令和元年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

令和二年十月二十六日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長細谷しょうこ君
副委員長柴崎 幹男君
副委員長白戸 太朗君
副委員長高倉 良生君
けいの信一君
斉藤れいな君
舟坂ちかお君
馬場 信男君
入江のぶこ君
和泉なおみ君

欠席委員 一名

出席説明員
交通局局長内藤  淳君
次長久我 英男君
総務部長根木 義則君
職員部長渡邉 範久君
資産運用部長坂田 直明君
電車部長相川  準君
自動車部長牧野 和宏君
車両電気部長野崎 慎一君
建設工務部長谷本 俊哉君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務市川 雅明君
安全管理担当部長西川 善宣君
バス事業経営改善担当部長櫻庭 裕志君
技術調整担当部長加納 晴生君
技術管理担当部長坂口 淳一君

本日の会議に付した事件
令和元年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・令和元年度東京都交通事業会計決算(質疑)
・令和元年度東京都高速電車事業会計決算(質疑)
・令和元年度東京都電気事業会計決算(質疑)

○細谷委員長 ただいまから令和元年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都交通事業会計決算、令和元年度東京都高速電車事業会計決算及び令和元年度東京都電気事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○根木総務部長 過日の分科会で要求のございました資料を、お手元の令和元年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。都営交通の各事業における新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し始めた令和元年度第四・四半期と前年度同期の乗車人員及び乗車料収入でございます。
 令和元年度第四・四半期と平成三十年度の同期の乗車人員と乗車料収入を事業ごとに記載してございます。
 次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。都営交通の各事業で令和元年度末までに実施した具体的な新型コロナウイルスの感染防止対策でございます。
 都営交通の各事業において、令和元年度末までに実施した新型コロナウイルスの感染防止対策を記載してございます。
 次に、三ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄のホームドアについて令和元年度の整備の進捗と、整備完了までのスケジュール、ホームからの転落件数の推移及び未整備駅における安全対策でございます。
 都営地下鉄のホームドアについて、路線別の整備状況を過去十年分及び整備完了までのスケジュールを記載してございます。ホームからの転落件数の推移につきましては、路線別の件数を過去十年分記載してございます。また、未整備駅におけるホーム上の安全対策について記載してございます。
 次に、四ページをお開きいただきたいと存じます。事業別の正規職員の新規採用数と非常勤職員数の推移でございます。
 正規職員の新規採用数の推移を事業別に過去五年間分記載してございます。
 次に、五ページをお開きいただきたいと存じます。非常勤職員数の推移を事業別に過去五年間分記載してございます。
 次に、六ページをお開きいただきたいと存じます。地下鉄事業におけるバリアフリー化した内容と令和元年度の費用及びホームドアの設置状況と令和元年度の取り組み実績でございます。
 バリアフリー化につきましては、令和元年度に実施した内容ごとに整備駅数及び決算額を記載してございます。ホームドアにつきましては、路線別の設置状況を過去五年間分及び令和元年度の取り組み実績を記載してございます。
 次に、七ページをお開きいただきたいと存じます。都営バス運転手の年間労働時間でございます。
 令和元年度の一人当たり平均の年間労働時間を記載してございます。
 次に、八ページをお開きいただきたいと存じます。コミュニティバスの受託状況でございます。
 令和元年度のコミュニティバスの受託状況につきまして記載してございます。
 次に、九ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄駅の民間委託状況及び駅別職員配置数でございます。
 都営地下鉄各駅の職員配置数を記載してございます。なお、駅名横の丸印は、業務を委託している駅をあらわしております。
 次に、一〇ページをお開きいただきたいと存じます。事業別職員数及び人件費割合の推移でございます。
 各事業における職員数及び経常費用に占める人件費割合を過去十年間分記載してございます。
 次に、一一ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるホームドア未整備駅の点状ブロック整備状況でございます。
 令和元年度末時点における整備状況を記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○細谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 では、発言を願います。

○白戸委員 新型コロナウイルスが日本で確認されて以降、私たちの生活も影響を受け、社会はすっかりとさま変わりしました。世間では、新しい生活様式の中で、少しずつではありますが新しい日常が動き始めています。しかし、その中にあっても、医療的ケアがある人や基礎疾患がある高齢者などの家族がいらっしゃる場合、そして、感染したら非常に高いリスクがあるという方々、こういった方々は、新しい日常から置いていかれて、緊急事態宣言中と余り変わらない生活を続けておられる方もいらっしゃいます。
 公共交通機関を利用している人々の中には、そのようなハイリスクやハイリスクの家族がいる方々も利用している方もいらっしゃるはずです。その方々にとっては、ただ移動するだけで緊張を強いられていると思います。そういう方々も含めて、全ての人にとって、公共交通機関をより安全に利用できることは重要です。
 そこでまず、令和元年度都営地下鉄及び都営バスで、どのような新型コロナウイルス感染症防止策をとったのか伺います。

○西川安全管理担当部長 新型コロナウイルス感染症防止策といたしまして、令和元年度に行った取り組みでございますが、まず、職員に対しまして、マスク着用や手の消毒等の徹底を指示いたしました。
 また、地下鉄、バス車両の窓あけなどによる換気を実施するとともに、駅事務室やバス営業所の窓口等にアルコール消毒液を設置するなどの取り組みのほか、地下鉄車両の手すりやつり革、駅の階段の手すり、エレベーターのボタンなどの消毒などを行ってございます。
 このほか、駅改札口のディスプレーや局ホームページ、ツイッターなどを活用しまして、マスク着用やせきエチケットなどの感染予防策についてお客様に呼びかけを行ってございます。

○白戸委員 都営交通の中では、丁寧に感染症対策をしていただいていることはよくわかりました。ただ、まちでは、感染症予防の気持ちが若干薄れてきてしまっているような人も見かけるようになったのも事実でございます。これから冬に向けて第三波が来るかもしれないということもあり、公共交通機関におけるお客様への呼びかけは、より一層徹底していただきたいと思います。
 コロナ禍において、閉店に追い込まれる飲食店も少なくなく、閉店ラッシュなどという言葉を聞くようになりました。都内でも、閉店する事業所も少なくなく、非常に残念なところでございます。
 都営地下鉄構内の店舗では、感染症が拡大して以降、撤退している店舗があるのでしょうか伺います。

○坂田資産運用部長 閉店した理由は把握してはおりませんが、例えば、本年七月に大江戸線上野御徒町駅の靴修理店、九月に新宿線馬喰横山駅のベーカリーショップ、三田線日比谷駅のコンビニエンスストアなどが閉店しております。

○白戸委員 理由はわからないということなんですが、いずれにしても、コロナ前は、イートインで非常に人気のあったベーカリーショップが閉店するなどということで、大変残念なことではあります。
 駅構内の店舗等が、しっかりと感染症予防対策をしながら営業を続けていただきたいというふうに思います。駅構内の店舗などには、東京都が事業所向けに取り組みを求めている東京都感染拡大防止ガイドラインを守るように、働きかけはお願いしているんでしょうか伺います。

○坂田資産運用部長 本年六月、東京都感染拡大防止ガイドラインの作成を受けまして、駅構内店舗の事業者に対して、直ちにこのガイドラインを周知するとともに、感染防止徹底宣言ステッカーの取得、掲出を呼びかけました。また、駅の売店などにガイドラインの対象が拡大されたことを踏まえ、八月に、改めて全ての事業者にガイドラインの周知を図るなど、感染拡大防止に向けて適宜協力を求めてきたところでございます。

○白戸委員 駅構内の店舗に対してガイドラインを周知するとともに、協力を求めてきたということですね。今後も、引き続きガイドラインを徹底していただけるよう、店舗としっかりコミュニケーションをとっていただいて、利用者が安心して利用していただける環境づくりを続けていただけるようお願いいたします。
 続いて、都営地下鉄の駅構内の営業収入について伺います。
 そしてもう一つ、令和元年度に開始した新たなサービスなどについても伺います。

○坂田資産運用部長 令和元年度の構内営業料収入は、税込みで十億三千百万円でございます。
 また、新たな取り組みといたしまして、神保町駅において、駅の大規模改修に合わせて、コーヒーショップやフラワーショップなど四店舗を開店したほか、高島平駅など八駅では、限られたスペースを活用し、傘シェアリングサービスのレンタルスポットを設置いたしました。

○白戸委員 都営交通駅構内での営業収入、行政財産使用許可による使用料を事業者からいただくことで、コロナの影響は直撃していないというものの、平成三十年度は十億五千百万円だったということなので、約二千万円の減収であったということがわかりました。引き続き、駅構内の事業者が感染予防にしっかりと努めながら営業を続けていくことができ、利用者の利便性を確保していただけるよう努めていただきたいと思います。
 新たに導入しましたこの傘のシェアリングサービスについてですが、大変よい取り組みであると考えます。雨が降るたびに、都内では、百五十万人が困り、一度の雨で何と十五万本の傘が購入されるということだそうです。同時に、多くの傘が忘れ物となったり捨てられたりしているのも現状でございます。日本全国では、年間八千万本の傘が破棄されるそうです。傘のシェアリングサービスがもっと普及すれば、雨に困る方ももちろん減りますし、車内に濡れた傘を持ち込む人も減って快適度も増します。SDGsの観点から見ても、とても重要な取り組みかと思います。引き続き、より多くの方に傘シェアリングを利用していただけるように取り組んでいただけるようお願いいたします。
 続いて、駅構内のバリアフリールートについて伺います。
 車椅子ユーザーやバギーを使用している人にとっては、バリアフリーは切実な問題です。たとえワンルートが確保されていたとしても、乗りかえるのに、一度改札を出て、地上に出て、かなりの距離を歩いて乗りかえる必要がある駅などは、なるべく利用を避けるようになってしまうと聞いております。また、エレベーターによっては、いつも混雑しており、そのエレベーターがないと本当に移動できない人がなかなか利用できない状況なども発生しています。
 都営地下鉄では、ワンルート整備後の取り組みとして、乗りかえ駅などでエレベーターを整備するとしていますが、令和元年度の実績を伺います。

○谷本建設工務部長 交通局では、経営計画に基づきまして、東京メトロなど他の事業者とも連携を図りながら、乗りかえ駅等でのエレベーター整備を進めており、令和元年度は二駅で供用を開始いたしました。
 具体的には、新宿線九段下駅におきまして、東京メトロと共同でエレベーターを三基増設し、東西線及び半蔵門線との間に新たなバリアフリールートを整備いたしました。また、大江戸線両国駅では、改札口の最寄りにある既設のエレベーターを大型化するとともに、一基増設し、混雑を緩和いたしました。

○白戸委員 令和元年度では、九段下駅でメトロとの乗りかえをスムーズにするためのエレベーター設置、そして、両国駅では混雑緩和をする取り組みをしているということでした。公共交通機関をバギーで移動する親御さんからは、駅によっては、エレベーターの設置されている位置がホームの端っこで、出たい改札はまた逆の端っこだったりして、もう移動している間に次の電車が来てしまうなんていうこともよくあると聞いております。利用者の声を聞きながら、バリアフリールートの複数化についても、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
 続いて、都営地下鉄におけるエレベーター整備の検討状況、今後の考え方を伺います。

○谷本建設工務部長 エレベーターの整備に当たりましては、お客様や障害者団体の声などを参考にしつつ、駅の利用実態や駅施設の構造上の課題などを勘案しながら、エレベーターの設置が可能で、高い改善効果が見込まれる乗りかえ駅等での整備を進めてまいりました。
 また、経営計画二〇一九では、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正などを踏まえまして、移動距離を最短化する観点より、バリアフリールートの複数化につきましても検討を進めることとしております。
 今後も、乗りかえ駅等でのエレベーター整備を進めるとともに、バリアフリールートの複数化につきましては、駅の周辺状況や用地確保の可能性などを勘案しながら、整備優先度の検討を進めてまいります。

○白戸委員 当事者の声を聞きながら、移動距離を短くする観点から複数化の検討も進めているということでした。
 地下鉄ですと、周辺用地の確保が非常に難しい箇所もあるかと思いますが、利用者からの要望の強い箇所においては、周辺施設とも連携をしながら、長期的な視線で改善を図っていくことを続けていただけるよう要望しておきます。
 続いて、都営交通における女性活躍についてです。
 都営バスでは、バス乗務員の高齢化が進んでおり、今後、乗務員の数が足りなくなっていくことが予想されております。そのために、若い世代の担い手になる労働環境、担い手になりたくなる労働環境、そして、女性も働ける環境づくりが重要になってくると思います。
 バスの乗務員になるには、いわゆる大型二種免許が必要ですが、免許を持っているのは、全国の約八十七万人、そのうち女性は一万五千人弱ということです。全体の女性の比率はわずか約一・七%ということで、女性の免許取得者は非常に少ないことがわかります。そういう意味では、現状、女性にとっては非常にハードルが高い職業であるかとは思います。
 しかしながら、交通局では、バス乗務員を選考する際に、大型二種免許を保有しなくても受験ができる養成型選考というのを取り入れております。養成型に応募をするには、最低でも普通免許が必要なんですが、これについては、男女ほぼ同じ割合で保有しています。従って、女性でも、働く意欲さえあれば、バス乗務員として活躍できる可能性があると思います。
 この養成型選考のこれまでの採用実績及びそのうちの女性の人数について伺います。

○渡邉職員部長 交通局では、バス乗務員の確保に向けた取り組みとして、平成二十七年度から、大型二種免許の未取得者に対して免許取得費用を支援する養成型の採用選考を実施しており、昨年度の選考からは、費用助成の割合を二分の一から全額に拡充いたしました。
 これまでの養成型選考の採用実績としては、平成二十七年度選考では五名、平成二十八年度選考では十七名、平成二十九年度選考では十三名、平成三十年度選考では十九名を採用しております。
 また、来年四月には、令和元年度選考の最終合格者二十一名を採用する予定でございます。なお、このうち女性は、平成三十年度選考において採用した一名となっております。

○白戸委員 この養成型選考でより多くの女性が採用されていることを期待しておりましたが、現状わずか一名ということで、まだまだ女性にとってのハードルは高いんだなということを感じました。
 交通局の事業を支えているのは、バスの乗務員以外にも、地下鉄の駅員、運転士や車掌、保線などの作業を行っている運輸系の職員の皆様がいらっしゃいます。最近では、時々、交通の現場で女性の姿も見かけるようになってきたとは思います。
 そこで、都営交通の運輸系の職員における女性職員の数、割合について伺います。

○渡邉職員部長 交通局には、令和二年四月一日現在で五千六百九十三名の運輸系の常勤職員が在籍しておりますが、このうち女性職員は九十名で、その割合は一・六%となってございます。

