平成三十年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第二号

令和元年十月二十三日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長菅原 直志君
副委員長小林 健二君
副委員長三宅 正彦君
副委員長村松 一希君
成清梨沙子君
藤井あきら君
田村 利光君
細田いさむ君
西郷あゆ美君
とくとめ道信君
尾崎あや子君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長黒沼  靖君
管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務福崎 宏志君
事業部長長嶺 浩子君
企画担当部長猪倉 雅生君
渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務石井 浩二君
豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務西坂 啓之君
豊洲市場連絡調整担当部長堀   真君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松田 健次君
財政調整担当部長猪口 太一君
移転支援担当部長赤木 宏行君
施設担当部長渡辺 正信君
環境改善担当部長佐々木宏章君

本日の会議に付した事件
平成三十年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成三十年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○菅原委員長 ただいまから平成三十年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成三十年度決算の審査から逸脱しないよう行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○福崎管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務 去る十月十六日の当分科会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます平成三十年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 資料は全部で三項目ございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、十一市場の耐震改修等工事費及び修繕工事費の推移(過去十年間)でございます。
 市場ごとに耐震改修等工事費及び修繕工事費の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。2、豊洲市場整備に係る事業費及び執行済額の推移でございます。
 (1)、豊洲市場整備に係る事業費及び執行済額につきまして、土壌汚染対策費、建設費、用地取得費及びその他関連工事費等の項目ごとに、計画額と年度ごとの執行済額をお示ししてございます。
 また、(2)、追加対策工事に係る事業費及び執行済額につきまして、予算現額、執行済額をお示ししてございます。
 三ページをごらんください。3、平成二十四年度以降に発行した企業債と元金償還金の推移でございます。
 表頭にございますとおり、平成二十四年度以降に発行しました企業債を新規債と借換債ごとに、また、元金償還金につきましても豊洲市場分とそれ以外の市場分に分け、令和十年度までの状況を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○菅原委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井委員 都民ファーストの会東京都議団を代表して、平成三十年度東京都中央卸売市場会計決算に関する質疑を行います。
 十月十一日に豊洲市場移転から一年が過ぎました。一年が過ぎ、日々の運営は軌道に乗ってきたところでございますが、豊洲市場の取扱量は都の想定を下回る状況が続いております。これは、他の十カ所の中央卸売市場でも同様の厳しい状況だと思います。
 また、二〇二〇年六月には、卸売市場法の改正も控えておりまして、中央卸売市場をめぐる情勢は大きな変化の時期を迎えております。
 平成三十年度の東京都中央卸売市場会計は、築地市場から豊洲市場への移転、築地市場の有償所管がえなど、中央卸売市場にとって大変重要な、大変な一年でございました。
 東京都は、築地は守る、豊洲は生かすの基本方針のもと、一貫して、築地の土地としての希少性、食の伝統文化に代表される築地ブランド等を守りつつ、豊洲新市場が持つ最先端の市場機能を生かしながら、築地と豊洲の双方の価値を、最大化を目指して検討を重ねてきました。
 我が会派は、これまで一貫して、経常的に生じる赤字こそが本来独立採算でなくてはならない中央卸売市場会計の抱える根本的な課題であると捉えて、中央卸売市場の継続性、採算性といった観点で、質疑や改善のための提案を行ってまいりました。
 一般的に、赤字は売上高の減少とコストの増加から生じます。そういったところを確認させていただきながら、質疑を行います。
 最初に、中央卸売市場の置かれている状況について確認をしてまいります。
 中央卸売市場会計の平成三十年度決算全体の特徴と内容についてお伺いいたします。

○福崎管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務 平成三十年度の中央卸売市場の主要事業としましては、築地市場の閉場、豊洲市場への移転がございましたほか、その他の市場運営に当たりましては、大田市場におきまして、加工パッケージなどの多様なニーズに応えられる施設整備を行うなど、こうした事業に要する経費を反映した決算となっていることが特徴でございます。
 具体的には、十月の豊洲市場への移転に当たり、築地市場閉場に伴う廃棄物処理等の経費や豊洲市場への引っ越し関連経費等の一時的な経費としまして約二十四億円、大田市場の加工、荷さばき棟の建設工事の経費としまして約五十四億円、年度末の築地市場の有償所管がえに伴う収入としまして約五千六百二十三億円などが計上されているところでございます。

○藤井委員 続きまして、平成三十年度における中央卸売市場における取扱量や金額などの経営状況を確認させていただきます。
 豊洲市場移転前後の直近の市場の状況を理解するため、移転延期前の平成二十七年から経年の変化を確認させていただきます。
 平成二十七年度から平成三十年度の中央卸売市場全体の取扱金額の推移についてお伺いします。
 あわせて、主要な品目であります水産、青果の平成二十七年から平成三十年の取扱量についてもお伺いいたします。

○長嶺事業部長 まず、平成二十七年度から三十年度の全体取扱金額の推移でございますが、百億円単位で、平成二十七年度は一兆二千七百億円、二十八年度は一兆二千八百億円、二十九年度は一兆二千六百億円、直近の平成三十年度は一兆二千二百億円となっております。
 次に、平成二十七年から三十年の取扱量の推移でございますが、水産物部につきましては、平成二十七年は四十六万トン、二十八年は四十三万トン、二十九年は四十一万トン、直近の平成三十年は三十九万トンとなっております。
 青果部につきましては、平成二十七年は二百四万トン、二十八年は百九十九万トン、二十九年は二百三万トン、直近の平成三十年は百九十四万トンとなっております。

○藤井委員 この期間においては、取引金額に、少し減ってはいるものの大きな変化はないものの、主要品目の取扱量は減少傾向にあるとわかりました。
 冒頭に申し上げましたとおり、豊洲市場の移転後に設定した目標に大幅に届いていないという現状ですので、こちらに関しましては、引き続きの改善を求めてまいります。
 生鮮食料品等の流通において、都は、この減少の原因と中央卸売市場の役割をどのように認識しているのかお伺いいたします。

○長嶺事業部長 卸売市場の取扱量は長期的に減少傾向にございますが、その背景には、少子高齢化の進行、外食や中食といった食の外部化の進展、流通の多元化、国内生産力の低下など、市場を取り巻く環境が大きく変化していることがあると認識をしております。
 また、都内中央卸売市場は、生鮮食料品等を都民に円滑かつ安定的に供給する基幹的なインフラであり、食品等流通において、集荷、分荷、価格形成、代金決済、公正な取引などの重要な役割を担っております。
 特に、東京の卸売市場は大消費地に立地し、大量で多種多様な消費者ニーズに応えるとともに、量販店や小売店、飲食店など、多様な販売チャネルに対応し、豊かな都民生活を支える役割を果たしていると認識をしております。

○藤井委員 産地との直接の取引だけでは、地元の八百屋さんであったり、魚屋さん、そして、スーパーなどの商品はそろわないものだというふうに認識をしております。中央卸売市場があるからこそ、多様な生鮮食品が店頭に並ぶということに、その公共性、役割があるということが理解できました。
 市場の取り扱いの減少の原因を的確に捉えていただきまして、その市場の役割を果たしていただきたいということを要望いたします。
 次に、傾向をわかりやすく把握するために、今度は、十年間の経年変化をお伺いさせていただきます。
 水産、青果、食肉、花きのそれぞれの品目の取扱量及び取扱金額について、わかりやすくするために平成二十年と三十年の比較をお伺いいたします。

○長嶺事業部長 平成二十年及び平成三十年の各部類の取扱量と取扱金額についてですが、水産物部については、平成二十年は六十二万トン、約五千二百億円、平成三十年は三十九万トン、約四千四百億円で、取扱量、金額とも減少をしております。
 青果部につきましては、平成二十年は二百十七万トン、約五千二百億円、平成三十年は百九十四万トン、約五千八百億円で、取扱量は若干減少しておりますが、金額は増加をしております。
 食肉部につきましては、平成二十年は八万トン、約一千億円、平成三十年は八万トン、約一千三百億円で、取扱量は横ばい、金額は増加をしております。
 花き部につきましては、切り花、鉢物などによって数量の表記が統一的ではございませんが、全体として減少をしてございます。また、金額は、平成二十年は約九百二十億円、平成三十年は約八百四十億円で、減少をしております。

○藤井委員 詳細に見ていきますと、各品目ごとに、その市場の傾向であったりとか、取り組むべき課題が違うことが見えてくるかと思います。
 今も、食肉に関しては、取扱量が横ばいで金額も増加しているというようなお話であったりとか、それぞれのその取扱品目ごとに課題というものが違うかと思いますので、そういった視点も必要かと思っております。
 中央卸売市場では、東京都卸売市場整備計画第十次に基づいて、十一の市場ごとの経営戦略を策定している最中であります。現在、二つほどできているのは確認させていただいておりますが、一方、こういったその品目ごとの視点というのも戦略の策定の際には検討すべきだと考えております。
 民間企業でも、各市場ごとに当たる、例えば、支店ごとの営業戦略とあわせて、品目に当たるその製品ライン、製品ごとの、どういうふうに売っていくかであったりとか、伸ばしていくかといった戦略をつくっていきますので、同じような視点が必要ではないかと考えております。
 続きまして、中央卸売市場の活性化には欠かせない役割を担います市場行政についてお伺いをさせていただきます。
 仲卸業者数は長期的に減少しているといわれております。
 そこで、平成二十七年度から平成三十年度の仲卸業者の数の推移と直近の経営状況についてお伺いいたします。

○長嶺事業部長 仲卸業者につきましては、毎年度四月一日現在で、平成二十七年度は一千百五十四社、二十八年度は一千百十四社、二十九年度は一千五十二社、三十年度は一千三十二社となっております。
 また、平成二十九年の経営状況調査によりますと、前年の赤字から黒字に転換した仲卸業者は全体の約一〇%、赤字に転落した業者は約一四%、二期連続して赤字の業者は約一九%となっております。

○藤井委員 仲卸業者の数は、この四年間も毎年だんだんと減少をしていて、四年間で見ると百二十二社減っているということがわかりました。
 豊洲市場への移転によって、高度な品質、衛生管理の向上が図られる閉鎖型施設での運営となり、それに伴うランニングコストの上昇を懸念されていた事業者もいたと思います。
 事業者のコストはどのようになっているのか。また、削減の取り組み等を行っているのかお伺いいたします。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 市場業者が負担すべきコストといたしましては、条例等に定める施設使用料、電気料金、空調費などがございます。
 豊洲市場の施設使用料や電気料金につきましては、卸売業者低温売り場使用料など、施設使用料の一部に例外がございますが、現状、築地市場と同じ単価となってございまして、店舗使用面積や導入機器等に大きな変化がございません限り、料金は大きく変わっておりません。
 その一方で、豊洲市場は築地市場と異なり、品質、衛生管理の高度化を図ることができる閉鎖型施設でございまして、空調に必要な費用を各事業者に負担していただいております。
 また、都では、業界と調整し、水産仲卸売り場については、取引時間に合わせて温度を下げ、それ以外は設定温度を高めるなど、時間帯に応じて温度調整をするなど、コストを抑えるための試行策に取り組んでおります。

○藤井委員 コストを抑えるための試行も行っているということで、こちらはぜひ引き続き続けていただきたいと思います。
 仲卸事業者、特に、売上規模が小さい会社ほど経常赤字の割合が高い傾向にあります。そういった業者さんも、きちんと事業が営めるような体制をつくっていただきたいと思います。
 市場が健全に経営されるには、市場で業を営む卸売業者、仲卸業者の経営安定が必要です。
 特に、中小企業支援の観点から、仲卸業者に対する支援としては、どのようなものがあるのかお伺いいたします。

