平成三十年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

令和元年十月三十日(水曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長伊藤こういち君
副委員長小松 大祐君
副委員長白石たみお君
副委員長おじま紘平君
古城まさお君
鳥居こうすけ君
宮瀬 英治君
斉藤まりこ君
奥澤 高広君
森口つかさ君
福島りえこ君

欠席委員 なし

出席説明員
下水道局局長和賀井克夫君
技監神山  守君
総務部長久我 英男君
職員部長白川  敦君
経理部長坂井 吉憲君
計画調整部長佐々木 健君
施設管理部長猪八重 勇君
建設部長青木 秀幸君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鈴木  豊君
技術開発担当部長袰岩 滋之君
施設管理担当部長廣木 健司君
流域下水道本部本部長矢岡 俊樹君
管理部長神山 智行君
技術部長小団扇 浩君

本日の会議に付した事件
平成三十年度東京都公営企業各会計決算の認定について
下水道局関係
・平成三十年度東京都下水道事業会計決算(質疑)

○伊藤委員長 ただいまから平成三十年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより下水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○坂井経理部長 さきの分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成三十年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。二十三区における主な浸水被害状況の推移でございますが、平成二十六年度から三十年度までの浸水棟数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。政策連携団体への委託内容と委託料の推移でございます。
 当局が所管しております政策連携団体、東京都下水道サービス株式会社への主な委託内容と委託料の推移をお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。再生可能エネルギーによる主な発電設備の規模と発電量の実績の推移でございます。
 項目ごとに、設備の所在する施設名、施設規模及び平成二十九年度、三十年度における年間発電電力量をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。区部における下水道マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移と仮設トイレの設置ができるマンホールの数でございます。
 マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移及び仮設トイレの設置ができるマンホールの数をお示ししてございます。
 五ページをごらん願います。区部における下水道料金の減免実績でございます。
 平成三十年度に減免措置を実施した使用件数と減免額の実績をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。区部における下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
 平成二十六年度から三十年度までの設置個数をお示ししてございます。
 七ページをごらん願います。災害時における他都市への支援実績でございます。
 平成三十年度までの十カ年の支援実績をお示ししてございます。
 なお、資料下段、注2に記載がありますとおり、平成二十一年度の実績はございません。
 資料の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 では、質問させていただきます。
 東京の下水道という資料によれば、下水道局の取り組みは、下水道管の再構築、浸水対策、震災対策、そして合流式下水道の改善、高度処理、そしてエネルギー、地球温暖化対策、そして応援団の獲得--これは見せる化とも呼ばれていますけれども、こちらに大別をされます。
 そこで、まず最初に、再構築の取り組みについて伺います。幹線再構築の進め方と平成三十年度の取り組みについて伺います。

○青木建設部長 区部の下水道管約一万六千キロメートルのうち、下水道幹線と呼ばれます、比較的規模が大きい下水道管は約千百キロメートルございまして、劣化の度合い等によりまして優先度を決め、計画的に再構築を推進してございます。
 具体的には、昭和三十年代以前に建設されました整備年代の古い四十七幹線や、調査に基づき対策が必要と判明いたしました三十七幹線など、約三百キロメートルを対象としております。
 工事に当たりましては、当局が、政策連携団体でございます東京都下水道サービス株式会社や、民間企業等と共同で技術開発を行いましたSPR工法など、道路を掘削せず既設下水道管のリニューアルができます更生工法を極力活用することとしてございます。
 平成三十年度には、世田谷区の北沢幹線などにおきまして、五キロメートルの再構築を実施いたしまして、同年度末までに約七十五キロメートルの再構築が完了してございます。

○福島委員 世田谷地区での取り組みなどをご説明いただきました。東京都下水道事業経営レポート二〇一九によりますと、令和二年度までに累計で九十六キロメートルの幹線再構築を実施するという計画になっています。残り二十一キロメートルを二年間で再構築する必要があるということになりますけれども、平成三十年度の再構築の実績は五キロメートルと、計画の八キロメートルに対して達成率が六三%にとどまっている状態です。
 計画に対しておくれているように見えますが、その要因と対応状況について伺います。

○青木建設部長 下水道はいっときもとめることができないことから、幹線の再構築におきましては、水を流しながら工事を実施してございます。こうしたことから、雨天時には急激な水位上昇が起こることがありますため、作業員の安全を第一に考えまして、工事を中止せざるを得ないこともございまして、年間の施工延長が制限される状況にございます。
 また、技術者不足等による工事の入札不調が増加してございまして、このことも事業進捗に影響を与えているものと考えております。
 入札不調対策といたしまして、技術者を計画的に配置しやすくするよう、工事発注時期を平準化するとともに、より多くの工事業者が入札に参加できますよう、工事規模にも配慮しているところでございます。

○福島委員 天候の影響を受けるとか、あとは専門の技術者の数が足りていないなど、下水道局の努力だけでは進められない、そういった側面があることをご説明いただきました。これは理解できますし、何よりも作業員の安全を確保する、これはとても大切なことだと思います。
 とはいえ、今回ご説明いただきましたさまざまな対策は、これまでも行ってきた取り組みのように思いますので、ことしは五キロメートルのところ、来年度は十六キロメートル、計画を達成するということはそう容易ではないのではないでしょうか。作業者の安全を確保しつつ、都民生活に影響が出ないように計画を遂行する方策として、例えば、期間の短縮に向けて来年度予算を上乗せして要望するなど、必要な取り組みを引き続き要望いたします。
 次に、浸水対策について伺います。
 先日の台風十九号では、大型河川の氾濫を免れることができました。これは下水道局初め、都の取り組みが奏功したものです。これは高く評価したいと思います。
 しかしながら、私の地元である世田谷区を初め、幾つかの地域で内水氾濫は発生してしまいました。私もみずからの足で見て回って、確かに生活に与える影響が大きいことをこの目で見て実感してまいりました。
 都の浸水対策における下水道局の役割についてお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 都では、都民の生命、財産を守り、都市機能を確保することなどを目的に、東京都豪雨対策基本方針を策定し、河川や下水道などの役割分担などについて定め、関係部局が連携して浸水対策に取り組んでいるところでございます。
 下水道局は、雨水が河川や海に流れる前に下水道などからあふれる内水氾濫からまちを守る役割を担っており、区部全域で時間五十ミリ降雨に対応するための施設整備を進めるとともに、過去に甚大な浸水被害が発生した地区などにおいて、整備水準をレベルアップする対策を進めているところでございます。

○福島委員 下水道局の役割をご説明いただきました。
 では、平成三十年度における浸水対策の取り組みと、これまでの進捗状況についても伺います。

○青木建設部長 時間五十ミリに対応いたします施設整備を行う地区といたしまして位置づけております三十五地区のうち、平成三十年度末までに十六地区で事業が完了し、十二地区で事業を継続してございます。
 平成三十年度は、渋谷区恵比寿南地区、北区十条台地区など三地区で事業が完了したところでございます。
 整備水準のレベルアップを行います五十ミリ拡充対策地区六地区及び七十五ミリ対策地区十三地区につきましては、全十九地区で事業に着手してございます。
 平成三十年度は、七十五ミリ対策地区の新橋・汐留駅地区で事業が完了いたしまして、同年度末までに五十ミリ拡充対策地区一地区、七十五ミリ対策地区五地区の事業が完了いたしました。
 なお、浸水対策は、膨大な量の雨水に対応するため、施設規模が大規模でございまして、密集した市街地で、ガスや水道など数多くのライフラインが複雑に埋設されているなど、厳しい施工環境の中での工事となりまして、完成まで相当な期間を要してございます。
 このため、早期の浸水被害軽減のため、施設全体の整備が完成する前に、一部完成施設を暫定的な貯留施設として活用するなどの工夫を実施してございます。

○福島委員 東京都豪雨対策基本方針に沿って事業を行っているというご説明を受けました。
 加えて、ご説明にあったように、少しでも早くこの浸水被害を軽減するために、完成した一部の施設を暫定的な貯留施設として利用する工夫を進めるなど、浸水被害に遭われた方々に寄り添った、熱心な対策を進めていらっしゃいます。評価したいと思います。
 しかしながら、経営計画二〇一六で挙げた事業効果に対し、下水道五十ミリ浸水解消率--これは一時間当たり五十ミリの降雨に対して浸水被害が解消される面積の、区部の面積に対する割合だそうなんですけれども、これは平成二十八から三十年度の間において七〇%のまま推移しておりまして、そもそも令和二年度末に計画が達成できたとしても七四%ということで、浸水被害を完全になくすということは非常に難しいということがわかります。
 実際に、繰り返しになりますけれども、台風十九号では記録的な大雨により、区部、流域のいずれにおいても内水氾濫が発生いたしました。
 先ほどから挙げております東京都豪雨対策基本方針ですけれども、この計画が策定された平成二十六年から三十年後の令和二十六年度に、区部で今度は時間七十五ミリ、多摩地域では時間六十五ミリという目標を掲げて取り組まれているんですけれども、気象災害が激甚化する中で、都民の財産、そして命を守るという意味で、この目標値、そしてスピード感の面で十分なのだろうか、このような疑念が湧いてきます。
 これに対して、国土交通省はことしの七月に、気候変動対策としてグリーンインフラ推進戦略を策定して公表されました。このグリーンインフラというのは、自然の持つ水循環プロセスを生かすことで、雨水を活用したり、生物多様性を確保したり、加えて洪水対策もできるという取り組みで、一九九〇年代には欧米、そしてここ十年ではシンガポールが非常に積極的に取り入れております。特に、このシンガポールというのは国土レベルのビジョンを策定して取り組んでいる、このような状況にあります。
 これまでの答弁でもお答えいただいたように、下水道局による大規模な下水道幹線とか貯留施設の設置というのは、洪水、浸水対策として有効ではあるものの、完成に時間を要する、これはどうしても仕方がないところがあります。
 対して、グリーンインフラというのは、ビルを緑化して、そこから河川に流れる雨水の速度を抑えるみたいな取り組みで、細かいけれども、取り組めば必ず結果が出るようなものなんですね。より迅速に、かつ最近の研究ではより安価にできるという結果も示されてきておりまして、その能力もシミュレーション等で確定することもできてきております。
 加えて、まち中の緑が増すことで都市の価値も向上する、こういった効果もあるといわれています。地域住民参加型で取り組めるという側面もあり、これからの共助社会実現に向けてふさわしい取り組みだといえる、このように私は考えております。
 持続可能で魅力あるレジリエントな東京の形成を目指しまして、主担当局というのは都市整備局だというふうに聞いているんですけれども、こちらと連携しまして、グリーンインフラも併用した計画策定、そして浸水対策に取り組まれることを要望いたします。
 次に、震災対策について伺います。
 平成三十年度における下水道管の震災対策の取り組みと、これまでの進捗状況について伺います。

○青木建設部長 下水道管の震災対策につきましては、震災時の下水道機能の確保及び緊急輸送道路などの交通機能の確保という二つの面から推進してございます。
 下水道機能の確保といたしましては、避難所やターミナル駅などを対象といたしまして、これらの施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化を実施しているところでございます。
 平成三十年度におきましては二百二十三カ所で実施をいたしまして、同年度末までに、対象約四千六百カ所のうち、八五%に当たります三千九百十五カ所で対策を完了してございます。
 交通機能の確保といたしましては、地盤の液状化現象により浮上したマンホールが交通の障害となるおそれのある緊急輸送道路に加えまして、緊急輸送道路と避難所などを結ぶ道路を対象に、マンホールの浮上を抑制する対策を実施してございます。
 平成三十年度では約二十五キロメートルで実施をいたしまして、同年度末までに、対象約千二百五十キロメートルのうち、九七%に当たります約千二百十キロメートルで対策を完了してございます。

○福島委員 下水道管とマンホールの接続部の耐震化については、平成三十年度までに対象施設の八五%、そしてマンホールの浮上抑制対策については、対象道路の九七%で対策が完了されたということで、下水道管の震災対策はおおむね順調に進んでいることを確認させていただきました。
 では、続けて、平成三十年度における水再生センターなどの震災対策の取り組みと、これまでの進捗状況についてお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 水再生センターなどの震災対策につきましては、震災後においてもお客様の安全と衛生環境を守るために必要不可欠な最低限の機能でございます、ポンプで下水をくみ上げる揚水機能、沈殿処理を行う簡易処理機能、それから放流水を消毒する消毒機能の三つの機能に重点化いたしまして、震度七相当の地震に対し、これらの機能を確保するための施設の耐震化工事や、応急復旧計画策定などのソフト対策も組み合わせた耐震対策を進めております。
 今年度末までに、区部と多摩地域の全ての水再生センターやポンプ所百七施設で耐震対策を完了させる計画でございまして、平成三十年度には十六施設で耐震化が完了し、これまでの合計で、約五割に当たる五十七施設で耐震化が完了しております。

○福島委員 今年度末までに全ての施設で対策を完了させるという計画の中で、平成三十年度末までの対策済みの施設は全体の五割ということでした。
 では、そこで、計画達成に向けた今後の見通しについて伺います。

○佐々木計画調整部長 今年度中に、水再生センターやポンプ所三十四施設で耐震化工事を完了させる予定でございます。また、残る施設につきましても、被害の発生を想定した応急対策や災害復旧などを事前に計画するソフト対策を組み合わせまして、今年度中に対策を完了させる予定でございます。

○福島委員 今回の質疑に先立ちまして、森ヶ崎水再生センターを視察させていただきましたが、この水再生センターやポンプ所の耐震対策というのは、おっしゃったように、施設を稼働させながら、かつ雨の多い時期には行えないなどのさまざまな制約があるので、容易ではないことは、私にも想像はできます。今年度中に計画達成できない施設については、可能な限り早期のリカバリーを要望いたします。
 次に、合流式下水道について伺います。
 東京二〇二〇大会の開催に伴い注目されている、東京湾の水質に影響する合流式下水道の改善ですけれども、このために貯留施設の整備などを進めているようですが、平成三十年度における合流式下水道の改善の取り組み状況について伺います。

○青木建設部長 合流式下水道は、道路や宅地内にたまった汚れも雨と一緒に下水道管に集め、水再生センターで処理できますが、特に強い雨の日には、まちを浸水から守るため、汚水まじりの雨水を川や海などに放流せざるを得ない仕組みとなっております。
 さらに、当局では、令和六年度から強化されます下水道法施行令の雨天時放流水質基準の達成に向けまして、合流式下水道を改善する取り組みを進めておりまして、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設などを整備しております。
 平成三十年度は、森ヶ崎水再生センターなど二カ所で、約三万七千立方メートルの貯留施設が完成をいたしまして、同年度末までに約百二十万立方メートルの貯留施設が稼働してございます。

