営の水道事業の中で、創意工夫や技術革新などで経費の縮減等ができた場合は、その分はどのように活用されていたのか、教えてください。
○小澤経営改革推進担当部長 当局では、経費縮減と収入の確保により財源の確保に取り組んでおります。
令和四年度は、こうした財源も活用しながら、ウクライナ情勢や円安の影響等による経費の増加に対応し、適切に事業を推進しております。
○斉藤委員 今のご答弁はとても重要なものだというふうに思います。局直営の事業の中で、創意工夫や技術革新など、経費の削減ができれば、その後の水道事業の財源確保に直接つながるということ。当たり前のことですけれども、それこそ持続可能な水道事業に寄与していくものではないでしょうか。
昨年度は、こうした財源を生かしながら、ウクライナ情勢や円安の影響等による経費の増加に対応してきたということ、大切なことだと思います。局直営の皆さんの努力が、まさに水道事業を支えていく原資をつくっていくということではないでしょうか。
逆にそれを手放していくということは、都民に対する責任放棄につながっていくと思います。水道事業は、利用者である都民からの料金収入から成り立っているものでもあります。それが受託事業者の利益に回って、直接都の水道事業に還元されるものにならないのは、公共性の高い事業としての在り方が問われる根本問題だということを指摘いたします。
水道局は、長期戦略の中で、今後十年で営業系業務の全てを、そして、二十年間で技術系の業務の全てを、政策連携団体である東京水道株式会社、TWに移転することとしています。
全ての現場業務を局から手放すことは、局内での技術の継承を困難にし、公共性の強い水道事業に対する重大な責任後退になります。全ての現場業務を手放す状況で、局内での技術やノウハウの継承をどのように維持していけると考えているのか伺います。
○船川職員部長 政策連携団体への業務移転を進める中で、当局が将来にわたって技術やノウハウを維持していくため、局と団体が連携しながら、人材の育成や技術の継承を行っていくこととしております。
このため、当局では、団体と共同で作成した東京水道グループ人材育成方針に基づきまして、組織的なOJT、共同研修や相互派遣等の取組を実施し、局、団体双方において技術やノウハウの着実な継承を図っております。
○斉藤委員 局と政策連携団体の東京水道株式会社、TWと連携して人材育成を行っていくということですが、実際には、それは、現場のことはTWに教えてもらわなければ分からなくなってしまうということではないでしょうか。
一つ伺いたいんですけれども、経営プランには、受託者、つまり、TWが要求水準を満たしているかどうか、水道局がモニタリングをしていくと示されています。水道局が現場を手放して、現場の技術やノウハウについてTWから教えてもらうような状況の中で、水道局からのモニタリング、チェックというのは機能するのでしょうか。見解を伺います。
○小澤経営改革推進担当部長 性能発注による包括委託の中では、水道局といたしましては、発注者として履行状況のモニタリングを行うこととしております。
その際には、局とTW両方で人材育成を図っていき、そのモニタリングが適切にできるように人材育成を行ってまいります。
○斉藤委員 相互に人材育成を行っていく。しかし、現場を全部手放してしまうわけですから、そうなった将来は、現場のことについては、TWに教えてもらわなければ、こちらでは技術継承が、局独自ではできないというふうな状況になっていくわけです。
連携してといいますけれども、連携して教えてもらっている相手にチェック機能を果たすことができるのかという問題です。
つまり、現場を手放すということは、そうした局の力が失われていくということになります。そうした下で、水道事業の公的責任を後退させていくようなことは許されません。
最後の質問になりますけれども、TWとその前身の二社、東京水道サービス株式会社と株式会社PUCがこれまでに支払ってきた法人税等と株主配当の過去十年分の総額について、それぞれ伺います。
○小澤経営改革推進担当部長 東京水道株式会社並びに統合前の東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCにおけます平成二十五年度から令和四年度までの十年間の法人税等の総額は三十二億九千六百九十三万五千二百四十八円、株主配当の総額は千七百六十七万九千七百八十六円でございます。
○斉藤委員 法人税等の総額は十年間で約三十三億円にも上るということです。
以前にも取り上げさせていただいていますけれども、法人税や事業税、そして、株主配当は、本来、局直営の事業なら発生しないコストになります。公的セクションにこの民営化の手法を取り入れてきた世界の事例からも、民間の事業では、法人税と株主配当に加えて、過度な内部留保や役員報酬に回ってしまい、公的に運営するよりも高コストになるということが明らかになっています。今では先進各国で再公営化の流れが広がっています。
先ほど来、取り上げておりますけれども、公営企業法第三条に掲げられているとおり、公営企業による水道事業は、公共の福祉を増進するように運営するということが本来の目的です。利益を得ることを原動力とする民間や株式会社では果たすことができない役割を担っているのが、公の皆さんの仕事です。
その役割と責任を果たすよう、全ての現場を手放す今の計画は撤回し、局直営の水道事業を堅持するよう強く求めて、質問を終わります。
○古城委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時十二分休憩
午後三時三十六分開議
○古城委員長 休憩に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○五十嵐委員 立憲民主党の五十嵐えりです。よろしくお願いいたします。
早速なんですけれども、私の選挙区、地元でございます武蔵野市と都営水道との関わりについて、令和四年度までの経緯や状況など質問させていただきたいと思っております。
多摩地域の水道事業なんですけれども、現在二十三市と三町が都営水道となっております。
歴史的には、かつてはそれぞれの市や町が地下水を水源として水道事業を運営していたようなんですけれども、高度経済成長期以降に多摩地域全体の都市化が発達をいたしまして、人口も増えたということで、水源の不足によって都営水道に統合されていった歴史があるというふうに伺っております。
そのような中で、私の地元武蔵野市でも、現在、武蔵野市は市営の水道です。私は水道の料金を武蔵野市に払っているんですけれども、市営の水道ということで運用されております。多摩地域で昭島市や羽村市など、少ない市営による経営でございます。
そもそもなんですけれども、武蔵野市が都営に統合されていない理由が何かについて伺います。
