令和元年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

令和二年十月二十一日(水曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長長橋 桂一君
副委員長藤田りょうこ君
副委員長川松真一朗君
副委員長鈴木 邦和君
藤井とものり君
うすい浩一君
伊藤しょうこう君
とくとめ道信君
鳥居こうすけ君
後藤 なみ君
木下ふみこ君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長浜 佳葉子君
技監相場 淳司君
理事総務部長事務取扱岡安 雅人君
職員部長石井 英男君
経理部長金子 光博君
サービス推進部長金子 弘文君
浄水部長特命担当部長兼務尾根田 勝君
給水部長藤村 和彦君
建設部長田中 慎一君
経営改革推進担当部長鈴木美奈子君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務清水 英彦君
設備担当部長岩崎 恭士君
多摩水道改革推進本部本部長鈴木  勝君
調整部長小山 伸樹君
施設部長今井  滋君
技術調整担当部長松田 信夫君

本日の会議に付した事件
令和元年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・令和元年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・令和元年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)

○長橋委員長 ただいまから令和元年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、令和元年度決算の審査から逸脱しないよう行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 初めに、水道局長から、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員の紹介があります。

○浜水道局長 所用のため、過日の分科会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介申し上げます。
 設備担当部長の岩崎恭士でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○長橋委員長 紹介は終わりました。

○長橋委員長 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都水道事業会計決算及び令和元年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岡安理事 さきの分科会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。水需要予測と実績の推移でございます。
 将来の水道需要の見通しと、平成二十七年度から令和元年度までの一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。八ッ場ダム建設事業費に係る東京都の負担の推移でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの八ッ場ダム建設に係る総事業費、都の負担額、そのうち水道局の負担額及びそのほかの負担額の推移をお示ししてございます。
 三ページをごらんください。多摩川水系、利根川、荒川水系の年間取水量の推移でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの多摩川水系及び利根川、荒川水系の年間取水量をそれぞれお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。各浄水場等における自然エネルギー等による発電状況でございます。
 浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備について、それぞれの設置年度、発電規模及び令和元年度の発電実績をお示ししてございます。
 五ページをごらんください。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
 東京水道施設整備マスタープラン及び東京水道経営プラン二〇一六の二つの計画における計画期間、目標年次及び計画値並びに令和元年度の耐震継ぎ手率の実績値をそれぞれお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。水道管路の布設年度別管理延長でございます。
 配水本管及び配水小管の布設年度別の管理延長を、一定期間ごとに区切ってお示ししてございます。
 七ページをごらんください。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。政策連携団体への委託料及び主な委託内容でございます。
 東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCの二つの政策連携団体につきまして、令和元年度の委託料及び主な委託内容をそれぞれお示ししてございます。
 九ページをごらんください。国際貢献の新たな取り組みに関する海外出張に要した経費の一覧でございます。
 令和元年度における海外出張に要した経費を、出張先の国名とともにお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。水道料金の減免実績でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの減免額と減免件数について、その内訳と合計をお示ししてございます。
 一一ページをごらんください。災害時の職員派遣実績でございます。
 過去十年間に発生した災害について、災害名、派遣時期、派遣人数、災害規模をお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。平成三十年度及び令和元年度の月別使用水量と調定金額の実績をお示ししてございます。
 一三ページをごらんください。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う水道料金の支払い猶予件数でございます。
 期間中に受け付けた支払い猶予の件数を口径別にお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。政令指定都市等における浸水被害等に関する水道料金の減免の実施状況をお示ししてございます。
 減免を実施している自治体ごとに、減免の対象者及び減免の実施内容をお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 それでは、私から、初めに避難所の給水管の耐震化について伺います。
 震災の発生時に多くの住民の方々が避難所に避難されると思いますけれども、その避難所への供給ルートとして、配水管、そして給水管の耐震化を進めていくことは非常に重要であります。
 私自身も、もう九年前になりますけれども、東日本大震災のときに東北の沿岸部に支援に何度も入っていまして、一度、チームで確保していた水が切れてしまったことがあって、非常に怖い思いをいたしました。結局、何十キロも飛ばして、当時開設していたコンビニに行って水を確保したのですけれども、あのとき、本当に水がないと、やっぱり命にかかわるなという思いを初めてしまして、そのぐらい、震災時において水を確保するということは極めて大事だと思っております。
 水道局では、令和元年度までを事業期間として避難所の給水管の耐震化を進めて、そして、あわせて避難所の敷地内への応急給水栓の設置を進めてきました。この応急給水栓と、区市町村に配布をしている資器材を災害時にも利用することで、迅速に応急給水ができるということになっております。
 そこでまず、令和元年度までの給水管の耐震化及び応急給水栓の設置の実施状況について伺います。

○藤村給水部長 避難所給水管の耐震化は、令和元年度末までに二千二百六十七施設、九七%の整備を完了しております。
 また、応急給水栓の設置は、令和元年度末までに千八百八十四施設、九一%の整備を完了しております。

○鈴木委員 これ、令和元年度までが、一応、事業期間だったのですけれども、現時点で避難所給水管の耐震化は九七%、そして、残る三%が未整備、応急給水栓については、九一%整備して、九%が未整備ということでした。
 この工事ですけれども、当然、区市町村、あとは、主に施設管理者で学校になると思いますが、やっぱり相手方との調整が必要なので、なかなか水道局さん単独で決められるものではないと思いますけれども、それでも、やはり震災の備えとして、できるだけ速やかに整備を完了していただきたいと思いますけれども、見解を伺います。

○藤村給水部長 避難所給水管の耐震化や応急給水栓の設置は、小中学校などの施設管理者と工事時期を調整し、現地調査の結果に基づき実施しております。
 しかし、工事時期が休日や夏休みなどに限定される施工が困難な施設や、ガス管など埋設物が近接しており、施工が困難な施設がありました。
 その結果、令和元年度末時点で、避難所給水管の耐震化は五十九施設、応急給水栓の設置は百七十九施設が未整備となっています。
 このため、今年度末までに全ての施設で整備が完了できるよう、施設管理者の要望に即した工事時期の確保や、他の埋設物の影響がない箇所への設置位置変更など、調整を進めてまいります。

○鈴木委員 今、ご答弁で、今年度末までに全ての施設で整備が完了できるよう調整を進めるという、非常に大事なご答弁があったと思います。
 あわせて、水道局で配水管の耐震継ぎ手化も進めていると思いますけれども、これもぜひ着実に取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、国内貢献についてです。
 水道局では、平成二十九年から国内貢献、国内にある水道事業体のさまざまな課題を解決するサポートをするための首都圏水道事業体支援事業、ごめんなさい、ちょっと難しいのですけれども、これを開始いたしまして、横浜市と川崎市と共同で最初に取り組みを始められたと。
 さらに、令和元年からは神奈川県も加わって、関東地区の各水道事業体に対して、さまざまなアドバイスをしていただいているということです。
 そこでまず、この首都圏水道事業体支援事業の令和元年度の取り組み状況を伺います。

○小山調整部長 首都圏水道事業体支援事業は、公益社団法人日本水道協会関東地方支部の事業として、平成二十九年度から実施いたしております。
 実施内容としましては、公民連携や水道事業包括委託、水道事業の一元化などについて、経験を有する事業体が、支部に加入する他事業体からの要請に基づきまして、研修講師の派遣や技術支援などを行っております。
 令和元年度の実績は七件でございまして、このうち当局は、水道事業の一元化や、水質及び危機管理に関する研修に講師を派遣するなど、都内、埼玉県、山梨県内の事業体に三件の支援を実施しております。

○鈴木委員 きょう、私、何でこの事業のことをお伺いしたかと申しますと、やはり国内の水道事業、これから非常に大きな課題に直面をしていくと思います。当然、将来的には人口が減少していく、さらに、現場で水道事業のさまざまな部分を担っていただいている事業者の人材も不足していく、さらに、老朽化した水道管を更新していくにも、物すごい費用がかかりますと。
 やっぱり一番大きいのは、多くの全国の市町村は単独で水道事業を行っていますので、小さい規模で水道事業をやっているということで、非常に経営基盤が弱いと思います。こういうさまざまな課題を全国の水道事業は今抱えていると。
 その中で、平成三十年に水道法が改正されて、より水道事業を広域的に、一元的にやっていきましょうという、ほかにも官民連携とか、いろいろなテーマはありますけれども、そういう趣旨で法改正がなされました。このときに、東京都の役割は、私は非常に大きいと思っています。
 なぜかと申しますと、東京都では、本当に早くから水道の一元化、広域化というのにも取り組んできた実績を持っているわけです。これは、全国に類がない規模の一元化をこれまで進めてきて、実現をしてきた実績を持っております。この実例というのは、ぜひ全国の水道事業体の皆さんと共有していただいて、全国の広域化、一元化、ひいては水道事業の安定的な運営にぜひ寄与をしていただきたいと思っております。
 そこで、早くから都が取り組んできた一元化の効果、ちょっとお伺いしたいと思いますが、どの程度あったかと認識しているのか、伺います。

○小山調整部長 都営水道への一元化に伴い、多摩地区では、広域的な送水管や市町域を越えた配水本管の整備を進めたことによりまして、事故時等のバックアップ機能が強化され、給水安定性が向上いたしました。
 例えば、平成十四年度に一元化した三鷹市では、令和元年度までに当局が約十三キロメートルの配水本管を整備した結果、配水本管の整備レベルの指標となる給水区域一平方キロメートル当たりの配水本管延長が、一元化当初の約二・五倍となる一・三キロメートルに上昇しまして、事故時等のバックアップ機能が強化されました。
 また、お客様センターの開設によりまして、夜間、休日を含めた問い合わせ対応時間が拡充されるとともに、取扱金融機関の増加によりまして利便性が向上するなど、お客様サービスが向上しております。
 このほか、各市町単位で実施しておりました重複業務の解消や、民間企業や政策連携団体の活用による効率的な事業運営体制の構築などによりまして、一元化の前後で比較して、年間で約四十億円の経費を縮減いたしております。

○鈴木委員 今、ご答弁でもありましたけれども、やはりまず、災害時のバックアップ機能が非常に強化されたと。配水本管の延長ですか、二・五倍。それから、経費でいうと、年間四十億削減されたというお話でした。
 恐らく、長期的に見ると、もっとさまざまな効果があると思っております。水道事業は本当に大きな事業ですから、これは下水道も一緒ですけれども、やっぱり広域的にやっていくことですので、事業のスケールメリットをより生かしやすくなると思いますし、私は、東京都が早くからこの一元化に取り組んできたということは、非常に価値が高いことだと思っております。
 都内でも単独で水道事業を行っている自治体がまだ少し残っておりまして、特に武蔵野市は、過去に都営水道への一元化を拒否いたしまして、ただ、現在は、考え方が少し変わってきているという状況にございます。
 私、地元選出の議員としても、やっぱり水道事業をこれから持続、安定的に運営していくために、そして、さらには災害時のバックアップを考えても、やはり何とか、市民のためにもこの一元化を進めたいと考えております。
 ただ、水道事業を統合していく上では、当然、一方通行のお願いであってはいけないと。やはり双方の事業体がしっかりと合意をした上で、双方の住民が納得をした上で、この協議を進めていくことは非常に大事だと思っております。
 都と武蔵野市は、令和元年から、武蔵野市水道事業の都営一元化に向けて、具体的な課題整理のための検討会を開催しております。
 これまで武蔵野市との間でどのような協議が行われてきて、その中で確認、整理できたことはあるか、また、今後どのような内容について協議を行っていくのか、伺います。

○小山調整部長 令和元年五月に、武蔵野市と当局の部課長級職員による具体的な課題整理のための検討会を設置いたしました。
 武蔵野市は、過去の統合市と異なりまして、事務委託を経ずに統合することとなるため、よりきめ細かな課題整理が必要でございます。
 このため、これまで検討会を三回開催するほか、実務的な協議を行い、市の財産管理や契約方式について、市の現状を確認するとともに、都との違いを明らかにするなど、課題を抽出いたしました。
 現在は、料金徴収、給水装置、水道管路、施設整備など、市の現状について、同様に確認作業を行っております。
 今後、抽出された課題に加えまして、老朽化施設の更新経費や、これまでの分水に伴う施設整備費の市の負担などについても協議してまいります。

