委員長 | 古城まさお君 |
副委員長 | 伊藤しょうこう君 |
副委員長 | 五十嵐えり君 |
副委員長 | 村松 一希君 |
北口つよし君 | |
福手ゆう子君 | |
斉藤まりこ君 | |
大松あきら君 | |
鈴木 純君 | |
風間ゆたか君 | |
本橋ひろたか君 |
欠席委員 なし
出席説明員下水道局 | 局長 | 佐々木 健君 |
次長 | 田中 彰君 | |
総務部長 | 後藤 徹也君 | |
職員部長 | 鈴木 豊君 | |
経理部長 | 福島 大起君 | |
計画調整部長 | 袰岩 滋之君 | |
施設管理部長 | 新谷 康之君 | |
建設部長 | 藤橋 知一君 | |
企画担当部長DX推進担当部長兼務 | 松井 裕君 | |
技術開発担当部長 | 家壽田昌司君 | |
施設管理担当部長 | 須賀 隆行君 | |
設備調整担当部長 | 井上 潔君 | |
施設整備担当部長 | 杉山 純君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 猪八重 勇君 |
管理部長 | 高角 和道君 | |
技術部長 | 佐々木宏章君 |
本日の会議に付した事件
令和四年度東京都公営企業各会計決算の認定について
下水道局関係
・令和四年度東京都下水道事業会計決算(質疑)
○古城委員長 ただいまから令和四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
初めに申し上げます。
本日から二日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、令和四年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の決算に対する質疑を行います。
これより下水道局関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和四年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○福島経理部長 さきの分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の令和四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。二十三区における主な浸水被害状況の推移でございます。
平成三十年度から令和四年度までの浸水棟数をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。多摩地域における主な浸水被害状況の推移でございます。
区部と同様、多摩地域における浸水棟数をお示ししてございます。
三ページをご覧願います。政策連携団体への委託内容と委託料の推移でございます。
当局が所管しております政策連携団体、東京都下水道サービス株式会社への主な委託内容と委託料の推移をお示ししてございます。
四ページをお開き願います。再生可能エネルギーによる主な発電設備の規模と発電量の実績の推移でございます。
項目ごとに、設備の所在する施設名、施設規模及び平成三十年度から令和四年度までの年間発電電力量をお示ししてございます。
五ページをご覧願います。下水道マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移と仮設トイレの設置ができるマンホールの数でございます。
マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移及び仮設トイレの設置ができるマンホールの数をお示ししてございます。
六ページをお開き願います。区部における下水道料金の減免実績でございます。
平成三十年度から令和四年度までの減免措置を実施した減免額と使用件数をお示ししてございます。
七ページをご覧願います。政策連携団体における法人税等と株主配当の推移でございます。
政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社における法人税、住民税及び事業税と株主配当の推移をお示ししてございます。
資料の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○古城委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○本橋委員 都民ファーストの会東京都議団の本橋ひろたかでございます。
私からは、大きく四問ほど質疑させていただきますので、よろしくお願いいたします。
まずは、下水道事業における脱炭素化の取組についてであります。
今年の夏の猛暑や全国各地で生じた豪雨災害など、気候変動の影響が我々の身の回りで顕在化してきております。今後、災害のさらなる頻発化、激甚化が想定される中、大都市である東京が、率先して温室効果ガス排出量の削減にこれまで以上に取り組んでいくことが重要であると考えております。
都は、二〇五〇年ゼロエミッションの実現に向けて、二〇三〇年までの行動が重要であるとの認識の下、脱炭素化に向けた取組を強化されていると思います。
経営計画二〇二一では、エネルギー、地球温暖化対策の施策事業費は、区部と流域下水道を合わせて毎年百億円を超えており、下水道局として力を入れている施策だと理解しております。
下水道局は、都庁最大の温室効果ガス排出者であり、地球温暖化防止への責務を果たす必要がある一方、浸水対策などの推進に伴い排出量の増加も見込まれるため、地球温暖化対策をさらに推進していく必要があると考えます。
そこでまずは、地球温暖化対策のこれまでの取組と令和四年度の実績についてお伺いいたします。
○袰岩計画調整部長 下水道局では、温室効果ガス排出量の削減を図るため、平成十六年度に初めて、下水道事業における地球温暖化防止計画であるアースプラン二〇〇四を策定し、それ以降、温室効果ガス排出量の多い水処理工程や汚泥処理工程等で対策を推進してまいりました。
令和四年度には、アースプラン二〇一七に基づき、三河島水再生センターなどで、微細気泡散気装置などの省エネルギー型機器を年間目標の十八台を導入いたしました。
また、新河岸水再生センターにおきましては、汚泥焼却炉の廃熱を活用した発電により、焼却炉の運転に必要な電力が自給できるエネルギー自立型焼却炉を稼働いたしました。
令和四年度末には、気候変動危機が一層深刻化する中、国内外での脱炭素化への動きが加速しており、下水道局として、新たな地球温暖化防止計画アースプラン二〇二三を策定いたしました。
○本橋委員 ただいまのご答弁からは、下水道局が平成十六年度から計画的に地球温暖化対策に取り組んできたことが分かりました。
また、令和四年度には、省エネルギー型機器を目標どおり設置しているとのことで、着実に推進していると理解いたしました。
そこで、次に、東京都が掲げます二〇三〇年度までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するという目標に向けては、さらに取組を加速させるべきと考えますが、新たに策定したアースプラン二〇二三におけるカーボンハーフに向けた目標と取組についてお伺いいたします。
○袰岩計画調整部長 アースプラン二〇二三では、下水道事業の特性を踏まえまして、地球温暖化対策とエネルギー対策を一体的に推進し、脱炭素化に向けた取組をさらに加速、強化を図るため、温室効果ガス排出量を二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で五〇%以上削減する目標を掲げております。
この目標の達成に向けて、省エネルギー型機器の導入を加速するとともに、太陽光発電など再生可能エネルギーのさらなる活用や、新たに技術開発した先進技術の導入などを推進してまいります。
○本橋委員 新たに策定した計画では、温室効果ガス排出量を五〇%まで削減する、いわゆるカーボンハーフを目標に掲げ、その目標達成に向けて取組を推進するものであることから、都庁を牽引する取組として、大いに期待をしているところであります。
本計画では、これまでの取組を加速、強化するとのことですが、温室効果ガス排出量の削減について、現在の到達状況を確認いたしたいと思います。
そこで、令和四年度における温室効果ガス排出量の削減実績についてお伺いいたします。
○袰岩計画調整部長 令和四年度の温室効果ガス排出量は、二〇〇〇年度比で約一九%削減となりますが、その内訳は、当局の取組により三三%削減、電力排出係数の影響により一四%増加でございます。
なお、電力排出係数は、アースプラン二〇一七までは、年によって変えずに固定としておりましたが、アースプラン二〇二三では、地球温暖化対策推進法に基づく電気事業者別排出係数、いわゆる変動係数を用いることといたしました。
これにより、より実態に即した温室効果ガス排出量の算定を行うことが可能となっております。
○本橋委員 昨年度の温室効果ガス排出量の削減実績は約一九%とのことで、カーボンハーフ達成に向けて、まだ道半ばであるかと思います。
カーボンハーフやゼロエミッションの達成には、先進技術の導入を推進することが重要であり、特に規模が大きい焼却炉のさらなる技術開発が必要ではないかと感じております。
そこで、温室効果ガスをさらに削減する新たな焼却炉の開発状況についてお伺いいたします。
○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、下水道事業における技術的課題を効率的に解決し、迅速な実用化を図るため、民間企業と共同研究を行っており、エネルギー自立型焼却炉をさらに発展させたエネルギー供給型焼却炉の開発を進めております。
このエネルギー供給型焼却炉は、焼却廃熱を最大限活用して発電することで、ほかの設備へも電力を供給し、電力供給による温室効果ガス削減量が、焼却炉から発生する温室効果ガス排出量を上回るという特徴がございます。
令和五年度中の開発終了の目標に向けて、令和四年度末には共同研究者を決定いたしました。
○本橋委員 ただいまのご答弁から、迅速な実用化を図るため、民間企業と共同研究を行っており、令和五年度中の開発終了という目標に向けて取り組んでいるということでございました。
カーボンハーフやゼロエミッションの達成に向けて、新たな技術を開発、活用して、温室効果ガス排出量の削減をより一層進めていただきたい、そのように要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、下水道事業におけるエネルギー危機などの対策についてであります。
昨年来、日本では、発電所のトラブルなどにより、電力の供給能力が低下しております。夏や冬の電力使用量が増える時期には、電力逼迫警報や注意報が発令されるなど、電力の安定化が求められております。
特に下水道局は、東京電力管内における大口の需要家であることから、電力の安定化に貢献するとともに、下水道事業の継続のため、停電させないためのエネルギー安定確保に向けた対策が必要と考えます。
そこで、電力逼迫に対応するための令和四年度の具体的な取組内容についてお伺いいたします。
○井上設備調整担当部長 下水道局では、受電電力の削減を図るため、水再生センターなど二十一施設におきまして、ポンプや送風機の運転抑制や電力貯蔵設備の活用により、電力需要の少ない時間帯へのピークシフトを行いました。
加えて、南部スラッジプラントにおきまして、都市ガスを燃料とした常用発電設備の出力増加を実施するとともに、砂町水再生センターなど三施設におきまして、非常用発電設備の臨時運転を行いました。
さらに、電力の安定確保に向けた設備整備として、葛西水再生センターにおきまして、電力貯蔵設備の再構築や増強を実施するとともに、南部スラッジプラントでは、常用発電設備の出力を一層増加させ、余剰となった電力を送電網に供給できる逆潮流設備を整備いたしました。
○本橋委員 南部スラッジプラントでは、常用発電設備の余剰電力を送電網に供給できる逆潮流設備を整備したとのことですから、電力の削減だけでなく、安定供給への貢献にも努めていることが分かりました。
そこで、削減効果について具体的にお聞きしたいと思います。
令和四年度における電力逼迫時の電力削減の実績についてお伺いいたします。
○井上設備調整担当部長 昨年の電力逼迫時には、東京電力からの節電要請に応じて、運転の工夫や、電力貯蔵設備、発電設備の活用により、下水道事業の運営に支障のない範囲で電力の削減を図りました。
電力が逼迫した昨年の夏季には、晴天時使用電力の約三割に相当する最大約三万九千キロワットの電力を削減いたしました。
○本橋委員 下水道事業のエネルギーの安定確保と電力の安定供給への貢献のため、電力削減に努められたことを高く評価いたしたいと思います。
二〇三〇年カーボンハーフ、そして、ゼロエミッション達成に向けて、引き続きご努力いただきたい、そう申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
次は、浸水対策についてであります。
気候変動に伴い、降雨量の増加などが見込まれており、近年、風水害が頻発化、激甚化いたしております。
これに対して、下水道局では昨年、下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、一時間五十ミリ降雨から七十五ミリ降雨へ目標整備水準をレベルアップし、下水道施設の整備を進めていると聞いております。
そこでまず、下水道浸水対策計画二〇二二を策定した経緯についてお伺いいたします。
○袰岩計画調整部長 近年、集中豪雨の頻発や台風の大型化などにより、全国各地で浸水被害が多発している状況にあることや、気候変動の影響により、降雨が増加していくことも予想されており、浸水対策のさらなる強化が求められております。
浸水対策は大規模な事業となることが多く、事業用地の確保や対外調整、下水道管敷設ルートの検討など、着手までに長い時間が必要となります。
このため、次の段階を見据え、事業を円滑に進めるためには、長期的な視点で検討することが重要であることから、計画期間を十五年とした新たな浸水対策計画である下水道浸水対策計画二〇二二を策定いたしました。
○本橋委員 確かに今お聞きしたとおり、事業を進めるに当たりましては、時間がかかるのは理解できるところであります。
