令和二年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

令和三年十月二十七日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長鈴木 錦治君
副委員長細田いさむ君
副委員長平けいしょう君
副委員長宮瀬 英治君
かつまたさとし君
磯山  亮君
伊藤しょうこう君
田の上いくこ君
須山たかし君
曽根はじめ君
里吉 ゆみ君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長河内  豊君
管理部長松田 健次君
事業部長西坂 啓之君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木 珠君
渉外調整担当部長村上  章君
財政調整担当部長渡邉 貴史君
環境改善担当部長萩原 清志君

本日の会議に付した事件
令和二年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・令和二年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○鈴木委員長 ただいまから令和二年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松田管理部長 去る十月二十日の当分科会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます令和二年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 資料は、全部で四項目ございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、令和二年度における豊洲市場の地下水質、空気調査結果等でございます。
 (1)、地下水質、空気調査結果につきまして、一ページに地下水質調査結果の概要、一枚おめくりいただきまして、二ページに空気調査結果の概要をお示ししてございます。
 三ページをご覧ください。地下水質及び空気調査箇所をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。こちらのページから八ページにかけまして、地下水質及び空気調査結果の詳細をお示ししてございますので、後ほどご覧いただければと存じます。
 九ページをご覧ください。(2)、地下水位測定結果についてでございます。
 こちらのページに地下水位測定箇所を、一枚おめくりいただきまして、一〇ページから一二ページにかけまして、豊洲市場五街区、六街区及び七街区の測定結果につきましてお示ししてございます。
 一三ページをお開き願います。2、十一市場の耐震改修等工事費及び修繕工事費の推移、過去十年間でございます。
 市場ごとに耐震改修等工事費及び修繕工事費の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。3、豊洲市場等の生鮮食料品の取扱数量及び金額の推移、平成三十年度分、令和元年度分、令和二年度分でございます。
 過去三年分の取扱数量及び金額を、水産物と青果物に分けてお示ししてございます。
 一五ページをご覧ください。4、平成二十四年度以降に発行した企業債と元金償還金の推移でございます。
 表頭にございますように、平成二十四年度以降に発行した企業債を新規債と借換債ごとに、また、元金償還金につきましても、豊洲市場分とそれ以外の市場分に分け、令和十二年度までの状況を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○磯山委員 私の地元の小平市は、宅地化が進む中にあって、都市農業が脈々と受け継がれているまちであります。
 生産者である都民の方々からの声を伺う機会がございますが、生産者の方々が丹精を込めて作り上げた野菜や果物は、それを必要とする消費者の方々のニーズにしっかりと応えていくことで、新たな作物を育てるという再生産につながるものだと考えます。
 今回、都議会議員となって、都の管理する卸売市場について初めての質問ということになります。地元での経験を踏まえて、私は、生産地と消費者をつなげる中間結節点である卸売市場が将来にわたってその役割を果たしていくことができるよう、昨年度の決算を通じて、市場運営の課題とその対応策について振り返り、今後の市場経営に向けた提案も示していきたいと思っております。
 さて、令和二年度は、いうまでもなく社会全体が新型コロナウイルス感染症に対峙した一年間でありました。飲食店の営業時間短縮や外出自粛などによる在宅ニーズの影響を受けて、その仕入先である卸売市場も大きな影響を受けたと聞いております。
 こうしたトピックも踏まえ、まずは令和二年度の決算の内容について確認していきたいと思います。
 まず、コロナ禍における令和二年度決算の特徴についてお伺いいたします。

○松田管理部長 令和二年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、外食需要の減少や在宅消費の増加など、生鮮品等の需要が変化をいたしました。
 また、非接触のニーズを反映して、オンラインを活用した取引が伸長するなど、市場を取り巻く環境に様々な変化が生じ、市場業者の経営にも大きな影響を及ぼしたところでございます。
 こうした状況を受けて、コロナ禍における令和二年度の中央卸売市場会計決算は、まず、収入面におきましては、水産物などの卸売業者の売上金額の減少に伴い、売上金額に応じて賦課する売上高割使用料の収入が全体として減少いたしました。
 また、厳しい経営環境に置かれた市場業者の事業継続を下支えするため、申請のあった市場業者に対しまして、市場使用料と光熱水費の支払いを猶予したことに伴い、未収金が増加いたしました。
 一方、支出面におきましては、まず、収益的支出では、市場における感染拡大防止の取組はもとより、コロナ禍での様々な環境変化に対応するため、市場業者の意欲的な取組に対し支援を行いました。
 また、資本的支出では、市場施設の老朽化等に適切に対処するための施設整備等を行ったところでございます。

○磯山委員 市場取引の変化が使用料収入の減少や市場業者の経営を下支えするための様々な取組に伴う支出など、コロナ禍の影響が市場会計に反映していることが確認できました。
 市場財政を預かる開設者として、コロナ禍にあっても、収支の改善に向けて、できる限りの方策を講じていかなければならないと考えます。
 そこで、コロナ禍で厳しい財政運営を強いられる中、市場運営を継続していくためには、収入確保のための工夫ある取組が必要でありますが、令和二年度の取組について伺います。

○松田管理部長 中央卸売市場が将来にわたりまして持続的な市場経営を実現していくためには、各市場における未利用施設を有効活用し、多様な収入確保策を講じるなど、財務基盤の強化を図ることが重要でございます。
 令和二年度は、多摩ニュータウン市場において、場内で未利用であった市場施設を、仲卸業者の組合が荷さばき場として新たに活用したことにより、令和二年十一月からの五か月分で、施設使用料収入約四百万円の増収につながったところでございます。

○磯山委員 今の答弁にもありましたとおり、今後も、未利用エリアの有効活用などによる場内事業者の事業拡大などを通じて、市場会計における収入の確保に努めていってもらいたいと考えます。
 次に、新型コロナウイルス感染症による市場運営への影響を中心に伺います。
 卸売市場においては、市場取引への影響はもとより、人が多く集まる市場の特性に応じた適切な感染防止対策も重要となってまいります。こうした点について、一つ一つ確認していきたいと思います。
 まず、市場取引への具体的な影響について伺います。

○西坂事業部長 令和二年度の中央卸売市場における品目別取扱金額の実績は、対前年度比で、水産物は一〇・五%の減少、青果物は二・七%の増加、食肉は二・三%の減少、花きは四・九%の減少となっておりまして、青果物を除きます三品目で前年度実績を下回ってございます。
 対前年度比で減少幅が大きかった水産物につきましては、初めて緊急事態宣言が発出されました令和二年四月及び五月に、人流の抑制や飲食店の休業などの影響を受けまして、取扱金額が大きく減少してございます。六月以降は回復の兆しを見せておりましたが、令和三年一月に再度緊急事態宣言が発出されたことなどにより、再び減少幅が大きくなりまして、水産物については非常に厳しい状況となってございます。

○磯山委員 本来、卸売市場は、需要と供給の間に立って、その適切な調整を担う基本的な使命が課されており、需給の変化にも敏感に対応しながら安定的な生鮮品の流通に努めてきたのだと思います。
 しかしながら、コロナ禍のような社会構造の変動に直結するような事態においては、個々の市場業者の経営基盤に大きな影響が生じることで、需給の調整機能が損なわれてしまうおそれもあるのではないでしょうか。
 こうしたことを避けるためにも、市場業者の経営基盤を下支えする支援が重要な鍵となってくると考えます。
 そこで、次に、厳しい経営環境にある市場業者への支援について伺います。

○渡邉財政調整担当部長 新型コロナウイルス感染症により市場流通に大きな影響が出る中においても市場機能を確保していくため、都では、感染症の影響に伴い売上げが減少した市場業者に対し、昨年四月支払い分から、市場使用料と光熱水費の支払い猶予を実施しました。
 実施に当たりましては、分割納付をはじめ、市場業者の経営状況に配慮した弾力的な運用を行うとともに、内容の拡充や丁寧な周知を行い、本年三月支払い分までで、延べ二百四十二業者に対し、約五億九千万円の猶予を行いました。
 さらに、都や国の各種支援制度の分かりやすい情報提供や、申請手続のサポートなどもきめ細かく行ってまいりました。

○磯山委員 都が可能な限りのサポートを行っていることは理解できましたが、先ほど申し上げた市場の役割を果たすことができるような支援を、引き続きしっかりと行っていただくことを改めて要望させていただきます。
 次に、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から質問いたします。
 市場内の各事業者において従業員の感染が拡大した場合は、事業の停止が懸念されるだけではなく、取引関係者に対して、例えば直接的な感染に加えて、信用など将来にわたったリスクの発生を覚悟しなければなりません。したがって、感染の防止対策は、市場において真っ先に取り組まなければならない課題であったと思います。
 そこで、市場における感染状況と感染拡大防止の取組について伺います。

○西坂事業部長 都の中央卸売市場における新型コロナウイルスの感染者数は、令和二年七月に最初の感染者が確認されて以降、令和三年三月までの九か月間の累計で三百六十三人となってございます。
 こうした中、市場機能を維持し、生鮮品等を安定的に供給する基幹的なインフラとしての役割を着実に発揮するため、都と市場業界が一体となって新型コロナウイルス感染症の拡大防止に努めてきました。
 具体的には、正しいマスクの着用や手洗い、体調不良者の出勤抑制などを徹底するとともに、主要施設の入り口をはじめとした多くの人の動線となる場所に消毒液を設置するなど、基本的な衛生対策を着実に継続してきました。
 また、こうした取組の徹底を図るため、卸売場や喫煙所など人が集まる場所にポスターを掲示するとともに、業界と連携した巡回指導などを実施いたしました。

○磯山委員 都が開設者として率先して対策を講じてきたことは評価するところであります。
 しかしながら、今、答弁にもありましたとおり、市場業界と一体となって対策を講じていくには、コロナ禍で経営に大きな影響が生じている市場業者の自発的な取組を引き出し、全体として実効性のあるものとしていくことが重要であると考えています。
 そこで、次に、令和二年度における感染拡大防止に取り組む業界団体への支援について伺います。

○西坂事業部長 新型コロナウイルスの感染拡大防止のためには、業界による自主的な取組を促すことが重要でございます。
 このため、都は、業界団体等が行います市場全体の衛生管理強化や円滑な市場取引に資する感染拡大防止の取組につきまして、中央卸売市場活性化支援事業により後押ししております。
 具体的には、競り場などの飛沫防止対策、ハンドブック作成などによる意識啓発、体温測定装置設置などによる水際対策、スクリーニング検査などにつきまして、都も協力を行うとともに、補助事業により支援してございます。
 補助対象事例は幅広く周知し、より多くの業界団体等の取組を促進したことで、七市場十六団体が本補助事業を活用して感染症の拡大防止の取組を行ってございます。

