委員長 | 高橋 信博君 |
副委員長 | 柴崎 幹男君 |
副委員長 | 細谷しょうこ君 |
副委員長 | 長橋 桂一君 |
理事 | 白戸 太朗君 |
理事 | 藤田りょうこ君 |
理事 | 川松真一朗君 |
理事 | 鈴木 邦和君 |
理事 | 高倉 良生君 |
けいの信一君 | |
龍円あいり君 | |
藤井とものり君 | |
うすい浩一君 | |
木下ふみこ君 | |
斉藤れいな君 | |
伊藤しょうこう君 | |
舟坂ちかお君 | |
馬場 信男君 | |
とくとめ道信君 | |
鳥居こうすけ君 | |
後藤 なみ君 | |
入江のぶこ君 | |
和泉なおみ君 |
欠席委員 なし
出席説明員知事 | 小池百合子君 |
副知事 | 多羅尾光睦君 |
副知事 | 梶原 洋君 |
副知事 | 武市 敬君 |
副知事 | 宮坂 学君 |
病院経営本部長 | 堤 雅史君 |
中央卸売市場長 | 黒沼 靖君 |
東京都技監都市整備局長兼務 | 上野 雄一君 |
港湾局長 | 古谷ひろみ君 |
交通局長 | 内藤 淳君 |
水道局長 | 浜 佳葉子君 |
下水道局長 | 和賀井克夫君 |
本日の会議に付した事件
議席について
令和元年度東京都公営企業各会計決算の認定について(質疑)
・令和元年度東京都病院会計決算
・令和元年度東京都中央卸売市場会計決算
・令和元年度東京都都市再開発事業会計決算
・令和元年度東京都臨海地域開発事業会計決算
・令和元年度東京都港湾事業会計決算
・令和元年度東京都交通事業会計決算
・令和元年度東京都高速電車事業会計決算
・令和元年度東京都電気事業会計決算
・令和元年度東京都水道事業会計決算
・令和元年度東京都工業用水道事業会計決算
・令和元年度東京都下水道事業会計決算
○高橋委員長 ただいまから令和元年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
初めに、議席についてお諮りいたします。
本委員会室における議席につきましては、お手元配布の議席案のとおりといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
本日は、小池知事並びに多羅尾副知事、梶原副知事、武市副知事及び宮坂副知事にご出席いただいております。
本日はお忙しいところご出席いただきましてありがとうございます。
これより決算の審査を行います。
令和元年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
なお、去る十月十四日から行われました各分科会における局別審査につきましては、お手元配布のとおり報告書が提出されました。
朗読は省略いたします。
〔分科会審査報告書は本号末尾に掲載〕
○高橋委員長 これより質疑を行います。
この際、一言申し上げます。
質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従い運営してまいります。
また、質疑を行う際は、令和元年度決算の審査から逸脱しないよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守り願います。
次に、理事者に申し上げます。
答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるようお願いいたします。
なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
これより順次発言を許します。
馬場委員の発言を許します。
○馬場委員 けさの日経新聞に、住みやすい都市、東京が世界首位とありました。アメリカの経済誌が公表した住みやすい都市のランキングでございます。小池知事のコメントも、大変光栄だというものが載っておりました。
新聞紙上は、新型コロナウイルス新規感染者最多更新とか、地方医療、一気に逼迫とか暗いニュースが多い中で、うれしく感じた次第でございます。
それでは、令和元年度の質疑に移ります。
予算と決算というこの二つのワードがございますけれども、それぞれ行政においては極めて重要な事務であります。ただ、イメージとして、予算といいますと、来年度の予算を組む、予算を積み上げるという、未来に向かう明るいイメージがあるなと、これ私が勝手に想像しているんですけれども、一方、決算となりますと、何といいますか、事務作業としてはもう既に終わっているものであって、地味な印象がある、これも私の推測でございます。
しかしながら、決算は、予算がどのように使われていたのか、この使われ方の正しい検証がワイズスペンディングにつながるわけでございますので、極めて重要と思います。
そして、今特別委員会は一般会計ではなく公営企業の会計であります。企業の会計決算。
そこで、決算特別委員会への出席は本年で二年目となります知事にお伺いしたいと思います。
公営企業の決算の意義と知事みずからが決算特別委員会に出席することについて、知事の見解を伺います。
○小池知事 答弁に先立ちまして、一言弔意を申し上げさせていただきます。
昨日、十一月十二日ですが、名誉都民であられる小柴昌俊さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
さて、ご質問いただきました点でございますが、まず、都政の発展のためには、都民の代表である都議会、そして知事が互いに切磋琢磨して、本質的、建設的な議論を交わすことが不可欠でございます。
公営企業は、独立採算制のもとで、経済性の発揮や、また、その本来の目的であります公共の福祉の増進を実現することが求められております。
この特別委員会でございますが、決算を通じまして、経営成績、そして事業運営を検証しまして、そこから得られた教訓を次年度以降の予算編成に生かしていく重要な場と考えております。
各公営企業が、都民の皆様の期待に応えて、将来にわたりまして質の高いサービスを提供できますよう、本日の質疑を通じまして議論を深めていきたいと考えております。
○馬場委員 それでは、続きまして、臨海地域開発事業会計についてお伺いをしたいと思います。
臨海地域は、来年に控えた東京二〇二〇大会の主要舞台として世界の注目を集める場所となります。中でも、大会関係の施設が多くある海上公園内及びその周辺に配置されております。また、近年の臨海地域における旺盛な住宅需要により市街地化が進展し、これまで以上に海上公園の果たす役割が高まっていることから、昨年度の同会計における海上公園の取り組みについて質問いたします。
この会計では、臨海副都心建設費及び環境整備費により海上公園の整備費が支出されております。
まず、臨海副都心建設費における海上公園の取り組みについては、先日の分科会質疑において、我が会派の入江のぶこ委員の質疑により、大会時に有明アリーナ等の観客動線となる有明親水海浜公園の整備が着実に進められていることを確認しました。
また、環境整備費については、選手村の一角をなす晴海緑道公園の整備が進められ、今年度に入って工事が完了し、大会に向けて既に組織委員会に引き継がれていることを聞いております。
この二つの海上公園を地図上で俯瞰して眺めますと、晴海緑道は豊洲の北側の対岸、そして、有明親水海浜公園は豊洲の南側の対岸であることがわかります。順番に見ますと、都心部から、銀座の方からですと晴海、豊洲、有明と並びます。その豊洲においては、半島を取り囲むように水際の公園が完成しております。豊洲駅前の公園まで快適な親水空間がつながっております。
私は、このコロナ禍のこういう時代こそ、海を眺めながらゆったりと散策できる公園の価値は高まっており、この二つの公園も、そうしたことを念頭に整備がなされるべきと考えます。
そこで、晴海緑道公園及び有明親水海浜公園の整備とその効果についてお伺いします。
○古谷港湾局長 市街地と連続し、水辺に親しむことができる海上公園を整備することは、臨海地域の魅力的な水と緑のネットワークの創出を進めていく上で重要な取り組みでございます。
昨年度から整備に着手しております晴海緑道公園は、晴海ふ頭公園と区立晴海臨海公園をつなぎ、晴海地区南側の連続した水辺空間を形成する役割を果たしております。
さらに、有明アリーナなど東京二〇二〇大会の競技施設と隣接いたします有明親水海浜公園の整備を進めますことで、既設の豊洲ぐるり公園も含めて、晴海、豊洲、有明地区の回遊性の向上を目指しております。
今後も、多くの人々が休息や散策のできる快適な水辺空間を形成いたしまして、臨海地域の魅力をさらに高めてまいります。
○馬場委員 二〇二〇大会を契機に、連続する親水空間の整備が進められていることがわかりました。
豊洲駅前かいわいの親水空間は、まちと溶け込み非常ににぎわっています。ぜひ晴海、有明、豊洲を経由して人々が行き来できるようなネットワーク化を進めていただき、臨海地域のさらなる進展を目指していただきたいと思います。
次に、中央卸売市場の決算についてお伺いしたいと思いますが、ただいまの質疑で、晴海、豊洲、有明地区の回遊性の向上を目指していくとの答弁もありましたので、その流れに沿って臨海地域の一部である豊洲市場について伺いたいと思います。
豊洲市場の施設整備につきましては、分科会質疑において白戸太朗理事が質疑を終えておりますので、私からは、豊洲市場の集客に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
豊洲市場は、平成三十年十月に開場して以来、市場業者はもとより、地元の方々や観光客など多くの来訪者が訪れているようでありますが、にぎわいの創出に向けたさまざまな取り組みを行っていると聞いています。
そこで、これらの取り組みに関することについて何点かお伺いをいたします。
豊洲市場のにぎわい創出に向けた取り組みとして、具体的な内容と経費についてお伺いいたします。
○黒沼中央卸売市場長 豊洲市場では、市場本体と連携をしまして、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すため、令和元年度は、豊洲市場おいしい土曜マルシェを初めとするイベントを行うとともに、豊洲市場の新鮮な食を身近に感じることができる江戸前場下町を本年一月オープンいたしました。
また、市場の業務施設を見学する親子見学ツアーや、六街区屋上緑化広場を活用したイベントを二回開催いたしました。
その結果、七万人を超える多くの方々にご来場いただき、豊洲市場の魅力と活気を実感していただきました。
これらの取り組みに要する経費としまして、約二億円を支出いたしました。
○馬場委員 ただいまの答弁で、豊洲市場のにぎわい創出に向けてさまざまな取り組みが行われていることがわかりました。
私は、豊洲市場が、豊洲地域の一員として地元住民とともに地域を盛り上げていくため、豊洲市場のにぎわい創出に向けたこの取り組みの中で、地元住民に親しまれるような取り組みを行うことが重要であると考えています。
そこで、豊洲地域を盛り上げていくため、豊洲市場が地元に親しまれ地域に貢献するような取り組みとして、都は、具体的にどのような工夫をしたのかお伺いをいたします。
○黒沼中央卸売市場長 卸売市場の運営に当たりましては、地域の方々のご理解やご協力をいただくことはもちろん、身近な地元に親しまれ、地域社会と共生をしていくことが何よりも重要でございます。
このため、豊洲市場におけるにぎわいの創出に当たりましては、地域に親しまれるようさまざまな工夫をしております。
具体的には、豊洲市場おいしい土曜マルシェでは、地元の商店街からの出店や特産品を販売するなど、地域との連携を深めるよう工夫をいたしました。
また、六街区屋上緑化広場を活用したイベントでは、地域住民への事前周知を積極的に行い、夕涼みや夜景を鑑賞するなど親しみやすい内容として、多くの方々にご来場いただきました。
今後もこうした取り組みを通じまして、地域との交流を深め、豊洲地域の活性化に貢献してまいります。
○馬場委員 ただいま、夕涼みや夜景を鑑賞するイベントと答弁にありました。左側にはライトアップされたきれいなレインボーブリッジ、右側にはできたばかりの二〇二〇大会の選手村を見ることができます。レインボーブリッジはいうまでもなく、東京の代表的な絶景の対象であります。特にライトアップされた姿はロマンチックであり、心が癒されます。ぜひ多くの方々に親しまれ、地域と一体となったにぎわいを創出して、豊洲地域の臨海部の活気につなげてほしいと思います。
次に、交通事業会計と高速電車事業会計についてお伺いをいたします。
先日の公決分科会質疑におきまして、乗車人員の増加と経営状況のバランスを尋ねました。自動改札などのシステム改修に多くのコストがかかっていることがわかりました。私たちが日常何げなく利用しているあの自動改札機は先端技術の結集でありまして、そうした技術の導入によってサービスの向上を図るとともに、効率化やコストダウンを進めてきております。
このことはよくわかるんですけれども、この自動改札機の導入により、当初はかなりのコストダウンが図られたというふうに、見てすぐわかりました。切符を切る人、回収する人がいなくなったわけですから、かなりのコストダウンというふうに見るんですけれども、都営地下鉄では、平成三年十二月に大江戸線の開業に合わせて自動改札機を導入して、平成六年まで全駅に導入を完了したとあります。これ以降、磁気券を利用したパスネットなども展開され、従来の紙切符という概念が変わってきました。
自動改札機の進化で特に興味深いのは、平成十九年に開始された交通系ICカード、PASMOの導入であります。JRのSuicaの方はその六年前、平成十三年に既にサービスが開始されておりました。今となっては当たり前のことですが、当時、首都圏では、民鉄のPASMOとJRのSuicaが互いに利用できることなども含め、利用客にとって大変大きな利便性の向上につながっていました。今日では、多くの方が電車に乗る際にこうしたICカードを利用し、最近では、切符を通す口がないIC専用改札機もよく見かけるところであります。
そこで、都営地下鉄におけるICカード利用率についてお伺いをいたします。また、IC専用改札機の設置状況はどの程度かお伺いをいたします。
○内藤交通局長 都営地下鉄におけるICカードの利用率は、令和元年度実績では九四%でございます。
自動改札機は、令和元年度末現在、全体で八百六十四台設置しており、このうち、ICカード専用改札機が二百二十八台、全体の二六%、ICカード、磁気券双方に対応した改札機が六百三十六台で全体の七四%となってございます。
一定程度、磁気券を利用するお客様がいる中で、故障や点検等に備え、磁気券にも対応した自動改札機を一つの改札口に複数台設置しているところでございます。
○馬場委員 ICカード専用機が二六%、磁気券双方に対応したものが七四%ということは、四分の一がICカード専用機、四分の三がIC、磁気券双方対応のものとなります。ICカードの利用率が九四%であるのにICカード専用機が四分の一、これは改善の余地があるのではないかと思います。
ICカードの利用率とIC専用改札機の設置状況についてはわかりました。答弁にありましたような制約、つまり故障の場合の点検も想定するという面があるとはいえ、やはり切符を通すことは、その分いろいろな機器が組み込まれていることでしょうから、磁気券対応改札機に比べてIC専用改札機の方がコストや運用面などですぐれていると推測できます。磁気切符を裏返しに入れても一瞬のうちに表になって出てくるのですから、大したものでございます。利用率の違いはわかりました。
それでは、次に、コストについてお伺いをいたします。
磁気券対応改札機とIC専用改札機の購入コストやメンテナンス面を比較すると、どのような違いがあるのでしょうか。お伺いします。
○内藤交通局長 磁気券にも対応した自動改札機は、内部の構造が複雑で部品点数が多いことから、例えば直近の一斉更新時では、ICカード専用改札機に比べて購入価格が一・七倍程度となってございます。
また、メンテナンス面でも、点検項目が多岐にわたり、故障した際の対応が煩雑になるため、ICカード専用改札機と比較してコストが高くなる傾向となってございます。
○馬場委員 ICカード専用機と磁気切符対応改札機の価格比が一・七倍と聞きましたが、複雑な仕組みですから、もっと差があるようには感じられるところでありますが、同様にメンテナンスコストも高いという答弁がありましたが、具体的に何倍高いのかはわかりませんから、後で詳しくお聞きしたいと思いますけれども、ICカードが九四%と高い利用率になっているにもかかわらず、まだ四分の三も磁気券に対応した改札機、コストも高い、手間もかかるという状況であります。
駅などでも、駅員が券詰まりに対応しているのを見かけます。磁気券対応の改札機は複雑な構造ゆえに、今いわれたメンテナンス面でなく、駅員への負担も相当大きいのではないかと感じます。
自動改札機は、十年ほどで新しいものに入れかえられると聞きました。ですので、ぜひ、現在のICカード専用改札機の割合が四分の三、逆転するようになれば、自動改札機のメンテナンス、八百六十四台が四分の三ということになりますので、かなりの機器更新料、メンテナンス費用の削減になると期待されます。
そこで、今後、より一層のコストダウンを進めるため、さらなるICカード利用率の向上を図るべきではないかと思いますが、どのような取り組みがあるのか、見解を伺います。
○内藤交通局長 交通局ではこれまでも、交通系ICカード、PASMOをご利用のお客様を対象とした都営交通ポイントサービス、ToKoPoを導入するなど、ICカード利用率の向上を図ってまいりました。
昨年度は、都営まるごときっぷやTokyo Subway Ticketなどの企画乗車券を、従来の磁気券に加え、ICカードでも発売できるようにしたほか、スマートフォンで乗車や定期券の購入などができるモバイルPASMOのサービスを導入いたしました。
今後とも、ICカード利用率のさらなる向上に向け、着実に取り組んでまいります。
○馬場委員 ICカード利用率一〇〇%というのは、現実的にまだ難しいかもしれません。現在の利用率からさらに向上すれば、磁気券の運用方法は今とはまた変わったものとなり、効率化が図れることと思います。
ただいまの答弁にありましたように、ICカードの利用率向上を進めるとともに、先日、JRが高輪ゲートウェイ駅や新宿駅で実証実験を行っていたQRコード技術なども含め、さまざまな新技術についても検討願いたいと思います。
飛行機に搭乗する際に搭乗券にあるQRコードですね、QRコードを印字した切符を使って非接触で改札ができれば、当然ながら高価な磁気切符読み取り改札機がなくなりますので、メンテナンスも経費が削減できるわけでございます。
さらに、IC化が難しいシルバーパスに対しましても、QRコードの印字で非接触となりますので、シルバーパスサンプルを持ってきました。このシルバーパスにQRコードを印字することによって、これは、駅員に見せたり、または磁気券対応の改札に通したりするんですけれども、それが必要なくなるわけでございます。
いずれはスマホのアプリで、全てスマホの中に入ってしまうとは思いますけれども、その時期が来るまでは、いろいろQRコード対応等に取り組んでいただきたいと思いますが、このQRコードの仕組みも、新たなシステムネットワークを組んだり、しかるべき投資が必要になるとは思いますけれども、このような取り組みを堅実に進めることによって、引き続き効率化に努めていただきたいと思います。
次に、乗車料金以外の増収策についてお伺いをいたします。
ラッピング都電です。ラッピング都電についてはいかがでしょうか。現状と評価についてお伺いをいたします。
○内藤交通局長 ラッピング都電は、東京さくらトラム、都電荒川線の車体の側面全体をフィルムシートで覆う広告媒体でございまして、令和元年度における広告料収入は約一千五百万円でございます。
広告の内容は、沿線の大学や地元の金融機関のほか、シニア層向けの商品に関するものなどが多く、また、年間を通じてほぼあきがない状況でございます。人気の広告媒体でございます。
ご乗車のお客様はもとより、歩行者など沿線の方々の目にもとまりやすく、都電のブランドイメージと相まって、広告主や地元の皆様から、その広告価値を高く評価していただいているものと考えております。
○馬場委員 この都電のブランド力を生かして、広告事業による増収を図っていただきたいと思いますが、見解をお伺いします。
○内藤交通局長 東京さくらトラム、都電荒川線は、近年赤字基調が続き、今後も新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい経営状況が続くものと見込まれることから、コスト縮減とあわせて一層の増収対策が必要であると考えております。
このため、広告事業におきましては、都電のブランドイメージや沿線の魅力、さらには、東京さくらトラムという愛称も活用しながら広告の販売を促進し、増収に取り組んでいるところでございます。
今後とも、新たな需要の掘り起こしや広告媒体の充実など、収益を確保するためのさまざまな方策を検討しながら、広告事業を展開してまいります。
○馬場委員 ラッピング都電、保有車両の半数近くがラッピングされていると聞きました。これがどこまでふやせるのかですけれども、とはいえ、せっかくレトロの塗装をしている車両もございます。これにラッピングをしましたら元も子もなくなってしまいますので、さらに、どうふやしていくのか検討をお願いしたいなというふうに思います。
この都電のように、伝統ある路線の経営改善の取り組みとして、私は、銚子電鉄のさまざまな取り組みを思い出しました。千葉県のJR銚子駅から太平洋に突き出た犬吠埼灯台の方に通っているローカル線でございます。さまざまなチャレンジで経営危機を乗り越える姿は、NHKにも取り上げられ、多くの人の承知するところだと思います。
その取り組みの一つが、ご存じのぬれ煎餅の販売ですね。ここにおられる方も銚子電鉄に乗られた方も多いと思いますが、知事は乗られましたでしょうか。交通局長はまだですよね。私は乗ってきましたけれども、乗ってびっくりしました。随分前です。乗ったのは随分前ですが、女子高生が制服姿で、電車の中でぬれ煎餅を売っているんですよね。沿線の高校に通う高校生が、地域にとって大切な足がなくなってしまっては大変なので、地域の皆さんが支えているという姿を見せられた思いをいたしました。高校生が一生懸命ぬれ煎餅を売る姿を見て、観光客の皆さんは本当に買い求めていました。どうせお土産を買うのであれば銚子電鉄の経営にプラスになるものということで、買っていただいたのかなというふうに思います。特に東日本大震災の後は、観光客が激減をしたということでございますので、本当に大変だと思います。
また、その他の取り組みとして、同じ千葉県で、いすみ鉄道、これは、外房の大原から小湊鉄道の方につながるローカル線なんですけれども、ここは枕木オーナーというのを募集しているんですよね。電車の枕木、一本一万円なんですけれども、駅のホームから線路を見ますと、当然枕木が見えるんですけれども、そこに、一本一本にプレートが張ってありまして、名前とメッセージを書いてもらっているわけですね。一本一万円で枕木のオーナーになる。もう血のにじむような、この赤字を少なくする努力をしているところもあるわけでございます。
都電荒川線はローカル線ではありません。人口一千四百万の住む首都東京を走る特徴ある電車でございます。お客様になる人は近くにたくさんおりますので、より一層、魅力アップを期待したいと思います。一本一本、枕木を売ると相当売れるんじゃないかなというふうにも思った次第でございます。
次に、乗車料金の増収策についてお伺いをしたいと思います。
都営交通には都営まるごときっぷという一日乗車券がありますが、例えば、オフピーク一日券や半日券といったお客様のさまざまなニーズに合った、またサービスに見合った金額設定の乗車券があればと考えます。
そこで、昼間の閑散時間帯などでの増客を図るような新たな企画乗車券をつくるなど、集客に向けて検討すべきと思いますが、見解をお伺いします。
○内藤交通局長 交通局では、お客様の利便性向上や旅客誘致に資するよう、都営交通全線を七百円で一日何回でも乗車できる都営まるごときっぷを発売しており、平日の日中も含め、時間帯にかかわらずご利用いただくことができるものとなってございます。また、季節ごとの休日などに、都営地下鉄全線をワンコイン五百円で一日乗りおり自由となるワンデーパスを発売しているところでもございます。
引き続き、お客様の声を聞きながら、需要の動向や経営状況等を踏まえ、魅力的な企画乗車券の発売に努めてまいります。