○清水調整部長 多摩地区水道は、昭和四十六年度に策定した多摩地区水道事業の都営一元化基本計画に基づき順次都営統合を行ってまいりました。
平成八年度及び十二年度には、この当時未統合であった市に対し、統合の意向確認を行い、その際に、統合の意向を示した市の統合をもって都営一元化の取組は終結しました。
武蔵野市に対しましても、平成十二年度に統合に関する意向の再確認を実施しまして、希望がなかったことから、現在も市が水道事業を経営しております。
○五十嵐委員 武蔵野市も、当初は、市の希望で市による運営だったということでございました。
ただ、状況は変わっているところでございます。武蔵野市の水道の主な水源というのは地下水なんですけれども、近年、やっぱり地下水だけでは足りなくて、従前から、都から水道水の供給を受けて、地下水とブレンドして供給をしております。
令和四年度の都からの水道水の供給量は年間約四百六十七万立方メートルで、市の給水量全体の約二、三割というふうに聞いています。
都からの供給はいつから行われて、そして、供給量がどのように推移しているかについて伺います。
○清水調整部長 武蔵野市に対しましては、昭和四十一年度から分水を開始いたしました。
過去の分水量の推移を見ますと、昭和四十年代に急激に増加した後、昭和五十年代以降は、市の配水量全体の四割程度で横ばいとなっております。その後、平成四年度から減少傾向になりまして、直近十年間の割合を見ますと、約二割から三割で推移しております。
○五十嵐委員 直近十年の割合を見ると二割から三割で推移しているとのことで、増えているといったような状況かと思います。
やはりここで出てくるのが都営水道への一元化でございます。武蔵野市もだんだん人口が増えておりますし、また、水道管などが災害などで被害を受けた場合に、バックアップ機能が確立されていないことから、大規模な市内での断水が起きかねないというおそれがあって、武蔵野市としても、二〇一八年七月、都との間で、都営水道への一元化について協議をしたということです。
現在、都と武蔵野市は、統合についての事務的な協議を年数回行ってきたというふうに聞いています。
そこでまず、これまでの水道の事業統合に関する基本的な考え方を伺います。
○清水調整部長 多摩地区の市、町との水道事業一元化におきましては、これまで、市、町の水道資産や企業債などを都が引き継ぐこと、また、都営水道のお客様に新たな負担を発生させないように、累積欠損金や老朽化施設の更新経費を市町が負担することを基本的な考えとしてまいりました。
このため、武蔵野市に対しましても、こうした考え方を説明しております。
○五十嵐委員 基本的な考え方というところなんですけれども、今ご答弁にもありましたように、やはり市町が累積欠損金や老朽化施設の更新の経費を負担するということがございます。
この基本的な考え方はあると思うんですけれども、これに基づいて様々な課題解決していかなければいけないものと思っています。
そこで、具体的に、令和四年度の武蔵野市水道の事業統合をめぐる動きと、令和四年度の具体的な取組について伺います。
○清水調整部長 武蔵野市水道の事業統合につきましては、令和元年五月に、武蔵野市と都の部課長級職員による具体的な課題整理のための検討会を設置いたしました。
令和四年度は、同検討会を二回開催したほか、実務的な協議を重ね、施設、設備、管路維持のほか、料金徴収システムなど、各種システムについて、業務の相違点と課題を整理いたしました。
○五十嵐委員 令和四年度には二回ほど開催して、そして、施設や設備、管路維持、または料金の徴収システムも違うということで、具体的な業務の相違点や課題を整理したとのことでございました。
いろんな課題があるんですけれども、協議するというふうに決めてから五年ほど経過しているんですけれども、やはり大地震や災害など、いつ来てもおかしくない状況ですので、着実に丁寧に進めていっていただきたいと思います。
都営水道への一元化なんですけれども、やっぱり市民も非常に関心がございまして、都営に一元化したら水道料金が高くなるんですかということをよく聞かれるんですね。
そこで伺いたいと思います。
実際に、武蔵野市の水道料金と都の水道料金の違いについて伺います。
○清水調整部長 都と武蔵野市においては、料金の単価が異なることから、お客様の支払う水道料金が異なっております。
例えば、メーター口径二十ミリメートルの場合で、都における四人家族の一か月当たりの平均使用水量約二十三立方メートルで比較しますと、都が三千三百五十三円、武蔵野市が三千二百九十二円でございます。
また、同様に、都における単身世帯一か月当たりの平均使用水量約八立方メートルで比較しますと、都が千三百五十九円、武蔵野市が千三百七円となっております。
○五十嵐委員 都が例えば千三百五十九円、武蔵野市が千三百七円ということで、そんなに変わらないということが、確かに武蔵野市の方が若干安いんですけれども、そんなに大きくは変わらなかったということが分かりました。
もう一つ、市民の方がやっぱり気にされているのは、武蔵野市の水は主に地下水を水源としておりまして、非常に深いところから取っていて、ろ過されていて、おいしいというようなことをおっしゃる方は多いんですけれども、都営水道との一元化に際して、まずくなるんじゃないかというようなことを心配されている方もいらっしゃいます。
おいしいか、まずいかというのは主観的なところもありますので、おいしいか、まずいかというような問い方はしませんけれども、都の水道事業の安全でおいしい水というふうに書いてございますけれども、この取組についても伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、最高水準の水質管理を目指して、総合的な水道管理手法であるTOKYO高度品質プログラムを運用し、水源から蛇口に至るまで、国が定める基準を上回る項目について、徹底した水質管理を行っております。
さらに、カビ臭やカルキ臭などの臭いや味等について、国の水質基準等よりも厳しい都独自のおいしさに関する水質目標を設定し、残留塩素低減化などに取り組んでおります。
これらの取組により、安全で高品質な水道水を供給しております。
○五十嵐委員 ありがとうございます。先ほども他の委員から質問ありまして、国の基準を上回る二百八十三項目ですか、たくさんの項目を設けて、品質の確保を図っているということでした。
最後、安全というところで、私も、PFOS、PFASについてちょっと質問しようと思っていたんですけれども、他の委員とかなりかぶりますので、質問は省略をさせていただきたいと思います。
ただ、多摩地域の都営の水道では、先ほど答弁にもありましたけれども、四十本の井戸が停止しており、そのうち昨年度は府中の六本ということも先ほど答弁にございました。多摩地域の住民の方は血中濃度が高かったというような報道もあって、かなり不安に思っているところです。
