令和三年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第二号

令和四年十月二十一日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長小松 大祐君
副委員長中田たかし君
副委員長慶野 信一君
副委員長清水やすこ君
かまた悦子君
星  大輔君
保坂まさひろ君
原  純子君
本橋たくみ君
藤井とものり君
あぜ上三和子君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長武市 玲子君
次長梅村 拓洋君
技監車両電気部長事務取扱野崎 慎一君
総務部長豊田 義博君
職員部長牧野 和宏君
資産運用部長坂田 直明君
電車部長市川 雅明君
自動車部長櫻庭 裕志君
建設工務部長坂口 淳一君
企画担当部長神永 貴志君
技術企画担当部長生越 啓史君
安全管理担当部長太田 純也君
鉄軌道事業戦略担当部長築田 直樹君
バス事業経営改善担当部長佐藤 和哉君
技術調整担当部長永松 憲一君
技術管理担当部長飯沼 健一君

本日の会議に付した事件
令和三年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・令和三年度東京都交通事業会計決算(質疑)
・令和三年度東京都高速電車事業会計決算(質疑)
・令和三年度東京都電気事業会計決算(質疑)

○小松委員長 ただいまから令和三年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、令和三年度決算の審査から逸脱しないよう行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都交通事業会計決算、令和三年度東京都高速電車事業会計決算及び令和三年度東京都電気事業会計決算を一括議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○豊田総務部長 過日の分科会で要求のありました資料を、お手元の令和三年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるホームからの転落事故件数の推移でございます。
 ホームからの転落件数の推移につきまして、路線別の件数を過去五年間分記載してございます。
 次に、二ページをご覧ください。事業別の正規職員の新規採用数と非常勤職員数の推移でございます。
 正規職員の新規採用数の推移を、事業別に過去五年間分記載してございます。
 次に、三ページをご覧ください。非常勤職員数の推移を、事業別に過去五年間分記載してございます。
 次に、四ページをご覧ください。地下鉄事業におけるバリアフリー化した内容と令和三年度の費用及びホームドア設置の状況と令和三年度の取組実績でございます。
 バリアフリー化につきましては、令和三年度に実施した内容ごとに整備駅数及び決算額を記載してございます。
 ホームドアにつきましては、路線別の設置状況を過去五年間分及び令和三年度の取組実績を記載してございます。
 次に、五ページをご覧ください。都営地下鉄駅の民間委託状況及び駅別職員配置数でございます。
 令和三年度期首時点における都営地下鉄各駅の職員配置数を記載してございます。なお、駅名横の丸印は、業務を委託している駅を表しております。
 次に、六ページをご覧ください。都営地下鉄におけるホームドア未整備駅の点状ブロック整備状況でございます。
 令和三年度末時点における整備状況を記載してございます。
 次に、七ページをご覧ください。バス停の音声案内の設置箇所数及びシグナルエイドに対応している箇所数でございます。
 令和三年度末時点における音声案内設置箇所数及びシグナルエイド対応箇所数について記載してございます。
 次に、八ページをご覧ください。コミュニティバスの受託状況でございます。
 令和三年度のコミュニティバスの受託状況について記載してございます。
 次に、九ページをご覧ください。都営バス車両における低公害、低燃費車両の導入の推移でございます。
 低公害、低燃費車両の導入の推移を過去五年間分記載してございます。
 一〇ページをご覧ください。都営地下鉄における痴漢等犯罪行為の通報件数、防犯カメラ映像の警察への提供件数及び警察との連携実績でございます。
 痴漢等犯罪行為の通報件数、防犯カメラ映像の警察への提供件数及び警察との合同訓練の件数につきまして、過去五年間分記載してございます。
 以上をもちまして資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○星委員 よろしくお願いいたします。都議会自民党を代表いたしまして質疑をさせていただきます。
 令和三年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が続き、この間、企業ではテレワークの定着なども進展をいたしました。こうした利用者の行動変容は、感染拡大防止には有効であったものの、公共交通機関には、乗客数の減少など大きな影響を与えており、都営交通でも、コロナ禍以前と比べ、厳しい経営状況が続いているものと認識をいたしております。
 こうした状況の中においても、交通局は、公営交通事業者として、安心・安全な輸送サービスの提供に向けた取組は着実に進めるべきだと考えます。本日は、決算審査に当たりまして、こうした観点から、幾つか質問をさせていただきます。
 先日の事前説明で、交通局が所管する三会計の令和三年度決算は、電気事業会計を除きまして、昨年度に引き続き赤字となっております。
 そこでまず、交通局が所管をする三会計合計で令和三年度決算が赤字となった要因について、確認のため、お伺いをさせていただきます。

○豊田総務部長 令和三年度の交通局全体での経常収支は、令和二年度の二百五十四億円の赤字に比べ、約百二十六億円改善したものの、百二十八億円の経常赤字となりました。
 その主な要因は、基幹収益である乗車料収入が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等により、コロナ禍以前の令和元年度と比較して、四百七十二億円、約二五%の減となったことなどによるものでございます。

○星委員 前年度に引き続き、厳しい状況であったということでありました。
 答弁にもあったように、基幹収入である乗車料収入がコロナ禍以前の水準に回復をしないのであれば、収支の改善に向けては、支出面の取組が不可欠であります。
 そこで、令和三年度に行った経費削減等の取組について伺います。

○豊田総務部長 令和三年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ乗車料収入の大幅な回復が見込めない厳しい経営環境にある中、引き続き、事業全般にわたって支出の削減を徹底いたしました。
 経常的な経費については、予算編成において、前年度予算から一〇%、約百億円の削減を図るとともに、執行段階においても、安全の確保に最大限配慮しつつ、設備の保守や修繕に係る経費についても厳しく精査を行い、可能な限り、経費の節減に努めました。
 設備投資についても、庁舎の改修を緊急性の高いものに限定したほか、地下鉄駅のホームにあるベンチのリニューアルを凍結するなど、経営計画に掲げた事業も含めて、幅広く見直しを行いました。

○星委員 ありがとうございました。
 令和三年度は、交通局経営計画二〇一九の最終年度でありました。今の答弁にもありましたが、コロナ禍により経営状況が厳しいため、支出全般にわたり見直しをしたという中、計画に定めた三年間の目標達成に向けてどのように取り組んできたのか、今後の安定的な事業運営を考えていく上でも総括しておくことが大切だと考えております。
 そこで、交通局経営計画二〇一九に掲げた事業の達成状況について伺います。

○神永企画担当部長 交通局では、令和元年度からの三か年を計画期間とする経営計画二〇一九において、東京二〇二〇大会も見据えながら、安全・安心の確保を最優先に、質の高いサービスを提供するとともに、東京の発展への貢献に資する取組などを進めることといたしました。
 一方、新型コロナウイルス感染症の影響により、計画策定時の想定よりも乗車料収入の大幅な減少が見られたことから、投資の抑制や経費の節減を図りながら計画事業を進めてまいりました。
 この結果、一部の事業では実施規模や時期を見直したものの、計画に掲げた新宿線全駅へのホームドア整備や大江戸線環状部のトイレの洋式化を完了したほか、バリアフリー化のさらなる推進に向け、乗換駅など九駅でのエレベーター整備を完了いたしました。
 また、燃料電池バスを累計七十一両まで導入し、環境負荷の低減に努めるほか、地下鉄車両の更新に合わせまして、車両の広告用デジタルサイネージの設置を拡大するなど、広告事業の積極的な展開を図ってまいりました。

○星委員 計画事業について、利用者の安全に関わるものは優先的に取り組み、一部の事業は見直しをするなどしながら進めてきたということでありました。経営状況が厳しい中、不断の見直しを行いながら事業を進めてきたことは、一定の評価をさせていただきたいと思います。
 この三月には新たな経営計画を策定して取組を進めているということでありますけれども、この間も、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した物価高騰など、局を取り巻く経営環境は、決して楽観視できない状況ではないかと考えます。
 今後、さらに状況が悪化をすれば、一層の経費削減なども必要となり、交通事業者としての大切な安全への取組や、新たな経営計画の推進にも影響を与えることが懸念されているところでもあるかと思います。
 そこで、都営交通の今後の事業運営について伺います。

○神永企画担当部長 都営交通の収入の大宗を占める乗車料収入は、足元で一部回復が見られるものの、テレワークをはじめとした人々の行動変容の定着により、今後も、コロナ禍前の水準への回復は期待できないものと見込んでおります。
 加えて、先ほど委員からお話のあった、エネルギーや原材料価格の高騰による支出の増加も見込まれ、引き続き、厳しい経営環境に置かれるものと考えております。
 こうした中にあっても東京の都市活動と都民生活を支え続けていくことが、都営交通の果たすべき役割と認識しております。
 このため、まずは、安全の確保に最大限配慮しつつ、投資や経費の抑制を徹底していくとともに、旅客誘致等により収入の確保に努め、持続可能な経営基盤の確立を図ってまいります。
 その上で、さらなる安全の追求や、より快適に利用しやすいサービスの提供に努めるほか、まちづくりとの連携や環境負荷の低減など、東京の発展に向けた取組を進めてまいります。

○星委員 公共交通機関は、その時々の経済状況等にかかわらず、安全かつ安定した輸送サービスの提供が求められていると思います。環境の変化に迅速かつ柔軟に対応していただいて、この厳しい状況を乗り越えていってほしいと思っているところでございます。
 交通局は、コロナ禍により厳しい経営状況の中にあっても、交通事業者としての安全への取組は着実に進めてきたということでありましたが、具体的にどのように取り組んだのか、伺ってまいります。
 まず、都営地下鉄における車内トラブルの対策についてを伺います。
 昨年、小田急線や京王線の車内における傷害事件など、鉄道の車内におけるトラブルが立て続けに発生をいたしました。不特定多数が利用する鉄道において、利用者がより安心して乗車できるように、昨年、他社で発生したトラブルを踏まえ、この対策、こちらについての充実は必要と考えております。
 そこで、都営地下鉄の車内トラブル対策について、令和三年度の取組状況をお伺いします。

○市川電車部長 交通局では、お客様に安心して都営地下鉄をご利用いただけるよう、車内トラブルの未然防止に努めるとともに、万一、事案が発生した際にも、被害を最小限にとどめることが重要と考えており、これまでも車内防犯カメラの整備や各種訓練など、様々な取組を進めてまいりました。
 こうした中、他社線で事件が続いたことを踏まえ、昨年度は、緊急対応として、車内や駅構内巡回の体制を増強いたしました。また、お客様に乗務員等への通報にご協力いただけるよう、非常通報器の位置をより分かりやすく示すステッカーを作成し、車内に表示するとともに、リーフレット、安全のしおりを配布いたしました。
 さらに、防護盾等の暴漢対策用具を運転席や各駅へ配備するとともに、ホームドアと車両のドアの位置がずれて停車した場合を想定した避難誘導訓練を実施するなど、異常時における対応力の強化を図ったところでございます。

○星委員 トラブルが発生した際の対応力向上を進めていること、これが分かりました。
 一方で、傷害事件のような犯罪や迷惑行為などにつきましては、抑止する取組も重要であります。昨年の車内トラブルを受けて、車内防犯カメラについては、一定の抑止効果が期待されることから、鉄道各社で整備が進み始めております。
 そこで、都営地下鉄における車内防犯カメラの設備状況について伺います。

○野崎技監 都営地下鉄では、迷惑行為や痴漢等犯罪の未然防止、テロ対策などセキュリティ強化を図るため、車両更新に合わせて車内防犯カメラの設置を進めており、令和三年度末までに全体の約四割の車両への設置が完了しております。
 加えて、他社線での事件を踏まえ、今年度から、更新前の車両にも新たに防犯カメラを設置することとしており、令和六年度までの全車両への設置完了を目指して取り組んでまいります。

○星委員 ありがとうございます。この取組、利用者の安全感向上につながるものであります。設置完了に向けて、引き続き、しっかり取組をよろしくお願いいたします。
 次に、ホームドアについて伺います。
 ホームドアは、ホームから線路への転落や、進入してきた車両との接触といった事故を防ぐ上で非常に有効であり、都営地下鉄では、これまで三田線、新宿線、大江戸線での整備を終えて、残る浅草線、こちらの整備を進めているところであります。
 浅草線の整備に当たっては、技術的課題を解決するため、QRコードを用いた新しい仕組みを開発したほか、京成電鉄との共同使用駅である押上駅への整備に向けて、関係者との協議を進めていっていると聞いております。
 そこで、押上駅を含む浅草線全駅へのホームドア整備について、取組を伺います。

○永松技術調整担当部長 浅草線のホームドアについては、令和元年度に、泉岳寺、三田、大門、新橋の四駅への整備を行っております。また、令和三年度には東銀座駅、本年五月には宝町駅への整備を行い、これまでに六駅で整備が完了してございます。
 京成電鉄との共同使用駅である押上駅についても、駅を管理し、整備主体となる京成電鉄と令和三年十二月に基本協定を締結し、現在、具体的な工程や整備内容の調整を行っているところでございます。
 引き続き、押上駅を含め、令和五年度までの全駅整備完了を目指して取り組んでまいります。

○星委員 押上駅を含めた浅草線全駅での整備のめどが立ったということでありました。整備完了に向けて、引き続き精力的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、関連事業について伺います。
 ここまで、都営交通が安全対策にどのように取り組んできたか、確認をいたしましたが、交通事業という大きなインフラに必要な安全対策への投資を今後も継続的に行っていくためには、収入の確保が必要であります。
 基幹収益である乗車料収入、こちらがコロナ禍前の水準に回復しない中、不動産の利用、活用や、広告、駅の売店などといった運賃以外の収入、いわゆる関連事業収入の確保は非常に重要であります。
 そこで、令和三年度の関連事業収入の状況について伺います。

○坂田資産運用部長 交通局では、経営基盤の強化に資するため、保有する資産を有効に活用することにより、不動産や広告、構内営業等の関連事業を展開し、収入の確保に努めております。
 令和三年度の関連事業収入は約百二十二億円でありまして、前年度と比べて約一%の増収となっております。
 このうち、不動産の貸付けによる賃貸料収入は約七十億円で、前年度と比べて約四%増加し、堅調に推移しております。
 一方、広告料収入は、前年度に比べて約六%減の約二十六億円、構内営業料収入は、前年度に比べて約二%減の約八億円となっております。

○星委員 関連事業全体では一%増加したものの、広告料収入、こちらが約六%の減、構内営業料収入は約二%の減ということでありました。広告や構内営業など、それを目指そうとする側のニーズも影響するところが大きいというところは、私も理解をしております。しかし、交通局自ら、少しでも収入の確保、こちらの取組をぜひとも進めることを、よろしくお願いしたいなと思います。
 この広告料収入、私も以前、Jリーグクラブで営業をやっておりまして、Jリーグの三つの収入の柱というものは、今、申し上げた広告料収入、スポンサー収入であったり、あとはグッズ収入とチケット収入、この三つ、三本柱なんです。
 やっぱり、このコロナ禍でなかなか−−この乗車料収入、こちらと、今、私が申し上げた、サッカークラブだとチケット収入と同じことなのかなと思いますけれども、やっぱりそういうところで収入が得られない場合、広告料収入、こういったところで皆さんからご協力をいただいたり、そういった収入をしっかりと確保していく。そこが重要だと私も認識しておりますし、ぜひとも、今、申し上げたように、この関連事業、広告料収入というものはしっかり行っていただきたいなと思っております。
 そこで、この広告料収入、もう一点、お聞きをいたしますが、広告料収入が減少した要因、そして、増やしていく取組についてお伺いをさせていただきます。

○坂田資産運用部長 令和三年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によりまして、乗車人員の減少が長期化したことなどから、企業の交通広告への出稿意欲が低下し、広告料収入が減少したものと考えております。
 厳しい状況の中、新宿線新宿駅における駅構内デジタルサイネージの放映開始や、車両更新に合わせました地下鉄車内液晶モニターの設置拡大など、デジタル広告の充実を図ったほか、首都圏の大手鉄道事業者十社と共同で商品を開発し、販売するキャンペーンなども展開し、収入の確保に努めました。
 今後とも、新たな事業の掘り起こしや広告媒体の充実など、収益を確保するための様々な方策を検討しながら、広告事業を展開してまいります。

○星委員 ありがとうございます。広告事業を効果的に展開していくため、他の交通事業者のほか、知見を有する広告代理店などとの連携も、ぜひともしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。また、都営交通ならではの新たな広告需要を見いだすなど、創意工夫を図りながら、広告料収入回復に向けて、ぜひとも努力をお願いいたしたいと思います。
 次に、構内営業料、こちらも減少したということでありましたけれども、その要因と、こちらも、増収に向けた取組をお伺いさせていただきます。

