令和二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

令和三年十月二十五日(月曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長小林 健二君
副委員長たきぐち学君
副委員長斉藤まりこ君
副委員長松田 康将君
石島 秀起君
もり  愛君
たかく則男君
林あきひろ君
森口つかさ君
阿部祐美子君
とくとめ道信君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長浜 佳葉子君
技監尾根田 勝君
総務部長石井 英男君
職員部長長嶺 浩子君
経理部長金子 光博君
サービス推進部長金子 弘文君
浄水部長特命担当部長兼務松田 信夫君
給水部長藤村 和彦君
建設部長田中 慎一君
経営改革推進担当部長鈴木美奈子君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
工業用水道事業調整担当部長兼務
尾関  元君
設備担当部長岩崎 恭士君
多摩水道改革推進本部本部長青木 秀幸君
調整部長小山 伸樹君
施設部長佐々木宏章君
技術調整担当部長佐藤 清和君

本日の会議に付した事件
令和二年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・令和二年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・令和二年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)

○小林委員長 ただいまから令和二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、令和二年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都水道事業会計決算及び令和二年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○石井総務部長 さきの分科会におきまして要求のありました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。水需要予測と実績の推移でございます。
 将来の水道需要の見通しと、平成二十八年度から令和二年度までの一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。多摩川水系、利根川、荒川水系の年間取水量の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの多摩川水系及び利根川、荒川水系の年間取水量をお示ししてございます。
 三ページをご覧ください。各浄水場等における自然エネルギー等による発電状況でございます。
 浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備について、それぞれの設置年度、発電規模及び令和二年度の発電実績をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
 東京水道施設整備マスタープランにおける耐震継ぎ手率の計画値と令和二年度の耐震継ぎ手率の実績をお示ししてございます。
 五ページをご覧ください。水道管路の布設年度別管理延長でございます。
 配水本管及び配水小管の布設年度別の管理延長を、一定期間ごとに区切ってお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。政策連携団体への委託料及び主な委託内容でございます。
 東京水道株式会社に対する令和二年度の委託料及び主な委託内容をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。水道料金の減免実績でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの減免額と減免件数について、その内訳と合計をお示ししてございます。
 九ページをご覧ください。災害時の職員派遣実績でございます。
 過去十年間に発生した災害について、災害名、派遣時期、派遣人数、災害規模をお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。令和元年度及び令和二年度の月別使用水量と調定金額の実績をお示ししてございます。
 一一ページをご覧ください。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う水道料金の支払い猶予件数でございます。
 期間中に受け付けた支払い猶予の件数を口径別にお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わります。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○小林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○林委員 自民党の林あきひろでございます。それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
 新型コロナウイルスの感染症は、令和二年の一月に国内で初めて確認されて以来、年度をまたいで、令和二年度に入っても全く収まる気配もなくて、我が国はじめ、世界の社会経済活動というものに大きな影響を与えてまいりましたことはご承知のとおりです。
 都の水道事業においても例外ではなく、事業運営に多大な影響が出たことは想像に難くありませんけれども、しかし、そうした中においても、東京の水道というものは、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要な基幹ライフラインでありまして、継続的に事業を運営していく必要があるということはいうまでもございません。
 令和二年度の決算審査に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたであろう水道局が、東京水道経営プラン二〇一六の最終年度として、経営方針に示されているように、危機管理に万全を期すとともに、盤石な体制の構築や、効率的で健全な経営に努められたのか、また、本来なすべき事業を着実に実施できたのか、そして、安定的な財政運営を行うことができているのかということについて確認してまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、事業を運営していくに当たっての必要な収入の大半を占めます給水収益、つまり水道料金収入についてですけれども、どの程度の影響があったかについて確認いたします。
 まず、先ほど申し上げました東京水道経営プラン二〇一六の期間、平成二十八年度からの五年間における水道料金収入の推移を伺いたいと思います。

○石井総務部長 消費税率改正の影響を除くために、税抜き額でご答弁いたします。
 平成二十八年度から令和元年度まで、それぞれ、約二千八百七十二億円、二千八百八十七億円、二千九百六億円、二千八百九十三億円と、おおむね横ばいで推移してまいりました。
 しかし、令和二年度は約二千七百三十一億円と、前年度に比べて百六十二億円、五・六%の大幅な減収となっております。

○林委員 前年比五・六%のマイナスということで、百六十二億円もの減収というのは水道局の財政規模から考えても非常に影響が大きいのではないかなというふうに思っておるところです。
 コロナ禍におけるリモートワーク、ステイホームとか、オフィス、事業所の在り方、稼働状況の変化、飲食店等への度重なる営業自粛の要請、そういったことが社会経済活動というものに少なからず影響を与えて、結果として、都民の水道の使い方というものが変化をしているということが想定されるんですけれども、では、それほど大幅な減収に至った要因というものをどういうふうに分析されているのかお聞かせいただければと思います。

○石井総務部長 料金算定の基礎となる調定水量は、令和二年度決算では約十四億七千万立方メートル、前年度と比べて約〇・三%の減少と、大きな増減は生じてございません。
 しかし、その内訳を見ると、調定水量全体のうち、主に一般家庭で使用される小口径の調定水量が占める割合は、令和元年度実績では七九・三%でしたが、令和二年度実績では八三・五%となっております。
 都の水道事業では逓増型料金体系を採用しており、口径が大きくなるほど、また使用水量が多くなるほど、従量料金の単価が高くなる仕組みになってございます。
 単価の安い小口径での使用が増加した一方で、単価の高い中口径以上での使用が減少したことによって、水道料金収入が大幅に減収しており、調定水量の増減の影響ではなく、収入構造そのものに変化が生じてきている可能性があると分析をしております。

○林委員 ありがとうございます。全体の水道の使用量が減ったのではなくて、主に一般のご家庭で使われるような小口径における使用水量が増えた一方で、オフィスビルとか商業施設などで使用されるような中口径以上の使用量が減ったことが水道料金の収入に影響を与えているんじゃないかということが、ご説明いただきよく分かりました。
 しかし、今回のコロナ禍においては、社会経済活動の在り方自体が変わっているということに起因して、収入構造そのものが変化しているということであれば、その影響が長期化してしまうということも考えられるのかなというふうに思っているんですけれども、今後の水道料金収入に対する影響についてはどのように考えておられるんでしょうか。

○石井総務部長 直近の令和三年九月実績では、小口径の調定水量は全体の八二・一%と、中口径以上への回帰の傾向が見られ、一定程度の水道料金収入の回復が見込まれております。
 しかし、新型コロナウイルス感染症の今後の見通しは不透明であり、また、テレワークの推進などによる新たな生活様式の浸透の状況も見極める必要があると考えます。
 引き続き、感染症による影響を注視するとともに、社会経済状況の変化も考慮しながら分析を行ってまいりたいと思います。

○林委員 徐々に水道料金の収入が回復しているということが数字として示されているということは、一定、安心のできる傾向ではあると思うんですけれども、本日から飲食店に対する時短要請というものが解除されて、今後、社会経済活動の立て直しというものと活性化に向けて進んでいくということも、この給水の収益にはプラスの効果が期待できるのではないかなというふうに思っています。
 一方で、人流、人の動きが活発になることでの再拡大、リバウンドへのリスク、冬に向けて懸念される新型コロナウイルスの感染症の第六波に対して、引き続き注意を払う必要があると思っています。
 また、新型コロナウイルスの感染症の影響だけに限らず、デジタルトランスフォーメーション、DXの推進によって社会経済活動に変化が生じる可能性もあると思いますし、国が今提唱しています未来社会というかSociety五・〇の時代へのこれからの動向、また、東京都の未来の東京戦略ビジョンに示されたスマート東京が目指すべき姿など、中長期的な変化というものもしっかり見据えて、状況に応じた適切な対応を図っていただくようお願いしたいと思っています。
 さて、冒頭にも申し上げたのですけれども、どのような状況下にあっても、水道事業は継続的に事業を運営していく必要があることはご承知のとおりでございまして、たとえ大きな減収があったとしても、なすべき事業というものを着実に実施して、健全な財政運営を維持していかなくてはならないわけであります。
 水道局では、健全な財政を維持できているかを示すために、東京水道経営プラン二〇一六において三つの指標というものを掲げていらっしゃいますけれども、この三つの指標における、それぞれ令和二年度の実績とその評価についてお伺いをしたいと思います。

○石井総務部長 各指標の令和二年度における実績値は、料金収入に対する元利償還割合が七・四%であり、前年度と比べて〇・二ポイントの増加、料金収入に対する企業債残高割合が七八・〇%であり、前年度と比べて三・〇ポイントの増加、経常収支比率が一〇八・七%であり、前年度と比べて二・六ポイントの減少となっております。
 いずれも令和元年度に比べて数値は悪化しているものの、東京水道経営プラン二〇一六に定めた目標数値は達成できていることから、健全な財政運営の維持をしているものと認識してございます。

○林委員 ありがとうございました。指標の数値自体は悪化されているということですけれども、目標数値においては達成できているということであって、令和二年度においては健全な財政運営が行われているということが分かりました。引き続き、健全な財政運営の維持に努めていただくように要望したいと思います。
 続いて、施設整備などの事業の進捗状況について伺ってまいりたいと思います。
 今月の初め、七日でしたか、夜の遅く、千葉の北西部を震源とする比較的大きな地震がありました。これに伴って都内各所で漏水というものが発生しましたけれども、ご報告によると、幸い今回の地震では、管路の抜け出しというものとか破裂等による被害は生じなかったということですけれども、都議会自民党においては、これまでも、配水管の耐震継ぎ手化の重要性というものを繰り返し主張してまいりました。
 これを受けて、水道局は、経営プランなどにおいて耐震継ぎ手率の数値目標というものを明確に掲げて、配水管の耐震継ぎ手化を推進してきたことはご案内のとおりでございます。
 そこで、配水管の耐震継ぎ手化の状況について、経営プラン二〇一六に掲げた目標に対するこれまでの取組実績について伺いたいと思います。

○藤村給水部長 配水管の耐震継ぎ手化については、東京水道経営プラン二〇一六において、管路の耐震継ぎ手率を令和二年度までに五〇%に向上させることを目標に掲げておりました。
 この目標達成に向け、震災時において、より効果的に断水被害を抑えるため、首都中枢機関や救急医療機関、避難所及び主要な駅等の重要施設への供給ルートの配水管について、優先的に耐震継ぎ手化を推進してまいりました。
 しかし、令和二年度末における管路の耐震継ぎ手率の実績は四七%となっております。これは、他企業工事との競合により、当初予定していた時期までに施工できなかったことや、工事場所が繁華街等であることにより、施工時間が限定されたことなどが事業の進捗に影響を及ぼしたためです。
 特に都心部では、他企業の地下埋設物がふくそうしていることから、掘削による管路の取替え工事が困難なケースもあり、工期の延伸や工事計画の変更などもありました。

○林委員 ありがとうございました。ご答弁のとおり、令和二年度末の実績が四七%と、目標に届かなかったということですね。これは、冒頭、要求資料の説明にもたしかあったと思いますけれども、この経営プランに掲げた目標というものは、水道局が都民と約束した到達目標ということであって、未達成ということは本来あってはならないものだというふうに考えています。
 この計画どおりに進まない状況というものをどういうふうに解決していくおつもりなのかについて伺いたいと思います。

