平成三十年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

令和元年十月二十八日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長菅原 直志君
副委員長小林 健二君
副委員長三宅 正彦君
副委員長村松 一希君
成清梨沙子君
藤井あきら君
田村 利光君
細田いさむ君
西郷あゆ美君
とくとめ道信君
尾崎あや子君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長土渕  裕君
次長桃原慎一郎君
総務部長根木 義則君
職員部長渡邉 範久君
資産運用部長広瀬 健二君
電車部長相川  準君
自動車部長牧野 和宏君
車両電気部長奥津 佳之君
建設工務部長谷本 俊哉君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務市川 雅明君
安全管理担当部長西川 善宣君
鉄軌道事業戦略担当部長櫻庭 裕志君
バス事業経営改善担当部長坂田 直明君
技術調整担当部長野崎 慎一君
技術管理担当部長坂口 淳一君

本日の会議に付した事件
平成三十年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・平成三十年度東京都交通事業会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都高速電車事業会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都電気事業会計決算(質疑)

○菅原委員長 ただいまから平成三十年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都交通事業会計決算、平成三十年度東京都高速電車事業会計決算及び平成三十年度東京都電気事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○根木総務部長 過日の分科会で要求のありました資料を、お手元の平成三十年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。事業別の正規職員の新規採用数と非常勤職員数の推移でございます。こちらのページには、正規職員の新規採用数の推移を事業別に過去五年間分記載してございます。
 次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。こちらのページには、非常勤職員数の推移を事業別に過去五年間分記載してございます。
 次に、三ページをお開きいただきたいと存じます。地下鉄事業におけるバリアフリー化した内容と、平成三十年度の費用及びホームドアの設置状況と平成三十年度の取り組み実績でございます。
 バリアフリー化につきましては、平成三十年度に実施した内容ごとに、整備駅数及び決算額を記載してございます。ホームドアにつきましては、路線別の設置状況を過去五年間分及び平成三十年度の取り組み実績を記載してございます。
 次に、四ページをお開きいただきたいと存じます。都営バス運転手の年間労働時間でございます。平成三十年度の一人当たり平均の年間労働時間を記載してございます。
 次に、五ページをお開きいただきたいと存じます。コミュニティバスの受託状況でございます。平成三十年度のコミュニティバスの受託状況について記載してございます。
 次に、六ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄駅の民間委託状況及び駅別職員配置数でございます。都営地下鉄各駅の職員配置数を記載してございます。
 なお、駅名横の丸印は、業務を委託している駅をあらわしております。
 次に、七ページをお開きいただきたいと存じます。事業別職員数及び人件費割合の推移でございます。各事業における職員数及び経常費用に占める人件費割合を過去十年間分記載してございます。
 以上をもちまして、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○菅原委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○西郷委員 交通事業会計、高速電車事業会計、電気事業会計についてお伺いをいたします。
 初めに、交通事業会計における自動車運送事業についてお伺いをいたします。
 自動車運送事業では、都内百三十系統、約七百四十キロメートルを運行しており、平成三十年度の事業実施状況を見ると、ドライブレコーダーの映像を活用した安全研修や車両の安全装置の改善など、安全・安心確保のために取り組みを進めているとともに、さらなる車両のバリアフリー化のために、車内通路後方の段差を解消したフルフラットバスを導入しています。
 自動車運送事業においては、老朽化したバス車両を更新していると思いますが、平成三十年度の都バスの車両購入実績と、どのような考え方に基づいて車両を更新しているか伺います。

○牧野自動車部長 交通局では、安全で安定的な運行を確保するために、十三年から十五年を目安に車両を更新しております。
 また、更新の際には、最新の排出ガス規制に適合した環境に優しい低公害バス車両を導入しております。
 このような考え方に基づきまして、平成三十年におきましては、九十五両の車両を購入いたしました。

○西郷委員 それでは、都バスは、車椅子利用者の方、高齢者の方など多くのお客様に利用されております。
 車両更新する際の座席のレイアウトの考え方についてお伺いいたします。

○牧野自動車部長 現在、バスのメーカーでは、座席数や定員が異なる数種類のバスを市販しております。都営バスにつきましては、近年の混雑状況を踏まえまして、より多くのお客様にご乗車いただけるよう、乗車定員が多いタイプの座席レイアウトを選択しております。
 なお、これらの車両につきましては、国が定めるバリアフリー整備ガイドラインに基づきまして、乗車口から降車口までの間のフラットなスペースに二人分の車椅子スペースを確保するとともに、乗降口付近に優先席を配置しております。

○西郷委員 私自身も、年子の幼児を子育て中であり、二人乗りベビーカーを使用しています。地元中央区では、都バス路線が非常に充実していることもあり、日常的に都バスを利用している方が多くいらっしゃいます。
 同じダブルバギーを使用しているご家庭から意見を聞いたところ、二人乗りベビーカーで都バスに乗ろうとすると、運転手さんから断られたり、混雑していて乗車スペースがなかったりしていて、乗車できないことが多くあるとの声を伺いました。
 また、多胎児家庭の育児の困り事に関するアンケート調査を行いましたが、開始一週間で六百六十二件もの回答が寄せられました。今現在は千五百九十一件集まっています。その中でも、都バスにダブルバギーで乗車しようとしたところ、東京都ではダブルバギー乗車拒否という条例はないですが、乗車を拒否されたという意見が多く届きました。
 そのほかには、双子をだっこしていて、片手にバギーを持って、もう片手に子供とおむつや着がえ、ミルクの入ったかばんを持って乗せること自体が危ない、ベビーカーを畳まずそのまま乗せるのが一番安全、ステップが高く重いベビーカーを持ち上げられない、そもそもダブルバギーを乗せるのはつらいと思うので乗ること自体を諦めている等の意見をいただきました。
 交通局においては、二人乗りベビーカーの形状やサイズ、車椅子スペースの座席をはね上げた際の通路の状況、車内でのベビーカーに関する事故、車椅子利用者や高齢者との関係等さまざまな角度から議論を行っていると承知しています。
 バス車内のスペースが限られている中、車椅子スペースの座席をはね上げて対応することも含め、多様なニーズに応えていくためには、現在の一人乗りベビーカーの取り扱いと同様に、バス事業者全体で足並みをそろえて対応する必要があります。そのためにも、二人乗りベビーカー乗車時の取り扱いに関して、二人乗りベビーカーを折り畳んでバスを利用するのは大変であるという利用者の声を国土交通省や東京バス協会に届けながら議論を進めていただきたいと思います。
 加えて、毎年百台程度の車両を更新している都バスですので、バス車両メーカーに、利用者の安全を考慮した上で、二人乗りベビーカーに対応した車内レイアウトについて検討するよう働きかけていただきたいです。
 多胎児を育てるお母さん、お父さん側の気持ちに寄り添って、二人乗りベビーカーも一人乗りベビーカーも同様に、折り畳まず都バスに乗車できる環境整備に向け取り組んでいただくことを要望いたします。
 次に、都営バス経常損益は二十九年度の八億二千二百万円の黒字から、三十年度には九億六千八百万円の黒字へと、一億五千万円近く黒字がふえています。少子化の中で黒字が増加しているのは、需要に的確に応じた路線設定など、交通局の皆様のご尽力のたまものだと存じます。
 この点について、少子高齢化のもとで一日平均五千人もの利用者が増加しているのは、都民の利用がふえているのみならず、二〇二〇大会に向けて毎年増加し続けている外国人観光客による利用もふえているからではないでしょうか。
 外国人旅行者が安心、快適に都バスを利用するために、情報案内についてどのような取り組みを行っているか伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、外国人旅行者にも安心して快適にご利用いただけるよう多言語表記を進めるなど、情報案内の充実に取り組んでまいりました。
 具体的には、バス路線の乗り入れが多い駅の改札口や駅前広場に、バスの発車予定時刻などの運行情報を英語でも案内できるデジタルサイネージを設置することとしておりまして、平成三十年度は亀戸駅など八カ所に設置し、これまでに二十基の設置を完了いたしました。
 また、運行情報を英語で表示できる新型の接近表示装置につきましては、平成三十年度は、勝どき駅前の停留所など十カ所に設置し、これまでに二十基の設置を完了いたしました。
 さらに、本年十月一日から、一部のバス路線において、漢字と数字で表記しております現在の系統番号にアルファベットを併記する取り組みを試行的に行っておりまして、お客様からご意見を募り、その効果を検証した上で、今後、導入拡大について検討することとしております。
 引き続き、外国人旅行者の利便性を高める取り組みを着実に進めてまいります。

○西郷委員 ありがとうございます。外国人旅行者が安心、快適に都バスを利用できるよう、今後も利便性増進を着実に実施していただきたいと思います。
 次に、軌道事業会計について伺います。
 軌道事業では、三ノ輪橋停留所から早稲田停留所にかけて十二・二キロを運行し、平成三十年度には一日平均約四万八千人の方に利用されており、地域に密着した都民の足として重要な役割を担っています。
 平成三十年度の事業実施状況を見ると、新たにバーチャルリアリティーの技術を活用した運転シミュレーターを導入し安全教育の充実を図っており、新交通事業においては、今後増加が見込まれる訪日外国人旅行者等の利便性向上のために、多言語対応の自動券売機を導入するなど取り組みを行っています。
 平成三十年度における交通事業全体の乗車人員は二億八千四百二十二万人余りで、前年度に比べて二百五十七万人余り増加しています。
 軌道事業では、二十九年度に比べ年間で九万九千人の乗車人員減となり、乗車料収入が減少しています。沿線自治体等と連携したイベントの実施や外国人旅行者等の誘致に取り組んでいるにもかかわらず、利用客が減少している理由について伺います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 東京さくらトラム、都電荒川線では、旅客誘致のため、新たな情報発信拠点となる都営交通案内所の三ノ輪橋おもいで館の開設や、沿線地域と連携したさまざまなイベントを実施いたしますとともに、外国人旅行者をターゲットとして、SNSやリーフレットなどを活用いたしまして、東京さくらトラムの魅力を発信してまいりました。
 しかしながら、平成三十年度の乗車人員は約一千七百三十四万人でございまして、二十九年度と比較いたしますと九万九千人、〇・六%の減少となりました。
 乗車人員の減少の要因につきましては、定期券のご利用者の方は沿線人口の増加などによりまして〇・二%増加いたしましたけれども、定期券以外のご利用者が一・二%減少しておりまして、これは、沿線の集客施設が長期の営業休止に入りました影響ですとか、お客様が特に集中する桜の満開時期が、例年は三月末、あるいは四月の初めごろでありますところ、前年度になります三月の下旬に早まりましたことなどによるものと考えております。

○西郷委員 先ほども申し上げましたが、私自身が二人の幼児を子育て中で、東京さくらトラムでダブルバギーを利用した実感として、都営地下鉄と比較して都電が利用しにくいと感じました。乗車料の増収を図るためには、子育て世代や社会的弱者に寄り添う姿勢が必要であると思います。東京さくらトラムにおいて、子育て世代を初めとしたさまざまな世代のお客様を獲得できるよう、今後も荒川線の魅力向上に取り組んでいただきたいです。
 次に、高速電車事業会計について伺います。
 大江戸線勝どき駅の利用者は、開業当初、平成十二年度は約三万人でありましたが、周辺地域の開発事業により利用者が増加し、平成二十九年度には約十万人となりました。そのため、近年は、ホームに改札口に向かう乗客が並んでしまうことが日常茶飯事でした。
 そこで、混雑を解消するために、交通局では、平成二十三年度より勝どき駅改良工事を実施してきました。大江戸線勝どき駅の大規模改良工事においては、平成三十一年二月に新設ホームとコンコース供用が開始されましたが、供用開始後の混雑緩和の状況をお知らせください。

○谷本建設工務部長 勝どき駅では、新設ホームとコンコースの供用開始後は、朝ラッシュ時のお客様の流動が改善し、ホーム上の混雑が緩和され、ホームと地上出入り口間における移動時間が約三割短縮されました。
 また、晴海通りを挟んで分かれていましたコンコースを広げて一体化しましたことにより、ホーム上のどの階段からも全ての地上出入り口がご利用可能となるなど、利便性も向上いたしました。

○西郷委員 それでは、勝どき駅周辺では、引き続きタワーマンションが建設される計画が多数あり、今後はさらに乗客がふえることが確実です。
 そこで、さらなる駅改良工事の予定があればお伺いします。

○谷本建設工務部長 勝どき駅では、引き続き駅改良工事を実施しており、ホームとコンコースをつなぐエスカレーターの増設を進めております。
 なお、勝どき駅周辺では、勝どき東地区第一種市街地再開発事業が施行中でございますが、計画では、再開発事業者が、地下道で駅と接続する予定でございます。

○西郷委員 地元住民からは、まだまだ混雑しているとの声はありますが、それでも移動時間が約三割短縮できました。今後も動向を注視していただき、対応をよろしくお願いいたします。
 次に、誰でもトイレ設置率が一〇〇%とのことですが、誰でもトイレは、身体障害者の方や子育て世代のおむつ交換など利用者が集中しがちです。
 場所の施工条件によっても異なるとは思われますが、既存の誰でもトイレ、ベビーベッドやオストメイトなどを備えたバリアフリーに配慮したものに改修するには、一カ所当たり約九百万円と伺っています。新規に誰でもトイレを設置する場合においても、金額に幅はありますが、同等程度の費用がかかるとも聞いています。工夫することによって、安価に対応していくことも検討していくことが必要だと考えます。
 身体障害者の方がストレスなく誰でもトイレを利用できるようにするためにも、一般のトイレにもベビーベッドを設置して、子育て世代の利用を分散することが効果的だと考えるが、交通局の見解を伺います。

