令和二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

令和三年十月二十七日(水曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長小林 健二君
副委員長たきぐち学君
副委員長斉藤まりこ君
副委員長松田 康将君
石島 秀起君
もり  愛君
たかく則男君
林あきひろ君
森口つかさ君
阿部祐美子君
とくとめ道信君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長兼務上野 雄一君
次長桜井 政人君
技監福田  至君
理事安部 文洋君
総務部長木村 健治君
都市づくり政策部長小野 幹雄君
都市基盤部長特命担当部長兼務谷崎 馨一君
市街地整備部長選手村担当部長兼務朝山  勉君
市街地建築部長山崎 弘人君
基地対策部長三木 暁朗君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務三宮  隆君
防災都市づくり担当部長鈴木  理君
多摩ニュータウン事業担当部長八嶋 吉人君
局務担当部長大八木 猛君
病院経営本部本部長西山 智之君
経営企画部長谷田  治君
サービス推進部長西川 泰永君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務藤本  誠君
計画調整担当部長船尾  誠君

本日の会議に付した事件
令和二年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・令和二年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・令和二年度東京都病院会計決算(質疑)

○小林委員長 ただいまから令和二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○石島委員 それでは、都市整備局関係で質問をさせていただきます。
 リニア中央新幹線の開業に向けて、国際交流拠点としてのまちづくりが進められている品川駅、田町駅周辺地域において、泉岳寺駅地区は、空港へのアクセス需要の拡大や周辺開発の進展により、駅利用者の大幅な増加が見込まれることから、都営地下鉄泉岳寺駅や幹線道路の整備と一体となったまちづくり計画が進められています。
 そこで、この泉岳寺駅地区市街地再開発事業における令和二年度の主な事業内容についてお伺いいたします。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 令和二年度の泉岳寺駅地区における主な事業内容につきましては、全ての権利者との契約を完了させた上で、既存建築物の解体工事を実施するとともに、再開発ビルへ入居予定の権利者に対する仮住居等の補償などを行いました。
 また、令和二年十一月に事業計画変更を行い、同年十二月に特定建築者の再募集を開始いたしました。
 なお、特定建築者につきましては、本年六月に決定をしております。

○石島委員 昨年十二月に特定建築者の再募集を行ったとのご答弁がありました。
 令和二年度決算では、予算規模に対して執行率が約五一%という状況になっていますが、これは特定建築者の応募がなかったことが影響し、当初予定していた既存建物の解体工事費用、そして、施設建築物工事費用等の執行が低くなったためと聞いていますが、そこで、初回の募集で不調になった理由についてお伺いいたします。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 特定建築者の募集要領を令和二年一月に公表いたしましたが、その後、募集時点においては、実勢の地価や工事価格などが当初の公募条件と合わなくなっていたためと考えております。

○石島委員 募集要領の公表後、募集時点での実勢の地価や工事価格などが当初の公募条件に合わなくなったということですが、特定建築者の再募集に向けてどのように取り組まれたのかお伺いいたします。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 再公募に当たりましては、民間事業者の応募しやすい環境を整えるために、敷地処分予定価格や事業期間など、公募条件の見直しを行っております。
 見直しの内容につきましては、事業計画の変更に反映させております。

○石島委員 公募条件の見直しを行い、事業計画を変更したというご答弁がありましたが、事業期間については、三年間延伸したと聞いています。
 こうした事業計画の変更は、再開発事業計画そのものの根幹に関わる重要な問題であり、とりわけ事業期間の延伸は、権利者との信頼関係、補償問題にも直結します。
 そこで、事業期間を三年延伸したことについて、権利者にどのように理解を求め、対応されたのか、また、それに伴う補償の内容についてお伺いいたします。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 権利者には、事業期間の延伸を含めた事業計画変更の内容について、広報誌泉岳寺駅地区えきまちだよりや資料送付を通じまして説明や周知を図るとともに、権利者からの質問や意見については、電話やメールで個別対応するなど、新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも、きめ細やかな対応を行っております。
 また、事業期間の延伸に伴い、必要な仮住居等について、見直した資金計画の中で、延伸期間分の補償を行うことといたしました。

○石島委員 最後に、事業期間を延伸したことから、品川駅北周辺地区内の隣接するまちづくりの関係事業者との円滑な連携を進める必要があると考えますが、どのような取組をされたのかお伺いいたします。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 本再開発事業では、泉岳寺駅の地下駅前広場から再開発ビルを経由し、高輪ゲートウェイ駅へアクセスするデッキレベルでの複数の歩行者ルートの構築など、隣接する地区との一体感のあるまちづくりを進めることとしております。
 昨年度の事業計画変更後は、隣接街区とのまちづくりの連携が円滑に行われるよう、駅とまちをつなぐ歩行者ネットワークの確保に向けて、品川駅北周辺地区のまちづくりの事業者である東日本旅客鉄道株式会社や泉岳寺駅改良工事の事業者である交通局などと、各事業の進捗状況と今後のスケジュールについて情報共有を行っております。

○石島委員 羽田空港の国際路線の強化やリニア中央新幹線の開業に向けて、品川駅、田町駅周辺地域は、今後ますますポテンシャルが高まっていく地域と予測されます。
 新型コロナウイルス感染拡大により、初めての緊急事態宣言が発令され、不動産市況の先行きが不透明な時期に特定建築者募集時期が重なるなど、社会的要因の影響により、泉岳寺駅地区の事業期間を延伸することにならざるを得なかったと拝察しますが、同時に進められている周辺再開発事業との連携、調整をしっかりと図り、一体感のある国際都市東京の新たな玄関にふさわしいまちづくりを進めていただくよう引き続きご努力いただくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございます。

○阿部委員 それでは、令和二年度都市再開発事業会計決算についてお伺いをいたします。
 泉岳寺駅地区の再開発事業、こちらは、泉岳寺駅地区のある品川駅、田町駅地区周辺地域では、私の地元であります品川区と隣接をし、地域住民にとっても関心事の一つです。
 泉岳寺周辺の民間再開発の中には、住民から不安の声が上がっている計画もあり、行政としてもぜひ耳を傾けていただきたいところです。ただ、本日の決算審査の対象になっております本事業については、地権者全員の同意の下に進められているということで理解をしております。
 さて、本事業は、先ほど質疑がありましたとおり、平成三十一年に事業計画が決定し、そして、令和六年度の開業に向けて事業が進められてきたものの、特定建築者の募集が不調に終わり、令和二年度に再公募となりました。
 これについては今質疑がございましたので、繰り返しませんけれども、一回の不調で三年間の延伸、この背景には、品川駅北周辺地域内で、令和二年度、明治初期の貴重な鉄道遺構である高輪築堤が出土したこと、JR東日本が発表したこと、このことが影響していると思います。これは、入札不調の影響だけではなく、高輪築堤の影響もあると理解しております。
 日本の近代化の礎となった貴重な技術遺産が東京の誇りであり、プロジェクト完成後にこの地域を訪れる国内外の方々に、近代日本の歴史と技術、文化をアピールする希有な存在ともなります。事業計画の変更は、関係者の方々にご苦労もあると思いますが、現地での最大限の保存と公開に向けて、東京都の関係各部局にもご尽力をいただきたいと思います。これは要望にしておきます。
 そして、本事業で計画をされている再開発ビル、これは、都営地下鉄という公共交通の入り口の役割を果たし、様々な障害を持った方への配慮も高いレベルで求められます。バリアフリーの面でどのように対応されているのか伺います。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 本地区では、このまちを訪れる全ての人が安心して快適に移動できるよう、地上から、本事業で整備いたします再開発ビル内のエレベーターやエスカレーターなどを利用し、地下駅前広場を経由して泉岳寺駅構内へアクセスするなど、バリアフリールートを構築することとしております。
 こうした方針を、特定建築者募集要領に、提案に当たっての設計、施工の条件として記載しております。

○阿部委員 ありがとうございます。全ての方々が安心、快適に移動できるためには、車椅子等での移動ルートの確保は大切ですが、それだけでは不十分だと思います。視覚障害や聴覚障害のある方々への支援機能、あるいは色覚障害を持つ方にも分かりやすいユニバーサルカラーの採用など、多様な障害種への配慮が必要です。新たな知見や技術を取り入れつつ、引き続き工夫を続けていただきたいと要望をいたします。
 次の質問に移ります。
 防災の観点から伺います。
 本事業の地域は、海や運河に近く、海抜三、四メートルにあり、浸水被害が比較的起きやすい地域にありますが、地下レベルに広場が計画をされています。
 防災上重要な再開発ビルの浸水対策や地震時の帰宅困難者対策について、どのような対応をしてこられたのでしょうか。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 本地区の一部は、港区の浸水ハザードマップにおきまして浸水域となっておりまして、水深が十センチから五十センチ程度の浸水が想定されております。
 このため、建物内部や地下駅前広場が浸水しないよう、出入口に防水板を設置するなどの浸水対策を実施することとしております。
 また、港区雨水流出抑制施設設置指導要綱に基づき、雨水を貯留する雨水流出抑制装置を再開発ビル内に設置することとしております。
 帰宅困難者対策につきましては、再開発ビル三階に配置されるオフィス入り口ロビーの一部を帰宅困難者受入れのための一時滞在施設として活用するとともに、水、食料などの備蓄が可能な備蓄品保管スペースとなる倉庫についても整備することとしております。
 こうした方針を、特定建築者募集要領に、提案に当たっての設計、施工の条件として記載しております。

○阿部委員 帰宅困難者の滞在施設は三階ということで安心をいたしましたが、災害時にその場にいる方々が、どこに避難すればいいのか、安全なのか、それが判断できるような表示と工夫をお願いしたいと思います。
 最後に、環境面についてお伺いします。
 再開発ビルの環境性能向上を図るため、東京都としてどのように対応してこられたのでしょうか。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 低炭素都市のモデルとなるように、本地区では、高い断熱性能の確保や高効率の設備機器の導入について、都市開発諸制度よりも高い水準を求めております。
 また、隣接する品川駅北周辺地区内に整備される地域冷暖房施設から、再開発ビルの事務所、店舗、子育て支援施設などへ熱供給を受けることにしております。
 こうした方針を、特定建築者募集要領に、提案に当たっての設計、施工の条件として記載するとともに、さらに高い環境性能を検討するよう求めております。

○阿部委員 設計、施工の条件を超えて、高い環境性能を検討することを求めるとのご答弁、評価したいと思います。
 建築物に求められる環境性能レベルは、年々上がっています。知事も先月の議会の所信表明の中で、東京のゼロエミッション化に言及をされておりました。環境性能が上がれば、建物としてのランニングコストの減少も期待ができます。施工が遅れた分、より高い水準での環境性能の実現ができるよう、引き続き努力をしていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○小林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小林委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。

○小林委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都病院会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○谷田経営企画部長 お手元にお配りしてございます令和二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をご覧ください。
 資料は、目次にございますように、合計十件でございます。
 恐れ入ります、一ページをお開き願います。1、都立病院における経営指標の推移でございます。
 都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移、施設整備関連経費でございます。
 一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について、その推移を記載しております。
 三ページをご覧ください。3、一般会計繰入金の推移、施設整備関連経費以外、病院別でございます。
 一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費の推移を病院別に記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移でございます。
 医師、看護要員及び医療技術員等の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を記載しております。
 五ページをご覧ください。5、各都立病院の産婦人科、小児科及び麻酔科常勤医師の定数及び現員の推移でございます。
 産婦人科、小児科及び麻酔科の常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について病院別に記載しております。
 六ページをお開き願います。6、各都立病院の分娩件数の推移及び周産期医療受入れ件数の推移でございます。
 (1)は分娩件数の推移を、(2)は周産期医療受入れ件数の推移を、それぞれ各年度、病院別に記載しております。
 七ページをご覧ください。7、各都立病院の薬剤師の定数及び現員の推移でございます。
 次の八ページにかけまして、薬剤師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について病院別に記載しております。
 九ページをお開き願います。8、各都立病院の個室使用料の収益の推移でございます。
 各年度の個室使用料の収益の推移について病院別に記載しております
 一〇ページをお開き願います。9、各都立病院の医業収支、平成二十九年度以降、月別でございます。
 このページから一七ページにかけまして、平成二十九年度以降の医業収支について、年度ごとに、月別、病院別に記載しております。
 一八ページをお開き願います。10、新型コロナウイルス感染症対応のために購入した医療機器及び実施した施設整備、令和二年度でございます。
 このページから次の一九ページにかけまして、(1)として、新型コロナウイルス感染症対応のために購入した医療機器の名称及び数量を、次の二〇ページには、(2)として、新型コロナウイルス感染症対応のために実施した施設整備のための工事名を、それぞれ病院別に記載しております。
 簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○小林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松田委員 私からは、令和二年度の都立病院における新型コロナ対応についてお伺いをさせていただきます。
 都立病院では、行政的医療の安定的かつ継続的な提供と地域医療への充実の貢献という二つの役割を担っています。とりわけ感染症医療は、行政的医療の代表的なものであり、都立病院が積極的に取り組むものでございます。
 都立病院では昨年一月、中国の武漢市からチャーター便で帰国をした在留邦人を受け入れて以降、感染状況に応じてコロナ病床を拡大し、積極的にコロナ患者の受入れを行ってきていただいております。まさに都民が必要とする医療を提供しており、都民の安心につながっていると感じます。
 そこで、令和二年度の都立病院における新型コロナウイルスの対応についてお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、八病院全てでコロナ患者の受入れ体制を整備し、他の医療機関では対応が困難な妊婦や小児、精神疾患等の合併症患者を積極的に受け入れてまいりました。
 昨年の一月から二月にかけて、チャーター便やクルーズ船のコロナ患者を感染症指定医療機関である駒込病院、墨東病院において受け入れました。
 それ以降、都内の感染状況に応じて、五月に四百四十一床、八月に五百三十四床、一月七日には五百四十床、二月一日には八百二十床と順次確保病床を拡大し、コロナ患者の受入れに率先して取り組んできました。
 患者の受入れに当たっては、医師については、感染症科や内科医師に加えて、外科や産婦人科医師など他の診療科からも応援体制を構築し、全ての病院で全診療科が協力して新型コロナに対応しました。
 看護師についても、他の病棟からコロナ病棟への応援体制を構築するため、スタッフ向けに、感染管理認定看護師による個人防護具の着脱訓練に加え、口腔ケアや清拭など、防護具をつけた状態でのケアの方法等について研修を行い、チェックリストで自らの知識や技術を確認した上で勤務できるようにしています。
 また、病棟のゾーニングやスタッフの動線、防護具の着脱場所、コロナ病棟での物品の受渡し方法等を記載したマニュアルを感染管理認定看護師が中心となって作成し、適宜スタッフ自らで確認できるようにしました。
 さらに、コロナ病棟で働くスタッフ向けに、精神科医師を中心としたサポートチームがメンタルヘルスの相談を実施するなど、働きやすい環境を整えることにより、多くの看護師の協力を得ながら、患者の受入れに当たってまいりました。

○松田委員 都立病院では、感染状況に応じて確保病室を拡大して、また、多くの医師の協力、さらにソフト面や精神面の強化をしてこれに当たってきたことが分かりました。
 一方で、日頃は感染症患者をこれほど多く受け入れることはないので、院内の感染症対策を強化するということが重要になっております。例えば、エレベーターは別に使っているのかとか、換気はちゃんとできているのか、こういった声を地元の方からも聞くことが多くありました。
 感染症患者を受け入れるときに、院内の感染症対策についてどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 コロナ患者の受入れに当たっては、院内感染の防止や医療従事者を守るために、感染対策を徹底することが重要でございます。
 都立病院では、一般病棟をコロナ病棟として活用するために、全ての病院で簡易陰圧装置を整備しています。
 また、駒込病院では、感染症病棟の入り口に、空気の流れを遮断し病棟内を安定した陰圧状態にするための空間である前室を新たに設置するなど、各病院の状況に応じ、必要な施設整備を実施しました。
 さらに、強力な紫外線を照射して部屋を除菌する紫外線照射装置を全ての病院で導入し、患者退院後の病室やCT検査後の検査室の除菌などに活用しています。
 加えて、一般患者とコロナ患者の出入口を分離し、一般患者の出入口では、体温測定や手指消毒をせず通過することがないよう、声かけ等の徹底を図っており、院内でも、一般患者とコロナ患者が交わることがないよう動線を分離しています。
 また、各病院に専従で配置している感染管理の認定看護師が中心となり、院内の循環点検、指導を徹底するなど、感染対策に取り組んでおります。