○馬場委員 私からの質問は、閑散時間帯、オフピークに増客を図る検討をという意味でお聞きしたんですけれども、ご答弁のものは全て全日のものでありました。
例えば、昼間の十時から四時までが五百円で乗り放題などの検討ができればと思うんですけれども、引き続いて、さらなる検討を求めておきます。
さて、都営地下鉄、東京メトロ、この二つの地下鉄を乗り継いだ場合には七十円引きといった他社との普通運賃の割引制度はあるんですけれども、都営交通間の乗り継ぎ、定期の割引はあるんですが、定期以外では、都バスから都バスへの乗りかえの場合の百円引きぐらいしかありません。
そこで、都営地下鉄と都営バスなど、都営交通間の定期以外の乗り継ぎ割引を検討するべきと考えますが、見解をお伺いします。
○内藤交通局長 交通局では、過去に、地下鉄とバスの定期外の乗り継ぎ割引の試験を実施したところ、利用者の多くは割引前から乗り継いで利用していたお客様でございまして、結果的に大幅な減収となりました。加えて、地下鉄やバスの機器等のシステム改修に多くの経費を要するなど、採算性に課題がございます。
現在、都営交通相互間の乗り継ぎ割引につきましては、地下鉄、バス、都電などのうち、二つを乗り継ぐ定期券につきまして、それぞれの定期代から一〇%の割引を適用しております。
また、定期外でのご利用に対しまして、都営まるごときっぷを発売しているほか、都営交通のポイントサービス、ToKoPoを活用いたしまして、地下鉄やバスなどを乗り継いだ場合にボーナスポイントを付与させていただいております。
今後とも、企画乗車券やポイントサービスなども活用しながら、定期外の旅客誘致に努めてまいります。
○馬場委員 乗り継ぎ割引の試験を実施したと答弁にありましたが、これは平成九年と平成十年に一度ずつでありました。今から二十三年も前のことです。今のICカード乗車ができる前の話です。都営地下鉄から東京メトロ地下鉄という他社への乗り継ぎに割引があるのに、都電から都バス、日暮里・舎人ライナーから都電へという都営交通内における乗りかえ、乗り継ぎに割引がありません。
一つの例えなんですけれども、我々が昼のランチに行った場合、八百円のパスタを食べたとします。これを初乗り料金とするんですけれども、プラス百円でコーヒーが飲める、これと同じように私は考えておりますので、ぜひ、また初乗りを取らないような割引サービスをいただければというふうに思うところでございますし、また、パブリックコメントなどで、どういった新たな外出のきっかけになるようなサービス、これについても問いかけをいただきたいなというふうに思います。
新たな旅客の誘致につなげるサービスですね。近いうちに磁気券がなくなる時代になります。
JRはSuicaの利用者のオフピーク通勤にポイントをつけるサービスを始めると発表いたしました。これも新たな時代の流れだなというふうに思いますし、私がくどくど料金割引の質問をするのは、世界の主要都市と比べると、東京の、何というんですかね、移動コストがやはり高いという意見を聞くからであります。
例えば、フランスのパリで生活していた人は、一日のフリーパスが九百円で利用が可能だというふうに聞いております。これは、メトロ、路面電車、バス、郊外行きの電車を含めてということです。
あと、お隣、韓国ソウルでは、こちらも当時の市長が大胆にICカード導入において改革したのがTマネーというソウル市内の鉄道、バスの運賃が一元化されて、初乗り料金百二十五円程度で地下鉄、バス、その他の乗りかえ、十キロメートル以内なら、それで乗りかえ自由ということで、それを超えるとさらに料金はかかるということですけれども、東京としても、ぜひとも移動にコストのかからない成熟した都市になってほしいという思いからでございます。ICの時代の新しいサービスで、ぜひとも今後よい決算を目指していただきたいと思います。
最後に、知事に伺います。
新型コロナウイルス感染症の発生が、各公営企業の事業にどのような影響を与えているのでしょうか。そうした影響を踏まえて、今後どのような方向で事業運営を行っていくべきと考えるのか、所見をお伺いして、質問を終わります。
○小池知事 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、社会経済活動が大きな制約を受ける中で、感染拡大の防止と社会経済活動を両立させるという新しい日常に向けた取り組みが、人々の生活、そして価値観に変化をもたらしています。
例えばテレワークが進展して、また、自宅で過ごす時間がふえるということで、公共交通機関の利用や水利用の傾向が変化をするなど、人々の行動の変化が、都民生活に密着したサービスを提供する公営企業の事業運営にさまざまな影響を及ぼしているところであります。
こうした中におきましても、それぞれの公営企業が、将来にわたって質の高いサービスを提供していけますように、先端技術も積極的に活用しながら、時代の変化に即した事業運営を行いまして、都民のクオリティー・オブ・ライフの一層の向上を図るべきもの、このように考えております。
○高橋委員長 馬場委員の発言は終わりました。
次に、柴崎副委員長の発言を許します。
○柴崎委員 それでは、質疑に入る前に一言申し上げます。
ノーベル物理学賞受賞者で名誉都民であられます小柴昌俊様が昨日逝去されました。心よりお悔やみ申し上げます。
それでは、質疑に入らせていただきたいと思います。
初めに、都営地下鉄についてお伺いをいたします。
とりわけ、都営十二号線であります大江戸線は、平成十二年十二月十二日に全線が開業しているわけであります。ことしで開業二十年を迎えることになります。
そこで、この大江戸線に関しまして何点か質疑をさせていただきたいと思います。
都営大江戸線は、利用客が毎年増加しているとの報告を受けておりますが、東京の発展に必要な路線として、ますます重要性が高まっているとのことであります。
地元練馬区におきまして、区北西部の鉄道空白地域にお住まいの方々が、日々移動に不便な思いをしており、目前まで来ている大江戸線の延伸を切実に願っているということはいうまでもありません。
私も、地域の方々と大江戸線延伸促進期成同盟による要請活動を行うなど、さまざまな機会を捉え、区とも連携を図りながら、大江戸線を運営する交通局に働きかけを行ってまいりました。
これまで交通局からは、延伸による将来の一日の鉄道利用者を見積もるとともに、延伸にかかわる基本検討委託をする等、事業化に関する検討を進めているとの報告を受けてまいりました。
そこで、令和元年度に実施した具体的な取り組みについて伺いたいと思います。
○内藤交通局長 大江戸線延伸の事業化に当たりましては、将来的な旅客需要の見通しや事業の収支採算性の確保について十分に見定める必要がございます。
平成三十年度に実施した旅客需要予測において、延伸により新たに一日約三万人のお客様が増加すること、また、既設区間を含めて、朝ラッシュ時の混雑が一八〇%を上回ることが明らかとなりました。
昨年度は、この結果を踏まえ、延伸と混雑対策に必要な車両増備数を算出し、車両留置施設の規模や機能等に係る検討に着手いたしました。
あわせて、事業費の算出に必要となる延伸部のトンネルや駅施設等の構造に係る検討を進めました。
○柴崎委員 需要予測を行ったとのことでありますが、足元では、コロナ禍によりまして、都営地下鉄の利用者は減少してきております。今でも、昨年の同じ時期と比べますと、三割も減っているとのことであるようであります。在宅勤務の広がりなどもあわせて考慮すると、将来にわたる鉄道利用者数が、コロナ禍前の数値にまで回復するのはかなり難しいものと考えられているようであります。
収支採算性を見るためには、延伸する際の事業費などの支出や運賃などの収入を求める必要があります。このような状況は、将来の利用者数や車両数、施設の規模にも影響し、今まで積み重ねてきた事業化にかかわる検討も見直すべきところが生じてきていると容易に想像できるところであります。
そこで、現在の大江戸線延伸にかかわる検討状況、このことについてお伺いしたいと思います。
○内藤交通局長 大江戸線延伸の検討につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえ、テレワークの定着など、お客様の行動変容に伴う需要の変化を見きわめながら、将来の旅客需要を改めて分析、評価する必要がございます。
これらを踏まえ、必要な車両編成数や留置施設等について再検討するとともに、トンネルや駅施設等の検討を深度化し、事業費の算定を進めることとしております。
あわせて、延伸開業後の運賃収入や運行経費等を見積もることで、収支採算性を検証してまいります。
引き続き、地元区や関係局と連携し、大江戸線延伸の事業化についての検討を進めてまいります。
○柴崎委員 大江戸線の延伸の検討に当たりましては、コロナ禍の影響を踏まえた将来需要を見きわめてもらい、収支採算性の検証をしっかりと進めていただきたいと考えます。
また、事業の実施に当たりましては、シールドトンネルを掘り進めるなど、高度な技術力を必要としております。それだけに、最も新しい路線である大江戸線にいたしましても、完成してから既に二十年が経過をしているわけであります。建設時からさらに長い年月が経過しております。
したがいまして、当時培った技術とノウハウをお持ちの職員、つまり大江戸線建設経験者がかなり少なくなってきてしまっているものと思われます。したがって、今の交通局職員の皆様方の中には、鉄道の維持管理は現在行われているわけでありますが、建設経験はお持ちでないという方がかなりいらっしゃるわけでございます。
しかしながら、事業化を実現し、工事が行われることとなった場合、優秀な技術者の確保は不可欠であります。こうした経験を持つOB職員の力をかりることも必要であると思われます。まさに今、そうしたノウハウを習得していく時期かと思います。
また、都全体を見渡しますと、石神井川の環状七号線地下広域調節池の建設を初め、水道や下水道など、シールドトンネルの技術にかかわる豊富な知識や経験、ノウハウの蓄積があります。交通局にとどまらず、全庁一丸となった体制づくりも念頭に入れ、実施にかかわるさまざまな検討を進めていくことが必要と考えます。
延伸は練馬区民の悲願であり、実現に向けて局のたゆまぬ努力を期待していきたいと考えております。
さて、東京の周密な鉄道ネットワークは、我が国の成長を牽引する経済活動等を支える基盤であり、大江戸線を含め、機能強化を図ることが極めて重要であります。
都におきましては、平成二十八年の国の交通政策審議会答申において、六路線が事業化に向けた検討などを進めるべき路線とされました。
また、都は、令和三年度の国への提案要求の中で、都市鉄道ネットワーク等の強化として、この六路線の整備促進を要請してきております。
また、平成三十一年一月に設置された国と都の実務者会議におきましても、首都圏鉄道網の拡充、鉄道ネットワーク等の強化促進が重点項目に位置づけられております。この六路線は東京の将来の発展につながるものであると同時に、地元地域の方々が大きな期待を寄せております。
今後も、整備に向けた取り組みを強力に推進していくよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
続きまして、中央卸売市場の施設整備についてお伺いしたいと思います。
我々都議会自民党は、都民の豊かな消費生活を支えているという中央卸売市場が果たす役割の重要性を踏まえまして、これまで一貫して、活気にあふれた市場を実現することを求めてまいりました。
また、そのためには、市場取引の担い手であり、生鮮食料品等の流通において中核的な役割を果たしている市場業者が、生き生きと活動できる環境の整備が必要であると訴えてまいりました。
そのために重要となるのが各市場の施設であります。取引業務の基盤となる施設が有効に機能してこそ、市場業者の力を十分に発揮してもらうことが可能となり、活力ある取引が実現できるわけであります。各市場の業界団体からも、我が党に対しまして、施設整備の充実を望む声が多く寄せられております。
こうした業界の要望を踏まえまして、都には、施設整備をしっかりと進めていくことを求めるものであります。
施設整備につきましては、分科会質疑においても取り上げさせていただいたところでありますが、大事な取り組みでありますので、改めて質問をさせていただきたいと考えます。
都はこれまで、十次にわたる施設整備計画を定めて、施設や設備の更新、拡充に取り組んできたと聞いております。
そこで、初めに、これまでの取り組み状況について確認しておきたいと思います。
まず、中央卸売市場における施設整備の基本的な考え方と令和元年度の具体的な取り組み内容についてお伺いいたします。
○黒沼中央卸売市場長 中央卸売市場が基幹的なインフラとしての機能を着実に果たしていくため、第十次東京都卸売市場整備計画に基づきまして、卸売市場として求められる機能の確保や環境対策の推進を図るとともに、各市場の特性等も踏まえた市場機能の強化に必要な施設整備を進めております。
令和元年度は、老朽化した卸売り場の屋根や受変電設備等を更新するとともに、環境への対応としまして、特定フロンにかわる冷媒を使用した低温設備への更新や照明器具のLED化を実施いたしました。
また、品質、衛生管理の高度化や加工パッケージ機能など、販売先のニーズに対応するため、大田市場におきまして、温度管理された閉鎖型の加工、荷さばき施設を新たに整備したところでございます。
○柴崎委員 今、中央卸売市場が基本的なインフラである旨の答弁がありました。
まさにそのとおりでありますが、その卸売市場を取り巻く環境は大きく変化をしてきているのも事実であります。市場外流通の拡大に伴って市場経由率は低下傾向にあり、また、産地や小売の状況も変わってきております。
こうした中にありまして、各市場が基幹的インフラとして生き残っていくためには、取引関係者から支持される、選ばれる市場とならなければいけないわけであります。このような環境にさらされているからこそ、施設整備について、市場業界から強い要望が寄せられているものと理解するところであります。
しかし、施設整備に関する令和元年度の決算実績を見ますと、市場設備の拡充や改良に要する経費である建設改良費、この執行率が極めて低い結果となっております。我々も市場現場の状況は理解しており、日々の取引をとめることができない環境の中での工事にはさまざまな制約もあり、難しい面もあるものだろうと思います。
ただ、そうした困難な状況にあるとしても、施設整備は、厳しい市場間競争を勝ち抜いて選ばれる市場となる上では欠かすことのできない取り組みであります。また、多くの市場関係者が望んでいるものだということを強く認識していく必要もあります。都には、今回の決算の結果をしっかりと分析した上で、着実に施設整備を進めてもらいたいと考えます。
そこで、令和元年度の建設改良費の執行率が低くなった原因と、今後の着実な施設整備を推進するための取り組みについて、都の見解を伺いたいと思います。
○黒沼中央卸売市場長 建設改良事業の執行に当たりましては、施設の老朽化の状況や各工事の工期等を考慮した上で、市場運営の継続性に配慮しながらさまざまな工事等を実施してまいりました。
令和元年度におきましては、入札不調による着工時期のおくれや、工事に伴う市場運営への影響を回避するための調整に時間を要したことなどによりまして、予算額の約三分の一に相当します二十億円を翌年度に繰り越しいたしました。これに加えまして、契約差金の発生などによりまして、執行率が低い数字にとどまったものと考えております。
このため、今後、適切な執行管理に向けまして、事業着手の迅速化、施工時期の平準化や工期の見直し等を図りまして、入札不調への備えを講じますとともに、工事に必要な調整期間の確保に努めてまいります。
こうした取り組みによりまして、市場運営を継続しながら着実に施設整備を進めてまいります。
○柴崎委員 入札不調などの不確定な要素があっても、これを乗り越えられるようなさまざまな工夫をしていただきたい。そして、施設整備をしっかりと前に進めてもらいたいと思います。
活力ある市場を実現するためには、開設者である都と市場業者がそれぞれの役割を果たした上で、相互に連携していくことが不可欠であります。市場の機能を維持し、さらにこれを向上させるための施設整備は、開設者の役割として求められる一丁目一番地の仕事であろうということは、改めて申し上げておきます。
ぜひ、このことを忘れずにしっかりと取り組んでいただいて、取引関係者から支持され、都民の期待に応えられる市場づくりを進めていただきたいと考えます。このことを強く申し上げまして、次の質問に移ります。
次に、病院経営本部の所管事業に関しまして質疑をさせていただきたいと思います。
昨日も、都内新型コロナウイルス感染者三百九十三名ということで発表がございましたが、第三波到来ということで大変な危機感を感じているようでございます。
こうした中におきまして、これまでも、新型コロナウイルス感染症の対応に当たりましては、都立病院を初め、各医療機関では、使命感を持ち最前線で患者さんの受け入れに尽力をしてこられたと思っております。
新型コロナウイルスは無症状者からも感染するため、誰が感染させているか見えづらく、非常に厄介で感染拡大を防止することが大変難しい感染症であると思います。
四月には緊急事態宣言も発令され、この新型コロナウイルス感染症の拡大は、国民生活にさまざまな影響を及ぼしました。看護師の養成にも大きな影響を及ぼしており、看護学校は休校や自主学習となり、病院実習も軒並み延期や中止になったと聞いております。
こうした状況下にありましても、都立病院におきましては、例年、看護実習生を受け入れております。
そこでお伺いいたします。
都立病院の令和元年度の看護実習生の受け入れ状況、そして、現在の対応状況、これらについてお伺いしたいと思います。
○堤病院経営本部長 令和元年度は、都立病院全体で三千七百二十八名の看護実習生を受け入れました。
今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で年度当初は実習を中止していたところでございますが、大塚病院において標準予防策を徹底した上で、六月から受け入れを開始いたしました。
現在は全ての病院で実習を再開しておりまして、これまで千六百六十九名の実習生を受け入れております。
○柴崎委員 都立病院では、早くから看護実習生の受け入れを再開したとのことでありますが、多くの医療機関は人手も不足しており、学生の受け入れを断らざるを得ない、そんな状況にあるというふうに聞いております。
このような状況を踏まえまして、厚生労働省は、実習施設の代替が困難である場合、実習にかえて学内実習とすることで差し支えないとしております。しかしながら、患者さんと接して実際にケアを学ぶ実習は、看護学生の学びの中で大きなウエートを占めており、実際の病院で実習できないまま看護師になることに、多くの学生が不安を募らせているようであります。
そこでお伺いいたします。
今後、実習という貴重な実践の機会を得られない新人看護師が採用されることになると思いますが、都立病院としてはどのように育成に取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
○堤病院経営本部長 都立病院では、東京看護アカデミーにおきまして新卒看護職員を育成する教育プログラムを設けまして、看護師としての基礎を確立できるよう指導をいたしております。
具体的には、最初の三カ月間で指導者とともに基礎的な看護技術の習得を進めまして、技術チェックリストで指導者とともにみずからの成長を確認した上で、夜勤研修など実践的な研修に移っていく体系としております。
特に実習の機会が得られていない今回のような看護師さんにつきましては、不安の緩和を図りながら、各人の習熟度に応じて徐々に職場に適応していけるよう、育成に取り組んでまいります。
○柴崎委員 今、答弁いただきましたが、通常の実習研修を受けられない状況であることから、あえて質問をさせていただきました。
再度申し上げますが、新型コロナウイルス感染症の影響で従来の実習時間を確保できない、そうした新卒の看護師となる方もかなりふえてくるものと思われます。したがいまして、新卒看護師の実習時間を今まで以上にとるなど、今後とも、さらに丁寧な実践研修を行っていただくよう強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
次に、下水道局所管の水害対策についてお伺いしたいと思います。
我が国は、ご承知のとおり、地震や台風など自然災害が非常に多いわけであります。とりわけ最近におきましては、全国各地で豪雨災害、これが頻発をしているところであります。昨年十月の令和元年東日本台風では、東日本を中心に甚大な被害が発生いたしました。この台風によりまして、練馬区でも記録的な豪雨となり、都内で初めて大雨特別警報が発表されているとのことであります。
こうした中におきまして、練馬区におきましても、北町、田柄周辺においては、昔、河川であった田柄川にふたをかけ、そして、下水道幹線として利用している地域であります。したがって、過去に相当な浸水の被害が発生をしております。
下水道局におきましては、この地区において、新たな第二田柄川幹線、この整備を進めているわけでありますが、浸水に対するリスクが非常に高いため、早期の工事の完了が望まれているところであります。
そこでお伺いしたいと思いますが、建設中の第二田柄川幹線事業、この進捗状況について伺いたいと思います。
○和賀井下水道局長 下水道局では、早期に浸水被害を軽減するため、地区を重点化し、幹線などの施設整備を推進しております。
練馬区田柄、桜川地区においても、既設の田柄川幹線の雨水の一部を収容する第二田柄川幹線事業を平成二十六年から進めております。
本事業は、既設の田柄川幹線の下に、延長約四・二キロメートル、直径約三・五メートルの幹線をシールド工法により整備するものでございます。
シールドマシンによるトンネル工事は昨年末に完了し、現在、田柄川幹線と第二田柄川幹線をつなぐ工事を施行しているところでございます。
令和三年度末の完了を目指し、着実に工事を進めてまいります。
○柴崎委員 今、答弁いただきました。練馬区内におきまして第二田柄川幹線事業、この事業が着実に整備が進んでいるということがよくわかりました。引き続き、円滑な事業の推進に取り組まれることを要望いたします。
そして、二十三区は、人口、そして資産の集積が進んでおりまして、一たび大規模な浸水が発生すると大きな被害につながるおそれがあります。したがいまして、区部全域で浸水対策を着実かつ強力に推進していく必要があります。
このことは、過去におきましては、ちょうど十五年前になりますが、平成十七年九月に二十三区西部を中心とした局地的な豪雨がありました。地元におきましては、石神井川、あるいは白子川においても、三、四十分という短時間で、あっという間に床上、床下浸水といったような甚大な被害をこうむったわけであります。
こうしたことも念頭に置きながら、お伺いしたいと思います。
下水道局の浸水対策の取り組み状況、これについて伺いたいと思います。
○和賀井下水道局長 区部では、時間五十ミリに対応する施設整備を行う地区として三十五地区を選定しており、令和元年度末までに十六地区で事業が完了し、十三地区で事業中となっております。
また、浸水被害の影響が大きい大規模地下街や、甚大な被害が発生している市街地などにおいて、整備水準を時間七十五ミリなどにレベルアップした十九地区のうち八地区で事業が完了し、十一地区で事業中でございます。
さらに、七十五ミリ施設整備をいたします地区等の追加について、最新の流出解析シミュレーション技術を活用した検証を令和二年度末までに完了させます。
今後とも、都民の生命と財産を守るため、浸水対策を強力に推進してまいります。
○柴崎委員 今、答弁によりますと、七十五ミリの施設整備をする地区も、今年度中に追加をしていくとのことであります。また、あわせまして、全国的な降雨状況を見ますと、それぞれの施設整備が必要な地区全てが早期に完成するよう、引き続き全力で取り組んでいかれますことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
次は、水道事業について伺いたいと思います。
都が昨年度公表いたしました新たな人口推計では、生産年齢人口が減少し、老年人口が増加するとされております。したがいまして、将来、労働力人口が大きく減少することが課題になっていくと予想されております。