○坂口技術管理担当部長 地下鉄駅は、一般的に駅構内が狭くトイレの面積が限られており、ベビーベッドなどを新たに設置するには、駅レイアウトの大幅な変更が必要となります。
 交通局では、駅の大規模改修等の機会を捉え、十分なスペースを確保できる場合に、トイレにおける機能分散を図る観点から、男子トイレを含む一般トイレにおいて、オストメイト用水洗器具などを備えた簡易多機能便房やベビーベッドを整備しております。
 平成三十年度は、勝どき駅など九カ所の一般トイレ内にベビーベッドを新設し、現在、誰でもトイレを九十七カ所、一般トイレで七十三カ所に設置しております。
 今後も、活用可能なスペース等を勘案しながら、トイレへのベビーベッドの設置に取り組んでまいります。

○西郷委員 子育て世代、身体障害者の方が利用しやすい環境整備を、今後とも引き続いて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、新交通事業会計について伺います。
 日暮里・舎人ライナーの乗客数は、開業以来、順調に増加しており、開業当初、約四・九万人であった乗客数は、平成三十年度においては約八・九万人となり、混雑時間帯における混雑率は一八九%となりました。この混雑率は、ラッシュ時の混雑で有名な中央線や田園都市線を超えています。
 日暮里・舎人ライナーではこれまでも、車両増便を行い、ハード面で混雑対策を進めてきました。ソフト面での対応では、時差ビズを実施し、ピーク時間帯の混雑緩和に取り組んでいます。
 平成三十年度における時差ビズの混雑緩和の実施効果について、交通局の見解を伺います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、官民が一体として取り組む時差ビズを推進するため、夏に平日二十四日間、冬に平日十九日間、時差ビズキャンペーンを実施いたしました。
 具体的には、朝の混雑する時間帯を避けてご乗車され、かつキャンペーンに合わせて特別に設置いたしました専用の端末にIC乗車券をタッチされたお客様に、抽選で景品をプレゼントいたしました。
 また、早朝に駅構内の店舗などでPASMOを使ってお買い物された方に、金額に応じてToKoPoのポイントをおつけすることといたしまして、オフピーク通勤を促したところでございます。
 期間中、日暮里・舎人ライナーでは、延べ三万一千人のお客様にご参加いただきまして、キャンペーンを通じてオフピーク通勤の機運醸成に貢献したものと考えております。

○西郷委員 ことしの六月に、無人運転で運行している横浜シーサイドラインにおいて、進行方向とは逆方向に走行したとのことで、車どめに衝突し、乗客が重軽傷を負う痛ましい事故がありました。
 日暮里・舎人ライナーも無人運転による新交通システムです。列車を安全に運行させるためには、車両や設備の健全性が確保されなければなりません。
 平成三十年度の日暮里・舎人ライナーでは、どのような車両や設備の点検を行ったのか伺います。

○奥津車両電気部長 車両の点検は、車庫から営業線へ出庫する前に、ドアの開閉や空調などの遠隔制御機能を確認しているほか、三日ごとの列車検査におきまして、消耗した部品の交換等を行っております。
 また、三カ月ごとの検査では、各装置の点検のほか、車庫内で車両を走行させ、自動運転に関する機能等が正常に動作することを確認しております。
 さらに、四年ごとの重要部検査、全般検査では、主要な装置の分解整備を行うとともに、より詳細な検査を実施しております。
 加えまして、信号保安設備を初めといたします各種設備につきましても、法定検査を定期的に実施し、機能や動作が正常であることを確認してございます。

○西郷委員 それでは、横浜シーサイドラインでは車両側に問題があったとの報道がありましたが、日暮里・舎人ライナーでは、この事故を受けて、どのような対策を行ったのか伺います。

○奥津車両電気部長 横浜シーサイドラインの事故発生後、お客様の安全確保に万全を期すため、直ちに日暮里・舎人ライナーの車両、設備の緊急点検を実施するとともに、終端駅での駅係員等による監視を強化いたしました。
 また、保有する全ての車両を試験走行させ、自動運転に関する機能が正常に動作することを確認いたしました。
 その後、横浜シーサイドラインの事故原因は車両の進行方向を伝える回路に断線があり、正しい進行方向がモーターの制御装置には伝わらなかったと発表されましたが、日暮里・舎人ライナーの車両は、万が一同様の断線が発生した場合でも、列車は走行しない設計となってございます。

○西郷委員 車両点検等で機能等が正常であることが確認できて安心しました。
 次に、電気事業会計について伺います。
 電気事業では、昭和三十二年以降は多摩川水系の水流を利用して水力発電事業を担っております。
 小河内ダム直下の多摩川第一発電所、白丸調整池に隣接する白丸発電所及び青梅御岳の多摩川第三発電所の三水力発電所において発電し、都の区域内に電気を供給する電気事業者に電気の供給を行っています。
 この三水力発電所が一年間に発電する電力は、おおむね一般家庭三万五千世帯の使用量に相当します。安定した電気事業の経営には、発電量や売電単価が大きく影響します。平成二十五年度から売電単価及び営業収益が急増しているが、その理由について伺います。

○野崎技術調整担当部長 電力自由化の動きを踏まえ、平成二十五年度に、公募により売電先の事業者を新たに選定した結果、売電単価が上昇し、営業収益が増加したものでございます。

○西郷委員 それでは、平成三十年度の経常利益は平成二十九年度と比較すると増加していますが、その要因について伺います。

○野崎技術調整担当部長 平成三十年度の経常利益は六億九千四百万円と、平成二十九年度と比較して約一億七千万円増加しておりますが、その主な理由は、七月から九月にかけて降雨量が多く、その時期の発電量が増加したためでございます。

○西郷委員 各会計の決算について質疑をいたしました。
 都営交通は、高齢社会の進展、生産年齢人口の減少等、公共交通機関の乗客数の大幅な増加ができない中で、首都東京の公営交通事業者として、行政施策と連携し、東京の課題に積極的に取り組んでいくことがますます求められます。
 今後とも、都民の信頼に応える都営交通の実現に向けて、着実な取り組みをお願いいたしまして、質疑を終わりにいたします。

○田村委員 冒頭、東日本を中心に猛威を振るった台風十九号、また、先週末の台風二十一号の影響に伴う記録的な大雨により、お亡くなりになられた方々に対してご冥福を申し上げますとともに、全ての被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 各地で河川の氾濫や土砂災害などが相次ぎ、私の地元である西多摩地区においても、道路が崩落し、住民が孤立状態に陥った地域があります。
 これまでも都議会自由民主党は、災害対策には万全を期すよう、常々都に対して要望してまいりましたが、改めてこのような自然災害の脅威に対して、都としてしっかりとした対応が必要であると考えます。
 交通局では、台風十九号の際、局の災害対策本部を立ち上げ、迅速に対応できる体制を構築するとともに、都営地下鉄、日暮里・舎人ライナー、都電荒川線に加え、今回が初めてとなった都営バスにおいて計画運休を実施しました。
 計画運休については、お客様への情報提供を適時的確に行ったことで、都営交通においても大きな混乱は発生しなかったとのことですが、他方で、災害時の広域避難時の交通手段の確保といった点での公営交通の役割と責務についても議論を積み重ねていくことも必要であります。
 そのためにも、平成三十年度の決算を検証し、来たる東京二〇二〇大会と、その先につなげていくことが肝要です。
 このことから、本日は、都営交通の災害対策、安全対策を中心に、局の考えを確かめてまいります。
 それでは、初めに、高速電車事業について伺います。
 都営地下鉄では、一日当たり二百八十万人の乗客が利用しております。こうした乗客の方誰もが安心して利用できる安全な地下鉄であるべきです。
 交通局の経営方針でも、お客様の安全・安心を最優先するとしています。こうした経営方針に沿って、事業運営がなされていることと考えますが、まず、平成三十年度における都営地下鉄の安全対策への取り組みと主な内容をお伺いします。

○西川安全管理担当部長 交通事業者にとりまして、安全・安心の確保は最大の使命であり、これまでも交通局では、さまざまな安全対策を講じてきております。
 平成三十年度には、地下鉄全体の改良修繕費五百四十四億円のうち、安全関連の設備投資に約六割の三百二十四億円を投入いたしました。
 その主な内容といたしましては、新宿線のホームドアの製造や設置のためのホームの補強工事、大規模地震の際に早期の運行再開を図るためのさらなる耐震対策を実施してございます。
 また、施設等の適切な維持管理のため、地下鉄構造物の長寿命化や、老朽化した変電所設備や車両の更新等も行ってございます。
 今後とも、お客様の安全・安心の確保のために必要な投資を積極的に行い、施設設備、車両等安全輸送を支える基盤の整備に万全を期してまいります。

○田村委員 安全対策について、さまざまな取り組みを進め、積極的に投資を行っていることは評価いたします。
 一方で、首都直下地震への対策が急がれる中、地震や水害などの自然災害も頻発、激甚化しており、災害リスクがますます高まっています。災害への対応力を強化していくためには、しっかりとしたインフラを着実に整備していくことが必要であることは論をまちません。
 今の答弁では、平成三十年度の安全投資の一つに、大規模地震の際に早期の運行再開を図るためのさらなる耐震対策が挙げられていましたが、平成三十年度における耐震対策の具体的な取り組み内容と今後の対応について伺います。

○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、阪神・淡路大震災を受けて出された国の通達に基づく耐震対策は平成二十二年度で完了しており、施設の崩壊など、致命的な被害に対する安全性は確保されております。
 その後、東日本大震災を踏まえて、施設の安全性をより一層高めるとともに、早期の運行再開を図るため、さらなる耐震対策として、高架部の橋脚及び地下部の中柱の補強を進めております。
 平成三十年度は、三田線や大江戸線の地下駅の中柱、三田線の高架部の橋脚など、約百九十本の補強を実施し、既に約千百七十本の補強を完了しております。
 現在、三田線高島平駅 西高島平駅間の高架部の橋脚や、大江戸線都庁前駅の中柱など、約五百六十本の耐震補強工事を進めております。
 今後とも、都営地下鉄の安全・安心の確保のため、さらなる耐震性の向上に取り組んでまいります。

○田村委員 インフラ整備が着実に進んでいることは確認できました。しかし、災害はいつ発生するかわかりません。地震や水害など、自然災害への対応をしっかり進めていくよう求めます。
 災害発生時には電源確保が非常に重要であります。先月の台風十五号においても、千葉県では大規模な停電が発生し、停電が解消するまで二週間以上かかり、市民生活に甚大な影響が出たことは記憶に新しいと思います。
 鉄道は、まさに電気を動力としており、列車の運行はもちろんのこと、ホームドアやエレベーターを動かすためには電力の供給は不可決であります。
 都営地下鉄においても、お客様の安全を確保するためには、電力確保に向けた備えをしておくことが必要であります。
 そこで、非常時における都営地下鉄の電力確保に向けた平成三十年度の取り組みと今後の対応について伺います。

○奥津車両電気部長 都営地下鉄では、電力会社の変電所からの複数ルートによる受電や当局変電所間での電力の融通などによりまして、安定した電力確保に努めております。
 また、電力会社からの電力供給が全て途絶えた場合には、各路線に設置してあります非常用のバッテリーや発電機により、非常用照明、避難誘導灯、放送装置などのお客様の避難に必要な重要設備に電気を供給できるようにしてございます。
 このような取り組みに加えまして、新宿線ではトンネル内に比べ避難環境が厳しい橋梁部があることから、お客様の円滑な避難に役立つよう、停電時でも列車を次の駅まで走行させることができる電力貯蔵設備を導入することとしておりまして、平成三十年度は機器の設計及び製造を進めました。
 今後、年度末の運用開始に向けまして、電力貯蔵設備の整備を着実に進めるとともに、引き続き都営地下鉄の電力の安定確保に努めてまいります。

○田村委員 確かに、橋梁部でのお客様誘導が大変危険であることは想像にかたくありません。緊急時に安全かつ迅速にお客様を誘導するためにも、電源確保は欠かせません。優先順位を明確にしながら、電源確保にしっかりと取り組んでいただき、非常時に対応できるようにしていただけるようお願いいたします。
 自然災害への対策としては、インフラ整備などのハード面での対策に加えて、災害発生時には駅員や乗務員、保守職員などが事態を的確に把握し、冷静沈着に対応することで利用者の安全を守っていかなければなりません。
 そこで、水害や大震災などの災害に対応するための訓練について、平成三十年度の取り組みと今後の対応を伺います。

○西川安全管理担当部長 都営地下鉄におきましては、水害や大規模地震等の異常事態を想定した危機管理対策計画を策定しており、これを踏まえまして、駅、運転、保守の各部門が合同でさまざまな訓練を毎年実施しております。
 まず、水害を想定した訓練につきましては、昨年度は七月に、浅草線の浅草橋駅で、集中豪雨等による駅出入り口からの浸水のおそれが生じた場合を想定し、止水板や土のうの設置、部門間の情報伝達等の訓練を実施いたしました。
 また、荒川氾濫を想定した大規模水害につきましても、防災関係機関とともに事前行動を時系列で整理したタイムラインを策定しており、これを試行的に運用して検証しております。先般の台風十九号の際にも、これに基づきまして、関係機関との情報交換等に努めたところでございます。
 大規模地震等を想定した訓練につきましては、十月に新宿線の大島車両検修場におきまして、障害者や外国人を含む乗客の避難誘導及び負傷者の救出を消防と連携して実施するとともに、脱線した車両や損傷した施設設備の復旧訓練も行っております。
 このほか、日ごろから、駅や乗務管理所といった職場単位で、地元の警察、消防などと連携し、お客様の避難誘導や初期消火、AEDを活用した救命救急など、さまざまな訓練を実施しているところでございます。
 今後とも、災害時に適切に対処できますよう、こうした実践的な訓練を通じまして、職員の対応能力のさらなる向上を図ってまいります。

○田村委員 安全な運行を阻害するリスクは自然災害だけではありません。世界中から多くの人が訪れ、注目を集める東京二〇二〇大会はテロ攻撃の格好のターゲットであり、その脅威も高まっています。
 過去においても、世界的なスポーツ大会が標的になった二〇一三年のボストン・マラソン爆弾テロ事件、また二〇一六年のリオ大会では、重要インフラの基盤システムを狙ったサイバー攻撃もありました。
 昨年度の決算特別委員会総括質疑でも質問をし、交通局は、テロ対策訓練などを実施し、危機管理体制の一層の強化を図っているとのことでありましたが、いよいよ東京二〇二〇大会が間近に迫った中、その進捗状況を確認するという観点から、テロ対策の強化についての平成三十年度の取り組みと今後の対応を伺います。

