委員長 | うすい浩一君 |
副委員長 | おじま紘平君 |
副委員長 | 曽根はじめ君 |
副委員長 | 川松真一朗君 |
玉川ひでとし君 | |
土屋 みわ君 | |
もり 愛君 | |
渋谷のぶゆき君 | |
西崎つばさ君 | |
森村 隆行君 | |
和泉なおみ君 |
欠席委員 なし
出席説明員水道局 | 局長 | 古谷ひろみ君 |
技監 | 松田 信夫君 | |
総務部長 | 石井 英男君 | |
職員部長 | 長嶺 浩子君 | |
経理部長 | 西川 泰永君 | |
サービス推進部長 | 坂井 吉憲君 | |
浄水部長特命担当部長兼務 | 佐藤 清和君 | |
給水部長 | 石田 紀彦君 | |
建設部長 | 藤村 和彦君 | |
経営改革推進担当部長 | 高畠 信次君 | |
企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 | 尾関 元君 | |
設備担当部長 | 小泉 正一君 | |
事業調整担当部長 | 山田 廣君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 小平 基晴君 |
調整部長 | 小山 伸樹君 | |
施設部長 | 鈴木 理君 | |
技術調整担当部長 | 橋本 英樹君 |
本日の会議に付した事件
令和三年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・令和三年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・令和三年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)
○うすい委員長 ただいまから令和三年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行います。
これより水道局関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和三年度東京都水道事業会計決算及び令和三年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○石井総務部長 さきの分科会におきまして要求のありました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
一ページをお開き願います。水需要予測と実績の推移でございます。
将来の水道需要の見通しと、平成二十九年度から令和三年度までの一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。多摩川水系、利根川、荒川水系の年間取水量の推移でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの多摩川水系及び利根川、荒川水系の年間取水量をお示ししてございます。
三ページをご覧ください。各浄水場等における自然エネルギー等による発電状況でございます。
浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備について、それぞれの設置年度、発電規模及び令和三年度の発電実績をお示ししてございます。
四ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
東京水道施設整備マスタープランにおける耐震継ぎ手率の計画値と令和三年度の耐震継ぎ手率の実績をお示ししてございます。
五ページをご覧ください。水道管路の布設年度別管理延長でございます。
配水本管及び配水小管の布設年度別の管理延長を、一定期間ごとに区切ってお示しをしてございます。
六ページをお開き願います。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
七ページをご覧ください。政策連携団体への委託料及び主な委託内容でございます。
政策連携団体に対する令和三年度の委託料及び主な委託内容をお示ししてございます。
八ページをお開き願います。政策連携団体における法人税等と株主配当の推移でございます。
政策連携団体の平成二十九年度から令和三年度までの法人税等と株主配当の推移をお示ししてございます。
九ページをご覧ください。水道料金の減免実績でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの減免額と減免件数について、その内訳と合計をお示ししてございます。
一〇ページをお開き願います。災害時の職員派遣実績でございます。
過去十年間に発生した災害について、災害名、派遣時期、派遣人数、災害規模をお示ししてございます。
一一ページをご覧ください。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う水道料金の支払い猶予件数でございます。
期間中に受け付けた支払い猶予の件数を口径別及び年度別にお示ししてございます。
以上、大変簡単でございますが、要求のありました資料の説明を終わります。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
○うすい委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○土屋委員 自民党の土屋です。よろしくお願いいたします。
令和元年の冬から拡大した新型コロナウイルス感染症は、日本をはじめ世界の社会経済活動に大きな影響を与えたのはご承知のとおりですが、そうした中においても、東京の水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要な基幹ライフラインであり、継続的に事業を運営していく必要があることはいうまでもありません。
令和三年度の決算審査に当たっては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、水道局が、強靱で持続可能な水道システムの構築を目指し策定した東京水道経営プラン二〇二一の初年度として、安定給水に必要な事業を着実に実施できたのか、安定的な健全財政運営を行うことができているのか、施設整備と経営の目標管理が徹底できているのかを中心に確認してまいりたいと思います。
まず、コロナ禍における料金収入の状況とその分析についてお伺いいたします。
○石井総務部長 コロナ禍の影響を大きく受けた令和二年度の料金収入は二千七百三十一億円で、コロナ禍前の元年度と比較すると百六十二億円の大幅な減収でございました。
令和三年度の料金収入については、前年度から一定の回復を見込んでおりましたが、二千七百三十三億円、前年度比二億円増のほぼ横ばいでありました。
都の水道事業は、逓増型料金体系を採用しており、口径が大きくなるほど、また、使用水量が多くなるほど、従量料金の単価が高くなる仕組みになってございます。
令和二年度は、ステイホームや経済活動停滞の影響により、主に一般家庭で使用される単価の安い小口径の使用水量が増えた一方、オフィスビルや商業施設などで使用される単価の高い中口径以上の使用水量が減ったことにより減収となりました。
一方で、令和三年度は、経済活動等の再開により、中口径以上の使用水量が増加し、小口径の使用水量が減少するなど、コロナ禍以前の収入構造に戻りつつあると分析をしております。
○土屋委員 前年度の収入構造変化からは戻りつつあるものの、料金収入はほぼ横ばいにとどまったということですが、昨年三月に公表した東京水道経営プラン二〇二一では、計画期間である令和三年度から七年度までの財政収支計画を策定していますが、計画策定時点では、先行きが不透明な社会経済状況下、料金収入を予測するのは困難であったのではないかと推察いたします。
そこで、経営プランでは令和三年度の料金収入をどのように見込んでいたのかお伺いいたします。
○石井総務部長 東京水道経営プラン二〇二一の財政収支計画では、都の人口推計や都市活動用水等の動向を基に、料金収入の計画値を算出し、コロナ禍の影響による減収として約九十六億円を見込んだ上で、令和三年度の給水収益を二千八百十一億円で計画いたしました。
しかし、令和三年度の実績は、経営プランにおける計画からさらに七十八億円の減収が生じております。
○土屋委員 経営プランの策定時点でコロナ禍による影響を見通すことは困難であったことは理解できますが、計画していた収入を下回っているとのことであり、経営状態は計画よりも悪化しているのではないかと危惧するところです。
経営プランでは、経営の安定性を示す六つの経営指標を選び目標数値を設定していますが、これら指標から経営状況を確認させていただきます。
これらの指標について、令和三年度の実績と評価をお伺いいたします。
○石井総務部長 経営プランでは、経営指標として、経常収支比率、流動比率、自己資本構成比率、給水収益に対する企業債元利償還金の割合、給水収益に対する企業債残高の割合、料金回収率の六つを指標として設定しております。
令和三年度は、料金収入が計画を下回ったことにより、六つの指標のうち、給水に係る費用がどの程度料金収入で賄えているのかを表す料金回収率については、一〇〇%以上とする目標に対して九九・七%と目標数値を僅かに下回りました。
しかし、適切な事業執行に努めた上で、それに応じた企業債の発行などを行った結果、他の経営指標は全て目標を達成しております。
こうしたことから、健全な財政運営を行っているものと自己評価をしております。
○土屋委員 料金収入が伸び悩む中、おおむね安定した経営が行われているとのことでありますので、引き続き、社会経済状況の変化に対応しつつ、健全な財政運営に努めていただくことを要望いたします。
次に、事業の進捗について質疑いたします。
会派としても、経営プラン二〇二一で示された事業が初年度から着実に実施しているかを注視していく必要があると認識しており、令和三年度における施設整備の状況や置かれている課題、対応について、順次伺ってまいります。
まず、水道施設整備の状況について伺います。
切迫性が指摘される首都直下地震や施設の老朽化などのリスクに対し、安定給水を確保するためには、施設整備を計画的かつ着実に進めていく必要があります。
我が党はこれまで、議会での質疑を通じて、水道施設整備の進捗状況を随時確認し、事業効果の早期発現に向けて、時には厳しく意見を述べてきました。
水道システムのうち、導水施設、浄水場、送水管及び給水所は、水道の骨格を形成する基幹施設として重要な役割を担っていることから、水道施設に影響を及ぼす地震や風水害などに備え、着実に整備を進めていくことが求められます。
昨年の公営企業会計決算特別委員会において、導水施設の二重化事業の一つである第二朝霞東村山線が令和二年度に完成し、既設の導水管である朝霞東村山線の更新工事が可能となったとの報告がありました。
バックアップ機能を確保した朝霞東村山線について、改めて、更新の目的と令和三年度の取組についてお伺いいたします。
○藤村建設部長 朝霞東村山線は、朝霞浄水場と東村山浄水場との間で、利根川水系と多摩川水系の原水を相互に融通する原水連絡管であり、平常時はもとより、渇水や事故時などに役立つ重要な施設でございます。
一方で、整備後五十年以上が経過しており、平成十一年度に実施した管路診断では、耐震性に課題があることを確認しております。
これまで、長期間運用を停止することが困難でございましたが、第二朝霞東村山線が完成し、バックアップ機能の確保が図られたため、既設の朝霞東村山線を更新してまいります。
令和三年度は、朝霞東村山線の更新に向け、計画どおり設計に着手しました。
○土屋委員 ありがとうございます。更新の目的と令和三年度の取組については分かりました。朝霞東村山線は、渇水や事故時に大きな役割を果たす極めて重要な導水管であることから、計画どおり設計に着手したとのことでありますが、引き続き、遅れがないよう、しっかりと進めていただきますようお願いいたします。
また、現在、東村山境線を施工していると聞いていますが、こうしたほかの導水施設の二重化についても工事の遅れが懸念されるため、計画どおり事業が進捗しているのかを確認したいと思います。
東村山境線の令和三年度の整備状況についてお伺いいたします。
○藤村建設部長 東村山境線は、村山、山口貯水池の原水を境浄水場に送っている第一村山線を二重化するための導水施設でございます。
平成二十八年度に事業に着手しており、令和三年度は、全四区間に分割したうちの三区間においてトンネル築造工事等を実施し、残る一区間は設計を行いました。
工事を実施した三区間のうち、一区間でトンネル築造が完了しており、トンネル内配管等の工事に速やかに着手しました。