私の地元も含まれます豊島区南大塚、文京区千石地区では、トンネル工事中にトラブルが発生し、この対応に時間を要したことから工期が延びてしまっております。浸水対策としての施設整備は、まさに都民の生命、財産に対する安全・安心に直結しております。その一刻も早い整備は、都民にとりまして待ち遠しいものといえますし、工期が延びるなどの事態が生じた場合は、当該地域住民への説明、説得、納得が極めて重要となります。
そこで、工期の延期等の不都合が生じた場合、当該地域住民に対してどのような対応をしたのか。また、令和四年度における私の地元の豊島区南大塚、文京区千石地区の対応も併せてお伺いいたします。
○藤橋建設部長 下水道工事の実施に当たりましては、予期しない支障物への対応など、様々な要因によって、工期の延長が必要となる場合がございます。
このような場合には、直ちに区役所などの関係機関や地域の皆様に状況をお知らせした上で、安全性や工期短縮を含めた施工方法などの検討を行い、工事の見通しについて改めて説明会を開催するなど、丁寧に説明しております。
文京区千石、豊島区南大塚地区におきましては、シールド掘進中に支障物が判明し、この撤去に時間を要したため、工期の延長と千川増強幹線のシールド発進基地である豊島区立上池袋東公園の借用期間を延長する必要が生じました。
このため、豊島区、文京区、関係町会に丁寧に説明を行った上で、トラブルの内容やその原因と対策、今後の見通しについて、掲示板による周知やお知らせの戸別配布を行いました。
今後とも、工期を延長する必要が生じた場合には、様々な手法を用いて速やかに地域の皆様に丁寧に説明し、地元の理解と協力を得ながら工事を進めてまいります。
○本橋委員 ただいまのご答弁から、工期の延伸等の不都合が生じた場合に、丁寧な現場対応をしていることが了解できました。
実際、私の地元に関わるただいまの件ですけれども、その後の対応ぶりに関しまして、豊島区役所の土木部の職員の方、あるいはまた、近隣町会関係者などなど、多くの方々から評価されておりましたので、ご報告させていただきたいと思います。
さて、施設整備によるハード対策も大事ですが、施設の整備には長い期間を要することから、ソフト対策も重要であると考えます。
そこで、下水道の浸水対策におけるソフト対策の令和四年度の具体的な取組についてお伺いいたします。
○新谷施設管理部長 下水道局では、幹線やポンプ所などの施設整備によるハード対策に加えまして、ソフト対策としまして、降雨に備えて下水道施設の点検を適宜行うとともに、AIを活用した雨水ポンプの運転支援などの検討を進めてございます。
また、お客様自らが浸水に備える取組を支援するため、東京アメッシュによる降雨情報の活用などにより、自助の取組を促しております。
例えば、毎年六月を浸水対策強化月間と定めておりまして、令和四年度におきましても、下水道施設の総点検を行うとともに、お客様に浸水の備えをしていただくよう、区や市などと連携して、土のうや止水板の準備のお願いを行ったり、浸水のおそれのある半地下家屋に対しまして、戸別訪問を実施するなどの取組を行いました。
○本橋委員 下水道局では、ハード対策だけでなく、ソフト対策にも力を入れて取り組んでいることを今確認させていただきました。
ご答弁いただきました東京アメッシュですが、下水道局として長年にわたり活用してきていると認識しております。適宜改良を重ねられており、降雨情報の精度が高く、スマホで簡単に見ることができるため、利便性も高いと理解しております。
そこで、改めて、東京アメッシュの活用方法と令和四年度の都民からのアクセス数についてお伺いいたします。
○新谷施設管理部長 東京アメッシュは、百五十メートルの細かい区画で降雨情報を把握できまして、降り始めの僅かな雨の観測も可能な降雨情報システムでございます。
この東京アメッシュの降雨データの活用を図り、まちを浸水から守るために、区部七十か所の雨水ポンプ施設におきまして、適時適切なポンプ運転を支援するなど、下水道施設の維持管理に利用してございます。
さらに、自助の取組を促すため、降雨情報のインターネット配信やスマートフォン版の配信を行っておりまして、GPSによる現在地表示機能や、希望する二地点の登録が可能となる機能を追加したり、英語など四か国語の多言語化を図るなど、利用時の利便性の向上や表示機能の改善にも取り組んでございます。
こうした取組を進めますとともに、東京都と区、市との総合防災訓練や下水道関連イベント、SNSなどでお客様に活用を呼びかけておりまして、令和四年度は、年間約五千万回のアクセス数でございました。
○本橋委員 年間約五千万回のアクセス数を記録しているということでありますから、東京アメッシュが有効利用されているものと思われます。
一方、将来の人口減少など、社会経済情勢の変化を見据えますと、AIなど最新のデジタル技術を活用することが重要だと考えます。
特に、雨水ポンプの運転の習熟には豊富な経験が必要と聞いており、運転する職員の判断を適切に支援することが必要であると考えます。
そこで、先ほどご答弁の中でAIのお話がございましたが、下水道局で進めているソフト対策の雨水ポンプの運転支援の検討状況についてお伺いいたします。
○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、AIを活用した雨水ポンプの運転支援技術の開発を推進しております。
この技術は、ポンプ所に流入する水量の変化を予測することで、適切なポンプ運転を支援することを目指しております。
これまでに、東京アメッシュの降雨情報や上流部の下水道管の水位情報のほか、ベテラン運転員が操作した雨水ポンプの運転データや、ポンプ所内の水位情報などのデータ収集を進めてまいりました。
令和四年度には、これらのデータを基に、AIを活用した流入予測の試作モデルを完成させたところでございます。
引き続き、実用化に向けて技術開発に取り組んでまいります。
○本橋委員 これまでのやり取りから、浸水対策といたしまして、ハード対策だけでなく、ソフト対策にも鋭意取り組んでいることが確認できたところであります。
ハード、ソフトの両面から浸水対策を行うことで、さらに増えると思われる激甚化する降雨から東京のまちを守っていただきたい、さよう申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
最後は、包括委託についてであります。
これまで私どもの会派では、下水道事業が将来にわたって安定的に運営できるよう、不断の経営努力と運営手法の改善を求めてきておりまして、包括委託の導入に至る検討の経緯や導入効果の検証などにつきまして、時期を捉えては質疑を行ってきたところでございます。
令和四年四月に、落合水再生センターと清瀬水再生センターに包括委託が導入され、一年以上が経過したところであります。
そこから、令和四年度の状況についてお伺いいたします。
○新谷施設管理部長 下水道局では、将来にわたり安定的に下水道事業を運営していくため、運転管理の困難度等が相対的に小さい水再生センターに包括委託を導入いたしました。
昨年四月に、落合水再生センターは、政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社、TGSに、清瀬水再生センターは、民間事業者に委託いたしました。
両水再生センターではこれまで、設備の適切な運転管理が行われ、放流水質や施設の健全度など契約基準は遵守されておりまして、安定的に運営されてございます。
令和四年度に、TGSでは、維持管理の高度化、効率化を図るため、自らの創意工夫によりまして、水再生センター内を三百六十度カメラで撮影した画像を活用し、机上でも現場の状況を確認できるツールを作成し、導入いたしました。
今後、さらに受託者の創意工夫を生かした技術力の発揮など、サービスの向上を期待しているところでございます。
○本橋委員 ただいまのご答弁から、政策連携団体でありますTGSや民間事業者を活用して、安定的に運営している状況が確認できたところです。
また、TGSにおきましては、創意工夫により、維持管理業務を効率的、効果的に行っていることがうかがえ、その点は評価できるところであります。
引き続き、効率的かつ安定した下水道サービスを提供し、都民の安全・安心を支えていただけるよう、下水道局としてもしっかりと検証をお願いいたします。
TGSについては、令和三年度の包括外部監査結果を踏まえ、社内に留保されている繰越利益剰余金について、令和四年三月の私どもの会派の質疑において、その活用について、局とTGSが連携して、都民に貢献できる活用策を検討していただきたいと要望したところであります。
そこで、繰越利益剰余金の活用策のその後の状況についてお伺いいたします。
○後藤総務部長 TGSでは、包括外部監査での意見を踏まえ、法務や財務などの外部有識者や局職員で構成された検討会を令和四年度に設置し、繰越利益剰余金の在り方について議論いたしました。
その中で、繰越利益剰余金の使途明確化を図るため、目的積立金として積み立てることとされております。
今後の安定的な事業継続や下水道サービスの向上を通じて、都民に還元していくことが重要であるとの認識から、繰越利益剰余金を、TGSの安定的な事業運営や、さらなる成長に資する目的と、東京都の環境、社会の課題解決に貢献する目的の二つの方向性に活用し、TGSにおいて具体的な活用策を検討することとされております。
TGSでは、繰越利益剰余金に関する活用計画を策定し、令和四年度決算における純利益約二億円を含めた繰越利益剰余金全体から七十億円を目的積立金として積み立て、今年度から各事業を進めております。
○本橋委員 TGSの繰越利益剰余金は、これまでのTGSの企業努力の成果であり、中長期的な視点に立って企業運営を考えていきますと、株式会社であれば利益を出すことは望ましいことであります。いわば社員の努力のたまものであり、企業として、ある程度の内部留保は必要であると考えます。
一方で、TGSの繰越利益剰余金は、主として下水道局からの受託事業に起因するものであり、今回、活用計画を定め、会社の成長や都民の貢献のために活用していく方針であることは評価できるところであります。
今後も、局とTGSとで綿密に連携し、安定的に下水道事業を運営していただきたい、さよう申し上げまして、私の質疑を終了いたします。
○鈴木委員 よろしくお願いいたします。
初めに、財政運営について伺わせていただきたいと思います。
下水道は、都民生活や経済活動を支える重要な都市インフラであり、二十四時間三百六十五日止まることなく、汚水の処理や雨水の排除を行っております。
下水道事業は、地方公営企業として独立採算により運営され、下水道局では、経営計画を策定し、計画的な財政運営を行っていると伺っておりますが、令和四年度は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞の影響に加え、エネルギーや原材料価格の上昇による物価の高騰が生じており、計画と決算には乖離があると考えております。
そこで、令和四年度決算における区部下水道事業の財政収支の状況を伺わせていただきます。
○後藤総務部長 令和四年度決算の区部財政収支につきましては、収支差引過不足額はマイナス二十三億円であり、経営計画二〇二一における計画値、プラス十二億円と比べて三十六億円の悪化となっております。
その主な要因は、下水道料金収入が、新型コロナウイルス感染症等の影響により、計画値から六十七億円の減収となったことや、電気料金の高騰に伴い、動力費などの支出が増加したことでございます。
計画で想定していたよりも厳しい経営状況となっておりますが、計画値の百億円に対して、約八十九億円の累積資金を確保しております。
今後とも、不断の経営努力を行い、収支均衡の安定的な財政運営に努めてまいります。
○鈴木委員 事業運営のための累積資金は確保しているとのことでありますが、計画よりも厳しい状況となっていることがうかがえます。今後も安定的な財政運営を継続するためには、一層の経営努力に取り組む必要があると考えます。
経営努力の取組の一つとして、経費の縮減や収入の確保といった企業努力が挙げられますが、局の企業努力については、昨年の決算特別委員会においても、我が会派から、資産の有効活用について質疑を行わせていただいたところでありますが、経営計画における企業努力の取組と令和四年度の実績について伺わせていただきます。
○松井企画担当部長DX推進担当部長兼務 経営計画二〇二一では、新たな技術の導入などによるコストの縮減や、下水道施設の上部利用など資産等の有効活用により、五か年で総額六百五十億円の企業努力を行うこととしており、令和四年度は、計画値を三十二億円上回る百五十九億円でございました。
具体的には、非開削工法によるマンホール浮上抑制対策など建設コストの縮減や、エネルギー自立型焼却炉の導入等による電気料金の削減など、維持管理コストの縮減により、計画値を二十二億円上回る六十五億円の縮減を達成いたしました。
また、資産等の有効活用につきましては、芝浦水再生センターの上部の貸付けのほか、廃止したポンプ所用地等の売却による収入確保に努めたことなどにより、計画値を十億円上回る九十四億円の収入を確保いたしました。
○鈴木委員 ありがとうございます。コスト縮減や収入確保など、様々な企業努力に取り組んでいる状況を確認させていただきました。
下水道料金収入の減少など、下水道財政に影響が出ておりますが、一層の経営努力により健全な財政運営を維持することで、安定的な事業運営に努めていただくことを要望させていただきます。
次に、浸水対策について伺います。
今年も、台風などにより、東北地方や九州地方などで大きな被害をもたらしたことは記憶に新しいですが、近年、集中豪雨の頻発など、風水害が激甚化しつつあります。
日本の経済の中心である東京で一たび大規模な水害が発生すれば、その影響は計り知れず、そのためには、対策を進め、都市を強靱化していく必要があると考えます。
下水道は、まちに降った雨を川や海などの公共用水域へ放流する機能を有しており、都民の生命や財産を守る上でも欠かせないインフラであります。
下水道局では、経営計画二〇二一や下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、重点地区を選定して浸水対策を進めていると認識しておりますが、そこでまず、区部において浸水対策をどのように進めているのか伺わせていただきます。
