令和三年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

令和四年十月二十一日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長うすい浩一君
副委員長おじま紘平君
副委員長曽根はじめ君
副委員長川松真一朗君
玉川ひでとし君
土屋 みわ君
もり  愛君
渋谷のぶゆき君
西崎つばさ君
森村 隆行君
和泉なおみ君

欠席委員 なし

出席説明員
下水道局局長奥山 宏二君
次長松川 桂子君
総務部長田中  彰君
職員部長後藤 徹也君
経理部長鈴木  豊君
計画調整部長猪八重 勇君
施設管理部長袰岩 滋之君
建設部長新谷 康之君
企画担当部長松井  裕君
技術開発担当部長家壽田昌司君
施設管理担当部長福島 大起君
設備調整担当部長井上  潔君
施設整備担当部長杉山  純君
流域下水道本部本部長佐々木 健君
管理部長高角 和道君
技術部長佐々木宏章君

本日の会議に付した事件
令和三年度東京都公営企業各会計決算の認定について
下水道局関係
・令和三年度東京都下水道事業会計決算(質疑)

○うすい委員長 ただいまから令和三年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに、委員の辞任及び指名について申し上げます。
 令和三年度公営企業会計決算特別委員長から、去る十月十八日付で許可された米川大二郎委員の令和三年度公営企業会計決算特別委員会委員の辞任に伴い、新たに森村隆行委員を第二分科会委員に指名した旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員を紹介いたします。
 森村隆行委員です。

○森村委員 よろしくお願いいたします。

○うすい委員長 紹介は終わりました。
 なお、議席については、先ほどの打合会でただいまご着席のとおりとすることを申し合わせましたので、ご了承願います。

○うすい委員長 次に申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、令和三年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより下水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○鈴木経理部長 さきの分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和三年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。二十三区における主な浸水被害状況の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの浸水棟数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。多摩地域における主な浸水被害状況の推移でございます。
 区部と同様、多摩地域における浸水棟数をお示ししてございます。
 三ページをご覧願います。政策連携団体への委託内容と委託料の推移でございます。
 当局が所管しております政策連携団体、東京都下水道サービス株式会社への主な委託内容と委託料の推移をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。再生可能エネルギーによる主な発電設備の規模と発電量の実績の推移でございます。
 項目ごとに、設備の所在する施設名、施設規模及び平成二十九年度から令和三年度までの年間発電電力量をお示ししてございます。
 五ページをご覧願います。下水道マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移と仮設トイレの設置ができるマンホールの数でございます。
 マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移と仮設トイレの設置ができるマンホールの数をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。下水道料金の減免実績でございます。
 令和三年度に減免措置を実施した使用件数と減免額の実績をお示ししてございます。
 七ページをご覧願います。災害時における他都市への支援実績でございます。
 平成二十四年度から令和三年度までの支援実績をお示ししてございます。
 資料の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○うすい委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○渋谷委員 初めに、下水道管の再構築について伺います。
 下水道局では、東京−シドニー間を往復する距離に相当する約一万六千キロメートルを超える膨大な量の下水道管を管理していると聞いています。これらの多くは高度経済成長期に集中的に整備されていることから、今後一斉に更新時期を迎えます。
 道路下に埋設されている下水道管が老朽化などにより破損すると道路陥没を引き起こし、大きな事故となるおそれがあります。
 さらに、下水道管は、二十四時間三百六十五日、一時も止められず、安定的に下水を流す機能を確保しなければいけない重要な施設であることから、老朽化した下水道管を計画的に再構築する必要があります。
 下水道管には、家庭などの排水を受ける枝線と、枝線からの下水を受ける幹線があります。
 そこでまず、区部における枝線の再構築事業の進め方と令和三年度末の進捗状況について伺います。

○猪八重計画調整部長 老朽化した枝線の再構築に当たっては、ライフサイクルコストや中長期的な再構築事業の平準化などを図るアセットマネジメントの手法を活用し、計画的かつ効率的に事業を推進しております。
 また、老朽化対策と併せて雨水排除能力の増強や耐震性の向上などを一体的に行うことにより、機能のレベルアップも図っております。
 事業の実施に当たっては、区部を整備年代により三つのエリアに分け、整備年代の古い都心部の処理区を第一期再構築エリアとして優先的に事業を進めておりまして、令和十一年度までに完了する計画としております。
 令和三年度は、年間目標でございます七百ヘクタールを上回る七百四十ヘクタールを再構築しておりまして、第一期再構築エリア一万六千三百ヘクタールの六六%に当たる一万八百二十二ヘクタールの整備が完了しております。

○渋谷委員 膨大な延長を有する下水道管について再構築事業を計画的に進めていることが確認できました。第一期再構築エリアの整備完了が見えてきたことも踏まえると、今後は、第二期再構築エリアの対策についても計画的に整備を進める検討をしなければならないと考えられます。
 第二期再構築エリアの枝線再構築の取組方針についてを伺います。

○猪八重計画調整部長 第二期再構築エリアは、都心部に次いで整備年代が古い区部西側の三処理区で、約二万七千七百ヘクタールの面積を有しておりまして、この面積は、区部全体の約五割に相当いたします。
 新たに再構築事業を立ち上げていくためには、既設管の状況などを正確に把握するとともに、状況に応じた整備手法を選定する必要がございます。
 このため、第一期再構築エリアの完了を見据え、経営計画二〇二一の期間中でございます令和七年度までに第二期再構築エリアの着手に向けた検討を開始してまいります。

○渋谷委員 令和七年度までに第二期再構築エリアの着手に向けた検討を開始することが分かりました。第一期再構築エリア完了後、スムーズに第二期再構築エリアの再構築に着手できるように、着実に検討を進めていただくことをお願いいたします。
 ここまで下水道管の枝線の再構築について確認させていただきました。これらの枝線で集めた下水は、下水道幹線に集まり、水再生センターへ送水されます。こういった重要な下水道幹線が、万が一老朽化や地震などにより破損した場合、その影響は計り知れません。
 そこで、区部の幹線再構築の進め方とその進捗状況についてを伺います。

○猪八重計画調整部長 下水道幹線の再構築は、昭和三十年代以前に建設した整備年代の古い幹線や、調査に基づき対策が必要と判明した幹線など、約三百キロメートルを対象に再構築を実施しております。
 施工に当たりましては、道路を掘削せず、比較的短い期間かつ低コストで既設管をリニューアルすることができる更生工法を活用いたしまして、事業を推進しております。
 令和三年度は、七キロメートルの再構築を実施しており、これまでに全体の三一%に当たる九十四キロメートルが完了したところでございます。

○渋谷委員 下水道幹線は大規模なものも多く、その再構築は困難を伴うものが多いと認識していますが、引き続き着実に進めていただくよう要望いたします。
 次に、区部の浸水対策について伺います。
 都議会自民党では、令和四年第二回定例会において、激甚化、頻発化する豪雨や将来の気候変動の影響により、降雨量の増加が予想されていることから、都の豪雨に対する取組の加速を求めてきました。
 そこで、区部においてどのように浸水対策を進めているのか、基本的な考え方についてを伺います。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、経営計画二〇二一において、繰り返し浸水が発生している浸水の危険性が高い地区などの五十七地区を重点地区としておりまして、計画の最終年度である令和七年度までに全ての地区で着手または完了することを目標としております。
 次の段階といたしまして、令和四年三月に下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、この五十七地区を含め、区部全域で年超過確率二十分の一規模、一時間七十五ミリ降雨に対応することを目標とし、浸水の危険性が高い新たな地区を重点地区に位置づけております。
 具体的には、浸水実績に加え、事前防災の観点から、流出解析シミュレーションを活用して、浸水に対する危険性を評価した十地区を新たに追加し、合計六十七地区を重点地区として施設整備を推進していくこととしております。

○渋谷委員 区部において六十七地区を重点化し、整備を進めていることが確認できました。
 そこで、重点化した地区の進捗状況についてを伺います。

○新谷建設部長 六十七地区のうち、経営計画二〇二一で重点地区として位置づけている五十七地区につきましては、約八割に当たる四十八地区で事業が完了または事業中でございます。
 このうち、令和三年度に新たに完了した新宿区落合地区、大田区田園調布地区、練馬区田柄、板橋区桜川地区の三地区を含めまして、これまでに二十八地区で事業が完了しております。
 下水道浸水対策計画二〇二二において新たに重点地区として位置づけた十地区につきましては、早期事業化に向け、令和四年度中に世田谷区代沢、八幡山、南烏山の三地区で調査設計に着手する予定でございます。

○渋谷委員 浸水対策事業についても着実に進めていることが確認できました。都民の安全・安心のためにも、引き続き、再構築や浸水対策事業を着実に進めていくよう要望いたします。
 次に、東京二〇二〇大会への取組についてを伺います。
 令和三年度のトピックとして、東京二〇二〇大会の開催があります。下水道局関連でいえば、お台場がトライアスロンなどの競技会場となり、東京湾の水質について注目が集まりました。
 水質がかなり悪く、競技の開催ができないのではないかと危ぶむ声すらあった中で無事に開催できたことは、関係部局の様々な尽力があってのことと考えます。公共用水域の水質は、水再生センターからの放流水や、雨天時に下水道から流れ出る水も大きく影響するため、下水道事業における取組も非常に重要であったと考えます。
 そこで、東京二〇二〇大会の舞台となった東京湾の水質改善に向けた取組について伺います。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、東京湾などに放流される下水処理水の水質をより一層改善するため、赤潮発生要因の一つとなっております窒素とリンを削減する高度処理や準高度処理の導入を進めております。
 令和三年度末までに、高度処理等による一日当たりの処理能力は、区部の全計画処理能力の約五割に相当する三百八十万立方メートルまで向上しております。
 また、東京二〇二〇大会に向けたお台場海浜公園の水質等改善の対策といたしまして、競技会場を囲む水中スクリーンの三重設置など、関係各局等が様々な角度から連携して取組を実施いたしました。
 下水道局においては、雨天時の放流水質を改善するため、対策のスピードアップを図り、芝浦水再生センター等で、累計で百四十万立方メートルの貯留施設を整備するとともに、六か所の水再生センターで汚濁物を効率的に除去できる高速ろ過施設を整備いたしました。
 加えまして、お台場周辺海域の放流口に、ごみ等の流出を抑制するスクリーンネットの増設や、下水道施設に堆積した土砂などの清掃体制を強化し、大会前や大会期間中の土砂やごみの流出を抑制いたしました。