○赤木移転支援担当部長 都では、収益性の向上や販路開拓、資金繰りや営業上の悩みなど、仲卸業者の経営全般にわたりまして、相談事業を実施しております。
 仲卸業者の相談に当たりましては、公認会計士や弁護士、中小企業診断士などの専門家が助言指導を行いました。また、こうした専門家による助言指導の際には、必要に応じて産業労働局が実施をしております中小企業振興策等を紹介するなど、個々の仲卸業者の実情に合わせて、的確な支援が行われるよう配慮しております。

○藤井委員 引き続き、産業労働局とも連携をして、個々の事業者に合わせた支援をお願いいたします。
 昨今では、中小企業は事業承継なども大きな問題となっております。事業承継の観点から、事業の譲渡であったりとか、統合を通じた経営効率化も含めて、仲卸の支援をよろしくお願いいたします。
 続きまして、豊洲ブランドの構築に関してお伺いいたします。
 平成三十年度は、築地市場から豊洲市場への移転のための取り組みに注力していたものだと認識をしております。特に、豊洲市場の風評被害を払拭し、豊洲の魅力を伝えることが重要であったと認識をしています。
 豊洲市場の魅力発信に向けた取り組みについて、その内容と実績について伺います。あわせて、効果をどのように評価しているかお伺いいたします。

○石井渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 都では、閉鎖型施設として整備されました豊洲市場の機能や魅力を発信するほか、豊洲市場に関する理解を促進するため、出荷者を初めとする関係者や都民を対象といたしまして、魅力発信事業を行ってまいりました。
 平成三十年度は、出荷者などへの取り組みとして、十四カ所の漁港などに出向きPRを行ったほか、ジャパンインターナショナルシーフードショーなど四カ所の食関連事業者のイベントに出展を行いました。
 また、都民向けの取り組みといたしまして、産地と豊洲市場をめぐる親子バスツアーを二回開催したほか、市場見学会を十二回実施したところでございます。
 アンケートの結果によりますと、実際に見学したら、とても安全な施設だとわかったという声が寄せられるなど、豊洲市場の認知度向上や食の安全・安心の確保に対する理解につながったものと認識してございます。

○藤井委員 着実に豊洲市場の魅力を伝えていただき、豊洲市場にかかわる報道も最近は大分風向きが変わってきたものではないかと思っております。先ほどアンケートの評価もございましたが、やはり実際に行って見てみることで、きれいですし、安心・安全であるということが伝わってくるかと思いますので、引き続き、そういった魅力発信については続けていただきたいと思います。
 今後は、築地ブランドに負けない豊洲ブランドの構築、これをどう確立するかということが課題になってくるかと思います。今後は、豊洲ブランドの確立に向けての取り組みを要望いたします。
 豊洲市場の開場に当たりましては、活発に取引を行うための環境づくりが重要であります。
 都は、主体的に魅力発信を行ったとのことでありますが、業界団体が豊洲市場の開場時期を捉えて実施した取り組みとその効果についてお伺いいたします。

○赤木移転支援担当部長 豊洲市場の開場前後におきまして、業界団体は、都の協力のもとで、豊洲市場の開場に活気をもたらす取り組みとして、二十四の取り組みを実施いたしました。
 具体的には、豊洲市場の特徴を紹介するPR資料の作成、都と業界団体とが連携をした産地訪問、また、業界団体のホームページのリニューアルなどのほか、本年二月には、豊洲市場におきまして、世界料理学会東京in豊洲が開催され、大きな発信力を持つ著名な料理人の方々が豊洲市場に集結していただき、活発に意見交換をしていただいたところでございます。
 世界料理学会が東京で開かれるのは初めてのことでございまして、豊洲ブランドの構築に大きく貢献をしたものと考えております。

○藤井委員 業界団体とも連携して実績を残したとのことでございますが、今後も、中央卸売市場全体の活性化のため、団体との取り組みを引き続きよろしくお願いいたします。
 にぎわい創出の事業について、その実績をお伺いいたします。あわせて、その効果をどのように考えていますか。お伺いいたします。

○石井渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 にぎわい創出事業は、千客万来施設が開業するまでの間、継続的に豊洲地区のにぎわいを生み出していくことを目的に行っておりまして、平成三十年度は、五街区千客万来施設事業用地におきまして、豊洲市場おいしい土曜マルシェを実施いたしました。このイベントは、平成三十一年一月から三月までの土曜日に全十一回開催し、約九万人の方々にご来場いただいておりまして、地域におけるにぎわいの創出につながったものと認識しております。
 今後とも、にぎわいの創出に努め、千客万来施設事業につなげてまいります。

○藤井委員 今までお伺いをいたしました魅力の発信であったりとか、活性化、そのにぎわいの創出といったものは、一定の効果を出していることはわかりましたが、継続的に続けていく必要があるものだと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 そして、豊洲市場の周辺地域では、市場とは関係なく、スポーツの関連施設やホテルの開業が続いていて、活況を呈している状況だと思います。また、民間団体が実施する豊洲ぐるり公園を走るランニングイベントなども人気を集めていると認識しております。
 そういった新しい施設や、民間、そして地元区などのイベントとも連携をして、市場内に限らない豊洲のにぎわいを創出していただきますように要望をいたします。そういった取り組みが、まさに豊洲ブランドの確立への近道になるのではないかと考えております。
 豊洲市場の市場内の交通ルールの徹底や安全対策など、市場施設の適切な利用に向けて、都は、どのように取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 都は、豊洲市場開場後の状況を踏まえまして、新たな施設管理のルールの遵守、これは市場業者の方ですね、に向けた取り組みを、業界団体と連携して行ってきました。
 具体的には、都と市場業界とで構成される委員会におきまして、ルールの遵守を周知するほか、場内の重点パトロールや業界と連携した合同巡回指導を実施いたしました。
 また、ターレの安全走行を徹底するため、業界主体で安全運転講習会を実施するとともに、都としても、エレベーター前の減速帯の設置やサイン表示の充実など、安全で適切な施設利用に向けた整備も行いました。
 以上申し上げましたとおり、交通ルールの遵守や施設の適正管理に向けた取り組みを着実に進めてございます。

○藤井委員 今後、一般の方が市場の中に入って買い物も楽しめる市場内の見学会も予定をしているというふうに聞いております。
 まずは、地元区にお住まいの方と聞いておりますが、事故などがないように、安全に見学ができるように、ルールの徹底というのは引き続き続けていただきますようにお願いいたします。
 続いて、有償所管がえについて確認をさせていただきます。
 一般会計から市場会計に投入をされました五千六百二十三億円の原資というのは、都民の税金でありまして、有償所管がえの意義、合理性が正確に都民に理解される必要があると思います。
 そこで、改めて、平成三十年度に実施されました築地市場跡地の有償所管がえの意味についてお伺いをいたします。

○猪口財政調整担当部長 旧築地市場跡地につきましては、公共的、公益的なまちづくりに留意するとともに、経済合理性を考慮しながら、東京全体の価値の最大化を目指すまちづくりを見据えて、一般会計のもとで再開発を進めることとなったところでございます。
 このため、今般、一般会計への有償所管がえを実施したところでございまして、これにより、豊洲市場を整備する際に発行した企業債は、借りかえをすることなく、全て期限どおりに返済できる見通しでございます。
 また、中央卸売市場会計の事業継続性については、今後約五十年間は確保できる見通しでございます。

○藤井委員 一般会計のもとで築地の再開発を進めることになったとのことでございますが、平成三十年度の予算の中には--決算の中にもですが、築地再開発検討の予算が中央卸売市場会計に計上をされておりました。築地の再開発については、都市整備局が中心となって行っており、なぜ中央卸売市場に計上されているのかという疑問もあり得ます。
 築地再開発検討の予算の五千四百万円はどのように執行されたのか確認をいたします。

○猪口財政調整担当部長 平成三十年度予算に五千四百万円を計上しました築地再開発検討経費につきましては、政策企画局と都市整備局に執行委任を行いまして、築地再開発検討会議などの運営費や同会議の委員である外部委員等への報酬などに充当し、約三千四百万円を執行しております。

○藤井委員 執行委任を行い、中央卸売市場会計として適切に執行されたということがわかりました。
 築地再開発検討会議では、昨年五月に築地まちづくりの大きな視点を発表し、本年三月の築地まちづくり方針へとつながっているということが、一連の流れとして理解することができます。
 平成二十七年度から平成三十年度の営業収支の経年変化とその主な要因について、ここでお伺いをさせていただきます。

○猪口財政調整担当部長 営業収支でございますが、平成二十七年度は約二十億円の営業損失、二十八年度は約四十三億円の営業損失、二十九年度は約四十九億円の営業損失、三十年度は約百二十五億円の営業損失で推移しております。
 損失額がふえてきているのは、収入面で売上高割使用料が減ってきていること、費用面で管理費や減価償却費がふえてきていることが主な要因でございます。

○藤井委員 中央卸売市場は、地方公営企業ではありませんが、都の他の一般会計と違い、地方公営企業法の財務規定が適用され、独立採算によって運営されます。したがって、営業収支を黒字化することは非常に重要であると考えております。
 平成三十年度の赤字約百二十五億円は、豊洲の建物の減価償却費の影響が大きいとはいえ、それを除いても七十八億円の赤字となっております。
 さらに、ことしは、一年分の豊洲での運営コストや減価償却の費用というものがかかってくるため、赤字額は膨らむことが予想されます。早急な赤字の解消を目指すべきであると考えております。
 平成三十年度に実施された有償所管がえにより、市場会計は五十年維持されるとされていますが、そのままでは健全な経営とはいえない状況だと認識をしています。
 平成三十年度の経営健全化のために講じた措置についてお伺いいたします。

○猪口財政調整担当部長 市場会計の経営の健全化のため、平成三十年度から今年度にかけて、豊洲市場開場に伴い組織の大幅見直しを行い、体制のスリム化を図ったところでございます。
 また、市場で使用する電力の価格競争による調達や照明のLED化による使用電力量の削減を行っており、加えて、遊休施設の有効活用による使用料収入の増加や市場施設へのアセットマネジメントの導入による建設改良費の削減などの経営改善を実施することとしており、引き続き経営の健全化に取り組んでまいります。

○藤井委員 ここまで見てきましたとおり、中央卸売市場会計は、市場での取扱量の減少、そして、豊洲移転に伴うコスト高という大きな課題を抱えているところだと思います。
 東京都は、市場業者から、売り場や駐車場、そして冷凍設備、光熱費などの使用料を受け取っていて、これが営業収入になっているところでございます。
 昨年の我が会派の鈴木都議の決算質疑では、この営業収入が少ないのではないか、営業収益の中心がそういった施設使用料である以上、これが低いと、市場会計としては厳しいのではないかという点も指摘をさせていただいております。
 都民ファーストの会東京都議団では、ことしの第一定例会代表質問で、有償所管がえにより、一般会計から市場会計に五千六百億円の巨費が繰り入れられる以上、市場は、将来的には民営化も視野に入れた抜本的な経営改革にスピード感を持って取り組むべきだと主張をしてまいりました。その結果、ことしの七月より市場の活性化を考える会が立ち上がり、食品流通や企業経営、財務会計分野の専門家から成る議論が始まったところだというふうに認識をしております。その会議の中では、来年度末の戦略的な経営計画の策定に向けて検討が進んでいると認識をしております。
 指定管理者制度などさまざまな運営方法がありますので、抜本的な検討に、その会の中で踏み込むべきであるということを要望いたしまして、私の質疑を終えさせていただきます。

