令和二年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第二号

令和三年十月二十五日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長鈴木 錦治君
副委員長細田いさむ君
副委員長平けいしょう君
副委員長宮瀬 英治君
かつまたさとし君
磯山  亮君
伊藤しょうこう君
田の上いくこ君
須山たかし君
曽根はじめ君
里吉 ゆみ君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長内藤  淳君
次長土岐 勝広君
職員部長牧野 和宏君
資産運用部長坂田 直明君
電車部長市川 雅明君
自動車部長櫻庭 裕志君
車両電気部長野崎 慎一君
建設工務部長谷本 俊哉君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務神永 貴志君
安全管理担当部長西川 善宣君
鉄軌道事業戦略担当部長築田 直樹君
バス事業経営改善担当部長太田 純也君
技術調整担当部長生越 啓史君
技術管理担当部長坂口 淳一君

本日の会議に付した事件
令和二年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・令和二年度東京都交通事業会計決算(質疑)
・令和二年度東京都高速電車事業会計決算(質疑)
・令和二年度東京都電気事業会計決算(質疑)

○鈴木委員長 ただいまから令和二年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、令和二年度決算の審査から逸脱しないよう行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いをいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 根木総務部長は、病気療養のため、本日の分科会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都交通事業会計決算、令和二年度東京都高速電車事業会計決算及び令和二年度東京都電気事業会計決算を一括議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○土岐次長 過日の分科会で要求がございました資料を、お手元の令和二年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるホームからの転落事故件数の推移でございます。
 ホームからの転落件数の推移につきまして、路線別の件数を過去五年間分記載してございます。
 次に、二ページをご覧ください。事業別の正規職員の新規採用数と非常勤職員数の推移でございます。
 正規職員の新規採用数の推移を、事業別に過去五年間分記載してございます。
 次に、三ページをご覧ください。非常勤職員数の推移を、事業別に過去五年間分記載してございます。
 次に、四ページをご覧ください。地下鉄事業におけるバリアフリー化した内容と令和二年度の費用及びホームドア設置の状況と令和二年度の取組実績でございます。
 バリアフリー化につきましては、令和二年度に実施した内容ごとに整備駅数及び決算額を記載してございます。
 ホームドアにつきましては、路線別の設置状況を過去五年間分及び令和二年度の取組実績を記載してございます。
 次に、五ページをご覧ください。都営バス運転手の年間労働時間でございます。
 令和二年度の一人当たり平均の年間労働時間を記載してございます。
 次に、六ページをご覧ください。コミュニティバスの受託状況でございます。
 令和二年度のコミュニティバスの受託状況について記載してございます。
 次に、七ページをご覧ください。都営地下鉄駅の民間委託状況及び駅別職員配置数でございます。
 都営地下鉄各駅の職員配置数を記載してございます。なお、駅名横の丸印は、業務を委託している駅を表しております。
 次に、八ページをご覧ください。事業別職員数及び人件費割合の推移でございます。
 各事業における職員数及び経常費用に占める人件費割合を過去十年間分記載してございます。
 次に、九ページをご覧ください。都営地下鉄におけるホームドア未整備駅の点状ブロック整備状況でございます。
 令和二年度末時点における整備状況を記載してございます。
 次に、一〇ページをご覧ください。都営バス車両における低公害車両の導入数でございます。
 令和二年度末時点における低公害車両の導入数を記載してございます。
 次に、一一ページをご覧ください。バス停の音声案内の設置箇所数及びシグナルエイドに対応している箇所数でございます。
 令和二年度末時点における音声案内設置箇所数及びシグナルエイドの対応箇所数について記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤委員 それでは、令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、四月から緊急事態宣言が発出され、人流の抑制など感染防止が求められる中、人々の行動が大きく変わった年となりました。こうした行動の変化により、都営交通の利用者も大幅に減少し、厳しい経営状況になったと認識しています。
 公営企業として、こうした環境の変化に的確に対応することは当然ですが、厳しい経営状況においても、安全の確保をはじめ、必要な取組は着実に推進していかねばなりません。本日は、決算の審査に当たり、こうした観点から質問させていただきます。
 先日の事前説明にあったとおり、交通局所管の会計では、乗車料収入の減少が大きく、電気事業を除く全ての事業で赤字を計上しました。
 中でも都営地下鉄の乗車人員は、前年比で約三〇%の減少となっており、他の事業が二〇%程度であることと比べても、非常に大きくなっています。都営地下鉄を経理する高速電車事業会計で赤字となったのは、平成十七年度以来、実に十五年ぶりとのことです。
 そこでまず、令和二年度の都営地下鉄の乗車人員について、減少幅や要因などを具体的にご説明願います。

○市川電車部長 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、昨年四月に緊急事態宣言が発令されると、乗車人員は、前年同月比で約四五%の減と、大きな落ち込みとなりました。五月末の宣言解除後、回復傾向が見られたものの、感染が再拡大したことなどから、その後も、乗車人員は三〇%程度の減少で推移いたしました。その結果、令和二年度の都営地下鉄四線の一日当たりの乗車人員は約百九十一万八千人となり、元年度と比べて、約九十一万三千人、三二%の減少となりました。
 主な要因でございますが、昨年度は、感染拡大が続く中、不要不急の外出自粛が求められるとともに、集客イベント等の相次ぐ中止もございました。さらには、インバウンド需要の激減もあり、定期外の利用が大きく減少することとなりました。加えまして、テレワークをはじめとしたお客様の行動変容の影響により、定期券需要も減少しておりまして、こうしたことが大幅な乗車人員の減少につながったものと考えてございます。

○伊藤委員 減少幅や要因をお答えいただきましたが、事業環境の大きな変化にも的確に対応していくことこそが企業経営において重要と考えます。
 そこで、乗車料収入の減少についてどのように対応したのか、伺います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度の予算執行に当たりましては、乗車料収入の大幅な減少による収支の悪化を抑制するため、事業全般にわたっての支出の削減を徹底してまいりました。
 具体的には、庁舎の水道光熱費や事務用品の消耗品費、広報紙の印刷製本費など地下鉄の運行に直接関わらない間接的な経費について予算から一〇%の抑制を図るなど、経常経費の節減を進めてまいりました。
 設備投資につきましても、庁舎の改修を緊急性の高いものに限定したほか、駅のホームにあるベンチのリニューアルを凍結するなど、経営計画に掲げた事業も含め、幅広く見直しを行ったところでございます。
 こうした対応により、厳しい経営環境にあっても、経営上、安全な資金水準を維持するなど、財務基盤は一定の健全性を確保しております。

○伊藤委員 昨年度の決算では、財務基盤は一定の健全性を確保したとの答弁でしたが、現在のような利用者の減少が長期的に続くと厳しい状況になると推察します。
 今般、緊急事態宣言は解除されましたが、引き続きテレワークのさらなる定着などを進めていますので、定期券の利用者は、コロナが終息しても、以前のようには戻らないのではないかと思います。
 その一方で、集客イベントの再開やインバウンド需要などといった定期外の利用については、コロナ禍が終息すれば回復が期待されます。
 そこで、コロナ終息後には、旅客の誘致に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 令和二年度は、毎年恒例のイベントでございます都営フェスタをオンラインで実施するとともに、緊急事態宣言の発令等に応じて、企画乗車券の発売や沿線の観光スポットを紹介する情報紙の発行を見合わせてきました。
 一方、今後は、感染状況を見極めながら、旅客需要を積極的に喚起していくことが重要であると認識しております。
 まずは、先月末での緊急事態宣言の解除を受け、「ぴっく・あっぷ」や「ふれあいの窓」等の情報紙の駅などでの配布を再開いたしました。
 加えて、今後は、感染拡大防止策を実施しながら、クイズラリーなど、お客様が密にならないイベントから順次再開するとともに、観光施設の入場券とセットとなった企画乗車券の発売なども行ってまいります。
 こうした取組は、都営地下鉄の利用者増のみならず、沿線地域の活性化にも資するものであり、引き続き、感染状況を注視しながら旅客誘致に取り組んでまいります。

○伊藤委員 さて、今後は、人々の行動様式の変化を前提として、いかに収入を確保するかを考えなければなりません。旅客の誘致の取組により人の移動が活性化すれば、収入の確保だけでなく、東京のさらなる発展にも資するものであり、交通局としても積極的に進めてほしいものと思います。
 その一方で、コロナ終息はいつになるのか、専門家でも意見が分かれています。現在、都内の新規陽性患者は数十人台の水準まで下がっていますが、今後、第六波への対応や、また、本格的な感染終息まで数年かかるともいわれています。そして、テレワークの推進などが終息後も進むかもしれませんので、今後の需要予測は難しいものがあると考えます。
 そうした状況を見据え、今後、中長期的にはどのような経営戦略を練るのか、見解を伺います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の影響等により、今後の旅客需要につきましては厳しい状況が続くものと見込んでおります。
 一方、いかなる状況にあっても、中長期的な視点の下、事業環境の変化に対応し、安定した事業運営を図っていかなければなりません。このため、現在、需要動向について慎重に分析を進めるとともに、今後の投資計画の検証を行っているところでございます。
 今後の中長期的な経営の方向性や考え方につきましては、こうした検討を踏まえ、現在策定を進めております新たな経営計画で明らかにしてまいります。

○伊藤委員 先行きを見極めるのは難しいと思いますが、中長期の見通しをしっかり持って、事業の着実な運営を行うことを求めます。
 さて、ただいまの答弁では、今後の投資計画は、現在、検証中とのことでしたが、交通事業者にとって、利用者の安全確保は何よりも優先されるべきものであります。利用者の安全確保に効果の高いホームドアの整備を積極的に進めるべきと、我が党はかねてから主張しており、厳しい経営状況にあっても、着実に整備を進めていく必要があります。
 都営地下鉄では、既に三田線、新宿線、大江戸線で全駅にホームドアを整備済みであり、現在は、残る浅草線の整備を進めているところです。
 それでは、浅草線のホームドアの整備について、令和二年度の取組状況を伺います。

○生越技術調整担当部長 都営浅草線のホームドアにつきましては、令和元年度に、泉岳寺、三田、大門、新橋の四駅への整備を行っているところでございます。
 令和二年度につきましては、残る十五駅へのホームドア整備に向けた各駅の調査、設計を実施いたしまして、準備工事を開始いたしました。
 具体的には、ホーム下にある既存の配管類や電源ケーブルの移設、ホーム補強やホームドア用の配管、配線類の設置等の作業を進めたところでございます。
 また、京成電鉄との共同使用駅である押上駅につきましては、整備主体となる同社との協議を進め、令和五年度までの整備完了を目指すことといたしまして、基本協定締結の準備を進めているところでございます。
 今年度は、ちょうど一昨日、十月二十三日、夜間に東銀座駅へのホームドア本体の設置を開始したところでございまして、引き続き、令和五年度の全駅整備完了を目指して着実に取り組んでまいります。

○伊藤委員 全駅整備完了に向けて、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、安全確保という観点から、日暮里・舎人ライナーについて伺います。
 今月七日の深夜に発生した地震により、日暮里・舎人ライナーは、列車が脱輪するなど大きな被害が出ましたが、迅速に復旧作業を進め、十一日、月曜日の始発には運行再開にこぎ着けたと聞いています。
 公共交通機関として、地震が起きた際に利用者の安全を守り、また、被災した際にも早期の復旧を果たすためには、事前の備えが重要です。
 そこでまず、日暮里・舎人ライナーでは、これまで地震への備えをどのように講じてきたのか、伺います。

○西川安全管理担当部長 日暮里・舎人ライナーの橋脚などの構造物は、阪神・淡路大震災を踏まえて国が定めた耐震性に係る基準に基づき設計されております。
 また、交通局では、震災対策に関する基本的な事項を定めた危機管理対策計画を策定しておりまして、日暮里・舎人ライナーにおきましても、地震発生時には、本計画に基づき対応することとしてございます。
 具体的には、緊急地震速報を受信した際に、お客様の安全を確保するため、まず、指令所から全列車を緊急停止させることとしております。また、列車が駅間に停止した場合には、車両が走行可能であれば、次の駅まで最徐行で運行させ、走行できない場合には、係員を急行させてお客様の安全を確保した上で、徒歩で最寄りの駅へ誘導することとしてございます。
 こうした事態を想定した避難誘導訓練や、本線上で故障した車両を牽引するため、車両を連結する訓練など、異常時の対応力を高めるための実践的な訓練を定期的に行ってございまして、今月七日に発生した地震の際にも、これまで訓練で培った経験を生かし、脱輪した車両からのお客様の誘導や、走行できなくなった車両の牽引などを行ったところでございます。

○伊藤委員 今回の地震の際にも訓練の経験を生かしたとのご答弁ですが、具体的にどのように対応したのか、また、今後、事故を受けてどのように対応するのかも伺います。

○西川安全管理担当部長 今回の地震発生の際、お客様の安全を確保するため、指令所からの一斉非常停止操作により、速やかに全列車を停止させてございます。地震が収まった後、走行可能な車両は次の駅まで徐行運転をし、脱輪した車両では、お客様を徒歩で最寄りの駅まで避難誘導いたしました。
 翌日、国の運輸安全委員会による現場調査を受けた後、クレーンによる搬出や他の列車による牽引などにより、走行できなくなった車両を車庫に収容いたしました。
 並行して、破損した設備や車両の復旧作業を昼夜を問わず進めまして、十月十一日、月曜日の始発から全線で運行を再開したものでございます。
 今後の対応についてでございますが、現在、国の運輸安全委員会により、地震による脱輪の原因調査、分析が行われております。また、国土交通省が、交通事業者やメーカーなどと共に対策を検討していくものと聞いてございます。
 交通局におきましても、今回の地震に伴う車両や設備の被害等について分析を開始しておりまして、今後、国の調査にも協力しながら必要な対策を検討してまいります。

○伊藤委員 今回の件でも明らかになりましたが、鉄道が止まると、都民生活への影響が大きいものです。現在、国の運輸安全委員会の専門家による調査、分析が行われており、また、国土交通省も対策の検討に乗り出したとのことです。交通局においても、こうした動きに協力しながら、今後のさらなる安全確保につなげてもらいたいと思います。
 次に、都営バスについて伺います。
 昨年度の公営企業会計決算特別委員会での我が党の質疑でも取り上げましたが、都営バスは、近年、三分の一の黒字路線で三分の二の赤字路線を支え、地域に必要な路線を維持してきたと聞いています。しかし、令和元年度は経常損益が約十七億円の赤字に転じ、また、令和二年度は約九十五億円もの大幅な赤字となり、他の交通事業と同様に、状況が大きく変わっているものと考えます。
 そこでまず、令和二年度決算において、路線の黒字、赤字の割合はどのように変化したのか、伺います。

○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスの路線別の収支につきましては、令和元年度は、黒字の路線が二十九路線で全体の二二%、赤字の路線が百二路線で七八%でございました。
 令和二年度につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして、多くの路線が赤字に転じ、黒字の路線が八路線で全体の六%、赤字の路線が百二十三路線で九四%となりました。

○伊藤委員 赤字路線が以前より大幅に増えた中、今後、路線の効率化も含めたさらなる経営努力が必要になりますが、一方で、高齢化が進む中での地域の足の確保など、利用者のニーズにしっかり応えていくこともバス事業者の使命です。
 そこで、今後の路線運営についての考え方も伺います。

○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗務員や車両など、限りある経営資源を有効に活用し、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、バス事業を運営しております。
 こうした考えに基づき、乗客潮流の変化を的確に捉えまして路線やダイヤの見直しを行っており、需要が高まっている地域においては増便などを行う一方、コミュニティバスなどの代替交通が確保されたり、利用者が少なくなった路線については減便などを行ってまいりました。
 今般、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、お客様の行動も変容しておりますことから、そうした需要の変化を慎重に見極めるとともに、引き続き、高齢者の移動手段の確保など地域のニーズに的確に応えながら、都営交通としての役割を果たしてまいります。

○伊藤委員 厳しい環境ですが、経営資源を最大限有効活用するとともに、地域のニーズもきめ細かく酌み取り、都民生活を支える使命を果たしていただきたいと思います。
 次に、都営バスにおける環境対策について伺います。
 都営バスは、環境に優しい車両の導入に先駆的に取り組んでおり、現在は、水素を燃料として、走行中に二酸化炭素を排出しない燃料電池バスの導入を進めています。
 そこでまず、燃料電池バスのこれまでの導入実績について、確認のため、伺います。