○白戸委員 女性職員が九十名ということで、いないわけではないんですが、約一・六%、依然その割合は低いなというのが印象でございます。
 都道府県議会の女性議員率は、平均すると一〇%、東京都議会も、現在は女性議員が三割となり、全国一位となりましたが、それでも女性議員、特に子育て真っ最中の女性議員には、働きにくいと感じることが少なくないそうです。それでも、この三年間で働きやすい改善や理解が深まったというように感じます。その背景には、女性議員の立場に耳を傾けてくれる人がふえてきたのかなというふうに感じるところです。
 女性の割合を高め、女性の力を活用するためには、女性職員の話に耳を傾けながら、さまざまな工夫が必要ではないかと思います。
 運輸系職員は、その業務の特性上、不規則勤務や泊まり勤務などがあるということで、その特性を踏まえて、昨年の公営企業委員会質疑で、我が会派の田の上議員が、女性職員用の施設整備についての質問をさせていただき、交通局の取り組み状況を伺わせていただきました。その際、地下鉄駅については、駅空間が限られており、整備はなかなか難しいが、委託調査も活用しながら検討するという答弁をいただきました。
 それらを踏まえまして、都営地下鉄における女性職員の施設整備の取り組みについて伺います。

○渡邉職員部長 都営地下鉄では、駅構内の空間が限られる中、女性が働きやすい職場環境の充実に向けて、駅の大規模改修などの機会を捉えて女性施設の拡充を進めております。
 具体的には、更衣室やトイレに加え、休憩室、宿泊勤務の際に使用する仮泊室等を整備しており、昨年度については、三田線日比谷駅や大江戸線勝どき駅で整備を行いました。
 さらに、大規模改修が予定されていない駅の一部につきましても、委託調査を活用し、女性施設を整備するための方策について、今般提案を受けましたが、今後、経費面も含めた実現可能性について検討してまいります。
 引き続き、女性施設の整備拡充に努めてまいります。

○白戸委員 着実に進めようとしていることはよくわかりました。女性職員の活用には、ハード面の整備ももちろんですが、ソフト面の工夫も必要かと思います。短時間勤務であったり、フレキシブルな働き方ができるような工夫など、仕事の特性上、なかなか簡単ではないかもしれませんが、いろいろと研究していただけるとよいかと思います。また、この女性職員から直接話を聞くなどして、柔軟な対応をお願いしておきます。
 最後に、交通局がことしの三月にリリースしました都営交通アプリについてです。
 スマートフォンのアプリを使った検索情報は、今や当たり前となり、特に通勤時間帯の公共交通機関のリアルタイムで正確な情報を得られることは、かなり重要なこととなっています。そういう意味でも、このアプリをリリースしたことは評価できます。
 交通局が本年三月にリリースしたこの都営交通アプリの開発目的、また、開発経費について伺います。

○根木総務部長 都営交通アプリは、お客様が都営交通をご利用する際、地下鉄やバスなどの運行状況や時刻表、乗りかえ、運賃検索などの情報を、スマートフォンを使って、より便利に見られることを目的として開発してございまして、その開発経費は約二千百万円でございます。

○白戸委員 このアプリは、昨年、令和元年の八月から、一目でわかるシンプルなデザイン、簡単な操作性、そして、軽快な動作という三つのコンセプトに基づいて開発したと伺っております。私もアプリを拝見させていただきましたけれども、確かに視覚的にも非常にわかりやすく、情報が一目でぱっと伝わってくるような、そんな工夫がされているなという印象を受けました。
 実際にどのぐらいの利用がされているのか、このアプリの評価基準の一つになると思いますが、この都営交通アプリ、ダウンロード数を伺います。

○根木総務部長 都営交通アプリは、本年三月三十日にリリースしており、年度末までの二日間で、約三千五百件のダウンロードがございました。なお、本年九月末時点の累計で、約二万五千件となってございます。

○白戸委員 アプリがリリースされた具体的な日付が三月三十日、年度末ということですから、リリース後、実質二日間あったわけですけれども、この二日間で三千五百件ダウンロードがあったということで、このアプリに対する期待の高さを伺うことができました。
 さて、このアプリですが、スペシャルニーズがある方や子連れ世代など、移動に何らかの配慮が必要な方々の視点も必要と考えます。
 都営交通アプリでは、地下鉄駅のバリアフリー情報についてどのような情報が盛り込まれているのか伺います。また、大江戸線の子育て応援スペースの運行情報については、どのように扱っているのかもあわせて伺います。

○根木総務部長 都営交通アプリでは、バリアフリーに関する情報といたしまして、誰でもトイレやベビーシートなどの有無、エレベーターだけで地上とホームとの間の移動が可能かどうかの情報を駅ごとに一覧でまとめてございます。また、その具体的な位置を駅の構内図に表すなど、目で見てすぐわかるようにしてございます。
 大江戸線の子育て応援スペースを設置した車両につきましても、アプリの運行情報の画面から、スペースの設置場所や、新宿駅や大門駅など主な駅の発車時刻を閲覧することができるようになってございます。

○白戸委員 移動に一定の配慮が必要な方々への情報提供においても、きめ細かく盛り込まれていることを確認できました。可能であれば、都営地下鉄大江戸線で乗りかえを検索したときに、子育て応援スペースがある車両には、例えば、子育て応援スペース車両があることを何か示すマークが出るようにするとか、トップページのトピックのところに都営地下鉄大江戸線子育て応援スペースの利用案内を張りつけることで、そのような取り組みをしていることをより多くの方に知らしめていただきたいというふうに思います。
 いずれにしても、このアプリが広く支持され続け、活用され続けるためには、これ全てのアプリがそうなんですが、アップデートというものが必要だと考えます。今後とも、お客様のニーズを的確に捉えることはもちろんなんですが、スペシャルニーズや子育て世代などにも思いをめぐらせながら、アプリ機能をどんどんとアップデートを充実させていただきまして、さらなるお客様の利便性向上に努めていただくよう要望し、質問を終わります。

○舟坂委員 第三回定例会の代表質問や先日の分科会での局からの説明にあったとおり、新型コロナウイルス感染症の流行により、現在、交通局が置かれている経営環境は非常に厳しい状況にあると認識をしております。テレワークの定着やオンライン商談の増加、自主的な出控えなどで、現状においても、都内での人の移動は依然大きく減少したままであり、外出先で利用される飲食店、サービス業などを初めとして、多くの産業で大きく業績が低迷しており、こうした経済活動の停滞が、さらに公共交通機関の経営を圧迫することにつながっているものと察します。
 感染症が蔓延している状況でも、公共交通機関は、テレワークや時差通勤などが困難な医療関係者などエッセンシャルワーカーや、人工透析など通院しなければ命の危険のある方も毎日支える社会インフラであり、今後とも、まさに公共のもととして守り続けなければなりません。こうした認識のもと、本日は決算の審査ということで、これまでの取り組みを中心に確認をさせていただきます。
 交通局の経営は、これまでも数々の危機に直面してきたと説明をいただいております。例えば、かつて都内の移動の主役であった都電の最盛期は、高度経済成長が始まり、車が主役の時代に移行し、道路での慢性的な渋滞が発生したために輸送効率が落ちたため、収支が悪化し、結果的に道路上の軌道の撤去を余儀なくされ、多額の損失を計上してまいりました。
 平成に入ってからは、大江戸線の環状部が、既にある地下鉄などの下にトンネルを掘削しなければならないことから、その建設費が高額になり、開業当初の平成十二年度は三百億円を超える経常赤字となるなど、経営が非常に厳しい状況であったと理解をしております。
 ようやく近年になって、地下鉄やバスなどの乗客の増加なども背景に経営基盤を強化した結果、昨年度の決算は、交通局全体で二百七十九億円の黒字が確保できたとのことです。あくまで、先ほど述べたものは代表例ですが、これまでも、交通局の経営が楽観できる状況ではなかったということであります。
 コロナの苦境に立つ現下の状況でも、さらなる営業努力を図る必要がありますが、これまでどのようなことを行ってきたのか、特に、先ほど例に挙げた大江戸線環状部が開業した以降の取り組みをまずはここで確認したいと思います。
 そこで、これまで交通局は、どのような経営努力を行ってきたのかをお伺いいたします。

○根木総務部長 交通局ではこれまで、経済性の発揮と公共の福祉の増進という公営企業経営の基本原則にのっとり、収入の確保に努めつつ、経営効率化の取り組みを推進してまいりました。
 委員からお話がございました大江戸線の全線開業や日暮里・舎人ライナーの開業などにより事業規模が拡大し、乗車料収入が大幅に伸びる中にありましても、あわせて経営合理化について鋭意取り組んでまいりました。
 具体的には、都営地下鉄等の駅業務の委託や都営バスの一部の事業所における管理の委託を進めることなどにより、職員定数を削減したほか、バス運転手の給与の見直しや駅施設の設備更新に合わせた省エネ機器の導入など、コスト縮減にも取り組み、経営基盤の強化を図ってまいりました。

○舟坂委員 職員の定数はかつて八千人以上だったのを千五百人以上削減したと聞いております。また、今お話のあったように、大江戸線の全線開業や日暮里・舎人ライナーの開業時でも、職員の配置を見直すことなどにより定数をふやさなかったそうであります。こうした努力はしっかりと評価すべきとも思います。
 一方で、公共交通機関が保つべき安全水準、サービス水準を維持しながら、職員を減らすことのために取り入れたのが、外部への委託であります。答弁にあったように、駅員の業務やバスの運転などの委託を進めてきたとのことです。
 そこで、駅業務やバス運転の委託について、現在の状況をお伺いいたします。

○根木総務部長 交通局では、安全性やサービス水準を維持しつつ経営効率化を図ることを目的に、令和元年度末現在、都営地下鉄の五十九駅及び日暮里・舎人ライナーの一駅については、東京都営交通協力会へ業務を委託し、都営バスの五支所四十二路線につきましては、株式会社はとバスへ管理を委託してございます。

○舟坂委員 地下鉄は、都営が管理する百一の駅のうち半数以上の駅に既に委託しており、バスの管理の委託についても三分の一程度の路線を委託しているということになります。
 昨年春の公営企業委員会では、このうち、都営バスの路線の委託について質問をいたしました。その際には、京都市で同様に委託を行っていましたが、受託していた民間事業者が撤退するという事例をお話させていただきました。京都市のように民間事業者が撤退した場合は、公営が改めて直営で職員を募集し、採用した上で事業運営をしていくことになります。
 昨年春の時点では、そうした事情も踏まえ、バスの管理の業務の方向性を確認しましたが、今回は改めて、駅業務の委託も含め、今後の方向性を確認したいと思います。
 駅業務やバス路線の委託規模を広げていくことを考えているのかお伺いをいたします。

○根木総務部長 駅業務や都営バスの運行管理は、輸送の安全に直接かかわる重要な業務であり、委託規模の拡大につきましては、慎重に検討する必要があると考えてございます。
 駅業務につきましては、各駅の特性や業務量などを勘案し、可能な限り委託を行ってございます。
 また、都営バスの管理の委託につきましては、全国的にバス乗務員の不足が深刻化している中、乗務員の確保が困難となっており、いずれも現在のところ委託の拡大については考えてございません。

○舟坂委員 公が民間に委託した場合、必然的に公が長年築いてきたノウハウの喪失が起きてしまうというデメリットがあります。一般に、民間に委託すれば、人件費の単価差などから一時的に費用が抑えられ、委託効果が得られるメリットがありますが、公営交通の場合、既に京都市で民間が撤退しているような事例もあり、都営もそうしたリスクに備える時期だとも思います。
 また、委託先の採用が困難である状況とのことですので、委託先の人件費の上昇傾向も出てくると思います。そうなると、委託効果のメリットもなくなり、委託の意義が失われます。
 現在、委託の拡大は考えていないということですが、経営の持続可能性を考えた場合、公のノウハウの維持を十分に考慮に入れた事業運営を行っていただきたいと思います。経営的には厳しい状況にある中でも、かつての行政改革のような安易な委託化を進めるべきではないということも意見として、次の質問に移ります。
 次は、バス事業についてお伺いをいたします。
 令和元年度の自動車運転事業の経常損益は、十七億四千万円余りの赤字であります。これは、新型コロナウイルスの影響がまだそれほどない時期でのこの状況だと思いますので、今年度の決算は、さらに収入が落ち込み、厳しいものになるのではないかと考えます。
 私は、この先、バス事業の経営状態によって路線の規模が縮小されることを懸念しております。
 そこで、赤字路線を含めたバス路線全体の維持についてどのように考えているのかをお伺いいたします。

○櫻庭バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、需要の変化に合わせて、乗務員や車両など限りある経営資源を有効に活用することで、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるようバス事業を運営しております。
 こうした考え方に基づきまして、地域に必要な路線は、赤字路線であっても黒字路線の収入で支えるなど、総合的な事業運営を行うことで維持しておりまして、引き続き、都民の足としての役割を果たしてまいります。

○舟坂委員 以前に、三分の一の黒字路線で三分の二の赤字路線を支えていると聞いております。令和元年度では、コロナの影響もあり、黒字路線が大分減少したとのことです。今年度はさらに厳しい状況だとも思います。
 交通ネットワークを維持するためには経営努力も必要ですが、その一方で、冒頭に述べたように、エッセンシャルワーカーや通院しなければならない方の足を確保するなど、地域の方々のニーズに応えるのが公共交通機関の使命ではないでしょうか。
 私は、以前から、都営バスに対して、私の地元からの要望などをお伝えし、これまで運行されていない路線について運行することなど、積極的な路線展開により交通ネットワークを充実するように提案をしております。
 そこで、路線運営において、地域のさまざまな需要にどのように応えていくのかをお伺いいたします。

○櫻庭バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗客潮流の変化を的確に捉えて、路線やダイヤの見直しを行ってまいりました。
 具体的には、オフィスビルや大規模住宅などの開発が進んで都営バスへの需要が高まっている地域におきましては、路線の増便などを行っております。
 その一方で、鉄道の開業ですとかコミュニティバスといった新規事業者の参入によりまして、代替交通が確保されたり、利用者が少なくなったりした路線につきましては、減便などを行っております。
 引き続き、高齢化など地域の需要の変化を見きわめながら適切に対応してまいります。

○舟坂委員 コロナ禍により乗客が減少している状況の中で、ある程度のダイヤ改正もあり得ると思いますが、生活を支えるみずからの使命をできるだけ確保していただきたいと思います。
 また、事業規模を縮小することだけを考えるのではなく、需要が見込める路線については、これまでの考えにとらわれることなく、積極的な事業運営をぜひ検討してほしい、そのことを強く要望しておきます。
 次に、運輸系職員の採用についてお伺いをいたします。
 持続可能な事業運営のために、人材の確保が欠かせません。とりわけバス事業については、全国的な大型二種免許取得者の減少に伴い、バス乗務員の応募者数は低迷しており、交通局では、応募者数を確保する取り組みをさまざま行っていると聞いております。
 また、今後は、バス乗務員に限らず、少子高齢化による生産年齢人口の減少を背景として、交通事業を支える職員の採用環境は、より厳しい状況になっていくのではないかと懸念もしております。
 そこで、運輸系職員の採用応募状況についてお伺いをいたします。