○磯山委員 コロナとの闘いは、まさに総力戦であると考えます。市場の開設者である都と、取引を担う市場業者の皆様との力を結集していただき、引き続き、知恵と工夫を凝らしながら、そしてスピード感を持って取り組んでいただくことを求めておきます。
 次に、市場施設における施設整備について伺います。
 市場取引を円滑に進めていくためには、その器である施設がしっかりとしていなければ、市場業者の持つ力も十分に発揮することはできないと考えます。
 先日の委員会でも説明のあった東京都中央卸売市場経営指針を拝見いたしましたが、都の市場施設の多くは、高度成長期に集中的に整備されているため、建設から三十年以上が経過し、施設や設備の老朽化も進んでいるとのことであります。
 施設の老朽化が万一の事故につながることも想定されるわけでありまして、そうしたことを未然に防ぐためにも、計画的で着実な施設整備が求められます。これはコロナ禍においても必要不可欠だと考えます。
 そこでまず、コロナ禍における令和二年度の資本的収支の決算の状況、とりわけ建設改良事業の決算の状況、執行率について伺います。

○松田管理部長 市場の資本的収支は、収入が約五億円、支出が約六百三十四億円でございます。
 支出のうち、過年度に発行した企業債の償還金が約六百億円、市場施設の整備等を主な内容とする建設改良費が約三十四億円となっており、建設改良費の執行率は約四三%でございました。

○磯山委員 予算で見積もった施設整備が全体の半数ということを伺いますと、施設整備が進んでいないのではないかといった懸念を持たざるを得ません。予算の執行には様々なご苦労もあったと思いますが、先ほど申し上げたとおり、計画的な整備は必要不可欠であります。
 では、なぜ令和二年度に計画していた施設整備に着手することができなかったのか、その原因について伺います。

○渡邉財政調整担当部長 令和二年度に施設整備に着手できなかった主な要因としましては、工事内容に関しての市場施設利用者との調整や入札不調等に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、部品納入の遅れや施工業者の業務体制の縮小等が生じたことによるものと認識しております。
 なお、令和二年度に未執行の十七件の施設整備につきましては、令和三年度に予算を繰り越して執行することとしております。

○磯山委員 運営しながらの市場施設の整備には、業界との調整が不可欠であり、また、コロナ禍における部品調達や業者の執行体制などのハードルもあったとのご答弁がございました。また、本年度に繰り越して執行するということで、まずはその推移を見守っていきたいと思っております。引き続き、理事者の皆様には、計画的な執行が図られるようマネジメントの充実をお願いして、次の質問に移ります。
 では、次に、具体的な施設整備の状況について伺います。
 まず、市場施設の着実な施設整備の推進について、令和二年度における状況を伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場が生鮮品等を安定的に供給するという役割を果たしていくためには、市場機能を確保するための施設整備を着実に進めることが重要でございます。
 令和二年度は、淀橋市場など三市場において老朽化に伴う受変電設備の更新を行うなど、市場機能の基盤を支える設備の整備を実施いたしました。

○磯山委員 施設の整備に当たっては、例えば使い勝手や快適さなどといった、市場を利用する方々の要望にも十分に耳を傾けていただきながら実行していくことが重要であり、快適で使いやすい環境にこそ活発な市場取引が生まれるものだと思っております。
 そこで、市場業者の要望を踏まえた施設整備の実現を図ることが重要であると考えますが、令和二年度の状況について伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場が都民の消費生活を円滑に支えていく上では、市場取引の担い手である市場業者と日頃から緊密な意思疎通を図りつつ、施設整備に取り組んでいくことが重要でございます。
 こうした観点から、令和二年度は、業界からの声や要望を踏まえて、大田市場においてエレベーターの更新工事を行ったほか、板橋市場ほか三市場においてトイレ改修等を実施いたしました。

○磯山委員 今のご答弁で、施設整備の施工の難しさや、そして、老朽化対策など様々な課題があることが分かりましたが、市場業者の方々の要望も酌み取りながら、市場開設者として、将来に向けた計画に基づいた施設整備の執行を改めて求めておきたいと思います。
 次に、市場業者の新たな挑戦に対する支援についてお伺いをいたします。
 コロナ禍における対策も重要ではありますが、その後の社会の変化を見据えた取組が成長の糧になるのではないかと思います。市場業者の一つ一つのチャレンジの芽を逃さずに成長に結びつけていくことも、都が行うべき重要な取組だと思っております。
 先日の委員会でも説明がありましたが、都は、中央卸売市場活性化支援事業により支援を行ってきたとのことであります。
 そこでまず、令和二年度における中央卸売市場活性化支援事業の実績について伺います。

○西坂事業部長 都では、市場を取り巻く環境が変化する中、市場業者の意欲ある取組を支援し、卸売市場のさらなる活性化を図るため、令和元年度から中央卸売市場活性化支援事業を実施してきました。
 また、令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により取引環境等が変化する中、その影響を乗り越えようとする市場業者の取組を、補助率の拡充や概算払いの導入等により後押ししてきました。
 都内全十一市場において六十件の取組が進められ、約四億四千万円を交付し、前年度を上回る実績となってございます。

○磯山委員 コロナ禍により電子商取引などのEコマースが伸長する等、市場業者の取引環境は大きく変化をしたわけであります。
 都は、感染症の影響を乗り越える取組として、補助率の拡充等、コロナ禍でも市場業者が活用しやすい制度改善を図ってきたとのことであります。
 そこで、次に、コロナ禍を契機とした市場業者の新たな取組に対する支援について伺いたいと思います。

○西坂事業部長 新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインによる非対面、非接触の取引など、デジタル化の加速といった変化が見られまして、こうした新たな販売方法等への対応や、ポストコロナを見据えた事業展開の支援が重要でございます。
 活性化支援事業におきましては、新たな販路開拓等を目的としたECサイトの構築や、海外取引先との商談を円滑に行うためのアプリの開発、市場業者と実需者、生産者等をオンラインで結び、新たな商品開発のきっかけとするセミナーの実施などの取組を後押ししてございます。
 こうした取組に対しましては、補助率を五分の四に引き上げる等により、感染症の影響に向き合い、乗り越えようとする市場業者の支援を行ってきました。

○磯山委員 このコロナ禍において、市場業者にとっては、変化する事業環境への適応というのは大変難しかったのではないかと思っております。
 このような好事例につきましては、ほかの市場業者の方々にも、その取組内容を情報提供するとともに、より活用しやすい支援制度になるよう改善を図りながら、業界全体で取組が進むよう、都が引き続きしっかりと支えていくようにお願いをいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 最後に、東京都中央卸売市場経営指針について伺います。
 経営指針では、二〇四〇年代の中央卸売市場の将来像の実現を目指して、七つの方向性に基づいた取組を進めていくこととしております。
 これまで質問してきたように、コロナ禍で経営に大きな影響が生じている市場業者にとって、指針に示す様々な改革にも、なかなか踏み出せないこともあるのではないかと思っております。
 そこでまず、コロナ禍において経営指針を策定した意図について伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場を取り巻く環境が変化する中で、市場が目指すべき姿を明らかにし、戦略的な市場経営を推進していくことが重要でございます。
 都では、令和元年七月に市場の活性化を考える会を設置いたしまして、食品流通をはじめとした幅広い分野の専門家の方々に、市場が果たすべき機能などについて議論をしていただいてまいりました。
 令和元年度末からのコロナ禍に伴い、サプライチェーンを取り巻く状況の変化や影響等も見極めつつ、さらに議論を深めていただき、その議論のまとめを踏まえ、都として、二〇四〇年代の中央卸売市場の姿を展望した市場経営の方向性をビジョンという形で示すこととし、本年三月に経営指針を策定いたしました。

○磯山委員 コロナ禍という、いわばピンチともいえる状況の中で、社会の変化をも捉えた上で、新たな市場づくりに向けて具体的な計画を取りまとめるということも伺っております。大きな期待を寄せるところではありますが、その一方で、市場業者と共に未来の市場をつくり上げていくためには、開設者である都の強いリーダーシップとしっかりとしたサポートが必要不可欠であると考えております。
 最後になりますけれども、経営指針に掲げた将来像の実現に向けた今後の取組と、これに向けた市場長の決意について伺い、私の質疑を終えたいと思います。

○河内中央卸売市場長 少子高齢化の進展や単独世帯の増加などに伴う消費者ニーズの変化、小売形態や物流環境の変化、さらには、今般の新型コロナウイルス感染症のような新たなリスクへの対応など、卸売市場は大きな転換点を迎えております。
 こうした中におきましても、卸売市場は、将来にわたり重要な使命を果たしていく必要があり、コロナ禍で先鋭化した課題を乗り越え、物流をめぐる環境の変化などにも対応できるよう、本年三月に、今後の市場経営の羅針盤となる経営指針を策定いたしましたところでございます。
 この指針で示しました二〇四〇年代の卸売市場の姿の実現に向け、生鮮食料品等流通の基幹的なインフラとしての機能の強靭化や高付加価値なサービスの提供に向けた取組の強化など、実効性のある取組を推進いたしまして、将来にわたり都民の豊かな消費生活を支えていくことができる新たな卸売市場を業界と共につくり上げていく所存でございます。

○田の上委員 令和二年度東京都中央卸売市場会計決算について質問をいたします。
 東京都が管理運営する中央卸売市場は十一あり、これまでにも、時代に合わせた市場の在り方について、物流等についても議論をされてきたものと認識をしているところです。
 市場を取り巻く環境の変化に伴い、今後も、生産、流通、消費の流れを的確に把握しながら対応していかなくてはならないと考えています。卸売市場整備計画もありますが、今後も、年度ごとのみならず、長期的な視点で変化を捉え、状況分析をしていかなければならないと思っております。
 令和元年度と比較しての営業収益は一〇一・六%と、ほぼ同じであり、あまり増減がない状況であります。支出においても、市場事業費全体では前年度比八一・四%ではあるものの、営業費用は前年度比一〇〇・五%と、ほとんど増減がない状況であります。
 一方で、収益的収支の純損失は約百十億円を超えており、コロナ禍の影響も受けているものと認識はするものの、まだ、なお収支の改善が求められるものです。
 現状認識について伺います。

○渡邉財政調整担当部長 中央卸売市場が将来にわたって持続的な市場経営を実現していくためには、経営改善に取り組むなど、財政基盤の強化を図ることが重要であります。
 委員のご指摘のとおり、令和二年度は、収益的収支の純損失が約百十億円となっておりますが、コスト削減や各市場における未利用施設の有効利用などの経営改善に取り組んだ結果、前年度対比で、管理費は九九・六%と減少し、施設使用料収入は一〇一・六%と増加しております。
 引き続き、このような取組を積み重ね、収支の改善を図っていく必要があるものと認識しております。

○田の上委員 これまでにも、私たち都民ファーストの会東京都議団では、経常収支に着目し、本来、独立採算でなければならない中央卸売市場の会計について、市場の継続性、採算性に着目して質問を重ねてきたものです。今後もぜひ、コスト削減はもちろんのこと、未利用施設の有効活用など収入源の工夫をしながら改善を図られたいと要望するものです。
 さて、築地市場が閉場してから三年ほどがたち、当初、この機会に廃業を決める等、移転できない事業者もいたと認識しております。築地市場から豊洲市場への移転後、事業者の数の減少がないかと懸念をしているものです。
 施設使用料を見ると、十一市場全体で前年度比一〇一・六%となっており、施設使用をしている事業者が変わらず営業をしているのではないかと読むことができます。
 数がさほど変化していないのではないかと推測するものでございますが、令和二年度の豊洲市場における卸売業者、仲卸業者及び関連事業者数の推移について伺います。