○櫻庭自動車部長 燃料電池バスは、走行時にCO2、NOx、PMなどを排出しない環境性能に優れたバスでございまして、交通局は、公営バス事業者として、環境政策に貢献するため、平成二十八年度に先導的に二両導入いたしました。
 その後、毎年、継続的に導入を拡大して、令和二年度には三十二両を追加導入しておりまして、現在、全国のバス事業者で最大の計七十両を運用しております。

○伊藤委員 現在は七十両を運用しているとのことですが、これだけの規模を運用しているから気づくこともあると思います。
 導入してから五年ほど経過していますが、この間に寄せられた利用者の声はどのようなものなのか、また、実際に導入して明らかとなった課題などがあれば伺います。

○櫻庭自動車部長 燃料電池バスに関しましては、非常に音が静かである、乗り心地もスムーズで快適であるといったお声がお客様から寄せられております。
 一方、今後、さらに燃料電池バスを増やしていくに当たっての課題としては、水素ステーションの立地が臨海地域に集中していて運行エリアの拡大が難しいこと、水素ステーションの故障時のバックアップ体制などを含めた安定的な水素の供給体制が不可欠であること、導入コストや燃料費などのランニングコストが、ディーゼル車に比べて割高であることなどがございます。

○伊藤委員 私も以前に乗車しましたが、非常に静かで、乗り心地もよかった記憶があり、環境に優しいバスに乗車していることを実感しました。
 ところで、今後、燃料電池バスを大幅に普及させるためには課題も山積しているようですが、解消すべき課題が具体的に見えたのは、都営バスが導入を進めてきたからともいえます。こうした課題を行政やメーカーなど関係者と共有し、解決策を探っていくことが、燃料電池バスのさらなる普及拡大に不可欠であり、交通局の果たすべき役割は非常に重要と考えます。
 そこで、燃料電池バスの導入拡大に向け、交通局としてどのように取り組んでいくのか、伺います。

○櫻庭自動車部長 燃料電池バスのさらなる導入拡大には、先ほど申し上げました水素ステーションの広域的な整備や、より安定的な水素の供給体制の構築、コストの低減などが不可欠でございます。
 交通局では、こうした課題の解決に向けて、関係局と連携して、水素ステーションのさらなる整備や安定的な稼働体制の構築を事業者に働きかけてまいりましたほか、国に対して、車両導入や燃料費への補助の拡充を求めてきたところでございます。
 引き続き、燃料電池バスを先導的に導入してきた知見を生かしまして、関係者と情報を共有しながら、課題の解決に向けて連携して取り組んでまいります。

○伊藤委員 引き続き、燃料電池バスの普及に向けて先導的な役割を果たしていただきたいと思います。
 本日の質疑を通じて、新型コロナの影響が長引く中にあっても、経営改善に努めつつ、ホームドア整備など必要な事業は着実に進めていることを確認しました。
 これから先、人流の抑制が緩和され、社会経済活動が戻るためには、産業や生活の基盤である公共交通機関の安定的な運行が非常に重要です。都営交通として今後の東京の発展を支え続けられるよう、あらゆる創意工夫をしながら、めり張りのある事業運営を行うことを求め、私からの質問を終わります。

○平委員 私からは、令和二年度公営企業会計決算特別委員会において、交通局に対し、先日の決算特別委員会で局からも説明をいただきました今年度の決算についてお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響によって、都営交通の決算はいずれも赤字と厳しい状況であり、交通局長からは、中長期的に安定した事業運営を行い得る経営基盤を堅持していくとの発言もございました。都営交通は、かつてないほどの事業環境の大きな変化に見舞われており、先行きも厳しい状況ではないかと考えます。
 一方で、都営交通は、都民の生活を支える重要な役割を担っており、将来にわたり安全なサービスを提供し続けていく必要があります。
 そこで、代表的な地下鉄を例に、経営について質問をいたします。
 まずは、コロナ禍における都営地下鉄の経営状況の変化と対応について確認をさせてください。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 いわゆる地下鉄、高速電車事業は、都心部や臨海地域を中心とするまちづくりの進展等に伴い、乗車人員が堅調に増加してきたことなどから、平成十八年度以降、経常黒字を確保してまいりました。
 しかしながら、令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による乗車人員の大幅な減少により、乗車料収入が四百八十億円を超える減収となったことから、経常収支が十五年ぶりに赤字となりました。
 基幹収益である乗車料収入が大幅に減少する厳しい経営環境の中、安定した事業運営を確保していくため、昨年度は、安全の確保を前提に、経費の節減や設備投資の抑制に努めてまいりました。

○平委員 令和二年度決算は赤字となったわけですが、今年度も、ここに来てやっと第五波の新規感染者数が急速に減少し、コロナ終息の兆しが見えてきたところなので、昨年同様に、依然として厳しい経営状況にあります。
 そこで、都営地下鉄の乗車人員について、令和三年度はこれまでどのような状況となっているのか、また、今後の見通しもお伺いいたします。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営地下鉄の乗車人員は、感染再拡大の影響等により、今年度に入っても、コロナ禍以前の水準から三割程度の減少が続いております。
 感染症の終息後も、テレワークを初めとするお客様の行動変容が見込まれることなどから、当面、乗車人員は、コロナ禍以前の水準には回復しないものと想定しております。
 さらに、少子高齢化の進行に伴う生産年齢人口の減少から、長期的にも乗車人員の増加は期待できないものと考えております。

○平委員 私もテレワークについては、定着し、また、さらに進めていかなければいけないと思っています。
 乗車人員はコロナ前まで回復するかどうかは分からない、乗車人員がコロナ禍前の水準には戻らないことが想定される中、今後どのような考えで経営していくのか、所見をお伺いいたします。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 お客様の行動変容や生産年齢人口の減少などにより、今後も厳しい経営状況が続くものと見込んでおります。
 こうした状況の中、様々な観点から収入の確保や経費の節減に努めるとともに、経営計画に掲げた事業につきましても、安全の確保に最大限配慮し、規模や実施時期の見直しを進めております。
 また、テレワークの定着など、お客様の行動変容に伴う需要の変化を見極め、中長期的な投資計画を検証し、現在策定を進めております新たな経営計画に反映してまいります。
 今後とも、事業環境の変化に対応しながら安定した経営基盤を堅持し、安全の確保を最優先に事業運営に取り組んでまいります。

○平委員 ありがとうございます。決算書を拝見すると、電気事業は黒字ですが、その他事業の赤字を補填できるほどの大きな収入とはほど遠い。やはり基盤となる高速電車事業で経営を安定させることが不可欠です。苦しい状況ですが、おっしゃっていただいたように、様々な観点から収入の確保、経費の節減で、今の難局を乗り切っていただきたいと思います。
 続きまして、都営バスにおける二人乗りベビーカー乗車の取組についてお伺いをいたします。
 我が会派では、一昨年の十月から要望してきた都営バスにおける二人乗りベビーカーの乗車、田の上委員も私も熱心に取り上げて、話を交通局の皆さんと重ねてまいりました。
 一般社団法人日本多胎支援協会によると、日本では約一%が多胎の妊婦であり、東京都もほぼ同じであります。
 令和二年度は、とうきょうママパパ応援事業において、育児、家事支援を強化し、多胎児家庭支援事業にも予算をつけました。
 多胎児においては、特に外出、移動の困難が意見として多く挙げられ、特に双子用の大型ベビーカーを使用するため、交通機関で乗車拒否されるなどの事例もあり、これまで交通局の皆さんのご協力を促してまいりました。その中で、局の皆さんは、国との実証実験やメーカーとの話合いを進めてくださったことには、心から感謝をしております。
 二〇二〇年九月十四日から五路線で試行、周産期母子医療センターを経由する主な路線や、親子での利用が多い葛西臨海公園を発着する路線として江戸川の28−1系統、二〇二一年六月七日からは、百三十一系統、全路線へ拡大すると伺っております。
 具体的にどのような安全対策を施していくのか、お伺いをいたします。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、令和二年九月から、二人乗りベビーカーにお子様を乗せたままご乗車いただける取扱いを一部の路線で導入しておりまして、本年六月からは、この取扱いを全ての路線に拡大しております。
 導入に当たりましては、ベビーカーを固定するためのベルトを増設するとともに、全ての乗務員に対して、二人乗りベビーカーを実際に用いた研修を実施しております。
 また、お客様に対しましては、お子様にシートベルトを着用させていただいた上で、国が取りまとめたルールに基づき、ベビーカーの車輪をロックし、車内に装着したベルトで二か所固定するとともに、走行中もしっかりと支えていただくことをお願いしておりまして、こうした取扱いを車内サイネージやリーフレットなどにより周知しているところでございます。

○平委員 固定ベルトを設置して安全を確保していることが分かりました。二人の子供をベビーカーから降ろして、ベビーカーを折り畳むこと、想像しただけでも大変な作業ですから、折り畳まずに安全に乗車できることは、親御さんにとっても大変助かることだと思います。
 昨年の試行を始めてから、利用者からはどのような声を伺っているのか、聞かせてください。

○櫻庭自動車部長 二人乗りベビーカーをご利用のお客様からは、折り畳まずに乗れるようになり助かるといった声や、移動手段の選択肢が増えて大変ありがたく思っているなどのご好評の声をいただいております。
 一方で、一部のお客様からは、車内が狭くなるなどの意見も届いております。

○平委員 ありがとうございます。混雑している場合は乗車できないこともありますが、可能であれば乗車につなげていただきたいというふうにも思います。
 ベビーカーの乗車可能な席がほかの方が座って埋まっている場合には、どのような対応をなさっているのか、お伺いいたします。

○櫻庭自動車部長 二人乗りベビーカーをご利用のお客様が乗車される際、ベビーカーを固定する座席に既にお客様がお座りになっている場合には、乗務員が席をお譲りいただくようご協力をお願いすることとしております。

○平委員 どうしても乗車できない状況であれば、朝なんかは大変混雑しているときもございますので、そういうときであっても、ベビーカーと共に乗車しようとする方がいる場合は、そのベビーカーを、親御さんなんかに気遣う言葉をかけるということなど、子育てする親御さんへ寄り添った配慮をしていただきたいと思います。これは要望させていただきます。
 折り畳まなくてはいけないから、折り畳まなくてもよいに認識を変えるために、普及啓発も必要であると考えます。このベビーカー安全ご利用ガイドという、一人用も、二人用もというような、こういう分かりやすいものは大変いいと思うんですね。
 こういった、全路線へ拡大することによって新たな課題と抱負もあるかと思いますので、お伺いさせていただければと思います。

○櫻庭自動車部長 二人乗りベビーカーをご利用のお客様をはじめ、全てのお客様に都営バスを安全、快適にご利用いただくためには、二人乗りベビーカーによる乗車方法を分かりやすくお伝えするとともに、周囲のお客様にも譲り合いなどのご配慮をお願いする必要がございます。
 このため、ポスターやSNSなどによる呼びかけを行っておりますほか、都営バスのマスコットキャラクターである、みんくるを使用したアニメーション動画を作成いたしまして、車内のデジタルサイネージやユーチューブなどで発信しております。
 今後とも、こうした取組を通じまして、二人乗りベビーカーの利用者を含めて、誰もが利用しやすい環境整備に取り組んでまいります。

○平委員 ありがとうございました。
 続きまして、子供や子連れの方が安心・安全かつ楽しく移動できる環境を整備していくことを目的に、私たちが提案をし、令和元年七月から導入された都営大江戸線の子育て応援スペースについてお伺いをいたします。
 私は、今日、この場に立つに当たりまして、早起きをして、都バスと都営大江戸線に乗ってまいりました。利用させていただいてありがとうございます。
 これは大変重要な事業であります。都営交通の他路線への拡大を求めた私たちの要望に対して、都営地下鉄の全路線に展開する準備を進めており、本年夏以降、順次拡大すると伺っております。
 まず、子育て応援スペース事業の令和二年度の取組状況について確認をさせてください。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 子育て応援スペースは、令和元年七月に大江戸線において三編成導入し、翌年二月には七編成に拡大をいたしました。
 令和二年度は、今後の方向性につきまして、年齢、性別を問わず幅広い層のご意見を参考とするため、ウェブによるアンケート調査と都営交通モニター調査を実施いたしました。調査の結果、回答者の約七割の方が、このスペースを好意的に受け止め、さらなる拡大を希望していることが明らかになったことから、都営地下鉄全線に順次拡大していくことといたしました。
 本年九月に、大江戸線にさらに二編成追加したところでございまして、年度内には、浅草線及び新宿線へも導入を進める予定でおります。

○平委員 ただいまご答弁いただきましたウェブによるアンケート調査と都営交通モニター調査、私の方に交通局の方から頂戴することができました。昨年度実施したアンケート調査を拝見させていただいたところ、ウェブでは約八割、都営交通モニター調査では約六割の方が子育て応援スペースを知らなかったと回答しており、さらなる認知度の向上が必要と考えます。
 子育て応援スペースをより多くの方に知っていただき、かつ利用していただくために、これまでのPR方法とは違う観点も必要であり、例えば、子育て中の親御さんが購読する雑誌などの媒体を用いて広告を出すなど、認知度向上に向けたさらなる工夫が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 子育て応援スペースの認知度向上に向けた取組といたしましては、現在、このスペースを紹介するポスターを都営地下鉄の各駅に掲出しているほか、当該車両の運行時刻をホームページに掲載するなど周知を図っているところでございます。
 今後は、これまでの周知に加えまして、例えば、子育て世代の方を対象とした雑誌など新たなPR媒体の活用や、子育てを応援する関連イベントの実施等を検討してまいります。

○平委員 雑誌など新たなPR媒体の活用ということをおっしゃっていただきました。ぜひよろしくお願いします。ありがとうございます。
 子育て応援スペースを通じて未来を担う子供を見守る社会の機運醸成につなげていくことも、この事業に求められることだというふうに思っています。
 二〇一四年から、駅や商業施設では、ベビーカーの優先スペースを示す案内幕が導入をされました。今ではさらに進んで、現在、百貨店等のエレベーターでは、ベビーカー優先や、ベビーカーの乗車があればスペースを譲るように促すアナウンスを放送する施設もあります。
 子供に対する個々の意識を高め、さらに社会全体で子供を見守り、育てる社会にしていくためには、やはり子供と子育てする親御さんへの配慮が必要です。
 私は、十歳と二歳の子供を今抱えているんですけれども、実際にベビーカーで電車に乗るということがあります。そのときに、本当はエレベーターに近いのは一両目なんだけれども、でも、多分、ここの一両目は人が混んでいるだろうなとかと思ったら、全く反対側に、八両目だとかというところへ行って乗ることがあるんですね。
 ただ、そんなときでも、時間によって、朝の通勤ラッシュだとか夜の帰宅ラッシュ、こういった時間帯は人が多い。そういう時間を避ければいいのですけれども、やっぱり、やむを得ず、その時間にベビーカーを押して電車に乗るということもございます。そういった、もうずっと電車を二、三本見送ってもやっぱり乗れないというときは、やむを得ず乗るのですけれども、そんなときに、周りの方たちがそれに対して、どうぞどうぞ、乗りなよとかというふうにいってくれたことも過去にあったんですね。みんながみんなとはいかないのですけれども。でも、そういった一言をいただくだけで、子育てしている親にとっては大変ありがたくて、やっぱり子育てする中で忘れられない一つの出来事にはなっているんですね。
 そういったことを日々行われている親御さんも、この都内には多くいらっしゃると思いますので、ぜひこの子育て応援スペースは、そういった親御さんのために、もっともっと活用していただきたいというふうに思っております。
 そこで、朝の時間帯にも、小さなお子様連れの方が子育て応援スペースを利用しやすくなるような取組が必要であると考えます。所見をお伺いいたします。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 小さなお子様連れのお客様に安心して気兼ねなく都営地下鉄をご利用いただくためには、子育て応援スペースの認知度の向上に加えまして、乗り合わせた周囲のお客様のご理解とご協力が不可欠でございます。
 お客様にこのスペースをより安心してご利用いただけるよう、朝の時間帯を含めまして、適宜、駅構内放送を行うなど、子育てを応援する機運のさらなる醸成を図ってまいります。

○平委員 ありがとうございます。朝の時間帯を含め、適宜、駅構内放送を行うというご答弁をいただきました。前向きな答弁に感謝を申し上げます。
 内藤局長は、以前には福保にいらっしゃった。ご理解のある局長がトップに就いておりますので、ぜひとも、こういった子育てに優しい都営バスというのも位置づけて、今後も取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございました。