○渡邉職員部長 安定的な事業運営を行う上で、運輸系職員の採用は重要な課題であり、交通局ではこれまでも、バス乗務員採用における年齢要件の拡大や養成型選考の導入などに加え、地下鉄やバス車内へのポスター掲出、求人情報サイトやホームページの活用等を通じて、応募者数確保に向けた取り組みを行ってまいりました。
 来年四月採用選考の応募状況としていたしましては、近年、応募者数が減少傾向にあったバス乗務員では、前年同時期の選考と比べて約五十名増となる四百五十八名の応募がありました。また、駅係員については、約二百名増となる千四百名を超える応募がありましたが、採用予定者数もふやしていることから、選考の倍率は低下する見込みとなっております。
 一方で、地下鉄やバスの保守業務に携わる職種の応募は、約六十名減の百五十七名となりました。
 今後とも、運輸系職員の大量退職が想定される中、採用を取り巻く環境は厳しい状況が続くものと認識しており、引き続き、運輸系職員の人材確保に積極的に取り組んでまいります。

○舟坂委員 直近の状況では、バス乗務員などは、応募者数の増加が見られた一方、応募数が減少している職種もあるとのことで、全体として見るとまだまだ厳しい状況かと思います。少子高齢化や大型二種免許保有者の減少は構造的な課題でもありますので、こうしたコロナ禍の状況だからこそ、まさしくエッセンシャルワーカーである都営交通を支える職員として働く魅力を幅広く伝え、優秀な人材の確保に努めていただきたいと思います。
 経営努力については、これまでの定数削減と委託化、給与の見直しなど、さまざまな手法を行ってきたことは理解しますが、人材確保が局でも委託先でも困難な状況においては、これまでのような手法をとりづらいとも考えます。
 また、経営の持続可能性の視点からは、人材の確保、ノウハウの維持向上が最も重要であると思います。さきの定例会で答弁されたような経費削減や投資計画の見直しなど、一つ一つ努力を積み重ねていくことが経営改善につながるものと思いますので、何とか知恵を絞って、この苦境を乗り越えていただくよう要望をいたします。
 次に、新交通事業についてお伺いをいたします。
 新交通事業については、決算説明資料によると、令和元年度決算において、一日当たりの乗車人数が約二千人増加しております。これは、年度末においてコロナウイルスの影響があっても、年度の平均で見て増加しているということになるかと思います。
 一方、収支に目を移すと、五億八千万円余りの経常損失を計上しており、損失の幅が広がっていることになります。
 乗客数が大幅に増加しているにもかかわらず赤字傾向にあることについては、私は三年前の決算特別委員会の分科会質疑でも確認しておりますが、乗客数がふえていることに対応し車両を増備するなど、設備投資を行っているために減価償却費の負担も重くなっているようでもあります。
 こうした赤字傾向に対応するため、三年前の質疑の場でも答弁をいただいておりますが、利用者の少ない昼間の時間帯の旅客誘致に取り組むとされておる先日の決算概要説明の中でも、昨年度の取り組みとして、沿線の区と連携してイベントを実施するなど、沿線地域の活性化と積極的な乗客誘致に努めたという発言があります。その具体的な内容を確認したいと思います。
 令和元年度の旅客誘致の取り組みについてお伺いをいたします。

○相川電車部長 日暮里・舎人ライナーは、都心方面へのいわゆる通勤路線であるため、ラッシュ時に利用が集中しておりまして、増客対策として、通勤とは逆方向の利用者や平日の昼間及び土休日の旅客の誘致が課題であると認識しております。
 このため、公園や神社仏閣、飲食店などの沿線の見どころを紹介した多言語による案内冊子等を無料で配布するとともに、交通局の公式ホームページやSNSでも見どころを紹介しております。
 昨年度は、沿線区や舎人公園とも連携した日暮里・舎人ライナーと東京さくらトラム、都電荒川線沿線を周遊していただく宝探しイベントを実施いたしました。また、舎人公園において、千本桜まつりを地元区などと共催し、交通局のブースで都営交通グッズの販売やPRパンフレットなどの配布を行ったほか、日暮里・舎人ライナーの駅や沿線の商店、舎人公園内の施設を立ち寄りポイントに設定したクイズラリーを実施するなど、乗車機会を創出する工夫を行いました。

○舟坂委員 さまざまな取り組みを進めているようですが、知恵を絞ってインパクトのあるイベントを実施していただきたいと思います。
 単にイベント開くだけでは、そのときだけ利用者がふえるということであると思いますが、世間で話題となるような内容であるならば、知名度の向上にもつながります。知名度が上がれば、需要の喚起にもつながることがあるのではないでしょうか。
 どこかに行くために乗り物を利用するということだけではなく、乗り物に乗ること自体を目的とするという考えもあろうかと思います。そうした仕掛けも含めて、さらなる工夫と努力を要望しておきます。
 さて、新交通事業については、開業から十年以上が経過をしました。この間、乗客の増加、沿線地域の変化など、新交通事業を取り巻く環境は大きく変化し、それに対応するための設備投資があったと承知しております。加えて、今般の新型コロナウイルスにより経営への影響も気になるところです。
 そこで、開業からこれまでの事業運営をどう評価し、コロナ禍の厳しい経営環境の中で新交通事業をどのように経営していくのかをお伺いいたします。

○市川企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 日暮里・舎人ライナーの開業により、区部北東部の交通利便性が向上するとともに、沿線でマンション等の建設が進むなど、地域の発展にも貢献してまいりました。
 この間、乗客数も順調に増加し、令和元年度は、前年度に比べ、一日当たり約二千人増の約九万一千人となっております。
 一方で、利用者が予想以上に朝ラッシュ時間帯に集中していることから、当初予定していなかった混雑対策のための追加投資による資本費の増大が経営上の負担となっております。
 現在、新型コロナウイルス感染症の拡大により乗客数は大幅に減少しておりまして、今後も、乗車料収入はコロナ禍前の水準への回復が期待できないなど、引き続き厳しい経営状況が続くものと見込まれます。
 このため、沿線地域とも連携し、旅客誘致に取り組むとともに、より一層の経費節減に努め、さらに、中長期的な投資についても改めて検証するなど、さまざまな観点から経営改善策を検討、実施してまいります。

○舟坂委員 日暮里・舎人ライナーの開業により、沿線地域の住宅の建設が進み、地域に一定の貢献が図られたのは間違いないと思います。一方で、引き続き厳しい経営になるということであります。
 以前にも意見をしましたが、増収については、沿線地域のまちづくりなどで地域の魅力が高まることが必要ですが、局としても、地域の方と連携し、その魅力発信に努めていただきたいと思います。また、設備の更新などに備え、今後の経費節減の観点からも、投資水準をよく検証していただきたいと思います。日暮里・舎人ライナーの安定的な事業運営に一層努めていただくことを求め、次の質問に移ります。
 次に、電気事業についてお伺いをいたします。
 これまでの都政改革の流れの中で、交通局では、電気事業の今後の経営の方向性として、直営継続、コンセッション方式の導入、民間譲渡の三つの選択肢について、民間事業者との予備的対話を進めながら比較検討していくこととしております。
 また、発電所の更新計画についても策定が必要な時期であると認識しております。
 下水道局でも、同じように、都政改革本部で下水道施設の新たな運営手法について検討を進めるとし、その結論について、さきの第三回定例会で報告があったところですが、交通局の電気事業の進捗がどうなっているのかを確認したいと思います。
 そこで、電気事業の経営の方向性について、検討の進捗をお伺いいたします。

○野崎車両電気部長 交通局では、電気事業の今後の経営の方向性について、民間事業者との予備的対話を進めながら検討を深度化し、発電所の更新計画を策定した後、二〇二〇年代半ばまでに方針を固めることとしております。
 平成三十年度には、さまざまな知見を得るため、コンサルタントなどを含む民間事業者十七社から意見を聴取したところ、再生可能エネルギーとしての水力発電の価値が高まっているという意見や、黒字の事業を手放すことへの是非が示されるなど、さまざまな意見が寄せられました。
 令和元年度は、これらの意見や他県の動向を踏まえた上で、電気事業に特に関心の高い民間事業者十二社に対し、コンセッション方式または民間譲渡について実現可能性を探るための予備的対話を行ったところでございます。

○舟坂委員 昨年度、予備的対話を実施したとのことです。コンセッション方式の契約条件などについて民間事業者と話し合い、その内容は非公開なので詳細はいえないと説明を受けておりますが、引き続き検討が進んでいるのはわかりました。民間事業者の提案については、いずれどのような意見があったのか、議会に報告をいただきたいと思います。
 次に、経営の方向性を決めるため、その前に発電所の更新計画を策定することになっていると思いますが、交通局の経営計画二〇一九では、今年度から、多摩川第三発電所の大規模更新に向けた更新計画を策定するとされております。
 この先、どういうことをしていくのかを改めて確認したいと思います。

○野崎車両電気部長 現在、交通局では、これまで民間事業者との間で実施した予備的対話等の内容を精査し、検討の深度化を進めているところでございます。
 また、発電所の大規模更新の工程費用につきましては、今後の経営の方向性を決定する上での判断材料の一つとなりますが、多摩川第一発電所は更新計画の策定を完了しており、多摩川第三発電所は今年度から更新計画の策定に着手しております。
 今後、学識経験者など第三者的な立場からの意見や助言を得ながら検討を着実に進めてまいります。

○舟坂委員 電気事業の経営の方向性については、学識経験者などから意見をもらいながら検討を進めるとのことですが、先ほど委託のところでも述べたように、経営の持続可能性の観点が重要ですので、人材の確保、ノウハウの維持などについて十分気を配りながら方針を決定すべきであることを指摘しておきます。
 電気事業について、白丸調整池ダムの近くに新たに再生可能エネルギーのPR施設を設置することになっております。昨年の公営企業決算特別委員会で、地元選出の自由民主党の田村議員がこのPR施設について質問を行い、開設時期は令和二年の秋を予定しているとの答弁がありました。しかし、最近、このPR施設の開設が延期になったとも聞いております。
 そこで、PR施設の状況についてお伺いをいたします。

○野崎車両電気部長 委員お話しの再生可能エネルギーPR施設は、交通局の電気事業をPRし、再生可能エネルギーの有効性などについて理解促進を図るとともに、奥多摩エリアの魅力を発信していくことを目的としております。
 当初は、本年秋の開設を予定しておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、換気設備を増強するとともに、地元と調整の上、コロナ禍の状況を見ながら、令和三年春の開設を目指すことといたしました。

○舟坂委員 まさにコロナの影響ということでおくれているようであります。地元の集客にも貢献できる施設だと思いますし、何よりも交通局がクリーンなエネルギーをつくっていることを都民に理解していただく絶好の機会になると思いますので、十分感染防止対策をとっていただいた上で、来年春の開設を期待しております。
 私は、この質疑に先立って、PR施設が設置される白丸調整池ダムの視察に行ってまいりました。小河内ダムなどの大きなダムに比べれば、規模は小さいものですが、こうしたダムの管理は安全面を徹底していただきたいという思いを強くいたしました。
 安全管理は、交通局の業務の基本だと思います。コロナで経営が苦しくなっても、安全面での投資を怠ることなく、局の人材、ノウハウを維持しつつ、収入の確保、経費節減に着実に取り組んでいくことを求め、私の質問を終わります。

○高倉委員 令和元年度の決算の質問をさせていただきます。
 まず、感染防止対策につきましては、先ほど白戸副委員長がご質問されておりましたので、予定をしていたところは割愛して質問していきたいなと思います。
 令和元年度は、年度末、いわゆることしの二月、三月には、新型コロナの影響がもう出てきているというようなことで、その影響は、今日もなお続いているという状況であるというふうに思います。
 まず、交通局の経営状況、特に過去五年間の決算の推移について明らかにしていただきたいと思います。

○根木総務部長 過去五年間の決算の推移についてでございますが、不断の経営改善の取り組みや堅調な乗車人員の増加などによりまして、平成二十七年度は二百四十六億円、平成二十八年度は三百二十六億円、平成二十九年度は三百五十八億円、平成三十年度は三百五十九億円、令和元年度は二百七十九億円と、おおむね三百億円前後の経常利益を安定して確保してまいりました。
 しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により乗車人員が大幅に減少し、感染症発生以前の水準への回復は期待できないなど、今後は厳しい経営環境が続くと見込んでおります。

○高倉委員 この令和元年度は、局全体で見れば、経常黒字を確保したというようなことであるというふうに思いますけれども、私が資料要求をさせていただいた、きょうご説明があった要求資料の一ページ目を見ますと、やはり既に、この第四・四半期をその前年と比較しますと、令和元年度においても影響がかなり数字からも見てとれるということであると思います。とりわけ自動車運送事業、それから高速電車事業、こういったところでかなり影響が出ているのではないかというふうに思っております。
 先ほど来の質疑の中でも、特にこのバス事業については、十七億円の赤字があったというお話がございましたけれども、この赤字について、その理由をご答弁いただきたいと思います。

○根木総務部長 バス事業における令和元年度の赤字でございますが、まず、収支状況についてでございますが、収入につきましては、局有資産の利活用などによる増収を図ったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、二月から三月の乗車料収入が落ち込んだことなどにより減収となりました。
 一方、支出につきましても、老朽化した車両の更新や有明自動車営業所の開所に伴う減価償却費などの費用が増加したことにより、昨年度より経常収支は悪化し、ご指摘のとおり、十七億円の赤字となってございます。

○高倉委員 今、収支の状況、特に減収についての原因についてお話があったわけです。
 一つは、収入減については、コロナの影響があったという話でありました。そして、支出について、車両の更新でありますとか、あるいは営業所の開所に伴う減価償却費等の増加、こういうお話がありました。
 こういう要因が令和元年度出たということのご説明だったようにも思えるんですけれども、仮にこういうことがなければ実際どうだったのかというあたりも、もちろん十分ご承知だと思いますけれども、踏まえていただいて、今後の取り組みを進めていっていただきたいというふうに思っておりますが、特にこの都営バスについては、こうした赤字といったようなことが、特に令和二年度なんかは、ますます新型コロナの影響が出てくる、非常にこういう収支状況は確実に悪くなってくる、こういったことは見通せるわけですけれども、そういう中でも、こういういわゆる特別な理由がない中でも、ないというか、そういうことをちょっと置いておいた上でも、実際にこの事業をしっかり今後やっていくというためには、やはりきちっと増収を図っていかなければならないということだと思います。
 そういうことができませんと、やはりバス路線を削減したり、あるいは便数を削減したり、さらには運賃を値上げしたり、そういう本当に利用者にとっては非常に厳しい対応がその先には待っているというようなことも想定されますので、決してそうならないようにしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
 そこで、特に都営バスの利用促進について、どのような増収対策を行ってきたのかについて、ご答弁いただきたいと思います。