現在、工事は計画どおりに進捗しております。
○土屋委員 現在のところは工事が順調に進んでいることは分かりました。
長期間にわたる工事を円滑に進めるためには、不測の事態への対応だけではなく、地域住民の理解や協力が得られるよう、生活環境に十分配慮して施工することが必要と考えます。
そこで、計画どおり事業を円滑に進めるため、どのような取組や工夫を行っているのかお伺いいたします。
○藤村建設部長 東村山境線の工事では、完成時期を遵守するため、引き続き綿密な工程管理を行いながら、複数の工事を並行して進めております。
また、計画に沿った円滑な施工を行うため、周辺環境に配慮した対策を実施しております。
具体的には、デジタルサイネージを活用した分かりやすい工事情報の発信、地元自治会を対象とした見学会の開催、現場周辺の定期的な清掃活動など、地域住民の理解を得られるよう、イメージアップに取り組んでおります。
加えて、工事現場の車両出入口には、多摩湖自転車歩行者道が隣接していることから、交通誘導員を手厚く配置し、通行者の安全確保に努めております。
こうした取組により、地域住民の理解と協力を得ながら、今後も、工程管理や円滑な施工のための取組を徹底し、令和八年度の完成を目指してまいります。
○土屋委員 震災や事故などにより、導水施設が破損し断水が起これば、都民生活や都市活動に大きな影響を与えることになるため、計画的かつ着実に整備を進めていただくよう要望いたします。
次に、浄水場等における自家用発電設備の整備について伺います。
本年三月十六日に発生した福島県沖地震発生時、東京電力の発電設備の停止により、都内で最大七十万軒の停電が発生しました。発生時間帯が深夜であったこと及び自家用発電設備の運転により、水道の供給には影響がなかったと聞いていますが、発生時間帯によっては、都民生活や都市活動への影響が懸念されます。
こうしたリスクに対応し、停電時などにも一定の給水を確保できる自家用発電設備の整備は重要な施策でもあります。
改めて、停電時における給水確保の考え方についてお伺いいたします。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、首都直下地震などにより、電力事業者からの電力供給が途絶えた場合においても必要な給水を継続するため、水道施設における電力の自立化が重要であると認識しております。
このため、大規模な停電時においても、一日当たりの平均配水量を確保できるよう、浄水場や給水所等への自家用発電設備の整備を推進してございます。
こうした自家用発電設備の整備目標を大規模停電時における給水確保率として指標化し、東京水道施設整備マスタープランの最終年度となる令和十二年度末に九二%と設定しております。
○土屋委員 震災などにより電力が途絶したとしても、基幹ライフラインとして、都民生活にとって給水の継続は不可欠であり、電力逼迫により広域停電が懸念されている昨今の状況も踏まえると、自家用発電設備の整備を着実に進めることが非常に重要です。
そこで、令和三年度の取組についてお伺いいたします。
○小泉設備担当部長 令和三年度は、清瀬市の清瀬梅園給水所及びあきる野市の乙津第一配水所において、自家用発電設備の整備が完了いたしました。
これらの整備が完了したことにより、令和三年度末の大規模停電時における給水確保率は六四%となっております。
これにより、委員がおっしゃられた本年三月の地震発生の際、当局の複数施設が停電したものの、水道の供給に影響がなかったなど、着実に整備効果が現れております。
さらに給水確保率を向上させるため、三郷浄水場、世田谷区の上北沢給水所、東村山市の美住ポンプ所などにおいて工事を実施中であり、金町浄水場や練馬給水所などについても設計を進めております。
○土屋委員 停電時において給水が確保できる割合は六四%ということで、整備はまだまだ道半ばであり、今後の着実な事業の推進が求められます。
長期間にわたりこれだけ多くの施設の整備を進めていくためには、様々な課題が存在すると思料いたします。
事業を実施していく上での主な課題と対策をお伺いいたします。
○小泉設備担当部長 現在、施工を進めている四施設のうち、三郷浄水場においては、世界的な半導体などの供給不足の影響を受け、自家用発電設備に関連する資機材の調達に遅れが生じております。
これに対しては、複数の作業を同時に進めることによる施工手順の見直しなど、効率的な工程管理を行っております。
また、設計中の一部の施設については、第三者機関による建屋構造の審査が新たに必要となるなど、設計期間の延伸が生じることになりました。
このため、地元自治体などとの綿密な協議による行政手続の効率化や、準備工事の前倒し発注など、全体工程に影響を与えないよう適切に対応してまいります。
こうした取組を着実に実施することにより、完成時期の遵守に努めてまいります。
○土屋委員 課題が多いのは認識いたしましたが、都民の安定給水に直結する事業でありますので、円滑な事業の推進に向け、しっかり取り組んでいただくことを要望いたします。
続いて、災害対策として、水道管の耐震継ぎ手化についてお伺いいたします。
昨年の十月七日には、千葉県北西部を震源とするマグニチュード五・九の地震があり、水道管の抜け出しや破裂などによる被害は生じなかったものの、この地震に伴い、都内各所で漏水が発生したことは記憶に新しいところであります。
一方、マグニチュード七クラスの首都直下地震が発生する確率は三十年以内に七〇%と推定され、令和四年五月に東京都防災会議が公表した都の被害想定によりますと、一部の地域では断水率が六〇%を超えることが想定されており、配水管の耐震継ぎ手化などの震災対策を着実に進めていかなければならないと考えます。
配水管の耐震継ぎ手化の目的及び考え方を改めて教えてください。
○石田給水部長 当局では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平成十年度から継ぎ手部に抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管を採用し、配水管の取替えを実施しております。
配水管の延長は約二万七千キロメートルにも及ぶことから、継続的かつ計画的に更新していく必要があります。
現在も重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を推進しておりますが、東京水道経営プラン二〇二一では、全ての重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を令和四年度末に前倒しして完成させることとしております。
また、都の被害想定で、震災時の断水率が高い地域を取替え優先地域と位置づけ、耐震継ぎ手化を重点的に推進し、令和十年度までに解消してまいります。
これにより、都内全域の断水が復旧するまでの日数が短縮でき、震災時における給水安定性の向上が見込まれるものでございます。
○土屋委員 東京水道経営プラン二〇二一に基づき、配水管を計画的かつ優先順位を定めて更新していく考えであることは分かりました。
しかし、計画を確実に達成するためには、具体的な目標を設定し、各年度の進捗を確認していく必要があります。
そこで、現在の配水管の耐震継ぎ手化の目標と令和三年度末までの取組実績について伺います。
○石田給水部長 東京水道経営プラン二〇二一では、耐震継ぎ手率を、令和元年度末の四五%から、令和十二年度末には六一%まで向上させることを掲げており、地震発生時の断水率は、令和元年度末の二九%から、令和十二年度末には二一%に改善することを目標としております。
これまで、避難所や主要な駅等の重要施設への供給ルートなどの耐震継ぎ手化を優先的に進めてまいりました結果、令和三年度末における配水管全体の耐震継ぎ手率は四八%まで進捗し、令和三年度末時点の目標を達成しております。
○土屋委員 具体的な目標設定や進捗状況について確認いたしました。
震災時の都民への影響を最小限とするためには、膨大な延長の配水管について、対象施設を明確にし、めり張りをつけて耐震継ぎ手化を実施していく必要があります。
このプランでは、優先的に進めるとしている避難所や主要な駅などの重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化の完了を令和四年度に掲げていますが、目標年度となり、その事業進捗を確認させていただきます。
令和三年度末の重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化の実績と令和四年度の事業完了に向けた見通しについて伺います。
○石田給水部長 重要施設への供給ルートについて、令和三年度には約七十四キロメートルの耐震継ぎ手化を実施しており、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率は、令和二年度末の八九%から、令和三年度末には九五%まで向上しております。
昨年度までの取組の結果、令和四年度に整備する延長は約八十四キロメートルで、約十五キロメートルについては既に整備が完了しており、約六十キロメートルについては、工事に着手しております。
残る約九キロメートルにつきましては、現在、早期の工事着手に向け、道路管理者等と工事時期を調整しており、年度内に工事を完成させてまいります。
○土屋委員 目標達成に向け取り組んでいるとのことでありますが、首都機能が集積した都内においては、都心部特有の困難な課題を抱える現場もあると推察いたします。
しかし、いまだ工事時期が調整中であり、工事に着手していない現場があるとのご答弁でありますが、今年度も既に後半となりまして、事業の完了見込みを危惧いたします。
そこで、予定どおり事業を完了させるためにはどのような課題があり、そして、それらをどう解決していくのか、具体的な方策について伺います。
○石田給水部長 都内の工事現場におきましては、地下埋設物がふくそうし、配水管の取替えが困難な箇所や、他のライフライン工事との競合、工事場所が繁華街等であることにより、施工時期、作業時間が制約される場合があります。
こうした場所では、現場状況に応じた埋設位置の変更や、他のライフライン事業者と施工時期を柔軟に調整するとともに、地元に対し、工事の必要性等を丁寧に広報することなどにより、工事を着実に完了させてまいります。
○土屋委員 工事を進めていく上では様々な課題が顕在化すると思いますが、しっかりと対策を講じて、配水管の耐震継ぎ手化を精力的に進めていただきたいと思います。
次に、多摩地区水道の強靱化について伺います。
東京水道経営プラン二〇二一においては、多摩地区水道の強靱化を掲げ、管路の計画的な更新や拠点となる施設を整備することとしています。
しかし、施設整備は長期に及ぶことから、完成までの間、震災や事故が起きた場合、広範囲に断水が起こり、都民生活に甚大な影響を及ぼすことも懸念されます。
かねてより我が会派では、多摩地区における給水安定性の向上に向けて、施設整備の推進を強く要望してまいりました。
そこで、これまで進めてきた多摩地区水道の強靱化に向けた目的や取組について確認させていただきます。
まず、多摩地区水道の強靱化の目的について、改めて伺います。
○橋本技術調整担当部長 多摩地区の水道施設は、市町が水道事業を運営してきた経緯から、配水区域が市町域単位で設定されているとともに、小規模で老朽化した施設が多数点在しております。
送水管につきましては、バックアップ機能が十分でないため、災害や事故時に給水所への十分な送水が困難な状況になるおそれがございます。
こうした状況の改善に向け、東京水道経営プラン二〇二一では、多摩地区を、地域特性に応じた四つのエリアに分類し、配水区域の再編や施設の統廃合を行い、施設管理の効率化を図ることとしております。
また、送水管のネットワーク化や二系統化を進めることにより、バックアップ機能を強化し、給水安定性を向上させてまいります。
○土屋委員 多摩地区における施設整備の課題と強靱化について再認識いたしました。
東京水道経営プラン二〇二一を見ますと、多摩地区では、こうした課題を解消するため、昨年度も多くの取組が行われているようでありますが、令和三年度の施設整備の具体的な状況についてお伺いいたします。
○鈴木施設部長 多摩地区では、地域特性に応じた効率的な施設管理や給水安定性の向上のため、給水所等の拠点となる施設の整備や送水管ネットワークの構築を行っております。
給水所につきましては、市町域にとらわれない配水区域へ再編するため、立川市の柴崎給水所や調布市の深大寺給水所などで配水池の拡充整備を実施しており、令和三年度末には清瀬梅園給水所が完成し、運用を開始いたしました。