○松田委員 ありがとうございます。コロナの全体像が見えないうちから様々な工夫をして感染対策に取り組んでいただいていることを確認させていただきました。
 新型コロナへの対応は、これからも長期にわたり現場では大変な苦労もあると思いますが、不断の努力を続けて、都民の生命と健康を守るためにしっかりと取り組んでいただくことをお願いいたします。
 続いて、令和二年度の決算についてお伺いをさせていただきます。
 都立病院が年間を通じてコロナ対応に取り組んできたこともあり、このコロナは病院の経営状況にも大きな影響を及ぼしてまいりました。
 病院学会などが実施した病院経営の状況の調査によると、全国平均で入院患者数は前年度と比べて約九%、外来患者は約一〇%減少し、経営悪化が見られたとのことですが、コロナ関連の国庫補助金が多くの病院の経営改善には寄与しましたが、病棟を閉鎖してコロナ患者を受け入れた病院などは、改善をし切れなかったとされております。
 そこで、都立病院の令和二年度決算の状況についてお伺いをいたします。

○谷田経営企画部長 令和二年度病院事業収益は、国からの新型コロナウイルス感染症のための補助金三百二億一千三百万円を含め、千八百三十九億五千六百万円であり、前年度と比べ百七十九億五千八百万円増加いたしました。
 また、病院事業費用は一千七百三十三億六千八百万円で、前年度と比べ三十九億七千八百万円の増加でございました。
 この結果、収益から費用を差し引いた全体収支でございますが、百五億八千八百万円となり、平成二十七年度以来、五年ぶりに純利益の計上となったところでございます。
 これは、新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、患者数が昨年度と比べ、入院で一五・八%、外来で一七・三%減少したため、医業収益が前年度と比べ百三十一億二千七百万円減少したその一方で、コロナ対応で年間を通じて病床を確保したため、病床確保料など、国庫補助金が交付されたことによるものでございます。

○松田委員 ご答弁によって、国庫補助金によってかえってプラスに転じたということは今分かりました。そして、この黒字額には三百六十二億円という一般会計繰入金も含まれておりますが、一般会計繰入金は前年度と比べると二十三億円減少しております。
 そこで、三百億円以上の国庫補助金を受け入れている一方、なぜ一般会計繰入金は二十三億円しか減少していないのかをお伺いします。

○谷田経営企画部長 一般会計繰入金は、採算の確保が困難な行政的医療を提供するための不可欠な経費として、地方公営企業法などに基づき、一定のルールを定め算定を行っております。
 例えば、感染症や救急医療など個々の医療において、当該医療の提供に要した給与費、材料費、委託料等の関係費用から、入院、外来収入、国庫補助金等の関係収入を差し引いた金額を積み上げております。
 令和二年度は、各病院で、救急医療やがん医療などで使用する病床をコロナ病床に転換したため、国庫補助金が得られた病床確保料を各医療の収入として積算したことによりまして、昨年度と比べ、救急医療では一・五億円、がん医療では九億円の減少となったところでございます。
 一方、コロナ病床への転換が少なかった周産期医療では、診療収入が大幅に減少しておりまして、コロナ補助金等を収入に含めても、繰入金は八億円増加しているという状況でございます。
 このように、医療課題ごとの収支を算出し、積み上げた結果によりまして、昨年度と比べ二十三億円減少したものでございまして、一般会計繰入金の積算については、今後とも精緻に行い、適切な受入れに努めてまいります。

○松田委員 一般会計繰入金の減少についても、国庫補助金を受け入れたことによってこうなったことが分かりました。一般会計の繰入金は、独法化後、運営費負担金と名前は変わりますが、行政的医療の提供には不可欠な経費でありますので、引き続き確実に措置することを求めておきます。
 令和二年度は百五億円の黒字ということでありますが、一時的にこの三百二億円という国庫補助金を受け入れてのものであります。この補助金がない令和元年度は、全体収支で三十三億円の赤字となっており、病院会計は、平成二十八年度から四年連続の赤字決算となっております。厳しいいい方ですが、コロナ禍といえども継続的な経営改善に取り組む必要があると考えます。
 そこで、昨年度、令和二年度は、経営改善にどのように取り組んだのかお伺いをいたします。

○谷田経営企画部長 令和二年度は、コロナ禍で、収益の向上を図るには厳しい環境でございましたが、本部と各病院が一体となり、コロナ禍でも実施可能な経営改善の取組を検討し、実施したところでございます。
 収益面では、診療報酬改定で新設された地域医療体制確保加算の対象となる広尾、大塚、墨東、多摩総合、小児総合の五病院全てが、令和二年四月に速やかに取得するなど、三億四千万円の増収を図りました。
 また、費用面におきましては、会議資料のペーパーレス化や医療機器保守の範囲や頻度を見直すなどによりまして、約一億三千万円の経費を節減いたしました。
 早期にコロナ前の経営状況に戻せるよう、収益、費用の両面から経営改善に取り組んでまいります。

○松田委員 コロナ禍にありながら、着実に経営改善を進めて、今、約四億七千万円の経営改善を図ったとのことでありました。新たな基準を取得し、医療サービスを充実させながら経費の無駄を抑えるという経営改善は、経営の基本的なものでありまして、独法化後も着実に実施をしていただきたいと思います。
 しかしながら、赤字の全体規模を考えると、僅かな額ともいえるものであります。今後、さらに経営改善を推進するためには、ここ数年間低下傾向にある病床利用率を高めることによって患者を確保すること、その患者に対する人材を機動的に確保することも重要であります。
 そこでまず、患者確保に向けてどのような取組を行ってきたのか伺います。

○谷田経営企画部長 新型コロナウイルス関連病床の確保の影響があり、令和二年度の病床利用率は六五・九%でございましたが、コロナ以前五年間を見ますと、平成二十八年度の病床利用率八〇・八%に対し、令和元年度は七六・九%と三・九ポイント低下をしております。
 病床利用率の低下は、近年の診療報酬改定におきまして、入院期間を短くするよう誘導されているため、平均在院日数が短くなっていることが主な要因でございまして、その改善には、ニーズを踏まえた医療機能の強化や地域との連携関係の強化など、新しい入院患者の受入れにつながる取組を推進することが必要でございます。
 令和二年度は、広尾、駒込、多摩総合の三病院に、患者にとって低侵襲となる高精度放射線治療装置を導入し、がん医療を強化するとともに、墨東病院の患者支援センターに在宅支援部門を設置して、在宅療養支援体制の充実を図ってまいりました。
 独法化後は、地域の医療ニーズを踏まえ、機動的に医師を確保し、各病院が専門性を発揮する医療分野や地域に不足する医療分野への対応を充実させ、新たな入院患者を一層受け入れていけるように取り組んでまいります。

○松田委員 昨年度は、コロナの影響もあって、一時的に大きく影響するのは仕方ないというふうに病床利用率について考えますが、それでは、コロナ前の令和元年度の病床利用率はどうだったのか、総合病院系の五病院の状況についてお伺いをいたします。

○谷田経営企画部長 令和元年度の病床利用率は、広尾病院が七一・五%、大塚病院で七〇・二%、駒込病院が七四・〇%、墨東病院が八三・五%、多摩総合医療センターが八六・二%でございました。
 広域基幹的な役割を担う墨東病院、多摩総合医療センターが病床利用率八割を超えているのに対しまして、病院が所在する地域の周辺に大学病院等の病院が集積している広尾病院、大塚病院の病床利用率は七割程度という形になってございます。

○松田委員 今ご答弁いただきました、所在する地域の医療環境や各病院が持つ医療機能によって傾向があるというふうなご答弁でありました。
 一方、近隣の大学病院などは八割程度の病床を確保しているということですので、そこら辺も参考にして今後取り組んでいただければと思います。
 こうした傾向を踏まえた患者確保の取組をさらに柔軟に行っていく必要がありますが、都立病院の取組についてお伺いいたします。

○谷田経営企画部長 平成三十年三月に策定いたしました都立病院新改革実行プラン二〇一八では、都立病院を、医療機能と所在する地域の医療環境等を踏まえまして、広域基幹型、大都市機能連携型、専門機能型に分類し、果たすべき役割を類型化いたしました。
 広域基幹型に分類いたしました墨東病院、多摩総合医療センターや、専門機能型に分類いたしました駒込病院では、高度で専門的な医療を広域的に提供することを役割としており、病院全体の医療機能を高めることにより、積極的に患者を受け入れてまいります。
 また、所在する地域に大学病院等が集積する広尾病院、大塚病院は、大都市機能連携型に分類し、広尾病院の循環器医療や大塚病院の周産期医療など、病院が持つ強みを発揮するとともに、地域に不足する医療に積極的に対応してまいります。
 独法化後は、各病院が役割を踏まえ、これまで以上に新たな医療ニーズに機動的かつ柔軟に対応することで、患者受入れに努めてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。今ご答弁ありましたとおり、来年、独法化以降は、公社と都立の大きな病院のグループとして柔軟に対応することによって、患者確保に努めていただきたいと思います。
 医療ニーズへの対応や患者の確保は、高めた医療機能に対応できる専門性の高い医療人材をここで確保する必要があると考えます。
 そこで、次に、人材確保についての取組について、令和二年度の取組、また、独法後の考え方などについて伺います。

○谷田経営企画部長 都立病院が、質の高い医療サービスの提供を通じた収益確保により安定的な経営基盤を構築するためには、人材の確保、定着が重要でございます。
 これまで都立病院では、東京医師アカデミーや東京看護アカデミーをはじめ、様々な取組を通じ、医師や看護師など医療人材の確保を着実に図ってまいりました。
 この人材確保に当たりましては、医療職が専門性を必要とする業務に専念するためのタスクシフティングの推進が、働き方改革の視点からも有効な方策の一つでございまして、各病院の実情を踏まえ、医療従事者の負担軽減や専門性を発揮できる職場環境を整備するため、医師事務作業補助者や看護補助者等の配置などを進めてまいりました。
 令和二年度においては、四月一日時点の各都立病院合計で、医師事務作業補助者百六十四名、看護補助者九十一名を配置し、これら補助者の配置を評価する診療報酬上の加算によりまして、約十億円の収益を確保しております。
 一方、新法人におきましては、例えば、病院長の迅速な意思決定により、年度途中でも医療現場の課題や医療ニーズに機動的に対応できるような人員配置が行える仕組みや、専門性に着目した手当の支給など、現行制度の制約にとらわれない法人独自の人事給与制度を構築し、良質な医療人材を安定的に確保してまいります。

○松田委員 ありがとうございます。今ご答弁ありました東京医師アカデミーなどは、私も以前、厚生委員会で取り上げさせていただいたことがありまして、機能的に確保しているということは、本当にありがたいなと思っております。
 さらに、これが独法化によって、機動的に人員配置をするということでありますので、ぜひ質の高い人材をこれからも確保できるようにお願いを申し上げます。
 次に、収益確保、また、経営改善に取り組んでいく上では、診療費の未収金対策というのも重要な観点であります。
 未収金といっても様々あります。特に発生から間もない未収金は、クレジットカードの支払いや公費負担医療の手続中の理由で、一時的には未集計されているというものもありますが、その後は問題なく回収に至るものもあるというふうに伺ってはいます。このため、未収金対策の効果を確認するという意味では、発生から一定期間経過をした未収金について着目することが重要だと考えます。
 そこで、令和二年度末時点における未収金のうち、令和元年度以前に発生をした未収金の総額と、この五年間の推移についてお伺いをいたします。

○西川サービス推進部長 令和二年度末時点におけます過年度未収金の残高は、約八億五千八百八十一万円でございまして、前年度と比較して約六百二十六万円の減少となっております。
 また、五年間の推移につきましては、平成二十八年度末の残高は約九億九千四百三十九万円でございましたが、平成二十九年度末は約九億一千百二万円、平成三十年度末は約八億九千八万円、令和元年度末は約八億六千五百七万円となっておりまして、令和二年度末まで毎年度減少を続け、この五年間で約一億三千五百五十八万円の縮減となっております。

○松田委員 少しずつではありますが、過年度未収金が着実に縮減、減少していっているということは確認することができました。この成果は、各病院や本部が地道な努力を積み重ねて回収を進めてきたものと考えます。
 そこで、この未収金の回収はどのようにして行っているのかを伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院におきましては、未収金の回収に当たり様々な取組を実施しております。
 具体的には、全病院共通の回収業務マニュアルを整備することにより、未収金の発生が確認された時点で迅速に電話や文書による催告を実施するなど、回収の早期着手を徹底しております。
 また、未収金回収の専任職員といたしまして、非常勤の職員を配置してございます。その状況につきましては、平成二十三年度に病院経営本部、広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センターに各一名、平成二十四年度に残る五つの都立病院に各一名を配置いたしました。
 さらに、平成二十五年度には、広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センターの配置人員をそれぞれ二名に増員いたしまして、現在は合計十二名の専任職員を患者への電話や自宅訪問などによる納付交渉に当たらせております。
 さらに、交渉に全く応じないなど、病院では対応が困難な案件につきましては、平成二十三年度から弁護士に納付交渉を委任しておりまして、その直近の実績といたしましては、令和元年度の委任件数は百三十件、金額は約二千八百万円でございまして、このうち分割納付により今後支払いがなされるものを含め、納付の合意率は、委任金額全体に対して約一五%、金額にして約四百十九万円となっております。

○松田委員 経営改善の面からだけではなくて、診療費をきちんと払っている患者との公平性の観点からも、回収努力を続けることは極めて重要であります。
 今ご答弁ありましたとおり、平成二十三年から弁護士に納付交渉を委任しているということですが、こうした毅然とした対応をすることによって、こういった取組がさらに進んでいくことを強くお願いいたします。
 一方で、回収の取組に係る労力や費用を抑えるために、未収金を発生させない、未然に防ぐという取組も重要であります。
 そこで、未収金発生防止、どのようにして行っているのかを伺います。

○西川サービス推進部長 未収金の発生防止に当たりましては、病院の患者支援センターの医療ソーシャルワーカーや病棟の看護師、医事課の職員が緊密に連携いたしまして、経済問題を抱えた患者さんの早期発見に努め、高額療養費制度や難病医療費、生活保護などの公的助成制度をご案内し、申請につなげるよう努めております。
 また、緊急時に現金の持ち合わせがなくても安心して受診していただけますよう、患者さんが診療費等を払う際の選択肢を拡大してきております。
 具体的には、平成十七年度からクレジットカードによる支払い方法を導入し、現在は九種類のカードの利用が可能でございまして、昨年度は、患者さんが支払った医療費の約四割がクレジットカードで決済されております。
 また、平成二十九年度からは電子マネーによる支払い方法を導入し、現在、五種類の電子マネーの利用が可能でございます。さらに、令和二年度からQRコードによる支払い方法を導入いたしまして、現在は十六種類のQRコードを利用することができます。
 今後も引き続き、未収金の発生防止と回収、この双方の観点から適切な債権管理に取り組んでまいります。

