令和二年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

令和三年十月二十九日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長鈴木 錦治君
副委員長細田いさむ君
副委員長平けいしょう君
副委員長宮瀬 英治君
かつまたさとし君
磯山  亮君
伊藤しょうこう君
田の上いくこ君
須山たかし君
曽根はじめ君
里吉 ゆみ君

欠席委員 なし

出席説明員
港湾局局長古谷ひろみ君
技監山岡 達也君
総務部長相田 佳子君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務石井  均君
調整担当部長若林  憲君
港湾経営部長戸井崎正巳君
港湾振興担当部長猪倉 雅生君
臨海開発部長松本 達也君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務佐藤 賢治君
臨海副都心開発調整担当部長小原  昌君
港湾整備部長片寄 光彦君
計画調整担当部長薮中 克一君
担当部長港湾計画担当部長兼務水飼 和典君
離島港湾部長村田 拓也君
島しょ・小笠原空港整備担当部長川崎  卓君

本日の会議に付した事件
令和二年度東京都公営企業各会計決算の認定について
港湾局関係
・令和二年度東京都臨海地域開発事業会計決算(質疑)
・令和二年度東京都港湾事業会計決算(質疑)

○鈴木委員長 ただいまから令和二年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都臨海地域開発事業会計決算及び令和二年度東京都港湾事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○相田総務部長 去る十月二十日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和二年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきますと、目次に九件の資料の件名を記載してございます。
 それでは、一ページをご覧ください。臨海地域開発事業会計における土地処分の状況でございます。
 令和二年度の土地処分の状況につきまして、臨海副都心地域とその他の埋立地に区分し、それぞれ場所、面積、金額を記載しております。
 なお、単位については、面積は平方メートル、金額は百万円で記載してございます。
 二ページをご覧ください。臨海地域開発事業会計における公共用途での土地処分実績でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの五年間における土地処分の実績につきまして、それぞれ用途、面積、金額を記載してございます。
 なお、単位については、面積は平方メートル、金額は百万円で記載してございます。
 三ページをご覧ください。臨海地域開発事業会計における資金運用益の推移でございます。
 預金運用益につきまして、平成二十八年度から令和二年度までの五年間における実績及び期末残高を百万円単位で記載してございます。
 四ページをご覧ください。臨海副都心地域の土地処分実績でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの五年間における土地処分の実績につきまして、各年度の面積、金額及び実績の内訳を記載しております。
 なお、単位については、面積は平方メートル、金額は百万円で記載してございます。
 五ページをご覧ください。臨海副都心地域を除く埋立地の土地処分実績でございます。
 こちらも前ページと同様に、平成二十八年度から令和二年度までの五年間における土地処分の実績について、各年度の面積、金額及び実績の内訳を記載しております。
 なお、単位については、面積は平方メートル、金額は百万円で記載してございます。
 六ページをご覧ください。株式会社東京臨海ホールディングスの当期純利益等の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの五年間における、縦の欄にございます四項目、当期純利益、現金及び預金の期末残高、投資有価証券の期末残高、長期借入金の期末残高を百万円単位で記載してございます。
 七ページをご覧ください。東京テレポートセンターに対する臨時駐車場の延べ貸付面積及び貸付料でございます。
 平成三十年度から令和二年度までの三年間における延べ貸付面積及び貸付料を記載してございます。
 なお、単位については、面積は平方メートル、金額は千円で記載してございます。
 八ページをご覧ください。臨海関係第三セクターのビル入居率の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの各年度末におけるビルごとの入居率をパーセントで記載してございます。
 九ページをご覧ください。臨海副都心用地の長期貸付等に係る賃貸料収入の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの五年間における賃貸料収入につきまして、それぞれ長期貸付等、暫定利用の区分で記載しております。
 なお、単位については百万円で記載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○磯山委員 それでは、臨海地域開発事業会計について伺います。
 先月終了した東京二〇二〇大会は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受ける中での開催でありましたが、世界中から集まったアスリートたちが、多くの感動や希望を与えてくれたところであります。
 臨海部は、その舞台となった多くの競技場があったエリアであり、今後、大会レガシーを生かした魅力あるまちづくりを着実に進めていく必要があります。
 そのための財源確保が重要と考えますが、主要な収益である臨海副都心における土地売却の状況及び土地売却以外の貸付けなどの令和二年度の実績についてお伺いをいたします。

○松本臨海開発部長 臨海副都心におけます土地売却の状況についてでございますが、昨年十二月、公募によりまして、有明南G1区画及びH区画の進出事業予定者が、それぞれコナミホールディングス株式会社ほか二社から構成されるグループと、株式会社テレビ朝日に決定いたしました。
 これらの事業者の進出によりまして、最新のデジタルテクノロジーを駆使したエンターテインメントやeスポーツなどの新たな拠点整備が期待されるところでございます。
 今後、進出事業予定者への土地の処分によりまして、約二百二十三億円の収入を見込んでおります。
 また、臨海副都心におけます令和二年度の土地売却以外の状況につきましては、長期貸付の賃貸料は約六十四億円、事業用借地権設定によります貸付料が約十三億円の収入実績となっております。

○磯山委員 東京二〇二〇大会でも注目された有明地区は、今後、最先端のエリアとして民間事業者による開発が期待されるとのことであります。臨海副都心の土地売却は、着実に進んでいることがまた分かりました。土地売却以外の収入も、安定的に確保していることが確認できました。
 一方、資本的収支に約九百七十五億円の不足が生じていますか、その要因についてお伺いをいたします。