○福島委員 ありがとうございます。
 では、続けて、下水道法施行令の対応に向けた今後の見通しについても伺います。

○佐々木計画調整部長 下水道法施行令の雨天時放流水質基準の達成には、百七十万立方メートル相当の、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設が必要でございまして、残る五十万立方メートルにつきましても、大規模なトンネル工事による貯留施設の整備を進めているとともに、六カ所の水再生センターで、汚濁物を従来の沈殿処理と比べ二倍程度多く除去することが可能な高速ろ過施設の整備に着手しております。
 これら貯留施設と高速ろ過施設を組み合わせ、令和五年度末までに、下水道法施行令の対応に必要な施設を整備してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 東京都は水質改善に向けて、合流式下水道の特に汚水の部分が流れ出ることをできるだけ避けるために、さまざま努力をされていることを伺ったんですけれども、やっぱり、下水道局で頑張ろうという姿勢がすごい感じられるんですよね。でも、雨水が流入する速度を弱めることができれば、下水道インフラに対する負荷が非常に下がってくるわけなので、もちろん下水道局がすごい頑張って取り組むのはいいんですけれども、やっぱり、先ほど申し上げた住民参加型のグリーンインフラみたいなものも組み合わせて、ぜひやっていただきたいなというふうに思っています。
 そういう意味では、少子高齢化、人口減少社会というのは、何でも行政にお任せするのではなくて、やっぱり都民一人一人の意識を向上して、こういった浸水対策、合流改善に向けて自主的に取り組みをしてもらう、これはすごい大切なことだと私は考えています。
 下水道局では、東京下水道見せる化アクションプラン二〇一八で見せる化に取り組んでいることに加えて、これについて広報広聴アンケートも行われておりまして、油を流さない、油で汚れたお皿やお鍋を拭き取ってから洗うなどについても調査をされています。油をそのまま排水溝に流す人はもう数%で、お皿やお鍋を拭かないで洗ってしまう人も、もう一五%ぐらいにはなっているんですね。
 でも、東京二〇二〇大会に向けて、東京湾の水質に注目が集まっている今だからこそ、油を流さない、油を拭き取る、先ほどの、例えばグリーンインフラじゃないけど、自分の家に雨水浸透ますをつくったり、雨水をためるようなかめをつくる、こういう取り組み一つ一つが東京湾の水質改善につながるということをやっぱり示していく、このような働きかけに取り組んでいただきたい、そのように思います。
 では、次に、エネルギー、地球温暖化対策について伺います。
 下水道事業は、水処理の過程で大量のエネルギーを利用することから、再生エネルギーの活用はとても重要です。下水道におけるエネルギー対策について伺います。

○佐々木計画調整部長 下水道局では、都内の電力使用量の一%強に当たる電力を使用していることなどから、エネルギーの基本計画であるスマートプラン二〇一四に基づき、再生可能エネルギーの活用、省エネルギーの取り組みを積極的に進めております。
 具体的には、森ヶ崎水再生センターなどにおける太陽光発電設備の整備や、水処理に必要な空気を水に溶けやすい小さな気泡にして送風量を少なくし、約二割の電気使用量を削減できる微細気泡散気装置の導入などをこれまでに進めております。
 スマートプラン二〇一四では、令和六年度までに総エネルギー使用量に占める再生可能エネルギー等の割合を二〇%以上とする目標を掲げておりまして、平成三十年度までに、この割合を一二%まで向上させております。

○福島委員 先ほども述べさせていただきましたが、森ヶ崎水再生センターの中で視察させていただきまして、太陽光発電ですとか、また汚泥消化ガス発電、このような施設も見せていただきました。
 諸外国では、エネルギー、地球温暖化対策として、この下水処理過程で発生する汚泥を用いたバイオマス発電を積極的に導入しております。
 先ほどの消化ガス発電のPFI事業を踏まえて、汚泥処理におけるエネルギー対策をどのように進めていくのかを伺います。

○佐々木計画調整部長 下水道局では、埋立処分場の延命化を目的に、汚泥を全量焼却処分しておりまして、汚泥の焼却時に大量に排出される熱を活用した発電により、焼却炉の運転に必要な電気を自給できるエネルギー自立型焼却システムなどを開発、導入するなど、エネルギー対策を進めているところでございます。
 消化ガス発電は、汚泥の消化で発生するメタンガスを利用するものでありまして、広いスペースが必要なものの、消化汚泥の燃焼方法を改善できれば、下水汚泥の持つエネルギーの有効な活用方法の一つの方策でございます。
 しかしながら、発電後に残る消化した汚泥は燃えにくくなるため、補助燃料が必要でございまして、一定量の汚泥を継続的に焼却した場合には、当局の開発した自立型焼却システムの方がエネルギー収支にすぐれております。
 今後、さらにエネルギー効率のよい汚泥処理方法の検討を進めてまいります。

○福島委員 森ヶ崎水再生センターで今のようなご説明を受けることができて、私自身もなるほどと、メタンガスは一回取り出すことはできるんだけれども、取り出してしまった後の汚泥は非常に燃えにくくて、それをコンパクトにするために燃やそうとすると、さらに大量のエネルギーを使ってしまうんだと、それよりは最初から燃やした方がいい、このような説明を受けることができて、自分自身も納得がいったので、この質疑の場でちょっとご説明をいただきました。
 これからも、エネルギー収支にすぐれた取り組みを調査--設備導入時期に限られるとは思いますが、適宜導入を検討していただきたいと思います。
 では、最後に、昨年度も確認させていただきましたが、今後の下水道事業運営のあり方として、現在、包括的民間委託やコンセッション方式などの施設運営手法について検討している、このように伺っております。
 そこで、施設運営手法のこれまでの検討状況について伺います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 施設運営手法につきましては、平成三十年度から令和二年度までの三年間で、調査業務委託を活用して検討することとしております。昨年度は、予備的調査として、事業環境の検証や他都市の官民連携導入調査、官民連携事業の実績がある企業等へのアンケート調査などを実施いたしました。
 事業環境の検証では、施設の老朽化や豪雨の増加等を踏まえまして、東京下水道の特性などについて分析をいたしました。また、アンケート調査への回答では、スケールメリットや収支状況の安定性等から、当局施設の運営への関心がある一方で、事業規模の大きさが運営の制約となるとの意見もございました。
 引き続き、さまざまな施設運営手法につきまして、経済性だけではなく安定的なサービスの提供という観点も重視して、幅広く検討してまいります。

○福島委員 今後、一層効率的かつ効果的な事業運営により、持続的に、安定的にサービスを提供する、これはとても大切なことだと思います。
 ご説明にあったとおり、今はまだ途中なのでこういう状況ですけれども、三カ年で調査検討した結果をまたご報告いただきまして、都民にとって最適の施設運営手法の選択に生かすことを改めて要望いたします。
 以上です。

○小松委員 初めに、見せる化についてから質問を始めたいと思います。
 近年は下水道事業に関心を持つ都民の割合が低い、また、浸水対策など必要な事業への理解が得られない、そうしたことが課題であると伺っています。
 私自身のことでいっても、現に、下水道料金が毎月幾らぐらいかかっているのかなということは気にしてきたことが、そういえばなかったなと思って、たまたまそう感じていたときに通知が来ていたので、ああこのくらいなんだなということを把握したようでありまして、逆にほかの人はみんな知っているものなのかなと思って聞いてみたら、みんな似たり寄ったり、自分が幾らぐらい毎月払っているのか--二カ月に一回ですけど、そういう実感が余り持てていなかったのも、関心が低いといわれればそれまでなのかなというふうには思った次第であります。
 台風十九号が先日来たわけですが、区部でも非常に多くの雨が降りました。雨水の貯留施設等の効果があって、浸水被害については、その軽減に大きな効果を発揮したものと認識しておりますし、このことは、テレビの報道でもさまざま取り上げていただいたと思っています。
 都民の安全・安心な暮らしを支える下水道の役割、また、下水道施設の重要性、施設の状況等を知ってもらうことで、都民の理解がより深まると考えますし、また、今回の十九号を契機に、多くの方がかなり関心を持たれているんじゃないかなというふうに思っています。
 下水道局のこうしたさまざまな事業の情報発信の強化について、初めに、その取り組みを伺いたいと思います。

○久我総務部長 下水道が普及し、トイレの水洗化が進んだ現在、下水道はあって当たり前のものとなり、お客様の関心や認知度は低下してございます。加えて、浸水からまちを守るという下水道の重要な役割についても、認知度が低い傾向にございます。
 こうしたことから、お客様に認知され、より一層理解を深めていただくためには、積極的な情報発信が重要であると考えております。
 そこで、下水道局では、平成三十年三月に策定した東京下水道見せる化アクションプラン二〇一八に基づき、東京下水道の役割や課題、魅力をより積極的に発信する、見せる化に取り組んでございます。
 本プランでは、誰に、何を、どのようになどの視点で、大人、子供、若者のターゲットごとに、戦略的に見せる化を展開することで、下水道事業への認知度や理解度、イメージ向上を図り、お客様の満足度向上につなげられるよう、取り組みを推進しているところでございます。

○小松委員 ただいまのご答弁の冒頭にもありましたけど、下水道のインフラが整ったからこそ、逆にあって当たり前のものになっている、そんな認識も感じるところであります。
 私の大先輩でもありました前世田谷区長の熊本哲之先生が、昭和五十二年から都議会議員を六期務められたんですが、当時、昭和五十年というのは、まだまだ世田谷区でも下水道のインフラが整っていない地域が、特に西側の地域で数多くあって、そのためにずっと俺は公営企業委員会の委員を務めてきていたんだよと、そんなお話を聞いたのも懐かしい思い出でありますけれども、それが、諸先輩方のさまざまな努力でインフラが整ってきたということなんだろうというふうに思います。
 改めて、都民の理解をより一層深めていくためには、見せる化の取り組み効果を把握して、さらなる広報活動の充実につなげていくことも重要だと思います。
 そこで、東京下水道の見せる化の主な取り組み実績と効果について伺いたいと思います。

○久我総務部長 平成三十年度は新たな取り組みとして、ふだんは見ることのできない下水道施設や工事現場などをめぐる下水道のインフラ見学ツアーを、三つのコースで各二回実施し、参加者百十八名のうち、九七%が下水道事業への理解が深まったと回答しております。
 また、下水道事業への関心度が低い若者世代に向けた取り組みとして、東京下水道の新たな可能性や魅力を発信することを目的に、若者向け東京下水道発信事業、東京地下ラボを実施いたしました。
 この取り組みでは、公募で集まった学生が、みずからの視点で東京下水道の可能性や魅力をPRするための小冊子など八種類を作成して、それらを局の広報ツールとして活用いたしました。本年十月には、この東京地下ラボの取り組みが高く評価されまして、公益社団法人土木学会が主催する土木広報大賞二〇一九において、最優秀賞を受賞することができました。
 こうした効果的な取り組みを継続するほか、局のホームページのさらなる充実や、SNSなども活用し、東京下水道に対する都民の皆様の理解が一層深まるよう、広報活動に積極的に取り組んでまいります。

○小松委員 今ご紹介があった東京地下ラボについては先日、資料等で見させていただきましたけど、大変におもしろい取り組みで、また、大変クオリティーの高いツールであったことに驚いたところであります。
 また、ご紹介いただいているインフラ見学ツアーも、JTBさんと組んでいろいろ企画されていますけれど、私自身はこのツアーに参加したことはありませんが、やっぱり東京の持つ、ダムを初めとするさまざまなインフラツーリズムみたいなものも大変人気が高まっていますし、私の知り合いの方も、参加した方は大変満足度が高いので、またこうしたこともぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 各種工事等は必要なことはわかるけど、やっぱりやっている最中は大変、近隣の方にご迷惑をかける部分もありますから、逆にいえば、こうした取り組みを通じて必要だよなと、だから多少は我慢しなきゃなということになってくれれば大変いいのかなというふうに思っているところでありまして、下水道局が今後もさまざまな取り組みを進めていただくことを、大いに期待させていただくところであります。
 次に、障害者雇用について二、三質問させていただきたいと思います。
 働き方改革の流れもある中で、下水道局と政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社、通称TGSの障害者雇用について伺いたいと思います。
 まず、下水道局とTGSにおける障害者雇用率の推移、昨年までの三カ年の状況を伺いたいと思います。

○久我総務部長 下水道局の障害者雇用率は、各年度六月一日時点において、平成二十八年度は二・六六%、平成二十九年度は二・四八%、平成三十年度は三・一一%でございます。
 また、TGSは、同社によりますと、平成二十八年度は一・六〇%、平成二十九年度は一・三二%、平成三十年度は一・八七%でございます。

○小松委員 下水道局では、平成三十年四月一日から適用された二・五%の法定雇用率を達成している。その一方、TGSが民間企業区分の二・二%を達成できていないということの確認ができました。
 このこと自体は大変残念ですが、一方で、現場、この職業の仕事の細かな役割を見ていくと、なかなか困難な面があるんだろうということも理解をするところであります。
 そこで、TGSの障害者雇用における課題、そして対応策について伺いたいと思います。

○久我総務部長 TGSが行っております下水道管や処理施設の維持管理などの業務は、現場が中心でありまして、その現場は地下や高所であることなど、身体障害者で車椅子やつえなどの補助具が必要な方には、作業に携わることが困難な場合が多いという課題がございます。
 同社では、以前より、公共職業安定所などの関係機関から情報収集を図るとともに、このような課題を踏まえ、他の障害者雇用企業の状況を参考に、障害者の所属職場の確保に努めるなど、鋭意、障害者の法定雇用率達成に向け、取り組みを実施してきております。
 当局におきましても、同社の障害者の雇用を促進していくため、障害者雇用促進法を踏まえた総務局の通知に基づき指導などを行うとともに、今後も引き続き、情報提供などに努めてまいります。

○小松委員 さまざま課題と取り組み、対応策について伺ったわけでありますが、TGSさんの目標達成に至るまで、何百人もふやさなきゃいけないということではなくて、この会社の規模と、このパーセンテージからしますと、数名ふえるということだけで、かなり目標に近づいてくるわけでありますので、ぜひともチャレンジは続けていただきたいというふうに思っているところであります。
 そのためにも、どのような経験や知識や能力が必要なのかというのを、より具体的につかむことで、そうした能力を有する方を積極的に見つけて、活用していただきたいなと思います。
 この障害者雇用の問題というのは、国、また東京都の教育施策や教育カリキュラムとも関連するというふうに思っておりまして、総合的な対応が必要だというふうに考えております。
 今回、これ決算委員会なので、改めてこのことを質疑するわけではありませんが、福祉保健局でいけば、生活支援、学習支援といった機材の補助、こういったこともしっかりとやっていかなければ、必要な人材をつくっていけないわけでありますし、産業労働局を中心として、東京都のさまざま中小企業で働く障害者の方をふやす施策、そんなこととも絡んでくると思いますので、ぜひ、下水道局さんの方からも、この取り組みをしっかりと、まずは先頭を切ってやっていただく、そんなことも期待をするものであります。
 最後に、財政の方について幾つか伺っていきたいと思います。
 平成二十九年度の見える化改革報告書では、二〇五〇年までの財政収支の試算が示されておりまして、それによりますと、二〇五〇年度の累積資金というのは四百五十八億円の赤字となっています。これは、さらなる企業努力や新たな視点での見直しについて幅広く検討するために、あえて企業努力などの収支改善を加味せず、将来の事業環境を厳しく設定したものというふうに伺っています。
 下水道局がさまざまな施設運営手法の検討を行う前提としては、将来をより厳しく見ざるを得なかったことも理解をするものであります。そもそも三十年先となってしまいますと、正確な見通しを立てることは極めて難しいことはいうまでもありませんし、条件設定によって、三十年後の結果というのも大きく変わってくるのかなということも理解できるわけであります。
 昨年度、下水道局が実施した施設運営手法の調査業務委託では、財政収支の試算について、前提条件を変えて実施するということになっていると理解していますが、業務委託ではどのような試算結果になったのか伺います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年度の業務委託では、国などが公表しておりますGDPの動向や燃料価格上昇率など、変動幅のある将来予測などを用いて、維持管理費や料金収入などについて、二〇五〇年度まで複数の試算を行い、その結果の組み合わせによりまして、四通りの財政収支を算出しております。
 その試算によりますと、二〇五〇年度の累積資金は、五百九十一億円の黒字から四百三十億円の赤字まで、約一千億円の幅がございます。