○袰岩計画調整部長 経営計画二〇二一では、繰り返し浸水が発生している浸水の危険性が高い地区などの五十七地区を重点地区としており、計画の最終年度である令和七年度までに全ての地区で着手または完了することを目標としております。
さらに、令和四年三月には、下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、この五十七地区を含め、区部全域で年超過確率二十分の一規模、一時間七十五ミリ降雨に対応することを目標とするとともに、浸水の危険性が高い十地区を新たに重点化し、六十七地区を重点地区と位置づけ、事業を推進しております。
○鈴木委員 区部では、浸水の危険性が高い地区などを重点地区として対策を進めているということを確認しました。
六十七地区を重点地区と位置づけ、事業を推進しているとのことでありますが、重点地区の令和四年度の進捗状況についても伺わせていただきます。
○藤橋建設部長 重点化した六十七地区のうち、これまでに約七割に当たる四十八地区で事業化しておりまして、このうち二十八地区で事業が完了し、令和四年度は、上野・浅草駅地区において下水道管の増強を行うなど、二十地区で事業を推進しました。
残る十九地区では、トンネル工事に必要な作業用地の選定など、設計作業を進めてまいりました。
○鈴木委員 私の地元である台東区上野、浅草で浸水対策における事業を進めていただいたということはありがたいです。事業に未着手の十九地区についても、早期の事業着手をお願いいたしたいと思います。
一方、都市の強靱化の観点では、震災対策も重要であります。下水道は、都民の生活排水を受け入れ、処理するという、ふだんは目に見えないものの、重要な使命を担い、これは、平常時に限らず、震災などが発生した際も同様の役割を果たす必要があると考えます。
昨年五月に公表された首都直下型地震等による東京の被害想定報告書によれば、南関東地域におけるマグニチュード七クラスの大地震が、今後三十年以内に七〇%の確率で発生するとされております。
下水道局では、避難所などを対象とした下水道管の耐震化を計画的に進めていると認識しておりますが、区部において下水道管の耐震化をどのように進めているかも伺わせていただきます。
○袰岩計画調整部長 下水道管の耐震化につきましては、震災時の下水道機能の確保及び緊急輸送道路などの交通機能の確保という二つの面から実施しております。
下水道機能の確保としましては、避難所や避難場所に加え、一時滞在施設や災害拠点連携病院などを対象とし、これらの施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化などを実施しております。
交通機能の確保としましては、液状化の危険性が高い地域における緊急輸送道路に加え、無電柱化している道路や、区が指定している緊急道路障害物除去路線などを対象とし、マンホールの浮上を抑制する対策を実施しております。
○鈴木委員 震災時において下水道機能や交通機能を確保するということは、都民の生命や生活を守るとともに、迅速な救助活動にもつながることから、大変重要な取組でありますので、あわせて、下水道管の耐震化の令和四年度の実績と、これまでの進捗状況についても伺わせていただきます。
○藤橋建設部長 令和四年度における避難所などからの排水を受け入れる下水道管の耐震化では、百六十八か所の施設で対策を実施いたしました。
これにより、経営計画二〇二一における中長期目標の約八割に当たる累計四千七百八十六か所で対策が完了いたしました。
また、マンホールの浮上抑制対策につきましては、液状化の危険性が高い地域における緊急輸送道路など三十キロメートルで対策を実施しました。
これにより、経営計画二〇二一における中長期目標の約八割に当たる累計一千三百四十四キロメートルで対策を完了いたしました。
○鈴木委員 一〇〇%の完了を目指し、引き続き取組を進めてもらいたいと思います。
一方で、平成二十三年に発生した東日本大震災では、マンホールのブロックが地震でずれることにより、ブロックの隙間から液状化した土砂がマンホールの内部へ大量に流入した事例がありますが、下水道マンホールの浮上を抑制する液状化対策は重要であるとともに、こういった土砂の流入防止も進めていく必要があると考えますが、マンホール内部への土砂の流入を防止する対策について伺わせていただきます。
○袰岩計画調整部長 地震時に、地盤の液状化により、マンホールの目地ずれが発生して土砂が流入することにより、下水道の流下阻害が発生するおそれがございます。
当局では、マンホールへの土砂流入防止対策としまして、既設マンホールの目地に非開削でシートなどを貼ることにより、液状化現象による目地ずれを抑制する技術を新たに開発いたしました。
本技術の本格的な導入に向けまして、令和四年度より、先行的に工事を実施しているところでございます。
○鈴木委員 新たな技術についても、本格的な導入に向けた工事を進めているとのことで、こちらの対策についても、さらなる推進をお願いしたいと思います。
続いて、下水の流れ着く先であるポンプ所や水再生センターについて伺わせていただきます。
これらの施設では、地下深くから下水をくみ上げ、浄化された水にして川や海へ放流する施設であることから、下水道管と同様に、震災時にも機能を果たす必要があると考えております。
そこで、区部や流域下水道において、水再生センターやポンプ所の耐震化をどのように進めているのか伺わせていただきます。
○袰岩計画調整部長 下水道局はこれまで、おおよそ震度七に相当する想定される最大級の地震動に対し、最低限の下水道機能である揚水機能、沈殿機能、消毒機能の三つの機能につきまして、耐震対策に取り組んでまいりました。
具体的には、耐震補強などの構造上のハード対策と被害が発生した場合を想定し、応急対応や復旧などを事前に計画するソフト対策を組み合わせた耐震対策につきまして、これまでに全ての水再生センター、ポンプ所で一系統の確保が完了しております。
現在、これらの対策に加えまして、施設能力を最大限発揮するため、水処理施設の流入渠や放流渠、汚泥処理関連施設などを含めた耐震化を推進しております。
○鈴木委員 既に全ての施設で最低限の下水道機能を一系統確保しているということが分かりました。また、現在は対象施設を拡大して対策を進めていただいているということで、心強く感じております。
こちらも現在の取組状況について確認したいと思います。
水再生センターやポンプ所の耐震化の令和四年度の実績と、これまでの進捗状況についても伺わせていただきます。
○杉山施設整備担当部長 令和四年度におけます水再生センターやポンプ所の耐震化につきましては、ポンプ所の放流渠などにおきまして耐震化を進め、東小松川ポンプ所など二施設で耐震化が完了いたしました。
これにより、区部及び流域下水道の水再生センターとポンプ所を合わせた百六施設の約三割に当たる累計三十七施設におきまして、耐震化が完了いたしました。
○鈴木委員 現時点の進捗は約三割とのことでありますが、地震対策は急務でありますので、引き続き着実かつ迅速に進めていただきたいと思います。
また、都市の強靱化にもつながる浸水対策と震災対策、安全・安心な都市の実現に向け、これらの事業をさらに強力に進めていただくことも要望し、次の質問へ移ります。
次は、多摩地域の雨天時浸入水対策について伺わせていただきます。
多摩地域の大半は、雨水と汚水を別々の管で流す分流式下水道を採用していると伺っております。豪雨時には雨天時浸入水による浸水被害があるとも聞いており、この被害は、本来汚水だけを流す管に大量の雨水が流れ込むことで発生していると伺っております。
先ほど区部の浸水対策についても伺わせていただきましたが、多摩地域の強靱化を進めるためには、雨天時浸入水への対策が重要であり、我が会派はこれまで、定例会などで取上げてきました。
まず、雨天時浸入水の発生要因と必要な対策について伺わせていただきます。
○佐々木技術部長 下水道局ではこれまで、市町村と連携して、雨天時の浸入水量の調査に取り組んでおり、市町村が管理する汚水管に雨水が誤って浸入することなどが発生要因となっております。
具体的な発生要因は、公園などの屋根のない屋外流しなどを通して雨水が浸入している場合や、本来は雨水管に接続する必要がある宅地内の雨どいなどが誤って汚水管に接続されている場合が挙げられます。
また、汚水管のひび割れや接続部などから雨水が浸入していることも発生要因となっております。
国のガイドラインにおきましては、雨天時浸入水対策は、発生源対策が基本とされており、具体的には、市町村が発生箇所や原因を特定し、雨どいなどの誤接続解消の指導や、下水道管の入替え、補修などを実施することが必要となります。
○鈴木委員 雨天時浸入水対策については、発生源対策が基本であり、多摩地域では、市町村による対策などが必要ということが分かりました。
しかし、市町村の下水道に携わる技術系職員が減少しているということを伺っております。こういった中、対策を推進していくためには、下水道局の豊富な知識や経験を活用し、局による市町村への技術支援が重要と考えております。
そこで、市町村の浸入水対策への局の技術支援と、令和四年度の取組について伺わせていただきます。
○佐々木技術部長 下水道局では、市町村と連携した雨天時の浸入水量調査を基に、市町村による発生源対策を支援してまいりました。
具体的には、下水道管内の水位情報をリアルタイムに測定する多機能型マンホール蓋を流域下水道と公共下水道の接続点や市境など三十七か所に設置することで、おおむね市町村レベルで浸入水量を把握し、市町村と共有してまいりました。
令和四年度には、浸入水量の多い地域を市町村レベルからさらに絞り込むための手順等を示した調査の手引を作成し、市町村向けの説明会を実施しております。
また、これまでの調査を基に、当局と市町村による合同現地調査を実施しており、令和四年度には、清瀬市と行うなど、市町村の状況を踏まえた丁寧な対応を行いました。
今後とも、これらの技術支援を継続し、市町村による浸入水対策を推進してまいります。
○鈴木委員 これからも局と市町村が連携して、対策をぜひ進めていただきたいと思います。
また、これまでの定例会本会議で、我が会派から、八王子市小宮地区や清瀬市中里地区では、浸入水による浸水被害の早期軽減に向けて対策工事を進めていることを確認してきましたが、これまでの取組状況や効果について伺わせていただきます。
○佐々木技術部長 令和元年東日本台風の際に、八王子市小宮地区や清瀬市中里地区では、雨天時浸入水による被害が発生しました。
これを踏まえまして、八王子市小宮地区につきましては、八王子市北野処理区の編入に向け整備していた八王子水再生センター内のポンプ稼働時期を雨期に備えて前倒しするとともに、流域下水道幹線のマンホールを改造するなど、施設の排水能力をより一層向上させてまいりました。
また、清瀬市中里地区では、浸入水被害の要因を市と連携して調査したところ、地形などの条件により、雨天時浸入水が公共下水道のマンホールに集中することで溢水していることが判明いたしました。
そこで、当局と清瀬市が連携し、当該マンホールへの浸入水の流入を減少させるため、二か所の接続点を新設し、上流側で公共下水道から流域下水道幹線に流入させる工事を令和四年度に実施いたしました。
今年の六月二日から三日にかけて、台風二号の影響により、両市において時間最大四十ミリの降雨が確認されましたが、溢水被害は確認されておらず、対策工事が効果を発揮したものと考えております。
○鈴木委員 対策効果が発揮できたということは非常によかったと思います。雨天時浸入水対策については、今年度に創設した市町村補助制度も活用しつつ、局と市町村が連携した取組もお願いしたいと思います。
本日は、局の財政から強靱化の取組を伺い、順調に進んでいることを確認することもできました。
引き続き、下水道局一丸となって、都民の安全・安心の確保に向けた取組を進めていただきたいと要望し、質問を終わりたいと思います。
○北口委員 それでは、私からは、初めに、下水道の再構築についてお伺いをいたします。
東京都区部の下水道は、平成六年に一〇〇%概成を達成し、都民が快適に生活を送る上で欠かせないインフラとなっております。
一方、下水道管の多くが高度経済成長期以降に整備されており、老朽化が進行をしております。道路下に埋設されている下水道管が老朽化により破損すると、下水道が使用できなくなるほか、道路陥没などを引き起こすおそれもあり、都民の生活に与える影響は大きいと思います。
そのため、下水道局では、家庭などの排水を受ける枝線の再構築事業を進め、これまで着実に整備を進めてきたと認識をしています。
そこでまず、区部における枝線の再構築事業の進め方についてお伺いをいたします。
○袰岩計画調整部長 老朽化した枝線の再構築に当たりましては、ライフサイクルコストや中長期的な再構築事業の平準化などを図るアセットマネジメントの手法を活用し、計画的かつ効率的に事業を推進しております。
また、老朽化対策と併せて、雨水排除能力の増強や耐震性の向上などを一体的に行うことにより、機能のレベルアップも図っております。
事業の実施に当たりましては、区部を整備年代により三つのエリアに分け、整備年代の古い都心部の処理区を第一期再構築エリアとして優先的に事業を進めております。
なお、膨大な下水道管の再構築を効率的に実施していくために、既設管を全面的に更新するのではなく、経済性や効率性を考慮して、健全な既設管は可能な限り活用することを基本に整備を進めております。
○北口委員 アセットマネジメント手法などを活用して、計画的に進めていることが確認できました。
また、既設管を活用しながら、経済性や効率性を考慮した再構築を行っているということも確認をさせていただきました。
また、老朽化対策と併せまして、排水力の増強、そして、耐震化対策も行っているというふうに聞きました。
大規模水害や首都直下地震等の災害は、いつ発生してもおかしくありません。こうした取組は、都民の皆様の命を守る取組でございます。鋭意進めていただきたいと期待をしております。
そこで、こうした枝線の再構築事業の令和四年度の実績と、これまでの進捗状況についてお伺いをいたします。
○藤橋建設部長 令和四年度は、目標の整備面積七百ヘクタールに対して、七百二ヘクタールを実施いたしました。