○渋谷委員 お台場の水質に懸念の声があったものの、貯留施設や高速ろ過施設の整備、お台場周辺におけるスクリーンネット増設など、東京湾の水質改善に向けた様々な取組が行われたことが分かりました。下水道局をはじめ関係各局が連携して水質改善に取り組んだことで大会は無事に開催されたと考えます。
 一方、東京二〇二〇大会はコロナ禍の中で行われた大会であり、無観客での実施を余儀なくされるなど、前例のない課題への対応が必要でした。下水道局においても、コロナ禍での下水道という重要なインフラ機能の確保に加え、大会開催に向け、先ほどの水質改善対策以外にも様々な取組を行ったと聞いています。
 東京二〇二〇大会の開催に向けてどのような取組を行ったのかを伺います。また、その取組に対し、局としてどのように総括しているのかを伺います。

○松井企画担当部長 下水道局では、コロナ禍でも、二十四時間三百六十五日、下水道事業を安定的に運営することで、東京二〇二〇大会の安全・安心な開催を支えるとともに、下水道事業の持つ資産やノウハウを活用することなどにより、大会の開催に向けた取組を推進いたしました。
 具体的には、葛西水再生センターの用地をカヌースラローム競技会場として活用したほか、下水処理水をさらに高度に処理した再生水を、有明アリーナ、有明体操競技場などのトイレ用水として供給いたしました。
 また、大会仕様のデザインマンホール蓋を大会関連施設周辺に設置したほか、大会シンボルマークを局施設に掲示するなど、大会開催の機運醸成等にも取り組みました。
 こうした取組を通じまして、東京二〇二〇大会の下支えをし、開催都市の一員として大会の成功に貢献できたものと考えてございます。

○渋谷委員 無事に競技が開催できたのは、下水道局において数多くの対策が行われていたためだということが分かりました。東京二〇二〇大会は終わったものの、大会のレガシーとして、今後も東京湾の水質改善などに一層尽力していただくよう要望いたします。
 近年、多摩地域の分流式下水道区域において、マンホールからの下水の溢水により、浸水被害が発生しています。これは、雨天時浸入水と呼ばれ、汚水管のひび割れや宅地からの雨水排水の汚水管への誤接続等により、市町村が管理する汚水管に本来流入することのない大量の雨水が流入することが主な原因と聞いています。
 さきの第一回定例会の一般質問では、都における雨天時浸入水対策への取組を確認しましたが、下水道局では、市町村と連携し、浸入水調査を目的に多機能型マンホール蓋の設置を順次進めています。
 そこで、多機能型マンホール蓋の効果を改めて伺うとともに、令和三年度における設置状況についてを伺います。

○佐々木技術部長 下水道局では、多摩地域におきまして、令和二年度より、下水道管内の水位などをリアルタイムに測定できる多機能型マンホール蓋を順次設置しております。
 多機能型マンホール蓋を利用することにより、晴天時と雨天時で流入水量の差が大きい箇所のデータを把握することで、浸入水量の多い地域を効率的に絞り込むことが可能となります。
 令和三年度は、流域下水道と公共下水道の接続点や市境など二十八か所に設置したことで、予定していた全三十七か所の設置が完了し、測定したデータを市町村と共有しております。

○渋谷委員 多機能型マンホール蓋によるデータを市町村と共有することにより、効率的な対策につなげていくことは重要です。
 多機能型マンホール蓋のデータにより、雨水が浸入している箇所をある程度絞り込み、その上で、市町村が詳細な調査により発生源を特定し、対策を実施することが必要です。
 そこで、雨天時浸入水の発生源対策の具体的な内容についてを伺います。

○佐々木技術部長 汚水管に雨水が浸入する主な原因は三点ございますが、それぞれ異なる対策が必要となります。
 屋根のない屋外流しなどを通して雨水が浸入している場合は、流し周りのかさ上げや土のうの設置などにより、雨水の浸入を防止する必要がございます。
 次に、本来は雨水管に接続する必要がある宅地内の雨どいなどが誤って汚水管に接続されている場合は、雨水管へ接続し直す必要がございます。
 さらに、汚水管のひび割れや接続部などから雨水が浸入している場合につきましては、下水道管の入替えや補修を実施する必要がございます。
 これらの発生源対策には、公共下水道管理者である市町村による発生箇所や原因の特定に加えまして、所有者との調整などが必要となります。

○渋谷委員 市町村が実施する発生源対策の内容を伺いましたが、発生箇所や原因の特定など、専門性が必要となる大変な作業だと考えます。しかし、多摩地域の市町村は技術職員が少なく、経験やノウハウが不足しており、このような大変な対策を単独で実施するのは厳しい面もあるのではないでしょうか。
 このため、市町村の雨天時浸入水対策を促進するには、下水道局の技術的な支援が必要と考えるが、そこで、令和三年度に実施した下水道局の市町村への具体的な技術支援についてを伺います。

○佐々木技術部長 下水道局ではこれまでも、関係市町村と構成される雨天時浸入水対策促進会議を開催し、流量調査の結果や豪雨時における対応などの情報を共有してまいりました。
 令和三年度の会議では新たに、多機能型マンホール蓋のデータから、浸入水量の多い地域の絞り込み状況や雨天時浸入水の発生要因の推定方法を共有することで、市町村による効率的な対策の促進を図りました。
 さらに、多機能型マンホール蓋や市町村による流量調査から絞られた浸入水量の多い地域におきまして、当局と市町村による現地合同調査を実施し、浸入箇所の特定につなげました。
 引き続き、これらの技術的な支援を継続し、市町村による雨天時浸入水対策を促進してまいります。

○渋谷委員 市町村への技術支援についても確認できました。今後も引き続き、市町村への技術支援を進めていただくよう要望して、次の質問に移ります。
 令和元年東日本台風の際には、私の地元である清瀬市においても、柳瀬川沿いの住宅地などで、市の管理する公共下水道のマンホールから大量の雨水があふれ、家屋の浸水などが発生しました。
 被害が発生した箇所では、現在、下水道局では、清瀬市と連携して必要な対策工事を進めていると承知していますが、対策工事の進捗状況についてを伺います。

○佐々木技術部長 令和元年東日本台風の際に浸水被害が発生した清瀬市中里地区におきましては、地形などの条件により、雨天時浸入水が公共下水道のマンホールに集中し、溢水が発生しました。
 そこで、当該マンホールへの雨水の流入を減少させるために、上流側で下水の一部を流域下水道幹線に流入させることを目的として、当局と清瀬市が連携し、現地調査や設計を実施してまいりました。
 令和三年度に本工事に着手しておりまして、今年度中の完了を予定しております。

○渋谷委員 雨天時浸入水対策について、令和三年度の取組を確認させていただきました。今後も、都と市町村の連携した取組により、対策の促進を要望いたします。
 東京下水道の国際展開について伺います。
 東京下水道は、SPR工法や水面制御装置の開発等に代表される優れた技術と経験を持ち、海外でも展開が進んできました。
 そこでまず、これらの東京発の下水道技術の海外展開について、これまでの実績を伺います。

○松井企画担当部長 下水道局では、これまで培った技術力や経営ノウハウなどの強みを生かし、政策連携団体であります東京都下水道サービス株式会社、TGSなどとも連携しながら、国際展開に取り組んでおります。
 局とTGS及び民間企業で共同開発いたしました東京発の下水道技術である、道路を掘らずに下水道管をリニューアルするSPR工法は、令和三年度末の累計で、アジアや北米などで約百七十六キロメートル施工されております。
 また、合流式下水道からごみの流出を抑制する水面制御装置は、同じく令和三年度末の累計で、ヨーロッパなどで四十一か所に設置されております。

○渋谷委員 東京で開発された下水道技術が海外でも広く活用されていることが分かりました。今後も技術を広く展開していくべきですが、近年のコロナ禍で海外との行き来が制限され、国際展開事業も影響を受けていると考えます。
 そこで、令和三年度の国際展開事業の予算の執行状況を伺います。

○松井企画担当部長 令和三年度の国際展開事業に関する予算額は、海外出張に要する経費など一千五百五十七万円でございましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により海外出張ができなかったことなどから、執行額は、現地調査に代えて行ったオーストリアの下水処理場などとのオンラインでの意見交換による先進事例の調査に要しました経費など約百十万円でございます。

○渋谷委員 コロナ禍の影響により、予算の執行状況が極めて低くなっています。
 海外出張ができなかったなど、事業の実施が困難であったと思われるが、どのように国際展開事業に取り組んだのか、コロナ禍における令和三年度の国際展開事業の取組と現状について伺います。

○松井企画担当部長 平成二十六年からTGSと共に、下水処理場等の設計、建設から維持管理まで一括して支援してまいりましたマレーシア下水道整備プロジェクトにつきましては、令和三年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により渡航が制限されたことから、現地での技術支援に代えて、オンラインによる支援を実施いたしました。渡航が可能となりました本年六月には、TGSが現地を訪れてセミナーを実施しており、十一月にはプロジェクトが無事終了する予定でございます。
 また、海外からの視察の受入れや国際会議への参加などにつきましては、令和三年度は、コロナ禍でいずれも実施できませんでしたが、JICA主催のオンライン研修に講師として参画したほか、先ほどご答弁したオンラインでの先進事例調査を実施いたしました。
 今年度からは、視察の受入れや国際会議への参加などを再開しており、コロナ前と同様に、海外との人材交流や職員の育成、東京下水道の情報発信などに積極的に取り組んでいるところでございます。