○西坂事業部長 豊洲市場の事業者数につきまして、令和二年三月三十一日と令和三年三月三十一日とを比較いたしますと、水産卸売業者は七者で変わらず、青果卸売業者は三者で変わらず、水産仲卸業者は四百八十一者が四百七十八者に、青果仲卸業者は九十六者で変わらず、関連事業者は百四十八者が百四十六者となってございます。

○田の上委員 水産仲卸業者と関連事業者が若干減少しておるというところでございますが、ほかは変わらないということです。
 また、移転延期補償における令和二年度の実績を伺います。

○西坂事業部長 築地市場から豊洲市場への移転延期に伴い、市場業者等に生じていた具体的な損失を補償するため、平成二十九年一月に策定した補償基準に基づいて補償を行ってきました。
 令和二年度の実績としては、十件、約四百万円の補償費を支出してございます。

○田の上委員 特段の課題がない限りは、ほぼほぼ終了しているものというふうに捉えます。今後も市場業者に寄り添ったご対応をお願いいたします。
 第三回定例会では、勝どき門駐車場と厚生会館の解体工事の契約案が報告されたところです。
 一方、平成三十年から行われてきた解体工事としては、令和二年度で終了をいたしました。
 旧築地市場は、八十年以上にわたり営業され、建物はかなり古く、とりわけ本体においてはアスベスト含有が懸念されていたものです。
 そこで、築地市場は、令和二年度に第七工区までの解体工事を完了したと認識をしていますが、このアスベスト建材の除去において問題はなかったのか、確認をいたします。

○萩原環境改善担当部長 平成三十年十月十一日に着手した旧築地市場の解体工事につきましては、令和二年七月二十二日に完了いたしました。
 解体対象の百五十五棟のうち、八十七棟にアスベスト含有建材が使用されておりました。
 除去に当たりましては、石綿障害予防規則に基づき、各建材の特性に応じて、アスベストを飛散させないよう隔離養生を行うなど、それぞれ適切な方法で実施いたしました。
 また、周辺環境への飛散状況を確認するため、環境確保条例に基づき建物周囲で行う敷地境界におけるアスベスト粉じん測定を、作業前、作業中、作業後に実施いたしました。
 その結果、いずれの箇所におきましても飛散していないことを確認しており、確実に除去されてございます。

○田の上委員 いずれの箇所においても飛散していないことを確認しているということでございます。百五十五棟のうち八十七棟にアスベストが含まれていたということで、アスベストというのは、一九七〇年代にかなり多く使われたというふうには認識をしておりますが、気を遣って除去していただいたというふうに思っております。また、アスベストは種類が六種類でございますので、それぞれ適切な方法で実施していただいたということを理解いたします。また、粉じん濃度測定も行っていただいたとのことです。
 処理については、あえて質問いたしませんが、適正処理がされているというふうに考えております。
 次に、築地市場の閉場、そして豊洲市場が開場してから三年となりますが、移転前は、卸、仲卸など事業者の様々な懸念や提案について、様々な会議体があったというふうに認識をしております。
 市場運営の安定化を図るには、市場ルールの徹底や諸課題の解決への取組が重要だと考えます。
 豊洲市場において、市場運営の安定化に向け、令和二年度に市場業者とどのように連携して対応してきたのか、伺います。

○西坂事業部長 円滑な市場運営を行っていくためには、日頃より市場業界と連携しながら様々な課題に対応していくことが重要でございます。
 豊州市場における市場ルールの徹底に関しまして、都は、市場協会の交通委員会と共に、市場業者向けの交通安全講習を実施することや交通安全運動を行うなどによりまして、場内交通ルールの遵守に向けて取り組んできました。
 また、各街区の物流に関する協議会などにおきまして、さらなる物流の改善に向けた検討を行うとともに、買い出し人の交通アクセス改善のための駐停車スペースを確保するなど、業界と連携しながら、よりよい市場運営に向け取り組んでまいりました。

○田の上委員 街区ごとの協議体などを設置しているとのことです。また、買い出し人の交通アクセスの改善のために、駐停車スペースも確保していただいたとのことです。
 答弁とは離れますけれども、これまで我が会派が要望してきた場内を循環している買い回りバスも、運行経路の拡大やダイヤ改正など利便性を図っていただいたものと認識をしております。移転前は、本当に巨大な、広大な敷地の豊洲市場におきまして、大変な懸念があったというふうに思っております。この広いところをどうやって買い回るのか等々、様々なご要望、相談をいただいていたところでございます。それを一つ一つ丁寧に解決に向けて取り組んできていただいたものと理解をいたします。
 ぜひとも、今後とも、業界を支える市場業者との密な連携を図っていただきたいと要望いたします。
 次に、中央卸売市場全体についてでございますが、生鮮食料品等取扱高を見ると、取扱数量そのものが減少しています。
 コロナ禍におきまして外出自粛の中、スーパーなどの独り勝ちともいわれておりましたが、大規模店の産直での仕入れが多くなる中で、令和二年度の中央卸売市場における生鮮食料品等取扱数量の状況をどのように認識しているのか、伺います。

○西坂事業部長 中央卸売市場における生鮮品等の品目別取扱数量につきまして、令和二年度と令和元年度を比較いたしますと、水産物は五・四%の減少、青果物は、取扱金額では増えておりましたものの、取扱数量は三・五%の減少、食肉は二・五%の増加、花きは切り花換算でございますが、六・七%の減少となってございます。
 減少した主な理由といたしましては、緊急事態宣言に伴う飲食店の休業、イベントの自粛や簡素化など、コロナ禍における生活様式の変化などの影響を受けたものと認識してございます。
 一方、いわゆる巣籠もり需要を受けた量販店向けの取引では、特に青果物を中心に上向きの要素があったと市場業者からは聞いてございます。

○田の上委員 飲食店の休業やイベントの自粛などの影響があったとのことです。また、一方で、巣籠もり需要による増加の傾向もあったというご答弁でした。今後の生活様式の変化というものがまだあるかと思いますが、この変化を追っていきながら、市場の活性化について検討をしていただきたいと要望いたします。
 コロナ禍の中で、市場では新規陽性者の報告が多く見られたものでございます。また、本年四月の緊急事態宣言時には、飲食店に時短営業と酒類提供の自粛が求められたものですが、協力金の対象とならない関連事業者の酒類提供が報道され、問題となりました。
 制度的な課題もありますが、感染症防止対策の徹底という観点では、事業者が自主的に酒類自粛に取り組んでもよいのではないかと考えるものです。
 生鮮食品を扱う市場においては、特に衛生管理がなされているものと認識しておりますが、危機管理の徹底において、関連事業者も含め、市場での感染症対策、安全対策について伺います。

○西坂事業部長 市場機能を維持し、生鮮品等の安定供給の役割を担う基幹的なインフラとしての役割を着実に発揮するため、都と市場業界が一体となって新型コロナウイルス感染症の拡大防止に努めてきました。
 具体的には、正しいマスクの着用や手洗い、体調不良者の出勤抑制などを徹底するとともに、主要施設の入り口をはじめとした多くの人の動線となる場所に消毒液を設置するなど、基本的な衛生対策を着実に継続してきました。
 また、飲食業を行う関連事業者においては、店舗入り口での手指消毒の徹底、アクリル板の設置、座席数を間引いて客席距離を確保するなど、感染拡大対策を徹底しながら営業してございます。
 さらに、こうした取組の徹底を図るため、卸売場や喫煙所など人が集まる場所へポスターを掲示するとともに、業界と連携した巡回指導を実施してございます。

○田の上委員 今年度の話になりますので、酒類提供についてはこれ以上触れませんが、市場から、事業者に重ねての自粛をお願いしたというふうに聞いております。
 中央卸売市場のホームページを見ますと、市場での食の安全・安心対策においては、かなり細かく記されており、自主的な品質管理が確実に行われるよう、卸売業者、仲卸業者による品質管理マニュアルの作成を支援するなどの取組や、市場全体の中心となる安全・品質管理者の選任など、かなり配慮された体制を構築しているものと認識しております。
 新型コロナウイルス感染症拡大防止につきましても、基本的な衛生対策をはじめ、業界と連携した巡回指導を実施したとのことで、ぜひとも今後とも、信頼される市場となるよう管理指導に努めていただきたいと思います。
 水産にもいえることですが、このところ少し戻ってきたとはいわれるものの、野菜の価格高騰が懸案であります。その中で、出荷量、入荷量そのものが減少し、必要な小売店に回らないという課題をいただいているところです。従来は、市場に行けば何でもそろっていたものが、市場でも入手できないため、小売店の販売品数や種類が少なくなってしまうという話でありました。
 先ほどの質問、答弁と重なってしまうので、市場業者の新たな取組への支援については質問を割愛いたしますが、これまで中央卸売市場活性化支援事業で、市場法の改正により可能となったECサイトの取組など、様々、新たな支援をしていただいたということでございます。今後も、市場業者の新たな取組、アイデアを生かせるよう、支援をお願いいたします。
 また、業者間での情報交換の場の提供などが必要ではないかと考えるものですが、見解を伺います。

○西坂事業部長 卸売市場のさらなる活性化に向けましては、都と市場業者との間だけではなく、市場業者同士が情報を交換する機会を持つことが必要でございます。
 各市場では、日々の業務を通じまして、都、市場業者相互間で、市場運営などについて日頃から情報交換や意見交換を実施してございます。
 また、各市場の経営戦略策定に際しましては、業界の代表者などが一堂に会して議論する場を都が設置するなど、関係者が意見交換する機会を設けてございます。

○田の上委員 コロナ禍の不安を抱えながら、同業者間の情報交換の場が欲しいという要望を地元でもいただいております。また、デジタルデバイドを含め、環境の変化に追いつけないという事業者が情報から遠ざかっているという現実もあります。ぜひとも情報交換や意見交換の場を、会議体に限らず、各市場において工夫をしていただきたいと要望いたします。
 私の地元、葛西市場におきましては、昨年度、ごみ置場の改修に着手するとともに、防犯カメラの設置をしていただきました。不法投棄が多いようでございますが、誰が持ち込んだか分からない、そのごみの処理費用は、利用者負担というふうになってしまいます。
 監視カメラの一層の活用と不法投棄の防止に向けて、外部侵入に対する対策を改めて伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場内で発生する廃棄物については、排出者である市場内の事業者や業界が自らの責任の下に処理を行っており、都は市場施設の管理者として、市場内の良好な衛生環境を維持し、市場業務が円滑に行われるよう、各市場において、市場内の事業者のため、ごみ集積所の整備などを行っております。
 しかしながら、市場内の事業者以外の者が廃棄物を敷地内に持ち込み、投棄する事案が見受けられており、葛西市場につきましても同様の状況にあると認識をしております。
 これまでも各市場では、廃棄物の不適正な取扱いを防止するため、警備員等による巡回警備や、場内のポスター掲示や場内会議での呼びかけによる啓発などを実施しており、また、葛西市場においては、令和二年度、敷地内への入場や退場を常時監視するためのカメラを、通常利用されている四か所の全ての門に設置する工事を実施いたしました。
 こうしたカメラを活用していくことなどを含め、引き続き、廃棄物の投棄などへの対策に取り組んでまいります。