○松本臨海開発部長 臨海地域開発事業会計は、臨海副都心の基盤整備のために発行した企業債につきまして、土地売却等の収入を原資として償還する仕組みとなっております。
 令和二年度の臨海会計におけます資本的収支の不足額についてですが、約八百九十八億円の企業債の償還を行ったことが主な要因でございます。
 今回の償還は計画に基づいて行ったものでありまして、その原資として、損益勘定留保資金等、いわゆる内部留保金を充当いたしました。

○磯山委員 資本的収支の不足は、計画に基づいた企業債の償還によるものであり、内部留保金を充当したとのことです。会計原則どおり、これまでの土地売却等の収入を原資として企業債が償還されていることが確認できました。
 一方で、対予算という点では、資本的支出の中で、いわゆる投資的経費に当たる埋立事業費の執行率が四九・五%となっています。埋立事業費の執行率が低くなった要因について伺います。

○松本臨海開発部長 令和二年度決算におきまして、例えば道路改良や橋梁改良、護岸改修などの経費である埋立事業費の執行率が低くなりましたのは、東京二〇二〇大会の延期や新型コロナウイルス感染症拡大に伴う工事の遅れ等が主な要因でございます。
 具体的には、大会の仮設施設の整備におきまして、地中障害物が生じた場合に備え、その撤去等に対する補償金を予算計上しておりましたが、大会の延期に伴い、仮設施設の整備が一時的に中止となり、補償金の執行が抑えられたことなどが執行率の低下につながったものでございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、一部の事業を今年度に繰り越して実施したことや、無電柱化推進のための道路改良など、関係者との協議に時間を要し着手が遅れた事業があったことも執行率低下の一因でございます。

○磯山委員 ただいまの答弁から、埋立事業費の執行率が低くなった主な要因として、東京二〇二〇大会の延期という想定外の出来事が影響し、地中障害物が生じた場合に備えて予算計上していた補償金を執行しなかったことや、新型コロナウイルスの感染拡大による工事の遅れがあったということが確認できました。
 一方で、臨海部の基盤施設維持のための事業については、まちづくりにとって極めて重要なものであるので、関係者との協議を粘り強く進め、全体の工程に影響が出ないよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 さて、都議会自民党はこれまでも、臨海地域開発事業会計について、企業債の計画的な償還などを含め、その会計運営を注視してきたところであります。
 改めて、企業債の償還計画を含めた臨海地域開発事業会計の今後の見通しについてお伺いいたします。

○松本臨海開発部長 令和二年度末現在の企業債残高は約九百七十五億円でありまして、これは令和六年度に全額を償還する予定でございます。
 臨海地域開発事業会計では約千六百四十二億円の内部留保金を保有しており、また、約三十九ヘクタールの未処分地もありますことから、企業債の償還には十分対応できる状況にあると考えております。
 今後とも、社会経済状況等を見極めながら適切な土地処分を進めるとともに、新たな行政需要への対応等も視野に入れまして、引き続き会計運営の適正化に努めてまいります。

○磯山委員 企業債の全額償還に向けて、十分な資金、資産を有していることが確認できました。今後も、大会レガシーを生かしたまちづくりに向けて堅実な会計運営に努めていただきますよう要望をさせていただきます。
 また、臨海副都心が将来にわたって魅力あるまちであり続けるため、必要な施設更新についても、今後、十分検討していただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 次に、臨海副都心における、まちの魅力づくりについてお伺いをいたします。
 臨海副都心は、広大なシンボルプロムナード公園を骨格とし、観光やエンターテインメント施設が数多く立地しており、にぎわい創出の場としてポテンシャルの高さを誇るエリアでございます。
 これまで、その広大なスペースを生かして大規模イベントが開催される等、多くの来訪者でにぎわうエリアでありましたが、新型コロナウイルス感染症の流行以来、大型イベントが次々と中止になるなど、臨海副都心への来訪者は減少し、まちは大きな打撃を受けているといった現状があります。
 そのような中においても、まちに活気を取り戻すための取組として、都は、アートによる新しい魅力づくりとして、感染症対策を徹底しつつ、アートプロジェクトに取り組んできました。
 そこで、改めてアートプロジェクトの狙いについて伺います。

○松本臨海開発部長 アートプロジェクトは、アートの魅力により臨海副都心への来訪を促すとともに、地域のブランド力を高め、まちの新たな魅力づくりを目指す取組でございます。
 昨年八月には、シンボルプロムナード公園内にある夢の広場におきまして、アートプロジェクトの拠点となるARTBAY HOUSEを整備いたしました。
 ARTBAY HOUSEは、八つのキューブで構成されるデザイン性の高い建築物で、室内外の白い壁をキャンバスに見立てることにより様々なアートプログラムを展開できるほか、カフェも併設しており、来訪者に楽しんでいただける空間となってございます。

○磯山委員 国内外における魅力あるまちを見渡しますと、アートがまちにしっかりと根づいており、多くの人々をまちへ引きつける一因となっています。
 ARTBAY HOUSEについては、その洗練されたデザイン等により、建築専門誌に取り上げられたほか、若い女性を中心とする来訪者がSNSに写真を投稿するなど、高い魅力と注目を集めたと聞いております。アートの魅力が人を引きつける可能性があることを感じさせます。
 ARTBAY HOUSEを中心とした昨年度のアートプロジェクトの取組実績について、次にお伺いいたします。

○松本臨海開発部長 ARTBAY HOUSEでは、芸術作品の制作過程を公開するなど、アートを肌で感じていただくために体験型のイベントを定期的に実施してきたところでございます。
 昨年九月には、日本科学未来館をメイン会場とします文化庁主催のメディア芸術祭とも連携し、アーティストによる公開制作やユニークな楽器による演奏会などのイベントをARTBAY HOUSEにおいても行うことによりまして、まちの回遊性を高めることにも貢献いたしました。
 また、十一月から十二月には、白い壁を生かすことで、臨海副都心全体のイルミネーションと連動させたプロジェクションアートを投映することによりまして、まち全体を華やかに彩り、多くの来訪者を魅了したところでございます。