また、送水管につきましては、広域的なネットワークを構築する多摩南北幹線の整備を進め、令和三年度には、送水の起点となる東村山市の美住ポンプ所の本体築造をおおむね完了しており、今年度中の通水を目指して整備中でございます。
○土屋委員 多摩地区では、多くの施設整備が進められていることがよく分かりました。
特に、令和三年度末に完成し、運用を開始した清瀬梅園給水所については、給水安定性の観点から、早期の完成が望まれていたと聞いております。
清瀬梅園給水所の整備効果についてお伺いいたします。
○鈴木施設部長 多摩北部地域は、全体的に給水所等の施設が老朽化しており、配水池容量も大幅に不足していたため、新たに清瀬梅園給水所を整備いたしました。
完成した給水所は、水使用の時間変動や事故などの非常時に対応が可能な配水池容量三万立方メートルを有しており、この多摩北部地域で最大規模でございます。
これにより、市域をまたいだ大規模な配水区域が新たに構築され、清瀬市、東村山市、東久留米市に住む約十五万人の給水安定性が向上するとともに、小規模で老朽化していた既存施設を統廃合することで、施設管理も効率化いたします。
○土屋委員 大規模な配水池容量を備えた給水所の完成により、およそ十五万人の給水安定性が向上するとのことでありまして、地域の住民にとっても心強い限りであります。引き続きの事業の着実な推進を要望いたします。
これまで、水道事業の財政運営や施設整備の状況について質疑を行ってまいりましたが、健全な財政運営がされていることや、着実に施設整備が進められていることが確認できました。
水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要な基幹ライフラインであり、今後とも、様々なリスクにも対応可能な強靱かつ持続可能な水道システムの構築に全力で取り組んでいただくことを要望いたします。
最後に、海外水道事業体への貢献について伺います。
水道局は、東京水道経営プラン二〇二一において、海外水道事業体への貢献を施策の一つとして取組を推進していくこととしています。
私も以前に仕事で関わっておりましたが、途上国では、経済発展に伴う人口増加や都市化により、水道水の供給に課題を抱える国が依然として多数存在します。東京の水道は世界最高水準ともいわれ、これらの国々の水道事業の改善に貢献していくことは責務であるといってもいいと思います。
ここ数年は、コロナの影響が世界的に広がり、いろいろ困難はあったと思いますが、責務を果たすためには、どのような状況下においても取組を進めていかなければならないと思います。
そこで、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中ではありますが、海外水道事業体への貢献に関する令和三年度の実績についてお伺いいたします。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、新型コロナウイルス感染症による影響で、職員派遣や海外からの研修生受入れができない状況におきましても、オンラインを活用し、海外水道事業体の人材育成や国際会議での技術、ノウハウの発信など、海外水道事業体への貢献に取り組んでまいりました。
令和三年度は、IWAデジタル会議や、タイ王国の水道公社が主催したウェブセミナーにも参加し、当局の技術やノウハウ等を発信するとともに、海外水道事業体の有する最新の知見について取得いたしました。
また、アジアやアフリカなどの水道事業体の職員など四十二名に対し、オンライン講義により研修を実施いたしました。
さらに、平成三十年に東京で開催されましたIWA世界会議を通じて構築された人的ネットワークを活用し、海外の水道関係者宛てに、当局の国際展開の取組などの情報を四回発信するとともに、海外水道事業体が当局に求める技術やノウハウの調査を実施いたしました。
○土屋委員 新型コロナウイルス感染症の影響が残る中でもオンラインを活用して取組を継続させるなど、海外水道事業体への貢献に取り組んできたとのことであります。
最近になり、訪日外国人の一日当たり入国者数の上限撤廃が行われるなど、ここ数年、猛威を振るってきた新型コロナウイルス感染症の影響も、ようやく解消の兆しが見えてきています。
これまで以上に東京のプレゼンス向上に資するような取組を進めていただくことを大いに期待するとともに、引き続き、今後も、水道局の事業運営など、しっかりと注視していくことを申し上げ、私の質問を終わります。
○森村委員 初めに、料金の支払い猶予についてお伺いいたします。
都は、令和二年三月から、我が会派の要望を受け、水道料金、下水道料金の支払いが困難な方に対し、支払い猶予の受付を実施してきました。
具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、水道、下水道料金の支払いが一時的に困難になった都民に対し、申込みから最長一年間の支払い猶予を受け付けています。
そこでまず、令和三年度末までの実績について伺います。
○坂井サービス推進部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、都民の暮らし、企業の活動などに様々な影響が及んでございます。
このため、当局では、新型コロナウイルス感染症の影響により水道料金等の支払いが困難な事情にあるお客様への支援のため、令和二年三月から支払い猶予を実施してございます。
受付を開始した令和二年三月二十四日から令和四年三月末までの実績は、申込み件数が二万五千二十二件、支払い猶予総額が約十七億九千九百万円となってございます。
○森村委員 約二万五千件の申込みがあったとのご答弁でした。
猶予期間終了後の支払いについても、長期化するコロナ禍の中で、依然として家計の状況が芳しくない都民も数多くおり、都は、こうした方々に対し、経済状況等に基づいた個別の相談に応じていると聞いております。
そこで、支払い猶予期間が終了した都民に対し、どのように対応しているのかお伺いします。
○坂井サービス推進部長 支払い猶予期間終了後も、期間一年以内の分割支払いに向けた個別の相談に応じるなど、お客様の状況等も踏まえたきめ細かな支援に努めております。
引き続き、お客様に寄り添った対応を実施してまいります。
○森村委員 新型コロナウイルス感染症によりまして経済的な影響を受けた都民にとっては、このようなきめ細やかな支援が必要であり、重要な施策であると認識をしております。
我が会派は、こうした支援についてのニーズがありながら、制度を知らないがために使えないという都民がいないようにしていくべきだと考え、具体の提言を行いながら取組を求めてまいりました。
支払い猶予について、どのように周知しているのか、改めてお伺いいたします。
○坂井サービス推進部長 支払い猶予につきまして、お客様に知っていただくため、水道局のホームページやツイッターでの周知を行うほか、「広報東京都」、それから、検針票のPR欄を活用した広報を行ってございます。
また、営業所等におきましても、未納料金催告の際に、お客様の状況に応じまして個別に案内するなど、きめ細かな周知を実施してございます。
○森村委員 支援に関する都民への周知については、我が会派の提言も取り入れながら進めているということが分かりました。
新型コロナウイルスによる感染の波が終息し、このような支援が必要ない状況となることを切に願うものでありますが、この冬に向けては、新型コロナとインフルエンザが同時流行する可能性について専門家などから指摘されており、都民生活を取り巻く経済環境への影響を踏まえた支援策については、引き続き必要になってくるものと思われます。
そこで、今後どのように支払い猶予を実施していくのか、具体的にお伺いします。
○坂井サービス推進部長 当局では、新型コロナウイルス感染症による経済への影響が依然として大きいことから、お客様への支援継続のため、令和四年九月三十日までとしていた支払い猶予の受付期間を令和五年三月三十一日まで延長することといたしました。
支払い猶予につきましては、今後も、新型コロナウイルス感染症の経済への影響を見据え、適切に対応を行ってまいります。
○森村委員 ありがとうございます。コロナ禍における経済支援につきましては、引き続き取組をお願いして、次の質問に移ります。
Tokyowater Drinking Stationについてお伺いします。
水道局では、世界的なプラスチック削減の潮流や都庁プラスチック削減方針を踏まえ、まち中の給水スポットをTokyowater Drinking Stationと名づけ、ペットボトルによらずマイボトルに水道水を給水する環境に優しいライフスタイルの促進と水道水の飲用行動推進、それと、水道事業への理解促進を図っております。
その中でも、来場者数が多く、利用が見込まれる都または区市町施設などに、水道局が統一的なデザインのシンボリックなボトルディスペンサー式の給水スポットを設置し、運営してきたと認識しています。
昨年の公営企業委員会で我が会派が質問したシンボリックなドリンキングステーションの設置状況について、区部、多摩地区、それぞれ三か所ずつ、合計六か所設置する旨の答弁がありました。
そこで、令和三年度のシンボリックなドリンキングステーションの設置状況について確認いたします。
○坂井サービス推進部長 当局では、水道水の飲用とともに、ペットボトルによらない環境配慮行動を促進することを目的に、まち中にある給水スポットのうち、約九百か所をTokyowater Drinking Stationとして順次指定してまいりました。
こうしたドリンキングステーションをPRするため、来場者が多く見込まれる都または区市町の施設に、視認性の高い切り子柄を配した統一的なデザインの水飲み栓をシンボリックなドリンキングステーションとして配置してまいりました。
令和三年度は、区部では、東京国際展示場、足立区のギャラクシティ、東京都立砧公園、多摩地区では、東京都立大学南大沢キャンパス、武蔵野の森総合スポーツプラザ、奥多摩水と緑のふれあい館の合計六か所に設置してまいりました。
これにより、令和三年度以前に設置いたしました東京国際フォーラム、浅草文化観光センター、恩賜上野動物園、東京芸術劇場、東京観光情報センターバスタ新宿の五か所と合わせて、計画をしておりました合計十一か所の設置が全て完了したところでございます。
○森村委員 計画どおり設置されたことが確認できました。
ドリンキングステーションは、設置して終わりではなく、多くの方に、実際に使って東京の水道水のおいしさを実感していただくことが重要であることはいうまでもありません。
このシンボリックなドリンキングステーションは、どの程度利用されているのか、令和三年度までの使用実績を伺います。
○坂井サービス推進部長 令和三年度のシンボリックなドリンキングステーションの使用水量は約二万七千リットルでございまして、五百ミリリットルのペットボトルに換算いたしますと約五万四千本相当の削減になったものでございます。
また、平成二十九年度の設置以降、令和三年度末までの使用水量の累計でございますけれども、これが約九万八千リットルでございまして、五百ミリリットルのペットボトルに換算いたしますと約十九万六千本相当の削減となったものでございます。
このように、一定のプラスチック削減効果が期待できることから、今後も、シンボリックなドリンキングステーションとともに、都内約九百か所のドリンキングステーションもPRいたしまして、水道水の飲用促進に加え、環境に対する意識の醸成に努めてまいります。
○森村委員 詳細なご答弁をいただきました。シンボリックなドリンキングステーションが多くの人に利用されていることが確認できました。
今後は、これらのシンボリックなドリンキングステーションを活用し、効果的なPR活動を積極的に行っていただきたいと思います。
また、公共性の高い場所に区市町などが設置している都内約九百か所のドリンキングステーションの認知度を高め、ペットボトルによらずマイボトルに水道水を給水する環境に優しいライフスタイルの促進にさらにつなげていただくよう要望いたします。
最後に、スマートメーター導入の取組状況についてお伺いいたします。
水道局は、デジタル技術を活用したお客様サービスの向上や将来を見据えた業務の効率化、最適化等を目的として、スマートメーターの導入を始めています。
令和三年度は、令和三年四月に策定した水道スマートメータトライアルプロジェクト推進プランに基づきまして取組を進めてきたとのことですが、その状況について確認していきます。
プロジェクトの基本方針では、当面、東京二〇二〇大会選手村で導入実績のある分離型のスマートメーターを導入するとのことです。