○松田委員 ありがとうございます。未収金の発生防止に向けていろんな取組、平成十七年度からクレジットカード、二十九年度から電子マネー、令和二年度からQRコード、それぞれ今答弁をいただきましたが、それぞれ使い方が違うんだと思います。
 入院された方はクレジットカードで払う、また、QRコードで払うというのは、ちょっと高額ですので、通院の方が主になるのかなと思いますが、それぞれのニーズに応じて、これからもきめ細かく対応していただけると助かると思っております。
 それぞれ病院では生活体系が異なる方がいらっしゃいますので、未収金の発生防止に向けて、患者の状況に応じて、病院が細やかに対応していくことを確認させていただきました。今後も引き続き、さらなる対応をしていただくことをお願いさせていただきます。
 次に、都立病院における病児、病後児保育についてお伺いをいたします。
 仕事と育児の両立に当たって課題となるのが、子供が病気となったときの対応であります。子供が具合が悪いときぐらいは親が面倒を見るべきだというのが本来の考え方ではありますが、私も、自分の子供を一度だけ、自分がどうしても議会を抜けられず、妻も仕事を抜けられないときに預けたことがあります。
 そのときには物すごく子供が泣き出して、それ以来、一度も利用していないんですけれども、どうしても、急な発熱であったり、体調が悪化したり、それとまた、エッセンシャルワーカーの方とか抜けられない、また、仕事の契約上抜けられない、そんな方もあると思います。そういった場面を何度も経験しながら、仕事と家庭の両立を図られている方が多いんだろうと思います。
 昨日の話なんですけど、たまたま私、街頭演説をしていたときに、小学校から電話がかかってきました。小学校からかかってきて、たまたま自分がしゃべっていたので出られない。妻からLINEが来ました。
 一時間だけ会議をどうしても抜けられないんだけど、かけ直してくれないかということで、候補者がしゃべっている間にかけ直したんですが、そうすると、やっぱり具合が悪いと。迎えに来てもらえないかということで、担任の先生からあって、保健の先生と話したら、今、熱がないから、何とか五時間目まではいいですよということで、妻の会議終了後に、テレワークだったので、家に帰っていただいたということがありました。
 こういったときでも、熱が下がらなかったら、やはり病児保育、受け入れてもらわざるを得ない、身をもって昨日も体験をしたところであります。
 都立病院での病児、病後児保育、今どのようにしているのかをお伺いします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、保育環境の充実に取り組む区市町村を支援するため、地元自治体のニーズを踏まえ、小児科のある病院において、地元自治体からの委託を受けて、病児、病後児保育を実施しております。現在、墨東病院、駒込病院の二か所で病児、病後児保育を行っております。
 墨東病院では、墨田区からの事業を受託し、平成二十八年二月に病児、病後児保育室を開設しました。開設当初の受入れ定員は二名でしたが、墨田区からの要請に応え、平成二十九年十月からは四名に拡大して運営をしております。
 また、駒込病院においても、文京区から病児、病後児保育室の運営を受託し、令和三年二月に定員二名で開設しました。

○松田委員 ありがとうございます。都立病院での状況を今伺いました。地元自治体、区からのニーズを踏まえながら、現在二病院で病児、病後児保育を実施しているというご答弁でありましたが、駒込病院では、近隣の北区からも要望を受けて、今年の十月から、北区と病児、病後児保育室の広域利用を開始したと伺っております。
 そこで、現在運営をしている二病院、駒込、墨東ですね、こちらの令和二年度の病児、病後児保育の利用実績について、どうなっているのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 墨東病院での令和二年度の利用実績は、延べ利用者数が十六名、利用率が一・八%ですが、令和元年度は延べ利用者数五百九名、利用率五二・四%で、平成三十年度は延べ利用者数五百十九名で、利用率は五三・二%でございました。
 駒込病院は、令和三年二月の開設で、令和二年度の利用実績は二か月のみでありまして、延べ利用者数が二名、利用率が二・四%でした。
 令和二年度の利用が伸びなかったのは、新型コロナウイルス感染症の影響で利用者が感染リスクを懸念したことや、テレワークが進んだことなどが要因であったと考えております。

○松田委員 今ご答弁をいただきました。墨東病院が一・八で、駒込が二・四%ということでありました。これはコロナの影響やテレワークが進んだため、インフルエンザがはやらなかったとか、いろんな状況、要因があるんだと思いますが、それにしても、その前の年でも五二・四%と五三・二%と半分程度の利用率、これはセーフティーネットとして、ある程度必要なのかなというところも理解をするところであります。
 ちなみに、福祉保健局に伺って、都内百五十九施設の利用状況も聞いてみましたところ、平成三十年度が四三・八%、令和元年度が四一・八%で、昨年度、令和二年度が一一・四%、これを見ると、この両病院の利用率というのは、ある程度高くなっているのかなと思います。
 さらに、参考までに板橋区の状況を聞いてみました。私と、とくとめ委員の地元の板橋区は、二病院ではお迎えサービスもやっていて、病気になると、例えば幼稚園、保育園に病院からお迎えに来てくださって預かってくれて、親が仕事終わりで迎えに行くというサービスを行っています。
 そうすると、例えば板橋区の医師会病院などですと、約九割から七割、コロナ前ですと利用率がある。コロナ中に関しては、それぞれの病院六%から一〇%、二〇%というような利用状況があります。お迎えサービスがあっても、なかなかこのコロナ禍にあってはこういった状況であります。
 ちょっと話を戻しますと、先ほど墨東病院が年間通じて十六名、定員が四名、四名、四名、毎日四名預かるところで年間で十六名。駒込病院は、二月、三月だけだったので二名。簡単にいうと、一か月に平均すると一人ずつ、そこに対してどれだけの人員配置がされているかというと、保育士が二名と看護師が一名、これはもちろん人件費もかかっております。
 先ほどもいったように、セーフティーネットとして、いざというときになくてはならないものかもしれませんが、そこに対してこれだけの人員配置を、三人ずっと二か月間いて、来られた病児、病後児で利用したのが二人ということも少し考えていかなければならないと思います。
 コロナ前でも五二・四と五三・二というお話でありましたが、これはテレワークが進んでおりますので、また、少子化の状況も考えて、恐らくそこまで回復することはないのかなと思います。
 ただ、平均ですので、例えばインフルエンザとか風邪がはやる時期にはいっぱい利用して入れない、そうじゃない時期は少ない、そういった柔軟な、もちろん保育士をそこだけ増強するというのはなかなか難しいとは思いますが、定員の工夫をするなど、利用状況を何年間か見て柔軟に、機動的に対応していただくべきなのかなと私は個人的に思っておりますので、この利用状況に応じた人員配置、これからどんどんどんどん増やしていくというのもありますけれども、使っているのは税金でありますので、しっかり考慮していただきたいと思います。
 また、あわせて、令和二年度、建設を進めております小児総合医療センター、ここでも病児、病後児保育、この他の病院の状況も踏まえながら、地元市と緊密に連携を取って、人員配置、定員、こういったことを考えていっていただければと要望しておきます。
 次に、周産期医療について伺います。
 分娩においてリスクの高まる三十五歳以上の出産件数は、令和元年度、都内では三万七千件を超えております。都内分娩件数の二・七件に一件が三十五歳以上の出産であり、その割合も増加傾向にあります。
 そのため、ハイリスクの妊産婦に対し、母体胎児集中治療管理室や新生児集中治療管理室を有する周産期母子医療センターの役割は非常に重要であります。
 都立病院では、大塚病院、墨東病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センターが総合周産期母子医療センターに指定をされており、これは胎児集中治療管理室やNICUを整備し、ハイリスクの分娩に対応しております。
 そこで、令和二年度のM-FICU、NICUの利用実績についてお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、大塚病院と墨東病院と多摩総合医療センター、小児総合医療センターの三つの総合周産期母子医療センターでM-FICUを二十四床、NICUを五十四床有しておりまして、ハイリスク分娩や新生児への高度な医療を提供しております。
 三つのセンターにおける令和二年度の実績でございますが、M-FICUの延べ入院患者数が六千二百六十二名で、病床利用率は七一・五%、NICUの延べ入院患者数は一万八千九百九十四名で、病床利用率は九六・四%でございました。

○松田委員 ありがとうございます。病床利用率はかなり高いということが今分かりました。引き続き、このハイリスクの分娩や集中治療が必要な新生児にも対応していただきたいと思います。
 また、多胎児--双子、三つ子、四つ子、五つ子でありますが--は、単胎児に比べて低出生体重児の割合が多くなるため、特有の支援が必要となる場合もあります。
 うちの一番下の子も双子で、大塚病院でお世話になって生まれたんですが、この都立病院での多胎児分娩数、どのようになっているかその実績をお伺いするとともに、また、この多胎児妊娠の分娩リスクに対してどのように対応しているかを伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多胎妊婦の分娩はリスクが高く、対応できる医療機関が少ないことから、都立の三つの総合周産期母子医療センターでは、積極的に取り組んでおります。
 三つのセンターにおける多胎妊娠分娩数は、令和二年度が百三十九件、令和元年度が二百三件、平成三十年度が二百十七件となっております。
 多胎妊娠には、早産や胎児の発育不全、妊娠高血圧や妊娠糖尿病といった合併症などのリスクがございます。
 そのため、外来受診頻度を増やし、必要であれば入院で妊娠管理を行っているほか、分娩方法は帝王切開が主となるため、産科医、助産師、麻酔科医、新生児科医、手術室スタッフが共同して対応に当たっております。
 さらに、早産での分娩が多くなるため、この場合には、直ちに新生児をNICUで受入れが可能となるような体制を整えております。

○松田委員 ありがとうございます。様々なリスクに対して対応していただけるということが分かりました。
 たまたまうちの場合は、双子を自然分娩で、二人とも三千二百グラムぐらいで生まれたので、本当によかったとは思うんですけれども、周りの方々は、やっぱり多胎児の方が多くて、本当に苦労されていました。
 うちも一か月ほど前から切迫早産ぎみになって入院をしての出産ということになりました。やはり都立病院だからこそできるという役割もあると思いますので、こうした高水準で専門性の高い総合診療基盤を生かして、引き続き、こうしたハイリスクの分娩にしっかりと取り組んで、都民が安心して出産をできるように、周産期医療の充実に貢献をお願いさせていただきます。
 最後の質問ですが、答弁の中でも先ほど少し触れられていた東京医師アカデミー、この医師の育成確保についてお伺いをしたいと思います。
 これまで、どの程度の人材を育成してきたのか、そして、せっかくそこで育てた医師がどの程度、都立、公社病院に就職されているのかを伺います。

○谷田経営企画部長 平成二十年度に開校いたしました東京医師アカデミーは、八つの都立病院と六つの公社病院が一体となって、合わせて約七千床のスケールメリットと豊富な症例を生かした専門臨床研修システムでございます。
 令和二年度までの十三年間で、都立病院では、シニアレジデントを千二百十五名、より専門性の高いアドバンストレジデントを百十六名採用いたしまして、育成を図ってまいりました。
 各年度の研修修了者のうち、都立病院、公社病院に就職した医師の割合について、過去五年間の推移を見てみますと、四八・九%から六一・〇%の範囲で推移しておりまして、平均では五三・一%となってございます。

○松田委員 医師アカデミーで多くの医師を育成して、さらにその半数以上が都立、公社病院に就職をして、東京の医療現場で活躍しているということが分かりました。
 一方、今伺った実績では、アカデミーから都立、公社に進む職員の割合が五割前後で推移をしているということでありました。
 アカデミーはこれまでも、都立、公社一体として運営をされてきましたが、今後、独法化されれば、文字どおり一つの法人、会社でいうとホールディングスみたいなものになる、この利点を活用することで、研修医によって、より魅力的な就職先となる新たな都立病院の医師確保に一層貢献していくことが可能になるのではないかと考えます。
 そのためには、例えば、職員の能力や努力が適切に評価や処遇に反映される仕組みなど、頑張った人がより一層報われる仕組みをつくることも重要であります。
 こうして、独法化後は、このようなメリットを生かして、患者、地域のための機能の充実や人材確保を推進していくことを要望して、質問を終わります。

○もり委員 令和二年度東京都病院会計決算について質問させていただきます。
 令和二年度において、病院経営本部の皆様には、新型コロナウイルス感染症対策の最前線でご尽力をいただき、医療従事者、職員の皆様に、改めて心より感謝と敬意を申し上げます。
 令和二年度病院会計決算において、病院事業収益は千八百三十九億五千六百万円で、令和元年度の決算と比べると百七十九億五千八百万円の増収、一一〇・八%となっています。
 収益の内訳を見ると、コロナの影響を受け、医業収益は昨年度と比べマイナス百三十一億二千七百万円と大きな減収となっておりますが、国庫補助金が三百四億七千三百万円交付されたことにより、全体収支は改善をしております。
 こうした状況により、令和二年度は百五億八千八百万円の黒字ですが、病院会計は平成二十八年度から四期連続赤字決算が続いており、赤字額も年々拡大していると聞いております。その結果として、病院会計には、七億八千万円の累積欠損金が計上されていることも事実です。
 都立病院は、感染症医療や災害医療など、採算の確保が困難とされる行政的医療を提供していく必要があり、今回生じた黒字額は、これらの行政的医療を継続的に提供していくために使っていくことも重要であると考えます。
 都は、令和二年度に生じた黒字額の活用の考え方についてお伺いをいたします。

○谷田経営企画部長 令和二年度の決算は、前年度からの繰越欠損金を差し引いた未処分利益剰余金を九十八億七百万円計上しております。
 この要因は、コロナ関連の国庫補助金の影響が大きく、コロナ対応による一般医療の患者数減などを考慮すると、中期的な経営状況は依然厳しいものと認識しております。
 また、令和二年度は百九十三億五千四百万円の企業債を償還しておりますが、令和二年度末の企業債未償還残高は四百五十九億六千六百万円となり、企業債の返済に伴う資金需要も多額でございます。
 そのため、先ほどの未処分利益剰余金につきましては、全額を将来の企業債の返済に備えるための減債積立金として処分することとし、今後とも必要な行政的医療を継続的に提供できるよう、安定的な経営基盤の構築に努めてまいります。

○もり委員 安定的な経営基盤の構築に向けた活用に取り組んでいくことを確認させていただきました。都民の命と健康を支える行政的医療を安定的に提供していくことが重要ですので、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、医療従事者の確保についてお伺いをいたします。
 この間、都立病院が中心となってコロナ専用病床を確保し、医療提供体制の強化にご尽力をいただいてまいりました。
 令和二年度の病床数は、元年度、四千九百五床から四千八百十六床と、トータルでの病床数は減少しておりますが、都内の感染状況、陽性患者の増加に応じて、都立病院は、いち早くコロナ専用病床を立ち上げ、大変重要な役割を果たしてまいりました。
 令和二年度、都立病院では、一月二十九日の段階で、先ほどご答弁がありましたので、令和二年度に約千床のコロナ専用病床を確保し、医療提供体制の強化に尽力をしてまいりました。
 コロナ患者の受入れに際して、昨年は、重症化する方も多く、感染症医療においては、通常医療よりも一人の患者に対して多くの医療従事者、看護師の確保が課題となっております。病床が確保されても、医師、看護師の確保ができなければ、患者の受入れが困難であった実情があり、医療従事者の確保は課題となっておりました。
 東京都では、コロナ専用病床の確保に対してどのように医療従事者の確保を行ってきたのかお伺いをいたします。

○谷田経営企画部長 都立病院は、一般の医療機関だけでは対応が困難な行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関等との適切な役割分担等、密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることを基本的役割としております。
 とりわけ、行政的医療の一つでございます感染症医療におきましては、重点医療機関化や専用医療施設の開設によりまして、感染状況に応じてコロナ専用病床を確保してまいりました。
 そのために必要な医療従事者については、各病院の役割や機能などを踏まえ、必要に応じて、年度途中の採用や、一般医療からコロナ医療への転換に伴う病棟間の職員の異動などによりまして、都民の医療ニーズに対応できるよう適切に確保してまいりました。

○もり委員 ありがとうございます。都立病院では、長期休職中の医療従事者の復職支援事業など、東京都独自に医療人材の確保に努めてきました。
 この復職支援事業における実績について、何名の医師が復職につながったのかお伺いをいたします。

○谷田経営企画部長 都立病院では、育児等で離職していた医師を対象に、オーダーメード型の復職支援研修を平成三十一年四月から実施しております。
 研修開始後、これまでで、駒込病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センター、松沢病院におきまして八名が研修に参加し、そのうち大学病院に二名、都立病院に二名、療育センターに一名が復職したところでございます。