○細田委員 それでは、私からも何点か質問させていただきます。
 まず、都営交通の決算についてです。
 現在は、コロナワクチンの接種も進みまして、感染者数も重症者数も減少している中で、まさにリバウンドに備えて、コロナを克服して、出口を見据えて東京を再生させていくよう前に進んでいるときであります。
 今年度の決算は、この一年がコロナ禍であったために、かつてない大変厳しいものではありますが、コロナ禍におけます都営交通の決算の状況と、これを踏まえた今後の取り組む姿勢について、東京都の見解を求めます。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、不断の経営改善の取組や乗車人員の堅調な増加により、局事業総体で経常黒字を確保するなど、安定した経営を維持してまいりました。
 しかしながら、令和二年度決算では、新型コロナウイルス感染症の影響により、乗車人員が前年度から三〇%近く大幅に減少したことから経常収支が悪化し、自動車運送事業では九十五億円、高速電車事業では百四十六億円の経常赤字となるなど、電気事業を除く都営交通の四事業が経常赤字となりました。
 この間、収支の改善に向け、経費の節減などを進めており、今後もコロナ禍による経営環境の変化に的確に対応しながら、安全・安心の確保を最優先に公共交通機関としての役割を果たしてまいります。

○細田委員 まさに、その目的であります安全・安心の確保を最優先に公共交通機関としての役割を果たされる、このことを基軸として、このコロナ禍を乗り越えていく。利用者の行動の変容、これは先ほど来の質疑でもございましたけれども、しっかりと確認していただきながら、新たな経営計画を作成していって前に進んでいっていただきたい、このように願っております。
 さて、続きまして、電気事業会計について質問いたします。
 令和二年度の決算で純利益が九億円の黒字となりました電気事業では、多摩川水系の水流を利用した水力発電事業を担っており、三つの水力発電所において発電した電気を小売電気事業者へ供給しています。
 私は、一年前に白丸調整池ダムを視察してきました。魚たちが擦り抜けられるよう、魚の道を整備した発電所があるこのダムは、洪水調整機能のない発電専用の小さなダムのため、しばしばダムの放流があると聞いております。
 近年、温暖化による気候変動での大雨などにより、災害は激甚化しており、大規模な水害が各地で起こっています。
 集中豪雨時のダムの操作は、一歩間違えれば、下流への甚大な被害が発生して、下流の住民の命も脅かすことになりかねないことから、ダムの放流については十分な安全管理が求められています。
 集中豪雨等が発生した際のこの白丸ダムにおける放流時の安全管理については、いかなる対応をされているのか、どのようになっているのでしょうか。局の取組について答弁を求めます。

○生越技術調整担当部長 白丸調整池ダムは発電専用でございまして、大量に水を貯留する洪水調整機能を有していないため、大雨等で大量の水が流入することが想定される場合には、ダムのゲートから基準の流量の範囲内で段階的に放流しているところでございます。
 放流に当たりましては、必要に応じて、事前に地元自治体等に通報の上、小河内ダムを管理する水道局等の関係機関と連携し、河川の巡回やサイレン等による注意喚起を行っているところでございまして、引き続き、ダム下流の安全確保に万全を期してまいります。

○細田委員 白丸ダムは、発電のためのダムで、ハード面の洪水調整機能はないということですが、管理について、関係機関と連携して、段階的に放流しているという取組であるということが分かりました。
 小河内ダムの二百分の一の水量でありましても、発電専用であっても、水は水で、まさに放流時にダムの下流へ影響を与えることも想定できます。風水害時の多摩川などの河川の氾濫を防ぐためには、事前の放流を、しっかりと確認しながら、時期を逸することなく適切に行っていただいて、余裕を持って段階的な放流を実施するなど、さらなる安全対策を求めておきます。
 続きまして、都バスの路線についてお尋ねします。
 二年近くコロナ禍が長引いてきているため、全国各地のバス路線の赤字の増大や経営環境に大変に厳しい事態が起こっています。既存バス路線の廃止や変更、運行本数の減便も生じていて、生活の足として身近で必要なバスを頼りにしてきた住民に大きな影響を及ぼしています。
 さて、都営バスについては、経営状況の悪化から、バス路線の縮小が加速するおそれはないのでしょうか。
 都バスの中でも数多くの路線が集中している亀戸駅や錦糸町駅、また東京駅、豊洲駅などを経由する、発着する、この路線の見通しについてはいかがでしょうか。都の見解を求めます。

○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗務員や車両など、限りある経営資源を有効に活用いたしまして、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、バス事業を運営しております。
 こうした考え方に基づきまして、乗客潮流の変化を的確に捉え、路線やダイヤの見直しを行っておりまして、需要が高まっている地域においては増便などを行う一方、コミュニティバスなどの代替交通が確保されたり、利用者が少なくなった路線については減便などを行ってまいりました。
 亀戸駅や錦糸町駅は、需要の大きい下町エリアを運行する多数の路線が発着しております。また、東京駅や豊洲駅も、近年、需要が高まってきた臨海地域と都心部を結ぶ路線が運行しており、いずれの地域も、多くのお客様のご利用がございます。
 一方、今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして、これらの地域におきましても、路線によっては利用者が大きく落ち込んでおりますことから、そうした需要の変化を慎重に見極めるとともに、引き続き、地域のニーズに的確に応えながら、都営交通としての役割を果たしてまいります。

○細田委員 最も身近で、生活の足として必要な交通手段です。特に高齢者にとって、バリアフリーのノンステップバスなどは、大切で早く移動できる手段でありまして、今後さらに拡充していく、先ほども質疑がありました環境に優しい水素バスは、将来世代につながっていく乗り物であります。地域のニーズを的確に捉えていただき、現状がさらによくなり、前に進むよう、引き続いて、知恵を絞って工夫をして、都営交通としての役割を果たしていくことを求めておきます。
 次に、高濃度PCB廃棄物の処理について質問します。
 ポリ塩化ビフェニル、英語の略称ではPCBは、人工的に製造された化学物質であり、電気絶縁性が高いなどの性質があることから、主として変圧器やコンデンサー、照明用安定器など、電気機器の絶縁油として使用されてきました。そして、カネミ油症事件をきっかけに、PCBには毒性があることが分かり、一九七二年に製造が禁止されました。その後、三十年以上にわたって、民間事業者による処理施設の立地が試みられましたが、住民の合意を得ることが難しくて全て失敗したために、この間に使用を終えたPCBを使用した電気機器は、使用者が保管することが余儀なくされてまいりました。これまでの歴史です。
 そして、都議会公明党は、多くの高濃度PCB廃棄物を保管している民間事業者の処理を促進するために、都が模範となって、率先して、一事業者としての処理を進めていくことがとても重要であることを提案し続けて、これを前に進めてまいりました。
 民間事業者が早期に処理に着手できるよう、届出されたPCB含有の可能性がある廃棄物について、資料の開始時期を半年前倒ししたり、また、掘り起こし調査の徹底などをこれまで進めてまいりました。
 二〇一九年、令和元年十月の平成三十年度のこの公決の分科会において、私は、この高濃度PCB廃棄物の処理に関する交通局の取組について質問いたしました。
 このときに確認したのは、交通局が平成二十八年度に保管していた高濃度PCB廃棄物七十五トンのうち、まず五十トンについては、平成二十九年度に、中間貯蔵・環境安全事業株式会社、いわゆるJESCOです。このJESCOに委託して処分できたということです。
 そして、都議会公明党の提案により、残りの二十五トンについては、エックス線による非破壊検査装置を用いて高濃度PCBが含まれているコンデンサー部分を取り出して分別作業を行うことにより、処理量の削減が可能であることを確認して、平成三十年度にこの作業を行い、処理量を二十五トンから約十六トンに削減して、処理費用を約二億円削減することができたということであります。交通局は、年度中であるにもかかわらず、環境を守り、コストを削減した、すばらしい取組でありました。
 交通局は、この約十六トンについて、令和元年度中に処理を完了できる見込みであること、また同時に、さらに詳細な掘り起こし調査を実施しているところであるということを聞きました。
 そこで、高濃度PCB廃棄物の処理について、その後の経過について都の説明を求めます。

○坂田資産運用部長 令和元年十月の時点で交通局が保管しておりました高濃度PCB廃棄物、約十六トンにつきましては、中間貯蔵・環境安全事業株式会社、JESCOに処理を委託し、令和元年度中に適正に処理が完了いたしました。
 また、さらに詳細な掘り起こし調査を追加で行った結果、新たに約一・九トンの高濃度PCB廃棄物が確認されたため、現在、非破壊検査装置を用いた分別作業を行っております。
 これにより、分別された高濃度PCB廃棄物につきましては、令和四年度中に処理を完了する予定でございます。

○細田委員 ただいまのご答弁のとおり、交通局では、十六トンの処理が適正に完了したとのことです。
 この交通局の取組がきっかけとなり、都内の仕分と処分に関する速度は確実に上がったとの評価も仄聞しております。そして、今のご答弁では、PCB含有廃安定器の約二トンの新たな掘り起こしができたということです。
 二〇二二年度末でこの処分が終了となります高濃度PCBの処理期限に向けまして、歳出の削減という財政への寄与はもとより、延期の可能性が出てきたJESCOの処理能力への手助けにもなります。
 加えまして、JESCOでは、高濃度廃棄物を処理、焼却処分することで、炉からは一トンの焼却ごとに四トンのCO2の削減になりますので、再仕分を徹底することで、さらに、JESCOに持っていかなくても済む分についてもCO2が削減されることになり、温暖化の防止にも貢献していくことになります。
 都議会公明党が進めてきた都内のPCB廃棄物の削減の取組が、確実に進捗していることを確認させていただきました。引き続きまして、交通局は、東京都の模範となって、このような施策を前に進めていっていただくことを改めて求めておきまして、次の質問に移ります。
 次に、都営地下鉄のバリアフリー化、エレベーターの設置について質問いたします。
 都営新宿線の森下駅のエレベーターについて、利用による混雑で使用しにくい、利用場所が遠いなどの声が多く都民からあり、その声を届けて設置を求めてきましたが、エレベーターの新設ができました。
 森下駅のエレベーターの新設の経過について質問をいたします。

○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、ホームから地上までエレベーター等を利用して移動可能な、いわゆるワンルート整備につきましては、全駅で完了しております。
 現在は、さらなる利便性向上を図るため、東京メトロ等、他の事業者とも連携いたしまして、乗換駅等でのエレベーター整備を進めているところでございます。
 森下駅のワンルートは、大江戸線のホームと新宿線のホーム及びコンコースまでの三フロアをつなぐエレベーターとなっておりまして、新宿線と大江戸線で一台のエレベーターを共用していたため、頻繁に混雑が発生しておりました。
 こうした混雑を解消するため、新宿線側に新たにホームから地上までのエレベーターを設置することとしたものでありまして、令和元年度にホームからコンコース、令和二年度にコンコースから地上までを結ぶエレベーターをそれぞれ供用開始いたしました。
 今後とも、お客様の利便性向上に向けて、バリアフリールートの充実に取り組んでまいります。

○細田委員 続きまして、東大島駅の建築物等についてです。
 二年前の二〇一九年、本委員会で、全く同じの公営企業会計の交通局の決算分科会で、東大島駅の階段の改修を私は求めました。
 駅舎の改修は実施されましたが、出口の大島口の改札外にある階段は改修されておらず、現地を見ると、一部階段が傾斜している部分も見られ、転んでしまった都民もいました。
 都は、階段の劣化が全体に及び、部分的な修繕での対応は困難であると考えており、今後、応急対応を行った上で、階段全体の改修工事の実施に向けて設計を行うと、当時、その答弁をされましたが、来年度には設計を行うと答弁されましたが、東大島駅の階段の工事について、昨年度の取組と今年度の見通しについてどうなっているのか、答弁を求めます。

○坂口技術管理担当部長 東大島駅の階段につきましては、これまで定期的に点検し、適宜修繕を行ってきたものの、劣化が全体に及んできたことから、部分的な修繕では対応が困難でありまして、全体の改修工事を検討してまいりました。
 令和二年度は、改修工事の実施に向けて現地調査を行いまして、階段改修の設計を行ったところでございます。
 本年八月に施工事業者と工事契約を行いまして、既に現地での作業に着手いたしております。お客様の通行スペースを確保しながら、段階的に改修を行っていく予定でございます。
 引き続き、年度末までの完了を目指し、安全に最大限配慮しながら、着実に工事を進めてまいります。

○細田委員 分かりました。よろしくお願いいたします。
 続きまして、大島駅の建築物等についてです。大島駅出口付近の地盤についてお尋ねします。
 本年の八月末、大島駅周辺の地盤が下がっているのではないかとのお声を受け、現地を調査、確認し、交通局と連携を取りました。都は、日を置かず現地の調査をされて、地面と駅舎の間の、若干、段差、隙間がある場所もありましたが、これを速やかに工事を行い、修繕していただきました。
 昨年、軌道内工事等があったと聞いていますが、この大島駅の階段と地面との段差について、昨年度の施工と関連はないのでしょうか。都の見解を求めます。

○谷本建設工務部長 昨年度、大島駅で施工いたした工事は、トンネル内部の軌道に関する小規模な作業であり、振動等を発生させる工事ではなく、周辺地盤へ影響を与えるものはございませんでした。
 また、大島駅の構造物は、定期的に実施している軌道検査の結果、レールの高さなどに異常は見られず、大島駅構造物上部の地盤に、沈下など影響を与えてはいないと考えております。

○細田委員 続きまして、ホームドアについてお尋ねします。
 都の交通局による新宿線ホームドアの整備については、利用者の安全に留意しながら、列車運行の安全性を確保し、かつ、できるだけ早期に全駅の設置を目指してくださいました。平成二十九年、二〇一七年の十一月に大島駅から開始した、この経営計画の予定よりも早い、令和元年、二〇一九年八月には全駅での整備が完了しました。
 さて、その他の路線についてですが、ホームドアの設置状況と今後の見通しについて、東京都の見解を求めます。

○生越技術調整担当部長 交通局では、ホームドアの整備を計画的に進めておりまして、令和二年度末で、全百六駅のうち九十駅でホームドアの設置を完了しているところでありまして、設置率は八五%となっております。
 路線別に申し上げますと、三田線、大江戸線、新宿線では全駅に設置が完了しているところでございまして、残る浅草線につきましては、令和二年度末までに四駅に設置しております。現在、令和五年度の全駅整備完了を目指し、取り組んでいるところでございます。
 なお、三田線にございましては、ホームドアの老朽化と八両編成への対応のために更新を行っているところでございまして、令和二年度末までに、対象の二十四駅中十四駅で更新を完了いたしました。
 引き続き、ホーム上の安全確保等を図るため、ホームドアの整備や更新を着実に進めてまいります。

○細田委員 一年ほど前に、東陽町駅で、視覚障害者の方がホームに転落されて犠牲になられる痛ましい事故が起こりました。駅には転落を防ぐホームドアが設置されていたものの、稼働開始前で、この扉は開いたままでした。国土交通大臣が現場に行かれたときに、すぐに私も赴き、二度と、決してこのような事故が起こらないようにと誓いました。
 本日提出のありました資料によりまして、また今の答弁で、浅草線は、令和二年度末で全二十駅中の四駅、ここにホームドアが設置されていて、令和五年度末、二〇二四年の三月までには整備が完了とのことです。
 また、本日の資料では、二〇一八年、二〇一九年、二〇二〇年と、まさにホームの転落事故の件数は半減しており、そういう点では、三田線と大江戸線は五年間の転落事故がゼロ。もう設置されているところの転落事故はゼロ。また、一九年八月に完了しました、先ほど申し上げた新宿線も、二〇二〇年の令和二年度はゼロ。残るは浅草線ですけれども、この浅草線だけが八という転落事故の数字となっているわけでございます。
 様々な課題はあると存じますが、どうぞこれからも速やかに、そして着実にホームドアの設置を前に進めていっていただくようご尽力をお願いいたします。
 続きまして、日暮里・舎人ライナーについて質問します。
 今月の七日、木曜日、二十二時四十一分に発生いたしました千葉県北西部地震の影響により、営業中の日暮里・舎人ライナー一編成が脱輪するなど、車両や設備が損傷したことから、十日の日曜日まで運行が見合わされました。
 都議会公明党は、地震発生直後の八日に、一、当面のバスの便の確保、二、脱輪事故の原因究明と震災時の再発防止策の徹底について緊急要望を行いました。また、現場にも速やかに赴き、調査をいたしました。
 日暮里・舎人ライナーは、沿線住民にとって欠かせない交通手段であり、運行に支障が生じた際には、代替手段を確保することが重要となります。
 そこで、令和二年度、日暮里・舎人ライナーにおいて、運行に支障が生じ、代替交通手段を確保した事案があったのかどうか、質問をいたします。