○西川安全管理担当部長 都営地下鉄におきましては、テロ対策として、危機管理対策計画に基づき、駅員や警備員による巡回を行うとともに、警察や消防と連携し、NBCや不審者等に対する訓練を実施するなど、さまざまな取り組みを進めてございます。
 平成三十年度は、東京二〇二〇大会に向けまして、主要駅で防犯カメラの増設を進めるとともに、AI等の新技術を用いてカメラの映像解析を行い、不審物の置き去り等を検知する実証実験を実施いたしました。
 また、テロ等の発生時に迅速な初動対応により被害の最小化を図るため、防犯カメラの映像をリアルタイムで警察に送信する仕組みを導入いたしました。
 さらに、地下鉄車両の更新に合わせまして、車内への防犯カメラの設置を行い、昨年度は十五編成に整備したところでございます。
 このほか、東京二〇二〇大会の会場最寄り駅の一つでございます青山一丁目駅におきまして、東京メトロと合同で、警察と連携した不審者対応訓練を実施するなど、各駅等でテロ対策訓練を行ったところでございます。
 今年度は、先ほど申し上げました新技術を用いたカメラの映像解析に関する実証実験の結果を踏まえまして、不審物の置き去り等を検知するシステムの本格導入の準備を進めてございます。
 引き続き、新技術の活用も図りながら、テロ対策を強化し、都営地下鉄の安全確保に全力で取り組んでまいります。

○田村委員 大会に向けては総仕上げの時期に来ているところです。大会期間中は、通常では想定できない事態なども発生するおそれもあります。しっかりと準備を進め、万全の体制で大会を迎えることができるよう取り組みを進めてもらいたいと思います。
 本日は、都営地下鉄の災害、安全対策に絞って質問をしましたが、都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーについても同様に対応していただくようお願いいたします。
 また、都営バスについては、非常時には機動的な移動手段として緊急輸送に協力するとなっており、過去の大規模災害時には被災者や救護員の輸送に対応したと聞いております。
 私の地元日の出町では、高齢者の方の外出支援バスを運行していますが、さきの台風十九号の影響により道路が寸断されたため、被災者の生活の足としての運行方法へ変更を余儀なくされました。
 今後、被災した地域から緊急輸送への対応など、支援を求められた際には、運行ノウハウなども含め、都営バス事業を営む交通局が有する豊富な知識や技術力を被災自治体に提供するなど、一歩踏み込んだ対応も要望しておきます。
 続いて、電気事業について伺います。
 交通局では、多摩川の流水を活用して多摩川第一発電所、第三発電所、白丸発電所で水力発電を行っており、環境に優しいクリーンエネルギーとして都内で活用されており、先ほども西郷委員からありましたが、一年間に発電する電力量は三カ所の発電所合計で、おおむね一般家庭約三万五千世帯の使用量に相当します。
 その歴史も古く、水道局の小河内ダム建設に合わせて水力発電の建設を計画し、多摩川第一発電所は昭和三十二年度から、多摩川第三発電所は昭和三十八年の開業から運転を開始し、現在に至っております。
 このように長い年月にわたって施設設備を安全に維持していくためには適切な更新が必要であり、昨年度、多摩川第一発電所更新計画の策定と多摩川第三発電所の健全度調査が行われたとのことです。
 まず、電気事業における大規模更新に向けた平成三十年度の取り組みと今後の見込みについて伺います。

○野崎技術調整担当部長 多摩川第一発電所につきましては、運転開始から約六十年が経過しており、昨年度更新計画を策定したところでございます。
 更新計画では、発電機などの一部の機器は補修して継続使用することで経費の抑制を図るほか、老朽化が進んでいる水車につきましては、より効率的に発電できるものに交換するとともに、変圧器の更新なども見込んでおり、今年度からは基本設計に着手しております。
 また、多摩川第三発電所につきましても、運転開始から約五十五年が経過しており、昨年度健全度調査を行った結果、多摩川第一発電所と同様に、水車の交換などが必要となる見込みでございます。
 今後は、更新計画の策定を着実に進めてまいります。

○田村委員 多摩川第一発電所、多摩川第三発電所ともに、今後、施設や設備を更新していくとのことでしたが、電気事業における平成三十年度の経常損益と大規模更新のための費用をどのように確保するのか確認いたします。

○野崎技術調整担当部長 電気事業は、平成三十年度決算で経常利益が約六億九千万円となっており、黒字基調で推移しております。
 また、企業債等の長期債務はなく、大規模更新に向けた建設改良積立金等を着実に積み立てております。今回の大規模更新の費用につきましては、こうした積立金を活用することを考えております。

○田村委員 大規模更新への準備に着実に取り組んでいることがわかりました。ダム施設、発電設備の計画的な保全管理に引き続き取り組んでもらいたいと思います。
 管理という面では、水力発電は自然を相手とする場面もあり、台風のときなど、緊急時には河川の増水への対応などが不可欠と考えます。
 先般の台風十九号の際も、相模原市の城山ダムなど、関東甲信越にある複数のダムにおいて緊急放流の実施時刻などが緊迫感を持って報道されていました。
 そこで、十月十二日夜から十三日未明にかけて都内を直撃した台風十九号のときはどのように対応したのか伺います。

○野崎技術調整担当部長 交通局では、多摩川第一発電所、多摩川第三発電所、白丸発電所の三カ所の発電所に加え、発電用に取水を行う白丸調整池ダムを管理運営しております。
 このうち、白丸調整池ダムにつきましては、台風十九号が最接近した前日の十一日から現地の監視所に人員を配置し、気象情報を収集するとともに、ダムへの流入量を監視しておりました。
 こうした中、深夜には降雨により流入量が増加し、ダムの水位が急激に上昇したため、ゲートから放流を開始いたしました。
 放流に当たりましては、小河内ダムを管理する水道局等の関係機関と連携し、事前に地元自治体等に通報の上、ダムの下流を巡回するとともに、サイレン等による注意喚起を行うなど、安全確保に万全を期し実施いたしました。

○田村委員 白丸調整池ダムは発電用専用の小さなダムであり、洪水調整機能はありません。今回の台風のように、豪雨時におけるダム操作は、一歩間違えれば下流への甚大な被害が発生するため、責任は重大です。
 一方、白丸調整池ダムにおいても、巡視路に土砂が流入するなど、被害が発生したと聞いています。
 これまで、私も何度か訪問させてもらっていますが、現在の監視所はダムの対岸にあることから、監視所の皆さんは、強風にさらされながら、みずからの危険も顧みず監視業務に当たってくれたものと思います。
 ダム監視所については、現在の場所から、より安全な道路側に移設する計画とのことであります。昨年度、白丸調整池ダム監視所移設について実施設計委託をしたとのことですが、交通局の経営計画二〇一九によれば、監視所の移設に合わせ、新たに再生可能エネルギーのPR施設を設置するとの記載があります。
 そこで、この再生可能エネルギーPR施設の目的、開設時期について伺います。

○奥津車両電気部長 今回設置する再生可能エネルギーPR施設は、老朽化している白丸調整池ダム監視所を道路からのアクセスがよい対岸へ移設することに合わせ、新たな監視所の三階に開設するものでございます。
 本施設は、交通局の電気事業をPRし、再生可能エネルギーの有効性などについて理解促進を図るとともに、奥多摩エリアの魅力を発信していくことを目的としております。開設時期は来年の秋を予定してございます。

○田村委員 令和二年の秋に開設とのことです。現在は建築工事が進んでおり、期待も大きく膨らみます。
 大量に電力を消費する公営交通事業者として、また、再生可能エネルギーの導入を推進する東京都として、このような施設をエネルギーを創出している現地に設置し、積極的に電気事業をPRすることは、大変意義深く感じます。ひいては、多摩川流域の振興にも大いに資するものとなるよう期待いたします。
 どのような展示内容になるかなども現在検討中ではあると思いますが、気になるところです。
 そこで、奥多摩エリアの魅力を発信していくということですが、PR施設の展示内容や設備について伺います。

○奥津車両電気部長 PR施設の展示内容といたしましては、プロジェクションマッピングを用いて奥多摩の自然と水力発電のつながりを表現するほか、デジタルサイネージ等により、再生可能エネルギーや交通局の事業などをPRいたします。
 また、奥多摩町と連携し、映像やパンフレットにより奥多摩エリアの観光情報を提供するブースを設けるとともに、多摩産材をベンチ等に使用いたします。
 さらに、来訪者等の利便性向上のため、無料Wi-Fiやスマートフォンなどの充電ができるUSBコンセントなどのサービスを提供するほか、どなたにもお使いいただけるよう、誰でもトイレを設置いたします。

○田村委員 地元の期待も大きく、施設の運営についても、ぜひ奥多摩町と連携を密にとって、図っていただくよう要望いたします。
 これまでも発電所では、見学の受け入れや奥多摩納涼花火大会などの地元開催イベントへの協力といった奥多摩エリアの地域振興にも取り組んでおりますが、このたびのPR施設の開設でさらなる展開ができると考えます。
 そこで、電気事業の地元への貢献について伺います。

○奥津車両電気部長 交通局では、電気事業を開始して以来、地元への貢献に取り組んでまいりました。例えば、奥多摩町と協力し、ハイキングコースである大多摩ウオーキングトレイルの一部としてダムの巡視路を整備し開放するとともに、白丸発電所建設に合わせ、白丸調整池ダムを望む展望台を設置いたしました。
 深いグリーンの美しい湖面を持つ調整池や下流域に続く鳩ノ巣渓谷などに加え、今回のPR施設を設置することで、奥多摩エリアの魅力向上に一層貢献してまいります。

○田村委員 国においては、非化石価値取引市場の拡大など、水力等の再生可能エネルギー由来の電力の価値に着目した動きもあります。
 私は、地域で創出された再生可能エネルギーを地域で消費する地産地消の担い手として、また、地域経済の発展や環境保全の観点からも、多摩川の発電事業を都が受け持つことは大変意義があることと思います。
 自然の恵みを生かした純国産のクリーンエネルギーである水力発電により、今後とも、安定的な電力の供給とともに、地元地域へのより一層の貢献を期待し、私の質問を終わります。

○小林委員 私からは、都営地下鉄における五つのテーマについて質問をさせていただきます。
 まず、都営地下鉄のマナー啓発についてお伺いをいたします。
 交通機関においては、不特定多数の乗客が入り乱れ、日常的にさまざまなトラブルも散見されますが、トラブルを未然に防ぐとともに、乗客が快適に利用していくためにも、公共交通機関としてマナーの啓発活動は重要な取り組みの一つであると考えます。
 私は、昨年の第四回定例会の一般質問で、エスカレーターの利用におけるマナーについて質疑をいたしました。都内のエスカレーターでは、右側をあけて乗るという暗黙の慣習が存在し、左側は整然と立ちどまって乗る人がいる一方、右側は急ぎ足でエスカレーターを昇降する光景が日常的になっており、障害のある方や年配者などに配慮して、エスカレーターの利用に当たって左右関係なく乗ることができるよう、マナー啓発に取り組んでいく必要性を指摘させていただきました。
 当時の山手交通局長より、指摘された視点も踏まえて、マナー啓発に取り組んでいくとの答弁をいただきましたが、そうした視点を踏まえて、このような啓発ポスターを作成していただきました。もう既にご存じの方も多いかと思いますけれども、エスカレーターは手すりにつかまりましょうということで、桃太郎が鬼ケ島に行くというストーリーの中でのイラストで表現をされておりますけれども、ここに左手をけがされている方が、左手では手すりにつかまれないので右手でつかまっている、また、左手でお子さんをだっこしているお母さんが右手で手すりにつかまっている、このような形の、まさに私が指摘をさせていただいたようなことを一つ視点として踏まえていただいて、こうしたポスターの作成をいただきました。大変にありがとうございました。
 そこで、改めて、都営地下鉄で、これまでのマナー啓発の取り組みについて確認をさせていただきます。

○根木総務部長 都営地下鉄では、エスカレーターの安全利用を初め、駆け込み乗車や歩きスマホの防止、優先席の譲り合いなどのマナー啓発につきまして、ポスターや動画を制作するとともに、車内や駅の構内放送、車内の液晶モニターなどを活用し、広く呼びかけております。
 特にポスターの制作に当たりましては、お客様の印象に残るよう、コミカルなイラストやキャッチフレーズを用いるなど工夫を凝らしたデザインとしております。

○小林委員 ありがとうございます。
 今、ラグビーワールドカップが開催されている中、多くの外国人観光客も来日をされております。私は、よく大江戸線を利用していますが、本当に外国人観光客の方が多くなったなと実感をいたしております。
 明年には東京二〇二〇大会を控え、さらなる外国人観光客の激増が予想される中、公共交通機関におけるマナー啓発は、日本人のみならず外国人観光客に対しても重要な取り組みであり、推進していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○根木総務部長 優先席の利用方法などのインバウンド向けのマナー啓発につきましては、駅の構内放送やポスターを活用し、日本語のほか、英語、中国語及び韓国語を用いて行っております。
 加えて、今後は、外国人旅行者にお伝えしたいマナーなどについて、都営交通モニターからご意見を伺い、マナー啓発の参考にしてまいります。
 引き続き、東京二〇二〇大会に東京を訪れる外国人旅行者も含め、誰もが都営地下鉄を快適にご利用いただけるよう、お客様へのマナー啓発に取り組んでまいります。