○牧野自動車部長 都営バスではこれまでも、乗客潮流の変化を的確に捉えまして、需要が高まっている地域においては増便等を行うなど、増収に努めております。
 また、各路線の利用促進に向けまして、路線ごとに人気の名所や店舗、商店街、イベント情報等を紹介する広報誌でございます「TOKYO都バス乗り隊歩き隊」や「ふれあいの窓」などを発行しているほか、一日乗車券の提示による施設の入場料の割引サービス等も行っております。
 さらに、令和元年度には、路線の利便性を紹介するシリーズ動画を作成いたしまして、バス車内のデジタルサイネージやユーチューブで放映するとともに、アニメ映画、天気の子とタイアップいたしました動画やポスターの作成、ラッピングバスの運行など、都営バスのPRを実施してきたところでございます。
 引き続き、さまざまな取り組みを行いながら、増収に努めてまいります。

○高倉委員 今、増収対策について、さまざまな取り組みの説明をしていただきました。
 こうした取り組みが、実際に数字的にどういうふうな効果があったのかというようなこともよく踏まえていただいて、引き続き取り組みをしていただきたいと思っております。
 そして、この都営バスについては、東京都内、さまざまな場所を路線が走っているわけでありますけれども、しかしながら、どこもかしこも乗車する人が非常に多いというような路線ばかりではないわけですね。例えば、多摩地域の路線の中で、私は、よく青梅の方々とも意見交換をするわけですけれども、青梅地区を走る路線、これは、路線を維持していくためにも、地元がかなり負担をしているという路線なんですね。これ、ちょっと特別なそういう対応が、地元でも負担を、いってみれば強いられている、これは、路線を維持するためにやむを得ず交通局と、それから地元の自治体と協議をして、こういう状況になっているというふうに思っております。
 それで、まず、これらの地元負担のある路線の地元負担の導入の経緯、それから、令和元年度の収支について答弁を求めたいと思います。

○櫻庭バス事業経営改善担当部長 多摩地域のバス路線につきましては、昭和二十四年以降、順次運行を開始いたしましたが、著しい赤字となっておりました。このため、関係自治体と協議いたしました結果、昭和五十九年に、地域住民の日常生活にとって必要な路線として存続を図るために、関係自治体が赤字額の三分の二を負担することとなりました。
 現在、多摩地域で地元の自治体が赤字額を負担している路線は、青梅市から小平市までの四市一町を運行いたします梅70系統、そして、青梅市内を運行する梅74系統、梅76系統、梅77系統がございまして、これら四つの路線を合わせました令和元年度の収支は約三億七千万円の赤字となっております。

○高倉委員 今、四路線合わせた令和元年度の赤字が三億七千万円であると、こういうお話でありました。このうち三分の二でしょうか、三分の二を地元で負担しているということになっているわけであります。
 当然ながら、こうした路線はもう本当に維持しないと地元住民の足が奪われると。非常にそういう路線ではあるわけでありますけれども、一方で、やはり地元の自治体の負担が大きいということがあって、かねがね地元からは、この負担について、何とか少しでも軽減ができないものかというご要望が出ていて、私もそれらの要望を受けているわけであります。
 したがって、その負担をどうするかということもそうなんですけれども、やはりこういう路線も増収につながるような対策をより一層立てなければならないのではないかと。もちろん、さまざま難しい面はあろうかと思うんですけれども、やはり知恵をめぐらせて、こういう路線でもって増収につながるような取り組みというのをより一層行っていくということが、当然交通局のためにもなることですし、それから、地元自治体の方々の負担軽減にもなりますし、さらには、こうした路線、そして、そのバスのダイヤをしっかり維持していただくということは地元住民のためになることですから、ぜひ対策の強化をよろしくお願いしたいというふうに思います。
 それから、先ほども質疑がございましたけれども、バスの乗務員の確保に向けたお話であります。
 大型二種免許の取得者も減少傾向にあるという話でありました。実は私、大型二種免許を持っておりまして、仕事をしたことはありませんけれども、運転が好きで、いろいろ免許を取っているうちに大型二種も取ってしまったわけですが、やはりドライバーの高齢化といったことが大きな課題になっているんだと思います。
 そこで、都営バスの運転手の職員数と年齢構成をご答弁いただきたいと思います。

○渡邉職員部長 令和元年度末のバス乗務員の職員数は、常勤職員と再任用短時間勤務職員を合わせて二千六十三名となっており、その年齢構成は、二十代が二%、三十代が一八%、四十代が二三%、五十代が四五%、六十代が一二%となっております。

○高倉委員 今のご答弁によりますと、やはり五十代、六十代合わせて五〇%を超えているという状態になっているわけであります。当然ながら、高齢の方ですから、いつまでも仕事ができるということでは当然ないわけでありまして、もういわば退職というようなことが、そう遠くない将来に迫ってきていらっしゃる方々だと思います。したがって、ここに人が集中しているということは、一気に退職者が大量に出るというような時期をこれからどんどん迎えていくと、既にもうそういう時期に入っているんだと思いますけれども、そういうことが大変現実の問題として懸念をされるわけであります。
 そこで、令和元年度のバス乗務員の採用状況、そして、応募状況についてお伺いをしたいと思います。

○渡邉職員部長 地域に身近な公共交通機関として、必要なバス乗務員を確保するため、交通局では、大型二種免許を保有している方向けの選考を年二回実施しており、令和元年度は、四月一日付で六十三名、十月一日付で四十八名を採用いたしました。
 さらに、大型二種免許を保有していない方向けに、養成型選考を年一回実施しており、令和元年四月一日付で十三名採用いたしました。
 また、採用選考の応募状況で見ますと、令和元年度は、各選考の合計で九百八名の応募があったものの、前年度に比べて約百四十名の減となっております。

○高倉委員 応募する方が減っているというようなお話もありました。
 いずれにしても、乗務員の大量の退職、また高齢化を迎えるに当たりまして、しっかりとした取り組みをしていく必要があると思いますけれども、採用において、どういった取り組みを行っているのかについて、ご答弁いただきたいと思います。

○渡邉職員部長 これまで交通局では、バス乗務員の確保に向け、採用PRの充実や採用時の上限年齢の引き上げ、大型二種免許の未取得者に対して免許取得を支援する養成型選考の導入等、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 昨年度は、求人情報サイトへの掲載や転職支援イベントへの出展などに加え、新たに、高速道路のサービスエリアや自動車教習所においてチラシを配布するとともに、若年層向けにインターネット上のバナー広告を配信するなど、申込者の拡大に向けた取り組みを強化いたしました。
 今年度は、バス乗務員の仕事の魅力、やりがいなどに関するインタビューや一日の具体的な仕事の流れなどを掲載したバス乗務員採用向けのパンフレットを新たに作成するとともに、他の職種も含めた採用ホームページを刷新し、PRの取り組みをさらに強化しているところでございます。
 今後とも、これらの取り組みにより、バス乗務員希望者の裾野の拡大を図り、都営バスの人材確保に努めてまいります。

○高倉委員 この後、私は、女性の乗務員の方が働きやすい環境整備について質問をする予定でありましたけれども、先ほど白戸副委員長の方から、そのことについてのご質問がありましたので、この質問は割愛をしたいというふうに思います。
 ただ、乗務員含めて職員の皆さん、職員の方々はもう当然男性の方がいらっしゃる、そして女性の方がいらっしゃる。実は最近、いろいろと大きな課題になっているとは思うんですけれども、LGBTQといわれる性的マイノリティーの方々というのも、実はいらっしゃるわけですよ。そういった方々に対しては、当然ながら、設備も含めてハード面での対応が必要であると同時に、職員としての、例えば休暇制度も含めて待遇を同じようにしていく、つまり、例えば同性パートナーがいらっしゃる方も、そういう中にはいらっしゃるわけですよ。そうしますと、同性パートナーを持っていらっしゃる方は、婚姻関係にあるとか、あるいは事実婚であるとかという、そういう方々に対する待遇とは差が出てきてしまっているというのが、実は現実なんですね。
 したがって、今後の課題ということも含めて、こうした性的マイノリティーの方々の職員に対する働きやすい職場のハード面も含めた環境づくりと、それから待遇の改善といったことも、ぜひ課題としてご認識をいただきまして、できる限り全ての職員の方々が安心して仕事ができるような環境をつくっていただきたいというふうに思います。
 次いで、バス停留所の上屋のことについてお伺いしたいと思いますけれども、交通局が直営で整備をした都営バス停留所の、広告がついている上屋というのがあるわけですね。これ一棟当たり幾らぐらいの整備費用になるんでしょうか。

○櫻庭バス事業経営改善担当部長 交通局が直営で整備いたしました広告つき上屋の整備費用は、一棟当たり約六百万円でございます。

○高倉委員 一棟当たり、交通局が直接みずからの手で、この上屋を整備すると約六百万円かかるというお話でありました。
 交通局では、交通局みずからが整備をする広告つき上屋に加えまして、これ平成二十八年度からということですけれども、パブリック・プライベート・パートナーシップ方式、PPP方式といわれる、これは、官民が連携をして公共サービスの提供を行うという、この方式を活用して、広告つきの上屋の設置も始めているというふうに私は認識しておりますけれども、この方式では、民間事業者が、広告の募集と、それから、その広告の掲示というんですかね、これを行うことによりまして、上屋の整備と維持管理といったものをその事業者がみずからの費用で行う方式であるということなんですね。
 つまり、交通局としては、先ほど一棟当たり六百万円とご答弁ありましたけれども、この上屋の整備費用を拠出することなく、バス停留所の上屋の整備ができると。よくバス停留所については、上屋がない場合には、地元の方からぜひ設置してほしいと、こういった要望が結構あるわけですけれども、今申し上げた、このPPP方式を使いますと、そうした交通局としてのメリットがあるわけであります。
 令和元年度のPPP方式による広告つき上屋の設置数について、ご答弁いただきたいと思います。

○櫻庭バス事業経営改善担当部長 令和元年度におけます事業協力者による新規の広告つき上屋の設置数は、五十一棟でございます。

○高倉委員 五十一棟を令和元年度だけで、このPPP方式を使って整備したと。先ほど一棟六百万円というお話がありましたので、単純に計算をしますと約三億円、本来であれば、交通局みずからが拠出してつくらなければならなかったものを、こうした方式を使いますと、交通局としては、全くその経費を拠出することなく整備が可能なわけであります。
 このPPP方式による広告つきの上屋について、今後の整備見通しについて、ご答弁いただきたいと思います。

○櫻庭バス事業経営改善担当部長 事業協力者による広告つき上屋につきましては、令和元年度末までに百三十三棟整備されたところでございまして、令和四年度末までに、合計で四百棟の整備を目標としております。

○高倉委員 ぜひ着実に取り組んでいただきたいと思います。
 それから、ホームドアについてお伺いしたいと思います。
 これについても、私は資料要求をいたしましたけれども、きょうの要求資料の三ページを見ますと、転落の件数といったものが載っているわけであります。特に、視覚障害の方が転落をして、本当に痛ましい事故がある、こういったことはニュースになるわけでありますけれども、例えば、お酒に酔ってふらふらと落ちてしまうということもあるし、それから、そういう状況でなくても、一生懸命スマホを、歩きながら見ている、そして足を踏み外して落ちちゃうという、こういうこともあって、転落件数の中には、そういう件数が恐らく入っているんだろうと思います。
 しかしながら、ホームドアを設置すると、全くそういう転落事故がなくなると。この表を見ると一目瞭然だと思いますけれども、ホームドアの効果というのが大変ありまして、今、交通局さんが積極的にホームドアの設置に取り組んでいるということについては、私ども推進をお願いしてきた立場から、こういうことについては、高く評価をしたいというふうに思っております。
 そこで、ホームドアが整備されたことによる効果といったことについて、ご答弁をお願いしたいと思います。

○相川電車部長 ホームドアの整備につきましては、平成十二年度に三田線、平成二十五年度に大江戸線、令和元年度に新宿線で、それぞれ整備を完了いたしました。
 その効果でございますが、三田線及び大江戸線では、整備完了後、転落は発生しておらず、令和元年度に整備を完了した新宿線においても、同様に、ホームドアの整備を完了した駅での転落は発生しておりません。

○高倉委員 したがって、残るは浅草線であるというふうに思います。
 この浅草線のホームドアの整備状況と今後の予定について、ご答弁いただきたいと思います。

○加納技術調整担当部長 都営浅草線のホームドアにつきましては、令和元年度に、泉岳寺駅、三田駅、大門駅、新橋駅の計四駅への整備を行ったところでございます。
 残る十五駅につきましては、現在、ホーム補強を初めとする関連工事に着手しておりまして、令和五年度までに交通局が管理する全ての駅への整備完了を目指しております。

○高倉委員 令和五年度までに全ての駅にホームドアを整備するということでありまして、これもうぜひ積極的に取り組んでいただきたい。それによって、こうした転落事故を全くなくすことができるということでありますので、ぜひしっかりお願いしたいというふうに思います。全て完成するまでに、三年ぐらい、またその間、特に十五の駅については、まだホームドアがない状況の中で、日々乗客が乗りおりをするわけであります。
 私が要求した資料の中にも、安全対策のことについて載っておりますけれども、このホームドアの未設置の駅における転落防止のため、特に利用者に対して、どういった啓発を行っていらっしゃるのか、このことについて、ご答弁いただきたいと思います。

○相川電車部長 お話がございました視覚障害者を初めとしたお客様の転落事故を防ぐため、都営地下鉄では、日ごろから全ての駅で声かけサポート運動を実施し、駅係員や警備員等が障害者や高齢者などお困りになっているお客様へ積極的にお声かけするとともに、駅構内ポスター等により、周りのお客様に声かけの協力を呼びかけております。
 また、列車との接触や線路への転落について注意喚起するため、転落事故の多い時期であります十二月から一月にかけて、プラットホーム事故ゼロ運動を実施しております。
 さらに、お客様がホームから転落した場合などに、周りのお客様にも素早く非常停止ボタンを操作していただけるよう、目的や操作方法等を記載したポスターを掲出するなど啓発を行っております。

○高倉委員 今、利用者に対する特に啓発についてご答弁をいただいたわけであります。
 ことしの七月に、私は中野区に住んでおりますけれども、中野区のすぐ隣の杉並区の阿佐ケ谷駅において、視覚障害の方がホームから転落してお亡くなりになるという非常に痛ましい事故があったわけであります。私どもは、都議会議員と、それから我が党の国会議員がその直後に現場の調査をいたしました。その際に、急遽そのホームには、もちろんホームドアがないわけですけれども、そのホームに--特にホームのへりというんですか、へりのところがわかるように、全盲の方ですと、もちろん見えないわけですけれども、しかしながら、弱視の方とか、そういう方にとって、このホームの境目というんですか、切れ端というんですか、何ていうんでしょうかね、そこのところが見づらい場合がある。したがって、そこに、よく見える色をつけて、ラインをつくって、少しでも、そういう例えば弱視の方であっても、ホームと線路のところの境目がしっかり見えるように、急遽対策をとっていらっしゃいました。JRの方でですね。
 やはり、都営地下鉄においても、これからあと三年かかって全てやるということですけれども、できていないところについては、もうありとあらゆる手だてを講じるべきだと思います。
 そうしたホームのへりがわかりやすいような対策もしっかりとっていらっしゃるというようなお話を聞いておりますけれども、この点についてのご答弁をいただきたいと思います。