○市川電車部長 令和二年度、日暮里・舎人ライナーにおいて、運行に支障が生じ、振替輸送を依頼した事案が一件ございました。
 具体的には、昨年七月十三日に、西新井大師西駅での車両点検によるダイヤ乱れのため、午前十時から十一時三十分までの間、振替輸送を実施しました。振替依頼先は、JR東日本や東京メトロ、東武鉄道などの鉄道、都営バスをはじめとする沿線の路線バスでございます。

○細田委員 今回の千葉県北西部地震の際は、通常の振替輸送のほか、民間のバスによる代替輸送も行われました。
 今回の千葉県北西部地震での振替輸送等の具体的な対応について答弁を求めます。

○市川電車部長 十月七日の午後十時四十一分、千葉県北西部地震が発生し、日暮里・舎人ライナーの運行が停止したことを受け、直ちに鉄道や路線バスによる振替輸送を実施しました。
 その後、地震による被害が徐々に明らかとなり、復旧に数日を要する場合も想定されたことから、翌日には、都営バス、里48系統を増便するとともに、沿線の観光バス会社等に依頼し、代替輸送を開始いたしました。
 代替輸送については、地震翌日の八日、金曜日は午前九時前からライナーの終電時刻まで、九日の土曜日及び十日の日曜日は終日、ライナーの運行が再開した十一日の月曜日は始発から十時まで、日暮里駅と見沼代親水公園駅との間を運行し、お客様の交通手段を確保いたしました。

○細田委員 都議会公明党が要望を行った際、交通局長は、無料バスの代替運行の取組など、要望に全力を尽くすと答えてくれました。
 ただいまの答弁でも確認できましたが、交通局は、民間バスによる代替輸送を行うとともに、都営バスの増便も行い、確実に、また安全に利用者の足を確保してくれました。
 現在、国の運輸安全委員会による原因調査、分析等が行われているとのことですが、交通局としても、今回の事案をしっかりと検証していただき、適切に対応するよう求めておきます。
 続きまして、都営バスにおける双子用ベビーカーの乗車について質問します。
 六月から、都営バス全ての路線で、双子用ベビーカーを折り畳まずに乗車できるようになりました。
 都議会公明党は、以前から多胎児の親御さんの方々からの様々な要望を受けておりまして、二年前には、路線バスにおける双子用のベビーカーの対応が改善されるように、知事や国土交通大臣などに直接働きかけを行いました。これにより、国は、令和二年三月、乗合バスにおける二人乗りベビーカーの利用について、ガイドラインを取りまとめたわけでございます。
 このガイドラインの策定に向けて、交通局としてはどのように協力を行ってきたのでしょうか。改めて説明を求めます。

○櫻庭自動車部長 交通局では、双子用ベビーカーにお子様を乗せたままバスに乗車できるようにするため、国土交通省に対し、令和元年十二月に、東京バス協会と共に、安全に乗車できる方法を検証するよう申入れを行いました。
 これを受けて、令和二年二月に、子育て関連団体なども参加して国の実証実験が実施されまして、交通局は、バス営業所の敷地や車両を提供するなど必要な協力を行いました。
 さらに、その結果を踏まえて、安全にご乗車いただくための統一的なルールを取りまとめるに当たりまして、交通局は、国の協議会において、事業者としての立場から、安全性確保のための知見を提供いたしました。

○細田委員 都議会公明党が、多胎育児のサポートを考える会の皆様と共に、双子のご両親に直接お話を伺うなどアンケート調査を行いましたところ、やはりバスを利用する周囲のほかのお客様の反応が気になるとの声が数多く寄せられていました。
 これを踏まえて、昨年度中の委員会質疑などにおいて、他のお客様に対する理解の浸透を図るよう求めてきたところ、交通局では、お客様に向けて、ポスターや車内のデジタルサイネージなどを活用して呼びかけていくとの答弁がございました。
 その取組の状況や、どのような工夫をされてきたのか、質問をいたします。

○櫻庭自動車部長 双子用ベビーカーにお子様を乗せたまま都営バスをご利用される際には、お話のように、周囲のお客様にも、座席の譲り合いなどのご協力をいただく必要がございます。
 このため、取扱いの実施に当たりましては、ポスター、SNSなどによる呼びかけを行いまして、お客様への理解の促進、啓発などを行いました。
 また、利用方法を分かりやすくお伝えする動画を作成いたしまして、この中で、親しみやすいマスコットキャラクターである、みんくるを活用するとともに、周囲のお客様が笑顔で席をお譲りいただいているシーンを盛り込むなど、多くのお客様から共感していただけるよう工夫を凝らしました。
 このほか、コンパクトで手に取りやすいリーフレットを作成いたしまして、イラストやQ&Aを使って、周囲のお客様への譲り合いのお願いなどを含めて分かりやすく説明するとともに、バスの車内や営業所に加え、関係局とも連携しながら、各区役所や福祉施設の窓口などでも配布するようにいたしまして、お客様の理解の浸透を図っております。

○細田委員 このたび、交通局が先駆けて全路線に拡大実施しましたが、都内のバス事業者のほとんどは、いまだ実施するに至っておらず、都議会公明党では、本年六月に東京バス協会に対して、民間バス事業者でも速やかに同様の取扱いをするよう要望したところであります。
 他の事業者が新たに実施していくに当たり、先行して実施している交通局の取組やノウハウは、非常に参考になると思います。そして、実施への後押しになるとも考えます。
 交通局では、先行してリーダーとして実施してきた事業者として、他の事業者への普及拡大にどのように取り組んできたのか、質問をいたします。

○櫻庭自動車部長 今回の取組の実施に当たりましては、国が取りまとめた内容に加えまして、交通局では、中扉からの乗り降りの方法ですとか、ベビーカーを固定するためのベルトの長さや設置位置など、具体的な運用を定めるとともに、乗務員の習熟のための対応マニュアルを作成いたしました。
 双子用ベビーカーの取扱いに関しましては、バス事業者全体で統一して対応することが望ましいことから、ほかの事業者が導入するに当たっての参考となりますよう、局が定めた運用方法やマニュアルを、東京バス協会を通じて各バス事業者に情報提供いたしました。
 また、固定に必要となるベルトをメーカーと共同開発いたしまして、ほかの事業者でもスムーズに調達できますよう、関係機関と調整してバス装備の標準規格化を図るとともに、その仕様や取付け方法などにつきましても各事業者に情報提供したところでございます。

○細田委員 交通局は、多数の路線を担う大規模なバス事業者でありまして、その取組は他の事業者の模範になるところであると思っています。ぜひとも今答弁にあった取組などを進めていただき、バス業界を牽引して、多胎児の親の方々が安心してバスを利用できるように努めていただくことを改めて強く求めまして、私の質問を終わります。

○曽根委員 それでは、私から、二〇二〇年度の都営バス事業の決算について何点か質問いたします。
 たしか三年前の二〇一七年度の決算の質疑におきまして都営バス事業が黒字に転じて、しかし、その後、コロナ感染の影響で二〇二〇年度は厳しい経営を余儀なくされたというふうに考えております。
 二〇二〇年度の営業収支の状況とその要因について質問いたします。

○太田バス事業経営改善担当部長 令和二年度の自動車運送事業の営業損益は、約百三億八千万円の赤字となり、令和元年度に比べて大幅に悪化いたしました。
 その要因といたしまして、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、外出の自粛やテレワークの普及などお客様の行動が変容したことに伴い、乗車人員が大きく減少したことなどが挙げられます。

○曽根委員 この経営状況、営業収支の状況については、路線によってかなりの違いがあるように思っているんですが、例えば都心などのターミナルをつなぐ路線が、通勤客や臨海部への観光客等の減少によるこうした影響が大きいと思われますが、一方で、都営バスの乗客の多くを占める高齢者、とりわけシルバーパス利用者の外出に大きな制約を受けたと。コロナの影響などによる乗客減も一つの要因と考えられます。
 コロナ感染を鎮静化させた後には、全体として、都民のバス利用は必ず復活してくることは確実です。
 そこで、赤字の割合や乗車人員の減少幅について、東京都は、生活密着型の路線と、例えば臨海部や都心部のターミナルをつなぐ路線とではどう違うのか、また、一部、はとバスに委託した営業所と都の直営の営業所とではどう違うか、この点についてどう考えているでしょうか。

○太田バス事業経営改善担当部長 令和二年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ほぼ全ての路線で利用が落ち込み、約九割の路線が赤字となりました。
 このうち、下町エリアなどを運行する暮らしに密着した路線につきましては、乗車人員の減少幅が比較的小さい傾向にある一方、臨海地域のほか、東京駅や渋谷駅周辺など大規模ターミナルを抱える都心部におきましては、大幅に減少している路線が多くなっております。
 今回、こうした傾向の違いは、地域ごとに顕著になっておりますが、委託した路線と直営の路線との特段の違いは見られません。

○曽根委員 我が党は、以前から、都民の生活に密着した都営バス路線は、例えば地下鉄路線が近くに通ったからといって、停車場の間の距離や乗り降りのしやすさなどから見て、バス路線は廃止や縮小すべきではなく、都民生活を支える路線の充実を図るよう求めてまいりました。
 今回、コロナの感染の下でも、様々な状況の中でも安定した乗客を確保できる道が、やはり都民生活に密着した路線の確保であることを、この点でも証明されたのではないかと思います。
 主にコロナ感染の影響による収入減については、例えば経営効率化などの名目で従業員などにしわ寄せすることなく、コロナの影響が解消されるまで、勤務条件の変更などはしないようにすべきだと考えますが、どうでしょうか。

○牧野職員部長 交通局職員の勤務条件につきましては、法令により、社会一般の情勢に適応するとともに、当該地方公営企業の経営状況などを考慮して定めることとされておりまして、今後とも適切に対応してまいります。

○曽根委員 今回の感染症や、また、場合によっては災害などの緊急事態の中でも、バス路線とそのための人員を確保することは、都民の移動の権利を保障する公共の役割だと考えます。
 その点で、一時期の赤字を理由に、一部路線の見直し、人員整理になるという利益優先の方針は取ってはならないと考えます。都の直営交通だからこそ、また、そのことが可能になるという点は大変重要です。
 ところで、このコロナ禍を別にすれば、バス業界全体として運転手不足が続いている状況です。
 以前の決算委員会でも、私、質問をいたしましたが、東京都は、この間、二種免許を持たない新人職員の採用を行い、採用した後に二種免許の取得援助に取り組んできております。
 厳しい状況の下でも、大型二種免許のない新入職員を採用して免許取得を援助し、現場で勤務するまで育てる。この制度は、一層、今後充実を目指すべきだと考えますが、二〇二〇年度の状況はどうか。近年、この制度の改善はあったのかをお聞きします。

○牧野職員部長 交通局では、バス乗務員の確保に向けた取組といたしまして、平成二十七年度から大型二種免許の取得費用を助成する養成型の採用選考を実施しておりまして、令和元年度選考からは、助成割合を二分の一から全額に拡充いたしました。
 令和二年度の選考では、前年度に比べ三十六名増となる百四名の応募があり、免許取得前の選考で二十名を合格としております。
 今後、免許取得後に行う最終選考を経まして、来年四月一日に正式採用する予定でございます。

○曽根委員 大変重要な免許取得の全額負担などの前進が、制度も改善をされていると思います。また、応募も、採用二十名の五倍の人数が応募している。この点でも、今後さらに、この養成型の職員採用の枠を広げるよう工夫していただきたいということを申し上げておきます。
 さらに、この制度は、例えば都営バスですが、はとバスに委託した営業所については、現在は適用されているのかどうか。されていないとすれば、その理由は何か、お聞きします。

○太田バス事業経営改善担当部長 交通局におきまして、大型二種免許未取得者に対して免許取得費用を補助する制度は、交通局で採用する乗務員を対象とするものでございまして、受託事業者には適用されません。
 受託事業者における乗務員の確保につきましては、受託事業者が自ら行うものであると考えております。

○曽根委員 同じ都営バスでありながらも、運転手の採用やその後の養成について差が生まれているということは、何とか改善の余地があるのではないかと考えます。
 現在、はとバスは、ご存じのとおり、観光部門で大きな痛手を受けており、東京都の都営バスの委託事業については、自社の経営努力だけでこの養成制度を行うのは明らかに困難があります。同じ都営バスの路線ですから、同一事業、同一の労働を行っている運転手に対して、何らかの支援を都として検討するようお願いしたいと思います。
 また、はとバスへの営業所委託事業は、現在のところは、はとバス側の経営の上で、大きな経営の中の業績を支えているものであり、簡単に変更することは困難だと思いますが、運転手その他の職員の勤務条件や待遇には差が生じており、今後の改善が求められていることを指摘しておきたいと思います。
 さて、この都営バスの今後の役割、また、バス事業の役割について、今、地域のコミュニティバスなどの公共交通の在り方が、買物難民対策でも、また高齢者の免許返上を促進する上でも非常に充実が求められており、東京都も、コミュニティバスの所管をこれまでの福祉保健局から都市整備局に位置づけを変更し、都の審議会で今後のこの地域公共交通の在り方について検討しています。
 これを考えていく上で最大の課題の一つが、地域ミニ交通の運転手などの確保が非常に困難だということです。
 そこで、こうした地域コミュニティを支える交通機関の確立、普及に、都営バス事業として大いに貢献できる可能性があるということを私は強調したいと思います。
 現在、江東区のコミュニティバス路線の東京都による委託事業、連携事業は二〇二〇年度も継続していると思いますが、どうか。また、コロナ禍を克服しながら、地域コミュニティバス事業への地元区市町村などとの連携による取組を今後も広げていくことを検討すべきだが、どうか。この点をお聞きします。

○太田バス事業経営改善担当部長 江東区のコミュニティバスしおかぜは、現在も交通局が継続して運行を受託しております。
 こうしたコミュニティバスにつきましては、基礎的な自治体である区市町村が、行政サービスの一環として、その必要性の有無について検討し、導入を決定するものでございます。
 交通局ではこれまでも、地元自治体から運行要請等があった場合には、既存路線との競合の状況、需要動向や採算性等を考慮し、対応しております。

○曽根委員 公営企業ですから、当然、事業の採算性を考慮するのは大事な課題です。同時に、江東区で行われているように、事業の不採算部分を区が補填することで、コミュニティバスの貴重な路線が維持されています。
 今後も、多くの地域で、コミュニティバスや、またタクシーの利用などについて、地域のミニ交通の拡充が進められていく可能性があります。この地域コミュニティバス路線などに付き物の運転手不足を打開するノウハウというものも、都バス事業の中ではつくられてきています。
 区や市町村から、江東区と同じような条件によるコミュニティバスへの連携や運転手養成制度の提案があれば、これに都の交通局として具体的に相談に乗っていく用意があるかどうか、お聞きします。

○太田バス事業経営改善担当部長 交通局ではこれまでも、地元自治体からコミュニティバスの運行要請等があった場合には、既存路線との競合の状況、需要動向や採算性等を考慮し、対応しております。
 また、都営バスの営業区域内の自治体が地域公共交通の充実に向けて設置している会議に、委員として参加しておりまして、この中で、コミュニティバスの運行を含めた様々な検討について助言や意見などを述べてきたところでございまして、引き続き、各自治体との連携に努めてまいります。

○曽根委員 既に公共交通充実に向けた都内の各自治体との協議の場ができてきていることは大変重要であり、ぜひ具体的に推進を求めておきたいと思います。
 今後は、この地域交通政策が、区市町村と東京都との連携で、東京都全域で重要な施策になっていく可能性が高いと思います。むしろ大いに育てていかなければならない。この点で、東京都の交通局の役割は、その要として重要だと考えております。今後もこの問題での積極的な取組を求めて、私の質問を終わります。