○藤村給水部長 配水管の耐震継ぎ手化を着実に進めていくため、これまでも、道路管理者や各道路占用企業者などにより構成される道路工事調整会議において、施工時期の調整を定期的に実施してきております。
 今後は、道路工事調整会議に先立ち、施工時期が競合する占用企業者と個別の事前調整を密に行うなどの取組も精力的に実施し、当局工事の一層の早期着手、完了を目指してまいります。
 また、繁華街等において、より丁寧な地元対応を行い、十分な施工時間を確保いたします。
 このほか、地下埋設物がふくそうして、掘削による管路の取替えに時間を要していた箇所において、道路を掘削しない工法などを積極的に採用し、工期の短縮を図っていきます。
 こうした取組を徹底し、配水管の耐震継ぎ手化を効率的かつ着実に進めてまいります。

○林委員 いろいろとご事情はあるとは思うんですけれども、現場で、あの手この手といいますか、様々な手法を使って対策を取っていただいて、事業を計画どおり進めていくということは非常に重要なことだと思いますので、引き続きしっかり対策を講じて、配水管の耐震継ぎ手化を精力的に進めていただきたいと思いますけれども、経営プラン二〇一六の計画期間は既に終了しておりまして、新たな目標を設定する必要がございます。
 そこで、令和三年三月に策定した東京水道施設整備マスタープランでは、今後の耐震継ぎ手化をどのように進めていくこととしているでしょうかお伺いしたいと思います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 東京水道施設整備マスタープランでは、震災時における断水被害を一層効果的に軽減するため、優先順位をさらに明確化し、取り組んでいくこととしています。
 具体的には、避難所や主要な駅など、現在進めている重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を令和四年度までに完了させます。その後は、都の被害想定で震災時の断水率が高い地域の取替えを優先的に進めていきます。
 こうした配水管の耐震継ぎ手化を着実に推進し、耐震継ぎ手率を令和十二年度末に六一%まで向上させ、震災時の断水被害の軽減に努めていくこととしています。

○林委員 ありがとうございました。新たな数値目標というものが、優先順位をさらに明確化しというご答弁もありましたけれども、計画として具体的に示されていることは評価をさせていただきたいと思います。
 先日発生した地震なんですけれども、二十三区の一部では、東日本大震災以来、十年ぶりに震度五強の揺れを観測したというニュースもございました。
 私たちは、東日本大震災の経験を通じて多くの教訓を得ていたにもかかわらず、ニュース、報道等でご覧いただいている方も多いと思うんですけれども、まちに帰宅困難者があふれていたということは、近い将来必ず起こるといわれております震災というものに対して、改めて、待ってくれないなということを思うところでございます。
 都民との約束というものを着実に果たしていくべく、この配水管の耐震継ぎ手化について、局を挙げて全力で進めていただくよう強く要望させていただきたいと思います。
 続いて、個別の施設整備の状況について確認をしていきたいと思います。
 施設整備は、安定給水を継続するために計画的に進めることが不可欠でありまして、切迫性が指摘されております首都直下型地震への対応とか、老朽化施設の更新など、多岐にわたって実施しなければなりません。
 都議会自民党は、公営企業会計決算特別委員会をはじめ、議会での質疑を通じて、その進捗状況というものを確認して、厳しく指摘をしてまいりました。改めて、東京水道経営プラン二〇一六の終了に合わせて、プランに掲げた施設整備の状況について確認をしてまいりたいと思います。
 まず、導水施設の二重化です。
 導水施設は、原水を浄水場に送るための重要な施設であり、浄水場と共に整備され、これまで東京の安定給水を支えてまいりました。
 水道局ではこれまで、バックアップ機能を確保できるよう、導水施設の二重化として、第二朝霞東村山線の整備を進めてきておられますけれども、平成二十九年度の公営企業会計決算特別委員会において、第二朝霞東村山線の完成時期を、平成三十年度から令和二年度に見直すと答弁をされています。
 そこで伺いますけれども、この第二朝霞東村山線は令和二年度に完成したのでしょうか。また、この導水施設はどのような効果があるのでしょうかお伺いしたいと思います。

○田中建設部長 第二朝霞東村山線の整備は、想定外の大きな玉石の出現による度重なるシールド機械の掘進停止により、トンネル築造工事に遅れが生じたことから、完成時期を令和二年度に見直しました。その後、トンネル内配管工事等の安全管理と工程管理を徹底し、工事を進め、令和三年一月に完成し、三月から運用を開始しております。
 第二朝霞東村山線の完成により、利根川水系と多摩川水系の原水の相互融通機能が強化され、給水の安定性が向上しました。
 また、既設の導水管である朝霞東村山線のバックアップ機能の確保が図られたため、その更新工事が可能となっております。

○林委員 ありがとうございます。一月に完成をされて、令和三年の三月から運用が開始されたということですね。
 利根川水系と多摩川水系を相互に融通できるこの線、いわゆる原水連絡管というものは、渇水や事故時等に大きな役割を果たす極めて重要な導水管であります。これまで都議会自民党は、二重化の早期の完成を求めてまいりましたが、ようやく完成したということで、給水の安定性、バックアップ機能が確保されたことは高く評価したいと思います。
 しかし、当初の予定を変更されて、完成時期を見直さざるを得なかったことは誠に遺憾でありまして、引き続き実施される既設の朝霞東村山線の更新については、いろいろ大変だと思うんですけれども、計画どおり進めていただくようにお願いをしたいと思います。
 次に、送水管のネットワーク化であります。
 送水管は、浄水場でつくられた水道水を給水所に送る重要管路ですから、災害や事故時におけるバックアップ機能を強化する必要がございます。
 そのため、水道局はこれまで、送水管のネットワーク化として、複数の管路の整備を進めてまいりましたけれども、平成二十九年度の公営企業会計決算特別委員会において、第二朝霞上井草線の完成予定時期を、当初の令和二年度から変更して、令和五年度完成に向けて施工中というふうにご答弁いただいています。
 そこで、第二朝霞上井草線整備の進捗状況について伺わせていただきます。

○田中建設部長 第二朝霞上井草線の整備は、立て坑工事において想定以上の軟弱地盤が存在したことや、朝霞浄水場内の老朽管の更新工事を追加したこと等により、完成予定時期を令和五年度に変更しております。
 トンネル築造工事においては、大きな玉石の影響による遅れが生じたものの、トンネル内配管等の複数の工事を並行して進めるなど、工程の前倒しを図っており、予定どおり令和五年度に完成する見込みでございます。
 引き続き、安全管理に万全を期すとともに、工事に遅れが生じないよう工程管理を徹底してまいります。

○林委員 この第二朝霞上井草線は、朝霞浄水場と上井草給水所を結ぶ都内最大の送水能力を有する送水管の二重化ということでありまして、その安定給水を確保するために重要な事業であります。
 現時点で工事の遅れはないようで、予定どおり完成する見込みということでございますけれども、都民の安心・安全のためにも、完成予定時期を守るということだけではなくて、一日でも早く完成するようお取り組みいただくようお願いしたいと思います。
 次に、給水所の新設、拡充です。
 給水所は、平常時の安定給水はもとより、災害等で断水したときは、給水拠点として水道水を地域住民に供給する重要な施設であります。
 水道局はこれまで、事故時等における断水の影響が広範囲に及ばないよう、新たな給水所を整備してまいりましたけれども、平成三十年度の公営企業会計決算特別委員会において、上北沢給水所の完成予定時期を、令和元年度から令和三年度に見直す予定というふうにご答弁されています。
 そこで、上北沢給水所の整備の進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

○田中建設部長 上北沢給水所の整備は、掘削工事において、近接する首都高速道路の橋脚への影響を回避するため、地盤改良工事の範囲を拡大したこと等により、完成予定時期を、令和元年度から三年度に見直すことといたしました。
 その後、土質状況が事前のサンプリング調査と一部異なることが判明し、地盤改良の施工に想定以上の時間を要したことから、令和五年度に完成予定時期を見直しました。
 現在は、配水池とポンプ棟の築造工事を実施中であり、今後は、限られた用地内で同時に施工する必要がある電気、機械設備工事等とも綿密な工事調整を行い、工程管理を徹底してまいります。

○林委員 上北沢給水所は、世田谷区とか杉並区の一部地域の約二十四万五千人に水道水を供給する給水所ということであり、事故時等のバックアップや震災時の給水の要となる重要な施設であります。もともと令和元年度だった完成予定時期を一旦三年度とした上で、さらに五年度に見直したというのは、先ほど、事前のサンプリング調査と一部異なる云々とおっしゃっていましたけれども、いかなる理由があったとしても、いかがなものかなというふうに思っております。
 このような経緯を聞きますと、果たして適切な進行管理というものが行われていたのかなと疑問すら感じるところなんですけれども、今回は令和二年度の決算審査の場ですので、これ以上質疑は行いませんけれども、引き続き厳しく注視してまいりたいというふうに考えておりますし、議会での質疑等を通じて、施設整備マスタープランに掲げた水道局の施設整備に関する進捗状況というものをしっかりと検証させていただきたいと思っております。
 次に、多摩地区における水道の風水害対策について確認をいたします。
 水道事業は、将来にわたって安定給水を確保していくということが至上命題でございまして、このため、中長期的な視点に立って、マスタープランに基づいて実施している管路や給水所等の施設の整備状況をこれまで確認してまいりました。
 一方、多摩地区においては、近年、安定給水を脅かす自然災害というものが頻発していることから、緊急に取り組むべき課題も多いのが実情でございます。
 特に、一昨年、令和元年ですかね、台風十九号の記録的な豪雨に伴って発生しました都道日原街道の崩落によって、埋設されている水道管が損傷して、奥多摩町では約二千六百戸が断水するなど甚大な被害が発生しています。
 また、本年七月には、同じく奥多摩町において、降雨後の土砂崩れに伴う国道四一一号線の通行止めや、停電、通信の不通が発生しております。
 こういった教訓を踏まえて、多摩地区の山間部を中心とした水道施設の風水害対策を推進することは急務と考えるところですけれども、風水害を対象としました多摩地区山間部の水道施設の課題について伺いたいと思います。

○佐藤技術調整担当部長 山間部の河川では、台風や豪雨の際に急激な増水や濁りが生ずるなどの特性があります。このため、河川から取水している浄水施設では、流木の漂着や土砂の流入などによって取水口が塞がれたり、浄水処理に支障を来すおそれがあります。
 管路については、埋設されている道路が河川沿いや崖に面していることが多いため、大雨による道路崩落などにより損傷することが懸念されます。
 また、給水所や配水所等においては、地形的な制約などにより、多くの施設が一系統受水となっていることから、被災による受水停止のリスクが高い状況にあります。
 さらに、ポンプ設備や監視制御設備は、電力や通信のネットワークが市街地と比較して脆弱であるため、停電や通信障害が発生した場合には、運転に支障を生ずる懸念があります。

○林委員 今のご答弁で、多摩地区の山間部の水道施設そのもの、そして、施設を運営する上での、一系統受水とか、市街地と比較して脆弱であるとか、様々なリスクがあるということが分かりました。
 そのうち、まず、土砂流入や道路崩落等によって水道施設そのものが損傷するリスクへの対策についてどのように取り組まれているのか、令和二年度実績を含めてお伺いしたいと思います。