○田の上委員 葛西市場だけの問題ではないということで、各市場でもこういった課題があるということでございます。よくも悪くも、開かれているということは、外部から人が入りやすいという状況にあるということだと思います。この課題解決に向けて、一層のご努力をお願いしたいと思っております。
 葛西市場では、四か所の門に既に監視カメラを設置していただいていると聞きますが、録画をもう一回再生して見直すなど、まだうまく活用できていないというような声も聞いているところです。ぜひとも積極的に活用を促していただきたいと思います。
 また、今後も、警備員の活用も含め工夫を重ね、廃棄物の不法投棄の対策に力を入れていただきたいと要望いたします。
 以上で私の質問を終了します。

○かつまた委員 令和二年度東京都中央卸売市場会計決算について、まず、令和二年度東京都中央卸売市場会計決算説明資料に基づき、質問をさせていただきます。
 営業収益、予算現額百七十九億九百十一万九千円に対し、決算額百六十一億六百八十九万七千九百十八円、十八億二百二十二万千八十二円の低下、執行率八九・九%でした。
 予算額に対して、決算額がかなり低くなっております。この低下について、都の所見を伺います。
 そして、この低下を回復するため、東京都が考えていることがありましたら、お示しをお願いいたします。

○渡邉財政調整担当部長 令和二年度決算における営業収益は、予算現額に比べ、金額で約十八億円低下し、執行率は八九・九%となっております。
 これは、コロナ禍に伴う外食需要の減少や在宅消費の増加など、生鮮品等の需要の変化により、青果を除く各取扱品目において売上高が減少し、これに応じて賦課する売上高割使用料の収入が減少したことなどが主な要因であると考えております。
 このため、市場業者の取引の活性化を促すとともに、各市場における未利用施設を有効活用し、多様な収入確保策を講じることなどにより、市場事業収益全体の増加に向けて取り組んでいくことが必要であると認識しております。

○かつまた委員 市場業者の取引の活性化や未利用施設の有効活用を行っていくとの答弁をいただきました。多様な収入確保策を、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、市場事業収益、営業収益、売上高割使用料についてお聞きをいたします。
 この売上高割使用料については、その市場使用者の売上高に応じた使用料額になると思いますが、水産物売上高割使用料、食肉売上高割使用料、花き売上高割使用料など、軒並み使用料が前年度に比べ減収となっております。
 しかし、その中で、青果物売上高割使用料のみ、収入が前年度に比べ八千五十九万九千二百五十四円増額になっております。
 都は、この増額をどのように分析しておりますか。伺います。

○渡邉財政調整担当部長 青果物売上高割使用料の増額につきましては、青果物の卸売業者の市場取引による売上高や、仲卸業者の直荷引きが増加したためであります。
 令和二年度における卸売業者の売上高等の増加につきましては、例えば、七月の長雨による日照不足により野菜の入荷量が減少するとともに、価格が上昇し、前年度同月と比べ二割程度増加したことなどによるものであります。
 このように、天候の影響等により、野菜、果実共に総じて単価が上昇したことがその原因と考えております。
 また、いわゆる巣籠もり需要を受けた量販店向けの取引では、特に青果物を中心に上向きの要素があったと市場業者からは聞いております。

○かつまた委員 今、巣籠もり需要というお話がありましたけれども、私も地元の商店街等を歩いていると、コロナで非常に売上げが落ち込んでいるのではないかなというふうに懸念をしてご意見を伺っておりますが、その中でも、やはり巣籠もりという部分で売上げが上がっているというようなご意見も伺っておりました。
 次に、施設使用料収入については、十一の中央卸売市場会計で一億三千八百五十六万九十一円の増収となっております。これは、売上げに関係なく、市場施設利用者の負担になると思います。
 コロナ禍により大きく売上げが減少した施設使用者への救済措置について、お知らせ願います。

○渡邉財政調整担当部長 新型コロナウイルス感染症により市場流通に大きな影響が出る中においても市場機能を確保していくため、都では、感染症の影響に伴い売上げが減少した市場業者に対して、昨年四月支払い分から、市場使用料と光熱水費の支払い猶予を実施しております。
 実施に当たりましては、分割納付をはじめ、市場業者の経営状況に配慮した弾力的な運用を行うとともに、内容の拡充や丁寧な周知を行い、本年三月支払い分までで、延べ二百四十二業者に対し、約五億九千万円の猶予を行いました。
 さらに、都や国の各種支援制度の分かりやすい情報提供や、申請手続のサポートなどもきめ細かく行ってまいりました。

○かつまた委員 では、次に、市場資本的支出、建設改良費、施設拡張費についてお聞きをいたします。
 執行概要説明には、市場施設の整備拡充に要する経費として、十一の中央卸売市場で合計九億八千二百六十八万一千円の予算現額に対して、決算額が六億五千百万六千四百五十六円となっており、執行率六六・二%、不用額が三億三千百六十七万四千五百四十四円となっております。
 また、施設改良費では、予算現額六十八億九千四百七十七万八千円、決算額二十七億一千七百八十万五百五十三円、不用額四十一億七千六百九十七万七千四百四十七円、執行率三九・四%となっております。
 この両支出とも、不用額がかなり高額であり、執行率もかなり低い数字となっております。当初の予算立ての見積りが甘かったのか、また、その要因が気になるところであります。都の見解をお知らせ願います。

○渡邉財政調整担当部長 施設改良費等の執行率が低い主な要因としましては、工事内容に関しての市場施設利用者との調整や入札不調等に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、部品納入の遅れや施工業者の業務体制の縮小等が生じたことで、令和二年度中に施設整備に着手できなかったことによるものと認識しております。
 なお、令和二年度に未執行の十七件の施設整備につきましては、令和三年度に予算を繰り越して執行することとしております。

○かつまた委員 実際に動いている中央卸売市場での施設拡張や施設改良は、確かに難しい課題があるというふうに認識します。
 また、入札不調等というふうにおっしゃっておりましたが、ここについては、ぜひその原因を分析していただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 この施設管理に要する支出に関連して、中央卸売市場の施設維持管理にはかなりの費用負担が求められると思います。
 そこで質問いたします。東京都中央卸売市場施設の長寿命化について都が行ってきた取組について、ぜひ答弁を、また、これから行う取組について答弁をお願いいたします。

○萩原環境改善担当部長 施設の長寿命化につきましては、建物の躯体を保護している塗装などの外壁仕上げや屋上防水の改修はもとより、設備などの定期点検や部品交換などの劣化対策が重要でございます。
 市場施設の多くは高度経済成長期に整備されており、建設から四十年以上経過し、老朽化が進んでおります。
 こうした状況から、都は、経過年数や劣化状況を踏まえ、令和二年度におきましては、一例を挙げますと、大田市場の外壁や屋上防水の改修、受変電、換気などの設備機器の交換を実施いたしました。
 今後も、継続的に市場施設の長寿命化に取り組んでまいります。

○かつまた委員 大きな土地であったり、また、市場というのは大きな建物でありますので、建て替えるといっても、そう簡単にはいかないと思いますので、そういった意味では、長寿命化をぜひ図っていただければというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
 次に、市場施設の維持管理等に要した管理費等について伺います。
 都の中央卸売市場は、区部に十か所、多摩地域に一か所、合計で都内に十一か所設置をされております。
 市場運営に当たっては、現場を担う各市場の担当者と市場全体を統括する本庁の担当者が相互に行き来するなど、緊密な連携が重要であるかと思います。
 先日の分科会でご説明のありました令和二年度決算書と令和元年度決算書のうち、管理費等に含まれている旅費を比較したところ、令和元年度は約八百五十万円だったのに対し、令和二年度は約三百六十万円と、大きく減少をしております。推測になりますが、今般のコロナ禍により、対面による打合せが軽減されたことがうかがえます。
 そこで、現場を多く持つ市場において、コミュニケーション不足を克服するため、具体的にどのような取組を行ったのか、伺います。

○村上渉外調整担当部長 円滑な市場運営を行っていくためには、現場である十一市場と本庁組織が情報共有を図り、相互に連携していくことが重要でございます。
 市場では、コロナ禍におきましても、組織間の連携を確保するとともに、感染予防、拡大防止を図る観点から、テレワークの推進などに取り組んでまいりました。
 具体的には、まず、職員間の打合せにおいては、ウェブカメラやチャット機能を積極的に利用するなど、各職員に配備されたデジタル機器等を最大限活用いたしました。
 また、会議の開催に当たりましては、例えば、各市場の責任者である場長を構成員とする場長会などにおいてウェブ会議形式を併用するなど、各市場に在籍する職員が現地からオンラインで委員会等に出席できるデジタル環境も整備いたしました。

○かつまた委員 次に、令和二年に行われた条例改正に関連してお聞きをいたします。
 中央卸売市場は、地域住民への生鮮食料品、青果、水産、食肉などの商品を全国から集め、適正な価格で安定的に地域住民に商品を提供する大きな役割を担っております。その運営については、公設との位置づけにより、卸売市場法の下、管理運営をされております。
 今回、国の法律が改正され、それに伴い、昨年六月、改正東京都中央卸売市場条例が施行されました。この改正が都民や生産者に不利益になっては本末転倒です。
 その前提に立ち、幾つかの質問をさせていただきます。
 卸売市場法の改正に伴い、令和二年六月に改正東京都中央卸売市場条例が施行されましたが、どのような考え方での改正であったのか、改めてお伺いをいたします。

○西坂事業部長 平成三十年六月の卸売市場法の改正は、卸売市場を取り巻く環境の変化を踏まえまして、生鮮食料品等流通の合理化と公正な取引環境の確保を促進することにより、消費者ニーズ等への的確な対応を図るものでございます。
 東京都中央卸売市場条例の改正は、こうした法改正の趣旨を踏まえますとともに、東京の卸売市場がこれまで果たしてきた大消費地における豊かな消費生活を支える役割を、今後とも着実に果たしていく観点から実施いたしております。
 このため、多くの市場業者、産地や実需者がより活発に取引を行えるよう、これまでの規制を緩和するとともに、卸売市場がその公共的役割を引き続き果たしていくため、公正な取引環境や食の安全・安心を確保するための規定を設けてございます。

○かつまた委員 今の説明にあったとおり、卸売市場を取り巻く環境は大きく変化をしております。その改正が都民や生産者の利益につながれば、大いに歓迎するものであります。
 今回の条例改正により、どのような規制が緩和され、どのような取引が可能になったのか、具体的にお伺いをいたします。

○西坂事業部長 今回の条例改正では、卸売業者が仲卸業者、売買参加者以外の者に卸売をする、いわゆる第三者販売に関します規制や、仲卸業者が当該市場の卸売業者以外の者から買い入れて販売いたします、いわゆる直荷引きに関する規制等を緩和してございます。
 具体的には、改正前の条例では、第三者販売や仲卸の直荷引きにつきましては例外的な取引として認められており、実施に当たっては事前の手続が必要でございました。
 これらの規制につきまして、改正条例では、多様なニーズに柔軟かつ迅速に対応できるよう、原則自由とする一方、取引の実態を把握するため、卸売業者、仲卸業者に対して実績報告を義務づける内容となってございます。
 具体的なイメージといたしましては、例えば第三者販売の自由化により、加工業者や輸出向けのニーズに柔軟に対応することによる新たな販路の開拓などが、また、仲卸業者の直荷引きに関しては、場内の卸売業者では手に入らない地場商材の調達等、品ぞろえの充実による販売力の強化等が可能になったものと考えてございます。

