委員長 | 伊藤こういち君 |
副委員長 | 小松 大祐君 |
副委員長 | 白石たみお君 |
副委員長 | おじま紘平君 |
古城まさお君 | |
鳥居こうすけ君 | |
宮瀬 英治君 | |
斉藤まりこ君 | |
奥澤 高広君 | |
森口つかさ君 | |
福島りえこ君 |
欠席委員 なし
出席説明員水道局 | 局長 | 中嶋 正宏君 |
技監 | 相場 淳司君 | |
理事総務部長事務取扱 | 岡安 雅人君 | |
職員部長 | 木村 健治君 | |
経理部長 | 金子 弘文君 | |
サービス推進部長 | 小平 基晴君 | |
浄水部長特命担当部長兼務 | 尾根田 勝君 | |
給水部長 | 本荘谷勇一君 | |
建設部長 | 田中 慎一君 | |
経営改革推進担当部長 | 石井 英男君 | |
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 清水 英彦君 | |
設備担当部長 | 横谷 守君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 鈴木 勝君 |
調整部長 | 小山 伸樹君 | |
施設部長 | 今井 滋君 | |
技術調整担当部長 | 藤村 和彦君 |
本日の会議に付した事件
平成三十年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・平成三十年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)
○伊藤委員長 ただいまから平成三十年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
初めに申し上げます。
本日から三日間にわたり、本分科会の所管四局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成三十年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行います。
これより水道局関係に入ります。
初めに、水道局長から、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員の紹介があります。
○中嶋水道局長 公務のため、過日の分科会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介申し上げます。
技監の相場淳司でございます。多摩水道改革推進本部技術調整担当部長の藤村和彦でございます。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者挨拶〕
○伊藤委員長 紹介は終わりました。
○伊藤委員長 決算の審査を行います。
平成三十年度東京都水道事業会計決算及び平成三十年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○岡安理事 さきの分科会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
一ページをお開き願います。水需要予測と実績の推移でございます。
将来の水道需要の見通しと、平成二十六年度から三十年度までの一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。八ッ場ダム建設事業費に係る東京都の負担の推移でございます。
平成二十六年度から三十年度までの八ッ場ダム建設に係る総事業費、都の負担額、そのうち、水道局の負担額及びその他の負担額の推移をお示ししてございます。
三ページをごらんください。多摩川水系、利根川、荒川水系の年間取水量の推移でございます。
平成二十六年度から三十年度までの多摩川水系及び利根川、荒川水系の年間取水量をそれぞれお示ししてございます。
四ページをお開き願います。各浄水場等における自然エネルギー等による発電状況でございます。
浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備について、それぞれの設置年度、発電規模及び平成三十年度の発電実績をお示ししてございます。
五ページをごらんください。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
東京水道施設整備マスタープラン及び東京水道経営プラン二〇一六の二つの計画における計画期間、目標年次及び計画値並びに平成三十年度の耐震継ぎ手率の実績値をそれぞれお示ししてございます。
六ページをお開き願います。水道管路の布設年度別管理延長でございます。
配水本管及び配水小管の布設年度別の管理延長を一定期間ごとに区切ってお示ししてございます。
七ページをごらんください。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
平成二十六年度から三十年度までの未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
八ページをお開き願います。政策連携団体への委託料及び主な委託内容でございます。
水道局が所管しております東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCの二つの政策連携団体につきまして、平成三十年度の委託料及び主な委託内容をそれぞれお示ししてございます。
九ページをごらんください。国際貢献の新たな取り組みに関する海外出張に要した経費でございます。
平成三十年度におきましては、該当の出張はございませんでした。
一〇ページをお開き願います。水道料金の減免実績でございます。
平成二十六年度から三十年度までの減免額と減免件数について、その内訳と合計をお示ししております。
一一ページをごらんください。災害時の職員派遣実績でございます。
過去十年間に発生した災害について、当局職員を派遣した時期と人数をお示ししてございます。
以上、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○森口委員 平成三十年度の水道事業会計決算について質疑を行います。
東京都水道局は、高品質な水道水を常に安定して供給するとともに、昨今、全国で発生をしている震災や豪雨など、大規模災害の発生により断水等が長期化しないよう、施設や管路の更新、耐震化、また、復旧対応に向けた訓練、他道府県との広域連携など、ハード、ソフトの両面から対策が必要であります。
政府の地震調査委員会によりますと、ことし二月に南海トラフの地震の発生率が引き上げられ、今後二十年以内に最大六〇%の確率で発生をするといわれています。東京も含めた人的、物的被害の想定は、阪神・淡路大震災の十八倍、東日本大震災の十倍であります。
首都直下地震につきましても、発生が大変懸念がされております。
先日の台風十九号では、水道施設の冠水、停電などにより、全国で十三万五千戸以上が断水をし、多くの被災者にとって困難な生活を余儀なくされました。
そこで、まずは、都の災害に備えた施設の整備、耐震化として、平成三十年度にどのような事業を行っているのか、その実績もあわせて伺います。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、切迫性が指摘される首都直下地震などの大規模地震に備えまして、貯水施設の堤体強化のほか、浄水施設及び給水所の耐震化や更新を計画的に進めております。
貯水施設につきましては、平成二十八年度から令和五年度までを計画期間といたしまして村山上貯水池の堤体強化工事を施工しており、平成三十年度は、準備工事として、貯水池の一部を締め切る工事を実施いたしました。
また、浄水施設及び給水所につきましては、今後の更新計画等に留意しながら、取水から配水池まで、浄水施設の連続性やバックアップ機能の確保の観点から、施設の優先度を考慮し、効果的に耐震化を実施しております。
平成三十年度は、江東給水所や練馬給水所等の配水池の耐震化を完了したほか、東村山浄水場の沈殿池の耐震化や深大寺浄水所の更新等を進めております。
○森口委員 災害に対する備えとして、施設の耐震化や強化について、それぞれの目標、年次計画の達成に向け、しっかりと進めていただきたいと思います。
一方で、施設自体の老朽化も課題です。導水管、送水管、浄水場、給水所などの大規模な施設の更新について、どのような考えのもと進めているか、伺います。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 導送水管、浄水場及び給水所は、水道システムの骨格を形成する基幹施設でございます。これらの基幹施設の多くは、高度経済成長期に整備され、供用開始から約五十年を経過し、老朽化が進行しており、今後、更新時期が一斉に到来いたします。
施設の更新に当たりましては、給水を継続しながら実施していく必要があるため、工事に伴い停止する施設の機能をあらかじめ補わなければなりません。
そのため、現在、停止することができない導送水管は、バックアップ機能を確保するため、二重化を進めております。
また、浄水場は、更新工事中の能力低下を抑制するため、代替浄水施設の整備に着手しております。
給水所は、配水区域を適正な規模で再編するため、新設や拡充に取り組んでいるところでございます。
こうした施設の更新に必要な取り組みを行った上で、今後、本格的な施設の更新工事を、事業の平準化を図りながら推進してまいります。
○森口委員 安定供給を確保した上で事業の平準化を図り、進めていくとのことであります。限られた財源の中で更新工事を実施していくわけであります。災害に備えた施設の整備と基幹施設の更新を、計画的にバランスよく進めていくことが必要であります。計画的に、そして効率的に進めていくことを要望いたします。
次に、給水所から各家庭や事業所、施設へとつながる管路の整備、耐震化について、平成三十年度の取り組みとその実績を伺います。
○本荘谷給水部長 給水所から各給水区域に配水する配水管の耐震継ぎ手化につきましては、震災時の断水被害を効果的に軽減するため、重要施設への供給ルートを優先的に進めており、平成三十年度末の耐震継ぎ手率は四四%になっております。
これらの重要施設のうち、令和元年度を完了目標としている施設への供給ルートの耐震継ぎ手率は、平成三十年度末で、首都中枢機関、救急医療機関などでは九三%、避難所のうち中学校につきましては七三%、一日の乗車人数が二十万人を超える駅につきましては六七%、警察や消防を含む大規模救出救助活動拠点などにつきましては七七%、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の会場などにつきましては九六%となっております。
○森口委員 救急医療、警察、消防、また、有事の際の避難所となる学校等の施設など行政機関も含め、首都機能を支える重要施設について優先的に管路の耐震強化を進めているわけであります。
都では、東日本大震災等を踏まえ、切迫性が指摘されている首都直下地震などの大規模地震の被害想定を見直した結果、一部の地域では断水率が六〇%を超えることが想定されており、今後は、重要施設とともに、震災時における断水率が高いと想定されている地域の管路耐震強化を随時進めるとともに、耐用年数を踏まえた管路の更新につきましても計画的に進めていくことが重要であります。管路の整備、耐震化につきましてもスピード感を持って効率的に進めていただくことを要望いたします。
次に、災害時の大規模停電においては、浄水場や給水施設の送配水がとまり、広範囲に断水することが懸念されております。台風十五号、十九号によって相次いだ停電による断水は、住民に大きな被害をもたらしました。
そこで、災害時に備えた電力確保の取り組みとして、平成三十年度はどのような事業を行っているのか、実績をあわせて伺います。
○横谷設備担当部長 当局では、災害時に備えた電源確保の取り組みとして、令和三年度までに大規模停電時における給水確保率が一〇〇%となるよう、停電が断水に直結する可能性が高い百三十カ所の浄水場や給水所等において自家用発電設備の整備を進めております。
平成三十年度には、区部一カ所、多摩地区七カ所の施設で工事を実施し、そのうち、あきる野市にある深沢増圧ポンプ所及び青梅市にある二俣尾増圧ポンプ所で整備が完了いたしました。
その結果、平成三十年度末で、百十四カ所の施設で自家用発電設備の整備が完了し、大規模停電時における給水確保率は六九%となっております。
○森口委員 水道局では、非常用電源の備蓄燃料を七十二時間分の確保を目指し、灯油等の燃料タンクを整備するとともに、大規模浄水場などでは、地震に強い都市ガスも使用できる発電設備を導入し、電源確保に努めていると伺っていますが、引き続き、電源喪失による広域な断水が都内で発生しないよう、迅速な非常用電源の整備を要望いたします。
台風十九号では、福島や栃木において浄水場が浸水をし、長期間にわたり断水が続くことになりました。都においては、浄水場や給水所に止水板や防水扉を設置するなど、しっかりと対策を行っていると伺っておりますが、施設の浸水対策につきましても、万全な整備を要望したいと思います。
今回の台風被害からも、災害発生時において広域な停電や断水が発生した際、速やかな復旧とともに、被災者の飲料水、生活用水をできる限り早期に確保することが大変重要です。
そこで、発災時の応急給水体制はどのようになっているか、伺います。
○岡安理事 都では、発災時に応急給水を行う場所としまして、給水拠点、車両輸送、避難所等を災害時給水ステーションとしまして、都民に周知を図っております。
このうち給水拠点は、居住地からおおむね半径二キロメートルの距離内に設置することを目標としておりまして、当局の浄水場や給水所等の既存施設を指定しております。
また、給水拠点がない地域ができることのないよう、応急給水槽を設置しております。
現在、都全体で、浄水場や給水所、応急給水槽等、二百十五カ所の給水拠点が整備されております。
また、給水拠点での応急給水を補完するために、避難所の耐震化にあわせまして、避難所敷地内への応急給水栓の設置を進めておりまして、平成三十年度末において四六%の避難所で設置を完了しております。
○森口委員 断水時には、災害時給水ステーションで水を確保することになります。ここ新宿区におきましては、都庁すぐの新宿中央公園に面した淀橋給水所、そして鶴巻南公園、百人町のふれあい公園の三カ所のみであります。
新宿区は、高層ビルやタワーマンションも多く、区民の八割が集合住宅に住んでいるなど、断水時に、一人世帯のお年寄りや要配慮者などは水をしっかりと確保できるのか、不安な声も実際に聞いております。応急給水が機能するためには、そういった発災時を想定した訓練が大変重要と考えます。
そこで、平成三十年度に実施した応急給水の訓練について、実績や、そこから得られた課題について伺います。
○小平サービス推進部長 発災時の住民等への給水は、原則として区市町が実施することになっており、円滑な応急給水を行うためには、区市町の職員と地域住民による日ごろからの訓練が不可欠と考えております。このことから、当局では、区市町や地域住民、学校などに対して応急給水訓練を毎年実施しております。
平成三十年度は、応急給水用資器材の組み立てや残留塩素の検査など、実際の応急給水に即した訓練を合計百五十七回実施し、延べ約三千三百名の方が参加されました。
今後とも、多くの方々に応急給水活動を体験してもらい、災害対応への理解を深めていただくことが必要であると認識しており、引き続き、実践的な訓練を行うとともに、広く参加を呼びかけてまいります。
○森口委員 発災時の円滑な応急給水がしっかりと機能するよう、引き続き、区市町村と連携をし、取り組みを進めていただきたいと思います。
次に、災害時の広域連携について伺います。
大規模自然災害が発生をした際は、被害が広範囲にわたるなど、早期の復興、復旧には他県との連携が大変有効であると考えますが、水道局の取り組みについて伺います。
○岡安理事 首都直下地震の発生を想定しまして、被災都市と大都市等からの救援隊との連携を確認し、救援活動の実効性を強化するために、全国の大都市等、二十二水道団体が参加をいたしました首都直下地震対処大都市水道合同防災訓練を本年一月に初めて実施いたしました。
また、本年二月には、局所的な災害の発生を想定して、隣接する関係団体の連携を強化するために、東京都、神奈川県、千葉県、山梨県の水道団体が川崎市に参集して実施しました日本水道協会関東地方支部合同防災訓練に参加をいたしました。
同じく二月に、平成二十七年から合同訓練などを通じて良好な関係を築いております茨城県と、大規模災害発生時に相互に宿泊場所や食料の手配等を行う支援拠点水道事業体の活動に関する覚書を、茨城県企業局と、水道団体として全国で初めて締結をいたしました。
○森口委員 多くの水道事業体との訓練を通じて広域的な連携を深めていることが確認できました。平成三十年度は、全国で初となる合同防災訓練を実施したとのことで、すばらしい取り組みであり、高く評価をいたします。
首都直下地震においては、被災事業体と全国の救援部隊が連携をし、柔軟で的確な応急給水対策をとることが重要です。今後も、他の自治体と合同訓練や情報交換を進め、実効性を強化していただきたいと要望いたします。
また、東京都は、発災時の柔軟な対応として、平成二十九年に全国で初めて、水道災害救援隊、通称Tokyowater Rescueを創設し、被災地域を即時支援できる体制を確立しております。
そこで、東京水道災害救援隊の創設の経緯と活動の実績について伺います。
○岡安理事 東京水道災害救援隊は、これまでの災害派遣において、必要な人員確保に時間がかかるなどの課題があったため、いつ、どこで発災しても、被災地からの要請に基づき、直ちに救援隊を派遣できる仕組みとして創設したものでございます。
この救援隊は、断水に対応する応急給水や、水道管の漏水に対応する応急復旧などを行うことができる体制を常時確保しております。
救援隊の活動としましては、平成三十年七月豪雨において甚大な被害が出ました岡山県倉敷市真備町に水質試験車を派遣し、被災した住宅近くの水道バルブから水をとって回り、水質試験車で飲用に適した水か検査を行い、飲用水供給再開に必要な水質検査作業を行いました。
なお、先月発生いたしました台風十五号におきまして、発災当日、千葉県東金市及び大網白里市に給水車を派遣し、病院等への応急給水を実施いたしました。それに引き続きまして、千葉市及び富津市に給水車を派遣し、住民への応急給水を実施したところでございます。
今回の台風十九号においては、神奈川県に給水車を派遣し、病院への応急給水を実施いたしました。
○森口委員 Tokyowater Rescueは、東京都の水道局が全国に先駆けて創設したものであり、意欲的な取り組みとして高く評価をいたしております。昨年度の西日本豪雨や今回の台風十五号、十九号におきましても被災地派遣を行っており、こういった派遣で得られた経験や知見を今後のレスキュー活動に生かすとともに、都の防災対策に反映をいただきたいと思います。
被災した自治体への派遣は大変すばらしい取り組みではありますが、一方で、派遣する職員の安全管理や健康管理につきましても十分なケアをしていただきたいと要望いたします。
次に、安全・安心の水道の供給には、自然災害への備えとともに、浄水場への毒物混入など、水道施設におけるテロ対策も重要な課題であります。
そこで、平成三十年度に実施したテロ発生を想定した訓練や対策について伺います。
○岡安理事 テロ発生を想定した訓練は、局施設へのテロとサイバーテロを想定した訓練をそれぞれ実施いたしました。
局施設へのテロ発生を想定した訓練は、発生から対処まで一連のテロ対処活動を強化するために、被災想定を訓練参加者にブラインドにして、図上訓練や各施設の情報連絡、緊急点検などを、全ての事業所を含む局全体で実施いたしました。
また、浄水場等の重要施設における警察や地元住民との連携した警戒を強化するために、小河内ダムや浄水場で個別の訓練を実施いたしました。
サイバーテロ発生を想定した訓練は、情報システムや制御系システムへのテロ対策を強化するために、国や警視庁が主催する訓練への参加や、全職員を対象にした標的型メール攻撃対応訓練を実施したところでございます。
○森口委員 テロ対策は、こういった公の場で詳細を公表するわけにはいきませんが、水道局としてしっかりと準備を行っていることが確認できました。引き続き訓練を実施するとともに、国、関係機関、区市町など多様な主体と連携をし、万全を期していただきたいと思います。
大規模自然災害の脅威に対しまして万全の備えをするということは、首都東京の責務であるということはいうまでもありませんが、一たび大災害が起これば、こうした被害に東京だけで対応できることには限界があります。水道局では、既に多くの主体と連携をした防災対策に取り組んでいるところでありますが、今後も引き続き、連携を強化し、経験や技術を共有し、昨今、激甚化している自然災害の備えに積極的に取り組むよう要望し、次のテーマに移ります。
昨年九月、IWA、国際水協会の世界会議が東京で開催されました。これは、世界の産官学の水分野の専門家が一堂に会し、世界の水問題に関する新たな知見や最先端の技術を共有する国際会議であり、日本で初めて開催がされ、過去最大の規模であったと伺っております。都の水道局の持つ技術を生かして、世界の水環境の向上や水問題の解決に貢献をしていく重要な機会でありました。
我が会派は、IWA世界会議を成功させるとともに、そこで得られた成果や知見を今後の水道事業へしっかりと生かすべく、これまでさまざまな質疑をしてきました。
本日は、昨年九月の世界会議で得られた成果や知見をどのように活用しているのか、その後の具体的な取り組みについて伺っていきます。
まずは、昨年のIWA世界会議でどのような成果があったのか、改めて伺います。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 IWA世界会議・展示会では、過去最高の約九千八百人のご参加を得ますとともに、当局職員による六十九編を含む九百八十五編の論文発表や、第一線の研究者等による基調講演などが実施されました。
小池知事からも、多くの参加者を集めた基調講演において、上下水道事業の強靱化のため、心技体の視点、すなわち意識、技術、システムの三つを高めていくことが重要であるとの考えが提唱されますとともに、新たな取り組みとして、スマートメーターの水道事業への幅広い活用を目指した大規模な実証実験を行っていくことが示されたところでございます。
こうした論文発表や基調講演などを通して、世界の水問題解決に向けて、災害対策や水質管理、エネルギーの効率化のほか、ICTなど多岐にわたる最新の知見や技術が共有されました。
さらに、論文発表における質疑応答や意見交換、展示会における局事業の説明などを通じ、職員と海外の水道関係者との人的なネットワークの構築が行われたところでございます。
○森口委員 最新の知見や技術の共有と人的ネットワークの形成の二つが大きな成果であったとのことであります。
次に、それぞれの成果を局の中で生かしていくため、どのような取り組みを進めてきたのか、伺っていきます。
まず、会議を通じて得られた知見や技術の活用についてでありますが、会議で発表された水道局職員を含む多数の論文や資料などを局の資産として共有し、活用していくことは、職員の技術力の向上に大変有益であると考えます。
昨年の公営企業委員会でも、会議を通じて得られた論文や資料等の情報を分類し、掲載するデータベースを構築し、事業運営に生かしていくとの答弁がありました。
会議で得られた知見や技術を事業運営に生かしていくため、具体的にどのような取り組みを行っているのか、伺います。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 世界の水道に関する貴重な知見を職員の技術力の向上等に活用いたしますため、計四百四十五本の論文や資料について、IWA世界会議アーカイブスとしてデータベース化し、平成三十年十二月に局内のネットワーク上に掲載したところでございます。
データベース化に当たりましては、職員が参照しやすいよう、水道事業経営やICTなど分野別に論文を整理いたしますとともに、招致活動から開催に至る活動記録や開会式等の運営マニュアルなど、今後の会議等の運営にも資する情報も盛り込みました。
また、会議の成果や局の取り組みを都民の皆様にもわかりやすくPRするため、会議の概要を初め、知事の基調講演の映像や職員の発表論文等を、IWA世界水会議Webライブラリーとして局のホームページで公表しております。
○森口委員 世界の最先端の技術や研究に関して、計四百四十五本の論文や資料をデータベース化し、参加できなかった職員も、知見を学び、活用できる仕組みを整えているとのことであります。ぜひこのデータベースを実際に活用し、局の技術力の向上を図っていただきたいと思います。
また、世界会議のもう一つの成果として挙げられているのが、会議で得られた人的ネットワークの活用です。
そこで、人的ネットワークの整備に向けた取り組みとその活用について伺います。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年の会議期間中には、論文発表や展示会などにおいて、職員が海外からのさまざまな参加者と交流や意見交換を行ってございます。こうした参加者の所属組織や役職等に関する人的ネットワークの情報を局の財産として共有するため、IWA世界会議アーカイブスに掲載し、海外の研究者や水道事業体等への情報発信や、情報収集を行うツールとして整備したところでございます。
本年度から全庁でスタートいたしました国際競争力強化プロジェクトにおきましても、職員がこの情報を用いて海外水道事業体との調整を行い、先進的な事例の視察を行うなど、具体的に活用しております。
さらに、局の取り組みを紹介するメールを定期的に送信し、ネットワークの維持と海外に向けた東京水道の発信強化にもつなげているところでございます。
○森口委員 本日の質疑で、昨年の世界会議の成果である最新の知見や技術、また、人的ネットワークを都の水道事業の発展につなげるべく、さまざまな取り組みを行っていることがわかりました。
世界会議の成果も踏まえ、今後も、水道局として国際的な取り組みを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年の会議では、当局の多くの職員が水道に関する最新の知見や技術に直接触れるとともに、職員みずからが英語の論文発表や意見交換を行ったところでございます。
こうした経験を一過性のものとしないため、今後も継続して国際会議に参加することにより、グローバル人材の育成や海外の先端技術の動向を把握いたしますとともに、東京水道の技術やノウハウを広く発信し、東京のプレゼンス向上にもつなげてまいります。
また、会議において構築した人的ネットワークにつきましても、海外からの研修や視察の受け入れ、職員の海外出張などの機会を捉えて拡大を図ってまいります。
さらに、海外水道事業体等が来日する機会を活用し、国内企業と海外事業体とのマッチング等を実施するなど、民間企業の海外展開も支援してまいります。
こうした取り組みを進めるとともに、国や政府関係機関、民間企業とも連携し、さらなる東京水道の国際展開を推進してまいります。
○森口委員 東京の水道の技術やおいしい水道の魅力などを通じて、世界に東京のプレゼンスが高まるとともに、世界のさまざまな水問題の解決に貢献していくことを期待いたします。
次のテーマに移ります。デジタル化の推進、水道事業へのICTの導入について質問をいたします。
都民サービスの向上、業務の効率化を進めていくためには、行政においても、最新のICT技術の活用、デジタル化を前提とした業務プロセスの見直しが必要不可欠であります。都内全域に二十四時間三百六十五日絶え間なくサービスを提供している水道事業においても、ICTの活用が必須であります。とりわけ事業の最前線であるお客様サービス部門において、ICTの導入を積極的に進めていく必要があると考えます。
まず、昨年七月に導入したAIチャットボットについて確認をしていきます。
水道局のホームページでは、人工知能を活用した自動会話のプログラムにより、マスコットキャラクターが都民の質問に回答を行います。これにより、都民からの問い合わせに対して、インターネットを介し、二十四時間三百六十五日、対応ができるようになっております。都庁におけるチャットボットの活用は、我が会派の藤井あきら議員が中心となり、平成二十九年度より要望を進めてきました。
まず、昨年七月に導入したAIチャットボットの実績や導入状況について伺います。
○小平サービス推進部長 昨年七月に当局のホームページに導入したチャットボットは、本年三月末までに、延べ二万六千五百四十四人に利用され、七万一千八百二十八件の質問に対して回答いたしました。
