令和元年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

令和二年十月二十三日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長長橋 桂一君
副委員長藤田りょうこ君
副委員長川松真一朗君
副委員長鈴木 邦和君
藤井とものり君
うすい浩一君
伊藤しょうこう君
とくとめ道信君
鳥居こうすけ君
後藤 なみ君
木下ふみこ君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局局長技監兼務上野 雄一君
次長桜井 政人君
技監福田  至君
理事安部 文洋君
総務部長木村 健治君
市街地整備部長選手村担当部長兼務朝山  勉君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務三宮  隆君
防災都市づくり担当部長鈴木  理君
多摩ニュータウン事業担当部長八嶋 吉人君
局務担当部長奥秋 聡克君
病院経営本部本部長堤  雅史君
経営企画部長谷田  治君
サービス推進部長西川 泰永君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務藤本  誠君
計画調整担当部長船尾  誠君

本日の会議に付した事件
令和元年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・令和元年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・令和元年度東京都病院会計決算(質疑)

○長橋委員長 ただいまから令和元年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○木村総務部長 去る十月十四日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当局の令和元年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は、泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業において特定建築者制度を導入した経過についての一件でございます。
 次のページをお開き願います。特定建築者制度を導入した経過を時系列で記載してございます。
 以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○後藤委員 私からは、泉岳寺駅地区の再開発事業について伺います。
 泉岳寺駅地区を含む品川駅北周辺地区は、リニア中央新幹線の開業に向けて、国際交流拠点としてのまちづくりが今まさに進められているところであります。また、ことしの春には高輪ゲートウェイ駅が開業いたしまして、隣接する泉岳寺駅の大幅な利用客の増加が見込まれている地域でもあります。
 私も先日、高輪ゲートウェイ駅から、該当地区である泉岳寺エリアを歩いてまいりましたけれども、眼下には、超高層ビルの四棟を含む五棟の建設工事が進められておりまして、まさにまち全体がこれから大きく変わっていく姿を目の当たりにしたところであります。
 本事業の推進に当たっては、国や鉄道会社等、さまざまな施行業者と一体となった開発や整備が求められております。
 平成二十九年度に本事業の都市計画決定が行われてから、令和六年の開業に向けて、現在、再開発が急ピッチで進められているところでありますが、そこで、泉岳寺地区の再開発がどのように進捗してきたのか、令和元年度の具体的な実施内容について伺います。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅地区につきましては、平成三十一年二月に事業計画を決定しております。
 令和元年度は、管理処分計画の策定に向けた調査等を実施しまして、権利者との合意形成を進めながら計画を取りまとめ、令和二年一月に決定し、その後、権利者と従前資産について契約を行っております。
 また、区域内の公共施設について、令和二年三月に開業した高輪ゲートウェイ駅と国道一五号を結ぶ補助線街路第三三二号線の整備を行い、新駅開業に先立ち、交通開放いたしました。

○後藤委員 今のご答弁では、令和元年度には、地権者との合意というのも無事完了し、高輪ゲートウェイ駅とを結ぶ道路についても、新駅開業に伴って開放したとのご答弁がありました。
 令和元年度は、さまざまなことが整い、ここから先は施工段階に入るということで、東京都は、令和二年の一月から泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業の特定建築者を募集しています。その目的について伺います。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅地区につきましては、都市再開発法に基づく特定建築者制度を導入している目的でございますが、再開発ビルの建築に民間のノウハウや資金を活用し、事業の円滑な推進を図ることでございます。

○後藤委員 特定建築者制度を利用して、民間のノウハウを活用するというご答弁がありました。ここから先は、地元からの要望を一つお願いしたいと思っております。
 この特定建築者の募集でございますが、令和二年度の五月に、都営浅草線泉岳寺ホームの拡幅を含む第二種市街地再開発事業に応募がなく、再公募になったとの発表がありました。再公募の日程は、現在は未定というふうに聞いておりますけれども、地元からは、工期のおくれ等、大変心配をされているところであります。
 都としては、応募がなかった理由について、しっかりと調査を行っていただいて、再公募に向けて、万全の体制を整えて、ぜひ地元の方に安心していただけるような対応をお願いしたいと思います。あとは、地元への説明についても、しっかりと丁寧にしていただくことを要望したいというふうに思います。
 また、今後、建築工事が進むに当たり、検討しなければいけないのが新型コロナウイルスの影響であります。感染拡大が広がり、緊急事態宣言下においては、大手ゼネコンの多くで工事が見合わせになるという事態が発生しています。感染拡大防止策でかかる掛かり増し費用の負担や工期のおくれなど、新型コロナウイルスは、工事現場においても大きな影響を及ぼすことが懸念されています。
 そこで、都は、本事業における新型コロナウイルスの感染症の影響についてどのように対応してきたのか、伺います。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 令和元年度における工事においては、新型コロナウイルス感染症による影響はございませんでした。
 一方、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、本年三月に予定していた港区環境影響調査実施要綱に基づく環境影響評価の説明会を中止し、個別に書面配布を実施するなどの対応を図っております。

○後藤委員 令和元年度については、まだ工事が始まっていないということもあり、新型コロナウイルス感染症の影響はないというご答弁がありましたけれども、ここから特定建築者が決定をして施工が始まってくると、工期がおくれたりなど、影響が出てくるのではないかなと思っております。
 新型コロナ感染症の拡大防止をめぐっては、国交省は既に、工期の見直しや請負代金額の変更、施工の継続が困難な場合の一時中止の対応などについて、各発注業者に丁寧な対応を要請しております。
 こうした対応を適時適切にとられると同時に、地元への丁寧な説明や不安の払拭をしっかりと対応していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○長橋委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。

○長橋委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都病院会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○谷田経営企画部長 去る十月十四日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます令和元年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、合計十一件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立病院における経営指標の推移でございます。
 都立病院における経営指標の推移を入院、外来別に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移、施設整備関連経費でございます。
 一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について、その推移を記載しております。
 三ページをごらんください。3、一般会計繰入金の推移、施設整備関連経費以外、病院別でございます。
 一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費の推移を病院別に記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移でございます。
 医師、看護要員及び医療技術員等の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を記載しております。
 五ページをごらんください。5、各都立病院の産婦人科、小児科及び麻酔科常勤医師の定数及び現員の推移でございます。
 産婦人科、小児科及び麻酔科の常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について病院別に記載しております。
 六ページをお開き願います。6、各都立病院の分娩件数の推移及び周産期医療受け入れ件数の推移でございます。
 (1)は分娩件数の推移を、(2)は周産期医療受け入れ件数の推移を、それぞれ各年度、病院別に記載しております。
 七ページをごらんください。7、各都立病院の薬剤師の定数及び現員の推移でございます。
 次の八ページにかけまして、薬剤師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について病院別に記載しております。
 九ページをお開き願います。8、各都立病院の個室使用料の収益の推移でございます。
 各年度の個室使用料の収益の推移について病院別に記載しております。
 一〇ページをお開き願います。9、各都立病院の平均在院日数及び病床利用率、令和元年度、月別でございます。
 (1)は平均在院日数を、一一ページの(2)は病床利用率を、それぞれ令和元年度の月別、病院別に記載しております。
 一二ページをお開き願います。10、各都立病院の医業収支、平成二十九年度以降、月別でございます。
 このページから一七ページにかけまして、平成二十九年度以降の医業収支につきまして、年度ごとに月別、病院別に記載をしております。
 一八ページをお開き願います。11、新型コロナウイルス感染症対応のために購入した機材でございます。
 新型コロナウイルス感染症対応のために購入した機材について、それぞれの台数、金額、病院名を記載しております。
 簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○木下委員 令和元年度東京都病院会計決算について質疑をさせていただきます。
 少子高齢化の急速な進行や国の医療制度改革など、医療をめぐる環境は大きく変化をしており、病院完結型の医療から地域完結型の医療へと転換が求められています。
 平成三十年三月に策定されました都立病院新改革実行プラン二〇一八では、八つの都立病院において、これまで強化してきた行政的医療を継続的、また安定的に提供するとともに、地域医療の充実にも積極的に貢献していくことが重要であると明記されていました。
 本年一月十七日、日本で最初の陽性患者が報告されて以来、九カ月余りの長きにわたり、継続して新型コロナ感染症に最前線で取り組んでおられる病院経営本部及び各病院の職員の皆様に、改めて心より感謝を申し上げます。
 今ほど感染症対策、すなわち、行政的医療の必要性を多くの都民が認識している瞬間はないのではないでしょうか。
 一人でも多くの都民に適切な医療を継続して提供していくために、また、予算の執行においては、経済合理性の発揮と公共の福祉の推進を同時に進める地方公営企業の会計基本原則を踏まえ、都民に提供する医療サービスの向上と日々の経営改善努力を不断に積み重ね、都立病院の運営に当たっていただきたいと強く望む立場から質問を行います。
 病院会計収支についてご質問をさせていただきます。
 一般会計繰入金のここ五年の推移についてお伺いをいたします。

○谷田経営企画部長 一般会計繰入金は、都立病院の基本的役割であり、採算の確保が困難な行政的医療を提供するための不可欠な経費といたしまして、法令など一定のルールに基づき、行政が負担すべきものとして繰り入れを受けております。
 直近五カ年の推移は、概数でございますが、平成二十七年度が三百八十七億円、平成二十八年度が四百億円、平成二十九年度が三百九十四億円、平成三十年度は三百七十八億円、令和元年度が三百八十五億円で、ほぼ横ばいでございます。

○木下委員 ありがとうございます。
 また、四年連続で経常損失を計上しているということなんですが、こうした状況をもたらした理由についてお伺いをいたします。

○谷田経営企画部長 都立病院では、新たな施設基準の取得や新入院患者の確保を図っておりまして、医業収益は年々増加傾向でございます。
 令和元年度の医業収益は一千四百十一億円と、前年度より約三十一億円増加いたしました。
 一方で、費用につきましては、共同購入や後発医薬品の使用拡大など、さまざまな節減に努めておりますが、医療の高度化に伴う高額な医薬品や診療材料の増加のほか、給与改定、消費税率引き上げ等の影響が上回り、令和元年度の医業費用は一千六百十二億円と、前年度より約四十三億円増加いたしました。
 このように、全体の費用増を補うまでの収益増に至らなかったため、経常損失を計上することとなりましたが、令和元年度は、新型コロナウイルス感染症への対応や五月の十連休中の診療体制確保など、病院経営には厳しい環境の中でも、こうしたさまざまな取り組みを実施したことによりまして、自己収支比率は、ここ数年、同程度の水準を維持しているものでございます。

○木下委員 ありがとうございます。
 先ほど、一般会計繰入金が大体四百億円弱ということでご答弁いただいたんですが、この繰入金額に対する病院経営本部の評価をお伺いしたいと思います。
 また、この繰入金の一層の適正化に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○谷田経営企画部長 一般会計繰入金の総額に関しては、診療報酬改定や物価上昇、消費税率など、さまざまな影響により収支状況は変動するため、一概には評価できませんけれども、都として定めたルールに基づいた適切なものと考えております。
 しかしながら、民間の医療機関等の医療提供体制、医療環境や、その時々の医療課題等は変化しているため、一般会計繰入金の対象となる行政的医療の範囲や算定方法については、これまでも随時必要な見直しを行ってまいりました。
 さらに、繰入金の算定基礎となる収支改善を図るため、効率的な病院運営を心がけるとともに、新たな施設基準の取得などの収益確保や、医薬品等の共同購入の推進によります費用節減に取り組んでおります。
 一般会計繰入金は、都民の貴重な税金を財源とするものでございまして、その重みを十分認識し、今後も、医療環境の変化等に応じ、適切に見直しを図るとともに、経営改善に努め、繰入金の一層の適正化を図ってまいります。

○木下委員 続きまして、地域との連携についてお伺いをしていきたいと思います。
 まず、地域との連携の意義について、病院経営本部の認識をお伺いいたします。

○西川サービス推進部長 都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供し、ほかの医療機関等との適切な役割分担と密接な連携を通じまして、都における良質な医療サービスの確保を図ることを基本的な役割としております。
 都立病院は、主として急性期の患者の診療を担っておりまして、地域の医療機関から患者の紹介を受けるとともに、急性期を脱した場合は、紹介元への返送や地域の医療機関への逆紹介を行っております。
 都立病院の限られた医療資源を最大限有効に活用し、より多くの都民に行政的医療を提供するためには、地域医療機関等との連携を図っていくことが重要でございます。

○木下委員 ありがとうございます。
 それでは、具体的な取り組みの内容についてもお伺いをしていきたいと思います。

○西川サービス推進部長 各都立病院におけます具体的な取り組みといたしましては、病院職員による医療機関訪問や、連携医の登録制度、医療連携ニュースの発行、医師の専門分野等を記載した医師プロフィールの配布、地域の医療機関との症例検討会などがございます。
 また、連携医からの緊急の受診相談に対しましては、都立病院の医師が直接対応する連携医ホットラインを設けるなど、紹介を受けた患者さんを迅速に受け入れる体制を整備しております。
 さらに、各病院に設置している患者支援センターにおきましては、地域の医療機関や地域包括支援センター、訪問看護ステーション等の関係機関との連携によりまして、円滑な転退院に向けた支援を行っているところでございます。

○木下委員 ありがとうございました。地域においての病院の役割は大変重要だというふうに認識を改めました。
 それで、先ほど病院会計の収支の改善というお話をしてまいりました。
 地域での連携が病院経営にどう貢献しているのか、お伺いをしたいと思います。

○西川サービス推進部長 地域の医療機関との連携は、適切な役割分担により、患者に適切な医療を提供する一方、病院にとりましては、新たな患者の確保を目的とする側面もございます。
 急性期医療を担う都立病院におきましては、平均在院日数の短縮化に伴い、病床利用率が減少傾向となっており、病床利用率を改善し、収益の向上を図るためには、新たな入院患者の確保が必要でございます。
 このため、地域の医療機関との顔の見える関係を構築し、連携を強化することは、紹介患者をふやすなど、病院経営の視点からも重要でございます。
 都立病院における初診患者に占める紹介患者等の割合は、直近三年間の推移を見ますと、全病院の合計で、平成二十九年度は八一・七%、三十年度は八二・四%、令和元年度は八四・一%と着実に向上しており、また、紹介状を持参した患者の数は、二十九年度が十一万二千六百八十九人、三十年度、十一万四千九百八十六人、令和元年度、十一万六千五百六十二人となっております。
 こうした背景のもと、新入院患者数は、同様に全病院の合計で、平成二十九年度は九万八百三十九人、平成三十年度、九万二千五十三人、令和元年度、九万二千九百八十一人と、年々増加をしております。
 このほか、患者が退院する前の地域との合同カンファレンスや、入退院支援に関する診療報酬の各種加算を算定することを通じまして、地域の医療機関等との連携の取り組みが病院の収益の増加にもつながっているところでございます。