○磯山委員 趣向を凝らしたアートイベントは、まちの新しい取組として来訪者に印象づけられたのではないかと思います。
 また、国のメディア芸術祭や地域のイルミネーションとも連携しながら、まち全体で取り組んでいく試みは、来訪者の回遊性向上にもつながり、臨海副都心全体が魅力ある都市として発展していくために非常に重要だと考えます。
 一方で、昨年度は、新型コロナウイルスによる感染者数が急激に増え、集客によるイベントの開催が難しい期間があったと思います。
 そこで、新型コロナウイルスの流行により、まちへの来訪を促すことが難しい時期において、どのように対応してきたのか、お伺いをいたします。

○松本臨海開発部長 これまでも、イベントの開催に当たりましては、来訪者等への消毒や検温の実施に加え、アクリルパネルの設置を行うとともに、時短開催や人数管理など、感染対策を徹底してまいりました。
 特に緊急事態宣言下におきましては、集客によるイベント開催が困難であったことから、映像の配信による企画に切り替えるなど、柔軟な対応を行ってまいりました。具体的には、メディア媒体との連携により、臨海副都心を題材とした写真展を番組内で放映するとともに、その番組を編集した映像は、ウェブ上でも公開したところでございます。
 今後とも、ポストコロナに向けて、まちのにぎわいを取り戻していくため、感染症対策に留意しつつ、こうしたウェブによる取組と集客による取組を組み合わせながら、まちの新たな魅力づくりの一つとして、アートによる取組を着実に進めてまいります。

○磯山委員 新型コロナウイルス禍という困難な状況下においても、アートなどの芸術活動は、人々に勇気や明日への希望を与えてくれるものであると感じております。アートがまちに活気を与え、新しいまちのブランドとして根づいていくためには、創意工夫を施しながら取組を進めていくことが必要です。
 今後も、まちの魅力を高めるために、アートプロジェクトに関する取組が継続されることを要望して、質問を終えます。

○平委員 私からは、令和二年度公営企業会計決算の港湾局臨海地域開発事業会計についてお伺いをいたします。
 臨海地域開発事業会計における、いわゆる設備投資等の経費に当たる埋立事業費は、主に臨海部における基盤施設維持等のための事業費であります。具体的には、護岸改良等の費用や、道路の無電柱化や橋梁等の改修費用、あるいは臨海副都心における道路や公園の整備費用等が含まれており、都民の生活に関連し、人命に関わる重要な事業であると認識をしております。
 地震等の災害による被害を最小限に抑えるためにも、事業を着実に執行していくべきと考えますが、令和二年度の執行率は五〇%を下回っております。
 昨年度、低い執行率になった理由について、個別事例を含め、具体的にお伺いをいたします。

○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 埋立事業費の執行率が低い要因でございますが、東京二〇二〇大会の延期に伴い、施設整備に伴う地中障害物の発生に備えた補償金の執行が抑えられたほか、個別の事業執行においては、新型コロナウイルス感染症拡大による要因もございます。
 具体的には、護岸改良や橋梁等の改修などは、工事に関わる業務委託等について、業務の一時中止による履行期限の延長を行い、今年度に事業を繰り越して対応したため、執行率にも影響がございました。
 また、道路の無電柱化については、関係者との協議等に時間を要し、着手が遅れた事例もございます。

○平委員 都は、首都直下地震や南海トラフ地震に関する被害想定について、現行の想定公表時から高齢化が進んだ等の理由に鑑み、二〇二二年度初めをめどに新たな想定を公表し、都の地域防災計画に反映させるとしていますが、これは都が危機意識を感じていることがうかがえます。
 地震や洪水など、自然災害はいつ起こるか分からない。そんな中、護岸改良や橋梁等の改修、道路の無電柱化事業をしっかりと進めていかなければなりません。
 そこで、低い執行率の事業について、現状は進んでいるのか、状況をお伺いさせてください。

○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 新型コロナウイルスの影響で今年度に繰り越した事業は、既に全て完了してございます。
 なお、事業に遅れが生じたものは、今後の発注の前倒しなどを検討し、全体工程を見直しており、現時点で支障は生じておりません。
 道路の無電柱化につきましては、埋設企業者の既存ストックである埋設管等を活用して短期間で整備する方式を検討しており、事業の遅れが生じないようにしているところでございます。

○平委員 新型コロナウイルスの影響で今年度に繰り越した事業は、既に全て完了している、道路の無電柱化について、短期間で整備する方式を検討し、事業の遅れが生じないようにしているとの答弁でございました。
 これから冬に近づく中で、コロナは第六波の懸念も考えられます。港湾局が抱える重要な事業を着実に進めるためにも、こうした対応が後手に回らないよう、あらかじめ十分な対策を立て、備えを万全にしておくべきと考えます。見解を伺います。

○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 これまで港湾局では、東京都における公共工事の新型コロナウイルス感染症拡大防止対策ガイドラインを踏まえ、工事の受注者等に対し、感染拡大防止対策の徹底を求めてまいりました。
 今後は、感染症対策の徹底はもとより、万が一の新型コロナウイルス感染症の再拡大に備え、関係者等との調整や協議を円滑かつ速やかに実施する体制を整え、事業の進捗に遅れが生じないよう、着実に推進に取り組んでまいります。