また、質問の内容は、水道の開始や中止など手続に対するもののほか、災害時給水ステーションの場所や水道工事に関するものなど多岐にわたるものの、回答率は、本年二月以降、八〇%以上となっております。
さらに、水道の開始や中止の手続の回答時には、インターネット受付画面へのリンクを表示し、容易にウエブ手続に進めるようにしておりまして、お客様サービスの向上に寄与しているものと認識しております。
○森口委員 既に多くの都民からの問い合わせに対応していることが確認できました。私も実際に使ってみましたが、調べたい文字やワードを入力すると、AIにより質問文の候補が数件表示され、大変スムーズに回答を得ることができました。回答率も八〇%を超えているとのことで、既に効果的に活用がされているといえるのだと思います。
一方で、まだ回答できていない質問もあるわけでありますが、回答率を高めていくために、水道局ではどのような取り組みを行っているのか、伺います。あわせて、お客様サービスを向上するために工夫している点についても伺います。
○小平サービス推進部長 当局では、チャットボットの回答率を向上させるため、随時、お客様が入力した質問内容の履歴を分析し、新たな回答候補を追加するなどの改善を図っております。
また、お客様サービスの向上のため、IWA世界会議・展示会の開催PRや、引っ越しシーズンにおける水道手続に関する注意喚起など、お客様にご理解いただきたい内容をチャットボットの最初の画面で適宜表示し、効果的な広報媒体としても活用しております。
さらに、チャットボットをより多くのお客様に利用していただくため、SNSで発信するなど、PRを積極的に実施しております。
○森口委員 ぜひお客様サービスの向上に向けて取り組んでいただくよう、要望いたします。
次に、水道局のコールセンターであるお客様センターにおいて、本年三月にAIが試行的に導入されたとのことでありますが、お客様センターへのAI導入について概要を伺います。
○小平サービス推進部長 当局では、水道開始の受け付けや問い合わせ等に対する総合窓口としてお客様センターを設置し、年間二百万件を超える受け付けや問い合わせに対応しております。
近年、お客様センターでは、人手不足により人材確保が困難になるとともに、知識が豊富なベテランオペレーターが減少するなどの状況となっております。
そこで、オペレーターの熟練度に左右されずに迅速かつ的確なお客様対応を行うとともに、より一層のサービス向上を図っていくため、本年三月から、オペレーターを支援する最先端テクノロジーのAI機能を導入し、試行を開始しております。
○森口委員 AIが具体的にどのような働きをするのか、その内容について伺います。
○小平サービス推進部長 お客様センターに導入しましたAIは、お客様とオペレーターとの会話や、その会話の内容に応じた適切な回答候補をディスプレー上にリアルタイムで表示する機能となっております。これによりオペレーターは、お客様との会話内容を適宜確認することができるとともに、画面に表示される回答候補をもとにした適切な対応が可能となります。
こうした機能を活用することで、経験の浅いオペレーターでも、お客様に対するより的確な対応や、応答時間の短縮による業務効率化を図ることができると考えております。
○森口委員 コールセンターは、民間においても離職率が高いなど、常に人材不足が課題となっており、AIの導入が進んでいる分野でもあります。
水道局では三十年度から試行を開始したとのことで、まだ導入段階と思われますが、現時点での課題について伺います。
○小平サービス推進部長 現在行っております試行では、AIが認識しにくい水道の専門用語を誤った言葉で表示したり、また、AIのデータ不足により適切な回答候補が表示できないなどの課題が一部に見受けられました。
このため、専門用語に対する認識精度の向上や、適切な回答候補を判別するための学習、オペレーターにわかりやすい回答候補の作成などに取り組んでおります。
さらに、AIは、受け付けの自動対応やお客様の声などのビッグデータ分析など、将来的な発展も含めてさまざまな活用が期待できることから、今後、お客様サービスの一層の向上に資するため、AIのさらなる利用拡大や高度化に向けた検討を進めてまいります。
○森口委員 長期戦略、未来の東京への論点にも掲げられておりますが、これからの都政改革では、定型業務の大半をAIが担い、職員は政策のイノベーションに注力しなければなりません。AIなどのICT技術を積極的に導入し、都民の利便性を一層向上させるとともに、水道事業の効率化やイノベーションを推進していくことを強く要望いたします。
最後に、これまで我が会派として事業の見直しや改善について指摘を行い続けている水道局のあんしん診断事業について質問をいたします。
まずは、都内の水道事業者の数とあんしん診断を受託できる事業者の数について伺います。あわせて、平成三十年度までの業者への委託金額の総額について伺います。
○本荘谷給水部長 都が指定しております指定給水装置工事事業者の数は、平成三十年度末で五千九百四十四社でございます。
東京水道あんしん診断業務の契約に当たりましては、年間で区部約百三十万件、多摩地区約四十五万件の診断業務の履行が可能であること、給水設備についての専門知識を有していること、水道事業及び水道局の取り組みに関する知識を有していることなどの条件を付してございます。
なお、本業務の履行中に、水質事故や漏水など緊急を要する事態が発生した場合におきましては、統一的な連絡体制による確実かつ円滑な対応が必要となります。
このことから、本業務を適正に履行できるのは、専門知識を有している給水装置工事事業者が多く加盟し、かつ連絡体制を整備している管工事組合二団体のみでございます。この二団体に支払った平成三十年度までの委託費の総額は、約二十八億円でございます。
また、事業の進捗管理やお客様からの問い合わせ対応などを、政策連携団体である東京水道サービス株式会社に委託しております。同社に支払った平成三十年度までの委託費の総額は、約六億円でございます。
このほか、システムの運用費や物品の購入費などの支出がございます。
平成二十七年度から平成三十年度までの東京水道あんしん診断に係る事業費は、総額で約四十七億円となっております。
○森口委員 あんしん診断事業は、都の政策連携団体であるTSSや局の職員を除くと、東京都管工事工業協同組合と三多摩管工事協同組合に対して、平成二十七年度から三十年度までの四年間、特命随意契約で計二十八億円の仕事を委託いたしております。四年目である三十年度も、二団体に加盟をしている百五十一社という、都内の指定給水装置工事事業者の二%である非常に限られた業者のみがこの仕事を行っております。
都内七百五十万全ての水道利用者に、この二団体に加盟をしている業者の診断員が個別訪問をし、水質、漏水検査とアンケート調査を行うといった事業であり、本年度も、五年目の最終年度として事業が行われております。
この二団体に加盟をしている限られた業者のみが、五年間、あんしん診断業務を行っているわけでありますが、本診断は、水道事業にかかわる資格が必要な専門的な作業になるのか、確認をいたします。
○本荘谷給水部長 東京水道あんしん診断で実施している水質調査におきましては、残留塩素濃度及び電気伝導率を測定し、数値に応じまして、お客様宅の水質状況を専門的な視点から説明しております。
また、漏水調査におきましては、お客様立ち会いのもと、蛇口を全て閉めた状態で、水道メーターのパイロット回転のみにより漏水を確認し、漏水がある場合は、その原因や対処方法などを具体的に説明しております。
さらに、高度浄水処理や震災等の災害で断水したときの給水拠点等につきまして説明するとともに、お客様からの水道事業全般に関する質問等をいただいた場合には、パンフレットなどを用いてわかりやすく丁寧に説明するなど、臨機応変に対応しております。
こうしたあんしん診断業務を円滑に実施するためには、給水装置工事主任技術者の資格は必要ではございませんが、給水装置の構造、材質や水質事故への対応など、給水設備全般に関する幅広い知識を有していることが不可欠でございます。
○森口委員 本診断に関して、給水設備全般の幅広い知識が必要であるが、水道工事にかかわる専門的な資格は不要であるとのことであります。専門的な資格は不要である業務に関して、五年間、特定の団体への随意契約をしているわけであります。
次に、あんしん診断で行う、それぞれの作業内容について伺っていきます。
まずは、水質調査について伺います。
都は、都内全域をカバーする百三十一カ所の給水栓全てに自動水質計器を設置し、常時、水質検査を行うとともに、水道法の基準を超える精密検査についても、全ての給水栓で行っております。
そもそも、配水管の先の給水管や蛇口の整備は民間の資産であり、都の資産ではありません。水道法や都の給水条例にのっとり、資格を持った民間業者が工事を行っております。
民間の資産である給水栓の先の蛇口までの水の品質調査や漏水調査は、公金の支出として適切でしょうか。
○本荘谷給水部長 東京水道あんしん診断は、電気やガスの保安点検と同様に、水道につきましても、個別にお客様宅を直接訪問し、水質調査や漏水調査を行うことにより、基幹ライフラインとしての安全性や都民からの信頼を確保するという観点に立って実施している側面がございます。
給水装置はお客様の資産ではございますが、二十四時間三百六十五日、安全な水道水を供給する責務を負う公営企業局としまして、水道水の水質につきまして、お客様宅に安全な水が届けられていることを直接確認することは意義があると考えております。
また、漏水調査で漏水を発見することや、水道メーターで漏水を発見する方法をお客様に説明することは、漏水の早期発見につながり、貴重な水資源の有効活用に資するとも考えており、お客様サービスの一つとして有効であると考えております。
こうしたことを含めまして、全てのお客様に水道局の取り組みに対する理解を深めていただくとともに、高品質な水道水を実感していただくことや、お客様ニーズをきめ細かく把握し、水道事業に反映していくこと、局職員及び政策連携団体社員のサービスマインド向上を目的として、東京水道あんしん診断を実施しております。
こうした観点から、当局の事業としてあんしん診断を続けることは適切であると考えてございます。
○森口委員 水質調査については、自動水質計器で都内全域が検査されており、あんしん診断がなくとも常時測定がされています。あんしん診断が実施されようがされまいが、都内の全ての利用者にとって、しっかりと安全な水を提供していただいているものと理解をしております。都民の税金の適切な使い方であるとは全く思えません。
漏水についても、毎月もしくは二カ月に一度、水道料金メーターを検針員が確認しているとともに、誰でも簡単に水道メーターで調べることができます。
あんしん診断のように、全世帯を個別訪問し、漏水チェックをしている自治体はあるのでしょうか。伺います。
○本荘谷給水部長 本年三月に、政令指定都市の水道事業者二十団体を対象としましてヒアリングを行いましたが、全世帯を訪問して漏水調査を行っている水道事業体はございませんでした。
○森口委員 民間の資産である蛇口までの漏水調査や水質調査のために、診断員が全世帯個別訪問を行い、診断をしている自治体はありません。
東京都給水条例第十八条には、水道使用者等は、善良な管理者の注意をもって、水が汚染し、または漏れないよう給水装置を管理し、異状があるときには、直ちに管理者に届けなければならないと記されており、水の汚染や漏水など給水装置の管理や異状に関しては、水道使用者等の管理上の責任と明記がされており、水の汚染や漏水など給水装置の異状に関する調査、診断に都の税金を充てる根拠が全くなく、知事の進めている都政改革の大原則でありますワイズスペンディングに反した無駄な事業であると強く指摘をいたしておきます。
あんしん診断の取り組みとして、都の水道事業の取り組みPR冊子の配布やアンケートなどで利用者ニーズの把握をすることも目的としておりますが、三十年度の実績と、寄せられた声をどのようにその後の水道事業に生かしているのか、伺います。
○小平サービス推進部長 あんしん診断におきましては、アンケートを実施し、当局の事業やサービスに関する認知度、満足度のほか、自由意見により、お客様の要望等を把握しております。これらの内容につきまして、少々長くなり恐縮でございますが、具体例を挙げながらお答えさせていただきます。
まず、平成三十年度のアンケート回答数は約四十八万件で、水道の使用状況、水道水の水質、安全でおいしい水の安定供給に向けた取り組み、危機管理対策、給水装置、お客様とのコミュニケーション、水道料金に関する三十一の設問について回答を得るとともに、自由意見として、約七万人のお客様から延べ約八万件のご要望等をいただきました。
アンケートの結果、高度浄水処理導入の認知度は五〇・七%であり、十年前の平成二十一年度と比べ一二・五ポイント増加し、着実に認知されてきていることが確認できました。
また、飲み水としての満足度は七二・三%であり、同じく平成二十一年度と比べ二六・二ポイント増加し、高度浄水処理の導入等により、多くのお客様が水道水のおいしさを実感されております。
そのほか、委員からもご指摘がございましたとおり、最寄りの災害時給水ステーションにつきましては、今回のあんしん診断のアンケートでは、知らないと回答された方が六七%いるという客観的なデータが得られました。この点につきましては、区市町との連携を図るなど、対応を検討してまいります。
さらに、アンケートの自由意見では、現在の安全・安心なレベルを将来も維持していけるよう、早目早目に対応してもらいたいという水質の維持向上に関する意見や、震災や水害に際しての備えが十分であるかについて不安を感じるという災害対策の充実を求める要望など、さまざまな声が寄せられております。
こうした意見の中には、支払い方法について、電子マネーによる支払いを可能にしてほしいとの声もあり、本年七月、水道料金の支払いにスマートフォン決済を導入いたしました。
また、ホームページが使いにくいので、もっと見やすい構成にしてほしいとの声を参考に、アクセス数の多い情報をトップページに表示するなど、局ホームページを既に改善いたしました。
こうしたお客様からの意見につきましては、十分に分析、検証し、一層のニーズ把握に努めるとともに、水道事業へ的確に反映してまいります。
○森口委員 さまざまな都民の声を集め、スピード感を持って水道事業に反映させており、すばらしい取り組みと思います。しかし、統計的にも、都民のニーズを把握する上で、全七百五十万世帯に対して診断員が個別訪問し、アンケート依頼をしなければならないという、非効率的な取り組みに対する公金支出の妥当性はどこにもないと強く指摘しておきたいと思います。無駄遣いと考えます。
我が会派として、これまでも、公営企業委員会での質疑、予算、決算質疑、定例会などで幾度となく指摘をしてきたわけでありますが、本事業自体、特別な資格が不要にもかかわらず、都内の一部の業者が特命随意契約で仕事を受託し、五年間で六十一億円もの税金をばらまくだけの事業であると思わざるを得ません。これはどうなのでしょうか。業界の健全な発展や育成にもつながらないのではないでしょうか。これを放置してきた事業当局の責任は重いと考えます。
そこで、本事業を続けてきた責任をどのように考えているのか、局長に伺います。
○中嶋水道局長 東京水道あんしん診断は、全てのお客様に当局の取り組みに対する理解を深めていただくとともに、高品質の水道を実感していただくことや、お客様ニーズをきめ細かく把握し、水道事業に反映していくこと、また、局職員及び政策連携団体社員のサービスマインド向上を目的として実施しております。こうした取り組みは、安全な水道水を供給するという水道事業者の責務として意義のあるものと認識しております。
なお、本事業は、平成二十七年度から今年度末までの五年間で約七百五十万件の診断を実施することとしており、平成三十年度までに約五百八十一万件の診断を終えております。
その結果、各家庭で使われている水道水が適正な水質であることをお客様にじかに確認していただくとともに、約五千件の宅地内漏水を発見し、即時の修理につなげるなど、成果を上げております。
また、先ほどご答弁いたしましたが、アンケート調査におきましては、これまで約百五十九万件の貴重なご意見をいただいておりまして、こうしたお客様からの声を受けて、本年七月の水道料金の支払いのスマートフォン導入、また、ホームページの改善など、お客様サービスの向上に迅速につなげてきたところでございます。
こうしたことから、最終年度でございます今年度は、AIの活用や環境対策に関することなど、アンケートの質問項目を追加し、お客様ニーズのさらなる把握に努めるとともに、診断業務委託の履行確認について見直しを行うなど、必要な見直し、改善を図った上で進めているところでございます。
東京水道あんしん診断は、今年度で終了でございます。当局といたしましては、この間いただきました多くの貴重なご意見をしっかりと分析、検証し、お客様ニーズの一層の把握、既存事業のブラッシュアップや新規事業展開の基礎データとして活用するなど、水道事業へ的確に反映をさせてまいります。
○森口委員 局長と認識が違っており、大変驚きます。あんしん診断は、お金が余っていれば、そこそこ役に立つ事業かもしれませんが、必要不可欠な事業でもなく、優先度が高い事業でもありません。ワイズスペンディングの原則から、改めて猛省を求めます。
以上です。
○小松委員 平成三十年度決算審査は、東京水道経営プラン二〇一六並びに平成三十年度予算に対する三十年度の取り組みと実績を明らかにすること、今後の課題を整理すること、それらを踏まえて今後の予算編成につなげていくものと認識をしております。
東京水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要な基幹ライフラインであり、将来にわたり事業を継続的に運営していくことが不可欠であります。水道事業を今後も安定的に持続していくためには、中長期的視点に立った財政運営と計画的な施設整備が何より重要であるということはいうまでもありません。
そこでまず、私の方からは、財政状況、財政運営について確認をさせていただきたいと思います。
収入の大半を占める料金収入については、平成三十年度、約二千九百六億円で、前年度から約十九億円の増加、現在の経営プランの計画期間前の平成二十七年度と比較しましても約四十億円の増加と、微増傾向にあることが確認できました。この状況からは、一見、財政が安定していると見受けられるわけでありますが、果たして健全な財政運営が行われているのか、具体的に確認したいと思います。
経営プランに掲げている健全な財政運営に関する指標、料金収入に対する元利償還割合、料金収入に対する企業債残高割合、経常収支比率、それぞれの目標に対する平成三十年度の実績を伺いたいと思います。
○岡安理事 東京水道経営プラン二〇一六に掲げます健全な財政運営の指標のうち、料金収入に対する元利償還割合につきましては、平成二十六年度の値でございます一二・四%を下回るとする目標に対しまして、平成三十年度は七・六%でございます。
次に、料金収入に対します企業債残高割合につきましては、平成二十六年度の値である八二・三%を下回るとします目標に対しまして、平成三十年度は七六・四%でございます。
次に、経常収支比率につきましては、一〇〇%以上という目標に対しまして、平成三十年度は一一二・二%でございます。
いずれも経営プランの目標値を達成してございまして、健全な財政運営が行われていると考えてございます。
○小松委員 今、私の方から伺わせていただきましたいずれの指標についても、目標を達成しているとのことでありました。また、料金収入も安定しているわけであります。こうしたことから、平成三十年度については健全な財政運営が行われているということが確認できたと思います。
今後の水道事業については、人口減少に伴い料金収入が減少する一方、高度経済成長期に建設された大規模浄水場を初めとする水道施設を更新していかなければいけないなど、一層、難しい事業運営が予測されるわけであります。これは財政運営についても同様だと思います。
こうしたことを踏まえますと、長期的な財政運営に影響がある企業債については、目標を超えて減少しているという点では評価ができると思います。また、我が党の政策提言で始めた大規模浄水場更新積立金を見ますと、平成三十年度末で約五百十九億円が積み立てられており、こうしたことからも、中長期的な視点に立って財政運営をしているということが改めて確認できました。
次に、事業運営、施設整備について確認をさせていただきたいと思います。
まず、水道事業に欠かせない水源についてです。
都の水源は、利根川、荒川水系で約八割、多摩川水系で約二割となっています。
利根川、荒川水系では、霞ヶ浦導水、八ッ場ダムの開発が進められているわけですが、この十月一日、八ッ場ダムにおいて試験湛水が始まりました。さきの民主党政権時代にダム建設が無駄であるかのような判断もあって、建設が一時中止をされ、工期が大幅におくれたわけですが、ついに完成が目の前に迫っております。
思い起こせば、八ッ場ダムは、利根川流域で大災害を引き起こし、都の金町浄水場も水没をさせた昭和二十二年のカスリーン台風がきっかけで、昭和二十七年に計画が開始をされたものであります。
そして、八ッ場ダムは、利根川上流部の三流域のうち、唯一、洪水調整機能を持たない吾妻川流域に初めて建設されるダムで、人々の生命と財産を守る治水の面でも効果が期待をされています。また、積雪が多い広大な流域を有しており、首都東京を支える安定給水においても不可欠な水源であることから、これまで、我が党は一貫してその重要性を主張してまいりました。
我が国は、地形が急峻で河川勾配が急であるため、比較的短時間のうちに河川の水が海へ流出してしまうことから、水を安定して利用し、また柔軟に制御するためには、ダムに頼らざるを得ないことは明らかであり、八ッ場ダムは、利水、治水の両面から極めて重要な意義を持っているダムといえます。
試験湛水に先立ち、先日も我が党の議員が、二度と見ることができないであろう湖底に立って八ッ場ダムの堤体を見上げたとき、万感胸に迫る思いを感じたと伺いました。それは、代々引き継がれた土地や大切な思い出までもを手放して協力してくださった地元の方々の思い、さまざまな犠牲と引きかえに得た水源を一滴たりとも無駄にしてはいけないというダムの恩恵を受ける者の決意であったと思います。
八ッ場ダムの完成は、大変喜ばしいことであります。我々は、その重みを決して忘れてはなりません。特に貴重な水を扱う水道局は、肝に銘じていただきたいと思います。
来年の夏には東京二〇二〇大会が開催をされます。大会時はもとより、首都東京の将来にわたる安定給水に向けて、来年四月に運用が開始される八ッ場ダムを初め、貴重な水源を有効に活用することをお願いしたいと思います。
一方、多摩川水系は、水道局が水道専用ダムである小河内貯水池を保有し、その上流域に二万四千ヘクタールに及ぶ水道水源林を保有し、百十年にわたり保全管理をしてまいりました。
まず、平成三十年度における水道水源林の保全状況を伺います。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、多摩川上流域における安定した河川流量の確保と小河内貯水池の保全を図るため、水源林が持つ水源涵養、土砂流出防止、水質浄化等の機能を十分に発揮させるよう、平成二十八年度から十カ年を計画期間とする第十一次水道水源林管理計画に基づき、水源林の保全を進めております。
この計画では、水道水源林の約三割に当たる約六千ヘクタールの人工林について、複数の世代の樹木で構成される複層林や、多様な樹種で構成される天然林に近い森林へと誘導していくため、間伐や枝打ちなどの保全作業を、おおむね十年で一巡することとしております。
平成三十年度は、計画に基づきまして、人工林の保全作業を約六百五十ヘクタール実施するとともに、新たに購入した民有林などの管理に必要な歩道を約五キロメートル整備いたしました。
引き続き、水道水源林の保全管理を着実に実施してまいります。
○小松委員 水道水源林を適切に管理している結果、貯水池への土砂の流入が少なく、小河内貯水池の堆砂率は、完成後六十年を経過した平成三十年度においても三・四六%、ほぼ同時期に建設されたほかのダムに比べて低く、良好な状況と聞いております。
しかし、近年、鹿の食害などの課題も顕在化していると伺っています。また、今後、気候変動の影響も想定されるのではないかと仄聞するわけであります。引き続き、水道水源林を計画的に保全管理するとともに、新たな課題に対しても、研究、調査を重ねて適切に対応していただきたいと思います。
一方で、水道水源林とほぼ同じ面積を占める民有林は荒廃が進んでいます。水道局では、このような民有林を再生するために、平成十四年度から、ボランティアにより間伐や枝打ちを行う多摩川水源森林隊の活動を行ってきました。
平成三十年度においても、延べ一千八百四十三名のボランティアの方々が参加し、百五十一回の活動で約二十ヘクタールの保全作業を行ったと聞いています。
そして、こうした活動が評価をされ、昨年の四月には緑化推進運動功労者内閣総理大臣賞を受賞されたということで、大変喜ばしいことであるなと思っています。今後も水源地の森林保全に協力していただくよう、私からもお願いさせていただきます。
さて、この多摩川水源森林隊の活動に加えて、平成二十二年度からは、手入れができず所有者が手放す意向のある森林を購入する民有林購入事業を開始し、平成二十八年度までに一千八百六十二ヘクタールの森林を購入した、そして、水道水源林として管理していると伺っています。
さらに、これまでの公募による購入事業に加えて、平成二十九年度からは、おおむね十年間で重点購入地域約二千ヘクタールでの民有林の購入を積極的に推進しているということですが、平成三十年度のこの民有林の購入の実績について伺いたいと思います。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 民有林の公募による購入実績でございますが、平成三十年度は、十件、約百五十五ヘクタールでございまして、平成三十年度末の累計は、五十一件、約二千百六十四ヘクタールとなっております。
また、土砂流出による小河内貯水池への影響が特に懸念される約二千ヘクタールの重点購入地域の購入実績でございますが、平成三十年度は、四十二件、約百十五ヘクタールでございまして、平成三十年度末の累計は、五十六件、約百九十五ヘクタールとなっております。
○小松委員 重点購入地域での購入が、目標二千ヘクタールに対して百九十五ヘクタール。この二年間で見ますと、一割未満の状況であることが確認できました。
この進捗状況をどのように都は認識されているのか、伺いたいと思います。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 重点購入地域での購入につきましては、小河内貯水池への影響の大きさによる優先度に基づきまして、順次、土地所有者に対しまして売却意向を確認するアンケートを送付しており、平成三十年度末時点で、アンケートにご回答いただいた土地所有者のうち、約七割の方から売却の意向が示されております。
売却の意向が示された所有者に対しましては、複数回の訪問による丁寧な説明、隣接する土地の所有者との調整、綿密な現地調査、測量等の手続を経た上で契約となるため、購入に至るまで二年程度かかる場合が多くなります。
そのため、計画開始からの二年間における購入は一割未満の状況となっておりますが、手続が完了した案件の購入が進んでいきますことから、令和三年度までの五年間の購入面積は約九百六十ヘクタール、重点購入地域の約五割の購入を見込んでおりまして、今後は、おおむね順調に進むものと認識しております。
○小松委員 この二年間だけを見ると、さほど購入が進んでいないような印象もありましたが、土地所有者の多くが売却の意向を示され、今後は順調に購入できるということを伺いまして、安心をいたしました。十年間で二千ヘクタールの目標に向け、着実に購入していくことを期待するものであります。
荒廃が進む民有林に対する多摩川水源森林隊の活動や民有林の購入事業は今後も重要であり、引き続き積極的に進めていくことを要望いたします。
一方で、森林の整備や管理に関する新たな制度も創設をされています。
本年三月に、温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な財源を安定的に確保する観点から、国民一人一人がひとしく負担を分かち合って森林を支えていく仕組みとして、森林環境税及び森林環境譲与税が創設をされました。
また、本年四月からは、森林の経営管理が行われていない森林を、市町村が仲介役となり、森林所有者と民間事業者とをつなぐことで適切な経営管理を行う森林経営管理制度が始まり、あわせて、今年度から森林環境譲与税の市町村等への譲与が始まります。