○坂田資産運用部長 令和三年度は、飲料自動販売機など一部のサービスでは増収となりましたものの、構内店舗の閉店が続いたことが影響いたしまして、構内営業料収入全体では約二%の減少となりました。
 厳しい状況の中、店舗誘致に向けて、様々な事業者にヒアリングを行い、具体的な出店ニーズを把握した上で、店舗設備に改修を加えるなど工夫を行いまして、新規事業者の確保に結びつけました。
 また、店舗跡地を毎週入れ替わる催事販売コーナーに転用するほか、今まで活用していなかった狭小なスペースを活用いたしまして、モバイルバッテリーレンタルスタンドを都営地下鉄に初めて設置いたしました。
 今後とも、お客様のニーズを踏まえた新たなサービスの展開について検討するとともに、売店、店舗跡地の効果的な利活用に取り組み、利便性、収益性の高い店舗やサービス等の展開を図ってまいります。

○星委員 乗車人数、こちらは、今後もコロナ禍以前に回復していくことはなかなか期待できないというか、回復していくのは今、なかなか難しい状況だと、この質疑の中でも確認をしたところでもありますけれども、経営資源を最大限活用する取組は、今、ご答弁にあったように非常に重要だと思います。今後も、利用者や企業の需要の変化を的確に捉えて、引き続きの収入確保に努めていってほしいと思います。
 本日、今、申し上げましたけれども、都営交通、こちらの経営環境は大変厳しいということは承知をしておりますけれども、交通事業者として、安全の確保を最優先に取り組んできたことを確認させていただきました。
 交通局を取り巻く環境は刻々と変化をしており、それに伴って新たな課題も、またここからも出てくると思います。そのような新たな課題に対しても、局一丸となって知恵を出し合い、工夫を凝らしながら、都民の信頼に応える都営交通の実現に向けて取り組んでいただくことを要望させていただいて、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○清水委員 私からは、三問ほど、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、厳しい経営状況の中ではありますが、車椅子や白杖をご利用のお客様や高齢者、子連れのお客様など、誰もが安心して都営地下鉄をご利用いただけるような取組を進めるべきと考えています。
 そこで、都営地下鉄では、テロ対策や地震などの自然災害を想定した訓練などを行っていますが、お客様を安全に避難させることが重要だと考えています。
 どのようなお客様を想定し、避難誘導を行っているのか、伺います。

○太田安全管理担当部長 都営地下鉄におきましては、危機管理対策計画に基づき、警察等関係機関とも連携しながら、テロ対策訓練や自然災害対応訓練等を実施しております。
 大地震等の異常時には、お客様を安全に避難誘導することが重要であり、様々な場面を想定した訓練を重ねることで、職員の対応力の向上を図っております。
 具体的には、白杖や車椅子をご利用の方も想定し、優先して避難させる訓練を実施しております。また、突発的な事態にも臨機応変に対応できるよう、訓練シナリオの一部を参加者に伏せて実施しております。
 今後、ベビーカーをご利用の方など、より多様なお客様を想定した訓練を通じて、非常時における職員の対応力の一層の向上に努めてまいります。

○清水委員 これまで実施している訓練では、車椅子や白杖のお客様を想定して訓練を行っていることが分かりました。
 ただ、今後、ベビーカーを使用されるお客様も想定した内容にしていくとの答弁もありまして、お願いいたします。というのも、私自身、妊娠時期にベビーカーを押しながら地下鉄を利用した経験ももちろんありまして、こうした取組は非常に重要なものと感じています。ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 また、現在は職員だけの避難訓練となっていますが、職員以外の一般の方も含めた内容も、難しいとは思いますが、何らかの形で検討するなど、訓練のさらなる充実を図っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次の質問に参ります。
 痴漢は、絶対に許されない犯罪行為です。提出された資料を拝見すると、昨年度、駅から警察へ通報した痴漢被害の件数は、ご説明の中で二十七件とありました。
 電車内での痴漢被害に遭われたお客様は、駅や警察に通報しますが、痴漢被害に遭っても、通報できないお客様もいると思います。被害件数は、より多いのではないかと思っています。
 また、被害に遭われた方がPTSDになってしまうこともあると伺っています。
 そこで、都営地下鉄では、どのような痴漢対策を行っているのかを伺います。
 あわせて、今後、実施していく取組についてもお伺いいたします。

○市川電車部長 都営地下鉄では、痴漢行為を防止するため、車内防犯カメラの設置や駅係員による巡回などを継続的に行っております。
 また、鉄道事業者等と共同で実施している痴漢撲滅キャンペーンなどを通じて、痴漢被害に遭われたお客様や周囲のお客様に対して、痴漢被害があったことを駅係員などにお知らせいただきたい旨の呼びかけを行うとともに、警視庁とも連携し、ホームページやSNS等で、防犯アプリ、Digi Policeの活用を促すなど、情報発信に努めております。
 令和六年度までに、全ての車両へ防犯カメラの設置完了を目指すとともに、独自の対策強化期間を設けて重点的に痴漢撲滅を呼びかけるなど、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境づくりを進めてまいります。

○清水委員 痴漢撲滅キャンペーンやDigi Policeの活用、防犯カメラの設置完了などをお伺いしました。
 ただ、痴漢に遭われたお客様は、非常に大きな心の傷を負ってしまいます。毎日通う通勤通学の中で、その時間を変えるだけでは、心の傷は埋められません。また、防犯カメラの設置により、一定の抑止力は期待できるとは思いますが、被害を受けている状況は映りにくく、完全に抑止できるものではないとも感じます。
 こういった被害者をなくすためにも、交通局には、警視庁や関係機関と連携強化を図るなど、痴漢撲滅に向けた対策を一層推進していただければと思います。
 最後の質問です。
 地下鉄は、車椅子や白杖を利用する方、ベビーカーを使用するお子様連れの方、高齢者の方など、様々なお客様が利用されます。こうしたお客様をはじめ、都営地下鉄を利用される全てのお客様が意見を伝えやすい環境づくりが重要です。
 そこで、お客様が質問や意見などを伝えやすい環境づくりとして、交通局はどのような取組を行っているか、また、フィードバックこそが大事だと考えますが、そのフィードバックを含めてお伺いいたします。

○豊田総務部長 交通局では、都営交通お客様センターを運営し、電話やメール等により、ワンストップでお客様からのお問合せやご意見などを受け付けております。
 お客様センター等に寄せられた声は、速やかに関係部署に共有し、職員の接遇や事業運営の改善等に生かすとともに、回答を希望するお客様には対応結果などをお伝えしております。また、代表的な事例については、局全体で共有するほか、広くホームページでも紹介しております。
 加えて、令和三年度には、お客様がスマートフォンやパソコン上での会話形式のコミュニケーションを通じて知りたい情報に二十四時間三百六十五日アクセスできる都営交通チャットボットの運用を開始いたしました。
 チャットボットの運用においては、入力の多い項目を分析し、より情報にアクセスしやすくなるよう適宜改善を図るなど、充実に努めてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。お困りのお客様が意見などを伝えやすい環境づくりに向けた交通局の取組についてお伺いいたしました。
 また、令和三年度に導入したチャットボットについても、まだまだ検索性を高めるなど改善の余地があると思います。
 私自身は西多摩地域なんですが、青梅線に乗って、よくベビーカーの方、それから車椅子の方と都営地下鉄をチェックしていたりします。もう三回ぐらいしています。その中で、引き続き、お困りのお客様がいち早く知りたい情報にたどり着ける、あるいはご意見をいえるように、その場の環境づくりにも取り組んでいただき、寄せられたお客様の声についても、なるべく早くフィードバックできるようにしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 また、大型商業施設などでは、お客様の声と責任者のやり取りが見やすいところに貼り出されているんですね。お客様の安心につなげる取組がなされている、交通局でも、こうした取組を参考の一つにしていただけたらと思います。
 質問を終わります。

○かまた委員 それでは、質問をさせていただきます。
 令和三年度は、令和二年度と同様に、コロナ感染拡大の影響を大きく受け、大変厳しい経営環境であったと思いますが、改めて都営交通の令和三年度の決算の状況についてお伺いをします。

○豊田総務部長 都営交通の令和三年度決算は、基幹収益である乗車料収入が、前年度に比べ増加したものの、依然としてコロナ禍前の水準を大きく下回っており、自動車運送事業では五十六億円、高速電車事業では六十四億円の経常赤字となるなど、自動車運送事業、軌道事業、新交通事業、高速電車事業で、昨年度に引き続き経常赤字となりました。

○かまた委員 都営交通の四事業で、昨年度に引き続き経営赤字ということでありますが、このように厳しい状況の中でも安定した事業運営を進めていく努力は必要不可欠であります。
 そこで、令和三年度の決算の状況を受けまして、都営交通の今後の経営方針についてお伺いをします。

○神永企画担当部長 コロナの影響で減少した乗車料収入は、令和三年度に一部回復が見られたものの、テレワークをはじめとした人々の行動変容の定着により、今後もコロナ禍前の水準への回復は期待できない厳しい状況が続くものと見込んでおります。こうした中にあっても、中長期的に安定した輸送サービスを提供していくことが交通局の果たすべき役割と認識しております。
 このため、まずは、安全・安心を確保しつつ、投資や経費の抑制を徹底していくとともに、旅客誘致等により収入の確保に努め、持続可能な経営基盤の確立を図ってまいります。
 その上で、さらなる安全の追求や、より快適で利用しやすいサービスの提供に努めるほか、まちづくりとの連携、環境負荷の低減など、東京の発展に向けた取組を進めてまいります。

○かまた委員 今、企画担当部長からも、厳しい状況下でも、都が抱える環境負荷の低減等、諸課題についてもしっかり取り組んでいくとの力強い答弁をいただきましたので、とても安心をしましたが、今後も、安全・安心が確保されつつ、中長期的に安定した公共交通機関としての役割を果たされることをお願いさせていただきます。
 続きまして、公共交通機関での安全対策でもあります女性専用車両の導入についてお伺いをします。
 この女性専用車両の導入につきましては、卑劣化する痴漢被害から女性を守り、移動に当たっての安心空間をつくることが目的の一つでもありますが、もう一つの大事な目的として、公共交通事業者においても痴漢撲滅に取り組むことで、社会全体で痴漢撲滅の機運を高め、被害の未然防止を狙うという大事な側面もあると私は考えます。
 そのため、我が党は、二〇〇三年に都営地下鉄への女性専用車両導入を提案し、二〇〇五年五月、都営新宿線で女性専用車両が導入されました。その後も、幾度にわたり、都議会において女性専用車両の導入拡大について質問をさせていただきました。また、本年二月の第一回定例会代表質問では、都議会公明党の質問に対し、新宿線に続き、他路線についても検討していくことを交通局は表明しました。次いで、予算特別委員会では、我が党の大江戸線への導入要望に対しまして、交通局長から検討を進める旨の前向きな答弁がありました。
 そこで、女性専用車両の導入拡大に係る昨年度からの検討状況についてお伺いをします。

○市川電車部長 交通局では、お客様により安心してご利用いただけるよう、平成十七年から、新宿線で朝のラッシュ時間帯に女性専用車両を導入しております。
 他の路線については、相互直通運転を行っている事業者で対応が異なるほか、導入により他の車両が混雑する等の課題がありましたが、コロナ禍以降、各路線の混雑率は全体的に低下しており、女性専用車両の導入拡大に伴う他の車両への影響は比較的小さくなると想定されます。
 こうした状況を踏まえ、本年三月、導入拡大に向けて、まずは利用者の規模が最も大きく、痴漢通報件数も相対的に多い大江戸線を対象に検討を進めることといたしました。
 今年度は、朝ラッシュ時間帯における車両の号車ごとの混雑状況や、駅構内のお客様の流動など、大江戸線における詳細な利用実態を継続的に調査するとともに、女性専用車両をどの位置に設定するかなど、新宿線への導入で得られた知見やノウハウ等を踏まえながら検討を行っております。

○かまた委員 女性専用車両の導入拡大につきましては、ほかの車両の混雑助長や、また、相互直通運転を行う会社との調整など、誰もが利用する公共交通機関であるがゆえの様々な課題があることと思いますが、コロナ禍以降の混雑率低下等が拡大を進める好機到来でもありますので、今後も着実に取組を進めていただくことを要望させていただきます。
 続きまして、三田線についてお伺いをします。
 三田線は、朝のピーク時の混雑率が高く、利用者が多い板橋区で、私ども公明党が署名運動を行うなど、かねてより混雑緩和を図るための八両編成化の取組を強く要望してまいりました。それが後押しとなり、交通局において、三田線の八両編成化に向けた取組を進めてこられたと認識しております。
 八両編成化の実現に向けては、解決すべき困難な課題が多くあったと思いますが、これまでの取組状況についてお伺いをします。

○生越技術企画担当部長 三田線の八両編成化に際しては、老朽化したホームドアの更新や、国の基準に対応した駅の火災対策といった、様々な課題を解決する必要がありました。
 営業中の地下鉄路線でホームドアを更新するのは、全国初の取組でありましたが、ホームドアの撤去に合わせて、固定柵を設置するとともに警備員を配置するなど、ホームの安全対策に万全を期して進め、本年五月までに全二十四駅の更新を完了いたしました。
 また、火災対策設備の改良が必要となった六駅では、限られた駅空間の中で工夫しながら、排煙設備の増強や防火防煙シャッターの設置、避難経路の増設等、駅ごとに異なる防災改良工事を着実に進めました。
 加えて、新しい車両や設備の取扱いについて、乗務員や保守係員へ習熟訓練等を行うほか、直通運転する関係各社と、運転の取扱いや運行計画等の調整を行ってまいりました。
 この間、局一丸となって、厳格な工程管理に努めるとともに準備を着実に進め、本年五月には八両編成の運行を開始し、十月に新型車両十三編成の導入を完了したところでございます。

○かまた委員 三田線の八両化に向けては、本当に数多くの困難がある中、一つ一つの課題をクリアし、ついに目標としていました十三編成の導入を実現していただきました。高く評価させていただきます。ありがとうございます。
 続きまして、別の質問に移らせていただきます。
 令和三年度に、安全・安心の確保を最優先にした質の高いサービスの提供として、大江戸線でユニバーサルデザインの考え方を取り入れた人に優しい車両が導入されたとのことですが、このユニバーサルデザインの考え方を取り入れた人に優しい環境づくりに取り組むことは、公共交通機関の大きな責務の一つでもあります。
 現在、三田線は、八両と六両の車両が混在しているため、八両編成に乗車すると、駅によっては、乗った場所と同じところにスロープがない場合があります。
 そこで、三田線の段差、隙間対策について、令和三年度の取組状況をお伺いします。

○飯沼技術管理担当部長 都営三田線では、車椅子をご利用のお客様が乗り降りしやすいよう、六両編成の車椅子スペースの位置に合わせて、ホームに固定式スロープを設置しております。
 一方、八両編成の運行開始に伴い、新たに車椅子スペースの乗降口となる箇所が生じることから、固定式スロープを追加して設置するとともに、ホームと車両との隙間が広い箇所には、隙間を縮小するための部材である、くし状ゴムを設置することといたしました。
 昨年度は、整備に向けた設計を行い、本年八月には工事に着手したところであり、令和六年度までの整備完了を目指し、引き続き取組を進めてまいります。

○かまた委員 令和六年度までに整備完了を目指すとのことですけれども、車椅子をご利用等の方々が安心して三田線を利用できる日が一日も早く訪れますよう、引き続きご対応をお願いいたします。
 続きまして、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた人に優しい環境づくりでもあります、トイレにおける介助用ベッドの設置についてお伺いをします。
 トイレの介助用ベッドは、車椅子から降りて座位が保てない方が横たわり使用する場合や、車椅子利用者の高齢の方々が着替えやおむつ交換で使用される場合もあり、トイレの介助用ベッドが必要な方々にとって、外出の際の安心には欠かせないものとなっております。
 東京都福祉のまちづくり条例で、ユニバーサルデザインを基本理念として、高齢者や障害者を含めた全ての人が安全・安心、快適に暮らし、訪れることができるまちづくりを進めることを目的としていることからも、都営地下鉄に介助用ベッドの設置を拡大することは重要であると考えます。
 そこで、介助用ベッドの設置に当たっての課題と令和三年度の実績についてお伺いをします。

○飯沼技術管理担当部長 東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルでは、公共交通施設の車椅子使用者対応トイレには、障害者のおむつ替え用等に介助用ベッドを設置することが望ましいとされております。
 一方、地下鉄駅は、一般的に駅構内が狭く、トイレの面積が限られており、介助用ベッドを新たに設置するには、駅レイアウトの大幅な変更が必要となることが課題となっております。
 このため、都営地下鉄では、駅の大規模改修等の機会を捉え、車椅子使用者対応トイレ内に十分なスペースを確保できる場合に介助用ベッドを設置しております。
 令和三年度は、トイレのグレードアップに合わせて、浅草線の宝町駅と本所吾妻橋駅に介助用ベッドを整備し、年度末時点で、二十二駅、二十五か所で設置済みとなっております。
 今後とも、駅の大規模改修等の機会を捉え、活用が可能なスペース等を勘案しながら、介助用ベッドの設置を検討してまいります。