○佐藤技術調整担当部長 浄水施設については、原水の濁度が急激に上昇した場合にも対応できるよう、これまで、大丹波浄水所や小河内浄水所に膜ろ過処理を導入してきており、令和二年度は、日原浄水所において調査に着手しました。
 また、取水口の閉塞対策として、流木や土砂の流入を防止する改良工事を行っており、整備が必要な三か所のうち、令和二年度では二か所で着手し、令和三年八月までに完了しました。
 さらに、道路が崩落しても抜け出しにくい耐震継ぎ手管への取替えを、令和二年度から河川沿いの水道管を優先して行っております。
 加えて、給水所への受水ルートの二系統化に着手するとともに、二系統化が困難な配水所等の施設においては、配水池容量を拡充し、給水を可能な限り確保することとしており、令和三年度に二か所で設計に着手いたします。

○林委員 流木、土砂の流入や道路崩落等への備えというものを着実に実施されているということが分かりました。
 一方で、先ほどのご答弁では、浄水所やポンプ所等の運転の継続に欠かせない電力や通信の確保にも、停電、通信障害などのリスクがあるというお話でございました。
 そこで、この停電とか通信障害のリスクへの対応についてはどのように取り組まれてきたのか、令和二年度実績を含めて伺いたいと思います。

○佐藤技術調整担当部長 水道局では、停電対策として、施設整備マスタープランに基づき、給水所などにおいて、七十二時間運転できる自家用発電設備の整備を進めております。
 多摩地区においては、浄水所などの二十九か所で整備を予定しており、令和二年度は八か所で工事を実施し、上代継浄水所及び小川東増圧ポンプ所の二か所で整備を完了しました。
 また、通信障害への対策として、有線の通信回線が不通となった場合に備え、新たに、無線回線により施設の運転状況を確認できるモニタリングシステムを令和三年度に二十五か所で整備する予定でございます。

○林委員 ご答弁ありがとうございました。これまでの質疑で、台風や豪雨などの災害に対してもリスクを軽減させるべく、様々な対策を着実に進めているということが分かりました。
 昨今、自然災害の激甚化が進んでいることに鑑み、都民生活に欠かせないライフラインであります水道の安定した供給を引き続きしっかり進めていただきますよう要望させていただきます。
 本日は、水道事業の財政運営や施設整備の状況などについて質疑を行わせていただきました。
 ご答弁いただいたように、現場においては様々な要因があって、必ずしも計画どおりに施設整備が進まないということは理解できなくもないんですけれども、安定した給水の実現のためには、安全管理に十分配慮しつつも、これまでにも増して計画性を持って、鋭意取り組んでいく必要があると思います。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大している中でも、健全な財政運営が維持されてきたことや、災害への対応にも着実に取り組んでいることは確認させていただきました。
 こうしたことから、令和二年度の水道局の事業運営については評価をするものですけれども、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとして、引き続き適切な事業運営を行っていく必要があります。
 今後とも、水道局の事業運営を注視していくことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○森口委員 令和二年度東京都水道事業会計決算について質疑を行います。
 現在、落ち着きを見せているとはいえ、新型コロナウイルス感染症の影響はいまだ続いており、都民の生活様式についても多大な変化をもたらしています。
 そのような中においても、水道局は、安全でおいしい高品質な水を安定して供給していく責務を果たすことで、都民の生活を支えていかなければなりません。
 そうしたことを踏まえて、水道局が令和二年度に行った事業運営について質疑を行います。
 初めに、支払い猶予について伺います。
 都は、令和二年三月から、厚生労働省、国土交通省から通知を受け、水道料金、下水道料金の支払いが困難な方に対し、支払い猶予の受付を実施しています。
 改めて、水道料金、下水道料金の支払い猶予制度がどのようなものか伺います。

○金子サービス推進部長 支払い猶予制度は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、水道料金、下水道料金の支払いが一時的に困難になったお客様を支援するため、申込みから最長一年間の支払い猶予を実施するものであり、個人、法人に関係なく、全てのお客様を対象としております。
 また、一度支払い猶予制度を利用された方でも、対象料金を完済された方は、改めて申し込むことが可能でございます。

○森口委員 新型コロナウイルス感染症の拡大により経済的な影響を受けた都民にとっては重要な支援であります。令和二年九月三十日に、感染状況を踏まえ、一旦受付を終了しましたが、依然として経済への影響が懸念されていたことから、我が会派は、支払い猶予の新規受付を再開するよう要望し、それを受け、都は、令和二年十一月十六日から受付を再開しております。
 そこで、令和二年度末までの支払い猶予の受付実績について伺います。

○金子サービス推進部長 支払い猶予の受付を開始した令和二年三月二十四日から令和三年三月末までの水道料金、下水道料金の支払い猶予の受付実績は、申込み件数が二万一千六百八十八件、猶予総額が約十四億九千万円となっております。

○森口委員 多くのニーズがあり、都民生活を支える上で大きな効果があったものと考えられます。
 現在、第五波は終息傾向にあるものの、専門家からは、感染拡大の第六波を懸念する声もあり、感染状況の推移と併せ、経済への影響についても注視していくことが必要です。
 そこで、支払い猶予制度について現在どのように対応しているのか伺います。

○金子サービス推進部長 当局では、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済への影響が依然として大きいことから、令和三年九月三十日までとしていた水道料金、下水道料金の支払い猶予の受付期間を令和四年三月三十一日まで延長しております。
 また、猶予期間終了後も支払いが困難なお客様については、期間一年以内の分割支払いなど、個別の状況等を踏まえた相談に応じることとしており、お客様に寄り添った対応をしております。
 今後も、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、適切に対応してまいります。

○森口委員 コロナ禍における経済支援について理解ができました。引き続き取組をお願いいたします。
 水道事業は、公衆衛生についても重要な役割を担っており、私も今回改めてその重要性を認識いたしました。
 水道局は昨年、公衆衛生の向上などの観点から、子供たちに手洗いの重要性を啓発し、あわせて、水道事業に対する理解を深めるため「うつらない!うつさない!みんなで手洗い東京水キャンペーン」を行い、都内の小学校にポスターやハンドソープを配布しております。
 「うつらない!うつさない!みんなで手洗い東京水キャンペーン」について、令和二年度の実績と効果を伺います。

○金子サービス推進部長 新型コロナウイルス感染症をはじめ、感染症の拡大防止には、手洗いなどによる予防が効果的であることから、当局では、子供たちに手洗いの重要性を啓発するとともに、手洗いに欠かせない水道に対する理解促進を図ることを目的として、本キャンペーンを実施いたしました。
 本キャンペーンでは、昨年九月から、順次、都内の小学校及び小学部のある特別支援学校約千三百校に対し、一校当たり、手洗いを推奨するポスター七枚とステッカー十二枚と共に、ハンドソープ五百ミリリットル入りボトル十四本、詰め替え用五キログラムを配布いたしました。
 この使用状況についてアンケートを実施した結果、回答いただいた学校のうち約八割から、ポスターは正しい手洗いを実施する上で参考になったと回答いただきました。
 また、ステッカーが目に留まると、しっかり手を洗おうという気持ちと同時に、水道水の大切さも感じているなどの意見が寄せられたことから、水道事業への理解促進にもつながったと認識しております。

○森口委員 今年度も規模を拡大して実施を予定していると聞いていますが、年末にかけ、インフルエンザの流行も危惧がされており、公衆衛生にとっての水道の役割を都民に広く認識してもらうことは大変重要であり、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 昨年度以降のコロナ禍により、人々の生活は大きく変化しています。
 こうした中にあっても、水道事業は、都民生活を支える重要なライフラインであることから、水道事業への理解を促進する活動は重要であります。
 水道局ではこれまでも、PRイベントを活用した広報活動を実施していましたが、人が多く集まることで感染の拡大を招いてしまうことがあってはならず、広報活動にも工夫が必要と考えます。
 そこで、コロナ禍においてPRイベントについてはどのような工夫をし、実施したのかお伺いいたします。

○金子サービス推進部長 昨年度は、新型コロナ感染症拡大防止のため、三密防止やステイホームを呼びかけていたことから、これまで毎年六月に対面型で行っていた水道ふれあい月間イベントに代え、ご自宅等から時間、場所を問わず手軽に参加できる非接触型のウェブキャンペーンを八月下旬から十一月下旬まで実施いたしました。
 このキャンペーンは、高品質な東京の水道水をマイボトル等で飲用することを都民に働きかけることにより、環境に優しいライフスタイルを推奨するため、ウェブ上の東京スマイルボトルプロジェクトの特設サイトで行いました。
 特設サイトは、クイズやマイボトルのプレゼントなど、コンテンツの充実にも努めるとともに、インフルエンサーや人気キャラクターのSNSを活用して周知いたしました。
 こうした工夫により、特設サイトには、期間中三万六千回を超えるアクセスがあり、対面型のイベントと比べても非常に多くの方にご参加いただくことができました。

○森口委員 コロナ禍においても様々工夫をし、効果的な広報を行ってきたことが分かりました。今後もこのような取組を継続していただきたいと思います。
 次に、水道局所管の政策連携団体である東京水道株式会社について伺います。
 東京水道株式会社は、令和二年四月に東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCが統合して業務を開始しましたが、統合に当たっては、同社は、ガバナンスの強化やコンプライアンスを徹底することなどを目的に、監査等委員会設置会社へと移行をしています。
 民間での導入実績も限られている中、都の政策連携団体が監査等委員会設置会社へ移行したこと、また、会社法では、監査等委員である取締役は三人以上で、その過半数は社外取締役でなければならないと規定されていますが、それを超えて、委員会を構成する委員全員を社外取締役としたことは先駆的な取組であると評価をしています。
 そこで、監査等委員会設置会社としたことの効果は発揮されているのかお伺いいたします。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の監査等委員会は、株主総会に提出される議案等の監査や、監査方針及び監査計画の策定のほか、取締役の選任に関する意見や、会計監査人の選任の適否等の決定など、従来の監査役よりも広い権限を持ち、経営の適法性や妥当性をチェックしております。
 また、同社の監査等委員は、社外取締役として、令和二年度に計十九回開催された取締役会などの重要会議に出席し、法律や会社経営に関する専門的な見地から実務的な助言を行っております。
 同社では、これらの助言を踏まえ、経営上の主要なリスクに対するマネジメント体制の構築、社員の労働環境や超過勤務の状況を考慮した人事配置の見直し、収支管理の強化に向けた人事、給与、会計システムの改善の検討などに取り組んでおります。

○森口委員 監査等委員会がしっかり機能していることが改めて確認できました。
 その上で、東京水道株式会社が会社経営等の経験を有する監査等委員の意見を速やかに事業運営に反映させるために、都としても、その意見を踏まえて同社と向き合っていくことが必要と考えますが、水道局では、監査等委員の意見をどのように受け止めているのかお伺いします。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の監査等委員の意見は、企業経営等の実務経験に基づいており、事業運営に対する客観性を確保する観点から、同社だけではなく、当局においても貴重なものでございます。
 監査等委員からは、当局に対して、同社の組織や権限の在り方などに関する意見や、委託業務の業務プロセスの改善に向けた必要な協力の要請が提出されております。
 また、局長と監査等委員との意見交換を令和二年度には二回実施し、同社との連携強化に関する有益なご意見をいただいております。
 当局といたしましては、このような意見を東京水道グループ全体で取り組むべき重要な事項であると受け止め、局長や同社の社長等で構成するグループ経営戦略会議などにおいて議論し、必要な改善を行うなど、さらなる業務運営の質の向上を図っております。