○平委員 ありがとうございます。事業の着実な推進に取り組むとのご答弁でございました。
 本日取り上げた個別事業を含め基盤施設を整備し、都民の生命や財産を自然災害から守るため、対策をしっかりと整えておくことを強く要望しておきます。
 続いて、太陽光発電設備設置についてお伺いをいたします。
 東京港の運営を支える港湾事業会計は、東京港に運ばれてくる貨物、コンテナによる運搬をはじめ様々な荷姿で運ばれてきますが、その中でも国内貨物輸送において、貨物を載せたトラックが直接貨物船に乗り込み、荷台部分を切り離し、荷台部分をそのまま載せたまま、次の寄港地へ輸送する手法があります。
 こうした荷物の積卸し方式に対応するふ頭をユニットロードターミナルと呼んでおり、昨年、我が会派は、公営企業会計決算特別委員会の分科会質疑において、十号地その二ふ頭で進めているユニットロードターミナルについて取り上げたところでございます。
 今回、令和二年度東京都港湾事業会計決算説明書にも、十号地その二ユニットロードターミナル施設整備についての記載がございました。
 具体的な事業内容と、それぞれの執行率についてお伺いをいたします。

○戸井崎港湾経営部長 ユニットロードターミナルにおきましては、トラックがそのまま貨物船に乗り込むことから、トラックがスムーズに走行をするためのヤードがふ頭の中に必要となります。
 十号地その二ふ頭におきましては、三つの上屋を新たに一つの大きな上屋に集約して生み出した跡地をヤードとする整備工事を進めております。また、上屋を新築して集約することによりまして、荷さばきや一時保管の効率を向上し、ふ頭の機能強化を通じまして国内貨物輸送の効率化、円滑化につなげてまいります。
 お話の十号地その二ユニットロードターミナル施設整備事業につきましては、予算の九九%以上が上屋の新築と撤去の工事関係費用でございまして、執行率もほぼ一〇〇%となっております。
 このほか、上屋屋上の太陽光発電設備の設置に関する実施設計費用も予算計上をしておりますが、予算執行には至っておりません。

○平委員 十号地その二ユニットロードターミナル施設整備事業については約九九%の執行率となっており、ぜひ国内貨物輸送の効率化のためにも、着実に事業を進めていただきたいと思います。
 一方で、太陽光発電設備設置の実施設計について、予算が執行されていないということを伺いました。その理由をお尋ねいたします。

○戸井崎港湾経営部長 十号地その二ふ頭におけるユニットロードターミナル施設整備は、荷さばきの効率化のために、上屋の集約やヤードの再編を進めるものでありまして、併せて、環境負荷低減の観点から、上屋屋上に太陽光発電設備を設置することとしております。
 施設整備に当たりましては、利用者を含む様々な関係者と協議を行いながら進めていく必要がございますが、その調整に時間を要し、本体の建設工事の完了が遅れたこともございまして、予算の執行ができませんでした。

○平委員 利用者等、関係者と調整を行い、事業を進めていかなければならないことは理解できます。しかし、本年度も調整に時間がかかり、太陽光発電設置の設計に着手できていないことも伺いました。
 都内CO2排出量の約七割が、事業所や住宅などの建物由来です。今年度の第三回定例会において、小池知事は所信表明の中で、世界の脱炭素化に貢献をしていく、ゼロエミ東京の実現に向けた二〇五〇年を見据え、数十年にわたり使い続ける住宅等の建物を、環境面、防災面にも優れたサステーナブルな性能に転換をする、新たに一定の新築建築物に太陽光発電の設置を義務づける都独自の制度導入に向けた検討を開始する、そして、抜本的な取組強化も図り、都の環境政策を新たなステージに導くとの表明がございました。これは住宅等も含めた施設の話ではありますが、国に先駆けて表明したことで、大きく注目をされました。
 港湾における施設を含め、都立施設への太陽光発電設置は既に取り組まれており、着実に設置していくべきであるというふうに考えております。
 そこで伺いますが、十号地その二の上屋における太陽光発電設備の設置を着実に進めていくことはもとより、今後も、港湾エリアにおける環境負荷低減のために、太陽光発電設備の設置を進めていくべきと考えます。見解をお伺いいたします。

○戸井崎港湾経営部長 お話の十号地その二の上屋に設置する太陽光発電設備につきましては、関係者間の調整を速やかに進め、着実に整備を進めてまいります。
 また、これまで、港湾関係事業者が利用する都有の上屋等につきましては、新築、改築等の機会に太陽光発電設備の設置を進めてまいりました。具体的には、平成二十一年度以降、港湾事業会計所管の都所有施設では、品川内貿ふ頭、辰巳ふ頭、中央防波堤内側ふ頭、これらの上屋などの屋上に、合わせて約三百五十キロワットの発電容量の太陽光発電設備を設置し、運用しております。
 今後とも、施設の建て替えなどの際には、上屋等の利用者の理解、協力の下に、太陽光発電設備の積極的な導入を推進してまいります。

○平委員 十号地その二の上屋に設置する太陽光発電設備については、関係者との調整を速やかに進め、着実に整備を進めていくとのご答弁でございました。施設の建て替えなどの際、太陽光発電設備の積極的な導入も推進していくということでございます。
 今後も、施設の建て替えなどの機会を捉え、積極的に太陽光発電設備の設置を進めるよう要望いたしまして、私の質疑を終えます。ありがとうございました。