○かまた委員 介助用ベッド設置に向けては、広さの関係から、駅のレイアウトの大幅な変更が必要となると、現状のままでは課題が多いことはよく分かりました。しかしながら、東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルには、重要性はうたわれていますので、ご答弁にありましたとおり、今後の駅の大規模改修等の機会を捉え、可能なところから設置を検討していっていただきたいと思います。
 また、第三回定例会の一般質問でも、我が党の議員が質問させていただきましたように、全ての方が安心して都営地下鉄を利用できるよう、引き続き、つえホルダーや男性用トイレのサニタリーボックス設置などについても、ご対応をよろしくお願いいたします。
 続きまして、地下鉄構造物の長寿命化についてお伺いをします。
 インフラ老朽化問題の対策としては、国は、インフラ長寿命化計画を進めておりますが、都営地下鉄におきましても、二〇一〇年度から都営地下鉄の構造物の長寿命化に取り組み始めたことと思います。
 そこで、地下鉄構造物の長寿命化について、令和三年度の取組状況と今後の取組についてお伺いをいたします。

○坂口建設工務部長 地下鉄構造物の長寿命化は、経過年数の長いトンネルについて、著しい劣化が発生する前に機能回復を図る予防保全型の管理手法を導入することで延命化を図る取組でございます。
 具体的には、トンネルの健全度を調査した上で、ひび割れ等からの漏水を遮断し、鉄筋コンクリートの劣化を防ぐ漏水対策や、将来、トンネルの劣化が進行した際に剥落の可能性がある劣化部を未然に除去し修復する剥落対策などを実施いたしております。
 令和三年度は、浅草線泉岳寺駅から新橋駅間、三田線白金高輪駅から御成門駅間など四件の工事を完了させるとともに、浅草線西馬込駅から五反田駅間などの三件の工事に着手いたしました。
 引き続き、浅草線、三田線で計画的に補修を進めるとともに、今後、新宿線において、工法等の検討に向けた試験施工を行ってまいります。

○かまた委員 令和三年度も、計画的に長寿命化対策を進めてくださいましたけれども、今後も計画的に進めていただきたいと思います。
 また、本対策につきましては、二〇一〇年度から十二年が経過をしておりますので、再度、本対策の重要性を再確認していただき、安全輸送基盤の整備を進めていっていただきたいと思います。
 続きまして、地下鉄の浸水対策の強化についてお伺いをします。
 都は、順次、公表されている新たな浸水想定区域を踏まえて、地下鉄駅出入口における止水板の高さの見直しや、止水板から防水扉の変更など、ハード面での対策を進めていますが、例えば、大規模水害発生に備えた避難訓練や避難計画の策定など、ソフト面での取組も重要であると考えます。
 そこで、都営地下鉄の浸水対策について、令和三年度におけるソフト面での取組についてお伺いをします。

○太田安全管理担当部長 都営地下鉄では、水害等の異常事態を想定した危機管理対策計画を策定しております。また、お客様の安全確保の観点から、駅ごとに避難確保・浸水防止計画を策定しておりまして、これらを踏まえ、駅、運転、保守の各部門が合同で様々な訓練を実施しております。
 令和三年度は、集中豪雨等により駅出入口からの浸水のおそれが生じた場合を想定し、お客様の誘導、止水板や土のうの設置、部門間の情報伝達等の訓練を新宿線岩本町駅において実施いたしました。
 また、大規模風水害の発生を想定し、局長をトップとする災害対策本部会議におきまして、タイムラインに沿って行動する図上訓練を実施いたしました。
 さらには、地下鉄車両を避難させる際の手順の確認や車両の移動を想定した車両避難訓練を三田線及び新宿線で実施したほか、浅草線のトンネル内に設置した防水ゲートを開閉する訓練を実施いたしました。
 今後とも、水害等が発生した際に適切に対処できるよう、実践的な訓練を積み重ね、職員の対応力を高めてまいります。

○かまた委員 様々な取組を進めてくださっていることが確認できましたけれども、最新の浸水被害のシミュレーションも踏まえ、タイムラインに沿った対策とともに、被災後の早期復旧に向け、より実効性の高い対策についても、着実な検討及び対策をお願いいたします。
 続きまして、都営バスについてお伺いをします。
 都議会公明党は、多胎育児のサポートを考える会の皆様とともに、双子用ベビーカーを折り畳まずにバスに乗車できる取扱いを、知事、交通局、東京バス協会、国土交通省などに積極的に働きかけ、都営バスにおいて双子用ベビーカーの利用が始まっております。
 そこで、都営バスにおける双子用ベビーカーの利用について、令和三年度の取組状況と利用者等からの反響についてお伺いをいたします。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、令和二年九月に、一部の路線で、双子用ベビーカーにお子様を乗せたままご乗車いただけるようにいたしまして、昨年の六月からは全ての路線で実施しております。
 実施に当たりましては、ご利用方法を分かりやすくお伝えするとともに、車内における譲り合いなどにご協力いただけますよう、ポスター、リーフレット、SNSなどによる呼びかけを行っております。
 加えて、昨年度は、都営バスのマスコットキャラクターである、みんくるを活用した動画を、バスや地下鉄の車内サイネージで放映いたしますとともに、ユーチューブでも発信しております。
 また、ほかの事業者の参考となりますよう、全路線での実施に合わせて交通局が定めたマニュアルなどを、東京バス協会を通じて各バス事業者に情報を提供しておりまして、現在、都内の主なバス事業者が同様の取扱いを行っております。
 双子用ベビーカーをご利用のお客様などからは、折り畳まずに乗れるようになって助かります、移動手段の選択肢が増えて大変ありがたく思っていますといったお声をいただいております。

○かまた委員 実際に利用している方々の声を伺いまして、本取組の必要性を改めて感じました。
 また、都営バスの取組が、東京バス協会を通じて各バス事業者に情報提供がなされ、同様の取組が広がっていったことからも、都営バスが東京のバス業界のサービス向上を牽引する役割を担っていることも感じます。今後も、都民のニーズに応える取組をぜひお願いいたします。
 最後に、都営バスのバス停について質問をいたします。
 令和三年三月に、横断歩道や交差点のそばにある危険なバス停が、全国で一万百九十五か所に上ることが国土交通省の調査で分かったことから、バス停の移動を熱望する声が寄せられましたが、都営バスにおける、いわゆる危険なバス停への安全性向上に係る令和三年度の取組についてお伺いをいたします。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 横断歩道や交差点付近にあるバス停では、降車したお客様がバスの前後で道路を横断しようとする際、バスを追い越そうとする車両や対向車両から見て、そのお客様がバスの死角に入ってしまうため、これらの車両との接触事故につながるおそれがございます。
 交通局では、かねてより、こうしたバス停周辺の安全性向上が重要と考えておりまして、これまでも、バス停付近での横断について、他の車両への注意を喚起するステッカーの貼付や車内での放送を行うほか、一部のバス停につきましては、自治体、道路管理者、交通管理者などの協力を得て、より安全な場所への移設を行ってまいりました。
 委員のお話の、いわゆる危険なバス停につきましては、国土交通省が、交通安全上、問題と思われるバス停を、危険度が高い順にAからCまでランクづけを行い、公表しているものでございます。
 都営バスでは、令和三年四月時点で二十二か所が該当しており、昨年度は、このうち、Bランク一か所、Cランク三か所のバス停を移設したほか、Cランク一か所にガードパイプを設置し、計五か所の対策を完了いたしました。
 今後とも、関係機関と協力しながら、バス停周辺の安全性確保に向け、着実に取り組んでまいります。

○かまた委員 バス停の移動が可能なところについては移設をしていただき、困難なところにつきましてはガードパイプをつけていただいたとのことですけれども、都営バス停でいわれています危険なバス停につきましては、残り、まだ十七か所ございます。ぜひ関係機関と協力をしながら、安全確保対策を着実に進めていっていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○原委員 原純子です。よろしくお願いいたします。
 二つのテーマを質問いたします。
 一つ目は、都営バスのバリアフリー、シグナルエイドについてです。
 まず、伺います。
 視覚障害者が安心してまちに出られるようにするために、公共交通の整備は大事です。
 都営バスについて、視覚に障害のある方への配慮はどんなものがありますか。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、視覚に障害のある方を含め、お客様に安心してご利用いただけるよう、様々な取組を行っております。
 停留所におきましては、可能な限り照明を設置し、行き先等を、できるだけ大きな字で表示するようにしております。
 また、停留所でお待ちのお客様に対しましては、バスが到着した際に、乗務員が車外マイクにより行き先等をご案内するとともに、車内では、行き先や次の停留所の案内放送を行っております。
 さらに、一部の停留所には、バスの行き先や接近状況のほか、停留所があることを音声でお知らせする装置が設置されております。

○原委員 バス待ちをしていて、バスが来たけれども、どこ行きかが分からないという声も、以前は結構聞かれましたが、最近は、バスが到着すると、必ず車外マイクで何々行きですと案内がされるようになり、とても助かるという声が寄せられています。きめ細かな配慮が必要です。
 そうした視覚障害の皆さんから、シグナルエイドに対応した音声案内装置をバス停につけてほしいとの声が強く寄せられています。
 シグナルエイドというのは、視覚障害者への日常生活用具給付対象用具となっていて、多くの方が普通に携帯し、使っているポケベルのような小型の送受信機です。ボタンを押して電波を発信すると、近くにある受信機が反応して、ここは何々町何丁目交差点ですとか、何々バス停、停留所ですと、音声案内がそこから流れ、信号やバス停や建物入り口の位置が分かり、行きたい先へ声での案内が流れる、大変優れものだと思います。
 この装置は、都内バス停については、都内三十八か所で、ほぼ江戸川区内につけられているということですが、設置の経緯を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、江戸川区の音声誘導システムの設置事業に平成十二年度から協力しており、設置を希望する停留所におきまして、区が音声誘導装置を設置、維持管理をしております。

○原委員 ありがとうございます。
 私は江戸川選出なんですけれども、江戸川区内では、都営バスだけでなく、京成バスなどのバス停にもつけていて、鉄道駅の改札口から都営バス路線の案内板までの行き方を音声で流すなど、いろいろな場所に設置しているそうです。南北に長い地形の江戸川区で、バスは大事な移動手段で、地元の視覚障害者の団体から強く要望が出され、つけていったそうです。
 私、シグナルエイドを利用されている知り合いの方にお願いして、実際に体験してみたのですが、この方がお住まいの江戸川区清新町二丁目のバス停では、西葛西駅方面と臨海町方面と、道を隔てて二つのバス停がありますが、両方に設置されていました。十メートルぐらい離れたところからシグナルエイドから発信をすると、清新町二丁目、臨海町二丁目団地方面行きのバス停はこちらですというふうに音声が流れ、続けて、清新町コミュニティ会館へは、バス停を背にして左へ約三十メートル先、交差点を渡り、さらに約六十メートル先、右側にあります、なお、清新町コミュニティ会館にも音声装置がありますので、ご利用くださいというふうに大変丁寧です。道の反対側のバス停は、当然ですが、バス停からコミュニティ会館への行き方が違うので、案内の仕方も違います。一つ一つ、その位置から近くの公共施設までの行き方を独自の音声で流しているわけです。とても便利だなと思いました。
 その知り合いの方も、初めてのところへは同行支援を依頼することが多いけれども、そうでなければ一人で行動するので、バス停や公共施設の場所が分かることは、とても助かるといっていました。
 このバス停での音声案内機能について、交通局として、どう評価していますか。局としての設置計画はありますか。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 シグナルエイドに限らず、音声によるご案内につきましては、視覚に障害のあるお客様が都営バスをご利用になる際の一助となるものと考えております。
 今後とも、地元自治体が設置を希望する場合には、設置可能性を調査するなど、必要な協力を行ってまいります。

○原委員 区の単位で設置するときに、交通局の協力の中身を、もう少し詳しく教えてください。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 区がシグナルエイドに対応した音声誘導装置を設置する際には、上屋の柱など必要な場所を提供するとともに、現場調査における立会いや道路管理者との調整、電源の供用に向けた調整などの協力を行っております。

○原委員 ありがとうございます。電源供用は、とても重要だと思います。ただ、設置費用は全て区側の負担と今回知って、驚きました。
 都営バスのバス停なのですから、音声案内装置も交通局の予算で設置すべきと私は思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、視覚に障害のある方を含め、お客様に安心してご利用いただけるよう、様々な取組を行っております。
 シグナルエイドに対応した音声誘導装置の設置につきましては、費用が高額となることに加え、上屋が装置の設置に適した形状であること、電源の確保が必要であることなど、様々な課題がございます。
 今後とも、地元自治体が設置を希望する場合には、設置可能性を調査するなど、必要な協力を行ってまいります。

○原委員 江戸川区の視覚障害者の皆さんは、これはとても便利だというふうにいわれております。それなので、ほかの自治体でもつけてほしいと、東京都視覚障害者協議会からも要望が出されているところですが、なかなか広がらないのはなぜかと考えると、視覚障害者は、具体的にここにつけてといえないということも大きいのではないでしょうか。
 視覚障害者に寄り添い、都として、バス停への接近状況など音声案内全般を充実させていくとともに、シグナルエイドに対応する音声装置を検討すべきと思います。都内で設置を進めるとともに、区市町村で設置する際に、費用の一部を助成するなどの支援も行うことを要望しておきます。
 次のテーマに移ります。都営地下鉄の駅業務委託についてお聞きします。
 都営地下鉄は、四路線百六駅ある中で、駅業務について、東京都交通局の直営で行う駅と、委託先の一般財団法人東京都営交通協力会が運営する駅とがありますね。
 都営交通協力会に委託している駅は五十九駅ですが、委託する駅をどのような基準で決めてきたのでしょうか。その委託の理由を伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、安全性やサービス水準を維持しつつ、経営の効率化を図ることを目的に、駅業務の委託を実施しているところでございます。
 委託駅は、常時、列車の折り返しが発生する駅や駅務管区が所在する駅などを除き、総合的に勘案し選定をしているところです。

○原委員 ありがとうございます。
 東京都営交通協力会は、一九四三年に財団法人東京市電気局協力会として設立されて以来、歴史的に都営交通回りの業務を請け負ってきた法人で、現在、清掃業務や広告業務、それから、職員食堂などの運営などを交通局から受託をしています。地下鉄の駅業務の受託は二〇〇三年から始まり、二〇一六年に現在の五十九駅になり、今に至っているわけです。
 現在、都営交通協力会に委託している駅の職員の構成について伺います。
 また、正社員と契約社員の二つの雇用形態があるようですが、その違いと比率を伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 委託駅の職員構成について、駅の責任者でございます助役は交通局職員であり、それ以外の駅係員は委託の職員でございます。
 駅業務の受委託におきましては、交通局と東京都営交通協力会とは、委託元と委託先の関係でございまして、委託先の雇用形態の詳細につきましては、把握する立場にないと考えております。

○原委員 委託駅は、駅長職の助役のみ交通局職員で、ほかは全て都営交通協力会職員とのことです。委託駅でも、駅の責任者だけは、やはりいろいろな判断が必要な場合があるでしょうから、局採用の職員を直轄で配置しているというわけですね。
 都営交通協力会のホームページに出ているスタッフの募集概要を見ますと、駅業務サービススタッフは、月給制、契約職員となっており、その後に正職員登用の道ありというふうに書かれていますが、一般的には、まず契約職員として採用されているようです。
 駅業務における交通局職員と都営交通協力会の職員とで、業務内容に違いはあるのですか。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 東京都営交通協力会への駅業務の委託内容は、窓口案内業務、駅務機器取扱業務、ホーム監視業務など、駅係員の業務全般でございます。
 なお、委託駅につきましては、常時、列車の折り返しが発生する駅や駅務管区が所在する駅などを除き、総合的に勘案し選定をしているところでございます。

○原委員 鉄道営業と総称される駅窓口案内業務や、自動改札や券売機の取扱い、ホームの監視、車椅子対応など、基本的な業務について変わりはないということですね。普通に私たち利用者から見たら、直営駅か委託駅かは、よく分かりませんし、窓口のスタッフは交通局の職員だと思って、いろいろ尋ねたりするわけです。委託駅だから対応できないことなどがあっては困るわけです。
 ところが、直営、つまり局の職員である駅員と、委託駅である都営交通協力会の契約職員では、賃金などの待遇に差があるようなんです。
 募集概要の給与等の欄には、月収二十万円程度とありますが、続けて、税込み、手当込みと書かれています。二十万円程度とか、手当込みとか、随分、ざっくりした書き方だなというふうに思います。実際は、二十万円程度なので、そこから税金と社会保険料を引かれることになるわけです。さらに、研修中は時給千七十五円というふうに書かれています。今、東京都の最低賃金が千七十二円ですから、千七十五円は最低賃金ぎりぎりのラインです。
 お聞きします。交通局職員の採用五年目の基本給は幾らで、都営交通協力会採用の契約職員の、同じく五年目の基本給は幾らでしょうか。

○豊田総務部長 交通局職員の採用五年目の給料月額は、十八歳採用で、毎年度、四号昇給した場合、十七万四百円であります。
 東京都営交通協力会における給与の詳細については、把握する立場にございません。