やっぱり水道局さんに聞くと、安全だということで答弁は返ってくるんだと思いますけれども、やはり具体的な取組、例えば武蔵野市では、災害用の井戸に浄水器を市が補助して設置する事業を早急に補正予算を立てて実施したりとか、やっぱり市民の不安に応えるような政策をいろいろ打っております。
都も、PFASについての相談窓口とかいろいろ設けているようでございますけれども、具体的に、特に多摩地域の住民のPFAS、PFOSに対する不安についても対策をしていただきたいなということを申し上げたいと思います。
最後に、先日の定例会の代表質問でも申し上げましたけれども、水道事業の民営化等はあってはならないということも最後に申し上げたいと思います。
質問を終わります。
○伊藤委員 まず、安定給水に欠かせない水道水源林について伺います。
多摩川の上流には広大な森林が広がっており、水道局では、明治三十四年から水道水源林として管理しています。その区域は、奥多摩町のほか山梨県にも広がっており、二十三区の総面積の約四割に相当する二万五千ヘクタールにも及びます。
河川の流量を確保し、安定給水を図るために、水道水源林の涵養機能を十分に発揮させる必要があります。そのためには、この広大な水道水源林を将来にわたって計画的に保全することが重要です。
そこで、水道水源林の保全作業の令和四年度の取組状況について伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 水道水源林の持つ様々な機能を十分に発揮し続けるためには、継続的に森林を保全していくことが重要でございます。
そのため、当局では、おおむね十年ごとに水道水源林管理計画を策定し、水道水源林の七割を占める天然林については、自然の推移などに委ねるとともに、三割を占める人工林については、保全作業により健全な育成を図っております。
現在の平成二十八年度から令和七年度までの第十一次計画では、人工林のうち手入れが必要な森林約六千ヘクタールについて、樹木の密度を調整し、健全な成長を促す間伐作業や、森林内を明るくし、地表面の草木の生育を促す枝打ち作業などの保全作業を行うこととしております。
令和四年度は、この計画に基づき、保全作業を約六百十ヘクタール着実に実施しました。
○伊藤委員 水道局が計画的に森林の保全に取り組んでいることを確認しました。
さて、森林については、近年、鹿の目撃が増えており、全国的にも、鹿が樹皮や下草を食べることにより、樹木の生育への影響が生じています。水源林でも同様の被害が生じており、鹿被害対策も森林保全にとって課題です。
それでは、鹿の被害を抑制するためにどのような対策を行ったのか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、森林の被害状況や鹿の生息状況を調査し、その結果に基づいて優先箇所を選定し、効果的に対策を実施しております。
令和四年度は、鹿による被害を防ぐため、新たに、侵入を防止する柵を約千メートル設置するとともに、樹木を一本ずつ保護する単木ネットを約千百本取り付けました。
また、鹿の生息数を抑制するため、関係局や山梨県内の地元自治体と協定を結び、連携した捕獲事業を行っており、四年度からは新たに、環境局と雲取山等の標高の高い地域で取組を開始しました。
当局では、この捕獲事業において、捕獲に係る費用の一部負担や、作業用モノレールの利用許可、鹿の生息状況などの情報提供を行っており、このような関係機関と連携した取組により、四年度は約八百二十頭を捕獲しました。
水道水源林エリアにおける鹿の推定生息数は、ピーク時の平成二十四年度に比べ半減しており、被害拡大を防いでおります。
○伊藤委員 鹿被害の対策を行い、被害を軽減していることを確認しました。
さて、水道水源林は水道局が適切に管理していますが、多摩川上流域には、水道水源林と同じ広さの民有林が存在しています。これらの民有林には、長期にわたる林業の不振などにより、手入れが行き届かず荒廃している森林も多いと聞いています。
水道局では、小河内貯水池への影響が特に懸念される約二千ヘクタールを民有林重点購入地域と位置づけ、平成二十九年度から、おおむね十年間で積極的に購入するとしています。
重点購入地域における民有林購入を着実に進めるために、どのように取り組んでいるのか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、重点購入地域において、平成二十九年度から令和四年度までの六年間で約千二百四十ヘクタールの民有林を購入しました。
しかし、購入を進めるに当たっては、所有者の所在が不明なため、売却の意向を確認できない民有林がございます。このため、二年度から、専門の事業者への委託により、所有者の所在調査を実施し、所在が判明した所有者に対しては、四年度までにアンケートを郵送しました。
回答があった方の中で、売却の意向がある方へは、購入に向けた手続を進めるとともに、そのほかの方へは、水源地保全の重要性など、当局による民有林購入の意義を丁寧に説明の上、交渉を進めております。
こうした取組により、着実に重点購入事業を推進しています。
○伊藤委員 引き続き、計画達成に向けて取り組むとともに、購入した森林が緑豊かな水道水源林としてその機能を十分発揮できるよう、管理することを求めておきます。
また、民有林については、平成十四年度に多摩川水源森林隊を設立し、活動の同意を得た森林において、ボランティアによる間伐や枝打ちなどを実施しているそうですが、令和二年度及び三年度は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限により、活動を縮小したとも聞いています。
それでは、令和四年度の多摩川水源森林隊の活動状況についても伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 多摩川水源森林隊は、林業の不振などにより手入れの行き届かない民有林を、ボランティアの方々の手で緑豊かな森林に再生する取組でございます。
令和四年度は、活動回数をコロナ禍以前の水準に戻すとともに、初めて参加する方や作業に不安のある方を対象とした活動も再開しました。これらの取組の結果、コロナ禍以前とほぼ同等の延べ約千七百人のボランティアの方々に参加していただきました。
また、四年度は、設立二十周年の活動として、小河内貯水池周辺において山桜などの樹木を植栽しました。
今後もボランティアの方々と連携し、多摩川水源森林隊の取組を推進してまいります。
○伊藤委員 多摩川水源森林隊の活動状況も確認しました。将来にわたり貴重な水源地を守り続けていくために、今後とも多摩川上流域の森林保全に着実に取組むよう要望しておきます。