その導入に向けた課題の一つとして、従来の水道メーターに比べ、調達価格が高いということが挙げられており、対策として、発注方法を工夫し、スマートメーターの調達価格の低減に取り組むと聞いております。
令和三年度におけるスマートメーターの調達実績、発注方法、価格低減の効果について伺います。
○石田給水部長 当局では、お客様サービスの向上や業務の効率化に資するスマートメーターの導入を進めており、令和三年度は、電子式メーターを約九千五百個、そのメーターと接続する通信機器を約三万二千個調達いたしました。
三年度の調達では、コストの低減を図るため、メーターメーカーだけでなく、幅広い業種からの入札参加を促すこととし、通信機器を、メーターと分割して発注いたしました。
その結果、通信機器等の製作事業者を含む六者が入札に参加し、三者が落札しております。
通信機器の落札価格は、東京二〇二〇大会選手村に設置した通信機器と比較しますと、平均で約五五%低減し、一定の効果があったと認識しております。
○森村委員 発注方法を工夫することで、通信機器について一定の価格低減効果が見られたことが確認できましたが、スマートメーター普及拡大に向けては、今後もさらなる工夫が必要になってくるものと考えます。
スマートメーターの調達を拡大するために、令和三年度の実績を踏まえ、発注方法を検証する必要があると思いますが、見解を伺います。
○石田給水部長 スマートメーターの導入を進めていく上では、令和三年度に調達したものに加え、今後、六年度までに電子式メーター約十二万個、通信機器約十万個を調達する必要があります。
三年度の取組によって、通信機器の価格低減は図られたものの、分割発注では、別々の事業者が製造したメーターと通信機器をメーターの納品の際に当局が指定した方法で接続しておりましたが、その作業効率に課題があることが判明いたしました。
一方で、メーターと通信機器を同一の事業者に発注する一括発注では、メーターメーカーが通信機器を自ら調達することで接続方法を工夫することができ、作業の省力化が図られる可能性があるため、三年度の発注の一部に採用いたしました。
今後、二つの発注方法による効果やコスト等を比較し、最適な調達方法を検証してまいります。
○森村委員 今後、スマートメーター導入を着実に進めるために、安定的な調達に向けて、ぜひしっかりと検証に取り組んでいただきたいと思います。
また、プロジェクトでは、新たなスマートメーターの開発にも取り組むこととしており、プロジェクト期間中は、既に実績のある分離型の導入を進め、並行して、一体型及びアタッチメント型を開発すると聞いております。
新たなスマートメーター開発の目的とその状況について伺います。
○石田給水部長 当局では現在、メーターと通信機器が分離されている分離型スマートメーターの設置を進めておりますが、今後の本格的な導入を見据えると、狭隘な場所など、多様な設置環境に対応することができる新たなスマートメーターの採用が必要となる可能性があります。
具体的には、作業の効率化及び設置等の面で省スペース化が期待できる一体型や、現在設置されているメーターの有効活用が可能となるアタッチメント型のスマートメーターでありますが、これらの型式で当局が求める性能を有する製品は、現在、国内では製造されておりません。
そのため、当局は、新たな型式のスマートメーターを開発することといたしました。
開発に当たっては、広く企画提案を公募し、外部有識者を含めた審査委員会による審査を経て、一体型で一者、アタッチメント型で二者、開発事業者を選定いたしました。
令和三年度に試作品の製作は完了しておりまして、今後、当局の施設等で検証を行いながら、必要に応じて機器を改良してまいります。
○森村委員 企画提案を募り、事業者を選定し、一体型及びアタッチメント型の開発を進めているとのことでした。
スマートメーターに限りませんが、新たな技術の導入や開発には、実現まで多くの課題を克服する必要があります。実際の導入には時間を要するかもしれませんが、着実に開発に取り組んでいただけるよう求めます。
さて、スマートメーターは、現在、順次設置が進められていますが、具体的な設置の場所については、トライアルプロジェクトに示されています。
それによると、パイロットエリアやスマートシティ、再開発地区など、幾つかの区分に分かれています。
私の地元である青梅もパイロットエリアの一つになっており、具体的には、青梅市成木六丁目の一部と七丁目に設置が予定されています。
パイロットエリアとして青梅を選定した理由について、改めて伺います。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 水道スマートメータトライアルプロジェクト推進プランでは、パイロットエリアとして、用途地域や水道の使用実態の特性、配水管整備状況の異なる地域を選定しており、首都中枢地域、住居地域、商業地域、工業地域、山間部の五種類を設定しております。
青梅市成木地区におきましては、山間部における水の使用実態を定量的に把握して、水道事業活用への有用性を検証することとしております。
この地区は、成木浄水所から配水される区域であり、他系統からの配水がないことから、エリア内の水の動きをより正確に把握することが可能であるため、パイロットエリアとして選定したものでございます。
○森村委員 青梅以外でも、それぞれ状況の異なる地域を選定しており、水の使用実態等を把握するとのことですが、着実にデータを蓄積し、今後、それらを有効に生かしていくことを要望しておきます。
以上、スマートメーター導入に向けた取組について確認してきましたが、水道局は、本年四月からスマートメーターの設置を始め、既に十月から運用も開始されています。
スマートメーター導入は、水道事業のみならず、都政のDX推進にも寄与する重要な取組であり、我が会派はこれまで、本会議や委員会での質問を通じて推進することを求めてまいりました。今後も着実に導入を進めていただくよう改めて要望し、私の質問を終わります。
○玉川委員 まず、東京都水道局環境五か年計画二〇二〇−二〇二四の進捗状況について伺います。
水道局では、事業活動に伴う環境負荷の低減に向けて、環境計画を定期的に策定し、様々な取組を進めています。
令和二年三月に策定された東京都水道局環境五か年計画二〇二〇−二〇二四は、第六期目の計画であり、局は、それに基づいて取組を着実に進めていることと思いますが、その進捗状況について確認していきます。
初めに、確認のため、東京都水道局環境五か年計画二〇二〇−二〇二四の内容について伺います。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 東京都水道局環境五か年計画二〇二〇−二〇二四は、これまでの環境計画の成果や水道局を取り巻く社会的状況の変化を踏まえるとともに、SDGsの考え方を取り入れて、令和二年三月に策定いたしました。
環境保全と良好な事業経営の両立を目指した環境基本理念に基づき、局事業に伴う環境負荷低減を実効的、総合的に推進していくことを目的として、五年間の取組と目標を明らかにしておりまして、CO2排出量の削減、健全な水循環と豊かな緑の保全、持続可能な資源利用、多様な主体との環境コミュニケーションの四つの環境基本方針の下、三十七の具体的な取組事項を設定し、取組を進めているところでございます。
○玉川委員 水道局は、都内の電力使用量の一%に相当する電力を消費する、いわゆる大口需要家であり、その責任に鑑みると、環境施策を率先して推進していかなければなりません。
当然、計画を策定するだけではなく、着実な推進が求められますが、都が実現を目指している二〇五〇年ゼロエミッション東京、また、そのロードマップとしての二〇三〇年カーボンハーフの重要性を踏まえると、何よりもCO2排出量の削減の着実な推進が必要と考えます。
そこで、令和三年度のCO2排出量の削減に関する取組事項の進捗状況について伺います。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 東京都水道局環境五か年計画二〇二〇−二〇二四では、CO2排出量の削減に係る施策の方向性として、省エネルギー化の推進、再生可能エネルギーの導入拡大、社会全体の脱炭素化の推進の三つを掲げ、十二の取組事項を推進しております。
令和三年度は、施設整備が完了することで、さらなる効率的な水運用が可能となり、省エネルギー化に資する、仮称でございますが、多摩南北幹線等の施工を進めるとともに、清瀬梅園給水所や江東給水所等に省エネ型ポンプ設備十一台を導入いたしました。
また、再生可能エネルギーの導入拡大については、上北沢給水所の本体工事の工期延伸に伴い、太陽光発電設備及び小水力発電設備の設置等に遅延が生じているものの、三郷浄水場で百キロワットの太陽光発電設備の設置が完了したほか、東海給水所で小水力発電設備の設置を進めたところでございます。
さらに、環境に配慮した電気の調達として、三園浄水場に、再生可能エネルギーなどを多く含み、CO2排出係数が低い低炭素電力を導入いたしました。
施設整備の一部に遅れがあるものの、全体としてはおおむね計画どおり進捗しております。
○玉川委員 おおむね計画どおり進捗しているとのことでありますが、遅延が生じている事項もあります。特に、太陽光発電や小水力発電の整備は、カーボンハーフ達成の肝ともいえる再生可能エネルギーの活用に直結するものであり、早期の設備の稼働が求められます。
ただいまの答弁で、上北沢給水所の本体工事の工期を延伸したとのことですが、その延伸の理由、また、太陽光発電設備等の整備の見通しについて伺います。
○藤村建設部長 上北沢給水所は、世田谷区と杉並区の一部地域の約二十四万五千人に水道水を供給し、事故時等のバックアップや震災時の給水の要となる施設でございます。
平成二十五年度の着工以降、整備を進めてきましたが、配水池及びポンプ棟を築造する本体工事において、土質の状況などにより、地盤改良の施工に想定以上の時間を要しました。
このため、令和三年三月の東京水道施設整備マスタープランの策定に合わせ、完成予定時期を令和三年度から五年度に見直しました。
令和三年度は、配水池とポンプ棟の築造工事を進めるとともに、電気、機械設備工事等を施工しました。
省エネ型ポンプ四台の導入に加え、七十キロワットの太陽光発電設備、九十キロワットの小水力発電設備を整備する予定であり、五年度の完成に向け整備を推進してまいります。
○玉川委員 完成時期を令和五年度に見直しして整備を進めているとのことでありますが、早期に再生可能エネルギーの導入拡大を図るためにも、適切な進捗管理をお願いいたします。
また、その他の環境基本方針として、持続可能な資源利用が掲げられておりますが、都は、DX推進をてことした構造改革を進める取組の一つとして、デジタルツールを活用したペーパーレス化を推進しています。
ペーパーレス化による紙資源の利用縮減は、持続可能な資源利用の取組として最たるものであり、環境負荷の低減効果も大きいものであります。
そこで、令和三年度のペーパーレス化の取組状況について伺います。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、都の方針に基づき、ペーパーレス化を積極的に推進しております。
東京都水道局環境五か年計画二〇二〇−二〇二四では、オフィス活動における紙使用量の削減のため、計画最終年度である令和六年度に、コピー用紙使用量及び印刷物枚数を平成三十年度に比べ二五%削減とするなどの目標を掲げており、令和三年度の実績は、いずれも削減率が三八%と目標を達成しております。
また、口座振替申込書、請求書及び検針票のペーパーレス化を進めており、令和三年度は、紙の請求書の送付からスマートフォン等への請求情報の配信への切替えを促進するとともに、各種申込手続、料金の支払い情報閲覧などを一元的に受け付けることが可能となる東京都水道局アプリの開発を進めたところでございます。
○玉川委員 ペーパーレス化にも積極的に対応していることが分かりましたが、都は、令和四年度中に職場で使用するコピー用紙を平成二十八年度比で七〇%削減するという意欲的な目標を新たに明示しております。水道局においても、引き続き、積極的にペーパーレス化に向けた取組を推進していただきたいと思います。
以上、CO2排出量の削減及び持続可能な資源利用を中心に、環境五か年計画二〇二〇−二〇二四の進捗状況について確認してきました。
水道局は、限りある水資源を原料に事業を行う水道事業者として、環境施策に積極的に取り組んでいく責務があります。
引き続き、計画に基づき環境施策を着実に推進していくことはもとより、世界的な潮流や、国や都の政策動向などの社会情勢の変化を捉えて柔軟な対応を図っていくことを要望しておきます。