今後は、地元自治体等と連携強化を図り、こうした制度を有効に活用し、荒廃が進む民有林を再生していくことも必要と考えます。水道局の積極的な取り組みに期待をしております。
次に、施設整備について確認をいたします。
施設整備は、安定給水を継続するために計画的に進めることが必要不可欠であります。課題としては、切迫性が指摘されている首都直下地震への対応としての施設の耐震化、そして、高度経済成長期に集中的に整備された大規模浄水場や水道管路など施設の更新等が挙げられるものと思います。
今後の大規模浄水場の更新は、安定給水を確保しつつ、長期に及ぶ工事を行っていくため、工事に伴い低下する施設能力相当の代替浄水場をあらかじめ整備していく必要があると考えます。
経営プランでは、東村山浄水場の代替浄水施設を境浄水場に、金町浄水場の代替浄水施設を三郷浄水場に整備するとしているわけでありますが、平成三十年度の代替浄水施設の整備状況を伺います。
○田中建設部長 東村山浄水場の代替浄水施設を整備する境浄水場では、整備に先立ち、平成二十六年度に、支障となる場内配管等を移設する工事に着手しました。その後、原水管や送水管、場内給水管を移設するほか、原水の水圧を調節する施設等を築造するとともに、電気設備や薬品注入設備工事を施工し、平成三十年度に完了しました。現在、沈殿池やろ過池など、代替浄水施設のレイアウト等について設計中であります。
また、金町浄水場の代替浄水施設を整備する三郷浄水場では、平成二十七年度に、支障となる排水処理施設や受変電施設を移設する工事に着手し、平成三十年度までに排水処理施設の築造工事が完了しました。現在、受変電施設を築造するとともに、排水処理施設への脱水機の設置工事や電気設備工事を施工中であります。
○小松委員 経営プランによると、代替浄水施設として、境浄水場は令和三年度、同じく三郷浄水場は令和五年度に完成するとしているわけですが、今の答弁では計画どおりに進んでいないことが明らかであります。
局では、本年一月の都政改革本部会議の見える化改革において、大規模浄水場の更新や、この代替浄水施設の整備を初め、今後の施設整備について見直しを検討すると報告をされています。必要に応じて整備計画を見直すことは不可欠でありますが、当然、議会でも議論すべきではないでしょうか。
本日は平成三十年度の決算審査であるため、これ以上、この点の指摘、質疑は行いませんが、議会でも見直しの考え方や内容を議論すべきであるということを指摘したいと思います。
浄水場でつくられた水道水は、送水管で給水所に送水をされるわけであります。この送水管は、浄水を給水所に送る重要管路であり、災害や事故時におけるバックアップ機能を強化するため、ネットワーク化を進めてきたわけであります。しかし、まだ不十分であります。
そして、今後本格化する浄水場や送水管の更新に備え、バックアップ機能を確保するためにも、送水管のネットワークについても強化することが必要と考えます。
経営プランでは、送水管について、東村山浄水場から拝島給水所に送水する多摩南北幹線の新設、朝霞浄水場から上井草給水所までの送水管を二重化する第二朝霞上井草線などを整備することとしています。それぞれの整備状況を確認したいところですが、本日は、私の地元世田谷区でも重要な意味を持つ第二朝霞上井草線について確認をさせていただきます。
経営プランでは令和二年度完成としているわけですが、平成三十年度の整備状況について伺います。
○田中建設部長 第二朝霞上井草線の整備は、シールド工法により築造するトンネル内に送水管を新設するものであり、全延長約十三キロメートルを四つの区間に分けて施工しております。
シールド発進のための立て坑工事につきましては、平成二十七年度から、順次、四カ所で着手しており、三カ所は平成二十九年度に、残りの一カ所は平成三十年度に完成しております。
引き続き、トンネル築造工事を、平成二十九年度には一つの区間で、平成三十年度には残りの三つの区間で着手し、現在、四つの区間、全てにおいて施工しております。
○小松委員 計画どおりの進捗状況と認識してよいのか、また、今後の取り組みについても伺いたいと思います。
○田中建設部長 第二朝霞上井草線の進捗状況につきましては、トンネル築造のための立て坑工事において、想定以上の軟弱地盤が存在し、地盤を改良する必要が生じたことや、朝霞浄水場内の配管工事におきまして、老朽化した既設管を更新する工事等を追加する必要もあり、完成予定時期を令和二年度から令和五年度に見直す予定であります。
今後予定しているトンネル築造工事や配管工事等は、昼夜間における施工を計画しているため、安全対策に万全を期してまいります。
また、複数の工事を同時に施工する必要があることから、綿密な調整を行い、工事におくれが生じないよう、工程管理を徹底してまいります。
○小松委員 ただいまのご答弁で、想定以上の軟弱地盤があること、それによる対策などで、やむを得ない状況によって三年のおくれが生じているということは理解するものもありますけれども、安定給水を確保するという重要な観点からも、一日も早い完成をするように取り組んでいただきたいと思います。
次に、給水所について確認をしてまいりたいと思います。
給水所は、平常時の安定給水はもとより、事故時等のバックアップや震災時の給水のかなめとなる重要な施設であります。給水所の整備に当たっては、災害や事故時における断水等の影響が広範囲に及ばないよう、配水区域を適正な規模とし、必要な配水池容量を確保する、こうした考え方に基づいて、給水所の新設や老朽化更新による拡充に計画的に取り組むことで給水安定性を向上させることが重要であります。
経営プランでは、区部東部地域の給水安定性を向上させるため、江北給水所、王子給水所を、そして、区部西部地域では、上北沢給水所と和田堀給水所などを整備、拡充するものとしています。経営プランの計画期間内に完成予定の給水所としては、江北給水所と上北沢給水所であり、江北給水所については、計画どおり本年一月に完成し、二月から運用が開始されていると聞いています。
もう一つの上北沢給水所は、令和元年度に完成予定とされていますが、平成三十年度の整備状況と今後の見込みについて伺います。
○田中建設部長 上北沢給水所の整備では、平成二十五年度から二十六年度にかけて、用地内にある建築物等の撤去工事を実施し、平成二十七年度から二十九年度は、配水池築造箇所の掘削工事を行いました。
引き続き、平成三十年度は、配水池の躯体を構築するためのコンクリート工事や配管工事等を進めております。
給水所の完成は、掘削工事において、近接する首都高速道路の橋脚への影響を回避するため、地盤改良工事等を追加したことによりまして、予定時期を令和三年度に見直す予定であります。
今後、配水池に加えまして、ポンプ棟の築造工事や電気、機械設備工事等を、限られた用地内で同時に施工する必要があることから、安全対策に万全を期すとともに、綿密な工事調整を行い、工事におくれが生じないよう、工程管理を徹底してまいります。
○小松委員 対策工事の追加により、完成が二年おくれるということであります。やむを得ない点もあるのかもしれませんが、都民感覚、また地元の住民からすると、果たして納得のできるものでしょうか。給水所の工事は、敷地内での工事とはいえ、工事車両の出入りや騒音の発生など、地元の皆さんの生活にも影響を与えるものであります。そうした点も踏まえ、一日も早い完成に向けて取り組んでいただきたいと思います。
そもそも、給水所を整備すること、そして、工事に関しては、地元の住民の皆さんの理解と協力が不可欠であることはいうまでもありません。
局では、給水所の整備や工事に当たって、どのように地域住民の皆さんに対応されているのか、伺いたいと思います。
○田中建設部長 給水所は、平時はもとより、災害時や事故時等においても給水の安定性を確保するための重要な施設であることから、整備に当たりましては、地元住民の皆様に給水所の重要性をご理解いただくことが必要であります。
そのため、整備の内容や効果をわかりやすく記載したお知らせビラを配布するとともに、工事説明会や現場見学会を複数回開催するなど、丁寧な広報に努めております。
また、給水所の整備は、大規模かつ長期間にわたることから、工事説明会等、あらゆる機会を捉えて意見や要望の把握に努め、理解や協力が得られるよう、生活環境に十分に配慮して施工することが必要であります。
このため、施工に当たりましては、周辺環境や道路交通への影響を極力軽減することを目的としまして、低騒音、低振動の機械の使用や防音パネルの設置などにより騒音、振動の低減を図るとともに、適切に交通誘導員を配置し、交通安全対策を実施しております。
○小松委員 今後も、地域住民の理解と協力を得られるよう、丁寧な対応をお願いしたいと思います。
次に、配水管の耐震化について確認をさせていただきます。
配水管については、平成三十年度に約二百八十一キロの取りかえを行い、水道管路全体の耐震継ぎ手率は平成三十年度末で四四%となり、前年度から一ポイント上昇したと伺っております。
経営プランでは、重要施設への供給ルートなどの耐震継ぎ手化を優先的に推進していると認識しています。
経営プランに掲げている目標、首都中枢機関などの重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率、令和元年度一〇〇%については達成ができるのか、伺いたいと思います。
○本荘谷給水部長 首都中枢機関などの重要施設の供給ルートにおきまして今年度整備する延長は約百四十四キロメートルでございます。
このうち約三十一キロメートルにつきましては、既に整備済みでございます。
また、約七十五キロメートルにつきましては、工事に着手しております。
残る約三十八キロメートルにつきましては、現在、設計等を実施しており、早期の工事着手に向けて調整中でございます。
今後も、目標達成に向け、着実に工事を実施してまいります。
○小松委員 先ほどから、送水管、また給水所などの施設整備でも、計画に対しておくれが見られます。さまざま、おくれが生じる要因というのはあると思います。しかし、計画達成に向けて、さまざまな努力、創意工夫を重ねていただいて対応いただきたいと思います。
そして、水道管路全体の耐震継ぎ手率は四四%と、まだ道半ばですから、これまでにも増して計画性を持って取り組むことを要望しておきます。
また、耐震継ぎ手化事業を進めている一方で、漏水の発生リスクが高い老朽化した水道管が交通量の多い幹線道路の交差点などにも点在し、残っているという課題もあります。昨年の七月に、北区で大規模な漏水事故が発生いたしましたが、あの事故も、こうした老朽管からの漏水であったと伺っております。
我が党は、昨年から、この漏水リスクの高い老朽管の早期解消を繰り返し提言させていただいたところです。さきの第一回定例会の公営企業委員会では、令和四年度までに、こうした取りかえ困難管を解消するとの答弁がありました。この計画どおりに解消するということを改めて指摘したいと思います。
配水管路の耐震継ぎ手化にあわせて、東日本大震災でも、配水管から各家庭につながっている給水管に被害があったということを踏まえ、平成二十五年度より、避難所や主要駅での給水確保に向け、水道メーターまでの給水管の耐震化を進めてきています。
避難所や主要駅における給水管耐震化の平成三十年度の取り組み状況について伺いたいと思います。
○本荘谷給水部長 避難所の給水管耐震化につきましては、平成三十年度に百六十九施設の耐震化を実施し、平成三十年度末までに二千三百十八施設の耐震化が完了しております。
また、一日の乗車人数が十万人を超える駅の給水管の耐震化につきましては、平成三十年度に二十一施設の耐震化を実施し、平成三十年度末までに五十二の駅の耐震化が完了しております。
これらの取り組みによりまして、平成三十年度末の避難所及び主要な駅の給水管の耐震化率は九〇%となっております。
○小松委員 避難所及び主要な駅の給水管の耐震化、応急給水栓の設置は、経営プランでは令和元年度完了を掲げております。
昨年度の決算審査において、この給水管の耐震化にあわせ進めている応急給水栓の設置について、各区市町村などとの調整に時間を要しているとの課題を我が党の委員から指摘させていただいたところであります。
応急給水栓の設置はどのような状況なのか、また、給水管の耐震化及び応急給水栓の設置について、今年度末の完了に向け、どのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
○本荘谷給水部長 避難所への応急給水栓の設置につきましては、平成二十九年度から、順次、応急給水栓の設置工事を実施しており、平成三十年度は、七百五十三施設の避難所に応急給水栓を設置いたしました。この結果、平成三十年度末で、対象施設の四六%に当たる千百六十五施設の整備が完了しております。
応急給水栓の設置につきましては、これまで応急給水栓の設置にかかわる覚書の締結に時間を要しておりましたが、各区市町など関係部署と鋭意調整を進めた結果、平成三十年度末で、約九二%の施設について覚書の締結が完了しております。
このことから、応急給水栓の設置につきましては、工事調整を綿密に行うとともに、進捗管理を徹底することによりまして、今年度末までの完了に向けて着実に整備を推進してまいります。
また、避難所や主要駅の給水管の耐震化につきましても、工事の施工に向けた調整を綿密に行っていくことなどによりまして、今年度末までの完了に向けて着実に整備を実施してまいります。
○小松委員 この点については、計画どおり達成できる見込みということで安心をいたしました。気を緩めずに取り組んでいただきたいと思います。
水道局では、これまで質疑をしてきた水道施設の耐震化に加え、浸水対策や停電対策も進めており、浸水対策については平成二十八年度に完了をしております。
このたび、台風十五号、十九号と相次いで台風が到来し、広域で停電が発生、また、河川の氾濫により、浸水被害、さらには水道の断水も発生していることから、水道施設の停電対策は極めて重要であると指摘しておきたいと思います。
都では、大規模停電が発生した場合は、浄水場等に整備済みの自家用発電設備を最大限に活用し、送水管ネットワークによるバックアップで安定した給水を極力確保すること、そして、圧力が不足するなど給水に影響が出る区域の給水所等に自家用発電設備の整備を推進してまいりました。
改めて、この自家用発電設備の整備計画と平成三十年度の整備状況及び計画に対する進捗状況について伺いたいと思います。
○横谷設備担当部長 東京水道施設整備マスタープランでは、令和三年度までに大規模停電時における給水確保率が一〇〇%となるよう、停電が断水に直結する可能性が高い百三十カ所の浄水場や給水所等に自家用発電設備を整備する計画としております。
平成三十年度は、区部一カ所、多摩地区七カ所の施設で工事を実施し、そのうち、あきる野市にある深沢増圧ポンプ所及び青梅市にある二俣尾増圧ポンプ所で自家用発電設備の整備が完了いたしました。
その結果、平成三十年度末では、計画百二十四カ所の整備に対して整備完了が百十四カ所となり、計画に対しておくれが生じております。
○小松委員 こちらの計画に対しても、おくれが生じているということが確認されました。
おくれている理由と、今後どのように改善に向けて取り組まれるのか、伺いたいと思います。
○横谷設備担当部長 自家用発電設備の整備は、入札不調等による工事のおくれと、用地を確保するための地権者との交渉のおくれにより、計画に対して十カ所で整備がおくれております。
このうち、七カ所は既に整備に着手しており、早期の完了に向け、進行管理を徹底していくとともに、用地の確保が必要な三カ所は、地権者と粘り強く協議を進め、早期の整備完了を目指してまいります。
○小松委員 改めて、課題があるということは理解をするものでありますが、給水率一〇〇%の早期確保に向けて事業を進めていただきたいと思います。
改めて、念のための確認になりますが、整備しても、有事の際に使えなければ意味がありません。
そこで、有事の際にはどのように対応するのか、伺いたいと思います。
○横谷設備担当部長 自家用発電設備を整備している各施設では、最大七十二時間運転するために必要な燃料を備蓄しております。
また、朝霞浄水場などの大規模浄水場では、都市ガスも燃料として使用することで、長期間にわたって運転を継続することができるように整備しております。
停電が発生した際は、これらの自家用発電設備を迅速に運転することで、給水を継続するために必要な電力を確保いたします。
こうした対応を確実にできるよう、日常の目視点検や月一回の試運転を行うとともに、停電を想定した設備の切りかえ訓練などを平時から定期的に実施し、有事に備えて万全を期しております。
○小松委員 さきの台風十九号により、多摩地区では停電が発生しましたが、浄水所や配水所の九カ所で自家用発電設備を稼働し、断水することなく給水を継続することができたと聞いております。
災害時は一時的な断水だったとしても、住民の皆さんにとっては不安が募るものであります。自家用発電設備がいまだ整備されていない浄水場や給水所に一日も早く整備するよう、全力で取り組んでいただきたいと思います。
災害対策として、水道局では、水道施設の耐震化、浸水対策、停電対策などハード面での予防対策、そして、首都直下地震の発生を想定した職員の参集、情報収集から応急給水や復旧作業に至るさまざまな災害対応訓練など、ソフトの面においても対策を計画的に行ってきました。
しかし、首都直下地震により、東京で広範囲で甚大な被害が生じた場合には、水道局のみの対応には限界があるということが考えられます。他都市からの救援も必要不可欠であります。
これまで我が党は、東京が被災した場合に他都市からの救援部隊を円滑に受け入れることができるよう、受援強化の取り組みを積極的に進めるように指摘させていただいてまいりました。
これを受けて、水道局では、災害時救援の覚書を、平成二十八年度には仙台市、そして、平成二十九年度には大阪市及び岡山市との間で締結をしました。
このたび、新たに、本年二月、茨城県との支援拠点水道事業体としての活動に関する覚書を締結したとのことであります。
この茨城県との支援拠点水道事業体としての活動に関する覚書の内容について伺います。
○岡安理事 東日本大震災などの過去の大震災におきまして、被害が甚大なため、被災地に入った救援部隊が宿泊場所や食料の手配に困窮する事態が発生いたしました。
こうしたことを踏まえ、首都直下地震におきましても、被災により都内の宿泊施設や食料等の調達が困難になることに備えまして、全国から参集した多くの救援部隊の活動に支障を来すことがないよう取り組む必要がございました。
このため、大規模災害発生時に相互に宿泊場所や食料の手配等を行う支援拠点水道事業体の活動に関する覚書を、茨城県企業局と、水道事業体といたしまして全国で初めて締結したものでございます。
○小松委員 茨城県を覚書の相手先として選定された理由についても伺いたいと思います。
○岡安理事 茨城県は、国が発表しております首都直下地震の被害想定におきまして、最大震度が低く、被災規模が比較的小さいと想定されておりますことから、宿泊場所の活用が可能であること、また、救援隊の宿泊場所と想定している水戸市と救援隊の活動場所と想定している東京東部地域の移動時間がおおよそ一時間半以内であることから、救援隊の移動に伴う負担が小さいこと、さらに、茨城県とは、平成二十七年から合同訓練などを通じて良好な関係を築いていること、このようなことから茨城県と覚書を締結したものでございます。
○小松委員 実際に、東日本大震災でも、西日本豪雨でも、他県からの救援部隊の宿泊場所の確保が課題として挙げられてきました。その中で、今回、茨城県と締結をした覚書は、非常に意義のあるものと評価をいたします。
ただし、覚書を締結することが目的ではありません。有事の際に有効に機能するということが重要なことであります。そのためにも、有事を想定した訓練などを定期的に行い、実効性の担保をしっかりと確保していただきたいと思います。
これまで、水道事業の財政運営から施設整備、事業運営と、幅広く質疑を行ってまいりました。健全な財政運営が行われていること、施設整備は、一部で計画に対するおくれが生じているなどの課題はあるものの、全体としては着実に推進していること、さらには、災害への対応などについても積極的に取り組んでいるということについて確認ができました。
こうしたことから、平成三十年度は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとして適正な事業運営を行ったものと考えます。
しかし、残念なことに、昨年十月に、水道局発注の浄水場排水処理委託に関して公正取引委員会による立入検査を受け、本年七月には、都は、公正取引委員会から入札談合等関与行為防止法に基づく改善措置要求及び要請を受けてしまいました。このことは、都民の信頼を著しく損ねる行為であり、断じて許されないわけであります。
この件に関しては、昨年来、公営企業委員会を中心に、原因の究明や再発防止策に関する質疑を繰り返し行ってきていることから、本日は詳しい質疑については行いませんが、重要な点について、一点確認をしていきたいと思います。
我が党はこれまで、さまざまな観点から質疑を行い、この事件は、職員のモチベーションの不足、組織の機能不全など、さまざまな要因で発生したが、何より組織の責任を明確にした上で再発防止策を構築することが重要だと考えております。
そこで、組織の責任について、改めて局長の認識を伺いたいと思います。
○中嶋水道局長 今回の事故は、平成二十四年、平成二十六年を含め、過去十年間で三回目の不祥事となり、局として極めて重く受けとめております。
また、平成二十六年に発生した事故を受けた再発防止策を実施している中で、結果として今回の事故を防げなかったことにつきましては、水道局という組織に重大な課題と責任があったと考えております。
そのため、たび重なる不祥事を起こした局の体質につきましても厳しくメスを入れ、当局の運営体制について、これまでの仕事の進め方はもとより、組織や意思決定のあり方など、局の構造的な課題をさらに掘り下げ、有識者委員会における外部の幅広い視点からの検証を経て、抜本的な見直しを実施してまいります。
こうした取り組みにより、二度とこのような不祥事を起こさないことこそが、事故を起こした当局として果たすべき責任のとり方であると認識しております。
○小松委員 水道局の不祥事に続き、都の水道事業の一翼を担っている東京水道サービス株式会社においても、不適正事案の指摘を受け、総務局における特別監察が行われたわけであります。
そして、本年二月に公表された特別監察結果報告書では、東京水道サービス株式会社では、水道局との関係性の中での経営が重視をされ、現在、社会一般に求められる企業としての内部統制水準に対し、大きなおくれと認識不足が生じてしまったと推測されるとまで酷評されております。これもまた、水道に対する都民の信頼を損ねることであり、極めて遺憾といわざるを得ません。
既に改善策を策定し、改善に向けて取り組んでいるということでありますが、抜本的に改善できるかどうかについては、組織のトップ、東京水道サービス株式会社の社長、そして、同社を指導監督する水道局長にかかっていると考えます。
東京水道グループとして、今後も同社を活用していくことを否定するものではありませんが、そのために、グループのリーダーである水道局長がしっかりとリーダーシップを発揮し、責任を持って改善に取り組んでいく必要があることはいうまでもありません。
今後も政策連携団体を活用していくに当たっては、グループのリーダーたる局長がリーダーシップを持って東京水道サービス株式会社の課題を改善していく必要があると考えますが、局長の見解を伺います。
○中嶋水道局長 東京水道グループとして、将来にわたり安定給水を継続していくためには、東京水道サービス株式会社のガバナンスはもとより、グループ全体のガバナンスを強化し、一体的な事業運営体制を構築することが必要不可欠でございます。
同社と株式会社PUCの統合などの変革期を迎えている中で、特別監察での指摘に対しましては、既に実施済みの対策に加え、抜本的な改善策を着実かつ継続的に実施してまいります。
そして、グループのリーダーである私が先頭に立ち、ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底に取り組み、お客様から真に信頼される東京水道グループを実現するとともに、安定的かつ持続可能な事業運営に努めてまいります。
○小松委員 これらの件に関して、我が党は、いうまでもなく責任を明らかにした上で、二度と発生させない対策を講じているというところまで厳しく注視をさせていただきたいというふうに思います。
最後に、工業用水道事業について確認をさせていただきたいと思います。
平成三十年第三回定例会において、東京都工業用水道条例を廃止する等の条例を可決し、令和四年度末をもって事業を廃止することになりました。
各ユーザーの理解を十分に得られていない状況、支援計画を見ても、支援策はメニューの提示にとどまって、廃止に係る経費も概算、積み上げもない。こうした状況の中で事業の廃止を決定したということは、拙速といわざるを得ないというのが我が党の見解であります。
しかし、決定をした以上、都は、必ず四年間で事業を廃止する責任があります。局長は、この責任をどのように認識されているのか、伺います。
○中嶋水道局長 都の工業用水道事業は、昨年の第三回定例会におきまして、東京都工業用水道条例を廃止する等の条例案が可決され、令和四年度末をもって廃止することが決まりました。
これを受け、利用者にこれまで以上に寄り添いながら、上水道への切りかえや料金差額補填などの利用者支援の実施、さらには配水管の撤去や安全対策など、事業廃止に向けた取り組みを円滑に進めていくことが、工業用水道事業を預かる公営企業管理者としての責任と認識しております。
このため、本年四月からは、現地事務所の職員が利用者を一件一件改めて訪問いたしまして、切りかえ工事等に関する要望を伺いながら、順次、上水道への切りかえを進めており、令和四年度までに全件を確実に切りかえてまいります。
今後も引き続き、利用者の声を聞きながら丁寧に対応していくことを第一に、本年三月に策定いたしました支援計画に沿って利用者支援を実施し、工業用水道事業の円滑な廃止に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
○小松委員 工業用水道事業の廃止についても、ユーザーの理解を得られているのか、四年間で事業を円滑に廃止ができるのか、責任を全うできるのか、我が党は厳しく注視をしていきたいと思います。
局長からも、先頭に立って、しっかりとこのグループのリーダーである責任を果たすというふうな発言もいただきましたので、この点についてもしっかりと注視をさせていただきたいことを最後に申し送りまして、質疑を終えたいと思います。ありがとうございます。
○古城委員 このたびの台風十五号及び十九号は、首都圏及び信越、東北各地に甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられましたお一人お一人に謹んで哀悼の意をささげますとともに、ご遺族並びに被災された皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。
さて、水は、国連の持続可能な開発目標、SDGsにおいて、独立した目標、ゴールとして章立てられているほか、他のゴール、ターゲットにも包含されるなど、広く市民、地域、自治体、国家、国際関係に当てはまるものであります。私は、東京が課題解決先進都市としてSDGsの取り組みを進展させていく上で、水道局事業の果たす役割に期待をいたしております。
本日は、この期待を込めまして、平成三十年度東京都水道事業会計決算並びに平成三十年度東京都工業用水道事業会計決算に関連し、水道局に対して、グループ経営、水源確保、災害対策、工業用水道、玉川上水などについて質問をいたします。
初めに、東京水道サービス株式会社、TSSについて質問します。
昨年度、水道局関連の数々の不適正事案が明らかとなりました。ことし二月にまとめられた東京水道サービス株式会社に対する特別監察結果報告書では、調査から浮き彫りとなったTSSの内部統制上の問題点として、次の点が指摘されています。
具体的には、一、内部統制やコンプライアンスに対する意識の低さとして、変化する構造への不作為と、不正の温床となり得る危険性を内在した社員構成や人事システムが、二、水道局への依存、主体性の衰退として、グループ一体経営の弊害と形式的な諸制度の運用が、三、水道局のガバナンスの甘さとして、グループ経営に対する全局的な視点での関心の低さと、指導監督における緊張感の欠如がそれぞれ挙げられています。
私は、これまで所属をしておりました総務委員会において、政策連携団体の内部統制の強化について質疑をさせていただいたわけでございますけれども、TSSにおいても、今後の適正な業務執行を確保するためには、特に内部統制の強化が重要であると考えます。