次に、多摩地区の井戸水源について伺います。
水源林だけでなく、身近な水源として災害などに活用できる地下水は、多摩地区における貴重な水源と認識しています。
しかし、地盤沈下や水質悪化に加え、施設の老朽化などの課題とともに、揚水量の低下が進行していることも事実です。
私は、令和元年度の公営企業決算特別委員会でも、井戸水源の稼働状況について確認しました。その際、私の地元から聞いた話として、市営水道時代に整備された井戸が、その後の市街化の進展により、結果として、まちづくりを阻害していることを指摘しましたが、市や町営水道の時代には想定しなかった様々な課題も見えてきています。
そこで、その後の井戸の状況や今後の取組について伺います。
まず、多摩地区の井戸水源について、過去十年間にわたる全配水量に占める揚水量の変化について伺います。
○大友技術調整担当部長 地下水をくみ上げる井戸水源は、水質の面などから、将来にわたる安定的な水源には位置づけられませんが、身近にある貴重な水源として適切に活用しております。
多摩地区全体の水道水源井戸からの一日当たりの平均揚水量は、平成二十五年度は約二十万四千立方メートルでしたが、令和四年度は約七万二千立方メートルで、揚水量は十か年で約三分の一に減少しております。
これにより、多摩地区の全配水量に対する井戸の揚水量の割合は、二十五年度の約一八%から、四年度には約六%まで減少しております。
○伊藤委員 令和四年度の井戸水源の揚水量は、この十年間で三分の一まで減少しており、全配水量の僅か六%とのことでした。
昔から多摩の井戸水はおいしいといわれてきており、貴重な水源として都民の生活を潤してきましたが、そうした井戸の揚水量がなぜ減少したのでしょうか。
令和元年度の決算質疑では、二百七十八本の水源井戸のうち稼働しているのは九十五本と伺っていましたが、現在の井戸水源の停止状況とその理由についても伺います。
○大友技術調整担当部長 多摩地区における井戸水源は、令和三年度に一本を廃止し、四年度末では二百七十七本になってございます。そのうち稼働している井戸は五十一本であり、使用を停止している井戸は二百二十六本でございます。
これらの井戸二百二十六本の停止理由の内訳は、水質悪化などによるものが百二十一本、設備の老朽化や施設の損傷によるものが四十六本、設備機器の補修や更新など工事により一時的に停止しているものが五十九本でございます。
○伊藤委員 二百七十七本もある井戸のうち二百二十六本の井戸が稼働していない状況を確認しました。そうした井戸の再開や更新は、一定条件の下、優先順位をつける必要があると前回も指摘いたしました。
また、停止理由は千差万別であり、再開や更新には費用対効果の問題もあります。
それでは、貴重な水源の一つである多摩地区の井戸水源について、今後の整備の取組も伺います。
○大友技術調整担当部長 井戸水源の在り方につきましては、揚水量の推移など、現下の状況を踏まえ、より具体的に考える必要がございます。
当局ではこれまで、使用を停止している井戸の更新、再開に必要な条件について、掘り替えの可否など技術的な側面や、法令上の観点から検証を進めてまいりました。
今後は、老朽度合いや更新に係る費用、将来にわたる維持管理など、個々の井戸施設について、より一層詳細な調査検討を進めてまいります。
○伊藤委員 今後、より一層詳細な調査検討を行うとのことですが、地下水を適切に活用しながらも、費用対効果を十分に考慮し、井戸の更新や統廃合について、より具体的な取組の進展に期待しています。
次に、料金未納対策についても伺います。
令和元年冬から拡大した新型コロナウイルス感染症は、社会経済活動に大きな影響を与えました。
水道局でも、新型コロナの影響により減収した給水収益が、感染症拡大以前の水準まで回復しない中、健全な財政運営のため、水道料金を適切に回収することは重要です。
一方、コロナの影響等により生活に困っている方もいるため、適切な配慮をしながら水道料金の回収に当たることも必要です。
そこで、水道局における未納の状況とその解消策について伺います。
まず、令和四年度の水道料金の未納に関する状況について伺います。
○坂井サービス推進部長 令和四年度における水道料金未納の状況でございますけれども、未納件数で延べ約百十八万件、年度末の未納残金額は約九億二千万円でございまして、給水収益に対して約〇・三%となってございます。
○伊藤委員 令和四年度の水道料金未納状況は、給水収益に対して約〇・三%、九億二千万円ということで確認しました。
しかし、約〇・三%とはいえ、負担の公平性の観点からも、適切かつ早期に水道料金を回収するための努力が必要です。
そこで、水道料金の未納を解消するための方策等についても伺います。
○坂井サービス推進部長 当局では、初回請求でお支払いのないお客様に対しまして、支払い書や催告文書を送付するなど、複数回にわたり催告を行ってございます。
その上でお支払いいただけない場合には、やむを得ず給水を停止しているところでございます。
それでもお支払いいただけないお客様に対しましては、水道料金の未納金額に応じまして、支払い督促、訴訟など、法的手段により未納解消を図っているところでございます。
なお、生活に困っている様子の方など、やむを得ない事情のお客様に対しましては、個別の事情を考慮した上で、支払い期限の延長や分割払いの手続をするなど、きめ細かな対応をしてございます。
○伊藤委員 水道局が、初回請求から何度も催告をした上で、それでもお支払いのない方に対して、給水停止や法的措置といった対応をしていることを確認しました。
しかし、中には、水道メーターを見せない、敷地に入れさせない、メーターの交換もさせないといった悪質なケースがあるとも聞いています。
水道を使っていながら、料金を請求させない、支払わないでは、負担の公平性が確保できません。こうした悪質な事例に対しては、具体的にどのように対応しているのか伺います。
○坂井サービス推進部長 当局では、敷地内への立入りを拒否され、水道メーターの検針や有効期限による交換などが困難なケースの場合には、水道料金の催告と同様、お客様に対しまして複数回にわたり折衝を行い、粘り強く問題の解決を図っております。
こうした粘り強い交渉を行ってもなお立入りを拒否し続けるお客様の場合には、水道料金を請求するため、訴訟等の法的措置を行うこととなります。
○伊藤委員 敷地内への立入りを拒否し、水道メーターを見せないような悪質なケースであっても、最終的には法的措置により水道料金を請求していることを確認しました。
法的措置は司法の判断に委ねる局面となりますが、それまでに行う複数回の催告や給水停止は局自身の取組であり、その努力が収入の確保や負担の公平性につながると思います。