○原委員 今、十八歳採用、五年目で、基本給十四万七百円といわれましたが、このほかに、地域手当が基本給の二割プラスされますから、実際は一・二倍で、この場合、十七万六千円となります。
 協力会の職員の基本給は把握する立場にはないというふうにいわれました。私、協力会の契約職員の方に見せていただいたのですが、入社五年目で、基本給は十七万三千七百円です。月給で二千七百円、協力会の方が低くなっています。
 交通協力会の契約職員について、昇給はありますか。

○豊田総務部長 東京都営交通協力会における給与制度の詳細については、把握する立場にございません。
 なお、同会の契約職員の募集要項等には、契約職員から正職員への任用制度などについて示されております。

○原委員 協力会の契約職員の労働契約書を見せていただきましたが、昇給なし、退職金なしと書かれています。賞与については、ありとだけ書かれていました。交通局職員の賞与は、二〇二一年実績は四・四五か月となっています。年間収入で見れば、差がついているのは明らかです。局職員の方は、毎年昇給があるということです。
 協力会の契約職員は、基本給が十七万数千円で昇給なしでは、長く働き続けるほど、局職員との給与の格差が広がってしまいます。同じ駅業務という職種なのに、どうなんだろうかと疑問です。
 東京都の法定最低賃金に抵触していないか、労働基準監督署で時給換算してもらった資料を見ましたら、協力会契約職員の給与は、基本給、通勤手当、時間外勤務手当、休日勤務手当、深夜勤務手当、特殊勤務手当などが出されていますが、そのうち最低賃金の算定対象となる入社五年目の例ですと、基本給十七万三千七百円、先ほどの例ですね。それと特殊勤務手当一万六千五百円を、一か月の所定平均労働時間百七十三・八時間で割ったところ、時給千九十四円となりました。
 実際の現金支給額は、休日勤務手当などの関係で、月によって変わりますが、大体、十九万円前後で、通勤手当を除くと十七万円を下回ることもあります。
 実際の給与を時給に換算すると、最低賃金ぎりぎりという、こうした状況を認識されていますでしょうか。

○豊田総務部長 東京都営交通協力会における個々の従業員の賃金に関しましては、同会とその従業員との間で決定するものであり、把握する立場にございません。

○原委員 把握する立場にないということですが、事は、局職員と同じ駅業務をしているわけですから、それでいいとは思えません。
 協力会の職員の離職率はどうなっていますか。

○豊田総務部長 令和二年三月に総務局が公表した一般財団法人東京都営交通協力会に対する調査結果報告書において、平成三十年度における東京都営交通協力会の離職者数は二百三名であり、期首時点の全従業員数に対する離職者数の割合を計算すると、約一二%となります。

○原委員 二百三名が多いのか、ちょっと分かりませんが、離職者数も一定あるということでした。
 鉄道が好きで、駅で働きたいと、希望を持って応募した若者が、契約職員として働いているが、とても低い賃金で、東京でこの賃金では暮らしていけないと、肩をうなだれている姿に私は接しました。
 全国労働組合総連合が、全国の最低生計費の調査を行い、今年六月に公表しました。生活必需品を集計し、時間額に換算したもので、これを見ると、東京北区の二十五歳の単身男性ですと、時給千六百六十四円が必要だということでした。調査は二〇一九年に行われたもので、調査を監修した中澤秀一静岡短大准教授は、調査後に急激な物価高騰が起こっており、最賃近傍の労働者の生活はさらに大変になっているとのコメントも出されています。
 駅業務の委託によって、官製ワーキングプアを生み出しているという認識はありますか。

○豊田総務部長 雇用形態や労働条件等を含め、従業員の雇用に関しては、法令等で定められた基準や手続に基づき、東京都営交通協力会が、その責任において適切に対応するものと認識しております。

○原委員 委託先の責任ということですね。
 協力会契約職員の中では、ダブルワークをしている現状があることを聞きました。寝不足などで業務に差し支えが起きたり、乗客へのサービスが低下するということが起きています。事態は深刻です。
 駅業務の委託を進めていくことで、安全管理に甚大な影響を与えかねないと思いますが、いかがですか。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、安全性やサービス水準を維持しつつ、経営の効率化を図ることを目的に、駅業務の委託を行っております。
 委託契約において、委託職員にも交通局職員と同等の研修や訓練を受けるよう、受託者に求めておりまして、委託駅におきましても、適切に業務が遂行されております。

○原委員 研修や訓練はもちろん必要なんですが、経営の効率化によって働く人の待遇を低下させてしまったら、乗客の安全やサービスに影響が出るのではないかといいたいんです。
 お聞きしますが、委託駅を拡大する予定はありませんか。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、安全性やサービス水準を維持しつつ、経営の効率化を図ることを目的に駅業務の委託を実施しており、今後とも適切に対応してまいります。

○原委員 あるとも、ないとも答えられませんでした。
 私たち利用者にとっては、直営も委託も関係なく、同じ駅員さんです。改札でも、ホームでも、困ったことがあれば駅員さんに聞くし、いつでも安全な乗車のために働いてくれる存在だと思っております。そして、駅員さんは、遅延や事故などの緊急対応、クレームや乗客同士のトラブル対応など、専門的な対応が求められます。駅員間の連携も大事だと思います。
 委託駅であっても、職員の皆さんが元気で仕事に誇りを持って働き続けるためには、暮らせる賃金保障と昇給制度が必要です。委託だから、業務さえしてもらえばいい、そこに働く労働者の処遇については、何もいう立場にはないという交通局の対応は、官製ワーキングプアを生み出している事実を見ず、無責任ではないでしょうか。
 委託で働く職員の賃金や労働条件の実態把握と待遇改善を進めるとともに、委託そのものの是非について、改めて見直すことを求めます。
 以上で質問を終わります。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後二時二十九分休憩

   午後二時四十五分開議
○小松委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中田委員 よろしくお願いします。
 私の方からは、令和三年度公営企業会計決算について、令和四年七月に公表されました東京都交通局経営計画二〇一九の令和三年度進捗状況に沿って伺わせていただきます。
 まず初めに、令和三年度の交通局決算では、乗車人員は、依然としてコロナ禍前の水準を下回っており、交通事業会計、高速電車事業会計、電気事業会計の全事業の経常損益は、前年度よりも増えたものの、百二十八億円の赤字となっています。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、都営交通の乗車数は大きく減少しており、今後も、コロナ禍前と比較して減少が続くものと想定をされています。
 そこで、こうした決算を踏まえて、都営交通の今後の経営方針について伺おうと思っておりましたが、先ほどからも何度も答弁がありましたので、この点については、持続可能な経営基盤の確立をしっかりと図っていただき、公共交通としての責任と役割の認識を今後の取組にしっかり反映させていただきたいと、要望だけ伝えさせていただきます。
 そこで、まず初めに、この進捗状況に沿って、安全・安心対策のところから質問を入らせていただきます。
 都営バスにおける令和三年度の重大な事故の発生件数と、そしてまた、これらを含め、事故を防止するためにどのような取組を行っているのか、伺わせてください。

○櫻庭自動車部長 都営バスで令和三年度に発生いたしました重大な事故は、車内での転倒事故が三件、歩行者との接触事故が一件、合わせて四件でございます。
 事故の防止に向けては、各営業所において、ヒヤリ・ハットの事例ですとか、事故が発生したときのドライブレコーダーの画像、あるいは運行上の危険箇所を記したハザードマップといったものを活用いたしまして、日頃から危険予測能力の向上を図りますとともに、全ての乗務員に対して、年四回、安全研修を行うなど、安全運行に必要な知識や技能を高めるための教育を行っております。
 また、運転訓練車を用いた訓練や、運行管理者による添乗を通じまして、各乗務員の運転特性に応じた助言などを行うとともに、乗務員同士が安全について考えるグループ討議を実施いたしまして、安全意識の自発的な向上につなげております。
 あわせて、事故の防止には、お客様のご理解、ご協力も必要でございまして、車内の放送やサイネージ、ポスターなどを通じて、バスが停車してから席をお立ちいただくことなどを呼びかけております。

○中田委員 ありがとうございます。
 続けて伺わせていただきます。
 都営地下鉄、そして東京さくらトラム、都電荒川線ですね、日暮里・舎人ライナーにおける令和三年度の重大な事故の発生件数、こちらも教えてください。
 また、これらを含めて、事故防止をするために、都営地下鉄の方ではどのような取組を行ったかも伺います。

○太田安全管理担当部長 都営地下鉄、東京さくらトラム、都電荒川線及び日暮里・舎人ライナーで令和三年度に発生した重大な事故は、昨年十月の千葉県北西部地震により、日暮里・舎人ライナーで列車が脱輪した事故の一件であります。
 都営地下鉄等では、事故防止に向けまして、運輸安全マネジメント制度に基づき、毎年度、重点的に取り組む施策を定め、日頃から、関係法令等の遵守や基本動作、基本作業を各職員へ徹底させるとともに、駅、運転、保守など各部門合同による訓練等を通じまして、部門間の連携強化を図っております。
 また、車両や施設、設備について、日夜、保守点検を徹底して行いますとともに、ホームドア整備や耐震対策の強化など、安全性の向上に資する投資を計画的に行っております。
 今後とも、お客様に都営交通を安全かつ安心してご利用いただけるよう、事故防止に向けた様々な取組を着実に進めてまいります。

○中田委員 ありがとうございます。それぞれ伺わせていただきました。
 事故は、様々なところで起きてしまうことはしようがないといってしまったらあれかもしれませんが、しっかりとそれに対する対応策、そして、それが起きないように日々の努力を重ねていただければと思います。
 また、その中でも、日暮里・舎人ライナーで起きました脱輪事故、これは地震というところで、どこまで想定していたかというところもありますが、都営交通における地震等異常時に対応した訓練の実施状況について伺わせてください。

○太田安全管理担当部長 都営交通では、大規模地震等の異常事態を想定した危機管理対策計画を策定しておりまして、これを踏まえ、各部門が合同で様々な訓練を毎年実施しております。
 令和三年度は、大規模地震等を想定した訓練として、お客様の避難誘導及び負傷者の救出を消防と連携して実施いたしますとともに、部門間の情報伝達等の訓練を浅草線の馬込車両検修場において実施いたしました。
 また、都営バスでは、本庁と自動車営業所が合同で、バス車両の運行の中止や再開などの指示、営業所からの被害状況の集約等の訓練を実施いたしました。
 さらには、地元の警察、消防などと連携し、お客様の避難誘導や初期消火、救命救急など、様々な訓練を駅や営業所などで実施いたしました。
 今後とも、実践的な訓練を積み重ね、職員の対応力の向上を図ってまいります。

○中田委員 ありがとうございます。
 あわせまして、最近、異常気象の中で豪雨が度々起こっておりますが、都営地下鉄の浸水対策について、昨年度の実施状況と今後の取組について伺います。

○生越技術企画担当部長 交通局では、水害発生時におけるお客様の安全確保や地下鉄ネットワーク全体の減災などに向けて、中小河川のほか、荒川氾濫の大規模水害を想定した浸水対策に取り組んでおります。
 令和三年度は、最新の浸水想定を踏まえたシミュレーションの結果に基づき、防水ゲート等による地下部の浸水拡大防止策について検討を行いました。
 また、駅出入口への止水板の追加対策を進めるとともに、大規模水害の発生に備え、タイムラインに沿って行動する図上訓練のほか、新宿線岩本町駅におきまして、お客様の誘導、止水板や土のうの設置などを行う自然災害対応訓練を実施いたしました。
 今後、優先して対策を講じる施設や対策の手法、その工程等を定めた整備計画を年度内に策定いたしまして、浸水対策を着実に進めてまいります。

○中田委員 ありがとうございます。
 今、浸水対策、そして地震に対しての対応策などを伺ってまいりました。よくいろいろなところで想定を超えてしまったということをいわれていることが多いです。しかし、その想定までもしっかりした上で、人々に被害が出ない、命と暮らしをしっかりと守っていく対策を交通局としても考えていただければと思います。
 今回、初めて浸水対策に関する計画がつくられるということは、大いに評価するところでありますので、しっかりとそのような計画をつくった上で、つくったままではなくて、適宜、日本の異常気象だったり、世界の異常気象に対応できるような改定などもよろしくお願いをいたします。
 先ほどまで、バスや地下鉄など、それぞれ事故防止の対策について尋ねてまいりました。
 特にバスは、道路上を走っており、乗務員は歩行者、自転車、ほかの車両など全てを確認しなければならず、運転士さんの方の負担は相当大きいものです。研修などによる教育はもちろん重要ですが、それに加えて、車両につけた装置により、乗務員の方をアシストしていくことが重要ではないかと考えております。
 そこで、車両の安全性向上に向け、左折時警報装置やソナーセンサーを導入しているとのことですが、その導入状況について伺います。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、車両の安全装備として、左に曲がるときに歩行者などにバスの接近を知らせる左折時警報装置や、発進時に障害物を検知するソナーセンサーなどの導入を進めております。
 令和三年度は、更新した車両、全百四十一両に左折時警報装置を導入しておりまして、年度末時点で、路線バス一千四百九十四両中、一千四百六十一両に導入済みとなっております。
 また、ソナーセンサーにつきましては、百四十両に導入しておりまして、年度末時点では五百九十七両に導入済みとなっております。

○中田委員 ありがとうございます。
 左折時警報装置は、ほぼほとんどの車両にもうついたというところで、これは本当に、人の命はお金に代えられないので、早期整備が進んでいることを評価するとともに、ソナーセンサーについても、やはり高額だと伺っています。しっかりと、これに関しても、バスの更新時などに適宜導入をしていくよう、よろしくお願いをいたします。
 次に、質の高いサービス提供の分野でお伺いをいたします。
 昨年度の都営バスの利用状況について、地域による特徴なども含めてお伺いをいたします。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 路線バスにおける令和三年度の乗車人員は、一日当たり約五十三万五千人で、令和二年度に比べ、約七%増加いたしましたが、コロナ禍前の令和元年度に比べ、約一五%の減少となっております。
 こうした変化を地域別に見ますと、下町エリアなどを中心に運行している暮らしに密着した路線におきましては、ご利用の回復が早く、乗車人員の減少幅は比較的小さい傾向にございます。
 一方、渋谷駅周辺などの都心部のオフィス街や臨海地域などにおきましては、多くの路線で回復が小幅にとどまっておりまして、テレワークやオンライン会議の浸透など、お客様の行動変容の影響を強く受けているものと考えております。

○中田委員 ありがとうございます。
 あわせて、都営バスでの、今年三月に公表されました春のダイヤ改正における路線の廃止や休止、減便の実施状況について伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、地域のニーズや需要の変化をきめ細かく把握するとともに、代替交通の有無などの路線特性を踏まえ、毎年、定期的に路線の見直しを行っております。
 今春のダイヤ改正では、ご利用が大幅に減少している路線のうち、三路線について、他の路線への統合等により運行を終了するとともに、深夜バス三路線を休止いたしました。また、平日、土曜、休日ダイヤのいずれかで一便だけ減少するものも含めますと、計二十六路線が減便となっております。

○中田委員 ありがとうございます。
 今のお話の中で、三路線が休止など、廃止、様々ある中で、今回の路線の廃止や休止、減便において、乗客の方への影響を抑えるための工夫をどのように行ってきたか、交通局の取組を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 路線、ダイヤの見直しに当たりましては、お客様の利便性に最大限配慮し、影響をできる限り抑えております。
 運行を終了した三路線につきましては、運行頻度の高い他の路線と重複し、代替交通が確保できている路線を対象といたしました。
 また、深夜バスにつきましては、全九路線のうち、ご利用が非常に少ない三路線を休止としたものの、他の六路線は、深夜の帰宅などで一定のご利用が見込まれることから運行を継続しております。
 減便となる路線のダイヤにおきましても、各区間の時間帯ごとの利用状況などを踏まえ、ほとんどの路線について、ご利用が多い時間帯の運行間隔を変えずに維持するか、あるいは、拡大しても三分程度にとどめております。