○相川電車部長 東京メトロ青山一丁目駅における視覚障害者の転落事故を踏まえ、平成二十八年八月、国土交通省や鉄道事業者による駅ホームにおける安全性向上のための検討会が立ち上がりました。同年十二月、本検討会において、ハード、ソフト両面からの転落防止対策が取りまとめられ、対策の一つとして、駅ホーム遠端部に色や模様をつける取り組みが示されました。
 これを受け、平成三十年一月、ホームドアが未整備であった浅草線の全駅と新宿線の一部の駅で、視認性の高いしま模様の色づけを行ったところでございます。

○細谷委員長 質疑を続けます。

○和泉委員 私の方からも質問をさせていただきます。
 この質疑に当たりまして、二〇一九年度の交通局の事業概要を見させていただきました。初めの方に、経営の基本として、地方公共団体が交通、水道等各種の企業を経営し、財貨またはサービス等の提供を行う目的は、地域住民の福祉に資するためであり、地方公営企業法の第三条においても、地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないとあります。大変重要な内容であると思いますし、事業概要の初めにこのことを明記して、改めて、この立場に立って、公営企業としての交通局が、日々東京の都市活動や都民生活を支える努力をされているということに、まず敬意を表します。
 また、経営計画二〇一九においては、四つの事業体系のうちの一つ、東京の発展への貢献、この中に、経営計画二〇一六にはなかった福祉施策への貢献が盛り込まれています。その内容は、局が持っている資産を有効活用し、福祉インフラの整備に貢献していくことや子供の見守りのシステムの導入、ヘルプマーク普及への協力などというふうになっています。今後、さらにこの福祉の観点を深めていただいて、都民生活を支える重要な社会インフラとしての役割を高めていく必要があるというふうに思います。その立場で幾つか質問をさせていただきます。
 都営バス新小岩20系統ですけれども、これは東新小岩四丁目から上一色、環状七号線、ここを通って都営新宿線一之江駅までを往復する路線です。都営バスと京成バスの二つが共同運行しているという路線ですけれども、視覚障害者の皆さんにとっては、到着したのが、都営バスなのか京成バスなのかわからないという声が出ていました。いうまでもないことですけれども、都営バスであれば無料パスが使えますけれども、民間のバスは使えません。昨年の事務事業質疑では、我が党の河野議員がこの問題を取り上げて、都は、車外のアナウンスについて局で検討を行っていると、このように答弁をされています。
 その後の進捗状況について、まず伺います。

○牧野自動車部長 委員お話しの新小20系統につきましては、バスが到着した際に自動的に流れる車外放送の冒頭で、都営バスであることを案内するよう既に改修を行っております。

○和泉委員 既に改修が行われているとの答弁です。ありがとうございます。
 このような一つの路線を都営バスと民間バスの両方が走っているところは、新小20系統だけではないというふうに思いますが、バスの到着時の車外アナウンスが導入されていないところ、これはどのくらいあるんでしょうか。また、そのような路線の今後の車外アナウンスの導入予定についても、あわせて伺います。

○牧野自動車部長 民営バスとの共管路線は、新小20系統のほかに二路線ございまして、車外放送は既に実施しております。

○和泉委員 もう既に、この二路線についても車外アナウンスが実現されているということでよろしいんですね。ありがとうございます。
 さらに、この路線ですけれども、視覚障害のある方が日常的に使っていて不便を感じていたということで、改修を行っていただいたわけですが、地域の住民の方からも大変使いづらいという声が上がっているんです。平日は、朝七時三分が始発で、夜は十九時三分が最終です。本数も一時間に一本か、多くても二本、全くない時間帯もあります。地域の住民の皆さんが運動を立ち上げて、二〇一七年六月六日と二〇一九年一月二十九日に、都にも要請を行っています。その際には、地域の高齢者の方たちが、せっかく路線があっても本数が少な過ぎて使えないので、当てにできないので自転車を使っていると。自転車はとめるところがなくて、雨の日はかっぱを着て、耳が遠いため危険なので帽子をかぶれないが、それでも自転車を使わざるを得ないんだと。骨折して通院にバスを使っていたけれども、行きはバスの時間に合わせられるが、帰りの便では、炎天下の中、長時間バスを待たなければならなかった。こういった声が寄せられています。地域の住民の皆さんが増便を求める声は、このように大変切実なものになっています。
 この路線の現状と増便に当たっての課題について伺います。

○櫻庭バス事業経営改善担当部長 お話しいただきました新小20という系統は、お話にもありましたように京成タウンバスと共同で、東新小岩四丁目から一之江駅までを運行しているものでございまして、平日の運行回数は、往路と復路を合わせて四十二回、このうち都営バスは二十一回となっております。
 都営バスにおける令和元年度の収支は約二千百万円の赤字となっておりまして、また、一日当たりの乗客数は約五百人と少ないことから、増便に見合う需要は見込めないと考えております。

○和泉委員 先ほど、私は、バスが当てにならないから、仕方なくバスを使うことを諦めて、雨の日もかっぱを着て、高齢者の方が危険を押して自転車を使っておられるという実態をお話ししました。ほかにも、バスが当てになるならバスを使いたいという方はたくさんいらっしゃると思うんです。先ほど、舟坂委員の質問に対する答弁でも、たとえ赤字の路線であっても、都民の足としての役割を果たしていくのだと、このように答弁をされました。バスの増便を求めて運動している方たちは、都への二回の要請だけではなくて、同じ二〇一七年度には江戸川区と葛飾区に、二〇一八年には京成バスに、そして、二〇一九年には再度葛飾区に、バスの増便を求める要請を行っています。それほど切実だからこそ、バスの増便を求めて、粘り強く関係機関に働きかけているんです。住民の福祉を増進するよう運営されなければならないのが公営企業だと、地方公営企業法にも明記されているわけですから、この地域住民の声にしっかりと応えていただきたい。改めて強く求めておきます。
 さて、都がなかなか路線をふやせない、バスの本数をふやせない、その背景に運転手の不足があるということも以前から聞いています。
 都営バスだけではなく、どこのバス会社も運転手の確保に苦慮しているようですけれども、都としては、運転手の確保育成にどのように取り組んでおられるんでしょうか。
 先ほど、確保については、大型二種免許の未取得者に対しても免許取得費用を支援する養成型の採用選考を実施しているというふうにお答えになりました。この部分は結構ですから、育成にどのように取り組んでおられるのか、この点に絞ってお伺いいたします。

○渡邉職員部長 バス乗務員の育成についてでございますが、新規採用者に対しまして、約三カ月間にわたる研修を実施し、当局バス乗務員として必要な技術や知識を習得させております。
 こうした研修の中で、指導教官用の補助ブレーキや補助ミラーを装備した教習専用車を活用することで未経験者にも技術を確実に習得させるなど、都営バスの人材確保、育成に努めているところでございます。

○和泉委員 人材の確保、育成のためにさまざまな対策に取り組んでおられるということがわかりました。とりわけ、先ほど来答弁がありました大型二種の免許を持っていない人に免許取得費用の支援も行って、養成型の採用選考をしている。これはとても重要な取り組みだというふうに思います。引き続き、運転手の確保、育成に力を入れていただきたいと思います。
 また、高齢者、障害者にとって、交通不便地域を都営バスがしっかりフォローして、移動の権利、移動権を保障することは、今後さらに重要さを増してくるというふうに思っています。都営交通が都民の日常生活を支える大切な生活の足になっていることに一層高い自覚を持っていただいて、地域住民の福祉の増進の役割を十二分に果たしていただくことを求めて、質疑を終わります。

○細谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時五分開議

○細谷委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 自動車運送事業について、私から伺わせていただきます。
 先週、国は、温室効果ガスを二〇五〇年までに実質ゼロを目指す方針を打ち出したということで、自治体の取り組みとしては、ゼロカーボンシティーを目指していくよう呼びかけるということが報道に上がっておりました。
 東京都は、運輸部門の温室効果ガス排出量は二〇〇〇年から二〇一八年で四五%減少を実現されていることもありまして、率先して再エネの導入やCO2の削減を各局で取り組んでいることは大変重要なことだと感じております。
 東京都交通局においては、自動車運送事業において燃料電池バスの導入を行っておられますが、燃料電池自動車は、水素充填のスタンド不足、水素ステーションの不足なども理由で大変普及に課題があるとも伺っている中、走行距離において、電気自動車が燃料電池自動車に追いつき始めていることなども関係して、一般的には、燃料電池自動車の今後は余り明るくないというような認識も広がりつつあると伺っております。
 そんな中ですけれども、昨年度の、まず、東京都交通局の取り組みについて伺いたいと思います。
 済みません、失礼しました。今のところ、ごめんなさい、ちゃんと読みます。

○細谷委員長 続けてください。

○斉藤委員 済みません。燃料電池バス導入の目的と導入実績について伺います。

○牧野自動車部長 燃料電池バスは、走行時にCO2、NOx、PMなどを排出しない環境性能にすぐれたバスでございまして、交通局は、公営バス事業者として環境政策に貢献するため、平成二十八年度から先導的に導入しております。
 令和元年度には二十三両導入して、合計三十八両としたところであり、さらに今年度も導入を進めまして、現在は七十両保有しております。

○斉藤委員 ありがとうございます。大変失礼いたしました。
 全国でも最大数の燃料電池バスを保有されているのが東京都交通局であるということがわかりました。七十両保有ということで、すばらしいことだと思います。
 お答えいただいたように、環境政策としての導入から始まった燃料電池バスですけれども、今、災害時の活用を想定して改めてニーズが高まっているともいわれております。二〇一八年の北海道地震や二〇一九年台風十五号による千葉の大停電での電力供給には、ミライやFCバス、ソラの活用があったと伺っています。
 東京都交通局は、燃料電池バスの災害時の電源供給に関する協定を江東区と結ばれているそうですけれども、こちらの方はまだ実際の稼働要請はなかったということで、昨年の台風の折にも実績として使われたようなことはなかったと伺っています。
 最近ですけれども、民間の二社が協力して、大容量の水素を搭載する燃料電池バスと可搬式蓄電池を組み合わせたシステムを構築して、災害時の被災地給電に向けて実証実験を開始したということがニュースになっておりました。
 先日、本会議の方でも取り上げたことですけれども、例えば、医療的ケアなどを受けるご家族がいる場合、災害時に避難所などに行かずにあえて自宅で過ごされる、または発電機を携えて公園などに行かれる、または車などで過ごされる方も多いと伺っておりまして、熊本の震災では、避難所に医療的ケアを受ける方の避難がゼロ件だったと伺っていました。
 コロナのことで人工呼吸器などの利用者の方や医療的ケアを受ける方は、さらに避難所に行くことをなるべく避けるという事情も起きておりますので、より地域の中に細かい電源供給が行われていくためにも、燃料電池バスの果たせる役割や可能性はとても大きいと考えております。
 ぜひ、最大の七十両というバスを有している東京都交通局には、今後、この実証実験に使われているような可搬型蓄電池を活用した地域の電源供給の実現に向けての取り組みをご検討いただきたいと思います。
 また、多摩地域を初め、まだまだ都内に水素ステーションが普及していないという現状もありますが、整備や運営コストの低減も含め、ステーションの普及に向けては水素の安全性や水素利用の意義が広く都民に理解されることも非常に重要と考えております。
 東京都交通局には、この理解の啓発においてもご尽力いただける部分があるかと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 次に、都営バスについて伺います。
 令和元年度におけます都営バスの乗車人員の状況について伺います。特に二月、三月についてはどうか、あわせて伺います。

○櫻庭バス事業経営改善担当部長 都営の路線バスにおける令和元年度の乗車人員は、一日当たり約六十三万二千人でございまして、前年度に比べて約一%減少しております。このうち、新型コロナウイルス感染症の影響などを受けまして、本年二月は一日当たり約六%の減少、三月は約一四%の減少となっております。

○斉藤委員 先ほど来、ほかの委員の方からもお話があるんですけれども、令和元年度決算資料によると、都営バスの経常損益はマイナス十七億円ということで三年ぶりの赤字であるというふうになっているんですけれども、コロナによるバス事業への影響というのはどうやら都営バスに限ったことではないようで、地方自治体の運営する市バスや民間事業者の運営するバスなども、コロナで乗車人員が軒並み減少しているということで、中には、来年度からの路線の廃止や夜間運行の減便などを、これからの冬期、冬の期間に検証するということも出てきているというふうに伺っています。
 ただ、このコロナの影響で路線廃止や減便というところまでは行かずとも、例えば、人員の削減や勤務時間の削減、非常勤の任用などの経費の削減などが検討される可能性が東京都交通局の方であるのかないのか。現状はまだお答えいただくような時期ではないとは思いますけれども、これについては、そこまで短期的、また短絡的に実行することが果たして正解となるのか。乗客のニーズに加えまして、今は乗車をできていないんですけれども、例えば大学が、授業が再開されれば乗るのにといったような、現時点での潜在的なニーズについても、ぜひ図りつつご検討いただきたいと考えております。
 都営バスだからこそ、ここは踏ん張っていただく必要があるのではないかと感じる部分もございまして、ふだんから取り組まれている経費削減や設備投資抑制とは一線を画した上で、コロナの影響による今後の事業の検討というのは慎重に行っていただきたいと思っております。
 そこで、東京都交通局では、どのように現状の把握と今後への検討を行われていくのかという点を伺いたいと思います。
 緊急事態宣言が発出された四月以降の状況について伺います。あわせて、そうした動向をどのように把握しているのか伺います。