水道事業を支える水道工事事業者の約九割、これは中小企業の皆様であります。こうした中小企業の皆様方から、今後の経営に当たりまして、若い社員や、あるいは女性社員など担い手の確保が重要な課題、そして、水道工事を今後も継続して受注していくためには、何より技術継承と技術力の向上が必要だという声を多く聞いております。
これに対しまして、水道局では、担い手の確保の対策として、週休二日制確保試行工事の実施や若手育成モデル工事、そして女性活躍モデル工事、これらの実施に取り組んでいるとのことであります。
また、工事事業者の技術力の向上を図るために、日々の工事での監督員からの指導に加え、本年一月に、配水本管工事、これの技術支援研修を初めて開催したと仄聞しております。
そこでまず、お伺いしたいと思いますが、この配水本管工事の技術支援研修、これの概要と、受講した工事事業者からどのような声があったのか、これについてお伺いしたいと思います。
○浜水道局長 配水本管の取りかえ工事は、今後、事業規模を拡大していく必要がございますが、技術的に難易度が高く、工事実績を有する事業者が少ない状況でございます。
このため、工事事業者の技術力向上、配水本管工事への参入機会拡大を目的に、本年一月、配水本管工事の技術支援研修を、配水本管工事への参入を希望する事業者などを対象として、局の研修施設で開催し、約九十社にご参加いただきました。
この研修では、基本的な耐震継ぎ手管の構造などの講義に加えまして、実習フィールドにおいて、実際の工事を模した土どめや覆工、配管の施工に関する講習を行いました。
参加した事業者からは、間違いやすい施工手順の留意点について説明が欲しいや、今後を担う若手社員に受講させたいなど、さまざまなご意見をいただきました。
○柴崎委員 実習フィールドでこのような経験は、実際の工事におきましても非常に役に立つと思われます。また、若手社員に受講させたいとの声があったということは、工事事業者が望んでいた研修であるものと考えます。
私のもとにも、小管工事を受注している工事事業者から、本管工事も受注したいが技術的に難易度が高く、なかなか受注が難しいとの声が届いております。よって、そうした工事事業者にとりましても、受注機会が広がるこのような研修は大変有意義なものと評価をしております。
このように、水道局では、工事事業者の状況に合わせて、担い手確保や技術力の向上に取り組んできているわけであります。しかしながら、今後は、労働力人口がさらに減少し、工事事業者を取り巻く状況も一層厳しくなることが予想されております。
そうはいうものの、水道事業は、将来にわたりまして安定給水を継続していかなければなりません。こうしたことを踏まえますと、水道工事事業者の担い手確保や技術力の向上に対しまして、水道局のさらなる取り組みが重要であると考えます。水道局の見解を伺いたいと思います。
○浜水道局長 将来にわたり安定給水を継続していくためには、水道事業を支える工事事業者の担い手確保や技術力の向上に資する取り組みが不可欠と認識しております。
担い手確保の取り組みとして、週休二日制確保試行工事に加えまして、シールド工事などの大規模工事を対象として、若手育成や女性活躍のモデル工事を実施してきております。
今後、これらの取り組み状況や効果を検証し、さらに事業者の声も聞きながら、対象工事を順次拡大してまいります。
また、技術支援研修では、今後多く採用することが見込まれるパイプ・イン・パイプ工法の講義を取り入れるなど内容を充実させるとともに、配管実技の演習時間の拡大や開催回数を増加させ、研修効果を高めてまいります。
こうした取り組みによりまして、工事事業者の働き方改革や技術力の維持向上に努め、安定給水を確保してまいります。
○柴崎委員 こうした取り組みが、水道工事事業者、そして水道局にとりましても大変重要であり、将来にわたり安定給水につながるものであります。ぜひ、積極的に進めていただくことを要望いたします。
あわせて、今般、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、水道局でも料金収入が減少しているとのことであります。しかしながら、予算に示した水道工事は、安定給水を確保する上では不可欠なものであるということはいうまでもありません。
また、万が一にも財源がないということで工事を発注しないということになれば、事業者の経営にも大変大きく影響を与えてしまいます。水道工事は、引き続き計画的に進めていくことを強く要請いたします。
さて、水道事業におきまして、先ほど来申し上げておりますように、最も重要な使命は安定給水の確保であります。そして、水道局と政策連携団体が、安定給水の実現に向けまして日々の業務をしっかりと行うということが一番大切なことはいうまでもありません。
一昨年来、水道局では、局職員による情報漏えい、そして、所管団体の東京水道サービス株式会社では、特別監察によって書類の改ざんが露呈をいたしました。このように、事件が立て続けに明らかになり、これまでに幾度となく原因究明や再発防止策、コンプライアンスの確保や強化について、貴重な時間を割いて議論をしてきたところであります。
コンプライアンスは確かに必要なことでありますけれども、そもそも遵守されるのが当たり前の話でありまして、本来は都議会の場で何度も議論をされるような話ではないはずです。
こうした観点から、いま一度質問をさせていただきたいと思います。
知事は、昨年の三月二十九日の記者会見におきまして、事件への対応や東京水道サービス株式会社と株式会社PUCとの統合など、さまざまな課題に対して水道改革が必要であり、そして、その水道改革を強力に推進していく、そのために、新しい水道をつくっていくために、これまでとは違う流れの人材、すなわち水道事業とは縁もゆかりもない、それまで特別秘書でありました野田数氏を、突然、東京水道サービス株式会社の代表取締役社長に推薦をいたしました。水道改革を進める上で、東京水道サービス株式会社の社長になぜ野田数氏を推薦することが適任なのかは、我が会派といたしましても、今でも十分な説明はなされていないと考えております。
そこで、小池知事の推薦により、東京水道サービス株式会社の代表取締役社長に就任いたしました野田数氏の社長としての実績についてお伺いしたいと思います。
○浜水道局長 東京水道サービス株式会社は、昨年二月の特別監察結果を踏まえた社の抜本的な改善とともに、本年四月の株式会社PUCとの統合に向けた取り組みを迅速に進めなければならない状況にございました。
こうした中、昨年五月に同社の代表取締役社長に野田氏が就任した後、速やかに、同社のアクションプランとなる七十二項目の取り組みを盛り込んだ二〇一九年度の経営方針と目標を策定いたしました。
これに基づきまして、企業統治や内部統制に関する基本方針の策定などを含めた特別監察に対する改善報告書を同年八月に取りまとめ、出向社員の受け入れ見直し計画を九月に策定するなど、同社の抜本的な改善を図ったところでございます。
また、株式会社PUCとの統合につきましては、統合に係る調整を先導して行い、本年四月から東京水道株式会社として業務を着実に進めており、所期の目的を達成いたしました。
○柴崎委員 今の答弁によりますと、あたかも代表取締役社長としての職責を全うしていて、水道改革に邁進しているかのように聞こえました。また、これまでの議会の議論の中におきましては、都民ファーストの会としては、野田氏の実績を高く評価しておりました。
その野田氏ですが、団体を統合した後の東京水道株式会社においても、代表取締役社長の座についております。
こうした、統合した同社が新たなスタートを切ったやさきに、またしても同社において、道路占有許可申請手続にかかわる不適正処理事案が発生をしたわけであります。この事案におきましては、野田氏が東京水道サービス株式会社の代表取締役社長であった時期において、事故者が道路占有許可申請にかかわる虚偽の報告を水道局や社内に対して行っていたことも明らかになっております。こんなことで、本当に代表取締役社長としての職責を果たしているといえるのでしょうか。
これまで我が党は、事件が繰り返し起こる原因として、競争するものがなく経営に不都合が生じることがない東京水道グループとしての負の側面があります。こうした点が、コンプライアンスに対して意識の希薄さを生んでいるものと指摘をし、再発防止の徹底を求めてまいりました。
しかしながら、今回再び事件が発生したことからも、これまで取り組んでまいりました再発防止策の実効性には疑問を感じざるを得ません。一体、知事のいう水道改革とは何なのでしょうか。それは、新しい水道をつくるという聞こえのよいフレーズでしかなく、事件を繰り返している現状からは、その改革の成果といったものが全く見えてこないわけであります。こうした現状は甚だ遺憾であります。
野田氏を事実上任命して進めてきた水道改革につきまして、知事の見解をお伺いしたいと思います。
○小池知事 お尋ねの水道事業でありますが、都民生活と都市活動を支える基幹ライフラインであることはいうまでもありません。そして、安定的な事業運営には都民の理解も不可欠でございます。
しかし、水道局と政策連携団体であります東京水道サービス株式会社において、都民の信頼を損なう不適正な事案がたびたび発生してまいりました。
また、持続可能な東京水道の実現に向けまして、同社と株式会社PUCとの統合を初め、水道改革を推進する必要がある。そのことから、新たな観点から改革に取り組み、行動力のある野田数氏を同社の社長に推薦したところであります。
同氏は、同社の先頭に立ちまして抜本的な改善を着実に実施するとともに、株式会社PUCとの統合によって水道業務を包括的に担うことができる体制を構築するなど、東京水道グループが一体となって取り組まなければならない水道改革を牽引してきたものと認識をいたしております。
水道改革は道半ばであります。持続可能な東京水道の実現に向けまして、同氏には、引き続き改革の牽引役を果たしていただくこと、これを期待いたしております。
○柴崎委員 今、知事からご答弁いただきました。
こうした中で、まさに水道事業、これは都民生活と都市活動を支える基本ライフラインであります。そして、首都東京の安定給水を支えるために、職員、そして社員一人一人が強い使命感と高いコンプライアンス意識を持つのは当然のことであります。その上で、みずからの職務を不断に見直し、東京水道グループ全体として、不正の芽を摘む組織体制を早急に確立すべきであります。
我が党は、グループを率いる立場である水道局が、これまで以上に強い危機感を持ってコンプライアンス強化に取り組んでいただき、都民の信頼を回復していくことを改めて強く求めてまいります。
そして、東京水道グループが本当に生まれ変わることができるのか、引き続き厳しく注視をしてまいりたいと考えます。
このことを申し上げまして、公営企業会計決算特別委員会、自民党の全局質疑を終了といたします。
○高橋委員長 柴崎副委員長の発言は終わりました。
次に、鈴木理事の発言を許します。
○鈴木委員 私からは、東京都の下水道事業、水道事業、そして病院経営本部の都立病院について質疑を行います。
初めに、下水道事業についてです。
東京都の下水道事業は総額六兆円の償却資産を誇る、公営企業の中でも本当に大規模な事業であります。
しかし、都の下水道事業は、これから大きく三つの危機に直面いたします。一つ目が人口減少、そして二つ目が老朽化した下水道管、これをどう更新していくか、そして三つ目が集中豪雨、この三つの問題が下水道会計にとっても非常に大きな負担となると私は考えております。
特にこの後者二つの問題、下水道管の更新と、そして集中豪雨への対応、これだけで二〇五〇年までに、総額で二兆円近くの新たな支出が発生するという、そういう見通しに今なっています。それに加えて、人口減少によって、下水道料金の料金収入自体は減っていくだろうと。そういう中で、この下水道会計をどうやったら持続可能にしていけるかという、そういう観点で、私はきょうは質疑をしたいと思います。
初めに、下水道事業の決算資料を拝見して最も気になったことは、企業債の償還です。下水道事業のような大規模な事業では、当然企業債を発行して事業資金を捻出するというのが一般的なんですけれども、私は、今回問題提起をしたいのは、この企業債の償還の際に発生している利子の支払いです。
試しに平成元年度から令和元年度までの、この企業債の元金の償還額と利子の支払いの総額を計算してみたんですけれども、元金の償還額は五兆七千百四十四億円、そして、この間に、利子の支払いだけで二兆八千二百二十億円もの支出が発生しているわけです。大体、東京都の下水道事業、ここ数年、年間三千七百億円ぐらいの事業収入だと思いますけれども、先ほどの利子の支払い分、三十一年間で二兆八千億円以上というのは、これ、ならすと、大体年間平均一千億ぐらいはこの利子の支払いに充てられているわけです。三千七百億円の事業収入に対して一千億弱の利子の支払いを負担してきたということで、これ下水道事業にとっては、とても企業努力ではどうにかできる問題ではないぐらいの非常に重い負担だと私は思っています。
何でこういう状況になっているかということを申しますと、区部の下水道というのは、平成六年に普及概成しておりますが、建設当時の企業債というのは、大体八%から九%といった非常に現在と比べても高利率の時代であったと。その影響でその後の元金の償還に当たっての利子負担というのが大変重くなったという、こういう状況であります。
こうした中でも、過去最大には三兆円近くあった企業債の未償還残高が、この二十年間で半分近くにまで減っているということは、下水道局の努力として、私は高く評価をいたしますけれども、今後、下水道管の更新、それから豪雨対策のために、先ほど私が申し上げた三十年間で二兆円という本当に多額の費用が発生することを考えると、企業債を発行していかなければいけない。そのときに、この利子負担というのを極力減らしていくという視点が、私は極めて大事だと思います。
この企業債について詳しく調べてみると、企業債には大きく二つ種類がございます。一つは国が国債を発行して融資を受ける形の政府債というものと、もう一つ、財務局が市場公債費として発行して、それを原資に受ける形の民間債という、この二種類が企業債にはございます。民間債の現在の利率と政府債の現在の利率を調べてみると、大体民間債の利率の方が三分の一ぐらいということで、かなり民間債の方が利率が低くなっていると。ただ、その分、民間債は十年ごとに借りかえをしなければいけないというようなデメリットも存在するわけですけれども、今、令和元年度で、この民間債と政府債の発行の割合というのは大体六対四ということになっているんですが、私としては、これからこの多額の企業債を発行していく上で、この利率というのはもっと丁寧に精査をしていく必要があると思います。
例えばですけれども、民間債の割合をふやすということによって、全体の利率は下がるかもしれない。三十年後、四十年後の重い負担ということを考えたときに、ここの企業債の発行の仕方というのは物すごくしっかりと工夫をしていただきたいと私としては思っています。
そこで、事業財源として活用する企業債について、今後、将来負担をできるだけ少なくなるように戦略的に活用していくべきだと考えますが、見解を伺います。
○和賀井下水道局長 下水道事業は、集中的に多額の投資を要し、事業効果の発現が長期に及ぶことから、事業費の財源に企業債を充当することにより、財政負担の年度間調整や世代間の負担の公平を図ることが適当とされております。
こうした考えのもと、下水道局ではこれまでも、安定的に事業運営を図るため建設財源として企業債を有効活用してきておりますが、今後、都においても人口減少が見込まれることを踏まえ、これからは、より将来負担を意識した活用が必要であると考えております。
現在、起債対象としております政府債や民間債は、償還手法や利率等が異なることから、それぞれの発行規模や将来負担のバランスなどを検証しながら適切に発行管理をしてまいります。
○鈴木委員 もちろん資金ショートしないということが前提ではありますが、民間債と政府債をそれぞれどのような比率で、そして、その当該年度にどのぐらいの発行額を行って企業債を活用していくのが最終的に将来負担をできるだけ減らせるかという、そういう視点でぜひ検証を行ってほしいと思います。その際には、今後、金利というのは間違いなく変動してくると思いますので、例えば、低金利の状況と中金利、高金利、それぞれにパターンを作成して、どのぐらいの発行割合でやっていくと一番少なくなるのか、それぞれのシミュレーションを、私としてはしっかりしていただきたいと思います。
なぜ、こういうことを申し上げるというと、過去の利払いの総額、三十年間で二兆八千億円という金額を考えれば、これから企業債の発行の仕方を工夫することで、同じく三十年スパンで見ればです。これ、もしかしたら数千億円単位で都民の負担額というのは減らせるかもしれないと私は思っています。ぜひ、ここはしっかりと検証をしていただきたいと思います。
そして、今後の厳しい財政状況を踏まえると、企業債だけではなくて、維持管理費、これのコスト面での課題というのはどこにあるかということをしっかりと検証して改善をしていくことが大事だと思います。
下水道のコストを比較するためには、汚水処理原価というものが一般的に使用されています。この汚水処理原価について、私、今回の決算審議に当たって、公会計の専門家に分析を依頼しまして、東京都と大阪市、これの比較を行いました。特に管渠費、ポンプ場費、そして処理場費などについて、汚水処理原価というのは同じ汚水量を処理するのにかかっているそれぞれのコストですね、これを調べてみました。その結果、東京は大阪と比較して、例えば管渠費の維持管理費が二・二倍、ポンプ場の維持管理費が一・七倍、そして、全体の減価償却費が一・六倍となっているなど、維持管理費や減価償却費などで差があることがわかりました。
東京都と大阪市ではもちろん運営手法の違いがございます。そのため、この調査に加えて、委託費であるとか、実際の維持管理の状況という、より詳細に分析をしていくことはもちろん必要なんですけれども、私としては、いずれにせよ、ほかの都市としっかりとコスト比較をして、削減の余地がどこにあるのかということを検証していくことが極めて大事だと思っております。
そこで、今後、より詳細にほかの都市との財務的な比較なども行い、下水道事業におけるさらなるコスト縮減策を検討していくべきだと考えますが、都と大阪市の差の要因とあわせて見解を伺います。
○和賀井下水道局長 下水道局ではこれまでも、財政基盤を強化する観点から、建設から維持管理までのトータルコストの縮減に努めておりますが、東日本大震災以降、労務単価や電気料金の上昇などにより、維持管理費は増加傾向にございます。
お話の大阪市は、都と比較いたしますと処理区域面積が三分の一でございまして、下水道の整備が早期に進んだため、整備コストが抑えられ、その結果、減価償却費が低くなっていることから、政令市の中でも汚水処理に係る経費が最も低くなってございます。
一方、都は、予防保全の観点から、計画的に下水道管や設備の補修などを進めていることから、大阪市よりは高いものの政令市の平均よりは低い水準にございます。
省エネルギー化の取り組みや施設の効率的な運営に一層努めるとともに、他都市の決算状況や経営分析等を積極的に行い、さらなるコスト縮減に努めてまいります。
○鈴木委員 今ご答弁の中で、ほかの都市との決算状況や経営分析などを積極的に行うというお話がありました。ぜひ、ここは行っていただきたいと思います。
今、企業債の話と、そして維持管理費の話をしてきました。これ支出の削減という観点ですけれども、一方で収益を確保していく、よりつくっていくことも大事でございます。
下水道事業というのは、非常に資源が豊富な事業として知られています。例えば今、リンという資源がございます。日本では肥料などに使われている資源ですけれども、ほとんど日本のリンという資源は海外からの輸入でほぼ全て賄っています。一方で、この下水道の事業の中には、このリンという資源が物すごく大量の量が流入しているといわれていまして、これが大体、全国の下水道合わせて、国内の輸入量の一割ぐらいが流入しているといわれています。
また、下水熱というもの、これも非常に有用な資源でして、下水道の特性として、暑いときには比較的下水の温度というのは冷たくなると。そして、寒いときには比較的温かくなるというようなこういう特性を持っておりまして、これをエネルギーポテンシャルに換算すると約千五百万世帯の年間の冷暖房熱源に相当するポテンシャルがあるといわれています。下水道にはこうした活用可能な資源がまだまだ存在しており、こうした資源を活用して、将来的には大きな収益につなげていくということが、私としては大事だと思います。
そこで、収益向上のためにも、資源の活用や技術開発を積極的に進めるべきだと考えますが、見解を伺います。
○和賀井下水道局長 下水道局では、下水の処理水や処理の過程で発生いたします汚泥などを、都市における貴重な資源として、清流復活用水やエネルギー源等に積極的に活用しております。
このうち、エネルギー資源としての活用では、汚泥から発生するガスを利用したバイオマス発電などにより、昨年度の実績で約四千三百万キロワットアワーの電力を再生可能エネルギーとして創出いたしました。これは一般家庭約一万二千世帯が年間で使用する電力量に相当いたします。
加えて、汚泥の焼却廃熱を活用し発電するエネルギー自立型焼却システムを民間企業と共同研究で開発し建設を進めるなど、新たな資源利用の拡大に努めております。
今後、さらに下水道の持つさまざまな資源を有効活用できるよう、技術開発を推進してまいります。
○鈴木委員 先ほど紹介したリンは、この十年で国際市場価格、大体一〇%ぐらい上昇しております。今後の市場動向を見きわめながら、ぜひ、この実用化に向けて技術開発を進めていただきたいと思います。
東京都では、下水道事業の生産性の向上を目的として、包括民間委託やコンセッション方式などの新たな施設運営手法について、二〇一八年度より三年間の調査検討を行ってきました。令和元年度はその中間年度に当たるわけですけれども、その後、二〇二二年度から、区部と多摩の水再生センターにおいて、それぞれ一施設で包括委託を導入して、その後、順次拡大していくということが報告をされました。
ただ、この包括委託を行った場合の一施設当たりのコスト縮減効果というものを見てみると、これ大体二千万から五千万だと年間いわれています。都内に水再生センターは全部で二十施設ありますが、仮にこれを、その半分を包括委託を行ったとしても、恐らく年間のコスト縮減策というのは、大体二億円から十億円の範囲にとどまってしまうと思います。もちろん、私としては、これは大事な経営努力なので、ぜひやっていただきたいと思うんですが、これからの東京都の下水道事業が直面している財政的な課題の規模と比較をしますと、正直全然足りないな、根本的な解決にはなかなか至らないなというふうに思っております。
重要なのは、今後の長期的な財政収支の見通しをしっかりと示した上で、どの程度企業努力が必要なのかというのを明らかにして、大胆なコスト縮減策や収益確保策を検討していくことではないかと思います。
そこで、今後、新たな包括委託の導入も踏まえて、下水道事業の持続可能な運営を確保するため、事業の長期的な財政収支の見通しを示すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 理事、冒頭にご指摘されましたように、下水道管の老朽化、豪雨回数の増加、そして人口の減少、下水道事業を取り巻く環境というのは、今後、より一層厳しさを増していくものと考えられます。
こうした中にあっても、汚れた水をきれいにするとともに、まちを浸水から守るという下水道は、都民生活や東京の都市活動を二十四時間三百六十五日支える必要不可欠なインフラとして、その役割を着実に果たしていく必要があります。
このため、都といたしまして、事業のさらなる生産性の向上を図るため、一部の水再生センターの運営に包括委託を導入いたしまして、将来的には順次拡大を検討していくことといたしました。
今後は、下水道局、委託先となります政策連携団体、民間事業者の三者で競い合って切磋琢磨することで、AIやICTなどの最新技術を取り入れながら、次世代の下水道システムの構築と都民サービスの向上につなげてまいります。
下水道事業の運営に当たりましては、こうした不断の経営改革に果敢に取り組んで、将来にわたって持続可能な運営を確保していくために、次期経営計画の策定に合わせまして財政収支の推計を示してまいります。
○鈴木委員 今、財政収支の推計を示していくというご答弁をいただきました。ぜひ、これを行った上で、将来的に都民の負担額ができるだけふえないように、本日指摘した点も含めて、下水道局さんとして一層の努力を行っていただきたいと思います。
