令和三年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

令和四年十月二十四日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長小松 大祐君
副委員長中田たかし君
副委員長慶野 信一君
副委員長清水やすこ君
かまた悦子君
星  大輔君
保坂まさひろ君
原  純子君
本橋たくみ君
藤井とものり君
あぜ上三和子君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長河内  豊君
管理部長松田 健次君
事業部長前田  豊君
市場政策担当部長渡邉 貴史君
渉外調整担当部長北島  隆君
財政調整担当部長萩原 功夫君
環境改善担当部長萩原 清志君

本日の会議に付した事件
令和三年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・令和三年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○小松委員長 ただいまから令和三年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松田管理部長 去る十月十七日の当分科会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます令和三年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 資料は、全部で四項目ございます。
 恐れ入ります。一ページをお開き願います。1、令和三年度における豊洲市場の地下水質、空気調査結果等でございます。
 (1)、地下水質、空気調査結果につきまして、一ページに地下水質調査結果の概要、一枚おめくりいただきまして、二ページに空気調査結果の概要をお示ししてございます。
 三ページをご覧ください。地下水質及び空気調査箇所をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。こちらのページから八ページにかけまして、地下水質及び空気調査結果の詳細をお示ししてございます。後ほどご覧いただければと存じます。
 九ページをご覧ください。(2)、地下水位測定結果についてでございます。
 こちらのページに地下水位測定箇所を、一枚おめくりいただきまして、一〇ページから一二ページにかけまして、豊洲市場五街区から七街区の測定結果についてお示ししてございます。
 一三ページをお開き願います。2、十一市場の耐震改修等工事費及び修繕工事費の推移、過去十年間でございます。
 市場ごとに耐震改修等工事費及び修繕工事費の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。3、豊洲市場における生鮮食料品の取扱数量及び金額の推移、令和元年度分、令和二年度分及び令和三年度分でございます。
 過去三年間の取扱数量及び金額を、水産物と青果物に分けてお示ししてございます。
 最後に、一五ページをご覧ください。4、平成二十四年度以降に発行した企業債と元金償還金の推移でございます。
 表頭にありますように、平成二十四年度以降に発行した企業債を新規債と借換債ごとに、また、元金償還金につきましても、豊洲市場分とそれ以外の市場分に分け、令和十二年度までの状況を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋委員 令和三年度は、令和二年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた一年であり、飲食店の営業時間短縮などの影響を受け、その仕入先である卸売市場も大きな影響を受けたものと考えております。
 また、昨年の秋頃から始まった物価上昇は、今年二月のロシアによるウクライナ侵攻開始や、その後の急激な円安を背景に、さらに加速化し、現時点においても、都民の生活に大きな影響を与えております。このような中で、生鮮食品を適正な価格で安定的に供給する卸売市場の役割は重要であり、以上のような背景を踏まえた上で、令和三年度決算の内容について確認してまいりたいと思います。
 まず初めに、令和三年度中央卸売市場会計の決算の特徴について伺います。

○松田管理部長 令和三年度中央卸売市場会計決算につきまして、まず、収入面においては、営業収益の半分以上を占める施設使用料は、施設使用者数に大きな変動がなかったことから、令和二年度とほぼ同額でございました。
 その一方で、卸売業者の売上金額に応じて賦課する売上高割使用料は、コロナ禍によって大きく減少した令和二年度からは持ち直し、三・七%増となりました。
 これらに雑収益を加えた営業収益全体は、令和二年度とほぼ同額となってございます。
 次に、支出面におきましては、市場における感染防止対策はもとより、コロナ禍などの環境変化に迅速かつ柔軟に対応できる強靭な中央卸売市場づくりを進めるため、市場業者の意欲ある取組を後押しするための事業を推進いたしました。
 また、市場の機能強化を図るために、市場施設の整備工事を実施するとともに、施設の老朽化等に適切に対処するために、施設や設備の更新工事等を実施いたしました。
 経常収支の赤字という傾向が続く中にありましても、市場を取り巻く環境変化に対応するために必要な事業を着実に実施するとともに、安定的な事業執行に必要な収入の確保を図ったところでございます。

○本橋委員 令和三年度決算会計においては、会計の安定性を確保しつつ、市場業者の置かれている厳しい経営環境に即して必要な対策を行っていることが分かりました。市場業者の経営環境にも、やはり長引く新型コロナウイルス感染症が大きな影響を与えているものと考えています。
 新型コロナウイルスについては、令和二年一月に、国内で最初の感染者が確認されて以降、感染者数が減少したとはいえ、依然として感染者が絶えない状況にあります。
 令和三年度は、年度当初、四月下旬には、国から三回目の緊急事態宣言が発令されたほか、第四波、第五波、第六波と感染拡大の波が繰り返されるなど、コロナの影響が大きい一年でありました。
 このようなコロナ禍にあっても、中央卸売市場は、都民に生鮮食品等を安定的に供給する役割を果たすことが求められ、これを担う市場業者の方々には、生活に欠かせないエッセンシャルワーカーであるとの認識が改めてなされたものと思います。こうしたことから、市場業者の感染対策は、卸売市場の事業継続を確保する観点から、非常に重要であるものと考えます。
 そこでまず、令和三年度の市場における感染拡大防止の対応状況及び感染状況について伺います。

○前田事業部長 中央卸売市場は、新型コロナウイルスが感染拡大する中にあっても、都民に生鮮食料品等を安定的に供給する役割を果たしていく必要がございます。
 そのため、開設者である都と市場関係者の方々が一体となって、マスクの着用、消毒などの基本的な感染対策の徹底に取り組むとともに、相互に情報共有を図りながら、ワクチン接種の推進など、複合的に対策を実施し、市場内での感染拡大防止に努めてまいりました。
 しかしながら、こうした感染対策を徹底したにもかかわらず、市場関係者の感染者数は、都内における感染拡大の傾向に合わせて増加いたしました。
 具体的な感染状況でございますが、令和三年四月から令和四年三月までの一年間での感染者数の累計は一千四百九十九人であり、感染者数の多かった月は、第五波のピーク期である令和三年八月の三百五十六人と、第六波のピーク期である令和四年二月の四百五十七人でございました。

○本橋委員 本当に、この間、多くのご苦労があったものと感じておりますが、しかしながら、事業継続を何とか確保することができたのだと思います。
 いずれにしても、感染予防には、一人一人の自律的な取組が必要不可欠であります。
 しかしながら、中小企業や個人事業主が多い市場業者の方々は、そのノウハウにも乏しく、実行段階でも費用の捻出に苦労されていることは想像に難しくなく、都のサポートが必要であるものと考えます。
 そこで、感染防止対策に取り組む市場業者等への支援について伺います。

○前田事業部長 都では、感染防止対策をより一層推進するため、デルタ株による急速な感染拡大が見られた令和三年八月以降、複数の感染者が判明した事業者に対しまして、自主検査の実施を促進するとともに、感染拡大防止に向けた業界団体との取組を、中央卸売市場強靭化推進事業により積極的に後押しをしております。
 具体的には、業界団体等が行うスクリーニング検査、非接触体温測定器やCO2濃度測定器の導入、感染防止策の徹底を喚起する場内関係者向けのチラシの作成などの取組に要する経費の一部を補助しました。
 また、業界団体が実施する職域接種の円滑な実現に向けたサポートや、全市場の事業者を、都庁などの会場で実施されているワクチン大規模接種の対象とし、関係局と調整の上、事業者にアナウンスをするなど、ワクチン接種を促進いたしました。

○本橋委員 市場業者の自律的取組を引き出しながら、都と一丸となって取組を進め、市場機能の維持が図られてきたものだと考えますが、令和三年度は、感染拡大の波に伴い、都内においても、緊急事態措置や蔓延防止等重点措置が繰り返し発令され、社会経済活動の制約が多い一年でありました。
 行動制限に伴う需要の減少などにより、都内の小売店なども厳しい経営状況に直面したため、卸売市場における生鮮食品等の取扱金額にも大きな影響があったのではないかと思われます。
 特に、飲食店やイベント関係などの業務用については、行動制限の影響が強く現れると思われるため、水産物など、品目によって、その影響の大きさには差があったのではないかと推察がされます。
 そこで、令和三年度における品目別でのコロナ禍の市場取引への影響について伺います。

○前田事業部長 水産物については、前年度と比べて、取扱金額は九・〇%増加しており、前年度は、コロナの影響で活魚をはじめとした業務用需要の減退による取扱金額の減少が大きかったことから、その反動として増加に転じたと考えてございます。
 青果については、前年度と比べて、取扱金額は一・九%減少しており、前年度は、巣籠もり需要等により取扱金額が増加した反動として減少に転じたと考えております。
 食肉については、前年度と比べて、取扱金額は六・四%増加しており、前年度に外食自粛などで減退した業務用需要の回復などにより取扱金額が増加したと考えております。
 花きについては、前年度と比べて、取扱金額が一二・六%増加しており、前年度にイベント自粛などで減退した業務用需要の回復などにより取扱金額が増加したと考えております。

○本橋委員 品目によっては、需要の回復が見込まれたということでありました。
 卸売市場の事業継続を確保していくためには、生鮮食品等の安定的な供給はもとより、魅力ある商品を生み出し、需要を喚起していく取組も必要であると思います。
 そこで、次に、市場業者の取組を促すために都が行ってきた支援について伺います。
 都においては、市場業者の経営をしっかりと下支えすることはもちろんのこと、市場業者の変革に向けた取組を引き出し、かつ、後押しをしていくことが求められるのではないかと考えます。
 そこでまず、令和三年度における市場業者の経営支援策の特徴について伺います。

○前田事業部長 卸売市場の機能を将来にわたり持続可能なものとしていくためには、感染症の影響によって売上げが減少するなど、厳しい経営状況にある市場業者を支援することはもとより、急速に進展するデジタル化や多様化する消費者ニーズへの対応など、環境変化に即した市場業者の取組を引き出し、かつ、しっかりと後押しすることが重要でございます。
 そのため、令和三年度におきましては、これまでの施策に加えて、公認会計士等の専門家と連携し、経営セミナーを開催するなどの情報発信に取り組み、市場業者の行動変革に向けた機運醸成を図るとともに、その取組に要する経費の一部を補助することなどにより、課題の発見を促し、その解決までを円滑に支援できる環境を整えました。

○本橋委員 厳しい経営状況にある市場業者の支援に加え、市場業者の環境変化への対応を促すべく、経営力強化に向けた取組の必要性を認識してもらうことから、その取組の実行に要する経費の補助まで、一貫した支援体制を整えたことが大きなポイントであると確認をできました。
 それでは、支援の内容について、より具体的に伺ってまいりたいと思います。
 先ほども申し上げたとおり、令和三年度は、厳しい経営状況にあったのではないかと考えます。中小企業者や個人事業主が多い市場業者は、売上げの低迷により、使用料や光熱水費等の固定費が大きな負担となって、日々の資金繰りに窮している状況にあるのではないかと思います。
 そこで、コロナ禍で、こうした厳しい状況にある市場業者への支援について伺います。