○櫻庭バス事業経営改善担当部長 緊急事態宣言が出ておりました四月、五月の乗車人員は、外出の自粛などの影響を受けまして、前年同月に比べて約四割減少いたしました。
 その後、回復傾向に転じましたが、六月から八月にかけましては約二割減で推移しております。これは、テレワークの普及や大学などにおけるオンライン授業など、お客様の行動が変容したことによるものと推測しております。
 また、こうした動向につきましては、バス運行管理システムに記録されました路線ごと、時間帯ごとのデータを分析して把握しております。
 さらに、各路線の利用状況の変化などを営業所からヒアリングいたしますとともに、実際に職員がバスの車内に乗り込みまして、停留所ごとの乗りおりの人数やお客様の年齢層などをきめ細かく調査することによって、路線別の利用実態や乗客潮流の変化を把握しております。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 既に四、五月で四割、六月から八月では二割減で推移をしてきているということで、今なおコロナが終息せずにテレワークやオンライン授業などが推奨されていることを鑑みますと、今年度の経常損益は、都営バスについては、昨年度以上に大変厳しいものとなるのではないかと考えております。
 その中で、今お答えいただいた東京都交通局の動向把握の取り組みはとても丁寧で、データとして数字を追うだけではなく、職員さんたちが一人一人バスに乗り込んで、停留所ごとの乗降数を調査して、恐らくその際に目視で、目で見ることで年齢層や属性なども、ざっくりとではありますが、把握の努力をされているんだと思います。
 この取り組みは、いわゆる消費者ニーズの調査としては、実は、各局にさまざまな実施事業において取り組んでいただきたいと願っている手法でありまして、東京都交通局の職員の皆様が既に行われているということで大変驚きました。
 結果として上がってくる数そのものだけを見ると、どうしても行政施策は対症療法になってしまいがちです。数字に加えて、都民一人一人の生活や暮らしに寄り添う形で、どのようなニーズがあり、どういった理由でふだんバスを使われている方が今は乗り控えているのか、また、どうして乗車を継続できているのかということを、その実際の姿を見て職員さんたちが知ること、気づくことは、ぜひ今後の都営バスの運行に大いに生かしていっていただきたいと思います。
 次は、少し趣旨を変えまして、都営バスの採用について伺います。
 先ほど来、高倉副委員長、そして白戸副委員長からもお話があった女性の採用についてなんですけれども、少し質問の詳細が違いますので、私からも質問させていただきます。
 都営バス乗務員の採用について、令和元年度における男女別の採用者数及びその際の応募者数について伺います。

○渡邉職員部長 令和元年度に採用されたバス乗務員は百二十四名であり、男性は百二十三名、女性は一名でありましたが、その選考に係る応募者数は千七十九名であり、男性は千六十二名、女性は十七名でございました。

○斉藤委員 令和元年度男女別の採用者数と応募者数について伺わせていただきましたが、やはり控え目にいっても、女性の応募者、そして採用者が圧倒的に少ないということがわかりました。
 採用者に至っては、女性は一%にも満たないということで、この状況で懸念をしますのは、都営バス乗務員の女性たちにとって都営バスは働きやすい環境といえるのだろうかという点でございます。
 卵が先か鶏が先かではないですが、やはり女性の多い職場は、女性用の更衣室やトイレを初めとして、女性が働きやすい環境整備はもちろんのこと、働き続けることができるような人事的なサポートがとられていくことが期待できます。
 自分自身も一応女性なのでいわせていただきますと、やはり男社会といわれるところで働くことと、女性もたくさん活躍をしている場所で働くことのどちらを希望するかといわれましたら、やはりいろいろな理由から後者をとりたいと考えております。ロールモデルの有無も気になるところでございます。
 ちなみに、JR東日本、民間の方なんですけれども、一九八七年に国鉄分割民営化によって誕生しまして、その三十年後、二〇一七年の発足三十年のときには、女性社員を、当初の〇・八%から一三%と十倍以上にふやしたということがあるそうです。
 〇・八%は都営バスの昨年の女性バス乗務員の割合とくしくも全く同じということで取り上げさせていただいたんですけれども、JRの方は、運転士に加え駅員や車掌さんも含めての社員の割合だそうなんですが、それでも、比較的、従来男性社会といわれてきた交通関係の職場であることは同じでございます。
 直接的には、法改正で女性の夜間勤務などの規制が撤廃されたということが要因でもあったそうなんですが、それでも離職者も多かったため、途中の二〇〇四年の段階で、女性社員が能力を最大限に発揮できる環境整備を目標に、ポジティブアクションを起こしたということです。
 このアクション、具体的には、採用の拡大、私生活との両立支援などだそうなんですが、育児休業の延長や女性の活躍を推進する専任組織の立ち上げなども行ったと伺っています。
 この後も、短時間勤務なども含めて、毎年のようにプログラムを更新して、女性の問題としないよう、男性も巻き込んで、いかに女性社員をふやしていけるか、検討と取り組みを繰り返していかれての女性社員数の増加があるんだと思いますけれども、このような民間の取り組みから学べる点も多いのではないかと考えております。
 そこで、現時点での都営バスの女性の応募者をふやすための取り組みについて伺います。

○渡邉職員部長 バス乗務員の応募者の裾野を広げるためには、男性だけでなく、女性にアピールできる広報を展開していくことも重要でございます。
 交通局では、女性にとっての仕事のやりがいや働きやすさをわかりやすく伝えるため、採用ホームページ上に、バス乗務員を含めた当局の女性職員が、交通局に入るきっかけや今後のキャリアプランなどについて、みずからの体験を語り合う座談会や、仕事と育児の両立を支援する休暇制度について紹介するコンテンツなどを掲載しております。
 また、昨年度からは、新たに女性向けの転職イベントに出展し、転職を希望する女性に対し、都営バスの乗務員になるための具体的な方法や勤務内容の魅力をわかりやすく紹介する取り組みも始めたところでございます。
 今後とも、さまざまな媒体を活用し、女性の応募者拡大に向けたPRを展開してまいります。

○斉藤委員 イベント出展や座談会なども通して積極的にPRをされているという取り組みをお答えいただきました。
 ただ、改めて、ここまでやってくださっていて、そのPRの結果とは申しませんけれども、昨年度の女性の応募者数、そして採用者数、とても少ないと。また、今年度以降は男女別の応募者数をはかることがなくなるということも伺っておりまして、女性の応募者数の少なさが、そもそもこうやって委員会などでも今後少し取り上げにくくなってしまうのかなということも危惧をしております。
 都営バス乗務員は、民間事業者の社員さんともまた違い、公務員の方であります。そのため、確かに採用に当たって実力主義や成績主義となることは理解ができるんですけれども、やはりこのままでは、都営バスが、女性にとって働きたい、働きやすい環境になる日というのはかなり遠いのではないかというふうに心配をしております。
 私の周りには、意外と女性で大型二種免許を持っている方もちらほらいらっしゃったりしていますし、運転が好き、人と接する仕事が好きという潜在的な素質や才能を持っている方は少なくありません。幸い、養成枠としてまだ免許を持っていない方にも応募していただける採用枠があるということで、女性の応募者拡大に向けては、ぜひ効果的かつ戦略的に今後PRを強化していただきたいと申し述べて、次の質問に移らせていただきます。
 次に、高速電車事業について伺います。
 駅空間の質的向上を図るため、誰でもトイレ、大型ベッドの整備実績及び今後の計画について伺います。

○坂口技術管理担当部長 地下鉄駅は、一般的に駅構内が狭く、面積が限られておりますが、都営地下鉄では、現在、交通局が管理する百一駅全てに誰でもトイレを設置しておりまして、全体では百十六カ所となっております。このうち、二十駅、二十三カ所の誰でもトイレ内に障害者のおむつがえなどができます大型ベッドを設置しております。
 令和元年度は、日比谷駅及び神保町駅におきまして、駅の大規模改修の機会を捉え、大型ベッドを備えた誰でもトイレにリニューアルするとともに、春日駅など三駅につきましては、誰でもトイレ内のレイアウトを工夫するなどしまして、大型ベッドを設置いたしました。
 誰でもトイレ等の整備には駅レイアウトの大幅な変更が必要となりますが、今後も、活用可能なスペース等を勘案しながら、誰でもトイレや大型ベッドの設置を検討してまいります。

○斉藤委員 令和元年度、日比谷駅、神保町駅で大型ベッドを備えた誰でもトイレのリニューアル、また、トイレ内のレイアウトを工夫するなどして春日駅など三駅で大型ベッドを設置ということでお答えをいただきました。
 誰でもトイレの設置状況と大型ベッドを備えた誰でもトイレの設置状況について伺ったんですけれども、東京都交通局のサイトでも、誰でもトイレの設置の場所は地図と一緒に載っているところもあるんですが、利用者目線で申し上げますと、もう少しわかりやすくできるところもあるのかなというふうにも思っております。
 ウイーログという参加者が書き込みできる情報共有サイトのアプリがあるんですけれども、これは、車椅子でまち中を歩いていきながら、利用者が行った先の誰でもトイレなどの写真つきでコメントなどをアップできるというものでございます。
 このウイーログをつくっている方々にお話を伺ったんですけれども、やはり外出の際に、目的地周辺、もしくはそこまでの経路の間にどのようなトイレがあるかというのはとても大切な情報であるということでございました。
 これまで東京都交通局では、オープンデータ化などでこういった民間アプリにも貢献をしてきてくださっているんですが、駅を出るとなかなか大型ベッドを備えたトイレにはしばらく出会えない地域もあると伺っております。東京都交通局として、さらに大型ベッドの設置の検討も続けていっていただきたいとお願いを申し上げます。
 次の質問に移ります。
 東京メトロとの地下鉄一元化について、都議会でも、かつて議論をされてきた経緯があると思いますが、小池都知事は、まずはサービスの一体化を行っていくとご答弁をされておりました。
 そこで、東京メトロとの地下鉄サービスの一体化の令和元年度における取り組み状況について伺います。

○市川企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京の地下鉄の利便性を高めるため、東京メトロとのサービス一体化に取り組むことは非常に重要であると考えております。
 令和元年度の具体的な取り組みとしては、乗りかえの利便性を向上させるため、九段下駅におきまして、都営新宿線と東京メトロ東西線及び半蔵門線、三線共通の改札口の設置や乗りかえエレベーターの整備を行ったほか、都営地下鉄と東京メトロの全線を割安で利用できる旅行者向けの企画乗車券、Tokyo Subway Ticketをオンライン決済で購入できるようにいたしました。
 さらに、子供を見守る取り組みとして、改札の通過情報を保護者等にメールで配信するサービス、まもレールの導入準備を進め、本年四月一日から開始いたしました。
 今後とも、誰もが利用しやすい東京の地下鉄の実現に向け、両地下鉄で連携し、サービスの一体化に取り組んでまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。サービス一体化の取り組みの具体例を挙げていただきました。
 九段下駅で共通の改札口の設置や、都営とメトロの全線を利用できる企画乗車券をキャッシュレス販売されたこと、また、お子さんを見守る配信サービス、まもレールの導入準備を昨年度は行われたということでした。
 これらの取り組みが、東京二〇二〇大会が開催されるはずであった今年度、その成果を検証することができなくなってしまったということが大変悔やまれます。
 今年度は、想定外の事態の中でさまざまな事業がストップをしたり、予定を延期または中止されたりということが多いですけれども、このサービス一体化などは、都民の要請に応え、都民利益に資する取り組みの一環であることは確実と思っております。
 今年度以降も、ぜひ積極的に東京メトロと地下鉄サービスの一体化に取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、都営地下鉄の終電延長について伺います。
 二〇二〇大会期間中の地下鉄の終電延長について、令和元年度における準備状況について伺います。

○市川企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営地下鉄では、深夜時間帯に及ぶ競技日程に応じた観客需要を踏まえ、組織委員会等の関係機関や他の鉄道事業者とも連携しながら、オリンピック期間中については、毎日おおむね二十六時まで、パラリンピック期間中は開会式、閉会式の両日、通常の終電時刻より最大六十分程度遅い時間帯まで終電を延長する予定でございます。
 一方、通常、終電から始発までの限られた時間帯には、日々、安全で安定的な輸送を確保するためのさまざまな保守点検作業を実施するとともに、ホームドアやエレベーターの設置工事なども計画的に行っております。
 このため、大会に向けては、法令で定められた点検周期を遵守した上で、数年前からさまざまな工程を調整し、保守点検作業等を大会期間の前後に振り分けて実施することとしており、令和元年度においても、こうした対応を着実に行ったところでございます。

○斉藤委員 実はすごく重要な事業だと思っておりますので、お答えいただいてありがとうございました。
 終電延長、そもそもこちら、ナイトタイムエコノミーの促進の観点から、オリ・パラの大会の開催時はもとより、夜間の周遊の環境整備を目指して国土交通省が実証実験を行う予定であったものがあったんですけれども、こちらもコロナのことがあり、中止となっているものがございます。
 二〇二〇大会に向けての昨年度の準備は、点検の工程の調整などの対応を着実に実施して備えてくださっていたということが答弁でわかったんですけれども、大会が一年延期となり、また、先日、JR東日本が終電時間の繰り上げを発表したことでの余波で、深夜営業の飲食店などへの打撃を心配する声も上がっておりまして、夜間の周遊の環境が失われるということが及ぼすまちへの影響も大変危惧される状況になってきていると感じております。
 コロナの感染拡大が始まり、観光客が入ってこられない可能性が高い中でも、夜の文化的価値がなくなるわけではないと考えております。
 オリ・パラ大会は、一つのきっかけとして夜間帯経済を支えることで、そこで生まれる文化を支えるということを目指して、その意義や価値は、やはり外国人材を初めグローバルに働く人たちにとっても非常に大きいという認識から、オリ・パラ大会時の終電延長というところにつながっていたんだと認識をしております。
 夜間観光振興への環境整備として、そして、都内各地の飲食店を初めとする店舗や事業者の皆さんからも大変期待をされている事業であると思いますので、短期的な目線ではなく、長期的な意義を踏まえつつ、また、深夜帯の交通を整えていく意義を捉まえまして、引き続き準備を進めていただくようお願い申し上げ、私の質問を終わります。

○馬場委員 それでは、まず、全体像からお伺いしたいと思います。
 令和元年度の決算で示されました交通事業会計、高速電車事業会計、電気事業会計は、二千三十九億三百万円で、対前年度比でわずか〇・一%の増加、わずか〇・一%です。それに対して、経常利益は二百七十八億六千万円で、対前年度比で二二・五%の減少でありました。
 お伺いしますが、収入は堅調であったにもかかわらず、利益が大きく減少しております。この減少の要因はどのようなものだと交通局は捉えているのでしょうか。

○根木総務部長 交通局全体の収支状況についてですが、令和元年度決算は、新型コロナウイルス感染症の影響がある中、乗車人員がほぼ前年度並みの水準にとどまる一方、老朽化した地下鉄やバスの車両更新に伴い減価償却費が増加したことや、消費税及び地方消費税の税率改定に伴う運賃改定により、自動改札機等のシステム改修が必要となったことなどから経費が増加したため、昨年度に対して経常利益が減少いたしました。