○小林委員 今ご答弁もありましたとおり、インバウンド向けに新たな取り組みも検討されているということでございますので、ぜひとも推進をお願いしたいと思います。
 また、先ほどのご答弁の中でも、コミカルなイラストやキャッチフレーズを用いたとありましたが、先日、インターネットのニュースで、駅のマナーポスターがおもしろくなったわけ、というタイトルの記事が目にとまりました。その記事はこのような書き出しで始まっております。
 近ごろ、駅や電車内に掲出されているマナーポスターに目を引くものが多くなった、漫画調やコメディータッチなど遊び心あふれる作品が並び、思わずくすりとさせられる、特徴的なのは、民営各社だけでなく、おかたいイメージがある公営企業、東京都交通局のポスターにも変化が見られることだ、世界の名画をコミカルにアレンジしたものなどが登場し、利用者の目を引きつけている、一昔前まで清く正しい標語ありきだった鉄道会社のマナーポスターは、いつからおもしろくなったのか、東京都交通局の担当者に、制作秘話や記憶に残るポスターづくりの極意について話を聞いた。
 このような書き出しで、詳細な取り組みの内容が記事になっておりました。
 今やマスコミも注目する交通局のマナー啓発ですので、ぜひとも今後とも知恵を絞っていただき、注目され、かつ効果的にマナー啓発に結びつくよう取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、都営無料Wi-Fiについてお伺いいたします。
 都では、経営計画二〇一六において、地下鉄車内の無料Wi-Fi環境の整備を東京二〇二〇大会までに全車両に整備を完了するとの目標を掲げております。
 一昨年の当分科会においても、地下鉄車内の無料Wi-Fiの整備の進捗状況について質問いたしましたが、改めて、現在の進捗についてお伺いいたします。

○広瀬資産運用部長 訪日外国人を初めといたします利用者の利便性向上のため導入を進めてまいりました都営地下鉄車内の無料Wi-Fiにつきましては、平成二十九年度までに浅草線、大江戸線、その後、平成三十年度には三田線、本年七月には新宿線への設置を終えまして、交通局が保有いたします全編成への整備が完了したところでございます。

○小林委員 一昨年の質疑の際の答弁では、三田線、新宿線については、二〇二〇年東京大会の開催前の平成三十二年三月までに導入するとのことでありましたが、予定より早く整備ができたということで、迅速な対応であったと思います。
 私も都営地下鉄をよく利用しますが、車両内では本当に多くの乗客の方々がスマートフォンを利用しております。
 そこで、全編成に設置が完了したこのWi-Fiは、どのくらいのお客様が利用できる状況になっているのかお伺いいたします。

○広瀬資産運用部長 都営地下鉄におけます無料Wi-Fi、都営地下鉄フリーWi-Fiにおきましては、サービスを提供している通信事業者によりますと、一編成当たり五百名程度の方が接続できると聞いております。

○小林委員 ありがとうございます。全車両にWi-Fi環境が整備されたということは、大変に誇るべきことと思いますので、今後も乗客の利用状況や声をお聞きしながら、快適な通信環境を維持していけるよう取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、バリアフリールートの充実についてお伺いいたします。
 経営計画二〇一六の中では、乗りかえ駅などでのエレベーター整備を進めていく方針が示されていますが、乗りかえ駅などでのエレベーター整備について、平成三十年度の実績と現在の進捗状況をお伺いいたします。

○谷本建設工務部長 交通局では、経営計画に基づきまして、東京メトロなど他の事業者とも連携を図りながら、乗りかえ駅等でのエレベーター整備を進めており、平成三十年度は六駅で供用を開始いたしました。
 具体的には、浅草線人形町駅での東京メトロ日比谷線との乗りかえ経路へのエレベーター整備や、新宿線神保町駅、一之江駅でのエレベーター新設に加え、大江戸線大門駅など三駅で駅周辺の再開発事業者との連携を図り、再開発ビル内でのエレベーターを活用し、新たなバリアフリールートを確保いたしました。
 今年度は、新宿線九段下駅や大江戸線青山一丁目駅など、再開発ビルとの接続も含めまして、八駅でエレベーター増設等の工事を進めております。

○小林委員 本年一月に発表されました経営計画二〇一九では、さらなる利便性の向上を図るため、バリアフリールートの複数化について検討を進めるとされていますが、今後の検討の方向性について確認をいたします。

○谷本建設工務部長 交通局では、昨年改正されたバリアフリー法による移動等円滑化基準などを踏まえまして、バリアフリールートの複数化について検討しております。
 平成三十年度は、駅の利用実態に加えて、駅周辺における病院、高齢者、障害者施設の立地などを調査しており、これを踏まえまして、現在は、移動距離を最短化する観点より、バリアフリールートの複数化の可能性を検討しております。
 今後は、これらに加えまして、駅施設の構造や用地確保の可能性などを勘案しながら、整備優先度の検討を進めてまいります。

○小林委員 私の地元練馬区の大江戸線光が丘駅は、現在エレベーターが一基しかなく、増設を要望する声を多数いただいております。こうしたことから、平成二十九年第一回定例会の予算特別委員会、そして、平成三十年の第四回定例会の一般質問でも増設に向けた質問をさせていただきましたが、関係機関と連携し、用地の確保や構造上の課題に関する検討を深め、バリアフリールートの充実に取り組んでいくとのご答弁をいただいておりますので、ぜひとも迅速に検討を進めていっていただきたいと思います。
 次に、トイレのバリアフリー化についてお伺いいたします。
 都議会公明党は、トイレのバリアフリー化については、都営地下鉄駅のみならず、学校、都立公園など徹底して推進し、取り組んでまいりました。
 来年の東京二〇二〇大会の開催に向け、都営地下鉄駅のトイレについても、外国人や高齢者も使いやすいように、トイレの洋式化を一層進めていく必要があります。
 そこでまず、平成三十年度のトイレの洋式化の実績についてお伺いいたします。

○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、トイレの洋式化を計画的に進めており、平成三十年度は十九駅、二十二カ所で洋式化を実施いたしました。
 このうち、大江戸線については、東京二〇二〇大会までに環状部の全駅で洋式化を完了させることとしており、国立競技場駅、六本木駅、上野御徒町駅など十五駅、十八カ所で整備を行っております。
 その他、三田線神保町駅や春日駅など三駅三カ所では、洋式トイレの整備に合わせ、出入り口の段差解消、手すりやベビーチェアの設置を行うとともに、三田線西台駅については、トイレの故障に伴う緊急工事に合わせ、トイレの洋式化を行っております。

○小林委員 経営計画二〇一九には、都営地下鉄のトイレの洋式化について、二〇二〇年度までに約九割、二〇二一年度までに整備完了との目標が示されております。
 トイレの洋式化に向けた現状と今後の見通しについてお伺いいたします。

○坂口技術管理担当部長 トイレの洋式化について、昨年度末までに、対象百十一カ所のうち七十八カ所で整備を完了し、整備率は約七〇%になっております。
 また、今年度は、本年九月末までの半年間で、大江戸線青山一丁目駅など三駅四カ所でトイレを洋式化しており、累計八十二カ所、整備率は約七四%となっております。
 現在、三田線新高島平駅、西高島平駅などで工事を進めており、引き続き、目標の達成に向けて計画的に取り組んでまいります。

○小林委員 ありがとうございます。トイレの洋式化の取り組みは、大変に重要な取り組みであると認識しておりますので、ぜひとも目標の達成に向けた計画的な取り組み、着実に推進をしていっていただきたいと思います。
 最後に、地下鉄構造物の長寿命化についてお伺いをいたします。
 構造物の長寿命化については、建設局が、橋梁、橋について損傷や劣化が進行する前に必要な対策を行う長寿命化という施策に積極的に取り組んでおりますが、地下鉄構造物の長寿命化とはどのような取り組みなのかを確認させていただきます。

○谷本建設工務部長 地下鉄構造物の長寿命化とは、経過年数の長いトンネルにつきまして、著しい劣化が発生する前に機能回復を図る予防保全型の管理手法を導入することで、延命化を図る取り組みでございます。
 具体的には、トンネルの健全度を調査した上で、ひび割れ等からの漏水を遮断し、鉄筋コンクリートの劣化を防ぐ漏水対策や、将来、トンネルの劣化が進行した際に剥落の可能性がある劣化部を未然に除去し、修復する剥落対策などを実施するものでございます。

○小林委員 それでは、この地下鉄構造物の長寿命化は、これまでどのような場所で取り組みをされてきたのかお伺いいたします。

○谷本建設工務部長 地下鉄構造物の長寿命化につきましては、開業年度の古い浅草線、三田線におきまして、全区間を対象に計画的に実施しており、平成二十三年度から順次工事を進めております。
 平成三十年度は、浅草線では西馬込駅から五反田駅間、三田線では春日駅から西巣鴨駅間、日比谷駅から御成門駅間におきまして工事を実施いたしました。

○小林委員 開業年度は、浅草線が一九六〇年、三田線が一九六八年で、いずれも五十年以上の歴史を刻んでおります。
 新宿線は一九七八年、大江戸線は一九九一年が開業年度でございますけれども、さきの二線よりは歴史は浅いですが、この二線についても、浅草線、三田線と同様な考え方で、この長寿命化に取り組んでいく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。

○谷本建設工務部長 ご指摘のように、開業が浅草線、三田線より新しい新宿線、大江戸線におきましても、将来的には長寿命化対策が必要になるものと考えております。
 現在、新宿線、大江戸線につきましては、法令に基づき、二十年に一度のトンネル特別全般検査を実施しているところでございまして、今後、本検査の結果も踏まえ、長寿命化について検討してまいります。

○小林委員 長寿命化の取り組みは、地味な取り組みかもしれませんが、安全性の確保や小まめな修繕による大規模修繕と比べたトータルコストの縮減など重要な取り組みでありますので、着実に推進をお願いしたいと思います。
 最後に一点、要望させていただきたいと思います。
 東京都交通局では、かつてスマートフォン向けのアプリを作成し、提供されていました。その当時、まだ行政がアプリを活用した情報提供の事例が少ない中で、先駆的な取り組みだなと関心を持っておりましたが、いつの間にかなくなってしまったという現状がございました。
 私は、一昨年の当分科会の質疑の中で、この東京都交通局が作成したアプリ、ぜひともリニューアルか、新しい形で復活していただくよう検討の要望をいたしましたが、この一月に発表された経営計画二〇一九では、都営交通公式アプリの導入、二〇一九年度サービス開始と記載をされておりました。
 過日、開発状況を交通局にお伺いしたところ、開発委託契約の入札が実施され、今、開発が進められているとのことでありました。大変に喜ばしい取り組みであると思いますので、計画どおり年度内のサービス開始を確実に実施され、都民の皆様方の利便性の向上に資するアプリ開発を進めていただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○とくとめ委員 交通局関係の決算にかかわって質問をいたします。
 まず、要求資料の提出は、大変ありがとうございました。
 公共交通機関としての都営地下鉄など、都営交通の役割が極めて重要になっていることを実感しております。
 バリアフリーの福祉のまちづくりという点からも、障害者、高齢者、最近は高齢者ドライバーの免許の返納ということがふえている中で、都民一人一人の自由で安心・安全の活動権、移動権の確保、人権ともいわれるぐらい大変尊重のテーマになっている問題です。注目、関心が高まっていると思います。
 都営交通の経営理念、経営方針で明記されていることは、極めて重要な内容を示していると思います。実際の事業活動の中で貫くことが、都民的な期待や信頼にもなっていると思います。
 経営理念では、私たち都営交通は、都民やお客様に信頼され、支持される公共交通機関として、安全・安心を何よりも大切にし、東京の都市活動や都民生活を支えていきますとされ、経営方針の中でも、具体化され、貫いていってほしいと強く期待をいたします。
 こうした都営交通の事業活動は、二〇一八年度の高速電車事業会計の決算について、監査委員会の報告で、都営地下鉄などが、利用者が増加し、営業活動の分野でも増収に反映しているのは、都民の皆さんの評価が広がっていることのあらわれだと思います。
 そこで質問ですが、二〇一八年度の事業活動の中でも、都営地下鉄のバリアフリーの取り組みの中で、エレベーターが設置された駅と、その駅における二〇一八年度の経費は幾らかかっているんでしょうか。

○谷本建設工務部長 交通局では、経営計画に基づき、乗りかえ駅等でのエレベーター整備を進めております。
 平成三十年度は、浅草線人形町駅など六駅で供用を開始いたしまして、決算額は五億七千五百万円でございます。

○とくとめ委員 着実にバリアフリー化が促進され、平均でエレベーター一基約一億円という経費で整備が進んでいることがわかりました。
 経営計画二〇一九における都営地下鉄の各駅のエレベーター設置計画はどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。

○谷本建設工務部長 経営計画二〇一九では、令和三年度までに乗りかえ駅等九駅でエレベーターの整備を完了することとしております。

○とくとめ委員 今後三年間で、新たに九駅でエレベーターの整備が完了する計画だということです。この取り組みを、さらに全都的なバリアフリー化のテンポを引き上げて、エレベーターやエスカレーターの設置を広げていただきたいと思います。
 交通局の経営計画二〇一六の中のエレベーター設置にかかわる記述は、都営地下鉄については、平成二十五年度に全ての駅でエレベーター等による一ルートの確保が完了しましたが、東京メトロなどほかの事業者とも連携を図りながら、乗りかえ駅等のエレベーター整備を進めますとなっていました。実際に、二ルート目のエレベーターは、ほぼ乗りかえ駅の設置で、住民の方が要望しても、その駅は乗りかえ駅ではないという理由から計画にしていないという答弁などがあって、がっかりしたという話もありました。
 それが、今回の一月策定の交通局の経営計画二〇一九の中においては大きな変化があったと思います。前向きの変化だと思います。エレベーター設置の関連記述は、さらなる利便性向上を図るため、バリアフリールートの複数化について、駅の構造や周辺状況等を踏まえながら検討を進めますと、重要な記述に変わっています。
 この重要な内容の変化は、具体的には、今後どのように対策上変わっていくんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○谷本建設工務部長 経営計画二〇一九では、乗りかえ駅等でのエレベーターの整備に加えまして、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正などを踏まえ、駅の構造や周辺状況なども勘案しながら、移動距離を最短化する観点より、バリアフリールートの複数化につきまして検討を進めることといたしました。