○鈴木委員 これまで着実に議論をしていただいているということ、そして、やはり過去の統合市と異なって、事務委託というものを経ずに統合することになるということで、よりきめ細やかな課題整理が必要であるということもよくわかりました。
 先ほどのご答弁からも、やっぱりこの一元化というのは、広域化というのは、非常に重要で、効果が期待できるということはよくわかりました。
 武蔵野市は、過去に一元化を断った経緯はあるんですけれども、双方の事業体でしっかりと協議をしていただいて、双方の住民から理解が得られるようご尽力いただいて、引き続き、全力を挙げて課題整理に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、水道局におけるデジタル化の推進について伺います。
 私は、実は事あるごとに、水道局は、都庁の中でもデジタル化の推進に非常に意欲的に取り組んでいるというお話をさせていただいております。
 その中で、今回取り上げるのは、ことしの二月から本格運用を始めたお客様センターにおけるAIの活用です。これは、都政のほかの事業にも展開が期待できる取り組みだと思います。
 このAI、コールセンターの方でオペレーターを支援するもので、全部自動音声で答えるわけじゃなくて、オペレーターがあくまでも答えるのですが、そのときにAIによって補助をしていくと。例えば、こういう質問をしたときはこういう回答がいいんじゃないかとリコメンドをするとか、そういうサポートをするための仕組みで、これ、本格運用に先立って、平成三十一年三月から試行が行われていたと聞いております。
 この令和元年度、今回の決算の年度は試行期間に当たることから、この期間における効果を検証した上で本格運用に移行していると思います。
 そこで、この期間におけるAIの利用効果について伺います。

○金子サービス推進部長 お客様センターに導入したAIは、お客様とオペレーターとの会話内容を自動で認識し、必要な参考資料などをタイムリーに手元の画面に表示することで、オペレーターのお客様対応を支援するものでございます。
 また、会話内容をテキスト化し、自動で保存することによりまして、通話終了後の記録作成や申し送り書作成などのオペレーターの事務処理負担を軽減いたします。
 平成三十一年三月に試行運用を開始しましたが、お客様対応や事務処理などのオペレーター業務に要する時間の短縮に一定の効果を発揮しており、今後、AIの精度向上やオペレーターの習熟などによりまして、さらなる効果の発揮が見込まれると考えております。

○鈴木委員 AIは、絶えず機械学習を繰り返して進化していくのが特性でございます。学習を重ねると、よりオペレーターにリコメンドする精度とかも当然上がってくると思います。
 お客様センターに導入したAI、試行開始から一年半経過しているということです。かなり学習も進んでいるんじゃないかなと思います。
 そこで、お客様センターに導入したAIの学習状況など、現状について伺います。

○金子サービス推進部長 平成三十一年三月の導入以降、当局は、AIをお客様センター業務に継続的に運用し、また、必要に応じて、蓄積されるデータの補正を行うことにより、AIの経験値を上げてまいりました。
 加えまして、別途、四千五百を超える水道の専門用語などにつきましても学習させたことにより、画面に表示する参考資料や、自動保存する会話内容の精度が向上してきております。
 これにより、オペレーターからは、お客様からの問い合わせに応じて、より適切な参考資料が表示されるようになったでありますとか、画面に表示される会話内容の精度が向上したため、自分の発言内容を確認し、お客様への案内漏れを防ぐことができるなどと評価する声が上がっております。

○鈴木委員 今のご答弁の中で、このセンターのAIの学習がかなり進んでいるということがわかりました。
 民間でも、コールセンターにおけるAIの活用というのは、今、非常に盛んに進んでいて、かつ、そこで得られたさまざまな声をしっかりとビッグデータにして、そのデータを分析することで、よりサービスの改善につなげていく、こういうことも、今、本当に民間の世界では日進月歩で行われております。
 そんな中で水道局がいち早くこの取り組みを始めたということは、非常に評価をしたいと思います。
 当然、新しいチャレンジなので、まだまだいろいろ課題は多いと思いますけれども、ぜひ粘り強く取り組みを続けていただいて、今後の都政の参考になるような形で事例をつくっていただきたいなと思います。
 もう一つ、水道局のデジタル化に関して申しますと、やはりスマートメーター。私はかねてから、委員会、それから本会議で相当質疑をさせていただきました。
 さきの本会議で、我が会派の代表質問だったと思いますけれども、スマートメーター導入による施設規模の適正化について提言をさせていただいて、知事から非常に前向きな答弁がございました。
 このスマートメーターは、もちろん、検針業務を自動化するという一義的な役割はあるんですけれども、それによって水道の使用状況というのをより詳細に把握するようにして、そして、今までは、ある意味では机上の計算によって決定をしていた水道需要の詳細な予測、そして施設規模を、より使用実態に合わせて検討することが可能になるという、非常に水道事業全体に寄与する大きな効果が期待できます。
 本年の三月にトライアルプロジェクトの実施プランが公表されまして、いよいよ本格的な導入に向けて、今、動き出しているところでございます。
 そこで、スマートメーター導入にはさまざまな効果があると思いますが、具体的な導入効果を改めて伺います。

○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 スマートメーターの導入により、現地を訪問せずに、これまでよりもきめ細かな検針データを取得することが可能となり、検針業務における非対面、非接触の業務遂行と大幅な効率化が実現いたします。
 また、スマートメーターから得られるデータは、お客様サービスの向上や宅地内漏水の早期発見、震災時などの危機管理能力の向上にも活用することができます。
 さらに、エリアごとの水道の使用実態などを詳細に把握できるようになり、管路などの施設規模のより一層の適正化を図ることが可能となります。
 このほか、ビッグデータとして、新サービスの創出や社会貢献につながる活用策も期待できるところでございます。

○鈴木委員 スマートメーターはさまざまな効果があるということが今のご答弁でも示されましたけれども、やはり本格的な導入に向けて一番大きな課題というのはコストだと思っております。
 今、一台、一万五千円ぐらいだったと思いますけれども、これを、今、水道事業の都内の顧客は七百五十万ぐらいだと思いますが、例えばそこに全戸に配布をして、しかも水道管にもつけるとなると、物すごい費用がかかるわけです。やっぱり、このコストを下げていく努力というのは非常に重要でございます。
 先行して電気の業界でもスマートメーターの導入を始めていますけれども、そこでもやっぱり、かなり最初は価格が高かったものを、だんだん大規模に入れていくことで価格を下げていって、ようやく実用的になっていったという経緯がございます。
 その中で東京都が大規模な実証事業をやったということ、それによって価格も少しずつ下がっていくと思いますので、それは非常に意義が高いと思います。
 そこで、メーカーの価格低減に向けた取り組みの進捗状況と、全戸導入に向けた考え方について伺います。

○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 スマートメーター導入の最大の課題は、現行の水道メーターとの価格差であり、現時点では、現行の電子メーターに通信機能を別途付加する分離型で六倍以上、一体型で十二倍以上の価格差がございます。
 この課題解決のためには、国内スマートメーター市場形成が必要であることから、昨年七月に横浜市水道局及び大阪市水道局と協定を締結し、共通の仕様の検討などを進めてまいりました。本年三月には、この検討を踏まえ、当局も参画した産官学一体のプロジェクトにおいて、メーターの標準仕様が取りまとめられたところでございます。
 また、より低コストのスマートメーターの導入も可能とするため、国内だけでなく、海外の事業者も対象として、メーターの開発、製造に関する新しい技術、アイデアを公募することも検討しております。
 これらの取り組みによる価格低減の動向や、計量法に基づくメーター交換時期、トライアルプロジェクトの実施状況等を踏まえ、二〇三〇年代までの全戸導入を進めてまいります。

○鈴木委員 私、いつも戦略政策情報推進本部と都政のデジタル化の話をするときに、必ず水道局のスマートメーターの事例をお話しさせていただきます。これは非常にいい事例だと思っております。
 今、国の方でデジタル化がかなり盛んに議論されるようになってきましたけれども、どうしても行政手続であるとか業務の効率化のためのデジタル化という文脈で、このデジタル化という言葉は使われがちなんですね。ただ、私は、もっと幅広い効果、目的があると思っているんです。
 例えば、この水道スマートメーターは、もともとは、単に、今、人でやっている検針業務を自動化していくという、確かに一義的にはそういう機能なんですが、もっと視野を広く持ったときに、先ほど申し上げたように、水道の需要予測に使えたりとか、あるいは、水道スマートメーターから得られるビッグデータを使って、例えば高齢者の見守りサービスに使うとか、そういうさまざまな効果が期待できるわけです。
 本来のデジタル化の趣旨というのは、こういう業務の効率化だけじゃなくて、例えばビジネスモデルを一部転換していくとか、あるいは、それこそデータを使った新しい付加価値をつくっていくとか、やっぱりそういうところにあるんだと思うんですね。それがなかなか、まだまだ都政の中でも理解が進まないところもありまして、ただ、この中でも水道局のスマートメーターというのは、非常に今、デジタル化の本質をいっている、いい事例だと思っております。
 なので、ある意味だと、都政のデジタル化がうまくいくかどうかというのは、水道スマートメーターの先行する成功にかかっているかなと思いますので、ぜひ東京都のデジタル化を牽引する事業として、これからもしっかりと進めていただきたいと思います。
 最後に、工業用水道についてです。
 工業用水道は、一昨年の第三定例会で廃止条例案が可決されまして、令和四年度末の事業廃止が決定をしております。
 私も、当時所属していた公営企業委員会で取り上げたのですけれども、配水管の撤去の費用で、七百億という非常に莫大な費用がかかりまして、これは大きな課題であると認識をしております。
 今、老朽化が進んでいる配水管については、当然、安全性を考慮して、できるだけ早く撤去する必要があると思うんですけれども、例えば設置年数が比較的新しい配水管とかでは、また考え方は変わってくるんだろうと思います。
 そこで、今後策定する配水管の撤去計画は、どのくらいの年数をかけて全て完了する計画になるのか、伺います。

○藤村給水部長 工業用水道配水管の撤去に当たっては、布設路線ごとの配水管の口径、埋設状況、布設年度等を踏まえ、撤去の優先順位を整理し、道路管理者と協議を進めております。
 引き続き、関係機関と綿密な調整を行うとともに、財源の確保についても検討を進め、撤去に要する期間を定めた転用、撤去計画を令和四年度までに策定いたします。
 あわせて、上水道管の更新や、他のライフライン事業者等が行う道路工事と合わせた配水管の撤去を調整するなど、撤去費用の縮減についても幅広く検討してまいります。

○鈴木委員 私も、水道局さんが廃止費用の縮減に向けて一生懸命検討していただいているというのはよく存じております。
 以前の委員会でも少しお話をしたのですけれども、私も夕張市の事例を調査しまして、夕張市は二〇〇七年に財政破綻をして、その後に、かなりまちのいろんな公共的なインフラの規模を縮小しなきゃいけないと。そのときに、当然、この残った配水管をどうするかという問題がありました。この配水管は、夕張市はいまだに撤去できていません。恐らく、夕張市の財政的な現状を考えると、これからも撤去するのは難しいと思います。
 今後、そういう地方自治体というのは、必ずふえてくると思います。
 今、現状は、道路法の中で、道路下の設置物というのは速やかに撤去しなければいけないという原則になっています。私もこれは国の方に確認したんですが、その原則はなかなか変えられないという状況にはなっています。
 ただ、これから、例えば十年、二十年たって、今後、地方自治体が財政的な課題で、それこそ夕張に近いような状況になっていったときに、本当に配水管を多額の費用をかけて全部撤去するのが正しいのかどうかということは、やっぱり議論になると思うんですね。その中で、やっぱり国内の道路法に関する考え方というのも、少しずつ変わってくると私は思っています。
 なので、現状の原則というのは、当然守らなきゃいけないというのはよくわかっていますけれども、そういった長期的な視野に立って、ぜひこのコスト縮減策に取り組んでいただきたいと思います。そのことを要望して、私の質疑を終わります。

○伊藤委員 まず、安定給水の確保について伺います。
 水道事業の最大の使命は、都民生活に不可欠な清浄な水を安定して供給することであります。
 そのため、水道局では、水道経営プラン二〇一六に基づき、令和元年度もさまざまな事業を実施した結果、給水件数は前年比十万件増の七百八十二万件、年間総配水量は前年比百八十万立方メートル増の約十五億五千万立方メートルとなりました。
 そこで、安定した水源の確保に関して、八ッ場ダムについて伺います。
 昭和二十二年のカスリーン台風により、利根川の堤防が決壊したことを受け、昭和二十七年に八ッ場ダムの計画が発表されてから、六十八年もの歳月を経て完成しました。この間、旧民主党政権の際には、無駄な公共事業とされ、工事が中断するなどの混乱もありましたが、我が党は、一貫してその必要性を訴えてまいりました。
 私は、昨年九月に試験湛水直前の八ッ場ダムを訪れ、地元町長とも意見交換を行い、地元の方々のさまざまな犠牲の上にこのダムが建設されたことを改めて痛感しました。我々都民は、ダムの地元の方々からのご協力により恩恵を受けていることを忘れてはなりません。
 それでは、ことし四月から運用を開始した八ッ場ダムの建設事業について、水道局負担額及び最終年度となった令和元年度の負担額も伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 八ッ場ダム建設事業に対する水道局の負担額は、全体事業費五千三百二十億円のうち約五百四十六億円であり、令和元年度は約十九億円でございます。