○中田委員 ありがとうございます。
 働き方が大きく変わっていく中で、人々の行動変容によって乗客が戻らない路線があることも分かりました。だからといって、安易に路線を廃止、休止すれば、乗客の方の利便性を損なってしまうという板挟みに遭っている交通局は大変であると思いますが、公共交通の担う役割として、安定した輸送サービスの提供にしっかりとこれからも努めていただきたいと思います。
 また、海外からのインバウンド需要が上がる中で、そういった旅行客の方々にも積極的に都営交通を使っていただけるように、しっかりと利用周知なども図っていただき、社会の変化に柔軟に対応するダイヤ改正なども改めて要望をさせていただきます。
 続きまして、行動変容のキャンペーンについて、一つ、伺わせていただきます。
 冬の時差ビズキャンペーンですが、日暮里・舎人ライナーでは、オフピーク通勤通学に協力いただく方に、具体的には、都営交通の独自サービスのToKoPoに登録いただいている方にポイントを、始発から七時三十分または九時三十分から十時三十分の間に自動改札から降車いただいた方にプレゼントを行いました。
 このキャンペーンを行ったことによってのオフピーク通勤の促進について、どのような効果があったか、教えていただきたいと思います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、官民が一体として取り組む時差ビズを推進するため、都営交通の乗車ポイントサービス、ToKoPoを活用し、平日のオフピーク利用を促進する時差ビズキャンペーンを実施しております。
 令和三年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を考慮いたしまして、一月十七日から二月二十五日までの平日、二十八日間、ToKoPo会員を対象に、日暮里・舎人ライナーに限定して実施をいたしました。
 コロナ禍により乗車人員が減少する中でも、延べ四千人余り、一日平均では約百六十人のお客様にご参加をいただきました。
 参加者のうち、キャンペーン実施前、日暮里駅、西日暮里駅を平日のほぼ毎日ピーク時間帯に利用していた約百二十人を抽出いたしまして分析しましたところ、平均して七人、約六%の方がピーク時間を避けて行動したことが確認できました。
 また、こうしたキャンペーンを通じまして、オフピーク利用に係る機運醸成に貢献したものと考えております。

○中田委員 ありがとうございます。
 今、様々、数字をいっていただきましたが、このキャンペーンによって、七人の方がピークを避けて通勤をしたというところでしたが、日暮里・舎人ライナーの状況とかの満員電車の状況を考えると、この七人の移動というのは大変少ないのではないかなと、私は正直なところで思ってしまいます。
 六%の方がというと大きく聞こえますが、実数にして七人というところは、このキャンペーンをやったから動いたのか、それとも、また、転職をしたりとか、会社の働き方が変わってこの通勤時間帯を避けたのか、どちらかも、正直なところをいうと測れない部分ではありますが、このオフピーク通勤、満員電車の解消というのはとても大事なことだとは思っていますし、様々キャンペーンをやることは否定しませんが、このキャンペーンの設計自体、ちょっと今回は、しっかりともっと効果のある方法ができたのではないかなと考えてしまいます。
 効果の測り方もそうですけども、しっかりと、やるからには効果があるように、これに関しても、やはり予算を組んでやっていくわけですし、なので、しっかりとその効果があるような対策を、今後、見直ししていくべきではないかと、改めて指摘をさせていただきます。
 続きまして、東京の発展への貢献の分野から質問をさせていただきます。
 FCバスの導入状況と今後の予定、そして、併せてEVバスの導入検討状況について伺わせてください。

○櫻庭自動車部長 交通局では、令和三年度までに、全国のバス事業者で最多となります七十一両の燃料電池バスを導入しておりまして、今後は、令和六年度までに累計八十両の導入を目指すこととしております。
 また、EVバスにつきましては、令和二年度からの調査によって、充電器や受変電設備に加え、そのための十分なスペースが必要となること、車両の航続距離が短く、充電にも時間がかかることなど、設備や車両の運用について、様々な課題も明らかになっておりまして、引き続き、導入について検討してまいります。

○中田委員 ありがとうございます。
 あわせて、環境のところで、交通局が管理をしております建物への太陽光パネルの設置状況と、そこで発電された電力の利用方法について伺います。

○飯沼技術管理担当部長 交通局では、老朽化した庁舎の改修等の機会を捉えて、活用可能な屋上スペースに太陽光パネルを設置しております。
 令和三年度は、新たに江戸川自動車営業所に設置し、年度末時点で、五か所の庁舎に合計百十六・五キロワットの太陽光発電設備を整備しております。
 発電した電力は、庁舎の照明や空調等の一部で利用をしております。
 今後も、活用可能なスペース等を勘案しながら、庁舎改修等の機会を捉え、太陽光発電設備の整備に努めてまいります。

○中田委員 ありがとうございます。
 環境に配慮していくということは、今の大きな社会問題、課題でもありますので、引き続き、様々な面から検討をしていただき、電気自動車しかり、また太陽光発電なり、都営交通が率先してこの問題に取り組んでいるという他の事業者へのアピールなどもしっかりと行っているということを利用客の方にも分かっていただけるような、そういうような啓発、告知なども行っていただければと思います。
 ここで、また、一点、視点を変えまして、都営交通が行っております交通安全教室の令和三年度の実施状況について伺わせてください。

○櫻庭自動車部長 都営バスの営業所では、地元の自治体や警察署などと連携して、高齢者及び小学生などを対象とした交通安全教室を実施いたしまして、交通ルールの遵守や正しい交通マナーの啓発に取り組んでおります。
 令和三年度は、新型コロナウイルス感染症の状況に留意しながら、六つの営業所で計七回実施しておりまして、事故を再現した場面を見学するですとか、運転席からの死角を確認していただいたり、あるいは急ブレーキをかけたときの衝撃を体験していただくといったことなどを通じまして、身近なところに潜んでいる危険を、幅広い年齢層の方々に認識していただきました。

○中田委員 ありがとうございます。
 先ほどは、バスの安全装置などについても質問をさせていただきましたが、交通事故を防ぐには、しっかりと歩行者の方々への注意喚起がとても大切だと思っています。これをしっかりと両輪でやっていただくことによって、都営交通が、起きてしまっている事故の数を減らしていけるのではないかと考えております。
 コロナ禍というところで、開催実施数に関しては、六営業所で計七回ということでしたが、ぜひこの回数を増やしていっていただきたいなと考えております。学校などで行うなど、また、ほかの民間のバス事業者などは、休日の公園などでもこういうようなイベントを開催していまして、そこに遊びに来ている子供たちに向けて、様々な交通安全教室みたいなものをやっている事例があります。そういう様々な民間の事例なども研究していただくなど、また、都が行っている様々なイベントと、他局としっかりと連携をしていただき、そこにひとつ、交通安全運動、交通安全教室という項目なども入れていただき、ぜひ今後ともやっていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 最後の項目のところで、経営基盤の強化について質問をさせていただきます。
 令和三年度における運輸系職員採用選考の状況について伺わせてください。
 また、バスの乗務員の養成型選考において制度変更を行ったということでしたが、その内容と効果について伺います。

○牧野職員部長 令和三年度選考におきましては、バス乗務員を四十九名、駅係員を七十三名、都電の乗務員を六名、地下鉄やバスの保守業務に携わる職員を十二名採用しております。
 バス乗務員のうち、大型二種免許の未取得者を対象とした養成型の採用選考につきましては、自ら免許を取得し、採用された場合に費用を助成する制度でありました。
 令和三年度の選考からは、二次選考の合格者を会計年度職員として採用した上で、交通局の負担で教習所に通わせ、免許取得後に正規職員として採用する制度に見直しました。
 この結果、令和三年度選考におきましては、過去最多の百三十五名の応募がございまして、十九名を合格としております。その後、免許取得後に行う最終選考を経まして、合格者全員を本年八月一日に正式採用しているところでございます。

○中田委員 ありがとうございます。
 先に質問の方だけさせていただきます。
 令和三年度における交通局の職員の懲戒処分件数について、また、交通局としてのコンプライアンス推進に向けた取組についてお伺いをいたします。

○牧野職員部長 交通局における令和三年度の懲戒処分の件数は二十八件でございまして、事例といたしましては、乗務員の酒気帯び出勤や公務外における道路交通法違反などでございます。
 これまでも、こうした事故を発生させないよう、局全体で定期的にコンプライアンス推進運動を実施するとともに、職種、職層別の研修や各所属での職場内討議を行っております。
 令和三年度におきましては、実際に発生した事例について、職員向けに発行しているコンプライアンス通信で紹介し、注意を喚起するとともに、職場内討議では、具体的な事例をテーマに、事故を防ぐための対策を職員一人一人が考える機会を設けるなど、職員のさらなる意識の向上に取り組んでまいりました。
 今後とも、これらの取組の徹底を図り、非行事故の防止に万全を期してまいります。

○中田委員 ありがとうございます。
 続いては、交通局の事業所におけるライフ・ワーク・バランスの推進に関して、今どのような取組を行っているか、伺います。

○牧野職員部長 交通局では、東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プランに基づきまして、様々な取組を進めております。
 具体的には、年次有給休暇の取得目標を十五日以上と設定いたしまして、管理職、一般職員ともに月一日以上の取得を促しております。
 また、配偶者の妊娠が判明した職員に対しましては、管理職が面談等を通じて育児休業取得を促すとともに、職場内の協力を得ながら、安心して育児休業を取得できる職場づくりに努めております。
 さらに、子育て中の職員に対する配慮といたしましては、泊まり勤務や深夜勤務など不規則勤務から日中の勤務への切替えを実施しております。

○中田委員 質問としては最後になります。
 他の民間事業者と比べて、女性職員が少ないように感じています。
 女性職員の確保に向けた環境整備の状況についてお伺いをいたします。

○牧野職員部長 交通局では、女性が働きやすい職場環境の充実に向けまして、大規模改修などの機会を捉え、女性職員の更衣室、トイレ、休憩室、仮泊室や浴室の整備を進めております。
 令和三年度は、千住自動車営業所で女性仮泊室の改修を行うとともに、小滝橋自動車営業所で女性用トイレを増設いたしました。
 また、新宿線馬喰横山駅と本八幡駅、三田線西高島平駅につきまして、女性施設整備に向けた設計を行ったところでございます。

○中田委員 ありがとうございました。
 経営基盤の強化について、様々、伺ってまいりました。
 都営バスの方では、令和三年度から選考方法を新たに変更し、活用しやすいものになったのではないかと思っています。若い方などが、しっかりこのバスの運転手さんになれるというところで、今、魅力ある採用制度になってきているのではないかと感じますので、引き続き、この点についてはやっていただきたいと思います。
 また、子育て中の職員に対する配慮として、泊まり勤務や深夜勤務などの不規則勤務から日中勤務への切替えを実施したということで、ライフ・ワーク・バランスの推進について前に進んでいること、これを引き続き進めていただき、働きやすい職場づくり、なかなか現場でというと、働きづらかったりとか、残業があったりとかというイメージが先行してしまっているのが現状ではないかと思っています。
 また、先ほど、最後に質問させていただきました女性職員の確保、ほかの民間の電車などでは、やはり女性の乗務員の方であったり、車掌さんであったりとか、よく見かけますが、なかなか都営交通は進んでいないのかなというところを感じるところではあります。
 先ほども女性トイレの整備などを行ったということでしたが、これについては引き続き行っていただき、魅力ある職場として都営交通がしっかりと選んでいただけるよう、そして、先ほど、最初のところでも話しましたが、今の経営をしっかりと赤字から立て直していく。このコロナ禍で、社会情勢どうなっていくか、なかなか見通しがつかないところもありますけれども、ぜひ皆様の努力で、また、現場の皆さんが働きやすい環境づくりをしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○保坂委員 都民ファーストの会東京都議団の保坂です。よろしくお願いします。
 私からも、交通局の令和三年度決算について、様々なテーマから質問をさせていただきます。
 令和二年度に引き続き、令和三年度も新型コロナウイルス感染症拡大の影響は残っており、都営交通における利用者の低迷も続いたものと認識しています。厳しい状況が続いている中ではありますが、公共交通を担う事業者として、利用者の期待に応え続けていただきたいと心から思っております。
 本日は、こうした観点から、必要な取組が進められてきたのか、令和三年度の決算の内容を確認しながら質疑を進めていこうと思います。
 初めに、改めて昨年度の決算の状況について確認をします。
 令和二年度と同様に、昨年度も新型コロナウイルス感染症拡大が続き、厳しい状況の中での令和三年度の予算の策定だったと推察しますが、交通局の各事業会計の経常収支について、対予算比でどのような決算となったのか、伺います。

○豊田総務部長 令和三年度の各会計の消費税及び地方消費税込みの経常収支は、交通事業会計については、予算では七十四億円の赤字に対し六十二億円の赤字、高速電車事業会計については、予算では四十一億円の黒字に対し二十四億円の赤字、電気事業会計については、予算では二億円の黒字に対し三億円の黒字となりました。

○保坂委員 今いただいたご答弁で、特に地下鉄を担う高速電車事業会計だけは、予算策定時に想定していたよりも、マイナス六十五億円余りと、非常に大変厳しい決算になっているということが分かりました。
 ここで、さらに都営地下鉄の詳細な状況を確認したいと思います。
 交通局で最も予算規模が大きい都営地下鉄におきます昨年度の収支の状況について、予算との比較でどうだったのか、詳しく伺います。

○豊田総務部長 高速電車事業では、乗車料収入が前年度より回復したものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等により、予算対比では八割程度の実績にとどまったことなどから、経常収益は二百六十七億円の減となりました。
 一方、経常費用につきましては、安全の確保に最大限配慮しつつ、設備の保守や修繕に係る経費についても厳しく精査を行うなど、令和二年度に引き続き、投資の抑制や経費の節減に努めたことなどにより、予算に比べ二百一億円の減となりました。
 この結果、消費税及び地方消費税込みの経常収支は、予算では四十一億円の黒字に対し二十四億円の赤字となりました。

○保坂委員 局の経営努力によって、費用を何とか抑えているといいながらも、収益が伸び悩んでしまった結果であると理解できました。今後、感染症が落ち着いて、乗車人員が一定程度、回復していけば、収益は令和三年度よりも増加することになります。引き続き、乗車人員の推移を注視しつつ、適切に支出を抑制するなど、収支の改善に努めていただきたいと思います。
 一方で、コロナの不安が残る中、乗車人員が回復した場合、朝ラッシュ時の時間帯など、車内混雑に敏感になられる利用者も少なくありません。
 令和二年度から回復傾向にあります地下鉄の乗車人員ですが、今後さらに回復すれば混雑率の上昇が見込まれますが、混雑の緩和に向けて、地下鉄の輸送力増強についてどのように取り組んでいるのか、伺います。
   〔委員長退席、慶野副委員長着席〕

○野崎技監 都営地下鉄では、輸送力の増強を図るため、新宿線と三田線において車両の長編成化を進めてまいりました。
 新宿線では、車両更新に合わせて、一編成当たりの車両数を八両から十両としており、令和三年度は四編成を更新いたしました。また、今年度、四編成を更新し、九月に全二十八編成の十両編成化を完了いたしました。
 三田線では、老朽化した十三編成について、車両更新に合わせて、車両数を六両から八両としており、令和三年度は、車両の製造や搬入、運行に向けた試験調整等を進め、令和四年五月から順次運行を開始しております。

○保坂委員 輸送力の増強については、今ご答弁いただいたように、着実に進んでいることが分かりました。利用者が快適に乗車できますよう、引き続き混雑緩和に取り組んでいただき、輸送サービスの向上を図っていただくことを求めておきます。
 輸送サービスの向上という観点では、ふだん通勤や通学で使われている都内の利用者だけでなく、外国人、また、外国人の旅行者などインバウンドの受入れ環境を整えることも重要です。
 今月十一日から新型コロナウイルスの水際対策が緩和されました。入国者の増加が期待されるところではあります。
 そこで、交通局の取組として、私自身も推進しております、外国人旅行者向けの案内施設でありますツーリストインフォメーションセンターの設置状況について伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、国内外から東京を訪れるお客様に快適に都営交通をご利用いただけますよう、ツーリストインフォメーションセンターを設置しております。
 平成二十九年度に大江戸線上野御徒町駅に開設した後、昨年度は、七月に浅草線新橋駅及び大江戸線新宿西口駅に開設し、現在、三か所を運営しております。
 英語、中国語が話せるスタッフが常駐し、駅周辺施設、地下鉄や他の交通機関の利用方法及び観光情報のご案内、乗車券の発売、各種案内冊子等の配布を行っております。
   〔慶野副委員長退席、委員長着席〕

○保坂委員 私の地元、大江戸線上野御徒町駅に以前開設していただきましたインフォメーションセンター、非常にWi-Fi設備も充実しており、快適に過ごせると思います。厳しい経営状況の中でも設置を進められてきた点は、評価したいと思います。
 先週から、都内にも外国人旅行者が戻ってきています。私の地元の上野や浅草でも、外国人が歩く姿を多く目にするようになりました。こうした方々が初めて東京に来ても、不安なく移動ができる環境をつくっていくことは大変重要でありまして、多くの場所に足を運んでいただくことが東京の活性化にもつながっていきます。移動の需要のさらなる喚起につながるものとも考えています。今後も、快適な移動環境の整備に尽力いただくことを要望しておきます。
 さて、乗車人員が落ち込む中、経営の改善には、さらなる需要の獲得に向けた取組は大変重要になってきます。
 昨年度末に策定した経営計画二〇二二の記載を見ると、日暮里・舎人ライナーの経営は、二〇〇八年度の開業以来、赤字が続いており、平日朝ラッシュ時間帯と比較しても利用者が少ない平日昼間や休日の乗車人員の増加に向けた取組を進める必要があるとしています。
 私も、週末に家族とよく日暮里・舎人ライナーを日暮里駅から舎人駅まで利用していますが、かなりすいているなと実感しています。混雑が少なく、乗る方としては大変快適に乗車できますが、その分、交通局の経営を考えますと、心配になります。
 需要の創出のため、イベントなどを開催するにしても、この間、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置などで行動制限などがなされておりまして、なかなか実施が難しい面があったのではないかと思います。
 そこで、日暮里・舎人ライナーの経営改善に資する、平日昼間や土曜日、休日の利用促進に向けてどのように取り組んでいるのか、伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 日暮里・舎人ライナーは、ラッシュ時に利用が集中しておりまして、平日の昼間及び土休日の旅客誘致が課題であると認識しております。
 これまで、ホームページやSNSなどによる沿線の見どころやグルメスポットに関する情報の発信、プレゼントキャンペーンなどの様々なイベントの開催を通じ、利用の促進を図ってまいりました。
 また、昨年度は、日暮里・舎人ライナーと東京さくらトラム沿線を周遊して謎を解く宝探しイベントを実施したほか、人気アニメ映画とタイアップしたキャンペーンを行うなど、新型コロナウイルスの感染状況に留意しながら、需要の創出に努めました。
 今後とも、地元や沿線の商店などと連携し魅力的なイベントを開催するなど、平日昼間や土休日の乗車機会の創出を図ってまいります。