○とくとめ委員 バリアフリー法に基づく移動等の円滑化基準の改正などを踏まえて、駅の構造や周辺状況なども勘案して、移動距離を最短化する観点より、バリアフリールートの複数化について検討するという中身だったと思います。都民の多くの皆さんの要望に応える重要な内容ではないかと思います。
 最近、十月に入ってから、国のバリアフリー法に基づく移動円滑化基準の改正を踏まえるという位置づけも極めて重要だと思います。
 確かに交通局は、今までよりは、今後はさらに、国と東京都全体の取り組みよりも前向きな方針で進めていかれるということですけれども、東京の都営地下鉄の本格的なバリアフリー化、全駅へのエレベーター複数設置を求める要望、陳情が、高齢者や障害者などの住民、団体、あるいはさまざまな地域の需要からも繰り返し寄せられております。
 交通局は、都内各地で広がる、こうしたエレベーターの設置を初め、切実なバリアフリー化を求める具体的な要望、陳情に対しては、新しい方針のもとで今後はどのように対応していくのですか。基本的な考え方、具体的な進め方について教えていただきたいと思います。

○谷本建設工務部長 エレベーターの整備に当たりましては、お客様や障害者団体などの声も参考にしつつ、駅の利用実態や駅施設の構造上の課題などを勘案しながら、エレベーターの設置が可能で、高い改善効果が見込まれる乗りかえ駅等での整備を進めてまいりました。
 また、先ほどお答えしましたように、経営計画二〇一九では、バリアフリールートの複数化についても検討を進めていくこととしております。
 今後は、こうした考え方に基づきまして、エレベーターの整備を進めてまいります。

○とくとめ委員 バリアフリールートの複数化について検討を進めると。今後のこの考え方に基づいてエレベーター整備を進めていくという、この立場を実行にもしっかりと生かしていただきたいというふうに思います。
 そこで、より具体的な話ですけれども、私の地元の都営三田線の板橋本町駅には、エレベーターを、北側のA4口か、あるいはA2口に設置を求める陳情、要望が、八年前の早くから、区長からも同様の要望が都に提出をされております。区長も元都議で建築士でありまして、いろいろ東京都の構造物があって大変だという声に対しても、そういう建築士の技術的な立場からも、調整を求める要望が繰り返し寄せられております。
 もう一つは、同じく都営三田線西台駅の西口にしかないエレベーターを、現在五十段の階段を上らなければならない東口、これは西口から距離にして二百メートルありますけれども、そこに設置を求める陳情が、もう七、八年前から取り組まれて、六年前には二千五百人を超える署名と一緒に要望が提出され、区長からも要望が都に提出をされています。
 交通局は、今度のバリアフリールートの複数化の方針、この大もとにあるこの公営鉄道、公共鉄道の本来の役割から見て、こうした要望にどのように検討をし、対応されていくんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○谷本建設工務部長 板橋本町駅につきましては、A4出入り口周辺には首都高速道路の橋脚基礎など大型地下構造物が近接しており、また、A2出入り口周辺には銀行や病院があるため、エレベーターの設置スペースを確保することは難しく、エレベーターの新設は困難な状況でございます。
 また、西台駅の東口につきましても、現在の駅構造から、ホームを支える柱をつくりかえるなど、大規模改良工事を行わないとエレベーター設置は困難な状況となっております。

○とくとめ委員 三田線の板橋本町のA4出入り口の新設は、大型地下構造物により新設は困難と。六、七年前と全く同じ答弁です。一体この東京都の交通局の理念や新しい方針や、今度の二〇一九年の経営計画で示された新しい前向きの方針というのはどういうふうに具体化されているといえるんでしょうか。
 また、同じく三田線の西台駅の東口への設置は困難といわれました。これも五、六年前と全く同じ対応だと私はいわなければなりません。住民や高齢者、障害者の、ある意味すがるような要望であり陳情です。
 私は、この西口の、六年前に二千五百人署名集めた方々にも聞きました。もう亡くなった方もいます。もう施設に入って、都営地下鉄は利用できないという人もいました。これまでのバリアフリー化への対応の新しい方針の発展があったにもかかわらず、これに反するような答弁が、今の答弁ではないでしょうか。
 都営交通にとって、地下鉄の利用者は大事なお客様です。お客様は神様という言葉もありますけれども、そういう姿勢で、この都民の中に広がる高齢化、障害者、それから、免許を返納しなきゃいけないという、いわば都内の自由な移動権が侵害されるような事態を解決するのが、都営交通としての独自の経営理念から見ても仕事ではないかと思うんです。
 それを、構造的に大変だからっていっちゃえば、要望、陳情で何とかしてほしいと思っている人たちに、諦めなさいと、もう元気なうちにはこの地下鉄は利用できないですよといっているのと同じじゃないかと思うんです。
 例えば、三田線の板橋本町駅は地上から駅のホームがあるところまで七十段あります。その七十段まで行って改札口があります。しかし、そのホームをかえるためには、さらに下に、地下一階、おりていって別のホームに乗りかえなければなりません。本当に高齢者の皆さんは、息をつきながらこの板橋本町駅を利用していると聞きました。
 西台も、西口には一個あります。しかし東口、二百メートル離れている。そういうところを、約五十段の階段を上ることができないということで、どういう工夫をしているかというと、駅の上り口にあるエスカレーターを使ってホームに出て、上り方向にある蓮根まで移動して、蓮根のホームは船型ですから、そこでおりて、そして乗りかえて、西台の西側にある高島平まで移動していると、こういう方々がいらっしゃるんですね。
 それで公共交通機関としての都営交通のあり方、都営地下鉄のあり方としていいんだろうか、問題があるんじゃないかと。もっといえば、欠陥を指摘されても仕方がないような事態を五年、十年と放置されている事態が、私はあると思います。
 先ほどいいました都営交通の経営理念、経営方針では、都営地下鉄の事業経営の発展につながるものがいっぱい書かれています。私は、板橋区で都議会議員になる前、二十年以上前から区内のJR線、それから東武東上線、有楽町線、そして都営地下鉄三田線などの利用者の要望に応えて、さまざまなバリアフリー化実現のために五年、十年と粘り強く取り組んでまいりました。
 三田線に限っても、本蓮沼駅、エレベーターつけてほしいという要望に対して、土地がないと。土地がないという対応でずっと実現しませんでした。でも地域の人は、その土地を探したんです。区立の公園を活用して、すぐ近くにこのエレベーター設置の実現をかち取りました。
 それから、志村坂上駅、ここにも最近エレベーターを建設しました。土地がないと。だけれども地域の皆さんは、ちょうど四つ角にある三菱UFJ銀行の一角を確保して、もちろん確保したのは東京都だと思いますけれども、これも実現をしております。
 それから、東武東上線中板橋駅、これはエレベーターをつくるまで十年以上かかっています。
 何でできなかったか。担当者が構造上無理だといったことに対して、そんなことはないといって専門家の皆さんの声も聞いて、こういうふうにすれば構造上も無理なものもできるじゃないかといって、板橋区内の東上線の中で初めてエレベーターが建設をされました。
 皆さんは、技術者もいっぱいいらっしゃいます。技術的にもいろんな知恵もあると思うんです。素人である都民の皆さんが何とかしてほしいといっているときに、構造的に無理だといわれたら、もう絶望ですよ。私たちの仕事は、都民の皆さんに希望と安心を与える、夢を与える、それが仕事だと思うんですね。そういう精神が、経営理念や経営方針や今度の新しい方針の中にも書かれているわけですよ。そういう意味で、もっと知恵を出すべきだと思います。場合によってはお金も必要かと思います。
 改めて、都全体の新しい方針を踏まえて、国と一体に、新しいバリアフリー化の実現、充実のために、真剣に検討して、多くの都民、住民の皆さんの要望、声に応えて、安心と希望を与える決断をしていただくことを強く要望しておきます。
 もう一つの質問は、練馬区を終点とする都営大江戸線の光が丘駅のA5出口へのエレベーター設置の要望、陳情です。
 ここには、地下鉄用のエレベーター一台あるだけです。先ほども同僚議員から紹介ありました。都営の独自のエレベーターはありません。A5出口は、各出口の中でも最も利用者が多いにもかかわらず、踊り場の小さい、地下三階までつながる長い階段があります。通勤者が通行するルートは至るところに五センチ、十センチの段差があります。
 地下三階、先日、現場を見てまいりました。若いお母さんがA5出口につながる長い階段を、子供とベビーカーを抱えて遠回りしながら歩いているのを見かけました。高齢者の中には、片手はこの長い踊り場の小さい階段の手すりに頼って歩かざるを得ない方もいました。これって、都営交通の経営理念、経営方針で明記されている中身と違う事態が東京都内にいっぱいあるということではないでしょうか。
 私たち都営交通は、都民やお客様に信頼され、支持される公共交通機関として、安全・安心を何よりも大切にして東京の都市活動や都民生活を支えていくという姿勢が、ここには書かれているにもかかわらず、余りにも反しているんではないかと思います。
 超党派で、区議会ぐるみで、この光が丘駅へのエレベーター設置の取り組みが進められています。区長も先頭に立っております。区の担当者も繰り返し、検討の場に参加をしていると聞いています。
 この新しい方向性に基づく立場に立って、この光が丘駅へのエレベーター設置の要望についてはどう応えていくんですか、お答えください。

○谷本建設工務部長 都議会への陳情や区民からの要望など、エレベーター増設につきまして強いご要望をいただいていることは承知しております。
 光が丘駅への新たなエレベーターの設置につきましては、バリアフリールートの複数化を検討する中で、用地の確保や駅構造上の課題などを勘案しながら設置の可能性を検討してまいります。

○とくとめ委員 複数ルートを検討する中で、いろんな条件を考慮しながら、設置の可能性を検討するということでした。
 新しい方針が出されたのは一月、都市整備局の新しい方針が出たのは九月二十六日、そして、国土交通省が出した新しいガイドラインは十月のたしか一日だと思うんですけれども、国を含めたそういう大きな変化が起きているときに、最も、最も切実に求められていて、最も利用者が多い、そういう光が丘の駅をまず優先的に、バリアフリーの設置に向けて取り組みを進めていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 次に、台風の際の都営地下鉄の対応について幾つか質問します。
 台風、暴風雨のもとで、防災活動に先手先手で取り組む事前防災計画、タイムラインとも呼ばれている活動です。四年前から都営交通は、全国的にも先駆的にこの計画に参加をしてまいりました。荒川河川流域で具体化された、都内交通機関も多くが参加しております。都営交通の経営計画の中でも、タイムラインが図式で紹介をされています。
 昨年の西日本豪雨、ことしの相次ぐ巨大台風の災害の中でも注目をされ、昨年来、小池知事のリーダーシップのもとで、都政の中でもタイムラインの具体化が各自治体や地域で推進されてきました。
 このタイムライン計画に基づく都営地下鉄の駅舎の浸水対策や避難誘導などの具体的な対応、関係方面との連携は十分だったんでしょうか、教えていただきたいと思います。

○西川安全管理担当部長 交通局では、危機管理対策計画風水害編を策定しまして、水害の段階を時系列に区分した上で、とるべき対応を具体的に定めてございます。
 例えば、台風、集中豪雨等に関する事前情報の収集、駅出入り口への止水板、土のう等の準備設置、お客様の避難誘導など、各段階に応じた対応をとることとしてございます。
 また、随時、地元自治体の避難勧告等の状況を確認するとともに、他の鉄道事業者等と、運行状況等について連絡調整を行うなど、これまでも、関係機関と十分連携しながら対応してきたところでございます。
 さらに、各駅におきましては、水防法に基づく避難確保・浸水防止計画を策定しており、避難誘導に当たっての具体的手順を定めるとともに、地下で接続しているビル等の関係者と連携して訓練等を実施しております。
 このほか、荒川氾濫を想定した大規模水害につきましても、防災関係機関とともに事前行動を時系列で整理したタイムラインを策定しており、これを試行的に運用して検証しているところでございます。

○とくとめ委員 先日の第十九号台風は、荒川氾濫の一歩手前だったといわれています。板橋でも七メートル少し水面が上がってきて、あと数十センチであふれるかもしれないと。荒川の氾濫が、これが起きると、千代田区まで地下鉄を通じて水が流れ込むともいわれています。この異常気象のもとで、スーパー台風がこれからも頻発する可能性は、私たち否定できないと思うんです。ですから、単なる計画倒れとか決意倒れでは済まない、本気のタイムラインに基づく具体な構えが問われてきていると思います。情報を正確に、集中をして、分析をして、正確に行動を提起する、判断を提起するということがなければ、この前の十九号台風のように、本当に悲惨な事態が起こるというふうに思います。
 地下鉄の役割というのは、その地下鉄が走っているところだけではなくて、広範囲にわたって大きな役割を果たすことになるんではないかと思います。そういう意味では、今年度だけではなくて、次年度に向けて、このタイムラインの活動のあり方を、今度の十九号、その前の十五号、さらには最近の二十一号など検証して、都民の皆さんの安心・安全のために、都営地下鉄の皆さんがしかるべき役割を果たしていただきたいと思います。
 特に、タイムラインの有効性の発揮にとって、事前の気象情報の収集、分析、そして関係者への情報提供、具体的な行動提起は不可欠だと思います。この分析と提起が間違えば、それだけで大変な犠牲者が出るというのも、十九号台風で私たちは他人ごとではなく実感をしていると思います。
 東京東部五区地域などの広域避難の際には、都営地下鉄は重要な役割を果たすことになると考えますけれども、どのように協力をしていくことになるんでしょうか、お答えください。

○西川安全管理担当部長 交通局は、平成二十七年度以降、中央防災会議によるワーキンググループや江東五区による協議会に交通事業者として参加し、広域避難計画等の策定に協力してまいりました。
 昨年六月に、内閣府と総務局により設置されました首都圏における大規模水害広域避難検討会におきまして、鉄道等による避難についても検討されておりまして、交通局といたしましても、防災関係機関等と連携し、引き続き必要な協力を行ってまいります。