○森口委員 東京水道グループ全体で取り組んでいることを確認することができました。
 社外取締役で構成する監査等委員会を活用する仕組みは有益なものであり、今後ともしっかりと活用を図っていただきたいと思います。
 次に、東京水道株式会社の社員の意欲向上策について伺います。
 会社にとって一番の財産は、そこで働く一人一人の社員であり、それぞれの社員が有する技術、ノウハウにあります。技術やノウハウを持った社員を活用して事業を安定的に運営していくためには、社員が意欲的に働ける環境を生み出していくことが必要です。
 そこで、社員の働く意欲を引き出すために実施した取組について伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、コミュニケーションを活性化させ、社員の働く意欲を引き出すために、働く環境や業務の改善に取り組んでおります。
 具体的には、同社では、部署横断的な社員で構成する若手発想PTや、社内報の編集委員会を設置し、風通しのよい職場環境づくりを進めております。
 また、同社の幹部が全事業所を訪問し、現場の社員との意見交換を行うなど、社員のモチベーションの向上に努めております。
 さらに、個人情報紛失のリスクの低減やペーパーレスの推進に寄与するタブレット端末を導入するなど、デジタル技術を活用し、業務の改善を図っております。
 加えて、業務上の技術的な課題の検討のほか、人材育成の方針に関する検討や、一時宿泊療養施設の支援業務を当局職員と同社社員が共同で実施することで、同社社員の東京水道グループの一員としての意識を醸成しております。

○森口委員 水道事業に関しては、ほかの事業体ではコンセッション方式の導入の例もありますが、引き続き、都においては、水道局が政策連携団体と連携してグループ経営を推進する方針となっています。
 水道局の職員はもちろん、東京水道株式会社で働く社員がモチベーションを高く維持し、東京水道グループが一丸となって業務に取り組み、引き続き、安定給水の確保に万全を期し、基幹的なライフラインとしての使命を果たしていくことを強く要望し、質問を終わります。

○たかく委員 令和二年度東京都水道事業会計決算並びに令和二年度東京都工業用水道事業会計決算に関連し、順次質問させていただきます。
 東京都での人口推計では、二〇二五年をピークに人口も減少に転じ、二〇六〇年にはピーク時から約一六%減少するともいわれております。
 この人口減少は、水道料金の収入減少にも直結し、老朽化対策等に向けての施設整備など、水道事業に不可欠な経費の不足にもつながってまいります。この人口減少に加え、今、環境危機等、東京の水道事業をめぐる状況は新たな局面を迎えることになります。
 さて、気候変動がもたらす影響が深刻化し、豪雨による河川の氾濫や土砂災害など、自然災害の脅威が高まっております。
 こうした中、東京都も令和元年に、二〇五〇年に世界のCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現を発表するとともに、気候変動に対する緩和策と適応策の総合的な展開や、資源利用に伴う都内外のCO2削減等、あらゆる分野における施策を進化、加速させることを盛り込んだ新たな戦略を策定しました。
 水道局では、こうした大きな変化を踏まえ、長期的な視点で将来像を描きつつ、五年間の環境対策の基本的な考え方と取組及び目標を明らかにした東京都水道局環境五か年計画二〇二〇-二〇二四を令和二年三月に策定いたしました。
 最初に、東京水道環境五か年計画の進捗状況についてお聞きいたします。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 東京都水道局環境五か年計画二〇二〇-二〇二四では、二酸化炭素排出量の削減、健全な水循環と豊かな緑の保全、持続可能な資源利用、多様な主体との環境コミュニケーションの四つの環境基本方針の下、三十七の具体的な取組事項を設定し、取組を進めております。
 CO2排出量の削減につきましては、省エネルギー化の推進や再生可能エネルギーの導入拡大を図っており、本計画初年度である令和二年度には、玉川給水所に省エネルギー型ポンプ設備二台を導入するとともに、金町浄水場及び上北台給水所に、計百八十九キロワットの太陽光発電設備を設置し、目標を達成いたしました。
 また、水源林の保全につきましても、間伐、枝打ちなどの保全作業を六百二ヘクタール実施し、目標を達成しております。
 このほか、持続可能な資源利用と多様な主体との環境コミュニケーションにつきましても、計画の達成に向けて取り組んでおります。

○たかく委員 今、水道局では、首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとして、安全でおいしい高品質な水を安定して提供し続けていくとともに、豊かな地球環境を次世代に引き継いでいくため、全力で取り組んでいくことを求めます。
 次に、空気弁の耐震化について伺います。
 十月七日に最大震度五強の地震が東京都で発生いたしました。東京二十三区で震度五強の揺れを観測したのは十年前に発生した東日本大震災以来です。
 先日の地震では、断水被害はなかったものの、二十三か所で漏水が発生し、道路上に水が流れる事態が発生いたしました。主な原因は、水道管附属設備である空気弁等の不具合によるものとのことでした。水道局では、東日本大震災でも空気弁の損傷を原因とする漏水が発生したことを踏まえて、対策を行ってきたと聞いております。
 そこで、東日本大震災後、水道局がその対策及び点検をどのように進めてきたのか伺います。

○藤村給水部長 空気弁は、水道管の中にたまる空気を排出するなど、管路を維持管理する上で重要な設備であり、都内に約一万六千か所設置しております。
 東日本大震災では、八十か所の大型空気弁に地震動による不具合が生じ漏水被害が発生したため、約九千か所の大型空気弁について、平成二十五年度から、小型、軽量化された地震動に強い空気弁への取替えを行い、令和元年度に完了しております。
 また、空気弁の点検は、全ての設置箇所を対象に、七年から十年をかけて行っており、令和二年度は約二千三百か所の点検を行いました。点検結果はおおむね良好であり、不具合等があった箇所については適切な補修を行っております。

○たかく委員 今の答弁では、小型、軽量化された地震動に強い空気弁への取替えを行って令和元年度までに完了している、また、空気弁の点検を行ってきたということでありましたが、東日本大震災を踏まえ対策を実施してきたことは理解しましたが、今回も空気弁の不具合が原因と見られる漏水が発生したわけでございます。なぜそういう事態が発生したのか、今後しっかりと検証を行っていただきたいことを要望させていただきます。
 次に、震災時の水の確保について伺います。
 十月七日の地震では断水などは生じませんでしたが、もし、首都直下地震が発生し、震災時に甚大な被害が生じた場合、多くの被災者が避難所での生活を余儀なくされるわけでございます。避難所への水の供給が途絶えた場合には、被災者の生活はもとより、衛生上の問題が生じる等、都民の生命に関わる事態が想定されます。
 こうした事態を防ぐため、我が党では、避難所での水の確保に向けて、供給ルートの配水管の耐震継ぎ手化や給水管の耐震化を迅速に進めるよう提言してまいりました。その取組や進捗について確認させていただきます。
 まず、避難所での給水確保に向けた取組状況について伺います。

○藤村給水部長 当局では、災害時の避難所での給水を確保するため、避難所への供給ルートとなる配水管の耐震継ぎ手化と、配水管から分岐する水道メーターまでの給水管の耐震化を実施しております。
 配水管の耐震継ぎ手化は、避難所の中でも収容人数が相対的に多い中学校への供給ルートを優先的に進めており、令和二年度末で九九%の耐震継ぎ手化が完了しました。
 また、避難所となる小学校や大学、高等学校及び公民館等への供給ルートの耐震継ぎ手化は、令和二年度末で八二%完了しており、中学校への供給ルートと併せて、令和四年度までに完了する予定です。
 給水管については、令和二年度に四十五施設の耐震化を実施したことにより、避難所の給水管の耐震化は完了いたしました。

○たかく委員 配水管の耐震継ぎ手化や、また給水管の耐震化が進んでいることは確認いたしました。
 しかし、避難所建物内の蛇口が被害を受けると水が使えません。このため、水道局では、避難所の敷地内の耐震化された給水管に蛇口つきのスタンドパイプを取り付けられる応急給水栓の設置を進めてきたということを聞いております。
 そこで、応急給水栓の設置状況について伺います。

○藤村給水部長 当局では、平成二十九年度から、耐震化された給水管に蛇口つきのスタンドパイプを取り付けられる応急給水栓の設置に取り組んでまいりました。
 令和二年度は百二十五施設に設置し、その結果、対象としている避難所二千二十一施設について、全て設置を完了しました。
 これにより、避難所建物内の給水管に万一被害が生じたとしても、避難所における、より迅速かつ安全な応急給水が可能となりました。

○たかく委員 今の答弁で、全ての避難所二千二十一の施設について、令和二年度で全て設置を完了したということは理解いたしました。
 避難所は、発災時に多くの都民が集まる場所であり、そこでの水の確保は避難時の生活環境や公衆衛生を確保し、ひいては都民に安心感を与えるものになります。非常用設備である応急給水栓は使われないことにこしたことはありませんが、いざというときにはその機能がしっかりと確実に発揮されることを期待いたします。
 さて、水道局では、令和元年度に九台、令和二年度に七台の給水車を新たに購入して、合計三十台の体制として、応急給水体制を拡充したと聞いております。
 そこで、給水車の配備体制が拡充したことにより、どのような効果があったのか伺います。

○石井総務部長 当局ではこれまで、杉並区にある水道緊急隊に十台、多摩地区に四台の給水車を配備し、水道緊急隊の十台は、区部だけでなく、多摩地区の応急給水も担うこととしてまいりました。
 令和二年度までに新たに十六台の給水車を区部の九か所に分散して配備したことで、特に水の確保が人命に直結する病院などの区内の現場に、これまで以上に迅速に駆けつけられる体制を確保しました。
 また、これにより、水道緊急隊の十台による多摩地区へのバックアップ機能も拡充されたものと考えております。

○たかく委員 水道局における災害時の応急給水体制が充実強化されたことは確認いたしました。
 次に、給水所の整備について何点か伺いたいと思います。
 今回の地震では大きな被害はありませんでしたが、一たび断水が起きれば、都民生活や都市活動に多大なる影響を及ぼすこととなり、災害や事故などに備えた対策が不可欠と考えます。
 特に給水所は、平時はもとより、非常時の応急給水拠点として、地域にとっても欠くことができない重要な施設であります。これらの給水所の中には老朽化が心配される施設も多分にあると聞いております。
 そこで、給水所の現状及び更新の考え方について、まず伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 給水所は、主に昭和三十年代後半から整備され、古い施設では五十年以上が経過しており、順次更新が必要であります。
 このため、令和三年三月に策定した東京水道施設整備マスタープランにおいて、給水所の更新の方向性を定めています。
 具体的には、構造物の劣化予測を実施し、損傷が進行する前に補修を行う予防保全型管理による施設の長寿命化を踏まえ、適切な更新期間を設定します。
 また、更新工事に伴い低下する配水池容量は、送水管ネットワーク等の活用により確保します。
 こうした取組により、安定給水を確保しながら計画的に更新してまいります。

○たかく委員 給水所の更新について計画的に取り組んでいくとのことですが、私の地元である世田谷区においても、老朽化している和田堀給水所で今工事が進められております。
 この和田堀給水所の役割と整備目的、令和二年度の取組状況等について伺います。