その結果、第一期再構築エリア一万六千三百ヘクタールの七一%に当たる一万一千五百二十四ヘクタールの整備が完了いたしました。
○北口委員 昨年度は七百二ヘクタールが完了して、第一期再構築エリアの七割まで整備が進んでいるということでございました。
資料によりますと、下水道局が管理する枝線のうち、第一期エリアの再構築の完成が令和十一年度、そして、その後も、第二期、第三期の再構築エリアが控えております。今後も着実に対策を進めてもらいたいと思います。
次に、枝線で集めた下水を水再生センターやポンプ所まで送水する下水道幹線についてお伺いをいたします。
枝線と同様に、下水道幹線も老朽化が進行しております。下水道幹線は、大量の下水を流す大規模な施設であり、使用できなくなった場合、社会経済活動に与える影響は非常に大きい。大量の下水を流す下水道幹線の再構築は大変だと思いますけれども、枝線だけでなく、この幹線の再構築も計画的に進めなければいけないと考えております。
そこで、区部における幹線の再構築事業の進め方についてお伺いをいたします。
○袰岩計画調整部長 下水道幹線の再構築は、昭和三十年代以前に建設した整備年代の古い幹線や、調査に基づき対策が必要と判明した幹線など、約三百キロメートルを対象に実施しております。
施工に当たりましては、道路を掘削せず、比較的短い期間かつ低コストで既設管をリニューアルすることができる更生工法を活用し、事業を推進しております。
また、水位が高いなどの理由により、再構築工事を行うことが困難な幹線につきましては、下水の流れを切り替えるために必要となる代替幹線を先行して整備した後に、幹線の再構築を進めております。
○北口委員 施工に当たっては、道路を掘り返さずに施工が可能な更生工法を活用しているということでございました。
また、水位が高く、この更生工法が適用できない幹線については、代替幹線を整備して、水位を下げた上で再構築を行っているということも確認をさせていただきました。
こうした幹線の再構築事業、令和四年度の実績と、これまでの進捗を伺わせていただきます。
○藤橋建設部長 令和四年度は、年間目標の七キロメートルに対し、葛西幹線など八キロメートルの再構築を実施しました。
その結果、三百キロメートルの三四%に当たる百二キロメートルの整備が完了いたしました。
○北口委員 下水道は、二十四時間三百六十五日、都市活動を支えております。そのような中、下水道管の再構築を進めることは非常に難しいと思いますが、下水道局が着実に取組を進めていることは確認をしました。
しかしながら、老朽化したインフラが、万が一にも震災等を含めまして破損などが発生すると、その影響は広範囲にわたり重大です。老朽化したインフラ対策は喫緊の課題であり、あらゆる方策を導入し、積極的に取組を進めてもらいたいということを要望しておきます。
次に、合流式下水道の改善についてお伺いをいたします。
東京の区部の約八割は合流式下水道であり、雨天時には、汚水混じりの雨水が河川などに放流されることから、放流先の水質悪化や公衆衛生上の影響が懸念をされております。
都議会公明党では、かねてより、定例会などの質疑を行い、外堀の浄化をはじめ、合流式下水道の改善を主張してまいりました。
都においても、外堀や隅田川の水辺空間を生かした都市の顔づくりが進んでおります。
水辺環境の向上は都民の強い願いであり、一層注目されるようになることから、合流式下水道の改善を進めていかなければならないと考えております。
そこでまず、この合流式下水道の仕組みと改善に向けた取組についてお伺いをいたします。
○袰岩計画調整部長 合流式下水道は、汚水と雨水を一つの下水道管で集めることから、強い雨の日には、まちを浸水から守るため、汚水混じりの雨水を川や海などに放流する仕組みでございます。
合流式下水道の改善の主な取組といたしましては、雨水吐き口やポンプ所からのごみなどの流出を抑制する施設の整備や、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備などがございます。
○北口委員 合流式下水道の改善の主な取組について確認をさせていただきました。
一方、令和六年度から下水道法施行令の雨天時放流水質基準が強化されるというふうにも聞いております。期限が迫っております。
そこで、合流式下水道の改善のこれまでの進捗状況と、令和四年度の取組についてお伺いをいたします。
○藤橋建設部長 これまで、ごみなどの流出を抑制する施設の整備や、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備につきましては、全て完了しております。
また、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設につきましては、強化される下水道法施行令の雨天時放流水質基準を達成するため、令和五年度末までに百七十万立方メートルを整備することとしておりまして、これまでに、小菅水再生センターなどでの貯留施設等の整備により、累計百五十万立方メートルが完了してございます。
令和四年度は、外堀や三河島水再生センターなどで、貯留施設等の整備を進めてまいりました。
○北口委員 私の地元小菅の水再生センターをはじめとして、都議会公明党が強力に推進している外堀の水質浄化においても、貯留施設の整備など、取組が進んでいるということでございました。
こうした取組で合流式下水道における豪雨時の水質改善を進めることは、良好な水辺環境を形成する上でも欠かせません。下水道法施行令の雨天時放流水質基準の達成に向けて、着実に事業を進めてもらいたいというふうに思います。
次に、地盤の液状化対策についてお伺いをいたします。
平成二十三年の東日本大震災では、浦安市において、地盤の液状化により、下水道マンホールが地面から飛び出るように浮かび上がったことが今でも記憶に残っております。
私の地元葛飾区は、都内で最も液状化の危険度が高いと指摘されている地域の一つであります。東日本大震災では、震源地から遠いにもかかわらず、一部の家屋で液状化被害が発生をいたしました。地元住民からは、次に大きな地震が来たら、家屋の倒壊とともに、マンホールが浮き上がるのではないかとの心配する声もあります。
下水道局では、液状化が危惧される地域でマンホールの浮上抑制対策を進めていると認識しておりますが、マンホールの浮上抑制対策の令和四年度の区部全体と葛飾区の進捗についてお伺いをいたします。
○藤橋建設部長 下水道局では、震災時の交通機能を確保するため、液状化の危険性が高い地域の緊急輸送道路や、緊急車両が通行する無電柱化している道路などを対象に、マンホールの浮上を抑制する対策を実施してございます。
これまでに、区部全体では、中長期目標の約八割に当たる累計一千三百四十四キロメートルで対策が完了しておりまして、このうち葛飾区では、中長期目標の約九割に当たる累計百二十七キロメートルで対策が完了いたしました。
○北口委員 葛飾区内対象道路のうちの九割が対策完了であるというふうに確認させていただきました。下水道局が液状化対策を着実に進めてきたことを評価しております。今後も確実に取組を進めていっていただきたいというふうに思います。
さらには、東部低地帯の液状化の被害が懸念される地域では、緊急輸送道路以外の走路についても、ぜひ、対策が進み、下水道機能が大震災発生時でも維持できることを期待しております。
次に、浸水対策についてお伺いをいたします。
私の地元葛飾区では、満潮時には海面以下の高さとなる、いわゆるゼロメートル地帯が大きく広がり、住民の水害に対する意識も高いです。
過去の歴史を振り返りますと、集中豪雨の発生による河川氾濫や内水排水の困難による浸水など、度々浸水被害が発生してきておりましたが、公共下水道の普及により浸水被害が軽減され、確実に治水安全度は向上しております。
しかし、地球温暖化に伴う大雨の頻度の増加などによる水害の激甚化が懸念される中、下水道局では、下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、葛飾区金町地区など、重点地区を新たに十地区追加したというふうにも聞いております。
そこで、この重点地区の選定の考え方についてお伺いをいたします。
○袰岩計画調整部長 従来は、過去に大きな浸水被害が発生した地区を中心に重点地区を選定してまいりました。
令和四年三月に策定した下水道浸水対策計画二〇二二におきましては、過去の浸水実績に加えまして、雨の量の変化に応じた下水道管内の雨水の流れや、雨水が地盤の形状に沿って流れる状況などを評価できる流出解析シミュレーションを活用して、これまで浸水被害が発生していない地区におきましても、事前防災の観点から、浸水に対する危険性を評価し、浸水リスクの高い地区を選定しております。
葛飾区金町地区などは、浸水実績に加えまして、流出解析シミュレーションにおいて、床上相当の浸水がまとまって発生する状況が確認できたことから、重点地区に位置づけております。
○北口委員 葛飾区金町地区等の重点地区を選定した考え方について確認をさせていただきました。
事前防災の観点から、過去の浸水実績に加えて、流出解析シミュレーションを活用して地区の選定をしているということでございまして、これは非常によい取組だというふうに思っております。
新たな重点地区についても、できる限り早く事業化を進めるに当たりまして、設計などに着手してもらいたいと考えておりますが、この新たな十の重点地区の令和四年度の進捗状況についてお伺いをさせていただきます。
○藤橋建設部長 新たに選定した重点地区は、令和四年度から、順次シミュレーションの精度を高めるために必要な既設の下水道管の流量調査などを開始しておりまして、現在、全ての地区で調査設計を行っているところでございます。
○北口委員 荒川以東の重点地区は、私の地元葛飾区金町地区など二地区が指定をされております。これまで、このエリアでは、重点地区に指定されていなかったことから、地元の期待も大変高いものとなっております。
都民の安全・安心の確保に向けて、着実に浸水対策を推進してほしいということを申し上げて、質問を終わります。
○福手委員 では、質問をしていきます。
浸水対策、雨天時浸入水対策について伺います。
資料を、二十三区と多摩地域における主な浸水被害状況の推移を出していただきました。ありがとうございます。
二〇二二年度は、三つの自治体で浸水被害が起こっていますが、多くの自治体では、二〇一九年の台風十九号以降は大きな被害がゼロの状況が続いています。
浸水対策としては、先ほどもほかの委員がいっていましたが、私も地元文京区です。二〇一三年に甚大な浸水被害を受けた千川地域で、時間七十五ミリの降雨に対応できる千川増強幹線の整備が進められ、いよいよ来年、被害から十一年目に完成を迎える予定です。
私は、千川地域の住民の方々と一緒に、この増強幹線の現場を視察させていただきましたが、皆さんがこの間、豪雨や台風のたびに心配されていて、待ちに待ったという思いで視察をされていたのがとても印象に残っています。
ですから、二〇一九年の台風十九号で大変な浸水被害に遭った多くの地域で再び被害を繰り返さないために、浸水対策を早く進めていくことが何より重要だと感じています。
資料でも被害が大きかったことが分かる多摩地域の浸水対策について、取り組んでこられたことを確認していきます。
まず、八王子市多摩大橋付近や、多摩市永山橋周辺では、集中豪雨や二〇一九年の台風十九号等で浸水が繰り返し起きています。これらの浸水の原因と対策を伺います。
○佐々木技術部長 浸水の主な要因としましては、市町村が管理する汚水管に雨水が誤って浸入する雨天時浸入水によるものと考えております。
国のガイドラインでは、雨天時浸入水対策は、発生源対策が基本とされております。
○福手委員 浸水の原因は、汚水管に雨水が大量に入ったことによるものということでした。
多摩地域の大半は、雨水と汚水の管が別々の分流式下水道で、本来は、雨が降っても水量が変わらないはずの汚水管に大量の雨水が入り込み、排水能力を超えた下水がマンホールなどからあふれ出し、浸水被害を起こしてしまいます。
浸水を繰り返さないために、雨天時浸入水の原因究明を急いで行うことが必要です。
八王子市の雨天時浸入水は、雨水の流入の原因、また、浸入している場所などは分かったのでしょうか。伺います。
○佐々木技術部長 下水道局では、下水道管内の水位情報を測定する多機能型マンホール蓋を流域下水道と公共下水道の接続点などに設置しまして、おおむね市町村レベルで浸入水量を把握し、市町村と共有しております。
今後、市町村が発生箇所や原因を特定してまいります。
○福手委員 市街地からの汚水は公共下水道に集められ、都の管理する流域幹線に接続して流していきます。その合流部分に多機能型マンホール蓋を設置し、雨天時の水位を測ることで雨水の浸入の有無を調査していきます。
都の行った調査で、雨水の浸入の多くが公共下水道からであることが分かり、その先の調査は市町村が進めていくということです。
私は、八王子市に改めて当時の被害についてお聞きしたところ、浸水被害の原因は、水路からの雨水の溢水とマンホールからの汚水と雨水の溢水によるものだったと話されました。市は、水路からの溢水については、水路のしゅんせつなどを行い、雨水が流れる量を多くする対策を取ったそうです。
そして、マンホールからの溢水については、答弁にあるように、雨天時浸入水が原因なので、多機能型マンホール蓋で絞り込み調査をしているところですと話してくださいましたが、やはり面積が広いので、とても時間がかかるともいわれていました。
雨水の浸入がどこで起きているのか、最終的に発生源を特定する調査は市が行うのですが、幾つもある下水道管を順番に絞り込んでいくのは非常に時間がかかる作業です。しかし、スピードも求められています。
公共下水道の場合は市町村の管理ですが、早く発生源を追求するためには、都としてどのような支援や連携がありますか。
○佐々木技術部長 下水道管内の水位情報を測定する多機能型マンホール蓋から得られた水位情報を市町村と共有しているほか、市町村と現地合同調査などを実施しております。
○福手委員 合同調査も行っているということです。
それから、今年度から、雨天時浸入水対策や雨水の排除能力を向上するために、下水管の改良や古い管の長寿命化などにも活用できる新しい都の補助が始まったので、さらに市町村との連携を強めていただくことをお願いしたいと思います。