○須山委員 よろしくお願いいたします。私からも、何点か、令和二年度決算に関して質問させていただきたいと思います。先ほどから、いろいろな先輩方、委員の皆さんがご質問されているので、なるべく重複しないように質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、令和二年度決算の特徴と、また全般的な概況に関してお聞きしようと思ったのですけれども、ご説明、また先輩方の質疑により大方分かりましたので、質問は省略させていただきます。
 一方で、やはりこのコロナ禍において、電気事業以外のところが赤字となってしまったということは非常に大きいと思います。このコロナの状況で利用者の皆さんが減ってしまったこと、これは感染拡大を防止する上で非常に大切なというか、仕方のないことであったと思います。
 そういった中で、やはりこれからのことを考えていく上で、健全経営というものを目指していくことも、もちろん重要だと考えます。
 そこで、今後の対応について、交通局としてどのような方向性で考えていくのかをお聞かせいただきたいと思います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、令和二年度の状況でございます。
 令和二年度は、乗車料収入の大幅な減少による収支の悪化を抑制するため、安全・安心の確保を前提に、事業全般にわたって支出の削減を徹底してまいりました。
 具体的には、庁舎の水道光熱費など運行に直接関わらない間接的な経費につきまして予算から一〇%の抑制を図るなど、経常経費の節減を進めるとともに、設備投資につきましても、経営計画に掲げた事業を含めて幅広く見直しを行わせていただきました。
 今後も、収入、支出の両面から事業全般にわたる見直しを進めるとともに、ホームドアの整備をはじめとする安全・安心の確保や質の高いサービスの提供など必要な取組を着実に進めてまいります。
 なお、中長期的な経営の方向性や考え方につきましては、現在策定を進めております新たな経営計画の中で明らかにしてまいります。

○須山委員 ご答弁ありがとうございます。本当に今厳しい中でも、様々な努力をしていただいているということがよく分かりました。また、先ほど来、ほかの委員の皆さんからのご質疑にもありましたけれども、ホームドアの設置、また質の高いサービスの提供など、様々、公共交通としてしっかりと取り組んでいく中で、そういったものを進めていくことは、本当に大切だと思います。
 このコロナ禍において、収入がこれから上がっていくのかどうかということも、なかなか見極めることが非常に難しい状況の中で、しかし、サービスの質を落とさないでいく、よりサービスの質を上げていくということを目指していただくためにも、いろいろな試行錯誤をされているというふうに伺いますので、ぜひ引き続き、ご努力をよろしくお願いしたいと思います。
 この件に関しては、質問を終わります。
 そして、まず、鉄道事業に関して一点お聞かせいただきたいと思います。
 経営計画二〇一九では、地下鉄駅の利便性向上について、乗換駅等でのエレベーター整備を進めて、また、バリアフリールートの複数化についても検討するとされておりました。
 令和二年度の取組状況と、また、さらなるバリアフリー化に向けた今後の予定についてお聞かせください。

○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、ホームから地上までエレベーター等を利用して移動可能な、いわゆるワンルート整備につきましては、全駅で完了しております。
 現在は、さらなる利便性向上を図るため、東京メトロ等、他の事業者とも連携して乗換駅等でのエレベーター整備を進めており、令和二年度は新たに六駅で整備を完了し、経営計画で予定している九駅のうち八駅で供用を開始いたしております。
 また、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正等を受け、駅周辺の公共施設の立地状況などを踏まえながら、バリアフリールートの複数化につきましても検討を進めているところでございます。
 今後とも、お客様の利便性向上に向けまして、バリアフリールートの充実に取り組んでまいります。

○須山委員 ありがとうございます。バリアフリールートの充実について取り組んでいただいていることが分かりました。まずは、乗換駅等でできるところから、さらなる利便性向上のために進めていっていただきたいと思います。
 一方で、例えば電車に乗るときに、車椅子ユーザーの方が駅員さんの手を借りて乗車をするというのがまだまだ主流である現在、人の手を借りずに電車に乗りたい、乗車をしたいというニーズもあります。
 そこで、そういったことを進めていく中で、やはり必要なのが、地下鉄駅におけるホームと車両の段差、隙間対策の取組だと思うんですけれども、その状況をお聞かせいただきたいと思います。

○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、高齢者、障害者をはじめ全てのお客様に安全・安心にご利用いただけるよう、ホームと車両の段差、隙間対策に取り組んでおります。
 大江戸線及び三田線につきましては、車椅子スペースがある車両のドア位置のホーム上に、原則、固定式スロープを設置いたしまして段差の縮小を図っております。
 新宿線では、車両編成によりまして車椅子スペースの位置が異なることから、ホームドア整備に合わせましてホーム端の全面的なかさ上げを行うとともに、ホームと車両の隙間が広い箇所の乗降口に、隙間を狭めるくし状ゴムを設置いたしております。
 三田線では、今後、一部の車両を八両編成化する予定でございまして、車両編成によって車椅子スペースの位置を設けている車両のドア位置が異なってくることから、新たに固定式スロープやくし状ゴムを追加して設置する必要がございます。現在、工事に向けて設計を行っておりまして、今後とも、バリアフリーを進める観点から、段差、隙間対策を推進してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。バリアフリーを進めるために、細かいところも非常に、工事であったりとか、様々な対策をしていただいていることがよく分かりました。本当にありがとうございます。
 私が政治家を目指すきっかけとなったのが、電動車椅子の友人と一緒に移動するとき、本当に大変でした。特に十数年前というのは、まだまだバリアフリーも進んでおらず、そして、なかなかご理解もいただけていない中で、やはり今、こういったハードの面で非常にバリアフリーが進んでいることと同時に、例えば、十数年前よりも、今の駅員さんたちがすごく快く車椅子の人間に、一緒に通るときにも、スムーズにやっていただいているなということを改めて感謝申し上げたいと思います。
 やはりこういったハードの面を進めるだけでなく、ソフトの面もしっかりと進んでいくことがバリアフリーにつながっていくんだなということを思いますので、ぜひそうした対応、それは東京都としてしっかりとやっていただきたいなと思いますので、改めてご要望を申し上げさせていただきたいと思います。
 さて、続きまして、都営バスに関してお聞きしたいと思います。
 先ほども、ほかの委員の皆さんもご質問されていたので、あれですけれども、環境に配慮したバスを積極的に今導入をしているということでしたけれども、都営バスにおいて、この令和二年度、車両導入実績について種類別にお聞かせいただきたいと思います。

○櫻庭自動車部長 令和二年度におきましては、走行時にCO2、NOx、PMなどを排出しない環境性能に優れた燃料電池バスを三十二両を導入いたしましたほか、それ以外に導入したディーゼルバス百三十両につきましても、全て最新の排出ガス規制や燃費基準に適合した低公害、低燃費の車両でございます。

○須山委員 ありがとうございます。燃料電池バス三十二両で、それプラスで、また百三十両ディーゼルバスということなんですけれども、今、ディーゼルバス、本当に性能も上がっておりますし、環境に配慮したその導入というものを引き続き進めていただきたいと思います。
 さらに、導入実績を聞いたので、ちょっと売却に関してもお聞かせいただきたいと思います。
 バスの車両の令和二年度の売却台数と実績、また、売却された車両はどのようなところで活用されているかということをお聞かせいただきたいと思います。

○櫻庭自動車部長 令和二年度の廃車車両の売却台数は百四十七両でございまして、うち七十九両は、購入を希望した都外のバス事業者へ売却いたしまして、残りの六十八両は、廃棄物処理業者などへ売却いたしました。
 再利用される車両につきましては、各事業者において、車体の再塗装などを行って営業運行などに活用されております。

○須山委員 ありがとうございます。売却に関してもお聞かせいただきました。
 七十九両が都外のバス事業者に売却されたということで、なぜこれを質問させていただいたかというと、ちょうど質問を考える段でいろいろ調べていたら、バスマガジンというサイトがあったのですけれども、そこで、任期を終えて全国各地へ移籍した東京都交通局のバスを追跡ということが、ちょうど最近の記事として上っておりました。こうやってファンの方、バスのファンの方というのは、都営バスがここで使われていたとか、そういったことをすごく喜んで記事になっておりました。
 私も、東京都のバスに、また地方で出会えたらすごくうれしいなと思いますし、これは相手のあることなので、どこに売却したとか、そういったことを、どこに今、元東京都のバスがあるということは、なかなかオープンにはできないかもしれないのですけれども、やはりこれも大切な財産なんだなということを改めて感じましたと同時に、廃棄をするだけじゃなくて、やはり売却ということも可能な限り進めていっていただきたいなというふうに思っておりますので、そこも改めて要望させていただきたいと思います。
 さて、先ほど来、バスに関してなんですけれども、二人乗りのベビーカーに関して、ほかの委員の皆さんもご質問されておりましたので、私からは、質問自体は割愛をさせていただきたいと思います。
 しかし、先輩方からも、いろいろな取組というか、ご質疑があった中で、非常によく分かりました。
 ただ、このベビーカーに関してなんですけれども、この六月から全路線実施をされたということだったのですけれども、一方で、乗ろうとしたお母さんが乗車拒否をされたという話を、私のところにちょっといただきました。これ、全部が全部、もちろんそうではないとは思うんですけれども、やはりしっかりと乗務員の皆さんへの周知徹底、また研修等に努めていっていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 また、先ほどのご答弁にありました、一部のお客様から、車内が狭くなるなどのご意見があるということでございました。しかし、この二人乗りベビーカーをしっかりと都営バスで導入をしていくということは、東京都として、社会で子供を育てていくということのメッセージにもつながっておると私は捉えております。だからこそ、ご利用されるお客様だけでなく、同乗されるお客様たちにも、しっかりとこの制度というか、東京都としてのメッセージもご理解をいただくようなことに努めていっていただきたいと思います。
 令和二年度、本来であればオリンピック・パラリンピックが開催される年度でありました。オリンピック・パラリンピックのSDGsというふうに叫ばれておりますし、オリンピック・パラリンピックのレガシーとしてしっかりと、環境面しかり、またインクルーシブな共生社会を進めるためにも、新しいバスの車両の導入、また車内の整備等、様々、進めていっていただいて、誰もが快適に乗車できる環境、都営バスをつくっていっていただきたいと要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時十四分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○田の上委員 私からは、これまで質問してきたことを中心に確認をしてまいりたいというふうに思っております。
 まず、養成型乗務員の選考についてでございます。
 乗務員の選考に関しては、これまでにも質問をしてまいりました。都交通局では、採用選考を年二回実施するとともに、従来、三十六歳未満であった受験資格の上限年齢を、平成二十七年度と平成二十九年度にそれぞれ引き上げ、現在は五十歳未満が要件となっており、柔軟な仕組みになってきたというふうに認識をしております。
 また、養成型選考に関しましては、募集人員の拡大に加え、免許取得費用の助成対象を、これまでの二分の一から全額へ拡充するという答弁を二年前にいただいたところでございます。二種免許については、費用負担が高額であり、約六十万円をかけて新たに取得するという課題がございましたが、それが令和元年度の選考から全額助成になり、経済的な心配をせずに挑戦できる仕組みとなりました。
 先ほどのご答弁の中で、応募状況、応募人数についてのご答弁がございましたが、改めて令和二年度の応募状況と合格者の研修の概要について伺います。

○牧野職員部長 交通局では、安定的なバス乗務員の確保に向けた取組といたしまして、平成二十七年度から大型二種免許の取得費用を助成する養成型の採用選考を実施しておりまして、令和元年度には、募集人員の拡大に加え、免許取得費用の助成割合を、それまでの二分の一から全額へ拡充いたしました。
 令和元年度の選考では、応募者は前年度に比べて七名減の六十八名となったものの、令和二年度には三十六名増の百四名となっております。
 合格者につきましては、交通局の研修所において、運転業務に必要な知識やお客様への接遇などに関する座学での研修に加えまして、実際に公道を運転する街路実習を行っております。
 研修所のカリキュラム終了後は、配属が予定されている営業所におきまして、現場に精通した指導役の運転手が訓練を担当し、路線の特性や安全上特に注意すべきポイントなどにつきまして、マンツーマンによる実践的な指導を行っております。

○田の上委員 安全対策というのが非常に大切なわけですが、大型のバスの運転には技術力がとても重要になってまいります。マンツーマンでのOJTを含めた研修指導をしていただいているということでございます。
 養成型選考は、大型二種免許の保有を要件としないため、サービス業や製造業など、新たな応募者層に広がっているものと聞いておりますが、実際に採用されているかどうかが重要であり、これまでの養成型選考による採用者の採用前の業種がどのようなものであったかを伺います。

○牧野職員部長 養成型選考による採用者の応募時点での業種につきましては、運輸業のほか、建設業、情報サービス業、医療、福祉など多岐にわたっておりまして、大型二種免許保有者を対象とする選考では運輸業が大半を占めていることと比べまして、採用者の業種の裾野が広がっております。

○田の上委員 採用者の業種の裾野が広がっているということでございます。建設業や情報サービス業、医療、福祉などにまで広がっているということで、今、コロナ禍で職を失った方も多いところでございますが、再就職や再チャレンジのきっかけにもなっているものと思います。また、応募人数等も充足されてきたものというふうに理解をいたします。
 ところで、従来は男性の職場というイメージの強かった交通の現場でも、女性が増えてきました。一昨年、バスの折り返し用の発車場をはじめとする女性職員が働きやすい環境と施設について質問をいたしました。地下鉄やバスなどの事業所において、女性職員の更衣室、トイレに加え、休憩室、宿泊勤務の際に使用する仮泊室などを整備するなど、女性施設の拡充を進めているというご答弁をいただいたところです。
 女性職員用の施設につきまして、取組の結果と進捗を伺います。

○牧野職員部長 交通局では、女性が働きやすい職場環境の充実に向けまして、バスや地下鉄の事業所におきまして、女性職員用の更衣室、トイレ、休憩室、仮泊室や浴室の整備を進めております。
 バスの営業所におきましては、昨年度は早稲田自動車営業所青梅支所で整備を行いまして、二十か所中十八か所で整備が完了しております。
 地下鉄につきましては、これまで、三田線及び新宿線の神保町駅や三田線日比谷駅など、施設の大規模改修に合わせて整備を進めてまいりました。昨年度は、改修が予定されていない駅の一部につきましても委託調査を実施し、整備に向けた方策について提案を受けたところでございまして、今後、具体的な設計を進めてまいります。
 引き続き、女性が働きやすい職場環境の実現に向けて、女性施設の整備、拡充に努めてまいります。

○田の上委員 ありがとうございます。ぜひ女性施設の整備、拡充に努めていただきたいとお願いをいたします。
 特にバスを運転をする方は、長距離、なかなか乗務員さんはトイレに行きたくても行かれないというようなことがございます。体調面での配慮も含めて、ぜひともお願いをしたいというふうに思っております。
 引き続きまして、介助用ベッド付トイレについてでございます。
 当初は、ユニバーサルシート付トイレというふうに称しておりました。多目的トイレではオストメイト対応のところも増えてまいりましたが、大人用ベッドにつきましては、なかなか普及がされているとはいえない状況にあったのが現実でございます。そして、これまでにも何度か質問をしてまいりました。
 地下鉄駅ではスペースの課題があり、大規模改修等の機会を捉えて整備をしていくというご答弁をいただいておりました。この取組の結果と進捗について伺います。

○坂口技術管理担当部長 東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルでは、公共交通施設の誰でもトイレには、障害者のおむつ替え用等に介助用ベッドを設置することが望ましいとされております。
 一方、地下鉄駅は、一般的に駅構内が狭く、トイレの面積が限られており、介助用ベッドを新たに設置するには、駅レイアウトの大幅な変更が必要となります。
 このため、都営地下鉄では、駅の大規模改修等の機会を捉え、誰でもトイレ内に十分なスペースを確保できる場合に介助用ベッドを設置しておりまして、令和二年度は、駅の大規模改修を実施した新宿線の神保町駅、トイレのグレードアップを実施した浅草線の三田駅と五反田駅で整備しました。
 年度末時点で二十三基の介助用ベッドを設置いたしております。
 今年度は、浅草線の宝町駅と本所吾妻橋駅の誰でもトイレに介助用ベッドを設置しており、今後とも、駅の大規模改修等の機会を捉え、活用が可能なスペース等を勘案しながら介助用ベッドの設置を検討してまいります。

○田の上委員 ありがとうございます。これは重症心身障害児者の保護者の方々からもご要望をいただいているところでございまして、病院以外の公共施設等にこういった大型ベッド、介助用ベッドがあると、大変ありがたいものでございます。ぜひとも今後とも促進をお願いいたします。
 介助用ベッドのピクトグラムにつきましては、これまで統一した規格がないため、ピクトグラムではなく、文字の表記で介助用ベッドがあることを表示するというご努力をいただいておりました。
 JIS認証の経過とその後の取組状況について伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 介助用ベッドのピクトグラムにつきましては、昨年五月にJIS規格に登録されたことを受けまして、介助用ベッドを設置している全ての誰でもトイレの扉への表示を昨年十月に完了いたしました。
 さらに、ホームページや昨年十二月に発行いたしました駅で配布しているバリアフリーガイドにおきましても介助用ベッドのピクトグラムを表示し、お客様に対し設置箇所の周知に努めております。