そこで、内部統制の強化に向けてどのような視点に留意すべきと認識しているか、見解を求めます。
○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、内部統制に関する社員の理解を深める視点に留意し、業務に関するリスクの洗い出しを社員みずからが行うことや、コンプライアンス意識の醸成に関する全社員向けの研修などを実施することとしております。
こうした取り組みを通じて、内部統制の重要性を社内に浸透させてまいります。
○古城委員 都民の皆様の信頼を得るためにも、東京水道グループ全体でしっかりとした内部統制システムを構築していただきたいと要望いたします。
次に、八ッ場ダムについて質問します。
八ッ場ダムの整備事業は、これまで、幾たびもその建設の是非が議論されてきました。一九五二年の国による調査着手以来、長期にわたり、国と県、住民で話し合いが続きました。そして、住民の皆様の苦渋の決断を踏まえ、国と長野原町が基本協定書を結んだのは一九九二年です。
そして、それを覆したのが、マニフェストが総崩れしたといってもよい旧民主党政権です。二〇〇九年、本体工事契約を前にして、当時の国土交通大臣が工事の中止方針を表明、その後、二〇一一年に事業継続が決まりましたが、工事が大幅におくれるなど、大きな混乱をもたらしました。
自公政権に戻った二〇一二年には、公明党の太田昭宏国土交通大臣が本体工事の早期完成を目指す方針を表明し、二〇一四年に本体工事の契約を締結するに至りました。
都議会公明党は、昭和二十二年の台風九号、いわゆるカスリーン台風級の水害等を教訓に、首都東京及び利根川流域を守るため、整備推進の立場を貫いてきました。集中豪雨や渇水期の対策として大変重要なダムであり、一日も早い完成を求めるものです。
私は、昨年八月、同僚議員とともに、八ッ場ダムの現地資料館と建設現場を視察し、現場工事事務所長から工事の進行状況や工法の説明を受けました。当時は、コンクリートの打設がダム本体の完成時の高さの約八割まで進んだ状況でしたが、今月の試験湛水の開始とともに、台風十九号に伴う対応について調査するため、あす、改めて現地を視察する予定です。
そこでまず、八ッ場ダム建設事業の進捗と水道局の負担額について見解を求めます。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 八ッ場ダム建設事業は、平成二十八年六月にダム本体のコンクリート打設を開始いたしまして、令和元年六月にコンクリート打設が完了いたしました。本年十月一日からは、実際に水をためてダム堤体及び貯水池周辺の安全性を確認する試験湛水を開始いたしまして、今年度の完成に向け、工事は順調に進捗していると聞いております。
また、八ッ場ダム建設事業全体の事業費約五千三百二十億円のうち、当局の負担予定額は約五百四十六億円であり、平成三十年度の負担額は約四十六億円でございます。
○古城委員 水道局の今年度、令和元年度版の事業概要には、水道需要、水源及び施設能力が記載されています。
まず、水源について、平成三十一年三月末現在で、安定水源が日量五百三十六万立方メートル、課題を抱える水源や不安定水源を合わせると日量六百三十万立方メートルとのことです。
八ッ場ダムが完成することで、水源量はどのように変化するのでしょうか。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 八ッ場ダムの完成によりまして、水源量は約四十三万立方メートル増加することとなり、都の保有する安定した水源量は日量約五百七十九万立方メートル、また、渇水時に優先的に取水が削減される等の課題を抱える水源や不安定水源を含めた保有水源量は約六百七十三万立方メートルとなります。
○古城委員 今、八ッ場ダムの完成に伴って四十三万立方メートル増加するというお話をいただきましたけれども、次に、都が保有する浄水場の施設能力について、先ほどの事業概要に基づきますと、日量六百八十六万立方メートルとのことですが、施設の老朽化による補修工事や水質管理の強化などに伴う能力低下により、供給可能な能力は日量六百万立方メートルであり、水道事業に対して余裕のない状況であるとのことであります。
浄水場停止といったリスク時には、供給可能な能力として一日平均配水量レベル、過去十年間は四百三十万立方メートル前後で推移をしていますが、これを確保する方針も示されています。将来の渇水リスクの増大にも備えて確保した水源を有効に活用していくべきと考えます。
そこで、八ッ場ダム完成後の都の水源確保の考え方について見解を求めます。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 都の主要な水源である利根川、荒川水系の水資源開発は、首都圏の人口や都市活動の集中により急増する水需要を賄うため、全国の主要な水系と比べまして、渇水に対する安全度が低い計画となっております。現に、利根川水系では、近年、三年に一度程度の割合で渇水が発生し、取水制限が実施されてまいりました。
また、国土交通省は、近年の降雨状況から、ダム等から安定的に供給できる水量が、当初計画していた水量よりも低下していると明言しておりまして、さらに、気候変動の進行により、これまで以上に厳しい渇水が懸念されるとしております。
こうしたことを踏まえますと、将来にわたって首都東京の安定給水を継続するためには、これまでに確保した水源は可能な限り有効活用していく必要があると考えております。
○古城委員 事前にお話をさせていただいていた点と、少し質疑が前後させていただく形になってしまっておりますけれども、今お話しいただいたとおり、大変重要な役割を担う八ッ場ダムであるということも、私、今、改めて理解をさせていただいたところでございます。
これら利水、渇水に対して大きな効果があるだけではなく、八ッ場ダムにつきましては、さきの台風十九号の際にも明らかになったとおり、治水の面からも重要な役割を担うことになります。
そこで、八ッ場ダムの効果と運用の開始時期について見解を求めます。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 八ッ場ダムは、上流域に豪雪地帯を抱、雨や雪解け水の流れ込む面積が利根川上流ダム群では最大でございまして、貯水量が回復しやすい特性を持っております。このため、八ッ場ダムは、需要が増大する時期や河川水が不足するときなどに、ダムにためた水を効果的に河川へ流すことが可能でございます。
こうしたことから、事業主体である国土交通省は、平成二十八年に利根川水系において発生した過去最長となる七十九日間の取水制限は、八ッ場ダムが完成していれば回避できたとしております。
このように、渇水に対して高い効果を発揮する八ッ場ダムは、今年度中に完成いたしまして、令和二年四月から運用を開始すると、国土交通省からは聞いております。
○古城委員 ありがとうございます。先ほど来、幾つか東京都の水道の需給予測、需給計画について伺ってまいりました。その上で、八ッ場ダムの完成というものは大きな意義があるとも考えております。
いざというときにしっかりとした備え、そのためにも、これからその施設等、また設備等を活用していくということになろうかと思いますが、今申し上げました水道需要につきまして、平成二十四年に策定された東京水道施設再構築基本構想には、一日平均使用水量は、現在と同程度の量で推移し、平成三十年代にピークを迎えることとともに、配水量の変動や漏水等を考慮した一日最大配水量は、ピーク時におおむね六百万立方メートルとなる可能性があるとの見通しが示されています。
なお、平成二十四年度の一日平均使用水量は四百十二万六千平方メートル、そして、昨年度、平成三十年度は四百十四万四千立方メートルであります。ことし八月に公表された未来の東京への論点では、東京都の人口は、二〇二五年に一千四百十七万人でピークを迎えた後、減少へ転じ、二〇六〇年には、一九九〇年、平成二年時点と同規模の一千百九十二万人まで減少すると見込まれています。今後、給水人口が減少することも見据えて需給計画を検討することも必要なのではないでしょうか。
その際には、後ほど改めて申し上げる点ですが、都議会公明党が強く提案をいたしております玉川上水の清流復活、また外堀の復活、こういった点におきましても、未来の東京への論点に描かれたイメージ実現に向けた取り組みにも確保されている水源を有効活用していただきたいと要望します。
次に、水道管の耐震化について質問します。
大規模災害から都民の皆様の生命、財産を守り、首都機能を維持するためにも、老朽化した都市インフラへの対策は、都政の最優先課題の一つです。都議会公明党は、水道水の安定的な供給のため、水源の確保に加え、災害時の備えについても、繰り返し訴えてまいりました。
災害時に命をつなぐ役割を果たすのが水道管です。住民の皆様の理解と協力を得ながら、給水や消火活動が確実に行えるよう、災害対策を一層充実させていく必要があります。
東日本大震災では、水道管路の継ぎ手が抜けたことが原因で断水被害が多発し、各地で不自由な生活を余儀なくされたと聞きます。その対策として、都は、継ぎ手の抜け出しを防ぐ機能を備えた水道管への交換を進めています。
しかし、都内には、新宿駅を初め大規模な鉄道ターミナル駅が数多くあり、夜間も人や車の通行が多く、工事を進めづらい状況があるのではないでしょうか。
そこで、工事が困難な地域を含め、配水管の耐震継ぎ手化の進捗状況について見解を求めます。
○本荘谷給水部長 配水管の耐震継ぎ手化につきましては、震災時の断水被害を効果的に軽減するため、重要施設への供給ルートを優先的に進めております。
重要施設のうち、新宿駅を初めとした主要な駅周辺では、夜間でも人通りが多く、また、深夜営業の商業施設があるため、施工時間が限定されるなどの制約がございます。
こうした地域におきましても、関係機関との綿密な調整を行うとともに、丁寧な事業対応を行うことで、耐震継ぎ手化を着実に推進しており、平成三十年度末の耐震継ぎ手率は四四%となっており、前年度よりも一ポイント上昇しております。
○古城委員 東京水道経営プラン二〇一六では、効果的に断水被害を軽減するため、重要施設への供給ルートなどの耐震継ぎ手化を優先的に推進していくとあります。ここに示された目標達成に向けて、引き続き、事業を着実に進めていくべきと考えます。
そこで、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化の進捗状況について見解を求めます。
○本荘谷給水部長 平成三十年度末の重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率は、首都中枢機関、救急医療機関などでは九三%、避難所となる中学校につきましては七三%、一日の乗車人数が二十万人を超える主要な駅につきましては六七%、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場などにつきましては九六%の進捗となっております。
なお、このうち、多くの方が集まる避難所の中学校と、一日の乗車人数が二十万人を超える主要な駅への供給ルートにつきましては、東日本大震災等の教訓を踏まえまして、完了目標を当初の平成三十四年度から平成三十一年度に前倒ししたことから、平成三十年度末時点の耐震継ぎ手化の進捗率は、そのほかの施設と比較して低くなっておりますが、今年度末の目標達成に向けて鋭意整備を進めてまいります。
○古城委員 震災時には、多くの被災者が避難所での生活を余儀なくされるため、避難所への水の供給が途絶えてしまうと、避難生活が非常に困難になるだけでなく、衛生上の問題等、命にかかわる事態に陥りかねません。都議会公明党は、こうした事態を防ぐため、避難所の給水管の耐震化についても、早期に一〇〇%完了を目指すことを訴えてきました。
そこで、避難所給水管の耐震化の進捗状況について見解を求めます。
○本荘谷給水部長 避難所の給水管の耐震化につきましては、平成三十年度に百六十九施設の耐震化を実施した結果、平成三十年度末までに計二千三百十八施設の耐震化が完了し、避難所の給水管耐震化率は九一%となっております。
引き続き、令和元年度末の完了に向け、着実に整備を進めてまいります。
○古城委員 一方で、メーターまでの給水管の耐震化が完了していても、仮に避難所の蛇口までの給水管が被害を受けた場合、避難者が水を利用することができません。こうした事態に備え、水道局では、避難所に応急給水栓を設置しているとのことであり、その設置状況について見解を求める予定でしたが、小松副委員長の質疑でも取り上げられましたので、要望とさせていただきます。
先ほど来の質疑で答弁もありましたとおり、避難所給水管の耐震化と応急給水栓の設置は今年度末が整備目標となっています。避難所となる学校など各施設との調整にはご苦労もあると思いますが、災害に備え、都民の命を守る重要な事業であるため、目標達成に向けて全力で取り組んでいただきたいと要望いたします。
次に、給水車について質問します。
台風十九号の襲来により、特に奥多摩町では、給水管が被害を受け、町内で広範囲にわたって断水が発生し、町民の生活に大きな影響が出ています。都議会公明党は、十月十六日、現地調査を行い、被害状況を調べるとともに、住民等から具体的な要望を聞き、現場から局に対応を要請してきました。翌十七日には、小池知事に対して、住民生活に大きな不便を来す断水の一日も早い解消に向け、迅速な復旧に全力を挙げるとともに、高齢者の介護に必要な水が不足する町内の特別養護老人ホームや、保育園、小学校、中学校、給食センター等への十分な給水に取り組むなど、全力での支援を求める緊急要望を行ったところであります。
きょうの質疑に当たっては、まず、平成三十年度末時点で都が保有する給水車の台数について確認をいたします。
○岡安理事 平成三十年度末時点におきまして、当局が保有いたします給水車は十四台でありまして、区部では、杉並区にございます水道緊急隊に十台、多摩地区では、四カ所ある給水管理事務所等に各一台配備してございます。
○古城委員 二〇一六年の熊本地震の発災直後、私は、熊本、大分両県の被災地を訪れ、被災者の生活支援に携わりました。熊本県内では、地震による水道管の破損が主な原因と見られる断水により、復旧の見通しが立たない状況が続きました。
そうした中、市、町の給水車に加え、近隣自治体からも給水車が出動し、多くの市民の皆さんが給水車の前に長蛇の列をつくり、給水を受けていました。これらの出動は、日本水道協会を通じた応援要請を受けたものと聞いております。
そこで、日本水道協会を通じた給水車の派遣や支援要請について見解を求めます。
○岡安理事 全国で千三百余りの水道事業体等の会員から成ります公益社団法人日本水道協会では、災害発生時の会員相互間の支援ルールを定めてございます。
各水道事業体は、関東や東北など各ブロックごとの地方支部に所属しておりまして、災害発生時には、被災水道事業体は、所属する地方支部に支援を要請することとなってございます。
東京都の場合、関東地方支部長の横浜市に対しまして要請を行います。横浜市では、関東地方支部傘下の水道事業体に照会をかけ、応援出動が可能な水道事業体の中から、被災地への距離などを考慮した上で支援する水道事業体を決定し、当該事業体に対し出動要請を行うこととなってございます。
○古城委員 次に、都として災害時に給水車の派遣を行った実績及び支援要請の実績について見解を求めます。
○岡安理事 これまでの給水車の派遣実績につきましては、平成七年一月に発生いたしました阪神・淡路大震災では、最大十台を兵庫県神戸市に派遣いたしました。
平成二十三年三月の東日本大震災では、最大四台を宮城県仙台市に派遣したほか、福島県いわき市に二台、茨城県稲敷市に一台派遣してございます。
先月発生いたしました台風十五号では、千葉県の東金市に一台、大網白里市に一台、千葉市に二台、富津市には三台及び東京都新島村に一台派遣いたしました。
さらに、今回の台風十九号では、神奈川県清川村に、水道施設復旧までの間、二台派遣いたしましたが、既に終了してございます。
なお、奥多摩町の断水に対しましては、新島村派遣中の一台を除きまして、当局所有の給水車十三台全てで対応しておりますが、水道施設の完全な復旧までにはまだ時間を要するということから、住民へのきめ細かな対応を行うため、都として初めて、日本水道協会の支援ルールに基づきまして、千葉県やさいたま市等に対しまして、合わせて五台の給水車の支援要請を行ったところでございます。
○古城委員 今般の奥多摩町への応急給水のため、保有する給水車のうち、最大十三台で対応しているとのことですが、都議会公明党の緊急要望を受けて、十八日には、日本水道協会を通じて、埼玉県や千葉県などの水道事業体に対して五台の給水車の支援要請を行ったとのことであります。都として初めて、他の水道事業体から給水車の支援を受けたことからも、台風十九号の被害が甚大であったということを示していると思います。
自然災害への対応では想定外のことも起こり得るため、水道局においては、給水車の増車を着実に進め、災害時の応急給水体制を強化するべきと考えます。
そこで、水道局の給水車の増車について見解を求めます。
○岡安理事 給水車につきましては、今年度末に九台、来年度末に七台を新たに購入することとしておりまして、現在保有しております十四台と合わせて、三十台の体制に拡充してまいります。
○古城委員 ありがとうございます。東京都内での対応はもちろんのこと、日本水道協会を通じた他水道事業体との連携につきましても、この給水車を積極的に活用していただきたいと要望いたします。
次に、工業用水道事業について質問します。
都議会公明党は、利用者数の減少などの経営面だけではなく、供給開始から既に五十年以上が経過し、首都直下地震などの切迫性が指摘される中、施設の老朽化が限界を迎えている以上、事業の存廃に関する判断の先送りは許されないとして、かねてより何度も議会で取り上げて、この問題の重要性を訴えてきました。
平成三十年第三回都議会定例会において東京都工業用水道条例を廃止する等の条例が可決されたことにより、令和五年三月三十一日をもって工業用水道の供給が終了する予定です。上水道への円滑な切りかえやユーザー支援など、行政としてはこれからが本番でありますが、決算を確認する場であるからこそ、改めてこれまでの経緯を確認いたします。
まず、平成三十年度の料金収入及び過去の状況と比較してどうなっているのか、見解を求めます。
○石井経営改革推進担当部長 平成三十年度の料金収入は約六億九千万円となっており、料金収入のピークであった昭和五十八年度の約二十八億九千万円に比べ、約四分の一に減少しております。その原因といたしましては、各種公害規制強化等による工場の都外転出に伴う利用者の減少や、水需要の合理化等により工業用水道の需要が減少しているということが挙げられると思います。
工業用水、雑用水を含めた基本水量の推移を具体的に見ますと、ピークであった昭和四十九年度には日量で約三十七万立方メートルであったものが、平成三十年度では日量で約三万六千立方メートルとなっており、約十分の一まで減少しております。
○古城委員 工業用水道の問題は、平成十六年の包括外部監査以降、実に十四年にも及ぶ長期にわたって、都政の懸案課題として横たわり続けていました。
そこで、どのような経緯をたどり、この問題に取り組んできたのか、改めて工業用水道事業の廃止に至るまでの都の検討経過について見解を求めます。
○石井経営改革推進担当部長 工業用水道事業につきましては、平成十六年度、包括外部監査で廃止などを含めた抜本的な経営改革について意見を受け、関係各局でこれまで検討してまいりました。
また、平成二十六年度には、専門家の経験と見識を活用して検討をさらに進めるために、さまざまな分野の有識者で構成されました工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会を設置し、専門的かつ中立的な立場から多角的に検討いただいております。
検討に当たりましては、工業用水道利用者に対するアンケートを四回実施し、個々の使用水量の見込みや意見、要望を把握し、活用いたしました。
あわせて、複数回にわたり、個々の利用者のもとに足を運び、都の検討状況等を説明するとともに、意見交換を行うなど、丁寧に対応してまいりました。
こうした検討を積み重ねた上で、有識者委員会からの廃止の提言も踏まえまして、都として工業用水道事業を廃止することとした経緯にございます。
○古城委員 廃止を含めた抜本的な経営改革ということを突きつけられてから、水道局におかれては真摯に対応してこられたこと、特に、先ほど答弁いただいたアンケートの実施については、さまざまな経緯があった中でこれに取り組んでこられたということも私は伺っております。それとともに、昨今の本腰を入れた取り組みについて高く評価をさせていただきたいと思います。
さて、工業用水道のユーザー企業の皆様は、地下水の揚水規制の協力を通じて、地盤沈下の進行の抑制にご貢献くださった功労者です。また、メッキ、皮革加工、染色など、都の繁栄を長年支える産業を担ってこられた方々です。しかし、その一つ一つの企業は、利幅が少ない小規模零細企業であり、工業用水道の廃止に伴う高いコストの生産体制への移行は容易なことではありません。
そこで、私は、昨年の第二回定例会において、こうした企業の今後の維持存続を大前提に、水道局を初め全庁協力して、急ぎ支援策を検討することを強く求めました。都は、総力を挙げて、工業用水道の廃止が原因での望まない廃業に追い込まれることがないように万全の支援策を講じるべきと考えます。
ことしの予算特別委員会では、都議会公明党の訴えに対して、小池知事からは、支援計画案に沿ったきめの細かな支援を実施し、工業用水を利用してきた中小企業が今後とも東京の産業の担い手として活躍できるように、全庁一丸となって対応していくとの方針が示されました。
そこで、利用者支援を実施するに当たっての水道局の見解を求めます。
○石井経営改革推進担当部長 工業用水道事業の廃止に当たりましては、何よりもまず、利用者の企業経営等に与える影響を最小限にとどめる、このことが必要であります。
こうした観点から、関係各局と連携しながら、工業用水道利用者に対する二十年間の料金差額補填を初めとした支援計画を本年三月に策定いたしました。
今後は、引き続き利用者の声を聞きながら、上水道への切りかえと支援計画に沿った支援を着実に実施してまいります。
あわせて、今後とも、利用者支援について継続的な検証を重ね、経営断念につながらないよう、利用者に寄り添った丁寧な対応に努めてまいります。
○古城委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。
都議会公明党は、利用者への丁寧な対応と万全の支援策とともに、工業用水道配水管の安全対策の重要性を繰り返し訴えてきました。配水管を初め、施設や設備の老朽化が刻々と進行しています。
そこでまず、昨年度、工業用水道配水管の漏水に伴う道路陥没事故があったかどうか、確認をさせていただきます。
○本荘谷給水部長 平成三十年度におきまして、工業用水道配水管からの漏水事故に伴う道路陥没事故は発生しておりません。
○古城委員 平成三十年度については発生をしていないということでありまして、幸い、そのような発生件数はゼロであるということですけれども、施設の耐震化がなされていないと、大規模な地震発生時には甚大な被害発生のおそれがあります。
阪神・淡路大震災や東日本大震災では、配水管の破損による道路陥没などの大規模な被害が発生しました。特に東日本大震災では、工業用水道配水管が管路破損、継ぎ手離脱、空気弁破損などにより、宮城、福島、茨城の三県で三百カ所以上が被害に遭っており、二十五事業者、四十四事業で被害総額が六十七億円に達したと経済産業省が公表しています。
一昨年の予算特別委員会における、我が党、都議会公明党の上野和彦議員の質問に対して、水道局長から、現在の給水区域全体の配水管の延長は約三百四十六キロメートルであり、このうち、耐震性を有する材質を用いた配水管は約七割にとどまっていること、また、特定緊急輸送道路に布設をされている配水管は約二十八キロメートルであり、耐震性を有する材質を用いたものは約八割であることが明らかにされました。
さらに、特定緊急輸送道路に布設されている配水管のうち、耐震継ぎ手管となっているのは四・三キロメートルで、その耐震化率は約一五%にすぎません。
工業用水道の供給を停止した場合、地中に使用されなくなった配水管をそのまま放置することは、震災時の陥没リスクを考えれば許されることではありません。都民の安全・安心を確保していくため、上水道への切りかえ期間中及び工業用水道の供給停止後の施設の防災対策を着実に行っていくべきと考えます。
そこで、道路陥没防止に向けた配水管の安全対策について見解を求めます。
○本荘谷給水部長 工業用水道配水管の破損等による道路陥没の被害を防止するためには、安全対策が不可欠であると認識しております。
このため、上水道への切りかえ期間中は継続的かつ適切な維持管理を行い、あわせまして、工業用水の供給停止後に実施する配水管の転用や撤去のスケジュール等に関する計画を策定してまいります。
また、工業用水道供給停止後の配水管につきましては、道路管理者と協議の上、速やかに撤去してまいりますが、交通量の多い幹線道路や埋設物がふくそうしている箇所など撤去が困難な場合、撤去するまでに時間を要するため、工業用水道配水管内にモルタルなどを充填する具体的な道路陥没対策を講じることで、十分な安全対策を講じてまいります。
○古城委員 工業用水道の廃止と上水道への切りかえに当たっては、引き続き利用者の皆様への丁寧な対応を行っていくとともに、広く都民の安全・安心を確保するために、早急に転用、撤去に関する計画を策定し、安全対策をしっかりと進めていただきたいと要望いたします。
次に、玉川上水について質問します。
天皇陛下におかせられましては、昨日十月二十二日、即位礼正殿の儀を挙行されました。御即位を謹んでお喜び申し上げます。
さて、今上陛下は、皇太子時代の平成十八年に、メキシコシティーで行われた第四回世界水フォーラムにおいて、江戸と水運をテーマに基調講演され、玉川上水についても言及なされています。
今から三百六十六年前の十一月十五日、これは当時でいうと旧暦に当たりますが、多摩の羽村から掘削が始まった玉川上水が、私の地元新宿区にある四谷大木戸まで進み、世界に誇る大都市江戸、東京を形成する根幹のインフラとして完成しました。
四谷大木戸からの下流は暗渠になり、神田上水や千川上水とあわせて江戸市街地全体に生活用水を供給するとともに、江戸城の外堀、内堀にも導水され、江戸市街地の豊かな水環境形成の一翼を担っていたといわれています。
しかし、近代の水道普及や都市化による浄水場の機能移転に伴い、下流部では導水が停止され、流れがほぼなくなった現在のお堀ではアオコが発生し、景観悪化や悪臭が課題になっています。都は、東京二〇二〇大会を見据え、ヘドロ除去を計画的に実施しているものの、効果は一時的なのが実情です。
そこで、専門家や市民団体などが根本的な解決策として切望しているのが、玉川上水の清流を生かした水質浄化です。
公明党東京都本部は、江戸時代につくられた玉川上水の価値を再認識し、外堀などの水質改善を目指して、国会議員、都議会議員、そして、沿川の自治体議員による水と緑の回廊・国際都市東京の実現プロジェクトチームを立ち上げ、精力的に取り組んでいます。都議会公明党は、外堀の水質浄化についても、議会でいち早く取り上げ、玉川上水の活用を幾度も促してきました。
このことを受けて、先ほども申し上げましたが、未来の東京への論点には、水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京として、玉川上水や河川等の清流が復活し、浄化や自然環境の改善が進んだ外堀では蛍が舞い、江戸の昔ながらに再生された美しい水と緑が東京を代表するシーンとなっているイメージが描かれ、玉川上水の清流復活、外堀の水質浄化が盛り込まれました。東京水道経営プラン二〇一六にも、玉川上水の保全が掲げられています。
まず、玉川上水について、歴史とともに、その経過について見解を求めます。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 玉川上水は、江戸時代に多摩川の水を江戸市中へ給水するため、羽村取水堰から四谷大木戸までの約四十三キロメートルの区間を、約九十二メートルの高低差を利用した自然流下方式の導水路として整備されたものでございます。
その後、明治三十一年の近代水道の創設時には、ここ都庁にあった淀橋浄水場への導水にも活用いたしました。
昭和四十年からは、淀橋浄水場の機能を移した東村山浄水場への導水路として、羽村取水堰から小平監視所までの区間を活用しております。
○古城委員 羽村取水堰から小平監視所までの区間は、現在でも東村山浄水場への導水路として使用されているということですが、玉川上水の清流の復活には、小平監視所から下流の流れも必要になると考えます。