○馬場委員 それでは、次に、新交通事業の日暮里・舎人ライナーの決算について幾つかお伺いをいたします。
 この日暮里・舎人ライナーは、私の地元足立区を南北に貫く、平成二十年三月三十日に、今から十二年前ですね、開通しました新交通システムであります。地域の強い要望、極めて熱心な要望の上で開通されましたので、それまでの経緯を少々説明したいと思います。
 東京都の区部の交通不便地域を解消すべくとよくいわれることもありましたけれども、具体的には、実際のところ、足立区の西側地域の交通不便地域の解消が大きかったといってよいと思います。
 日暮里・舎人ライナーを抜きに足立区の地図を見てみますと一目瞭然であります。軌道の交通機関がありません。鉄道空白地域がかなり広く、東京都民であるにもかかわらず、埼玉県の川口駅を利用したり、足立区民であるのにもかかわらず、北区の王子駅、赤羽駅を利用してきた地域であります。
 この交通不便地域の人たちは、ここは足立区のチベットだと自虐的に表現する人も多かったと聞いております。それゆえ、当時、足立区入谷の町会長などを務められた小金井俊輔氏などが、地域の有志らと、地下鉄誘致を呼びかける活動を始められました。昭和四十年代の中ごろと推測されます。
 その活動の第一弾の成果といたしまして、昭和四十九年に、地元足立区の自民党の足立支部の中に地下鉄誘致の特別委員会が設置された旨の記録が残っているようです。
 都内では幾つもの鉄道路線の誘致が進んでおりましたけれども、その中に、同じころに検討がなされておりました地下鉄七号線、現在の東京メトロ南北線の駒込駅から足立区方面に分岐線を引く案なども、足立区長、議長から意見書として当時の運輸大臣に出されたりなどの話も聞いております。この線は現在は実現しておりません。
 お隣の荒川区の協力を得ながら、熱心に都知事や帝都高速度交通営団などへの働きかけの熱意が伝わりまして、地下鉄ではなく、モノレールや新交通システムであるならば都営として可能だという流れができてまいりました。結果、鈴木俊一東京都知事の三期目の平成二年第三次東京都長期計画の中において、日暮里・舎人線は平成十一年度の開業と示されました。
 それから後は、東京都の財政事情が厳しかったこともありまして、幾度かの延期を経験しております。高架の桁だけが完成して、そこで工事がとまってしまい、桁がさびついていくのを私は目にしたこともありました。
 念願の開通まで、昭和四十九年から数えましても平成二十年までは三十四年もの年月を経ておりました。以来、足立区西部は、都心まで至便の地域となり、宅地化が加速し、乗客数も右肩上がりに推移をしてきたという流れでございます。
 それでは、まず、新交通事業の収支についてお伺いをいたします。
 資本的収支につきましては、企業債償還が計上されておりますが、令和元年度末時点の企業債の残高はどのぐらいであり、どのような支出に対して発行されたのか、教えてください。

○根木総務部長 日暮里・舎人ライナーは、事業の特性上、初期投資が多額であり、その回収が長期にわたることから、世代間の負担の公平という観点も踏まえ、建設費用の財源として企業債を活用してまいりました。
 また、開業後は、設備改修などの財源としても企業債を発行しており、令和元年度末時点の残高は三百四十一億円となってございます。

○馬場委員 新交通事業は五億八千百万円の赤字とあります。しかしながら、先ほど答弁にありましたように、建設のための初期投資を企業債償還金として毎年償還しています。つまり、会計上は赤字であるものの、償還がしっかりできているのであれば、新交通事業としての資金状況は黒字と見て構わないと思います。
 そこで、新交通事業の財務状況、特に資金の状況についてお伺いいたします。

○根木総務部長 新交通事業では、引き続き乗車人員が堅調に増加したものの、開業から十年が経過し、設備等の維持に要する修繕費が増加していることなどにより、令和元年度決算で五億八千万円の赤字となっております。
 一方、現金支出を伴わない減価償却費等を除いた収支では、平成二十年度以降黒字となっており、令和元年度末時点で約五十億円の資金残高を確保してございます。
 今後とも、新型コロナウイルス感染症の影響を注視しながら、増収対策や経費の節減に取り組み、収支の改善を図ってまいります。

○馬場委員 開業から十年以上、十二年半が経過しております。この企業債などの残高は堅調に減少しているのでしょうか。どのような推移なのかお伺いいたします。

○根木総務部長 日暮里・舎人ライナーの建設費用に対して発行した企業債等の残高は、開業当初の三百八十二億円から、令和元年度末には二百八十六億円となり、十二年間で約百億円減少してございます。
 また、設備改修などの財源として活用した企業債を含めましても、開業当初から約四十億円減少しており、着実に債務の縮減を図ってございます。

○馬場委員 着実に減少しているということを確認させていただきました。
 それでは、令和元年度も企業債を発行しています。具体的にどのような支出に対して企業債を発行しているのか、教えてください。

○根木総務部長 令和元年度は、自動改札機などの老朽化した設備の更新やラッシュ時間帯の混雑緩和を図るために増備しました二編成の車両の財源などとして、三十七億円の企業債を発行してございます。

○馬場委員 新車両の購入のためと理解いたしました。
 次に、日暮里・舎人ライナーの混雑対策についてお伺いをいたします。
 いっとき、日暮里・舎人ライナーは、首都圏の鉄道路線において混雑率がワーストファイブであり、混雑解消が大きな課題でありました。まずはその混雑解消に効果を発揮しております新型車両についてお伺いします。
 乗りおりがスムーズであって、乗車定員をふやした新車が、昨年度二編成増備されました。さらに引き続いての増備が期待されますが、今後の新車の導入計画についてお伺いをいたします。

○野崎車両電気部長 日暮里・舎人ライナーは、昨年度、座席を全てロングシート化して定員をふやした車両を二編成増備し、現在、二十編成を保有しております。
 今後の新車の導入計画につきましては、開業当初より使用しております十二編成の老朽化が進んでいることから、令和四年度から六年度にかけて順次更新していく予定でございます。
 これにより、全てロングシート化した車両は二十編成中十六編成となります。

○馬場委員 全ての二十編成中十六編成、八割が新車両に変わるという、大変ありがたい答弁をいただきました。
 次に、混雑緩和に向けたダイヤ改正についてお伺いをいたします。
 朝夕のピーク時の混雑緩和のために普通はダイヤ改正を行うんですけれども、ダイヤ改正の予定は今あるのかどうかお伺いします。

○相川電車部長 新型車両の増備に合わせて、混雑緩和と利便性の向上を図るため、本年三月、朝夕ラッシュ時間帯を中心にダイヤ改正を行いました。
 その後の状況でございますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、乗車人員は昨年と比較して約二割減少しておりまして、お客様の利用状況を注視しているところであることから、現時点ではダイヤ改正の予定はございません。

○馬場委員 かねてより日暮里・舎人ライナーは、終電を遅くしてほしいという要望が出されたことがありました。日暮里駅発の最終は、平日が零時三十八分、土曜、日曜、祝日が零時ちょうど。JR各線の終電繰り上げが発表されておりますので、日暮里・舎人ライナーもそれに影響されないようにしていただきたいなというふうなところを要望としてつけ加えさせていただきたいと思います。
 次に、日暮里・舎人ライナーは無人運転で、駅も無人駅が多くあります。このため、トラブルの発生時などの対応についてお伺いしたいと思います。
 車内や駅での旅客トラブルや急病人の発生件数は、昨年度は何件あったのか、また、無人駅での対応はどのようであったのかお伺いします。

○相川電車部長 日暮里・舎人ライナーにおける昨年度の警察や救急に出動要請を行ったお客様のトラブル発生件数は二十六件、急病人等の発生件数は三十四件でありました。
 日暮里・舎人ライナーでは、日ごろから、係員や警備員が各駅を巡回するとともに、指令所から防犯カメラの映像を確認することにより、駅構内の状況を把握しております。
 車内や係員が常駐していない駅でお客様のトラブルや急病人等が発生し、車内やホーム等に設置しているインターホンからの通報があった場合などには、指令所の指示により、巡回中の係員等が急行し、お客様の対応を行っております。

○馬場委員 無人運転ということで、また同様に、例えば車内に汚物が存在したり、いたずら行為などがあった場合には、どのような対応をしているのでしょうか。

○相川電車部長 車両内における汚損や破損について、お客様から係員等への申し出やインターホンを通じて指令所への連絡があった場合は、駅や指令所からの指示により、巡回中の係員が急行し、応急対応を行います。
 なお、汚損などが著しい場合には、当該車両は車庫にて処置を行うため、お客様には、かわりの列車に乗車していただくことになります。

○馬場委員 各都営交通路線が安全で都民が安心して利用できる環境が続きますように祈念して、私の質問を終わります。

○けいの委員 では、よろしくお願いいたします。
 近年の激甚化する風水害や、いつ起きるかわからない大震災、こうしたものに備えていきながら、避けることができない、難しい、こうした自然災害においても被害を最小限にとどめて、そして、一刻も早く回復していく、ディフェンスとレジリエンスが肝要だというふうに思っております。
 こうした中において、東日本大震災の経験を踏まえて、全国の鉄道事業者では津波を想定した訓練などが多数行われております。こうした報道もたびたび目にしております。
 そこで、都営交通において、令和元年の台風十九号で被害を抑えるよう努めたことと思いますが、実際に行った対応について伺います。

○西川安全管理担当部長 交通局では、昨年の台風十九号の際、局で定めた危機管理対策計画等に基づき、あらかじめ本局及び現場事務所におきまして必要な人員を配置するとともに、東京都災害対策本部の設置に合わせ、局の災害対策本部を設置いたしまして、連絡体制や即応体制を強化いたしました。
 また、各駅におきましては、風雨の状況により、出入り口の封鎖や止水板の設置、あるいは通風口の浸水防止機を閉じるなどの措置を行い、駅への浸水防止等を図るとともに、地元自治体の避難情報等の収集に努めておりました。
 さらに、台風の接近に伴いまして、お客様の安全確保の観点から、都営地下鉄、日暮里・舎人ライナー、東京さくらトラム、都電荒川線、都営バスについて計画運休を実施したところでございます。
 計画運休の実施に当たりましては、四十八時間以上前にホームページやツイッター等で運転見合わせの可能性のお知らせを行って以降、計画運休の決定を含めまして、運行状況に係るプレス発表を六回行うなど、きめ細かく情報提供に努めたところでございます。

○けいの委員 ありがとうございます。
 詳細に取り組みをご紹介いただきましたが、例えば計画運休については、四十八時間以上前にホームページやプレス発表、こういうことを行っているということでしたが、台風十九号の際のことを私自身思い返すと、テレビ各局では、ひたすら各地での川の氾濫状況とか、大変だ、大変だという、さまざまな全国各地の情報の中で、鉄道の情報なんかは、帯で流れていたりはするんですけれども、必要な情報が必要なときにとりにくい。ずっと凝視していないと、自分の地域の自分が使うその路線等々の情報がなかなか順番待ちで得られないような、そうした状況もあると思います。
 都営交通にあっては、必要なときに必要な情報が確実に都民に届くように、これからも工夫が必要かと思います。
 安全確保や事故の未然防止のためのこうした計画運休、これとあわせて設備を守るための、都民の大切な社会インフラを守るために車両の避難が課題になってくると思います。
 昨年の台風十九号のとき、鉄道の被害も各地で甚大でありました。計画運休を施すことによって、人的な被害は最小限に抑えられたということでありますけれども、長野新幹線では、千曲川の堤防決壊によって車両センターが浸水して、最新型の車両十編成が水没しました。そのうち八編成は廃車となって五百億円という損害が出たというふうに報道されております。
 都営交通では、水害発生時にどのように車両避難を行う予定なのか、令和元年度に取り組んだ内容を伺います。

○西川安全管理担当部長 車両避難は、地元区が策定する浸水想定を示したハザードマップや国の氾濫シミュレーションに基づき、浸水のおそれのない場所へ地下鉄やバスなどの車両を避難させるものでございます。
 交通局では、お話の台風十九号による他事業者の被災状況を踏まえ、昨年度に車両避難計画の策定に着手しており、避難対象となる車両の特定や避難先の候補地の選定などを行ってございます。
 引き続き、具体的な車両避難の手順や必要となる乗務員の確保策など詳細な検討を行っており、その結果を踏まえまして、荒川氾濫時の行動をあらかじめ時系列で示した交通局版タイムラインに車両避難についても反映させていく予定でございます。

○けいの委員 今のご答弁では、車両避難計画の策定に着手、引き続き詳細な検討を行う、そして、交通局版タイムラインに反映するということで、タイムスケジュール観は示していただきました。
 この件に関しては、私、引き続き、皆様と意見交換を重ねながら、速やかに都民が安心できる対策を講ぜられるように、皆様と取り組んでまいりたいと思います。
 都営地下鉄においては、相互乗り入れされている他の事業者との連携も必要ですので、どこにどういうふうに逃がすのかというのは東京都独自では決められないと思いますけれども、バスは自由に動くことができます。
 そして、都電荒川線に関しては、線路が一本ですから、おのずと避難計画に限定が生じてまいります。こうしたことも踏まえながら、どのタイミングでどういうふうに逃がしていくのか、これも引き続き、私は着目させていただきたいと考えております。
 荒川区では、区内の六割が木造住宅密集地域といわれております。各地での水害の映像、台風による災害の状況等を見ると、高く水が、洪水が、津波が迫ってきて、二階建ての自宅の屋上に逃げて、辛くも一命を取りとめているというような映像がヘリコプター等々から映し出されて、その救助の模様等が映されることがよくございます。
 そうした中で、木密地域、そして、古い家屋が建ち並んで高い構造物のないこの荒川区、特に隅田川沿い、ここを通っているのが日暮里・舎人ライナーであります。
 これは、さきの予算特別委員会でも私指摘させていただきました。河川氾濫時の避難場所の確保が課題となっているこの荒川区で、全駅高架である日暮里・舎人ライナーの駅を緊急かつ一時的な避難場所として、究極の事態での一時避難場所として活用が可能なのかどうか伺います。

○相川電車部長 日暮里・舎人ライナーの駅は、委員ご指摘のとおり高架部にございまして、営業時間内につきましては、地上部のシャッターを開放しており、地上から改札口までの連絡通路を利用することができます。
 営業時間外に駅を一時的な避難場所として活用するためには、シャッターの開放操作を現地で行う人員の確保や、連絡通路の所有者である道路管理者とあらかじめ協議を行う必要があります。
 また、ホームを開放することは、避難者の軌道内への侵入等を防ぐ必要があるなど、安全上の課題があります。
 今後、地元自治体から要望があれば、対応方法について調整してまいります。