○伊藤委員 水道局だけで全体事業費の約一割を負担していますので、治水及び利水に大きな効果を発揮するよう期待しています。
 八ッ場ダムは、利根川水系のダムで、最大の洪水調節容量を持っており、利根川上流域の既設六ダム全体の約六割の治水容量を有しているそうです。
 昨年の東日本台風においても、竣工前の試験湛水期間であったにもかかわらず、約七千五百万立方メートルの水を貯留し、利根川の氾濫防止に一役買うなど、高い治水効果を発揮しました。
 さて、利根川水系は、諸外国や国内の他の河川と比較しても、降水量の減少により水需要を確保できないため、渇水は、近年、三年に一回程度の割合で発生しています。特に給水制限が行われた平成六年、八年及び過去最長の七十九日間の取水制限となった平成二十八年には厳しい渇水となりましたので、八ッ場ダムの利水効果が大いに期待されています。
 そこで、八ッ場ダムの利水効果について改めて伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 国土交通省は、八ッ場ダムが完成していれば、平成二十八年渇水は回避、また、平成六年及び八年の渇水については、給水制限は回避され、取水制限日数は大幅に減少するなど、渇水に対して高い効果を発揮できたとしております。
 さらに、八ッ場ダムは、上流域に豪雪地帯を抱え、流域面積が利根川上流ダム群の中では最大で、貯水量が回復しやすい特性があることから、河川の水が不足するときなどに貯留した水を効果的に川へ流すことが可能であるため、利水機能としての効果も高いと考えられます。

○伊藤委員 先ほど申し上げたとおり、令和元年東日本台風で発揮した治水効果や、ただいまご答弁いただきました利水効果の両面から、極めて重要な施設でありますので、東京の安定的な給水に向けて、貴重な水源である八ッ場ダムを有効に活用していただきたいと思います。
 あわせて、昨年の四定における我が党の代表質問でも述べましたが、都民の命を守るために、みずからのふるさとが水没するという苦渋の決断をしていただいた現地の住民の思いに引き続き寄り添い、都として実効性ある生活再建の一助をなすべきと、再度指摘しておきます。
 さて、八ッ場ダムの運用が開始されたことで、利根川水系のダム等水源開発は、おおむね完了となりました。
 一方で、都の固有の水源である多摩川水系には、東京都が保有する小河内貯水池、すなわち小河内ダムがあります。小河内ダムは、私の地元多摩地区の奥多摩町に所在し、奥多摩湖の呼び名で、昔からなじみの深い場所であります。
 昭和三十二年に完成した国内最大規模の水道専用ダムであり、利根川水系の渇水時には多摩川水系の水を相互に融通するなど、安定給水を図る上で重要な役割を担ってきました。
 しかし、完成後、六十年以上が経過した中、将来にわたってダムを適切に保全することが重要です。
 そこで、小河内ダムの保全について、令和元年度はどのように取り組んだのか、伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、小河内貯水池のダム堤体の安全管理を目的として、ダム操作規程に基づきまして、堤体の変形や底面に作用する揚圧力を毎日測定し、安全であることを確認しております。
 また、堤体の強度を確認する試験を十年に一度行いまして、強度が保たれていることを確認しております。
 さらに、国が定めるダム総合点検実施要領に基づき、ダムの長寿命化を目的とした堤体の健全度調査を令和元年度から二年度にかけて実施しており、現時点で、ひび割れや剥離など、補修が必要となる損傷は確認されておりません。
 一方、貯水池の容量が、流入する土砂により低下していないかを確認するため、貯水池内の堆砂量を毎年測定しております。令和元年度の測定の結果、総貯水容量に対する堆砂率は約三・五%であり、ダム建設時に想定した堆砂率を〇・五ポイント上回っていることを確認いたしました。
 このため、令和元年度には、ダム上流域三河川からの流入地点で、堆砂した土砂一万三千五百立方メートルを取り除くしゅんせつを実施いたしました。

○伊藤委員 小河内ダムでは、計測や点検によって問題ないことを確認しているとのことでしたが、近年、豪雨が多発している状況や気候変動により、将来に向けてはさまざまな影響が懸念される上に、ダム堤体を百年以上運用していくためには、長期的な視点に立った保全が必要と考えます。
 このため、今後は、多摩川水系の小河内ダムや水源林の保全に、より一歩踏み込んだ積極的な取り組みも行うべきと考えます。
 そこで、小河内ダムの保全に今後どのように取り組んでいくのか、伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 小河内貯水池の保全に当たりましては、ダム堤体の安全性を維持するため、これまで実施してきている堤体の強度、劣化や損傷などの状況の定期的な調査に加えまして、ドローンや水中ロボットなどの新技術の活用によりまして、これまで調査が困難であった箇所の状況把握を行い、その結果に基づく補修等を適切に実施してまいります。
 また、貯水池の貯水機能を維持していくため、ダム建設時に想定した堆砂率を下回るよう、より効果的なしゅんせつ方法の導入に加えて、気候変動に伴う豪雨の頻発による貯水池への土砂の流入の増大に備え、新たな流入防止の対策を検討してまいります。
 こうした総合的な予防保全対策により、小河内貯水池の安全性と貯水機能を長期にわたり維持してまいります。

○伊藤委員 将来にわたり健全な小河内ダムを引き継いでいくため、ご答弁にありましたとおり、予防保全対策を着実に実施していくことを求めます。
 さて、安定給水を図る上では、水源である多摩川上流域の森林保全も重要です。
 水源流域は、奥多摩町のほか山梨県にも広がり、二十三区の総面積の約四割にも相当する二万四千三百ヘクタールにも上ります。
 水道局では、明治三十四年から長年にわたり、多摩川上流域の森林を水道水源林として、流域の約六〇%を適正に管理しています。
 歴代の水道局長は、就任後に必ず訪問するとお聞きしております、多摩川の源流部の最初の一滴が始まる水干に私も一昨年行ってきましたが、水道水源林がいかに大切であるかということを再認識しました。
 一方で、この区域に広がる民有林は、林業の衰退とともに、手入れが行き届かず、荒廃が進んでいるのが実態です。
 このため、水道局では、民有林を購入し、保全管理する取り組みを積極的に推進しています。民有林の購入に当たっては、平成二十二年度からの公募購入に加えて、二十九年度から、土砂流出による小河内ダムへの影響が特に懸念されるエリア、約二千ヘクタールを重点購入地域と位置づけ、積極的な購入を進めています。
 それでは、令和元年度における多摩川上流域の森林整備の取り組み状況について伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、第十一次水道水源林管理計画と、みんなでつくる水源の森実施計画を策定し、森林整備を計画的に実施しております。
 令和元年度には、水道水源林における森林整備については、約五百七十ヘクタールの間伐や枝打ちなどを行うとともに、民有林の積極的購入につきましては、六十五件、約二百七十ヘクタールを取得いたしました。
 また、多様な主体と連携した森づくりでは、ボランティアを中心とした多摩川水源森林隊や、ネーミングライツの参画企業と協働した東京水道企業の森により、多摩川上流域の森林整備活動を実施いたしました。
 加えて、水道水源における鹿食害などの課題を解決するため、大学との共同研究を行い、効果的な対策について検討をいたしました。

○伊藤委員 民有林を積極的に購入し、水道水源林の整備が進められていること、また、多様な主体と連携した森づくりについても着実に実施していることが確認できました。
 こうした取り組みを進めていくためには、水源地保全の重要性について、より多くの都民の理解を得る必要があります。
 また、今後は、ICTの進展、環境への関心の高まりや森林経営管理制度の開始など、社会情勢の変化に対応した取り組みを進めることも重要です。
 そこで、こうしたことを踏まえ、多摩川上流域における森林保全の取り組みを今後どのように進めていくのか、伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、水道水源林の保全管理の取り組みとして、森林が持つ機能が十分に発揮されるよう森林整備を実施するとともに、航空レーザー測量などのICT技術を活用し、森林の育成状況などを管理してまいります。
 また、民有林の再生の取り組みとして、重点購入地域の森林を積極的に購入するとともに、地元自治体と連携して、森林経営管理制度を活用し、森林整備を進めてまいります。
 こうした取り組みを継続していくには、より多くの都民に水源地保全の重要性を理解していただくことが不可欠でございます。
 そのため、水源地の魅力発信や触れ合い施設の魅力向上という観点から、ドローンを活用した水道水源林の動画配信や、奥多摩水と緑のふれあい館の展示内容の更新などを検討してまいります。

○伊藤委員 以前、奥多摩町で広大な山林を所有している方へ訪問したことがありますが、森林の維持管理には、本当に人手も時間も費用もかかることをお聞きしました。水道水源林の大切さ、認知度が高まり、多摩川上流域の森林整備が進むことを期待します。
 次に、水源の確保に関して、井戸について伺います。
 多摩地区では、総配水量の約九割を東村山などの大規模浄水場からの供給が占め、そのうち、地下水の割合は約一割となっています。その約一割の地下水は、市や町が水道事業を経営していた時代に整備した井戸から揚水しており、その数、二百七十八本を水道局が維持管理しています。
 しかし、整備開始から六十年以上が経過する中、水質悪化により停止する井戸が増加し、応急給水拠点としての機能が停止している浄水所もあると聞いています。
 さらに、井戸整備後に周辺の開発が進み、市街化された結果、井戸が支障となって道路が拡幅できないなど、まちづくりに障害となっている状況もあり、市町営時代にはなかったさまざまな課題が顕在化しています。
 そこでまず、現在の井戸の稼働状況及び直近三カ年の揚水量の推移について伺います。

○松田技術調整担当部長 多摩地区にある水道水源井戸は二百七十八本でありますが、令和元年度末時点で稼働している井戸は九十五本であります。
 一方、水質悪化などにより稼働していない井戸は七十七本ありまして、そのうち、揚水を再開することは困難で、長期にわたり休止している井戸は三十本、水質の状況などを確認するため、一時的に停止している井戸が四十七本であります。
 このほか、設備の老朽化や損傷により五十六本、井戸本体の掘りかえなど、工事により五十本が一時的に停止しております。
 多摩地区全体の水道水源井戸からの一日当たりの平均揚水量は、平成二十九年度、約十五万五千立方メートル、平成三十年度、約十四万二千立方メートル、令和元年度、約十二万二千立方メートルでございまして、減少傾向にあります。

○伊藤委員 想像以上に多くの井戸が水質悪化等により休停止していること、また、水質悪化や設備の老朽化により、揚水量も低下していることも明らかになりました。
 これらに加え、冒頭指摘したように、整備後の周辺環境の変化に対応していない井戸も存在しています。
 それでは、井戸が抱えるこれらの課題にどう対応し、今後、井戸をどのように整備していくのか、伺います。

○松田技術調整担当部長 水質悪化により、休止や一時的に停止している井戸につきましては、汚染物質除去の可否や、除去設備の設置に要する費用対効果を検証し、井戸の再開や統廃合を検証していきます。
 また、老朽化などにより停止している井戸につきましては、単独での掘りかえ、あるいは近隣の小規模井戸と統合した上での掘りかえなどの可否について検討していきます。
 さらに、既存の井戸が地元のインフラ整備や開発行為の支障となっている場合につきましては、近隣の井戸との統合による廃止や移転などの対応を更新時に検討してまいります。
 地下水は、水質の面などから、将来にわたる安定的な水源には位置づけられませんが、こうした取り組みにより、身近にある貴重な水源として適切に活用してまいります。

○伊藤委員 市や町が管理していた時代にはなかった、さまざまな課題が明らかになりました。特に、震災時に住民に水道水を提供する応急給水拠点が停止している現状は、速やかに解決すべき課題ですので、今後、期間と優先順位を定めた計画を策定し、着実に井戸の整備を進めることを指摘しておきます。
 続いて、災害対策について、水道管の耐震継ぎ手化について伺います。
 東日本大震災では、水道管の継ぎ手の抜け出しによる断水被害が多発しました。
 平成二十五年の中央防災会議による最終報告では、マグニチュード七クラスの首都直下地震が発生する確率は三十年以内に七〇%と推定され、都の被害想定によれば、一部の地域では断水率が六〇%を超えるそうであり、震災対策の着実な実施が必要です。
 そこで、水道局では、経営プラン二〇一六に基づき、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を進めています。
 その重要施設のうち、首都中枢機関、救急医療機関、主要な駅など及び東京オリ・パラ大会会場については、令和元年度までに完了する予定でした。
 そこで、昨年度、令和元年度完了目標の重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化についての達成状況を伺います。