○渋谷委員 令和三年度は、コロナ禍で制約は受けたものの、オンラインなどを活用して取り組んだとのことです。現在は視察の受入れなども再開しているということであり、引き続き、下水道事業の国際展開を積極的に進めるように要望いたしまして、私の質問を終わります。

○もり委員 下水道事業会計における令和三年度決算についてお伺いいたします。
 初めに、新型コロナウイルス感染症に対する下水道局の取組についてお伺いをいたします。
 下水道局では、我が会派の要望を受け、水道料金とともに、下水道料金の支払いが困難な方に対し、支払い猶予を実施していただいております。
 令和三年度末までの下水道料金の支払い猶予の受付実績と猶予金額についてお伺いをいたします。

○鈴木経理部長 下水道局では、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、一時的に支払いが困難な二十三区のお客様に対し、最長一年間を猶予期間として支払い猶予を実施しております。
 制度を開始した令和二年三月二十四日から令和四年三月末までの受付実績は二万二百五十二件、支払い猶予金額は約六億三千五百万円でございます。

○もり委員 ありがとうございます。大変多くの皆様にご利用いただいていることが分かりました。
 今年度に入り、海外からの観光客も見られるようになり、人々の行動制限も緩和されつつあるものの、都民や事業者への影響は依然として大きく、厳しい状況が続いております。
 支払い猶予の受付については、先月末までとしていた受付期間が、先般、来年三月まで延長されましたが、猶予期間終了後の支払いに当たっても、引き続き、分割払いなど、都民の個別の事情に配慮した対応をお願いいたします。
 次に、下水中の新型コロナウイルスの分析についてお伺いをいたします。
 東京都下水道局では、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、感染実態を把握するための下水の調査研究が行われました。これは、下水から新型コロナウイルスを検出するための研究が、欧米をはじめ国内外で行われてきたのによるものです。
 下水道局でも、日本水環境学会のタスクフォースメンバーの東京大学に水再生センターの流入水を提供し、分析手法の確立に協力するなど、様々な取組を行ってきたと伺っております。
 そこで、下水中の新型コロナウイルスの分析について、これまでの下水道局の取組についてお伺いをいたします。

○袰岩施設管理部長 下水道局では、令和二年度に、下水道関係者の安全確保等のため、都内全二十か所の水再生センターの流入下水及び放流水を調査し、感染性のある新型コロナウイルスは検出されなかったことを確認するとともに、この情報を広く発信いたしました。
 令和三年度には、関係局と連携し、都内の教育施設周辺や大学の学生寮等の下水を調査し、ウイルスが検出された場合には、感染拡大の早期防止に寄与するよう、速やかにPCR検査の実施につなげました。
 また、こうした取組から得た知見を基に、施設管理者が自ら下水の採取等を行う場合の参考となるよう、政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社と共に下水採取の手順書を作成し、公表したところでございます。

○もり委員 ありがとうございます。
 ポストコロナ禍の社会経済活動を安全に再開させていく段階において、感染症の流行状態を把握する下水免疫学調査が注目をされております。昨年度の事業では、大学や教育施設の周辺とのご答弁をいただきました。医療施設や介護施設といった感染リスクの高い施設の下水を調査することにより、院内感染の発生をごく初期の段階で検出することができれば、早期に対策を講じることができるとの指摘もありますので、令和三年度の知見を今後の対策に生かしていただくことを要望いたします。
 次に、合流式下水道の改善についてお伺いをいたします。
 地元の呑川の会に私も所属をし、合流式下水道の水質改善については、区議会議員時代より長年取り組んできたテーマです。
 区部の下水道は、明治初期の衛生環境と浸水被害を早期に改善するため、二十三区の八割で合流式下水道が採用されましたが、雨天時の放流水質には課題があり、改善を図る必要があります。
 そこで、改めて、合流式下水道の改善に向けた下水道局の取組内容についてお伺いをいたします。

○猪八重計画調整部長 合流式下水道は、汚水と雨水を一つの下水道管で集めることから、強い雨の日には、まちを浸水から守るため、汚水混じりの雨水を川や海などに放流することになります。
 合流式下水道の改善の主な取組といたしましては、雨水吐き口やポンプ所からのごみなどの流出を抑制するために、当局が民間企業などと共同開発した水面制御装置などの整備、雨天時の下水をより多く水再生センターに送るための下水道管の整備、そして、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備の三つがございます。

○もり委員 ありがとうございます。
 近年、台風の激甚化、集中豪雨の頻度も増えており、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する整備には効果があります。
 合流式下水道の改善について、三つの取組について確認をさせていただきました。
 そこで、区部における各取組の実施状況についてお伺いをいたします。

○新谷建設部長 これまでに、ごみの流出を抑制する水面制御装置などの整備及び雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備につきましては、全て完了しております。
 現在は、下水を貯留する施設の建設を進めておりまして、令和三年度末までに累計で百五十万立方メートルの整備を完了しております。

○もり委員 合流式下水道の取組については、着実に整備が推進されていることを確認させていただきました。
 しかし、令和六年度から下水道法施行令の雨天時放流水質基準が強化されると聞いており、確実に対応することが必要であると考えます。また、良好な水環境を創出するためには、より一層の対策が必要だと考えます。
 今後の経営計画二〇二一における合流改善事業の進め方についてお伺いをいたします。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、経営計画二〇二一におきまして、令和六年度から強化される下水道法施行令の雨天時の放流水質基準を達成するため、百七十万立方メートルの降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を進めております。
 また、施行令対応以降もさらなる水質改善を図るため、呑川など潮の干満の影響により水が滞留しやすい河川区域や、水門に囲まれた運河等の閉鎖性水域でございます十四水域におきまして、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を推進してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。合流式下水道の改善に関する取組についてお伺いをいたしました。ただいまのご答弁にもありましたとおり、大田区の下流では、潮の影響を受けて水が滞留しやすく、夏場は依然とスカムが悪臭の原因になるなど、降雨の後は影響を受けやすく、貯留施設の整備が望まれます。今後も着実に対策を推進していただくことを要望いたします。
 水量の少ない河川などの水質を向上させるためには、合流式下水道の改善に加え、環境用水の導水なども有効な手段です。
 東京都では、関連局や区が河川の流れを取り戻すため、再生水を供給する清流復活事業を行っており、私の地元を流れる呑川などの城南三河川にも再生水が供給されております。
 令和三年度における城南三河川の清流復活事業の下水道局における具体的な取組内容と再生水の供給実績についてお伺いをいたします。

○猪八重計画調整部長 潤いのある水辺空間の創出に向けまして、水量の少ない都市河川に対しまして、気象情報などを確認した上で、清流復活用水として下水処理水にろ過等を施して、さらにきれいにした再生水を供給しております。
 区部では、新宿区内の落合水再生センターから渋谷川・古川、目黒川及び呑川の城南三河川に再生水を供給いたしております。
 令和三年度の再生水の一日当たり供給量は、渋谷川・古川に約一万九千立方メートル、目黒川に約二万七千立方メートル、そして、呑川に約三万四千立方メートルでございまして、三河川への供給量の総量は一日当たり約八万立方メートルでございます。

○もり委員 ありがとうございます。下水道の再生水である高度処理水を活用し、多くの水量を日々城南三河川に供給していただき、地元でも、この事業の開始により、水質が改善されたことを高く評価しております。
 下水の再利用は、都市の良好な水環境の創出や公共水域の水質改善に重要な役割を果たしており、呑川の上流ではカワセミの姿も見られるなど、美しい水環境の創出は生物多様性の保存にも寄与しております。高度処理水は、費用面での課題は承知しておりますが、引き続き安定的な供給をお願いいたします。
 次に、エネルギー、地球温暖化対策についてお伺いします。
 都では、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向け、二〇三〇年までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するカーボンハーフを表明しております。
 下水道事業では、日々下水を処理するとともに、そこから発生する汚泥を処理しておりますが、これらの処理では多くの温室効果ガスを排出しており、下水道局は、都庁全体で最大の排出者となっている現状があります。このため、温室効果ガス削減に向け、積極的に取り組んでいく必要があります。
 まず、下水道局におけるこれまでのエネルギー、地球温暖化対策についてお伺いをいたします。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、地球温暖化防止計画アースプラン二〇一七を策定いたしまして、温室効果ガス排出量を二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で三〇%以上削減する目標を掲げ、排出量の多い水処理工程や汚泥処理工程等で対策を行っております。
 令和三年度、二〇二一年度には、温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で約二七%削減いたしました。

○もり委員 下水を処理する上で、水処理工程と汚泥処理工程で温室効果ガスの排出量が多いとのことですが、水処理工程における温室効果ガスの削減対策についてお伺いをいたします。

○猪八重計画調整部長 水処理工程におきましては、下水をくみ上げるポンプの運転や、下水をきれいにする微生物に空気を送風するときなどに大量のエネルギーを消費しております。
 このため、水処理に必要な空気を小さな気泡にして水に溶けやすくすることで送風量を少なくし、電気使用量を削減する微細気泡散気装置を導入するなどの取組を進めておりまして、令和三年度末までに約七割の散気装置で導入が完了いたしました。

○もり委員 ありがとうございます。
 続いて、汚泥処理工程における温室効果ガスの削減対策についてお伺いをいたします。

○猪八重計画調整部長 汚泥処理工程におきましては、重力を利用してろ過濃縮することで電気使用量を削減できる省エネルギー型汚泥濃縮機の導入や、電気や燃料使用量を大幅に削減できる省エネルギー型焼却炉を導入するなどの取組を進めております。
 省エネルギー型汚泥濃縮機につきましては、令和三年度末までに約四割の汚泥濃縮機で導入が完了いたしました。
 また、省エネルギー型焼却炉につきましては、令和三年度末までに約二割の焼却炉で導入が完了いたしました。