○萩原財政調整担当部長 新型コロナウイルス感染症により、市場流通に大きな影響が出る中におきましても、市場機能を確保していくためには、都では、感染症の影響に伴い売上げが減少した市場業者に対しまして、令和二年四月支払い分から実施している市場使用料と光熱水費の支払い猶予につきまして、令和三年度も継続して実施してまいりました。
 実施に当たりましては、分割納付をはじめ、市場業者の経営状況に配慮した弾力的な運用を行うとともに、手続の簡素化や丁寧な周知を行い、制度開始から本年三月支払い分までの累計で、延べ三百七十七業者に対しまして、約八億二千万円の猶予を行ってまいりました。
 さらに、月次支援金などの国や都の各種支援制度の分かりやすい情報提供や、中小企業診断士等による経営相談を実施するなど、きめ細かな支援に努めてまいりました。

○本橋委員 令和三年度についても、前年度から引き続き、使用料や光熱水費等の支払い猶予などにより、市場業者の経営を下支えするためのサポートを行っていることが分かりました。
 コロナ禍の中で、資金繰りといった守りの戦略だけでなく、コロナ禍の先も見据え、様々な経済状況の変化などの逆境をばねにして経営力の強化を図る市場業者の取組を後押ししていくことも重要な取組だと思います。
 そこで、いわばポストコロナを見据えた市場業者の取組をどのようにして引き出し、実行へつなげてきたのか、具体的に伺います。

○前田事業部長 取引の担い手である市場業者の経営基盤を安定したものとしていくためには、資金繰りやコスト管理といった日々の経営活動に対する支援だけではなく、将来を見据えた課題の解決につながる取組を支援し、市場業者の経営の革新につなげていくことが重要でございます。
 このため、まず、そうした機運を醸成するため、ポストコロナに向けた事業計画の作成などをテーマとした経営セミナーをオンラインで開催するとともに、補助事業を活用した販路開拓の取組などの好事例や、SDGs等の時期に応じた情報を、市場関係者向けの情報誌で発信いたしました。
 また、品質、衛生管理の強化を図るため、仲卸業者の店舗に食品衛生アドバイザーを派遣し、技術的な助言を行うとともに、講習会により従業員の意識啓発を図るなどのプッシュ型の支援にも取り組んでございます。
 さらに、競争力の向上につなげるため、売上高が減少している事業者に対しては、高い補助率を適用することなどにより、第三者認証の取得や、デジタル技術を活用した販売管理システムの導入など、新たなビジネスの契機となる取組などを促進いたしました。

○本橋委員 補助事業を活用した好事例の共有や補助事業の使いやすい制度設計等を通じて、市場業者が行うポストコロナを見据えた取組を後押ししていることが理解できました。
 都は、コロナ禍の影響も踏まえ、様々な支援策に取り組んできましたが、こうした仕組みを、より多くの市場業者に幅広く伝え、取組に着手する方法を増やしていくことが、市場業者の経営強靭化につながるものと考えます。
 そこで、経営支援策の活用促進に向けた取組について伺います。

○前田事業部長 より多くの市場業者が経営支援策を活用し、経営強靭化に取り組むためには、事業の丁寧な周知はもとより、業界の声に耳を傾けながら、実効性ある仕組みとなるよう改善に努めていくことが重要でございます。
 令和三年度は、市場関係者向けの情報誌において、各種支援策についての活用事例や利用者からの感想などを紹介して事業のPRを行い、制度の周知を図るとともに、業界団体と連携をして、個々の事業者に対し、経営相談の働きかけを実施するなどの取組を行いました。
 さらには、業界団体から、申請書類の具体的な作成方法が分かりにくく、手続が煩雑であるといった点が、支援制度の利用をちゅうちょさせているのではないかといった指摘がなされたことを踏まえまして、補助事業については、申請のサポートや助言を行う経営コンサルタント等をアドバイザリーとして派遣する体制を整えるとともに、申請書類や手続の簡素化などに取り組み、令和二年度の六十件を上回る七十七件の取組に対して補助を実施いたしました。

○本橋委員 これまでご答弁いただいたように、様々な角度から経営支援策に取り組んできてはおられますが、制度はつくっても、活用されなければ意味がないわけであります。
 市場業者がこれらの経営支援策を活用し、コロナ禍に加え、歴史的な円安が続く現下の厳しい経営環境に向き合うことができるよう、都においては、引き続き、事業の周知やPR等にしっかりと取り組むことを要望して、次の質問に移ります。
 これまでの質疑により、業界による創意工夫と都の施策が連携することによって、コロナ禍の影響等による厳しい状況下にあっても、中央卸売市場が都民へ生鮮食品等を安定的に供給するという基幹的なインフラとしての役割を継続的に果たしてきたことが確認をできました。
 一方、中央卸売市場が基幹的なインフラとしての役割を十分に果たすためには、その土台となる市場施設がしっかりと整備をされていることが必要であります。
 そこでまず、市場施設の整備について、令和三年度の状況について伺います。

○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての役割を果たしていくためには、市場業務をハード面から支える市場施設の整備を着実に進めていくことが重要となります。
 令和三年度は、機能強化や環境対策のため、主な施設整備として、淀橋市場におきまして低温卸売場整備工事を実施したほか、世田谷市場など五市場におきましては、照明器具のLED化工事を実施したところであります。

○本橋委員 施設整備に当たっては、機能強化や環境対策も重要でありますが、市場施設の多くは、高度成長期に集中的に整備されたものであり、建設から四十年以上が経過するなど、施設や設備の老朽化が進んでおります。
 都はこれまで、十次にわたる卸売市場整備計画を策定し、各市場の施設整備に取り組んでこられましたが、老朽化した施設や設備が更新期を迎える中、市場業者の方々が日々の業務を円滑に行えるよう、老朽化対策を実施することは急務であります。
 そこで、令和三年度における市場施設の老朽化対策の状況を伺います。

○渡邉市場政策担当部長 都民の消費生活を支える中央卸売市場におきましては、日々の市場業務が円滑に行われるよう、老朽化した施設や設備を着実に更新することが重要となります。
 令和三年度は、大田市場におきまして、老朽化に伴う給排水管改修工事を実施したほか、北足立市場など三市場におきまして屋上防水工事を実施するなど、市場機能の基盤を支える施設や設備の整備を実施したところであります。

○本橋委員 都内に十一ある中央卸売市場は、それぞれ水産、青果、食肉、花きなど、取り扱っている商品の種類や取扱数量、施設の規模や立地など、特色を持っています。こうした特色を持つ各市場において市場業務に携わっている市場業者の方々は、施設の整備や維持管理についても、それぞれ様々なニーズを抱えております。このため、市場施設の整備に当たっては、日々、施設を使用する市場業者の方々の声をしっかりと受け止めて、きめ細かく対応していただくよう要望して、次の質問に移ります。
 東京都中央卸売市場経営計画についてお伺いいたします。
 都は、中央卸売市場が、都民に生鮮食品等を円滑かつ安定的に供給する基幹的なインフラとしての役割を将来にわたって果たすことができるよう、令和三年度に経営計画を策定したところであります。
 そこでまず、経営計画の策定経緯について伺います。

○渡邉市場政策担当部長 令和二年六月の改正卸売市場法の施行以前におきまして、都は、農林水産大臣が定める卸売市場整備基本方針等に則して、十次にわたる東京都卸売市場整備計画を策定し、卸売市場の整備を進めてまいりました。
 改正卸売市場法の施行に伴い、整備計画に係る規定は廃止されましたが、十一の中央卸売市場を引き続き計画的に整備、運営を行うとともに、中長期的な視点に立ちまして持続可能な市場経営を行う必要があることから、経営計画を策定することとしました。
 策定に当たりましては、企業経営や財務などの専門家による市場の活性化を考える会を令和元年度に設置し、食品流通全体の状況や、社会において市場が果たす機能など、広範にわたるテーマにつきまして多面的に議論を行っていただき、それに基づいて、令和二年度に東京都中央卸売市場経営指針を策定しました。
 この経営指針で掲げた二〇四〇年代の中央卸売市場の姿及び持続可能な市場経営の実現に向けて、今後五年間で都が取り組む施策と財政計画を示す中期経営計画として、令和三年度に経営計画を策定したところであります。

○本橋委員 国が卸売市場の整備計画の仕組みを廃止しても、都として、将来にわたって生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての役割が果たせるよう、経営計画を策定したことが理解できました。
 次に、本経営計画の基本的な考え方を伺います。

○渡邉市場政策担当部長 経営計画の実行に当たり、市場経営を行う都の立場を、以下の三点に整理しました。
 第一に、都は、中央卸売市場の開設者として、生鮮品等を円滑かつ安定的に都民に供給できるよう市場運営を行う立場にあり、市場全体の機能の最適化と各市場の機能強化を図ることとしました。
 第二に、都は、施設管理者として、生鮮品等流通を支える土台となる市場施設を管理する立場にあり、市場施設の計画的な維持更新を行うこととしました。
 第三に、都は、市場会計の管理者として、財務基盤である市場会計を管理する立場にあり、強固で弾力的な財務基盤の確保に向けて取り組んでいくこととしました。
 このような三つの立場を踏まえ、本計画では、市場機能の強化、市場施設の計画的な維持更新、強固で弾力的な財務基盤の確保などを進めるとともに、市場業者の稼ぐ力の強化につながる市場の活性化を図ることを基本的な考え方としたところであります。

○本橋委員 都は、自らの立場を三つに整理して経営計画を策定したとのことでありますが、市場経営は、都が単独で行っているわけではなく、中央卸売市場においては、実際に市場取引を担っているのは市場業者の方々であります。
 経営計画の策定に当たって、都は、市場取引に加え、都と協同して市場運営を担っている業界の方々とどのように意見交換を行ってきたのか、伺います。

○渡邉市場政策担当部長 市場業者の方々とは、日々の市場運営など様々な事項について、日頃から意見交換を行っておりますが、経営計画の策定に当たりましては、十一市場全てにおきまして、水産、青果、花き、食肉といった取扱い品目ごとに業界団体の代表者の方々との意見交換の場を設け、各市場の現状などを含めて、率直な意見交換を行いました。
 また、経営計画の案を公表した令和四年一月以降におきまして、改めて業界の皆様からの意見をお伺いしており、このようなご意見も踏まえて経営計画を策定したところであります。

○本橋委員 各市場において、それぞれ業界と意見交換を行い、経営計画を策定したとのことでありますが、計画は、実行されて初めて意味があるものとなります。
 二〇四〇年代の中央卸売市場の姿を見据え、経営計画に掲げた取組を推進していくためには、都が強いリーダーシップを発揮していくことが必要であると考えます。
 そこで、最後に、経営計画に掲げた将来像の実現に向け、市場長の見解を伺います。