○保坂委員 コロナの感染状況にも留意しながら様々な取組を実施している、そのことは理解しました。
 こうした地道な取組が、日暮里・舎人ライナーの存在を多くの方に認知いただくきっかけになるものと思います。
 また、イベントなどの実施に当たって地元と連携することは、沿線地域の活性化にも寄与するものと考えます。
 今後、さらなる旅客誘致の取組を進めていただくことを強く要望して、次の質問に移ります。
 ここまで、経営状況を改めてお聞きした上で、経営改善に資する取組を着実に実施されてきたことを確認してきました。確かに経営改善に向けた取組は重要なことではありますが、その一方で、利用者の身を守る安全・安心に資する事業がおろそかになってはなりません。
 こうした観点から、安全・安心に資する事業の取組状況も確認していきたいと思います。
 初めに、ホームドアについて確認していきます。
 都営地下鉄のホームドアは、既に、三田線、新宿線、大江戸線の全駅で設置を完了していることは、先ほどの答弁でも認識をしております。
 利用者のホーム上の安全・安心を高めるホームドアについて、私の地元を走る浅草線の整備状況と今後の予定について伺います。

○永松技術調整担当部長 浅草線のホームドアについては、令和元年度に、泉岳寺、三田、大門、新橋の四駅への整備を行っております。
 令和三年度には東銀座駅への整備を行い、本年五月には宝町駅への整備を行ったところでございます。
 現在は、日本橋駅への設置に向けまして、ホームドアの試験調整や搬入に向けた準備などを進めているところであり、引き続き、令和五年度までの全駅整備完了を目指して取り組んでまいります。

○保坂委員 ホームから転落を防止する取組が着実に進んでいるということが分かりました。
 私の地元の浅草駅利用者らも、全駅でのホームドア設置を心待ちにしています。また、国内外からの多くの観光客が利用する浅草の駅にもかかわらず、ホームドアがいまだにないことに大変な不安を抱かれている方は少なくありません。そのことも指摘させていただきます。引き続き、計画の令和五年度内での全駅設置に向けて着実に取り組まれることを強く求めておきます。
 続いて、地震などの災害対策について伺います。
 昨年十月に発生しました千葉県北西部を震源とする地震によって、日暮里・舎人ライナーは、数日間、運行停止を余儀なくされ、多くの沿線利用者に影響を与えました。
 その後、私も公営企業委員会で、地震当日、日暮里駅で状況を見ていた立場として、様々、指摘をさせていただきました。
 それらを受けて、交通局は、局独自の対策に取り組むということでありましたが、改めて、この日暮里・舎人ライナーの地震対策の取組状況について伺います。

○太田安全管理担当部長 昨年十月の千葉県北西部地震による日暮里・舎人ライナーの脱輪を受けまして、交通局では、被災状況の検証を速やかに進め、局独自で取り得る対策に着手しております。
 具体的には、緊急地震速報を受信した際に、指令所の職員が手動で行っておりました列車停止の操作につきましては、自動で停止する機能を追加いたしまして、より迅速な列車の減速、停止が可能となるよう、本年三月から運用を開始しております。
 また、今回の脱輪では、先頭車両が分岐部にある段差に落ち込んだことから、段差を解消するための部材を設置いたしまして、万一、脱輪した場合でも、その際の衝撃を緩和する工事を実施することとしており、令和四年度末までの完了に向けて必要な手続を進めております。
 今後、国の運輸安全委員会の事故等調査報告書が公表された際には、その内容を踏まえ、適切に対応してまいります。

○保坂委員 国による事故調査の結果を待つことなく、昨年度から、交通局独自で取り得る対策を進めていることが分かりました。いつ発生するか分からない震災から利用者を守るため、現在取り組んでいる対策を確実に推し進めていかれることを求めておきます。
 続いて、環境負荷の低減に向けた交通局の取組状況を確認していきます。
 都は、二〇五〇年までに世界のCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミ東京の実現を目指すとしておりまして、公共交通機関においても、エネルギー利用の効率化や再生可能エネルギーの導入拡大など、持続可能な社会の実現に向けた、そうした取組が求められているものと考えております。
 その役割を担うべく、交通局で先導的に取り組んでいるのが、FCV、燃料電池バスの導入です。日本のバス事業者の中で、東京都交通局が最大の燃料電池バスを運行していることは認識しています。昨年の東京二〇二〇大会の輸送でも燃料電池バスが運行され、海外から来られた方々にも多く利用されたとお聞きしております。
 そこで、導入拡大を進めている燃料電池バスについて、昨年の東京二〇二〇大会では、具体的にどのような輸送を担ったのか、乗られた方々から評価はどうだったのか、伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、東京二〇二〇大会の機会を捉え、燃料電池バスを広く世界に発信するため、国内外の報道関係者の輸送に活用いたしました。
 具体的には、大会期間の前後を含む延べ五十二日間におきまして、一日当たり十二両を活用し、メディアの活動拠点が設置された東京ビッグサイトの東棟と西棟の間を、十分間隔で二十四時間運行いたしました。
 ご乗車になられた方からは、走行音が静かであるなど好評の声をいただいているほか、多くの方が写真を撮影するなど、燃料電池バスに対して興味を示していらっしゃいました。

○保坂委員 今後とも、インバウンドの増加などの機会を捉えて、日本の燃料電池バスについて、世界に広く認知してもらえますよう、さらなるPRに取り組んでいただくことを要望しておきます。
 環境負荷の低減については、経営の状況が厳しい中でも、LED照明の導入のように地道さが求められる事業もあります。
 そこで、都営バス停留所におきますLED照明の導入についてですが、昨年度、計画の見直しをされたと聞いておりますが、状況を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、省エネルギーの推進に向け、停留所におけるLED照明の導入を進めております。
 新型コロナウイルス感染症に伴う経営環境の悪化を受け、実施規模を見直しつつ、令和三年度は百四十二か所に導入しており、年度末現在、対象となる停留所の約四五%でLED化を完了しております。
 導入に当たりましては、老朽化に伴う更新に合わせて整備することでコストの低減を図るなど、効率的に進めており、今後とも、環境負荷低減に向けて取組を着実に進めてまいります。

○保坂委員 経営状況を踏まえて、支出の規模を抑制しながら進めているということで理解をしました。今後も着実に取り組んでいくとのことですが、対象の停留所全てに導入し、一層、環境に優しい都営交通になっていただくよう求めておきます。
 照明のLED化は、都が推し進めるHTTの一つにもあります電気を減らす取組ですが、ウクライナ危機を受けて、電気をつくる取組も重要であります。
 そこで、再生可能エネルギーを活用して電気をつくる太陽光発電設備の交通局の建物への設置状況について、改めて伺います。

○飯沼技術管理担当部長 交通局では、老朽化した庁舎の改修等の機会を捉えて、活用可能な屋上スペースに太陽光パネルを設置しております。
 令和三年度は、新たに江戸川自動車営業所に設置し、年度末時点で、五か所の庁舎に合計百十六・五キロワットの太陽光発電設備を整備しております。
 今後も、活用可能なスペース等を勘案しながら、庁舎改修等の機会を捉え、太陽光発電設備の整備に努めてまいります。

○保坂委員 今後も、可能な限り、太陽光発電設備の設置拡大に取り組んでいただき、再エネ活用を一層進めていくことを求めておきます。
 最後に、交通局の電気事業について伺ってまいります。
 このような電気をつくる取組として、交通局は水力発電の事業を持っております。発電容量が限られる中でも、地産地消の観点から、都内に電気を供給し、率先行動として東京都自らの使用電力にも活用することが必要だと考えております。
 そこで、交通局の電気事業について、改めて確認します。
 令和三年度からの売電契約の内容について伺います。

○野崎技監 水力発電所で発電した電気につきましては、令和三年度から、価格のみではなく、都内のRE一〇〇宣言企業など環境価値を活用する需要家への販売等を評価項目とした公募型プロポーザルにより、売却先となる小売電気事業者を選定し、契約期間は三年間としております。
 また、都の率先行動の一環として、都営バスの全営業所でも、この水力発電の電気を使用しております。

○保坂委員 今のご答弁で、都内のRE一〇〇宣言企業という言葉が出ましたが、リニューアブルエナジーですね、電力の全てを再エネで賄うという企業が参加する国際的な取組。そういった企業に対して積極的に供給していくんだといった、こうした工夫を凝らしたプロポーザルによる契約としたことと、また、交通局自らの、この電気を使用できるようにしたことは評価したいと思います。
 一方で、令和三年度決算説明資料を拝見しますと、売電単価は十円台と、前年度と比べて、売電単価は四円ほど下がっており、この低い水準の単価が来年度まで続くことになります。
 一方で、今年に入ってからのエネルギー価格高騰などを踏まえますと、この契約の期間設定が本当に妥当であったのか、確認したいところであります。
 そこで、現在の契約について、三か年の契約とした理由を伺います。

○野崎技監 公募型プロポーザル方式の採用に際して、複数の小売電気事業者にヒアリングを実施したところ、東京産水力発電の環境価値を活用した商品メニューをつくり、販売するには、一定の期間が必要であることから、契約期間は三年程度が適切との意見が多数でございました。
 こうした意見を踏まえつつ、中長期的に安定した収入の確保と価格変動のリスクを勘案し、契約期間を三年と設定いたしました。

○保坂委員 現行の契約期間は、今ご答弁いただいたように、総合的に判断した結果であることは理解できました。
 一方で、市場の電力価格が低いときにコンペを行えば、低い水準の単価が、相当期間、継続する状況となり、それが収入に大きく影響するということが、この事業の性質であると思います。コンペの時期や契約期間について工夫の余地がないか、改めて考えていただくことを求めておきます。
 先ほどの答弁にもありますとおり、現在の契約は、都内のRE一〇〇宣言企業などに供給されるような工夫をして事業者を決定されております。その後、この契約によって、小売電気事業者が、実際にどういったところに販売しているのか、気になるところであります。
 そこで、最後になりますが、現在の契約では、環境価値に着目した売電契約にしたとのことではありますが、所期の目的を果たされているのか、伺います。

○野崎技監 売却先の小売電気事業者は、交通局の水力発電の持つ環境価値をアピールした、東京都交通局の水力発電所由来の電力として販売するメニューを新たに立ち上げ、販売しております。
 現在、このメニューに魅力を感じた再エネの推進に積極的に取り組む都内の企業や自治体が、交通局の水力発電による電気を購入しているところであり、都内における再生可能エネルギーの普及拡大に貢献するという目的を果たしているものと考えております。

○保坂委員 実際に、当初のもくろみどおり、都内における再生可能エネルギーの普及拡大に貢献できているんだということが確認できました。まさに東京産のクリーンエネルギーを地産地消している好事例だと思います。ぜひ、もっとPRもしていただきたいと思います。
 この電力事業は、全体、都営交通、交通局全ての事業の規模からしますと、一%に満たないぐらいの、非常に小さい事業ではありますけれども、これはまさに交通局の原点となる事業でもありますし、今まさに機を捉えた、こうした電力を発電していくということを世に訴えていく絶好の機会でもあると思います。まさに、今後、ますます注目度は高まると考えられます。
 来年度に、契約更新の、契約の更改のタイミングになりますが、現在の取組をさらにブラッシュアップされることなども考えていただきながら、電気事業を運営していっていただくことを求めておきます。
 本日は、令和三年度決算を踏まえた経営改善や安全・安心、環境施策など、こういったことについて質問をしてきました。厳しい経営状況の中でも、コロナ後も見据え、工夫をしながら事業運営に取り組まれていることが分かりました。様々な苦労もあるかと思いますが、首都東京を支える交通機関として、役割をしっかり果たしていただけるよう求めまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○慶野委員 よろしくお願いします。
 長引くコロナ禍で、交通局の職員の皆さんはもとより、現場でその業務に当たられている方々、今はウイズコロナが大分浸透してまいりましたけれども、コロナ当初は、どんな疾病なのかも分からない大変な状況で、有名芸能人が亡くなったときなんかは、業務に就くのが怖い、そういう思いも、現場の皆様にはあったかと思います。そうした中でも、都民の安全を、足を守る、こういう使命に燃えて、これまで大変な状況の中、頑張ってきていただいたことを、まずは心から敬意を表して、感謝の思いで質疑をさせていただきたいと思います。
 当然、人間のやることですから、中には、給与明細を議員に見せて、給料が低い低いといっている人もいたかもしれません。ただ、多くの交通局に携わる皆さんは、都民のために、この二年、三年と一生懸命働いてこられたこと、本当に改めて私は感謝したいと思います。
 今回、質疑をさせていただくに当たって、私たち荒川区の宝物である日暮里・舎人ライナー、そして都電荒川線、私も改めて利用させていただきました。利用者に声をかけることこそしませんでしたけれども、日常の足として、当たり前のように動いてくれていることを、多くの方は感謝していると思います。
 また、後ほど少し触れさせていただきますけれども、全国唯一の区立の遊園地、あらかわ遊園地のリニューアルに伴って、ご家族連れで、一生懸命、子供をあやしながら、あらかわ遊園地に向かわれる都電荒川線を利用している、そういう方々を見るにつけて、つくづく交通局の皆様に感謝の思いを再び抱いた次第でございます。
 そうした大変な中にありましても、皆様方は、不断の努力を続けながら、様々な災害にも対応されてきました。例えば、令和元年東日本台風の際には、私は令和二年予算特別委員会で、当時、土渕交通局長でしたけれども、河川の荒川、そして隅田川を背負っている足立区、荒川区のこの地域、万が一の水害が発生したときに、いざというとき、高い建物がない木造住宅が密集しているこの荒川区民を何とか守らせていただきたい、その思いで、例えば、日暮里・舎人ライナーの駅そのものが垂直避難のやぐらになるんじゃないか、こうやって予特で訴えさせていただいて、検討すると前向きな答弁の結果、去年の八月でしたでしょうか、垂直避難の足立区、荒川区との協定を結んでいただいたり、水害に対する、こうした対策を進めていただきました。
 さらに、震災発生時の対応、これについて少し深掘りさせていただきますけれども、昨年の十月七日、前の委員でも質疑がありましたので、質問そのものは省略させていただきますけれども、十月七日の夜十時四十一分に、千葉県北西部地震によって日暮里・舎人ライナーの車両が脱線をして、十一日、月曜日の朝まで、復旧するまで運転を見合わせるという事故が起きました。
 三名の方が軽傷を負われたという報道が後日されておりますけれども、この夜に発生した際も、私たち公明党は、地元の国会議員、そして都議会議員、区議会議員と速やかに連携を取って、日暮里ももちろんですけれども、舎人の事故現場に急行いたしました。そして、速やかに国土交通大臣に、早期の復旧のお手伝いと原因究明も急ぐように、こういうふうに、私たちは、国会から区議会まで連携を取りながら日暮里・舎人ライナーを守らせていただいたという自負がございます。
 先ほどご答弁が出ておりましたけれども、そうした中で、緊急地震速報を受信した際には、自動で一斉停止させるよ、こういうことを新たに始めてもらいました。そして、脱輪した際も衝撃を緩和する工事が今年度中に終わるというご答弁がありました。さらに、国の運輸安全委員会で詳細な調査を行って、通常の事故調査だと、一年ぐらいでその結果が発表されております。間もなく、もう一年がたっておりますので、遅かれ早かれ、この安全委員会で発表された対策、事故原因の結果を見て、さらに必要な対策を講じていくべきであります。
 何としても、足立、荒川を結ぶ日暮里・舎人ライナーの乗客を、今後も、ぜひ守っていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 木曜日の深夜、夜でしたので、翌日、金曜日を挟んだとはいえ、土日をまたいでおりましたので、利用者はそれほど多くなかったのかと思いますけれども、利用者には不便な思いをさせてしまいました。
 そこで伺いますけれども、運転見合せとなってから再開をするまでの間、利用者の移動手段をどのように確保したのか、どのような代替手段、処置を講じたのか、伺います。