○小松委員 この平成二十九年度の報告書からしますと、また大分違った数字が出てきたのかなというふうに思います。あくまで一つの試算であって、今の報告のとおりに、うのみにするものではありませんけれども、最もよいケースでは六百億円ほどの黒字となっていまして、条件設定の仕方で、収支がこのように大きく変わるものと確認ができたと思います。
 そして、ベストの黒字が六百億で、ワーストだと四百三十億であったわけですから、さまざまな条件で一千億円という大変大きな幅が出てくるわけであります。これはあくまでも三十年後の数字なので、一年当たりで割ると約三十億円の誤差になるわけであります。
 これは毎年度、財政規模が約五千億円の区部下水道事業にとっては一%未満の数字でありまして、収支試算に企業努力による収支の改善を加味していないということでありましたが、実際には資産の有効活用など、さまざまな企業努力を現在も行っているわけであります。
 決算書によりますと、資産の有効活用の具体例として、芝浦水再生センターの上部利用事業である品川シーズンテラスがあるということで、この事業のスキームについて、改めて確認します。

○坂井経理部長 品川シーズンテラスの事業につきましては、芝浦水再生センターにおきまして、合流式下水道の改善を目的とした、七万六千立方メートルの雨天時貯留池の建設に合わせまして、その上部に借地権を設定し、これを民間事業者に貸し付け、その民間事業者が業務商業ビルを建設、運営を行うものでございます。
 借地権を設定して土地を貸し付ける場合でございますけれども、一般的には、初年度に事業者から権利金を一括徴収した上で、貸付期間中、土地の貸付料を毎年度収入していくと、こういうような形でございます。
 しかしながら、本事業におきましては、権利金を業務商業ビルのオフィスフロアの権利と等価交換することによりまして、当局は、土地の貸付料に加えてオフィスフロアの賃料を、平成二十七年から三十年間にわたりまして、毎年度安定的に得る仕組みとなってございます。

○小松委員 この品川シーズンテラス事業では、借地権設定の権利金を一括徴収するのではなくて、オフィスフロアの権利と等価交換することによって、土地の賃借料とオフィスフロアの賃料収入を得るスキームを採用しており、三十年間にわたり安定的な収入を確保する、そうした仕組みになっていることが改めて確認されたわけであります。
 では、この品川シーズンテラス事業について、過去三年間取り組まれてきた事業収入の推移について確認させてください。

○坂井経理部長 品川シーズンテラスは、品川駅から徒歩六分の好立地を背景といたしまして、オフィスフロアへの入居が進みまして、過去三カ年の土地貸付料とオフィスフロア賃料を合わせた収入は、平成二十八年度は約五十四億円、二十九年度は六十九億円、三十年度は約七十六億円と、年々増加してございます。

○小松委員 この品川シーズンテラスだけで、平成三十年度は約七十六億円の事業収入を上げているということが確認できました。また、五十四億、六十九億、七十六億と、着実に三年間増加をしたわけであります。稼働率も三十年度は一〇〇%と聞いておりまして、今後も同等の収入が続くと、財政的にはかなりの効果があるのが期待されると思います。
 二〇二九年ぐらいですかね、リニアも品川に来るわけでありますが、そうした、地域的にも今後の期待が高まった地域でもあることを考えますと、大変効果が大きいのかなと思います。さらに、技術の進歩などによってコスト縮減などを行っていきますと、大きな赤字を出すことなく財政運営ができるのではないかなと期待するものであります。
 そこで、下水道局では、安定的な財政運営に向けてどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○久我総務部長 財政運営についてでございますが、下水道料金収入は、使用者の小口化の進展により、長期的に逓減傾向にある一方で、維持管理費は、電気料金の上昇などにより増加傾向にございます。また、建設改良費の財源として発行してきた企業債の元利償還費は、過去の投資水準の抑制や低金利の影響により減少傾向にあるものの、依然として重たい負担となってございます。
 こうした厳しい経営環境にありますが、今後も、将来の財政負担を見据えて、可能な限り企業債残高の縮減を図っていくため、企業債の発行、償還の管理を適切に行ってまいります。
 また、コスト縮減を進める技術や工法の積極的な採用や資産の有効活用など、できる限りの企業努力を行うことで財政基盤を強化し、収支均衡の安定的な財政運営に努めてまいります。

○小松委員 ただいまの答弁で少し安心をした部分もありますが、私が心配なのは、経済性だけを考えて、施設運営を民間に任せてしまうということであります。
 下水道局はこれまで、公営企業としてのさまざまな企業努力に加えて、局が施設を一体的に管理して事業を運営してきたからこそ、私は、東京の下水道サービスが安定的に提供されているのだというふうに思っています。
 施設運営手法の検討に当たっては、災害時などでも下水道局が責任を持って対応できるよう、安定性や公共性、都民生活への影響なども十分に考慮していただきたいと思います。
 また、当然、重々承知をされていると思いますが、やはり、東京は何といっても首都直下地震という懸念もありますし、昨今では集中豪雨はもう毎年のようにあって、かつ十九号がありましたが、これは数十年に一度という報道ではあったものの、例えば世田谷区の幹部職員と話をしても、これは数年に一回は起きると思って、今後の行政サービスやインフラを考えなければいけないと思っていますというような発言もあるように、今後、やっぱりそうした甚大な災害に、いつこの東京が巻き込まれるかということは常に考えていかなければならないものだと思います。
 財政運営の安定化、健全化についてはさまざま努力されていることを確認ができたわけでありますが、ぜひ、下水道という都民生活のインフラに及ぼす影響が極めて大きな、こうした災害対策のことも踏まえながら、財政運営についても一層の努力、また着実な取り組みを期待するものであります。
 以上で質問を終わります。

○古城委員 世界各国が共通して二〇三〇年に向けて取り組む持続可能な開発目標、SDGsにおいて、ゴール六に安全な水とトイレを世界中にと掲げられ、全ての人に、水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保することがうたわれています。
 また、ターゲットでも、全ての人々の適切かつ平等な下水施設、衛生施設へのアクセスを達成しとあります。そのほかのゴール、ターゲットに示されるインフラ整備の視点もあわせて、都の下水道事業もまたSDGsと軌を一にするものであるとの観点から、下水道局に対して、平成三十年度東京都下水道事業会計決算に関連して、合流式下水道、浸水対策、震災対策などについて質問します。
 まず、次世代に良好な水環境を引き継いでいくための合流式下水道の改善について質問します。
 一八八四年、明治十七年に、日本で初めての下水道が東京神田につくられましたが、全国への普及には時間がかかりました。前回の東京オリンピック・パラリンピックが開催された一九六四年、昭和三十九年ころの東京都区部の下水道普及率は約三割だったそうです。
 都市の発展は下水道によって支えられており、ニューヨークやロンドンでも合流式が採用されているとのことです。大都市では、都市型水害を早期に防ぐために、合流式で下水道が整備され、東京都区部の下水道でも約八割が合流式下水道で整備されてきました。
 一方で、合流式下水道では浸水から都市を守るため、強い雨が降ると、川や海などに汚水まじりの雨水を放流せざるを得ないというデメリットがあります。しかし、合流式から分流式につくり変えるには、物理的に困難な上、多額の費用を要するという課題があります。
 そこで、下水道局では、合流式下水道を改善する取り組みとして、対象とする流域を定め、対策を進めているとのことです。
 まず、どのような流域を対象としているのかお尋ねします。

○佐々木計画調整部長 合流式下水道は、道路や宅地内にたまった汚れも雨と一緒に下水道管に集め、水再生センターで処理することができますが、特に雨の強い日には、委員ご指摘のとおり、まちを浸水から守るため、汚水まじりの雨水を川や海等に放流せざるを得ない仕組みであるため、当局では、令和六年度から強化される下水道法施行令の対応に向け、合流式下水道の改善対策を進めております。
 また、雨天時に放流された汚水まじりの雨水の影響を受けやすい河川等の流域において対策を進めておりまして、具体的には、潮の干満の影響を受ける河川の水が滞留しやすい一部区間や、閉鎖性の水域であります神田川、日本橋川、善福寺川や外堀など、十四水域を選定しております。

○古城委員 ただいま答弁していただいた中でありますと、私の地元新宿区でも対策が進められているとのことであります。
 そこで、神田川、日本橋川、善福寺川流域では、具体的にどのような取り組みを進めているのかお尋ねします。

○青木建設部長 合流式下水道の改善対策といたしましては、降雨初期の特に汚れた汚水まじりの雨水を一時的に貯留する施設の整備や、雨水のはけ口から河川にごみなどが流出しない対策を推進してございます。
 神田川流域では、落合水再生センターにおきまして、神田川への放流水の汚濁物を従来の沈殿処理と比べ二倍程度多く除去できます高速ろ過施設の整備を推進してございます。
 日本橋川流域におきましては、千代田区大手町の常盤橋再開発事業に伴う銭瓶町ポンプ所の再構築工事の中で、約二千四百立方メートルの雨水貯留池の整備を実施しております。
 善福寺川流域におきましては、既にごみなどの流出を抑制する対策が完了いたしまして、善福寺公園から杉並区上荻二丁目に至る内径二・四メートル、延長約三・四キロメートル、貯留量約一万五千立方メートルの雨水貯留管の整備を実施しております。

○古城委員 続きまして、先ほど答弁がありました十四水域の一つである外堀は、春先から秋にかけて発生するアオコによって水面が覆われ、悪臭を放つなどの課題を抱えています。
 この主たる原因は、玉川上水からの河川水の補給がなくなったこと、また、私もどす黒い水が外堀に入ってくる映像、画像を拝見しましたが、下水道のはけ口から、大雨が降るたびに汚水まじりの雨水が流れ込むことなどといわれています。この汚水は神田川、日本橋川にも悪影響を与えています。
 都議会公明党は、外堀、神田川、日本橋川の水質浄化に向けて、いち早く議会で取り上げるとともに、具体的な提案を繰り返し訴えてきました。
 これらを受けて、都は昨年九月、関係局による検討会を立ち上げるとともに、ことし八月には未来の東京への論点に、浄化や自然環境の改善が進んだ外堀では蛍が舞いと、二〇四〇年代のイメージを描き、外堀の水質浄化を盛り込みました。
 そこで、下水道局における外堀浄化のこれまでの取り組みについて見解を求めます。

○佐々木計画調整部長 下水道局ではこれまで、外堀に十二カ所ある全てのはけ口に、ごみなどの流出を抑制する水面制御装置の設置を完了しております。加えまして、外堀の流域におきまして、令和六年度から強化される下水道法施行令の雨天時放流水質の達成に向け、一万六千六百立方メートルに及ぶ、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を進めておりまして、そのうち、既に一千八百立方メートルの貯留管を稼働させており、現在は残る貯留施設の工事を進めているところでございます。
 引き続き、庁内の関係五局による検討会とも連携し、外堀の水質浄化に向けて取り組んでまいります。

○古城委員 ぜひとも外堀の水質浄化、また、玉川上水を初めとする清流の復活につきましても、下水道局のお力を存分に発揮していただきたいと思います。
 また、ただいま答弁がありました、外堀通りなどで外堀流域を対象とした貯留施設や、その整備完了時に接続される千代田幹線など、困難な施工条件の中でも着実に工事を実施されている下水道局の取り組みを高く評価いたします。
 工事の安全性及び完成施設の品質を確保するため、最新の技術を幅広く取り入れるとともに、首都東京にふさわしいグリーンインフラたる水辺空間の形成にも資する取り組みとして、合流式下水道の改善対策を積極的に推進していただきたいと要望します。
 次に、浸水対策について質問します。
 都議会公明党は、下水道などにおける浸水対策の充実強化を一貫して推進しております。東京都区部では、都市化の進展による下水道への雨水流入量の増加に伴い、場所によって雨水排除能力が不足しています。一時間五十ミリを超える豪雨も増加傾向にあり、東京二〇二〇大会へ向けた浸水に対する安全性の向上が不可欠です。
 そこで、都議会での質問などを通じ、区部で甚大な浸水被害が出ている現状を踏まえ、下水道の排水能力を高めるよう訴えてきました。
 きょうは、まず浸水対策の基本的な進め方について見解を求めます。

○佐々木計画調整部長 下水道局では、区部全域で時間五十ミリ降雨の対応を基本といたしまして、早期に浸水被害を軽減するために、地区を重点化し、施設整備を進めております。
 具体的には、浸水の危険性が高い地区や浅く埋設された幹線の流域など三十五の重点地区を選定し、時間五十ミリに対応する幹線や貯留施設などを整備しております。また、浸水被害の大きい大規模地下街や甚大な浸水被害が発生している地区十九地区を選定いたしまして、雨水整備水準をレベルアップするための対策も進めております。

○古城委員 続いて、新宿区における具体的な取り組み内容についてお尋ねします。

○青木建設部長 新宿区におきましては、五十ミリの施設整備を行う対策促進地区といたしまして、新宿区新宿、新宿区北新宿、新宿区落合の三地区を位置づけまして、事業を推進してございます。
 新宿区新宿につきましては、既設の戸山幹線の能力を補う、内径最大四・二メートル、延長約三・七キロメートルの第二戸山幹線の整備を含め、全事業が平成二十九年度に完了しております。
 新宿区北新宿につきましても、既設の十二社幹線の能力を補う、内径最大三・八メートル、延長約四・八キロメートルの第二十二社幹線の整備を含めまして、全事業が平成二十九年度に完了してございます。
 新宿区落合につきましては、既設の妙正寺川幹線の能力を補います、内径最大二・二メートル、延長約四・二キロメートルの第二妙正寺川幹線の整備が完了してございますが、河川管理者との放流量協議に時間を要しましたことから、妙正寺川へのはけ口が未完成でございます。そのため、はけ口が整備されるまでの間、第二妙正寺川幹線を雨水貯留管といたしまして、平成七年度から順次、暫定稼働してございます。

○古城委員 事業の実施に当たっては、立て坑と事業用地の確保が困難であると仄聞します。新宿区新宿地区での第二戸山幹線の整備にあっては、都道大久保通りに接し、都営戸山ハイツアパートにもつながる都立戸山公園用地に作業基地が設けられていました。当時、近隣の戸山ハイツ北地区自治会からは、幹線整備完了時に車両が通れないほど幅が狭かった当該用地を、災害時に警察や消防などの緊急車両が通行できるように改善するよう求める要望がありました。
 私も、この要望を都に届けさせていただきましたが、平成二十九年十月には当該用地がきれいに整備され、翌十一月には東京消防庁牛込消防署の協力で、緊急車両の進入について検証が行われました。今ご紹介させていただいたように、このように対応するなど、下水道工事について、広く都民の理解と協力が得られるよう取り組んでいただきたいと要望いたします。
 さて、先ほど答弁いただきましたが、新宿区内で五十ミリ対策を重点化して進めている三地区のうち、新宿区新宿と新宿区北新宿の二地区で、既に大規模な下水道幹線の整備により事業が完了しているとのことであります。
 残る新宿区落合地区における平成三十年度の取り組み状況についてお尋ねします。