○田中建設部長 和田堀給水所は、世田谷区や渋谷区のほか、首都中枢機能が集積する都心部へも送水する重要な施設であります。しかし、築造から九十年が経過しており、老朽化により耐震性が十分ではない状況にあるため、施設の全面的な更新工事を実施しております。
 本工事では、耐震性を確保するとともに、六万立方メートルの配水池容量を十一万立方メートルに拡充し、給水の安定性を向上させていきます。
 また、工事期間中も給水所の機能を維持するため、既存の二つの配水池を分割して更新することとし、第一期工事として、まず、二号配水池の更新工事を実施しております。
 第一期工事は、平成二十三年度に準備工事に着手し、令和元年度までに二号配水池の撤去工事、土留め及び掘削工事が完了しております。
 令和二年度からは、新設する二号配水池及び配水ポンプ所の築造工事に着手しております。
 今後も、第一期工事の令和六年度完成に向けて着実に工事を推進してまいります。

○たかく委員 老朽化に伴い改築工事をする際に、給水所の上部を利用しているところは多くあります。私は以前、給水所の視察で豊住給水所等へ行ってまいりました。そこでは、給水所上部に公園や野球場やテニスコートなどが整備されておりました。
 そこでお聞きいたします。
 給水所での上部利用の具体例をお聞かせください。

○金子経理部長 給水所の上部利用につきましては、局事業への影響を十分に踏まえた上で、用地取得時や整備工事などにおける条件や経緯、地元自治体からの要望などを総合的に勘案し、使用許可等を行っております。
 現在、九か所の給水所等におきまして上部利用しており、用途としては、主に、地元の住民の方などにご利用いただく公園のほか、テニスコートや野球場などの運動施設として使用を認め、地元の区市が運営しているところでございます。

○たかく委員 私は以前、世田谷区議会で、和田堀給水所の改築に合わせて、上部空間を公園等に整備することを何度も提案してまいりました。この地域は公園等が極めて少ない地域でもあり、地域の方々から、上部空間を活用した公園やスポーツ施設としての活用も要望されております。区の計画や要望を十分に踏まえながら、改築に合わせての上部利用を求めて、次の質問に移ります。
 次に、工業用水道から上水道への切替えの進捗状況について伺います。
 平成三十年第三回定例会で、令和四年度末に工業用水道事業が廃止されることが決定、令和元年度より上水道への切替えを開始し、令和二年度末で廃止までの折り返し点が経過しました。令和四年度末の事業廃止までに切替えを完了させなければなりませんが、令和二年度までの切替えの進捗状況を確認したいと思います。
 初めに、工業用水利用者と一般雑用水の利用者四百七十六件について、過去二年の切替えの進捗及び調整状況について伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 令和二年度は、当初計画の百六十件に対し百七十件の切替えを行っておりまして、令和元年度の百二十九件と合わせて、二か年で二百九十九件の切替えを行っています。結果、四百七十六件の対象者のうち六割を超える切替えが完了しております。
 残りの百七十七件の利用者に対しても、既に全ての利用者を訪問し、支援計画や切替えについての説明を行っています。その中で、節水設備などの設置支援を希望する利用者には、詳細な支援内容や自己負担等について説明を行っています。
 上水道への切替えについては利用者の理解を得られておりまして、支援を希望する利用者とは、具体的な支援内容について引き続き丁寧に調整を続けてまいります。

○たかく委員 今の答弁ですと、今後二か年で残り約四割、百七十七件の利用者の切替えが必要で、引き続き、利用者の視点に立った調整をお願いいたします。
 次に、集合住宅について伺います。
 実に切替え対象約三万五千件という数を抱え、切替えが終わるのか最も懸念いたします。日常生活に直結することもあるので、確実に切替えを進めていくべきと考えます。
 集合住宅の過去二か年の切替えの進捗及び調整状況について伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 令和二年度は、当初計画の一万一千七百二十九件に対し、四千八百三十七件の切替えを行っておりまして、元年度の百七十一件と合わせて、二か年で五千八件の切替えを完了していますが、計画どおりに進んでいない状況であります。
 その要因は、主に、令和元年度及び二年度上半期は、建物管理者との調整に時間を要したこと、また、新型コロナウイルス感染症の影響による工事着手の遅延や、住民説明会等の中止によるものであります。
 しかし、関係各所との調整を行い、令和二年度下半期からは本格的に切替え工事を進めています。
 住民説明会等が開けない中においても、自治会役員等の意向に応じ、事前の案内ビラを全戸に配布するなど、居住者の理解を促進してきました。
 これにより、切替え工事に必要な同意書を、令和二年度の未施工分に加え、令和三年度の早期施工分もおおむね取得しています。

○たかく委員 令和四年度で工業用水道の事業を円滑に廃止するには、今後二か年で残りの切替えを確実に行う必要があります。工業用水利用者と一般雑用水の利用者については、かねがね計画どおりに進捗しておりますが、しかしながら、集合住宅はなかなか計画どおりに進んでおりません。
 そこで、集合住宅の切替えを確実に完了させるために、どのように遅れを取り戻すご予定かお聞きいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 集合住宅における切替え工事は、建物管理者が施工を行っていることから、居住者と調整する当局と建物管理者との連携が重要となります。
 当局では、切替え工事が円滑に進むよう、同意書取得の際に、居住者から寄せられた施工時期などに関する要望について、適宜、建物管理者に対して情報提供を行っています。
 また、当局と建物管理者が事前に現場に赴き、共同して工事に関する調整を行うなど、綿密な連携を図っています。
 これらの取組により、令和三年度当初から切替え工事は順調に進んでおり、八月末時点で既に約三万五千件のうち約一万六千件と、四割程度の切替えが完了しています。
 居住者にとって必要不可欠な生活用水であることを念頭に置き、着実に取り組んでまいります。

○たかく委員 今の答弁ですと、八月末時点で一万六千件と、四割程度の切替えが完了したということを承りました。
 我が党としても、工業用水道利用者の理解を得ながら、確実に切替えを完了させることを要望させていただき、質問を終わります。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
 では、私からは、水道管の耐震継ぎ手化と工業用水道、新型コロナ感染拡大に伴う水道料金の支払い猶予について伺います。
 まず、耐震対策についてです。
 今月、十月七日の深夜に千葉県北西部地震が発生し、都内では東日本大震災以来初めてとなる震度五強を観測しました。この中で、都内では二十三か所で水道のマンホールから溢水が発生し、特に、最大震度を観測した私の地元の足立区では五か所のマンホールから溢水が起きました。
 改めて、首都直下型地震などに備えて、都民のライフラインである水道設備を最大限に守っていく対策が必要だということが再認識されました。今回の溢水の今後の検証というものが必要だと思いますけれども、これまでの取組について伺っていきたいと思います。
 配水管の耐震継ぎ手化についてですけれども、水道局では、震災に備えて、都は重要な対策と位置づけて進めてきました。特に重要施設への供給ルートを優先的に進めてきましたが、その昨年度の進捗について伺います。

○藤村給水部長 首都中枢機関や避難所、主要な駅などの重要施設への供給ルート全体の整備計画延長は約千五百四十七キロメートルでございます。
 この計画に対して、令和二年度に百三十一キロメートルを整備し、千三百八十三キロメートルの耐震継ぎ手化が完了しました。
 これにより、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率は、令和元年度末の八三%から、令和二年度末で八九%となっております。

○斉藤委員 昨年、二〇二〇年度末までに全体で八九%まで完了したということです。その中でも災害時に避難所として利用される施設は重要だと思います。
 各施設ごとの詳細について、避難所となる中学校では九九%まで進んでいると先ほどもお話がありましたが、もともとは令和元年度、二〇一九年度での完了を目標にしていました。
 あと一%残っているということはどのような理由によるものでしょうか。

○藤村給水部長 避難所となっている中学校への供給ルートについて、耐震継ぎ手化が完了できていない理由は、他企業工事等との施工時期の調整により、当初予定していた時期までに施工できなかったことや、地下埋設物のふくそうにより施工方法の見直しが必要となったことなどによるものでございます。

○斉藤委員 ほかの工事との調整や、地下埋設物が重なっているという事情があるということで、先ほどもお話がありましたけれども、他企業工事との調整等を積極的に行っていくというお話もありました。いろいろご苦労があるということと思いますが、いざというときに都民の命を守る大切な施設ですので、迅速に、着実に進めていただきたいというふうに思います。
 特に、ほかの中学校も、今後、ほかの避難所と同様に、二〇二二年度までの完了を目指して取り組んでいくということでしたので、着実に行っていただきたいというふうに思います。
 避難所としては、ほかに小学校や高校、大学など施設がありますが、これらの施設は二〇二二年度の完了目標になっています。耐震継ぎ手化の二〇二〇年度末までの達成状況と、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。

○藤村給水部長 避難所となる小学校や大学、高等学校及び公民館等への供給ルートの耐震継ぎ手化は、令和二年度末で八二%完了しております。
 引き続き、令和四年度の完了に向けて、他企業工事との円滑な調整や、適切な施工方法の選択などにより、着実な推進を図ってまいります。

○斉藤委員 小学校や高校、大学、公民館等の平均で八二%まで完了しているということです。
 事前にお話を聞かせていただきましたけれども、小学校で八五%、ほかの高校、大学、公民館等で七四%というふうになっています。二〇二二年度まであと一年半を切っている状況ですので、工事の安全等留意しつつ、着実に取組が進むように力を尽くしていただきたいと思います。
 今後の耐震継ぎ手化の計画ですが、東京水道経営プラン二〇二一では、地域全体の断水被害を軽減するため、都の被害想定で震災時の断水率が高い地域を取替え優先地域と位置づけ、当該地域の耐震継ぎ手化を重点的に進め、令和十年度までに解消していくとされています。
 昨年度までの取組として、この断水率をどのように算出しているのか、また、具体的にどういう地域が断水率が高いと想定されているのか伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 断水率は、東京都防災会議が平成二十四年四月に取りまとめた首都直下地震等による東京の被害想定において、東京湾北部地震など四つの地震ごとに、地盤や配水管の材質、耐震継ぎ手化の進捗状況などを勘案して、区市町別に算出したものとして公表されています。
 当局では、この断水率がいずれかの地震で五〇%を超える区市町を取替え優先地域と位置づけています。
 さらに、配水管の取替えや耐震継ぎ手化の進捗状況に基づいて、断水率を毎年度更新しており、令和二年度末時点において、断水率が五〇%を超える区市町は七区八市となっています。

○斉藤委員 断水率は、東京都防災会議が取りまとめている首都直下地震等による東京の被害想定において、東京湾北部地震など四つの地震ごとに区市町別に算出しているということです。
 公表されている資料によると、東京湾北部地震などでは、東部低地帯のエリアや沿岸部の七区で断水率が五〇%を超え、立川断層帯地震では八市の断水率が五〇%を超えているということが分かります。
 一方で、先日の千葉県北西部地震で最大震度を観測した私の地元の足立区は、東京都防災会議が公表している東京区部の地盤区分図で、軟弱層の厚さが二十五メートル以上または四十メートル以上の地域に区分されていて、地震が起きたときに揺れが増幅されやすく、比較的危険度が高い地域というふうにされています。
 しかし、断水率では五〇%未満という想定で、対策の優先地域に入っていなくて大丈夫なのかなという心配もあります。ぜひ、今回の地震、また今後の地震等の影響など、検証も行って、柔軟な対策を進めていただくように要望をさせていただきます。
 次に、工業用水道について伺います。
 前期の二〇一八年第三回定例議会で工業用水の廃止条例が可決され、来年、二〇二二年度末の給水停止、廃止が決まっています。
 現在は、ユーザーの方々の水道水への切替え工事が進められているところですが、工業用水道の利用者の方々は、地下水のくみ上げから地盤沈下を防ぐという、これまでの東京都の行政政策に協力してきた方々です。丁寧な対応が必要だというふうに思いますが、まず、この工業用水道から水道への切替えの進捗状況について、先ほどご質問がありましたけれども、この事業者と集合住宅での、それぞれの利用者全体の数と終了件数を分かりやすくご答弁いただきたいと思います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 令和二年度末までに、工業用水利用者と一般雑用水の利用者については、四百七十六件のうち二百九十九件の切替えを完了しています。集合住宅は、約三万五千件のうち五千八件の切替えを完了しております。