○もり委員 ありがとうございます。温室効果ガスの排出量が多い事業ですが、設備の高効率化、省エネ化を進めていただき、令和三年度、二〇二一年度には、温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で約二七%削減を行っていただいたとの答弁をいただきました。
 私の地元大田区には、日本最大の水再生センターである森ヶ崎水再生センターがあります。規模が大きいゆえ、使用する電力量も多く、電力使用量の削減やエネルギー創出に向けた取組が必要であり、これまでも、再生可能エネルギーの利用拡大に取り組んでいただいている様子を視察させていただきました。
 そこで、森ヶ崎水再生センターにおける具体的な取組状況についてお伺いをいたします。

○袰岩施設管理部長 森ヶ崎水再生センターでは、省エネルギー型機器の導入や維持管理の工夫により、電力使用量削減の取組を進めるとともに、再生可能エネルギーの利用拡大を図ってまいりました。
 具体的には、送風量を少なくできる微細気泡散気装置と使用電力の少ない高効率型送風機を組み合わせた最適化運転により、電力使用量を削減いたしました。
 また、下水道施設の上部空間を使用した太陽光発電のほか、放流落差を利用した小水力発電や、バイオマスエネルギーを活用した消化ガス発電を導入するなど、様々な再生可能エネルギーを利用することで、センターで使用する電力量の約二割を賄っているところでございます。

○もり委員 ありがとうございます。森ヶ崎水再生センターでは、電力量の削減に向けて様々な取組を実施しているとのご答弁をいただきました。
 また、コロナ禍以前は、毎年ホタルの夕べを開催していただき、蛍観賞を通じて多くの子供たちが水再生センターを訪れ、実際に、水再生センターの役割とともに、一人一人の家庭での食器洗いの行動など、下水を汚さないことが美しい河川と海にもつながっているという環境教育を学ぶ機会にもなっていて、とてもすばらしい取組であると考えます。引き続き、子供たちや都民への周知の取組もよろしくお願いいたします。
 下水道事業は、都民の安全で安心な暮らしを支え、良好な水環境の創出に必要不可欠な事業ですが、一方で、安定的に事業を運営していくために、多くの温室効果ガスを排出しています。今後、二〇三〇年までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するカーボンハーフの達成には、これまで以上の取組が求められると考えます。
 そこで、下水道局の温室効果ガス排出量の削減の取組についてお伺いをいたします。

○猪八重計画調整部長 下水を処理する過程では多くの温室効果ガスを排出していることから、二〇三〇年までに温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で五〇%削減するカーボンハーフを達成するためには、これまでの取組をさらにレベルアップしていく必要がございます。
 そのため、さらなる省エネルギー設備等の導入拡大や、再生可能エネルギーの利用拡大を図るとともに、新たな技術開発を推進してまいります。
 本年四月には、外部有識者による検討委員会を設置いたしまして、二〇三〇年カーボンハーフ実現のための方策や、さらには、二〇五〇年ゼロエミッション東京を見据えた下水道事業のビジョンなどにつきまして検討を進めております。

○もり委員 都民の生活に欠かすことができない下水道事業において、二〇三〇年カーボンハーフを達成するために、大変意欲的なご答弁をいただきました。
 今後の下水道局の率先的な取組に大きな期待を込め、質問を終了いたします。ありがとうございました。

○玉川委員 初めに、道路陥没対策について伺います。
 道路の陥没は、都内各地で毎年発生しております。私も、地元の大田区で、ここ一年で二か所、実際に目にいたしました。一たび道路陥没が生じると、交通機能を確保する上での障害となるなど、都民生活に大きな影響を与えるものであります。都内の道路の下には膨大な量の下水道管が敷設されていまして、その下水道管を起因とする道路陥没もあると聞いております。
 そこで、下水道管を起因とする道路陥没の発生原因について伺います。

○袰岩施設管理部長 下水道管に起因する道路陥没の主な原因でございますけれども、老朽化や衝撃等により下水道管が破損し、周りの土が管の中に流れ込むことで、道路の下に空洞が発生することによるものと考えられております。この陥没の多くは、家庭などからの排水を受けて下水道管につなぐ取付管で発生しております。
 取付管による道路陥没が多い理由でございますけれども、平成元年度までに整備された取付管の多くが陶器製でございまして、衝撃に弱いことや、比較的浅い位置に埋設されていることから、車両交通による振動の影響を受けやすいことが要因であると考えております。

○玉川委員 下水道管を起因とする道路陥没の発生原因について確認いたしましたが、陥没の多くが取付管に起因するという答弁でありました。
 そこで、区部における取付管の陥没対策について伺います。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、前経営計画でございます経営計画二〇一六で、区部におきまして道路陥没が多く発生した地区など六十四地区を道路陥没対策重点地区と位置づけまして、陶器製の取付管を衝撃に強い硬質塩化ビニール管へ取り替えるなどの対策を令和元年度までに完了いたしております。
 引き続き、経営計画二〇二一におきましても、腐食環境下等にございますことにより劣化が著しい路線や、道路陥没が発生した場合の影響が大きな国道や都道などの路線を優先して調査を進めまして、劣化状況に応じ、取付管の硬質塩化ビニール管への取替えや更生工法などによる道路陥没対策を行っております。
 加えまして、整備年代の古い都心部の処理区の第一期再構築エリアでは、下水道管の再構築に合わせまして、取付管を硬質塩化ビニール管へ取り替える取組も実施しております。
 経営計画二〇二一では、令和七年度までの五年間で十三万五千か所の実施を計画しておりまして、令和三年度の実績といたしましては、約二万七千か所の取替え等を実施いたしました。

○玉川委員 下水道局において一年間で二万数千か所の取付管の取替えを行い、陥没対策を計画的に進めていることが確認できましたが、その効果として、下水道を起因とする陥没がどの程度減少してきたのか、とても興味深いところであります。
 そこで、この陥没対策による効果について伺います。

○袰岩施設管理部長 令和三年度の区部における道路陥没件数でございますけれども、対策を計画的に進めた結果、路面の落ち込みを含めまして、ピーク時の平成十二年度の陥没件数千五百十三件と比較いたしまして、約四分の一となる三百三十四件まで減少しているところでございます。

○玉川委員 計画的に進めてきた下水道局の陥没対策によって、確実に効果を上げてきていることが分かりました。今後も着実に道路陥没対策を推進していただきますようよろしくお願いいたします。
 次に、浸水対策について伺います。
 近年、集中豪雨の頻発化や台風の大型化などが顕著であり、浸水被害のニュース報道を目にすることも珍しいものではなくなってきていると感じています。
 下水道局では、早期に浸水被害を軽減するため、浸水の危険性の高い地区などを重点化し、下水道施設の整備を行ってきておりますが、私の地元である大田区においては、九年前に上池台地域で、三年前には田園調布地域で大きな浸水被害が発生し、地域住民の住まいや財産を守るために、豪雨に対する備えが必要であると考えております。
 そこで、これまでの大田区内での下水道の浸水対策について伺います。

○新谷建設部長 大田区内においては、近年の浸水被害の状況などを踏まえまして、くぼ地や坂下等の浸水の危険性が高い地区である馬込、浅く埋設されていることから管内の水位が上昇した際に浸水が発生しやすい幹線の流域である大森西や田園調布、それから、平成二十五年七月の豪雨で甚大な浸水被害が発生した上池台の四地区を経営計画二〇二一において、重点化して施設を整備する地区として位置づけております。
 平成二十二年度に馬込地区で、令和三年度に田園調布地区で対策が完了しておりまして、現在、上池台地区で事業中、それから、大森西地区で対策の具体化に向けて検討を進めております。

○玉川委員 大田区内では、馬込、田園調布、上池台、大森西と四つの地区を重点化し、対策を進めているということでありますが、その中で、私の地元である上池台地区は、まだ事業中とのことであります。
 そこで、上池台地区の事業の進捗状況について伺います。

○新谷建設部長 大田区上池台地区では、既設の洗足池幹線の雨水排除能力を補完、増強するため、新たに洗足池増強幹線を整備するとともに、自然流下では浸水被害が発生しやすい低地部におきまして、ポンプ排水区に切り替えるための主要枝線の整備を平成二十八年度から推進しております。
 現在は、このポンプ排水区への切替え工事の一部といたしまして、内径最大二・六メートル、延長約千七百五十メートルの下水道管をシールド工法で、令和五年度末頃の完了を目指して施工中でございます。
 引き続き、主要枝線に接続する下水道工事や、洗足池増強幹線の整備に向けた幹線ルート及び施工方法などの検討も進めてまいります。

○玉川委員 上池台地区は、大田区において、雨水ますのグレーチング化や土のう置場の設置などを推進し、浸水被害の軽減に努めてきておりますが、洗足池増強幹線の整備をはじめ、今後も大田区内の浸水対策を計画的かつ着実に進めていただきますようよろしくお願いいたします。
 また、都議会公明党では、令和元年東日本台風の対応などで明らかになった課題を踏まえ、多摩川の水位が上昇した際に、樋門の操作を安全にするための取組が必要であることを議会などで提唱してまいりました。
 下水道局では、堤防から河川に張り出した操作盤につながる通路対策として、転落防止柵のかさ上げや、宅地側からの樋門操作の遠隔化など、安全性を高める取組を推進させるとともに、地元区などとの情報連絡体制も構築させました。この取組結果について、我が党は高く評価しております。
 今後も、多摩川の水位が上昇した際の対策の強化に努め、地元の住民の安全性を高めるための対策を引き続き実施していただくことを要望しまして、次の質問に移ります。
 合流式下水道の改善について伺います。
 私の地元である大田区を流れる呑川では、中流域から下流では、河川の臭いや臭気がひどいため、地元住民から水質改善の期待が寄せられております。そのような中、呑川の水質と合流式下水道の関係について、地元住民には正しく理解してもらう必要があります。
 そこでまず、合流式下水道の仕組みと特徴について伺います。