○かつまた委員 規制緩和により柔軟な取引が可能になったことは歓迎をいたします。東京都の関わり方として、取引実態を把握するため、卸売業者、仲卸業者に対して実績報告を行うとの義務づけがされていることは評価をいたします。
 その上で、今回の改正で懸念されることは、規制を緩和することにより、小売店の仕入れでコスト高になる面が考えられないか、また、生産者にも消費者にも不利益になるおそれは考えられないか。
 そこでお伺いをいたします。
 規制を緩和することにより、生産者、消費者が不利益を被るおそれが生じた場合、東京都はどのように対応できるのか、お伺いをいたします。

○西坂事業部長 改正後の条例では、産地や実需者の多様なニーズに的確に対応し、取引の活性化を図るため、規制を緩和する一方、公正な取引を維持するために必要な規定を設けてございます。
 具体的には、各市場において設置されておりますが、開設者である都と卸売業者、仲卸業者、売買参加者等の市場関係者で構成する取引委員会を通じまして、競り取引の運用など取引に関する具体的な課題を協議してございます。
 また、都は、実績報告や検査などを通じまして取引の状況を詳細に把握することで、公正な取引環境を確保してございます。
 特定の買受人を極端に優遇するような不公正な行為などがあった場合には、是正に向けて適切に指導監督を行ってまいります。

○かつまた委員 規制緩和といっても、東京都が指導監督できる立場にあるとの答弁をいただき、安心いたしました。
 昨年、この条例改正が行われたわけでありますが、改正後、直近の取引状況について、具体的に数字をお聞かせください。

○西坂事業部長 条例改正後の取引状況につきまして、令和元年度と令和二年度を比較いたしますと、卸売市場の取扱金額に占める第三者販売の割合は、水産物で一七・四%が一七・九%に、青果物で四・六%が四・五%に、食肉で一・三%が〇・九%に、花きで二・一%が三・八%となってございます。
 また、卸売市場の取扱金額に対する仲卸業者の直荷引きの割合でございますが、水産物で三・六%が三・二%に、青果物で一六・三%が一六・七%に、食肉で六・四%が五・九%に、花きで六・六%が五・六%となっておりまして、いずれも大きな変化は見られません。

○かつまた委員 昨年行われた改正東京都中央卸売市場条例が、都民や生産者にとってよりよい改正であるように、今後も、しっかりと東京都がその取引に関わっていただくことを改めて強く要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○曽根委員 私からは、豊洲市場の地下水対策について簡潔に質問いたします。
 豊洲市場は、築地市場の移転先として、多数の市場関係者や都民や、また地元自治体などの反対や不安の声を押し切る形で市場建物が整備されて既に五年が経過し、開業からも三年が経過しました。
 この間、豊洲市場は、かつて東京ガスの製造工場であり、三十年余にわたり石炭石を大量に熱処理し、都市ガスを供給してきた経過から、地下の深刻な汚染が指摘され、東京ガスから東京都に譲渡される経過で、大規模な土壌汚染対策が幾度も行われてきました。
 また、移転の動きの中で、豊洲の建物の地下に、基本設計と異なる大規模な地下空間、地下ピットが秘密裏に造られていたこともあって、市場当局の環境対策が大きく都民の信頼を失うこととなりました。
 その上で、大量の地下水に含まれるシアンやヒ素、ベンゼンといった毒性の高い化学物質の除去対策、また、水質の強度のアルカリ性を中和しないと排水として排出できないことなど、幾多の環境問題を抱えたまま、市場業者の根強い反対を押し切る形で市場の移転が強行されました。
 都議会では、この大本の移転計画策定の疑惑をめぐり百条委員会も設置されて、石原元知事や濱渦元副知事らを証人喚問し、濱渦氏らについて偽証告発も行ったところです。
 こうした経過を踏まえまして開業後も続いている豊洲の環境対策の結果として、昨年度までの地下水の水位や水質の改善の進捗状況について質問させていただきます。
 まず、豊洲市場の地下水の水位は、地下ピットの下と建物の周辺の場所で、それぞれどうなっているのか、年間平均、最高、最低値を街区ごとに教えていただきたいと思います。

○萩原環境改善担当部長 令和二年度の地下水位でございますが、街区別に、まず五街区でございますが、地下ピット下におきましては、年間の平均水位A.P.プラス一・七四メートル、最高水位二・〇七メートル、最低水位一・四八メートル。五街区の建物の外周は、年間平均水位A.P.プラス一・八メートル、最高水位三・〇五メートル、最低水位〇・一八メートルでございました。
 次に、六街区でございますが、地下ピット下におきましては、年間平均水位A.P.プラス一・九六メートル、最高水位二・四七メートル、最低水位一・〇九メートル。六街区の建物外周は、年間平均水位A.P.プラス一・九四メートル、最高水位三・八二メートル、最低水位〇・四五メートルでございました。
 続きまして、七街区でございますが、地下ピット下におきましては、年間平均水位A.P.プラス一・九八メートル、最高水位二・二三メートル、最低水位一・六一メートル。七街区の建物外周は、年間平均水位A.P.プラス一・八六メートル、最高水位四・六二メートル、最低水位はゼロメートルでございました。

○曽根委員 ただいまの答弁は、今日の資料の一〇ページ、一一ページ、一二ページにかけての細かい数字の出ている資料から、最高、最低の数値をピックアップしていただいたものですが、この中で、建物の地下ピットの下と建物外側との最高、最低、平均の水位のギャップがあることについて、都はどのように認識しているでしょうか。

○萩原環境改善担当部長 令和二年度における地下水位の最高値と最低値の差でございますが、建物下は、五街区では〇・五九メートル、六街区では一・三八メートル、七街区では〇・六二メートルの水位差でございまして、建物外周は、五街区で二・八七メートル、六街区で三・三七メートル、七街区で四・六二メートルの水位差がございました。
 このように、地下水位の差が、建物下に比べ、建物外側の方が大きいことの理由として、屋内に比べ、屋外は、降雨の影響など様々な要因によるものと認識してございます。

○曽根委員 建物の下、つまり地下ピットの下は、地下ピットにありますコンクリート床で封じ込められておりますので、地下水位はA.P.二・五メートル以上には絶対に上がってこないわけで、しかも、それについては、地下ピットに恐らくポンプもつけて、くみ上げも行っておりますので、地下水位を抑えることは十分可能だと思います。
 しかし、この建物周辺については、降雨、雨の影響などで、場合によっては四・六メートル以上にまで上がっていると。
 広い市場の敷地内の地下水くみ上げに依存した水位のコントロールがいかに難しいかということを示していると思います。
 当初の計画では、この建物内外の水位差によって、建物全体が船のように下からの浮力を受け続け、これがひび割れその他の原因にもなりかねないことや、また、A.P.四・六二メートルなど、地表すれすれまで地下水が上がっている場合、地下の汚染が地下水に溶け込んで上がってくる危険性が指摘されたため、地下水位は極力A.P.一・八メートルに抑え、豪雨の場合もA.P.二メートルを超えないようコントロールするシステムとして、この地下水位のシステムが設計されたんだと記憶しておりますが、完成から五年経過しても、これが実現できていないということを指摘せざるを得ません。
 そこで、地下水のくみ上げについてお聞きしますが、今、何か所で、そして、昨年度、一年間どれくらいの量の地下水のくみ上げを行ったのか、お聞きします。

○萩原環境改善担当部長 豊洲市場の地下水は、揚水井戸とウエルポイントを合わせて百七十二か所で揚水しておりまして、令和二年度の排水量につきましては、約八万六千立方メートルでございました。

○曽根委員 八万六千立方メートル。これは、実は三年前にも同じ質問を、私、この公営企業決算でさせていただきましたが、このときは、一年八か月、つまり二十か月で約十一万立方メートルでしたから、年間に換算すると、くみ上げ量は上がっているということになります。
 これに対して、地下水の中和に要する希硫酸の量はどれぐらい使ったでしょうか。

○萩原環境改善担当部長 令和二年度に使用いたしました希硫酸の使用量につきましては、約二万三千キログラムでございます。

○曽根委員 これも、前回、三年前の決算で私はただしましたが、二十か月で十一万トンの地下水をくみ上げ、これに対して四十二トンの希硫酸で中和したというふうに答弁がありました。
 単位量当たりの希硫酸の量は、若干減っているということになりますが、それでも、地下水の平均pHが大体九から一一前後の強アルカリであることは変わっておりません。
 したがって、建物ができてから五年たっても強アルカリの地下水の状況が変わっていないということは、この先、かなりの期間、この中和作業で、かなりの量の希硫酸を使い続けなければ下水道に流せないという状態が続くことになるということを指摘しておきたいと思います。
 さらに、毒性の強い化学物質であります地下水の中のベンゼン、シアンの濃度が最も高いポイントについての測定濃度の変化、これは昨年度はどうだったのか、ピークアウトしてきているといえるのか、これをお聞きします。

○萩原環境改善担当部長 豊洲市場では、地下水質の調査を三か月ごとに実施しております。
 初めに、ベンゼンの地下水中の濃度でございますが、最も高かった箇所で、調査した四回とも、一リットル当たり一・一ミリグラムでございました。
 また、シアンの濃度は、最も濃度が高かった箇所で、一リットル当たり、令和二年五月の調査では一・一ミリグラム、八月は〇・八ミリグラム、十一月は〇・九ミリグラム、令和三年二月は一・三ミリグラムでございました。
 このことについて、専門家は、濃度が上昇傾向を示した地点や低下傾向を示した地点も存在しているが、全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないと評価してございます。

○曽根委員 ただいまの答弁は、ベンゼンで、この間、昨年度、測定四回とも一・一ミリグラム・パー・リットル。これは〇・〇一ミリグラム・パー・リットルが基準値ですから、基準の百十倍という状態がほぼ安定的に毎回続いていると。
 シアンについては、これは基準がもともとなくて、検出そのものが異常だということになるのですが、それでも、基準の限界、測定限界値に対して、やはり最高で十二倍ですか、十三倍のシアンが発見されているということで、この答弁は、都の依頼した専門家による評価の中で当初想定されたような、汚染物質の濃度が時間とともに低減していき、いずれピークアウトしていくという予測がいまだに成立していないという深刻な事実を示しております。
 逆に私たちが、二〇一七年一月発表の、このポイントのベンゼン濃度がいきなり高濃度で観測されて以来、五年間、専門家会議のあの平田座長がかつての報告書で指摘したように、このポイントの地下の汚染は恐らくタール状であって、土壌調査で発見されず、地中に残されてしまった可能性が高いという指摘が的を射ていたということと考えます。こうした汚染は、地下水くみ上げなどで少しずつ溶け出し、長期にわたって高濃度汚染が消えずに続くという可能性が高いといわざるを得ません。
 都は、開場に踏み切った以上、豊洲市場で働き、また、出入りする一万人規模の市場関係者の安全と健康を守る義務があります。そのため、現状の地下水対策ではやはり不十分であり、抜本的な環境対策の拡充を検討すべきであることを指摘しておきます。
 また、迫ってきているといわれる直下地震や海溝型地震の際の液状化による土壌の再汚染などのリスクに備えて、場合によっては中央市場の緊急避難の移転も検討課題とすること、その上で、臨海部やその周辺で豊洲の市場規模に匹敵する都有地として、既に市場会計の持ち物ではありませんが、築地市場跡地を、そのほかの様々な緊急目的への活用も含めて、貴重な都有地として民間売却等の処分を行わないよう要望して、質問を終わります。