○青木建設部長 未整備でございます妙正寺川への雨水はけ口につきましては、複数の水路が合流する、水の流れが複雑化する地点でございまして、水理模型実験によって詳細な位置や構造等を検討する必要がございました。
 平成三十年度は、この水理模型実験に基づきまして、河川管理者と精力的に協議を行ってまいりました結果、はけ口の位置及び構造等について協議が調いましたことから、はけ口の整備工事を発注いたしまして、平成三十一年四月より工事に着手したところでございます。

○古城委員 第二妙正寺川幹線が通る新宿区西落合では、一九九九年、平成十一年七月、住宅地が冠水し、住宅の地下室で、居住者の男性が道路から流れ込んだ雨水で溺れ、亡くなるという痛ましい事故が起こりました。
 第二妙正寺川幹線は、都市河川特有の狭隘な河川である妙正寺川に接続すること、さらに、はけ口上流側では神田川分水路が妙正寺川へ合流することなど、はけ口の築造に当たり、関係者のご苦労があったことと推察しますが、早期の整備完了を要望させていただきます。
 もう一点申し上げたいと思います。
 先日の台風の際、新宿区中落合では、妙正寺川至近の下水マンホールから水があふれ出し、道路冠水が発生しました。これまでも同様の事象が繰り返されている地点です。私も現場に駆けつけ、周辺住民や近隣の商店の方からご要望、ご意見を伺いました。既に下水道局には要望を伝えているところですが、改めて、二度と発生しないように抜本的な対策を求めるものです。
 さて、浸水対策には、下水道による施設整備、ハード対策とともに、都民の生命、財産を守るソフト対策の充実も重要です。
 そこで、浸水対策における下水道局のソフト対策についてお尋ねします。

○猪八重施設管理部長 豪雨からお客様の生命や財産を守るため、お客様みずからが浸水に備える取り組みを支援するソフト対策につきましては、委員ご指摘のとおり、極めて重要でございます。
 具体的には、東京アメッシュにより、ホームページやスマートフォンなどで、きめ細かな降雨情報をリアルタイムで配信してございます。また、毎年六月を浸水対策強化月間と定めまして、下水道施設の総点検を行うとともに、お客様に浸水の備えをしていただくよう、半地下家屋への戸別訪問、区や市などと連携したイベントを通じまして、土のうや止水板の準備などの注意喚起を実施しております。
 さらに、幹線水位情報を地元区へ提供いたしますとともに、お客様が迅速に避難できますよう、区市が作成する洪水ハザードマップのもととなる浸水予想区域図の見直しを河川管理者と連携して実施してございます。

○古城委員 さまざまなソフト対策を実施していることがわかりましたけれども、私はことし六月の総務委員会で、都議会公明党の提案で東京都防災アプリに搭載された水害リスクマップの情報を常に最新版にすることを求め、これに対して総務局は、浸水予想区域図などの改定に合わせてマップのデータ更新を行う方針を示しました。この浸水予想区域図の見直しについては、引き続き関係機関と連携し、適切に行っていただきたいと要望します。
 さて、リアルタイムで降雨情報が入手できる東京アメッシュは、私も学生時代から大いに活用しています。当時はガラケー全盛でしたが、PCサイトビューアーを経由して閲覧し、最新の降雨情報を踏まえ、その後の降雨の予測をしながら移動に役立ててきました。
 現在、東京アメッシュは、いつでもどこでも手軽に情報を入手できるスマートフォン向けにも配信されており、より多くの都民、そして都内への来街者が利用できるようになったことで、ソフト対策として非常に有効であると考えます。
 そこで、スマートフォン版の配信を開始した経緯と、より多くの都民に利用してもらうための工夫について見解を求めます。

○猪八重施設管理部長 下水道局では、雨水を排除するポンプの運転管理に活用しております降雨情報システムを、平成十四年度から東京アメッシュとしてインターネットに配信を開始いたしました。平成二十八年度からは、最新型レーダーを導入いたしまして、より精度の高い降雨情報を提供いたしております。
 また、昨今のスマートフォンの普及状況を鑑みまして、平成二十九年度からは、より多くのお客様に利用していただきますよう、アメッシュの画面にGPS機能を用い、現在地の表示などができるスマートフォン版の配信を開始いたしております。
 あわせて、スマートフォン版に簡単にアクセスできます二次元コードを東京アメッシュのパンフレットに掲載し、区や市などと連携したイベントで配布しております。
 これらの取り組みにより、お客様の利便性の向上に努めております。

○古城委員 雨水ポンプの運転等の支援のために導入されたという本来の目的に加えて、都民生活に資するように、使いやすさや利用しやすさを向上させるさまざまな取り組みを実施していることがわかりました。
 そこで、これらの工夫を踏まえたスマートフォン版の利用状況について見解を求めます。

○猪八重施設管理部長 スマートフォン版の利用状況を示すアクセス件数につきましては、平成三十年度は約二千百万件でございます。また、配信を開始いたしました平成二十九年度は約一千九百万件でございますので、前年度比で約二百万件の増加となっております。

○古城委員 東京都下水道事業経営レポート二〇一九に記載をされています東京アメッシュトータルのアクセス数を見ますと、平成二十九年度は五千九百万件、平成三十年度は五千八百万件ということで、マイナス百万件ということになります。
 一方で、今ご答弁いただきましたが、スマホは二百万件の増ということでありますので、この数字をもとにしますと、PCで閲覧をしている件数については、一年間で三百万件ほど減、減ったということになろうかと思います。この理由については、さまざま競合するサービスであるとか、他のアプリを利用されているということも影響していることではないかなと推察をするところであります。
 激甚化する自然災害から都民の皆様の命と暮らしを守るために、今こそ防災、減災、復興というテーマを都政の主流に位置づけ、防災意識を高める教育を含めて、社会の主流へと押し上げるべきであると考えています。
 また、避難行動を我が事として意識する社会への推進には、マイタイムラインの作成とともに、東京アメッシュの利活用が欠かせないと考えます。着実に利用者数が、またアクセス数がふえているスマホ版に加えまして、全体の東京アメッシュのアクセス数を増加させていく、ふやしていくという意味におきましても、今後は技術革新の流れも見きわめながら、オリジナルのアプリの開発や、東京都防災アプリに搭載する等も検討していただきたいと要望します。
 次に、震災対策について質問します。
 私は、二〇一六年の熊本地震の発災直後に訪れた被災地、熊本県益城町で災害用トイレの設置に携わり、震災時に、トイレ機能や下水道が必ず確保すべき機能を維持することの重要性を実感しました。
 首都直下地震や三連動地震への対策として、下水道管とマンホールの接続部の耐震化、道路の液状化によるマンホールの浮上抑制対策、水再生センター及びポンプ所の耐震対策、非常時の自己電源の確保、河川護岸などの機能をあわせ持つ施設の耐震対策などが喫緊の課題であります。
 その中で、特に水再生センターやポンプ所の、非常時の電源確保に向けた取り組みについて見解を求めます。

○猪八重施設管理部長 下水道局では、震災時などに停電が発生した場合につきましても、下水処理機能や雨天時のポンプ排水機能を維持するために必要な電力を確保する取り組みといたしまして、非常用発電設備の整備を推進してございます。
 なお、文京区にございます湯島ポンプ所では、非常用発電設備を設置するスペースの確保が困難でありましたため、非常用発電設備の整備が完了するまでの間の対策といたしまして、移動電源車を導入いたしております。
 こうした取り組みによりまして、都内にある水再生センターやポンプ所全百七施設において非常時の電源を確保してございます。

○古城委員 私の地元新宿区にも、今答弁いただいた中の一つになると思いますけれども、落合水再生センターがございます。少し、この落合水再生センターについて触れさせていただきたいのですが、先月、立地町会である上落合東部町会の防災イベントに、敷地を開放していただきました。
 東京消防庁のVR防災体験車のほか、水再生センター施設の見学などに、多くの地域の方々が来場されました。町会役員の方からも喜びの声を伺いました。今後も、同様のイベント開催や地域への出展に期待していただいております。
 こうしたことも踏まえて、日ごろからの消防団活動へのご協力とともに、地域貢献への取り組みを高く評価させていただきます。
 さて、落合水再生センターは、水処理施設の一部の上部が覆蓋化されて、区立落合中央公園となっており、その一帯は上落合一丁目、二丁目、中落合一丁目を対象とする新宿区の広域避難場所にも指定されています。震災時に都民が避難した場合の物資は区などが備蓄していますが、電力の確保には、下水道局が整備する非常用電源なども活用するべきであると考えます。
 そこで、下水道施設から避難場所への電力供給について見解を求めます。

○猪八重施設管理部長 都内にございます二十カ所の水再生センターのうち、落合水再生センターなど十カ所で施設上部の公園などが、委員ご指摘のとおり、避難場所として指定されてございます。
 下水道局では、震災時などの停電の際に、下水処理機能に支障がない範囲で、非常用発電設備の電力の一部を避難場所に供給する取り組みを実施いたしております。
 具体的には、避難場所を管理する区市と震災時における電力供給の協定を締結し、停電時に上部公園に電力を供給する設備を、これまでに八カ所で設置しております。
 今後とも、非常用発電設備を活用し、震災時の下水処理機能の維持ばかりでなく、地域の避難活動にも貢献してまいります。

○古城委員 地元の方々にとっても、非常に安心していただくであろう取り組みだと思います。停電などの非常時の電力を確保するため、非常用発電設備の整備などとともに、運転に必要な燃料についても安定的に確保していただきたいと要望します。
 最後に、SDGsに関連して質問します。
 先週二十二日に即位礼正殿の儀をとり行われた天皇陛下は、水問題へのご関心が深く、ライフワークの一つにされています。皇太子時代には、落合水再生センターをご視察なされています。
 また、昨年九月には、国際水協会、IWA世界会議開会式に、現在の皇后陛下、雅子妃殿下とともにご臨席なされました。そして、SDGsについて、水の問題が誰ひとり取り残さない社会の実現に向けた国際社会の大きな課題となっていることを踏まえて、歴史から学んだ知恵と現代のすぐれた技術をあわせて活用し、国際社会が連携して行動することが求められているとのお言葉を賜りました。
 安定的な水供給と適切な下水処理は都市の生命線ともいえ、世界的な気候変動や天然資源枯渇の懸念など、共通の課題に直面している中、持続可能な社会の実現に向け、都市の構造をより循環型に変えていく必要があります。
 落合水再生センターでは、高度に処理された下水再生水を、西新宿の新宿副都心水リサイクルセンターに送水しており、西新宿及び中野坂上地区のビルにおいてトイレ用水等として活用され、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが行われています。
 そこで、再生水の利用について、これまでの経緯と平成三十年度の実績についてお尋ねします。

○猪八重施設管理部長 再生水は、ビルのトイレ用水や車両の洗浄水などの事業用水として供給いたしますとともに、公園の親水用水や河川の清流復活用水としても供給してございます。
 このうち、事業用水といたしましては、昭和五十九年度から西新宿地区のビルのトイレに供給を開始いたしまして、平成三十年度には七地区の百九十二の施設に対しまして、一日当たり約一万立方メートルを供給いたしております。
 親水用水といたしましては、昭和六十二年度から落合水再生センターの上部のせせらぎの里公苑に、また、清流復活用水といたしましては、平成七年度から目黒川などの城南三河川に落合水再生センターの再生水の供給を開始いたしまして、平成三十年度には一日当たり約八万立方メートルを供給しております。
 これらを合わせますと、区部では、一日当たり約九万立方メートルの再生水を供給しており、これは二十五メートルプールに換算いたしますと、約三百杯分に相当する量でございます。

○古城委員 下水再生水の再利用は、都市の水循環の再構築に資するものであると考えます。ただいまご答弁いただきましたが、改めて、都市の良好な水環境に貢献する落合水再生センターの特色を理解したところであります。
 下水道局において、エネルギー、地球温暖化対策も含めて、SDGs達成に向けた取り組みが着実に進展することを期待しまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時二十分休憩

   午後二時三十八分開議

○伊藤委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 資料をご提出いただきまして、ありがとうございます。
 私からは、災害時の対応と施設運営手法の検討について、また工事現場における安全対策について伺います。
 この十月には、大型台風の被害が相次ぎました。近年では、過去最大級といわれるような豪雨や台風などが毎年のように起こり、特に河川の氾濫や内水氾濫に対して迅速な対応が求められる下水道局の役割は、とても大きなものになっていると思います。災害時の対応について幾つか伺いたいと思います。
 まず、豪雨や台風が予想される場合において、二十四時間の対応が求められる下水道局では、どのような対応をしているのか伺います。

○猪八重施設管理部長 下水道局では、平日の夜間や休日などの勤務時間外におきまして、台風などの豪雨による浸水被害や拡大防止を図るため、収集した気象情報に応じて、情報連絡体制、情報監視体制、警戒体制の三つの配備体制を定めております。
 このうち、情報連絡体制につきましては、注意報や警報が発令された場合に、関係職員が随時、連絡がとれる体制でございます。
 次の段階の情報監視体制につきましては、豪雨による浸水被害が発生するおそれがある場合に、情報監視要員が参集し、降雨量などの情報収集及び連絡調整を行う体制でございます。
 最高レベルの警戒体制につきましては、豪雨により甚大な被害のおそれがある場合に、平常時の体制に加えまして、過去に浸水被害のあった地域の巡回点検や、浸水防除のためのポンプ運転などの要員を増員配備する体制でございます。

○斉藤委員 情報連絡体制、情報監視体制、そして警戒体制の三段階の配備体制をとって、連絡体制の確認や人員の配置を行っているとのことです。
 最高レベルの警戒体制はめったにないということを伺いましたが、まさに、十月十二日に首都圏を襲った台風十九号では、この警戒体制がしかれ、通常の九十人の人員に加えて四百人まで増員し、浸水防除のためのポンプ運転や管路の巡視点検などを行ったということを、先日の事務事業の我が党の質疑の中で確認をさせていただきました。
 通常の五倍以上の体制をとって対応に当たったということで、今後に検証が必要な事項もあるかと思いますが、とにかく、警戒体制時の下水道局の迅速な対応の重要性について、改めて実感をしているところです。
 また、警戒体制の前段階の情報連絡体制や情報監視体制について、その数も確認をしたかったのですが、これはほとんど常時というか、頻繁に行われているということで、数字としては出せないということでした。それだけ、下水道局では、まちを水害から守るために重要な対応を日常的に行っているということだというふうに思います。
 ほかの自治体で起きた災害に対しての対応についても伺いたいと思います。
 資料要求で他自治体への職員の派遣について出していただきましたが、この十年間では、東日本大震災や熊本地震、そして昨年起きた北海道胆振東部地震のときに職員を派遣しているということですが、被災地に対して、どのような仕組みで支援が行われているのか伺います。

○佐々木計画調整部長 大規模な地震などで被災した自治体が単独で対応が困難な場合に備えて、下水道事業関係者の広域的な支援体制を整えております。
 具体的には、大都市間の災害時相互応援に関する協定などを締結しておりまして、自治体間で相互支援を行うこととしており、これらの協定に基づき、例えば北海道、東北、中部、近畿の各地方の政令指定都市が被災した際には、当局は、情報連絡総括都市として被災情報を収集し、国等の関係団体に伝達するなど、大都市間の調整を行うとともに、みずから率先し、先遣隊を迅速に派遣するなど、重要な役割を担っております。