それでは、水道局が行う催告や給水停止がどの程度収入確保につながっているのか伺います。
○坂井サービス推進部長 初回請求から複数回にわたる催告等を行うことで、給水停止までに請求金額の約九九%が収入となってございます。
また、給水停止したお客様のうち、約九割のお客様は一週間以内にお支払いをいただいているところでございます。
○伊藤委員 ただいま確認をさせていただいたとおり、初回請求からの複数回にわたる催告等によって、ほとんどの水道料金が収入となっており、様々な努力が効果につながっていることを確認しました。
引き続き、公営企業として適切な配慮をしながら、水道料金の回収に当たっていただきたいと思います。
また、令和四年度決算は約四十五億円の収支不足となっていますので、健全な財政運営のためにも、料金収入の確保に努めてもらうよう求めて、質問を終わります。
○大松委員 私からは、水道の災害対策について質問いたします。
首都直下型地震の切迫性が指摘される中、東京では、建物やインフラの耐震化、不燃化、被災者の救援、避難体制の強化が急がれております。
その中でも、住民の皆様方の命に直結する重要なインフラであります水道の災害対策は、万全を期していかなければなりません。
一九九五年の阪神・淡路大震災の際、私は、実家が神戸市内にありましたことから、発災直後から、しばらく被災地に滞在をしたことがございます。被災地の状況が想像を絶するものであったことは改めて申し上げるまでもありませんけれども、その中でも、水道が止まると、住民の命、暮らしには致命的な打撃を与えるということを実感してまいりました。
被災地では、多くの建物で火災が発生したわけでありますけれども、その火災現場に消防車が駆けつけて、消防士の方が、消火のホース、ノズルを持って構えても、そこから水が出ないと、こういうような事態を私も各所で目撃をしてまいりました。
また、病院も、倒壊、焼失は免れても、水がないために、けが人が駆けつけてきても、手術も治療もできない、こうした事態になっておりまして、一般の家庭でも、水がないために、食材があっても調理もできない、水洗トイレも流せないと、こういうことになっておりました。
しばらくたちますと給水車が来るようになりましたけれども、結局、水を入れた重いポリタンクを、高層のマンションの方は階段を上って歩かなければならない。こうしたこともございまして、まさに水道の耐震対策、命を守るために極めて重要なものであります。
水道局では、こうしたことを教訓に、もう既に先ほどの質問でも出ておりましたけれども、配水管の耐震継ぎ手化を進めておりますけれども、非常に大変重要な対策でございます。したがいまして、そうした対策を着実に進めていっていただきたいと思います。
その上で、水道局は、昭和五十年代から、災害時においても安定的に給水ができるように、区部北東部を五つの配水区域に分けて、それぞれの区域に給水所を整備する事業を進めております。
区部北東部は、もともと金町浄水場から全域に直接水を配水する区域でありましたので、仮に浄水場が事故や災害で停止をいたしますと、その影響は区部北東部全域に及んでしまいます。
そこで、そのリスクを分散するために、配水区域を分けていく事業でありますけれども、その最後の区域の給水所として、現在、私の地元であります北区の王子給水所の建設工事が進められております。
そこでまず、王子給水所配水池築造工事の令和四年度の実績及び今後の見通しについて伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 王子給水所は、旧桜田中学校跡地に、深さ約三十六メートルに及ぶ全地下式の有効容量五万立方メートルの配水池と、半地下式のポンプ棟を新設するものです。
この工事では、地上部で鉄筋コンクリート製の配水池を築造しながら、地下の地盤を掘削し、配水池を順次地下に沈めていくニューマチックケーソン工法を採用しております。
令和四年度は、地上部において配水池の築造を開始し、全体の約三分の一に当たる約十二メートルの配水池を築造いたしました。
令和五年度は、地上部における配水池の築造を継続するとともに、配水池を地下に沈めるための掘削工事を開始しておりまして、現在約十五メートルの深さまで配水池を設置しております。
令和七年度の配水池本体工事の完成後、ポンプ棟の築造工事に着手いたしまして、給水所全体の完成は十四年度の見込みとなっております。
○大松委員 この王子給水所の整備工事を着実に進めていただきまして、水道の震災対策を万全にしていただきたいと要望しておきます。
この王子給水所は、北区とともに、足立区西部、荒川区北西部へも給水する施設であります。
そこで、先日、公明党の岡本三成衆議院議員、そして、都議会公明党の中山、うすい、慶野、細田、各地元の議員と共に、その建設現場を視察してまいりました。
UR団地の住棟と北区立の学校の校舎に囲まれた、非常に限定された狭い地域の中に、巨大な建設機器を導入して、そこで巨大な配水池を地下に建設するという、非常に高度な技術が求められる工事が行われているということを実感してまいりました。
一方、今、建設業界では、人材確保が困難でありましたり、また、資材や燃料が高騰するなど、事業を進める上での環境が非常に悪化をしているわけでありますけれども、こうしたことが原因となって事故が起きるようなことがないように、万全の安全対策を講じて工事を進めていただきたいと思います。
そこで、工事現場の安全を確保するために、具体的にどのような取組をされているのか伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 今回の王子給水所の工事現場におきましては、狭い敷地の中で最大約百五十名の作業員が同時に工事に従事するため、適切かつ確実な安全対策を講じることが重要であると認識しております。
具体的な取組といたしましては、工事車両と作業員の接触事故を防止するため、敷地の外周部に三階建ての作業通路を設置し、一階を工事車両、二階と三階を作業員通路として、お互いの動線を分離しております。
また、クレーンの旋回中は警報音を流し、作業員がつり荷の下に入らないよう注意喚起を行っているほか、配水池を地下に沈める掘削工事におきましては、掘削機械の旋回範囲を常にランプで点灯することで、立入禁止区域を視覚的に作業員に知らせ、重機との接触事故の防止に努めております。
○大松委員 先ほど申し上げましたけれども、工事現場は北区の王子五丁目団地というマンモス団地の住棟に囲まれておりまして、その東側の住棟の一階には北区立のこども園がございます。また、建設現場の南側には区立の学校の校舎が接しておりまして、そこには、別の地域で校舎の建て替えが行われている区立中学校の生徒が通っております。