○田の上委員 ありがとうございます。このピクトグラムにつきましてもご要望が多かったところでございますので、数年かけてJIS規格に登録されたこと、また、すぐさま設置をしていただいたこと、大変ありがたく思っております。
 次に、都営浅草線でございます。
 先ほども質疑がありましたので、省略をさせていただきたいと思っておりますが、これまで都営三田線、大江戸線、それから新宿線においてホームドアの設置を完了しておりますが、都営浅草線は、乗り入れやホームの形状など、これまでにも課題があったところでございますが、令和元年度に四駅を先行整備、そして、残る十五駅について、十月二十三日から順次ホームドア整備にもう着手しているということでございます。準備工事を開始しているとのことでございます。
 このホームドアの設置がされると転落事故は減少いたしますが、工事中の事故というニュースも目にするところでございます。昨年、東京メトロ東西線の東陽町駅で、白杖を持った男性が転落し、お亡くなりになるという事故がございました。また、二〇一九年には京急本線で同様の事故があり、死角をつくることがあるため、工事中は注意が必要であるという記事もありました。
 交通局のホームページでは、ホームドアが、工事開始日の始発からホームドアが設置されますが、開閉はいたしません。ドアは開いたままとなりますので、ご注意くださいというふうに書かれております。
 そこで、ホームドア設置工事中の安全対策について伺います。

○市川電車部長 ホームドア整備中の駅では、係員による積極的な声かけに加え、警備員の増員や自動音声装置による注意喚起を行うなど、引き続き、安全を確保し、転落事故防止に万全を期してまいります。

○田の上委員 先ほどの東陽町の話でございますが、事故の翌日に、東京メトロは、設置工事を音声で知らせる装置を取り付けたとのことです。そして、今のご答弁では、もう既に自動音声装置による注意喚起を行っているということでございます。
 私は、視覚障害者のガイドヘルパーとして活動してまいりました。同行支援もしてまいりました。ですので、先ほどの白杖を持った方が転落したというニュースは大変痛ましいことでございますし、我々の仲間からも、これは何とかしなければいけないという課題認識をいただいているところでございます。ぜひとも都営交通におきましては、ホームドア設置工事のときに万全の対策を施していただきたいとお願いをいたします。
 次に、手すりの長さについてです。
 手すりの長さについても、これまで質問を何度もしてきました。都営線に限らないのですが、古い鉄道路線には見られるものでございますが、踊り場などで手すりが途切れてしまう、階段がまだ続いているのに手すりが手前で途切れてしまうなど、手すりを頼りにしている人にとっては大変不安なものでございます。
 私も、先ほど申し上げましたガイドヘルパーの仕事をしているときに、目隠しをしまして研修をいたします。そういったときに、やはり手すりを頼りに階段を上ったり下りたりするのですが、途中でなくなると、あれ、あれというふうになってしまいまして大変怖い思いをいたします。そんなこともありますので、ぜひともまた進めていっていただきたいと思っている次第です。
 これに関しましては、やはり大規模改良工事の際に取り組むというご答弁をいただいておりました。そこで、取組の結果と進捗を伺います。

○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、駅の階段やスロープの手すりが不連続な箇所につきまして、手すりを連続して設置する取組や、水平な場所まで手すりを延長するなどの取組を実施してまいりました。
 また、壁面に消火栓などの設備があるため、手すりの設置が物理的に困難な箇所につきましては、駅の大規模改良工事の機会を捉えて、手すりを含めた全面的なバリアフリー化を図ることといたしております。
 令和二年度は、三田線及び新宿線の神保町駅と三田線日比谷駅の大規模改良工事におきまして、手すりの改修等を進めたところでございます。
 浅草線につきましては、現在、リニューアルプロジェクトとしまして、東銀座駅で駅改装の工事に向けて設計を行っておりまして、その中で、可能な限りバリアフリーに配慮した手すりへと改修してまいります。
 浅草線の他の駅につきましても、順次、駅改装を実施することといたしておりまして、今後とも、駅を安全・安心してご利用いただけるよう、バリアフリー化を進めてまいります。

○田の上委員 ありがとうございます。今後も、機会を捉えて、ぜひ手すりの長さに配慮したバリアフリー化を推進していただきたいと思います。特に、都営線の中では浅草線がやはり古いということもありまして、気になるところもありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、ホームの段差と隙間についてでございます。
 これまで、長年にわたり、この問題に取り組んでまいりました。もう十年ぐらい前になるかと思いますが、三田線に倣いまして、大江戸線にホームのかさ上げを施していただきました。それからまた、私の地元の都営新宿線におきましては、ホームの全面かさ上げを実施していただきました。
 しかし、その際に課題となっていたことがあり、小さな車椅子等で乗車をする際の段差と隙間というのを問題として取り上げてきました。そのために、くし状ゴムの設置をしていただいたり、計測のし直しをしていただき、各ドアのところが何センチぐらい隙間が空いているか、段差がどれぐらいあるかということを全部調べ直していただきまして、それをホームページで掲載していただくという取組をしていただきました。
 これに関しましては、地元の障害者の方々も大変喜んでおりまして、自分だったら、どこの箇所の、何両目の何番目のドアを使えばいいのかというのが分かるというものでございますので、大変ありがたく思っております。こうした様々な工夫というものが大変必要になっていると思います。
 一方で、私は、可動式ステップというものを提案させていただきました。東京メトロの駅などで使用されております。
 これに関しましては、都営の三田線三田駅で実証実験をしていただいたことと思います。この実証実験の取組の結果と進捗を伺います。

○西川安全管理担当部長 三田線三田駅では、令和二年二月から、ホームと車両との隙間が広い場所に試験的に可動ステップを設置し、技術面や運行面の課題等について検証いたしました。
 具体的には、列車の運行やホームドアの開閉等とステップの動作との連動、一連の動作に要する時間の運行ダイヤへの影響、また、故障が発生した際の対応やその頻度などを検証し、特段問題がないことを確認いたしました。
 このため、試験終了後も設置を継続しており、現在、さらなる設置について検討してございます。

○田の上委員 細かい検証をしていただいたということでございます。また、さらなる設置についても検討していただいているということです。ホームがカーブしているなど隙間が広い駅などでは有用でございますので、引き続き、課題のあるところに設置できるかどうかという検討をしていただきたいというふうに思っております。
 また、都営浅草線については、ホームのかさ上げが困難というふうにいわれているのですが、様々なアイデア、工夫を駆使して、かさ上げ等、段差と隙間対策に取り組んでいただきたいと要望をいたします。
 次に、エレベーターの複数ルートについてです。
 交通局では、ワンルート整備を完了しております。そして、バリアフリールートの複数化を検討しているというふうに認識をしております。
 今年の第一回定例会でも一般質問いたしまして、都営新宿線の瑞江駅を中心とし、課題のある駅についての複数化を質問いたしました。
 これまでの計画では、先ほどもご答弁がありましたが、乗換駅九駅を先に整備をし、そして、以降、課題のある駅に取り組むものというふうに認識をしております。
 このバリアフリーの複数化につきまして、取組の結果と進捗を伺います。

○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄は、ホームから地上までエレベーター等を利用して移動可能な、いわゆるワンルート整備につきましては、全駅で完了しております。
 現在、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正等を受け、バリアフリールートの複数化について検討を進めておりまして、令和二年度は、駅周辺における病院、高齢者、障害者施設の立地状況などの調査を行ったところでございます。
 その結果も踏まえ、各駅の利用実態や用地の確保、駅構造上の課題などを勘案しながら、エレベーター設置の可能性につきまして検討を深めているところでありまして、引き続き、バリアフリールートの充実に取り組んでまいります。

○田の上委員 ありがとうございます。立地の状況や用地の確保、駅構造上の課題などを勘案して検討していただいているということでございます。
 繰り返しになりますが、私の地元の都営新宿線の瑞江駅というところは、エレベーターがあることはあるのですけれども、地下に駐輪場がございまして、駐輪場を経由して改札階に行くものですから、そのエレベーターに一気に自転車が乗る、車椅子が乗る、歩行者が乗るということで大変危険でありますし、幅を取ってしまうので一遍に乗ることができないという、いわゆる課題のあるところでございます。また、自転車置場の管理が江戸川区となっておりまして、エレベーターの管理も江戸川区となっているというところでございます。
 こうした課題のある駅は、もちろん瑞江駅だけではないと思いますが、こういったところに積極的にバリアフリールートの複数化というものを検討していただきたいと改めて要望いたします。
 次に、無料乗車券のICカードについてです。
 本年六月、国土交通省は、二〇二二年度後半をめどに、関東の鉄道事業者において障害者用ICカードを導入すると発表いたしました。
 都交通局では、それに先駆けて、都営交通の無料乗車券のICカード化を実現しています。
 都営交通無料乗車券をお持ちの方に同行する介護者が割引を受ける際、障害者手帳や愛の手帳など、手帳を提示しないと割引が受けられないという状況でありますが、この障害者用ICカードサービスの開始に当たっては、都営交通無料乗車券をお持ちの方に同行する介護者が割引を受ける際に、手帳を提示しないように利便性を図るべきというふうに考えますが、これまでの取組と現在の進捗状況について伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、令和二年度、関東ICカード相互利用協議会の一員として、障害者割引が適用されるお客様向けの新たなICカードサービスにつきまして、検討や議論を重ねてまいりました。
 現在、都営交通無料乗車券をお持ちの障害者の方がお一人で都営交通を利用する際には、障害者手帳等を提示せずに無料で乗車することが可能でございます。一方、同行する介護者がいる場合、割引対象の介護者であることの確認を受けるため、その都度、手帳を提示する必要がございます。
 新たなICカードのサービスの導入に当たりましては、介護者割引を受ける場合においても、手帳を提示せずに自動改札機等を利用することで割引を受けられるよう、現在、協議会に要請しているところでございまして、引き続き関係機関と調整を進めてまいります。

○田の上委員 ありがとうございます。介護者が同行時だけに割引を適用するための課題などもあるというふうには思うのですが、利便性の向上に向けて、ぜひまた工夫を重ねていただきたいというふうに思います。協議を重ねていただきたいと思います。
 以前、これも十年ぐらい前になるかと思いますが、障害のある方に、これは車椅子の方だったのですが、乗車時に手帳を提示したくないということで相談をいただいたことがありまして、そのときにも交通局に相談をさせていただきました。現在は無料乗車券のIC化が実現して、大変うれしく思っておりますし、評価をしているものでございます。今後は、ぜひ介護者にも広げていただけますよう、重ねて要望いたします。
 結びに、令和二年度は、コロナ禍の大変な局面にもかかわらず、必要事業を積極的に進めていただいたことを大変評価いたします。また、今後も、節減と工夫を重ねながら、都民目線の事業を進めていただきたいと要望し、質問を終わります。

○かつまた委員 公明党のかつまたさとしでございます。令和二年度公営企業会計決算、交通局関係に関連いたしまして、令和二年度の交通局が実施した事業、また、課題が浮き彫りになりました事業について質疑を行いたいと思います。一部、今、委員が質疑した部分とも重なる部分があると思いますが、よろしくお願いいたします。
 都営交通は、今や都民生活にはなくてはならない公共交通機関であり、都営地下鉄、都営バス、都電、日暮里・舎人ライナーの一日の利用者数は、ある資料によりますと、令和二年度現在、平均で約二百五十三万人といわれており、都民生活の重要な役割を担っております。その重要な役割を担うための大原則は、やはり安全・安心が第一ではないでしょうか。
 その中で、本日は、都営地下鉄の安全対策や利便性の向上についてお伺いをいたします。
 東京都交通局は、二〇二〇年二月から、都営地下鉄三田線三田駅ホームの一部に、ホームと車両の隙間を埋める可動式ステップを試験的に設置し、運行の影響や転落防止効果などを検証したと伺いました。
 その検証結果を受けて、現在どのようになっているのか、状況を伺います。

○西川安全管理担当部長 三田線三田駅では、令和二年二月から、ホームと車両の隙間が広い場所に試験的に可動ステップを設置し、技術面、運行面の課題等について検証いたしました。
 具体的には、列車の運行やホームドアの開閉等とステップの動作との連動、一連の動作に要する時間の運行ダイヤへの影響、故障が発生した際の対応やその頻度などを検証いたしまして、特段問題がないことを確認してございます。
 このため、試験終了後も設置を継続しており、現在、さらなる設置について検討しているところでございます。

○かつまた委員 可動ステップが、転落防止を進めていく上で重要な役割を担うと認識をしております。そういった意味で、今回、しっかりと検証できたことは、今後の大きな成果であるというふうに考えます。
 その上で、安全対策とともに重要なのは、車椅子やベビーカー利用者が都営地下鉄を利用しやすい利便性の向上ではないでしょうか。
 質問いたします。都営地下鉄の段差の解消と、都営三田線三田駅以外の電車とホームの隙間対策についてお伺いをいたします。

○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、高齢者、障害者をはじめ全てのお客様に安全・安心にご利用いただけるよう、ホームと車両の段差、隙間対策に取り組んでおります。
 大江戸線及び三田線につきましては、車椅子スペースがある車両のドア位置のホーム上に、原則、固定式スロープを設置して段差の縮小を図っております。
 新宿線では、車両編成によりまして車椅子スペースの位置が異なることから、ホームドア整備に合わせてホーム端の全面的なかさ上げを行うとともに、ホームと車両の隙間が広い箇所の乗降口に、隙間を狭めるくし状ゴムを設置いたしております。
 三田線では、今後、一部の車両を八両編成化する予定でありまして、車両編成によって車椅子スペースを設けております車両のドア位置が異なってくることから、新たに固定式スロープやくし状ゴムを追加して設置する必要がありまして、現在、工事に向けて設計を行っているところでございます。
 浅草線は、交通局のほか、京急線や京成線、北総線など、床の高さが異なる多くの車両が乗り入れておりまして、新宿線などのほかの三線と比べて、ホームのかさ上げによる段差の縮小や隙間対策は容易ではございませんが、今後とも、バリアフリーを進める観点から検討を進めてまいります。

○かつまた委員 都営地下鉄と一言でいっても、四路線あります。今、答弁をいただきましたとおり、大江戸線、三田線、新宿線、浅草線と、それぞれの車両編成に特徴があったり、また、路線によっては民間事業者運営の路線が乗り入れたりと、それぞれの路線での対応が必要であると思います。その路線によって検討課題が異なると考えます。安全・安心、利便性の向上について不断なき決意で取り組んでいただきたいことを要望し、次の質問に移りたいと思います。
 次に、いわゆる危険なバス停についてお伺いをいたします。
 二〇二一年三月十九日の読売新聞に、都内の危険なバス停について、以下の内容の掲載がございました。
 横断歩道や交差点のそばにある危険なバス停が、全国で一万百九十五か所に上ることが、三月十九日にまとまった国土交通省の調査で分かった、十府県の十五か所では、停車したバスが要因の人身事故も起きていた、危険なバス停の全都道府県の状況が明らかになるのは初めて、国土交通省は、安全対策の進捗状況も調べ公表する、読売新聞では、各地の運輸支局などの発表に基づき、調査で判明した危険なバス停のうち、AからCランクまでランクづけをしたとなっておりました。
 東京都内では、危険度が高い順に、Aランクは、バスの車体が横断歩道にかかるか、停車したバスが原因で人身事故が発生した箇所、都内二十か所。Bランクは、横断歩道の前後五メートルの範囲に車体がかかるか、交差点に車体がかかる箇所、都内で百十か所。そしてCランクは、交差点の前後五メートルの範囲に車体がかかる箇所、都内で九十四カ所。
 Aランクと公表されている危険なバス停の中には、都営バス所管のバス停はございませんでした。しかし、Bランクと公表されている危険なバス停は、ほとんどが民間事業者のバス停でございましたけれども、都営バス所管のバス停は七か所。また、Cランクは十七か所となっております。
 東京都は、この国土交通省が公表に踏み切った危険なバス停について、どのような見解をお持ちなのか、お伺いをいたします。