○猪八重計画調整部長 合流式下水道は、汚水と雨水を一つの下水道管で集める仕組みでございます。
 その特徴といたしましては、道路などにたまった汚れも雨と一緒に下水道管に集め、水再生センターで処理できる一方で、強い雨の日には、まちを浸水から守るため、汚水混じりの雨水を川や海などに放流するものでございます。

○玉川委員 合流式下水道は、まちを浸水から守るために、雨天時には、汚水混じりの雨水を川へ放流せざるを得ないものであるとのことでありますが、河川の良好な水環境をつくるためには、合流式下水道の改善の取組を進めていかなければなりません。
 そこで、これまでの大田区内の合流改善の取組について伺います。

○猪八重計画調整部長 合流式下水道の改善の主な取組といたしましては、雨水吐き口やポンプ所からのごみなどの流出を抑制するために、当局が民間企業などと共同開発した水面制御装置などの整備、雨天時の下水をより多く水再生センターに送るための下水道管の整備、そして、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の三つの整備内容がございます。
 大田区内におけますこれらの整備状況につきましては、まず、区内を流れる呑川などの雨水吐き口におきまして、水面制御装置などの整備や、雨天時の下水をより多く水再生センターに送水する下水道管の整備を行い、これらは全て完了しております。
 さらに、森ヶ崎水再生センターや東糀谷ポンプ所など三か所のポンプ所では、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設、約二十一万立方メートルの整備を完了させておりまして、現在は、呑川流域で、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を推進しております。

○玉川委員 水面制御装置は、下水道局が民間企業などと共同開発したとのことで、非常に画期的な装置であると聞いております。
 そこで、吐き口から河川などへ流出するごみを取り除く水面制御装置はどのようなものなのか伺います。

○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、区部にある約七百三十か所の雨水吐き口のうち、九割以上に水面制御装置を設置しております。
 この装置の構造は、ごみなどをできる限り水再生センターへ送るため、渦の力で下水道管に引き込むためのステンレス製の板を取り付けるものであり、当局と政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社及び民間企業が共同開発し、平成十八年に特許を取得した技術でございます。
 この装置は、設置前に河川などに流出していたごみを七割以上除去できることに加え、構造が単純で設置や維持管理などが容易なこと、低コストであること、動力を必要としないことなど、優れた特徴を有しております。

○玉川委員 大田区内においても合流式下水道の改善を着実に進めていることを確認いたしました。特に、以前より水質改善が求められてきた呑川では、早期の施設整備が望まれております。
 そこで、現在整備中の呑川の貯留施設の整備状況について伺います。

○新谷建設部長 呑川の合流改善施設の整備事業につきましては、呑川沿いに内径最大三メートル、総延長六・一キロメートル、総貯留量約三万八千立方メートルの降雨初期の特に汚れた下水を貯留する雨水貯留管を整備するものでございまして、令和二年度より事業に着手してございます。
 現在、雨水貯留管をシールド工法で整備するため、大田区立東調布公園の一部をシールドの掘進に必要な立て坑基地として借用しまして、用地の整備工事を進めております。今年度は立て坑工事に着手する予定でございます。

○玉川委員 呑川の合流改善対策について様々な取組を行い、着々と進んでいることが確認できました。継続して合流式下水道の改善を推進し、水質向上に努めていただくことを要望いたしまして、全ての質問を終わります。

○和泉委員 日本共産党都議団の和泉なおみです。
 令和三年度下水道事業会計決算審査に当たり、私の方からは、浸水対策計画二〇二二、これに絞って質疑を行います。よろしくお願いします。
 下水道局は、経営計画二〇二一の中で、三つの経営方針の一つに、お客様の安全を守り、安心で快適な生活を支えますと掲げ、激甚化する豪雨や首都直下地震などの自然災害に対して、下水道の機能が確保されていること、これを目指すべき姿の一つに挙げています。
 この経営計画に基づく下水道局の事業の中でも、とりわけ私が大きな関心を持っているのが、二〇二二年三月に公表された下水道浸水対策計画二〇二二です。これまで以上に長期的な視点で戦略的に浸水対策を推進していく必要があることから、この計画を策定したとされています。
 冒頭のページには、浸水被害を軽減するための対策について、重点地区の約八割が事業完了もしくは事業中となるなど、次の段階を見据えることが必要と書かれています。
 この次の段階としてどのような対策の強化が必要だと考えているのでしょうか。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、令和四年三月に下水道浸水対策計画二〇二二を策定いたしまして、目標整備水準を一時間五十ミリ降雨から七十五ミリ降雨へとレベルアップするとともに、流出解析シミュレーションを活用し、新たに十地区を重点地区に位置づけてございます。

○和泉委員 浸水対策の目標整備水準を引き上げるとともに、新たに十地区を重点地区に追加したとのことです。下水道の大きな役割の一つが内水氾濫を防ぐということですから、この浸水対策計画二〇二二はとても重要だというふうに思います。
 ただいまのご答弁の中で流出解析シミュレーションを活用したというお話がありましたけれども、この流出解析シミュレーションによってどのようなことが分かるのでしょうか。

○猪八重計画調整部長 流出解析シミュレーションでは、下水道管の大きさや深さ、地盤の高低差などの詳細なデータを活用することで、下水道管内の雨水の流れや、下水道管に入り切らずに地表にあふれた雨水が地形に沿って流れる状況などを再現することができます。
 また、下水道管の余裕部や人孔内の空間に雨水が流入して貯留のような効果を発揮することや、下水道管の上流側と下流側の水位の差を表現することで、下水道管の能力を最大限評価することが可能となります。

○和泉委員 ありがとうございます。様々なデータを活用することで、これまで以上により精密な浸水の予想ができるようになったということだというふうに思います。
 その結果、浸水対策計画二〇二二では新たに、葛飾区金町、江戸川区中央を含む十地区が重点地区に追加されました。これはやはり、流出解析シミュレーションの技術を使って、時間当たり七十五ミリの雨を降らせたときの浸水リスクを評価して選定したということですけれども、では、新たな重点地区に選定された金町地区の選定の理由、そして、対策強化についてはどのようなことが検討されたのでしょうか。

○猪八重計画調整部長 葛飾区金町地区は、浸水実績に加えまして、流出解析シミュレーションにおいて床上相当の浸水がまとまって発生する状況が確認できたことから、新たな重点地区として選定をいたしております。
 当該地区におきましては、現在の下水道管の能力を評価した上で、必要な施設の規模等を検討し、対策の強化を図っていくことといたしております。

○和泉委員 つまり、流出解析シミュレーションによって、まとまった浸水が予想されると。具体的な対策としてはこれから検討していくんだ、このような答弁だと思います。
 東部低地である葛飾においては、下水道の雨水貯留施設がなく、雨水はひたすら下水道から川へとポンプで放出する、これが内水氾濫、浸水防止の対策とされてきました。大きな浸水被害もこの間少ないことから、見ていただきたいと思いますが、(パネルを示す)この赤い枠で囲っている地域、黄色い丸が雨水貯留施設です。そして、水色の小さな丸がポンプ所です。見ていただくと分かるとおり、荒川から東には雨水貯留施設が一か所しかありません。これでも浸水被害はそれほど多くはなかった。
 しかし、二〇一九年の台風十九号のときには、京成本線荒川橋梁の桁下一・二メートルまで荒川の水位が上がりました。地域の住民にとっては、近年の豪雨、台風による水害がいよいよ現実味を帯びたものとして受け止められ、水害対策に対する切実な要求が高まっています。
 ですから、金町地区が新たに重点地区に選定をされ、実際に内水氾濫を防ぐための何らかの対策が取られることは重要です。ぜひ下水道局には、雨水貯留施設の検討も含めて、一日も早い対策強化の具体化をお願いしたいというふうに思います。
 また、浸水対策計画二〇二二では、新たに重点地区が選定されただけではなくて、全国的な豪雨の激甚化、頻発化や気候変動の影響による将来の降雨量の増加を踏まえて浸水対策の強化が求められているとして、一時間七十五ミリ降雨を目標に下水道施設の整備を推進する、先ほど、冒頭の答弁でもありました。これは、いつまでにその計画を完了させようという計画期間になっているのでしょうか伺います。

○猪八重計画調整部長 下水道の浸水対策は大規模な事業となることが多く、事業用地の確保や対外調整、下水道管敷設ルートの検討など、着手までに長い時間を要することから、事業を円滑に進めるためには、長期的な視点で検討していくことが重要でございます。
 計画期間につきましては十五年として、下水道浸水対策計画二〇二二を取りまとめております。

○和泉委員 十五年を計画期間として、時間七十五ミリ降雨の対策を講じていく。もちろん、ご答弁にあったとおり、様々な課題をクリアしていかなければならないことというふうには思います。しかしながら、気候変動や豪雨などの今日的な新たな問題も想定に入れて整備水準を引き上げたことは重要だというふうに思います。
 荒川の東部地域の浸水対策をスピード感を持って進めていただきたい、と同時に、目標の達成に向けた下水道局のさらなる努力をお願いいたしまして、質問を終わります。

○西崎委員 初めに、私からは、まず、決算年度の下水処理量の実績について伺います。
 資料を読んでいきますと、令和三年度、これは前年度比の話ですが、区部下水道の処理量が二・八%増加している一方で、流域下水道は〇・九%減少ということでありますけれども、まず、これについての見解を伺います。

○鈴木経理部長 令和三年度における区部下水道の下水処理量は約十六億六千八百八十八万立方メートルで、令和二年度と比較して約四千五百七十八万立方メートル、二・八%増加しております。
 また、流域下水道の下水処理量は約三億六千七百十万立方メートル、令和二年度と比較して約三百四十三万立方メートル、〇・九%減少でございます。
 下水処理量は、汚水処理量の増減に加えて、降雨時に雨水が下水道管に流入することによっても増減をいたします。
 令和三年度の下水処理量は、降雨量の変化により、令和二年度と比べて、区部では増加し、流域では減少したものと考えられます。