次に、水道事業について伺います。
冒頭、下水道ともかかわるので、初めに水道料金の徴収業務について質疑をしたいと思います。
水道、そして下水道料金の徴収業務は、下水道局からの委託を受けた上で、水道局が一括して行っています。この徴収業務は、例えば検針業務、それからコールセンターの運営、そして水道メーターの引きかえ、営業所の維持管理、これも、いろんなものを含めて、大体、令和元年度で約三百六十一億円の経費がかかっております。私、これ正直かなり大きいなと思っておりまして、先ほど下水道事業の年間収入が大体三千七百億だと申しましたけれども、水道事業の年間収入が大体三千三百億ですので、合わせて七千億ぐらいです。この七千億のうち、水道料、下水道料合わせて、料金徴収の業務が大体三百六十一億かかっているということで、全体の大体五・五%、徴収業務にかかっています。これは非常にこの事業、両事業にとっては重い負担だと思います。
実際に利用者の多くは口座振替、それからクレジットカードでの支払い、そういう形で料金を払っておりまして、未納の発生額というのはかなり少ないと聞いております。実際、令和元年度の実績を見ますと、料金未納わずか〇・七%、未納発生金額は約二十三億円にとどまります。この未納者への対応、もちろん公平性という観点では重要なんですけれども、このコストに対して得られる金額としては、見合っていないのではないかと私としては思います。この業務は、口座振替の転換、そして料金徴収業務のさらなる効率化、さらには将来的にはスマートメーターの設置などで自動化、スリム化していくことが望ましいと思います。
そこで、水道事業、下水道事業双方のために、料金徴収業務のコスト縮減に今後一層取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。
○浜水道局長 徴収業務に係る経費は、給水件数が毎年十万件増加していることや、支払い手段の多様化等サービス向上を図ったことなどにより、ここ五年間で約十億円増加しております。
しかし、検針業務委託契約に競争入札を導入するとともに、営業所業務の政策連携団体への移転などを進め、経費の縮減を図った結果、給水契約一件当たりの経費で見ますと、五年間で一・九七%減少しております。
今後、さらに政策連携団体の業務移転を推進するとともに、徴収コストの低い口座振替やクレジット払いへの誘導、郵便料金等の低減につながるペーパーレスの推進に取り組んでいくほか、スマートメーターの導入を見据え、徴収業務の新たな仕組みについて検討してまいります。
こうした取り組みによりまして、料金徴収業務のコストのさらなる縮減と、一層のお客様サービスの向上を図ってまいります。
○鈴木委員 今、徴収業務の新たな仕組みについて検討していくという答弁でございました。ぜひ、下水道事業、そして水道事業双方のために、この料金徴収業務の見直しを進めていただきたいと思います。
さて、令和元年度に水道局では、東京水道長期戦略構想二〇二〇の素案、これを策定して公表されています。この中で、二〇六〇年までの水道需要、施設整備、業務運営体制、そして財政収支の推計を示したということは、私は特筆すべきことだと思います。この推計に基づけば、都の水道事業というのは、大規模な災害などの発生などがなければ、二〇六〇年になっても現行の料金水準を維持できるという、一応そういう推計になっております。
ただ、私としては、その試算を細かく見てまいりますと、例えば節水法が進化をして料金収入がもう少し推計よりも減っていくとか、あるいは、先ほど議論した企業債の金利を大体一・五%、三十年間固定で試算をされていますけれども、ここはかなり、正直変動はあるだろうと思います。
こうした変動があるので、ぜひ今後の経営環境の変化に応じて、長期的な財政収支の推計は定期的に見直しを行っていただいて、さらなる経営努力につなげていただきたいと思いますが、見解を伺います。
○浜水道局長 今回の長期財政収支の見通しは、人口減少に伴う料金収入の減少を見込む一方、安定給水に必要な施設整備、スマートメーターの導入など、持続可能な水道事業の実現に向けた取り組みの経費を適切に見込み、二〇六〇年までの収支を推計いたしました。
しかし、災害発生などのリスクや、社会経済情勢の急激な変化などによる料金収入の大幅な減少などは見込んでおりません。
このため、今後は、社会経済情勢の変化などを的確に捉え、各施策を適切に見直すとともに、不断の経営努力による経費の縮減と収入の確保に努め、五年ごとの中期経営プランで健全な財政計画を策定してまいります。
さらに、今回の長期財政収支に見込んでいない社会経済情勢の急激な変動やリスクが顕在化した場合は、改めて長期財政収支の見直しも検討いたします。
○鈴木委員 今回の水道事業の長期財政収支でも、給水収益に対する企業債、先ほど下水道でも議論させていただいた、この企業債の元利償還金の割合というのが、二〇六〇年度に大体一八・四%まで上昇するという、そういう推計になっております。
きょうは全局質疑なので、下水道さん、水道さん、それぞれに改めて申し上げたいのは、この企業債の償還金というのは、下水道さん、水道さんのような本当に大規模な事業においては極めて重要なものになってきますので、この額をしっかり押さえていくという視点をぜひ持って事業に取り組んでいただきたいと思います。そして、将来世代の負担の低減に努めていただくよう要望します。
今、全国の水道事業は非常に厳しい状況に置かれております。人口減少により料金収入が低下をしていく。そして、深刻化する人材不足、さらには、老朽化した水道管の更新、そして、私が一番課題だと思っているのは、水道事業が基礎自治体単独で、全国ではそれぞれ事業を行っているということです。
これ、なぜ課題かということを申しますと、水道事業のような非常に大規模な事業で、地域ごとに行うと非常に経営効率が悪いわけです。本来、その水道の特性を考えれば、本当は流域ごとに一元化してやるのがいいのかなとも思うんですけれども、この個別の水道事業というのは、これから広域化して、しっかりとスケールメリットを出していくということが、この水道事業を持続可能にしていく上で極めて重要だと思います。こうした状況に対して、平成三十年に国の方で水道法が改正されて、今後、全国では一元化、そして広域化を検討していく事業体が数多くあります。
東京都は、非常にすばらしいと思いますのは、全国に先駆けて都営水道の一元化を行ってきて、これから一元化を検討しなければいけない全国の事業体にとって、非常に有用な先例になると私は考えております。
さきの分科会の質問でも、直近で一元化を行った三鷹市の事例を確認したところ、一元化前と比較しまして、区域内の配水本管の延長が大体二・五倍となったということで、管網のバックアップ機能が極めて強化されたと。また、多摩地区全体では、一元化の前後で比較して年間四十億円の経費を削減するということで、一元化、広域化は非常に有効な経営基盤強化策だとわかりました。
これまでの都営水道の一元化の実績に加えて、今回の長期戦略構想の策定ノウハウというものをしっかり全国の水道事業体に共有をして、深刻な、将来課題を抱える全国の水道事業体をぜひサポートしていただきたいと思います。それが東京都の水道局の役割だと私は思います。
そこで、今後、水道局の取り組みや一元化のノウハウを伝えることで、国内の水道分野の持続的な発展に一層貢献していくべきだと考えますが、見解を伺います。
○浜水道局長 水道局が今回策定いたしました東京水道長期戦略構想は、より長期的な視点に立ち、水道事業を取り巻く状況の変化を見据え、持続可能な水道事業の実現に向けたおおむね二十年間の事業運営の指針として取りまとめたものでございます。
この構想は、本年一月に素案をホームページに公表して以降、累計で約三万八千件閲覧されており、他の水道事業体からの問い合わせもいただいております。
今後は、この構想に加えて、当局の多摩地区水道の一元化や、政策連携団体を活用した効率的な事業運営体制の構築など、広域連携や官民連携などに関する取り組みにつきましても、首都圏水道事業体支援プラットフォームによる活動や、公益社団法人日本水道協会の全国会議における研究発表など、あらゆる機会を捉えて全国に発信してまいります。
○鈴木委員 ぜひ、今後、深刻な課題に直面する全国の水道事業体をサポートしていただきたいと思います。
また、東京都内にも、私の地元の武蔵野市を初め、幾つかの自治体はまだ単独で水道事業を行っていますけれども、ぜひ、これらの事業体の一元化にも引き続き取り組んでいただきたいと思います。
水道事業の最後に、環境計画について伺います。
東京都の水道事業は、水をつくり、届ける過程で、都内の使用電力量の約一%に相当する年間約八億キロワットアワーという大量のエネルギーを消費しています。下水道さんも、これだけの大きなエネルギーを消費していると思います。この水道事業、そして下水道事業もそうですけれども、ここは、消費電力やCO2排出量を削減していくというインパクトは東京においても非常に大きいものがあります。
水道局では、二〇〇四年度以降、環境計画を策定して環境負荷の低減に取り組んできており、令和元年度は環境五カ年計画の最終年度でありました。令和元年度の実績を見ると、東京都環境確保条例に基づくCO2排出量の削減義務は達成をしております。ただし、近年、持続可能な開発目標、SDGsの採択や、気候変動に関する新たな目標設定など、国際的な関心も高まっている中で、水道局として、CO2排出量の削減により一層取り組んでいただきたいと思います。
水道局では、令和二年三月に新たな環境計画を策定していますが、今回策定した新たな環境計画の概要と今後の目標について伺います。
○浜水道局長 新たな環境計画は、これまでの成果や社会的状況の変化に加えまして、持続可能な開発目標、SDGsへの貢献や、ゼロエミッション東京戦略等を踏まえて策定したものでございます。
この計画では、CO2排出量の削減など四つの基本方針のもと、三十七項目の取り組み事項を定めるとともに、主な取り組み事項として、一万キロワットの太陽光発電設備や二千五百キロワットの小水力発電設備の導入、年間六百ヘクタールの水道水源林の保全作業実施など、五年後の到達目標を設定いたしました。
また、CO2削減義務への対応につきましては、令和二年度から削減義務率が二五%に強化されることから、これまでの取り組みに加えまして、新技術の活用やトップレベル事業所認定の取得、森林吸収クレジットの取得、活用などの新たな取り組みにより、義務の達成を目指してまいります。
○鈴木委員 今ご答弁にあった新しい取り組みに加えて、例えばガスエンジン式のコジェネレーションシステムなど、新しい技術もぜひ活用していただいて、この環境対策を積極的に推進していただきたいと思います。
最後に、都立病院事業について質問します。
まず、決算審議に先立ちまして、新型コロナウイルスの対応のために日々現場で奮闘されている都立病院の皆様、そして病院経営本部の皆様に深く感謝を申し上げます。
都立病院は、依然として厳しい経営状況にあります。令和元年度の一般会計繰入金は約三百八十五億、経常損益は約四十二億円の赤字ということで、都立病院の経営改善は急務であると思います。
しかし、都立病院は、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療を担っているということで、これは私は重要な役割だと思っております。この重要な役割を今後も果たし続けるためにも、ぜひ、経営の改革にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
一般的に病院事業、これ民間も同じですけれども、支出のうち最も大きいものというのは人件費です。都立病院においても、令和元年度の医療費用に占める給与費の割合というのは約四九・九%に上ります。特に、都立病院の平均給与月額は六十六・四万円ということで、東京はもちろん、全国平均より労務単価が高いということを加味しても、全国の自治体病院の平均である五十九万円とはかなり差があると思っております。都立病院の経営改善のためには給与体系の見直しも避けては通れないと、私としては認識しています。
しかし、見直しに当たっては、ただ単に給与を削減するというようなことではなくて、組織で働く職員の皆さん、その働く意欲を増すようにするということが必要なことはいうまでもありません。独法化後に民間病院と競争していかなければいけないということを考えると、やはり優秀な人材を獲得するためには、職員のやりがいや働きやすさといった視点を持ちながら、民間の見習えるところは積極的に取り入れていく必要があり、そのためには民間病院と比較をした給与体系の設計は極めて重要だと思います。
そこで、今後、独立行政法人化するに当たって、民間の病院における給与などと詳細に比較した上で適切な給与体系を設計すべきだと考えますが、見解を伺います。
○堤病院経営本部長 地方独立行政法人法第五十七条第三項では、一般地方独立行政法人の給与支給の基準は、同一または類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間企業の従事者の給与を考慮して定めることとされております。
民間病院を含む他病院の情報をできるだけ収集いたしまして、職員の意見も聞きながら、職員の専門的知識や能力、職責、勤務実績を適切に処遇に反映し、職員の働きがいにつながる人事給与制度の設計に当たってまいります。
○鈴木委員 民間病院にとっても、この詳細な給与体系というのは機密情報でもありますので、現状なかなか情報を得るのは難しいと聞いておりますけれども、やはり都内の民間の病院経営者のOB、OGであったり、あるいは病院経営コンサルタント、そういった方々からできる限り情報を収集して、ぜひ独法化に際する制度設計に役立ててほしいと思います。
続いて、経費についてなんですけれども、全国の自治体病院と経費比率を比較すると、全ての都立病院が全国平均を大きく上回っているのが現状です。特に医業収支に対する経費比率は、全国の自治体病院平均が約二〇%に対して、都立の総合二病院は約二八%と、かなり高い水準にあります。これだけの差が生じている原因は、東京と全国の物価の違いだけでは説明できないはずです。令和元年度の経費の内訳を見ると、業務委託費、維持管理費などが多くを占めております。
私も今回、病院経営コンサルタントの方に少しお話を伺ったんですけれども、やはりこうした経費を下げていくためには、まず、しっかりとした市場価格というものを適切に把握する、その上で、契約のたびに価格交渉をちゃんとやる、そして、病院の皆さんの意識のもとに個別の経営改善をしっかりとやっていくと。この三つが非常に重要だというお話をいただきました。
もちろん都立病院は、今、この経営形態の関係で、なかなか民間と全く同じようにはできないと思いますけれども、ただ、医療機器の保守などは、ほかの病院がどのぐらいの価格で実際に購入しているのか、そして、市場の平均価格は幾らなのかということを、例えば、先ほどの民間の病院経営コンサルタントであったり、いろいろな方から情報収集をして、この経費の見直しに活用していくということが、私としては大事なのではないかと思うんです。
そこで、医業収益費が全国と比べても高い経費について、都として縮減に取り組むべきだと考えますが、その要因と、あわせて見解を伺います。
○堤病院経営本部長 経営を改善し、安定的な経営基盤を確立するためには、病院の管理や運営に要する経費についても不断に精査する必要がございます。
経費には、業務委託等の委託料や修繕料、光熱水費、賃借料等が含まれておりまして、物価以外にも人件費や地価の水準などの影響を受けることから、東京は全国に比べて割合が高くなる傾向があるほか、建物や医療機器等の劣化状況なども増加の要因となります。
このため、収益の確保を図るとともに、医療機器の保守対象や業務委託の仕様の見直し、電力供給の複数年契約の導入などによりまして、節減に積極的に取り組んでいるところでございます。
今後は、これまでの取り組みを一層推進しますとともに、スケールメリットを生かした契約や多様な契約手法の活用等によりまして、経費を一層縮減し、将来にわたり質の高い医療を安定的に提供できる経営基盤を構築してまいります。
○鈴木委員 二〇二二年度内に実施予定の独法化によって、より柔軟な契約が可能となると思いますので、ぜひこの機会に経費一つ一つを精査していただいて、縮減に努めていただきたいと思います。
最後に、収益向上について伺います。
都立病院の自己収支比率は、全国の自治体病院の平均を下回っております。経費の削減だけではなくて、医業収益を高めていくという努力が必要です。特に医業収益の一つである外来収益に着目をすると、外来患者単価と外来患者数の双方とも、総合二病院のうち全国の自治体病院の平均を大きく下回っております。
外来収益と外来患者数が少ないようについて、例えば、都立広尾病院などについて、少し状況を分析しますと、やはり同じ医療圏に、大学病院とか、高度急性期、そして急性期を担う医療機関が数多く存在しており、競合性、競争性が高まっているということが挙げられると思います。こうした状況は、医業収益の大部分を占める入院収益にも影響しております。やはり各病院が、市場調査などをもとに診療圏の患者数などを分析して、マーケティング戦略を立てて、地域の医療機関との役割分担の中で、地域に不足するなど地域ニーズが高く各病院の優位性が高い領域というのを明確化して、経営資源を集中的に投入していくことが重要だと思います。
そこで、今後の独立行政法人化を機に、市場調査などを行った上で、地域ニーズが高く、各病院が優位性の高い領域に経営資源を重点的に配分するなど、医業収益を高めて収支改善につなげていくべきだと考えますが、見解を伺います。
○堤病院経営本部長 病院の運営に当たりましては、地域の患者数の動向や他の医療機関での対応状況など、医療の状況を的確に分析した上で、必要な医療分野に対して、医師や看護師などを機動的に確保し、都民や地域の医療ニーズに応えていくことが重要でございます。
独法化後は、柔軟な人材確保等が可能となるメリットを生かしまして、各病院の専門性を発揮できる医療分野や、地域に不足する医療分野につきまして機動的に医療提供体制を強化し、他の医療機関との適切な役割分担のもと、患者が住みなれた地域で質の高い医療を受けられる環境整備に貢献してまいります。
こうして、地域から求められる医療サービスを充実向上させることで、医業収益が高まり、収支改善にもつながると考えております。
こうした取り組みにより、都立病院が役割を果たし続けるための持続可能な病院運営を実現してまいります。
○鈴木委員 きょう私が申し上げたこの経営改革をしっかりと行うためにも、ぜひ経営層に民間人材を積極的に登用していただくことを要望して、私の質疑を終わります。
○高橋委員長 鈴木理事の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後三時五分休憩
午後三時二十分開議
○高橋委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
高倉理事の発言を許します。
○高倉委員 名誉都民であります小柴昌俊さんが昨日ご逝去されました。心より哀悼の意を表するものであります。
令和元年度の都営バス事業は、コロナの影響によりまして、乗車料収入が減り、車両更新や減価償却費の増加などの経費増によりまして、十七億円の赤字になったわけであります。
都営交通につきましては、関連事業収入の確保、特に広告収入の確保は重要と考えます。広告媒体の種類と全体の収入額をまず明らかにしていただきたいと思います。
○内藤交通局長 交通局では、都営地下鉄、都営バス等の車内、車体や駅構内などを活用いたしまして広告事業を展開してございます。
具体的な広告媒体といたしましては、車内のポスターやステッカー、駅張りポスター、バス車両等へのラッピング、バス停の上屋の広告などがございます。
これらの媒体による令和元年度の広告料収入は三十三億九千六百万円となってございます。
○高倉委員 答弁の中で、バス停の上屋広告があるとお話がありました。
資料をお配りしておりますけれども、資料の一ページ目をごらんいただきたいと思います。
これについては、分科会で既に質疑を行いました。交通局が、自前でこの上屋を建てた場合の整備費用は、一棟約六百万円ということであります。官民連携による、この民間が整備をする方式だと、交通局の出費はありませんで、これまで整備をした百三十三棟分で約八億円の経費を負担しないで済んでいるわけであります。そして、今後、これを四百棟までふやすということにしていますので、合計しますと、約二十四億円の経費節減につながるわけであります。
これはイニシャルコストに関するものでありますけれども、もう一つ、きょうは、ランニングコストについて比較をしてみたいと思います。
交通局自身が整備をした上屋につきまして、一棟当たりの広告収入と維持管理費は、それぞれ毎年幾らになるのか、そして、広告収入から維持管理費を引いた年間収入は幾らになるのか、答弁を求めます。
○内藤交通局長 交通局では、お客様の利便性、快適性の向上を図るため、バス停への上屋の設置を進めてまいりました。
広告つき上屋につきましては、広告料収入を整備や維持管理の費用に充てることで、上屋の整備を促進できるメリットがあることから、平成十九年度に設置を開始し、令和元年度末までに百三十四棟設置いたしました。
令和元年度における広告つき上屋の一棟当たりの収入は七十五万五千円、維持管理費用等は五十六万七千円でございまして、差し引き十八万八千円となってございます。
○高倉委員 お配りしている資料の二枚目を見ていただきたいと思います。
先ほどの答弁によりますと、表の左側の都の場合という欄を見ていただいてわかりますとおり、上屋一棟当たりの年間収入は約十八・八万円となります。現在の設置数の百三十四棟を掛けますと、年間約二千五百二十万円の収入になるわけであります。
一方、民間が整備をした上屋につきましては、表の中ほどにあるとおり、維持管理費は民間が負担をするために、都に入ってくる収入は一棟当たり約四十四万円の広告料収入等になるわけであります。現在の設置数が百三十三棟でありますので、これを掛けますと、年間約五千八百五十二万円の収入になるわけであります。
この民間整備の上屋は、今後、先ほど申し上げましたように、約四百棟までふやす方向であるということでありますので、その整備が終わりますと、この表の右端下にあるとおり、年間約一億七千六百万円まで収入がふえるということになります。
こうした民間による上屋の整備は、私ども都議会公明党が推進をしてきたものでありますけれども、こうした工夫を積み上げていくことが、経費の節減や収入増につながっていくものであります。
令和元年度も新型コロナ感染拡大の影響が決算に影を落としておりまして、今後、各公営企業に及ぼす影響はさらに大きくなってくるものと思います。
利用者の乗車収入に大きな影響が想定される都営交通だけではなく、各公営企業とも、こうした民間の力も活用しながら、収入増に向けた対応策を講じるとともに、不急な事業の見直しなども含めて、経費節減に取り組むことが今こそ必要であると思います。
今後の公営企業の経営につきまして、知事のご所見を求めたいと思います。
○小池知事 都の公営企業は、交通や上下水道など、いずれの事業も東京の都市活動や都民生活を支える重要な使命を負っておりまして、事業運営に当たりましては、独立採算制のもとで、経済性の発揮と公共の福祉の増進を実現することが求められております。
新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、日本経済が危機的状況にある中で、都の公営企業におきましても、事業運営にさまざまな影響が生じております。そして、今後の経営環境も一層厳しさを増すことが懸念されております。
公営企業が安定した事業運営を続けていくためには、創意工夫を凝らし、収入の確保を図るとともに、無駄をなくして賢い支出を徹底するなど、収入、支出の両面から幅広く事業内容の見直しを行うことは不可欠であります。
こうした不断の経営改善に加えまして、先端技術の活用などを通じた都政の構造改革を進めて、時代の変化に即した事業運営、そして、都政のクオリティー・オブ・サービスの一層の向上を図ることで、東京の発展に貢献していくべきと考えております。
○高倉委員 次に、防災対策に関連して質問をしたいと思います。
昨年の台風十九号では、多摩地域を中心に都内で大きな被害が発生をしております。