○太田バス事業経営改善担当部長 国土交通省が公表した、いわゆる危険なバス停の判定基準にもございますように、横断歩道や交差点付近では、バス停で降車したお客様がバスの前後で道路を横断しようとする際、バスを追い越そうとする車両や対向車両から見て、そのお客様がバスの死角に入ってしまうため、これらの車両との接触事故につながるおそれがございます。
 交通局では、かねてより、こうしたバス停周辺の安全性向上が重要と考えておりまして、これまでも、バス停付近での横断につきまして、他の車両への注意を喚起するステッカーの貼付や車内での放送を行ってきたほか、一部のバス停につきましては、より安全な場所への移設を行ってきたところであります。

○かつまた委員 私の地元、私も区議会議員の時代に、大田区の地域住民の方から、この場合は民間事業者が運営するバス停でございましたけれども、バス停が危険な場所にあるということで陳情をいただきまして、行政や、また地域住民の方といろいろ意見交換を行いましたけれども、移設には本当に様々な課題があるということを認識いたしました。
 例えば、移設先の道路の幅員であったり、また、バス停の前の地権者の承諾を得なければいけないとか、また、バス停は、ややもすると迷惑施設になりかねない、そんなこともお聞きしまして、移設といっても、様々な課題があるという、そう簡単にはいかないということを認識いたしました。
 その上で、国土交通省の公表以降、都は、この危険なバス停の危険を回避するため、どのような対応を行ってきたのか、お伺いをいたします。

○太田バス事業経営改善担当部長 公表されたバス停につきましては、自治体、道路管理者、交通管理者などの協力を得まして、Bランク一か所、Cランク四か所の計五か所のバス停を移設したほか、Cランク一か所にガードパイプを設置いたしまして、対策を完了したことを国に報告したところであります。
 今後とも、移設先の確保など、関係機関と協力しながら、バス停周辺の安全性確保に向け、着実に取り組んでまいります。

○かつまた委員 今、答弁がありました、Bランクが一か所、Cランクが四か所、計五か所を移設していただいた、また、Cランク一か所にはガードパイプを設置したというふうに伺いました。少しずつ改善に行っているということに感謝を申し上げたいと思います。
 民間の路線バスの事業者の一つのお手本となり得る都営バスの運営が、運営するバス路線の危険なバス停が一日も早く改善され、都民の安全・安心が確実に担保されることを都行政に要望させていただきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○里吉委員 それでは、私からも質問させていただきます。
 資料のご用意、ありがとうございました。
 まず、日暮里・舎人ライナーについて伺います。
 十月七日に起きた千葉県北西部地震では、日暮里・舎人ライナーが脱輪し、乗客の方が負傷いたしました。無人走行で、駅も、日暮里、西日暮里以外は駅舎に常駐の係員などもいないため、事故やトラブルへの対応について心配する声は以前からございました。
 そこでまず、昨年度、日暮里・舎人ライナーで緊急停止などのトラブルが十六件あったと伺いましたが、どのような内容だったのか、そのときの対応について伺います。

○市川電車部長 日暮里・舎人ライナーにおいて、昨年度、非常停止ボタンが操作された事案は十六件であり、主な要因は、お客様の体調不良やお客様同士のトラブルでございます。
 非常停止ボタンが操作された際には、まず、指令員がインターホンを通じて車内の状況を把握し、必要に応じて最寄りの駅に係員や警備員を急行させ、お客様への対応に当たらせました。

○里吉委員 最寄りの駅に係員や警備員を急行させるということなんですけれども、日暮里駅か、もしくは西日暮里駅以外は人はいないということですから、安全確認、トラブルの対応には、具体的にはどこから人が行くのか、そのことが大変心配なんですが、どこから人が行って、どういうふうに対応するのか、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。

○市川電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、係員や警備員が各駅を巡回するとともに、指令所から防犯カメラの映像を確認することにより、駅構内の状況を把握しております。
 車内や係員が常駐していない駅では、指令員と巡回中の係員等が連携し、お客様対応を行っております。

○里吉委員 十三駅中十一駅は無人ですが、巡回している、それで安全確認を行っているということでした。
 そこで、今回の十月七日に起きた地震のときには、係員の方の到着が三十分かかったということを伺っています。
 今回のような地震や脱輪などの事故が起きたときの対応については、どのような対応が想定されていたのでしょうか。三十分かかったというのは想定内のことだったのでしょうか、伺います。

○市川電車部長 地震などにより、万一、駅間に列車が停止し、復旧のめどが立たない場合、各駅を巡回している係員を緊急自動車などにより現場に急行させることとしております。その間、お客様には、落ち着いて行動していただけるよう、指令からの車内放送により、現在の状況とこれからの避難方法をお知らせすることとしております。
 係員の現場到着後、お客様には、係員の誘導に従い、列車の前後にある非常ドアから走行路に降りていただき、徒歩で最寄りの駅に避難していただくことになります。
 今回の地震に際しても、現場の状況に応じ、必要な対応を確実に行った結果、地震発生から係員の現場到着までに三十分を要したものであります。その間も、指令からお客様に呼びかけを行い、けが人の状況を確認し、救急車を手配するなど、適切に対応いたしました。

○里吉委員 今回の事故について適切な対応という答弁でしたけれども、利用者の方からは、今回の事故を受けて、改めて検証が必要ではないかという声も出されております。
 以前、これは今回の地震ではないですけれども、駅利用者の方、お話を伺った方は、電車に乗っているときに、日暮里・舎人ライナーに乗っているときに、急に女性の方が倒れて意識がない状態だったため、乗客が緊急停止ボタンを押して止めた、車内に大丈夫ですか、意識はありますかとアナウンスが入ったそうですが、実際に確認するのは乗客で、倒れた女性の方は、意識を取り戻して、次の駅で降りて救急車で運ばれていったけれども、やっぱりこういうときに、車内にも車掌さんが乗っていない、駅も無人だということで、乗客任せになってしまうのではないかと不安を感じた、このとき意識を取り戻さなかったらどうなったのかと不安だったというふうにおっしゃっておりました。
 無人走行、駅舎も二つを除いて無人という体制について、安心・安全の観点から見直すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○市川電車部長 日暮里・舎人ライナーは新交通システムであり、コンピューター制御により自動運転を行い、列車の運行管理や駅の安全監視などは、全て指令所で係員が行うものでございます。
 通常時は、係員や警備員が各駅を定期的に巡回し、事故などに対応可能な体制を取っております。
 異常時には、最寄りの駅から係員が緊急自動車等で現場に急行し、安全最優先の対応を取ることとしておりまして、現状の体制は妥当だと考えております。

○里吉委員 現状の体制は妥当だという答弁でしたけれども、地震による脱輪を受けて日本共産党が行った要望に対して、交通局は、今回の対応の課題については検証していく必要があると考えていると答えています。もちろん、脱輪について調査、検証するということもあると思うんですけれども、いつ大地震が起きてもおかしくない、今回以上の地震が起きる可能性も十分あるわけで、巡回している係員の人数が本当に妥当なのかなども含めて、現状の体制について、ぜひ検証をしていただきたい、体制も見直ししていただきたいということを強く要望して、次の質問に移ります。
 次は、都営バスのバス停へのシグナルエイドの設置について伺います。
 資料を用意していただき、ありがとうございました。一一ページに資料を載せていただいております。
 公共交通は、様々な障害を持っている方々にとっても必要な移動手段です。障害のある方もない方も、誰もが外出できるようにするためには、その支援は、障害に応じてきめ細かに行うことが大切です。そういった点で、今回は、視覚障害者の方への支援について伺いたいと思います。
 都営バスでの視覚障害者の方への対応、音声による誘導にはどのようなものがあるのか、伺います。

○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、視覚に障害のあるお客様のご利用に配慮し、様々な取組を行っております。
 停留所につきましては、可能な限り照明を設置し、時刻表等をできるだけ大きな字で表示するようにしております。
 また、停留所でお待ちのお客様に対して、バスが到着した際に、乗務員が車外マイクにより行き先等をご案内するとともに、車内では、行き先や次の停留所の案内放送を行っております。
 さらに、一部の停留所では、バスの行き先や接近状況のほか、停留所がそこにあることを音声でお知らせする装置が設置されております。

○里吉委員 今、一部の停留所で、バスの行き先や接近状況、停留所がそこにあることを音声でお知らせする装置を設置しているというご答弁がありました。ここの資料にも音声案内付バス接近表示設置というのがありますが、三千八百十七か所の都営バスのバス停のうち、全部一遍につけるというのは難しいと思いますが、これもまだ百八十九か所。本当にごく僅かで、まだ限られているという状況だと思うんです。
 そして、今回、視覚障害者の方は、皆さんが多く活用している日常生活用具の給付対象品であるシグナルエイド−−これは、持っている人が自分の意思で操作することで音声案内などを受けられる小型送受信機なんですね。これを持って移動しているときに、シグナルエイドを持って移動しているときに、誘導装置があるところに近づくとシグナルエイドが反応して、自分がそれを押すと必要な情報が流れてくる。これをぜひ都営バスのバス停につけてほしいという要望が繰り返し出されているわけです。
 そこで、改めて伺いますけれども、視覚障害者の皆さんから交通局に対して、昨年度、こういった音声誘導についての要望が出されたかどうか、どのような要望が出されたのか、伺います。

○太田バス事業経営改善担当部長 交通局は、毎年、視覚障害者団体からの要望を受けてございまして、昨年度は、停留所にシグナルエイド対応の音声誘導装置を設置するよう要望がございました。

○里吉委員 いろいろなところで、視覚障害者の方が音声付のいろいろなものを求めるのですけれども、いつも問題になるのが、私たちが近づいても、例えば、こちらがトイレですとか音が流れますよね。あれは、私たちは通常は必要ないのですけれども流れる。
 シグナルエイドの場合は、必要な方が行ったときに、押すと流れるということでは、すごくいいと思うんです。それから、情報も、ここがどういうバス停か、それから、何行きのバスが来るか、どっち向きのバス停なのかということも大分細かく情報が出てくるということで、大変喜ばれているということです。
 江戸川区では、江戸川区役所を含む都営バスのバス停に、このシグナルエイドに対応した音声誘導装置が設置されているということで、この設置の経緯とその効果について伺いたいと思います。

○太田バス事業経営改善担当部長 シグナルエイドに対応した音声誘導装置は、江戸川区が装置の設置を要望した停留所について、交通局が上屋の柱など必要な場所を提供し、区の負担で設置されたものであります。
 お客様の声などでは、効果について特段の意見は寄せられてございませんが、シグナルエイドに限らず、音声による案内は、視覚に障害のあるお客様が都営バスをご利用する際の一助となるものと考えております。

○里吉委員 江戸川区にお話をお伺いしましたら、視覚障害者の団体の皆さんとの意見交換を経て、この設置を決めたということなんですね。現在、ほかの音声案内の設置も、さっきもいいましたけど、百八十九か所、まだまだこれからという状況だと思うんです。
 そうであるならば、先ほどご答弁もいただきましたけれども、音声による案内は、視覚に障害のあるお客様が都営バスをご利用する際の一助となるわけですから、そうであるなら、ぜひ音声案内をつけていただきたい。しかも、視覚障害者の方が、つけるならシグナルエイドをつけてほしいというふうに要望しているわけですから、ぜひこれはシグナルエイドをつけるという方向で検討するべきだと思うんです。
 ほかの路線でも、ぜひシグナルエイドをつけてほしい、検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○太田バス事業経営改善担当部長 ほかの路線に設置することにつきましては、都営バスの停留所は数が多いため、費用が高額となることに加えまして、上屋が装置の設置に適した形状であること、電源の確保が必要であることなど、様々な課題がございます。
 こうしたことから、江戸川区の例のように、地元自治体が装置を設置したい停留所において、自治体の負担で設置してございまして、引き続き必要な協力を行ってまいります。

○里吉委員 都営バスの利用者の中には、本当にいろいろな方がいらっしゃるわけで、交通局として、視覚障害のある方も安全に安心してバスを利用できるようにすることは重要なことだと考えます。
 ですから、本来、交通局の責任で、視覚に障害のある方が安全にバスを利用できるように対策を考えていただきたいということ、もちろん東京都や区市町村やいろいろなところと協力して、財政面も含めていろいろ協力することはあるかもしれませんが、それを率先してやるのは、ぜひ交通局で、バスを運行しているところが主体的にぜひ考えていただきたいということを改めて要望させていただきます。
 次の質問に移ります。
 それでは、次に、都営バスの低公害車両の導入について伺います。
 まず、昨年度、新たに導入された低公害車両の実績について伺います。

○櫻庭自動車部長 令和二年度におきましては、走行中にCO2、NOx、PMなどを排出しない環境性能に優れた燃料電池バスを三十二両導入いたしましたほか、最新の排出ガス規制や燃費基準に適合したディーゼルバスを百三十両導入いたしました。

○里吉委員 今、ご答弁いただいたように、都営バスでは、低公害、低燃費の車両であるディーゼルバスも含めて、そして、燃料電池バスも積極的に導入されているということです。
 これからの時代、CO2排出削減ということで、運輸部門でどう温室効果ガスを減らしていくかということも、低公害の車を走らせることと、ある意味、二〇三〇年までにカーボンハーフといわれているわけですから、早急にこの問題に取り組まなければいけないと思います。
 そういう意味では、都バスで水素を利用した燃料電池バスを導入しているということで、これは結構、お金もかかって大変なのではないかと思うんですが、購入費、国や都の補助制度、交通局の負担金額、どれぐらいをかけてこれは導入されているのか、まず確認したいと思います。

○櫻庭自動車部長 燃料電池バスにつきましては、一般のディーゼルバスと比べて極めて高額でございまして、国及び都の補助制度によりまして、購入者が一般のディーゼルバスとの差額分の補助を受けております。
 交通局では、燃料電池バスを購入したリース会社から六年間のリース契約によって導入しておりまして、補助を踏まえたリース料が設定されております。
 令和二年度のリース料は、保有する七十両分で約一億七千二百万円となっております。

○里吉委員 非常に高額だということで、燃料電池バスを導入するには、国や都の補助制度が欠かせないということがよく分かりました。
 一方で、今、CO2排出削減を進める上で、国でも次世代自動車の導入を進めております。バスでは、今、東京都が、都バスが進めている燃料電池バス、そして、電気バスも同時に進められています。全国では電気バスの導入が少しずつ進められておりまして、都内でも幾つかの自治体で、コミュニティバスですとか、電気バスが使われております。
 都営バスとして、現在、燃料電池バスの導入を決めた、進めている理由と、それから、今後については電気バスも検討するべきだと思いますが、これは検討しないのかどうか、併せて伺いたいと思います。

○櫻庭自動車部長 燃料電池バスは、先ほど申し上げましたとおり、環境性能に優れたバスでございまして、交通局は、公営バス事業者として、環境政策に貢献するため、平成二十八年度から燃料電池バスを先導的に導入してまいりました。
 一方、EVバスにつきましては、ディーゼル車に比べて航続距離が短いこと、国産は、改造した車両のみである一方で、海外の車両は、寸法や重量が都営バスの走行環境に適合していないこと、導入台数に応じた変電設備、充電設備が必要であることなど、導入に当たりましては様々な課題がございます。
 このため、昨年度から、こうした課題について調査検討を行っているところでございます。

○里吉委員 EVバス、様々な課題があるということでしたけれども、そうはいっても、昨年度から課題について調査検討を行っているということですので、昨年度行った、その内容について伺います。

○櫻庭自動車部長 昨年度のEVバスの調査検討におきましては、大型バス車両の開発動向を把握するとともに、市販されている車両の仕様や走行距離等の性能などが都営バスの運用に適しているか検証いたしました。
 また、導入に当たって必要となる変電設備、充電設備につきまして、容量や出力、設置スペース、コストなどを調査いたしました。