○三宅委員 私からも、中央卸売市場会計について質問させていただきますが、一部、藤井委員と重なる部分もありますので、その辺は省かせていただきながら、質問させていただきます。
 まさしく昨年は、三十年を超える長い長い年月をかけて、都と業界が取り組んできた課題である豊洲市場への移転がようやく実現した年でありました。
 初めに、豊洲市場への移転について、改めて総括をする観点から質問していきたいと思います。
 豊洲市場への移転に向けて、都は、習熟訓練や引っ越し準備など、さまざまな準備を重ねてきたことと思います。また、市場業者の移転準備を進めるための支援策も実施してまいりました。
 そこで、まず初めに、豊洲市場への移転に向けて、昨年度執行した経費の内容とその金額について伺いたいと思います。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 豊洲市場の移転実現に向けまして、平成三十年度に執行した経費といたしましては、市場業者の店舗等における造作工事に係る相談業務、また、先ほど副委員長からもご指摘ありました、新たな市場に習熟するための訓練などにおける現場管理業務などの経費、さらには、円滑な引っ越しの実現に向けたプロジェクトマネジメント業務の経費などがございまして、その金額は約十四億円となってございます。
 また、移転する市場業者の経済的な負担を軽減し円滑な移転を進めるため、各種の利子補給や融資事業などの移転支援策といたしまして、約十四億円を執行しております。

○三宅委員 移転に向けて、都と業界それぞれがどのような準備を進めてきたのかということが具体的に明らかになる部長の答弁だと思いますが、今、私は、昨年度決算の実績を聞いたわけですが、こうした準備は、知事が移転延期をする前にも進められてきたことになると思います。
 知事の移転延期の判断は、それまで多くの関係者が進めてきた準備作業を全てひっくり返すものであり、関係者に不安や落胆を与えたものであると私は思います。
 知事は以前、大義と共感という言葉をよく述べられておりましたが、豊洲市場への移転について大義があったのかどうかを確認したい、そのように思うところでございます。
 そもそも、豊洲移転はどうして必要とされたのか、都の見解を伺います。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 築地市場は、生鮮食料品の流通の基幹市場として、長年、都民の食生活を支える役割を担ってきました。
 しかしながら、施設の老朽化や狭隘化などから、市場を取り巻く環境の変化、具体的には、食の安全・安心に対する消費者の意識の高まり、食生活の変化等に伴う産地、顧客、消費者ニーズの多様化、高度化などに、十分応えられない状況となっておりました。
 豊洲市場は、こうした環境の変化に対応できる機能を備え、豊富で新鮮な生鮮食料品を安定供給し、首都圏の食を支える基幹市場として整備を行ったものでございます。

○三宅委員 今のご答弁は、移転はもともと必要であったということであると思います。
 豊洲市場の移転については、冒頭に申し上げたとおり、非常に長い時間をかけてさまざまな議論がされてきました。一時期は、現在地再整備を進めるということで一部の工事まで着工したものの、結果として再整備工事は頓挫してしまったという歴史もありました。
 こうした歴史の中で、紆余曲折を経て豊洲市場への移転が決まり、既にいろいろな準備を進めていた業界の方々にとって、直前になっての移転延期は大きな衝撃として受けとめられたことだと思います。本来であれば、もっと早い時期に豊洲移転が実現していたはずなのに、実際には、移転延期の決断によって豊洲市場の開場は大幅におくれてしまいました。
 きょうは決算審査のための質疑なので、改めて移転延期に伴って支出した経費の内容と金額を確認していくことで、移転延期が市場会計に与えた影響を確認していきたいと思います。
 都は、移転延期後に発覚した盛り土の問題を受けて、専門家会議を再度招集し、その提言を踏まえて追加対策工事を実施しました。
 まず、この追加対策工事の費用は幾らになったのか確認いたします。

○佐々木環境改善担当部長 追加対策工事に要しました費用は、床面コンクリート打設工事、換気設備工事、地下水管理システム機能強化工事の合計で約三十九億円でございます。

○三宅委員 三十九億円という費用をかけたということですが、それに見合うだけの効果があったのかどうか、その辺は、いささか私は疑問であると思います。
 追加対策工事について、都はどのように総括したのか、改めてお聞きします。

○佐々木環境改善担当部長 都では、専門家会議の提言に基づき追加対策工事を実施し、昨年の七月三十日には、専門家会議から、東京都が実施した追加対策により、将来リスクを踏まえた安全性が確保されたことを確認したとの評価をいただきました。
 また、豊洲市場の開場後は、地下水等管理に関する協議会のもと、毎月空気調査を実施していますが、その測定結果は、建物一階、屋外及び地下ピット内のいずれの空気についても大気環境基準等に適合しており、協議会の専門家からは、科学的な視点から安全が確保された状態にあると考えられるとの評価をいただいております。
 都といたしましては、追加対策により豊洲市場のさらなる安全性の向上が図られたものと認識しており、今後、管理を適切に実施するとともに、引き続き正しい情報発信を行っていくことで、豊洲市場を安全・安心な市場として運営してまいります。

○三宅委員 追加で工事した分、安全性が高まっていくというのは、もうこれは本当に当然のことでございます。
 豊洲市場においては、追加対策工事を実施するまでもなく、土壌汚染対策法上の対策が満たされており、また、地上部の空気から基準値を超える有害物質が検出されたこともなかったのではないでしょうか。従前から地上部の安全は確保されていたことは、我々もこれまで指摘してきました。もともと安全であった豊洲市場に三十九億円ものお金を使ったことはいかがなものなのかと、そういうふうに思うわけでございます。しかも、問題はこれだけではなく、移転延期の際に、あたかも豊洲市場の安全性に問題があるかのような発言をしたことが、豊洲市場にとどまらず、豊洲地区全体への風評被害も生んだと思います。
 都は、こうした風評被害対策として、豊洲市場の安全性などを理解してもらうためのPR事業を展開してきましたが、この経費として幾ら使ったのか、お答えください。

○石井渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 豊洲市場のPRを行う魅力発信事業は、豊洲市場の開場に向け、新しい市場としての機能や魅力について、出荷者を初めとする関係者や都民に正確な情報を提供し、豊洲市場への理解を深めてもらうために実施したものでございます。
 平成三十年度は、漁港関係者等に対するPR、都内外の食関連事業者や一般消費者向けのイベントへの出展、都民向けの豊洲市場の見学会などを実施しておりまして、その執行額は約一億二千万円でございます。

○三宅委員 ご答弁のとおり、取引の関係者であれ、都民であれ、豊洲市場について正しく理解してもらうことは大事なことだと思います。だからこそ、知事はみずからの発言についても、あらかじめもっともっと配慮すべきではなかったのかと、そういうふうに思うわけでございます。実際に、追加対策工事以外の費用負担として一億二千万円もの支出をすることになったわけなのですから、そういうふうに思うわけでございます。
 先ほども述べましたが、市場業者は移転に向けた準備を着々と進めていたわけで、豊洲市場への設備投資も相当進んでいました。市場業者は、せっかく豊洲市場に整備した設備が使えない状況になってしまいました。
 都は、こうした状況を踏まえて、移転延期に伴う市場業者への補償もしていますが、その費用は幾らでしょうか。

○赤木移転支援担当部長 豊洲市場への移転延期に伴う補償につきましては、移転に向けて豊洲市場に準備した設備の価値の減耗や、築地市場での営業を継続するために経常経費を超えて行った設備修繕費、また、豊洲市場に準備した設備を築地市場で活用するために要した移設費などを対象に補償を行ってまいりました。
 平成三十年度の実績としましては、約千百件、約二十九億円の補償費を支出しておりまして、その内訳は、設備の価値減耗分が約二十億円、設備修繕費が約四億円、移設費等が約五億円となってございます。

○三宅委員 今ご答弁されました昨年度決算の実績ですが、移転補償経費は、平成二十九年度の金額を合わせると、その総額が約八十億円にも及ぶということです。これだけでもすごい金額だと思います。
 決算資料を見ていただければわかりますが、例えば、大田市場の青果プロセスセンターの工事費用を上回る、そういった数字もございます。これこそ、本来は支払う必要のなかった経費だと我々は思うわけでございます。
 また、移転の延期は、千客万来施設事業の事業者である万葉倶楽部の反発も招きました。その後、何とか万葉倶楽部との調整が整ったものの、千客万来施設事業は停滞を余儀なくされ、都は、その間のにぎわい創出に向けた取り組みをみずから実施することになったわけです。
 先ほどもご答弁ありましたが、再度、昨年度、にぎわい創出に使った金額はどのくらいか確認したいと思います。

○石井渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 にぎわい創出事業につきましては、平成三十年度は、五街区千客万来施設事業用地におきまして、豊洲市場ならではの限定メニューの提供や新鮮な鮮魚や野菜の販売等を行う豊洲市場おいしい土曜マルシェを実施いたしました。平成三十一年一月から三月までの間に全十一回開催し、約九万人の方にご来場いただいたところでございまして、その経費といたしましては約九千四百万円を支出したところでございます。

○三宅委員 豊洲市場の開場に当たってのにぎわいづくりは、もともと地元区との約束であり、継続的なにぎわいづくりを進めること自体は否定するものでは我々はありません。ただ、この費用も、移転延期の混乱によって支出することになったのは事実であります。移転延期は大きな追加費用をもたらしたことが、改めて明確になったと思います。
 こうした決断をした知事の責任は極めて重いと、我々は改めて主張させていただきますが、きょうは決算の場ですので、これ以上は事務事業の方で、我々はしっかりとこの問題をやっていきたいと思っております。
 次に、豊洲市場への移転に関連して、旧築地市場跡地の有償所管がえについて質問させていただきたいと思います。
 補正予算で旧築地市場跡地の有償所管がえが行われました。
 我が党は、有償所管がえそのものについては、必ずしも反対するものではありません。ただ、所管がえをした後の再開発スキーム、これは、さまざまな問題点を抱えているのではないかと、そのように考えています。
 本日は、市場会計の決算審査、あくまで決算審査ですので、その観点から幾つか質問させていただきます。
 昨年度予算では、築地再開発検討経費として計五千万円が計上されていましたが、そもそもこの費用を市場会計に計上した理由について伺います。

○猪口財政調整担当部長 都では、公営企業局用地の利活用に関する経費につきましては、公営企業の独立採算制の原則に基づきまして、これまでも、土地を保有するおのおのの会計予算で対応することを基本としてございます。
 築地再開発検討経費は、市場会計が保有する土地の再開発を検討するための経費であったことから、市場会計で予算を計上したところでございます。

○三宅委員 独立採算制の原則に基づいてという、そして、土地を保有する会計予算で対応したということが確認できました。
 そして、この検討経費の執行状況につきましては、先ほどご答弁にもありましたが、合計で築地再開発検討会議等の運営費や同会議の委員である外部委員の報酬等に充当したということで、三千四百万円であったということになっております。先ほどの答弁もありましたが、実際の執行は都市整備局が行ったということでございます。先ほど、藤井委員の質問にも答えられておりましたが。
 独立採算制の原則に基づいての答弁でありまして、都市整備局が執行する際に、市場会計の収支状況を勘案して検討するわけではないし、また、都市整備局の検討いかんによって、市場が保有する土地の資産価値が変動するものではありません。この費用を市場会計で負担するという理屈は、さすがに無理があると思います。
 再開発に関連する懸念は、これだけではありません。再開発に際して実施する今後の埋蔵文化財調査や土壌汚染対策等に必要な費用の負担に関することであります。
 土地の評価額約五千六百億円に対し、市場会計が得るのは約五千四百億円、この差分二百億円が、埋蔵文化財調査や土壌汚染対策などの費用相当額として一般会計に留保されています。
 初めに確認いたしますが、そもそも留保された二百億円はどのように積算されたのかお伺いいたします。

○猪口財政調整担当部長 まず、埋蔵文化財発掘調査費は、過去の近隣地区の土地区画整理時の単価をもとにしまして、また、土壌汚染対策費は土壌汚染対策に係るガイドライン等に示された単価をもとにしまして、それぞれ対象となる規模を考慮して算定してございます。
 こうした算定方法は、一般的な土地売買に際して試算に用いる考え方に基づき行ってございます。

○三宅委員 今のご答弁は、あくまで一般的な考え方に基づく試算であるということです。
 ただ、現実問題として、地下がどのような状況であるのかは、実際のところ、調査してみないとわかりません。
 実際の費用が二百億円以上に膨らむリスクがあるのではないか。市場としては、今後の費用負担に対して、どのように対応していくのか伺います。