○河内中央卸売市場長 中央卸売市場が生鮮品等流通の基幹的な役割を将来にわたって果たすことができるよう、二〇四〇年代の中央卸売市場の姿と持続可能な市場経営の実現に向けて、令和三年度に経営計画を策定いたしました。
 計画策定後、ロシアによるウクライナへの侵攻などを受けた世界的な物価高、電力不足によるエネルギー危機など、市場を取り巻く環境は厳しさを増しております。
 このような状況の下、経営計画で掲げた施策を着実に推進するためには、卸売市場を取り巻く環境の変化を迅速に捉え、計画で示した課題に対し、効果的かつ着実に取り組む必要がございます。
 また、将来にわたって持続可能な市場経営の実現に向け、経営計画を着実に実施していくためには、各市場で業務を行っている市場業者の方々や学識経験者などから広く意見をいただいて市場運営を進めていくことが重要でございます。
 経営計画に掲げた取組の実効性を確保していくため、業界との意見交換や審議会における意見聴取を適時実施することなどを通じまして、将来にわたり、都民の豊かな消費生活を支えることができる新たな卸売市場を、業界の皆様と共につくり上げてまいります。

○本橋委員 今後も、都と市場関係者が一体となって、経営計画に掲げた取組を推進し、市場のさらなる活性化を図っていくよう要望し、質問を終わります。

○清水委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、まずは、皆様の税金で市場を安価に提供したりしているので、業者が優遇されているわけですから、適正に確定申告などまで、義務を果たしているのか、そんな視線でお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、これまでの質疑においても、中央卸売市場は、生鮮食料品等の安定的な供給を担う基幹的なインフラであることから、市場の取引を担う市場業者の経営基盤を確保する重要性について議論されてきました。
 事業者の支払う地代、家賃は優遇されているわけですから、市場業者の方々の公共性は、ある意味高く、持続可能な事業運営が求められており、企業もしくは個人事業主として健全な経営が義務だと私は感じています。そして、健全な経営を実現していくためには、適正に売上げなどを計上し、申告、納税まで義務を果たしてほしい。
 そこで、都は、市場施設の開設者として、施設の維持管理を行うだけではなく、取引業務の適正化を図るために、日々、市場業者に対して指導監督を行っているとのことですが、事業の基盤となる経営の健全性が確保されなければ、本来の公平で公正な取引を実現することはできないと感じています。
 そこでまず、都は、市場業者の経営の健全性を確保するために、どのような指導監督をどれぐらいの頻度で行っているのか、伺います。

○前田事業部長 中央卸売市場は、卸売市場法に基づき、取引の基盤となる市場施設の管理運営を行うとともに、適正かつ健全な売買取引の確保など、条例で定める事項を遵守させるために必要な限度において、市場業者に対して、業務や財産の状況、帳簿、書類そのほかの物件を検査することができるとしております。また、業務や会計に関し、必要な指導及び助言をすることができるとしてございます。
 具体的には、都の職員が取引を正確に記録しているかを確認するほか、法令や監査の基準に基づき監査することとなっている一部の市場業者の財務諸表や、納税の際に国税当局に提出した確定申告書の写しの内容を公認会計士等が確認してございます。
 また、検査の頻度についてでございますが、各市場の職員が、毎日、取引の現場で確認を実施しているほか、卸売業者に対する経理検査は、一年間で十五社程度、事業者数の多い仲卸業者に対する経理検査は、一年間で七十社程度に対して実施してございます。
 さらには、相手方に無通告で実施する、いわゆる抜き打ちの検査も実施しておりまして、一年間で卸売業者十二社程度を対象に、準備を含めて百五十日間をかけて実施してございます。

○清水委員 ありがとうございます。
 納税申告は、あくまで本人が作成した書類を基に作った確定申告書による自己申告であり、公認会計士等による会計監査の結果など、いずれも都以外の者が作成した書類をただ確認しているだけでは、真の健全性の確保にはつながりません。例えば、前日までの現金の流れなど、会計書類などが正確に作成されたものかどうかを確認すべきです。そして、都の職員が審査しなくても、適正な申告を行える仕組み自体をつくるべきと考えています。
 そこで、市場業者の経理処理に対する検査の具体的な実施内容と、令和三年度における検査の実績についてお伺いいたします。

○前田事業部長 都では、委嘱した十五名の公認会計士と共に、市場業者に対する定期的な経理及び業務検査を実施しておりまして、財務の状況や公正な取引が行われているかを確認してございます。
 具体的には、例えば、出荷者から送付される送り状、販売結果を記載した販売帳票、出荷者に支払う代金等を記載した仕切り帳票の三つの帳票を実際の商品の動きと照らし合わせることなどにより、販売結果が適正に記録され、売上げとして適切に会計処理されていることなどを確認してございます。
 また、こうした取引等により発生した売掛債権が、適切な資産性の評価をもって計上されているかなどの財務諸表上の適正性の確認を行ってございます。
 こうした検査の令和三年度の実績は、コロナによる影響もありまして、卸売業者で十三社、仲卸業者で三十八社の計五十一社となってございます。

○清水委員 ありがとうございます。都の公表している事業概要によりますと、千社程度の市場業者があるにもかかわらず、検査実績が年間五十一社では、全体のたった五%。つまり、事業者側からすると、二十年に一度の審査になっているということで、検査の実施体制が十分とはいいがたいと私は感じます。現在の指導監督に関する方法や体制は、市場業者の適正な経理処理を確保するのに十分なものとなっていないと感じます。
 さらには、消費税法の改正に伴い、二〇二三年十月からは、課税事業者として登録申請した場合、インボイス制度を適用することとなり、取引の相手方が仕入れ税額を控除できるようになるためには、市場業者においても税額等を示したインボイスを相手方に交付しなければならず、今こそ、適正な税務申告ができるよう底上げを図るべきです。
 そのためにも、現行の条例の規定を活用しながら、都の職員による検査をまつまでもなく、不適正な税務申告がなされないような仕組みづくりが重要です。
 市場業者の方々は、市中の事業者と比べて優遇されており、低廉なコストで施設を利用することができておりますので、不適正な税務申告がなされ、例えば重加算税を課されたような事業者には、施設の使用許可を取り消すなど厳しい措置を用意し、もって適正申告がなされるようにすべきです。
 そこで、国税当局から重加算税を賦課されるなど、税務申告に重大な問題があった市場業者の施設の使用許可を取り消すべきと考えますが、見解を伺います。

○前田事業部長 市場業者が税法等に基づいて申告納税した内容が適正かどうかを審査し、重加算税等を賦課するかどうかを判断するのは税務当局でございますが、こうした不適正な税務処理が条例で定める遵守事項に違反した取引を原因として行われた場合に、都といたしましては、その取引に関し、必要な指導及び助言を行うこととしてございます。
 また、税法のみにかかわらず、条例で定める遵守事項を遵守させるために必要がある場合は、改善措置を取るべきことを命ずることができるとともに、これに反した場合は、市場施設の使用許可の停止や取消しを行うことができるものとしてございます。

○清水委員 ありがとうございます。条例を適切に運用し、市場業者に対する指導監督を徹底していただき、適正な申告がしっかりとなされるようにお願いいたします。
 今回の質疑に当たって、担当者の方から伺いましたが、取引を記録する媒体は、まだ紙が用いられているとのことであります。
 私が以前、国税局に勤務していたときには、事業者が税の賦課を逃れるために、取引した結果を売上げとして計上せず、現金を懐に入れてしまうという事案をたくさん経験して見てきました。こうした売上除外をする行為は、先ほど申し上げた重加算税の対象となりますし、非常に悪質なものです。
 一般的に、こうした事案の発生を防ぐためには、例えば、取引の経過に連番を付して、つぶさに記録させる、また、かつ改ざんができないよう、記録の残る仕組みを設けねばならないといわれています。つまり、取引の経過を紙で記録しているようでは、売上げの除外といった不正の温床となりかねないのではないかと感じています。
 取引を適正に記録し、その透明性を高めていくこと、商売の上でも、サプライチェーンの中での存在感を高めるという効果が期待できる記録のデジタル化にも、もっと積極的に取り組むべきと考えます。
 そこで、市場業者の売買記録を紙で運用するのではなく、デジタルの力を活用して正確に記録できる仕組みを整えていくよう支援を講じるべきと考えますが、これまでどのように取り組んできたのか、お伺いいたします。

○前田事業部長 都では、中央卸売市場強靭化推進事業により、市場業者がデジタル技術を活用して業務改善に取り組む際に、その費用の一部を補助し、支援してまいりました。
 令和三年度は、市場流通の特性に合わせて設計された販売管理システムを仲卸業者が導入する取組など、全体で三十件の取組に対して約一億二千万円を補助いたしました。

○清水委員 市場業者のデジタル化の取組を進めていることは一定の評価をいたしますが、千件のうち三十件といった実績では、まだまだという感が否めません。市場業者に対して、取引記録の適正化による経営の健全性確保の意義をしっかりと伝え、その手段としてのデジタル化を進めていくよう、検査などを通じてしっかり指導していただくことを要望しておきます。
 また、都では、市場の取扱高について、入荷予定数量と販売結果を把握しているとのことですが、正確な入荷数量を把握しなければ、販売結果との比較において、正確な売上げを捕捉することはできないと思います。こうしたことから、今後の課題として、入荷数量をしっかりと把握できるような仕組みを検討していただくことを要望しておきます。
 本日は、令和三年度に実施された市場業者に対する指導監督の状況、そして、適正な税務申告につながる都の指導監督の在り方について伺いました。
 私は、卸売市場の活気やにぎわいを支えているのは市場業者の方々であり、その方々が健全に経営を行い、今後も持続可能な運営を行っていただきたいと願っています。都におかれましては、改めて中央卸売市場の使命に立ち返り、都民の期待に応えるためにも、適切な市場運営がなされるよう取り組むことを求めて、次の質問に移ります。
 サステーナブルな社会を実現するためには、廃棄物の発生を抑制し、環境に配慮した廃棄物の処理が必要です。市場業務の過程においては、野菜くずや段ボールなどの容器類のごみなど、多くの廃棄物を排出することになると思いますが、SDGsの観点からも廃棄物の削減は重要です。
 そこでまず、各市場における廃棄物の発生状況について伺います。

○渡邉市場政策担当部長 青果、水産物、花きを取り扱う十市場では、生鮮食料品等の輸送に利用された段ボールなどの容器類、荷傷みや商品の小分け等により発生する野菜くず、魚腸骨など、令和三年度におきまして、約三万六千トンの廃棄物が発生しております。
 なお、過去の廃棄物の発生量について見ますと、今から五年前の平成二十九年度におきましては、約四万一千トンの廃棄物が発生しており、比較しますと、令和三年度は約五千トンの減となります。

○清水委員 廃棄物の発生状況については理解しました。引き続き、SDGsを推進していく観点からも、市場業者と廃棄物の削減に取り組んでほしいと思います。
 また、廃棄物による環境負荷を低減するためには、廃棄物の削減に加えて、発生した廃棄物のリサイクルを進めることも重要です。
 そこで、リサイクルの現状とリサイクル推進に向けた市場の取組についてお伺いいたします。

○渡邉市場政策担当部長 市場内から発生する廃棄物につきましては、業界の皆様の排出事業者責任の原則の下、各市場で、市場協会などの組織が運営主体となり、処理が行われております。
 それらの廃棄物のうち、木製パレットや発泡スチロール、段ボール、瓶、缶類につきましては、ほぼ全量が再生利用されているほか、野菜くずや魚腸骨などの一部は飼料などに再生利用されております。
 リサイクルの推進に向けて、市場協会などは、ポスター等を用い、市場業者に対する普及啓発や、ごみの分別徹底の呼びかけを強化しているほか、都におきましては、木製パレット及び発泡スチロールの産業廃棄物につきまして、市場業者が行っている再生処理に要する費用の一五%を支援しております。
 引き続き、業界と連携し、廃棄物の削減やリサイクルの推進に取り組んでまいります。