次に、流域下水道幹線について伺います。
都が管理する流域下水道幹線で五十年を超える老朽管は幾つあるでしょうか。令和四年度の時点で教えてください。それらの再構築はどういうふうに進めていくのかも伺います。
○佐々木技術部長 令和四年度末時点で、整備後五十年を経過している幹線は四幹線でございます。
幹線調査の結果に基づき、健全度に応じた対策を実施してまいります。
○福手委員 下水道局は、多摩地域で、老朽化した乞田幹線の代替幹線の整備を進めているところですが、それ以外の老朽管についての計画は明記されていません。
答弁では五十年を経過する幹線が四つあることが分かりましたが、乞田幹線の次の整備が決まっているわけではなく、幹線の調査を行い、優先順位や対応方針が整理されていくということだと私は認識しました。
多摩地域の浸水対策を進めるために、流域下水道幹線と、そして、公共下水道についても、都が管の整備年代等と併せて、床上浸水が想定される地区や被害が繰り返される地区を対策が必要な地区と定め、進捗を確認しながら進めることが必要と思いますが、認識を伺います。
○佐々木技術部長 下水道局ではこれまで、雨水の放流先となる河川などがなく、市町村単独での雨水排除が困難で、浸水被害が頻発していた多摩川上流地域や黒目川上流地域の市と連携して、都が流域下水道雨水幹線を整備してきました。
現在は、空堀川上流雨水幹線の整備を進めております。
○福手委員 雨水の排除が困難な地域に雨水幹線の整備が行われているという答弁でした。
私、先ほど冒頭で、文京区の千川増強幹線のお話をしましたが、区部は、浸水対策が必要な地区を対策強化地区や対策重点地区などに位置づけて、下水道管や幹線の整備の内容、そして、その進捗を把握できるようになっています。そして、実際それが進んでいることも分かります。
多摩地域においても、広範な浸水が想定される地区や浸水が繰り返されている地区などを選定し、幹線と公共下水道の両方の整備を把握して浸水対策を進めるのは大切だと思います。ぜひ検討していただきたいと思います。
また、区部では、流出解析シミュレーションを使って七十五ミリ降雨対応の整備が必要な地区なども選定をしています。
都は、多摩地域の流域下水道幹線を整備しています。多摩地域でも、幹線の評価や幹線流域の浸水予測をするために、流出解析シミュレーションを活用することが有効と考えますがいかがですか。あわせて、流出解析シミュレーションを活用した実績を伺います。
○佐々木技術部長 多摩地域の雨水対策は、原則、公共下水道管理者である市町村が実施するものでございます。
流域下水道本部では、流出解析シミュレーションの勉強会を開催するなど、市町村への技術支援を実施しております。
また、多摩川上流雨水幹線流域の浸水予想区域図の作成などに流出解析シミュレーションを活用してまいりました。
○福手委員 多摩地域においても、局は、流域下水幹線で流出解析シミュレーションを活用して、幹線流域の浸水予想区域図を作成していることが分かりました。
そして、局としては、市町村に対して、勉強会、技術支援も行っていますので、この有効性は十分に実感しているということです。
多摩地域は、雨水管の未整備地域が多く、整備の促進が重要です。流出解析シミュレーションは、地盤の高低差や下水管のデータなどを分析し、浸水予測ができるのですから、多摩地域の雨水管の整備の促進に役立てることができるのではないでしょうか。
それと同時に、幹線を評価し、整備の検討にも役立てることができると私は思います。ぜひ、都として、多摩地域の浸水対策を進めるための支援のさらなる拡充の検討をお願いしたいと思います。
次に、水再生センターについて伺います。
台風十九号の際に、八王子水再生センターではどのような対策が取られたのか伺います。
○佐々木技術部長 令和元年東日本台風の際、八王子水再生センターにおいて、ポンプを全台稼働させるなどの対策を実施いたしました。
○福手委員 ポンプは、メンテナンスなどで使う用の予備があるそうです。そして、そういったポンプを全台稼働したという対応が台風十九号のときに取られたということでした。
八王子市小宮町の多摩川沿いにお住まいの方から、当時、多摩川の水位がかなり上がり、下水の排水ができるのか心配されたそうです。
多摩川の水がいっぱいになった場合に、河川への排水というのはどうしているのか伺います。
○佐々木技術部長 八王子水再生センターにおきましては、多摩川の水位が上昇した場合は、樋門操作規則に基づき、河川に排水する樋門の操作を実施することとしております。
○福手委員 河川の水位が上昇したときは、排水する門を閉じて、排水しないようにするという対応があるということですが、ちょっと確認したいんですけれども、この台風十九号のときというのは、この門は閉じたのでしょうか。確認させてください。
○佐々木技術部長 ただいま委員お尋ねの台風十九号のときでございますけれども、樋門の操作は行いませんでした。
○福手委員 ありがとうございます。十九号のときは樋門は閉じなかったと。排水はずっと続けていたということだったんですけれども、ただ、この近隣住民の方は、先ほどもいったように、川の水位が上がって、排水できるのかとても心配されていたという話を私は伺っていまして、センターがどれぐらいの水位で排水する門を閉じるのかとか、そういう考え方、これはやっぱり周辺住民にも共有しておくことが必要ではないかなと思いました。これは意見として伝えておきます。
では、水再生センターに大量の雨水が流入した場合に、センターはどのような対策を取りますか。伺います。
○佐々木技術部長 流域下水道の水再生センターではこれまでも、豪雨時には施設が持つ能力を最大限稼働させて対応しております。
ただし、豪雨時に施設能力を超える下水を受け入れると、電気設備や機械施設の浸水により、水再生センターの機能が喪失するため、流入水量を調節しております。
○福手委員 施設の能力を超える下水を受けると、施設の設備が浸水して壊れてしまうかもしれない。なので、それを避けるために、センターに入る水量を少なくするなどの調整を行うという答弁でした。
これも台風十九号のとき、水量を調整したのかどうか確認させてください。
○佐々木技術部長 台風十九号のときは、そのときの状況をしっかり見極めながら、先ほどお話しした対策を実施いたしました。
○福手委員 状況を見極めて、台風十九号のときは、水の量、流入水量を調整したということだったですね。水再生センターが浸水することで、様々な設備も浸水し、機能が失われるようなことは避けなければならないと、私もそう思います。
ただ、水再生センターにどんどん集まってくる水を、センターに入る量を絞れば、当然その手前では下水があふれ、浸水が避けられない事態になることが考えられます。
台風十九号の際、浅川水再生センターでも流入量を絞り、その結果、センター近くの流域下水道幹線のマンホールから溢水があり、周辺は浸水、冠水が起きました。
雨水の流出を抑制するために、一時的に貯留する施設は効果的です。多摩地域において、貯留施設は促進する必要があると思いますが、認識を伺います。
○佐々木技術部長 繰り返しになりますが、雨天時浸入水対策は、発生源対策が基本でございます。
このため、当局は、公共下水道の管理者である市町村と連携して対策を進めてまいります。
○福手委員 雨天時浸入水の対策を取ることは当然必要ですが、雨水対策には、流す、ためる、染み込ませるの取組が大切といわれています。ですから、貯留施設は効果があることは分かっているわけですので、多摩地域でも、都として貯留施設の整備を併せて検討していただきたいと思います。
最後に、都民の方から寄せられた要望ですが、八王子水再生センターから多摩川へ排水する施設で、排水した水が流れる先に、中州のような草が生えている箇所があります。台風や豪雨時に、そこに木やごみが詰まって水を止めてしまうおそれがあるので、撤去してほしいという意見がありました。
管理するのはどこになるのでしょう。都から対応を求めていただきたいと思いますが、いかがですか。
○佐々木技術部長 多摩川内の排水樋管につきましては、当局が河川管理者から用地を占用しております。
令和四年度は、河川管理者の要請により、排水経路の途中にある洗掘防止施設付近の除草、先ほど委員からお話があったものと思われますが、これについて、当局が除草を実施いたしました。
○福手委員 令和四年度のときには、国から要請があって、先ほど申し上げた場所に生えている草を取ったということです。多摩川管理者は国ですけれども、下水道局が占用しているということも答弁されました。
今回は、またその後、草が生えているという状況なんですね。この都民の方からの要望を今回お伝えしたところ、今回、局としては対応しないというふうにいわれました。私、現地を見てきて、この樋門の先、進んでいくと橋みたいなものが新しく造られていまして、水がその下を通って多摩川に流れていきます。
要望された近隣住民は、その方自身も何度も浸水に遭っていますので、この樋門の辺りをよく見に来られていて、この辺りの様子をよく知っていらっしゃるので話してくださったんですが、以前は、水が多摩川に流れていくところで、さっきいった橋ではなくて、管が何本か設置されていて、そこを水が通って多摩川に流れていくようになっていたそうです。しかし、その管というのはあまり大きくないので、木やごみが詰まって逆流したこともあったと話されていました。ですから、その管から橋みたいなものに造り変えられていて、とても安心して喜ばれていたんですね。
ただ、この話、今回そういう話も含めて都民の要望をお伝えしたんですが、下水道局、この新しく造られた橋のことをご存じではなくて、都が造ったものではないと、知らないということだったんです。
本来、都民から懸念の声があれば、まず、見に行くなり何らかの対応をしていただけるものだと私は思います。しかし、国からの要請がないと局は対応しないということでした。
先ほどの答弁で、二〇二二年度、国の要請で除草したというお話でしたが、そもそも除草をこの場所でしたというのは、過去を含めてこのときだけなんですね。国の要請がなければ、ここの除草ができないわけではありません。木やごみが詰まって水が流れなくなったら大変だという近隣住民の大切な情報です。下水道局が見に行って、その上で、対応が必要なのか判断してもらっていいわけですね。率直にいって、都民のこういった懸念に対しては、誠実な対応ではないと私は思いましたので、改善していただけるよう強く求めたいと思います。
続きまして、減免制度について伺っていきます。
資料では減免の実績を出していただきました。ありがとうございます。
下水道料金の減免は、東京都下水道条例に定めるものと、都議会の決議の要請によるものがあります。
下水道条例二十条の一項には、公益上その他特別の事情があると認めたときに、下水道料金を減免できると書いてあります。
議会の決議として求め、特別な事情があるということで局も認めて減免となったものが、今日出された資料で、公衆浴場営業から生活関連業種までの都議会決議分減免になります。その中身を具体的にお聞きしていきます。
まず、医療施設への減免です。
減免の中には、上下水道の両方で減免措置されているものが幾つかありますが、この医療施設への減免というのは、下水道料金だけで行われています。
医療施設を減免の対象にした経緯には、どういった議会の決議があったのでしょうか。また、そのときの社会背景を伺います。
○後藤総務部長 医療施設の減免措置に係る最初の都議会決議は、昭和五十年第二回定例会におけるものでございまして、下水道料金改定の際に、都民生活に与える影響を緩和する趣旨で付された付帯決議でございます。
○福手委員 医療施設の減免は、料金の大幅値上げが行われたことで、議会から、都民生活に与える影響を緩和するという目的で減免の決議が出され、対象になったということです。
医療施設は、都民の命と健康を守る強い公共性を持った施設です。実際に対象となっているのは、入院患者の食事や入浴で排水量が多くなり、負担が増えることを考え、二十人以上が入院できる病院に限定し、減免を実施しています。
こうした病院に対して減免を行うことは、都民の命と健康を守り、生活を支える住民の福祉の増進を目指す下水道局の大切な責務です。
そして、減免の期間は、昭和五十年、一九七五年からずっと延長を繰り返し、今まで続いているのは、医療施設への減免の必要性を、議会も局も共通の認識の下で行われている措置だということです。
特に令和四年度は、コロナ禍で、減収や電気代の高騰で経営に大きな打撃を受けている医療機関が多かったです。この減免、さらに必要性を増しています。しかし、対象となっていても、減免を知らない施設もありましたので、周知の強化を求めておきたいと思います。
続いて、高齢世帯の減免について伺います。
高齢世帯の減免も下水道料金だけで行われている減免措置です。しかし、資料では、実績がゼロになっているんですね。高齢世帯の減免の適用はどういった方が対象となっているのですか。また、減免の基準の考え方、減免を決めたときの社会背景を伺います。
○後藤総務部長 高齢者世帯の減免措置は、国民年金の支給対象外となっている老齢福祉年金受給世帯に対して適用しております。
また、最初の減免措置は、平成元年第一回定例会の付帯決議に基づくものでございまして、これは、下水道料金改定の際に、都民生活に与える影響を考慮する趣旨で付されたものでございます。
○福手委員 この高齢世帯の減免措置が導入されたのは一九八九年、平成元年で、消費税が導入された年です。消費税の導入で都民の負担が重くなり、生活に大きな影響を与えることが懸念されました。同年、下水道局は三・五%の料金値下げもしています。
議会は、消費税の導入に伴う諸情勢の中で、都民生活に与える影響を考慮し、減免措置を行うことを求め、減免の対象となりました。高齢世帯の減免は、具体的には、老齢福祉年金を受給している世帯が対象と先ほど答弁でもいわれました。
老齢福祉年金は、国民年金が発足した一九六一年当時に、既に高齢であったなどを理由に、年金を受けるための資格が満たされていない人々の救済制度として設けられたのですが、年金額は月三万三千二百円と非常に少ないんです。