○もり委員 ありがとうございます。本事業で、令和二年度においては五名の方が復職したと伺いました。
 本事業は、都立病院の現場において復職支援研修を受けるプログラムとなることから、コロナ対応に注力されている現下の状況では、病院側の受入れ体制も整えにくいと思われ、事業の実施が難しかったということも聞いております。
 一方で、長期休職中の医療従事者の復職支援事業は、離職後に復職を希望する医師の福祉、医療従事者の確保を行う上で大変意義のある事業であると考えますので、ぜひ単年度の数字で見て判断をするのではなく、長期的な視点で事業の有用性を捉え、引き続きの取組を要望いたします。
 次に、コロナ支援についてお伺いをいたします。
 都立病院では、新型コロナの感染状況に応じてコロナ病床を順次拡大し、積極的にコロナ患者の受入れを行ってきました。
 都立病院の役割として大きな役割を担う行政的医療において、ほかの医療機関では対応困難な患者さんを積極的に受け入れ、都民や地域から求められる役割を果たしていただいており、都立病院が最後のとりでとしての役割を担い、都民に安心を与えてきたことはとても重要です。
 千葉県では、陽性妊婦が入院できず、自宅療養中に新生児が亡くなるという痛ましい事案も発生しました。
 都立病院において、広尾、大塚、墨東、多摩総合医療センターにおいて陽性妊婦の受入れを行い、母子の健康観察を行いながらコロナ治療に当たるため、通常よりも多くの医療人材が必要とされることもあると存じます。
 また、家庭内感染した場合の親が感染した場合の子供の対応など、親子への対応についても多く不安の声が聞かれました。
 都立病院では、コロナ患者の中でも、妊婦や親子の感染、透析等合併症患者など、民間の医療機関では対応が困難な患者を受け入れてきたと聞いています。
 そこで、都立病院において、具体的にどのようにして民間で対応困難なコロナ患者を受け入れてきたのかお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立八病院全てで、それぞれの持つ機能や役割に応じて、民間医療機関では受入れ困難なコロナ患者を積極的に受け入れてまいりました。
 具体的には、臨月のコロナ患者については、大塚病院などにおきまして、感染対策を講じ、緊急分娩対応を行うとともに、分娩後も母子ともに引き続き同病院で療養していただくなど、万全の出産対応を行いました。
 また、親、それから未就学児がともにコロナ感染した際には、別々の病院に入院することに不安を抱えるご家族に配慮しまして、小児総合医療センターなどにおきまして、親子を同じ部屋に受け入れるなど、安心してコロナの治療を受けていただける環境を提供いたしました。
 さらに、透析を扱う民間医療機関でクラスターが発生した際には、対応可能な医療機関が限られるため、都立病院に転院の依頼のあった患者を翌日までに広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センターで受け入れるなど、迅速に対応をいたしました。

○もり委員 ありがとうございます。本当に親子の場合など、不安を抱える患者さんに寄り添うような、民間医療機関では受入れが困難な様々なケースにも都立病院が率先し、受入れを行い、都民の命と健康を守っていただいたこと、本当に最前線でご尽力をいただいてまいりました。
 こうしたコロナ患者を受け入れる体制として、都立、公社病院で、令和二年度、コロナ病床を千七百床確保しました。中でも広尾病院は、都立病院で唯一の新型コロナウイルス感染症の重点医療機関として、重点的にコロナ感染症の患者を受け入れることとなりました。
 重点医療機関とするに当たって、産科を全面休止することから、都は、当時、広尾病院で出産を予定していた二百名以上の妊婦に対し転院をお願いすることとなり、我が会派からも都知事に緊急要望を行い、コロナ禍で不安を抱える妊婦さんの支援を強く求めてまいりました。都は、その後、出産費用等を支援してきたと聞いております。
 広尾病院で出産を予定していた妊婦の転院に当たり、都が行った支援の内容及びその実績についてお伺いをいたします。

○西川サービス推進部長 広尾病院の重点医療機関化に伴う転院をお願いするに当たりましては、通常の出産に係る費用は保険診療の対象外であることを踏まえまして、広尾病院で出産した場合との差額などについて支援をすることといたしました。
 具体的には、妊婦の方が転院先で要した出産費用から、妊婦さんご自身の希望により利用した特別室に係る料金を除いた上、健康保険法等に基づき支出される出産育児一時金四十二万円を差し引いた額を支給しております。
 また、転院先への通院に利用したタクシー代につきましても、併せて支援をしているところでございます。
 こうした支援の対象となる妊婦の方は二百二十名いらっしゃいまして、現在、百七十八名の方から申請がございまして、このうち百七十一名の方への支払い手続が完了している状況でございます。

○もり委員 ありがとうございます。タクシー代や差額など、大変きめ細やかな支援をいただいておりました。不安を抱える都民の声に迅速にご対応いただき、ありがとうございます。
 支援対象の妊婦さんが二百二十名、支払いが完了された方が百七十一名と差異があります。DVシェルターであったり、連絡が取れず手続が完了していない方もいると思われます。そういった方ほど支援が必要であると危惧をされますので、引き続き、支払いを希望される方がいた際には、丁寧な対応をお願いいたします。
 次に、島しょ医療についてお伺いをいたします。
 広尾病院は、東京の島しょ医療を担う役割も担っております。
 コロナ禍において、医療資源の乏しい島しょの皆様からは、島でクラスターが発生すれば、島は動かないクルーズ船と同じ状況になってしまうと、多くの不安の声が寄せられました。
 ヘリによる移送は天候にも左右され、搬送先も制限があるため、治療の早めの判断の必要、また、中等症以上であっても、昨年末は都内の医療機関の病床が逼迫して、移送が困難な場合には、島しょ医療には限界があるため、現場はとても大変な状況であったと聞いております。
 このため、島しょ医療では、救急搬送が発生した場合には、東京消防庁や海上自衛隊のヘリコプター等により移送を行っております。
 このような島しょ地域の医療体制の状況において、新型コロナウイルス感染症患者が発生した場合でも入院を受けられる医療機関は限られているため、都立病院が果たす役割は大変重要です。
 そこで、島しょ地域で発生した新型コロナウイルス感染患者の受入れについて都立病院がどのように対応したのかお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 島しょ地域において、疑い症例を含むコロナ患者が発生し、島しょの医療機関で対応ができない場合には、福祉保健局が都立病院などの受入れ病院を調整した上で、東京消防庁のヘリコプターで救急搬送することとなっております。
 令和二年度の搬送実績は十七件、三十四人となっておりまして、うち十六件、三十三人の患者について、広尾病院をはじめとする都立病院で受入れを行いました。
 また、一刻も早い治療を要する患者については、東京ヘリポートなど通常のヘリポート経由ではなく、広尾病院屋上ヘリポートで直接受入れを行いました。
 島しょ医療は、都立病院が担う重要な行政的医療であり、島しょ地域の安全・安心を支えるために、都立病院としての責務を着実に果たしております。

○もり委員 ありがとうございます。都立病院が、島しょ地域で発生した疑い治療を含む新型コロナウイルス感染患者の対応において、入院受入れなど大きな役割を果たしていただいていることを確認させていただきました。
 また、広尾病院は、島しょ医療の基幹病院として、島しょ地域の医療機関と画像伝送による診療支援の機能も担っていただいております。
 コロナ禍において、本土の病院受診も必要最小限に止めざるを得ない島民の皆様にとっても、高度専門医療を提供できる広尾病院による遠隔の診療支援は大変心強いことと思います。
 まず、広尾病院の画像伝送システムによる診療支援の取組と実績についてお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、広尾病院と島しょ地域の医療機関との間に遠隔読影機能及びウェブ会議機能を持つ島しょ医療用画像伝送システムを整備しております。
 島しょ地域からインターネット回線を通じて送信したエックス線やCT、内視鏡等の画像を、広尾病院の医師が見ながら、ウェブ会議機能を使って専門的な立場で助言を行うなど、診療の支援を行っております。
 また、島しょ地域からの救急搬送の際には、画像伝送システムを活用して事前の初期診断を行うなど、重篤患者の速やかな対応にも貢献をしております。
 令和二年度には千二百三十件の診療の支援実績があり、画像伝送システムによる助言を踏まえて、二百五十三名の患者を広尾病院にて受入れを行いました。

○もり委員 ありがとうございます。千二百三十件と本当に多くの患者さんが利用いただいたということ、画像伝送システムにより広尾病院が島しょ地域の診療を支援し、さらに、島しょ救急搬送による患者受入れにも活用していただいているとご答弁をいただきました。
 広尾病院を退院する患者が円滑に地域での生活に移行できるよう、医療機関だけでなく、訪問看護ステーションや介護施設等とも連携をする必要があります。また、最新の医療知識について、研修機会の限られる島しょ地域の医療従事者等に情報提供の機会を提供していくことも求められると考えます。
 そこで、広尾病院における島しょ地域への支援の取組と実績についてお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 高齢者の多い島しょ地域の患者が退院後も地域で円滑に生活するためには、医療機関だけでなく、訪問介護ステーションや介護老人施設等との緊密な連携が必要となります。
 このため、ウェブ会議機能を活用し、広尾病院に入院中の段階から、地域の医療機関及び介護サービス施設の職員とウェブカンファレンスを開催し、現在の患者の症状などの情報を共有するとともに、地域で療養継続のためのサポートについて意見交換を実施しています。
 また、島しょ地域の看護職員に向けて、高齢者看護等の知識や技能について、ウェブ研修を開催しています。
 令和二年度には、ウェブカンファレンスを三回実施し、ウェブ研修は九回の開催で延べ百十六名が参加しました。
 今後も、島しょ地域の医療機関及び介護サービス施設等との顔の見える関係を継続し、島しょ地域の医療や介護サービスの支援を行ってまいります。

○もり委員 ありがとうございます。コロナ禍において、ICTを活用したウェブ会議の導入により、島しょと本土の顔の見える診療システムを構築し、島しょ医療の基幹病院としての機能強化が求められると考えます。
 今回の質問に際し、実際に島の看護師さんからもお話を伺いました。島しょ医療に従事している方からも、引き続き実施していただきたいとの声が聞かれますので、さらなる今後の取組をお願いいたします。
 また、コロナ禍において、オンライン診療は、在宅、自宅療養者の健康観察にも大きな役割を果たし、都民への医療提供サービスの質の向上に向け、都立病院におけるDXの推進が求められます。
 電子カルテシステムの導入は、院内の感染管理のシーンや診療業務の効率化に寄与し、都立病院では、令和四年度末に全ての都立病院で次期電子カルテシステムへの更新に向けて順次取り組んでいると伺っております。引き続き、都立病院としてのDXの推進を要望し、次の質問に移ります。
 精神科病院の身体拘束について、平成二十六年には一万人を超え、参議院の厚生労働委員会でも問題として取り上げられました。また、平成二十八年には、外国人の男性が措置入院の身体拘束中に急変して死亡されたことが報道され、国際的にも注目をされました。
 令和二年度においても、全国の身体拘束はいまだ一万人を超えており、この間に大きく改善したとはいえない状況があります。
 身体拘束については、急性期の患者さんの興奮を抑える、点滴や術後の安静を守る、転倒、転落を防止するなど、患者の安全を確保するためにやむを得ないという考え方もあります。しかし、自分の身になって考えると、身体拘束されることは苦痛であり、されたくないと思うのが当然で、できる限り身体拘束は行わないべきであると考えます。
 東京における精神医療の先駆的な役割を担ってきた松沢病院においては、先頃、身体拘束の問題が取り上げられる前から、病院の方針として、身体拘束ゼロを目指すとして取組を行ってきたと伺っております。
 まず、松沢病院の身体拘束ゼロに向けた取組と実績についてお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 松沢病院では、拘束最小化委員会を設置して、身体拘束ゼロに向けて取り組んでおります。
 まず、一日の身体拘束の人数と実施率を容易に把握できるようにするとともに、身体拘束せずに対応できる技術を身につけるために、患者視点に立ったケア技術を向上する研修を実施しています。
 また、身体拘束しない場合の患者の安全を確保するために、医師、看護師だけでなく、精神保健福祉士や心理士などのコメディカルとも連携して、患者ケアに取り組んでおります。
 身体拘束しないことに伴うリスクについて、病院として責任を明らかにしたことで、職員が安心して身体拘束しない環境を整えております。
 こうしたことから、取組を始めた平成二十四年度の一日当たりの身体拘束数が百十三人であったものが、令和元年度には二十・五人と一貫して減少してきておりまして、令和二年度は三十二・八人となっております。

○もり委員 松沢病院の取組によって、身体拘束の人数が大幅に減ってきたことが分かりました。平成二十四年度から令和元年度の間で八割減らしたということは、病院職員の皆様の努力の結果だと思います。
 一方、答弁していただきました実績によると、令和元年度までは一貫して減少してきたにもかかわらず、令和二年度には一転して増加をしております。
 そこで、令和二年度に身体拘束の患者数が前年度に比べ増加した理由についてお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 松沢病院では、精神疾患を有するコロナ患者の入院を受け入れるため、令和二年四月に専用病棟を開設し、精神科病院等から多くの患者を受け入れてきました。
 精神疾患を有するコロナ患者の対応に関しましては、統合失調症や認知症などの治療に加え、点滴などの処置も必要となります。しかし、我慢できずに点滴を外してしまう患者には、治療の効果を高めるために、やむを得ず拘束をする場合がありました。
 また、精神症状が重篤で病室を出て歩き回ったりする患者には、感染拡大防止の観点などから、やむを得ず拘束をしております。
 患者の疾患の程度に応じた治療と感染対策の両立は非常に難しいことでございますが、引き続き、様々な工夫を重ねながら身体拘束ゼロに向けて取り組んでまいります。

○もり委員 ありがとうございます。令和二年度に一転して身体拘束患者が増加した理由が、新型コロナウイルス感染症の対応によるやむを得ないものであるということをご答弁いただきました。
 松沢病院の職員の方々はこれまでも、身体拘束ゼロに向けた多大な努力をされてきたこと、ただ、昨年は、新型コロナウイルス感染症のため、二重、三重のご苦労をされたことと思います。
 一方で、実際に身体拘束を経験した患者さんの声も伺っており、いまだ身体拘束や望まない投薬等、改善の必要があるとの指摘もあります。
 治療のためではあるといえ、個人の尊厳が踏みにじられたと感じる患者さんの声、私も実際に伺ってまいりましたので、コロナ禍において、経済不安や社会不安を原因とした鬱病の増加や、精神科、診療内科を受診する患者さんはコロナ禍で増えており、精神疾患への社会の理解も進んでおります。地域におけるリカバリーカレッジの取組等もあります。
 医療現場と都民のさらなる理解向上とともに、引き続き身体拘束ゼロに向けた取組を進めていかれるよう強く要望いたします。
 最後に、病児、病後児保育の取組についてお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、テレワーク、在宅勤務の実施が浸透するなど、保護者の働き方も大きく変わったことを背景として、先ほど質疑がありましたように、都内の都立病院における病児、病後児保育の利用率の減少が見られますが、都立病院立地の近隣区との連携など、地域への貢献を高く評価しております。
 こうした状況でも、共働きの世帯をはじめ、保護者が育児と仕事を両立していく上で、病児、病後児保育は大変心強い存在です。
 区部では、現在、墨東病院、駒込病院で病児、病後児保育を行っておりますが、令和二年度の病院会計決算書によれば、新たに、多摩メディカルキャンパスにおいても保育棟の新設工事を行っております。
 そこで、工事の進捗状況と施設の特徴についてお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩メディカルキャンパスの保育棟は、平成三十年十月から工事に着手し、令和二年度末に建築工事を完了しております。
 当該建物は、一階に院内保育室、二階を病児、病後児保育室とし、小児総合医療センターからアクセスしやすいよう隣接地に整備するとともに、バス停、病院、保育棟をつなぐ歩道には屋根を設置しております。
 これにより、児童の急変時にも速やかに病院に搬送でき、また、雨天時に、児童や保護者がバス停からぬれないで来院できるように配慮をしております。
 建物の特徴といたしましては、自然光が届きにくい内廊下などに高窓を二か所設置することで建物内のプライバシーを守りつつ、より多くの場所で採光可能となり、電力負荷を軽減するなど、環境にも配慮をしております。
 また、保育室、病児、病後児保育室ともに可動間仕切りを設置することで、年齢ごとの児童数に応じて柔軟に保育スペースを確保できるように整備をいたしました。