○斉藤委員 大都市間で災害時相互応援に関する協定などを結んでいるということ、また、下水道局は、情報連絡総括都市として被災情報を収集し、大都市間の調整を行うなど、重要な役割を担っているということです。
 支援の内容についても伺いたいのですが、昨年、二〇一八年度の被災地に対する支援実績について、その内容を伺います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成三十年度は、九月に発生いたしました北海道胆振東部地震におきまして、発災後直ちに、大都市間の協定に基づいて、札幌市へ先遣隊として職員二名を派遣し、現場の情報収集を支援いたしました。
 このほか、東日本大震災で被災した宮城県石巻市からの要請によりまして、これは、平成二十六年度から引き続いて職員二名を派遣しておりまして、下水道施設の設計や工事監督など、災害復旧、復興事業の支援を行いました。

○斉藤委員 北海道胆振東部地震において現場の情報収集支援を行ったほか、宮城県石巻市には二〇一四年度、平成二十六年度以降継続して、災害復旧、復興事業の支援のために職員を派遣しているということです。被災地の復興に向けて、とても重要な取り組みだと思います。
 大規模な災害では自治体間の支援が重要であるということが、今回の一連の台風被害でも改めて認識されていると思います。下水道局の保有する技術力を維持向上させながら、それを生かした支援活動を、今後もぜひ積極的に行っていただきたいと思います。
 次に、浸水対策について意見を述べさせていただきたいと思います。
 今回の台風十九号では、都内でも世田谷区や大田区で浸水被害があり、改めて、浸水対策の重要性が認識されています。下水道局では、時間五十ミリ降雨、七十五ミリ降雨に対する対策を重点化して進めていますが、台風十九号では、一日で二百ミリから三百ミリの降雨となり、事前には四百ミリから五百ミリの雨が降るという予報もありました。
 そうした場合には、時間当たり五十ミリ降雨の対策では間に合わないことも考えられ、我が党は、先日の事務事業質疑において、七十五ミリ対応の地域を拡大することを求めました。それに対して下水道局から、今後、地区の追加を検討していくという重要なご答弁がありました。
 区部全域で時間七十五ミリ降雨があった場合の下水道施設の能力検証を、流出解析シミュレーション技術を活用して進めていくということでしたが、ぜひ、今後の対策強化を進めていただくことを、私からも要望させていただきます。
 次に、施設運営手法の検討について伺います。
 下水道局では、昨年度以来、下水道施設にコンセッション方式の導入を含む施設運営の手法について検討を行っています。出発点は、二〇一七年十二月に都政改革本部に提出した見える化改革ですが、ここでは、下水道管の老朽化、豪雨回数の増加、人口減少という三つの危機に直面しているとされ、課題解決のために施設の運営手法について検討を行うとされていますが、これ以上の、民間企業へ移譲していくようなやり方が本当に必要なのかどうか、冷静に検討していかなければならないことがたくさんあると思います。
 まず、下水道局の財政運営ですが、二〇一八年度の区部の財政収支について伺います。

○久我総務部長 区部の平成三十年度の財政収支でございますが、収入が約四千八百二十五億円に対しまして、支出が約四千八百十五億円でありまして、差し引き約十億円の黒字となってございます。

○斉藤委員 区部の財政収支は約十億円の黒字ということです。
 経営レポート二〇一九にも記載がありますが、当初の計画では約一億円のマイナスでしたが、十億円の黒字という結果になったこと、また、省エネルギー型機器の導入などによるコスト削減や資産の有効活用などで、プラス百十七億円の企業努力に取り組んだということも示されております。
 先ほどは、三十年後の財政のシミュレーションという中で、企業努力を行う中で六百億円の黒字にしていくということも、結果として出ているということもありました。こうした中で、世界でも失敗事例が多く挙げられているコンセッション方式など、いわゆる官民連携の導入が本当に課題解決につながるものなのか、丁寧な検討が必要だと思います。
 検討すべき内容はたくさんありますが、まず、昨年度の検討状況、検討内容について、改めてお伺いしたいと思います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 施設運営手法につきましては、平成三十年度から令和二年度までの三年間で、調査業務委託を活用して検討することとしております。昨年度は予備的調査といたしまして、事業環境の検証や他都市の官民連携導入状況調査、官民連携事業の実績がある企業等へのアンケート調査などを行いました。
 アンケート調査の内容は、当局施設の運営への関心や、さまざまな官民連携の施設運営手法に対する各企業の評価などでございます。
 引き続き、さまざまな施設運営手法について、経済性だけではなく、安定的なサービスの提供という観点も重視して、幅広く検討してまいります。

○斉藤委員 事業環境の検証や他都市の官民連携導入状況調査、官民連携事業の実績がある企業等へのアンケート調査を行ってきたということです。
 今の最後のご答弁にあった施設運営手法について、経済性だけでなく、安定的なサービスの提供という観点も重視して、幅広く検討していくという点は、大切な肝の部分だというふうに思っております。
 この検討が始まって以来、私は繰り返し確認をしてきましたが、東京都の下水道事業は、都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質の保全に資することを目的とする下水道法のほか、地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないと定めている地方公営企業法に基づいて運営をしています。つまり、本来の目的は公共の福祉を増進することであって、経済性に偏って、それが脅かされるようなことがあってはならないということだと思います。
 検討状況について、事業環境の検証や他都市の官民連携導入状況調査、そして官民連携事業の実績がある企業等へのアンケート調査を行っているということでしたが、この調査は、下水道局ではPwC、プライスウォーターハウスクーパースというアドバイザリー合同会社に委託して行ってきたということを、私は、ことしの三月の議会でも質疑をいたしました。上下水道の官民連携が専門の、同社のシニアアドバイザーという方が、業界紙で発言している内容についても取り上げました。
 その内容は、PPP、PFIやコンセッションになると、より経営的な視点が重視され、監査法人やシンクタンクが担える一定の役割がある、また、導入可能性調査で監査法人やシンクタンクに期待されているのは、より経営的な視点からどういう方策をとるべきかの提案だと思いますと、そういう発言ですが、より経営的な視点が重視されるというPwCのシニアアドバイザーのこの言葉は、経済性と安定性のバランスを欠き、まさに安定性や安全性を脅かすものだということを指摘いたしました。
 各地でコンセッションやPFIを推進してきた同社の検討で、導入ありきの検討になることは許されません。このことは、重ねて強く指摘させていただきます。
 今回の質疑の冒頭で、私は災害対策について伺い、公的責任を負っている下水道局ならではの取り組みについて確認をいたしました。その一方で、災害時の対応が大きな焦点になっているのが、運営権を民間企業に売却するコンセッション方式です。
 内閣府の公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドラインには、不可抗力リスクについては、事業の特性に応じて官民間で協議し、そのリスクを分析した上で適切なリスク分担を図ると記載されています。要するに、民間企業は、災害時に発生するリスクを契約上で回避できるというふうになっていますが、このことについて下水道局はどう認識しているか伺います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 内閣府のガイドラインによりますと、委員ご指摘のとおり、不可抗力リスクにつきましては、事業の特性に応じて官民間で協議し、そのリスクを分析した上で適切なリスク分担を図ると記載されておりまして、また、いずれのリスクについても、リスクを最もよく管理することができる者が当該リスクを分担するとの考え方に基づき、事業の特性や官民の双方の能力等に応じ、適切な分担を図るというふうに記載をされております。
 リスク分担につきましては、官民間で協議して、適切な分担を図るものと認識しております。

○斉藤委員 ご答弁のとおりですけれども、この内閣府のガイドラインに書いている言葉はとてもきれいに見えるわけですけれども、要するにリスクを分担することができる、つまり、施設運営で民間企業は利益を得る一方で、リスクの負担についてはそのまま負うわけではないと、そういうことになっているわけです。
 実際に、既に下水道施設にコンセッション方式を導入している浜松市での契約書には、以前の質疑でも指摘をしましたが、地震、暴風、豪雨等の自然災害にかかわる不可抗力による費用の増加等は、原則的に市の負担とするという条項があります。まさに民間事業者は、災害時の対応は市に投げ出し、負担を市に、つまり市民に負わせるという無責任体制になっています。
 そもそもこうしたリスクを民間企業が負わなくてもいいように考えられているのが、所有を公に残したまま、運営権だけを民間企業に売却するというコンセッション方式です。私は水道局の質疑でも同じ問題を取り上げていますが、私は、今回この問題で大切なことは、公の役割と民間の役割の違い、もっというと、何がそれぞれの事業の原動力になっているのかという大きな違いがあるということを、しっかり踏まえることだと思っています。
 下水道局では、下水道法や地方公営企業法の理念に基づいて、全ての人に衛生的な環境を保障していく事業を追求しています。一方で、民間企業の原動力は利益の追求です。
 私は、四十歳まで民間企業で働いてきて、外資系企業で働いてきた立場として、もちろん、民間企業の活力が経済を活性化させてきたということには疑念はありません。
 しかし、何でもかんでも民間企業のやり方で、その原理でうまくいくということではないということが問題なんです。命にかかわる水や衛生的な環境を、お金のあるなしにかかわらず、どこに住んでいるのかということにかかわらず、全ての人に保障していくという仕事は、まさに公的に行うからこそ発展できるものだということを、改めて皆さんと共有したいというふうに思っています。
 このことを根本に据えた上で、昨年度に行っている調査の詳細について伺いたいと思います。
 官民連携事業の実績がある企業等へのアンケート調査を行ったということですが、下水道局が管理している施設の運営への関心について、どのような施設や業務を対象に調査しているのか伺います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 アンケート調査の対象施設ですが、当局が管理する管路、汚水ポンプ所、雨水ポンプ所、合流式水再生センターの水処理施設、分流式水再生センターの水処理施設、水再生センターのうち汚泥処理施設、その他となっております。
 また、アンケート調査の対象業務ですが、維持管理、更新を含む建設、その両方でございます。

○斉藤委員 管路やポンプ所、水再生センター、その中でも、汚水や雨水合流式など多岐にわたる施設を対象に、維持管理と更新を含む建設、あるいはその両方ということで聞いているということです。
 その中で、最も関心の高かった対象施設は何だったのでしょうか。また、何社から関心があるという回答で、どのような業務に関心があるという回答なのか伺います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 最も関心が高かったのは、合流式水再生センターの水処理施設でございます。アンケートを行った三十社のうち、関心があると回答したのは二十四社、うち二十一社が維持管理と更新を含む建設の両方に関心があると回答しております。

○斉藤委員 八割の会社が関心があるというふうに答えているということですが、市場拡大を狙う民間企業者としては当然のことだろうというふうに思います。
 事前に、この調査結果の概要についてまとめたものをいただいていますが、その中には、下水道局の事業に対して、スケールメリットや収支状況の安定性等から、多くの企業が関心を寄せており、特に、維持管理に改築、更新を加えた業務に高い関心が見られるとまとめられています。
 この回答からも、企業の着眼点は、いかに安定的にもうけられるかということだということがわかります。収支状況のよい東京都の下水道事業が、企業にとって魅力的なもうけの対象であるということは当然だろうというふうに思います。
 さらに、業務としては、二十一社が維持管理と更新を含む建設の両方に関心があると答えているということですが、二十年、三十年という長期に及ぶ契約で、維持管理と更新、建設までも一社の民間企業がやっていくということになれば、むしろ競争原理は働かず、独占状態になっていくということが、世界中でもこの矛盾が起きているわけです。
 これも、実際に浜松市の例でも、ヴェオリア社を中心とする浜松ウォーターシンフォニー株式会社は、設備更新について、ヴェオリア社の一〇〇%完全子会社の東京の会社、株式会社西原環境に約三億円で特命随意契約を行っており、既に独占の状況になっていることが明らかになっています。
 では、逆に、民間企業にとって運営が困難、あるいは課題だと回答しているのはどのようなことか伺います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 アンケートに対する回答では、災害時等の不可抗力リスクの受け入れは困難との意見が大半であるほか、事業規模の大きさが運営の制約となるとの意見もございました。

○斉藤委員 やはり、災害時等の不可抗力のリスクの受け入れは困難だというのが大半だということです。
 利益だけ得て、災害時等のリスクは負えないという体制は、公共の利益、都民全体の利益に反するものだといわなければなりません。
 この民間企業へのアンケート調査を含む昨年の予備的調査について、その報告書がまとめられているということですが、これは、都民にきちんと公開するべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどご答弁いたしましたように、施設運営手法につきましては、平成三十年度から令和二年度までの三年間で検討することとしておりまして、昨年度の調査業務報告書につきましては、今後の施設運営の方向性を整理するための要素の一つでございまして、いまだ検討の途上であることから、現時点での公表は考えておりません。

○斉藤委員 このことは、三月の質疑でも私は要望しました。私は、都民の暮らしにかかわる重大な検討について、都民の目から伏せたままでは許されないというふうに思っています。検討の途上であることからという理由ですが、重大な結果を出す前に、民間事業者からのヒアリングだけで終わりにするのではなく、一番の影響を受ける当事者の都民にこそ、ヒアリングをするべきではないでしょうか。このことは重ねて強く求めるものです。
 コンセッション方式など官民連携が、都民の目線から見たときに本当に効率的なのかどうかということも根本的な問題です。私はむしろ、このことは逆だというふうに指摘したいと思います。この間の都議会でも、また国会でも質疑がされていますが、民間の運営では、株主配当や法人税、過度な役員報酬や内部留保など、直営なら支払う必要のない余計なコストが発生します。
 これらのコストが事業の質の低下に影響してくる可能性があり、実際に、海外ではそうした事例が問題になっているわけですが、このことについて下水道局の見解を伺います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 一般的に、施設運営手法の比較検討に当たりましては、従来の方式と比べて効率的かつ効果的に実施できるか、公共施設等がより有効に活用されているかどうかなどを、定性的評価による実施の適否も含め、分析していくことになります。
 下水道局におきましては、引き続き、さまざまな施設運営手法について、経済性だけではなく、安定的なサービスの提供という観点も重視して、幅広く検討してまいります。

○斉藤委員 定性的評価というちょっと難しい言葉が出てきましたが、要するに、これは安全性、安定性の評価もちゃんとしていくということだと伺いました。直営ならばメンテナンスや事業の質の向上のために直接充てられる費用が、民間企業の運営では株主配当などで消えてしまう、こういうリスクがあるということもきちんと分析していくということだというふうに受けとめさせていただきます。
 このことは、これまでの世界の事例を見てみれば明らかです。世界的には、一九八〇年代から上下水道の民営化が行われてきましたが、その中で、パリ市では、民間運営の不透明な運営の中、水道料金が三倍にはね上がり、ベルリン市でも、契約書の中身さえ市民が見ることができない、こういう不当な経営に対して市民は反対運動を起こし、上下水道とも再公営化されました。また、アメリカのアトランタ市では、水道管路への適切な投資が行われず、水質汚濁や給水停止が起こって、そういう状況でも株主配当だけは続くという、本末転倒なことが起こったということもいわれています。
 そもそも水道の民営化は、大資本である水メジャーがもうけの対象を広げるために、世界中で推進してきたものです。民間で運営すればうまくいくというのはつくられた幻想で、世界で現実的に起きていることから私たちは学ばなければならないと思っています。
 特に、命と健康に直接かかわる上下水道や医療、広くいえば介護や教育や保育と、こういうような分野は、ビジネスにしてはいけないものだというふうに思います。何でもかんでも民間の運営ならうまくいくという、いわば古い新自由主義の考え方からは脱却していかなければ、公正な社会をつくっていくことができないというふうに思っています。
 今、世界的には、上下水道の民営化からの苦しい経験から、国連では二〇一〇年に、水と公衆衛生は基本的人権であるという宣言が、百二十二カ国の指示のもとに成立しています。誰ひとりとして取り残さないという理念のもと、二〇一五年に採択されたSDGsにおいても、全ての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保することが、そのゴールの一つとして掲げられています。
 これらの世界的な理念は、下水道局がこれまでに下水道法や公営企業法に基づいて取り組んできた下水道事業のあり方と一致するものではないかと思いますが、下水道局の見解を伺います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 下水道事業の運営に当たりまして、国連が採択した持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの理念や、その目標達成を視野に入れた取り組みが求められていることは認識しておるところでございます。
 下水道局は、下水道法に基づき、下水道の整備を図り、都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、公共用水域の水質の保全に資することを目的として、二十四時間三百六十五日、休むことなく下水道施設を稼働させ、お客様であります都民の皆様へ、質の高い下水道サービスの提供に取り組んでおります。