令和五年の三月の時点でこの年金を受けている都民の方というのは二百十人いらっしゃいますが、減免の申請がない状況が続いています。ただ、減免制度は継続しています。低所得者ほど負担の重い消費税は一〇%まで増税し、令和四年度、二〇二二年度は、特に物価が上がる中、年金も下がった方がいて、高齢者にとっては、ますます暮らしが厳しいという状況があります。高齢世帯への減免の対象を拡充することが求められています。
条例では、管理者が特別な事情と認める場合に料金の減免ができるとありますが、これまで、議会の決議の要請を下水道局で尊重しなかったということはありますか。伺います。
○後藤総務部長 下水道料金の減免措置は、受益者負担の原則、公営企業における独立採算制の原則及び使用者間の負担の公平に対する例外措置でございますが、これまで、都議会の決議の趣旨を尊重して、その対象と期間を限定して実施しているものでございます。
○福手委員 受益者負担や独立採算、負担の公平の例外措置としての減免措置だという答弁がありましたが、減免の必要性を下水道局としても認めているから、管理者が認める場合と条例にあっても、議会から求めがあれば、それを尊重し、減免の期間も延長し続けてきたのではないでしょうか。ライフラインの使命として、暮らしが苦しい都民に対して、減免措置の拡充で都民を支えてほしいと思います。
今日は、高齢世帯の減免を中心に質問しましたが、下水道局として、これまでやっている範囲にとどめず、公益上の特別な事情に該当するかどうか積極的に検討し、必要なところへ減免を拡充することを求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○風間委員 立憲民主党の風間です。
下水道局の質疑、初めてさせていただきますので、決算ということから、まずは決算説明資料の方から伺わせていただきます。
説明の中では、社会情勢の変化によって、数値の変化等が、予算、決算額に差異があるということは、ほぼ理解ができるところであります。
その中でも一点、区部の雑収のところについては、前年度決算額から今年度の予算というものが三分の一以下になっているという一方で、決算額は予算額の二倍程度になっているというところが少し分からなかったので、この二倍になっている理由と、雑収というものはどういったものが含まれるのかということについて教えてください。
○後藤総務部長 雑収の決算額が増えた要因は、予算に見込んでおりませんでした工事に係る違約金や用地売却に伴う差益などが生じたことによるものでございます。
また、雑収には、これらのほか、行政財産の使用に伴う光熱水費などがございます。
○風間委員 雑収というものが、なかなか予測し難いものだということが分かりました。
続いて、多くの委員からももう既に質問がありました浸水対策について、私の方からも少し伺いますが、既に答弁のあったものに関しては省略をさせていただきます。
私の住む世田谷区でも、二〇一九年の台風十九号の被害というものは大きかったわけですけれども、こういった浸水対策については、東京都としても、様々な施設整備等によって、浸水の被害が軽減されるように取り組んでいるということも、よく理解ができたところであります。
そこで、浸水対策の中で施設を整備したことによる成果をどのように評価しているのかということについて、まずは伺います。
○新谷施設管理部長 下水道局では、これまでに七十か所の雨水ポンプ施設や約六十万立方メートルの雨水貯留施設を整備しまして、適切に管理してまいりました。
例えば、令和元年東日本台風では、雨水ポンプ施設が稼働するとともに、和田弥生幹線など八か所の貯留施設が満水となりまして、施設全体の貯留率が約六割に達することによりまして、地域の浸水被害の軽減に大きく貢献いたしました。
○風間委員 特に、重点地区を定めて、そういったところで施設の整備を行ってきたことによって、被害を減少させることに寄与しているということでありますけれども、実際に二〇一九年の台風十九号で、世田谷区は多大な浸水被害を受けたわけですけれども、世田谷区内での浸水対策について伺います。
○袰岩計画調整部長 令和元年東日本台風における世田谷区内の浸水被害の要因は、多摩川の水位上昇に伴う内水氾濫や多摩川からの溢水など、複合的な要因であると検証されております。
下水道局は、令和元年東日本台風の浸水実績などを踏まえるとともに、一時間七十五ミリ降雨の流出解析シミュレーションにより、下水道施設の能力検証を行いました上で、世田谷区野毛地区などを重点地区として追加いたしました。
○風間委員 世田谷区が重点地区として定められているというところに関しては、二〇二三年の経営レポートから見てもよく分かりました。
そこで、重点化した世田谷区内の地区についての進捗状況についても教えてください。
○藤橋建設部長 世田谷区におきましては、八地区が重点化されておりまして、世田谷区玉川地区など三地区で下水道幹線や主要枝線の整備を進めるとともに、世田谷区野毛地区など五地区では、事業化に向けて調査設計を行ってまいりました。
○風間委員 世田谷区内の八つの重点地区のうち、玉川、弦巻、深沢の三地区で事業中となっていることは、このレポートを見ていても確認ができるところであります。
さらに、昨年の決算質疑においては、令和四年度中に、世田谷区の代沢、八幡山、南烏山の三地区で調査設計に着手するという答弁があったことを確認もいたしました。
そこで、残る八件中の二件というのが奥沢と野毛ということになるわけですけれども、二〇一九年の台風十九号で世田谷区内で最も被害が大きかったのは、多摩川溢水による玉川一丁目から野毛を通る下水管の内水氾濫であるというふうに世田谷区も分析をしたわけですけれども、このエリアの対策状況についても詳細に教えてください。
○藤橋建設部長 世田谷区野毛地区につきましては、下野毛雨水幹線流域の増強施設を整備する計画でございまして、令和四年度に、流出解析シミュレーションを活用して、整備手法を検討するなど、調査設計を進めてまいりました。
○風間委員 浸水対策については、こういったハード面の整備だけではなく、ソフト面でもということは、先ほどの質疑でも答弁があったかと思います。こちらの経営計画二〇二一の方にも、DXの推進というところで様々取り組まれているということも確認をいたしました。
その中でも、アメッシュを使ってというような答弁も今日ありましたけれども、これからますます経験のある人たちをどう育てていくか、人材育成ということも重要になってきますけれども、こういった人手不足というような各方面での状況から、AIを活用するということが、これからの時代、求められてくるということかと思います。
先ほどの答弁では、こういったAIを活用している進捗状況についてもお話がありましたけれども、アメッシュ以外でも、こういったAIの活用、何かしていることがあれば教えてください。
○家壽田技術開発担当部長 下水道局で行っています技術開発でございますが、下水道事業が直面する課題や将来を見据えて解決すべき課題に対応するため、計画的に取り組んでおるものでございます。
これまでにも、老朽化した下水道管を更生するSPR工法でありますとか、省エネルギー型の焼却炉など、数多くの技術を開発して現場に導入してまいりました。
AIを含むデジタル技術につきましては、先ほど答弁申し上げたとおりでございます。
○風間委員 昨今の大雨による各地での被害ということは、予測不能というような状況かと思いますけれども、下水道局が世界に誇るシステムを開発しているということが、今回の決算質疑においても、さらに確認することができましたので、引き続きこういった浸水対策については、前に進めていくことを要望しまして、私の質問を終わります。
○大松委員 初めに、北区の浸水対策について質問します。
近年の地球規模の気候変動によりまして、時間当たりの降雨量が五十ミリを超える豪雨の年間発生回数が年々増加しておりまして、大規模水害の危険性が顕在化をしてきております。
そこで、河川の水害対策としては、調節池や護岸の整備が進められておりますけれども、下水道事業におきましても、内水氾濫の対策や、また、排水能力の向上などに向けて、浸水対策のさらなる推進が求められているところでございます。
そこで、下水道局は、重点地区を定めて浸水対策を進めているところでありますので、まず、北区における浸水対策の重点地区の進捗状況についてお伺いいたします。
○藤橋建設部長 北区内では、四地区を重点地区として位置づけておりまして、北区堀船、東十条地区など三地区で幹線や貯留施設の整備を行い、対策が完了してございます。
現在、北区滝野川地区で事業を進めているところでございます。
○大松委員 私が都議会議員に初当選した二〇〇五年頃でありますけれども、集中豪雨のたびに北区の各地域で下水からの浸水被害が頻繁に発生をしておりましたが、これまでに、神谷ポンプ所の整備、また、機能の拡充や貯留管の増設などが進みまして、住民の皆様方の生活実感としても、浸水被害が軽減をしてきていると、このように考えるわけでございます。下水道局の皆様方の地道な取組による成果であると感謝を申し上げるものでございます。
その取組のうち、大きな一区切りとなりますのが、今、答弁でもありましたけれども、北区滝野川で行われております下水道の新設事業であります。
三年前に、この現場も視察をさせていただきましたけれども、シールドマシンが国道一七号線の下を通過する際に、その上を走る首都高速道路の建設残置物が見つかりまして、それをクリアしなければならないなど、様々な困難を乗り越えての工事であったというふうに伺っております。
しかしながら、この地域、集中豪雨のたびに、この付近を流れる石神井川とともに、下水も氾濫をして、多くの床上浸水被害が、これまでにも何度も発生をしております。それだけに住民の皆様方の期待や関心が大変大きい事業でございます。
この北区滝野川地区の浸水対策の進捗状況と見通しについてお伺いをいたします。
○藤橋建設部長 北区滝野川地区では、既設の下水道管の排水能力を補完するため、主要枝線などの整備を進めております。
具体的には、直径の最大が一・六五メートル、総延長約一・二キロメートルの下水道管の整備を進めておりまして、令和四年度までにシールドトンネルの築造がおおむね完了してございます。
引き続き、令和六年度の取水開始に向けて、石神井川に雨水を放流する吐き口管の工事を進めてまいります。
○大松委員 来年度、取水開始に向けてとの答弁でございました。ぜひ、早期に稼働をしていただくように、よろしくお願いを申し上げます。
また、北区で浸水対策が最も強く求められておりますのが、王子、堀船の地域でございます。この地域は、二〇〇五年の集中豪雨で、石神井川とともに下水が氾濫をいたしまして、多くの床上浸水が発生をいたしました。
そして、明治通りの道路上にも水が浸水をいたしまして、車が立ち往生する、こうした事態にもなったところでございます。私が議員になってすぐ、こうした水害がありまして、また、その後も同様の被害が発生をしたような地域でございます。
そこで、河川の溢水防止とともに、下水道の排水能力の強化が求められているところでありまして、この王子ポンプ所に加えて、王子第二ポンプ所の整備が進められているところでございまして、住民の皆様方の期待と関心が、ここも非常に高いところでございます。
そこで、王子第二ポンプ所の進捗状況と見通しについて伺います。
○杉山施設整備担当部長 王子第二ポンプ所では、令和四年度に、深さ約三十メートルのポンプ所地下躯体の整備が完了いたしました。
現在、令和七年度末の完成に向け、ポンプ所の建築工事などを進めているところでございます。
○大松委員 王子第二ポンプ所も、再来年度には完成ということで、いよいよ稼働開始が見えてきているというところでございます。引き続き、工事の安全に留意をしながら、着実に事業を進めていただきたいと思います。
次に、合流式下水道の改善について質問いたします。
私の地元北区を流れる石神井川は、JR王子駅より上流では、川の両岸に遊歩道が整備をされ、桜をはじめとする四季折々の花や緑が豊かに茂りまして、カワセミやカモなどの野鳥も生息をして、地域の皆様方の憩いの場となっているところでございます。
その一方、石神井川の最も下流の部分でありますJR王子駅から隅田川の合流地点までは、潮の満ち引きの影響を受ける感潮河川となっておりまして、臭気対策など水質浄化が課題になっているところでございます。
ちょうどその場所に合流式下水道の吐き口がありまして、雨天時には、汚水混じりの雨水が流入をし、水質悪化の一因になっているということで、住民の皆様方から早期の改善の声が上がっておりまして、下水道局におきましても、石神井川流域での合流式下水道の改善を進めていただいているところでございます。
そこで、この石神井川流域の合流式下水道の改善対策について伺います。
○藤橋建設部長 下水道局では、潮の干満の影響により水が滞留しやすい河川区域や水門に囲まれた運河等の閉鎖性水域など十四の水域について、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備などを進めることとしておりまして、石神井川は、その水域の一つに位置づけてございます。
これまで、石神井川流域における対策としましては、下水道から河川に雨水を放流している全ての吐き口百三十九か所に、ごみなどの流出を抑制する水面制御装置などの設置が完了しております。
加えまして、北区王子本町付近に貯留量約六百八十立方メートルの降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を整備し、稼働させてございます。
現在は、王子第二ポンプ所、北区栄町、十条台の三か所で合計約二万一千立方メートルの貯留施設の整備を進めているところでございます。
○大松委員 この北区栄町で整備が進められております貯留施設は、先ほど、水質改善が重要課題になっておりますJR王子駅に近い石神井川の最下流域にございまして、住民の皆様方が大変注目をしております。
そこで、北区栄町の貯留施設の令和四年度末の整備状況について伺います。
○藤橋建設部長 北区栄町では、直径二・四メートル、延長八百メートル、貯留量で約三千四百立方メートルの雨水貯留管を整備するとともに、約一千二百立方メートルの雨水貯留池、合わせて貯留量約四千六百立方メートルの貯留施設を整備する計画でございます。
これまで、雨水貯留管及び雨水貯留池の整備に向けて、北区栄町にある当局作業用地の整備工事などを行ってまいりました。
令和四年度には、雨水貯留管の整備に必要な立て坑の築造を進めたところでございます。