○藤村給水部長 令和元年度を完了目標としていた首都中枢機関等の重要施設への供給ルートの整備計画延長は、約七百一キロメートルです。
 この計画に対して、令和元年度末までに約六百七十六キロメートルの整備が完了しており、耐震継ぎ手率は九六%でございます。

○伊藤委員 令和元年度時点での耐震継ぎ手化は一部未完了ということですが、震災時に重要な役割を果たす各施設への供給ルートは、一日も早く完成させる必要があります。
 そこで、供給ルートの耐震継ぎ手化の残り四%が未完了となった重要施設数と理由、あわせて、今後の見込みについても伺います。

○藤村給水部長 令和元年度を完了目標としていた重要施設のうち、供給ルートの耐震継ぎ手化が未完了の施設は百三十施設、延長二十五・六キロメートルです。
 この内訳は、他企業工事等との施工時期の調整によるものが六十施設、延長十六・八キロメートル、地下埋設物のふくそうにより施工が困難なものが十七施設、延長二・七キロメートル、道路の掘り返し規制期間に該当しているものが二十七施設、延長二・三キロメートルです。そのほか、繁華街等で施工時間が限定されているものなどが二十六施設、延長三・八キロメートルです。
 引き続き、これらの施設の供給ルートの耐震継ぎ手化を進めており、令和二年度末までに九十八施設、延長約二十二キロメートルが完了する見込みでございます。
 また、残りの三十二施設、延長約三キロメートルについても、令和四年度の完了に向けて、道路管理者を初めとした関係機関と調整を進めております。

○伊藤委員 ただいま、さまざまな理由をお聞きいたしましたが、震災はいつ起こるかわかりません。未完了となった供給ルートについては、早期の耐震継ぎ手化に向けて、しっかり取り組んでいただくことを指摘しておきます。
 また、令和四年度を完了目標としている小学校などの避難所の耐震化についても、令和元年度末における継ぎ手化率は七一%と聞いています。四年度末まで二年半しかありませんので、これまでの未完成の原因を踏まえ、課題がある現場は早期に対策を講じ、より一層、着実に進めることを強く求めておきます。
 次に、漏水対策について伺います。
 メーターよりも宅地側の水道管については、所有者や水道使用者である都民が管理することになっていますので、宅地内での水道管が漏水した場合は、都民が水道料金及び修繕に係る費用を負担することは理解しています。しかし、実際に漏水が発生したときは、流出した水量を含めた多額な料金が生じるため、都民に多大な負担を招く状況となります。
 このため、水道局では、漏水が初めてのケースなど、やむを得ない事情があると認めた場合は、漏水量を控除しています。
 そこでまず、令和元年度において、漏水によって控除された水量、件数及び金額について伺います。

○金子サービス推進部長 令和元年度に漏水を理由に料金算定から控除した水量は、二百九万四千立方メートルでございまして、件数は五万四千八百九十四件でございます。これは、約八億六千万円の水道、下水道料金に相当し、漏水一件当たり、約一万五千円相当となります。
 なお、平成三十年度に比べて、控除した水量は、約五十万立方メートル、約一億八千万円相当の減少となっております。

○伊藤委員 平成三十年度より、前年度より減少しているとはいえ、令和元年度においても多くの漏水が発生していることが確認できました。
 料金についても、一般家庭の水道、下水道料金が六千円程度であることから、一件当たり平均一万五千円と二倍以上の料金を支払うことになり、経済的な負担は大きいものがあります。
 また、やむを得ない事情がある場合に控除された料金は、その都民のかわりに水道局が負担することになります。
 私の地元でも、二回目の漏水に対して漏水分が控除されず、多額の料金を支払うケースで相談を受けたこともありますし、実際に数百万円もの漏水分の料金を支払うケースもかなりの数に上ると聞いています。
 水道局では、一度漏水が発生した場合、お客様に対して、漏水の発見方法や、二回目は控除しないなどの説明を実施しているため、二回目の漏水については原則請求することになっています。
 しかし、一回目のみならず、二回目の漏水が起きれば、都民の経済的負担も大きい上に、せっかくつくった水道水が無駄になってしまいます。すなわち、漏水は、都民と水道局、両者にとってマイナスであり、繰り返さないことが重要です。
 そこで、都民が早期に漏水を発見する方法について伺います。

○金子サービス推進部長 漏水を早期に発見する方法は、まず、お客様自身で定期的に水道メーターの確認を行っていただくことでございます。
 また、自己負担となるものの、水道メーターを直接確認しなくても、使用水量を容易に把握できる隔測表示器や漏水を知らせる警報器等を設置していただくことも効果的でございます。

○伊藤委員 今、ご答弁いただいたような方法については、都民に広く認識してもらい、実際に行動に移してもらうことが重要です。
 同時に、水道局としても、都民に管理義務があることを前提とした受け身の考え方ではなく、都民の視点に立って積極的にかかわっていくべきと考えます。
 そこで、都民が漏水を繰り返さないために、水道局としてもさらに取り組みを行うべきと考えますが、見解を伺います。

○金子サービス推進部長 当局といたしましても、漏水を減らすためには、お客様による早期発見を促していくことが重要と認識しております。
 このため、これまでも、漏水を修繕したお客様に対しまして、漏水の早期発見の方法や修繕に必要な手順、相談先などを案内してまいりましたが、今後、それらをよりわかりやすく説明したチラシを新たに作成し、活用してまいります。
 加えて、全てのお客様に対しても、漏水の発生防止に向けて継続的な注意喚起を行うことを検討してまいります。
 今後さらに、水道スマートメータトライアルプロジェクトにおきましても、スマートメーターを活用した漏水の早期探知や通知などについて検討してまいります。

○伊藤委員 都民のためにも、水道局のためにも、漏水を繰り返さないよう、都民の目線を大切にして取り組んでいただきたい。特にスマートメーターで漏水の早期探知は、都民にとって非常に有効で効果的であり、実現に向けて着実に取り組むことを求めておきます。
 最後に、水道局におけるコンプライアンスの強化の取り組みについて指摘しておきます。
 昨年度は、水道局と政策連携団体において発生した不祥事について、原因究明や再発防止策に関する質疑に多くの時間を割いてきましたが、今の水道局を見る限り、それが全く生かされず、甚だ遺憾であります。
 これまで我が党は、不祥事が繰り返し起こる原因として、競争する者がなく、経営に不都合が生じることがない公営企業グループとしての負の側面がコンプライアンスに対する意識の希薄さを生んでいると指摘し、再発防止の徹底を強く求めてきました。
 しかし、ことしに入っても、東京水道株式会社社員による道路占用許可申請書の不適正処理事案や、局職員による非行事故など、相変わらず発生しています。
 我が党は、水道局がこれまで以上に危機感を持ってコンプライアンス強化に取り組み、都民の信頼を回復することを改めて強く求めるとともに、東京水道グループが本当に生まれ変われるのか、引き続き厳しく注視していくことを申し上げ、質問を終わります。

○うすい委員 それでは、質問をさせていただきます。
 都議会公明党は、台風による甚大な被害や東京砂漠といわれた大渇水を教訓に、首都東京を守るために、先ほどの質疑にも出ておりましたけれども、八ッ場ダムの整備推進の立場を貫いてまいりました。その八ッ場ダムは、紆余曲折を経て、令和二年四月から運用を開始したところであります。
 昨年の台風十九号における八ッ場ダムの治水効果は、赤羽国土交通大臣の利根川の危機的な状況を救ったという発言を初め、皆さんがご存じのとおりであります。
 一方、利水面においても、ことしの八月の降雨量が例年の四割程度であったため、利根川の流量が少なくなった現状があります。それを補うために、八ッ場ダムから川へ補給を実施し、順調に運用されていると聞いております。
 八ッ場ダムの完成により水源量が増加したことで、都の渇水に対する安全度が向上していると思うわけでございます。
 そこで、八ッ場ダムが完成することで、都の水源量は具体的にどの程度増加したのか、お伺いいたします。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 八ッ場ダムが令和二年四月から運用されたことによりまして、都の水源量は日量約四十三万立方メートル増加することとなり、平常時における保有水源量は日量約六百八十万立方メートルとなります。

○うすい委員 八ッ場ダムが完成することによって、利根川上流のダム開発は完了し、水源量が増加し、渇水に対する安全性も向上したことを確認させていただきました。
 しかし、保有水源量約六百八十万立方メートルの中には、渇水時に優先的に取水が削除される等の課題を抱える水源が約八十万立方メートルも含まれていると聞いております。
 また、国によると、例年、少雨と多雨の年の降雨量の開きが増大することや、雨が降らない期間の増加等の気候変動による影響が指摘をされております。
 さらに、国土交通省は、近年、水資源をめぐる気候変動等の課題が顕在化していることを踏まえて、利根川水系及び荒川水系の水源開発の基本計画、通称フルプランの見直しに着手していると聞いております。
 八ッ場ダムについては、先ほどもありましたけれども、無駄な公共事業といって中止を主張した会派もありましたが、このような状況を踏まえますと、そうした主張は到底受け入れられるものではないと考えます。
 首都東京の安定給水を継続するため、気候変動による影響を踏まえて、厳しい渇水の際にも安定的に給水できる水源を確保することが重要であります。
 そこで、現在保有している水源については適切に活用すべきと考えますが、見解を伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局ではこれまで、水道需要の増加に対応するため、多摩川水系では、村山、山口貯水池を初め小河内貯水池の建設や、利根川、荒川水系における国のダム建設事業に参画するなど、適切な水源確保に努めてまいりました。
 しかし、都の主要な水源である利根川、荒川水系は、全国の主要水系と比べ、渇水に対する安全度が低い状況にあります。
 また、国土交通省によりますと、今後、気候変動の進行により、河川やダム等からの供給能力が低下し、より一層厳しい渇水リスクの増大が懸念されております。
 さらに、都が保有する水源の中には、ご指摘のような課題を抱える水源が含まれております。
 このため、これまでに確保した水源につきましては、将来にわたり首都東京の安定給水を継続していくために、平常時の給水はもとより、気候変動や災害等のリスクにも備え、可能な限り有効に活用してまいります。

○うすい委員 今、答弁いただいたように、水源を取り巻く状況は大きな節目を迎えておりまして、確保した水源の適切な活用が重要であることを改めて認識したところであります。
 一方で、八ッ場ダム建設事業は完了はしましたけれども、現在実施されている水道水源に関する事業は、霞ヶ浦導水事業と利根導水路大規模地震対策事業の二つと聞いております。
 改めて、それら水源関連事業の概要についてお伺いいたします。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局が参画しております霞ヶ浦導水事業は、利根川と霞ヶ浦等の水を相互融通する事業で、事業主体は国土交通省でございます。
 現在、トンネル築造工事を実施しており、令和五年度完成予定となっております。
 この事業に対する当局の負担額は、全体事業費約一千九百億円のうち約六十六億円でございます。
 また、利根導水路大規模地震対策事業は、利根川や荒川から水を当局浄水場に導水する取水堰や水路等の施設の耐震補強を行う事業で、事業主体は独立行政法人水資源機構でございます。
 現在、コンクリート等による耐震補強工事を実施しており、令和五年度完成予定となっております。
 この事業に対する当局の負担額は、全体事業費約二百九十七億円のうち約百三十八億円でございます。

○うすい委員 こうした水源関連事業は、一般的に、関係者が多岐にわたり、地元住民との調整が煩雑となります。
 また、既存施設を運用しながらの工事が難しいなど、さまざまな課題を抱えていることが多いと思われますが、いずれの事業についても、首都東京の安定給水を継続していくためには極めて重要でございます。
 このため、国や県等の関係機関と一層連携をし、協力して、一日も早い完成に向け、尽力していただくことを要望しておきます。
 次に、応急給水についてお伺いいたします。
 これまでも我が党は、発災時の応急給水の重要性について、たびたび質疑をしてきたところでございます。
 災害時には、応急復旧はもとより、まず、飲料水を確保するための応急給水が極めて重要であります。
 断水が発生した場合、給水拠点等の災害時給水ステーションで水を配布することになるわけでありますけれども、東京都地域防災計画によりますと、災害時給水ステーションで行われる応急給水は、水道局と区市町がそれぞれの役割分担に基づいて実施をすることとされております。
 この災害時給水ステーションは、給水所や応急給水槽等の給水拠点に開設するものや、車両輸送により開設するもの、避難所応急給水栓や消火栓等を活用して開設するものがあると認識をしております。
 そこでまず、災害時の応急給水において、区市町や住民と水道局の役割がどのようになっているのか、改めてお伺いいたします。