○市川電車部長 昨年十月に発生した千葉県北西部地震により日暮里・舎人ライナーの運行が停止したことを受け、直ちに鉄道や路線バスによる振替輸送を実施いたしました。
 その後、被害が徐々に明らかとなり、復旧に数日を要することが想定されたことから、翌日には、都営バス里48系統を増便するとともに、沿線の観光バス会社等に依頼し、代替輸送を実施いたしました。
 代替輸送については、地震翌日の八日、金曜日は午前九時前からライナーの終電時刻まで、九日の土曜日及び十日の日曜日は始発から終電時刻まで、運行が再開した十一日、月曜日は始発から十時まで、日暮里駅と見沼代親水公園駅との間を運行し、一日当たり約四十台のバスにより、お客様の交通手段を確保いたしました。

○慶野委員 ただいまのご答弁、運行が停止したことを受け、直ちに鉄道や路線バスによる振替輸送を行っていただいたと。この直ちにという力強い、災害に備えていた様々な民間事業者とも、バス会社とも、協議を進めておいたがゆえに、すぐに対応できた、こういう状況でありました。
 ただ、鉄道が止まってしまいますと、ライナーが止まってしまいますと、どんなに対応したとしても、今のご答弁では、一日当たり約四十台のバスを運行させた、させ続けた、こういうふうに対応していただきました。
 これは感謝の念に堪えないわけですけれども、通常、五両の編成である日暮里・舎人ライナー、定員は二百四十数人とか二百六十人とかの車両ですから、当然、輸送能力はそもそも落ちてしまいます。
 また、先ほどの委員もありましたけれども、日暮里駅では、そもそも、このバスに乗るために数十分の待機が−−乗り切れませんから、一回で四十人ぐらいしか乗れないバスがどれだけ次々来ても、この乗り降り、出発までに時間がかかって、通常は、端から端まで、見沼代親水公園から日暮里まで乗っても二十分で着くところが、乗るために二、三十分待つ、走り出して一時間近くかかる、こんな声も、私の下には届いております。
 対応は速やかに打っていただいた。これ自体は感謝ですけれども、幾ら対応したとしても、やはり通常どおりの輸送能力は発揮できないのがこうした災害対応でありますので、運転が止まらないように、何よりも止まらせない、この努力を続けていただきたいと思います。
 次に、降雪、凍結輸送障害についてお伺いします。
 日暮里・舎人ライナーでは、今年に入ってから二度、降雪や凍結によって、この冬の時期に運転見合せを行いました。最初は一月六日、降雪によって、夕方から夜にかけて三時間、三月二十三日には、朝からお昼前まで六時間程度、運休となりました。
 日暮里・舎人ライナーは雪に弱いという印象が、利用者には固定化しちゃう、風評が固定してしまうことを私は懸念しております。
 降雪や凍結に備えて、日常の点検、対策を含めて、車両や設備に係る保守をどのように実施しているのか、お伺いします。

○永松技術調整担当部長 車両や設備については、日頃から、関係法令に基づき適切に点検を実施しているほか、降雪や凍結に備えまして対策を講じております。
 車両には、走行路の雪を掃き出す除雪用ブラシを全編成に設置するとともに、一部の編成には、架線凍結を防止する霜取り装置も設置しております。
 また、勾配が大きい走行路や分岐部には、凍結を防止するロードヒーターを設置してございます。
 加えて、凍結防止剤を常備しておりまして、降雪等が想定される場合には、凍結防止剤を散布するための装置を車両に設置し、気象状況に応じて走行路に散布しております。
 これらの車両機器や設備については、降雪期の前に重点的に動作確認や整備を行っております。

○慶野委員 法令に基づいた適切なメンテナンスだけではなくて、様々な設備や装置を用いて対策を講じていらっしゃる、こういうご答弁でありましたけれども、それでは、なぜ二度も輸送障害を発生させてしまったのか、そのときの気象状況や運転見合せについての原因をお尋ねいたします。

○太田安全管理担当部長 本年一月六日は、当初、降雪予報が五センチ程度でありましたことから、車両に設置した除雪用ブラシで対応可能であるとして、その使用を開始しましたところ、その後、急速に天候が悪化し、除雪を上回る積雪となり、列車がスリップして走行不能となりました。
 また、三月二十三日は、氷点下を記録することはないとの予報でありましたが、実際には氷点下を記録し、加えて、高い湿度と弱風状態といった条件が重なる、まれな気象状況となり、架線に霜が付着して凍結し、走行不能となりました。
 今後、降雪等が予想される場合は、より厳しい気象条件となることも想定し、対策を講じてまいります。

○慶野委員 気象状況の説明がありました。
 その上で、輸送障害が起きた際に、私の地元荒川区からは、多くの、もう二件、三件というレベルではありません。利用者から、たくさんの方から、同じ新交通システムで、ゆりかもめが止まっていないのに、何で日暮里・舎人ライナーだけ止まるんだ、東京都は何をやっているんだと、もう厳しい声を、それは局の皆さんというよりは、都議会議員は何をやっているんだというように、私、物すごくいわれました。何で動かないんだ、どういう管理をしているんだと。
 一つ一つ、当時のご担当の方から今のようなご説明をいただいて、丁寧にお話ししました。
 その際に、私、感銘したのは、交通局の皆さんは一言も言い訳をしなかった。ただ、置かれている状況と行ってきたメンテナンス、原因は自分たちで解釈したことを丁寧に私にご説明いただきましたけれども、環境に対する言い訳を一切しなかった。
 その後、また改めていろいろなご案内をいただきましたけれども、ゆりかもめが走っているあの海辺では、水温によって、温度が、気温が安定しているとかいう、様々な場所による違い、それから、日暮里・舎人ライナーは南北に走っていて、隅田川と荒川を越えていくために、きつい勾配を越えていく。僅かな積雪でも、ゴムタイヤで走る日暮里・舎人ライナーはスリップを起こす危険がある。平坦な埋立地の上を走っているゆりかもめとは、そもそも置かれている環境が違う。
 ただし、運営主体が違いますので、あっちはいい環境、こっちはきつい環境、こんな言い訳を一言もせずに、私たちの管理が行き届かなくて申し訳ない、そういう交通局の皆さんの熱意を、私は地元で、支援者を含めて都民の皆さんに、日暮里・舎人ライナーは、決して危険な乗り物じゃないんだ、それこそ足立と荒川を結ぶために、この勾配がきついところを、そして、ゆりかもめよりも、緯度でいえば高いところにあって、より冷えてくる内陸部にある、こうしたところを走らせていく都民の重要な足であるということを、皆様のお気持ちを、成り代わって伝えさせていただいたことを昨日のように思っております。
 それが証拠に、平成二十年三月に運行を開始して以来、今回で初めて、たまたま一月、三月と続いてしまいましたけれども、今は、激甚化しているのは風水害だけではなくて、こうした雪も降雪も、想定を超えて日暮里・舎人ライナーが走れない。走らせようと思えば走らせられたかもしれないけれども、安全を第一に考えて、やむなく運行を停止した、その苦渋の決断を、何とか、私も、二度とこういうことを、こういうつらい思いをさせないように、また、利用者にご不便を与えないようにしていかなければいけないと決意をしているところであります。
 今回、こうした輸送障害によって得られた知見というか、経験を今後も生かして、対策を強化していっていただきたいと思います。
 ちょっとしゃべり過ぎたので、急ぎます。
 次に、二つ目の宝物、都電荒川線の安全対策等々についてお話しいたします。
 三年前の令和元年に発生した、同じく台風十九号、当時、長野新幹線がほとんどの車両が水没するという浸水被害の報道が大きくされて、これを受けまして、二年前の決算特別委員会において、私は、都営交通においても、車両の避難の必要性について見解を求めました。
 車両避難の手順や乗務員の確保などの検討をしていって、今後、局のタイムラインに反映させると、当時、答弁をいただきましたが、都電荒川線において、浸水を想定した車両の避難訓練、その内容についてお伺いします。

○太田安全管理担当部長 荒川氾濫を想定した最新の浸水想定では、都電荒川線の車庫は、浸水する可能性のある場所に位置しておりまして、浸水が見込まれる場合には車両を避難させる必要がございます。
 避難先といたしましては、飛鳥山よりも早稲田側の比較的標高の高い軌道上を候補として考えておりまして、令和三年七月に車両二両を避難させる訓練を夜間に行い、実施手順や、勾配のある区間でも安全に車両が留置可能であることなどを確認いたしました。

○慶野委員 ありがとうございます。
 私も、当時、北区飛鳥山より上は高いところにあるから、そうした予報が出たときには、一気に全車両を高いところに避難しておくべきだと訴えさせていただいて、その避難訓練をしていただいたという、そういうご答弁でありました。
 続いて、道路との隙間や段差における安全対策でありますけれども、私たちの下に届く一番大きな安全対策は、踏切を渡る際、線路とアスファルトの段差によってつまずく、こうした補修への、修繕への要望が多いですね。
 そうした中で、私が踏切一個一個、自転車を含めてですけれども、いろいろなところを見て歩いたり、要望が出る箇所が多いところを、なぜここだけ要望が多く出るのか、こういうことを自分なりにも調査研究してまいりました。
 多くの場合は、遮断機がついた踏切。遮断機がついた踏切のところというのは、そもそも軌道敷内を横断するという認識から、また信号もついておりませんから、遮断機が開いている間はずっとゴーなわけで、ゆっくり確実に、そして、踏切内を歩いているということで、足元を見ながら、年配の方も、小さなお子さんも渡っていく。それでも事故が起きてしまうことはありますが、都電荒川線の特徴として、車両と同行する部分というのがすごく多く残っているわけですね。
 荒川区内でいうと、一番要望がたくさん出てくるのは、熊野前駅、それから小台駅の交差点、ここはたくさん出てきます。都電が上り下りが走っている、その外側に都道が走っている、そこを車の交差点が通っていて、青信号で全部渡り切らなければいけない。そもそも踏切がありませんから、道路の交差点ですから、踏切がないので、渡り始めると、年配の方は早く渡らなきゃいけない。信号をもっと長くしてくれという要望も併せてあるのですけれども、渡り切れないといって歩いていて、踏切内という自覚もありません。交差点を横断している。白の横断歩道のペイントがされていますから。横断歩道を渡っているということで行って、つまずいてしまう。僅かな段差でつまずいてしまう。こういう事例があって、あそこを何とかしてくださいという要望がたくさん、多くあります。
 二年前の決算特別委員会でも、私、同様の質問、主張をさせていただきました。都電荒川線が道路と併用している横断歩道や踏切のうち、隙間や段差がある箇所において、前回の質疑以降、どのように対策を講じていただいたのか、対応を伺います。

○坂口建設工務部長 東京さくらトラム、都電荒川線では、道路と併用している区間や踏切において、レールとアスファルト舗装の間に車輪が通り抜けるための隙間を設けておりまして、構造上の段差がございます。
 これまでも、隙間の溝が深い箇所にはゴムパッドを挿入して溝を浅くするなど、輸送の安全を確保しつつ、段差解消等に努めてまいりました。
 また、道路のアスファルト舗装が、経年劣化により沈下や破損し、隙間や段差が大きくなる場合は、歩行者が安全に通行できるよう、アスファルト舗装を打ち直す補修工事等を行っており、令和二年度は、京成町屋駅前踏切と三河島三号踏切、令和三年度は、王子駅前の横断歩道で実施いたしました。
 あわせて、日々の巡回や定期点検にて発見された軽微な劣化に対しましては、適宜、補修を実施いたしております。
 今後も、巡回や点検を確実に実施し、不具合箇所につきましては、引き続き、適切な補修を実施してまいります。

○慶野委員 今の技術でできることは、必要に応じて行っていただいております。その上で、その線路の隙間、段差を消すためには、それこそ電車が通っていないときには、線路と、レールとフランジの通るラインを、カシャッと、何か電気で閉まるような仕組みがないといけないのでしょうけれども、なかなか難しいと思います。
 決算委員会なので、少し。
 乗客、収入とも、このコロナ禍で一割弱の減少であるというようなご報告がございました。利用者を増やしていくための取組が、これからもますます必要だと考えます。
 令和三年度における都電荒川線の需要創出に関する取組をお願いします。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 東京さくらトラム、都電荒川線では、旅客需要の創出を図るため、沿線四区地域活性化協議会などを通じて、地元区等と連携し、都電の魅力向上や地域の活性化に向けた様々な取組を行っております。
 令和三年度は、新型コロナウイルスの感染状況に留意しながら、車内等を装飾した都電クリスマス号や、受験生を応援するさくらサク号を運行したほか、東京さくらトラムと日暮里・舎人ライナー沿線を周遊して謎を解く宝探しイベントを実施いたしました。
 加えて、地元区と連携し、路面電車好きのミュージシャンと都電沿線の方々との対談を通じ商店街の魅力を伝える新聞の全面広告を四回シリーズで出稿するとともに、その内容をリーフレット化し、都営地下鉄各駅等で配布するなど、需要の創出に努めました。
 引き続き、沿線地域と緊密な連携の下、東京さくらトラムの観光資源としての魅力を発信し、旅客誘致に取り組んでまいります。

○慶野委員 いいですね。受験生にさくらサク号。今、この十月はハロウィン号。荒川区のシンボルマスコットであるあら坊とか、都電のとあらんが、こういった装飾もしてハロウィン号が走っております。
 さらに、沿線との連携で需要の創出をという観点では、先ほど申し上げた、今年四月にリニューアルオープンしました、あらかわ遊園地との連携をぜひ図っていただきたいと思いますけれども、このあらかわ遊園のリニューアルに向けた都電荒川線との連携、取組についてお伺いします。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 区立あらかわ遊園は、東京さくらトラム沿線の人気の観光スポットでありまして、これまでも、来園時の交通手段として、多くのお客様に東京さくらトラムをご利用いただいております。
 あらかわ遊園のリニューアルオープンに向けましては、本年三月に、車体や車内をあらかわ遊園の乗り物や動物などで装飾した都電あらかわ遊園号の運行を開始するとともに、SNSで、その運行情報を発信しております。
 加えまして、今年度は、沿線情報誌「ぴっく・あっぷ」、「さくらたび。」において、園内の乗り物の紹介や利用案内等を掲載いたしまして都営地下鉄各駅等で配布するなど、荒川区と連携して旅客誘致に取り組んでいるところでございます。

○慶野委員 ありがとうございます。
 そうなんです。都電荒川線しか、この大事なあらかわ遊園地に行く手段がないといっても過言ではない。ほとんどの人が都電で荒川遊園地前で降りて歩いていく。もしくは、JRを利用されても、北区の王子駅から都電に乗ってくる。ほかの路線を使っても、町屋駅から都電で来る。こうやって、最後は、都電荒川線にほとんどの人が乗ってもらっているという状況であります。
 この都電荒川線とあらかわ遊園地との連携、これまでは地域との連携をということでお願いしてまいりました。二年前の決特のときには、その駅、停留場の全てのといっても過言ではない、ほとんどのところが商店街の入り口とくっついているという、こういうお話もさせてもらいましたけれども、さらに話を大きく広げて、例えば、ちょっと検索したら、今、全国に路面電車というのは十八事業を展開しているそうです。
 例えば、函館の路面電車、これと都電荒川線が連携をして、都電荒川線を全部、函館の路面電車と同じラッピングをして函館号にして、荒川車庫前とか三ノ輪橋駅のおもいで館とかで函館物産をやるみたいなこと。逆に、函館の市内を、都電荒川線のラッピングをした黄色い車両や緑のラインが入った車両が走っている、函館の方、北海道の方が東京に来たら都電に乗ってみようとなるような、こういう連携。
 もう一つ、例えでいえば、広島にも走っております。広島といえばお好み焼きですけれども、広島風のお好み焼き。都電沿線も、お好み焼き屋さん、もんじゃ屋さんがたくさんあります。長らく音声広告も出していただいているお店みたいなところもあって、広島、そういうものと連携しながら、ラッピングの都電広島号に乗ってお好み焼きを食べに行く、そこでは広島焼きも食べられますよというような連携なんかはいいんじゃないかと思いますけれども、武市局長、今うなずいていただきましたので、築田部長、今後、これ、しばらくしつこく追いかけていきますので。
 全国十八都市とはいいません。北海道とか広島とか、荒川の、いわゆる財産であるお好み焼きとか、こういうものを生かせるような、そうした連携をして−−広島なんかがあると、余談ですけれども、荒川区出身の鈴木誠也プロ野球選手、荒川区出身で広島カープにいた方ですから。
 そういう意味で、日暮里・舎人ライナー、そして都電荒川線、私たち荒川区民にとって、もう大切な宝物でございます。私は、今後も、この二路線、特に二つをお手伝い、応援させていただきたい、このように決意しまして、質問を終わらせてもらいます。ありがとうございました。