○須山委員 よろしくお願いいたします。私からも、何点か質問させていただきたいと思います。重複する質問はなるべく割愛させていただいて、円滑に進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それではまず、コロナ禍における使用料に関する事業者支援ということをお聞きしたいと思います。
 中央卸売市場は、生鮮品等流通における基幹的なインフラとして、コロナ禍においても生鮮品等の安定供給を進める必要があります。そのためには、取引の担い手である市場の事業者の経営をしっかりと支えていくことが重要であると考えます。
 とりわけ使用料や光熱水費の負担は、コロナ禍で厳しい経営状況にある市場業者の皆さんにとって大変重い負担となっており、都は、使用料等の負担軽減を図るなど、市場業者に寄り添った支援をしていくことが必要であると考えますけれども、このコロナ禍において市場使用料等に関する事業者支援の実績について、まずお聞かせください。

○渡邉財政調整担当部長 都では、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い売上げが減少した市場業者に対して、昨年四月支払い分から、市場使用料と光熱水費の支払い猶予を実施し、本年三月の支払い分までで、延べ二百四十二業者の方々にご利用いただきました。また、猶予した金額は、合計で約五億九千万円となっております。

○須山委員 ありがとうございます。二百四十二業者さんたちで五億九千万円ということで、やはり全体的にも非常に厳しい状況だったということがうかがえます。
 一方で、猶予というのは、結局、支払わなければいけないということがありますので、非常にそこら辺の支援というのが必要なんじゃないかなというふうには思います。
 私の地元にも民間の市場がありまして、そこの皆さんにもお話を聞くと、やはり必死に努力をされて何とか捻出してきたけれども、今、飲食店とかは非常に支援を受けている一方で、自分たちはなかなか厳しい状況にあるということが、そういった声がたくさん寄せられましたので、そのことをまずはお話をさせていただきたいと思います。
 コロナに関しては、またちょっと後ほど質問させていただきたいと思います。
 続いて、先ほども、ほかの委員の方でご質問された方がいらっしゃいましたけれども、条例の改正に関して、東京都中央卸売市場条例に関して伺いたいと思います。
 令和二年六月に施行されましたけれども、公正な取引環境の確保や、食の安全・安心の確保に関して必要な規定を設けるほか、市場業者や市場を利用する方々が活発に取引を行えるよう規制を緩和してきたということでございました。
 法改正で緩和された規制の中には、いわゆる第三者販売や仲卸業者の直荷引きに関するものがあるということは、先ほどの質疑で分かりました。
 そこでまず、第三者販売や仲卸業者の直荷引きについては、条例改正以前は例外的な取引であったけれども、規制緩和により、原則自由になったと。
 それで、ほかの都市では、こうしたルールのないところもあるというふうに、そういった条例が施行されているというふうにも聞いております。
 都が条例で定めているということを踏まえますと、開設者が独自のルールを定めることが可能と考えるのですけれども、まずそこで、第三者販売、仲卸業者の直荷引きの取扱いに関する都と他都市の違いについて教えていただきたいと思います。

○西坂事業部長 今般の卸売市場法の改正では、第三者販売、仲卸業者の直荷引きにつきまして、取引参加者の意見を聞くなど公正な手続を経た上で、市場ごとの実態に合わせて柔軟に取引ルールを設定することが可能となっております。
 主な都市の中央卸売市場における取引ルールにつきましては、例えば、名古屋市、大阪市、福岡市は、都と同様、原則自由化しておりますが、札幌市、京都市は、原則禁止を維持しつつ例外規定を追加するなど、部分的な緩和にとどめておりまして、開設者により違いが生じてございます。

○須山委員 ありがとうございます。開設者が独自に設定も可能だということで、また、先ほど、かつまた委員の質疑で、昨年度の条例改正後の取引の変化に関しては分かりました。令和二年度においては、特段、大きな変化はなかったやに見受けられました。しかし、今後どのようになっていくかというのは、やはり、また状況の変化等もあると思いますし、仲卸の業者の皆さんから、ちょっと不安に感じているという声も伺っております。そうしたことも踏まえて、しっかりと東京都としても注視をしていっていただきたいなと思います。
 この条例改正の趣旨をしっかりと踏まえて、市場業者の新たな事業展開や、また、それを後押しする都の取組になどによって、取引がしっかりと活発化していって卸売市場の活性化が図られることを期待したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、また、新型コロナウイルス感染症の影響に関して、ちょっとお聞きしたいと思います。
 令和二年度においては、都民生活や企業活動は、新型コロナウイルス感染症の影響で非常に大きな影響を受けました。新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会や人々の価値観にも大きな変化をもたらして、生鮮食品等のサプライチェーンにも広範かつ甚大な影響が生じたと伺っております。
 都の中央卸売市場は、サプライチェーンのまさに中間結節点に位置するものであり、新型コロナによって大きな影響を受けたと考えております。
 そこで、コロナによる令和二年度の市場の取扱金額の影響についてお聞かせいただきたいと思います。

○西坂事業部長 令和二年度の品目別取扱金額の実績でございますが、対前年度比で、水産物は一〇・五%の減、青果物は二・七%の増でございます。食肉は二・三%の減、花きは四・九%の減となっており、青果物を除く三品目で前年度実績を下回ってございます。
 対前年度比で減少幅が大きかった水産物につきましては、初めて緊急事態宣言が発出された令和二年四月及び五月、こちらで人流の抑制や飲食店の休業などの影響を受けまして、取扱金額が大きく減少してございます。六月以降は回復の兆しを見せておりましたが、令和三年一月に再度緊急事態宣言が発出されたことなどにより、再び減少幅が大きくなり、水産物については非常に厳しい状況となってございます。

○須山委員 ありがとうございます。中央卸売市場における令和二年度の取扱い金額ということでご答弁いただきました。青果物以外は減少しており、特に水産物に関しては非常に厳しかったということでございました。
 市場の仲卸の業者の皆さんからの声を聞いても、やはり、スーパーに卸していたりとか、そういったところの卸先によっては、非常に厳しい事業者さんが多くいらっしゃるということがよく分かりましたし、それはなかなか、全体的な数字では把握はできないところもあるかもしれませんけれども、やはり一つ一つの事業者さんを大切にしていっていただきたいなと思っておりますので、そういったこともよろしくお願いします。
 また、巣籠もり需要で取引量の減少であったりすることも、また、その中身もいろいろと、一概にもいえないのかなとも思いますので、しっかりとそこら辺も分析をしていっていただきたいなということを要望させていただきます。
 そういった状況の中で、生鮮品等のサプライチェーンの中間結節点である市場が、その機能を維持して役割を果たしていくためには、働く人々の感染防止対策ということが重要であります。
 先ほど、もう質疑が出たので、あえてここではまた聞きませんけれども、コロナへの感染症対策をしっかりと進めてきていただいたなということを改めて感謝申し上げさせていただきたいと思います。
 そこで、ちょっと別な観点で、コロナによって、市場の営業日に関して、影響はどのようにあったかということをお聞かせいただきたいと思います。

○西坂事業部長 中央卸売市場は、コロナ禍においても、都民に対して生鮮品等を安定供給する基幹的なインフラとしての役割を確実に果たす必要がございまして、全十一市場は、設定されている開場日及び休業日のとおりに運営してございます。

○須山委員 ありがとうございます。市場において感染症対策がしっかりとされているので、予定どおり、全十一市場とも、令和二年度では運営されたということでございました。
 しかし、コロナ禍において、東京都では、感染拡大に伴い、人流抑制等のために、飲食店に対して営業時間の短縮や休業の要請が行われてきました。
 一方、その市場内では、営業する飲食店の皆さんには休業要請というものはなされておりませんでした。市場業者からは、店を開けていても、なかなかお客さんが来ないということで、非常にお困りの声を伺ったのですけれども、そこで、豊洲市場内の飲食店におけるコロナの影響に関してお聞かせいただきたいと思います。

○西坂事業部長 中央卸売市場は、東京都緊急事態措置等におきましても、社会生活を維持する上で必要な施設として位置づけられております。
 市場内の飲食店は、関連事業者として市場業務を補完、支援する役割を担っておりまして、市場の開場日には営業することとなってございます。
 コロナ禍におきましては、感染拡大防止対策としての座席を間引いての営業や市場見学を中止といたしました影響などによりまして、利用者数の減少等があったと聞いております。

○須山委員 利用者数の減少等があったということでございました。市場業務の補完的な、また支援の役割であるということで休業要請はされなかったのですけども、一方で、市場にいらした観光客の皆さんが楽しんでいく場でもありまして、やはり、お客さんや売上げの激減というものは非常に指摘されたというふうに聞いております。こうした皆さんへの支援というものも、ちょっと考えていただければなということを強く要望させていただきたいと思います。
 新型ウイルス感染症に関して、今、新規感染者数は落ち着いておりますけれども、今後、また感染拡大ということが懸念がされる状況でもございます。安心できる状況にはないということを改めてお伝えさせていただきまして、卸売市場が果たす役割の重要性に鑑み、今後も感染防止対策に万全を期していただきながら、そこで働く皆さんの支援にもしっかりと努めていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、委員会でご説明いただきました、意欲ある市場業者への支援による市場の活性化についてお聞かせいただきたいと思います。
 先日、市場業者の方々のお声をいろいろと伺う機会がありました。仲卸業者の方にもヒアリングをしてきたのですけれども、取り扱っている商品、いろいろな多岐にわたるものもあったりとか、先ほどいったように卸先が違っていたりとかということで、いろいろな状況の皆さんがいらっしゃるということもよく分かりました。
 その中で、やはり飲食店向けの仲卸業者さん、これは非常に、今回のコロナ禍で売上げが減少していることによって影響を受けているということでございました。
 豊洲市場の水産物は日本一の取扱量を有しておりますけれども、新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けており、一日も早く活力ある取引を取り戻すことが非常に重要だなというふうに改めて感じております。
 卸売市場の取引の担い手は、卸売業者さん、また仲卸業者さんの市場業者でございまして、市場が都民の日常生活に不可欠な生鮮品等を安定して提供し続けていくためには、やはり市場業者の方々に対して、将来を見据えた取組を後押ししていく必要があると考えております。
 東京都は、令和元年度から、市場業者の意欲的で新規性のある取組等を支援することを目的として、中央卸売市場活性化支援事業を実施していると伺っておりますけれども、この事業の豊洲市場における令和二年度の実績についてお聞かせいただきたいと思います。