○もり委員 ありがとうございます。病院と同一の敷地にある病児、病後児保育室は、利用する保護者からも安心して児童を預けることができるとてもよい取組であると考えます。引き続き、地域の福祉のニーズを踏まえながら、取組を進めていただきたいと思います。
 以上、令和二年度決算概要と事業についての実績と取組を伺わせていただきました。
 令和二年三月には、新たな病院運営改革ビジョンにより、大都市東京を医療で支え続けるための都立病院を取り巻く状況と経営形態の在り方、都立病院が直面する課題と今後の経営形態等について検討の結果が取りまとめられ、また、独法化の準備が進められております。
 令和二年度、コロナ禍において、都立病院は、まさに都民の命と健康を守る最後のとりでとして、行政的医療を担っていただいたことを多くの質問から伺わせていただきました。
 独法化後も引き続き、都立病院が安定的な経営基盤の下で、都民に必要な行政的医療を担っていただくことを求め、質問を終わります。ありがとうございます。

○たかく委員 長引くコロナ禍の中、医療現場で献身的に働かれておられる医療従事者の皆様に心から感謝申し上げます。
 私の方から、令和二年度東京都病院会計決算について順次質問をさせていただきます。
 最初に、決算概要について伺います。
 病院経営本部は、都民の命と健康を守ることを使命とし、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関等との密接な連携を通じて良質な医療サービスの確保を図るという役割を担っております。
 さて、コロナ感染拡大の中で、コロナ病床として、令和二年度末には、一日当たり、都立、公社病院で約千七百床を確保したとのことでした。
 そこでまず、令和二年度の都立病院のコロナ病床の確保実績と患者受入れ実績、病床確保により交付された国庫補助金額等について伺います。

○谷田経営企画部長 令和二年度のコロナ確保病床は、年度当初は一日当たり百六十四床でございましたが、その後の感染状況に合わせ段階的に拡大をし、年度末には都立病院の病床全体の約二割となる一日当たり八百二十床を確保いたしました。
 また、コロナ病床を確保するため、コロナ患者の対応には通常よりも手厚いケアが必要となることから、必要な人材を他の病棟から集約する必要があり、年平均一日当たり四百二十床の病床を休止したところでございます。
 こうした取組によりまして、疑いを含めまして、延べ六万二千五百十五人のコロナ患者を受け入れ、国庫補助金として二百九十四億一千百万円の交付を受けたところでございます。

○たかく委員 コロナ病床確保に都立病院が果たした役割は非常に大きいものと考えますが、コロナ以外の診療の影響も非常に大きかったものと考えます。
 そこで、令和二年度の入院患者数や外来患者数、また、手術件数など、診療実績は、コロナ前の実績となる昨年度と比べ、どうだったのかを伺います。

○谷田経営企画部長 令和二年度の入院患者数は、コロナ患者の受入れ体制を整備するため、コロナ病床の確保や、医師、看護師をコロナ患者への対応にシフトしたため、患者を受け入れられる病床が縮小したことによりまして、前年度と比べ二十一万七千五百八十八人の減少、率にいたしまして約一五・八%の減となりました。
 また、外来患者数は、整形外科や診療放射線科、歯科などにおける不急の診療の通院間隔が延びたことなどによりまして、前年度から三十三万一千九十六人の減少、率にいたしまして約一七・三%の減となりました。
 手術件数は、緊急の手術には対応してまいりましたが、稼働病床数に制限があったことから、外科等の予定手術の減によりまして、前年度から八千三百六十二件減少、率にいたしまして約二三%の減となっております。
 救急患者数は、外出自粛の影響で、小児科において子供のけがやインフルエンザ等の患者が減少したことをはじめ、各診療科において患者が減少したことによりまして、前年度より四万七千九百五十三人の減少、率にいたしまして三一・七%の減となったところでございます。

○たかく委員 今の答弁ですと、外来や手術などでは約二割、救急においては約三割の患者数が減少したということで、コロナの受入れ体制を整備することによって大変な減少数となったことが分かりました。
 こうした状況における令和二年度の経営状況について伺います。

○谷田経営企画部長 まず、コロナを含む診療に係る収支でございますが、入院、外来等の患者数が減少したことに伴う診療収入の減少や特殊勤務手当の拡充、多摩総合医療センター専用医療施設の運営などによりまして経費は増加いたしまして、前年度と比べて百四十五億七千九百万円悪化いたしました。
 また、コロナ関連の国庫補助金として三百四億七千三百万円を受け入れたことにより、前年度と比べ、国庫補助金が三百一億五千五百万円増加いたしました。
 こうしたコロナ関連の国庫補助金を受け入れたことに伴いまして、一般会計繰入金が前年度と比べ二十二億九千三百万円減少いたしました。
 その結果といたしまして、令和二年度の病院会計全体の収益費用から新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金等の特別利益、特別損失を除きまして、その経常収支でございますが、百二億一千九百万円の黒字となりまして、昨年度の四十二億一千万円の赤字と比べますと、百四十四億二千八百万円の改善となったところでございます。

○たかく委員 今、国補助金や一般会計繰入金、経常収支等について説明をいただき、経常収支が百二億一千九百万円の黒字、また、昨年度四十二億一千万円の赤字と比べ百四十四億二千八百万円改善したということですが、この決算について東京都はどのように評価し、また、都立病院の経営にどのように取り組むおつもりかお聞きいたします。

○谷田経営企画部長 令和二年度は、五年ぶりに経常収支で黒字となりましたが、コロナ関連の国庫補助金を除きますと二百億円の赤字と、過去三十年を見ても最大の赤字額となっておりまして、経営状況は今までになく厳しい状況にあると認識しております。
 こうした状況を改善するため、令和二年度、六五・九%まで低下した病床利用率を、まずはコロナ前の状況まで早期に回復させることが必要であり、新たな入院患者の受入れに積極的に取り組んでいく必要がございます。
 具体的には、感染状況を踏まえつつということにはなりますが、地域の医療機関からの紹介患者を増やしていけるよう、コロナで実施できなかった地域の医療機関への連携訪問を強化するとともに、患者に選ばれる病院を目指し、広報の強化と患者サービスの充実に取り組んでまいります。
 今後は、こうした取組によりまして、入院患者の受入れを図るとともに、医薬品や医療機器等の購入に当たり、今まで以上にスケールメリットを生かした取組を行うなど、費用の節減にも努め、経営基盤の強化を図ってまいります。

○たかく委員 コロナ関連の国庫補助金を除くと二百億円の赤字と、過去三十年を見ても最大の赤字幅となっており、経営状況は極めて厳しい状況であるとの答弁でしたが、現在、都立病院では、最優先でコロナ対策に取り組んでいる最中でありますが、今後、安定的かつ継続的に行政的医療を提供していくためにも、不断の経営努力を引き続き続けていただきたいことを要望して、次に移ります。
 次に、新型コロナ感染症への対応について伺います。
 最初に、コロナ後遺症相談窓口についてですが、新型コロナウイルス感染症については、治療が終わり、回復した後も長引く後遺症が問題となっております。
 今年二月には、東京iCDC専門家ボードから、若年者でも呼吸困難や倦怠感、嗅覚障害等のコロナ後遺症で苦しんでいる方が一定数いることが報告されました。一方で、後遺症の実態は明らかではなく、後遺症に悩む方々の受皿も不十分でもあります。
 こうした状況を踏まえ、東京都は、都議会公明党が求めてきたコロナ後遺症相談窓口を都立、公社病院に設置し、本年三月から、後遺症に悩む方々の相談への対応を開始したものであります。
 そこで、コロナ後遺症相談窓口の設置状況と相談件数について伺います。

○西川サービス推進部長 今、委員ご指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症に罹患した患者さんの中には、治療や療養が終了した後も、呼吸の苦しさや味覚、嗅覚の異常などの症状に悩んでいる方がいらっしゃいます。
 こうした方からの受診や医療に関する相談に対応するため、令和三年三月から順次、都立、公社病院の患者支援センターにコロナ後遺症相談窓口を設置してまいりました。
 相談窓口では、患者支援センターの看護師などが電話で症状等についてお伺いし、症状に応じて医療機関の受診につなげるなどの支援を行っております。
 都立病院におきましては、令和二年度においては、令和三年三月三十日から大塚病院、三月三十一日から駒込病院で相談の受付を開始したところ、初日から多様な相談が寄せられました。
 その後、令和三年四月に新たに二つの病院に窓口を設置し、現在、四病院で対応しており、令和三年九月末までの相談受付件数は二千七十七件となっております。

○たかく委員 今の答弁ですと、相談窓口の設置から約半年で二千件を超える相談が寄せられたとのことで、非常に必要性が高いことが分かりました。コロナ後遺症については、今のところ確立した治療法がないため、相談による支援が担う役割は大きいものと考えます。
 先日、国立国際医療研究センターから、新型コロナウイルス感染症の後遺症に関する調査結果が発表されました。この調査によりますと、新型コロナウイルス感染症を発症または診断の半年後も、四人に一人が何らかの症状に悩んでいるとのことでありました。
 また、私の地元である世田谷区も、今年七月から八月にかけて実施した新型コロナウイルス感染症の後遺症についてのアンケート調査の結果の速報を九月に公表しましたが、感染した人の半数近くに、倦怠感など何らかの症状があるとの結果が出ておりました。
 この夏の第五波を踏まえると、後遺症に悩む方はますます増加することが考えられます。引き続き、相談者に寄り添った丁寧な対応により、後遺症に対する不安を和らげることができるよう、支援体制の構築を要望して、次に移ります。
 次に、旧府中療育センターを活用した新型コロナウイルス専用医療施設について伺います。
 本施設は、医療法に基づく多摩総合医療センターの病棟の一つとして位置づけられ、令和二年十二月十六日に開設しております。
 そこで、令和二年度、府中に整備したコロナ専用施設の運用状況について、まず見解を求めます。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本施設は、全く新しい施設でありまして、運用するに当たっては、医療安全や感染対策に十分配慮するとともに、多摩総合医療センター本館との連携や病棟内のオペレーション等を確認するため、段階的に病床を拡充することといたしました。
 具体的には、令和二年十二月十六日には三十二床から運用を開始し、その後、令和三年一月十八日に六十六床体制、二月一日に百床体制としています。
 令和二年度については、患者受入れピーク時には、令和三年二月五日に一日最大で六十三名の患者を受け入れました。

○たかく委員 新型コロナウイルス専用医療施設が、医療の安全上、段階的に病床を拡大してきたことは理解いたしました。
 病棟を運用するに当たっては、病床の確保も重要でありますけれども、この施設はコロナ患者を受け入れるための新しい施設であるために、まず、そこで働く医療従事者を確保するとともに、患者や職員の安全確保にも配慮した運用についても考慮する必要があるものと考えます。
 そこで、医療従事者をどのように確保し、また、どのような取組によって安全な運用につなげてきたのか、都の見解を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 医師、看護師につきましては、都立病院全体で応援体制を確保しました。とりわけ、おのおのの病院から職員が派遣されることから、チーム医療の推進のため、医療従事者間の円滑な意思疎通を図ることが重要になります。
 そこで、多摩総合医療センターの医師や看護師が中心となり、新しく派遣されてくる医療従事者への事前のガイダンスや研修の実施などを行ってまいりました。
 また、実際に患者に対応する際は、治療の標準化を定めたクリニカルパスを活用することで、チーム一体となった医療の提供を行い、入院する患者に対し、安全・安心な療養環境を構築してきました。

○たかく委員 本施設については、都議会公明党がコロナ専用病院の設置の必要性を求めてきたことに対し、都が迅速に対応してきてくれたことにつきましては、評価させていただきます。
 今後、第六波に着実に備え、このコロナ専用医療施設の役割を十分に果たし、一人でも多くの患者の方を受け入れていただくよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、安全・安心で質の高い医療の提供について伺います。
 病院経営本部が平成三十年三月に策定した都立病院新改革実行プラン二〇一八では、安全・安心で質の高い医療の提供のため、医療の質の向上を一層推進するとともに、患者に分かりやすく医療情報を提供するため、医療の質に関する新たな評価指標を設定しますとあります。
 これを実現するため、都立病院ではQI、いわゆるクオリティーインディケーターを導入して取組を開始したとのことでありますが、具体的にどのような取組を行ってきたのか伺います。

○西川サービス推進部長 QI、すなわちクオリティーインディケーターは、医療の質を客観的な数値で表す様々な指標でございまして、病院が自らの医療の質を見える化することで、改善に向けた取組を進めることをその目的としております。
 都立病院におきましては、令和元年度に各病院の医師などによるプロジェクトチームを設置し、指標の考え方などについて検討を行い、それぞれの病院の特性に応じたQIを導入いたしました。
 その後、各病院では、導入したQIに基づき医療の質の改善に努めております。例えば、墨東病院におきましては、入院患者の褥瘡の発生率を指標の一つとし、病棟の看護師に対する褥瘡予防に関する研修や、体圧分散寝具等の有効利用などの取組を行い、令和元年度の〇・七二%から令和二年度の〇・六九%へと指標を改善させております。
 こうした取組につきましては、病院のホームページで公表しており、公表に当たっては、指標やその数値だけでなく、指標の意義や効果等についての説明を加えるなどの工夫をしております。

○たかく委員 今の説明では、各病院において、医療の質向上のため、見える化の取組が行われているということを確認いたしました。今後も継続して取り組んでいただき、都民によりよい医療を提供していただき、見える化を進めていただくようお願いして、次に移ります。
 次に、良質な医療人材の確保、育成について伺います。
 先ほども質問がありましたが、令和二年度において、コロナ禍で人材確保にも苦労があったかと思いますが、東京医師アカデミーでの取組を伺います。

○谷田経営企画部長 東京医師アカデミーでは、都立、公社病院のスケールメリットと豊富な症例を生かし、各分野の専門医の受験資格を取得することができるプログラムを提供しております。
 アカデミーではこれまで、全国への知名度向上を図り、独自の指導体制や豊富な研修コースについて広く周知し、優秀な人材を全国から確保するため、研修希望者の病院見学の受入れや、全国の病院が参加する合同説明会への参加などの広報を実施してまいりました。
 この合同説明会におけるアカデミーの出展ブースには、令和元年度には千六百六名の訪問があり、専門医取得を目指す医師の研修先選定におけるPR効果があるものと認識しておりますが、令和二年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、参加を予定していた説明会自体が中止となったというところでございます。
 このため、令和二年七月以降、医学生や研修医向けの情報発信サイトで新たに各病院のページを掲載したところ、令和二年度の掲示、アクセス延べ数は、合計で約三万六千件に上りました。
 このほか、病院におけるオンライン説明会などの機会を通じてアカデミーの魅力の発信に努めたこともあり、令和三年四月の採用者数は九十二名となりまして、前年度の九十一名、前々年度の九十三名と比較しても、同規模のアカデミー生を確保することができたところでございます。

○たかく委員 東京の医療を担う医師を確保、育成するため、研修や指導体制をしっかりと充実していくことは極めて重要なことと認識いたします。
 同様に、東京看護アカデミーの取組についてはどうだったか、お答え願います。

○谷田経営企画部長 東京看護アカデミーでは、職員の定着や資質の向上を図るため、新人からベテランまで、一人一人の習熟段階に応じたキャリアの形成を組織的に支援し、新卒看護職員の定着のための教育カリキュラムや認定看護師等の資格取得支援などに取り組んでおります。
 令和二年度は、認定看護師は七名が新たに資格を取得し、百四十五名が年度末時点で在籍をしております。また、専門看護師は一名が新たに資格を取得し、十五名が年度末に在籍をしております。
 これらの専門看護師や認定看護師は、専門性の高い知識を生かした専門外来、研修会やコンサルテーションの実施、委員会活動やチーム医療での中心的な役割を担うなど、幅広く活躍しており、都立病院における医療の質の向上に貢献しております。
 また、令和二年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で集合研修の実施が困難となるなど、職員の研修環境の構築に苦労いたしましたが、それまで集合で実施していた研修をオンライン形式やオンデマンド形式で実施するなど、アカデミーとして職員のキャリア形成支援にできる限り支障が生じないよう、工夫を図りながら対応してまいりました。