○あぜ上委員 それでは、私からも質疑をさせていただきます。
 まず、都営バス事業についてです。
 二〇二一年度の決算における都バス事業の営業収支の状況、そして、今後の見通しについて伺いたいと思います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 自動車運送事業では、経営改善に向けて、経常的経費や投資的経費を幅広く見直すとともに、新型コロナウイルス感染症の流行状況等に留意しながら旅客誘致を図るなど、収支の両面から様々な取組を行いました。
 一方、新型コロナウイルス感染症の影響による乗車人員の大幅な落ち込みが続いたことなどから、令和三年度の営業損益は、昨年度に比べて改善したものの、約七十二億円の赤字となっております。

○あぜ上委員 一昨年度に比べれば改善はしたけれども、なかなか厳しい、そして、経営基盤の堅持のために、経常経費や投資的な経費の見直しを図ったということなんですが、具体的に、二〇二一年度は、どのような経常的経費の縮減、また、投資的経費の見直しをされたのか、その点、伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、これまでも、民間事業者への営業所の管理の委託や現業系職員の給与水準の見直しにより、人件費の削減を図ってきたところでございます。
 さらに、このたびのコロナ禍によります収支の悪化を受け、営業所の水道光熱費など、運行に直接関わらない経常的経費や、車両の更新などの投資的経費を幅広く見直しております。

○あぜ上委員 それでは、バスの路線の廃止や縮小はどうでしょうか。
 バスの路線の廃止や縮小につきましては、先ほど質疑があり、ご答弁もございました。計二十六路線が減便している、そして、減便に当たっては、地域のニーズや利用状況などをきめ細かく把握した上で、お客様の利便性に最大限配慮して、影響をできるだけ抑えられる路線を対象としていますというご答弁がございました。
 ということなんですけれども、しかしながら、住民の利用に支障が出ている、そういうところも、残念ながらあるのが実態ではないでしょうか。
 例えば、これは昨年度ではなく、一昨年度、減便したのですけれども、門19という、江東区の門前仲町駅から東京ビッグサイトまでのルート、このルートは減便されたのですが、辰巳団地という大規模な都営団地、それから、がん研の有明病院という病院を唯一通る路線で、臨海地域の住民にとっても欠かせない路線になっているわけです。
 一時間に一本という時間帯もありまして、シルバーカーを押した高齢者の乗車も大変増えてきておりまして、超満員状態だというふうに伺っています。
 しかも、ビッグサイトで催しなどがありますと、既にビッグサイトの時点で、始発の時点で満員になってしまって、長時間待たされた上に乗れなかった、こういうこともあると伺っています。
 バス停でバスを待つ間に、こもごも、一時間に一本というのは、やはりひど過ぎるんじゃないか、増便をしてほしい、戻してほしいよねと、こういった声が毎日のように、こうした会話が辰巳団地などのバス停では交わされているということも、住民の皆さんから私のところにも声が寄せられているところなんです。
 それで、先ほどの質疑を踏まえて、一点だけ確認したいのですけれども、その利用状況などの調査、これにつきましては、減便したところの事後調査というのもやっていらっしゃるのでしょうか。減便後の地域の声は聞いていらっしゃるのかどうか。
 やっているか否かでお答えいただければありがたいのですが、どうですか。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスにおきましては、路線のダイヤ改正を行った後、運行実績の分析などを行いながら、各路線の利用状況等をきめ細かく把握するとともに、乗客潮流の変化に合わせた適切な輸送力を提供できるよう見直してございます。

○あぜ上委員 ということは、事後の調査もやっているという理解でよろしいのでしょうかね。やっているのであれば、本当に住民の皆さんから、結構、たくさんの声が、こうした声が寄せられていますので、交通局ご当局も、実はご存じなんじゃないかなというふうに思うわけです。
 それで、先ほど来、お話がありますように、やはり緊急事態宣言のときと今では、状況は変わっていますし、また、まちもかなり変化してきています。ぜひ、きめ細かく調査を行って改善していただきたいなというふうに思いますし、また、働き方が多様化する中で、仕事に間に合わないので始発を早くしてほしいと。これは、様々な地域から、そういった声も寄せられているところです。
 ぜひ、こうした利用状況の調査、利用者の声をしっかりと聞いていただいて、それに応える路線の拡充を図っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 二〇二一年度のバス事業における一般会計の繰入れについて、項目と金額について教えてください。

○豊田総務部長 地方公営企業は、独立採算制により経営を行うことが原則とされておりますが、一部の経費については、法令等の定めにより一般会計が負担しております。
 自動車事業においては、基礎年金拠出金に係る公的負担分に対する補助金、都営交通無料乗車券に対する補填金などが一般会計から繰り入れられており、令和三年度決算における繰入金額は、合計で六十九億円であります。

○あぜ上委員 バス事業においては、今ご答弁がありましたように、一般会計の繰入れというのは、都営交通の無料乗車券の料金減免措置に対する補填金とか、あと、職員の方の基礎年金拠出金に係る公的負担分に対する補助金などということで、運行維持に対しては、一般会計からの繰入れは行われていないということであります。
 しかしながら、公共交通としての都営交通、これは本当に大事な要であって、今日の公共交通の重要性から考えますと、また、現に、廃止や減便などで都民生活にも影響を及ぼしている、こういう現状を考えるならば、やはり一般会計からの補助、繰入れについても、私は検討すべきだというふうに思います。
 先日、ある小規模といっていいのかな、民間の路線バスの事業者とお話しをさせていただきました。お話を伺ってきました。コロナ禍で、自粛やテレワークなど都民の行動変容が起きている中で、また、燃油の高騰ということで、本当に非常に厳しい経営状況に置かれていて、バス路線を廃止したい、だけれども、やはり自分たちとしては、公共交通機関としての役割、これを考えると、やめるわけにはいかない、頑張るしかない、どうしたらいいのかと、非常に苦悩されておりました。
 都の交通局におきましては、やはり、より社会的に必要とされる、公共交通の高いレベルが求められていて、そのためのご努力を、交通局の皆さんは日々重ねられていらっしゃるんだというふうに私は思っているんです。
 しかしながら、本当に頑張っても頑張っても、これだけの赤字が生まれてしまうために、路線の廃止や、また縮小、そういったものをせざるを得ない。そうすると、やっぱり実態として、高齢者とか、それから障害のある方々、こうした方々の社会参加にハードルを私はつくりかねない、既につくってしまっているのではないかと。
 都民の移動する権利を保障して生活の質を高めるために、とりわけ移動手段が経済的な理由や身体的な理由によって限られる方々、そういう方々の移動権の保障、この観点というのは、私は、都営交通が、その要の役割を果たすべきだと。そのことをしっかり位置づけていただいて、ぜひ経営計画を見直して、一般会計の補助についても検討していただきたい、このことを強く求めたいと思います。
 バス事業に対しては、地域の皆さんから様々な要望や声が寄せられています。本日は、上屋とベンチについて、一言、質疑させていただきたいのですが、上屋やベンチの設置の昨年度の計画数と実質数、これを伺いたいと思います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、お客様がバスをお待ちいただく際の快適性を向上させるため、停留所への上屋やベンチの整備に取り組んでおります。
 昨年度は、経営計画二〇一九において、上屋六十五棟、ベンチ六十六基を整備する計画に対し、新型コロナウイルス感染症に伴う経営環境の悪化を受け、実施規模を見直したほか、地下埋設物等により整備を断念した停留所があったことから、上屋四十一棟、ベンチ四十四基を整備いたしました。

○あぜ上委員 コロナの影響と地下埋設物等の関係で、条件で、できなかったというところもあるということです。
 上屋が設置されていないバス停は、今、何か所あるのでしょうか。そのうち、条件的に可能なバス停というのはどのくらいあるのでしょうか。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 昨年度末時点におきまして、都営バスの全停留所三千八百三十一か所のうち、上屋のない停留所は二千二百五十三か所でございます。
 上屋の整備に当たりましては、歩道の幅員等が道路占用許可基準を満たすこと、警察の許可や停留所付近の地権者の同意等を得ること、地下埋設物がなく、上屋の基礎が構築できることなどが不可欠でございまして、詳細な調査や調整を要するため、整備可能な停留所の数を把握することは困難でございます。

○あぜ上委員 上屋が整備されていないバス停は、今のご答弁では六割近くあるということですよね。もちろん、道路幅のことや埋設物の関係など、条件があるということは分かりますけれども、年間整備が、例えば、昨年度でいえば六十五棟だというふうになっていて、じゃ、一体、何年かかってできるんだということなんですよね。
 先ほど、危険なバス停の改善のお話もありましたけれども、危険なバス停の移動も含めて、やはり私は、バス停を少し移動すれば、実は上屋は造れる、そういう場所も何か所かあるんじゃないか、具体的なそういう調査もすべきじゃないかなというふうに思います。そういう調査なども含めて行って、積極的に整備をしていただきたい、そのことを求めておきたいと思います。
 また、ベンチが設置されていないバス停は、どのくらい残っていらっしゃるのでしょうか。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 昨年度末時点におきまして、全停留所三千八百三十一か所のうち、交通局がベンチを設置している停留所は千百四十六か所、自治体等が独自にベンチを設置している停留所は四百か所程度であり、ベンチのない停留所は二千二百か所余りでございます。

○あぜ上委員 ベンチも、埋設物との関係とか歩道幅の確保、それから、車椅子の使用に支障がないかどうか、こういった条件がクリアできないところもあるわけですから、なかなか大変だ、ご苦労も多いというふうに思うのですけれども、やはり交通バリアフリーの冊子でも、このベンチがきちんと位置づけられております。
 そういう意味では設置を進めていただきたいと思うのですが、設置を優先する基準というのはあるのでしょうか。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 ベンチの設置に当たりましては、上屋の設置と同様に、歩道の幅員等が道路占用許可基準を満たす必要があるほか、警察の許可や停留所付近の地権者の同意等が必要でございます。
 その上で、利用状況のほか、周辺における福祉施設や病院等の立地状況なども考慮いたしまして、整備箇所を選定しております。

○あぜ上委員 一気にやることは難しいのは分かりますが、ぜひ早急に設置できるようにお願いしたいと思います。
 設置の場所の状況や、かなり前に設置されたということで、石のベンチだったり、それからパイプのベンチだったりというところもあるのですが、基本は、現在は木製のベンチだというふうに伺っています。場所によっては三人がけのベンチは造れないところも、確かに難しいところもあるかと思いますが、木製の一人がけ、二人がけ、こういうことも、柔軟な対応で改善もお願いしたいというふうに思います。ぜひよろしくお願いします。
 次に、都営地下鉄におけるバリアフリーについてですが、ホームドア設置と音声付のエスカレーター設置について、今日は伺います。
 作成していただいた資料を見ても、ホームドアがいかに大事かということがよく分かりました。資料の作成もありがとうございました。
 先ほど、浅草線ホームドアの整備の進捗状況のご答弁もありました。その点の質問は省かせていただきますが、これまで繰り返し、ホームドア、私も設置を求めてきたのですが、大変厳しいといわれてきた新宿線の新宿駅、ここもホームドアが設置されたわけですね。新宿線の新宿駅はホームがカーブしていて、大変なご努力と技術力を要したんじゃないかなというふうに思いましたけれども、そういう点では、本当に大変困難なホームも設置された、そういう先進的に取り組まれたこと、これは大変重要だというふうに思っています。
 問題は、残りの工事中のホームと未設置のホーム対策なんですけれども、ホームドア工事中と無設置のホームに駅員並びに警備員の方が常時どのぐらいいるのでしょうか、その点を伺います。

○市川電車部長 都営地下鉄では、安全の確保を最優先に、駅ごとの乗降客数、駅の構造や改札口等を勘案して、各駅に係員を配置しており、必要に応じて警備員も配置しております。
 各駅のホームでは、朝夕のラッシュ時間帯に一名または二名の係員が監視を行うとともに、ホームドアがなく、かつ曲線等により見通しの悪い駅については、終電まで監視を行っております。
 加えて、ホームドアがない駅には、早朝から深夜まで一名または二名の警備員を配置しておりまして、ホームドア設置工事の期間中は、最大八名まで増員しております。

○あぜ上委員 最大八人まで増員されているということで、ご努力されていることは分かりました。
 私は、配置の仕方にも、ぜひご配慮をいただきたいということを一言申し上げたいと思うんです。
 実は、二年前に、東京メトロの東陽町駅、私の地元なんですけれども、ホームドアの工事中に、視力障害者の方が転落して亡くなってしまったんです。すぐに地元の区内の視覚障害者の方々六人と私で現地の調査をさせていただいたのですけれども、やっぱり現地ではガードマンは配置されていたんですね。そのとき、三人ぐらい配置されていたのですけれども、改札のコンコースから階段でホームに降りたところにガードマンがいなかった。残念ながら、そこにいらっしゃらなかった。そのために、反対ホームの電車の音を聞いて、前に進んで転落して亡くなってしまったということだったんです。その可能性が強いなということが、その調査で分かったんです。
 その後すぐに、メトロの方では、ホームドア設置工事中ですという音声案内を数か所で行ってくださったのと、階段の下にガードマンが配置されたんです。
 しかし、こうした事故が二度と繰り返されてはならないと思いますので、ぜひ浅草線、今度工事中のところ、今はないのですけれども、これから日本橋などが工事に入るということで、私も現地調査してきたのですけれども、日本橋駅では、段差があります、足元注意と書かれてあって、一つのホームに、ガードマンの方は二人ずつおられました。
 私が行ったのは、ちょうど四時頃だったのですけれども、今後、これから工事が進められていくわけですけれども、ぜひ音声案内を進めていただきたいなということと、少なくとも、日本橋には、ホームの上にエスカレーターというのはないのですけれども、ほかの駅で、ぜひエスカレーターや階段の降り口のところ、そういったところ、要所要所に、要のところに駅員並びに警備員の方を配置していただきたい、そのことを強く求めたいと思います。
 一緒に現地調査をした視力障害者の方からは、本来、改札口を通過したときに声がかけられていれば、こんなことにはならなかったんだと、悔しそうにお話しされていたことが忘れられません。
 全ての改札口を有人にすべきだと思いますけれども、少なくとも浅草線のホームドアの工事中、また未設置の駅の改札口、ここには職員を配置する必要があるんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。

○市川電車部長 繰り返しになりますが、都営地下鉄では、安全の確保を最優先に、駅ごとの乗降客数、駅の構造や改札口等を勘案して、各駅に係員を配置しておりまして、必要に応じて警備員も配置しております。
 各駅のホームでは、朝夕のラッシュ時間帯に一名または二名の係員が監視を行うとともに、ホームドアがなく、かつ曲線等により見通しの悪い駅については、終電まで監視を行っております。
 加えて、ホームドアがない駅には、早朝から深夜まで一名または二名の警備員を配置しており、ホームドア設置工事の期間中は最大八名まで増員するなど、適切に対応しているところでございます。

○あぜ上委員 各駅には係員を配置しているというご答弁なんですが、やっぱりホームドア工事中や未設置の駅では、改札口で、ホームドアが今、工事中ですよ、お手伝いしましょうかと、こういった声をかけることも必要なんじゃないでしょうか。ぜひ視力障害者の皆さんのご意見もよく聞いていただいて、改札口での職員配置を検討していただきたいと求めたいと思います。
 エスカレーターの音声案内についてです。
 大江戸線の上野御徒町駅のエスカレーターに音声案内をつけてほしいと、視力障害者の皆さん、団体から要望があって、早速、つけていただいたよということを伺いました。早速の対応に感謝いたします。
 私も、現地に行って確認をしましたが、上野御徒町駅二か所に新たに音声機が設置されていました。そのことは確認できました。ただ、残念なことに、上野御徒町駅のホームから不忍方面のエスカレーターには音声案内がなかったんですね。せっかく二か所につけてくれたんだから、このもう一か所の不忍口もつけてほしかったなという声が寄せられています。
 音声案内付エスカレーターについては、昨年度、何基設置できたのでしょうか。
 また、以前は大規模改修工事に合わせて設置ということを伺っていたのですが、最近は、こうやって既存のエスカレーターにも追加設置しているわけですよね。
 少なくとも、今、視力障害者団体や視力障害の方々から要望のあるエスカレーターについては、早急に音声案内を設置すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○飯沼技術管理担当部長 交通局では、駅の大規模改修などエスカレーターの更新時に音声案内装置を設置しているほか、更新までの期間や利用状況等を勘案し、既存のエスカレーターにも追加設置しております。
 令和三年度は、視覚障害者団体からの要望も踏まえ、上野御徒町駅を含む五駅、二十七基のエスカレーターに音声案内装置を設置いたしました。
 引き続き、エスカレーターの更新などの機会を捉え、音声案内装置の設置を進めてまいります。

○あぜ上委員 大規模改修だけでなく音声案内を設置されたのは、交通局のご努力だったというふうに思います。ぜひ、視力障害者の方々も安心して地下鉄を利用することができますように、エスカレーターの音声案内の増設を早急に行っていただくことを求めまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時四十二分散会

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