私も同僚議員とともに現地に飛んだわけでありますけれども、私が行った同じ日に現地に足を運ばれました知事と日の出町の方でお会いをしたわけであります。地元の皆さんからは、本当に知事が迅速に行動をされたということで、大変感謝の声を、行く先々でお聞きいたしました。本当にありがとうございます。
私たちは、その日、さらに奥多摩町の都道の崩落現場を視察いたしまして、その後に、実は地元の我が党の議員から、ぜひ特別養護老人ホームに行ってお話を聞いていただきたいと、こういうお話がありました。それで、そちらに行ったんですけれども、そちらでは、断水がこのとき町内全体で起こっておりまして、非常に水不足に悩んでいらっしゃいました。給水車は来ていたんですけれども、全然足りないということでありました。そこで私たちは、お話を聞いた後に、そこのホームの前にある駐車場で同僚議員とともに円陣を組んで、そして、直ちに都庁に電話をいたしまして、救援の要請をいたしたわけでございます。
これを受けまして、水道局は、保有する給水車に加えまして、千葉県や埼玉県からも応援を受けまして、合計十九台の給水車で応急給水をしたわけであります。大変素早い対応をしていただいて、改めて感謝を申し上げたいと思います。
その後、私たち都議会公明党としては、公営企業委員会で給水車の増車を要請いたしまして、水道局からは、保有する十四台から三十台へと倍増するという答弁をいただいているところであります。
そこで、昨年の災害の教訓を生かして、給水車の配置など、水道局において応急給水の体制にどう取り組まれたのか、答弁を求めたいと思います。
○浜水道局長 水道局では、災害時などに応急給水を行う給水車を従来から十四台所有しておりましたが、令和元年度に九台、今年度に七台を新たに購入し、三十台の体制に拡充いたします。
この給水車は、昨年の台風十九号の教訓から、人命にかかわる病院等への迅速な応急給水に加えまして、都内全域で有効に活用するため、区部では水道緊急隊に十台、都庁と研修・開発センターに各一台、各支所に十四台を分散して配置し、多摩地区の給水管理事務所には四台を配置するとともに、水道緊急隊からの派遣によるバックアップ体制も強化いたします。
さらに、西多摩地域等の関係市町と、仮設給水槽の設置場所や応急給水が特に必要な医療施設、福祉施設等を確認いたしました。
これによりまして、災害時における迅速な応急給水を可能とする体制を強化いたしました。
○高倉委員 本当にしっかりとした対応をとっていただいたと思います。
なお、近隣県と、今後やはりお互いに、災害があったときに、相互協力体制といったことも大変重要であるというふうに思いますので、その点もよろしくお願いをしたいと思います。
昨年の台風では、雨水を排除する役割を担う下水道施設のあり方も課題になりました。その一つが多摩川の樋門であります。
昨年の決算特別委員会で、我が党は、水位が上昇した場合に、樋門を安全に操作するため、堤防より外側からの遠隔操作が必要であるということを提唱いたしました。
そこで、この樋門操作の遠隔化の取り組み状況について答弁を求めます。
○和賀井下水道局長 下水道局では、昨年の台風十九号の対応などで明らかになりました課題を踏まえ、多摩川の樋門操作の安全対策などを実施してまいりました。
具体的には、堤防より川側でのみ操作する構造となっていた二カ所の樋門操作の遠隔化を出水期前の五月までに実施し、下水道局が設置した七つ全ての樋門で堤防より宅地側からの操作を可能といたしました。
今後も、樋門操作に関する世田谷区、大田区との合同訓練を実施するなど、地元区との連携を強化し、都民の安全・安心の確保に努めてまいります。
○高倉委員 知事は、先般、ご自身でこの多摩川の樋門の視察に行かれております。ご自身が直接確認をするということは、都民の安全・安心につながる取り組みへの非常に強い決意を示されたというふうに思います。心から敬意を表するものであります。
樋門の遠隔操作につきましては、情報共有体制の構築も重要であります。操作状況について、東京都や関係自治体間の連携による情報共有の仕組みづくりが必要と考えます。
そこで、多摩川の樋門操作に関する情報共有体制について、知事のご所見を求めたいと思います。
○小池知事 自然災害が激甚化する中で、浸水から都民の生命、そして財産を守るためには、河川や下水道の施設などのハード対策と、都民の避難などに役立つ情報を積極的に提供するなどのソフト対策の両方が重要であります。
昨年の台風第十九号でございますが、都内におきまして大規模な被害が発生したことから、速やかに大規模風水害検証会議を設置いたしまして、全庁横断的に検証を行い、その対策を取りまとめたところであります。
樋門の情報共有体制でありますが、地元区市などの関係機関と連携をいたしまして、情報伝達ルートや共有方法、対象とする操作情報を定めて、ことし七月に共有体制を構築したところであります。
また、ことし九月には、私自身、今ご指摘ありましたように、多摩川の現場を視察いたしました。検証会議で示された樋門の遠隔化、そして国の堤防整備の状況などをしっかりと確認したところでございます。改めまして、河川、下水道の施設整備を着実に進めていく必要性を認識いたしました。
今後も、国、そして地元区市などと広域的に連携をいたしまして、ハード、ソフト両面にわたって、きめ細やかな施策に取り組み、セーフシティー東京を実現してまいります。
○高倉委員 下水道につきまして、都政改革本部が示しました見える化改革では、下水道の老朽化や豪雨回数の増加などの危機に直面をしていくとしております。
老朽化の問題や豪雨対策については、防災対策にかかわる大変重要な課題でありまして、我が党は、取り組み強化を繰り返し求めてきたわけであります。
そこで、下水道管の老朽化や豪雨回数の増加ということについて下水道局のこれまでの取り組みについて答弁を求めたいと思います。
○和賀井下水道局長 下水道管の老朽化につきましては、高度経済成長期以降に集中的に整備した下水道管が、今後一斉に法定耐用年数である五十年を経過する見込みでございます。
そのため、老朽化対策に合わせ、雨水排除能力の増強などを行う下水道管の再構築を、ライフサイクルコストの最小化や中長期的な再構築事業の平準化を図るアセットマネジメントの手法を活用し、計画的かつ効率的に実施をしております。
豪雨回数の増加には、区部全域で時間五十ミリ降雨に対応する施設整備を基本とし、早期に浸水を軽減するため、地区を重点化し、施設整備を実施しております。
また、浸水被害の影響が大きい大規模地下街などにおいて、整備水準を七十五ミリにレベルアップした対策を推進しているところでございます。
今後とも、下水道管の再構築や浸水対策を着実に進め、安全・安心な東京の実現に貢献してまいります。
○高倉委員 この防災対策として、交通局にもお聞きをしておきたいと思います。
都電荒川線の車庫ですけれども、川からも近い荒川区内にあるわけであります。水没の可能性が指摘されておりまして、車両を避難させる必要があります。
荒川線は、王子から飛鳥山に向かって坂を上って、比較的高い場所も走っております。荒川線の車両は、飛鳥山よりも、さらに早稲田側の方に避難させるということが適切であるというふうに思いますけれども、交通局の見解を求めたいと思います。
○内藤交通局長 交通局では、荒川氾濫などの大規模水害時に、局の危機管理対策計画に基づきまして、早期復旧に向け、車両の避難などにより被害の軽減を図ることとしてございます。
東京さくらトラム、都電荒川線の車庫は、荒川氾濫を想定して策定された荒川区防災地図水害版によりますと、浸水する可能性のある場所にございます。
このため、車両の避難先といたしましては、理事ご指摘の飛鳥山より早稲田側の比較的標高の高い軌道上が適切だと考えておりまして、現在、具体的な車両の留置箇所や避難の手順などの課題について検討を進めております。
○高倉委員 ぜひ、早急にお願いしたいと思います。
先ほど、防災対策の中で、水道、下水道事業の取り組みを質問いたしましたけれども、ことし一月、水道局は、長期戦略構想二〇二〇の素案を公表しております。そこでは、令和七年をピークに都の人口が減少しまして、令和四十二年度には、ことしと比べて一二%減少するとしております。また、浄水場も今後一斉に更新の時期を迎えるわけであります。そうした中で現行料金の水準をできる限り維持していくということは必要であります。
そこで、この長期戦略構想において、水道事業をどう継続させていこうとされているのか、答弁を求めたいと思います。
○浜水道局長 水道事業は、今後の人口減少に伴う料金収入の減少が見込まれる中、経営努力による支出の抑制や施設整備の平準化などにより、安定給水に必要な施設整備を着実に進めていく必要がございます。
そのため、浄水場などの施設は、予防保全型管理による施設の延命化を図り、更新期間を約九十年に見直すことで、年平均事業費を抑制いたします。
また、管路は、劣化予測により供用年数を八十年から九十年と見込み、事業量を平準化して計画的に更新いたします。
さらに、不足する財源の確保は、これまでの発行余力を活用して企業債を適切に発行いたしますが、二〇四〇年代において、給水収益に対する元利償還金の割合が、健全な財政運営の数値目標である二割を下回ると見込んでおります。
こうした取り組みによりまして、二〇四〇年代まで、現行の料金水準を維持した健全な財政運営が可能と見通しております。
○高倉委員 一方、下水道事業でありますけれども、見える化改革の報告書では、やはり人口減少に伴いまして、下水道料金収入が減少するというふうに見込んでおりまして、維持管理費の増大といったことも課題とされております。
しかしながら、下水道事業は、維持管理業務といったものを中心に、多くを委託しておりまして、維持管理コストの削減には限界もあろうかと思います。
したがって、下水道局としては、今までの手法でのコスト縮減ではなくて、新しい方法で進める必要があるというふうに思います。具体的な取り組みについて答弁を求めたいと思います。
○和賀井下水道局長 下水道局ではこれまでも、建設から維持管理までのトータルコストの縮減や資産の有効活用による収入確保などの企業努力を重ねてまいりました。
しかしながら、事業費が増大する中で、新たな視点で生産性の向上を図ることが必要と考え、包括委託やコンセッションなどの施設運営手法について検討を行ったところでございます。
その結果、設置環境などリスクの大きい水再生センターは局が運営する一方で、リスクが比較的小さい施設に包括委託を導入し、事業者の創意工夫により、一層効率的な運営を行うことといたしました。
今後、技術の開発等により、さらなるコスト縮減に取り組むとともに、新たな運営手法のもと、下水道局と政策連携団体、民間事業者の三者が、それぞれの立場で下水道サービスの安定的な提供を競いながら、都民サービスの向上を目指してまいります。
○高倉委員 今、水道、下水道について答弁を求めましたけれども、この水道、下水道は、首都東京の都民生活と都民活動を支える基幹ライフラインであります。
水道、下水道の事業について、次の世代、次世代のあるべき将来像、このことについて、知事はどうお考えになっているのか、ご所見をお伺いしたいと思います。
○小池知事 東京の水道、下水道は、二十四時間三百六十五日、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹的なライフラインであります。
将来にわたって都民に信頼されるライフラインであるためには、強靱な上下水道システムの構築とともに、柔軟かつ効率的な事業運営が不可欠であります。
一方で、両事業は、人口減少に伴う料金収入の減少や、高度経済成長期に整備した施設の老朽化、環境リスクへの対応など、厳しい局面を迎えております。
このため、予防保全型管理による施設の延命化や上下水道システムの計画的な再構築、AIやICTなど最新技術を活用した事業改革を積極的に推進してまいります。
また、両事業の一翼を担う政策連携団体とのグループ経営を強化するとともに、担い手となる人材の育成や、これまで培ってきた技術を確実に承継してまいります。
こうした取り組みによりまして、経営基盤を強化して、水道、下水道事業を持続可能なものとして、都民生活と首都東京の都市活動を支えてまいります。
○高倉委員 次に、中央卸売市場の活性化支援事業についてお伺いしたいと思います。
この事業は、市場業者の意欲的な取り組みを支援するものであります。令和元年度は、制度創設初年度になります。予算額は五億円でありましたけれども、執行額は約二億六千万円であります。執行率は約五割にとどまっているということであります。
まず、この理由について答弁を求めたいと思います。
○黒沼中央卸売市場長 令和元年度から開始をいたしました中央卸売市場活性化支援事業では、都内十一市場の全てにおきまして、国内外への販路拡大やICTを活用した業務改善など、さまざまな取り組みを支援してまいりました。
事業の初年度に当たりまして、本事業の周知に努めてきたところではございますが、市場業者におきまして、その活用に向けた準備が十分に進まなかったことに加えまして、個別の取り組みに必要な自己資金を確保する余裕がなかったこと、さらには、補助金の申請手続にふなれであったことなどの課題があり、執行率が約五割にとどまったものと考えてございます。
○高倉委員 この事業は、補助率を最大五分の四までとしておりまして、また、交付決定額の最大七割を前払いにするといったような工夫も行われているわけであります。
ただ、この補助金事業は、市場業者からの申請といったことに基づくものであります。したがって、待ちの姿勢になりがちという面があるんじゃないかなと思います。むしろこちらから積極的に打って出るといった姿勢も必要なのではないかなというふうに思います。
補助率の拡充など制度の改善を図る一方で、参考となる取り組み事例を広く発信して、市場業者に活用を促す必要があるのではないかと思います。
また、市場業者の声に耳を傾けて、そして、他の支援策もあわせて提示をするなど、プッシュ型の支援を展開すべきというふうに思いますが、答弁を求めたいと思います。
○黒沼中央卸売市場長 コロナ禍におきましても、さまざまな環境変化に対応し、積極的に取り組んでいる市場業者を支援していくことは、市場の機能を十分に発揮していく上でも重要でございます。
このため、都は、コロナの影響を乗り越える意欲ある市場業者の取り組みにつきまして、活性化支援事業の補助率の拡充や概算払制度の導入など、制度改善を図ってまいりました。
こうした新たな制度のもと、本事業の活用事例等をまとめた情報誌を発行し、類似事例の展開につなげますとともに、食品衛生アドバイザー等の専門家を派遣しまして、その助言をもとに、HACCP導入に向けた品質、衛生管理の強化など本事業の活用を促す、ご指摘のプッシュ型の支援を展開してまいります。
あわせて、経営相談などの支援メニューにつきまして、動画を活用してわかりやすく情報提供するなど、業界に寄り添ってきめ細かく支援をしてまいります。
○高倉委員 それから、市場で、東日本大震災の被災地の支援をしっかりとこれまで行ってきたわけであります。しかしながら、市場での出荷量、これを見ますと、まだまだ震災前の水準には至っていない。農畜水産物が、一部戻っている数字になっているものもありますけれども、ほとんど厳しい状況にあるわけであります。これは分科会の方で質疑をさせていただきました。
来年は、一年延期になりました東京二〇二〇大会も開催をされるわけであります。大会の大きなテーマが復興オリンピック・パラリンピックであるわけであります。これは、復興しつつある被災地の姿を世界に伝え、復興を後押しするということを主眼とするものであります。東京招致の原点ともいえるものであると思います。
被災地は、いまだに復興の途上にありまして、大消費地である東京都に対しての大変大きな期待も寄せられているわけであります。知事にも、ぜひ現地を改めて訪れていただきたいといった声も届いているわけであります。
震災から間もなく十年というこの節目の機会に、改めて被災産地を支える取り組みをしっかりと進めていくべきと思いますけれども、知事のご所見をお伺いしたいと思います。
○小池知事 被災産地から東京の市場への産品の取り扱いは、震災から十年を迎えようとする今もなお回復途上にあって、東京の食の一翼を担う被災産地を引き続きしっかりと支えていくことが、都と被災地の双方にとって重要であります。
都はこれまで、被災産地の出荷者と中央卸売市場の市場関係者との間の交流を図るほか、復興イベントや市場まつりにおきまして福島県産品のPRを実施するなど、被災産地の支援に取り組んでまいりました。
また、被災産地の知事によるオンラインのトップセールスに協力するなど、コロナ禍を受けた新たな形の支援も行っております、つい最近も行いました。
今後も、被災産地の現状をつぶさに把握しながら、現地からの要望を踏まえまして支援をしてまいります。
そして、来年は、震災から十年という節目の年であります。また、復興オリンピック・パラリンピックを原点とする東京二〇二〇大会も開催されます。
これを機に、改めて被災地の皆様へ思いを寄せまして、引き続き、復興に向けた歩みをともに進めてまいります。
○高倉委員 ぜひ、よろしくお願いをしたいと思います。
次に、都営地下鉄の混雑の緩和についてお伺いしたいと思います。
都営地下鉄は、いずれの路線も混雑率が高くなっております。三田線や大江戸線では、区間によっては、令和元年度に、朝のピーク時の混雑率が一六〇%を超えている状況があります。
三田線では、混雑緩和策としまして、現行の六両編成から八両編成にする取り組みが進められているとお聞きをしております。混雑緩和には大変有効だと思いますけれども、昨年度の取り組みと今年度の状況について答弁を求めたいと思います。
○内藤交通局長 三田線では、乗車人員の増加を踏まえまして、老朽化した車両十三編成の更新に合わせて、現行の六両から八両に輸送力を増強することとしております。
今回導入する新型車両は、LED照明や荷物が置きやすい低い荷棚、防犯カメラ等、お客様に安心して快適にご乗車していただくための設備を備えております。
昨年度は、車両の設計、製造を進め、本年十一月には、試験調整に向けて、最初の一編成を車庫に搬入したところでございます。
また、八両編成化に伴う駅の改修工事のうち、ホームドアの更新、増設につきましては、全二十四駅中、昨年度に七駅、今年度は既に五駅で完了してございます。
○高倉委員 三田線の八両編成は、沿線の利用者の強い願いになっております。利用者が多い板橋区では、私ども公明党が二〇一三年に実施をしました署名運動に、十六万七千五百五人にも及ぶ賛同が寄せられております。
こうした運動や公明党によります議会質問などが後押しになりまして、八両編成の事業化が具体化をしてきているわけであります。その間も、混雑率は年々上昇しております。
一日も早い実現に向けて整備を急ぐべきと考えますが、答弁を求めます。
○内藤交通局長 交通局では、今後、新型車両につきまして、各機器の性能の確認、ホームドア等との連動試験、指令所からの遠隔制御による確認など、各種試験調整を順次進めてまいります。
また、駅の改修工事については、ホームドアの更新、増設のほか、火災対策基準に基づく防災改良工事など、ふくそうする工事を限られたスケジュールの中で確実に行ってまいります。
さらに、更新された車両や設備の取り扱いについて、乗務員や保守係員への習熟訓練を行うほか、三田線と直通運転する関係各社と、運転の取り扱いや運行計画等の調整を図ります。
今後とも、厳格な工程管理に努めるとともに、安全な営業運行に向けた準備を着実に進め、令和四年度の早期の八両編成化実現に向けて全力で取り組んでまいります。
○高倉委員 都立病院のがんゲノム医療について質問したいと思います。
国は、がんゲノム医療につきまして、中核拠点病院を十二施設、拠点病院を三十三施設、連携病院を百六十一施設指定しまして、がん患者が、どこにいてもがんゲノム医療を受けられる体制構築を目指しているわけであります。こうしたネットワーク構築に寄与していくということは、都立病院の重要な使命であると思います。
そこで、令和元年度の都立病院におきますがんゲノム医療の実施状況について答弁を求めたいと思います。
○堤病院経営本部長 都立病院では、駒込病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センターの三病院でがんゲノム医療を提供しております。
そのうち、駒込病院は、みずからがん遺伝子パネル検査の医学的解釈を実施可能ながんゲノム医療拠点病院に昨年九月指定され、昨年度は、がん遺伝子パネル検査と、その医学的解釈を行う専門家会議をそれぞれ三十五件実施し、うち四件が治療に結びつきました。
一方、昨年四月に新たにがんゲノム医療連携病院に指定された多摩総合医療センターは、がんゲノム医療中核拠点病院等との連携のもと、二件のがん遺伝子パネル検査を実施いたしました。
また、本年二月、同様にがんゲノム医療連携病院に指定された小児総合医療センターにおきましても、がん遺伝子パネル検査等の実施に向け、準備を進めたところでございます。
○高倉委員 今、取り組み状況について詳しくご答弁をいただきました。
今後、都立病院として、この都のゲノム医療のさらなる進展に貢献をしていくということが本当に必要だというふうに思いますけれども、この件につきまして、知事からもご所見をお伺いしたいと思います。
○小池知事 今日では、がんは克服できる疾患であり、多様な治療法が開発されてきております。大切なことは、患者一人一人の症状に応じた最適な治療に結びつけていくことでございます。
お話のがんゲノム医療は、がんの原因となる遺伝子を解析しまして、患者ごとに最適な治療薬や治療法を探るものであります。そして、がんの治療の可能性を広げるとともに、より効果的で副作用が少ないことから、期待が高まっております。
がん医療を行政的医療として位置づけております都立病院におきましては、駒込病院を先陣として、がんゲノム医療を牽引し、がんゲノム医療を必要とする患者が適切、迅速に治療を受けられるように取り組みを進めております。
今後とも、がん患者が病気と前向きに闘いながら、自分らしく生活を送ることができますよう、都立病院は、がんゲノム医療を初めとした医療を適切に提供しまして、がん医療のさらなる進展に貢献してまいります。
○高倉委員 この令和元年度の二月、三月の時期は、新型コロナの感染が広がったわけであります。都立病院は、行政的医療の象徴ともいえる感染症医療をしっかり提供する役割があるわけであります。
今回、都の方で、専用病院といったようなものを設置していくという取り組みがありました。私、コロナ後も踏まえて、やはり、こういう感染が広がったときには、本当に専門病院のようなものがしっかりあって、その取り組みをしていく、こういったことも必要であるというふうに思っております。
最後に、都立病院が新型コロナの感染症の受け入れに当たって、果たしてきた役割について答弁を求めたいと思います。
○堤病院経営本部長 都立病院は、感染症医療を行政的医療として位置づけまして、時々刻々と変化する感染状況に即応し、強い使命感のもと、昼夜を問わず対応してまいりました。
昨年度は、都内で感染された五百二十六名の感染者のうち、公社病院も含めまして、約二六%に当たる百三十九名を受け入れました。
具体的には、軽症、中等症患者のほか、体外式膜型人工肺、ECMOの導入を要する重症呼吸不全の患者や、人工呼吸器の管理と透析の双方が必要な患者の治療なども行いました。
また、クルーズ船関連では、都内医療機関で受け入れた二百四名のうち、公社病院も含めまして、約二一%に当たる四十二名の患者を受け入れたところでございます。
こうしたことから、都立病院は、公的医療機関として、行政的医療の確実な提供はもとより、緊急事態に求められる役割につきましても、確実に果たしてきたと認識しております。
○高橋委員長 高倉理事の発言は終わりました。
次に、和泉委員の発言を許します。
○和泉委員 まず、下水道局に伺いたいというふうに思います。
私は、地元葛飾の水害対策について、この間、さまざまな機会を捉えて、都にただしてまいりました。今回は、内水氾濫の対策について下水道局に伺います。
まず初めに、墨田、江東、足立、葛飾、江戸川、このいわゆる江東五区における下水道局の浸水対策の取り組みと実施状況について伺います。
○和賀井下水道局長 下水道局では、東京都豪雨対策基本方針等に基づき、区部全域で時間五十ミリ降雨に対応する施設整備を基本とし、早期に浸水被害を軽減するため、地区を重点化し、施設整備を進めております。
また、浸水被害の影響が大きい大規模地下街などにおいて、整備水準を七十五ミリにレベルアップした対策を推進しております。