○細田委員 私からは、令和二年度港湾局の公営企業会計決算に当たりまして、これに関連する臨海部の自転車通行空間の整備と、それから海上公園の整備について、大綱二点にわたって質問いたします。
 まず、臨海部の自転車通行空間の整備であります。
 東京臨海部の自転車通行空間の、この身近な交通手段であります自転車は、環境の負荷が少なくて、東京を車中心の社会から人中心のまちへ転換していくためには、なくてはならない乗り物になっています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、自転車は、密閉、そして密集、密接の三密を回避する交通手段としても注目されておりまして、まさに新しい日常が定着した社会にふさわしい乗り物であると考えております。
 都議会公明党は、昨年の事務事業質疑で、ポストコロナを見据えて、広大な臨海部において、電車などの人混みを避けられる交通手段として自転車の活用を進めていくべきである、このように訴え、主張してまいりました。
 臨海部では、国などとも連携をして自転車通行空間の整備を進めています。また、この臨海部では、臨海地域の地元四区が先駆けとなりまして、都も支援をしているレンタル自転車によるバイクシェアが定着して、人々が通勤や観光、余暇を過ごす際の重要なツールになってきています。私も、江東区議会議員であった頃より、これを推進してきたところでありますが、常日頃、バイクシェアを大いに活用して臨海部で活動する一人であります。
 将来にわたって自転車を積極的に活用していくためには、誰もが安全かつ快適に通行することができる、この自転車通行空間を整備していくことが何より重要になっています。
 そこで、臨海部において自転車通行空間をさらに積極的に整備をしていくべき、このように考えますが、これまでの実績と今後の取組について都の答弁を求めます。

○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海部の自転車通行空間につきましては、東京二〇二〇大会の競技会場周辺を中心に整備を進め、国道等とのネットワーク形成を図ってまいりました。
 昨年度におきましては、新砂夢の島線など約三・二キロメートルの埋立道路等の整備を行い、これにより、大会開催までに整備すべき約三十二キロメートルについて、全ての整備が完了したところでございます。
 今後は、観光施設等が集まる青海地区や有明南地区などを中心に、約十三キロメートルの整備を進めていく予定でございます。

○細田委員 自転車通行空間の整備について、積極的に整備を進められていることを確認いたしました。どうぞ今後ともしっかりと前に進めていただきたい、このように思います。
 一方、臨海部は、首都圏の四千万人の産業と生活を支えます東京港があります。コンテナ車をはじめとする大型の物流車両が頻繁に通行しているエリアであります。交通の安全と安心が必要です。多くの方々に安全に自転車を活用してもらう上でも、大型の物流車両とのすみ分けを考えていただいて整備を進めるべきだと思います。
 そこで、この臨海部において、いかなる点に配慮をして自転車通行空間の整備を進めてきているのか、都の見解を求めます。

○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 東京港を抱える臨海部では大型物流車両が数多く通行していることから、自転車通行空間の整備に当たっては、円滑な物流及び自転車の安全性の確保に十分配慮する必要がございます。
 そこで、基本的に、大型物流車両の通行が特に多いコンテナふ頭背後の道路以外を自転車通行空間の整備対象とし、加えて、安全性を確保するために歩道の一部を活用した通行空間の整備を進め、交差点では自転車待機スポットを設置するなど、道路事情に応じた整備を進めております。
 さらに、歩行者と自転車とが接触しないよう、通行エリアを植栽等で構造的に分離する整備形態を基本とするなど、広い歩道を備えた臨海部の特徴を踏まえた整備を進めてございます。

○細田委員 自転車の待機スポットだとか、また、歩道と植栽との、公道上の通行エリアを分離する整備形態、これはまさに臨海部の特徴を踏まえているということで、大いに評価できます。
 また、ポストコロナを見据えますと、より多くの方々に自転車を活用してもらうために、自転車通行空間の整備位置などを都民へしっかりと伝えていく必要もあると思います。
 そこで、臨海部の自転車通行空間の情報について、都民などに十分に周知をしていくべきと考えますが、都の取組について見解を求めます。

○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海部で安全かつ快適に自転車を活用してもらうためには、都民等へ積極的に整備対象路線などを周知し、理解を得ていくことが重要となります。
 そこで、これまでの整備状況や、道路事情に応じた工夫など、整備に当たって配慮した点等を記載した港湾局自転車通行空間整備計画の改定版について、本年五月にホームページ上で公開し、都民などに広く周知したところでございます。
 これにより、都民が整備対象路線を容易に把握することが可能となり、例えば東京二〇二〇大会トライアスロン競技のバイクコース等を自転車で周遊して楽しむなど、ウエルネスライフの発展にも寄与できると考えています。

○細田委員 自転車は、健康増進に寄与するほか、現在は、密を気にせず気軽に移動できる最適な交通手段となっています。今、ご答弁にありましたような、まさに東京二〇二〇大会のトライアスロン競技のバイクコースを周遊で楽しめる、こういうウエルネスライフの発展にも寄与するという、魅力あるこの空間整備をしっかりと取り組んでいただきたい。また、安全かつ快適な整備に、さらに注意を払って取り組んでいただくことを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 海上公園の整備についてです。
 令和二年度におけます海上公園の整備について質問します。
 先月まで実施されていました東京二〇二〇大会では、臨海部の海上公園や、今後の開園予定地の多くの会場が活用されていました。
 この中でも、私は特に、新たなまちづくりが進む晴海地区や有明北地区にある海上公園に注目をしております。この地区の海上公園は、大会のレガシーを後世に伝えるという重要な役割を担うと考えておりまして、今回は、この地区の海上公園について質疑をさせていただきます。
 まず、晴海地区についてです。
 選手村が開設されました晴海地区では、大会が開始される直前まで、大会会場にふさわしい空間となるよう各種の整備が進められておりました。
 晴海地区における令和二年度の海上公園の具体的な整備内容について質問をいたします。