○西坂事業部長 都では、令和元年度から、中央卸売市場活性化支援事業により、市場業者の意欲ある取組を支援しております。
 令和二年度は、コロナ禍により市場業者の経営が大きな影響を受ける中、補助率拡充等の見直しを図り、その影響を乗り越えようと取り組む市場業者を後押ししてございます。
 豊洲市場におきましては、十六件の取組に対しまして、約一億一千四百万円を交付してございます。

○須山委員 ありがとうございます。豊洲市場では、非常に多くの事業者さんにご利用いただいたことがよく分かりました。
 先ほどの仲卸業者さんとの話に戻りますけれども、市場業者の皆さんは、日々、営業に苦心しながらも、どうしたら、より多くの方々に全国の新鮮な魚介類を召し上がっていただけるかを考えながら、ご商売の発展に気を遣っているということでございます。苦しい状況の中にあっても、多くの事業者さんが将来を見据えて取り組んでおりますので、ぜひ、改めてのそういった支援をお願いしたいというふうに思います。
 令和二年度に活性化支援事業で支援をした豊洲市場における取組の具体的な内容に関しても、お聞かせいただきたいと思います。

○西坂事業部長 豊洲市場におきましては、国内外の販路拡大に向け、水産資源管理などへの取組を証明する水産エコラベルであるマリン・エコラベル・ジャパン、いわゆるMEL認証などを活用することによる新たな流通モデルを考える契機とするシンポジウムを、水産卸、水産仲卸の業界団体が共同して開催しました。
 また、販売力の強化に向けて、水産仲卸の団体が、目利き力を生かした商品の見分け方や、魚のさばき方の動画をホームページで情報発信するなど、豊洲ブランドを訴求する取組などを実施いたしました。

○須山委員 ありがとうございます。先ほどから申しておりますけれども、例えば仲卸の方々のお話を聞くと、目利きということは非常に、ただ新鮮さとかを目利きするだけじゃなくて、その魚の部位がどうだとか、私は正直、今ここで説明することができないぐらい、非常に特殊な能力を持って、それを和食の文化というものに非常に貢献していただいているなということを、お話を伺う中で分かりました。そうした中で、やはり豊洲のブランドであったりとか、そういった市場の価値を非常に高めていっていただくことになるなということを、非常に強く感じております。
 そうした人たちをしっかりと支えるということ、先ほどからお願いしたいというふうに思っておりますけれども、こうした様々な努力であったりとか取組ということをまた東京都が支援するということが、この補助事業の趣旨であるなということをことを感じております。
 しかしながら、現場でヒアリングをしてみると、その補助事業を利用しようとしてもなかなか、事務的な申請であったりとか、そういったことでハードルが高いという声も伺いました。せっかくそうした市場の業者の方々を支援するためのメニューを用意していても、それをしっかりと活用していただかなければ、市場全体の底上げにはつながっていかないかなというふうにも思います。
 そこで、活性化支援事業を多くの業者の方々に利用していただくために、都はどのような取組を行ってきたのかをお聞かせいただきたいと思います。

○西坂事業部長 活性化支援事業の活用に当たりまして、市場業者から、手続を簡素化してほしいなど様々な声が上がっておりました。
 多くの事業者に利用していただくため、業界団体等に事業の趣旨を丁寧に説明するとともに、申請に際しての相談に対して、具体的な助言などを行ってございます。
 また、申請書類の簡素化や、迅速な対応が必要な感染症対策等については審査手続を簡略化するなど、市場業者の負担軽減を図ってございます。

○須山委員 ありがとうございます。やはりこういった制度を利用する事業者の皆さんの声というものを改めて取り入れていただきながら、使い勝手のいい制度にしていっていただきたいなというふうに思っております。これからも市場業者の方々の様々な声に向き合って、そして、利用しやすい制度設計とサポートを改めてお願いしたいと思います。
 業者さんの中には、ICTとかに非常に慣れていない方もまだまだ多いというふうにも聞いております。そういったところに具体的なサポートをしていっていただくことが必要なのかなと思いますので、そうしたこともよろしくお願いしたいと思います。
 卸売市場は、都民の食の安定供給という重要な役割を担っております。開設者である都と、そして、取引の担い手である市場業者の皆さんがしっかりと連携をしていくことによって、その役割を果たしていっていただきたいと思いますし、市場業者の皆さんは、やはり食や、また和食の文化の担い手であるというふうに感じております。
 今後、コロナだけではなくて、様々な厳しい状況がまた出てくるかもしれません。そうした中で、しっかりと皆さんを守っていけるような制度をつくっていっていただきまして、そして、市場がさらに発展していくことを願いまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございます。

○細田委員 私の地元であります豊洲市場における新型コロナ感染症対策について質問します。
 日本一の取扱数量を誇ります豊洲市場の市場機能を維持するためには、取引の担い手であります市場関係者の皆様の感染拡大を防ぐことが重要なことはいうまでもありません。
 現在、感染状況は落ち着きを見せていますが、先月までは、連日のように感染発生の報告が入っておりました。
 昨年の十月には、水産仲卸業者を中心に感染者数が一時的に増加し、私からも、PCR検査などの対策を市場業界に強く働きかけるよう、東京都に強く要請をさせていただきました。都は、速やかに行動を起こされ、昨年度の取組は一歩前進をしたと、このように私は理解しております。
 これまで都は、感染症対策について、市場業者と一体となって取り組んで、業界が行う対策には活性化支援事業で支援をされてきていると思いますが、豊洲市場におけます感染防止対策について、令和二年度の取組内容について説明を求めます。

○西坂事業部長 豊洲市場では、都内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された令和二年一月下旬以降、都と業界団体が連携して感染者発生時の緊急連絡体制を構築いたしますとともに、消毒液の設置などの衛生対策を講じ、感染症に関する幅広い情報を市場関係者に適宜提供いたしております。
 令和二年十月下旬から十一月中にかけまして、複数の事業者から感染者が散発的に確認された際には、都も事態を重く受け止めまして、管轄であります江東区保健所の助言等に基づき、業界団体と連携して対策の強化に取り組みました。
 具体的には、場内を巡回指導し、来場者も含めました市場関係者に対してマスク着用の徹底などを図っております。
 また、業界団体は、感染者の多い水産仲卸業者の全事業者を対象に、十一月二日から中央卸売市場活性化支援事業を活用して自主検査を実施し、感染者を早期発見し対処するなどの取組を行ってございます。
 この結果、十二月初旬には、感染者の確認数は大きく減少してございます。

○細田委員 豊洲市場で感染拡大の傾向が見られた際に、都と市場業界とが連携をして迅速な対応であったことが、その抑止につながったという答弁でありました。私もそう理解しています。
 今年度も、私からは、市場業者向けの職域接種について実施を求めましたし、また、都の大規模接種会場の対象に市場業者も加えてもらうよう働きかけをするなど取り組みました結果、ワクチンの接種は進みました。
 また、都も、第五波で爆発的な感染拡大が起きた際には、場内の複数の感染者が判明した場合に迅速な自主検査が行えるよう、業界の緊急対策事業を補助事業で支援したと聞いております。
 現在、感染状況は落ち着きを見せておりますが、感染症に対する慣れや意識の低下が起きないように、注意喚起等の対策など、感染症の再来に備えを固めることは重要であります。
 今年の九月中旬には、私も改めて市場を視察してきました。心配な状況も見られました。引き続き、リバウンド防止策の徹底をお願いしておきます。
 今の答弁の中にございました、マスクの着用の徹底などを図った。今、ほとんどの方々がマスクをされております。そして、ワクチンの接種も、先進国の中でもトップで進んできた、こういう状況があります。そして、間もなく経口の治療薬というものも進んでくる。そうなりますと、万が一、感染をしたときも、マスクをしている、重症化しない、そして、お医者さんに行って、感染していても治療薬を飲むことによって感染防止がされていく。こういう循環にやっと、出口を見据えて入っているわけです。
 今、全てが終わったわけじゃない。だから、その徹底をしていただいたことは、また時がたつと、おろそかになってしまうこともあります。九月の段階で、私は見てまいりました。再度徹底をしていただきたい、このことをこの場で申し上げておきます。
 次に、コロナにおける経営支援の取組について確認します。
 話は遡りますが、豊洲市場の事業者は、平成三十年十月に築地市場から今の豊洲市場に移転しました。都は、その際の移転支援策として、融資制度の創設等により中小の仲卸業者を支援し、多くの方に活用されたと聞いています。
 豊洲市場への移転支援策のうち、仲卸業者の方々を対象とした融資制度の利用件数についてお尋ねします。

○西坂事業部長 都は、豊洲市場への円滑な移転のために必要となる運転資金等に対する融資事業など様々な支援策を講じ、移転に係る経済的な負担の軽減や不安の解消に努めてきました。
 仲卸業者を対象とした市場独自の融資事業である仲卸・関連事業者融資事業につきましては、令和二年度末までの総受付件数は四百三十四件でございました。

○細田委員 多くの仲卸業者の方が、移転に際して融資制度を活用しておりますが、当然のことながら、昨年の四月の時点でも移転に伴う借入れが残っている状況にありました。
 こうした事業者の方々の中からは、移転に関わる融資の返済と、そして感染症による影響の二重の負担により、資金繰りが不安であるといった声も聞こえます。届いています。
 仲卸・関連事業者融資事業の借入れの返済と感染症の影響で、資金繰りに不安がある市場業者に対する都の支援策について答弁を求めます。

○西坂事業部長 仲卸業者の中には、移転に際し利用した融資の返済に、新型コロナウイルス感染症による経営への影響が加わるため、資金繰りの面でさらに厳しい状況にある事業者がいるものと認識してございました。
 そのため、移転に際し利用した融資の返済猶予等をする場合に、新たに増額となる利子相当分につきまして都が追加負担する制度を構築し、条件変更等をしやすくするようにいたしました。
 また、都や国の融資や助成金などの各種支援制度の分かりやすい情報提供に加えまして、市場使用料と光熱水費の支払い猶予など、厳しい経営状況にある市場業者に対し、きめ細かく対応してございます。
 引き続き、市場業者の声に耳を傾けてまいります。

○細田委員 コロナ禍が与えました経営への影響、これはこれからも続いていきます。豊洲市場の事業者は、移転に関わる負担も抱えています。引き続いて、市場業者の声に向き合いながら柔軟な対応に努めていただきたいと思います。
 都が追加負担する制度を構築して条件変更等をしやすくするようにされたといわれるこの制度、あまり利用の数が多くないように理解をしています。これからリスケジュールなど対応を望む業者がいた場合に丁寧に対応するように、また、都がまさにこの移転のために融資をされているその中心となって、それを制度設計して後押しをして、金融機関がそれを行っているわけなので、このリスケジュールをされたり、ここで困る方に対してのしっかりと寄り添った、業者側に寄り添った対応をするように、金融機関に対しても周知徹底、バックアップを、市場の方からぜひしていただきますことをお願いいたします。
 さて、市場業者の経営を取り巻く環境は厳しいですけれども、一日も早くこの状況を乗り越えるためには、市場業者の将来を見据えました取組を引き出す必要があります。
 都議会公明党は、より多くの市場業者の方々に中央卸売市場活性化支援事業の活用を促すとともに、市場業者に寄り添ったプッシュ型の支援、こちらから手を差し伸べる支援、背中を押す支援、これを展開するべきだと主張してまいりました。
 令和二年度におけます活性化支援事業の活用の促進やプッシュ型の支援策について、都の取組を尋ねます。