○斉藤委員 工業用水利用者と一般雑用水の利用者については、六割以上の工事が進んでいるということがご答弁から分かります。
 一方で、集合住宅については、まだ一五%弱というところだということです。工業用水から上水道への切替えに当たっては、水道への切替えによる料金の激変緩和の措置なども取られていますが、利用者のお困り事に対しては丁寧に対応していただきたいと思います。
 そこで伺いますが、切替えに当たって事業者や集合住宅の利用者からはどのような声や相談があるのか伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 工業用水及び一般雑用水の切替えに当たっては、工場の規模に合わせた設備の設置に関する相談や、操業に影響がない時期に切り替えてほしいなどの要望を受けています。
 こうした要望に対しては、現地を確認して具体的な提案を行うほか、工場が未稼働となる時期や時間帯に合わせて工事時期を調整しています。
 集合住宅については、切替え時期の問合せがほとんどでありまして、利用者からの日時指定があった場合には、工事を実施する建物管理者に要望を伝え、調整を行っています。

○斉藤委員 工事時期の調整ということですけれども、工業用水道の廃止が決まる前に、私が伺った事業者さんの中には、廃止はやむを得ないとはいえ、水道料金に切り替わった後は事業がどうなるのか心配する声や、節水はどの程度できるかといった声もありました。そうした声にも寄り添って対応していただきたいというふうに思います。
 水道局では、工業用水道の廃止の検討について、事業者に対しては、数年をかけてアンケート調査を行ったり、検討の段階から情報提供を行ってきました。
 一方で、集合住宅での利用者に対しては、二〇一八年の都議会で廃止が決まる直前のお知らせになったという状況がありました。
 集合住宅での個々の利用者の方々への丁寧な対応が求められていますが、集合住宅での利用者へはどのような方法で周知しているか、令和二年度末時点で、自治会だけでなく、全ての世帯にお知らせが届いている状況になっているのか伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 集合住宅居住者には、平成三十年十一月から、工業用水道事業の廃止に関するお知らせを送付し、周知を図っています。
 また、切替え工事初年度の令和元年度からは、工事の概要や上水道料金との差額補填の内容などを説明した資料を、切替え工事に先立ち順次送付し、必要な手続を個別に周知しています。
 なお、一団地五十五戸については、建物所有者の意向により、廃止に関するお知らせの送付を控えてきましたが、現在、建物所有者と工事内容等の調整を行っておりまして、建物所有者との合意を得た後に、居住者にこれらの周知を図っていくこととしております。

○斉藤委員 まだ個々の利用者に、集合住宅での利用者に廃止に関するお知らせが届いていない、こういう利用者がいるということでした。建物所有者に、住民の方々にお知らせする必要性をしっかりとご理解いただいて、お知らせを全ての世帯に早急に届けられるようにしていただきたいというふうに思います。
 廃止に当たって、私のところに相談が寄せられた墨田区の白鬚東地区の集合住宅では、工業用水の廃止の検討がされていた最中に、そのことを知らされないまま工業用水の貯水タンクの更新工事を行ってしまったということがありました。その集合住宅では、今では、住民説明会に水道局が応じてくれているということを伺いました。住民の方々からは、水道局の対応に助かっているという声が寄せられています。
 ほかにも希望するところがあれば、住民説明会などでの詳しい情報提供にも応じていただきながら、丁寧な対応をしていただきたいというふうに思います。
 次に、新型コロナ感染拡大に伴う水道料金の支払い猶予について伺います。
 水道局は一昨年度の三月から、この新型コロナの感染拡大の影響で水道料金等の支払いが困難な状況にある都民に対して支払いの猶予を行っています。昨年、二〇二〇年九月末に一度猶予の受付を終了させましたが、同年十一月十六日から再開し、さらに先月、九月末に、二〇二二年三月三十一日まで延長するということを決定しています。
 この支払い猶予のこれまでの取組について伺います。
 二〇二〇年度末までの水道料金の支払い猶予の件数について、全体の数は先ほどご答弁ありましたけれども、法人と個人の利用者、それぞれ教えてください。

○金子サービス推進部長 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う水道料金の支払い猶予の受付開始から令和二年度末までの申込み件数は二万一千六百八十八件となっておりますが、給水契約者名義が法人名義等になっている件数は、そのうち九千五十一件、個人名義の件数は一万二千六百三十七件となっております。

○斉藤委員 法人名義で九千五十一件、個人の利用者で一万二千六百三十七件と、合わせて二万一千六百八十八件とのことです。
 新型コロナの感染拡大によって、都民が休業や自粛を余儀なくされている中で、事業者の売上げや労働者の収入が減るという事態が広がっています。
 我が党は、水道料金についても減免や負担軽減が必要だということを求めてきました。
 支払い猶予を設けるということも都民の経済状況に寄り添う大切な施策だと思いますが、この施策を多くの都民に知らせていくということも重要です。
 支払い猶予の制度について周知はどのように行っているのか伺います。

○金子サービス推進部長 当局は、支払い猶予制度について広くお客様に知っていただくため、局ホームページやSNSで周知を行うほか、「広報東京都」や検針票のPR欄を活用し広報を行っております。
 また、営業所等におきましては、未納料金の催告などの際、制度を個別に案内するなど、きめ細かな周知を実施しております。

○斉藤委員 ホームページやSNS、「広報東京都」や検針票を活用しているということ、それと併せて、未納、滞納となっている場合に制度を個別に案内しているということです。特に、滞納されている方々、この制度を必要としている方々に直接この制度をお知らせするということは本当に重要なことだというふうに思います。ぜひ丁寧に対応していただきたいと思います。
 一方で、長く続いた自粛や休業の中で、事業者の方々や個人の労働者の方々の経済状況の回復はまだまだ見通しが立っていない、こういう状況にあります。廃業や雇い止めで生活に困窮する実態が広がっています。コロナの感染者数は、表上は減っていても、検査数も少ない中で、冬に感染拡大する懸念について、東京都モニタリング会議の専門家も指摘をしています。そうした中、水道料金の負担軽減策は拡充が求められていると思います。
 そこで伺いますが、この支払い猶予は二〇二〇年の三月末から始まり、昨年度は一旦終了した後、二〇二〇年十一月十六日から受付を再開し、当初は、今年、二〇二一年三月三十一日までの受付となっていましたが、受付期間をさらに今年の、二〇二一年九月三十日まで、昨年度延長を決めました。その延長を決めた理由について伺います。

○金子サービス推進部長 新型コロナウイルス感染症拡大による経済への影響が依然として大きかったことから、お客様への支援継続のため、受付期間の延長を行ったものでございます。

○斉藤委員 経済への影響が依然として大きいことから、支援継続を決めたということです。重要な視点だというふうに思います。
 さらに、水道局ではその期限を、先月、九月末に再度延長を決めて、受付期間は来年、二〇二二年の三月末までというふうになっています。このときの水道局からのお知らせにも、新型コロナウイルス感染症拡大による経済への影響が依然として大きいことから、お客様への支援継続のため、資金需要が大きくなる年末から年度末にかけて、支払い猶予の新規受付期間を延長するというふうに掲載をしています。
 都民の経済状況はまだまだ厳しい状況にあるということを水道局としても認識しているということだというふうに思います。
 この支払い猶予を利用されている方々の状況について伺いたいと思います。
 猶予期間は最長一年間になっており、その後の支払いは一年以内の分割払いというふうになっています。二〇二〇年三月から九月まで受け付けした分は既に一年がたったというふうになっておりますが、支払いが完済した件と、まだ支払いが終わっていない件数は、それぞれ幾つあるのか伺います。

○金子サービス推進部長 支払い猶予の受付開始以降、令和二年九月末までに支払い猶予を受け付けた一万八千八百四十二件のうち、令和三年九月時点で完済された件数は一万三千二百七十二件、支払いが終わっていない件数は五千五百七十件となっております。

○斉藤委員 支払い猶予期間、その後の返済の期間、一年を過ぎても支払いが終わっていない件数が五千五百七十件と、四割以上になっているということです。私は、この支払いについて、自粛や休業などの影響によって経済状況が回復していない中で、率直にいって本当に大変なことだろうというふうに思います。
 我が党の大山とも子都議が昨年十一月の質疑でも指摘をしていますが、この猶予期間分の支払いは、前年に猶予された分と当年の分の二年分を払わなきゃいけないということで、一年猶予されても、その後の負担がとても重いというものになっています。
 水道局のホームページには、猶予期間終了後の支払いについて、期間一年以内の分割支払いのほか、お客様の経済状況等に応じた個別のご相談に応じますと記載されています。
 実際にどういう対応をされているのか、個別の相談への対応には支払い期間の延長ということも含まれているのか伺います。

○金子サービス推進部長 当局では、猶予期間終了後は一括でお支払いいただくことを原則としております。
 しかし、猶予期間終了後もお支払いが困難な状況にあるお客様に対しましては、期間一年以内の分割払いのほか、お客様の経済状況等に応じた個別の相談に応じております。

○斉藤委員 経済状況等に応じた個別の相談に応じているということです。
 猶予期間の延長について、今、否定されなかったので、それも含めて相談に応じていただいているというふうに理解をしていますけれども、ぜひ都民に寄り添って、必要であれば福祉につなげるということも含めて、丁寧に対応していただきたいというふうに思います。
 しかし、この厳しい経済状況が続く中で、支払い猶予では根本的な解決にならない。減免措置を行うということが求められているというふうに思っています。
 どんなに困窮していても、水道はまさに必要な命綱になるライフラインです。
 我が党は、昨年度にも減免について求めてきましたけれども、そうした中、実際に水道料金の減免を行った自治体もあります。名古屋市や大阪市では二か月分の基本料を減免、神奈川県水道では四か月間一〇%減額というふうに、限定的ではありますが減免を行っています。大阪市では売上げが減少した飲食店について、二〇二〇年十二月から二〇二一年三月までの料金の減免を行っています。
 それぞれに直接お話を伺いましたけれども、減免を行った理由について、コロナによる自粛要請で不安が広がる中で、支えとなる施策として何ができるかを考えたということ、また、コロナの影響を受けたことに対して水道局として何ができるかを考えた、さらに、何かしら還元できる施策がないかと考えたというふうにそれぞれお答えをいただきました。
 先ほどは、水道局からも、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響が依然として大きいという認識の答弁もありました。東京都水道局としても、減免を行っている自治体の先進例に学んで水道料金の減免を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

○金子サービス推進部長 水道料金の減免措置は、受益者負担の原則、公営企業における独立採算制の原則及び使用者間の負担の公平に対する例外措置であり、その拡充につきましては慎重に考えるべきものであると認識しております。