○金子サービス推進部長 応急給水活動時の区市町や住民と当局の役割は、東京都地域防災計画で定められております。
 まず、給水拠点のうち、公園などに設置している応急給水槽におきましては、区市町が給水活動の全てを行うこととなっております。
 また、浄水場、給水所などの当局施設におきましては、局職員などが開設し、区市町が給水活動を行います。
 次に、車両輸送による場合は、当局が区市町により設置された仮設給水槽まで飲料水の輸送、補給を行い、区市町が給水活動を行います。
 最後に、避難所に設置している応急給水栓を活用する場合は、区市町が給水活動の全てを行い、消火栓などを活用する場合は、区市町や住民が給水活動の全てを行うこととなっております。

○うすい委員 今の答弁をいただきまして、災害時の応急給水における区市町や住民と水道局の役割分担が明確になっていることはわかりましたが、この役割分担を決めただけでは、絵に描いた餅になってしまいます。発災時、迅速に応急給水を行うためには、日ごろからの訓練が必要不可欠であります。
 このため、我が党では、応急給水の実効性を高めるため、区市町が行う地域住民と連携した応急給水等の訓練の重要性を繰り返し主張してきたところであります。
 そこで、令和元年度における応急給水の訓練の状況について伺いたいと思います。

○金子サービス推進部長 災害が発生した際は、当局職員、区市町職員と地域住民が連携して迅速に応急給水を行うことが必要であり、そのための訓練を定期的に実施しております。
 令和元年度は、浄水場などに設置した災害時給水ステーションにおいて、開設手順の確認や資器材の組み立て、残留塩素の検査など、実際の応急給水活動に即した訓練を百八回実施し、延べ六百七十三名の区市町職員と地域住民の方が参加されております。
 また、区市町が実施する総合防災訓練に、当局も八十九回参加し、給水訓練を行っております。
 今後も引き続き、発災時の応急給水が円滑に機能するよう、区市町や地域住民と連携し、訓練を行ってまいります。

○うすい委員 今、答弁いただきまして、定期的な訓練が行われているということであります。
 しかしながら、災害はいつ起こるかわからないわけでございまして、先ほど、災害時、浄水場など局施設に設置した災害時給水ステーションの開設は水道局職員が行うと答弁があったわけですが、平日の日中ならば、職員により即座に開設することができるわけですが、夜間、休日の場合、職員が参集できない状況も想定すべきと考えます。
 いざ災害が発生した場合には、災害時給水ステーションの開設は待ったなしであります。
 そこで、夜間、休日等に発災した場合、災害時給水ステーションの開設はどのように行うのか、伺います。

○金子サービス推進部長 当局では、夜間、休日などに発災した場合に備え、各給水拠点の近くに居住する職員をあらかじめ拠点給水要員として指定し、迅速に給水拠点に駆けつける体制を構築しております。
 しかし、道路などの被害によって、当局職員が駆けつけられない場合も想定されることから、東京都地域防災計画の実効性をより高めるため、施設用地と応急給水区画を分画化し、区市町や区市町が指定した住民が応急給水区画に入場できるよう整備しております。
 なお、応急給水区画に入場するための鍵の取り扱いは、当局から区市町、区市町から地域住民に通知しております。
 こうした取り組みにより、当局職員の参集を待たずに、区市町職員や地域住民が応急給水を実施できる体制を確保しております。

○うすい委員 夜間、休日の震災時においても、給水拠点が確実に開設できる仕組みとなっているということは理解をしました。
 しかしながら、給水拠点が開設されていても、実際に都民が震災時に給水拠点の場所を知らなければ意味がないわけであります。
 水道局が実施したアンケートでも、最寄りの給水拠点の認知度は約三割にとどまっていると聞いており、認知度アップは喫緊の課題であります。
 また、発災時に給水拠点に水をもらいに行っても、その拠点が開設されていなければ、住民は行き場を失うことになるわけです。給水拠点のそうした開設状況をフォローする仕組みも重要であります。
 そこで、給水拠点の場所や発災時の開設状況について、都民に広く周知、理解していただくことが重要と考えますが、見解を伺います。

○金子サービス推進部長 震災などの災害で断水が発生した場合に備え、給水拠点の開設場所や開設状況について、都民に的確にお知らせしていくことが重要と認識しております。
 そのため、平常時から、局のホームページや地域広報紙、区市町が実施する防災訓練など、さまざまな機会を通じて、給水拠点の役割や場所について発信しております。
 また、災害時には、給水拠点の開設状況をホームページやツイッターにより発信するとともに、各事業所において庁舎掲示板等への掲示、拡声機つき広報車による巡回、区市町への情報提供や防災無線などにより、地域に合わせた広報を実施してまいります。
 こうした取り組みを通じて、給水拠点を都民に広く認知していただき、災害時の応急給水の実効性を高めてまいります。

○うすい委員 災害時においても、命に直結する水を提供できる体制の強化に向けて、今後も、区市町や住民と連携をして応急給水への取り組みを推進していくことを強く要望させていただき、次の質問に移ります。
 東京水道経営プラン二〇一六では、経営努力として、定期借地権制度の活用等による資産の有効活用や未利用地の売却などにより収入の確保に努めることとしているところですが、資産の有効活用では、給水所の上部も貴重な経営資源であると思いますが、昨年度、給水所の上部ではどのような利用を図り、どの程度の収益を上げたのか、お伺いいたします。

○金子経理部長 当局では、水道事業で使用している土地や建物等の資産を事業に支障のない範囲で活用し、収益を確保してきております。
 また、都民サービスの向上につながる使用につきましても、公益性の観点から協力することとしております。
 給水所の上部につきましては、民間企業に駐車場として貸し付けるほか、地元の区市に公園や運動場などの公共施設として使用を認めております。
 給水所の上部利用による令和元年度の収益は約千六百七十一万円でございます。

○うすい委員 昨年度、今ご答弁あったとおり、千六百七十一万円の収益を上げているということでございます。
 一方で、給水所の上部利用では、地元の自治体に、公園整備などのため、無償で使用許可しているところもあると聞いておりますが、その状況についてはどうなのか、伺います。

○金子経理部長 給水所の上部利用につきましては、局事業への影響、用地取得や整備工事などにおける条件や経緯、地元自治体からの要望などを総合的に勘案し、公共施設として使用する場合に使用許可を行っております。
 現在、給水所の上部を公園や運動場などの公共施設として地元自治体に無償で使用許可しているのは九カ所でございます。

○うすい委員 収益性と公益性の両面から給水所上部を活用していることを理解させていただきました。
 私の地元の足立区に、昨年、江北給水所が完成をしました。今回の三定の一般質問でも要望したところですけれども、この江北給水所のある江北エリアでは、足立区が江北エリアデザイン計画を策定しており、健康というテーマに沿ってまちづくりを進めているところであります。
 また、江北給水所の南側には、統合され、更地となる足立区立高野小学校があり、区では、この敷地に少年サッカーの公式規格を満たし、かつ多目的に利用できる広場を整備する計画を作成しております。
 江北給水所との機能連携を要望しているところでありまして、一方で、水道局は、公営企業として独立採算により事業運営していかなければならず、こうした給水所の上部についても、貴重な経営資源として収益を確保していかなければならないことは理解はしているところでございます。
 江北給水所の上部利用では、収益性を確保しつつも、足立区としっかりと連携をとっていただき、区の計画や要望を十分に踏まえながら、区が進める健康というテーマに沿ったまちづくりに資する施設になるよう整備をしていくべきと考えております。
 公営企業として重要な収益性と公益性のバランスを十分にとりながら、この江北給水所においても鋭意検討を進めていただくことを強く要望しまして、次の質問に移ります。
 財政運営について伺います。
 将来の人口減少に伴う水道需要の減少や、更新時期を迎える大規模施設などへの対応など、水道事業を取り巻く状況は大きく変化をしていくものと考えております。国は、こうした状況の変化を踏まえて、水道事業者に対して水道の基盤強化を求めているところであります。
 水道事業を将来にわたり運営していくためには、経営基盤の強化はもとより、目標に向かって事業を着実に推進していくことが大切であります。そのためには、目標を数値化し、事業の進捗を管理することが重要と考えます。
 そこで、水道局では、経営プラン二〇一六に掲げた事業について、進行管理と事業の成果の検証をどのように行っているのか、お伺いいたします。

○岡安理事 当局では、事業の進捗状況を適切に管理し、成果を検証する観点から、東京水道経営プラン二〇一六におきまして、施設整備に関します十六の到達目標と、経営に関する三つの達成目標を設定し、毎年度、これらの目標の評価、分析を行っております。
 まず、施設整備に関しましては、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率や、避難所等給水管の耐震化率などの目標を定めておりまして、令和元年度決算では、目標をおおむね達成しております。
 次に、経営に関しましては三つの目標を定めておりまして、令和元年度決算では、料金収入に対する企業債元利償還金の割合が七・二%、料金収入に対する企業債残高の割合が七五%、経常収支比率が一一一・三%でありまして、いずれも目標を達成しております。
 このほか、公益社団法人日本水道協会が定めます水道事業ガイドラインに示されております百十九の業務指標につきましても、当局の実施状況を毎年度公表するなど、さまざまな取り組みを通じまして、事業の進行管理と成果の検証を行っております。

○うすい委員 水道局が事業を細かく評価していることを理解しました。
 水道事業は、ご案内のとおり、都民の皆様からの料金で成り立っており、都民への説明責任はしっかり果たし、理解を得ていくことが重要であります。
 そこで、説明責任についてはどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○岡安理事 経営指標の公表に当たりましては、東京水道の事業規模や経営状況をお客様に理解していただけますよう、指標の解説とグラフによる経年比較を表記するとともに、当局と国内及び海外主要都市の数値を比較するなどの工夫をしております。
 特に、お客様の関心が高い水道料金の説明に当たりましては、水道事業の専門用語などの使用を避け、平易でわかりやすい表現を用いて、水道水一立方メートル当たりの給水原価が全ての年齢層のお客様に伝わるよう工夫をしております。
 こうした事業の評価、分析結果を、お客様への説明責任を果たすべく、局ホームページやパンフレットにより周知をしております。
 また、水道事業の出前講座であります水道キャラバンにおきましても、こうした点をわかりやすく伝えるなど、水道事業への理解促進に努めているところでございます。

○うすい委員 目標達成状況を評価、分析をし、公表しているとのことでありますが、今後とも、都民へのしっかりとした説明責任を果たすべく、努力を続けていただきたいと思います。
 また、計画期間中にも、状況の変化により新たな課題も発生することもございます。今回の新型コロナウイルス感染症による影響がまさにそれでありまして、大規模事業者の休業や学校の水泳授業の中止、テレワークを初めとする新しい生活様式などは、水道の使われ方が大きく変わり、料金収入を初めとした経営への影響も大きいと思われます。こうした状況の変化に対しては、状況を的確に捉えた柔軟な対応が求められるところであります。
 そこで、水道局では、今回のコロナ禍のように、状況の変化の際にはどのように対応しているのか、見解を伺います。

○岡安理事 当局では、公営企業といたしまして、中期の事業計画と財政計画であります経営プランを策定いたしまして、経済性の発揮と公共性の実現に努めております。
 毎年度の予算は、経営プランに基づきまして、料金収入の変動などを踏まえ、適切に編成しております。
 また、予算の執行過程におきましても、事業の進捗状況や課題を検証し、柔軟に見直しを行っております。
 令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、料金収入は昨年度と比較すると減少しております。このため、イベントの開催や広報用アプリの開発を休止するなど、経費の縮減を行っているところでございます。
 令和三年度の予算編成に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の拡大や新しい生活様式など、状況変化を踏まえ、料金収入の減少を的確に見積もる一方、経営努力を行うとともに、お客様サービスの向上に関する経費も適切に盛り込む予定でございます。