○猪口財政調整担当部長 ご指摘のとおり、保留分の二百億円は、一般的な土地売買に際する試算の考え方をもとに算定したものでございます。
 今後、具体的な調査等の内容や方法等につきましては、関係局と調整して適切に対応してまいります。

○三宅委員 関係局の間で調整するのは当然でありますが、支払う費用の内容についてはきちんと精査をしていただきたいと思います。
 市場会計は市場業者から得た使用料が基本的な収入源なのですから、彼らにしっかりと説明ができるような内容でないと困ります。この点を肝に銘じて、ぜひ、調整していただきたいと思います。
 次に、中央卸売市場における取引状況について伺いたいと思います。
 豊洲市場が開場し、ようやく新しい十一の中央卸売市場の体制が整いました。だがしかし、市場全体を見ると、移転した豊洲も含めて取扱量は減少傾向にあります。この原因について、都はどのように考えているのか見解を伺います。

○長嶺事業部長 農林水産省の調査によると、全国の中央卸売市場の取扱量は長期的に減少傾向であり、都内の中央卸売市場の取扱量につきましても、全国の推移に比べ、緩やかとはいえ減少傾向となっております。
 こうした状況の背景として、単身世帯や共働き世帯の増加、ライフスタイルの変化に伴う加工品需要の増大など、食に対するニーズの多様化や生鮮食料品等の流通チャネルの多元化、国内生産力の低下などが考えられます。

○三宅委員 特に水産物について、これは落ち込みが大きいと思いますが、これはなぜでしょうか。

○長嶺事業部長 都内の中央卸売市場におきましては、鮮魚に比べ、冷凍魚、加工品の取扱量が大幅に減少しておりまして、こうした品目について、市場外の流通が進展していることが考えられます。
 さらに、水産物については、漁業就業者の長期的な減少や高齢化の進行による国内生産力の低下、海洋環境の変動が資源へ与える影響、国民の魚離れなどが指摘されてございます。

○三宅委員 特に、私の選挙区の島しょ地域では、水産業が主要な産業の一つでありまして、卸売市場がしっかりと機能していただかなきゃ困ると、そのように思っております。
 市場に荷が入ってくるよう、市場業者と連携協力して取り組んでいただきたいと思いますが、まだ時間がありますので、せっかくですから、市場長、ぜひ連携協力について考え方をお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

○黒沼中央卸売市場長 ただいま副委員長からご指摘をいただきましたとおり、卸売市場が基幹的なインフラとして流通していくためには、まさに産地、川上と川下、これが一体となって機能することが不可欠でございます。
 今後とも、そうした連携を密にしながら、業界、開設者の責任を持って取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

○三宅委員 市場長、しっかりお願いします。ありがとうございます。
 最後に、施設整備について伺いたいと思います。
 第二回定例会における我が党の代表質問でも質問いたしましたが、卸売市場がその機能を発揮するためには、きちんとした施設整備が必要であります。
 そこで、まず初めに、施設整備費用の執行状況について確認したいと思います。

○渡辺施設担当部長 都では、中央卸売市場が基幹的なインフラとしての役割を着実に果たしていけるよう、新たなニーズ等に対応するための施設の拡張や市場機能を維持するための施設の改良等を進めてまいりました。
 平成三十年度の施設拡張費では、大田市場において、加工、荷さばき棟を整備するなど合計四十一件の工事や設計等を実施し、約百一億円を支出いたしました。
 また、施設改良費では、食肉市場のセンタービル冷蔵庫床や建具枠の改修、大田市場の青果棟ほかの便所改修など合計百件の工事や設計などを実施し、約二十億円を支出いたしました。

○三宅委員 今、全体の執行状況についてご答弁がありました。
 比較的規模の小さな市場の現場からは、十分な施設整備がなされていないとの声を聞いております。
 そこで、比較的規模の小さな他の市場におきましても、今後の機能発揮のための施設整備を進めるべきと考えますが、整備の実施状況と今後の対応についてお伺いいたします。

○渡辺施設担当部長 済みません、私の先ほどの答弁でちょっと訂正がございますので、お願いいたします。
 平成三十年度の施設拡張費では、大田市場において、加工、荷さばき棟を整備するなど合計九十一件ということで、先ほどちょっと間違えてお伝えいたしましたので、おわびいたします。

○菅原委員長 訂正の件、了解いたしました。
 じゃあ、発言続けてください。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第十次東京都卸売市場整備計画におきましては、老朽化した施設の更新や、災害、環境問題への対応に必要な施設整備に取り組むことに加えまして、市場業者と連携して経営戦略を策定し、品質、衛生管理の高度化や加工パッケージへの対応など、各市場の機能強化を図るための施設整備を進めることとしているところでございます。
 平成三十年度におきましては、市場施設の維持更新を図るため、世田谷市場や葛西市場で冷蔵、冷凍設備を改修したほか、豊島市場など三市場で受変電設備を更新するとともに、北足立市場など七市場で照明器具のLED化を実施いたしました。また、淀橋市場におきましては、狭隘な市場用地を有効活用し、加工パッケージや荷さばき機能を充実強化するための施設のあり方の検討を進めてきたところでございまして、今後も、各市場の状況を踏まえ、必要な施設整備を着実に進めてまいります。

○三宅委員 豊洲市場の開場が実現するまでの間、こうした他の市場の方々は、使い勝手が悪い中で、本当に我慢をして、自分たちの市場が改善するのをずっと心待ちに待っていましたので、ぜひ清潔な市場、安全な市場という観点から、施設整備を進めていただきたいと思っております。
 以上で、ちょっと時間が早いですが、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○細田委員 私からも、これからの中央卸売市場ということ、それから、さきの委員からも出ましたが、有償所管がえについて、そして、豊洲市場への移転について、大綱この三点についてお伺いしたいと思っています。
 平成三十年度の中央卸売市場会計決算について、現在の中央卸売市場がどのような状況に置かれているのか、このことを確認して質問したいと思います。
 さきのお二人の議員の方々からの質問でもわかりますが、現在の中央卸売市場を取り巻く環境は、率直にいって大変に厳しい、こういう状況下に置かれているのではないかと私も感じております。
 売上高に関しては、水産や青果でも減少を続けているし、また、少子高齢化、産直の進展等、さまざまな環境的な変化もあります。
 この間、中央卸売市場の取引業務運営協議会などにも参加してまいりましたが、この食品流通の大きく変わった状況に対して、国では卸売市場法の改正も行われて、来年からは施行される、こんな待ったなしの状況になっています。
 東京都も条例改正の検討を進めておりますが、この新しい状況変化に対して、都と業界が一体となって対応していかなければ、卸売市場を安定的に運営していく、このことは難しい。また、さまざまにかかわる業者の方々も、それをしっかりと乗り切っていく、そして、消費者の方々も喜んでいくという、こういうような循環になっていかない。
 東京都は、この認識のもと、基本的な事項として、環境に対してどんな認識を今、していらっしゃるのか、この見解を求めます。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 人口減少や少子高齢化の進展に加えまして、物流や商取引の多様化が進んできており、卸売市場の取扱数量や経由率が低下するなど、卸売市場を取り巻く環境は、委員ご指摘のとおり、厳しさを増していると認識しているところでございます。
 こうした中にあっても、都の中央卸売市場は、都民生活にとって必需品であります生鮮食料品等を公正、公平かつ安定的に供給し、食の安全・安心を確保していくという基幹的なインフラとしての役割を引き続き着実に果たしていく必要があるものと認識しているところでございます。

○細田委員 日本の建て値市場であり、また、日本一の市場を抱える中、健全な市場の役割を果たしていく、こういう責務があるわけでございますが、食を初めとした都民生活のインフラという役割、これを今後ともしっかりと果たしてもらうことが重要であります。
 重ねて申し上げますが、取扱量や経由率、これが低下している。こういうことでありますので、市場の業者の経営にも大きな影響を与えている、このようなことではないかということがわかるわけですが、取引量が、また金額が減少する中での市場業者の経営について、都の所見を求めます。

○長嶺事業部長 市場業者の経営状況についてお答えをいたします。
 まず、卸売業者の平成二十五年度から二十九年度までの経常損益の推移を見ますと、平成二十五年度から二十八年度まで、全二十六業者のうち赤字業者は一社でございましたが、平成二十九年度は、水産物部、青果部、花き部の合計で六業者が赤字となりました。
 同様に仲卸業者の経常損益の推移を見ますと、赤字業者数は、平成二十五年の三百九十四業者から毎年減少いたしまして、平成二十八年は三百八業者となりました。平成二十九年は三百十五業者と若干増加してございます。
 また、平成二十九年の調査業者数全体に占める赤字業者数の割合は、三四%でございました。

○細田委員 卸売業者、また仲卸業者ともに、赤字の事業者が多い状況でありまして、非常に厳しい経営状況にあります。
 市場業者の経営については、一義的には、もちろん経営ですから、経営者であるそれぞれの市場業者の方々にぜひ努力して頑張っていただかなくてはいけないわけですけれども、まさに中小零細事業者の方々も多い中で、この経営をサポートしていくための支援が必要になってまいります。さまざまな創意工夫をしている市場業者を後押ししていくことも重要であります。
 そこで、都の市場業者に対するサポートの取り組み、これについての状況をお伺いいたします。

○赤木移転支援担当部長 都では、仲卸業者の経営全般に係る相談事業や市場業者の販路拡大に向けた活動等に対する補助事業を実施しております。
 経営相談事業では、効率的な事業運営や経営の拡大等に関して、公認会計士や中小企業診断士、弁護士等の専門家が助言指導を行いました。
 また、補助事業では、需要拡大による取引の活性化を図りますための食育、花育事業や、市場から仕入れた商品を取り扱う店舗を、市場お勧め店としてインターネットの地図上で紹介する取り組みなど、市場業者の創意工夫ある取り組みを支援を行ったところでございます。

○細田委員 さまざまな悩みを抱えている市場業者の方は多いと思います。ぜひ、またさらに充実させていっていただいて、しっかりと支えてもらいたいと要望いたします。
 そして、都の中央卸売市場全体についても確認させていただきたいんですが、都内には十一の中央卸売市場があり、そのうち、豊洲市場、大田市場は、水産、青果、そして花き、これについての日本一の取扱量を誇ります。まさに日本の中核市場であります。
 ただし、こうした巨大市場だけで都民の食が賄えるのかといえば、もちろん決してそうではありません。大小さまざまな市場がありますけれども、それぞれが、産地や、また地域、小売店などとのつながりを有しており、こうしたネットワーク、これが機能してこそ、新鮮な品物を安定的に都民に届けていくことができる、こういうような状況であります。
 まさにそれぞれの市場の特色、そして、伝統、これまでの歴史、こういうものを生かしていただいて、それぞれの市場の強みを発揮していただいて、その機能を果たさなければいけないということに対して、今後の市場運営に当たっては、まさにこの特色を生かす、これが重要なんですけど、都の取り組み状況、これについてはいかがでしょうか。説明を求めます。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都内に十一ある中央卸売市場が、生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給するという基幹的なインフラとしての役割を着実に果たしていくためには、市場のさらなる活性化が必要であり、各市場の規模や立地などの特性を踏まえ、創意工夫しながら特色を生かした市場づくりを行っていくことが重要でございます。
 このため、第十次東京都卸売市場整備計画におきましては、各市場において、都と業界団体が一体となって経営戦略の検討、確立を進めることとしており、平成三十年度末までに、大田市場の青果部や淀橋市場で経営戦略を策定し、市場の活性化に向けて取り組むとともに、その他の市場におきましても、経営戦略作成に向けた検討を行ったところでございます。