この工事現場の近くを子供たちが毎日行き来をしておりますので、交通安全対策、また、この隣接する住宅の皆様方のために、騒音対策を万全にしていただくように求めるものでございます。
周辺住民への安全対策や環境配慮など、具体的な取組について伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 本工事は、大規模な団地や保育施設に隣接した場所で長期間にわたり実施しておりますことから、地域住民の通行の安全や生活環境に十分な配慮が必要でございます。
このため、朝の通勤通学時間帯の七時三十分から八時三十分の間は、工事関係車両の工事現場への出入りを禁止し、通行者の安全確保に努めております。
また、工事車両の通行が多くなるコンクリート打設作業の日は、交通誘導員を増員して配置するなど、適切に交通安全対策を実施しております。
さらに、騒音、振動などによる生活環境への影響を極力低減するため、周囲を防音壁で囲むとともに、低騒音、低振動の機械を使用するなど、生活環境に配慮し工事を進めております。
今後も、周辺住民の皆様のご理解とご協力が得られますよう、適切に工事現場の安全対策と環境配慮に努めてまいります。
○大松委員 この王子給水所の配水池は、躯体面積が三千五百五十一平方メートルありますけれども、全て地下に収められますので、その地上部は建築物のない広大な広場になるわけでございます。
そこで、地元の北区からは、この給水所周辺には多くの住民が住んでおりますし、北本通りという大きな国道など、多くの主要道路も通っていることもありまして、災害対策の機能を備えた空間として活用したいとの要望がございます。
そこで、王子給水所配水池の上部は、防災機能のある公園などとして整備すべきと考えますが、見解を伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 給水所は、平常時はもとより、災害時や事故時等においても給水の安定性を確保するための重要な施設でございまして、災害時には、地域の給水拠点としての役割も担うこととなります。
王子給水所の配水池は、全地下式を採用しているため、配水池上部は広大なオープンスペースとなることから、地域の防災活動拠点や、近隣住民の皆様の避難場所としての活用が見込まれます。
今後、北区と連携しながら、配水池上部の活用方法について検討してまいります。
○福手委員 それでは、よろしくお願いします。私からは、水道料金の減免について伺っていきます。
水道事業は、水道法第一条で、清浄にして豊富低廉な水の供給を図って、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的としています。
水道料金の減免の措置は、低廉な水の供給の実現に直接関わり、公衆衛生の向上と生活環境の改善につながる大事な制度だと私は思っています。そういった視点で質問をしていきたいと思います。
まず、料金の減免の対象を決めるところはどこでしょうか。
○長嶺総務部長 水道料金の減免措置は、東京都給水条例に定められているもののほか、都議会の決議等を踏まえ、同条例の定めにより、水道事業管理者が決定しております。
○福手委員 条例減免と決議減免のどちらも、決定するのは水道事業の管理者だということを確認しました。
減免の実績を資料で出していただきました。その中で、社会福祉施設の二〇二二年度、令和四年度の実績は四千六百三十七件とあります。都内には、これより多くの社会福祉施設があるわけですが、社会福祉施設の減免の対象の考え方を伺います。
○長嶺総務部長 水道料金の減免措置は、受益者負担の原則、公営企業における独立採算制の原則及び使用者間の負担の公平に対する例外措置であり、慎重かつ限定して実施する必要がございます。
こうした考えの下、水道料金の減免の対象となる社会福祉施設は、特別養護老人ホームや障害者支援施設など、当該社会福祉事業を実施する上で水道料金の負担が大きく、減免の実施意義等が認められる施設に限定しております。
○福手委員 減免の対象となる社会福祉施設とは、水道料金の負担が大きく、減免する意義がある施設に限定しているということでした。
もう少し詳しく聞きますが、社会福祉施設の減免には、対象の施設と対象外の施設が決められています。その考え方を伺います。
○坂井サービス推進部長 水道料金の減免の対象となります社会福祉施設は、当該社会福祉事業を実施する上で水道料金の負担が大きく、減免の実施意義等が認められる施設に限定してございます。
そのため、特別養護老人ホームや障害者支援施設などを対象としている一方、相談支援事業や訪問事業などの施設は対象外としてございます。
○福手委員 特養ホームや障害者施設などは対象ということです。これらは主に入居型の施設で、水をたくさん使う施設なので、水道料金の負担が大きいというふうに考えています。
一方、相談支援事業や訪問事業などは対象外、つまり、水をたくさん使う施設ではないというふうに考えています。こうして対象と対象外を分けているようです。
都内で障害者グループホームを運営されている方がいっていたのですが、障害者グループホームは減免の対象外だったということでした。障害者グループホームは、例えば十人とかそういった人数の方々が生活しているので、水道の使用量も多く、事業を行う上で負担となります。
それから、今、国は、障害者支援施設である入所施設を今後増やさず、グループホームを整備していく方針です。こうした国の流れがあっても、水道料金の減免は対象外のままで、対象にしてほしいという要望でした。
また、減免の対象施設と対象外の施設が同じ建物に併設しているため、減免の対象外になったという実態もあります。対象外の施設が併設していても減免することが必要と考えますが、いかがですか。
○坂井サービス推進部長 減免対象施設と店舗や一般住宅など対象外の施設とが同一建物に併設されている場合、適用対象外としてございます。
一方、社会福祉法の適用がされている施設が同一建物に併設されている場合は、減免の適用対象としてございます。
○福手委員 今の答弁ですと、店舗や一般住宅など社会福祉施設ではない施設が特養ホームなどと同じ建物に入っていたら、それは減免の対象外ということです。
それで、先ほど、相談支援事業や訪問事業などは減免の対象外施設といっていましたが、今の質問の答弁では、減免の対象外施設でも、その施設が、店舗や一般住宅などと違って、社会福祉施設であれば、対象施設と同じ建物に併設されている場合は対象になるということでした。つまり、相談支援事業や訪問事業でも、特養ホームなどと同じ建物に入っている場合は減免の対象になるということです。
ただ、今の答弁ではそういう解釈なんですが、二〇一七年の公営企業会計決算の質疑で共産党の米倉春奈議員が、減免の対象施設と対象外施設が併設されている場合を質問したところ、答弁は、そういう場合は、対象施設部分だけの水道使用量を客観的に算出することができないので対象外と答えています。