○清水委員 ありがとうございます。市場業務の過程で発生する廃棄物について、分別が行われ、リサイクルによる再資源化が進んでいることが分かりました。
 都においては、引き続き、市場業界と連携し、リサイクル率の向上にしっかりと取り組むことを要望して、私の質問を終わります。

○かまた委員 それでは、質問をさせていただきます。
 中央卸売市場が都民に生鮮品等を安定的に供給するためには、市場運営の礎となる財政基盤が安定していることが必要であります。そして、財政を考えるに当たっては、支出が適正であるかどうかということはもとより、事業活動の源泉となる収入をどう確保していくかということも重要であります。
 市場会計の収入は、市場業者に使用許可している施設の面積等に応じた使用料と、卸売金額等に応じて算出する売上高割使用料があるとのことですが、これまでの質疑にもあったとおり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、在宅消費の増加はあったものの、外食需要やイベント開催の減少など、小売店や飲食店などは、需要の減退により、大変に厳しい状況下にあったと伺っております。
 このような変化に直面した中央卸売市場においても、売上高割使用料の算出基礎となる取扱金額に影響が及んでいるのではないかと推察をしております。
 実際、令和三年度の決算書によれば、営業収益予算額百七十七億六千百四万円に対し、決算額は百六十一億四千八百三十四万余円であり、執行率が九〇・九%であります。
 取扱品目ごとに取扱金額を確認しますと、水産物、食肉、花きについては、前年度に比べて増加したとのことですけれども、コロナによる影響を見ていくためには、コロナ感染拡大前である令和元年度の取扱金額と比較することで、より現在の取引状況が明らかになると考えます。
 そこで、コロナ前の令和元年度と比べた場合の令和三年度の市場の取扱金額の状況と、それに対する都の評価についてお伺いをいたします。

○前田事業部長 令和三年度の取扱金額につきましては、取扱品目別に令和元年度と比較して申し上げますと、水産物は四・一%減少しており、これは、漁獲高の減少などにより単価は上昇しましたが、コロナの影響などにより、それを上回る取扱数量の減少があったためと分析してございます。
 青果は〇・七%増加しており、これは、天候による不作等により単価は上昇した一方、巣籠もり需要の落ち着きなどにより、取扱数量は減少したため、ほぼ横ばいになったと分析してございます。
 食肉は四・三%増加しており、これは、需要の回復等により、単価も上昇し、取扱数量も増えたためと分析してございます。
 花きは四・八%増加しており、これは、冠婚葬祭などのイベントをはじめとする業務用需要の低迷等により取扱数量は減少しましたが、天候による入荷不順等により、それを上回る単価の上昇があったためと分析してございます。

○かまた委員 取扱品目によって状況は異なるようですけれども、特に水産物は、コロナ前の令和元年度と比べた場合、取扱金額が減少しているとのことで、コロナ禍で厳しい経営状況に直面している事業者が多くいたことが推察されます。
 市場業者の経営力を強化し、新たな付加価値を創出するなど、市場業者の利益向上力をつけることは、卸売市場の取扱金額を増やすことになり、最終的には市場関係の財務基盤の強化にもつながると考えます。だからこそ、市場業者への支援は、今こそ重要であります。
 そこで、コロナ禍で厳しい状況下にあった市場業者に対してどのような支援を行ったのか、確認をいたします。

○前田事業部長 都は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いまして、市場取引を担う市場業者の経営を支援するため、令和二年度から、市場使用料及び光熱水費の支払い猶予や、都や国の各種支援制度に関する情報提供などを行ってございます。
 令和三年度におきましては、これらの取組に加えまして、資金繰りなど個々に経営状況が異なる市場業者を的確にサポートするため、業界団体と連携して、対象事業者に働きかけた上で中小企業診断士を派遣し、財務状況の分析に基づいた課題解決の方向性を提案するなど、事業継続につながるアドバイスを実施いたしました。
 さらに、競り参加者の利便性の向上や感染症対策の徹底を図るため、リモート競りシステムを導入する経費の一部を補助するなど、コロナ禍に伴う環境変化に柔軟に対応できるよう支援を行いました。
 また、こうした取組の成功事例を他の市場業者と共有できるよう、市場関係者向けの情報誌など、様々な媒体を活用して広く周知を図ってございます。

○かまた委員 多くの支援策を進めてくださったことが分かりました。中小企業は、日々の経営に追われ、自社の経営上の課題を見詰め直したり、将来を見据えた戦略を自ら立案したりすることは難しいと思います。だからこそ、ご答弁にもありましたとおり、支援が必要な全ての市場業者が、確実にこれらの支援を利用していただけるよう、様々な媒体を活用した周知活動を今後も進めていってください。
 また、今後も、コロナ禍や物価高騰等、様々な困難が続くことが予想されます。持続可能な市場運営を確保していくためにも、様々な不安や悩みを抱える市場業者に対して、引き続き、個々の状況に応じたきめ細かな支援をしっかり進めていただきたいことをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、私の地元であります板橋市場についてお伺いをいたします。
 板橋市場は、都営三田線の新高島平駅から徒歩圏内に位置をし、高度経済成長期である昭和四十七年に青果市場として開場し、その後、平成五年に花き部が設置され、業務を開始いたしました。
 こうした歴史を持つ板橋市場でありますが、青果部も花き部も、それぞれ営業開始から五十年ないし約三十年が経過をし、施設や設備の老朽化が進んでいる状況であり、板橋市場の老朽化対策は重要な課題でもあります。
 こうした状況の中にあって、板橋市場の施設整備について、令和三年度にどのような取組を行ったのか、伺います。

○渡邉市場政策担当部長 生鮮品等流通の基幹的なインフラである中央卸売市場をハード面から支えている市場施設につきまして、適切に維持更新を行うことは、都の重要な役割であると考えております。
 板橋市場につきましては、令和三年度、老朽化した青果部の仲卸荷さばき場の改修を行うとともに、花き部におきましても、花き棟の防火シャッターを更新したほか、オークションルームの照明器具のLED化更新工事を実施したところであります。

○かまた委員 市場で働く方々が円滑に業務を行うためには、市場施設が適切に管理され、使い勝手のよい状態が保たれていることが必要であります。また、板橋市場に限らず、中央卸売市場が都民に生鮮品等を安定的に供給していくためにも、引き続き、計画的な老朽化対策を実施していただきますよう、お願いいたします。
 次に、板橋市場の機能強化に向けた検討状況についてお伺いをいたします。
 板橋市場は、物流施設が集積する流通業務団地に立地しており、区部北西部における生鮮品等の物流拠点として大きなポテンシャルを持つ市場であります。
 都は、令和三年度に経営計画を策定し、各市場の機能強化の方向性等を示しましたが、板橋市場については、こうした立地の強みを生かして、さらなる機能強化を図るべきだと考えます。
 そこで、令和三年度における板橋市場の機能強化に向けた検討状況についてお伺いをいたします。

○渡邉市場政策担当部長 令和三年度に策定した東京都中央卸売市場経営計画におきましては、板橋市場の機能強化の方向性につきまして、首都高や外環道などへのアクセスに恵まれ、区部北西部における道路ネットワークの要衝に位置しているという立地の優位性を勘案し、産地からの集荷や他市場との連携など、広域的な物流拠点としての機能発揮や周辺市場との機能集約を進めていくこととしました。
 このような方向性を踏まえ、令和三年度は、業界と都により板橋市場あり方検討会を立ち上げ、板橋市場の将来を見据えたビジネスモデルにつきまして具体的な検討に着手するとともに、市場施設の利用実態や市場内物流の状況などについて調査を行ったところであります。

○かまた委員 ぜひ板橋市場が市場の立地を生かし、広域的な物流拠点としての役割を大いに発揮していけますよう、今後も機能強化に向けた検討をお願いいたします。
 また、検討を進めるに当たりましては、市場において、日々、取引業務を担っている市場業者の方々の声や地域の方々の声を十分に踏まえて進めていくよう要望し、質問を終わります。

○あぜ上委員 それでは、私からも質疑をさせていただきます。
 まず、豊洲市場の地下水質と地下水管理システムについてです。
 豊洲市場は、開業してちょうど四年がたちました。私たち日本共産党都議団は、そもそも豊洲市場用地は東京ガスの工場のあった場所であって、移転すべきではないと厳しく指摘をし、移転に反対してまいりました。しかし、移転が強行されてしまいました。
 土壌処理が莫大な経費をかけて行われたわけですが、市場が開業された以降も土壌汚染が残っている状況が続いていて、そういった下で、しっかりと継続して管理をしていかなければならないと、継続した調査、分析、公表を求めてまいりました。
 今、何よりも豊洲市場で働く方々の安全、そして安心のためにも調査をし、原因究明と徹底した管理を行う、このことが重要だと思います。
 そこで、まず伺いますが、二〇二一年度の地下水質調査結果について、どう評価されているのか、伺います。

○萩原環境改善担当部長 豊洲市場では、地下水質の調査を三か月ごとに実施をしており、地下水一リットル当たりのベンゼンの濃度は、最も高かった箇所で、令和三年五月の調査では一・一ミリグラム、八月は一・二ミリグラム、十一月及び令和四年二月は一・一ミリグラムでございました。
 シアンは、一リットル当たり、最も高かった箇所で、令和三年五月及び八月の調査では一・二ミリグラム、十一月及び令和四年二月では一・一ミリグラムでございました。
 ヒ素は、一リットル当たり、最も高かった箇所で、令和三年五月の調査では〇・〇五〇ミリグラム、八月は〇・〇四九ミリグラム、十一月は〇・〇三八ミリグラム、令和四年二月は〇・〇四三ミリグラムでございました。
 専門家の方々からは、濃度が上昇傾向を示した地点や低下傾向を示した地点も存在しているが、全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないとの評価をいただいております。

○あぜ上委員 環境基準値を超える地下水が、今ご答弁でありました。
 以前より汚染濃度が上昇しているところもありますが、都としてはどう受け止めていらっしゃるのか、伺います。

○萩原環境改善担当部長 地下水質の現状に対しまして、専門家の方々からは、全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないとの評価をいただいております。
 一方、市場業務が行われている地上部などの空気調査につきましては、毎月実施をしており、調査開始以来、全ての箇所において大気環境基準に適合をしております。
 これにより、豊洲市場の安全性は確保されているものと考えてございます。
 今後も、地下水管理システムの適切な運用を積み重ねていくことが豊洲市場の安全・安心の確保につながると認識をしてございます。