○細田委員 各市場が切磋琢磨していただいて、お互いのよさを生かしていく、このことができるように、ぜひ力を入れて、今後ともしっかりとサポート、取り組んでいっていただきたいと思います。
 また、卸売市場の置かれている状況は厳しいですけれども、だからといって、手をこまねいているわけには当然いきません。産地や小売などの取引の関係者の方々からの要望も変化してきていますから、ぜひニーズに応えていく、このことは重要であります。
 市場施設も、加工パッケージなどの新たなニーズに対応したものにしていく必要があります。大田市場でも新たな施設が整備されておりますが、今回の決算における都の取り組み状況と、そして、今後の対応についてお尋ねします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第十次東京都卸売市場整備計画におきましては、老朽化した施設の更新や災害、環境問題への対応に必要な施設整備に着実に取り組むことはもとより、品質、衛生管理の高度化や加工パッケージへの対応など、各市場の特色を生かした経営戦略を策定し、施設整備を進めることとしているところでございます。
 ご指摘のありました大田市場におきましては、低温管理された閉鎖型の空間において、青果物の小分け作業が可能な加工、荷さばき棟の整備を進め、本年六月に供用を開始いたしました。この施設整備に係る平成三十年度の決算額は約五十四億円となっているところでございます。
 また、平成三十年度に開場しました豊洲市場では、高度な品質、衛生管理や加工パッケージに対応した施設を整備しており、今後も、都と市場業者が連携して、低温施設等の機能強化に向けた整備に取り組み、産地や実需者の多様なニーズに的確に対応してまいります。

○細田委員 卸売市場機能は、東京都だけで果たせるものではありません。市場の中で品物を取り扱う市場業者が、市場機能を果たす上で中核的な役割を担っております。
 市場を取り巻く状況が厳しさを増す中では、業界にもこうした変化に対応してもらう必要がありますが、市場業者の取り組みをどのように今後支援していくつもりなのか、この点についてお尋ねします。

○長嶺事業部長 市場を取り巻く環境の変化への対応につきまして、業界の認識も広がっておりまして、経営戦略の策定など各市場の活性化に向けた取り組みや卸売市場法の改正を踏まえた条例改正の検討において、市場業者とはさまざまな意見交換を行っているところでございます。
 都といたしましても、経営相談事業を活用して事業拡大をサポートするほか、今年度から開始した活性化支援事業により、先駆的な取り組みを支援していくなど、今後とも、市場業者と連携して、中央卸売市場の活性化を図ってまいります。

○細田委員 ぜひ、よろしくお願いします。まさに日本の牽引力の中央卸売市場ですから、皆様方の、中央卸売市場の責務、その使命も大変に大きいものがあります。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、有償所管がえについてお尋ねします。旧築地市場跡地の有償所管がえでございます。
 旧築地市場跡地の有償所管がえについて、都議会公明党は、中央卸売市場の健全な維持発展のために提案をして、施策展開をリードしてまいりました。平成二十八年十一月に豊洲市場移転に向けたロードマップを小池知事が発表したことを受け、我が党は、市場会計の持続可能性を高めるために、必要な措置をスピード感を持って進めるよう求めてきました。また、平成二十九年八月の第二回の臨時会、そして第四回の定例会、また昨年の第四回の定例会と、この有償所管がえの有用性をいち早く提案させていただきました。
 本件については、ことしの予算特別委員会などでも多くの議論が行われましたが、決算審査に当たりまして、改めて基本的な事項について確認させていただきます。
 まず、有償所管がえを実施した意義について、都は現在どのように認識をしているのでしょうか、所見を求めます。

○猪口財政調整担当部長 旧築地市場跡地につきましては、公共的、公益的なまちづくりに留意するとともに、経済合理性を考慮しながら、東京全体の価値の最大化を目指すまちづくりを見据えて、一般会計のもとで再開発を進めることとなったところでございます。
 このため、今般、一般会計への有償所管がえを実施したところでございます。

○細田委員 次に、所管がえにより、市場会計にはどのような効果があったと捉えているのかお尋ねします。

○猪口財政調整担当部長 一般会計への有償所管がえを実施したことによりまして、豊洲市場を整備する際に発行した企業債は、借りかえをすることなく、全て期限どおりに返済できる見通しでございます。
 また、中央卸売市場会計の事業継続性につきましては、今後約五十年間は確保できる見通しでございます。

○細田委員 有償所管がえにより、市場会計の事業の継続性は確保できるとのことでありました。
 とはいえ、独立採算の公営企業会計でありますから、採算性を考慮した市場経営を続けていくことが求められるということは当然のことであります。何よりも継続的な経営努力は今後も必要ですが、どのように取り組んでいくつもりなのか、市場の所見を求めます。

○猪口財政調整担当部長 中央卸売市場会計につきましては、今後の経常収支の厳しい見通しを踏まえまして、経営改善の取り組みや長期的な視点に立った市場経営のあり方の検討が必要であると認識しております。
 このため、都では、組織体制の見直しによる人件費の圧縮や遊休施設の有効活用による使用料収入の増加、市場施設へのアセットマネジメントの導入による建設改良費の削減などの経営改善を実施することとしております。
 また、戦略的な市場運営と強固な財務体質の確保に向けた経営計画を令和二年度末までに策定する予定であり、こうした取り組みを通じまして、さらなる市場の活性化を図るとともに、市場会計の持続可能性を確保してまいります。

○細田委員 今のご答弁の中で、まさに戦略的な市場運営と強固な財務体質、それに向けた経営計画を令和二年度末までにつくっていくということでありますけど、具体的な、また、それがちゃんと実行できる、わかりやすい策定となることをぜひ期待しておりますので、今、部長がおっしゃっていただいたことを、それぞれ確実に実施していただくよう要望させていただきます。
 さて、豊洲市場の移転について伺います。
 昨年十月十一日に豊洲市場が開場し、既に一年が経過いたしました。距離にすれば、わずか二・三キロという距離の移転ですけれども、その規模は、一つのまちが丸ごと引っ越すような非常に大きな規模の移転でありまして、これを実現するまでには本当に多くの苦労がございました。
 市場取引は、開場直後からおおむね円滑に行われており、地元の方々が心配していた交通渋滞なども、発生したのは、大変だったのは初日という状況でありました。都と業界も連携して準備を進めてきたからこそ、こうした状況が実現できたと考えております。
 移転の実現までに東京都が行った取り組みについて、ここで確認、お伺いをいたします。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 豊洲市場への移転実現に向けて、都は、引っ越し準備や造作工事への対応、習熟訓練など、円滑な移転に向けたさまざまな取り組みを進めました。
 引っ越し準備につきましては、都と業界で構成する引越準備委員会で、引っ越しの具体的計画を取りまとめるとともに、地元区や関係機関など関係者への周知を丁寧に行いました。
 また、各事業者が行う造作工事に対しましては、説明会の開催や造作相談室を設置し、相談体制を強化するなどの対応を行いました。
 さらに、習熟訓練に対しましても、開場後の運営を想定し、受け入れ体制の強化、訓練しやすい環境整備などを行いました。
 こうした一連の取り組みに要した経費が約十四億円となってございます。

○細田委員 都は、市場の円滑な移転に向けて、業界と調整して場内ルールなどを定めたと伺っています。
 場内ルールにもさまざまな内容のものがありまして、ルール以外のものを含めると、調整項目は非常に幅広い内容であったのではないかと思いますが、業界との調整についてはどのように進めてきたのか、この点についてお聞きします。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 業界との調整に関してでございます。
 都は、市場移転に当たりまして、業界団体との協議の場といたしまして、新市場建設協議会や新市場建設懇談会を設置し、豊洲市場への移転に関しての諸課題につきまして、業界とともに課題整理を行いながら検討、調整を進めました。また、さまざまな個別課題につきましても、各業界団体の理解を得られるようさまざまな調整を積み重ねて、丁寧に移転を推進いたしました。
 豊洲市場開場後におきましても、豊洲市場協会の交通委員会などにおいてルール遵守に向けた調整を行うとともに、各街区の物流に関する協議会などで、さらなる物流の改善に向けた検討を行うなど、よりよい市場運営に向けた取り組みを継続しております。

○細田委員 市場施設についても、きめ細かな調整を行っていたと理解していますが、業界の方々の意見も聞きながら、使い勝手の向上、これに向けてさまざまな工事を実施されていましたが、どのような取り組みを行ってきたのでしょうか、この点を確認させていただきます。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 都では、豊洲市場の施設整備につきまして、その機能を十分発揮できるよう、委員ご指摘ありましたとおり、業界の意見を聞きながら必要な改善に努めております。
 開場までの取り組みといたしましては、ターレスロープのカーブミラー三カ所の大型化や、六街区ランプウエー付近の路面の着色工事などを実施し、安全かつ円滑な交通の実現を図りました。
 また、昨年十月の開場後につきましても、ターレの充電設備の充実や場内の案内サインや照明の追加工事、清掃効率を向上させるための電気や給水設備の工事などを行ったところでございます。
 平成三十年度におきましては、こうした使い勝手の向上に係る工事等に要した費用は、約一億円となっております。

○細田委員 ソフト、ハード両面にわたって、丁寧に取り組みを進めてきたということでありますが、移転後の運営状況、この点についてはいかがでしょうかお尋ねします。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 豊洲市場移転後の運営状況につきましては、開場初日こそ渋滞などが発生しましたが、それ以降は大きな混乱もなく、円滑に取引が行われております。
 都民に生鮮食料品を安定的に供給するという卸売市場の役割は確実に果たされており、豊洲市場の運営は、おおむね順調に行われていると認識しております。

○細田委員 さまざまなことがありましたけれども、また、これからも課題が出てきて、先ほど来の厳しい環境下にもありますから、課題もあると思いますけれども、今回、豊洲市場に一番大事なこと、移転できてよかったねという、これは皆さんが、多くの方が移転できてよかったと思える方向へ進んだ。また、都は、それに対しての取り組み、後押しができたと、江東区選出の議員として私は理解をしております。
 続きまして、追加対策工事のことについて一点お伺いします。
 追加対策工事の効果はどのようなものであったかのことなんですが、この秋の台風十五号、十九号による雨が降った際に、地下ピットの状況、これはどうなっていたか、どうだったのか、安全・安心のための追加対策工事でありましたので、この点について状況をお尋ねします。

○佐々木環境改善担当部長 専門家会議の提言に基づき実施した地下水管理システム機能強化などの追加対策工事につきましては、工事の実施後、専門家会議から、東京都が実施した追加対策により、将来リスクを踏まえた安全性が確保されたことを確認したとの評価をいただきました。追加対策工事により、地下水管理システムの揚水機能は確実に強化され、開場後も順調に稼働しております。
 今回の台風による雨も含め、悪天候時におきましても、地下ピット内に地下水が滞水するといった状況にはなっておりません。

○細田委員 次に、地元区、江東区からの要望を踏まえて実施しています、にぎわい創出事業、このことについて伺います。
 開場への受け入れ条件であったものの、混乱いたしまして、今回も子供たちが参加できる親子見学会、これなんかも十二回重ねて、非常に好評で、本当に行ってみると安心なんだねという、きれいなんだねという、そういうような声が多く聞かれることが確認できた、また、それを広めていったことだと思うんですけど、まさに今度は、千客万来施設ができるまでの間、積み重ねている、このにぎわい創出事業、さまざまやってきていると思います。
 この間、十月の十一日を迎える数日前には一周年の記念フェスタがあって、私も参加させていただきました。会場の、当初は知事の挨拶で、初日こそ混乱があったけれども、翌日からは整然と業務が行われていて、市場関係者の努力、感謝する、こうして豊洲市場一周年が迎えられるのも、市場関係者や地域の皆様のおかげである、これからも皆様に支持される市場となるように取り組んでいきたいと、このような知事のご挨拶もありました。
 また、地元区長からも、にぎわいの施設、これがずっと市場がにぎわうことが重要であるということを一年前にも、今回も申し上げたいということとともに、この一年間にぎわいを創出し、努力してきた東京都の取り組みに対して、評価と感謝の言葉があったというふうに私も記憶しております。そのように、これは前に進んで、にぎわいを創出してきたんだという、初めから築地の場外市場を持ってくるわけにいきませんから、でも、その方向に向かっての道は歩み出しているんだという、悪戦苦闘を突き抜けて、前に進んでいるんだということがわかる一年間の取り組みだったんだというふうに私は理解をしているんです。
 都は、まず、このにぎわい創出の取り組みはどのようにやってきたのかと、この都の見解、状況についてお尋ねします。