ちなみに、それぞれの、別々の水道メーターがついていれば、客観的に水道使用量が特定できるので、対象施設部分を減免することができるというふうにも答弁されています。
減免の対象の案内を読みますと、先ほどのような解釈、つまり、対象外施設が対象になるということは明記されていません。
本当に対象になるのかが私は疑問ですが、もう一度確認しますが、社会福祉施設であって減免の対象外となっている施設が対象施設と一緒に併設された場合は、対象になるという解釈で間違いありませんね。確認をいたします。
○坂井サービス推進部長 先ほどの答弁のとおりでございます。
○福手委員 ありがとうございます。答弁どおりということで、局の担当の方に詳しく私も聞いたところ、実際に、特別養護老人ホームと訪問事業所という組合せや、デイサービス事業所と居宅介護事業所という組合せで、同じ建物で併設されていても減免の適用の実績があるということを確認させてもらいましたので、間違いなくこの運用になっているということです。
しかし、少なくとも二〇一七年のときの解釈は、対象施設と対象外の施設が併設していて、水道メーターが一緒だと減免ではないと答えていますので、いつから解釈が変わったのか検証していただいて、必ずお知らせしていただくこと、それから、減免の対象を、例示など掲載して、分かりやすくして、その周知もしていただくことをこの場で求めておきます。
減免の対象かどうかというのは、福祉の現場にとってはとても大きなことなんですね。都内で特養ホームの責任者をされている方のお話では、同一建物にデイサービスと居宅支援事業所が併設されていて、そこも減免の対象外というふうになったと聞いています。
特養ホームには八十人が入所し、施設の二階と三階にお風呂があり、食事を作るための厨房もあるので、水の使用量は多いわけですが、対象外ということでした。
別の特養ホームを運営されている方は、減免の申請をしたのですけれども、包括的支援事業など同じ施設に入っているので、水道メーターを別にすれば減免できるが、そうでなければ対象にならないという説明をされたといっていました。結局、工事するにはお金がかかるので、減免は断念したということをおっしゃっていました。
高齢者や障害者の施設などは、特にコロナと物価高騰の影響が経営に大きく及んでいます。使える制度は何でも使いたいというのが施設の本音だとおっしゃっていました。減免が使えるかどうかは、施設にとって切実な問題となっています。
そういう状況の中で、社会福祉施設の水道料金の減免はとても意義のあるものです。減免の対象を広げていただくことを改めて求めたいと思います。
この社会福祉施設の減免というのは、一九七五年、昭和五十年の水道料金の大幅値上げのときに、議会の決議で出されて以来、現在までずっと継続をしています。
決議減免としては、ほかにも、消費税増導入のときや料金改定のときに、高齢者世帯や医療施設なども決議減免されていましたが、これらの減免は期限を区切って終了し、今、継続されていません。
このように、決議減免で継続しているものとそうでないものがあります。その判断の考え方を伺います。
○長嶺総務部長 現在実施しております減免措置は、都議会の決議等を踏まえ、減収分を一般会計が補填することを前提に、公益性、客観性、合理性が認められる場合に限定して、例外的に実施しております。
○福手委員 独立採算の原則があり、減免措置は例外的なものであるから、減免は期限を区切ってしまって、継続されていないということです。
では、過去に四度の消費税増税があり、そのうち三%と五%の増税時は減免が行われ、八%と一〇%の増税のときは減免が行われていませんが、その理由を伺います。
○長嶺総務部長 消費税が導入されました平成元年及び税率が変更された平成九年には、水道料金の減免に関する都議会の決議が行われたことを踏まえ、料金減収分について一般会計からの補填措置が講じられることを前提に、例外的に減免措置を実施いたしました。
○福手委員 増税のときに行われた減免措置は、議会の決議が行われたことを踏まえてのものだという答弁ですが、減免の決定は水道事業の管理者ですから、減免が必要と局として認めて決定をしています。
そして、答弁では、減免分には一般会計が補填されるということでした。補填はあらかじめ予算のように枠があるわけではなく、実績に対して補填されるというものです。減免の期限を区切る必要はなかったのではないかと私は思います。
消費税の負担や物価高騰の社会背景を踏まえ、低所得者への減免の範囲を広げることが必要と考えますが、認識を伺います。
○長嶺総務部長 水道料金の減免措置は、受益者負担の原則、公営企業における独立採算制の原則及び使用者間の負担の公平に対する例外措置でございまして、その拡充については慎重に考えるべきものであると認識しております。
○福手委員 減免措置が独立採算や受益者負担の原則の例外と定めている、その根拠は、私が冒頭に述べました水道法の一条にある、きれいで豊富低廉な水を提供することで命や暮らしを支える、その目的を果たすためだと私は思います。
先ほど斉藤委員の質疑でも、支払いの猶予期間が終わっても、まだ支払いが終わらないという数が本当にたくさんありました。支払い困難な方というのは、やはり減免が必要になってくると思います。
また、今日、私が質問で取り上げた社会福祉施設の事業者からの要望などについて、ぜひ減免の拡充の方向で検討をお願いしたいと思います。
次に、耐震継ぎ手化と老朽管の更新について質問をしていきます。
首都直下型地震などに備え、ライフラインである水道が断水しないようにするための耐震継ぎ手化は重要な対策です。
東京水道経営プラン二〇二一では、避難所や救急医療機関などの重要施設への供給ルートへの耐震継ぎ手化を、二〇二二年度、令和四年度で完了させていますが、これまでもほかの委員が取り上げていますが、改めて、耐震継ぎ手化、二〇二二年度でどれだけ進んだのか、また、残りの距離、残延長はどれぐらいになったのかを伺います。
○鈴木給水部長 令和四年度は、配水管の着実な取替えにより、約三百十キロメートルの耐震継ぎ手化を実施いたしました。
これにより、当局が管理する配水管約二万七千キロメートルのうち、約五〇%が耐震継ぎ手化されました。
○福手委員 都が管理する配水管の半分まで到達し、残りは五〇%、大体一万三千五百キロということでした。
重要施設の耐震継ぎ手化が終わった後は、断水率が高いところを取替え優先地域として重点的に進める計画となっています。
東京都は昨年五月、十年ぶりに首都直下型地震の被害想定を見直しましたが、これによって、取替え優先地域については、新たな被害想定が出る前と、その後でどのように変わったのかを伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、都の被害想定における断水率が高い地域を取替え優先地域と位置づけ、重点的に耐震継ぎ手管への取替えを進めております。