○とくとめ委員 それでは、最後に、災害時などに運行が乱れた際に、地下鉄、都営地下鉄などを利用する視覚障害者への対応について伺います。
 地震や天候の不順、車両のトラブルなどでダイヤが乱れることがあります。そのときは、ホームに電車の乗降客があふれます。振りかえ輸送を伝えるアナウンスがホームに流れます。
 私がお話をお聞きした視覚障害者の方は、そんなときが地下鉄などを利用していて一番困るといっておりました。ホーム上に乗降客があふれていれば、いつも白杖で伝っている点字ブロックの上に人がいて身動きがとれないと。また、振りかえ輸送が行われれば、いつもとは違う電車に乗りかえることもしなければならない。
 都営地下鉄では、災害時などに、障害者への駅やホームでの対応はどのように行っておられるんでしょうか。災害時には、特に障害者に配慮したアナウンスや、振りかえ輸送の際には配慮したサポートを行っていただくように求めますが、いかがでしょうか。

○相川電車部長 災害発生時には、発生状況や避難の必要性などについて、駅構内放送などによりお客様に周知し、避難が必要な場合には駅係員が適切に誘導することとしております。障害をお持ちの方や高齢のお客様などに対しては、声かけを行うとともに、必要に応じて周りのお客様に避難の補助などの協力をお願いいたします。
 また、ダイヤ乱れ等による振りかえ輸送実施時には、放送等により振りかえ輸送を行っている他の路線を周知するとともに、特にお困りのお客様には、迂回経路などについて駅係員が個別に案内をしております。

○とくとめ委員 視覚障害者が都営地下鉄を利用する際に、安全・安心を脅かす不便、危険の改善も切実に求められていることを、先日、大江戸線の終点、光が丘駅で痛感をいたしました。それは、地下鉄への改札口や階段のおり口を示す音声アナウンスがわかりにくい、聞こえにくいということを実感いたしました。こうした問題も、お客様本位で機敏で配慮ある対応が、あらゆる場所、場面で求められていることを指摘して、改善を要望しておきます。
 最後に、土渕局長に改めて強く要望して、質問を終わりたいと思います。
 土渕局長は、新任局長へのインタビューの中で、都市インフラの発展ということでは交通が担う役割は非常に大きい、まちづくりや環境負荷の低減などで交通手段を通じて下支えをすると、局の役割を語っています。さらに、安全・安心の確保は局の大命題として、改めて基本に立ち返り、できる限り事故を減らして、事故が起きた場合でもしっかり対応することを心の真ん中に置いていきたい、なれから来る油断がないようにしていきたいと語っております。
 その根本は、私、改めて経営理念、経営方針を読んでみて、ここにあるというふうに思いました。東京都の全ての多様性のある都民を対象にした新しいバリアフリー化の実現のために、そして、来年のオリンピック・パラリンピック後の大きなレガシーとして、誰もが、いつでも、どこでも、自由に移動できる、その移動権が保障されるような、そういうまちづくりの先頭に立って、従来の延長ではない取り組みを強化していただきたいということを強く求めまして、質問を終わります。

○菅原委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時三分開議

○菅原委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○藤井委員 都民ファーストの会東京都議団の藤井あきらでございます。
 都政のオープンデータ化を強力に進めてまいりました都民ファーストの会を代表して、交通局のオープンデータ化について、平成三十年度の決算の観点から質疑をさせていただきます。
 私も、一般質問でオープンデータについては取り上げてまいりましたし、オープンデータ化を主管する総務局、今では戦略政策情報推進本部にも質疑を重ねてまいりました。
 また、東京都の交通に関するオープンデータ化については、二〇二〇オリンピック・パラリンピック東京大会での円滑な交通にも資するものでありまして、我が会派の福島りえこ都議が、昨年の文教委員会事務事業質疑で、オリンピック・パラリンピック準備局に対して、二〇二〇大会に向けた交通施策と関連した要望、質疑をさせていただいておりますし、鈴木邦和都議は、ことしの第一定例会の一般質問で、交通局に対して、質疑、質問を重ねてきたところでございます。
 平成三十年度の交通局の予算には、交通局のオープンデータ化の取り組みに関しまして二・七九億円の予算というものがございました。この予算が適切に執行されたかどうか確認をさせていただきます。
 まず、交通局がオープンデータ化にどのような意義を見出して、これまでどのような取り組みを行ってきたかお伺いいたします。

○根木総務部長 交通局では、公共性の高い都営交通のデータをオープンデータとして提供することで、個人や民間事業者等の自由な発想に基づくアプリ開発等を促進し、お客様への多様な情報提供につなげることに意義があると考えております。
 これまで、首都圏の主要な鉄道、バス事業者のほか、航空事業者、情報システム関連メーカー、大学などの研究機関等で構成される公共交通オープンデータ協議会で主催するアプリコンテストを通じて、都営交通の時刻表や運賃等の基本情報のほか、バスの位置情報等を提供してまいりました。
 また、平成三十年度には、局内のデータを集約し、同協議会にデータを提供するためのサーバを構築し、新たに、地下鉄の列車位置情報の提供を開始するとともに、本年の五月からは協議会が運営する公共交通オープンデータセンターを通じて、コンテスト参加者に限らず、広く一般に都営交通のデータを提供しております。

○藤井委員 東京都では、二〇一七年十二月に策定をされました東京都ICT戦略に基づき、オープンデータの取り組みを推進しているところでございます。
 東京都ICT戦略の四つの柱の一つは、まさにオープンデータを取り扱っているところで、柱の三つ目といたしまして、ICTを活用し、官民連携で行政課題を解決する仕組みを構築するとあります。
 その中身は、地域の行政課題解決のために、行政はオープンデータ化を推し進め、民間はそのデータを用いて課題解決に有用なアプリを作成するなど、官民連携で取り組む仕組みを構築していく、民間にもオープンデータ化を促します、また、ICTを活用して都民等から寄せられた情報を行政に生かしてまいりますと記載がございます。
 交通局にも、他の事業者に先駆けてオープンデータに取り組み、民間のオープンデータ化を促すことが期待されています。民間企業では、データを提供する際に有償か無償かについて議論があり、オープンデータ化がなかなか進まない一因となっております。オープンデータは、基本的に無償で提供されるものです。
 交通局がオープンデータを提供する際、有償か無償か、その取り扱いについて伺います。

○根木総務部長 交通局が保有するデータをオープンデータで公開することで、民間事業者による新しいサービスの創出や都民及びお客様の利便性向上に役立つことが期待されますことから、データの利用目的が営利、非営利かを問わず、無償で提供しております。

○藤井委員 今までのこの二つの質疑の中で、交通局が積極的にオープンデータ化に取り組んでいること、このこと自体は評価をしているところですが、現時点ではオープンデータというには不足している部分もありまして、平成三十年度の決算の審査に当たり確認をさせていただきます。
 先ほどの東京都ICT戦略では、都の保有するデータは都民共有の財産であり、都政の情報公開の流れの中で、機械判読可能、二次利用可能な形式で公表していくことを基本としております。さらに、東京都のオープンデータを掲載しているカタログサイトの中に、東京都オープンデータ推進庁内ガイドラインというものがございまして、その中では、利用目的の営利、非営利を問わず活用を促進と掲げております。
 さらには、ことしの三月に発表されました国土交通省の標準的なバス情報フォーマットの第二版、このバス情報配信方法のガイドラインでは、CC0またはCCBY4・0が推奨されております。これは、商業利用、またさらに改変を許可する国際的な標準でありますCCBY4・0を推奨していまして、さらには、そのクリエーティブコモンズライセンスの特殊な形態としてのCC0、これは、最大限、法令上認められる最大限放棄してパブリックドメイン、公共または公有のために提供する形式のことを意味しております。
 一方、協議会を通じた交通局が提供しておりますデータは、ライセンス規約が公共交通オープンデータセンター利用規約になっておりまして、これを確認いたしますと、複製データや派生データの再頒布というものが禁止されております。このため、過去データや修正データの公開ができないという問題を抱えております。
 そのため、ライセンス規約をCCBY4・0に変更し、再頒布可能とすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○根木総務部長 公共交通オープンデータ協議会の利用規約の変更というお話だったと思いますが、利用規約の変更につきましては、加盟事業者の合意のもと協議会が判断するものであります。
 しかしながら、委員お話の提供するデータの再配布を可能とすべきというご意見につきましては、関係局と協力して協議会へ伝えてまいります。

○藤井委員 今のは利用規約自体を変更するというお話でありましたが、ライセンス自体は公共交通オープンデータセンターの形式を確認すると、ライセンスのところをCCBY4・0に変更すればいいだけだと思いますので、交通局内の話でも可能ではないかと思いますので、そこのところ、きちんと検証、検討をしていただきたいと思います。
 先ほどの国土交通省の標準的なバス情報フォーマット、この第二版には、バスロケーション等の動的情報でありますGTFSリアルタイムというものが加わっております。ことしの三月に二版になったものなんですが、このGTFSリアルタイムというものが加わっております。
 現在のバスロケデータは、オープンデータ協議会独自の形式でありまして、そのため、おくれ時間であったりとか到着の予測、バスがいつ来るかの予測のデータが含まれておりません。そのため、経路検索時におくれを考慮することができないというような状況になっております。
 グーグルマップなど世界的に使われているツールを取り込むこともできないため、オリンピックやパラリンピックのときのリアルタイムの案内に支障を来すおそれがあると懸念をしているところです。
 オープンデータを活用してもらうためには、利用しやすいデータの形式である必要がございます。広く使われているものとして静的データについてはGTFS-JP形式、これはご対応いただいているところです。動的データにつきましてはGTFSリアルタイムというものがありまして、先ほどから繰り返しになりますが、交通局が提供している動的データはGTFSリアルタイムの形式になっておりません。
 交通局は、都営バスの動的データを提供する際にGTFSリアルタイム形式にしていくことが望ましいと考えますが、見解をお伺いいたします。

○根木総務部長 都営バスの位置情報や遅延情報など、リアルタイムの運行情報につきましては、当時、標準的なフォーマットが定められていなかったことから、現在は、公共交通オープンデータ協議会が運営するデータセンターを通じて独自のフォーマットにより提供しております。
 お話のGTFSリアルタイム形式につきましては、委員お話のように、本年三月に国土交通省により標準的なバス情報のフォーマットとして追加されたことから、現在、このフォーマットによるデータの提供に向けて検討しているところでございます。

○藤井委員 平成三十年度の取り組みによりまして、交通局のオープンデータの取り組みというのが推進されたということはよく理解ができました。
 追加で下記二点、改善を要望させていただきます。
 一つ目ですが、国交省の先ほどの標準的なバス情報フォーマット第二版で必須となっております運賃情報を、追加お願いいたします。
 二つ目です。標準的なバス情報フォーマット、また第二版で推奨されておりますグーグルマップに対応いたしました翻訳情報の作成、これもよろしくお願いいたします。
 続きまして、こちらも要望でございますが、整備されて標準化されたデータというのは使われなくては意味がないものだと思っております。二〇二〇東京大会に向けて、外国人も含めて、無料でそういったバスのロケーションデータを含む乗りかえ検索が可能になりますように、例えば、グーグル、そしてヤフーであったり、そういった民間企業に、その情報を使っていただくことを促したり、課題がある場合には対策を講じる必要があると思いますので、交通局としても積極的にそういった民間企業と連携をしていってほしいと思います。
 加えて、全国のバス会社では、そういった自社の情報が、データが標準化されることによって、そのデータを活用して、民間企業、もっと小さなベンチャー企業などとも連携をして、使い勝手がよくて安価な利活用の事例というのはたくさん出てきております。
 例えば、安価なサイネージをバス停だけではなくて病院等に配置をしたり、バスの利活用をその活性化に利用している事例というのがたくさんありますので、そういうところも研究をしていただきたいと思います。
 データが標準化されたことを生かして、交通局自身も、そういった安価なサイネージの設置等によって利活用促進に取り組むべきと要望させていただきます。
 せっかく二・八億円もかけて整備したデータが利用されて価値を生むようにするように、この平成三十年度一過性の取り組みではなくて、継続的なデータの改善や標準化されたデータの利活用、推進のための体制、予算措置をすべきと要望いたしまして、都民ファーストの会を代表いたしましての私の質疑を終えさせていただきます。

○細田委員 私からも、四点にわたり決算の質疑をさせていただきます。
 まず、新宿線のホームドアの整備についてお尋ねさせていただきます。
 都議会公明党は、平成三十年度予算を編成するに当たりまして、鉄道駅の総合バリアフリー推進事業を要望して約二十億円が計上されました。これは、東京二〇二〇オリ・パラ大会を見据えて、競技会場周辺の鉄道駅のトイレの洋式化、先ほども質疑ありましたが、多目的トイレの設置、ホームドアの導入促進のためであります。
 さて、都交通局による新宿線のホームドアについて、平成三十年度、二十一駅中十五駅の整備が完了いたしました。本日の資料にも明記されているとおりでございます。一昨年の晩秋に、大島の駅に先行設置されましたときには大変にうれしく、私も視察をさせていただきましたが、その経営計画の予定よりも早く、本年八月には全駅において設置された、このように理解をしております。
 そこで、営業中の駅にホームドアを設置するにはいろいろと大変で工夫があったと思いますが、この点についてはいかがだったのか、まずお聞きしたいと思います。

○野崎技術調整担当部長 新宿線ホームドアの整備に当たりましては、お客様の安全に留意しながら、列車運行の安定性を確保し、かつ、できるだけ早期に全駅に設置することが重要と考えておりました。
 このため、平成二十九年十一月中旬に、車両基地への入出庫線がある大島駅におきまして、一番線から四番線まであるホームのうち比較的使用頻度の低い二番線と三番線にホームドアを先行的に設置し、試験、調整などを実施いたしました。
 その後、ホームドアの設置当初に予想される初期故障や各種機器の調整などの対応時に列車の運行に影響が最も少ない終端駅である本八幡駅から設置していくこととし、平成三十年四月から運用を開始いたしました。
 また、夜間の限られた時間の中、材料搬入や各種試験などを効率的に行えるよう、隣接する駅へ順次設置、稼働させることで設置を円滑に進め、経営計画の予定よりも早く、本年八月には全駅での整備を完了させたものでございます。