○大松委員 この立て坑用地は、埋蔵文化財が出現したこともあり、工事の着手までに大変時間を要したと聞いております。様々ご苦労があるかと思いますが、早期稼働に向けて着実に整備を進めていただきたいと思います。
次に、先ほど答弁にもありましたが、下水道局は、石神井川の上流の流域に当たる北区十条台においても、貯留施設の整備を進めております。
そこで、北区十条台の令和四年度末の整備状況について伺います。
○藤橋建設部長 北区十条台では、直径の最大が一・五メートル、総延長約二キロメートル、貯留量約二千三百立方メートルの雨水貯留管を整備するとともに、北区立十条公園内に約一千三百立方メートルの雨水貯留池、これらを合わせまして約三千六百立方メートルの貯留施設を整備する計画でございます。
令和四年度末までに、雨水貯留管の約七割を整備したところでございます。
○大松委員 ぜひ着実に進めていただくようお願いをしておきます。
一方、経営計画二〇二一には、北区の浮間水再生センターにおいても、新河岸川水域の合流式下水道の改善対策を進めると記載されております。
そこで、浮間水再生センターにおける合流式下水道の改善の進捗状況について伺います。
○杉山施設整備担当部長 浮間水再生センターでは、約七万六千立方メートルの貯留施設を整備する計画となっており、これまでに約三万八千立方メートルの降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設などが整備され、稼働しております。
残る約三万八千立方メートルの貯留施設の整備に当たりましては、既設の施設の一部を活用することから、令和四年度には、必要な施設の整備を実施いたしました。
○大松委員 浸水対策、合流式下水道の改善、いずれも重要な事業でございます。
引き続き着実に事業を進めていただくように要望いたしまして、質問を終わります。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。よろしくお願いいたします。資料のご提出をありがとうございました。
下水道局の事業は、都民の日常生活を支える上で欠かせないライフラインを担い、災害時においても、その役割を欠くことなく果たしていくことが求められる重要なものです。誰もが安心できる衛生的な環境を将来にわたって保障していくためにも、その公的な役割がますます重要になってきていると思います。
その視点から、今回は、下水道管の耐震化と施設の上部利用と住民との対話、そして、包括民間委託について伺います。
まず、下水道管の耐震化について伺います。
下水道局では、災害時の下水道機能を確保するために、避難所などの災害時に人が集まる施設や災害復旧拠点における対策を進めてきました。
首都直下型地震は、今後三十年の間に七〇%の確率で起こるといわれてから久しい中で、そのリスクへの対応は喫緊の課題です。
下水道局では、経営計画二〇二一の五か年計画の中で、さらに一時滞在施設や災害拠点連携病院などを対象に追加して対策を行っていますが、その取組はますます重要なものになっています。
まず、これらの施設の排水を受ける下水道管の耐震化を実施した施設数について、二〇二二年度の実績と、これまでの累計について伺います。
○藤橋建設部長 令和四年度における下水道管とマンホールの接続部の耐震化につきましては、百六十八か所の施設で対策を実施いたしました。
これにより、累計四千七百八十六か所で対策が完了いたしました。
○斉藤委員 この下水道管の耐震化を実施した施設数について、資料要求の五ページにも出していただいております。昨年度、二〇二二年度は百六十八か所ということですが、これまでの五年間の単年度ごとの実績と比べると、その数は少なくなっている状況です。
事前に伺いましたけれども、今回の経営計画を策定する中で、対象施設に一時滞在施設や災害拠点連携病院を加えたことで、新たな調整や工事の設計に時間がかかったという事情もあったということですが、五か年の目標達成のために取組の強化が必要です。
二〇二五年度までの五か年の施設数の目標の累計五千五百十五か所に向けて、今年度も含めた三年間で残りの七百二十九施設の下水道管の耐震化を実施するためにも、昨年度よりもピッチを上げていくという必要があります。
この目標に向けて、今後はどの施設に対して耐震化対策を行っていくのか、どこの施設に対して耐震化対策を行っていくのか、その検討は行われているのか伺います。
○藤橋建設部長 下水道管の耐震化は、避難所など震災時に人が集まる施設や災害復旧拠点などの排水を受け入れる下水道管を対象に対策を進めてまいりました。
令和七年度末までの実施予定施設については、区の地域防災計画なども踏まえて、既に検討を行ってございます。
○斉藤委員 区の地域防災計画なども踏まえて、既に検討しているということですけれども、目標達成に向けて着実に対策を進めていただきたいというふうに思います。
災害時に都民の命を守るために、下水道管の耐震化の取組を強化していくためには、避難所などを定める区との連携が大切です。下水道局では、区とどのように情報共有を行っているのか伺います。
○新谷施設管理部長 下水道局は、各区と情報共有しながら、各区が指定した避難所などにおける下水道管とマンホールの接続部の耐震化などを進めておりまして、工事の実施や完了を各区に報告してございます。
○斉藤委員 各区が指定する避難所などの施設の下水道管の耐震化を行うため、区との連携は必須ですけれども、私は、日頃から衛生的な下水の環境確保を担っている下水道局として、もっと積極的な役割を果たしていくことができるのではないかと思っています。
私は、以前の質疑で、災害時快適トイレ計画を策定している徳島県の取組について取り上げましたが、県が市町村と連携しながら、災害用トイレの備蓄のほか、主要な避難所のマンホールトイレや地下貯水槽の整備を県が進めていくということが明記されていました。
災害時用トイレには、マンホールトイレのほかにも、簡易トイレや安心トイレなど様々なタイプがあり、各区が、それぞれの状況に応じて、必要なトイレ数の確保に取り組んでいるところですけれども、下水道局はそうした各区の状況を集約できる立場にもあるのではないかと思います。他県の先進例にも学びながら、都の関係局とも連携し、各区の取組をそれぞれが共有できるようにして、対策の底上げにつなげる役割を果たしていくことを求めます。
都は昨年、二〇二二年五月に、首都直下型地震等による東京の新たな被害想定について発表しています。今後は、この新しい被害想定に合わせて取組の強化も必要だというふうに思います。
その被害想定の中で、下水道の管渠被害率が明らかにされ、公表されていますが、都心南部直下地震の場合には、二十三区の中でも、足立、葛飾、荒川、墨田、江戸川、江東の東部の六区と大田、品川、港、目黒、渋谷、世田谷の南部の六区の管渠被害率が、五%から一〇%と高くなっています。
多摩東部直下地震では、西東京市と八王子市に加えて、二十三区の東部が、やはり高い管渠被害率になっています。
今後は、そうした地域を優先に管渠やマンホールの耐震化を行っていくことも必要だと考えますが、いかがですか。
○袰岩計画調整部長 下水道局では、地元区と調整しながら、震災時に人が集まる避難所や災害拠点病院、一時滞在施設など、対象施設を重点化して下水道管の耐震化に取り組んでおります。
○斉藤委員 現在の計画での取組内容についてのお答えでしたけれども、まだ目標に届いていない取組について、着実に行っていくということはもちろんですけれども、優先順位のつけ方、さらに、次の計画の策定に当たっては、これらの管渠被害率の値を参考にして取組の強化を図っていくことが必要ではないかと思います。
実際に、私の地元の足立区では、この新しい想定で示された管渠被害率から、必要な災害時用のトイレの数を算出して、その確保を目指していくというふうに対策をしています。
下水道局においても、さらなる耐震化の取組に管渠被害率の高い地域を念頭に置いた対策をしていただくよう求めるものです。
次に、下水道施設の上部利用と工事における住民との対話について伺います。
下水道施設は、衛生や浸水対策においても都民にとって欠かせない施設ですけれども、近隣の住民の方々からは迷惑施設として捉えられることも少なくありません。だからこそ、近隣の住民の方々には丁寧な説明を行い、要望を伺っていくことが大切です。
足立区では、現在、浸水対策の一環として千住関屋のポンプ所が建設中ですが、この工事の説明や上部利用について、住民への説明会などの、これまでと昨年の実施状況について伺います。
○杉山施設整備担当部長 千住関屋ポンプ所におけます地元説明会などにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響などにより実施しなかったこともございますが、これまでに年に複数回実施してきており、直近では令和四年十二月に実施いたしました。
○斉藤委員 説明会等ということですけれども、これまでに年複数回行って、コロナ禍では実施しなかったこともあるけれども、直近では昨年十二月に実施しているということです。
私も今回改めて住民の方々からお話を伺いました。以前から聞いていたこともありますが、最近の新たな疑問など、いろいろお声をいただきました。
まず、工事が始まる当初のことですが、この工事は、地中深く、地下五十メートル以上から土を掘り出してポンプ所を造るため、大量の土砂の搬出のために、近隣では、運搬車両の振動や土ぼこり、砂ぼこりなどの心配の声が上がっていました。
周辺の住民から、これらの対策をしてほしいという声が届けられてきましたが、どのような対策を行ったのか、改めて伺います。
○杉山施設整備担当部長 千住関屋ポンプ所の建設に当たりましては、地元と協議をし、建設発生土の搬出方法について、船を使った搬出とするなど、対策を実施いたしました。
○斉藤委員 ポンプ所は隅田川沿いにあるため、建設発生土は船で運ぶという対策を行ったということです。これによって、工事車両の往来を大きく低減することができてよかったという声を住民の方々からいただいています。住民の皆さんの声に寄り添って、可能な対策をしていただいたことに改めて感謝をいたします。そして、今後も同様に住民の方々の声を聞いていただきたいというふうに思います。
工事は二〇二五年度まで続き、ポンプ所の稼働は二〇二六年度からということですが、現在も、また住民の方々からの新たな声が届いています。
例えば、ポンプ所に必要な電源を確保するために行った区道での電線の敷設のための工事において、プラタナスの並木が、樹木が、街路樹が伐採されたということです。この街路樹は復旧してもらえるのかと心配する声がありました。
直接的には区や東京電力が行っていることかもしれませんが、下水道施設のために行われている工事だということなので、下水道局としても、状況をつかんで、住民に説明や情報提供を行えるようにしていただきたいというふうに思います。
また、施設の上部利用についても、詳細が決まってしまう前に要望を伝える機会はないのかという声もいただいています。上部の整備については区が行うというこれまでの質疑もありましたけれども、施設の所有者として、都も連携して、区と共に直接住民の声を聞く機会をつくっていただきたいと思いますが、今後の住民との対話の機会、説明会などの実施予定について伺います。
○杉山施設整備担当部長 千住関屋ポンプ所につきましては、これまで、地元説明会を年に複数回実施するなど、地域の皆様からご意見、ご要望をいただきながら工事を進めてきており、今年度につきましても、地元説明会等を実施する予定としております。
また、本ポンプ所の上部の一部につきましては、足立区からの要望等を踏まえ、区が維持管理をすることを前提に、上部利用の協議を進めているところであり、具体的な整備方針等は区が検討を進めております。
○斉藤委員 今年度に地元説明会等を実施する予定というご答弁でした。
足立区の担当部署の方にも伺いましたが、やはり足立区でも説明会を開く必要があると認識しているようでした。ぜひ、区と連携して、一緒に説明会を開き、広く住民に開かれた機会をつくっていただきたいというふうに思います。
同じく足立区にある下水道局の施設について伺います。
足立区の中川水再生センターでは、隣接する土づくりの里の建設が続いていますが、昨年度までの進捗状況と今後の工事のスケジュールについて、改めて伺います。
○杉山施設整備担当部長 土づくりの里では、二分割で覆蓋工事を進めており、令和四年度には、敷地の造成工事などを進めました。
現在、当初予定の令和十二年度に第一期の覆蓋工事を完了できるよう、工事進捗に努めております。
○斉藤委員 土づくりの里には、私も、前期の最初のときに一度、施設の中まで伺っていますけれども、とても広い敷地で、覆蓋工事は二期に分けて行われること、また、第一期目の覆蓋工事の完了予定が二〇三〇年であり、第二期の完了予定はいつなのかということは、まだ明らかになっていないということで、とても工期の長い工事になっています。
やはり建設に当たっては、近隣の住民の方々からは反対の声があり、当初は暫定として事業が始まったというふうに聞いていますが、本格設置を決める際には、近隣の方々に少しでも貢献できる施設にしようと、隣接する都立中川公園と一体的に利用できる上部利用についての話合いが行われてきたとされております。
それぞれにご苦労があったことと思いますけれども、今後の住民の方への丁寧な対応を引き続きお願いしたいというふうに思います。
この工事は本当に工期が長いため、従来から住んでいる方々には周知されていることでも、そもそも何の施設なのかと聞かれることもあります。工事で発生した土を埋め戻すために再利用する、このために改良を行う施設ですけれども、基本的なことについて再確認をしたいと思います。
現在は工事中のため、土の改良の作業自体は行われていないと思いますが、土づくりの里で改良が行われていた建設発生土はどのようなものか、下水道工事以外で出た建設発生土も含まれるのか、また、それらの土質検査はどのように行われていたのか、改めて伺います。
○杉山施設整備担当部長 土づくりの里におけます建設発生土は、下水道工事に伴い発生したものでございます。
下水道局は、一件工事で五百立方メートル以上の建設発生土を搬入する工事を対象として、土壌汚染対策法に基づき、搬入者に有害物質に関する土質試験を義務づけるなど、有害物質が含まれていないことなどの条件を満足する建設発生土について受入れをしておりました。