○松本臨海開発部長 晴海地区につきましては、水辺の魅力を楽しめるようにするため、現在、新たに晴海緑道公園の整備を進めております。令和二年度につきましては、園路等の整備を実施いたしました。
 なお、晴海地区には、選手村の設置に伴い、平成二十九年十月より一時的に閉園中である晴海ふ頭公園がございますが、リニューアル工事を行った上で再び開園する予定としておりまして、晴海緑道公園と併せまして、新たな水辺の緑のネットワークを形成してまいります。

○細田委員 晴海地区では、晴海ふ頭公園のリニューアルと晴海緑道公園の新規開園が予定されておりまして、水辺の緑のネットワークの形成が図られるということであります。
 今後、晴海地区は、新たなまちづくりが進んで、多くの住民が暮らす新しいまちとなります。晴海ふ頭公園や緑道公園は、新たな住民にとっての、この地が選手村であったことを伝えていく貴重なレガシーになると思います。そして、ほかの地域から訪れる人々に対しても、今回の大会の成功を伝える貴重な空間としていくべきだと考えます。
 そのためにも、大会の成功の記憶が人々に残っているうちに早期に開園することが望ましいと考えますが、晴海ふ頭公園と晴海緑道公園について、大会後に行う整備工事の内容及び開園予定時期について都の説明を求めます。

○松本臨海開発部長 晴海ふ頭公園につきましては、公園エリアを広げ、広大な芝生園地とランニングも可能な園路を配置するとともに、新たなにぎわい創出に向け、海辺にふさわしい船をかたどった大型遊具や噴水を設置いたします。また、海上公園では初となる官民連携事業を導入いたしまして、コワーキングスペース等を併設したカフェを整備してまいります。
 晴海緑道公園につきましては、案内板の設置や舗装等の整備を進めてまいります。
 これらの二つの公園では、東京二〇二〇大会のレガシーを継承する場とするために、大会開催を記した銘板を設置する予定でございまして、令和四年秋の開園を目指しております。

○細田委員 晴海地区の公園は、東京二〇二〇大会の期間中に、海外の多くの選手たちに憩いの場として活用されたところでもありますが、今後は、多くの都民にもレガシーを伝える空間としての運営をしていっていただきたいと求めておきます。
 そして、晴海と同じく、東京二〇二〇大会によって大きく注目された有明北地区も、新たなまちづくりが進みつつあるエリアになります。
 ちょうど二年前の本委員会で、私は、有明北地区にある新規計画のある有明親水海浜公園について意見表明をさせていただきました。東京二〇二〇オリ・パラ大会後に、江東区の有明一丁目から東雲一丁目にかけて、自然環境の回復と保全のために整備がされていく、こういう予定であります。
 お台場海浜公園と同規模の七ヘクタールとなるこの有明親水公園のすぐ横は有明アーバンスポーツパーク、これは自転車競技やスケートボード−−スケートボードでは、まさに堀米雄斗選手が金メダルを取られたり、女子の西矢椛さん、金メダル、そしてギネス世界記録、また、銅メダルの中山楓奈さん、こういう方々も、メダルを若い方々が取られたという、そんなエリアとなりました。
 そして、有明体操競技場、これも真横です。ここではボッチャの会場になりました。まさに、ボッチャ、パラリンピックで杉村選手が金メダルを取られた、このようなことの記憶も皆様に新しいと思います。
 また、有明アリーナ、これはバレーボール、車椅子バスケットであります。
 安全で親水性のある水と緑の都立公園として、この魅力を大いに高めた上で、まさにこのエリアに東京二〇二〇オリ・パラ大会のレガシーも確実に残して、オリ・パラ大会終了後に速やかに完成していただくことを意見表明し、要望いたしました。
 そして、有明親水海浜公園は、有明アリーナと一体的に公園整備を進めていくとされておりますが、水路沿いの散策を楽しむ公園としても期待をされています。
 そこで、有明親水海浜公園におけます令和二年度の整備内容について、その説明を求めます。

○松本臨海開発部長 有明親水海浜公園の予定地についてでございますが、東京二〇二〇大会の期間中におきまして、隣接する有明アリーナ等とを一体的な空間として活用するため、園路やスロープを暫定的に整備いたしまして、関係者が移動動線として活用されておりました。
 令和二年度につきましては、大会終了後、早期に公園開設に向けた準備に着手できるよう、東雲運河沿いに親水性の高い園路等を整備するための設計等を実施いたしました。

○細田委員 大会後の開園を見据えて着実に準備が進められてきたということでありますが、今後も有明アリーナを訪れた人々が水辺を楽しめるようにしていくことは、まちのこのエリアの魅力を高めるためにも大変に重要になってまいります。
 多くの人々が大会のレガシーを肌で感じられるようにするためにも、大会会場施設であった有明アリーナ周辺などの整備を早期に進めていただきたいと思いますが、有明親水海浜公園の今後の整備予定について都の見解を求めます。

○松本臨海開発部長 有明親水海浜公園につきましては、今後、新規開園に向けた仕上げの整備を行い、段階的に開園を進めていく予定でございます。
 まずは、有明アリーナの運用開始に合わせ、その周辺部分につきまして、令和四年夏の開園を目指してまいります。開園後は、アリーナの前面に広がる東雲運河を間近で眺めることができるようになり、来訪者の方々に気軽に水辺に親しんでいただけるものと考えてございます。
 あわせて、その他の開園予定地につきましても、スケートボード競技などで注目を集めました有明アーバンスポーツパークの活用方針と整合を図りつつ、オリンピックレガシーを伝える空間として、順次整備を進めてまいります。