○里吉委員 今、いろいろ課題について調査されていることが分かりました。
 燃料電池バスについても課題があるという議論が先ほどありましたけれども、燃料電池バスは水素を使いますけれども、水素は、製造のときに大きなエネルギーロスがあります。また、まだ今の水素はCO2フリー水素ではありません。
 水素はそもそも、再エネ大量導入時代の調整力としては大変有望だと思いますけれども、今まだそこまで、再エネの電気が十分、日本ではつくられていない状況です。ですから、気候危機打開という観点からも、ぜひ電気バスの導入に積極的に取り組む必要が今あるのではないかと考えます。
 電気バスの導入について、様々、調査検討をされているということですので、ぜひ課題を整理し、電気バスの導入に取り組んでいただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○宮瀬委員 では、よろしくお願い申し上げます。
 私、サラリーマン出身でマーケッターをやっていましたので、前期で、お客様がどういったクレームを交通局に対して、地下鉄の方でありますが、届いているのかなといった件数を確認させていただき、令和二年九月末時点で二千六百二件、新型コロナウイルス関係のご意見をいただいていると。その中で、一位が、約半数がマスクの着用のこと、五〇%です。二位が、換気関係のことは三六%。一四%の方がその他といったことでありますが、私も大江戸線と三田線のユーザーとして毎日見ているんですけれども、質疑をさせていただいて、半年、一年たって、大分、皆様のご努力を感じております。
 その中で、今日も大江戸線に乗りましたら、モニターで啓蒙の取組状況を、ちゃんと東急みたいに映していらっしゃいまして、抗ウイルス加工ですとか、消毒していますよとか、大変、そういったものはよく伝わっております。
 ただ一点だけ、車内のアナウンスが、マスクをしましょうとか、大声で騒がないようにしましょうというのは、例えば三田線はモニターがありませんので、モニターがないので、そういった絵も見られないのですけども、人によっての差がまだ激しいのかなと。若い人の声はよく聞くのですけども、なかなかご年配の方といいますか、もう少し年次の上の方の声は聞かないので、ぜひアナウンスを引き続きお願いしたいなと。
 また、さきの質疑で、このコロナ禍において、車内の消毒が通常どおりのルーチンの週一回だったといったことが私の質疑で分かりまして、抗ウイルスコーティングの加工をやっていただいたといったことも、もうあれから時間もたち、全ての窓にそのステッカーが貼ってあるのを見ていますので、こちらのご努力にも感謝申し上げます。
 さて、その中で、終電が繰上げ状況が続いておりますので、終電の繰上げを決めたときの状況というのは、どういう条件があって終電を繰り上げたのか、お伺いしたいと思います。

○市川電車部長 都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーにおける終電の一部繰上げについてでございますが、一都三県や国からの要請等を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に資する取組の一つとして行うこととしたものでありまして、本年一月二十日から実施しております。

○宮瀬委員 一月二十日から、一都三県、国からの要望等ということで繰上げをやっているんですけども、まさに昨日、リバウンド防止期間が解消されまして、つまり要請自体がなくなったわけであります。
 そうなりますと、私も含め、今後、終電の繰上げはどうなっていくのかなといったことが気になるわけでありますが、感染の状況が今後どうなっていくのか、予断を許さない中ではありますが、今ご答弁があったそのときの条件というものは、一つ解消されているわけであります。
 そこで、どのような状況で終電の繰上げを解除していくのか。今のような状況ですので、繰上げを解除すべきなのではないか、お伺いいたします。

○市川電車部長 本年一月に終電繰上げを開始してから約九か月が経過しました。この間、都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーでは、コロナ感染拡大防止に資する取組として、繰上げを継続してまいりました。
 こうした中、首都圏の鉄道ネットワークを形成する他の事業者の多くは、本年三月に終電繰上げを含むダイヤ改正を実施しております。
 都においては、本日から基本的対策徹底期間に移行しており、都営交通では、当面、終電繰上げを継続しつつ、新型コロナウイルス感染症の状況、鉄道利用者の行動変容、他の鉄道事業者の動向なども注視しながら、今後の対応について検討してまいります。

○宮瀬委員 都内、首都圏では、繰上げ自体を継続しているのが、ゆりかもめと臨海高速鉄道、また都営地下鉄のみ、三社だけだと聞いております。
 そもそも、ほかの鉄道業者は、繰上げの時間自体を正規の時間にしたということで状況が変わってくると思うんですけども、やはりエッセンシャルワーカーの方とか、帰りが遅い方も、そういうお仕事をされている方もいらっしゃると思いますので、今後どうやっていくのか、ぜひ私も注視していきたいと思っております。
 また、大変細かい要望で恐縮なんですが、さきの委員会質問のときに、コロナで、皆さん手洗いをしましょうということで、各都営地下鉄のトイレで手をもちろん洗う、また、トイレが飛沫感染等の原因となっているのではないかということもいわれたりした中で、都営三田線でありましたら、トイレの洗面台が、蛇口を自分の手で触って、こうやらないと水が出ないものであったと。
 これは、感染拡大防止をお願いして、いろいろな人が手を洗った後に、閉めるために、また、蛇口を触るわけですから、これは早急に対応を変えて、手をかざせば水が出るような形にしていった方がいいんじゃないかといったことを要望させていただきましたが、見解を伺います。

○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、トイレ改修等の機会を捉え、洗面台の蛇口を自動水栓化しております。これに加えて、新型コロナウイルス感染症への対策といたしまして、緊急的に自動水栓化の取組を進めております。
 三田線では、令和二年度末までに、交通局が管理する二十四駅中二十一駅で洗面台の蛇口の自動水栓化をしておりまして、残る三田駅と新板橋駅は本年五月に、蓮根駅は六月に整備を行いまして、全駅で整備を完了しております。

○宮瀬委員 地元なので、三田線の話ばかりで恐縮なんですが、これはちょっと意見交換をさせていただいた際に、都営地下鉄は百一の駅がありまして、その他の駅においてはまだ完了していないということでございます。
 ぜひこれは、三田線に限る話でもありませんし、今、答弁がありました新板橋駅、蓮根駅は、大規模改修の前に、その部分だけ工事をやってもらっていますので、ぜひほかの駅につきましてもお願いをさせていただきたいと思います。
 一問、飛ばしまして、都営地下鉄は、やはりコロナで一番皆さんが心配されているのは、狭い箱の中にぎゅうぎゅう詰めになって満員電車に乗っていくと。
 幾らステイホームだといっても、仕事に行かなきゃいけない人もたくさん、職場に行かなきゃいけない人もたくさんいますので、ここを何とかしなきゃいけないということで、まず最初に、直近の混雑率の推移についてお伺いいたします。

○市川電車部長 各線の混雑率の推移でございますが、令和元年度は、浅草線一三一%、三田線一六一%、新宿線一五九%、大江戸線一六一%、四線の平均混雑率は一五二%でございます。
 令和二年度は、浅草線一〇〇%、三田線一二九%、新宿線一一八%、大江戸線一二二%、四線の平均混雑率は一一六%でございます。

○宮瀬委員 おおむね二割、三割、四線の平均がコロナ前は一五二%でしたから、それが直近の数字で一一六%といったことで、三六%下がっているわけなんですけれども、やはり多くのサラリーマンが危惧しているのは、これからコロナが終息していったとした場合に、また満員電車があって、混雑率がまた同じように、三田線でしたら一六一%に戻るんじゃないかといったことを多くの方が懸念しているわけでございます。
 一二九%、一一六%といろいろ数字がありましたが、この数字をどうやって維持していくのか、もしくは微増にとどめていくのかが大きな課題だと思っております。
 改めてですが、都営地下鉄における混雑対策の取組について伺いたいのですが、もう私も、かれこれ五、六年ぐらい、都営地下鉄三田線の八両化をずっと訴えてきまして、もう本当に地元の人たちの悲願ですので、状況についてお伺いいたします。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営地下鉄では、輸送需要に的確に対応し、混雑緩和を図るため、様々な取組を進めております。
 具体的には、輸送力を増強するため、車両の更新に合わせて、新宿線については、順次、八両から十両への長編成化を進めるとともに、三田線では、令和四年度から一部の編成を六両から八両編成とすることとしております。
 また、三田線の車両更新に合わせまして、混雑状況等の車両データを自動的に収集する車両情報収集システムの導入を進めております。
 これらに加えまして、都が立ち上げた、輸送力の強化や時間帯別運賃など混雑緩和方策について研究する会議に交通局も参加しているところでございます。

○宮瀬委員 今のご答弁、三つありまして、一つは、ハードの対策で車両を増やしていくといったことでございます。もう一つが、混雑状況のデータを収集するやり方。そして、最後は時間帯別運賃と。
 三つご答弁があるんですけれども、まずハードの面で、都営三田線の八両編成化とホームドアの更新状況の進捗をお伺いしたいと思います。

○生越技術調整担当部長 三田線のホームドアにつきましては、老朽化と八両編成へ対応するために更新中でございまして、令和二年度までに、新板橋駅を除く西高島平駅から千石駅までの区間と三田駅の計十四駅の更新を完了させております。現時点では、新板橋駅、白山駅、春日駅の計三駅も更新を終え、交通局が管理する二十四駅のうち十七駅で完了しております。
 三田線では、令和四年度早期の八両編成の運行開始をすることとしておりまして、それに向け、引き続き、残る七駅のホームドア更新完了を目指してまいります。

○宮瀬委員 八両化はいつなのかというのを、地元の人たちにも私も相当突き上げられておりまして、やっと令和四年度の早期と、この二文字が出てきたのでありますが、この早期というのはいつなのか。四月なのか五月なのか、上期のことなのか、ちょっとここまで聞くと、いろいろありますのでやめますが、なるべく早く実施して−−令和四年度というと、十二か月間、幅がありましたので、早期というからには、多分、それが半分ぐらいになったのかなと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 また、混雑状況のデータを収集すると。蓄積する装置の導入ということでありますが、これは、昔、交通局の皆さんと、混雑率の推移を調べるのはどうやってやるんですかと聞きましたら、バードウオッチングのように、人力で人がこうやってカウントしていると。今どき−−私はてっきり、SuicaですとかPASMOとかのデータとリンクをして、正確に混雑率を、一二九、一二八だなとかというのをやっているかと思ったのですけれども、皆さんが目視して、こうやってカウントしていると。
 そのプロの方もいらっしゃると思うんですけれども、人によって隔たりがあってはいけませんし、一二八なのか一二九なのか−−私たちは、一五〇%を超えたときに、そこの一五〇の混雑率をベンチマークとするというのは都の共通認識だと思うんですけれども、そこで誰がいつでもしっかりと混雑率を正確に把握できるということは大変重要なことだと思っております。
 そこで、混雑状況のデータを収集する、蓄積する装置の導入について進捗をお伺いいたします。

○野崎車両電気部長 都営三田線におきましては、令和四年度からの車両更新に合わせ、デジタル技術を活用し、車両のデータを自動的に収集する車両情報収集システムを新たに導入することとしております。
 今後、このシステムにより収集、蓄積した情報を活用して車両の混雑状況を把握することとしており、現在、システムの稼働に向けて調整を行っているところでございます。

○宮瀬委員 これは調整中ということなんですが、三田線の方に新車両が入りますので、多分、三田線の答弁だったと思うんですけれども、私は、以前、この問題を取り上げた都民ファーストの鈴木邦和都議、前都議になりますけれども、大変いい質問だったなと。
 ただ、これは、答弁を聞いていたら、都営地下鉄全線にやっていただけるものだと思っていたのですけれども、基本的には車両の更新ですから、三田線が八両になるのに合わせてと。となると、新宿線ですとか大江戸線ですとか、そういった車両は、多分、データの収集ができるようになるのに十年、二十年かかってしまうようなリスクがあると思っています。
 これはもう本当に、これだけDX、デジタルトランスフォーメーションといわれている中で、三田線はいいですけれども、ほかの車両もぜひ工夫をして導入を進めていただきたいと思っております。
 また、次の質問ですが、満員電車の対策として、時間帯別運賃の導入もご答弁いただきましたが、この検討状況について伺います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 時間帯別運賃は、ピークとオフピーク等、時間帯ごとに異なる運賃を設定することで、需要を分散、平準化させる手法でございます。
 都が有識者や鉄道事業者と共に立ち上げた混雑緩和方策を研究する会議におきまして、昨年度より、時間帯別運賃についても議論を開始したところでございます。交通局もこちらに参加しております。
 導入に当たりましては、鉄道ネットワークを形成している事業者全体で実施しなければ効果は限定的であるほか、エッセンシャルワーカーなど通勤時間をずらせない方々への配慮や、多額のシステム改修費用が必要となる等、様々な課題もあると考えているところでございます。

○宮瀬委員 これは大変時間がかかるのは分かるんですが、やはり満員電車対策は急がないといけないと思っておりまして、知事によく満員電車ゼロはどうなったのですかと直接お伺いしていますけれども、言葉がどうこうはさておき、満員電車の混雑を緩和していくという大方針があるわけですから、この答弁を一年後に聞いたときに全く同じ答弁だったり、二年後に聞いたときに全く同じ答弁にならないように、ぜひ進めていっていただきたいと思います。
 次に、舎人ライナーの件、十月七日の地震の件は、状況を大体、答弁を聞いていましたので、基本的な質問は割愛しますが、私が問題提起したいのは、いろいろご事情はあったと思うんですけれども、復旧に四日間かかるというのは、さすがにいかがなものかなと思っております。
 東日本大震災も、この首都東京は経験していますし、いろいろな災害を経験していく中で、ライフラインである鉄道、しかも公営の鉄道が四日間止まってしまう。しかも電車ですので、これは、今後、こういったことがあったときに、四日とはいわず、それをなるべく短縮していくことが必要なのではないかなと思っておりますが、今後の教訓についてお伺いさせてください。

○西川安全管理担当部長 日暮里・舎人ライナーの震災に対する運休に関します今後の対応でございますけれども、現在、国の運輸安全委員会により、地震による脱輪の原因調査、分析が行われております。また、国土交通省が、交通事業者、メーカーなどと共に対策を検討していくものと聞いてございます。
 交通局におきましても、今回の地震に伴う車両や設備の被害等について分析を開始しており、今後、国の調査にも協力しながら必要な対策を検討してまいります。

○宮瀬委員 大切なのは、今の質問は時間軸ですので、時間軸を、どうやって四日のものを、例えば二日で復旧できるようにするのか、そのことをぜひ局内でも検討していただければと思います。
 念のための確認ですが、十月七日の地震を受けて、帰宅困難者等の状況があったのかなかったのか、念のため確認させてください。

○市川電車部長 今回の地震により日暮里・舎人ライナーの運行が停止したことを受け、直ちに鉄道や路線バスによる振替輸送を実施いたしました。
 地震の後、係員や警備員が各駅を点検した際には、駅構内にとどまっているお客様はおりませんでした。

○宮瀬委員 私は、帰宅困難者対策に大変関心を持っておりまして、さきの大阪北部地震の際にも、現地の府の、市営ですかね、ところにいて、早朝に地震が起きて、出勤困難者対策といいますか、朝、駅で、おうちにも帰れず出勤もできない方が滞留したという、盲点だったような新たな帰宅困難者対策というのがあったと思うんです。
 これはぜひ、今回は質問しませんが、意見とさせていただきたいのですが、鉄道の帰宅困難者対策をずっと見ていったときに、いろいろご提案を今までさせていただいて、災害が起きたときに、乗っている方がどこに避難していくのか。仕事中、旅行中、移動中の方で、地元の駅でしたら、どこに逃げればいいか分かると思いますけれども、災害が起きたときに、電車から放り出されたときに、ホームまでは誘導されます。そこからどうするのかという問題であります。
 過去、避難所が立ち上がるまでの七十二時間。しかし、ホームから外に出ていただくまでに、じゃ、七十二時間どこにいるのかという問題が一つ。また、そもそも、どこに逃げていいのかの共有ができているのかと。
 最近、地下鉄の各駅の入り口には、水害と火災のときの避難所の地図を全駅に貼っていただきまして、ありがとうございます。
 その上で、訓練をしているんですか、どうやって誘導するのかの訓練をしているのかといったときに、図上訓練をしていますと聞いています。
 ここは、一つご提案なんですけれども、恐らく私の推測ですと、災害が起きたときに、都営地下鉄で運転中だった電車に乗っていた人はホームまで行きます。そこから、具合の悪い方は、これは前に答弁いただきましたけれども、臨時の駅員室で少し休ませていただく。ただ、基本はコンコースの外に皆さん出ていくと。その際に、携帯がつながらない、スマホが見られないといった可能性が高いと思うんですけれども、地図を見て、この避難所に行ってくださいといった形の対応で終わっていると思っています。そうなりますと、スマホも使えない中で、この地図で、ここに逃げてくださいといわれても、恐らく不可能なんじゃないのかなと思っております。
 ですので、図上訓練ではなくて、区市町村の方と連携をしていただいて、具体的に誰が誘導するのか−−駅員さんが誘導することは、多分、難しいと思います。区の人に来ていただくのか、避難所を運営していただく人に来ていただくのか。少なくとも高齢者の方は、どこに避難していいか、多分、おろおろすることは間違いありませんので、そういった実地の訓練を、図上訓練だけではなく、区市町村とも連携して、各駅とも実施していただくことを提案させていただきます。
 今回は決算ですので、この提案は質問いたしませんが、以上、要望いたしまして、質問を終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 ご異議なしと認め、本件に対する質疑は終了しました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時四十七分散会

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