○あぜ上委員 専門家の方が、全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないということをおっしゃっていますが、変化した傾向は確認できないということは、汚染物質がまだ残っているということであります。
 先ほどもご答弁でありましたが、また、先ほど説明いただいた、資料要求して、いただいたこの資料を見ましても、最高値は、ベンゼンで百二十倍、ヒ素は五倍、検出してはならないという基準になっているシアンも検出されているわけです。
 そもそも、この土壌も地下水も環境基準以下にすることが、知事が都民に約束していた移転の前提だったわけです。ところが、この約束はほごにされていて、そして、地下水から環境基準を超える汚染物質が今なお検出されていると。
 先ほど空気調査のご答弁もありましたが、これは今年に入ってからですけれども、八月の調査では、空気中に環境基準を超えるベンゼンが検出されています。
 一体、いつになったら、この土壌汚染がなくなるのか。中長期的な時間がかかるというふうにずっと説明されてきたのですけれども、じゃ、この中長期的とは、一体、どのぐらいの期間を考えているのかと、現場からは、こうした不安や疑問の声も上がっている。このことを私は厳しく指摘をしておきたいと思います。
 それで、地下水の水位の管理システム、この維持管理経費の決算額を伺いたいと思います。

○萩原環境改善担当部長 地下水管理システムの令和三年度における維持管理経費は、約五億八千万円でございました。

○あぜ上委員 この地下水管理システム維持管理経費の決算額の推移を見ますと、毎年上がってきているのですが、なぜでしょうか。伺います。

○萩原環境改善担当部長 地下水管理システムの維持管理経費は、令和三年度は約五億八千万円でございまして、令和二年度に比べ、約三千万円増加いたしましたが、この要因は、主に揚水井戸でくみ上げた地下水を排水処理施設に送る管の清掃範囲を拡大したことによるものでございます。

○あぜ上委員 昨年に比べ、三千万円ということですが、四年前の決算から比べれば三倍近くになるんですね。清掃範囲を拡大したということなんですが、今後も地下水管理システムの適切な運用を重ねていく、そういうことで、さらなる経費が見込まれるということだと思います。
 地下水の管理システムの経費の中には、ウエルポイント工法の費用も含まれていると伺っていますけれども、このウエルポイント工法の経費の推移はどうなっているでしょうか。伺います。

○萩原環境改善担当部長 ウエルポイントに要した経費は、令和二年度は約二億二千四百万円、令和三年度は約二億二千八百万円でございました。

○あぜ上委員 これだけの経費をつぎ込んでも、地下水位は目標水位を超えるところがまだある、そして、汚染物質はなくなる見通しもまだ立っていないということであります。
 これまで、遮水壁で囲まれているから、新たな汚染の可能性はないんだ、徐々に地下に浸透した雨水を継続して揚水してくみ上げていくから、地下の水質は改善していくんだというふうに、繰り返し、そうご答弁されてきたわけですけれども、なぜくみ上げているのに、揚水しているのに汚染濃度が濃くなる部分が生まれるのか。こうした点については、やっぱりしっかり明らかにしていく必要があるんだというふうに思います。
 豊洲市場は、開業してから四年になりますけれども、地下水のこの管理システムは、本格稼働して、既に六年になっています。地下水位については、水位目標を日常的にAPプラス一・八メートル以下に管理をして、土壌汚染対策と液状化対策を行うんだというふうにしてきたわけです。しかしながら、いまだに達成ができていない、そして、地下水位は、直近のデータなどを見ますと、また上昇している。これは、最終判断をされた知事に厳しくいいたいところなんですが、やっぱりこの事実は、しっかり重く受け止めるべきだといわざるを得ないと思います。
 さて、次に、市場内における事故とその内容について伺いたいと思います。
 豊洲市場の仲卸の売場などを視察してみますと、ターレやフォークリフトを見事に乗りこなして効率的にお仕事をされていることに感心するばかりなんですが、時には事故もありまして、エレベーターの前に減速帯が設けられたり、新たに一時停止の表示がされたりしているのを見ております。
 そこで伺いますが、二〇二一年度の市場内における事故件数及びその内訳について教えてください。

○北島渉外調整担当部長 令和三年度の十一市場の事故件数の合計は、五百八十五件となっております。
 その内訳は、人身事故百三十九件、物損事故四百四十六件となっております。

○あぜ上委員 それでは、そのうち、豊洲市場の事故件数とその内訳を伺いたいと思います。

○北島渉外調整担当部長 令和三年度の豊洲市場の事故件数の合計は、二百二十三件となっております。
 その内訳は、人身事故七十一件、物損事故百五十二件となっております。

○あぜ上委員 やはり市場全体の約半分の延べ床面積を持っている豊州市場、そして一万数千人の方が働くという大変広大な、そして、大変大規模な豊洲市場ですから、事故は、残念ながら、まだ多くあるということが分かりました。
 私は、豊洲市場ができた当時に、一階の仲卸の売場から三階の加工パッケージの施設に上がる際のスロープの急カーブ、これが非常にきつく、坂がきつかったんですね。それで、その問題、それが本当に事故につながらないかと大変心配をしたのですけれども、現場の方々も試乗運転などをされて、市場当局もご努力されて、カーブミラーなども設置していただいて、それで、今ではこのスロープで事故はないというふうに伺って、本当にちょっとほっとしたのですけれども、そういう確認もできたのでありますが、残念ながら、豊洲市場で死亡事故が起こっています。
 この間の豊洲市場における死亡事故について、その原因も含め、伺いたいと思います。

○北島渉外調整担当部長 豊州市場では、開場からこれまで、三件の死亡事故が発生しております。
 具体的には、ターレット式構内運搬自動車の荷台から取引先関係者一名が振り落とされた事故、また、ターレット式構内運搬自動車で荷物用エレベーターに乗り込む際、一時停止を怠った市場関係者が扉に挟まれた事故、そして、市場関係者の運転する軽貨物車が、五街区と七街区をつなぐ地下通路の中央分離帯に衝突した自損事故でございます。

○あぜ上委員 三人の方が、残念ながら亡くなったということですね。この事故を受けて、分離帯に安全帯を置くとか、安全対策を講じるとか、注意喚起をするなど、安全対策もしっかりと講じられているということも伺っています。
 市場業者の皆さんが、本当に安全にお仕事をすることができるように、事故ゼロを目指して、今後とも安全対策に万全を尽くしていただくことを要望しまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○藤井委員 お願いします。
 東京都中央卸売市場が都民に生鮮食料品を供給する本来の役割を果たすためには、財政面から市場経営を支える中央卸売市場会計を安定的に運営していくことが不可欠であります。しかし、近年、市場会計の経常収支は、赤字基調で推移をしておりまして、東京都は、この状況を踏まえて、既に経営改善の取組を実施されておられるということであります。
 まず、令和三年度に取り組まれた経営改善の内容について、具体的にお伺いをしたいと思います。

○萩原財政調整担当部長 都はこれまでも、収入、支出の両面におきまして、段階的な経営改善を行ってまいりました。
 令和三年度におきましては、主に設備の保守管理などの委託経費を削減することによる市場維持管理費の縮減や使用料収入の確保、新規企業債の発行抑制による支払い利息の圧縮などに取り組んだところでございます。

○藤井委員 収入と支出の両面において経営改善に取り組まれたということでありますが、特に収入については、様々なアイデア、創意工夫を発揮されるということが重要なことであろうかと思います。
 そこでお伺いをいたしますけれども、令和三年度における市場施設の利用状況についてお伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 令和四年一月一日現在におきまして、市場施設として使用可能な面積でございます約七十一万七千平方メートルに対しまして、使用を許可している面積は約七十万三千平方メートルであり、その利用率は九八%でございます。

○藤井委員 利用率は九八%ということでございますが、一方では、二%が利用されていないということであります。この二%は、面積でいえば約一万三千平方メートルということでございます。かなり広大な土地が利用されていないということでありますので、さらに活用を進めていただきたいと思います。
 そこでお伺いをいたしますが、令和三年度における遊休施設の利用促進をするために行った都の取組についてお伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 令和三年度におきましては、市場内の利用されていない仲卸店舗や関連事業者店舗につきまして、新たな利用希望者を募集し、六区画の利用が決まりました。
 また、さらなる有効活用を図るため、一時的な使用許可を条件といたしまして、市場施設を多目的に活用するなどの取組を行い、令和三年度における新規件数は七件でございます。

○藤井委員 市場会計における経常赤字を減らすために経営改善に取り組まれていることは、今のご答弁で確認をいたしました。
 しかしながら、令和三年度決算におきましては、依然として大幅な赤字というような状況になっております。例えば、市場ごとの収支状況を把握し、赤字の原因を分析するなどの収支改善に向けて、より踏み込んだ取組が必要であるのではないかと考えるわけであります。
 そこで、令和三年度に策定をした東京都中央卸売市場経営計画におきましては、経常収支の黒字化に向けて経営改善に取り組むとされているわけでありますけれども、その内容についてお伺いをしたいと思います。

○萩原財政調整担当部長 令和三年度に策定いたしました東京都中央卸売市場経営計画におきましては、市場運営費の縮減や収入確保などの当面の経営改善の取組を着実に実施することとしてございます。
 また、原価計算や財務分析など、管理会計の手法により、経営状況等をより精緻に把握、分析した上で、さらなる経営改善策を検討、実施していくこととしております。

○藤井委員 管理会計の手法を用いながら、さらなる経営改善にしっかりと取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 最後に、これらの経営状況の分析や経営改善の取組については、ぜひ都民に対して分かりやすく発信をしていただきたいというふうに思うわけであります。そのために、見える化に取り組むことも重要であろうかと思います。
 そこでお伺いをいたしますが、経営計画における市場会計の見える化の取組について、最後にお伺いをいたします。

○萩原財政調整担当部長 都民の理解を得る上では、市場会計につきまして、市場運営の状況や課題などの情報を分かりやすく発信することが重要でございます。
 そのため、経営計画では、経営状況等をより精緻に把握、分析した上で、経営に関するレポートを新たに作成することといたしております。

○藤井委員 経営に関するレポートの作成など、都民に分かりやすい形で市場会計の見える化に取り組んでいただきたいと思います。
 今後も引き続き、経営改善にしっかりと取り組んでいただいて、経営計画に掲げた強固で弾力的な財務基盤を確保していただくよう要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○保坂委員 私からは、旧築地市場について、三点だけ、確認、質問をさせていただきたいと思います。
 豊洲市場と都心を結ぶ重要な道路、旧築地市場の跡地を貫く道路として、市場も関わりが大変深いといえる環状二号線が、いよいよ今年の十二月十八日に開通を予定されております。この敷地にはまだ建物が残っているということで、この解体が、築地地区の新たなまちづくりに対しても、非常に影響があるといえます。
 現在、旧築地市場の中でも市場施設の解体が進められているとのことでありますが、本日は、その進捗についてお聞きしたいと思います。
 まず初めに、旧築地市場解体工事に関わる令和三年度の契約状況とその内容について伺います。

○萩原環境改善担当部長 これまで、築地から豊洲へ移転した平成三十年から、旧築地市場の解体工事を順次行ってまいりました。
 令和三年度におきましては、令和三年九月に、東京二〇二〇大会の車両基地として活用された勝どき門駐車場や厚生会館などの解体工事について契約いたしました。
 この工事は、アスベストを含む建材の特性に応じて、これを飛散させないよう、それぞれ適切な方法で除去した後、建物を解体するという内容になってございます。