○細田委員 分かりました。どうぞ来年の夏の有明親水海浜公園のオープン、そしてまた、レガシーを伝える様々なこの取組をしっかりと進めていただくことを要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

○曽根委員 私からも、臨海副都心開発事業について、簡潔に質問したいと思います。
 一九九〇年当時のまち開きから、既に四半世紀が経過しております。本来ならば、まちづくりの熟成期に入っているはずですが、いまだにかなりの未処分地を残し、事業の途中には財政破綻も繰り返し、これを穴埋めするために、埋立事業会計や羽田沖埋立事業会計などとの会計統合を行い、計画当時の土地価格で積算すると、約二兆円を超える財産をつぎ込む結果となりました。
 そしてまた、進出企業を誘致するために、処分方針も、当初の新土地利用方式による長期貸付から売却に変更し、まちづくりのコンセプトも、情報と金融の新たなセンターとなるオフィス街構想というものから、ついには産学遊楽というような、とにかく進出するならどこでも歓迎というように、オフィスでも、大学研究施設でも、レジャー施設でも、病院でも何でもありという方針にさま変わりしてきたわけです。
 この何でもありという流れの中で、私の記憶では、石原知事の当時に急速にカジノ構想が浮上したこともあり、また免税特区構想などの様々なプランが浮き沈みしましたが、いずれも不発に終わってきました。
 現在は、オリ・パラの恒久スポーツ施設や仮設会場などが点在しているわけですが、本来の副都心構想のまちづくり方針はどうなってきているのか、この点について幾つか質問したいと思います。
 まず、昨年度、遅れている土地処分はどこまで進んだのか、二〇二〇年度の臨海副都心事業における土地処分はどのように進んだのか、お聞きします。

○松本臨海開発部長 令和二年度の臨海副都心の土地処分につきましては、公募により有明南G1区画及びH区画の進出事業予定者が決定いたしまして、今後、収入を見込んでおります。

○曽根委員 今お答えのあった有明南の二つの街区は極めて小さな街区でありまして、しかも、以前から契約の交渉が行われて、ようやく昨年度に契約が行われ、土地処分による収入は来年度以降ということになるわけです。
 しかし、これ以外の、例えば有明北や、それから青海の地域には、広く残された開発用地があり、有明北は、五輪関係の仮設施設やビッグサイトの代替地などに活用していますけれども、それ以外の本格的な処分実績はさほど進んでいないと思います。
 事業を副都心計画として継続していく展望があるのかについては、甚だ疑問があるところですが、今後もこのまま副都心事業を継続していくことになるのかどうか、この点をお聞きします。

○松本臨海開発部長 臨海副都心の未処分地につきましては、その多くが東京二〇二〇大会の競技会場や関連用地として活用されていたため、大部分の土地処分を見合わせてまいりました。
 一方、先ほど述べましたとおり、有明南地区におきましては、新たな事業者の進出が決定し、今後、都民にとって最新デジタルテクノロジーを駆使したエンターテインメントやeスポーツなどを体感できる新たな拠点となることが期待されております。
 引き続き、臨海副都心まちづくり推進計画や臨海副都心まちづくりガイドライン等に基づきまして、臨海副都心におけます開発事業を推進してまいります。

○曽根委員 部分的には、今お答えのあったように、デジタルテクノロジーなど様々な新技術を駆使したエンターテインメント、またはオリ・パラ施設などの活用などはある程度進むかもしれませんが、副都心事業全体の方向性は極めて不透明といわざるを得ないと考えております。
 特に私が危惧するのは、その時々の知事の意向を受けて、都民の声を聞かずに独断専行のトップダウンでまちづくりが進められてきたことです。とりわけ心配しているのは、ずっと未処分になっているお台場のセントラル広場、お台場と青海の境目のところですが、セントラル広場周辺の街区の今後の活用についてであります。
 街区の現状はどうなっているのか、処分予定地の広さはどうか、今後の処分見通しはどうなっているのか、お聞きいたします。

○松本臨海開発部長 青海地区のセントラル広場周辺の未処分地につきましては約八・六ヘクタールでございまして、昨年度は、東京二〇二〇大会の準備のために貸付けを行っておりました。
 現在は、原状回復に向けた作業が行われておりまして、今後につきましては、社会経済状況等を見極めながら適切な土地処分を進めてまいります。

○曽根委員 お答えのように、処分予定区画の面積の合計は八・六ヘクタールなんですが、このちょうど中央に広場施設があって、これを含めた一帯の、何といいますか、この一帯の広さとしては二十ヘクタールを超えるものがあります。このため、一定の面積を必要とする、いわゆるカジノを含むIR構想の対象になり得るのではないかという危険性が指摘され続けてきました。
 しかし、この街区は、かつて臨海開発の見直しの中で、初めてこの副都心事業の中で都民の提案を募集して、まちづくりのコンセプトが検討された経緯があります。
 青島知事による臨海副都心開発事業見直しの作業の中で都民提案街区に位置づけられ、都民提案を募集した結果、例えば都民の憩いの場を、もしくは、高層ビルより緑や水辺の環境を、また自然エネルギーを活用してなどの要望が集まり、これらを取り入れたまちづくり方針を取るというふうに決めてきた経緯があります。
 現在は、この街区のまちづくり方針はどのような処分方針になっているのか、お聞きします。

○松本臨海開発部長 青海地区を含む臨海副都心の土地処分につきましては、引き続き、まちづくり都民提案の趣旨も踏まえて改定いたしました臨海副都心まちづくりガイドラインに基づきまして、適切に進めてまいります。