○斉藤委員 水道料金の減免は例外措置だということですが、今は、かつてない未曽有のウイルスのパンデミックが起きて、人々の経済活動が大きな影響を受けているときです。今こそその例外措置が必要なのではないでしょうか。
 公営企業における独立採算制の原則というふうにいわれましたけれども、先ほど紹介した神奈川県水道、名古屋市、大阪市では、この大阪市の飲食店対象のもの以外は、いずれも減免措置は水道事業の会計の中で負担をしていると伺いました。
 東京都水道局では、今も、財政的には健全な財政運営をしているというお話もありました。地方公営企業法の第三条についてよくご存じだというふうに思いますが、経営の基本原則として、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営させなければならないというふうに記載されています。
 今こそ、この原則に立ち返って、力のある東京都水道局として、水道料金の減免を行うことを強く求めて、質問を終わります。

○小林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十九分休憩

   午後三時六分開議

○小林委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○阿部委員 それでは、令和二年度東京都水道事業会計決算並びに東京都工業用水道事業会計決算について質問をいたします。
 まず、水道事業、例年、比較的収支の変動が少ない事業と認識をしておりますけれども、令和二年度においては新型コロナウイルス感染症の拡大がありました。
 感染症拡大が水道事業の財政運営に与えた影響、特に、単年度での不足をどう補ったか、また経営プラン五年での累積収支を含め、全体としてどう評価されているのかも含め、改めてお伺いいたします。

○石井総務部長 当局では、各経営プランの計画期間内で収支が均衡するよう、財政計画を定め、事業運営を行っております。
 令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、中口径以上の口径からの収入が減少したことなどで水道料金収入が大幅に減収となりました。
 一方で、年間配水量などの事業量には大きな変動がなく、動力、薬品費や、水道施設の維持管理などの経常的な事業運営に要する経費につきましては、おおむね例年どおり執行いたしました。
 また、送水管の新設や給水所の整備など、将来を見据えた施設整備を着実に進めるとともに、それに応じた適切な規模の企業債を発行することで、収入の確保に努めてまいりました。
 その結果、令和二年度の単年度資金収支は約二十六億円の不足となっておりますが、東京水道経営プラン二〇一六の計画期間における最終的な累積収支は約十一億円の剰余となっており、健全な財政運営が維持できているものと認識をしております。

○阿部委員 中口径以上、つまり、大型施設などからの収入が減ったため、単年度では赤字だったものの、累積収支は黒字であり、そして、引き続き健全な財政運営ができていることが確認できました。
 新型コロナは家計や事業者の経営にも大きな打撃を与えました。支払い猶予に関しては、既に先ほどの質疑の中で詳細なやり取りがありましたので、ここでは繰り返しませんが、支払い猶予を受けた方の中でその後の支払いも困難な状況である方には、より手厚い支援が必要ではないかと思います。
 国が実施したコロナ禍での様々な支援策を見ると、生活保護世帯だけではなく、年度途中に収入が激減するなどの世帯に対しても、家計急変世帯として支援の対象にした制度が数多く存在いたします。
 生活保護の申請や手続には事実上一定の時間もかかります。前倒しして減免の対象にするなど、家計の実態に合わせた柔軟な対応が必要ではないかと思います。
 先ほど、コロナで減収になっても、水道事業は引き続き健全経営であるとのご答弁もありました。命に直結する水道事業こそ率先をして、より柔軟かつ積極的な対応を求めて、次の質問に移りたいと思います。
 さて、新型コロナの影響だけではなくて、日々の生活に困窮している方々も多くおられます。生活困窮により、水道などのライフラインが止まったまま孤独死する例が全国的にも繰り返し報道をされておりますが、水道の滞納状況や検針業務の中で気づいた、福祉での対応が必要な可能性のある利用者の方々について、それぞれの区市町の福祉部門との連携が必要といわれております。
 政令市などでは水道事業も福祉部局も同じ自治体の中で行って、連携が比較的取りやすいと考えられますが、東京都の場合は、区市町福祉部門とどのように連携をされているのでしょうか。

○金子サービス推進部長 当局は、ライフライン事業者として、高齢者等の見守りに貢献するため、都が給水している全ての区市町と、平成二十八年度までに、行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定を締結しております。
 現場催告や定期検針時に明らかな異変に気づいた場合には、この協定に基づき、その情報を区市町の福祉部署に提供しております。
 現在までの通報実績は六十五件となっており、うち令和二年度の実績は九件でございます。

○阿部委員 協定に基づき連携の仕組みを持っているということは評価をいたします。ただ、東京都全体で年間一桁というのはあまりにもやはり情報共有がまだ不十分ではないかと思わせる数字です。さらなる情報共有の必要性を感じております。
 また、今後、スマートメーターにより検針情報が電子化をされ、利用者の方々のお宅に訪問しなくなった後こそ、スマートメーターによる把握が大切になってまいります。スマートメーター導入後に福祉部門とどのように連携をしていくのか、その仕組みを今から具体的に考え、体制をつくっておくことが必要であることを指摘しておきます。
 次に、水道事業についてお伺いします。
 本日配布の資料によりますと、将来の水道需要の見込みは令和二年度より五%減を見込んでおりますけれども、一方で、近年、毎年のように豪雨災害が頻発をし、気候変動が急激になっていると感じております。
 そうした状況を踏まえ、水源確保をどのようにお考えでしょうかお伺いいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 都の主要な水源である利根川、荒川水系の水資源開発は、全国の主要な水系と比べ、渇水に対する安全度が低い計画であり、近年、三年に一回程度の割合で渇水が発生しています。
 また、国土交通省は、近年の降雨状況から、ダム等から安定的に供給できる水量が低下していると明言しており、さらに、将来、気候変動の進行により、河川やダムなどの供給能力が低下し、これまで以上に厳しい渇水が懸念されております。
 このため、令和三年三月に策定した東京水道施設整備マスタープランにおいて、水道需要への対応はもとより、将来の気候変動や災害等のリスクを踏まえ、これまでに確保してきた水源は東京水道の貴重な水源として最大限活用していくこととしております。

○阿部委員 ありがとうございます。東京都としての水源を健全に守っていくことが大切だと思います。
 東京都が保有する貯水池ダムとして小河内ダムがありますが、水源林の半数は民有林となっており、その整備が課題となっております。
 民有林のこれまでの購入実績と、重点購入地域におけるこれまでの取組状況をお伺いいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、平成二十二年度から民有林の購入事業を実施しており、令和二年度末までに約二千九百三十ヘクタールを購入しました。このうち、重点購入地域においては約七百二十ヘクタールを購入しました。
 重点購入地域では、土地所有者の売却意向を確認し購入を進めていますが、所有者の所在が分からない土地については、住民票等の調査を行うとともに、現地確認や近隣の方々へ聞き取り等を実施しています。
 また、売却の意向を保留している所有者に対しては、貯水池の保全等、購入事業の意義を改めて説明しております。

○阿部委員 ありがとうございます。重点購入地域での購入は、現在のところ着実に進んでいるとの認識をしております。
 ただ一方で、コロナによって一旦鈍っている状況でもないでしょうか。引き続き、積極的に進めていただきたいと思います。
 その際には、ご答弁にあったように、やはりダムの、あるいは貯水池の保全がいかに必要であるのか、その意義をしっかり根本から理解していただくという地道な姿勢が必要だと思っております。
 また、所有者の方だけではなくて、ダム周辺の水源林の環境保全のためには、多くの都民の皆様方にダムに関心を持ってもらい、そして、水源林を守っていこうという機運を醸成することが大切ではないかと思います。
 近年、テレワークなど多様な働き方が推奨されておりますが、一部では、ダム際ワーケーションが人気とも聞いております。小河内ダムにおいても、そういった需要も受け入れ、森林と触れ合う取組の一つとして加えていただければと思います。
 さて、今月七日発生した地震では、東日本大震災以来十年ぶりに二十三区で震度五強が観測をされ、都内で二十三件の漏水が発生したことは、先ほどの質疑の中でもございました。とはいえ、管路が抜け出したり、あるいは破裂したりといった状況に至らなかったため、断水被害は回避をすることができたとのことで、日頃の施設改善の努力の成果の一つといえると思います。
 これまで、断水率をどのように低減してきたかお伺いいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、管路の材質の性能を向上させるため、昭和三十五年度から、強度に優れたダクタイル鋳鉄管を採用し、取替えはほぼ完了しています。
 また、平成十年度からは、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管を全面的に採用し、首都中枢機関や救急医療機関等の重要施設への供給ルートの優先的な耐震継ぎ手化などを実施してきました。
 こうした取組を推進した結果、断水率が五〇%を超える地域は、平成二十二年度末時点の十三区十五市町から、令和二年度末時点では七区八市まで減少しております。

○阿部委員 ありがとうございます。着実に断水リスクが低下しているということが分かりました。
 とはいえ、人口比での断水率五〇%というのはまだまだ大きい数字です。資料を拝見していても、各市町村五〇%は切るものの、四〇%台の自治体はまだまだ多く残っております。
 また、想定される地震の場所によって、かなり数字の違いもありますけれども、五〇%以下であればいいということではなくて、こうしたことを着実に減らしていく、低減を図っていくことが必要だと思っております。
 また、避難所のみならず、都市部では多く推定される自宅避難者、この方々にも確実に水を届けることができるよう、さらなる断水率の低減に努めていただきたいと思います。
 また、これは、ハード面だけではなくて、高い断水率が予想される地域におきましては、災害時の水の確保や備蓄について、自治体や家庭に対して強い働きかけを行うなど、ソフト面も含めた対策をぜひお願いしたいと思います。
 また、今月、和歌山市では水管橋が崩落し、長期にわたって広範囲で断水が続くという事態になりました。
 東京都内における水管橋及び橋梁の下に渡された添架管の数と、そして、令和二年度におけるそれらの点検、補修の実績及び方法についてお伺いをいたします。

○藤村給水部長 当局が管理している河川等を横断する水管橋は約八百か所、添架管は約千八百か所でございます。
 これらについては、塗装の劣化やさびの発生状況等を把握するため、おおむね七年に一度、目視を基本とした点検を行っており、令和二年度は約四百か所の点検を実施いたしました。
 点検結果により劣化等が確認された箇所は、さびを除去し再塗装を行うなど、適切な補修を行っております。

○阿部委員 ありがとうございます。東京都においては定期的かつ適切に管理がなされているとのご答弁をいただきました。
 ただ、水管橋や添架管は、点検や補修による老朽化対策に加えて、激しさを増し頻発化する風水害への備えも必要です。
 風水害への備えと、また、万が一、災害によって破損した場合の影響についてお伺いいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 水管橋等が被災し、バックアップ機能が確保されていない場合には、断水などの影響が長期化するおそれがあります。
 このことから、令和三年三月に策定した東京水道施設整備マスタープランでは、風水害による水管橋等の損傷や流出の被害を未然に防止するため、水管橋等を地中化する必要があり、まず、バックアップ機能が確保されていない七十七か所を優先的に整備していくこととし、令和十二年度までの十年間で十四か所の地中化を実施することとしております。