続いて、震災対策について伺います。
令和三年十月七日の千葉県北西部を震源とする地震から一年が過ぎました。その際、東京都内においても、断水被害はなかったものの、水道管においては漏水が発生いたしました。
二十三か所での漏水のうち二十二か所は、水道管の附属設備である空気弁の不具合が原因とのことでありました。こうした漏水が大きな被害にはつながらなかったのは、局による迅速な対応が行われたからだと思います。
そこで、空気弁から発生した漏水について、どのように漏水被害を把握し対応したのか、改めて伺います。
○石田給水部長 空気弁から発生した漏水二十二か所のうち二十か所は、警察や消防、お客様等からの通報により把握し、二か所については、当局職員がパトロールで発見をいたしました。
これらの漏水については、当局の職員が直ちに現場に出動し、二十一か所は、弁の操作により止水を完了いたしました。他の一か所については、水道管の口径が大きく漏水量が多かったことから、一部区間を断水した後に、同じように弁を操作し止水を完了いたしました。
これらの作業の結果、お客様への給水の影響は発生しなかったところでございます。
○玉川委員 通報または発見後、迅速に対応されたとのことで、ライフライン事業者としての水道局の高い対応力の表れであり、心強く思います。
一方で、さきの地震による漏水の大多数が空気弁からの不具合であったとのことですが、そもそもなぜそのような漏水が発生したのかについては、原因を究明し、対策を講じていくことが、信頼できるライフラインの構築に不可欠であります。
我が党では、昨年の委員会において、漏水の原因についてしっかりと検証を行うことを要望したところでありますが、この空気弁漏水の原因と今後の対応について伺います。
○石田給水部長 漏水が発生した全ての空気弁について原因の分析を行ったところ、地震の揺れによる水道管内の急激な水圧変動のため、空気弁の止水機能が正常に働かない場合があることが判明いたしました。
都内に設置されている空気弁総数約一万六千か所のうち、約九百か所に同様の事象が起こる可能性のある空気弁が設置されておりますことから、令和六年度までに、水圧の変動が生じても止水機能が働く部品に交換し、大規模地震時における同様の事故を防いでまいります。
○玉川委員 さきの地震で漏水が発生しなかった空気弁も部品を交換するとのことでありますが、震災時における空気弁からの漏水リスクを一刻も早く低減させてほしいと願います。
空気弁に対する震災対策については分かりましたが、地震時の地盤のひずみに対応するため、管の継ぎ手部に伸縮性を持たせることで、地震による変異を吸収することができるという耐震継ぎ手化、やはり、水道管路全体の耐震継ぎ手化は喫緊の課題であります。
本年五月には都の被害想定が見直され、首都直下地震が発災した際は三百万人近い避難者が発生すると想定されております。
多くの避難者が不自由な生活を余儀なくされる避難所においての水の確保は、都民の生命維持に関わることから、我が党では、避難所への供給ルートの配水管の耐震継ぎ手化を迅速に進めるよう繰り返し主張してまいりました。
そこで、災害時における避難所への給水確保に向け、避難所への供給ルートの耐震継ぎ手化について、令和三年度の取組状況を伺います。
○石田給水部長 当局では、災害時における避難所での給水を確保するために、東京水道経営プラン二〇二一に基づき、小学校や中学校、高等学校等の避難所への供給ルートの配水管の耐震継ぎ手化を優先的に実施しております。
これら避難所への供給ルートについては、令和三年度に約七十二キロメートルの耐震継ぎ手化を実施し、全体の延長約千百八十三キロメートルに対し、九四%に当たる約千百八キロメートルが完了したところでございます。
これによりまして、令和三年度に二百四十二施設への供給ルートの耐震継ぎ手化が完了しており、対象の二千三百六十一施設に対し二千十施設が整備済みとなったところでございます。
○玉川委員 都内に点在している避難所への供給ルートの耐震継ぎ手化は、地元や学校との調整など様々な困難が伴うものと思います。
一方、東京水道経営プラン二〇二一では、令和四年度を目標に、避難所などの重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化の完成を掲げています。
そこで、避難所への供給ルートの耐震継ぎ手化事業の完了に向けた見通しとその対応について伺います。
○石田給水部長 完了目標年度となっております令和四年度に供給ルートの耐震継ぎ手化を行う避難所の施設は三百五十一施設、延長は約七十五キロメートルであり、そのうち八割以上の施設に対する工事に着手しております。
全ての施設に対する工事を年度内に完了させるため、残りの施設につきましても、地元住民などへ工事の必要性などを一層丁寧に説明いたしますとともに、道路管理者や他のライフライン事業者等との施工時期の調整などを行ってまいります。
○玉川委員 震災時の避難所での給水確保は都民の生命に関わるものであります。令和四年度も後半となり、地元の調整を行う中で新たな課題が発生することもあると思いますが、丁寧に説明を行い、着実に整備を完了させてほしいと思います。
避難所への管路の整備はこれまで確認してきたとおりでありますが、実際に避難所で応急給水活動に従事するのは区市町や住民であります。
一方、浄水場、給水所など水道局が管理する施設においては、局職員などが開設して、区市町が給水活動を行います。こうした役割分担は東京都地域防災計画で定められており、マニュアルなども作成され、いざというときの執行体制が整備されていると聞いております。このような体制を十分に機能させるためには、日頃の訓練が欠かせないものであると考えます。
そこで、令和三年度の水道局施設における応急給水の訓練の状況について伺います。
○坂井サービス推進部長 水道局では、浄水場などで施設用地と応急給水区画を分画化いたしまして、区市町や自治会などの地域住民が入場できるよう、給水拠点を整備しているところでございます。
こうした給水拠点において、災害時に迅速に応急給水活動を行うため、定期的に訓練を実施しているところでございます。
令和三年度は、開設手順の確認や資器材の組立て、残留塩素の検査など、実際の応急給水活動に即した訓練を、三十九区市町で合計百十五回実施いたしまして、多くの区市町職員と地域住民の方が参加したところでございます。
○玉川委員 災害時に迅速に応急給水を開始するために、実践的な訓練を数多く実施していることが確認できました。訓練を重ねて対応力を上げることは大切であり、引き続き、積極的に訓練を実施していただきたいですが、いかに応急給水をする側の体制が整っていても、住民がそれを知らなければ、いざというときに利用してもらえません。
まずは、どこに行けば水がもらえるのか、水をもらうには入れ物を持っていく必要があるのかなど、住民の皆さんに、平時から給水拠点の場所などを意識づけてもらうことが重要と考えます。
そこで、災害時の給水拠点を都民へどのように周知しているのか伺います。
○坂井サービス推進部長 水道局では、震災などの災害で断水が発生した場合に備え、給水拠点の開設場所や開設状況につきまして、都民に的確にお知らせしていくことが重要と認識してございます。
このため、平常時から、局のホームページやツイッター、地域水道ニュースなど、様々な機会を通じて給水拠点の役割や場所について発信しております。
また、本年十月に運用を開始いたしました東京都水道局アプリでも、平常時から、給水拠点の位置を地図上で確認することができるとともに、災害時には開設している最寄りの給水拠点を案内する機能を備えてございます。
さらに、区市町で主催する防災訓練などに水道局も参加し、訪れた地域住民が給水袋を背負い重さを実感していただくなど、災害時における水の運搬を実際に体験できる場を提供する取組も行っております。
○玉川委員 日頃の周知についても、様々な媒体、機会を通じて積極的に発信しているということが確認できて安心いたしました。
災害は、いつ、どこで起こるか分からないものであるため、日頃からいかに備えておくかが重要であります。給水を確保する取組、確実に水を届ける取組、そのことを広く知ってもらうための取組、それぞれが欠かすことができないものであります。
今後も積極的に様々な取組を継続し、非常時にも都民の生活を支えるライフライン事業者としての役目を果たしていただくことを願いまして、全ての質問を終わります。
○和泉委員 日本共産党都議団の和泉なおみです。よろしくお願いいたします。
まず、水道水源林について幾つか確認したいと思います。
山梨県にまで及ぶ多摩川上流域、この面積の約半分が森林で、そのさらに半分が水道局が管理する水道水源林、その面積は約二万四千ヘクタールだということです。
水道水源林は、いうまでもなく、水を蓄え、浄化し、土砂の流出を防ぐ、この機能に加えて、地球温暖化や生物多様性の保全など、本当に多くの役割を果たしています。ですから、水道局が行っている水道水源林の保全管理は、とても重要な事業であるというふうに認識しています。
まず最初に伺いますが、水道水源林の保全作業に係る予算額と決算額の内訳はどのようになっているでしょうか。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 令和三年度における水道水源林の保全作業の予算額は一億九千五百五十一万円であり、その内訳は、間伐や枝打ちなどの作業が一億六千二百三十二万円、植栽や下草刈り作業が三千三百十九万円でございます。
令和三年度の決算額は一億九千四百七十四万八千十二円であり、その内訳は、間伐や枝打ちなどの作業が一億六千百七十万三百円、植栽や下草刈り作業が三千三百四万七千七百十二円でございます。
○和泉委員 予算の大体八三%が間伐や枝打ちなどの作業に使われ、残りが植栽や下草刈り作業に使われているということです。
これらは、森林の状況を良好に保つための作業ということになると思いますが、一方で、長期にわたる林業不振の影響で、手入れの行き届かなくなった森林を購入し、保全に努めているということですけれども、平成二十九年から重点購入地域として位置づけている民有林二千ヘクタールのうち、どの程度購入できているんでしょうか。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、重点購入地域での民有林を、平成二十九年度から令和三年度までの累計で約九百七十ヘクタール購入しております。
○和泉委員 小河内貯水池への土砂流出が懸念される地域を重点購入地域というふうにされていて、二千ヘクタールのうちのおおむね半分程度を積極的に購入済みだという答弁です。
重点購入地域以外の民有林についても、公募を行って購入を進めているということですけれども、どのぐらいの面積があって、そして、公募による購入というのはどのくらい進んでいるんでしょうか伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 重点購入地域以外の民有林の面積は、民有林購入事業の開始前の平成二十一年度末時点で約二万千四百ヘクタールでありました。
そのうち、令和三年度末までに公募により購入した面積は約二千二百ヘクタールでございます。
○和泉委員 先ほど申し上げたとおり、長期にわたって林業の不振が続いている、そういう状況の下での森林の管理というのは、困難さもあると思いますが、水道局として保有することとなる水道水源林の保全管理のために必要な林業従事者を含めた人的な体制、これはどのようにして確保しているんでしょうか。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、購入した水道水源林に必要な間伐や枝打ちなどの保全作業は、民間事業者に発注して実施しております。
○和泉委員 林業そのものの維持や、林業を次に継承していく、そういう意味でも、水道局が民間事業者に安定して仕事を発注するというのは重要だと思います。
引き続き、水道水源林の保全管理のために、水道局が積極的な役割を果たしていただきたいというふうに思います。
続いて、水道料金の徴収業務について伺います。
安定した給水は、文字どおり命に直接関わるライフラインです。そして、コロナと物価高騰で都民の暮らしや営業が大変な状況の中で、水道料金が払えずに困っている都民に水道局がどう寄り添うのか、これは重要な問題です。その立場から質問いたします。
要求資料の6、未納カードの発行枚数及び給水停止件数の推移を見ますと、令和二年度以降、カードの発行枚数は大きく増えているのが分かります。令和二年度は、支払い猶予との関係で給水停止の件数はかなり低くなっていますけれども、令和三年度は、それ以前に増して増えています。