○木下委員 ありがとうございました。地域にとっての病院の役割の重要性、また、病院の経営にとっても、地域との連携が意味があるというあたりがご答弁からわかったというふうに認識をいたしました。
 さらに、地域において、やはり地域包括ケアシステムというものの構築が重要でございます。病院でみとるから地域で支えるへの旗頭のもと、地域包括ケアシステムの構築が高齢層等によって求められている中、世界でも前例のない超高齢化社会に突入しているこの日本、東京におきまして、地域包括ケアシステムの構築は大変重要でございます。
 都立病院ではどのような取り組みを行ってきているのか、お伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院は、都立病院新改革実行プラン二〇一八において、地域包括ケアシステム構築への貢献を掲げており、都立病院の医療資源を生かした地域医療機関への技術支援や、地域を支えるモデルとなる取り組みの実施を初め、区市町村の福祉部門との連携強化などによる在宅移行、在宅療養支援の取り組みを充実させることとしています。
 例えば広尾病院では、島しょ地域の患者が、退院、帰島後においても安心して療養できるよう、島しょ地域の診療所及び介護施設等と広尾病院との間で、引き続き必要な医療処置の内容を初め、寝起き、移動、トイレ、入浴、食事等の日常に必要な動作の状況等を共有し、必要な対策を検討するため、令和元年度は、患者家族や医師、看護師、ソーシャルワーカー等によるウエブカンファレンスを大島と新島で実施しました。
 また、駒込病院では、がん患者の在宅療養を担う人材を育成するため、地域の医療従事者を対象とした緩和ケアや在宅医療の専門的な研修を実施したほか、地域でのがん予防などの意識啓発を目的とした病院情報誌「Robin」を令和元年度は三回発行するなど、地域包括ケアシステムの構築に向けて、各病院が取り組みを進めました。

○木下委員 ありがとうございます。
 都立病院新改革実行プラン二〇一八において、地域包括ケアシステムを担う医療人材への支援と都民への啓発のために、Tokyoヘルスケアサポーター養成講座を行うと、そのときは仮称と書いてありましたけれども、定めています。
 そこで、Tokyoヘルスケアサポーター養成講座の実施状況、そしてまた、認定したサポーターのその後の活動内容についてお伺いをしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都民が健康意識を高め、生涯現役で活躍できるよう、各都立病院がこれまで実施してきた公開講座を体系化し、都立病院の医師等が専門的な知識と豊富な経験に基づき、わかりやすく解説するTokyoヘルスケアサポーター養成講座を平成三十年度から実施しています。
 平成三十年度に区部で開催した、高齢者の関心が高い、がん、認知症、生活習慣病、フレイル等の講義について、令和元年は多摩地域で開催し、定員二百名のところ、五百六十四名の応募があったことから、急遽、会場を追加して実施しました。
 令和元年度は、新たに、女性の体の仕組みや妊娠、出産、女性特有のがん、更年期など、女性の心と体に関する講座を区部で開催し、定員四百五十名のところ、四百三十二名の応募がありました。
 また、認定したサポーターについては、健康に関する知識の習得にとどまらず、身近な地域で日常から積極的に健康づくりに取り組んでもらうとともに、それらの知識、情報をさまざまな交流の場などで共有することで、健康づくりに関する自助、共助意識の向上につなげています。

○木下委員 実は、私も、昨年度、多摩総合の方で実施されたTokyoヘルスケアサポーター養成講座に参加し、認定証をいただきました。残念ながら、ご答弁いただいたような、地域活動で活躍できている状況ではございません。
 そこで、講座を行い、認定を行うことにとどまらず、地域包括ケアシステムの構築の主体である区市町村との連携を強化し、認定サポーターがより活躍できるような取り組みも行っていただきたいとご要望いたしておきます。
 次に、女性活躍についてお伺いしたいと思います。
 世界経済フォーラム発表のジェンダーギャップ指数、直近の日本の順位は、もう有名な話でございますけれども、百五十三カ国中、百二十一位と非常に低いです。また、SDGsの十七の大きな目標の五番目には、ジェンダー平等を実現しようというのがございます。
 女性活躍を日本で進めることは、持続可能な日本と東京の未来に向けて喫緊の課題と私は認識しており、都議に就任以来、さまざまな機会を通じて、強くその推進を求めてまいりました。
 そこで、病院経営本部の女性活躍の推進をテーマに、確認を含めて、幾つか質問を進めていきたいと思います。
 女性の活躍を進めるには、あらゆる職場、機会において、リーダーシップが発揮できる立場に女性が三割以上つくことが重要と考えております。国における男女共同参画推進本部決定、これは平成十五年のものからの引用でございますが、そこでも、社会のあらゆる分野において、二〇二〇年までに、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度になるよう期待するという目標が掲げられております。
 そこで、病院においてのリーダーシップ的立場というふうに判断できる医師のうち、都立病院において女性がどの程度いるのか、その割合を伺います。

○谷田経営企画部長 令和元年十月一日時点におきまして、都立病院に勤務する女性医師の割合は二九・五%でございました。

○木下委員 ありがとうございます。政府の目標とする約三割というところまで、あと一息という数字をいただきました。達成に向けて、引き続き頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に、都立病院勤務者全体における女性の割合と、勤務者全体の中の女性管理職の割合についてもお伺いをしたいと思います。

○谷田経営企画部長 令和元年十月一日時点におきまして、都立病院に勤務する女性の割合は七五・六%でございました。
 また、都立病院に勤務する管理職のうち、女性管理職の割合は二九・二%でございました。

○木下委員 ありがとうございます。全勤務者のうちの女性管理職の割合は二九・二%。こちらも、三割にあと一息ということでございますので、引き続き頑張っていただきたいというふうに思います。
 さて、病院における職場において多くを占めると思われる看護師さんたちでございますけれども、まず、都立病院全体における看護師の総数と、そこに占める女性管理職の割合についてお伺いをしたいと思います。

○谷田経営企画部長 令和元年十月一日時点におきまして、都立病院に勤務する看護師の総数は四千六百十二名でございまして、そのうち管理職は四十六名、割合といたしまして一・〇%でございます。

○木下委員 ありがとうございます。女性管理職の割合が約一・〇%ということで、非常に低くて驚いたわけではございますが、一応、ご説明の中では、看護師というのはなかなか、管理職ポジションがそもそも少ないという話で、特殊な事情もあるのかなということは理解はしておきます。
 けれども、都立病院全体において、やはり女性管理職、リーダーをさらにふやす取り組みは必要であるというふうに考えます。
 具体的な取り組み、そして病院経営本部としての方針など、見解をお伺いしたいと思います。

○谷田経営企画部長 平成二十九年一月に総務局が策定した東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プランにおいて、女性職員の活躍の推進に向けた数値目標として、行政系の管理職に占める女性の割合を二〇二〇年までに二〇%まで高め、さらに向上させていくことを目標としております。
 その実現に向けた取り組みの一つとして実施されます、子育て中の職員を支援することを目的とした復帰後キャリア形成支援講座等、ステージに応じた両立支援講座への参加を職員に対して積極的に呼びかけていくなど、今後も、プランを踏まえまして、ライフワークバランスを応援し、女性職員が一層活躍できる環境づくりに取り組んでまいります。

○木下委員 女性職員が一層活躍できる環境づくりに、しっかり取り組んでいただければというふうに思います。
 そのためにも、女性の継続就業をサポートできるよう、女性に負担が行きがちな出産、育児や介護との両立の支援を進めることが重要と考えます。
 そこでまず、確認ですが、都立病院勤務者のうち、出産、育児または介護を理由として離職した職員のそれぞれの率、すなわち離職率を確認したいと思います。

○谷田経営企画部長 令和元年度の退職者のうち、退職理由から把握できた離職率は、出産、育児では六・三%、介護では二・九%でございました。

○木下委員 ありがとうございます。
 出産、育児で約六・三%、介護では約二・九%ということで、一見、そんなに多くないと。そういった理由で離職した人は、そんなに多くないじゃないかというふうにもとれるのですけれども、今のは、ご説明のとおり、離職理由に明記した方の率でございまして、離職理由の明記の仕方には、家庭の事情と書かれている方も一定数含まれていることが大いに想定できるというお話でございまして、実質はもっと多いのではないかというふうに推定をいたします。
 そこで、出産、育児と両立できる環境を整えるために、院内保育の整備について非常に重要と考えますが、院内保育の設置病院、定数、利用状況及び地域への開放状況についてお伺いをいたします。

○谷田経営企画部長 都立病院では、職員の育児と仕事の両立を支援するため、全ての病院に院内保育室を整備しております。
 令和元年度は、全保育室を合わせまして百八十名の定員を設け、年度途中でも職員の利用状況に応じて保育室ごとの定員を変更するなど、柔軟な運営を行い、令和二年三月の利用状況は、全体で六五・六%でございました。
 また、空き定員を活用した地域開放の令和元年度の実績は一名でございました。

○木下委員 ありがとうございます。
 次に、病児、病後児保育への取り組みについてお伺いをしていきたいと思います。
 東京都子供・子育て支援総合計画(第二期)では、令和六年までに整備目標百七十カ所に対して、平成三十年の実績で百五十カ所ということでございます。
 病院で病児、病後児保育を望む声というのが私のところに届いてきておりまして、また、都立病院における病児、病後児保育が進めば、一般病院でも進みやすいと期待する声もございます。
 都立の八病院のうち、墨東病院のみで病児、病後児保育が行われている。私たちも視察をさせていただきましたけれども、行われているということでございます。
 コロナ禍において、ニーズに変化があったということは聞いてはいるものの、墨東病院の病児、病後児保育について定数を拡大すべきと考えますが、その実績とあわせて、見解をお伺いしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、保育環境の充実に取り組む区市町村を支援するため、地元自治体のニーズを踏まえ、小児科のある病院において病児、病後児保育を行うこととしております。
 このうち墨東病院の病児、病後児保育室は、事業主体である墨田区からの事業を受託し、平成二十八年二月に開設いたしました。
 令和元年度の実績は、延べ利用者数が五百九人であり、平成三十年度の五百十九人と比較すると、十名の減となっております。
 また、令和元年度の利用率は五二・四%であり、平成三十年度と比べ、〇・八ポイントの減となっており、利用実績とあわせて、ほぼ横ばいとなっています。
 今後も、地域の保育ニーズに的確に対応するため、利用状況を注視しながら必要な対策を講じていきます。

○木下委員 引き続き、子育てをしながら仕事を続けられるための環境整備について伺っていきたいと思います。
 子育てを父親と分担するということは大変重要でございます。それを望む若い父親もふえているというふうに認識をしておりますが、制度があっても、男性が実際、育休を取得するハードルがあるというのが現実でございます。
 病院経営本部における男性育休の取得率を確認したいと思います。また、その取得率をふやすべきと考えますが、その方策について見解をお伺いいたします。

○谷田経営企画部長 教育庁を除きます知事部局等及び公営企業局におけます男性職員の育児休業取得率は、平成三十一年度までに一五%に向上させることを目標としております。
 令和元年度の病院経営本部全体の男性の育児休業取得率は九・六%でございましたが、引き続き、男性が育児休業を取得できる職場環境づくりを推進してまいります。

○木下委員 男性が育休をとれるような職場環境づくりに取り組むというご答弁をいただきました。実際に何をどう整備していくのか、具体に落とし込んで確実な推進を求めたいと思います。
 さきの定例会の私の一般質問では、子育てしながら働く女性の数はふえ、いわゆるM字カーブは解消されつつあるけれども、男性の収入に対して、女性の収入は七割しかなく、その理由として、女性にパート、アルバイトなどの非正規雇用、不安定雇用が多いことが課題であることを指摘させていただきました。
 また、その解消には、非正規雇用の待遇をよくすること、また、非正規雇用から正規雇用への転換を進めることが重要です。
 要するに、女性雇用者の数をふやすフェーズから、女性雇用者の雇用環境の質を高める取り組みが必要なフェーズというふうに変わってきている、そのように認識しております。
 その観点から、病院で働くさまざまな職種やその雇用形態ごとで男女の状況がどうなっているのかを把握したいと考えます。
 そこで、医師、麻酔科医師、医療技術員、いわゆるコメディカルの方々、看護師、事務のそれぞれについて、常勤と一般非常勤に分けて女性の職員の割合をお伺いしたいと思います。

○谷田経営企画部長 令和元年十月一日時点の職種別女性職員の割合についてでございますが、まず医師につきましては、こちらは、先ほど申し上げました常勤が二九・五%、一般職非常勤が四一・〇%でございます。
 また、医師のうち麻酔科医師では、常勤が五〇・〇%、一般職非常勤が八四・六%でございました。
 次に、医療技術員ですが、常勤が六一・三%、一般職非常勤が八三・一%でございます。
 看護師につきましては、常勤が八九・七%、一般職非常勤が九九・四%でございます。
 最後に、事務でございますが、常勤が三九・四%、一般職非常勤が八九・一%でございました。

○木下委員 ありがとうございます。
 まず、リーダー的ポジションの医師において、常勤で女性は二九・五%ということで、これは、先ほどの観点から、ほぼ丸ということなんですけれども、非常勤ということになると、女性が四一%にふえてしまうこと。
 また、麻酔科医師は、医師と並んで、今、全体で五職種、比較のためにお話をいただいたのですけれども、比較的高い給与をとっていらっしゃるというふうな職種であるというふうに聞いておりますが、そこでの常勤で五〇%に対し、非常勤の女性比率は八四・六%にはね上がっているということでございます。
 また、医師、麻酔科医師より給料ランクが少し低い医療技術員、コメディカルの方や看護師の中での非常勤での女性比率は、それぞれ八三%、九九%。
 それから、最も給料が低い事務の非常勤の九割が女性ということは課題なのではないかというふうに私は考えます。
 比較的給料の低い職務、そして、非常勤という不安定な雇用形態、環境になればなるほど、女性の比率が圧倒的に高くなっている点については、一考の余地があるのではないかという指摘をさせていただきたいと思います。
 次に、新型コロナ感染症対策についてお伺いをいたします。
 「ダイヤモンド・プリンセス号」で発生した患者の都立病院での受け入れ状況についてお伺いをしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」は、ことし二月三日に横浜港に到着し、都立病院では、二月七日に初めて駒込病院、墨東病院で受け入れ、三月一日の下船完了までの間に、多摩総合医療センター及び公社二病院、計五病院で、合わせて四十二名の患者を受け入れました。
 受け入れに当たっては、福祉保健局と連携のもと、各病院の受け入れ可能病床数を初め、横浜港での乗客、乗員の下船状況、救急車両の出発状況などを共有するとともに、都立-公社病院間の平時からのネットワークを活用することで、対応困難な患者についても、五病院のうち、いずれかの病院で受け入れを行いました。

○木下委員 ありがとうございます。「ダイヤモンド・プリンセス号」の対応で、初期からご対応されたということのご説明をいただきました。
 引き続き、昨年度末までに感染が確認されました都内の陽性患者に対する都立病院の受け入れ実績についてもお伺いをしていきたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都内における陽性患者数は、チャーター機やクルーズ船に関連した陽性患者数を除き、一月二十四日から三月三十一日までの間で、合計五百二十六名が確認されました。
 そのうち都立病院で受け入れた陽性患者数は、合計で八十名であり、都内の合計陽性患者数の約一五%を占めております。

○木下委員 ありがとうございます。
 そのような陽性患者の受け入れに当たりまして、必要な人材体制の確保が重要だったと思います。
 どのように確保されてきたのかをお伺いしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年度における新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに当たり、感染症指定医療機関である駒込、墨東の二病院においては、感染症科の医師及び感染症病棟配置の看護師が対応に当たってきました。
 また、感染の拡大に際しては、各病院の運営状況に応じて院内の入退院調整を行うことなどにより、対応病床の増加とあわせて、必要な職員の確保に努めました。