○けいの委員 予特のときから一ミリ程度前進したお答えで、これが現在の交通局さんのでき得る対応だと思うんですけれども、無理を承知で発言を重ねさせていただきますが、今、相川部長にご答弁いただいた、シャッターの開放操作を現地で誰が行うのか、連絡通路の所有者、都道である尾久橋通りを連絡通路がまたいでいますから、建設局が所管になるんだと思いますけれども、管理者とのあらかじめの協議が必要と。わかっているならやっておけばいいんだと、こういうふうに都民は思っていると思います。あっちは交通局じゃありません、建設局です。これはこの都庁内での話であって、都民からしたら、区民からしたら、どっちも同じ東京都だろう、必要性がわかっているなら、何で準備できないんだ、こういうふうに私は地域住民からお声をいただいております。
 避難者の軌道内への侵入を防ぐ必要がある。日暮里・舎人ライナーは、ホームは全駅ホームドアが設置されております。ご担当の方と事前に協議させていただきましたが、電車がすっぽりおさまるホームですから、そして幅があります。面積から割り返せば、三百五十人から四百人は一時的に滞留ができる、そういう広さを有しております。そして高さは六メートル、七メートルある。
 仮に、荒川が氾濫水域になって、岩淵水門がおりる。しかし、万が一、岩淵水門が決壊をする、隅田川から水があふれる、北区内で水が氾濫したとしても、荒川区内に水が届くのは、二時間、三時間後である。
 台風のときに、直前まで逃げるかどうか迷っていた、もしくは逃げそびれている方々が、まさに台風直撃、水があふれたとテレビで映像を見たときに、そこから逃げ始めて行けるところ、暴風雨の中で行けるところは、その目の前にある、やぐらと同じ形をしている日暮里・舎人ライナーの駅なんです。
 そこに逃げ込むことで、別に、東日本大震災のように避難所で七カ月間、三十万人が暮らす、そういうことをお願いしているんじゃないんです。のまれないように、いっとき、究極の事態のとき、あの川の水から、氾濫した水から命を守れればそれでいい。
 だから、シャッターが閉まっている、誰があけるか決めていません、誰が管理するのか、建設局なんですという、都民の財産を守るという皆様のお立場はよく理解した上で、都民の財産を守るために都民の命を失っていたら、全く本末転倒だと私は主張させていただきたいと思います。
 そして、最後に、相川部長おっしゃっていただきました、地元自治体、つまり荒川区から要望があれば対応について調整すると。この調整するというのを、また、次の機会にはもう一歩進んだご答弁賜りますよう、改めてお願い申し上げます。
 続きまして、都営バスの省エネについて少し伺いたいと思います。
 省エネといっても、さまざまなハード的な取り組みや、運転手法によるエネルギーの調整があるかと思いますけれども、地域の方々、特にバス停の目の前や、その付近にお住まいの方にとっては、一日中そこでバスの往来があって、人の乗りおりがあって、大きな、生活への、障害とまではいいませんけれども、不満が出ていると。
 その不安は、交通局さんに頑張っていただいて感謝しているのと裏腹に、朝の通勤時間帯なんかは人ががあっと乗ると、一速、二速のまま回転数を上げて、ぶうっと吹かしていく、いろいろな状況があるのは承知しております、その次の信号のタイミング等々あるかと思いますけれども、そうしたことによる苦情が--エンジン音がとんでもない、その都民感情はエンジン音という騒音公害のところから、何で公務員である運転手が、東京都で働いている人が、都民のガソリンを、ディーゼルを、軽油を無駄にするんだというような、違った方向で都営交通に対する苦情になっているのが現状でございます。
 改めまして、都営バスの現在のそうした観点からの省エネの取り組みについてお伺いします。

○牧野自動車部長 都営バスではこれまでも、環境負荷の低減に資するよう、ハード、ソフト両面から省エネに向けた取り組みを進めてきております。
 具体的には、令和元年度に導入いたしました百六十九両のバスにつきましては、全てを環境確保条例で定める低公害かつ低燃費な車両としております。
 また、エコドライブの実践に向けまして、車両燃費データなどを活用した研修を全乗務員に対して定期的に行っており、その中で、穏やかな発進や、加速、減速の少ない運転など、省エネ運転に対する意識の向上に取り組んでいるところでございます。

○けいの委員 ありがとうございます。
 エコドライブ実践に向けた研修を行っていて、その研修でドライバーが見る、こうした、これパワーポイントの画面だと思いますけれども、(資料を示す)エコドライブについてということで始まると、燃費の向上大事だよとか、車両の寿命が伸びるんだよという、こういう効果をドライバーにも意識づけさせていると思うんですが、ぜひこういう項目の中に、地域住民の安心に対する向上にもつながるんだ、エコをすることで、環境効果が上がるだけじゃなくて、地域住民の都営交通に対する理解が深まる、安心が高まる、こういう研修にぜひしていただきたいと思います。
 続きまして、都営交通アプリについて、先ほど質疑がございましたので、省略しながらお話ししますけれども、先月末時点で、開発したばかりで二万五千ダウンロードという状況でございます。これが人気があるのかないのかという評価はまだまだできかねるかと思いますけれども、より多くの方に、より利便性を高く、喜んで使っていただくためには、ニーズの把握が必要になってまいります。
 都営交通アプリを利用したお客様から、どのようなご要望がこれまでにあったのか、そのご要望にどのようにお応えしていくのか、局の取り組みを確認させてください。

○根木総務部長 都営交通アプリにつきましては、リリース開始から約半年の間で、好意的な声が多く寄せられておりますが、一方で、乗り入れ鉄道各社のアプリと連携させてほしい、あるいは運行情報に、より少ない操作でアクセスできるようにしてほしいといった要望がございましたため、早速改善を図ったところでございます。
 交通局といたしましては、こうした要望に可能な限り対応していくことが、アプリ機能の充実、ひいてはサービス品質の向上につながるものと認識してございます。
 今後も、お客様ニーズを踏まえた機能改善を図り、アプリの利便性向上に努めてまいります。

○けいの委員 ありがとうございます。
 かくいう私も、こうしたデータ、ITに関しては、ずぶの素人ですから、だからこそアンテナを高くして、いろいろな同様の取り組みに関して関心を持っております。
 事前にお伺いした話ですと、鉄道各社のアプリの連携、本年七月、十二社と連携をしたと、こういうふうにおっしゃっておりましたけれども、例えば、私のもとに届いたお声が、わずか数件ですけれども、これを利用されている方から伺った話では、交通局アプリつまらないというのが一言目に、お二人とも聞きました。若い方でしたけれども、つまらない。
 せっかく都営バス、今どこを走っているのかなとやると、別のところにジャンプして、リアルタイムで早く簡単に伝わるようにという工夫がされているというふうに説明いただきましたけれども、例えば、民間のタクシー配車アプリ、固有名詞は控えますけれども、そうしたタクシーの配車アプリをぽんとスマートフォンでやると、タクシーが地図上でどこを走っているか、黒い車が見えるんですね。それで配車を、ここで乗ります、ここでおりますを設定すると、配車されましたということで、車が向かって走ってくるのがわかる。自宅でタクシーを呼べば、私の家に向かって尾竹橋通りを通って、信号三ツ目左に曲がってと、曲がってくるのがわかる。地域のなれた人なら、生活道路を通ってきて早いのに、ああ、この運転手遠回りしたよなんて思いながら、その移動すら楽しみながらタクシーの到着を待ったりできる。
 それから、先日、これはテレビで見た話なので、こうした場で話すのが適当かどうかわかりませんけれども、宅配ピザの取り組みということで、大手三社ございますけれども、万年三位に甘んじていた会社が、アプリの開発に強力に取り組んだ結果、今では圧倒的一位にわずか数年間で上り詰めたという、そういう内容でした。
 その一部が紹介されていましたけれども、アプリでピザをぽんと注文すると、その注文状況を受けたスタッフが生地を打ち始めて、窯に入れると、そのアプリで、焼き始めましたと出るんです。そして、数分間焼くと、焼き上がりました。デリバリーの子がバイクでなりなんなりで出発すると、今から出発いたします、十分以内に到着しますと。そうすると、同じように地図に映って、その地図を見ていると、あっ、そろそろうちに到着するとなると、ピンポンとインターホンが鳴る。
 食べることが目的なのに、この目的を達成するまでのプロセスをお客さんが楽しめるようになった。それ以外に、当然、価格の取り組みとか、いろいろな企業努力があったんですが、この注文するアプリ一つとっても、ここで注文すると楽しいんだと。そして、今いったような、リアルタイムで見ながら、パン生地を打ち始めた、そして焼いた、配達します、今近くにいます、ピンポンと鳴ることで、おひとり暮らしや女性の方も安心して注文ができるようになったと、こういう声が届いているそうでございます。
 どこまでいっても素人のはかりごとになってしまいますけれども、私の考え得る、例えば、ぱっと思いつくようなことでいえば、都営交通アプリを持っていて、バス停にいると。そうしたら、そのアプリを見たら、次のバスが今どこを走っているか、地図で見えるだけじゃなくて、混雑状況が何%ですよ、シルバーシートあいていますよ、こうしたことが、こっちで手にとるように見えていたり、もしくは利用する障害者の方、ご高齢の方が、私はシルバーシートを希望しますとやったら車内でぽんとつくような、ご高齢者が次の停留所で乗ってきますとか、こういうふうに、アプリをつくることが目的じゃなくて、利便性を、ニーズを把握しますよじゃなくて、あるピザ屋さんのように、我々のニーズを超えた、こんなことまで提供してくれるんだというように楽しんでもらえて、その楽しみを得るために都営交通を利用してみようと。あえて民鉄ではなく都営交通を選んでみようというような発想になるぐらい、私たち自身もこうしたアイデアの提供が必要だなというふうに強く自覚しております。
 ちょっとしゃべり過ぎました。失礼しました。
 続きまして、都電荒川線の安心・安全な運行について、令和元年度における事故等の件数について教えてください。

○相川電車部長 令和元年度に、軌道事故等報告規則に基づいて国土交通省に届け出た件数は七件でございました。
 主な内容といたしましては、道路と併用している軌道上において、走行中の都電の後部に自動車が接触した運転事故が一件、自動車の故障や単独事故で線路を塞いだほか、飛来物が架線等に付着することなどによる輸送障害が六件であり、いずれも外部からの要因でありました。
 なお、これらの事故や障害による負傷者はおりませんでした。
 引き続き、安全・安心の確保を最優先に、事故防止に努めてまいります。

○けいの委員 ありがとうございます。
 今ご報告いただいたように、都電の後部に自動車が追突する、つまり都電荒川線の最も大きな特徴は、自動車用の道路と併用部分が残っているという、これが古きよきものであり、そして、車と一緒に走っているからこそ、自動車運転者に固定しちゃうと失礼ですけれども、不注意や脇見によってどんと追突される危険性も伴うという要因であるかと思います。
 そして、自動車と併用しているからこそ、軌道敷が傷みやすいというのが事実だと思います。踏切があれば踏切を車が渡るのは当然なんですが、車と一緒に走っていて、併用部分、そこに横断歩道があるところが当然ございます。そこは大きく傷んでいて、構造上解消できないレールの脇のくぼみ、ここが、角が残っているために、そこを車が頻繁に通ることで、だんだんだれてくるという状況で、そのだれている部分を歩く小さなお子さんやご高齢者、車椅子を利用している方、つえを使っている方、私の記憶では、町屋二丁目の駅前で、つえがそこに刺さってしまって、ひかれて亡くなった方もいますし、自転車のタイヤがとられて、そこで電車と接触した方もおりますし、そばにある女子校に通う、熊野前駅から通っている方は、足が悪い子がいて、どうしていつもここはでこぼこなんだと何度も何度も同じご要望をいただいております。
 これは、車と一緒に走っていくよさを残しつつも、横断歩道や踏切という人が往来する部分は、しっかりとメンテナンスを、普通の道路部分以上にメンテナンスをしっかりやっていかなければいけないことだというふうに思います。
 そこで、都電荒川線が道路と併用している区間、踏切、横断歩道上、このすき間や段差の対策についてお伺いいたします。

○坂口技術管理担当部長 東京さくらトラム、都電荒川線では、道路と併用している区間や踏切等におきまして、レールとアスファルト舗装の間に電車の車輪が通り抜けるためのすき間や段差を設けております。
 例えば、踏切の構造上、すき間の溝が深い箇所がありますが、このような箇所では、ゴムパットを挿入いたしまして、溝を浅くしております。
 また、道路等のアスファルト舗装が経年劣化により沈下や破損し、すき間や段差が大きくなる場合がございます。このような箇所は、歩行者が安全に通行できるよう、適宜アスファルト舗装を打ち直しておりまして、令和元年度は三カ所の踏切等で工事を実施いたしました。
 今後とも、日々の巡回や点検を適切に行いまして、ふぐあい箇所につきましては、適宜補修を実施してまいります。

○けいの委員 限られた人員で日々の点検を行っていただいていることには感謝申し上げますが、年間、私たちのところに届くご要望は三件どころではありません。皆様のご努力に上乗せする形で、私どもに届いた声を随時ご担当の方にお願い申し上げますので、常に安全第一の都営交通である都電荒川線であっていただきたい、その都度補修をお願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、この都電荒川線がより地域の人から愛用されて、なくてはならない存在と化していくためには地域との連携が不可欠です。
 三ノ輪橋を出発して荒川区内を走っている間、ほぼ、ほぼというか全ての駅が、実は地元商店街と連結する状況にあります。三ノ輪橋から隣の駅の荒川一中前、ジョイフル三の輪商店街前のこの一駅区間は、まさに〇〇商店街が並行して走っていて、お買い物にかなりの利便性が高いという状況です。
 その先も、駅を一個一個進めていっても、例えば町屋駅前は駅前の商店街があって、隣の町屋二丁目に行けば町屋銀座商隆会、その隣、東尾久三丁目に行けば本町通り商店街、その後、ずっと熊野前に行っても熊野前商店街、駅とともに、その隣の宮ノ前は女子医大通りの商店街、駅があっておりたら、もう数分のところがそのまま商店街ということで、都電と商店街、地域経済、暮らしが非常に深く濃く密接しているのがこの都電荒川線であります。
 そういう観点から、この都電荒川線がより愛される必要不可欠な都営交通として、永遠に続くように、持続可能性をもつように、地元商店街とより深く連携した地域振興策をやっていくべきだと思いますけれども、その点についてお伺いいたします。

○相川電車部長 東京さくらトラム、都電荒川線では、地元商店街等と連携した取り組みとして、これまでも、隔月で発行している沿線情報誌「さくらたび。」において沿線の店舗を紹介しているほか、荒川車庫でイベントを開催する際には、沿線地域の商店に物品販売のブースを出店していただいております。
 令和元年度には、都営交通案内所、三ノ輪橋おもいで館の開業一周年を記念し、荒川区のジョイフル三の輪商店街を回遊するスタンプラリーを実施いたしました。
 今年度は、地元商店街をクイズの掲出場所の一つとした東京さくらトラム、都電荒川線クイズラリーを今月二十三日から行っております。
 今後も、地元商店街を初めとする沿線地域と連携し、東京さくらトラム、都電荒川線の利用促進と沿線地域の活性化に取り組んでまいります。

○けいの委員 ありがとうございました。
 おもいで館のオープンでは、相川電車部長と同席させていただいたのがもう一年以上前だと思うと、本当に時がたつのは早いなと思いますけれども、とかくこうした地域商店街、何をやろうかというと、今、ゴー・ツー商店街事業なんかもいろいろ国で行われていく中でも、どうしてもアイデアが固定化されていて、地域では飽きられがちになってしまう。
 ここで、本来であれば参加人数をお答えしていただきたいところですが、どん引きされるような数字ですので、ここでは控えたいと思いますけれども、先ほどの交通局アプリ同様、優秀な皆さんの人知を超えたような、本当に画期的な新しい、あっ、そういう手があったかというようなアイデアを募りながら、地域の商店街振興とあわせて、都営交通は私たちになくてはならない、そして、交通局の皆さんに都民全員が感謝できるような、そういう取り組みを今年度以降も行っていただくことを期待申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○細谷委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○細谷委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後四時十二分散会

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