○石井渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 にぎわい創出の取り組みの状況についてでございますが、平成三十年度は五街区の千客万来施設事業用地におきまして、平成三十一年一月から三月までの間に全十一回、豊洲市場おいしい土曜マルシェを実施しておりまして、約九千四百万円の経費を支出してございます。
 このイベントでは、豊洲市場の食材を活用した市場ならではの限定メニューを提供いたしますとともに、豊洲市場に集まる鮮魚や新鮮な野菜、果物を販売するなど、豊洲市場の食の楽しさを体感していただきました。また、ステージイベントや地域の特産品の販売を行うなど、地域と連携した特色ある取り組みも実施したところであり、地元の方を初めとして約九万人の方々にご来場いただき、アンケートでも、多くの方から満足との評価をいただいたところでございます。

○細田委員 地域と連携した取り組み、これによって来場者にも満足していただけているということでありました。非常に喜ばしい状況であると思います。
 この間、豊洲カレーというものも新たにできまして、私も実は、きょうこの質問をするので、朝、豊洲カレーを食べて、どうでもいい話ですけれども、臨ませていただきました。
 このように、都の市場や都民との連携も進んで、取り組んでいるんだと、また思います。
 この創出事業において、各局と連携をした取り組みとして、例えば公明党は、東京オリ・パラ大会の隣接地だから、このオリ・パラ大会の成功に向けてのPR、これも求めてきたんですけれども、そのようなことも含めて、どのような取り組みを行ってきたのか、この点について確認したいと思います。

○石井渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 にぎわい創出事業は、多様な各局事業を展開することで、さらなるにぎわいの創出も期待できることから、各局の協力を得ながら進めておりまして、豊洲市場おいしい土曜マルシェに、今お話のございましたように、オリンピック・パラリンピック準備局による二〇二〇大会PRブースや、また、建設局による移動水族館の出展を行ったところでございます。

○細田委員 わかりました。どうぞ、これからもよろしくお願いします。まだ、千客万来施設ができているわけじゃないので。
 ただ、今週末も産業労働局が豊フェス、東京豊かな農林水産を豊洲で体験しよう、開催しよう、こういうものも行なわれます。また、来月の九日には、これは江東区民向けにはなりますけど、市場の水産仲卸売り場の体験見学会、そこでも特別に買い物もできる、こんなイベントも用意されているということで、各局連携してやっておりますが、それが着実に推進していっていただけるよう、要望しておきます。
 さて、新たな大規模施設が地域の方々への理解をいただくためには、地域の迷惑施設ではなくて誇りの施設になるように、不断の努力を重ねていく、このことが必要であります。
 地元に愛されて理解される市場とするために、いかに地域と連携した取り組みを進めてきたのか、この点についてお尋ねします。

○堀豊洲市場連絡調整担当部長 地域と連携した取り組みについてでございますが、豊洲市場の円滑な運営に当たりましては、委員からお話がございましたように、地元の方々の理解と協力を得ていくこと、これが重要でございます。
 都はこれまでも、地元住民を中心とした見学会の開催や地元の観光協会などが主催するイベントなどでも、豊洲市場の情報発信を行うなど、豊洲市場に対する理解の促進を図ってまいりました。
 また、るる答弁申し上げました豊洲市場おいしい土曜マルシェなどの際にも、地元の子供たちによるステージのイベントを実施するなど、地域のにぎわい創出においても連携を図ってきたところでございます。

○細田委員 わかりました。地元の子供たちって豊洲アイドルスター学園のことだと思いますけれども、この間の一周年のときも、また、にぎわい創出事業の最初のときも、時に応じて小さな子供たちから小学生の子供たちまで、女の子も男の子も一生懸命、地域を、また市場を盛り上げるために活躍してくれた。このような地域も一体となった取り組みになっていることを私は大変にうれしく思っております。
 どうぞ、水産物の取扱量で日本一を誇る中央卸売市場が、地元に、豊洲にあるということを地域の方々にもさらにご理解をいただいて、皆さんに愛されて誇りとされる豊洲市場を実現していただくことを目指していただいて、そのことを強く要望させていただきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○菅原委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十三分休憩

   午後二時五十分開議

○菅原委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○とくとめ委員 中央卸売市場の二〇一八年度の施設改良事業費関係を中心にして、決算の質問をいたします。
 昨年末、卸売市場法の改定が強行されて、東京においても、これに伴い、今後、条例改定も準備をされ、中央卸売市場は大きな歴史的岐路に直面しているといわざるを得ないと思います。こうしたことを目前に控えたもとでの決算になっています。
 まず最初に、各市場とも建設以来三十年から四十年が経過して、老朽化対策の声、要望が上がっております。卸売市場整備計画第十次の具体化が策定されているにもかかわらず、二〇一八年度決算では、建設改良事業費のうち、施設改良事業の執行率が四七%にとどまっています。何が問題、原因なのでしょうか伺います。

○猪口財政調整担当部長 施設改良費の執行率が四七%になった主な要因は、落札差金と翌年度への繰り越しでございます。
 翌年度への繰り越しにつきましては、平成三十年度中に予定しておりました工事の実施に当たり、市場業務に支障を生じないようさまざまな調整があったことから、結果的に必要な予算を令和元年度に繰り越したものでございます。

○とくとめ委員 執行率が四七%にとどまった要因は、落札差金や翌年度への繰り越し、結果的には今年度への繰り越しがあったものとの答弁でした。
 しかし、私の地元の板橋市場の今年度への繰り越しの詳細は、自動火災報知設備更新、仲卸、荷さばき場防水改修あるいは市場棟の移動粉末消火器設備更新、さらには青果部屋外トイレの改修あるいは花き棟の仲卸売り場排水管の取りかえなどなど、八事業を見ると、いずれも業者にとってみれば大変切実で、本来だったら単年度予算できちんと実行すべき切実な事業だったのではないかと思います。
 議会の承認を踏まえて、単年度予算として実行すべき昨年度予算の本来の執行のあり方としても、問題があるといわなければならないということを指摘しておきたいと思います。
 さらに、施設改良事業の未執行分になっている各市場の事業については、その後、どのように対応されているのかについて伺います。

○猪口財政調整担当部長 平成三十年度中に予定していた施設改良事業のうち、工事の調整等に時間を要したことにより完了しなかったものにつきましては、地方公営企業法の規定に基づきまして、必要な予算を今年度に繰り越して、適切に執行してございます。

○とくとめ委員 三十年度中に、施設改良事業のうち、工事の調整等で完了しなかったものについては、地方公営企業法の規定に基づき、必要な予算を今年度に繰り越して、適切に執行したということでした。
 それでは伺いますが、翌年度への繰越額は、どういう事業にどのように活用されているんでしょうか伺います。

○猪口財政調整担当部長 地方公営企業法では、予算に定めた建設または改良に要する経費のうち、年度内に支払い義務が生じなかったものがある場合においては、その額を翌年度に繰り越して使用することができると規定されていることから、繰り越した予算につきましては、当初予定していた事業に使用することとなっております。

○とくとめ委員 地方公営企業法の規定に基づき、繰り越した予算については、当初予定していた事業に使用することになっているという答弁でした。
 しかし、一年後の二〇二〇年度を期限とする卸売市場整備計画第十次の具体化という点で、この繰り越しによって、整備のおくれ、先送りになってしまうのではないかという心配がありますけれども、必要な整備は着実に進められているのかどうか伺います。

○猪口財政調整担当部長 繰り返しになりますが、施設改良費の繰り越しは、工事の実施に当たり、市場業務に支障を生じないよう調整した結果、必要な予算を繰り越したものでございます。繰り越した予算は、当初予定した事業に使用しているところでございます。
 市場機能の維持等に必要な施設整備については、着実に進めてまいります。

○とくとめ委員 繰り越した予算は、当初予定していた事業、市場機能の維持等に必要な施設整備については、着実に進めていくという答弁でした。
 そこで、卸売市場整備計画第十次の中でも特別に位置づけられている市場の鮮度管理にとって重要な一定温度に定められた低温施設の現状について、二〇一八年度に低温施設が改修、整備されている市場は、具体的にはどういう場所があるんでしょうか伺います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成三十年度に低温施設の整備、改修を行った市場は、大田市場、世田谷市場及び葛西市場でございます。

○とくとめ委員 昨年度は三カ所ということでした。
 昨年度三カ所の中で、市場の鮮度管理にとって重要な役割を果たす低温施設を求める業者の声をたくさん聞きますけれども、都内の市場において低温施設が整備されている市場は、業者の自前の建設分を含めて、具体的な実態はどうなっているんでしょうか伺います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の中央卸売市場の卸売り場の面積に占めます低温施設の面積の割合は、平成三十年度末現在、青果部で約三八%、水産物部で約八七%、花き部におきまして約二八%となっているところでございます。

○とくとめ委員 答弁にありました卸売市場の面積に占める低温施設の割合で見れば、市場全体に拡充されているわけではないということだと思います。低温施設の重要な役割、取引の商品価値を高める上でも、利用者、消費者の信頼を集める上でも、重要な施設ではないかと思います。
 そこで、今後の低温施設について、卸売市場整備計画第十次の中では、どのような考え方、位置づけに基づいて、今後の拡張、修復の計画が具体化されているんでしょうか伺います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第十次東京都卸売市場整備計画におきましては、低温施設の整備について、各市場の特性を踏まえて、必要な水準を見きわめた上で、戦略的に推進することとしてございます。
 整備に際しましては、都と市場関係業者が、役割、費用分担や運用方法等につきまして、事前に十分協議を行う必要がございます。

○とくとめ委員 答弁ありがとうございました。ぜひ重要な役割を果たす低温施設が、二〇二〇年度を期限とする卸売市場整備計画第十次までに増設されるように、強く求めておきたいと思います。
 次に、資料要求の過去十年分の耐震改修等工事費の推移が、実績なしのままになっています。
 しかし、相次ぐ全国的な地震の中で、公共施設の耐震強化とともに耐震性が改めて問われていると思いますが、市場の耐震の実態はどうなっているんでしょうか。

○渡辺施設担当部長 中央卸売市場では、全十一市場における卸売り場や仲卸売り場、管理棟などの市場機能の確保に必要な建築物等を防災上重要な公共建築物として位置づけ、施設の状況に即して計画的に耐震化を進め、既に工事を完了しており、耐震性は確保されているところでございます。

○とくとめ委員 答弁では、都内の十一全市場とも耐震性は確保されているということでした。
 同時に、市場建設以来の老朽化の実態から見ても、また、最近の地震の震度、揺れのあり方から見ても、油断できない実態が報告をされています。周辺住民、仕事に携わる業者にとっても、重要な公共施設であり、十分な耐震判断と耐震補強を求めておきたいと思います。
 最近の経験したことのない異常な自然現象による巨大台風や、予想される首都直下地震による災害発生時において、整備計画で多面的な役割としている市場が果たす地域への貢献は、どういうことを想定して対応されている計画になっているのか伺いたいと思います。

○猪倉企画担当部長 災害発生時の対応等を定めました東京都地域防災計画風水害編及び震災編におきまして、中央卸売市場は、生鮮食料品の確保に関することを分掌しておりまして、発災時には、市場業者の協力のもと、生鮮食料品の調達や調達した物資の地域内輸送拠点等への輸送が役割となってございます。