給水停止に至るまでにどのような対応を行っているんでしょうか伺います。
○坂井サービス推進部長 初回請求でお支払いのないお客様に対しましては、催告文書を送付するなど、複数回にわたり催告を行っているところでございます。
その上で、お支払いいただけない場合につきましては、やむを得ず給水を停止しているところでございます。
なお、給水停止を行う前に、お客様から支払い方法などの相談があれば、事情を考慮した支払い期限の延期や分割払いなど、きめ細かい対応を行ってございます。
○和泉委員 昨年の事務事業質疑で、我が党の斉藤まりこ議員が同じ質問を行っています。そのときに水道局は、初回請求でお支払いのないお客様には催告文書の郵送、あるいは訪問による催告を二回以上行った上で、請求書と併せて、このままお支払いがなければ停水となることを通知する文書を郵送または現地に投函しております、この段階においてもお支払いのないお客様には、改めて訪問による催告を実施しております、こうした丁寧な催告を行った上でもお支払いのない場合は、やむを得ず給水を停止しておりますと答弁されています。
ライフラインである給水業務は、命に直結しているということを十分に自覚され、だからこそ、徴収業務においても、都民の暮らしの実態に寄り添って、でき得る限り給水停止を避けるべく丁寧に対応している、その自負がうかがえる答弁です。
しかし、先ほどの答弁からは、幾度にもわたる訪問、丁寧な催告が抜け落ちてしまっています。これはどういうことでしょうか。
私、この取組の中で、とりわけ重要だというふうに思っているのは、催告を訪問で行うことで困窮世帯を福祉行政につないできたという点です。この訪問による催告の業務がなくなって、郵送による催告に変わるのでは、斉藤議員が昨年も質問していますが、現状はどうなっているでしょうか。訪問をなくし、要支援情報の提供、これについてもどうなっているか、併せて伺います。
○坂井サービス推進部長 委員お話しのとおり、令和四年四月より、検針委託会社による訪問催告を廃止し、郵送による催告を行ってございます。これまで同様、定期検針等で検針員が、また、徴収業務などで当局職員等がお客様宅などを訪問した際に、異変に気づいた場合には、区市町の福祉部門などへ情報提供を行ってございます。
今後も、水道事業者としての業務を行っていく中で、引き続き、福祉行政へつなげる取組を行ってまいります。
○和泉委員 検針委託会社による訪問催告は廃止したということです。昨年、事務事業で斉藤議員が、要支援者情報の通報が訪問でできなくなるということか、訪問による催告の業務をなくすのかということを繰り返し質問していますけれども、水道局は、適切な方法で行うという答弁を繰り返すだけで、はっきり答弁されませんでした。
しかし、結果として、訪問による催告はなくなってしまった。先ほどの答弁を取ってみましても、丁寧に催告していると胸を張っていえない状況になってしまったということではないでしょうか。
現在では、定期検針などのときや当局職員などが訪問したときに、異変に気づいたら自治体に情報提供を行っているということですけれども、そのようにして自治体の福祉部門につないだ実績について、令和三年度と令和四年度、直近までの実績を伺います。
○坂井サービス推進部長 当局では、行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定に基づきまして、区市町に情報の提供を行ってございます。
その実績は、令和三年度は十四件、令和四年度は九月末時点で十二件となってございます。
○和泉委員 現在も自治体への情報提供は続いていると。平成三十年度、令和元年度はそれぞれ八件、令和二年度は四件であったと委員会で報告されていますので、令和三年度は十四件、今年度は現在までで既に十二件と、やはり、都民の困窮の度合いが強まっていることが表れた数字だというふうに思います。
先ほど、自治体への情報提供は、定期検針のときや職員が訪問したときと答弁されましたけれども、定期検針のときが何件で、職員の訪問のときが何件なのか、令和三年度、令和四年度について、それぞれ年度別にお答えください。
○坂井サービス推進部長 令和三年度に検針委託会社が異変に気づいた件数でございますが、それが七件でございまして、残り七件は職員等が気づいたものでございます。
令和四年度は、九月末時点でございますけれども、検針委託会社が異変に気づいたものは十件、職員等が気づいたものは二件となってございます。
○和泉委員 訪問による催告を廃止した今年度は、職員の訪問でつないだのが二件、検針員がつないだのが十件、圧倒的に定期検針時の情報提供が多いということです。それだけ検針員の皆さんは、自分のエリアの住民の状況について、よく把握しているということじゃないでしょうか。
ライフラインを守る水道業務に携わる検針員の皆さんが、自分たちの仕事を、水道メーターの検針だけにとどめることなく、地域の見守りの役割を果たしてきたということだと思うんです。その経験と蓄積があるからこそ、住民の様子の変化に気づくことができる、催告の訪問が廃止されても、その仕事の重要性を自覚して、今なお情報の提供に力を尽くしてくれている、そういうことだと思います。
こういう方たちの力で水道局の業務が支えられている、こうした方たちが水道局と都民との信頼の絆になっているということを、ぜひ皆さんには深く心に刻んでいただきたいというふうに思うんです。
スマートメーターへの移行によって、検針員による重要な役割が維持できるのかどうか、私はそれを危惧しています。郵送による催告だけでなく、以前のような検針委託会社による訪問催告を再開するべきだということを求めておきます。
都民の実態をよく見て、徴収業務を含めて、きめ細かな対応ができるかどうか、水道局が掲げた基本理念の一つである都民から信頼される事業運営、ここに照らしても、とりわけコロナと物価高騰に都民が苦しんでいる今の状況で、これが問われているということを指摘して、質問を終わります。
○西崎委員 よろしくお願いいたします。
まず初めに、工業用水道事業会計について、一問だけ質問させていただきます。
決算審査意見書を見ると、今回の決算に当たって、固定資産の減損の兆候、あるいは減損損失についてということでの指摘をされているところでございます。
すなわち、令和四年度末の廃止が迫っているという中で、事業も段階的に縮小しているというところでありますけれども、要は、固定資産の収益性が低下しているというふうに考えられるので、これを適切に記載すべきと、こういう内容でございます。
これは、監査委員の考え方ということで、別にそれが必ずしも正解だとか、逆に局の皆さんの判断が間違い、そういう話ではないということかと思いますけれども、現実にこうした懸念があり、指摘を受けているということは事実でありますから、今日、この決算の委員会の場で、改めて局の判断であるとか、対応についてお聞かせをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○石井総務部長 令和三年度東京都工業用水道事業会計決算審査意見書において、当局は、減損会計を適切に適用し必要な情報を提供されたいとのご指摘を受けております。
この指摘を受け、当局では、報告書及び意見書を踏まえて、適切に対応していきますということとしております。
○西崎委員 これ、先月の公営企業委員会でも、改めて工業用水道管の撤去計画案というものが示されているというところでございます。それによると、一部の浄水場への転用とか、様々お示しをいただいたところですので、具体的に、今後動きが出てきているということでありますから、公営企業という性格上、ぜひ適切な情報開示に向けて対応をお願いしたいと思います。
それでは、水道事業会計について伺ってまいりたいと思います。
初めに、給水状況を見ておりますと、件数が前年度比で約〇・六%増えていると。一方で、総配水量が約一・三%の減ということでございますけれども、この要因について見解を伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 配水量は、その年の気候や給水人口、社会経済状況、漏水量などにより変動するものであります。
令和三年度は、給水件数が増加した一方、給水人口が減少するなど、様々な要因が複合的に作用した結果、年間総配水量が減少したものと考えられます。
なお、令和三年度は、令和二年度に比べ、漏水率が三・七%から三・五%に改善しました。このことは、浄水場から送水した水量のうち、漏水で失われる無駄な水量が減少したことを示しており、配水量が減った要因の一つとして挙げられます。
○西崎委員 最後におっしゃっていただいた漏水率の改善なんていうのはいい話になろうかなと思いますけれども、おっしゃっていただいたように、様々な要因が絡まって、当然コロナということもあるかもしれませんし、人口構造ないし世帯構造の変化と、様々こういった配水量にも影響してくるということが考えられますが、この決算年度は、結果的には減少していたということでございます。
要求資料でも一日の計画配水量ということをお示しいただいているところでありますけれども、やはりこうした配水量の動向というものが、最終的には適切な施設や設備の規模ですとか、そうしたものにも影響し得るということでありますので、これは継続的に分析をしていかなければならないものであると改めて指摘をさせていただきます。
次に、この決算の数字の部分から伺ってまいりますけれども、今回、収入のうち特別利益が対予算で四九八・一%と特段大きくなっているということでして、決算の説明資料によると、これは損害賠償金の増という説明が記載をされているところでございます。
この中身について、詳細をお聞かせください。
○石井総務部長 令和三年度の特別利益に計上した損害賠償金は、東日本大震災における原子力発電所事故に伴う東京電力ホールディングスからの損害賠償金でございます。
当局では、原発事故の損害賠償に関する都の基本方針と同様の考え方に基づき、浄水における放射性物質濃度の測定費用や浄水処理過程で発生した発生土の処分費用など、原発事故によって支出を余儀なくされた費用について、平成二十三年度分から賠償請求を行っております。
令和三年度の収入額は約十三億円であり、平成二十五年度から直近の請求分である令和元年度までについて、東京電力ホールディングスから、請求額の一部を除いて支払われたものでございます。
○西崎委員 原発事故に由来する東電からの損害賠償金ということでございます。
改めて、福島の原発は、本体はもちろんのことでありますけれども、本当に様々、多岐に影響を及ぼしているのだなということを実感いたしますし、このタイミングで国が原発を推進しようということは、ちょっと私も理解をしかねる部分がありますけれども、それはさておきとして、今ご答弁の中で、請求額の一部を除いて支払われたものであるというようなお答えでありました。
恐らく現状、全てが解決したというわけではないというふうに受け止めておりますけれども、すると、まだ支払われていない費用について、今後、局はどう対応していくのか伺います。
○石井総務部長 当局が損害賠償金として請求している平成二十三年度から令和元年度までの費用のうち、全額の賠償を得られていない分については、第三者機関である原子力損害賠償紛争解決センターに和解のあっせんを申し立て、その中で、必要性や妥当性を主張しているほか、東京電力ホールディングスと直接の協議を継続しております。
令和二年度以降の分につきましても、早期に賠償を得られるよう、東京電力ホールディングスと協議を行っていきたいというふうに思っております。
○西崎委員 これは継続して協議を行っていくということで、当然にしっかりとやっていかなければならないと思いますので、これはお願いしたいと思います。
続けて、財政基盤のところでありますけれども、長期的な財政運営ということを考えると、人口減少等々、不安要素もある中、水道経営プラン二〇二一では、健全な財政基盤ということを掲げていらっしゃいます。
そこで、今回の決算において、経営努力による経費節減や収入確保について、どういった状況であったのかを伺います。
○石井総務部長 当局では、令和三年三月に策定した東京水道経営プラン二〇二一におきまして、令和三年度から七年度までの五年間で百五十億円の経費縮減と収入確保に努めることとしております。
令和三年度の実績といたしましては、建設、維持管理コストの縮減やペーパーレスの促進などの既定経費の節減と事務事業の効率化により、約十二億円の経費を縮減するとともに、資産の有効活用として、未利用地の売却等により約五億円の収入を確保いたしました。