○たかく委員 認定看護師、また、専門看護師や特定行為を行う看護師の育成のために、資格取得支援や研修をさらに充実していただき、東京都の医療体制を堅持していただきたいことを求めて、最後の質問に移ります。
 最後に、都立、公社病院の独法化について二点質問させていただきます。
 都立、公社病院の独法化については、先般、第三回定例会で定款が議決されましたが、令和二年度はその準備予算が計上されておりました。
 そこで、昨年度どのような準備をされたのか、まずは伺います。

○船尾計画調整担当部長 昨年度は、移行に向けた準備業務を円滑かつ効率的に進めるため、技術的、専門的な支援を受ける法人設立準備支援業務委託も活用しながら、独法化のメリットを生かした医療ニーズの変化に機動的に対応できる病院運営を実現するための法人の組織運営体制や独自の財務制度、また、柔軟な人材確保と働きやすい環境整備に資する人事制度などの構築に向け、準備、検討を進めました。
 また、独法化後の医療機能強化の方向性につきまして、各病院とも意見交換しながら具体的な検討を進めたところでございます。

○たかく委員 今の答弁ですと、支援委託も活用しながら様々な準備を進めてきたとのことでした。
 先般の第三回定例会でも議論がありましたが、独法化は、病院現場の実情に合わせた独自の人材制度や財務制度の構築により、今よりも機動的な病院運営ができることがメリットと考えます。各種制度につきましては、引き続きしっかり検討、準備をして、独法化の効果が最大限発揮できるようにしていただきたいと思います。
 特に人事給与制度については、職員の意見も聞きながら、よりやりがいを持って安心して働き続けられる環境を整備していただきたいと考えます。
 また、医療機能強化の方向性についても検討したとのことでした。独法化に向けては、各病院の医療がどうなるのか、ここが都民の一番の関心事だと思います。
 そこで、医療機能強化の方向性について、具体的にどのような検討を行ってきたのか伺います。

○船尾計画調整担当部長 独法化後の医療機能強化につきましては、急速な高齢化の進展など、今後の医療環境の変化に柔軟かつ機動的に対応していくための行政的医療等の一層の充実と地域医療の充実への貢献、この二つの柱を基本として検討を進めました。
 独法化により、機動的な人材確保や民間医療機関等への職員派遣等が可能となることから、こうした独法化のメリットを生かし、各病院の特徴に応じた機能強化を図ることとしております。
 具体的には、例えば、松沢病院において、医師等を増員して、行政的医療であります精神科身体合併症医療の体制強化を図り、高齢化に伴い増加している様々な身体疾患を併せ持つ認知症の症状を有する患者等をより多く受け入れていくことや、駒込病院において、緩和ケア認定看護師など、がんに関した専門人材を地域のニーズに応じて訪問看護ステーション等に派遣し、地域全体の技術力の向上を図ることなどの取組を検討いたしました。

○たかく委員 八つの都立病院では、専門性も特色も様々であり、それぞれの地域の状況も異なります。地域ニーズも踏まえ、都民に必要な医療が提供できるよう検討することが重要と考えます。
 団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年はもう間近であり、住み慣れた地域で安心して療養生活が送れるよう、超高齢社会の本格化に向けた体制づくりも重要です。
 現在は、各病院がコロナ最優先で対応していただいておりますが、コロナ対応に並行して、今後の様々な医療課題にもしっかりと対応できるよう検討を進めていただくことを要望して、私からの質問を終わります。

○小林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時二十一分開議

○小林委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。資料のご提出をありがとうございました。
 また、長引くコロナ禍で、昼夜を分かたずに現場でコロナの患者さんの対応に当たっておられます職員、そして医療従事者の皆さんに心からの敬意を表したいと思います。
 私からは、まず、二〇二〇年度に都立病院がコロナ対策で果たした役割について伺いたいと思います。
 昨年度の都立病院は、まさに新型コロナウイルス感染症との闘いの一年でした。未曽有のパンデミックが起きた中で、都民の命をどう守るのか、まさに感染症医療という行政的医療を担い、東京都の医療政策の中心を担う都立病院として、その真価が問われる年だったと思います。
 そして、感染がいまだ終息していない中で、これまでの取組を検証し、コロナの克服とその先の医療の充実のために何が求められているのかを追求していくということが大事だというふうに思います。
 都立病院として大きな力を発揮されたのがコロナ病床の確保です。都立病院では、一昨年度、二〇一九年度末の新型コロナウイルスの発生から、駒込病院などで真っ先に患者さんを受け入れて対応に当たってきました。
 まず、二〇二〇年度に都立病院で新型コロナウイルス感染症患者の受入れのために確保した病床の数について、病院ごとにお願いします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度に最大で、広尾病院で二百四十床、大塚病院で百床、駒込病院で百六床、墨東病院で百床、多摩総合医療センターで二百床、神経病院で八床、小児総合医療センターで四十八床、松沢病院で十八床で、計八百二十床を確保いたしました。

○斉藤委員 二〇二〇年度に最大で合計八百二十床の病床を確保してきたということです。
 二〇二〇年度末には、公社病院も合わせると千七百床確保し、現在まで最大で、都立、公社病院合わせて二千床の病床を確保してきました。都内のコロナ病床の三割を八つの都立病院と六つの公社病院で担う、まさに都のコロナ医療の中心を都立、公社病院が担ってきました。
 都内の新型コロナ患者の受入れ病院における先月、九月二十四日時点での病床の確保数を福祉保健局に出していただきましたが、都内の全ての受入れ病院の中でも、都立のように百床を超えて病床を確保しているという病院はありません。
 なぜ都立がこれだけの病床を確保できたと考えているか、見解を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 感染症医療は、行政的医療の代表的なものでありますので、コロナ対応に最優先で取り組んできました。このため、都立病院では一般医療を一部制限し、一般病床をコロナ病床に転用しました。
 また、医師については、感染症科や内科をリーダーとして、他の診療科の医師が参加する診療チームを編成するとともに、看護師については、他の病棟からコロナ病棟への応援体制を構築しました。

○斉藤委員 感染症医療は、行政的医療の代表的なものであるために、優先的に取り組んだと。都立病院が真っ先にそうした対応ができるのは、自治体の意思で自ら決めて、自ら実行できるというところにあると思います。
 また、医師や看護師についても、感染症科や内科だけでなく、ほかの診療科の医師や、ほかの病棟からの看護師と応援体制をつくったというご答弁でした。
 都立病院で働く方からお話を伺いましたけれども、大変なことがあっても、都立で働いていることへの使命感があって頑張れるというお話でした。地方から出てきて、都立病院に育ててもらって、都に還元していきたいという気持ちだったとその方は語ってくれました。
 私は、こうした意識の下で、慣れないコロナの対応でも受け入れて働く都職員としての医療従事者の存在は、都の医療政策を実現させる大きな力になっているというふうに思います。
 次に、コロナ対策のための工事や器材の購入について伺います。
 二〇二〇年度に行った新型コロナウイルス対策のための改修工事や購入した器材の内容と金額について伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、令和二年度は、病室陰圧化の改修工事等を行い、工事費として一億三千万円を支出しました。
 また、人工呼吸器などの医療機器等を購入するため、十七億六千万円を支出しました。

○斉藤委員 決算の説明資料を見ますと、大きい工事としては、駒込病院の陰圧室改修工事、約一億一千六百万円の工事を行っています。そのほか、墨東病院の空調設備改修工事など、合わせて一億三千万円ということ。購入した器材は、人工呼吸器や陰圧装置など、合わせて十七億六千万円ということです。
 これらは、二〇二〇年度の同時補正予算や四月の補正予算などで措置されたものと伺っています。二〇二〇年の一月から新型コロナの感染拡大が始まり、対策の必要性が発生してからすぐに補正予算で対応したということになります。迅速に工事や器材の購入が行われたということも重要だったというふうに思います。
 今でこそ、昨年度の病院会計は黒字だったということが分かりましたけれども、コロナの感染が広がった当初は、国の補助が極めて不十分で、コロナ病床を確保すると経営にマイナスになる、そういう状況でした。その中で、これだけの支出を判断できたのが、都が財政的に支えている都立病院だからだと考えます。
 次に、コロナの感染によって重症化するリスクがあるとされている方々の受入れについて伺います。
 厚生労働省は、二〇二〇年四月十四日に医療提供体制についての通知を出し、配慮が必要と考えられるがん患者、透析患者、障害児者、妊産婦に関わる医療体制の整備を求めています。こうした方々を積極的に受け入れていくことも、都立病院の大切な役割だと思います。
 コロナの感染によって重症化するリスクがあるとされている、こうしたがん患者、透析患者、障害児者、妊婦について、どのような対応を行ってきたのか。また、ほかの病院では受入れ困難で、都立病院で受け入れしたケースもあるのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立八病院全てで、それぞれの持つ機能や役割に応じて、がん患者や透析患者、障害児者、妊婦など、民間医療機関では受入れ困難なコロナ患者を積極的に受け入れてまいりました。

○斉藤委員 都立の八病院で、それぞれの機能や役割に応じて、民間医療機関では受入れ困難なコロナ患者を積極的に受け入れてきたということです。重要な取組だと思います。
 そこで、どれぐらいの受入れがあったのか、患者数について確認をしたいと思ったんですけれども、コロナに感染したがん患者、透析患者、障害児者、妊婦さんの受入れ数については統計が取れないというふうに伺いました。
 今後は、こうしたケースの受入れについて把握し、検証できるようにするためにも、統計を取れるようにするべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 統計を取る場合には、患者情報を一件ごとに確認して集計する必要があります。
 また、どのような症状の人を対象の患者とするかは様々なケースがあることから、困難であると考えております。

○斉藤委員 現状では、患者さんの電子カルテから一件一件数えなくてはならないということで、統計を出すことは無理だということはよく分かりました。
 しかし、こうした方々への医療提供体制について国も求めているとおり、都立病院において受入れしていくことは大切な役割ですし、それにどれだけ応えて、どんなケースがあったかなどを検証できるようにしておくことは必要ではないかと思います。
 都は積極的にデジタル化を進めようとしていますが、こういうことこそシステム化して、医療情報の共有、検証ができるようにしていくということを求めます。
 また、ご答弁で、どのような症状の人を対象とするかは様々なケースがあることから困難というお答えでしたけれども、まず、把握する必要があるということを確認して、具体的に検討するべきで、そうすれば解決できない問題だというふうには思えません。ぜひ検討するように求めておきます。
 都立病院がコロナ対策で果たしてきた役割について、病床の確保、重症化リスクのある患者さんの受入れなど伺ってきました。東京都全体の医療体制の中で、コロナ対策において都立病院が果たしてきた役割について、病院経営本部はどう評価しているか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 感染症医療は、行政的医療の代表的なものであるため、都立病院は、積極的に患者を受け入れるなど、コロナ対応を最優先に取り組んできました。
 また、妊婦、精神疾患等の合併症患者、透析患者など、他の医療機関では対応困難な患者を積極的に受け入れ、令和二年度は、疑いを含め、延べで六万二千五百十五人の患者を受け入れてきました。
 このように、コロナ対応に率先して取り組むことで、都民や地域から求められる役割を果たしてきたと認識をしております。

○斉藤委員 コロナ対応に最優先に取り組み、対応困難な患者さんの受入れも積極的に行って、二〇二〇年度は延べ六万二千五百十五人の患者さんを受け入れてきたと。都民や地域から求められる役割を果たしてきたと認識しているというご答弁でした。
 私も、都立病院が果たしてきた役割は大きなものだというふうに感じています。これまで質疑したどの会派でも、この役割を認めているところです。
 しかし、それでも東京都全体では、特にこの八月に、医療機関につながらずに自宅で亡くなった方々が続出しました。
 もともと日本では、医師の数も看護師の数も少ないということを考えれば、今回のような役割を果たせるこの都立病院を拡充していくことこそ求められているということを改めて強調させていただきます。
 次に、都立駒込病院について伺います。
 私の地元の足立区では、一番近くにある都立病院が駒込病院であり、区民からも親しまれ、信頼されている病院の一つです。
 その駒込病院では、二〇二〇年度、コロナ禍で、医師たちの勤務実態が大変な状況にあるということが毎日新聞で報じられ、心配する区民の声が寄せられました。
 私たちの開示請求によって、都立駒込病院に勤務する感染症科の医師が、二〇二〇年四月十六日から五月十五日までの一か月間に、最大三百二十七時間、それから、二〇二〇年十月十六日から二〇二一年一月十五日までの三か月間で、最大八百五十三時間の時間外労働をしていたということが明らかになりました。
 感染症科の四人の医師が全員、過労死の労災が認められる目安の月八十時間をはるかに超える時間外労働をしていたという実態について、どのように受け止めているか伺います。

○谷田経営企画部長 駒込病院は、感染症指定医療機関として、新型コロナウイルス感染症発生初期の段階から中心となって患者を受け入れており、とりわけ重症患者や、がん患者、他の感染症に罹患している患者、透析患者、認知症の患者など、他の病院では対応困難な患者を積極的に受け入れてまいりました。
 一方で、駒込病院は、がんの専門病院として、他の医療機関では受入れ困難ながん患者についても対応しておりまして、即座にコロナ対応の応援体制を構築することが困難な事情がございました。
 加えて、昨年十一月中旬に到来した第三波では、年末年始にかけて急速に患者が増加し、日中だけでなく、夜間休日も患者の対応が必要な状況となりました。
 このような駒込病院の状況の中、都内の医療提供体制が極めて逼迫しておりまして、駒込病院の感染症科の医師に負担をかけたものと受け止めております。

○斉藤委員 いろいろ経過のお話がありましたけれども、結果的に感染症科の医師に負担をかけたというご答弁でした。
 月三百二十七時間の残業ということは、三十日間毎日働いたとして、一日十五時間以上働くということです。過労死ラインをはるかに超えているということはもちろんですが、およそ人間が心身の健康を保つことが不可能な長さの勤務実態です。
 開示請求によれば、四人の感染症科の医師の時間外労働は、二〇二〇年の四月十六日から五月十五日までの間で九百六十九時間にもなります。
 明らかに医師の増員が必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○谷田経営企画部長 年末年始の患者急増を受けまして、他の診療科の医師の応援体制を整え、患者の容体によって役割分担をしておりますほか、当直体制の見直しも行うなどにより、感染症科の医師の超過勤務は縮減されてきているところでございます。

○斉藤委員 これほどの過重労働の実態がありながら、増員するとはいわないという、この都の姿勢って本当にひどいなというふうに思うんですけど、今ご答弁で、縮減してきたということは分かりましたが、感染症科の医師が月八十時間を超えて時間外労働している実態は、その後なくなったんでしょうか。

○谷田経営企画部長 ただいま副委員長の方からお話ありましたけれども、感染症科の医師につきましては、全国的にも非常に少ないという実態もございます。
 そうした中、年末年始の救急患者の増加を受けまして、他の診療科の医師の応援体制を整えた結果、令和二年度末の、これは一月半の実績になりますけれども、感染症科医師一人当たりの超過勤務は平均八十五時間に縮減されてきておりまして、今後も負担軽減に努めてまいります。