○阿部委員 ありがとうございます。七十七か所、まだバックアップ機能が確保されていないということで、今後十年間で十四か所、全体の二割ぐらいでしょうか、地中化を実施するということで、このバックアップ機能を地中化していくためには、かなり長い時間がかかるというふうに認識をしております。
 水管橋などのリスクについては周辺の住民もあまり意識していないのではないかと思います。都内に約二千六百ある水管橋、そして添架管、この設備、水管橋などについて、どのようなリスクがあるのか、また、何が起こったときに、どのようなエリアの住民に影響があるのか、こうした情報を区市町と共有し、連携して住民への情報提供をしていく。そして、整備には長い時間がかかります。その間のリスクに備える取組をぜひ進めていただきたいと思います。
 また、先ほど、災害対策、給水の要として、給水所の計画的な整備についても質疑が行われました。給水所の整備も大切ですけれども、災害時に住民に確実に必要な水を届けるためには、給水所の整備だけではなくて、区市町との連携、あるいは住民の皆様方お一人お一人がどのように水を受けていくのか、そのルートをしっかりと線でつなげておく、そんなシミュレーションが欠かせないかと思います。こうしたソフト面についても、ぜひ水道局、そして各自治体、連携を取って進めていただきますよう強くお願いをいたします。
 次に、水道事業の組織並びに人材育成について伺います。
 水道事業の現場では、多くを民間が担う中で、経験値を持つ職員の技能継承が重要だと考えております。そのために令和二年度にどのような人材育成の取組を行ってきたのかお伺いいたします。

○長嶺職員部長 将来にわたり水道事業を安定的に運営していくには、職員が有する知識やノウハウ等の技術を着実に継承していくことが重要であるため、令和二年度は、OJT計画書による各職場での計画的なOJTを推進するとともに、ベテラン職員などの技術を映像化及びデータベース化したナレッジバンクを活用し、現場での指導、育成を支援いたしました。
 また、研修・開発センターにおける実技フィールドを使用した実践的な研修や、VRを活用した体験型研修など、現場の技術継承等を目的とした実務研修を実施いたしました。
 さらに、こうした技術継承の取組は、局及び政策連携団体を含む東京水道グループ全体で進めていく必要があることから、本年三月、新たに東京水道グループ人材育成方針を策定いたしました。

○阿部委員 ありがとうございます。様々な取組を進めていらっしゃる、そしてまた、東京水道グループ全体で取り組むその姿勢はとても大切だと思います。
 ただ一点、とても気になることがあります。東京水道の経営プランを見ますと、業務運営体制のイメージ図がピラミッド型で描かれています。
 ピラミッドの頂点に水道局が立ちコア業務、その下の政策連携団体が準コア業務、そして、実際に水道管の保守点検をしたり、浄水場を日々動かしている現場の民間の方々はピラミッドの底辺に描かれています。こんな発想でいいんでしょうか。
 自分の仕事は準コアだといわれて、仕事へのモチベーションは上がりますか。また、ピラミッドの底辺に位置づけられて、職場の建設的なコミュニケーションが生まれるでしょうか。無自覚な上下意識が表れてはいないでしょうか。
 日々の仕事の運営にも、中長期的な技術の継承にも、お互いに人として敬意を持ち合うことが大前提です。いま一度、局の姿勢や言葉の使い方を考え直すことを強く求めたいと思います。
 もう一点、水道局及び政策連携団体における女性比率や、女性管理職の割合についてもお伺いしたいと思います。お願いします。

○長嶺職員部長 令和二年八月一日現在、他団体への退職派遣者を含む水道局職員に占める女性の割合は一八・五%、水道局の管理職に占める女性の割合は八・二%です。
 また、政策連携団体である東京水道株式会社の固有社員に占める女性の割合は二三・五%、同社の管理職に占める女性の割合は五・六%です。

○阿部委員 ご答弁ありがとうございました。水道局では、トップの局長さんも含め、女性管理職割合が八・二%ということで、引き続き頑張っていただければと思います。
 気になるのは政策連携団体で、局に比べても女性比率は、職員の方の女性比率は高いにもかかわらず、女性管理職が少ない状況となっております。ここには何か組織的な背景があるのでしょうか。東京都の公共サービスを担う団体の一つとして、東京都自身が進める女性管理職比率の向上に組織として取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、工業用水道事業についてお伺いをいたします。
 工業用水道は、一部の集合住宅で雑用水として利用されておりますけれども、事業の廃止に伴い、上水道に切り替えた場合、世帯の水道料金はどの程度上がると見込んでいるでしょうか。
 先ほど、集合住宅ではまだ切替えが進んでいないという実態も明らかになりました。金額が上がる場合の緩和策はどのようになっているのでしょうか。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 口径二十ミリで、一般家庭における標準的な使用水量である一か月当たり二十三立方メートルで想定し、そのうちトイレ洗浄用に五立方メートル、それ以外に十八立方メートルを使用している場合をモデルケースとして試算いたしますと、切替え前の一か月の合計料金は二千六百六十一円となります。全量を上水道として使用した場合の水道料金三千三百五十三円との差額は六百九十二円でございます。
 差額につきましては、平成三十一年三月に策定した工業用水道事業の廃止及び支援計画に基づき、令和七年度末まで工業用水道料金の水準に据え置いた後、激変緩和策として、令和八年度から五年をかけ、段階的に引き上げてまいります。

○阿部委員 ありがとうございます。当然ながら廃止時期までに切替え作業は全て終了しておく必要がありますので、引き続き、利用者の方々のご理解を得ながら着実に進めるよう改めてお願いをいたします。
 ところで、これまで工業用水道事業として使用あるいは保有していた施設などの資産について、廃止後はどのような取扱いとなるのでしょうか、教えてください。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 工場用水道事業の用に供しております施設等の資産につきましては、工業用水道事業の廃止及び支援計画におきまして、最大限有効活用を図ることとしております。
 具体的には、三園浄水場の土地建物、機械及び装置など、水道事業においても有効活用できる資産につきましては、水道事業会計への有償所管替えを行い、その他の資産につきましては、売却等を検討しております。

○阿部委員 工業用水道に使われていた施設としては、今休止中ではありますけれども、玉川浄水場など、非常に立地上のポテンシャルの高い資産もあります。その活用については、議会ともコミュニケーションを取りながら検討を進めていただくよう改めて求めたいと思います。私の質問を終わります。
 以上です。ありがとうございました。

○たきぐち委員 私からは、資産の有効活用について伺いたいと思います。
 都の人口は、二〇二五年度をピークに減少に転ずると予測されているわけでありまして、人口減少によって料金収入の減少が見込まれる中、持続可能な水道事業に向けた取組を行っていく必要性については言をまたないところであります。
 水道事業の収入の八割強を水道料金が占めておりますが、将来的な財政運営を安定的なものとするためには、様々な経費節減を進めると同時に、事業に活用する見込みのない資産の有効活用を図ることで収入を確保していくことも重要であります。
 水道局は東京水道経営プラン二〇二一を策定し、経営努力として、未利用地の売却などによって、今年度から五年間で約六十一億円の収入を見込んでいます。また、そのほかにも、資産の貸付けによって収入を確保していくとしておりますが、昨年度までの五年間ではどの程度の収入を確保してきたのか、東京水道経営プラン二〇一六の期間における資産の有効活用によって得た収入の推移を伺います。

○金子経理部長 当局では、土地や建物などの資産を貴重な経営資源として捉え、経営努力の一環として利活用を図り、収入の確保に努めております。
 土地や建物の貸付け等による収入は、平成二十八年度は約七十五億円、二十九年度は約七十六億円、三十年度は約七十九億円、令和元年度は約八十一億円、二年度は約八十四億円でございます。
 貸付けによる収入が見込めない土地につきましては、売却して収入を得ることとしており、平成二十八年度は約十六億円、二十九年度は約八億円、三十年度は約四億円、令和元年度は約二億円、二年度は約二十八億円でございます。

○たきぐち委員 資産の貸付けについては毎年八十億円前後ということで、五年間で約三百九十五億円、一定の収入を安定的に確保しているという状況が分かりました。
 一方、土地の売却については、五年間で合計五十八億円ということでありますが、年によって増減があり、昨年度、令和二年度の実績は他の年度と比べて大きくなっている状況でありました。
 そこで、令和二年度の土地売却はどのようなものであったのか、主な実績を伺います。

○金子経理部長 令和二年度の土地売却の主な実績は、旧南千住浄水場用地を荒川区に約二十八億円で売却したものでございます。
 なお、当用地は水道事業会計と工業用水道事業会計とで保有していたものでございまして、売却金額は、工業用水道事業会計分の約三十八億円と合わせて総額約六十六億円となっております。

○たきぐち委員 私の地元荒川区にある旧南千住浄水場用地の売却ということであります。この浄水場は、昭和三十九年から工業用水道の浄水場として、やはり区内にある三河島水再生センターの下水処理水を原水として、ろ過水を、荒川区のほか、墨田区や江東区などに送水していたものであります。
 ご説明のとおり、水道事業会計と工業用水道会計のそれぞれに、売却収入、売却益などとして計上されていることは、決算資料でも確認をいたしました。
 浄水場としては平成九年まで三十三年間稼働したと聞いておりますが、施設の後利用については地元でも関心事でありました。浄水場が廃止されてから売却に至るまで多くの時間が経過しており、また、売却の方針が決まった後も、売却時期などについて様々な検討、協議がなされたと聞いております。その経過について伺います。

○金子経理部長 旧南千住浄水場用地は、平成九年に浄水場を廃止した後、工業用水道事務所や旧荒川給水管理所、資材置場等として当局で活用してまいりました。
 平成二十一年に旧荒川給水管理所を廃止した後は、土地の一部や建物を民間企業や地元の荒川区に貸し付けるなど、可能な限り活用を図りつつ、敷地全体について活用方策を検討してまいりました。
 こうした中、平成三十一年に地元の荒川区から取得要望を受けたため、荒川区との間で売却範囲や時期、売却に当たっての諸条件などにつきまして協議を行い、令和二年度に、工業用水道事業で使用している一部用地を除きまして売却するとともに、残る用地につきましても、工業用水道事業廃止後に売却することといたしました。

○たきぐち委員 一万八千平米を超える土地でありまして、平成二十一年以降、荒川区などに貸し付けてきたというご説明でありました。
 ちょうどその頃、アプリュスという若手芸術家の団体が、展覧会やワークショップなどの創作活動の拠点としていたところに私も足を運んだことを覚えておりますが、最近では東京藝大が美術作品を保管する収蔵庫として、荒川区を通じて使用していたということも聞いております。その後、区が取得の意向を示し、協議が始まったという経緯かと思います。
 荒川区としては、この場所を都市計画公園として整備すると同時に、広域避難場所など、大規模災害が発生した際の活用を図る方針を示しているところであります。
 都としては、活用予定のない土地を売却することで一定の収入を確保でき、区としても、区政の課題解決に必要な用地を確保できることから、都と区の合意が調ったものと認識をしておりますが、こうした活用予定のない資産は、地元自治体が有効活用できるように、今後も積極的に道筋をつけていくべきと考えますが、局としての資産活用方針について伺います。

○金子経理部長 当局が所有する土地のうち、活用見込みがないものにつきましては、庁内各局や地元自治体に対しまして、公共用途での活用の検討ができるよう、情報提供を行っております。活用について要望があった場合には、局事業に支障のない範囲で貸付けや売却を行うこととしております。
 今後も、局が所有する資産につきましては、事業上の制約や収益の確保、立地特性、地元の意見等を十分に考慮し、公益性と収益性とを総合的に勘案しながら、積極的に有効活用を進めてまいります。

○たきぐち委員 水道局が保有する土地や建物に関しては、東京都水道局固定資産規程に基づいて、用途や時期などについて協議がなされるものと承知をしております。今後も、地元の意見などを考慮しながら、公益性と収益性を総合的に勘案し、積極的な有効活用を図っていくという答弁でありました。
 南千住の用地につきましても、残りの土地を令和四年度に売却する予定ということでありますので、区の意向も十分に考慮しながら進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○小林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小林委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四十二分散会

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