○西崎委員 今、数字もお示しをいただきましたけれども、やはり降雨量、雨の量によっても影響を受けるということですので、なかなか予測も困難な部分もありますし、結果が出てきてどうだったというふうになるものかと思います。
 一方で、その中で見ていくと、下水道料金調定水量も一・一%減少しているという数字が出てまいります。
 さらに細かく見ていくと、小口の排水水量は減少している一方で、大口は増加しているということが分かりますけれども、これについてはいかがでしょうか、見解を伺います。

○鈴木経理部長 令和三年度の下水道料金調定水量は約十億七千七百万立方メートルで、令和二年度と比較して約千二百万立方メートル、一・一%減少でございます。このうち、一月当たりの水量が五十立方メートル以下の小口では約千五百万立方メートル減少し、同じく一月当たり千立方メートルを超える大口では約四百万立方メートル増加しております。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う社会経済活動の抑制により、令和二年度は、令和元年度と比較して、オフィスビルやホテルなど大口の事業用排水が大幅に減少する一方、ステイホーム等の影響もありまして、家庭からの生活排水であります小口は大幅に増加をしておりました。
 これに対し、令和三年度は、コロナ禍においても社会経済活動が徐々に再開される状況の中、令和二年度と比較すれば、小口は減少し、駅や空港など大口の事業用排水は僅かに増加に転じたものと考えられます。

○西崎委員 ありがとうございます。なかなか単純化して分析できるというものではないかと思いますけれども、今ご答弁でご指摘がありましたように、コロナ禍の動向というものも影響しているのではないかということは予測されるわけでございます。
 一方で、これについて、これまでのトレンドがどういうふうに推移をしてきているかということも当然局として把握をしているかと思いますけれども、じゃあ今後どうなっていくかということも、これまた社会状況の変化等々で予測も難しいところでありますけれども、これは、最後には、もう下水道施設の運営であるとか設備更新、そういったところにも究極には関わってくる話かと思いますので、私から改めていうまでもありませんけれども、注視をしていただきたいと思っております。
 次に、決算の数字の部分で伺いますけれども、今回の決算の大きな特徴といいますか、特筆点といたしまして、流域下水道の経常損失が五十五億円に上っているということが挙げられますけれども、この原因について伺います。

○田中総務部長 令和三年度の流域下水道事業の経常損失は、一般会計の負担により取得した旧庁舎用地の売却益である特別利益約五十億円をもって一般会計繰入金と相殺し、減額したことにより、一時的に増大したものでございます。

○西崎委員 一般会計繰入金が減って、相殺して減額されたということで、一時的な増大ということでございます。そうはいっても、そもそもこれは厳しい経営環境が続いてきているというようなこともありますので、継続的な努力が改めて必要であるかなというふうに考えています。
 もう一点、数字の部分で、下水道管理費における特別損失三十億円余りの内容、詳細について伺います。

○鈴木経理部長 令和三年度決算の下水道管理費における特別損失は、区部の中川水再生センターの既設基礎ぐいに係る固定資産の除却費用を計上したものでございます。

○西崎委員 これは現金支出を伴わない固定資産の除却費用ということでしたので、悪いものというよりは、むしろ適切な処理が行われているものであるということが確認をできました。
 この流れでちょっと企業債について伺ってまいりたいと思いますけれども、ここでは、規模の大きい区部に関して伺います。
 この決算では、企業債の発行を予算額に対して八三%に抑えているという数字が出ています。さらに今、長期的に見ても企業債残高の縮減というものが進んできているところです。
 一方で、これまでも、この委員会の質疑の中でも様々出てまいりましたが、設備の再構築というものも大きな課題とされます。これについては当然、多額のお金がかかってくるということですが、よく、将来世代の負担を残さないなんて話はありますが、一方で、こうした設備の再構築に当たりましては、将来世代ということだけでなく、現在の世代の負担が過度になってしまうということも避けなければならないと考えます。
 そこで、区部における企業債残高の縮減と、施設更新による将来の負担の平準化をどう整理して考えているのか伺います。

○田中総務部長 区部の下水道企業債残高は、ピークである平成十二年度末には約三兆円となっておりましたが、その後、建設投資の抑制等により着実な残高縮減に努めてきた結果、令和三年度末では約一兆二千億円となるなど、将来にわたる負担の軽減を図ってきております。
 事業効果が長期に及ぶ下水道の建設では、世代間の負担の公平を図っていくため企業債を発行し、事業規模に応じた一定の企業債残高を管理していくことが必要であることから、将来的な財政負担を見据え、企業債の発行規模や利率のバランス等を検証するなど、適切な発行、償還の管理を行っております。

○西崎委員 企業債について、最後にありましたように、適切な発行と償還の管理を行っていくということですけれども、世代間の負担の公平については、しっかりと図っていただきたいと思います。
 これまでも何度も何度も出ている再構築でありますけれども、これは超長期にわたる課題であるということでございます。
 そこで、改めて、この下水道設備の再構築の進め方について伺います。

○猪八重計画調整部長 下水道設備の再構築につきましては、計画的な補修によって法定耐用年数の二倍程度となる経済的耐用年数まで延命化するとともに、中長期的な事業の平準化などを図るアセットマネジメント手法を活用し、計画的かつ効率的に進めております。
 また、事業の実施に当たりましては、反応槽設備や汚泥濃縮機など、省エネルギー化等の大幅な機能向上が可能な設備につきましては、経済的耐用年数よりも前倒しして再構築を実施いたしております。

○西崎委員 ありがとうございます。特に、最後におっしゃっていただきましたように、必要に応じて前倒しで再構築を実施していくという考え方も非常に重要であると認識をしております。
 では、ここで、区部における設備再構築、この令和三年度末、どのように進捗が進んでいるのか、これについて伺います。

○杉山施設整備担当部長 現在、区部の下水道施設におけるポンプ設備などの主要設備は約四千台ございます。
 令和三年度には、三河島水再生センターの雨水ポンプ設備など八十九台の再構築が完了し、令和三年度末までの累計では二千四百十台の再構築が完了いたしました。

○西崎委員 現状、六割程度ということであります。進んできたともいえるし、まだ道半ばともいえる、そんな水準かと思います。
 この設備の再構築は全体的な維持管理コストというところにも関わる話でありますし、安定的な財政運営という視点でも一定程度影響するものなのかなと思っております。
 そこで、財政につきましては、これはもう本当に多岐にわたる取組が影響してくるものかと思いますけれども、その中から、企業努力における建設、維持管理コストの縮減に関しまして、令和三年度実績と、その中でも特に経常的にかかってくる維持管理コストの縮減の取組について伺います。

○家壽田技術開発担当部長 下水道局におきましては、これまで培ってきた知識や経験を活用しながら、新たな技術を開発、導入することなどにより、建設、維持管理コストの縮減に取り組み、令和三年度には四十七億円のコスト縮減効果を得ております。
 また、維持管理コスト縮減の主な取組といたしましては、省エネルギー型機器の導入や再生可能エネルギー活用による電気料金の縮減がございます。

○西崎委員 かなり企業努力を積み重ねてきているということで、実績も上がっているということでありますけれども、一方で、省エネ機器であるとか再エネ活用というお話も今お示しをいただきましたけれども、先ほど来議論があるように、カーボンハーフ、ニュートラルという課題も抱える中で、このコストの縮減や財政基盤の強化、これをセットで考えていくのは大変な難題であるように感じています。これに関しましては、これまで同様、引き続きの努力をお願いしたいと思っています。
 次に、これもしつこいようで恐縮でありますが、浸水対策について伺ってまいります。
 さきの報道で、台風十四号、十五号が激甚指定をされていく見込みというふうに聞いておりますけれども、気象災害としては、今年だけでも既に、これ、指定されれば三件目ということになりまして、ますます皆様の役割というものが重要になっているということを感じるわけでございます。
 これは地元の話で恐縮でありますけれども、目黒区も独自に豪雨対策計画を策定して取り組んでいるということでありますが、役割分担ということですので、東京都としては河川や下水道、区は流域対策ということで、それぞれ取り組んでいることかと思いますけれども、目黒区の方も流域対策というのが必ずしも順調に進んでいるかというと、なかなか課題もあるというのが実際のところでございます。
 一方で、当然、都としては、河川もそうでありますし、下水道対策というものをしっかり進めていくという必要があろうかと思います。
 そこで、目黒区内での下水道浸水対策の取組状況について伺います。

○猪八重計画調整部長 目黒区内につきましては、経営計画二〇二一におきまして、一時間七十五ミリ降雨に対応する施設整備といたしまして、目黒区上目黒、世田谷区弦巻地区、目黒区八雲、世田谷区深沢地区、目黒区自由が丘、世田谷区奥沢地区の三地区を位置づけ、事業を進めております。
 また、下水道浸水対策計画二〇二二におきまして、新たに目黒区下目黒地区を重点地区として追加をいたしております。

○西崎委員 ありがとうございます。目黒区では、対策強化地区として三地区で施策が進められているということに加えて、下水道浸水対策計画二〇二二で、新たに目黒区下目黒地区が重点地区として追加されたということです。
 では、目黒区下目黒地区が追加となったということですが、この選定理由について伺います。

○猪八重計画調整部長 目黒区下目黒地区は、浸水実績に加えまして、流出解析シミュレーションにおきまして、主に羅漢寺川幹線沿いの低地部にて床上相当の浸水がまとまって発生する状況となっておりますことから、新たな重点地区として選定をいたしております。