○保坂委員 旧築地市場内に残る、最も大きな建物の解体が、いよいよ始まるということが分かりました。しかしながら、近隣には商店や住宅がある中での解体工事となるため、アスベストの除去を含む施工の安全には十分配慮して進めることが肝要と考えます。
 昨年度の決算特別委員会において、我が会派からは、さきに行われました解体工事のアスベスト除去について、これを適切に除去していくべきという観点から質問したところであります。
 そこで、今回解体する全ての施設にアスベストが含まれているのか、また、施設のどの部分にアスベストが含まれているのか、伺います。

○萩原環境改善担当部長 事前の調査によりまして、勝どき門駐車場及び厚生会館において、飛散性の高いといわれているアスベストの吹きつけ材等の存在が確認されております。
 具体的には、建物の天井裏や内外壁の一部にアスベストが含まれております。

○保坂委員 アスベストは、様々な形で建材に含有されている、その処理にも違いがあり、簡単ではないと聞いています。
 周辺には、都心と臨海部を結ぶ晴海通りや新大橋通りなど、交通量が大変多い道路が隣接するだけでなく、現在、観光客でにぎわう築地の場外市場、こういったものもあり、歩行者も大変多いです。さらに、朝夕と、通勤通学で晴海通りを歩く方が大変多いところでもあります。
 こうした地域の実情を踏まえますと、アスベスト除去に対する十分な安全対策が必要であると考えます。
 そこで、今回の工事でのアスベスト除去に関しての安全対策について伺います。

○萩原環境改善担当部長 天井裏などで確認された飛散性の高いアスベストの除去作業は、法令やマニュアルに基づき、作業場ごとにプラスチックシートによる隔離養生を行い、外部と遮断して除去を行うこととしております。
 これらのアスベスト除去を含め、全体工程と工事中の安全対策について、令和四年一月に、地元住民を対象に工事説明会を開催し、丁寧に説明を行うよう努めてまいりました。

○保坂委員 今回の解体工事でも、引き続き安全対策が取られているということが分かりました。旧築地市場内に残る建物が、円滑に、かつ安全に解体されることが、今後控える新たな築地まちづくりにも大変重要だと考えております。さらに、地下鉄新線の動きもあり、地元が大変望んでいます。それだけに、かなり敏感な土地でもありますので、ぜひよろしくお願いします。
 東京都におかれましては、今後も、解体工事の工期や施工内容の管理監督をしっかりと行っていただき、地元への継続的な情報共有を求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○慶野委員 いかなる団体も、集団も、草創の苦労を忘れたときに衰退が始まっていく。そうした観点からすると、いかに都民の信頼を得て、そのブランドが永続的に続いていくか、これはいい換えれば、草創期の苦労こそ、土台づくりこそ、そして、一番大切な今こそ、この豊洲が、市場が、永続的に信頼を勝ち取っていく一番大事なときである、私はこのように思っております。
 事実、今、質疑されていましたけれども、築地というブランド、市場機能そのものは移転したとはいえ、築地という名前は、恐らく世界でまだ忘れている人はほとんどいない。築地を冠すれば、その商品は信頼のあかしになるし、飲食店でも、そのクオリティーの一つの証明になる。そのぐらい、これまで皆さんが、先人たちが培ってきた苦労の中で、築地というブランドを確立してまいりました。
 そして、今、三年が経過した豊洲市場、最初から完璧であるわけがないし、建設から移転に至るまで、そして、この三年間、市場関係者の皆さんが、市場局の皆さんも含めまして、どれほど大変な思いで、これから三十年、五十年、百年と続いていくであろう豊洲ブランドを構築していくその主体者として、関係者や目利き、流通に携わる人、こういう人たちが、一生懸命、草創期を支えているその自負の下、働いてきたか、計り知れないご苦労があったと思います。
 にもかかわらず、いまだに地下水がとか、あれがこれがといっている方も一部いらっしゃいますけれども、課題はある。ただ、その課題を認識したならば、変えていけばいい。ポンプが高くなっている、管理が高くなっている、修繕していけばお金がかかっていく。お金をかけずに今のまま放置すればいいというわけではありません。
 テレビで最近流れていましたけれども、東京には、創業百年を超える企業というのがたくさんあるそうです。こうした後を継ぐ人たち、当然、三代目、四代目と続いておりますけれども、その引き継いできた方々が一様にいっているのが、やはり創業者の苦労を、今どのように時代に合わせた形で引き継いでいくか、新しい形に、時代に合わせていけるかというのが事業継続の勝負なんだと、こういう発言をされていたのを最近耳にいたしました。
 前置きはこのぐらいにいたしまして、そういう意味で、豊洲市場が草創期、今、最も大切な土台づくりのこの三年間、この一番大事な三年間の中で、図らずもコロナという未曽有の危機の中で、どのように局の皆さんがその困難と向かい合って市場関係者を支えていただいてきたか、そのご苦労に思いをはせながら、幾つか確認させていただきたいと思います。
 まず、こうしたコロナ禍におきまして、市場関係者にかかわらず、都民の最大の関心事は、我が身を守るために、いかにワクチン接種を安全に全員が接種していけるか、こういうことでありました。
 また、対策が誰にも分からない中で、コロナ当初、飲食店に対しての時間短縮の要請等々、飲食店を中心に経済を少し止めていくという、こういう方策で進めてきたことから、特に、生鮮を含め、青果も含め、飲食を、食べ物を扱うこの市場業者の方々というのは、飲食店同様、その流れの源として大変なご苦労をされたことと思います。
 しかし、そういう状況にあっても、必要な生鮮品を絶やすことなく届ける、この使命感の下、豊洲ブランドを築くんだという、この開設の三年間、闘ってこられた皆様方の、この令和三年度決算を通じて、豊洲の運営の取組を確認させていただきたいと思いますけれども、まずは、分科会の資料でございました、豊洲市場の水産物、取扱数量だけではなくて、取扱金額も三年度は増加しているという傾向が見られますけれども、この状況をどのように分析されておりますでしょうか。

○前田事業部長 令和三年度の豊洲市場の水産物の取扱いにつきまして、コロナ禍の影響により、外食などの業務需要の低迷が継続する中にあって、令和二年度に大きく需要が減退した活魚などの取扱いが一部持ち直しました。
 このことに加えまして、家庭内での消費にかなった鮮魚や干物、練り物などの一部加工品などに対する小売店、スーパー等からの需要に着実に対応したことなどにより、取扱数量が微増したものと分析してございます。
 また、取扱金額につきましては、これらの要因に加え、漁獲量の減少等による単価高の影響もあり、令和二年度に比べ、約一〇%増加してございます。

○慶野委員 ありがとうございます。
 外食の需要は減りました。しかし、人は、生きていれば一日三食、食事をしているわけです。こうした家庭内での消費にかなった、需要に合わせた形で、加工品など、小売店、スーパー等々、その需要と連携を取りながら対応していった。その結果、取扱量は微増した。
 取扱金額については、単価高の影響もあって一〇%上昇したということでありますけれども、困難なときでも、その流通を、どのように形を変えて需要に合わせたものを提供していくかという、こういう工夫を業者の皆様はされてきたような、そういう答弁でありましたけれども、こうした中で、新たな需要を開拓して市場関係者の皆様の取組があった、このこと、新たな顧客を見いだすための販路開拓や供給を安定させるための取組、事例があれば教えてください。

○前田事業部長 豊洲市場では、新たな顧客の獲得につなげるため、店舗内の様子をライブ配信し、顧客が映像を見ながらマグロの目利きや商談ができる環境を構築した事業者や、迅速で安定的な納品を求める飲食店などのニーズに対応するため、自動的に鮮魚を加工できる設備を導入した事業者がありました。
 都では、こうした市場業者の取組に要する経費を補助事業で支援しており、令和三年度は、豊洲市場において、計三十六件の取組に対し、約九千六百万円を交付してございます。

○慶野委員 イメージ的には、市場業者の職人気質の皆様が、ITなどを利用しながらの新しい取組とか、ライブ配信とか、なかなか想像しにくいのですけれども、そういう中でも、彼らは、何とかこの時代に合わせた取組をと。そして、それを支えていただいている局の取組を今ご紹介いただきました。苦しい中でも、何とか前進させようという、こうした支援策に、私は敬意を表したいと思います。
 徹底した感染予防対策によって、事業継続の確保に取り組まれてきたことと思います。先ほど申し上げたように、ワクチン接種、早期接種が--当時は怖かった。働かなきゃいけない、でも、人と接するのは怖い、外に出るのは怖い。そうした中で、多くの人がワクチン接種の早期接種を求めていました。
 豊洲市場でも、業界団体が中心となって職域の接種に取り組んでこられました。どのような工夫を行ったのか、どのぐらいの人が受けられたのか、お伺いします。

○前田事業部長 より多くの市場関係者にコロナワクチンの早期接種を促し、市場全体の感染防止対策を進めていくためには、接種会場における感染や副反応による休業等の取引への影響を心配する声や、早朝、夜間の勤務形態が多い市場の労働環境を踏まえた実効性ある取組を求められました。
 このため、都は、実施主体である豊洲市場協会と十分な連携を図りながら、接種会場の確保や、国や医療機関との調整など、円滑な実施のためのサポートに努めました。
 具体的には、都と豊洲市場協会が各業界団体と十分な意見交換を行い、副反応に備えて安心して接種ができるよう、休市日の前日に接種日を設定するとともに、限られた時間の中でより多くの希望者が接種できるよう、一般的な方式とは異なり、医師や看護師が対象者の間を巡回しながら効率的に接種する方式を採用するなどの工夫を行いました。
 その結果、一回目接種と二回目接種の計六日間で、延べ四千回以上の接種を実施し、接種予定者のうち九割以上が参加する高い接種率を実現いたしました。

○慶野委員 すばらしいと思います。特に、市場で働かれる皆様は、深夜から早朝にかけて働いて、職域で接種するとなると、その時間を外して、早朝に、仕事終わりにやらなければいけない。こうしたことは、当然、市場業者だけで手配できることではありませんし、開設者として、東京都がどれほどサポートに回ってこられたか。その結果、全体の平均を上回る九割以上の方々が速やかに接種を行えて、安心して取引に従事できたという結果につながりました。
 今、幾つか、やり取りいたしましたけれども、市場運営というのは、その中で働く方々の、もちろん、その努力と実力、経験、こうしたものと同時に、開設者側の東京都のサポートがいかに重要かということがいえると思います。ましてや、ハード面をどのように、市場開設者として、取引の基盤となるこの施設を維持管理していくかということが重要になってまいります。
 豊洲市場の安全・安心の確保という観点から、幾つかお伺いしますけれども、説明資料を見ますと、豊洲市場では、排水処理施設析出物抑制設備改修工事や六街区排水管敷設工事などが実施されたとあります。
 これらは、豊洲市場の地下水管理に関連した工事であるということですけれども、令和三年度における豊洲市場の地下水管理の状況をお願いいたします。