○細田委員 利用者の方々の安全に留意しながら、列車の運行の安定性も確保して、そして、稼働に向けて円滑に早期に全駅に設置されましたこと、大変にご苦労さまでございました。
 都営新宿線のホームドアの整備に当たりましては、駅係員の方々などに対してはどのような研修を行われたのでしょうか。この点について説明を求めます。

○相川電車部長 駅係員及び乗務員に対する研修につきましては、ただいまお答えした大島駅に先行して設置したホームドアを用いて実施いたしました。
 具体的には、非常時の出口や支障物を感知するセンサーなど、ホームドアの構造や機能を理解させるとともに、駅係員に対しては係員の操作盤を使った異常時の対応研修を、乗務員に対しては新たに必要となる出発表示器の確認作業等の研修をそれぞれ実施いたしました。

○細田委員 当初の計画は二〇一九年の秋ということでありましたけれども、今、ハード面、また、ソフト面等さまざまな工夫をしてくれて計画よりも早く整備を完了させていただき、大変によかったと思っています。ホームドアが整備されて、また、駅員、乗務員の方々がしっかりと研修されて稼働を開始したことで、当該新宿線におけます視覚障害者の方々のホーム上での安全性の確保などがより向上したと思います。取り組みを高く評価いたします。
 都営地下鉄では浅草線のホームドアの整備も進めておりますが、引き続き全駅整備を目指して頑張っていただきたい、このことを要望いたします。
 さて、次に、地下鉄駅の改修について伺います。
 都営地下鉄の駅は開業後五十年を経過するものがありまして、老朽化が進んでおります。
 こうした中で、駅利用者の方々が安心して駅を使えるように、必要な修繕を実施して維持管理していくことはますます重要となってきております。しかしながら、駅によっては階段にひび割れや浮き状況、これが発生しているところもあります。
 そこで、都営地下鉄駅の階段の点検、修繕等は、どのように進めてきているのでしょうか、お尋ねいたします。

○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、各駅の階段を含む内外装、建具などのふぐあいの有無を職員によるパトロールや委託調査により定期的に点検し、対応が必要と判断したもののうち軽微なものにつきましては、速やかに修繕を実施しております。
 一方、修繕の規模や内容が大がかりなものとなる場合は、工事に時間を要するため、工事期間中のお客様の安全や動線の確保などを考慮した修繕の実施方法等の検討が必要になることから、応急対応を行った上で詳細な設計を行いまして、改修工事を実施しております。

○細田委員 都営新宿線開業時の始発の駅でもあります東大島駅は、江戸川区と江東区との区境の駅でありまして、旧中川の川の上にあります河川橋上駅で、関東の駅百選にも選ばれている由緒ある駅であります。皆様よくご存じのとおりであります。開業から四十年ほど経た昨年に改修工事がされました。新たなデザインの駅舎に生まれ変わりまして、旧中川と調和した、とてもよい駅になったと思います。
 大規模な改修工事には多くの労力がかかりますが、改修に当たって検討した期間などのスケジュール、また、総工費についてはいかがだったでしょうか、お尋ねします。

○坂口技術管理担当部長 新宿線東大島駅につきましては、駅上屋の外壁や屋根の老朽化が著しくなってきたため、改修工事に合わせ、旧中川からの眺望や水辺の景観と調和したデザインの駅舎にリニューアルすることとし、平成二十五年度から二十六年度に設計を行い、平成二十七年十一月から工事に着手しました。平成三十年五月に工事を完了しております。
 改修に当たっての総工事費は、エスカレーター更新工事を含めまして約二十三億円となっております。

○細田委員 多額の改修工事費用、総工費使っていただいて改修していただいた、説明でわかりました。
 東大島駅の駅舎の改修は実施されましたけれども、大島口の改札の外にある階段は改修されていません。現地を見ると、一部階段が傾斜していたり、また、老朽化のために石組みがずれたような状態のでこぼこもありますし、石段の面がすり減って傾斜しているところもありますし、雨の日などには滑りやすくなっています。実際に階段で滑って転倒した区民の方から、何とかしていただけないだろうかという階段の整備の要望も私のところに声が届いております。
 私も、この南北双方の階段を確認していますが、確かに老朽化しており、傷んでいます。
 そこで伺いたいんですけれども、なぜ駅の改修時に一緒に直せなかったのでしょうか。可及的速やかに修繕の実施が必要と考えますが、東京都の見解を求めます。

○坂口技術管理担当部長 東大島駅の駅舎の改修に着手した時点におきましては、大島口の階段の一部にひび割れなどが見られましたが、定期的な点検と適宜修繕を実施することによりまして、適切に維持管理を行ってまいりました。
 しかしながら、点検の結果等により、階段の劣化が全体に及んできたことから、部分的な修繕での対応は困難であると考えておりまして、今後、応急対応を行った上で、来年度には、階段全体の改修工事の実施に向けまして設計を行うこととしております。

○細田委員 わかりました。ご答弁どおり、どうぞ早期に応急対応をお願いいたします。そして、来年度の設計と、それに続きます抜本的な改修工事の着実な実施を強く求めておきます。
 私もよく都営地下鉄を利用させていただいておりますが、東大島駅のほかにも、隣の駅、大島駅や曙橋駅など、階段の修繕が必要な駅があるのではないかと思います。
 今後の対応について、いかに考えていらっしゃいますでしょうか、お尋ねします。

○坂口技術管理担当部長 先ほどお答えいたしましたとおり、交通局では、定期的に各駅の点検を行っておりまして、現在、ご指摘にありました新宿線大島駅や曙橋駅などの階段におきまして、修繕が必要な箇所があることを確認しております。
 こうした箇所につきましては、順次修繕を実施してまいります。

○細田委員 先ほども議論がありました。車椅子を使用する大人の障害者を初め、より多くの方が安心して社会に参加するため、誰でもトイレの位置やオストメイト用設備や、ニーズのある大型ベッドなど、利用者が必要とする設備に関する情報を積極的に発信していくことが大切であります。
 なかんずく、この整備を促進することは、バリアフリー社会を築くために急務な状況でございます。
 これまで以上に、都営地下鉄各駅において、大型ベッドの整備をさらに進めていくべきと考えますけれども、都の所見を求めます。

○坂口技術管理担当部長 東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルにおきまして、公共交通施設の誰でもトイレには、障害者のおむつがえ用等に大型ベッドを設置することが望ましいとされております。
 一方、地下鉄駅は、一般的に駅構内が狭くトイレの面積が限られておりまして、大型ベッドを新たに設置するには、駅レイアウトの大幅な変更が必要となります。
 このため、都営地下鉄では、駅の大規模改修等の機会を捉え、誰でもトイレ内に十分なスペースを確保できる場合に大型ベッドを設置しており、平成三十年度は、三田線神保町駅に設置いたしました。
 今後も、活用可能なスペース等を勘案しながら、大型ベッドの設置に取り組んでまいります。

○細田委員 大型ベッドの設置があれば大変に助かる方々がいらっしゃいます。工夫をして、さらなる積極的な取り組みを要望しておきます。
 続きまして、臨海部のバス路線について伺います。
 近年、臨海地域では大型マンション開発が急速に進みつつありまして、人口が急増しております。さらに、東京二〇二〇大会の後には、選手村の跡地に新たなまちがつくられるなど、さらなる需要の増加が見込まれております。
 こうした中で、都営バスでは、増加する臨海地域の交通需要にどのように対応されてきたのでしょうか。この点についてお尋ねします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、乗客潮流の変化に合わせ、限りある経営資源を有効に活用し、路線やダイヤの見直しを行っております。
 臨海地域では、お話のように、大規模マンションの開発等によりまして利用者が大幅にふえていることから、平成三十年四月に、晴海や豊海と東京駅を結ぶ路線を増強するとともに、錦糸町、亀戸と新木場を結ぶ路線を国際展示場駅まで延伸いたしました。さらに、本年四月には、有明と東京駅を結ぶ路線を増強するなど、路線の拡充を図ってまいりました。
 今後、さらなる臨海地域の開発の進展によりまして利用者の増加が見込まれることから、その需要に対応するため有明に新たな営業所を設置することとし、今年度末の開設に向け工事を進めているところでございます。

○細田委員 現在、臨海地域におきましては、BRTの運行が計画されております。BRTは、速達性を重視してか、停留所の間隔が長いという状況があります。主な数箇所の停留所しかとまらない、このように聞いております。
 一方、臨海地域にお住まいの方々は、身近な足として都営バスを使われている人が非常に多く、特に、有明や東雲から豊洲を通りまして門前仲町までを結ぶ海01系統は、多くの地域住民が利用する大変重要な路線となっています。
 こうした中で、地域の方々からも、BRTが運行する分、日々利用している都営バスによるラストマイル、住民の最寄りの停留所までの身近な足としての交通機関が、路線が減ってしまうことはないだろうかという、そのような懸念もございます。
 そこで伺いたいんですが、都営バスでは、今後も発展する臨海地域において住民の身近な足としての機能を果たしていくために、BRTとの役割分担や連携をどのように考えているのでしょうか、東京都交通局の見解を求めます。

○坂田バス事業経営改善担当部長 急増する臨海地域の輸送需要に対応いたしまして、地域の交通利便性を確保していくためには、鉄道を初めとする他の公共交通機関と同様に、BRTとの連携も不可欠であると考えております。
 都営バスにつきましては、委員お話の地域の身近な足としての機能を果たしておりますが、BRTは東京都及び地元区で策定いたしました臨海地域の地域公共交通網形成計画、こちらにおきまして、速達性等を生かして臨海地域と都心部とを結ぶ幹線的公共交通と位置づけられております。
 こうした考えのもと、地域の公共交通網の充実に向けまして、BRTとの間で、路線の設定などにつきまして調整を進めております。
 今後とも、地域の需要にきめ細かく対応していくため、他の交通機関とも緊密に連携を図り、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう取り組んでまいります。

○細田委員 よろしくお願いします。
 最後に、高濃度PCB廃棄物の処理について伺います。
 交通局におけます高濃度PCB廃棄物の処理の取り組みについてなんですが、これは直接には、交通事業や高速電車事業、電気事業等の交通局の施策展開にかかわることはないんですけれども、ポリ塩化ビフェニル、いわゆるPCB廃棄物処理に責任を持つ交通局という大きな一事業者としての重要な取り組みであります。
 ことしの二月には、ある上場企業で、工場内に保管されていた有害物質のPCB廃棄物の処理費用として環境対策引当繰入額として百三十七億円という金額を計上して、三月期決算に向けて特別損失を計上するという、このような発表もありました。
 私が申し上げたいのは、PCB廃棄物処理は経営計画にも大きくかかわってくるということを示していることだったんだなと、このように理解しております。
 PCBは、絶縁用の油として、主にトランスやコンデンサー、照明用安定器などの電気機器等に使用されてきましたが、今から五十年前の昭和四十三年に、PCBが混入した食用油を摂取した妊婦の方が被害に遭われた食中毒事件、カネミ油症事件が発生し、社会に大きな衝撃を与えました。
 そして、昭和四十九年に製造、使用が法律により禁止されました。しかしながら、その処理体制の整備がおくれたためにPCB廃棄物等の保管は継続されることになりました。
 そして、その後、この処理体制の整備が進み、平成二十六年には、今から五年前ですが、国の改定PCB廃棄物処理基本計画に基づいて、都内の照明用安定器に含まれる高濃度PCB廃棄物は、国の環境政策を担い、法に基づいてつくられた中間貯蔵・環境安全事業株式会社、いわゆるJESCO、ここの北海道の室蘭市にある事業所で処理をすることになりました。そして、平成二十八年に処理期限が決められ、令和五年、二〇二三年の三月までの処理期限になったわけであります。
 こうしたことから、我が党では、昨年の第二回定例会において、また、その後もたびたび、都内に数多く保管されているPCB廃棄物の処理促進の支援などについて訴えて、また、提案を重ねてきました。
 まずは、都議会公明党の提案の前までに、交通局がどのような取り組みをされてきたのか、このことを確認したいと思います。ご答弁をお願いします。

○広瀬資産運用部長 委員お話のとおり、東京都内の照明用安定器に含まれます高濃度PCB廃棄物は、JESCO北海道PCB処理事業所で処理することが決まったことを受けまして、交通局が保管しておりました照明用安定器を調査、分別した上で処理することといたしました。
 具体的には、平成二十八年度に安定器の型式を照合しながら分別した結果、安定器約二万個、総重量にして七十五トンを処理する必要があることが判明いたしました。
 平成二十九年度には、JESCOの定めた処理枠に基づきまして、五十トンの処理を委託したところでございます。

○細田委員 交通局におきましても、長年保管を継続した後に計画的に処分を進めていると聞き、昨年、私は、交通局に残る二十五トンの高濃度PCB廃棄物の保管場所を視察いたしました。これらは、ドラム缶に密閉されて、きちんと適切に管理していることを確認しました。
 この高濃度PCB廃棄物は確実に処理をしなければなりませんが、JESCOの処理能力には限界があります。高濃度PCB廃棄物含有のものと、そうでない非含有のものを可能な限り正確に分別した上で搬入してほしいとの強い要望があることを私は理解しておりますが、交通局は、この残る二十五トンの処理に当たり、大変に多い量ですけれども、どのような対応を行ったんでしょうか。取り組みについて説明を求めます。

○広瀬資産運用部長 高濃度PCB廃棄物処理につきましては、型式照合により分別した処理予定物を、さらに仕分けできる手法があることが確認できたため、JESCOとその手法の有効性について協議を行いまして、また、JESCOからも再仕分けの実施を要望されたことから、新たな手法による再仕分けを行うことといたしました。
 具体的な手法は、エックス線による非破壊検査装置を使用しまして、照明用安定器内部の状態を確認することで、高濃度PCBが含まれているコンデンサー部分のみを安全に取り出し、再仕分けするものでございます。

○細田委員 エックス線の調査という、今、部長のご答弁ですと、画期的な手法を確認したとのことですが、その後、交通局は、どのような対応を行ったのでしょうか。具体的な説明を求めます。