○斉藤委員 SDGsや国連の宣言についての直接的な言及ではなかったんですが、私の見解が否定されたというわけではないので、前向きに受けとめておきたいというふうに思うんですが、水は、やっぱりビジネスではなく基本的人権、この立場で下水道事業を行えるのは、公営企業の直営であってこそだと確信しています。日本共産党都議団として、下水道事業の直営を堅持していくことを改めて求めて、次の質問に移ります。
 下水道局の発注の工事における安全対策について伺います。
 下水道局は、発注者として、工事現場における施工管理や安全管理をしてきたと思いますが、どのように取り組んでいるのか伺います。

○青木建設部長 当局が締結をいたします工事請負契約におきましては、受注者がその責任において施工方法等を定めることを契約約款で明示してございます。
 一方、当局では、発注者として、工事の円滑な遂行を図るとともに、関係法令を遵守し、工事中の事故を未然に防止するため、工程管理や施工管理、安全管理を適宜適切に実施してございます。
 具体的には、工事着手前に所管部所におきまして、施工計画書審議会や安全施工検討会を開催し、個々の現場リスクを踏まえました施工計画書の作成を指導してございます。
 また、工事の進捗状況に応じまして、現場の立ち会い等により施工状況を適宜確認するとともに、受注者に安全管理を指導してございます。
 さらに、所管部所以外の本庁管理職や他事務所の職員によりますクロスチェックパトロールの実施によりまして、異なる目線による見落としの防止につきましても図っているところでございます。

○斉藤委員 工事現場において、施工管理や安全管理についてさまざま取り組んでいるということですが、昨年度末、二〇一九年二月二十八日に、三河島水再生センターにおいて死亡事故が発生をいたしました。下水道管内の工事現場で、作業員の方が上から落ちてきたパイプに当たり、さらに十メートル下に落下し、三月四日にその当該作業員は死亡するという痛ましい事故でした。亡くなられたのは二十二歳の男性、ベトナム人の技能実習生だったということがプレスリリースされています。
 あってはならない重大な事故ですが、当該工事において、先ほどご答弁いただいたような現場への立ち会いやパトロールをどのくらい実施してきたのか伺います。

○青木建設部長 当該工事におきまして、当局職員によります現場立ち会いや安全パトロールでございますが、工事を着手いたしました平成二十九年十一月から、事故が発生をいたしました平成三十一年二月までの間に、二十五回実施してございます。

○斉藤委員 一年三カ月の間に二十五回現場に入っているということですが、その立ち会いやパトロールにおいてどのような点を確認しているのか、具体的に伺います。

○青木建設部長 現場の立ち会いや安全パトロールでございますが、労働安全衛生法などの関係法令に定められました安全上の措置を遵守し施工しているか、また、設計図書や施工計画書などに基づきました施工管理や施工手順が実際に行われているかといった観点などから、当局職員が施工状況を確認してございます。

○斉藤委員 安全上の措置を遵守して施工しているか、施工状況等を確認しているということですが、私は、今回のベトナム人の技能実習生の死亡事故を受けて、公共工事における発注者としての東京都の行政的責任について、自主的にでも強化していく必要があるのではないかというふうに思っております。
 外国人技能実習生の労働実態については、ことしの春に行われた国会の質疑の中で、出入国管理法の改定の中で大きな議論になっておりました。政府は、一九九〇年の入管法施行から、外国人労働者の在留資格など次々と追加をして受け入れてきましたが、その中で技能実習生、留学生、日系人の建前をとりながら、実際には、安価な労働、雇用の調整弁として利用してきたという実態が明らかになっています。
 国会の中でも明らかになったこの技能実習生の現状についてですが、例えば、勤務中に工場で指を三本切り落とした、そうなっても病院には自分で行くように求められ、最終的には、会社はけがを理由に帰国を迫った。こういう事例や、いじめやパワハラで配置転換を希望したけれども、結局聞いてもらえずに自殺を図った。あるいは、一日十六時間の労働で、残業代の時給は三百円など、こういうひどい労働実態、こういう中で働かされているということが次々に明らかになって、大問題になってきました。
 こうした中で、下水道局発注の工事の中で、熟練ではない外国人技能実習生の方が、どういう労働環境で働いているのかきちんと把握していくということは、私は、下水道局に求められている大きな責任、役割ではないかというふうに思っております。
 下水道局が発注している公共工事の中で、外国人技能実習生については把握されているのか事前に伺いましたが、建設業法に基づく施工体制台帳に、受注者は技能実習生の有無を記載するようになっているということです。この、実習生がいるかいないかの確認だけで、人数については記載されないということです。
 これをもとに、我が党の河野ゆりえ都議が、先日の事務事業質疑において、何件の工事に外国人技能実習生がいるのかただしたところ、現在進行中の一千四百五十五件の工事のうち、実に二割以上に当たる三百二十三件の工事で、外国人技能実習生が働いているということがわかりました。
 私は、日本の、この東京の公共事業の中で亡くなられたベトナム人の方が、どのような労働環境にあったのか、日本語の習得はどの程度だったのか、労働時間や休暇の取得状況がどうだったのか、こういう詳細について行政が把握し、社会で共有していくことが、彼らが置かれている現状の改善のために不可欠だというふうに思っています。
 事故を未然に予防することはもちろん、多くの外国人技能実習生がいることに対し、下水道局は実態を把握するよう検討してほしいと思いますが、見解を伺います。

○青木建設部長 工事請負契約におきましては、先ほどもご答弁させていただきましたけれども、受注者がその責任において施工方法等を定めることを契約約款で明確にしているとともに、土木工事標準仕様書におきまして、受注者に建設業法など関係法令を遵守することを求めております。建設業法におきましては、受注者は、技能実習生の有無を記載した施工体制台帳を作成し、発注者に提示することが求められてございますが、人数の把握までは求められておりません。
 なお、当局では、受注者に対しまして、外国人技能実習生に限らず、経験の浅い作業員への安全教育の徹底や、多言語を用いた危険箇所の積極的な明示など、安全指導を適切に実施してございます。
 引き続き、現場立ち会いや工事安全パトロールなどを通じまして、工事に従事する全ての作業員の安全を最優先に事業を進めてまいります。

○斉藤委員 今、現状についてのご説明をいただいたところですけれども、私は、このままでは不十分だというふうに思います。
 このことは、公共工事の発注者としての責任、行政の責任が問われる大問題です。外国人技能実習生が工事にいるかどうかだけを見て、あとは知らないと現状に踏みとどまるだけでは済まされない、そういう状況ではないかと思います。
 ベトナム人技能実習生の死亡事故は、この七月にも、水道局の発注の公共工事の中で発生しました。東京都の発注の工事はこの二局だけではなく、建設局や多くの部署がかかわります。
 こうした事故のことを全庁的に共有し、外国人技能実習生の労働環境の改善のために、その先頭に立って、実態把握に踏み出していくことを検討していくことを強く求めて、質疑を終わります。

○宮瀬委員 では、よろしくお願いいたします。
 私の方からは、簡単に確認事項を確認させていただければと思います。
 いろいろ今回の台風の件、質疑が出ておりますが、アメリカですとカテゴリー五に当たる相当大きな台風でした。しかし、二十三区につきましては死者が出なかったと。多摩地域で一人、住所不定といいますか--の方のご遺体が見つかったと。ここにまず、お悔やみを申し上げたいと思います。
 一方で、これだけ大きな台風が来た中で、私は、床上浸水九百六十五、床下五百三十六件と聞いていますが、板橋区でもわずか十件程度だと。これは大変すばらしいことだと私は思っております。なかなか、質疑で皆さんのことをすばらしいと私がいうことは余りないんですが、皆様の日々の努力に心から敬意を表したいと思います。
 ちょっといきなり雑談で恐縮なんですが、きのう夜、質疑の準備で、タクシーで帰りまして、ほかに電車がなかったんですけれども、そうしたら、タクシーの運転手さんが中野にお住まいだそうで、そしたら三十年前は、あれぐらいの台風が来るともう腰まで、胸までつかっちゃって、飲食店、もう地下街が全部だめになっちゃったと、でも、中野区は補助金というか見舞金が二万円しかもらえなくて、みんなつらい思いをしていたと、ぜひ下水道局の皆さんにお礼をいっておいてくれといわれまして、私もちょっと、こういう場でいうのはあれなんですけれども、こういう場でないといえませんので、近隣の方も大変喜んでいましたということでございます。
 冒頭、感謝を申し上げまして、質疑をさせていただければと思います。
 私、今決算で、やっぱり病院というのが大変大きなテーマで、災害拠点病院、災害拠点連携病院とあるんですが、それが、機能は維持できるのかといったことに大きな課題意識を持っております。
 こちらの方に、福祉保健局がまとめました災害拠点病院、災害拠点連携病院の機能強化についてのまとめということがありまして、実はやはり、災害拠点病院も電源が地下にあるのが四十病院、また、連携病院に関しましては、その実態がほとんど把握もされていない状況でございます。この中で、下水処理能力を上げるために耐震化をしっかりやるべきだという提言がなされておりました。
 そこで、災害拠点病院は八十二ございますが、ここはあえて限定させていただきますが、現在の災害拠点連携病院周辺における下水道管の耐震化の進捗状況をお伺いいたします。

○青木建設部長 下水道局におきましては、区部におきまして、災害時におきましても下水道機能を確保するため、避難所や災害拠点病院などから排水を受け入れる下水道管を対象といたしまして、下水道管とマンホールの接続部の耐震化を進めてございます。
 このうち、災害拠点病院につきましては、平成二十五年度までに、区部で指定されました全五十八施設で対策を完了してございまして、今後、新規指定や移転された病院につきましても対策を進めてまいります。
 なお、多摩地区につきましては、下水道管の耐震化などを含めまして、公共下水道の管理をしてございます各市町村の役割となってございます。

○宮瀬委員 終わっているということで、本当にありがとうございました。多摩地区は各自治体が運営しているということで、管轄が少し外れると。
 やはり結果でありますので、今回の台風もございましたが、内水氾濫に見舞われたといった例はあったんでしょうかお伺いいたします。

○猪八重施設管理部長 当局の調査によりますと、区部では、平成二十六年度から平成三十年度までの過去五カ年で、災害拠点病院において浸水は確認されてございません。

○宮瀬委員 結果も出しているということでありますが、では、ここから災害拠点連携病院の方でございまして、そちらの方は今回の提言書の中にも、連携病院の浸水対策の中で、(4)ということで、ちゃんと病院自身が備蓄をするというのは大前提でありますが、下水、排水対策も重要な項目ですよということでございました。
 数は常に前後しますが、都内には百三十九ございますが、災害拠点連携病院周辺における下水道管の耐震化の進捗状況についてお伺いいたします。

○青木建設部長 災害拠点連携病院につきましても、災害拠点病院と同様に下水道管の耐震化を進めてございまして、平成三十年度までに、区部で指定されております百一カ所のうち八十カ所で対策を完了してございます。残る施設につきましては、令和五年度を目標に耐震化を完了させる計画でございますが、施設の重要性に鑑み、できるだけ早期に耐震化できるよう取り組んでまいります。
 なお、多摩地区につきましては、先ほど答弁させていただきましたとおり、公共下水道の管理は各市町村の役割となっているところでございます。

○宮瀬委員 急いでいただけるご答弁もありましたので、ぜひと思いますが、一方で、やはり結果も大事ですので、今度はこちらの方で、内水氾濫などに見舞われた拠点病院に関しては、過去あるのかお伺いいたします。

○猪八重施設管理部長 当局の調査によりますと、区部では、平成二十六年度から平成三十年度までの過去五カ年で、災害拠点連携病院におきましても、浸水は確認されてございません。

○宮瀬委員 ありがとうございます。浸水がないといったことで確認をとれました。
 これはあくまで、いわゆる災害の中でも、河川の氾濫ではなくて、下水からの氾濫ということでありますが、河川の氾濫は今のところ、私の記憶では近年は起きていないので、浸水は多分ないのかなと思います。
 一方で、やはり今お伝えしたように、河川の氾濫というのがいつ起こるかわかりませんので、ぜひ、災害拠点連携病院の残り二割、早急に進めていただくことを改めて要望したいと思います。
 次に、浸水対策でございます。
 浸水対策は私、二〇一八年の三月、一般質問をさせていただきまして、国が新たに想定した浸水想定区域図というものをもとに、荒川水系でシミュレーションを出させていただきました。
 その観点から見ますと、十七路線、約百駅が水没する可能性があると、国が発表したそうでございます。答弁をもらいましたが、そのうち、都営地下鉄では四十駅も水没すると。私は板橋区選出ですので、三田線はそのうち十駅浸水してしまうという、ちょっと衝撃な国の発表があったわけなんですが、地下鉄、地下街の浸水対策ということで、今回、東京都下水道事業経営レポート二〇一九とございまして、一〇ページ目に、地下街の対策ということで出てございました。
 この中に九駅があるんですけれども、まず、この地下街対策はどういった目的で取り組んでいるのか、基本的なことをお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 下水道局では、東京都豪雨対策基本方針等に基づき、特に浸水被害の影響が大きい、延べ床面積四千平方メートル以上の大規模な地下街等を対象に、具体的には、先ほどのレポートにございましたけれども、新宿駅ですとか、渋谷駅東口など九地区を選定いたしまして、時間七十五ミリの降雨に対応できるよう、地下街への浸水を防止する貯留施設の整備や下水道管の増強を進めているところでございます。

○宮瀬委員 ありがとうございます。
 となるとですね、この九駅--地下鉄のところは四千平方メートルの九駅ですよといったことだと思うんですけれども、ほかの駅は本当にどうするのかといったところでございます。
 例えば泉岳寺駅、今再開発が進んでおりますが、地下街ができると。飯田橋の駅も大変大きな地下街であります。また日本橋もそうですし、百駅が水没するリスクがいわれている中で、本当にこの九駅でいいのかといった課題がございます。
 ぜひ、ここのロジックは皆さんわかるんですけれども、フレキシブルに、九駅ではなくて、場合によってはふやすことも検討をしていただきたいと思っております。
 その中で、私の方で実際にどれか見られるものはあるんですかと、九駅を見まして、完了中というところはもう入れません、マンホールをたどって下に行くしかなく、いつ水が入ってくるかわからないということで、渋谷駅の方を拝見させていただきました。
 やはり現場で確認をして、もしそこに不備があれば、それを提言するのが都議会議員だと思いますので行ってまいりましたが、渋谷のJRの駅を出てちょうど右側がハチ公だとして、改札の左側の方に今、工事をしている地域があると思いますが、局長も忙しいと思いますので、かわりに写真を撮ってきたので、見ていただければと。
 本部長、これが、(パネルを示す)私、先週地下におりていきまして、東急さんに特別な許可をいただいて、優秀な課長さんと一緒に地下の方におりていって、このますが六個ぐらいあって、ここに水がたまっていくといった最新設備でございます。ほかの委員の皆さんも、今でしたらまだ見られるそうですので、ぜひ見ていただきたいんですが、渋谷駅東口貯留施設の具体的な整備内容と整備効果について、改めて答弁いただければと思います。