○うすい委員 続きまして、工業用水道事業についてお伺いいたします。
 平成三十年に決定した工業用水道事業の廃止についてでありますけれども、都が示している工業用水利用者に対する支援計画等によれば、令和元年度から四年度までの四年間のうちに、工業用水と一般雑用水の利用者、四百七十六件について、工業用水道から上水道に切りかえていくとされております。
 令和五年度には工業用水道の供給が停止すると聞いているわけでありまして、そうしますと、令和四年度末までに、必ず切りかえ工事を実施しなければならないということになります。
 数多くの利用者がいる中で、切りかえ工事の進捗管理が大変に重要だと考えます。事業廃止に向けた初年度である令和元年度は、上水道への切りかえはどのように進んだのか、その進捗状況について、まずお伺いいたします。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 工業用水道事業の廃止に伴う上水道への切りかえにつきましては、昨年四月から利用者を個別に訪問し、事業の廃止への理解を得るとともに、利用者ごとに、配管や受水タンクなどの設置状況を確認しながら、工事内容について具体的な調整を行ってまいりました。
 そして、上水道への切りかえについて合意を得られた利用者から、順次、操業に影響を与えないよう、施工時期を調整し、切りかえ工事を実施してきました。
 令和元年度は、百五十五件の切りかえを予定していたのに対しまして、切りかえが完了した件数は百二十九件でございました。

○うすい委員 昨年度の計画件数が百五十五件であるところ、実際に切りかえが完了したのは百二十九件とのことで、計画件数を達成できなかったということになります。
 初年度から計画を達成できていないわけですが、計画どおりに進まなかった要因を把握し、解決しなければ、令和四年度末までに全件の切りかえを完了できないのではないかと不安を感じるわけでございます。
 そこで、昨年度の切りかえが計画どおりに進まなかった要因は何なのか、伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 令和元年度の切りかえが計画どおりに進まなかった主な要因は、利用者ごとに、新たに設置する受水タンクや節水対策設備の設置位置の検討、狭隘な敷地内での切りかえ工事の方法などの調整に想定以上に時間を要したことでございます。
 また、利用者から、上水道に含まれる塩素が製品に与える影響を確認した上で、塩素除去装置の要否を判断したいという要望があったため、影響検査の実施が必要となったことも要因の一つと考えております。

○うすい委員 初年度であるから、やむを得ない事情なのかもしれませんが、利用者にとっても納得のいく切りかえ工事としなければ、円滑な切りかえは進まないと考えます。
 また、新型コロナウイルスの感染拡大により、この四月から利用者と接触ができず、今年度も切りかえ工事が若干おくれていると聞いております。
 こうした状況があるにせよ、令和四年度末の事業廃止に向けて、切りかえを着実に進めていく必要があります。
 水道局としては、今後どのように対応しようとしているのか、見解を伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 上水道への切りかえ工事を円滑に進めていくため、利用者ごとに、受水タンクなどの設備の設置の有無や設置条件、現場状況に合わせた配管等の工事方法、操業に影響を与えないような施工時期などを具体的に提案し、迅速に調整を進めてまいります。
 また、上水道に含まれる塩素が製品に与える影響を専門機関に依頼して検査しており、その結果を受けて、利用者が塩素除去装置が必要と判断した場合は、本年十二月までに、設備導入について利用者との調整を行います。
 今後も、利用者に寄り添いながら、こうした取り組みを着実に実施し、令和四年度末までに全ての切りかえを完了させてまいります。

○うすい委員 中小企業の皆さんは、新型コロナウイルス感染拡大によりまして、さらに厳しい環境に置かれております。工業用水道の切りかえに当たっては、廃止に伴う経営断念などが発生しないように、引き続き、利用者への丁寧な対応を行ってもらいたいと思います。
 一方、工業用水道配水管は老朽化が進んでおり、配水管の破損による道路の陥没の発生が強く懸念されます。陥没事故の発生は、都民生活等に重大な影響を及ぼす可能性があり、工業用水道配水管の安全対策が極めて重要だと考えております。
 配水管の安全対策については、上水道への切りかえ期間中の維持管理と工業用水道の供給停止後の安全対策を進めるよう、我が党は強く要望を行ってまいりました。
 そこで、改めて、道路陥没防止に向けた配水管の安全対策の検討状況をお伺いいたします。

○藤村給水部長 工業用水道配水管の撤去や安全対策の計画の策定に向けて、令和元年度は、配水管の布設場所や布設年度等をもとに、路線ごとに、撤去や安全対策の考え方や対策の優先度などを方向性として取りまとめました。
 この方向性をもとに、各道路管理者と、撤去や安全対策の実施時期、方法などの協議を個別に開始しております。
 今後、より詳細な協議を行い、供給停止となる令和四年度までに配水管の安全対策を含めた撤去計画を策定し、これに基づき安全対策を講じてまいります。

○うすい委員 令和元年度におきまして、道路陥没事故は発生をしていないと聞いておりますが、工業用水道配水管の維持管理と安全対策を引き続き徹底するよう、お願いしたいと思います。
 あわせて、繰り返しになりますが、この工業用水道事業の廃止が経営断念につながらないよう、利用者に寄り添った丁寧な支援と安全対策をしっかりと検討することを強く要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○長橋委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十九分休憩

   午後二時五十五分開議

○長橋委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○とくとめ委員 それでは発言します。
 まず、要求資料をありがとうございました。水道事業会計の事業概要では、水道事業の最大の使命は、都民生活や都市活動に欠かすことのできない清浄な水を安定して供給することにあると述べています。人間は、どんなときも水がなければ生きていけません。まさに都民の命を支えているのが水道局の皆さんだと思います。
 近年の甚大で頻発する台風、集中豪雨などの巨大な自然災害から見ても、いつ首都東京を巻き込むような甚大な災害が発生するかもわからない、そういう状況のもとで、いかに安定的に水を供給するかは重要な課題になっています。
 こうした観点から、二〇一九年度決算にかかわる問題について質問します。今年度までが計画期限の東京水道経営プラン二〇一六に掲げた主な柱にかかわって質問したいと思います。
 まず最初の、災害や事故時、更新時の工事の基幹ライフラインの運営にかかわって取り組みをお聞きします。
 災害や事故が起きたときに、導水施設の二重化、送水管の二重化は、どちらかが壊れても、もう一ルートがあれば、水を送り届けることができるというものであります。
 二〇一九年度の進捗状況、到達はどうなっているでしょうか。

○田中建設部長 導水施設の二重化につきましては、朝霞浄水場と東村山浄水場との間で、利根川水系と多摩川水系の原水を相互融通する全延長十六キロメートルの第二朝霞東村山線の整備を実施しております。
 この第二朝霞東村山線の整備は、平成二十二年度に工事に着手し、令和二年度の完成に向け、令和元年度は配管工事が完了しております。
 また、送水管の二重化は、朝霞浄水場から上井草給水所に送水する全長約十三キロメートルの第二朝霞上井草線を整備しております。
 この第二朝霞上井草線は、平成二十七年度に工事に着手し、令和五年度の完成に向け、令和元年度はトンネル築造工事及び配管工事を実施いたしました。

○とくとめ委員 第二朝霞東村山線は、昨年度で配管工事が完了し、第二朝霞上井草線は、トンネル築造と配管工事を実施したとのことです。
 水道施設設備の耐震化を初めとする地震対策や豪雨に備えた浸水対策など、自然災害の発生時の備えはどうなっているでしょうか。

○岡安理事 施設の耐震強化につきましては、令和元年度、村山上貯水池の堤体強化のため、貯水池の一部を締め切る工事を完了させ、引き続き準備工事を進めるとともに、浄水施設におきまして東村山浄水場沈殿池、有明給水所及び大船給水所の配水池の耐震化を進めたところであります。
 自家用発電設備の整備につきましては、稲城市にあります大丸浄水所など七カ所の施設で工事を進め、五カ所で整備が完了し、大規模停電時における令和元年度末の給水確保率は六九%となっております。
 浸水被害のおそれのある浄水場等では、防水扉の設置及び窓や換気口のかさ上げなどの浸水対策工事を進めており、区部は平成二十九年度までに完成し、多摩地区で令和二年度の完成に向け、引き続き工事を進めております。
 断水時の応急給水体制の強化につきましては、令和元年度に給水車を九台配備し、二十三台といたしました。

○とくとめ委員 今、答弁いただきましたけれども、給水車の方は、令和元年以前にもありますので、合わせて二十三台になっているのではないかと思います。
 都の貴重な水源施設の耐震化、大規模停電に自家発電設備の導入など、大災害への備えを着実に進めているとのことでした。
 給水車の拡充については、昨年の決算特別委員会で我が党の斉藤都議も求めておりましたが、実現したことは、いざというときの安心に着実につながっているものと思います。
 私も、この問題では、先ほどいいましたように、給水車が現在二十三台と。ことしは、まだ大きな台風は直接は上陸しておりませんけれども、去年、おととしのようなことが起きれば、出動の機会も大変多くなってくるというふうに思います。
 そこで質問ですけれども、さきの答弁の、第二朝霞東村山線は二〇一八年度完了予定、第二朝霞上井草線の二重化は今年度完了予定であったものが、それぞれ二〇二〇年度、二〇二三年度に伸びるなど、おくれています。
 また、今ご答弁いただきました有明給水所や大船給水所の耐震化も、おくれている部分もあるようです。
 その要因はどういうものがあるのでしょうか。

○田中建設部長 第二朝霞東村山線の整備は、想定外の大きな玉石の出現によるたび重なるシールド機械の掘進停止により、トンネル築造工事におくれが発生し、完成時期を平成三十年度から令和二年度に変更いたしました。
 また、第二朝霞上井草線の整備は、トンネル築造のための立て坑工事において、想定以上の軟弱地盤が存在し、地盤を改良する必要が生じたことなどにより、工事におくれが生じ、完成時期を令和二年度から令和五年度に見直す予定であります。
 一方、有明給水所の配水池の耐震化は、工事契約の二度にわたる不調などにより、完成時期を平成三十年度から令和二年度に変更いたしました。
 また、大船給水所の配水池の耐震化は、配水池の運用を停止するためのバックアップルートの確保や配水区域の変更等に時間を要したことから、完成時期を平成二十九年度から令和二年度に変更いたしました。

○とくとめ委員 それぞれ、おくれの要因についてはよくわかりました。おくれるのは仕方がない面もあるとしても、やはり首都直下地震などは、すぐに起こってもおかしくない状況だといわれています。近年の豪雨災害の激甚化も大変深刻です。一刻も早い完了を目指して、引き続き、推進をよろしくお願いいたします。
 震災時に水道管が外れることを防ぐ水道管路における耐震継ぎ手化、これも大変重要です。特に病院や避難所などの重要施設は、断水が極力起こらないようにしなければなりません。
 この計画と進捗状況はどうなっているのか、伺います。

○藤村給水部長 当局では、震災時の断水被害を効果的に軽減するため、重要施設への供給ルートの配水管耐震継ぎ手化を優先的に推進しています。
 令和元年度を完了目標としていた首都中枢機関等の重要施設への供給ルートの整備計画延長は、約七百一キロメートルでございます。
 この計画に対して、令和元年度に約百三十七キロメートルを整備し、約六百七十六キロメートルの整備が完了しました。これにより、耐震継ぎ手率は、平成三十年度末の七九%から、令和元年度末で九六%となっています。
 また、令和四年度を完了目標としている避難所となる小学校等の重要施設への供給ルートの整備計画延長は、約八百十五キロメートルでございます。
 この計画に対して、令和元年度に約九十キロメートルを整備し、約五百七十五キロメートルの整備が完了しました。これにより、耐震継ぎ手率は、平成三十年度末の六〇%から、令和元年度末で七一%となっております。

○とくとめ委員 昨年度完了予定だった首都中枢機能や救急医療機関、また、避難所となる中学校、一日の乗車人数が二十万人を超える主要駅などの耐震継ぎ手化は、全体として九六%の到達になり、あとわずかというところまで到達しているということです。
 避難所となる小学校などの重要施設への供給ルートの整備計画延長は、昨年度で七一%になっているということでした。
 昨年度完了予定のルートのうち、中学校の一昨年度末の到達は七三%、また、主要駅は六七%で、目標達成ができるのか心配をしていたところでしたけれども、昨年度は大変奮闘していただいて、一〇〇%に近づけていただいたというふうに思います。
 そこで質問ですけれども、あと四%残っているわけですが、どのような理由でおくれているのか、そして、今後の目標と達成の見通しはどうなっているのか、伺います。

○藤村給水部長 令和元年度を完了目標としていた重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化が未完了となっている延長は、二十五・六キロメートルでございます。
 未完了となった主な理由は、他企業工事等との施工時期の調整、地下埋設物のふくそうによる施工困難、繁華街等での施工時間の限定、施工時期が道路の掘り返し規制期間に該当、そのほか、施設の移転や新規指定によるルートの追加などでございます。
 こうしたそれぞれの理由に合わせた調整を行い、着実に耐震継ぎ手化を進めており、令和二年度末までに延長約二十二キロメートルが完了する見込みでございます。
 残りの延長約三キロメートルについても、令和四年度の完了に向けて、道路管理者を初めとした関係機関と調整を進めております。