○木下委員 ありがとうございます。今のご答弁にも、一部、ご説明がまざっておりましたけれども、今回のコロナ感染症対応に当たりまして、感染症指定医療機関ということで、駒込病院、墨東病院があることが重要だったのではないかと考えます。
 この果たしてきた役割について、さらに詳細にお伺いしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院は、感染症医療を行政的医療として位置づけており、とりわけ感染症指定医療機関である駒込病院、墨東病院においては、今回の新型コロナウイルス感染症対応に当たり、流行の段階から積極的に患者さんを受け入れてきました。
 また、他の医療機関との役割分担のもとで、緊密に連携を図りながら、一般の医療機関では対応困難な合併症がある患者さんや妊婦さん、外国人などを積極的に受け入れることで、公的医療機関における感染症指定医療機関として求められる役割を果たしてきたと認識しております。

○木下委員 ありがとうございます。やはりこの未知のウイルスとの闘い、特に初期の段階において、この都立病院が果たした役割は非常に大きかったということが、一連のやりとりの中で改めて確認ができたというふうに認識をいたしております。
 それで、都では、実は、新たな病院運営改革ビジョン、大都市東京を医療で支え続けるためにというのを策定し、独立法人化の検討を始めています。
 コロナ対策をこのように経験した中で、独立法人であったなら、より得られた効果があるのであればお伺いをしたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 都立病院は、新型コロナウイルス感染症への対応に職員一丸となって取り組んできたところでございますが、例えば、患者受け入れ体制の強化に必要となる医療機器の整備におきまして、現場の要望から導入までにタイムラグが生じた事例がございました。
 具体的には、外来で検査を行うための陰圧対応の採たんブース、これは電話ボックスのような空間でたんを採取する機器でございますが、こちらの購入におきまして、昨年度の補正予算により対応ができたものの、議決を経て予算が措置された後に契約手続を開始しなければならないことから、導入までに一定の期間を要しました。つまり、二月に機器が必要となりましたが、整備は三月下旬だった、そういうことでございます。
 地方独立行政法人は、中期計画の範囲内で、年度にとらわれず、都民の医療ニーズに応じて新たな取り組みを行うことや機器の整備時期の変更など、弾力的な予算執行が可能となることから、独立行政法人であったなら、こうしたことにも機動的な対応ができたのではないか、そういうふうに考えているところでございます。

○木下委員 ありがとうございました。都立病院、今回のコロナ禍において、非常に頑張っていただきました。また、今も継続して頑張っていただいている認識ではございますけれども、この独立行政法人化をしていれば、もっとさらに対応がよくなったというふうな認識であるということが確認できました。
 さて、災害といえば、昨年度は台風十九号の関東直撃がございました。都内各所で被害があったのは記憶に新しいところでございます。
 そこで、災害拠点病院機能の拡充について質問してまいりたいと思います。
 まず、台風十九号における都立病院の対応についてお伺いをしたいと思います。

○谷田経営企画部長 昨年十月に発生した台風十九号において、各都立病院に被害はなく、それぞれの診療機能に影響は生じておりません。
 なお、災害時の対応といたしまして、広尾病院が、河川の氾濫で診療が継続できなくなった世田谷記念病院から七人の入院患者を受け入れたところでございます。
 また、この世田谷記念病院の件とは別でございますが、神経病院でも四人の在宅患者を受け入れたという実績がございます。

○木下委員 ありがとうございます。世田谷記念病院及び神経病院で、病院機能を停止したところから多くの患者さんの受け入れを行ったということをご説明いただけました。
 このような災害時に活躍していただき続けるためにも、病院機能の継続は大変重要でございます。
 都立病院における非常用発電設備の確保状況についてお伺いしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、災害時における非常用電源として自家発電機を設置するとともに、神経病院を除く災害拠点病院の七病院においては、三日分以上の発電燃料を備蓄しています。
 さらに、電源の複線化として、耐震性にすぐれた中圧ガスを燃料とするガスコージェネレーションシステムを、広尾病院、大塚病院、多摩、小児総合医療センターの四病院で導入しております。
 具体的な例としまして、基幹災害拠点病院である広尾病院では、重油及び軽油を燃料とする自家発電機を三台設置し、発電容量は、契約電力千六百キロワットを上回る二千六十四キロワットとなっております。これに加え、ガスコージェネレーションシステムの常用発電機により七百キロワットを備えております。

○木下委員 三日分以上の発電燃料等、非常用電源をきちっと確保しているというご答弁でございました。
 この三日というのは、災害が起こってから各地域から物資が届くとか、そういったところの期間が、大体三日あれば、多くは、ある程度復旧するだろうという想定のもとに示している数字というふうに伺っております。
 これが、一年に一度点検しているというふうに伺っているんですけれども、まさかのときに動かないということがないように、しっかり点検についても、引き続き行っていただきたいというふうにご要望いたしておきます。
 次に、災害時の備蓄、これも重要でございます。
 その確保状況について、都立病院の中でどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。

○谷田経営企画部長 都立病院では、食料、飲料水、医薬品につきまして、どの病院も三日分程度を備蓄しております。
 保管につきましては、主に地下または地上一、二階部分にある倉庫のほか、必要に応じまして、病棟に分散させて保管を行っているところでございます。
 災害時、全ての都立病院で必要な診療機能を維持できるよう、今後も必要な備蓄を実施してまいります。

○木下委員 ありがとうございます。
 今のご答弁の中で、地下や地上一階部分にある倉庫にも備蓄しているというお話がございました。これ、浸水時ですから、地下とか地上一階というのは、備蓄場所として適切なのかなということをちょっと感じました。昨年の台風十九号が引き起こしたような水害に対して、地下や地上一階部分の倉庫で大丈夫なのか、気になります。
 そこで、都立病院の浸水対策と拡充についてお伺いをしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 荒川などの氾濫による浸水被害の想定がある墨東病院については、これまで対策を進めてきておりまして、昨年度、地下への浸水を防ぐため、建物の開口部への止水板の設置、防水扉への取りかえ、地上にある排気口や燃料タンク制御盤への対策に加え、浸水した場合でも建物外への排水を可能とするよう、既存湧水ポンプの排水配管の延長について設計を行いました。今年度から来年度にかけて工事を行う予定です。
 また、昨年の台風十九号による内水氾濫を受けて検証した結果、広尾病院、大塚病院におきまして内水氾濫の被害が想定されることが判明したため、水害対策の手法の比較検討、整備内容及び範囲の確定に必要な調査などを行いました。
 この結果、大塚病院では、地下スロープに可動式止水板等を整備し、また、広尾病院では、地下スロープへの可動式止水板の整備に加え、地下雨水貯留槽の雨水排水ポンプ更新などの対策を令和二年度中に行う予定です。

○木下委員 ありがとうございます。しっかりと工事、整備を行っていただきたいというふうにお願いをいたします。
 さて、昨年十二月、都は、ゼロエミッション東京戦略を打ち出しました。このゼロエミッション東京の実現は、病院経営本部としても進めなければいけない、当然、そういう課題だというふうに認識をいたします。
 ゼロエミッション東京の実現に向けて、都立病院で使用するエネルギーの再エネ化をしっかり進めるべき、また、省エネ対策も重要と考えます。
 取り組みと本部の見解をお伺いいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ゼロエミッション東京戦略においては、都有施設における使用電力の再生可能エネルギー一〇〇%が目標とされております。
 こうした中、病院施設は直接生命にかかわるものであることから、災害時にも途切れることなく医療を提供するために必要なエネルギーを供給できるよう、安全性、信頼性の確保も極めて重要となります。
 既存の施設についてはLED化工事を進めており、令和元年度は墨東病院で工事を実施するなど、省エネ対策を着実に進めております。
 今後、都立病院において、再生可能エネルギーや一〇〇%脱炭素電力調達を目指すなど、ゼロエミッション化に向けて取り組みを進めてまいります。

○木下委員 ありがとうございます。災害は温暖化が原因だという説もございますし、やはりゼロエミッションをしっかりと進めていくことは重要だというふうなことで、前向きに進めるというご答弁、しっかりよろしくお願いしたいと思います。
 次に、デジタル化についてお伺いしていきたいと思います。
 都は、コロナ禍での経験を経て、都庁と社会のデジタル化を加速するべきと考え、かじを切りました。都立病院においても、必要な取り組みを加速化しなければならないと考えます。
 病院業務におけるデジタル化推進について質問します。
 新型コロナ感染症対策の緊急措置として、オンライン診療の規制緩和が進みました。
 この間、都立病院におけるオンライン診療、処方への取り組み状況と今後の方針についてお伺いをしたいと思います。

○西川サービス推進部長 オンライン診療は、ビデオ通話等により患者の診察及び診断を行い、診断結果の伝達や薬の処方等の診療行為を行うものでございます。
 しかし、対面診療と比べ、得られる情報量が少ないため、主に急性期医療を担っている都立病院におきましては、病状に応じて検査や処置等が必要となるため、ビデオ通話などを用いたオンライン診療は行っておりません。
 一方、新型コロナウイルス感染を防止する観点から、厚生労働省が電話による診療を時限的、特例的に認めたことを受けまして、都立病院におきましても、令和二年三月から、慢性疾患等の再診の患者さんが希望される場合には、医師が判断をした上で、電話診療により薬の処方をしております。
 令和二年三月の一月間で、電話により再診を行った件数は、全都立病院合計で八百八十件でございます。
 なお、この電話再診は現在も続けておりまして、本年四月から八月までの件数は、全都立病院で二万五千六百十一件となっております。

○木下委員 ありがとうございます。八月末のところで二万五千六百十一件、非常に多くの方々が、これで、ある意味助かっているということがわかりました。可能な範囲での、このオンライン診療、処方への取り組みについても、引き続き検討を進めていただきたいというふうに思います。
 また、都において、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの加速化が求められる中、このオンライン診療には、実はセキュリティーの対策というのも必要だという、セキュリティーをしっかりしないといけないという、そういった指摘もございます。
 このオンライン診療の活用を、セキュリティー対策を含めてしっかり検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院におきまして、ビデオ通話によるオンライン診療を実施する場合には、各都立病院が提供する医療の特性を踏まえることが重要でございます。
 現在、国では、新型コロナウイルス感染防止の観点から時限的、特例的に認めたオンライン診療を恒久化することについて検討を進めていくこととしております。
 今後、こうした国の動向や、セキュリティー対策も含めた情報通信技術の進展の動向を注視することに加えまして、病院医師等の意見も十分に踏まえ、都立病院にふさわしいオンライン診療のあり方を検討してまいります。

○木下委員 ありがとうございます。
 次に、診療や会計等に対する待ち時間短縮等に向けたICTの導入によって、これが効果があるのではないかという話がございます。
 診療、会計等に対する待ち時間、ICT導入について、どのような取り組みを都の病院では行ってきたのか、お伺いしたいと思います。

○西川サービス推進部長 都立病院におきましては、現在の多摩総合医療センターである旧府中病院において、電子カルテシステムを平成十五年度に導入し、順次、全病院への導入を行ってまいりました。
 あわせまして、検査の結果や画像を電子データで処理するシステムを電子カルテと連動させ、紙による医師の検査指示やフィルムによる画像の受け渡しをデータの送受信に切りかえることで、診察の待ち時間は一時間が二十分程度に、会計の待ち時間は一時間が十五分程度に、院内処方につきましては、ほぼ待ち時間がなく受け取りができるなど、大幅に待ち時間を短縮してまいりました。
 さらに、一部の都立病院におきましては、携帯型の呼び出し受信機を患者さんに貸与することで、院内の売店やレストランなどで待ち時間を有効に活用していただけるシステムを導入しております。

○木下委員 ありがとうございます。
 さらに、今、一部ご説明で、待ち時間に貢献というような話もございますが、電子カルテの導入によります診療自体の効率化や質の向上についてどのような効果があったのか、こちらについても見解を伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 電子カルテの導入によりまして、医師による薬剤の処方や検査の指示について、その内容が一般的な基準に適合しているかチェックされるとともに、適正かつ迅速に各部署に伝わることで、医療の安全の向上と診察の効率化が図られております。
 また、病院内の医師や看護師等が、院内の各所に設置された端末により診療情報を共有することが可能となったことで、多職種で患者さんの治療とサポートを行うチーム医療の質の向上につながっております。
 さらに、電子カルテには、標準的な治療計画であるクリニカルパスを管理する機能が搭載されておりまして、医師と患者が入院中の診療内容について共通認識を持つことにより、安心できる療養生活に寄与しております。

○木下委員 ありがとうございます。一連の病院におけるデジタル化について質問をさせていただきました。都の方が、本体として、しっかりとこのデジタル化を推進するという旗を鮮明にしたところでございますので、例えば、戦略政策情報推進本部に新しく入っていらっしゃる予定のICT職種の方々との連携なども踏まえまして、無駄なく、また、効果的なデジタル化への取り組みが病院の中で進んでいくことを希望いたしますので、その辺、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、コロナ禍で支援が行き届かなくなっていると思われる若い女性たちのことが大変心配でございます。
 予期せぬ妊娠で、周りにも相談できず、気づいたら未受診妊婦というようなことになってしまっている女性たちも、若い人たちの中に非常に多いというふうに認識をしておりまして、こういった方々は、最終的には、リスクが高いので、一般の産院等では受け入れてもらいにくいという現状もございます。
 こういった課題に対して、都の医療機関の方では、周産期医療を行政的医療というふうに位置づけた中で、きちっと対応していくということを行っている。これも、私ども、前の厚生委員会のメンバーで多摩総合医療センターを視察させていただいたりした中で、実際に見させていただいてきたというふうに認識しております。
 そこで、特定妊婦の受け入れ状況と具体的な支援の状況について、都立病院全体の中での取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 特定妊婦は、妊娠中から家庭環境におけるハイリスク要因を特定できる妊婦であり、出産後の子供の養育について、妊娠中から支援を行うことが必要です。
 こうした特定妊婦に対して、総合周産期母子医療センターである大塚病院、墨東病院、多摩総合医療センターの三病院が令和元年度に実施した相談、支援等の件数は、合計で三百三十三件でございました。
 具体的には、分娩や養育費用に関する相談対応や区市町村との情報共有のほか、家族構成などに応じた育児指導、精神状態に応じた精神科への受診勧奨などについて、医師、看護師、ソーシャルワーカー等が連携し、対応いたしました。
 また、令和元年度における都内の未受診妊婦受け入れ件数百二十五件のうち、都立三病院の受け入れ件数は合計七十件で、都内全体の五六%となっております。

○木下委員 ありがとうございます。産む性としての女性たちが厳しい立場になったときに、やはり救っていただく立場として、お願いする立場としても、この周産期医療を含めた行政的医療の継続は、本当に大切なことだと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いをいたします。
 次に、二人に一人ががんになり、三人に一人が亡くなる、つまり三人に二人は治る時代でございます。ですので、がんを経験する、がんとともに生きるというようなことを多くの人たちが経験する時代となりました。また、技術の向上もございました。
 したがって、仕事をしながらがん治療を行う方というのは年々ふえております。がんと仕事の両立を支援することは大変重要な課題であるということになります。
 このがんと仕事の両立を可能とするために、都立病院でどのような取り組みを行ったのか、お伺いをしたいと思います。