○斉藤委員 建設発生土を搬入する事業者に対して、土壌汚染対策法に基づく土質試験を義務づけていて、有害物質が含まれていない土を受け入れているということです。今後も安全については最大の配慮を行っていただきたいというふうに思います。
この最後の完成までには何年かかるか分からないという工期の長い工事のため、近隣の住民や町会に関わる方々も替わっていく状況もあるかと思います。今後の住民との対話も定期的に丁寧に行っていく必要がありますが、今後の説明会などの機会について、どのように予定されているのか伺います。
○杉山施設整備担当部長 これまで、土づくりの里に関しましては、地元説明会を実施するなど、地元の皆様から様々なご意見、ご要望をいただき、事業を運営してまいりました。
覆蓋工事につきましても、これまでと同様に地元説明会を実施するなど、丁寧に対応してまいります。
○斉藤委員 長い期間にわたっての工事ですので、住民の声を定期的に丁寧に聞き、地元区との調整や連携を行いながら、引き続き住民の方々に寄り添う対応をしていただくよう求めます。
最後のテーマですけれども、包括民間委託について伺います。
下水道局では昨年、二〇二二年度から、五年契約の包括委託が落合水再生センターと清瀬水再生センターで初めて導入され、今年で二年目となっています。
落合水再生センターは、政策連携団体の東京都下水道サービス、TGS、そして、清瀬水再生センターは三菱プラントやメタウォーターなどのJV、共同事業体へ包括委託となっております。
昨年度の経営レポートには、東京にふさわしい下水道施設運営手法として、安定性、経済性の確保や、技術力、技術開発力の維持向上の視点から、水再生センターの水処理施設の運営手法について検討を行い、水再生センターの水処理施設への包括委託の導入など、今後の取組方針を定めたというふうに記されております。
下水道事業は、将来にわたり安定的に運営していくことが求められていますが、果たして包括民間委託が、公共性の高い下水道事業にとって本当に効率的なものなのかどうか、私たちは、都民の目線からチェックしていく必要があると思います。
昨年度の事務事業質疑でも取り上げさせていただいていますが、導入から一年が過ぎた現在においての状況と併せて質問いたします。
まずは、基本的なところから伺っていきます。
令和四年度、二〇二二年度の落合水再生センターと清瀬水再生センター、それぞれの包括委託業務の評価について伺います。
○新谷施設管理部長 令和四年度につきましては、落合水再生センター、清瀬水再生センターともに、年間を通しまして設備の適切な運転管理が行われ、放流水質や施設の健全度などの契約基準が遵守されておりまして、安定的に運営されてございます。
○斉藤委員 包括委託では、仕様書に基づく業務委託ではなく、要求水準を満たしていればよいとする性能発注になっていますが、要求水準を満たしていることを確認するためのモニタリングは、誰がどのように、どのような頻度で行うのか伺います。
○新谷施設管理部長 水再生センターの当局職員が、日報や月報などに基づきまして、下水処理量や処理に要する電力、薬品の使用量、放流水質の確認など、日常的に履行監視を実施してございます。
○斉藤委員 事前に詳しく伺いましたけれども、両センターには別の業務で常駐している局職員がいて、電力や薬品の使用量や放流水質などの確認を日常的に行っているということでした。
令和四年度、二〇二二年四月からこれまでの間のモニタリング結果について伺います。
○新谷施設管理部長 昨年四月以降、設備の適切な運転管理が行われまして、放流水質基準などの契約基準は遵守されてございます。
○斉藤委員 続けて伺います。
この委託では、要求水準を満たせば、やり方は問わないという性能発注方式による委託に変わっていますが、この委託の中で、局直営だったときと業務の仕方が変わっているものはあるのか伺います。
○新谷施設管理部長 包括委託の導入後、一年間、落合水再生センター、清瀬水再生センターともに、運転管理や保全管理等の業務は、局直営だったときと比べて、基本的には同様の方法により行われております。
さらに、受託者の創意工夫としまして、令和四年度に、TGSでは、維持管理の高度化、効率化を図るため、水再生センター内を三百六十度カメラで撮影した画像を活用し、机上でも現場の状況を確認できるツールを作成し、導入いたしました。
○斉藤委員 受託者の創意工夫を加えながら、基本的には局直営だったときと同様の方法によって行われているということですが、この中で新しい運営の手法も始まっているということです。
この間、ちょっとまとめて伺ってまいりましたが、契約期間の一年目においては、問題なく、局直営のときと基本的には同じやり方で運営されている、また、新しい手法による運営も行われているということです。
全国の都市部でも、下水道事業や水道事業に包括民間委託やコンセッションが導入される事例が出てきていますが、問題は、導入してから年数が経過する中で、どのような変化が起きるのか、また、災害時にリスク分担が機能するのか、市民生活に影響が及ばないのかなど、課題が多く、さらに長年の契約の中で、新しい手法やそのノウハウ、技術などが公的に継承していくということが、まさに難しくなっていくということが指摘をされています。
下水道局の場合は、TGSとのグループ経営の中で、人材交流なども行っていくということですが、TGSから教えてもらわなければ局内ではノウハウや技術が継承できないという事態になっていくのではないでしょうか。
さらに、経済的視点から伺っていきます。
昨年の質疑において、両センターの包括委託の契約金額についてご答弁がありました。落合水再生センターは、政策連携団体であるTGSと百六億八千二百万円、そして、清瀬水再生センターは、三菱プラントやメタウォーターなどのJV、共同事業体と八十一億二千九百万円で契約をしているということでしたが、これらの金額を妥当、あるいは適切と判断した根拠について伺います。
○新谷施設管理部長 積算金額は、公益社団法人日本下水道協会が発行する下水道施設維持管理積算要領や、当局が実施しております業務委託の実態調査の結果を踏まえ算出しておりまして、契約金額は妥当と考えております。
○斉藤委員 続けて伺います。
昨年の質疑では、両センターとも、運転管理業務、保全管理業務、薬品、電力等の管理、日常試験等の水質管理業務などを業務範囲としているということでしたけれども、包括委託にする前の同業務のこの五年間の経費は幾らだったのか伺います。
○新谷施設管理部長 これまで、局職員が行っていた業務には、関係自治体との調整や、お客様対応など、委託した業務以外の業務を含んでおりまして、包括委託している業務のみを切り離して経費を算出することは困難でございます。
○斉藤委員 比較はできないというご答弁です。
さらに伺います。
昨年の事務事業質疑で、受託事業者に設定されるインセンティブについて取り上げましたが、これは、受託事業者がコスト削減を行った分は、インセンティブ、つまり受託事業者の利益とされるものです。
この契約において、どのくらいのコスト削減があったのか、つまり、受託事業者の利益、インセンティブは、どの段階で確認するのか、また、TGSでも、民間企業のJVでも、それが明らかになるのか伺います。
○新谷施設管理部長 包括委託における費用面の効果は、包括委託が終了した時点で検証してまいります。
本契約におきましては、受託者に対してインセンティブの提示は求めておりません。
○斉藤委員 受託事業者に対してインセンティブの提示は求めないということです。つまり、受託事業者がどれだけ利益を得ているのか分からない、その結果は求めないということになります。
先ほどのご答弁では、これまでの事業費と包括委託による契約金額の比較もできないということでした。
さらに、この受託事業者が、創意工夫によって、どれだけ経費を縮減して経済的効果を上げたのかも分からない、これでどうやって、この包括委託の評価ができるんでしょうか。
評価の指標は、経済的効率性だけではないということもあると思いますが、下水道局が包括民間委託を導入する際に掲げている経済性の確保は、どうやって測ることができるんでしょうか。この認識について伺います。
○新谷施設管理部長 包括委託の評価は、五年間の契約期間全体にわたる実施体制、運転管理業務、保全管理業務等の履行状況等を総合的に踏まえて行う予定でございます。
費用面の効果につきましても、その中で検証してまいります。
○斉藤委員 総合的に判断していくということですけれども、費用面をどうやって判断できるのかなということが全く明らかにならないわけですね。
さらに、昨年の質疑では、このインセンティブについて、公益社団法人日本下水道協会がまとめたガイドラインによって、運転管理の効率化などにより、維持管理コストの削減等が達成された場合には、受託者へのインセンティブとして業務委託費を削減しないことを検討するとされており、本契約でも、維持管理コスト等の削減した費用については、そのインセンティブとして受託者の利益としているという施設管理部長からのご答弁がありました。つまり、受託事業者の利益を守ってあげるという仕組みです。
都民の下水道の利用料金を原資として行う事業で、包括民間委託の事業の中で経費の縮減が行われても、それは事業者の利益になるだけで、都の下水道事業には直接返ってこないものになります。公共の事業の在り方として、根本が問われるものではないでしょうか。
受託事業者の中で、その利益は、高額の役員報酬に回るのか、内部留保になるのか、株主への配当に回ってしまうのか、行き先は分かりません。
一方で、昨年の質疑でただしましたけれども、局直営の事業において、局職員の皆さんの創意工夫によって削減されたコストは、どのように活用されていくのか、この問いに対して、局でこれまで培ってきた知識や経験を活用しながら、新たな技術の開発、導入などにより、建設、維持管理コストの縮減に取り組むことで持続可能な財政運営を図っているという企画担当部長からのご答弁でした。
つまり、局直営の事業の中で、創意工夫により経費の節減を行えば、それは直接下水道事業に還元できるということです。設備の大規模改修も含めた設備投資に回したり、災害時のリスクに備えるために活用することもできます。
民間包括委託では、幾らコスト縮減が達成されても公表されず、局の下水道事業には直接還元されません。利益がどのように使われているのか、それを問われたのが、二〇二一年度に政策連携団体のTGSを対象に行われた包括外部監査の報告です。
令和三年、二〇二一年に行われた包括外部監査報告で、TGSの令和二年度、二〇二〇年度決算において、累積で五十四億円に上る利益剰余金について指摘がありました。利益剰余金について、税の支払いや内部留保、株主への配当原資に充当されることとなり、下水道使用料金の適正な算定の見地から検証する必要があるという指摘でした。
これを受けて、TGSは、外部有識者を交えた検討会を設置し、繰越利益剰余金の適正水準や活用等について検討しているということでしたけれども、昨年行われたこの検討結果について、どのようになっているのか、改めて伺います。
○後藤総務部長 TGSでは、令和三年度の包括外部監査での意見を踏まえ、法務や財務などの外部有識者や局職員で構成された検討会を令和四年度に設置し、繰越利益剰余金の在り方について議論いたしました。
その中で、繰越利益剰余金の使途明確化を図るため、TGSの安定的な事業運営や、さらなる成長と、東京都の環境、社会の課題解決の貢献に資する目的積立金として積み立てることとされております。
○斉藤委員 繰越利益剰余金の使途明確化を図り、東京都の環境、社会の課題解決の貢献に資するように目的積立金としていくというご答弁が先ほどもありました。下水道という公共の役割を担う事業として、これは当然のことと思います。
今後も確認していくことが重要ですが、TGSの場合は、都の政策連携団体だからこそ、この場で全体の利益剰余金が明らかになり、このように都民に公開される場でチェックすることができます。
しかし、それでも、包括委託の一つの事業の中では、どれだけ利益を上げたのかは局としては求めないというご答弁が先ほどありました。局直営の事業よりも不透明になっていくということが明らかではないでしょうか。
ましてや、清瀬水再生センターの受託事業者は民間企業の共同事業体であり、情報はさらに秘匿され、都民の前に明らかにならないものになります。こうした委託の在り方は、事業の公共性や透明性を阻害するものであることを改めて指摘いたします。
最後に、資料要求の中から、TGSのこれまでの法人税等と株主配当について触れたいと思います。
資料の最後、七ページ目、ここに示していただいておりますけれども、過去十年間の法人税及び住民税及び事業税、これは、局直営の事業なら払わなくても済むものですけれども、この金額の総額、十年間で約四十五億六千万円にも上ります。株主配当は六千万円です。
これらの支出は、局直営の事業なら発生しないコストだということを昨年の質疑でもただしましたけれども、下水道局は、これを否定されませんでした。
世界の事例からも、民間による運営では、法人税や株主配当、過大な内部留保や役員報酬など、公の事業なら支出する必要のないコストがかかり、かえって高コストになるということが明らかにされています。特に欧州などの先進国では、上下水道や鉄道なども、そうした中から公営に戻すという流れが続いています。
今回の質疑で、包括民間委託では、経費節減の実績が明らかにならず、さらに、それは民間事業者のもうけになり、下水道事業には還元されないものになるということが明らかになりました。
都民の生活に欠かすことのできないライフラインである下水道事業を将来にわたって安定的に運営するためには、公的に責任を果たし、技術の継承も局直営の中で行っていくことこそ求められます。
包括民間委託の根本問題について改めて検討し、局直営の事業を堅持していくことを求めて、質問を終わります。
○古城委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古城委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後三時三十八分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.