○とくとめ委員 今年度までに二十二キロが完了し、残りの三キロも二〇二二年度には完了する予定とのことです。道路を掘る工事で、さまざまな調整が難しいとの話も聞いていましたが、どの施設も災害時の拠点となる重要な施設ですから、完了に向けて一層の努力をお願いしたいと思います。
 こうした中で、昨年の台風十九号において奥多摩地域の道路崩壊が発生し、その復旧までに約半年を要しました。本格的な復旧には一年半もの時間を要するというふうに伺っております。
 この都道に埋設された水道管は、道路崩壊とともに損壊し、町内の大半となる約二千六百所帯で、十九日余りもの長期間の広域断水が発生しました。そのときは、水道局の皆さんには、給水所に行けない高齢者などに、本当に重い重い水を運んでいただくなどの対応をしていただきました。現地の住民の皆さんにも大変喜ばれているご奮闘だったと思います。
 同時に、今後を考えたときに、老朽化した設備の更新や耐震継ぎ手化を急ぐこと、水道管の二重化などが非常に必要だと、私も、一年前の公営企業委員会でこの点は要望いたしました。
 住民生活などに巨大な影響を与えたことから、早期の新規バイパス道路の建設促進と断水時のバックアップ体制の構築を求める要望が、地元自治会と、地元、広範な住民の皆さんから寄せられています。こうした要望にどのように応えられるのでしょうか。

○松田技術調整担当部長 昨年の台風十九号の教訓を踏まえ、当局では、山間部にある小規模配水所など二十二カ所に、被災状況を確認する遠隔監視設備の整備に着手し、本年十月に完成しました。
 また、引き続き今年度は、奥多摩町にある大丹波浄水所におきまして、取水施設への土砂の流入を防止する改良工事の設計に着手しており、令和三年度に完成を予定しております。
 今後さらに、日の出町にある文化の森給水所への送水管の二系統化によるバックアップ機能の確保や、被害の大きかった河川沿いにある送配水管の耐震継ぎ手化などの中長期的な対策を行うことによりまして、断水リスクの低減を図ってまいります。
 こうした施設整備に加え、災害発生時の仮設給水槽の設置箇所や、応急給水が特に必要な施設などにつきまして、関係市町と確認を行うなど、迅速な応急給水を可能とする体制の充実を図ったところでございます。

○とくとめ委員 遠隔監視設備の整備や土砂流入防止に加えて、送水管の二系統化や耐震継ぎ手化も行うということで、大変重要だと思います。
 中長期的とのご答弁でしたけれども、山間部のリスクの高い地域でもあり、あわせて、地元の自治体や住民の方の要望もよく聞いていただいて、ぜひできるだけ早く解決していただくように要望をしておきます。
 次に、水道経営プラン二〇一六では、エネルギー、環境等に配慮した活動として、太陽光発電や水力発電、コージェネレーションシステムの導入について記載をされています。
 太陽光発電は、今年度まで八千キロワット、小水力発電は、昨年度までに二千三百キロワット以上を実現する目標になっています。それぞれの現状と到達について伺います。

○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、再生可能エネルギーのうち、太陽光発電の導入については、令和二年度までに累計八千キロワット以上の発電設備を導入する計画に対して、令和元年度、江東給水所に三百キロワットの設備を導入するなど、令和元年度末時点で累計八千八百六十七キロワットを導入し、目標を達成しております。
 また、小水力発電は、令和元年度までの目標累計二千三百キロワット以上に対し、累計二千二百八十一キロワットとなっております。
 ポンプ設備の効率化は、平成二十八年度から令和元年度までに、設備の更新時期に合わせて、三十台のポンプに高効率な設備を順次導入しております。
 なお、位置エネルギーの活用及びコージェネレーションシステムの導入は、計画を見直し、完成時期を延期しております。

○とくとめ委員 太陽光発電は目標を達成して、小水力発電も、あと一歩ということもわかりました。
 きょうは、昨年度の発電実績についても資料を用意していただいております。ありがとうございました。
 これを見ますと、例えば三郷浄水場では、発電規模は千八十キロワットに対して、発電実績が年間六十四万キロワットアワーというふうになっています。
 一方、金町浄水場は、発電規模が五百十七キロワットと、三郷の半分程度ですけれども、発電の実績は六十二万三千キロワットアワーと、三郷と同程度の実績があるなど、発電規模と発電実績には大きなアンバランスが生まれているように見えます。
 これは、どういう原因からなのでしょうか。

○岩崎設備担当部長 平成十五年度から平成十八年度にかけて整備した太陽光発電設備は、古いため発電効率が低く、また、設置位置や操作性に制約もある、ろ過池覆蓋に設置されており、必ずしも発電効率の高い方向に向けて設置されていないため、発電量が少ない傾向にあります。
 一方、平成二十一年度以降に整備した設備は、比較的新しいため発電効率が高く、また、設置位置や角度に大きな制約を受けない配水池上部などに設置されていることから、発電量が多くなっております。

○とくとめ委員 新しい太陽光発電設備は、発電効率が高いということなどもわかりました。発電機、太陽光の機材の向け方によっても、当然のことながら変わると思います。最近に導入したところは、発電実績が高くなっているということがわかりました。
 経営プラン二〇一六でも、エネルギー、環境対策は、地域、社会への貢献という項目の一つになっていますが、やはり省エネやエネルギーの効率的利用、再生可能エネルギーの活用は、CO2の発現など気候変動への対応や、原子力に頼らないエネルギー対策として、水道局の皆さんから見ても、いろんな災害への対応を考えたときに、大もとに気候変動が横たわっていることは疑いないと思います。それだけに、社会的にも大変重要な意義があると考えます。
 今後、新たな目標を設けることになると思いますが、さらに自然エネルギーの発電量を拡大すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当局では、再生可能エネルギーを活用した発電設備を計画的に導入しております。
 太陽光発電は、金町浄水場や上北沢給水所などの施設整備に合わせて導入するとともに、小水力発電は、水運用や設置場所の諸条件を確認しながら、東海給水所などに積極的に導入することとしております。
 今後とも、これらの取り組みによりCO2の削減に取り組んでまいります。

○とくとめ委員 今後も導入を進めてCO2の削減をしていくとのことですので、気候変動の原因を少しでも減らすためにも、ぜひ積極的に自然エネルギーの活用をしていただくことを要望しておきます。
 最後に、経営プラン二〇一六では、支える基盤、人材(財)の確保や育成について述べています。
 この間、水道局では、談合にまつわる局職員の情報漏えいなどの不祥事が相次ぎ、繰り返し議会でも議論されてきました。再発防止に向けた取り組みが問われています。
 特に、談合と情報漏えいがあった浄水場の排水処理施設の運転管理作業委託は、指名競争入札で、長年、排水処理施設のメーカーの関連業者が受託をして、談合が起きやすい構造になっていたことから、昨年、入札方式が改められ、総合評価方式による五年契約となりました。このことについて、昨年、我が党の河野ゆりえ都議が公営企業委員会で質疑を行いました。
 ことし一月に入札が行われましたけれども、その状況について伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 令和二年度からの排水処理施設運転管理作業委託につきましては、運転計画の策定などの重要な業務は、玉川浄水場を除く浄水場は直営とし、また、排水処理施設の運転業務は、東村山浄水場は直営で、その他の浄水場は委託により実施するなど、委託内容の見直しを行いました。
 さらに、本作業委託の契約は、五年間の複数年契約とするとともに、複数の浄水場を組み合わせて三案件とし、総合評価方式により発注いたしました。
 この契約における入札の結果、朝霞浄水場ほか二カ所の案件は、十億五千六百万円で株式会ウォーターエージェンシー、金町浄水場ほか一カ所の案件は、六億六千万円でアイテック株式会社、三郷浄水場ほか一カ所の案件は、七億七千万円でテスコ株式会社がそれぞれ落札し、契約いたしました。
 いずれの事業者も、現在、確実かつ安定的に排水処理施設の運転を実施しております。

○とくとめ委員 いずれも、現在、確実かつ安定的に排水処理施設の運転を実施しているということでした。
 契約を見直したことにより、談合防止の改善効果があったのかどうか、この点について伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 令和二年度からの排水処理施設運転管理作業委託契約は、五年間の複数年契約とすることで作業員の雇用の安定性を確保し、新規参入を促すことで競争性を確保しました。また、複数の浄水場を組み合わせて発注することで、特定の事業者の優位性を排除し、公平性を確保いたしました。さらに、総合評価方式を導入し、価格以外の競争性を確保しております。
 これらの委託契約の仕様や契約方法は、外部有識者から成る東京水道グループコンプライアンス有識者委員会に諮り、談合防止につながるものとして了解をいただいた上で発注しております。
 また、入札の結果は、本年九月に開催した第九回委員会で報告し、各委員からご理解をいただいております。
 さらに、競争性が適正に働いたと認識しておりますが、今回の委託契約が終了する五年後には、既に経験を積んだ事業者の優位性が生じることが予想されるため、新規参入を促進し、競争性が確保されるよう、必要に応じて評価基準や浄水場の組み合わせなどを検討してまいります。

○とくとめ委員 結果として、競争性が適正に働いたと認識しているけれども、五年後には経験を積んだ事業者の優位性が生じるなど、課題があり、競争性が確保されるよう、さらに検討していくとのことでした。
 私も入札調書を見せていただきましたけれども、三つの入札に、辞退を含む五者が参加をして、それぞれ別の会社が落札するという結果になりました。
 朝霞浄水場のグループは、四者が参加し、二者が辞退、二者が入札、金町浄水場のグループは、三者が参加し、一者が辞退、二者が入札、三郷浄水場のグループは、三者が参加し、二者が辞退して一者の入札となっています。
 これではまだ何ともいえませんけれども、全体の感想としては、業務委託をすれば、そこで働く仲間、働く民間労働者がいて、技術や経験も必要だし、また、労働者の生活もある。そうしたことを保障しながら、かつ競争性を働かせ、談合が起きず、適正な改革を--委託するためにはさまざまな課題が存在して、やはり今後も検討を続けていくことが必要だと感じました。
 いずれにしても、コンプライアンスを尊重した適正な業務の推進は重要な課題ですので、引き続き、私たちもこの問題を注視していくことを申し上げて、質問を終わります。

○藤井委員 よろしくお願いいたします。
 ことしに入ってから新型コロナウイルスの感染症が拡大をしたわけであります。局におかれましても、三月二十四日から、一時的に水道料金のお支払いが困難な事情があるお客様に対して、支払い猶予などの対応をされてこられたことと存じます。
 この感染拡大は、さまざまな社会的な影響があり、水道料金の収入にも、実際、かなりの影響が及んでいるのではないかなということを思うわけであります。
 そこでまず、お伺いをいたしますが、令和元年度の水道料金収入における新型コロナウイルス感染症の拡大の影響についてお伺いをいたします。

○金子サービス推進部長 令和元年度の料金収入は、税抜きで約二千八百九十三億三千万円であり、前年度と比較して約十三億六百万円、約〇・四五%減少しております。
 新型コロナウイルス感染症が広がり始めた時期が年度末の三月下旬からであったことに加え、水道料金の調定が二カ月に一度であり、短期的な使用水量の変化が反映されないことから、令和元年度の料金収入には、新型コロナウイルス感染症による顕著な影響は見られておりません。

○藤井委員 元年度決算については、期間も限られていたというところでございまして、軽微な影響であったということは承知をいたしました。
 ただ、今年度に関しましては、緊急事態宣言が発せられて、自粛期間も長期に及んだということで、かなり影響が出たと伺っております。
 四月から九月末までで百億円近い減収ともなったと伺っておりますが、今年度の状況について、ちょっと簡単にお伺いをできればと思います。

○金子サービス推進部長 本年四月から九月までの料金収入は、前年同時期と比較して、主に家庭用に用いられる口径二十五ミリメートル以下の区分で約三十七億円増加しております。これは、在宅勤務やリモート授業の拡大、緊急事態宣言下のステイホームなどによる在宅率の上昇が原因と考えられます。
 一方、主に業務用に用いられる口径三十ミリメートル以上の区分では、約百四十六億円減少しております。これは、社会経済活動の停滞などが反映されているものと考えられます。
 これらの結果、九月末までの累計で、前年同時期と比較して約百九億円の減収となっております。

○藤井委員 コロナという特別な状況でありますので、その影響をあらかじめ予測するというのは、なかなかできないことでもあろうかと思います。
 ただ、水道は基幹的なライフラインでありますので、今後とも安定給水を担っていただかなければならないわけであります。そのためには、昨年度の決算を踏まえて現状分析をして、そして、今後の見込みに生かしていただくということが重要だと思っています。
 そこで、決算を踏まえた今後の事業運営について、決意なり、抱負なりがあればお伺いしたいと思います。