○西川サービス推進部長 都立病院におきましては、駒込病院が都道府県がん診療連携拠点病院に、また、墨東病院及び多摩総合医療センターが地域がん診療連携拠点病院に指定されており、多くのがん患者の治療に当たっております。
 国立がん研究センターの統計によれば、平成二十九年の一年間に、国内で新たにがんと診断された方は約九十八万人に上っておりまして、そのうち、働き盛りともいえる三十代から五十代までの方が約十六万人を占めております。こうした方々の生きがいや収入を確保していく面からも、がん患者の治療と仕事の両立は重要であると認識しております。
 このため、都道府県がん診療連携拠点病院である駒込病院におきましては、平成二十七年度から、ハローワークとの連携を図り、ハローワーク職員が病院へ出張し、就労に係る相談を実施しております。
 また、駒込病院を含め、がん診療連携拠点病院の三病院では、がんを初めとする患者の就労継続を支援するため、平成三十一年四月から、社会保険労務士ががん患者から治療と仕事の両立について相談を受け、仕事を続けるに当たって必要な助言を行う事業を新たに開始したところでございまして、三病院の令和元年度の相談実績は、合計で六十八件でございました。

○木下委員 ありがとうございます。最後の質問、二つでございます。
 動物には人を癒やす力があるといわれています。令和元年に小児総合医療センターでファシリティードッグのアイビーちゃんが活躍を始めたことに大変注目をしております。
 そこで、このファシリティードッグをどのように活用されているのか、その状況についてお伺いをしたいと思います。

○西川サービス推進部長 ファシリティードッグは、入院中の患者や家族の不安を和らげ、心理的なサポートをするなど、子供たちの治療に寄り添うことを目的に育成された犬でございまして、専門的なトレーニングを受けた看護師であるハンドラーとペアになり、病室訪問や、手術や検査への同行などを通じまして、子供の療養環境の向上を図るものでございます。
 小児総合医療センターでは、このファシリティードッグを、全国では三例目、都内では最初の実施施設として、令和元年八月に正式導入をいたしました。
 導入時は、小児がん患者の入院する一つの病棟のみで活動しておりましたが、現在は、長期入院患者が多い他の病棟にも活動範囲を広げております。
 入院患者の病室訪問、子供との病棟内の散歩、手術や検査への付き添いなど、小児総合医療センターにおけるファシリティードッグの令和元年八月から令和二年三月までの活動実績は、合計一千百件でございまして、一日当たりの活動件数は約八件でございます。
 また、支援を行った患者さんは、一カ月平均で、おおむね三十人程度となっております。

○木下委員 ありがとうございます。このアイビーちゃん、非常に活躍している状況がご答弁からうかがい知れるというふうに感じました。
 そこで、私、厚生委員会でも、実はこの効果検証ということをお願いしてまいりました。アニマルセラピーという観点から、このアイビーというファシリティードッグを導入したことの効果検証、調査をお願いしたのですが、その進捗の状況についてお伺いをしたいと思います。

○西川サービス推進部長 小児総合医療センターでは、ファシリティードッグを本格導入した昨年度は、まず、その効果を確認するため、具体的な個々の事例を観察、把握いたしました。
 例えば、患者の口腔ケアにファシリティードッグが介在することで、子供が進んで歯磨きを行ったり、積極的に歯の治療を受ける姿勢を引き出すための取り組みを行いました。
 この取り組みでは、ファシリティードッグがハンドラーに歯磨きされる姿を見せるとともに、歯科診療への付き添いを行うことを通じまして、子供が口腔ケアを嫌がることがなくなり、口腔内の衛生状態の改善につながることが確認できました。
 また、鎮静を伴う処置や検査を待つ間の子供の不安や恐怖心を緩和するために、ファシリティードッグを活用するケースがふえておりまして、スムーズな治療の実施に役立っております。
 今後も、ファシリティードッグの効果を示す事例の収集を行いながら、検証を進めてまいります。

○木下委員 ありがとうございました。子供との触れ合いの中でのこのファシリティードッグの効果の検証というのが、事例の収集を含めて進められていくということでございます。
 さらに、私としましては、高齢者施設とか障害者施設などでも、動物と触れ合える環境というのがふえていくことを願っております。
 そういった観点から、ここで得られた検証データなどがしっかりとエビデンスとなって、さらにほかのところに広がっていく一つの重要な一歩となるように、このファシリティードッグの小児での活用が、そして、この調査結果が生かされていくことを願います。
 平成三十年十月から約二年間にわたり、厚生委員会に所属させていただきました。病院経営本部の皆様には大変お世話になりました。改めてお礼を申し上げます。
 また、コロナ対策を初め、都民の健康、安全を守る重要な役割を、引き続き病院経営本部と都立病院の皆様には担っていただかなければなりません。
 最初にも申しましたけれども、適切な経営と必要な医療の提供、さらには、働く職員の方々が働きやすい環境の整備やジェンダー平等の実現などにも取り組んでいただくことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○川松委員 さて、東京都は、昨年度末に新たな病院運営改革ビジョンを策定しまして、都立病院の独法化に向けた準備を進めているところであります。
 そうなると、独法化というフレーズがひとり歩きしたことによりまして、すわ民営化じゃないかなどという考え方も、人々の中で混同されまして、現状においても、かなり不安になられている方がいるのも事実なわけです。
 それゆえ、本日は、整理すべきことはしっかりと整理して、未来の議論に反映できる決算審議にさせていただきたいと考えております。
 独法化の議論なんですけれども、これが出てくると同時に、例えば、職員を減らすべきじゃないんじゃないかみたいな声が大きく聞こえてきました。一方で、黒字にするということは、経営改善の中では当然のことなんだ、黒字にすべきだという、数字に注目するという意見もあります。
 でも、それは、それぞれの視点で見れば正しいことだと思いますけれども、やはり大局的にこの問題は見ていかなければならないというのが私の認識であります。
 直面する課題でありますけれども、これは都立病院の経営をどうするかということでありまして、これまでも病院経営本部の皆様が不断の努力で経営のあり方を追求してきたわけであり、何もやっていないでこの現状を迎えていることじゃないという、何か、そういったことが全部抜けた上で独法化の議論になっているかのことが問題点の一番の原因ではないかと思っています。
 実際に、都立病院ですから、プライベートな病院ではありませんので、自由にサービスなどの付加価値をつけることができないというような制約があったり、あるいは、ほかの医療機関では対応が難しい、例えていうならば、大事な部分が溝に落ちてしまって、拾いにくい、手を出しにくい、そういう人たちを担うという役目があるのが都立病院だと考えています。
 それゆえ、今は決算審議ですから、確かに数字は重要な観点だと思いますけれども、一方で、今述べたようなことをお話ししていくと、数字だけに着目すると、実は、都立病院において救える人が救えなくなってしまうんじゃないかという危険性を私は常に考えている。
 そういうこともはらんでいるんだということを初めに申し上げまして質問させていただきますが、今、私が指摘しました、これは例えで話しましたけれども、溝に落ちてしまっている大事な部分を、都立病院では行政的医療というふうに一般的に位置づけられていますけれども、具体的に、では、この行政的医療はどういうものなのかということをお聞きしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公と民の適切な役割分担を前提としながら、地域で必要な医療を提供するため、採算の確保が難しい医療や、一般医療機関では対応困難な医療を行政的医療として位置づけ、質の高い医療を提供してきました。
 こうした中、平成三十年三月に公表した都立病院新改革実行プラン二〇一八では、都立病院の基本的役割である行政的医療を、医療課題に応じて三つに分類しております。
 一点目は、感染症医療や災害医療など、平時から専門医療スタッフの確保や専用の設備、医療資器材の整備が必要な医療です。
 二点目は、難病医療、精神科身体合併症医療など専門性が高い医療人材の確保や、採算確保が難しく、民間での取り組みが困難な医療のほか、救急医療、難治性、合併症併発のがん医療など、都民ニーズが高く、他の医療機関を補完するために担う医療でございます。
 三点目は、小児期から成人期への円滑な医療の橋渡しを行う移行期医療など、時代に応じた新たな医療課題に対して、一般医療機関での医療提供体制が確立するまでの間、先導的に取り組む必要がある医療であり、これらを行政的医療と位置づけております。

○川松委員 ありがとうございます。
 ですから、今、お話しいただいた行政的医療というものを前提に考えなければいけないと。
 いわゆるいろんな病院の経営を立て直してきましたよという事例などは、いろんなところで報告されていますけれども、都立病院にそれが全て当てはまるわけじゃない。
 つまり、採算確保が難しいとか、今、お話ししたように、民間じゃ取り組まない、民間での取り組みが困難だといったような、溝に落ちてしまうような医療分野の担い手が都立病院なんだということを多くの方にまず認識していただかなければ、この議論というのは、的確に、効率的に前に進めないんじゃないかと思うんですね。
 今、お話がありましたように、一方で、それぞれの医療分野については、これはどう考えても採算の確保が難しくて、民間じゃ、取り組むのはなかなか困難じゃないかということがイメージできるわけですけれども、例えば救急医療や精神科身体合併症医療について、診療に関連するどのような要素が不採算や取り組み困難につながるのか、具体的に教えていただきたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、救急医療についてですが、都立病院では、主に三次救急医療、二次救急医療を担うとともに、さまざまな症状の救急患者に対応できるよう、広尾、墨東、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターに東京ERを開設し、総合的な救急医療体制の充実を図っております。
 こうした救急医療の提供に当たっては、二十四時間三百六十五日、いつでも、誰でも、どのような症状にも対応可能な受け入れ体制を有していることが前提となることから、日勤帯のみならず夜勤帯も含めて、その体制を維持するために必要な医師、看護師等の人員確保や、空きベッドの確保に加え、高額な医療機器の整備等が必要でございます。
 次に、精神科身体合併症医療ですが、都立病院では、総合診療基盤を生かした診療科間の連携を促進するとともに、都立病院のみならず、公社病院もあわせたネットワークを強化し、患者さんの受け入れ体制の充実に取り組んでいくこととしております。
 この精神科身体合併症は、精神疾患や身体疾患の状態により、双方の疾患に専門的な治療が必要となるため、地域への受け入れが困難となる場合があります。
 また、精神科身体合併症医療は、精神科医はもとより、内科医や外科医、麻酔科医などの身体疾患を担当する医師の確保に加え、患者さんの人権への配慮や、重症度に応じた看護体制の確保などが必要となるため、人件費が多くかかるとともに、とりわけ精神科部門については、一般的に入院期間が長く、診療報酬が低いという特徴がございます。

○川松委員 ありがとうございます。今、ご答弁いただいた行政的医療のことについては、本当に一部だと思いますけれども、これだけでも、不採算や対応困難となる要因というのが見えてくるわけですね。
 こうした行政的医療というのは、民間病院だけでは対応が困難であり、公立病院として都立病院が担うべき重要な役割なんだということがすぐにわかることでありますので、ここは引き続きやっていただきたいわけです。
 ただ、答弁の中で、今、救急医療のご説明をいただきましたけれども、私の地元には墨東病院がありまして、先ほどお話があったように、三次救急医療、二次救急医療を中心とした救急医療を担っています。
 ところが、今、三次救急、二次救急というお話をしましたけれども、一次救急というか、軽症というか、そういう事例の方でもERを受診するケースが実態としてあるわけですね。そうすると、どんな声が私たちのところに届くかというと、いや、ER、墨東の救急へ行ったけれども、待ち時間が長いとかという話も出てくるのですが、ここが実はもうちょっと、都民の病院なんだけれども、都民の皆様がどのように使っていくかということも一緒にご理解をいただかなければならないのがERだと思っています。
 今、お話しいただいたように、二十四時間三百六十五日、いつでも、誰でも、どのような症状にも対応できるというのが、いつでも、誰でも、どこでも対応できるというふうに勘違いされて、表現は似ていますけれども、実は違うんだと。利用者の皆さん方にも理解していただくことで、救える命を救っていく、そういう使命を担っているんだという広報活動もしなければならないんじゃないかなと私は考えています。
 墨東病院のような高度な救急医療を専門とする病院に、そういった一次のような患者さんが押し寄せると、本当に入院が必要な重症患者さんの診療に支障が出たり、貴重な医療資源を活用しながら運営している救急医療そのものの提供体制に影響が及ばないような仕組み、啓発というのが必要だということを、繰り返しになりますけれども、皆様に要望しておきます。
 また、行政的医療の安定的な提供のほかにも、都立病院では、コロナ対応のために、必要な人材確保や機材を購入しました。そのほか、地域包括ケアシステムの実現に向けた地域の医療、介護施設の人材育成の支援や、情報通信機器を活用したネットワークへの参画など、実施、運用に当たっては、かなりの資金あるいはマンパワーが必要な事業にも取り組んでいく必要があるわけです。
 そうしたことをより一層効果的に進めていくために、新たな病院運営改革ビジョンでは、独法化によって、人材の確保、活用をより柔軟に、機動的に行っていくということが記されているわけですね。
 先ほども述べたように、行政的医療の提供というのは、今も将来も変わらず、都立病院の重要な役割なんです。
 都立病院は、感染症医療や救急医療など、不採算となるために民間医療機関だけでは対応できない行政医療など、都民に必要な医療を提供し続けなければならないという使命があるわけですが、独法化後、行政的医療を初めとした都立病院の医療はどうなるのか、ここが都民の皆さんが一番心配されているところだと思いますけれども、この将来像について、都の見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 感染症医療や救急医療など、民間の医療機関だけでは対応困難な行政的医療を提供することは都立病院の使命でございまして、その役割は独法化後も変わることはございません。
 今後、超高齢社会の本格化によりまして、医療の質と量が大きく変化することが見込まれる中におきましても、こうした役割を果たしていくためには、都民の医療ニーズに機動的に対応する必要があることから、都立病院と公社病院を一体的に独法化するという方針を昨年度策定したところでございます。
 地方独立行政法人には、知事が議会の議決を経て策定いたします中期目標を通じまして、行政的医療を確実に提供するための指示を行うとともに、採算の確保が困難となる行政的医療などの経費につきまして、現在と同様に都が負担する仕組みがあり、都が求める医療を確実に提供させることができる制度でございます。
 独法化後は、柔軟な人材確保など、独法化のメリットを最大限生かした法人ならではの機動的な運営を行うことで、行政的医療を初めとした質の高い医療を将来にわたって提供してまいります。

○川松委員 今ありましたように、独法化後も、行政的医療を初めとする医療をしっかり提供し続けていくということがわかりました。その役割は独法化後も変わらないんだという力強い答弁がありましたけれども、独法化するメリットというのを生かして、今までの都立病院としての機能の継続だけでなくて、各病院の医療を充実できるように検討を進めていただきたいと思いますし、間違った文言だとか、一部を切り取って批判される方たちがいると、都民の皆さんが心配になるので、今お話があった、役割は独法後も変わらないんだということを、再三、繰り返し力強くお訴えをしていただきたいと思います。
 次のテーマへ行きますが、改めて、都立病院が担うべき役割というのは、行政的医療の提供のほか、地域医療の充実への貢献も欠かせない要素なわけですね。例えば、地域包括ケアシステムの実現に向けた、地域の医療、介護施設との連携などが挙げられます。
 そのためには、都立病院が有する医療資源を生かして地域包括ケアシステムの構築を支援するモデルとなる取り組みを進めることが重要であると私は考えますが、地域の医療を支えて、地域との連携を進めていくには、かかりつけ医や訪問看護ステーションなどさまざまな関係機関と都立病院との迅速な情報共有が不可欠であって、切れ目のない連携を推進するためには、ICTの一層の活用が求められます。
 地域包括ケアシステムの構築を支援するため、都立病院では、ICTを活用してどのような取り組みを行ったのかを伺います。