○萩原環境改善担当部長 豊洲市場は、各街区の周縁が遮水壁で囲まれ、地下には不透水層があることから、降雨によって地下水位が上昇する構造となってございます。このため、地下水の管理を適切に実施していくことが重要でございます。
 こうしたことから、管理に当たりましては、揚水した地下水を安定的に送水するため、これまで、随時、送水管等の清掃を実施してまいりました。
 令和三年度は、こうした清掃等の管理で得られた知見を生かし、地下水管理の処理能力低下の要因となり得る析出物の付着を抑制する装置を排水処理施設棟内に設置いたしました。
 加えまして、近年のゲリラ豪雨などの影響で局所的に地下水位が高くなりやすいエリアの対策として、集水能力の高い有孔管を試行的に設置いたしました。

○慶野委員 地下水位が高い高いといっていても、下がりません。高くなったら、どう下げるのか。それから、析出物をつくらないために、どのような対策をすればいいのか。
 これは、市場に限らず、家庭用であっても、例えばマンションであっても、多くの排出物があれば、その排水口は、だんだんだんだん穴が小さくなっていく。油とかが、周りで固形物が出てきて、直径がどんどん、中が狭くなっていく。
 だから、後で掃除すればいいやじゃなくて、今ご答弁いただいたように、析出物の付着をさせない、抑制させるための装置を既につけたと、ここで決算で計上されていて、これは余計に費用がかかったのじゃなくて、事故を起こさないために、先手で設置をしたという、これはかなり有効的な予算の使い方ではないかと思います。
 また、集水能力を高めるために、地中には穴のある管を使っていく。こういう対策も、一般的に常識で行っております。これを試行的に導入して、今、実験中だと思いますけれども、ゲリラ豪雨が多くなってまいりました。いつ大雨が降って、水位が上がったと騒がれないように、しっかりと管理していけるように、このデータをしっかり取って、有孔管の使い方も考えていただきたいと思います。
 維持管理、向上させる取組は大事でありますけれども、空気や地下水質調査がどういった状態にあるのか、設備的には、私たちは、決算書を見せていただいて、こういうふうに議論ができるので、確認をさせてもらっているので、なるほど、こう使って、こういう安心を担保しているのかと分かります。また、私たちが直接アプローチできる都民には、お話をすることができます。
 ただ、多くの都民の方々は、ワイドショーで騒がれたり、政争の具にされたりしている、その騒がれている部分しか、耳に入ってこない。こういうことを少しでも減らしていくために、今おっしゃっていただいたようなこの取組、空気や地下水質の調査結果などを広く都民に知らせていかなければいけません。
 まずは、こうした調査結果に対して、専門家の方々はどのような見解を示しているのでしょうか。

○萩原環境改善担当部長 これまで豊洲市場では、地下水質の状況を把握するために、三か月ごとに、地下水におけるベンゼン、シアン、ヒ素の濃度を測定してまいりました。
 その結果、濃度が上昇傾向を示した地点や低下傾向を示した地点も存在しておりますが、専門家の方々からは、全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないとの評価をいただいております。
 また、地上部の安全を確認するため、毎月、建物一階や屋外などで、空気中のベンゼン、シアン、水銀の濃度を測定してまいりました。
 その結果、調査以来、引き続き、全ての箇所で大気環境基準等に適合しており、専門家の方々からは、科学的な視点から安全は確保された状態にあると評価をいただいております。

○慶野委員 先ほどの委員からも、同じ質疑、同様の答弁がありましたけれども、面白いもので、同じ答弁を聞いても感想が違うんですね。私は、今の答弁を聞いて安心しました。
 三か月ごとにしっかりと調査をして、濃度が上昇傾向を示した地点、低下した地点、それは場所によって様々、水は止まっていないと、当たり前のことをおっしゃっていただいているわけですけれども、調査以来、引き続き、全ての箇所で大気環境基準に適合しており、専門家の方々からは、科学的な視点から安全は確保された状態にあると、部長がいっているんじゃなくて、専門家の方々がいっているということで、ここにコメントを付け加える必要はないというふうに思います。
 豊洲市場の面積は三十五万平方メートルです。そして、上部にも下部にもあります。地下ともなれば百万立方メートル。広大な容積を管理していかなければなりません。
 こうしたことから考えると、危険だ、危険だ、課題があると、不安を都民にあおるのではなくて、課題があるのならば、どのように不安を払拭する施策を講じていけるのか、それが問われているのが局の皆さんのお仕事であります。
 多くの都民の方々に様々な、今、有識者の見解を、専門家の見解をご答弁という形でいただきましたけれども、これを都民に発信していかなければなりません。
 豊洲市場を利用される方々や地元の方々にも安心してご利用いただいて、共存していっていただくために、情報発信が必要不可欠だと思いますけれども、見解を求めます。

○萩原環境改善担当部長 豊洲市場における地上部の空気や地下水質の状況について、都民の皆様をはじめ、豊洲市場を利用する人々に対しまして、正確で分かりやすい情報を提供していくことは、豊洲市場の安全・安心の確保に向けた重要な取組でございます。
 このため、都では、空気調査は毎月、地下水質調査は三か月ごとに、その結果を市場のホームページで公表するとともに、ツイッターで発信してございます。
 また、分かりやすい情報発信の一環として、令和三年九月より、公表資料について、最新の調査結果をより分かりやすく理解していただけるよう、図表の統一化を図るなど、より見やすい資料を作成いたしました。

○慶野委員 様々な発信を、ホームページ、ツイッターで行っていただいているということですけれども、ここだけは、あえていわせてもらえれば、それだけでは多分足りないんだと思います。専門家の方々が安全だ、安全な状態にあると今おっしゃっていただいているのを多くの都民が知らないというのが事実ですから、そういう意味では、発信していますで終わらせるのではなくて、別の創意工夫も必要なのかもしれません。
 例えばですけれども、先日、私、食肉市場の食肉まつりに顔を出させていただきました。多くの方々が来場されておりました。そこで感じたのは、大きく二つ。
 食肉市場という、ふだんは、いろんな意味で閉ざされた空間で、あそこに何があるのか分からないというのが一般的な感想ですけれども、地域の方は、そうではない。
 食肉まつりが三年ぶりに開催されて、私が式典の開会の前に到着した時点では、市場を取り囲むように、大行列が駅から続いておりました。多くの方が、食肉市場に安心と、また好奇を持って、今日は何が手に入るのかなという思いで集われている。これが長年にわたって築いてきた市場局の皆さんの、中央卸売市場の皆さんの努力であり、信頼であり、ブランドであり、その並んでいる方々の家族連れで話している声をちょっと仄聞すると、例えば銀座〇〇のお肉、日本橋〇〇のお肉が手に入る、ふだんはそれが流通してお店に行って、それを食べようと思ったら一万円かかっちゃう、それが、ここでは直送、直売で手に入ると。
 当日は大田市場からもお野菜が入っていて、もう十円、百円というレベルで売られておりまして、私もいっぱい買わせていただきましたけれども、こういうふうに、地域の方と、まさに五感を一緒に、共有するかのように感じていただくことで、本当に食肉市場に対するハードルや偏見なんていうものは、皆さんには何もない。そこで取引されている方々、まして、中でご商売されている方々、仲卸の方々、何の隔たりもなく、大行列、どのお店も大盛況でした。私もお肉をいただかせていただきました。
 という地域の方々との触れ合いの大切さという一点と、もう一点、強く感じたのが、余りこういうところで表現しにくいですけれども、ご担当されている市場局職員の皆様の、それはそれは、我が市場をみんなに見てもらいたい、喜んでもらいたいという大情熱、その情熱に私は圧倒されました。どれほどの思いで、毎日毎日、中央卸売市場を、多くの市場を飛び回りながら、都民に理解を得てもらうために、まして無事故で運営をしていきながら、風評被害を払拭していこうと努力されているかと思ったときに、涙を流したといえば大げさになりますけれども、その情熱に、私は本当に心から感銘をいたしました。
 ちょっと余談が長くなりましたけれども、そうした世間の声を、また、真っ当なご理解をいただくためにやっていかなきゃいけないことというのは、しつこい話ですけれども、例えば豊洲市場を開設したときに、まだ使い勝手が、働かれる多くの方々が勝手が分からない、これは当たり前なんです。分からないから、設置した側も、どういう利用の仕方をされて、どこでどう起きるか分からない。
 だから、私も視察に行かせてもらいましたけれども、カーブミラーのミラーの位置だって、使われている側の目線に立てば、ここじゃなくてこっちがいいというふうになったり、ターレが上っていくループのところは、つるつるのきれいなものにすれば何の問題もないのを、やはり水の上を走るターレのタイヤ、ぬれて滑らないようにということで摩擦係数を上げた舗装にする、排水性の高い凹凸をつける、こうしたことをすれば、当然、カーブのところではタイヤのかすも出るでしょうし、出てきたということで課題を認識したら、当初、開発のときには、設置のときには設計図になかった新たな排水口を設けて、水で流すお掃除の頻度を高めて、今ではなくなった。
 それは、課題を認識して解決する施策があれば、それで済む話。それを、あたかも自然界には存在しない有害物質、謎の黒い粉じんがあるあると、当時騒がれて、皆さんはお人よしだから、それを打ち返さずに黙って聞いていると、都民はそういうものだと思ってしまう。あの謎の黒い粉じんは、タイヤかすですよ。
 ターレは、豊洲の中には約二千百台がリースで今利用されていると聞いております。十七インチ、外径にしたら四百二十ミリぐらいしかない小さなタイヤが二千台走っているだけです。それが毎日通れば、タイヤかすがたまります。たまる前に流しましょうというだけなんです。
 ただ、これ、流すのがいいか悪いかというのは、この質疑でやる話ではありませんから、余り深掘りはしませんけれども、例えば、日本の国土交通省に登録されている自動車が八千二百万台あって、普通の乗用車は十七インチ、十八インチといっても、タイヤがその周りにあって、外周は六百二十ミリぐらいが通常だと思いますけれども、その八千万台が走っていけば--新品のタイヤというのは、大体、溝が八ミリで設定されております。一・六ミリになるとスリップサインが出ますから、六・四ミリ減らす。もともと十キロあったタイヤが、一・六ミリのスリップサインが出るときになると、一キロ重さが減るそうです。約九キロから八・五キロに減る。一・五キロが四輪ありますから、これで六キロぐらいゴムが--天然ゴムだけじゃないんです。あれは合成ゴムなんかを使っていて、そして、日本というのは環境後進国で、排気ガスだけには注目をするけれども、タイヤかすには全く法規制がなくて、八千二百万台のタイヤがかすをまき散らしながら、まさに市場内だけではなくて公道においてもタイヤかすまき散らしながら、それが、掃除がなければ、雨で流れて海水に混じっていく。
 海洋プラスチック、マイクロプラスチックが問題になっておりますけれども、この二八%ほどはタイヤかすなんじゃないかといわれております。PM二・五も、半分はタイヤかす由来じゃないかと、こういう調査もあるようです。
 そうした中で、東京だけではなくて、日本国中がタイヤかすにまみれている中でも、それによる健康被害というのは認知されないわけですが、市場内の二千台のターレのタイヤかすは、特定の部分にしか絶対発生しません。真っすぐずうっと走っていれば、そこは大丈夫。カーブで上り下り、上りというよりは下りのときに、減速し切れずに、遠心力でぐりぐりぐりっといったところにかすがたまりますから、ここを集中的に掃除していただければ、自然界に有しない有害物質だなんて、こんなのは調べれば、タイヤを調べれば当たり前なんです。
 合成ゴムですから、当たり前の話なんですけれども、それを殊さら問題だと騒がれてしまったので、皆さんには、ツイッターとかホームページだけでは足りません。もっと大きく都民の皆様にこうしたことを、私たちが生活するこの空間のことを、大気を測定しているデータと比べながら示していっていただきたいと思います。
 法令に基づいた空気環境測定を行って、基準値を下回っているという、そういうご答弁、ちょっと余計なことを話し過ぎましたけれども、私たちが生活する空間の大気を測定しているデータと豊洲市場におけるデータの関連性を分析して、分かりやすく公表する取組を今後も進めていくということでありますので、充実強化をして、都民にしっかり周知をしていきたい。
 何としても、この豊洲市場の草創期を--当時から、村松市場長が大変な思いをしながら、何度も答弁に立たれる姿を見ながら、この課題解決には、どういう政策、施策が有効なのかと、私も不勉強ながら、これまで関わらせていただきました。
 そして、このブランド確立の草創期、これを、豊洲が中心となって、都内全体の市場がSDGsの観点から持続可能な利用がかなうように、水産資源を守る取組、こうしたことも重要になってまいります。
 先日、伺ったところ、水産仲卸業界の団体である東京魚市場卸協同組合の早山理事長は、水産資源は環境問題において重要であり、議論を積み上げなければならない、こうお話しされて、水産資源の持続可能性を考える取組を進めてきたということであります。
 その取組の具体的な内容を伺うとともに、都は、その取組に対してどのような支援を行ってきたのか、お伺いいたします。