江東五区においては、五地区を選定しており、墨田区八広地区及び足立区小台地区の二地区で基幹施設の整備を既に完了させており、江東区木場・東雲地区、江東区大島・江戸川区小松川地区及び足立区千住地区の三地区において、幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を進めております。
○和泉委員 江東五区においては、時間五十ミリ降雨に対応する施設を整備する重点区域として残っているのは三地区だという答弁でした。
雨水が地面にたまらないようにするために、一時的に水をためておく貯留施設と、川の水が引いたら、そこから川へ流すための雨水ポンプ、この下水道の機能というのは、内水氾濫を起こさないために非常に重要だと、大きな役割を果たしているというふうに思いますが、葛飾区内の雨水ポンプを有する施設の箇所数、そして、葛飾区内の浸水対策の取り組みについて伺います。
○和賀井下水道局長 下水道局では、葛飾区内に、小菅水再生センターや堀切ポンプ所など合わせて八カ所の雨水ポンプを有する施設を管理しております。
また、葛飾区内のこれまでの浸水対策として、平成十六年度に、葛飾区奥戸二、三丁目、東金町一から五丁目、東水元二、三丁目の三地区を対策地区として位置づけ、グレーチングや雨水ますの増設など、平成十七年度までに事業を完了しております。
○和泉委員 雨水ポンプを有する施設は八カ所、また、グレーチングや雨水ますの増設などは完了しているという答弁ですが、お聞きしましたところ、時間五十ミリ降雨に対応する施設整備ができているので、貯留施設は要らないということでした。ひたすら荒川や江戸川に流すというのが葛飾の内水氾濫対策ということになろうかと思います。
台風十九号では、荒川も水位が上がりまして、岩淵水門を閉じました。雨水をためる施設がない葛飾で、果たして下水道管だけで内水氾濫を抑えられるのかという不安があります。
ことし一月に策定された東京都豪雨対策アクションプランでは、東京都豪雨対策基本方針、これに基づいて、重点エリアとして対策強化流域と対策強化地区を選定し、おおむね三十年後を見据え、目標整備水準を示して取り組んでいくというふうになっていて、既にその取り組みも行われているところです。
一方で、国は、流域治水プロジェクトにおいて、対策の実施に必要な計画や基準などを、過去の降雨実績や潮位に基づくものから、気候変動による降雨量の増加、潮位の上昇などを考慮したものに見直すことが必要であるという認識を示しています。
三十年後を見据えて、目標整備水準を示すというのであれば、国が示した認識に立って、まず、気候変動の影響を考慮してシミュレーションを行う必要があると考えますが、この点についての都の見解と新たな政策の見直しの必要性などについての認識をあわせて伺います。
○和賀井下水道局長 昨年の台風十九号の激甚化する豪雨を踏まえ、これまで進めてきました施設整備の着実な推進と加速や、新たな取り組みによる強化などを取りまとめました東京都豪雨対策アクションプランを本年一月に関係局とともに策定をいたしました。
アクションプランに基づき、幹線や貯留施設の整備などの対策を加速、強化していくとともに、七十五ミリ施設整備する地区等の追加について、最新の流出解析シミュレーション技術を活用した検証を令和二年度末までに完了させます。
○和泉委員 流出解析シミュレーション技術を活用した検証を今年度末までに行うという答弁です。
きょうの質疑を通じて、荒川から東側の内水氾濫への備えとしては、ひたすら荒川や江戸川にポンプで水を流すというものであること、また、今後の対策の加速、強化のためのシミュレーションの検証がこれから行われるということがわかりました。
しかし、一たび浸水被害が発生すれば、江東五区は二百五十万人に被害が出ることが想定されているわけです。これからの水害対策は、これまでの過去の実績から災害を予測するのではなくて、今後の気候変動を見越したものにする必要があると思います。内水氾濫対策も含めて、しっかり取り組んでいただくことを求めておきます。
続いて、都立病院、公社病院の独法化についてです。
二〇一九年十二月三日、第四回定例会の所信表明で、知事は、突然、都立病院、公社病院の独立行政法人化を表明しました。
しかし、その方針がいつ決定されたのかという我が党の質問への都の答弁は二転三転し、東京都公文書条例で定められた決裁手続も行われていないという、まさにブラックボックスでした。
また、パブリックコメントを行っている最中なのに、独法化の準備のための契約手続を進めるなど、多くの都民の反対の声など聞く気もなく、都政の透明化も、都民が決める、都民と進めるという当時の公約も投げ捨てました。
都立病院ではこれまで、都民の命を守る医療を都が直接担ってきました。例えば、小児医療、周産期医療、そして感染症医療など、診療報酬では採算のとれないような医療でも、都民に必要な医療を直接提供してきたのが都立病院です。都民の命に直結することを左右する独法化という重大な判断を知事は行ったんです。
そこで、知事に伺いたいと思います。
都立病院、公社病院の独立行政法人化を決定するに当たって、そのメリット、デメリットについて、知事はご自分で他県の独法病院などに足を運び、現場を確認したんでしょうか。
○小池知事 都立病院の経営形態のあり方は、長年にわたる課題であって、検討を進めてきたわけであります。
私の就任後、平成三十年、都立病院経営委員会から提言を受けまして、都として、都立病院新改革実行プラン二〇一八を策定、経営形態のあり方につきまして、病院事業の見える化改革による課題の検証のほか、他自治体の経営形態の動向調査など、さまざまな検討を重ねてまいりました。
この間、私は、病院経営本部から、検討内容について随時報告を受けまして、必要な指示を行ってきたところでございます。
こうした一連の検討も踏まえまして、都立、公社病院の独法化に向けました今後の進め方を決定、昨年の第四回都議会定例会で、準備を開始することを表明したわけであります。
その後、第一回都議会定例会でのご議論を経まして、昨年度末、独法化の方針といたしまして、新たな病院運営改革ビジョンを確定、令和四年度内の設立を目途として移行準備を進めているところでございます。
○和泉委員 私は、現場に行ったんですか、行かなかったんですかと聞きました。長々と答弁しないでください。端的にお答えくださいね。限られた時間でやっているんですから。
知事は、結局、行ったことがないということが今の答弁でもわかりました。長々答弁しましたけれども、結果は行っていないということなんです。報告だけでは実態は見えてきません。
知事は、質の高い医療の安定的、継続的な提供などの役割を将来にわたって果たすことが独法化の目的だと答弁されています。
しかし、お隣の神奈川県立病院機構では、二〇一九年度の決算で、繰越欠損は九十九億円を超え、危機的な状況であることを法人自身が認めています。そのもとで、原則として職員の増員も認められず、医療機器の購入も、早期にコストを確実に回収できる見込みを立てるよう制約をかけられているんです。つまり、住民への医療に必要な体制づくりに制約がかかっているということになります。
ご自分で足を運んで、現場を見て、しっかり調査すれば、そういう現実がすぐ隣の県で起こっているということはわかるんですよ。
ところが、知事は、それさえせずに、報告を受けた範囲の情報だけで決断をしたと。このような重大な決断に当たっても、みずからの行動、検証を伴わずに判断する、そんなことでいいんでしょうか。知事、無責任だと思いませんか。いかがですか。
○小池知事 新型コロナウイルス感染症患者への対応に当たりましては、その時々の感染の状況を踏まえまして、都内の医療機関がそれぞれの役割に応じて患者の治療に当たってきております。
こうした中で、都立、公社病院は、関係機関等と連携を図りながら、他の医療機関では対応困難な患者を中心といたしまして、積極的に受け入れることで、都民、そして地域から求められる役割をしっかり果たしてきたと、このように認識をいたしており、責任を持って進めております。
○和泉委員 私は、現場にしっかりと足を運ぶこともなく、他県の調査をみずから行うこともなく決断をすることが無責任なのではありませんかと聞きました。答弁は、質問に対して答えていません。
そもそも知事は、報告を受けた、報告で十分だ、そのような認識のようですけれども、昨年の第四回定例会、病院経営本部長は、全ての事例を知事に報告したわけではないと答弁しているんですよ。今のやりとりだけでも、知事が都民の命を守る都立病院のことを真剣に考えているとはとても思えません。
独立行政法人は、地方公共団体がみずから主体となって直接に実施する必要のないもの、これを行うのが独法だというふうに、その法律に明記しています。
知事は、行政的医療、質の高い医療を安定的、継続的に提供する都立病院は、都が主体となって直接実施する必要がないと判断をしたということです。
知事は、コロナ対策で都立病院はどのような認識を果たしてきたと思っていらっしゃるんでしょうか伺います。
○堤病院経営本部長 新型コロナウイルス感染症への対応に当たりましては、先ほど知事もお答え申し上げましたとおり、その時々の感染の状況を踏まえまして、都内の医療機関がそれぞれの役割に応じて患者の治療に当たってまいりました。
こうした中、都立病院及び公社病院は、関係機関等と連携を図りながら、ほかの医療機関では対応困難な患者を中心に積極的に受け入れを行うことで、都民や地域から求められる役割をしっかり果たしてきたと認識をしております。
それから、知事の視察の件でございますが、既に都は、高齢者医療と研究を行います地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターを設立しております。
知事は、現地を視察するなどして、この法人の役割につきまして円滑に行われていることを確認しております。
○和泉委員 もうお願いしますよ。端的なやりとりしてください、限られた時間なんですから。
今、都立病院の認識を示されましたけれども、さらに、他の病院では受け入れ困難なケースでも、都立病院が受け皿となっているんです。例えば、認知症でよく歩き回り、介助が必要なコロナ患者の入院先、これを探すのに八病院かけ合ったけれども、どこも断られて、最後は都立病院が受け入れた、そういう事例。また、軽症であっても、高齢者で基礎疾患を持っているコロナ患者は、いつ重症化するかわからないため、なかなか受け入れ病院が決まりにくい。都立病院がそれを多く受け入れています。そういった活動は、必ずしも数字になってあらわれてきません。けれども、現場は必死に対応し続けているんです。
現場職員が心身を削りながら医療を守っていることを、知事は正面から受けとめていただきたいというふうに思います。
東京都医師会の尾会長も、現場の病院は疲れ果て、メンタルがやられる職員も出てきていると、このように話しているように、コロナ対応の長期化もあわさって、医療現場は一層深刻になっています。
しかし、そのもとでも、東京都は、独法化した後の給与や人事面についての約一時間の動画を見るように職員に求めているんです。実際に、現場はどのように視聴していたかというと、例えば日勤では、朝出勤すると、夜間の患者の状態を夜勤の看護師から聞き取ることから始まって、そこからスケジュールを組み、体温、血圧をはかり、午後は手術後の患者を受け入れ、カンファレンス、点滴、記録などをとって終わっていく。昼間は患者対応が最優先で、受け持ちの患者がいる限りとても勤務中は見ることはできない。夜勤の方は、夜十時、消灯後に見る時間がとれても、ナースコールのたびに中断しながら見たと、このように話しています。中には、夜勤後の徹夜状態で見ざるを得ない人もいました。
勤務中に見ろといわれても、見る時間はない、見ても理解できない、そういう声が出されているんです。現場からは、コロナ対応に集中させてほしい、そういう訴えが届いています。本当にそのとおりだと思います。
独法化のために現場の負担をふやしていることを、知事はどのように受けとめているんですか。知事の受けとめです。知事以外の方の答弁は要りません。知事、いかがですか。
○堤病院経営本部長 職員に対する動画での説明でございますが、このコロナ禍で、直接多数が集まって説明会を行うことができないため、動画による説明資料をつくったものでございます。
動画に対しましては、意見を聴取することといたしまして、この独立行政法人法でも、職員との意思疎通に努めることという附帯決議がなされておりますけれども、意思疎通に努めているところでございます。
それから、先ほど、認知症患者等のコロナ患者さんの受け入れについてのお話がございましたけれども、先ほど私もご答弁申し上げましたが、都立病院及び公社病院一体となって対応をいたしております。
公社病院は、公益財団法人で、東京都の政策連携団体でございます。このような団体につきましても、東京都の意思を反映して、東京都の政策で患者さんを受け入れているところでございます。
○和泉委員 コロナの最前線で頑張ってきたのが都立病院の皆さんです。医療従事者への感謝とか、都庁を青色にライトアップするとかしていますけれども、感謝するつもりがあるんだったら、職員の負担をさらにふやすようなことをすべきじゃありません。集まれないから動画でやったんだ。だったら、やめればいいじゃないですか。
さらに、知事に何を一番伝えたかったか、このことも聞きました。お話しされていたのは、知事に現場を見てほしいということです。視察に来たことはあるけれども、たくさんの人に囲まれて、私たちが話をできるようなものではなかった、そうではなく、知事には、もっと踏み込んで現場を見てほしい、どのように入院して、どのように退院しているのか、どんな患者さんがいるのか、診療報酬はどうやって点数をつけているのか、現場の実情を見に来てほしい、私たちの声を聞いてほしい。
知事、この声にどのように応えますか。知事にお聞きします。病院経営本部長の答弁は要りません。
〔堤病院経営本部長発言を求む〕
〔和泉委員「委員長」と呼び、その他発言する者あり〕
○高橋委員長 理事者に申し上げます。的確に答弁お願いいたします。
○堤病院経営本部長 知事には、何度も都立病院を視察していただきまして、都立病院の実情につきましてご理解をいただいております。
○和泉委員 知事、あなた、独法化の準備によって職員に負担をかけていることを受けとめようともしない。現場の職員から、私たちの声を聞いてほしいという訴えも、あなたには届かない。現場がこれだけ追い詰められているというのに、寄り添う思いも、語るべき言葉も持たない。そのような姿勢は許されません。
独法化に向けて、今後はどのような手順を踏むことになるんでしょうか。
○堤病院経営本部長 法人の設立に当たり、地方独立行政法人法では、法人の根本原則である定款につきまして、議会の議決を経た後に総務大臣の認可を受けるほか、法人が達成すべき業務運営に関する中期目標について議会の議決を経て定める等の手続がございます。
また、地方自治法上の施設でなくなることから、都議会の議決を経て東京都立病院条例を廃止する等の手続がございます。
なお、独法化する際には、地方独立行政法人法に基づき、都議会の議決を経て都が定める法人の定款において、設置する病院の名称や所在地を定めることとなります。
さらに、病院の組織、人事や予算など運営に必要となる事項を順次定めてまいります。
○和泉委員 今、都立病院条例は廃止されるという答弁がありました。重大なことです。今の都立病院は、独法化されると都の条例に位置づけられた存在ではなくなるということです。
都立病院条例第一条には、都民に医療を提供し、医療の向上に寄与するために、都立病院を設置すると、このようになっています。都民に直接医療を提供する、そこをしっかりと条例化して、都としての責務を明確化している、これが重要なんです。
けれども、それを廃止して、文字どおり、都民に直接医療を提供する責任を手放してしまおうということなんです。
知事は、行政的医療を継続するために独法化するといっていますけれども、そもそも行政的医療を守るというんだったら、都が直接実施するのが一番いい。知事、その単純な事実を認識するべきだと思います。
都立病院じゃなくなったら、医療の専門家はどうなるのか、これについても伺います。
都立病院の医師、看護師定数は何人でしょうか。独法化した後は、定数条例における医師、看護師は何人になるんでしょうか。医師、看護師それぞれについて伺います。
○堤病院経営本部長 平成三十一年四月一日現在、都立病院の医師の定数は九百六十三人、看護師の定数は四千二百六十五人でございます。
地方独立行政法人化した場合には、東京都職員定数条例の対象外となりますことから、医師、看護師の定数はゼロとなります。
その後、法人が定める計画数に基づき、必要な職員を配置することとなります。独自の組織、人事など各種制度の構築により、機動的に人材を確保できるものと考えております。
○和泉委員 ご答弁のとおり、人員体制についても都の定数としての位置づけはなくなって、何と九百六十三人いる医師がゼロになるんです。
ことしの予算特別委員会資料をもとにつくったグラフがこれです。(パネルを示す)全体の奉仕者であり、都民のために知事の指示のもとで働く東京都職員の医師の数は、都立病院を独法化したら、千百二十二人が百五十九人へと激減し、わずか一四%まで減ってしまいます。医療の現場がわかる職員が激減して、都の医療政策が脆弱化するのは明白です。
さらに伺います。
一度独法化をすれば、うまくいかないからといって簡単に都立病院に戻すことはできません。独立行政法人化した後、再び都立病院に戻す場合、職員の身分は公務員へと移行されるんでしょうか。いかがですか。
○堤病院経営本部長 まず、先ほどの医師の定数の件でございますけれども、病院の定数は、先ほどお答えしたとおりゼロとなりまして、法人の計画数として、より充実した医師を配置するという予定でございます。百何人に減るというのは、病院以外の部分を指しているものだというふうに理解をしております。
それから、ただいまのご質問についてでございますが、一旦、法人職員となった者が、再度、設立団体等職員となる場合の手続につきましては、地方独立行政法人法上、規定はされておりません。
○和泉委員 ですから、わかっていますよ、そんなこと。地方独立行政法人法には、職員のことも含めて独法化する手続は書かれているけど、直営にもう一回戻す手続の規定はないんです。そして、独法化の人員体制は、独法が決めるんです。
つまり、一たび独法化にかじを切ったら、今の九百六十三人の都立病院の医師、四千二百六十五人の看護師、これを初め、職員は公務員に戻ってはこられない。独立行政法人への道は片道切符だということなんです。独法化して、うまくいかなければ直営に戻せばいい、そんな話ではないということを肝に銘じる必要があります。
人員確保が困難になっているのは、先ほど例を挙げた神奈川県立病院機構だけじゃありません。既に十年前に独法化した東京都健康長寿医療センターでは、二〇一八年から一九年にかけて、医師が十四人減っています。けれども、二〇二〇年になっても一人しか補充できていません。そのために医業収益が落ちています。そうした事実にきちんと向き合うべきです。
都立病院への一般会計からの支出、繰り入れについても伺います。
先ほどお話ししたように、都立病院は、診療報酬では採算がとれなくても、都民の命や健康、暮らしを守るために不可欠な行政的医療、これを担うことを役割としています。したがって、都立病院がその使命を果たすためには、東京都が一般会計からきちんと予算を支出して、都立病院が財政的に成り立つようにすることが不可欠だ、このことは都議会の中で何度も確認してきました。
独法化に係るこれまでの検討の中で、一般会計からの繰り入れについては、どのような議論がされてきたんでしょうか伺います。
○堤病院経営本部長 地方独立行政法人法では、採算の確保が困難な医療等に係る経費につきまして、現在の一般会計繰入金と同様に都が負担する仕組みとなっておりまして、行政的医療の確実な提供が可能となるものでございます。
現在は、独法化後に会計基準が変更となることに伴う運営費負担金受け入れ後の会計処理について検討を行っております。
なお、運営費負担金額の詳細につきましては、繰出基準に基づきまして、これは、現在の一般会計繰入金と同様でございますが、収入、支出の状況によって増減するものでございます。毎年度、都議会の議決を経て決定されるものでございます。
○和泉委員 都の一般会計から繰り入れることを担保すると。このようなことをいいましたけど、ごまかさないでくださいよ。独法化の検討過程について、我が党が開示請求して入手した資料では、不採算な行政的医療の収支は一層厳しくなるとして、一般会計繰入金が将来どうなるか、ご丁寧に試算まで行っているじゃないですか。それがこのグラフです。(パネルを示す)皆さんのお手元にも資料をお配りしました。
そして、現在の行政的医療を提供し続けるだけでも、一般会計繰入金が増加するおそれがあると。そして、お配りした資料の裏面ですけれども、そのため、経営形態のあり方を検討すると、踏み込んだ表現をしているじゃないですか。
さらに、六月十九日の知事室での打ち合わせでも、都は、財政負担の軽減、独法化による効果を生かして、都の財政負担を軽減すると知事に報告されていた。このことは、ことし三月の予算特別委員会で、我が党の白石都議が指摘したとおりです。ここまでの経緯を見れば、独法化の議論は、都の財政負担を減らすことを狙って議論がスタートしているということは明らかじゃありませんか。
ことし二月の都立病院経営委員会でも、委員長は、名前だけ変わっても、相変わらず同じような税の投入が継続されるようなことでは、何のための独法化か、このようにはっきり述べているではありませんか。財政負担を減らすことが目的なのは明白です。
新型コロナウイルスの対応に尽力している現場の職員に、余計な負担をふやし、都が直接提供するべき行政的医療の責任を放棄し、一般会計からの支出の削減のために都立病院を独法化しようという姿勢は、厳しく批判されなければなりません。
コロナ禍での都民の暮らしはますます厳しさを増しています。経済的に困窮することがあっても、安心して医療が提供される環境をいかにして整えるか、このことにこそ本気で取り組むべきです。
無料低額診療は、経済的な理由によって必要な医療を受けることが困難な方に、無料または低額な料金で診療を行う事業です。私たちが繰り返し求めてきた無料低額診療は、都立病院で実施することは制度上可能かどうか、これについて伺います。
○堤病院経営本部長 無料低額診療事業は、社会福祉法の規定に基づきまして、生計困難者が経済的な理由によって必要な医療を受ける機会を制限されることのないよう、無料または低額な料金で診療を行う社会福祉事業でございます。
この事業は、都立病院を含めまして、医療機関であれば、一定の要件を満たせば実施することができますが、都立病院は現在、要件を満たしておりません。
○和泉委員 今、条件を満たしていないと答弁した無料低額診療の要件というのは、どのような人に診療費を減免するかをまず決めること、実際に、一定数の生活困難な方を受け入れること、こういった無料低額診療を、やる気になって具体的に取り組むことで満たされるんです。したがって、やる気になりさえすればできる、そういう医療を実現させるというなら、こういうことにこそ踏み出すべきなんです。
東京民医連に加盟する病院からの報告事例を見ても、大変深刻な実態が浮き彫りになっています。七十代母親と二人暮らしの四十代男性、コロナで職を失い、所持金は一万円、糖尿病の持病があるが、支払うお金がないと告げると、かかりつけの病院から、診療を断られた、こういった事例が、いとまがないんですよ。
新型コロナ感染症でも、都立病院はその最前線で治療に当たってきました。都民の命のとりでである都立病院の独立行政法人化は撤回して、直営のままで、さらに医療を充実させていくことこそ、コロナと闘う病院の現場、感染の不安におびえる都民の願いに応える道だと厳しく指摘して、質疑を終えます。
○高橋委員長 和泉委員の発言は終わりました。
次に、藤井委員の発言を許します。
○藤井委員 それでは、都議会立憲民主党を代表いたしまして、質疑を行わせていただきたいと思います。
それでは、まず、地下鉄事業についてお伺いをしてまいりたいと思います。
これは決算審議でございますので、三月までの影響について、まずお伺いをいたしたいと思います。