○西川サービス推進部長 都内におきましては、医療機関同士がICTを活用して診療情報の共有を行うネットワークの運用に向けた取り組みが始まっておりまして、都立病院におきましても、地域医療の充実に貢献していくために、ICTを用いて、関係機関との間で必要な情報を同時に共有することが重要と認識しております。
 都立病院の取り組みといたしましては、現在、大塚病院において、地域の在宅療養関係者と連携して大塚医療ネットワークを運用しております。これは、大塚病院を退院して在宅療養に移行した患者さんをきめ細かくフォローするとともに、患者さんの急変、増悪時に、円滑に大塚病院へ受け入れることを目的としております。
 具体的には、大塚病院と地域医療機関の医師、訪問看護ステーションの看護師、ケアマネジャーなどのさまざまな在宅療養関係者が、セキュリティーの確保された医療介護専用SNSを活用いたしまして、退院後の療養計画や、在宅時の問診や投薬の状況など、患者さんに関する情報を同時に共有しております。
 令和元年度の取り組みといたしましては、病院がネットワークでケアする疾患を拡充するとともに、地区医師会向けの説明会を実施いたしまして、その結果、大塚医療ネットワークに参加する医療機関が十一カ所から十六カ所に増加いたしました。

○川松委員 ありがとうございます。今の大塚医療ネットワークのお話でありましたけれども、都立病院が地域医療に貢献するために、ICTを活用した具体的な取り組みを進めているという事例でありました。
 今後、高齢化が急速に進行する中で、地域医療の充実を支援する取り組みをさらに進めていくには、ICTを活用するだけではなく、都立病院の専門医や認定看護師を地域の医療機関等に派遣して行う診療応援や技術協力なども必要です。独法化後は、このような民間医療機関も含めた人材交流に寄与していくべきであります。
 これから、DXというか、デジタルトランスフォーメーションの話の中で、いろんなことがシステムでどうだという話が出てきますけれども、やっぱり根本は現場です。この大塚医療ネットワークのように、都立病院と地域の関係各機関、そして、患者さんの皆さん方の信頼があってこそ成り立つシステムですから、都立病院の中では、この基本原則を忘れないようにしていただきたいと思います。
 独法化のメリットを生かし、行政的医療を初めとする医療はもちろん、誰もが住みなれた地域で安心して暮らせるよう、地域包括ケアシステムの構築に向け、先導的な役割も果たしていただきたいと思います。
 また、こうした役割を将来にわたって果たし続けるためには、安定的な経営基盤の構築に向け、引き続き経営努力も必要になりますが、きょうのような議論をしますと、行政的医療は社会的使命があるから、数字が合わなくてもいいんじゃないかということを思う方もいるかもしれませんけれども、そうではないんだと。冒頭に申したように、都立病院は黒字になりにくい構造になっています。
 でも、都の直営という枠から外れることになって、独法化の、立ち位置というのが変わってきますけれども、そのメリットを生かして、共同購入の拡充による経費の縮減等、費用対効果を考え、診療に影響のない範囲で、できることは進めていっていただきたいと考えます。
 公立病院の経営というのは、全国においても、大なり小なり、常に議論されているわけです。ですので、都立病院と規模が違うとかいうことではなくて、参考になる事例、参考にならない事例はたくさんありますけれども、よいものはどんどん取り入れて、ここにおられる病院経営本部の幹部職員の皆様だけでなくて、各病院に勤務されるお一人お一人の意識を高めていただきたいということを要望しておきます。
 情報があふれる今や、都立病院が都立病院としてあぐらをかけなくなっている時代であることも明らかです。数字の改善だけでなく、評価される病院像を追い求めていただくよう、強く要望します。
 最後になりますけれども、何よりも大事なのは、都民に必要な医療が確実に提供されることであり、都立病院が将来にわたって都民ニーズに対応した医療を提供し続けられるよう、しっかりと独法化の準備を進めていただきたいということを述べまして、質問を終わります。

○うすい委員 まずは、決算でございますので、経営改善について私からもお伺いをしたいと思います。
 都立病院においては、令和元年度は、本部と各病院がBSC、バランススコアカードによって、財務、患者サービス、人材育成などの多角的な視点で目標を明確化した行動計画の進捗状況について、定期的に意見交換などを行って取り組んでこられたことと思います。
 しかし、経営努力が、採算の確保という点では、先ほどもありましたけれども、なかなか結びつきづらいという面があるのではないかと思います。
 そうした中でも、都立病院は、一般の医療機関では対応が困難とされる、先ほど出た災害医療や感染症医療、そして精神医療などの高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民の皆様に提供することを役割としております。
 その提供に当たっては、予算面では、一定のルールに基づき一般会計からの繰り入れを受けており、令和元年度では三百八十五億円が繰り入れされているところでございます。
 一般会計からの繰入金は、地方公営企業法等に基づいて負担しているものでありますから、そのことについては理解をするわけでございますけれども、一方で、毎年、約四百億円が繰り入れられているということに厳しいお声があることも聞いているところであります。
 そこで、初めに、都立病院では、これまでもさまざまな経営努力をしてきたと思いますが、令和元年度における経営改善の具体的な取り組みについて、その内容を伺います。

○谷田経営企画部長 令和元年度の経営改善の主な取り組みとして、収益確保につきましては、駒込病院、墨東病院、多摩総合医療センターにおいて医師の事務補助者を、それから、大塚病院、駒込病院では、看護補助者を拡充し、診療報酬上の加算の取得を行うほか、各病院において、取得可能な施設基準の届け出を行いまして、これによって一・二億円の診療収入の増加を図りました。
 また、病床利用率の向上を図るため、本部と都立八病院の経営戦略担当の副院長等で構成いたします経営改善推進PTにおきまして、新たな患者の確保を重点テーマとし、地域医療機関との有効な連携策について、外部コンサルタントの知見や各病院の効果的な取り組みを共有し、各病院で実践することで新入院患者等の増加を図りまして、三・六億円の増収を図ったところでございます。
 さらに、医療の高度化に伴いまして、高額な医薬品や診療材料等の費用は増加傾向にございますため、医薬品や診療材料の購入に当たりまして、スケールメリットを生かした共同購入の推進や、購入金額を他施設と比較し価格交渉するなど、購入費用の抑制に努めております。
 今後とも、収益、費用の両面から、経営改善に向け、本部と病院が一体となり、取り組みの一層の推進に努めてまいります。

○うすい委員 最初の答弁にもありましたように、収益を上げるためには、そのためにまた費用をかけていくということもあるということで、いろいろとご苦労されて経営努力をされていることと伺いました。
 病院の運営経費については、人件費などの固定費が大方を占めていると思いますので、経営努力をした成果を即多く生み出すということはなかなか難しい面もあるかと思いますが、それでもやはり、これは積み重ねが大事ですから、引き続きの取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
 次に、先ほど質疑がありましたように、水害の質疑がありました。災害については、地震対策の視点で伺いたいと思います。
 三十年で確率が七〇%といわれている、いつ起こるかわからない首都直下型地震でございますけれども、やはり、そうした災害時に都民が一番頼りにしているのは病院だと思います。その中でも都立病院に対する都民の期待は大きいし、その期待に応えていかなくてはならないと思うわけでございます。
 そこで、地震などの発災時の都立病院における傷病者の受け入れについて、また、その訓練や研修などの内容について伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 都立病院は、それぞれの医療機能に応じて患者を受け入れることになっておりまして、主に区市町村が設置する緊急医療救護所から重症者を受け入れる役割を担うものでございます。
 都立病院では、このような役割を担うために訓練等を行っておりまして、例えば都心部唯一の基幹災害拠点病院であります広尾病院では、昨年度、首都直下地震を想定した総合防災訓練を実施し、他の都立病院から参集する職員や一部の委託業者も参加して行ったものでございます。
 また、災害対応力向上研修を計九回実施し、そのうち五回は出張研修で実施するなど、都内全域の災害拠点病院に対する研修等にも取り組んでおります。
 今後とも、災害時にも都立病院の診療機能を確実に維持できるような必要な訓練等を行ってまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。やはり大事なのは訓練の積み重ねだと思います。あっては困りますけれども、いざ災害時には診療機能が確実に維持できるように、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、がん患者の就労支援について伺いたいと思います。
 現在、国民の二人に一人ががんにかかるといわれております。我が党としても、これまでがん対策をリードしてきたところでございますけれども、都立病院においては、駒込病院のサイバーナイフを初めとして最先端の医療機器を整備するなど、医療体制の強化に取り組んできたわけであります。
 一昨年、私は、平成二十九年度の病院会計決算の審査に当たりまして、都道府県がん診療連携拠点病院である都立駒込病院において、ハローワークと連携のもと、ハローワークの専門相談員が就労を希望する患者に対しまして実施している出張相談について質疑を行い、都立病院においても、がん患者の就労支援の取り組みが進むように要望させていただきました。また、うれしいことに、そうした出張相談が患者の就職に結びついているとのことであります。
 そこで、改めて伺いますが、駒込病院で実施しているハローワークの職員による出張相談について、令和元年度も含めた実績の推移をお伺いしたいと思います。

○西川サービス推進部長 駒込病院は、都道府県がん診療連携拠点病院といたしまして、ハローワークと連携し、長期にわたる療養が必要ながん患者に対する就職支援相談事業を実施しております。
 具体的には、週一回、ハローワークの専門相談員である就職支援ナビゲーターが病院へ出張し、個々の患者の希望する労働条件や治療状況等を踏まえて就労に係る相談に応じますとともに、職業の紹介等に対応しております。
 この出張相談の直近三年間の実績でございますが、平成二十九年度が、相談件数四十件でございまして、そのうち就職につながったものが十四件、同様に平成三十年度は、相談件数四十三件のうち十七件、令和元年度は、相談件数四十二件のうち二十件が就職に結びついております。

○うすい委員 今の答弁によりますと、出張相談により就職された患者さんが徐々にふえており、令和元年度では、相談数の約半数の方が就職できたということであります。
 医療技術の進歩により、以前は入院する必要があった化学療法も、今では通院で治療を受けられるようになりました。こうしたことから、患者が仕事をやめることなく治療を受けることが可能となってきておりまして、収入に関する不安を解消する上でも、患者に対する就労支援の取り組みは、今後、より一層重要になってくると考えております。
 現実に、私が相談を受けた患者さんも、やはり、がんに罹患しても治療を受けながら仕事を続けることができるということは、精神的にも安定しますし、また、希望を持って生活ができるというふうに具体的におっしゃっておりました。
 先日、国立がん研究センターが国の委託を受けて実施した患者体験調査報告書、平成三十年度調査の結果報告書が公表されたところでありますが、この調査は、がん患者の診療体験や療養生活の実態を把握するため、全国のがん診療連携拠点病院等でがんの診断を受けた患者を対象に実施されたものであり、約七千人の回答が分析されております。
 この調査結果によりますと、がんと診断されたときに収入のある仕事をしていた人は四四・二%。そのうち一九・八%が、治療のために退職、また廃業したとありました。
 また、診断時に仕事をしていた人のうち、社内の相談窓口や休暇制度などを利用したと回答されたのは三六・一%となっています。
 さらに、治療を始める前に、就労の継続について病院の医療スタッフから話があったかどうかという設問では、話があったと回答したのは三九・五%にとどまっております。
 病院において、診断時や治療開始前に、治療と仕事の両立を実現するために必要な情報の提供や相談を通じた支援を行うことは、患者の離職防止や、より働きやすい環境づくりにつながりますし、がんを乗り越えて生活していくためにも重要な支援であると考えております。
 さきに質問したハローワークと連携した出張相談は、がん患者の再就職を支援するための取り組みでありますけれども、国立がん研究センターによる調査結果からは、就労を継続するための支援に取り組むことも求められているところであります。
 そこで、都立病院では、就労の継続を支援するため、令和元年度から、社会保険労務士を活用して治療と仕事の両立支援に関する相談を開始したとのことでありますけれども、この相談事業の導入経過についてお伺いをしたいと思います。

○西川サービス推進部長 各都立病院におきましては、医療ソーシャルワーカーを中心といたしまして、がんも含め、さまざまな病気で治療を受ける患者さんやそのご家族からの就労継続に関する相談に対応しております。
 相談に当たりましては、仕事への復帰や退院後の療養生活に対する患者さんの不安を軽減するとともに、傷病手当金の申請や各種の休暇制度の活用について助言をすることが重要でございます。
 しかし、病院職員のみの対応では、傷病手当金などの社会保険制度や就業規則などの労働に関する専門的な知識や情報が不足しているのが実情でございます。
 このため、令和元年度から、全ての都立病院におきまして、労働法規や社会保険制度に関する専門的知見を有する社会保険労務士による治療と仕事の両立支援相談を導入し、その体制の強化を図ってまいりました。
 具体的には、この両立支援相談では、各病院で月一回、各回三名の患者さんに対しまして、一時間程度の個別相談枠を設けて実施するものでございまして、がん診療連携拠点病院に指定されている駒込病院、墨東病院、そして多摩総合医療センターでは平成三十一年四月から、小児総合医療センター及び神経病院では令和元年九月から、また、広尾病院、大塚病院及び松沢病院では本年一月から順次相談を開始いたしました。

○うすい委員 ありがとうございます。
 今、答弁いただきまして、昨年度は開始の初年度でありますから、順次、各病院が相談事業を開始しておりますので、一年間を通じての実績とはなりませんが、令和元年度における相談の実績や相談事例について具体的に伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 令和元年度の社会保険労務士による治療と仕事の両立支援相談の実績は、全都立病院の合計で八十五件でございました。
 相談内容は、傷病手当金や障害年金など社会保険制度に関するものが四十一件で約半数を占めております。また、勤務先の就業規則や休業制度などに関するものが二十五件でございました。
 具体的な相談事例といたしましては、フルタイムでは働けない中での仕事への復帰のタイミングについてご相談がございまして、社会保険労務士が勤務先の制度を確認し、その患者さんの勤続年数によれば、休職中も二年間は給与が支払われるため、焦らず、体調を見ながら職場と相談するよう助言を行った例などがございます。
 また、患者の相談に加えまして、相談枠の一部を活用いたしまして、患者さん、そして、そのご家族への相談事業の周知をするための講座であるとか、職員が就労相談を行うに当たって必要となる知識を得るための勉強会を合わせて三十回開催いたしました。