○とくとめ委員 東京都の地域防災計画風水害編及び震災編の中央卸売市場が抱える地域への貢献などについて、具体的に検討されているという答弁でした。
 実は、十九号台風の被害が広がった際にも、世田谷区の世田谷市場において、取引関係者や近隣住民の約五十人が市場内への避難を希望して来場していたことが報告をされています。
 今後、都内で、これまで経験したことのない想定外の自然災害が発生する可能性が指摘をされています。東京都の地域防災計画の風水害編の中でも、今回の十九号台風のような巨大台風の災害を想定した東京都の地域防災計画のブラッシュアップが必要になってくるんではないかと思います。
 本来こうした対応には、総合防災部を中心に、局横断的な各分野が一体になっての対応の検討が不可欠になるのではないかということを指摘しておきたいと思います。
 最後に、今回の決算でも明らかなように、卸売市場の予算の具体化と執行にとって、二〇二〇年度を期限とする卸売市場計画の第十次、ここで明確にされている卸売市場として最低限求められる機能の確保に向けて、着実に事業の具体化、促進が図られるように求めて、質問を終わります。

○尾崎委員 小池知事は、築地は守る、築地に市場機能を残すと約束しながら、二〇一八年十月十一日に豊洲市場への移転を強行しました。
 日本共産党都議団は、豊洲市場の土壌汚染対策である建物下の盛り土がなかったことを発見し、幾ら追加対策を行っても汚染物質を完全に封じ込めることはできず、地下水位を目標まで下げることはできないなどの問題点を厳しく指摘し、移転に反対をしてきました。
 豊洲市場では、開場前に地盤沈下が起こり、開場した後はターレやエレベーターによる死亡事故、駐車場の不足、地下水の調査では、引き続きベンゼンや猛毒のシアンが検出され、地下水位は目標水位に至っていない箇所があります。
 また、日本共産党都議団の独自の調査で、豊洲市場の粉じんから毒性の高い重金属アンチモンやカドミウムが検出されました。次から次と新たな問題が起こり、何一つ問題は解決していません。
 そこで、決算書から、幾つか質問していきたいと思います。
 最初に、二〇一八年度の豊洲市場開場までにかかった追加工事、追加対策工事はどのようなものがありますか。また、それぞれの金額はどのようになっているか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 主な追加対策工事として、地下ピット内への床面コンクリート打設工事及び換気設備工事を実施するとともに、建物下揚水ポンプの設置など地下水管理システムの機能強化工事を行いました。
 それぞれの金額は、床面コンクリート打設工事が約十五億円、換気設備工事が約三億円、地下水管理システムの機能強化工事が約二十億円となっております。

○尾崎委員 建物下に盛り土がなかったため、専門家会議が再開され、追加対策工事が行われました。
 私たちは、建物下にコンクリートを打設しても、土壌汚染対策にはならないと指摘してきました。
 追加対策工事の合計が三十八億円ということです。そのうち、床面のコンクリート打設工事と換気設備工事を合わせると約十八億円でした。
 しかし、追加対策を行っても、地下水調査の中で、発がん性物質のベンゼンは、この間、環境基準の百七十倍、百四十倍と超えています。環境基準では検出されてはならないとなっている猛毒のシアンも検出されています。追加対策を行っても、環境基準を超えて検出されている状況です。いつになったら、ベンゼンは環境基準を下回るのか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 豊洲市場用地は、街区周縁を遮水壁で囲んでいることから、新たな汚染の可能性がなく、地下水管理システムにより、地下に浸透した雨水を継続的に揚水していくことで、徐々に汚染地下水は回収されるものと考えており、今後、中長期的に地下水質は改善されるものと認識しております。

○尾崎委員 いつになったら環境基準以下になると、明確に答えることはできないわけです。地下水を吸い上げれば、いずれきれいになる、徐々に汚染地下水は回収されると東京都はいいますが、いつになったらきれいになるのか明確に答えられないのでは、市場関係者、市場で働く人たちの不安はなくなりません。
 また、地下水位についても、追加対策工事を行っても、目標水位に全て至っていない、目標水位に至っていない箇所が残されています。
 地下水位を目標水位にするため、地下水を強制的に引き揚げるウエルポイント工法を行ってきました。私は、ウエルポイント工法は、緊急に地下水位を下げるためのものであることをこの間指摘し、二〇一八年六月二十二日の経済・港湾委員会で、ウエルポイント工については、実際の工事が仕様書と異なっていることについて質問しました。そのとき、ウエルポイント工をいつまでやるのかと質問しても、期日を明確には答弁できませんでした。
 そこで、改めてお聞きします。
 地下水管理システムの機能強化であるウエルポイント工は、どうなっているのですか。

○佐々木環境改善担当部長 ウエルポイント工は、主に街区周縁部など降雨の影響を受けやすいところを対象に設置しております。
 当初は、二十一カ所で稼働しておりましたが、揚水の効果や市場運営に与える影響などを考慮し、現在は十四カ所となっております。

○尾崎委員 ウエルポイント工は、本来は、一時的な地下工事のために地下水を引き揚げるものです。しかも、そもそもウエルポイント工は、仕様書によると、揚水開始から八十日間となっていたわけです。三月末で十六カ所、そして、現在は十四カ所でウエルポイント工が稼働しているということです。
 当初から、我が党が指摘してきたように、地下水管理システム、これはやはり機能破綻しているということではないでしょうか。
 ウエルポイント工を長く稼働すれば、目詰まりが生じ、清掃などのメンテナンスが生じると思いますが、清掃などは行ったのかどうか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 一般的に、ウエルポイント工を長く稼働した場合には、水を吸い込むストレーナーと呼ばれる網状の部分が土中の細粒分などにより目詰まりしやすいといわれております。
 豊洲市場に設置したウエルポイントにつきましては、ストレーナーの外側にさや管を設置するなどして、目詰まりが起こりづらく、管理しやすい構造としております。
 ストレーナー部などの清掃については、揚水の状況を把握しつつ、日常の維持管理の一環として実施しております。

○尾崎委員 清掃も行いながら稼働しているということです。しかし、約二十億円をかけた追加対策工事、地下水管理システムの機能強化を行っても、目標水位に達成できない。三月二十七日時点で、A.P.プラス一・八メートルを超えているのは、三十三カ所のうち十八カ所です。A.P.プラス二メートルを超えているのは、八カ所もあります。台風や大雨があれば、水位はすぐに上がってしまう状況です。
 我が党は、地下水管理システムの設計を行う前の地下流動や地質調査などが不十分だったのではないかと当初から指摘してきましたが、追加対策工事を行って機能強化しても、目標水位にならないような状況は大変深刻です。これではやはり安心・安全な市場とはいえません。
 豊洲市場の整備費については、資料要求しましたが、その資料を見ると、整備費と追加対策工事を合わせると五千七百三十億円にもなります。こんなにお金をかけても無害化もできない、全ての地下水位も目標水位にならないわけです。これでは市場関係者は納得できません。安全・安心は市場の前提条件のはずです。しかも、開場後も使い勝手が悪く、追加対策工事が必要でした。
 豊洲市場が開場してからの追加工事はどのようなものがありますか。また、金額はどのようになっているのか伺います。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 豊洲市場の施設や設備につきまして、都では、その機能を十分に発揮できるよう業界の意見を聞きながら必要な改善に努めております。
 昨年十月の開場後、ターレの充電設備の充実、場内サインや照明の追加工事、清掃効率を向上させるための設備工事などを行っております。こうした追加の工事に要した経費といたしましては、約一億円となっております。

○尾崎委員 開場後もさまざまな使い勝手が悪く、改善が必要となり、ただいまのご答弁ですと、開場後の追加工事も約一億円だということです。豊洲市場のように、大規模な施設建築物が、完成後に追加工事や改修工事が必要になることそのものが大問題で無駄遣いだと厳しく指摘しておきます。
 次に、豊洲市場の開場日にターレのぼやが起きたことは、都民の記憶に残っています。しかも、ターレの荷台に乗っていた人が振り落とされて死亡した事故も起きました。
 改めて、豊洲市場で、開場してからターレの事故は何件か伺います。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 開場以降のターレによる事故件数は、八月末時点におきまして約百五十件となっております。

○尾崎委員 築地市場は平面でしたが、豊洲市場は立体で急な坂道やカーブもあります。カーブミラーなどの改善も行われましたが、やはり設計に無理があったのではないかといわざるを得ません。
 それでは、エレベーターの故障、事故は何件か伺います。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 豊洲市場には、合計で六十三台のエレベーターが設置されております。開場以降のエレベーターの故障、事故件数は、八月末時点で約百十件となっております。

○尾崎委員 エレベーターの故障、事故件数は、本年八月末時点で百十件ということですが、やはり多過ぎるのではないかと思います。
 エレベーターのドアは横開きではなく上下開きになっていますが、どのような基準で決めたのですか。

○渡辺施設担当部長 荷物用エレベーターの扉の開き勝手などの仕様につきましては、エレベーターの使い方、出入り口の幅、積載重量、設置場所、階高などを考慮して決定いたします。
 豊洲市場における荷物用エレベーターにつきましては、ターレが二台並んで乗ることができるよう、出入り口の幅をできるだけ確保する必要があったこと、上下開き扉のエレベーターは、左右開きのものと違い、扉をスライドさせる溝が床にないため、重量物などをスムーズに積み込むことが可能であること、溝にごみなどが落ちて扉の開閉の支障となる心配がないことなどから、豊洲市場の荷物用のエレベーターは上下開きを採用したものでございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁では、出入り口の幅や溝が床にあるかないかが、判断するのに重要であったことと答弁がありました。大事なことなので伺いますけれども、エレベーターをどうするかというふうに決めるとき、人が挟まれる事故は想定して検討したのかどうか伺います。

○渡辺施設担当部長 荷物用エレベーターにつきましては、扉にセンサーがついてございまして、それによって、人の挟まれを防止するような機能がついてございます。

○尾崎委員 センサーがあるからというようなことで検討して、横開きではなく、上下になったという答弁でした。
 それでは、エレベーターの事故防止に対する対策は、どのようなことを行ったか伺います。

○西坂豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務 エレベーター事故の多くは、ターレの接触等によるものでありますことから、都は、エレベーター前での一時停止、ターレの制限速度などといった交通ルールを遵守するよう周知を図ってきました。
 その後、本年四月に六街区で発生したターレによるエレベーターへの接触事故を踏まえまして、再発防止に向けた取り組みを強化しております。
 具体的には、業界主体による安全運転講習会の開催、それとともに、都といたしましても、一時停止が徹底されるよう、サイン表示の充実やエレベーター前の減速帯の設置など、安全な施設環境の整備を進めているところでございます。

○尾崎委員 エレベーターの入り口前に、ただいまご答弁あったように、減速帯を置いたわけですね。しかし、ターレに乗っている方たちからは効果がないと。しかも、逆に、減速帯があることで邪魔になると感じている、こういう声も寄せられています。
 日本共産党都議団は、全国各地の中央卸売市場のエレベーター設置状況について調査をしました。豊洲市場のような大規模な市場は全国でも初めてで、エレベーターが設置されていても、荷物だけを積み込むようになっているところがほとんどでした。
 ターレごとエレベーターに乗り込む場合には、エレベーターの扉は横開きが安全だと私は思います。何があったときに、横開きだったら、ターレに当たって扉はとまるのです。横開きのエレベーターは場所をとりますが、安全性を最優先すべきだと思います。市場の安全のために、思い切った改善を検討すべきだと要望するものです。
 次に、取扱量について伺います。
 二〇一八年度の豊洲市場の取扱量はどうなっていますか。

○長嶺事業部長 二〇一八年度、平成三十年十月から平成三十一年三月までの豊洲市場の取扱量は、水産物部は十七万七千三百トン、青果部は十二万八千六百六十五トンでした。

○尾崎委員 豊洲市場での半年分についてご答弁をしていただきました。青果部の取扱量はふえているようですけれども、深刻なのは水産物取扱量で、移転後、減少し続けています。
 そこで、大事なことなので確認のためですが、認可申請時に提出した事業計画書の取扱量の積算根拠について伺います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 豊洲市場の認可申請における事業計画の取扱量は、平成十六年七月に公表した豊洲新市場基本計画をもとに算出したものでございます。