○斉藤委員 ご答弁で、他の診療科の医師の応援体制を整えて、超過勤務は縮減されてきたということなんですが、それでも平均で八十五時間と、過労死ラインの八十時間を超えているという状況です。また、第五波の際も八十時間を超えるということがあったというふうに聞いています。
 前と比べて減っているからいいということではないと思うんですね。今でも過労死ラインを超える残業をしているという深刻な実態なんです。
 それでも増員しないというのが、東京都の冷たい姿勢だと私は思うんですけど、今、全国的に感染症科の医者が少ないという答弁がありましたけれども、だからこそ、都立病院でこの先を見据えて増やす必要があるという方針を明確にしていくということが必要なんじゃないのでしょうか。育成も含めて強化していくということが求められていると思います。
 先ほど、ほかの診療科からの応援体制をつくっているという答弁がありましたが、開示資料を見ると、月八十時間を超える残業をしているのは、感染症科の医師だけでなく、外科や内科、整形外科、化学療法科など、多くの診療科の医師も同じ状況なんです。したがって、医師の数自体を増やさなければ、応援だけでは解決になりません。
 過労死ラインを超えるような医師の過重労働は、都民の命にも直結する重大な問題です。都の責任として、一刻も早く今の深刻な実態を改善するためにも、医師の増員を行うことを強く求めます。
 次に、都立病院の独法化について伺います。
 先ほど、この独法化について昨年度どのような準備をしてきたのか、ほかの質疑でもご答弁がありました。法人の組織運営体制や独自の財政制度、柔軟な人材確保と働きやすい環境整備に資する人事制度などの構築に向け準備、検討、こういうことがありました。
 私の方からは、職員や都民に対してどのように説明してきたのか、この点も伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 職員に対しましては、人事給与制度や移行に向けた検討状況について、イントラネットの掲示板を活用して説明して周知を図っております。
 また、都民に対してでございますが、独法化の目的や意義につきまして、都民の方々にご理解をいただけるよう、病院経営本部のホームページ、都立病院だよりなどの広報紙を活用いたしまして広報を行ってきております。

○斉藤委員 先ほどの質疑の答弁を含めて、コロナ禍の下で着々と進めてきたということで、改めて驚きですけれども、戦後最大の危機といわれる中、本来なら、独法化の準備はやめ、コロナ対策に集中し、現場を助けることこそ、都がやるべきことだったのではないでしょうか。
 職員への説明についてもご答弁がありましたが、コロナ対策に尽力する中で、独法化について考える余裕などありません。職員の同意も取っていないことも、我が党の質疑で明らかになっています。
 また、都民向けに広報もしてきたということでした。ここに関わって質問をしたいと思います。
 都民向けに発行されているものに、都立病院だよりというものがあります。主に都立病院で配布されているということですけれども、二〇二〇年六月発行の都立病院だよりに、現在の都立病院が抱える制約として、高額医療機器を整備する場合というものが記載されています。
 今日、パネルがあるんですけれども、こちら、ご覧いただきたいと思います。ちょっと文字は小っちゃくて見えにくいかもしれないんですけれども、これがその都立病院だよりの記事です。
 これによると、ニーズが発生した翌年に予算要求となり、予算措置、契約手続、それから、医療機器の設置ができるのは三年目というふうに書いてあります。一年目、二年目、三年目ですね。
 しかし、今回のコロナ対応では、直ちに補正予算を組んで、一億円以上の陰圧室の工事や様々な機器の購入を行っています。先ほど十七億円ほどという答弁もありました。この病院だよりの説明より早く対応するということは、法的には可能なんじゃないでしょうか。ご答弁をお願いします。

○船尾計画調整担当部長 その都立病院だよりに記載している内容でございますが、基本的には、その年度で必要と見込まれる経費につきましては、当初予算において予算措置をされることから、高額医療機器を導入する場合、現在、定められた時期に導入費用の予算要求手続を行い、予算措置の裏づけの下、翌年度に契約手続を行うため、結果的に、ニーズが発生してから機器が設置されるまでに一定の時間を要していることを説明したものでございます。
 補正予算を組んで機器を購入することにより、早く対応することは、法的には可能でございます。

○斉藤委員 補正予算を組んで、この説明より早く機器を購入するということは可能だという答弁でした。
 実際に、先ほど冒頭に質問しましたが、二〇二〇年度のコロナ対応では一億円以上の工事や総額十七億円の機器の購入を、補正予算などを措置して迅速に行ったわけです。
 東京都は、よく制度的制約があるというふうにいいますけれども、実際は、制度の問題ではなく、自治体としてどう政策判断するのかという問題だということは明らかだと思います。購入に時間がかかるということは、独法化の理由にはならないということは明らかということを厳しく指摘しておきます。
 都民との関係で都が行ってきたことについて、もう一つ伺います。
 都は、この間、都立病院の患者さんを対象にした独法化についてのアンケート調査を行っていることが私たちの開示請求によって分かりました。このアンケート調査はいつ行ったんでしょうか。

○船尾計画調整担当部長 本アンケートは、独法化の準備に当たりまして、患者の都立病院に求める医療等のニーズを把握するために行ったものでございます。
 事前に病院とも相談の上、実施いたしましたが、病院の患者対応に極力影響がないよう配慮しながら、令和二年七月下旬に実施をいたしました。

○斉藤委員 令和二年七月下旬に実施したということですね。各病院と事前に打合せをするということもご答弁いただきましたが、このアンケートを取るために現場の職員はどのような対応をしたのか、お願いいたします。

○船尾計画調整担当部長 本アンケートでございますが、入院患者と外来患者を対象に実施いたしました。
 アンケートの配布、回収につきましては、基本的には委託した事業者が実施いたしましたが、各病院と事前に打合せする中で、一部の病院につきましては、入院患者の特性等の理由で、病院の職員が配布、回収を行ったところです。

○斉藤委員 この独法化のアンケートが行われた七月下旬というのは、感染の第二波がピークに向かっていたときでした。そういうときに、独法化のことで打合せをさせるということや、一部の病院では職員が配布と回収をやると、こういう負担を負わせるということは、こういうときに一体何をやっているんだと現場からいわれても、これは仕方のないことだと思います。
 次に、都民への説明の関係で確認しておきたいんですけれども、都立病院と地方独立行政法人の病院のそれぞれの定義と設置主体についてお答えください。

○船尾計画調整担当部長 現在の都立病院は、地方自治法に基づき、都立病院条例が設置根拠となっており、都が直接管理運営する病院であり、病院の開設者は知事でございます。
 独法化後の都立病院は、地方独立行政法人法に基づき、議会の議決を経て定めた定款が設置根拠となっており、都が一〇〇%出資して設立する法人が管理運営する病院であり、病院の開設者は法人の理事長でございます。

○斉藤委員 私は、設置根拠を聞いたのではなくて、定義は何かと聞きました。端的に答えてほしいんですが、都立病院の定義は何でしょうか。

○船尾計画調整担当部長 都立病院の定義のお尋ねですけれども、明確に明文化されているものというのは特にございません。

○斉藤委員 定義が明確じゃないのに、都立病院、独法化の病院の説明というのは、まともにできないんじゃないかと私は思うんです。
 都立という言葉が、都が設置するものにつけるというのは常識です。都立病院を定義するのであれば、都が設置する病院とするのが当然です。
 ちょっと広辞苑も引いてみたんですけど、都立という言葉を広辞苑で引くと、東京都が設立、維持することとあります。したがって、都立病院というのは、都が設立、維持をするという、そのままのことになります。
 さらに、都は、今のアンケートと一緒に、ここに持ってきているんですが、説明のペーパーというものを配っているということが分かりました。このペーパーには、独法化後も東京都が設置する都立病院であることには変わりありませんと書いてあります。
 皆さんいつもいっていることだから、よく分かっていると思うんですけど、独法化すれば設置者は独法になるのですから、この記述は誤りではないですか。

○船尾計画調整担当部長 そちらに書いているチラシでございますけれども、独法化後の病院は、都が一〇〇%出資して設立する法人が管理運営する病院であるということでございますが、都が引き続き関与しながら都立病院を運営するために、都が全額を出資して法人を設立するということを分かりやすく説明するために、都が設置する都立病院であることに変わりないというふうに表現をいたしました。
 なお、名称の話ですけれども、他の自治体の病院、お隣の神奈川県ですとか埼玉県におきましても、神奈川県立、埼玉県立というような形で、独法化後もそういった名称を使用しております。

○斉藤委員 今お話にもありましたけど、独法化後の病院の設置者は独法だということは、これは認めますよね。

○船尾計画調整担当部長 独法化後の都立病院を運営する主体は、都が一〇〇%出資をした独立行政法人でございます。

○斉藤委員 管理運営するのが独法だということですが、皆さんがつくった定款にも独法の設置者は独法と書いてあるというふうに思うんですね。
 そうすると、これ、分かりやすく書いたというんですけれども、物すごく分かりにくく、だますかのようにして書いてある、そういうものだと思います。これは直ちに直してほしいというふうに思います。
 アンケートの中身についてですが、独法化の真実をごまかすような認識に都民を誘導するような聞き方になっています。
 都立病院の地方独立行政法人化は、感染症医療など民間医療だけでは対応が難しい医療を、将来にわたって確実に提供していくためであるということを知っていましたかという設問や、独法化は利益優先するために行うものではなく、医療やサービスを向上させるためであることを知っていますかと、こういう設問です。知っているかどうかという以前に、私は、これは事実と違うと思います。
 繰り返しいっていますけれども、都立病院経営委員会の委員長も、独法化後の都からの財政支援について、従前のままでは何のための独法化かと発言しているように、独法化の狙いは、都の財政支出の削減です。アンケートでこのような質問をすること自体が間違いだと私は思います。
 このアンケートの中身なんですけれども、自由記載欄があります。ほとんどが独法化への期待を書かせるような設問になっているんですが、ところが、独法化に関する百八十九件の記載のうち、期待を書いたのは僅か三十一人で二割以下、疑問について記入した人が五十七人、不安や要望を書いた人が七十五人、反対の意見を書いた人が二十一人と、疑問、反対、不安と答えた人が多いという状況です。
 この結果をどのように受け止めるでしょうか。受け止めについてご答弁をお願いします。

○船尾計画調整担当部長 本アンケートでございますが、独法化の準備に当たり、患者の都立病院に求める医療等のニーズを把握するために行ったものでございます。
 自由記載につきましては、医療の充実のために期待する取組、地域での生活について期待する取組、サービス向上に向けて期待する取組のほか、地方独立行政法人について知りたいことについて記入をしてもらいました。
 全体で九百七十七件の記入がございましたが、うち独法化に関しては百八十九件あり、不採算医療が縮小するという不安などの声がありましたので、患者さんに対しまして、行政的医療を充実強化させるための独法化であるという目的や意義をより分かりやすく丁寧に説明していくことが必要だと認識しております。

○斉藤委員 私はどう受け止めているかということを聞いたんですけど、そこに対する言及はなくて、さらに説明をしていくんだというご答弁でした。
 独法化をばら色に描くような、このような、先ほどのこのペーパーですけど、こういうのを配っていても、疑問や不安、反対の意見が多いということをきちんと受け止めるべきです。
 このアンケート調査の自由記述欄には、都民の声が書き込まれているはずなんですが、開示請求を行って出てきたもの、自由記述欄が全て黒塗りで、都民が具体的にどんな意見を述べているのか全く分からない状況です。
 こちらです。真っ黒だということがよく分かると思うので持ってきましたが、なぜ全部黒塗りにしているのか。個人を識別できるから開示できないというお話だったんですけど、例えば独法化に反対などの一般的な意見から個人を識別するというのは不可能なのではないでしょうか。見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 東京都情報公開条例第七条第二号によりまして、特定の個人の識別につながる等の理由で非開示の扱いとしてございます。

○斉藤委員 今の理由がこれに当てはまるのかなというのが疑問なんですよね。
 一般的な意見から個人が特定できるということは考えにくく、情報公開条例に照らしても、開示しないで都民の意見を黒塗りにするというのは不当なのではないかと思います。
 実際、ほかの開示請求では意見の内容が開示されることもあり、今のご答弁は整合性がありません。都にとって不都合な意見を隠そうとしていると思われても仕方がないと思います。
 この黒塗りにされている意見ですけれども、独法化についてどんな不安や疑問が出されているのか、お答えお願いいたします。

○船尾計画調整担当部長 アンケートの自由意見といたしまして、独法化によって、より一層の発展を期待する意見がある一方、なぜ独法化する必要があるのかとの疑問や、経営優先となり不採算医療が縮小するという不安、今の医療を担い続けてほしいとの要望などがございました。
 今後とも、都立病院を利用する患者さんに対しまして、行政的医療を充実強化させるための独法化であるという目的や意義を理解していただけるよう、より分かりやすく丁寧に説明してまいります。

○斉藤委員 やはり、経営優先となるから不採算医療が縮小するんじゃないかという不安や、なぜ独法化する必要があるのかという疑問が出ていたということです。
 独法化を前提にしたこのようなアンケートは、そもそも行うべきではないと思いますが、その上、出された不安の声にきちんと向き合わずに、とにかく独法化を進めるという姿勢は許されないと思います。都民不在のまま進んでいるという実態です。
 独法化を正しく理解するならば、都民が不安や疑問、反対の声を上げるのは当然です。東京都こそ、このことを理解する必要があります。
 最後に、一つ紹介したい別のアンケート調査があります。足立区で、私が日本共産党足立区議団と共に、昨年の夏に行った独法化についてのアンケート調査です。ちょうど都のアンケート調査と同じ時期になります。全戸配布を行って、一千四百四十八件の回答がありました。
 こちらがそのアンケートですけれども、これは、昨年の夏に病院経営本部にも提出をしているものです。アンケートの内容はシンプルに、独法化について知っているかどうか、賛成か反対か、そして自由記述の三つだけの項目です。
 独法化されることについて知っているが四一・三%、知らなかったというのが五八・七%でした。独法化に明確に反対と回答したのは六二・八%、明確に賛成と答えたのは僅か四・六%でした。
 その自由記述欄には、多数の反対意見がありましたけれども、幾つかご紹介したいと思います。
 コロナでこういう病院の大切さがよく分かった、都民の命を優先にしてほしい、また、救急、周産期、小児など、不採算な医療は切り捨てられるのではと不安です、子供が救急でお世話になったのでなおさらという声や、独法化反対です、公平な医療体制で弱者に対しても手厚く優しい医療を提供していただいているという認識でいたので、独立行政法人化してしまうということに不安を感じています、また、安心して医療が受けられるように、公立や都立の病院は残して強化をするべきだと思います、こうした都立病院の直営を願う切実な声が今も届けられているということです。
 こうした都民の声をどう受け止めますか。

○船尾計画調整担当部長 独法化に関しまして、不採算医療が縮小するなど様々な声があることは承知をしております。
 今後とも、患者や都民の方々、関係団体など様々な関係者に、独法化が財政支出の削減ではないということですとか、行政的医療を充実強化させるための独法化であるという目的や意義を説明しながら、その準備を着実に進めてまいります。

○斉藤委員 様々な意見があることは承知をしているということですが、様々な意見ではなくて、大半が反対だといっているんです。その声に耳を傾けて理解するべきなのは東京都です。
 より分かりやすく丁寧に説明すると繰り返しいいますが、こうした声が出るのは、説明が足りないからではありません。独法化で、都民のための医療が後退するというのが事実だからなんです。現実的に病床が削られたり、差額ベッド代が高額になったり、そういう事態が相次いでいるじゃないですか。
 私は、今回の質疑に当たっても、十三人の駒込病院の利用者の方々に声を聞いてきました。都立駒込病院行きのバス停でもお話を聞いてきました。六人の方が、まだ独法化のことを知りませんでした。知っていた方のほとんどが、都立の直営のままがいいといっていました。
 都立だからこそお金の心配なく通えるのに、そういう病院をなくさないでほしい、また、コロナで都立病院が大切だと分かったのに、なぜ独法化なんですかと、そういう声でした。こうした声は間違った認識ではありません。
 私たちは繰り返し指摘していますが、独法化を検討した病院経営委員会の委員長の言葉、独法化後の都からの財政支援について、従前のままでは何のための独法化かと。これ、端的に示していると思います。都の財政負担を軽くする、そのための独法化という手法です。その結果、不採算部門の切捨てにつながり、患者負担が引上げられる、明らかなことです。
 東京都こそ、この都民の声を理解し、真実に向き合って、都立病院の直営を守るべきだということを強く求めて、質問を終わります。