○うすい委員 ありがとうございます。
 特に働き盛りの世代が病気になった場合、治療に対する不安を抱くと同時に、仕事が続けられるのかどうかといった心配を抱えることになるわけですが、こうした方から、どこに相談すればよいのかわからないといった声も聞こえてくるわけでございます。
 東京都は、AYA世代の方々がそれぞれ悩みを、こういうコロナ禍のときですから、ズームで相談会を開くというようなすばらしいこともこれからやられるということを聞いていますけれども、特に都立病院で治療を受けている患者やその家族にとって、病院内で外部の専門家である社会保険労務士に相談できる機会があることは大変心強いものがあると思います。患者や家族にこの取り組みを知ってもらうよう、一層の周知をぜひ図っていただきたいと思います。
 また、この春以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って、対面による相談が困難になっていると考えています。聞いたところでは、この両立相談も、電話やメールなど工夫して実施をしているとのことでございます。こうした状況下でも、必要なときに必要な相談が受けられるよう、今後は、先ほども申し上げたオンラインによる相談を導入していただいて、患者さんやその家族のためにも寄り添った支援になるよう、一層の充実を図られることを強く要望しまして、次の質問に移ります。
 都立病院では、基礎疾患を有する、いわゆる高齢者など、新型コロナウイルスに感染した際に重症化するリスクが高い患者さんが多くいらっしゃると思いますが、院内での確実な感染予防、感染拡大防止のための対策が本当に重要であると考えております。
 そのためには、感染管理について高い専門性を持った看護師が、医師と連携をしながら取り組みを進めていく必要があると思います。
 日本看護協会では、感染管理の分野において熟練した看護技術と知識を有する者を感染管理認定看護師として認定しております。
 そこで、感染管理認定看護師はどのように取得できるのか、また、都立病院には感染管理認定看護師は何名在籍しているのか、お伺いをしたいと思います。

○谷田経営企画部長 感染管理認定看護師は、看護師として五年以上の実務経験を持ち、大学等の教育機関で日本看護協会が定める教育課程を一年程度履修し、日本看護協会が実施する認定審査に合格することで取得ができるものでございます。
 令和元年度末で、都立病院全体で十五名の感染管理認定看護師が在籍しておりまして、全ての病院に配置されているところでございます。

○うすい委員 ありがとうございます。最前線で新型コロナウイルス患者の治療に当たっている全ての都立病院で、高い専門性を持つ看護師が配置されていることがわかりました。
 それでは、各病院に配置されている感染管理認定看護師は、新型コロナウイルスの感染対策に関して、院内で具体的にどのような活動をされているのか、お伺いしたいと思います。

○谷田経営企画部長 都立病院では、感染管理の認定資格を持つ看護師を専従で一名配置しているところでございます。
 感染対策の院内方針を検討する感染対策委員会において実務面での中心的役割を担うなど、専門的な知識を生かして幅広く活動をしております。
 具体的に申し上げますと、今回の新型コロナウイルスの対応では、施設内を感染領域と非感染領域に分けるゾーニングや、患者動線等の検討、防護服の着脱訓練などの職員教育、院内の巡回等のほか、職員に感染者が発生した際には、影響範囲を特定いたしまして対策を検討するなどの活動を行ってまいりました。

○うすい委員 ありがとうございます。今回の新型コロナウイルスへの対応で都立病院がしっかりと役割を果たせているのは、高い専門性を持つ看護師の活躍もあったからだと思うわけでございます。
 都立病院は、感染症医療のほかにも、高度で専門性の高い医療を都民に提供することが求められており、そのためには、専門分野で高い知識を持つ職員を継続的に育成していくことが必要不可欠であります。
 そこで、都立病院における認定看護師など専門性の高い看護師を育成するための取り組み状況について伺います。

○谷田経営企画部長 都立病院では、各病院の医療機能を踏まえ、がん化学療法や救急看護といった専門分野の認定看護師や専門看護師の資格取得に向けて、教育機関への派遣研修を実施しておりまして、専門分野でリーダー的役割を果たす職員を計画的に育成しております。
 研修生に対して、資格取得までにかかる授業料、認定試験の審査料などの費用や、服務上の支援をすることで、令和元年度末までに、認定看護師は百三十名、専門看護師は二名が資格を取得しております。

○うすい委員 計画的に育成が図られていることがわかりました。今後も、専門性の高い職員を生かしながら、都立病院の医療の質の向上に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、新型コロナウイルスの感染症の対応について伺います。
 本年一月二十四日に都内初の感染者が確認されてから約九カ月がたち、都内ではこれまで、二万九千人を超える陽性者、この数はチャーター機やクルーズ船の患者数は含まれておりませんけれども、二万九千人が確認をされております。感染の流行は、さらに長期化の様相を呈しています。
 こうした中、感染症医療を行政的医療として掲げている都立病院は、その使命を果たすべく、一月末からこれまでの間、コロナとの闘いを最前線で続けてきたと認識しております。
 そこで、令和元年度の都立病院におけるコロナ患者の受け入れ実績についてお伺いしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院においては、一月末から二月上旬にかけて、第一便から第五便に至る中国武漢市からの在留邦人の帰国に当たり、公社病院はもとより、国や東京消防庁などの関係機関と連携し、感染症指定医療機関である駒込病院、墨東病院に加え、多摩総合医療センターも含めて、十五名の体調不良の患者さんを受け入れました。
 その後、三月上旬までの間、横浜港に停泊中のクルーズ船で確認された陽性患者や疑い患者のうち、二十八名の乗客、乗員を受け入れました。
 また、これとあわせて、二月中旬以降は、市中で感染が拡大したことにより、総合病院のみならず、専門病院である神経病院、小児総合医療センター、松沢病院で受け入れを行い、年度末までに、全ての都立病院で合計二百四十一人の患者さんを受け入れました。

○うすい委員 ありがとうございます。新型コロナウイルスの発生初期から、都立病院は、さまざまな場面で発生した患者さんをいち早く受け入れてきたことがわかりました。まさにこうした医療従事者の皆様やエッセンシャルワーカーの方々の力なくして、都民の安心・安全は成り立ちません。
 こうしたいわば混乱した危機的状況の中で、都立病院では、どのように患者受け入れ準備や病床確保を行ったのか、お伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本年一月二十四日は、都内初の感染患者が確認されたことに加え、武漢での感染拡大の中で旧正月の春節が開始となったため、中国からの渡航者などを中心に患者増が見込まれたことから、即日、新型コロナウイルス関連肺炎対策連絡室を立ち上げ、各病院や庁内との連絡、情報収集を行う体制を整備しました。
 その後、チャーター機関連の患者受け入れに際しては、羽田空港で待機している東京消防庁との間でリアルタイムに連絡をとり合い、患者搬送先の調整や、羽田と病院双方の状況報告のほか、各病院の受け入れ可能病床数の共有など、緊密な連携を図ることで円滑に患者を受け入れました。
 各病院では、対応病床や職員の確保に向けた入退院調整等に加え、防護具の着脱訓練や病棟内のゾーニングを初めとした感染管理の徹底など、短時間で必要な体制を整えました。
 こうした取り組みにより、当初は、感染症指定医療機関として一定の体制を保有している駒込、墨東病院の十五床で対応しましたが、クルーズ船や市中での感染拡大に伴い、ほかの六病院のうち、神経、松沢の二病院を除く四病院も含めて、順次、対応病床を確保した結果、年度末時点の対応病床数は合計で百二十一床となりました。

○うすい委員 ありがとうございます。当時は、まだ新型コロナウイルスの特性などについて不明な点が多かったため、現場の医療関係者の皆さんは、大変な緊張感と疲労感を伴いながら対応に当たられていたと思いますが、この難局に一歩も引くことなく対峙してこられたことに、心から敬意と感謝を表したいと思います。
 また、四月以降は病床数を急激に拡大させ、五月には既に、公社病院を含めて八百床を超える病床を確保したと聞いております。
 コロナとの闘いはまだまだ続くと思いますが、引き続き公的医療機関としての役割を果たされていくことを要望し、また期待をして、質問を終わります。ありがとうございました。

○長橋委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩

   午後三時二十分開議

○長橋委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○藤田委員 ことしから国内で流行している新型コロナウイルス感染症への対応に日夜奮闘されている都立病院の職員の皆さんを初め、病院経営本部の皆さんの奮闘に心から敬意を表したいと思います。
 昨年度、都立病院としては、大変大きな出来事が二つ起きた一年だったと思っております。
 一つは、新型コロナウイルス感染症への対応です。これは都立病院だけのことではありませんけれども、都立直営の病院としての役割を非常に発揮したと感じています。
 もう一つは、十二月三日に突如、小池知事が、八つの都立病院と六つの公社病院、合わせて十四病院を一体的に地方独立行政法人へ移行すべく準備を開始すると、本当に突然表明したということです。
 二〇一九年度は、こうした激変の一年であったということから、私からは、都立病院がどのように新型コロナウイルス感染症に対応してきたのかを、病床確保という体制の面と、機材の確保というハードの面から確認したいと思います。
 新型コロナウイルス感染症は、昨年末に中国武漢で、原因不明のウイルス性肺炎として世界で初めて確認されました。その後、一月十六日には国内で初めて患者さんが確認され、さらに、一月末には都内で初めての感染者が確認されました。
 その後、三月までに都内での感染者は五百二十六人報告されておりますが、当時は、全ての方に対して、入院、隔離という対応を行ってきました。
 都内の感染症指定医療機関は十二病院で、病床の数は百十八床となっています。そのうち都立病院は四十床、公社病院四十床ということで、全体の七割を都立病院と公社病院で指定を受けているという状況です。こうした背景から、初めの時期は、感染者は、まず都立病院と公社病院で受け入れてきたという経緯があります。
 さらに、二月、三月は、PCR検査の体制強化が追いついていなかったという状況もありまして、重症化してから診断されるという方が急増していました。そういう患者への対応が必要になった時期が、ことしの三月末ということです。
 この一月から三月という時期に、都立病院がどのような役割を果たしてきたのかを具体的に確認したいと思います。
 初めに、都立病院が新型コロナ感染症の患者さんを受け入れる病床をみずから確保するという意義について伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院は、行政的医療の安定的かつ継続的な提供と地域医療の充実への貢献を役割としておりまして、都の医療政策の一環として、新型コロナウイルス感染症の対応病床を確保してまいりました。

○藤田委員 都の医療政策を進めるための病院をみずから持っているということがとても重要だと思います。
 一月末、中国武漢から帰国する方のうち、空港検疫で発症している方や発症している疑いのある方は、都立病院、公社病院で受け入れてきました。
 当時、都立病院では、あらかじめ何床の病床を確保していたのでしょうか。
 また、四月時点では、コロナ患者さん用の病床は、都立病院全体で何床確保していましたか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中国武漢からの在留邦人の帰国に当たりましては、都立病院におきまして、感染症指定医療機関である駒込病院、墨東病院の合計で十五床を確保していました。
 また、三月末時点においては、都立病院全体で百二十一床を確保しておりました。

○藤田委員 都立病院では、三月末に百二十一床、新型コロナ感染症の患者さんを受け入れるための病床を確保していたということです。その中で、先ほどの質疑でもありましたけれども、二百四十人以上の患者さんを受け入れていたということですから、本当にフル回転の状況だったのではないかなと思います。
 二月、三月の約二カ月間に、都立病院、公社病院で新型コロナ感染症の患者さんの受け入れ体制を急ピッチで整えてきたということです。その後、さらに一カ月で、都立病院で四百四十一床まで拡大してきたということは、さきの厚生委員会の白石都議の質疑でも明らかとなっていますが、いかに機動的に病床を確保してきたかということがよくわかります。
 こうした病床の確保は、急増する新型コロナ感染症患者の命を守るということにとどまらず、都内の医療機関の医療崩壊を抑えるという、二つの重要な役割を都立病院で果たしてきたのだと思っています。
 都内の新型コロナ感染症の患者さんが入院する病床の確保は、都立病院、公社病院以外の公立、公的病院も含めて、全ての医療機関に東京都から病床確保をお願いするという形で行っています。
 それでは、都立病院でのコロナ感染症患者さん用の病床は、各都立病院で病床数を決めているのかどうか、伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院における新型コロナウイルス感染症対応病床の確保に当たりましては、庁内関係局と調整を図るとともに、各病院の機能や役割、保有している施設や設備の状況等を踏まえつつ、都内の感染状況にも対応しながら、都立病院として病床数を確保しました。

○藤田委員 都立病院として、都内の感染状況にも対応させながら病床を確保しているということです。もちろん、現場の状況を踏まえて進めるのですが、お願いという形ではなく、設置者として、みずから調整して決めるというものです。東京都自身が直接運営している都立病院だからこそ、都内全体の感染状況に合わせて、柔軟に病床の確保が行えるということです。
 次に、新型コロナ感染症対応のために購入した機材について伺います。
 分科会資料一八ページの新型コロナウイルス感染症対応のために購入した機材では、全体で約五千万円の医療機器を購入しています。
 これらの機器を購入すべきと判断したのはいつで、実際に購入したのはいつですか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 二月上旬以降に駒込病院などから随時の要望を受けまして、病院経営本部内で検討の結果、緊急に必要と見込まれた機器について、三月下旬に整備したものです。

○藤田委員 購入した機材は、主に、感染症指定医療機関である駒込病院、墨東病院で使用する感染症対策に必要な機材と、重症患者さんの対応に必要な医療機器です。緊急に必要と見込まれたために整備したということです。
 それでは、コロナ対応で年度末に購入した機材のうち、第一回定例会で補正予算を組んでいるものと組んでいないものとがあるのですが、これはどのような違いによるものですか。
 また、補正を組んでいない場合、どう対応したのか、伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年度補正予算案が発表されました二月十八日までの間において、必要と見込まれた採たんブース及び簡易陰圧装置の一部に関しましては、補正予算案に計上して三月下旬に整備しました。
 その後、新型コロナウイルス感染症への対応を各病院において検討する中で、追加で必要になった機器については、令和元年度当初予算の執行残額を用いて三月下旬に整備したものでございます。

○藤田委員 補正予算に計上したものは、可決されたのが三月五日ですので、一カ月未満で整備したということです。また、その後に必要となった機器についても、必要となった時期は二月十八日以降ですが、執行残額、つまり、機器などを買うためにもともとついていた予算の残りで年度内に整備したということです。
 病院経営本部がこの分科会で説明していた決算書によりますと、四二ページ、四三ページの内容ですけれども、昨年度は、約一割、執行残額が発生していましたので、その予算で今回の機材を購入したということです。
 具体的には、分科会資料一八ページにある採たんブースと簡易陰圧装置の一部以外は、全て執行残額で購入をしています。
 ECMOなどは、補正予算が組めなかったとしても購入しているのですが、病院経営本部がこれらの医療機器を執行対応で購入したのは、どのような理由からですか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 執行対応で購入した機器は、新型コロナウイルス感染患者の受け入れがふえる中で、病院における患者さんの受け入れや重症者への対応に必要な機器であり、いずれも令和元年度補正予算案の編成後に整備の必要性が生じたものでございます。
 速やかに整備する必要があったため、令和元年度当初予算案の執行残額により対応したものです。

○藤田委員 速やかに整備する必要があったため、執行対応したということです。補正予算を組んだものと執行対応したものと、どちらも、必要性が出てから二カ月以内で医療現場への整備ができています。
 新型コロナウイルス感染症の対応での機材の購入ということについて、都立病院はとても機動的に対応していると思うのですが、新型コロナウイルスへの対応の中で、都立病院が直営だから困ったということはありますか。あれば具体的にお答えください。

○船尾計画調整担当部長 患者受け入れ体制の強化のための医療機器につきまして、整備の必要性が生じてから導入されるまでに一定の期間がかかったことが挙げられます。
 具体的には、先ほど副委員長もおっしゃっていたような、外来で検査を行うための陰圧対応の採たんブースにつきましては、補正予算により対応することができましたが、予算の議決を経て予算が措置された後に契約手続を開始しなければならないため、必要となってから整備するまで二カ月かかってしまうということで、当初、必要になったときに、すぐ買えなかったというのが事例としてございました。