昨年四月から本年三月までの中で、二月のクルーズ船の横浜入港、そして、安倍総理による全国的な休校要請、そして、さらに、三月における専門家会議等における三密回避の呼びかけといった中で、本当にこの四月の緊急事態宣言に至る直前の時期でもありますので、この都営地下鉄における乗降客、そして収入に対して、これは相当な影響を与えているのではないかなというふうに推測をするわけであります。
まず、この令和元年度の三月における運輸収入、そして、一日平均の乗車人員について、前年度と比較をして、どのような状況になっているのかお伺いをいたします。
○内藤交通局長 都営地下鉄の令和二年三月における乗車料収入は百五億六千万円であり、前年同月の百三十三億七千万円と比べ、約二一%の減少となりました。
また、乗車人員は一日当たり二百二十五万人であり、前年同月の二百八十一万人と比べ、約二〇%の減少となりました。
○藤井委員 人員、運賃とも二〇%程度減少したということでございまして、これは四月以降ということになりますと、緊急事態宣言が発出されていた時期とも重なってきますので、さらに厳しい状況になっているんだろうなということは、容易に推測がなされるわけであります。
次の質問なんですけれども、都営地下鉄においても、タイムリーなディスクロージャーが必要なのではないかと、そういった観点で質疑をさせていただきたいなと思うわけでありますけれども、JR東日本においては、先日の十月二十八日に中間決算というものを発表しまして、売上高は前年の五割減、中間決算としては、初の赤字である二千五百九十二億円の営業赤字ということでございます。そして、通期の見通しとして、五千億円の営業赤字、そして、グループ全体として、一千五百億円のコストダウンに取り組んでいくと、こういった経営計画を発表したところであります。
都営地下鉄においては、公営企業でありますので、この四半期決算なり、半期決算というものを公表していく、こういう義務はないかもしれませんが、都民の足を支えている、しかもこれ、一日当たりの乗車数は二百八十三万人ということでございますので、影響の大きさを考えると、じゃ、今、都営地下鉄、どういう状況にあるのかと。
そして、コロナウイルスの影響を踏まえて、どんな経営計画を立てていくのか、どんなことをやっていくのか、こういったことを都民の皆様方、事業者の皆様方、そして利用者の皆様方にもしっかりとアナウンスをしていくというのも非常に大切な視点なのではないかなと思うんですけれども、その点について、都の見解を伺いたいと思います。
○内藤交通局長 交通局ではこれまでも、地下鉄を初めとした各事業につきまして、法令等に基づき毎年度の決算を行うほか、上半期の業務状況についてもホームページ等で公表してございます。
さらに、流動比率や走行キロ当たりの収入、運送原価など、経営の健全性や効率性の指標を他都市と比較して示すほか、路線別収支の状況を公表するなど、詳細な経営実態についても明らかにしております。
今後とも、幅広い経営情報の公表を通じて、経営の透明性の確保に努めてまいります。
○藤井委員 コロナ以前であれば、今のご答弁で本当にいいと思うんですけれども、コロナ以後においては、本当にもう事業環境そのものが一変したといってもいい状況だと思っております。
都営地下鉄としては、これから上半期の経営状況、決算について報告されると思いますけれども、その中で、しっかりと何をやっていくのかということ、そして、JRが先日こういった発表されたというのは、相当経営に対して危機感を覚えているというのが背景にあろうかと思いますので、こういった危機感も含めて、しっかりと伝わるようなディスクロージャーに取り組んでいただきたいなということを申し上げたいと思います。
こちらもJRさんが発表したことなんですけれども、ダイナミックプライシング、いわゆる時間帯別運賃についてお伺いをしてまいりたいと思います。
一部の新聞報道においては、交通局において、具体的な検討を開始したと、こういった話がございました。
これは、そもそもそういった事実があるのかどうか、そして、もしそういったものがあるとすれば、どのような問題意識に基づいて検討されているのか、見解をお伺いいたします。
○内藤交通局長 時間帯別運賃は、ピークとオフピーク等、時間帯ごとに異なる運賃を設定することで、需要を分散、平準化させる手法でございます。
現在、交通局では、都が有識者や鉄道事業者とともに立ち上げた混雑緩和方策についての研究会に参加し、時間帯別運賃についての議論を開始したところでございます。
一方、導入に当たりましては、鉄道ネットワークを形成している事業者全体で実施しなければ効果が限定的であるほか、エッセンシャルワーカーなど通勤時間をずらせない方々への配慮や、多額のシステム改修費用が必要となるなど、さまざまな課題もあるものと考えております。
○藤井委員 ぜひ都営地下鉄においても、本格的な検討を進めていただきたいと思います。
やっぱり車両なんか、ラッシュアワーに合わせて増強してきたということがあって、オフピークになると、多くの車両が、どうしても遊休になってしまうと。でも、遊休になってしまうんだけれども、ピーク時に合わせて提供能力を維持しなければいけないと。これが多額の固定費になって、鉄道の経営に係るコストを押し上げているというような側面があろうかと思っています。
これまでラッシュアワーにおいては、通勤定期は通常の値段より二割から三割程度安くして提供していたと。それが特に混んでいるラッシュアワーに多くの方が乗ってきたというような状況があろうかと思います。この時間帯別運賃の導入というものとは、ある意味逆の問題意識の中でというか、現実は問題意識とは逆のことが起きていたのかなとも思うわけであります。
次の質問に移らせていただきたいと思うんですが、地下鉄の一元化の問題であります。
かつて東京都は、都営地下鉄と東京メトロの経営の一元化を模索したものの、メトロ側が都営側の累積欠損、今、千九百三十七億円、そして長期債務、今、六千三百七十一億円あるそうでございますけれども、これを問題視して、残念ながら頓挫した経緯があると伺っております。
多くの地下鉄の利用者の方々から見れば、都営であろうとも、メトロであろうとも、これは同じ地下鉄であることには変わりませんし、大きなくくりで申しますと、これは、都と国が、同じ役所がやっているサービスともいえるわけであります。乗りかえのために改札をくぐって、そして、初乗り運賃を強いられるというのは、利用者の思いを鑑みれば、やはり地下鉄の一元化を進めていくというのは、当然の話なんだろうなというふうに思うわけであります。経営が厳しくなっているんだからもう難しい、一元化なんか無理だというようなご意見もあるかもしれませんけれども、お互いが厳しいからこそ経営を統合して、シナジー効果を生み出していく、難局を乗り切っていくという考え方も十分に成り立つものではないのかなと思います。一元化については決して諦めることなく取り組んでいただきたいと思います。
この問題については、とりわけ知事の大きな政治決断にもかかわることでございますので、これはリーダーシップを今後とも発揮していただきたいと思います。
今回は、公営企業に関する質疑でございますので、一元化については直接伺うことは避けまして、都営地下鉄の運賃の一元化に向けた取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。
現在、乗りかえの際に、七十円の割引を行っていることを伺っておりますが、料金通算制度というものがあるそうでございまして、例えば、メトロから都営地下鉄に乗りかえていく際に、改札をくぐらなかったのと同様の効果をつくり出す、運賃をつくり出す料金通算制度というものについて私は導入すべきだというふうに思うわけでございますけれども、この点の検討についてはどうなっているのか伺います。
○内藤交通局長 都営地下鉄では、東京メトロと連携し、両地下鉄を乗り継ぐ際に、普通運賃の七十円割引や連絡定期券の一五%割引を実施するとともに、旅行者向けの割安な企画乗車券を販売するなど、運賃の負担軽減に努めております。
一方、運賃は収入の大宗を占め、安定した事業運営を継続していくための根幹でありまして、安全・安心を確保し、質の高いサービスを提供するための貴重な原資でございます。
いわゆる運賃の一元化につきましては、両地下鉄とも多大な減収を伴うため、その効果や経営に与える影響などを十分検証した上で判断する必要があると考えております。
○藤井委員 大幅な減収というお話もございました。本来あるべきは、地下鉄の一本化だというふうに思います。都営地下鉄は、当然東京都の持つものでありますし、メトロは約半数の株式を持っているということでございます。これは都市で通勤をしている方にとってみれば、もう本当にややこしい地下鉄を何とか解消してほしいと、こういった声も非常に強いわけでございます。これは願いであるといってもいいと思いますので、この点、地下鉄のサービスの一元化を進めて、そして、長期的には、一元化を目指した取り組みを進めていただきたいと思います。
最後に、大江戸線の大泉学園方面への延伸について伺います。
私は、練馬区から選出されている議員でありまして、大泉地域を中心に、交通空白地域を抱える区の悲願である大江戸線の延伸を求める立場にあります。
昨年、知事が、区長との懇談の中で、事業化に向けての検討を進めていると力強いご発言もありました。
他方で、区は、一日も早い事業化を進めたいという意向があるのに対して、東京都としては、事業者になる以上は、これはしっかり収支採算性を検討しなければいけないというような立場をたびたび言及されまして、これは立場の違いのようなものを感じるわけであります。
東京都として、この間、知事の指示を受けて具体的な検討を進めてこられたと思いますけれども、検討状況についてお伺いいたします。
○内藤交通局長 大江戸線延伸の事業化に当たりましては、将来的な旅客需要の見通しや収支採算性の確保について十分に見定める必要がございます。
昨年度は、延伸部のトンネル等の構造に係る検討を進めるとともに、コロナ禍前の旅客需要予測をもとに、延伸と混雑対策に必要な車両増備数を算出し、留置施設等に係る検討に着手いたしました。
今後は、テレワークの定着など、お客様の行動変容に伴い変化する将来の旅客需要を改めて分析、評価した上で、必要な設備、施設等の事業費を算定し、収支採算性を検証してまいります。
○藤井委員 将来の旅客需要を改めて分析、評価し、もろもろの事業費を検討云々というご答弁が交通局長からございました。
これは、私なりに考えますと、コロナウイルスによる影響も踏まえて収支採算性を慎重に検討するというようなお話であったと思います。交通局長は公営企業の管理者でいらっしゃいますので、事業採算性というものを念頭に置いて検討するというのは、当然の話だというふうにも思います。
そこで、知事の見解を最後に伺いたいと思いますが、知事は、いわば選挙で選ばれた民意を代表する立場にいらっしゃいます。さらに、先ほど申し上げましたが、区長との懇談の場で、検討を進めているというようなご発言をされた経緯もございます。それを受けて、地元区である練馬区、区役所としても、準備を加速させて、沿線住民の皆様方は大きな期待を寄せておられるわけであります。
大江戸線の延伸は、大きな政治決断を必要とするものであります。短期的にはコロナの影響は十分に見定めつつも、ぜひ中長期的な視野で、大江戸線の延伸を進めるべく取り組んでいただきたいと思いますが、知事のご決意、そして、ご認識をお伺いいたします。
○小池知事 都営大江戸線の大泉学園への延伸につきましては、先ほど交通局長がご答弁させていただいたとおりでございます。
コロナ禍におきまして、都営地下鉄の利用状況は大きく変化しております。そういう中で、将来的な旅客需要の見通し、そして、事業の収支採算性、これらを分析、評価する必要がございます。よって、引き続きの検討を進めてまいります。
○藤井委員 先ほど申しました区の立場も都の立場もそれぞれあると思います。これはしっかり検討を進めていただいて、双方が満足する形をつくれるように、しっかり取り組んでいただきたいことを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○高橋委員長 藤井委員の発言は終わりました。
次に、斉藤委員の発言を許します。
○斉藤委員 ダイバーシティー・アンド・インクルージョンの実現は、マイノリティーのみならず社会の全ての構成員にとって生きやすい、暮らしやすい社会をつくることにつながります。子供、女性、障害者、LGBTQなどを含め、全ての人が自分らしく生きる社会の実現に向けて、見せかけの多様性といわれるダイバーシッシュではなく、真のダイバーシティー、ありのままに受容され活躍できる社会を目指すべきという観点から、総括質疑を行います。
障害者や女性などを含めた全ての職員が生き生きと仕事ができることは、都民サービスの向上に資するとも考えております。本日は、まず、公営企業においても、職員が働きやすい職場づくりが行われているのかを確認したいと思います。本来、公営企業三局に伺いたいと思いましたが、共通の取り組みも多いと聞いておりまして、時間も限られていることから、独自の採用制度を有し、民間企業とも共通する業務を行っている交通局に代表して伺わせていただきます。
まずは、長時間労働の是正について伺います。
長時間労働が常態化している職場では、子育てや介護との両立、女性障害者活躍が実現しづらいこともあり、働き方改革の本丸として、職員の超過勤務の削減は必須と考えます。昨年度の本庁一人一月当たりの超過勤務実績で見ると、公営企業三局においては、交通局が二一・九時間、水道局は二三・三時間、下水道局は一六・八時間と、都庁の平均二六・二時間と比べれば下回っているとのことですが、さらなる縮減が必要と考えます。
そこで、超過勤務縮減に向けた交通局における取り組みについて伺います。
○内藤交通局長 交通局では、職員一人一人が生活と仕事の調和を図り、安心して働ける職場環境を整備するため、テレワークの活用を初めとした働き方改革に取り組んでおります。
超過勤務縮減に向けましては、定時退庁日の設定や二十時完全退庁の徹底を図るとともに、一時的な業務増には、所管業務の枠を超え、組織全体で柔軟に対応しております。
また、労働組合との間におきましては、労働基準法第三十六条の規定に基づきまして、時間外労働の上限に関する協定を締結し、長時間労働の抑制につなげております。
さらに、仕事の進め方そのものの見直しによる生産性向上が重要であり、デジタル化による業務の効率化や管理職による無駄のないマネジメントなど、創意工夫を重ねることで、今後とも、超過勤務の縮減に取り組んでまいります。
○斉藤委員 超過勤務が多い長時間労働を強いられている職場においては、休暇などもとりにくく、仕事も家事や育児も夫婦どちらかに偏りがちです。
しかし、本来は、夫婦で共同して担うべきものであり、そのような観点から育児休業の取得状況に着目します。二〇二〇改革では、平成三十一年度、つまり昨年度に、男性職員の育児休業取得率を一五%に向上させるという目標が掲げられ、公営企業で見ると、交通局は一六・四%、水道局は二五・六%、下水道局は一八・八%とのことで、目標は達成されているようです。
そこで、男性職員による育児休業取得を促進するための交通局における取り組みについて伺います。
○内藤交通局長 交通局では、管理職が中心となり、男性職員が育児休業を取得しやすい組織風土づくりを進めております。
まず、全管理職がイクボス宣言を行い、男性職員の育児休業取得を含めた働きやすい職場づくりに率先して取り組むことを明らかにしております。
その上で、配偶者の妊娠が判明した男性職員に対し、育児関連休暇、休業プランニングシートを活用し、面談等を通じて、育児休業の取得勧奨を行っております。
さらに、当該職員の休業中の職場運営について、周囲の職員と協力しながら、スケジュール調整や分担見直しを行うなど、組織全体で育児休業取得を後押しするようにしているところでございます。
今後もさまざまな取り組みを通じまして、男性職員の育児休業取得を促進してまいります。
○斉藤委員 育休取得者を対象に支援を行っているとのことですが、同時に、全ての職員を対象に、会議時間や就業時間の規定を設けることなどをして、最終的には、男性、女性とも同程度の割合で育休を取得するような状況を目指してほしいと思います。
また、都では、育休中の職員に、管理職選考の全部受験を昨年度から可能としましたが、公営企業では、余り活用の実績が多くはないと聞いております。現段階では、育休取得か昇進かの二者択一とならざるを得ないような職場の役割分担が残っていることも推察をされます。育休を取得した職員が、給与面や昇進においても不利にならないよう取り組んでいただいて、勤務時間や勤務形態を評価指標にしない新たな働き方モデルを目指すことを要望いたします。
次に、女性職員の確保について伺います。
分科会の質疑で、私の方から、交通局に対しまして、女性のバス乗務員の採用状況と採用PRについて伺いました。バス乗務員に限らず、女性ならではの視点から生まれるサービスやコミュニケーションは、地下鉄などの運輸系業務全般のサービスの質向上に生きると考えております。
そこで、バス乗務員や地下鉄の駅員など運輸系職員の採用について、令和元年度における男女別の採用者数及びその際の応募者数について伺います。
○内藤交通局長 交通局では、バス乗務員や地下鉄の駅係員、また、車両や線路の保守などに携わる技術系職員などの運輸系職員につきまして、局独自で採用を行っており、令和元年度においては、合計で百九十二名を採用いたしました。
採用者の男女別内訳としては、男性は百八十六名、女性は六名であり、その選考に係る応募者数で見ると、全体で二千三百七十五名のうち、男性は二千二百六十名、女性は百十五名となっております。
○斉藤委員 地下鉄の駅係員や技術系の職員を含めた全体で見ても、女性の応募者数、採用者数が極端に少ないことがわかりました。不規則勤務や泊まり勤務もあることから、敬遠されている可能性もあるとの話も聞きますけれども、民間の方では、女性採用を伸ばしている運輸系の企業もございます。例えば、JR東日本では、一九八七年の創業当時、約〇・八%、こちらにも満たなかった女性社員が、今では一三%を超えると伺っております。女性に向かない仕事と決めつけるのではなく、女性が働き続けやすい環境の整備を先んじて行うとともに、女性のロールモデルの発信も行っていただきたいと考えております。
そこで、交通局における運輸系職員の女性人材確保に向けた取り組みについて伺います。
○内藤交通局長 交通局では、運輸系の女性職員確保に向け、働きやすい職場環境を整備するとともに、応募者の裾野を広げるためにさまざまな取り組みを進めております。
地下鉄やバスの事業所では、施設の大規模改修などの機会を捉えて、シャワー室や宿泊勤務の際に使用する仮泊室を整備するなど、女性施設の拡充を進めております。
また、交通局で働くことの魅力をより深く知っていただくため、女性向けの転職イベントへの出展に加え、地下鉄やバスの乗務員、駅係員といった異なる職種の女性がみずからの体験を語り合う座談会や、仕事と育児の両立を支援する休暇制度などにつきましてホームページに掲載してございます。
さらに、採用情報をより多くの女性にご覧いただけるよう、SNS等を活用して広く情報発信しております。
○斉藤委員 女性が働き続けられる環境整備や周知やPR、さまざま進めてきてくださっているということですが、残念ながら、結果的には応募につながっていないというのが現状ですので、これまでとは異なるアプローチでの取り組みも検討いただきたいと思います。
交通局における女性の離職者の数はそれほど多くはないと聞いておりますので、将来、女性の管理職が半数近くになったという時代が来るように、まずは応募者数の数値目標を掲げるなど、今から種まきをしていただくことを要望いたします。
次に、障害者雇用について伺います。
障害があっても働きやすい職場をつくるということは、結果的に誰もが働きやすいユニバーサルな職場づくりにつながるという考え方は、広く浸透をしてきました。
令和元年度の障害者雇用率は、交通局が三・五%、水道局が三・〇四%、下水道局が三・〇八%ということで、いずれも法定雇用率である二・五%だけではなく、都庁における障害者活躍推進計画に定める全庁的な目標数値三%をも上回っているというふうに伺っています。
一方では、実際に雇用されている障害者の方々が、自分らしく働き、その能力を十分に発揮できているのかが重要なポイントと考えております。
そこで、障害者が働きやすい職場をつくるための交通局の取り組みについて伺います。
○内藤交通局長 交通局では、本年三月に策定した都庁における障害者活躍推進計画に基づきまして、さまざまな取り組みを行っております。
具体的には、障害を有する職員と面談等を通じて意見交換を行った上で、画面の大きなモニターなど障害特性に応じた使いやすい機器を整備するほか、必要に応じて業務内容を見直すなど、勤務面での柔軟な対応を行っております。
また、職員の相談にきめ細かく対応するため、障害者職業生活相談員を職場ごとに選任しているほか、eラーニングを活用した研修などを通じまして、周囲の職員の障害者雇用に対する理解促進を図っております。
これらの取り組みを着実に進めることにより、障害を有する職員が一層活躍できる職場環境づくりに努めてまいります。
○斉藤委員 障害者が働きやすい職場づくりに関して取り組まれていることを理解いたしました。
一方で、障害者雇用率を算定するに当たっては、国の法令に基づいて、業務の性質に応じて、分母から一定数が控除される場合がありまして、交通局の例では、実際の職員数約七千人に対し、算定上の母数は約二千人となっていると伺っております。これについては、あくまでも算定上のルールとのことではありますが、この件に限らず、健常者がつくったルールの中で、障害者の職業に関して定めることの正当性については、常に疑い、障害のあるなしにかかわらず、特性や能力から適した職につくことができる社会となるよう取り組んでいかねばならないと強く感じております。
昨年の世界経済フォーラムで、障害者雇用の根づいた企業が、業績でも競合他社を上回っているということ、また財務上の利益を伸ばしているということが報告をされました。世界の一流企業の潮流では、ダイバーシティー・アンド・インクルージョンでは、もはや古いといわれておりまして、今は、ダイバーシティー・エクイティー・アンド・インクルージョン、DEI、つまり多様性と包括に公正が加わりまして、ただ包括するだけではなく、同じ土台に立てるよう、十分な支援を継続して続けていく必要があるというふうにいわれています。
雇用はあくまでも第一歩でありまして、いかに障害のある職員の成長や活躍を促し続けていけるかというのが重要です。雇用から定着への支援に加え、例えば今後は、超短時間雇用などの新しい働き方モデルの導入や、実際に都で働いている障害者が特別支援学校で講演を行うといった取り組みもぜひ検討していただきたいと申し上げます。
ここで、働き方に関して一つ意見をさせていただきます。
東京都の令和元年度当初予算は、総額で十四兆九千五百九十四億円、スウェーデンの国家予算に匹敵するとされていた平成二十八年度からさらにふえている状況でありますが、これは業務量もふえているということにほかなりません。スウェーデンは、公務員比率が高い国としても知られておりまして、雇用者全体の約三割、約百二十八万人が公的セクターで雇用をされています。高福祉高負担型の国と一概に比較はできませんけれども、東京都は、職員定数、令和元年度は約十七万人でありまして、職員一人当たりが持つ予算、業務量が大き過ぎるのではないかと感じております。
各会計決算特別委員会において、奥澤議員からも意見をしましたが、まずは都庁業務量のスリム化を図るべきであると考えております。
公営企業の仕事はライフラインにかかわるものが多く、突発的な事故や災害への対応も見据えて、単に経営効率だけを見るわけにはいかないと承知をしていますが、新たな事業を一つふやすには二つ事業を減らす、これはトランプ政権下の規制改革に第一ルールでありますが、都においてもそういった工夫を講じていただきたいと考えております。それが結果的には、真に必要な施策の選択と集中につながると考えております。
さて、ここからは、下水道局に伺わせていただきます。
平成二十八年度の決算特別委員会の分科会の方で、下水道局に対しまして、地球温暖化対策や耐震対策について質疑を行いましたが、その進捗状況を確認していきます。
下水道局は、近年では、海や河川などの水質改善に取り組むとともに、エネルギー使用量や温室効果ガスの削減を推進することで環境負荷の少ない都市の実現を目指すという新しい役割を担っています。下水道局の定めるアースプラン二〇一七においては、二〇三〇年度までに温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で三〇%以上削減するという高い目標を掲げていらっしゃいます。