そこで、玉川上水の現在の運用状況について見解を求めます。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 玉川上水は、使用用途に応じまして、上流部約十二キロメートル、中流部約十八キロメートル、下流部約十三キロメートルの三つの区間に分けて管理しております。
このうち、羽村取水堰から小平監視所までの上流部は、東村山浄水場へ水道原水を導水するための原水導水路区間として使用しております。
また、小平監視所から杉並区内の浅間橋までの中流部は、清流復活事業に基づき、多摩川上流水再生センターの再生水を流す清流復活区間として使用しており、境浄水場から下流は、浄水場から非常時に排水を流す排水路区間としても使用しております。
浅間橋から四谷大木戸までの下流部は、多くが暗渠となっており、和田堀給水所等から非常時に排水を流す排水路区間として使用しております。
○古城委員 繰り返しになりますが、都議会公明党はこれまで、日本橋川の水質悪化の原因の一つである外堀の水質について、国指定史跡にふさわしい良好な環境となるよう、水質改善を進めるため、現在行われているしゅんせつや下水道の貯留管整備の先を見据えた恒久的な水循環による水質改善の方策について提言してきました。
外堀の水質改善に向けて玉川上水の清流復活となれば、中流部の水量が現時点よりふえることになります。中流部では、昔ながらの素掘りの開渠が多いということであり、水路のり面の保護が重要であると考えます。
そこで、玉川上水の中流部におけるのり面保護の実施状況について見解を求めます。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 玉川上水の開渠部分は、江戸、東京の発展を支えた歴史的価値を有する土木施設、遺構として、平成十五年に国の史跡に指定されております。
開渠部ののり面保護などの維持管理でございますが、史跡玉川上水保存管理計画に基づき行っており、このうち、中流部におけるのり面保護の実施に当たりましては、文化庁の許可を取得するとともに、関係機関や地元団体との協議、調整の上、素掘り水路としての景観に配慮した工法で行っております。
平成三十年度は、木柵や植生土のうなどによるのり面保護を、九カ所で約百四十メートル実施いたしました。
引き続き、関係各局や地元自治体、地元団体との連携を図りながら、のり面保護などの維持管理に取り組むことで、玉川上水を史跡として適切に保存、管理し、後世に継承してまいります。
○古城委員 都議会公明党の提案を受けて、都は、昨年九月、玉川上水の活用に向けた調査を進めるための検討会を都庁内に発足させました。
公明党東京都本部の水と緑の回廊・国際都市東京の実現プロジェクトチームは、八月、都庁で、外堀の水質改善に関して、検討会を構成する水道局など関係五局と意見交換を行いました。
都からは、外堀で実施している水質や水量の調査を踏まえ、適用可能な浄化策を検討していること、さらに、玉川上水の活用については、河川水の取水に当たっての水利権の確保や、国の史跡に指定されている護岸の安全性の確保などの課題がある旨の報告がありました。
ただいまの答弁にもあったとおり、中流部ののり面保護整備には制約があるとのことですが、これらの課題をクリアする一つのアイデアとして申し上げますと、都が廃止を決めた工業用水道の施設等を有効に活用し、玉川上水の下流部と接続することで、玉川上水を活用した外堀の水質改善の実現に一歩近づくことが可能だと考えます。
そこで、外堀の水質改善へ向け、工業用水道事業廃止後の施設の活用、廃止等について検討すべきと考えますが、水道局長の見解を求めます。
○中嶋水道局長 外堀の水質改善につきましては、八月に発表されました未来の東京への論点にも位置づけられておりまして、都の重要な政策テーマであると認識しております。
このため、現在、都市整備局が中心となって立ち上げた庁内検討会におきまして、関係各局が連携し、検討を進めております。
一方、工業用水道につきましては、局内において、令和四年度末の事業廃止後の施設利活用について検討を進めているところでございます。
ご指摘の外堀の水質改善へ向けた工業用水道廃止後の施設の活用につきましては、庁内検討会の中で、水質改善策の案の一つとして可能性などを検討してまいります。
○古城委員 ありがとうございます。かつての豊かな水辺空間を取り戻し、水の都東京の再生を目指す上で、玉川上水の清流復活は不可欠であると考えます。今後の水道事業の推移も踏まえながら、必要となる施設等を積極的に活用していただきたいと要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三十六分休憩
午後三時五十五分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○斉藤委員 まず、資料のご提出をいただきまして、ありがとうございます。
私からは、災害時の対応、そして耐震対策等について伺います。
今月十二日に東日本を直撃した台風十九号では、全国で七十五人の方々が亡くなられ、被災地では今も困難な状況が続いております。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々には心からのお見舞いを申し上げます。
東京都でも、河川の氾濫によって、奥多摩町や世田谷区、大田区などで大きな被害が出ました。特に、日原街道の崩落や浄水所近くでの土砂災害が起きた奥多摩町では、断水が今も続いている地域もあります。
我が党も、交代で現地調査を行う中で住民の方々の声を伺ってきましたが、その中でも、何といっても水がないことが一番大変だという声を聞いてきました。今、水道局では、応急給水の体制を強化しながら、通水への復旧作業も急がれているところだと思いますが、現地で奮闘されている職員や作業員の方々へ、住民の方々から感謝の声も届いております。改めて、水の大切さと、災害時の給水のために尽力に対応する公的役割の重要性を認識しているところです。今後も被災地からの声をしっかりと受けとめて対応していただくことを、まず初めに要望いたします。
今回は、決算質疑ということで、このことも踏まえて、これまでの災害時の対応について伺います。
水道局における災害時の派遣実績について資料要求をさせていただきました。最大約二百五十七万戸が断水した東日本大震災を初め、昨年度は西日本豪雨で約二十六万三千戸の断水が起こり、その復旧に向けて、水道局が現地に職員を派遣しているということです。
多くの職員が被災地で支援に当たってきたということが資料からわかりますが、災害時における派遣では、現地で具体的にどのような活動を行っているのか、伺います。
○岡安理事 当局が派遣いたしました職員は、被災自治体から要請されました活動内容に応じて、主に断水に対応する応急給水作業、水道管の漏水に対応する応急復旧作業、飲用水供給再開に必要な水質検査作業に従事をしております。
○斉藤委員 応急給水、応急復旧のほか、飲用水の供給再開に必要な水質検査作業も行っているということです。どれも、命や生活に直結する水を被災地の方々に届けるために欠かせない重要な取り組みです。
水道局では、日本水道協会関東地方支部や仙台市、横浜市などの十九大都市の水道事業体等との間で協定を結び、発災時に相互支援を行うことが経営計画の中でも示されております。大規模災害のときには、まさにこうした公同士の公公連携が大きな役割を発揮しているということだと思います。
このような災害時の派遣において、経費負担についてはどのようになっているのか、伺います。
○岡安理事 災害時におけます派遣の経費負担につきましては、日本水道協会の定める支援ルールに基づきまして、法令その他特段の定めがあるものを除き、原則として、派遣を受ける水道事業体がその費用を負担することとなってございます。
○斉藤委員 この支援ルールについて、私も確認をしましたが、被災地に対しては、災害救助法に基づく国の補助金などがあります。その拡充も求められているところですが、災害時には、こうした国や都道府県、水道事業体などの公的な連携がとても重要になると思います。
一方で、災害時の対応のことが大きな焦点になっているのが水道の民営化の問題です。
ご存じのとおり、水道施設の運営権を民間企業に売却するコンセッション方式の推進を盛り込んだ改正水道法がこの十月から施行されています。
読売新聞が三月に全国の首長を対象にアンケート調査を行っていますが、過半数の五二%が導入する必要はないと明確に答えています。災害時の対応などで不安という声が自治体の首長たちから寄せられたということです。
また、二十二日付の西日本新聞では、九州の政令市など十市に同方式の導入について尋ねたところ、全市が導入の予定はないと回答したと報道されています。災害が起きたときに責任が果たせるのかという懐疑的な声があるということです。
水道局では、昨年度の一月に、都政改革本部のもとに検討してきた見える化改革の報告書を提出し、この中で、今後の取り組みの方向性として、コンセッション方式などを例示しながら、幅広く官民連携の手法を検討するということを示しています。
内閣府が出している公共施設等運営事業、いわゆるコンセッションに関するガイドラインには、不可抗力リスクについては、事業の特性に応じて官民間で協議し、そのリスクを分析した上で適切なリスク分担を図ると示されていて、要するに、災害時などのリスクにより発生する業務や負担について、民間事業者は契約上で回避できる内容になっていることは認識されているでしょうか。
○石井経営改革推進担当部長 国が策定しております公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドラインの4の項目のリスク分担で、委員お話しのとおり、不可抗力リスクについては、事業の特性に応じて官民間で協議し、そのリスクを分析した上で適切なリスク分担を図ると記載されております。
当局といたしましては、不可抗力リスクにつきましては、官民間で協議をし、適切なリスク分担を図るものと認識しておりますので、お互いが何か責任の回避をするような構図ではないというふうに考えております。
○斉藤委員 当然認識しているということですが、リスクを回避するようなことではないというようなご答弁がありました。しかし、官民間のリスクの分担を図るというのは、まさしく民間事業者は災害時などの不可抗力によるリスク負担を負わなくてもいいという中身で、重大な問題です。だからこそ、多くの自治体、水道事業体で懐疑的、否定的な意見が相次いでいるんだということです。
リスク負担を回避するような契約を行わなければいいというような言説もありますが、そもそも民間事業者は、自社にとって不利になる契約は結びません。契約をする段階で、必ずリスク分担について水道事業者側に譲歩が求められることになります。
現に、ことしの四月から下水道施設にコンセッション方式を導入している浜松市では、水メジャーのヴェオリア社を中心とする特別目的会社の浜松ウォーターシンフォニーとの間で、地震、暴風、豪雨等の自然災害にかかわる不可抗力による費用の増加等は原則的に市の負担ということ、そして、市は、不可抗力により履行困難となった運営権者の本契約上の業務の履行を必要な範囲及び期間において免責することができると明記された契約書を結んでいます。まさに、企業は利益だけを得てリスクは負わないという無責任な体制です。
こうした根本問題を持っているコンセッション方式や、事業を丸投げしていくような包括委託の導入は行わず、直営での水道事業を堅持することを改めて強く求めます。
もう一つ、災害時の対応の関連として伺います。
水道局では、昨年度の見える化改革の報告の中で、政策連携団体の二社、東京水道サービス株式会社、TSSと株式会社PUCを統合し、東京水道の経営基盤の強化を図るということを発表しています。この中で、統合した会社が、官民連携の受け皿として国内水道事業への展開を検討していくということが示されています。TSSの経営方針にも、統合した新会社が、水道事業の包括委託やコンセッション方式などにかかわって、国内外に事業展開していくということも示されています。
このことを背景に、TSSの新社長の野田数氏が和製水メジャーを目指すということを発言しているということは、六月の質疑でも局長自身がお認めになっているところです。
私は、水メジャーという、水道事業をビジネスとして行う民間会社を目指すということ自体が、東京都が出資している政策連携団体の役割を踏み越えた重大な問題であるということを厳しく指摘しました。
こうした東京都水道局の動きに対して、都民からの不安の声が上がっています。TSSとPUCが統合して、公営企業としての水道局の政策連携団体が利益追求の会社に変質し、水道局から技術力が流出していくようなことになれば、公的役割が欠かせない災害時の対応はどうなるのかと不安になるのは当然のことだと思います。
水道局は、コンセッション方式や包括委託などを含む民営化の検討を見える化改革で掲げ、政策連携団体にその受け皿となる事業展開をさせようとしていますが、その中で、迅速な公的役割が欠かせない災害時の対応はどのように維持発展ができると考えているでしょうか。
○石井経営改革推進担当部長 東京水道が広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、将来にわたり持続可能な事業運営を行うためには、東京水道の経営基盤を強化し、一層の経営の効率化を推進することが重要であると認識しております。
そのため、東京水道の基幹的業務を担う政策連携団体二団体を統合することにより、水道事業を包括的に担うことのできる体制を構築し、また、その強みを生かして包括委託等の受け皿として事業を展開し、国内水道事業体の事業運営に貢献をしてまいります。
災害時における政策連携団体の対応につきましては、統合による体制強化を踏まえ、応急給水業務や被害調査等の応急対策業務への対応力を向上させてまいります。
さらに、災害時の対応を含めた局の技術、ノウハウは、政策連携団体との共同の研修の実施や相互の人材交流を通じて、局から政策連携団体へ技術継承を行ってまいります。
○斉藤委員 政策連携団体に応急給水業務や被害調査等の応急対策業務への対応力を向上させていく、また、局から政策連携団体への技術継承を図っていくというご答弁ですが、これは、私は不安的中の答弁ではないかというふうに思っています。
今のご答弁では、政策連携団体の対応力を向上させ、また、その技術継承を政策連携団体に図っていくということですが、即時の判断が求められる災害の現場において、最終的な公的責任を負っている水道局自身が災害時の対応力を維持向上させて現場対応に当たらなければ、迅速な対応につながらないのではないでしょうか。その視点が抜け落ちているのではないかと指摘せざるを得ません。
昨年度、浄水場での談合が明らかになってから、水道局でも民間に頼っていたことを反省し、今では一部の浄水場を直営で運営しているところです。さらに、TSSの経営方針では、水道局からの仕事以外に、自主事業の比率を上げていくということを掲げています。その中で、水道局からの出資比率が今後下がっていくことも考えられ、利益追求の民間企業へと変わっていくということが考えられます。
そうした中で、技術の継承も、水道局内ではなく政策連携団体に流れていってしまうのでは、もはや水道局は自前では動けない、判断も適切にできない、そういう部隊に変わってしまうのではないでしょうか。
既に多くの業務が民間に委託されている中で、水道局自身の技術継承が課題になっていることを我が党は繰り返し指摘し、水道局でも苦心しているところだと思います。
ここで伺いたいのですが、災害時の対応力を維持向上させていく水道局自身が、そのことを担っていくということが大切だと思いますが、局長の見解を伺います。
○中嶋水道局長 水道局は、公営企業管理者として、都民の皆様に安定的に高品質な水道水をご提供するという責務を負っておりまして、これは未来永劫変わらない話だと思うんですね。
私ども、今、政策連携団体の統合という改革を進めておりますのは、経営基盤を強化いたしまして、より柔軟なお客様サービスの向上ですとか、あるいは維持管理の柔軟な体制というものをしていきたいということで今やっているわけでございます。
ですから、災害時のときの対応というのは、これはもう水道局として責務を負っているのは当然でございまして、今回も奥多摩の対応につきましては、局を挙げて対応して今現在もやっているわけでございますが、そういった姿勢は、今後とも局職員全員が持っていく話でございまして、これは、やはり公営企業を預かる職員として当然の使命だということで、私ども水道局職員三千七百名おりますが、全ての職員がそういう意識を持っているというふうに思います。
ですから、そういった意味でも、局職員みずからの災害対応力の強化というのは不可欠なものでございますので、これは、毎年さまざまな防災訓練をやっておりますし、また、研修を通じまして災害対応力の向上というものを常にやってまいりますので、局もその対応力を上げてまいりますし、また、政策連携団体も、実際に浄水施設の維持管理等を行っておりますので、その中で災害時のときのノウハウを育成するということも重要になってくるわけです。
ですから、東京水道グループ全体として災害対応力を強化するということが、今後、災害を未然に防ぐ、あるいは、災害発生時のときの対応を迅速に行うということにおいて不可欠なものであるというふうに考えております。
○斉藤委員 災害時のときでも、水道局が負っている公的責任というのは未来永劫変わらないというご答弁がありました。このことは、しっかり胸にとめてやっていっていただきたいというふうに思います。
それを守っていくために、さらなる民間移譲がどういう影響を及ぼすのかというのを考えていかないといけないというふうに思います。経営の効率化という言葉に偏って、民間企業に移譲していくようなやり方をこれ以上進めれば、水道事業に本来求められている水道の安定供給や災害時の対応など、この役割が弱体化していくということは厳しく指摘しなければなりません。
水道局が今果たしている災害時の対応、都民の命を守るためにも、本当に重要なものです。この力を水道局自身が継承し、維持向上させていくことを改めて強く求めます。
次に、配水管の耐震継ぎ手化について伺います。
今回の台風十九号では、都内に多くの避難勧告が出され、特に私の地元の足立区では、全域の区民、約六十九万人に避難勧告が出されました。各地の被災地で避難生活が続く中、避難所の重要性が改めて認識されているところです。
水道局では、阪神・淡路大震災で、継ぎ手部分で管が外れて断水が多く発生したという教訓から、耐震継ぎ手管への取りかえを進めているところです。特に、避難所や、大規模救出救助活動拠点になる都立公園などを重点化して進めているところです。
まず、二〇一八年度の全体の水道管路の耐震継ぎ手化の予算額と決算額、耐震化した距離はどのようになっているか、伺います。
○本荘谷給水部長 平成三十年度の送配水施設整備事業におけます配水管取りかえの予算額は約九百五十億円、決算額は約七百十億円となっております。
また、配水管の取りかえによりまして耐震継ぎ手化を行った延長は、約二百六十キロメートルでございます。
○斉藤委員 ありがとうございます。いただいた数字で計算すると、執行率は約七五%ということになりますが、実際には、まだ工事中のところもあって、決算額に計上されていないものもあると伺いました。着実に進めていただくことと、今後も早期の耐震継ぎ手化を進めていただくよう要望いたします。
その中でも、特に水道局では、避難所や利用客が二十万人を超える主要駅、都立公園など大規模救出救助活動拠点などを今年度内に一〇〇%完成させる目標で取り組んでいます。
今年度内に完了させる目標を掲げている施設についての昨年度までの進捗状況を伺います。
○本荘谷給水部長 令和元年度を完了目標としております重要施設の供給ルートの耐震継ぎ手率は、平成三十年度末で、首都中枢機関、救急医療機関などでは九三%、避難所のうち中学校につきましては七三%、一日の乗車人数が二十万人を超える主要な駅につきましては六七%、警察や消防を含む大規模救出救助活動拠点等につきましては七七%、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会などにつきましては九六%となっております。
○斉藤委員 避難所のうち中学校については七三%が完了しているというご答弁でしたが、ある区では、今年度内に完了されているという中学校が全部で十校あり、そのうちの二校が完了していて、残りは八校だということが確認されています。このペースで、本当に今年度中に終わるのかという疑問の声が都民の方から寄せられています。
私の地元の足立区の中学校では、全三十七校のうち九校が完了しているということですが、残りの二十八校の耐震継ぎ手化を今年度内に終わらせるということになっています。
避難所となる中学校の耐震継ぎ手化率について、本当に今年度内に終わるのか、見通しについて教えてください。
○本荘谷給水部長 避難所のうち中学校への供給ルートにつきましては、令和元年度の完了を目標としており、今年度整備する延長は、全体で約九十六キロメートルとなっております。このうち、約二十一キロメートルにつきましては既に整備済みでありまして、約五十五キロメートルは工事に着手しております。残る約二十キロメートルにつきましては、現在、設計等を実施しておりまして、早期の工事着手に向けて調整中でございます。
今後も、目標達成に向け、着実に工事を実施してまいります。
○斉藤委員 現在、約五十五キロメートルが工事に着手中で、残りの二十キロメートルについては、設計等を、今、実施中だということだとすると、今年度中の一〇〇%の完了という目標達成はちょっと難しいのかなというふうに感じます。
工事においては、作業員の方々や周辺地域の安全確保などもあり、丁寧に進めていかなくてはならないというふうに思いますが、早期の完了ができるように、それに見合った予算額の確保を今後行って取り組みを強化していただきたいと思います。
また、区市町との情報共有も重要だと思います。この点については、後ほど質問させていただきます。
避難所の中でも小学校や高校、大学、公民館や、十万人以上二十万人以下の主要駅の一〇〇%の完了は、二〇二二年度、令和四年度までとなっております。この施設の耐震継ぎ手化の昨年度までの進捗状況を教えてください。
○本荘谷給水部長 令和四年度を完了目標としております重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率は、平成三十年度末で、避難所のうち、小学校につきましては六四%、大学、高等学校、公民館などは五一%、一日の乗車人数が十万人を超え二十万人以下の主要駅については五五%となっております。
○斉藤委員 避難所のうち、小学校や公民館は、地域でも最も身近にある避難所になります。また、東日本大震災のときには電車がとまったということもあって、主要な駅では帰宅困難となった方々であふれ返りました。いずれも進捗は半分強だということですが、この取り組みも強化していただきたいと思います。
水道局では、避難所への配水管の耐震継ぎ手化に加えて、避難所の敷地内の給水管の耐震化についても、今年度内に一〇〇%完了を目標にして取り組んでいるところですが、昨年度までの進捗状況について、先ほど質疑がありました。
避難所の給水管耐震化については、平成三十年度に百六十九施設の耐震化を実施し、これまでに二千三百十八施設の耐震化が完了したというご答弁でした。これは全体の中でのパーセンテージではどのくらいなのか、お伺いいたします。
○本荘谷給水部長 避難所の給水管耐震化率は、平成三十年度末で九一%でございます。
○斉藤委員 昨年度末で九一%まで給水管の耐震化が進んでいるということです。避難所に安定して給水を確保することは、災害時に避難者の命を守るために不可欠なものとなります。配水管の耐震継ぎ手化とともに、給水管の耐震化も、そのために重要な取り組みです。今年度内の一〇〇%完了という目標に向けて、着実に進めていただきたいと思います。
この避難所となる施設への耐震継ぎ手化と給水管の耐震化の進捗状況についてですが、水道局は各区市町とどのように情報共有を行っているのか、伺います。
○本荘谷給水部長 重要施設のうち、避難所となる小中学校への供給ルートの耐震継ぎ手化事業及び給水管耐震化事業につきましては、事業開始時に、区市町の首長会を初め防災担当課長会におきまして、事業の目的や進め方等を説明しております。
また、工事の設計及び施工段階では、区市町の教育委員会や対象となる学校に対しまして、個別に事業目的を説明するとともに、工事の実施時期等につきまして調整を行っているところであります。
さらに、年数回開催される当局と各区市町との防災連絡会議等におきまして、整備を完了した施設や進捗状況などを報告しております。
このように、事業の開始から整備の完了まで、各段階におきまして、関係機関との情報共有を図っているところでございます。
○斉藤委員 事業開始時や年に数回開催される各区市町との防災連絡会議等で進捗状況などについて報告しているということですが、これが、住民の方が区に聞いても、パーセンテージしかわからなくて、具体的に、この学校は完了しているのか、まだなのか、あるいは設計や工事が進んでいるところなのかということがわからないということが私のところに届いています。確かに、住民の方が知りたいのは、全体のパーセンテージよりも、具体的に、自分の近くにある避難所の配水管と給水管の耐震対策が終わっているのかどうかということだと思います。
今年度は、中学校での耐震対策の一〇〇%完了の節目の年になります。先ほどのご答弁では、工事の進捗状況は、目標に対して厳しい状況ではないかなということもわかりました。
工事を発注しているのは各営業所だと伺っていますが、各営業所とも具体的な学校名ごとに進捗状況を把握して、この機会に区市町と共有して、都民にも具体的に伝えられるようにしていただくように検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○本荘谷給水部長 各区市町さんからそういうご要望があれば、個別の具体的な校名とか進捗についてご説明することはやぶさかではございません。
○斉藤委員 各区市町からそういう要望があればというお答えでしたけれども、こういう住民の声にも、きちんと寄り添っていただきたいなというふうに思います。特に、避難所への関心が今とても高まっているところであります。機能強化をしていく、そこに対して水道局が貢献できる大きな役割だというふうにも思います。それが都民にも、例えばホームページで、この学校は終了しています、あるいは進行中、そういうことがわかるような情報を提供していくということも、検討として考えていっていただきたいというふうに思います。
次に、水飲み栓直結給水化モデル事業について伺います。
浄水場でつくった安全でおいしい高品質な水を蛇口まで届けるために、水道局では、高層のマンションや大規模施設に増圧直結給水方式を導入する取り組みを進めています。
しかし、築年数が長い小中学校では、屋上などに設置した貯水槽にためた水を上から流す旧来からの方式で給水しているところが多くあります。子供たちに安全でおいしい高品質な水を実感してもらうために、水道局はこのモデル事業を十年間行いましたが、今はフォローアップとして事業を続けています。
水飲み栓直結給水化モデル事業の昨年度の実績と予算額、決算額について伺います。
○本荘谷給水部長 小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業のフォローアップは、平成三十年度当初、十五校を予定しておりましたが、十一校の小中学校で完了いたしました。
また、平成三十年度の予算額は二億三千万円、決算額は約一億二千万円となっております。
○斉藤委員 昨年度は、十五校を予定していたところ、十一校での実施だったということで、決算額も予算額の約半分だということです。
水をためておく貯水槽式では、貯水槽の適切な管理が必要になり、管理がおろそかになれば、赤さびや藻が発生するということもあり、増圧式ポンプを利用しているところでは、蛇口から安全でフレッシュな水が飲めるということで、水道水への安心感にもつながり、このモデル事業も、とても喜ばれている事業です。
水道局では、モデル事業を実施した学校にアンケートをしていると伺いましたが、どういう声が寄せられているのか、教えてください。
○本荘谷給水部長 事業の効果検証を目的に、実施校の児童生徒や教職員を対象に、工事前と工事後にアンケート調査を実施しております。これまでのアンケート調査では、学校で水道水を飲む児童生徒が、工事実施前の七〇%から工事実施後には八二%に増加し、また、家から水筒を持参する児童生徒が二七%から一二%に減少いたしました。
さらに、直結給水化された学校の児童生徒や教職員からの意見としましては、水道水が冷たくておいしい、安心できる等の回答がございました。