○広瀬資産運用部長 当初予定しておりました残り二十五トンの処理をJESCOの了解を得た上で延期することといたしまして、平成三十一年一月から二月にかけて、改めて、調査、分別作業を実施いたしました。これにより、高濃度PCB廃棄物の分量を、当初に比べ約三五%、八トン以上削減することができました。
 なお、この作業によりまして、高濃度PCB廃棄物と処理単価の低い低濃度PCB廃棄物及び産業廃棄物の三種類に分別されまして、当初、約六億二千万円見込んでいた処理費用は、三種類の廃棄物合計で四億円程度となる見込みでございます。

○細田委員 処理費用は、JESCOの北海道で処理する高濃度PCB廃棄物の処理単価が一キログラム当たり二万八千円である一方、低濃度PCB廃棄物や、また、産業廃棄物になれば、桁が一桁も二桁も安価になると交通局からも聞きました。これは、環境配慮のみならず、費用削減効果も大きい、非常に有効な取り組みであったと高く評価をいたします。
 ただ、平成三十年度中の処理はできなくなったわけですが、高濃度PCB廃棄物の処理期限も迫っています。再仕分けにより減少した高濃度PCB廃棄物、さらには低濃度PCB廃棄物に分別されたものは、期限までに確実に処理できるのでしょうか、念のために確認をいたします。

○広瀬資産運用部長 今回の再仕分けを踏まえまして、JESCOからは、高濃度PCB廃棄物につきまして交通局に十六トンの処理枠が示されておりまして、低濃度PCB廃棄物等を含めまして今年度中に全て処理できる見込みでございます。

○細田委員 わかりました、今年度中に処理ができると。これまでの質疑で明らかになりましたが、当初の計画どおり処理をされていたならば、表面的には何も変わらなかったとしても、また、それは表にも出ませんが、払わなくてもいい費用約二億円、これを多く支出することになっていたわけであります。
 コストを削減して、環境も守るという、この両方のことを交通局はやっていただいた。公共の福祉サービスという立場もあり、例えば事業の中でも、どうしても赤字になってしまっている、今回のそういうような事業もある中で、予算額の三五%の貴重な二億円を事務の中でやってくれた。
 交通局は、都議会公明党の要望に応えて、年度中ではありますが、事務事業の執行を不断に見直してくれて、新たな科学技術の視点も精査して、強い公職の精神を体現して、高濃度PCB廃棄物の処理を進めてきたということになります。このことを私は高く評価をいたします。見事な事業執行であると思います。
 現在、交通局においては、さらに詳細な掘り起こし調査を行っていると聞いたので、調査結果がまとまり次第、高濃度PCB廃棄物が新たに確認された場合には適切に処理を進めていただくよう改めて要望いたしまして、私の質疑を終わります。

○尾崎委員 私の方からは、都営バスについて幾つか質問していきたいと思います。
 都営バスの運転手の高齢化や運転手不足は深刻な問題です。京王バスは、運転手不足で減便したという話を聞きました。また、運転手は、六十代がふえているとも聞いております。
 資料要求で、事業別の正規職員の新規採用数と非常勤職員数の推移をお願いいたしました。
 この資料を見ると、事業別の正規職員の新規採用数は、二〇一八年度、自動車運送事業で百十五人、非常勤職員数は七十人で、合わせると百八十五人となります。そのうち、都営バスの運転手の人数について、二〇一八年度新規採用数はどうなっているのか伺います。

○渡邉職員部長 平成三十年度のバス乗務員の新規採用数でございますが、百十一名を採用しております。

○尾崎委員 二〇一八年度の自動車運送業での正規職員と非正規職員数の合計が、先ほどもいいましたが百八十五人です。今ご答弁ありましたように、都営バスの運転手の新規採用は百十一人ということですから、約六割はバスの運転手ということになります。二〇一六年のバス運転手の新規採用は八十二人、二〇一七年度は九十人でしたので、少しずつ採用がふえているということがわかります。
 また、新しい試みとして、大型二種免許の未取得者に対して免許取得を支援する養成型を実施していますが、二〇一八年度の選考の実績について伺います。

○渡邉職員部長 平成三十年度養成型選考の実績でございますが、申込者数七十五名に対し、最終合格者数は十九名となっております。

○尾崎委員 東京都は、都バスの運転手不足の対策として、大型二種免許の未取得者に対して免許取得を支援する養成型の実施に踏み出したことは大変重要だと思います。
 バスの運転手は、一般的には不規則できつい仕事、労働の割には賃金が低い、過重労働になっているのではといわれ、若い人などからは、仕事としての選択肢は低くなっているともいわれています。
 運転手をしている人は、やりがいを持ってやっており、女性ドライバーもふえていますが、運転手を思い切ってふやして、労働時間を大幅に減らすことを強く求めるものです。
 最近、車のブレーキとアクセルを踏み間違え大事故になっているニュースが多く報道されます。家族からも、車の免許を返納するよう迫られている高齢者がふえています。
 警視庁の統計を見ると、二〇一五年、平成二十七年度中の運転免許の返納は三万七千三百六十六件です。年齢別に見ると、八十五歳以上が千五百十七人、四・一%です。八十歳以上が五千九百六十六人、一六・〇%、七十五歳以上が一万二千五十四人、三二・三%、七十歳以上が三万五百三十三人、八一・七%、六十五歳以上が三万七千七百七人、九五・六%となるわけです。
 二〇一八年度、平成三十年度中の運転免許の返納は四万一千八百三十一人となっており、二〇一五年と比較すると四千四百六十五人ふえています。年齢別に見ると、八十五歳以上が三千百二十九人、七・五%、八十歳以上が一万一千四百四十六人、二七・四%と比率が上がっています。
 単純にはいえないと思いますが、この間、八十歳以上の方の免許返納がふえているということだと思います。今後、ますます運転免許の返納がふえると思われます。
 一方で、車がないと自由に移動できない、駅まで行くのも大変、車がないと買い物にも行けないとの声も多く、とりわけ多摩地域の公共交通の役割はますます求められると思います。
 私の活動地域は、東村山市、東大和市、武蔵村山市の三市です。鉄道は西武鉄道、多摩都市モノレールがあります。しかし、武蔵村山市は鉄道が走っていません。バスも民間バスが走っていますが、乗客が減っている路線は、民間バスの本数が減らされ、市民からは、困っている、何とかしてほしいと声が上がっています。
 コミュニティバスも、東村山市と東大和市では、二〇一五年から、料金は、これまでワンコイン、百円だったのが百八十円に値上げされてしまって、本数も少なく使いにくい、交通不便地域に路線をふやしてほしいとの切実な声が上がっています。
 都バスは、東大和市、武蔵村山市を通る梅70系統しかありません。梅70系統は、花小金井駅北口から青梅車庫までの約三十キロの長距離です。時間で見ると約二時間かかります。四市一町にまたがる路線です。
 そこで伺いますが、都営バス梅70系統の乗客数の推移はどうなっていますか。

○坂田バス事業経営改善担当部長 梅70系統の乗車人員につきましては、平成二十八年度は一日当たり二千四百四十三人、二十九年度は二千六百二十七人、三十年度は二千七百四十四人となっております。

○尾崎委員 都営バス梅70系統の二〇一八年度の収支状況について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 梅70系統の平成三十年度の収支は、収入が約二億二千九百万円、支出が約四億二千二百万円でございまして、損益額が約一億九千三百万円の赤字となっております。

○尾崎委員 梅70系統の一日当たりの乗客数は、二〇一六年と比べると三百一人もふえていることがわかりました。地域で必要とされていることを裏づける数字だと思います。しかも、二〇一六年度の収入は約一億九千六百万円、支出は約四億二千万円、損益は約二億六千万円でしたから、収入は約三千万円増加しており、赤字は約六千七百万円減らしています。経営的にも、少しではありますが改善されていると思います。
 しかし、二〇一九年四月から、梅70系統の本数が減ってしまい困っている、今まで使っていたバスの時間が使えないと病院に行くのも買い物に行くにも大変、こういう声が寄せられています。
 私の地元の方からは、梅70系統は昭和病院に行くのに使っている、武蔵野線に乗るためにバスがあって助かる、武蔵村山市内で働いているが、職場に行くには西武鉄道の東大和市駅からバスで行くなど、多くの方々からさまざまな目的で利用して助かっているという路線です。
 都営バス梅70系統は、平成三十一年四月一日からダイヤ改定を行っていますが、ダイヤ改定の理由について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、運行実績等を踏まえながら、適宜ダイヤを見直ししておりまして、例えば遅延が多く発生している路線につきましては、所要時間を見直し定時性の向上を図っております。また、近年、高齢のお客様がふえていることから、高齢者がより安全に乗降できるよう所要時間をこれまでよりも長く設定しておりまして、梅70系統につきましても、このような考えによるダイヤを改正いたしました。

○尾崎委員 高齢者のお客様の安全は大変重要です。走行距離が長い梅70系統は、バス停の到着時刻を守ることはかなり大変だと思います。しかし、運行の本数が減るのは、利用している人にとって深刻な問題です。
 梅70系統以外で、ダイヤ改正に伴い、運行本数が減ってしまう路線は幾つあるのか伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 平成三十一年四月一日のダイヤ改正に伴いまして、運行回数が減った路線は、梅70系統以外では二十八路線ございます。

○尾崎委員 梅70系統のダイヤ改定について、関係する自治体にどのような説明をいつ行ったのか伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 今回の梅70系統のダイヤ改正につきましては、平成二十九年八月ごろに、先ほど申し上げました理由によりまして、ダイヤを見直したい旨を、沿線の四市一町、こちらに説明いたしました。
 その後、協議を進め、平成三十年十月に最終的な案を沿線の四市一町に提示し了解を得たところでございます。

○尾崎委員 それでは、関係自治体の負担金はどうなっていますか。ダイヤ改定後は負担金はどうなるのか伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 梅70系統につきましては、沿線の四市一町、こちらとの協議によりまして、赤字額の三分の二を沿線自治体が負担することとなっておりまして、平成三十年度の負担金は、合計で約一億二千九百万円となっております。
 本年四月のダイヤ改正後の負担金につきましては、令和元年度の決算に基づき、同様にお願いしてまいります。

○尾崎委員 四市一町との協議で、赤字額の三分の二を沿線自治体が引き続き負担しているということでした。
 赤字で路線の存続が厳しくなった一九八〇年、昭和五十五年ですけれども、関係自治体と協議をして、赤字の路線を廃止しないために、関係自治体が赤字額の一部を負担することを始めています。今から三十七年前になります。梅70系統以外の赤字路線であっても、地元自治体に負担を求めているところはありません。決算に基づき、収入、支出、損益額などから推計された営業係数の一覧、バス系統別収支状況を見ると、二年前は、梅70系統は百円を稼ぐためにかかる費用は二百十九円でしたが、二〇一八年度中の営業係数は百八十四円です。二年前と比べると、百円を稼ぐための費用は減っています。梅70系統の営業係数よりも高いところ、費用がかかっている路線は三路線あります。
 しかし、この三路線は地元自治体の負担金はありません。赤字路線であっても、地元自治体に分担金の負担を求めるのはやめるべきだと思います。ぜひ検討をお願いいたします。
 梅70系統は距離が長くて、花小金井駅の始発から青梅車庫まで約三十キロ、約二時間かかります。梅70系統は、一日何人の運転手で運行しているのか伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 梅70系統は、平日十八人、土曜十六人、休日十二人の乗務員で運行しております。

○尾崎委員 梅70系統は、先ほどもいいましたけれども、走行距離は約三十キロ、時間は約二時間かかります。運転手の方がトイレに行くだけでも大変な状況だと想像することができます。
 途中のバス停で、駅のロータリーもあります。車庫もありますが、運転手の負担は大きいと思います。現在でもさまざまな工夫を行っていると思いますが、運転手をふやして、安心して働ける環境をつくる努力を一層強めていただきたいと思います。
 都民の移動する権利、移動権をどう守るかが問われています。ところが、多摩地域のこれまでの交通施策は、いかに都心に移動できるか、特に鉄道を中心とした大量輸送が基本でした。そのため、日常生活を支える地域交通の整備は大きく立ちおくれてしまっています。
 二〇一七年九月に発表された多摩振興プランの多摩を取り巻く状況では、二〇一五年三月及び二〇一六年の三月のダイヤ改正で、JR青梅線及び五日市線の運行本数が減便もされたと明記をされています。多摩地域の公共交通には幾つかの課題が残されています。それに加えて、都営バスまで減便されれば、市民の暮らしに影響が出てきます。
 地域住民にとって、地域の足の確保は公共交通の役割であり、最重要課題です。赤字路線であっても維持すべきですが、都の認識を伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、需要の変化に合わせ、乗務員や車両など限りある経営資源を有効に活用することで、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう事業を運営しております。
 こうした考えに基づきまして、赤字路線であっても、代替交通手段が十分に整備されておらず、地域の足として必要な路線は黒字系統の収入で支えるなど、総合的な事業運営を行うことで維持しております。

○尾崎委員 赤字路線であっても、代替交通手段が十分に整備されておらず、地域の足として必要な路線は黒字系統の収入等で維持と、ただいま大変重要なご答弁をされたと思います。まさに梅70系統に当てはまるものだとも思います。
 多摩振興プランの施策の方向性では、公共交通ネットワークの充実と快適な交通環境整備の促進を掲げています。そして、多摩地域の活力の維持向上を図るためには、公共交通ネットワークを充実させ、地域内のみならず、広範に人や物の流れを創出していくことが重要である、多摩地域においては、西多摩エリアや南多摩エリアを中心として、駅から比較的離れたところに位置する住宅が多い上に、今後、少子高齢化に伴うバス、鉄道の減便や廃止も予想されると書かれています。
 しかし、この課題を解決するための公共交通の拡充などの具体化は、まだまだ不十分だといわなければなりません。多摩地域での都営バスの役割は重要です。多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸とあわせ、都営バスの路線の拡充の検討を要望して、質問を終わります。

○菅原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○菅原委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時八分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る