○藤田委員 時間を要したということですが、速やかに機材を医療現場へと整備することができていると思います。採たんブースについても、今、二カ月とおっしゃっていましたが、約一カ月半で整備できておりました。
 採たんブースを扱っている業者にも話を伺いましたけれども、国の第二次補正予算以前、五月よりも前に受注したものについては、現在は、結構、二カ月以上かかるようなんですけれども、およそ一カ月程度で納品しているということでした。それと比べても、時間を要したから問題だというところまではいえないのではないかと思います。
 そもそも予算の議決は、自治体を民意をもとに民主的に運営していく上での重要な手続です。これだけ迅速に対応できたのに、時間を要したとして問題視するのでは、民主的な手続の意義を軽視しているのではと疑わざるを得ません。
 また、今年度に入ってからも、病院経営本部は、四月十五日までの約二週間で、必要な医療機器や施設整備について検討し、補正予算案を作成しています。そして、その一週間後には議決して、予算を執行していますので、非常に機動的で柔軟な対応を行っていると思います。
 都立病院は東京都が直接運営をしているからこそ、都民への医療の提供に必要となれば、都の責任で補正予算を組んだり、予算の運用で対応したりできるのです。都民の命を最優先に、速やかな対応もできるということです。
 このようにして新型コロナ感染症患者さんの受け入れを行う病床の確保を行ってきたわけですが、そうした対応ができるのも、現場の都立病院で、都民の命に寄り添い、対応している医療従事者の皆さんの奮闘があるからにほかなりません。
 指定感染症の患者さんを受け入れるためには、個室での管理が理想ですが、これだけ患者数が多くなった場合には、部屋や病棟を丸ごと専用病床にして、一般の患者さんが利用する空間へ空気が移動しないようにしなければなりません。
 そうした病床を確保するためには、それまで入院していた患者さんに部屋の移動や退院の協力をお願いしたり、医療スタッフも、感染症対応をする体制へと勤務変更を行ったりしてきました。
 時には、重症のコロナ感染症患者の増加に合わせて、看護師の夜勤体制をそれまでの三人夜勤から五人夜勤へとふやすこともあったと、多摩総合医療センターに視察に行った際に、看護部長からお話を伺いました。その際、看護師を集中させるために、一つの病棟を閉鎖せざるを得なかったとお話をしていました。
 新型コロナ感染症の患者さんへの対応で、医療現場の皆さんは多大な奮闘を行ってきました。しかし、これだけ努力してきた医療従事者の身分を、都の職員という公務員ではなくしてしまうのが、今、東京都が進めている都立病院の地方独立行政法人化です。
 東京都は、三月三十一日に新たな病院運営改革ビジョンを策定していますが、その中には、職員の給与や勤務時間の変更も書かれています。しかし、身分や給与、勤務時間の変更は、現場職員の合意なしには、本来、認められるものではありません。職員は、新型コロナウイルスへの対応で必死に取り組んでいる最中です。
 三月の予算特別委員会で、本部長は、独法化についての職員との意思疎通について、病院現場の実情は十分に踏まえてやらなければいけないと答弁しましたが、具体的には、どう踏まえた対応を行ってきたのですか。

○船尾計画調整担当部長 三月末に、独法化の方針として新たな病院運営改革ビジョンを公表した際、職員に対しましては、新型コロナウイルス感染症を含めた病院全体の状況を総合的に勘案した上で説明を行いました。
 具体的には、ビジョンに基づきまして、独法化について令和四年度内の移行を目途に準備を進めていくことなどを、本部長のメッセージと病院長のメッセージとしてまとめまして、電子カルテや院内のイントラネットの掲示板を活用して周知したところです。

○藤田委員 病院全体の状況を総合的に勘案ということではありましたけれども、行った方法としては、職員が密にならないようにイントラネットで周知という対応でした。
 私が確認したいのは、周知に当たっての感染症対策ということではなくて、新型コロナ感染症の患者さんへの対応に追われている職員の実情をどう踏まえるのかということを伺ったのです。
 もう一度、伺いたいと思いますが、職員の実情をどう踏まえた対応を行ってきたのか、改めてご答弁をお願いいたします。

○船尾計画調整担当部長 説明を行った三月の下旬、三月末という時期ですけれども、おっしゃったとおり、都立病院では、ふえつつありますコロナ患者の対応に当たっておりましたが、もちろん、コロナ以外の、他の医療機関で対応困難な患者さんの受け入れですとか、地域の患者さんの受け入れも行っていた時期でございます。
 また、年度末といいますのは、年度の切りかえ前でありますので、退職する職員も多いですし、四月の異動も控えるなど、平時でも慌ただしい時期であります。
 一方、独法化といいますのは、職員にとって、勤務する病院の運営に関する重要な事項でございますので、こうしたことを総合勘案いたしまして、職員の負担がより少ない方法で説明をしたというのが実情でございます。

○藤田委員 そうはおっしゃっても、独法化の準備は着々と進んでいて、むしろ現場の実情を踏まえているとはいえないと思います。
 新型コロナ感染症の患者さんへの対応に追われる中、時には院内感染なども発生して、職員が何十人も自宅待機となり、ほかのスタッフがカバーしている状況もありました。
 現場からは、コロナ対応に集中させてほしいという声も上がっています。そのような職員に対して、都立病院のあり方が大きく変更される、また、自分自身も公務員でなくなるという重大な問題を職員に考えさせること自体が問題だと思います。
 今は、医療現場も、病院経営本部としても、新型コロナ感染症対応に集中できるようにすることを求めるものです。
 また、ふだんから病床の運用や人員配置についてぎりぎりの状態にしてしまうと、今回のような新興感染症のパンデミックという危機への対応が非常に困難になってしまいます。病床の運用も、職員の定数も、平時からゆとりを持っておくことが重要であるということが、新型コロナ感染症の対応をめぐって明らかになりました。パンデミックなどの危機にも備えた職員定数と医療体制を整えることを求めておきます。
 昨年度は、都立病院がいかに柔軟に感染症への対応を行ってきたのかが、質疑を通じて確認できました。こうした対応が可能となったのは、都立病院が東京都直営であるからだと、改めて指摘したいと思います。
 あわせて、現在進めている地方独立行政法人への移行準備は直ちに中止するよう、強く求めまして、質問を終わります。

○藤井委員 まず、新型コロナウイルスの感染症の関連についてお伺いをしたいと思います。
 都立病院の経営に対する影響について伺いたいと思いますが、令和元年度の決算の関連で申しますと、一月から三月は、チャーター機やクルーズ船がやってきて、緊急事態宣言を発出する直前の時期まででありまして、決算という観点でいうと、期間としては限られているわけでありますが、新型コロナ以外の患者数等も減少するというような影響があったものと思われます。
 そこで、感染者急増による外出自粛が始まった令和二年三月の実績についてお伺いをいたします。

○谷田経営企画部長 令和二年三月の診療実績でございますが、患者数については、延べ入院患者数は十一万四千八百五十二人と、前年同月と比べまして五・四%の減、延べ外来患者数は十五万三千三人と、前年同月と比べ八・二%の減、救急患者数は九千五百二十五人で、前年同月と比べまして二一・九%の減、中央手術室を用いました手術件数は三千百二十三件と、前年同月と比べて〇・四%の減でございまして、いずれも前年同月と比べますと減少しております。
 これらの診療実績の減によりまして、入院及び外来収益の合計は、前年同月と比べ、〇・四億円、率にいたしまして〇・四%の減少となったところでございます。

○藤井委員 今、ご答弁がありましたけれども、外来患者が約一割、救急患者に至っては二割程度の減少だったということでございまして、これはステイホームの影響がかなり出たのかなと、特に救急なんかは、その影響が出たのかなと思うわけであります。
 コロナの患者さんを受け入れているという情報は、都立病院としても発表されていたと思いますし、インターネットを調べれば、簡単にそういった情報は出回る時代であります。病院へ行くと感染するのではないかという不安があったり、感染リスク軽減の観点から病院への受診控えが生じているという話も伺うところであります。
 受診の必要があれば、これは必要以上に怖がらないで受診をしてくださいとアナウンスをするようなことも、やっぱり都立病院の重要な役割であるのかなと思いますけれども、その点についてはどのような対応をされていらっしゃったのでしょうか。

○谷田経営企画部長 新型コロナウイルスは未知のウイルスでございまして、受け入れ病院での受診に不安を感じる患者もいると想定し、病院経営本部や該当の病院のホームページにおいて、受け入れを開始した令和二年一月以降、陰圧室の整備や専門の医療スタッフの存在など、感染症対策に万全を期している旨を伝え、マスク着用などの標準予防策の実施により、安心して来院できることを周知しております。
 今後とも、患者さんが安心できるような情報の発信に努めてまいります。

○藤井委員 病院としては、きちっとご対応されていたというご答弁であったと思います。
 病院側が、もっと入院してくださいとか通院してくださいと、わざわざいうのも変な話なのかもしれませんけれども、患者さんが必要な受診まで控えるということになってしまいますと、健康を損ないかねないとも考えられます。ぜひ今後とも、まだこの不安というものは払拭されていないと思いますので、今年度において適切な対応を継続的に行っていただきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症を含む感染症医療は、いわゆる行政的医療であります。救急、精神、難病等、なかなか民間の病院の経営の採算ベースには乗りづらいけれども、社会的、公共的な観点から必要な医療サービスを提供する都立病院の役割があろうかと思っていますが、それこそが行政的医療だというふうに思います。
 そのための経費として、先ほど来、ご議論があったと思いますけれども、例年、四百億円弱の一般会計からの繰り入れがあるということであります。
 一般会計繰入金への、今回の令和元年度における影響についてどのように分析をされているのか、お伺いをしたいと思います。

○谷田経営企画部長 令和元年度の一般会計繰入金は、全体で約三百八十五億円でございまして、前年度の平成三十年度と比べ、約六億円増加いたしました。
 このうち感染症医療につきましては、感染症医療の提供に要した給与費や材料費等の関係費用から入院、外来収益等の関係収入を差し引いた約五億円を一般会計から繰り入れておりまして、前年度と比較いたしますと、一億円の増額となっております。
 これは、感染症指定医療機関である駒込病院、墨東病院において、新型コロナウイルス感染症の対応に必要となるプラスチックガウンやマスクの購入、感染廃棄物の処理量の増加等により、感染症医療に要する費用が増加したためでございます。
 今後とも、一般会計繰入金の適切な受け入れに努めてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。繰入金については、昨年度と比べて、約一億円増額をしたということであります。四月以降も、新型コロナの影響というのはより大きくなっていると思いますので、引き続き、適切に一般会計に対する、繰り入れというものを、都民の生命と健康を守るという観点から、その使命を果たすという観点からやっていっていただきたいと思います。
 他方で、この四百億円弱という都税投入というものに対して、何か、通常の一般の大学病院等の民間病院であれば、普通に、当たり前に行うべき経営努力を怠った結果として、この税金が投入されているんじゃないかと。都民の人たちから見ると、なかなかわからない点もあると思うんですね。ぜひこの点は、しっかり説明責任を果たしていただきたいと思います。
 そして、さらなる経営改善というものに努めていただきたいと思うわけでありますが、その観点に基づいて、次に、令和元年度の決算数値についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 営業損益であります医業収支は、平成二十七年度のマイナスの百六十一億円から、マイナス百七十九、マイナス百九十四、マイナス百九十、そして、令和元年度にはマイナス二百一億円と、年々、赤字幅が拡大をしている状況であります。
 当該年度の経営状況をあらわす経常損益におきましても、同じく平成二十七年度の、これは黒字だったのですが、プラスの三億円から、マイナスの七億円、マイナスの二十億円、マイナス三十億円、そして、令和元年度にはマイナスの四十二億円ということで、年々、拡大をしている状況であります。
 そして、令和元年度末での利益剰余金は七億八千万円の欠損金ということでありまして、これは公営企業ですから、民間の企業とは当然違うものだと思いますが、民間企業であれば、欠損金が出るというのは相当厳しい話であるとも思います。
 さらに、当年度においては、新型コロナウイルスの影響によって、さらに厳しい数字になるということは容易に想定されるところであります。
 都立病院という性格上、行政的医療を担っていただいていますので、赤字だから直ちにだめだとか、そんなことをいうつもりは私は決してありませんが、一方では、公営企業ということでありますので、独立採算が原則であるというふうに思います。
 財務面も含めて、一定の経営改善が必要だと思いますけれども、その現状認識と改善策についてお伺いをしたいと思います。

○谷田経営企画部長 ただいま委員からお話がありましたとおり、令和元年度の決算につきましては経常損失を計上することとなりました。新型コロナウイルス感染症への対応や五月の十連休中の診療体制の確保、消費税率の引き上げなど、病院経営には厳しい状況でございましたが、経営改善に向けたさまざまな取り組みを実施したことにより、自己収支比率は七四・八%となりました。
 これは、過去十年間の実績と比較しても、決して低い水準ではございませんが、今後とも持続的に病院運営を行っていくためには、さらなる経営改善が必要なものと認識しております。
 引き続き、新たな施設基準の取得、手術件数の増加、新入院患者の確保等により収益を改善するとともに、医薬品や診療材料の共同購入の推進など費用を節減いたしまして、経営改善の一層の推進を図ってまいります。

○藤井委員 今、ご答弁がありましたとおり、自己収支比率は七四・八%ということでございまして、多分、当年度においては、これはまだわかりませんけれども、さらに厳しい数字が出てくるのかなと私は思っています。想定をしていなきゃいけないなと思っていますので、これは、経営をさらにしっかり、厳しく見ていっていただきたいなということを改めて申し上げたいと思います。
 病院経営は、まさに基盤を強化していくということが重要な課題であると思います。その上で、独立行政法人化についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 東京都は、新たな病院運営改革ビジョンを策定して、令和四年度において、都立病院、そして公社病院ともに、一体的に独立行政法人化を図っていく、準備を進めていると伺っております。
 そして、都立病院は、都民の健康、命を守るという重要な役割を果たしておりますけれども、その医療提供体制は、医師や看護師さんなどの多様な医療人材によって支えられていると。そして、この医療サービスをさらに充実させるためには、多様な専門人材を確保する、環境を整えていくということが重要かと思っています。
 独立行政法人化でありますが、これはあくまでも、医療サービス、病院におけるサービスを維持向上させる、そのための独法化だというふうに理解をしているわけでありますけれども、人材の確保、そして活用の面で、独法のどのようなメリットを生かして医療を充実させていくのか、見解をお伺いします。

○船尾計画調整担当部長 病院現場は、医師や看護師など多様な人材に支えられておりまして、効果的な人材の確保や活用が医療の質の向上につながってまいります。
 このため、医療ニーズの変化に対応した機動的な人材確保や、職員が能力を発揮できる勤務環境の整備が重要と考えております。
 こうしたことから、昨年度、独法化の方針を策定したところでございます。
 地方独立行政法人は、自治体としての予算単年度主義や定数管理に縛られずに、中期計画の期間において予算執行を弾力化していくことが可能になりますことから、各病院現場の医療課題に対応して、タイムリーに必要な人材を確保することができます。
 また、病院現場の実情に即した法人独自の制度構築が可能となりますことから、専門性を反映した人事給与制度や、育児と仕事、研究と仕事等の両立など、さまざまなニーズに対応できる勤務制度の構築などによりまして、働きやすく、働きがいのある環境を整備することができるものでございます。
 こうした独法化のメリットを最大限生かしまして、必要な人材の確保、活用を図り、都民ニーズに迅速、柔軟に対応して、質の高い医療を提供することで患者サービスを向上させてまいりたいと思っております。