○西崎委員 要求資料の中からも読み取れますけれども、目黒区においても実際の被害も出ているところでありますし、住民の方の不安というものは非常に高まっているという状況です。この中で重点地区として対策を進めていくということは、非常に住民の方の安全・安心に寄与するものであると思います。
 東京都全体を見れば、先般、都市強靱化プロジェクトというものも動き出しているというふうに聞いておりますけれども、さらなる対策強化というものも求められていくという可能性もあるところでございます。非常に皆様も大変かと思いますけれども、生命や財産を守るインフラとして、ぜひ引き続き努力を続けていただきたいと思います。
 続きまして、目黒川の清流復活事業について、少しローカルな話が続いてしまいますけれども、伺ってまいります。
 これは、通常は水量の少ない目黒川に再生水を送っていただいているということでございます。さきの委員に対するご答弁の中で、目黒川に対する再生水の供給実績というものはお聞きをしたところです。たしか一日当たり二万七千立米というところですかね、これを落合水再生センターから送っていただいているということでありますけれども、一方で、降雨時の送水ルールというものがどうなっているのか、これについて伺います。

○袰岩施設管理部長 降雨時におきましては、気象情報及び河川情報等によりまして目黒川の水位上昇が予想される場合には、関係局と区による再生水の送水に関する申合せによりまして、送水を制限または停止することとなっております。

○西崎委員 先ほど来議論がありましたように、再生水の送水によりまして、水量の確保ということもありますけれども、同時にこれは、臭気対策、臭い対策に大きな効果があるというふうに目黒区では位置づけています。
 今なぜルールをお聞きしたかというと、今お答えいただきましたように、水位上昇が予想される場合には送水を制限または停止するという、こういう運用になっているということです。
 当然これは、大雨が降って、場合によっては氾濫するようなおそれがあるときに再生水を送り続けるということは、当然考えられないわけですから、こういうルールが設定をされているということでありますけれども、一方で、目黒区の目黒川水質浄化対策計画の中でもこれは指摘があるところなんですけれども、当然、大雨警報等が出たときに送水を停止するという運用になっているわけですが、全然違う地域で大雨が降っていて、目黒川は全然大丈夫なんだけれども、送水が停止されていると。そうすると、水量が減って、臭気がかなり上がってくる。それによって、住民の方々から、場合によっては苦情も入ってくるというような現実もあるということでございます。
 この中では、大雨警報の発令時に、今お答えをいただいた導水を停止するという運用について、今後検討が必要であるというふうに目黒区はいっているということであります。当然これは下水道局だけでどうにかなるというものではありませんけれども、ぜひ今後、連携をさらに深めていっていただきたいと、これは要望させていただきます。
 これで最後にいたしますけれども、改めて、風水害の激甚化というものは極めて深刻でありまして、皆様の取組は非常に重要であると思います。
 一方で、多くの方が、こうした風水害の対策が必要である、重要である、やってほしいと思っている一方で、下水道事業という切り口でいうと、どこまで都民の皆様に理解をいただいているかというのが、残念ながら、なかなかまだまだ厳しいものがあるんじゃないかなと思っております。
 今、こういう時代で、風水害の激甚化ということが話題になっている中でありますから、改めて、浸水対策事業、こういったものを円滑に進めるため、広報戦略としてしっかりと理解を進めていくことが必要かと思いますけれども、どのように都民の理解を進めているのか、このことについて伺います。

○田中総務部長 下水道局では、浸水からまちを守る下水道の役割や、浸水対策事業による被害の軽減、浸水に対する日頃からの備えなどについて、局ホームページや広報紙である、ニュース東京の下水道、「広報東京都」、電車内液晶モニターでの広告など様々な媒体を活用し、都民に広く情報を発信しております。
 さらなる理解促進を図るため、令和三年度には新たに、下水道幹線の再構築の工事現場や、大規模な雨水ポンプ施設を紹介する下水道インフラオンライン見学会を開催するなど、デジタルメディアを積極的に活用した広報を展開いたしました。
 また、感染症対策を徹底の上、都内の小学校で出前授業を実施し、模型を用いた実験などにより、子供たちに下水道の役割や浸水対策の必要性について学んでいただいております。

○西崎委員 ありがとうございます。風水害が関わる話ですので、これはチャンスというとちょっと語弊がありますけれども、やはり皆様の取組をしっかりと都民の方々に理解をしていただくべき局面であるというふうに私も捉えております。
 引き続き、都民の皆様の理解を得ながら着実に事業を推進していただくということを求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○曽根委員 私からは、まず、下水道局の気候変動対策について何点か質問いたします。
 たしか昨年の初頭のダボス会議で小池知事は、気候変動対策として、二〇三〇年までに都内のCO2など温室効果ガス排出量を二〇〇〇年対比で実質五〇%削減を目指すということを表明いたしまして、もう間もなく二年を迎えようとしています。
 これを受けて、下水道局がこれまで取り組んできた対策についても、目標も含めて、さらにグレードアップしていく必要があることは、先ほどもお話がちょっとありましたが、私は、下水道事業における地球温暖化対策として、とにかく水道局とともに、広大な敷地を有する水再生センターなど、こういう施設を全面的に活用した省エネ、再エネの対策が、この対策の大きな比重を占めるというふうに思いますけれども、昨年度までの主な地球温暖化対策とその実績について伺います。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、地球温暖化防止計画アースプラン二〇一七に基づきまして、温室効果ガス排出量の削減対策を推進いたしております。
 具体的には、微細気泡散気装置など省エネルギー型機器の導入や、下水汚泥が持つエネルギーなど再生可能エネルギーの利用拡大を図りまして、令和三年度、二〇二一年度には、温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で約二七%削減しております。

○曽根委員 この都の二〇三〇年までに五〇%削減という目標の、いってみれば二七%ということは、半分を超えるところまで到達したということは、私は、ほかの局などに比べても、かなり努力の成果が表れていると思います。
 たしか先ほどお聞きしたように、アースプラン二〇一七の目標は約三〇%削減でしたよね。しかし、これではもう、さらなる目標の水準を引き上げる必要があるということも含めて、努力が必要になってきているわけです。
 お話を聞きますと、この二七%削減の中で非常に大きな効果を発揮したのが、汚泥処理の過程で発生するCO2の三百倍ともいわれる温室効果ガスN2O、一酸化二窒素を除去して、温室効果ガスCO2に換算すると劇的に減らすことができたと。こういう取組の成果が反映されているということでした。
 アースプラン二〇一七を早期に達成すると同時に、さらに高い水準を目指すという上で、今後どこに力点を置いていくべきかについて、昨年度までの取組を見ながら、私なりの印象なんですが、CO2の削減幅が相対的に少し十分とはいえないんじゃないかというのが、再エネ発電の分野ではないかという私の印象でしたので、この点ちょっと質問したいと思います。
 再生エネルギーの発電量などで五〇%削減を目指すというのは、かなり厳しい目標だと思いますけれども、ここに重点を置くというふうに考えると、昨年度までの下水道局での太陽光発電設備などの設置状況がまだまだ十分ではないんじゃないかということで、この到達点と、どこまで進んでいるのかということについて、まずはお聞きしたいと思います。

○猪八重計画調整部長 令和三年度末までに、都内全域で下水道施設の敷地や建物の屋上など四十八か所に、約五千九百キロワットの太陽光発電設備の導入をいたしております。

○曽根委員 約五千九百キロワットの太陽光発電設備の導入が完了していると。実は私、先日、北区にあるんですが、浮間の水再生センターを見学させていただきました。ここでは五百五十キロワットの太陽光発電設備がありまして、ここも敷地の空きスペースをうまく活用して、努力の跡がかいま見られました。
 ただ、私の実感では、まだまだこの浮間の水再生センターについても、太陽光パネル、そのほか設置の可能性やポテンシャルがあるのではないかというふうに考えます。
 この太陽光発電によって、浮間の水再生センターで使用する電力量をどの程度賄っているのかお聞きします。

○袰岩施設管理部長 令和三年度には、太陽光発電により、浮間水再生センターの年間使用電力量の約三%に当たる約七十一万キロワットアワーの電力を発電いたしました。

○曽根委員 浮間の再生センターの三%に当たる電力量を発電していると。都の目標として、これから新しい環境基本計画で、二〇三〇年までに消費電力の五〇%を削減、もしくは再エネで賄うということが、エネルギーも可能な限り消費場所での地産地消、そこで使うエネルギーはそこでできるだけ生産するという目指す立場に立つならば、浮間の水再生センターで使用する通常の電力量の五割を化石燃料から再生可能エネルギーに転換させるとするならば、この太陽光パネル、ここの設備にあるものの約十七倍の発電設備が必要になるわけです。
 これは果たして可能なのかということなんですが、私、施設の中をずっと見まして、三つの点がいえると思いました。
 浮間の場合は、現在の敷地内のスペース、例えば正面玄関前の駐車スペースなど、さらなるスペースの活用を行うことが一つ。
 それから、施設上部の北区が管理している公園やスポーツ施設、ここは、建物の上にあるということで、かなりのゆとりスペースがあって、利用も、公園などはその一部が利用されているにすぎないという点では、太陽光パネル、そのほかの発電設備の設置可能性があるというふうにいえると思います。
 しかも、これは浮間の固有の条件ですけれども、すぐそばに流れている新河岸川。この対岸に、下水道局が今後、高度処理施設を設置する予定になっている敷地が、これも浮間センターに匹敵するぐらいの二ヘクタール近い面積が、草ぼうぼうの空き地になっているんですね。こういう各水再生センターなどの敷地を都全体として最大限活用して、二〇三〇年までの再エネ対策を急ピッチで拡大すべきではないかというふうに考えるわけです。
 それで、都として、太陽光発電設備などの導入方針はどのようになっているかお聞きします。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、アースプラン二〇一七に基づき、水再生センター等におきまして、施設の再構築や維持管理等に支障のない場所を活用して太陽光発電設備を導入いたしております。