○青木建設部長 渋谷駅東口の雨水貯留施設でございますが、東口周辺の雨水を広場の地下に整備する貯留施設に流入させまして、二十五メートルのプールに換算いたしますと十三杯分に匹敵いたします、約四千立方メートルを貯留するものでございまして、東京二〇二〇大会までに施設の一部を稼働させる予定でございます。
 この東口の貯留施設が完成すれば、平成十八年度に完成をいたしました渋谷駅西口の貯留施設とあわせ、渋谷駅地下街におけます七十五ミリ施設整備が完了いたします。

○宮瀬委員 ありがとうございます。七十五ミリ対応で、今まではもう下水管の方で五十ミリ対応をしていると。七十五ミリ対応した、上積みの二十五ミリ分の雨量が超えてしまったら、ここに入っていくといったことでございます。
 答弁を聞いても、私、ちょっと理解力が悪いので、かみ砕いて教えていただきましたら、つまり一時間当たり五十ミリの雨でしたら、今の対応で、既存の対応で問題なしと。一時間に七十五ミリ降ると、二十五ミリ分あふれるので、その分を貯蔵すると。その時間は一時間と聞いております。仮に一時間七十五ミリの雨が降ったとしたら、これで満杯になってしまうと。
 つまり、計算しますと、六十二ミリの雨でしたら二時間でこれがいっぱいになるといった、一応算数になるわけでありますが、要はですね、何でかみ砕いていっているかといいますと、NHKでもいいでしょう、天気予報を見ながら、降水雨量が、一時間当たり七十五ミリの雨が降りますと報道が出たときに、渋谷の地下施設で、単純計算、単純にはならないのはわかるんですけれども、一時間でいっぱいになっちゃいますよと。
 つまり、一時間で七十五ミリは、もう渋谷駅は水浸しになってしまうといった仮説もできるのかなと。六十五ミリという報道が出れば、二時間は、渋谷駅は大丈夫だといったことになるかと思います。
 いずれにせよ、こういった対応で、しっかり九地区の地下街で対応しているということでありますが、今、完了した五地区に関しましての貯留状況や整備効果、また、先ほどの病院と同様でありますが、今まで浸水してしまったということはあるんでしょうか、ご答弁をお願いいたします。

○猪八重施設管理部長 地下街対策地区全九地区のうち、平成三十年度末までに五地区で対策が完了いたしまして、このうち三地区では貯留施設の整備を、また二地区では下水道管の増強を実施しております。
 稼働状況でございますけれども、渋谷駅西口地区の貯留施設では、平成三十年八月の集中豪雨の際には、貯留量の九割に当たります約三千六百立方メートルを貯留いたしました。
 平成三十年度末までに対策が完了した五地区につきましては、当局の調査におきまして、床上、床下の浸水被害は確認されてございません。

○宮瀬委員 今、パネルをお見せしたのは東口ですけれども、渋谷の西口の方では、同様の施設が九割、水が満タンになったと。逆に、それによって渋谷の周辺が水浸しにならずに済んだといったご答弁で、しっかりと機能しているといったことが見てとれました。
 ここから、私の方で提言なんですけれども、下水道局さんの皆さんの方は、こういった貯留施設をしっかりやられて、本当にきめ細かい対応、そして結果もお出しになっていらっしゃると思っております。
 ただ、今回のこういった対応をしているのは、渋谷の駅の周辺が水没しないようにといったことでありますが、私の方で現場を見てきましたら、(パネルを示す)これは皆さん多分ご存じだと思いますが、渋谷の駅でございます。これですね、駅員さんにも確認したんですが、止水板とかは一切ないと。で、これ道路があって、そのまま垂直に行って、そのまま垂直に地下におりる階段があって、幾ら下水道局の皆さんが、この周辺に水が入ってこないように努力されても、駅は本当に真っさらにずっと水が入って、地下に行ってしまうリスクが高いと思います。
 実際、平成十一年度の八月には、この地下に水が入ってしまって、そういったことを教訓に、今回こういった対応をされていると思いますが、そもそも最後の水際のところで止水対応していないと、水が結局、渋谷の地下街に入ってしまいますよといった課題認識があります。
 そこで、今回この貯留施設をつくられましたが、実際、水が入ってしまったら、ここに入ってくるのか、渋谷の地下街、この階段のところから水が入ってしまえば、その水がこちらの貯水槽の方に入るのか、どのように排水されるのかお伺いいたします。

○廣木施設管理担当部長 地下街対策の貯留施設につきましては、地下街への浸水を防止するために整備するものでございます。仮に、地下街に雨水が浸入した場合、浸入した雨水は、地下街管理者等が適切に排水するべきものでございまして、仮設のポンプなどで公共下水道に排水されることとなります。

○宮瀬委員 ご答弁をわかりやすくいいますと、(パネルを示す)こちら、水が入っちゃったとしたら、こっちには、たまりませんよと。地下街は地下街の方で、排水ポンプで出さないといけないと。この貯留施設は、渋谷区の周辺の雨水をためておくものであって、地下街に入ったものをためるものではございませんといった内容でございます。
 そうすると、やっぱり地下鉄、地下街に入らない取り組みというのが大変重要だという結論になるわけでありますが、駅の周辺の地下は全部つながっていますので、民間のビルの出入り口も確認しましたが、止水対応がないと。東京メトロの方は、わずか五十センチぐらいの止水板を設けられる盤がございました。
 そういった問題意識がありまして、実は、都市整備局がその辺をやらなきゃいけないんですが、都市整備局に確認をすると、連絡体制はしいていますと、各民間の所有者の、民間ビル関係と連絡体制は敷いていますけれども、ちゃんとやっているかどうかは知りませんと、都営三田線も知りませんという答弁が出ています。
 つまり、各局、各事業者が、私は連絡体制までですよ、私は地下のタンクのところまでですよといって、肝心かなめの水がどうやって入ってこないかの陣頭指揮をとって、それをリーディングするといったことが欠けていると思っております。当然、皆さんにも確認をしましたが、下水道局の皆さんが実際にJRの渋谷駅に行って、止水対応していますかといったことを聞いているとは、聞いておりません。
 このように、水というある意味、生き物だと思いますが、縦割りではなく、関連部署や地元区、地下街管理者などが連携して目的を達成することが、本当の意味での最終的な浸水対策だと思っております。
 貯留施設をつくって私たちの役目は終えたといったことではないと思いますが、見解をお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 委員から、ただいま関係機関との連携というふうな趣旨でのご質問でございました。
 先ほども申し上げました、下水道局では、施設整備などハードの整備もやってございます。それに加えまして、例えば、東京アメッシュによる降雨情報の提供を実施しているほか、毎年六月には浸水対策強化月間というのがございまして、これで地元区などと連携したイベントを行ったり、その中で土のうや止水板の準備を紹介するなど、お客様に浸水の備えをしていただくよう、そういった意味での積極的な情報提供も行っているところでございます。
 いろいろ対策はあろうと思いますが、引き続き、都民の生命、財産を守り、都市機能の確保を図るため、関係機関と連携し、ハード、ソフト両面から浸水対策に取り組んでまいります。

○宮瀬委員 ぜひ、ご答弁ございましたように、これは地元区は渋谷区になると思いますが、関係機関と連携をして、全体での結果を出していただけるよう、重ねて要望いたします。
 次に、地下街のお話をしましたけれども、全体での話をちょっと確認したいと思います。
 長期的にはどうやっていくのかということでございまして、今ご答弁ございました豪雨対策基本方針というものを私、拝見させていただきました。おおむね三十年後の長期見通しといたしまして、河川整備、下水道整備では時間五十ミリ降雨に対応するものと、こう方針が書いてあります。
 この方針でございますが、平成二十六年に基本方針が改定されております。
 ということは、三十年ということでありますと、令和二十六年ごろまでに下水道の整備、五十ミリ対応を目指しているということでございますが、どの程度、平成三十年度までに進んだのかお伺いいたします。

○青木建設部長 時間五十ミリ降雨への対応でございますが、区部全域で推進することを基本といたしまして、下水道管やポンプ所など、雨水排除能力の強化に取り組んできてございます。
 こうした取り組みによりまして、区部面積のうち、浸水被害が解消される面積の割合である下水道五十ミリ浸水解消率でございますが、平成二十六年度末の約六七%から、平成三十年度末には約七〇%に向上してございます。

○宮瀬委員 ありがとうございます。
 その中で、残りが三割程度あるんですけれども、どのように進めていくのかといったことについて伺いたいと思います。

○佐々木計画調整部長 区部全域で五十ミリ降雨に対応するには膨大な事業費と期間がかかることから、早期に浸水被害の軽減を図るため、浸水の危険性が高い地区など三十五の地区を選定し、重点化して施設整備を進めております。
 平成三十年度は板橋区成増地区で事業に着手するなど、現在、十二地区で事業を実施しております。
 引き続き、幹線や貯留施設の整備を進めまして、経営計画二〇一六の目標でございます令和二年度末までに、時間五十ミリの降雨に対し、浸水被害が解消される区部の面積の割合を七四%まで向上させる目標でございます。
 今後とも、浸水対策を着実に進めてまいります。

○宮瀬委員 令和二年には七四%まで引き上げることを目標としていると。
 私、答弁をお聞きして、まあそうだなと思う一方で、それは直近五年間の計画です。つまり、ご答弁ございましたとおり、膨大な時間、労力、お金、人の資源を使う中で、しっかりと三十年という期間が区切られて、七十五、六十五ミリ対応という数値目標が明確にあるわけであります。その長期計画というのが本当に、じゃあ、五年後どれぐらい進捗しているのか、十年後どうなっているのか、二十年後どうなっているのか、そして三十年という計画を民間企業では組むと思います。
 つまり、三十年後はこのビジョンを達成し、計画を練っていますよと。でも、皆さんの計画ですと、五年間ごとしか出てこないんですよ。五年間で本当にそれが正しいものなのか、ひょっとしたら、この五年は今の予算を倍かけて、もっとやらなきゃいけないのではないか、今の五年間のこの計画では、その計画がまだまだ実は余裕があるかないのかというベンチマークができないわけであります。
 民間企業でしたら、普通に三十年計画という計画の中で、折り返し十五年ではここまで行っています、二十年ではここまで行っています、その中での五年計画というのをお見せするのが道理ではないでしょうか。
 私は、このことに関しまして、中期計画、長期計画、とりわけ中期計画というのがないと思われますが、見解をお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 下水道局では、事業環境や社会経済情勢等の変化も踏まえ、三年から五年ごとに、事業運営の指針でございます経営計画を策定いたしまして、具体的な施策の内容について、都民の皆様に明らかにしながら事業を進めているところでございます。
 お話の浸水対策につきまして、都における長期的な計画でございます豪雨対策基本方針に基づきまして、この内容を踏まえ、経営計画の期間ごとに到達目標を定めて、継続的に事業を進めていくこととしております。
 実施に当たりましては、事業の進捗や効果を評価、検証するとともに、毎年公表しております経営レポートでは、目標の達成状況も含め、都民にわかりやすくお知らせしております。
 今後とも、検証結果も踏まえ、計画的に浸水対策を進めてまいります。

○宮瀬委員 期間ごとに決めるために、私は中期計画が必要だと、五年ごとの計画で本当に今達成できているのか、都議会の方ではなかなかチェックがしづらいと私は思っております。これは下水道局の皆さんだけでなく、過去、質疑をしました建設局も同じ状況でございまして、どうして中期計画がないのかといった、大きな課題だと思っております。
 私としては、やはりしっかりと中期計画を組んでいただいて、その五年の計画が正しいものかどうかをしっかりと判断できる材料をいただきたいと思いますので、そのことは重ねて要求をしていきたいと思います。
 まあ、なかなか行政ですので、数字がぶれたらどうしようというリスクがあると思いますが、民間企業の方では、しっかりと経営戦略目標をアッパー、ミドル、ダウンで三段階ぐらいのレンジを持って計画を組んでいますので、途中で変わることは悪いことではないと思いますので、ぜひ、仮説を持って計画を組んでいただきたいと思います。
 最後のテーマになりますが、下水道事業における国際展開でございます。
 過去、平成二十五年の決算特別委員会でも質問をさせていただきましたが、マレーシアのクアラルンプールの郊外、ランガット地区における下水道整備プロジェクトというのが行われているといったことでございます。
 一応、しばらく時間もたちましたので、実績と結果についてお伺いしたいと思います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 下水道局では、下水道施設の整備が不十分な国や地域の課題解決に貢献するとともに、東京、ひいては日本の下水道事業の活性化と産業力の強化に寄与するため、国際展開に取り組んでおります。
 このうち、お話のありましたマレーシア下水道整備プロジェクトでございますが、クアラルンプール郊外のランガット地区におきまして、日量二十万立方メートルの下水処理場を一カ所、管渠延長約百キロメートル、ポンプ所、ポンプ施設十一カ所を設計、建設、維持管理まで一括して行うマレーシア政府のプロジェクトでございまして、当局と政策連携団体であります東京都下水道サービス株式会社、TGSが技術支援をしております。
 平成二十六年十月からこのプロジェクトがスタートいたしまして、現在の工事進捗率は下水処理場約九四%、管渠約八〇%でございます。ことしの十月には一部施設が稼働いたしまして、今後二年間程度で現地の技術者が施設を適切に維持管理できるよう、技術支援を行ってまいります。
 引き続き、このプロジェクトの達成を支援することで、マレーシアの水環境の改善と東京、ひいては日本の産業力の強化に貢献してまいります。

○宮瀬委員 あの、これ、過去も質疑させていただいて、そのとき私は皆さんに、生意気ですが、宿題だとさせていただいた点がございます。
 水道局でも国際展開でいったんですけれども、ともすると、どうして都民が、多く困っている人がいる中で、海外でそれをやるのと。私もNGOをやっていまして、そういうご批判をたまに受けます。その回答として、皆さんは、現地の貢献というのもありますけれども、日本の下水道事業の活性化と日本の産業力強化に寄与するためと。
 これが一つのKPIになると思うんですけれども、実際に、具体的に何が、どれぐらい成果として上がったのかお伺いいたします。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 このプロジェクトが実施されておりますランガット地区ですが、従前は、百六十カ所程度の小規模な下水処理場が散在しておりまして、維持管理が不十分であったことから、クアラルンプールの水道水源でありますランガット川の水質の悪化の一因となっておりました。
 この課題に対しまして、東京下水道が技術提案をいたしました下水処理場の集約化と、限られた用地でも処理能力を確保できる深槽式反応槽の導入等によりまして、計画人口約九十二万人となりますこの地区の下水処理能力を向上させ、ランガット川の水質改善に寄与することが見込まれます。
 また、このプロジェクトは、官民連携で推進して実現した設計、建設、維持管理まで一括して行う下水道分野におけるリーディングケースでございまして、東京下水道の技術やノウハウを生かしたこのプロジェクトを成功させることで、東京、ひいては日本の下水道への信頼が高まり、今後の下水道関連企業の海外展開を後押しすることにつながっていくと期待をしております。