この結果、令和三年度の計画額約十二億円に対しまして、約十七億円の経費縮減と収入確保を実現いたしました。
今後も、経営プランに基づき、徹底した経費の縮減と収入の確保に取り組み、健全な財政運営に努め、現行の料金水準を維持してまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。経営プランでも五年間の目標というか、計画というものをお示ししている中で、この決算年度においては、予定していた金額を超える経費縮減と収入確保を実現されたということで、まさに皆様の努力が数字に出ているところなのかなと受け止めております。
これにつきましては、やはり安定的な財政基盤というのは非常に重要でありますから、継続的な取組、これ、五か年だけ、まずはお示しのところでございますけれども、しっかり取り組んでいっていただくように要望をいたします。
次に、事業の中身について少し伺ってまいります。
皆様、いうまでもなく水質管理ということは非常に重要なお仕事の一つかと思いますけれども、一方で、極めて今日的な課題といたしまして、気候変動等による水質への影響という懸念がございます。いってみれば、気象条件の変化によって、どういった対策が必要になるのかということを考えていかなければならないということでございます。
既に、新たな浄水処理技術の導入ということも経営プランの中で掲げているわけでありますけれども、さらに、気候変動等における影響を念頭に置いた将来に向けての調査研究ということにも取り組んでいるというふうにお聞きをしておりますけれども、これについて令和三年度の取組状況を伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 気候の変動等により局地的な豪雨や雨が降らない日数の増加などが、気象庁等関係機関から報告されております。
こうした現象により、急激な河川の濁りやカビ臭原因物質の増加など、原水水質の変化に伴う浄水処理への影響が懸念されます。
このため、令和三年度は、濁りを効率的に減少させる凝集沈殿処理や、微生物を活用してカビ臭原因物質を安定的に取り除く、ろ過処理方式等について実験を行いました。
今後も、さらなる知見の収集に向けて継続して取り組んでまいります。
○西崎委員 この決算年度にも、実験であるとか調査ということを進めてきたということを今お聞かせいただきました。
これは、先ほど来、この審査の中でも議論がありますように、東京都全体でカーボンハーフであるとかカーボンニュートラルということを目指していく中で、当然、水道局としても重要な課題として経営プランの中でもお示しをいただいて、先ほど来、取組もるる示されているということでありますけれども、当然、これは重要な課題として、一方で、特に最近の気象条件の変化であるということも現実に起こっておりますから、いわば対症療法といったらあれですけれども、現実にそうした様々な気象条件の変化によって、水質の変化の懸念があるということに対応していくということも、同時に非常に重要なことであるかと思います。
さらにいえば、いわゆるゼロエミッションに向けて長期的な取組となりますけれども、気候変動の影響というのは、恐らく当面は、より大きくなるのではないかなということが予想されますから、今後の将来に向けた調査研究というのは非常に重要になるかと思いますので、今後、さらにしっかり取り組んでいただきたいということは要望させていただきます。
次に、広報広聴に関して伺ってまいります。
私も実は民間の経験がありまして、目黒雅叙園という日本初の総合結婚式場というザ・サービス業みたいなところで働いていたわけでありますけれども、その中でも、お客様とのコミュニケーションによってサービスのクオリティーを高めていくということは、非常に重要視をしていたという記憶がございます。
一方で、水道局におかれましても、経営プランの柱の一つに、お客様とつながり、信頼される水道の実現ということで設定をされておりまして、非常に大事な柱であるかと思います。
そこで掲げられているのは、双方向コミュニケーションということでありますけれども、この令和三年度における双方向コミュニケーションの実績についてお聞かせください。
○坂井サービス推進部長 当局では、令和三年度に、東京水道経営プラン二〇二一における新たな双方向コミュニケーション施策として、水道サポーター制度を立ち上げたところでございます。
この制度は、お客様と当局職員の対話を通じまして、お客様から伺った意見や提案を局内で共有し、積極的に事業運営に活用していくことを目的としてございます。
令和四年二月に、震災対策をテーマといたしまして、新宿区、目黒区、八王子市、西東京市と連携いたしまして、各区市二回、合計八回、交流会を開催いたしまして、参加した水道サポーターから約百件の意見、質問等をいただいたところでございます。
○西崎委員 新たな施策としての水道サポーター制度ということで、私の地元である目黒区も含めて、四区市で試行されたということで、その中で百件もの意見や質問があったということでございます。
それでは、ちょっと地元ということもありますので、目黒区に特化して伺いたいと思いますけれども、この目黒区で行われたという水道サポーター制度の交流会が、どのように行われて、また、どのような意見があって、それらをどのように今後の施策に反映をしていくのか伺います。
○坂井サービス推進部長 目黒区で行われました交流会では、まず、当局職員から、都内の耐震継ぎ手化率や目黒区内の給水拠点の場所など、当局の災害対策について説明をさせていただきました。
続いて、目黒区の防災担当者から、区が開設する避難所で行われる応急給水、それから、区独自の応急給水のための設備等について説明が行われました。
これらを踏まえまして、参加者から、応急給水で配られる水の量についての質問や耐震継ぎ手化率を紹介する当局ホームページへのアクセス及び専門用語による説明の改善について提案などがございました。
こうしたことを受けまして、当局ホームページにつきましては、階層を簡素化いたしまして、当該ページへのアクセスを改善するなど、参加者からいただいたご意見や提案などは局内で共有の上、順次対応しているところでございます。
○西崎委員 ありがとうございます。全体のテーマが震災対策ということで、その前のご答弁でもありましたけれども、目黒区におきましても、そうしたテーマに基づいて、これ、区の行政職員も巻き込んで実施をされたということで、非常に面白い取組だなというふうに受け止めさせていただきました。
さらには、一部の提案は既に対応済みということでありますから、そうすると、参加された方々の満足度というのも、恐らく非常に高いんじゃないかなということが想像されますし、また、当然、水道局のサービスの改善にも役立っているというふうに思われますから、非常に有意義な事業であると感じさせていただきました。
特に、広報広聴ということでいいますと、これは永年的な課題なので、改めてここでいうまでもありませんが、日本であるとか、特に東京にいると、水道というものが当たり前にあるというふうに思いがちでありますけれども、やはりこうした取組を通じて、都民の皆様の事業に対する理解を得るということは非常に大事だと思いますので、これ、水道サポーター制度、今後、本格実施の段階となっていくかと思いますけれども、さらに事業効果を引き出していただくような取組を期待したいと思います。
やはり水道というのは、本当に都民の皆様の命に直結するインフラだと思っておりますので、どうか引き続き、経営プランを含め、様々な取組を着実に実行していただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○曽根委員 私から、まず、水道局の気候変動対策について何点か質問いたします。
たしか昨年の二〇二一年当初に、小池知事が気候変動対策として、二〇三〇年までに都内の温暖化ガスの発生量を二〇〇〇年対比で五〇%削減するということを宣言いたしました。
また、それが新たな今回の環境基本計画にも書き込まれているわけです。これをぜひとも正面から受け止め、水道局自身が自ら消費している電力エネルギーを可能な限り自前の再生可能エネルギーとして生み出す立場に立って、これまで取り組んできた温暖化対策をさらにグレードアップするために、徹底した検討を行っていただきたいという趣旨でございます。
今日は、昨年度実績を踏まえながら、可能性がどこにあるのかについて、幾つか私なりの提案も含めて質問してまいります。
まず、水道局における再生可能エネルギーの発電について、令和三年度の発電量及びそれが水道局の使用電力量に占める割合を伺います。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局が、令和三年度に再生可能エネルギーとして太陽光発電設備等によって発電した電力の実績は約千四百三十七万キロワットアワーでございます。
そのうち、電力会社へ売電した電力を除き、当局が自ら使用した電力は約八百八十六万キロワットアワーであり、当局の使用電力量約八億キロワットアワーに占める割合は約一・一%となっております。
○曽根委員 水道局の発電でも、場所によっては自分で使わずに売電をしている分も少しあるらしいんですが、それを加味したとしても、水道局の使用電力の恐らく九八%以上の圧倒的部分は、火力発電なども含むCO2由来の電力を買っていることになります。
それでは、自家発電の割合をもっと高めていくためにどのように取り組んでいるのか、現在の取組の状況を伺います。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 令和二年三月に策定いたしました東京都水道局環境五か年計画二〇二〇−二〇二四では、導入する太陽光発電設備の能力を累計約一万キロワット、小水力発電設備の能力を累計二千五百キロワット以上としていくことを目標としております。
令和三年度までに、太陽光発電設備は九千百五十六キロワット、小水力発電設備は二千二百八十一キロワットの整備が完了しております。
引き続き、計画に基づき、再生可能エネルギーの導入を拡大してまいります。
○曽根委員 現在の計画によれば、目標年次は二〇二四年度ということで、太陽光で累計一万キロワット、小水力で二千五百キロワット以上にしていくことを目標としているわけですが、現在、もう既に九割以上整備が完了して、この後はちょっと難しいから、いろいろあると思いますが、引き続き二〇三〇年までの目標を、やはり都全体の計画に基づいて具体化していくことは必須だと思います。
その中で、新たな目標を打ち立てるには、ちょっと今までのペースでは到底、ちょっと発想も変えて、根本的な発想転換を含めて、水道局自身の発電で、可能な限り使用電力八億キロワット時の五〇%にいかに接近するかということを目指すべきだと。これは大変難しい課題であることは承知の上で申し上げておきたいと思います。
例えば、一例ですが、ちょっとパネルを持ってきたんです。小さくて申し訳ないんですけど、これ金町浄水場の航空写真なんですが、こちらにあるこれは多分ろ過池ですよね。最終仕上げ段階に入る辺りの水槽には蓋がしてあって、恐らく上は太陽光パネルが張ってあるんだと思うんです。
しかし、この上にある川から水が入ってきた段階の沈殿池には水面が見えているようで、恐らく覆蓋もないし太陽光パネルももちろん張っていないと。これだけの広大な面積が、水面が露出しているという状態です。
恐らく建設当時は、川から入ってきたばかりの水の泥やごみを沈殿させるというのが役割ですから、常時蓋をかける必要性は薄いということで、この段階では設計には入らなかったと思うんですが、今日、このように広い水面をむき出しにするよりは、蓋で覆うなどの設計により、ろ過池と同様に、上部に太陽光パネル設置も可能になるし、そういう検討は行わなければならない段階に来ていると思いますが、検討した経過はあるでしょうか。
○小泉設備担当部長 浄水場では、太陽光発電設備の設置に当たり、整備費用回収の可否や設置場所の荷重制限、場内施設の改修計画などを踏まえ検討しており、現時点で設置に適した場所には整備は完了しております。
○曽根委員 現時点で、例えば沈殿池や配水池の水面の上は、重量のあるものは設置が恐らくできないでしょうから、設置するには、最初からパネルが置ける足場などの設計が必要ですし、出来上がった施設に後から手を加えるというのは、費用も手間もかかるというのは、私も経験上、理解できます。