○斉藤委員 水道水が冷たくておいしい、安心できるなどという声とともに、水筒の持参が減って、学校で水道水を飲む児童生徒がふえたということです。貯水槽を利用している足立区の小中学校では、毎日、養護教員が水質の検査を行っていますが、やはり直結給水になったところでは、学校でも安心して水道水が飲めるようになり、水筒の持参が減ったということです。
ぜひ続けてもらいたいと思いますが、区市町ごとに見ると、三割に満たないところがあるため、今はフォローアップとして事業を続けて、来年度までということになっています。どういうことが理由で進まない自治体があると認識しているでしょうか。
○本荘谷給水部長 当局におきましては、小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業を平成十九年度から平成二十八年度までの十年間実施しまして、平成二十九年度から、実施率の低い区市町及び私立学校を対象に、四年間のフォローアップを実施しております。
フォローアップの対象となる区市町などに対しましては、個別に訪問し、直結給水化を既に実施している学校の成果や工事内容などを説明し、個別の相談にも応じております。
しかし、一部の区市町などからは、災害対策として貯水槽を残したいため、水飲み栓直結化は実施しない、また、教室へのエアコン導入や危険なブロック塀等の撤去、改修等を優先するなどの事情により、小中学校の水飲み栓直結給水化工事を行わないという意見があることは聞いております。
○斉藤委員 私も地元の足立区にも確認をしましたが、やはり大規模改修に合わせて行うことが効率的で、短期間のうちには、なかなかお願いができないということでした。
また、ご答弁にあったとおり、災害対策として貯水槽を残していくという点も重要なことだと思うんですが、このためには貯水槽の適正な管理が必要になります。最近の大災害が頻発している中では、避難所での滞在日数も長くなっている状況があります。避難所への対策として、先ほどの質疑のとおり、水道局では配水管や給水管の耐震対策を進めているところです。避難所としての機能を効果的にしていく観点からも、貯水槽を残しながら、水飲み栓直結給水化の事業は重要ではないかと考えます。
大規模改修の機会を捉えて区市町で取り組みを進めやすくしていくためにも、来年度で終わりとするのではなく、本事業として取り組みを長く続けていただくよう要望いたします。
次に、東京水のペットボトルでのPRについて伺います。
水道局では、安全でおいしい東京の水道水をPRするために、ペットボトルでの東京水の配布、販売を行っています。
このPRの昨年度の予算と決算額、過去五年の決算額の平均、そして、水道局としての事業の評価について伺います。
○小平サービス推進部長 当局では、平成十六年度から、安全でおいしい水道水を実感していただくことを目的に、ペットボトル東京水を配布、販売しております。
平成三十年度におきますペットボトル東京水の製造経費の予算額は約四千万円、決算額は約三千百万円となっております。また、過去五年間の決算額の平均は、年間約三千万円となっております。
このペットボトル東京水は、当局のイベントや区市町が実施する地域行事などで配布した際、その場で飲まれたお客様からは、水道水を直接飲んでみたいとの声をいただくなど、PRツールとして効果があると認識しております。
○斉藤委員 大体、毎年約三千万円の決算額で、本数としては、毎年三万本から四万本を製造してきたということも伺いました。飲んだお客様からは、水道水を直接飲んでみたいという声があり、PRとして効果があったということです。
しかし、今、廃プラによる海洋汚染が深刻で世界的な問題になる中で、ペットボトルは、削減すべきプラスチックのトップアイテムだといわれています。このことを受けて、都は、主催するイベントなどで、プラスチック製品を極力使わないようにする都庁プラスチック削減方針を六月にまとめています。
その中で、一事業者として多量の資源を消費する東京都みずからが先導的に取り組み、都民、事業者等の取り組みを喚起、牽引していく必要があるとして、都の事業運営において、ワンウエープラスチック、使い捨てプラスチックの削減等を推進するとしています。
こうした中で、ペットボトルによる東京水の配布は、真っ先に見直すことが求められると思いますが、水道局としてはどのような検討がされているのでしょうか。
○小平サービス推進部長 ペットボトル東京水は、安全でおいしい東京水を実感していただく、非常に効果的なPRツールであると認識しております。しかし、社会的に環境配慮への対応が課題となる中、都庁プラスチック削減方針に示されるように、必要性の低いワンウエープラスチックの使用削減が求められております。
こうした状況を踏まえまして、当局では、東京国際フォーラムに設置した屋外型のボトルディスペンサー式水飲み栓、Tokyowater Drinking Stationなどを活用し、マイボトル等を利用した東京水の直接飲用や環境配慮行動の促進につなげてまいりました。
また、全庁的な方針等も踏まえまして、ペットボトル東京水につきましては、今後のあり方を現在検討しております。
○斉藤委員 ペットボトルの東京水については、今後のあり方を検討中だということです。
また、ご答弁のとおり、水道局では、東京国際フォーラムにボトルディスペンサー式の水飲み栓、Tokyowater Drinking Stationを設置しています。東京水の新しいPRツールとしても、とても有効なものだと思いますが、東京国際フォーラムでの常設のDrinking Stationのほかにも、水道局では、昨年のIWA世界水会議での可動型のボトルディスペンサー式水飲み栓を活用しました。
これらを利用した方々からはどのような声があったのか、伺います。
○小平サービス推進部長 東京国際フォーラムに設置しております屋外型ボトルディスペンサー式水飲み栓の利用者の方からは、マイボトルに水をくんで休憩時によく飲んでいる、また、今まではミネラルウオーターを買っていたが、自宅でも直接水を飲むようになったなどの声をいただいております。
また、昨年九月に開催されましたIWA世界会議・展示会において、会場等に可動型の仮設水飲み栓を設置した際には、飲用された海外の方からは、とてもおいしく安全な水だと感じた、東京では水道水がそのまま飲めることに驚いたなどの声をいただきました。
○斉藤委員 利用された方々から、非常に好評をいただいているということです。これは、水道局の皆さんも、本当にうれしい声なのではないかと思います。
日本の水は安全で高品質で、蛇口からそのまま飲める数少ない国の一つであるということも、皆さん、よくご存じのことと思います。来年はオリンピック・パラリンピックがありますが、暑さ対策としても、会場周辺や最寄り駅からの動線にボトルディスペンサー式の水飲み栓を設置することで、多くの方々に喜んでもらいながら、東京のパブリックウオーターの質の高さを実感していただける機会になるのではないかと思います。
さらに、オリ・パラ期間だけで終わらせるのではなく、東京国際フォーラムのDrinking Stationのように、常設の水飲み栓をふやしていただきたいと思います。これまでペットボトルでの配布に使っていた予算を振り向ければ、すぐにでもできることだと思います。
海外では、パリ市やサンフランシスコ市など、市内の各所に給水ポイントがあり、市民はマイボトルに給水をすることができて、観光客にも大変喜ばれているということです。日本でも、使い捨てペットボトルの削減と給水スポットの普及に取り組んでいる団体もあり、その啓発のためのイベントに東京都の環境局や大会組織委員会も参加をしています。
水道局としても、こうした知見を持つ団体や庁内の関係局とも連携をとって、前向きに取り組みを進めていただくことを求めますが、見解を伺います。
○小平サービス推進部長 ペットボトル東京水についてでございますが、先ほどご答弁差し上げましたとおり、都庁プラスチック削減方針のとおり、不要なワンウエープラスチックの使用削減が求められておりますとおり、当局も課題として認識しております。
その一方で、ペットボトル東京水は、区市町などからも配布の要望を受けるなど、都民からの認知度も高い、非常に効果の高いPRツールということもございます。
そんな中、当局では、国際フォーラムに設置いたしましたボトルディスペンサー式水飲み栓などを活用し、マイボトル等を活用した東京水の直接飲用や環境配慮行動の促進にこれまでつなげてきたところでございます。
こうした状況を総合的に勘案いたしまして、ペットボトル東京水の今後のあり方、また、常設型水飲み栓、仮設型水飲み栓の活用の仕方等々につきまして、関係各局と連携しながら検討を続けてまいりたいというふうに思っております。
○斉藤委員 可動式、それから常設型の水飲み栓、給水スポットについて、関係各局とも連携して検討していくという前向きなご答弁をいただきました。ぜひともこの件については、ペットボトルの削減とともに、東京二〇二〇大会の前向きなレガシーとしても有効なものだと思いますので、検討していただきたいというふうに思います。
最後に、工業用水について伺います。
昨年の第三回定例議会で、工業用水道事業の廃止が決定されています。今年度から四年間をかけて、順次、上水道に切りかえていくということで、切りかえ工事も徐々に始まっているところかと思いますが、この間、利用事業者さんを回る中で、どのような要望が寄せられているでしょうか。特に、都の支援策にはない要望もあれば教えてください。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 昨年の第三回定例会で廃止条例案が可決されて以降、本年三月までに、墨田区に設置いたしました現地事務所の職員が三百八件の利用者を訪問いたしまして、支援策に関する説明や、切りかえ工事の時期や内容等について調整してまいりました。
調整を進める中で、利用者の方々からは、受水タンク等の設置や更新等の支援策に関する要望、切りかえ工事の時期及び方法について早期に相談したいなどの要望が寄せられております。
工業用水道事業の廃止及び支援計画に盛り込まれていない要望といたしましては、河川水等の利用や上水道への切りかえにより必要となる製品認定書の再取得経費に対する支援がございます。
これらの要望につきましては、関係各局で共有いたしまして、幅広く議論して丁寧に対応してまいります。
○斉藤委員 私たちはこれまで、工業用水の利用者の方々は、地下水の揚水による地盤沈下の抑制や地場産業の振興、また、工業用水の有効活用をするという東京都の施策に協力してこられた方々だという立場から、その廃止に当たっては、利用者の方々の要望について、最大限寄り添っていただきたいということを訴えてきました。今回の要望の中からも、可能なものについては実現していく方向で検討していただくことを求めます。
集合住宅での利用者の方々への対応について伺います。
水道局では、集合住宅での利用者の方々に、昨年の春から工業用水の廃止の方針のお知らせを配布してきたところですが、事業の廃止決定後の昨年の秋の時点でも、管理組合などの意向によって、三つの集合住宅の住民の方々には直接お知らせが届いていない状況でした。
その後、当該集合住宅の方々にはお知らせは届いているのでしょうか。現状について教えてください。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 昨年十一月に、集合住宅居住者に対しまして、工業用水道事業の廃止の概要等について資料を送付し、情報提供いたしましたが、三団地、千五百六十一戸の居住者には、管理組合等の意向により、資料を送付しておりませんでした。
その後、平成三十一年二月に、管理組合の了解を得て、一団地、二百七十二戸の居住者に対しまして資料を送付いたしました。
残りの二団地、千二百八十九戸に対しましては、管理組合等の要請により、当局からの資料送付は実施しておりませんが、管理組合等がそれぞれ本年三月までに、居住者に対し工業用水道廃止に関する情報を提供した、または時期を見て説明すると伺っております。
○斉藤委員 一つの団地については、管理組合の了解のもとに、居住者の方々に資料を送付できたということ、残りの二団地については、管理組合がことしの三月までに情報提供を行い、また説明も行うということです。これから改めて、住民の方々からの要望等の声が出てくることもあるかと思います。水道局としても、丁寧に説明と話し合いができる場をつくるなど、対応していただきたいというふうに思います。
集合住宅での利用の件では、この間の質疑の中で、墨田区の分譲マンションの中で、工業用水道事業の廃止の検討があることが管理組合にきちんと知らされず、廃止決定の一年前に、多額の費用をかけて工業用水道の受水タンクや給水管の更新工事を行っていたということがありました。このときは、事業用ユーザーに対しては、少なくとも訪問を繰り返して廃止の検討があるということを伝えて、アンケート調査も行っていた中で、このマンションの管理組合の方々が、上水道の設備更新と同時に工業用水道の設備更新を行うことを地元の江東給水事務所に知らせていたにもかかわらず、廃止の検討があるということが伝えられなかったということが明らかになっています。水道局側に不備があったということは明らかですから、住民の方々の要望にきちんと応えていただくよう、対応を重ねて要望いたします。
以上です。
○宮瀬委員 それでは、よろしくお願いいたします。
私は、委員会での水道局さんへの質疑は三年半ぶりでありまして、今までやってきた質疑の確認も含めて、三年半たってどうなったのかなというのを、順次、確認していきたいなと思います。
都議会議員として厳しい指摘もさせていただきますし、いいものはいい、だめなものは具体的な代案をもって提案していきたいと思っております。
水は、やはり生命に直結する社会的インフラといっても過言ではないものでありますが、私、過去、九百三十四名の方に、ネットを使って、水道局さんに求めることは何ですかとフリーアンサーをとったことがございます。
一位は、もうこれは圧倒的に多いのですが、料金を安くしてほしいと。三二%で断トツであります。水道事業というのは、都民の皆様にとっては、ふだん使っている水道以外になかなか接する機会がありませんので、どうしても料金に結びつくのではないのかなと思いますが、やはりその次に来るのが、水の安全性が大体三一%。料金値下げが三二%ということでございます。
やっぱり価格に対して大変都民は敏感でありまして、その中で、今回の水道料金の値上げが、消費税の増税に伴いましてございました。令和元年十月一日より、消費税率が八%から一〇%に引き上げられたと。あくまで本質疑は平成三十年度の決算でありますので、平成三十年度といえば、消費税の増税に向けた準備の一年であったのではないかなと私は思っておりますので、あえて聞かせていただきます。
軽減税率につきまして、さまざま私のところにも声が寄せられていて、対象が飲食品等ということでございます。しかし、水、とりわけ水道水は、私は最も大事な飲食品といいますか、生命にはなくてはならないものだと思っておりますが、どうして水道料金に軽減税率が適用されていなかったのかということを率直に思うわけでありますが、国の決定でございますが、率直に教えていただきたいと思います。
○小平サービス推進部長 国税庁によれば、軽減税率の対象品目は、酒類、外食を除く飲食料品等となっております。ここでは、水道水は、炊事や飲用のための飲食料品としての水と、風呂、洗濯といった飲食用以外の生活用水として供給されるものとが混然一体となっております。
そのため、水道水は飲食料品に当たらず、軽減税率の適用対象となっておりません。
○宮瀬委員 洗濯等にも使うから、お風呂等にも使うからということだと思うんですけれども、水がないと、やっぱり生きられないものでありまして、混在をしているというのは、私は少し理由にならないかなと思っております。
なぜなら、ペットボトル等の水は八%で、水道水が一〇%となりますと、どっちの方が多くの都民が使っているかといえば、水道水の方が飲料水として使っている方が多いと思うんですよね。
そうなりますと、国内最大規模、都民が一番人数が多いので、水道水を提供している都でありますから、平成三十年度などに、国に対して何かしらのアクションというものはとったのでしょうか。お伺いいたします。
○岡安理事 消費税の軽減税率につきましては、消費税率の引き上げに伴いまして、所得の低い方々に配慮する観点から設けられたものでございます。水道事業者である当局が、税率について意見や要望を述べる立場にはございません。
そのため、消費税の軽減税率につきまして、当局から国に対して要望を行ったということはございません。
○宮瀬委員 要望していないということでありますが、それは実は矛盾した答弁が一つありまして、所得の低い方々に配慮する観点から設けられたのが軽減税率ですと。
しかし、今回、斉藤委員の方から資料要求が出されていましたが、給水停止件数、要は水をとめられちゃった方々の件数ですね。十万件数もあって、それがイコール十万人とはいい切れないと思いますけれども、それぐらいの方が最後の最後のインフラであります水をとめられてしまっているわけであります。それこそまさに、所得の低い方々を抱えている東京都が十万人とめているわけですから、そういった方々への配慮がやはり必要だったのではないかと私は思っております。
後で質疑もしますが、局長、孤独死で亡くなっている都民の数をご存じですか。福祉保健局から最新のデータを聞いてきましたが、五千五百十三名の方が孤独死で都内で命を落としております。その中で水がどうあるべきかというのは、もちろん、軽減税率の趣旨であります所得の低い方々に配慮する観点というのはまさに必要で、東京都もそこは考えなければならなかったのではないかと私は思っております。
増税の話なんて、もうやめにしたいと思いますが、最後に確認ですけれども、水道、下水道料金、一世帯当たり、どの程度、いつから増額されるのかだけ、最後にお伺いします。
○小平サービス推進部長 消費税の影響額につきましては、三人世帯における二カ月の標準的な使用である、水道メーター口径二十ミリメートル、使用水量四十立方メートルの場合、区部における水道、下水道料金は、消費税率八%では九千五百八十九円、一〇%の引き上げ後は九千七百六十八円となり、百七十九円の増額となります。
また、都の水道、下水道料金は、多くのお客様が二カ月ごとの検針のため、全てのお客様に新税率が適用される十二月分として算定する料金から新料金を適用することとしております。
○宮瀬委員 十月からの増税でありますが、十二月からの増額と。この金額が、標準的なおうちで大体百七十九円上がるということでありますが、これが高いのか低いのかというのは、人によってさまざまでありますが、間違いなく給水停止件数というのは経年でとっておりますので、そこの数字に大きく影響があれば、やはり影響があったといわざるを得ないのかどうかというのは、後の検証にしていきたいと思っております。
いずれにせよ、次のテーマに参りますが、水道料金を、できれば都民の皆様に負担をかけることなく、それを企業努力によりまして、しっかりと吸収をしていくといった、企業努力というのが大切なことだと私は思っております。
その中で、検針業務がございまして、いわゆる水道メーターをきちっと、どれぐらい使ったかを見て、それに対してお金を支払ってくださいという業務を民間企業の方に委託しているわけでありますが、実際に検針会社の数及び契約金額は幾らで、現在、区部で受託している各事業者の契約の総金額、過去の累計金額もあわせて教えてください。
○小平サービス推進部長 検針業務の委託については、区部と多摩地区において、合計二十八区域に分割して区域ごとに行っております。
平成三十年度におきましては、区部、多摩を合わせて五社と契約しており、総額は約八十三億円となっております。
区部で受託している三社の平成二十一年度から平成三十年度までの十年間の各事業者の契約累計額でございますが、株式会社宅配が約二百八十八億三千二百万円、第一環境株式会社が約百八十六億七千万円、ヴェオリア・ジェネッツ株式会社が約百三十三億円となっております。
○宮瀬委員 区部、多摩部と、この問題は、今まで特命随意契約でずっと三者、四者に業務を委託してきたと。宅配につきましては約四十年近く、また、ヴェオリア・ジェネッツに関しても、大体同じ、三十五年ぐらいですか、事実上、独占してきてしまっていると。やはりこの手法というのは、外部監査の方からもおかしいという指摘を受け、私も三年半前に取り上げさせていただきました。
実際に契約に関しては、特命随意契約を改めていき、競争性、透明性を一定程度確保するような形にやっぱりしていくべきだと私も主張させていただきました。あれからどのような対応をとったのでしょうか。
○小平サービス推進部長 検針業務は、水道事業におきまして料金算定の根幹をなす業務でございまして、安定した履行能力を担保することがまず必要と考えてございます。
このため、委託契約につきましては、競争性や透明性を確保しつつ、安定した履行能力を担保する手法として、まずは、平成二十年度から履行能力等審査方式を順次実施してまいりました。
その後、平成二十六年度包括外部監査の意見を受けまして、平成三十一年度履行開始分の契約からは、契約の客観性をより高めるため、外部有識者の視点を取り入れた総合評価方式による競争入札を導入し、順次拡大しております。
○宮瀬委員 指摘を踏まえて、競争性、透明性を確保するために総合評価方式の競争入札を導入したといった答弁がございました。
それでは、改めてお伺いしますが、新たに導入した総合評価方式の開札結果はどうで、参加業者はどのくらいで、業者の入れかえは起きたのか、お伺いいたします。
○小平サービス推進部長 平成三十年度に実施いたしました検針業務委託の契約は、六区域において総合評価方式によって行い、区域ごとに二者から三者の入札参加がございました。
開札の結果でございますが、これまで受託している事業者が落札し、事業者の入れかえはございませんでした。
○宮瀬委員 二者から三者の入札参加ということで、私、社名も確認しましたが、先ほどご答弁がありました株式会社宅配、第一環境株式会社、ヴェオリア・ジェネッツ株式会社の三者じゃないですか。実際に総合評価方式を取り入れて、競争性を担保していきましょう、透明性を確保していきましょうといって導入をしたのに、入札をしている企業も、受注をしている企業も、この三者、今までと全く変わりないんですね。
三十年、四十年近く、その三者で回してきて、しかも、その金額は、約三千億円にも上る金額を特命随意、そして、一部、途中で切りかえました。それでも、この三者、四者でずっと回してきて、総合評価方式にしても、結局、顔ぶれが変わらないと。
競争性が発揮されていないじゃないですか。見解をお伺いいたします。
○小平サービス推進部長 総合評価方式は、競争入札における落札者決定方式の一つでございまして、価格と執行体制や研修体制、また、事故時における対応など、価格以外の要素を総合的に評価して、発注者にとって最も有利な者を落札者とする方式でございまして、競争性は確保されているものと認識してございます。
また、平成三十年度の今般の開札結果を踏まえまして、より競争性を向上させるため、新たに、評価基準の見直しや、当局ホームページを活用して事業者に総合評価方式実施のPRを行ったところでございます。
今後とも、公平性、透明性、競争性のより一層の向上に向けて取り組んでまいります。
○宮瀬委員 結果、いろんな会社がエントリーしていて、その三者、二者に決まっているなら、私もまだ話はわかると思うんです。ただ、エントリーしている会社も同じになってしまいますと、本当に競争性が、結果、確保されたとは私はいえないのではないのかなと思っております。
しかも、この会社、二社ありましたけれども、そこの会社に、落札業者に水道局の幹部が再就職しているような状況はあるのでしょうか。お伺いいたします。
○岡安理事 全幹部職員の再就職状況の公表を始めました平成二十二年度以降、株式会社宅配に二名再就職したところでございまして、役職はいずれも執行役員でございます。ヴェオリア・ジェネッツ株式会社には一名再就職したところでございまして、役職は東京支店顧問でございます。
○宮瀬委員 昨今、水道局の皆さんに対する風当たりが大変厳しいものがあると思っております。結果、特命随意でずっと特定の業者に仕事が行っていて、総合評価方式にして、また同じ企業に行って、そこの会社に、今ご答弁がありましたように、執行役員として、または顧問として、皆さんの元お仲間が再就職しているわけであります。
これは都民の皆さんから見れば、ここは言葉を慎重に使わなければなりませんけれども、水道局、大丈夫かという、また、あらぬ疑念を招きかねないような構造になってしまっているのではないかと思っております。事実、水ingという株式会社に対しましても再就職しているようなお話も聞いております。
念のため、確認の答弁をいただきたいと思いますが、水道の検針の業務委託に関しまして、談合や都職員による情報提供は当然あってはならないと思っております。所見をお伺いするとともに、個別に宴会や会合、金品の授受や便宜供与を受けた、そういった事実はあるのか、ないのか、お伺いいたします。
○木村職員部長 当局職員は、地方公務員として、その職務の遂行に当たりまして、法令等の定める規定に従う義務があり、談合の関与を禁じた入札談合等関与行為防止法や守秘義務を定めた地方公務員法に反する行為は断じて行ってはならないことでございまして、これまで、そういった事実や情報は一切ございません。
さらに、当局では、コンプライアンス強化の取り組みとしまして、自己申告面接での指導の際に、これまで宴会や会合、金品の授受を含めた不正、不法行為を行ったことはないか、管理職が職員一人一人に確認をしておりまして、これについても、水道検針の業務委託に関し、便宜供与を受けた事実はございませんでした。
○宮瀬委員 ないといったことで、当たり前の答弁でありましたが、今後、こういったことが起きないと私は思っておりますが、気になってしまうのが、自己申告だと。つまり、宴会や会合、金品の授受等、不正を行ったことがないかを自己申告で指導しているといったところが私は課題なんじゃないかなと思っておりまして、自己申告するような人は、そういうことをしないと思うんですよね、常識的に考えて。これはやっぱり、チェック体制を、どうやったらそういったことがない、自己申告によらず担保できるかというのは考えていかなきゃいけないんじゃないのかなと。
過去には、一九九七年、水道メーター機器関連会社への天下りと談合があったと聞いております。また、今回の浄水場排水処理業務をめぐり、公取が独占禁止法の容疑で立入検査を行った水事業大手の水ingへの天下りと談合があったと聞いております。
改めて伺いますが、それは事実かどうかの確認と、全幹部職員の再就職状況を公表し始めた平成二十二年度以降、都の水道局が発注している関連企業に何人が再就職しているのか、お伺いいたします。
○岡安理事 水ing株式会社には、公正取引委員会の立入検査が行われました時点で、元局長級、元部長級及び元課長級の各一名、計三名が在籍をしておりました。
水ing株式会社に対しましては、公正取引委員会は、談合の事実を認定してございます。
また、全幹部職員の再就職状況の公表を始めました平成二十二年度以降、民間企業に十四名が再就職したところでございます。
○宮瀬委員 実際にあったといったことで、そこの会社には、皆さんのOBの方が再就職していると。その中で、そういった談合の案件も出ましたが、談合している、していないを含めまして、十四企業が関連会社といいますか、水道局が発注している企業に再就職していると。
これ、気をつけないと、再就職している会社がみんな疑われてしまいますよ。皆さんのOB、OGの方が再就職している会社は水道局から工事をいただいていて、そこに談合の疑いが十四企業に及ぶようなことがないように、改めて私から強く求めておきたいと思います。
次に、いずれにせよ、検針業務に関しまして、平成三十年度は年間八十三億円をかけて行っているということでありますが、私はちょうど四年前から、自動検針のことをずっと訴えてまいりまして、当時は、研究してまいりますという答弁からのスタートでございました。
どうして自動検針をお願いしたいとずっといっているかと申し上げますと、高島平団地というのが私のふるさとでありまして、当時は、現在の豊洲みたいに、働き盛りの方が、憧れの高島平団地ということで団地にお住まいになって、一斉に入居されてきましたので、二万人です。それが皆さん定年を迎えて退職されて、老後の暮らしをしている中で今起きてしまっていることは、本当に残念なことでありますが、団地の中での孤独死であります。
そういった状況の中で、自動検針ができて携帯で確認できるようなことができれば、遠くに離れている親族が、毎日携帯を見て、きょうは水を使っているなと--ガスも電気も使わない日は中にはあるみたいですが、トイレの水だけは、生きていれば必ず流すといったお話も聞いていますので、携帯で、ちゃんとトイレの分量ぐらいの水を流して使っているのかを、毎日、遠くに離れている子供が確認できれば、これにこしたことはないわけであります。