○宮瀬委員 なので、下水道の信頼がどうやって上がって、下水道関連企業の海外展開がどれぐらい後押しされて、産業力の強化につながっているんですかといったものを具体的に教えていただきたい。例えば、ラグビーワールドカップの東京開催というのがございまして、経済波及効果八百六十六億円と事前に発表されているわけでございます。
 つまり、日本の経済の産業の発展にどれぐらいこの事業が貢献しているのか、改めて具体的に数字でお伺いいたします。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 このプロジェクトにおきまして、ただいまご答弁申し上げました下水処理場の集約化ですとか深槽式反応槽、このほかにも汚泥消化ガス発電などの環境技術、施設の上部利用など、東京下水道が培ってきた技術とノウハウが多く採用されております。水質悪化という課題に直面していたマレーシアの水環境の改善に、この東京下水道の技術が大きく貢献するものでございます。
 このような東京下水道の技術が世界から信頼を得ていくことが、今後の日本の下水道関連企業の海外展開にもつながっていくものというふうに考えております。

○宮瀬委員 それがどれぐらいですか。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 つけ加えまして、現在、ここ二年間の運転、維持管理に係る技術支援というものがございます。現地の技術者が施設を適切に維持管理できるよう、確実に技術移転をしていく必要がございまして、現時点において数字をお出しできる段階ではございません。

○宮瀬委員 これ、あえて、どうしてこんなにしつこく聞いちゃっているかというと、五年前にもですね、一応これ、質疑しています。そのときに、意見として要望でいわせていただいて、五年たってどうなのかといったことで、正直、私が望む回答はなかったといったことでございます。
 委員の皆様には重複で恐縮ですが、水道事業に関しましては、下水も含めてであります、北九州市海外水ビジネス推進協議会という、市内の企業八十四社、市外の企業会員六十七社、百五十一社と連携をして海外展開をやっている都市も実際にあります。このように、計画、実行段階のところからもしっかりと国内、市内の産業に結びつけるような取り組みをしている自治体があるわけでございます。
 ぜひ、現地の人にとっていいプロジェクトであることは間違いないというのもわかっておりますので、現地よし、そして皆さんよし、そして日本の産業にとってもよしという、三方よしのロジックと数字を組んでいただくことを要望しまして、質疑を終わります。

○奥澤委員 よろしくお願いいたします。重複する質問に関しては割愛しながら進めさせていただきたいと思います。
 まず、私も、今の宮瀬委員と同様の観点ですけれども、国際展開について、まずお伺いしたいと思います。
 下水道局が公営企業として果たすべき社会的責任というものがありますけれども、ここに私は国際展開が入ると思っています。世界を取り巻く水環境、まだまだ改善の余地がありますし、その中で下水道局が果たすべき役割、これは非常に大きいというふうに考えます。
 一方で、都民の負担によって国際展開を図っていくということは、都民の皆様の理解と納得を得た上で進めていかなければなりません。今、宮瀬委員からのご指摘もありましたけれども、やはり、これを数値として見せていくということは非常に重要な考え方でありますし、ぜひ善処していただきたいということを私からも申し述べておきます。
 ここで、先ほどからマレーシアのお話が出ていますけれども、少しだけ視野を大きくしまして、そもそも論として、下水道局が国際展開を行う意義について、まずお伺いしたいと思います。
 事業概要を見ますと、下水道関連企業の海外展開を後押しすることで、東京、ひいては日本の下水道事業の活性化と産業力の強化に寄与するとありますけれども、その取り組み状況と、そこから得られている成果についてお伺いしたいと思います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 下水道局では、これまで培ってきた高度な技術力や経営ノウハウなどの強みを生かし、政策連携団体であります東京都下水道サービス株式会社、TGSですとか、国土交通省など関係機関と連携しながら国際展開に取り組んでおります。
 具体的にですが、少々繰り返しになりますが、マレーシアのプロジェクトでございますが、当局とTGSが調査、計画の段階から日本の下水道関連企業とともに技術提案をして、実現に至ったものでございます。現在、下水処理場の工事がおおむね完成いたしまして、本年十月には一部施設が稼働しております。
 このほかにも、東京下水道と民間企業が共同開発いたしました東京発の下水道技術の海外展開を推進しておりまして、例えば、道路を掘らずに下水道管をリニューアルするSPR工法につきましては、アジアや北米など、平成三十年度末累計で約百四十五キロメートル施工されておりまして、また、合流式下水道からごみの流出を抑制する水面制御装置につきましては、ヨーロッパなどで、これも同じく平成三十年度末時点で三十三カ所設置されております。
 今後も、こうした取り組みを通じまして、東京下水道のプレゼンスを向上させるとともに、世界の水環境の改善と日本の産業力の強化に貢献してまいります。

○奥澤委員 ありがとうございます。
 世界のさまざまなところで取り組みがされているということで、その技術、あるいはノウハウを求めている方々がいて、そこに提供する技術があるということであれば、これは公益性というか社会貢献をするような部分と経済性の部分と、これは両立が図れる話だと思いますので、その両方の考え方をしっかり持って、ただ貢献すればいいというふうにはならない、経済性だけにもならないという、そのバランス感覚を問われていると思いますので、ぜひそういった考え方を持っていただきたいと思います。東京下水道のプレゼンス向上、まあ重複になりますけれども、産業力向上へ直結させていけるような考え方を持っていただきたいと考えます。
 その点では、特に経済面という部分でいうと、海外の方がかなり進んでいるといいますか、考え方をかなり強く持っている企業さんなんかも多いなと思うところなんですけれども、海外企業との共同研究を進めている取り組みもあるかと思いますけれども、その中から、今までにない視点もしっかりと得ていただきたいというふうに期待しています。
 平成三十年の五月には、ドイツの企業との間で、欧州での普及拡大に向けた共同研究に関する覚書を締結したということがありますけれども、その後の取り組み状況について伺いたいと思います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 水面制御装置の普及拡大を図るため、昨年五月、欧州でのライセンス契約を締結しておりますドイツの企業と東京都下水道局、TGS及び民間企業の開発三者間で、共同研究に関する覚書を締結いたしました。
 欧州では、日本と同じ合流式下水道でも、雨水はけ口の構造ですとか降雨の状況などが日本と異なりますことから、現地でのごみの除去率等の実証データを把握する必要がございます。
 このため、ドイツの企業が現地の市や大学と連携をいたしまして、産学官で共同研究を進めており、下水道局を含む開発三者はこれに技術支援を行っております。
 本年五月には、これまで設置実績のなかったイギリスにおきまして、ごみをかき寄せる機械式スクリーンに水面制御装置を組み合わせた実証実験が、ドイツ企業において進められております。
 また、昨年十月には、ドイツ企業との間でライセンス契約の対象国を拡大いたしまして、新たに欧州で六カ国、北米で二カ国を追加したところでございます。
 このような共同研究の取り組みや対象国の拡大を足がかりといたしまして、東京発の下水道技術であります水面制御装置のさらなる普及拡大に取り組んでまいります。

○奥澤委員 ありがとうございます。
 産学官の連携をしながら、そして対象国の拡大も進めているということで、国内事業だけでは決して得られないようなノウハウが得られるということで、これも期待をしております。
 水環境を整えていこうというような話をすると、どちらかというと東南アジアだったりだとか、あるいはアフリカだったりとか、施設も整っていないようなところをイメージする方々が多いんですけれども、今のお話でもあったとおり、先進諸国の中にも日本の技術を求めている方々がいるわけであって、ここに関しては、本当にウイン・ウインな関係がしっかりと構築できると思いますので、ますます頑張っていただきたいなと思います。
 とにかく多くのものをこの事業から持ち帰っていただいて、下水道局のみならず、組織横断でそのノウハウ、考え方含めて共有していただきたいという要望をしておきます。
 次に、エネルギーの利用についてお伺いします。
 エネルギー問題というのは、これは当然、世界規模の課題であることは皆さんご承知だと思いますけれども、公営企業として果たすべき社会的責任の一つであるというふうに思います。
 下水道局においても、さまざまな取り組みによって再生可能エネルギーの導入、あるいはエネルギーの効率的な利用を図っておりますけれども、特筆すべき点は、未利用のエネルギーに着目していて、その利用可能性を探ろうとしている点にあると私は考えています。
 下水道施設には、流入下水の保有熱、あるいは焼却炉の焼却廃熱など未利用のエネルギーが大量に存在しているということで、水再生センターでは熱利用のシステムを導入しているとのことですが、これまでの取り組みと得られた効果についてお伺いしたいと思います。

○佐々木計画調整部長 下水道局では、スマートプラン二〇一四を策定いたしまして、再生可能エネルギーの活用や省エネルギーの取り組みを推進しております。
 再生可能エネルギーの活用に当たりましては、下水汚泥や下水熱といった下水道が持つエネルギーを有効活用するなどして、可能な限りエネルギーを確保する取り組みを進めておりまして、これまでに、下水汚泥の処理過程で発生する消化ガスを利用した発電や、下水熱を冷暖房用の熱源としてオフィスビルなどに供給する取り組みなどを実施してまいりました。
 このような取り組みによりまして、平成三十年度の再生可能エネルギーの実績は、約二百五十テラジュールとなっておりまして、これは、一般家庭が一年間に使用する電力量として換算いたしますと、約一万九千世帯分に相当する量でございます。
 また、本年六月には、民間事業者による下水熱の利用を促進するため、利用手続等を定めるとともに、下水道管内の熱量を示した下水熱ポテンシャルマップを作成、公表しているところでございます。

○奥澤委員 今、下水熱ポテンシャルマップを作成し、公表したというお話がありましたけれども、こちら、民間事業者による下水熱の利用を促進するためという目的の中で、常に新しい視点を入れていくこと、これは非常に重要ですので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 今後の、そういった新しい取り組みをしていく上でも、今の時点の進捗状況を確認しておきたいという意味も含めて、エネルギー利用に関する今後の見通しについてもお伺いしたいと思います。

○佐々木計画調整部長 当局では、再生可能エネルギーの活用拡大を図るために、これまでの取り組みに加えまして、下水道が持つエネルギーをより一層活用するための新たな技術の開発や導入も進めてきているところでございます。
 具体的には、汚泥の焼却時に大量に排出される熱を活用した発電により、焼却炉の運転に必要な電気を自給できるエネルギー自立型焼却システムを開発し、老朽化した焼却炉の再構築に合わせて、新河岸水再生センターなど三施設において整備を進めております。
 こうした取り組みによりまして、スマートプラン二〇一四の目標でございます、総エネルギー使用量に対する再生可能エネルギーと省エネルギーの合計の割合を、令和六年度までに二〇%以上とする目標の達成を目指しているところでございます。

○奥澤委員 いろいろ資料を読ませていただいても、着実に進捗しているような数値のデータも出ているところを読ませていただきました。
 これまで取り上げてきた国際展開、あるいはエネルギー利用の取り組みについては、下水道局の中心的な業務ではもちろんないのかもしれませんけれども、こうした取り組みが、都民の皆様初め社会全体から信頼につながるというふうに私は思いますので、引き続き着実に、また積極的に取り組んでいただきたいと申し述べておきます。
 一方で、最後に、経営改善についてもお伺いしておきたいと思います。
 きょうもさまざまな意見が出ておりました。経営面に関しては、人口減少、あるいは施設更新の必要性などの影響から、将来的には厳しい状況に置かれるシミュレーションも出されていて、都政改革本部会議においては、当時の特別顧問から抜本的な見直しが必要であると指摘をされております。この検討については多角的に進めているところではあると思いますけれども、できることから経営改善というのは図らなければなりません。
 そこで、建設コストの縮減、あるいは維持管理コストの縮減について、平成三十年度に実施した事例とその効果についてお伺いしたいと思います。

○久我総務部長 下水道局では、将来にわたって最少の経費で最良のサービスを安定的に提供していくため、経営計画二〇一六に基づき、建設から維持管理までのトータルコストの縮減に取り組んでおります。
 平成三十年度は、建設コストの縮減として、アセットマネジメント手法を活用した設備の再構築など、また、維持管理コストの縮減として、省エネルギー型機器の導入などを実施いたしました。
 この結果、合わせて計画どおりの五十一億円のコスト縮減を図ったところでございます。

○奥澤委員 計画どおりのコスト縮減が図られたということで、引き続き、経営改善に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 この後、民間事業者へのアンケート調査のことをお伺いしようと思っていたんですけれども、こちら質疑が重複しましたので、割愛させていただいて、先ほどのご答弁を前提に、ちょっと最後に意見だけ述べさせていただきたいと思います。
 下水道局では、見せる化アクションプラン、これも先ほど他会派さんから取り上げられましたけれども、実施していて、これは期を改めてまた取り上げていきたいと思っています。
 経営レポート二〇一九を見ても、それぞれの事業における効果、あるいは達成状況、これ数値であらわしていて、大変わかりやすいという印象を持ちました。これは、下水道局さんの経年でのというよりは、ほかの局と比較して大変見やすいというふうに思いました。この取り組み、これは、実は私としては、全庁的に広げていただきたいなというふうに思っていますので、そういった動きをぜひ、下水道局さんが引っ張っていただきたいというふうに思います。
 見える化改革とか情報公開というのは、我々が今、任期の四年間の大きなテーマになっていると思うんですけれども、見える化の先にあるのは、自分たちから積極的に見せていく姿勢なんだというふうに私は考えています。
 経営形態を今、これからどういうふうにしていくのかという考え、もうこれも来年度まで検討を続けていく予定でやっていると思いますけれども、ここにおいてもぜひ、見せる化の意識で取り組んでいただきたいというふうに思います。
 つまり何がいいたいかというと、結論ありきで自分たちの中だけで検討を進めてしまうのではなくて、あらゆる情報、いろいろ調査をする中で出てくると思います。いい情報もあれば、悪い情報も当然あるわけで、先ほどのアンケート結果ではメリット、デメリット双方の意見が出てきているという中で、しっかりとテーブルの上に置いて議論を進めていただきたいと要望しておきます。
 そのメリット、デメリットに対して、解決策があるのかどうか、コストはどうなのか、コストのみならず安定した経営を確保できるのかといった多角的な検討を重ねていただいて、つまりそれが自律改革、自分たちの中で改革をしていくということの一つの成果になっていくんだろうと、それをまた、ほかにも公営企業の中で経営形態を考えなければいけないといわれているところがありますので、そこにそのやり方をまた横展開していくような、そういう考え方をぜひ持っていただきたいというふうに期待をしています。
 これは本当に最後の意見なんですけれども、議論をしていくに当たっての前提としてぜひ、これは私の考えですけれども、将来にわたって安定したサービスを提供していく、現在と同等の利用者負担で維持しようとすればこそ、財政的に余力がある今、改善策を打たなければならないというふうに思います。
 いろいろな、他の府県だったり市町村のものを聞いていますと、やっぱりもう追い込まれてしまっている状態、もうこれ以上立ち行かないという状態になってから改善策を出す、かなりドラスチックに変えないといけない状況を迎えてからやっているというのが現状で、やっぱりそうなれば、じゃ、誰が結果的に不利益をこうむるのかといえば、そこに暮らしている方々なんだということをぜひ肝に銘じていただいて、今検討している状況だと思いますので、検討材料がしっかりと出そろった段階で、スピード感を持って、その結論を出していっていただきたいと思います。
 それをしっかりとこの議会の中でも、けんけんがくがくやりながら合意形成を図っていく、そういった進め方をお願いしまして、質疑を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後四時十七分散会

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