○阿部委員 令和二年度東京都病院会計決算について順次質問をいたします。
 都立病院は、行政的医療を安定的かつ継続的に提供するとともに、地域医療の充実に積極的に貢献するという二つの大きな役割が都立病院新改革実行プラン二〇一八でも明記をされております。
 そして、これに基づき、感染症医療、精神科医療、災害医療など、民間医療だけでは対応が困難な行政的医療を八つの都立病院が地域的特性や医療機能を生かしながら分担して担ってきました。
 新型コロナ感染症への対応でも、都立病院は、公社病院と共に、患者の受入れの主力となってまいりました。
 繰り返し起こる感染拡大の波の中で、長期間にわたって医療の最前線で、新型コロナへと立ち向かっておられる病院経営本部並びに各病院の職員の皆様、関係者の皆様に心から感謝をいたします。
 今回の新型コロナウイルスの感染拡大に対し、都立病院が率先して機動的かつ大規模に対応したことで、採算の確保が困難な行政的医療の体制を、これまで東京都が保ってきた意義が如実に示されたのではないかと思います。
 令和二年度決算を見ますと、収支全体では、コロナ病床の確保に対する国の補助金もあって、百五億円の純利益という近年にない大幅な黒字となっておりますが、この状況を、東京都は、病院経営全体の中でどのように受け止めているのでしょうか。また、この黒字をどのように生かしていくのか、改めてお伺いいたします。

○谷田経営企画部長 令和二年度決算は、全体収支で、今お話がございましたように百五億八千八百万円の純利益でございましたが、新型コロナ関連の国庫補助金の影響が大きく、この状況は一時的なものであり、厳しい経営状況にあると受け止めております。
 また、純利益として計上した金額から前年度からの繰越欠損金七億八千万円を差し引いた九十八億七百万円の未処分利益剰余金につきましては、令和二年度末の企業債の未償還残高が四百五十九億六千六百万円であるという状況を踏まえまして、将来の返済に備えるために、全額を減債積立金として積立てを行うことといたしました。

○阿部委員 ありがとうございます。三年度も引き続き、病床確保に多額の国庫補助金が見込まれます。
 日本の医療は、諸外国に比べ、病床数が非常に多い一方で、医師、看護師数は少ないといういびつな構造になっています。病院事業に対する補助金は、医療の充実に柔軟に活用されるよう検討をお願いいたしたいと思います。
 さて、令和二年度の新型コロナの感染状況を見ますと、感染状況は、年末からの第三波で患者数が急増し、その増加に対応して、都立病院でも確保病床を順次拡大してこられました。その詳細については、既に先ほど質疑が行われましたので、ここでは割愛をいたします。
 ただ、一口に病床の確保といっても、そこには、一般医療との調整や医療スタッフの確保、そして、感染症に対応した施設設備など、ハード面での整備も様々対応が必要となります。
 決算資料、また、本日提出された要求資料でも、多くの施設設備、そして医療機器を整備されたとのことですが、二年度には、新型コロナ対応として主にどのような医療機器の整備を行ったのか、改めてご説明をお願いいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、コロナ感染症の拡大を受けまして、神経病院を除く全ての病院で、人工呼吸器を令和二年度は六十四台購入するとともに、救急救命センターを有する広尾病院、墨東病院と東京都こども救命センターである小児総合医療センターで、体外式膜型人工肺、ECMO四台を追加で整備し、重症患者への対応力を強化しました。
 また、人工透析に必要な血液浄化装置や、妊婦と胎児の健康状態を監視する分娩監視装置など、民間の医療機関では受入れが困難な患者にも対応できるよう、必要な医療機器を購入しました。

○阿部委員 人工呼吸器六十四台で約三億円、一台二千万円前後するECMOも四台、その他コロナ感染症の患者受入れに必要な医療機器を迅速に整備されたことが改めて確認できました。
 また、人工透析に必要な血液浄化装置、妊婦さんの受入れに欠かせない分娩監視装置の購入を通して、都立病院が、民間医療では受入れ困難な患者さんたちに対応できたことも確認ができました。改めて、受入れ困難な患者の受入れを進めてこられたことに敬意を表したいと思います。
 さて、認知症であったり精神疾患のある患者さんが感染症にかかった場合、感染管理が難しいことから、多くの医療機関で患者の受入れが困難であったと聞いております。特に精神科の病院でクラスターが発生した場合など、受入れ先を見つけるのが困難であるとの報道がありました。
 都の精神科医療の拠点である松沢病院では、コロナに感染した精神疾患の患者さんにどのような対応を行ったのか、人数も含めてお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 精神科医療の専門病院である松沢病院では、新型コロナウイルス感染症専用病床を十八床確保するとともに、感染者が急増した際には増床することで、令和二年度は二百三十八人の患者を受け入れました。
 コロナ専門病棟では、精神科医と感染症の専門知識を有する内科医が連携しながら治療に当たっており、重症化した患者に対しては人工呼吸器を使用するなど、高度な医療も提供してきました。

○阿部委員 コロナ専門病棟は結核病棟からの転用であったと聞いております。いろいろなご苦労があったかと思います。令和二年度だけで二百三十八人の患者の方々の受入れができたことは、大変貴重であったと思います。
 都立病院が、精神科のコロナ感染対応という困難な分野でも大きな役割を果たしているということが分かりました。
 全国の民間精神科病院千百八十五病院でつくる公益社団法人日本精神科病院協会が全国の会員病院に対して行った調査によると、今年八月時点で感染者が発生した病院は三百十病院、総感染者数は五千九十一人、そして、このうちコロナ治療のために病院から転院を要請したものの、転院ができずに亡くなった方は二百三十五人に上るという衝撃的な実態も明らかになっております。
 精神科医療の課題は多々ありますが、感染症医療と精神医療の両面での体制整備、これはまさに民間医療では担い切れない部分でもあり、公的病院として現在のキャパシティーで十分なのかという疑問も残ります。
 現場の実態を国や東京都に情報提供することを通して、問題の把握と体制整備に貢献されることを期待いたします。
 安定的な医療提供のためには、災害への備えも重要です。
 そこで、都立病院の水害対策について伺います。
 近年、集中豪雨による河川の氾濫などにより各地で水害が発生しております。三年前の西日本豪雨では、私も倉敷真備町での瓦礫撤去のボランティアに参加をいたしましたが、まび記念病院は非常用電源も水没をし、停電、断水いたしました。今年八月の九州での豪雨でも、佐賀県の病院が冠水、孤立する事態となりました。
 東京においても、特に東部低地帯に位置する江東五区は大規模な水害被害が想定されており、区東部の基幹病院であります都立墨東病院は、対策の強化が求められております。
 そこで、河川の氾濫など被害が想定される墨東病院の令和二年度における浸水対策の進捗をお伺いいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 墨東病院は、水防法に基づく洪水浸水予想区域図によりますと、荒川が氾濫した場合、最大浸水深三メートルの被害が想定されますことから、平成三十年度に、さらなる水害対策の手法を検討しました。
 令和二年度は、建物開口部への止水板及び防水扉を新たに設置するとともに、浸水時も排水が可能となるよう、排水管の増設やバイパス管の新設、逆流防止弁の設置などの水害対策工事に着手し、令和三年八月末に完了しました。

○阿部委員 令和二年度、墨東病院における水害対策の工事に着手しており、コロナ禍にあっても水害対策が着実に進められていることが確認をできました。
 さて、近年は、河川の氾濫のみならず、短時間の集中豪雨等により、排水口や水路から水があふれて浸水を起こす内水氾濫のリスクも顕在化をしております。
 そこで、内水氾濫による浸水被害が想定される都立病院の水害対策とその進捗についてお伺いいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 内水氾濫による浸水被害が想定されている病院は、広尾病院、大塚病院であり、両病院につきましては、令和元年度に、河川だけでなく下水道による浸水も表示する浸水予想区域図に基づき、浸水の影響調査を行いました。
 調査の結果、広尾病院は、最大想定降雨量一時間当たり百五十三ミリになると、地下雨水槽の排水処理能力が追いつかないことが想定されたため、令和二年度に、可動式止水板の整備等を行うとともに、雨水排水ポンプを更新し、排水処理能力の向上を図りました。
 また、大塚病院は、雨水の処理能力は十分ですが、万が一に備え、水のう可搬式止水板等の浸水対策用備品を整備いたしました。

○阿部委員 広尾病院は、都心部唯一の基幹災害拠点病院であり、また、その他の都立病院においても、災害時にその機能が発揮できることが大切です。止水板やポンプによって浸水を防ぐ、それももちろん大切なことですが、非常用電源を上階に設置するなど、浸水に強い対策も今後講じていく必要があると思います。
 都民の最後のとりでとなる都立病院で、日頃から災害対策を着実に進めることを要望して、次の質問に移ります。
 冒頭に申し上げたとおり、都立病院は、行政的医療とともに、地域医療の充実への貢献という役割を担っています。
 私の地元である品川区の、ある民間の総合病院では、オープンカルテシステムを導入し、連携している医療機関に対して診療情報を公開しています。これによって、連携先の医療機関では、検査結果やお薬の内容をオンラインで直ちに把握できます。
 実際に、地域のクリニックの紹介でこの病院に入院し手術した方も、退院時にはそのクリニックの予約が取れ、医師が手術内容やその後の治療、投薬の状況まで共有していたため、安心かつスムーズに治療を継続できたと喜んでおられました。
 都立病院においてもICTを十分に活用し、地域のクリニックとの診療情報の共有を進めていくことが重要であると考えております。
 そこで、都立病院では、ICTを活用した地域医療機関とのこうした連携についてどのような取組を進めていらっしゃるのでしょうか。

○西川サービス推進部長 東京都医師会におきましては、都内の地域包括ケアを実現することを目的として、病院や診療所の電子カルテシステムを相互に接続し、地域の医療機関の連携を安全・安心に途切れることなくサポートする、東京総合医療ネットワークを平成三十年七月から運営しておりまして、現在十四の病院が参加しております。
 このネットワークに参加することにより、薬の処方歴や検査結果などの診療情報を参加する医療機関同士で共有し、薬の誤投与や検査の重複を防ぐことで、患者さんに対してより適切な医療を提供できるメリットがございます。
 都立病院におきましても、システムの有用性や安全性などを十分に検討した上で、東京総合医療ネットワークに順次参加することとして、そのための準備作業を進めており、令和元年度に多摩総合医療センター、令和二年度に広尾病院及び駒込病院へ、接続に必要なシステムの導入を行ったところでございます。

○阿部委員 ありがとうございます。都立病院が、地域の医療機関と診療情報の共有を図るため、東京総合医療ネットワークへの参加に向けて、システムでの条件を着々と整えていらっしゃることが分かりました。
 ぜひ取組を進めてほしいと思いますけれども、令和元年度にシステムを導入しているにもかかわらず、まだ実際に動いているわけではなかなかないようです。東京総合医療ネットワークに参加する上での課題などがありましたら伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 東京総合医療ネットワークへ参加するためには、電子カルテから必要なデータを抽出しまして、そのデータを参加医療機関が共同で使用するサーバーへ送信するためのシステムを導入する必要がございます。
 都立病院では、現在進めている電子カルテの更新に合わせまして、このネットワークに参加するためのシステムの導入を行っており、導入の完了は令和四年度末となる見込みでございます。
 また、東京総合医療ネットワークへの参加に当たりましては、公開する診療情報の範囲や、患者さんの同意の取得などに係るルールなどを病院ごとに整備する必要がございまして、現在検討を進めているところでございます。
 今後、こうした課題を一つ一つ解決することで、システムを導入した病院から順次ネットワークに参加してまいります。

○阿部委員 ありがとうございます。現在運用ルールを検討中ということで、これはぜひ迅速に進めていただきたいと思います。
 患者さんの同意については、患者さんと地域の医療機関、そして、病院との信頼関係が大切な鍵になると思っております。日頃から都民が信頼できるかかりつけ医を持てるよう、関係部局と協力しながら進めていっていただきたいと思います。
 先ほどから、地域から選ばれる、住民から、患者さんから選ばれる都立病院という視点が出ております。やはり地域のクリニックからも信頼され、住民からも信頼される都立病院になっていただきたいと思います。
 その観点からいえば、都立病院での病児、病後児保育も、地域住民にとって都立病院を身近に感じ、そして頼られる存在となる貴重なサービスです。コロナ禍で利用実績は一時的に低下しておりますけれども、子供の健康に関わる情報発信拠点として、引き続き充実に努めていただければと思います。
 最後に、都立病院の独立行政法人化についてお伺いいたします。
 病院経営本部では、令和二年度、独立法人化に向けてどのような体制で検討を進めていったのでしょうか。検討に当たった職員、所属組織と人数、主な内容を教えてください。
 年末から二月にかけてのコロナ感染者、死亡者が急増した時期においてもその検討は続けられたのでしょうか、併せてお答えください。

○船尾計画調整担当部長 独法への移行準備を担当するため、病院経営本部に十名を専任で配置いたしまして、定款など法人設立に必要な法的手続や運営体制の検討、独法化のメリットを生かした患者サービス向上に資する医療機能強化等の検討を行いました。
 感染症対応はもちろん、超高齢社会の本格化に伴う医療ニーズへの迅速な対応など、都民に必要な医療を確実に提供していくためには、機動的に対応できる体制を早期に整備する必要があり、コロナ対応とともに独法化の準備を進めてきたところでございます。

○阿部委員 病院経営本部のマンパワーにそれだけの余力があったのなら、もっと第三波に対して手厚い対応ができたのではないかという思いは拭えません。
 また、都立という組織形態の中でも、コロナで必要になった施設設備の整備が迅速に行われたことは、先ほどの質疑の中でも確認をさせていただいております。
 一方、超高齢社会の到来は、何十年も前から予測されていた未来であり、もしこの対応に迅速さが必要であるというなら、それは単に過去の不作為を示しているにすぎません。緊急事態の中でこれを進める根拠としては、極めて弱いのではないかと思います。
 また、独立行政法人化をすれば、一番大きな影響を受けるのは、現場で働く方々の身分と待遇です。人生設計に関わる大きな転換は、個々人に大きな不安とストレスを与えます。
 東京都における新型コロナ感染症の主力として、まさに心身の限界を超えて立ち向かっている現場の方々に、身分上のストレスまで与えてしまうこと自体が、あまりに酷ではないでしょうか。
 現場で働く方々への独立行政法人化に関する説明並びに意見聴取は、いつ、誰が、どのような形で実施をし、職員からはどのような意見が寄せられ、どのように対応したのかお伺いいたします。

○船尾計画調整担当部長 昨年度、職員に対しましては、八月以降順次、人事給与制度の原案を、また、十一月に、移行に向けた検討状況をイントラネットの掲示板を活用して説明し、周知を図ったところです。
 いずれも職員からの意見や質問を受け付けており、人事給与制度についての質問、意見のほか、各病院において今後さらに充実させるべき医療や取組についての意見、提案、コロナ禍の中で独法化する必要性などの意見があり、検討の参考とするほか、順次回答を掲示板に公開するなどの対応を行っております。
 独法化の検討状況につきましては、引き続き、その時々の現場の状況を踏まえた適切な方法で職員に説明してまいります。

○阿部委員 昨年の十一月といえば、第三波が始まる少し前というタイミングです。これだけ重大な案件を、コロナ禍ではオンラインの説明で行わざるを得ません。人事給与制度や独法化の必要性についても意見が寄せられたものの、回答は、順次掲示板に公開、これで本当に職員の方々の理解が得られるでしょうか。そもそも理解を得ようとする姿勢すら希薄に感じます。
 独立行政法人化をしようとするなら、少なくとも、平時に、現場の方々と十分に意見交換をし、納得を得ながら進めていくのが筋であって、拙速かつ一方的な組織変更プロセスは、かえって長く職場に影を落としてしまうことを危惧いたします。
 なぜ今、新型コロナの再度の感染拡大の可能性も残る中で、独立行政法人化をここまで急ぐのか。独法化を急がなければいけない何か特別な理由でもあるのでしょうか。一旦立ち止まることを強く求めて、私の質問を終わります。
 以上です。

○小林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小林委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時三十分散会

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