○藤井委員 独法化のメリットについてご答弁いただきました。答弁を伺っていて、まだまだ抽象的といったらちょっと失礼ですが、今、検討中ですので、これから具体化していくという話なんだろうと思いますけれども、抽象的というか、そういう答弁ということではなくて、ぜひ具体的に、こういう人材が欲しいとか、こういった都立病院、大学病院等民間の病院にはない病院像をしっかり示していくんだというようなものとも関連をさせる中で、独立行政法人化というものの位置づけというものをしっかりとやっていってほしいなということを要望したいと思います。
 都立病院においては、地域医療の充実というのが新たな役割としてあろうかと思います。地域包括ケアに取り組んでいただいている各市区町村、そして地域に対して、都立病院が持つ医療資源をどうやって提供していくか、活用していくのか、こういう視点も本当に重要かなというふうに思っています。
 その点、独立行政法人化を進めていく際に、医療人材を活用しやすいというような話もあったかと思いますが、地域医療を充実させていくという観点でどのようなことを考えておられるのか、答弁を伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 現在の都立病院は、地方公務員法によりまして、民間の医療機関等での勤務に制約がございますが、地方独立行政法人は、法人独自の人事制度を構築することで、一定のルールのもと、民間医療機関などへの柔軟な人材の派遣や人材交流が可能となります。
 このため、地域ニーズに応じまして、例えば、法人の医師を地域の公的病院等に派遣して診療応援を行うことで、患者さんが身近な地域で専門的な医療を受けられる環境づくりに貢献をしていきますし、また、看護師が民間の訪問看護ステーション等と人材交流をしまして技術協力を行うことで、地域で安心して療養生活を行うことのできるよう支援していくこととしております。

○藤井委員 法人の医師を地域の公的な病院に派遣する等々の応援をするという、これを検討されているということでありますが、ご答弁がありました。
 今回、コロナ禍において、私も病院の先生から、非常に医療の現場も疲弊している、本当に忙しい病院は忙しくて、一方で、受診控えが起こっていて、忙しくないとはいわないですけれども、そうでもない病院があるという中で、何とか東京全体で、医療全体の中で融通するようなことも考えてほしいと、こういうこともご意見でいただいてまいりました。
 もとより都立病院は、そういった公域的な役割も担う、こういう立場だと私は思いますので、医療の人材を融通していくような、こういった役割もぜひ期待しておりますので、今後の独法化の議論とも関連をする中で、しっかりそういった議論を深めていっていただきたいなと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。

○伊藤委員 それでは、まず都立病院の経営状況について伺います。
 都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関との密接な連携を通じて良質な医療サービスの確保を図ることを基本的役割としているとのことでした。
 都立八病院における昨年度の実績は、病床数合計約五千床で、入院患者は一日当たり約三千八百人、外来患者は約六千五百人となっています。その結果、昨年度決算における自己収支比率は七四・八%となっており、過去五年間は同程度で推移しておりますが、中期計画の目標では、令和元年は七七・八%となっていました。
 それでは、昨年度の自己収支比率についてどのように評価しているのか、伺います。

○谷田経営企画部長 自己収支比率は、みずからの診療収益などでどの程度まで費用が賄えているかを把握する指標でございます。一般会計繰入金を受け入れて行政的医療を提供している都立病院においては重要な指標でございます。
 令和元年度の自己収支比率は、お話がありました七四・八%でございまして、都立病院新改革実行プラン二〇一八で掲げる目標には三・〇ポイント届いておりませんが、これは、入院患者数が目標の八六%、外来患者数が目標の九〇%と、患者数が目標に到達しなかったことが主な要因であると考えております。
 昨年度の自己収支比率につきましては、過去十年間の実績と比較しても、決して低い水準ではございませんが、今後、いかなる状況においても持続的に病院運営を行っていくためには、さらなる経営改善が必要なものと認識してございます。

○伊藤委員 自己収支比率は目標に到達しなかったものの、過去と比較しても低くない水準ということでありました。
 次に、平成二十七年度から昨年度までの過去五年間の病床利用率と平均在院日数を見ますと、利用率は、八一・八%から七六・九%へと四・九%の減少となり、また、在院日数も、十六・九日から十四・九日へ二日間減少しています。
 この在院日数と利用率の減少の理由と、それに対する評価についても伺います。

○谷田経営企画部長 まず、平均在院日数の減につきましては、医療機能の分化、それから連携の推進、医療費適正化の観点から、近年の診療報酬改定におきまして入院期間を短くするよう誘導されていることが、また、病床利用率の減少につきましては、平均在院日数が短くなってきていることが主な要因でございます。
 この状況を踏まえまして、平均在院日数については、こうした短縮化の傾向を踏まえ、医療の標準化を図り、一層の適正化を図っていくべきものとして、また、病床利用率につきましては、施設、設備等医療資源の有効活用の観点からも改善が必要なものと認識しているところでございます。

○伊藤委員 昨年度決算における自己収支比率や、平均在院日数及び病床利用率の評価やその理由などを確認いたしました。
 それでは、これらの決算の結果を踏まえ、都立病院の経営にどのように取り組むのか、伺います。

○谷田経営企画部長 病床利用率が低下傾向にあることが経営上の課題の一つであると認識しておりまして、その改善を図るためには、新たな入院患者を積極的に受け入れていくことが必要となります。
 このため、都立病院では、令和元年度の経営改善の重点テーマを新たな患者の確保といたしまして、地域の医療機関からの紹介患者をふやしていけるよう、医療連携の強化に向けた検討を行い、各病院で取り組みを推進いたしました。
 こうした取り組みの効果もありまして、令和元年度の新入院患者数は九万二千九百八十一人と、前年度と比較しまして九百二十八人、平成二十七年度と比較しますと四千五百四十九人増加いたしました。
 また、患者に選ばれる都立病院を目指し、患者と医療者の仲介に入り対話を推進する医療メディエーターの育成や、患者、家族への相談支援体制の強化など、患者サービスの質の向上を図っております。
 今後とも、医療連携の推進や患者サービスの向上により、新たな入院患者の確保を図るとともに、引き続き費用の節減にも努めまして、経営基盤強化への取り組みを進めてまいります。

○伊藤委員 救急や小児など、不採算医療にも取り組む都立病院のあるべき役割を踏まえますと、経営のかじ取りも厳しいものがありますが、経営基盤の強化には、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 次に、感染症対策について伺います。
 都立病院新改革実行プラン二〇一八は、今後の都立病院が果たすべき役割や、持続可能な病院運営を実現するための道筋を明らかにするための新たな改革を示す中期計画と位置づけられ、計画期間は平成三十年度から六年間となっています。
 現在、新型コロナウイルス感染症への対応が都政の最重要課題でありますが、本委員会は昨年度の決算審議となりますので、三月までのコロナへの対応までしか取り上げることはできませんが、実行プラン二〇一八においても、感染症対策についての取り組みが示されていましたので、その点から確認します。
 コロナ以前からも、新型インフルエンザやエボラ出血熱など感染症に対する懸念は、都としても認識していたものと考えます。
 それでは、これまで感染症対策に対してどのような取り組みや準備を行ってきたのか、伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第一種感染症指定医療機関に指定されている駒込病院、墨東病院においては、患者さんを安全に受け入れるための施設、設備の整備を初め、各種訓練の実施や防護具の備蓄、患者対応手順等の策定により、平時からエボラ出血熱を初めとする一類感染症患者などの発生に備えてきたところです。この二病院では、感染症指定病床を合わせて四十床確保しています。
 また、第一種、第二種感染症指定病床を補完し、病室またはフロア全体の陰圧管理が可能な感染症緊急対応病床を、この二病院のほか、多摩総合医療センター、小児総合医療センターも含めて、合計二百八十一床を整備しています。
 訓練については、院内における防護具の着脱訓練のほか、保健所や地域医療機関等の関係機関と連携し、一類感染症患者の受け入れ訓練も実施しています。
 また、全ての都立病院を対象に、新型インフルエンザやエボラ出血熱の流行、蔓延に備え、防護服や手袋、マスクなどの防護具の備蓄を進めてきています。
 同時に、全ての都立病院では、新型インフルエンザに対応したBCPや対応マニュアルを作成しており、患者発生時に適切かつ円滑に対応できるよう対策を講じてきました。

○伊藤委員 感染症対策については、都立病院が取り組む方向性として、海外で流行している新興、再興感染症に対応できるよう、保健所等関係機関との情報共有、連携を推進し、患者の円滑な受け入れや適切な治療につなげていくこと、また、BCPに基づく定期的な訓練の実施と検証、さらに、医薬品や防護服などの必要な資器材の充実を図るとなっており、これらは、今回の新型コロナ拡大に際しても、的確な見立てであったと考えます。
 それでは、これらの方向性に基づき進めてきた施策は、新型コロナの流行初期にどのように生かされたのかも伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 一月末から二月末ごろまでの流行初期段階におきましては、専用の施設、設備を保有しており、高度な感染管理や円滑な患者受け入れ体制を有している感染症指定医療機関の二病院のほか、陰圧管理が可能な結核病床や感染症緊急対応病床を有している多摩総合医療センターを加えた三病院を中心に、チャーター機やクルーズ船等の患者を受け入れました。
 三病院以外においても、これまでの間、BCPやマニュアル類を策定し、患者受け入れ訓練を実施してきたことから、三月以降の感染の広がりに際しては、各病院が必要な体制を整備することで、順次、患者を受け入れました。
 また、感染者数の急増に伴う防護具の緊急かつ大量の需要に対しては、各病院からの請求に基づき、これまで備蓄した在庫から供給することで、患者の受け入れや職員の安全管理を円滑に進めてまいりました。

○伊藤委員 感染症への対応や準備を事前から行っていても、新型コロナへの対応は厳しいものがありました。現場のご苦労は大変なものがあるでしょうが、新たな感染症への備えの意味でも、不断の努力を続けていただきたいと要望しておきます。
 続いて、精神科医療における松沢病院の役割や実績について伺います。
 平成二十九年のデータで、精神科医療の利用状況は、全国で患者数約四百二十万人、そのうち約三百九十万人が外来を利用し、特に認知症と鬱病などの気分障害の増加が顕著であります。
 また、その一方で、薬物療法の進歩などにより、入院患者数は減少傾向であるようです。
 また、東京都の精神科医療の特徴は、措置入院患者の多さや医師確保の困難さなど、他の道府県とは、さまざまな背景が異なるとも聞いています。
 さて、都内に精神科病院は百八施設ありますが、松沢病院は、百四十年もの歴史がある、都立で唯一の精神科に特化した病院であり、昨年度実績を見ますと、延べ入院患者数は約二十四万人、延べ外来患者数は約十三万人となっています。
 私も、二年ほど前に視察させていただきました。東京都の精神疾患に対応する拠点として、統合失調症を初め、アルコール等に代表される物質依存など、ハードな精神科患者を、東京都全域のみならず全国から受け入れていることや、民間の医療機関の要請を断らないなど、東京都の精神科医療の最後のとりでとしての役割を果たしていることを実感しました。
 それでは、松沢病院は、都内の精神科医療にどのような役割を果たしているのか、伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 松沢病院は、精神科急性期医療を中心に、精神科救急医療を初め、精神科身体合併症医療、薬物、アルコール依存症等の精神科特殊医療に対応するとともに、他の医療機関や保健福祉施設等と密接な連携を推進しています。
 令和元年度は、警察官通報に基づく精神科緊急医療については、松沢病院が都内の緊急措置入院患者の約三五%に当たる二百七十九件を受け入れています。
 また、精神科と一般診療科の連携が不可欠である精神科身体合併症医療については、松沢病院が都内全体の約三四%に当たる二百五十七件を受け入れています。身体症状に加え、精神疾患による不穏、興奮等の症状により一般の医療機関での対応が困難な患者さんを、関係する診療科が連携することで積極的に受け入れるなど、都における精神科医療の拠点としての役割を果たしております。

○伊藤委員 ご答弁ありがとうございました。
 さて、都内の精神科医療は、公立医療機関だけでなく、多くの民間医療機関にも支えられています。民間精神科病院で構成する東京精神科病院協会は、都内六十六病院で構成されており、精神保健の向上を図るため、精神医療の発展を図るとともに、社会に寄与することを目的とし、さまざまな事業を展開しているそうです。
 よって、都立と民間との役割分担と連携を深めることで、都民の精神科医療の向上に資すると考えますが、松沢病院ではどのような取り組みを行っているのか、伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 松沢病院は、地域に根差した開かれた精神科病院として、民間の精神科医療機関をバックアップするとともに、松沢病院が有する医療資源を活用することで、地域の精神科医療の水準向上に貢献することを役割の一つとしています。
 具体的には、患者の円滑な地域移行に向け、精神科のソーシャルワーカー等を中心とした地域医療機関や行政機関、社会復帰施設との連絡会を開催し、精神障害者への地域支援等に関する講演会やグループワーク、情報共有などを行うことで、密接な連携体制の構築に努めております。
 また、松沢病院は認知症疾患医療センターに指定されていることから、区西南部二次保健医療圏における認知症医療の拠点として、かかりつけ医や訪問看護ステーション看護師などに対する研修や講演会などにも取り組んでおります。
 さらに、地域のかかりつけ医が松沢病院で外来診療や入院診療を担当することで、多くの症例に触れていただくとともに、MRIやCTなどの検査機器を活用していただくことで、地域の精神科医師の技術向上にも貢献しております。

○伊藤委員 ありがとうございました。
 さて、松沢病院の昨年度の自己収支比率は五二・三%と、都立病院では最低となっています。こうした状況を見ると、経営改善への取り組みも常に必要なことですが、民間病院では取り組めない不採算医療や、また、民間医療機関との役割分担にこそ大きな存在価値があるとも考えます。
 民間医療機関から松沢病院に対する期待は、先ほどご答弁にもありましたが、困難な精神科身体合併症医療への対応など、東京都の精神科の最後のとりでになってほしいとのことです。
 それでは、松沢病院に求められる行政的医療を確実に提供するために、今後どのように取り組むのか、伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 松沢病院はこれまでも、都における精神科医療の拠点として、専門性の高い精神科医療を提供するとともに、地域医療機関では対応困難な患者の受け入れを行うことで、地域の精神科医療のセーフティーネットとしての役割を担ってきたと認識しております。
 とりわけ、地域からのニーズが高い精神科身体合併症医療については、引き続き松沢病院が積極的に受け入れるとともに、患者さんの状況に応じて地域医療機関等への移行を推進させる一方で、その後の急変や増悪時にも松沢病院がいち早く受け入れることで、地域の身体合併症医療のさらなる充実に寄与していきます。
 また、松沢病院が有する高い専門性や知見を生かし、地域の求めに応じて地域医療機関への技術支援や人材育成を積極的に行うことで、地域の精神科医療の底上げにも貢献しており、今後も松沢病院の役割を確実に果たしていきます。

○伊藤委員 地域医療に盛り込むべき疾病としては、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に精神疾患を加えて五大疾病となっており、職場での鬱病や、高齢化に伴う認知症患者数が年々増加する中、今後とも東京の精神科医療の充実を図っていただくことは極めて重要であることを指摘し、質問を終わります。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二十一分散会

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