○曽根委員 先ほど申し上げましたように、私が見学した限りでも、浮間の水再生センターの場合には、例えば、新河岸川対岸の高度処理施設の建設用地というのは、実は十年前に浮間の再生センターがスタートしたときにも計画はあったんですけど、新たな施設の計画は見通しが立っておりません。
 もう実際に草ぼうぼうになっているんですけど、それならば、二〇三〇年までのあと僅かな期間の緊急課題を優先にしてもいいんじゃないかと。
 例えば、太陽光パネルを設置しても、新しい高度処理施設ができれば、その屋上などに移し替えるなどの工夫ができるんじゃないか、これは技術的なことですけれども、そういうことを徹底して検討すべきじゃないかと。
 それから、施設の上部は、ほかの水再生センターでも大体地元区が公園やスポーツ施設で利用している場合が多いんですが、ほとんどの場合、区と都の両者の間で再エネ施設の活用の相談はされていないように思います。私が見た限り、浮間の上部もかなり空きスペースがありますので、ポテンシャルはあるんじゃないかと。
 とにかく発電した電気を都と区のどちらが使うかなども、要は社会に還元されれば十分に役割を果たせるわけですので、大いにこの点も協議して、連携して進めていただきたい。
 それでも五〇%を自前で発電するというのは大変厳しい目標になります。しかし、東京都が全庁を挙げて、都民と共に、あと数年でエネルギー、電力消費を実質半分に減らすという高いハードルに向かうことを考えますと、都内の巨大事業所として大きな電力を消費すると同時に、相当大きな敷地を抱えている下水道局が、自ら都民に見える形で先進的な取組を行うことが求められているということを指摘しておきたいと思います。
 それから、これも下水道局ならではの、例えば、水再生センターの特性を利用した再生可能エネルギーの活用を、これまた進めていく必要があると思いますが、太陽光発電以外の再生可能エネルギーを活用する取組と今後の導入方針について伺います。

○猪八重計画調整部長 下水道局ではこれまで、太陽光発電以外にも、小水力発電、消化ガス発電など、水再生センターの特性を利用して、様々な再生可能エネルギーを発電に活用しております。
 引き続き、アースプラン二〇一七に基づき、これらの再生可能エネルギーの活用を促進してまいります。

○曽根委員 今お話のあった消化ガス発電方式は、お聞きしたところ、いわばバイオマス発電の手法を生かした汚泥の長期間保存といいますか、発酵を進める中でメタンガスを取り出し、そのメタンの燃焼によるガスエンジンによる発電を行うという方法だそうですが、これは太陽光パネルに比べても効率よく大きな電力が得られるということが特徴だそうで、なかなか大変優れた手法だなと思いますが、同時に、汚泥の消化にかかる、二十日間ぐらいというふうにお聞きしましたが、その間、汚泥をためておく時間と、そのためのスペースの問題や、メタンを除去して、これによる発電に回しますと、残った汚泥の焼却処分にまた燃料が必要になるなどの熱エネルギーの問題が出てくるので、この点は、引き続きの技術開発が必要になるんじゃないかというふうに私も思いますので、今後も下水道局として、研究開発に努力するように強く求めておきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 下水道局の災害対策について、これもちょっと限定したテーマになりますが、マンホールトイレの設置の拡大について質問していきたいと思います。
 地震などの際に重要な課題として、住宅等の耐震化とともに、避難生活を、いかに安全で健康を確保できるかというのは極めて重要なテーマで、下水道局の事業としては、生活に欠かせないトイレの確保という点で、最も重要な使命を担っているというふうに思います。これは、避難生活を送る都民の排せつ物を確実に処理場に送れるかどうか、下水道の耐震化がこの点で鍵を握っているからです。
 阪神の震災は、私も都議会議員になりたての頃だったので、委員会としてもたしか視察にその後行きましたが、神戸市などの大都市、その中にある集合住宅、超高層マンションも含めて、大半が、建物は残ったんですけど、その多くが、エレベーターとトイレが改修できないために、全部取り壊さざるを得なかったという話を聞きました。トイレの不足というのは大きな問題になっていました。
 そこでお伺いしますけれども、下水道管の耐震性について、区部全体でどういう進捗状況になるのか、また、あわせて、私の地元の北区の到達点をお聞きします。

○新谷建設部長 下水道局では、避難所や災害復旧拠点などの施設を対象として、下水道管とマンホールの接続部の耐震化及びマンホールの浮上を抑制する対策を実施しております。
 令和三年度末までに、区部全体では四千六百十八か所が、北区では百八十一か所が完了しておりまして、区部全体、北区のいずれも、中長期目標に対し約八割が完了しております。

○曽根委員 今、八割の完了というふうにお答えになりましたが、これも私、最初勘違いしていたんですけれども、個人宅を含めた全てのところの数字ではなくて、避難生活の拠点のところを定めて、区がこれを定めるんでしょうが、そこにつながっている下水道管が、耐震化が八割済んでいるということで、あと二割で、例えば避難所や、また公園、病院など、避難所や拠点になり得るところの直結する下水道管の耐震性が確保されて、その周辺のマンホールはマンホールトイレが置けるという、この点は非常にこれから重要になってくると思います。
 私の地元は北区なんですが、北区におけるマンホールトイレの指定状況はどうなっているのか、この点についても併せて伺います。

○袰岩施設管理部長 北区内におきましては、区からの要望に基づき、仮設トイレが設置できるマンホールを令和三年度末までに四百五十二か所指定しております。
 なお、仮設トイレの設置が可能なマンホールは、避難所などの周辺において、下水道管の耐震化が完了したところから、し尿が堆積しない程度の水量があり、道路交通や応急活動などの支障にならない場所を対象としております。

○曽根委員 そうすると、二段階ありまして、北区では二百か所以上ある拠点とすべきところの下水道管については、八割の百八十一か所が耐震化が完了し、その耐震化された下水道管につながっているマンホール四百五十二か所が指定されていると。そこはマンホールトイレが置けるという状況だということですよね。
 地震の被害によっては、個人宅のトイレが使えない場合、やはり避難先のマンホールに設置する簡易トイレ、いわゆるマンホールトイレの役割が非常に重要になります。例えば、私自身、今も住んでいる二百七十五戸の大型マンションで十年以上にわたって自衛消防隊長を務めたんですけれども、複数の簡易トイレをその際に購入しましたが、実は私の住んでいるマンションの前の都道の地下の下水本管が、当時はまだ耐震化されていないということが分かりまして、愕然としたことがあります。
 その後、隣に、他地区に移転した国立病院の跡に大型病院ができまして、そこが災害拠点病院に指定されたものですから、前の道路の下水本管が耐震化されてほっとしました。
 ですから、簡易トイレを買うことはそんなに高くないんですけれども、地下の下水管が耐震化されていないと役に立たないわけなので、ここのところは、地元の自治会や消防団が、地下の下水道管の耐震化と、それにつながるマンホールを、地震のときに浮き上がらないようにきちんと耐震化してほしいというこの要望は、今、非常に強くなってきております。
 それで、ちょっとお聞きしたいんですが、下水道管耐震化の整備状況については、地元に対してどのように周知しているのかお聞きします。

○袰岩施設管理部長 各区が指定した避難所などの下水道管とマンホールとの接続部などの耐震化につきましては、工事の実施や完了につきまして各区に報告しております。

○曽根委員 完了の報告は区に対して行うということが原則のようなので、区の方で適切に地元の自治会などや関係団体にお知らせして、その地域ではマンホールトイレが設置できるかどうかについての問合せに答えていくと。
 これはなかなか微妙な問題がありますので、何でうちの前はやらないんだみたいな話も当然あり得ますので、区の方で配慮して、そういうお知らせの仕方をしてくれると思うんですが、いずれにしても、東京都が下水管を耐震化したところは、できるだけ早く完了報告を区に対して行ってほしいことと、今後、大型の集合住宅の前を耐震化すれば、その住宅のトイレが使える場合には、そこから出る下水管が耐震化されていることが極めて重要ですので、こういう点では、トイレ対策としては、大型集合住宅の前の下水管の耐震化というのもぜひ重視していただきたいと。今後増やす上では、この点を重視してほしいと思います。
 また、北区では、例えば、都営住宅の建て替えや公共施設の移転などで生まれた用地を、地元の要望を受けて防災公園としてこの間整備を進めています。これはほかの区でもやっていらっしゃると思います。その地元の自治会などは、防災公園をつくるんだったら、まず、マンホールトイレを設置できるような設計を強く要望しているわけです。
 私も相談を受けましたが、区は、予算上の限度があるということや、通常はたくさんのトイレを並べることはありませんので、そういう利用しない箇所に排水管を新たに地下に引くということは難しいという見解があるんですね。これはある意味では当然ですけれども、ここは何とか工夫が必要ではないか、また可能ではないかと。
 区立公園には、通常公衆トイレを配置しますので、そこから道路の下にある下水管までは、当然地下に排水管を配管することになりますので、私は、この地下の排水管の途中に、万が一の災害のときに、上から接続できる形でマンホールトイレが設置できるような設備を複数確保することは、災害対策上、大きな意味があるというふうに考えます。同時に、そこには、うまく排せつ物が流れていくような水量を確保するような工夫も当然必要になります。
 このように、今日は、二十三区の中に限ってですけれども、各地域、また、各区市町村で様々な工夫をしながら、住民の要望の強いマンホールトイレの指定箇所を増やしていくという課題に取り組んでいるわけですが、都はどのようにこれに対応していくのかを伺いたいと思います。

○袰岩施設管理部長 東京都地域防災計画では、災害用のトイレの確保は区の役割になっているため、マンホールトイレの拡大につきましては、区の要望に基づき対応しております。

○曽根委員 費用は区が出すんですけれども、トイレ、下水道管などについてのノウハウは、都が最も持っているわけで、マンホールトイレの指定が拡大できるように、北区も他区と同様、大変苦労しているわけですが、こういうことには、本来ならば都の財政補助も必要だと思うんですけれども、下水道局としては、区に対する技術的なアドバイスなど、都の積極的支援を今後も拡大していくように要望して、私の質問を終わります。

○うすい委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○うすい委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時三分散会

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