○西坂事業部長 都では、令和元年度から、中央卸売市場活性化支援事業により、市場業者の意欲ある取組を支援してきました。
 令和二年度は、コロナ禍により市場業者の経営が大きな影響を受ける中、その影響を乗り越えようとする取組につきまして、使いやすい制度へと改善を図るため、補助率の拡充や概算払いの導入等を行いました。
 こうした制度改善に加えまして、補助金の交付を受けた事業者の取組状況等を取材した情報紙を発行し、より多くの市場業者に本事業の活用を促しました。
 また、品質衛生管理の強化に取り組む仲卸業者の店舗に食品衛生アドバイザーを派遣し、技術的な助言を行うなどのプッシュ型支援を行いました。

○細田委員 都民の日常生活は回復の途上ですが、市場業者の経営が受けた影響は、売上げの減少のみならず、取引先の廃業や取引環境の変化など様々なことがありまして、置かれた状況も異なっています。今まで以上に個々の市場業者の側に立った対応、これが市場には求められております。
 令和三年度に経営相談の事業をされていて、公認会計士や中小企業診断士、社労士の方々を派遣して、様々、寄り添った対応をする、また、今のご答弁にもありましたけれども、食品衛生アドバイザー、コンサルタント、これらの方々を派遣して、HACCP基準をちゃんと乗り越えられるような、時代を超えていけるような形の支援をしていく、このような取組でありますので、こういうものを市場の方々にも知らせていく、金融機関にも知らせていく、様々な手段で伝えていく、私も伝えていきたいと思いますけれども、そのような形の中で手を差し伸べていただいて、このコロナ禍からの出口をしっかりと後押ししていただくことを改めて求めておきます。
 次に、豊洲市場の安全・安心についてです。私からもお尋ねいたします。
 市場が開場して三年が経過いたしました。都が豊洲市場の安全・安心を確保していく上で、地下の水質や空気の調査結果については、地元選出の私も常に注視をしています。
 そこで、豊洲市場におけます昨年度の地下水質及び空気調査の状況について、都の見解を求めます。

○萩原環境改善担当部長 豊洲市場では、地下水質の状況を把握するため、三か月ごとに地下水質中のベンゼン、シアン、ヒ素の濃度を測定してございます。
 測定の結果、濃度が上昇傾向を示した地点や低下傾向を示した地点も存在しておりますが、専門家の方々からは、全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないと、現時点で評価をいただいております。
 また、地上部の安全を確認するため、毎月、建物一階や屋外、地下ピットで空気中のベンゼン、シアン、水銀の濃度を測定してございます。
 空気調査の結果は、全ての箇所で大気環境基準に適合しており、専門家の方々からは、科学的な視点から安全は確保された状態にあるとの評価をいただいております。

○細田委員 豊洲市場開場の約束でありました安全・安心の担保をしていく上で、地上部における空気の安全性が確認されていることは当然のことであります。
 また、一方、地下の水質に関しては、四年前に私が質問をしたときには、地下水管理システムを運用し、揚水することで、中長期的に水質は改善されていくということでございました。今もその見解を求めて、そして専門家の方々からは、科学的な視点から安全は確保された状態にある、こういう評価だと、このように答弁がありました。大事なことは、分かりやすく、そして、しっかりとオープンにして伝えていくということだと思います。
 思い出すと、四年前にも、豊洲市場だけじゃなくて、豊洲は汚れている、豊洲は汚い、豊洲は危ない、このような風評が広がりまして、私も、ある親御さんから、娘が通っている私立の小学校なんですけれども、お友達から、何々ちゃんがいる豊洲は汚れていて大変なんだよね、大丈夫なの、そんなところに住んでいてと、こんなこともいわれるような風評被害がありました。そういうことをしっかりとなくさなくちゃいけないということを、私も訴えてまいりました。
 都も一生懸命、それから様々な豊洲市場でのイベント、また、にぎわいをやりながらも、様々な形でこの風評払拭ということをやってきてくださっているわけですけれども、まさに安全・安心があるんだ、まずここにあるんだという、この大事なことが一番最初に分かっていることが大事で、そして、それから今やらなくちゃいけないことは何なのかということを伝えていくということをしないと、何なんだろう、危ないんじゃないか、不安じゃないかという、またそんなことになっては大変なことになってしまいますので、どうぞその点もよく踏まえていただきたいと思います。
 運用開始から五年間経過した、現在の水質改善の状況に関する見解を求めます。

○萩原環境改善担当部長 地下水質の現状に対し、専門家の方々からは、現時点で、全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないとの評価をいただいております。
 都はこれまで、地下水管理システムを適切に運用することにより、地下水位の管理と併せて、地下水質におけるベンゼンやヒ素などの物質を回収し、取り除いてまいりました。
 豊洲市場の各街区の周縁が遮水壁で囲まれていることや、地下には不透水層があることを踏まえ、今後も地下水管理システムの適切な運用を積み重ねていくことが、豊洲市場の安全・安心の確保につながると認識してございます。

○細田委員 地上部における空気の安全性は当然のことといたしまして、今おっしゃいました地下の水質についても、都民に正確で分かりやすくPRすること、これが重要であります。正しく理解していただけるように、これからもどうぞ発信をよろしくお願いいたします。
 そこで、豊洲市場を利用する人々の安心につながる情報発信についての都の今後の取組、見解についてお伺いいたします。

○萩原環境改善担当部長 豊洲市場における地上部の空気や地下水質の状況について、都民の皆様をはじめ豊洲市場を利用する人々に対し、正確で分かりやすい情報を提供していくことは、豊洲市場の安全・安心の確保に向けた重要な取組でございます。
 このため、都では、空気調査は毎月、地下水質調査は三か月ごとに、その結果を市場のホームページで公表するとともに、ツイッターで発信をしております。
 さらには、市場業界や地元区、学識経験者、都民などで構成する豊洲市場における地下水等管理に関する協議会を開催し、きめ細やかな情報提供を図るとともに、ご意見を伺っております。
 都では、引き続き、あらゆる機会を通じて積極的に情報発信し、市場の安全・安心に向けて取り組んでまいります。

○細田委員 適切に情報発信をしていただきまして、豊洲市場を利用する人、また、豊洲市場に勤められる方、地元の方々、都民の方々に安心を広げていただくよう、安心につなげていただくよう情報発信いただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○里吉委員 それでは、私は、市場における省エネ、再エネ対策についてお伺いしたいと思うんですが、その前に、私からも、豊洲市場の安全対策について、改めて一言申し上げたいと思います。
 本当に豊洲市場の地下水の汚染、三か月に一回、調査をして、情報を市民の皆様に提供しているということですけれども、この汚染の実態が大変深刻な事態だということに変わりはないわけで、これは、東京都がやはり責任を持ってきちんとした対策を取ることで、市場で働く皆さん、関係者の皆さんの安心・安全確保のためにぜひご努力いただきたいということは、一言申し上げておきます。
 私からは、一点だけ、CO2排出削減。今、気候危機打開のために、どこでも、どの分野でも温室効果ガス削減が大きなテーマということで、市場で何ができるかということについて、一点だけお伺いしたいと思います。
 皆様もご存じのように、東京都は、今年の三月にゼロエミッション東京戦略二〇二〇 Update&Reportを策定いたしました。そこには、二〇三〇年までのCO2排出量の半減、カーボンハーフの実現のためには、ビジネス、市民生活、都市づくりなど、あらゆる分野の社会経済構造を脱炭素型に移行する再構築、再設計が必要ですと書かれています。このために、東京都は、二〇三〇年カーボンハーフに向けて必要な社会変革の姿、ビジョンとして、二〇三〇カーボンハーフスタイルを提起しています。
 この冊子を見ますと、今こそ行動を加速するとき、タイム・ツー・アクトを合い言葉に、国内外のあらゆる主体に行動の加速を呼びかけ、脱炭素という世界共通のゴールに向けて、さらなる連携、協働を進めていきますと述べられているんですね。
 市場のいろいろな環境対策を見させていただきました。ホームページを見ただけでも、足立市場で電動小型特殊車両の大規模充電設備を整備したり、太陽光パネルの設置、それから板橋市場では、3R運動を実施して、その一環として廃棄パレットをゼロにするなど、ほかの市場も含めて、様々な環境対策にもこれまで取り組んでいただいていることが分かりました。
 今後、東京都が全体としてカーボンハーフに取り組むに当たって、では、市場ではどんな課題があるか、何ができるかということで、一点お伺いしたいと思います。
 まず、すぐに取り組めるものとして、照明器具のLED化があると思います。昨年度も取り組んでいただいているということですので、昨年度の実績について、まず伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度は、板橋市場ほか四市場において、照明器具のLED化の工事を行いました。こうした工事に一億五千万円を執行しております。

○里吉委員 照明のLED化は、エネルギーを減らすという意味では大変有効です。東京都が管理している部分の照明器具について、省エネ対策として、このLED化を全てで実施していただきたいと思います。
 そこでお伺いしますが、この東京都が行っている市場での照明器具のLED化について、いつから取組を始めたのか、昨年度まででどの程度まで進捗しているのか、お伺いします。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場では、平成二十八年度から、卸売場、仲卸売場共用部などの照明器具のLED化に取り組んできております。
 これにより、令和二年度末におけるLED化率は四三%となっております。

○里吉委員 昨年度、四市場で取り組んでいただいたということですが、それでも、昨年度末で、まだ全体の半分までいっていないということでした。このペースで行くとまだ、完了するまで、あと四、五年かかってしまうのかなと思うのですが、ぜひこれは前倒しをしていただきたいと思います。
 お話を伺いましたら、やはり市場を回しながらLED化しなくちゃいけないので、どうしても年末年始とかゴールデンウイークとか、それからお盆と、限られたときにしかできないということ、それから、電気の色も変わってしまうと目利きに影響があるということで、丁寧に色も調整しながらLED化を進めていただいているということで、お時間がかかってしまっているのは理解できるのですけれども、やはり今、これは規模とスピードが求められる時代ですので、行動を加速するときということで、ぜひ協力をお願いして取り組んでいただきたいと思います。
 そして、本当は、再生可能エネルギーについても、今日、お伺いしたかったのですけれども、なかなかこれ、いろいろお話を聞くと、まだ難しいということだったので、今日は要望にとどめますが、市場では、巨大冷蔵庫など、相当、電力を使っています。もちろん、買換えのときには、省エネの一番新しいタイプのものを買っていただいているということだと思うんですけれども、ぜひ使っている電力を再生可能エネルギーに切り替えることも取り組んでいただきたいと思います。
 電気代は、それぞれの業者さんが支払うということで、電気料金が上がるようなら難しいというお話も伺いました。大量に一遍に使うだけに、そこは何とか、安く購入できるルートがないのか、研究、検討をしていただきたい。
 ほかにも、様々できることがあると思います。市場のきちんとしたお仕事に取り組みながらではありますけれども、同時に、市場としても、再エネ、省エネ対策についても、ぜひとも取り組んでいただきたいということを求めまして、私の質問を終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時二十八分散会

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