○岡安理事 決算におきまして、料金収入等の増減や各事業の進捗状況などを正確に把握し、各種の業務指標などを用いまして、事業運営や経営状況を分析、検証することは、今後の事業運営を検討する上で重要であると認識をしております。
 このため、令和三年度予算の編成に当たりましても、令和元年度決算の状況を十分に分析、検証するとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大などの状況変化を踏まえ、料金収入の減少を的確に見積もる一方、各事業の進捗状況や優先度に応じて経費を精査してまいります。

○藤井委員 ただいまご答弁がありましたとおり、料金収入の減少をぜひ的確に見積もっていただいて、事業にかかわる経費を精査していただくということを引き続きお願いしたいと思います。
 局の財政なり、事業運営に対する考え方は、今、確認をさせていただいたわけであります。ただ、局が行っている事業なり、取り組みが、実際に都民に伝わり、理解を得ていくということも、同じように重要なことだというふうに思っています。
 そこでまず、給水所についてお伺いをしたいと思います。
 給水所は、浄水場から送られてきた水を一時的に貯留して、配水区域に水を配るという役割を担っているものと理解しております。
 また、震災時には、地域の給水拠点として、水道水を地域住民に供給するという重要な役割もございます。
 ただ、都内においては、配水池容量の地域的な偏りであったり、配水区域がかなり広大になっている地域があったりということで、災害や事故時等に断水等の影響が及ぶおそれがあるため、給水所の新設や拡充を進めてきていると伺っているところであります。
 そこで、令和元年度の給水所の整備状況についてお伺いをします。

○田中建設部長 令和元年度は、区部西部地域において、世田谷区と杉並区を配水区域とし、配水池容量四万立方メートルを有する上北沢給水所の新設整備と、世田谷区、渋谷区及び目黒区を配水区域とし、配水池容量を現在の六万立方メートルから十一万立方メートルに増強する和田堀給水所の拡充整備を行いました。
 また、区部東部地域では、北区、足立区及び荒川区を配水区域とし、配水池容量五万立方メートルの王子給水所の新設整備を進めました。
 さらに、多摩地区では、清瀬市、東村山市、東久留米市を配水区域とし、配水池容量三万立方メートルを有する多摩北部給水所の新設整備を実施いたしました。

○藤井委員 令和元年度の整備状況は承知をいたしました。引き続き、ご努力をいただきたいと思います。
 私の地元練馬区には、都立光が丘公園があるわけでありますが、その地下には練馬給水所が併設をされておりまして、配水池上部は運動場などに利用されているわけであります。
 ただ、地域の住民の方からは、それがどのような施設で、どのような役割を担っているのかがわからないと、よく伝わっていないという状況があろうかと思います。
 そこで、この練馬給水所の役割について、改めてお伺いをしたいと思います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 練馬給水所は、昭和五十五年から運用を開始した、配水池容量二十万立方メートルを有する都内最大の給水所でございまして、区部西部地域の約八十七万人の給水を担っております。
 また、首都直下型地震に備え、配水池の耐震補強を行うとともに、震災などにより断水が発生した場合に都民への応急給水が円滑に行えるよう、応急給水施設を整備しております。
 本給水所は、平常時の安定給水のかなめとして、また、地域の災害時給水ステーションとして、近隣住民にとって重要な役割を果たしております。

○藤井委員 重要な施設であるということは、私も承知しているつもりなんですけれども、地元の住民から見ると、そこに給水所があるということは知っていても、それがどういう役割を担っているかというのはなかなか伝わっていない部分があろうかと思いますので、ぜひ水道局として、しっかり広報に努めていただきたいと思います。
 給水所で一時的に貯留された水道水は、配水管を通じまして各配水区域に給水されていくわけであります。そのため、災害時にも給水を確保するためには、配水管の耐震継ぎ手化工事を推進していくことが大変重要であると思います。
 そこで、令和元年度における都内における配水管耐震継ぎ手化の実績を伺うとともに、また、練馬区内の進捗状況についても、あわせてお伺いをしたいと思います。

○藤村給水部長 令和元年度の配水管耐震継ぎ手化の整備延長は、全体で約二百四十キロメートルであり、令和元年度末の耐震継ぎ手率は四五%です。
 また、練馬区内の耐震継ぎ手率は五六%でございます。

○藤井委員 この継ぎ手化については、着実に進めていただきたいと思います。
 先ほど指摘をさせていただいた給水所の役割であったり、また、継ぎ手化の推進であったりという、局における重要な取り組みが、やっぱり住民の皆様方、利用者の皆様方にいまいち伝わっていないという印象を私は持っているわけであります。
 水道局のこうした取り組みを地域の住民の皆様方にきめ細かく情報提供し、重要性等を知っていただくことが重要だと思っていますが、局における地域住民に対する広報の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○金子サービス推進部長 水道事業を円滑に運営していくためには、高品質な水道水の安定供給に向けた当局の取り組みを地域のお客様にわかりやすく伝え、理解を深めていただくことが重要であると認識しております。
 そのため、これまでも、給水所の役割や配水管の耐震継ぎ手化の取り組み、最寄りの災害時給水ステーションの設置場所など、災害時も含め、お客様に水道水をお届けするための取り組みについて、地域の情報をわかりやすくお伝えする地域水道ニュースや、寸劇などの親しみやすい手法により水道事業を紹介する地域水道キャラバンなどを通じまして、きめ細かく広報をしてまいりました。
 今後も、発信する内容をさらに充実させ、地域のお客様に水道事業への理解を一層深めていただくよう取り組んでまいります。

○藤井委員 引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、水道料金の関連についてお伺いをいたしたいと思います。
 水道事業は、公営企業としての独立採算でありますので、水道を使用していただいている料金収入、お一人お一人のお客様からの料金収入によって成り立っております。将来にわたり安定給水を確保していくためには、料金をきちんとお支払いいただくということも重要であります。
 一方で、お客様のやむを得ない事情によって、水道料金の未納が発生している事例もあると伺っております。
 そこでまず、令和元年度の水道料金の未納の状況についてお伺いをいたします。

○金子サービス推進部長 令和元年度に発生しました水道料金の未納件数は約五十二万四千件であり、金額は約二十二億五千万円でございます。
 なお、令和元年度末の未納残金額は約五億八千万円であり、料金収入総額に対して約〇・一八%となっております。

○藤井委員 未納となった方の中には、少額であれば支払いはできるんだけれども、ただ、未納がたまってしまいますと支払いが難しくなっていくという意見も伺うところであります。
 水道料金の場合は二カ月に一回の請求でありますので、毎月請求される電気だとかガスに比べても、やっぱりどうしても、負担感という観点では重たく感じる方々がいらっしゃるのも、これは事実であろうかと思います。
 水道局はこれまで、お客様に対してきちんと対応されているというふうには認識をしておりますが、改めて、水道料金のお支払いが難しい方に対してどのような対応をされているのか、お伺いをしたいと思います。

○金子サービス推進部長 当局では、未納が発生しているお客様に対して、早目の催告を行うことなどにより未納料金の高額化を抑制し、早期の回収を図っております。
 また、支払いが困難なお客様に対しては、申し出に基づき、それぞれの事情を考慮し、分割払いや支払い期限の延期などの対応をしております。
 未納料金の徴収に当たっては、今後とも、きめ細かい対応を行ってまいります。

○藤井委員 お客様の間での公平性の問題もあると思いますので、未納の問題はしっかり取り組んでいただきたいなと思います。
 次に、水道料金のことでお伺いをしたいと思いますが、これまで、経営努力によって、過去二十六年間、水道料金は値上げをしていないと伺っております。
 一方で、最初の方で質疑をさせていただいたとおり、コロナの影響によって、収入に対して、かなり減少ということで影響を与えていると。
 一方では、コロナ禍で、利用者の方、お客様も経済的に大変厳しい中でありますので、なかなか水道料金を上げるというのはしていただきたくないということを思いますので、しっかり経営努力を重ねていただきたいと思います。
 一方、きょうの新聞でも書かれていたわけでありますが、横浜市が来年七月に、平均一二%、水道料金を上げるなど、なかなか歳出圧力が強まっていく中で、東京都として水道料金を据え置くというご努力をぜひしていただきたいなと。
 特にコロナでありますので、していただきたいなと思うわけでありますけれども、その点についての認識をお伺いしたいと思います。

○岡安理事 当局では、公営企業といたしまして、中期の事業計画と財政計画であります経営プランを策定いたしまして、経済性の発揮と公共性の実現に努めているところでございます。
 毎年度の予算は、経営プランに基づきまして、料金収入の変動などを踏まえ、適切に編成をしてきております。
 また、予算の執行過程におきましても、事業の進捗状況や課題を検証し、柔軟に見直しを行っております。
 令和三年度の予算編成に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の拡大や新しい生活様式など、状況変化を踏まえ、料金収入の減少を的確に見積もる一方、経営努力を行うとともに、お客様サービスの向上に関する経費も適切に盛り込む予定でございます。

○藤井委員 私たちの会派としては、値下げをしてほしいとまでは申し上げませんが、ぜひ料金の水準を維持すべく、ご努力をいただきたいなと思います。
 次に、検針業務の委託についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 この点、包括外部監査の指摘を受けて、特命随意契約から総合評価方式、一般競争入札に変更したというふうに承知をしております。
 この間、検針業務については、数者の中で受注の企業がとどまっていたという問題があったと思います。
 この入札方式を変えることによって、令和元年度の実績でも結構ですが、どのように状況が変わったのか、お伺いをしたいと思います。

○金子サービス推進部長 令和元年度に実施した検針業務委託の入札は、区部と多摩地区をあわせて、五区域を総合評価方式で実施いたしました。
 入札には、区域ごとに二者から四者が参加しましたが、いずれも、これまでに当局において受注実績がある事業者であり、開札の結果、全ての区域で、これまで受託している事業者が落札しました。
 令和二年度の発注は、業務経験に対する評価方法について、これまで都における実績がなかった事業者も競争上不利な立場とならないよう、見直しを行うなど、入札参加数をふやすための改善を行っております。現在、契約手続を進めており、十二月以降に契約予定でございます。
 今後とも、公平性、透明性、競争性のより一層の向上に向けて取り組んでまいります。

○藤井委員 今、答弁がありました公平性、透明性、競争性ということでありますが、結局、入札方式を変えても二者から四者ということでございまして、結果として、結果だけ見れば、競争性という観点では高まっていないように思いますし、こうした会社さんに対しては、都の幹部職を務められた方が、いわゆる再就職をしていく天下りの問題もあるということでございますので、透明性という観点でも、都民の皆様方からは、やっぱり疑義の目を向けられかねないというふうに思ってますので、引き続き改善に努めていただきたいなと思います。
 最後に、スマートメーターについてお伺いをしてまいりたいと思います。
 東京都、局の方針として、三〇年代までに都内の全戸に導入を目指すということでありまして、非常に意欲的だし、すばらしい決意だなというふうに思っているわけであります。
 令和元年度末に水道スマートメータトライアルプロジェクトというものを公表されておられるわけでありますが、その趣旨や効果について、どう整理をされているのか、お伺いをしたいと思います。

○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 水道スマートメータトライアルプロジェクトは、スマート東京先行実施エリアや水道使用形態の異なるさまざまな地域を対象に、約十万個のスマートメーターを設置し、導入効果の検証を行うものでございます。
 導入の効果としまして、現地を訪問せずに、これまでよりもきめ細かな検針データを取得することが可能となり、検針業務における非対面、非接触の業務遂行と大幅な効率化が実現いたします。
 また、スマートメーターから得られるデータは、お客様サービスの向上や宅地内漏水の早期発見、震災時等の危機管理能力の向上にも活用することができます。
 さらに、エリアごとの水道の使用実態などを詳細に把握できるようになり、管路などの施設規模のより一層の適正化を図ることが可能となります。
 このほか、ビッグデータとして、新サービスの創出や社会貢献につながる活用策も期待できるところでございます。

○藤井委員 ぜひ前向きに取り組んでいただきたいなと思います。
 十万個のスマートメーターを試行的に導入するということであります。そして、導入効果を検証されていくということだと思います。
 ぜひこの効果検証を行っていただきまして、三〇年代までに全戸導入ということですから、最大二十年近く、十九年ですか、そういうことも考えられるので、これは早期にスピード感を持って取り組んでいただきたいということを申し上げまして、私たちの会派からの質疑を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

○長橋委員長 発言がなければ、お諮りします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四十九分散会

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