また、民生委員さんも、実は高島平団地は一人四百世帯も持っていまして、もう回り切れないわけですよね、民生委員さんも高齢化していまして。そんな中で、そういった自動検針の水道の利用状況がリアルタイムでわかるようになれば、そこのおうちだけ、優先的に行けばいいわけであります。
このように、ちょっと前置きが長くなりましたが、実際に当時は、三年半前の質疑では、全部の区市町村と、そういった見守り事業を締結していなかったといったことでありますが、平成三十年度はどうなったのか、お伺いいたします。
○小平サービス推進部長 検針委託会社が定期検針等の際に、水道メーターが回転しているにもかかわらず、声かけに応答がないなど、お客様の異変を察知した場合には、区市町の福祉関係部署へ情報を提供できるよう、当局は、給水区域全ての区市町及び検針委託会社とそれぞれ協定を締結しております。
この協定に基づきまして、平成三十年度に区市に情報提供した実績は、区部で八件、多摩地区で三件の合計十一件となっております。
○宮瀬委員 区部で八件、多摩部で三件ということで、私も表をいただいておりますが、板橋区はゼロ件ということでございます。これは、全ての都内の区市町村と締結していただいたことをまず評価していきたいと思いますが、この十一件という数字が、私はちょっと懐疑的といいますか、本当にそれでいいのかなと思っております。
現在、まだスマートメーター、自動検針は進んでおりませんので、職員の皆さんが、まさに先ほど質疑した、検針委託業務を受けた方がメーターを見て、動いているかどうか確認をして、異変があれば区市町村に連絡する。その数が十一件だと思いますが、先ほど申し上げた冒頭の福祉保健局に確認をした孤独死の数でございます。
明確に定義しておかないと、議事録に残っちゃうので、いっておきますと、東京都監察医務院が、二十三区における検案数のうち、自宅住居で亡くなった単身世帯の者をいわゆる孤独死のような形でとっておりまして、平成二十九年一月から十二月までが四千七百七十七名、平成三十年度の一月から十二月が、二十三区でありますが、五千五百十三名おります。
つまり、孤独死で亡くなっている方が五千名以上いて、実際に、水道局のこのチェック体制で区部で見つかっているのが八名なんですね。そこで、いやいや、水道の検針は二カ月に一遍なので、二カ月に一回しか確認できないんですよと。最長の期間は、二カ月に一回、網がかかるということになると思いましたので、福祉保健局に聞きまして、一カ月後に見つかった方、三カ月後に見つかった方それぞれ、二カ月後というのは今出してもらっているんですけれども、大体一カ月後以内に孤独死がわかった方は全体の九〇%、四千九百八十名だそうでございます。一カ月後を超えて見つかった人は、大体一〇%。五千五百十三名見つかっている中で、三カ月たって見つかった方というのは全体の九八%だそうです。
間をとりますと、大体二カ月だと、計算では、その比率でいうと、見つかった方が五千百八十二名、亡くなって、二カ月たっても見つかっていない方が三百三十名いるのではないかという統計上のデータがあります。
つまり、本来、二カ月に一回、水道検針の見守りに行って、そこで見つかっていない方が三百三十名。そのうち八名は、皆さん孤独死だけではないと思いますが、何となくひっかかっていると。ということは、三百名以上の方々が、水道メーターのチェックが恐らく来ているでしょう。そのときに孤独死しているにもかかわらず、見つかっていないということがいえると思います。
やはり、このような差をどうやって埋めていくのか、よりよい制度にしていくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
○小平サービス推進部長 検針会社は、原則、二カ月に一回の検針時等に異変を察知した場合は、当局の営業所等に必ず連絡することとしておりまして、その連絡を受けた営業所等から区市町の福祉関係部署等へ情報提供しております。
事例をちょっと挙げさせていただきますと、平成三十年度におきましては、例えば、異臭がしたため、警察や福祉事務所に通報した事例のほか、高齢者宅の状況に異変を感じたことから、救急病院への搬送に結びついた事例などがございました。また、本年三月には、家屋内から男性のどなり声と女児の鳴き声が聞こえたことから、区の子供家庭支援センターに通報した事例もございました。
こうしたことから、同協定による情報提供、これは要支援者の状況把握に一定の役割を果たしておるものと考えておりますが、実効性をより向上させていくために、検針委託会社へのさらなる指導を行ってまいります。
○宮瀬委員 最後、さらなる指導を行っていくというご答弁がありましたが、私は、結構、これは限界なんじゃないのかなと。人間がやることですので、私はなかなかこう、どれだけ検針をしている方がいるかというのはすぐ出てきませんけれども、人によっては、これは問題ないと思う方もいれば、人によっては、これは問題だと思う方もいらっしゃると思っていて、であればこそ、自動検針という仕組みを使って、今の使用状況がどうなのか、その個人に張りつけるのではなくて、きちっと本部なり、しかるべきところがその使用状況をちゃんとチェックして、リアルタイムでチェックができる。そのためにこそ自動検針が、スマートメーターの見守り事業が本来のものになっていくのではないかと思っています。
すぐにはできない話なので、時間、段階を追ってと思いますけれども、少なくとも、今のやっていることの制度は、三百人近くの方が孤独死している可能性がありますので、マックス三百人に近いと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。
一方、これ、行政の縦割りで、なかなか皆さん苦手だと思うんですけれども、過去は、水道局と福祉保健局、福祉部門との連携が行われていなかったと聞いております。過去、質疑をしたときに、福祉部門、福祉保健局との連携というのは特にないですよといったことでありましたが、現在どうなっているのか、お伺いいたします。
○小平サービス推進部長 当局では、東京二〇二〇大会の選手村跡地に整備される約六千戸の集合住宅におきまして、二〇二二年にスマートメーターを導入するモデル事業を実施する予定となっております。
本事業では、スマートメーターのデータによりご家庭の水道使用状況を確認することで、離れた場所にいながら、高齢者のほか、家族や子供の在宅状況の把握などを行う見守りサービスの導入を検討しております。
このサービスでは、こうした親族による見守りのほか、行政による見守りサービスの可能性についても検討しておりまして、お話の福祉保健局と、スマートメーターによる高齢者の見守りサービスのニーズ等についての意見交換を実施しております。
○宮瀬委員 今、ご答弁が漏れているのかもしれないですが、区市町村との連携というのはどうなっているのでしょうか。
○小平サービス推進部長 福祉保健局はもとより、やっぱり福祉を現場で担っているのは区市でございますので、今後、区とも連携を図りながら、幅広く検討してまいりたいと思っております。
○宮瀬委員 連携は進んでいくと思いますが、いずれにせよ、水道局と福祉部門が連携をして、見守り事業をさらに進めていっていただきたいと思っております。
先ほど申し上げました、ぜひ民生児童委員の方々、区市町村経由でありますが、時にはダイレクトで皆さんと端末等でつながっていくことも可能だと思いますし、また、ビッグデータの活用といった意味でも、水道メーターはまさに命とリンクしているものでありますので、今回は質疑しませんが、ぜひ、その水の使用のデータというものを今後はどんどん活用していっていただきたい。
このように、見守り事業をさらに加速させていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○小平サービス推進部長 スマートメーターによる見守りサービスの実施についてでございますが、実施に当たりましては、仕様など、さまざまな事項について検討する必要がございます。例えば、異変があったとみなす長期不使用の時間の設定、また、旅行等長期不在時の対応、スマートメーターからのデータを福祉部門に提供する頻度、こうしたものが挙げられます。
また、スマートメーターのデータを行政による見守りサービスに活用するためには、個人情報保護の問題や費用負担のあり方等についても、検討や調整をしていく必要がございます。
これら見守りサービスの具体的内容につきましては、福祉保健局はもとより、今後、福祉を現場で担っている区とも連携を図りながら、幅広く検討してまいりたいと思います。
○宮瀬委員 ご丁寧なご答弁、本当に心からありがとうございます。スマートメーター事業そのものがやはり広がっていかないと、私がいっていることが絵に描いた餅になってしまいますので、選手村でトライアルが始まって、また、国際会議の方で、知事も十万戸設置していく、試験運用していくと。ぜひ早急に、それを全都民の世帯に広げていっていただきたいなと、心より思っております。
といいますのが、やっぱり検針業務に年間八十三億円かかっていて、毎年毎年かかるわけであります。スマートメーターは、電波の状況とか、いろいろ初期投資はかかりますが、費用対効果がしっかりと回収できる。水道の検針だけではなくて、福祉や見守り、そういったものにもしっかりと活用できるということであれば、予算的には、違う部署からの予算も、きっとふやすべき話だと私は思っておりますので、高島平団地にいつスマートメーターが来るのかわかりませんけれども、ぜひみんなが生きているうちに実現していただきたいなと思っております。
最後のテーマになりますが、次は国際展開でございます。
水道局が国際展開事業というのをやっておりまして、ちょっと目的の方を確認してまいりました。現地の人たちの役に立つ、世界の水問題の解決に貢献していくんだと。また、国内では、職員の皆さんの人材育成にもつながっていくんだということが目的だと思っております。
実際に、現在、ヤンゴン等で行っておりまして、私も応援をしているんですが、NGOの方を、私も二十年、カンボジアでやってまいりました。
日本が行っている国際支援の課題は幾つかありますが、支援をして終わりと。実際に支援をした後、現地の人たちだけでどうやって回していくのか、支援が要らなくなるための支援、いわゆる自立という観点は大変重要でございます。
よく問題になっておりますのは、アフリカの地域に最新の機器を入れて、でも、実際にそれが、日本人がいるときは運用できても、日本人がいなくなってしまったら宝の持ち腐れになってしまったと。そういったことがあってはならないと思っております。
過去、水道局が実施してきたいろんな事業があると思いますけれども、海外事業が終了した後、使って、やって終わりではなく、その後もずっと効果を得ているかどうか、そのあたりのケアはどうなっているのか、お伺いいたします。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当局の海外事業におきましては、現地技術者の能力強化を目的とする技術協力事業と、水道管の取りかえ等のインフラ整備を目的とする事業を行っております。
このうち、技術協力事業におきましては、訪日研修や現地における当局の技術指導により育成された技術者が、現地での水道事業の運営に従事いたしますとともに、さらに、後進の技術者の育成を行っていくことにより、事業の効果が継続的に現地の水道事業の改善に反映されてまいります。
一方、インフラ整備を目的とする事業のうち、ミャンマー・ヤンゴンにおける無収水対策事業では、現地技術者が主体的に施設を維持管理することで、低減した無収水率を維持していくことも重視しております。
そのため、インフラ整備に引き続いて、当局が技術指導を行う事業が計画されておりまして、現在、契約締結に向けた交渉を進めているところでございます。
○宮瀬委員 最後のご答弁のところ、今後、このところは交渉していくということでございますが、水道局が今まで九つの国際展開事業をやっていて、過去はそういったことはなかったと思いますが、今回のヤンゴンに関しましては、ぜひアフターケアといいますか、水道局の皆さんがいなくなっても、しっかりと回っていくような締結、ケア、維持管理等の管理をお願いしたいと思っております。
一方で、私もよくいわれるのですが、日本でこんなに困っている人がいるのに、どうして海外でそういうことをやるんですかといった声もよくいわれます。カンボジアの工事もいいけれども、日本にもご飯を食べられない子はたくさんいるでしょうといった批判も、正直受けます。
となりますと、水道局さんが国際展開事業をやるといったところで、東京都と都民にどのようなメリットというか、還元があるのかというのを、局の見解を伺いたいと思います。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 海外事業の経験は、業務に携わる職員のスキルアップにつながるとともに、国際社会で通じるグローバル人材の育成にも大きく寄与しているところでございます。
具体的には、国内では水道全般に関する技術、ノウハウの習得機会が少ないですけれども、包括的な業務に携わる国際展開事業においては、オールラウンドの対応力が身につきます。
また、災害時における施設の復旧などでは、海外での漏水修繕、管路取りかえなどの施設整備の経験を生かすことができますため、危機管理能力の向上にもつながるところでございます。
こうした国内では得がたい海外での事業経験を積むことで、技術、ノウハウが職員に蓄積され、東京水道における平常時の円滑な事業運営や発災時の機動的な対応などを通じて都民へ還元されるところでございます。
○宮瀬委員 職員の皆さんの経験になって、それが回り回って都民に還元されていくんですよということでありますが、それで、私は、国際展開というのは大変関心が高くて、北九州市と神戸市といったところを訪問してまいりました。
パンフレットでございますが、北九州市はアジアの技術の首都を目指すということで、アジアでしっかりとインフラ展開をやって、それをしっかりと県内の企業が仕事をもらうといったことにつなげている取り組みをされております。事業計画書も見てまいりましたが、県内もしくは国内の企業に、しっかりとビジネスとしてつなげていくんだといったことが目的にも書いてあります。
皆さんの国際展開事業は、現地の、世界の水市場に貢献していくんだと冒頭申し上げましたが、その中で、国内の、東京の産業への貢献という項目は、一つも実は入っておりません。なので、実際にどうやって東京都内の産業にそれを還元していくのかというのは、私は大事だと思っております。
現在行っております海外事業のことで、中小企業の発展と産業力の強化にどれぐらい効果が現在あるのか、お伺いいたします。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京水道の海外事業は、当局の持つ無収水対策や水質管理などの高い技術、ノウハウを活用して、途上国の水道事業の改善に寄与することを主たる目的として実施しております。
一方、日本の中小企業等の発展と産業力の強化に資するという意味では、ミャンマー・ヤンゴンにおいて実施している無収水対策事業などにおいて、管路やメーターなどに日本製資器材を使用した技術協力を行っております。
こうした取り組みを通じ、日本製品のすぐれた点を理解していただくことで、日本企業の海外展開にもつながることが期待されると考えております。
○宮瀬委員 実際にやっている、日本の管路とかメーター、いいでしょう、それで商売になりますよねというお話なんですが、北九州市では北九州市海外水ビジネス推進協議会という協議会を立ち上げまして、実に企業が、市内企業八十四社、市外企業会員六十七社、全百五十一社が各関係機関と協議会を開いていまして、この協議会は、メーターや管路だけのメーカーさんだけではありません。このような協議会を通じて、戦略を持って水ビジネスの国際展開を行っているわけであります。
しかし、世界に冠たる東京都が、メーターや管路の品質のよさが商売につながるからいいでしょうだと、私は大変もったいない気がしております。過去、北九州市でも、十三カ国、百七十六の技術者を派遣し、百四十六カ国から研修生を四千五百名受け入れており、東京の桁が一個違いますよね。そのように、世界に冠たる東京という都市にしていくのであれば、こういったビジネスチャンスというものを皆さんの水道局の立場から広げていってほしいなと。
質問になりますが、こういったビジネス推進協議会といったものは東京都にあるのか。なければ都にも必要だと思いますが、見解をお伺いいたします。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 北九州市海外水ビジネス推進協議会は、協議会規約によりますと、北九州市における公民連携による海外水ビジネスに向けた取り組みを積極的に推進していくことを目的としております。
一方、東京水道の海外事業は、途上国の水道事業体からの要請に応じまして、当局の持つ技術力を活用して水道事業の改善に寄与することを主たる目的として実施しております。
なお、当局においても、平成二十三年から、東京都水道局国際展開民間企業支援プログラムを運用しておりまして、当局と民間企業が連携した途上国の水道事業の改善の取り組みですとか、あるいは当局による民間企業支援の取り組みを行っております。
具体的には、民間企業を通じた海外水道事業体等の当局所管施設への視察の受け入れや、企業の海外水道事業体等とのマッチング機会の提供を行っているところでございます。
○宮瀬委員 大変いい方が悪くて恐縮ですが、もっともらしく聞こえるんですが、それはどういうことですかと確認をしましたら、研修に来た研修生が東京に来ます、そのときに日本の企業の皆さんとその研修生をマッチングさせることですといった、ちょっと誤解があったら大変申しわけないんですが、企業支援プログラムとはそういうことだと聞いております。ちょっと誤解があったら申しわけございません。
そうではなくて、稼ぐ東京と知事がいっているわけでありますから、もう少し大きなビジョンを描いて、水の国際展開、それはどうやって稼いでいくのか。それは、東京水道が民営化とか云々の前の段階でありまして、そのことに関してやはり、ちょっと質問が前後して恐縮ですが、ほかの都市外交とリンクした水道国際展開事業というのが私は必要だと思っております。
質問が前後して恐縮でありますが、都市外交をつかさどる政策企画局や、このように産業強化を担う産業労働局との連携というのはあるのか、実績をお伺いいたします。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 政策企画局が平成二十六年十二月に策定いたしました東京都都市外交基本戦略では、大都市の問題解決に向け、都が先進的な技術などを持つ分野で貢献、協力を行うとする方針が示されており、当局は、この基本戦略を踏まえ、東京水道の技術力を活用した海外事業を推進しております。
また、産業労働局など庁内各局との間では、庁内二十四局で構成する東京都都市外交推進会議の場などにおいて情報交換を行うなど、広く連携を図っているところでございます。
○宮瀬委員 今ご答弁にありました外交基本戦略、庁内会議、二十四局の中でと。これ、ちょっと調べましたら、都庁には二十四局あって、これ、実に、全局を集めた単なる会議だと僕は思っていて、その中で、多都市外交で課題解決をするための事業をやっていきましょうねと、丸ぽち一つ書いてあるだけでありました。要は、政策企画局が主催している外交推進会議の中に一局として参加しているだけじゃないですか。
産業労働局等とはどのような連携をしているのか、具体的にお伺いします。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年九月に東京で開催されましたIWA世界会議・展示会におきましては、参加者に日本の文化に触れていただきながら交流を深めていただくイベントとして、東京ガーデンナイトを開催したところでございます。
この実施に当たりましては、庁内各局にも協力の呼びかけを行いましたが、そのうち産業労働局とは、同局が進めるユニークベニューの活用として、都立清澄庭園を会場とするとともに、イベントにおける東京の伝統文化の発信としての伝統的な工芸品の展示などを通じて連携したところでございます。
○宮瀬委員 まあ、イベントにちょっと乗っかったと。ちょっと言葉が悪くて済みません。
私がいいたいのは、もうちょっと壮大なといってはいけないんですけれども、この展示会をやったときに、イベントでちょっと協力しましたということではなくて、どうやって東京の中小企業が発展していく、これからのアジアでマーケットを伸ばしていくのか、また、向こうから日本に貴重な企業に来ていただくのか、まさに戦略を練っていくことが必要だと思います。
その中で大事な、皆さんの強み、東京都の強みであります水道の技術、そのノウハウの展開がまさにキーになると思っておりまして、もう取り組みはわかりましたので、ぜひ今後は、知事のおっしゃっております稼ぐ東京の国際展開の旗頭として展開していただくようお願い申し上げます。
国際展開、国際展開としてきましたが、最後の質問であります。
前期になりますが、田中朝子都議が平成二十八年十一月の事務事業で、国際展開もいいけれども、国内にも困っている自治体はたくさんあるんだと。東京の持っている技術や東京の水道局が持っているノウハウというものは、国際も大事だけれども、国内で耐震化とか老朽化に悩んでいる自治体、技術の継承、また、水道料金が減少している自治体を助けていくことも大事なのではないかという提案をさせていただきました。
現在、その提案を受け、どうなっているのか、お伺いいたします。
○小山調整部長 全国の中小事業体では、人口減少に伴う水需要の減少や人材不足による技術継承などが課題となっております。
こうした状況を踏まえまして、事業運営に課題を抱える国内水道事業体を支援していく取り組みとして、東京都、横浜市及び川崎市は、公益社団法人日本水道協会関東地方支部内の水道事業体を対象とする首都圏水道事業体支援プラットフォームを平成二十九年十一月に設置いたしました。
このプラットフォームでは、平成二十九年度は、小規模水道施設を使用した訓練など六件、それから平成三十年度は、水道事業の一元化や水質に関する研修など九件の支援を実施いたしました。
本事業を活用していただいた事業体からは、東京都、横浜市、川崎市が連携して水道事業を支援することは大変力強く感じたなどの声をいただいているところでございます。
○宮瀬委員 取り組みが進んで、大変感謝及び敬意を申し上げます。多分、関東の自治体だと思いますが、訓練六件、研修九件ということで、まさにこういった取り組みをしていることがベースになって、災害時に、その自治体の皆さんが助けに、応援に来てくれるのではないかと思います。この取り組みを関東だけではなくて全国に広げていただくようお願い申し上げまして、質疑を終わります。
○奥澤委員 きょうも、なかなか厳しい指摘が相次いでいるなと思うんですけれども、東京都の水道事業については、コンプライアンス、ガバナンスの強化といった、どちらかというと内向きに目を向けざるを得ない状況に陥っている、これは紛れもない事実でありまして、しっかりと向き合っていただいて、改善レベルではなくて改革をしていただきたいということを要望したいと思います。
これは、見方を変えれば変わるチャンスでありますから、私はしっかりと結果を見ていきたいと思います。一年後になるのか、二年後になるのかわかりませんけれども、皆さんの取り組み、あるいは政策連携団体との取り組みというのが、ほかの取り組みのモデルケースになっていくような状況を期待しておりますので、ぜひとも頑張っていただきたいと、まず申し述べます。
いろいろ厳しい場面もありますけれども、東京の水道事業が世界に冠たる技術を有している、これは紛れもない事実でありますから、その技術をいかに活用していくのか、より豊かな社会に対してどのように貢献していくのかという視点で、きょうは質疑をさせていただきたいと思います。
まず、国際展開についてお伺いしようと思ったんですけれども、これ、重複している部分は削除させていただいて質問をしたいと思います。
現在、ミャンマーのヤンゴン、マレーシアのラブアン島での無収水削減に向けた事業を行っているというような話が先ほどもありましたけれども、これは主にODAをベースにして事業展開している。つまり、これは国際貢献を意図して行っているというふうに認識しております。
これは意見が分かれるところでもありますけれども、産業への還元をしていく、要は、利益を上げていくという部分というのはすごく重要な視点だと私は思っておりまして、ビジネスという考え方では、まだまだ改善の余地があるというふうに思います。
経済産業省の資料ですけれども、二〇一六年の水ビジネスの市場規模は、世界で約六十七兆円。ただ、そのうち日本企業の受注額は、たったの二千八百七十八億円。力を入れているという東南アジアでも、一%強のシェアしかないというのが現状です。その点では、もはや世界からおくれをとっているのが今の日本。それは技術力で劣るということではないと思いますけれども、その考え方、あるいはビジネスの展開の仕方という部分では大分おくれているんだなというふうに思います。
都民の多くの方々が、蛇口をひねれば水が出てくると当たり前に感じていることが東京の水道サービス、これが過去からたゆまぬ努力を積み重ねてきた結果であると思っていますし、それが世界では大きなビジネスになり得るという視点を、ぜひ、ここにいる皆さんも全員が持っていただきたいというふうに思います。
ただ、それをやみくもにやってもしようがないので、先ほども申したように、おくれをとっている現状の中で、どうやって強みにフォーカスをして戦略的に展開していくのか、これを考えるのが一番重要だと思っています。
そこで質問をします。水道局として、東京の水事業に関して、強みをどのように捉え、どのように展開を図ろうとしているのか、お伺いしたいと思います。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京水道は、これまで水道事業を運営する中で、さまざまな技術、ノウハウを培ってまいりましたが、その中でも無収水削減や水質管理などは、世界の水問題の解決に資する東京水道の強みであると認識しております。
そのため、こうした東京水道の強みを生かしながら、これまでもミャンマーやマレーシア等、アジア諸国を中心に、ODA等を活用し、無収水対策や職員の派遣による現地水道事業体の人材育成などを実施してまいりました。
今後も、国やJICAなどの政府関係機関、政府機関等と連携し、東京水道の技術やノウハウを生かした国際展開を進め、アジアを初めとする途上国の水道事情の改善に努めてまいります。
○奥澤委員 無収水削減や水質の管理といった強みを認識しているということでした。
これまでいろんな場面でやりとりをしてきた中で、やはり公営企業という立場上も、水道局自身がビジネスの視点を持つというのは、なかなか難しい部分があるのではないかということも理解はしております。だからこそ、私は政策連携団体をいかに活用していくのかが重要だというふうに思います。
東京水道サービス株式会社の二〇一九年経営方針と目標においても、その柱の一つには海外自主事業の戦略的展開が位置づけられています。
ビジネスイコール悪というような見方は、私はもう大分古い考え方だなと思っていまして、社会課題の解決にビジネス的手法をとっていくことが有効だということは、さまざまな課題解決にソーシャルビジネスが成り立っているという時点からも、これは証明されていることです。
中でも、災害時の対応や人材の育成、あるいは持続可能な経営といった観点で見たときには、ビジネスによって得た利益、金銭という意味だけではなく、それを都民益に還元していくということが非常に重要なんですけれども、その仕組みをつくっていくために政策連携団体があると私は考えています。だから、役割分担をしっかりと明確にしつつですけれども、まさに政策的な連携を進めていただきたいと、ここで強く要望しておきます。
さて、ここで話は変えまして、東京水道の技術力に関してあらわす一例、先ほど他会派からもお話がありましたけれども、蛇口から直接水を飲むことができるということは、世界でも、聞くところによると、十カ国程度しかないというようなお話も聞いております。それだけすばらしい技術力だということですけれども、小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業並びにフォローアップの話は先ほど出ましたので、これは質疑はしませんけれども、もともと、その技術力、水道事業のすばらしさを後世に伝えていくために始まったという事業だというふうに聞いております。