○前田事業部長 東京魚市場卸協同組合では、SDGsを考えよう、今、豊洲市場として取り組めることとはと題して、水産資源や海洋環境に関するワークショップを四回にわたって開催いたしました。
 具体的には、持続可能な水産流通の在り方や海洋プラスチックごみなどをテーマとした外部有識者による講演や、サイズがそろわないなどの理由から市場に流通しない未利用魚を活用したビジネスの事例紹介などをパネルディスカッション方式で実施いたしました。
 この取組の実施に当たり、都は、講師となる外部有識者を派遣するなどの支援を行ってございます。

○慶野委員 東卸の理事長様でさえ、水質問題は大事だ、SDGsは大事だというふうに取り組んでおられて、もう既に、豊洲のさらなるブランド化、都民の安全・安心の確保、気持ちの確保を目指して、当事者たちは前に進んでおります。私たちは反対しましたなんて、移転反対ですなんていう議論を、この今のときにやっている場合じゃない、このように、私は強く指摘させていただきたいと思います。
 事業者の皆様の生鮮食料品、今日は豊洲を中心にお話しさせていただきましたけれども、花きも青果も含めて、全て含めまして、食料品を含めて供給を守り抜いていく、流通は自分たちが守る、その使命を果たすという市場事業者の、関係者の皆様の強い決意、そして、開設者である東京都の時代の変化に即した意欲的な取組への支援、建物の徹した維持更新、施設の管理、こうしたことにますます力を入れて、東京都が誇る市場であり続けていただくことを期待いたしまして、質疑を終えます。

○原委員 原純子です。よろしくお願いします。
 葛西市場について取り上げます。
 私の住む江戸川区臨海町にある葛西市場で仕入れをしている区内の八百屋さん、花屋さんが幾つもあります。
 近くの八百屋さんも、朝三時には市場に行かれているとのことです。その方は、学校給食に納品をしているのですが、新型コロナ急拡大当初の突然の休校には、打撃だと肩を落とされていました。コロナでなくても、台風や大雪などでの休校は、当日、朝七時に決まるので、仕入れた食材を受け取ってもらえず、その補償がないことなども訴えられていました。課題がいろいろあるようです。
 鮮度が命の野菜を扱うということは、とても大変なんだというふうに思います。私たちの毎日の食や暮らしを支えてくれている市場業者、売買参加者、関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。
 今回、葛西市場の視察をさせていただきました。青果と花きを扱い、七万四千平米、東京ドーム一・五個分という、豊洲市場、大田市場に次ぐ敷地面積です。青果棟は、平屋、開放型で広々としていて、青果の温度管理ができる低温施設も見せていただき、品質管理面でとても重要な設備と分かりました。
 開場から四十年を超え、海が近いため、海風による塩害などの影響もあって、補修が必要な施設が増えているということです。
 まず、葛西市場において、昨年度に実施した主な工事について伺います。

○渡邉市場政策担当部長 令和三年度、葛西市場におきましては、老朽化対策工事として、青果卸売場屋根改修工事や青果部仲卸売場店舗シャッター改修工事を実施したほか、花き棟北側トイレ改修工事などを実施し、これらの工事の経費として約四億九千万円を執行したところであります。

○原委員 敷地の真ん中にどんと建てられている青果棟の屋根が、改修で新しくなっていました。かなり大がかりな工事だったと思います。
 また、改修された花き棟北側トイレを見せていただきましたが、和式便座から洋式便座に改修され、明るくて使いやすそうでした。
 この工事を実施したことにより、葛西市場におけるトイレの洋式化は、どの程度まで進んだのでしょうか。

○渡邉市場政策担当部長 都はこれまで、トイレの改修工事に当たり、老朽化した設備を更新するだけでなく、衛生管理に配慮して洋式化を図るなど、計画的に取り組んでまいりました。
 葛西市場におきましては、令和四年二月末現在、五十八か所のトイレに、便座が計百十基設置されており、令和三年度に花き棟北側トイレ改修工事を実施したことにより、五か所のトイレに計九基の洋式便座が設置されました。
 これにより、トイレ五十八か所のうち四十四か所に洋式便座が設置され、百十基の便座のうち五十四基が洋式便座となったところであります。

○原委員 ありがとうございます。半分ぐらい洋式便座となっているようです。引き続きお願いいたします。
 葛西市場には、バリアフリーに対応したトイレが何か所設置されているのでしょうか。二〇二一年度時点での設置数を伺います。

○渡邉市場政策担当部長 多くの市場業者の方々が業務に従事している中央卸売市場におきまして、働きやすい環境を整備し、ダイバーシティの推進を図るため、令和三年度に策定した東京都中央卸売市場経営計画では、施設の利用状況などを勘案し、計画的にバリアフリー化やユニバーサルデザインへの対応を進めていくこととしております。
 令和三年度時点で、葛西市場におきまして、バリアフリーに対応したトイレは四か所設置されております。

○原委員 四か所ということです。業者さんやいろんな方が出入りするわけですから、車椅子やオストメイトにも対応するトイレは必要です。広い敷地の中ですので、各所に適正に配置して、設置していただけるようお願いします。
 施設のLED化については、どのくらいの到達度ですか。

○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場では、平成二十八年度から、卸売場など主要な市場施設や東京都事務室におきまして、照明器具のLED化を計画的に進めております。
 葛西市場では、平成三十年度に青果卸売場及び仲卸売場、令和三年度に花き卸売場、仲卸売場及び東京都事務室のLED化工事を実施したところであります。

○原委員 昨年度の花き卸売場、仲卸売場、事務室のLED化で、東京都の直接管理する部分は、ほぼLED化されたということです。節電効果の検証は、まだこれからのようですが、感想をお聞きしたところ、とても明るくなったと声が出ています。そして、電球の寿命が長いことが本当に助かる、天井がとても高いので、電球の交換作業が本当に大変なんですといわれていました。今後は、仲卸業者売場なども、利用者の要望に応えてLED化を進めてほしいと思います。
 屋根など大改修から小さい改修など、規模の大小はありますが、二十四時間稼働している市場なので、働く皆さんの安全確保をしながら生鮮品を扱うという点で、売り買いに支障を来さないよう、配慮しながらの工事になっていると思います。大変ですが、引き続きの改修も、安全第一でお願いいたします。
 また、今後の改修計画づくりや実施に当たっても、業者さんの要望を十分聞き取り、反映させてくださるようお願いいたします。
 フォークリフトとターレの電動化率について、現在の到達を伺います。

○渡邉市場政策担当部長 葛西市場では、令和四年二月一日現在、フォークリフトが百十一台、ターレット式構内運搬自動車が六十八台、合計百七十九台の小型特殊自動車が使用されております。
 そのうち、百四十三台が電動化されており、電動化率は約八〇%でございます。

○原委員 八〇%ということです。充電場所も十分確保されていたようなので、引き続き電動化を進めてもらえるよう、支援をお願いいたします。
 葛西市場には、青果卸売場に地場野菜のコーナーがありました。江戸川区ではコマツナ農家が多くありますし、船橋産のサツマイモなど、近隣産地のものを扱う地産地消を応援する取組はとても重要です。
 都は、二〇二一年度に経営計画を策定いたしましたが、こうした地産地消の取組をどのように位置づけたのかを伺います。

○渡邉市場政策担当部長 都内に十一ある中央卸売市場は、立地や商圏、規模や機能など、それぞれ異なる特色を有しております。
 令和三年度に策定した経営計画では、このような各市場が持つ特色を強みとして生かし、市場業者が地産地消やエシカル消費など多様な消費者ニーズに対応できるよう、取引活性化の好事例を共有することなどを通じて、市場業者による品ぞろえの充実を都として支援することとしております。

○原委員 ありがとうございます。引き続きの支援をお願いいたします。
 小中学生の市場見学など、地域に開かれたこれまでの取組についてお聞きいたします。
 これまでの取組は、どのようなものがあったでしょうか。

○渡邉市場政策担当部長 新型コロナウイルス感染症による市場業務への影響に鑑みまして、令和二年度、三年度は市場見学などを中止しておりますが、葛西市場では、従前より、小学生などを対象とした団体見学や市場まつりなどの機会を捉え、多くの都民の方々に、市場の役割や機能につきまして理解を深めていただいているところであります。

○原委員 市場を訪問したときに、独自に作成した紹介ビデオを拝見いたしました。とても分かりやすくてよかったです。市場のことを学ぶことは、食育としても、とても大事な取組です。市場まつりが今年も中止となってしまい、地域の皆さんが楽しみにされていましたし、準備してこられた皆さんのことを思うと、大変残念ですが、ぜひ来年度はできるように期待したいと思います。
 コロナの影響で人の生活様式が変わる中で、大変なご苦労をされながら事業を継続されている市場関係者の皆さんへ、引き続き強力にサポートをされるよう、要望いたします。
 最後に、豊洲市場のことについて一言申し上げます。
 先ほど、いまだに地下水がとか、あれこれいっている人がいるとか、不安をあおっているというふうな発言がありましたが、豊洲市場の開場に当たっては、都民の中では大変な不安が、そもそもスタートからあったわけです。
 生鮮食品を扱う市場にとって、市場環境の安全・安心は大前提となります。豊洲でのシアンなど有害物質の検出がされる事態を軽く見ることなく、継続して検査、公表をして対策を取ることは、市場で働く皆さん、そして、都民への責任だというふうに申し上げておきます。引き続き対策を取っていただけるよう、私からも申し上げておきます。
 以上で質問とさせていただきます。ありがとうございました。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時十八分散会

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