○曽根委員 私もずっと、この都民提案がどのように生かされるかについて気にしてきたわけなんですが、今のお答えでは、都民提案の趣旨を踏まえて臨海副都心まちづくりガイドラインが改定されており、これに基づいて進めるというお答えでした。これは大変重要なことだと思います。
 では、この地域について、都民提案が行われた青海のセントラル広場周辺街区について、多くの世論調査では、過半数の都民が東京にふさわしくないと答えているカジノを含むIR構想などは、まさかこの当該街区の検討課題には入っているはずはないというふうに私は思いますけれども、どうなのでしょうか、お伺いいたします。

○松本臨海開発部長 臨海副都心の未処分地につきましては、引き続き、社会経済状況等を見極めながら適切な土地処分を進めてまいります。

○曽根委員 カジノなどについて、具体的な答えが出なかったのはいいのですが、今までどおりの曖昧な答弁だといわざるを得ません。
 私、改めて臨海部の開発の歴史を振り返れば、この地域では、金融センター街とかオフィス中心の副都心など企業活動優先のまちづくりを描いた構想は、この間、ことごとく失敗し、その都度、莫大な都財政と都民の貴重な埋立地などの財産を赤字の穴埋めに拠出させられてきた経過があります。つまりは、都民が求める水辺の憩いの場という要望にきちんと応える姿勢がなかったことが失敗の原因だというふうに考えます。
 今また小池知事による新たなベイエリアの構想が展開されようとしていますが、これが都民の願い、要望に応えるものになり得るのか、極めて私は疑問を感じております。
 臨海副都心事業は、私は早期に清算し、未処分地の活用は、広く都民参加の協議の場で検討する方向をこれからつくっていくように求めておきたいと思います。間違っても、この都民提案街区の周辺などに、都民の要望で自然エネルギーの活用などがあるから、カジノは造るけれども、その屋根には太陽光パネルを敷き詰めますなどということは、都民提案を生かしたことにはならないということは、くれぐれも申し上げておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○須山委員 よろしくお願いいたします。私からも、簡潔に質問させていただきたいと思います。
 東京臨海ホールディングスグループに対する新型コロナウイルス感染症の影響について伺いたいと思います。
 ほかの決算審議の中でも、本当に令和二年度というのは、コロナの影響が物すごく大きいなということを改めて感じざるを得ませんでした。その中で、このホールディングスグループの決算に関してもちょっと教えていただきたいと思いましたので、質問させていただきたいと思います。
 このホールディングスグループですけれども、東京港の国際競争力の強化と臨海副都心開発の総仕上げの推進体制を一層充実していくことを目的として設立されたと。臨海地域を活動基盤としており、そして、新型コロナウイルス感染症の影響は、非常にこのグループにも多大な影響を与えているんじゃないかなということで懸念をしております。
 そこでまず、東京臨海ホールディングスグループの令和二年度の決算の状況について教えていただきたいと思います。

○石井企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京臨海ホールディングスグループは、交通、地域冷暖房、展示会事業など臨海副都心の基幹的な都市基盤の経営や、東京港の機能強化に関するふ頭事業を行うとともに、臨海地域のエリアマネジメントを推進しております。
 令和二年度決算におきましては、東京臨海ホールディングスグループ全体の営業利益は約三十七億四千万円、経常利益が約三十六億七千万円となり、当期純利益は約二十億円の黒字を確保したところでございます。

○須山委員 ありがとうございます。多岐にわたる事業をしている中で、黒字を全体としては上げたということでございました。
 この新型コロナウイルスの感染拡大による影響というのは、やはりインバウンドの減少やテレワークの普及などといったことで、全国的に交通機関の経営に影響を与えておりました。
 先般行われました交通局の都営交通の決算でも同様でしたけれども、そこで、実際に、以前は観光客でにぎわっていたこの臨海地域、また、報道とか、いろいろなところで、閑散としているというような状況も一部見受けられました。そういった中で、この東京臨海ホールディングスのグループ会社として交通事業を担っているゆりかもめへの影響が非常に大きかったんじゃないかなということを考えております。
 そこで、この新型コロナウイルス感染症により、ゆりかもめにどのような影響があったのかということをお聞かせいただきたいと思います。

○石井企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度におきましては、株式会社ゆりかもめでは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けまして、輸送人員が大幅に減少し、約三十三億六千万円の営業損失を計上したところでございます。
 なお、今年度の上半期におけるゆりかもめの利用者数は、昨年度同時期の実績を上回るなど、回復傾向にあります。
 引き続き、新型コロナウイルスの感染状況等を注視し、安定的な経営の確保に向けて努めていくとのことでございます。

○須山委員 ありがとうございます。ゆりかもめ、やはり非常に厳しい状況だったんだなということがご答弁でよく分かりました。令和二年度の決算で大体三十三億六千万円の営業損失だったということで、でかいな、大きいなと本当に感じました。
 先ほどの最初の答弁でもありましたけれども、多岐にわたる事業を行っていて、その中でこの臨海地域の活性化、にぎわいに努めている、そういったグループだということが分かっております。
 本当にコロナの影響が令和二年度は大きいんだなということをまた改めて感じますし、しかし一方で、この交通事業なんかは、本当に仕方ないところもたくさんあるなというふうにも感じております。だからこそ、まずはしっかりと今後を、なかなか見極めることは難しいとは思うんですけれども、このコロナの状況、また、コロナが終わった後の状況も見据えた上での経営の健全化に努めていただきたいと思います。
 にぎわいとか活性化というのは、時代によって様々変わってくると思いますので、そこら辺もしっかりと見据えていっていただいて、しっかりとこの東京港による日本の国際競争力を高めていく、そのことに努めていくためにも健全経営に努めていっていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後二時十分散会

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