そこでまず、地球温暖化防止対策の取り組み状況について伺います。
○和賀井下水道局長 下水道局では、下水道事業における地球温暖化防止計画であるアースプラン二〇一七に基づき、再生可能エネルギーの活用拡大や省エネルギー化などに取り組んでおります。
令和元年度は、八王子水再生センターで、省エネルギー型の汚泥濃縮機を導入するなど、地球温暖化防止の取り組みを推進いたしました。
このような取り組みにより、二〇三〇年度までに、下水道事業から発生する温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で三〇%以上削減する目標としておりますが、令和元年度は、約二六%削減いたしました。
今後とも、温室効果ガス削減を推進することで、環境負荷の少ない都市の実現に貢献してまいります。
○斉藤委員 こうした取り組みに加え、エネルギー自立型焼却システムを開発され、現在、稼働を目指して取り組んでいるとも伺っております。
先日、菅総理は、温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに実質ゼロにすると宣言をされました。
下水道局事業における温室効果ガス排出削減の取り組みについては、その進捗や課題を精査しつつ、ゼロエミッション東京戦略とともに加速度的に取り組み、日本全体を牽引していただきたいと思っております。
最後に、流域下水道の耐震対策について伺います。
先日、トルコで発生した地震では、多くの建物が崩壊し、都市機能が喪失するなど、甚大な被害が発生をいたしました。東京都においても、首都直下型地震や多摩直下地震など大規模地震への懸念がありまして、ライフラインの耐震対策は喫緊の課題と考えております。
多摩地域の流域下水道では、下水道局が水再生センターの耐震対策を、市町村がその先の公共下水道を管理しておりますので、市町村からは公共下水道の耐震対策などに係る費用の補助についての要望も出ておりまして、万が一の際にも、多摩地域のライフラインが維持できるよう、適切な支援をお願い申し上げます。
その上で質問しますが、多摩地域の流域下水道では、震災が起きた際も必要不可欠な最低限の機能である水再生センターの揚水、簡易処理、消毒機能を維持するため、耐震対策を進めていると伺っております。
流域下水道の耐震対策の取り組み状況について伺わせてください。
○和賀井下水道局長 下水道局では、水再生センターやポンプ所において、震度七相当の地震動に対し、必ず確保すべき機能を維持するため、ポンプ施設や沈殿施設などの耐震対策を推進しております。
流域下水道においては、令和元年度に、清瀬水再生センターの第一沈殿池など五カ所で耐震補強工事を実施し、経営計画二〇一六で定めた必要最低限の機能を確保する耐震対策を完了いたしました。
○斉藤委員 令和元年度までに、耐震対策の目標が達成をされたと伺いました。
震災時への備えとして、最後にもう一点、連絡管について伺います。
流域下水道では、多摩川沿いに六つの水再生センターがありまして、川を挟む二つの水再生センターごとに連絡管でそれぞれ結ばれております。一九九五年の阪神・淡路大震災の教訓からつくられたこちらの連絡管ですが、三本の連絡管の工事に百八十六億円かかっていたと、以前の分科会の質疑で伺いました。
例えば、地方都市では、災害時に上水供給が停止してしまうことを予防するための連絡管を下水道連絡管として設置している例などもありまして、下水道局の設置する連絡管についても、多様な使い方が想定できるよう、今後、ぜひ他局とも連携して取り組んでいただきたいと考えております。
そこで、最後に、こちらの連絡管の効果について伺いまして、私の質問を終わります。
○和賀井下水道局長 流域下水道における連絡管は、下水や汚泥を相互に融通することで、震災時におけるバックアップ機能を有しております。
具体的には、東日本大震災の際、多摩川上流水再生センターの焼却炉が一時停止したため、対岸の八王子水再生センターへ汚泥を送り、施設停止時の機能低下を防ぐことができました。
また、焼却炉を点検、補修した際などにも活用しており、令和元年度は、例えば、北多摩一号水再生センターと南多摩水再生センター間で、合計五十八日間にわたり汚泥を相互に融通し、安定的な下水処理を維持いたしました。
今後も、二十四時間三百六十五日、一日も休むことなく、下水道機能を確実に確保するよう進めてまいります。
○高橋委員長 斉藤委員の発言は終わりました。
以上で、本日予定いたしました質疑は全て終了いたしました。
お諮りをいたします。
令和元年度東京都公営企業各会計決算の認定についてに対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
なお、十一月二十日の十二時四十五分から理事会を、また、十三時から委員会を第四委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時九分散会
第1分科会で行われた令和元年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
令和2年10月30日
令和元年度公営企業会計決算特別委員会
第1分科会委員長 細谷しょうこ
令和元年度公営企業会計決算特別委員長
高橋 信博 殿
1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、令和2年9月30日に設置され、次の案件を審査した。
・令和元年度東京都公営企業会計決算中、中央卸売市場、港湾局、交通局所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
10月14日(説明聴取・資料要求) 交通局、中央卸売市場、港湾局
10月21日(質疑) 中央卸売市場
10月23日(質疑) 港湾局
10月26日(質疑) 交通局
2 本分科会における質疑の概要
(1)令和元年度東京都中央卸売市場会計決算(中央卸売市場所管分)
〔1〕 中央卸売市場会計について
ア 決算の特徴について
イ 施設整備費用の執行率が低い原因及び課題への対応について
ウ 築地市場跡地における土壌汚染調査費の執行状況について
〔2〕 中央卸売市場について
ア 中央卸売市場活性化支援事業の必要性と取組状況及び効果について
イ 市場の活性化を考える会における議論の内容と経緯及び情報公開と今後の進め方について
ウ 各市場の施設整備の状況について
エ エシカル消費の普及啓発と水産エコラベル認証取得の支援について
オ 大田市場と淀橋市場以外の市場における経営戦略の策定に向けた取組状況及び検討状況の見える化について
〔3〕 豊洲市場について
ア 利便性向上の取組について
イ 光熱水費の概要及び業界の声の受止めについて
ウ 賑わい創出事業の取組状況及び江戸前場下町の開業後の状況について
エ 観光バス乗降場及び車両スペースの確保の取組について
オ 万葉倶楽部株式会社の協力と千客万来施設の開業に向けた取組の進捗状況について
カ 豊洲市場開場1周年記念フェスタの内容及び実績について
キ 魅力発信に向けた取組について
ク 施設特性をいかした取組に対する補助の実績について
〔4〕 築地市場の解体工事の取組状況及び今後の見通しについて
〔5〕 新型コロナウイルス感染症について
ア 感染拡大防止に向けた取組について
イ 食品を介した感染拡大の可能性について
ウ 市場取引への影響について
〔6〕 東日本大震災の被災地支援の取組について
(2)令和元年度東京都臨海地域開発事業会計決算(港湾局所管分)
〔1〕 土地処分の実績について
〔2〕 海上公園について
ア お台場海浜公園における新たな船着場の整備の取組状況について
イ 有明親水海浜公園の整備状況及び今後の見通しについて
ウ 晴海緑道公園の整備の概要及び執行率が低い原因について
エ 東京2020大会に向けての海上公園の整備の進捗状況について
オ シンボルプロムナード公園の整備における防災上の配慮について
〔3〕 臨海部における安全・安心なまちづくりについて
ア 無電柱化への取組と整備状況について
イ 護岸改修工事の現状と護岸近接地の建物所有者等の協力について
〔4〕 臨海副都心のまちづくりについて
ア ビジネスや観光機能の強化及び東京2020大会のレガシーを根付かせたまちづくりについて
イ 東京都臨海副都心まちづくり推進事業の実績について
ウ 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた「新しい日常」に向けてのキャッシュレス対応の取組について
エ 東京2020大会に向けた快適なまちづくりの実績について
〔5〕 臨海副都心の新たな魅力づくりについて
ア アートプロジェクトの目的と取組内容及び効果的なPRについて
イ ライトアップの取組について
〔6〕 臨海関係第三セクターのビルである台場フロンティアビルと青海フロンティアビルの入居率が落ちた理由について
(3)令和元年度東京都港湾事業会計決算(港湾局所管分)
〔1〕 ユニットロードターミナルについて
ア 東京港における整備状況について
イ 10号地その2ユニットロードターミナル施設整備事業の内容と効果及び今後のスケジュールについて
(4)令和元年度東京都交通事業会計決算(交通局所管分)
〔1〕 決算の推移及び令和元年度の経常利益について
〔2〕 これまでの経営努力について
〔3〕 バス事業について
ア 新型コロナウイルス感染防止策について
イ 民間委託の現状及び今後の展開について
ウ 赤字路線を含めたバス路線全体の維持と地域の需要への対応について
エ 収支の状況及び利用促進に向けた増収対策について
オ 多摩地域におけるバス路線の地元負担の導入の経緯と収支について
カ 都営バス停留所の広告付上屋の整備費用及びPPP方式による設置数と今後の整備の見通しについて
キ 燃料電池バスの導入の目的と実績及び省エネに向けた取組について
ク 新小20系統の現状と増便に当たっての課題及び車外アナウンスの検討状況について
ケ 民間バスとの共同路線における車外アナウンスの導入状況と今後の予定について
コ 乗車人員の状況と動向の把握について
〔4〕 職員について
ア 運輸系職員における女性の人数と割合について
イ 乗務員の人数と年齢構成及び育成の取組について
〔5〕 職員採用について
ア 養成型選考の実績と女性の人数について
イ 運輸系職員の採用応募状況について
ウ 乗務員の採用状況及び採用における取組について
エ 乗務員の男女別採用者数と応募者数及び女性の応募者を増やすための取組について
〔6〕 新交通事業について
ア 債務の残高の推移と企業債発行理由及び財務状況について
イ 新型車両の導入計画及びダイヤ改正の予定について
ウ トラブルと急病人の発生件数及び車両内の汚損・破損時の対応について
エ 旅客誘致の取組及び事業運営の評価と今後の経営について
〔7〕 東京さくらトラム(都電荒川線)について
ア 事故件数とその内容及び道路併用区間と踏切における隙間や段差への対策について
イ 商店街などと連携した地域振興策について
〔8〕 都営交通アプリについて
ア 開発目的と開発経費及びダウンロード数について
イ 利用者からの要望と対応について
〔9〕 災害への対応について
ア 令和元年台風第19号への対応について
イ 水害発生時の車両避難の取組について
ウ 日暮里・舎人ライナーの駅の避難場所としての活用について
(5)令和元年度東京都高速電車事業会計決算(交通局所管分)
〔1〕 決算の推移及び令和元年度の経常利益について
〔2〕 これまでの経営努力について
〔3〕 地下鉄事業について
ア 新型コロナウイルス感染防止策について
イ 民間委託の現状及び今後の展開について
ウ 新型コロナウイルス感染症拡大後に撤退した駅構内店舗の有無及び感染拡大防止のガイドラインの遵守について
エ 駅構内における営業収入と新たなサービスについて
オ エレベーターの整備の実績及び検討状況と今後の考え方について
カ だれでもトイレと大型ベッドの整備実績及び今後の計画について
キ 女性職員のための施設整備の取組状況について
〔4〕 職員採用について
ア 運輸系職員の採用応募状況について
イ 運輸系職員における女性の人数と割合について
〔5〕 都営交通アプリについて
ア 開発目的と開発経費及びダウンロード数について
イ 利用者からの要望と対応について
ウ 掲載されている地下鉄駅のバリアフリー等の情報について
〔6〕 地下鉄駅のホームドアの整備について
ア 転落事故防止の効果及び都営浅草線の整備状況と今後の予定について
イ 未設置駅における転落事故防止の啓発活動及びホーム縁端部の色付けについて
〔7〕 東京メトロとの地下鉄サービス一体化の取組状況について
〔8〕 東京2020大会期間中の終電延長の準備状況について
〔9〕 災害への対応について
ア 令和元年台風第19号への対応について
イ 水害発生時の車両避難の取組について
(6)令和元年度東京都電気事業会計決算(交通局所管分)
〔1〕 決算の推移及び令和元年度の経常利益について
〔2〕 これまでの経営努力について
〔3〕 電気事業経営における方向性の検討の進捗状況及び方針決定までの進め方について
〔4〕 再生可能エネルギーPR施設の開設延期の状況について
第2分科会で行われた令和元年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
令和2年10月30日
令和元年度公営企業会計決算特別委員会
第2分科会委員長 長橋 桂一
令和元年度公営企業会計決算特別委員長
高橋 信博 殿
1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、令和2年9月30日に設置され、次の案件を審査した。
・令和元年度東京都公営企業会計決算中、病院経営本部、都市整備局、水道局、下水道局所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
10月14日(説明聴取・資料要求) 水道局、下水道局、病院経営本部、都市整備局
10月21日(質疑) 水道局
10月23日(質疑) 都市整備局、病院経営本部
10月26日(質疑) 下水道局
2 本分科会における質疑の概要
(1)令和元年度東京都病院会計決算(病院経営本部所管分)
〔1〕 経営状況について
ア 一般会計繰入金の推移と経常損失計上の理由について
イ 繰入金額の評価と適正化への取組について
ウ 自己収支比率の評価について
エ 平均在院日数と病床利用率の減少理由及びその評価について
オ 経営改善に向けた現状認識と取組について
カ 新型コロナウイルス感染症による診療実績と一般会計繰入金への影響及び受診控えに対する受診の必要性の周知について
〔2〕 新型コロナウイルス感染症への対応について
ア ダイアモンド・プリンセス号で発生した患者の受入状況について
イ 都内の陽性患者の受入実績と人員体制について
ウ 駒込病院と墨東病院の役割について
エ 感染症全般における対策準備とその活用について
オ 患者の受入準備と実績及び病床の確保について
カ 都立病院が病床を確保する意義と病床数の決定権について
キ 医療機器の購入の判断時期と購入時期及び予算の執行について
〔3〕 地域との連携について
ア 意義と取組内容及び病院経営への貢献について
イ 都立病院における地域包括ケアシステムの構築に向けたICT活用等の取組について
ウ Tokyoヘルスケアサポーターの養成講座の実施状況と認定したサポーターのその後の活動内容について
エ 地域医療の充実に向けた医療人材の活用について
〔4〕 地方独立行政法人化について
ア 独立行政法人化により得られる効果について
イ 独立行政法人化後の都立病院の在り方について
ウ 都直営の病院であることのデメリットについて
エ 病院現場の実情及び職員への対応について
オ 独立行政法人化のメリットをいかした医療の充実について
〔5〕 災害拠点病院について
ア 令和元年台風19号における都立病院の対応について
イ 非常用発電設備及び備蓄品の確保について
ウ 浸水対策とその拡充について
〔6〕 都立病院における発災時の傷病者の受入れについて
〔7〕 がん患者の就労支援について
ア がん治療と仕事の両立への取組について
イ 駒込病院における出張相談の実績とその推移について
ウ 就労継続支援事業の導入経過と実績及び相談事例について
〔8〕 女性活躍について
ア 女性医師の割合について
イ 病院勤務者全体における女性及び女性管理職の割合並びに女性管理職を増やす取組と方針について
ウ 看護師の総数と女性管理職の割合について
エ 出産・育児・介護による離職率及び男性の育休取得率と取得率向上への方策について
オ 院内保育の現状と地域への開放状況及び墨東病院の病児病後児保育の実績について
カ 職種別雇用形態別の女性職員の割合について
〔9〕 ゼロエミッション東京の実現に向けた取組と見解について
〔10〕 デジタル化について
ア オンライン診療と処方への取組について
イ デジタルトランスフォーメーションの取組とセキュリティ対策について
ウ ICT導入への取組と電子カルテ導入の効果について
〔11〕 特定妊婦の受入状況と支援について
〔12〕 小児総合医療センターにおけるファシリティドッグの活用状況と効果検証調査の進捗について
〔13〕 行政的医療について
〔14〕 救急医療や精神科身体合併症医療における診療が不採算・取組困難につながる要因について
〔15〕 松沢病院における精神疾患医療について
ア 都内の精神科医療における役割と向上への取組について
イ 行政的医療の確実な提供への取組について
〔16〕 感染管理認定看護師について
ア 資格取得方法と在籍数について
イ 新型コロナウイルス感染症対策における活動内容について
ウ 専門性の高い看護師育成への取組について
(2)令和元年度東京都都市再開発事業会計決算(都市整備局所管分)
〔1〕 泉岳寺駅地区市街地再開発事業について
ア 事業の実施内容について
イ 東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業における特定建築者の募集の目的について
ウ 新型コロナウイルス感染症への対応について
(3) 令和元年度東京都水道事業会計決算(水道局所管分)
〔1〕 財政運営について
ア 東京水道経営プラン2016の進行管理と事業成果の検証について
イ 都民への説明責任と理解を得るための取組について
ウ 水道料金収入の分析と新型コロナウイルス感染症拡大の影響について
エ 新しい生活様式など状況変化への対応及び今後の事業運営について
〔2〕 ICTの推進について
ア お客さまセンターにおけるAIの利用効果及び学習状況について
イ スマートメータ導入の具体的効果について
ウ スマートメータトライアルプロジェクトの趣旨と効果について
エ スマートメータの価格低減に向けた取組の進捗状況と全戸導入に向けた考え方について
〔3〕 災害対策について
ア 給水管の耐震化等の実施状況及び整備完了への取組について
イ 都内及び練馬区内の配水管耐震継手化の進捗状況について
ウ 重要施設への供給ルートの耐震継手化の実績及び未完了となった重要施設の数と理由と今後の見通しについて
エ 災害時の応急給水における区市町と住民及び局の役割分担について
オ 応急給水の訓練の状況について
カ 夜間・休日等の災害時給水ステーションの開設方法について
キ 給水拠点の場所と発災時の開設状況の認知への取組について
ク 導水施設及び送水管の二重化の実績と耐震化や二重化の遅れの要因について
ケ 自然災害に対する準備状況と断水時のバックアップ体制について
〔4〕 国内貢献事業について
ア 首都圏水道事業体支援事業の取組状況について
イ 都営一元化の効果及び武蔵野市との協議について
〔5〕 都の保有する水源について
ア 八ッ場ダムの完成による水源量と利水効果及び建設事業の局負担額について
イ 現在保有している水源の適切な活用について
ウ 霞ヶ浦導水事業と利根導水路大規模地震対策事業の概要について
〔6〕 小河内貯水池における保全の取組と今後の対策について
〔7〕 多摩川上流域の森林整備の取組と今後の森林保全について
〔8〕 井戸に関する課題について
ア 稼働状況と直近3か年の揚水量の推移について
イ 課題への対応及び今後の整備活用について
〔9〕 漏水について
ア 控除された水量と件数及び金額について
イ 都民が早期に発見する方法と繰り返さないための局の取組について
〔10〕 給水所について
ア 上部利用の状況と収益及び無償での使用許可について
イ 整備の状況及び練馬給水所の役割について
〔11〕 エネルギー・環境等に配慮した活動について
ア エネルギー・環境対策の実績について
イ 各浄水場等における自然エネルギー等の発電規模と実績の乖離及び発電量の拡大について
〔12〕 排水処理施設の運転管理作業委託の状況と契約を見直したことによる談合防止の改善効果について
〔13〕 地域住民に対する広報の取組について
〔14〕 水道料金の未納状況と支払が難しい場合の対応について
〔15〕 コロナ禍においても水道料金の値上げを行わないための経営努力について
〔16〕 検針業務委託の総合評価方式の状況と実績について
(4) 令和元年度東京都工業用水道事業会計決算(水道局所管分)
〔1〕 工業用水道事業の廃止について
ア 上水道への切替工事の実績及び切替えが計画どおりに進まなかった要因とその対応について
イ 道路陥没防止に向けた配水管の安全対策の検討状況について
ウ 今後策定する配水管の撤去計画について
(5) 令和元年度東京都下水道事業会計決算(下水道局所管分)
〔1〕 財政運営について
ア 区部下水道事業及び流域下水道事業の決算の概況について
イ 企業努力とその成果について
ウ コスト縮減の事例とその効果について
〔2〕 下水道管の枝線と幹線の再構築における考え方や取組及び今後の見通しについて
〔3〕 浸水対策について
ア 浸水対策の取組状況と施設整備の効果及び浸水予想区域図の作成状況について
イ 関係局との連携及び局の取組内容について
ウ 50ミリ降雨の対策と75ミリ施設の整備状況及び流出解析シミュレーションによる施設整備への移行について
エ 大規模施設の整備における工事の難易度と浸水対策の更なる推進について
オ 東京都豪雨対策アクションプランの策定の理由及び取組について
カ 東京都豪雨対策アクションプランのシミュレーションの降雨条件と目的及び対策強化エリアの拡大について
キ 渋谷駅東口の雨水貯留施設の整備及び効果について
ク 隅田川幹線と千住関屋ポンプ所の役割と工事の進捗状況及び浸水被害軽減への取組について
ケ 大田区上池台の洗足池幹線の増強施設の工事における一部効果発揮内容と効果について
コ 練馬区田柄及び板橋区桜川地区の工事の進捗について
サ 板橋区内3地区の浸水対策とその効果及び現状と今後の見通しについて
シ 工事の実施に伴う地域住民への説明について
ス 板橋区成増地区のバイパス管工事の効果について
〔4〕 震災対策について
ア 下水道管の応急復旧の考え方及び経営計画の進捗状況について
イ 水再生センター及び上部利用施設における取組状況について
〔5〕 合流式下水道について
ア 改善への取組状況と事業費及び石神井川における対策について
イ 経営計画2016における目標値及び進捗状況について
ウ 高速ろ過施設導入の進捗状況について
〔6〕 高度処理の考え方と取組内容について
〔7〕 技術開発について
ア 技術開発の取組方針と取組状況について
イ 幹線の再構築に関連する技術開発の取組について
ウ 水面制御装置の特徴と国内外の導入状況について
〔8〕 エネルギー対策におけるスマートプラン2014の計画内容と進捗状況について
〔9〕 流域下水道の単独処理区の編入の現状と効果及び地元の理解と周知について
〔10〕 人材の育成と技術継承の取組について
〔11〕 地球温暖化対策におけるアースプラン2017の考え方と取組内容及び進捗状況について
〔12〕 道路陥没対策について
ア 下水道管に起因する件数と要因及び発生箇所について
イ 取付管における取組及び練馬区を含む64地区の重点対策の進捗について
〔13〕 下水道料金について
ア 下水道料金収入への新型コロナウイルス感染症拡大の影響について
イ 料金水準を維持した安定的な経営への取組について
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