この取替え優先地域につきましては、これまでの区市町単位から、よりきめ細かい二百五十メートル四方の区域に設定して耐震継ぎ手化を進め、令和十年度までに解消することとしております。
○福手委員 被害想定の見直しを踏まえて、取替え優先地域の位置づけは、断水率五〇%を超える高い地域というのは変わっていませんが、これまでは市区町単位で示されてきたのを、今度は二百五十メートル四方のメッシュで、さらにポイントを絞って区域を示すことができるようになったということでは、より効率よく効果的に耐震継ぎ手化が進められるようになりました。
取替え優先地域の総数に対して今どこまで進んでいるのか、令和四年度、二〇二二年度の実績も併せて伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 令和四年度における耐震継ぎ手管の取替え実績は約三百十キロメートルでございます。
その結果、令和四年度末時点における取替え優先地域の解消率は九一%となっております。
○福手委員 取替え優先地域の解消は、二〇二八年度、令和十年度までという目標は変えずに進めています。
これまでより効果的な取組を進めることができるようになったので、葛飾や荒川や足立、墨田、江戸川、江東、大田などでは、特に断水率が高い地域が広がっていますので、災害時の被害の拡大を抑えるために、優先的に取替えを行うことも必要だと思います。
ただ、その他の区部や多摩地域の方でも全体的に取替え優先地域はありますので、より効果的な進め方をしていただき、目標年次までに完了していただきたいと思います。
次に、配水管のダクタイル化について伺います。
既に地震の被害に強いダクタイル鋳鉄管への更新は九九・九%まで進んでいますが、取替え困難管の解消は二〇二二年度でどこまで進んだのか、また、残された距離、残延長、どれぐらいかを伺います。
○鈴木給水部長 令和四年度の取替え困難管の解消実績は約三キロメートルであり、残延長は約九キロメートルとなっております。
○福手委員 九九・九%まで完了といわれてから、さらにダクタイル化が進んでいて、残り九キロということです。
二〇二六年度、令和八年度完了予定なので、必然的に、残っているところは工事がより困難なところなのではないかなと思いますが、ちなみに、文京区内で取替え困難管というのは幾つあるでしょうか。
○鈴木給水部長 令和四年度末におけます文京区内の取替え困難管の残存箇所は二か所でございます。
○福手委員 都心部は埋設物が集中しているなどの困難があるといいますが、これは一〇〇%に向けて必要な工事ですから、着実に進めていただきたいと思います。
次に、昨年の十一月十七日に最終的な結果報告が水道局から出されましたが、二〇二一年、令和三年八月に起きた新宿区と文京区で漏水と都市ガスの供給支障の事故についてですが、水道局が行った調査とその結果について伺います。
○鈴木給水部長 当局では、漏水地点における水道管の埋設環境及び腐食状況について調査を実施いたしました。
この調査の結果、腐食性が高い環境下にあったことや、地下水位の変動により腐食が進行し、漏水したものと考えられます。
○福手委員 この事故は、一九七六年、昭和五十一年に布設した古いダクタイル管が腐食して穴が空き、漏水した事故です。
水道の方は復旧が早かったのですが、同時に起こったガスの供給支障は、復旧までにかなり時間がかかりました。水道管と同じように、ガス管も古いダクタイル管で、腐食によって穴が空いたところから、水道管から流出した水が地下水や土砂を巻き込みながらガス管に入ってガスを遮断したことで、約七千軒にガスの供給支障が出るという本当に大きな事故となり、新宿区と文京区の住民や商売されている方々はとても大変な思いをしました。
答弁のように、水道局の調査の結果は、地下水位など腐食性の高い環境にあったことが、管が腐食し穴が空いて漏水した原因ということで、調査の結果を出しました。改めて、このような事故が起こることは避けなければならないと思います。
一九七七年、昭和五十二年の頃から、ダクタイル管にポリエチレンスリーブが巻かれるようになり、昭和五十八年、一九八三年からは、全てのダクタイル管にポリエチレンスリーブを巻くようになったと伺いました。ですから、布設年度によっては巻かれていないダクタイル管があるということです。
ポリエチレンスリーブがないダクタイル管で、布設年度が古い管の更新というのは、計画ではどの取組に入るのでしょうか。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では現在、ポリエチレンスリーブがない水道管路のうち、最も古い年代の取替え困難管や、導入初期のダクタイル管など、漏水リスクが高く震災時に被害を受けやすい管路を優先して取替えを進めており、その他の管路につきましては、供用年数に応じて取替えを行っていく予定でございます。
○福手委員 先ほど質疑をした断水率の高い取替え優先地域の解消や、外部衝撃に弱い高級鋳鉄管を使った初期ダクタイル管の更新などを優先的に進め、二〇二八年度、令和十年度の完了の後に、ポリエチレンスリーブなしのダクタイル管などの水道管を供用年数に応じて順次更新をしていくのが、その次の令和十一年度から始まる計画となっています。
しかし、事故が起きた場所のように、漏水リスクが高い管については早く更新をやるべきだと考えますが、いかがですか。
○鈴木給水部長 当局では、管路の材質や布設からの経過年数、震災時の断水率などを考慮して、重点的に管路の取替えを行うこととしております。
引き続き、水道管の耐久性分析、設定した供用年数や漏水リスク等も踏まえまして、計画的に管路を取り替えてまいります。
○福手委員 今回の事故の調査結果を踏まえて、管路の取替えをどう考えるかということでは、漏水リスク等も踏まえるということで答弁がありました。
今回の調査結果で、土壌や地下水位といった環境が腐食の原因となったことが明らかになったので、そういった漏水リスクも条件に入れて管路の取替えを進めていくということは重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
これで質問を終わります。ありがとうございました。
○古城委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古城委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
午後四時四十四分散会
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