○尾崎委員 豊洲市場の認可申請の際、取り扱いについての計画は幾らだったのか。二〇一八年度の実績との差はどのように説明するのか伺います。

○長嶺事業部長 豊洲市場の認可申請におきましては、平成三十年度の取扱数量の見込みを、水産物は十九万四百十一トン、青果は十一万六千五百五十三トンとしております。
 取扱数量の見込みは推計でございますが、先ほどご答弁申し上げた昨年度の実績と比較すると、水産物は実績が下回り、青果は実績が上回っております。
 卸売市場における取扱量は、産地の状況や実需者のニーズなどにより変動するものですが、都といたしましては、閉鎖型施設で高度な品質、衛生管理が可能であることや、多様なニーズに応える加工パッケージ施設などを有するといった豊洲市場のメリットを活用し、引き続き、国内外における販路拡大や取引の活性化を図ってまいります。

○尾崎委員 今回の豊洲市場での取扱量は半年分になります。単純に倍にすると、水産物部は三十五万四千六百トンです。二〇一六年度の築地市場の水産物部の実績は四十三万四千二百九十トン、二〇一七年度の実績は三十八万一千二十四トンとなっており、二〇〇〇年以降は毎年減少しています。
 ところが、二〇二三年度の見込みは、六十一万六千四百トンとなっています。二〇一七年度の約一・六倍増加するとしています。どうしたらこんなに取扱量をふやせるのか、販路拡大や取引の活性化を図っても、実現できるとは考えられず、疑問が残ります。やはり、国の認可を取りやすくするための数字だったといわなければなりません。この取扱量についての計画は、絵に描いた餅になっていると厳しく指摘をしておきます。
 次に、過去三カ年の市場会計の営業損失の推移について伺います。

○猪口財政調整担当部長 過去三カ年の市場会計の営業損益は、平成二十八年度は約四十三億円の営業損失、平成二十九年度は約四十九億円の営業損失、平成三十年度は約百二十五億円の営業損失で推移しております。

○尾崎委員 前年度決算と比べると、七十六億円の営業損失がふえたということになります。
 それでは、過去三カ年の減価償却費の推移について伺います。そのうち、豊洲市場の減価償却費は幾らになるかもお聞きします。

○猪口財政調整担当部長 過去三カ年の減価償却費は、平成二十八年度が約五十億円、平成二十九年度が約五十億円、平成三十年度は約八十四億円で推移しております。
 豊洲市場の減価償却費は、平成三十年度の約八十四億円のうち、約四十七億円となっております。

○尾崎委員 今年度の豊洲市場の減価償却費は、使用している半年分になるわけですから、来年度は、単純に考えると、倍の九十四億円になるということです。そして、その分、損失がふえるということにつながります。
 企業債の償還については、資料要求をして資料をつくっていただきました。この資料を見ると、令和二年、二〇二〇年度には、六百億円の企業債の元金償還金が必要になります。そして、令和七年度、二〇二五年度には、千三百三十一億円の元金償還金が必要です。
 これまで、資金繰りの関係で会計が破綻の危機にあり、企業債の借りかえで、その分、利息がふえると説明もされてきましたが、今年度の決算期、二〇一八年度の最終補正予算で、築地市場の有償所管がえを行い、現金が市場会計に入ったことで、今後十年間で、企業債は償還するということになると説明がありました。
 ことし三月、第一回定例都議会で、築地市場の用地の所管がえを約五千六百億円で補正予算を行いました。補正予算で行った理由について、小池知事は、一つは、築地まちづくりに対する都の意思を明らかにすること、二つ目に、将来の財政支出を可能な限り軽減すること、三つ目が、今年度の財源のめどを立てることができたと、三点について述べています。
 しかし、決算書を見ると、築地市場の所管がえを行わなければ、一般会計は一兆円を超える黒字になり、それは避けたかったのではないか。しかも、市場会計から見れば、土地を持っているよりも、自由に使えるお金があれば企業債の償還をスムーズにできるということになるわけです。だから、二〇一八年度の最終補正予算で所管がえを行ったとしか私は考えられません。
 事実確認として伺いますが、築地市場の跡地は、財務局に引き継ぐのはいつですか。

○猪口財政調整担当部長 土地の引き継ぎにつきましては、中央卸売市場が所有する全ての建物や工作物の解体工事等が終わった後、財務局に引き継ぐこととしております。
 具体的には、東京二〇二〇大会終了後に建物等の解体等を行った後、土地の引き継ぎを行う予定でございます。

○尾崎委員 本来であれば、この建物の解体等を行った後、土地の引き継ぎとあわせて所管がえを行うのが普通ではないかと考えます。
 それでは、埋蔵文化財の調査は、どの時期に、どこの責任で調査をするのか伺います。

○猪口財政調整担当部長 今年度の埋蔵文化財調査につきましては、中央卸売市場会計から執行委任により都市整備局で行うこととしております。
 来年度以降の埋蔵文化財調査につきましては、現在、関係局間で調整中でございます。

○尾崎委員 土地の引き継ぎは、東京二〇二〇大会終了後に建物の解体など行った後、しかも、土壌汚染調査と埋蔵文化財調査は、いつになるか、どのくらいの期間の調査になるかもわからない状況です。急いで、二〇一八年度の最終補正予算で所管がえを行う必要は、やはりなかったのではないかと厳しく指摘をしておきます。
 豊洲市場が開場後、市場関係者から、ほこりっぽくて、仕事が終わるころには喉が痛くなるという相談があり、日本共産党都議団は、黒い粉じんの独自調査を行いました。重金属の専門家に分析してもらいました。毒性の高いアンチモンやカドミウム、亜鉛などが検出されました。
 そこで伺いますが、ターレが床に削れて発生する粉じんについては、二〇一八年度はどのような調査を行いましたか。また、対策はどのように講じているのか伺います。

○堀豊洲市場連絡調整担当部長 豊洲市場は、建築物衛生法に規定する特定建築物に該当することから、建築物環境衛生管理基準に従いまして、建築物の維持管理を行うために必要な空気環境測定を実施しております。
 空気環境測定については、開場後の昨年十月、本年一月、二月及び三月と、三十年度においては計四回実施しております。浮遊粉じんの測定結果については、全ての測定ポイントにおいて、法令に定める基準値を大きく下回っております。
 粉じんの影響を防ぐための対策としましては、清掃作業について、範囲の拡大や頻度の向上、方法の改善を図るとともに、清掃効率を高めるための設備工事を実施しております。
 また、業界と連携いたしまして、適切なターレの走行を呼びかけるなど、粉じんの発生抑制に向けた取り組みも進めております。

○尾崎委員 空気環境測定は、合計四回実施したとのことです。しかし、この調査は、市場の営業がほぼ終わった時間帯、人がほとんど少なくなったところで行っているわけです。市場業者の方たちからは、自分たちが働いている時間、その時間で、空気がどうなっているのか、最低でもその調査をしてほしい、こういう声も出ています。
 そして、私たち日本共産党都議団は、粉じんに含まれている重金属の調査を行うべきだと、この間、予算特別委員会や経済・港湾委員会などでも要望してきました。しかし、東京都は、重金属の調査を行っていません。都が本気で対策を実施しようと考えるなら、粉じんに含まれている重金属調査を実施しなければ、適切な対策はできないと、厳しく指摘をしておきます。
 パネルをごらんください。字が小さくて大変恐縮ですけれども、これは、豊洲市場衛生検査所監視日報です。二〇一九年一月十六日には、第四通路など大通路の通路脇の四角い金属の箱の上に細かいほこりがたまっているので何とかならないかとの相談がある、卸の数名が肺炎になったと聞いたがという、そういう相談が寄せられています。また、三月四日の監視日報には、物販エリアの換気が悪く、空気が汚れており、不快であると苦情があったと、監視日報にこう書かれているわけです。
 仲卸業者の方から、豊洲市場が開場して一カ月で、喉が痛く、年明けからせきが出てとまらない、最初は風邪かと思ったが、一週間たっておさまらないので病院に行った、するとお医者さんからは、ぜんそくの疑いがあると説明を受けて、レントゲンやCTなどの検査も行った、吸入と薬を出してもらった、この方は、働いている人を物扱いにしていることが許されない、東京都は、働く人の健康を守る立場で、最低でも継続した健康診断をやってほしいと切実に私たちに話されました。
 経済・港湾委員会でも、都が健康診断を行うべきですよと要望してきました。しかし、都は、健康診断は事業所の責任でと、この間答弁してきました。
 大事なことなので、改めて伺いたいと思います。
 豊洲市場の開設者として働く人たちの健康問題に責任を持つべきです。少なくとも、健康診断は都の責任で行うべきですが、いかがですか。

○堀豊洲市場連絡調整担当部長 幾つかのお話をいただきましたので、分けてお話をさせていただきたいと思います。
 まず、空気環境測定の話をされました。空気環境測定の時間もいわれますが、売り場等の測定に関しましては、作業者の安全を確保しながら、市場業務に影響が生じない、そういう形でやらなくちゃいけないという必要がございますので、適切な時間に対応しているというふうに考えております。
 それから、健康の被害の話で、今、ぜんそくとかいろいろなお話がございました。豊洲市場内に診療所がございまして、ドクターと意見交換をしております。最近もやっておりますけれども、特に目立った大きな呼吸器系の疾患は最近ないというふうに聞いております。
 また、医師からは、このお話があった昨年の冬、寒かったです。気温が低下しておりまして、風邪も非常に多かったみたいなこともあって、そういう人たちはいたけれども、呼吸器系の症状で目立ったものというのを診るのは難しい、また、それを、症状を特定することは不明で、さまざまな要因が考えられるので特定できるものじゃないと、こういう意見を聞いているところでございます。
 健康診断の実施等を含めた健康被害についてのお話もございましたが、繰り返しになりますが、先ほど答弁しましたとおり、豊洲市場では、粉じんの影響を防ぐために、清掃範囲の拡大、頻度の向上、方法の改善といったような取り組み、また、設備工事も実施しております。また、ターレの安全運転講習会を実施するなど、粉じんが発生しないように抑制する取り組みも業界と連携して行っております。
 先ほども申し上げましたように、空気環境測定、法令に基づくものですが、この浮遊粉じん測定結果は、法令で定める基準を大きく下回っておりまして、大気汚染物質の健康被害に関係する専門家にも意見を聴取しましたが、こうした測定結果を踏まえますと、改めて成分調査を行う必要もなく、人体に対する健康影響については、大きなものはないと考えてよいという見解をいただいております。
 都としましては、引き続き、業界とも連携しまして、清掃を徹底するとともに、法令による空気環境測定をしっかり行いまして、空気内の空気環境の清浄度を確認して、市場業者の安心につなげてまいります。

○尾崎委員 それでは、パネルをごらんください。これは、先ほど紹介した方の病院の診断書です。病名は、せきぜんそくです。吸入と内服治療は継続していると書かれています。この方は、これまで健康には大変気を使っている方でした。ですから、病気などしたことない人です。ぜんそくになって、豊洲市場に行ってせきがとまらなくなって病院へ行って、完治できる見通しがないと、人生を変えられてしまったわけです。悔しい思いをしているんですよ。豊洲市場に移転してからせきがとまらない、働く人を物扱いしないでほしい、こういう方の言葉を都の皆さんはどう受けとめますか。豊洲市場で働く人たちは、築地で商売を続けたかった、でも、豊洲に来たのだから、豊洲で商売を頑張ろうと今必死で働いているわけです。築地に戻りたい、その思いは心の中に押し込んで、毎日頑張って働いている人たちの気持ちに、東京都は正面から応えるべきではないですか。
 働く人たちの環境を整備する、これは東京都の仕事です。最低でも、健康診断は都の責任で実施することを強く求めて、質問を終わります。

○菅原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○菅原委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四十一分散会

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