したがって、今、適切な場所というのは、(パネルを示す)やはりこのように太陽光パネルが設置できる足場などの条件があるところということになりますから、今のお答えになるんでしょうけれども、しかし、私も以前、化学製造工場の研究室にいましたので、研究室で、例えば新製品や新たな製造方法を開発しても、実際に現場に乗せるにはその数千倍から一万倍の規模で製造することになりますので、工場の中に、例えば十トン規模の反応釜を設置することになります。重量に耐えられる鉄骨の足場を組むのは大変なことです。企業ですから、そのための投資もしなきゃなりません。それでも何年かに一遍ぐらいは、新技術の開発などによる製造法の重要な変更だとか、新製品の場合は、やはり手間もかけて大がかりな改造もしています。
東京都にとって、温暖化対策としての創エネや再エネというのは、今、最も緊急に重視すべき課題のはずですから、しかも水道局のように、都内で最大級の事業所で、消費電力も莫大に使うところが本気で自家発電に取り組む姿勢を示そうとするなら、都内の水道局施設をくまなく調べてみるべきだというふうに私は考えます。
そうすれば、太陽光パネルや、例えば小水力発電など、かなりのポテンシャルが存在するのではないかとというふうに予測しています。
例えば、太陽光パネルを設置できる面積を新たに数ヘクタール確保できれば、今、計画として持っている発電量一万二千五百キロワット時は、恐らく倍以上確保できるんじゃないかと思うんです。この点は、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
それから、施設以外に未利用地もぜひ検討に加えていただきたい。
水道局が現在保有する未利用地で百平方メートル以上の土地は何か所で、合計何平方メートルほどになるか、また、未利用地の現状はどのように使われているのかお聞きします。
○西川経理部長 当局が所有いたします百平方メートル以上の未利用地は二十四か所ございまして、その面積の合計は約二万一千九百平方メートルでございます。
これらの未利用地のうち、活用が可能なものにつきましては、駐車場などの用地として民間事業者に貸し付けております。
当局では、未利用地も貴重な経営資源と捉え、できる限り有効活用を図ることで収入の確保に努めているところでございます。
○曽根委員 確かに時間貸しだとか月ぎめで貸し出す駐車場として活用すれば、日銭が入ってくるという点で、貴重な収入源にもなっているかと思います。
ただ、私が見たところ、例えば区部の場合、都心区などは別として、周辺区、もしくは多摩の中には、貸駐車場にしているんだけれども、広い敷地があったり、駐車場としての活用効率はどうかということなどを調べれば、その駐車スペースの一部を、例えば太陽光発電設備に切り替えてみるなど、日銭を稼ぐのも大事ですが、こうしたことで、やはり水道局としての自前の発電量を増やすと。あらゆる手段を検討するというような姿勢を、再エネの可能性の追求を、ぜひ取り組んでいただきたいということは要望しておきたいと思います。
それでは、次のテーマで、昨年度の経営プランにも示されております水道事業の業務を政策連携団体に移転させていくという問題について何点かお聞きしたいと思います。
東京も、人口減少に伴って、水需要は、先ほどもありましたように下がっていく傾向ですが、世帯数は減っておりませんので、水道管などの供給網は減らすわけにはいかない現状だと思います。設備更新の負担も続きます。水道事業の経営条件としては、だんだん厳しくなっていくと思われます。
そういう中で、今回出されてきている業務移転を進めるというのは、水道事業にとってどういうメリットがあるのか。私、ちょっと浅はかかもしれませんが、実際のところは、業務移転の最大のメリットは、例えば移転先の民間企業の社員の、これは昨年、我が党の大山議員が質問して、お答えいただいたように、四十歳代で年間百万円以上の賃金格差があるんですね、都の職員に比べて。
こうした人件費コストの削減効果があるのが当面の最大のメリットというふうに考えているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○高畠経営改革推進担当部長 当局では、将来的に労働力人口が減少していく中、局がこれまで培ってきた技術を着実に引き継ぎ、水道のプロフェッショナルを育成していくため、政策連携団体である東京水道株式会社に業務移転を進めております。
これにより、スケールメリットを生かした柔軟な人員配置、技術力や経営ノウハウを活用した業務の実施など、同社による効率的な経営も期待できます。
こうしたことから、当局では今後も、広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、公共性と効率性を両立する観点から、当局と政策連携団体によるグループ経営を推進してまいります。
○曽根委員 今おっしゃったようなスケールメリットを生かした柔軟な人員配置や技術力、経営ノウハウなどについては、水道局自身が実際にその蓄積を持つことによって、できない問題ではないというふうに私は考えます。
しかし、この業務移転を進めることで私が一番懸念しているのは、答弁にありました公共性と効率性の両立というのが、実態としては、都は、建前として公共性を唱えますが、実際の業務は民間企業が中心になって、効率的に、安上がりにということが優先されれば、とりわけ賃金の公民較差が固定化されていきかねないんじゃないかということを大変懸念しております。
実際に、最近も、株式会社PUCと東京水道サービス株式会社の合併のときに、賃金や労働条件が、一部ですが、低い方に一本化されたということで、その会社の労働組合が立ち上がって、時限ストまで行われたというニュースが流れてきております。
何でも効率優先という業務になると、例えば施設や人のきめ細かい配置がだんだん困難になって、いずれ過疎地などへの水道供給や災害対応などで、水道事業の全都的な一体性、それから、公共性を守ることの両立が難しくなっていくんじゃないか。こういうリスクがあるということも指摘しておきたいと思います。
もう一つ、業務移転が進んだときに起きるのが、現場での仕事の主導権も民間に移転していかざるを得ないという問題なんです。
二〇一九年の入札情報漏えい事件の教訓として、当該の都職員が、業務に関する知識や経験を十分に引き継いでいくことの不足があったということから、昨年三月の公営企業委員会で、都として、当面は浄水場の直営を維持していくというような答弁がありましたが、今後、業務全体を移転していくことと、直営を維持することの措置は矛盾しないのかどうか、この点をお聞きしておきます。
○高畠経営改革推進担当部長 当局ではこれまでも、広域水道としての一体性と責任を確保しながら、局がこれまで培ってきた技術を着実に引き継いでいくため、当局と政策連携団体である東京水道株式会社によるグループ経営を推進してまいりました。
今後も引き続き、当局の責任の下で、このグループ経営を継続し、団体への業務移転を推進してまいります。
○曽根委員 大体先ほどの答弁と同じ答えの繰り返しになっていますが、この中でいっている都の責任でこれまで培ってきた技術を継承するんだというお話なんですが、これは、水道の専門技術がグループ企業の人たちにどんどん移転されていくということになると、現場で何が起きてくるかと。
現場の作業はほとんど民間社員が行い、都職員は大体監督業務に限られてくる。技術や知識を磨く都の側の機会もなく、水道の仕事の、誇りを維持するといったらなんですけれども、やりがいですね、これも維持することが難しくなると。そういう段階が来てしまうんじゃないかということを経験上、私は強く思っております。
これはちょっと古い話になりますが、かつて八〇年代の国鉄の保線区や駅業務の現場の、同じような職場環境があって、どんどんと下請の会社に業務が移転していく。そこから国鉄職員の側に不祥事やトラブルが多発していったという事実、これを、当時の国鉄労働者の人たちから数々聞かされてきました。そして、これがその後、八六年に行われた全面的な国鉄民営化の口実、理由ともされてきた経緯があります。
水道事業だけがグループ経営という状態でとどまっているという保証はないというふうに私は考えます。このことも指摘しておきたいと思います。
この際、国鉄がJRに分割民営化された経過から、水道事業の分野で、起きてほしくはないけれども、起き得る危険性を幾つか指摘しておきたいんですが、例えばJR北海道のように赤字経営が一部常態化しますと、線路の安全を維持する保線業務が滞って、次々脱線事故が発生した経過がありました。
また、赤字ローカル線は軒並み廃線となっていき、北海道以外のJR各社でも、乗車率の低い路線は、続けたいんだったら地方が三セクで維持しろということが押しつけられて、高い料金を払って乗らなきゃならないなどの問題が次々起きて、いわゆる一体的な公共性や、それから、料金体系の統一性、一体性が破綻すると。そして、大きな格差が生じたという事業の経過があったことは、私は忘れちゃならない経験だと思います。
こうした過去の経験からも、我が党は、水道事業の業務移転と包括的な委託化は抜本的に見直すことを改めて求めておきたいと思います。
もう一つ、財政負担の問題として、政策連携団体である東京水道株式会社の業務を増やしていくならば、都の直営なら課税されない法人税や、また、株主配当などの費用が増えていくのではないかと思いますが、これは事実としていかがでしょうか、お答えください。
○高畠経営改革推進担当部長 法人税の支払いや株主配当につきましては、政策連携団体である東京水道株式会社におきまして、関係法令等にのっとり、適正な手続を経て行われております。
○曽根委員 民間企業だから課税されるのは当然です。しかし、公営企業なら負担しない法人課税などが、今日は資料をいただいていますので、これを見て分かるように、二億円以上の単位で東京水道にはかかるわけです。当然、これは正当な委託料の中にも入ってくることになります。
そういう経理上の動きを、業務移転の中でどうなっているのかということを都と都民の目線で厳しくチェックできるかどうかということも、ちょっと聞いておきたいと思います。
これは、他国の例ですが、フランス、イギリスなどで水道事業が民営化された中で、運営会社の財務状況が不透明なことが大問題になりまして、そして、企業内の不祥事や経営状態が公になりにくく、市民からも、どうももうけ過ぎじゃないかと批判があったことが、再度、公営化に踏み切るときの大きな世論のバックになりましたといわれております。
水道業務の大半を任せていく中で、こうした問題が起きない保証はあるのか、また、都や都民が財務状況をチェックできる制度はどのように確立できるのかお聞きします。
○高畠経営改革推進担当部長 都の水道事業は、広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、公共性と効率性を両立する観点から、基幹的業務を、当局と政策連携団体である東京水道株式会社が担うグループ経営を推進しております。
当局及び同社では、局長と同社の社長等で構成するグループ経営戦略会議を開催し、同社の経営に係る計画の策定や進捗状況等、的確な経営判断に必要な協議を行うことにより、統一的な経営戦略の下、同社は適切な事業運営を行っております。
また、同社は監査等委員会設置会社であり、利害関係のない独立社外取締役が経営の適法性や妥当性をチェックしておりますとともに、都の包括外部監査の対象となっております。
これらに加え、幅広い経営情報を公開することにより、経営の透明性を確保しております。
○曽根委員 最後に意見を申し上げますが、今、様々な歯止めをかけるというようなことがいわれましたが、現状では、国の方針でも水道事業の民営化を後押ししている時代です。したがって、民間への業務移転に伴う様々なリスクを、具体的に、財務状況や、それから経営の実態などから証明して、これを押しとどめることは非常に難しくなってくるというふうに予測しています。
そして、この民間企業が、技術移転が進んだ遠くない未来に、他の自治体の水道事業の民営化を担うことだってあり得るんじゃないかと。さらには、海外進出もあり得ないとはいえない。先ほどもちょっと関連した話がありましたが、このときにも公共性と効率性は果たして両立させていっているんだろうかと私は強く危惧するものです。
将来、水道事業を独占的なもうけの種にする動きが東京の水道事業から始まったなどという批判を受けないということを強く願って、先ほど申し上げましたように、業務移転などは根本から見直しを求めて、質問を終わります。
○うすい委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○うすい委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後三時十五分散会
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