とはいえ、安全でおいしい水を届ける対象というのは、当然、小中学生に限った話ではありませんで、給水区域の全ての方に安全でおいしい水を届けていただきたい。そして、それこそが東京水道の技術力を知っていただくことにつながり、また、信頼を取り戻していく、そういったことにつながっていくというふうに考えております。
そういった観点から、直結給水の普及拡大に向けて、これは小中学校以外にも取り組んでいると伺っておりますので、その取り組み状況、そして、成果についてお伺いしたいと思います。
○本荘谷給水部長 当局におきましては、直結給水方式の普及促進のため、増圧直結給水方式の導入や施工条件の緩和などによりまして直結給水方式の適用範囲を拡大し、現在では、ほとんどの建物で直結給水方式を採用できるようになっております。このため、新設ビルやマンションの九割程度で直結給水方式が採用されております。
また、既存の建物で貯水槽水道方式から直結給水方式への切りかえを促す施策としまして、平成十九年度から、貯水槽水道の設置者などに対しまして、直結切りかえ見積もりサービスを無料で行うとともに、直結給水のメリットを紹介しております。
さらに、平成二十八年度からは、切りかえ工事の資金調達を支援するため、貯水槽水道点検調査時に、建物の管理組合に対しまして融資取扱金融機関を紹介する取り組みも実施しております。
こうしたさまざまな取り組みを通じまして、さらなる直結給水方式の普及促進に努めておりまして、平成三十年度末の直結給水率は約七四%となっており、十年前に比べて約一〇%向上しております。
○奥澤委員 今、ご答弁で、直結給水率は十年前に比べて約一〇%向上しているということですから、その取り組みが成果としてあらわれているのだろうと思います。
先ほど他会派に対する答弁でありましたけれども、貯水槽方式にも、災害時への備えという意味では重要な役割があるということですから、それを一概に否定するものではないですけれども、メリットとデメリットをしっかりと見きわめつつ、小中学校、都立高校あるいは都有施設といったところに戦略的に普及促進を進めていただきますよう、組織横断で議論を進めていただきたいということを要望しておきます。
ここからは、水道局が公営企業として果たしていくべき社会的責任についてお伺いしていきたいと思います。
水道局では、年間で都内電力使用量の約一%、約八億キロワットアワーの電力を使用しているということです。この削減を図る取り組みや再生可能エネルギーを活用することは、社会的責任を果たしていくと同時に、これは世界でも大きな問題になっておりますけれども、エネルギー問題をどう解決していくのかを探る取り組みにもなっていくというふうに考えます。
そこで、水道局では、太陽光発電や小水力発電、コージェネレーションシステムを積極的に導入しているとのことですが、具体的にどれだけのエネルギーを生み出すことができているのか、お伺いしたいと思います。
○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当局では、再生可能エネルギーとして、太陽光発電設備を十三カ所、小水力発電設備を七カ所に導入しており、平成三十年度の発電量は、太陽光、小水力ともに約七百六十万キロワットアワーでございました。
また、四つの浄水場に導入しているコージェネレーションシステムによって、平成三十年度は、一年間で約一億八千万キロワットアワーの電力をつくり出したところでございます。
これらの発電量の合計、約一億九千五百万キロワットアワーを一般家庭で使用される電気の量に換算いたしますと、約五万一千世帯分に相当いたします。
○奥澤委員 一年間で約一億九千五百万キロワットアワーを生み出しているということで、これは、先ほど指摘しました、水道局が年間に使用する電力の約四分の一に当たります。もちろん物理的な制約もあるとは思いますけれども、先進的な技術に目を向けて、さらなる取り組みを期待するものです。
なかなかこれというのは、決算の数字とか予算の数字というのは見えにくいかもしれないんですけれども、生み出していく数字と同時に、削減していく数字というのも、私は大変重要な数字だというふうに思って見ています。
水道局では、水運用センターによる監視によって、ソフトウエアを開発して、より一層、効率的な水運用を目指しているということですが、具体的にどのように進めているのか、その結果、どのような効果を発揮しているのか、お伺いしたいと思います。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 水運用センターでは、翌日の水需要を予測し、浄水場における処理水量や、給水所から水道水を送り出す圧力などの水運用計画を前日に決定しております。この際に、さまざまな条件により日々変化する水需要を高い精度で予測することが、安定給水の確保に必要でございます。
このため、天候や気温、曜日などの条件から翌日の需要量を予測するソフトウエアを開発いたしまして、精度の高い水運用計画の作成に活用しております。
また、過去の水運用データをもとに使用電力量を予測するソフトウエアを開発いたしまして水運用計画を作成することで、省エネルギー化に効果を上げております。
○奥澤委員 過去の運用データをもとに電力量を予測して省エネルギー化を図っているということですが、これは、水需要のみならず、施設も随時更新されていくことになると思いますので、あるいは、送水ルートもそれに伴って変化していくものと思われますけれども、この省エネルギー化の取り組みにおいて、そういった変化に対してといったらいいんですかね、具体的にどのような工夫がなされているのか、お伺いしたいと思います。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 浄水場と給水所等を結ぶ送水管には複数のルートがございまして、その中から使用電力量の少ないルートを選定することが省エネルギー化に有効でございます。
このため、水運用計画の作成時には、過去の送水量や電力量等の水運用データをもとにいたしまして、ルートごとの使用電力量を予測し、最適なルートを選定しております。
また、新たな給水所の整備や管路、ポンプなどの施設更新が完了した際には、改めてルートの検討を行うほか、選定したルートごとの送水量に対して、ポンプの使用台数が抑えられるよう工夫するなど、きめ細かな調整を行いまして省エネルギー化に取り組んでおります。
○奥澤委員 私の地元の町田市の話になりますけれども、これは水道ではなく下水道の事業においてですけれども、町田市、それからメタウォーター株式会社、日本下水道事業団の三者で、ICTとAIを活用した実証実験を行うという話が出ております。導入した場合、従来の高度処理設備と比較して、電力を一〇%以上削減できる、導入コストも二〇%以上削減できる、そのほか、自動制御によって維持管理労力の軽減等も期待されているということです。
水道局においては、商社や水処理関連企業、コンサルティング会社などとの連携プログラムも展開しているというようなお話も伺っておりますので、さらに一歩踏み込んで、そういった共同で研究していくような形を、私としては期待していきたいなと思っています。
あと、水道局の事業概要を見ていますと、環境会計というものが記載されていて、これ、どうもほかの事業概要を見ても、ほかの局では導入されていない考え方なのかなというふうに見ているんですけれども、環境技術の導入に係るコスト、それから、導入による削減コスト、お金、費用ではかることのできない効果が横並びに記載されている環境会計の一覧表が載っていました。
こうした見える化--という取り組みでいいと思うんですけれども--が広く都民の皆様の理解を進めていく、そして、水道事業を後押ししていくという効果につながっていくと思いますので、この考え方は、ぜひこれからも取り組んでいただきたいというふうに思います。
最後に、用地の管理と活用という観点からもお伺いしたいと思います。
東京都では、平成二十八年度に全庁横断的な都有地活用推進本部が設置されて、保育所等の整備に活用可能性がある都有地を区市町村に情報提供しているとのことです。都立公園などがいい例ですけれども、都有施設や用地が、見方を変えると魅力ある資源であるということで、管理するという考え方から活用するという考え方にシフトしつつあるのかなと思います。
水道局でも、水道局用地における保育所整備のための貸し付けをしているとのことですが、実績を伺いたいと思います。
○金子経理部長 当局はこれまで、保育所などの整備に活用可能な局有地、二十八件、約一万八千三百平方メートルの情報を、都有地活用推進本部を通じ、区市に提供してございます。
この情報提供に対しまして、四つの区から借り受けの要望があり、平成二十八年度は、台東区に一件、二百六十六平方メートル、平成二十九年度は、杉並区に一件、四百七十七平方メートル、平成三十年度は、大田区に一件、八百六十五平方メートル及び港区に一件、三百三十平方メートル、以上、合計四件、千九百三十八平方メートルの貸し付けを行っております。
○奥澤委員 合計四件の貸付実績があるということで、待機児童の解消という都政課題について、一定の寄与をしていると認識しました。
また、水道局では、十五のビルで民間企業への賃貸等を行っているとのことですが、平成三十年度の用地や建物などの資産の有効活用全体の実績では七十四億円の収入を得ているということでありまして、水道局の収入全体の約二・二%に当たるということです。
さらに活用を図っていただきたいのですけれども、どういった視点でこういったものを見ていくかというときにぜひ参考にしていただきたいのが、建設局の都立公園を担当しているところでは、都立公園の活用に関するマーケットサウンディング調査を実施して、新たな視点を取り入れようとしています。
水道局においても、保有する用地や建物の有効活用における現在の取り組みを着実に実施していただきたい。それとともに、さらなる活用の可能性を検討すべきであると考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○金子経理部長 当局では、用地などの資産を貴重な経営資源として捉え、市街地再開発事業への参画により取得した事務所床の賃貸や、局事業での活用が見込まれない用地などに定期借地権を設定するなど、さまざまな手法を駆使して有効活用を図り、収入の確保に努めているところでございます。
今後も、施設の廃止などにより新たに創出される利活用可能な資産につきましては、個々の資産の状況や特性、需要動向などを勘案しながら、有効活用に取り組んでまいります。
○奥澤委員 ありがとうございます。細かいように思うかもしれないですけれども、その果たしている役割というか、都政への貢献では大きいものがあると思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
質問はこれで終わりたいと思うんですけれども、きょうはどちらかというと、東京水道事業における、私から見るとポジティブな側面を多く取り上げさせていただいたつもりです。過去から積み重ねてきた強みを都民の皆様に着実に届けるとともに、ぜひ国内外に目を向けていただきたいと思います。外に目を向けると、課題といわれるものがたくさんあって、その解決に寄与できることはたくさんあると思います。そういった貢献をしていくことが都民の皆様の信頼を取り戻していく、それにつながっていくというふうに思っています。
どうしても、今こうやってやりとりをしていて、皆さんの顔を見ていてもなんていったらおかしいんですけれども、組織として、やっぱり内側を向いてしまったり、下を向いているような場面が多くなっているのかなというふうに思いますけれども、しっかりと外に目を向けていただきたい、そして、前を向いて自信を取り戻していただきたいと思います。
そういったものを、都民の皆様もそうだし、我々、議会側も期待しているところですので、ぜひこれからの奮起に期待をしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○おじま委員 三十年度の締めくくり、振り返りというか、反省を兼ねた、文字どおり決算ということで、今、各委員からも、るる質疑がかなりあったんですけれども、もう耳にたこかと思うんですけれども、私からも、水道局のガバナンスとコンプラの問題、TSSのガバナンスとコンプラの問題、あと工水の件についてやって、質疑を終えたいと思います。
まず、経営プランについてであります。
人材基盤、運営体制、財政基盤の三つが概念図に描かれておりまして、この三つを掲げて経営プランを進めているということであります。
平成三十年度は、強固な人材基盤を確立して、技術力、ノウハウを維持向上させながら次世代へ継承していくためということで、政策連携団体と一体となった研修の実施であったり、職員、社員の相互交流など人材育成を進めて、危機管理能力の向上や現場における実務能力の向上を図ってきたということであります。
まず、平成三十年度の具体的な取り組みの内容と、その効果について伺いたいと思います。
○木村職員部長 局と政策連携団体が一体的な事業運営体制のもと、水道事業を円滑に進めていくためには、局はもとより、東京水道グループ全体として人材を育成していくことが重要でございます。
そのため、局の主要施設の視察や危機管理に関して学ぶ局と団体の共同研修を実施するとともに、局が実施する研修への団体社員の受け入れを行い、こうした研修に政策連携団体の社員が延べ千四百六十名参加いたしました。
また、局から六十二名の職員を政策連携団体へ派遣し、給水所における施設の点検、保守など、実際の現場作業を通じて、局職員から団体社員に対する指導を行うことに加えまして、政策連携団体から七名の若手社員を局の企画部門等に受け入れ、局事業について、一層幅広い視点で習得させました。
これによりまして、東京水道グループに共通する課題に対する理解の促進はもとより、局が培ってきた技術、ノウハウの継承や団体のマネジメント強化、さらには、グループとしての一体感の醸成につながったと考えております。
○おじま委員 グループとしての一体感の醸成というご答弁をいただきましたが、水道事業を持続的に発展させていくためには、局職員と政策連携団体の社員いずれも、危機管理能力と実務能力の向上、両方とも必要であると思います。引き続き、人材育成には取り組んでいただきたいと思います。
事前の調整とちょっと順番を変えるんですけれども、続きまして、財政基盤について伺いたいと思います。
これは先ほどもほかの委員から質問がありましたけれども、公営企業については、独立採算制のもとで、常に経済性の発揮が求められるということであります。経営プランでは、五年間で百五十億円の企業努力を目標として掲げておられます。
平成三十年度はどのような経営努力を行ってこられたのか、これについても伺いたいと思います。
○岡安理事 当局は、安定給水の確保やお客様サービスの向上を推進するとともに、効率的な事業運営に努めております。
平成三十年度には、業務体制の見直しや民間への業務移転による事務の効率化により約二億円、業務運営コストや工事コストの縮減により約二十三億円、未利用地の売却や定期借地権制度の活用などの資産の有効活用により約四億円、合計約三十億円の経費縮減と収入確保を達成いたしました。
これによりまして、東京水道経営プラン二〇一六により掲げました平成三十年度の経営努力の計画、約二十九億円を、約一億円上回る経営努力が実施できたと考えてございます。
○おじま委員 今、人材基盤と財政基盤、運営体制全体のことについてもご答弁をいただいたのですけれども、そのようなご努力をいただいてきている中ではありますけれども、昨年の十月に公正取引委員会による立入検査を受けて、情報漏えいが発覚をしたということでありました。局としては、先ほどもありましたが、十年間で三度目の不祥事ということで、都政への信頼を損なう重大な事態であることはいうまでもありません。
知事は、直ちに副知事をトップとする調査特別チームを設置して、集中的に調査、原因究明を行うように指示して、水道局における再発防止策を取りまとめて、翌十一月に中間報告書として公表いたしました。当時、さまざまな報道が先行する中で、都が責任ある立場として、いち早く事実を調査して、都民に正しい情報を提供したことは評価できるのではないかと思います。
まず、情報漏えいが発覚した後で、直ちに実施をした再発防止策について、改めて確認させていただきたいと思います。
○木村職員部長 中間報告書では、事故から直接導かれる事項のみならず、局の構造的な要因に関しても考察を行い、十一項目の再発防止策を掲げました。平成三十年度は、そのうち六つの取り組みを実施いたしました。
具体的には、情報漏えいのあった浄水場の排水処理施設運転管理業務におきまして、現場の職員が厳格管理情報を保持しないよう、積算業務を本庁で一括し、現場業務から分離する取り組みを昨年十二月から実施いたしました。
また、事業者による探り行為を防止するためのペナルティー強化や、入札行動の事後的な検証を可能とするために、委託契約情報の事後公表を一年半から五年間に拡大するなどの再発防止策もあわせて実施いたしました。
さらに、職員に対して、自発的な非違行為の申告の有無を職員の処分量定に反映させ、汚職等根絶に関する宣言書に署名させる取り組みを実施し、ことしの二月からは、全ての職場において職場討議を行った上で、それぞれの職場のリスクを抽出し、対策を講じました。
これらの取り組みによりまして、現場担当者からの情報漏えいの未然防止、入札参加者の入札談合抑制、職員の危機管理やコンプライアンスの意識の向上等に効果が出ているものと認識しております。
○おじま委員 効果があったというご認識をご答弁いただきましたけれども、しかし、再発防止策に取り組む中で、本年七月、公正取引委員会からの改善措置要求等を受け、複数年にわたって複数の職員が情報漏えいを行ってしまっていたということが指摘をされております。これを組織ぐるみというふうに批判されても、これは仕方がないのではないかと思います。
先ほど奥澤委員からもありましたけれども、この信頼を取り戻していくためには、都としてしっかりと調査をして、反省をして、原因を究明していく中で再発防止策を講じることに加えて、都に損害を与えた職員に対しては厳しく対処していくということについても、責任を持って取り組んでいただきたいと思います。
このような事故を二度と起こさないために、組織として、処分をどのように考えておられるのか、認識を伺いたいと思います。
○木村職員部長 今回の事故におきましては、公正取引委員会からの指摘や都の調査において、複数の職員が複数年にわたって情報漏えいを行っていたことが明らかになりました。したがいまして、該当職員の管理監督者や退職者も含め、広範囲に及ぶ関係する職員に対しまして詳細な調査を実施しております。
こうした調査を踏まえまして、情報漏えい等の不適切な行為が認められた職員や、該当職員への管理監督者としての指導監督の適正を欠いていたと認められた上司につきましては懲戒処分を行うなど、厳正に対処していく必要があると認識しております。
○おじま委員 当の本人を厳正に処分していただくということは当然のことながら、この十年間で三度ということですから、職員を処分すればこれで終わりということでもないと思います。都民の不信感を、信頼を得るためには、長年の間、水道局の職員が当然のこととして考えてきたような仕事の進め方とか、組織のあり方とか、組織の風土そのものにメスを入れて、職員一人一人の意識を変えていかなければならないと思います。
この件については、さきの公営企業委員会においても、質疑をかなり重ねてこられたようで、その後も東京水道グループコンプライアンス有識者委員会というのを開催されて、年内の最終報告書の取りまとめに向けて、今、取り組みを進めていただいているということなので、多分、これはまた四定で報告があって議論がされることだと思うので、本日、私からは深くは質問しませんが、水道事業は、いずれにしても、都民生活と都市活動を支える基幹インフラでありまして、ライフラインでありまして、安定給水の確保と、それを支える信頼される組織を構築することは、公営企業管理者としての水道局長の責務であります。
どのように再発防止策を徹底して、信頼される組織を構築していくのか、局長の意気込みを伺いたいと思います。
○中嶋水道局長 今回の事故により失われた都民の信頼を回復するためには、複数の職員が情報を漏えいしていたという事実や、過去の事故に対する再発防止策を実施している中で情報漏えいが行われたという事実を真摯に受けとめまして、これ以上事故を起こさせない、真に実効性のある再発防止策を、局を挙げて進めていくことが必要でございます。
今回の再発防止策の策定に当たりましては、事務運営や意思決定のあり方を初めとした局の構造的な課題にまで踏み込んだ対策を検討し、さらに、外部の視点による検証を行い、取り組みを徹底していくことが重要でございます。
水道局の職員は三千七百名ほどおりますけれども、その九九%が真っ当に仕事をしておりましても、たった一人が何らかの不祥事を起こせば組織全体がだめになるという意識は、今回三回目ということでございますが、この事実に職員全体が向き合いまして、職員一人一人に、そういった意識はかなり浸透してきているというふうに思っております。
したがいまして、職員一人一人にこの意識、コンプライアンス意識を浸透、定着させる取り組みによりまして、職員が汚職等防止を自分のこととして捉え、各職場において汚職等防止を推進する組織へ変容させていくことが不可欠でございます。
こうした取り組みを局一丸となって推進し、全力で東京水道に対するお客様からの信頼の回復に努めてまいります。
○おじま委員 今、三千七百名のトップである局長からのご答弁、一%の職員が九九%の職員にというお話もありましたけれども、局長の今のご答弁に思いをいたすところであります。
まずは再発防止策を取りまとめていただくということだと思うんですけれども、議会としてもそれをサポートしていきたいと思っておりますので、引き続き頑張っていただければと思います。
次に、東京水道サービス株式会社、TSSの不祥事について伺いたいと思います。
本年二月、総務局が公表した東京水道サービス株式会社に対する特別監察結果報告書では、委託先業者との飲食を伴う会合、未実施の点検を実施したとする虚偽の報告、また、書類の改ざん指示など、水道局の政策連携団体であるTSSで起きてしまった衝撃的な不適正事案があらわになりました。
都の政策連携団体は、現場ならではの高度な知見や専門性を発揮し、政策目標の実現と効率的な執行体制を確立していく上で、所管局が戦力的に活用していく重要な存在であります。しかし、そのような重要な役割を担う存在であるべきTSSにおいてこのような不祥事が起きてしまったことで、またこれも、都民の信頼を大きく失墜させることになってしまいました。
まず、TSSでなぜこのような不祥事が起きてしまったのか、その原因として、水道局としてどのように認識をしているのか、伺います。
○石井経営改革推進担当部長 当局では、平成十八年度から、多摩地区水道の都営一元化に伴う事務委託解消に合わせて、それまで市町職員約一千百名が担ってきた業務を、順次、政策連携団体に委託してきました。その結果、東京水道サービス株式会社では、水道事業における役割が増大し、事業規模も急激に拡大したことから、幅広いさまざまな業務を円滑に遂行することを至上命題として事業運営を行ってきたという経緯にあります。
こうした経過の中で、社内における内部統制やコンプライアンスの重要性は認識はしていたものの、技術の継承やサービスの維持といった視点が重視されてきたことから、コンプライアンス等の重要性を社員一人一人に浸透させる取り組みが不足していたと考えられておりまして、これは、当然のことながら反省点ということで受けとめております。
○おじま委員 本来、事業規模の拡大に応じて、社内の内部統制とかコンプライアンスの徹底とか、こういうものが相応に整備をされていくべきところ、これが追いつかなかったということなんですが、まずは一刻も早く、企業としてというか、公営企業、税金でやっている企業ですので、正常な形にしていくことが重要であると思います。
TSSの特別監察に関する問題については、これまでもさまざまな議論が行われてきましたが、本年八月、東京水道サービス株式会社に対する特別監察結果改善報告書では、有識者委員会の助言、提言を踏まえ、局及びTSSが不適正事案の再発防止や内部統制、コンプライアンスの強化を重視して改善策が取りまとめられ、これを、局、TSS全社を挙げて着実に実施していくことで、都民からまことに信頼される東京水道グループを構築するというふうに述べられております。
そこで、今後、どのように都民からまことに信頼される東京水道グループを構築していくのか、これもまた局長の認識を伺いたいと思います。
○中嶋水道局長 東京水道が将来にわたり持続可能な事業運営を行っていくためには、東京水道サービス株式会社の内部統制やコンプライアンスはもとより、東京水道グループ全体のガバナンスを強化することが不可欠でございます。
今回取りまとめました改善策には、東京水道グループコンプライアンス有識者委員会の助言、提言を踏まえ、TSSのコンプライアンス強化策や、大会社に求められる内部統制の構築、さらには、東京水道グループ全体のガバナンス強化策を盛り込んでおります。
今後、既に実施しております改善策に加え、今回取りまとめました改善策を実施するに当たっては、実効性を確保するため、実施内容を絶えず検証し、PDCAサイクルに基づいて、常に最善の取り組みとなるよう、継続的な見直しを講じてまいります。
本日、先生方からご質疑、ご指摘いただきました災害対応ですとか、あるいはスマートメーターなどによるICTのサービスの向上、人材育成、そしてまた、国内や国際貢献というものは、私ども水道事業に求められるものでございますけれども、これを東京水道グループ全体のものとして取り組んでいく、また、そういった仕組みをつくっていくということが、真に信頼される東京水道グループになっていく道ではないかというふうに考えております。
こうした観点から、私が先頭に立ちまして、責任を持ってグループ全体を牽引していくことで、真にお客様からの信頼を回復し、持続可能な事業運営を実現してまいりたいと考えております。
○おじま委員 冒頭に、耳にたこと申し上げたんですが、本当に、次はないという強い危機感を持っていただいて、信頼回復に向けて、東京水道グループ全体として実効性のある内部統制やコンプライアンスの強化に取り組んでいただくことを改めて強く要望しておきます。本当に期待しておりますので、頑張っていただければと思います。
最後に、工業用水道事業について一言申し上げたいと思います。
これは二年前の公決で私が取り上げさせていただいたんですけれども、それから二年たちました。その間にいろいろありましたけれども、この工業用水道の抜本的経営改革、平成十六年度の包括外部監査において、廃止を含めた抜本的経営について具体的な検討を進める必要性というのが指摘をされてから、実に十四年間もの長期にわたる懸案事項でありました。
まずは、この工業用水道、利用者数も利用量も激減して、一般会計からの繰入金がなければ収支は赤字で、独立採算の原則も崩壊をしてしまっていて、また、事業開始から五十年以上が経過をして、浄水施設も配水施設も老朽化が進行していて、その更新に二千三百億円のコストがかかるという状況でありましたので、これは、これ以上、結論を先送りにすることは許されない状況にあったと思います。
こうした中、廃止による利用者等の経営等への影響を最小限にとどめるための支援計画を都が策定するとともに、都議会において工業用水道事業の廃止条例が可決されて、都としての方向が示されたことについては評価をしたいと思います。
なお、工業用水道事業が廃止をされる際に、水道事業で有効活用できる資産というのが工業用水道会計から水道事業会計に有償移管されるということで、この有償移管によって百六十四億円の財政負担が水道事業会計にかかるということであります。
そこで、我が会派は昨年度の公営企業委員会で、平準化をするよう、その方策を検討するよう提言しておりました。これを受けて、局では、平成三十年度水道事業会計決算において工業用水道事業施設等移管経費積立金というのを創設しておりまして、利益処分案として四十億円を計上しております。この点についても、有償移管に必要となる経費をあらかじめ確保して、財政負担の平準化を図るものとして評価をしたいと思います。
今後、令和四年度末の事業廃止に向けて、利用者への支援等々、今、一生懸命、全力でやっていただいているところだと思いますけれども、引き続き責任を持って行っていただいて、円滑な事業廃止に向けた取り組みを進めていただくよう、最後に要望して、私からの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後六時二十六分散会
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